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1960-03-17 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十七日(木曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事      櫻井 志郎君            仲原 善一君            大河原一次君            東   隆君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            高橋  衛君            田中 啓一君            藤野 繁雄君           小笠原二三男君            藤田  進君            棚橋 小虎君   政府委員    農林政務次官  大野 市郎君    農林省畜産局長 安田善一郎君    水産庁次長   高橋 泰彦君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林大臣官房参    事官      花園 一郎君    水産庁漁政部長 林田悠紀夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○漁業協同組合整備促進法案(内閣送  付、予備審査) ○中小漁業融資保証法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  漁業協同組合整備促進法案及び中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案(いずれも予備審査)を議題といたします。  前回に続いて両案についての質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 東隆

    東隆君 私は、両案に非常に関係のある問題で、フィッシュ・ミール輸入の問題が巷間伝えられておるわけであります。そこで、フィッシュ・ミール輸入については、私は水産庁が三十四年度にとられた水産物流通調整事業対策要綱、これを決定されて、サンマかす、あるいはその他のものについての流通上における措置を講ぜられておるわけであります。ところが、海外から一定量輸入すると、こういうことになりますると、このせっかくの措置もだいぶ危険を感ずるのじゃないか、こういうようなことを考えますので、そのせっかくこしらえた施策をうまく活用できるかどうか、その自信のほどを一つお伺いいたします。
  4. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) 魚の価格の問題、特に大量にとれまするいわゆる大衆魚価格の問題につきましては、私ども業界も深い関心を持っておるところでございまして、これに対する施策といたしましては、御承知のように、サンマかすと、それからスルメ、この商品をつかまえまして、これの金利その他の価格維持に必要な経費を国の方で見ることによりまして、まずサンマかす価格の安定を期待し、それがひいては鮮魚であるサンマ値段維持にも役に立つであろうという構想のもとに予算を組み実施して参ったのは御承知通りでございます。しかし一方、畜産関係におきまする飼料——えさの問題でございますが、このえさ需要は、最近承りますと、非常に伸びておるような状況でございまして、従来ですと、ほぼサンマかすその他のかす、または北洋産のフィッシュ・ミールによりまして需要を満たすことができたのでございまするが、昨年暮れあたりよりかたり窮屈になりまして、一部輸出を予定しておった北洋ミール国内放出を認めたわけでございますが、なおこの三月、四月、五月ごろにかけましては、特に生産需要関係から見ますと端境期でもありますし、いろいろ畜産局生産及び在庫需要数字を突き合わしてみたところが、どうしてもこの端境期には足りないという結論が出ましたので、フィッシュ・ミール輸入しなければならないであろうという結論に到達したわけでございます。しかし、漁業者から見ますと、いかに供給不足であろうと、やはり高い値段を要望されるのは、これは事実でございまして、その点は否定できないわけでございますが、そのような需給の逼迫に対処して輸入することが非常に高くなりましたかす値段影響があることは否定できないわけでございますが、しかしながら、やはり所要の、ミール輸入することはやむを得ないだろうという見地のもとに、畜産局と合議の上、ほぼ外国から二万トン以内のフィッシュ・ミール輸入に対しまして私どもとして同意申し上げたと、こういうようないきさつになっております。
  5. 東隆

    東隆君 今同意をされた基本になるのは、水産庁としては、私は生産計画がどうしても必要であろうと思います。そこで、北洋もの、それから沿岸もの、それをどういうような計画をされておるのですか、今年度は。
  6. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) まず供給見通しの問題でございますが、実はサンマかすがどれだけできるかということにつきましては、基本的にはサンマが一体ことしどれだけとれるだろうかということの見当がつきませんと、正確な推定はできないわけでございますが、一応去年の実績基準にして、大体まあ去年通りという推定を下さざるを得ませんので、そういう考え方でことしのサンマ魚かすを含めての沿岸関係魚かす供給量推定いたしますと十六万二千トンほどになろうかと思われます。このほかに北洋ミールがまあ四万トン程度は確実にあろうという推定でございますので、両方を合わせますと約二十万二千トン、これが供給基礎になる数字ではないかというふうに考えた次第でございます。
  7. 東隆

    東隆君 そうすると、ことしの北洋ものの増産計画はどういうふうになっておりますか。
  8. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) これは昨年度までは北洋フィッシュ・ミール母船は二船団出ておるわけですが、ことしは新しく二船団が追加されますので四船団ということになろうかと思います。従いまして、ことしの五月はちょっと無理かと思いますが、六月ごろから入るフィッシュ・ミールが約四万トン予想してよかろうというのが私ども考えでございます。
  9. 東隆

    東隆君 今の二十万トンの中に四万トンは当然入っておるわけですね。
  10. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) 入っております。ただ申し上げたいことは、ことし生産される北洋ミール国内需要の方に回るのか、輸出になるのか、そこら辺につきましては今後の事態をなお見たいと思います。と申しますのは、サンマを含めての供給量が十六万二千トン、こういうふうに申し上げましたが、これは去年の実績基準にした推定量でございますが、問題は、何としてもサンマの漁獲が秋以降どうなるかということによって全く左右されるような気がいたしております。従いまして、畜産関係需要を満たすために、もしサンマの漁が非常によろしければ、この十六万トン以上の沿岸関係魚かすができるわけでございますが、もし不幸にしてサンマの漁が悪いということになりますと、これが若干十六万二千トンという基準数字を下回るのではないかというふうに予想せざるを得ない状況でございますので、従いまして、北洋ミールにつきましては、その沿岸魚かす生産状況をある程度見通した上で、これを輸出するか、国内に回すかというような点を今後きめていきたい、こう思っております。しかしながら、この北洋ミールの出発した当初の、何と申しますか、気持は、これはできるだけ輸出に回したいという計画のもとにこれが実施されておることは事実でございます。しかしながら、それが四万トンのうちのどの程度輸出に回すかということは、サンマ状況を見た上でバランスをとっていきたい、このように考えておる次第でございます。
  11. 東隆

    東隆君 その北洋ものはことし二船団加わって、そういうホワイト・ミートだけだと、これは食料でもって海外の方に輸出する、こういうようなことも大へんいいだろうと思うんです。ところが、国内で足りなくなって、しかも、北洋もののコストは非常に安いと、こういうふうに聞いておるのですが、その安いものを海外輸出する、それよりも、やはり考えようによってはそれを国内に入れるべきじゃないか、そしてもし不足をしておるならば、それを当然国内でもって消費をすべきじゃないか、海外のものを入れる必要はない、こういうような考え方を持つわけです。しかし問題は、それは六月以降の問題なんですね、サンマの問題も。そこで、当面問題になるのは四月、五月ごろに品不足になるから、そこで輸入をする、こういう考えのようでありますが私は四月、五月でも何でも、そのころにあまり必要としないのではないかと思う。というのは、鶏かいかに増産されたとしても、そのころのひなの食う量なんていうのはしれたものなんです。それで問題は、卵をどんどん出すようになってから、飼料というのは非常にたくさん要るようになると思うのです。そういうふうに考えてくると、この四月、五月辺に輸入するのは、これは非常に国内生産魚かす類その他に大きな影響を与えると思うのです。その点私は考えますと、もし不足をするならば、北洋ものを国内に向ける、こういうようなことも問題になりますし、いろいろな点で疑問があると思うのです。その辺はどういうふうにお考えになっておりますか。
  12. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) まず北洋もののコストの問題にも若干御質問が出たようでございますが、このコストが必ずしも沿岸に比較いたしまして安いとは思えないように理解しておるわけでございます。ただ、かと申しまして、沿岸の方の魚かすは、要するに魚の値段に非常に影響があるわけでございまするので、その沿岸魚かすが一体どこが適正かという点が非常に問題なわけでございますが、しかしながら、単にマーケットに出た価格その他を比較して考えますと、必ずしも北洋もののコストが、現在の価格からいいましてコストが安いとは思えない節も若干あろうかと思われます。なお、御指摘のように北洋ミールも足りない場合には、原則として国内に向けるべきだということについては異論ございません。それから、この問題が起きました需給バランスの問題につきましては、畜産局の方から一つ説明を聴取していただきます。
  13. 花園一郎

    説明員花園一郎君) ただいまの需要関係の見方でございますが、御存じの通り魚かす飼料用のほかに肥料用もございます。両方合わせまして年間需要総量が約十七万、これは月別にしまして一万四千トン程度になるわけでございますが、そのうち春先は、ただいま御指摘もございましたが、飼料肥料ともに実は需要の増加する時期でございますが、特に肥料田植期ども控えておりますので、相当な農家の需要が急増いたしておるわけでございます。四、五月におきます本年の推算は、四月一万三千、五月一万五千と一応見込んでおります。
  14. 東隆

    東隆君 私は昨年の生産からいって、今の在庫数量その他からいって、今必要としておる量に不足を来たすような考え方は出てこないと思うのですが、その辺はどうですか。
  15. 花園一郎

    説明員花園一郎君) ここで、それでは先ほど御指摘のありましたように、本年度工船ミールあるいは本年度産の魚かすの問題は、六月以降の問題だということでございまして、従いまして、それまでの今の当面不足になっておる状態につきまして一応数字を整理してみます。昨年十二月末におきます国内在庫が三万四千トンあったという推定を一応いたしております。ただいま三月中旬でございますが、三月末におきましての推定は一万九千トン、つまりこの間に国内沿岸魚かす類が約二万トン生産されたということを勘定に入れましても、在庫の食いつぶしが一万五千トン程度行なわれているということが現在推定されております。これは実は端的に申しますと、商社筋の相当な思惑と申しますか、そういったものもございまして市中在庫はほとんど品かずれの状態であるのが現状であったのでございますが、このミール輸入問題を契機といたしまして、この商社在庫というものが表に出て参りました。その数字はやはりわれわれが推定しておった通り状態であったことが今、判明いたしております。それで一万九千トンの三月末在庫、これが四月に輸入がございませんといたしますれば、四月末在庫が四月の生産約七千トンを見込みましても一万三千トン、それからさらに、その一万三千トンがその後さらに輸入をいたしませんならば、五月の生産八千トン余りを一応勘定に入れましても、さらにこれがこの日当たりの需要から見まして七千トン程度に減るというのが現在見込んでおる額でございます。それで市中並びに飼料メーカー手持ち等関係は、メーカー手持ち一月分、市中ランニング一月分、合計二月分が必要であるというのが正常な姿として考えられております。従いまして、今のままではやはり輸入がございませんければ、畜産面では非常な支障が出て参るということになってくるわけであります。
  16. 東隆

