運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-02-17 第34回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十七日(水曜日)    午前十一時七分開会   —————————————   委員異動 二月十六日委員荒木正三郎君及び辻政 信君辞任につき、その補欠として成瀬 幡治君及び竹中恒夫君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            大谷藤之助君            佐藤 芳男君            館  哲二君            西田 信一君            秋山 長造君            鈴木  強君            松浦 清一君            千田  正君            杉山 昌作君    委員            泉山 三六君            太田 正孝君            金丸 冨夫君            小柳 牧衞君            斎藤  昇君            杉原 荒太君            手島  栄君            苫米地英俊君            一松 定吉君            堀木 鎌三君            武藤 常介君            村松 久義君            村山 道雄君            湯澤三千男君            吉江 勝保君            米田 正文君            加瀬  完君            木村禧八郎君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            成瀬 幡治君            羽生 三七君            平林  剛君            藤田  進君            松澤 兼人君            東   隆君            基  政七君            竹中 恒夫君            原島 宏治君            森 八三一君            岩間 正男君   国務大臣    内閣総理大臣  岸  信介君    法 務 大 臣 井野 碩哉君    外 務 大 臣 藤山愛一郎君    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    文 部 大 臣 松田竹千代君    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君    農 林 大 臣 福田 赳夫君    通商産業大臣  池田 勇人君    運 輸 大 臣 楢橋  渡君    労 働 大 臣 松野 頼三君    建 設 大 臣 村上  勇君    国 務 大 臣 赤城 宗徳君    国 務 大 臣 石原幹市郎君    国 務 大 臣 菅野和太郎君    国 務 大 臣 中曽根康弘君    国 務 大 臣 益谷 秀次君   政府委員    法制局長官   林  修三君    法制局次長   高辻 正巳君    自治庁財政局長 奧野 誠亮君    防衛政務次官  小幡 治和君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁経理局長 山下 武利君    防衛庁装備局長 塚本 敏夫君    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    外務省条約局長 高橋 通敏君    大蔵大臣官房長 宮川新一郎君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省主税局長 原  純夫君    文部大臣官房長 天城  勲君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省管理局長 福田  繁君    文化財保護委員    会事務局長   岡田 孝平君    厚生省社会局長 高田 正巳君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    食糧庁長官   須賀 賢二君    林野庁長官   山崎  齊君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    中小企業庁長官 小山 雄二君    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸省港湾局長 中道 峰夫君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君    運輸省観光局長 岡本  悟君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十四年度一般会計予算補正  (第3号)(内閣提出衆議院送  付) ○昭和三十四年度特別会計予算補正  (特第2号)(内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) これより予算委員会を開会いたします。  まず、委員異動がございましたので御報告申し上げます。昨日、辻政信君及び荒木正三郎君が辞任せられ、その補欠といたしまして竹中恒夫君及び成瀬幡治君が選任せられました。
  3. 小林英三

    委員長小林英三君) 昭和三十四年度一般会計予算補正(第3号)、同特別会計予算補正(特第2号)の二件は、昨日衆議院から送付され、本委員会に付託せられておりますが、一昨日本件の取り扱いについて委員長及び理事打合会を開きましたのでその内容を御報告申し上げます。  一、補正二件につきましては十七、十八日の二日間で議了すること。  二、質疑時間は三百六十分とし、各会派の割当は自民党百三十五分、社会党百三十分、民主社会党無所属クラブ各三十分、同志会二十分、共産党十五分とすること。  三、質疑順位社会党自民党民主社会党無所属クラブ同志会共産党とし、各一名ずつこの順位を繰り返して行なうこと。  以上でございます。  ただいま御報告いたしました通り、本委員会を運営することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議はないものと認めます。   —————————————
  5. 小林英三

    委員長小林英三君) 昭和三十四年度一般会計予算補正(第3号)、昭和三十四年度特別会計予算補正(特第2号)を一括して議題といたします。
  6. 加瀬完

    加瀬完君 議事進行。ただいま配付されました予算補正各日明細書が配付されたわけでありますが、この明細書を見ますと、員数単価その他の明細を要する事項が一切盛られておりません。これでは審議の上に非常に支障がありますので、この内容を具備されたものをさらに配付願うように、委員長においてお取り計らいをいただきます。
  7. 小林英三

    委員長小林英三君) 今、加瀬君から資料要求について御希望がございましたように委員長において取り計らうことにいたしたいと思います。
  8. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の議事進行関連して……
  9. 小林英三

    委員長小林英三君) 今委員長が申し上げたことで御了解願えるでしょう。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 了解できない、何回も要求しているのですから。これまで私は何回も要求しているのですよ。この予算審議の初めに、いつでも各日明細出すのですけれども、員数単価も全然書いてないブランクのものを出して審議できますか、何回も要求している。この前も要求して、委員長もそう取り計らうと言われたでしょう。ですから、審議を始める前にこれを配付しなければならないのです。しかも、特に今度のこの補正予算は、委員長も御承知通りですよ、三十五年に計上すべきものを三十四年度に繰り上げて計上しているのではないかということが一つの大きな論争の焦点になるのです。その場合にはそうでございませんと言っても、抽象論では水かけ論になってしまう、具体的な資料もとにして論議しなければならないのです。ですから、この際私は各日明細内容を、人員単価と同時に、そればかりでは足りないのです。一番この予算基礎になる、積算基礎になる歳出予算明細書を出すべきです。歳出予算明細書を出さなければ、繰り上げて支出したかどうかはわからないのです。歳出予算明細書を出せばわかります。何県のどこの河川のどこの予算であるかという積み上げを出せば、初めてこれが繰り上げ支出かどうかわかるのです。そこまで今度は特に資料を出さなければ、審議やっても無意味になってくる危険があると思う、全然無意味とは言いませんけれども。ですからやかましく資料要求しているのです。抽象論ではこれは水かけ論になってしまう。だからまず資料を先に出してそうして審議しなければ全く意味がありませんよ。こんなブランクのものをいつもいつも出して、まるで侮辱しているものですよ、大臣。その意味で、この審議の前に私は歳出予算明細書事項別、小事項別項目別、目の細目まで出さなければ、これは抽象論、水かけ論になってしまう。で、私はただいま加瀬委員要求各日明細人員単価以外に、歳出予算明細書提出要求いたします。
  11. 小林英三

    委員長小林英三君) 今加瀬君並びに木村君から、この補正予算についての資料要求の御意見がございましたが、主計局長いかがです。
  12. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 各日明細についてのお尋ねでございまするが、各日明細書につきましては員数単価を記載すべき様式になっております。ただ、ものによりましては員数単価の記載ができないものがございまするので、従来も本予算の場合、あるいは補正予算の場合、員数単価を入れまする場合、入れません場合がございまするので、今回出ておりまする補正予算関係各日明細におきましては、おおむね員数単価を書けないもの、これは各省において調整をせられておるものでございまするが、従来の例もございまして、こんな体裁のもので御提出をいたしたわけであります。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 歳出予算明細書はどうしたのですか、明細書について出さないのか。
  14. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 歳出予算明細書とおっしゃいますが、いわゆる予定経費要求書のことかと思いまするが、これは予算書ごらんいただければ、いわゆる正式の予算書のすぐうしろに一冊になっておりまする後半の部分が各省からの提出のものであります。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そんなことを言っているのじゃない。目の細目ですよ、事項別、小事項別、それから目の細分別、それを言っているのです、積算基礎……
  16. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 各日明細が、今、木村委員お尋ねの点かと思いまするが、もしそういうことでございますれば、これは目をさらに砕きますする場合におきましての節以下のお話しかと思いまするが、それは各日明細に出されるわけでありまして、そういうような節の区分をいたしまする場合には、当然節の区分もいたしまするが、今回の場合におきましては、経費につきましてそこまでの区分をいたさないものが多うございますから、木村委員が先ほどからお話しになっているような結果になっておりますが、筋道といたしまして、各日明細に節以下の区分をいたすことになっております。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 資料を出さなければ、今度のこの審議が水かけ論になっちゃうのです。一番重要な点が、ポイントが論議できなくなるでしょう。資料を出すか出さないかです、問題は。資料を出さないで議論できないじゃないですか。
  18. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 御要求資料につきましては、お出しをいたしておりまするもの、あるいはこれから準備いたしますものございまするが、いずれにいたしましても、公共事業個所数は六、七万という非常に大きな個所数に上りますので、木村委員がおっしゃいまするような意味におきまするこまかい積算は、ちょっとむずかしいのじゃないかと思います。いずれにいたしましても、公共事業につきましては、実施計画の面におきまして実効を期して参るということが従来からあるものでございまするから、当初の各日明細におきましてそこまでこまかいものが出てないというのが、従来の実情でございます。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今度の災害、あるいはまた治山治水対策予算につきましては、どんぶり勘定的な、そういうつかみ予算的な性格があるのじゃないかということが、一つの大きい問題なんですよ。それでもうすでに一応この補正を組んで、その上にまた出てきたんでしょう。それでこれは三十五年度の予算のワクを広げたくないので、そこで三十四年度に繰り上げて支出しているのではないかということが議論焦点になっている。そうであるかないかは、この積算基礎から洗っていかなければわからぬじゃありませんか。だから、詳細に、どんぶり勘定でないのだというなら詳細にその積算基礎を、何県のどこの河川に、その積み上げ基礎があるはずでしょう。それを出せばはっきりしてくるのですよ。これまでの補正予算が十分だと言ったんですから、それでまたここへ出してきた、これは使い切れない、明らかなんです。それを抽象論でやっていたのではこれは意味がありません。ですから、具体的資料を出して、それをもとにして審議しなければ、むしろ無責任になる。政府だってこんな各日明細審議できますか。
  20. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 御承知のように、災害関係につきましては被害報告、それに対しまする査定、それに基づきます支出見込みがございまするわけでございまするが、これは先ほど申し上げましたように、非常に多くの個所数のものがございまして、これは建設省なり、農林省なり、運輸省なり、各省におきまして各個査定したものがございます。これは非常に膨大なものでございます。それに対しまする集計をいたしまして、総額がこうなって、それに対して第二次補正でどうだ、第三次でどれだけ出てきたということにつきましては、これは資料十分ごらんをいただけると思いまするし、また、関係省からも十分御説明いただけると思います。それで一つごらんをいただきたいと思いまして、今の災害復旧事業実情から申しますると、ちょっと今、木村委員のおっしゃられまするような意味におきまする各個個所数からの積算を出すことは非常に膨大なことになりますので、各日明細という形式におきましては無理だと思いますので、全体の姿においてごらんをいただくということがやむを得ないかと思います。
  21. 小林英三

    委員長小林英三君) これより質疑に入ります。成瀬幡治君。
  22. 藤田進

    藤田進君 ちょっと。政府答弁に対して委員長は対処すると言われた。政府の方は対処しないことになっているので、それではどっちをとるのか、はっきりしてもらいたい。
  23. 小林英三

    委員長小林英三君) 委員長においては今、加瀬君の言われたように、また木村君の言われたような御要求につきまして、政府にできるだけの資料を出さすようにいたしたい、こういうっもりでございます。(二日しかないでしょう。もっと各省別の……。大臣どうなんだ。」と呼ぶ者あり)
  24. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど主計局長から事務的に御説明いたしましたように、いろいろ内容についての御要望のお話し、わからないわけじゃございませんが、実際に事務的な処理といたしましては相当膨大なものになりますし、御審議にあたりましては私どもも十分実情について誠意をもってお答えするつもりでございまするので、その質疑を通じて、ただいまのような点を明確にしていただきたいものだと私からもお願いをいたしておきます。(「質疑をするのに必要なんだ」と呼ぶ者あり)資料は実際には私は困難で作りにくいだろうと思います。各省の節以下のものまでということになると大へんなことになります。(「どんぶりだから出さないのだ」と呼ぶ者あり)
  25. 鈴木強

    鈴木強君 委員長……。
  26. 小林英三

    委員長小林英三君) 成瀬君、質疑をして下さい。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 委員長発言を求めてい  るのです。
  28. 小林英三

    委員長小林英三君) 成瀬君……。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 委員長、おかしいじゃな  いか。議事進行
  30. 小林英三

    委員長小林英三君) 議事進行ですか。鈴木君。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 今こちらから要求しておる資料に対して、主計局長大蔵大臣からお答えがあったのですけれども、われわれ実際審議する場合に、明細がないとやりにくいと言っておるのです。ところが、あなたの方では資料が膨大なので、質疑を通じてできるだけその内容を明らかにする、こういうことをおっしゃっているのです。しかし、われわれはそれをほしいのです。きょうとあしただけの審議ですから、大蔵省が人手がなくてどうにも間に合わぬというなら、こういうときにはアルバイトを雇って下さい。そしてわれわれの審議に必要な資料は出して下さいよ、大臣。そうしませんと、かえって非能率的ですよ。そういうことを重ねて私は大蔵大臣要求しなければならない。これは委員長が善処されると言っても、政府側はああいう答弁をしておるのですから、私はこの問題に結着をつけたいと思うのです。ぜひとも、膨大であっても資料をほしいというのですから、一つ資料をぜひ出していただくようにお願いして下さいよ。
  32. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) これは予算委員会からの資料要求になっております災害復旧事業農林水産業施設公共土木施設都市施設というふうに分けまして、これを河川、漁港、港湾というふうに分類いたしまして、それの被害報告額査定見込み事業費幾ら、総国費幾ら、そのうち措置済み幾ら、今回の分幾ら、合計いたしまして三十四年度措置額幾らという表をただいま調製をいたしておりまして、これはもうほんとうに間もなくお届けできると思います。それで私が先ほど来申し上げている全体の姿はごらんいただけると思います。
  33. 小林英三

    委員長小林英三君) 成瀬質疑に入って下さい。(「委員長、ちょっと待った」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)ただいまの加瀬君並びに木村君からの資料要求に対しまして、主計局長発言を許します。
  34. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) ただいま御要求のありました資料につきましては、災害施設によりまして分類をいたしまして、各施設項目ごと被害報告、それに対しまする査定額、それに対しまする国費支出、その総額に対しまして三十四年度において既措置としてどれだけのことをいたしており、今回の第三次補正幾らの金額を支出する、合わせまして三十四年度措置額幾らになるという数字を一覧にいたしまする表を、一時間以内に御提出できると思います。
  35. 小林英三

