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1960-02-09 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月九日(火曜日)    午前十時三十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            大河原一次君    委員            青田源太郎君            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            高橋  衛君            田中 啓一君            藤野 繁雄君           小笠原二三男君            清澤 俊英君            戸叶  武君            棚橋 小虎君            千田  正君   政府委員    農林政務次官  大野 市郎君    農林大臣官房長 斎藤  誠君    農林大臣官房予    算課長     丹羽雅次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林大臣官房文    書課長     和田 正明君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (農林水産基本政策に関する件)  (昭和三十五年度農林省関係予算に  関する件)  (今期国会農林省関係提出予定法律  案に関する件)   ―――――――――――――
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  農林水産基本政策の件を議題にし、この際、福田農林大臣が病気のため、大臣にかわって、農林大臣農林水産基本政策に関して、その方針大野政務次官から伺うことにいたします。
  3. 大野市郎

    政府委員(大野市郎君) 今国会に提出いたします農林関係予算案及び法律案につき、皆様の御協力を得て御審議をいただくにあたりまして、予算案の編成及び法律案の基本となりました農林水産行政重点的方針につきましてその概要を申し上げたいと存じます。  まず、本年度の農林水産行政について申し上げるにあたり、昨年度のわが国農林漁業生産の推移を振り返ってみますと、御承知の通り昨年は伊勢湾台風等の天災により一部地域につきましては、甚大なる被害をこうむったわけでありますが、それにもかかわらず農林漁業全体といたしましては、三十年をもしのぐ史上空前の米の豊作を初めとし、全体としての生産の伸展により、年度当初の予測を上回る高い成長率を確保し得たわけでありまして、このことが他方最近における国民経済の高度の安定的成長に資したことをあわせ考えますとまことに御同慶にたえないところでありまして、本年度も皆様の御協力のもとに引き続き各般の施策よろしきを得て農林漁業の高い成長を確保しなければならぬと存ずるのであります。  さて、農林水産行政の今後の長期にわたる基本的施策につきましては、御承知の通り昨年から発足いたしました農林漁業基本問題調査会において目下鋭意慎重に調査審議を重ねておりますので、政府といたしましては答申を得次第長期にわたる農林水産行政基本方針の樹立とその実施について所要の措置を講ずることとなるわけであります。  政府といたしましては、このような農林水産行政基本方針に関する検討の基本的方向に即しつつ農林漁業と他産業との所得格差の是正を目途としてわが国農林水産業体質改善を促進し、かつ、いわゆる「曲り角にきた農政」につき新たな方策の萌芽を見出すことに努め、三十五年度の予算案の編成及び法律案の立案をいたすこととした次第であります。  すなわち、生産性の向上を目途とし、生産基盤の強化拡充、経営の合理化、流通の改善などの諸施策におきまして従来の施策に加え、新規施策を積極的に推進いたすとともに、あわせて立ちおくれた農山漁村環境改善などの振興方策及び農山漁村の過剰な就業人口対策に特に意を用いることといたしました。  また、一方昨年の激甚なる災害にかんがみまして、国土保全対策の推進と災害の急速なる復旧をはかるため、総合的な治山治水計画に基づく治山事業その他の防災事業及び災害復旧事業を強力に実施することといたしました。  次に、施策の重点につきまして、その概要を申し上げます。  重点の第一は、長期的観点に立って農林漁業基盤整備強化を推進することであります。  まず、農業につきましては、土地改良事業開懇事業干拓事業などの計画的実施を推進することといたしておりますが、土地改良、開墾、干拓事業を通じて農業の基盤を整備する事業としての性格を明確化するため、三十五年度予算案におきましては従来の食糧増産対策費の名称を「農業基盤整備費」と改め、名実ともに本事業の充実をはかることといたしました。  土地改良事業につきましては、重要水系における国営、県営、団体営の各事業の進捗度を是正し、事業効果の早期発現を期し得るよう配慮することとしておりますが、国営事業につきましては、特定土地改良工事特別会計事業計画年次内の完成を期するとともに、一般国営土地改良事業におきましても、事業の効率的促進をはかる一方、これと関連する都道府県営土地改良事業の早期完成を期するよう考慮いたしております。団体営土地改良事業につきましては、積寒、湿田、急傾斜等特殊立法地帯振興計画の早期達成を目途とし、非補助小団地等土地改良事業の融資ワクの増額と相待って補助事業の拡充をはかることといたしました。  干拓事業につきましては、特定土地改良工事特別会計における事業の計画期間内の完成をはかるとともに、伊勢湾台風の惨禍にかんがみ、災害復旧事業等とあわせて干拓地保全の措置を講ずることといたしました。  また、愛知用水事業八郎潟干拓事業などの大規模開発事業につきましては、その計画期間内完成を期しております。  次に、開拓事業につきましては、既入植開拓地における営農の安定と、環境の整備に重点を置き、開墾建設工事開拓地改良事業等を促進するとともに、別途、不振開拓地営農安定対策を強化することといたしております。  なお、土地改良、開墾及び干拓事業の基礎となる調査計画の整備をはかるとともに、特に将来の土地改良事業等の指針を確立するために、本年度から新たに農地開発地調査に着所することといたしました。  次に、治山、造林、林道事業につきましては、将来の木材需要の見通しに即応して森林資源の育成開発に努めますとともに、特に治山事業につきましては、国土保全と災害防止の見地から、その施策の画期的強化をはかるため治水計画と相待って長期治山計画を定め、これに基づき事業の計画的推進をはかることといたしました。このため、国有林野事業特別会計治山勘定を設け、直轄事業及び補助事業をこの勘定において一元的計画的に運営することといたしました。また、保安林につきましては、災害などにより保安林機能の低下した個所に対して新たに保安林改良事業を実施することといたしました。  造林事業につきましては、前年度に引き続き、農林漁業金融公庫に対する一般会計からの出資による融資造林事業を含めて事業量の拡充をはかり、また林道事業についても奥地林道の開発に重点を置き、林道網の整備をはかるとともに、新たに林道改良事業を実施することといたしました。  次に、漁業生産基盤の強化につきましては、漁港整備計画に基づき漁港修築事業局部改良事業とあわせて計画的に推進することといたしております。  重点の第二といたしましては、内外における農産物需給の動向に即応しつつ農業経営の近代化とその企業的育成をはかることを目標として、後進部門である畑作の改善と成長部門である園芸及び畜産の振興をはかることに重点を置くことといたしました。  まず、従来に引き続き、水稲生産力安定向上をはかるとともに、前年度に着手した畑土壌線虫防除事業及び畑地保全対策を大幅に拡充実施するとともに、甘味資源自給対策の一環としてテンサイ生産の拡大をはかるため、日本甜菜振興会への政府出資を増額してその研究活動を促進することといたしました。  また、国内需要構造の推移及び輸入麦との価格開差と関連して問題の多い麦作につきましては、麦生産の合理化をはかるため多条播栽培を中心とする省力多収栽培法の普及に努めることとし、反当収量の増加と生産費の引き下げをはかることといたしました。さらに、大豆、菜種につきましても貿易自由化の趨勢に対処して国内生産の維持発展をはかるため、能率的栽培技術の確立をはかる所存であります。  次に、わが国農業成長部門の一つであり、また農業高度化の一翼をになうべき果樹農業の振興につきましては、国民所得の成長に伴う果実需要の増加傾向に対処して生産の安定的増大をはかるため、果樹農業審議会の設置、果樹園の集団化、作業過程の機械化、共同化の促進を内容とする果樹園経営計画の樹立並びにこれに基づく果樹園造成資金農林漁業金融公庫による新規貸付の道を開くとともに、果樹病害虫発生予察事業実験的実施、果樹統計の整備等を行なうこととし、またこれに必要な立法措置を講ずることといたしております。  