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1960-03-28 第34回国会 参議院 本会議 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十八日(月曜日)    午前十一時二十分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十三号   昭和三十五年三月二十八日    午前十時開議  第一 公立学校学校医公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)  第二 日本原子力研究所法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第三 漁船損害補償法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第四 不動産登記法の一部を改正する等の法律案内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程に追加して、自治庁設置法の一部を改正する法律案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。石原国務大臣。    〔国務大臣石原幹市郎君登場、拍手
  5. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 自治庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由要旨を御説明申し上げます。申し上げるまでもなく、地方自治民主政治基盤でありまして、その健全な発達をはかることは、わが国民主政治の根底をつちかうゆえんであると存じます。しこうして、地方公共団体は、その本来の公共事務を処理するほか、国の行政もその大半は地方公共団体の手を通じて行なわれ、国税及び地方税を合わせた租税総額の六割以上は、これらの行政遂行するために、地方公共団体責任で使用しているのでありまして、地方財政規模は、国家財政に比肩する大きさを持っているのであります。このように、地方自治はまことに重要な役割を果たしており、その伸張と運営いかんは、国政の上にもきわめて重大な関係を持っておるのであります。従いまして、中央各省地方公共団体との間の連絡協調を一そう緊密にし、国政地方自治との調和を保って、地方自治の健全な発達国政の適切な遂行をはかることがすこぶる緊要でありまして、これがためには、地方自治に関する行政を担当する国の行政機関として、現在のような総理府の一外局では適当とは認めがたく、責任ある一省を設けることが必要であると存ずるのであります。  また、消防行政につきましては、その重要性にかんがみ、かねてその強化充実をはかる必要が痛感されているのであります。現在これをつかさどる国家消防本部は、国の行政組織上の地位が明確でないのでありまして、自治体消防の本質とその地方公共団体一般行政との深い関連にかんがみ、これを地方自治を所掌する責任省統合し、その責任態勢を確立することが、消防行政を伸張させるゆえんであると考えられるのであります。これがため、自治庁国家消防本部統合して自治省を設け、国家消防本部は、その外局としようとするものであります。以下、本法案内容について御説明申し上げます。  第一は、自治庁設置法を改めて自治庁自治省とし、国家消防本部をこれに統合して、自治省外局として消防庁を置こうとするものであります。自治省権限は、現行自治庁及び国家消防本部のままでありますが、ただ、省の設置に伴い、従来、内閣総理大臣権限に属していた事務自治大臣権限に移ることになりますので、これがため、必要な条文の整理を行なうことといたしました。なお、消防庁組織所管事務及び権限は、従前の通り、消防組織法の定めるところによるものといたしたいのであります。  第二は、自治省機構につきましては、内部部局はすべて現在の自治庁のままとし、付属機関として、従来の自治庁付属機関のほかに、これまで総理府付属機関であった奄美群島復興審議会を移管し、自治省を置くことといたしたいのであります。  第三は、自治省設置に伴い、職員の引き継ぎその他従前処分等に関する経過措置を定めるとともに、関係法律整理を行なうことといたしたいのであります。  以上が自治庁設置法の一部を改正する法律案提案理由及び要旨でございます。(拍手
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。松澤兼人君。    〔松澤兼人登壇拍手
  7. 松澤兼人

    松澤兼人君 ただいま議題となりました自治庁設置法の一部を改正する法律案につき、日本社会党を代表して、数点質問いたしたいと思います。  政府説明によりますと、今回の法律案自治省設置して、従来の事務のほか、国家消防本部統合して消防庁とし、これを外局とすること、総理府付属機関である奄美群島復興審議会自治省付属機関とすること、及び関係法律整理をすることを内容とするものであるようであります。従来考えられていました大規模な構想を放棄して、とりあえず庁より省への昇格のみを規定したものとも考えられます。しかし、この問題は従来から論議のあったものでありまして、これを契機として、われわれが心配しているような事態に発展するのではないかについて、いまだ不安が解消されていません。従って、以下重要の点についてあえて質問をいたすのであります。内閣総理大臣並びに自治庁長官から率直な所信を伺いたいと思います。まず第一に、自治省設置方向に踏み切り、法案提出を見るに至った背後の力として、当然、問題としなければならない点は、設置を強く要望する側の代表選手が、旧内務官僚と称せられる多くの人々であったのではないかという疑点であります。旧内務省警察権力をその手におさめ、電話一つで全国の警察指揮命令を下し、自己に不利な勢力の弾圧に狂奔し、道府県行政にも知事を意のままに動かしていた往年の夢をもう一度呼び起こそうとするのが、今回の自治省設置のねらいであるとも言われるのでありまして、国民はこれを危惧し、やがては自治省警察権力まで傘下におさめ、さらには知事官選を断行して、究極的に旧内務省権限復活を企てようとする意図があるのではないかと憂えているのであります。確かに、自治庁自治省昇格することは、地方行財政運営を有効適切ならしめる点に有利なる期待もできるのであります。地方団体側からこれを要望するのも、理由一つはそこにあるのであると考えられ、また、対大蔵省交渉等においても、地方行財政の確保と進展に裨益するものである点も、うなずけないことはないのでありますが、以上のような内務省復活をこの法案の中で企図しているとすれば、一利一害というよりは、むしろ弊害の点がきわめて強く出て、国民の憂慮を払拭するわけにはいかないのであります。これに対する政府保証こそ、何よりも国民の聞きたいところでありまして、総理の明確な答弁をいただきたいと思います。  すなわち第一に、警察行政は、本来の民主的分権的な方針を堅持し、これ以上に権力集中強化を行なわず、民主的原理によって運営をしていく考えであるかどうか。  第二は、府県行政における中央人事介入の危険についてでありまして、政府与党の中には、しばしば知事官選地方人事の停滞に関する意見を聞くのであります。知事公選府県行政民主的基盤であり、もしこの線がくずれ去ることがあれば、他は推して知るべきであります。また、もう一つ心配は、府県職員人事につき中央干渉が行なわれないかどうかの点であります。現在は、従前と異なり、都道府県間の人事交流が困難となり、府県職員人事はある程度沈滞していると見られる節もあります。昇給昇格が停滞して、ある者は全国一貫した人事交流を要望している向きもないではありません。しかし、もし設置を予定されている自治省がこの声に耳を傾け、地方職員任免交流積極的発言を確保するようになれば、地方分権民主制度を基礎として戦後再出発した地方自治は、再び中央強権支配によってじゅうりんせられ、地方自治本旨が抹殺せられるおそれが生じてくるのであります。