    委員長小林英三君) なお、その他の問題につきましては、休憩中にまた理事会等において御相談いたすことにいたします。  成瀬君、質問を……。   —————————————
  36. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 最初に、追加予算を組まれた理由が、すでに木村委員等からも見解が表明されているわけでございますが、私もやはり同じ立場に立って、何か、景気過熱というようなことについて心配をされて提案されたのじゃないかという点ですが、これは水かけ論にもなることであり、また資料が出ましてから他の委員からもそれに関連してあると思いますが、歳入の面について、この前、第二次補正のときには、これでもうある予算をかき集めたのだ、ところが、若干の期日がたったらもうすでに税収が変わっておる。どうも、国民負担の側に立てば、税を納める側に立てば、そうその見込みが勝手に、ふえた、減ったというようなことになっては大へんだと思うのです。何か政府の御都合主義で税収というものが変わっているのじゃないかというふうに思うのですけれども、それに対する御所見が伺いたい。
  37. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 補正第三号を出しましたのは、この内容ごらんになればわかりますように、災害費その他義務的支出のものでございます。従いまして、その支出の必要であることは、さらにこまかく御説明をいたしますれば、御了承がいただけるかと思います。ところで、これを、第三次補正を組みましたのは、ただいま御指摘になりますように、景気動向に対して特に留意した結果出したのじゃないか、こういうことでございますが、さような点を考えたわけではございません。必要な義務的支出補正予算として提案いたしたわけであります。  ところで、しからばその歳入は一体どうだというお尋ねでございますが、御承知のように、税収につきまして、第三次補正では相当多額の自然増収を見込んでおります。この、税の収入を見込むということは、なかなか、昨年の三十四年の経済の動き、あるいは引き続いての経済動向等を考えてみますと、正確な見通しを立てることは、第二次補正を出しました時分には、やや困難な面もあったのでございます。しかし、第二次補正を編成いたしまして、その後の実績等を勘案してみまして、今回の財源を見込むことは可能だと十分確信を得ましたので、第三次補正財源としての自然増収なり、あるいはまた税外収入などを予定いたしまして、そうして歳入の見積もりを立てたわけでございます。
  38. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 減税を全然やらなくておって、そして税の自然増収がこれだけあるのだと、何か、取ったことを自慢になさるように思うのです。だから、やはり予算をお立てになるということは、大蔵省の全責任であり、そして出されたものだと思うのです。それがしばしば変わるという点はいいことじゃないと思うのです。大蔵省のそろばんの間違いだったということになるのです。ですから、私は、一つ慎重にそういうものについてはやっていただかなくちゃならぬと思うのです。  次に問題を移しますが、今度の予算は、民生の安定であるとか、あるいは防災を柱にしておる国土保全予算だということを宣伝をしておいでになるようですが、しかも、治山治水等長期計画を立てておいでになる。一体、長期計画を承りますと、十カ年間、そうしますと所得倍増計画というようなこともあって、そういうものとにらみ合わせまして、今後こういうものが予算において占めていくパーセントは一体どのくらいあるものと想定をしておいでになるのか。
  39. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま資料が手元にございませんが、ただいま御指摘になりますように財貨サービスと申しますか、投資計画というものと歳入あるいは経済成長率、これは十分均衡がとれるように考えていかなければならない。支出の面も、ただ必要だからというだけで膨大なものを作るわけには参らないわけであります。そういう意味から今回の国土保全長期計画を立てたわけでありますが、今十カ年計画として立てましたものは平均の伸び率から申せば七二%程度になっておると思います。しかしてこれはいわゆる十カ年計画は立っておりますが、そのうち前期五カ年計画、特に緊急を要するものとしての前期五カ年計画を策定しております。しかし、この国土保全計画災害復旧予算とは、内容的に十分関連を持つべき支出性格のものだとかように実は考えておりますので、このいわゆる国土保全計画年次計画というものは、今日まだ立てる段階になっておりません。これは十分災害復旧費等との関連におきまして他の必要のある諸施設と十分均衝をとらすという考え方で進んで参るつもりでございます。
  40. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 均衡をとるということでございますが、私は中身がないというようなお話も承ったのですが、それでは今度は逆に防衛計画のことに関連してお伺いしますが、片一方では六カ年計画というようなことがあるわけです。これがそれでは六カ年計画の、予算に対して将来の見通しとしてどのくらいのやはり比重を占めておるのか、これと民生安定、あるいは国土保全のものとのバランスというようなものについてどういうふうに考えておられるのか承りたいと思います。私はここで抽象的に聞いておるわけですが、答えは一つなるたけ親切丁寧と申しますか、数字的にお答え願えれば非常にいいと思うのです。
  41. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 防衛費、これは防衛関係支出と全体を見たらいいでしょう。防衛庁費ばかりでなくて、やはり防衛施設費等も一緒に考える、いわゆる防衛関係費総額でございます。この総額は、ことしの予算面に出ておりますものは御承知のように三十五年度の総予算に対比しますと一割に満たない九・八%になっておると思います。さらにまた、国民所得に対します率は一・四八%程度であるかと思います。ところで、ことし特に議論になりますのは、防衛力漸増計画、これは一体どういうように見込まれるかということでありますが、この点ではいわゆる第二次防衛計画というものはまだ国防会議にかかっておるわけではございません。防衛庁自身ではいろいろ絶えず防衛力漸増計画を持っておられることだと思いますが、まだ決定はされておりません。ただいま決定を見ておりますものは、ロッキードの二百機を生産するという債務負担行為で六百九十八億を計上いたしております。このロッキードの二百機生産は三十六年度以降四カ年のうちにこれを完成する予定でございます。これまたただいまのところ年次計画は立っておらないという実情でございます。ところで、ことしの防衛力はこのロッキード以外にも債務負担行為が例年通りの二百億前後のものがあると思います。それ以外にも陸海空を通じましての増員計画もありますし、あるいは給与の中だるみ是正その他現在の勢力を維持していく上においての必要なものと、さらに一部増勢の部分もロッキード以外にもあるわけであります。これが来年度になりますと、今年は年間を通じておりませんが、この今年増勢にかかりますものが、来年度は維持分となる、その金額が一体どの程度か、かように考えますと、維持分として必要な金額はおそらく百億前後ではないか、かように実は思います。そこで、この百億程度のものは現計画を維持をするだけで当然ふえていく。そういう場合に防衛力の増勢分をいかに予算化するか、言いかえますならば、ロッキードその他の債務負担行為の予算化の分もございますし、あるいは新たな計画もあるとすれば、それをいかに取り入れるべきかということになるわけであります。この維持分だけはどうしても予算を増額して参らなければなりませんが、増勢分につきましては、他の必要な経費、また歳入歳出の全体とも十分均衡をとりまして、そこに支障のないようにして参りたいと思います。先ほど税の自然増収計画をしたが、減税は一つ計画がないではないかという点もございます。私どもも現在の状態から見れば、減税の必要なことも痛感しておりますので、いわゆる必要なる施策といううちには、これらの点をも取り上げまして、三十六年度以降の予算編成には均衡のとれたものを考えていくつもりでございます。
  42. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 やはり民生の安定、国土保全というようなことに重圧になってくるのは、何といったって再軍備費だと思うのです。そこで日本の大体予算を立案されるにあたって、およそどのぐらいのパーセントに再軍備というようなものを押えていったらいいかという点について見解を承りたいと思います。ただ均衡のとれた、とれたとおっしゃるが、一体一割程度のものか、あるいはそれを二割、三割とふやしていったらいいのか、およそこのくらいのものが妥当ではないかというような点についての見解を承りたい。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 防衛力の漸増にしても、あるいは減税にしましても、あるいは国土保全、あるいは社会保障の事業の遂行だとか、あるいは経済基盤の強化だとか、それぞれ必要な問題がございますので、やはりいたずらに均衡ばかりをとるわけにもいかない場合がある。非常におくれておるものはやや積極的に進めなければならない、こういうこともあるだろうと思いますが、こういう点から見まして、ことに防衛力などは、国際情勢などもいろいろ影響を及ぼすものでございましょう。従いまして一体パーセンテージ幾らがいいかということは、なかなか申し上げかねるのでございます。およそ各国の防衛力、自衛力等を見ましても、きょうあたり新聞に出ております英国の防衛予算などはわが国予算の全体よりもまだ大きいようでございます。これはもう大へんな金額が計上されておりまして、しかし総予算に占むる割合から申しまして、おそらく三割程度のものではないかと思いますが、わが国の経済実情なり、あるいはわが国の国民生活の実態等から見ると非常に多額なパーセンテージを防衛費に割くわけにはいかないだろうと思います。しかし、これは何と申しましても国情、国際情勢、各方面からもやはり考えていかなければならぬことだと存じます。
  44. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 予算に占めるパーセントはなかなか言えない。それもしかし、施策の上においてはおよその数字というものは、私は押えていく上に必要だと思うのです。押える数字というものがなければならないと思う。あるいはまた国民所得の何パーセントくらいでいったなら妥当であるかということも、民生安定等いろいろな問題で私はやはり必要だと思う。あなたは均衡ということをおっしゃるが、言葉をかえていえば、予算にそれはどのくらいのパーセントを占めているのが妥当かということになると思うのです。ですから重ねて伺いますが、大体今占めておるたとえば国庫債務負担行為等があっていろいろなことでごまかして九・八%になっておっても、実際はもっと高いと思うのですが大体一〇%程度くらいを今後少なくとも五カ年間くらいは目標にしておられるものか、国際情勢が変わるならもっとほしいのだという態度でおられるのか、その辺のところを御答弁願いたいと思います。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど来申しますように、防衛力の今後のいろいろの諸計画等も勘案してみないと、十分の数字的なお話ができかねるように思います。人によりましていろいろの議論をいたしますが、やはりこれはその国の経済状態なり、あるいは国民の生活の実態なり、その他の必要なる諸経費支出なり、それらを十分考えないと、防衛費幾らがいいということはなかなか言いにくいことだと、かように私は考えております。
  46. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 一言だけこの問題についてお尋ねしておくわけですが、それは中共の原水爆保有と申しますか実験は、大体一年先ないし二年先だといわれておるわけです。これが安保がそれの促進剤になっておるだろうと思うのです。こういう問題に対して総理はどういうふうにお考えになっておるか。またそういうことになれば、これに対して日本も負けずにやるのだということで、せっかく進められた治山治水等の十カ年計画というものが犠牲になってしまって、防衛力というようなものに対して予算の比重というものがかかってくるのじゃないか、その辺に対する方針が、これは仮定の問題だからお答えできないとおっしゃるかもしれませんが、一応一つ想定のもと見通しなり、あるいはそういうことが起きた場合に対する対処あるいはそういうことのないようにしていかなければならないと思いますが、そういうものに対する対策を承っておきたい。
  47. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 原水爆の問題に関しましては、日本は御承知のように、常に一貫してあるいは実験の停止の問題や、あるいは原水爆そのものの禁止の問題に関しまして国連を通じ、あるいはその他の方法でもって世界に訴えてきております。私どもはこの原水爆の問題は、現在持っておる大国においてこれが制限についての協定ができるように、今日までいろいろ議会において、いろいろな方法において、世界の大勢をそういうふうに持っていくように努力してきた。幸いに米ソ英の三国において、実験禁止についてのジュネーブの会議が持たれておるという状況であります。ところが、最近において、フランスがサハラにおいて核実験をやるという計画が発表されまして、これに対してもフランスに対して、これを中止するようにわれわれは強く要望もしてきたのでありますし、また、国連においてのそういう決議案に対しましても、われわれは協力をして推進はしてきたのであります。しかるに、それにもかかわらずフランスがサハラにおいて実験をやった、これに対しては直ちにわが方の従来の考えで抗議を申し出ておるわけでございますが、さらにその他の現在持っておらない国々がそういう方面に進出してくるということは、世界の平和の上からいいましても、人類の福祉の上からいいましても、これはゆゆしいことであると思います。私は中共が近くそういうことをやるとは実は考えておりませんけれどもしかし、現在持っておる大国、従来は三カ国であったのがすでに四カ国になっておる、この数がふえていく傾向にあることは、現在のままで放置しておけばそういう状態になる。これはわれわれの従来の主張から考えましても、さらに人道的な立場から考えましてもゆゆしいことでありますから、私どもはこれに対してはなお一そう世界の注意を喚起し、また三国の間におけるところの今の協定が早くできるような機運を促進していくべきことは当然であると思います。そういうように努めて参りたいと思いますが、ただかりに、中共がそういう状況があったと、近い将来にそういう方面に進出してくるというようなことがあったといたしましても、日本みずからは私はいかなる意味においてもこの原水爆を持とうとか、あるいはそれに対抗して原水爆、核兵器を持とう、武装しようというような考えはこれは持つべきものでないし、また、私はかねて申し上げておる通り、絶対にそういうことは私どもは考えておらないのでございまして、ただ、この防衛力の増強の問題に関しましては今、防衛庁においていわゆる防衛三カ年計画から、第一次の三カ年計画が終わると同時に、これに引き続くところの第二次計画を検討中でございます。これがある程度の成案を得るならば、国防会議にかけてさらに審議してこれを決定して参りたいと思います。これはあくまでもすでにきまったところの、国情及び国力に応じて漸増するという基本の方針は、私どもはこれはゆるがすべきものでないと思います。従って先ほど来いろいろ御質問もございましたが、将来防衛費がどういうふうに増加されるかということは、この第二次防衛計画とにらみ合わせて考えていかなければならぬのでありますけれども、その場合においても常に民生の問題や、あるいは日本として行なわなければならない国土保全問題であるとか、そういうような問題に関して、防衛費が重圧を与えてそういう事業ができないようにすることは、私は国力、国情に応じた漸増の域を越えるものだと思います。そういう意味において、十分に国力、国情に応じての漸増という程度にとどむべきものである、かように考えております。従って、中共がどうなったからわれわれの方ではそれに応じてさらに防衛費をふやすというような考え方は持っておりません。
  48. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この問題については僕ではなくて、他の委員の方が適切であり、時間もかかっておりますからあまり議論と申しますか、やらないつもりですが、国連が一つの解決の場だと、こういうふうに指摘されておりますが、やはり対中共との国交回復という点、善隣関係を結んでいくという点が非常に大切だと思います。総理は、しばしば、いまだ静観ということをおっしゃっているが、ここらあたりで転換をされて、一つ国交回復、善隣関係を結んでいくという方向に施策を変えられる意思はないのかどうか、これだけ一つ伺っておきます。
  49. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 私は、静観ということを申しておりますことは、決して日中関係を現在のままに放置しておこうという考えではございません。私は、この間にも日中問題を改善し、これを打開していくためには、前提として考えなければならないのは、日中両国ともおのおのの立場、相手方の立場、相手方の政治体制やその他のものに対しては、これを十分理解し、これを尊重して、お互いに相侵さないというこの基本が確立されるということが、これは必要であって、その上に話し合いでもって両方の間の友好親善を進めていく、その前提を考えてみますると、これに誤解があったり不信があったりするような状況では、これは解決できないのであります。不幸にして、ずいぶん中共側にわれわれの考え方や、われわれの態度についての誤解があると私どもは考えておりますが、しかし同時に、この中共側のそういう誤解が生じた理由についても、またそういうようなことについても、われわれは反省すべきことは反省して、そして今言ったお互いがお互いの立場を尊重して相侵さないということの前提を築き上げるように私は努めていくのが現在の必要なことだ、かように思っておるのであります。決して静観ということは、何もせずに、ただ事態の推移にまかすという安易な考えではございません。
  50. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 災害について種々お尋ねしたいと思いますが、まず基本的な対策なんですが、まあ二十八年災あるいは三十三年の狩野川の台風あるいは三十四年度の災害等、災害がずっとやってきておるわけですが、対策の方は何もないじゃありませんか。ただ補助金等、あるいは範囲等について若干の手直しをした程度で、これがこの間の臨時国会で問題になりまして、そして政府は、総理大臣は、あるいは総理大臣以外の大臣もこの国会には一つ画期的な法律案を提案をするということをおっしゃっておるわけですが、速記録を読み上げよというならここにありますが、とにかく約束をしておみえになりますが、今国会の提出予定案の中にどれが該当しておるのか承りたい。
  51. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 実は、御質問のありましたように、災害基本法と申しますか、そういう何か災害の防止に関し、また災害が不幸にして発生した場合に、これに対する処置を最も迅速に果敢に事態に応じて処置できるような基本の法制を立てたいということを、この前の臨時国会で申しました。そしてそのことについて政府部内においていろいろと研究を進めております。ところが御承知のように、そういう場合における各庁間の権限がきわめて錯綜をいたしております。そしてまた、中央官庁と地方公共団体との間の関係においても非常に複雑な関係がございます。従って、これらをどういうふうに災害の場合に処置していくかという問題に関しましては、実はまだ、検討はいたしておりますが成案を得るに至っておりません。私は方向として考えておるのは二つあるのでございまして、一つ災害が発生したなにを見ますというと、ずいぶんその前に、すでにある役所においては、ここにおいて災害の発生するおそれがあるというようなことを考えて、それに処置をしたいと思うが、やはりそれに関連している役所の方では、その点についてまだあまり注意が喚起されておらない、連絡が十分でなかったために処置が講ぜられておらなかったというような事態もたくさんあるように思うのであります。従ってそういう災害関係のある役人を、関係の役所やそして団体等の職員を、かりに防災官というような名前をつけて補任をいたしまして、そして常時防災官会議というようなものを開いて、災害が発生した場合、発生させないようにする処置、たとえば一つの例を申しますというと、そういう場合においてそれを避難させるのはどういうふうなところにどういうふうにしていくか。それにはちゃんとそういう施設をしておく、あるいは非常にあぶないところの防波堤とか何とかいうものに対して、事前に交通の面やその他の点も考えて処置をしておくというような防災的な連絡をとる方法を講ずべきだということが一つ。  それから不幸にして非常ななにが発生した場合において、ちょうど今回におきましても、中部地方に対策本部というものを置いたのでございます。これは何も法律に基礎があるわけじゃございませんし、対策本部長というものが法規的に非常な権限があって、各庁みな駆使できるような根拠は実はなかったのでありますが、非常なときとして、非常な措置として、ずいぶん思い切ったこともやったわけであります。これもやはりそういうことが生じた場合において対策本部というものを設けて、本部長というものがいろいろな各省の権限はそれを取り上げるということじゃないが、指揮命令ができて、迅速果敢に処置できるという面と、この二つの面について実は研究をさせております。成案を得ましたならば今国会に出したいと思いますが、何分にも今申し上げたように、非常に関係する範囲が広いのと、権限が錯索しておりますので、なお検討いたしておるところでございます。
  52. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 災害基本法についての構想は承りましたし、しかし、提出時期が今国会になるのか、あるいはいつになるかわからないようでありますが、そうしますと、この国会には何にもないということなんですか。各省関係何かないわけですか。何にもないではおかしいことになると思うのですが、災害基本法の点についてはわかりました、ほかに何かこの国会に出されるものはないのですか。
  53. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) ただいま総理のお答えいたしましたように、できる限りこの国会にまとめて私どもとしては提出いたしたいと思っておりますが、具体的な問題といたしましては、御承知のように、今の水防団員とかあるいは消防団員を積極的に動員工作するにつきまして研究し、かつまた災害予報の通信機関あるいはまた災害、いわゆる水防時における通信施設の完備等をはかるために、三十五年度におきましては五千五百万円の予算を計上いたして、これらに当たるようにいたしておる次第であります。
  54. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は総理以下、関係されておる各大臣お尋ねしておるわけですが、そうじゃなくて、災害防止あるいは災害復旧関連して、この通常国会に提出予定をされておる法律案はないのかどうか。ただ予算をこういうもので組んだというだけでは、何か災害に対して基本的な対策というものが全然欠けておるのじゃないか。ただ補助金をちょっと上げたとかいう程度、あるいは範囲をちょっと広げた程度ではないかと、こう言いたいのです。だからそうじゃなくて、総理は災害基本法という一つの法律を具体的に示されておるのですが、そういうような何か法律案が他に出てきてしかるべきじゃないか。ところが何にもない、こういうことなんです。
  55. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) ただいま申し上げましたほかに、いわゆるる水没地帯等についての地図の作製等もはかっておりますが、なお私は基本的には治水緊急五カ年計画、この立法措置によって災害を未然に防止するいわゆる基本的な対策を講じようということにいたしておるのであります。これはここ数日中に閣議決定の上法案提出いたしたいと思っております。
  56. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もう災害はちょっとさめた感じがあって、何か政府の方に熱意がないようで、一つそれじゃさめやすい方で大へんだと思うわけです。私はやはり治山治水特別会計を設けたというだけで、あるいはこれから一つ出そうじゃないかというのでなくて、あの当時の政府のお気持に戻られて、私は責任ある処置を一つやっていただきたいと思います。これは怠慢だと言いたい。だから災害が来てしまうんです。今総理は防災━━事前対策あるいは緊急処理の問題についておっしゃいましたけれども、政府はそういうことを言っておるだけで、やらないから、また来年、実は今年度災害が来てしまう、だからやはり再度災害をなくすとか、あるいは事前に防ぐというためにあらゆる面で一つ努力していただかなくちゃならぬと思う。これは意見になりますが、その点十分一つ勘案して私はやっていただかなくちゃならぬと思います。今総理は防災官の話をされたんですが、たとえば常時台風来襲地帯と申しますか、そういうようなところにモデル地区といいますか、そういうようなものを設定をして、そこに対しては、もう初めからどうやって防いでゆくんだと、そうして、起きたらどうしてゆくかということについて責任官庁というものを先にきめてしまって、そうして、いざ事が起きたというような場合の緊急措置もその官庁が中心になってやるというようなことも考えてみられるとか、いろいろな点があると思うんですが、そういうような点について、まあ災害基本法の中に織り込んでゆくんだといえば、それまでかもしれませんけれども、十分一つそういう点を考えてゆく、あるいはまた現実に災害が起きますと、一地方一地域では、受ける方は一緒なんですけれども、官庁がばらばらでして、一本化された立案が出ていないわけなんですよ、今現地の災害復旧はそれで困っているわけですが、そういうものを一元化してゆくというような点、なかなか各省が私はなわ張りがあって非常に困難であると思うんですが、そういうような点もぜひ災害基本法と申しますか、おっしゃるのは事前対策と緊急処理でございますが、そうじゃなくて復旧の方についても何か一つ対策というようなことについてお考えを願えないのかどうか。あるいは予防でも、なお気象観測というような問題もこの前出した、そういうような問題について、どういうふうにお考えになるか。
  57. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 災害基本法に対して私が特に力を入れて事務当局に考究を命じている点は、先ほど申しましたように、防災の点と、これの生じた場合における緊急処置の問題を中心に検討を命じて成案を急いで得るように努力しておるわけでございます。もちろん防災の関係、それから緊急処置の問題に関連しまして、気象の問題につきましては、これはもう非常に密接な関係があると思います。それからまた現在におきましても昨年の伊勢湾台風の経験にかんがみて、たとえば東京湾であるとか、あるいは大阪湾であるとか、あるいは有明湾であるとかというふうな、もしも暴風が、台風が襲来したならば非常な惨害を受けるだろうという地域に対して緊急な措置を講ずるということは現在すでにやっておりますが、これに対する研究及びこれに対する措置についてはそれぞれ関係の方面において研究をさして対策を立てさせ、これに対して対処するようにやっておりますけれども、今の復興の問題に関しましては一応とにかく従来のそれぞれの官庁が権限を持っております関係上、これを連絡をとることによって一応の効果を上げ得るんじゃないかというふうに考えておりますが、しかし現実に見まするというと、ずいぶん海岸の防潮堤とそれから河川の河口の、いわゆる河川の方の関係とか、きわめて密接な関係もございますから、それに関してどういうふうに連絡をしていくか、あるいは必要があれば一元的な方法によって復興をやっていく方がいいかというようなこともあわせて検討をいたすようにいたしたいと思います。結論とては、まだ、私はっきり一元化する方が適当であるか、あるいは適当な連絡機関を設けて連絡していく方が実際的であるかというようなことについては、なお検討をいたして参りたいと思います。
  58. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 何か、総理府の担当になる総理大臣が直接の災害その他の担当になっておるわけですが、少なくともこの国会に提案をおよそできるのか、全然見込みがないのか、その辺はどうでしょう。
  59. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 私は全然できないとは思っておりません。だから非常に急がして、実は一両日前にも関係の者を呼びまして急がしておるところでございまして、できればこの国会に提案をするように、なお促進するつもりでおります。
  60. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 治山治水特別会計を設けたのは、これは何か積極的な理由があるのかないのか。何かこう特別会計を設けたとすると、治山治水がよくできるというようなことにもならぬと思いますが、積極的な一つ理由というものを承りたい。
  61. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 特別会計を設けましたことは、たとえば五カ年計画とかあるいは十カ年計画という計画を遂行するために、その費用明確にするということが第一でありますが、特に、地方分担金等をその特別会計に入れて使うことができるというようなところもこの特別会計の目的の一つであります。
  62. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ、大体災害対策に対して何にも結局なかったと、そこで国民に対しては特別会計を設けてやるんだと、中身を見ら、一般会計を特別会計にすりかえただけで何にもない。実際、国民に対する申しわけのために作っておるような感じがしてならない。事実そうだと思う。ですから、今承ると、何か地方財源を入れてやるとか、そんなことは前は復興公債等があったわけですが、今度はそういうものも打ち切っている。逆に地方負担にしわ寄せがきて、財政上はかえって苦しくなる、そういうふうに思われる。ですから、重ねて、治山治水会計を設け災害も防止できれば、またここで復旧もおやりになるようでございますが、これが進むのだという積極的な理由を承りたい。
  63. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今回特別会計を設け、治山については治山勘定を設けたわけでございます。勘定を設けただけでは積極性がないというふうなお話でございますが、国土保全計画は、やはり長期計画で、国がやるもの並びに地方がやるものと合わせての事業計画を持つことが必要でございます。そうしてこれを予算化していくという努力が払われなければならない。今日までも、建設省におきましては、建設省自身の腹づもりの治水計画を持っていたわけでございますが、やはり政府としての長期計画というところまでは、ややいかない点があった、かように実は考えます。今回は過去の災害等から考えまして、国土保全長期計画の樹立、そうしてできますならば、この計画をできるだけ早期に、実施したい。これは災害防止の観点に立つ方から申せばその通りだと思います。しかし、財政の観点から申しますならば、国民経済の成長に合わせてこの計画を遂行する方が、負担の面から申せばしごくもっともなわけなんであります。そういう点で、両者の長期計画をいかにあんばいしていくかということを、今後の財政事情等とにらみ合わせて、これを具体化していくということに取り上げておるわけであります。問題は、国がやります事業と同時に、地方の補助事業、地方でやりますものと合わせておりますところに一つの目的があるといいますか、治水事業の総合的計画樹立という意味で、やはり分離するわけにはいかぬというように実は考えております。また財政の健全性を貫くという意味におきまして、地方負担分を工事量に入れることはできますが、いわゆる借り入れの方は当分差し控えて、そうして財政の健全性を維持していきたいということでこの特別会計の制度を設けたわけでございます。問題は、せっかくできます長期計画、しかもその前期五カ年計画というものはできるだけこれを工夫をいたしまして、前期五カ年はできるだけ早目にこれを遂行していく、こういう財政的な努力もしたいと、実はかように考えているわけでございます。
  64. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今まで設けられたところの特別会計の財源は、たとえばガソリン税でやるとか、あるいは電気事業関係のものからやるとか特別な財源が指定されていた、ところが今度はそうなっていない、そういうような点についても実は私は御答弁を承りたかったのです。しかも特別会計を設けるということは、財政法上は政府の責任において自由かもしれませんが、あまり好ましい姿ではないと思う。だからこの点についてはよほどの積極的な……、ただ単に長期計画を立ててやるのに都合がいいからというだけなら、今までの昭和二十八年のときにも治山治水計画をお立てになっているが、どうも論旨に一貫性がない。だから、いま少し積極的な理由がなければ、あまり私はこういうことは賛成できない。そうでないと財源がルーズに使われることになりはしないかと思いますが、そういう点について、どういうふうに考えておりますか。
  65. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この特別会計制度を設ける基本について、今成瀬さん御指摘のように、一般歳入でまかなうのならば特別会計を作らなくてもいいじゃないかという御議論は、私これ首肯のできるところであります。しかし、今日の歳出の状況は年度原則といいますか、一年の歳出を原則としております。特別なものについて継続費等を認めるとか、あるいは債務負担行為を認めているという状況でございますが、この種の国土保全計画はやはり長期にわたらないとできない、そういう意味ではその継続性にやはり重点を置かなければならない。従いまして、特別会計を作ればもちろん一般歳入でまかなうのでありますから、その年々の計画によって規模が変わっていくということはございますが、政府自身はこの長期計画を遂行する上において、十分その意味では、その政治的な責任を負担していくということにも実はなるわけであります。今日これを借り入れ等の財源によらないで、一般歳入でこれをまかなうということは、そういう意味では健全性を貫くという意味に特に重点を固いたわけであります。この特別会計を設けることによりまして、事業の継続性につきましても十分に考慮を払っていく。先ほどもお答えいたしましたように、保全計画と、それから災害復旧関係等の費用というものは大体性格は同じような歳出でございますから、その二つをあわせて考えて参りますと、本計画遂行には一応まかない得るような見当を立て得るんじゃないか。もちろん、災害は昨年のような災害がことしも引き続いて起こるとか、数年引き続いて起これば、この計画の方の遂行はあと回しにならざるを得ないと思いますが、幸いにいたしまして、ことしは災害がないということなら災害復旧も第二年目を迎えて、いわゆる三・五・二の八割完成の年でございますから、三十六年になればその方の金額も減っていくだろう、そうすれば、この長期計画遂行に役立つんじゃないか、実はかように考えるわけであります。そこで、補助関係のものを入れましたことが、あるいは国自身が行なう事業という点から見て適当なりやいなやという議論は一部にあろうかと思います。しかし、財政法ではこれを入れてはいかぬとは実は言っているわけじゃないし、ことに国土保全計画から申せば、やはり総合的観点に立つことが必要であります。また、その面の財源は、これはやはり今回の改正によりまして地方自身でまかなってくれることにもなりますし、また、そこの範囲において借り入れをすることもこれは可能なようにいたしておるわけでございます。
  66. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 自治庁長官に伺いますが、交付公債制度の利点というものが今度はなくなっておるわけです。それについてどういうふうにお考えになっておるか。
  67. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) お答えいたします。交付公債というのは、利点といいまするか、むしろ地方財政にとりましては、非常に不健全性のいろいろな要因を残していくものと思うのでありまして、地方財政の計算の上に乗らないで、一応議会等で議決でああいうものが処理されておる。そこで、今回はやはり府県にも、地方団体にも、これだけの債務を背負っておる、負担をしなければならないのだということをはっきりする意味において、われわれは交付公債制度の廃止を主張しておったわけであります。今回国の直轄事業の特別会計分に計上されておるものについて、総額は約二百三億でありますが、これの廃止方向を打ち出してもらったわけでありまして、そのうち百六十億については財源の手当ができております。地方債のワクの中にこれを回してもらい、残りの約四十三億は現金交付をしてもらいたい、しかし、その四十三億についても地方財政の基準財政需要額の中にそれを見ていきましてめんどうを見ていきたい、こういう計画で進めておりまするので、利点というよりも、むしろ地方財政の健全性を増す意味において、交付公債制度の廃止を、私はでき得ればさらに全面的に廃止の方向に持っていきたい、かように考えております。
  68. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 財政の方の手当ができればという前提のもとに私はあると思いますが、それは大臣の御答弁で了承いたしますが、次に、治山治水十カ年計画は閣議決定にはまだなっていないわけですね。今、建設大臣答弁を聞きますと、近くなるのだと、こういうお話しですが、そういうふうになるのか、もう一度御答弁を願うとともに、昭和二十八年の治山治水基本対策要綱との関係はどうなっておるか。それと関連して三十三年度までの進捗率は大体一四・一%という話も聞いておるのです。今度はこれについて前期の五カ年間はうんと一つピッチを上げるのだと大臣答弁されております。そうしますと、今までやっておったことの計画よりも、今度は政府のはいい、今までのやつは申しわけなかった、ようやれなかった、だけれども今度はやるのだということになった。そうしますと、やはりこれは建設省なり、あるいは農林省、いろいろな関係があると思うのですが、各省においてそういう点については全部了解ができて、そして繩張り争い等もなくて一応妥結したものと思うわけでございますが、何にいたしましても二十八年度に立案されたところの基本対策要綱との関連がどうなるのか、そして前に進捗をせなかった理由があると思います。それを今度取り除かれるということになると思う。その辺はどういうふうにされるのか承っておきたい。
  69. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 一応二十八年に治山治水の十カ年計画を立てたのでありましたが、その後いろいろな事情によりまして、この計画がどうも予定の通り進捗できなかったのであります。従いまして大体三十五年度を初年度とするまず十カ年計画、うち緊急五カ年計画というものを策定いたしまして、この規模は五カ年間、治水においては四千億ということを策定して、これを前期五カ年計画の規模とする、そうしてこれについては一応いわゆる緊急治山治水対策の法案、基本法を設けまして、その法に従ってこれを閣議決定するということにいたしております。従いましてただいまのところでは、予算編成当時には一応関係各省との間で話し合いができておりますけれども、閣議決定には至っておりません。今回ごく最近のうちに、近日中に法案を提出することになると思いますが、その法案が通過すれば、閣議決定をみるに至ることになる次第であります。
  70. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 治山関係について申し上げますが、治山の関係といたしましては、昭和初期の状態に回復するというのがかねてからの念願なんです。それで二十八年の計画におきましても、当時三十六万町歩の荒廃地がありました。それを十カ年で直そう、こういうのでやってみたわけです。ところが御指摘のようになかなか進捗しませんで、昭和三十四年すなわち本年度までわずかに一七%、六万町歩しかできないのです。従って三十六万町歩の荒廃地が三十万町歩の荒廃地になったというにとどまる。ところが、さらにその後災害等がありまして、荒廃地が出てきまして現在は三十二万町歩の荒廃地があるのです。それを今度計画を新たにいたしまして十カ年でまあ九万町歩を残す程度のものにしたいというのが、この新十カ年計画でございます。この新十カ年計画を見ますと、ことし三十五年度が初年度でありますが、大体八・七%ぐらいの速度でこの金がふえていきますれば、ただいま申し上げましたような昭和初期の状態、すなわち九万町歩の荒廃地を残すという状態が実現するわけです。で、まあ前期五カ年計画、これは一一・七%になりますが、その程度のものは財政当局としても可能であると、こういうことでありますので、今度初めてこのわれわれのかねての念願、改革が着実に実現される、こういうふうに私ども考えております。
  71. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと委員長関連して。政府の治山治水十カ年計画、その中の緊急五カ年計画とこの予算との関連ですが、昨年災の復旧は三カ年で大体三・五・二の比率で進捗して参りますね。そうすると、われわれが感ずるところですと、政府は当初予算、千五百六十億の予算をきめて規模が決定いたしました。その関係で当初補正を組まないような格好であったのですが、第三次の。ところが急に三次補正を組んだということ、これはおそらく三十五年度の一般会計の規模をくずさないという建前で多少ふえた分を補正に回したのじゃないかと、こう思うのですね。そこでわれわれが心配するのは、三・五・二の進捗率で復旧をして参るわけですが、それと緊急五カ年計画との関連ですね、それは既定方針通りおやりになると思うのです。だからそこを前提にして、その上に政府がきめられた五カ年計画というものが積み重なっていくと思うのですけれども、その辺の関連性が非常に心配になるのです。ですから、その辺を少し明確にしておいていただきたいと思います。
  72. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま御審議をいただいております第三次補正、これは災害復旧関係の費用が出ております。これは、この前も第二次補正審議にあたりまして、ことに社会党の皆さん方から、この金額で十分かというお尋ねがあったのです。当時私どもが申し上げましたのは、災害発生後日浅いうちに補正を出しましたので、正確な数字が出て参りますと、あるいは必要のものが出てくるかわからない。そういう場合に、それをまかない得るものとして、債務負担行為等を相当多額に計上しても、工事には支障のないようにいたします、ということを実は申したわけであります。当時懸念されましたように、その後の災害報告は順次ふえて参りました。そしてまた、工事の進捗状況等を見ますと、さらにもう少し工事量をふやす必要が生じてきた。そうなって参りますと、その場合に必要な災害復旧をやるとしても、財源は一体どこにあるか。この方も収入状況が、だんだん日がたつに従いまして、私どもも確度を高めることができたといいますか、十分確信をもって歳入を計上し得ると、かように考えましたので、今回第三次補正を計上いたしまして、所要の災害復旧工事を遂行していくということにいたしましたのであります。この点が三十五年度の予算とは実は関係なしにやられておるのでございます。いろいろ御懸念があるようでございますが、さようのものでございません。この性質自身が必要な災害復旧であるとか、あるいは三十三年の清算分であるとか等、できるだけ早目に処理を要するものでございます。この点は、誤解のないように願いたいと思います。  ところで、この災害復旧は、三・五・二の基準で進めていくというこの基本的考え方には全然変わりはございません。これは、ぜひともそういうふうに遂行して参るつもりでございます。最近の伊勢湾台風、伊勢湾関係災害なども相当計画が順調に進んでおりますので、そういう意味でも、今回はその工事をできるだけ進めて参りまして、私どもが所定いたしておりますように、台風前に一応の復旧を完了すると、あるいは植付に間に合うような災害復旧を進めていく等の工事は予定通りやって参るつもりでございます。  ところで、この問題になります治山治水の長期計画の問題でありますが、これは先ほど来建設大臣、農林大臣が説明いたしておりますように、まあ大体一二%程度の平均伸び率を考えれば、前期五カ年計画は実施が可能でございます。この点では、災害復旧の方は予定通り進み、ことし災害が起こらないというようなことになれば、これは財政的にはその方では余裕ができるわけでありますから、比較的にこの計画を遂行していくことが容易であると、かように考えております。最初から事態が、どうも三十五年度予算を作るについて非常に苦心したから、災害第三次補正というようなところで何か種でもあるんじゃないかとお考えになると、いろいろの疑問が生ずるかと思いますが、種もしかけもない必要なる経費が計上されておるので、誤解がないように願いたいと思います。
  73. 鈴木強

