運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-03-25 第34回国会 参議院 法務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十五日(金曜日)    午前十時三十七分開会   ―――――――――――――   委員の異動 本日委員津島壽一君、江田三郎君及び 辻武寿君辞任につき、その補欠として 小柳牧衞君、片岡文重君及び石田次男 君を議長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     大川 光三君    理事            井川 伊平君            後藤 義隆君            高田なほ子君    委員            泉山 三六君            太田 正孝君            小柳 牧衞君            林田 正治君            亀田 得治君            千葉  信君            赤松 常子君            石田 次男君            市川 房枝君   国務大臣    法 務 大 臣 井野 碩哉君   政府委員    法務省民事局長 平賀 健太君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○不動産登記法の一部を改正する等の  法律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 大川光三

    委員長大川光三君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  不動産登記法の一部を改正する等の法律案を議題に供します。  前回に引き続いて質疑を行ないます。御質疑のある方は御発言を願います。  なお、当局からは平賀民事局長が出席されております。
  3. 赤松常子

    赤松常子君 小さなことでございますけれども、この間、参考人の方で、たしか銀行関係の取引をやっておいでになる方に対する御質問で、台帳登記簿との食い違いというか、相違というか、それについて御質問があって、あまりないというようなお話でございましたが、政府側からごらんになって、そういう点の大へんな違いとか相違とかいうものが相当あるんじゃないかと思うのでございますが、いかがでしょうか。
  4. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 現行制度のもとにおきましても、台帳における不動産表示登記簿における不動産表示は合わせるという建前でございまして、大体は合っておるのでございますが、ただ、台帳の方はこれは職権主義で作ります関係で、台帳の方が改まりましても、登記の方の申請がございませんと、合ってない場合が間々あるわけでございます。しかし、そういう場合におきましても、登記の方で何か別の登記をいたします場合には、必ず賞帳と合わせるという手続をちなくて員会会議はならぬことになっております。ごく大体のことを申しますと、大体は合っておるのでございますが、まだ登記の方の申請がなされてないために合ってないのが若干ある、そういう程度でございます。
  5. 赤松常子

    赤松常子君 それは、こちらの帳面になくて、台帳の方にあるという相違である、そういう御答弁ですが、私の申したいのは、両方にあるけれども、その広さがこちらは百坪といい、こちらは八十坪といい、その数字の開きといおうか、書き違いといおうか、そういう場合がありはしないかというお尋ねでございます。
  6. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) たとえて申しますと、二十坪の家を建てた、それで登記もしてある。ところが増築をした、五坪建て増しをしまして三十五坪になって、台帳の方は二十五坪になっておるが、登記簿の方ではまだ二十坪のままで、増築によります表示変更登記がしてないという場合は、これはあり得るわけでございます。
  7. 赤松常子

    赤松常子君 そういう場合には、それで許されていいのでございましょうね。任意でございますから、登記しないと思えば、そのままでよろしいでしょう。
  8. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 現在の制度のもとでは、登記の方はこれは任意ということになっておりますので、登記しないでそのままにしておいていいわけでございますが、たとえばその建物抵当権を設定する、あるいはその建録第九号初所有権を他に譲るというようなことで登記をします場合には、まず前提としまして台帳と合わせる手続が必要になるわけでございます。これは現行仏でも強制されておるわけでございます。二十五坪に建て増しをしたというとで表示変更登記をしないと、抵当権設定登記あるいは所有権移転軍記はできないという建前に、現行制反でもなっているわけであります。
  9. 赤松常子

    赤松常子君 それは譲渡するとか売り渡すというときには、それは正確な数字でないといけないのですが、これもこの前の私の質問と関連してどうも割り切れなかったのでございますが、たとえば十坪の家に五坪の建て増しをした。それで別に売り買いもしない、譲渡もしないということで、自分が住むだけだという場合に、あとの建て増し登記は、してもしなくてもいいのでございましょう。
  10. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 現行制度のもとでは、登記の方はそうなっております。してもしなくてもよろしい、何も権利を譲渡したり、あるいは抵当権を設定したりということがございません限りは、台帳の方だけは改めなければなりませんが、登記簿の方はそのままでもいいという建前でございます。
  11. 赤松常子

    赤松常子君 じゃ改正されてもその点は任意でございますね。
  12. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) そうでございます。
  13. 赤松常子

    赤松常子君 この前ちょっとそういうところの質問に対して、何か新しく建て増ししたのも、これを登記しなければならない、そこに権力主義が入るふうな受け取り方をしたものですから、その点をちょっとお聞きしたいのですが、それはよろしいわけですね。
  14. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) その点は今度は登記台帳が一本になってしまいますので、増築をいたしますと、今の台帳と同じように台帳制度は今度ははくなるわけでございます。その台帳建前がそのまま登記簿の方に移ってるわけでございますので、もし増築せいたしますと、増築による床面積がかえますから、その登記をしなくてははらぬということに新しい制度ではなります。その点は、今までの台帳制度と同じことになるわけであります。
  15. 赤松常子

    赤松常子君 それではどうしてもそこに何か権力主義が入るようなにおいがいたしますし、一本になればそれにやはり課税されるわけでございます。
  16. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 権力主義と申しますか、増築をいたしますと登記申請する義務が生じますし、申請しなければ登記所の方で職権増築登記をすることになるわけでございます。
  17. 赤松常子

    赤松常子君 じゃやはりそこに職権が介入するわけですね。
  18. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) さようでございます。
  19. 赤松常子

    赤松常子君 それからもう一つお尋ねしたいのでございますが、この前資料をいただきまして、その中にもう一元化移記をだんだんやっていらっしゃる所がございますですね。この点、私しろうとでございますけれども、こういう法律ができなくても、こういう一元化移記はされていいものですか。
  20. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この間の資料、本日お配りしました資料にも、三十四年度中の移記のことが書いてございますが、これは、現在ございます台帳書きかえるというだけで、台帳書きかえという建前法律上やっておるわけでございます。ところが、実際はもちろんこれは一元化の準備としてやったわけでございまして、なぜこういうことを三十四年度に、法律がまだできない前にやりましたかと申しますと、何分これは大事業でございまして、予算も相当かかることでございますので、一部の登記所におきまして実際にこれをやってみて、その実績を見た上で予算の点のみならず、一元化やり方も十分検討してみる必要があるということでやったのでございます。しかしながら、建前としましては、これはあくまで台帳書きかえということでやったのでございます。これは台帳様式変更がございますので、法務省令を改正すればできることでございまするし、昨年の一月に法務省令を改正いたしまして、台帳様式を変えまして、そうして書きかえをやったのでございます。  それからなおもう一つ、ただいまの建て増しのことで付言しておきたいのでございますが、建て増しをいたしますと、今度の新しい制度では登記が強制される。ただいまお話のように権力的要素が入ってくるといえばいえるのでございますが、登録税関係では現行法と同じでございますから、この点を念のために申し上げておきます。建て増し登記をするときに登録税を取るのじゃございませんで、その次に何かの機会に権利関係登記をする、そのときに登録税を納めればいいという建前にしてございますので、この点は現行法と全然変わっておりません。  それから登記を強制をされ、登録税を納めなくちゃならぬというのは、この建て増しの場合だけでございまして、そのほかの場合は、不動産の現況に変更が生じたということで、不動産一の表示変更登記申請する場合は、現行法のもとでは、登録税が要るという建前でございますが、この新しい制度では、登録税は全廃いたしました。ただ、建て増しの場合だけが登録税が要る。これは現行法でも登録税をやはり徴収しておるわけでございまして、徴収の仕方も現行法と実質的には全然変わっておりませんので、その点をつけ加えておきたいと思う次第でございます。
  21. 赤松常子

    赤松常子君 法務省令で一応移記――整備といいますか、今おっしゃった台帳整備ということでお仕事をお始めになって、実際は一元化予備講習みたいなやり方になっているわけですね。これは違法ではないのでございましょうか。法律ができていないのに、そういうことをなさっているということは、違法ではないでしょうか。この法律ではそう大したなにはないにしても、実際の法律ができていないのに、事実のお仕事はそれにオーバーした仕事がなされているということは、違法ではないでしょうか。どうもその辺、ちょっと疑問になって参りましたので……。
  22. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは違法ではないのでございまして、御承知通り台帳様式というのも法務省令できめておるわけでございます。根拠法は実は土地台帳法家屋台帳法でございますが、台帳様式をどういうふうにするかということは、法務省令できめてございます。その法務省令を改正いたしまして、今後は台帳様式はこういう新たなものにする、登記所は古い様式から新しい様式に作り直せという省令を作りまして、それでやったわけでございまして、全然違法ではございません。
  23. 赤松常子

    赤松常子君 それが事実上一元化になっていてもですね。
  24. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) その書きかえましたのを、今度は一元化の過程で利用するということは、今度の法律では明文の規定を置いておりませんが、この法律省令に委任いたしておりますので、その委任されておる省令――結局これは不動産登記法施行細則ということになりますが、施行細則の中で、初めて今度それが一元化に利用できるということを表わすわけで、違法という問題は全然起こらないと思うのです。  それからなお申し上げておきますが、なぜ昭和三十四年度にそういうことをやったかと申しますと、先ほども申し上げましたように、大事業であり、予算も相当かかることであるし、それからまた、実際やってみませんことには、具体的ないろいろの問題、こまかい問題が、机の上だけではなかなかこれは予想がつかぬのであります。実際少しでもやってみまして、その上で、根本的に一体この一元化仕事をやるかやらぬか、少しやってみてこれはやらぬ方がいいという結論になればやらない。まあ私ども実際やってみまして、これはやっぱりやるべきだという結論に変わりないわけでございますが、国会で御審議仰ぎます上におきましても、少し試みにやっぱりやってみるということが必要であろうと、十分慎重を期した次第でございます。まだ全然手もつけないで、実験もしないでいきなり法律案ということより、事前に試験的にやってみるということをした上で、本格的な実施にとりかかることの方が、より賢明ではないかと、多額の国費を使うことでございますので、法務省としましては十分慎重を期した次第でございます。
  25. 赤松常子

    赤松常子君 もう一つ。どういう地区で、どの程度お始めになっているのでございましょうか。
  26. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは全国的にあちこちの大きい登記所、小さい登記所、中ぐらいの登記所――東京都内でも二、三カ所やりましたし、全国的にこれはやったのでございます。これは全部で五十八カ所、この問資料で差し上げておきましたが、五十八庁でやったわけでございます。やりました仕事は、現在の土地建物台帳に登録されておりますところの土地建物の三・七二%、本日提出しました資料で申し上げますと、昭和三十四年度でやりましたこの移記の総計が出ておりますが、ここに「筆(個)」と書いてございますが、これは土地建物一緒でございますので、土地建物合わせまして八百十八万三再三の土地建物について台帳書きかえをやったわけでございます。
  27. 大川光三

    委員長大川光三君) 平賀局長委員長からお願いをします。先ほど配付されました登記簿台帳一元化実施全体計画案というものについて、全体的に一つ簡単に御説明をわずらわしたいと思います。
  28. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 先ほどお配りしましたこの全体計画案昭和三十四年度分は、これは前回提出いたしました資料を、そのまままたこちらに持ってきたわけでございます。昭和三十四年度におきましては全体の土地建物の三・七三%について移記実施いたしたわけでございます。執務時間中の処理が三十七万筆個、それから超過勤務による処理が約七十九万二千筆個、それから他の登記所から職員応援にやりまして処理しましたのが八十八万四千筆個、それから外部から臨時職員を雇い入れまして処理しましたのが六百十三万筆個、小計が八百十八万筆個になるわけでございます。この総額が、これは人件費といわれるものでございますが、約二千万円でございます。そのほかに三十四年度におきましては、用紙、これは新しい台帳用紙、これはやがて新しい登記簿表題部になるものでございますが用紙代、それからこの用紙をとじますところのバインダー、表紙、その経費が三千百八十九万八千円、そのほかの文具費、たとえば印判類、これが相当要ります。約百五十三万円で、合計して昭和三十四年度におきましては五千三百六十万円という経費になっております。この一番下の欄に(注)がございますが、この昭和三十四年度の実績によりますと、執務時間中の処理は、職員一人当たり平均しまして一日十五分の時間を費やしておるという計算になります。それから超過勤務は、職員が一人平均一日三十分、それから事務応援の人員は、これは一庁当り一日置きに一人ずつ――1日に半人ずつということになるわけでございます。それから外部から雇い入れましたところの臨時雇は、これは一つ登記所平均一日三人、そういう計算になっておるわけでございます。三十五年度もこの実績基礎にして予算が組まれておるわけでございます。三十五年度は、この三十四年度に移記いたしましたのを登記簿該当個所にはさみ込む、編綴と私ども申しておりますが、この作業を三・七二%につきまして編綴をやるわけでございます。そのほかに、新たに全体の一〇%につきまして、また移しかえをやるということになるわけでございます。そういう関係で、三十四年度は移記だけでございましたが、三十五年度は移記編綴両方仕事があるわけでございます。これはやはりこの三十四年度の実績基礎といたしまして、執務時間中の処理超過勤務による処理事務応援による処理賃金による処理という工合に配分いたしまして、その予算合計が、用紙バインダーその他の文具費を合わせまして、前回申し上げましたように一億四千八百三十万円ということになっておるわけでございます。それで、三十五年度には三・七二%の編綴と、一〇%の移記が新たにできるわけでございますが、その残りの作業は、昭和三十六年度から昭和三十九年度までに全部完了する。ですから昭和四十年の三月三十一日までに一元化作業を完了するという計画でございます。昭和三十六年度以降の予算所要額は、この一番右の欄の合計の所をごらんいただきますと、十九億四千四十五万四千円という計算に相なるわけでございます。そういたしますと、昭和三十四年度分から三十五年度分、三十六年度以降の分を合計いたしますと、予算総額は二十一億四千二百三十五万四千円、前回申し上げました二十一億という数字でございます。ただ、この三十六年度分以降は、これはまだ将来のことでございますので、いよいよ三十六年度になりますと、また違ってくるかもしれぬと思うのでございますが、現在の見込みでは二十一億四千万円という総額になっておるわけでございます。それからなお、この二十一億という数字の中には、メートル法による単位書きかえの経費は、これは含まれておりません。それはまた別途に経費を計上しなくちゃならないということになるわけでございます。
  29. 大川光三