畜産の振興をはかることは、御承知の通り、将来の農産物需給の動向に即応するばかりでなく、今後の農業経営産業的確立わが国農業の高度化のための根幹であることにかんがみまして、酪農、肉畜、養鶏その他各種畜産にわたり極力総合的な振興施策を講ずることといたしました。  すなわち、酪農総合対策を前年に引き続き一段と推進するとともに、特に食肉需要の増大に対処するため肉畜増産総合対策を強力に実施することといたしております。  第一に、酪農対策につきましては、酪農振興法に基づく酪農経営改善安定地区を追加指定し、酪農経営改善計画に基づく経営診断による濃密指導、乳牛の導入、飼料自給度の向上及び給与の改善、生乳共販等の事業の計画的推進をはかるとともに、牛乳品質改善事業産乳能力検定事業を拡充実施することといたしました。  第二は、肉畜対策の強化をはかったことであります。すなわち肉畜資源の確保に力を注ぐこととし、肉畜の国立牧場の拡充を行ない、また必要な種畜の設置増加及び輸入を行なうとともに、従来の国有貸付事業有畜農家創設事業及び中小農家向家畜預託事業を拡充することといたしております。さらに、新しい肉畜生産地の育成及び短期若齢肥育等による肉畜生産の効率化を目途として新たに肉用素畜の導入に対しても利子補給の道を開くなどの措置を講じております。  第三に、畜産の重要な基盤としての飼料対策につきましては、飼料自給の強化と流通飼料需給調整及び価格安定の双方にわたり施策の充実を期したことであります。すなわち自給飼料については、高度集約牧野改良牧野等その他草地の造成改良補助事業の増大のほか、新たに非補助小団地融資事業の適用を始めることとし、さらに草地の利用施設及び維持管理用機械の整備に力を入れることといたしました。そのほか飼料作物の増産をはかり、あわせて新たに家畜に対する飼料給与の改善をはかることといたしました。さらに大規模草地改良事業の調査設計を急ぐほか、従来、草地の造成改良については、いまだその制度的確立が行なわれていないうらみがあるのでその基本制度調査研究を進めることといたしております。次に流通飼料につきましては、政府の操作力を増強してその需給の調整と価格の安定に努めるほか、飼料検査所を独立して流通飼料の品質の改善と確保をはかることといたしました。  次に蚕糸業につきましては、一昨年から昨年にかけての需給事情の変転などに対処してそのつど適宜の措置を講じて参っておるのでありますが、今後、蚕糸業が安定的産業として維持されるための恒久対策につきましては蚕糸業振興審議会において引き続き検討を要するものと考えます。しかし、いずれにしましても、生糸需要の増大をはかることと相待って養蚕経営の合理化による生産費の引き下げをはかることが蚕糸業の安定上ぜひとも必要であることにかんがみまして、本年度におきましては年間条桑育の普及に努めるほか、新たに桑園の共同化による生産の合理化を推進することといたしております。  以上の諸施策の実施にあたりましては、農業の機械化、農地の集団化の推進と相待って、農業経営形態の近代化の一つの方法としての営農の共同化の方途を検討しつつこれが普及をはかるため大型トラクターの導入規模を拡充するとともに、農業機械化実験集落中型トラクター)、果樹園経営改善実験集落麦作経営改善部落集団桑園模範施設飼料給与改善施設等の実験ないしモデル事業を新たに実施することといたしているのであります。  また、最近果樹地帯等で見られる農業法人につきましては、農民の創意を生かし、経営の合理化と生産性の向上に資するため、農地法の基本理念を堅持しつつ、当面一定の要件を備える法人が農地等の使用収益権を取得することを可能ならしめるよう必要な立法措置を講ずることについて検討いたしております。  重点の第三といたしましては、農林畜水産物流通対策の強化をはかったことであります。すなわち、農林畜水産物の商品化の伸展に対応して、流通機構の整備合理化、需給及び価格の安定をはかるとともに、農林水産物の輸出の振興に努めることといたしております。  流通対策の強化の第一としましては、家畜等の市場の整備と共販体制の強化であります。三十五年度におきましては、生鮮食料品中央卸売市場、技肉の産地冷蔵施設及び中小都市技肉市場の施設の整備を行なうとともに市況通報組織の整備、共販体制の強化と適正な取引の推進をはかりたいと考えております。このほか、おくれた家畜等の取引制度の改善につきましては、さらに官民による調査を進めたいと存じます。  その二としましては、農林畜水産物の需給の調整と価格の安定であります。三十五年度におきましては、牛乳乳製品の学校給食の拡充や、乳製品、水産物、木炭についての調整保管事業の継続実施を行なうとともに、価格変動の著しい豚肉につきましても新たに調整保管事業を開始する等のほか、畜産物の農山村及び都市の消費増進をはかることとし、需給調整及び価格安定に特段の意を用いることといたしました。  その三としましては、農林水産物の輸出の振興をはかるため、海外市場の調査及び宣伝活動を強化することとし、特に生糸のヨーロッパヘの輸出促進のため必要な措置を講ずることといたしました。  なお、食糧管理制度につきましては、農家経済と消費者家計の安定をはかるため、その制度の根幹は引き続きこれを堅持するとともに食糧管理特別会計の運営の健全化をはかることといたしております。  重点の第四としましては、農漁家経済の安定のための諸施策を講じたことであります。  その一は、不振開拓地営農安定対策の強化をはかったことであります。すなわち、新たに、過剰入植地区における経営規模の適正化をはかるため一部入植者の移転を奨励する措置を講ずるとともに、開拓者資金触通特別会計において開拓農家の債務負担の軽減をはかるため償還困難な入植者の償還条件緩和の措置を講ずるほか、被災開拓者に対して同会計による災害対策資金の貸付の道を開くこととし、また、中央開拓融資保証協会への政府出資の増額を行なうことといたしております。  その二は、自作農の維持安定と経営の拡大をはかるため、自作農維持創設資金のワクを増大してその資金需要にこたえることといたしました。  なお、農業災害償補制度につきましては、本制度の基本的あり方を検討し、できるだけすみやかに抜本的改正の成案を得たい所存であります。  次に、漁業経営の安定のための対策といたしましては、漁業共済制度の試験実施を引き続き行なうとともに、漁船損害補償制度につきましては、漁船加入者保険料負担の軽減、義務加入制度の改善並びに集団加入制度新設等漁船保険制度の改善をはかることといたしております。  重点の第五としましては、農山漁村環境整備農山漁村の二三男対策を強化するための総合的な振興施策を講じたことであります。  国民生活水準の向上に伴い都会生活に比べて特に立ちおくれの目立つ農山漁村の環境を改善し、住みよい明るい農山漁村を建設することは農政に課せられた大きな使命であります。三十五年度におきましては、新農村建設総合対策事業既定計画に基づき引き続き実施するとともに、漁村につきましては、沿岸漁業依存度の高い地域に対する漁場改良造成事業及び総合助成事業を大幅に拡大して沿岸漁業の振興と漁民生活の安定向上を期することといたしました。  さらに、今後における農山漁村環境整備を行なうための準備として、新たに総合的な調査を開始するとともに、未点灯部落に対する電気導入事業等後進地域対策同和地区対策の実施のため必要な予算的措置を講ずることといたしております。また、近年顕著な効果を発揮している生活改善普及事業の強化をはかることといたしました。  次に、農山漁村子弟対策の強化には特段の意を用いることといたしました。いわゆる農村の二三男問題は、農業の基本問題に連なっているのでありますが、究極のところこの問題を解決し、農業の生産性と所得の他産業との均衡的発展を期するためには、農業就業構造の近代化、過剰労働力の他産業への吸収を促進し、農業を産業的に確立するとともに国民経済全体のバランスのとれた発展を期する必要があると考えます。  このような観点に立ちまして、三十五年度におきましては、国内開発、海外移住、農村青年活動の促進等の施策を一段と強化するとともに、農山漁村子弟を主たる対象とする職業訓練施設の新設拡充、職業安定機関の運営の強化をはかることによってその就業機会の増大を期する等、関係各省との緊密な連絡のもとに幅の広い対策を講じ、政府として総合的に対処して参る所存であります。なお、農業委員会においても新たに農山漁村子弟の就業動向を把握するための基礎資料の整備を行なうことといたしました。  重点の第六としましては、災害対策の拡充強化をはかったことであります。すなわち、昨年における伊勢湾台風災害の教訓にかんがみ、災害復旧事業の推進及び防災対策の強化をはかっております。三十五年度におきましては、三十四年災害にかかる農地、農業用施設、海岸、林道、治山施設漁港等施設災害復旧事業につきまして、被害激甚地における補助率引き上げ等の既定の特別措置に基づき復旧のすみやかなる完成をはかるために必要な予算措置を講ずるとともに、三十三年度以前の災害についても既定通り計画的復旧をはかることといたしております。