すでに府県警察の幹部は中央任命でありまして、必ずしも右のような心配がなしとは言えないのであります。今回の自治省設置は、かかる人事中央支配については何らの権限もなく、将来も積極的に地方人事に介入する意図のなきことを明確に宣明せらるべきであると信ずるのでありますが、政府所見を伺いたいと思のであります。第三に、サービス行政主体とする地方自治体が、中央権限強化によって、お役所的行政官僚的運営に移行することのない保証があるかどうかであります。  さらに、総理大臣にお尋ねいたしたいことは、この法案と時を同じうして問題となっております新しい安保条約関係であります。新安保条約実施前提として、安保体制強化必要性は、一部ではすでに話題となっているのでありまして、過日の予算委員会においても、わが党の本村委員質問に答えて、防衛庁長官は、機密保護法昭和四十年には必要となってくるであろうと言っているのであり、新安保実施に要する条件を逐次整備することの必要は、政府部内においては、ひそかに日程に上っているものと想像されるのであります。この法案がその一環であり、その他、警察権力集中強化民主的行政組織官僚化人事院の廃止と政府職員の人権の制限など、一連反動政策の実現の可能性を憂慮するものでありますが、これらに対する総理見解を伺いたいと思います。  さらに、最初警察法が成立した当時におきましては、警察権政府の不当なる権力介入を排して民主的に運営されなければならないという趣旨に基づいて、行政委員会としての国家公安委員会設置し、国の公安にかかる警察運営をつかさどり、「その責務の遂行に当っては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由干渉にわたる等その権限を濫用すること」のないようにし、さらに「民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障」していたのであります。しかるに、政府は、昭和二十九年第十九回国会警察法改正を強行し、われわれの反対にもかかわらず、これを成立せしめたのであります。この改正は、民主警察の根本を否定し、往年政治警察復活をはかるものでありまして、その具体的な現われの一つが、国家公安委員長国務大臣をもって充てるという警察法第六条の規定であります。これは明らかに、行政委員会たる国家公安委員会中正性公平性を失わしめ、政党内閣反動的偏向国務大臣たる国家公安委員長を通じて委員会に働きかけ、選挙干渉人事介入のごときおそるべき事態が発生するおそれがあることを、わが党が指摘したのでありますが、われわれが会期延長の無効を主張して会議に参加しない間に委員長中間報告を自民党のみで可決するという異例な手続によって成立したのであります。この際、政党警察権介入を是正する重大なる意義にかんがみ、警察法改正し、国家公安委員長国務大臣兼任制度を廃止して、国家公安委員会を本来の公平中正なる性格に復元する意思がないかどうか、伺いたいのであります。  自治行政の面におきましては、町村合併、新市町村建設促進等、新しい町作り村作り方向に進みっつあるのでありますが、これに関連して府県段階においても、府県統合や道州制の問題などが取り上げられているのであります。この問題は一応、地方制度調査会において地方制の多数意見答申となっているのでありますが、反面、府県統合現状維持等意見があったのでありまして、政府自身としてもこの問題に対する基本的な態度が決定を見ていない状況であります。従って、今後も事情によっては、道州制、地方制府県制の問題が再燃しないとも言えないのでありまして、これについての御見解をお尋ねしたい。なお、これに関連して、もし、かりに地方制が問題となるとすれば、地方制知事というか、その首長は、公選によるものであるか、またに任命によるものであるか、総理に案があればお示し願いたいのであります。  今回の改正により、自治省消防本部消防庁とし、省の外局としてその行政の中に取り入れ、水火災等災害の防除に資する事務を行なうことになるのでありますが、大都市消防はその施設拡充等において見るべきものがあるのでありますが、全国的に見るならば、いまだ設備も充実せず、わが国建築物特殊性も加わり、火災件数及び損害額は依然として減少せず、問題を残しているのであります。省の設置とともに、わが国消防運営につき画期的な方策を打ち出すべきであると信ずるのでありますが、消防施設拡充、その財源的措置につき、所見あらば自治庁長官から伺いたいと存じます。  昭和二十八年九月、地方団体の軒並み赤字時代から、町村合併促進財政再建、新市町村建設と、一連施策地方団体及び職員努力によって、最近安定期に入ったようにも見受けられますが、災害及び所得税減免のはね返りによる財政収入の減少は市町村財政を圧迫し、施策いかんによっては再び財政状態が悪化する危険がないとは言えない状態であります。新市町村建設わが国民主主義基盤をなすものであって、その建設計画の完全な遂行は、単に地方自治の命運のかかわるところであるのみでなく、わが国政治民主化のためにも緊要の問題であることは言を待ちません。この際、法令、行政の面においても同様にこれが推進に力をいたすことは当然であると信じられるのであります。われわれはこの点について次のような見解を持っているのでありますが、自治庁長官に御所見を伺いたいと思います。   一、交付税特例措置の実質を確保して、新市町村建設財政的裏づけをなすべきではないか。  二、地方財政計画の中における単位費用の計算において実際に即した方法をとること、臨時的経費を十分に算入する措置をとるべきではないか。  三、新市町村建設、新農山漁村振興計画文教施設拡充整備電信電話事業整備有線放送等一連計画事業は、それぞれの所管官庁公社等、個々別々に行なわれているが、これを総合一体の対策とすべきではないか。  次に、現在の市町村職員身分待遇に関する問題であります。地方公務員法によると、市町村職員はすべて「平等に取り扱われ、人種、信条、性別、社会的身分……政治的意見若しくは政治的所属関係によって差別されてはならない。」こと、特に、その「給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体職員並びに民間事業従事者給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」ことになっております。しかるに、現実には、市町村、特に町村職員は、封建的後進的な農村環境の諸条件により、その身分は旧態依然たる状態であり、町村長の一挙一動に影響されるところが多く、給与制度も必ずしも確立されているとはいえないのであります。町村合併により、町村事務は漸次近代化され、その能率も著しく上がっているのでありますが、給与制度はいまだ近代化されず、国の職員給与に準じなければならないにかかわらず、著しく低位にあることは、三十三年七月一日をもって行なわれた自治庁実態調査によっても明らかであります。この際、新たに設置される自治省において、新市町村給与制度抜本的改善を加え、国の職員に比して著しく低位にある市町村職員給与を是正し、国の給与に準ずるの措置を講ずる意思があるかどうか、右に関し「何らかの制度上の措置が講ぜられるとすれば、財源の面においても国がこれを確保し指導する意思があるかどうかについて、明確な御答弁をわずらわしたいと思うのであります。以上をもって私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  8. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えいたします。  第一は、この自治省設置は旧内務省復活を考えているのではないかという御質問でありますが、御承知のように、旧内務省においては、中央集権的な地方制度警察制度というものを前提としておったものであります。これは現行憲法におきまして、そういうことは考えられないのでありまして、私どもの今回のこの改正は、決して御心配になっているような内務省復活意図しているものでは全然ないのであります。  