    委員長大川光三君) ただいま御説明をわずらわしました計画案のうちの一番上の「法務省民事局」と書いて「金額単位日千円」と、こうなっておりますが、これは単位円ではありませんか。
  30. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは失礼いたしました。「単位日千円」とあるのは間違いでございます。単位は円でございます。誤植でございます。
  31. 高田なほ子

    高田なほ子君 今御説明いただいた分についてちょっと伺わしていただきたいと思います。前回委員会に御提出いただいたのは「三十四年度登記簿台帳一元化移記実績表でありまして、それからきょういただいたのは「登記簿台帳一元化実施全体計画案」、この二つの資料を今手元にいただいて、御説明いただいたわけです。そこで、先般いただきました昭和三十四年度の実績を、今度の計画案の中に三十四年度の分はそのまま移しかえたのだという御説明をいただいたわけでありますが、先般いただいたものについて、ちょっと伺っておきたいのですが、これは実施庁五十八庁となっております。また従来の職員数三百四十人と、こういうふうに出ておるわけでありますが、これは大体地方庁の平均をお出しになったものなんでしょうか、これはどういうものでしょうか。
  32. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この五十八庁というのは、実際実施をいたしました登記所の数でございます。その三百四十名というのは、実際その登記所におきまして移記作業に従事しておりますところの職員の数をあげたものでございます。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 中央の省だとこれくらいの少人数ではなくて、もっと大人数になるのではないですか。
  34. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは中央というわけじゃございませんで、登記所も、先ほど申し上げましたように、大きい登記所、中くらいの登記所、小さい登記所というので、大きい所では地方法務局でやった所もございます。それから支局でやった所もございます。出張所でやった所もございます。出張所となりますと、御承知のように職員数が一人とか二人とか三人、そういう所もございます関係で、この大きい所、小さい所を合わせまして五十八庁という意味で、中央の庁という意味ではございません。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 これを拝見して思いますことは、東京とか大阪とかいうような、大へん事務の多い所があるだろうと思うのです。そういう事務の多い所でこの一元化をやった場合に、一般事務というものは停滞するおそれがないのかという疑問が出てくるわけです。それは、ここに拝見しますように、職員一人平均約十五分間、この一元化実績を上げるために十五分間という時間が費やされておることになっておるわけです。今日でも相当この登記事務というものが渋滞をしておるということは、先般の委員会でも御説明いただき、われわれもこの点を指摘したと思うのです。そういう中で、さらに十五分とはいいながら、それだけ一元化のために時間が費やされるわけであります。裏をひっくり返しますと、このために一般国民に対して大へん迷惑をかけることになるのではないか、こういう疑問が生じておるわけでありますが、この点いかがなものでありましょう。
  36. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 一日平均十五分と申しますのは、全体平均してでございまして、もちろん東京都内出張所のように非常に多忙な所では、これはできないわけでございます。そういう所は臨時職員を入れまして賃金で大部分をやっておるわけであります。一日十五分というのは、全体を平均しました数字でございます。ですからあまり忙しくない所では、現実には一時間、あるいは一時間半という工合執務時間中にやっておるわけでございます。そのかわりに東京あたりでは執務時間中では全然やってないということに実際問題はなるわけでございますが、これは全部平均しました関係で、一日十五分ということになっておるのであります。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうしますと、これは平均してただ単に十五分ということになるので、御説明のように事務が非常に繁忙だという所には、今言うような賃金職員を配置して迷惑をかけないという措置を講ずるのだというように説明されたのだと思いますが、その点は確かにそういうことになるわけでしょうか。
  38. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) その通りであります。
  39. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは一般職員が何も一日十五分だけこのことに費やされるのだということじゃないわけですね。平均して数字としてこうなるので、迷惑をかけるという分については、賃金職員を配置したり、あるいはよその庁から事務応援に配置をしたりして、一般職員に対して二重の負担をかけるということはしないのだと、そういう御答弁でしょうか。
  40. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) その通りであります。
  41. 高田なほ子

    高田なほ子君 次にお尋ねをいたしますが、今度は上から二番目の欄のところをかりにB欄としますと、超過勤務処理、これは職員の一人平均約三十分、こういうのが出ておりますが、一日三十分で処理できる筆数とか、あるいは個数とか、そういうふうにごらんになっておるわけでしょうか。
  42. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 私ども予算の要求の資料並びに大蔵省の査定基礎となりました処理能力を申し上げますと、土地につきましては写しかえはこれは大体非常に事柄が簡単でございまして、外部からの臨時職員をおもに使うという方針でやっております。臨時職員は一時間に二十五筆写しかえる能力があると、それから建物の方はこれはかなり付属建物があったりなんかいだしまして複雑でございますので、間違いが起こりやすいので、できる限りこれは職員にやらせる。その庁が非常に忙しければ、これは事務応援で、よその庁から手伝いに来ました職員にやらせるという建前で、職員能力は一時間に建物十三戸の写しかえの能力がある。土地は二十五筆、建物は十三戸、そういう計算でこの写しかえの経費計算されておるわけであります。実際これをやってみますと、土地ならば二十五筆、建物ならば十三戸というのがちょうど適当なところではなかろうかというような結果になっておる次第であります。
  43. 高田なほ子

    高田なほ子君 御説明によりますと、土地の場合は臨時職員が二十五筆、それから建物の場合は、非常にむずかしいので、これは普通職員が大体一時間十三戸、こういう御説明をいただいたわけですが、しかし臨時職員二十五筆というのは、これはあくまでも臨時的なものの基礎的な数字であって、普通一般職員が、土地建物合わせて一時間に一体どのくらいの最高標準というものを見ておられるのでしょうか。合わせた場合にどうなんでしょうか。
  44. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは予算査定資料として、これは実際私どもでも実験いたしまして、土地は二十五筆、建物十三戸というところが、あまり無理しないで適当なところだということで、これを基準にして予算もきまり、それから地方に対する予算配賦もいたしておるわけであります。ただ現実の問題としては、実際はこれより下回っているという所はございませんが、大体これよりもっと実績は上回っている所もございます。そういうわけで、ただあまり急いでやりますと間違いもできやすうございますし、職員にも無理がかかる関係もございますので、ちょうど二十五筆、十三戸というところが適当なところではなかろうかというふうに考えておる次第であります。
  45. 高田なほ子

    高田なほ子君 従来でも一時間の事務能力といいますか、事務負担能力といいましょうか、こういうものが基礎になって、勤務評定のような評定をされているやにも聞いておりますので、今こういう質問をしているわけでありますが、当局としては、一時間の大体の負担能力といいますか、これは建物は十三戸、土地の場合には二十五筆、しかし実際問題として、こうきめていても、建物だけやるというわけにはいかないので、土地建物もやはり引っくるめて考えられなきゃならないわけでしょうが、今までもあれですか、実績を上回ったものに対して、またその実績よりはなはだしく下回ったものに対して、勤務評定をするというようなことはあったのでしょうか、いかがなものでしょうか。
  46. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは勤務評定というようなこととは全然関係のないことでございまして、それからまた、私どもも二十五筆、十三戸というのは、ソ連なんかで言っておるノルマというふうには考えてないのであります。あまり無理をしないで、そして間違いができないようにということでやったらどの程度が適当であろうかということで、二十五筆、十三戸というのを、私どもの方でも実際職員にやらせまして、これなら適当であるということで、これは予算基礎にいたしたのでございます。ですから、必ず一時間に二十五筆やらなくてはいかぬ、それより下回ったところは勤務評定でばってんをつけるとかいうようなことは決してやってないわけでございます。
  47. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでよくわかりました。  その次、この事務応援処理の欄が上から三番目にあるわけですが、この事務応援処理の問題なんですが、この前はこれに触れていなかったと思いますが、この旅費とか日当とかいうのは、各省の予算を組みますときにいつでも削減の対象になるわけです。今年もこの旅費の問題については各省一定の基準で削減されたように私思っておりますが、この場合の事務応援処理の旅費及び日当、こういうものはどういうようになっているのか、特別な事務として削減の対象にならなかったのか。それからまた、一日どのくらいの旅費、どのくらいの日当がこれに予算として組まれておるものか、こういう点について説明していただきたい。
  48. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 仰せの通りこの旅費につきましては大蔵省で非常に厳しく査定いたしておりまして、節減ということが行なわれておるわけでございますが、この節減をしておりますのは一般の行政旅費でございまして、こういうふうに事件処理に必要な旅費というものは、実際の必要額に応じて査定されておりますので、これは何パーセント減ということはございません、この旅費につきましては。これは事務応援は隣接の登記所から事務応援を出すわけで、距離もそうございません関係で、単価は約三百二十円という単価になっております。三百二十円ということを基礎にしましてこの旅費がはじかれておるわけでございます。これは節減何パーセント減ということで減らして、これでがまんしろという筋合いのものではございません。
  49. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは旅費三百二十円のほかに日当というものはないわけですか。
  50. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは日当も含めましての金額でございます。
  51. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは旅費、日当両方含めて三百二十円ということになるので、隣村に行くときに自転車でかけて行ったなんというのは何も旅費にならないわけですか。日当だけになるわけですか。それはどういう計算になるのですか。
  52. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) それは隣接の登記所から応援に行くわけでございまして、距離が非常に近いわけでございます。旅費はそうがかりません。それからこの日当も、これは旅費法の規定によりまして、同じ地方法務局の管内であるわけでございますので、これは半日当ということになっておるわけでございます。そういう関係で、旅費も日当も比較的安く上がるということになるわけでございます。これは旅費法の規定によりまして計算がされておるのでございます。
  53. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、実際問題としてはごく近間の方の応援を頼むということになるわけですから、旅費とか日当とかというものが、一応単価三百二十円と含めてあっても、近接している場合の応援というものについては、あまりこういうものの恩恵には浴さないということになるわけですね、実際問題として。
  54. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) まあ職員の給与の補いということにはならぬわけでございます。
  55. 高田なほ子

    高田なほ子君 給与の補いにはならない。しかし、まあ日当、旅費というものはあるのだから、近接地域でも何らかこれを実質的に均霑させるような方法というものについては、お考えになっておらないものなんでしょうかね。
  56. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは単価平均三百二十円ということで予算配賦いたしておりまして、これは実績に応じて実際支給することになるわけでございます。まあ旅費、日当というものが本来の職員の給与の補いという筋合いのものじゃないわけでございますが、まあ現実の問題としてはそういう面もあるわけでございますけれども事務応援旅費というのは、ほんとうに必要に応じて隣接の登記所に応接に行くという関係でございますので、あくまでこれは実績に応じて支給をするという建前なのでございます。  それからなお、この事務応援というのは、一元化作業だけやるのじゃなくて、ほかの関係でも登記所ではしばしば必要が起こるわけでございます。たとえば土地改良の登記であるとか土地区画整理の登記であるとかいう工合に、臨時に大量の事件が持ち込まれることがあるわけでございます。そういう場合には、事務応援でやっておるわけでございます。その場合と同じ基準で旅費、日当がはじかれておるわけでございます。
  57. 高田なほ子

    高田なほ子君 どうも重箱のすみをつつくような質問で、はなはだ申しわけないわけですが、私はこの間の委員会でも指摘したように、まじめに九年も勤められて手取りが一万一千円そこそこだというまことに恵まれない職場にある人に対して、この事務応援処理のための旅費並びに日当というものも、これは予算として組まれてあるわけなので、たとえ幾らでも待遇の面にこれが均構するような方法をとらなければいけないのじゃないか、まさか旅費だの日当が余るということはないだろうと思いますけれども、できるだけこういうところに親切な方策をとってもらえるように、今後ともよく気をつけていただきたいという意味から質問をしているわけです。  その次、今度一番最後の欄に移るのですが、これは賃金処理、いわゆる臨時職員の問題がここにずっと出ておるようでありますが、この臨時職員の身分というのは、あくまでも臨時職員であって、きわめて不安定なものだと思います。この一元化仕事は相当日月を要するものでありますが、たとえ五年、六年という期間でありましょうとも、臨時職員の身分は依然として風前のともしびの、ごとくにはなはだしく不安定なものだと思う。しかし三年、五年とたつうちには、その職場の空気にもなれて、能力を伸ばす機会は十分恵まれておるわけでありますが、臨時職員の将来の身分の問題について、定員化の方向をとるのが正しいのではないかという気がするわけですが、この問題について当局はどういうふうにお考えになっておるのでしょうか、これをお尋ねいたします。
  58. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 実は法務省登記所関係におきましては、この一元化と直接関係はございませんが、定員職員のほかに、いわゆる常勤職員というのがあるわけでございます。常勤労務者――常勤職員が約四百人くらいいるわけでございますが、私どもとしましては、この常勤職員を採用します場合にも、できる限り公務員試験に合格した人の中から採用する、採用しました以上は、できるだけこれを定員に組み入れていくという方針でやっておるわけでございます。  それからなお、この一元化で雇い入れます臨時職員も、ただいま仰せのように、一元化作業がかなり長く続く関係もございますので、できるだけ素質のいい職員を入れまして、引き続いてこの一元化作業に従事してもらう、そうしていい賃金職員でありますれば、これを欠員ができましたときに常勤職員に組みかえ、さらにこれを定員職員に組みかえるということでもっていきたい、そういうふうに考えておる次第であります。
  59. 高田なほ子

    高田なほ子君 将来の問題についても、定員職員の方に組みかえるというお考えであって、それは大へんけっこうだと思いますが、さしあたって、一日三百十円、日雇労務者よりも一日の賃金が低いということについては、私どもとしては相当考えさせられる問題だと思うのです。よい職員を入れるといっても、あまり待遇が悪ければなかなかよい職員も入ってこないというのが実情になるので、結局それは能力にも影響する問題ですが、将来、この三百十円というような賃金というものを、もう少し気のきいた額にまで上げるというようなことについて、何か腹案でもお待ちでしょうか、いかがでしょうか。
  60. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 私どもとしましては、当初実は賃金職員の単価は三千五十円ということで要求したのでございます。三百十円でいいと思っておるわけじゃございませんが、何分、これは各省共通の問題でございまして、一元化関係だけほかの省と違いまして三百五十円にするというわけにも参りませんので、これはやはり各省共通の問題としてこの賃金職員の単価が三百十円でいいかということを検討しなければならぬと思っておる次第でございます。
  61. 高田なほ子

