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1960-02-23 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月二十三日(火曜日)    午前十時五十分開会   —————————————   委員異動 二月二十二日委員亀田得治辞任につ き、その補欠として大森創造君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            仲原 善一君            大河原一次君            東   隆君            森 八三一君    委員            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            重政 庸徳君            高橋  衛君            田中 啓一君            藤野 繁雄君           小笠原二三男君            北村  暢君            清澤 俊英君            戸叶  武君            千田  正君   国務大臣    農 林 大 臣 福田 赳夫君   政府委員    農林政務次官  大野 市郎君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省農地局長 伊東 正義君    農林省振興局長 増田  盛君    農林省畜産局長 安田善一郎君    農林省蚕糸局長 大澤  融君    林野庁長官   山崎  齊君    水産庁次長   高橋 泰彦君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    食糧庁経理部長 家治 清一君   —————————————   本日の会議に付した案件  一、漁船損害補償法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査)  一、農林漁業金融公庫法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査)  一、果樹農業振興特別措置法案(内  閣送付予備審査)  一、開拓融資保証法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査)  一、漁業協同組合整備促進法案(内  閣送付予備審査)  一、中小漁業融資保証法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査)  一、農林水産政策に関する調査  (農林水産基本政策に関する件)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  二月二十二日亀田得治君が辞任そり補欠として大森創造君が選任されました。   —————————————
  3. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 漁船損害補償法の一部を改正する法律案農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案果樹農業振興特別措置法案開拓融資保証法の一部を改正する法律案漁業協同組合整備促進法案中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案、以上いずれも内閣提出予備審査のため、法律案六件を議題といたします。  まず、提案理由説明を求めます。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  4. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記を始めて。
  5. 大野市郎

    政府委員大野市郎君) ただいま議題となりました漁船損害補償法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  昭和二十七年現行漁船損害補償法漁船保険法にかわって制定施行をみて以来、保険加入隻数は、義務付保制度による保険料の一部国庫負担を軸として逐年伸長し、現在約十万隻に達しており、漁船損害補償制度漁業経営の安定をはかる上に果たす役割は、ますます重要性を加えて参っておるのであります。しかしながら翻って制度運営現状をしさいに検討いたしますと、なお小型船加入率が低いため、沿岸漁業者経営の安定が十分には実現されていないほか、小型船関係大型船関係との間に保険料率が不均衡を示している等、漁船保険事業の健全な発展を阻害している点が見受けられるのであります。従いまして、政府は、昨年五月、農林省に臨時に漁船損害補償制度調査会を設け、制度改善策を諮問いたしましたところ、その調査審議の結果九月に至り、同調査会から制度改善に関する答申が提出されたのであります。政府におきましては、この答申を基本として、この法律案を立案し、今回提出した次第であります。次に、この法律案内容について、概略御説明申し上げます。  第一点は、料率体系合理化をはかるため、普通損害保険及び満期保険損害保険部分について、保険料率及び再保険料率算定基準を法定したことであります。現行の元受純保険料率によれば、保険収支は、大型船関係では黒字、小型船関係では赤字となっておりますため、小型船引き受け意慾が低調であり、また、小型船を主体とする保険組合においては、経営の困難、執行体制脆弱化等の事態を招いている状況であります。従いまして、純保険料率危険率基礎とし、保険収支長期均衡を目的として定めるべき百の規定を設け、この点の是正をはかり、小型船積極的引き受けに対する保険組合の体制の整備を期することとした次第であります。また、現行制度におきましては、再保険率は純保険料中と同率とすると規定しているのでのりますが、本来再保険と元受保険とは、危険分散範囲を異にしている点にかんがみ、両者を切り離して定めることとし、再保険料率算定基準を、純保険料率とは別個に法定することにいたしました。すなわち、再保険料率は、台風その他の異状な天然現象にかかわる危険率基礎として、各保険組合ごとに算定される異常危険部分の率と、再保険本来の全国分散の建前に立って全国の平均通常危険率を基準として算定される通常危険部分の率とを合計した率といたしたのであります。  第二点は、保険料国庫負担の方式を改善したことであります。現行制度においては、義務によって保険に付された漁船等について、そのトン数の大小を問わず、一律に、一定保険金額に見合う純保険率の二分の一を国庫負担するこことしているのでありますか、経営規模による負担能力の較差を考慮すれば、このことは、必ずしも合理的ではないと存ずるのであります。従いまして、今回漁業経営規模に応じて国庫負担階層差を設けることといたしたのであります。すなわち、異常な台風その他の天然現象による危険率は、負担能力の劣弱な小型船階層に特に高く、また、それが不可抗力的な危険であることを考慮して、当該異常危険率に対応する部分の純保険料は、全額が国庫負担することとするとともに、通常危険率に対応する部分の純保険料については、一定保険金額に見合う部分に対し、漁船規模の大小に応じ、最高百分の六十から最低百分の四十までの割合を乗じた額を国庫が負担することとしこの部面においても、小型船階層に対する国庫負担増額する措置を講じたのであります。この点の改善によりまして、義務付保等の場合について、右の料率体系合理化に伴う、小型船階層自己負担増加を防止し、むしろ、その軽減をはかって、小型船階層保険加入促進に資することとしたしだいであります。  なお、以上のほか、義務付保が成立しがたい場合において、純保険料率の引き上げにより小型船階層任意加入が阻害されることとなることを防止するため、義務付保以外の場合について、一定数小型船加入が実現した場合には、これに対し、義務付保の場合の二分の一に相当する国庫負担を行なう措置を新たに講ずることとし、小型船保険加入促進について万全を期することといたしております。  第三点は、義務付保の単位となる地区範囲明確化及び合理化をはかったことであります。現行法におきましては、義務付保の対象となる地区漁業協同組合地区としておりますため、漁業協同組合地区変更等により対象地区範囲が不確定となるほか、漁業協同組合地区が重複し、または広域である等のため、付保義務の発生が不円滑となる場合もなしとしないのであります。従いまして、義務付保の単位となる地区は、都道府県知事が原則として漁業協同組合地区と一致するように、指定するものとして、対象地区範囲の確定をはかるとともに、漁業協同組合地区が重複し、または広域である等の場合には、都道府県知事は、漁業協同組合地区の一部を対象地区として指定することができることとし、付保義務の発生が円滑に行なわれるよう配慮した次第であります。  なお、以上の三点のほか保険組合の役員に関する規定保険関係の承継に関する規定等についても、あわせて所要改正を加えることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概略であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。  次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  農林漁業金融公庫は、その設立以来七年、その前身である農林漁業資金融通特別会計時代をも通算いたしますとすでに九年間にわたり、農林漁業生産力を維持増進するために必要な長期かつ低利資金融通して参りましたことは、各位のよく御承知のところであります。この間公庫の貸し付けて参りました資金の総額は、昭和三十四年度末において約二千七百億円、その融資残高は、約千八百億円に達する見込みでありますが、昭和三十五年度におきましては、前年度に引き続き、重要農林漁業施策に即応して、農林漁業生産基盤強化経営の安定に必要な資金融通を行なうこととし、資本金増額業務運営円滑化融資条件変更等措置を講ずるため、本法律案提案した次第であります。  以下農林漁業金融公庫法改正内容について御説明申し上げます。  第一点は、資本金増額であります。昭和三十五年度における公庫貸付予定計画額は五百十七億円でありまして、前年度に比較して八十五億円の増加となっておりますが、この五百十七億円の貸付を行なうための原資は、年度内の資金交付所要額等を勘案いたしまして、一般会計からの出資金七億円、産業投資特別会計からの出資金七十億円、借入金といたしまして資金運用部から百二十八億円と簡易生命保険及び郵便年金特別会計から百三十億円並びに回収金等百五十四億円、合計四百八十九億円となっております。以上の通り政府一般会計及び産業投資特別会計から七十七億円を出資することとなっておりますので、現行資本金に関する規定改正することといたしたのであります。  第二点は、貸付金回収等業務の円滑な運営をはかりますため公庫が、その業務にかかわる現金を郵便振替貯金とし、または農林中央金庫もしくは銀行に預け入れることができることとすることであります。公庫業務の拡大とともに、公庫の直接貸しの事業量は年々増大してきているのでありますが、このような資金の借入れを受けた者が返済いたします場合、現行公庫法規定によりますと国庫代理店である日銀またはその代理店を通じて返済するほかなく著しく不便でありますことから、借入金の返済にあたりましては、郵便振替貯金による送金の道を開くとともに、同様の趣旨から農林中央金庫または銀行に預金できるごととし、これにより公庫貸付金回収事務簡素化をはかるごととし、現行第二十六条の規定改正することといたしたのであります。  第三点は、土地改良に必要な資金貸付にかかわる貸付条件変更であります。御承知通り土地改良に必要な資金据置期間は、現行公庫法上最長五年と定められておりますが、都道府県営土地改良事業に対し貸し付けられる資金につきましては、据置期間現行の五年ではなお短期にすぎることから、この期間を七年に延長し、もってこれら土地改良事業の一そうの円滑化を期することとし、土地改良に必要な資金貸付条件据置期間に関する規定を改めるものであります。  以上が、この法律案提案いたす理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。  次に果樹農業振興特別措置法案提案理由を御説明申し上げます。  今後の日本農業発展に大きな役割を果たすことが期待される部門の一つとして果樹農業があげられていることは御承知通りでありますが、最近における果樹農業の急速な成長は、この期待を十分に裏づけているものと思われるのであります。今その成長率についてみますと、昭和二十五年度を一〇〇・〇とした場合、昭和三十三年度には二四八・四とおよそ二倍半の伸びを示しており、またその粗生産額昭和三十三年度において六百七十九億円に達し、その農業生産額中に占める割合を見ますと四・三%という大きな比重を持っているのであります。しかしながら、今後の国民経済発展食糧消費構造高度化に即応した農業構造確立農業経営近代化に資するためには、このような趨勢にある果樹農業をさらに安定した発展の軌道に乗せることが必要であり、このため国及び都道府県による積極的かつ総合的な対策を講じなければならないと考えるのであります。従いまして、政府といたしましては、別途農林省設置法等関係法令の一部を改正いたし、果樹に関する行政を総合的に振興局の所掌とするとともに、振興局内に新たに園芸課を設置することにより、果樹行政強化拡充をはかるほか、生産、流通、消費及び輸出の各分野にわたり一段と総合的な施策を推し進めて参りたい所存であります。特に将来の果樹農業振興をはかるためには、流通、消費改善と並んで、果実の長期的な需給の動向に即応しつつ果樹の適地において合理的な経営確立をはかることが必要と考えられるのでありますが、今後の果樹園経営合理化基本的方向は、適正な経営規模を維持しつつ生産から販売に至るまでの諸過程においてできるだけ共同化促進することにあることにかんがみ、その基礎条件である樹園地集団化と効率的な機械及び共同施設の導入を計画的かつ積極的に推進することが緊要と考えられるのであります。  この法律案は、右に申し述べました樹園地集団化及び農作業等共同化を推進することを目標として、果樹の計画的かつ集団的な栽培を促進するための資金融通措置その他果樹園経営の基盤の確立をはかるための措置法律制度として確立し、果樹農業の健全な発展に資そうとするものであります。  以上がこの法律案を提出する趣旨の大要でありますが、次にその主要な内容を御説明申し上げます。  まず第一に、果樹の計画的かつ集団的な栽培を行なうことによって合理的な果樹園経営確立を図ろうとする農業者の集団またはその組織する法人であって、その樹立にかかわる果樹園経営計画につき都道府県知事認定を受けたものに対し、果樹の植栽その他に要する資金農林漁業金融公庫から長期かつ低利条件融通することしするとともに、その場合の貸付条件等規定しております。  第二に、資金貸付を受けようとする者は、果樹園経営計画を作成して都道府県知事認定を受けることとし、その経営計画内容及び都道府県知事認定基準並びに認定申請期間規定しております。  第三に国及び都道府県による果樹園経営計画の作成またはその達成のために必要な助言及び指導その他果樹農業振興のために必要な援助についての規定を設けております。  第四に、農林省果樹農業振興審議会を設置して、果樹農業振興に関する重要事項について調査審議させる一とといたしております。  第五に、以上と関連して、附則で輿林省設置法及び農林漁業金融公庫法所要改正を施しております。  以上がこの法律案のおもな内容でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第であります。  次に、開拓融資保証法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  戦後の開拓事業もすでに十余年を経過しその間、約十五万戸の開拓者は、不利な立地条件やたび重なる天災等にも屈せず、日夜営々と農業経営に精准し、一部には既存農家の水準をこえ、新しい畑作営農方式先駆者となっているものも少なくありませんが、他面、大部分開拓者は、重なる悪条件のため、その努力にもかかわらず、いまだに営農基礎確立せず、経営不振に悩んでいる実情であります。この現状に対処いたしまして、政府昭和三十二年制定を見ました開拓営農振興臨時措置法を中心といたしまして、開墾建設工事促進営農資金融資額の大幅な増額経営の重圧となっている負債の借りかえ等、これら開拓者経営の安定に必要な各般の総合施策を逐次実施いたし、その成果を上げつつある次第であります。昭和三十五年度は、前年に引き続き一段とこれらの施策拡充強化をはかりますとともに、別に提出を予定いたしております法律案による災害対策資金融通既貸付政府資金償還条件緩和等措置や、あるいは過剰入植地区移転対策等を新たに行なうこととし、これらの開拓営農振興対策の一環として、中央開拓融資保証協会に対する政府出資増額を行なうこととしたのであります。すなわち、開拓者の必要とする営農資金のうち、大家畜農用施設農機具等基本的生産手段調達するための長期資金につきましては、昭和二十二年設置いたしました開拓者資金融通特別会計から政府資金低利で融資する措置をとって参りましたが、肥料、飼料、種苗あるいは中小家畜等を購入するための短期営農資金につきましては、開拓者の実情からその調達がはなはだ困難でありましたので、昭和二十五年、農林中央金庫協力を得て開拓信用基金制度を創設し、その後昭和二十八年に至り、開拓融資保証法を制定いたしまして、開拓融資円滑化をはかる制度確立したのであります。  この制度は、中央及び各都道府県開拓融資保証協会を設立し、開拓者金融機関から短期営農資金を借り入れる場合にその債務をこの協会が保証することによって、資金調達を容易ならしめるものでありまして、自来、政府は、毎年中央開拓融資保証協会に対し出資を行ない、本年度までに、すでに、同協会基金四億九千五百六十二万円のうち三億九千万円を出資して、開拓者営農の進展に資して参ったのであります。しかしながら、開拓者現状営農振興の根幹である肥料の適期投入にも、なお、その資金調達に事欠く状態であり、また、乳牛等家畜増加に伴う飼料購入量の増大、中小家畜導入促進必要等から資金需要増加いたしていることにも対処いたしまして、政府は、昭和三十五年度において、一般会計からさらに一億円を追加出資いたしまして、融資ワクの拡大をはかり、営農資金融通を一段と拡充し、もって開拓者農業生産力発展農業経営の安定をはかろうとするものであります。  以上が開拓融資保証法の一部を改正する法律案提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。  次に、漁業協同組合整備促進法案提案理由を御説明申し上げます。  昭和二十四年二月現行水産業協同組合法が施行されまして以来、漁業協同組合組織化は着実に進み、沿海の地区出資組合の数は、三千百余組合に達しており、これらの組合沿岸漁民の唯一の協同組織としてその経済的、社会的地位の向上と生産力発展をはかる上に果たしている役割は、ますます重要性を加えて参っておるのであります。しかしながら、これらの漁業協同組合の中には、なお多くの経営の不振な組合が存在しているのでありまして、これら不振組合整備を早急にはかり、もって漁業協同組合の本来の伸命の遂行に遺憾なからしむる必要が為るのであります。このことにつきましては、第二十四国会における衆参両院農林水産委員会及び第三十一国会における衆議院農林水産委員会におきまして、漁業協同組合整備促進するようにとの御決議があり、また、昨年十月の漁業制度調査会農林大臣に対する中間報告におきましても、沿岸漁業振興のにない手としての漁業協同組合整備強化をはかる必要性が強調されておりまして、政府といたしましても、これらの御決議等趣旨を体しまして、鋭意その対策を検討いたした結果、今般この法律案を立案し、提出いたしました次第であります。  次に、この法律案内容について、概略御説明申し上げます。  まず第一点といたしましては、事業の継続に著しい支障を来たすことなしにはその債務を弁済することができないいわゆる赤字不振組合についての整備目標、その手続、都道府県知事の援助及び弱小組合合併についての勧告等につき法定したことであります。すなわち、これらの組合がこの法律案規定によって整備を行なおうとする場合には、都道府県知事が指定する日現在により組合の資産の適正な評価を行なって貸借対照表を作成し、これに基づいて整備計画を立て、これにつき、都道府県知事認定を受けなければならないこと、整備計画内容には組合員及び関係連合会との利用及び協力強化するための措置執行体制改善増資等組合整備を進めるために必要な事項を定めなければならないこと、整備目標としては、五年間に固定化債務の整理と欠損金補てんを行なうべきこと等につき法定いたしまして、組合整備の実効を期することとした次第であります。また、これらの組合が、その整備を進めるにあたりまして、都道府県知事が必要な助言またはあっせんができることとし、さらに組合が有する過去の欠損金補てんを容易にするため法人税法人の特例を設けることといたしております。さらに、漁業協同組合整備の一環といたしましていわゆる弱小組合合併につき都道府県知事が勧告をすることができるようにするとともに、合併を内部的に促進するため、漁業協同組合漁業権行使に関する定款の設定及び変更についての特例を設ける等の措置を講ずることにいたしました。なお、信用事業を営む漁業協同組合連合会整備を行なう組合組合員に対して直接貸しを行ない得ることとして、組合整備を側面から援助するための規定も設けることといたしております。  次に第二点といたしましては、漁業協同組合整備を助成するための組織として漁業協同組合整備基金につき定めたことであります。組合整備促進するためには、前述の諸措置のほか信用漁業協同組合連合会及び農林中央金庫がこれらの組合に対して有する債権の利息減免を行ない得るようにすることが必要であるわけであります。従いまして、漁業協同組合整備につき密接な関係を有しております漁業協同組合連合会漁業信用基金協会及び農林中央金庫をもって組織する漁業協同組合整備基金という団体を設け、整備基金は、これらの者が出資する出資金及び国から無利息で貸し付けられる資金運用益をもって、整備を行なう組合に対し利息減免をした信用漁業協同組合連合会または農林中央金庫に対しまして、その減免利息の一部を助成する業務を行なうこととし、もってこれら金融機関整備組合整備に対する協力体制強化しようとするものであります。また、整備基金はこの利子補給業務のほか、合併奨励金の交付及び漁業協同組合整備に関する指導業務も行ない得ることとなっております。  次に、整備基金内容についてでありますが、前述のように整備基金出資し得る者は漁業協同組合連合会漁業信用基金協会及び農林中央金庫でありまして、これらの出資者は、出資者総会において役員の選任及び定款の変更業務方法書の設定、変更等についての議決をすることができることとなっております。また、国は、整備基金に対して、その業務運営に必要な経費の財源の一部をその運用によって得るための資金無利息で貸し付ける旨を定め、整備基金業務財政的基礎を強固にするための措置を行なうことにいたしております。その他整備基金の財務に関しまして出資者配当禁止等規定を設けましたほか所要の監督及び罰則規定を設けまして整備基金運営が健全かつ円滑に行ない得るよう配慮いたしました次第であります。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。  次に、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  昭和二十七年十二月中小漁業融資保証法が公布施行されて以来、現在三十九の漁業信用基金協会が設立されて、中小漁業者のためにその債務の保証事業を行なっており、その保証累計額は、昭和三十四年十二月末現在で三百六十億円を上回り、漁業金融の円滑化のために大きな役割を果たしております。しかしながら、翻って、本制度運営現状をしさいに検討いたしますと、債務の保証額が増加するに連れて、債務者に対する求償権も次第に累増するに至り、これが回収の円滑化をはかることは、中小漁業融資保証事業の健全な発展のためにきわめて必要なことになっているのであります。ここにおきまして、政府といたしまして、この法律案を立案し、提出した次第であります。  次にこの法律案について概略御説明申し上げます。  現行制度によりますと、政府は、漁業信用基金協会とその保証につき保険する契約を締結し、この契約に基づき保険金を支払った場合には、協会が有する被保証人に対する求償権について、支払った保険金の限度で協会に代位して求償権の一部を収得し、さらにこの権利の管理及び行使を協会に委託することにいたしております。今回は、これを改めまして、政府保険金を支払った場合においても、協会の被保証人に対する求償権に代位しないこととし、協会は、求償権の管理及びその行使にあたり、これにより回収した金額があるときは、その金額のうち支払いを受けた保険金とそれに対する利息との合計額に相当する金額を政府に納付しなければならないものとしたことが第一点であります。  第二点は、漁業信用基金協会は、保証債務を被保証人にかわって弁済をした後、三月を経過しなければ、政府に対して保険金の支払いの請求ができないのが現行制度でありますが、これを一月に短縮した点であります。  第三点は、さきに申し上げました第一点の改正に伴う経過的措置であります。すなわち、政府は、現在、すでに代位により取得した約四億円の求償権を所有しておりますが、この権利は、その管理及び行使を協会に委託しております結果、改正後生ずる求償権と異なった取り扱いを受けるごとになりますので、これを避けるため、政府の所有している求償権を協会に譲り渡しまして、求償権の管理及びその行使の一元化をはかることにしたのであります。  なお、以上の三点のほか、第一点及び第三点の改正に伴い中小漁業融資保証保険特別会計法に所要改正を加えることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願いする次第であります。
  6. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) これらの法律案の審査は日を改めて行なうことといたします。  ここでしばらく休憩し、午後は一時から再開いたします。    午前十一時二十六分休憩    —————・—————    午後一時十五分開会
  7. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから委員会を再開いたします。  農林水産基本政策に関する件を議題といたします。  この件について、農林大臣に対し質疑の要求がありますので、順次御質疑を願うことにいたします。  なお、質疑の時間は、さきに申し上げておりましたように、答弁の時間を含めて一人三十分以内にお願いをいたします。
  8. 清澤俊英