次は、知事官選及び自治省ができることによって地方自治における人事に介入するようなことにはならないかという御質問でありますが、これは言うまでもなく、現在の憲法で、地方公共団体組織運営というものは、地方自治本旨に基づいて定められなければならないことは言うを待たないのでありまして、従って、知事官選というようなことは考えておりませんし、また、府県人事自治省が介入するというようなことは毛頭考えておらないのであります。  次に、地方行政本体サービス行政であるべきはずだが、今後これが官僚的な行政に変わっていくようになりはしないかという御質問でありますが、御説のように、地方行政サービス行政主体とするものであることは当然であり、これを育成していくことが必要なのでありまして、その健全な発達をはかるために、それをお世話する国の行政機構整備しようというのにすぎないのでありますから、今後この地方行政本体を変えるというようなことは毛頭考えておりません。  次に、安保条約改定と今回われわれが提案した自治省設置関係があるような御質問でありましたが、これは申し上げるまでもなく、全然関係があるわけではございません。この自治庁自治省に改めるという問題に関しましては、御承知のように長い間各方面で論議され、行政審議会におきまして十分公平な第三者も入れて審議して、その答申に基づいてこれを作っておるものでありまして、安保改定とは何らの関係はないのであります。  なお、この安保条約改定とか、秘密保護法問題等についてとか、あるいは警職法その他法律改正問題が御質問にもあったようでありますが、もちろん、秘密保護法が必要であるかどうか、あるいは警察官職務執行法が現在の規定で適当であるかどうかというようなことについては、政府は常に各方面から検討はいたしております。しかしながら、いわゆる新安保体制という一つ体制にあって、それのうちにそういうものが当然含まれてくるというふうには私どもは考えておりません。  警察法改正、いわゆる国家公安委員長国務大臣をもって充てるとした二十九年の警察法改正をさらに改めて、これを兼務させないようにしたらどうかという御意見でございます。警察制度中正立場に置き、中立的立場に置いていかなければならないという御趣旨は、私どももそう考えます。しかしてそのために、戦後におきまして、公安委員会というふうな制度ができ、その運営におきましても、民主的な、そうして中立的な、中正を守るような運営がされてきております。二十九年のこの国務大臣を兼任せしめた理由は、言うまでもなく、この公安委員会運営内閣との間の関係を緊密にするというだけでありましてこれの中正を害しないように、委員長は表決に加わらないようにされております。その後の運営を見ましても、この警察制度運営中立が私どもはそこなわれているとは全然考えておりません。  次に、いわゆる道州制、地方制度審議会答申による地方制の採用の問題についての御質問であります。いろいろ交通や通信等発達し、経済関係というようなものが従来の府県制度のままで行政がやられ、自治体として健全な発達をする上において再検討を要する時期であることは、私どもも認めております。しかし、直ちにこれを道州制とかあるいは地方制というようなものに採用していくかどうかということについては、何分にも大きな影響がある問題でありますから、審議会答申は一応ございますが、政府においては慎重に各方面から検討いたしております。まだ結論を得ておりませんので、これに対する政府意見は今日まだ申し上げることができないのであります。(拍手)    〔国務大臣石原幹市郎登壇拍手
  9. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) お答えいたします。  消防庁外局として誕生するに際して、消防施設拡充について画期的な方策を講ずべきではないかという御意見でございます。私もその通り考えておるものでございまして、最近、この消防施設に対する、ことに町村消防に対する補助は毎年予算も増額されてきております。また、起債のワクども、三十三年、三十四年と比べまするというと、倍額くらいになっておるのでございます。なお、私は、自治体消防消防関係者給与実態等もよく調査をいたしまして、いかに義勇消防とはいえ、ある程度の待遇給与等を与えるべきじゃないか。三十五年度におきましては、そういう実態調査等もいたし、給与並びに災害に対する補償等の万全を期しまして、消防施設充実を期していきたいと思っておるのであります。これらの財源につきまして、いろいろ意見、説もあるのでございまするが、これらはさらに中央地方を通ずる税制全般改正の際に、従来論議されておりまする案を取りまとめていってみたい、かように考えておるのでございます。  新市町村建設について、いろいろ御意見がございました。町村合併も大体その目標を達成して参りましたので、今後は新しくできました市町村育成強化に努めて参らなければならぬことはもちろんでございまして、それらのつの措置といたしまして、従来交付税に対する特例措置がとられておったのでありまするが、五年で大体解消されるということに建前はなっているのでございますが、私どもは、今後も市町村に対する全体のワクをふやしまして、そうして単位費用を上げる等の措置をとりまして、これらの新しい市町村育成に十分の金が回るようにいろいろな配慮をめぐらしていきたい、かように考えておるのであります。ことに、小中学校学校合併等によりまする特例措置も、従来一年でありましたのを三年間に延ばすとか、いろいろの措置を講じております。なお新市町村育成につきましては、各省関係予算に、農林省、あるいは郵政省、建設省、各省関係にいろいろのものがございます。現在、自治庁振興課あっせん役のようなことをやっておりまするが、私は、将来やはり連絡会議のようなものでも作りまして、各省予算に載っておりまする新市町村育成というようなものの予算を総合的にうまく活用できるような機構を考えていったらいいのではないか、かように考えているものでございます。地方公務員身分待遇につきましては、御指摘のように、ことに町村職員待遇が非常に低いと思うのであります心いろいろ指導等も加えているのでございますが、地方財政計画におきましては、大体国家公務員に準じましたいわゆる平均基準をもちまして、財政計画に立てているのであります。ことに、昭和三十三年七月に行ないました実態調査に基づきました基準、あるいはまた人事院勧告等にありましたいろいろ国家公務員勧告に準じた給与水準によりまして、財政計画には計上しておるのでありますが、何分にも町村全体の行政水準が低いので、これら財政計画には載っておりましても、その金を他の行政費の方へ使うという傾向があると思うのであります。御指摘のごとく、今後さらに十分なる指導を加え、あるいは基準条例改正をはかるとか、いろいろなことによりまして、給与実態が向上して参りますように努力をいたして参りたいと思います。(拍手)     —————————————
  10. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 基政七君。    〔基政七君登壇拍手
  11. 基政七