また、伊勢湾高潮対策事業として伊勢湾高潮により激甚な被害を受けた干拓地、漁港区域等災害復旧改良事業とあわせて推進することとし、三十五年度においては台風期までに原形復旧をはかることを目途として事業の推進をはかることといたしております。  次に、防災対策の強化につきましては、さきに申し述べました通り、国有林野事業特別会計治山勘定による計画的治山事業の推進をはかるほか、農地海岸、漁港区域海岸保全事業その他農地関係防災事業の促進をはかることといたしております。  以上、申し述べました農林水産施策を効果的に実施していくにあたりまして、農林漁業団体整備強化とその活動の促進をはかることがきわめて肝要であることは申すまでもありません。三十五年度におきましては、従来に引き続き、その活動促進及び整備強化に必要な助成を行ないますとともに、新たに農業協同組合組織整備に必要な調査及び森林組合の合併の促進等に助成を行なうことといたしております。また、漁業協同組合整備強化にも特段の意を用いることとし、不振漁業協同組合に対する欠損金の利子補給と一般指導事業を目的とする漁業協同組合振興基金(仮称)を新たに設置するとともに、合併の促進助成を行なうこととし、これらに必要な立法措置を講ずることとしております。  さらに、最近の農林水産業の進展及び行政の要請に即応して、農林水産業振興科学技術的基盤を強化することがますますその重要性を加えつつある現状にかんがみ、三十五年度におきましては、原子力の平和利用による農林作物品種改良を推進するための放射線育種場を付属機関の一つとして設置するほか、特に畑作、畜産、果樹等に関する試験研究予算を大幅に増額するとともに、引き続き研究管理体制の確立とその効率化に努める所存であります。  また、試験研究と並んで、普及事業の強化をはかり、科学的技術の惨透と農山漁家の生活改善を促進するため、農業、林業、畜産、蚕糸、水産業、生活改善各種普及員をそれぞれ増員する等の措置を講ずることといたしますとともに、国際技術協力の推進についても所要の措置を講ずることといたしました。なお、統計調査につきましては、一九六〇年世界農業センサスの取りまとめを行なうとともに、米生産費資料整備に万全を期しております。  以上、農林水産業施策の概要を申し上げたのでありますが、各位の一そうの御協力を得て、農林関係予算案及び法律案のすみやかな御審議をお願いいたす次第であります。
  4. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまの説明に関し、農林大臣に対する質疑は、日を改めて行なうことにいたします。  なお、御質疑の向きはあらかじめ委員長までお申し出を願いたいと存じます。   ―――――――――――――
  5. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 次に、農林関係昭和三十五年度予算の件を議題にし、この際はまず予算全貌について説明を聞き、時を改めて各局、庁ごと説明を聞くことにいたします。まず、全貌について説明を求めます。
  6. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) お手元に昭和三十五年度農林関係予算案大臣説明資料がございますので、これについて朗読し御説明申し上げたいと思います。  昭和三十五年度農林関係予算案についてその概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計における農林関係予算案の総体について申し上げます。  農林省所管合計といたしましては、一千百六十五億二千七百万円となっております。これに総理府所管北海道関係公共事業費百七億七千一百万円、離島振興関係経費十八億四千六百万円、原子力平和利用関係経費九千七百万円及び農林漁業基本問題調査会に要する経費二百万円、労働省所管農林関係公共事業費一億八千五百万円、建設省所管農林関係営繕費六千八百万円、大蔵省所管農林漁業金融公庫出資金七億円並びに文部省所管麦製品学校給食費十七億一千二百万円を加えました農林関係予算合計は、一千三百十九億八百万円となり、これを昭和三十四年度当初予算に比較すると二百五十五億五千七百万円の増加となります。  なお、この増加額のほか、前年度の経費で減となるものが糸価安定特別会計繰り入れ日本蚕繭事業団出資金等で約三十七億円あるので、これを加えた約二百九十三億円が三十五年度予算の新規事業または既定事業の増額の財源に充当されております。新規または増額のおもなるものは、食糧管理特別会計繰り入れ麦製品学校給食費分を含めて百三億四千二百万円、一般公共事業費七十九億四千八百万円、各種災害対策費七十九億三千一百万円のほか、農産振興費畜産振興費試験研究費農業保険費開拓者助成費漁業協同組合振興基金貸付金人件費等であります。  次に、本予算案編成の重点について申し上げます。  第一に、農業基盤整備強化に関する経費についてであります。  土地改良、開墾、干拓事業につきましては、農業の基盤である土地条件の整備強化をはかる事業としての性格を明確にするため、従来の食糧増産対策費の名称を「農業基盤整備費」と改め、総額三百八十九億一千万円を計上したのであります。なお、従来食糧増産対策費中に含まれていた海岸保全事業につきましては、治山治水事業の一環である海岸事業費として農業基盤整備費からは区分してその充実をはかることといたしております。  まず、土地改良事業の拡充に要する経費として百九十九億九千六百万円を計上し事業の計画的推進をはかることといたしましたが、  (一)このうち重要九水系における土地改良事業については水系開発事業として、国営かんぱい、県営かんぱいを通ずる事業効果の発現を期するため総額三十三億九千五百万円を計上し事業の計画的実施を行なうこととしたのであります。  (二)水系以外の一般土地改良事業につきましても、国営、県営、国体営を含め百三十九億六千七百万円を計上し、事業の計画的推進をはかることといたしておりますが、このうち特定土地改良工事特別会計に含まれる国営土地改良事業につきましては、前記の水系開発を除く継続十地区に対し十一億九千二百万円を計上して七ヵ年完成を期することとし、一般会計の国営地区につきましては、四十八億四千一百万円を計上して継続事業の進度の引き上げをはかるとともに、新たに国営かんぱい二地区、直轄明渠二地区の事業に着工するほか、全体設計実施地区として国営かんぱい一地区、直轄明渠五地区を採択することといたしました。また、県営土地改良事業につきましても他事業との関連地区、完了予定地区等に重点を置いて事業の促進をはかることといたしたほか、新たに着工内地二十地区、北海道六地区、全体設計内地二十一地区、北海道五地区を採択することとしたのであります。  団体営事業につきましては、積寒法等の特殊立法による振興計画に基づく目標を達成し得るよう努めるとともに、畑作振興に必要な畑地土地改良事業の拡充をはかったのであります。また、非補助小団地等土地改良事業助成基金による非補助低利融資についても、融資ワクを九十億円に増額することといたしたのであります。  (三)土地改良に関する調査計画につきましては二億七千五百万円を計上いたし、事業計画の樹立、基礎資料の整備に努めることといたしておりますが、本年度は大規模計画内地四地区、北海道七地区の計画に着手するほか、新たに農地開発可能地調査を始めることといたしております。  干拓事業につきましては総額六十六億二千二百万円を計上いたしております。特定土地改良工事特別会計に含まれる国営、代行干拓につきましては、八郎潟の三十八年度完成を初め、計画期間内の事業完成を期して事業の促進をはかるため国費六十億三千七百万円を計上しておりますが、新たに工事着工一地区、全体設計二地区を採択することといたしております。補助干拓についても三億五千五百万円を計上し、事業の促進をはかることといたしておりますが、本年度におきましては、伊勢湾高潮の悲惨な経験にかんがみて国営、代行、補助干拓を通じ、干拓地の保全と住民の安全をはかるため堤防の補強、宅地のかさ上げ、退避場の設置等の措置を講ずることといたしております。  干拓計画につきましては二地区の新規採択を含め七千九百万円となっております。  開拓事業につきましては総額八十億一千六百万円を計上しております。まず開墾事業につきましては、開墾建設事業四十七億四千七百万円、補助開墾八億一千四百万円、開墾計画二億二千二百万円、合計五十七億八千三百万円を計上し、事業の促進をはかることといたしておりますが、事業の重点を既入植地の経営安定に置くとともに、新規着工国営三地区、代行十地区、全体設計三地区の採択を行ない事業の拡大をはかっております。また、これとともに開墾事業の調査計画の整備をはかることに努め、新たに特定農地開発事業地域三地区を採択することといたしたのであります。  