    鈴木強君 もう一つ。第三次補正の点は、われわれも要求した立場にあるわけですから、結果的に当時の政府見通しが甘かったということで、これは一本あなた方はおわびしなければならない立場にある、それはけっこうなことです。それはいいと思いますが、そこで、建設大臣と農林大臣に具体的に聞きたいのですけれども、要するに、長期計画との関連で、たとえば三・五・二の比率で、今度は五の方に入るわけです、三十五年度予算は。ですから、既定の従来の進捗率によって工事が完了できるように予算を組む、それと長期計画関係ですが、もちろん、これは改良、復旧を含めてやるという方針で政府はおられると思うんですが、長期計画というのは、抜本的に治山治水を再びああいった災害が起きないように守ろうという基本方針だと思うんですが、そういう立場に立つと、長期計画は、五の比率は既定の額ですから、それでやっていただく。それにずっとプラス・アルフアになって、かなり思い切った施策がやれるのじゃないかと私は思うんですが、そういう点は予算との関係でどうなるんですか。要するに、五のやつも突っ込んで総体的に長期計画の中に入れるのだと思うんですが、その考え方が、五はもうすでに災害によって被害を受けておるわけですから、ですから、あなたの方で考えておる治山治水の根本的な長期計画というのは、少なくとも、思い切った規模を考えておると思うんです。ですから、それがプラスされて、三十五年度以上長期計画でやるのかどうかということが問題になると思うんです。その点だけ、はっきり答弁をしてもらいたい。
  74. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) お答えいたします。長期計画災害復旧とは何ら関係ございません。長期計画は、ただいま申し上げましたような数字で、五カ年あるいは十カ年間にこれを確実に施行する、それから災害復旧はその年々によって違ってきますが、今回の三十五年度の予算にもありますように、災害復旧費というものと大体長期計画とがとんとんぐらいになっておりますが、これは全く別個なもので、それぞれ十分まかない得ると思います。
  75. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま建設大臣からお話し通りでございまして、災害関係長期計画関係ございませんです。それで、長期計画の方は思い切ったことができるんではないかというお話でございますけれども、十カ年治山計画は千三百億円でございまして、平均の速度━━財源の速度ですね、これは八・七%でございます。一般の予想される経済速度より、はるかに高いわけであります。これをもちまして、先ほど申し上げましたような昭和初期の安定状態が必ず実現できる、かように考えております。
  76. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 農林大臣の御答弁の中に、大体昭和初期の九万町歩ぐらいに持っていく、それから、大蔵大臣、建設大臣答弁を聞いていると、一つ前期五カ年計画は急いでやろうじゃないか、ところが、数字のことでとやかく言うわけじゃありませんが、治山治水計画は五カ年で五百五十億。五カ年ですから、一カ年平均百十億。ところが、今度の予算を見ると、八十七、八億になっておる。あなたがおっしゃるように、八・七%です。力を入れなければならない第一年度から、すでに平均を下回っておる。これで四十万町歩が三十万町歩に減った。ところが、九万町歩まで減らすことができるのかどうか。どうも御答弁は、前期五カ年間では早くやるのだと、こう言っておられながら、裏づけの方を見ると、逆に減っておる。どういうわけですか。
  77. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話の通りに、前期五カ年計画は五百五十億円なんです。その初年度である三十五年は八十七億円でございます。この八十七億円が来年も一一・七%ふえ、その上にさらに再来年は二・七%ふえていくと、ちょうど五カ年で五百五十億円になります。
  78. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ふえていくという勘定はそうですが、しかし、実績は第一年度からすでに平均を下回っておるなら、この次も伸びないじゃないかということを心配するんです。そういうことを心配しておる。あなたのおっしゃることは、私にもわからないわけじゃないですが、しかし、もうすでに第一発から、スタートからすでに平均を下回るような予算では心もとないと思うわけです。あなたそれでもっと平均を上回った要求をしたと私は思うのですが、大蔵大臣にちょん切られたんじゃないですか。
  79. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは何かの考え違いかとも思うのです。これは初年度で三十四年に比べると相当ふえておるわけです。この初年度が、国の財政全体を考えましてもだんだんとふえる傾向を持っております。と同様に、しかも高い比率で予算というものはふえております。一一・七%ずつ毎年ふえていけば五年目には五百五十億になるのでありまして、その初年度でありますから一番小さい数字になるのはこれは当たりまえなのであります。
  80. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ私はそういう金の勘定もあるかもしれませんが、あまり賢い金の勘定じゃないと思うのです。国民もそれを聞いて、これで安心したと決して思いません。やはり私の言うのが並みだと思うのです。まあこれも押し問答ですからどうということはございませんが、大臣一つしっかりしてもらいたいと思うのです。  次に海岸のことでございますが、高潮対策協議会というものが設けられていると思うのです。どんなふうになっておるのか。  それから伊勢湾の方で話を聞きますと、すでに建設省と運輸省とでは堤防の高さが違っておるように聞いたのですが、一体どんなふうな今進捗状況にあるのか承っておきたい。
  81. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 伊勢湾等の防潮堤につきましては、すでに高潮対策の協議会でその堤防の高さは決定いたしております。ただしかし、運輸省の方で防波堤を計画いたしておりますので、この防波堤がその波の高さを殺しただけは防潮堤の方を低くする必要があるんじゃないか。しかし、まだ、これは六、七月ごろになりましてその防波堤の大体方向が決定するということを聞いておりますから、建設省のいわゆる防潮堤につきましては、その高さまで、いわゆる仕上げの高さまでには六、七月ごろになりましてまだ仕上がりませんから、いわゆる原形復旧の高さ、原形の高さまでは大体そのころまでにできますけれども、それから上の分は防波堤の方向の決定する時期まではまだ仕事ができません。従いまして、その防波堤の方向が決定いたしましたならば、また、その上で高潮対策の協議会を開いて、そうして防潮堤を何メートルにするかということをはっきりきめて仕上げたい。かように思っております。
  82. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この問題についてはまたあとで一つ伺うことにしまして、地盤沈下対策の問題について承りたい。一体この地盤沈下は大体人工的に起きていると思う。地下水の問題、あるいは天然ガス等の問題ですが、これに対してどういうふうにされようとしておるのか。まあ工業用水の問題ともからんで参りますし、それから工場地帯建設の問題ともからんでくるわけでありますが、地盤沈下対策に対してどうされるのか。これがもう災害一つの大きな原因になっておると思うのです。施策上どういうふうに考えておられますか。関係大臣から御答弁を願います。
  83. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 地盤沈下対策におきましては、経済企画庁の方に地盤沈下対策審議会というものがありまして、今まで数回も開いておるのでありますが、応急の処置につきましては、答申案が出まして、それによって各省がそれぞれ三十五年度の予算には計上するわけであります。なお、根本問題につきましてはまだ対策が決定しておりません。で、その問題につきましてはいろいろ今審議をしておる最中であります。いずれ近いうちにこの根本対策については最後の決定をして、そうしてできればその法案をこの今国会中に出したい、こう考えております。
  84. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじゃ今までの大体経過と申しますか、およそ話のみえたところもあると思うのです。もう少し具体的に方向ですか、方針をここでお示し願えませんか。
  85. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 地盤沈下の対策の問題で、工業用水のくみ上げによる地盤沈下についての対策は大体皆さん方意見が一致しておるのでありますが、問題は新潟の地盤沈下の問題につきましてまだ根本策が決定してないのでありまして、それさえ大体決定いたしますれば法案ができ上がるのではないかと、こう考えておる次第であります。
  86. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大体そうしますと、今次国会に提案をされると承知してよろしいですか。
  87. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 本国会に提案すべく目下各関係省と相談中であります。相談がまとまりますれば本国会に提案したい、こう考えておる次第であります。
  88. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いや、どうするかということを聞いているのに、まとまればという話ですが、それじゃまとまらぬというならばどうなるのですか。そういうのじゃなくて、もう少しすっきりした御答弁願えないでしょうか。
  89. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) ただいま各省の間でいろいろ研究中でありまして、従いまして、その研究の結果まだ話がまとまらないということを申し上げておるのでありまして、でまあ私どもといたしましては、早く結論を出してもらいたいということで、各省にもお願いをしておる次第であります。
  90. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まとまるまとまると待っていれば、いつまでもまとまらないのですから、そういうときにやはり経企長官、政治力ですよ、あなたの政治力を発揮して早くやらなければだめ一ですよ。そして出していただかなければならぬということです。  それと関連して、干拓の問題について、やはりどういうふうに考えるかという点について一つ承りたいと思うのですが、干拓に金がかかると、農業干拓━━鍋田干拓、あるいは城南干拓といろいろ見て、干拓の被害が非常に大きいわけです。特に人命もある。しかし、工業地帯というのが必要になってくると、そこで農地が逆につぶされておる。だからむしろ干拓は経済効果の多い工場地帯というようなところを主として造成すべきであって、そのかわり農地の方はつぶさないと、しかも農地の方はそこであるところで十町歩つぶしたとすれば一町の百姓が十人なくなるというのじゃなくて、一町持っておった人から一反、二反と取り上げられていくということでもって、かえってお百姓さんも零細に転落していくということになる。ですから干拓の方向と申しますか、方針というような点についてどういうふうにお考えになっているのですか。まあ国土保全の問題もございましょうし、全体の問題として方針はどうされておるのか、関係大臣から一つ答弁いただきたい。
  91. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 干拓全体といたしますると、まあ相当今日までやっておりまして、干拓やその他の土地造成と比べて市街地なんかに転用されまするものをはるかにこえる状態なんです。しかし、昨年の鍋田干拓とか、ああいう事例もありまして、海岸干拓につきましてはよほどこれは慎重にやっていかなければならぬと、こういうふうに考えておる次第でございます。まあその立地条件等を見きわめまして工業適地というところでありまするならば多少長い目で考えてみましても、これは工業用途の方の干拓をすべきである、そういうふうな考えを持っておりまするが、特に海岸の干拓につきましては、今後慎重に考えまして、国全体としてむだのないようにということを心掛けていきたいと思います。
  92. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 とにかく、干拓に今度の災害で非常にひどい災害があったという点で、海岸干拓については慎重にということでございますから、一つ十分検討をしてやっていただいて、国費のむだのないようにしていただきたいと思いますとともに、この多目的ダムなのですが、これも防災だと、こういってダムを作った。ところが、そこに土砂が入っちゃって、これを出すことも大へんなことになるのです。むしろ新潟のある所なんかでいえば、異常出水期に樋門を開けた、それがために被害を増しておるというようなことである。せっかくそういうものを作られても実は実情に合っていないようなことがある。何か一本釘が欠けておるように思うわけでございますが、こういう点については、どういうふうに今後されようとするのか、一定の水量をここでとめるのだということが、実際は四、五年たってみると、もうとまっていないということだと思います。
  93. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 多目的ダムといい、また、他のダムといい、そういうような点がそう方々にあるわけではありませんが、たまたまそういうところができております原因は、結局、砂防事業をしっかりやっていないところに私はそういう結果が出てくると思います。従いまして、もう多目的ダムをやれば、これで洪水調整がとれて災害が防止できるのだというような安易な考えでおらないようにいたしまして、どこまでもいわゆる河川砂防あるいは山林砂防等に力を入れて、そういう土砂の崩壊を防止するということをまず重点的に考えて、この目的を達成するようにいたしたい、かように思っておるわけであります。
  94. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ砂防に重点というのは当然なことだと思うが、すでに埋没しておる所に対してはどうされるか、あるいはこれから埋没したらそれをどうするか。
  95. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) これはその実地に当たって考えなきゃならぬことでありまして、今ここで私が技術的にどうするということは申し上げられませんが、その埋没の程度によっては相当浚渫していくということも必要になってくるのでありますが、また極端なことから申しますならば、ある一部を取りこわして、そこから土砂を一応取り除くという方法もありましょうけれども、これはその立地条件によってはそういうことも不可能な場合がありますので、ここで、私から技術的な面についてのはっきりしたことは申し上げられません。そういうような場所を御指摘下されば十分研究して善処いたしたいと、かように思っております。
  96. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 建設省の方にそういう埋没して困るというような資料はないわけですか。御指摘をされたいなんていうのじゃなくて、当然私はこれがどうなるかという点については調査されておって、そしてこういうものについては、技術的にもどうこうする、あるいは財政上にもこれをどうしていくかというような点の裏づけもしておらなきゃならぬと思うのですよ。それから取りこわすとかなんとかいうことでなくて、立てられるときは、もうすでにどうなっているかという先の見通しまで立てて作られなければならないと思うのです。ですから将来、これからもできると思うのです。そういうことにも関連して、いわゆる防災にほんとうに血税が役立っておるという姿でなくちゃならぬと思う。そういうことについてどうされるかということを承っておきたいと思います。
  97. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 防災について非常に役立ったという報告は受けておりますが、まだ多目的ダムの埋没によって非常に支障を来たしたという報告を私は受けておりません。
  98. 藤田進

    藤田進君 関連して。先ほど来御答弁を承っておりますと、私常に心配をいたしておりましたことが、村上建設大臣によって解決されるかと期待しておりましたが、必ずしもそうでないような気がいたしますので、この際、所見を賜わりたいと思うのです。それは、たとえば今の答弁の中に運輸省と建設省の間において防潮並びに防波堤の高さについても食い違いがあるが、これについてどうかという一つの例をあげての質疑がございました。原形復旧をしておいて、その後、場合によれば防潮堤のかさ上げをしてもいいのだというような御答弁であったと思うのです。最近私が痛感いたしますのは、河川改修にしても、あるいはダムの建設にしても今申されたような防潮堤、防波堤等あらゆる建設関係工事に関連いたしまして、結局は、この技術的な面が押えられて、いわば政治的にといいますか、ここで問題を深く私が掘り下げる意味でありませんので、一般的に申し上げますが、河川改修にしても、技術的にどういう方法が自後、未改修地域の水害を防止しながら改修を進めていくかということは、技術屋であれば、これはもういろはのいであります。にもかかわらず、下流部から改修をし、かつ、ある年度は中途なところから政治力が加わって、わずか、ヘビがネズミをのんだように改修されているために土砂流を伴い、改修された所はショート・カットもするからして水の速度も加わり、それが未改修の前面に山と土砂が停滞してきて、そこから堤防をオーバーして決壊している事実があるのです。それを、今度の場合、一例を申し上げると、三十三年度にそれがあって、三十四年度についてはまたそのままほったらかしておいて、堤防原形復旧をする、その破壊原因を十分に究明を技術陣はしながら対処しようとしても、そこに政治力が入って今度何百億ふやしたのだから直営工事は一つ請負に回せとかいうような事実があるわけで、従って、私は今の防波堤、防潮堤についても一般的なことを観察いたしますと、建設技術陣というものは安全性ということと経済性━━エコノミカルということは、これは問題の柱としてまじめに考えていると思う。それが事前のペーパー・プランその他の計画ががっちりと各省間の調整等がつかないうちにいろいろな事情によっておくれてきて、原形復旧のような形でやっておいて、そうしてかさ上げと言われても、それがコンクリートのいわゆる形態にしろ、あるいは石積みのそれが設計にしろ、そんなに上にちょこっと乗せるわけにもいかないのです。最近ダムについても一つだけ例があります。これには相当大きな応用力学的なダムの技術的な見地から検討されてきている、国際的にも。そういうものなのであって、とにかく作っていって破壊されればまた仕事がふえるのだというようなことでは、近代土建の考え方ではない。災害も人工災害で、木橋などはロープをつけて引きおろしておいて災害と称してやった事態もないことはない。最近もその話を聞きます。こういういわば国の予算のロスというものを建設大臣は十分勘案されて今、指摘されているような多目的ダムがあたかも砂防堰堤になる。それは堰堤に穴をあけて排砂門を作って流せばいいじゃないかというふうに私には響くわけです。そんなことは技術陣であれば、過去の十カ年ならば十カ年、あるいはそれ以上の降雨量なり土砂量を事前に計算していけば、かなりの安全度を見ておるわけですから、ここに砂防堰堤になるのか、ほんとうの多目的ダムになるのかということは、結論は出てくるはずです。しかも、技術陣の設計、理想的な経済的なものをさえぎるものが最近多いから、自然国のそういった予算の手戻り、ロスにもなるし、やがてはそれが災害もとになる。このような面についてそのようなことがあなたの耳に入っているのかいないのか。また今後に処す建設行政というものは、こういう点に相当に重点を置かれるべきではないかと思うのですが、その所見をお伺いいたしたいと思います。
  99. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 先ほど成瀬委員にお答えした防潮堤の問題は、これはあなたの聞き違いでありまして、私は堤防を原形復旧する。防潮堤の原形復旧の高さと言ったのではないのであります。要するに原形の高さ、高さが原形の高さといったのであります。それからもう一つは、建設省と運輸省あるいは農林省がこの防潮堤についての意見がまちまちである、まとまっていないとかいうことは絶対にございません。意見がまとまったのがいわゆる高さは最高のところが七メートル五十、あるいはその次は何ぼというように、その場所々々によってその堤防の高さは決定いたしております。しかし、三十五年度の予算に相当な防波堤の━━伊勢湾の防波堤の予算が運輸省に組まれておる、それで防波堤を作るということに私ども聞き及んでおります。従って、もしも防波堤ができて、そうしてその防波堤で波を殺してしまえば、その波が今の堤防に当たらないようになり、七メートル五十の堤防はむだじゃないかと、むだじゃないではなくてむだであることは当然であります。従って、それを何ぼ下げるか、しかしながら、六、七月ごろにその結論が出るということでありますが、建設省のただいま施工しております改良復旧をかねてやっておる防潮堤は、この高さが六、七月ごろまでには原形の高さまでしかしか上がっていない。で、七メートル五十の場所だとすれば、七メートル五十にするのにはまだ時間があるということで、それは防波堤が決定した上で、その方向が決定した上で施工してもおそくないというように私申し上げたはずであります。  それから災害復旧等について、決して私どもは原形復旧をのみやろうということは考えておりませんので、どこまでも災害関連した関連事業、あるいはこれを再び災害の起きないように抜本的な改良復旧を強力に積極的に施工して参りたいということで、三十五年度予算にもそれが十分盛られておりますから、ただいまのあなたのいわゆる御心配は私は十分除かれることだろうと、かように思っておる次第であります。
  100. 藤田進

    藤田進君 今、建設大臣が言われた通り聞いて私は質疑いたしたのであります。今の例は防潮堤あるいは防波堤の関係においても話し合いがきまっているなら設計を確立するはずなんてす。これはもう、まあ大臣に波の高さをどこからはかるのかと聞いてもわからないと思うのです。波の力はどんなものだ、そんなことは議論しようとは思わないが、それは技術陣がはっきりわかっている、実験をしているのですから、古くから。港湾関係を担当している技術者だったらだれだってわかっています。だから防潮、防波堤の関連においてどういう自後の影響力があるということは話し合いが済んでいるというならば、とりあえず原形にしておいて、都合によってはかさ上げをしてもいいというような議論は出てこない。しかも、その議論で解決することは手戻りが必ずあるというのです。防潮堤とその擁壁を一体にしたものにして防潮堤とするならば、当然そのセクションというものは、断面というものは変わってこなければならぬはずです、それだけの外力が違うのですから。上へちょっとつければいいのだというような簡単なことではないはずなんです。そういう点を十分事前に急速に調整をはかられて、あとでくっつけるとか、ちょっと高過ぎて必要がなかったなというようなことではない。これは一例なんですが、建設行政の中には、私、かなり見ていて、どうも経済的に、また、あるいは一面、安全性を持ったという点が度外視されつつあるように思う。それはどこにあるか。案外上層部の方の話し合いがつかないとか、あるいは変な政治力になったりして、まじめな技術陣が押えられてくる。あるいは大蔵省予算を切ったりして……。
  101. 小林英三

    委員長小林英三君) 藤田君。発言中ですが、関連質問ですから簡単に願います。
  102. 藤田進

    藤田進君 こういううらみがあるので、その点をやはり今後善処される必要があるということを申し上げ、かつ、所見を伺ったわけであります。
  103. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 大へん誤解があるので、これは地元に非常な影響がありますから、私、この際はっきりしておきます。今、セクションの問題が出ましたけれども、決して今、建設省で施工中の防潮堤は、そういう防波堤ができるとかりにいたしましても、そのできるために七メートル五十必要がよしんばなくなっても、なくなるかもしれぬからということで、今のセクションを小さくしていいとか、あるいは基礎を粗雑にしていいというようなことはないので、あくまでも建設省としては、建設省の技術陣また各省で十分検討した七メートル五十という一番最高の個所は、そのセクションで工事を施工いたしております。でありますから、そういう設計について御心配はもう絶対ございません。その点一つはっきりお答えいたしておきます。
  104. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 防潮堤と防波堤の問題が出てきていますから、それについて少し尋ねておきたいと思うのですが、御承知のように、伊勢湾臨海工業地帯というものは、やはりこれからの残された所では大切な所だと思うのです。そこで、防波堤を作るか作らないかの結論が六、七月ごろに出るのか、そうではなくて、高さやそういうものがどうなるのか、その辺のところを一つ明確にしていただきたいというのが一つと、それから防波堤ができれば、私はやはり防潮堤というものはある程度低くなるのはあたりまえだと思いますが、とともに、特に伊勢湾臨海工業地帯などは、防潮堤が七メートル五十ではいわける工業地帯として非常に困難であり、また港湾設備等からいっても不適当と思うのです。ですから逆に、やはり防波堤というものは絶対に必要だということなんです、逆に言えばですね。ですから、その辺のところどうなるのか。建設省は、いや、防波堤は要らないのだ、防潮堤でけっこうだ、七メートル五十だ、こういうふうにお考えになっているのかどうか、その辺もあわせて一つお答え願いたいと思います。
  105. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 防波堤が、大体私の聞き及んでいるところでは、六、七月ごろには防波堤ができるかできないかということがきまるというように私は聞いておりますが、これは運輸大臣から一つお聞き願いたいと思います。防波堤ができれば、これは確実にできれば……。しかし、私はその防波堤がいつできるか、防波堤が五年も十年も先にできるならば、防潮堤はそれまでずっと待っているわけにいかないから、やはり既定方針で、最高の個所は七メーター五十をやらなければならない。ただし、防波堤が大体非常に早急にできるということになれば、これは二重に国費をかけるということはむだですから、この際は、私どもは十分考えていきたい。しかし、われわれ今建設省の施行いたしておりまする設計は、防波堤はできるかできないかわからないものとして、その基礎から堅牢なものを施行いたしております。で、防波堤の方向の決定するのはいつであるかは、私は六、七月ごろと聞いておるのですが、これははっきりしておりません。建設省、運輸省、農林省の間ではっきり話のついたのは、防潮堤の話がついたということであります。これはもうお聞き違いのないようにお願いいたします。
  106. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 運輸大臣は見えるのですか。
  107. 小林英三

    委員長小林英三君) 運輸大臣は、今決算委員会におりますが、必要があれば呼んで参ります。その間、ほかの質問を……。
  108. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじゃ、運輸大臣がお見えになったら、この問題をもう少し尋ねるとともに、総理からも、一つ伊勢湾臨海工業地帯の行政の問題ですから、あるいは通産大臣等からお答えいただきたいと思いますが、その前に、次に農林大臣にちょっと伺っておきますが、海部郡一帯は宝庫なんです。しかし、あれを乾田化するというようなことは考えられないか。乾田化について、何か法律案を、臨時措置法というようなものを作られる意思がないのかどうか。あるいはこの際、有畜農業をやる、あるいは共同作業をやっていく、あるいは集団住宅をする、そのためにかさ上げしていくというような一連した農業振興政策、災いを転じて福となすというような立場に立って、何かその抜本的な対策というようなものを考えておいでになるかどうか。
  109. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話の地帯におきましては、これはまあ湿田が多いわけです。
  110. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは愛知県ばかりじゃないですよ。利根川にもある。
  111. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そこで、この湿田を乾田化するということは、私はもうこれは当然考えなければならぬことであります。ただお話のように、そこで特殊の立法措置が要るかどうかという点につきましては、すでに湿田単作地帯に関しまする特別の助成措置に関しまする法律もあるようなわけであります。そういうような法律の運用でやっていけると思います。それで、これは農林省といたしましては、たくさんの土地改良費も持っておりまして、その運用によりまして、またさらに災害の激甚な地帯につきましては災害復旧関係の立法及び予算の運用、その中でも、御承知通り、救農土木予算というのがあるわけでございます。これでまあいろいろ救農的な意味も含めまして仕事をしていこうということにもなっております。それから、さらに部落補助というのを御承認願いまして、一括した補助金も災害地帯に出すというような仕組みにもなっております。それらを運営いたしまして、そして湿田の乾田化ということにも特に力を入れなければならぬ、かように考えております。それから、さらに復興の途上におきまして、共同化、集団化、これはぜひそういう方向で考えていきたい、かように考えております。それで、これは災害地ばかりでなくて、全国一般の問題といたしまして、今度の三十五年度の予算におきましても、もろもろの計画を進めておる次第でございまするが、特に災害復旧にあたりましては、先ほど申し上げましたような、特別の予算の運用等につきまして、たとえば住宅を作る、これを集団住宅にすることはどうだろうか。これはもとより地元民がそれを希望しないという事態におきましては、これは何をか言わんやでございますけれども、なるべく私どもといたしましては、地元民にもそういうまあ新しい所に新しい地図を描くというような事態もあるわけでございますから、まあ農業の近代化ということを少し頭に置いて、その方向で復旧、復興の施策もやっていきたい、かように考えておる次第であります。
  112. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、たとえば利根川の問題などの例をとりましても、なるほど一つの方途があることは事実です。しかし、それだけでは進捗状態が思わしくない。だから、一つこの際、湿田の乾田化の臨時措置法というようなものを作って、そうして馬力をかけてやってみたらどうだ、こういう考え方を持っておりますが、とともに、集団住宅、共同耕作等についても、なるほど部落災害復旧もございます、あるいは新農村建設もございます。いろいろなことがございますが、やはり問題は、現地へ行って見ますと、きわめて資金量が少ないわけなんです。どうにもならない。しかも近代化ですから、機械工業などのことに関連してくるわけです。で、あとでまた天災融資法あるいは自作農創設資金法であらためて質問したいと思いますけれども、結局天災融資でいえば、機械化というものについては、人力だけの問題であって、動力の問題については全然考えていない。あなたがおっしゃるような共同耕作というなら、当然機械力ということになる。そうしますと、法律があるとおっしゃるけれども、実際はないんですよ。だからあなたがここでおっしゃるようなことが、現地では一向に実行されない。裏づけがないじゃないか。だから裏づけを考えられたらどうだ。もう少し時間があるなら、私は具体的に一つ一つ拾って申し上げたいと思うんですが、そこまで言わなくても、農林大臣は御担当ですから、よくご存じだと思いますからこういうふうに申し上げているわけです。それで、結局これでやっていけるなどと言わずに、私は何とか御答弁を願わなければならぬ問題だと、こういうふうに確信をしているんですが、どうでしょうか。
  113. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまお話の点は、私がそのまま考えておることに該当するわけなんです。それで三十五年度の予算でも、大型のトラクターを農村に導入したいというので助成金を出しますとか、あるいはトラクター等につきましては、助成や融資措置を講ずることといたしますとか、いろいろそういうための施策を出しておるわけです。しかし、お話を待つまでもなく、農村の機械化、集団化、共同化、これは新しい農家作りの上に、きわめて重要な問題でありますので、今後ともできる限りの努力をいたしていきたいと、かように思っております。
  114. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 続いて農林大臣お尋ねしますが、現地へ行って見ますと、現地では、まあ台風が早くくるから、一つ今度は早期栽培をしようじゃないかという考え方が一つある。それには早く除塩をやって、そうして整地もして田植えに入りたい。ところが、現金収入というものは皆無なんです。自作農創設資金がないから借りない。天災融資では、苗代だとか、それ肥料代だとか、人力による機械だというから、すきやくわを買えといって、十五万円を二十万円に引き上げたけれども、一向借りられないというようなことで、あるいは、現に天災融資の金なんというものは、愛知県下においては、ほとんどの町村に渡っていないといっていい。あなたの方にどのくらい報告がきているか、これもお聞きしてみなければならぬと思いますが、その前に、現金収入がなくて今困っている。救農土木でいいじゃないかとおっしゃるけれども、御担当の問題について、一流の建設業者が参りまして、人夫もあまり入れない。こういう格好になっておりまして、非常にお百姓さんは、野菜まで買わなければならない人たちが全然仕事ができない。三重県の木曽岬村へ行ってごらんなさい。戸や障子の立っておらない家が多い。ほとんどそうだといっていい。ということは、現金がないということなんです。そこまで回っていかない。なお主食も買わなければならない、副食物も買わなければならぬ、こういう程度なんです。ですから、農民がこの際立ち上がるために、何か方途を考えていただかなくちゃならぬと思います。とともに、厚生大臣お尋ねしなくちゃなりませんが、町へ参りますと、低額所得者というものは、社会党がこの前出したような罹災者援護法式な立ち上がり資金がなければどうにもならぬということです。母子福祉の金があるとか、いや生活保護があるのだというけれども、そこでは救えない人たちがうんと多いわけです。こういう点について民生安定の上、あるいは農民の生き方の上にどうされようとするのか伺っておきたいと思います。
  115. 渡邊良夫

