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1960-04-12 第34回国会 参議院 法務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十二日(火曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大川 光三君    理事            井川 伊平君            高田なほ子君    委員            泉山 三六君            津島 壽一君            林田 正治君            宮澤 喜一君            千葉  信君            赤松 常子君            市川 房枝君   政府委員    法務省矯正局長 渡部 善信君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    警察庁保安局防    犯課長     町田  充君    法務省大臣官房    主計課長    勝尾 鐐三君    法務省刑事局青    少年課長    長島  敦君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○検察及び裁判の運営に関する調査  (売春対策に関する件)  (少年犯罪対策に関する件)   —————————————
  2. 大川光三

    委員長大川光三君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  前回の当委員会の要求により提出されました婦人補導院に関する資料に基院法務委つきまして、渡部矯正局長より御説明をわずらわします。
  3. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 前回の当委員会におきまして、婦人補導院概略を申し上げましたことにつきまして、資料を御提出申し上げた次第でございます。この前の委員会で申し上げたことと重複するかと思いますが、一応この数字につきまして御説明申し上げたいと思います。  御承知のごとく、婦人補導院昭和三十三年五月十五日から収容を開始いたしましたので、そのときから今年三月末日までの数字を第一表に載せておるのでございます。昭和三十三年中はどの補導院も全部分院の形で、各女子刑務所に付属いたしました分院の収容状況でございます。三十三年は補導処分になりました者が全部で九十六名でございます。出院いたしました者が、退院処分でありまして六カ月の補導期間を全部過ごしまして退院いたしました者が二名、仮退院地方更生保護委員会の方で仮退院を許された者が二十一名、合計二十三名の者が出院いたしておるのでございます。それで三十三年の年末には七十四名で年を越したわけであります。三十四年中には二百七十八名の者が補導処分を受けて入ったのでございます。その中に「入院」のところに「その他」として五名が書いてございますが、これはその次の欄の「出院」のところにあります「その他」と合うのでございますが、これは各補導院間での移送をいたしましたものが山院となり入院となって出てきておるのでございます。従いまして新しく入ってきた者ではございません。相互の間での移送でございます。それから出院の方でございますが、退院が六十六名、仮退院が九十三名、そうして逃走が五名出ておる。この逃走はほとんどが大阪婦人補導院逃走いたしたものでございます。それで年末には百八十九名で年を越したのでございます。本年に入りましてから、補導処分を受けました者が六十七名、それから出院は、退院した者が三十四名、仮退院が三十九名、逃走が五名、これは東京補導院で、栃木婦人寮から八王子の本院に移りましてから逃走いたしましたものでございます。それと大阪婦人補導院で一名、合計三名ということになっております。入院の方に逃走者の連れ戻しという数字が三十四年、三十五年に一名ずつ掲げてございますが、従いまして八名逃走しました中で二名連れ戻され、六名はまだ連れ戻されていないということになるわけでございます。合計いたしますと、開設以来本年の三月末までに四百三十一名の補導処分を受けて参っておるのであります。そうして退院または仮退院で出ました者が二百五十五名ということになるわけでございます。現在は、三月末には百八十名の在院者でございます。これは東京婦人補導院に七十六名、大阪婦人補導院に七十一名、麓分院で三十三名、合計百八十名ということになっておるわけでございます。そこで、このうちの三十四年中に収容いたしておりました者についての詳しい調査をいたしましたのが第二表でございます。三十四年の入院計二百八十四名と第一表に載っておりますこの二百八十四名についての調査でございます。この二百八十四名のうち収容度数でございますが、これが第一表でございまして、今度初めて入りました者が二百四十名、二度入りました者が四十三名、三度入りました者が一名、合計二百八十四名であります。三十三年の五月に開設以来、すでに退院をいたしましてまた二度以上入って参りました者が四十四名あるということでございます。  第二表の方は収容時の年令でございますが、二百八十四名の年令層を見ますると、ごらん通りでございまして、大体三十才未満、二十才代の者が百五十二名で、五三・五%、約半数ちょっとが二十才代の者だということになるわけでございます。しかしながら、相当高年令の者もおるわけでございまして、四十才をこした者が合計四十人おるということになるわけでございます。次に、これらの入って参りました者の学歴と知能指数でございますが、ごらん通り相当知能の低い者が多いのでございまして、六九未満のものがこれを合わせますと百六十四名で、五七・七%ということになるのでございます。それから学校の方で見ますると、小学校卒業程度までの者が百四十九名になりますので、これが大体九二・五%ということになるわけでございます。中学校卒業までを入れますると、それに百十四名、四〇%が加わるわけでございましてほとんど大部分の者が中学校以下の者であるということになるわけでございます。これらの収容者精神状態を調べたものでございますが、それが第四表になっておるのでございます。正常な者が八十三名の約三割で、準正常、まあまあというところが五十四名、これが一九%、で、何らかの精神障害のあります者がそれ以下のものでございまして精神病質傾向のある者が十七名で六%、それから精神病質の者が四人で一・四%、それから精神病と診断のつく者が五名で一・八%、精神薄弱の者が百三十名で四二・三%、テスト不能の者が一名、かように精神薄弱者が四割以上も占めておるということになるのでございます。この処遇上、かような精神状態でございますので、なかなか取り扱いがむずかしいわけでございまして、普通の者が大体百六十八名で六割、六割の者がまずまず普通でございますが、あと四割の者が処遇に困難を感じておるものでございます。やや困難な者が六十名で二一%、それからむずかしい者が五十六名で一九・七光ということになっております。それから、かように入って参りました者の身体上の障害の点でございます。性病とその他の病気とに分けてみますると、性病を持った者が大体百二十六名、四四・四%、約四割以上の者が性病にかかっておるのでございます。何の病気も全然持たない者、ほんとう健康体というものはこの二百八十四名のうち七十二名にすぎないことになるわけでございます。これらの収容者を、いろいろと医療を施して治療をした上で出院いたすわけでございますが、その出院時の状況を見ますると、第六表に掲げてあるところにございまして、三十四年中に退院した者が百五十九名でございますが、そのうち、収容のときに疾病を持っておった者が百十八名おるわけでございますが、その百十八名につきまして、出院時の状況を調べましたものが第六表でございます。性病を持っております者が全部で七十六名でございますが、その中で全治いたした者が六十七名、八八・二%、それから未治癒が九名ということになっております。一一・八%、これはちょっと表のつらから申しますと、性病もなおさずに出すということは、まことに工合の悪いわけでございますが、これは梅毒の相当進んだ者でございまして、これはちょっと六カ月ではなおし切れないのでございます。しかしながらこれは、臨床上の症状はもうすでに消えておるのでございまして、感染等の危険はないのでございますが、まだ臨床上の症状が残っておりますために、なお引き続き治療を要するという者をあげたわけでございます。それから、その他の疾患は、百二十名のうち八十六名が治癒して出ておりますが、三十四名の者は未治癒のまま出院いたしております。これは、結核とかその他ちょっとなおりにくい者が相当おりますので、さようなものが未治癒のまま退院している、こういうことになっております。かように、出院時にまだ病気も全治せずに出ている者がございますが、さような者は引き続き保護を要するわけでございまして、かような人たちには引き続き厚生省関係保護の手に乗せていただくことになるわけでございます。もちろんその前には仮退院者につきましては、保護観察の手に乗るわけでございますけれども、ただいま申し上げました通り、六カ月の補導期間を仮退院した者でございますので、保護観察期間は非常に短いということになるわけでございまして、やはり厚生省との関連性を非常にわれわれとしては考えていかなければならないわけでございます。で、各補導院には篤志面接委員の制度がございますので、さような人たち婦人相談員方々を御委嘱申し上げまして、その後の連絡保護に遺憾のないようにいたしておる次第でございます。  大体、概略を申し上げました。
  4. 大川光三