    高田なほ子君 民事局長にこの三百十円のことをくどくど申し上げても、らちはもちろんあかないことは当然だと思いますが、少なくとも頭脳労働者ですから、三百十円という線は何とかこれを是正するように、一つ極力やっぱり主張していただかなければならない。特来定員化としての腹案があればなおさらのことなので、この点についてはせっかく御努力願いたいと思います。  それから総括的にこの表についてお尋ねいたしますが、この表のここに出ております数字は、今後の予算とかあるいは作業計画、この処理数を大体基礎として計画配分するというふうに私は承知するわけですが、この点はどうでしょうか。
  62. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この三十四年度の実績をもとにしまして三十五年年それから三十六年度以降も一応計算がされておるわけでございます。
  63. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、私どもの手元にいただきましたこの数字というものが、ほぼ三十五年度以降の基礎的な数字になるのだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  64. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) さようであります。
  65. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、ちょっとここで疑問が起こってくるわけです。前回にいただいた、今私が質問している表と、今度いただきました計画案数字等を見ますと、若干三十四年度の予算並びに処理件数というものについて、これとちょっと違ったふうに出てきているわけですがね、ちょっとごらん下さいませ。三十四年度の執務時間中に処理した無数が、前回委員会でいただいたのは三十三万四千七百八十八筆となっておりますが、きょういただいた同じ年度の筆数が三十七万千九百八十七筆というふうに、大体四万筆くらいふえています。超過勤務処理の場合も前回いただいた分は七十一万二千九百六十二筆、今回ここに移しかえられたのは七十九万二千百八十筆というふうになって、大体これは八万筆ばかりふえています。以下、事務応援処理件数、それから賃金処理筆数、こういうものが前回の場合と数常的に非常な、隔たりをもってきておるようです。そうだとすると、ただいまあなたが御答弁になったように、三十四年度の登記簿台帳一元化移記実績表、三十五年の一旦三十一日現在というこの資料基礎になるのだということを言っておられますけれども、実際はこれと違う数字基礎となって三十五年、三十六年と組まれているのではないかというふうに思いますが、この説明は、ちょっとどういうふうにされますか。
  66. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) それは私申し落としましたが、本日お配りしましたのは、これは三十四年度の全部の計画を実はあげておるわけでございます。先日お配りいたしました資料は一月三十一日現在でございます関係で、三十四年度に予定しております作業量の約九〇%になっておりますので、一〇%がまだ残っておる状況でございます。本日お配りいたしました表の三十四年度は、三十四年度分の計画の全部をあげておるわけでございますので、その関係で若干数字が違って参っております。ただ合計におきましては、前回お配りしました資料の一番下の所に、欄外に「(参考)」とございますが、1、2、3とございまして、事務量の計が八百十八万三百三筆(個)になっておりますが、これは三十四年度の全体の総筆個数でございます。本日お配りしました三十四年度の小計というところをごらんいただきますと八百十八万三百三筆で、ここは合っているわけでございます。そういう関係で、これは一月三十一日現在の、それまでに処理を完了しました分だけをあげました関係で、これは三十四年度の全体の約九〇%に当たります関係で、あと一〇%ずつふえてくるわけでございます。その一〇%ふえた姿が、本日お配りいたしました表の三十四年度分のところに出ておるわけでございます。
  67. 高田なほ子

    高田なほ子君 なるほどね。そうすると、この参考というのは一〇〇%の数字を出したので、上のこの執務時間中処理、超勤処理事務応援処理賃金処理、これは九〇%の実績を表わしたものであって、内容においては変わらないということですか。そういうことですか。
  68. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) さようでございます、その通りでございます。
  69. 高田なほ子

    高田なほ子君 それじゃ亀田先生も見えられましたが、さっきの赤松先生の質問に関連してちょっと伺いたいのですが、赤松先生は、増築の分についてさっき御質問があったと思うのです、この分についてだけ聞きたいと思いますが、すでに所有権登記のある建物について、登記官吏が職権増築登記をする場合、増築分についての登録税は徴収されるわけですね。どういう方法でこれは徴収するのでしょうか。
  70. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは今回の法律案の附則をごらんいただきたいのでございますが、附則の第十条で登録税法の一部改正をいたしております。この法律案の五十六ページに第十条の規定が出ておりますが、登録税法の「第二条第三項を次のように改める。」といたしまして、「所有権登記アル難物二付床面積ノ増加二係ル登記ヲ為シタルトキハ所有権登記名義人又ハ其ノ相続人ハ命令ノ定ムル所二依リ床面積ノ増加部分ノ価格ノ千分ノ六ノ登録税ヲ納ムベシ」という登録税の規定を置いておるのでございますが、職権増築登記をいたしました場合には、その際血ちに登録税を取るのではないのでございます。これは「命令ノ定ムル所ニ依リ」ということになっておりますので、登録税法の施行令の中に規定を置く予定でございますが、これはどういうふうにいたしますかと申しますと、職権で登録をいたしますその際には取りませんで、その後に、この建物の所有者が権利登記をする、たとえば建物を譲渡いたしまして所有権の移転登記申請をする、あるいはその建物抵当権を設定するというようなことで、抵当権設定登記申請をする、その際に納めてもらうという建前にいたす考えでございます。これは実は現行法と同じことになるわけでございまして、現行法でも、台帳の方は職権増築による床面積の増加の登録をいたします。登記簿の方は直ちに改まらぬわけでございますが、建物の所有者が、ただいま申しましたように、所有権の移転の登記をする、あるいは抵当権の設定の登記をするという場合には、まず登記簿表題部登記を、台帳に合わせなければならぬ関係で、その際に床面積の増加の登記を必ず現行法でも申請しなければならないということになる。現行法ではその床面横の増加の申請をするときに、床面積の増加分の価格の千分の六の登録税を納めることになるわけでございます。そういう関係で、現行の制度とこの点は実質的には同じになるわけでございます。
  71. 高田なほ子

    高田なほ子君 この登録税は、今までと実質的には同じだということになるわけでしょうが、これはあれですか、登録税を納めない場合に、物権所有者に対して登起所は催促することがありますでしょう。
  72. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) ただいま申しましたように、その次に権利登記申請する際に納めるということになりますので、登録税を納めませんと権利登記ができないということになるわけで、督促するということはございません。現行法権利登記申請する場合には、あらかじめ増築による表示変更登記をしなくちゃなりませんので、その際に登録税を納めるわけでありますが、今度の改正法のもとでは、増築登記をします際には、職権でやりましても申請でやりましても、その際には登録税を納めさせませんで、その後に権利登記申請するときに登録税を納めてもらう。その登録税を納めませんと、権利登記ができないということになるわけで、現行法と実質は全く同じことになるわけであります。
  73. 高田なほ子

    高田なほ子君 これはあれですか、登記官吏が職権でやる場合に、それに応じなかった場合には、どういう措置をとるわけですか。
  74. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) ただいま申しましたように職権増築登記をいたします、そうしてそのままにしておくわけで、その後に何か所有者が今度はその建物を人に売ったので、所有権の移転登記をしたいといって、所有権移転の登記申請してくるわけですね、その際に増築部分の登録税を納めてもらうということになるわけでございます。その登録税を納めませんと、所有権の移転登記がしてもらえないということになるわけであります。
  75. 高田なほ子

    高田なほ子君 あれですか、登録を自分がしたくない、増築をしても登録をしたくないのに、今度は職権でしますね。それがいやだと言った場合は、どういうことになるのですか。本人がそれはいやだと言った場合は。
  76. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) いやならばしないでおくだけでございます。ただ、今度の新しい登記簿表題部は、「不動産の現況をはっきり明記しておく。現状にマッチした表示をしておくという建前でございますので、所有者には登記申請の義務を課しますし、義務を課しておっても登記申請をしない場合には、職権でも登記をいたしますが、登録税はその際には取らぬわけであります。現行法台帳の方で職権で登録をされる、所有者には登録の申請の義務が課されておるというのと同じことであります。
  77. 大川光三

    委員長大川光三君) ちょっと関連して伺いますが、今のお話ですと、増築分については、あるいは権利変更などのときに登録税を取る。そうすると、そういう変更がない場合は、将来相続でも開始するというときに、登録税を取られることがあるのでしょうか。
  78. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) それじゃ、もう一度現行法のもとではどうなっておるか、それから改正法のもとではどうなるかということを申し上げますと、現行法では、建物増築をいたしますと、まず家屋台帳の方が改まるわけでございます。床面積が増加しますので、家屋台帳の方を改めなくちゃならないことになるわけであります。これは所有者にも申告の義務が課されておりますし、所有者の申告の義務がなくても、登記所の方で、職権床面積の増加を登録をいたすわけであります。登記簿の方は申請主義でございますので、所有者から申請がございませんと登記はいたさぬわけであります。従って、登録税を取られることもないわけであります。しかしながら、所有者がその建物を先ほど申しましたようにたとえば他人に売った、所有権移転登記をしなければならぬ、その際には、まず増築登記をしなくてはならぬ、台帳登記簿を合わせなければならない関係で、まず増築登記をいたします。そのときに登録税現行法では取られる。その増築登記をいたしませんことには、所有権の移転登記はできない。現行法ではそういうことになるわけであります。他人にその建物を売るとか、あるいはこれに抵当権を設定するということがなければ、いつまででもほうっておいていいわけであります、登記の方は……。  それから改正法のもとではどうなるかと申しますと、台帳制度は、そっくりそのまま登記簿表題部の方に移って参りますので、増築をいたしますと、所有者は増築登記申請をする義務を課されます。それから増築登記を所有者が申請いたしませんでも、登記所の方で職権増築登記をいたします。ところが、この登録税法の改正によりまして、床面積の増加の登記をした後に、命令の定むるところによって登録税を徴収するということになっております関係で、現在考えております登録税法の施行令におきましては、増築登記をしました際に、直ちに発録税を取るのじゃないのでございます。直ちには取らないで、だからそのままほうっておいていいわけであります。ただ、所有者がその建物を他に売りたい、所有権移転登記をしたい、その際に納めてもらう、登録税を納めてもらって、そうして移転登記をする、そういう建前になるわけでございます。でありますから、現行法と同じく――現行法のもとにおきましては、所有権移転登記をする機会に増築登記をして、その際に登録税を納めるということになるわけでありますが、改正法のもとでは、増築のときには先にされてしまいますが、その際に登録税を納めるのじゃなくて、次に所有権移転登記なんかをするその際に、登録税だけ納めてもらう、そうして所有権移転登記をする、そういうことになるわけで、登録税の徴収に関する限りにおきましては、現行法と同じことになるわけであります。実質は同じことになる、そういう趣旨であります。非常にごたごたいたしておりますが……。
  79. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょっと関連して。登録税の点は同じようですが、罰則の点は、現行法と違うことになりますね。
  80. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 罰則の点は、現行法では登記申請主義になっております関係で、登記については罰則はございませんが、台帳の方で罰則がございます。その台帳の罰則が今度は登記簿表題部登記に移ってきたということになるわけであります。
  81. 亀田得治

    ○亀田得治君 現行法増築の場合には罰則は台帳関係ではないでしょう。
  82. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 台帳関係ではございます。増築の登録。
  83. 亀田得治

    ○亀田得治君 増築の場合にやはり罰則を適用しますか。
  84. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 罰則はありますが……。
  85. 亀田得治

    ○亀田得治君 罰則はあるが、増築の場合には罰則の適用の対象にならぬでしょう。
  86. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 現行の家屋台帳法で申しますと、家屋台帳法の第十四条に、増築したときと、ほかの場合もあげてありますが、その中に、増築した場合がございます。増築のときは、「家屋所有者は、一箇月以内にその旨を登記所に申告しなければならない」。第十四条にそういう規定がございまして、第二十六条で、第十四条の規定により「申告をなすべき義務のある者がその申告をしないときは、これを一万円以下の過料に処する。」ということで、台帳法のもとで現在申告義務、その懈怠に対する罰則の規定があるわけであります。
  87. 亀田得治

    ○亀田得治君 増築の場合は十四条になるのでしょうか。六条になるのと違うんですか。家屋の異動ということで、第六条の場合はどういうことになりますか、第六条であれば義務はあるけれども、罰則までの対象にはならないと思う。
  88. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 第六条の規定は、これは申告義務の規定じゃないのでございまして、家屋に異動があった場合の、家屋番号であるとか種類、構造、床面積は、これは登記所が調査して定めるというだけの規定でありまして、申告義務は第十四条でございます。
  89. 大川光三

    委員長大川光三君) いま一つ関連事項で伺いますが、法律案の附則の登録税法の一部改正これを見ますと、第十条の二項、「所有権登記アル建物二付床面積ノ増加二係ル登記ヲ為シタルトキハ所有権登記名義人又ハ其ノ相続人ハ命定ノ定ムル所二依リ床面積ノ増加部分ノ価格ノ千分ノ六ノ登録税ヲ納ムベシ」と、こうありますが、一体、登録税を納める時期はいつになるんでしょうか。仰せのように所有権の移転があればもちろんそのときに納める、しかし、相続のような場合には、一体いつ登録税を納めるのかという点がちょっとわかりにくいのですが、御説明をいただきたいと思います。
  90. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この法律の規定の趣旨によりまして、命令の定むるところによるということに相なるわけで、その命令はこれは登録税法施行規則、先ほど施行令と申しましたが、これは古い勅令でございますので、登録税法施行規則という名称、明治三十二年勅令第二百五号でございますが、この登録税法施行規則を改正いたしまして、建物の所有者が、この床面積の増加の登記がされました後に、最初に権利登記申請する際に納めなければならない、そういう趣旨の規定を置く予定で準備をいたしております。
  91. 大川光三