また、開拓者に対する開墾作業、入植施設等の助成としては入植施設災害復旧を含め十七億八千二百万円を計上いたしておりますが、本年度は新規入植者を一千戸にとどめ、開拓営農振興臨時措置法に基づく振興計画の達成等既入植者の経営安定に重点を置くことといたしたのであります。  なお、開拓事業についてはこのほか、機械開墾地区の事業促進のため四億五千一百万円を計上いたしておりますが、これらの事業は後に申し述べる開拓者資金融通特別会計における融資ワクの拡大、償還条件の緩和措置、過剰入植地区移転対策、中央開拓融資保証協会に対する増額出資等の開拓関係諸施策と相待ってその成果を発揮するよう努める所存であります。  愛知用水事業と篠津開発事業との外資導入による特定地域開発事業につきましては、それぞれ二十五億円、十三億五千一百万円の国費を計上いたして事業の促進をはかることといたしておりますが、特に愛知用水事業につきましては所要の国費のほか、資金運用部資金六十億円、余剰農産物資金四十五億円等の事業資金を確保することとし、三十五年度内完成を期しております。  なお、本年度からの新規事業として、国営事業によって造成されたダム、頭首工事の施設について、その維持管理を適正に行ない、事業の効果を発揮せしめるため、事業の規模と施設の公共性に応じて国が直接維持管理する道を開いたのでありますが、本年度においてはさしあたって二地区の維持管理に必要な経費として四千二百万円を計上いたしております。  第二に畑作及び果樹振興対策に要する経費についてであります。従来に引き続き水稲生産力安定向上をはかるとともに、農業経営の近代化とその企業的育成をはかるため、畑作の改善及び果樹の振興のための経費を充実することといたしております。  まず、畑作営農の後進性の要因となっている低位な畑地土壌生産力を向上するため、前年度新たに開始した畑地地力保全事業と、畑地土壌病害虫防除事業を大幅に強化してこれを推進することといたしました。すなわち、地力保全事業については地力保全基本調査面積と地方変動観測点の増加をはかり、また、土壌病害虫防除事業についても検診調査面積及び被害激甚地における実験防除面積を増加することといたし、これらに必要な経費二億五千九百万円を計上いたしました。  次に、土層改良及び深耕事業につきましては、過去三ヵ年間の大型トラクターの寒冷地国有貸付等の実験的導入事業の成果にかんがみ、暖地を含め全国的な事業化に一歩を進めるため、導入方式を県有補助に改めて導入数の増加をはかることといたしております。なお、今後畑作営農の機械化の主体になると期待される中型ホイール、トラクターの利用方式について現地において各種タイプの比較実験を行ない、機械化の基本方策について調査検討を加えることといたし、これらに要する経費として、二億七千二百万円を計上いたしました。  次に、畑作物の生産対策につきましては、普通作物、園芸作物及び工芸作物について種子確保対策等を継続するほか、三十五年度においては特にテンサイ、麦、大豆を重点として取り上げることといたしております。テンサイにつきましては甘味資源自給総合対策の一環として北海道における生産の拡大をはかるため、種子確保、機械導入を引き続き推進するとともに、東北及び暖地における新規導入を促進するため県農業試験場の試験を強化することといたしております。更にテンサイ振興の技術的基礎を充実するため前年に設立した日本テンサイ振興会に対して三億四千万円の増額出資を行ない、計画的にその研究活動を促進することといたしております。  次に、麦につきましては国内需要構造の推移、及び輸入麦との価格開差等にかんがみその生産合理化を推進するため、多条播栽培を中心とする省力多収栽培の普及をはかることとして、全国生産地に麦作改善推進部落を設ける等のため六千万円を計上いたしました。なお、大豆、菜種についても貿易自由化の趨勢に対処して、能率的栽培技術の普及の拠点として、特別指導地を置くことといたしております。  果樹農業の振興につきましては国民所得の成長に伴う果実需要の増加傾向に対処して、生産の安定的増大をはかるため、予算の大幅な充実をはかることとし、果樹園経営計画の促進、発生予察事業の実験的実施、果樹統計の整備等について、五千二百万円を計上いたしましたほか、別に果樹園造成資金について農林漁業金融公庫から新たに五億円の貸付を行こなうことといたしました。  以上の経費のほか、畑作改善の関連施策といたしましては、畑地土地改良事業、畑作物流通改善対策並びに畜産の振興に意を用いますとともに、試験研究については、前年に引き続く国の試験研究機関における畑作試験研究の整備、地方農業試験場の畑作試験施設の整備に対する新規助成に必要な経費を、また、農業改良普及事業につきましては園芸、畜産、機械化関係の特技普及員の増員、畑作農家総合指導施設の増設、畑灌漑地指導施設の新設等に必要な経費を計上いたしました。  第三に、畜産振興対策に要する経費についてであります。  まず畜産の生産基盤を強化するため草地造成改良事業を拡充することとし、高度集約牧野、湿地牧野特に改良牧野の改良造成事業量の大幅増加、華地放牧利用模範施設の増設、草地管理用機械の導入等を行なうとともに大規模草地改良基本調査の実施と相待って、草地制度協議会を開いて今後における草地改良造成事業の制度確立の方途について根本的な検討を加えることとし、これらに要する経費として、二億八千二百万円を計上いたしました。  酪農対策につきましては、三十五年度は一千百地区の酪農経営改善地区を追加指定して、事業の計画的推進をはかり、国有貸付、有畜農家創設事業等による乳牛の制度導入を引き続き実施するほか、生乳品質改善指導事業及び産乳能力検定事業を拡充実施することといたしております。さらに乳牛飼料給与改善施設を新たに設置して乳牛飼養の経済性を高めることとし、これらに必要な経費として三億七千八百万円を計上いたしました。  次に、肉畜増産対策については、最近における食肉消費の著しい増加傾向にかんがみ、肉畜産のため肉資源の確保に特に重点を置き所要経費の確保をはかっております。種畜対策としては、新たに和牛のための種畜牧場の支場を設置するとともに、都道府県における種雄豚の設置に対する助成を行ない、また肉畜の導入対策としては、有畜農家創設、中小農家畜預託、国有貸付等の既存制度による導入頭数を増加するほか、肉用素畜の導入促進のため新たに利子補給の道を開くことといたしました。また、乳牛の場合と同様肉牛、肉豚についても飼料給与改善施設を設置することとし、これらに必要な経費として二億六千六百万円を計上いたしました。  家畜及び畜産物の流通対策については、公正取引の確保と適正価格の形成に資するため、家畜市場及び中小都市食肉市場の施設整備を促進するとともに、生産者の共販体制を強化するため、生乳共販施設及び産地枝肉共同出荷施設の設置の助成を行なうことといたしました。  また、畜産物の需給調整及び価格安定のため、牛乳の消費拡大事業、牛乳乳製品の学校給食、乳製品の調整保管を拡充するほか、価格変動の著しい豚枝肉についても新たに調整保管を行なうこととして生産の安定的拡大に資することといたしました。以上に必要な経費として十六億六千三百万円を計上いたしております。  流通飼料対策としては、一千六百万円を計上し、その品質保全のため飼料検査所を新設する等のほか、政府の需給操作力の強化により需給の調整及び価格の安定をはかるため一般会計から食糧管理特別会計に六億三千三百万円を繰り入れて同会計の輸入飼料の売買損の補てんを行なうことといたしております。  以上のほか、畜産技術経営診断事業の強化、家畜伝染病予防対策の実施、家畜保健衛生施設の整備、種畜牧場整備等の諸施策を引き続き継続し、その充実を期するとともに、畜産の試験研究及び改良普及事業についても重点的に強化をはかることといたしております。なお、畑作、開拓等における畜産関係予算についても、その確保に留意をいたしました。  第四に蚕糸業の安定に要する経費についてであります。  まず、養蚕経営の合理化対策につきましては、生産の合理化により繭生産費の低減を推進するため、前年度開始した年間条桑育の普及をはかるため計画に従って指導地の増加を行なうほか、新たに桑園の集団化により桑園の共同管理、全令共同飼育を奨励するため壮蚕共同飼育所の設置等に対して助成を行なうことといたしました。また、蚕業普及員に対する国庫補助の増額を行ない、技術普及活動の強化に資することといたしております。これらに必要な経費として三億二千九百万円を計上いたしました。  生糸の需要増進につきましては、一億五百万円を計上し、日本綿業協会をして従来の米国のほかに欧洲事務所を新設せしめ、消費宣伝及び調査活動を強化拡充して参ることといたしております。  次に、蚕糸関係の検査事業の充実及び能率化をはかるため、新たに国用生糸検査所の施設の改善に対して助成を行なうとともに、繭検定所の統合整備によって検定の効率化を促進することとして、これらを含くめ総額三億四千一百万円を計上いたしております。  