    基政七君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました自治庁設置法の一部改正案に対し、われわれが疑問に考えている数点につき、政府見解をたださんとするものであります。  私がまず第一に政府に聞きたい点は、同法案地方自治の範囲を縮小し、中央集権化方向を拡大しているという点であります。日本国憲法は、申すまでもなく、第九十二条以下の規定地方自治本旨を明らかにしております。地方自治民主主義の基本であります。しかるに、戦後の地方自治に対する政府態度を見ますと、地方財政の窮乏につけ込んで、教育の面で、警察の面で、次々と地方自治の範囲を縮小しこれを侵害していったのであります。この政府見解を露骨に表わしたのは、昭和三十一年四月二十三日、第二十四国会に内政省設置法を提出したときであります。このときは、世論に大きく反対されたのであります。今度の自治庁に消防を合併して省にするという考え方も、これと軌を一にするものではありませんか。このような基本的な考えでこの法律案提出したのであれば、これは憲法の精神を知らないものであり、非常に古い頭の持ち主と言わねばなりません。本法律案提出した政府の基本的な見解をただしたいのであります。第二に政府にお伺いいたしたい点は、なぜに庁を省にしなければならないかの理由はきわめて薄弱であるということであります。防衛庁もあり、中小企業庁もあります。それは庁でよいが、自治庁は省にしなければならないという理由が一体どこに存在するのでありますか。また、内容的に申し上げますると、自治庁自治省にすることによって、どれだけ行政能率が高くなるというのでありますか。私に言わせますと、それは単なる自治庁の役人の面子であると言いたいのであります。国と地方公共団体相互の連絡調整をはかり、地方自治の伸展をはかる道は、本法律案が内包するような、自治庁権限を強化し、拡大し、政府の監督権を拡大するという、戦前の中央集権方式で行なうべきではないと思うのであります。政府の、庁を省にしなければならないとする具体的でしかも国民を納得させる理由があれば、これを伺いたい。  第三に政府見解をただしたい点は、岸内閣行政機構改革に対する考え方であります。政府は、常に断片的な省庁の変革に終わり、総合的な行政機構の改革についていまだ一度もその見解を明らかにしていないのであります。政府のように、そのときどきの圧力や各官庁の要請に屈服して、行政機構をただ何の目標もなく大きくしていきますならば、いかなる行政機構改革ができ上がるか、その終着駅はどこに行くか、きわめて不明確であります。少なくとも、自治庁を省にするというのであれば、このような総合的な機構改革を考えている、自治庁はその一環である、このような考え方が明らかにならなければ、われわれとしてそれに賛成であるとか反対であるとかの意見は簡単に述べられないのであります、政府行政機構改革に対する総合的な機構改革案があれば、これを明らかにしてもらいたいのであります。われわれは、行政機構改革の一部でありますならばこの法律案も当然行政管理庁の責任者が説明すべきであると思うのでありますが、この点も政府見解をあわせてお聞きしておきたいのであります。  第四の問題点は、自治庁にとって今機構を改革することが最も緊急なことであるかいなかの点であります。われわれから見れば、自治庁にとって最も必要なことは、地方財政の健全化という点であると考えます。申し上げるまでもなく、明年度の地方財政計画を見ましても、一兆五千三百八十一億円に上る予算を組んでおりますが、そこには大きな問題点が含まれております。すなわち、地方財政計画中に含める地方税の割合が少ないこと、また地方税の収入には地方により大きな格差がある点、四千億円に上る補助金はすべて中央のひもつきであり、単価にも問題がある点、行政水準が異常に低い点など、数えれば限りない問題が出て参ります。このような地方財政の悩みを解決せずに、庁を省にするように狂奔している自治庁幹部、これを許した岸内閣は、地方財政の悩みを解決する誠意を持ち今わせていないと言わなければなりません。地方財政の救済再建に政府はいかなる見解を持っているのか、以上の諸点について政府見解を明らかにしていただきたいのであります。  最後に、われわれの見解を簡単に申し上げまするが、われわれは、自治庁国家消防本部を合併じて自治省にするという政府態度にほ、そう簡単に賛成できないとするものであります。その理由は、この基本的な考え方が、自治庁権限拡大であり、これは内務省復活と考え方を一にするものであり、地方自治本旨に反するという考えからであります。また行政機構の総合的な見地に立てば、今直ちに自治庁を省にする必要性と緊急性が全くないという点であります。われわれは、本法案は岸内閣の旧体制復活に通ずる自治庁設置法改正案であると信じまするが、最後に岸総理の所信を承りたいと思います。  以上御質問申し上げます。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  12. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えいたします。  今回の改正によって地方自治の範囲が縮小されるものではないかという御懸念でありますが、いうまでもなく、地方自治制度の健全な発達をはかることは民主主義政治の基本でありまして、従って、その地方自治の範囲を縮小するというようなことを考えるべきものでないことを考えるべきものではないと言うを待ちません。従って今回のこの改正におきまして、われわれは地方自治の範囲を縮小するというようなことは全然考えておりません。先ほど松澤議員の御質問にもお答えを申し上げましたよう、従来の旧内務省が、中央集権的な地方制度警察制度前提として内務省というものがあったわけでありますが、そういうようなことを意図しておるものでは全然ございません。また二十四回国会提出されました内政省設置案というものも、趣旨は、私は決して旧内務省復活するという意図は持っておらないものと見ますが、ただ今回の改正案と違って、非常に広範な、地方自治に関する行政のほかに、国土計画であるとか、あるいは建設行政までもあわせて所管するというような、非常に大きな考えでありましたが、今回の案につきましては、そういう点は現在の自治庁を大体そのままに自治省にするという考えでございます。  しからば、そういう庁を省に昇格するという必要がどこにあるのかという御質問でございます。いうまでもなく、この地方自治制度は大事なものでありまして、そうしてこの地方自治体の状況を見まするというと、その間において、国との関係を一そう緊密に円滑にいくように調整する必要がありますし、また各地方自泊掛郷欄の連絡な胸あるいは調整をはかっていかなければならないような点もございます。こういうことを世話する中央機構総理府の一外局であるということは、申し上げるまでもなく、責任を明確にする上から申しまして、これはふさわしくないし、また内閣における各省との関係、特に大蔵省との関係が非常に深いのでありますが、地方自治体におけるところの財政の立て直しもあるいはこれの伸長をはかるというような意味におきまして、一省として責任を明確にしていく、そうして今申しましたような諸般の仕事を強力に行なっていくということは、現在の自治庁の状況から見まして、また地方自治体の状況から見まして必要である。従って行政審議会におきましても、従来幾たびかその設置が要望されており、地方団体等からも強くそれが要望されておるということから見まするというと、むしろ私どもとしては、こういうことをすることがおくれておったんじゃないか、こう考えておるわけでございます。  次に、行政機構改正について、一体、政府はどう考えておるか、総合的に考える必要があるんではないかという御質問であります。私どもこの行政機構が戦後複雑になり、いろいろ大きくなっていっておることを見まするというと、これを根本的に検討して、責任の所在を明確にして、そうして、できるだけ簡素で、しかも能率的な行政機構を作り上げるということは、国民のために最も必要であるという考えから、行政機構改正につきましては、政府としてもずっと検討をいたしておるわけであります。ところが何ぶんにも全体が非常に広範にわたっておりますので、とにかくそのうち結論を得たところのものから順次これを実現していく、全体がまとまるまでは、どれにも手をつけないということは私ども適当でないので、結論を得たものからこれを実現していくという方針でおります。  行政機構改正であるから、行政管理庁の長官が説明すべきものであって、自治庁長官説明したのはおかしいじゃないかという御質問でございます。いうまでもなく、自治庁設置法というものがございまして、これの所管は自治庁長官になっております。それの改正という形式をとっておりますから、当然自治庁長官がこれの説明に当たっておるわけでございます。  行政機構の改革をするよりも、地方財政の健全のために施策する方が重要じゃないかという御質問であります。もちろん、地方財政地方自治体の健全な自治体としての機能を発揮せしめるためには、その財政の基礎を健全ならしめる必要があると思います。幸いに、近年漸次その基礎が改善されて参っておることは大へんけっこうでありますが、しかしながら、まだ地方自治体としての行政水準を考えてみますと、一そうこれを強化する必要があると思います。地方中央を通ずる税の問題に関して調査をいたしておりますが、こういうものと関連して、地方にできるだけ健全な財政的な財源を与えていくということが今後必要であろうと思いますが、そういうことについては、税制の改革とあわせて考慮いたしたいと思います。  次に、本案は、自治庁権限を拡大し、それだけ地方自治の精神に反するんじゃないかという御質問でございますが、それは最初にお答え申し上げましたように、私どもは決して、これによって自治庁の、国の権限を拡大して地方自治を圧迫する、自治権を縮小せしめるというような考えは毛頭持っておりません。(拍手)    〔国務大臣石原幹市郎登壇拍手
