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栗山良夫君 私は、こういう
特別委員会の
委員長以下
理事を選任いたしまする
委員会におきまして、恒例でありまするならば、冒頭に
議事進行の
発言を求めるというようなことは、おそらく例がなかったと思います。にもかかわりませず、あえて
議事進行の
発言をいたしまして、
発言のお許しをお願いいたしましたゆえんのものは、当
委員会の
重要性にかんがみまして、われわれは
誠心誠意、熱心に、
国民の期待にこたえて
審議をいたしたいと考えておりますので、その重要なる
委員会を司会されるところの
委員長の問題につきまして、何としても看過し得ない重要な
できごとが
昨晩起きたからであります。
皆様の中には、おそらくすでに、かく私が申しますれば、お気づきの方もあろうかと思いますが、
昨晩十時三十分から
日本放送は、
ラジオ放送を通じまして、
参議院の
安全保障条約特別委員会の
委員長なる人と
日本放送の
放送記者とが、
委員会の
運営その他につきまして、約三十分間にわたって
全国放送を行なったのであります。
皆様御承知のように、この
委員会は、ただいまこれから
委員長及び
理事を選任するのであります。われわれは、すべて本
会議において選任せられました
安全保障条約の
委員でしかないのです。その
委員でしかない者が、どういう資格で
委員長としてのインタビューを行ない、そして
ラジオ放送を行なったのでありましょうか。私は、その人が
委員長の
候補者に擬せられていない人でありますならば問題にいたしません。本日の
選挙によってどういうことになるか知りませんが、
自民党から一名、社会党かり一名、
委員長の
候補者が立候補せられる由に承っております。その
自民党の方の
委員長候補に擬せられておる人がそういうことを行なわれたのでありまするから、何としても看過することができないのであります。しかも、その
内容につきましては、
昨晩私は、幸いおおむね初めから全部聞いて、ここに筆記をいたしておりまするが、重要なる
問題点が数点あります。この
委員会の
運営につきまして、われわれが看過することのできない重要なる
所信表明が数点あるのであります。従ってわれわれといたしましては、こういう
委員会を軽視するような態度をとられた
委員長候補者がもし
委員長になられるということでありますならば、この
安金保障条約の
審議の上におきまして、心安らかにして
誠心誠意審議を尽くすというようなことができないのではないかと、非常に
心配をいたすものであります。
たとえて申しますならば、その
内容の第一は、これは
放送記者の
質問であります。「あなたは、かつて
国会対策委員長を勤め、また先ほどの
ベトナム条約のときにもいろいろと努力をされて、いわば
国会の
議事運営に対する
ベテランである。その
ベテランが重要なる
安全保障条約の
委員長になられたのであるからして、どういう状態でおやりになるか。」こういう
工合に申しましたときに
——これはまあ私が十時三十分からの
放送ということを申しましたから、昨日の
ラジオの
放送番組をごらんになれば、名前はひとりでにわかります。
草葉隆圓君であります。その
草葉陸圏君が、「今まで私は、
野党と
議事進行については腹を割って話し合いをしてきた。ある限度までは協調して、これから先は
けんかをしようじゃないかと、こういうことで、
工合よくやってきた。」と、こういうことであります。私どもはこの
安全保障条約の
委員会において、
けんかをしようなんということはいささかも考えていない。
委員長がそういう
工合に、
けんかをしようじゃないかというようなことを
ラジオを通じて
国民に広く訴えるなんということは、全くもってけしからぬことであります。それから第二の問題としては、「
参議院へ
安全保障条約が正規に送られてくるのは一体いつごろであるか。」、こういうことにつきましては、「四月の中旬ごろにぜひとも得たい。」と、これは
委員長としての
発言であります。さらに、「
単独審議は一体するのか、しないのか。」、こういう
放送記者の
質問に対しましては、
単独審議を行なうとは言われませんでしたが、きわめて重要な
発言があります。それは、「
審議は熱心に行なう。しかし、
最後になるというと、同じような
質問が出て、その辺で一応もう
質問はないものと見る。そのときに
最後に残るのは
採決だけである。
採決だけならば、
野党が出なくても、もう
審議は済んだのだから一向かまわない。」という意味の、あたかも
単独審議をにおわすがごとき
発言があったのであります。その他重要な問題がさらに政局の
問題等でありましたが、とにかくこういう不穏当な
言辞を弄せられた
草葉隆圓君
——私はただいま住所も同じでありまして、個人的にはいささかもそういうことをとやかく申し上げる間柄ではないのでありまするが、少なくとも
参議院議員として、
安全保障条約の本
会議において選ばれた
委員といたしましては、看過することができないのであります。こういう軽率なる
言辞をとられる
委員、それが
委員長候補に選ばれたということにつきましては、何としても私、了解し得ないので、ただいま私個人の希望といたしましては、わが党においても、この問題は、本日午前中の
役員会におきまして、重要なる問題として処置することに決定をいたしておりまするから、
委員長の
選挙を行なわれる前に、
暫時休憩をせられまして、そしてこの問題をどうするかということについて御善処を願いたいと思うわけであります。