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1960-05-17 第34回国会 参議院 内閣委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十七日(火曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            大谷 瑩潤君            大谷 贇雄君            木村篤太郎君            小柳 牧衞君            下條 康麿君            一松 定吉君            松村 秀逸君            山本伊三郎君            辻  政信君            高瀬荘太郎君   国務大臣    外 務 大 臣 藤山愛一郎君    運 輸 大 臣 楢橋  渡君    国 務 大 臣 益谷 秀次君   政府委員    内閣官房内閣審    議室長    兼内閣総理大臣    官房審議室長  大島 寛一君    人事院総裁   浅井  清君    人事院事務総局    給与局長    滝本 忠男君    総理府総務長官 福田 篤泰君    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    防衛政務次官  小幡 治和君    防衛庁人事局長 山本 幸雄君    外務大臣官房長 内田 藤雄君    大蔵省主計局給    与課長     船後 正道君    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸省海運局長 朝田 静夫君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君    郵政政務次官  佐藤虎次郎君    郵政省貯金局長 山本 圭二君    郵政省簡易保険    局長      大塚  茂君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設省計画局長 関盛 吉雄君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    防衛庁人事局調    査官      山本  明君    農林省農地局参    事官      庄野五一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○外務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○運輸省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○農地買収者問題調査会設置法案  (内閣提出衆議院送付) ○建設省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○特別職職員給与に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○一般職職員給与に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○国家公務員に対する寒冷地手当、石  炭手当及び薪炭手当の支給に関する  法律の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。  去る四月十九日衆議院提出され、五月十三日衆議院会議において可決され、即日本院に送付されて本委員会に付託されました外務省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。
  3. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 外務省設置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  今般の改正は、外務省設置法の一部を改正いたしまして、新たに外務審議官一人を置き、外務省所掌事務の一部を総括整理せしめようとするものであります。  御承知通り、戦後の外交関係は、政治、経済文化科学等の面においてますます複雑かつ専門化するとともに、国際連合を初め国際機関の数も増加し、これら国際機関の開催にかかるあらゆる国際行政面にわたる会議への出席等により、外務省事務は画期的に増加いたしました。また、一方新興独立国の増加に伴い、在京公館長の接受、応待等の事務も最近とみに増加いたしております。  これらの専門化せる多岐にわたる外務省の省務を統括整理するためには、とうてい大臣、次官のみでは物理的にも不可能になってきているのが実情でありまして、特に外務省関係事務は、外国政府に対し、わが国を代表する立場よりその意向を伝達する性質のものがほとんどであり、必然的に上層部の決裁によらざるを得ないのであります。  従いまして、これらの重要な事務を新たに設けます外務審議官に分掌せしのて、外交事務の円滑な運営を期するため、本法律案を提案する次第であります。  何とぞ本案につきまして、慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。   —————————————
  5. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑を続行いたします。政府側出席方々は、楢橋運輸大臣細田運輸大臣官房長朝田海運局長梶本運輸省自動車局業務部長等方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大臣に、先般鉄道審議会建設線の決定されました嬬恋線について一、二お伺いしたいと思いますが、これは鉄道審議会で、いわゆる建設線に編入されたと思うのですが、そうなりますと、さっそく国鉄としてもこれを調査し、調査の結果に基づいて建設に着手せられる、そういう段取りになろうと思うのです。そこで、ほんとう建設を実現されるということであるならば、まず予算を、調査費を組まなければならない、大ざっぱでけっこうです。大体どの程度組まれていつごろ調査に着手せられて、いつごろ終わり、そうしてこの調査の結果に基づいていつごろ建設に入られるのか、大まかでけっこうですが、おわかりでしたらお伺いしたい。
  7. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 鉄道建設審議会におきまして、これは法律上きまった手続ではございませんが、最近慣習のようになっております建設線を取り上げます順序は、最初に、かくかくの線について調査すべしという、調査をすることが適当であるという答申なり建議なりをいただきまして、これを最近では通称調査線と称しております。で、その調査線に入りましたものは、必ず全部建設するという前提ではございませんけれども、まあ、現実建設するという前提で最終的な調査をするというのが、いわゆる調査線と称しておるものでございまして、三十四年度に、調査線のうちから十一線の建設をするということになったのでございまして、その調査線の時代には、これは現実設計測量までは入りませんが、建設線になりましてから設計測量に入るわけでございます。ただいま先生から御質問のありましたのは、具体的な線のお話しでございましょうか、どうですかわかりませんが、この十一線の中の線といたしますと、これは三十五年度が初年度でございますので、いわゆる設計測量の費用さえつければよろしいのでございまして、大体一線、一千万円から一千五百万円見当の金をもって具体的に設計測量をいたしまして、線路の中心ぐいを打つというところまでやるわけでございましてそういたしまして次年度から本格的な工事にかかる、こういう形になっておりまして、今度の十一線につきましては、本年度から本格的な工事にはかからない、大体そういうことになっておる次第でございます。個々の線につきまして具体的にどうであるかということにつきましては、調査いたしますれば、いつでもお答えできる状態でございます。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大体の様子はわかりましたが、私が申し上げるまでもなく、この嬬恋線の沿線並びに奥地については、いわゆる上信越と、三県にまたがって高原地帯であり、非常に風景もいいということと、それからまた、全国有数な温泉地帯を控えておる。加うるに、硫黄とか、あるいは鉄鋼、あるいは高原野菜、こういう産業相当恵まれておって、この延長線建設が、地元民並びに県民から多年宿願として期待されてきておる、こういう事情をも勘案せられて、ぜひ一つ早急に実現に入ってもらいたいと、そういうふうに思うわけです。特に嬬恋線延長線は、延長線々々々といいますけれども、わずか十四・六キロぐらいだと思うのですね。そんな微々たる延長線であるので、以上申し上げたような、いわゆる産業とか来客のひんぱん往来と、こういう面に即応する輸送力の増強をはかるというか、県民産業文化、あらゆる方面に相当響いてくるので、従って、地元民県民ももう相当長い間期待してきたわけであります。この面に期待し得るよう早急に実現し得るほんとう運輸省に腹があるのかないのか、こういう点を一つこの際確認しておきたいと思うわけです。
  9. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 嬬恋線につきましては、ただいま御指摘のような地方開発のための重要な線でありますので、かねて私のところにも地元から多数陳情が見えておりまして、また、あれを建設線にする場合も、私も相当助言もし、骨を折った関係もありますので、ただいまおっしゃいました点を十分に考えまして、できるだけ努力いたしたい、こういうように考えます。
  10. 横川正市