  13. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 総理大臣から大体全般にわたってお答えがありましたので省略いたしまして最後に消防庁の問題についてお尋ねがありましたので、この点を補足いたしておきたいと思います。  消防は、御存じのように、戦後、自治体消防ということになりまして、市町村消防ということになっているのでありますから、私は性格からみましても、国家消防本部国家公安委員会機構のもとにあるよりも、むしろ自治行政の方に入った方がいいのではないか、こういうことが一つございまして、自治省設置の際に、自治省外局にしたい。それから国家消防本部というものの性格も、総理府外局であるか何であるか、だいぶ議論されたこともありますが、これの性格も必ずしも明確でないので、自治省設置の際に、自治省外局として消防庁にした方が行政機構上からもはっきりするんじゃないかと、そういうことから国家消防本部自治省統合いたして外局とする、こういう案になっておるのであります。(拍手
  14. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      —————・—————
  15. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、お諮りいたします。中国地方総合開発促進に関する決議案(重政庸徳君外三十三名発議、委員会審査省略要求事件)、  本案は、発議者の要求の通り、委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者漏り〕
  16. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって本案を議題といたします。  まず発議者の趣旨説明を求めます。重政庸徳君。    [重政庸徳君登壇拍手
  17. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私は、ただいま提出されました中国地方総合開発促進に関する決議案について、発議者を代表いたしまして提案趣旨説明いたします。  まず決議案を朗読いたします。   中国地方は、その中央部に中国山脈が横たわっているため陰陽両地域間の連絡が困難であり、瀬戸内海には多数の小島しょが散在してこの間の交通も極めて不便なので、立地条件もよく資源も豊富なのに開発が遅れている。殊に、山陰ならびに山陽の中北部山間地帯は、積雪寒冷、特殊土じょう、急傾斜等の悪条件下に置かれているので、産業の見るべきものがほとんどなく、開発の立ち遅れが特に顕著である。  したがってこの際、本地方を一丸とする画期的総合開発計画を樹立推進して、積極的開発の実を挙げ、産業基盤の強化をはかることは、国家的見地からも極めて重要な急務だといわなければならない。  よって政府は、すみやかに、本地方の総合開発に関する基本計画を樹立し、積極的開発を促進するため立法その他所要の特別措置を講じ、国家資金の重点的投資、各種財源の計画的投入、民間資本の積極的導入等、施策の万全を期すべきである。   右決議する。  以上の通りでありますが、簡単にその内容説明いたします。  荒廃した国土の復興と経済の再建は終戦以来の国家的課題でありますが、すでに国土総合開発の一環といたしまして、北海道、東北、九州の各地方の開発促進が立法化され、三十四年三月、本院によって決議された四国地方の総合開発も今国会において立法化されんとしておるのであります。着々その緒についていることはまことに御同慶にたえないところであります。  ただいま決議案を提出いたしました、中国地方がわが国における後進地域に属すると申しますれば、実情を御承知ない方はちょっと異様な感じを持たれるかと思うのでありますが、これは汽車の窓から見られた風景があまりに恵まれているからであります。しかしながらこれはあくまでも中国地方の一部分でありまして、面積の比率から見ましてもごく小地域に限られた現象であることが立証できるのであります。すなわち、中国地方は、広島、岡山、山口、鳥取、島根の五県をもって構成されておりますが、その面積は三万一千六百余平方キロで、全国比の八・六%を占めておりますが、人口は六百九十九万余人でありまして、全国比の七・八%を占めるに過ぎません。人口密度は一平方キロ二百二十二人でありまして、全国平均二百四十一人に達しないばかりでなく、四国地方の二百二十六人にも及ばない現況であるのであります。また昭和三十一年度における中国地方の生産所得は、一人当たり七万七千四百円でありまして全国平均八万二千四百円にも遠く及ばないのであります。これら政府機関の確実なる諸統計より判断いたしましても、中国地方は明らかに日本の後進地域に該当するわけであります。  そこで、中国地方がどうしてこんなに後進性を持っているかという理由でありますが、次の諸点をあげることができると思います。  第一に、中国地方は、その中央部に東西に走る中国山脈が横たわっていることであります。これがため、まず日本海側の山陰地方と瀬戸内海側の山陽地方との交通連絡が著しく阻害され、当地方の産業の一体化を困難ならしめているのであります。  第二に考えられることは、第一次産業のうち最も比重の多い農業の経営基盤である耕地面積が著しく狭小で、「耕して天に至る、勤なるかな。耕して頂に至る、貧なるかな。」の言葉によく表われていると思うのであります。すなわち、全国農家の一・戸当たり耕地面積が○・八五ヘクタール、八・六反であるのに比べまして、中国地方は○・六一ヘクタール、六・二反という状態であります。従って……。戸当たり農家所得も、全国平均一○○に対しまして山陰側が九一・六%、山陽側が九二・八%でありまして、いずれも全国平均に達しておりません。特に、山陰地方並びに山陽地方の中北部山地地帯は、積雪寒冷、特殊土壌、急傾斜の自然的悪条件のため、各種法律の保護を受けておりますが、基本的な立地条件の悪さは、農民の努力にもかかわらず、これ以上の向上発展を期待できない実情に立ち至っておるのであります。  第三に、寒冷な気候は特に山陰地方の産業発展を妨げているのであります。  第四に、山陽地方は、戦前戦後を通じまして、重要拠点並びに沿海地域の大半を旧軍部あるいは駐留軍に接収されましたので、平和産業の発展に著しい制約を受けたのであります。第二次産業の主体をなす製造業について見ましても、零細企業が圧倒的に多く、工業付加価値額の統計を見ましても、昭和二十八年の対全国比七・四%を頂点といたしまして二十九年は七・一%、三十年六・七%、三十一年六五%と、漸次減少の傾向をたどっているのであります。  以上のような理由によりまして、中国地方の経済的実情は、外観の印象とはよほどかけ離れているのであります。しからば中国地方の今後の向上発展は絶望であるかと申しますと、私は、さにあらずと、確信を持ってここで申し上げることができると思うのであります。