    東隆君 私の方で畜産局の方を通して調べたものは、今お話しになったような数字でなくて、三十五年の飼料関係で、三十四年の十二月に三万三千九百五十大トン、これが在庫ですね。そうして一月から約一万少し出ておる数字です。それで供給の面を、これは私は水産の方から調べてみたのでありますが、一月に五千三百二十五、それから二月に四千七百二十五、それから三月に三千七百七十五というふうにいって、そうして需要の方と差引をしますと、在庫はもちろん六月には多少減っております。だけれども、一万八千トンぐらいの数字が出てくるわけです。これは私どもの方で実は皆さんの方から資料をちょうだいして、それで調整をして計算をしたものが、そういうふうになってくるわけです。そこで在庫数量プラス輸入、こういうことになりますと、輸入の量がものすごく多くなってくるわけです。六月末に入ったとすると、三万八千トンぐらい在庫になる、こういう数字が出て参るのです。そこで、北洋から入ってくるものが、四月から六月までのものを非常に小さく見積もっても、そういうような数字になってくる。だから、この数字の根拠からいいますと、私は輸入をすべきでない、こういう考え方が出てくるのですが、数字の少しとり方が違っておるかもしれませんが、その後畜産局とそれから水産庁の方で数字が違っておるかもしれません。ここで六月末の供給量合計がどれだけになるかというと、六月は二万百五十五、これは供給です。それから需要は一万一千六百二十と、それで在庫が一万八千七百五十六になると、私ども数字からいくと。そこで、何もそんなに心配をした数字でないと、こういうふうに考えますが、これはどういうことになりますか。二万トンを輸入しなければならぬと、こういう基礎ですね、これは私は少し疑問があると思うのですが、特に水産庁の方ではこの数字を認められますか。畜産局の方でもこの数字を認めますか。
  17. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) 今お示しいただきました数字と私どもの持っておる数字との食い違いの一番大きな点は、母船フィッシュ・ミールをいっ輸入するかということだろうと思いますが、輸入という言葉が悪いので、それを取り消しますが、母船フィッシュ・ミールがいつ内地に搬入されるか、こういう見通しの問題ですが、私ども考えでは、早くても六月程度であろうと、どんなに急いでも。しかも、これは途中で運搬船その他を使ってこちらに入れても六月になるのではないか。なお生産は、なるほど先生のおっしゃるように、ある程度早目にスタートして、現地で、北洋で作るわけでございますが、しかし、内地に入ってくるのが早くて六月中旬ぐらいではないか、あるいはそれよりずっとおくれるのじゃないかというふうに考えておりまするので、その点が若干、おそらく数字で少しそごがあったのじゃないだろうか、こう考えます。従いまして、六月における生産見通しは、これはあくまでも推定でございますが、一応沿岸の一万トンと北洋の四千トンを入れましても一万四千トン程度じゃないだろうかというふうに推定しております。
  18. 東隆

    東隆君 私の方で調べたのは、北洋物は四月に一千一百トン、それから五月に九百トン、六月に六千トンです。それで、四千トンとの開きはだいぶ違いますが、もし一カ月延ばすとすると、どういうことになるかというと、今の場合でいきまして、そうして七月にだいぶ入るようですから、それを加えますと、在庫は二万五千九百九十一になっております。それで在庫は、七月以降くんぐんふえてくるわけです。これは当然ふえるはずなんですから、そういうような形でもっていくと、この端境期の四月、五月、六月においては、私はかろうじて需給バランスがとれる、こういう態勢をとっておけばいいのであって、わざわざ輸入をする必要はないと思うのです。それを畜産局の方から、どうしても輸入しなければだめだと、こういうので、強引におっしゃったのでないか、こう思うのですが、水産庁としては、需給バランスがとれなかったら、これは国内産のフィッシュ・ミールはがた落ちになるのじゃないか、政府がせっかく価格維持のためにやった制度なんというものも、これは消えてしまうのじゃないか、こういう心配をいたしますので、水産庁としてその程度数字はお認めにならなきゃならぬのじゃないか、それはどうですか。
  19. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 畜産局の方から先に申し上げますと、魚価の安定対策畜産局農林省の一部として考えておりますと同時に、よく本委員会で御指導もいただきますように、飼料価格安定、需給調節は最も重要なことと思っております。ところで、その飼料魚かす類需要は、御承知通り人間食糧に当たりまする家畜飼料でございまして、公定規格によりまする配合飼料混合飼料等規格の率だけについてみましても毎月飼料は一万二千トン前後であります。おのずからこの用途によりまして時期的な差もございますして、三月までに一万トン、一万一千トン、一万二千トン弱くらいでありますが、四月以降は一万二千トンをこえて一万四千トン前後を見込むのが四月、五月においては必要なのが例年でございます。また逐年逐増をいたしております。さらに肥料用需要もなお年々減少しておりますけれども、若干見なくちゃいけません。そこで需要としましては、私どもはお手元にある資料と同じかとも思いますが、四月では一万三千トン、五月では一万五千トン弱、六月では一万二千一百トン余を見込んでありますが、これに対しまして供給はお話とは少し違う見通しを立てておるのであります。沿岸におきましては四月は約七千トン供給、五月では八千七百トン、六月には一万トン少しこえるくらいと見込むのがいいと思いますが、ところで、北洋工船ミールでありますが、北洋工船ミールは本年より再び工船数も増しまして、国内増産努力をしていただきまして、水産庁業界ともに御努力を願いますが、従来は秋以前に出たことはございません。この状況を見まして、なるべく国産にという意味におきまして、工船ミールは六月に四千トン、七月に六千トン、八月に六千トンを考えておりますが、通常の時期に出回る時期でありまする九月、十月においても六千トンくらいと踏んでおるのであります。年間総量においては相当の増産をはかり得ると思っておりますが、ごく最近の飼料関係魚かす類入手状況を見ますというと、国内在庫が昨年末において三万三千九百トンばかりあるという推定でありまして、一月以降入手はきわめて悪くて、四月、五月の飼料用魚かす類の手配はほとんどできないのであります。物の需給数字のようにぴちっと合った場合には、自由経済のもとにおいては価格の変動を来たしましたり、あるいは一部売り惜しみではないかとも思われる現象が生ずるのは通常ございますので、人間食糧に匹敵する家畜飼料を確保いたしまするには、確実性を持つ要がある。加うるに牛乳の夏季に向いまする増産その他にかんがみまして、優良な飼料を確実に特定の配給ルートをもちまして販売する等も考慮いたしまするというと、四月から六月、七月の初めまでには確実な飼料を統制的に、水産関係には需給の混乱を起こさず価格の安定をはかる範囲内において飼料におきましては供給を確保しまして、価格の暴騰や自由経済下において単なる行政措置以外に供給を適当に害しない範囲で保証する要があると思う。そういう意味におきまして四月は約一万二千トン、五月には八千トンくらいが要ると、こういうふうに踏んでおります。
  20. 東隆

    東隆君 今、水産庁の方からお答えがなくて畜産局の方からお答えがあったのですが、私の方で畜産局からお聞きをした数字は、今言われたように一万二千トン程度なんですね、月々平均それくらいだと、こういうので四月が一万二千七百何ぼと書いてあります。それから五月が一万三千九百四十と、こういうふうに書いてあります。だから五月がふえていっていることはわかりますが、これを一年間総体で見ますと、十四万三千トンぐらいの需要と、こういう数字が出てくるのですが、暦年でもって参りますと、そこへ在庫計算その他をずっとやって参りまするというと、十二月末に在庫はどれくらいになるかというと七万二千トンぐらいになるのですね、生産の方と照らし合わせると。それで、七月以降に次第に在庫がふえていくことはこれはわかり切っているわけです。そこで問題は、六月末までの間に在庫とそれからその他の間でバランスがとれるかとれぬかという問題なんです、そこに輸入をするのですから。そこで問題は、どういうことになるかというと、もし、おっしゃるように輸入しなければならぬというなら、一月から三月くらいのときに在庫がなくて輸入をすると、こういうことなら話はわかるのです。ところが、そいつが四月、五月、六月の候に向かって輸入をするのだと、こういうことになるのですから、まず増産を控えて輸入をするということになるのですから、問題は、価格維持上からいっても、生産を一番するときに、供出をするときに値段がぐんぐん安くなってくるわけですね。だから四月、五月の端境期のときに、値段をぶっこわすだけでなくて、その影響がどこにくるかというと後半期ですね、七月以降ですね。七月以降に値段がぐんぐんたたかれてくると、こういう現象が起きてくるわけです。だから私はどういう点から考えてみても、水産庁は簡単に畜産局の申し入れをOKをして、そうして輸入をするというような一そういう考え方を起こすべきでないと、こういう判断なんですが、それは説明できますか。
  21. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) ただいまの東先生の御指摘ごもっともでございますが、これをただ一番この問題を扱って苦慮いたしましたのは、御指摘のように、年間需要供給見通しの問題と、月別需要供給見通しの問題とをどう見ていくかという点でございまして、それは御指摘通りでございます。従いまして、確かに月別需給を見ますと、四日、五月の端境期にはどうしても月別需給バランスとしては不足になるという御指摘でございまして、これは確かに私ども畜産局といろいろ数字を突き合わせたのでございますが、そのように考えた次第でございます。しかし、月別需給のアンバランスの点はさておいても、これを二万トンを今回輸入することにして、それが年間を通しての供給需要バランス、特に非常に生産が行なわれまする秋以降の、十月以降の季節におきましてその点がどうなるかという御指摘のように承ったのでございますが、確かにその問題はございます。従いまして、私どもとしては、北洋ミールを、今、全部これを内地に放出するというようなことは、まだきわめるべき段階ではなかろうというふうに考えておるわけでございます。その点はサンマ生産量需要のその後の伸びを見た上で、北洋ミール内地にとるか、それとも輸出するかということを考えませんと、おっしゃるように沿岸魚かす価格影響のあることは私ども了解できますので、その点は今後とも需給バランスを見ながら善処して参りたいというふうに考えるものでございます。
  22. 東隆

    東隆君 輸入をすることを政府の方ではきめられているようにも聞いておるのですが、輸入をすると、私が今言った問題が、北洋のものを入れないとしても起きてくるわけですね。
  23. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 政府部内でとっておりますのは、輸入は四月、五月に限る。あわせまして先ほどのお話に関連いたしますが、御指摘のように魚かす類需要は、飼料用のほかに、やはりまだ日本では需要の現状から見まして、肥料用需要その他も考えなければいけませんが輸出するということも、水産庁の次長が申し上げましたように、水産庁から伺い、さらに業界から伺って考えられるのでございまして、輸入をいたします四月、五月はもちろんのこと、国産品の輸出の方につきましては、三月から六月までは輸出はございません。不可能だろうと存じます。と申しますのは、六月に生産があれば、一部は輸出に向くものもあるかと思いますが、なるべく輸入を少なくして、国の魚かす生産を上げ、これを肥料にも供給していただくようなことを、従来と変えまして、秋から国内に出回るのを変えまして、六月から逐次出していただく。多少不安がありますけれども、ぜひ協力を得まして、そういうふうに輸入は四月、五月のニカ月で打ち切りたい、こういうふうに考えております。
  24. 東隆

