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1960-04-28 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十八日(木曜日)    午前十時二十七分開会   —————————————   委員の異動 四月二十七日委員江田三郎君辞任につ き、その補欠として亀田得治君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            仲原 善一君            大河原一次君            東   隆君            森 八三一君    委員            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            田中 啓一君            高橋  衛君            藤野 繁雄君           小笠原二三男君            北村  暢君            藤田  進君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    農林政務次官  大野 市郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農地局参    事官      庄野一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○開拓営農振興臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査) ○開拓者資金融通法の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○開拓者資金融通法による政府貸付  金の償還条件緩和等に関する特別  措置法案内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから辰林水産委員会を開会いたします。  開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案閣法第七三号)、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案閣法第一〇五号)及び開拓者資金融通法による政府貸付金償還条件緩和等に関する特別措置法案閣法第一○六号)(以上いずれも予備審査)の三案を一括議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。三案について質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 お伺いをいたしますが、一体開拓行政というものを永久に続けるつもりで、開拓者というものは死ぬまで開拓者でいくような格好なんですか。これはどういうわけなんですか。日本開拓行政というものは非常に間違っておる。それは、ちっとも知らない者がやるから間違っておるので、知らぬものだからこういう格好になるので、どうにもならぬ。いつまで開拓者になっておるのか、まず、この一点。
  4. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 開拓行政につきましては、国土の開発という面から、また、あるいは既農家の構造的な規模の拡大といったような問題から、開拓という問題はわれわれとしては計画的にやっていきたい、こう思っておりますが、開拓者につきましてのいろいろな特殊な、特別開拓行政というものにつきましては、これについては非常に自然条件あるいは社会経済的条件の異なった、あるいは悪い場合も、劣悪の場合もあるわけでございますので、そういうものが、新しい開拓地に入って営農を続けていく場合に、一日も早く既農家並み、あるいはそれ以上の営農状態に達するように、国としましてはそれの資金的援助、あるいはその他の指導的援助というものは続けなければならぬと思いますが、一日も早くこれはこの目的を達成して、一般農家並み以上にやってもらいたい、こういう考えであります。
  5. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 成功検査というのは、五年たてば成功検査を行なって、それで開拓者というものはなくならなければならぬはずなんです。金銭上の貸借は別です。そこで、それが今どうなったかを聞きたい。
  6. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) ただいまのところは、入植いたしましてから五年後に成功検査——質問のような成功検査をやりまして、その合格、不合格を判定いたしまして、不合格なものは農地の、あるいは配分いたしました土地の買い戻しをやる。あるいはまだしばりく猶予すれば合格の域に達するというものは猶予いたしまして再検査をして、開拓者として取り上げるようにしております。そして成功いたしておる者については、当然それは開拓者として売り渡す方向でございます。これは特に農地土地を売り渡しましたその二地が開拓の用に供されているかどうかという点が主眼でございますが、営農状況が非常にいいか悪いかという判定よりは、むしろ国としまして、売り渡した農地開拓の用に供されているかどうかという点に主眼を置いてやつておるわけであります。そういう成功検査合格いたしました開拓者の中に、御承知のように営農不振のものがありまして、そういうものについても、振興計画を立ててこれをもり立てていく、こういう考えでございます。成功検査安定開拓者というわけにはいってないところがあります。
  7. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 大へん親切に農林省農地局開拓者を扱っておることになるし、また見てもそうなんでございます。ところが、扱われておる開拓者というものはそれが幸福でないと思う。ですから、あるいは今お話のあるように、五年たてば成功検査を行なって、開墾成功ができておれば、それでその人のものになるはずでありますから、根本から間違っておることは、開拓農協を作ったということが根本の間違いなんであります。ですから、これを今直せったって直りゃせぬと思うのでありますが、もう少し親切な、そしてどこまでも開拓農協と言われないでもいける方法があると思うのですが、お考えになっておるかどうかお聞きしたい。
  8. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 開拓者につきましては、御質問のように開拓農協を結成いたしまして、開拓農協を通じまして経済事業、あるいは国の行政の末端的な仕事、あるいは地方自治に属するような市町村的な仕事といったようなものまで開拓農協が今背負ってやっておる、そういうところに非常に問題があるわけでございますが、御承知のように、非常に一般農村から離れた山の中に入って、そして荒れ地を起こしていくといったような状況でございまして、相ともに助け合って、そういう自然的な困難なり、あるいは社会的な悪条件を克服する、こういった意味において、開拓農協が果たしてきた役目も非常に大きいと思いますが、非常にその構成員が少ない。あるいは構成員であります開拓者営農が不振である。そういった意味から開拓農協は大部分が不振になっておるという状況でございます。これにつきましては、われわれも一日も早くこれは一般農協並みに取り扱わなければならないし、いつまでも特殊扱いするといったものじゃないのじゃないかと思いますけれども、まず、それには開拓者営農振興、安定というものをやっていかなければならぬ、こういうような考えでございます。そのために開拓者振興を今第一義的に考えて最重点を置いてやっておるわけでございますが、開拓農協につきましても、もちろんこの育成指導というものはやらなければならぬわけでございまして、再々御答弁いたしておりますように、一本立ちできるものは一本立ちにするし、また既存農協に包括、あるいは合併すべきものはこの中に入ってきていいのじゃないか、こう考えておりまして、とりあえずはその組合の財務内容が非常に問題になっておりますので、経営指導といったような面で補導員を派遣する、あるいはことしから新しい予算でございますが、非常に小さい市町村に二以上またがって小さいのがある場合、統合をやっていく。その方がよければ統合をやり、そうして将来は一本立ちか、あるいは既存農協に合併する、そういう方向で指導して参りたい、こう思っております。
  9. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 御答弁が非常にいい御答弁をされておりますが、実態とは違います。そこで、地方行政にはこれは困るんです。ですから私は今でも、開拓農協特殊扱いをしないで、そうして既存農協に早く入れるようにしてやれば入れると思うのですが、一体農林省農地局開拓行政というものをつかんでおって、そうしてなかなか放そうとしないところに一つの険路があると思うのですが、私はこの前、去年か、おととしか、開拓農協に行ってみた、そうして話をしたんです。なかなかなわ張りがあってわれわれの考えておるように返事をしない。ですから不幸を受けておるものは開拓者なんです。だから、初めにとても開拓農協なんというものを作ってもだめなんだということを考えないでやったから、こんなことになったと思うのです。初めから既存農協に一人四、五万円ずつ政府が出資してやる、そうして非常に弱くて利子に困ると思えば、既存農協に預金でもしてやって、そうして使わせるようにしてやればよかったのに、今では新たにやらなければならないということになっておるものもたくさんございますが、このままでは、これはいけないと思うのです。今でもできますよ。ですから何とかこれを開拓者扱いをされぬように、大体五年たてば開拓者という名目をなくするのがほんとうでございます。私は四年で成功いたしましたが、なかなかその四年の間というものは、農協に入って役員をするとか、あるいは部落の世話をするということはできません。ですからもう自分のことだけ一生懸命やってどうにかなったら、お互いにやっていこうということでやってきたのですが、昔と今とは違いますから昔のようには参りません。参りませんが、指導する人は全然認識がなくて、全然未開地開墾というものを知らないで、荒れ山に入った人の状態を知らないでやっておるから、欠陥があるんだと思うのですが、今やっておることは直りませんが、おそくはないから、農地局開拓行政をやっておる方々は大いに反省して、そうして一刻も早く、ただ金を貸してやることばかりが能じゃない、それが満足に暮らせますように、満足にゆきますように、ともにそんな百姓が手を握ってやっていけるようにすることが最も親切なことであり、そうでなくちゃならぬと思うのです。ところが、開拓者資金融通法等法案を出して、これを見ると、なかなか簡単なものではないが、そういうふうに何とか開拓者という目で見られぬようにしなければならぬ、そうすべきだと思う。そういう気がないのじゃないか、そういう気があってもやらなければ同じことですが、そうやる気はないのですか。今でもてきますよ。これはやる気がなければ終わりなんで、どうにもならぬが、そんなら別に話がありますが、ぜひそうしてもらいたいと思うのです。
  10. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) お説ごもっともでございます。われわれといたしましても、一日も早く開拓者一般農家並み以上になりますようにということを念願しておるわけでございます。御承知のように開拓農協にはいろいろ債務関係財産関係等借金等も多うございまして、なかなかこのままの姿では受け入れる一般農協の方にも非常に困難な問題もあろうかと思いますので、われわれといたしましてはできるだけそういった財務内容も明確にいたしまして、一般農協と一緒になるといったような場合の支障なり困難なりをなくしてから一般農協統合する、そういう素地をできるだけ早く作ってゆきたい、こういうような考え方で、御趣旨ごもっともだと思います。