    委員長大川光三君) ただいまの資料説明に対して、御質疑のある方は御発言を願います。
  5. 高田なほ子

    高田なほ子君 二点だけ簡単に御質問申し上げます。  第一表の説明の中で、三十四年度に大阪で五名逃走し、三十五年度は五名、大阪一人、八王子二と、こういうふうに説明されております。これは、いろいろ事情はあるでしょうけれども、何かわけがあって逃走したのだと思いますが、この仕事に当たっている方々懇談会からいろいろ聞きますと、食糧がやはり足りない面があるという声が上がっているわけです。一体婦人補導院の一日の食費、その他の要費、これはどういうふうになっているか、特に地域的に差があるのではないかという点、これが質問の第一点です。  それからもう一つは、第四表の精神状況等、それから処遇についての説明がありましたが、この中で、収容されている者の四二・三%が精神薄弱というふうな説明がありましたが、この精神薄弱のものが売春婦に転落してくる経路というのはどういうふうな経路でこれは転落してくるものか。少しむずかしいかもしれませんが、傾向だけはおわかりであろうと思いますので、この二点について。
  6. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 婦人補導院におきます逃走原因につきまして、食糧関係が相当大きな原因をなしておるのではなかろうかという御質問でございます。実は婦人補導院食糧少年院とあまり大差のない食糧でございますが、主食の方は金で申しますと三十一円二十九銭、それから副食の方が二十三円五十銭、合計五十四円七十九銭ということになっておるのでございます。これは菜代の二十三円五十銭と申しますのは、少年院の副食費と大体同一でございます。主食の方、矯正関係栄養状態でございますが、これはなかなか金額の点から増額はむずかしいのでございまして、主として主食栄養をとるようにいたしておるのでございます。従いまして、主食の量はそう私は一般食糧状態から考えまして不足はないと思うのでございますが、たた副食の点でいささか不足しておるように思うのでございます。この副食費が二十三円五十銭と申しますと、まことにわずかな金でございます。しかしながら御承知のようにまとまった数で購入いたしますので、さような面ではお考えの点ほどでもないと思っておるのでございます。ただ費用の関係から動物蛋白質がとり得ないうらみがあるのでございまして、この点はさらに増額を要求いたしまして、動物蛋白質の補給ができまするように今後とも努めたいと思っておる次第でございます。量の点から申しますと、そう私は多いというわけにはいかぬだろうと思いますけれども、しかしこういう売春婦をしておる人たち生活が今まで非常にふしだらでございますし、あるいは場合によりましてはぜいたくな食糧をとっておる者もあるかと思います。さような面で食糧不足ということも言えるかとも思いまするが、ただ入院中に体重のふえます者と減ります者と両方あるわけでございます。入院中の体重をずっと比較いたしますと、割合体重のふえて参ります者が多いのでございます。これは体重だけを調べたものでございますが、今表に申し上げました三十四年中に退院いたしました百五十九名についての調べでございますが、入院時と比較いたしまして体重のふえた者が百八名、これは六七・九%になります。それから体重の減った者が四十三名、これは二七・一%になっております。まあこういうふうに大体食事をいたしておりますので、ふとり過ぎの者はやせて参りますが、やせている者はふとって参るというような状態が続いておるのでございます。この点は仰せのごとく、決して補導院における食費関係は十分ではございませんので、今後とも努力はいたしたいと思っております。  それならば、主として逃走原因は何であろうかということになるわけでございますが、これは最近東京逃走いたしました、婦人補導院に参りましてからの逃走者でございますが、これは本人内縁の夫でございますが、内縁の夫が東京拘置所収容されましてそれからいろいろとまあ文通があったのでございますが、そういう拘置所に入れられたということを非常に心配いたしまして、何とか一ぺん会いたいというようなところから栃木婦人寮から東京へ移ってきましたために、東京も非常に近くなりますし、栃木のような刑務所と違いまして割合開放的な所遇をいたしておりますので、逃走いたしていったということになっております。で、まあいろいろ逃走原因もあるかと思いますが、やはり家族の心配というふうなことも相当原因になっておるのではなかろうかと思う次第でございます。なお、この逃走者の中で、先ほど申し上げますごとく、八名のうち二名が連れ戻されて六名が帰っておりません。まあこれは結局はもとの古巣に帰った人たちじゃなかろうかというふうにも考えますので、今までのやはり生活というものにまだ未練を持ってその生活に帰っていったというふうな方が大部分ではなかろうかと思う次第でございます。  それからこの第四表につきまして……
  7. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっと。一表について漏れています。少年院と同じように一日に鼻紙が四枚とか、一週間に右けんが一つとか……。
  8. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) これはみんな少年院と同じでございます。女の子供も収容しておりますので、そういう者と大体同じ標準で日用品等は支給しております。
  9. 高田なほ子

    高田なほ子君 男の子と女の子はやっぱり違う点がありますからね、それはどういうふうになっていますか。
  10. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 少年院女の子収容しておりますので、その女の子の……。
  11. 高田なほ子

    高田なほ子君 それはどういうふうになっておりますか。
  12. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) ちり紙が一日十四枚、それから石けんがことしはふえまして、洗顔の石けんでございますが、年に八個でございます。これは男子もそうでございますけれども、ちり紙それから石けん等支給率をことしは増したわけでございます。
  13. 高田なほ子