    横川正市君 先般の質疑について、大臣に二、三だけ確認しておいていただきたいと思うのですが、戦時中の徴用船舶に対しての補償問題でありますが、この補償については保険によって補償されることになっておったんですが、終戦のために戦時補償特別措置法の施行によりまして、戦時補償特別税が課せられ、結果的にはこれは国はほとんどこの補償をしないままで済まされるという結果になったわけであります。そういう結果から、戦時補償請求権船舶だけでなしに、全体的な問題としてこれは打ち切りになっているというのが、私は現状だと思うのです。その当時の大臣ではないのでありますが、大体考え方としては、補償という問題についてのいろいろな理由はあったと思うのでありますが、たとえば正当なる補償を、これを行なうのに具体的には先般、総理は次善的な意味でやったとか、あるいは社会保障的な意味で、償いの意味でやったとか、いろいろ補償はあるけれども、そういうような各種の補償についての心がまえというものはあると思うのですが、この戦時補償打ち切りを行なって徴用船並びにこれに対する施設に対して、国が一切これはかかわりないことにしたという、その根本的な理由についてこの際一つはっきりお伺いしておきたいと思うのです。
  11. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ただいま御指摘のありました戦時徴用した民間の船を国家戦争目的のために使ってこれを沈めておきながら、なぜあの補償を与えておらないということは、今御指摘通りでありますが、私は当時関係大臣ではありませんから何ですが、当時私が内閣書記官長をしておりました当時、マッカーサーのとりました政策等から推測いたしますと、やはり日本経済的な国際的発展力というものを減殺といいますか、日本のやはり一つの復興というものに対して、当時の政策からいきますれば、なるべくこれを押える、従って、一つ分断政策といいますか、経済の成長、発展を分断するというような一つ政策がすべての点ににじみ出て、それがいろいろと今日の常識をもってすれば了解しがたいようなことが行なわれておったことは、御存じ通りでありましておそらくこの戦時補償の問題も、今の金額にしますれば、当時の二十五億、しからば二百倍にしても五千億、評価によっては七千億くらいのものをつまり打ち切ってそのまま顧みないというような段階になっておるのでありますが、これは基本的に考えれば一つの大きな私はやはり社会問題だと思うので、むしろ自主的な当時の立場からそういう措置日本再建の上にとったといえば何おかいわんやでありまするけれども、むしろ、その当時の他動的な占領治下における政策的なものによって、これが犠牲になっておると思うのであります。なお詳細なことにつきましては、朝田海運局長から答弁しますが、私はそういう考え方を持っております。
  12. 横川正市