    清澤俊英君 農林大臣にはいろいろお伺いしたいことがたくさんあるのです。まず、貿易の自由化の問題であるとか輸入米の制限超過の問題、抑留漁夫の送還の問題、農業災害の問題、所得倍増の問題、わしらの方の地盤沈下の補助金の問題であるとか、流通上の問題、農業保険の問題等たくさんありますが、これらの点は、時間の制限がありますし、同僚委員もたくさん質問せられますので、多分重複するであろうと思いますので、質問の中でお伺い漏れがあった場合に、一番あとでお伺いすることにして、私は本日、農林大臣からぜひお伺いしておきたいと思いますことは二点ありまして、第一点は、先日、大体提出法案の一覧表が提出せられたのでありますが、その中で農地法の一部を改正する法律というのが出ておりまして、その法律案の大体改正を要する点として二つあげられておるのです。第一は、農業法人化に伴いまして農地法並びに農業協同組合法を適用したものに改正していこうという点であります。第二は、不用農地の売り払いについての点を農地法で改正していこう、こういうのであります。そこで、まずお伺いしますことは、この農地法の一部改正法案は、二月中旬までに用意してありますが、農業法人化の法案というものは、この予定表にあり、ません。従いまして私は、この法律審議を進めて参りますには、農業法人とにらみ合わして、そうしてこの法律審議に当たることが当然だと思いますので、従いまして、いろいろこの点でお伺いしたいことがたくさんありますが、本日お伺いします点は、この農業法人の法案はいつごろまでに用意せられるのか、いつごろまでに出るのか。農業法人が出なければ、この改正は何ら役に立たぬことであります。それをまずはっきりお伺いしたい、これが第一点。  第二点、私は一番重点としてお伺いしたいのでありますが、不用土地の払い下げという問題であります。大体不用土地とはいかなるものを目ざしておるか。不用国有土地、入り用のない国有土地というのは、どういうことを意味しておるか、この点をはっきりしてもらいたい。おそらく私は、この問題は不用土地という題目で出ておりますが、これは前々から問題になっている買収未墾地の十六万何千町歩のうち、まだ未開墾地として残されておりますうちから、旧来約一割くらいが開拓不適地であるから、これを今までの経過といたしましては、売り払いましたところの、買い上げにあいました地主関係から不適地であるものは一つ払い下げてもらいたい、元の者に返してもらいたい、こういう意見もある。これに対しては農林省としては継続的に何らかの方法で考えておる、こういう過去の経過があるのであります。従いまして、不用土地という名目を使って農民の刺激を緩和するために、実際は買収未墾地のいわゆる不適地と称するものを返すあれがあるかどうか、その点を明らかにしてもらいたい。なお、御答弁によりましては、継続してお伺いしたいと思います。
  9. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ただいまお尋ねの農地法の改正並びに農業協同組合法の改正、これがすなわち農業法人問題そのものなんです。別に農業法人に関する立法を御審議をわずらわすのではなくて、農業法人ということを考えて、それを実行するために、ただいまお話の二つの法律改正を必要とする、かようなふうに今考えておる次第でございます。と申しますのは、ただいま諸般の情勢を勘案いたしまして、私どもといたしましては、一応農業法人という今の農民の間にできつつある現象を、これを法制化することが適当ではないか、というふうな考えを持っておるわけであります。そういう考えをもちまして、その適法化をはかるということにいたしますると、ただいまの農地法の改正が必要になる、また農業協同組合法の改正が必要になる、かようなふうに相なるのでございまして、今、改正農業法人をどうするか、従って、その両法律案をどうするかということにつきましては、最終的な検討をしておりまするが、検討のでき上がり次第御審議をわずらわしたい、かように考えておるようなわけであります。  それからもう一つ、国有未墾地の売り払いに関する法律でございまするが、これは政府におきまして、相当開拓予定地として買い上げた場所があるのでございまするが、その不適地につきましては、従来とも所有者に売り払いをいたしております。ところが、その承継人に対しましても優先的な売り払いができるように、この際、法の改正をいたしたい、かようなことで、また御提案を申しておりませんけれども、農地法の改正をいたしたい、かように考えております。
  10. 清澤俊英

    清澤俊英君 第一点ですね、農業法人の問題とからんで、今のところは農業協同組合法と農地法の一部を改正することによって、それにかえて今のところはいごうと考えている、だがしかし、農業法人というものを法制化して出すということも考えておるから、それを今にらみ合わせて調節をして、これは、だから、そうしますると農業法人というものは将来出されるのか、出されないのですか。にらみ合わせて検討中だと言われるが、出されるのか出されないのか。と申しますことは、たびたびこれは問題になって、農業法人の問題は出すんだ、こう農林大臣は大河原君の本会議の質問にも答えている。だいぶ今言うておられることと方向が違ってきておるんです。この点はどうなるのですか。
  11. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 農業法人問題というのは、法人農業の耕作形態を認めていくかどうかということなんです。そこで私どもといたしましては、いろいろ事情を考えまして、さような方向がこの際、打ち出されるべきではないかというふうな考えを持っておるわけであります。それをさて、法制化するということにつきましては、農業法人に関する単独の立法という必要は私どもはない。そういう形態でなくて現行の農地法を改正いたしまして、そして法人農業経営ができるというような適法な形を作っていこう、こういう考えなんであります。すなわち、農地法の改正ということが農業法人問題そのものでございます。それからその場合に、農業協同組合にも耕作形態を認めるべきではないかというふうに考えますので、それは農業協同組合法の改正でいくということでございまして、農業組合法の改正そのものがすなわち農業法人問題解決そのものの立法に当たる、さように考えます。
  12. 清澤俊英

    清澤俊英君 その問題ですね、先ほど申しました通り、私はいつごろ出されるかということを中心にお伺いしたのですから、これで打ち切りますが、決して打ち切ったのじゃございません。必ず他の議員によって質問せられることだと思いますから、そのあとでまたいろいろなものがあれば十分お伺いしたいし、法案が出た場合になお突っ込んでやってみたいと思いますから、これで打ち切ります。  次の不用土地という文字を使ってここに表わされたことと同時に、所有者の一般継承人もというのは、これは相続人のことをさすのですか。
  13. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 私からお答え申します。そこに出しておりますのは、農地法の八十条の関係と、農地法施行令十八条の関係でございまして、八十条におきまして、国で買収しましたような土地が「自作農の創設又は土地の農業上の利用の増進の目的に供しない」、これは開拓未墾地の場合でございますが、こうなった場合には「買収前の所有者に売り払わなければならない。」というし実は規定がございます。実は宗教法人法ができまして、すなわち、宗教法人が同じ神社なり、お寺であったものが、法人格が変わったというような問題があり、あるいは市町村合併になりまして、従来の市町村が持っていたのを買収しましたものが合併しまして新しい市町村になったので人格が変わったというふうなことで売り払いできないというような不公平もございまして、実は三、四年前からこの関係の取り扱いをめぐりましていろいろ検討いたしております。私どもとしましては、そういう市町村合併をしたもの、あるいは宗教法人になって新しい法人になったもの、あるいは一般の承継人——相続人でございます——自然人の相続人という人に、その土地が不用になった農地として使われぬということになった場合に、売り払いをしたらどうかという規定改正をしようかというようなことでございます。
  14. 清澤俊英

    清澤俊英君 なるべく答弁の数少なくして下さい、時間が制限してありますから、従いまして、不用になった土地、開墾に適さないということはどういう状態なんです。これは重要な問題だと思います。
  15. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) これはまだ検討いたしておりますが、たとえば、一つの考えとしまして、終戦直後だいぶ買収を進めまして、まだ全然手をつけぬ土地がだいぶございます。この中の土地につきまして、これが今の社会経済条件からして開拓適地かどうかという判断もしなければなりませんし、もう一つは、自然条件としてはたしてよかったかどうかということも、一つ再検討をしてみまして、どうしてもそういうところを開拓しますことは無理だというようなことがございますれば、実は現在でも売り払いはいたしております。不用の認定をいたしまして、そういうことをいたしました場合は、相続人にも売り払ったらどうかということを考えているわけでございます。
  16. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは非常に問題だと思うのですがね、私は。今そういうことを現在もやっていると言われると、非常に問題が残ると思うのです。と申しますことは、現在このたびの予算を中心にしました大臣の説明を見ましても、結局、食糧増産対策という項目を書いて農業基盤強化という題目で書いていろいろ土地問題を取り上げておられる。このことは総合的な農業経営の立場から立ってやっていくのだと、こう言われておりますが、これは今始まったことじゃないのです。結局、河野農林大臣が間に合わぬものを作って、いわゆる間に合わぬ米ということです。米を作っていくよりは、間に合った、経済と経営に合った生産をしていくことがいいじゃないか、こういうことが言われたことがまずこれが出発点だと思うのです。従いまして、代々の大臣が、その後農林予算の説明に対しまして、施政の方針の説明に対しましては、必ず具体的に食糧増産対策という文字を使わぬで、農業基盤強化促進という題目を掲げて、ここに予算の柱を立てて説明してこられた問題であります。従いまして、最近においては、畜産にいたしましても、あるいはこのたび法案になって出ておる果樹振興法にいたしましても、あるいは養蚕の問題にいたしましても、その他そういうものを中心にしてやりまするときは、少なくとも耕地の集団化近代化、従いまして、経営合理化、機械化というようなことが取り上げられていますが、しかし、それで一番問題になるのは、これの必要とせられることは、とりもなおさず私は非常に耕地の少ない山間地帯が一番多いのじゃないか、いわゆる未開拓の買収地として行なわれました地方が一番こういう問題を取り上げて経営強化をしていかなければならぬ今情勢になってきっておるのじゃないか、農民もまた、これに即応するがごとく、農業共同化等を進めて、農業共同化を法文化してくれという、しかも、それに対しては裏づけのあるものにしたいということで、農業法人化という問題が大きく取り上げられてきておると思う。これはやるのだとあなた方の説明に全部書いておる。一つずつ取り上げて申しますれば、養蚕の問題にしましても、養蚕の集団化あるいは機械化、そうしてこれによりまするところの条桑育とか、全齢飼育とかというようなものをやって、多収獲と生産費の低下をはかる、いずれの面にもさようなものが出てきておる。あるいは畜産の問題にしましても、放牧地の問題であるとか、あるいは草資源の造成であるとか、草地の造成であるとかというような問題について相当の予算を作って一生懸命出しておる。ことに、はなはだしくこの問題と関連しておりますのは、とりもなおさず、この予算の中に畜産局から出ました草資源の調査の費用といたしまして五十二万九千万円か何かを調査費用としてやっておられる。その中には農業利用の調整という問題が非常に深く取り上げられておる。これは農地を集団化するために一番難問題になりまするのは、土地を集めるということです。これは容易に集まりません。だから、いかなる法律を作っていかなる集団化を進めてやっていこうといたしましても、新しい地区においては土地がないために、土地があってもそれを利用することができないために、利用することができないということは、結局は土地を集団化することが困難だ、これが一大障害だと思うのです。そういう事態の中にせっかく買い上げたものを、これをいろいろな理屈をつけておるが、その理屈も根本的に見まするならば、はっきりしておりません。ただ自然に合わぬとか合うとか、まあ急速に買ったために開墾に不適地であるとか、こういうようなことをいって、長いこと放置してやっておられる。今年の新規開墾を見てみましても、ようやく千件ぐらいのもので二億三千万円しか見ておらない。まだ現在ありまするところの未墾地というものを見ますれば、十六万五千町歩といわれている。その一割ぐらいが、今までは大体一万五千町歩ぐらいのものが、これが不適地であると、こう称せられている。それはどうも傾斜度がちょっと強いのだ、これが中心になって不適地だと、地味においては、そんなにひどい所は買収になる道理はないと思うのですよ。こうしてみまするならば、傾斜度が問題になりまするならば、私はここに畜産局としてまして参考資料にとりましたあるいは放牧地帯、草資源地帯等に対して、機械開墾では十五度から二十度ができる、人力では三十五度までいく、家畜では四十五度、乳牛では三十度から四十度、和牛では四十五度、馬では四十五度、綿羊が四十五度から五十度となっている。機械は十五度から二十度、人力は四十五度となっている。そうしてみますれば、傾斜度は問題にならないと思う。一番困難するものを法律を作って継承者とか、あるいは寺社にこれを返してやるとか、こんなことで土地をやりまして、はたして振興政策ができるのかどうか。農林当局のしっかりした返事を聞きたいのです。なぜこんなものを出すのか。農民の一大反撃をこれはくらいますよ。こんなものが明瞭になって参りましたならば、これは大へんな問題になって、私は湧き上がると思う。現在開墾したくても、増産開墾したくてもできないのは、現在の開墾買収地でありましてもあるいは農道の問題等でいろいろの障害があるために、それができないで停滞していることは、皆さん御承知通りであります。それらを整備して、どんどん新しい体系に持っていくことが正しいのじゃないかと思う。しかも、多額の金をかけまして、農山村、漁村特別対策費用なんというものを五カ年計画でやらしています。何らできないじゃないか。意欲は全部そこに向いているのであります。向いているけれども、予算の関係でそういった土地の集団化という問題が難点になって、えんごしているのが事実であります。これに道を開いてやりまするならば、別のものができ上がると思うのであります。何でこんな法律を出すのか、はっきりした返答を聞きたい。
  17. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 御承知通り、戦後には引揚者だとか、あるいは復員者とか、たくさんの人が内地に帰って参りまして、緊急開拓ということが行なわれたわけでございます。そういう一連の施策として開拓予定地を早く買い上げるというようなことにいたしまして、その中から条件のいいものから逐次入植なんかしているわけでございまするが、御承知のように戦後の緊急入植はどうも緊急ということであせつたということもありまして、うまくその後の営農がいっていないという面も相当多いのでございます。さようなことで、あるいはことしはそういう営農の不振の開拓地に対しましては、間引き政策というか、特に安定するような施策を相当手厚く尽くさなければいかぬじゃないかというような状態もあるわけなんでございます。まして、まだ入植もしないで政府の方で残っているという土地の中には、どうも入植に用いましてもこれはうまくいかないのじゃないかというような土地があるのは、これはまあ当然そういうものが出てくるのだろうと、かように考えております。さようなものを従来とも元の所有者に売っているわけであります。さような売り方をいたします場合に元の所有者という、限られた範囲では工合が悪いから、一般承継者にも売ろう、こういうことでございまして、まあお話の点、ごもっともな面もあるのでございまして、さような今後の集団化だとか、あるいは共同化だとか、そういう観点から必要であるという土地を払い下げるというようなことはないのでございます。もっぱら将来これは開拓のために適しないという土地の払い下げにつきまして、その払い下げの範囲を適正化しよう、かような趣旨でございます。
  18. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは非常に議論が尽きないと思いますが、私は、今までやって払い下げておったとしまするならば、これは直ちにとめるべきだと思う。とめていった方がいいのです。これから先土地を集めるのは大へんな話です。第三次農地解放ということは農民の最大の要求です。どうして山間地だけが山林ともにこれを解放せられないのか、その不平がとりもなおさず今問題になっている。そうして、しまいの果てが被買収農家に対する地主さんの生活状態の調査なんというつまらない問題を起こしている。これは別です。結局すれば、私は大体解放農地に対する賠償問題の基本は、山間部の一番恵まれた地主さんが一番中心でした、新潟県あたりは。従って、今未墾地を十年たっても手もつけないような開墾地を返そうというようなことが中心だということで、たまたまこれが一反十万円ずつ国から補償金なんといって、五百町で、十万円とれば富くじ買うようなものですから、食いついているわけで、それをやり場がなくて、自由党の圧力に屈しちゃって、あんなばかげた法律を出しているのです。これは別の問題です。結局、そういう山間地主が重大問題です。国でせっかく買ったものは全部それは持っていくのが私はいいと思う。結局すれば、開墾地に適さないということは、開墾地に入れて、そうして穀物を中心にした自家食糧くらいを作るような今までのやり方だったから問題が生じてきましたけれども、これを部落等に当てまして、そうして大きな放牧地を作ってやるとか、草資源地を創造してやるとかしまして、部落全体の利用等に使われるように国の未墾地がされましたら、相当広大なものがあったから、そういうことにどんどんしていくのが正しいのじゃないか、それを不適地だ、大体不適地か不適地でないか、だれが判断するのか、はなはだそういう判断はしまいの果てに力関係によって不適地というものが、適地であっても不適地になる場合が多いと思う。今までの開墾地の開拓事業の進行等において、そういう問題がたくさんでき上がっているのです。せっかく開墾してみたが、あれがどうだこれがどうだといって文句をつけて、なかなか開墾させぬという事例は山ほどあります。こういう山の中は不適地でありますから返します、不適地というものがはっきり出ておらぬじゃないか。今も聞きますと、自然条件がどうとかこうとか、いずれも抽象的なものです。傾斜度は何度以上にして、土壌その他の樹木の成長度はどうであって、今までの災害地としてどうであるとかというようなことでも何かの基準というものがきちんとできているのですか。あったら聞かして下さい。
  19. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 未墾地の買収をしますときの適地につきましては、農地法施行令四条に書いてございます。基本でございますが、傾斜度、土性とか、土層、礫の含有度というようなことで、一応自然条件は作ってございます。今、大臣からおっしゃいましたように、過去に買いましたものでその後地区計画とかいろいろ立てましてやるわけでございますが、その場合にも、そういう自然条件に合わなかったというようなことで、今までも売り渡したものがずっとございます。三十四年度も一万数千町歩たしかあるはずでありますが、それは国と県でその計画を立てる際に、これはどうかという判断をいたしまして、返すものは返しております。ただ先生がおっしゃいましたように、なかなかこれから未墾地は取得できがたいのではないかと思います。これは価格の問題その他いろいろございまして、おっしゃるような事情がございます。開拓地につきまして、実は私ども開拓いたします場合、ここにほしい、新たに買いたいという所がありましても、なかなか過去のものが、不適当なものが放置してあるのではないかということがありまして、なかなか買収が進まないという実例もございます。私どもとしては、今始まったことではございませんので、実は不適地の売り払いをやっておりまして、今度御審議願うといって検討いたしておりますのは、この売り払いいたします際に、手続、今までは元の所有者だけでありましたが、相続人にも売ったらどうかというようなことを書いたような次第であります。
  20. 清澤俊英