    委員長大川光三君) ちょっとその点、今権利登記をするという意味ですね、先ほどの説明ですと、床面積の増加があっても、所有権移転登記さえしなければ何にも納める必要がないのだという御説明ですね、そうすると、権利登記をかりに職権でされたとしても、そのときにまだ納める時期と違いますね。
  92. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 権利登記となりますと、これに職権ということはないわけであります。必ずこれに従来の不動産登記制度の本則にのっとりまして、必ず申請によってやるわけでございます。で、現行法でも、この点は、まず台帳がすでに改まっているわけでございますね、ですから台帳表示登記簿表示は合わなくなっているわけでございます。でありますから、現行法でも権利関係登記申請をします場合には、まず登記簿表示台帳に合わせなければならぬという規定が現行法では第四十九条の二にございますが、まず所有権、たとえば所有権移転登記をします場合には、その前提としまして、表示変更登記増築登記をまずしまして、その際に登録税を納めるわけであります。増築登記をするわけです。登録税を納めて増築登記をして、それから所有権移転登記をする。今度の新しい案では、台帳登記簿と一本になってしまいますから、増築登記はあらためてする必要はない。すでに増築登記はできてしまっておりますから、この登録税を納めるということだけ残っている。登録税を納めて、それから所有権移転登記をする、そこが一元化一つのねらいでございまして、台帳のほかにあらためてまた増築の登証というものはする必要ない、増築登記は一ぺんですんでしまっておりますから、ただ登録税を納めるという関係だけが残る、登録税を納めて、そして所有権移転登記をする、そういうことになるわけであります。  なお、政令の規定も一応案ができておりますので読んでみます、なおおわかりやすいのじゃないかと思いますので。これは案でございますが、登録税法施行規則の第三条の次に次の一条を加えるということで、第三条の二ということで、次のような規定を考えておるのでございます、。「所有権登記アル建物床面積ノ増加二係ル登記二付テノ登録税ハ、其ノ登記所有権登記名義人又ハ共ノ相続人が其ノ建物二付初メテ権利二関スル登記申請スルトキニ之ヲ納ムヘシ。」増築登記がされました後に権利に関する登記をする、そのときに納めなさいという規定でございます。ですから、たとえば権利登記が五年先、十年先になりますと、そのときに増築登録税を納めればいいということになるわけであります。
  93. 大川光三

    委員長大川光三君) ちょっと関連して。たとえばそういう場合に、床面積の増加があった、ところが権利登記をする前にその家が焼失してしまうということを予想すれば、結局登録税は納めずに終わるという場合もありますね。
  94. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) その相続のときですか…。増築登記をしました後に、たとえば相続が開始しますと、相続登記をしますね、相続による所有権移転でございますから、これも権利に関する登記で、相続による移転登記をします際に、やはり登録税を納めることになるわけでございます。(「滅失した場合」と呼ぶ者あり)滅失の場合は、これは納める必要はないということ。滅失は権利に関する登」記ではございません。滅失の場合は納める必要はないということになるわけでございます。
  95. 市川房枝

    ○市川房枝君 今お話を伺いますと、登録税はすぐ納めなくてもいいわけですけれども、その台帳が固定資産税のやはり台帳になるのですね、今度のは。それは税金はやはりすぐ払わなければならないのですね。
  96. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これはやはり市町村の方で、現行法でありますと台帳をもとにしまして課税台帳というものができております。今度の新しい案では、登記簿をもとにしまして課税台帳ができておることになります関係で、課税の基礎になるわけであります。
  97. 高田なほ子

    高田なほ子君 私、もう一ぺん確認したいわけなんですが、これは附則の第十条の条文を今読んで、またあなたの方が施行規則案なるものを読んで下さったわけですが、増築登録税というのは、登記申請をした場合のそのあとに、何年たったあとでもいいから、必要が生じたときにだけ登録税を納めればいいということになるわけですか。そのままほおっといていいわけですか、増築の場合に。
  98. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 増築の場合は、その増築登記申請はすぐしなくちゃなりませんが、登録税はその後に権利関係登記をする際に納めればいい、権利関係登記をする必要がずっと永久に生じないとかりにしますと、建物が滅失するまで権利関係登記申請する必要が起こってこなければ、ついに納めずじまいで終わるということもあり得るわけであります。
  99. 高田なほ子

    高田なほ子君 その場合に、申請をしなかったという理由で罰則の適用を受けることはありませんか。
  100. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 権利登記でありますから、申請の義務はないわけで、罰則はかかることは絶対にございません。増築自体の登記は、申請義務がございますから、これは怠りますと罰則がかかります。
  101. 大川光三

    委員長大川光三君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  102. 大川光三

    委員長大川光三君) 速記を始めて下さい。
  103. 亀田得治

    ○亀田得治君 いろいろ問題がたくさんありますが、二、三しぼってお尋ねします。  まず百五十八条の罰則の問題ですが、これはいろいろ議論もすでにされたことと思いますが、確実なる知識を有せざるにかかわらず保証をした、この刑罰法規としての処罰条件としては、はなはだ不明確だと思うのです、実際の場合に。立案者の方じゃそういう点を具体的にどういうふうに検討されたのか、詳細に説明を願いたい。
  104. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは現行の保証書の制度を見ますと、自分が登記義務者の何の何がしだと言ってきた者が、はたしてその者かどうか知りもしないのに保証書が作られておる、はたして本人なりや否やということについての知識がないのにかかわらず保証書が作られておるという実情が実はあるわけでございまして、それを防止しようというのがこの罰則のねらいでございます。  なお、突込んで実情を申しますと、これは全部が全部そういうことではございませんが、保証人の署名捺印のある用紙があらかじめできておりまして、そしてそれに適当に登記義務者の名前を書き込んで保証書を作成するというようなことも行なわれておるやに私聞いておるのであります、ですから保証人になった人は、登記義務者という本人に全然会いも何もしない、もうほんとうに形式的に保証書が作られておる、そういう実情がかなりございまますので、そういうものを防止したいというのがこの罰則の趣旨でございます。やはりこういうふうにいたしておきませんと、どうもはっきりその人が登記義務者本人だということについて知識がないのにかかわらず、間違いないということで保証書を作ったということを構成要件にいたしておきませんと、十分取り締まりができないということで、こういう表現にいたしたのでございます。
  105. 亀田得治

    ○亀田得治君 その気持はわかりますが、それであれば、この登記義務者につき、全然またはほとんど知識を有しないにかかわらず、というふうにでもやってもらわないと、これだと非常に広いですよね、要件が非常に広い。だから全く知らぬ者に、ただ頼まれたから、ぽんと判を押してやった、そういうものを防止したいという気持は十分わかりますから、それだけを生かすならば……。どうもこれでは、少し範囲が広過ぎると思うのですがね、こんな広くする必要はないと思うのですが、どうでしょう。
  106. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 亀田委員お話の御趣旨にこの規定はなっていると思うのですが……。広過ぎるということはないと思うのですが、いかがでございましょうか。
  107. 亀田得治

    ○亀田得治君 だって、「登記義務者ニ付キ確実ナル知識」と、こういうのですからね、非常に登記義務者について詳しく知っている人でないと判を押したらいかぬぞというのであって、実際問題として、刑事事件にされて取り調べる方から追及された場合ですね、非常に問題が起こるのじゃないですか。「たとえば登記義務者で相当社会的にも信用のある人だと、で、友人の関係だというような場合ですね、これはばく然とそういうふうに感じているわけだ、その人が登記義務者なら間違いないだろうということで、これは判を押すということは十分あり得るわけですね。だから、そういう場合にいろいろ突き詰めていくと、これが登記義務者であるのかないのか、なかなか民法上の議論にもなりますから、厳格なことを言えば、そうするとお前ははっきりしていないじゃないかということで、そういうものにまあばく然と判を押すことはおかしいじゃないか、こういうふうに出られたら困るのじゃないですか、善意の人は。
  108. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この「登記義務者ニ付キ確実ナル知識」というのは、登記義務者の同一性について確実なる知識ということで、ある人の経歴の詳細を知っていなければならないということではもちろんないので、同一性についての認識がないにかかわらずという意味でございます。でありますから、今、亀田委員のおっしゃるようなことで、あの人だということで間違いないということなら、同一性をはっきり知っているわけでありますから、一そういう場合に保証書を作りまして、も、この罰則に触れるようなことはないと思いますが……。
  109. 亀田得治

    ○亀田得治君 私は、これはやはりそうは感じないのですがね、この文章だけからいきますと……。それなら登記義務者の同一性につきというふうにやってもらえれば、これははっきりするのです。ただ、ばく然と大まかに登記義務者ニ付キ確実ナル知識」と、こうきますとね、ちょっと不明確になるのじゃないですか。あなたがこの法を運用されるわけではないから、この罰則の部分は。
  110. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 要するに、これは登記義務者の人違いないことを証明するわけでありますから、その登記義務者について、もう隅から隅まで詳細な点を知っておかなければならぬという趣旨でないことは、これは当然でございまして、こういう表現になっておりましても、亀田委員のおっしゃるような趣旨、あるいは私が先ほど申しましたような趣旨に解釈することについては誤解の生ずる余地はないと私どもは考えるのでございますが、いかがでございましょうか。
  111. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは、たとえば不動産の係争事件なんかよくありますね、そういう場合に、保証人が判を押しておったといったような問題がその係争事件の中の一つの書類等に出てくる。たまたまその保証人がありますその登記義務者について知らぬで押しているようだといったようなことになりますと、やはりその係争――争いですかり、相手方はそういうものをつかまえ、告発する、こういうこともやはり起こりかねないです。やはり理論的にぎゅうぎゅう詰めていくと、これはやはりこういう条文になっている以上は、善意の人が迷惑を受けるという感じがするのですが、なかなか不動産の係争というのは深刻になりますから、相手方にちょっとでもそういう手落ち等があれば、やはりそれを問題にする。そういうことは、あなたのこの立法の趣旨じゃないでしょうが、ないだけに、そういうことの心配されるようば余地を残すことはどうもいかぬと思うのですが……。もう少し要件を明確にすべきじゃないですか。登記所が自発的にそういう場合に好んでやるとは思われませんけれども、やはり利害対立している相手方が、それを刑事問題として押していく、こういうことになりますと、理屈からすると、これはまた困った事態になる、同一性なら同一性ということにしておきませんとね……。そういうふうになりませんかね。
  112. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この規定の表現並びに第四十四条の規定から考えまして、ほんとうに善意の人が処罰されるというおそれはないと思うのでございますが…。この規定でいいのではないかと考えておりますが……。
  113. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 関連質問。今の四十四条のこの保証書というのは、四十四条を見ると、「登記義務者ノ人違ナキコトヲ保証シタル書面二通ヲ添附スルコト」、ただこれは登記義務者のだれのそれがしに相違ないということの、人違いのない証明だけですか、内容は一体何を証明、保証するのですか、それが非常に疑問なんですが……。保証の内容ですね。
  114. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは本人の同一性に間違いないという証明でございまして、今これは施行細則の方に保証書に記載すべき事項を規定しております。これは不動産登記法施行細則の四十六条でございまして、「不動産登記法第四十四条二掲ケタル書面ニハ左ノ諸件ヲ記載シ保証人署名捺印スヘシ」ということで、「登記ヲ受クヘキ不動産表示及ヒ登記ノ目的」、「登記義務者ノ人違ナキコト」ここが二号にございますが、ここが骨子でございます。「登記義務者ノ人違ナキコト」、本人の同一性の証明をいたすわけであります。
  115. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 その登記義務者の所有に相違ないということを、所有権の証明までもするのですか、それとも所有権の証明はしないのですか。
  116. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 所有権の証明はいたしません。
  117. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 証明というと語弊があるが、保証ですね。
  118. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 自分が登記義務者、普通は所有者でありますが、所有者だとして、自分が所有者の何の何がしである、その何の何がしに間違いないかということで、その人の所有権であるかということの証明をするわけじゃございません。
  119. 亀田得治

    ○亀田得治君 保証書の内容からいきますと、そういうふうな説明になろうかと思うのですが、こういう罰則というのは、これはなかなか珍しい罰則でしょう、刑罰規定としては。この故意、過失があって、何か悪いことをしたと、そういうことじゃないでしょう。故意、過失ということは全然問題 にならないでしょう、この際。
  120. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) いや全然問題にならないんじゃなくて、これは故意犯でございまして、この人が人違いないかどうか、確かにその人に違いないかどうかということについてよく知らぬ、それにもかかわらず保証書を書く、保証書を書く意思で保証書を書けば、それが故意であります。故意犯であります。確実な知識を持たない、持たないのに保証書を書く、それがそのことについて自分で認識があればいいわけで、これは故意犯で、ございまして、過失犯というわけじゃない。
  121. 亀田得治

    ○亀田得治君 そういうことにならぬでしょう。普通刑法で言う故意というのは、客観的に考えられておる犯罪行為自体に対する認識を言っているわけです。だからこの際ですと、保証書を書くということ自体、これは何も犯罪行為でも何でもない。そうでしょう。事実の関係はそこに当たるわけでしょう。その主観的な要件としては、つまり保証書を書くことに、これはあなた意識して書くわけですからね、それは何も故意じゃないでしょう、普通の刑法では。むしろそういうものを全然考えない形のこれは罰則ですね。ばく然と保証書を書くというやつはなんですから、だから普通の犯罪、刑罰の型と非常に違うと思うんですね。ちょっとほかに例がないんじゃないですか。
  122. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これと同じような刑罰規定がほかにないことはもちろんでございますが、別に異例のものと思いません。要するに、人違いないことについて、その点はっきり知っていない、それから保証書を書くつもりで保証書を書いた、保証書を書くつもりがやはりこれは犯意の一部なのでありまして、たとえば登記所に出す、不動産登記法の第四十四条の保証書ではない、ほかの書面だと思って書けば、これは故意がないということになりますので、ほかの書面だと誤解して人違いないことの証明を書いた、登記所に出すことを全然知らなかったということになりますと、やはり故意がないということになりますので、あの保証書を書くんだというやはり認識がなければいけないんじゃないかと思う次第であります。
  123. 亀田得治

    ○亀田得治君 それはあなた、犯罪の場合における故意というものは、たとえば物を取る、これは取ること自体はもう犯罪の一つの型ですね。それに対する認識の問題でしょう、故意というのは。ところがこの場合の事実関係というのは、ちょっと違いますよ。保証書を書くこと自体は何も決して差しつかえないのですから。ただ書く人の主観的な状態だけを問題にして処罰するわけでしょう。そのことにさらに故意というものを付加することができますか。
  124. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 今申し上げましたように、やはりこれは不動産登記法四十四条の保証書を書くんだという意識、認識がありませんと、これはやはり犯意がないということになるのが当然と思います。たとえばほかのお役所に出す証明書だと思っておった、あるいはまたそう信じておったのなら、これは故意はないことになるわけであります。犯罪は構成しないと言わざるを得ないんじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  125. 亀田得治