    横川正市君 現在の閣僚としての運輸大臣立場も私はあると思うのでありますが、当時の事情は、今言われたように理解される。しかし、現在の運輸大臣としてはこの種の問題の取り扱いについてはどうされることが一番妥当な方法だとお考えになっていらっしゃいますか。たとえば当時の戦時補償打ち切りそのものについて具体的に調査をしてみたいとか、あるいは個々の例の中に補償打ち切りによってその立場を転倒いたしまして、現在は一介の労務者になっておるというような人もいるとか、そういうような生活上の困窮者がいた場合には、これに対してどうしようとか、いろいろと私はこの問題は相当広範に、しかも額からいきますと七千億以上の問題に関連をいたすわけでありまして、そういうようなことが放任されてしかるべきだとお考えになっているのかどうか。現在の立場からというのは関連性のある問題もありますからお伺いしておきたいと思います。
  13. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今、戦時補償打ち切り問題等の点も考えまして、このためにやはりこの海運が復興することにつきまして非常な困難性等を持っておる点を考えて、その結果から起こっておる現実について、いろいろと海運政策を立てて、利子補給というような問題が起こってきました一つの要因といいますか、そういうことも背景になっておる。もちろん、利子補給の問題は、国際的海運の競争的なわが国の態勢をここで整えるという建前から、列国がとっておる海運保護政策について、わが方としてはやはり外貨獲得の上からいっても、ああいう政策をとらざるを得ないという建前をとっておりますけれども、一面また、潜在的な一つの意識としては、戦時補償等打ち切りをやったために、ゼロから負債を持って非常に出発しておる。その負債が、御存じのように、九分五厘の市中銀行、あるいは六分五厘の開発銀行利子、しかるに外国戦時補償を全部払ってしかも金利の点からいえば三分五厘をもって国際競争に臨ませるというような非常なハンディキャップがあるのでありますから、従って日本立場海運政策としてやはり十分に国際競争にたえ得るような体質の改善をしなきゃならぬということでやっておることは、御存じ通りでありますが、今戦時補償を打ち切ったことについて、それを今どういうふうにその問題を、たとえばおっしゃいますように、一つの正しい姿といいますか、ある種の公平の原則から物を見るかということについては、いまだ具体的なことは考えておりませんが、今日まで運輸省がとってきました海運政策の中には、多分にそういうことも勘案しで、ああいう利子補給等の問題を取り上げておるような次第でありまして個々に具体的にいろいろ困っておる方その他の方等は、やはり十分に考うべき問題であるとは思いますが、今私がここで具体的にどうこうするということについては十分にまた研究してみたい、こういうように思っております。
  14. 横川正市

    横川正市君 とっさのことのようであって、しかも、そういうことについては特別考えておらないときの質問に対する答弁のようでありますから、この点は私は次の問題に移らしていただいて、一応また機会があったときに触れてみたいと思うので、あります。  次の問題は、先般も海運局長にお尋ねをしたのでありますが、この造船関係のそれぞれの会社に対して財政投融資によってこれを援助する、まあ形からいきますと、市中銀行からの借り上げその他の契約によって造船計画を立てられている向きもあるようでありますが、大体この財政投融資計画造船をされていると思うのであります。そういうその投融資の時期と、それから造船計画遂行というものと合わせて、先般の答弁によりますと、大体その期ごと計画の進捗に伴って政府は金を投融資していると、こういうことであります。この点について、実は私はこれは抜本的な方法で不当な利得に関連をするのではないかと思うのでありますが、政府から受けた財政投融資の額を市中一般金融面に流して利子利ざやをかせぐというようなことがあるやに承っておるわけなのであります。これはおそらく運輸当局でそういったことがあるかどうか私は知りませんと言えば、監督官庁立場からむしろあればどうかという問題にもなりましょうし、また汚職の問題に関連するかもわかりませんが、そういった問題が起こった場合、運輸大臣としてその事案が明確になった場合には、どのような御処置をとられるか。この際ですから私は船会社、それからその船の計画状況等については、もう少し具体的に調査した上でないと明らかにできませんので、これは伏せて、ただそういう問題が起こった場合には、大臣としてどういう処置をとられるかお伺いしておきたいと思います。
  15. 朝田静夫

    政府委員朝田静夫君) 横川先生から、先般の委員会でもただいま御指摘になりましたような御趣旨の御質問がございましたが、その際にもお答え申し上げましたように、造船融資につきまして、開発銀行から受けた融資を、市中金利が高いので、その方に回して利ざやをかせぐことはないかというようなことでありましたが、現在はそういうことは、その後も調費をいたしましたところがございません。開発銀行もまたそういうような利ざやがかせげるようなことにならないように、実際の資金融資いたしておるのであります。この点につきましては細心の注意を払って融資をしておるのであります。御承知のように六分五厘の開発銀行金利市中銀行九分四厘九毛の金利の差がございますけれども、これは銀行融資をする場合の金利でございます。六分五厘で金を借りまして、それを上回ったような高利でその者が回すということにつきましては、これは別の金利の問題になってくるのでございます。開発銀行からその日に借りればその日から金利の六分五厘は支払わなければならない。しかしながら市中銀行に対して預金なり、その借りた金を回す場合においての金利は申すまでもなく九分五厘ではございませんので、そういった点においてよほど高利貸しか何かに貸さなければ、そういう事実の問題としては考えられないということでもあります。現在の開発銀行融資契約書にも、そういった不当な利ざやをかせぐとか、あるいは不当な行為があるような場合は契約を解除する、あるいは資金を引き上げる、こういうようなことにもなっておりますので、その後私どもも注意をいたしまして、御質問もございましたので、調査をいたしましたところが、そういうような経過になっておるような次第でございます。
  16. 横川正市