  11. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 一体今の御答弁実態とは違うじゃないですか。この開拓者資金融通法等法案を見たら、それはなかなか永久に、これでまるめられて、嘆いて死んでゆくほかないと思うのです。それでは一刻も早くやりたいと思っても話が通らない。もう少し思い切った措置をとってやらなければこの開拓法はだめだ、こういうことをあなた方がおきめにならなければ、大臣や次官やはしょっちゅうおかわりになるので、これはいけないことですから、事務屋が、担当しておる人が、こうなければならぬからこうしてもらわなければいかぬと、こういう腹をきめてかからなければ、僕はだめだと思う。そこで、借金の方面を見ますると、自作農維持資金を借らせるという、そういうことではだめだ。これは、一般農協になってから借れますよ。借れますけれども、一般農協の部類に入ったときに初めて自作農維持資金を貸すし、借られるようにならなければ金の融通が工合悪いから、開拓者もそうしろと、そういう考え方自体が間違っておる。ですから、開拓者として入った者をめんどうを見るという方法は幾らもございます、これは特殊な方法なんですから。そこで、自作農維持資金というのは、一般自作農のことをさしておるのであって、開拓者はこれを借れる資格があるから、入っておらぬとは申し上げません。申し上げませんが、そういう考え方が間違っておる。ですから、私は、どうせ元金も払えぬが利子も払えぬというのが、合わせてまとめて一時置こうというようなことになっておるが、そういうことは一切やめて、もう棒引き、切ってしまう、そんなものは。これは、払うに払われないことがわかっておるのに借金をやる、こんな不合理なことはありません。みんな、それは農林省自体の罪なんです。ですから、妙なもので、農林省でも、農林省は悪かったとはだれも言わない。たとえば府県庁にも言わない。追及するというと、今度は農林省責任だとかなんとかといって逃げてしまってやらない。それだから、一番不幸をこうむっておるのは開拓者なんだ。まあ、部長も行って一つ見た方がいい。このままじゃ見られぬような状態がたくさんございます。そうかといって、中にはりっぱな百姓もおって、もう既存農協に入れるようなものもたくさんございますが、全部じゃございません——ここにも書いてございまするけれども——ございませんが、まあ今、現在振興計画も立たないような開拓者は、大いに思い切って、そうして債務は切ってしまう。私に率直に言わせますると、そういうことじゃ仕方がないから、十五万か二十万じゃなくて、もう少し金をやって、出ていってもらう。その跡には植林をする。その方がずっといいのです。これは開拓者ばかりじゃございませんが、既存農家でも狭いところにおったような農家は、どっかへ行ってもらって、食うだけやっておって、そこへ木を植えますと、これは大きくなりますから、二十五年もしたらりっぱな木になります。そうすると、そこにおったのでは、一生一銭の金も残らないのが、他に移りますと、その植林が金になります。こういうことならば国もいいし、本人も非常にいいわけだ。それを一つもおやりにならないで、ただ借金々々というので、めったにない開拓者資金法案を出して、そして非常に親切なことをやってもらっておるようになっているが、これは非常な不親切だ。ますます深みに入って、この人間はもうとても浮かび上がることができません。開拓地に入りまして十年たっても、開拓当時の食い込み借金が残っておったのでは、絶対に払えません。よく記憶してもらいたい。今度やります元金も金利も払えない人を、一切まとめて一時たな上げのような格好になるのでしょうが、絶対払えませんから。そんな余裕なんかあるものじゃないのです。そういう払えぬことがわかっておるものを、そうしてほっておいてもだめですから、そんなことですから、農家は思い切って、そうしてきれいにして処理をするということにならなければ、われわれも迷惑だし、見通しのつかない法律をなんぼ作っても何にもならない。あなた方、根本的に間違っておるのです、開拓行政が。私は、不幸にして落選をして、六年いない間にいろいろ変わってしまって、どうにもならなくなってしまったが、そうではない。教えてやろうというのにそうしなかったからどうにもならない。こんな開拓行政なんてないのです。あなた方、誤っていることは改めるのはけっこうですから、何にも誤っておるものを改められぬことはない。改めて初めていいことなんで、何とか改めてもらわないと——両院に議員がおりますが、僕のような開拓者が一人でもおりますか。だれもおらぬでしょう。本人が言っておることですから、間違いない、苦労した本人が。
  12. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) えらいおしかりをこうむりましたが、われわれといたしまして、開拓行政の今後の問題といたしましては、先般成立いたしました開拓営農振興臨時措置法に基づきまして不振な開拓者には、改善計画を立てて、そうして、その改善計画に基づきまして営農転換をやる、そのために、今まで不振の原因でありました建設工事のおくれ、あるいは建設工事の不足というようなものについては、建設工事を促進するとか、あるいは追加工事を早急に実施して営農基盤を整備して、その上で政府追加資金を貸しまして、これによって営農改善、安定さしていこう、こういう考え方でやっておるわけでございます。一面、その積極的な改善計画の非常に大きな支障になっておりまする過去の負債というものにつきまして、政府資金については、これを五年据え置きの十五年といったような条件に延ばしていけば、営農振興はできるという考え方で実施しております。棒引きという御意見もございますが、今の政府債権管理という面から申しまして、直ちに棒引きというわけには参らないわけでございます。なお、条件緩和といたしまして、さらに、払えないといったようなときには、債権管理法による和解によりましてそういった措置も将来においては講ぜられるかと存じます。なお、政府資金以外の個人負債といったようなものにつきましては、何ら手当がないので、営農改善計画を立てました農家の、過去の個人負債というもの、高利の個人負債に悩んでおるといったようなものについては、いわゆる酪農資金を貸して、そういう面からの圧迫を除いて、両面から、積極、消極の両施策を総合いたしまして、何とか開拓者の安定を早急に進めたい、こういう考えで全力をあげておる次第でございます。
  13. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 振興計画が立っておる農家が九万四千戸ございまして残りの五万三千戸というものは立っておらぬというお話でございますが、私は、計画ですから、何ぼでも貸せるものは貸せるが、借りたものは返せないと思う。ですから、あながち、振興計画ができたから、その人間がよくなるというわけじゃございません。ですから、五万三千戸というものは当然切り捨てて、そうして、この人間が安心をしてやれるようにしませんと、金というものは借られて迷惑することが多い。借りる方がいいのでなくて、われわれはずいぶん借金整理をしてみましたが、それは、おかげさまで助かりましたという人は、たまにはありましたが、ところが、借りて苦しむものばかりなんです。ただ、事業に突っ込むならいい。開拓は食い込みですから、だから、食い込みでない借金なら、何ぼ貸してもらっても払える。食い込み借金というものは、開拓者にとってお互いに同じですが、こんなものは簡単に出るものじゃない。畑地が多いのですが、これからだんだん畑地農業というものはどうなりますか。ほんとう北海道に五十年、畑を相手にして苦労したことがお先まつ暗という時期に、こんなものは見通しがつきますか。それを目当てにして更生計画ができたから、この金を貸します、あとはどうかしますとおっしゃっても、僕は法律に反対しておるのじゃない。そういう考え方が間違っておるから、反対しておるだけの話なんで、法律に反対しておるのじゃない。大いに一刻も早く農林省考えてもらってそういう罪悪をいつまでも続けていくことはやめて、そうしてやることが、そういう点で親切であり、そうなければならぬと思う。開拓者並み大ていの——東京のこじきより悪いです。それでも、言うがままに自分で生活をしていこうと思うから、お互いにやっておることなんでして、それを好んでやっておる人はないと思うのですから、それなりに借金は当然できます。五年たってできた借金を今度は六年目から払うか払わぬか、そこが境目です。もし十年たっても払えぬやつは絶対払えないのです。僕はもうはっきりここで言っておきますが、取れません。もういつまでも払えぬというやつは取れない。そういうものをやろうとしても何にもならない。これは個人じゃございませんから、国ですから、それをあなた方心配をして、どうもあれだというなら、僕は、大臣もうお帰りになったが、大臣といつでも対決しましょうよ。そのめんどうを見てもらうようにしますよ。そこで、そういう形式上のことを整えて苦労さすよりは、はっきりしてやる方が、役所の方にもよかろうし、開拓者もいいと思う。まあ振興計画立っている者はもうそれでよかろうと思うから、しょうがございません。たとえば、申し上げますが、パイロット・フアーム、僕は言うのだが、二百五十万の借金をして入る。それを年々幾らか払え。それなら、岡村水田を持ってあれしないでそんなもの払えるか。払えません。そんなものじゃございません。畑というものは容易でない。ことにわれわれが作り上げた時分には、われわれは当時は輸出品はかり作った、今と違います。ところが、お先まつ暗の畑を相手にして、酪農、その酪農たるや、よほど技術に力があって、工夫、方法を講ずればやっていかれます。しかし、あなた、貧乏人というものはそうじゃない。つまらぬことばかりやっているものだからなおいけなくなる。でございますから、そういうこと頼むのはいけません。今の移住者が、ほとんど全部が畑の所におるというところまで、あなた、考えておらなければいかぬ、北海道も内地も。水田もやがていけなくなると思いますが、今のところまだいいが、その畑の所におる者を、何かお金を貸してやってもらいませんと、今のままでおったのでは、だんだんその人間は寿命を縮めるばかりです。哀れなものです。行ってごらんなさい、人間にもいろいろあるものだ、そういうことも考えられますよ。われわれは北海道に行って、どうです。一体大正元年北海道に入って、昭和六年に初めて日本の農民として恥ずかしくない家に初めて入った。それまでは全部掘立小屋ですよ。それは金を借ろうともしないものですから、自分の手で作ることで入ろうとするものだから、そういう格好で、昭和六年に初めて、おかげさまで日本百姓としてはまず十人前という家を建てて初めて入った。そういうものです。ですから、それは簡単なものじゃございません。それが今ごろは、金を貸すものだから、最初から、大小は別として、いい家を建てて入ってみたり、これが金を貸す一つのゆえんなんでしょう。金を貸さなければ掘立小屋でけつこうなんです。それは開拓者の、そうであるべきなんです。そうでなければ、借金だけあって払えません。ですから、とても、東京役所にすわっておったのと違いますから、つぶさにごらんになりますと、私がそういうこと言わなくても、ちゃんとできてくると思う。今、参事官、大責任を持っておられるのだから、一つ全国を回って見てもらって——これは大事な事業ですよ。こんな哀れなものございません、今、日本に。それに、何べんも言うように、だんだんお先まつ暗になる畑を作っていて一体どうなるか。それはいい所なら借りても作れましょうし、何でもやれます。そうではない。ですから、一つ、この三法案はけっこうだが、根本的に負債整理をお考え願って、そして今残っておりまする五万三千戸という開拓者は、振興計画も立たぬ開拓者のようにも見えます。それは正直かもしれない、僕に言わせると。借りた者は——計画ですから何ぼでもできます、金を借りるというんだから。そうではない。実際にできないものはやっぱりお貸しにならぬ方がけっこうなんで、それを法律通りにはいかぬと思います。こういうのは、どんどん借金を切って、やむを得ないですから、国会、何と言ってもいいですから、こういうものは切ってのける、こういうことにならないといかぬと思う。その辺一つ十分お考え願ってこの三法案は仕方がないからこれは通りましょうが、通さなきゃならぬと思いますが、これが通ったからというのであるというのでなくてこのあとに引き続いて、開拓者十分調査をして、そして万遺憾ないようにしてやる。それが日本開拓者の真の幸福です。十四万七千戸という農家は、泣いておる者が、私は三分の二おると思う。喜んでおる者が三分の一。ですから、本人が好んで入ったのだからどうでもいいじゃないか、こうも言えましょうが、そうじゃない。よくなると思って入ったのだが、結果はこうなっておりまするが、これはわれわれ、私同情、見るに忍びないことですから、農林省は御心配願わなければなりません。前の農林大臣に談判したら、君のように言われたら農林省責任だと言わざるを得ないから、少なくとも、しましょう、こう言われるから、僕は北海道庁に向かって出しなさい、書類を。ところが出さない。北海道庁は、自分の手が現われるものだから出さない。それが今度は……。だから、人間に誤ったことは何ぼもございますから、これは誤りでけっこうですから、誤ったことをどこまでも固執しちゃいけません。ですから、何とか開拓者本位に考えてもらって、そして不幸な開拓者が一日も早く減るようなことにお考え願いたい。金貸すことばかりがいいのじゃありません。金貸すことがかえって深みに落とし、そして、国の金だからどうでもいい金だと思っておればいいのですけれども、そういう横着な者はおりませんよ。何ぼでも払いたい、こういうふうに努力をしてみても払えぬ。だんだん深みに入っていって、方法がつかぬ。もうわれわれが回ってみたら、こんなことをしていたら、むしろ家族総出で自殺をしたらいいだろう、そう思うものがたくさんある。ところが、いくじがないからそれはできないわけだ。ですから、それを見ながら、国会でいろいろな議論をして、空論をしても、これは何にもならぬことですから、どうぞ一つ——私は三法案はけっこうだが、どうも甘くてだめだ。だから十分に農地局の方ではこれを調査をして、そうして不幸な、どうにもならぬ開拓者——一つもないわけでもありませんが、大体なくなったというように御努力願うことが、一番先決問題だと思うのです。どうぞ一つ、幸い進行もしたようですから、御努力を願って、一つやってもらうことをお願い申し上げます。
  14. 田中啓一

    ○田中啓一君 関連して。今の岡村さんのような御意見もあることでございますが、今度幸いにして開拓審議会というものができるような機運になっておるように私は承知しておるのでありますが、そこで、実はその開拓審議会がどういうことをやるかということについては、実はよく承知しておりませんが、ただ、その当面のいろいろなことをやるというだけでなくて、今、岡村さんから御質問、御意見のあったような、やはり開拓根本的な調査をし、かつ、今後どうこれを進めていくか。で、幸い基本政策の方も、政府の調査会でだんだん方向が出て参りまして、日本の農業並びに農家というものは、今後どう進められるべきか、こういう方向もほぼ出てきたように思うし、おそらくこれは大体の方向については、多くの人からの共鳴を受け、支持を得るような私は方向であろう、こう実は判断をいたしておりますので、一つこの席で、開拓審議会でそういうことをやるような心づもりがあるかどうか、この点を一つ明らかにしていただくと非常にいいかと思って御質問するわけであります。