    ○亀田得治君 それはあなたのおっしゃるような、そんな簡単なことにはいかないですよ。相当疑問がある。こんな刑罰――まあ科料とかほかの処罰ならなんですが、一年以下の懲役といったような非常に重い罪が出てくるわけですからね。ほかの役所に出す文書で、こういうことがあったからといって、こういう処罰が一般的に行なわれていることはない。それは登記は重要です。決してぼんやり保証書を書いちゃいかぬということは、それは当然なことです。だが、ほかの場合にないのに比べて、それをすぐぱっとこういう相当重い刑罰で処理するということは、どうも行き過ぎなような感じがするのですがね。こんな新しい型の処罰をする場合には、私はやはり法制審議会の刑事部会等にかけて論議してほしいと思うのです。これはあなたの先ほどの立法の趣旨からいっても、もう少し要件を明確にしても、ちっとも差しつかえないと思うのです。それならば僕らは一応了解してもいいと思うのですが、これではどうも不動産問題でお互いに係争が始まったりして、そうして善意でこの保証なんかしている人が今度は思わざる告発などをされて、とばっちりを受ける、そういったようなこともあり得ると思うのです。保証というものをそうぼんやりしたことでやっておること自体がいかぬのだ、あなたの方ではそうおっしゃるかもしれぬが、しかし、現在保証というものは大体ぼんやりと押す場合が多いのですよ、ただ名前だけ信用するとかいったことでね。その社会的事実がずっと改められてきて、その上でならばこれは過酷だとは思わないかもしれぬけれども、今の状態で、そうして新しい型の処罰の方法、これではどうも強過ぎる。
  126. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 見解の相違になるかもしれませんが、要するに、ごく端的に申しますと、ある人が自分は何のなにがしであると言ってきた、よく実は知らないのだけれども、本人がああ言っているのだから間違いないだろうというような、あやふやなことで保証書を書いてはいけませんぞということです。それを法律の規定に表現いたしますとこういうことになると思うのでございますが、どうも亀田委員のおっしゃる御趣旨とあまり法律の規定の趣旨が違うようには考えられぬのでございますが、いかがでございましょうか。
  127. 亀田得治

    ○亀田得治君 それはあやふやなことで保証をしてはなりませんぞ、その意味はわかりますよ。また、そういうふうに社会全体を徐々に指導もしていかなければいかぬでしょう。だけれども、いきなりぱっとこういう刑罰でやることが妥当であるかどうか、それは非常に疑問があるのです。まあ見解の相違になるかもしれぬから、質問はこの程度にしておきますがね。
  128. 大川光三

    委員長大川光三君) 関連してですが、私もその法意を聞いておきたい。結局確実なる知識を有せざるにかかわらず保証したるものは刑罰に処すですね。ところが、なるほど確実な知識はないが、人違いでなかった場合にもこれは罰するのですか。問題はそこなんですよ。知識はないけれども、保証した人が偶然に本人であったという場合にも罰しようというのが法意でしょうか、それを伺いましょう。
  129. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは構成要件としましては、たまたまよく知らないが保証書を書いてやったら、事実と相違していなかったというふうな場合にも罰則がかかる建前になっております、構成要件としては。
  130. 大川光三

    委員長大川光三君) それは非常に念を入れたという意味においては、いいですけれども、先ほど亀田委員質疑のように、純法律論を考えてみると、おかしい。人が違うにもかかわらず、この人はその人でありますと言うときに初めて虚偽の証明がある。故意があると私は思うのですね、純粋の理論からいくと。これは人が違うんですよ。その違うのに、それを知りながらこれは大川光三であるということを証明することがいわゆる故意の証明であると私は思うのです。ただ単に、認識が十分でないのに、証明した、しかも、たまたまその人が本人であった、人違いでないという結果が出たのに、それでもやはり処罰をするのだということは、これは非常に念を入れ過ぎたことで、まあ伝家の宝刀として残されるのはよろしいですけれども、こんなものを乱用されてはたまったものではないと思いますが、いかがでありましょう。
  131. 平賀健太

    ○府委員平賀健太君) それはごもっともでございますが、ほんとうのねらいは、間違った虚偽の保証を処罰すればよろしいわけでありますが、虚偽の保証をなしたる者はといたしますと、実際取り締まりをする場合には、本人がほんとうに誠意を込めて私は絶対間違いないと思っておりましたということになってしまいますと、もう故意がないということになるのでございますね。取り締まりができない。また、本人があんなに言うんだからもう絶対間違いないと確信いたしまして保証いたしましたということになると、これは故意があるとは言えないと私は思うのでありますが……。結局、取り締まりができなくなると思うのでございます。絶対間違いないと思って保証いたしましたということになりますれば、まあそれは処罰できない。もうかりに虚偽の保証をしました場合でも全部処罰ができないということになって、この罰則の規定は有名無実になるという実際の結果になってしまうわけでございます。そういう関係で、まあこういう表現になったのでございます。
  132. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあただいまの委員長からの質問に対する答えですけれどもね、委員長のおっしゃるようにされたからといって、有名無実に私はなると思わないのです。それはあなた、ほかの人からの話しがあって、確実にそうだと思っておった人があれば、それはあなた、そんなものを処罰するのは酷ですよ、現在の社会常識において。保証という問題に対する社会通念から見て。そんな者は逃げたって仕方がないじゃないですか。それと、いやそれはただ口先だけで、そういう言いのがれを言うているのかどうか。それはあなたよく調べるべき立場の人が調べたらいい。そんな、できるだけひっくくりやすいようにしておくといったような角度で刑罰法規は作るべきではないと思いますよ。これは不動産登記法の一部改正の法律案の中で出てきて、そうして一番終わりの方にくっついているから目立たぬですけれども、それはあなた、処罰法規の中の問題をまあ変えるんだとか、あるいは新設するんだとかというふうな形で出してごらんなさいよ。これはあなた刑法の専門家だって相当な問題を出してくる事柄だと私は感じておるのですがね。今、民事局長がおっしゃったような、そんなあなた乱暴なことで刑罰法規はどこも作っておらぬですよ。それは場合によっちゃ逃げる者が多少は出ても仕方がないかもしれぬが、しかし書意にやっている人に迷惑のかかるような刑罰法規の作り方は避けなければならぬ。これは、まあ私があなたに言うまでもなく、常識ですわね。その観点からいくと、どうも私はふに落ちない。まあこのくらいにしておきますがね。  もう一つは、せんだって参考人の方にだいぶお聞きした点ですが、今度の法改正で、表題部なり権利登記の部分ですね、こういう点の法的な性格といいますかね、これも質疑があったと思いますが、非常に大事な点だし、私は今後やはり不動産登記についてのいろいろな学説なりまた取り扱い例等が出てくるその出発点になるものだと思うから、念を押しておきたいのですが、現在の台帳制度あるいはこの現在の不動産登記、それがそのままその性格を持ってこの新しい一冊の登記簿の中へ移ってくるのであるか、はっきりそういうふうにお考えになっているのかどうか。その点を詳しく説明してほしい、あなたの考えを。
  133. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この改正法のもとにおける登記簿表題部の法的性格いかん、こういうことになりますと、これは現在の登記簿表題部と法的性格は違いがあるわけじゃないのでございまして、その不動産を確定する作用をいたします。不動産の現況を把握するという性格を持っていることは同じでございますが、そうした現在の不動産登記簿表題部というのは、申請主義によっておりまして、常時不動産の現況を把握するという仕組みになっていないので、その点は台帳制度をこちらへ移して参りまして、登記申請の義務を課する。職権でも登記はできるということにしただけであり、一法的性格いかんといいますと、これは現在の登記簿表題部も今度の新しい登記簿表題部も性格は変わったものではないと私は考えます。
  134. 亀田得治

    ○亀田得治君 これはまあだれが考えるといっても非常にむずかしい問題がありますがね。しかし、せんだってのたとえば今度の改正に賛成意見を述べられておられた加藤教授の意見でも、この新しい登記簿の表題、これは現在の台帳の性格を持ったものである。そういうふうにおっしゃっております。それから反対意見の伊藤教授も、その点については大体同じような考え方のように私は聞いておりました。今あなたの説明を聞きますと、何かこう現在の登記簿表題部と大して変わらぬのだ、そこへただ台帳の性格が多少移るだけなんだというような御説明のようでね、私はどうもそれを心配して、この間、加藤教授にも聞いたんです。加藤教授は、権利の部分と表題部の部分はこれは違うんだ。表題部の部分は現在の台帳が移っていく。権利の部分は現在の登記簿のその性格というものだと。それに対して、そうは言うが、二つの帳簿が一つの帳簿になってしまえば、やはり何かそこに法的な性格上の混淆というものもまた考えられるのじゃないか、そういうことを考えられるんなら考えられると、はっきり言ったらいいし、いやそうでない、さい然とこれは区別されていくべきものだ、どっちなのかということでお聞きしたら、やはり再度これはもう別なものた、こういうふうにおっしゃっているんです。あなたが今その点の説明が非用に不明確ですが、理論的には、やはりそういう点あまりどうもはっきりしていないのじゃないですか、あなた自身
  135. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この登記簿表題部の法的効力いかん、登記簿表題部は何だといえば権利の客体である不動産表示するものであるということにおいては、現行法登記簿表題部と改正法の表題部も同じことでございます。ただ、現行法表題部というものは職権主義がとられておりませんし、所有者の申請を待って登記をするという建前でありますために、常時不動産の現況というものをそこに反映してない。それを反映しておるのはむしろ台帳であります。ですから、まあ法的性格いかんといえば、権利の客体はそこに表示されておるということでございますけれども、実質的にいいますと、台帳表題部にとってかわったという意味で、台帳と同じなんだ、改正法のもとにおける登記簿表題部というのは、実質的には台帳がそのままここへきたのだと言っていいと思うのでございます。ですから職権主義がとられておる点、所有者に申請義務が課せられておる点、申請を懈怠しますと罰則が適用せられる点、常時不動産の現況というものがそこに反映される仕組みになっておる点等、そういうものをとらえますと、これはまさしく台帳と同じだと言っていいわけであります。ですから、まあそれはどう表現するかという問題だろうと思いますが、法的性格いかんといえば、権利の客体を表示しておるものだと、そういうふうに抽象的に言ってしまえば、今の登記簿表題部も改正法の表題部も、その点では変わりはない、こういうことも言えると思うのでございます。
  136. 亀田得治

    ○亀田得治君 だからそういう不明確な説明をされますと、そういうことがやはり今後の禍根になっていきます。どこにも定説がないわけですから、提案をされる方自身がどうもはっきりした説明をされない。それはあなた権利の客体という立場から見れば両方一緒だというふうなことを今おっしゃるわけですけれども、しかし、現在の登記簿表題部にもこれは権利の客体というものは一応書いてあるわけですけれども、しかし、これは相当意味が違うでしょう。今あなた自身も多少おっしゃったように、今度やろうとする権利の客体の表示と、表示の仕方も違うし、それからこの法律の立場から考えておる考え方も違っている。だからそれはやはり従来のような表題部じゃないんだ、はっきりとしたやはり違った性格の……。まあ権利の客体であることは間違いない、客体を表わすものであることは。しかし、従来のやつは客体だけれども不正確だし、本人の申請等によってやるんだし、第一いわゆるのあと部分ですね、実質的な権利の部分が主で、いわゆる表題部というのは、それは当然ただちょっとくっついているだけです、何でも見出しがなければ困るから一番初めに表示を書いてある、それだけのものですよ、台帳というような厳格な客体の把握という立場から言ったら……。だから同じく客体なんだというようなことで、そんなごまかしてもらっちゃ困るのです。だからはっきりこれは一つ公法的なものがここに一つ一番初めに載って、あとの方は従来の登記制度と同じ立場に立脚したものだと、こういうふうに言い切れるかどうか、あとの方も。
  137. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 前回参考人の御意見を聞いておりますと、公法、私法ごっちゃになっているような御意見もあったようでありますが、私どもどうもその点がよくわからないので、表題部は公法で、甲区、乙区は私法だという区別ができるかどうか、私ども非常に疑問に思うのでございますが、それは利用という点から申しますと、表題部はこれは私権の客体をそこで表示されておるという点からいいますと、私権とは決して無関係のものじゃない、その意味では私法的だとも言える。それから甲区、乙区をとりますと、甲区には所有者の所有権表示がありまして、固定資産税なんかの関係では中区に所有者として記載されておる者にその固定資産税がかかってくるわけで、税法の面でも甲区が利用されております。それからたとえば百年以上の存続権を定めた地上権などというものは、その地上権者に固定資産税がかかってくる。これは乙区にも地上権の登記がされるわけで、なるほど私権を登記をされておりますけれども、公法関係の面でもこれは利用されておるわけでございますので、そういう点からいいますと、甲区、乙区といえども公法と無関係ではない。ただ私権を表示しておる所有権、質権、抵当権というものがそこで登記されておるということではございますが、公法関係とは全然無関係ではない。それから表題部にしましてもこれは所有権なり地上権なりという場合に、そういう権利の客体たる不動産が必ずそこに表示されておるということに着眼いたしますと、これはやはり私法的なものである。私法と密接な関係どころではない、やはり私法上の権利の根幹をなすものだとも言えるわけであります。  それから、さらに不動産登記制度というもの全体を見ますと、これはなるほど私権あるいは公法上の権利関係でも関係がございますが、そういう私権を反映するものだということではございますけれども不動産登記制度自体というものは、これはやはり国家の制度なわけでございます。むしろ不動産登記法という法律は、一体公法なりや私法なりやということから、いきますと、これは登記所の職務権限なんかも規定してある規定がたくさんあるわけでございまして、そういう点は、これは公法的だとも言えないことはない。ですから、まあ亀田先生にこういうことを申し上げるのはほんとうに蛇足でございますけれども、公法、私法の混淆であるというような考え方は、私どもにはどうものみこめない。ましていわんや、公法、私法の混淆であるからおかしいといったような議論が一体どうして出てくるのか、どうも私どもにはのみこめない次第でございます。
  138. 亀田得治

    ○亀田得治君 いや、何も混淆しておるからおかしいとは私は申し上げておるのではないのです。どういうふうに見ておるのかということを確かめておきませんとね。これは、今度の国会における質疑というものは、やはり法律学者にとってもこれは相当な参考になって、いろいろまた理論構成等も発展するわけですよ。ただその点が不明確だからはっきりさしてくれと言うておるだけなんです。ただ、今のような局長の説明ですと、たとえば台帳というものは公法的なものだと普通にこれはいわれておる。だけれども、今度の新しい登記表題部だけではなしに、今の台帳自体があなたのような見方をすれば、公法か私法かわからぬようになってくる。それから現在の登記簿自体がそういうことも言えるわけですよ。だから、まあそういう特に私は持って回っての説明ではなしに、ただ一普通公法的、私法的とこう言うておるので、ただその言葉を使っただけなんでね、こっちの言葉をあまり持って回らぬようにしてやってほしいと思う。素直に……。  台帳関係はその程度にして、今度は現実登記の部分ですね。この点は、現在の不動産登記法における一つの原則というものがありますがね、性格、考え方というものがありますが、そのままのものだと。権利登記の部分は、そういうふうに考えておられますか。
  139. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 権利関係登記におきましては、御承知通り申請主義が建前でございますが、この現行法申請主義は、改正法でもそのまま維持されておるわけでございます。変更はございません。
  140. 亀田得治