    横川正市君 不確実な問題で公の委員会で私が発言するわけはないのです。もちろん、これは公庫から借りて銀行に預けて利ざやをかせごうなんというそんな尋常な方法でやられているわけはないわけです。もちろん銀行等が貸付する場合のそれぞれ種目に応じ、一種、二種、三種、四種とそれぞれの貸付についての計画があるわけでありますから、そういった逐次金融面の困難な業務であって、なお最近相当程度実績の上がるところでは、ずいぶん無理をして金を借りているという事実があるわけです。その無理をして金を借りてるところの金貸しの先はどこであるかといえば、これは高利貸しであってみたり、あるいは私の小さな金の金融をしている人たちであったりなんかするわけです。そういう中にたまたま造船計画計画遂行の中で投融資された金を回している。そういうことはおそらくこれはそうではないかと言われたらそうでないと答えるのがあたりまえな方法でやられているのじゃないか。私の方は、ここはこういうふうにやってこれだけの利子を取りましたという証明をあなたの方に持ってくれば、そうですが、あったのですかということになりかねない問題ですから、そういうことがあった場合に、一体運輸大臣としてはどういう処置をとりますか。もう少し私の方で具体的に調査の上でこれは明らかにしなければいかぬ、こういう点もありますので、その処置の問題についてお伺いしているわけであります。
  17. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今御指摘のように、もし国家のそういう公の目的のもとに国が融資してやるものを、そういう目的のほかに、まあ高利賃し的なことをやって、その申請した目的外のことにこれを流用してやっているということは、不都合な話しでありまして、従ってそういう事実があれば、その事実に基づきまして、開発銀行なり、あるいは運輸省からも厳重な一つ処置をとりたいと思うのでありますが、今海運局長がお答えしましたように、私先回の委員会にちょっとそのことを存じ上げなかったのですが、調べたところではないと言っておりますが、もし事実があれば、一つ内密で知らせてもらって、そういうことは粛正したいと存じます。
  18. 横川正市

    横川正市君 この問題は、たまたま同僚国会議員口ききもあるようです。同僚というのは、社会党側でなくて、自民党側の代議士さんの口ききもあるようです。ですから、そういう名誉に関することですから、もう少しはっきりした資料がなければ、私は追及いたさないつもりであります。たまたまそういう事案があった場合の御所見をお伺いしたわけでありまして、同時に、これは私は普通の行政上の問題として管理監督をしていた結果、ありませんでしたと局長の言うふうなことで事が済まされないような問題として、相当厳重注意をしてもらいたいと思うのです。もちろん、私の方の乏しい資料の収集からこれを俎上に上せるわけでありまして、最後に、そうですかと言わせるだけの資料が集まるかどうか、私も今のところあまり確信を持っておらないわけでありまして、その点でぜひ一つ行政部門では厳重な監督をしてもらいたい。この点を要望として申し上げておきます。
  19. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) よしんば自民党であろうとも、社会党であろうとも、そういうようなことは、口ききがどうあろうとも、事実があれば、今申し上げましたように、監督官庁としては厳重なやはり一つ処置をしなければ、そういう大きな目的をやっておる正しい人のために非常に悪影響を与えると思われますから、その点は御注意ありがたく存じます。できましたら、むしろ内密で私に知らしてもらいたいんだ。
  20. 横川正市