  15. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案一つの改正点といたしまして、御質問のように、開拓審議会を設置いたすことにいたしております。委員十名ということになって、開拓につきまして学識並びに経験、あるいは両方の、学識、経験の深い方を委員に任命いたしまして、そこで開拓に関しまする重要事項というものを審議、答申していただく、こういうことになりまして、それを行政面に反映し、その答申に基づいて行政改善していきたい、こういうような考え方で改正案を提出した次第でございますが、今御質問のように、審議会における審議事項といたしましてわれわれが考えておりますことは、今御質問のような開拓制度といったようなものにつきまして、どういうふうにいったらいいか。現行の開拓制度につきましても、いろいろ過去からの経験によりまして、われわれも反省して改善しなくちゃならぬ点が多々あるわけでございまして、こういう開拓制度の基本というものをどういうふうにしていったらいいか、また日本開拓制度の目標あるいは計画といったようなものをどういうふうにしていったらいいか、そういう点は十分ここで審議していきたいと思っております。なお問題になっておりまする既入植者の振興の問題といったようなものも、当然審議会では審議していただくことになりますが、制度的な問題もやはりここでやっていただく、こういうことでございます。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今後機械開墾とかいうようなことでパイロット・フアーム式の開墾建設事業というようなものは、過去の反省から相当いいものになると思われるので、その点は今問題ではないのですが、既入植者についてあとでもお尋ねしたいのですが、さっき同僚委員から質問があったので、関連してお尋ねしますが、たとえば私の岩手県で例をとると、盛岡近郷に岩手山麓の開拓地帯がずっとある。ここには戦後の縁故入植、満州引揚者の入植等が行なわれ、それに近農の増反入植、これがあったわけであります。ところが、現状においては集団的に入植したのではない、個々の集団の意思を持たない入植者はほとんど転落一歩寸前にある。そしてそれは奥さんのような女手で辛うじて営農をやり、御主人の方は都市部へ出て賃金を得る、こういう形でやっている形態があります。そうしてこれは将来何を希望しているかというと、土地の値上がりによって売っ払ってしまう、それまで持ちこたえるという考え方でいる人も相当にいます。もう一つは増反入植ですが、この方々は土地は持っておっても、実際いわゆる開拓をやろうとはしない。持っておれば何かのときに役に立つという程度で権利を確保しておるというような形でおる。集団的にと申しましたのは、一例をあげますと、満州へ長野県から分村していって、岩手山麓に落ちついた上郷開拓団というのがあります。この上郷開拓団は平均反別四町程度で、その当時の山麓の計画からいえば二町ぐらい少ないのです。それは入植者があとからふえてきたために、割当反別を減らしたのです。その中にも、そうしてまた酸性土壌の山麓地帯であるにもかかわらず、入った人たちが四十数戸ですが、集団生活をやる。共産部落みたいに、ほんとうに馬と人間とわら小屋のアパート式のものを作って、共同炊事、共同作業を徹底して四年ぐらいやって開墾に当たる。そうしてこれから個々に独立してよろしいとなってから、それぞれの割当地域に、わら小屋で一家をかまえている。そうして主としてジャージーが入ってきましたので、ジャージーをやるという目標のもとに仕事を進めたのですが、現在はブロックの牛舎を作り、そうして牛舎の一部に根本を作って、四畳半かの所に牛と一緒に居住している。それでもサイロ等も作っています。独立した家屋は持っていません。しかし、その増反入植や既墾農家から見ると、すばらしい営農です。それはものすごい、すばらしい営農です。その上郷の開拓の人たちでさえも、借りた金は返していません。そうして返さない理由として、こういうことを言っている。戦後入って今十四、五年になる。ちょうどこれから牛も入れる。もっと拡大再生産をやろうというときに、元本まで年賦で返すというような時期になってきては、拡大再生産できない。だから、その金は返すことはできない。どうしてもこの営農の方に投資しなくちゃならない。そうして拡大再生産しなければいけない。こういうことで、二、三年前から、この開拓団は開拓農協を通して金を返すということをしませんから、岩手県の開拓農協連合会ですか、これは中央からの農林中金等からの貸付を受けるのに障害になっている。返る金が返らぬという一部の開拓団のそういう考え方から、農協自身も困っている。しかし、農協自身はそれを返せということは言い切れない。それに加えて一昨々年ですか、凶作があった場合に、国の手当として金を貸すことになったが、農林中金は金は貸してやる、しかし、旧債は差っ引いて金を渡す、こういうことになったために、金を借られる対象農家が、そういうものなら借りたって現金が自分の手元に返らぬ、旧債の振替になってしまうということのやり方ですから、それなら借りないということで、また一段と開拓農家が困った事実がある。国のそういうあたたかい施策というものが、末端では、逆に農林中金は金融機関の冷静なるところを発揮して、差引勘定でなければ金は渡さぬということになったために、そういう困った事態があった。それでこの人たちの言うのには、われわれのように、やはり開拓農業というものは成功する断じて自信がある。しかし、国の今のやり方であっては、これはわれわれとしては、死を待つよりほかない。国の犠牲にわれわれはされてきたのだ。だから、こう幾多ある国から出るさまざまな金というものは、一本化して全然たな上げしてもらいたい。完全にたな上げしてもらいたい。棒引きということは最もいいことだけれども、よくなったら返す。よくなったら返すが、さて五年延ばしてやる、三年延ばしてやるということで、この借金をあらゆる窓口にペコペコ頭を下げて、心配しながら営農をやっていくというような、こういうやり方をやめてもらいたい。どっか窓口が一本になって、自分借金は幾らだということがもうはっきりわかるようにしてもらいたい。今では自分借金がどれだけ、どこからどうなっているのかわからぬように複雑多岐にわたっている。どうせ直接、間接政府の金なんだから、窓口を一本にしてもらいたい。そうして完全にたな上げしてもらいたいという陳情や要求を、われわれは日々受けている。そうして実際現地を見て、あれほどりっぱな営農を東北の開拓地でやっておるところはないと思います。これは農林省の方もしょっちゅう、岩手県に行ったら見てもらう地域なんです。あと一般の岩手県内の開拓農家というものは、わら小屋がのたれかかりそうな、ほんとうにこじきでも住んでおるかと思われるような開拓農家なんです。それは戦後入ったのですよ。二十二、三年までに入った者が全然日の目を見ていないのです。で、私は一方パイロット・フアーム、上北の開墾等に二百万円を投ずる、そうして成績顕著なるものがある。そういうようなものがありながら、一方あの当時の食糧増産なり、人口政策なり、いろいろな関係から緊急開拓に乗せられたあの人たちが、いまだあとに入った人よりもおくれた営農、おくれた生活水準、こういうことにあるということは、これは農家自身の立地条件、いろいろあろうかもしれないけれども、全くこれは国の責任だと思っている。全然国の責任なんだ。開拓政策が失敗したのだと思っている。そのしりをぬぐうのに、ただ条件緩和したというだけで抜本的の対策になるかといえば、私はしろうと考えですけれども、ならぬと思うのだ。五年延期したって、その後に来るものがまた元本の償還だというようなことになる。そういうものをいつでも心配しながらこの営農を続けていくというところから、何で光が見出される。岩手県の場合には、何としても酪農中心、あるいはこのごろ果樹等の共同化、こういうことも進められています。しかし、それには新たな資金がやっぱり要求されておる。ところが、障害がある。新たなる資金についてはその借り入れについていろいろの障害がある、末端では。そういうものをどういうふうにやっていこうとするのか。それからまた、この岩手県の畜産課等で酪農指導等では指導員がしょっちゅう回って適切な指導をしている点を認めます。認めますが、しかし、人手が足りない。全く人手が足りない。ですから、営農指導といったって内地が四類型でやっていくのだといっても、適地に適切な営農の形態を作り上げて、そして国の責任として、これでいくならばやっていけるのだという、そういうめんどうを徹底的に見るということに欠けておる。流通の問題であれば、なおのこと、そういうものはほったらかしです。ですから、この法律そのものは、条件緩和法律として一応進歩したものかもしれないが、こういうことだけであとは自力でまた市場を開拓し、適当にお前たちがやっていけということでは、やっていけない開拓農家というものはあまりにも多いのです。また五年なり三年たてば、必ず何とか臨時措置法の一部改正法律案というものが出てくるにきまっているのです。だからこの際、いまだ審議会、十人委員会を作って根本的なとかなんとかいうているような、そんなときかと思って私はびっくりしている。十五年の経験があって、根本的な対策を今後考えましょうというのはどういうことか。私はこれはこれでいいとしましても、そういうことで要求しておる、悩んでおる開拓農家に対して、ほんとうにまた立ち上がってやっていけるような施策というものを新たに考えなければ、これだけでよしとするわけにはいかぬと思うのです。ことに過去の開拓政策が、農林省責任として失敗であったという自覚があるなら、根本的にこれは考え直して、個々の農家に対してあたたかい手を差し伸べるべきであろうと思うのです。そうでなかったら棄民政策ですよ。そういうような点についても深く検討をせられておるのかどうかお伺いしたい。それから、今言うような、たな上げというような考え方についてあるいは複雑多岐なさまざまな系統による貸付というものをされた金というものを一本化するという問題について御所見を承っておきたい。
  17. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 既入移植者の安定につきましては、御答弁申しましたように、開拓営農振興臨時措置法に基づく各開拓者が、それぞれの立地条件あるいは経済条件に応じまして営農振興して参ります方策として改善計画を立てておる次第でございまして、その改善計画を一日もすみやかに達成できますように、国といたしまして予算的措置並びに融資的な援助、あるいは指導の面からする営農の安定への指導、そういったものを強化して、この達成に全力をあげている次第でございまして、この御審議願っておりまするこの三法案は、一つ方法でございまして、積極的には今申しましたように、改善計画にのっとりまして不足な工事を促進するとか、あるいは新しい工事をつけて道路なり、水を引くとか耕地の整備をする、そういったものを早急にやっていきたいということで予算を組んでおりますし、また営農を、従来は牧畜中心でありましたものを、今御質問になりましたように酪農に転換する、あるいは果樹経営に転換する、そういった営農転換に要しまする必要資金を開拓者資金融通特別会計から貸して参って、そうしてそれで基盤整備をやり、さらにその上に営農転換をやっていく、こういった面でただいま実施中でございます。御承知のように、営農指導員もその面につきまして人手不足をかこっておりますが、三十四年度まで逐次増員して参りましたが、この指導員につきましても、現地に駐在して、周密な指導ができますように、機動力をつけてまた素質向上もやっていく、こういった方策を考えておる次第でございます。  なお一そうそういう点については努力をして、この改善計画ができるだけ早く達成できますようにやらなければならぬ、こう思っておりますが、その反面、この改善計画の達成に非常な圧力になっておりまする開拓者の過去の負債というものをどうするかという問題で、ただいま御審議を願っておる償還条件緩和等に関する法律案というもので、この政府資金につきましては、最も営農の不安定な開拓者については、五年間据え置き、十五年間償還、こういうことにしまして、五年間はたな上げというような形にしたいと、こう考えておる次第であります。それで、積極、消極の面からして、この九万四千という要改善農家営農安定をすみやかに計画的に安定、拡大再生産の域まで近づけるということを努力しておる次第でございます。なお、開拓者は、制度的な金融といたしましては、開拓者資金融通特別会計からのものが大部分でございますが、そのほか、公庫資金、あるいは災害資金、あるいは中金の融資保証法によりまして貸しました短期資金といったものを借りておるわけであります。その開拓者の一番負債の大きなものは、何と申しましても開拓者資金——政府資金でございまして、ただいま開拓者に貸し付けております、全般的な制度金融によりまするものが三百十四億、こういうふうに考えておりますが、そのうち百九十三億が開拓者資金でございますが、まず、この開拓者資金から来る営農に及ぼす圧力を緩和していくというのが、この法案の目的でございます。その他公庫資金なり、中金資金につきましては、それぞれの業務方法書によりまして、緩和措置を講ぜられるということになっております。なお、この窓口を一本にしたらどうかというお話もございますが、ただいまのところでは、まだそこまでのところまでいっておりません。いろいろの機関から、それぞれ違った機能で、違った条件において貸し出されるわけでございまして、またそれの一長一短もございますが、政府といたしましては、開拓者には、入植当初の基本運営の資金、それから不安定農家についての営農振興のための振興資金というものを貸し付けておりますが、それによるわけでございまして、それ以上の不足の分は公庫資金等から、それから短期資金は融資保証法によりまして中金資金を投入していく、こういうような格好でやっておるわけでありまして、この方向を、さらに——今の問題は、資金需要に対しまして、供給量が足らないという点で、さらに開拓者の要望する資金量の貸付ということに努力いたしておる次第でございまして、窓口を全部一本化するというところまでは、ただいまのところは考えておりません。