    高田なほ子君 そのほか、婦人に特別な生理日の手当なんというのは、特別な予算が組まれてあるわけですか。
  14. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) これは衛生帯とか、それから脱脂綿とか、そういうふうなものは支給いたしております。  それから、精神薄弱者が非常に多いという点でございます。これはこの前の表でごらんになりましたごとく、教育程度が非常に悪いのでございます。こういう点もテストの面に現われてきているんじゃなかろうかとも思うのでございますが、全般的にこの精神薄弱者が非常に多いのでございます。これらがどうしてこういうふうな売春婦としての生活になっていったかということでございますが、これは婦人補導院に入って参ります者はことに精神薄弱者の占める率が多いのでございますけれども、全体といたしましても、この前の委員会でも厚生省から御説明がありましたごとく、売春婦全体としても精神薄弱者割合率が多いように私感ずるのでございます。で、私らの方に参ります補導処分を受けました者から、全体の売春婦の生態というものを推しはかることは非常に危険だと思うのでございます。ほんとうにわずかな、ただいま申しますごとく四百名程度のものでございますので、非常に特殊な売春婦人たちだろうと思うのでございます。で、この三十四年に入ってきました二百八十四名の者につきましていろいろ調べた結果によりますと、ほとんど大部分の者が、入りますときには職業についていない、無職者がほとんど大部分でございます。二百八十四名のうち二百十七名が全然職業についてない者でございます。パーセンテージにしますと七割六分ということになるわけでございますが、こういうふうに無職であった者が、売春によりまして得ました金で一体どういうふうなことをしているか、だれか養っているんじゃないか、扶養義務者とか、そういうふうなものが相当おるんじゃないかということでございますが、われわれの方で調べますと、ほとんどさようなものはここに入ってきている者は少ないのでございます。その上がった金でこれは情夫等——内縁の夫なんかも含めたものでございますが、あるいは子供を養っている者が三十一名で約一割程度の者でございます。それから両親を養っておった者が四名で一・四%にすぎません。それから内縁の夫も含めまして、夫を扶養しておったというのは七人で二・五%、それからその他の者が三名で約一%、残りの二百三十九名、八四%に当たる者はだれも、自分のその金によって扶養しておる者はないということになっております。これはあるいは調査では要らない点もあるかと思いますが、さような状況でございまして、どうも自分の糊口をしのぐ手段ということになっておるように思われるのであります。
  15. 高田なほ子

    高田なほ子君 矯正局長にこの質問はちょっと無理かと思うのですが、町田防犯課長が見えておられますが、精薄のものが転落していく経過というものは、この前の委員会でもひもの問題が大へん出たのです。それで転落していく経過というもの、これはどういうふうなケースで転落していくのか。精薄の者が多いわけですが、その経路がもしおわかりでしたらちょっと説明して下さい。
  16. 町田充

    説明員町田充君) 精薄者一般に申しまして、ことにその生計の道を得ることができないわけでございます。一番手軽なと申しますか、生きる道として簡単な道を選ぶというふうなことで、本人にも原因があるでしょうし、それを取り巻くいわゆるひもとか、ぐれん隊とかいうふうなたぐいのものもそれを利用して、そういうものをなおうまく困惑させる、だますというふうな方法売春に陥らせるというふうなことが原因ではないかと思いますが、個々の事例をとってみますと、確かにそういう問題がたくさんあるわけでございますが、全般的な原因といいますか、傾向といいますか、それを特に分析してみたことはございませんので、その程度説明でごかんべんを願いたいと思います。
  17. 赤松常子

    赤松常子君 二、三ちょつとお尋ねしてみたいと思うのでございますけれども、この表で見ましても、呼吸器病の人もありますし、伝染性病気を持っている人もあるのですが、私補導院をまだ一度も拝見いたしておりません。普通の一時収容所は時々拝見いたしておりまして、少年の例の江戸川にございます江戸川寮、あそこにちょっと行ってみたのでございますけれども、まだああいうところは設備は不十分でございましたね。伝染性の人を別に分類しておりませんのですが、補導院の場合はこの呼吸器病あるいは伝染性——異常関係の分数はちゃんとしておいででございましょうか。
  18. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 補導院の方には専任の医官を配属いたしておりまして、結核その他医療関係につきましては医務室を設けまして、それから休養室、病室も設けております。レントゲンその他の機械も備えまして、医療関係には相当力を入れておるわけであります。なお八王子婦人補導院には、近くに八王子医療刑務所がございます。そこからも精神医その他の専門医も参りまして、これは併任にいたしております。それで治療いたすような方法も講じておるような次第でございます。なお大阪の方は、大阪刑務所が近くにございます。そこの医官もやはり応援をいたしておるのでございます。
  19. 赤松常子

    赤松常子君 それと同時に、窃盗の人だとか、ここにもございます精神薄弱、そういう人々一緒にいるのですね。これが困るという訴えを非常に聞いておりますのですが、そういう点補導院の方はどうなっておりましょうか。この精薄の人は別に置いても、置くだけでございましょうし、置いてもいいでしょうが、窃盗癖があるからなんというのは、どうも扱いが非常に無理ではないかと思うけれども、そこを何とか分類してもらいたい。まあ分類のその基礎を作るところから、そういう技能を持っていらっしゃる方が配属されて、心理的にも研究して、そうして分けてもらいたい、これを強く要望されておりますのですが、何もかもごちゃまぜですからよくならないのでございますね。
  20. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 窃盗その他の犯罪を犯した者と一緒になっているじゃないかということでございますが、少年院ではさような傾向があると思います。女子少年院でございますが、そこでは売春の経験を持った者も一緒に置くのでございますが、補導院ではちょっとさようなケースはあまりないんじゃないかと思います。売春防止法によりまして、執行猶予になった者は、補導処分をつけられることになっておりますので、さようなものを持った者もおるかもわかりませんが、併合罪で起訴されておるものとなりますと、ちょっとむずかしいんじゃなかろうかと思います。また、たとえありましても、それを起訴から除外されまして、売春防止法だけで起訴され、執行猶予になって補導処分になされたものもあるかもわかりませんが、割合この補導処分になりましたものは、さようなケースは少ないんじゃなかろうかと思います。少年院ではそういうケースもあるわけであります。
  21. 赤松常子