    横川正市君 設置法によれば、国内旅客船整備に必要な資金全額国でもって出資をして特殊法人を設立した、これに伴って監理官一人を置くんだ、こういうふうになっておるわけでありますが、私は行政上の、ことに運輸省業務内容というのはその大半がサービスに該当すると思うんでありますから、あらゆる方法を駆使してサービスがより高まるということについては、これはもうわれわれとしてももろ手をあげて賛成するわけです。そこで、そのサービスの向上のために設けられたということであろうと思うんでありますけれども、実際には少し他から見て機構上、運営上あるいは人事の配置上等に、いささかサービスの問題とは別個の問題があるんではないか、こういうふうに思われる点でお伺いいたしたいと思うんであります。ことに政府全額出資特殊法人を作るということは、これは行政管理監督をいたしておるのでありますから、その運営については行政の中心から末端までの運営と何ら変わることのないおそらく機構になっておるんだろうと思うわけであります。そういう意味合いからすれば、政府全額出資をして運営をする場合に、一体特殊法人にしてそれを運営しなければならないかどうかという点については、私は一考一考もする必要があるんじゃないか。ことに、国内旅客船整備ということは、これは私はおそらく国鉄にしてみれば黒字になるような幹線ではなしに、きわめて経営上困難な赤字の経営を背負わされているところであって、なおかつ公益のために必要欠くべからざるもの、こういうような立場に立たされているところであろうと思うのであります。そういう点を私はこれは特殊法人として運営するよりか、本来ならばやはりこれは運輸省行政の一環の中に明確な担当部門があってそうしてそれが統一的運輸省予算経理の中からこの国内旅客船整備に対して必要な資金の調達をしてゆく、努力をしてゆく、このことが最も望ましい点だと思うのでありますが、この点について運輸大臣はおそらくこれはこの方法が最善だとお考えになってやられたことだろうと思うんでありますけれども、それならば今言っているような国内旅客船整備に関して現状のままで不満足だという一般大衆の声に対してはどうお答えになるのか、この点を一つお伺いいたしたいと思います。
  21. 朝田静夫

    政府委員朝田静夫君) ただいま国内旅客船公団の政府全額出資の問題についての御質問でございますが、御承知のように、この公団は利潤を上げることを目的といたしておる法人ではございませんし、また、配当を目的とする民間出資を期待することは、そういう意味においてもできませんのでありますが、さらに突っ込んで今お話がございましたように、なぜ公団方式をとったのかということにつきましては、旅客船のこういった老朽船を代替いたしまして計画的にそういった船質改善を進めてゆくためには、現在の非常に零細な企業が、貴重な多数の人命を預かっておる一種の公共的な使命を持っております現状にかんがみまして、融資ではとても目的を達することができないということでありまして、衆参両院の運輸委員会におきましても、こういった公団方式でもって計画的に船質の改善を推進すべきであるというたびたびの御要望が、海難事故が発生いたしますたびごとに強くわれわれの方にも要望があったわけでございます。融資の方式でなぜ目的を達することができないのかといいますと、先ほど申し上げましたように、利用者が非常に零細でありますということ、そのために担保が非常に少ない。従って、担保力のない者に融資を幾らあっせんをいたしましても、なかなか目的を達することができない。また、船型や構造に強く干渉することはできないわけでございます。従って、海上における安全の見地からいたしまして、融資で民間の金さえつけばいい、どういう船型でも構造でも、まあ安全の目的さえ達すればいいというわけには参らないと私どもは思うのでありまして、こういった船型、構造についても、ある程度の社会的、国家的見地からある種の型を推薦をし、公団の意思がそこに入っていくというふうなことからいたしましてまあ融資というものについては、ここで公団法が目的といたしております趣旨がなかなか達成しがたいということで、私どもは公団というものを通じて、この公団と船舶の所有者との共有制度でこういった問題を解決していくことが、きわめて効果的な方法であるというふうに考えたわけでございます。
  22. 横川正市