    清澤俊英君 この問題はたくさん問題点を残しておりますから、いずれ法律審議その他適当の時期に再質問を継続していきます。ただ一つ、農林大臣から簡単に、時間が来ておりますから、お伺いしておきたいことは、最近農村の中から、農民の中から農業団体に対しまするところの体質改善という、下からの声が非常に強く燃え上がってきている。従って、自作農創設の意義もこれは多額の犠牲も払っているし、やって、そうして今現在気の毒な地主さんもそれは出ている。こういう中から強行いたしました自作農創設の問題は、農民の民主化にあったと思う。この民主化について、農協の体質改善と結んで、農林大臣はどう考えておられるか。ということは、私は最近における、ここ数年間の農協の考え方に対しては、大きな間違いを持っているのじゃないか、農協法の役員選出等におきまして、民主的な選挙でもって出された役員というようなものが、だんだんと上からの法律によりました押しつけ役員になっている。一番ひどいのは堀本さんが会長やっておられる農業委員会であります。その他も全部そんな形で出てきている。あらゆるものがそういうもので出てきている。それで民主化の程度が進むでありましょうか。従って、体質改善が本気にできるのだろうか、農林大臣、しっかりしたこれに対する見解をお伺いしたい。時間がありませんから、私はたくさんあるのですけれども、この点は徹底的に農林大臣と取っ組むつもりだけれども、このぐらに一応しておきます。
  21. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 農業団体といってもいろいろありますが、中央会、農業協同組合はおのずからその性格が違うわけです。農業協同組合につきましては、これはもとより自主的な農村の盛り上がりを基盤とするものでございますから、私ども上から押しつけというようなことは毛頭考えておりません。ますます農民の総意がそういう形において実現できるように助成をしていきたい、かように考えております。
  22. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは大臣、おかしいのですよ。自分で法律を出して、役員等の選出をだんだんこういうふうにしておいて、下から燃え上がらぬといっても、どこから燃え上がるか、ストップして燃え上がれといってもこれはなんだ、デモ運動みたいなものです。従いまして、せっかくの養蚕問題でこの間やってみましても、二つも問題が出ているでしょう。農業団体の問題、一体、大体組合製糸なるものは本質はどうなっているのですか、農業団体は養蚕農民とは全然縁が切れた、蚕糸局長ここにきているが、蚕糸局長などは、その農業団体に横浜取引所における仲買人の資格を与えてとんでもない商売やらせている。農協法違反ではないかと考える。そういうようなものが往々に考えられる。きょうの新聞見ますれば、全販連が今度ソ連とバーターをやるのだ、水産物から繊維から何から何まで全部こっちから売りつけて、こっちから売るためには、澱粉なんかを売りつけて、一緒に繊維なども売りつけて、そうして向こうから今度はニシン三千トンとか五千トン入れまして、それはもう北海道の全漁連等から問題になると思うのです。北海道の沿岸漁民は大反対している。そういうことまでやろうとしている、そういうことは許すのかどうか、範囲を逸脱したことをぐんぐんさしておいてそうして農民と離れたことを片端からやっていくというような形をとっておって、それで私は体質改善になるかならないか、そんなことは農民が反対しているのですよ、それを改正してみたところで、下から燃え上がってといっても、上でストップしたのでは問題にならない、その点お伺いします。
  23. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) どうも御趣旨のほどは私もよくのみ込めませんが、また、とくとお伺いいたしまして、考えてみたいと思います。
  24. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 三十五年度農林予算案の御説明を受けたのでありますが、予算の内容につきましては、昨年度のといいましょうか、三十四年度の当初予算に比べて二四%も伸びておる。非常に農林大臣の御奮闘に対しては敬意を表するものでありますし、また、その予算の内容につきましては、非常に微々たる傾向ではありますけれども、いわゆる国民所得の増額、こういう問題とからみ合わせた予算編成が見えておるということも了承できるのであります。ただ、その中で特に大臣にお伺いしたいのは、農業基盤整備費、これは、その中の土地改良費につきましては、三十四年度当初予算に比べまして一四%程度伸びております。また、内地だけを比べましても一六%程度伸びておる。ところが、問題がありますのは、団体営の土地改良であります。先般、私は農地局長にもこれについてお伺いしたのでありますが、どうも局長の答弁では満足できませんので、あらためて大臣にお伺いいたします。団体営の土地改良については、見かけの上では三十四年度当初予算に比べて、全体として四%程度伸びておる。また内地だけを比較いたしますと三%程度伸びておる。しかし、その中身を見ました際に、団体営の灌漑排水では、総体として減っております。内地だけを見ましても、三十四年度当初予算に比べて四%減っておる。また耕地整備も同様減っておる。見かけの上では三十四年度当初の約四十億六千二百万が四十二億二千七百万程度になってはおりますけれども、その中身を見ますと、いわゆる名神国道のためのひもつきの土地改良、これで一億四千万ばかりふえており、融資監督費で三千三百万程度ふえておる。本来の団体の土地改良が減っておる。一方、大臣が御病気で御自身はおいでになりませんでしたけれども、大臣の代理で政務次官が農林大臣としての予算説明をなさいました内容を見ますと、私はここで読みますが、「団体営土地改良事業につきましては、積寒、湿田、急傾斜等特殊立法地帯振興計画の早期達成を目途とし、非補助小団地等土地改良事業融資ワク増額と相待って補助事業の拡充をはかることといたしました。」と、こう大臣説明ではおっしゃっておるのであります。大臣説明ではそうおっしゃりながら、中身においては——見かけはふえておるけれども、その中身においては減っておる。これは全く私どもとしては理解がいかないところであります。あるいはこれについての御説明としては、伊勢湾地帯等の救農土木費に別途二億計上してあるとかいうようなお考えもあるかと思いますが、大体、この団体営の土地改良昭和二十三年まで、いわゆる小規模土地改良と農用公共施設とかいう名目で継続して参ったものでありますが、二十四年に日本の財政計画を立て直すために来たドッジ氏の勧告で、この補助予算は原則的には切られました。わずかに継続事業だけ昭和二十四年度——二十五年度継続したのであります。当時私は政府におりまして、こうした事業関係をしておりましたので一番苦労をしたものなのでありますが、その予算を復活するために、積雪寒冷単作地帯振興特別措置法でありましたか、そうした議員立法によってこの団体事業の復活をはかり、昭和二十六年度に予算としては復活してきた。それから今の急傾斜地帯とか、あるいは湿田単作とか、もろもろの特殊立法が出てきて、団体事業の拡充をはかり、食糧増産あるいは農家所得の向上という点に寄与してきた予算であります。それがせっかく大臣の非常な御努力によって農林予算が二四%もふえた。まあ一方には、それは食管の赤字補てんであり、あるいは伊勢湾台風の災害復旧の予算等の増額が中心であって、農林予算の中身そのものは大した飛躍ではないのだ、こういうふうに言っておる方々もありますけれども、しかし、農業基盤整備費そのものとしては一〇何%ふえておる。いつも農林省が言うように、国営事業、県営事業、団体営事業というものがお互いに、何といいましょうか、助け合うといいましょうか、調和のとれた速度をもって事業が展開されていくことにより、その事業の効果を上げるこう言っておる。そうしてこうした国営事業、県営事業がふえておるその段階で、団体事業だけが逆に減っておる。もちろん三分五厘の非補助融資が六十三億から九十億に飛躍的にふえたということはあります。ありますけれども、やはり積寒地帯とか、あるいは急傾斜地帯とか、こういう再生産の蓄積を持たないようなところに対しては、少しでも手厚い補助政策をとって農業所得を伸ばしていく、他産業との較差を縮めていく、あるいは同じ一次産業の中の利益の較差を縮めていく、こういうことがほんとうの私農政だと思うのでりますが、その点において、非常に現われた予算がその体をなしておらない、こういう感を深くするものでありますが、大臣の御見解を承りたいのであります。
  25. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 団体営の予算が前年度に比べまして三十五年度におきましては、内容的にふえないという点につきましては、お説の通りでございます。これにつきましては、ただいまもお話ありましたが、融資の方で六十三億から九十億というふうにふやしますので、まあ大体これが非常な激増でございますので、補助事業の方はさようなことでバランスがとれるのではあるまいかというような感じをもちまして、かような配分になっておりますが、しかし、この補てんは、御指摘のようなことはまことにごもっともな次第でございますので、次の予算の機会におきましては、これが是正をはかることにいたしたい、かように存ずる次第であります。
  26. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 是正はこれはぜひやっていただかなければならないと思うのでありますが、確かに融資の拡大ということは、これはけっこうなことでありますけれども、くどく申し上げて恐縮でありますが、この団体営の補助を復活した経緯、歴史というものもお考えになって、積寒地帯、急傾斜地帯あるいは湿田単作地帯、そうした特殊な不利な自然条件にあるところの農業所得を拡大していくということのためには、やはり最後の裏打ちとして、こうした予算を拡大していってもらう。先般、農地局長の御答弁に、何か大蔵事務当局と、こうした団体営の補助事業は固定的な扱い方をするんだという意味合いの御答弁もちょっとあったのでありますが、そうだとすると、これは非常に問題がある。やはり予算の伸びとともに、こうした問題を考えていただきたいということでございます。どうか大臣の今のお答え——特に一昨年でありましたか、一昨年の衆参両院農林水産委員会での附帯決議もございます。三分五厘の非補助融資の制度設定いたされましたときに、こうした制度ができるとは非常にけっこうだ、しかし、そのことのために、団体営の補助事業があるいは減るとか、あるいは停滞するとかいうようなことがないようにという条件をつけておるようなこともありますので、大臣の今のお答えは、ぜひ行動の上で現わしていただくことを希望いたしまして、私の質問を終わします。
  27. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは、この予算の衝に当たった農地局長がちょっと考え方を間違っておったのじゃないかと思う。いやしくも、そういう大蔵省と取りかわしをしたということは、あるいは口頭で取りかわしをしたのか、文書で取りかわしたのか、その点もあとでお答えを願いますが、三分五厘の融資は、三十五年度は六十三億が九十億というきわめてひどい伸びをいたしておりますけれども、おのずからこの融資を使う団体営事業は、多少例を申し上げますれば、国営事業をやっておって、その次に県営事業、その次に団体営事業をやって初めて農家が利益を得るということであるのでありますが、それが跛行的に、国営事業は進んだが、あるいは団体営事業は非常に進まない。その例は千葉県の両総用水が非常な適例である。まあそういうことで、非常にあせる。少々損になっても、農家の負担はふえても、非常にあせるというようなところ、しかも、土地改良区が非常な組織を持ったそういう地方においては、この融資を利用して急速に事業をやるという場合もあるのでございますけれども、それが本質じゃない。この補助事業の団体営事業は、そういうことで、おのずからその目的が違う。その例を見てみますと、たとえていえば、単行法の積雪寒冷農業振興法、これがもうすでに九年もやっておる、あるいはまた畑地の農業振興法は七年半もやっておるというように、八年、七年というようにおのおの年限を伸ばしてやっておりますけれども、その実情は五〇%に及ぶか及ばないかというような状況である。こういうことから見てみますと、あながち低利資金の融資の金額がふえても、全国に及ぶ各地帯のこの団体営事業がそれがために解決する性質のものではないと私は思う。おのずから根本的に性質が異なっておるものである。それがために、第二十八国会においては、衆参両院とも強い附帯決議をいたしております。これは、農林漁業金融公庫法一部改正法案に対する附帯決議として、衆議院の委員会も、参議院の委員会も、附帯決議をして、それを本会議で可決いたしております。こういうことを知っておったか知らぬのか、とにかく三十五年度の予算では非常な欠陥が現われておる。だから、これは大蔵省と農林省事務当局が約束をして、文書をかわして、将来に影響があるということになる、これは重大な問題であろうと思う。各衆参両院議員はこういうことは考えておらないということを申し上げておきます。  なお、名神国道については、国道と農地の関係において、昨年のこの委員会で私はその点を究明したのです。当然国道をつけるために農地の団体営整備事業をやらねばならない、これは農林省がとるべき予算ではないじゃないか、企画庁あるいは建設省で予算をとって農林省に回すべき性質の予算ではないか、そうやった方がいいということを、私は強くここで申し上げたのでございますが、三十五年度の予算にはその欠陥が現われておる。それでふえたから、総体額はふえたが、結局この真髄である各単行法による団体営の予算は少ないというような結果を来たしておる。私がその当時憂慮した結果がここに現われておると思う。この点は、もし文書で大蔵省と取りかわしてあるのならば、これは議員の希望として、おそらく衆議院の委員会もそうであると思うのでありまするから、これはすみやかに一つ取り消してもらいたいと思います。
  28. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) この前先生のおいでになりませんときに私御答弁したのでありますが、文書の交換とか、そういうことは一切いたしておりません。これを三分五厘の低利融資をやりますときに、先生も今決議のことをおっしゃいましたが、あの当時の空気として、これができたから削減されるというようなことではいかぬと、団体営は確保すべきだというような決議があワましたことを、私も文書で見ております。それで私の方でも、実は団体営につきまして、前年度と大体同額ということでは——過去の例を見ますと、一億くらいずつふえたような形になっておりますが——困りますので、特に三十五年度につきましては、畑作地帯等を中心といたしまして団体営を大幅に伸ばしたいというふうな要求を実はいたしましたのは、そういう何もフィクスしてしまうのだという約束をしておらぬ証拠だと私は思います。そういう申し合わせばいたしておりません。ただ、われわれ要求いたします際に、大蔵としましてなかなかそういう態度がかたいということだけはこれは事実でございますが、今申し上げましたように、われわれとしましては、やはりもう少しこれを伸ばしまして、畑地の土地改良とか、そういうものはやりたいというようなつもりでおります。
  29. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは、大蔵省がそういう考え方を持っておるということは、この融資をやるときの年、三十二年度からそういう傾向があった。これはわれわれ農林関係議員の総意としてくずしたというような経過がある。だから、よく一つ御相談していただいて、大蔵省が強いからというてそういうふうにお考えにならぬように、将来その点一つ強くお願いいたします。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 簡単にお尋ねします。まず第一点は、今の団体営にもからむ問題でありますが、予算で見ますと、この農業土木事業総体としてはふえておるということですが、水系開発の面で県営事業分が特段と飛び離れて、今後において十七年くらいの残事業量を持っておるということになっておりますが、これは十七地区でこういう状態ですが、これは国営の方との関係はどういうことになっているのですか。それからこれは団体営の土地改良事業とはどういう関係になっているのですか。その残事業についてもう少し局長から説明をいただいて、大臣にお考えをただしたい。
  31. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 御指摘の国営、県営、団体営の関係でございますが、水系開発関係につきまして先生から御指摘のありました通り、水系開発分だけ見ますと、その年限が十六年になるのでございます。これは一応の試算でございます。水系開発の国営をとってみますと、七年くらいになっております。団体営につきましては、水系開発分は実はまとめてございませんので、また、これは別な資料で後刻差し上げたいと思います。今、国営と県営だけでも非常なアンバランスがございますので、実は私ども予算の実行にあたりましては、県営につきましては、水系開発その他につきまして、彼比これは融通が当然できることになっております。また、予算の大蔵省の査定があります場合にも、県営につきましては、一本々々はやっておりません。これは込みで査定の内示が来ておりますので、実施の段階におきまして今申し上げました七年、十六年というようなアンバランスは、これは極力直していくということを予算の実行の際にやっていきたいというふうに考えております。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、財源がふえてくるにしましても、限られた財源ですから、地区的な進捗等を調整していくという程度にとどまることであって、結局進んでおるところは、ある時期においてはこれを何と申しますか、その進度を鈍化さす、おくれているところにはよけい金をつけるというふうな形で、やはり全体としては十六年なら十六年というようなものが、前には引っぱってこれない、そういうことになるんじゃないですか、今のような予算のつけ方であれば。そうでない限りはどっかの地区を犠牲にして、極端に犠牲にして片方の完成をはかるというようなことにしかならぬのじゃないですか。それがまた末端の開墾建設事業あるいは土地改良事業ということになったら、もっともっとこの年度はおくれてくるというふうにも考えられるのですが、それらの点のやりくりはちゃんとできるわけですか。それで、その説明があったら大臣にお尋ねしますが、今持っておる残事業量は少なくとも何年ぐらいで完成させるという考え方で三十五年度の予算というものを考えられたのか、この点をお尋ねしたい。
  33. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) やりくりの彼比融通の問題でございますが、先生も御承知のように、水系開発に属しております県営というものは、県営の中で占める比率は実は少なくなっております。割合比率は少ないような関係がございますので、私どもとしましてはたとえば国営がもう完成するというような地区の県営がおくれて国営のダムができたが、県営の水路は通らぬ、水が通らぬというようなことになりませんように、そこは県営の予算の範囲内で何とか効果の同時発生ということはやっていきたいというふうに考えておりまして、ほかの県営にそう大きな迷惑を与えぬようなやり方で考えていきたいというふうに思っております。  それから何年ぐらいということでございますが、先生御承知のように、国営につきましては、特別会計に入れたものは、何とか干拓を含めまして七年で完成したいということで予算の要求をいたしているわけでございます。それから従来ありましたもので、特別会計になりませんものは、大部分のものがそれより短い期間で完成するであろうというようなことで、特別会計に入っておりませんでしたので、七年といとようなことをめどにして実は考えております。また県営につきましても、これも御審議願っているのでございますが、例の県営の融資につきまして、据置期間が今まで五年でありましたものを七年に延ばしまして、まだ効果の発生しないうちに償還にならぬようにということで、公庫法の修正も御審議をお願いいたしておりますが、私どもといたしましては、県営につきましても、大体七年ぐらいで完成をして効果が発生するようにしたいというような考え方を実はとっているわけでございます。団体営につきましては、大体三年くらいの間で、手をつけますれば団体営のものは完成するといとような、一応完成のめどはそういうところに置きまして、手当をしているような次第でございます。
  34. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私、国土総合開発の方をやったり、あるいは東北開発の方をやったりして、特定地域なり、東北開発の関係で、伊東さんも企画庁におられたときから各方面の事業を見ているわけですが、われわれ専門家でない者から見ても、多目的ダムを作る。それには農業水利の方の関係も参加している。ダムは完成する。幹線水路もまだろくにできない。従って、買った水が、何億とかけた農民の負担する水が、何年もただ流されている。それから、末端の県営の水路ができなければならぬし、開墾建設ができなければ効果が上がらぬ、こういうような場合が具体的にはあるわけです。そうして一方、農民が見るところでは、多目的ダムで一番最初に水の利用できるのは何かというと、水力発電です。これは電源開発なり、あるいは東北電力なり、県営発電なり、これの方は一年か一年半で完成して送電が始まっている。収益が上がっている。それなのにこの農業関係は何年もかかる。たとえば岩手県で例をとれば、胆澤の石渕ダムにおいては、二つの発電所はとうに完成をして、これは事業をどんどん進めている。しかし、胆澤川の灌排事業、これはいまだ完成しない。あるいは岩手山麓でも、丹藤川の発電所はもう竣工をみています、一つは。しかるに、まだ畑地の方への土地改良、水田への灌排の方は全然できない。そうして何年もかかっている。こういう状況は、食糧増産対策費というような名目を変えて、農業基盤整備費というような、まっこう上段から大眼目を掲げて今後の仕事をやっていこうというやさきであるならば、もっと抜本的に考えてもらいたいと思う点なんです。いつでもこういうことを局長なり農林省自体だけでやりくり算段しているということでは、私は経済効果という上からいって非常な大きなマイナスだと思っている。と同時に、もう年々七十億とか八十億とか、金を総体としてはつぎ込んでいながら、それが眠っているのですから、何年間というものはそれは経済的な効果というものは上がらぬのですから、この点をもっと、何と申しますか、総合的に検討を願い、そうして単に農林省の事務的な問題とすることでなしに、政策としてこの問題を処理するようにやってもらいたいと思う。大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  35. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) お話の点ごもっともでございます。ただ水系開発の場合には、発電なんかはどうしても上流の方になるのですから、勢いそれが先に着工になるということは、これはまあやむを得ないことだと思いますが、その後に引き続きます土地改良事業——ただいま七年見当でやっておりますが、なるべくすみやかに効果が上がるように努力をいたします。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いずれ水没地域の農民でもその後に上がる効果というものを期待してその農地も提供したり、いろいろな苦労をしておるのですから、従って、早期完成ということはやはり大きな眼目としてお考えを願わなければならぬと思います。  それからついでですから大臣に伺いますが、このごろ例をとると、名神国道でもよござんしょう、あるいは国鉄東海道線でもよござんしょうが、このダムその他において建設省や農林省関係における農地の国の買上価格と、こういう公社、国鉄等の、特に東海道線などにおける農地の買上価格というものは格段の差がある。この点はいつか農地局長に地代の問題としてお尋ねしたら、やめてくれということでやめたわけです。私は非常におとなしいもんですから、やめちまったわけです。しかし、この問題をいつまでも農林省はほおかぶりしておっても農民は承知しませんよ。都市近郷の農地が宅地に転用される場合にはどれほどの価格をしておるか、そうしてまた一方、そうしたつぶれ地があるために開拓に鋭意専心してるその開拓農家というものはどれほど恵まれておるか、こういうアンバランスな点については、農民自身は非常な憤激を持っておるのです。それは農地の賃貸料とも直接関係しますから、われわれもこれはこうすべきだということは、申し上げないんですが、しかし、国が個人、国民の財産権を買い取るというときには、憲法が保障しておるのですから、公平の原則がなくちゃならぬのです。ところが、同じ国民の税金を使って買い上げる農家の土地というものは格段の開きが各相手先によってあるんです。めちゃくちゃなんです。特にこの東海道線なんというものは、もう通すためには、農林省が言うようなそんなことなどでは現実的でない。いかようにでもしてやって農民に手厚くすべきである。しかも、そういうものは営利生産でやれるのだという、そういう用地の買収をやっているといううわさを私は聞くのです。これは調査してみなくちゃわかりませんけれども、そうして今日農地の地代というものについて農林省自身どういうお考えを持っておるのかお伺いしたいのです。今のようにいいかげんに野放図にしておいていいものか、国として、一貫したやはり建前というものを持たなければならぬものか、過去に電源開発会社があまりに高い農地の買い上げをやったために各省が困ったから、経済企画庁が一つの基準を示そうとして失敗し、電源開発会社のそれに関する一つの方針というものを各省が準用してやるような程度になっておるのです。こんなばかなことはないと思うのです。まあ大臣知らなかったら知らないと御答弁願っていいです。今後研究するならすると言っていただけば、研究のできた時期にまたお尋ねします。
  37. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 政府で買い上げる土地につきましては、大体歩調を合わしておると思いますが、今御指摘の電源開発なんかでどういう関係になっておりますか、私もよく事情を承知しませんので、お話の通りよく研究いたしまして、またお答えをいたすことにいたします。
  38. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ、大臣が研究すると言ったんだから、その研究の方は局長によろしくやっていただいて大臣がいなくても1今度は私はやめません。今度は各省ここに出てもらって、それぞれどう予算を使っておるかということを聞きたいし、局長の見解も聞きたいと思うので、やっぱり御調査なさっていただくことをお願いしておきます。  次に水産庁の関係ですが、漁港整備の問題です。計画の残事業量が幾らあって、予算が幾らかかって、何年でこれをやろうとしておられますか。私も昭和二十五年に当選して以来いろいろ聞くのですが、ことしで十年、もっと前からやっておるのだと思いますが、今後どれだけでこれが一応の完成を見るのか、事務的に御答弁願って、大臣のお考えを聞きたい。
  39. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) 漁港の整備につきましては、漁港整備計画という計画を立てて参っております。これは大体経済五カ年計画と歩調を合わせまして、五カ年計画で所定の漁港を整備する方針で予算を要求して参って今日が第三年目に該当しておるわけでございます。しかしながら、この現在の程度の予算ではなかなか漁業者の方々の御要求に満足させることは必ずしも十全とは参らないのでございますが、しかかしながら、災害の……
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もういいですから簡単に数字を言って下さい。
  41. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) それでは数字につきまして申し上げますと、三十五年度までの進捗率について申し上げますと、全体の漁港修築計画の大体四七・四%まで達しております。そのうちの第一期計画につきましては約七五%でございますが、全体の計画の、この全体計画と申しますのは、本土につきましては、一般のものと離島の分、それから北海道につきましては直轄工事と補助工事、それらを全部合計いたしまして考えますと、三十五年度末におきましては、全体の計画の四七・四%に達する見込みでございます。
  42. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、あとの方、五三%分は今後の二年間で完了するわけですか。
  43. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) そのような計画のもとに予算を獲得いたしたい所存でございます。
  44. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 三十五年度の予算の獲得状況から見れば、それも二カ年分で五三%分が完了するような予定ですか。
  45. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) これは災害の度合いにもよると思いますが、もしその方面に多額の事業費が食い込まれることがなければ、なお、計画した年度までに完成いたしたいというつもりでございます。
  46. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 経済五カ年計画に見合って新しく五カ年計画を作って、漁港整備計画を推進して三年経過したというのですが、その前から、二十四年ごろからかは、実際的には年々仕事を、やはり計画があって進めていきたたと思っておる。それをあらためて経済五カ年計画というような形で促進しようということで始めたのだと思いますが、私の聞きょうが悪ければ訂正しますが、三カ年で、前半をもう過ぎた時期で、四七%程度の進捗率というのに、後半の二カ年で五三%分の予算を獲得できるという事務当局のお話ですが、そういうふうに完璧にやっていただけますか。
  47. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 漁港計画は、国費だけでも三百六十八億円もかかるとなっておるわけです。三十五年度までで半分近くのものができて、さらに半分よりやや上回る額が三十六年度以降に残るわけでございますから、三十六年度にそれを一挙にやるというわけにはなかなか参らぬと思いますが、これはできる限り早くそれが完成するように努力をする、こういうふうにいたしたいと思っております。
  48. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう私の質問は終わりますから、最後にこの問題で申し上げたいのですが、年々歳々漁港整備、漁港整備、そして各漁港の関係者の運動、あるいは新規に繰り込んでもらうための陳情、これらでおそらく関係の議員はまあ一度ならず二度ならずこれにはもう頭を突っ込み、そしてまたその漁港にぶら下がっておればなかなか調子がいいという方も長い間あったのではないかと思うのです。そういうやり方というものを、私も関係した一人でありますけれども、あまりに毎年々々のことで、それも三百万円だ、五百万円だ、今の物価からいえばどうかと思われるような金で、じゃあ本年度の仕事はどの程度のことをやるのだと現場へ行って見たら、目に見えぬようなちょっとしたところを、わずか礎石をほうり込むようなことで今年は終わるでしょうというような、そういう予算のつけ方をぽちゃぽちゃと全国的にやっておる。そしてそれを、繰り返し巻き返しやっておる。こんなやり方というものは、これはやはりどなたかが大臣の場合に断ち切るべきだと、かねがね私は思っておった。福田大臣のように非常な実力を持っておられる方などがこういうことをやればいいけれども、まあ群馬の養蚕県ではちょっと海岸には関係ないから、熱意もこもらぬかと心配しておったのですが、あまりぱっとしません。事務当局は今後二カ年でやろうというのに、大臣は、ちょっとそれではきなかろうということなんですから、これもやはり沿岸漁業の振興なんということを大臣の施政方針に示されて、いろいろこまかな扱いを今度するようですが、何としても、沿岸の零細漁民にとっては船だまり、漁港、こういうものがきちっとしておらなければ仕事にならぬのです。漁港と船は農家における田地田畑と同じ程度のものなんです。もう少し真剣に扱いをやってもらいたいということを要望したいし、二カ年ではできなかろうということを今から大臣が正直に言うことなどは聞きたくないので、二カ年後完成ということを目途に全精力を傾倒しますくらいな答弁があってしかるべきですよ。まあ要望だけ申し上げておきます。時間と思いますから終わります。
  49. 東隆