なお、政府資金につきましては、三分六厘五毛と五分五厘という利率と二口ございますが、これが各年度にわたりまして、非常に幾日にもなっておる。一人で十数目も借りておると、こういったような状態で、御質問のように、開拓者が非常に自分債務というものについても十分に詳しく知っていないというような状態もございます。そういう点につきましては、三分六厘五毛、五分五厘という二つの債権に、三十五年三月二十一日現在における既存の債権については、二口のものに実質一本化していく、こういうことで今後はやっていきたいと、こう思っております。なお、債権債務が非常に不明確なものは、開拓農協を通じて貸し付けるといった転貸の形になっておるわけで、不明確さの混乱を来たしておるわけでもございますので、御審議願っておる法案によりまして政府から直接開拓者に貸し付ける直貸の形に従来の法人貸しを切りかえていく。そうして債権債務を明確にして、三分六厘五毛、五分五厘の実質二本の債権債務にこれを整理して、開拓者も自己の債務というものを明確に把握できるように、そうして、返す場合にも、よく計画的に返せるようにしていきたいと、こういうふうな考え方でおります。  それから全般的に債権債務のたな上げをしたらどうかという御意見でございますが、ただいまのところは、まだこれを全面的にたな上げするというところまでは行っていないわけでございまして、緩和法で御審議願っておるように、最も不安定な要改善農家につきましては、五年たな上げしまして、あと十五年で償還するという、条件緩和によって営農改善振興ができるとわれわれは考えておるわけでございます。それは御承知のように、片方において建設工事をやり、あるいは営農改善の積極的な追加投資をやりまして営農振興をはかりますとともに、その圧力になる過去の負債を五年間据え置きであと十五年で返すということになりますが、片方において営農振興していきますので、十分そういう償還能力が出てくるということで、五年据え置き、十五年償還ということにいたしまして全面的にたな上げということにはしなかった次第でございます。なお、いろいろと、個々に入植いたしまして、非常に営農資金のないといったようなものにつきましては、間引きといったような過剰入植対策をあわせ考えまして、離農する人の離農しやすいように、奨励金平均十五万円といったようなもので離農をしやすくしておると、こういうようなやり方で対処いたしております。
  18. 千田正

    ○千田正君 ただいま小笠原委員の御質問に対するお答えを伺っておりますと、この間も私雑談の中で聞いておったのですが、農林省は今やっておるパイロット・フアームが、あなた方にとってはお得意のように、これで農林省開拓行政はうまくいっておると、北海道の上北へ行ってみても、これが見本だというふうに見せられるのですが、一方において戦後に入った開拓者諸君のあのみじめさを見るというと、これはちっとも農林省のお得意になるべきものじゃないのだね。一方ではいかにもよくできておるように見えるけれども、一方では非常に悲惨であってプラス、マイナスしたらゼロなんです。農林省の政策は、そんなことでは、せっかく国の金を使ってやっておるのにしては、あまりに私は能がなさ過ぎるのではないか。さっき小笠原委員も言っておるのですが、私もこの際徳政的なたな上げをやるべきじゃないか。そうでなければ、あとから出てきたパイロット・フアームとの間のギャップというものは埋め尽くせないし、農林省の政策としてははなはだ拙劣なものだと私は思わざるを得ない。戦後における開拓というものは、私は当時引揚者の団体の一人として院に席を連ねておった関係上、五万数千人の引揚者あるいは復員者を入れるために、東北大県と北海道にこれを何とかして入れてくれと、北海道とそれから東北の出身の議員に対して厚生省その他からの懇請があったわけですよ。各県の知事を招集してその旨を含まして、無理をして入れたわけだ。それは当時の政策であり、国策であったわけです。同じ国策で同じ農林行政をやるのに、今日のパイロット・フアームに対する二百数十万円を投じてりっぱな開拓の成績を上げているのと、当時同じ国策でありながら、敗戦の当時何もなかったところに無理して入れた開拓地というものが今なおみじめな生活をしておる。その経験の上に新しいいわゆるパイロット・フアームが出てきたとするならば、十数年の苦しい生活というものは、開拓者にとってはどうしても忘れ得ないところの、それこそ悲惨な生活であったが、それを土台にして農林省は新しい政策を立てたとすれば、その人たちの苦難の道に報ゆるためにも、徳政的なたな上げの政策をある程度考えてやらなかったならば、これは単なる農林省の政策のみならず、社会政策の上からいっても、これは考え直さなければならぬ問題だと思う。私はこの点については、農林省としてもう少しはっきりした国策と政策というものを打ち出すならば、このギャップをどう埋めるか、どうしたならば普遍的ないわゆる開拓行政というものが成功するかということに思いを起こして、基本的な問題をはっきり割り切って考えなければならない時代になってきたのではないかと思うので、庄野事官並びにきょうは大臣のかわりに政務次官がお見えになっておりますから、農林省当局としてのはっきりした政策に対する見通しをこの際つけるべきであるという私の質問に対してお答えをいただきたいと思うのであります。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 千田委員の話したことを私も申し上げたかったのです。端的に言うなら、上北のようなあの機械開墾北海道のパイロット・フアーム、ああいうものが現時点における開拓政策の基準なんだ、水準なんだということであるなら、今ギャップという言葉で言いましたが、そこまで急速に既入植者を引き上げる抜本的な施策が必要だということを言うのです、私は。それで振興計画を立てる、金もつぎ込むと言うが、その金のつぎ込み方というもの、あるいは振興計画というものが、パイロット・フアームが現在やっている程度のところを見てやろうとしているのかどうかということを聞きたいのです。それは既入植者は非常な感情的な反撥を持っていますよ。われわれは腕一本で抜根から何からやらせられて、何年間食うや食わずでやってきてこういう状態だ。ところが、今の農林省のやっておる。パイロット・フアームというものは、こういうものだ。おれたちだけがこうなのかという感情的な反撥というものが、それはどこの開拓農家にもありますよ。われわれだけを見捨てているのか。われわれこそが、戦後苦難の道を今日までたどってきたのだ。われわれにはそういう手は何ら差し伸べない。そうして新しく入る者は条件がいい。これは何だ。そうして当時の零細な金について、利払いから元本の償還から一切やりながら、なおパイロット・フアームのところまで自力でやっていけと言うのか。そういう反撥があるのですよ。ですから、参事官おっしゃったように、振興計画があるならあるでよろしい。至急立てるなら立てるでよろしい。それが現在のパイロット・フアーム程度のところ、あの辺のところが水準となって、目安となって、そこまでは責任を持って引き上げてやるのだ、こういうことであるなら、それでいいのです。このギャップを埋めるという言葉で言いましたが、そこまで腰を据えてこの開拓農家振興ということを農林当局はお考えになっているのかどうか、お尋ねしたい。
  20. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) パイロット・フアームにつきましては、過去の経験等から機械開墾の方式で、ああいう新しい一つの方式を考えてパイロット的にやってそれを基準にいたしまして基本営農類型というものを今後の一つ開拓の入植方式というように考えて進めておるわけでございまして、これは過去の経験に徴して、また不振に陥らないようにといったような考え方からでございます。御指摘のように、戦後緊急開拓時代に入りました大部分の入植者というものとの格差の問題でございますが、御承知のように、既入植者につきましては、もう過去十数年入りまして営農を続けておるわけでございまして、この基盤を根本から立て直しするということは、実質上なかなか困難かと存じまして、この既入植地の基盤の上において営農をいかに改善、安定すべきかというような考え方に立って振興計画改善計画を樹立せしめ、それによって安定に持っていこう、こういうような考え方でございまして、ただいま九万四千という開拓者振興計画によって予算なり、行政なり、最重点を置いてやっているという段階でございます。  なお、この振興計画の達成の暁において。パイロット・フアーム程度までいけるか、こういうような御質問でございますが、営農振興計画だけではなかなかそこまではいけないのじゃないか。振興計画を達成して、もう一段階やはり何か措置を必要とするのじゃないか。機械開墾あるいはパイロット・フアームといったところまでは、この改善計画だけではいけないのじゃないか。とりあえず、われわれといたしましては、不安定な農家が拡大再生産に入って、安定の転機に立つところまでのめんどうを最重点を置いてやっていこう、そういう考え方改善計画を立てて、これの達成に全力をあげているという段階でございます。
  21. 大野市郎

    政府委員(大野市郎君) このたびの三法案に対しまして、実は藤野委員からも、北村委員からも、さらに本日はまた岡村委員、小笠原委員、その他いろいろ各委員の方からの御質疑の趣旨を拝聴いたしますに、結局、行政的には、藤野委員にかねてお答えいたしましたような形で、行政の範囲内においては、ただいま国の債権の管理法の適用で和解という方法があるので、その方法負債整理の最終段階というふうな見解で参っておったのでございます。いわゆる政治論といたしまして、政治の眼目からいたしますならば、まさにパイロット・フアームの問題と既入植者の問題に対しましても、いわゆる関係者の非常な人心の激化を招くことも理解ができるのでございますが、このパイロット・フアームの点だけは、私どもは実はそういう感情がありましても、一つのいわゆるパイロットとしての形を示す意味で、実は戸数も二、三百戸のような進み方なのでありましてこれはこれで、既入植者の方々の感情のたかぶりというものは一つ別な角度から納得していただいて新しい営農の形を作らしていただきたいと思います。ただ、負債整理方法に対して、一番抜本的なものは棒引き論でございます。あるいはその中間のものは債権のたな上げ論でございます。債権のたな上げについては、行政の折衝の段階で、五年までとにかく今度の改正で実は進んだのでございます。この問題については、行政としては和解の方法もあるのでというて、実は折衝段階においてもそこで行き詰まっているのでございます。私どもは、特に政務次官といたしましての私の見解は、各委員の、国会議員の方々の政治論としての御意見というもので、その政治責任を当時の行政が、終戦後の食糧増産という大きな眼目のために犠牲になられた方々があることは間違いがございませんので、そういうものの救済策というものは、もう行政のワクでなくて、政治論として大きなワクでこれは解決をしていただく以外に、折衝の過程において方法がないように実は思っております。従いまして、先ほどのこの三法を段改善されたものとしてお認め願って、とにかく御協力いただき、審議会というものも活用していただいて、この問題で終わったというようなことは、われわれは開拓の苦境の打開にこれで終わったというふうなことは毛頭考えておらぬのでありまして、法の一歩前進という形でおりますので、そういう趣旨で皆さんの御協力によって、いわゆる中間的な、さらに延長をいたしますとか、あるいは利子の免除をいたしますとか、あるいは抜本的に、和解と同じ趣旨で、個々の開拓地の実情を調べて、これらに棒引きをいたすとか、そういうふうなことで、行政のワクの外で皆さんの御協力の大きな網でやっていただかないというと、現行法の債権管理法がありますので、主は動けないのでありまするどうか、農林省の方も力が足らぬとおしかりを受けておりますけれども、私がこの三法案に対して折衝した過程における感想はそういう工合で、抜け出すために大きな力が必要だというふうに思いますので、私の立場におきましては、藤野委員にお答えしたような形で、この三法案の審議にあたっては、原案をまずお認めを願いたいと御懇請を申し上げまして、その次の段階で御協力をいただいて、一緒に一つ打開策をお願いしたい、こういうことを赤裸々に実情を申し上げて、御理解をいただきたいと思うわけであります。
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その点はまたあとで問題にしたいと思います。ということは、条件緩和と言っても現時点で利子その他を元本に組み入れて据え置く、据え置き期間も従来利子がついておったものは利子がつく。こういう形でいくなら、これはもう雪だるまのようにふくれ上がるのですから、これは農家にとっては重圧になることは必至なんですから、それを先付け小切手のように、将来は和解の方策があるとか何とか言っても、そういう政治情勢が生まれるかどうかは、そのときになってみなければわかりませんので、農家自身はそういうことは信頼しない、開拓農家は。その点は一応置きますが、パイロット・フアーム、北海道のこれの一農家当たりの営農面積は幾らですか。上北の機械開墾は幾らですか。
  23. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 青森県の上北地区のパイロット・フアームについて申し上げますが、配分面積は五町と記憶いたしておりますが、五町でございます。それから北海道の根釧の床丹第二地区あたりは十四町、こういうことに相なっております。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 上北の五町というのは、それは正しいですか。