    横川正市君 私は、方法としてはなるほど私の及ばなかった点で、きわめてうまい方法としてこれが考えられたという、そういう向きもあるようでありますが、ただ私は、実際に国内旅客船整備というのは、これは放置できないくらい老朽化し、しかも、人命に対する危険の度合いというものは、もう非常に高い状態に置かれておるのだ、だから、そういう状態に置いているところを、これを個人の力で採算その他に見合わないものを改造する、あるいは新しい船を就航させるということは、これはもう非常にむずかしい。そういったことについては、私は、もっと運輸省としては国という立場から積極的な方法というものをとるべきじゃなかったか。それを今の公団的な組織で、民間と国と公団と三者がこれらをするということも、一応方法としては、われわれとしても納得のいく方法でありますけれども、はたしてこれで満足すべきであるかどうかという点については、もう少し時期の推移を見るということになると思います。しかし、実際に就航している船その他からいって、非常に危険だということがはっきりしている場合には、私は、こういったことがあったとしても、直接やはり行政上の指導、監督等を通じてもっと積極的な金融問題の解決をしていくと、こういう面とマッチしないと、これで大丈夫だと思っていると、とんでもないところで私は思わぬ事故も発生するんではないかと、こう思うので、この点には一つ十分意を用いていただきたい。  それからもう一つは、大臣のいわゆる認可事項になっております財団法人、社団法人の数が、これが運輸省には二百十九あるわけなんです。この財団、社団の人事の面を見ますと、たとえば日本乗合自動車協会というものがあるわけです。これは、先ほど言ったように、いわゆる運輸省サービス部門の先端をになっておるのであってその意味では私は、行政の行き届かない点をこういったものがカバーをする、これは私は一つ方法としてはいいと思う。ところが、人事の問題になると、きょうは出席をいたしておらないようですが、この会長は伊能繁次郎さんです。いわば、これは運輸省出身者です。それから、日本トラック協会というのがある。これももう参議院議員天坊さんが会長さんです。それから、自家用自動車協会、これは小澤佐重喜さんですから、おそらくこれは弁護士さんを営業しておるので、そういうことになったのじゃないかと思いますが、いずれにしても、この財団法人、社団法人の二百何ぼの間に、非常に運輸省出身者が多い。これは一体、行政上の能率を上げ、最も合理的な運営ができ、それから、一体となって意思の疎通ができる、その面では、きわめていいようにも見受けられるわけでありますが、あまりにも私は、これは繁雑をきわめ、また、人事の面では、どうもちょっと納得のいかない点がある。大臣として認可いたしておるのでありますから、これをどうお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  23. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ただいま御指摘のありました点でありますが、私の方といたしましては、衆参両議員が、ことに運輸省関係のある者が業界の代表になるということは好ましくないという考え方を持っておるのであります。先般も、東京の自動車のハイヤー・タクシーの会長がきまらずに非常に紛糾がありましたが、やはり業者は業者の中から代表者を出して、業者の中の向上発展をはかるべきであって、他の政治力をもってやるべきでない、役人の天下りもいかぬということを私は言ったのであります。今後私の考えとしては、やはり国会議員が少なくともいろいろと行政面に影響を与えるような立法府の人がそういう面の会、長その他を兼ねるということはおもしろくないという実は私は考え方を持っておるのでありまして、そういう方針に基づいて今後指導していきたい、こういうように考えて、現にタクシー関係も私が一喝を喰らわしたから、とうとう引っ込んで、結局、業者の中から自主的に出す、どんなに困難があろうとも、お前たち選べというので、二カ月半ぐらいもめたくって業者が選んだということでありますから、今御指摘のありました点は、私もやはり政治家としてもそういう信念を持つべきだと、そういうような考え方を持っております。
  24. 横川正市

    横川正市君 私は先般、ガソリン税の値上げのときに非常に奇異に感じたのです。というのは、乗合自動車協会長の伊能さんが、ガソリン税には反対の陳情書を各議員に全部配った。それで、本会議の議場へ行って伊能さんは今度賛成の投票をいたしたわけです。業界の代表であるということと国会議員であるということとは、私は、その立場が違うから、幾ら使い分けしてもいいとはいいながら、片っ方では、国会議員には全部、伊能繁次郎でガソリン税値上げ反対の陳情書を出しておいてそれが本会議でガソリン税値上げにそれじゃ反対するのかと思ったら、賛成投票を持っていって投票するのは、これは少しおかしいじゃないかという考えを持ってこれはどうなんだと言ったら、これはどうも法律的の制約は何らのあれもないわけで、良心の問題になりますから、そういうわけで非常に不思議に思いましたが、何らの処置もとれないということで、そのまま放任されておったのですが、あまりにも私は、サービスということよりか、何かその団体が利益を享受するという形でもって、天下りの人事が行なわれたり、代議士が使われたり、こういうことについては厳に私は運輸省関係ばかりでなしに注意しなければいかぬと思いますが、ことに運輸省には非常に天下りの人が多いです。この点で一つ特に大臣に私、要請申し上げまして、もっと筋道のはっきり立つような格好にしていただきたいと思います。同時にこれと関連して、たまたまきょう陸運局の汚職問題が出たわけなんでありますが、これは先般もこれに関連をする問題が出て陸運関係の汚職等非常に跡を断たない状況にあるわけでありますけれども、これに対しては大臣は一体行政上もう少し折り目を正しくして、陸運局の運営、その他人事の面、機構の面もそうですが、ことに認可という官庁の最も大きな権限を持っておるところでありますから、そういう点についてはもう少し醜聞をさらさない処置をとっておくべきだと思うのですが、ことに今度の設置法では自動車関係についてのいろいろなこともやられるのでありますが、私はこういう上にいただく者がいつでもどうもあそこは汚職をやっておる、私は今でもどこどこの何という役所がどこどこの業界から飲まされていますよと、だれとだれですよということも言えますよ。最近のメトロの問題にしても、川越の問題にしても、関係いたしますと料理屋の名前まで上がっているのですから、ただそれは酒飲むぐらいはいいだろう、金さえもらわなければいいだろうというような大まかなことでは、ちょっと済まされない問題がある。陸運局に関する限り、私は相当大臣としてはメスを入れておかないと、これからもきょうの新聞に出ているような車検問題がからむ収賄容疑で逮捕されていますが、こういったことは跡を断たないのではないか、こう思うのです。それで輸送関係の問題は広範に審議をされるということでありますが、上にいただく者がこのままでは、私はどうもいただきかねる役人だと思うのでありますが、大臣としてはこれをもう少し注意します程度のことでなしに、はっきりと将来このようなことが起こらない処置ということで、御所見をお伺いしておきたい。
  25. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 私もけさ新聞を読みましたが、車検場の何か技官、東京陸運事務所の者が検挙されたということをけさ自動車局長から報告を受けたのでありますが、大臣になりましてから各陸運局長を集めまして、厳重な私から職務基準というものを通達をいたしまして、ことに新車の配給等の問題がありますから、問題を起こさないように厳重な警告を、服務規律というものをやっておるのでありますが、今おっしゃいましたように機構の点におきまして、陸運局というものが御存じのように陸運事務所の人の働いておる現実のところは、地方長官の指揮監督を受けておる。人事は全部私の方からします。あるいは予算運輸省がやっておりますけれども、その指揮監督は地方長官がやっておる。そういうために、たとえば今日非常な社会に一面からいえば、一つの問題を起こしておりまするやみタクシーというような問題も、地方長官によっては運輸省の陸運局の方からあるいは警告をしましても、地方長官の方がやらない、あるいは地方の県会議員等が免許その他について関与してくる。しかも、陸運局のつまり末端である現実に働いておるところは、御存じのように指揮命令権がない。こういうようなばかげたことになっているので、これはいかぬ。ことに、陸運局の全体の陸運事務所の連中も身分が不安であるからといって、労働組合その他からしばしば陳情を受けましたので、私から石原自治庁長官といろいろと談判をやっておりますけれども、やはり役所というものは、権限の問題は神経過敏ですから、それじゃいかぬというので、先般益谷総理行政管理庁の長官で、その方からも前に勧告を受けておる点もありますので、益谷氏と話をしまして、それをやはり正常な姿に戻して、指揮監督が十分できるという体制に切りかえようということで、おそらく今明日のうちに話し合いを自治庁とやることになっておるのであります。これは総理にも大蔵大臣にも了解を大体得ておるということでありますが、この問題はなかなか十年来運輸省対自治庁との間に争いがあってなかなか解決しないけれども、この機会に私もどうせ間もなくやめるのだから、この機会に思い切ってやっておこうというのでやっておる次第でありまして、そういう点でやはりすっきりした姿に、おっしゃいましたようにしないと工合が悪いと、こういうように思うので、そういう点は十分考慮して善処したいと思います。
  26. 横川正市