    国務大臣(渡邊良夫君) 罹災者につきましては御指摘のような面もあるかもしれませんが、しかし、私どもは本年度母子福祉資金やあるいは生業資金等のワクも拡大いたしましたり、あるいはまた各種の低所得者に対しまするところの医療保障、そういうようなことによりまして低額所得者対策も講じておりますし、特に困っておる方々におきましては生活保護の面におきましていろいろ見ておるわけでございます。しかし、生活資金は御承知通り三千円から一万五千円までこれを引き上げておるような次第でございまして、今のところ特に別な融資方法を考えるということにつきましては私ども検討中でございます。
  116. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 災害後の立ち上がりの対策としましては、ただいま厚生大臣からお話がありましたように、応急的なものは厚生省を中心にいたしまして施策がありますが、しかし、さらに農家が経営を安定していきたいというためには、天災融資法また農林漁業公庫の指定災害貸し出し等の制度があるわけです。それからさらに今回は自作農資金をその方面に相当使うことにいたしております。私どもが大体伺っておりますところによりますると、天災融資法の方は法律の改正がありまして、実はあれが十二月の初めになりましてやっと法律がきまったのです。その関係でまあその法律がきまりましてからすぐ金額の配付等をいたしましたから、あるいはその手続がおくれておるという面もあろうかと思うのでございまするが、大体報告を受けておりまするところによりますれば、さような立ち上がりの対策は大体順調にいっておると、かように存じておるのですが、しかし、なおなかなか問題があるというような際におきましては、なお報告を徴しまして善処していきたいと、かように考えております。
  117. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ、いろいろな関係でいろいろな問題出したいわけですけれども、あまりこまかくもいけませんですが、天災融資ですが、大臣、愛知県では私が調べた範囲内では、つなぎ融資は出ておりますが、金が天災融資法に基づく天災資金だといって渡った市町村はまだ一件もないのですよ。どういうふうにお考えになりますか。
  118. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま申し上げましたように、天災融資法に基づく本貸し出しが、これが十二月になってから法律案の成立を見た。それと同時に政令も出しましたですが、それに基づいて金額の配付をするというようなことで、あるいはおくれているかとも思うのです。しかし、お話のようにつなぎ資金は出しておりまして、まあそのつなぎ資金につきましては、その借りかえが一体本資金との間にどういうふうに行なわれるかというような問題だろうと思うのでありますが、もう二月も中ごろになるわけですからある程度進んでおるのではあるまいかとも想像しますが、貸し出しの期間が七月になっております。さような関係で、まだどの程度まで貸し出しておるかということにつきましては報告を受けておりません。
  119. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは一つ大臣の方から私はぜひ督促していただきたいと思います。それは、なるほど県から市町村までに大体渡りましたのは十二月中に実は渡っておるわけなんです。ところが、単協と町村との関係あるいは配分になりますやはりワクが少ないわけです、申し込んだ人に対して。そこで災害ではなくて、今度は返済の方に問題が移ってしまって、御承知のように風が吹けばお金のある人の屋根は飛ばないけれども、お金のない人の屋根というものは飛ぶわけです。ですから金のほしい人は今度返済の面から見ますと問題があるわけです。もう一つは局所的に起これば県が指導することもできましょう。農協からいろいろ働くことができましょうけれども、愛知県のように全市町村が天災融資の対象になるということになりますと、県も人手不足ということがあるわけです。ですから七月ということになってしまうと、もうまかなえなくて、事によったらほしくても借りられず、期限がきてだめになってしまうことが起きるのじゃないかということも想像されるわけです。ですからそういうような場合にも私は善処していただきたい。  それから利子補給は、官報に告示があったときから、つなぎ融資が出ておれば、それは利子補給されるものと聞いておる、これは間違いないかどうか。それからたとえばある一村全部災害になってしまって、もうすでにその利子補給をする一分二厘くらいに相当するお金すらないところがあるのです。そういうようなところは、いわゆる特別交付税なら特別交付税で見てくれるのかどうか。そうでなければ、市町村がすでに損失補償、利子補給の議決もようせないでおる、こういうところがあるわけですから、その辺はどうなっておるのかお答えを願いたい。
  120. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 利子補給は、政令の出たときまでさかのぼって出します。それから大へんおくれているということでございますが、あらためて特に調査をいたしまして、地方当局に督励をする、こういうことにいたしたいと思います。
  121. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) お答えいたします。天災融資法に関係しておりますものにつきましては、四七・五%約半分くらい見ておるわけであります。今お話になっておりましたそういうようなところが現実にあるかどうか、あればよく事情を検討いたしまして、でき得る限りの計算をするようにしたい、かように思います。
  122. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 長官、一〇〇%に対して四七・五%特交で見る……。それから私は三重県の具体的な事例をお話しすると、三重県の木曽岬村に参りましたら、そこは全然やってないのです。なぜやってないかということを村長さん、村会議員の方々に承ると、ここでは六千万円割当がきているわけです。それに対して大体七十二万円の一カ年間で利子負担になる、その金がないのです。税収が零です、そういう点についてはどうされるのか。
  123. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 前段の問題は、四七・五%でございます。それから後段の問題は、具体的にいろいろこれは検討していかなければならぬ問題と思います。税収のずっとないところにつきましては、いわゆる歳入欠陥債というようなものも認めていくようにしておりますし、いろいろな措置があるわけでございますから、具体的によく検討をいたしまして、地方団体をつぶすということはできないのでありますから、適当に善処いたしたい、かように考えます。
  124. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もう一つ天災融資で関連ですが、大体愛知県も三重県の城南でもそうですが、三重県のあそこ辺のところは、大体平均反別が一町五反くらいなんです。これはどうしても早期に大体四月二十日ころまでに植付準備が完了しなくちゃならぬ。どうしたって動力というものが必要になってくるわけです。七、八反が日本全国で平均なんですから、そういうところでは、あるいは人力の機具で制限をされてもやむを得ないかもしれませんけれども、少しそういう点についてワクを広げてもいいのじゃないかというようなお考えはございませんでしょうか。
  125. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 天災融資法は、ごく特別な制度でございますので、その対象も相当しぼっておるわけです。それで動力につきましては、動力のついておる農機具に対しての貸し出しということは、お話のように考えておらぬわけでありますが、これは農林漁業公庫の方の主務大臣指定災害施設資金という制度もありまして、こちらの方から貸し出しもできるわけであります。また県に農業改良資金特別会計というものがありましてその方面から貸し出しができるように、国でその利子の補給をしておるというようなことにもなっておりますので、まあ今の災害対策の全体のバランスから言いますと、動力の方面の対策は、そういう別途の関係で処置したらというふうに考えておるわけであります。なおしかし、これは検討してみることにいたします。
  126. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 建設大臣お尋ねしますが、これは大都市と府県との権限にからんだ問題ですが、例を名古屋の大江川という一つの川があります。これは大臣は御存じないでしょうが、下水なんですね。ところが、これが準用河川になっている。あるいは山崎川という川がございますが、これは名古屋市内だけを流れておるわけです。ところが、これも準用河川ということになっておる。あるいは堀川、新堀川、名古屋市内だけなんですね。こういう点は、もう私はそういうところは、市町村河川というようなふうに看板を塗りかえができないものかどうか。権限委譲だといえばいえますけれども、そうじゃなくて、実質的に、ほんとうに市町村河川に類しておるんです。  そういうことについて御検討願えないものかどうかということは、たとえば河川の締め切りをやる場合に、それが県がやるということになると、何か一歩遠のいたようなことになって、こんなことだったかということは、大臣も御承知になっていることと思いますから、そういう点勘案できないものかどうか。
  127. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 私も名古屋だけでなくて、他にも、そういうところが相当あります。私も、全くあなたと同じような考えを持っておりますが、先般来、いろいろとその問題については、まあ事務当局と相談いたしておりますので、近く何とか方向をきめていきたいと思っております。
  128. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 総理にお尋ねしますが、愛知県、伊勢湾関係で、この災害復旧関連して三県統合案というようなことが出てきておるわけです。そういうことについて、どういうふうにお考えになっておるのか。まあ自治庁の長官からもお答え願わなくちゃならぬと思いますが。
  129. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 今度の伊勢湾台風、私も現地へ参りまして、ちょうど惨害を受けた地域が愛知、三重、岐阜の三県の非常に密接な地帯が、木曽川、揖斐川等の下流を含んでおるのでありますから、これが復興については、三県が非常な、十分な、密接な連携をとっていく必要があるし、それから伊勢湾一帯の将来のことを考えてみるというと、大きな日本の産業地区として、非常に大きな期待がされておる。これが将来の発展ということについては、三県がまた非常な密接な関係を持っていく必要があるし、計画を立てる場合にも、総合的な計画を立てる場合にも必要があるというようなことから、一つ三県を一緒にして、何か考えるべきじゃないかというふうな御意見を、あちらこちらで実は承ったのであります。  なお、この地方制度の問題につきましては、自治庁において、われわれは広くこの地区だけじゃなしに、全国のいろいろ行政地区、地方公共団体の合併というような問題に関連して、あるいは道州制の問題というようなものも、実は研究をいたしております。  ただ今災害に直面して、特に三県の有力な方々の御意見もあったのでありますが、そういうほかの方と離れて、この三県だけが一緒になろうというような問題に関しましては、今申しましたような地方公共団体の全体の問題としても、われわれがすでに検討していることでございますから、そういうものにも関連がありまして、今直ちに三県だけの合同といいますか、合併といいますか、それを網羅したところの一つの特別の機構を考えるということについては、まだ私はいろいろな問題を検討しないというと結論を直ちに━━そのことの非常に望ましい、いいこともありますが、それに関連して考究しなければならぬ幾多の問題がございますので、まだ結論的に私一人の意見を申し上げることは早いと思います。  ただあの地区の将来の発展また日本の産業経済における重要性等からみまして、また交通、通信等の発達等から考えまして、従来の府県の地域を、そのまま守っていくということについては、ずいぶん時勢に合わないところもありますし、また伊勢湾一帯のなにとしては、相当総合的に考えていかなければならぬ点もございますので、研究をしてみたい、こう思っております。
  130. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) お答えいたします。  ただいま総理大臣から詳細に御意見を御開陳になったのでありますが、最近近畿地方あるいはまた伊勢湾台風などで伊勢湾を中心とした三県等で、いろいろ問題になってきているものでございます。私どもの考えといたしましては、市町村合併がここまで推進されてきた今日でありますので、今後の問題としては、やはり府県の統合、合併というようなことも、当然話題になってくると思います。  御承知のように、地方制度調査会におきましては、先年道州制かまたは二、三の府県をずっと一律に統合するというような一応の案を、答申を出しているのでありますが、こういう問題を今急速になにするということは、ただいま総理が申された通りに、いろいろな問題があると思います。私はこういう府県統合というような声が起こってきておりまする具体的のところにつきましては、できるだけその問題を真剣に取り上げて、そうして統合によって総合開発なり、あるいは地方財政の健全化なり、いろいろの方向に実益を上げるような方向で、指導をしていきたい、一律には、まだやれませんけれども、具体的に問題が起こってきているところは、真剣に取り上げて、それを指導あるいは援助する、こういう考えで進みたい、かように思っております。
  131. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 災害救助関係についてお尋ねしたいのですがね、これは一体、今度災害基本法との関係は、どうなるのか、全然無関係なのか。
  132. 渡邊良夫

    国務大臣(渡邊良夫君) 先ほど総理から申されましたように、災害基本法は、各省間におけるところの災害対策の特殊な大きな問題でございます。他の災害救助法は、災害発生いたしましてからの、災害救助に対しまするところの諸種の手段を講じているような次第でございまして、これとは別でございます。
  133. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしますと、私は一つ災害救助法の現在持っている欠陥を、前の委員会にも指摘をしたわけですが、全然修正というようなことはお考えになっておらないのかどうか、あるとするなら、こういう点だという点を一つ指摘願いたい。
  134. 渡邊良夫

    国務大臣(渡邊良夫君) 御承知のように災害救助法の対象となりまするのは、応急仮設住宅とか、あるいは衣類の支給とか、あるいは医療とか、あるいはまたそういうものに限りましたいわゆる十一種類と、こういうことになっております。  それでまた、この間の伊勢湾台風等におきましても、たとえば仮設住宅を一戸当たり八万円から十万円に引き上げたり、あるいはたき出し等におきまして五十円から九十五円に引き上げる、こういうように、そのときの情勢に応じまして、いろいろな諸種の手段を講じておるような次第でございまして、今後さらにまた、たとえば災害救助におきまして、救助法の対象が、水没地域が長く続いたような場合におきましては、その災害救助法の適用の長期にわたるところの延期等の措置も講じまして、大幅ないわゆる弾力性あるものを考えておるような次第でございます。
  135. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは、前の臨時国会のときと重複することになりますが、たとえば救援物資、被服、日用品あるいは学用品の配給などは、全壊半壊によって差別がついておる、御承知のように値段がきまっておるわけです。  ところが、集団避難をしたような場合には、これは、全然差別ができなくて、こういう問題がどうだとか、あるいは法外負担というような問題が、恒久化しておると私は思う。いっそのこと、見舞金とか弔慰金とかいうようなものは、法律の中に、法文化して出すという格好にしなければならぬじゃないかという意見です。あるいはほかにもたくさんございますけれども、全然、そういうことについては、あれで大体弾力的な取り扱いができるからいいのだと、こういうことなのですか。
  136. 渡邊良夫

    国務大臣(渡邊良夫君) 災害が発生いたしましたときに、金があっても物がないということでありまして、私どもは、大体物品の給付ということを第一原則といたしておりますが、よんどころないときにおきましては、この義援金等は平等に、これをお見舞として出しますけれども、ただ他の天災、地震や大きな火事等の過去の慣例等から見まして、見舞金というようなことは、ただいま考えておりません。
  137. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 実際、法外負担をやってしまって、これが地方財政の赤字に残っている。これはもし短期支弁ということになれば、大へんなことになると思う。しかし片一方の方では、いやそうじゃなくて、これは特別交付の特交で、ある程度見ていこうじゃないかというようなお話も臨時国会等で御説明になった。  そこで、これは一体みるのかみないのかという点が一つと、それから特交の配分の方途についてお伺いしたいのですが、公共土木だけを単位としておやりになる、それに対して建設省の関係で何か通達が出ておりますか。いわゆる都市災害では、公共土木等はないわけです。だからこれだけを基準にして、特交を配分されるということになれば、私は都市は、大へんなことになるのじゃないかと思うのですが、そういうような点について、どういうようにお考えになっているのか。あわせて一つ答弁が承りたい。これは、先に厚生大臣から、法外負担ということは、全然落してしまっているのか、少しは見るのか……。
  138. 小林英三

    委員長小林英三君) 成瀬君、もう一ぺん厚生大臣に。
  139. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あの法外負担ですね。法外負担は、全然あなたの方は見ないのか、少しは見ようとしているのかどうか。
  140. 渡邊良夫

    国務大臣(渡邊良夫君) 災害救助費といたしましては、当該税収入の千分の二以上につきまして、これは比率的に、これを見ているような次第でございまして、いわゆる五割、八割、九割というふうに見ておる次第でございます。
  141. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) お答えいたします。  お話のように公共土木事業費というか、土木災害、そういうものが一応外形に現われるものですから、基準の大きな部分にとられていることは、これは御指摘通りでございます。  しかし今、いろいろお話にありましたような救助費の法外負担であるとか、いろいろなものがありまするから、それを直接みるというわけじゃございませんが、そういういろいろの入り用を含めて、あれは百分の二でありましたか、みているわけであります。  そういうことで、いろいろ特交の配分方法についてお尋ねがございまするが、この特交の配分方法については、ことに災害関係などにおいては、できる限り地方庁と連絡をとって実情に合うように、いろいろの考慮を入れて配分をしたい、こういうことであります。
  142. 小林英三

    委員長小林英三君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  143. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて。  それでは、成瀬君の質問時間は三分残っておりますが、運輸大臣の都合によりまして、午後再開と同時に許します。  午後二時五十分まで休憩いたします。    午後一時四十七分休憩    —————・—————    午後三時十七分開会
  144. 小林英三

    委員長小林英三君) これより予算委員会を再開いたします。  本委員会休憩中、委員長及び理事打合会を開きまして、先ほど各委員から要求のありました資料に関しまして協議検討いたしました結果、資料は膨大なもので、直ちに提出できる運びにならないことが判明いたしました。よって本資料に関する事項につきましては、質疑の中で取り上げていただくということに御了解がつきましたので、右のように取り扱うことにいたします。  午前中に引き続きまして質疑を続行いたします。
  145. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 運輸大臣に、並びに総理からも一つお答え願いたいと思うのです。  伊勢湾臨海工業地帯、残された工業地帯としては非常に大切なところだと思うのです。そこで、しかし災害等の問題とも関連いたしまして防波堤の問題が出ておる。で、村上建設大臣のお答えによりますと、六、七月ころ防波堤をやるかやらないかの結論が出る、こういうようなお答えでした。そうではなく、一番大事な臨海工業地帯育成というような立場から、私は防波堤というものは非常に大切なものじゃないか、運輸省としても当然そういうふうにお考えになっておると思いますが、その辺どうなっておるのか、もしおやりになるとするならば、やはり完成時期というようなものも問題になってくると思いますから、あわせて一つ答弁が願いたいと思います。
  146. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 伊勢湾台風の被害にかんがみまして、特に名古屋湾の特殊性にかんがみまして、あそこに防波堤を作るということを運輸省の港湾局において決定をいたしまして、予算におきましても五億の予算を予定してございまして、鍋田とそれから知多町との間に九キロの防波堤を作るということが内定をしておりまして、その方針に基づいて建設省ともいろいろと打ち合わせをしていきたい、こういうように考えております。(「話が違うじゃないか」「建設省は全然知らぬ」と呼ぶ者あり)
  147. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 三十五年度の予算ごらんになるとはっきりいたしますが、名古屋港については五億、四日市港について一億四千万円、この予算を計上いたしております。この予算は、もちろん基礎的な調査並びにその取りかかる基礎的な工事を一部実施できるはずでございます。従いまして、ただいまお尋ねの防波堤はこれを取り上げているということがはっきりいたしております。
  148. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) ただいま申し上げましたように、防波堤を作るという方針のもとに今五億の予算をもって調査し、万全の策を講じたいと、こういうふうに思っておりますが、大体予定としましては九十三億くらいの予定をもってやりたいという考えを持っておるわけであります。
  149. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 完成目途はいつごろですか。
  150. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) ただいまのところ完成目標は大体四カ年くらいの予定を考えております。
  151. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、若干建設大臣との間に違いがあるといえば違いがあると思いますが、今の運輸大臣あるいは中道港湾局長佐藤大蔵大臣等の御答弁を了として、そうして臨海工業地帯を作るために防波堤ができると、こういうふうに承ってよろしゅうございましょうか、建設大臣
  152. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 関係各省で四カ年間で完成するということであれば、私もその方針によって防潮堤については検討する必要があろうかと思います。それで、ただいま運輸大臣からのお答えにもありましたように、私としては六、七月ごろまでに、いわゆる波をどれだけ殺すかというような、そういう科学的な検討が終わるということでありますから、私が先ほどの御答弁に申し上げましたのも、やはりその具体的な防潮堤の高さを決定するのには、どうしても防波堤による波を減殺する程度というものをよく承知いたしたいと思っております。それが六、七月ごろまでかかるということを承っておる次第であります。
  153. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 若干村上建設大臣の御答弁は、前の足らなかったところを補足されて、六、七月ごろの決定というものは、海返し等のいろいろな波をどのくらい減殺しくいくかというような結論が大体六、七月ごろに出る、それに関連して一つ防潮堤の方の問題を検討していこうというようなふうに御説明がありました。それを了といたします。しかしあまり省内でかれこれのないようにして、一つ安心をして工事が進められるようにお取り運びを願わなければならないと思っております。
  154. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 主管の大臣から答弁申し上げましたように、伊勢湾の将来の工業地帯造成の上からいって、防波堤というものがきわめて重要な意義を持っておるのでありまして、十分調査もし、これに対して適当な防波堤の建設につきまして政府としては今後努力をいたします。   —————————————
  155. 小林英三