    東隆君 私、今、需給関係その他でどうも合点が参りませんから、これはまたあとで伺いますが、価格の問題ですね、価格の問題で考えられるのは、ペルー産なんかは、これはトン当たり三万一千五百円くらい、それから国内産は五万九千円、トンに換算しますと。輸出するのはどのくらいで輸出をされるかそれはわかりませんが、それは国内に入ってくる、こういうようなことに一応考えなければならないのですが、今、ざっと北海道産のものなんかを計算してみますと、五万九千円くらいになるのです、今の時価が。それから、政府がてこ入れをしている価格は五万七千円くらい出しているのでしょうか、換算をすると。そうすると、今、維持をしておるのですが、しかし、この二万トン入ってくると、この値段で確実に国内産のものを維持していくという、そういう自信ができますか、バランスがとれなくなるのですから。ですから私は、何らか政府措置をとらなければこわれてしまうおそれが多分にある。そういう方法をお考えですか。
  25. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) ペルー産の値段につきましては畜産局長より御説明を御聴取願いたいと思います。後段の御質問の、かすについてどのような価格を想定しているかという趣旨の御質問でございますが、一応私ども考えまして現在予算でとっておりまするのは、単なる金利を負担するということでありますので、必ずしも価格を直接規制し、ないしは直接維持するというような組み方はしていないわけでございますが、しかしながら、目的は魚価と申しますか、魚の値段維持にありまするので、やはりどうしても想定せざるを得ないわけですな、その場合に、想定しておりまする沿岸の魚価——盛んに生産される時期におけるトン当たりの価格は一応四万六千円くらいを想定しておるわけでございます。しかしながら、これは生産時期における産地の価格でございまするから、これを基準にしてその後における金利、倉敷その他の諸係費をずっと考えて参りますと、私どもがこれより下がってはちょっと困まるなと思うような基準価格と申しますか、想定しておる価格と申しますか、それは業界との間に一般の経費の見方についての意見の差は若干ありまするが、一応私どもの算定した価格、ことに生産時期からこの端境期までに来るところの金利、倉敷その他を考慮した基準価格と申すので、これより下がっては困るというような価格は一トン五万二千円程度というふうに一応想定しておるわけでございます。しかしながら、これで漁業者かす値段として満足しておるということではもちろんございません。これは最低の価格でございます。ことに、先ほど畜産局の方から御説明がありましたように、相当年末から春にかけまして品不足の感じが、実態もそうでございましたし、また畜産局長から御説明がありましたように、いわゆる人気と申しますか、そういう意味でこの価格を相当上回っておることは事実でございます。従いまして、今般の二万トン以内のミール輸入するということでその端境期において非常に暴騰した相場に対しまして、何といいますか、漁業者が非常に楽しみにいたしておりました非常に暴騰した価格に対してやや水をかけたような結果になったかと思いますが、この点につきましては、御指摘通り暴騰した価格に対して影響のあったことは事実でございます。しかしながら、今後、それじゃこのような問題についてどう考えていくかという御趣旨の御質問でございますが一私どもはやはり何と申しましても、先ほどの御意見のように、原則として国内生産をもって畜産の方の御要望と申しますか、需要に対してこたえていくというのが私どもの任務でございます。従いまして、そう考えて参りますと、やはりある程度生産が確保されるだけの価格維持されることが望ましいわけでございますが、その点につきましては、今後とも畜産局と連絡をとりつつやって参りたい、このように考えます。しかしながら、要約して申しますと、その現在の端境期に対して漁業者が抱いておった非常に高い値段に対しては、ある程度水をかけるようなことになりましたことにつきましては、そういう意味では漁業者の期待を裏切ったのではないかという点は考えておるわけですか、このような事態ではやむを得なかったのではあるまいかというふうに考えておるわけでございます。
  26. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 高橋水産庁次長の言われた通りでありまして、畜産局水産庁は意思疎通をしておりますが、多少お答えの言葉づかいではニュアンスの違う点があるかと思います。あわせまして輸入関係値段を私から申し上げてくれということでございますから申し上げておきたいと思います。簡単に一月から三月、わかっておりまする範囲においては四月と、三十三年、三十四年、三十五年についてみますると、北海道、三陸のサンマかす、イワシかすを通じまして、若干の例はありますが、年々各地区とも最近時の方が高いのであります。また、ここに表がございますので、たくさん部数はありませんが……。このように年間の季節変動は非常に生産需要状態を反映しまして暴騰と暴落との差がひどいのであります。接点値が大きいと申してもいいのですが、年次別に価格の不安定性も多いのであります。あわせまして北洋工船ミール価格を私どもの目下の調査についてみますると、輸出は安く、国内は高いのであります。輸出を安くいたしまして国内を高くすることも、その産業あるいは日本の経済上、いろいろな場合がありますが、私は畜産振興の立場から、最も重要な動物性蛋白質飼料においてもう少し年間の季節変動もある安定帯の中へ入るように——各年次の価格変動も、その漁業等もいろいろ不安定のものでありますが、なるべく入るのが望ましい。そうでなければ飼料行政の本旨を達し得ないと、こういうふうに思うのであります。また輸出は、外国が——最近ペルーの安いものも出まするが、西独、イギリス等に向かいまして日本は有力な輸出国でもございますが、各国生産の時期がございますから、原価とか価格の差をもちましても生産時期と需要とのマッチを上手にいたしますれば輸出は可能であります。そういう意味におきまして、国内は最近はお話のように、本年においては五万九千五百六十七円になりますが、まあ五万九千円くらいと見ていいと思いますが、輸出は五万四千円くらいである。ペルー産のものは大体CアンドF、すなわち一(保険料)を除いたものですが、これで目下百六ドルくらいでありますが、かりに平均百十ドルと見ますれば、円に換算して約四万円であります。これに保険料を加えますと四万五百九十九円と踏んでおりますが、これは想定であり、最近の引き合いの一つでありますが、さらにこれには港湾手数料とか、減耗とか、その他いろいろ諸係費がありますので、国内産で五万九千円と言われましたのは、やはり横浜倉庫渡しぐらいに直したところだと私ども考えておりますが、これに匹敵する輸入品を見ますれば、四万三千五百円、ごく最近はもう少し上回ると思っております。
  27. 東隆

    東隆君 今の畜産局長の御答弁ですと、輸入するものはそんなに安くないというような数字ですし、それから輸出をするものは安く輸出をするのだ、国内を高くとる、こういう関係になると、こういう前提のもとにそういうお話をされたのですが、安く海外に出す分ですね、それを国内に振り向けると、私の考え方はこういう考え方です。ペルーのものは、私どもの方で調べると、相当安いもので、格差がだいぶできてくるのです、国内のものと。それで私は輸入ものと国内のものとの、というよりか、格差ですね、この格差というものが、私は当然沿岸生産者に何らかの形で振り向けられるような措置をとらなければ、輸入をするということを前提におきますと、どうしても水産庁がやられた価格支持の要綱というようなものは骨抜きになってしまう。だから、輸入品とそれから国内産との格差ですね、それを何らかの形でもってやはり取り上げて財源をこしらえるなりなんなりすることによって、国内産に補給をするとかなんとかそんな措置でもできなかったら、これはせっかくこしらえた要綱ですけれども、効力を発揮しないと思うのですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  28. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 先ほど申し上げた中で、東先生のちょっと誤解があると思います。北洋工船ミール国内に販売される場合と輸出される場合を三十四年度についてみましても、これは五万九千円強と五万四千円強との、トン当たりにおいて約五千円差があって、輸出は安くせられておるこういうことを、国内価格は高いところでそういう輸出をされておるということを申し上げましたのですが、あわせまして、輸入が同じ引渡し場所等に引き直してみると四万三千五百円ですから、一万円くらい差があるということで御理解願いたいと思います。従いまして、第二段の格差とおっしゃいましたことは、価格の差という意味ではその通りでございます。この価格の差は輸入して、飼料用としてのみ輸入して特定の配給で北海道を確保したり、東北を確保したり養鶏、乳牛に確保したりしますので、そのままにすれば、養鶏酪農、農家等が中間の各段階を経て受益すべきものである。これを国内水産関係水産価格安定と調整いたしまして、水産庁のやられます国内対策の需給調整というものは尊重をいたさねばなりませんので、その間においては差金を積み立て将来もっと有効な、飼料価格を安くする方に使うのがほんとうだと思う。その場合、国内の一般の市価が水産庁における目標価格より下がりました場合は、これは日本の魚かす類生産業者等についても同様に配慮されるべきである、その考え方は、第一と第二とはそのように考える方が適当だと思って、そのように措置をいたしております。従いまして、それが可能なように外貨割当は需要者団体、需要者団体の買い値、売り値はその間を役所が監督いたしまして、中間の者が——農家でない、あるいは漁業者でない中間の者が不当な利益を得ないような措置をとりたい、こういう意味でございます。
  29. 東隆

