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国務大臣(
松田竹千代君) 何と申しましても、将来、次代をになう青少年の将来は、いろいろ重要な国の問題と
考えておるわけでありまして、ただいまいろいろ御注意下さいました点は多岐にわたりまするが、私どもの
考えといたしまして、青少年の問題、今日やかましいその青少年の不良化という面からのみこれを見まするならば、まことに憂うべき問題はたくさんあるのであります。しかしこれは
日本のみならず、世界的にも、いずれの国においても大きな問題の
一つとして、これに対するいろいろな対策を講じておるわけであります。しかしこれを青年全体として見ましたときに、私は、わが国の青年はきわめて健全、明朗であって、実に将来を託するに足るものが多いということを確信する者の一人でありまして、私も長年青少年の学校外の人々と会う特別の仕事を扱ってきたわけでありまして、この問題に対しては、私
自身もきわめてこれを重視し、またこれに対する対策に対しても熱心にやって参っておるわけであります。要は、青少年はきわめて一面感受性は強い、また精力旺盛である。しかも今日の社会はきわめて刺激の強い社会である。もしそれ青年にしてひまな時間が多くて、人心うんでいるときに、多くの刺激を受ける場合には、直ちにこれが不良化の
方向に向かっているというような事態が見られるのでありまして、どうしてもこのひまな時間をフルにあらゆる機関を通じ、あらゆる設備、機会を与えて、若き人々の心をしてうまざらしめないようにするということが最も大切であると私は
考えるわけであります。それで、文部省といたしましても、いろいろこれらに対して、それぞれ施設を充実いたしまして、この青年の人々をしてひまな時間がなく、十分にその精力をフルに活用して、その不良化の余地なからしむるというふうに持っていかなければならぬ、こういうふうに
考えております。
今、第一に御指摘になりました入学、いわゆる試験地獄の問題、これは相当長い間やかましく言われている問題でありまして、この問題につきましては、実際、これを一気に解消してしまうという名案も持ち合せておらん、それはけしからんじゃないかとおっしゃいますが、もしそれ、そういう名案がありましたならば、これを採用するにやぶさかではないのであります。しかし、文部省といたしまして
考えておりますところは、まず、大学の入学試験については、次のような策を
考えているわけであります。大学の学生の収容力の増加は、これはばかっていかなければならぬ。とりあえず、できるだけ増加をはかっていく。また、大都市の有名校にばかり集中するという点、この点を何とかして緩和していく。そのためには、まず地方にそれぞれ特別の交付というか、地方の大学を充実することによって、それへいくらか引きつけていくというような
考え方も持っているわけであります。またさらに、大学卒業生の就職試験にあまり差別をつけてもらわぬようにしていかなければならぬ。これもむずかしい問題でありますけれども、そういう
方針をもってやっている。さらに、高等学校における適切な進学指導をすることによって、その緩和をはかりたい。入学試験の選抜方法などをまた改善していきたい。高等学校なんかの入学試験の問題について、その解決をはかるためには
——高校進学希望者の合格率は、大体三十四年は非常にいい成績でありまして、九四%まではみな入れているわけであります。だから、案外
——昨年は一番いい成績でありましたが、今年度、中学校の卒業生は二十万人減っている。明年度は三十六万人減っていくというような状態になっておりますので、競争率は、この点については緩和する。もっとも、それから三年後にはまた一時ふえるということになりますから、これに対しては今日からいろいろ対策を講じてこれに対処したい、こういうふうに
考えているわけであります。
またさらに、アルバイトの問題でございますが、アルバイトを必要とする大学の学生数は、約二十二万人、三八%であります。アルバイトに従事する者が約十七万人、右の八〇%、それから職種をあまり選ばなければ、大体そういうふうでありますから、希望は満たせていけるということになっております。
お話しの学徒援護会、これにつきましては、全国に八カ所、学生相談所を設けて、学生に対する内職のあっせんをいたしているわけであります。それからまた、全国十一カ所に学生会館を設置いたしまして貧困学生に対して宿舎を堤供するということもやっているわけであります。それから簡易な職業補導、保健、診療なども行なっているわけでありまして、これに対しての補助金も五千七百万円、実績は、大体
年間十六万人くらいに内職を与えている、こういうふうな
状況でございます。
就職の問題でありますが、これにつきましても、私は、
日本の国民がすべてまず大学
教育を受けたい、大学に進むという
日本の国民の自負は外国に比して一そう強いように思われる。この向学心はまことにけっこうなことと思いますが、しかしこの点につきましても、私は高等学校から大学に入れない者も半数近くあるのでありまするが、しかし、大学に進み得ないで、早く実社会に出た者、そうして、実社会において実際の人生経験を経た者が、必ずしもおくれをとる者ばかりとは
考えられないのでありまして、むしろ大学三年やって出てきたときに、早く三年前に実社会に出た者が、むしろ優位な地位にあったということも往々あるのでございまして、人生に対するものの
考え方、大学に行く者はけっこうだ、ところが、大学に行くのに、必ずしも適さない人間もある。むしろ、実社会の経験も積んで、その修練を通じて、人世に新しい道を展開されるという場合が多いのでありますから、私はこういう点についてのものの
考え方も、やはり持っていかなければならぬじゃないかというふうに
考えているわけであります。むろん学校に入って、大学に入っても、アルバイトをやり、あるいは何かして、その勉強するさまは、まことに頼もしいことでありますけれども、また、それと反面、違った方面で、かえって三
年間いたずらに時を過ごして、必ずしもいい結果にならない場面もあるのであります。でありますから、この大学の卒業生の就職という問題は、むろんわが国の
経済の
拡大、長期
経済計画と密接な深い関係にありますので、これと見合って、そうして、時代のこの要求に応じて、そうして、その時代の要求にマッチするような、やはり指導をして、その学科等についても、それぞれその時代の要求に応じたもので養成していく、こういう
考え方を持っているわけでありまして、大体その就職の困難は、どうしても雇用量の増大、そうして、やはり人生観に対するものの
考え方ということも、あわせて
考えてやっていってもらわなければならないと、かように
考えております。