    委員長小林英三君) 吉江勝保君。
  156. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 質問をいたしたいと存じます。  まず第一に建設大臣お尋ねをいたします。災害に関しまして、三十四年災につきましての完全に復旧を見まするために、過去におきまする三十四年以前の災害につきまして、現在その復旧はどういうような状況で進められておるか、完了すべきものは完了しておるか、現状はどういうようになっておりまするか、その内容を、緊急な工事あるいはその他の工事、あるいは直轄工事に分けましてお伺いをしてみたいと思います。
  157. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) お答えいたします。建設省所管にかかる公共土木施設の過年度災害の復旧事業の残事業といたしましては、昭和三十二年災及び三十三年災の分に関するものは、国費にして約百七億程度となっております。昭和三十五年度におきましては、それらの残事業のうち、直轄災害につきましてはこれを完了をして、補助災害につきましては昭和三十二年災を完了し、昭和三十三年災についてはおおむね八五%の復旧をはかることとなっております。なお昭和二十八、二十九、三十、三十一年災につきましては、これは三十四年度において全部完了いたす次第であります。
  158. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 二十八年災から三十一年災までは完了を見て、三十二年、三十三年の災害は大体計画通りに復旧工事が進んでおる、こういうように承ったのでありまして、三十四年災━━昨年の災害につきましての復旧の進捗計画、これはどういうようにお立てになっておりますか。昨年の災害全体につきましての災害復旧計画はどういうふうにお立てになっておりますか。
  159. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 三十四年に発生した建設省所管にかかる公共土木施設災害は、特に愛知、三重、山梨、長野、奈良、滋賀、京都、福井、岐阜等の各府県に甚大な被害をもたらしたのでありますが、この復旧事業費は総額で千百十一億程度となっておるのであります。これらの災害に対しまして、三十四年度におきましては、既定予算の予備費支出のほか、第二次及び今回の第三次補正によりまして、合計二百二十五億円を支出いたしております。なお直轄災害につきましては約六〇%の進捗を見るはずでありますが、補助災害につきましても二五%以上の復旧をはかることといたしております。
  160. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 三十四年災の三十四年度におきまする計画は今承ったのでありまするが、その全額を災害復旧をいたしますのには三年あるいは四年の計画をお立てになるのだろうと思いますが、それはどういうような計画をお立てになっておりますか。
  161. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) これらの全体の復旧といたしましては、直轄災害につきましてはおおむね二カ年、それから補助災害につきましては、緊要工事はおおむね三カ年、緊要以外の工事につきましても四カ年程度でもって完了する方針のもとに、昭和三十五年度におきましては、直轄災害に二十三億二千余万円、補助災害に二百九十六億七千余万円を計上いたしておる次第であります。
  162. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 緊急工事につきましては三・五・二の割合で、三十四年度には三割、三十五年度の予算に五割と、こういうものは計画をお立てになっておるように聞いたのでありますが、その予算大蔵大臣の方におきましてさようにお組みになっておるのでありましようか。
  163. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) その通りでございます。
  164. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 三十四年度の三割あるいは三十五年度におきます五割というものを下回ると申しますか、それだけの量が予算の上におきまして組まれておらないというようなことはございませんでしょうか。もう一度念を押したいと思います。
  165. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) そんなことはございません。
  166. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 それではただいまのお言葉で、既定通り予算が組まれて、その執行を今度は私どもは見て参りたいと思います。  で、初年度に、今言われました二百二十五億でありますか、この工事は第二次補正、また今回の補正でこれだけの工事を年度内に完了することになるのでありますが、はたして年度内にこの工事は完了の見込みがあるでございましょうか。
  167. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 年度内に十分こなせると思っております。
  168. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 三十四年災、七号台風あるいは十五号台風の際にとりました措置につきまして、ことに建設省におきましては、この未曽有の災害に際しまして、技術者の応援をあっせんをされたのであります。これは非常に被害を受けました県におきましては歓迎をされたのであります。また感謝をされたのでありまするが、毎年こういうようなある地域に被害が、災害が起こりましたときに、全国の他の県の技術者、これを災害県に応援に派遣する、あるいは国家公務員の中の技術者をその府県に派遣する、こういうように技術の応援計画というようなものにつきましては、昨年の災害にかんがみまして、何か建設省におきましては将来お考えになっておるのでありましょうか。
  169. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 先ほど成瀬委員に総理からお答えがありましたように、災害基本法等の成案を得ますれば、そういうような点についてもある程度統一をはかっていくことができると思いますが、建設省といたしましては、万一そのいずれかに大災害あるいは災害が起きた際に、技術員等の手不足等の場合は、全国至るところからこれを援助せしめるようなことはいつでも取り計らえるようなことにいたしておる次第であります。
  170. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 災害の復旧に最も大事なことは、災害の発生しました場合の迅速な査定でありまするが、この査定につきまして、現地におきましてはいろいろな要望を聞くのでありまするが建設省を初めとしまして、農林省、またその他の各省におきまして査定をいたすのでありまするが、この査定が迅速に行なわれますというと対策が自然に促進されるのでありますが、この査定のやり方につきましては、ことに建設省におきましては、昨年の災害にかんがみまして、査定の迅速化、正確化、こういうことにつきましてお考えになっておることがございましょうか。
  171. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 査定官の行政能力を高めたり、あるいは災害時等における事務の円滑な推進を期するために、随時説明会とか、あるいは講習会等を行なってその研究をいたしておる次第であります。今後ともさらに指導を強化して参りたいと考えておりますが、今回もこの災害にかんがみまして、技術官の応援派遣につきましては、あらかじめ派遣者を予定しておくことは困難であると思いますが、大災害の発生した場合におきましては、その要請に十分こたえて応援のできるような措置を講じて参りたい、かように思っておる次第でございます。
  172. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 いま一つ建設大臣に伺いたいと思います。三十四年災の最も特徴でありました水害でありますが、この水害に関しまして非常に水防団が活動いたしたのでありますが、この水防団の組織あるいは水防団の活動につきまして、特に昨年の経験にかんがみまして、これをあるいは強化する、そういう点につきましてはお考えになっておりますか。
  173. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 水防団とか、あるいは消防団等の強化をはかることは当然でありますが、なお水防資材につきましては十分な確保をいたして、不測の際の用意をいたして参りたいと思っております。本年度相当予算を増額いたしまして、それらの対策を講じておる次第であります。
  174. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 防衛庁の長官にお尋ねをいたします。三十四年災に際しまして出動いたしました自衛隊の部隊の規模並びにその人員あるいは日数というものはどのくらいに上っておるものでしょうか。
  175. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 三十四年度を通じての派遣人員でありますが、これは陸上自衛隊では延べ七十五万七千名であります。海上自衛隊では延べ七万五千名、航空自衛隊では延べ八千名であります。合計で延べ八十四万名であります。件数といたしましては二百十二件であります。規模、部隊等でありますが、普通科及び特科部隊では約四〇%、施設部隊で約三〇%、通信部隊が約八%補給及び経理部隊で五%、側生部隊が三%、輸送部隊が二%、航全部隊が二%、その他一〇%であります。伊勢湾台風では派遣の日数は六十日であります。一部は七十五日出しておったのでございます。
  176. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 ただいまの説明の中で、施設部隊の派遣人員の数が三〇%でありますが、えらい少ないように思うのでありますが、施設部隊はもっと出動しているのじゃないですか。
  177. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 今申し上げた三〇%であります。
  178. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 ただいまの非常に多数に上ります部隊の動員が行なわれておるのでありますが、この予算は昨年の、三十四年の補正予算にも出ておりませんが、これはどういうようにお使いになったのですか。
  179. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 三十四年度の補正等に要求いたしませんでした。それは演習費が自衛隊にありますので、この演習をやめまして、ちょうど演習期でありましたから災害派遣の方にいたしまして演習を休んだ、こういうことになっております。
  180. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 一定の訓練計画を持っておられると思うのでありますが、それらの方の訓練は当然その間は行なわれなかったのではないかと思うのでありますが、それはただいまの災害の方で訓練をしたので、それで支障がなかったのでありますが、平常におきまする計画の訓練の方は支障がなかったかどうか、その点をお伺いいたします。
  181. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 平常の訓練に全然支障はないとは申し上げられませんが、平常の訓練の効果を災害に発揮した、プラスになった、そういう面で訓練を休んでも非常に何と申しますか、能力を削減したと申しますか、こういうわけには行っておりません。
  182. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 昨年の災害 には相当自衛隊が出動いたしまして、地元におきましても感謝をいたしておるのでありますが、この災害出動によりまして得ました体験に基きまして、自衛隊におきましては今後災害出動するときにはどういうような点を改善あるいは装備すべきか、あるいはどういう点にもう少し万全を期すべきであるかというような経験、所見はいかがでございましょうか。
  183. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 本予算委員会等におきましてもしばしばお話がありましたように、災害派遣に非常に早く出ていけるような方法をとるということが一つであります。現在は原則といたしましては要求がなければ出られないことになっておりますが、自衛隊法の中にも緊急の場合には要求を待たずして出られる、こういうことになっておりますので、その緊急の場合に要請を待たずしても出られるというような規定を活用していきたい。それからもう一つは常に平時災害——ことに常襲災害地帯等に対しまして、どういう災害の場合はどれぐらいのものを動員するかというような想定を作らしております。それに基いて災害が発生した場合にはただちに出動いたしたい、こういうふうにいたしております。それから予算面その他で考えておりますことは、昨年もここで指摘されましたように、これは民生安定とか国土建設あるいは災害に協力するという方面に相当力をいたしたい、こう考えまして本年度の予算におきましても、陸上自衛隊自衛官千五百名定員の増員を要求いたしております。これは建設大隊、それから施設大隊、地区施設隊、こういうものを編成いたしまして、災害あるいは国土建設の方面に協力さしたい、こう考えております。  それから昨年の災害等におきまして、ヘリコプターの機能といいますかこれは非常に役立っております。ヘリコプターは自衛隊本来のものとしても必要でありますが、災害等におきまし、出動できるように、陸海空三自衛隊を合わせて十七機ほど要求しております。そのほか装備あるいは通信施設、旭岳機械、こういうものが非常に災害に役立っておりますので、そういう方面におきましても予算の裏づけをもって充実していきたい、こう考えております。
  184. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 新しく陸上自衛隊の増勢を認められたといいますか、予算に計上されておるようでありまするが、現在この施設部隊が各都道府県に配置されておりまする状況というものは、大体災害を多くこうむりまするような府県には施設部隊が配置になっておるのでありましょうか、その配置の状況をお尋ねいたします。
  185. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 大体は今お話のように、災害の発生するような所に置いてありますが、施設部隊としてはまだ設置されておらない県が十七あります。陸上自衛隊あるいは海上自衛隊、航空自衛隊のない県は四県であります。今度予算要求しておりまする建設隊あるいは地区施設隊、こういうものにつきましては、なるべく置いてない県あるいは災害関係あるような県、こういうものを選んで置きたいと、こういうふうに思っております。
  186. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 災害に際しまして陸上自衛隊が非常に活躍されましたことは、災害県の議員といたしまして感謝しておるのでありますが、また本年あるいは将来も思わざる所に襲来を受けようと思いますので、施設部隊等ができるだけ、災害を受けまするような府県に配置されますることを希望いたしておきます。  次に文部大臣にお伺いをいたします。公立の文教施設も相当に災害を受けておるのでありまするが、その災害総額と、これを復旧いたしまするのには公共土木災害などと異なりまして、三年、四年というような長期間を許さないので、これを短期間に復旧する要があろうと思うのでありますが、現在の公共文教施設災害復旧計画、あるいはそれが予算に計上されておりまする状況はどういうようになっておりますか。
  187. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お答えいたします。お話の通り災害の復旧はきわめて迅速に復旧をはかっていかなければならぬと思っております。公立学校の改良復旧につきましては、予算の坪数は十五号台風につきましては全壊坪数の六〇%、半壊坪数の三〇%を、その他の災害については全壊坪数の五〇%を復旧させること、約一万二千坪の改良復旧を見込んでおるという状況であります。  なお予算の執行にあたりましては、改良復旧はできる限り予算のワク内でこれを認めていきたいという方針をもってもっぱら査定を急ぎ、すでに着手いたしておるような次第で、ある地方におきましては再査定も完了し、その復旧に着手されておるような状況であります。  なお国立文教施設災害復旧費といたしましては、総額二億百十万円、二カ年にわたって復旧するということでありまして、三十四年度においては予備費をもって一億四千二百二十万円、三十五年度においては五千八百九十万円を計上いたしております。さらに公立学校施設災害復旧費につきましては、総額二十三億九千五百万円、これまた二カ年にわたって復旧することとして、三十四年度においてはすでに補正第二号におきまして十億八千二百五十万円、補正第三号としてお願いいたしておりまする一億千五百万円、計十一億九千七百五十万円を措置いたしております。そして三十五年度においてはやはり同額を計上いたしておる次第であります。また公立の方の社会教育施設災害復旧費といたしましては、これまた二カ年にわたり公民館、体育館等の復旧に充てるために三十四年度においては、すでに第二補正予算で七百三十万円を計上し、このほか予備費として若干額を措置しているような次第でございます。なお三十五年度につきましては、三十四年度と同額の千百万円を予定計上いたしております。さらに私立学校施設災害復旧費でございますが、これは総額一億七百九十万円で、これまた二カ年にわたって復旧することといたしておる次第でございます。すでに補正第二号で五千三百九十万円、三十五年度においても五千三百九十万円を計上しております。  以上でございます。
  188. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 重ねて。公立文教施設整備五カ年計画が進んでおるのでありまするが、この災害の復旧等によりまして、あるいはこの公立文教施設整備五カ年計画が乱されておる、阻害されておるというようなことはないのでありましようか。
  189. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 大体臨時措置も迅速に行なわれておるように承知いたしておりまして、先般私は、これは愛知県でありまするが、たまたま機会あってあちらに参りまして、名古屋市小学、中学、高等学校の学生の大集会に出て参りましたが、それらの当時の様子からうかがいまして、順調に進んでおることと存じております。
  190. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 文化財に関しましてお尋ねをいたします。文化財の三十四年災におきましてこうむりました被害も相当額あろうと思うのであります。この文化財は、被害を受けましたものの復旧につきましては、非常に困難性があるのでありまするが、予算の上から見てみますと、三十四年度の補正予算には、文化財の災害復旧予算が一文も組まれておらなかったのでありまするが、これはどういうようにして三十四年におきましては文化財の災害を復旧されておるのでありましようか。
  191. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 文化財の災害復旧の必要性を特に文部省といたしましては見ておりまして、まず、もう長くはほうっておけぬというようなもの、たとえば山梨県の善光寺山門、これを修理するために応急の措置を講じ、その他は復旧実施計画を進めまして、三十四年度予備費の支出を願っておる次第でございます。  なお、災害復旧のうち、三十四年度において実施する分については予備支出となっておりまするが、もうすでに実際の計画はできておりまして、予備費の支出を待っておる状況でございます。  なお、三十五年度の予算につきましては、二千九百万円を予定いたしておる次第でございます。
  192. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 文化財の復旧につきまして大蔵大臣にお伺いをいたします。  文化財の災害復旧につきましては、大蔵大臣としましては、特に関心を持たれてこの災害復旧に御努力をいたしておられるでありましょうか。この点の御所見を承りたいと思います。
  193. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 文化財の復旧はまことに大事なことでございますので、十分意を用いて参るつもりでございます。
  194. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 予備費のうちからわずかなものをさきまして、三十四年度災害復旧に充てるように今交渉がやられておるようでありまするが、聞いてみますと、わずかな金で災害復旧に当たられるようでありまするが、先ほども伺いましたように、重要文化財、こういうようなものは、わが国におきまして非常に貴重なものでありますので、文化財の災害復旧に関しまする予備費の支出にいたしましても、どうか大蔵大臣から一つ声をかけていただきまして、あまり査定を厳重にやりまして予備費を非常にしぼったようなやり方をなさらずに、予算要求をされておればよいのに、予算要求もせずに、予備費で済まされようとするならば、予備費につきましてはどうか予備費は十分に一つお認めいただきたいと思います。重ねてお伺いをいたします。
  195. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 予備費で一千万円の支出を予定いたしております。
  196. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 次に自治庁長官にお伺いをいたします。最初に建設大臣お尋ねをいたしたのでありますが、過年度災害、これは建設大臣には建設省所管だけを尋ねたのでありますが、農林省あるいは文部省にいたしましても、各省にまたがるのでありますが、最近、五年あるいは七年あるいは三年をとりましても、最近におきまする災害に基づきまして地方自治体が負担をいたしましたところの経費というものは、年間を通じまして平均どのくらいのものが余分に地方自治体の方に重なって重圧を受けておるか、そういうような調査ができておりましたならば、昨年はおきまして三十三年までの間の数年間の平均、災害によりまして地方自治体、都道府県市町村が受けました財政の重圧というものはどのくらいなものになっておるか、平均でけっこうでありまするからお答えをいただきたいと思います。
  197. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) お答えいたします。  二十九年から三十三年までの五年間で、公共災害復旧事業、それから単独災害も合わせまして地方の負担の平均は約二百二億ぐらいになっております。
  198. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 三十三年までの平均で約二百億という御答弁でありましたが、それでは昨年の三十四年度におきまする災害によります地方財政の負担は、どのくらいに上っておるでありましようか。
  199. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 昨年当初予定しておりましたものが二百三億ばかりであったのでありまするが、伊勢湾台風その他で非常に災害がふえまして、さらに二百二十八億ばかりふえたのであります。それが三十四年度の現状であります。
  200. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 この災害予算につきまして、国の災害復旧予算が完全に組まれておりましても、その工事を施行いたしまする地方自治体の財政力というものが、これが国の補助を受け入れることができないような場合、完全にできないとは言えなくても、非常に無理をしてこれを受けていく。こういうようなことがあるのでありまして、国全体のこの地方財政の計画というもの、これを国の予算を編成いたしまするときにおいて、大蔵大臣といたしましては、国の予算を編成するとともにこれを受け入れまするところの地方自治体の財政能力というものを十分に勘案をしていただきますることは当然であるのであります。そういう点におきまして、予算編成のときにおきまして自治庁と十分な協議を遂げていただくことが必要であろうと思うのでありまするが、この点につきまして、大蔵大臣が国の予算を編成されますとともに、この地方自治体のこれを受けまする財政力というものにつきましての勘案というものはいかようになさったでありましょうか。その点をお伺いいたします。
  201. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御指摘の点は最も私ども予算編成にあたりましては意を用いなければならない点でありまするが、その意味におきまして、地方の財政の状況、歳入歳出、それら等も十分検討いたしておるわけであります。両省問におきまして、今回の補正3号を提出いたしまして御審議をいただいておりますが、これもやはり災害復旧費の追加ということが地方にどういうことになるかということで検討いたしてみたのですが、今回のこの追加分では十二億円程度負担が増加されます。かように見込まれます。しこうして、御承知のように、地方に対する特別交付税交付金、これは当初百四十九億円、さらにそれに補正2号による追加が四十一億円ありますし、また今回の補正によりまして3号によっての追加が十九億円ございます。これらの特別交付金等でただいま申し上げますような負担は一応解消ができるのじゃないかと、実はかように考えておる次第でございます。
  202. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 災害復旧に関しまして大事なことは、各地方におきまする地方公務員と申しまするか、災害関係を持ちまする公務員の人たちが、この行政能率をあげることが大事でありまして、最近行政水準ということはよく言われておるのであります。しかし考えてみますと、またこの行政能率をあげますることが、これが災害の対策を迅速に立て、またそれが実行していきます上に非常に大事でありまするので、こういう行政能率の向上ということにつきましては、ことに建設省あるいは農林省、あるいは自治庁におきましては特に配慮をされておりますか、どういうような指導をなすっておりまするか。自治庁長官並びに建設大臣からお伺いをいたします。
  203. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 先ほども査定官のことで触れましたように、いろいろな研究会等を設けて十分機能をあげるように努力をいたしております。
  204. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 大災害等がございました際には、先ほどのお話に出ましたように災害対策本部というようなものなども設けられまして、そこでいろいろ連絡、調整をはかり各府県、各省間の連絡をとっているわけでございますが、ふだんにいたしましても、こういう災害等に備えまして、まあ災害のたびごとに自治庁等からもいろいろ通達その他を出しまして、平素から訓練をするように準備体制を整えるようにいろいろ指導しておりまするが、まあ的確な行政組織、行政機構というものはまだ持っておりません。
  205. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 総理にお伺いをいたしますが、災害に際しまして財政負担力の貧弱な県に対しましては、また災害を受けました激甚地に対しましては特段な立法もいたしておるのでありまするが、財政力の貧弱な自治体、都道府県あるいは市町村、こういう財政力の貧弱な、あるいは未開発後進自治体と申しましょうか、こういうような未開発後進自治体の開発、こういうことに対しまして総理はどういうようなお考えをもっておられますか、こういうようなおくれておりまする財政力の弱い市町村の水準を高め、全国の平均のレベルにまで引き上げて参り、まだ開けておりません未開発の地帯を開発していくというようなことにつきまして、どういうようなお考えをもっておられますか、お伺いをいたします。
  206. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 府県の間における財政的な不均衡というものを根本的に均衡をとるようにしていく上におきましては、根本的な措置を講じなければならぬ点もあります。従って地方と中央を通じての税制審議会等におきましては、そういうことに触れての根本的な研究をいたしておりますが、しかし今日まで交付税あるいは特別交付税等の配付に関しましては、そういう点についても留意をしていることは御承知通りであります。またたとえば北海道、東北地方のごとく開発のおくれている地方に対して総合開発の計画を立て、特殊な機関を設けてその開発の促進をいたしております。あるいは北海道、東北以外の地域にもそういう総合開発の計画を立てて、そうしておくれているところの水準を上げていくように努めたいと思っております。
  207. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 ただいま大きな問題になっておりまする国土開発縦貫自動車道の開設、こういうものによりまして後進地域というものは非常に引き上げられて参るのでありまするが、この国土開発縦貫自動車道の開設につきまして、総理はどういうような御所見をお持ちでありましょうか。
  208. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) これはすでに制定されました法律によりまして、その実現を期するために、路線を決定するための調査研究をいたしております。大体の成案を得るならば審議会にかけて決定をして、できるだけ早くこれを実現したい、かように思っております。
  209. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 建設大臣にお伺いいたします。今、総理のお答えによりまして了解いたしたのでありまするが、所管大臣といたしましては、この予定路線を定めまする法律案を国会に提出される見込みにつきましては、どういうような見込みをもっておられるのでありましょうか、建設大臣にお伺いをいたします。  なお、その中央道の予定路線とあわせまして、東北自動車道の開発、おくれておりまする東北地方の開発のために東北自動車道の調査につきましても、本年度から開始をされる予定のように聞いておりまするが、これにつきましても、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  210. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 小牧東京間の中央道につきましては、ただいま総理からお答えのありましたように、審議会の議を経て国会に経路線決定の法案を提出することになっておりますが、その時期につきましては、ただいま関係各省との間に、いろいろと折衝いたしておりますので、この協議が終わりましたら、一応審議会にかけ、審議会の議を経て、法案提出ということになります。この国会中には、何とか成立を見るように提案いたしたいと思っております。  なおまた、東北自動車道につきましては、日本の全国各自動車道の一環として、一応東北については、調査をしてみたいと、かような見地から、三十五年度予算に、わずかではありますが、百五十万ばかりの調査費を計上いたしまして、これが調査を開始いたしたいと、かように思っております。
  211. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 私の質問は、これで終わるごとにいたします。災害復旧につきまして、御質疑申し上げたのでありまするが、一歩進めまして、昨年の体験を生かしまして、防災と申しますか、災害を未然に防いでいくというような面につきましての施策は、三十五年度の予算には計上されておるか、どういうようなものが上げられておりまするか、各大臣から、お答えをいただけますればいいのでありまするが、あるいは大蔵大臣から、まとめて御答弁をいただきたいと思います。
  212. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御承知のように、三十五年度予算には、国土保全予算を計上いたしております。災害対策等、別途でございます。この関係を、三十四年度と比べてみますと、事業費で申し上げますが、三十四年度は、補正第二号までのこの種の金が、治水関係で四百四十二億、三十五年度は五百八十億計上いたしております。増加は、百三十八億であり、パーセンテージにして三一・五%。治山は、三十五年度は八十七億、三十四年度は七十六億でございまして、従いまして、増加は十一億、一四・五%の増。海岸関係は、三十五年度五十二億、三十四年度は三十億、増加二十二億、これは大変な増加率になっておりますが、七三・三。それから高潮対策が百五十六億、三十四年度は七十二億でございまして、八十四億の増加、これは一一六・七%の増であります。総計いたしまして、三十五年度においては八百七十五億、三十四年度は六百二十億、増加は二百五十五億、四一・一%の増というようになっております。  これ以外に、科学的防災対策といたしまして、運輸省所管関係で三億五千五百万円、これは前年に比べて七千五百万円の増であります。内訳は、水害気象、この気象関係で一億七千百万円、農業気象に四千九百万円、レーダーの整備━━名古屋でございますが、五千二百万円等が計上されております。なお、気象研究所に台風研究部を新設する、及び、全国十カ所の予防中枢に防災専門官を置くと、こういうことをいたしております。  また、建設省関係では、土木研究所の防災研究等三千五百万円を計上いたしまして、前年度よりも二千三百万円の増加を計上いたしております。   —————————————
  213. 小林英三

    委員長小林英三君) 東隆君。
  214. 東隆

    ○東隆君 伊勢湾台風のような災害地の問題は、施設が破壊されていることでありますし、また、開拓地の問題は、施設が完備されていないこういうことだと、こう考えるわけであります。したがって、ある時点をとり上げてみますと、私は、非常に似通ったところがあろうと思います。しかし、考えてみますと、伊勢湾台風のような場合には、人口が非常に多く、したがって、有権者が非常に多いために、復旧というようなことは、非常に迅速に進んで参りますが、人口の少ない開拓地は、これに反して、設備の充実というようなことは、これは非常に長い期間を要するわけです。開拓の過程が非常に長過ぎるのでありますので、私は、これを何としても短縮をしなければならんと、こういう考え方を持っているわけであります。  そこで、伊勢湾台風の場合に、自衛隊は非常に活躍をされたのでありますが、そのことは、さきほど吉江議員の質問に対して防衛庁長官がお答えになったのであります。そこで、いろいろな活躍方法その他についてはお伺いをいたしませんが、北海道において「自衛隊通るべからず」、こういう張り紙を張った所があるわけであります。それは、どういうわけかと申しますと、自衛隊の諸君が演習をするときに、道路を壊し橋梁を落としてしまう。そうして部落の者が、それについて文句を並べると、これは演習なんだと、こういうふうに答えるし、また、トラックその他は、大きな長い板を積み込んで、そうして橋が壊れたときは、それを渡してその上を通っていく、あとはそのままぶん投げてしまう、こういうようなことをやるわけで、これは、自衛隊としては非常に損なやり方でありますし、さきほどお話しになったような、そういうようなものとは、もう全然反対の方向に進んでおる。これもやはり人が少なくて、そうして道路が悪くて橋が壊れかけておると、こういうような非常にみじめな状態から、そういう問題が起き、しかも泣き寝入りをしてしまうと、こういうような状態に置かれておるわけであります。  そこで、私は、何とかしてこの自衛隊のマイナスの面を、もう少しプラスの面に大きく活躍をさしたいと、こういうふうに考えるわけであります。  私は、この考え方については、農林大臣もまた首相も賛成をされると思うんですが、防衛庁長官は、どういうふうにお考えになるか、お聞きをいたしたいわけであります。防衛庁長官それから首相もひとつ、農林大臣はおられないようでありますけれども、お答えを願いたい。
  215. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) お話のように、自衛隊の存立の基礎といいますかは、民生の安定の上に立っているものと思います。国民の生活を守り、また生活がよくなればなるほど、それを守らなくちゃならぬ、こういうことになりまするから、民生の安定が自衛隊存立の基礎になっていると思います。  でありますけれども、その基礎の上に立って、自衛隊としては直接及び間接の侵略に対処する、あるいは公共の秩序を守り、あるいはまた災害等に出動する、あるいはまた訓練の目的をもって土木工事等の引き受けをする、こういうことになっているのであります。でありますので、本来の任務というものは、あくまで任務として、訓練精進をさせますけれども、極力民生方面に協力するように指導し、またそういう体制を整えたい、こう考えております。  従いまして、先ほど吉江委員にもお答えしましたように、本年度、三十五年度の予算等におきましても、建設大隊を一つ置く、あるいは建設隊を置く、あるいはまた地区施設隊を五つばかり置く。その他におきましても、管区隊あるいは混成団等にも、そういう建設、施設の部隊を付属しております。こういう部隊等が極力国土建設その他に協力できるように指導していきたいと考えております。  最初にお話がありました北海道等におきまして、演習、訓練等のために、道路橋梁等を破壊する例もあるということを私も聞いておりますので、そういうことがないように訓練を指導いたしたい。たとえば、道路等におきましても、札幌━━千歳の間などにおいては、道路上をタンクなんか走りますと、重いタンクでこわすということでありますので、そのわきを借りて走らせる、こういうような方法もとっております。  お話のように国民から自衛隊入るべからずなどと言われないように、自衛隊が、われわれのための自衛隊として活躍する、こういうふうな気持を持ってもらうように、極力指導いたしたい、こう考えております。
  216. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 自衛隊の本来の趣旨から申しまして、国民からに憂され、国民から喜ばれるというふうな性格を持たせるように、訓練の上におきましても、あらゆる面からいきまして、注意していくことが必要である、かように思います。
  217. 東隆

    ○東隆君 防衛庁長官、昨年帯広においでになったときに、局地戦争は避けられないというような意味の言葉を言われたわけであります。それで、北海道方面、北の方が近いものですから、だいぶセンセーションを起こしたわけでありますが、私は核兵器その他を除いて、局地戦争というようなことを想定をいたしますと、道路やその他を非常によくして、そうして機動力を発揮できるような体制を作ることが、私は自衛隊を少しばかりふやすよりも、非常に大切なことでないかと、こういうふうに考えますが、その点はどういうふうにお考えですか。
  218. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) ごもっともでございます。私も、自衛隊の装備の近代化ということも考えておりますが、また効率化ということも考えております。そういう点から、機動力が発揮できるようなことにしたいと、またそういう方向に、目下進めつつあります。
  219. 東隆

    ○東隆君 私は、今防衛庁長官は賛成をされたのでありまするが、この際、道路の建設をやり得るような体制を自衛隊は持つべきでないかと、こういうふうに考えるわけでありますが、その点はどうですか。
  220. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) この点もごもっともであります。建設大隊、建設隊、これは、民間でなかなかできないような道路、隧道、その他に出動いたしまして働いております。  でありますので、先ほども申し上げましたように、今度も建設大隊、建設隊、施設部隊、こういう部隊等に千五百名の増員をお願いして、そういう方面に極力協力できるような体制を整えつつあります。
  221. 東隆

    ○東隆君 北海道には、自衛隊の数が全国の約三分の一ぐらいいると思うのですが、私は、この自衛隊の数を増強するよりも、編成がえをした方がいいと、たとえば、昔の師団なんかを考えてみましても、工兵隊というような特科隊がありましたが、しかし私は、ああいうようなちゃちなものでなくて、もっと近代的な装備をした今の建設部隊、そういうようなものに、私はもう大部分を編成がえをした方がいいのじゃないかと、こういう考え方を持つのですが、簡単に、ごもっともというようなことでなくて、編成がえについての心がまえがあるかお伺いをいたしたい。
  222. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 三十四年度から管区隊とか方面隊とか、編成がえを相当いたしております。これは今お話しのように、建設部隊としての編成がえではございません。必ずしも、たとえば人数なら人数を同一人数ということにいたしませんで、地勢その他の情勢に応じて、方面隊とか管区隊とか、こういうものの編成がえをいたしております。  ただ、申し上げたいことは、やはり自衛隊の本来の任務は、直接及び間接の侵略等に対処し、あるいはそういうことをあらかじめ排除するというようなこと、そういうことにありますので、全面的にお話のような建設隊に自衛隊を改編すると、こういうわけには参りません。本来の任務なり、その訓練のもとに、たとえば災害とか、あるいは国土建設に協力して、初めてそういう協力の効果も上がる、こういうふうな考えを私ども持っておりますので、全面的に、これを建設隊に改めるという考えは持っておりませんけれども、本来の任務に精進できるような体制のもとに、お話のような建設方面に、十分協力できるような方向へ持っていきたい、こう考えております。編成等につきましても、相当編成がえをいたしましたが、なおさらに検討するところは検討していきたい、こう考えております。
  223. 東隆