    赤松常子君 私の申しますのは、そういうはっきりした犯罪表面に出たというのでなく、ちょっとすぐに物を取ってみたり、何かあるらしいのでございまして、そういう癖のある人と一緒にいるということで、かえって悪くなっていくから、最初からそういう分類のあれですね、このごろやっていらっしゃいますことを婦人収容施設にもやってもらいたい、こういう御要望なんです。もちろん表面に出た方は何とか処置をなさって、取り扱いも厳重になさって、気をつけていただいていると思いますが、それに現われない、細々と——これは共同生活ですから、共同生活に耐えられない場合が多いわけなんでございますね。そういうことも何か御要望があることも現地の人から一、二聞いておりますから、気をつけておいて下さい。  それからその次に、先ほど婦人相談員の方もいろいろとおっしゃっておりまして、もちろんこれは当然で、婦人相談員も大へんこのごろ熱意を持ってやっていらっしゃいます。この間実は婦人相談員の会をいたしましてそのときに御要望一つございました。それは、東京婦人相談員でございまして、東京地検に毎日出張していらっしゃるんです。ところが、そこにやはりあげられてくる女の人々がたくさんいまして私一度やはりどういう扱いをしているか、ほんとうに見たいと思うし、教えられたのでございますけれども、そこに司法保護司おいでになり、そうしてこちらから婦人相談員が行っていらっしゃる。これは明らかに売春問題だ、こちらに回してもらいたいケースだけれども、そこで発言をするとか、あるいは意見を言うとかいうことが許されない。この地検関係保護司が優先ですから、保護司扱いを重点になさる。これはもちろんそうでございましょうが、全然そこに婦人相談員の出る幕がない。何か相談してみたいと思うけれども、いや、あなた黙っておって下さい、ここは司法保護司のわれわれの責任の場ですからとおっしゃって、何かそこに、よく言えば責任を持ってやっていらっしゃる、悪く言えば、縄張り争いのようなことが繰り返される。そこでいろいろ御相談したのでございますけれども、この解決は、結局婦人相談員の方が保護司の資格をお持ちになれば、両方の資格でそこへ入っていって相談もでき、経験も言えるのですけれども、またその資格をとるのは、今なかなかちょっと容易なことではありませんので、今何かもたもたと東京地検のそこに起きている状況を詳しくおっしゃったのであります。これは、事実いかがなんでございましょうか。どうすればいいんでしょうか。
  22. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 最初に仰せになりました点、ちょっと申し上げたいと思いますが、仰せのごとく、いわゆる手くせの悪い者もおると思いますので、実はこの婦人補導院生活指導の面につきまして、分類処遇をやはり考えておるのでございまして、なるべくさような手くせの悪い者とか、前歴のある者とか、そういう悪質な者は悪質な者として部屋を一緒にしまして、比較的進度の浅い者はそれらの者として処遇をしていくというふうに、部屋割りをいろいろ考えまして、そういう点も指導することにいたしております。なお、入所当初の者、中間の者、それから退院まぎわの者、こういう三段階の処遇のやり方もありますので、そういういろいろな点から分類を考えまして、部屋割り等も考慮いたしております。なお、仰せの点は、十分現地にも申しまして、その点は遺憾のないように措置したいと思います。  それから、ただいま相談室の問題につきまして御質問がございました。これは刑事局の方からお答えいただいた方がよかろうかと思いますので、そちらの方からお願いしたいと思います。
  23. 長島敦

    説明員(長島敦君) ただいま東京地検にあります更生保護相談室のことでお話がございました。御承知のように更生保護相談室は、法務省の刑事局長、保護局長の連名の通牒によりまして主要な検察庁に設置されておるわけでありますが、これによりますと、相談室には、保護観察所の職員、保護司さんを含むわけでありますが、その方を駐在させましてそのほかに警察署、婦人相談所、都道府県の民生部、同衛生部等から関係職員の派遣を求めるということになっておりましてなお、相談室の事務の調整は、風紀係検事というのが検察庁におります。この風紀係検事が一応事務の調整をとるというような構想でできておるわけでございまして、ただいま御指摘のようなことがございますといたしますならば、私ども一度東京の相談室へ参りまして、よく事情を調査いたしまして、遺憾のない運用ができるように取り計らいたいというふうに存ずる次第であります。
  24. 赤松常子

    赤松常子君 ぜひお願いいたします。この間のお話では、一日に三十数人女の人が引っぱられて来ている。それを待たして、一人々保護司の方が、今おっしゃるような方々が相談にのっておいでになる。ところが、その婦人相談員の派遣を求められてそこにいらっしたわけでございましょう。ところが、そばで聞いていると、婦人相談員もそこに交えていろいろ聞いて上げたい、こちらの意見を言いたいこともあるけれども、それは順序で、おまえさんちょっと待ってくれとおっしゃったかもしらぬけれども、何かその本筋に入れない、いい意見が言えない。その調べられている女の人が保護司の方に言うよりも、婦人相談員の人に言いたい気持が十分にあっても、何か出る瀞でないというような空気であって、非常に仕事がしにくかったとおっしゃっておりますから、十分そこを仕事のしょいようにして上げることを考えて下さいませ。それで、結局その婦人相談員がおっしゃるには、私が結局保護司になればいいとおっしゃるけれども、これがまた手続がございまして、なかなかむずかしいことでございますので、どうぞ一ぺん現地をごらんになっていただいて、私も一ぺん現地を見たいと思っておりますが、どうぞそこの空気をやわらげて、皆で女を中心に相談しやすいような空気にしていただきたい。お願いいたします。
  25. 長島敦

