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政府委員(
高橋泰彦君) ただいま秋山
先生の御
指摘の問題は、漁業制度調査会の最大の問題でございました。それで、これにつきましてはこの制度調査会の
委員からはいろいろお話がございまして、まだ確たる方針が示されておらないのでありますが、御議論の中から私
どもの今後とります場合に参考になるような点も相当あるのでありまするので、それらの諸
先生の知恵をお借りしながら
お答えの一部にかえたいと思いますが、まず自然的条件の変化によりまして
沿岸漁業が非常に不振になっているという場合の
考え方にやはり二つあるようでございまして、
一つはかなり相当長期間ある特定の魚が来なくなったような事態の問題、たとえば北海道におきます道南地帯におけるニシンの問題、こういう問題と、そういう問題ではなくて、もう少し短期のたまたまこの二、三
年間ちょっと見えないので、そのうち見えるかもわからぬ、こういうような種類の、たとえばイカ、やはり道南におきましてもイカの問題などはこれに属する問題ではないかと思いますが、やはり非常に重要でありますのは、このわずか二、三年の間に組合の体制を最少限度に整備しておきまして、そのあとで魚が来た場合にいち早く立ち直るかどうかという点が非常に私問題ではないかというように
考えておるわけでございます。これは
先生も十分御
承知でございますが、一般的に魚が少なくなってきて、一般的に組合が不振になるわけでございますが、魚が今度来たときに立ち上がれる村と、立ち上がれない村とあるのでございます。それはどこでその差ができるかと申しますと、やはり漁業協同組合のしっかりしたところは立ち上がりが非常に早く、漁業協同組合のしっかりしないところはせっかくのチャンスを利用することができずに、そのままずるずるにいくという幾つかの事例があることは御
承知の
通りでございます。で、私
どもやりたいのは、少なくとも立ち上がれるチャンスが来た場合にすばやく立ち上がって、それを
基礎にさらに伸びていくということは少なくともやるべきだ、それは絶対やらなければいかぬ、このように
考えているのが、この御提案申し上げた整備の問題の
一つの大きな理由かと思います。それから制度調査会の御議論の中でも、かなりそのような事態になっても、なおかつちょっと見込みがない場合もあるという御
指摘もいただきまして、とにかく
沿岸漁業の今の資源の
状態から見まして、総体的に過剰な漁民があるということを解決しなければなかなかうまくいかないのじゃないか。従って、その問題になるとこれは
水産行政の内部だけではなかなか十分にやり遂げることはできないだろう。従って漁村の問題を漁業内部だけで解決するような
考え方を一歩前進して
考えるべきではないかというような御示唆もただいまいただいておる段階でございます。
それからちょっと
お答えになったかどうかわかりませんが、一般的に
沿岸漁業のそれでは今後の
考え方をどうするかということでございますが、やはり御
指摘のように非常にむずかしい問題でございまして、この対策を講ずれば
沿岸漁業を一挙に振興するであろうという特効薬はなかなか見つからないと私
考えております。従いましてこの漁港整備の問題、
沿岸の漁場改良の問題、先ほどくどくど申し上げましたが、いずれにしてもそれらを全部総合的にやらなければなかなかむずかしい
状況ではないかというふうに
考えております。しかし、
沿岸漁業をそれじゃ全然見込みのないものとして
考えているかということになろうかと思いますが、私
どもはそのように
考えておりません。現在
沿岸漁業の一般的の不振の中にも着々と伸びている漁村と、伸びておる方々がおります。それは最近の傾向を見ましてもやはりノリを中心とする養殖漁家、それからミトン
程度のディーゼルを入れた動力漁家層、この層は全体の不振の中にも着実に伸びております。従いまして私
どもは決して
沿岸漁業は楽観はいたしませんが、その中にも現実にそういう芽ばえがございまするので、その芽ばえを何とかして伸ばしていくような方向で今後の政策を
考えて参りたい、このようにただいま
考えておるわけでございます。従いまして要約して申し上げますと、容易ではないとは思いますが、しかし、その中にも若干の希望の芽がございますので、この芽を何とかして伸ばしていくのが今後の
沿岸漁業の対策ではあるまいかというふうにただいま検討いたしておる次第でございます。