第五に農家経済の安定に関する経費についてであります。  既入植地区の営農不振の現状にかんがみ、不振開拓地営農安定対策の刷新強化をはかることとし、これがためすでに申し述べました開墾建設工事、開拓地改良、開拓実施等の公共事業の拡充と相待って、各般にわたり措置を講ずることといたしました。すなわち、過剰入植地区経営規模の適正化をはかるため、計画的に一部入植者の移転を奨励するとともに、開拓農家の債務負担の軽減をはかるため、償還困難な入植者に対し、償還条件緩和の措置を講ずることとし、さらに被災開拓者に対して開拓者資金融通特別会計から災害対策資金を貸し付ける道を新たに開くこととしたほか、中央開拓融資保証協会への政府出資の増加を行なって営農資金の融通の円滑化をはかる等諸般の措置を講ずることといたしました。これらに必要な経費として八億七千五百万円を計上いたしております。  次に、農地調整関係経費の確保と相待って自作農の維持安定並びに経営の拡大をはかるため、自作農維持創設資金ワクを増大して百三十億円といたしました。  農業災害補償制度については、最近の農業経営及び農業災害の実態にかんがみ、農業災害補償制度協議会により本制度の改正を検討するとともに各種調査を実施し、すみやかに抜本的改正の成案を得たい所存であります。また、当面の制度運営の円滑を期し、本年度は農作物、蚕繭及び家畜共済について最近の引き受け実績に基づいて国庫負担金の増額を行なうほか、家畜診療所の整備及び農業共済組合、同連合会の職員人件費の増、共済連絡員手当の新規計上等事務費の充実をはかることとし、これらに必要な経費として百十四億九千六百万円を計上いたしました。  第六に、林業関係の経費についてであります。  まず、林野公共事業につきましては治山事業費に五十七億九千六百万円、造林事業費に三十八億四千一百万円、林道事業費に森林開発公団補助金も含めて二十九億四百万円等合計百二十五億四千一百万円を計上いたしております。  これらのうち治山事業につきましては、本年度より新たに樹立する、総事業費千三百億円の十ヵ年計画に基づき事業を計画的に推進することといたしたのでありますが、これがため、国有林野事業特別会計治山勘定を設け民有林治山の直轄事業及び補助事業を一元的に処理するとともに事業規模の拡大をはかったのであります。  また、造林事業につきましては、林種転換を主とした拡大造林に重点を置き事業を推進するとともに、前年度に引き継ぎ農林漁業金融公庫に対する一般会計よりの七億円の出資に基づいて融資造林を促進することといたしております。  林道事業につきましては、奥地林開発に重点を置いて林道網の整備をはかることといたしておりますが、新たに既設林道のうち老朽化した木橋を永久橋にかけかえするための林道改良事業を実施することといたしております。  次に、保安林の整備につきましては、保安林の公共性の大なることにかんがみ、これが整備と維持管理に重点を置くこととし、新たに保安林改良事業を実施するため八千六百万円を計上しましたほか、前年度に引さ続き保安林の指定に伴う補償を実施することといたしております。  その他の林業関係の主要経費につきましては、まず、森林計画の策定に三億六千七百万円を計上し、既定計画に基づき、森林計画の樹立及び実行を行なうほか、木炭関係につきましては、五千八百万円を計上し、前年度に引き続き木炭の生産指導及び調整保管事業を実施いたしますほか、新たに奥地製炭促進のため、木炭簡易搬送施設の助成を行なうことといたしました。  また、後にも述べますが、林業技術普及の強化をはかるため、四億三百万円を計上し、林業改良指導員の増員、機動力の強化等を行なうほか、新たに林業技術の指導、研修、展示等に利用するための普及設備を、都道府県の林業試験場等に設けることといたしております。  第七に、水産業の振興に要する経費についてであります。  まず、漁業基盤である漁港の整備につきましては、漁港整備計画に基づき事業を計画的に進めるため四十五億八千七百万円を計上いたし、継続四百港、新規四十九港について事業を実施することといたしたのであります。  資源及び漁場調査につきましては、国際協調のもとに公海漁場を確保し、既存漁業の合理的利用及び新漁場の開発を積極的に推進するため特に問題の多い北洋サケ・マス資源等の調査を初め、以西トロール底びき漁業資源、北太平洋鯨資源、東カムチャッカ海域の底びき漁場、大西洋マグロ漁場開発等の調査を実施することといたし、これらに必要な経費として一億一千八百万円を計上いたしました。  次に、沿岸漁業の振興につきましては、三億四千一百万円を計上し、沿岸漁業依存度が高く、かつ、漁業所得水準の低い地域に対し、昭和三十三年度より実施中の沿岸漁業振興対策事業を計画的に推進いたしますほか、漁場生産力の維持増強をはかるための漁増改良造成事業を継続実施することといたしております。また、後に述べますように、水産業改良普及体制の整備充実をはかるため、二千四百万円を計上し、沿岸漁業改良普及員の増員、機動力の強化等を行なうことといたしました。  次に、漁家経済の安定をはかるため、漁業共済事業の試験実施に三千五百万円を計上してその内容の充実を期しますほか、大衆多獲魚の調整保管事業を継続実施いたしますとともに、特に、漁船保険制度につきまして、保険料率の改訂、保険料国庫負担の改善による被保険者負担の引き下げ、集団加入制の採用等を行なうことにより、その改善をはかることとし、これらに要する経費として、四億八千三百万円を計上いたしました。  第八に、農林畜水産物等の価格安定その他流通改善及び輸出振興対策に要する経費についてであります。  まず、食糧管理特別会計における米麦の管理をこれまで通り維持して参ることはもちろんでありますが、百億円を一般会計から特別会計の調整資金として繰り入れることとし、また、その他の主要農産物、飼料等につきましてもその価格安定を引き続きはかることとし、農産物等安定勘定の損失見込みを補てんするため十二億円の繰り入れを行なうことといたしております。次に、農林畜水産物の流通改善対策につきましては、青果物の市況速報、産地出荷実情調査等を引き続き行なうほか、中央卸売市場の施設整備に対して新たに助成を行ない、公正取引の確保と適正価格の形成に資することとし、これらに必要な経費として四千三百万円を計上いたしました。このほか、すでに申し述べました通り家畜及び畜産物の流通対策について各般にわたって大幅に強化の措置を講じたほか、水産物、木炭の流通調整につきましても前年に引き続いて事業を行なうことといたしております。  農林水産物の輸出振興につきましては、生糸についてすでに申し述べた届りでありますが、その他につきましイは、輸出品検査所の業務の充実をは而るほか、別に九千一百万円を通商産幸省に計上し、輸出農林水産物の海外市場調査及び宣伝事業を強化することといたしております。  以上のほか、農林水産業に必要な各種生産資材対象につきましては、さきに述べました飼料検査所の独立のほか、一億二千六百万円を計上し、肥料、農薬、農業機械、種苗等の検査を引き続き実施し、その品質の保全及び改善に努めて参る所存であります。  第九に、農山漁村の振興に要する経費についてであります。  まず、都市に比し、立ちおくれている農山漁村の社会及び生活環境の急速な整備に資するため、一億七千二百万円を計上し、全国の代表的市町村につきまして、基本的調査を行ないますほか、特別の後進地域の環境整備事業として僻地及び離島における電気導入事業を拡大することといたしました。  次に、不安定な就業状態で農漁村に滞留する農漁村子弟に対する各省にわたる総合的対策の一環といたしまして、新たに農業委員会が行なう農漁村子弟の就業動向に関する調査に対して助成を行ないますほか、前年度に引き続き、海外移住の促進及び農山漁村青年活動の強化をはかることとし、これらに要する経費として四億八千一百万円を計上いたしました。なお、他省関係におきましても、一般職業訓練所の増設、職業安定協力員の新設等農漁村子弟の就業機会の増大をはかるための施策を一段と強化することといたしております。  また、新農村建設総合対策の推進をはかるため、三十四億七千六百万円を計上し、特別助成事業及び小団地開発整備事業を継続実施いたしますほか、新たに、同和モデル地区におきまして土地整備、共同利用施設設置等の振興対策を実施することといたしております。  第十に、農林水産業諸団体の活動促進に要する経費についてであります。  まず、農業委員会関係におきましては、その組織及び活動を維持すると必要な経費十一億四千五百万円を計上いたしましたが、このうち、さきに述べました農家労働力就業動向調査に要する経費を新たに助成することといたしておりますほか、職員給与の増額及び前年度に引き続き農家台帳の作成費を計上いたしております。  次に、農業協同組合関係につきましては、四億四千七百万円を計上し、連合会の整備促進対策及び不振単協の整備強化措置を既定計画に基づき推進いたしますほか、新たに組合振興対策の策定に資するため組織上の問題点につき調査及び検討を行なうことといたしました。  