    説明員(長島敦君) できる限りの調査をいたしまして努力いたしたいと存じます。
  26. 赤松常子

    赤松常子君 それから逃走のことがございましたけれども、高田委員もおっしゃったように、食べものもぜいたくなものを食べていた方々ですから、とても五十円ではやりきれない、これが第一だと思います。それもさることながら、退屈なんですね。授産の施設も見ましたけれども、これは東京ですから一番よくできておると思います。地方の場合には、私もこの間三重も見ましたし、佐賀も見ましたけれども、一応あれで一番整っていると思う東京の授産の施設が、いやいやまことにさむざむとしているんです。まことにおさびしいんです。ですから、合った仕事がないものですから退屈なんです。それでいろいろと考えて、逃げてやろうという気にもなると私はお察ししました。授産施設の予算とか、もっとあそこに力を入れていただきたいのでございますけれども、どうでございましょうか。補導院あたりでほんとうに手に職をつけて上げないと、先ほどのお話のように、自分で食べていくことが多いということ、これもまあ私ちょっと質問したいと思う疑問があるのでございますけれども、結局何も手に職がないからなんで、あそこに入っておる間だげでも、せめていろいろなお仕事を、その性能に応じて和裁なら和裁、洋裁なら洋裁を教えるということを、ほんとうに熱を入れていってもらわないと逃げ出すわけです。その辺のことをちょっと……。
  27. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 実はこれまで補導院でやっておりますことは、仰せのごとくほんとうに、そう申しましてははなはだ申しわけございませんが、わずかなものであったと思うのです。これは今まで分院でほんとうにまあちょっと本院ができるまでの措置としてやっておりましたので、なかなかいかなかったのでございますが、今後は本院となりますので、東京の方でも少し力強いものをやっていきたいと思っております。各補導院で今やっておりますのは、仰せのごとく和裁とか洋裁、それから園芸、手芸、こういう程度のものでございます。で原材料費も実は大したものではございませんので、わずか四十五万円ばかりのものでございまして、十分じゃございませんが、ミシンも備え、それから毛糸の編み機その他のものもそろえまして、これからはもう少し実のあるものをやらしたいと思っております。なお八王子の市でいろいろネクタイとか、ああいうふうな手芸品の工業も相当あるように聞いておりますので、そういう面との協力を得まして、もう少し職業補導の、面を生かしたいと思っております。なお本人たちには正規の職業補導のほかに自己労作  自分でひまのときに、食事後の時間でございますが、自分の時間のときに自分で働いて、自分で金をもうける自己労作をさしておるのでございます。これもいろいろございますが、荷札のひもつけとか、ビーズ編みでございますとか、こういうふうな手内職をやらしておるのでございます。これもだんだんふえてはきておりますが、非常に興味を持って、これは自分でやっただけが自分の収入になりますので、この点は相当励みを持っていたしておるようでございます。こういう面もよくさせまして、なるべく勤労の気持というものを持たせて出すように、今後とも努力いたしたいと思っております。
  28. 赤松常子

    赤松常子君 京都の実情を御存じと思います。あれは市の授産所がそばにございまして非常にそういうところから仕事がどんどん行って各種各様のお仕事がすぐ流れるようになっておりましてそういうよくやっていらっしゃるところもあるのでございますが、ひまのないように、手に仕事がつくように、ぜひもっと熱を入れていただきたいと思っております。  それからさっき子供を養っている人は案外少ない、両親を養っておる人も案外少ないという御報告でございますけれども、婦人相談員とのこの間の懇談会で、その反対の御報告がなされたのでございます。これは一体どちらを信用したらいいのか。婦人相談員の方はこうおっしゃっているんです。女だけの収容施設では足りない、子供込め、ひも込め、いい意味の親も一種のひも子供も一種のひもひも込めの収容施設がなければ、女だけを切り離したのでは、とても効果が上がらないという御報告がほとんどであったのでございますけれども、今あなたの御報告とはあべこべでありますが、どちらを信用したらいいのでございましょうか。
  29. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 実はちょっとお断わり申し上げましたように、婦人補導院に入っておりますのは特殊の者でございまして、全体としてごらんになっていただくと、そういうような面があるのじゃないかと思いますが、どうも補導院に入って参ります者は、そういうふうな人は案外少ないのでございます。で、こういうふうに扶養する者を持たない者が割合多いのでございます。売春いたしました動機等を見ましても、家出とかいうふうなものが二五%、四分の一ぐらいは家出した者、いわゆるこれは家族との折り合い等の問題もあるようでございますが、家出してまだしっかりしたものを持っていないというふうなところの者も相当おるようでございます。
  30. 赤松常子

    赤松常子君 わかりました。その重症者が補導院に入るのですから、そういう環境はこうだという一つの例だとまあ解釈するわけでございますね。  それからもう一つお尋ねしたいのでございますけれども、性病を持っている人が四四%とおっしゃいましたが、これも私どもの今まで手にいたしております資料より低いとも言われるのですけれども、これは売春防止法ができて、いい表われと解釈していいのでございましょうか。いかがでしょうか。死者防止法が実施される以前では、性病を持っている人がほとんど、ほんとうは七〇%以上とも目されておりましたですね。ところが業者は三〇%だと言っておりまして、まあその数字の間違いというものは、よくわかっておりましたのですが、七〇%の数が今ここでは大へん低く、四四%というふうに報告されておりますが、これは非常に自粛して罹病率が減ったと見ていい数字か、いかがでございましょうか。
  31. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) これはどう解釈していいか、ちょっと私も判断に苦しむのでございますが、私らも実はもっと性病にかかった者が多いのじゃなかろうかというふうに考えておったのでございますが、四四%と申しますと、私らの実際考えておったものよりは割合少ないのでございまして、補導院に送って来ます者は、相当罰金刑等も食った者が送られることに現実の姿としてはなりますので、売春婦としては相当高度な者だろうと思います。それらが四四%ということを考えますと、あるいは割合性病にかかっている者が少ないということも替えるかと思います。これは性病の点は、入りましたときには、非常に精密に検査もいたしますし、そうしてその治療もいたしますので、かかっておりながら見のがしておるというものはないはずでございます。従ってこの四四%はほんとうにかかっておる者ばかりをより分けた数でございますから、この数は確実な数だと私は考えております。その点どういう原因か、もう少し検討を加えたいと思います。
  32. 大川光三

    委員長大川光三君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  33. 大川光三

    委員長大川光三君) 速記つけて。  ほかに御発言がなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。   —————————————
  34. 大川光三