    ○亀田得治君 申請主義以外の点についても同じまあ多少技術的なことは変わっておりますけれども、そういうことは抜きにして、考え方なり原則というものは変えていない、こういうことをはっきり言えますか。
  141. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 従来の権利登記について若干不備がございましたのを改めたほかは、ただいま仰せの原則は、全然変わっておりません。
  142. 亀田得治

    ○亀田得治君 そうすると、例の、きょう高田さんからも再三質問もあり、せんだってもあったわけですが、増築に関する取り扱いですね、従来と多少変わりますね、多少変わるというか、職権主義が多少入ってくる、そういうことがあっても、権利の部分の法的性格というものは変わらないものであるというふうな見方ですか。
  143. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) その通りであります。
  144. 亀田得治

    ○亀田得治君 それでは、そういうふうに聞いておきましょう。
  145. 大川光三

    委員長大川光三君) それでは午前中の質疑はこの程度にとどめまして、午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時五十二分休憩    ―――――・―――――    午後二時二分開会
  146. 大川光三

    委員長大川光三君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。御質疑のある方は御発言を願います。
  147. 亀田得治

    ○亀田得治君 罰則の点。休憩中にも多少仲間で議論をしてみたのだが、二、三なお納得いかぬわけですが、一つは、ある人が登記義務者でないということを確実に知っていて証明するやつがありますね。これは一番悪質ですわね。これは私文書の無形偽造というやつになるわけですね。これは現行刑法では、医者などがやる場合のほかは、刑法から除外されているわけです。だから、この条文の書き方だと、一番悪質なやつがむしろ逃げてしまうことになる。そこのつり合いという点はどういうふうになるのか。その一番悪質なやつが刑法にひっかかるならいいけれども、刑法ではひっかからない。だから、そういう面でもこの百五十八条というものは、もうちょっと検討すべきなんじゃないかと思う。悪いやつを確実につかんで、そして善意なやつまではひっかからぬようにしてやる、これが私は罰則の大原則だと思うのですがな。その点、どういうふうにお考えですか。
  148. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 人違いでないということについて確実な知識を持たないにかかわらずという場合でありますから、そういう場合はもちろん百五十八条に触れると解釈すべきものだと思うのであります。
  149. 亀田得治

    ○亀田得治君 いや、人違いであるということをはっきりと知っているのです。確実な知識を持っているのですよ、私の言うのは。それは、刑法で言うたら、私文書の無形偽造と普通いわれているやつだ。ところが、私文書の無形偽造罪は、刑法では医師がそういうことをやった場合とか、特定の場合にしか処罰されていないわけなんです。これは明らかにこの百五十八条よりは悪質なやつなんだ。そっちの方が逃げておるのに、うっかり判を押すといったような者を処罰していくことはつり合いがとれないという点を私はお聞きしたい。それは百五十八条に入りませんよ、あなたどうおっしゃっても。それはどうですか。
  150. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この百五十八条は、先刻も申し上げましたように、人違いでないということについて確実な知識を持たないということでありますから、人違いであることを知っておれば、もちろんこの中に入ると解釈すべきものだと思うのであります。
  151. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ休憩中に私は多少疑問があったから、その点は法制局長の意見等も聞いたのですが、そういう場合に、もちろん解釈というわけにはそれはいくまいと思う。刑法上は、私文書の無形偽造というものは、どういう場合に処罰されるかということを明記してある。百五十八条を設けることによってそういうものまで、もちろん入るというようなことは、これは出てこぬのですよ。それはうっかりしておったのじゃないですか。
  152. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) それはうっかりしておるじゃ決してございません。人違いであるかどうかよくわからぬ、あやふやな、まあ多分、間違いないだろうと言うから間違いないだろうということで保証書を作る場合までも罰則で取り締まりませんと、この罰則が目的を達しません関係で、そういう場合までも含めるということで、こういう表現になったわけであります。仰せの場合は、まさしくこれは典型的な私文書の無形偽造になるわけでございます。これは御承知通り刑法に罰条がないわけでございます。そういう場合も百五十八条に含まれるという解釈で百五十八条の条文を作ったのでございます。
  153. 亀田得治

    ○亀田得治君 この点は見解の違いとかということではないので、多少無理があると思います。それで、百五十八条はそういうものも含めるというのであれば、やはり登記義務者の同一性につき――違っているということにっき明確に知っておるにもかかわらず、一種の偽造罪なんですから、私文書の無形偽造に当たるのですから、そういう表現でなければ、これはどうしても無理です、その点は。だから、私はその点ではきつく明確にしてほしい。  それからもう一つは、「確実ナル知識」というのでは、どうも直接本人を知らないで、相当信頼に足る人が、こういう事情だから保証してやってくれと言われたような場合に、善意の人に非常な迷惑を日本の実情では及ぼす、そういうことをなくするには、これは私見ですが、「確実ナル知識ヲ」というのを多少ゆるめて、「信頼すべき確実なる根拠を有せざるにかかわらず」、こういうふうにしてもらえば、中には、直接本人は知らぬが、間接に信頼すべきこういう人が実は話して、こういう事情だったのだからと、そういう気の毒な人まで処罰の対象にするということにはならぬわけですな。だから、これは一つ質疑終了後でも、多少意見の交換をさせてもらいたいと思います。  それから今度四十四条の二で、せんだってから問題になっておる保証書の問題について義務者に事前通知をすることになっておるわけですがね。事前通知をしてその返事が義務者からきて初めて登記することになるわけですね。その通知がおくれておると、結局登記ができない。延びることになるわけでしょう。だからそういうことになっておれば、間違った保証書が登記所にもし出されておれば、それは本人に通知するわけですから、大体その過程で暴露しちゃうわね。私はそういう押え方も一つの方法だと思うのです。その点についての批判的な意見は若干あります、それはあまり厳し過ぎるのじゃないかという……。しかし、その批判的な意見に耳をかされて、それをゆるめるのならこれはまた別だ。そうでなしに、その点は、それはきちっとやっていくのだということなら、百五十八条のような罰則はちょっときつ過ぎるのじゃないか、しかも内容的には、先ほど申し上げたような専門的に見て多少問題があるのですから、大部分事前に発見できる仕組みを作ろうというわけなのですから、その建前を維持される以上は、この罰則はその面からも多少一ぺんにそこまでやるのは強過ぎるのじゃないか。四十四条の二のようなことをやっても、なおかつ実効が上がらないというところで一つの罰則を設けていく、これも一つの順序だろうと思いますがね。その点はどういう工合にお考えですか。
  154. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 四十四条の二を設け、なおかつ百五十八条の罰則を設けましたのは、前回でございましたか、前々回でございましたか、るる申し上げましたように、権利関係登記におきましては形式審査主義をとっておりまして、はたして登記義務者として登記申請しておるものが真実の権利者なりやいなや、それから権利関係の変動が実際あったのかどうかという実質の審査権が登記官吏には与えられておりません関係で、現在のような保証書の制度をそのままで置いておきますと、その実際の運用の実情にかんがみまして、虚偽の登記ということを防止するにきわめて不完全である。しかも戦後は戦前に比べまして虚偽の登記がむしろ増加するような傾向にあるおりからでございますので、この登記済み証がない場合の登記申請は厳格にする必要があるということで、四十四条の二を設け、さらにごの罰則を設けたのでございますが、四十四条の二に事前通知の方法が講ぜられておるのだから、まあ保証人がいいかげんな保証書を作っても、相手は確かにその人に間違いない、本人に間違いないということをよく知らないにかかわらず、まあ大丈夫だろうぐらいのことで保証書を作るというようなことを許してもいいということには相ならぬだろう、保証書は要するに人違いなきことを保証しますということでありますから、人違いであることをはっきり知っており、あるいは人違いかもしらぬという可能性があるのに、漫然と保証書を出すということが本来許されてしかるべきものではないのでありまして、四十四条の二がありましても、なおかつ百五十八条の必要があるのではないか、本来から申しますと、現行法のもとにおきましても、この保証人の虚偽の保証――虚偽とまでいかなくても、あやふやなことで保証書を出す場合に対しまして罰則の規定がなかったのは、むしろ不備だと言ってもしかるべきことではないかと思うのであります。それからなお、これはこういう考え方もあるいは出てくるかと思うのであります。罰則があれば、もう四十四条の二のような、ああいうめんどうなことをしなくてもいいじゃないかと、こういう意見もあり得ると思うのでございますが、またそうなりますと、この罰則だけでは、これの虚偽の登記がなされた後にこの罰則が現実の問題としては発動してくることになるわけでございます。これはやはりあとの祭りになるわけで、やはりどうしても四十四条の二という規定が要るのではないかと考えられるのでございます。そういうわけで事前通知というものと、この罰則の規定、両者が、権利登記におきましては形式審査権しか与えられていない登記官吏がします登記につきまして、できる限り真正を確保したいというためには、この二つの制度が必要ではないかと私どもとしては考えておる次第でございます。   ―――――――――――――
  155. 大川光三

    委員長大川光三君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日付、辻武寿君辞任、石田次男君選任、江田三郎君辞任、片岡文重君選任、以上であります。   ―――――――――――――
  156. 亀田得治

    ○亀田得治君 ただいまの答弁では、あまりはっきりとした必要性がない、本来そんな間違ったことをやるやつはけしからぬのだと、そういう考え方に立っておるのであって、それは間違ったことをだれも認めているわけじゃないのでしてね、大部分のこれが、たといそういういたずらをするものがいても、被害が起こらぬようにとめれるという制度を一方で作ろうとする以上は、やりその制度でしっかり取っ組んでみる。これが大事じゃないか、こう私は申し上げているので、それで、ことに四十四条の二では、ただ通知だけじゃなしに登記義務者が登記官吏の方に間違いないということを言うてくることになっているわけでしょう。通知のしつぱなしじゃないのだ。だからそこまで明確な手続を踏まそうとしておるわけですからね、私はこう罰則を設けることはもっと慎重であっていいと思うし、やむを得ず設けるとしても、もう少し内容的には慎車なものでなけりゃならぬと、こういうわけなんです。多少同じことを繰り返すようになるから、この程度にしておいて、あとからこれは一つ御相談を願いたいと思います。  もう一つこの法案に関連して多少お聞きしておきたいと思いますが、それは、今度の一元化作業をするについての法務局側の受け入れ態勢の問題です。これは相当他の委員の方々からもすでにこまかい点について御質疑があったようですから、重複は避けたいと思いますが、その前に、この法務局の職員の待遇が、こういうめんどうなものが起こってくる以前に、もうすでに非常に悪い状態にあるのですね。こういう点を、民事局長として平素からどういうふうに考えておるのか、もっと具体的にいうと、これは、われわれは法務局の人から、ときには聞かされることですが、以前は登記仕事は裁判所でしたね、それが、その後裁判所から分離して現在のようになった。裁判所にあるころは、裁判所の職員の皆さんとやはり大体均衡をとった待遇というものが与えられておった。ところがそれが分離したわけですね。分離後は事実上だんだん待遇が下ってきているのですね。そういう点等が、ただ国の制度変更によって、本来与えらるべきはずのものが与えられなかった。これはもう根本的な不満ですね。しかも仕事の内容は、裁判所の職員の方であれば、一方では例の裁判官がいて、裁判官と書記官の仕事などが法律上区別された点もあるわけですが、これはむずかしい問題もあるわけですけれども、しかし書記官のほかに一応そういう裁判官というものがいて、何かむずかしい問題があれば、これは判事さんこれはどういうことですかくらいは聞いたりできる立場にある。ところが、これが分離された後の法務局の職員というのは、登記を扱うとか、こういったような問題、これは扱うその本人が責任をもって処理していかなければならぬ問題なんですね。だからそういう意味で責任なんかも非常に過重されているのですよ、実際は。そうして待遇がずっと開いてきている。これはもう根本的にみんな不満を持っているのですよ。そこへもってきて、この前にお聞きしたところによると、昭和二十六、七年ごろには、大体一日の基準量は八件に対して七件というのだから、まあまあという仕事の分量です。八件に対して一品七件だ一から、休み時間とか……。それから八件というのは、ずっと詰めてやる計算ですからね。それから全国の職場をとってみて、どうしたって中にはあく時間というものができるわけですから、七件くらいで私はまあまあというとこだと思う。それがその後現在では三倍以上になっている。その点の改善がない。今度の一元化に対しては、いろいろ御質疑があったような予算措置等をあなたの方じゃしている、こう言うわけですけれども、ゆっくりしておるのに、それだけの予算措置をして、それでこれで頼む、こういうのなら、これは多少予算の不足とか、そういう問題は一方にはありますけれども、そういうことは抜きにしても、多少感じが違う。ところが、全く飽和状態になっているのですよ。体力的にも精神的にも……。そういう状態をほったらかしておいて、そうしてここで国民の権利義務に非常に重要な関係のある、また法律学者から見ても相当問題のある仕事をここにぶち込んでくるわけだ。これは、私はあるべき姿じゃないと思うのですが、根本的な待遇なり件数の問題は、結局は増員ですね。人をふやさなければどうにもなりません。増員とそれからいろんな設備ですよ。機械設備。一々書くのを、ぱっと簡単に写せるようにするとか、そういったような 一ものの体制をほんとうに整えることをやらぬで、多少予算をもってきたから、さあその上へこれを積んでやれという格好では、うまくないように思うのですが、それは局長はそういうことをどういうふうに心配されておるのか。根本的な問題から一ぺん、ちょうど関連してくるものですから、お聞かせを願いたいと思うのです。
  157. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 登記所職員の待遇の改善ということは、私どもも切にこれを願っておるところでございますが、各省の職員と同じく、登記所職員もやはり国家公務員――行政職――ということになっておりまして、他の各省の同様の職員と別に、発記所の職員だけを優遇しろと言うわけにもいきませんので、それは待遇改善という公務員共通の問題として、私ども今後も努力していきたいと思っておるのでございます。  それからなお、この登記所職員の待遇の改善は、この一元化とは別に、これと並行して、今後もあらゆる努力をしていきたいと考えておる次第であります。
  158. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあその「あらゆる努力」ですがね、実際このせんだっての御答弁もありましたように、これは現在の社会の趨勢として、毎年相当数の。パーセンテージでふえていくわけですね。だんだん人員不足の開きが大きくなっていく。これは「あらゆる努力」の程度では全くだめなんですな。具体的に、こういうふうにしなければ――それはとてもほんとうの、皆さんに喜んでもらえる登記所としてのサービスはできないということを、もっとはっきり出してこなければ、私たちは弁護士であり、そういうことにちょいちょいタッチしますから、いろいろな事例を知っておりますが、とにかく農地解放関係登記でも、一般登記が山積しておっておくれるものですから、ああいう特殊な登記になると四年も五年もおくれているやつがあるのです。解放が農地委員会で決定してしまって、一切のほかの手続は終わっているのに、あまりひどいのは陳情等あったりして、法務局に注意しますと、それはやってくれますよ。が、しかし、それは決して怠けてほったらかしてあるのじゃない。順番を先へ回すだけだから、こっちをやるかわりにほかがどこかおくらされて迷惑を受けているところがあるに違いない。それは民事局長がおそらく一番知っているところだと思うのですがね。法務関係というと、まず裁判所、検察庁というのは、こういう順序で常識的にくるわけですよ。この法務局といったら、どうしても一番あとになってしまうのです。どういうのか知れぬけれども、そういうのは全くこれは実情に合わないので、それでその考えを改められぬ以上は、この状態というものはもっともっとひどくなりますよ。これは「あらゆる努力」じゃなしに、一体どこをどういうふうにしようとしているのか、そのあなたの考えておる理想案――どうも大蔵省がのむ可能性のあるようなものとはあまり違うものだから、うっかりも言えぬのじゃというようなことじゃなしに――どんなことを考えておるのか。何も考えないで民事局長がぼんやりしておられるはずがない。構想だけでもいいから、はっきりしてほしい。その構想だけでもはっきりさせてもらえば、これまた法務局の職員でもまた考え方、感じ方が違ってくる、「あらゆる努力」ではだめですよ、どうですか。
  159. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 給与改善は、ひとり登記所職員の問題だけではなく、政府職員全般の給与制度に関することでございますので、その一環として待遇の改善ということをはからなくてはならぬわけで、民事局だけでどうというわけに参らぬわけでございますが、その他の点におきましては、たとえば一元化超過勤務予算は私どもも従来の実績に見まして、かなり有利になっておると思うのでございますが、その他の事務関係超過勤務手当、これが必ずしも私どもとしては十分でないと思っておりますので、一般超過勤務手当の予算の増額、それから出張所におきますところの宿日直手当の増額、あるいはいわゆる出張所の渡し切り費の増額、それからなお裁判所検察庁なんかに比べますと、公務員の宿舎が法務局の関係では非常に不足をいたしております。宿舎の新常ということでも、民事局だけで可能な限りにおきましては従来も予算の獲得につきまして及ばずながら努力をいたしてきておるわけでございまして、今後もこの努力を続けていきたいと思っておる次第でございます。
  160. 亀田得治