    東隆君 私は、安い飼料供給することに反対をするものではないのです。これはもう当然の話でありますが、今まで少なくとも飼料としてのフィッシュ・ミールその他の輸入がなかったのです。今までなかったものを輸入をするということになるのですから、従って生産する方面では非常に大きな影響を受けるということは、これはもうはっきりしているわけです。従って、国内生産をするものでもって一番価格維持の中心としてやってきたところの要綱が、輸入することによってこわれてしまうということになったら、これは水産関係の方面では大きな問題になる。もうすでに北海道なんかは生産をする方でありますから、沿岸の漁業協同協組合の代表の方面からものすごい、輸入するという話を聞いただけで猛烈な反対の要望が来ている、そういう点を考えてみますと、私は政府があまりに早く輸入計画をきめられたように考える、もっと慎重にやるべきでなかったか、こう思うわけです、さらに、私ども聞きますと、その二万トンと畜産局で決定をするときに、私は、はなはだ言葉が過ぎるかもしれぬけれども畜産局の方で基礎数字をこしらえたのでなくて、かえって商社の方でそういう数字を作り上げたのじゃないか、こんなようなうわさも聞くわけです。中身をもうすでに割当をされているなんというようなうわさまで聞きますので、はなはだ私どもとすれはおもしろくないような気もするわけです。その辺、私どもの方は、商社に割り当てた二万トンの中身まで実は聞かされている。そういうふうになってくると、イニシアが一体どこにあったのか、こういう問題が出てくるわけです。私ははなはだ、こういう点で考えてきたときにそういうようなことでなくて、ほんとうに足りないならこれは輸入をする必要がありますが、しかし、私の計算では、輸入をする必要はない、十分にできるのじゃないか、こういう前提のもとに考えてくると、どうも二万トンという数字はこつ然として現われてきたようにしか考えられない。しかも、その二万トンの割当までもうはっきり出ているのだ、こんなようなことになってくると、これは容易ならざることになると思うわけであります。そういう点どの程度のことになっているのか、これも一つお聞きをいたしておいて、そうして私はまだこの問題たくさん疑問がありますから、そういう点を一つお聞きしておいて、そうしてもっと、少し掘り下げていかないと、これは同じ農林省の管下にあるところで意見がまさに対立するような問題になると思うが、そんな点もありますから、一つ今、風聞で、確実なところまでつかんでいるわけではございません。だけれども、そういうことがいわれておりますし、多分そういうことになるのじゃないか、こうおそれているわけで、私はその点もお聞きをいたしておきます。
  30. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) まず第一に、計数の需給見通しにおきまする数字の見込みについての作業でございますが、さすが東先生、最後におっしゃいましたように、風聞にすぎない、よく知らないとおっしゃる。まさに風聞でございまして——私どもは農林漁業統計でわかりますところ、及び水産庁でわかりますところを第一といたしまして、全漁連とか、その他について供給生産、ストック等について、飼料課長をして役所でもって整理作成をさせたのであります。ただし、全漁連の下請をする業者とか、商社等につきましては、聞いたことはございません。また割当云々ということがございましたが、通商局の公報は去る十三日でありましたか、出まして、二十三日が締め切りになっておりますが、その日付でもわかりますように、割当をしたことはございません。まだいたしておりません。どのような公平な基準で割当をするのがいいかということを研究して相当成案を持っておりますが、外には出ておらないはずであります。昨晩も省内の原局の案を私もよく研究中であるわけです。おそらくは、国内在庫が一部はどこにあるかわかないものもありましたり、値をつり上げてこの端境期に特に売ろうとしたものも明らかにありますので、よく留意をいたしておりますが、その手持ちとか、輸入の量によりまして、価格の操作をしよういう商業者等の声がいろいろ出ることは、こういうものの際に当然でありますが、これを厳に戒めまして、そういうことは極秘にいたしております。また間違いがないことを私は現在は保証できると思います。水産庁畜産局生産者と利用者におきまして、また季節性がある生産供給と一定の需要がほぼ継続してある、しかも、畜産振興に応じまして、また配合飼料混合飼料等が多く使われる傾向、趨勢等に応じまして、需要生産以上に上回ってふえているということもあるのであります。また、がつがつの季節性のある生産供給を一定の需要の方に結びつけるには、適当の需給計画見通しのもとにおいてでなければ、需給の安定と価格の安定はできない、そういうこともあると思いますが、水産庁と私どもは絶えず連絡をよくとり合いまして、少々意見が違う場合でありましても、一方が少々どうかと思う点でも統一するようにいたしております。東先生の御意見の中でも、魚価安定が重要だ、その通りであります。あわせまして、その高いときはどうするかということが畜産では重要なことであります。また生産者でも同様であり、そのような見地で十分遺憾なきを期したいと思います。
  31. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) ただいま畜産局長の御説明があった通りであります。また若干漏れた生産の問題についての所見を申し上げたいと思います。将来の問題として、一番大きな問題となりますのは、ペルーの魚かす生産が一体どうなるだろうかという問題であります。これにつきましては、いろいろと情報を得べく努力をしているわけでございますが、まだ確たる見通しは立てておりませんが、ただ一応言えることは、今のペルーの魚かす生産から見ますと、まだこれが始まったばかりでございまして、今後はたして現在程度生産維持できるのか、いっ魚が来なくなるのかということについては、かなり議論の余地があるように私ども考えております。従いまして、そのような考え方に立ちますと、いつまでたってもペルーの魚かすに依存することはかなり危険ではあるまいかという意見も実は畜産局の方に申し上げまして、従って、やはり東先生の御指摘のように、たまたま今安い外国のものがあるわけでございますが、やはり国内魚かすと申しますか、フィッシュ・ミールと申しますか、その生産は確保していくことが漁業者のためでもあり、畜産業界のためでもあろう、たまたま今安い魚かすはあるけれども、この見通しについてはまだ確たるあれも得られておりませんので、やはり原則として国内生産をもって国内需要をまかなうというような、少なくともこの生産確保については、ぜひ畜産局の方も御協力を得たいというふうに私ども申し上げておるわけでございまして、その点については、ただいま畜産局長から御説明がありますように、全く同感で、その生産確保については今後とも協力していこうというようなことに相なっておりまして、その点については全く意見が一致しておるということでございます。
  32. 東隆

    東隆君 今、水産庁の方から言われましたが、私は今言われた通りのことからいけば輸入をしてはいけないわけなんです。というのは、私は農産物も水産物も同じだろうと思いますが、ハッカを一つ例にとりますと、ハッカは実は輸入をしたことがなかったのです。ところが、三十二年ですか、品不足という関係でブラジルから輸入をしました。これはブラジルでもってハッカに対する生産意欲がものすごく高まって、そうしてハッカの市価をその後非常にこわしてしまうような条件を作ってしまった。ペルーの場合はこれは確定的なものでないと、こういうことなんでしようけれども輸出国であった日本が今度は逆に輸入をするという態勢を作られる、ここは原始的なやり方をやっているだろうと思いますが、そっちの方面にこれは力を入れる参のはあたりまえな話で、私はどんどん安いペルーが増産を始めるのではないか、こういうことを考えるわけです。今ハッカの例を申し上げたけれども、まさにそういうことになるので、日本が輸入をすることがペルーで増産をさせるという動機を作るわけです。動機を与えることになるわけです。だから、私はますます安いものが入ってくるのだからというわけで、畜産局の方でもってお喜びになるのはこれはいいかもしれぬけれども、しかし、水産庁としてはこれは非常に考えなければならぬ点です。だからもう少し水産庁は外部団体と十分に相談をして、そうしてその上で内部のことでありますから、OKを与えるにしても私はもっと考えなければならぬと思う。それから輸入をするということによって非常に大きな影響を及ぼしてくるのです。単に国内において一年やそこらじゃなくて、今度は外国側でもってどんどん生産をする動機を作るのですから、だから、そういう点も考え合わせて、できるだけ国内でもって生産したもので間に合わしていくことがいいわけです。すでにもう動物質の蛋白の方は辛うじて需給態勢ができているのですが、穀物とか、その他の飼料の方はこれは完全に輸入をしておるのですから、両方とも輸入してしまって、そうして国内でもって畜産のなにをどんどん進めてしまうとしたら、そういう態勢になってきたら、いかに酪農を進め、あるいは養鶏を進めてもこれは問題にならぬと思う。農業として立っていかないようた形ができてくる。だから、そういう占も考えて、あわせて一つ強力に、もう一度畜産局の要望に対してもう一つてこ入れをして、そうしてぶちこわすようなことをやることは、これはAASからせっかくもぎ取ったのですから、そういう点から考えても、私は当然水産庁畜産局は力を入れなければならぬ筋合いのものである。私は、時間をきょう持っておりませんので、この程度でやめますが、しかし、これはまだまだいういろお聞きをし、た催していかなければならないし、私とすれば、農林省内の問題でありますから、この際せっかく価格支持のための要綱、これはもう実に水産関係とすればやっと頭を持ち出したばっかりのものですから、これをもう少し強化していこうと、こうやっておるやつがぶっこわれるのですから、沿岸漁民の興廃にかかる問題だと、こういうふうに考えておりますので、酪農の振興、その他畜産の振興も大切でありますけれども、漁民の生活を考えると、私はそうやすやすとこの問題をよろしゅうございますと、こう言うわけに参らぬと思うのです。それで今後もう少し明らかにしていきたいと、こう思っておりますから、その点で私は質問をこれで終わります。
  33. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ほかにありませんか。  それでは午前はこの程度にいたします。午後は一時半から再開いたします。  それでは休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩    —————・—————    午後二時十四分開会
  34. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 委員会を再開いたします。  漁業協同組合整備促進法案及び中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案(いずれも予備審査)を議題といたします。  午前に引き続き両案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  35. 仲原善一

    ○仲原善一君 整備基金というのができるわけでございますね。あれの出資の関係政府とそれから関係団体が三つ入っていると思いますが、これは現在一億でございますか、はっきり覚えておりませんけれども、二億ということでは事業の運営が十分でないという私は考えを持っておりますので、出資団体、政府とも一億でございましょうが、関係団体の方は三団体に限らずに漁業関係のもっと関係する向きがたくさんあると考えられますので、そういうのも加えて出資金をふやしたらどうかという意見を持っておりますけれども、そういう点についてはどういうお考えでありますか。今回はこれにいたしましても、将来そういう構想を持っておいでになるのかどうかということと、もう一つは、整備基金が事業として利子の補給なり奨励金を出すというようなことはもちろんでございますが、この指導監督のことも入っているわけでございますね。そういう関係で指導方面の事業をやるということになれば、とてもこの二億の基金をもとにしてその金利でまかなうというようなことはとうていむずかしいことじゃないかというふうに考えますので、そういう点について何らかの対策、たとえば地方庁に対する職員の補助だとか、それに協力するいろいろの職員の配置だとか、そういうことについてお考えになっているかどうか。資金が十分にあればうまくいくことになるでしょうけれども、現段階ではとても無理であろうと思いますので、その点をどういうふうにお考えになっているか、まず伺います。
  36. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) 整備基金の問題でございますが、ただいま予定しておりますのは、出資金が、漁業協同組合連合会と、それから漁業信用基金協会、それから農林中金からそれぞれ出資金ということで一億ということに相成っております。なお、過日御説明したように、政府がこれに対して同額の貸付を行なう、無利子の貸付を行なうということになっておりますので、合計一億ということでスタートすることになっているわけでございます。  なお将来の問題として、この程度の資本金では不十分ではないかという御指摘でございますが、この点は過日も御説明いたしましたように、当初計画した五億が必要であるかどうかにつきましては、利子補給の率の問題、それから対象となる漁協の数の問題等、これからいろいろと検討しなければならぬわけでございますが、しかし、いずれにいたしましても、現在の二億ではやや足りませんので、その意味で整備がその関係ではおくれて参る懸念もありますので、来年度以降引き続きこの資本金の増額に努めたいというふうに考えておる次第であります。なお、出資し得るものの問題でございまするが、これは現在考えておりますのは、ただいま御説明いたしました三つの種類の団体でございまするが、その資金を充実して参ろうとするのであれば、その範囲を広げることも一案かと思いますが、具体的に考えますと、漁業者個人ということではこの趣旨に反すると思いますが、問題となるのは、単位漁協ではないかと考えられるのでありますが、しかしながら、本来の趣旨が、不振状態にあります単位漁協に対する対策でございますので、この点はなお引き続き検討した上でと思っておりますが、現在のところは、ただいま御説明しました漁協の連合会と、それから信用基金協会、農林中金、三つの団体でよろしくはないかというふうに考えております。なお、この漁業信用基金協会の構成は、御案内のように、それぞれの漁業者も入り、単協も入った構成になっておりまするので、まあ間接的にはそういう意味では御指摘の問題も入っているというふうにも考えられるわけでありますが、なお、この問題につきましては検討して参りたいというふうに考えます。  それから、次に県の行政、特に県のこの問題に対する指導監督と申しますか、助言と申しますか、それに関連する御指摘でございますが、ごもっともでございまして、私どもはこの基金の問題だけで指導面が十分に行なわれるというふうには考えませんで、たとえば巡回指導員を別の予算で組むというようなこともやっておりますが、なお県の問題につきましては、御趣旨を体して今後の予算の問題としても善処して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  37. 仲原善一