    委員長大川光三君) 次に、少年犯罪対策に関する件について調査を進めたいと存じます。  少年犯罪対策につきましては、当委員会といたしましても、従来よりきわめてこれを重視して参ったのでありまして、数次にわたる調査の後、前国会においては、少年犯罪に関する決議を行なったことは各位御承知通りであります。本日の調査を行なうにあたりまして、まず少年犯罪の現況と、この委員会の決議が政府においてどのように実行に移されているかを聴取したあとで、質疑を行なうことにいたしたいと存じます。  それではまず勝尾主計課長からこの点について御説明をわずらわします。
  35. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 青少年非行防止対策につきましては、ただいまお話もございましたように、当委員会で具体的かつ明白な決議がございましたので、予算面におきましてもこの決議を実行するに万遺憾なきを期したいと思いまして、昭和三十五年度の予算の要求の際にも全力を尽くしたわけでございますが、結果は必ずしも私たちの思うような経費が獲得できなかったのでございますが、引き続き来年度におきましても努力をいたしたいと思っております。  まず最初にお手元に御配付申し上げました法務省所管昭和三十五年度青少年非行防止対策費対前年度予算額比較表に基づきまして、概略の御説明を申し上げたいと思います。  青少年非行防止対策を大きく分けますと、青少年の風紀検察をどのように強化していくか、また青少年保護観察をいかに充実していくか、さらに少年院の現況にかんがみて、これをいかに整備充実をいたしていくか、なお基本的な問題といたしまして青少年非行の原因をいかに科学的に究明をしていくか、さらに関係少年法等につきまして改善すべき点があるならばいかなる点を改善すべきか、大体ただいま申し上げましたような項目に分けられるのではないかと思っております。ただいまの項目につきまして予算上数字を当てはめてみますと、お手元に差し上げましたような資料になるわけでございますが、最初に青少年問題のブレーンをいかに充実するか、さらに当面いろいろな問題をかかえております少年院の教官をいかに充実するかということにつきまして、大蔵当局とも折衝を重ねたのでございますが、結局刑事局に青少年課を設置する、なお少年院に教官を増員をするという二面にしぼられまして、青少年課の設置につきましては、すでに法務省組織令の一部を改正する政令によりまして実現いたしております。青少年課におきましては、従来刑事局の刑事課で分担いたしておりました少年一般刑事事件の検察、それから青少年犯罪の予防に関する事項、それから少年の福祉を害する成人の刑事事件の検察、麻薬覚醒剤関係事件の検察、それから人身売買その他風紀事件の検察並びにこれらの予防をつかさどるということで発足をいたしているわけでございます。この要員につきましては、刑事局の刑事課から若干の要員を充当するとともに、地方検察庁からも若干の人員を充当していくということで発足をいたしておるわけでございます。そういう面もございますと同時に、主要な地検における青少年の検察が非常に多忙になって参りましたので、その要員という趣旨も含めまして、検事十名の増員を実現したわけでございます。  それから少年院につきましては、昨年度三十名の教官の増員を実現したのでございますが、その後少年院の現況を見ますと、非常に粗暴な収容少年がふえているようでございます。特にぐれん隊、暴力団等の影響もあってか、少年院における収容少年の暴力事項が増加していくといったような状況にありまして、教官の負担が質的にも非常に重くなってきておりますので、それらの負担を幾分とも軽くして、少年院の教育を充実したいという趣旨で二十五名の増員が実現したわけでございます。  青少年の風紀検察関係でございますが、すでに御承知のように成人犯罪昭和三十二年以来横ばいの傾向にあるのでございますが、少年犯罪につきましては、昭和二十七年以来増加の傾向にある。特に強制わいせつ、強姦等の性的犯罪、それから恐喝、傷害等の粗暴犯が著しく増加をしているわけでございます。そういった現況にかんがみまして、具体的な容疑者として検察庁に送られてくる青少年犯罪容疑者について、家庭の環境から前歴その他明細な資料を作成する、その作成された資料に基づきまして具体的な検察を樹立すると同時に、それをさらに法務総合研究所において科学的な検討を加えていくといった趣旨の構想を立てまして、対策資料作成費として百十四万四千円の増額が計上されたのでございます。それから、なお少年院の現況を見ますと、最近少年院における収容者のうち、正常な精神状態と認められます者は約一〇%くらいでございます。明らかに精神障害者であると認められる者の人数は二七%といったような状況でございまして、こういった状況等も考えますと、検察庁に犯罪容疑者として送致されてきたときに、的確にその精神状態を把握して単に機械的に家裁に送る、あるいは不起訴にする、あるいは起訴にするといった処置ではなくてもっと精神状態を的確に把握して適正な処置をする必要があるということで、特に精神鑑定謝金として百十七万四千円の増額が計上されたのでございます。  次に青少年保護観察でございますが、青少年保護観察の現況につきましても、三十三年、三十四年、三十五年の取り扱い事件数を統計上把握いたしてみますと、三十三年がおおむね七万四千くらいであり、さらに三十四年度におきましても七万二、三千のものが、昭和三十五年度におきましては七万七千件を上回るのではないかといったような傾向がうかがわれますので、そういう事件数の増加に伴う補導援護経費の増額が千五百九十四万九千円増額されたのでございます。なお、補導援護のうち、更生保護委託費というのがございますが、そのうち、食費付きで宿泊をさせて被対象者の更生保護をはかる、その経費として現在八十一円五十銭の単価になっておりますのを、八十五円に増額をするということで、その経費が六十万円増額されたのでございます。なお青少年事件の重要性にかんがみまして、地方裁判所の本庁四十九庁、甲号支部八十一庁、なお少年事件を取り扱います乙号支部十五庁、計百四十五庁のそれぞれの都市に青少年担当保護司を二名当て指名いたしまして、それらの人は一日三百円、月五回この青少年問題について、特に専念をして処理をするという形式をとりまして、それらに要する出費弁償金といたしまして、五百二十二万円が増額されたのでございます。  それから少年院につきましては、昭和二十七年以降、数学的にはむしろ減少の傾向もうかがえたのでございますが、昨年秋ごろから、次第に収容人員の増加が顕著になりまして、十一月には一万を若干オーバーするという状況になりましたので、三十五年度におきましては、九千八百人の収容人員を一万四百人に見込みましてその増加に伴う収容所経費が二千四百三十三万一千円増加されたのでございます。なお収容者の日用品につきましては、先ほど御質問もございましたが、現在の男子並びに女子の日用品の内訳につきまして、石けんちり紙、あるいは歯ブラシといったものにつきまして、その枚数、個数をふやすことによりまして、男子一人当たり四百二十二円七十五銭、女子一人千三百十円八十五銭という増額された単価によりまして、従来よりも総計において百三十八万七千円の増額を見たのでございます。男子と女子の間に差がございますのは、女子の特別な日用品が要りますので、単価が多くなっているのでございます。それからなお少年院は御承知のように、へんぴな所にございます。また刑務所等に比べて規模が小さいといった関係で、従来とも電話料だとか、あるいは電気料、あるいは水道料といった身近な生活費的な予算が非常に窮屈でございまして、全般的に非常にゆとりがなかったのでございますが、その辺の事情を加味しまして、こういった生活費的な経費につきまして、九百八十四万七千円の増額を見たのでございます。それからなお映画、演劇、あるいは宗教といった面の教育謝金が百六十八万八千円増額されたのでございます。従来五百九十万円ばかり認められていたものでございますが、それになお百六十八万八千円の増額が計上されておるのでございます。それからなお少年院の施設は、昔の軍の兵舎等を転用したものが多い関係で、大きな部屋は幾つもあるが、集団生活に適しない少年収容する個室が非常に少ない。それも一因になりまして、いろいろ事故があったのでございますが、その面を解消し、かつ先ほども申し上げましたように、教官の実質的な負担を幾らかでも軽くしたいということで、個室を特に新営するために施設費として五千八百三十三万四千円の増額を計上されたものでございます。なお少年院が山の上、あるいはへんぴな所にございまして、教官の住宅が非常に不便な関係で、せっかくいい教官が来られましても、宿舎の関係でやめる、あるいは宿舎の関係でいい教官が来ないといった悩みがございましたのでありますが、その点幾分でも解消するという趣旨で、前年度宿舎費として三十戸を認められていましたものが、昭和三十五年度におきましては五十七戸の新設が計上されるに至ったものでございます。  それから総合刑事政策研究費といたしましては、昨年度法務総合研究所の研究部が発足いたしましてから、非行少年犯罪原因の探究、あるいは累犯者の処遇の問題等につきまして研究を進めて参ったわけでございまして、近く犯罪白書等の形で一年の成果が取りあえず出版される運びにもなっておりますが、来年はさらに従来の研究の上に積み重ねまして少年の非行原因の探究、あるいは累犯者の処遇の問題等につきまして研究を継続するという趣旨によりまして、前年度の初年度設備費の節減がございましたが、研究経費といたしまして百九十四万円が増額されたものでございます。なお次にブリュックとございますが、これはグリュックのミス・プリントでございます。ハーバード大学のグリュック研究所の所長でございますが、アメリカにおきまして三十年余にわたりまして、少年犯罪原因につきまして貴重な研究を遂げられ、その成果が着々上がっておりますので、このグリュック博士をわが国に招聘いたしまして、法務総合研究所においてゼミナール、あるいは大学等において講演をする。そうしてこの青少年の非行問題に関する一段の前進を遂げたいという趣旨で、グリュック博士をわが国に招聘するために謝金が四十八万五千円増額計上されたのでございます。  最後に少年法、あるいは不動産の窃盗等に対する立法その他緊急立法を幾つか掲げておるわけでございますが、少年法につきましては、いろいろの問題点がございまして、十分な資料と慎重な検討を要しますので、現在刑事局において着々その準備を進めておりますが、それらの調査研究に要する経費といたしまして百十七万三千円計上されまして、前年度に比較いたしますと約十二万円の増額になっておるわけでございます。結局青少年非行防止関係で、ただいま御説明申し上げました経費は、前年度に比較いたしますと、一億三千五百九十万八千円の増額で、総額におきまして九億二千百三万三千円という予算が計上されているわけでございます。  以上が青少年非行防止対策経費の予算面の概要でございます。
  36. 大川光三

