○東隆君 私はきょう
質問しますとだいぶ長くなりますので、
農林省の方で
一つお
考えをきめておいていただきたいと、こう思うような問題点を出しておきますが、衆議院の段階で、まだ
法案があるのでありますから、
一つお
考えを願いたいと思うのです。
それは、第一番目は、私はやはり
開拓農家を
振興するのには、第一、経営規模ですね、これがはっきりしないで、
振興計画もへったくれもないと思うのです。ところが、
営農類型を七つ定められた。その以前のものと比較をしますと、非常に違ってきておるのです。
北海道のごときは三つの類型が新しくできましたが、その三つの類型に該当するものは前のものには
一つもない。全部面積をふやさなければいかぬ。
〔
委員長退席、理事
大河原一次君着席〕
全部面積をふやして、そうしてやらなきゃならぬような形に置かれておるわけですね。たとえば第三類型というのが一番小さい類型なんですけれども、これが、もとは七町歩です、それが九町歩になるのです。だから、耕地面積だけ取り上げてみても、二町歩の開きができてきておる。だから、古くから入っておるのはどういうことで入っておるかというと、七町歩で入っておるわけですね。そういうような地帯に今度の新しい類型では最高が第一類型で十四町歩になっております。これは七町歩でもって進められておったわけですね。そういうふうに古く入った人たちに与えられた耕地面積というものは、もう最初から半分のものさえある。そういうような
状態でもって進められてきておるのですから、だから新規に入ってくる者がこの新しい基本
営農類型によって入ってくれば、これは私はあまり蹉跌をしないと思うのです。それに対応したところの
方法でもってやってくれば蹉跌をしないと思うのです。戸数は減って参りましたけれども、最近の
開拓農家の入ったものは、これはもちろんまだ離農しておらない、こういう形になってきて、私は新しい類型のもとに入れた者は失敗がないと思うのですけれども、古いやつは、これはもう最初からあらゆる農業問題の基本になる
土地の問題で、もう大きな問題ができておるのですから、だからこれをはっきり国が定めた
営農類型のところまで持っていくのだ、こういうことをはっきりさせるために、
振興計画を促進する
法律の中にはっきりとそれを
営農類型を法定する必要がある。そうして国が当然
責任を持ってそこまで持っていくんだ、こういう態度を明らかにしなければ途中でもってごまかしをされるよりほかに
方法がないと思う。
〔理事
大河原一次君退席、
委員長着席〕
だから、私は
営農類型というものを当然法定して、そうして国家がそれに到達しないものに対してはあくまで
責任を持ってそこまでやるんだ、こういう態度をはっきりさせる必要があろうと、こういうことなんです。これが第です。
その次には、
開拓審議会ですね、これは私は今の
政府のお
考えになっておるような
開拓審議会は、これはその場を糊塗するようなものになりはしないか、こういうおそれを抱いておるわけです。というのは、農林
大臣の関係のもとにおいて適当な人を十名お選びになる。十人くらいでもって
開拓の問題を大きく取り上げてそして審議するなんといってみても、これは私はお
役所の中の
責任をのがれるための審議会にしかならぬのじゃないか、こういうおそれを抱いております。すでに大きな問題になっておるし、政治的に解決をしなければならぬいろいろな問題をたくさんはらんでおるのですから、この際
開拓審議会をもっと強力なものに作り上げる、こういうような
意味で、もちろん私は国会からもその中に入っていって、そうしてこの問題をやるというような体制を作り上げる必要があろうと思う。せっかく
法律の中に
開拓審議会を作るというのですから、これは
一つもう少し強力なものを作るという
考え方で
開拓の問題を
根本的に掘り下げてかかる、こういうことをやらなければ、私はごまかしの審議会ができ上がるんじゃないか、こういうことをおそれているわけです。
それからその次は
開拓農協の問題ですが、
開拓農協が約四千幾らあるわけです。四千幾らあるのですが、そのうちに、これは信用
事業を行なっておる
開拓農協というのは非常に少ないんじゃないですか。信用
事業を行なっている
開拓農協は四千百八十四の総組合数のうちで二百二十二しかないわけです。この
開拓農協を通して資金を
融通するというようなことをやることができるのは、二百二十二しかないのであって
あとの
農協というのは、これはただあっせんの労をとっているだけであって、中に立ってそしてやっておるだけで、私は
ほんとうに
開拓農協が中に入って
仕事をしておるというようなものはないだろうと思う。しかも信用
事業を行なっているうちの大部分は
北海道にある。二百二十二のうち
北海道に百五十八あって、そして内地に六十四、府県の方はこれはほとんど問題にならない、こう言ってもいいんじゃないですか。だから金の問題について資金の
融通その他の問題についてこの
開拓農協全体からながめてみると、私は能力がないと、こう言っても差しつかえないと思います。だからこの
開拓農協そのものについてもう一度
考え方を深めていかなければならないし、私はこの際
負債整理の問題を中心にしているんだから、
開拓農協はその際
負債整理組合のような
考え方でもう一回
考えを新たにすること、私は