    ○亀田得治君 民事局関係のようなことではとてもだめですわ、これは。で、要求したいのは、今あなたは給与のベースの関係等に主として話を向けられたけれども、それは個人々々の給与額もこれは大事なんですが、第一に人数ですよ。頭数が足らぬのだから、これはだれが見てもはなはだしく、朝から晩までずっと書きづめにやっておって、それが三倍になっておるのだから、だからそうでもいかぬというので、必ずそれは一日八件という基準量以上に無理しているに違いないのです。こんな仕事ぶりというのはあるものじゃないですよ。だからこれは個人の給与のほかに、人数という問題は絶対的な問題になってきているのです。それを抜本的に考えてもらわなければいけないのです。仕事量と人数というものははっきりしておるのですから、幾ら大蔵大臣が金を出し渋るといったって、計算してちゃんとこの人数仕事量というものが合わぬければ、これは仕方がないのですから、これはこっちが要求するのはあたりまえでしょう。こんなことは決していい加減なことでいろいろな補助金を取るとか取らぬとか、そういうような問題と全然違うのですからね。もっとはっきり出してもらいたい。  それからもう一つは、やはりなるほど給与なり待遇をよくするのは法務局の役人だけを特別に云々ということは、これは無理でしょう、やはり全体のつり合いということを当然これは考えなければならぬ。しかしその場合にも、同じような仕事やっている役人が官庁の違いによってはなはだしく待遇が違う、こういうことはやはり納得できないわけなんです。だから事実上、この法務局の職員というものは、以前に裁判所にいたわけです、所属が。だから裁判所の職員の方は一般職員と違うのであれば、その違いぐらいは仕事の内容はむしろ裁判所から分離されることによって責任関係なんか重うなっておるのですから、法務局の職員は、だからそれは当然待遇の方は同じようにやはり扱っていってやるべきですよ。個々の一人々々の問題じゃなしに、根本的な不満を私は代弁しておると思う。これは筋の通った不満です。そういうふうにおやりになる考えはないですか。
  161. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) ただいまの御意見、非常に私どももごもっともだと思っておる次第でございます。登記の事件が年々ふえるのに対応して人員の増加が認められません関係で、手不足を来たしておる、そのために登記の事件処理が遅延をする、それから職員の負担が重くなっていくという傾向にございますので、私どもといたしましても、つとに増員の必要を強く訴えまして、これの実現に努力してきたわけでございます。幸いに昭和三十五年度におきましては、前回も申し上げましたような百四十二名の増員が認められる予定でございます。  なおそのほかに、ただ人だけというわけにはいきませんので、できるかぎり事務を合理化いたしまして、機械の力を利用するということで、以前に比べますると、ことに謄本の作成等につきましては、事件の多い所には新しい謄写器、複写器を配付いたしまして、できる限り人手を節約するという方法を講じておる次第でございます。しかしながら、私どもといたしましては、まだ現状ではこれで十分だとは決して思っておりませんので、今後もなお人手の充実、それから事務の機械化ということにはさらに一段と努力をいたしたいと思っております。  それからなお戦前におきましては、登記所は裁判所の所管のもとにあったわけで、登記官吏もひとしく裁判所書記ということであったわけでございますが、新憲法の施行後、裁判事務と行政事務がはっきり分離されました結果、現在のような建前になっておるのでございます。私どもの立場から申しますと、裁判所書記は、検察事務官と登記所に勤務しておりますところの登記冒すなわち法務事務官との間には、号俸調整の有無ということによりまして、現行制度のもとでは差別がございますが、この差別が、はたしていいのかどうかということは、私どもここで申し上げる限りではございませんけれども、実際開きができておることは仰せの通り事実でございます。私どもといたしましても、その開きをどうしても埋め合わせるように、実質的な待遇の改善をはかるということで、先ほどから申し上げましたように、予算上、現在の制度のもとで可能な限りにおきまして超過勤務手当の増額であるとか、宿日直費の増額であるとか、その他の方法によりまして待遇の改善をはかりたいと考えておる次第でございます。   ―――――――――――――
  162. 大川光三

    委員長大川光三君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日付、津島壽一君が辞任、小柳牧衞君が選任されました。  以上であります。   ―――――――――――――
  163. 市川房枝

    ○市川房枝君 私は法律に全く無知でありますし、それから登記所にあまり関係がないので、なかなかこの法律はむずかしくて、せんだってから参考人並びに委員の皆様方のお話を伺って参ったのでございますが、一元化というのは国の立場あるいは、自治体から言えばよさそうなんですが、国民の側から申しますと、あるいは現在働いておる人たちの立場から言うと、どうも望ましくないという点があるような実は感じを受けておるのですが、そんな点から、はっきりしない点一、二点だけちょっと伺いたいと思いますが、第五十条でございますが、五十条のおしまいの方ですが、「土地若クハ建物ノ所有其他ノ関係人ニ文書ノ呈示ヲ求メ若クハ質問ヲ為スコトヲ得」云々とありまするが、これはどういう人を言うのでございましょうか。近所の人といいますか、その点を一つ伺いたい。  それからそれに関連して、おしまいの百五十九条で罰金、罰則のことが出ていますが、その点を加えてちょっともう一ぺん御説明いただきたいと思います。
  164. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この五十条の二項で「所有者其他ノ関係人」と言っておりますのは、典型的な例を申し上げますと、隣地の所有者なんかがこれに当たるわけでございます。たとえば一例を申し上げますと、登記簿には、たとえば土地が五十坪として載っているのだが、実は六十坪あるので、五十坪と面積が書いてあるのを六十坪に改めてもらいたいというような申請があったと仮定いたしますと、あるいは場合によったら、隣地が少し取り込んで、境界を移動しまして、自分の土地を広げているのではないかというような疑いが起こることがあり得るわけでございます。その場合に、隣地の所有者にも確かめてみるということが現実の問題としてそういう必要が起こる場合があり得るわけでございます。隣の土地の所有者などというのが一番典型場的な例だと思うのでございます。これは現在の土地台帳法にもやはりこれと同一趣旨の規定がございまして、これを今度は台帳登記制度の中に吸収されると申しますか、一本化します関係で、台帳法の規定から同じ趣旨の規定をこちらに移してきたのでございます。  それから百五十九条のお尋ねの罰則も、これもやはり台帳法に同趣旨の規定があるわけでございますが、これは他の法律にもいろいろ類似の例がございますが、国の機関にこういう職権による調査権を認めました場合には、その調査を妨げたり、あるいは調査に協力をしないという場合には、こういう罰則の規定がございませんと、職権調査ということを行なうことができなくなります関係で、百五十九条のような罰則が設けられておるわけでございます。
  165. 市川房枝

    ○市川房枝君 関係者といいますか、それの御説明が、土地建物所有者その他の関係人とあったのですが、その近所に住んでいる人が職権で調査に来られて、そしていろいろ建物あるいは土地についての質問をされた場合に、他人の財産権といいますか、それに対していろいろ言うのですから、言いたくないといいますか、そういう気持があると思うのですよ。そして事実知らないという場合もあるでしょう。そういう場合に、拒否をしたということで、十万円以下の罰金ということは、ちょっと国民の側から言うと納得ができないように思いますけれども……。
  166. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) その関係人と申しまのは、ただ隣近所の人という意味では、ございませんで、やはり隣地の所有者――境界は必ず問題になりますので、その隣地の所有者ということでそういう何と申しますか、その人にも確かめてみなければ真実がわからないという、そういう限られた場合でございます。ただ隣近所に住んでいるから知っているだろうから、隣近所の人はみんな関係人になるかと申しますとそうではございません。それから、たとえば関係人としてなお典型的なものをあげますと、長屋なんかでございます。長屋なんかがかりにあるといたします。二軒長屋というようなものがあると仮定いたします。床面積なんかについてこちらの方は何坪、その坪数が実際と違っておったので改めたいというような場合に、坪数の訂正を申請してきた方ではない他の一方の所有者に対し、あなたの方の坪数はこれに間違いないかというようなことで確かめてみる、そういうほんとうに法律上の利害関係があると申しますか、そういう場合に限定して解釈すべきものだろうと思うのでございます。ただ隣近所だからということだけでは、直ちに関係人とは言えないと思うのであります。
  167. 市川房枝

    ○市川房枝君 その点を厳格にやっていただかないと、周囲が迷惑をこうむるわけですから、その点を一つ厳格にやっていただきたい。  それから今度の登記法の改正によって、国民の、登記者の方の負担が軽くなるかどうか。現在と比べてどの点がどういうふうになるのか、それを一つ……。
  168. 平賀健太

    ○府委員平賀健太君) 従来でありますと、先刻建物増築をした場合の話が出ましたので、増築の場合を例にとりますと、現行の制度でございますと、増築をいたしますと台帳の申告をしなければならぬわけでございます。台帳の申告をしまして、それから今度その建物につきまして何か権利関係登記をしようという場合には、また増築登記申請もしなければならぬことになるわけでございます。台帳の申告のほかに、登記をしなければいけない。それからまた権利関係登記をやるわけです。今回のこの改正案のようにこれを一本にいたしますと、台帳制度がなくなりますので、台帳の申告の必要はない。ただ増築登記申請だけをすればいい、二重の手続一つで済むことがあるわけであります。それから増築関係は、これはまあ登録税はあとになって納めるわけでございますが、いずれにしても登録税は要ります。ほかの例をとってみますと、たとえば一筆の土地を二つに分けて一筆の土地にするというような場合でありますと、やはり台帳関係でまず分筆の申告をしまして、それからその上でまた登記も分筆の登記をしなければならぬわけでございます。その分筆の登記をする際には、現在でありますと登録税が要るわけでございます。この改正案になりますと、台帳がなくなりますので、分筆の登記申請だけをすればそれで済む、しかも登録税は要らないということになっております関係で、登記制度を利用しますところの一般の民衆にとりましても、相当これは手数が省け、経費の負担が省けるということになるわけでございます。
  169. 市川房枝

    ○市川房枝君 よく私まだ納得できないのですが、幾らか手数が省けることはあるかもしれません。しかし確実性の問題がこの間から出ておったのでありますが、今度の帳簿が結局納税の台帳になるという意味において、さっきこれはちょっと関連質問で伺ったのですが、固定資産税の台帳になると、脱税があるということは望ましくないのですけれども、今度の登記一元化のねらいの一つがやっぱり税金を取り立てるというところに何だか主眼があるような気がするのでございますが、これはそう考える考え方の問題かもしれませんから、その点はその程度にしまして……。  それから手続の問題ですが、簡単になるとおっしゃったのですが、いろいろ前よりも申告の義務とか、そういうことはどうなんですか。今度の方が多いような気もするのですが、同じでございますか、その点具体的に………。
  170. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 義務の方も、権利関係登記申請主義でございますので、この新しい案でも全然義務ということにはいたしておりません。従来は、不動産の現況が変更しましたような場合は、台帳関係で申告の義務を課しておりますが、それがそのまま今度登記の方にきまして、登記申請の義務になっただけで、これもほとんど実質は変わっておりません。義務が特にふえたということにはならぬわけであります。
  171. 市川房枝