    委員長大川光三君) ただいまの説明に対し、御質疑のある方は御発言を願います。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 きょうは時間もあまりありませんから、問題点をあけまして、簡単に説明だけちょっと補足していただきたいと思いますが、一応増額の内容等の御説明があったわけですが、一億三千五百万ばかりの増額が三十五年度の青少年の非行防止対策費の中に見込まれたようでありますが、私どもにすれば、この一億三千五百万という増額というものははなはだ手薄いですね。どうも満足し切らない増額でありますが、この一億三千五百万というのは、一々内容的にそれぞれあげておられますけれども、自然増の形で人件費の増額に伴ってふえているものもあるのじゃないかと思います。だから実際的に役立つために上げられた予算というのは、一億の中の半分もこれに充てられないように思いますが、この点総合的にどういうふうにつかんでおられますか。
  38. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) この増額につきまして不十分であるという御意見につきましては、私たちも全く同感でございまして、来年度引き続きなお十分な資料を整えて、一そうの増額を期したいと思っております。  なお、このうちで自然増と見られる経費がどれくらいかというお尋ねでございますが、たとえば青少年保護監察の強化のうち、取り扱い件数の増加に伴う経費、それから少年院の整備充実のうち、少年院収容人員の増加に伴う経費、これらはいわば自然増的な予算と認めるべきではなかろうかと思っております。その他につきましては、おおむね自然増といった経費よりも、ある程度われわれの意向を組まれた経費ではないかというように考えております。
  39. 高田なほ子

    高田なほ子君 少年院の教官の充実のために三十名増になったという説明がさっきあったと思いますが、この三十名というのは、前にこの委員会職業補導の面を強化したいので教官を増員するのだという説明があったわけです。今の御説明だと、教官の負担を軽くしたいために云々という説明もあったようですが、この三十名の内訳の中で、職業補導の面に重点的に重かれる増員というのは何名なのか。
  40. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 言葉が足りなかったので恐縮に存じますが、三十名と申しますのは、昨年度三十名の増員がございまして、今年度引き続いて二十五名の増員があったわけでございます。この増員の積算の問題でございますが、率直に申し上げますと、少年院の現況を少なくともこれ以上悪くすると大へんであるという趣旨でこの二十五名が積算されているのでございます。申し上げますと、少年院職業の補導を充実するという面も、間接的には増員になればなるわけでございまして、少年院の教官は作業面を通じての指導によって教化をするということでございますので、増員があれば、当然作業面においても充実することになりますが、お尋ねの二十五名の積算がどういう工合になっているかということになりますと、少年院が最近収容者が増加している傾向にありますので、ぜひともこの増加した分については、とうてい従来の教官では心配である、人数で心配であるということで、むしろ少年院収容状況の増加に対処するという意味であるというふうに私たちは理解いたしております。そういう意味におきまして、この少年院の充実につきましても、予算上なお一そうの努力をしなければならないというふうに痛感しているわけでございます。  なお少年院職業補導の問題でございますが、現在約五千二百万円ばかりの職業補導経費が予算上計上されております。この職業補導の経費につきましても、ぜひこの増額を実現いたしまして、少年院において少年がいわゆる遊んでいると申しますか、ひまな時間をなくするというような方向でこの職業補導経費の増額をぜひ実現いたしたいと思っておりますが、その問題は来年度に努力をいたしたいということで、この程度に落ち着いたものでございます。
  41. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、繰り返して尋ねますが、少年院が若干増設されました。その増設に伴うこの二十五名の定員増ということになるわけですか。
  42. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 少年院を増設したというよりも、少年院収容者がふえておりますので、そのふえたことによってますます少年院が多忙になりますので、そういう現状が何といいますか、破産しそうなくらい教官が非常に御苦労されておりますので、ふえたら非常なことになるということで、ふえる場合に一応備えての増員というふうに私は見ていいと思います。
  43. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、二十五名の増員というのは、要するに現状が破産しそうなので、それを維持するために辛うじて増加したという、いわゆる現状維持の線で、実際問題は、法務大臣が職業補導の面にも強化しますというのは、全然これはできていないというふうに数字的に見なければならないので、この点は私どもも、もう少し時間をもらってでも研究させていただきたいと思います。  その次に尋ねたいことは、精薄者が二十何パーセントもおるので、精薄医学の面を強化したいということで百十七万四千円の増額をみたと、こういうふうに説明をされましたが、現在各府県の教護院には心理学者も精神医学者もおらないし、少年院には専門のカウンセラーも一人もいないし、小学校にもカウンセラーも何もいないというような、まことにあわれきわまる現状であります。この現状に対して百十七万四千円の増額なんというのは、これは私どもからいえば人をばかにしたものだとしか考えられませんが、これの内容はどういうことになっておりますか。
  44. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) この百十七万四千円と申し上げますのは、検察庁が、たとえば青少年犯罪容疑者が送致されてきました場合に、家裁に送致をする、あるいは逆送を受けて起訴をする、あるいは不起訴にするという具体的な事件処理をやるわけでございます。その際にその当該青少年犯罪容疑者の精神状況というものを的確に把握をして、これは少し精神薄弱であるという点がはっきりつかめたならば、安易に起訴をするというようなことをしないで、その面からの適当な保護施設を探してそちらへ移すという趣旨の検察庁に計上されました謝金でございます。
  45. 高田なほ子

