○新谷寅三郎君 ただいま
議題となりました三
法案につきまして、
地方行政
委員会における審査の
経過と結果を御
報告申し上げます。
まず三
法案の
内容の概要を申し上げます。
地方財政法及び
地方財政再建促進特別措置法の一部を
改正する
法律案は、長期にわたる健全な
地方財政の基盤の確立に資するため、
第一に、
地方財政法について
地方公共
団体における年度間の財源調整に関する規定を強化して、
地方公共
団体の一般財源が新たに増加する義務的経費の額を著しく超えることとなる場合には、その使途を一定のワク内に限定し、
地方公共
団体は、その
相互間における正常な負担
関係を乱すようなことをしてはならない旨を定めるとともに、都道府県またはその機関が行なう一定の
事業に要する経費は、これを市町村に負担させてはならないものとし、住民の税外負担の軽減合理化をはかるために、市町村はその負担に属する一定の経費についてはこれを住民に転嫁してはならないものとし、
昭和三十四年度において行なった固定資産税の制限税率の引き下げに伴う減収補てんのための起債の特別
措置を、
昭和三十五年度以降もなお当分の間
実施するものとする等の
改正を行ない、
第二に、
地方財政再建促進特別措置法について、財政再建計画の承認またはその変更の承認を求められた場合、官理的な再建の達成に支障なしと認めりれる限り、自治庁長官はその行政について合理的かつ妥当な
水準が維持されるように配慮するものとし、政令で定める年度以降において歳入欠陥を生じた
地方公共
団体に対し
地方債を制限している規定を改めて、その年度を
昭和三十六年度以降と法定するとともに、
地方債制限の対象を公共または公用の
施設の
建設事業費に限定すること等をその要点とするものであります。
次に、
臨時地方特別交付金に関する
法律案は、道府県民税及び市町村民税の減税に伴う
地方公共
団体の財政
状況にかんがみて、その財政の健全化に資するため、当分の間、毎年度、
地方公共
団体に対し
臨時地方特別交付金を交付するものとし、
臨時地方特別交付金の総額は、所得税、法人税及び酒税のいわゆる国税三税のそれぞれ百分の〇・三とし、
臨時地方特別交付金の交付については
地方交付税法の規定による特別交付税の例によること等をその要点とするものであります。
なお右の
政府原案に対し、衆議院において、この
法律は「
昭和三十五年四月一日」から施行するとあるを「公布の日」から施行することに修正して本院に送付し来たったものであります。
次に、
地方交付税法等の一部を
改正する
法律案は、国の直轄
事業にかかる
地方団体の負担金の納付方法としての交付公債制度を廃生することに伴い必要とする財源の付与、住民の税外負担を整理し、道府県と市町村との間における負担
関係の明確化を期するために必要とする財源の付与、また最近における軽油引取税、法人
事業税の増収の情勢にかんがみ、
地方団体間の財源帰属の適正化をはかる等のため、まず
地方交付税法について単位費用を引き上げて基準財政需要額を増額し、測定単位の
内容を合理化し、基準財政収入額の算定方法について、新たに軽油引取税及び
道路譲与税の収入額を算入する等の
改正を行ない、また
地方道路譲与税法について、
地方交付税上の不交付
団体に対して譲与する
地方道路譲与税の額は、
原則として各
地方団体について算定した譲与税額から交付税上の収入超過額の十分の二に
相当する額を控除した額とし、その控除した額はこれを不交付
団体以外の
地方団体に再譲与すること等を
改正の要点とするものであります。
委員会におきましては以上の三
法案を一括して
議題に供し、
地方公共
団体における年度間の財源調整のため一般財源の超過額の使途をきびしく制限することは、
地方財政の自主性をそこなうものではないか、また税外負担の解消については、なお一段の考慮と
努力が必要ではないか等の問題点、その他
各般にわたり当局との間に
質疑応答を重ね、慎重審査を行ないましたが、その詳細については
会議録によって御了承を願いたいと存じます。
四月二十六日
質疑を終局し、まず
地方財政法及び
地方財政再建促進特別措置法の一部を
改正する
法律案について
討論に入りましたところ、鍋島
委員は、本
法案に
賛成の旨を述べられ、なお次のごとき本
法案に対する各派共同の
附帯決議案を提出されました。
地方財政の
状況にかんがみ、本法の施行にあたって
政府はとくに左の諸点に遺憾なきを期すべきである。
一、
地方公共
団体における年度間の財源調整は、本来、当該
団体の実情に応じた自主的な財政
運営の一がんとして行われるべきものであることにかんがみ、いやしくも財政
運営の自主性を阻害し、行政
水準向上の意欲をはばむことのないよう
措置すること。
一、税外負担の解消については、その実効を確保するよう
努力するとともに、さらに
法律上、財政上の諸
措置を検討し、これが完全解消のために万全の方途を講ずること、
右
決議する。
かくて
討論を終局し、
採決の結果、本
法案は
全会一致をもって
衆議院送付案
通り可決すべきものと
決定し、なお、鍋島
委員提出の
附帯決議案は、これまた
全会一致をもってこれを本
委員会の
決議とすることに
決定した次第であります。これに対し石原
国務大臣は、
決議の
趣旨を体して最善の
努力をいたしたい旨を述べられました。
次に、
臨時地方特別交付金に関する
法律案及び
地方交付税法等の一部を
改正する
法律案の二
法案について
討論に入りましたところ、鈴木
委員は、
日本社会党を代表して、
臨時地方特別交付金に関する
法律案による
政府の今回の
措置は、少額かつきわめて不完全な補てんであって、減収の影響の深刻な
地方団体の
期待にほど遠いものであり、また、
地方交付税法の
改正案においては、交付税の率の引き上げを行なわず、これを据え置いているが、これでは
政府の標榜する行政
水準の
向上も税外負担の解消も期し得られないと認められるので、二
法案には反対である旨を述べられました。かくて
討論を終わり、
採決の結果、
臨時地方特別交付金に関する
法律案及び
地方交付税法等の一部を
改正する
法律案は、いずれも多数をもって
衆議院送付案
通り可決すべきものと
決定した次第であります。
以上御
報告いたします。(
拍手)