  25. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 畑地五町に採草地が七反、それから薪炭林といたしまして一町一反ございます。それから宅地面積が二反歩ということで、合計いたしまして七町ということに相なっております。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、内地で言うと七町程度のものが薪炭林、採草地、宅地を含めて、開拓農家の基準である、こう考えていいですか。基準にもならぬものをパイロット・フアームと言ったからといっても、何の指導かわからんです。営農面積としては、条件によっては、その程度のところが基準であると、今後基準であるということになりますか。
  27. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) これをもって全国一律の基準といたすことはできないと存じます。パイロット・フアームをいたしまする目的といたしましては、今まで人畜力によりまして開墾を進めておった点を、機械をもって一挙に、従来五年で開墾していくのを一年間で開墾して、営農基盤を整備していくというところも一つのパイロット・フアームのねらいでございまして、土地の配分面積につきましては、やはり地区々々によりまして、あるいは営農形態によりまして違ってくるかと存じます。上北地区におきまする酪農を中心にいたしました面積でございまして、これを大体パイロットといたしまして、ただいま基本営農類型というものを作っております。北海道については三類型ございますし、内地につきましても四類型ということで、大体内地におきましても東北は四類型でございまして、この地区においては配分面積大体六町歩、それから五類型は関東から北陸といったところで、四町といったところを、大体の標準にいたしております。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 上北の酪農中心の営農、これは東北全体にも当てはまることですね。ほとんどは集約酪農の指定地域内にある開拓地である。岩手県などは全く酪農中心、これが大部分育成されなければならぬ地域です。しかし、さっき例にあけた上北の開拓なんというのは四町歩程度ですね、畑作で四町程度、水田は持たぬです。初めからもう、こういうのは基準として少ないのですね、そういう点を、お示しになっておられる過剰入植者の間引き等で、基準まで営農面積を引き上げるということをおやりになるのかどうか。それは自主的にもうやめたいという者を、他に転換したいという者があった場合に、何万円かくれて去ってもらい、皆があとは分け合うというだけの消極的な過剰入植対策なのか、抜本的にそういうところまで整理して六町なり上北のような七町なり持たして、それでしっかりやれということになるのか、この点もお伺いしたい。
  29. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 振興計画を立てましたる要改善農家というのは、すでに戦後から入植いたしまして、土地も御指摘のように機械開墾地区あるいは基本営農類型地区につきまして面積は狭い面積が大部分でございます。特にその中でも一般その地帯の既農家当たりの平均面積に比べましても、大体同等以下といったような非常な過剰に入植しておる地区もその中に非常に多いわけでございまして、まずその営農の不振が過剰入植というところにあってこの振興計画の中において土地の培地を振興計画の基本にしなくちゃならぬといったような計画のところが多々あるわけでございますが、そういったところにつきましては、付近に開拓財産があれば足していく、あるいはなお未墾地等の取得すべきものがあれば国としては取得して再配分する、そういったことで配分面積をふやしていくというような考えでございますが、また一面においてそういう用地取得の道のないところの過剰入植といったようなところについては、これを他に移すなり、あるいは離農したいという人には、離農しやすくするように、あるいは他に再入植させるといったような方向でその開拓地から出ていってもらって跡地を再配分して残った入植者の配分土地面積をふやしていく、こういうような考えでございます。御質問のように、これは基本営農類型のところまで持っていくかという御質問でございますが、われわれとしては、そこまで持っていきたい、こういうふうには考えておりますが、事実上これは土地の面積等がなかなかそこまではいかないし、また、他に移るという人を強制をするわけにも参りませんので、ここはやはり開拓地区地区の実情に応じて、また、地区の開拓者の総意によって出ていく人と残る人といったような話し合いによってこれがきまってくるわけでございます。半分以上の人が出ていくということになりますれば、今までの耕地は残存する人には倍になる、こういうことになるわけでありますが、できるだけわれわれといたしましてはこの三十五年度から一つのテストとして試みております過剰入植地対策を活用して配分面積の増大に努めていきたい、こういうように考えております。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今のお話を聞いておると、まあ積極的にどうこうということはないようですね。そうであればなおのこと、高度に集約した営農の形態が必要であろうと思われる。そうであればあるほど資金面においても指導面においてもそれは手厚いものでなければならないというように考えられる。ところが、その点についても、これこれのことをしっかりやるんだということがはっきりしない。さっきから繰り返して申しておりますが、二百数十万も投じてやるパイロット・フアーム、ああいうものに対比して、今からでもおそくない、新たなる資金の投入もし、援助もし、高度の収入が得られるような施策をとろうという積極性も見られない。そして、一方、政務次官がさっき話しましたように、条件緩和の方策といいましても、従来の利子を元本に繰り入れる、そして五年後まで据え置きでまたその支払いをするということになれば、対象農家の立場から立つと、三分五厘であれ五分五厘であれ、絶対額としての支払い金額というものは、それは利子は大きくなるのですから、三分五厘や五分五厘ではないのです。これではやはり拡大再生産のできない状況で進んでいった農家は支払いに困る。そして負債額というものは絶対額がふえてくるわけです。で、ちょっと考えてみても、造船の利子補給なんというものには莫大な金を投じております。この今の開拓農家が全員債額とされているような三百六十一億か幾らの長期資金、これ以上の金が造船利子補給なんというものでもう過去に投入されており、今後においてもまた出そうという。それなら、こういう農家自身に対して利子ばかりも免除する、そういうようなことがあってもよさそうなものだ。これは、私十分勉強が足りないので、そうなっているのだというんならもうそれでけっこうですが、なっていないということであれば、これはなぜそういうことを緻密に計算しなくちゃならぬのかですね。これも法律にあるんだから仕方ないやるんだというなら、法律というものは国会が作るところなんだから、そうでない法律に直せばいいわけです。何かこういうところにも公平の原則に欠けるというような、これは私の思いつきですけれども、そういう感じがします。どうしてこの利子免除なんというようなことはできなかったのか。やっているんだというなら、やっていますということでけっこうですが、ただ、これで見ますと、元金に繰り入れるという問題があるようですから、これは免除してない、今後においても免除しないように思われるので、質問するわけです。
  31. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 振興計画を立てております改善農家につきましては、国といたしましても、積極的な面といたしましては、建設工事等についても、ただいま今後を予定いたしておるもの等を考えますと、開墾建設工事でも四百六十億といったような資金量を投入する。そのうち、三十五年までで大体六割程度が済んで、あと残年量は四割程度、これを五カ年程度で達成していきたい、こういうような考え方で、建設工事自体についても相当の国費を投入していきたい。なお、土地等の整備、これは、開墾作業、あるいは開墾を起こしましたあとの酸性土壌の改良、そういった面等のいわゆる耕地の整備といったようなものでも、全体計画といたしましては百三十六億程度を目標といたしまして、ただいまのところでは三割程度の達成率でございますが、あと七割程度は今後五カ年間に何とかこれを達成するように積極的な資金投下——掛金制度でございますが、資金投下をやっていきたい。営農の転換に必要な政府開拓者資金につきましても、百四十二億というような総額の目標に対しまして、現在まで約四割程度の投下を終わっておりますが、あと六割程度は今後五カ年間で達成したい、こういった考え方で、改善計画の達成ということにつきまして積極的に国費を投入していきたい、そうして一日も早く安定の域に達するように拡大再生産の目標時に近づけよう、こういう考えでおります。その半面において、先ほどから申しますように、政府資金の過去の分はこれを五年据え置きの十五年ということに緩和をいたしておくわけでございますが、御指摘のように、過去の延滞利子というものは免除いたしておりません。これを元本に繰り入れて年賦で払っていただくということにいたしております。で、利子の免除ということにつきましては、国の法律におきましても免除ということが和解によってしか将来はできないわけでございまして、免除ということは考えていないわけでございます。なお、利子分については、過去におきまする支払った人と支払わない人といったような面の不公平等もございますし、また、将来の利子の徴収ということ等の関連もございまして、利子分の免除ということは、今のところは非常に困難な状態である、こういうことでございます。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ、将来の据え置き期間だけでも利子補給というような考え方はないのですか。将来のものなら一律一体ですがね。
  33. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 過去の延滞利子につきましては、これを過去の延滞元金と一緒にいたしまして、条件緩和の対象にいたしまして五年据え置き十五年年賦償還ということにいたしまして、一時償還——一時償還といいますか、履行日のきているものを将来二十年に延ばす、こういうような形になっておりまして、免除いたしておりません。
  34. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ですから、今後五カ年据え置きするという部分について利子の補給をするという考え方はなかったのかどうか。
  35. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 過去において、折衝の過程において一応そういう考え方も検討はいたしましたことございますが、実現はできないで、据え置き期間も利子は徴収するということになっております。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 結局、まああとでも聞きますけれども、こういうふうに聞いてみますと、政府の金は国民の税金なんだから一文、一銭もおろそかにはできない。ですから、借したという形のものはちょうだいしなければならぬ、利子が払えていなかったら利子も規定通り払ってもらわなくちゃいかぬ、そして営農振興してもらわなくちゃいかぬ、りっぱに食えるようにもなってもらいたい、その方はその方で国も援助をする、だから出す金はきちんと出してもらいたい1何かこういう考え方のようですね。ところが、政治となったら、この点は今にして解決するというやつぱり方策も、われわれが言う通り、あると思うのですね。法律がどうこうというなら、その法律開拓関係に適用されるように直されれ  話は横道にそれますが、この貸付金の窓口の一本化などといっても、これだってやる気になればできる。開拓農協に参加しておる開拓農家なんですから、それだけを対象とする一つの公庫なり、政府機関を設ければいい。一般の農林中金なり、公庫なりそれらからその分をはずし、そして一切の資金管理をする機関を設けるなら設けてもできないことはないと思うのです。その方がかえって農林中金なり、公庫なり、その負債の償還が悪いために資金繰りに困るというようなそういうめんどうなこともないのですから、そういうことも一つ方法だろうと思う。ところが、固定してあるものはあるもので動かさないようにして、そうして開拓農家振興といっても、その程度のことでできるかどうかということに私は疑問を持つのです。少なくとも利子は国の建前として払わなければならぬというなら、一方また、国自身がその利子の補給もしてやるということもあり得ていいと思うのです。ただ、これは条件緩和で五年据え置きだといったって、将来、雪だるまになる。元本の支払いという難問題が起こってくるんですよ。いや、そのときには和解でいくんだと言ったからつて、その和解というものが承認されるかどうか。これは、事はめんどうなことになる。もしも将来にそういうものがほのかにも予想されるものがあるなら、今、五年前の今日、農家自身に安心感を与えるためにも、今抜本的にこの和解の問題なりに取り組んで始末をするという方式をとるなり、たな上げするという方式をとるなり、やるべきじゃないでしょうか。どうも将来に問題をゆだねて、現在の時点で糊塗しているという感じがしてならぬのですね。だれかが抜本的にやらなくちゃいかぬ時期がくるのですから、それを時間的にあとに延ばしたというだけでは、農家営農振興ということに大きな障害になる。安心感を与えて、そうして指導する面、援助する面は新たにそれをおやりになって、パイロット・フアーム程度の営農水準に達するように努力する、そういうことが根本でないんでしょうか。  まあ繰り返して話がもとに戻りますが、どうしてそういうことが農林当局としてできないのですか。障害はどこにあるのですか。農林当局自身が考えないのですか。考えて大蔵省と折衝するが、筋道が立たぬので押しまくられるというのですか。どこに根本的な理由があるのです。まずなってもならぬでも、一応のたな上げというようなことが、意見として農林当局で成り立つのか成り立たぬのか。これをお伺いしたい。