    ○仲原善一君 今回の漁協関係の整促法でございますが、前例として農業協同組合関係ではすでに発足していると思います。内容について、従来の農協の関係の促進法と今回の促進法との大きな違いの点がどこにあるのか、どの点は厚くなっておるとか、どの点が薄くなっておるとか、そういう大きな柱についての相違点をお聞かせ願いたいと思います。
  38. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 今回の整備促進法と農協関係の整備促進法との特に異なっておりまする点は、一応今回の整備促進の期間というものを四十二年までに指定いたしまして、各組合を五カ年で整備計画を完了していきたいということにいたしておるのでありますが、農協の場合と比較いたしますると、漁協の不振の度合いというものは相当大きなものでございまして、漁協の場合は農協よりも相当長期間を要するというふうに考えております。それで、この考え方といたしましては、相当長期でございまするから、国の補助で打ち切ってしまうというのではなくて、そのために特別の基金という団体を設けまして、漁業の団体の自主的な気持をもって出資をしてもらって、そこへ国も協力して無利息の金を貸し付けていくということによって、漁協と国とが一緒になってやっていこうというふうな考え方を持っておりまして、その考え方が第一に違う点であります。  それから第二の違う点は、整備の目標でありますが、農協の場合は、固定した債務の全部ということを五年の期間でやっていくということにいたしております。ところが、漁協の方は、非常に不振な組合におきましては、固定債務が非常に多いものですから、五年間でそれを完了することができないということを考えまして、特定の場合には債務の額の二分の一をこえない範囲内で都道府県知事が指定した債務を除いた残額の全部の整理ということにいたしまして、その五年間では債務の額の二分の一を整理するものでも対象として利子補給をやっていくということにいたしておるのが第二点の違いであります。  それから第三点といたしまして、法人税法の特例を設けておりますが農協の場合よりも漁協の場合が長期間にわたりまして指定をいたして、しかも、法人税を取る場合に欠損金として算入し得る期間をさかのぼり得るということにいたして漁協の方を厚くいたしております。それから特に農協と異なった規定を入れておりまするのは、合併奨励ということを考えておりまして、その場合に合併の促進の障害になりまする漁業権の承継の場合におきまする特別な措置を設けておるということが異なっておるわけであります。  それから国の援助の利子補給の考え方におきまして、農協の場合は二分二厘の利子補給を行なうということにいたしておるのでありますが、漁協の場合は基金から三分二厘の利子補給をするということで、一分利子補給を厚くしておるということでございます。  それから不振な漁協に整備計画をやりまする場合に、そういう漁協が漁業者に対して金を貸せないというような場合ができて参りまするので、特に信連から漁業者に対して直接貸ができるところの規定を設けておるというふうな特例を開いておるのであります。こういう点が農業の場合と異なっておるおもな点になっております。
  39. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまの御説明の中で、都道府県が、この整促の組合に対する利子補給というものが、農協の方にはあると思うんですけれども、こちらの方にはあることになっていますか、それともないわけですか。
  40. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) ちょっと申しおくれましたが、都道府県の援助というものは両方ともあるわけでございます。農協の場合はまあ原則といたしまして県は一分一厘ほどの利子補給をやっております。で、漁業の場合には少しこれを多く期待いたしておるのですが、一分六厘程度の利子補給を行なってもらいたいというふうな期待を持っておるわけでございます。すなわち、基金が三分二厘の利子補給を行なうわけでございますから、その半額の一分六厘程度を県に期待しておるというふうな状況でございます。
  41. 仲原善一

    ○仲原善一君 最終の段階で、この利率ですね、整促を受ける組合の利子は幾らになりますか。いろいろ補助を加えて、それを差っ引いて、最後に負担する組合の利率ですね、幾らになりますか。
  42. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 漁協の場合の利子補給の考え方を申し上げますると、農林中金とか、あるいは信連が金を貸しておりまする場合に、利子を免除した、それに対して基金が利子を補給していく、こういうふうな考え方をとっております。それで、まず基金が三分二厘の利子補給を行なう、それから県が一分六厘の利子補給を行なう、それから農林中金とかあるいは信連のような、そういう金融機関が一分七厘程度利子補給を、自分で利子を免除する、従って六分五厘ほど利子が安くなる、こういうことになるわけであります。それで大体一割で、単協が一割で利子を支払っているということになりますると、三分五厘単協が利子を負担しなければいかぬ、こういうことになるわけであります。
  43. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 私からちょっと伺いたいと思いますが、あまりむずかしい問題ではない、簡単な問題なんですが、漁協で不振の組合がたくさんある。その不振の原因がいろいろ出ているようでありますが、経営が不適当なというのが三百三十一ある。経営が不適当なのが不振の原因だというのが、私はちょっと了解に苦しむのですが、それは役員構成が悪いのか、どういうことなんでしょうね。その経営が不適当なというのは、何か人に原因があるような、自然条件に変動が起こったとか、生産基盤の動揺だとかいうものでなしに、経営する技能が、つまり知識か足らなかったというようなふうに聞こえてまずいのですが、どういうことなんですか。一つ、内容をお知らせをいただきたいと思います。
  44. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) この漁業協同組合の経営が不振になっているという原因は、いろいろあるわけでございまするが、まずそれをずっと考えてみますと、自然的な条件に基づいて不振になってしまったという実例もございます。それは魚が来なくなったというような場合、これはいかにその組合員が一致協力し、またそれをリードされる組合の理事の皆様方が熱心におやりになっても、その場合に結果として漁業協同組合の経営が不振になっているという事例も決して少なくないわけでございます。それからもう一つありますのは、漁業協同組合が、農業協同組合と違いまして、みずから漁業を経営する場合がございます。その場合に、これは先ほどの魚が来なくなったという原因にも関連いたすわけですが、たとえば、大型の定置網漁業をみずから、漁業協同組合みずから経営した場合に、これはやはり漁、不漁があるのは避け得られないわけでございまして、その結果、数年にわたっての、たとえば魚が来なくなったことにたえることができず、結果として漁業協同組合の経営もむずかしくなってきているという点もございます。以上のような、主として自然的な条件、その他に経済的な変動もだいぶございますが、それは農協と共通でございますので、申し上げませんが、漁業協同組合特有の現象としては、自然的な条件によるものが相当あるということはこれは当然でございます。ただ、問題はそれだけではありませんので、調査した結果によりますると、やはり魚が来て、うまくいくはずの漁業協同組合が、役職員の職責履行が十分ではなかったということ、それから組合経営が放漫に流れておったということ、それから債権の管理が非常に不良であったという、本来ならば防止し得たかもわからないことで、結果として組合が不振になったという場合もございます。それが漁協経営の不振の原因かと考えております。
  45. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) いや、それはわかるんですよ。今おっしゃったことは書いてあるのだから、ちゃんとわかるのですよ。漁業の自然条件で悪くなったというのと、自営不良と、漁港の負担金が過大になった、経営が不適当である、債権の回収が悪い、これだけに大体分けてある。だから、それはよくわかるのですが、自然条件なり、生産基盤の変動によって起こったものと、みずから管理が不行き届きだというのだが、一番たくさん占めておりまする、七百九十五の件数のうちで三百三十一というものが経営不適当という表現が出ているのだが、その経営不適当というのはどういうことですかと、こう聞いている。ですから、内容はよく知っているのだが、半分近いものが経営不適当だという原因になる。幾ら治療しても治療してもなおらぬのか、病気がなおるから整備をするというのか、私はそういうことが聞きたいのですよ。どういうふうにしたらこの経営不適当というものがなおるのか、治療ができるのかということなんですよ。もう脊髄の方に病がきて、こうやくをはったり、ヨーチンを塗ったりしても、ちょっとの対策だけではやっぱりあとを断たないのか、根本的な治療の対策があるのかということですよ。
  46. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) まずその自然的な条件に基づく経営不振組合につきましては、これはまあ何と申しますか、この間も御質問を受けたわけですが、この組合の経営対策だけではなかなか立ち上がることはむずかしかろう、このように考えまして、これは別途沿岸漁業振興対策でまず基盤を確立する以外にはなかろうと、こういうふうに考えるわけでございます。ただいまの委員長の御質問の点でございますが、やはり現実にはいろいろな赤字の重圧をこうむっておるという現状にありまするので、このまず赤字によりまする重圧を排除する方法を講じながら、一方ただいま申し上げました不振の原因でありまする組合体制の内部的な強化と、二つをやれば、その魚の来なくなった組合についてはいたし方がないと思いますが、そうではない、ただいま申し上げました借金の重圧をこうむっている組合で、役員その他の協力を得ればやれるというものが、このたびの基金によるところの整備のおもなねらいだろうというふうに考えております。
  47. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) いやそれはよくわかるんですがね。ちょっと私の問いが悪いのでしょうかね。経営不適当というものは、一体その中には、漁況の変化であるとか、あるいは今言う債権の重圧をこうむるというのは、債権管理回収の不良というようなところであげてあるのですよね。すでにそういう自然の条件、あるいは赤字の圧迫があって不適当だというようなのは、ちゃんと別に項があげてある。その中で不適当だと書いてある分は、一体何が不適当なんですかと、こう聞いておるんですよ。
  48. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これは、第一に、この協同組合というもののその性格論にもなろうかと存じますが、漁協におきましては、特に農協と異なりまして、歴史的に、漁協はこの漁業権の管理ということを主にして伸びてきた組合でございます。それで、漁業者というのは、どうも、やはり海の上の生活が多くて、それを経済的に管理し、みなが協同して経済的な事業を行なっていくという点につきましては、農協よりもなお劣っておるところの組合であります。で、戦後、水協法ができまして、それが次第にこの経済事業を行うということになってまいりまして、まあだんだん経済事業にもなれてきたわけであります。しかしながら、なおその根底には、漁業的な気分が残っておりまして、経済事業になれていないというような点から、この漁協の経営の不適当というものが大きな不振のウエートを占めておるということになってきておるわけであります。で、この経営の不適当と申しまするのは、やはりそういうふうに、このなれていないところの組合の役職員が出て参りまして経済事業の経営を行なうというところに、このこういう不振の原因が出てきておるわけでありまして、今後、組合の役職員の再教育ということが非常に重要な問題になって参ります。それで、今回の整備促進の利子補給という措置は、これは不振を解消するためのまあ一つの契機というふうに考えておりまして、で、それのほかに、そういう役職員に対する指導、あるいは、まあ役職員を変えるというふうなことも必要になってくると存じますが、役職員を変えまして、その定款においては、職務の執行体制を確立していくとか、あるいは、参事制度なんかが確立していないような組合におきましては参事制度を確立しまして、長い間その事業に打ち込んでいけるような、参事を作って経済事業に当たっていくとか、まあいろいろそういうふうなことをやって参りましたならば、こういう措置を契機にして、漁協の不振は立ち直り得るものというふうに考えておるわけでございます。
  49. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) そうすると、経済の内容については再建ができ得る内容を持っておるけれども、役職員というものがその経理指導になれておらない、不熟練である、要するに、海上生活をしておってそういうまあ歴史も浅いという関係で、十分でない。そういうことのために、経営が悪くなったものが三百三十一も出てきた、こういうことですね。そうしますと、それの講習をやるとか、指導体系を刷新するとかいうことで、まあ、一面、利子補給等もやっていくというんですが、これは私はそういうことだけではちょっと解決がつきにくいのではなかろうかというふうに、これを見て考えるのですが、もう少し、これは経済単位が弱いから、そういういい人が集まらないという問題があるのではないか。つまり手間を惜しんで、ほんとうの簿記をやらないで、何かつけ込み簿記みたいな長い帳面へ、生産資材も、消費資材も、貸付金も、預金もつけ込んでいくような、まるで帳簿の体系の整理というものが完全にいかないというようなことで、だんだんと不振になってくるのではないかと思うのですがね。そういうことであるならば、私は、だれかからも御質問があったかとも思うのですが、これはもう非常に狭い範囲の視野で申し上げるので恐縮なんですけれども、漁業だけで生活をしている地域では、これはもうやむを得ないと思いまするけれども、半農半漁というような——農業協同組合、あるいは森林組合等のあるところで一これは法人格が違うのだからやむを得ないとは思いますけれども、そういう熟練された、およそわれわれが知り得る範囲内では、農業協同組合の不振組合の中には、経営が不適当だなんていう不振組合は、比較的少ないのであります。そういうことから考えてみると、まあ歴史も古い関係もありましょうが、何かこの協同組合全体の立場に立って、そういう指導監督というか、その一連の役職員の中で構成をしていけるような、複合的な立場で人を選んでいくということが必要なのではないかと私は思うのですが、これは人の問題のようですね、どうも聞きますと。人さえ得られれば回復ができるというようなことのように思われるのですが、もしそういうことならば、今のように、農業協同組合と兼務ができるとか、そういう人たちに頼むという、兼職をしてもらうとかというようなことを考えたことがありますか。企画し、なおそういうことを打ち合わせなり、そういうことが進められないかという研究をされたことがございますか、お伺いをしたいと思います。
  50. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) これはお答えになるかどうかわかりませんが、なお不十分でありましたら、さらに御質問をいただきたいと思いますが、この歴史を考えてみますと、最初漁業者の団体というのは、先ほど部長から説明いたしましたように、漁業権を持つ団体として発足したわけでございます。で、その後、やはり漁村にも何か共同的に経済事業をやる必要があるというのは当然起こるわけでございますが、その際には、何と申しますか、漁業組合のほかに、農協と一緒になったような、信用組合その他の組合が、こういう部落では、村ではできておりまして、その面では漁業権の管理と、それから経済行為——その経済行為の場合には農民と一緒になり、漁業権の管理の面については漁民の団体がある、こういう歴史を経てきております。しかしながら、それではやはり漁業者の団体としての経済活動が進歩につれて不十分になりましたので、この漁業権を持つ漁業組合が経済行為を始める、こういう格好で今日まで来たのでございまするが、しかし、現実はただいま先生から御指摘を受けましたように、半農半漁の村では、そこの関係が必ずしも十分ではなくて、形式的に漁業協同組合があるものですから、漁業権も持ち、従って一部の経済行為も行なう、しかしながら、半農半漁でありまするので、同じ組合員が、同時に農業協同組合を作って経済行為をやっている、こういう実態もやはり半農半漁の地帯には多いように拝見しております。従いまして、この問題をどうするかということは、いろいろ研究をいたしましたのですが、まだその結論を得ていないわけでございますが、まず現実を申し上げますと、今農協につきましては事業面、ことに金融その他の面もあるわけですが、販売面もからむわけですが、お互いに連絡してやっているような実例も若干ございます。それから、ただ事務を農協に依頼した例はほとんど私ども聞いておらないわけですが、まあ農協系統から実質的に助言を得るとか、人をとるといったようなことは考え——そういう実態はあるようでございます。なおこの問題についての本質的な考え方としては、これは基本問題調査会で一部そのような御議論が出るように私ども聞いております。ただ、それから、水産庁限りについてこの問題をどうするかということが一部問題があるわけですが、考えてみますと今、漁業協同組合が非常に小さくまとまっている大きな理由は、やはり何としても漁業権の問題がからむわけでございまして、たとえば純粋の漁民部落の漁協と、半農半漁の漁民の部落がそれぞれ漁業権を持っている場合に、経済行為としては両部落が合併したいと思っても、海の使い方についての慣行的な利用に対する発言権の問題がありまして、特に多数決をもって漁業権の行使をきめいくというような構成のもとでは、漁業権を心配する限りにおいては、いかに経済事業の面から見ると合併した方がいいと思っても、これを合併しかねるという場合が相当多いようでございます。従いまして今回は、一つは経過的な措置として合併促進の場合の漁業権の行使のそこら辺の問題に対する解決策の一つの道を開いたわけですが、ただいま漁業制度調査会におきまして、この多数決と漁業権行使との関係につきましては、何か新しい考え方を持ちたいと思います。と申しますのは、概要——まだこれは決定はないわけですが、方向といたしましては何か漁業権の行使については、従来の部落単位的な行使の仕方が正当である限りにおいてはその道を開いておきながら、経済事業体としてはなるべく少なくとも旧市町村くらいにまとめていこう、そうすれば先生ただいま御指摘になりました職員も少なくとも三人以上はどうしてもほしいと思いますが、三人以上程度は、もし合併ができますれば置ける。そうすれば、従来非常に問題とされた役職員をうまくやらなかったために起きるいろいろな組合の整備の問題は、そういうことをはかるごとによってやることができるのではないか、そういたしますと今回の基金の問題はそれに対する一つの促進剤にもなり、根本的には漁業法の改正をもって将来その方向に持っていきたい、このように考えておる次第でございます。
  51. 青田源太郎