    ○東隆君 私、一点、最初にお伺いしたいのは、今、漁港の問題が出ましたけれども、私は例の水産業改良助長法を何としても作りたいと思って、毎年主張いたしておるのですが、今回の予算で見ますと水産業改良普及事業の拡充というので、三十五年度に少しふえておりますが、二千七百万円余、それから農業の方のそれに該当するところの経費は二十二億七千二百万円余、まさに百分の一です。私は、農業とそれから漁業の方を比べてみまして、百分の一くらいの普及指導方面の改良普及員。これでは沿岸漁業の振興に力を注いだと、こう言われておりますけれどもさっぱり問題にならぬと思うのです。これはどういうふうにお考えですか。  それから、もう一つ、農村の方では例の負債整理を自作農創設維持資金でやる、こういうようなお話でございますけれども、漁業の方でもやはり負債をだいぶしょい込んだのですが、そいつに対しても片手落ちになる。そこで、やはり農山漁村の負債の整理をやる単行法をどうしても出さなければ問題にならぬと思うが、そういう点、どういうふうにお考えでございますか。
  50. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 改良普及員につきましては、まあそのバランスのお話でございますが、まあことしの、三十五年度の予算におきましては、大体農村、漁村権衡をとりましてやったつもりでございます。  それから、沿岸漁村の問題につきましては、漁村振興計画を中心にいたしまして、貧弱組合整備強化をはかりますとか、また魚礁を設置するとかのいろいろの施策をいたしますとか、いろいろ施策を進めるわけでございます。また、保険制度につきましても改正を加えますとか、また立法の方で御審議を願わなければならぬと思っております。  それから、負債につきましては、特に北海道におきまして負債の問題が取り急いで検討されなきゃならぬというふうに考えておりまして、三十五年度において相当精細な調査をいたしまして、その処理をどういうふうにするかということを進めて参りたい、さような考えで調査費を計上いたしております。
  51. 東隆

    ○東隆君 今のは、漁村の方もお調べになるのですね。
  52. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 一応農村ということが対象に表向きはなっておりまするが、実行上漁村の方も含めまして調査をいたしたい、かように考えております。
  53. 東隆

    ○東隆君 農林中央金庫法の改正の問題が日程に上っておるようですが、どの程度改正なさるおつもりですか、お伺いしたい。
  54. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 農林中央金庫につきましては、まあいろいろと考え方につきまして問題点があるんです。あるのでありますが、まあ特に私ども当面考えておりますのは、役員の選出の民主化という問題がかねてから話題になっておりまして、この点を中心に検討をいたしております。まだ最後的に、御審議をわずらわすような事態になりまするかどうか、結論を得ておりませんが、役員の選出方法を、今までは政府が中心になってやっておったものを、組合中心にこれを選出するというような方向に改めるというような考え方、これが中心になっておるわけでございます。
  55. 東隆

    ○東隆君 農林中央金庫の場合、政府出資はもうほとんど問題にならなくなっておるので、中身は私はもっと連合会のような組織に改めてもいい時代になっておるんじゃないかと、こういう考え方を持つわけです。それで、単に役員の選任の問題だけでは、私は農林中金の性格というものはそんなに民主化されぬと思うんです。そこで、もしお考えを下さるのならば、もう少し民主化の度合いを進めて、連合会のような性格にまで持っていくべきではないか、まあそういう考え方を持っておりますが、一つその方向でお考えを願いたい。  それから、例の自由化の問題でもって、通産省の方ではおそらく輸出入取引法改正の何が出てくるのではないか。これによって一番ひどい目に会わされるのは、農林水産物の輸出関係、貿易関係だろうと思うんです。ことに、あの法律改正の拠点はアウトサイダーですね、それの規制の問題が大きく出てくると思うんです。その場合に私はコーオパラティブによる貿易という考え方を少なくとも農林水産物では考える必要があると思う。その場合に、協同組合は民主主義の原則にかなっておるんですから、独占的な形をとった場合に排除される性格を持っておるわけです。それで、農林省として通産省が出してくる輸出入取引法改正の問題点に対してどういうようなお考えをお持ちになっておるのか、農林省としての考えを一つお聞きしたい。
  56. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 通産省の方で輸出入取引法の改正を、自由化に関連いたしまして、計画をしておるように伺っております。ただ、まだ正式な相談にはあずかっておりません。そういうような形勢を察知いたしまして、農林団体などからいろいろ注文を受けております。で、伺ってみますると、まあごもっともな点もあるようでございますが、私どもといたしましては、輸出入取引法の改正が行なわれるという際におきましても、これは基本的に自由化がありました場合におきましても、農林物資というような弱い立場にあるものは、これはまあ政府の方で徹底的に保護しなければならぬと、そういうふうに考えておりますので、その運用につきましては、全面的に農林省がこれに関与をして参りますとか、まあ完全な態勢を整えまして、農林物資の保護に対していきたい、かようなつもりでおります。
  57. 戸叶武

    戸叶武君 関連ですが、たとえば、ソビエトのような国家貿易の国との貿易の問題において、ソビエトではたしか協同組合貿易というものは独自性を持っているということを農林大臣も御認識の上で、今、東さんの質問に答えられたと思うのですが、協同組合貿易におきましても、それに対して国が積極的にタッチしてそれをコントロールするという意味での今の発言ですか、どういうのですか。
  58. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 正式な案ができまして、それで政府間で協議しているという段階ではまだないのでありますから、具体的なことは申し上げられませんが、抽象的に申し上げますと、いかなる法律ができようとも、法の運用につきましては、農林省は農林物資につきましては十分関与いたしまして、そうして農林物資の保護には万全の備えを尽くしたい、こういうふうに考えております。まだ具体的な話になっておりませんで、さように申し上げるほかはないのであります。
  59. 戸叶武

    戸叶武君 関与というのは、農林物資を保護するという意味で、貿易に対して政府が保護し便宜をはかるという意味に重点を置いての関与ですか、関与という意味は……。
  60. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) その法の運用ですね。取引法ができる過程におきましては、これはもちろん私ども十分これを見て参りまするが、その改正が行なわれた場合における法の運用につきましても、農林物資につきましては農林省で農林物資保護の見地から発言をして参りたい、こういうようなことであります。
  61. 東隆

    ○東隆君 今私のお聞きしたのは、輸出を中心問題にしたのですが、輸入の場合は、実はコンシューマー・コーオパラティブ、消費組合の系統でないと、実のことをいうと輸入ができないわけですね。従って、外国から農林水産物を輸入して、そうして国内でもって生産しているものがそれで非常に圧迫を受ける、農林漁業が圧迫を受ける、こういうような品物が非常に多いと思う。そういうような場合に、調節する何かいい方法をお考えですか。
  62. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 輸入の場合に、外国から輸入する品物と競合する国内の農産物、これにつきましては、価格支持政策ですね、これの運用によりましてその影響を排除していきたい、こういう基本的な考え方を持っておるわけであります。たとえば、当面一番問題になりますのは大豆でございますが、大豆は今一俵三千二十五円ぐらいですかの支持価格になっております。それで、市価を見ますと、三千二百円から最近は三千百五十円というような値も出ておりますが、その辺で動いております。現在の市価でこれを政府が買い上げるというような方法によりまして、外国から入ってくるものの影響を排除する。外国からの大豆は二千四百円ぐらいでございます。今一割の関税を取っておりますから、一割関税で入ってくることにしますと、二千六百円ぐらいになるわけであります。国産がそんな程度に下ってしまうということになっては困るのであります。国産は、従来通りの農家取得が確保できるという建前を政府はちゃんと備えた上で、これを実行するというふうにしたいと思っております。
  63. 東隆

    ○東隆君 大豆の問題は、現実としては今お話しのようなことになっておると思いますが、もうAASになるということを前提にした上で貿易商は輸入をいたしております。そうして北海道でせっかく自治共販の形でもってまとめたものが、売れない。今政府に泣きついておるわけです。そういうふうに声だけでもって非常に、昨年の今ごろに比べて約半分くらいしか売れていない。そんなような形になっているわけです。しかも、増収をされております。大豆の問題については非常にもうすでに困難な問題が起きてきているわけで、私は、今政府がある程度力を入れてそうして業者のほしいままな活動をある程度押えつけることをやらなければ、これは問題にならぬと思うのです。  そういう点と、それからもう一つ、私は大豆は麦と同じような傾向をたどると思うのです。価格支持政策があったとしても、おそらくは大豆の生産というものは自由化になれば減っていくと思います。これは政府がいかに価格支持政策をされても、減っていくと思います。それは北海道の戦前の状態を考えたときに、満州から大豆が自由に入ってきます、そのときに何に逃げたかというと、北海道では雑豆に逃げたわけです。エンドウだとか大手亡だとか、その他のもの、しかもそれは海外に輸出しておったわけです。だから、問題は、非常に少なくて、大部分のものを海外から輸入するというようなものに価格支持政策だの何だのやってみても、これはもうその場限りの問題であって、私は将来の問題にはならぬと思うのです。だから、この際国内でもってある程度生産されて、国内の需要を十分に満たし得るのだと、こういうような畑作物をとって、それの価格支持政策をはっきり立てる、そうして余分にできたら海外にそれを出す、こういう態勢をとるべきではないか。それにはどうしても雑豆を入れておかなければならぬ。菜豆類だとか、それからその他のビートだの、ジャガイモばっかり作るわけにはいかないのですから、畑にはそういうものを作らせる。それから、油脂の資源としての大豆だけではなくて、菜種の問題が支持政策の中に入っておりますけれども、これもやっぱり同じようにつぶれていくのですよ。だから、水田の裏作はもうほとんど壊滅するといっていいような形になってしまう。だから、この問題については、私は、考え方を別途にして、やはり麦の程度の考え方をやらなければ問題にならぬと思う。それから、雑豆だの何だのは、これは価格支持政策の中にすみやかに入れて、そうしてそれの維持をやる、国内でもって消費される以外のものは出す、こういう態勢を作るよりほかに手はないと思う。そうすれば、畑作の方もある程度の問題はかたがつきますし、あとは酪農関係だとか飼料作物であるとか、そういうもの。粗飼料は国内でもって生産されなければならぬですから、従って濃厚飼料、そういうようなものは入ってきましょう。そういうような態勢でもっていくよりほかに手はないのじゃないですか。私は、そういうような意味で、今価格支持政策の中になかなかお入れにならなかったものですね、アズキだとか、それから菜豆類、エンドウ、こういうようなものは急速に中に入れて、そうしてそれの生産確保をする、こういう態勢をとっていただきたいと思うのです。  これには通産省の方からも猛烈な反対が起きてくる。というのは、ビルマだの何だの、東南アジアの方からこれは来るのですから……。だから、入ってくるのですから、これをある程度押えて、そうして価格支持政策でもって維持しなければ国内の生産というものはほとんどつぶれてしまう。いいのは何かというと、もうちょっとで過剰になるわけですね、国内で使う以上に生産されるわけです、そういうものを支持しなければならぬ。もう少なくて、八割は外国から輸入せんければならぬというものは、いかにやっても問題にならないと思う。その点、もしお考ええがありましたら、一つお伺いしたいし、それから、これは雑豆を一つ価格支持政策の中に入れていただきたい。
  64. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 基本的に、国内で需給がとれそうならというようなものにつきましては、その際価格支持政策が新たに行なわれて、さらに生産を刺激して輸出が問題になって、しかも輸出ができないでというようなことになりますと、これは非常に大きな問題になってくると思います。それで、今後価格安定物質に新たに追加するという場合には、相当慎重な考慮が必要だと思います。それで、大豆の方はやはり国内におきまして、とうふだとかそういうものにつきましては、国内の需要がありますので、これを何というか、その生産を押えるという方向の考え方は私どもはとりたくない。むしろ大豆の生産性を向上して、たとえば、三十五年度の予算におきましても、大豆生産の敵である土壌線虫というものにつきましては相当予算を盛っているわけでありますが、大豆を作りましても引き合うのだというような考え方を進めるのがいいのではあるまいかというように考えたわけであります。  価格支持政策の点につきましては、なおとくと慎重に研究いたしたいと思います。
  65. 千田正

    ○千田正君 私は、大臣に伺いたいのは一自由貿易に関する問題と、もう一つは韓国間の問題です。  先般来、新聞で私が承知したのは、最近李承晩が、大統領選挙に際しての一つの選挙対策かどうか知らぬけれども、韓国産米を日本側に売りつける、日本側が米を買ったならば今まで抑留しておった漁夫を帰すと、こういうようなことを放送している。大体、数において三万トン、こういうことを言っているのですが、三万トンで現在長い間抑留されているところの漁民が帰されるということであれば、これはまあ金だけの問題にすればそう高い犠牲でないと思いますけれども、こういう問題が今後どういうふうにいくかということ。さらに、最近ひんぴんとして相変わらず李ラインにおいては拿捕あるいはいろいろな不法行為が行なわれている、その点について大臣の御所見を承りたいと思います。
  66. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ただいま日韓両国の間で国交の正常化につきまして話が進んでおります。話の進んでいる内容は、一つは抑留者を相互に交換するということ、それからもう一つは、それに並行しまして韓国との間の貿易を再開すること、それからその他国交の調整につきまして話し合いを始める、こういうことでございます。  その第一の、抑留者の交換に関連いたしまして、韓国側から韓国米三万トンをこの際日本で買い入れないかという提案があるわけであります。初めはその数字はもっと大きかったのでありますが、最近におきましては三万トンに落としてきているわけであります。私どもいろいろの問題につきまして検討したのですが、日韓関係を正常化するということは、これは何としてもしなければならぬ問題である。その一番の糸口ともなるべき抑留者の交換でございまするが、これも人道上の問題としてこれを早く実現をしなければならぬ。その条件というか前提として米を買い入れるべしと。これができなければ、すべてのそれらの日韓の問題が動かぬという事態になりますると、私どもといたしましては、米の輸入という問題、そういう一連の問題の一つとして考えなければならぬと、こういうふうに存じておる次第でございます。それで、いろいろ検討したのでございまするが、今、内地の需給から見まして、米を買い入れましても、多少手持ちになる傾向があるわけでございます。さようなことから、まず第一に、玄米で買い入れたい、貯蔵にというか長期保存に便利なようにしたい。それからもう一つは、買い入れる価格は、これは適正な価格といたしたい。それから、この買い入れは今度のそういう性質でございまするから、今回限りの買い入れであって、後々これが前例となることのないようにはっきり性格をいたしておきたい。  そういうことを韓国側において承知するならば、輸入のトン数につきまして考慮いたしたいと、こういう返答をいたしておるのです。それに対しまして韓国側では、玄米にするかどうかという点につきまして、実はまだ意思表示をいたしておりません、その他の点につきましてはいいんでございまするが。玄米でよろしいということになりますれば、まあ私どもといたしますると、さて幾らそれじゃ買いましょうか、その買う値段はどうしましょうかということの相談に入るという段階になるのでございまするが、今その玄米かいなかという点の向こうの回答待ちの状態でございます。
  67. 千田正