  37. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) われわれといたしまして、この既入植者の安定振興ということにつきましては、これはいろいろな手を、あの手この手ということでやっていかなくちやならぬと、こう思っております。要はやはり営農の基盤が整備して安定するような営農に持っていくということが問題でございまして、その問題のために先ほどから申しましたように、国の追加投資なりあるいは国の建設工事の補助といったものを計画的に改善計画で積み上がってきたところを尊重して五年計画でこれを今後達成していく、こういったところで営農基盤の整備をやって、借金は返し得るような営農状態に持ち上げていくというような考え方でございまして、その営農達成段階におきまして、営農の安定に支障になりますような過去の負債というものの圧力を緩和していくというのが、今度の御審議になっている法案の趣旨でございますので、一面において国の追加投資あるいは建設工事というものの計画達成ということにあわせて一面、過去のものを五年据え置きの十五年ということに緩和すれば、営農改善計画に乗っかっておりまする一応の拡大再生産の転機までの営農は安定させるということは達成できると、われわれは考えている次第でございまして利子分についてこれを免除する、あるいは取らないといったようなことについては、今の法律体系その他から非常に困難でございまして、これは今のところは考えていな。こういうことでございます。
  38. 千田正

    ○千田正君 関連して伺いますが、どうもさっきからのお答えを聞いているというと、パイロット・フアームはさっき政務次官もおっしゃったし、庄野さんも言ったが、これはまあ一つの理想なんで、その一つの理想の生まれた結論は何かというと、今まで十数年の既入植者のやり方をいろいろ研究してみてもどうにもならない。これが理想なんだというので出したのがいわゆるパイロット・フアームです。今までの既入植者のギャップを何とか埋め合わせてやろうという今までのいろいろな案がありますけれども、聞いているとみんな弥縫策なんです。さいの川原の石積みにしかすぎないのですよ。パイロット・フアームが一つの理想の、今後の開拓行政のうちの一番実を結んだ一つのフォームなんだという一つの目標をつけたとすれば、いろいろ考えて、いろいろ経験を積み重ねた結果、これ以外にはないのだというそれは一つのあれでしょう、指導面の結晶したものでしょう。そうすると、そこまで今までのそういうものを持っていかなければこれはどうにもならないのですから、それまで持っていくために、とてもある程度の距離のある段階を何回も同じことを繰り返したって、僕はさいの川原の石積みだと思う。それでさっき政務次官のおっしゃったように行政の面では行き詰まっておる。行き詰まっておるとすれば、それを打開するのは何か政治力でやらなくちゃならない、というふうにしましても、開拓行政というものは、どういう時代においても農林省行政の担当者ですよ、担当官庁ですよ。その担当官庁のあなた方の方で今までのやり方では行き詰まったのだと、どうにもならないと言うなら、なぜその法律の改正なり何なりというものをはっきり国会に打ち出して持ってこないか。あるいはわれわれとしてあなた方の意見を聞いたら、国会で当然立法措置考えなければならない。そういう段階に進まないで、どうにもならないのだ、大蔵省へ行くというと、こう言うのでとびらを閉ざされているのだ、頭打ちになっているのだと、どうにもいかないのだと、今までの交渉の過程の中だけにいて堂々めぐりしていてもこの問題は解決しませんよ。だから、農林当局としてはあくまでこれはどうしてもわれわれが行政担当官庁としてやらなくちゃならないのだと、パイロット・フアームならパイロット・フアームというものは長年の経験によってこういう理想の目標が出たのだから、これに追いつくために過去のものを引き上げていかなくちゃならない。そのためにはこういうことをしなくちゃならないという一つの問題があるとするならば、それを掲げてあくまでやるべきですよ。さっき小笠原委員が言ったように、通産省当局あたりは今の行政に対して利子補給を、利子補給をやっている問題は幾つあるか勘定してごらんなさいよ、相当多数に上っておる。しかも日本の基本農業よりも日本の国民としては重大でないものでさえも利子補給というものが政治力その他によって作られておる。そういうことを十分研究なさったならば、必ずしもそれは農林省が破り得ないところのとびらではないはずでありますよ。そういう点を考え合わせましてこの問題の解決に進まれることを私は要望いたします。もう一ぺん政務次官のお考えを承っておきたい。
  39. 大野市郎

    政府委員(大野市郎君) この利子補給の問題点につきましては、先ほど参事官からそのほかのいろいろな建設工事などへ国費の相当量が投入せられておるので利子の免除がいたしかねたという答弁をいたしたのでございます。利子補給の問題は、さらにそれに国家予算を追加して投入する理屈になるのでございます。お説ごもっともでございますので、この問題も途中ではやはり出て論争したのでありますが、国費全体のつり合いの上で御提案したような形で実はまあ部内でおさまったのでございます、率直に申しまして。従いまして国費の追加投入という形になりますが、そういう形での負担の軽減のまあ一番手つとり早い形は、利子補給の方法でいけば、形は負債の形で残っても負担は楽になるという形になるわけでありますから、この点につきましては、今回はこういう形で一応法律案が出、それに伴う予算の成立はないものでありますので、この懸案につきましてはさらに重ねて努力をいたすつもりでございます。
  40. 田中啓一

    ○田中啓一君 関連して。債務処理については一応こういうことでいきたいという内容はわかりましたが、そこで今ちょっと参事官からの答弁のうちにも出ておりましたが、営農基盤の整備拡大ですね、あるいは営農の資本追加というような点で相当金を出す予定でしておるのだと、こういうお話でした。おそらくその二つを合わせたものが今度の計画になっておるのですね。そこで営農基盤の整備拡大、建設事業の補助金というような面、そういう補助金額が九万の農家に対してどれくらい、それから資本追加——牛を買ったり機械を買ったり何かすることだろうと思いますが——というものに対してどれくらいの別途資本追加をするつもりであるかですね、それを一つこの際伺っておきたいと思います。
  41. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 建設工事関係で申し上げますと、これは振興対策に関係しております分だけでございますが、建設工事も国がやる分——国営あるいは代行、そういったものと、それから先ほど申しました国がやるものは全部国の負担になるわけでありますが、開拓地改良といったものは三分の二補助、北海道では四分の三ということになりますが、土地改良あるいは小団地補助工事、これは内地は二分の一ということになっております。そういうものを含めまして大体五百七十五億程度を目標額といたしまして、三十五年度までで先ほど申しましたように建設工事では約五七%程度まで達成いたしておりますが、あと四三%程度を今後五カ年で達成していきたいと、こういうような考え方でこの早急な計画達成に努力いたしております。今まで五百七十五億に対しまして投下いたしました建設工事関係は二百八十七億に相なっております。それから開墾作業とか土壌改良あるいは入植施設と、こういった点で改善計画で積み上がってきました総体の計画目標は百三十五億になりますが、それに対しまして三十五年度までに三十六億程度でございました。約三割弱に相なっておりますが達成しております。これも今後五カ年目標で完遂したいと、こういう考え方で努力いたしております。  それから資金の面でございますが、これは開拓者資金、農林漁業資金、自作農資金といったものに分かれるわけでございますが、政府から貸し出します開拓者資金振興対策分といたしまして全体で百四十二億を予定いたしておりますが、三十五年度まで、今後三十五年度で貸付予定をいたしますものを含めまして大体六十二億程度が貸し出される、全体の四割五分程度が貸し出されるわけでございますが、今後五年間で百四十二億の全体を貸し出すように努力いたしたいと、こういう考えでございます。そのほか自作農資金は大体五十一億でございますが、これは三十五年度で全部五十一億貸し出すことにいたしております。これだけは三十五年度で達成される。なお、公庫資金は九十億程度が目標になっておりまして、ただいままで三割ちょっとこすくらいの二十八億程度で、今後これも五年間で一つ達成していきたい、こういうような考え方で追加投融資を考えておる次第であります。
  42. 田中啓一

    ○田中啓一君 そこで既存開拓農家に対して農用地の拡大というものをできるだけやろうとしておられるように先ほど伺ったのですが、これはおよそどれくらいを予定しておるわけでございますか。
  43. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) ただいま三十五年から新しく実施いたしたいと考えておりまする過剰入植地の対策で間引きしてその跡地を残存の入植者に再配分していくと、こういうような考え方で進んでおりますが、これにつきましてはまだ十分な計画が盛り上がっておりませんので、はっきりしたことは申し上げかねると思いますが、大体ことしは六百戸程度を間引く、こういうことにいたしております。全国平均一町五反といたしまして、計画通り六百戸を間引きできますれば、九百町歩程度が残留者の方に再配分される、こういうことでありますが、計画通りいくかどうか、最善の努力をいたしていきたい、こう考えております。
  44. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今、建設工事なりあるいはいろいろな補助事業、あるいは資金面については、自作農なり公庫から金を出すんだ、非常にいいことですけれども、今後五カ年間に達成する目標だといっているんですね。今後五カ年間に一方達成する目標で、今後五年目からは、負債の償還をやるというんですね。こういうのはどういうものなんでしょうか。振興計画に基づいてよくなる部分もあるだろうし、こういう施策が行なわれることでよくなる部分もあるでしょうが、そうして、よくなったから、その年からすぐ支払いができるというものでないんだから、立地条件を整備したら、整備したあと五年ぐらいはしっかりやってもらって、余裕の出たところで金は払ってもらうというのが、あたりまえなようにも思われるんですが、やることをやって、やりもしないうちから、五年目になって、もう金は返せというような始末になりませんか、これは。
  45. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 計画でございますから将来のことではないか、こういう御質疑だと思いますが、こういう計画を達成していきますれば、営農基盤の整備もでき、また営農転換に必要な資金も供給されまして、営農が安定の方向に向かうわけでございますが、大体開拓農家の粗収入、あるいは農外収入といったいわゆる農家所得と、それから既存負債というものの一年間の償還額、十五年延ばしまして現存の償還額、これを比較しまして償還余裕がありますように、この五年据え置き十五年というのはきめているわけでございまして、現状におきまする三十四年までの状況において、五年据え置いて十五年の年賦償還にするということは、三十五年の三月三十一日現在において、営農の面からくる農家の所得から、拡大再生産に必要な諸経費を含めましたいわゆる経費を引いて、それから公租公課、生活費あるいは優先債権、そういったものを引きまして、各農家のいわゆる経済余剰というものと、過去の負債の額との比較において、これを五年据え置けば、その後十五年で返せるだろう、そういう判定をしているわけでございまして、あわせて今後五カ年で、今申しました追加の投資をし、あるいは建設工事の促進ということをやっていきますればやれるという考えでございます。
  46. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、今の参事官の御説明であれば、もう五年後は安定するんだ、借金も返せるようになるんだ、ちゃんとそれは計算済みなんだ、だから今後はもう問題がないんだ、安心せいということですね。
  47. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 計画通りに国の工事なりあるいは追加投資といったものの達成にわれわれは努力いたすわけでございまして、その計算の上に立って、拡大再生産の転機というものは、改善計画におきまして三年ないし五年、大体五年を拡大再生産の転機、こう考えておるわけでございまして、五年据え置いておけば、大体償還余裕が出てくる、こういうことでございます。
  48. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから政府は、この種の提案をし、予算措置もする限りにおいて、責任をもってそういうふうにするから御心配は要らないとわれわれに言うわけでしょう。だから政務次官が言うような、今後和解の問題があるとかないとか、そんなことなんかみじんも考えられない。よくなるのでしょう。