    横川正市君 大臣は運輸委員会で必要だそうですから、私は大臣質問は終わりたいと思います。そこで私は……。
  27. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  28. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  29. 横川正市

    横川正市君 それじゃ資料を特にお願いをいたしたいと思うのです。次の問題に関係があって私は要求するわけですが、戦時補償を打ち切った当時の船舶、それから施設それからそれに必要な金額、これだけでいいわけですから、それだけ一つ資料として提出していただきたい。それで私の質問は終わります。
  30. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  31. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。増原君から委員長の手元に修正案が提出されております。本修正の御意見を討論冒頭にお述べを願います。なお御意見のおありの方は、原案並びに修正案に対する賛否を明らかにしてお述べを願います。
  33. 増原恵吉

    ○増原恵吉君 私は自由民主党を代表して本法律案に賛成の討論をいたしたいと思いまするが、この際本法律案に対する修正の動議を提出いたします。修正案を申し上げます。    運輸省設置法の一部を改正する    法律案に対する修正案   運輸省設置法の一部を改正する法  律案の一部を次のように修正する。   附則を次のように改める。     附 則   この法律は、公布の日から施行す  る。  修正の理由については、特に申し上げる必要はないかと存じます。右修正部分を除いて原案に賛成をいたします。
  34. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それではこれより運輸省設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、討論中にございました増原君提出の修正案を問題に供します。増原君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  36. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致でございます。よって増原君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  37. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって修正すべきものと議決されました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  39. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ただいま満場一致をもって御可決を賜わりましてまことに感謝にたえません。慎重審議をいただきまして、いろいろと有益な、また運輸省として反省すべきことを多数御発言願いましてそれらの趣旨も十分に勘案いたしまして、今後運輸行政の万全を期したいと思います。どうもありがとうございました。
  40. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  41. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  次に、農地買収者問題調査会設置法案議題といたします。前回に続いて質疑を行ないます。政府側出席方々は、現在、佐藤郵政政務次官山本郵政省貯金局長、大塚郵政省簡易保険局長、庄野農林省農地局参事常等の方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  42. 横川正市