開拓農協そのものが別途な
意味で
仕事ができるようなものになるだろう、こういう
考え方を持つわけです。だから
開拓農協というものをこの際もう一度しさいに検討を加える必要があると思う。四千百八十四のうち非出資組合が二千二百十二ある。それで、その大部分は内一地に二千百九十五ある。
北海道には十七しかない。それから十戸未満の組合は全国で一千十ある。
北海道では四しかございませんが、内地に千六ある。こんなような数字であって、十戸未満の
開拓農協で、農業協同組合をこしらえてそうしてやるなら、これは非常に大きな
事業をやるような、資本をたくさん持っておるような人たちが集まってやるならこれはどんどん
仕事ができると思いますけれども、十戸ではこれは問題にならぬ。だから全体のものを平均しても三十戸以下になるのじゃないか、平均いたしまして。だから私は農業協同組合というよりも、もう少し変わった形でもって、部落的なものはなかなか作りづらいとは思いますけれども、
考えようによっては、
昭和の初めに出た農村
負債整理組合法の、ああいうような無限
責任の組織に改めていく、そうして
お互いの
負債整理というものについて、
負債について
お互いに
責任を持ってそうしてやる、そうしてその
負債整理の
計画であるとかそういうようなものを組合でみっちり立てて、そうして力を合わせてやっていくという、そういうような体制を作り上げていかなければ、私はなかなかこの
仕事は容易でない、こういう
考え方を持つわけです。だから、
考え方をもう少し新たにして
開拓農業協同組合を見る必要がある。
北海道では百戸以上の
開拓農協ということになると、これは既設の
農協よりも所によっては
開拓農協の大きいところがある。そういうようにして信用
事業もやっておるし、購買、販売の
仕事もやっておる。こんなようなところもあるのであって、そういうような特殊なものを除いていくと、小さな組合というものに対する
考え方は、これはもっと
考えを新たにしていかなければならぬのじゃないか、こういう
考え方を持つので、これは
一つ開拓農協をもう一度検討をしていただきたいと、こう思うわけです。これを私この次に
一つお伺いをいたそうかと、こう思っております。
それから
貸付の
条件ですね。これは
貸付の
条件、それから
負債の
整理に関連をしてですが、
政府の資金ばかり中心にされておるわけです。それで現実の
状態を
考えてみると、上層
農家と、それから下層
農家を比べまして、どんなふうになってきておるかというと、たとえば
政府資金でも長期の資金は上層
農家にたくさんいっておる、下層
農家には少ないのです。短期の資金はどういうことになっておるかというと、上層
農家の方には少しいっておる、それから下層
農家にはたくさんいっておる。
政府資金でもってそういうようなことがはっきり出てくるわけです。それから今度は農林中金の資金の方の面で見ますとどういうことになっておるかというと、上層
農家は農林中金の資金を借りておらない、割合に。そうして下層
農家が農林中金の金を借りておる。これはどういうことかというと、高い金利の金を借りておるということになるし、と同時にどういうことになるかというと、これはあるいは
政府資金をもらうために中金の資金を借りかえしておるかもしれない、これは中金はよくそういうことをやりますから。だからそういうような形で出ておるのじゃないか、こう実はおそれておるわけです。そういう問題。
それから
一般農協の資金の場合は、これはまたはっきり出てきておるのです。こちらの方でいただいておるのは、これはミス・プリントだろうと思うのですけれども、
一般農協の資金、これは三十三年度の借り入れ残高が、
計画数字に対するパーセントは、上層
農家は二四四・五です。それから下層
農家は、これは四六・四とありますけれども、四六四でしょう。だからどういうことになるかというと、完全に下層
農家がたくさん農業資金を使っている、こういうふうになります。下層
農家は金利の高いものをたくさん使っているということです。親戚、商人その他から借りる部分も、どういうことになっているかというと、やはり下層
農家がたくさん借りている。上層
農家の方は一五八・五ですが、下層
農家は一九八・七、こういうことになってきている。だからこれを全般的にながめてみると、どういうことになるかというと、上層
農家は比較的
政府資金の、安い、しかも長期のものをたくさん借りてやっている。下層
農家は
政府の、短期の資金で、金利の少し高いやつをたくさん借り込んでやっている、こう言ってもいいわけです。これは
改善資金の面を
考えてみると、すぐ出てくるわけですが、たとえば
改善資金の三分五厘というのが上層
農家は一二八・五です、そうして下層
農家は一二二・二になっている。ここでも開きができている。今度は五分五厘の方になってくると、どういうことになるかというと、上層
農家の方では六三・〇、ところが、今度は下層
農家の方は七七・四、こういう数字が出てくる。だから、結局どういうことになるかというと、金利の安いものは上層
農家にいき、そうして長期のものは上層
農家にいき、金利の高いものはみんな下層
農家の方にいく、こういうのが現実の姿じゃないか、これをひっくり返さなければ、
振興計画の問題はこれは進まぬわけですから、この点を
一つよくお