    ○市川房枝君 この間から皆さんから問題になっておりましたが、働いておる人たちの人数が不足だから、あるいはそのために労働が非常に過重だというお話をだんだん伺っておるのですが、職員の方たちがそういう状態にある場合に、その職員のといいますか、あるいは登記所を取り巻く環境は、結局銀行だとか会社だとかあるいは不動産業者といいますか、こういうような人たちが取り巻いておる。そういう人たちは早く登記を済ませたいといいますか、多少便宜を得たいというような意味で、ある種の誘惑といいますか、ということが職員に対して行なわれているらしい。たとえば場所を見に行くときも、ほとんどその業者の自動車などで行く、あるいはまあ食事をするという場合もあるようにちょっと聞いておるのでございますが、そういう点はいかがですか。
  172. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 登記所の回りに何か業者がおって、それの誘惑があると。一般的にはそういうことは全然ございません。これは全国で約二千カ所というたくさんの登記所があるものでございますから、職員の不正事件ということもきわめてまれにはございますが、全般としましては、そういう御懸念のようなことはございません。
  173. 市川房枝

    ○市川房枝君 そうなら大へんけっこうと思いますが、ただ、法務省でおやりになるのですから、そういう問題があっても、あまりこれは表向きにはならないと思うのです。実際はあるのだというようなことを聞いておりますが、なければ大へんけっこうなんです。しかし、そういう誘惑が多い環境で働いているそういう方たちの待遇が非常に悪い、あるいは事務が非常に輻湊しているということであると、これはそういうことに陥りやすい、そういう面からもそういう方たちの待遇をよくするということが必要でないかと思うのですが、そういう点は今後も正しく行なわれるようにお願いいたします。
  174. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) ただいまお言葉がございましたが、私ども全く同感でありまして、登記申請書には多額の印紙が張られましてそれが登記所に提出されます。それからそのほかに、なお供託事務、こういうようなものも扱っておりますので、現金を扱う場合もございます。そういう関係で、非常に登記所職員の責任重大でございますので、そういう関係からも一つ登記所職員の待遇の改善について認識を願いたいということで、大蔵省なんかにも私ども折衝してきている次第でございます。私どもお言葉のような趣旨をもちまして従来も努力をいたしてきている次第でございます。
  175. 井川伊平

    ○井川伊平君 ちょっと簡単にお伺いを申し上げますが、前々より議論になっております四十四条の保証の問題でございます。保証人が間違いなく保証するのには、一体どれだけの知識があればいいかという問題についてお伺いしたいと思います。それは、登記申請書がすでに作られまして、それに猛記、の義務者が表示されましょうが、そうしますと、その申請書に記載されている登記の義務者と、現実に何番地に住んでいる何がしという人間が同一である、人違いでないということを調べればよろしいという趣旨ですか。
  176. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) そういう趣旨であります。人間の同一性であります。
  177. 井川伊平

    ○井川伊平君 そうしますと、その人間が登記しようとする中なり乙なりの不動産について同一人である、同名異人ではない、同一人であるということもありましょうが、そうしますると、その不動産というものを現実にその人が権利者であるという事実を知っているということも知らねばなりませんか、持っているということも知らねばなりませんか。
  178. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 権利を持っているということについての知識は要らぬわけでございます。
  179. 井川伊平

    ○井川伊平君 そうすると、申請書に書いてある義務者と何がしという人間は同一人であるという事実を知れば足るということですね。
  180. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) さようでございます。
  181. 井川伊平

    ○井川伊平君 そうすると、その何がしという人は、そういう不動産を所有しているかいないかを知らなくてもいいのですか。
  182. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) その点については知らなくてもけっこうでございます。
  183. 井川伊平

    ○井川伊平君 知らなくてもいい。知らなくてもいいくらいであるとするならば、それを処分し、あるいは抵当権をつけるところの契約があったとか、あるいは登記をする意思があったということは知らなくてもいいのですね。
  184. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 要するに、これから登記義務者として自分は登記をしたいのだ、登記簿に所有者として表示されている何の何がしは自分であるということで、登記簿表示されている登記義務者だと言って保証人の所に来た人間に同一性があるということを知っておればいいわけであります。
  185. 井川伊平

    ○井川伊平君 今あなたのおっしゃった行けばということは、現実に人をつかまえての話でしょう、この人ですよという、しかし、かわって行く場合もありましょう。だから現実にその不動産上の権利者である登記上の義務者ですね、それがそこにおるとは限りませんですね。それで私は承るわけなんです。
  186. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 本来から言いますと、これはおるのが建前だと思いますが、ほんとうは、よく知った人だと、家族に聞いてもわかりますし、というようなことで、実際必ず現実に現われなくても済む場合がこれはもちろんあるわけでございますが、建前としましては、やはり人間の同一性を確かめるわけで、自分はこの登記簿登記義務者として表示されておる何の何がしであると言って来たものが、はたしてその人に間違いがないかどうかということの証明であります。
  187. 井川伊平

    ○井川伊平君 そこまで言えば、何がしという来た人がその不動産を所有していることを知らなければ、そういう証明ができないではありませんか。
  188. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これはそうはなりませんので、なるほど登記簿には、権利者、所有者甲とございましても、御承知通り先ほども申し上げましたように形式審査でやりますので、登記簿権利関係表示が常に実態に合っておるとは限りませんわけでありますから、真実の所有者であるということについての認識は、これは不要でございます。
  189. 井川伊平

    ○井川伊平君 そうしますと、申請書の義務者として書いてある住所と姓名が、現実に自分の知っておる人の住所と姓名と一致するならば、その現実に知っておる人がその土地を持っているかいないかということは、全然知らなくてもかまいませんね。
  190. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) さようでございます。
  191. 井川伊平

    ○井川伊平君 その点、それで一応了承しました。  もう一点、先般来四十四条の二の改正の問題につきまして、私反対のような意向を申し上げておりましたが、その後の詳しい御説明をいただきまして、大体内容を了承いたしました。しかし、なおその問題につきましてお伺いを申したいと存じますが、長い間事後通知の慣習になれておる日本の人たちが、事前の通知に変わったということを知るのには、よほど困難な事情にあるであろうと存じますが……。たとえば事前通知できたものを、また例の通りだなと、事後通知だなと考えて、登記ができてしまっておるのだと考える義務者があるだろうと存じますが、そういうものにつきましては、何か特別に周知の方法をお講じになるお考えがありますか、いかがですか。ありましたら、どんなお考えがあるか承わります。
  192. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 今回の不動産登記法の改正につきましては、ラジオその他をもちまして一般の広報活動を行ないたいということ、もちろんこれは計画いたしておりますが、そのほかに、なお登記所の窓口にもこの趣旨を掲示いたしまして、申請に来た人によくわかるようにいたしたいと思います。それから保証書を提出しまして登記申請がありました場合には、申請人によく説明しまして、従来とは違って、すぐ登記はできませんよ、こういう事前通知をすることになりますということをぜひいたさせたいと考えております。それからなお実際問題としては、登記申請書の作成はしろうとではなかなかできかねまして、現在でもこれは司法書士に依頼をして申請書を作ってもらうのがほとんど全部でございます。司法書士会の方にもこれは御連絡いたしまして、全国の司法書士によくこの趣旨を徹底させていただきたいと考えておる次第でございます。誤解が生じませんように、そのために不測の損害をこうむることがないように、十分の注意をいたしたいと考えております。
  193. 大川光三

    委員長大川光三君) 暫時休憩します。    午後三時五分休憩    ―――――・―――――    午後三時三十四分開会
  194. 大川光三

    委員長大川光三君) ただいまから委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。  御質疑のある方は御発言を願います。
  195. 亀田得治

    ○亀田得治君 罰則の点で、もう一点確かめたいと思います。百五十八条の意味について、先ほど来いろいろ質疑があったわけですが、御答弁のような趣旨をより明確にするためには、次のように改めないといかぬのではないかというふうに思いますので、ちょっと私の試案ですが、読みますから、一つ局長の見解を明らかにしてほしい。原文と私の申し上げるものとが同じ意味になるのかどうか、結論のところを特にはっきりしてほしいのです。読み上げますと、百五十八条の初めの方ですが、「登記義務者ニ付キ確実ナル知識ヲ」と、そのところを、「登記義務者ノ人違ヒナキコトヲ信スヘキ確実ナル根拠ヲ」、そういうふうに改めた方が誤解も生じないし、わかりいいのではないか、こういうふうに考えておりますが、お答えを願いたいと思います。
  196. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この百五十八条のこの案の趣旨は、ただいま鬼田委員が仰せられたように条文を改めましても、趣旨は全く同じことでございます。で、強弁するようでございますけれども、この案のままでも誤解を生ずることはないのではないか、全く同じ趣旨に解釈されると考えておる次第であります。
  197. 大川光三

    委員長大川光三君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 大川光三

    委員長大川光三君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  199. 井川伊平

    ○井川伊平君 私は自由民主党を代表いたしまして、本法案に賛成の意を表するものであります。  「現行の登記台帳制度を統一して一元化することによりまして、二重の手数を、また費用を除去し、登記手続の合理化、簡易化をはかることは、昭和二十五年以来の懸案であったのであります。本法案は、これらの事情のもとに、慎重な配慮と工夫のもとに立案されており、妥当なものと考えます。この点、委員会の審議を通じて詳細は明らかにされました。しかしながら、適正迅速な一元化作業の具体的実施にあたっては、若干懸念される点もあるので、今後一そう登記所職員の待遇と設備の充実を期するなど、万全の策を講ぜられんことを切に要望して、本案に賛成します。   ―――――――――――――
  200. 亀田得治

    ○亀田得治君 私は日本社会党を代表して、本案に反対をいたします。簡単に二、三その理由を申し上げます。  第一は、台帳登記簿の扱い方、これを一元化していいかどうか、こういう点については、なかなか理論的にも専門家の間で議が熟しておらない、こういう点がまずあげられるわけです。そういう問題が不明確なときに、急いでこれをやるという必要性というものは、それほどないのじゃないか。政府の説明等を聞けば、多少の便宜等もあるようですが、まあ多少のことはどういう制度の改革だってあるのですが、より根本的な問題というものに大きな疑義を持ちながら、こういう改革に踏み切るということは、大へん問題があろうと思うのです。で、台帳なり登記簿制度等でやらなきゃならぬことは、実際はほかにたくさんあるわけです。むしろそういうことに力を入れるのが順序ではないか、こういうふうに考える点が第一です。  それから第二は、この法務局における受け入れ態勢が整備しておらぬという点です。これは一元化の問題が始まる以前からの問題ですが、法務局では非常に登記仕事が激増しております。昭和二十六、七年、ころには大体人員と登記の件数というものが、まあバランスがとれていた状態ですが、その後アンバランスが非常に激しくなって、件数が、仕事の量が三倍以上になっているけれども、人員というものはほんの二、三%の増といったようなことで、これはちょっとみんなが働いているのを喜少し能率的に上手にやれば埋め合わせがっくといったような状態では全くないわけなんです。そういうわけでありまして、登記所として、この国民に対するサービスのためにまずやるべきことは、受け入れ態勢を完備することです。これは質疑の中で、局長も建前としてはわれわれの意見にもう同意しているわけですが、人員を整備することと、それからいろいろな設備ですね、これを近代化していくことです。この二つがむしろ大事なんで、それさえ本気にやってもらえば、一部のところから出ているような、登記事務をスムーズにやるために、一元化をその一つとして考えてくれといったような声なんか私は出なかったと思う。やるべきことをやっておらぬものだから、今度は逆にそういう問題が出され、しかもそれが理論的にも不明確な状態のままで進行しなければならぬということになっているわけなんです。そういう点で、受け入れ態勢の不備、これは決定的なんです。そういう飽和状態にあって、法務局の職員の健康状態なんか悪い、これは登記所へ行けばすぐわかる、顔色で……。そういうことを言っちゃ失礼に当たるかもしれませんが、まあ極端に言えば、そういう感じがします。そういうところへ、多少の予算はつけているが、この莫大な量の仕事というものをぶち込んでいる。私は、大へんなやはり迷惑があちらこちらへ起きてくるのじゃないか。なるほどその間違い等が、書き間違いなりいろいろあって迷惑がある、その場合に、それは全体の量からいえば気をつけてやれば案外数は少ないかもしれぬ、しかし、ちょうどそれに当たった本人からいいますと、これは大へんな迷惑になっているわけなんです。だから、こういう意味からも、私たちは、こういう陣容でこの仕事を進めることには納得がいかない。  それから第三は、罰則です。今度の改正法で、登記上の間違いを防ぐための改正等がなされているわけですね。私は、やはりその改正された建前でしばらく仕事をやって、それでもなおかついろいろ悪だくみをするものがいて、不正な登記を防げないという場合には、細則を設けたり、強化することもこれはやむを得ないと思う。ところが、そういう一つの期間等も置かないで、すぐあまり例のないような形での罰則、特に百五十八条の罰則、こういうものを設けられるということは、納得がいかないわけなんです。  大体以上のような三点から、この法案に対しては反対をいたします。   ―――――――――――――
  201. 赤松常子

    赤松常子君 私は民主社会党を代表いたしまして、次の希望意見をつけ加えて賛成いたしたいと思います。  第一には、本法の改正と最近における事務量の増加にかんがみ、法務局の人員の増加、待遇の改善をなす等、万全の処置を講ずること。  二、重要番数、帳簿の保存を強化し、かっ事務の能率化をはかるため、庁舎の増改築にっき年次的計画を立てること。  まあおもにこういう意見を付しまして賛成いたしますが、もちろん心から双手をあげてという意味でなく、本法案の審議過程におきましてさまざま不利な点、また納得のいかない点、種々指摘されたのでございますが、将来どうぞ当局におきましてこういう不備、また納得せしめ得ない諸点の改正をよく考えられ、もちろんこれはわれわれも努力しなくちゃいけないことでございますけれども、そういう点に関して、誠意をもって改正の方向に向かっていただくよう強く要望いたしまして、不満ながら賛成いたします。
  202. 大川光三

    委員長大川光三君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 大川光三

    委員長大川光三君) 異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  不動産登記法の一部を改正する等の法律案を問題に供します。  本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  204. 大川光三

    委員長大川光三君) 挙手多数でございます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 大川光三

    委員長大川光三君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。  なお、この機会に当局より御意見があればお述べを願います。
  206. 井野碩哉

    ○国務大臣(井野碩哉君) ございません。
  207. 大川光三

    委員長大川光三君) 以上をもって本日の審議は終了いたしました。次回の委員会は三月二十九日午前十時より開会いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時四十九分散会