    青田源太郎君 整備計画についてちょっと一、二お尋ねしておくのですが、今度のこの促進法で再建整備するというのですが、この基金があまりにも少ないと思うので、こういうことではたしてこういったりっぱなことができるかということに疑問を持つわけでありますが、そこで今度の整備計画の赤字解消ということについて考え方が、利子補給によっていわゆる再建するということであるらしいのですが、この利子補給という点についてある程度利子の減免をして、再建整備さすという計画か、あるいは貸付金の運用益によって再建さすという計画か、こういう点を一つお尋ねしたいと思います。
  52. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) 具体的な点につきましては漸政部長よりお聞き取り願いたいと思いますが、まず最初の感じと申しましては、はなはだ失礼で申しわけないのですが、基金の額が足りないではないかという御指摘でございますが、これは大体このようにお考えになるのも一つの方法だという意味で、参考のためだけに申し上げたいと思いますが、やはり漁業協同組合のスケールの問題ですが、大体考えまして、農協の場合の十分の一ぐらいのスケールじゃないかと思います。全国的に見まして。従いましてやはりそういたしますと、農協では約この率でいきますと、二十億の基金でということになるわけですが、従いまして一億という額は、これは先ほどお答えいたしましたように私ども満足していないわけでございまして、もう少し大きな基金にしたいとは思いますが、しかし、漁業協同組合にとりましては、決して少ない金ではございませんで、これを十分に運用することによれば、相当役に立つのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。なお数字にまたがりました御質問に対しては、漁政部長よりお聞き取り願いたいと思います。
  53. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 今回の整備計画にあたりましては、この第二条によりまするように、まず指定日に貸借対照表を作りまして、そうして資産の評価がえを行なうわけでございます。適正な評価がえを行ないまして、そこで損失ができてくるわけでございますから、その損失を欠損金に立てるわけであります。そうして欠損金に立てまして、借入金にそれがなって参りまして、それについて利子補給をやっていくということで、この辺のところは農業協同組合の整備促進と同じことになるわけであります。で、その場合に特に信連とかあるいは農林中央金庫のような系統の上部金融機関と協議することが義務づけられておりまして、そうしてその協議によってその借入金の利子を減免してもらうということになってくるわけです。それで本来でしたならば九分から一割くらいの金利を払わなければならぬわけでありますが、それを三分五厘だけ払い、あとは基金とか、その他に負担してもらうということになるわけであります。そうしてその欠損金を全額あるいは二分の一を五年間で解消させていきたい、こういうことになるわけです。従ってそれを解消するためには、協同組合の合併とか、あるいは増資とかそういうことも必要になってくるわけですが、特に増資によりまして無利子の自己資本金をできるだけふやしていくということが、まず必要になるわけでありまして、その他に事業量を多くいたしまして、購買利益とか、あるいは販売利益を多くする、あるいはそういうことをやるために、上部の経済連とかあるいは全漁連あたりの援助を得るとか、あるいはその構成員でありまする漁業者の販売にあたりましては、できるだけ協同組合を使っていくというふうにいたしまして、この事業利益をできるだけ上げていく、そうして一方事業の執行体制を改善するための措置をとりまして、管理機構の整備とかあるいは参事制とか役員の刷新をはかるとか、そういうふうなことによりまして、総合的に整備を計画していくということになるわけであります。従ってこの三分五厘の基金の利子補給だけで、これが達成されていくということは考えられないわけでありまして、ただこういうふうな法律を作りまして、そういう体制をしき、みんなが援助してやっていくということによりまして、みずからも整備計画を明らかにして立ち上がっていくということができるようになるわけでありまして、また一方沿岩漁業の振興対策としての補助とか、あるいは新漁村の建設による補助とか、そういうふうな、そこの漁業を漁場的によくしていくというふうな方法も合わせ行ないまして、総合的な方法によって整備をはかっていきたいというふうな計画にしております。
  54. 青田源太郎

    青田源太郎君 大体その方針はわかりましたが、この整備基金の先日の説明では、運用利回りが六分五厘という話をちょっとされておるのですが、これはどこにこういうような基金を預けられるのか、また漁信連自体にこの資金が不足しておるというようにわれわれ聞いておるのでありますが、そういった場合に、そういうような資金の非常に不足な団体とかいう方にこういう資金を運用さしたら、私はもう少し効率運用がこの基金でできるじゃないか、これはどういうふうな考え方をしておられますか。
  55. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) この法律の四十五条によりまして、「基金は次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。」それで運用の方法といたしましては、「銀行、農林中央金庫又は農林大臣の指定するその他の金融機関への預金」、それから、「国債、他方債又は金融機関の発行する債券の取得」、「信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託」という、これら三号が規定してあるわけでありますが、仰せのように、六分五厘で運用していくということを一応計画しておるわけであります。これは六分五厘よりもっと高い利率運用できましたならば、それともけっこうでないかと思っております。しかしながらやはりこういう基金でありまするから、しっかりしたところへ運用していくということにしませんと、ただ運用利回りを多くするためにあとで困った問題を生ずるということではいけませんので、こういうふうにしっかりしたことで運用するということで、四十五条を規定しておるわけであります。一応六分五厘ということは、たとえば農林中金に預けるというふうなことを考えておりまして、まあそう長く預けるということもできませんので、六分五厘くらいの利率であったならば、必ず運用されるであろうということを考えて、そういう計画にしておるわけであります。
  56. 青田源太郎

    青田源太郎君 私が尋ねたいのは、そういうふうな、あとの利子補給の問題に関連するわけでありますが、かりにこれを、中金とか、あるいは、農信連、あるいはその他の金融機関にもしも基金を運用される場合に、この六分五厘という金利で、その扱う金融機関によって、実際金融機関のいわゆる原価というものが非常に大きく違わないかと思うのは、かりに国が三分二厘で、その取り扱う金融機関が一分五厘というようなことでありますが、実際六分五厘というような安い基金を預かっているところは、これは自分の金融機関の負担ということが少ないであろうとう思のでありますが、しかし、プロパー資金信連とかあるいは銀行が預けている場合には、貸付金で、さらにこういうような自分の負担しなければならぬということになれば、その基金を持っている金融機関とその他の金融機関とが利子補給をする点に大きな違いが生じはしないかと思いますが、そういった関係は話し合いができているのですか。
  57. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 今、基金のほかに利子補給を期待しておりまするのは、農林中央金庫とそれから漁信連であります。それで、たとえば農林中央金庫に預けた場合に、できるだけ農林中央金庫から利子補給を予定すべきじゃないだろうかというふうなことではないかと推察するのでございますが、農林中央金庫からの実は出資、この基金に対する出資を相当期待しておりまして、また、利子補給も期待しているわけですが、そういうことと関連を持ちながら援助を期待していく、こういうことになるわけでございます。
  58. 青田源太郎