また、森林組合関係につきましては、四千万円を計上し、連合会の整備促進対策を継続実施いたしますほか、単位組合の強化をはかるため、引き続き不振組合の指導を行ないますとともに、新たに合併促進のための奨励金を交付することといたしました。  次に、漁業協同組合関係につきましては、一億五千三百万円を計上し、連合会の整備促進を引き続き行ないますほか、漁業協同組合整備強化をはかるため、規模過小組合に対する合併奨励金の交付に対し助成いたしますとともに、不振組合を対象として欠損金に見合う借入金に対する利子補給等を行なうことを目的とする漁業協同組合振興基金を設置し、これに対し一億円の貸付を行なうことといたしました。  また、農業共済団体関係につきましてはすでに述べましたが、職員給与の改善と、共済連絡員手当の計上に重点を置き、二十五億円を計上いたしております。  第十一に、試験研究、統計調査及び技術普及の強化に要する経費についてであります。  まず、試験研究につきましては、四十四億二百万円を計上し、農林水産試験研究の拡充強化をはかることといたしております。  次に、農林水産関係統計調査につきましては、五十五億九千六百万円を計上し、一九六〇年世界農業センサスの結果の集計公表、米生産費調査農家戸数の増加、果樹基本資料の整備等を重点として統計調査を拡充いたしますとともに、これに伴い、機動力を整備して統計調査の能率化をはかることといたしております。  また、農林水産関係技術普及事業につきましては、農業関係特技普及員五百三十八人、生活改良普及員百三十一人、林業改良指導員七十八人、沿岸漁業改良普及員四十八人の増員により技術指導の充実向上をはかることといたしましたほか、機動力の強化等を行なうこととし、これらに必要な経費として、三十億七千五百万円を計上いたしております。  第十二に、防災事業及び災害復旧対策についてであります。  三十四年度は伊勢湾台風を初めとする災害によって農林漁業についても激甚な被害を受けたのでありますが、本年度においてはこれら災害地の復旧に努めるとともに、防災事業の充実をはかることとしたのであります。  防災対策としては、治山事業において、すでに述べた、ことく国有林野事業特別会計治山勘定を設け、長期計画に基づく事業を推進することとした点も特記すべきことでありますが、このほか本年度より農地、漁港関係の海岸保全事業農業基盤整備事業または漁港事業から区分し、治山治水事業の一環として、その拡充をはかることといたしまして、農地関係三億四千九百万円、漁港関係二億五千万円を計上いたしたのであります。また、伊勢湾台風による被害を受けた伊勢湾地域の干拓地、農地及び漁港の区域の海岸等の復旧改良事業につきましても、伊勢湾高潮対策として、本年度は台風期までに原形の復旧をはかることを目途として農地関係二十億四千二百万円、漁港関係五億五千一百万円、計二十五億九千三百万円を計上いたしたのであります。一方従来より実施して参りました防災ため池、農地保全、地盤変動対策等の農地関係防災事業につきましても、本年度は事業の拡充をはかっております。  災害復旧事業につきましては、農地、林野、漁港等公共事業関係災害復旧費百十八億二千五百万円、災害関連事業費四億九千四百万円を計上いたしたのでありますが、これによって三十二年災は一〇〇%、三十三年災は八五%、三十四年災は六五%の復旧をはかることといたし、特に三十四年災につきましては、激甚地に対する高率補助、災害関連事業の拡大等の特別措置によりその復旧に努めるつもりであります。また、三十四年災害につきましては、これ以外の災害対策といたしまして入植施設災害復旧、救農土木事業、農林漁業共同利用施設災害復旧、共同利用小型漁船建造、水産養殖施設災害復旧、災害経営資金利子補給、米予約概算金返納資金利子補給等に必要な経費として十四億二千七百万円を計上し災害対策の万全を期する所存であります。  次に、昭和三十五年度の農林関係特別会計予算案について申し上げます。  第一に、食糧管理特別会計について申し上げます。  まず国内産米麦の買い入れにつきましては、三十五年産米はその集荷数量を五百十万トン、麦は買い入れ数量百三十一万トンと予定いたしており、また、国内米の政府買い入れ価格は百五十キログラム当たり一万三百三十三円とし、消費者価格は現行価格といたしましたほか、これら米、麦の管理につきましてはすべて従来の方針を継続して参ることといたしております。  外国食糧は、国内米麦の生産量及び持越量を考慮し、需給上必要な数量の輸入を予定いたしております。  農産物等安定勘定につきましても前年度に引き続きその買い入れ費を計上いたし、輸入飼料につきましても別途申し上げましたように畜産政策の進展に応ずる方針をとることといたしました。  なお、この会計の損益見込みにつきましては、国内米、国内麦、輸入食糧の各勘定を通じまして三十四年度九十三億円、三十五年度約百八億円の損失を見込んでおりますが、三十四年度当初の調整資金は百六億円でありますので、三十四年度の損失分をこの調整資金の取りくずしによって処理しますと、三十四年度末には十三億円しか残らないことになります。そこで三十五年度においては当年度の赤字見込み額をも勘案して一般会計から百億円の繰り入れを行なうことといたしております。また、農産物等安定勘定についても当年度に生ずる損失見込みをあらかじめ補てんするため、一般会計から十二億円を繰り入れることといたしております。  以上によりまして各勘定区分に従い歳入、歳出の規模を申し上げますと、  国内米管理勘定    六千八百二十七億四千五百万円  国内麦管理勘定      九百三十二億一千八百万円  輸入食糧管理勘定     一千百七十七億五千二百万円  農産物等安定勘定      六百四十四億九千八百万円  業務勘定   百七十八億二千万円  調整勘定      七千四十九億八千八百万円となっております。  第二に、農業共済再保険特別会計について申し上げます。  このうち支払基金勘定につきましては、その歳入、歳出はともに三十一億九百万円を計上しております。次に農業勘定は、歳入、歳出とも百十六億一千九百万円と前年度予算に比べまして五億七千九百万円の増加となっております。これは水稲、陸稲、夏秋蚕繭につきましては三十三年産、麦及び春蚕繭につきましては三十四年産の引き受け実績を基礎に置いて算定いたしたためでありまして、これにより一般会計からの受入額は四億五千三百万円増加して、七十九億二千八百万円となっております。  家畜勘定につきましは、歳入、歳出ともに三十四億八千八百万円でありまして、前年に比し二億四千五百万円の増加となっております。これは加入頭数の増加によるものであります。これにより一般会計繰り入れば二千万円を増加し、八億九千四百万円となっております。  第三に、漁船再保険特別会計について申し上げます。  この会計の三十五年度は義務加入制度を改善し、特に小型加入者の負担の軽減並びに異常災害に対する保険料の全額国庫負担を行ない、また、集団加入制の採用など保険体系の合理化をはかるほか、本会計の準備金の運用益により事故防止のため技術面の積極的指導を行なうことといたしたのであります。  これにより普通勘定におきましては、歳入歳出ともに二十三億一千一百万円を計上し、一般会計よりの繰り入れを四億三千一百万円といたしております。また、業務勘定といたしましては、一般会計の繰り入れ三千五百万円によりまして業務の運営に当てることといたしております。その他特殊、給与保険の二勘定につきましては、ほぼ前年同様の方針で計上いたしております。  第四に、国有林野事業特別会計について申し上げます。  この会計は三十五年度より二勘定に区分いたし、従来の国有林野事業は国有林野事業勘定において経理することとするとともに、新たに治山勘定を設置いたし、従来一般会計で実施しておりました民有林の治山事業を一元的にこの勘定で実施することといたしました。  まず、国有林野事業勘定におきましては、三十四年度より林力の増強を経営計画に従って強力に実施して参りましたが、三十五年度におきましても生産基盤の拡充を行ない、なおその資金と組織を活用して民有林林政への協力をいたすこととした次第であります。  三十五年度の歳入は五百六十一億四千四百万円を計上いたしておりますが、歳出面におきましては、奥地未利用林開発のための林道新設、生産面における機械化、造林、国有林における本来の治山事業及び官行造林等にその主力を注ぐ一方、本会計の積立金を減額し林政協力のため十一億円を一般会計に繰り入れることとし、前年通り七億円を農林漁業金融公庫の出資に当て、長期、低利による融資造林の促進を行なうことといたしております。  治山勘定におきましては、治山事業十ヵ年計画に基づき前期五カ年を五百五十億円とし、三十五年度は初年度として、歳入、歳出ともに六十一億一千三百万円を計上し、民有林における直轄治山事業八億三千一百万円、補助事業四十九億二千二百万円の事業を行なうこととし、これによる一般会計からの繰入額は五十七億九千六百万円とし、前年度の事業に比し大幅の拡大をはかることといたしました。  