  49. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) これだけの計画通りの国の投資ができれば、それははるかによくなることは御承知通りでございます。政務次官がお答えになりました点については、その段階においていろいろ、やはり災害が起こるとかなんとかで年賦償還金等について問題があった場合、その年度の年賦償還金につきましては和解をやってどうするか、そういう問題は起こってくるかと思いますが、計画的な問題として、五年据え置き十五年ということをやりますれば、あわせて片方の営農振興の積極政策を行ないますれば、営農の安定の方向に十分向かい得る、こういう確信でおります。
  50. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、今後天変地異等の突発事件がない限りは、もうわれわれのやろうとすることにまかせておけ、大丈夫なんだ、心配要らぬ、農家も喜ぶんだ、そうなるんですね、政務次官。
  51. 大野市郎

    政府委員(大野市郎君) この点は、営農振興計画を九万四千戸に出させまして何をいたすのでございますが、この法案の中にもございますように、審議会を作っていただいて、さらに検討をいたす部分がございますので、この立案者といたしましては、これだけでまずやれるのだということを皆さんに申し上げる筋でございますが、御承知のように九万四千戸の対象を、個々の問題、一つずつの問題でございますので、事務当局は自信を持って計画を立てておると思いますが、私といたしましては、これらの問題に対して審議会に御審議を願う部分を残すというところあたりに、そういう意味でどうも竹を割ったようなわけに申し上げることは大へんつらいのでございまして、そうなると、事務当局が立案をして参りまして、われわれもこの法案を出しましたので、そうなることをもとより望んでおることでございます。
  52. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは笑いごとでない、私は真剣なつもりで聞いておるのです。われわれはこの法案を将来においていいものなりとして賛成する前提は、参事官がおっしゃるように、今後心配がないという背景がなければいかぬのです。そうして地元に帰っても、開拓農家からいろいろの陳情、要求があっても、農林省は大丈夫だといっているから、大船に乗ったつもりで言われた通りしっかりやれ、五年たったらもうりっぱになるのだと言うよりほかない、農林省を支持する私たちは。ところが、支持していて、五年目になってそうでなかったということになると、これはそのときはわれわれ国会議員でいるかどうかわかりませんからいいものの、農林当局の責任はどうなる。そういう点を考えれば、やっぱりいろいろな問題がまだまだあるのだ、ある中に、この程度のことを現段階としては考えて努力するのだという程度にとどまるのだと思うのですね。まだ解決しなくちゃならぬ問題が、農林当局が考えられておることが全面的にそれでもういいんだということにはならぬと思うのですね。ですから、何に金をどれだけ出す、何にどうするということだけでなくて、農林当局のかまえ方、姿勢、このことがわれわれとしてはもっと聞きたいところなんです。ほんとうにどうしてくれるというのか。ただ、今開拓連盟その他から要求がある。世論にもなっている。国会の方でも文句がある。だから、資金の条件緩和をやって、この場はしのいでおけ、そういうような繰り返しではだめなんじゃないかということを申し上げたい。それが将来審議会で云々というなら、審議会に提示される問題点はどういうものか、今農林当局として構想を練っているものはどういうものか。その辺でもいいからお示し願えるなら、あとでもよろしゅうございますから、お示し願って、農林当局のかまえ方というものをもっと聞かしていただきたい。私は今日この質問はこれだけにいたします。
  53. 北村暢

    ○北村暢君 小笠原さんに関連して。小笠原さんが非常に心配されている点については、私もこの前も質問したのですが、今庄野事官の説明をお伺いしていると、一応振興計画を実施して完了するというと、相当な振興ができるのだ、こういうことのようですが、この前の農地局長の答弁からいっても、私はこの点はしつつこく聞いたのですが、振興計画が完全に実施されても、その振興計画そのものが財政資金のワクにはめられて、そしてほんとう意味振興計画になっていないものに押しつけられている、こういうことは確かにあるわけです。そしてまたその振興計画について訂正を申し入れても、なかなかこの訂正に応じない。いや、それは応じているのだ、こう言っておりますけれども、実際には応じていない。従って、今日この法の改正にあたって、これに対する非常に強い、要望がある。それから、年次によって振興計画に該当しないものが出てくる。九万四千の振興農家開拓農家が、調査によってあるわけですが、これに該当しないで、振興農家に該当しないものが出ている。各個々の開拓農家としては、要振興条件に当てはまっているけれども、その組合が、開拓農協振興の基準に該当しなかったということでもって、個々の農家では漏れているものがある。こういうものがあるわけです。従って、九万幾らの振興農家というものが現在あるわけですが、それに漏れているものも今日ある。そういうような点で、これの改善方を要求しておるのですが、それに対しては、農地局長ははっきりその要求には応じられないと、こう言っているわけです。応じられない。要振興農家が拡大することについては応じられない、こういうことをはっきり言っているのです。そうするというと、この計画を完全に実施したにしても、私はまだ要振興農家というものは残る、かりに計画通りに実施されたにしても残るのであります。  それからまた、先ほど来非常に大きな問題になっておる、やはり営農類型とこの振興計画との間には、非常に大きな差があるということは、農地局長自身が認めておる。赤字を黒字に転換する、ようやっとそういうふうになる状態である。しかも農家の個々の所得という問題については、この改善計画による所得というものは、営農類型による所得とは非常に大きな幅がある。営農類型による今後の営農にあたっては、相当こまかい試算がなされて、債務償還の分も含めて所得というものがきめられておる。しかし、この改善計画によるものにおいても、一応そういう面について、この計画が完全に実施された後においては、黒字に転換するのですから、余力でもって債務償還の余力が出るという理屈には確かになっておるけれども、確かに実際に計画通りなされても、営農類型との間に大きな開きを持っているという点からいって、実際に債務償還の能力がこの農家に出てくるかどうかということについては、これはもう現実に、私はそういう力が出てくるというふうには考えられないのです。これは岡村委員も他の委員も先ほど来主張しているので、これは食いつぶしちゃっている。借金が大部分なんですから再生産に役立つような形になんか簡単にはならないのですよ、やっぱり。そういうような点からいって、これは問題は確かに残るのです。しかも、それが三年、四年後、据え置き期間五年ということになれば、五年後においてようやっとそういうような形に、何といいますか計画がいっていて、そういうふうな形になるということでありますから、今日においては、これはもう開拓農家としては非常に低い。しかも、資金量からいったって、現状の開拓農家は畑作が大多数で、しかもその現状が統計ではっきりしているように、大家畜なんか持っているものというものは約三〇%だということは、農林省の統計ではっきり出ているわけです。それから、平均の持っている大家畜だって、営農類型からいけば四頭だの五頭だのという乳牛なり大家畜を持つという基準になっている。それに対して現状は一・二か三だと、こういうような実態がもうはっきりしておるのですから、これは莫大な資金を投下しなければ——積極的な営農改善の資金を投下しなければならないのだが、一応の財政投融資計画によって改善資金というものがワクにはめられて、それ以上のことはできないことになっておるわけですよ。それをまあ前回も質問しているのですけれども……。特別会計による開拓者資金、これがまあ六〇%程度——六六%、そのほか、自作農資金その他が一〇〇%だといっても、これはもうワクをはめたものについて、計画がそうなっておるからということでやっているのですから、実際にこの開拓農家が思うような形になるということにはならぬ。そのためにこの法律で逃げている。私は、開拓審議会というものを設けて、そして、抜本的なことはそこでやると、こういうことで逃げている、もうそういうふうにしか思えない。従って、そこでやるのだと、こういうことになるのだろうと思うのですけれども、参事官の言われるような、振興計画をやった後においては相当飛躍して心配のないような開拓農家ができるなんということは、これはちょっと考えられないのですよ。これはもう、小笠原委員はそうなるなら非常にけっこうなことだというけれども、現実問題としてそうならぬ。それはもう私は明確だと思うので、そこら辺のところを一つ、やはり正直に答弁する必要があるので、そういうことを答弁しておって、計画通りにいけばよくなるのだなんということでは、これはあとにおいてまた臨時措置法なのですから、幾ら延ばすようになるのかどうなのか知りませんけれども、また抜本的な法律を新たに作らなければならないのかわかりませんけれども、とにかく、従来行なってきた開拓では、まあ破れたところにこうやくを張り張りやってきて今日まできて、なおかつ振興しない農家が現実にあるわけです。そういうような点を一つ率直に認めていくべきでないか。まあ、開拓行政の役人としては、失敗だということはなかなか認めにくいのだろうけれども、やはりそこを率直に認めていかないというと、国会の答弁だけで——ここだけ通ればいいというようなことでは、私はこれは開拓農民は承知をしないのじゃないか。まあ、こまかい法案の関係については質問は、またいろいろな問題が出ておりますから、その問題はあとにいたしたいと思いますが、今の問題については率直に一つお答えを願いたいと思います。
  54. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 先ほどからいろいろ御指摘がございましたように、この振興計画を目標通り達成するということがわれわれとしてはただいまにおきまする最大の、最重点を置いてやっている仕事でございます。これを計画通り達成いたしますことによりまして、振興計画を立てました農家は、いわゆる黒字転換の拡大再生産と申しますか、赤字から黒字に移る転機に達するわけでございます。それから拡大再生産に進んでいくわけでございますから、その転機に立ち得るように今後五カ年間に予定されました国の工事なり、あるいは資金投下というものを最大の努力をもって進めていきたい、こう思っております。で、そういうことによりまして、片一方において営農の拡大ができますので、その支障になる過去の負債条件緩和をいたしますれば、両々相待って開拓営農の安定というものは将来に向かって期し得るとわれわれは確信しておるわけであります。ただいま御審議願っております三法案につきましても、われわれといたしましては現段階においては、こういう条件緩和という形をもってお願いしておるわけでございます。まあ、こういう法案と、それから一面、政府の投融資と、こういう形をもってこの転機まで持ち上げていくということに努力をいたしたいと思っております。われわれといたしましては、これをもって全部足れり、こういうふうには考えていないわけであります。なお一そう、先ほどから御指摘ありましたように、審議会等においてもいろいろと根本的な問題、あるいは今御指摘のありました去年の類型と過去の類型との問題、そういったものも審議会においてよく審議をしていただきまして、またその上に立っていろいろの施策を講ずる、こういうような考え方でおります。
  55. 東隆