    ○千田正君 後段の、今回限りということですね、これはあくまではっきりしておかなければならないであって、向こうは、米を売りたくなったら、すぐまた李承晩ラインへ来て取っつかまえる、そして押えておいて、どうだ、こっちの米を買わないかと、いつでも交換条件に米を買わされてはやりきれないし、また拿捕されてはやりきれないのであって、はっきりこの点はくぎを打っておく必要があると思います。いずれの問題にいたしましても、この問題を早く片づけるということは、われわれ農林水産に関係している委員といたしましては、留守家族その他に対する影響は非常に大きいわけでありますから、すみやかに解決の方向へ向けるようにお願いいたします。  次に、先ほどの貿易の自由化の問題のうちで、一番私は、農業関係のことは先ほど東委員からもお話がありましたが、水産関係から一つお尋ねいたしますのは、AA制になりまして非常に影響するのは油の輸入です。現在でも油が十分に生産面に回っていない。あるいは水産当局は、系統機関であるところの全漁連を通じて買付その他をやらせれば十分だと言われるだろうけれども、実際、末端におってはそう簡単に油は入っておらない、現状は。また、市場においてはほとんど生産者は出しておらないのです。ということは、従来、重油の輸入に対しましては特別のワクを通産省は持っておって、そうしていわゆる生産者に十分役立たせるという理由のもとに重油を輸入さしてはおるのですけれども、ところが、輸入して精製した場合、軽油にした方が価格が高く売れますから、安い値段であるとかコストがあまりもうからないところのA重油なんか、あまり生産しない。できるだけガソリンその他の軽油の方へ振り向けてしまう。理由は、農業や漁業の生産重油を作るんだという理由のもとに原油を入れて、そうして実際はそうした方面に出すような油を作っておらない、ここに特別の大きな問題がありますので、今後この問題をどう解決するか。最近に至っては、いわゆる政府自体の問題としましては、石炭の不況時代に対処しまして、この油の輸入をどうするかという問題は、これはもう日本の国策として考えなければならない。ただし、その中でも漁業生産重油その他は特別の扱いのもとに従来も入れておった、今後はこれをどうするか。これはもう重油価格の問題と同時に、水産業に関係しまして非常な影響を及ぼす問題でありますので、水産庁としてのアイデアはどういうようなアイデアを持っておるか、この点を聞きたいと思うんです。
  68. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 水産庁というお話でございますが、いろいろ私の方でも研究をしておりますので、私から御答弁申し上げたいと思いますが、重油の問題につきましては、御承知のように、漁業の一番基本になります資材でございまするので、今までも全漁連の発注に基づきまするところの外貨割当というようなことで、できるだけ系統機関において扱いまして、そうして値段の低廉なものが漁民に渡るように、こういうようなことを実行いたしてきたわけでございます。  従いまして、今、重油のAA制の問題というものはさしあたりの問題として取り上げられておるわけではございませんけれども、今回、重油についても関税の問題が、関税を上げようという問題が、関税の改正の問題が起こっておりますわけでございます。その場合に、原油につきましての関税を上げるという問題、これは五%上げるということだったと思っておりますけれども、そういう方針でいったらどうか。それからA重油の製品の場合には、これは関税はいじらない、今まで通りでいこう、こういうようなことであるのでございまして、それは結局、そういたしまして、製品で入ってきます場合には、できる限り全漁連といいますか漁業協同組合の系統にこれを確保できますような措置を考えていきたい。それから原油が入ってきました場合にも、先ほどおっしゃいましたように、石油のメーカーの方でいろいろな問題がありまして、たとえばA重油を作る率が非常に少ない、そういうような問題もございましょうが、そういうふうに、特にこれは農林省と話し合いをしまして、原油で入ってきました場合に、水産に回るようなA重油につきましては、何とか価格が、関税がはね返って上がるというようなことが起こらぬように一つ相談をして、実際の行政指導でそういうようなことをやってもいいのじゃないか、こういうようなことで現在話し合いをしておるという状況でございます。
  69. 千田正

    ○千田正君 それは従来もやっておるのですが、われわれ、いつでも問題が起こるのは、大衆魚であるところのサンマであるとか、ああいうものがとれそうなときに、実際、現地に必要な油が回っておらない。油のメーカーは、その時期を限ってなかなか出さない。そうして価格をつり上げて、一定のマージンが出たときに出してくる。いわゆる出し惜しみをやっておる。だから、そういう政策をしょっちゅうやられたのでは、漁業の方ではやりきれないわけであります。それで、もちろん、系統機関である全漁連あたりは、現在は四十万キロぐらいですか、そのくらいの割当をもらってやっておるのですが、それじゃとうてい足りない。そういういろいろな点を勘案しまして、今後油が十分に入手できる、しかも、低廉な価格で入るということを考えなければ、将来のいわゆる魚価安定政策というものに大きな影響を及ぼしてくる、この点であります。  もう一つ、大臣にお伺いするのですが、最近たとえば西日本の裏日本、たとえば島根、鳥取、あの辺で非常にサバその他の漁獲が多かったが、どんどん値段が安くなった。魚価対策というものは——ここにきょうも漁業制度に対する新しい法案等が出てきましたが魚価対策というものは、これは農業のいわゆる生産物の価格対策と同じように将来考えていかなければならない。どうも魚価の対策の面は十分じゃないと思うのです。それに対しては、どういうふうに考えておられるか、ということをお伺いしたい。
  70. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) ただいま水産業のいろいろな政策の中で最も弱いと申しますか、面が御指摘のように魚の値段の政策の問題だと実は私ども承知いたしております。それでこれにつきましては、三十五年度予算にも若干計上しておるわけでございますが、たとえばサンマにつきましては、サンマかすの値段のある程度の維持に役立つような、たとえば保蔵とか金利の負担とか、そういうことを通しましてサンマのかすの価格の暴落をある程度阻止いたしまして、それによってサンマの値段が不当に下がることを防止するという予算も実は計上しております。  それからイカにつきましても、同様にスルメの価格維持というような方式で間接的にイカの産地における暴落をチェックしたいということでございますが、しかしながら、実はこれだけで十分とは申せないと考えております。しかしながら、これにつきましてはまあ直接のきめ手はございませんが、たとえば冷蔵庫の問題だとか、それから貨車ぐりの改善、それから加工利用の促進といったような、いろいろな間接的な手を打たざるを得ないのではないかというふうに考えております。  で、ただいま御指摘の裏日本から西南海区にかけての今次のサバの大漁でございますが、これは御指摘のように産地におきましては相当魚の値段が下落したことは事実でございます。で、これは何も今回のサバに限らず、サンマにつきましても、大漁になりますと、言うところの大漁貧乏の傾向が出ることは御指摘の通りでございますが、これにつきましてはなかなか特効薬と申しますか、きめ手というものはございませんでございますが、しかしながら、間接的な、たとえば流通改善、冷蔵庫といったような間接的な方法で暴落することを抑制するという、従来のまああまり新しい方式でないわけでございますが、そういう方法でやるしかないのではないかというふうに考えまして、その面での若干の予算と金融面とでもって対策を講じて参りたい、このように考えております。
  71. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと関連して……。今流通面でも考えておると言われるが、生鮮食料品の卸売市場の調査とか何とかいうやつは今調査会の方でやって、この二十三日が最後の答申になる。従いまして、それを中心にして中央市場法の改正提出する、こういう段取りになっておる、聞きますということですね。青果を中心にそれらの取り扱いが考えられておるが、水産物の取り扱いというものは旧来の商習慣からいって全然別だと思うのですが、水揚げ市場という市場が特別にあると思うのですね、まずそれを整備することだ。従いまして鮮度と腐敗の早い水産物、これを消費地に早く向けるには、地方市場の整備、拡充で、従いましてこれに対しては政府が積極的なやはり経済的な融通を見てやって、そしてこれを強化することがなければ——今までのところ結局すれば、そういう形で水揚げ地区から各地へ向かって発送せられたものが問屋営業から発達して現在の地方魚市場に継承されて、でき上がったものは非常に鮮度を失っておるのです。従いまして、今年度の夏中でしたが、現に中央市場において六十車も鮮魚が余っており、やり場がないで困っていた。そしてわざわざ中央市場から他の地方市場へ回す。こんな回りくどいことをやっておるからなかなか私はうまくいかないのだと思う。直ちに、旧来の通り——旧来といっても範囲が違ってきますが、昔は沿岸漁業で一本釣かなんかでやったわずかなものを付近の都市へ配ったのですが、最近は漁獲法も進歩して大量にとれるのだから、従いまして山間部の都市——埼玉でも群馬でも、大臣の方は海はないのだから、そういうところへどんどん電報でも打って、電話でもよろしい、あるいはラジオでもって、無線でもいいから交渉してとっとと送られるような輸送施設や冷蔵車を完備することによって私は完全にできると思う。しかるに、そういう要求が漁連でも考えておるしそれから地方卸売問屋でも考えておるのにこれをやろうとしておらないじゃないか。この間もそういう大会がありましたよ。私は来てくれというから行ってみますと、全く憤慨しておる、憤慨というより当惑しておる、なぜそういうことをやらないかと。鮮魚介類を直送すれば流通もスムーズになると思います。この点については市場企画課長を中心にして私は審議されると思っておりますが、今市場改善について水産庁は考えておるのかどうか。流通々々ということを言われるけれども、流通が旧来の習慣からどう発展して、現在どんな形であるということを御研究なさいましたか。それをしないで、ただ流通を何とかされるとか、これはばかの一つ覚えの最たるものだ。
  72. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) 生鮮魚介類の流通の問題についてのおしかりでごさいましたが、御承知のようにこの流通の問題は、ほかの青果とも若干違う点がございまして、ただいま御指摘のように、産地において一たん魚介類が生産者より仲買いに売り渡されて、それでその仲買いの責任において中央卸売市場その他の消費市場に出荷される形態と相なっております。青果の場合には、生産者が直接消費地に出荷する形態が大部分というふうに聞いておりまするが、魚の場合はそうではなくて、産地において取引されて値段がきめられ、その品物がさらに消費地に送られるという格好に相なっております。従いましてほかの商品につきましては、この流通問題ではかなりなウエートが中央市場制度に依存するわけでございまするが、しかしながら魚の問題は御指摘のように産地の取引の機構が相当重要であるということについては御指摘の通りでございます。で、ただいま生鮮食料品の市場問題の調査会が、この産地の魚の問題にも触れて、調査会において御検討を願っておりまするので、その検討の結果を得まして私どもの方で善処して参りたい、かように考えておる次第であります。
  73. 千田正

    ○千田正君 今ちょうど清澤委員も言いましたが、これは大へん最近の状況は変わってきておる。水産庁も御承知通り、ことしの——現在きのう、きょうの状況から言いまするというと、冷蔵庫に入れておったサンマは、ほんとうだというと、もうどんどん売れなくちゃならない、売れるべきはずのものなんです。ところが、漁法その他あるいは自然の状況によって、サバその他が非常に大量に生産が上がった結果、この青ものと称する、いわゆる青いものが消えたころ、サンマがようやく冷蔵庫に入ったものを出して、そうして長い間の越冬資金をかせげるものが、青いものがだんだんと上がってきている、新しいものが。そのために冷蔵庫に入ったサンマがはけない。はけないから、いわゆる中央に冷蔵庫をかかえているところの単協、あるいは地方の消費地における冷凍業者は青息吐息、こういうような状況にある。将来もこういう問題が起きてくる。漁法がだんだん発達して大量に生産してくると、青いものがない期間にサンマを冷凍したものを充てようとしていたものが、当てがはずれてしまう。いわゆる一年間における経済流通の観点は、従来と違った方式が今度現われてきている。それに対して対処していかなければならない。これが今後の大きな魚価対策の一つの方法だろうと思います。そこで私は、経済局長が見えておりますからお伺いするんですが、たとえば漁業協同組合等において生産をしたもの、あるいは加工したものが、海のない農村地区ですね、そういうところへ、販連とか購連とか、いわゆる農業経済機構を通じて、それと結びつく直接の流通経済を立てる時期じゃないか。もうそうしなければどうしてもやっていけないんじゃないか。私はそう思いますが、経済局長はどう考えますか。
  74. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 魚の流通の問題は、先ほども水産庁の方から答弁がありましたように、今調査会でいろいろ機構の問題等につきまして審議をいたしておりますわけでございまして、これはいずれ法律によって作られた調査会でございまして、三月の五日までに答申すべし、こういう法律でございまするので、三月五日までには答申が得られるというふうに考えております。で、結局やはり魚の場合には、産地の市場の問題が非常に大事な問題でございまして、水産庁当局におきましても、それから私たちの方におきましても、もちろんそれは産地から直接農業協同組合等の系統を通じて農村に入っていくというような姿は、非常に魚の消費を新しい所にふやしていくというふうな面からいいましても、それから流通が非常に簡潔にまあ動くというような面からいきましても、非常に方向としては、いい方向じゃないだろうかというふうに私どもは考えております。ただ、実際問題といたしまして、農業協同組合系統と、それから漁業協同組合系統とがそういうふうにぴったり結びついて、そうして魚がうまく動くというようなことに持っていきますのには、いろいろのむずかしい問題がございまして、各地で幾らか実行しておるところもあるようでございまするけれども、なかなかこれは全般的にそこまで動いていくのにはいろいろやはり検討しなければならない問題が非常に多いんじゃないか、というふうに考えておりますので、十分一つ検討していきたいと思っております。
  75. 千田正

    ○千田正君 それはけっこうですけれども、従来のようであっては悪循環ばかり繰り返していて僕はまずいと思う。だから、たとえば中央金庫あたりの、中金の金を使っても海なし県で一つの倉庫を作る、あるいは冷蔵庫を作る、あるいは果実類を貯蔵するための倉庫を作る、青ものを入れるための貯蔵倉庫を作るという場合に、やはり沿岸の漁業協同組合あたりとタイアップして、魚かすを貯蔵する倉庫であるとか、そういうものを作る方法があるんじゃないか。私はそういう意味で、大きな観点から、将来の流通経済というものに対しての指導をある程度考えていかなければ、漁業経済などは私は参ってしまうと思う。まあこれは真剣に考えていただいて、最後に一点だけ農林大臣にお伺いいたしますが、北洋漁業の問題は、今もあの通り、除々に話が爼上に上っております。今年は私は八万五千トンという線はなかなか容易じゃないと思う。さらにまたソ連側の強い要望によって、いわゆるマスの禁漁という問題が起きてくる。いずれにしましても、当然北洋という漁業に関しては、この際、抜本的に考え直さなくちゃならない時期に到達してきているんじゃないか。そうして漁船というものの調整というものを考えなくちゃならないじゃないか。カツオ、マグロ漁業にばかり転換するのが能じゃないと思いますし、またカツオ、マグロの団体も、今年は三十隻引き受けた、来年また五十隻引き受けなければならないということになると、とうていそれは調整も何もつかなくなってくる。そこで海外移住政策という一つのあれを掲げております農林省といたしましては、農民の海外の移住も、もちろんこれは従来の案で進めていただいてもけっこうですが、漁業の対策の一つとして、今までの未開発のいわゆる遠くのニュージーランド、豪州あるいは南米、中南米もしくは印度洋、あるいはアフリカ等、世界の海のあらゆる点に日本の漁業の行くべき道はたくさんあるはずであります。それは外交政策と相待って、そういう方向へ転換する以外にないじゃないか。国内の沿岸に調整すべき船を持ってきても、沿岸漁業が今四苦八苦の状況にあるところへ、北洋からはみ出されたからやむを得ず入ってくるということであっては、貧乏人をふやすだけで意味がない。そこで私は、海外移住の政策の一環として、漁業の海外進出のために何か対策を考えてもいいじゃないかという点を抜本的に考えられて実行する意思があるかどうか。この際、農林大臣に一つこの点に重点を置いて考えていただきたい。お尋ねいたす次第であります。
  76. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 海外で漁業をやるという際におきまして障害になりますのは、その消費なんです。たとえばマグロの漁業というのは方々にあるわけでございます。しかし、これをとりました場合におきまして、これを一体どういうふうに消化するかという点なんかで、なかなかむずかしい問題があるわけです。しかし、さようなものばかりでなくて、他にもいろいろあるわけであります。ことに東南アジア諸国ですね、これは今後日本といたしましても、経済協力関係をますます結んでいかなければならぬような次第もありますので、そういう際には、漁業上の提携というのを、さような需給関係等もよく考慮しながらやっていくべきだというふうに考えております。それで、まあ今、日比の間に通商協定の交渉が行なわれておる。そういう際にも、私といたしましては、漁業問題なんかも並行して考慮すべきじゃあるまいかという考えのもとにいろいろ交渉を進めておる次第でございますが、なお、南米諸国等につきましても、適当な提携物資がありますれば、進んで積極的にそういう開発をやっていきたい、かように考えておる次第であります。
  77. 森八三一

    ○森八三一君 大臣初めて御出席を願ったので、いろいろお伺いしたいことがありますが、時間の関係もありますので、当面差し迫った問題だけ二、三お伺いいたします。  その第一は、昭和三十五年産の米価の問題です。これにつきましては、予算の説明で、基本米価については、一応米価審議会に、いわゆる生産費所得方式について計算をするためにはどうやったらいいかということを諮問しているから、それは他日に譲るが、その他については、大体前年の方針を踏襲した。それでまあ前年の実行米価一万三百三十三円を計上してある、こういうふうに御説明になっておりますので、その通りに了解していいかどうかということなんです。と申し上げまするのは、米価は、基本米価とその他諸条件が重なり合って実質手取米価が構成されておるということは御案内の通りであります。その他の諸条件というものについて、昭和三十五年産は前年の方針を踏襲するという御説明のように今までの経過では了承いたしておりますが、そういうことでよろしいかどうか。と申し上げまするのは、もしこの諸条件を変えるということになりまするというと、去年も米審で論議をしたことでございますが、もち米の加算金とかいろいろついているんですね。これを苗しろを作る前に、ことしはこうなるぞ、こう言ってやれば農民は選択の自由を持つと思うのです。ところが、前年の通りに踏襲したと、こうおっしゃって、七月の米価審議会のときにそれは変えるのだということになると、何かそこに割り切れぬものが残ってしまうのです。その辺を一つはっきりしておいていただかぬと、これからもう苗しろをしつけるのですから、田植をしてしまったあとで、それは変えるんだと言うんじゃ、これは政治にならぬような気がするのですがね、どうでしょうか。
  78. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 予算の方では米価並びにこれに関連する諸条件ですね、これは前年度のものを踏襲しておりますが、諸条件を含めましてその実行につきましては米価審議会に諮り、その意見を尊重してきめたい、こういうことでございます。それで今御指摘のもち米につきましては、これが昨年の暮れから正月にかけての消化状況なんかを見ますると、なかなかこれが売りさばきができないのです。非常に当局といたしましても苦慮をいたしておるわけであります。もち米の売り払い価格を思い切って下げるということをすべきではあるまいか、またそれに関連いたしましてもち米加算、いつも問題になることでございまするが、これも検討を要すべきではあるまいかというような意見も相当あるわけなんでございます。それらは米価審議会の皆さんの御意見を承って、それを基礎にいたしまして最終的、実行的にはきめていきたい、かように存じております。
  79. 森八三一

    ○森八三一君 どうも今までの御説明が、基本米価についてはどう計算すべきかを米価審議会に諮問しておるから、その結論を待って実行をしたい、その他の諸条件につきましては予算編成上の考え方としては、前年のそのままを踏襲したと、まさにその通りになっております。でございますから、一般生産者諸君の受け取り方は、基本米価についてはこれはどうなるか、まだ未定である、生産者諸君はいわゆる生産者所得補償方式で要求しているし、政府もそういう方針は十分おくみ取りいただいて、そういう方向へ持っていくとおっしゃっているから、基礎になるべき諸条件算定基準と申しまするか労銀等がどうなるか、こうなるかという問題が整理せられて、それはおのずからきまってくる。その他の早場奨励金とかいういろいろくっついた、たくさんありますね。こういうものは前年の方針を踏襲して、米価がきまっておるという限りにおいては、米価審議会の意見を聞いてきめるということは、米価審議会の性格上そうなきゃならぬと思いますが、米審が存続すべしという決定を与えた場合には、当然これは予算編成の基本態度がそうでございますから、これはそのまま継続されるもの、こう農民は受け取ると思うのでございますが、そういうふうに理解していいような気がするんですが、いかがでございましょうか。
  80. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 米価審議会にこまかいそういうもち米の問題とか、何とか御審議願いたいと思っているんですが、その御審議を尊重いたしまして実行米価をきめていきたい、こういうふうに考えております。
  81. 森八三一

    ○森八三一君 大体お気持はわかりましたが、尊重して、ということが非常に幅の広いことでございますから、いろいろ動くとは思いますが、予算編成のときのすでに態度として、前年のそれが踏襲されておる米価審議会が同じような決定をした場合には、今おっしゃる尊重ということは、もうこれはそのままにやるんだということに通ずるものであるというように了解したいと思うのですが、その辺どうなんでしょうか。
  82. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まあ米価審議会の言うごとと、そうえらく違った決定を政府がするはずはないのであります。まあ大体米価審議会の御意見に沿ってやっていく、こういうことでございます。
  83. 森八三一

    ○森八三一君 それからもう一つ、これは臨時国会あるいはその前からずっと引き続いてきておりまする運賃問題ですね。この運賃問題は内容が三つになります。一つは、いわゆる公共政策割引と称するものが一つと、それから通運料金の問題が一つと、もう一つは貨物駅の集約化に関する問題が一つと、三つになると思います。そこで第一の公共政策割引の問題は、六月末というのが八月末に延期せられて、八月末が十二月末にまた延期になっている。そうして十二月末がこの三月末にまた延期になっている、こういう経過であります。その間に大臣が農林生産物資に非常に関係を持つということで、非常に御尽力をいただきましたことは、これは農民という立場からだけではございません、国民的な立場で非常に感謝を申し上げておりまするが、まさにその最終期限である三月三十一日がこの一カ月後に迫っているのですね。どうもその承りますると、調査研究はなすっているようではございまするが、国会のもっと大きな問題の方に焦点が移ってしまって、このことが一向研究されておらぬというように私は見ているのであります。といたしますると、三月三十一日になって、突如としてこの問題をどうするというわけにも参りかねる問題である。そこで私どもはかねがね当然この制度というものは、何らかの形において実質的に継続さるべきものである、国鉄の独立採算制ということも考えて参らなければなりませんから、少なくとも昭和三十五年度予算の編成に当たりましては、二十億と称せられている国鉄のこれによってこうむっている損失と申しますか、収入減相当額ぐらいは、一般会計から国鉄の方に入れるとか、あるいは国鉄の新線の建設等に対する融資の面でかげんするとか、何とか別の方法もある。そういうことも総合的に考えて、この問題に対処していくべきであるということで、今までは論議しておったのですが、三十五年度の予算の編成に当たりまして、国鉄の予算その他当然これは閣議で問題になったと思うのですが、そういう際にこういう問題を解決するということのための措置を講ぜられておるのかおらぬのか、どうもおりそうには思えない。といたしますると、三月三十一日に、やはり今までと同じ問題を繰り返して、また論議をしなければならぬと思うのですが、一体その状況はどうなっているのですか。また、大臣は三月三十一日に、これはもうやむを得ないということで、押し切られちまうということなんですか、どうなんですか、これは。
  84. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これはお話のように、三点問題があるわけなんです。それで一つの通運問題というのは、もうすでに実行に相なっている。それから貨物駅の問題と、それから今の公共政策割引ですね。この問題が残っているわけですが特にこの公共政策割引ですね、これは三月三十一日までということで延びておりますが、もう三月三十一日というと、あと四十日ぐらいしかないわけであります。この間も運輸大臣とも話して、それから企画庁長官とも相談をいたしているのですが、もうぼつぼつ三月三十一日に臨む態度を最終的にきめようじゃないかと、こういうふうに申しているところなんでございます。私といたしましては、農林物資に及ぼす影響、これを十分考慮いたしまして結論を得たい、かように考えている次第でございます。
  85. 森八三一