    高田なほ子君 これまた検察庁の、容疑者判定のためのこれはもう応急措置というよりほかに仕方のないようなもので、私どもの考えている青少年対策の中における精神医学者の措置なんというものは、これはまるで考えられていないということで、非常に残念に考えるわけであります。  次にお伺いしたいことは、法務省で中間集計が昨年度来からされておるようでありますが、少年調査票制度を全国の十一地検で実施してきたようでありますが、この中間集計について私ども遺憾ながら資料をちょうだいしておりません。従いまして、この中間集計について何か御説明があれば説明していただきたく、かつ今後この調査票というのはどういう方法でこの制度が実施されていくのか、またこの制度は今後青少年犯罪防止対策にどういうふうに活用されていくか、こういう点が一つ。  それからもう一つ、もう時間もないのですが、今の質問に関連するわけですが、これは総理府の関係になると思いますが、全国にモデル地区をこしらえて、そして増加している出目少年犯罪の防止について本腰を入れたい、こういうことでほんとうは今年の予算に約一億円ばかりこれを組み入れるというような構想であったようであります。この構想とあなたの担当する青少年課というものとはどういう連絡をとってやるのか、モデル地区というものはこれを切り離されて総理府の直轄でもってこれをやられるものか、はなはだこれは疑問に思っております点ですから、この点を一つ説明していただきたいと思います。
  46. 大川光三

    委員長大川光三君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  47. 大川光三

    委員長大川光三君) 速記をつけて。
  48. 長島敦

    説明員(長島敦君) ただいまの青少年調査票の問題でございますが、中間集計は三色ございまして、一つは従来刑事局の方でいたしました統計的な集計でございます。もう一つは法務総合研究所の方に委託いたしまして、犯罪原因面から、どういう原因がある少年がまた再犯に陥りやすいかというような面から検討したものでございます。これも資料が十分でございませんので、実は外部に発表できるほど自信のある学問的なものとは言い切れないということで、従来外へ出しておらないわけでございますが、さような二つの集計結果がございます。こういう結果から見ますと、この少年調査票というものは、将来内容がより正確になりますと、犯罪の予測あるいは一度罪を犯しました少年にどういうふうに処遇をすれば再犯を減らし得るかというような点について、将来希望の持てるような資料が得られるというふうに考えております。  次にモデル地区の問題でございますが、少年調査票の実施庁はある意味で一種のモデル地区と考えておりますが、総理府でやられます今度のモデル地区との関係も考えあわせまして、今後なお調査票の実施庁といいますか、検察庁としてのモデル庁というものをどういうふうにするかということは連絡がとれるように考えて参りたいというふうに思っております。
  49. 大川光三

    委員長大川光三君) 本件に関連いたしまして、私から資料を要求いたしたいと存じます。  先ほどの勝尾主計課長の御説明の中で、近来少年犯罪が非常にふえておる。なかんずく性的犯罪が増加したということでございますが、売春防止法実施以来今日までの少年犯罪明細一覧表というものを一ついただきたい。それと同様に、売春防止法実施以来の一般犯罪の明細表というものを適当な機会に御提出願いたいと思います。それといま一つ渡部矯正局長の先ほどの御説明の中で、私たち、りつ然とするような感じがいたしますのは、婦人補導院に関する資料の第一面の第二、昭和三十四年度に収容した者に関する調査として、一度目が二百四十名、二度目が四十三人、三度目が一人、こうなっている。そこでこの二度目の四十三人というのは、昭和三十四年度に収容した者に対する調査でありまするから、従って昭和三十三年と三十四年との間に出院した者が再びこれだけの数の犯罪を犯して補導院に入って来たという結果になろうと思いますが、そこでこの再犯の四十三人の犯罪の内容というものがわかりますれば、これは表にしていただきたい。と申しますのは、補導処分というのは、これは執行猶予の判決を受けた五条違反について行なわれる。そうすると、再度補導院に入って来るということは二度目の執行猶予を受けているということです。ところがこの再犯者は出院者の数から見てみますと、三十三年と三十四年の出院者は百九十二人なんです。そのうちで四十三人が再び補導院に戻って来た。言いかえますと、四十三人が二度目の執行猶予を受けているということになりまして、これは非常に補導処分した者に対する検察庁なり裁判所の考え方がどこにあるかということを考えると、これは非常におそろしい数字かと思います。そこでその明細表の御提出をいただきたい。と同時に長島青少年課長にお願いしたいのは、この四十三人の二度目の補導院に入ったという人たち犯罪事実から見て、補導処分が妥当であったかどうかということについての一つの専門的な御検討を加えていただいて、次回の委員会でその点に関する御説明をわずらわしたい、かように考えます。  他に御発言もなければ、本件に関する本日の調査はこの程度にとどめたいと存じます。以上をもって本日の審議は終了いたしました。次回の委員会は迫って公報をもってお知らせいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時二十八分散会