第五に、糸価安定特別会計について申し上げます。  この会計の歳入、歳出は百十五億一百万円であります。三十四年度におきまして、生糸価格の著しい持ち直しにより、需要の増加を来たし、政府保有生糸の大幅な整理が行なわれ先行き明るい見通しとなりましたので、三十五年度はさしあたり現行安定法による生糸の買い入れ一万五千俵と百万貫の繭の保管を予定し、万一不足の場合は予備費をもって買い入れ等の措置を行なうことといたし、管理費等を含めまして前述の歳出を要するのでありますが、これらの財源といたしましては、証券発行及び借入金百十五億円を予定いたしております。これにより三十四年度設置されました日本蚕繭事業団の事業と相待って本会計を通じ繭糸価格の安定をはかりたい所存であります。  以上の各特別会計のほか、特定土地改良工事特別会計、開拓者資金融通特別会計につきましては別途御説明申し上げておりますが、森林火災保険、自作農創設特別措置、中小漁業融資保証の各特別会計につきましては、前年に引き続きほぼ同様の方針で計上いたしております。  次に、昭和三十五年度の農林関係財政投融資計画について御説明申し上げます。  昭和三十五年度における農林関係財政投融資計画は四百六十六億円でありまして、そのおもなるものは次の通りであります。  まず、農林漁業金融公庫につきましては、三十五年度の貸付計画として五百十七億円を予定いたしておりまして、前年度に比し八十五億円の増額となっております。この原資計画といたしましては、産業投資特別会計からの出資七十億円、一般会計からの出資七億円、資金運用部等からの借入金二百五十八億円、回収金等百五十四億円であります。なお、融資造林事業促進のための一般会計からの出資は前年同様七億円、非補助土地改良事業低利融資の拡大等につきましてはさきに述べた通りでありますが、このほか三十五年度は自作農維持創設資金を百三十億円と大幅に増額いたしておりますほか、新たに果樹園造成資金の貸付を行なうため五億円を計上いたしております。  次に、開拓者資金融通特別会計につきましては三十五年度の貸付計画は、基本営農資金六億八千六百万円、振興対策資金二十五億五千三百万円、農地開発機械公団地区営農資金二億七千一百万円、災害対策資金一億円となっておりますが、これらの事業を行なうため、資金運用部等からの借入金三十五億円、一般会計よりの繰り入れ四億七百万円、その他回収金等の歳入を計上いたしております。  特定土地改良工事特別会計の総事業費百四十億円に見合う資金計画は、資金運用部からの借入金三十五億円、一般会計からの繰入金八十八億円、その他、他用途転売収入等であります。  愛知用水公団事業の三十五年度総事業費百三十四億円に見合う資金計画は、国費二十五億円、資金運用部資金六十億円、余剰農産物資金四十五億円等であります。  農地開発機械公団事業におきましては、公団保有の土木機械を整備する設備を拡充するための資金一億円を資金運用部から借り入れすることといたしております。  以上をもちまして農林関係一般会計予算案及び特別会計予算案並びに財面投融資計画の概要の御説明を終ります。
  7. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまの説明に対します質疑は後刻に回しまして、次の議題に入ります。   ―――――――――――――
  8. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 農林省関係第三十四回国会提出予定法律案の件を議題として説明を聞くことにいたします。
  9. 和田正明

    説明員(和田正明君) 私から提出法律案について簡単に御説明申し上げます。  お手元に農林省関係第三十四回国会提出予定法律案件名表というのがお配りをしてございますが、それの番号の順序に従って申し上げますと、件数としては全部で二十五件でございます。  1の農林省設置法の一部を改正する法律案は、内閣委員会の方へかかると思いますが、予算関係法律案で本日の閣議で決定をいたしました。内容はこまごまございますが、おもなことを二、三申し上げますと、第一は、あとで別に申し上げます果樹農業振興特別措置法案との関係で、従前果樹青果物に関します行政振興局、農林経済局、食糧庁等に分散をいたしておりましたのを、振興局において一元的に処理いたしますために、各局間の権限を移動をいたします点が第一でございます。第二に、そこに書いてございますように、放射線育種場というのを茨城県の水戸の郊外に設置をいたしまして、放射線を照射をいたしまして普通の農作物、あるいはその他の林木について試験研究をいたします。それから第三に、昨年の伊勢湾におきます高潮災害にかんがみまして、これを早急に実施をいたしますために名古屋の農地事務局に高潮対策事業部というのを臨時に設置をいたす予定でございます。その他こまごましたことはございますが省略をいたします。  それから2にございます農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、これも本日閣議決定をいたしました予算関係法案でございます。内容は三点ございまして、一つは先ほど予算で御説明申し上げましたように、出資金が七十七億増額いたしますので、それに伴う改正。それから第二は、現在県営の土地改良事業が現在の補助率、補助金の配付の率で参りますと、完了までにほぼ七年を要しますので、七年間を据置期間として定めますために、従前五年でございました据置期間を七年に延長いたします。それから第三に、数年前から公庫は事業者に直接貸付をいたしておりますが、それが逐次償還時期になりましたので、その償還の手続を簡易にいたしますために、郵便振替貯金あるいは一般銀行、農林中金等に預金口座を置きまして、そこに払い込んでもらえば償還できるというふうに処理をいたしたいということでございます。  それから3は、予算関係ではございませんが、農林中央金庫の役員が現在政府任命制になっておりますのを、総代会等で自主的に選任をいたすように改めたいということで、現在大蔵省等と折衝をいたしておりますが、提案時期としては本月下旬になるものと考えております。  それから4の農地法等の一部を改定する法律案は、農業法人の問題でございまして、農地法農業協同組合法とにそれぞれ所要の改正を加えたいということで、現在最終案を検討中でございます。これも提案時期は二月下旬になるかと思います。  それから5の開拓融資保証法の一部を改正する法律案は、中央開拓融資保証協会に対しまして、三十五年度予算政府から一億円の出資をいたしますので、そのための出資金額に関します改正法案でございます。本日の閣議で決定をいたしましたので、近日提案になるはずであります。  それから6の開拓者資金融通法の一部を改定する法律案、7の開拓者資金の償還条件の緩和等に関する特別措置法案、8の開拓者営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案、この三法案は新開拓者に対しまする振興対策一環として現在までに貸し付けられております開拓者資金の条件を緩和をいたしまして、償還期限を延期をいたしましたり、事実上借りかえと同一の効果を発生をさせて、さらに五年の据え置き、十五年の償還期間というようなことを考えるほかに、災害を受けました新開拓者に対しまして、開拓者資金融通特別会計から資金の融通ができるように措置をいたしたいという関係の法案でございます。  これは来週中くらいに閣議決定をして提案をいたす段取りにいたしたいと思っております。  なお、このうち8だけは予算関係法律案でございます。  それから9は、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の法律の有効期限が三十六年度末までになっておりますので、他の地域立法の有効期限等とにらみ合いまして、法律の有効期限の延長を考えておるわけでございますが、何年延長するようにするかということは、今関係市の間でいろいろ協議を進めておりますので、後刻決定をし次第提案をいたしたいと思っております。で、場合によっては議員立法にしていただくということになろうかと思います。  それから10の果樹農業振興特別措置法案は果樹農業の合理的な発展をはかりますために、地帯別に集団的かつ合理的な果樹園経営計画を立てさせまして、その計画に基づいて農林漁業金融公庫から果樹園造成の資金を貸し付けるようにいたしますほか、農林省に果樹農業振興審議会というのを設置をいたしまして、長期にわたります需給計画その他果樹農業振興のための重要問題の審議をしていただくようにいたしたいという内容でございます。  これも本日閣議決定をいたしましたので、二、三日うちに国会に提案になる運びでございます。  