    ○東隆君 農林大臣おいでになりましたから、私はお聞きをいたしますが、あのパイロット・ファームにある開拓の機関や機械等を初めとして、土地改良方面に使ういろいろな機械、しかも動力の非常に強い機械、そういうようなものを考えて参りますると、私は土木関係の装備を建設部隊がするというと、まさに同一のものになるという、同じようなものを、実は自衛隊が持つという体制にならなければ、先ほど防衛庁長官が言われたような仕事は実はできないわけで、しかも、土地改良のいろいろの方面でもって使うところのいろいろな農機具は、私は飛行場を設置するときに使う機械とまさに同一のものだと、こう思っておるわけであります。そういうものなんでありますから、私はこの際、自衛隊がもう少し開発の方面に、その他の方面に、ことに北海道の根釧原野というような方面、ここでは普通の武装をするというような、そっちの方面の装備は、これはかえって相手方を刺激をするおそれがあるし、私は、どうしても農業方面の機械、そういうようなものを中心にした、開発に関係をしたものでもって装備をするというような体制を一つ作っていただきたいと、こういうふうに考えるわけです。私は、農林大臣はこれに対して賛成の意を表されると、こう思うのでありますが、防衛庁長官はどういうふうにお考えですか、その点。
  224. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 先ほどからお答え申し上げておりますように、本来の任務に相応するところの装備というものを充実していくということは、これは捨てることができません。しかし、建設のために協力するということになりまするならば、お話のような装備機械類も必要であります。現にダンプ隊というものもありまして、ブルドーザーとか、クレーン・ローラーだとか、レッカー・ダンプとか、農業のパイロット・ファームで使うというようなものと必ずしも同じではありませんが、土木用の機具、機械としては相当りっぱな機能を持った機械類も装備してあります。しかし、なおこういうものの装備といいますか、そういうことは私どもも必要だと、こういうように考えます。
  225. 東隆

    ○東隆君 私は、営農の方面その他については、個人が持つのでありますからそう問題でないと思います。開拓地に入植をさせる場合には環境の整備をしなければならぬ。環境の整備をしないで人を入植をさせるということは、これはまるで人間を放牧するようなことになるのでありまして、これは人道問題であると思います。従って、条件を整備するために道路も作らんければなりませんし、それから土地そのものも土地改良を施してりっぱなものにしなければならない。そういうような仕事は、あげて今までほとんどやらないで、そして人を追い込んで開拓をした、それが私は日本の開拓の行き詰まりだろうと思う。そういうような意味で、私は大きく土木工事を起こし、そしてりっぱな道路を作り、人間が住むに適したような環境を作り上げると、こういうことが前提にならんければならぬ。そのためには、私は、やはり自衛隊が持つ装備を十分に活用させる部面がたくさんあろうと思う。そういうような意味で、かえって根釧原野のようなところでは、私は、自衛隊はもっと違った形でもって編成がえされんければならぬ、こういうことを言っておるわけです。だから、そういう意味でもう一歩進んでいただきたいと、こういうことを言っておるわけです。
  226. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 根釧原野等を開拓して、地盤を作り上げるというだけのまだ装備は持っておりませんが、現に学校の校庭の整地とか、あるいはまた、なかなかちょっと手のつけられないようなトンネルの開さく、あるいは道路、こういうものは要求に応じて幾分やっております。実は要求を満たすことがまだできないので、半分程度ぐらいしか要求に応じられないということでありますが、非常な希望、要求が多いのであります。でありますので、そういう方面の要求にも応ぜられるような装備ということも考えておるわけでございます。
  227. 東隆

    ○東隆君 そうすると、重点的に根釧原野、そういうような方面に建設部隊、そういうようなものを置くというお考えにおなりですか。
  228. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 根釧原野の整地といいますか、開拓というような、特定の目的だけに部隊を置く、こういうことは今考えていません。ただ、全体的に管区隊とか、混成団とか、あるいは建設大隊とか、こういうものを置きまして、各方面の要求に応ぜられるように整備して進めていく、こういうことでありますけれども、それには根釧原野の開拓というようなものを引き受けるだけのまだ装備、能力は持っておらないと思いますが、全国的にそういうふうに仕向けていっておりますし、また、そう進めていきたい、こう考えております。
  229. 東隆

    ○東隆君 今までの話は、私どもの目的にほぼ一致をしたのでありますけれども、私はまだ足りないと思うんです。それは兵農分離の問題なんでありますが、兵隊と農業、それが分離をしたのは歴史的な事実なんですけれども、私は、平時には兵農が一致した事実は日本でもだいぶ経験しておると思うんです。たとえば明治の屯田兵制度のような、それから満州開発に、これはえらい犠牲になりましたけれども、青年義勇隊、こういうようなものは、やはり兵農一致という形でもって開発をされた事例だろうと、こう考えておるわけであります。私は、自衛隊が軍隊かどうかという問題を離れて、あの根釧原野の開発というようなところには、近代化された屯田兵制度、あるいは青年義勇隊というと言葉が少し誤解を受けるかもしれませんけれども、そういうような形のものを考えてしかるべきじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。これは私は、これによって装備を充実するという意味ではなくって、国土の保全の上においても非常に大きな力になる、こう考えるわけであります。この点、首相はどういうふうにお考えになられるか、私は首相にもお伺いをいたしたいと思います。
  230. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 実は北海道等におきましても、自衛隊の任期が終わると、三年なら三年の任期、あるいは、その後も続けて自衛隊に入っておって自衛隊を退く、こういう場合等を考えまして、極力開拓地あるいは住宅等のあっせん等をいたしまして、北海道等に定住する、そうして北海道の開発にやはり協力するというようなことが望ましい、こう考えまして、大がかりでありませんけれども、そういう方針で進めて、現に向こうで結婚したり、向こうへ定着する、こういう人も相当多くなっておるのが実情でございます。お話のようなことも、私は賛成し、考えていいことだと思います。
  231. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 開拓地の問題は、日本にとっては非常に重大な問題であると同時に、従来の成績から見ましても、よほど考えなければならぬ幾多の問題があると思います。いま東委員のお話のように、少なくとも開拓民が入っていくというためには環境を整備して、営農の基礎が確立するようなあらゆる施設をする必要があると思います。北海道の根釧原野の問題につきましては、お話のように非常な機械力を用いて、近代的な科学技術を応用してやる必要がありますので、政府としても特別の施設をいたして、これが開拓にあたっております。自衛隊をそういうものと結び合わして考えるという考えにつきましては、いろいろな点において、東委員の御意見なりを先ほどから承っておりますというと、示唆に富んだものがあると思います。しかし、直ちにこれをどういうふうに結びつけるかというような問題については、なお現在の制度と十分にあわせて考えてみる必要がある、かように考えております。
  232. 東隆

    ○東隆君 次に、私は文教問題、特に僻地教育の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  これもやはり、人口が多いと有権者が多い、そこで、政党の公約として、すし詰め教室の解消とか、こういうようなことはすぐ公約の中に入るのでありますが、僻地教育の振興ということは、これはなかなか公約の中に入らないのです。しかし政治というのは、やはり日の当たらないところに日を当てる、こういうのが私は基本でなければならぬ、こう考えるわけであります。そこで、すし詰め教室の解消に私は反対をするわけではありませんが、この際、非常に通学が困難だし、学校の施設も悪い、そういうようなところで、憲法の命じておる、また教育基本法の命じておる教育を受ける権利というものは、完全に同じ日本人でもこれはないと同様だ、こういうようなところがたくさんあるわけであります。興部というところがありますが、そこの学校に、昨年の話でありますけれども、一年生が朝通って来て、そうして、いすの上からころっところがり落ちた。それで先生が非常にびっくりして病気じゃないか、こういうわけで心配をしたのでありますけれども、この子供は朝五時に起きて二里半の道を歩いて、これは小学校の一年生、その子供が疲れて、いすからころび落ちた。そういうような通学難のところがあるわけなんです。私はそういうようなことを考えて参りますると、すし詰め教室の解消というようなことはまだまだ楽な問題であろう、こう考えるわけであります。そこで私は、文部大臣は僻地教育ということについてどういうお考えを持っておるか、また少しは御視察をなすってお知りであるか、そういうような点を一つお聞きをいたしたいと思うのであります。
  233. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お答えいたします。教育の機会均等の精神から、いかなる山間僻地にもあまねく教育を普及させたいということにつきまして、僻地の教育の振興ということにつきまして文部省といたしましても、いろいろさまざまの施策を講じておるわけであります。まず今年度も昨年と同様に、僻地に集会室、それから教員の住宅の建設、それから電灯のないところへ発電設備をやるというような場合にはその補助をする、また通学のためにはバスやボートの予算も計上いたしておる。また三十五年度におきましても山落の僻地にテレビの受像機の購入に必要な経費の一部を補助する、こういうこともやろうといたしておるわけであります。また僻地学校に優秀な教員を配置する必要がある。それでそのためにまず教職員の待遇を改善したい。明年度は、予算におきましては僻地手当等、義務教育費国庫負担金に約二億円の増額をみておるわけであります。さらに教員の充足のために、僻地の小学校教員の養成施設を設けるとともに、教育の内容、あるいは指導の方法、その向上のためにも研究指定校の設置、指導者の養成等を行ない、僻地学校の教職員及び児童生徒の保護管理のためにも補助金を計上いたしておる、かような次第であります。  なお、私も僻地を見たいと思っておりまするが、特に要請された地方もありまするけれども、まだ行く機会を得ません。たまたま事のついでに二、三一のものを見た程度でありまして、まだ十分なる視察をいたしておりません。
  234. 東隆

    ○東隆君 私は僻地教育の振興の場合に、今言われたことの中に非常に解決のために大切なこともございますが、やはり先ほど自衛隊のところで申し上げましたように、やはり環境の整備ということをやらなければ、僻地教育そのものの姿が温存されておったのでは、これはもういかに設備を充実しようと思っても設備はできないわけであります。金もないし、人もいないわけで、教室は三つあって生徒の数が三十人、先生がおそらく三人いるのです。そういうような、表面から見るときわめてぜいたくなように見えておるけれども、内容は実に貧弱きわまる、そういうような僻地の学校をどうすればよくなるか、こういいますと、私はやはり先ほどの通学難、これを解消するようなことをしなければならぬと思うのであります。それにはやはり道路をりっぱなものにして、そしてスクール・バスを通して、北海道では牛乳を運ぶときに非常に上手にやっております。それと同じようなやり方でもって児童を学校に送り込むと、帰りにもまた連れて帰る、こういうような形をとって、そして一つの教育センターを作り上げる。こういう考え方にして、そうして学校の統合をやらなければ、これはりっぱなものにならぬと思う。そういうような施策から、実は私は昭和二十六年にこの予算委員会でもってスクール・バスの設置と、それから寄宿舎を一つ作れ。そして、それは冬の間は雪が降りましてバスが通りませんから、そこで児童を夜泊めて、部落の女子青年団のような人に出てもらって、そこでもって共同炊事をする。これは開拓地の農家に子供がいるよりも実に健康的で、衛生的で、そして共同生活というようなことにも非常に進むと思う。そういうような点で、私はこの際寄宿舎を一つ作り上げていく。学校の先生の宿舎じゃなくて、児童の宿舎を作る。同時に道路をりっぱなものにして、そしてバスを通す、こういうことを一つお考えを願いたいと思います。この点はどうですか。
  235. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 僻地の学校をそのままにしておいては、とうてい十分な教育はできない。従って、学校を統合して、遠いところから来る児童に対して寄宿舎をこしらえろという新しいお考えでございますが、私は教育のことに対して使う金は幾ら便っても、それはうまく使うならば悔いはない、かように考えるものでありまするが、しかし、至れり尽くせりの施設を整えましても、必ずしもそれだけをもって教育の任務を終われりというわけには参らぬと思います。お話のように、遠くからの児童のために道路をよくし、そして通学バスを用意し、寄宿舎を用意するというようなこともまた一つの案でありましょうけれども、そういうことをやる場合には、いろいろのまた障害も出てくる。少数の住民の部落を多く集め、遠いところからも集めて、そうして学校の統合の促進をはかり、設備もよくし、教員もりっぱな教員を置くようにしてやるという、学校の経営、運営等についても十分に配慮していくということの必要は認めて、学校の統合ということも強く叫ばれておるわけであります。これもまた行き過ぎてはいろいろの障害を生ずるものでありまして、あまりにも遠いところから多くの部落を集めて、あまりにも大きな学校をこしらえたために、学校の大きさというようなことも、やはりこれまた適正にやっていかなければ、大阪方面でも四十、五十の学級などを持った学校もありますが、そういう大きな学校をこしらえることもはたしてどうか、こういうようなことも考えられる。また、あまりに統合のために各町村の十分な了解を得てやらない場合には、そこに部落間の争議なども起こった場合もあるのでありまして、現に、本日もあまりに無理して統合をやらぬようにという陳情さえも受けたような次第であります。いろいろの問題を生じて参ると思います。また寄宿舎のごときは、あまりに遠くからくる子供を、何分にも幼少の子供であります。そういう幼児を一つの寄宿舎に入れて団体生活をせしめる。家庭から離れて、短期ならいいかもしれませんけども、常時そういうことをやるということに対しては、またこれはいろいろと考えさせられる面がありまするので、まだそういう点までは考えておらない次第でございます。
  236. 東隆

    ○東隆君 私の質問がまずかったからだと思いますが、寄宿舎を作るというのは、決して寄宿舎に十二月から翌年の四月までも入れておくというのじゃないのです。土曜日に家に帰して月曜日に連れてくるのです。そうして一個間の間泊めると、こういうやり方をやろうという考え方なんです。  それから、統合の問題で心配をされておるようですけれども、別海村というのがある。そこには小学校と中学校が五十四ございます。その別海村の大きさはどれくらいあるかというと、香川県ぐらい大きさがある。そういうようなところで学校の統合をやって、ある程度りっぱなものを作り上げるということは、これは決して悪いことじゃない。だから府県の小さなところを頭に描いて私の話を聞いてもらうと、これは間違いが起きると思うのです。だから最初に僻地の教育についてごらんになったか、視察されたかと、こういふうにお聞きしておるわけです。だから、今のお話ですと反対のようでありますけれども、しかし、私は寄宿舎を作って、そうしてスクール・バスを通して、通学困難の児童に教育を十分にさせることが私は文部大臣の責任だと思うのです。だからその意味で十分に考えていただきたいと思うわけです。総理大臣どういうふうに考えますか。
  237. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 僻地の児童が通学に困難であり、また学校の施設も非常に悪いし、先生等も非常に不自由な状態に置かれるというような点が各地にあるということは、これは新しい憲法のもとにおいて、ぜひとも改めなければいけないことであると思います。それならばどうした方法が、これを僻地教育に対してやるべきかという問題に対しましては、一口に僻地と申しますけれども、いろいろな私は場所があるのじゃないかと思う。非常な山の中の場所もありましょうし、あるいは離れ島のような場合もございましょうが、いろいろな環境が違っておるのでございまして、その環境に合うような施設をし、お話のありましたようないわゆる環境を整備していくということが第一の問題で、次に児童ができるだけ内容の充実した教育を受けられるような施設をしていく、先生等の配置についても考えていく、今お話になりました道路の問題であるとか、通学バスの問題であるとか、あるいはある場所において寄宿舎の必要な場所もあり、またそれが適当な場所であるという場合には、そういうことも考えていく。必ずしも一様にすべての土地に対する対策というのが同じような何じゃないし、問題は、その精神が僻地の子供にも十分な教育を与えるということに対して、政府として暖い心持でもって各種の環境に合うような適当な措置を講じていく必要がある。こういうふうに考えております。
  238. 東隆

    ○東隆君 運輸大臣に伺いますが、今のスクール・バスを通すときに、営利を目的にしたバス会社が何だかんだと文句をつけて、そうしてスクール・バスの運行に非常に支障を起こしておるところがあります。その点御承知ですか。
  239. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) そういう場所があるかどうかということは、私まだあまり聞いていませんが、やはり北海道のような特殊なところで学校の子供のために考えるバスといいますか、そういうものはまた別個に考えなければならぬのじゃないかと思っております。
  240. 東隆

    ○東隆君 これはもうけ仕事にやっておるものが、スクール・バスのようなもうけ仕事でないものに対して猛烈な反対をするのであります。だからこの調節は一つ真剣に考えていただきたいと思います。  そこで、先日通運料金を上げることを決定されたようでありますが、巷間伝うるところによると、日通の圧力でもって運輸大臣は負けてしまったのだ、こういうようなことを言われておるのですが、私はあの通運料金を上げるのは非常に反対なんです。そこで私は伺いますが、マル通は戦後に集中排除法にかけられなかった。分割されなかったわけでありますが、私は分割されなかった理由があると思うのです。日通がなぜ分割をされなかったか、この点を一つ伺いたのです。
  241. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 通運料金の値上げにつきましては、二十七年から通運料金は上げておらないのでありまして、ほかの物価の上がり方から見ますると、ものによっては、たとえば郵便料金のようなものから見ますれば、半分ぐらいにしか当たっておらないというような状態であります。ガスその他のものよりも、二十七年から据置きしておるのですから、非常に通運の業者、マル通はしばらく別といたしましても、約四割近くの一般の小さい通運業者というものはほとんど赤字でありまして、また日通も通運部門だけを厳密に審査してますると、やはり赤字になっておるのでありますから、申請が出ましたその率の約半分ぐらいをいろいろな諸点から勘案いたしまして、先般認可したような次第であります。  また日通が集中排除によって何されなかったということは、私はちょっと知りませんが、その理由は一つ教えてもらいたのですが、どういうわけでなのか知らないのですが、こっちは。
  242. 東隆

    ○東隆君 私は常識的に考えて、マル通の仕事は全国統一した形でもって、国鉄の別働隊のような形でもって仕事をしておったと思う、統制会社として。そしてその半面において、私は利潤の方面において株に対する配当、そういうようなものについても制限を加えておった、そういうような仕事でなかったかと思う。そのマル通が当然━━戦時中に統制された会社がみな集中排除にかかっておるのに、それが集中排除にかからないで分割されなかったということは、私は日通そのものに非常に公共性を持った関係の仕事がたくさんあると思う。だからこの点を考えると、私は今お答えになった通運料金の部面だけを考えてというのは、これは間違いだろうと思う。もっと通運料金以外に自動車、トラックなんかをどんどん動かしておるのですから、そっちの面も十分に考えて、そうしてマル通そのものについて対処すべきじゃないか、こういうふうに考えるのですが、この点はどうですか。
  243. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) マル通の独占性という問題についていろいろ批判等がありますが、マル通外の中小の通運会社が連合いたしまして、全通運というものを作っておりますが、これも先般交互計算制度を設けまして、マル通だけで独占的にいかないように全通の方、中小の方も計算制度を設けまして、認可いたしまして、ともにやはりいい意味における合理的な経営をやるような方向へ持っていくように指導をいたしておるのでありまして、またマル通の持っております公共性というものを十分に勘案いたしまして、配当その他につきましても、ある程度まで指導監督していきたい、こういうふうに思っておるのであります。
  244. 東隆

    ○東隆君 公共割引はどういうようにやるつもりですか。
  245. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 公共割引と申しますと……。
  246. 東隆

    ○東隆君 例の今懸案になっているものです。
  247. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 国鉄の農産物資に対する公共割引の問題でありますが、これは実は三月まで延期をいたしておるのでありますが、現在国鉄がああいう特別の割引をやっております暫定割引の問題につきましては、非常に問題がありまして、ことに北海道あるいは九州等においてもいろいろと農産物資等についての問題がありますので、先般来、昨年でありますか、経済企画庁長官、農林大臣、私ら等で、通産大臣も入っておりますが、この問題についての今協議をいたしておる次第でありまして、とりあえず結論は、国鉄運賃全体の体系等もにらみ合わせてこの問題を処理しようということで、当局において研究さしておる次第であります。とりあえず三月一ぱいまで延期さしております。
  248. 東隆

    ○東隆君 私は、国鉄は収益を上げるような仕事を私鉄の鉄道あるいは私営のバス、トラック、そういうようなものにどんどん移して、そうして経費のかかるところを伸ばしていく。だから国鉄の独立採算性というようなことはこれはできないのがあたりまえの話なんです。それで、収益の上がるところからどんどん収益を上げて、そうして収益の上がらないところを伸ばしていく、こういうようなことをやらんければ、これは国鉄の公共企業体としての意味をなさんと、こういうように考えるのですが、この点はどうです。
  249. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 国鉄がもうかることはどんどんやっていくということも、それは公共企業体としての建前等もありまして、やはりある場合においては、日本の経済開発あるいは文化の交流というような面から、もうからない新線でもやはりやらなければならないという制約を受けておりますと同時に、また運賃等におきましても、国鉄は公共割引だけでも五百億近くの公共割引を実はさせられておるのでありまして、たとえばこれをノーマルな、今おっしゃいますような自由経済の基盤に乗った、もうかることはどんどんやらしていくというような点を強調しますれば、必然的に運賃の問題にぶつかってくるのでありまして、運賃は先ほど申し上げましたような暫定割引の問題ですらも、なかなか国会方面その他においてもいろいろと物価に及ぼす影響、あるいは農民の保護政策等の立場から強要されておる点がありまして、そこに国鉄がもうからないでも公共性から仕事をしなければならない、同時に当然普通の企業体として要求し得べき運賃はやはり公共性という立場から制約されて上げることができない。つまり二律背反の立場に立っているのが国鉄の現状でありまして、従って国鉄を一体どう持っていくかという根本の問題に現在取り組みつつあるような情勢であります。
  250. 東隆

    ○東隆君 二律背反はしょっちゅう聞かされることなんですが、私はやはり省営トラックだの何だのを動員して、近距離輸送なんかも国鉄がやるべきであり、そして収益をぐんぐん上げてやれば独立採算制も成り立つけれども、今のような、もうかるところはみんな私の経営の方に移してしまってそしてやっておる、こういうようなやり方でもって運賃を上げられたら国民は迷惑しごくだと、こう考えますが、その点はどうですか。
  251. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) これは民業との関係等もありまして、やはり民業が持っておりまする路線等について、やはりその路線も保護してやらなければならない。従って国鉄のそういう路線にたとえばバス等が入る場合におきましても、やはり民業との調節をはかってやるということを考えるのでありまして、また今日本の各地の交通におけるバス等の問題は、各地ともほとんど民業が許可を受けておるのでありまするから、それをどんどん国鉄がもうかるからといってそれを圧迫してやるというわけにはいかない立場にあるので、その辺は両者を調節していこうという方針をとっておるのでありまして、この点はまあ国鉄が伸び得るところはやはり伸ばして、赤字を埋めるということについては極力努力いたしたいと思うのであります。
  252. 東隆

    ○東隆君 私は今の問題、それからこれは別ですけれども、郵政省関係なんかで、例の日本逓送会社、こんなようなのは、これは公共企業体として利益の上がるところをみんな民間の方に移してしまって、そして会社は二割の配当をしたりなんかしておる、そういうようなものがくっついて、そして公共企業体の採算が赤字になる。そして郵便料金を上げるなんていうのは、まだしてないけれども、あるいは運賃を上げる、こんなような問題が出てくると、これは私は非常に問題だと思うのです。公共企業体のあり方ということを考えてみたときに、私はもっと運輸大臣は腹を据えて、そして占領されたところを取り返すというぐらいの意気込みで一つやらなければならぬ問題があろうと思う。バスの認可をする場合でも、路線の認可をする場合でも、私は十分に考えなければならぬ点があると思う。国民全般に及ぼすんです。この点は私はそんなに円満に、そして協調をとるような態度でなくて、私は運輸大臣はもっと峻厳な形でこの問題を割り切らなければ、私は国鉄の運営というものは円満に伸びていかないと、こういう考え方を持つわけです。この点は私は、もう少し運輸大臣は考えを新たにしなければならぬと思いますが、総理大臣この点どういうふうに考えておりますか。
  253. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 公共企業体でどんどんもうけろもうけろと今おっしゃいますけれども、やはり公共という一つの建前からいきますと、利潤追求だけに血道を上げるというわけにもいかないのでありまして、従って公共性という問題と独立採算という問題との間にやはり一つの現在の国鉄としては相当苦悩がある、と申しますことは、どんどんもうけるためには国鉄がじゃんじゃん資本主義的にやれということであれば、やはり運賃その他の問題も普通の経済ベース、商業ベースに基づいてやるという線が出てくる、それだったらやはり公共性というものに抵触してくる、そこに問題があるのであります。従って公共性というものを一つ保ちながら、また独立採算がいくような方法をできるだけ見出すようにしていこうというところに国鉄の苦悩があるので、その点を実はやはりもっと本質的に追究して問題を解決しなければならない、こういうように実は考えております。
  254. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 公共企業体のあり方につきましては、いろいろな問題が根本的に私はあると思います。従って公共企業体の実体についての審議会等も設けておるわけでありまして、その研究もある程度までいっておるのでありますが、問題は御指摘のように、一方において国民全体に非常な影響を持つ公共的な仕事をしておる。それに対して普通の営利事業みたいなコマーシャルなベースでもって料金を定めるわけには公共性からいかぬと思います。いろいろな公益上の割引もしなければならぬでしょうし、それから引き合わない路線に対しても建設をしていかなければならない。しかし、それならばそれで赤字が出てくる、その赤字のままに放っておくというわけにはいかないわけであります。その点を公共性を保持しながらどういうふうにしていくかという点については、今おあげになっているような他の営利的な何でもって、しかも公共性に違反しないような仕事について営利を上げて、そうして一般公共の問題についての料金等については、多数の人に迷惑をかけないようにやっていくというようなことも考えなければなりますまいが、ただ、それだけでこれが解決できるわけじゃないので、先ほど来運輸大臣も申しているような国鉄の例をとりますというと、非常に悩みがあるわけであります。要はこの両者をどういうふうにして、一方は独立採算性のとれるような企業体として成り立っていくような基礎を作る、しかしながら公共性というものを無視しないで、それに反しないように、どういうふうにして独立採算性を確立するかという点については、なおいろいろな点から考究しなければならぬ点があると思いますが、十分考えていかなければならぬので、要はそれを調和することにある、かように考えております。
  255. 東隆