    ○森八三一君 大臣の御決意なり態度はよく了承いたしておりまするし、ぜひそうやっていただきたいと思いますが、今までこの問題はすっかり論議いたしまして、そうして国鉄の赤字ということをそのまま一方的に押しつけてくるというわけにもいかぬことですから、そこで昭和三十五年度の予算の編成のときには、そういうような赤字を国鉄が一方的に押しつけられるという姿を解消する手段として、そういう部分に相当する額は一般会計の方から国鉄の方に何らかの形で援助をするというようなことも考える余地があるのじゃないか、そういうことも含めて企画庁が中心で一ぺん考えたらどうかということに私はなってきておると思うのですが、そのことがちっとも研究されず、そういう措置もされっこなしに、また今までと同じ条件でこの問題に取り組んでいかなければならぬということは非常に困難性があると思うのです。閣議で予算を御決定になる過程において、この問題が今申し上げましたような方向で整理されたことがあるのかないのか。それはもう一般会計から入れることは国費全体の関係でできないから、このものとして解決すべしということに決定されておるのですか。今までの論議の過程から考えますと、当然このものとしての解決ではなくて、もっと広い視野に立って、国全体の財政の面から適当に措置をとるべきであるという方法があったと思うのですが、このことがなかったらなかったでよろしゅうございますから、あったかなかったかということを一つはっきりしていただきたいと思うのです。
  86. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私も最終の決定がいかがになったかという内容につきまして承知しておりませんが、おそらくこの制度を存続するために特に特別会計へ繰り入れするという措置は行なわなかったと思うのです。しかしながら、国鉄は国鉄といたしまして、その輸送量等を見て、そしてそれ自体として採算をとるというところで今回の予算はきまっておるというふうに考えております。
  87. 森八三一

    ○森八三一君 それから問題の第二の点でありまする通運料金の改訂は、もうすでに決定になって、発表になりましたから、今そのことをとやかく繰り返して論議いたしません。いたしませんが、この通運料金の改訂の論議をめぐりまして明らかになりましたことは、特に全貨物の六三%を取り扱っておるという日通の経理の問題が焦点になっておったと思います。私の記憶しておるところでは、日通は昭和三十二年度には一割四分の配当をして、形式上完全な黒字決算をやっております。これは運輸省の資料に基づくものである。昭和三十三年度には一割二分の配当はいたしましたが、しかし、その内容において、従業員の退職給与積立金等、当然法律で認められておるものを、前期においては十億何がし、後期において五億何がし、合計十五億くらいのものを未計上で一割二分の配当をした。そしてそれを計上しておったと、正確な決算をやったといたしますれば、これは赤字になっておるという運輸当局の報告があったわけです。そこで、そういうような三十二年から三十三年にまたがって、突如として十数億に上る赤字がどうして生まれたかということを国鉄当局に伺いますと、神武景気からダウンしてきたという経済上の変化によって取り扱い分量が減りましたというようなことから、そういう結果が生まれたのだ。そうすると、今度岩戸景気になったから上昇してくるのだから、ある一定の時点をとらえて論議すべきではなく、広く長期にわたっての見通しに立って論議すべきじゃないかというような議論もやって、結論がつかぬままにずっときて、とうとう閣議決定をされた、こういう経過なんです。そこで、われわれの見ておるところでは、今度の改訂料金でなくても、前の料金で十分にやっていけるというようにも見るのであります。そこで、今までいろいろ通運業の指定というものにつきましては、非常に窮屈な独占的な取り扱いがされておる。今後こういうことになりますれば、通運事業というものについて、もう少し解放した自由企業ということに持っていくべきではあるまいか。といたしますれば、農林水産業等につきましては、それぞれ協同組合等が発達をしてきておりますので、その協同組合等が、駅、所在地におきましては冷蔵庫なり農業倉庫等持っておりますから、そういうものにどんどん免許を与えてやらしていくということになれば、この通運料金の値上がりということを農林物資がかぶらなくて済むということにも通ずると思うのですから、だから値上げをしてしまったものにとやかく論議はいたしませんが、その値上げが不当であるとすれば、不当でないと主張する連中にそういう仕事を解放してやらせるべきだと考えるのですが、大臣はどうお考えでしょうか。この点については農林当局としては強く運輸当局と渡り合ってもらわなければならぬという感じを私は持っておる。
  88. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) お話の点はまことにごもっともなことでありまして、最近日通以外にもさような相互計算なんかをやる仕組みの会社もできております。私ども農林物資、特に食糧なんかにつきましてそういう能力が十分あるという認定をいたしますれば、逐次さようなものにもお願いしたい、かように考えております。
  89. 森八三一

    ○森八三一君 逐次やらせるようなことをおっしゃいましても、今そのお話しになった別立てのやつ、やっぱり五百三十社ほどあるうちの日通を除くその他のものが共同をして共同計算制のものを作ったというだけでございまして、ある農村地点における協同組合等が通運事業をいたしたいということを申請をいたしましても、公聴会やなんかやりまして反対の陳述をする人を多く集めて公聴会で結論を出しちまうといった例も多いのです。でございますから、そういうようなことなしに、もう安い料金でやるという存在があるとすればそういうものはフリーにどんどん認めていく、自由な競争におくということが私は正しいのじゃないか、そういうことを締め出して独占的な形を与えながら料金は一方的にどんどん上げてしまうというところに割り切れないものが残ってしまうのですから、これは運輸大臣でない農林大臣に申し上げましても権限のないことと思いますが、農林大臣としてはこれはやっぱり閣僚としてそういう点は強く一つ御主張願って、不当に負荷されておる料金というものを農林物資から取り除くということをやっていきませんければこれはやっぱり農民の所得を増していくということにも通じますのでございますから、この点は一つ御善処を願いたいと思います。  それから最後に一つお伺いしたいのは、農業共済事業、これについてはいつかどっかで大臣はこの国会にはできれば改正の案を出したいというような方向で取り運んでおるという御答弁があったと承知をいたしておりますが、そういうようにお取り運びが願えるのかどうか、百億以上の金を使って農民からいやがられておる仕事はない。しかも会計検査院の批難事項等の指摘件数を見ましても、このことが非常に金額は小さいけれども、件数としては非常に多いのですね。喜ばれずにしかられて金を使うということほどばからしいことはないと思う。しかし、天災というものが不可避的に存在する日本の農業といたしましては、それに取り組んでいくための補償制度というので、どっかで設けておかなければ再生産に支障を生ずるということでございますから、完全な国家補償に持っていくという線で私は整理すべきだ、こう思っておりますが、そういうような方向でこの国会に臨んでいただけるかどうか。どうも予算を見ておりますると、先日も経済局長と議論をしたのですけれども、何か年間二百五十円の二十万人の連絡員を新しく設置して補助金を出すなんていうような、まるっきりわれわれとしちゃ、わけのわからぬような予算ができておる。それが二十万人の年間二百五十円を与えてこの仕事の拡充をはかっていくというような予算を改めて出しておる。一方には八百二十六億円かの調査費が出てきておる。こういうことで、何となしに大臣のお気持はわれわれと同じような方向で進んでいらっしゃるが、予算の方面では逆の方向へ進んでいくというのですか、これはどういうふうに取り組んでいただけるか伺いたいと思う。
  90. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 御指摘のように、農業共済制度につきましてはいろいろ批判も出てきておるし、私どもも欠陥を認めておるわけなんです。そこでこれを根本的に改正をいたしたいということで、かねてから検討いたしておるわけです。そこで来月の中旬ごろになりますか、私どもの大体これに対する考え方というものをまとめたいと思っておりまするが、それを国会議員の方にも参加してもらった協議会に提出いたしまして、御検討願いたいと思います。その御検討が大体まとまるというときにおきまして、法律案といたしまして国会の御審議をお願いしたい、こういうふうに思っておるわけです。大体段取りといたしまして、私はなるべくこの国会に御審議を願えるようにというので、鋭意今努力をいたしておるところでございます。
  91. 戸叶武

    戸叶武君 今の農業災害補償制度の問題ですが、前に私は審議会の委員にもなって出たことがございますが、われわれ国会のものが発言するよりも、いろいろ学識経験者なりそういう人々の話し声を、われわれ聞かなければならないというので、私は一言半句も発言したことはなかったのですが、そういうときにも非常に残念だと思うのは、そういう審議会においては、学識経験者の声を聞くということが大切であるけれども、大ざっぱにしろ政府がどういう決意を持っているか、どういう態度でこれに臨もうと思うか、そういう構想が明確に打ち出されていない、いつも審議会というのは行政補助機関的な役割をして、そうしておざなりな審議会に終わって、そうして責任は審議会になすりつけるというやり方で、最も審議会の運営というのはこのごろ悪質です。私はそういう点からこの審議会の持って行き方に非常に注意をしてもらいたいことと、それから来月中旬に結論を打ち出されるのかと思いますが、とにかく森さんが聞いたのもそうだと思いますが、この農業災害補償の問題をめぐっての共済制度というものは、今廃止しろという声が大きくなってきた、しびれ切らしてきた、火がついている。  それで政府の方では抜本的改正を急ぎ、この国会にそれを出すのだということを幾たびか言っていながら出しそうもないから、森さんのような温厚な人も、あのせき立てた質問をするのですが、大臣の答弁を聞いていると、まだ、森さんも時間の関係で遠慮したのだと思いますが、具体的な結論が出ていない、出すのか出さないのか、その辺をはっきり答弁してもらいたい。
  92. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これは出したいという気持を持ちまして、今鋭意努力をいたしているのであります。
  93. 戸叶武

    戸叶武君 これが農業共済制度の根本的改革というのは、天災は全額国庫で完全補償しようという要請の上に立って賦課金の全廃なり無事戻し制度を実施しようというようなことが骨子になって、もう打ち出されているので今さら審議会だ何だというものを屋上屋を重ねることよりも、政府がやる気かやらない気かということによって問題は決するのですが、決意ではなくて、そういうお気持だなんというので、何か子供の恋愛小説じゃあるまいし、そういうことで政治はできるものではない、もっとその点は、大臣はっきりして出すという確約をしなければ、農林委員会で出せという、今度は申し合わせなり決議なり強く要請して、政府のでたらめな二枚舌というか、岸さんの答弁と同じようにみんながなつちゃって、無性格になっている政府国会が縛っていかなければ、鼻輪でひっ立てなければやれないほど腰が抜けているから、そういう方法が何か講じなくちゃならぬと思いますが、国会でもそういう強力な拘束力でも与えなければ、政府は出そうとするお気持だけで出さないおそれがあるのですが、お気持だけですか、出す意思の上に立っているのか、そこら辺紙一重のようだけれども、えらい違いますから伺います。
  94. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 出す意思の上に立っているわけであります。
  95. 戸叶武

    戸叶武君 それでは次に、やはり貿易の自由化の問題はあらためていろいろな根本的な掘り下げがなされると思うのですが、これはMAS協定によって日本のその後麦が大きな打撃をこうむって、このごろは国内で生産されるよりも外国からの麦が多くなったと同じような経路をたどることは、東委員が指摘した通りです。私は、日本農業において非常に重要で、通産省の側におきましても、この間いろいろな話し合いをしましたところが、農業部門においては、やはり相当の保護政策をとって差しつかえないのじゃないかということになっておりますけれども、問題は、大豆で例をとると、やはり通産省側なんかでは関税でコントロールする程度であって、それ以外のいろいろなことはできないのじゃないかというふうに言っておりますけれども、何か大豆は十月から完全に自由化される、そういうふうにすれば、大豆の価格は引き下げられる、大豆の値下がりは必至だ、もう北海道あたりにはその影響が出ている、この大豆栽培農家の数は、人によっていろいろな数が出され、二百八万あるいは四百五十万といわれておりますが、相当量の農家に影響が与えられる、それに対する対策としては、政府のやって行き方が非常に無意味じゃなかろうか、一月十二日の閣議で決定した考え方でいくと、二千四百円に対して一〇%の関税と、トン当たり三千四百円、一俵六十キロ二百円、瞬間タッチ方式をとっても要するにアメリカの大豆、先ほど言ったように、一俵二千四百円程度に対して、日本の方ではそれの差が六、七百円、あるいは場合によっては千円も出てくるかもしれないといよううな問題があり、それに対して関税だけのコントロールでコントロールできるかどうか、それからこういう瞬間タッチのような弥縫策でもってこれが片づくものかどうか、この辺をもっと、私は直接経済に影響があるのだから、農林省としては通産省だけにおまかせしないで、通産省とお話の上に、もう相当の確たる結論が出てこなければならない段階だと思いますが、その辺どうなっておりますか。
  96. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これはしばしば申し上げているのですか、戸叶さん、何か誤解がおありかもしれませんが、通産省にまかしておくわけではないのです、主として農林省でやっているのです。農林省の考え方といたしましては、今外産の大豆が一俵二千四百円ぐらいですから、それに現行一割関税がかかって二千六百円程度になるのです。そういうふうに三千二百円もしている国産大豆が下がったのでは困りますから、もし大豆の自由輸入をするという場合におきましては、政府の方で国産の方は全部買っちゃおう、こういう考え方なんです。これにつきましては、大蔵省でもあるいは通産省でもだれも異存はありません。ただ、まだ最終的にきめませんのは、買うための財源をどういうふうに調達するか、これは四十億円ぐらいかかるのです。その財源を調達するために、関税を上げるなり、あるいは瞬間タッチという方式で調整金をとるなりということを考えるか、あるいは財源はそんなことはしないで、手持ちの他の財源でやるかということなんでございまして、これはもう自由化いたしましても、国産の大豆にはいささかも不安のないようにいたすということは、政府部内におきまして統一された見解でございます。
  97. 戸叶武

    戸叶武君 政府で全部買い上げるという点で非常に安心しましたが、しかし安心しても、その財源というものがまだ確保されない、しかし、確保されなくても、無理してもやるという決意に近いものをお聞きしたのですが、通産省の力では、問題としては、関税一本でいくならば別だが、やはり瞬間タッチというような農林省が考えているような、簡単にいえばやぼくさい方式、当然これはほかの国からいろいろな問題が出てくるのです。貿易自由化の問題は、国内だけの考え方と構想によって私はこれはコントロールできる性質のものとは非常に違っているのじゃないかと思う。その点をおそれて、要するに農林省で独自な見解を持っているにしても、そういうふうな専門的な部門を担当しているところの通産省との間に十分な、その問題に対する話し合いができているのかどうかということを私は承りたいのです。
  98. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 国内の大豆を、自由化する場合におきまして、三千二百円程度、すなわち現在の豆作農家の所得を維持する程度に買い上げるという点につきましては、通産省に何らの異論はありません。ただ通産省で言っておるのは、関税をこれ以上、財源を得るために引き上げる必要はないじゃないか。大蔵省が手持ちの財源でまかなったらいいじゃないかということを言っているわけなんです。農家の方には全然異存はありません。
  99. 東隆

    ○東隆君 関連。今の問題で価格支持政策を強化する考えであるのですか。農産物価格安定法ですか、あれを強化する考えはありますか。
  100. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 大豆に関連してですか。
  101. 東隆

    ○東隆君 ほかの農産物もありますが。
  102. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ほかのものにつきまして何か影響があって、そういう対策が十分他の方法ではとれないという場合に、あるいは価格支持政策をどうするというような議論は起こつてくる可能性はなしとしません。しませんが、ただいま価格支持政策に新たに加えて、それでその価格を維持しなければならぬというようなものは今ありません。
  103. 東隆

    ○東隆君 そこで例の澱粉の問題ですが、あれはごく小部分は、おそらく政府が買い上げた価格よりも安いものを出すことができると思います。輸出はできると思うのですが、大量に輸出をするというような場合に、政府が買い上げた価格でもって売り出さなければならぬというような、そういう制限があるように聞いております。その点はどうですか。場合によってはそういうような線を撤廃する必要があるのじゃないかと思います。
  104. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 一つ官房長から。
  105. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) お話のように、現在の安定法において買い上げました場合におきましては、原則として売り出す価格は時価、かつまた買い入れ基準価格を下ってはならないというような規定がございます。従いまして原則的の売り渡し法としては、そういうふうなものになっておりますけれども、しかし、新しい市場を開拓する場合あるいは新しい用途を開拓する場合といった場合においては、時価よりも安く売るという道も開かれておりますので、輸出等の場合におきましては、そういうような運用によってやることができる、かように考えております。
  106. 北村暢

    ○北村暢君 その問題に関連してちょっと……。大豆の価格支持の問題につきましてお伺いするのですけれども、私ども自由化の問題で心配するのは、大豆の問題が今出ておりますから、それに関連してお伺いしますが、価格支持政策でもって大豆の生産農家に対して心配のないようにするのだ、こういうことについては価格支持政策の限界というものはやはりあると思うのです。その輸入大豆が相当量出てくるということになれば、これは大豆だけの価格でなくて、菜種に関係出てくる。油脂の原料としての菜種に関係が出てくる。こういうことはすでにもういわれている通りでおわかりだと思います。そういうような点で、大豆の問題について価格支持する限界というのは、やはり先ほど来東委員から言われているように、雑豆を価格支持をするというと、大豆にかえるといった場合に、支持されるから大豆をよけい生産する、安定した作物だ、こういうことになって量がふえてくるということが考えられる。そうすると四十億程度の予算でこれをカバーできるということを考えても、やはり生産というものをプッシュしないと、価格支持政策というものは膨大な財政負担という形になっていく。財政負担がかさんでいくということが出てくると思う。従って、そういう体制がやはり整わなければ、自由化のために四十億の大豆は全部買い上げてしまえばこれで事足りるという考え方では、私は不徹底だと思うのですよ。やはり作付の指導なりあるいは大豆というものはある程度ここら辺で押えなければ、この形というものが、価格支持だけでもってくずれていく、こういうふうに思うのですね。従ってそういう面からいけば、菜種の作付あるいは大豆という問題について、振興対策も今度の新しい予算で考えているようだけれども、私はやはりそういう点まで考えないというと、そういう体制が準備できないというと、このAA制に移行していくということは、やはり非常に危険でないか、心配があるわけです。従って、この問題については、私はやはりそういう面も考慮に入れて、準備体制というものをとるべきだ。そうでない限り、この自由化でもって入れていくということについて、これは大豆だけ出ているから問題でありますけれども、ほかの農産物に拡大していくということになれば、そういうものはたくさんあるわけですから、今さしあたってそういうものが出ていないだけで、自由化の傾向というものに対しては、やはり農林省として相当広範に、慎重なやはり対策をとるべきだ、こういうふうに思うのですよ。そういう点について、絶対心配のない体制ができているのかどうか。そこら辺を一つお伺いしたい。
  107. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これは万全の対策を立てた上、実行します。たとえば一月にアバカ繊維の輸入をしているわけですが、これは国産のミツマタと競合するわけですが、ミツマタにつきましては印刷局でその半分を買い上げますとか、あるいはさらに生産性を高めるというために八倍体育種を奨励するとか、そういうための補助金を出すとか、そういうことをいたしまして、いささかも心配がないというときに、初めてそういうことをしていくわけなんです。大豆につきましても、今価格のお話がありまするが、これは大体百万トン出回るわけですね、そのうち八十万トンが外国大豆、それから二十万トンが国産大豆なんです。その二十万トンについて価格支持をしよう、こういうことなんです。今御心配のような点がありますので、それを上回わって出回わるという場合におきましては、これは一般の価格支持でいこう、特別の価格、すなわち現在の高い価格では買わないのだというようなことも考えていこう。  それからお話の、生産性の向上という点ですが、これはどうしてもやらなければいかぬ。これはなかなかしかし、二千四百円と三千二百円ですから、八百円の差が一方に出ておる。これを縮めるということは容易なことではありませんが、しかし、それをその目標に向かって努力しなければいかぬ。さしあたり大豆の強敵である土壌線虫の退治をことしはやろうというようなことでございまするから、そういう方向のあらゆる政策が整ったとき、初めてこの自由化というものを農産物につきましてはやっていこう、こういう考えでございます。
  108. 戸叶武