当地方は、阪神、北九州の二大工業地帯の中間に位して、観光資源は申すに及ばず、近代産業の根幹たる豊富なる電力資源、工業用水、労働力等の工業立地の基礎条件に恵まれております。また石炭、石灰石、硫化鉱等を生産し、最近に至りまして、核原料物資、天然ガス等の所在も確認されております。特に工業発展に、絶対不可欠の要件である電力について見ますると、現在は水力発電と火力発電によってまかなわれておりますが、水力発電の未開発分は実に百八万キロワットも残されているのであります。かように、一部臨海地域を除き、鉱工業の見るべきものなく、従って地方財政は自主財源に乏しく、産業開発の基盤をなす公共事業の投資力は弱く、金融面におきましても、地元資本の蓄積は少なく、地域開発の発展速度は緩慢である実情であります。未開発のままに放置されております各種資源を十分に活用し、陰陽両地域の総合的な産業基盤整備をはかるならば、産業及びその構造の近代化がなされ、開発効果、経済効果は非常に上がるものと信ずるものであります。  以上のような後進性を内蔵し、伸び悩みのもとにあります事情の解消、後進性打破のためには、中国地方各県地元の自主的努力と推進は申すまでもありませんが、政府の強力な施策を切望しているのが中国地方住民多年の念願であります。まず、政府は、すみやかに本地方の実態に関する基礎的調査を強力に実施するとともに、これに基づく具体的な開発促進の方策に関し、立法上、予算上、金融上、その他の特別措置を講じ、もって地域開発の実をあげ、産業の健全な発展と民生の福祉増進とをはかられるよう、特に期待するものであります。  以上の趣旨によって本決議案を上程いたしたのでありますが、議員各位の御賛同を切にお願いする次第であります。(拍手
  18. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。木下友敬君。    〔木下友敬君登壇拍手
  19. 木下友敬

    ○木下友敬君 私は、ただいま議題となりました中国地方総合開発促進に関する決議案につきまして、日本社会党を代表して賛成の討論をいたしたいと存じます。  すでに重政議員が述べました通りに、中国地方は、本州の最西端にありまして、その面積は全国の八・六%に当たっておりますが、瀬戸内海沿岸の一部を除いては、山陰地方はもちろんでございますが、山陽地方の山間部や、数多く点在するところの島々のごときは、ほとんど未開の状態に置かれておる状態でございます。人口の面から見ますと、鳥取、島根、岡山、広島、山口の五県を合わせても六百九十万でございまして、わが国全人口の七・八%にすぎないのでございますし、また、一平方キロ当たり人口は二百二十二人でございまして、全国平均の二百四十一人を相当下回っておるのでございます。また、生産所得の面から見ますと、昭和三十二年は七万七千四百円でありまして、全国平均の八万二千四百円に比べて、これまた、はるかに低位にあります。この数点を総括いたしまして申しますならば、中国地方の開発は、全体的に他地方に比べて相当におくれていると言うことができるのでございます。  それでは、どうしてこのようにおくれてきたかと申しますと……。それには次の二、三点をあげることができるのでございます。  その一は、地勢的な必然性によるものでございまして、中国山脈が東西に縦走しているために、日本海側と瀬戸内海側とが完全に縦断されている形になっております。山陰地方と山陽地方の連絡交通が断ち切られておりまして、それがために、本来同一経済圏として総合一体的な発展を遂ぐべきであるにかかわらず、広域経済への発展が大きく阻害されているのが実情でございます。  その二は、中国地方は総じて第一次産業のむる比重がきわめて大きく、一部の臨海地域を除いては鉱工業の面で見るべきものがございません。従って前述のごとく、住民の所得は、全国水準をはるかに下回っており、また、このような産業の不振と経済力の貧弱さによりまして、地場資本の蓄積が乏しく、さらに、各県財政の実情について見ましても、その総予算に占める自主財源の比率はわずかに二五%でございます。全国平均の三三%に比較して実に八%の低位にあり、自力で開発することがきわめて困難な状態であることは、御了解をいただけることであると思うのであります。  第三に考えられますことは、中国地方の大部分が特殊土壌、急傾斜、積雪寒冷、湿田単作地帯等におおわれ、特に山陰山陽中北部一帯は、未開発の山地であります。また、内海には大小たくさんの島々をかかえており、これらに対し、従来、国の施策によってそれぞれ特別の地域指定を受けてはおりますけれども、積極的な助成の方途が講ぜられないために、依然として低位生産性を脱却することができず、開発が著しく立ちおくれているのでございます。  さらに、山陽側は、戦前戦後を通じて、工業地帯としての重要な拠点はもちろん、沿岸海域の大半を旧軍部並びに駐留軍が来ましてからは駐留軍によって接収され、このため、平和産業の成長発展には著しい制約を受けてきたこと、これなども中国地方の開発をして立ちおくれさせました大きな原因をなしているように考えられるのであります。  しかしながら、この地方は、前述のような後進地域にあるとはいえ、一面、阪神、北九州の二大工業地帯の中間に位置し、三面に海をめぐらし、南には四国地方と相対しております関係上、地理的条件には比較的恵まれております。さらに、臨海工業地帯の造成適地を数多く内蔵し、工業立地の必須的条件である水、エネルギー、労働力等、豊富な資源を擁しておりますので、これらの優位な立地条件に加うるに、いまだ利用されないままになっている資源の十分なる活用とさらに山陰、山陽両地域にわたる経済基盤の総合的培養整備努力をいたしますならば、開発の効果は期して待つべきものがあると確信するものでございます。  私は、このような見地に立ちまして、本地方の開発が今後急速に促進されることを念願いたすものでございますが、国においては、このような後進性をいつまでも放置することなく、中国地方の経済の拡大と高度化のために、木地方の実態について基礎的調査実施するとともに、これに基づく具体的な開発促進の諸施策について立法その他の特別の措置を講ぜられますよう強く要望いたしまして、日本社会党を代表しての私の賛成討論を終わることにいたします。(拍手)     ─────────────
  20. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 山田節男君。    〔山田節男君登壇拍手
  21. 山田節男

    ○山田節男君 ただいま上程されておりまする中国地方総合開発促進に関する決議案に対しまして私は民主社会党を代表いたしまして賛意を表するものであります。  以下、若干理由を申し述べたいと存じます。提案者並びに社会党の木下君から、中国地方の後進性につきましては、るる数字をあげて御説明になりました。私の申し上げんとする点は十分尽きておるわけでありますから、重複する点は避けたいと存じます。  ただいま提案者からも御説明がございましたように、中国地方は人口並びに面積にいたしましても全国の約八%、これらの約七百万の住民が農業、中小工業、漁業等に従事しておりまするが、農地に関しましては、ただいま数字で示されましたように、いわゆる五反百姓でございます。しかも、瀬戸内海は御承知のように非常に海岸線が長い、しかも無数の大小の島嶼がございます。これらの漁民は、いわゆる一本釣りというきわめて零細な漁業者である。これでは食っていけないので、半農半漁のきわめてみじめな状態にあることは、これまたよく皆様の御存じの通りでございます。なお、山陰地帯は、鳥取初め、ずっと山口県の北辺に至ります日本海面の沿岸というものは、ほとんど砂丘地帯でございます。しかもあの単調な日本海、荒波を乗り切って漁業を営むこれらの諸君も、これまたきわめて零細でも、たとえ遠洋漁業をするにいたしまして、いわゆる李承晩ラインというものがございまして沖取り漁業というものは制約されている今日にあるのであります。また、地政学的に申しましても、この中国を平行線に割っておる高い中国山脈が、これが、今日まで、経済、文化あるいは政治、社会上におきましても、非常な格差を生じておる原因である。