    ○東隆君 御二人とも実は私の質問の仕方が悪いと見えて誤解をされておるようでありますが、私はもうけられるところは、じゃんじゃんもうけろと、こう言うのは資本主義的な意味じゃないのです。収益が上がる線がたくさんあるのです。都市の近郊の線なんかは、これは十分に安い料金でも収益を上げることができるわけなんです。そういうようなところで上げて、そうして全体の計算でもってプラス・マイナスとんとんになればいいわけです。そんなにたくさん収益を上げるという意味じゃないのです。だからもうけられる、収益を上げることができるところで上げなさい、これは何も無理なことを言っているわけじゃないのです。だから私のものは、これは殺到してくるのです、路線を獲得するために。そういうところは、もうけられるからくるのです。そういうようなところに省営のトラックなりバスなり、そういうものをどんどん出して、そうして国鉄の経営を有利にしていくことが、これが運営上の基本にならぬければならぬ。それを先ほどの言うように、調和をしていく、あるいは協調をとっていく、こういうふうにお話をされるのは、そういうやり方でいったら、今の公共企業体の運営で独立採算性なんというのは、これは意味をなさぬと思う。だからこの点を私は言っているのであって、決して今言っているように資本主義的にじゃんじゃんもうけろなんて、そんなことを言っているのじゃない。私は収支バランスがあって、黒字にもならぬし、赤字にならぬような状態ができればこれは一番いいと思う。そういう考え方ですから、そういう意味で、もう少し強く国鉄が出るべきときじゃないか、運輸省は、運輸大臣はこいつを強力にバツク・アップする必要があるのじゃないかと、こういうことを言っておるのです。そうしてほんとうの公共企業体の運営をして国民のためになる公共企業体を作り上げてほしいと、こういうことを言っておるのですから、答弁を、少し私の言うことと違った形になっておるのですから、もう少し言いかえができれば言いかえをしていただきたい。
  256. 小林英三

    委員長小林英三君) 東君の持ち時間は超過いたしましたから。答弁一つ、運輸大臣
  257. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) ごもっともな説でありまして、当然にもうかるべきところにおいてわざわざもうけないようなことをやることはよくないので、これは一つ大いに黒字を上げるように協力したいと、こういうのです。
  258. 小林英三

  259. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 私は最初に総理にお伺い申し上げようと思っておるわけでございます。お尋ね申し上げることは、いわゆる時代の脚光を浴びたようなきわもの的なものではなく、大へんじみな問題を取り上げてお聞きしたいわけですが、事柄はきわめて重大でございまして、国民生活の基盤になる問題でございまするので、どうかあるいは質問の内容が少しく総理には不向きな点もあるかもわかりません。申し上げますることはやや専門的なことになるかもわかりませんが、一つ率直にお答え願いたい、かように存ずるわけであります。  最近、私いろいろな問題について私なりにものを見ておるわけでございまするが、環境衛生の立場から見まして、非常に重大な不祥事件が続発しておるのでございます。そこであるいは厚生大臣にお聞きすべき筋合いのものもあるわけでございまするが、お聞きいたしまする内容各省所管にもわたる問題でもございます。従いまして一応総理から概括的なお考え方を承りまして、もし時間があればこまかく厚生大臣あるいは社労等で、あらためてお聞きしたい、こういう気持でございますので、そのつもりでお聞き願いたいと思います。  頻発しておりまする不祥事件━━環境衛生に関する不祥事件でございまするが、それに対しまして、ただいま申し上げましたように、各省所管がそれぞれございまして、従いましてこれの防止、予防的な対策、あるいは不祥事が勃発いたしましてからの緊急対策等も、どうもわれわれが見ますと、隔靴掻ようの感がいたすわけでございます。これは政治機構の上から言うてやむを得ないのだと言えばそれまでのものでございまするが、各省の所感に対しまして運営よろしきを得まするならば、当然緊急対策が完全に行われるというような事項も多々あると思うわけであります。従いましてそういう点において私はなお一そうの創意工夫を必要と存ずるわけでございます。具体的に申し上げて参りまするが、わが国の産業が、いわゆる産業革命によりまして非常に工業の発展を来たして参りました。これはまことに喜ぶべきことでございまして、国力の増進あるいは所得の確保、あるいは雇用関係と、まことに喜ぶべき問題でございまするが、残念なことには、工業の発展に伴いまして人口の都市集中ということが当然の現象として起きてくるわけでございます。そこで環境衛生の問題が多々出てくるわけであります。で、もうそれは御承知通りでございまするが、煤煙の問題にいたしましても、あるいは煤塵の問題にいたしましても、一平方キロに一月に二十トンから五十トンというような煤塵がわれわれの肩に振りかかってきておる。目に見えないのでございますからして、一向に皆さんが感じを持たないわけでございまするが、これは保健衛生上、実にゆゆしき問題であるわけであります。あるいはまた大気の汚染、いわゆる有毒ガスの放出、スモッグのような問題が出てきておりまするし、都会における騒音の問題、あるいは機械等によるところの土地の震動の問題、あるいは交通機関等によるやはり震動の問題ははなはだしきは放射能の問題、あるいは汚水の問題等が、それぞれ公害があるわけでございます。この公害の害毒というものに対しましては、それぞれ各府県によって、あるいは各市町村等によって対策を立てられる節もございまするし、また国がやるといたしましても、各省にそれぞれの所管があるわけでございます。そういうことによってこの公害が取り除かれないということは、はなはだ私は残念に思うわけでございまして、これはやはり総理がよろしく采配を振るわれることによりまして、ある程度の私は公害は取り除き得るとかように考えるわけであります。これを国民自身の責任において防ぐというようなことは、少しく筋が違うのでございまして、あるいは事業そのものがこれに対する予防策を講ずるということは当然でございますが、一般の市民がそういう公害をみずからの力によって取り除かなければならないというような筋合いではないと思うのであります。従いまして、総理の絶えずおっしゃいまする福祉国家の建設という点から考えますというと、健康で文化的な国土の保全ということは、治山治水に限りませず、健康の保全ということも、これは非常に重大な問題であるわけであります。とかくこの点が等閑に付されることを私は遺憾に思っておるわけであります。  最初にお聞きしたいことは河川の汚染の問題でございます。水を取り上げまして考えましても、飲料水はいわゆる厚生省の所管になっておるわけです。工業用水は通産省が所管する。あるいはまた農業用水は農林省がやる。あるいはまた魚介の保護的な問題は農林省の水産庁が所管すると、こういうようなことでございまして、水一つを取り上げましても、その用途によって所管が違うわけなのでございます。ところがその公害を受ける国民とすればひとしく同じであるわけでございます。もとより河川の管理は建設省がなさっておるのでございましょうが、一つの川を取り上げましても、その源であるところの山奥におきましては、やはり防水あるいは砂防というような見地から農林行政にこれが大きな発言権と申しまするか、施策が必要でございます。一たんその源を発して水が流れ出しますというと、建設省が堤防を築くというようなことになって参るわけでございまするし、その間に流れておりまする水質の問題につきましては、ただいま申し上げましたように、厚生省並びに科学技術庁等がやっておる。川の口に参りますというと運輸省がこれを所管する。あるいはまた厚生省が所管する。終末的な岸壁はまた建設省がやるというようなことでございまして、河川一つを取り上げましても、これはやむを得ないことでございまするが、そういう機構になっておるわけであります。こういう事柄は平時は一向差しつかえないようでございまするが、今申し上げましたように、伊勢湾台風が起きるとか、あるいは河川の汚染による伝染病が続発するというような場合に、各省々々がそれぞれ所管によってものを考えられるというと、緊急な対策ができないわけでございます。そこで今これらの水質の問題でも、昭和三十三年に水質の保全法というものができております。同時に工場排水の規制法という法律もできておるわけでございまして、これに基づいて経済企画庁が水質保全課という専門の課を作っておられるわけでございますが、この経済企画庁の作っております水質保全の課がどれだけの権限を持ち、各省にわたってのにらみと申しますか、各省所管のそういう事柄についての指導力と申しますか、あるのかないのかということが一つの問題だろうと思うわけでございます。そういう見地から、あるいはまた、同じ水の問題を科学技術庁が最近に取り上げまして、資源調査会でもってこれを取り上げておるというように、新しく続々と、水質問題一つにいたしましても、各省がなわ張りを広げるようなことになっておりまして、非常に混乱しておるように思う。こういう問題につきまして、行政的な一元的な運営をするということについての可否、あるいは御所見をまず第一に承りたいと思うわけであります。
  260. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 水の問題につきましては、今御指摘のように、水はいろいろな用途を持っておりますので、その用途に従って主管庁も違っておる。また河川につきましても、御指摘になったような、建設省やあるいは農林省等の所管に水というものが関係を持ってきております。これをどういうふうにその間の連絡をとっていくべきかということは、問題々々で取り上げていくほかはないと思うわけであります。たとえば、水質を汚染することによっていろいろ、これが農業や漁業に影響を及ぼす、あるいは一般の衛生に関係を持つというようなことから、その汚染の原因が、工業が水を使って、その汚水を出すためにそういうことができてくるという場合におきましては、その工業と、それから衛生の見地から厚生省、また、農林水産業から農林省というような、その汚染の問題をなくしていくとか、あるいはそれを適当に調整していくという場合におきましては、その関係省の間において連絡をとっていかなければならぬと思います。また、電力の資源として水を用いる場合と、農業用水を用いる場合との間において、電力と農業との関係のものにおきましては、やはり関係省の間の連絡をとっていく必要があると思う。ただ、水そのものに関して一元的な法制を立てるとか、あるいは管理を一元的にやるということは、理論上は成り立つと思いますけれども、実際問題としては、これはほとんど不可能であって、やはりそれぞれの、今言ったように問題の中心を置いて、それに関係する関係庁の間の連絡調整をうまくやっていくということが、一番実際的に考えられる方向であろうと思います。しかして、従来それが十分にとれておらない点が確かにあろうと思います。従って、それを十分にとっていくように今後努力すべきものである、かように考えております。
  261. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 ただいまの御答弁ですが、いわゆる事故のない場合は、今の仰せの通りでけっこうなわけなんです。実は先年、江戸川で本州製紙の汚水問題で問題がございましたときに、三、四の主管官庁が集まられまして協議なさるわけなんですが、なかなかその協議が容易にまとまりにくいわけなんです。どの省が指導的な立場で指導的にやるかということでもきまっておれば、非常に、あの当時でも、保健衛生の上から、あるいは補償問題にいたしましても、円滑に行ったわけなんですが、そういう事故があったときには、非常に支障を来たすわけです。最近の問題といたしましては、これも御承知と思うわけでございまするが、熊本県の水俣湾の汚水問題でございます。これは、地元の知事さんの調停によって調停が成り立ったということで、非常にけっこうであるわけでございまするが、その調停の条件の中にいろいろと条件がございます。調停成立後一週間以内に沈澱槽を作る、濾過装置をする、あるいはまた漁業補償に三千五百万円出すとか、あるいはまた、逆に漁師が乱暴したために器物を破壊しておるので、千万円ばかりの弁償金を取る、あるいはまた、漁業ができないわけでございまするから、営業資金として六千五百万円の金を出すということが調停条件になっておるわけでございまするが、その最後の一つの調停条件として、今はあの汚水が有害であるということが医学的に証明できたわけでございまするが、あの当時においてはまだ有害でないということを会社は言っておりましたが、そのときの調停条件に、かりに今後有害であっても、これ以上の補償をしないというような調停条件がついておるわけでございます。また、なおひどいことは、将来廃液がそういうよなことであっても、排泄する、流失する量に制限は加えないのだ、こういうような、まことに人道上から考えまして一方的な調停条件ができておるわけであります。こういうような事柄は、一地方の問題として看過するにはあまりに私は大き過ぎる問題であると思います。これとてもやはり所管がはっきりいたしませんので、通産省がこれをやかましく言うべきか、あるいは厚生省が言うべきかということになりますと、なかなか問題が複雑であり、お互いに遠慮し合うわけであります。こういうような問題が現実に事故の発生した場合には起きるわけです。この中毒関係者は非常に気の毒な症状を、てんかんのような症状を呈するわけでございます。しかも、二十九人、三十人と、死亡した人に対しまする弔慰方法並びに遺族に対する問題等、現に入院患者に対しましても、ただ一応手当するというような程度でございまして、非常に私はこれは問題だろうと思うわけですが、そういうような問題に対しまして、やはり一元的な行政措置ができるような建前にさえなっておりましたらうまくいくと思います。こういう点はどういうようにお考えでしょうか。やはりただいまの御答弁通りでございまして、理論上はわかるが、実際はできないのだということだけでいいのでしょうか、その点をお伺いしたいと思います。
  262. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 工業上の汚水の結果、あるいは漁業に損害を及ぼすというような場合に、会社とあるいは漁業者との間の損害賠償によってこれを解決するという場合もありましょう。しかし、今水俣のことのように、事いやしくも人間の人体に及ぼす非常な害悪があり、そのために生命を失うというような事件につきましては、これは私は、もちろん政府として少なくとも看過されないことだと思うのです。ただ単に、関係業者が金銭で何か利益の点において補償したからそれで済んだ、あとはどれだけの害毒を与えてもいいということを看過するわけにはいかぬと思います。もちろんそれについては厚生省、工業上の関係じゃなしに、人命を保護するという立場から、どういう条件になりましても、将来そういう害毒を及ぼすような放水をさせないような、またそれが人命に、身体にそういう悪い影響を及ぼしても、当事者の間でそれが話がついたから、それで看過していいという問題じゃ私はないと思うので、いろいろな問題につきまして、もし関係省の間に意見の一致がせなければ、閣議でもってきめて、これに対処すべきである、そういう点については、厚生省としてもちろん発言権を持って、適当にそういう将来に害悪を及ぼさないように、流さないような措置を講ずべきものである、かように思います。
  263. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 もちろん工場も現に濾過装置をしております。しておりまするが、有害であれば、やはり放出の量の制限をしなければならぬ問題が出てくるわけです。ただいまの御答弁によりまして一応私安心をいたすわけでありますが、どうか御調査の結果適当な方策をお立て願いたいと思います。  水に関連いたしまして、上水道、特に終末の処置の問題を私取り上げてお聞きいたしたいと思うわけであります。これは、オリンピックがやがて開催されるということを目標にいたしまして、道路の問題とホテルの問題、いろいろとお考えのようでございますが、やはり上水道と下水道の問題は、これは国辱問題になると私は思うわけでございまして、英国が人口対比普及率が九五%、イタリアが九〇%、西独が八〇%、フランスが七〇%である、こういうように、先進国は人口対比の普及率が非常に高いわけであります。残念ながらわが国は、昭和三十二年度におきましては四四%、今次やっと五〇%前後であろうと思うのです、水道普及率はですね。もとよりこれは、都会を中心に考えておるわけでございまするが、この上水道の敷設に対しましては、地方団体がいわゆる地方起債によってやるのでありまして、あまり国が━━簡易水道に対しましては相当な補助金を出しておりますが、いま少しく国の推進力となるべき援助方策が私はほしいのじゃないかということを痛感いたすわけであります。特に最近の例として私取り上げたいのは、宮城県の問題であります。宮城県の村田町という町で起こりました問題でございまするが、集団赤痢が発生いたしました。保菌者がもう今日では八百人になる。二日、三日ほど前は三百人ということでしたが、だんだんふえて参りまして、八百人もの赤痢の保菌者がある。しかも、その伝染経路を尋ねて参りますと、水道の水源に原因がある。こういうことのために、町を中心に六千人ばかりの住民がおそらくここ三、四日の間に保菌者になるだろう、こういうよう問題がここ二、三日前から出ております。これは、特に上水道敷設に対しまする国の行政指導なり、あるいは財政的な裏づけというものが十分でないために、聞けば、鉄管をビニール管にかえることによって金が要らないからというので、古い鉄管をビニール管にかえて、鉄管を売ってビニール管を使ってやっていたそうであります。そういうことのために私はこういう惨害が起きたのだろうと考えておるわけでございます。しかもそれから、同じく宮城県におきまして、村田町以外に岩出山町ですか、あるいは白石というような所、合計いたしますと三千人ぐらいは出るということになっておりますが、実にこれは重大な問題であるわけであります。しかも、これが突発的に起きたものでございまするからして、なかなか救援対策がうまくいかない。クロロマイセチンなり特効薬がなかなか行かないということもあるでしょうし、特に、病人が一度に出たために、夜具等の問題で、日赤に毛布の借り入れを申し入れましたけれども、伝染病患者であるので断わられたとか、何だかんだで、非常に保菌者なり現に入院している患者が物資の面においても不自由を来たしておる。医薬の面においても不自由を来たしておる。こういうようなことは、当然地方庁で、地方の衛生部でやるべき問題でありますが、こういう大きな問題が起きてくるということを考え合わせますと、やはり上水道問題が原因でございますので、この際、相当この面につきましても、厚生当局としても、あるいは政府としてもお考えおき願いたいと思うわけでございます。ひとりこの問題は宮城県ばかりではございません。昨年の秋、十一月だったと思いまするが、大阪の泉北郡の忠岡町という町の水道の水源におきましても魚族がばたばた死に出した。だんだん調べてみましたところが、水源に流れ込むところの上流の魚まで死んでおるということで、水源の水そのものが何か汚染されておるということも出てきておるわけでございます。これは非常に困難な問題でございまするが、やはり科学的な処理をいたしますならば、当然これは防止し、予防し得るわけでございます。こういう点につきまして、私は、少しく水ということに対する御認識をより一そう深めていただきたい。かように考えるわけでございまするが、今後、四〇ないし五〇%しかない普及率の水道を、文化国家にふさわしいことにする上についてのお考え方、財政的な援助というような点についてはどういうふうにお考えでしょうか、一応承りたいと思います。
  264. 渡邊良夫

    国務大臣(渡邊良夫君) この汚水に関しまする問題といたしまして、三十五年度におきまして、厚生省では予算措置をもちまして、公害問題調査会というものを発足いたさせることになっております。御承知通り、文化国家といたしまして、この上下水道、終末処理の問題につきましては、特に環境衛生上私どもは力を入れているところでございまして、今年度の予算におきましても、上水道の起債が二百四十五億、簡易水道が国庫補助が十七億七千万円、起債が二十七億、下水終末処理場におきましては、国庫補助が七億一千万円、起債が二十億、こういうふうな予算を組みまして、水道十カ年計画もとに、私どもは発足をいたしておるような経過でございます。
  265. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して。ただいまの宮城県の集団赤痢の問題でございますが、これは、今竹中委員からお話しのように、非常に重大なことになっているようです。それで、すでに六百人の患者が出て、さらに保菌者は千五百人くらいになるだろう。小学校の臨時隔離舎に収容を始めているのですが、一家から二、三名患者が、ほとんど軒並みに発生して、そのために店の営業はほとんど禁止になっている、行商その他はやめになっておる。働き手を失って、職もなく、苦しんでいる世帯が非常に激増して、不安と混乱に包まれている。実は私、きのうこの手紙をもらった。これは私の郷里なんです。そういうこともありまして、実にこれは深刻な問題なんです。それで、学校に参りましても、一組のふとんを持ち込むこともできないので、毛布を借りたい、こういうことで日赤へ申し入れたけれども、なかなかうまくいかなかった。こういう次第で、寒さの中で非常に苦しんでおる。従って、これに対して、政府としても、県を通じてでもありましょうが、直接にもこれに対する適切なとりあえず救援の方法を講じてもらいたいと思うのでありますが、この点に対する厚生大臣の御意見を関連して伺いたい。
  266. 渡邊良夫

    国務大臣(渡邊良夫君) 直ちに現地に係官を派遣いたしまして、県の衛生部当局と話し合いの上、救護班、医療班を編成して、あらゆる万全の措置を講じておる次第でございます。
  267. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 ただいま、上水道の問題につきましては、厚生大臣から十カ年計画の御答弁をいただいたのですが、私は、下水道が五カ年計画で立案されておるように、上水道問題もやはり五カ年計画くらいでやっていただきたい。事は人命に関する問題でございまして、宮城県のような事故が今後も発生しないのだということを保証し得ないのでございます。この上水道問題も、下水道問題もそうでございまするが、もうこれは一つの国家的な大きな事業としてやるべき段階に来ております。今までのような、ただ中央にだけやられるというようなことでないわけでございますので、とくとその方面にも御熱意を持って促進方をお願い申し上げたいと思います。  次に、同じく水の問題でございまするが、やはりこれもまた下水道の問題でございます。これもくどくどしく、時間があまりないようでございまするので申し上げかねまするが、下水道は、申すまでもなく、都市の環境衛生の上から考えまして、全くこれは基本的な私は都市生活者の施設だと思うわけです。特別風致地区として東京にありまするお茶の水のあのお堀ばたを、総理、一度ごらんになってもよくわかると思うのでありますが、満潮時にはどろどろでございまして、メタンガスがぶくぶくと吹き上がってくる、いかがわしい生理的な用具が浮いておるというようなことでございまして、あれが風致地区の中のお堀かと思うような感じを起こすわけでございます。これはしょせん、下水管理がうまくいかないことによって、こういうことになるわけであります。また、雨がちょっと降れば浸水するんだとか、あるいはまた急に市街のまん中にどぶ川ができるというようなこと、また町の中を糞尿のくみ取り運搬車、いわゆるハニー・カーが走り回るというような現状で、はたして文化国家として、あるいはことしは万国議員連盟の総会もあるそうでございまするが、オリンピックといい、国際的な会議が今後たくさんあるわけでございまするが、こういう三等国どころでない、東南アジア以下の状況下にある下水道の問題です。特に私は、糞尿の問題、屎尿の問題━━はなはだおそれ入りますが、今日東京都民の糞尿をはるか東京湾の沖へ出てただ海洋へ投棄すると、こういうような野蛮的なことをいつまでも続けておるわけなんです。少し奥へ行きますと、逆に山の谷間へこれを捨てている。雨が降れば、その谷間から糞尿の水が流れてきて、これが水源地に入る、こういうようなことが実際問題としてあるわけなんです。これはゆゆしい問題であろうと思いまするので、この下水道の管理という点につきましても、格段の御努力なり配意を賜りたい。そうでなければ、私は、むしろ今日のような状態でいろんな国際会議をするというようなことは、ほんとに恥ずかしいことだと思う。せめて隅田川のあの川の水が、白魚が住んでいたような昔の江戸時代に返れとは申しませんが、宮城のお堀の水程度にまできれいになるくらいに下水の終末処理をする、糞尿の処理をするというところまでやらなければ、総理のいわゆる文化国家建設、社会福祉国家ということに私はならないと思うのです。そういう点についての所信と申しまするか、決意と申しまするかを伺いたい。
  268. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 竹中委員の御指摘のように、下水の問題、糞尿の処理の問題というものは、非常に現在の日本、特に東京の姿は、まことに文化国家として福祉国家という名前にはおよそ縁遠い状況にありまして、これが改善を要するということは急務でございます。実は、新しい東京都知事も、その点に重点を置いて都政をやるという決意を持って都知事の公約をいたしておりますし、これはぜひとも、都だけでなしに政府も協力して、この問題については有効な方法を早く実現するようにやっていかなければならぬ、こう考えております。なお、詳しいことにつきましては、厚生大臣からお答えさせます。
  269. 渡邊良夫

    国務大臣(渡邊良夫君) 屎尿処理の問題につきましては、現在、消化槽あるいは浄化槽等を作りまして、その処理に万全の処置を講じておるというような次第でございます。今、三河島、すなわち芝浦のほかに今度は尾久、森ケ崎、落合、しめて三カ所を、東京都におきましては今年度新規に着工することになっておる次第でございます。
  270. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 次の問題に移りますが、これも総理にちょっとお聞きしたいのですが、実は昨年の当予算委員会で、私、佐藤蔵相にお聞きいたしましたそのときの御答弁によりますると、社会保障制度の問題なんですが、昨年の御答弁では、まだ社会保障に対しては日本は後進国である。従って、間口を拡げることが肝心であって、奥行きを深めるところまではいかないのだというので、各種社会保険の総合調整の見地から、政府所管の健康保険の従来の補助金三十億円を十億円になさったわけです、昨年。そのときの理由をお聞きしましたら、そういうような御答弁があったわけです。もとより、仰せの通り、社会保障制度はまだまだ後進性があるということは言い得るわけでございますが、一応今年度におきまして所得保障も国民年金をもっておやりになられました。また、これは所得保障の点では、最低賃金の問題だとか完全雇用の問題だとかその他で、所得保障に対する労災保険の問題だとか、あるいは失業保険だとか、一応のこれはいわゆる間口を広げられる所得保障はできたと思うのです。医療保障につきましては、やはりこれまた国民皆保険でもって国民健康保険の普及がはかられました。いよいよ三十六年で完成することになって参りますと、今度は奥行きを深めてもらう、あるいは質的向上をはかってもらう段階に当然私はなってくると思うのです。そのやさきに、来年度の厚生保険特別会計の中の健康保険勘定の従来の三十億円の国の補助金を、昨年十億円にして、ことしはゼロにするということを、厚生大臣は非常に御熱心に運動なり陳情なさり、あるいは政治的な力を発揮なさって、やっと五億円だけは出されるようでございまするが、これはおよそ国民皆保険の前提にしては通コースを私はたどっておると思う。間口を広げるということは一応できたと私は思うわけですが、わずか五億円くらいを減すことによって、政府所管の健康保険の心理的影響を私は考えなければならぬと思う。  特に、この三十億円をお出しになりました昭和三十一年以降のあのときは、健康保険法の法律改正を三十二年にしたわけでございますが、そのときは被保険者に一部負担金を持たして、二十数億円というものを被保険者から金を取り、あるいはまた標準報酬の等級の幅を広げまして保険料の増収をはかり、あるいはまた継続給付と申しまして、少し専門的ですが、六カ月以上勤めていなければみてもらえない。以前は期限一年であった。そういうように被保険者にしわ寄せして、そうしてその法律改正のときに国も予算の許す範囲内において補助するのだということで、三十億円二年続けてお出しになった。法律改正のときはそういうことで三十億円お出しになったのですが、今日はそういうようなことでゼロにしようということまで起きておるわけであります。これは私、非常に皆保険の徹底という上から見て残念でございますし、医療内容の低下、被保険者に対するしわ寄せをして、政府は出さぬようにするのだ……。もっとも厚生大臣は、保険料率を千分の六十五を千分の五十三にすると、こうおっしゃるでしょうが、これは当然去年すべきであった。三十億円を十億円にするということは去年すべきであったのですが、今年するのでありますが、そういうようなことで政府所管の健康保険に対してあまりに冷淡じゃないかと思います。こういうことでは、私は医療保障はうまくいかぬと思うのですが、そういう点について伺いたい。
  271. 渡邊良夫