    ○東隆君 私はきょう質問しますとだいぶ長くなりますので、農林省の方で一つ考えをきめておいていただきたいと、こう思うような問題点を出しておきますが、衆議院の段階で、まだ法案があるのでありますから、一つ考えを願いたいと思うのです。  それは、第一番目は、私はやはり開拓農家振興するのには、第一、経営規模ですね、これがはっきりしないで、振興計画もへったくれもないと思うのです。ところが、営農類型を七つ定められた。その以前のものと比較をしますと、非常に違ってきておるのです。北海道のごときは三つの類型が新しくできましたが、その三つの類型に該当するものは前のものには一つもない。全部面積をふやさなければいかぬ。    〔委員長退席、理事大河原一次君着席〕 全部面積をふやして、そうしてやらなきゃならぬような形に置かれておるわけですね。たとえば第三類型というのが一番小さい類型なんですけれども、これが、もとは七町歩です、それが九町歩になるのです。だから、耕地面積だけ取り上げてみても、二町歩の開きができてきておる。だから、古くから入っておるのはどういうことで入っておるかというと、七町歩で入っておるわけですね。そういうような地帯に今度の新しい類型では最高が第一類型で十四町歩になっております。これは七町歩でもって進められておったわけですね。そういうふうに古く入った人たちに与えられた耕地面積というものは、もう最初から半分のものさえある。そういうような状態でもって進められてきておるのですから、だから新規に入ってくる者がこの新しい基本営農類型によって入ってくれば、これは私はあまり蹉跌をしないと思うのです。それに対応したところの方法でもってやってくれば蹉跌をしないと思うのです。戸数は減って参りましたけれども、最近の開拓農家の入ったものは、これはもちろんまだ離農しておらない、こういう形になってきて、私は新しい類型のもとに入れた者は失敗がないと思うのですけれども、古いやつは、これはもう最初からあらゆる農業問題の基本になる土地の問題で、もう大きな問題ができておるのですから、だからこれをはっきり国が定めた営農類型のところまで持っていくのだ、こういうことをはっきりさせるために、振興計画を促進する法律の中にはっきりとそれを営農類型を法定する必要がある。そうして国が当然責任を持ってそこまで持っていくんだ、こういう態度を明らかにしなければ途中でもってごまかしをされるよりほかに方法がないと思う。    〔理事大河原一次君退席、委員長着席〕 だから、私は営農類型というものを当然法定して、そうして国家がそれに到達しないものに対してはあくまで責任を持ってそこまでやるんだ、こういう態度をはっきりさせる必要があろうと、こういうことなんです。これが第です。  その次には、開拓審議会ですね、これは私は今の政府のお考えになっておるような開拓審議会は、これはその場を糊塗するようなものになりはしないか、こういうおそれを抱いておるわけです。というのは、農林大臣の関係のもとにおいて適当な人を十名お選びになる。十人くらいでもって開拓の問題を大きく取り上げてそして審議するなんといってみても、これは私はお役所の中の責任をのがれるための審議会にしかならぬのじゃないか、こういうおそれを抱いております。すでに大きな問題になっておるし、政治的に解決をしなければならぬいろいろな問題をたくさんはらんでおるのですから、この際開拓審議会をもっと強力なものに作り上げる、こういうような意味で、もちろん私は国会からもその中に入っていって、そうしてこの問題をやるというような体制を作り上げる必要があろうと思う。せっかく法律の中に開拓審議会を作るというのですから、これは一つもう少し強力なものを作るという考え方開拓の問題を根本的に掘り下げてかかる、こういうことをやらなければ、私はごまかしの審議会ができ上がるんじゃないか、こういうことをおそれているわけです。  それからその次は開拓農協の問題ですが、開拓農協が約四千幾らあるわけです。四千幾らあるのですが、そのうちに、これは信用事業を行なっておる開拓農協というのは非常に少ないんじゃないですか。信用事業を行なっている開拓農協は四千百八十四の総組合数のうちで二百二十二しかないわけです。この開拓農協を通して資金を融通するというようなことをやることができるのは、二百二十二しかないのであってあと農協というのは、これはただあっせんの労をとっているだけであって、中に立ってそしてやっておるだけで、私はほんとう開拓農協が中に入って仕事をしておるというようなものはないだろうと思う。しかも信用事業を行なっているうちの大部分は北海道にある。二百二十二のうち北海道に百五十八あって、そして内地に六十四、府県の方はこれはほとんど問題にならない、こう言ってもいいんじゃないですか。だから金の問題について資金の融通その他の問題についてこの開拓農協全体からながめてみると、私は能力がないと、こう言っても差しつかえないと思います。だからこの開拓農協そのものについてもう一度考え方を深めていかなければならないし、私はこの際負債整理の問題を中心にしているんだから、開拓農協はその際負債整理組合のような考え方でもう一回考えを新たにすること、私は開拓農協そのものが別途な意味仕事ができるようなものになるだろう、こういう考え方を持つわけです。だから開拓農協というものをこの際もう一度しさいに検討を加える必要があると思う。四千百八十四のうち非出資組合が二千二百十二ある。それで、その大部分は内一地に二千百九十五ある。北海道には十七しかない。それから十戸未満の組合は全国で一千十ある。北海道では四しかございませんが、内地に千六ある。こんなような数字であって、十戸未満の開拓農協で、農業協同組合をこしらえてそうしてやるなら、これは非常に大きな事業をやるような、資本をたくさん持っておるような人たちが集まってやるならこれはどんどん仕事ができると思いますけれども、十戸ではこれは問題にならぬ。だから全体のものを平均しても三十戸以下になるのじゃないか、平均いたしまして。だから私は農業協同組合というよりも、もう少し変わった形でもって、部落的なものはなかなか作りづらいとは思いますけれども、考えようによっては、昭和の初めに出た農村負債整理組合法の、ああいうような無限責任の組織に改めていく、そうしてお互い負債整理というものについて、負債についてお互い責任を持ってそうしてやる、そうしてその負債整理計画であるとかそういうようなものを組合でみっちり立てて、そうして力を合わせてやっていくという、そういうような体制を作り上げていかなければ、私はなかなかこの仕事は容易でない、こういう考え方を持つわけです。だから、考え方をもう少し新たにして開拓農業協同組合を見る必要がある。北海道では百戸以上の開拓農協ということになると、これは既設の農協よりも所によっては開拓農協の大きいところがある。そういうようにして信用事業もやっておるし、購買、販売の仕事もやっておる。こんなようなところもあるのであって、そういうような特殊なものを除いていくと、小さな組合というものに対する考え方は、これはもっと考えを新たにしていかなければならぬのじゃないか、こういう考え方を持つので、これは一つ開拓農協をもう一度検討をしていただきたいと、こう思うわけです。これを私この次に一つお伺いをいたそうかと、こう思っております。  それから貸付条件ですね。これは貸付条件、それから負債整理に関連をしてですが、政府の資金ばかり中心にされておるわけです。それで現実の状態考えてみると、上層農家と、それから下層農家を比べまして、どんなふうになってきておるかというと、たとえば政府資金でも長期の資金は上層農家にたくさんいっておる、下層農家には少ないのです。短期の資金はどういうことになっておるかというと、上層農家の方には少しいっておる、それから下層農家にはたくさんいっておる。政府資金でもってそういうようなことがはっきり出てくるわけです。それから今度は農林中金の資金の方の面で見ますとどういうことになっておるかというと、上層農家は農林中金の資金を借りておらない、割合に。そうして下層農家が農林中金の金を借りておる。これはどういうことかというと、高い金利の金を借りておるということになるし、と同時にどういうことになるかというと、これはあるいは政府資金をもらうために中金の資金を借りかえしておるかもしれない、これは中金はよくそういうことをやりますから。だからそういうような形で出ておるのじゃないか、こう実はおそれておるわけです。そういう問題。  それから一般農協の資金の場合は、これはまたはっきり出てきておるのです。こちらの方でいただいておるのは、これはミス・プリントだろうと思うのですけれども、一般農協の資金、これは三十三年度の借り入れ残高が、計画数字に対するパーセントは、上層農家は二四四・五です。それから下層農家は、これは四六・四とありますけれども、四六四でしょう。だからどういうことになるかというと、完全に下層農家がたくさん農業資金を使っている、こういうふうになります。下層農家は金利の高いものをたくさん使っているということです。親戚、商人その他から借りる部分も、どういうことになっているかというと、やはり下層農家がたくさん借りている。上層農家の方は一五八・五ですが、下層農家は一九八・七、こういうことになってきている。だからこれを全般的にながめてみると、どういうことになるかというと、上層農家は比較的政府資金の、安い、しかも長期のものをたくさん借りてやっている。下層農家政府の、短期の資金で、金利の少し高いやつをたくさん借り込んでやっている、こう言ってもいいわけです。これは改善資金の面を考えてみると、すぐ出てくるわけですが、たとえば改善資金の三分五厘というのが上層農家は一二八・五です、そうして下層農家は一二二・二になっている。ここでも開きができている。今度は五分五厘の方になってくると、どういうことになるかというと、上層農家の方では六三・〇、ところが、今度は下層農家の方は七七・四、こういう数字が出てくる。だから、結局どういうことになるかというと、金利の安いものは上層農家にいき、そうして長期のものは上層農家にいき、金利の高いものはみんな下層農家の方にいく、こういうのが現実の姿じゃないか、これをひっくり返さなければ、振興計画の問題はこれは進まぬわけですから、この点を一つよくお考えを願いたい。はっきり出てきているわけですね。  そこで、今度は農林漁業金融公庫ですね、これは私は農林省の方で今までいろいろのことをされているけれども、業務方法書でもって非常に違ったことをやっている。たとえば、三年据え置きの十五年の場合、資金はどういうことになっているかというと、業務方法書では二年据え置きの十二年、こういうことになっている。それから三年据え置き九年というのは、どういうふうになるかというと、一年据え置きで五年ないし八年でもって償還をしなければならないようなことになっており、業務方法書と政府の出しているのと違う。農林漁業金融公庫は高利貸しのような形でもって、少し期限を短縮してやっているわけですね。こんなことが公々然と行なわれては開拓農家はかないません。そうして、その問題はどういうことになるかというと、借金を払わなければ金を貸さない、それから、金を貸すのだが、借金の方を差し引きをする、こういうことでやられていったら、これは立っていくはずがございませんから、今後施策をされても、農林漁業金融公庫の業務方法書は、これは農林大臣が認可をすることになっているのですから、こういうむちゃくちゃなことをしないように、一つはっきりと考え方をきめておいていただきたい、こう思うわけです。これもまたこの次に一つお伺いをしようと思っております。  それからもう一つは、私は借金整理をやるときに、政府の資金その他は、これは私はもちろん今回の場合は無利息でもってそうして長期に、私は五十年くらいにすべきじゃないか、むしろ私は百年にもしたいと思うのですけれども、そういうふうにして元金だけは残っておるのだと、こういう形にされた方がいいんじゃないか、そうして無利息、こういう形でやれば一%払うというなら、これはそんなに困難でないと、こういう考え方も出てきますし、それから借金というものを、農業の場合におけるいろいろな生産手段、その他に投入したところの資本と見て、それを子孫に残すと考えれば何も問題ではないと思う、借り入れ資本でもって農業経営をやっているという考え方でもって考えてもいいわけですから。だからそいつを当主だけで、開拓に入った者だけで支払いをしなければならぬと、そういう考え方はこれは私は間違いだろうと思うのです。だから国家が開拓をさせるのですから、この場合できるだけ長期の資金を投入するということにして、そうして農業経営から十分に支払っていけるのだ、こういう態勢を作り上げていく、こういうような意味で今現実に政府が持っているところの資金そのものについての方法を講じてやる必要があろうと思う。この点は私ははなはだ今回の場合はなまぬるくて、そうして本物でないと、こう考えておるわけです。だから払わないというんじゃなくて、そいつを期限を長期にしてそうして完済するのだと、こういう考え方で、しかも三代にわたって返すのだというくらいの考え方でもって、国家は悠久な生命を持っているのだから私はやって差しつかえないとこう思うのです。  それから私は負債整理の問題で、私は政府資金以外のものが非常に高利のものになっていると思う。親戚だの何だのからきた恩借関係のものはこれはそうでもないと思いますけれども、商人から借りたり何かしたものは、これは私は相当な高利のものになって元金に加わってくる、こういうことになってくると思う。ところが、苦しいときに借りるものですからこいつが相当ふえてくると思う。だからこの分について抜本的な整理をするためにやはり計算をして、そうして昔でありますと頭金なんかを出して、棒引きなんかをやらしたことがありますが、これはデフレにでもならぬければ、そういうことはちょっとやりずらいでしょうけれども、そういうような方法をやはりこの際考えてそうして個人の借り、そういうようなものをなくして、そうして公正な金融機関と取引をする習慣をつけさせる。それは協同組合、ないしはそれの系統金融機関との貸し借りをする、こういうようなことをやっていくことが、これが私は将来においても、りっぱな開拓農民を作り上げることになる、こう思うわけですから、個人的なものにいじめられる必要はないと思うのです。ですから開拓地の、いろいろお医者さんがいないとか、あるいはその他の施設が、社会的な施設がないとか、そういうようなことでもって急場をしのぐために借りた金ですね、しかも系統金融を通して借りることのできなかったようなもの、こういうものは、これは私は、私に言わしめれば環境が整備していないために借りざるを得なかったためのものであり、やけ酒を飲んでこしらえた借金なんかは別だと思いますけれども、私はそれ以外で、ほんとうに病気をしたりなんかしてそうしてやむを得ず借りたりなんかした個人借金、そういうものがたくさんあろうと思う。そういうものをこの際整理をしてそうしてやっていかなければ、せっかく政府資金だけ、しかもそれも私に言わせればはなはだ温情のないやり方としか考えられませんが、それだけでもって開拓農家を救うことはできないと、こう考えるわけです。  これらの点を一つ、まだほかにいろいろございますが、一つ連休明けに私はもう少しはっきり区別をさしたい、こう思うわけですが、これらについて一つ十分お考えをはっきりさしておいていただきたいと、こう思うわけであります。
  56. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまの東委員から御指摘になりました問題点については、次回の委員会当初において政府から答弁を願うことといたし、本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれをもって散会をいたします。    午後一時十二分散会