そこに中国の文化経済を、陰陽を平均いたしますというと、先ほど御説明がありましたように、きわめて後進性が濃い。文化的には、古事記に示される通りに出雲文化の発祥地でありながら、今日、出雲は単なるいわゆる結婚の縁起をかつぐ人々にもてる一つの観光地帯にすぎない。出雲文化というもりは何らの発展性を持たない。これはやはり今日の交通通信文化の非常な未発達のために取り残されたのであります。でありますから、今日の科学技術の発達の段階からすれば、中国山脈というものは、決してこれは開発について隘路になるものではございません。いわゆる自然改造というものは、今日の科学技術の威力をもってすれば、きわめて易々たるものであります。また、私は汽車で瀬戸内海周辺を旅しまするごとに考えますことは、あの段々畑の存在、それがために離島振興法等もありますが、農夫はまことにネコのひたいのような農地を耕すために、平地におきます農夫よりも数倍の労力を使っておる。しかも、その収穫はきわめて貧弱である。こういうようなことも、私は、今日の科学技術をもってすれば、これらの無数の山岳、島喚というものを、これを平面的な耕作地にすることはきわめて容易であると思います。また、ここ数年来、山陰地方、中国では年間最も安定した豊富な水量を持っておるという江川の問題であります。これが広島県と島根県という行政区域が違っておりますがために、この豊富なる水量を一面におきましてはダムの建設において電力資源の開発、またその一部の水流を、これは分水嶺から広島県、瀬戸内海方面に逆流せしめまして、台地を水田地に変えるということも技術的に可能であるにかかわらず、今日これが依然として資金的にも、あるいは行政的画一主義的でありますがゆえに、そこに非常に困難を呈しておる。こういういろいろな点を見ましても、この問題になっておりまする日本海と瀬戸内海とを結ぶことのできないために、兵庫県や山口県とは異なりました島根、鳥取、岡山、広島、これらを私はどうしても、行政的にもそうでございまするが、少なくとも今日の現実の後進性というものを打開するためには、行政区画をこえた総合開発的な政府のプラン、並びにこれを実行するために集中的な資本的な投資、あるいは工場の誘致その他のことが、どうしてもやはりこの各県の単位をもっては実行できないというのが現状でございます。  かような点から、ただいま上程されましたこの決議案を、どうか皆さん満堂の御賛同を得まして、これを立法化いたしまして、ひいては日本の経済の向上発展、また七百万中国関係の住民の福祉増進、経済安定のためにも、皆様の絶大なる御支援を賜わりたい。かような意味におきまして、私は本土程案に対しまして、民主社会党を代表し、満腔の賛意を表する次第でございます。(拍手
  22. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  23. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。  ただいまの決議に対し、菅野国務大臣から発言を求められました。菅野国務大臣。    〔国務大臣菅野和太郎君登壇拍手
  24. 菅野和太郎

    国務大臣(菅野和太郎君) ただいま決議されました中国地方総合開発促進に関する決議につきましては、決議の趣旨に沿いまして、今後できるだけ努力いたしたいと存じます。(拍手)      —————・—————
  25. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第一、公立学校学校医公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。文教委員長清澤俊英君。    〔清澤俊英君登壇拍手
  26. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 ただいま議題となりました公立学校学校医公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過及び結果を御報告いたします。  本案は、衆議院文教委員会提案にかかるものでありまして、従来公立学校学校医だけに適用されていた公務災害補償を、学校歯科医、学校薬剤師にもこれを適用しようとする趣旨のものであります。  昭和三十二年に公立学校学校医公務災害補償に関する法律が制定され、公立学校学校医が公務上の災害を受けた場合には、公費負担による適切な補償措置が講ぜられることにより、学校医が安んじてその職務に精励できるようになりましたが、その後、学校保健法が制定され、学校医学校歯科医及び学校薬剤師の三者が、学校の保健管理に関する専門的技術及び指導に従事する者として同等に規定されました。しかるに、右三者のうち、公立学校学校医だけが公務災害補償の恩恵に浴し、学校歯科医及び学校薬剤師が、いまだ本法の適用を受けていないことは、片手落ちというべきでありますから、この両者を新たに補償の対象として加える必要を認めるというのが本改正案提案理由であります。  委員会におきましては、この法律施行以来の学校医公務災害補償の実情、学校薬剤師の職務の内容及び現在の設置状況、昭和三十六年四月一日以後必置すべき学校薬剤師に関する予算措置等について、各委員から熱心な質疑が行なわれましたが、これらの質疑及びこれに対する政府答弁の詳細については、会議録に譲ることといたします。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、特に発言もなく、直ちに採決の結果、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手
  27. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  28. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  29. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、日本原子力研究所法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。商工委員長山本利壽君。    〔山本利壽君登壇拍手
  30. 山本利壽

    ○山本利壽君 ただいま議題となりました日本原子力研究所法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。御承知のごとく、日本原子力研究所は、わが国における原子力の研究開発及び利用の促進に寄与するという目的のもとに、昭和三十一年に設立された特殊法人であります。発足以来すでに三年半を経て、施設、人員ともに大幅に増加しているため、拡大していく業務を円滑に運営する管理機能の強化が必要となって参りまして、本改正案は、このため、理事長、副理事長を補佐して業務を掌理する任務にある理事の定数を、現在の五名から六名に増加しようとするものであります。  商工委員会におきましては、熱心な質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録に譲り、特に論議の中心となつた点を申し上げますと、まず原研職員の増員の見通しと、それに対する理事の適当数いかんとの質問に対し、政府は、人員は将来最大限二千名程度となる予定だが、理事数は今回の一名増加で十分と考えるとの答弁がありました。また、現在の給与で必要な研究員を適材適所に充足し得るかとの質問に対しては、三十五年度予算においても職員給与の改善を考えているので、十分充足し得るとの答弁がありました。  かくして質疑を終わり、討論に入りましたが、別に発言もなく、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって衆議院送付の原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  31. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  32. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よりて本案は可決せられました      —————・—————