    戸叶武君 この通産省の方で関税をこれ以上げられないというふうに押えてきている。それにもかかわらず関税類似と言ってはいかぬけれども、何かの手を打つとすると、それが直ちに私は外国から文句が出てくるのじゃないか、そういうことをどういうふうに配慮しながらそのコントロールを考えていくか、財源の吸い上げを考えていくかというところを農林大臣から、もう少し突っ込んで伺いたい。
  109. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 外国から文句が出まして、これは文句が出る可能性もあるのです。あって、どうしても関税が上げられないのだとか、あるいはそれに類似する瞬間タッチによる調整金もとれないのだということになれば、これは他に財源を見つけてこれに充てるというほかはないのでございます。
  110. 清澤俊英

    清澤俊英君 だが、政治的な問題がからまりまして、今度はさっきもちょっと私申し上げておいた米の問題が予定数量より台湾から五万トン、ビルマが一万トンふやしたでしょう、今度朝鮮では三万トン、全部で六十万石になってくる、こういうものが、予定しないものが、やっぱり政治的な関係や、輸出の代償として無理に押しつけられてくるのですね、そういう場合には想定できないでしょうか。
  111. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これは大体当初から予定しているのですよ。たとえばことしの貿易計画におきまして台湾から十五万トン買う、こういうことに予定しているのです。それから、ただ、ビルマだけは私どもの腹づもりより一万五千トンばかり多く買った。それから朝鮮はどうなりますかまだわかりませんけれども、幾らか買うということになれば予定よりそれだけふえるわけです。台湾につきましては予定した通りです。貿易計画においては予定しておる額よりは、そうたくさんはふえません。
  112. 清澤俊英

    清澤俊英君 十五万トンというのは台湾の要求であって、それから五万トンはまたふやしたんでしょう。そういうふうにきょうの新聞あたりに出ていますよ。
  113. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) そうではありません。貿易計画では初めから十五万トンと予定しておるわけです。しかも私どもビルマの関係でふえるとか、朝鮮の関係でふえるという状況もありますので、これを十五万トンのうち、三万トンはことしの夏できる台湾米を買うというところまで配慮しているわけです。
  114. 清澤俊英

    清澤俊英君 非常に貿易自由化と結んでそういう問題、神経過敏になっていますから、従ってああいう新聞記事が間違っていたら、直していただかないと工合いが悪いですね。
  115. 戸叶武

    戸叶武君 先ほど千田委員からもこの農協の流通機構におけるところの新しい体制というものが要請されておりましたが、協同組合、貿易が問題化されている今日において、この諸外国における農協の発達しているところはおもに販売、共同出荷、そういう面が非常に伸びているのですが、日本は旧来の農業会的方式というものから非常に脱皮しないで、農協が不振の状態に置かれているというようなところに、もろもろの農協における弊害の基礎があるのですが、その基礎の一つには、農業協同組合法第四十二条の二にあるところの「組合の行う事業と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事する者は、当該組合の理事、監事、参事又は会計主任になってはならない。」役員の競業禁止の規定が明確にされているのですが、これがほとんど実行されていない。米屋の会社の責任者でありながら農協の会長にのし上がったり、たとえば農協と同じような経済連、全販連と同じような仕事を当然農協がやらなければならないところを、中央会設立の機会に、このビール会社と結んで、麦耕連を作り上げたり、それからたばこ専売における耕作組合のあり方、それから全養連と結びついているところの養蚕家、日本の農協というものが実際において独占資本なり、あるいは国営事業なりというものが突っ込んでいくところの組織によって分断せられておる、しかも農協の役員というものが、農業協同組合というのはいかにあるべきか、生産から消費に至るまでのこの農業協同組合運動のあり方というものを、健全なあり方を発揮しないで、この違反行為は非常に多い。あらためて私たちは、別に、ビール麦耕作組合の問題をめぐって、このビール麦耕作組合の問題だけでなく、この今の不健全な日本の農協運動のあり方に対してメスを入れたいと思うのですが、今まで監督官庁としての、とにかく農林省は、こういう紊乱して、しかも農民が一大恐慌を、貿易自由化において脅かされているときに、自分たちを守って経済活動をしなければならない農協に筋金が入っていない。それで戦争中並びに戦後のどさくさの中に現われたような現象で、業者と競争してもかなわない。専門的な訓練も足りない。役員はとにかくどこの役員を兼務してもてんとして恥じない。農協法あってなきがごとし、しかもビール会社のようなところの圧力においては、独占禁止法というようなものも無視して、そうして自分たちの下請機関のように、御用組合的な形において、麦耕連組織をもって、農協の経済活動の領域に任意組合がだんだん蚕食していく。こういう事態が生まれているのですが、こういうことに対して、今まで監督官庁としての農林省は、何の調べもやってないのか。また、それに対する警告をしていないのか。していないとすれば、どしどし私は材料を列挙して、農林省に対して質問、それから警告を行ないたいと思うのですが、農林大臣、この問題に対して御意見いかがですか。
  116. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) ただいま御質問のように、農協が農業における経済活動の中心になっていかなければならぬということは、もうその通りでございまして、今まで、終戦後新しく農業協同組合法ができまして、そうして衣がえをいたしまして民主的な農協というものができたわけでございます。それが経済界の動きで非常に経営も困難になるというような事態が非常に多くあちらこちらに起こりましたので、そういう点を、とにかく農協の経済的な立て直しをしようというようなことを今まで大体中心にしてやって参りましたわけでございます。で、最近だんだん経済的な面では、ある程度立ち直りもできてきまして、今後いろいろな外の経済界の動きに対しまして、おっしゃるように筋金の入った経済活動をしていかなければならぬというような次第でもございますので、ことしからは一つ農協の組織整備といいますることで、農協が経済界の動きに対しましてどういうような形で、どういう活動をしていったらいいかというような問題につきまして、一つ真剣に取り組んでいこうというようなつもりで、新しく予算を要求しつつあるわけでございます。また一面、そういう点で、農協の指導につきましても、必ずしも十分ではないということもあるのでございまして、農業協同組合中央会というような組織を通じましても、いろいろそういう不備なところは、一つ是正をいたしまして、農民の協同組合として活動をしていきますように持っていきたいというつもりで考えております。
  117. 戸叶武

    戸叶武君 この農協の役員の競業禁止というものの違反が随所に行なわれているので、この統計を、とにかく資料を私は農林省に要求します。特に農協中央会の会長において、いろいろな役員を兼務する、農協運動から逸脱している行為が非常にありますから、この資料を要求します。たとえば一つの例としまして、この麦耕連なるものが、これは栃木県は日本一のビール麦の生産地でありますが、栃木県における麦耕連の昭和三十五年度の予算書を見ましても、収入合計千三百五十万円のうち、その大半を占める九百三十万円がビール会社からの、一億につき十七円の指導費の名目のもとにおけるリベートによってまかなわれているのです。生産農民に当然これは返さるべき性質のものがピンはねされて、そうして指導費の名目において一千万円近くの金が使われている。実際はその数字とは違って、契約総数は五十八万七千八百八十七俵で、実収入はほとんど一千万に近いのです。こういうものが十数人の役員を中心として……、そしてその予算書というものは、外部にもほとんど出されない、生産農民にもわからないうちに、耕作者には直接わからないうちにそういうものが任意組合において、経済協同組合が行なうべき経済活動と同じようなことが指導あっせんの名によって行なわれている。しかもその会長が農協の中央会長と麦耕連の会長を兼ねている、また経済連の監事も兼ねている。こういうようなやり方では、これは農民が知らないから、びっくりしているので、みんな農協の単位基盤になっているので、農協でやっているのだと思っていると、いずくんぞ知らん、こういう八岐大蛇で、そして役員の食いものになっている、簡単にいえば。こういう問題があっては、これは今後における農協というものの、しかも農協の指導機関的な役割をしているところの農協中央会の会長というものが漫然とこういうことをやっているのでは、農協というものの権威がない。それから農協法の存在というものが、これは全く無視されていると思うので、この問題をあらためて、もっとこまかいデータも一ぱい持っておりますから、ビール麦耕作組合のあり方の問題を中心にして農協の全般について一つメスを入れたいと思いますので、農林省としてもそういう資料を一つ準備してもらいたいと思います。
  118. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 時間が大へんなくなりましたので、簡単にお尋ねいたします。  先般の農林大臣農林水産政策に関する御演説の中で、拝見いたしますと、いろいろと盛りだくさんに出ておりますが、水産に関係するものがきわめて貧弱だ、ほんのおざなりにちょいと出ておるだけでございますが、私はこれは非常に遺憾に存じます。歴代の大臣が水産に対して冷淡とは申しませんけれども、まことに関心をお持ちになることが少ないように考えまして、非常に心さびしく思っておるのでございますが、こまかい点につきましてはいろいろと説明がございますが、少なくとも大臣の御演説の中にはきわめてこれが出ておることが少ないのでありまして、その点私は非常に残念に思います。  ところで、現在水産の政策と申しますか、水産の面から考えますと、    〔委員長退席、理事仲原善一君着席〕 何をおきましても沿岸漁業の衰微しておるものをいかにして振興させるかということが一番の眼目であろうと考えるのであります。従来これが振興策といたしまして、沿岸から沖合いへ出ろ、沖合いから遠洋へといったような政策をとりましてやって参りましたが、今日になってみますというと、もう沿岸から沖合いへ出るすきもなくなってきた、沖合いが遠洋へ出るすきも、どっちを見てもなくなってきた。そうすると、沿岸漁業は一体どうなればよいのか、ここに非常な悩みがあるわけであります。そこで一面から申しますと、いろいろな工場から出ます汚水等によりまして、沿岸漁業はだんだん壊滅のうき目を持っておる。零細の漁民がだんだん零細になってきて、何とも壊滅の一歩手前にあると言っても過言でないというような状態になっておりますが、大臣はこの沿岸漁業がどうしてこう衰微していくかということをどういうふうにごらんになっておられますか、それを一つお伺いしておきたい。
  119. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私も漁業の中で、特に沿岸漁業というのが非常に私どもの所管行政の中でも問題である、まあ農家の中では開拓地のような問題もありますが、特に水産業におきましては沿岸漁村というものが問題であるというふうに考えるわけです。それで、なぜ問題であるかというお話でございますが、これは零細漁民化し過ぎている、こういうふうに考えるわけです。二戸当たりの漁家の所得というものが、これは国民全体の水準にはるかに及ばないというところに問題があり、さらにその根源をさかのぼってみますると、やはり魚族というものが、沿岸でいろいろ国内の科学技術の工場の影響でありますとか、そういうようなことで沖合いへ出ていきますとか、そういうふうな資源的な問題というものが大きくあるんじゃないかと、こういうふうに考えるわけです。さようなことからいろいろ共済制度でありますとか、あるいは漁船保険制度でありますとか、いろいろ講じまするが、一方におきまして魚礁その他の魚族環境の整備ということが非常に問題になってくるのではあるまいかということで、そういう考え方を進めるわけです。    〔理事仲原善一君退席、委員長着席〕  それから同時に、やはり私はこれは僻地の農村や、あるいは開拓地なんかに見られるように、とにかく零細化し過ぎている漁村というものの漁村全体としての振興政策ということを考えなければならぬ。そこでそれにはやはり漁村でありましても、あるいは農地を与えて農耕に従事するというようなことも考えなければならぬし、あるいはそういう適地がありますれば工場等も誘致して、工場からの所得を得せしめるというようなことも考えなければならぬし、とにかくこの漁村問題というのは相当幅広い角度から検討していかないと、なかなか安定はしないのではないかという段階にきているのではないかというふうな感じを持っておるわけであります。
  120. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 お説の通り現状であると思いますが、ただいまお述べになりました沿岸の漁場の造成であるとか、総合的な考え方とか、あるいは工場誘致の問題とかいうことがあげられておりますし、また過般の演説の中にもそういうことがうたわれておりますが、そこで問題になりますのは、ただいま日本の国土開発と申しますか、あるいは臨海地域の開発促進問題、この法案が提出されようとして何回か停滞をしておりますが、今回またこれが上程されようとしております。この臨海と申しますいわゆる埋立てをやろうという土地は、農林省の水産庁が、多年と申しますか、唯一の沿岸漁業振興策としてとって参りました漁場の造成、ノリ、カキの養殖であるとか、あるいはつきいそ漁場の設置であるとかいうことがみな浅海において行なわれておるのであります。その漁場で働いておる漁民というものは、相当たくさんなものです。今回のこの開発促進法に盛られておりますところの地域は大体四十カ所であるということを聞いております。しかもそれが外洋でなく、東京湾であるとか、伊勢湾であるとか、あるいは北九州であるとか、有明海であるとか、また裏日本等のごく沿岸の湾をなしておるようないわゆる浅海になっておるのであります。そうしますというと、せっかく今まで農林省が築き上げてき、またこれからますますやろうとしておる、予算も本年はある程度増額しておられますが、それらの漁場を、片っ端からつぶしていくということについて、農林大臣はどうお考えになっておるか。私ども漁民のために、この国土開発というか、この工場誘致のための工場用地の造成といったようなことが、すべて沿岸、さなきだに苦しんでおる沿岸漁民の職場を取り上げてしまうのだ、そしてこれらのものがどこへ行ってしまうのか、その工場に全部吸収するということはとてもできないし、そうすると私どもが一番気づかうことは、これらの漁民がどうにも生活ができなくなる、今でさえも生活が困難であるのに、その漁場を取り上げられたら一体どうなるのか、補償を要求してみたところで一生食うだけの補償はできますまいに、それかといって船を作って沖合いへ出ろといってももうカツオ、マグロもいけない、沖合いの漁場も一ぱいである。北洋ももちろんそうであります。あるいは東シナ海におきましても、李承晩ラインの付近におきましても、とうてい出ていく余地はない。一体どうすればいいのか。私ども水産の問題を取り扱っておる者といたしまして、ここでばったり行き当たってしまっておるのです。このままに放置しますと、これらの漁民は、食うに困った者は何をするかわからぬのでありまして、一に、農林大臣のこの問題に対する処置いかんによっては、非常なやっかいなことが起こるんじゃないか。これに対しまして口て大臣としてはどういうお考えを持っておられるか。せっかくこれまで水産庁がやってきましたものを、一朝に——一朝でもないかもしれませんが、徐々につぶしてしまうということは、これはとうてい水産の面から容認できない問題だと思いますが、大臣はどうお考えになりますか。
  121. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) お話のように、臨海土地造成計画というものが一方において進行をいたしておるのであります。これはまだ国の全体計画としてはさまっておりませんけれども、そういう方向がとられておる。私ども心配いたしますのは、そういう際に、お話のような事態が当然つきまとってくる。そこで、たとえば東京湾でありますとか、伊勢湾でありますとか、場所場所によりまして、環境は違いまするが、なるべく沿岸漁民に打撃がないように済むことでありますれば、これに越したことはありませんけれども、しかし、もっと別の角度から、どうしても臨海土地造成ということをしなければならぬというような要請があります場合におきましては、私どもといたしましても、沿岸漁民がどういうふうに安定して転向できるかということを十分考えて、その措置が整った上で、その計画に承諾を与えるということにいたしたいと思うのです。具体的な措置につきましては、またそれぞれの計画地点の場合につきまして違うと思いまするが、万全の備えをした後に承諾するというふうにいたしたいと思います。
  122. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 どうしてもさようになければならぬと思いまするが、農地におきましても、御承知のように、農地法によって、これが工場敷地になるとか、あるいは住宅地になるとか、その他農業以外に使われることに対しましては、きびしい制約をされておるわけであります。同様な海における——これは個人所有でないにいたしましても、漁業者の働き場として持っておるものが、何らのそういう保護なしにどんどん大きな網でかぶされていくということは、これは大へんなことであろうと思います。従いまして、今大臣のお話を伺いまして、幾分心強くも思いますが、何分にも、国土開発と申しますか、あるいは日本の工業立国というような大きな柱のもとに立って、その敷地を造成しようということに対しては、これは漁民といえども、全面的にこれをぶちこわすようなことにはなり得ないと思いますけれども、さりとて、食わずにおるわけには参りません。そこの点は、一つ今後この問題に対して、十分大臣のお力をもって、漁民が食っていけるような方法をとっていただきたい。私どももこの法案に対しては十分な警戒をもって当たっておるつもりでありまするが、この点は一つ大臣においても十分考えていただかないと、これこそほんとうにどうにもならぬところに行き詰まってしまうと思うのであります。  次に、先ほどお話のございました、漁業共済制度でございますが、農業共済につきましては、先ほどからいろいろお話がございまするように、農民の総すかんを食って、今どうにもならぬ状態になっておる。しかも、それには百三十億に近い金が出ておるのであります。ところが、漁業共済は、わずかに三年ほど試験時代として発足しまして、以来非常な漁民に期待を持たれておるわけであります。ところが、何分にも、政府援助も非常に微々たるものでありまして、現実的に申しますというと、国庫債務負担行為が一億円程度のものである。それでもってようやく芽ばえたものが——これは初めからこういう制度がすくすくとペイするような状態にいくものではない、何年かの後に初めて十分な成果を上げることになるのでありますが、それが非常な零細に押しつけられてしまって伸び悩んでいるような状態は、大臣もおそらく御承知だろうと思います。この点は、私もこの制度が生まれる際には非常な危惧の念を持っておった。モーラル・リスクその他の点においてなかなかむずかしい問題であると思っておりましたが、政府もこれに踏み切って生まれた以上は、どうしてもこれは育てなければならぬ。しかも、漁民が非常な期待を持ってこの制度を活用しようとしておる際に、政府がいま少しく力を入れてもらいたい。本年も、大臣御承知のように、予算をとったけれどもそれは使わせぬというような、まことに情けない状態にある。わずか二千六百万円か何かの金が、農業の百何十億というものに比べればそれこそほんとうにスズメの涙に足らないような金が、そういうふうに宙にふらふらしておるというような状態は、あまりに漁業に対する認識がないのではないか。この点は、私ども今後どこまでも突っぱって、これはやりかけたのですから、どうしても一つ育成していただきたい。当事者も非常に張り切っておりますが、何分にもブレーキがかかり過ぎまして伸びない。この点は、大臣から先ほどもお言葉がありましたから、私は特にこの点をお願いするのでありますが、これについて大臣はもう少し財政的な力を加えるおつもりがあるかどうか。やはりこのままで試験——当分試験でもよろしゅうございますけれども、当事者といたしましては、共済基金というものを非常に要求しておりますが、私は必ずしも基金でなくても、政府がこれにもう少し力を与えてくれれば、伸びていく問題ではないかと思いますが、大臣この点はどうお考えになりますか。
  123. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) この制度に対する補給金の問題かと思うのですが、三十五年度予算は、御承知のようないきさつに相なりまして、まことに私も残念に思っております。これは、それっきりとしないで、私も今後努力をいたしまして、この制度が円満に育つようにいたしたいと、かように考えております。
  124. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 もう一、二点お伺いいたしますが、先ほどから申しておりまするように、沿岸漁家の経済はまことに苦しい状態で、これは昔から苦しいので、今急に苦しくなったのではないが、経済観念の非常に乏しいというのが漁家の一般の状態であります。そこで私は、漁家経済を立て直していくといいますか、発展さしていくという意味において、どうしても生活改善生活の様式から変えていかなければならぬということを多年主張して参ったのでありますが、幸いに明年度におきましては、生活改善の普及員が三十名水産の方についたわけであります。これはわずか三十名でありまして、漁村から見ますときわめて少ないのでありますけれども、初年度といたしましては、これはやむを得ない。これは非常な期待を持っておりまして、最近漁村における婦人層が非常に目ざめて参りまして、至るところに婦人部ができております。これをうまく指導していくことによって漁家の経済は立ち直るのではないか。大体漁家の主人というものは、夜の漁に出たり、あるいは朝早くから出ていくというようなことで、おかの状態を知ることが非常に少ない。従って、そういう社会的な一般についての認識が非常に少ないのであります。経済観念も少ない。漁があったといえば飲み、不漁だといえば飲み、もうすっからかんでいつも困っておるというような状態でありますが、そこにおかみさんが奮起すれば、それらのものは改善されていくのではないか。ところが、これは農業の方においてはずいぶん前からやっておりまして、相当改善されておるようであります。普及員もかなりたくさんおります。ところが、農家と漁家はまるで気分が違います。申すまでもないのでありますが、農家では毎日金の出し入れをすることが少ないと思いますが、漁家では毎日金の出し入れがあります。そういったところにも、根本的な違いがあります。そこで、このきんちゃくを握るところのおかみさんたちを訓練教育していくことが漁家を改善する唯一の方法ではないかと思って、これに私どもは非常な期待を持っておりますが、ただ、今振興局の中にあるようでありますけれども、普及員が三十名できても、これを指導していくところのいわゆる専門の人が水産にはないのでありますね。農業の方にはありますが、農業の人ではちょっとわかりにくい。そこで、何とかして、一人、二人でもいいから、専門の普及員を導いていくところの人を設置していただきたい。そこで三十人じゃいけませんから来年はこの三十人なり四十人なりというものを逐次増していきまして、そして漁家の経済を一方において立て直し、一方において沿岸の振興の諸施策を行なっていただきますと漸次改善されていくと思いますが、そういう点について、こまかい点でありますけれども、私は大臣に次の予算の要求のときにはそういったような専門員も一つあわせて置いてもらうと、そして両々相待ってうまくいくようにお願いしたいのであります。これはお願いであります。  それからもう一点はいろいろありますけれども省きますが、今回、きょうも説明がございました不振漁協の整備促進に関する法律が出ております。そこで三千ばかりの組合のうちで手を入れなければならぬものが九百ばかりあるようであります。しかもそのうちでまた財政的の手を入れなければならぬものがその半分何がしかあるようでありますが、これは一気にいきません、本年二億の基金をもって発足することになっておりますが、大臣とせられましては、これはどれくらい金があったらやっていけるというお見通しでございますか。その点を一つ聞かしていただきたい。
  125. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私もどのくらいの基金がということにつきまして確たるあれもありませんが、今度発足しまする基金を財政の許す限りにおきましてまた拡大強化していきたいと思います。それにはまた業界の方でもさらにこの上とも御協力を得たいと、かように考えておるわけであります。
  126. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この基金の問題につきましては、予算要求の際に実は五億というものを目標にしておって、政府が二億五千万、そして民間、この団体から二億五千万と、半々出そうということで計画が立ったんでありますけれども、いろいろ大蔵省からとっちめられまして、結局一億に政府のものは落ちてしまったんです。そして民間からも一億ということで、二億で発足しようとしているのでありますが、私どもでは、これは基金でありますから、これから上がる果実でもって利子補給なり指導なりをやっていこうということであって、これをかりに七分で回しましても千四百万円しかございません。明年度は四月からということでもありますまいから、まあ二億といたしましてもだんだんと、一年たちますと、フルにやっていかなければならぬ、そういうことになりますと、とてもこれでは足りない。一体どれくらいあったらいいか、まあ初めに五億という見当でありましたが、その辺を今後やっていく上におきまして、水産当局も十分おわかりだろうと思いますけれども、とても二億では足りない。五億でいいのか、あるいは四億あればいいのか、その辺は十分一つ検討されまして、これではせっかく作ったものが中途半端になってしまいますから、次にはまたぜひ一つ増額をして、これがすべて沿岸漁業なり漁家の発展のいわゆるにない手といいますか、根本になる問題でありますから、これが脆弱では何にもできない。どうか大臣この点も一つ、これも要望でありますが、今お答えございましたように、強化しようという御意思があるようでありますから、これはぜひ一つそういうふうに次年度においては御努力をいただきたいと思います。時間がありませんからこれでやめます。
  127. 仲原善一