    国務大臣(渡邊良夫君) 御指摘のように、政府管掌健康保険につきまして十億から五億に減ったということは事実でございます。しかしながら、いろいろ、あるいは小理屈になるかもしれません。けれども、わが国の社会保障制度におきまするところの今年の総予算というものは相当ふえているわけでございます。一方、同じ保険でありまするところの国民皆保険の事務費というものも、相当増額をしておるようなわけでございまして、私どもは、しかも、この健保財政というものが今年は相当の黒字を示しておる。でありまするから、そう昭和三十一年度に三十億ずつ赤字のために私どもが計上いたしまして、三十一年度に三十億、三十二年度に三十億、三十三年度に十億、三十四年度に十億、ことしは五億と、こういうようになっておるのでございまするけれども、将来もしも不安な財政状況に陥るようなことがあれば、また私どもはこれを埋め合わせるために、またさらに増額するということもやぶさかではないのでございまして、どうかさような意味におきまして御了承を願いたいのでございます。
  272. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 厚生大臣にそういう答弁をされると、私は困るのです。援護したつもりで言うておるのですが、あなたが言ったのでは、これは何にもならない。まあそれはそれといたしまして、最後に岸総理にもう一点だけお聞きしたいのですが、これは昨年総理にお聞きしたときに、まあはぐらかされたと申しまするか、そつない答弁をなさったわけなんですが、御承知のように、ほんとうにいわば日々進んでおるのですが、新しい医術を医者はやりたくてしょうがないのです。保険経済というものの建前から、どうしても一つの規格診療をやるわけなんです。その場合に非常に矛盾しておりますることは、被保険者にベタの治療をしたら、被保険者も処罰されるし、保険医も処罰されるというような、今法律解釈でやられておるわけです。これはいわゆる基本的な人権に関係する問題でございまして、医療の自由化を法律によって阻害するわけなんです。これが国民皆保険になる前でしたら、私は声を大にしないわけです。全国民、あなた自身が被保険者になったら、ベターでない、グッドの治療をしてもらって、それ以上してはいけないのだという法律があるとすれば、これはずいぶん乱暴な法律であるわけなんです。そのときには被保険者としてでなしに自由診療でやれというのですが、それは富裕階級の人は自由診療でできると思うのです。ところが、政府所管の中に相当低賃金でおられる方があるわけなんです。組合管掌は、標準報酬料金が二万三百円、政府所管の方は一万三千円、平均一万三千円の賃金を政府所管の被保険者はとっているわけですから、よりよい治療はもとより、自分個人の負担ではできない面もあります。ありますが、また中には謹厳実行の方があって、病気に対してかねてからお金も用意しておられる方もあると思うのですが、そういう方が、健康が資本である労働者が、早くなおして、一日も早く工場に行って賃金を得たいという気持があっても、よい治療はできないということになるわけです。これに対して、一体総理はどうお考えなのか。  医薬の進歩と物価の高騰と、それから保険の制約された財政、このギャップがいつまでも私は解決せぬと思うのですが、いや、国でやる医療保険というのはベストをやるのじゃないのだからというなら、それは別問題なんですが、それでは愛情のない医療保険になる。できるだけグットをベターにするということでなければならないと思うのです。それを、私、先日朝日新聞で見たのですが、厚生大臣が、差額負担の問題を取り上げておられたようです。これを救う一つの道として、その保険給付との差額を被保険者が出しても処罰しないのだということを考えられて、事務当局にその方法を調査させておるということが新聞に出ております、その真偽のほどは私存じませんが。総理としては、そういう人道上の問題であり、生命尊重の見地からして、医療の受診権を拘束するような法律の運営は私はよくないと思うのですが、そういう便法が現にあるのですよ。入院等におきましては、差額を徴収しておるわけです。現に一部でしておられるのです。全般的な面から、それ以上のことはささないということはおかしいのです。そういう点のお考えを総理からお聞きしたい。
  273. 小林英三

    委員長小林英三君) 竹中君の持ち時間は終了いたしました。
  274. 岸信介

    国務大臣(岸信介君) 医学の発達というのはほんとうに日進月歩であり、従って、医療機関において、その進んだ治療をするという、良心的にそういう気持もありましょうし、また患者の方からいって、最も進んだなにを受けたいということは、そういう人情から考えても当然だと思います。ただ保険制度としては、いろいろな負担の関係もありますし、ある一つの医学的な医療ということを基礎に置くことに制度としてはならざるを得ないと思うのです。それをどうして両方を調和していくかという問題であろうと思うのです。私まだ、どういう方法によってそれが満足できるかという結論は持っておりませんが、今お話しになりました差額負担の問題も、直ちにそれがいいんだということもなかなか、なお研究しなきゃならぬ点があるようでありますが、何とかして、その間の調和をとることについては一つ専門的に検討さしてみたいと思います。その上で何とかその間のことを調整するというふうに一つ検討を命じて、検討さしてみたいと思います。
  275. 小林英三

    委員長小林英三君) 竹中君の質疑は終了いたしました。   —————————————
  276. 小林英三

    委員長小林英三君) 次は杉山昌作君。
  277. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 私は第一に、日米安保条約の問題で二、三お尋ねしたいと思います。これは近く特別委員会が開かれますので、そこでいろいろまた詳しくお伺いをするといたしましても、そのときの一つのきっかけにもということで三点ばかりお伺いいたします。  で、一つの問題は、これまでもずいぶん議論されて参りました事前協議と同意の問題であります。これは政府では、事前協議というのは同意と同じだと言われておる。同じ意味ならば同意と書けばいいじゃないかという批評と、同じ意味だから事前協議でいいじゃないかという政府の御答弁、これは論理的には勝ち負けのない水かけ論だと思いますが、政治的には私はここに非常に大きな意味があると思う。どっちにしても同じものだというときに、そのうちの事前協議に踏み切ったその一体、外務大臣なり総理大臣のそのときの心意気を伺いたい。どちらでも同じだと、どっちにするかということは議論の問題である、気持の問題なので、そのとき一体なぜ、どっちでも同じことだというときに、事前協議に踏み切って同意でなかったかということ。しかも、これは今始まったことではないので、現に交渉途中から、国会におきましても、その他の場所におきましても、同意にしろ、同意にしろという声が非常に多かったのであります。国民の大部分は同意にした方がいいのじゃないかということが言われているのです。そういうさなかにあって、論理的にどっちでもいいから事前協議でいいじゃないかというふうに踏み切られた政府の気持、これが私はやはり今度の安保条約に対する、国民がどういう気持でそれを見るか、その折衝をどういうふうな考え方で、気持で受け取るかということにつながると思いますので、これは論理的の勝ち負けの問題じゃない、そのときの気持をここでざっくばらんにまずお伺いを申し上げたいと思います。
  278. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 事前協議の問題をわれわれ取り扱っておりますときに、御承知通り、協議というものは、協議がととのわなければ成立しないわけでありますから、従いまして、ノーと言いました場合にはそれが成立しない。そこで、われわれ安保条約の基本的立場の考え方からいたしましても、日本とアメリカとがお互いに信頼関係の上に立ちましてそうしてすべてのものを進めて参りますことがこれは当然のことであります。また条約ができましても、お互いに信頼の上に立って、そして相互に信頼の上で協議もいたしていくわけであります。それでありますから、ノーと申しました場合に、それを侵してアメリカがやるということは信頼関係の上に立つわけではございません。従いまして、心意気というお言葉がございましたけれども、まあそういうわれわれは信頼関係の上にやって参りますのでありますから、ことに事前という字がついておりまして、事前協議でございますから、当然われわれの申しておりますことが通っていくわけであります。それが総理とアイゼンハワー大統領との間の共同コミニュケによって明らかに裏書きをされたことになったわけでございまして、今申し上げたような経緯でわれわれは事前協議という言葉を使ったわけでございます。
  279. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 まあ、こういう条約が相互信頼の上に立たなければならない。それは交渉の途中からやはり百パーセント相互信頼でなければならないことは、これはまあお話の通りなんです。しかし、これは日本だけがアメリカを信頼するのじゃない、アメリカも日本は百パーセント信頼してもらわなければ困ることなんです。ただいまの大臣のお話は、やはり従来のお話のように、同じだからということですが、私は同じじゃないと言っているのじゃない。同じなときに、相互信頼でやるときに、たまたまどうも事前協議という言葉がそこに出たからぱっとそれでいったというのか。それとも、いろいろ先方と折衝したけれども、結局、事前協議ということにこちらが考えたというのか。そこらのことが、ただ同じだと、協議の上に特に事前という字がついたから同意と同じですという話は、私たちもほんとうにあきるほど伺っているのです。一体同じものをやるときに、あれだけ国民が同意という字を使った方がいいじゃないかという要望がほうはいとしてあるにもかかわらず、なおかつ、同じだから事前協議でいいのだというふうな結論が出てきた。ところが、なるほどこれは双方の信頼の折衝━━向こうにも信頼をしてもらって、国民があれだけ言っておるのだから、同じ意味なら同意でもいいじゃないかというふうに、向こうにも信頼してもらったらいいじゃないか。そこいらがどうも私たちには何かお話を聞いても、あるいはただいまのお話を聞いても、ちょっとどうも気持の上で納得のいかないところがあると思うのです。しかし、これはただいまのお話でもわかりますように、幾らやってもなんのようですから……、ただ、私はどうもそこらの折衝における向こうとの気持の問題、あるいは優劣というようなことを申しては言葉は穏当でないと思いますけれども、そこらの問題で何か私たちとしては、理屈では同じでも、割り切れない気持がしておるのですが、これは追ってだんだん条約全体の審議をする間に、これだけの問題じゃなしに、全体の気持として理解し得ることであろうと思って、この程度で本問題はやめておきます。  その次に、期限十年の問題でございます。この条約の条文を見ますと、十年間は変えないのだというように一応書いてありますけれども、条約は向こうとこちらとの同意でありますので、これはいつでも両方が合意をすれば変え得るものではないかと思うのです。そこで、私は十年間のうちに適宜変えることができるという条項が現在ございませんが、なくても、全般の国際情勢が変わってくる、あるいは日本の国内の事情が変わる、アメリカの国内事情が変わるということで、事情が変わってくればそのときにあらためて話を持ち出して、こういう事情だからこの条約は十年たっていないけれども変えようじゃないかというふうなことが言い得るのではないか。また言って幸いに両者が一致すればそれで変え得るものかどうか。一体条約というものは、やはりそういうようなことができるかどうかというふうなことを一つ伺いたい。もしそれができるとすれば、これまでで日本でいろんな期限のある条約がありましたでしょうが、それが期限内において、期限内でも変更し得るという条項はないにもかかわらず、事情変化ということで両者が同意をしたからしてその条約を改正したりあるいは廃棄したというようなもし実例でもおありでしたら、それをお示し願いたいと思います。
  280. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 申すまでもなく、両国が同意をいたす、話し合いをいたして、こういう情勢だから変えようと言って一致しますれば、それはむろん条約は変えられるわけでありまして、ただいまの安保条約にいたしましても、まあ暫定的とは言っておりますけれども、期限がついておりません。両者が話し合いをいたしまして、一致すればそれは変えられることは当然でございます。
  281. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 現在の安保条約は期限はなくても、初めから暫定的というような含みがあった、あるいは書いてあるということでしょうが、そういうことではなしに、今度の条約は暫定的という含みじゃなしに、むしろ条約の条文から言いますれば、十年間変えないのだというふうに解釈する方がいいんじゃないかと思いますが、そういうふうなことでなくても、なおかつ、事情の変化ということでは、いつでも合意があればやめられるものであるかどうか。あるいはそういうふうな途中で変えるとか、暫定的であるとか、含みのない条約で、従来日本の関係するもんで、そういう事情が変わったから変えました、廃棄しましたというような実例があれば非常に気強いと思うんですが、それがあるかどうかということなんです。
  282. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今度の条約におきましても、国連でもって極東の平和と安全を維持し得る措置がとられるということができますれば、両者において、これは期限内といえども、話し合いの上で、この条約について考えて参るわけでございます。今までのところ、両者が合意すれば、締約国が両方とも同じ意見であれば、条約というものはむろん変えられるわけでございますから、日本においてそういう例があったかと申しますと、あまりないようではないかと思うのでございます。  例等につきましては、条約局長その他から申し上げたいと思います。
  283. 高橋通敏

    政府委員(高橋通敏君) お答え申し上げます。一方的に、事情変更の原則を理由といたしまして、一方的に廃棄をした、条約を変更したという例は、私ちょっとないように考えております。
  284. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 ちょっとくどいようで何ですが、十年間というものが非常に問題になっているから、もう一度念のために聞いておきますが、一方的に廃棄ということを聞いているのじゃない。実際、日本なら日本の中にいろいろな事情の変化があった、それでアメリカに対して、実はこういうふうな変化があるので、一つアメリカもそれを了承して、この条約を変更したい、あるいは解消したいということを申し出たときに、一方的に廃棄じゃない、やはりそういうことは論理的にはできるのかどうか。あるいは外交上の慣例、条約の慣例として、そういう実例が、日本になくても、よそにあるのかどうか、そういうことがありますとですね。非常に私は将来のためには気強いと思うものですから、念のために聞いているわけなんです。
  285. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 両締約国が一致して、これはやめるべきだ、あるいは改正すべきだというふうに一致しますれば、当然条約でございますから、改正もでき、あるいはやめることもできるわけで、ただ両締約国が一致しないというような場合は、今お話のように、十年間できないことはむろんでございます。
  286. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 それから次の問題は、いわゆる経済協力の問題でありますが、これまで安保条約については、ずいぶんほかの点は論議もされたし、政府からも詳しく説明がありますが、経済協力というのは、ちゃんと条文はあるのだけれども、どうもこの説明が不十分のようであります。先般の本会議におきまして、小柳議員からこの点総理にお尋ねしておるのですけれども、総理もはっきりした具体的なことは言ってこないので、この経済協力が具体化するならば、日本の非常にためになるぞというようなことで具体化するならというので、私は実は、ここにこれだけ条文が書いてあるのだから、一体具体的に何を考えておるのか、そしてそれを具体化するためには、たとえば軍事的には日米合同委員会があっていろいろな問題を相談するように、そういう経済協力についても何らかのそういうふうな相談をする機関があってやるというふうになっておるのか。何か一つ軍事方面だけの協力関係ではおかしいから、経済ということをただうたい文句にしたというようなことでは、はなはだわれわれとしては不足なんでして、やはり書いてある以上は、これを実際に具体的にはこういうことを考えておるのだ、それを実現するためにはこういうふうな取りきめがあるからこういうふうな委員会でやるのだというふうな、そこらをもう少し具体的にこういうふうな経済協力をうたい込んだ以上は、そういうふうな点についての考えをお示し願いたいと思います。
  287. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この条約は、先ほども申しましたように、相互信頼関係によってあるいは日米関係の緊密な基礎の上に立っていくわけです。それは政治、経済あるいは社会的な立場においても、同じ自由主義を信じておるという立場から、緊密な連絡をとっていくということが基礎的だと思います。その意味におきまして、経済関係におきましても、両国は同じような自由主義のもと経済を立てておる国でありまして、その間にお互いに協力をしていくということは、これは当然やらなければならぬことだと思います。しからば具体的にどういうことかと申しますと、平生の場合におきましては、むろん外交ルートをもちまして、常時今日までも緊密に連絡をして参っております。が、しかしながら、将来国際的な平和を実視するために、低開発国の経済援助でありますとか、いろいろな経済問題が今後起こり得るのであります。そういう場合には、両国にやはり特別な連絡の機関を持つとか、あるいは両国がそういうような国際的な機関に入って緊密な連絡をしながら、世界の平和に貢献するような、そういう経済的な問題について話し合っていくということが起こってくると思います。また同時に、日米間の問題等につきまして、むろん平常外交ルートで話し合いをし、できるだけその間に、両国の間に何か間隙が生じないようにやって参らなければならぬわけでございます。で、そういう面からいいますと、必ずしも今直ちに経済委員会というようなものを作ることが、平常外交ルートでやっておりますから、必要があろうとも思いませんけれども、しかし、やはり将来いろいろな面で緊密に会合もし、あるいは話し合いもしていくことは、両国の経済交流の上において、誤解を生じたりなんかしてもいけませんから、やって参ります。同時に、政府レベルでやりますが、民間レベルにおいても、やはりそういうような綿密な連絡をとって仕事をしていくということが、大切だと思うのであります。そういう大きな考え方から、こういう問題を扱って参りたいと、こう存じております。
  288. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 安保条約に関しては一応以上の点でやめまして、次に貿易の自由化の問題について一点だけ伺います。  この自由化という問題が取り扱われまして、最近もうすでにこれは実行の段取りになっておるようなわけで、非常に急速に進むのだろうということで、自由化に進むについていろんな対策が論議をせられております。特にその問題につきまして、自由化になった場合に、国内の産業がどうなるのだろうというふうなことで、あるいは業界あるいはそれぞれの業者がいわゆる自己防衛といいますか、自由化になったときに立ちいくようにということについては、これはまあ業界でも非常に論議をされているし、また政府側においても業界の不測のつまづきがないようにということでやっておられる。これは非常に新聞雑誌にも論議をされて、よくわれわれ承知しておりますが、ただしかし、自由化の問題のときに、もう一つ考えなければならない点があるんじゃないかと思うのは、それは、その国内の今の業界、業者の問題よりも、それを離れて、一体この日本の経済関係、貿易関係がどっちの方向に流れていくだろうかという問題があるだろうと思う。たとえば自由化になりますと、一番業界、商人としては自分のもうかる方向に貿易の方向を持っていくということになると思います。そうすると、日本として今後進んでいく上に好ましい方向へ全部集中すればいいが、そうでない場合もあり得るじゃないか、具体的に申しまするならば、東南アジア諸国との貿易関係の問題でございます。この自由化がわれわれ今まで伺っているところによりますと、何かアメリカその他西欧先進諸国との貿易を促進しよう、あるいはアメリカあたりが日本に対する保護関税あるいは関税障壁を作って日本品の輸入をシャット・アウトするというようなことがないために、日本も自由にしてどんどん輸入をしてやろうというようなことから、自由化の問題が大きくなってきたように承知しておるわけなんですが、そういたしますると、なおさら今後自由化になりました以上の日本の貿易は、アメリカあるいは西欧自由諸国との間の貿易が非常に緊密になる。ところが、東南アジアとの貿易は必ずしもそうならないんではないか、特に東南アジアから日本で輸入するものは、むしろほかの国から買った方が物がよくて安いというものが相当あるんじゃないかと思う。自由化そのものにおいては貿易はそちらに流れる。従って東南アジアから輸入するものが非常に少なくなってくる。そうなれば、東南アジアは金を持っていない国でありますので、どうしても自分が物を売らなければ買わないということになると、結局東南アジアと日本との貿易は、むしろ今までよりも減るようになってはこれは困る。ことに東南アジアの低開発国の開発というふうなことは、岸首相も現地へおいでになりまして以来、大きな政策として政府でも取り上げておるし、また国全体としてもまことにけっこうなことだといって、その方向へ大いに進もうというようなときに、貿易自由化のためにそれにひびが入るというか、水をかけるようなことになっては困る。むろん政府の方ではとうにそういうことについては、それぞれの対策を講じておられると思いますけれども、全般の感じといたしましては、業界が自分たちの防衛の問題は一生懸命やっておりますけれども、国が向かう道についてのことはほとんど論議もされていないような状況であります。まあつい最近新聞にちょっとそういうふうな問題が取り上げられているような状況でありますので、私はこの点につきましては政府において十分お考えになると同時に、業界、業者の自己防衛の対策と同時に、この問題を大きく一つ取り上げて、また一般にもわかりやすいようにその問題のあること、あるいは研究すべきことをお示しいただく方がいいのではないかと思いますが、これらの点につきまして通産大臣の御所見を伺いたいと思います。
  289. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 世界貿易の趨勢は、御承知通り、先進国あるいは工業国間における貿易の伸びが、低開発国との関係より多いということは御承知通りであります。そういう態勢に向かいつつあるのでございます。しかし、この態勢では、全世界の経済開発が行なわれませんので、先進国はこぞって低開発国の開発に向かっていっている状態でございます。ことに日本といたしましては、東南アジアという大きいまた将来ある市場を持っておるのでございまするから、片一方におきまして、工業国間の貿易を増大すると同時に、低開発国、東南アジアとの貿易を考えなければなりません。これにつきましては、やはり各国が考えておりますように、日本として思い切ったいわゆる経済協力をやっていって、彼らの購買力を強めるということでございます。  第二段には、お話の低開発国と先進国との間におけるいわゆる第一次製品の品質または価格の問題、こういう点が起こって参るのであります。たとえば米綿を買うか、パキスタン綿、印綿を買うかというような問題になって参りますと、これは自由化をする場合には、やはり日本全体のことを考えまして、輸出入取引法等を改正して、業者間で自主調整をして、とにかく輸出のための輸入ということを、業者間で一つ考えていくように準備をしなければならぬ、従いまして本国会に輸出入取引法の改正等につきまして、御審議を願うことになると考えております。
  290. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 時間もありませんので、次に今提案されております予算について一点お伺いいたします。  実は昨年の補正第二予算のときでしたか、われわれは災害復旧費があれでは足りないだろう、従って年内に必要があれば、補正予算をさらにお出し願いたいということを申し上げておきましたので、その意味からいえば、今度補正予算を出されたことで、まことにわれわれわが意を得たりということになるのでありますが、どうもわれわれがすっきりそういう気持になれないところに、実は遺憾に思っているのであります。今度の三十五年度の予算の編成の経過が、非常におもしろくなかったというふうなことは、これは世間の一般にいわれているし、先般の本会議におきましても、羽生議員からその問題について論議があったようなことであります。われわれもはなはだ残念ながら、ああいうふうな予算の編成の経過、たどり方が一体いいのだろうかというふうなことを、実は心配をしているようなものであります。その三十五年度予算の編成のつまずきといっては何ですが、そのあおりを食って出てきたのだが、今度のその追加予算だろうというふうな印象をわれわれは持っているのです。これは先ほど大蔵大臣はそういうことじゃありません、純粋に必要があって、しかも純粋にそれをまかなう財源がありましたから、やったのですとおっしゃってはおりますけれども、どうもわれわれとしては、あの編成の経過からして、大蔵大臣のお言葉をそのまま理屈ではわかったようでも、気持が受け取れないのです。そこにわれわれはせっかく自分が補正予算も出していただきたいと申し上げておきながら、出してきた予算に対してとやかく申し上げるというふうな残念な事態になっているわけです。  そこで私は一体ほんとうにあれだけの予算が必要なのかどうか、あれを使い切るのかどうかということが、そういう意味からいって懸念になるわけでありまして、今朝木村君からあの予算積算基礎明細に出せというような要求がございましたので、これは普通の予算の編成、予算審議でしたら、ああいうふうな必要はないし、また木村委員といえども、普通の場合にあれほどの資料を要望されるものではないと思います。ただ、今私が申し上げたようなわれわれに疑問があるものですから、はたしてほんとうにこれだけ必要なのか、これだけ使い得るのかどうか、それを見たいからして、一体、どこの河川の工事は今どのくらいになっているのか、あと幾ら要るのだ、それが補正予算でなければいけないのか、来年の予算でも間に合うのではないかということを見るために、やはりあれだけの資料が必要であると、こういうことから私は出ておると思うのであります。まあ先ほどの委員長のお説のように、あの問題は、一応資料は実際問題としてできない━━私も実際問題としてはできないと思います。思いますけれども、ああいうふうな資料をほしいというのは、結局そこにあったと、われわれもそういう気持でいるわけであります。資料が出なければ、あらかじめこれは審議はできないのです。結局、年度末といっても、あとちょっとでありますので、しかも、それは、年度が変われば、はたして、ああいう予算をとったけれども、使ったか使わないかという結果が現われてくるので、そのときに、必要でなかったかどうかというように逆に判断をするよりほかはないと思います。  そこで、具体的には、先般の第二次補正予算には八十億の予備金をとってある。大体八十億のうちの五十億が災害に向けるのだ、あと三十億はほかの方へ回るだろうというその当時の話でしたけれども、一体第二補正のときにとった八十億の予備費は使ってしまったのかどうか、それを使わないのにさらに今度の補正要求しておるのかどうかというのが第一。それから、これはまあ、伺ったら、必ず使いますとおっしゃるのでしょうが、今後一カ月半やそこらの期間に、今度の補正も適正に使い得るのかどうかというふうなことをお尋ねしたいのです。私たちとしては、三十五年度の予算の編成ぶりを拝見いたしておりましても、前年度からの剰余金がないために、非常に大蔵当局は━━予算の編成に当たる人たちは御苦労なさっておると思うのです。そういうことからいくと、今度百数十億の金を、今わさわざ——もしわれわれが想像するがごとくに、それほど必要ないとするならば、そういり予算を作って、そうして三十四年度の財源を少なくするということは、三十六年度の予算を組むときに、それだけまた窮屈になるのです。ことしも窮屈だが、その次の三十六年度の予算を組むときには、なお前年度の財源がなくなって窮屈になるということは、将来ますます予算の編成が困難になる。予算の編成が困難になれば、結局財源あさりに苛斂誅求もしなければならない、あるいは公債発行もしなければならないと、いろいろな問題に波及するものでありますから、そこらを心配しながらこういうふうなことを言っておるわけであります。一つ、それらの点について、大蔵大臣から、第二次補正における予備金の使用状況、あるいは今後の予算の使いぶり等について、御所見を伺っておきたいと思います。
  291. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今回の第三次補正を出しました、それについてただいまいろいろ疑念があるということを申されました。三十五年度予算編成に相当の時間を要しまして、そういう経過からいろいろの誤解があるのかと思いますが、予算委員の専門の皆様方は、今回提案しておるあの予算をお目にかければ、これが義務的な必要な経費であり、またできるだけ早い期間に処理すべきものだということは、御了承がいただけて、今冒頭に申されたような誤解はおそらくないだろうと私は確信をいたしております。ところで、年度の非常に迫っておる今日、これらの予算をつけて、これがうまく消化できるかというお尋ねでございますが、この今回の補正予算を計上いたしましこのは、第二次補正を出しました当初から、あるいは調査がその後正確なものが出てきて災害額等もふえてくるだろうと、そうすればそれに対する対策も立てなければならぬというようなことを申した点もございますし、あるいはまた必要雑費その他三十三年度に生じた跡始末というような問題等もあるのでございますので、今回の予算はそういう意味では十分使えるだろうと思いますし、また工事の進捗状況等から見ましても、工事担当の建設あるいは運輸、農林それぞれ災害復旧に非常に全力を注いでおりますので十分消化できるものだと、かように確信をいたしております。  ところで、第二次補正に計上いたしました八十億の金でございますが、ただいままでその八十億のうち使用を許可いたしましたものが三十億でございまして、残り五十億ばかりでございます。いずれこの五十億等も今後災害あるいはその他というような点でこれを使って参る一応の腹案はございます。まだしかし、この年度内にどういう事態が起こるかもわかりませんので、これの使い方については十分慎重を期して参りたい、かように思っております。
  292. 小林英三

    委員長小林英三君) 本日の質疑は時間の都合上、この程度にとどめまして、明日午前十時から続行いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十七分散会