  33. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第三、漁船損害補償法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。農林水産委員長堀本宜実君。    〔堀本宜実君登壇拍手
  34. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 ただいま議題となりました漁船損害補償法の一部を改正する法律案について、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  昭和二十七年、現行漁船損害補償法が制定実施されたのでありますが、漁船保険事業の健全な発展をはかるためさきに農林省に漁船損害補償制度調査会を設け、調査審議を行ない、その答申に基づいてこの法律案を立案、提出するに至ったものであるとされております。  しかして、この法律案内容は、第一は、保険料率体系を合理化するため、普通損害保険と満期保険の損害保険部分との保険料率の算定基準を法定し、再保険料率の算定基準を改め、元受純保険料率は、危険率を基礎とし、保険収支が長期的に均衡を保つように定め、また再保険料率は、元受の料率とは別個に、異常危険部分の率と通常危険部分の率から定めることとし、第二は、義務付保に伴う保険料の国庫負担について、漁船の規模に応じ、最高百分の六十から最低百分の四十までの割合で階層差を設け、さらに、新たに義務付保以外の場合について 一定数以上の小型船が集団加入した場合には、これに対し、義務付保の場合の二分の一に相当する保険料を国が負担することとし、第三は、義務付保の単位となる地区の範囲を明確にするため、これらの地区は都道府県知事が指定し、しかしてその指定にあたっては、原則として漁業協同組合の地区と一致するように指定することとし、以上のほか、保険組合の役員等の任期の延長、役員の義務及び損害賠償責任、保険関係の承継または存続、付保義務の消滅及び組合の経理等に関する規定に所要の改正を加え、また、新たに再保険料の延滞金の徴収に関する規定を設けた等であります。  委員会におきましては、まず政府当局から提案理由その他について説明を聞き、質疑に入り、保険料の分割払いと再保険料の延滞金、保険組合の種類、小型船の保険加入の促進対策、改定料率、任意加入の小型船の料率の軽減措置、満期保険の改善策、特殊保険料の軽減措置、漁船再保険特別会計の利益金の活用、保険科の国庫負担方式その他が問題になり、その間において、政府当局から、再保険料の分割払いについては、従来、民事法定利率による延滞金を徴収しており、分割払いの禁止論もあるが、法制化を避け、指導で廃止することとしたい。しかして延滞金は日歩二銭四厘を最高としてこれを引き上げたい。保険組合は、地域と業態の二本建てにしておいた方が現状に適応すると思われる。今回提案した料率及び保険料の国庫負担方式の改正等によって小型漁船の保険加入の促進をはかりたい。小型漁船に対する保険料の国の負担を六割以上とすることは困難であるので、小型漁船のものの一部を大型漁船に転嫁することとした。小型漁船の任意加入の保険料は集団加入の措置によってその軽減をはかり、満期保険制度は存続することとし、制度を生かすよう検討したい。特殊保険に対する保険料軽減の措置はさらに継続したい。特別会計の利益金によって漁船保険振興基金を設けることは今後の問題として検討したい。しかし利益金の一部はすでに一般会計に繰り入れて漁業振興に利用することを考えた等の旨が述べられ、これらについて、それぞれ応酬が行なわれたのでありまして、これが詳細は会議録に譲ることを御了承いただきたいのであります。  かくして質疑を終わり、討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、この法律案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  続いて、再保険料の分割払い、再保険料の延滞金、特殊保険の料率及び加入促進並びに漁船保険事業の発達等について政府の善処を求める趣旨の附帯決議を委員会の決議とするごとに決定し、なお、この決議に対して農林政務次官から、決議の趣旨を体して善処したい旨、政府の方針が述べられました。  以上報告いたします。(拍手
  35. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  36. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  37. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第四、不動産登記法の一部を改正する等の法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。法務委員長大川光三君。    〔大川光三君登壇拍手
  38. 大川光三

    ○大川光三君 ただいま議題となりました不動産登記法の一部を改正する等の法律案について委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。  本法律案趣旨は不動産制度の合理化をはかるため、土地台帳及び家屋台帳の制度を廃止して、不動産登記制度統合一元化し、もって登記手続に関する規定整備しようとするもので あります。  法務委員会におきましては、三月三日政府当局より提案理由説明を聞き、質疑に入り、同月二十二日には東京大学教授加藤一郎君ほか二名の参考人から意見を聴取の上、さらに質疑を続行、この質疑の過程で問題となったものは、新たに設けられる不動産表示登記の法律的性格、保証書による登記申請の乱用を防止するため、事前通知制度の採用、登記義務者につき確実な知識なしに保証をした者に対する罰則の新設等であります。これらの点に対し、政府当局からそれぞれ答弁がありましたが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かくて同月二十五日質疑を打ち切り、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して井川委員から、本改正案は適切妥当なものとし、本法案実施に伴う人的物的施設充実強化をはかることを政府当局に要望して賛成の意見が述べられ、次に、亀田委員からは日本社会党を代表し、一元化の理論上の疑義、時期の適否並びに保証書に関する刑罰の不均衡等を理由として反対の意見が述べられました。次に、赤松委員から民主社会党を代表して、本制度実現につき、施設整備、従事する職員待遇改善の実現等の希望を述べて賛成の意を表されました。  討論を終わり、採決に入りましたところ、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  39. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立]
  40. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十六分散会。      —————・————— ○本日の会議に付した案件  一、自治庁設置法の一部を改正する法律案趣旨説明)  一、中国地方総合開発促進に関する決議案  一、日程第一 公立学校学校医公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第二 日本原子力研究所法の一部を改正する法律案  一、日程第三 漁船損害補償法の一部を改正する法律案  一、日程第四 不動産登記法の一部を改正する等の法律案