それから11の家畜取引法の一部を改正する法律案、12の家畜商法の一部を改正する法律案、この二案につきましては、現在別途家畜及び食肉の取引制度あるいは流通制度について検討をいたしておりますので、その制度検討が終りましたならばあるいは別途の形の法律案として御審議をいただくことになるかと思いますが、なおまだ成案を得ませんので提出時期は未定でございます。  それから13の水産庁設置法の一部を改正する法律案は、現在国立で十和田湖の孵化場というのがございまして、マスの稚魚の育成をいたしまして、関係漁協に配付をいたしておりますが、北海道にございます同様孵化場で十分間に合うようになりましたので、八月一日からこれを廃止をいたしたいという内容でございます。これも本日の閣議決定をいたしまして、近く内閣委員会の方へ提案になるはずでございます。  それから14の漁業協同組合整備強化法案は、漁協で相当赤字のものがありまして、そのうちで何らかの援助を加えれば、その経営合理化と申しますか、赤字を解消して経営強化できる組合が大体三百七十ほどあると推定をされております。その組合につきまして農業協同組合に現在実施しておりますのと同様に組合の整備計画を立てさせまして、その計画に基づきまして、赤字部分についての借入金の利子補給をやっていきたい。農協の場合にはその利子補給を毎年度国庫から補助金の形で交付をいたしておりますが、漁協の場合には別途漁業協同組合振興基金というのを設立をいたしまして、政府からも一億円の無利子貸付をいたしまするほかに、関係団体の出資を得まして、その基金の運用益で利子補給をいたしていきたい、そういう内容の法案でございます。  それから次の15の中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案、これの内容は三点ございまして、一点は、現在出資金額が一品五万円となっておりますが、零細漁民としては五万円の出資が非常に苦痛でございますので、その出資一口の金額を一万円に下げまして、出資を容易にいたしますとともに、それに伴って資金の借り入れをいたします場合の融資保証ができるようにいたしたいということが一点であります。  それから二点は、きわめて技術的な点でございますが、現在再保険特別会計で損失を補てんをいたしますと、求償権が政府に来ることになっておりますが、これはいろいろ大へんでございますので、各県にございます漁業信用基金協会で求償権を行使をいたしまして、求償ができました暁では、一定割合で政府に納めさせるようにいたしたいというのが第二点でございます。  それから最後に、現在漁業協同組合自身は金融機関になっておりませんので、単位の漁業協同組合も金融機関として組合員に金融をつけました場合には、保証の対象にいたしたいと、そういう内容でございます。  この二つは木曜日の次官会議、金曜日の閣議の予定でございます。つまり、十二日に閣議決定をして提案をいたす予定でございます。うち、14の方は予算関係法案でございます。  それから16の漁船損害補償法の一部を改正する法律案、これはこまごま技術的な点の改正もございまして、相当大きな法案になっておりますが、おもな内容は二点ございまして、第一点は、現在漁船保険の保険料の国庫負担は一律に五割ということに定められておりますが、それを、大型の漁船の使用者と、小型漁船の使用者との問には負担能力の差がございますので、小型漁船の使用者に対する補助率を高くし、大型漁船に対する補助率を低くいたしまして、その間に負担能力に応じてバランスをとろうということであります。一番補助率の高いものは無動力漁船、それから五トン未満の小型漁船については六割、五十トン以上百トンという大きなものにつきましては四割というふうに、六割から四割の問でいろいろ段階を設けまして、補助率を負担能力に応じて差をつけて参りたいというのが第一点であります。  それから第二は、現在、今申しましたような国庫の補助は、一定の漁業協同組合の地区につきまして申しますと、すべての船が、全船保険に加入をいたしました場合に限って補助をいたす建前になっておりますが、それでは小型漁船がなかなか数が多かったりして加入しにくいというようなこともございますので、二十トン未満の船が一つ漁業協同組合の地区につきまして半分以上加入をいたしました場合には、前段申しました補助金の半分だけは補助をしましょう。その後だんだん加入がふえて全船になれば、先ほど申しましたように、六割ないし四割の補助になるわけでございますが、半分だけ入っておれば、それの半分、つまり三割の補助をいたしましょうというふうにいたすわけであります。  そのほか、こまごま技術的な改正がございます。これも本日の閣議で決定をいたしまして、近日提案をいたすことになると思います。なお、これは漁船の保険の契約が一年ごとに更新をいたしますので、この四月、五月ごろにほとんどの漁船が契約更新期でございますので、四月一日にこの改正法律案実施ができませんと、今のように補助金の負担能力に応じた傾斜システムがもう一年実行がおくれることになりまずので、四月一日からぜひ施行ができますようにいたしたいというふうに考えておりますので、御審議をいただきます場合には、その点を十分御考慮いただきたいと思います。  それから17は、現在、臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会というのがございまして、いろいろ検討をしていただいておりますが、その答申がありました暁において、中央卸売市場法の改正を要する部分があれば提案をいたしたいということで、内容もまだ未定でございます、従って提出時期もはっきりいたしません。  次の18の農業災害補償法の一部を改正する法律案も同様、農業災害補償制度についての協議会を設置をいたしますもので、その協議会でこの国会中に結論を得ますような場合には提案をいたしたいという趣旨でございます。  19の繭糸価格安定法の一部を改正する法律案は、現在、蚕糸業振興審議会に諮問をいたしまして、明生糸年度におきます繭糸対策検討をしていただいております。そこの答申の次第によっては安定法の改正を要することがあるかもしれないという趣旨で、ここに掲げてございます。従いまして、17、18、19は、内容提出時期等いずれもまだはっきりいたしておりません。  20の大豆の輸入等に関する臨時措置に関する法律案は、大豆のAA制の移行に伴いまして、国内産大豆の保護その他のための所要措置を規定をいたす予定の法律案でございますが、まだ大豆のAA制移行に関します最終的な方針が確定をいたしておりませんので、これの提案時期もまだ明らかでございません。  そこまでが農林省所管の法案として御審議をいただくものでございまして、その最後のところにございます21以下25までは大蔵省所管法律案として大蔵委員会の方に提案になると思いますが、第一の21の経済基盤強化のための資金及び特別法人の基金に関する法律の一部を改正する法律案と申しますのは、従前、非補助小団地の土地改良事業につきまして三分五厘の低金利融資をいたしておりましたが、それと同様のことを牧野の改良、あるいは造成についても実施をいたしますために必要な改正でございます。  次の22の糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案は、この特別会計での借り入れ限度が昨年のような特別措置を要しませんので、縮小することが可能となりましたので、その点にかかる改正であります。なお、22はすでに国会に提案になっております。  次の23の食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案は、先ほど申しました大豆のAA制移行に伴う措置が確定をいたしました際には改正を要するという趣旨の件名であります。  次の24の国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案は、先ほど予算関係のときにも御説明がございましたように、今度この特別会計治山勘定を設けます、それに関します所要の改正規定で、この金曜日の閣議決定の予定であります。  最後の25の一般会計の歳出の財源に充てるための国有林野事業特別会計からする繰入金に関する法律案は、三十五年度におきまして、国有林野事業特一別会計から十一億円を一般会計に繰り入れをいたしますので、それに伴います法律案でございまして、すでに国会に提案がしてございます。  以上簡単でございますが、御説明を終わります。
  10. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ここでさきに説明のありました予算全貌と、ただいま説明のありました提出予定法律案について、この際御質疑がございましたら御質疑をお願いしたいと思いますが……  他に御発言もないようでありますから、本件はこの程度にいたします。  ここでしばらく休憩をいたしまして、午後は一時半から再開をいたします。    午後零時十三分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