    ○仲原善一君 最初に災害復旧の問題でお尋ねをいたしたいと思います。先般の臨時国会で伊勢湾台風、十五号台風を中心に予算措置なり、あるいは法律も二十数件通りまして、災害復旧の一応態勢はできて参りまして、その線に従って各被害地域はそれぞれ復旧に取り組んでいる最中でございますが、その実行の過程においてたくさんの問題が出てきております。その中で二、三の問題だけを取り上げて、どういうふうに御処置になるのかお伺いいたしたいと思いますが、まず第一点は、被害激甚地の指定の問題でございます。特に町村などにおきましては、この激甚地、いわゆる高率補助の指定を受けない限り、正式に仕事が始めにくいという町村理事者の考えがございます。およそ指定になるであろうという予想がありましても、踏み切ってやるだけの勇気のないところもございますが、そういう意味で被害激甚地の指定をいまだに受けていないところがたくさんございます。これはどういうふうな進行状況にありますのか、いつごろになればできるのか。特に今年度もあと残すところわずかでございますが、その間に本年度の仕事もやらなければならぬ段階に追い込まれておりますので、特に小災害等につきましては、被害激甚地の指定のない限り起債も認められぬというので非常に町村当局はあわてておるといいますか、気をあせっておるといいますか、そういう状態に置かれておりますので、一応その被害激甚地の指定の進行状況を承りたいと思います。
  128. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 私からお答えいたします。被害激甚地、御承知のように、その年の一月から十二月までのものを集計することになっておりまして、大体今月一ぱいには何とか終りまして指定をするようにしたいというようなことで、今やっております。
  129. 仲原善一

    ○仲原善一君 それから予算の執行との関連がございますが、各被害地でいわゆる査定官というのが各省から出まして、農林省なり、建設省なり、あるいは大蔵省から出まして、被害の査定をやっております。その被害の査定をもとにしていろいろ事業の計画ができて参るわけでございますが、ところが会計検査院の方が、被害額二十億以上の府県については事前の査定をやるというので、目下出て盛んに査定をやっております。これは事前の査定でございまして、結局そうなると査定はどこが責任を持ってやっておるのか、一番最後にやった会計検査院の査定というものがもとになるのか、あるいは農林省なり大蔵省立ち合いの上でやった査定というのが生きてくるのか、その辺に非常に問題があろうかと思います。特に山梨県におきましては、会計検査院が行って事前の査定をやった結果、調査をやった結果、一億程度の再修正が出てきたというような問題がございます。これも事業をすでに請負に出していない前であれば措置ができますけれども、すでに着工しておる。着工しておるのに会計検査院のまた査定があって、事業量が減ってくるというような場合には、町村の当事者は収拾に困るような問題が起きておりますが、この問題についてどういうふうな措置をお考えになるのか。まあ私の希望といたしましては、会計検査院もそういう検査をやるのであれば、最初に一緒に合同で農林省なり、あるいは建設省なり、大蔵省、会計検査院も立ち合って、一ぺんで査定が済むようなやり方にしたらどうか、そういうふうな措置がお願いできるかどうか。もしできないとすれば、会計検査院の検査というものは、事業をしてしまったあとの決算の普通のやり方の検査をやってもらって修正する、そういう運びにすべきものではないかと思いますけれども、そういう点どういうふうにお考えになっておるのか、お答えいただきたいと思います。
  130. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 今の御質問の点でございますが、会計検査院も査定といいますか、農林省が大蔵省立ち会いでやりました査定につきまして検査をやっておりますこと、御指摘の通りでございます。これは二十八年から実は始まっております。農林省だけでなくて建設、運輸についても実は同じようなことがございます。それで、査定の責任でございますが、これはあくまで農林省でありますれば農林省が大蔵省立ち会いの上でやるということで、これに基づいて工事をして災害復旧をするという建前になっております。検査院がやられます検査院の検査がなければ災害復旧にかかってはいかぬということにはなっておりません。あくまで農林省が大蔵省の立ち会いを求めてやりました査定に基づいて災害復旧はやるということにいたしております。検査院でも工事にかかりましたものにつきましては、私の存じておるところでは検査はしないで事前に手がけたときは、その検査が妥当であったかどうかということを見るというやり方をやるというふうに実は存じておるのでございますが、これは先生のおっしゃいましたように、何か手をつけてしまったもの、災害復旧工事途中のもののあるいは計画変更とか、何とかそういうことがありますれば、私の存じておりますのとは若干違いますので、その点はもう少し調査してみたいと思います。また検査院の検査につきましては、実は私どもといたしましては、これにつきましては先生のおっしゃいますような御意見もわかりますので、もう少し検査院と一御相談してみまして、あるいは検査院の当局からもこの席に出てもらいまして答弁してもらう、何かもう少し検査院とよく相談をしましてまた御回答いたしたいと思いますが、私どもといたしましては、検査院の検査があるから、災害復旧がおくれるということにはならぬようにぜひいたしたいというふうに考えております。
  131. 仲原善一

    ○仲原善一君 そこで災害の査定官が査定をした結果を集計をして、農林省の方に参ると思います。その集計をしたものと予算というものとがうまく合えばいいわけですけれども、それは実際どういうことになっておりますか。足りない場合には、先回の臨時国会でもたびたび政府側が答弁になっておりますように、補正予算でもってこれは必ず間に合わせるのだという御答弁があったわけでございまして、さように信じておるわけでございますけれども、実際、査定をした結果、集計をしたものと政府が組んでおります予算との間に開きはないのかどうか、この点で被害激甚地の指定がおくれておるのは、どうも予算と査定額と一致しないで、なかなかそこに苦労があって、激甚地指定に厳重な態度で臨むためにそういうふうになっているんじゃないかという杞憂をもって心配している市町村があるわけでございまして、その辺の事情を解明していただきたいと思います。
  132. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 今御指摘になりましたような事情で被害激甚地の指定がおくれておるということは全然これはございません。事務的な手続だけでおくれているのでございます。  それから査定と予算との食い違いがあった場合はどうかということでございます。これにつきましては、予備費なりあるいは補正という機会があれば必ずそれで直すというつもりでおりまして、今年度も予備費で若干追加してもらうというようなことも実はやっております。今までの査定と予算との間で食い違いがないかという問題でございますが、これは伊勢湾の海岸部につきまして若干この問題がございます。それで一度査定をいたしたのでございますが、しかしこれは伊勢湾協議会で正式にまだ堤防の高さあるいは構造等がきまりません前に査定をした関係もありまして、そういう関係も若干ございますので、再調査をしてみようということで、建設、運輸、農林三省ともでございますが、再調査をいたしているということでございます。これは伊勢湾の海岸部でございますが、これにつきましては食い違いといいますが、見込みの違いが若干ございます。そのほかにつきましては、そう大きなことはございませんで、もしもありましても、予備費とかそういうもので必ず始末していくというようなつもりでございます。
  133. 仲原善一

    ○仲原善一君 その次に農業団体の問題でございますが、特にこれは大臣にお伺いいたしたいと思いますが、いろいろの農業団体の種類がございけれども、特にここでお尋ねいたしたいのは、農業協同組合と森林組合と申しますか、それから漁業協同組合、こういうものの関連についてでございますけれども、現在では、セクト主義と申しますか、山の方は森林組合、平坦地は農業協同組合、漁村の方は先ほどもお話のありました漁業協同組合というふうで、ほかの方の仕事との関連を持たずに組合運営されておりますけれども、地域の実際から申しますと、たとえば山村であれば農業協同組合と森林組合というものを一本にしてこれを運営した方が、非常に合理的であるという地域がたくさんございます。現状では、たとえば木炭なら木炭を森林組合も取り扱い、また協同組合も取り扱う。仕事の上で非常にせり合っている。しかも森林組合の方は信用事業はできないので、非常に不利な立場に置かれている。ところが、実際の農民、漁民、そういうものの立場から申しますと、どちらに入っておってもいいわけなんでございまして、そういう点をあまりにセクト主義で分けていくよりも、実態に合うように、一つの農業協同組合を作って、山林部にするとかあるいは水産部にするとか、そういうふうな弾力性のある、幅のある農業団体を育成した方が、どうも実情に合うように思うのですけれども、そういう点、将来の問題いろいろございますので、一応大臣のそういう点についての御見解はどういうふうでございますか。私どもは地域によってそういう弾力性のある、幅のある一つの協同組合なりを作ったらいいという気持を持っておりますけれども、御意見を伺いたい。
  134. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まだ、その問題考えてみたことはないわけでございまするが、ごもっともなお話のようでもございますので、とくと一つ、基本問題調査会におきましても検討をしてもらったりいたしたいと、かように存じます。
  135. 田中啓一

    ○田中啓一君 今のお話でございますが、実は、農林業の所得を一つ増したい、こういうことで一体農民というのはどういうものだろうか、林民というのはどういうものであろうか、こういうことで僕はだいぶ農林省の統計書を探がしたのですが、農林省が長年調査、印刷発行しておられる農林統計というものは、最近になりますと、林業というところに三十数万と書いあるわけです。どうもこれはどういう人をとって三十数万と書いているのか。私の想像では、多分炭焼きと伐木人夫を書いているのじゃないかと思うのです。それから一方、森林組合の方の組合員の数は、二百万前後かと、うろ覚えでありますが、覚えております。しかしこれはあまりそういうものを農業をやっているようには発表なさらんですから、よくわからんです。従って、そちらの方の所得というものは、どこにも探しても出てこない。そうして農林統計の方に、要するに農業をになっていくのは、一面において農家であり、それから次には土地になるのですが、そこのところに、現在は農家五百数十万とそうしてあとの方に農地、農用地というような言葉がありまして、そこに三、四百万町歩、まだ別に放牧、採草地若干、こういうような統計があげてありまして、従ってどうも二百万というのは、協同組合と同じダブったメンバーだろうと、想像されるわけです。で、どうも今度の基本政策を研究していきますと、これは農林業というものを一つ考えぬといかんのだろう。だから、従来の耕種、畜産、養蚕等からの所得と、山に木を植えて、育てて、伐って売っての所得と、合わせたものが均衡を得るようになれば、大体第一次産業としてはいいのではなかろうか、こういうようなふうにも実は思われるので、よくよく一つ御勘考を願いたいというのが、私の希望で、何か所感があったらお答え下さるし、今大臣はそういうところまでは実は十分お考えを及ばなんだようなお話もありますので、しいて御答弁を求めるわけでもありませんけれども、そういう実は難問題に逢着をいたしております。いずれもどうも基本問題調査会のほうでもそろそろ始まるだろうと、こう思っておるわけなんでございますので、まあ所感を求めかたがた希望を開陳したような次第でございます。
  136. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 基本問題調査会の方でとくと今調査をしてもらっております。
  137. 仲原善一

    ○仲原善一君 あと二、三簡単にお伺いいたしますが、その一つは、同じ組合の中の合併規模の問題でございますが、森林組合なり、漁業協同組合の方は、本年度の予算で、合併推進のたのの予算を若干でも組んでおられますけれども、農業協同組合の方の予算には、合併の奨励という銘をうっての予算はないようでございますけれども、農業協同組合合併については、やはりそういう指導方針でおやりになるのか。これは何かのけ者にされているのか、その辺、農林省指導方針をお伺いいたしたいと思います。
  138. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 農業協同組合の場合におきましては、特に合併奨励というようなことは、ことしの予算には組んでおりませんが、農業協同組合組織整備という形で、実際、あるいは合併するのがいいのか、あるいは今までのような経済単位を維持するのがいいのか、そういうような問題を、その地帯に応じまして、それから事業に応じまして検討していって、そしてこうあるべき姿を一つ作り上げていく、こういうような考えでおるわけでございますので、必ずしも画一的な意味で合併するとかしないとかというようなことは考えるべきじゃないので、経済的に考えるべきじゃないかと、こういうようなつもりで考えておる次第であります。
  139. 仲原善一

    ○仲原善一君 いろいろ農協の問題等については意見がございますけれども、時間がありませんので省略いたします。  最後に、米の配給辞退の問題でございます。これは、新聞紙なんかの報ずるところによりますと、最近各県でも配給辞退のパーセンテージが非常にふえてきた。これは、ある意味におきまして、食管法の根本をゆり動かすような結果になりはしないかという心配もいたしておるわけでございますが、その対策としてどういうことがありますか。どういうことをお考えになっておるのか。たとえば集荷のルートについての問題もありましょうし、配給のルートについての問題もありましょうし、それから価格の問題もありましょうが、これを手放しに放任しておきますと、食管制度がくずれるおそれが多分にあると思います。当面の問題といたしまして農林大臣はどういう措置を考えておられるのか、もし具体案があればお示し願いたいと思います。
  140. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) お話のように、最近配給辞退というような傾向がやや顕著に高まっておるわけであります。それからそれと並行いたしまして、やみ価格がだいぶ下落傾向を現わしております。昨年あたりは政府の配給価格が一升百二十一円、それに対して、やみ価格が百二十四円というような趨勢でありましたが、昨今は政府の配給価格を下回って、百二十円というようなところまでくるわけです。しかし、これは地区別に見ますと、消費地帯におきましてはやはりやみ価格が相当高いというような状況もあるわけでございます。これに対処をいたしましては、私どもといたしましては、米の集荷配給という制度はどこまでもこれを維持したいという考えを持っておるわけで、それに沿うような施策をとらなければならぬ次第でございまするが、まだ基本的にどういうふうなというほどのことはまあ必要はないのではあるまいか。特に昨年は有史以来の大豊作というような状況でもありました後の現象でございますので、施策につきましては今後の推移も見た上でとられなければならぬというふうに考えております。ただ、やみ価格と政府の売り払い価格との関係や、受配率の関係等特に考えなければならぬ特殊な地帯があるわけでございます。北海道とかあるいは鹿児島県、新潟県、群馬県というような地帯については、あるいは配給価格の引き下げを考慮しなければならないのかというような気持もいたしておる次第でございます。なお、諸般の推移を見た上で最終的な結論を得たい、かように考えております。
  141. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 時間がないのでありますから、当面の問題だけお尋ねしたいと思っております。  澱粉問題では農林大臣に常に御迷惑をかけておって、昨年には、政府の買い上げる澱粉は政府の支持価格で原料を買ったものでなくちゃいけない、こういうような声明を出していただいたために、イモの値段がある一定の価格を維持した。また引き続いて澱粉が非常に安くなった際においては、本年度内において五百万貫の澱粉を買う、こういうような声明をしていただいた。これによって非常に澱粉の値段が下がるのを押えていただいたのでありますが、いよいよ澱粉も買っていただかなくてはならない時期になって、また政府においても買われる時期になっておるのでありますが、本月中くらいに買われるのであるか、あるいはそういうふうな手配もしておられるということでありますが、いつごろお買いになるのであるか、その点をまずお伺いしたいと思うのであります。
  142. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 五百万貫につきましては二月、三月にわたって買い入れるということを計画しておりますので、近く買い入れが実行されるというふうに考えておりますが、なお具体的なことにつきましては、政府委員から答弁いたします。
  143. 家治清一

    説明員(家治清一君) ただいま大臣からお答えがございましたように、本年度中に買い上げる分につきましては目下計画中でございます。で、その残りはもちろん来年度予算の成立を待って買い上げるということになると思います。
  144. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 本年度の澱粉の生産価格からいえば、相当、生産消費と比較するというと過剰が出てくるような気配があるのですが、もしそういうふうなことがあったらば、本年度内において買い上げを五百万貫していただいても、昭和三十五年度においてはできるだけ早く買ってもらわなくては澱粉の支持価格の維持ができないというようなことになりはしないかと心配しているのでありますが、一方においては昭和三十四年度で買われると同時に、三十五年度においてもできるだけ早く買っていただきたいと思うのでありますが、いつごろそういうふうな買われる御見当が立っておるか、お伺いしたいと思うのであります。
  145. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 三十五年につきましては一応千三百万貫予定いたしております。これは一応の予定でございまして、なお、需給の状況等を見まして、あるいはこれを増額するかもしれません。その時期につきましては市場の状況等を見まして善処していきたい、こういうふうな考えでございます。
  146. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから澱粉問題に関係して、米国のコンプロ社が日本に進出する、こういうふうなことで味の素あるいは東洋製缶というようなものと関係していろいろと問題を起こしておるようなのでありますが、これが日本に進出したならば日本の現在のブドウ糖業者その他に対してはいかなる影響を及ぼすとお考えであるか、もし悪影響を及ぼすといったようなことだったならば、これに対する大臣はいかなる対策をとられようというお考えであるか、お伺いしたいと思います。
  147. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) コンプロを導入しようという計画があるわけです。それが入ってきますと、これは非常に高能率なものでございますので、とうてい既存の澱粉製造業界はこれと太刀打ちできないというような状態にあるのであります。ですから、一番好ましい形は日本の澱粉業界も合理化いたしまして、そしてそんなものが入ってきましても堂々と太刀打ちできるというのが一番好ましいのでございます。それでこのコンプロの導入という話と並行しまして最近酵素法というようなものも出て参りまして、これは相当高能率のものであるように伺っておるのです。これでいきますると、ある程度の競争ができ得るというふうにも聞いておりまするが、ともかくコンプロが入ってきて他の業界が重大な影響を受けるというようなことにはいたしたくない、さようなことから私どもといたしましては、さような話がありましてもずっと押えてきているというような状態でございますが、内地の状態がさような導入がありましても支障がないということになりますれば、そういう優秀な技術が入るということは、これは一向差しつかえないというふうに考えておる次第でございます。
  148. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから次は、切りぼし、カンショの問題でありますが、この現状については政府の特別な配慮によって糖蜜あるいはマイロというようなものと抱き合わせて処分する、こういうようなことで非常に順調に進んでいるということを聞いてまことに喜びにたえないのでありますが、現在の成り行きはどういうふうになっているのか。大体においては非常にうまい工合に進行しつつあるというような話でありますが……。
  149. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 切りぼしカンショ等につきましても、カンショ澱粉の問題と同様に農家の経済関係には非常に大きな問題でありますので、主として全販連を中心に今お話しになりましたようなことでせっかくただいま努力しているという状態です。
  150. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 大体においては切りぼしの大部分は抱き合わせによってでき上がるような状態であると思いますが、この残っているところのものが非常に下落をして平均して計算しても値段が下がって、先に処分したところのものと抱き合わせによって処分したものとの差があって困りはしないかと考えているのです。でありますから、現在においてはある程度の抱き合わせばして処分ができるのでありますが、その残りのものも、できるならば抱き合わせをして、そうして価格の下落がせないように処分していただきたいと思っているのです。そういうふうな点については、なお一そうの一つ大臣の特別な御配慮をお願いいたしまして私の質問を終わります。
  151. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 残余の質疑は後日に譲り、本日はこの程度にいたします。  これをもって散会いたします。    午後五時十六分散会