    青田源太郎君 大体五カ年間に、最近十年の据え置きであと五年間ぐらいの整備計画を立てるということでありますが、このいわゆる整備計画の対象組合員と、その赤字総額がどのくらいになっている、それをどういうふうな格好で再建を終わるというような、こういう計画はありますですか。
  59. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 赤字組合の内容につきましては、一番最初に御説明申し上げました参考資料に出ているわけでありますが、欠損金が自己資本の三〇%以上に及んでいるところの組合というものを一応対象にしているわけであります。それが四百五十くらいの組合になるわけであります。それでそれをいろいろ内容を分析してみますると、三〇%以上のものでも一五〇%までのものと、それから欠損金が自己資金に比して一五〇%以上に及ぶような超不振組合、そういうふうな分類ができるわけであります。それで、まず超不振組合につきましても、整備計画を立てていくわけでありますが、これはなかなか困難性が考えられるというので、一応別の範疇に考えてみまして、欠損金が自己資本の三〇%から一五〇%までのものを、欠損金の基準として三十万円から二百万円のものと、二百万円から一千万円までのものと、それから一千万円以上のものというふうに分けて考えまして、それが三十万から二百万までのものが百二十三組合で、二百万から一千万までのものが百八十八組合、それから一千万以上のものが六十一組合、合わせて三百七十二組合ほどになるわけであります。それでこういうふうな三百七十二組合のほかに一五〇%以上のものが八十六組合あるわけでありまして、それでこれを四十二年までに指定をいたしまして、整備計画を立てていくということにいたしているわけであります。もちろんこれだけの組合すべてについて整備計画を立て得るかどうかということにつきましては、やはりその組合の個々の事情がありまするから、四十二年までにすべてできるかどうかということにつきましては、なお疑問を持っている次第でありまして、従ってこの整備基金は国からの貸付は一応十年を予定しておりますが、その後におきましても民間からの出資というものは存続しておるわけでありまするから、なお漁業の特殊性として長期にわたってこれを整備していくということが必要なことがあらかじめ考えられまするので、十年以後においてもなおこれを継続していこうということを考えておるわけであります。そういうふうに、最初二億円というところの基金の運用で参りましたならば、一番最初の三十五年度に七十組合くらいを対象にして整備計画を立てて参りまして、毎年三十組合くらいをそれ以後ずっと指定していきたいというふうに考えております。しかし、二億円では十分なことはできませんので、二億円でやるところの案のほかに、三億円の案とかあるいは四億円の案とかいろいろ考えておる次第でありまして、まず三十五年度にどういうふうな整備計画ができていくか、各組合の実情を見ながら計画を立てながら、どういうふうな基金の額にして、また何年度でこれを完了していくかというふうなことを今後なお精細に検討していきたいというふうな実情でございます。
  60. 青田源太郎

    青田源太郎君 私が尋ねたいと思うのは、そういうことでなしに、大体今この赤字解消を十年とか十五年にやられると、これについて現在何ぼほどのそういう対象組合があるか、また赤字の総額がどのくらいあって、これをどういうような期間の間に完全的に赤字を解消されると、こういうような見通しを聞きたいと思うのですけれども
  61. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 先ほど申し上げました欠損金が自己資本の三〇%以上あるところの組合の欠損金総額は三十七億円ほどあります。それでその欠損金総額を持っている組合全部を対象にして整備計画が立て得るかどうかということにつきまして、まだ今後の整備計画の進め工合を見ないと確言できない次第でありまして、一応三十七億の欠損金全部を解消していきたいというふうには考えておりますが、それを目標にして最初の二億円の基金ではとうていできませんので、もっとこれをふやしていきまして、それを解消していきたいというふうな計画考えております。
  62. 青田源太郎

    青田源太郎君 それでちょっとお尋ねしたいのは、今ちょっと説明されておったのでは、この融資機関が中金あるいは漁信連その他の農業団体というようなことにもあるわけでありますが、それは銀行にしましても貸すことができることですね。そういう場合には何かあれですが、債務保証というようなことがあるかないか、あるいはまた貸付するのに貸付の限度を一応きめられておるか、こういう点お尋ねしたい。
  63. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 別途に中小漁業融資保証法の改正案を御審議願っておるわけでありますが、農中にいたしましてもあるいは信連にいたしましても、その他の金融機関、たとえば地方銀行がありますが、そういうところから漁業については相当な融資が行なわれております。その融資は、大体県に信用基金の協会がありまして、その基金協会が融資につきまして中小漁業者に対しましては保証するということをやっております。
  64. 青田源太郎