考えを願いたい。はっきり出てきているわけですね。
そこで、今度は農林漁業金融公庫ですね、これは私は
農林省の方で今までいろいろのことをされているけれども、業務
方法書でもって非常に違ったことをやっている。たとえば、三年据え置きの十五年の場合、資金はどういうことになっているかというと、業務
方法書では二年据え置きの十二年、こういうことになっている。それから三年据え置き九年というのは、どういうふうになるかというと、一年据え置きで五年ないし八年でもって償還をしなければならないようなことになっており、業務
方法書と
政府の出しているのと違う。農林漁業金融公庫は高利貸しのような形でもって、少し期限を短縮してやっているわけですね。こんなことが公々然と行なわれては
開拓農家はかないません。そうして、その問題はどういうことになるかというと、
借金を払わなければ金を貸さない、それから、金を貸すのだが、
借金の方を差し引きをする、こういうことでやられていったら、これは立っていくはずがございませんから、今後施策をされても、農林漁業金融公庫の業務
方法書は、これは農林
大臣が認可をすることになっているのですから、こういうむちゃくちゃなことをしないように、
一つはっきりと
考え方をきめておいていただきたい、こう思うわけです。これもまたこの次に
一つお伺いをしようと思っております。
それからもう
一つは、私は
借金の
整理をやるときに、
政府の資金その他は、これは私はもちろん今回の場合は無利息でもってそうして長期に、私は五十年くらいにすべきじゃないか、むしろ私は百年にもしたいと思うのですけれども、そういうふうにして
元金だけは残っておるのだと、こういう形にされた方がいいんじゃないか、そうして無利息、こういう形でやれば一%払うというなら、これはそんなに困難でないと、こういう
考え方も出てきますし、それから
借金というものを、農業の場合におけるいろいろな生産手段、その他に投入したところの資本と見て、それを子孫に残すと
考えれば何も問題ではないと思う、借り入れ資本でもって農業経営をやっているという
考え方でもって
考えてもいいわけですから。だからそいつを当主だけで、
開拓に入った者だけで支払いをしなければならぬと、そういう
考え方はこれは私は間違いだろうと思うのです。だから国家が
開拓をさせるのですから、この場合できるだけ長期の資金を投入するということにして、そうして農業経営から十分に支払っていけるのだ、こういう態勢を作り上げていく、こういうような
意味で今現実に
政府が持っているところの資金そのものについての
方法を講じてやる必要があろうと思う。この点は私ははなはだ今回の場合はなまぬるくて、そうして本物でないと、こう
考えておるわけです。だから払わないというんじゃなくて、そいつを期限を長期にしてそうして完済するのだと、こういう
考え方で、しかも三代にわたって返すのだというくらいの
考え方でもって、国家は悠久な生命を持っているのだから私はやって差しつかえないとこう思うのです。
それから私は
負債整理の問題で、私は
政府資金以外のものが非常に高利のものになっていると思う。親戚だの何だのからきた恩借関係のものはこれはそうでもないと思いますけれども、商人から借りたり何かしたものは、これは私は相当な高利のものになって
元金に加わってくる、こういうことになってくると思う。ところが、苦しいときに借りるものですからこいつが相当ふえてくると思う。だからこの分について抜本的な
整理をするためにやはり計算をして、そうして昔でありますと頭金なんかを出して、
棒引きなんかをやらしたことがありますが、これはデフレにでもならぬければ、そういうことはちょっとやりずらいでしょうけれども、そういうような
方法をやはりこの際
考えてそうして
個人の借り、そういうようなものをなくして、そうして公正な金融機関と取引をする習慣をつけさせる。それは協同組合、ないしはそれの系統金融機関との貸し借りをする、こういうようなことをやっていくことが、これが私は将来においても、りっぱな
開拓農民を作り上げることになる、こう思うわけですから、
個人的なものにいじめられる必要はないと思うのです。ですから
開拓地の、いろいろお医者さんがいないとか、あるいはその他の施設が、社会的な施設がないとか、そういうようなことでもって急場をしのぐために借りた金ですね、しかも系統金融を通して借りることのできなかったようなもの、こういうものは、これは私は、私に言わしめれば環境が整備していないために借りざるを得なかったためのものであり、やけ酒を飲んでこしらえた
借金なんかは別だと思いますけれども、私はそれ以外で、
ほんとうに病気をしたりなんかしてそうしてやむを得ず借りたりなんかした
個人の
借金、そういうものがたくさんあろうと思う。そういうものをこの際
整理をしてそうしてやっていかなければ、せっかく
政府資金だけ、しかもそれも私に言わせればはなはだ温情のないやり方としか
考えられませんが、それだけでもって
開拓農家を救うことはできないと、こう
考えるわけです。
これらの点を
一つ、まだほかにいろいろございますが、
一つ連休明けに私はもう少しはっきり区別をさしたい、こう思うわけですが、これらについて
一つ十分お
考えをはっきりさしておいていただきたいと、こう思うわけであります。