    青田源太郎君 そこで私ちょっと尋ねたいと思うのは、そういうようにすると、系統機関というか、それ以外の、いわゆる金融機関でした時分には表の三分五厘というのはこれは政府の利子補給が当然もらえるわけでありますが、その他のかりに金融機関から融資を受けると、相当貸付金利も高いし、そして保証すれば、いわゆるまあ保証手数料とか、そういうふうなものが取られるということになれば、系統以外の現在の貸付、かりにそれで全部そういうことが借り入れできれば問題はないですが、一定の基金が少ないという関係上、他の金融機関から融資を受ける時分には、国から保証してもらえるのが三分二厘だけであって、その他はそういうことがしてもらえるかということが明瞭でないという関係上、保証料等を取られると、実際あまり安くない金の融資を受けるというようなきらいが起こりはせんかと思うのですが、こういう点はどうなりますか。
  65. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 先ほどちょっと私の説明が足りなかったわけでございますが、地方銀行のような、その他の金融機関から金を貸す場合には漁業者に対して貸すのが普通でございまして、たとえば法人、会社の漁業者とか、あるいは個人の漁業者とかそういうものに貸しておりまして、単協に対しては貸していないのが現状でございます。
  66. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 漁業協同組合が非常に不振であることは承知いたしておりますが、水産庁が協同組合の整備の先に、その地の漁業に対してどういう処置をとられておるか、聞きたいと思います。
  67. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) 現在の沿岸漁業を中心にいたしまする漁村が、相当御指摘のように不況の状態に入っていることは御説明するまでもないわけでございますが、これに対する対策といたしましては、ただいま御提案の漁協の整備促進の問題だけで、この沿岸漁業の問題が解決できないということは当然でございまして、これに対しましては、先ほど少し御説明いたしましたように、沿岸漁業のそれ自体を生産基盤から直していこうという考え方の予算を組んでおるわけでございます。それについての概略を御説明いたしたいと思います。  まず漁協整備のほかに、基盤を確立していく必要があろうかと思います。その意味考えられますことは、沿岸漁場の改良、造成、それから種苗対策と、それから沿岸漁協の振興対策、この三つでございまするが、まずこの漁場改良について概略申し上げますと、種々の浅海、浅い海につきまして人工的にいろいろと増殖の施設を講じます場合に、これが国が計画的に補助をして参るというのが大体の考え方でございまして、全体として約二億円を用意しておるわけでございます。  第二の点は、その漁場の問題のほかに、沿岸漁業それ自体を振興して参るというような考え方でございますが、特に沿岸漁業への依存度が高い地帯でありまして、かつ漁業の所得の水準の低い地域を重点的に対象にいたしまして地域的な振興計画を立てまして、この生産、たとえば集団指導船の建造、加工、たとえば共同加工の施設、それから流通、たとえば簡易な冷蔵庫施設ないしは石油その他の燃油の給油施設等の施設に対しまして、その他技術指導の施設につきまして特別の助成を考えておるわけで、これは本年度は約一億四千万円ほど用意しておるわけでございます。もちろんこのような基盤の対策だけではなくて、そのほかに改良普及事業といったようなおくれた技術の改良、その他経営の改善の指導につきましても昨年度の予算よりもさらに充実した予算を組んで、このたび御提案したものと並んでこの面でもバツク・アップして参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  68. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 その程度承知いたしておりますが、とてもそんな三億や四億の目くされ金でとても日本の現在の沿岸漁業を救うというようなことは絶対不可能でございます。そこでなぜもう少しお考えにならぬのかと思いますが、これはこれから考えてもらうことにいたしまするが、協同組合というものは、職員三人なんてそんな協同組合は絶対にうまくいきません。しかし、幾ら小さくてもうまくいかないということは断言できません。それは基礎になる組合員が非常に裕福で、そうして収穫が多ければやっていけますが、そうではないのですからこれはとても不可能でございます。協同組合に対する指導のやり方は府県でやっているのでしょうか。どういうふうにやっておるか、それを伺いたい。
  69. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 協同組合の指導につきましては、今回の整備促進の場合におきましても指導員を、駐在指導員とかあるいは巡回指導員を設けておりまして、県の職員それから漁連の職員あるいはその他の信用基金とかいろいろございますが、そういうふうな経理の専門家を各単協に回らせまして、駐在と巡回によりまして指導を加えるということを経理の上からやっておりまして、その他に農業関係で行なっておりますように協同組合学校の施設も設けまして、これは東京にあるわけですが、水産の協同組合学校というのを設けて、職員の質の向上をはかっておるわけであります。仰せのように、やはり協同組合の規模が非常に小さいわけでありまして、協同組合をできるだけ大きくいたしていきまするために、今回の整備の措置にあたりましても合併を奨励していくということで、合併奨励金を予算でつけまして奨励に当たっているわけで、今のように三人のような職員ではとうてい十分なことはできませんので、少なくとも旧市町村単位ぐらいの協同組合に大きくしていきたいということを考えておるわけであります。それで、そういうふうな指導を今後重点的に行なっていきたい。それで、そのためにはいろいろ漁業権の問題がありますから、これは今回の措置におきましてもその対策を法律の上で規定しておるわけでありますが、一般的に漁業法の改正におきましてそういう経済団体としての漁業協同組合に持っていくということで漁業権を主体にした協同組合から経済を主体にしたところの協同組合に持っていくということを指導の考え方といたしまして、それを中心にして考えておるわけであります。そのためにはやはり協同組合の組合員の資格というものを、もっとほんとうの漁業者を中心にした協同組合にしていきまして、やはり一人ずつの漁業者の向上ということも、経済的な向上、それの集まった協同組合の向上というふうに、協同組合の資格、そういうことが根本的の問題になってくるわけであります。これも今漁業制度調査会におきましてもいろいろ議論がされておりますが、漁業法改正と同時に水産協同組合法の改正もそういう面から必要になっておるわけでありまして、そういうふうな経済団体として確立していきたいということを中心にして指導を行なっておる現状であります。
  70. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 林田部長は御存じでございますから、そのことは詳しくは言わないでもよろしいと思うのでございますが、なかなか漁業協同組合というものをながめますと、非常に困難で、一長一短があり、一がいに申し上げるわけにはいかぬと思います。ですが、今の政府のお考えのようなことでは、とてもよくなったということにはならぬと私は思う。沿岸漁業ほど弱い情けないものはないと私は考えている。ですから、どういう方法にしていったらいいか、こんな三億や四億、また基金の一億なんて、冗談じゃないです。それじゃどうしようもない、やってみればわかります。私は今のような考えではおそらくこれは不成功に終わる、こう申し上げたい。そこで農業でやってみましたが、それには連合会などは生産全額集荷で、一々判こを押してそれでやっている。容易じゃないが、現状はどうにかやっておりますが、漁業はなかなかそうはいきません。ですから、非常に御迷惑でもあり、容易じゃないと思うのですが、あの沿岸漁業の状態を見ますと、そうかと言って投げて置くわけには参りません。もう少し本気になって政府もやってもらって、おう、そうかとうなずけるような金でございませんと、とても基金の一億くらいでは、その金利だってわずかなものでしょう、それじゃ日本の沿岸漁業は私は救われないと思う。今のところはこれでけっこうですが、それではだめですから、第一期はそれでいいが、第二期は十分の対策を立てて、ほんとうに漁業経営のできるような方法を講じていただかなければなりません。協同組合ばかりではだめです。沿岸漁業の方が生きていけるような基本方針を立ててもらわなければ、幾ら協同組合があっても立っていけません。ですから、一つ御迷惑でしょうが、今度のことはこれでけっこうですから、一そう一つ御研究を願って、そして大馬力をかけてほんとうに沿岸漁民が生きていけるような方法を一刻も早くとってもらいたい、お答えは要りません、そういう希望だけ申し上げておきます。
  71. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この不振組合の整備について、いろいろ不振の理由等をおあげになりましたが、そのうちでいわゆる自然条件が移り変わったために組合が自然不振になった。今まで相当の漁があったものが、海の変化やいろいろのことから魚が来なくなって、どうも商売相手がなくなって、従って経営が非常に窮屈になり、同時にそれまでにいろいろと資金の借り入れをやってみたが、みなそれが焦げついてしまったという事例が相当あったようであります。こういったことについて、私はせんだって大臣に対して質問をしたのですが、今岡村さんからもいろいろ御意見が出ましたように、漁業が不振であるということのために組合が動かない、経営がまずくなる。これを一体どうしたらいいのか、漁業が移り変わったために、移り変わったというよりも相手の魚が今まで来よったものが来なくなったためにどうにもならぬようになったとすると、漁業は魚相手の仕事ですから、これをどうしていくか、まあいろいろ漁業の転換をやるとか何とかいうけれども、この零細な漁業者は転換は簡単にはできない。そういうことのためにも、まあ不振組合を立て直さなければなりませんが、一体どっちが先かということになってくる。立て直しても自然的条件がそなわらないとなかなかうまくいかない。従って、ここでは経済的に資金援助をして、できるものからやっていこうということであると思いますが、そうすると、そういったような組合はほっぱらかしてしまうのか、ことに最近は、御承知のように、沿岸がだんだん埋め立てをされることになってくる。今度も法律が出ようとして、国土開発といったような意味もありますし、あるいは人口が非常にふえてくるために土地が少なくなってくる。従って、そういう土地も造成しなきゃならぬといったようなこと、浅海がだんだんつぶれていく、こういうことになると、その浅海を唯一の働き場としておる漁民は、これは干上がってしまうのですよ。個人々々が干上がれぱ漁港を幾ら立て直したって何にもならぬ。そういったようなことについて自然的条件——今のは自然的条件と言えるかどうか、人為的に条件を変えるんですけれども、いわゆる漁業ができなくなる、漁場がなくなるあるいは移り変わりといったようなこと、——同じような意味のものですが、そういったようなことに対して、この金利、あるいは利子の補給をするといったところで、幾ら補給したところで追っつかないのですが、そういったものに対する措置を一体どう考えておられるか。経済的に経営がまずくて借金ができて困るというものは、あるいは借りかえがあるとかいうことでいくと思いますけれども、今のように、自然的に対象となります漁業はしょうがないという場合に一体どうするのか、これが一番私は沿岸漁業の困っている原因じゃないかと思うんですよ。あるいは貸した金が焦げついた、その理由はやはりそういったことにあるのじゃないか。たまたま台風が来て、せっかくこさえた船がこわれてしまってさっぱり仕事にならぬというなら、これは船を作ってやればできるでしょう。ところが、対象になるところの魚がいなくなるとか、漁業がつぶれてしまった場合には一夕一朝には立て直ってはいかぬのですがね。一体そういうときに、これが今岡村さんが言われたのもそういう意味だと思いますが、そういったようなことに対してどうすればいいか、水産庁の責任者としてどう考えておるか、その点だけお伺いしたい。
  72. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) ただいま秋山先生の御指摘の問題は、漁業制度調査会の最大の問題でございました。それで、これにつきましてはこの制度調査会の委員からはいろいろお話がございまして、まだ確たる方針が示されておらないのでありますが、御議論の中から私どもの今後とります場合に参考になるような点も相当あるのでありまするので、それらの諸先生の知恵をお借りしながらお答えの一部にかえたいと思いますが、まず自然的条件の変化によりまして沿岸漁業が非常に不振になっているという場合の考え方にやはり二つあるようでございまして、一つはかなり相当長期間ある特定の魚が来なくなったような事態の問題、たとえば北海道におきます道南地帯におけるニシンの問題、こういう問題と、そういう問題ではなくて、もう少し短期のたまたまこの二、三年間ちょっと見えないので、そのうち見えるかもわからぬ、こういうような種類の、たとえばイカ、やはり道南におきましてもイカの問題などはこれに属する問題ではないかと思いますが、やはり非常に重要でありますのは、このわずか二、三年の間に組合の体制を最少限度に整備しておきまして、そのあとで魚が来た場合にいち早く立ち直るかどうかという点が非常に私問題ではないかというように考えておるわけでございます。これは先生も十分御承知でございますが、一般的に魚が少なくなってきて、一般的に組合が不振になるわけでございますが、魚が今度来たときに立ち上がれる村と、立ち上がれない村とあるのでございます。それはどこでその差ができるかと申しますと、やはり漁業協同組合のしっかりしたところは立ち上がりが非常に早く、漁業協同組合のしっかりしないところはせっかくのチャンスを利用することができずに、そのままずるずるにいくという幾つかの事例があることは御承知通りでございます。で、私どもやりたいのは、少なくとも立ち上がれるチャンスが来た場合にすばやく立ち上がって、それを基礎にさらに伸びていくということは少なくともやるべきだ、それは絶対やらなければいかぬ、このように考えているのが、この御提案申し上げた整備の問題の一つの大きな理由かと思います。それから制度調査会の御議論の中でも、かなりそのような事態になっても、なおかつちょっと見込みがない場合もあるという御指摘もいただきまして、とにかく沿岸漁業の今の資源の状態から見まして、総体的に過剰な漁民があるということを解決しなければなかなかうまくいかないのじゃないか。従って、その問題になるとこれは水産行政の内部だけではなかなか十分にやり遂げることはできないだろう。従って漁村の問題を漁業内部だけで解決するような考え方を一歩前進して考えるべきではないかというような御示唆もただいまいただいておる段階でございます。  それからちょっとお答えになったかどうかわかりませんが、一般的に沿岸漁業のそれでは今後の考え方をどうするかということでございますが、やはり御指摘のように非常にむずかしい問題でございまして、この対策を講ずれば沿岸漁業を一挙に振興するであろうという特効薬はなかなか見つからないと私考えております。従いましてこの漁港整備の問題、沿岸の漁場改良の問題、先ほどくどくど申し上げましたが、いずれにしてもそれらを全部総合的にやらなければなかなかむずかしい状況ではないかというふうに考えております。しかし、沿岸漁業をそれじゃ全然見込みのないものとして考えているかということになろうかと思いますが、私どもはそのように考えておりません。現在沿岸漁業の一般的の不振の中にも着々と伸びている漁村と、伸びておる方々がおります。それは最近の傾向を見ましてもやはりノリを中心とする養殖漁家、それからミトン程度のディーゼルを入れた動力漁家層、この層は全体の不振の中にも着実に伸びております。従いまして私どもは決して沿岸漁業は楽観はいたしませんが、その中にも現実にそういう芽ばえがございまするので、その芽ばえを何とかして伸ばしていくような方向で今後の政策を考えて参りたい、このようにただいま考えておるわけでございます。従いまして要約して申し上げますと、容易ではないとは思いますが、しかし、その中にも若干の希望の芽がございますので、この芽を何とかして伸ばしていくのが今後の沿岸漁業の対策ではあるまいかというふうにただいま検討いたしておる次第でございます。
  73. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 最後にお話しになりましたように、小さい漁船、ディーゼル船による、小型漁船で乗り出すという、それからノリの養殖をやるとかといったようなことによってだんだんと行き詰まったものがどうにか芽をふいてきていることはよくわかるのです。ところが、そのノリ場がつぶれようとしているのです。せっかくあなた方が今そういう工合に、あるいは魚礁を作ったりなんぞしてやっている、養殖を始めている。それらを片っ端から今度はつぶしていこうという、ここに一つの問題があるわけです。これは大きな問題から見れば漁業者の少々くたばることは仕方がないという考え方もあるかもしれません。それじゃ、水産庁としてはせっかく今までやったやつが水泡に帰してしまう、そういうことに対して水産庁はよっぽど腹をすえてかかってもらわんと、それは何もそこばかりが土地の造成じゃないと言えると思うのですよ。私は海岸ばかり埋め立てなくてもまだまだ陸地でもって開拓されるところが、そういう工業なんかやるところがあると思うが、それを、安く上がるからというので海岸を埋め立てていけば、しわ寄せは皆、今さなきだに困ってようやく芽ばえつつあるその漁業者をつぶしてしまうことになる。水産庁の面目いずこにありゃということになるのだ、そのこと、この点を私はせんだっても大臣に申し上げたのですが、そういうふうに漁業者が困らないようにしますというけれども、言葉の上ではそうなるけれども、実際そういう法律が通って埋め立てが始まったら、これはつぶれるよりほかに仕方がないのですね。この点は水産庁として十分一つ腹をすえてこの問題と取り組んで、ほんとうに農林大臣の言われたように、漁業者が路頭に迷わないようなことをしてもらいたい。そうしなければ、ここに不振漁業を立て直すと何とかいってみたところで、どうにもなる話じゃないのです。今のようにまた何年か後にどうにかできるというものはいいけれども、またつぶしてしまってから何年先にその漁場ができるか、長い話だと思います。いずれできるかもしれませんけれども、三年、五年ではできやしないです。その間に漁民はのびてしまうのです。その点は十分考えないと、ただ補償金を少々もらったのでは、漁業者は立っていかぬと思うのです。私はこういう考えを持っておりますので、この点を要望として申し上げておきます。
  74. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もなければ、両案については、本日はこの程度にとどめ、本日はこれをもって散会をいたします。    午後三時四十三分散会