    横川正市君 郵政政務次官にお尋ねをいたしますが、国民貯蓄を実施をする建前から、政府としては、すなわち当面であれば財政投融資、それから戦時中であればおもに戦争逆行のために国民の預貯金の総動員をはかって、そしてそのことによって国家目的に全力を遂行する、こういう方針のも七に、普通郵便貯金それから簡易保険あるいは郵便年金等がそれぞれ募集者の努力と、それから国民の全面的な協力によってその実績を上げていくわけであります。この場合政府としては一体、日本国という国がこれはなくなれば別でありますが、それがいかような形態に変わろうとも、たとえば王政のもとで政治が行なわれようと、あるいは立憲君主国で政治が行なわれようと、あるいは国民中心で政治が、いわゆる共和制であろうと、私はやはり国が約束したことは、これはあくまでも約束事に従って遂行していかなければならない、そういう建前業務を通常し、その目的遂行のために努力されていると思う。ところが少なくとも政府が、戦時中に一般貯蓄の国家目的に即応するために相当無理をした経済体制の中で国民に貯蓄心というのを盛り立てていったと思うのです。その盛り立てた中で、国と一般国民との間の約束事の契約というのは、これはいろいろな意味で私は最も重大な守らなければならない契約事と、こういうふうに考えているわけです。当時はなるほど物価の安定という問題もありましたし、それから戦後の特別なインフレという問題も予想いたしておりませんでしたから、当時の加入者と、それから契約者の立場というのは、これはあくまでも当時における貨幣価値を基準にしたことは、これはまあいなめないと思います。しかし、ひいてはその貨幣価値というのは、契約年限であります五十才ないしは五十五才、六十才、六十五才、七十才、それぞれの年令に達した場合には、少なくともその人たちの生活にある程度の必要な金額としての役目を果たすことを契約の内容として私は結ばれたと思うのです。しかるにこの問題については、現在ほとんど契約内容はまさに一枚の紙きれになってしまいまして、じゃまになりこそすれ、目的のためには何の効果もないと、こういう状態に至っております。郵政当局としてはこの問題についてどのようにお考えになっておるのか、これを一つお伺い申し上げたいと思います。
  43. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) ただいま横川委員から御指摘があられました非常に郵便貯金あるいは簡易保険が、財政投融資にあるいは地方自治体のために、もう非常に公共的に利用されておって相当の功績を上げておることは、国民各位の御協力を得られておることだということに対して感謝しておるのです。そこで、郵便貯金に関しましては、貯金局長から説明さしていただきますが、郵便年金の戦前におきまするところの貨幣価値と、今日の貨幣価値との、いわゆるスライドにせよというお言葉のように聞こえました、そのように答弁さしていただきます。そこで、終戦後国家が、あるいは三割かあるいは四割か知りませんが、当時打ち切ったことはいなめない事実でありまして、その後昭和二十年末までの効力の発生しております契約の三十二年度末現在の契約高でありますこれが百三万二千件、この年金額が二億一千五百万円であります。その積立金が十二億九千五百万に相なっております。これを昭和三十三年三月の物価指数のスライドに直しますというと、四千五百二十八億七千八百万、こういうように膨大の額に相なるのであります。これを恩給倍率にスライドさした場合には最高が幾らになるかと申しますと、千九百八十一億九千九百万であります。これを最低の率にいたしますと、千十億四千三百万円に相なるのであります。そこで私どものはこれができ得ることでありますならば御希望のようにいたしたいのでありますが、国家の方針というものがまだきまっておりません。そこででき得ることでありますならば、今日まで郵便貯金あるいは簡易保険が中小企業のために役立つようにするには、どうしても預貯金あるいは保険の加入者に、御協力を大衆から願うためにも、こういうことはぜひとも実現ができ得られるものにしたい、このように考えておる次第であります。
  44. 横川正市

    横川正市君 私はこれはスライドの金額からいいますと、これは国の財政が現在の百倍にも千倍にもなっても、これに対して補償処置をすることができない。だから当時のことは一つかんべんしてもらって、これからいろいろと努力をして何らかの方法で処理をしたいというふうに聞けるわけであります。これはもう郵政当局としては、そういう実情については、今金額は大体出ましたが、もっと詳しく調査をして、その結果見るに忍びないものが非常に多い。だからそれに対しては何か当面処置がないものかと腐心をされたことがあるのかどうか。もしあるとすれば、そういう調査の結果として、私はこの際明らかにしていただきたいとこう思うのですが。
  45. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 御指摘のごとく、私、郵政政務次官に就任いたしましてから、ちょうど一年にもう近い日が参ります。その間各方面よりさような陳情はしばしば受けておるのであります。そこで保険局長あるいは貯金局長、私もともに大蔵省の方にこういう陳情が参っておられるが、今日農地補償というものが生まれ出てきておるようだが、これに伴って、これと並行いたしまして必ずこういう問題ができてくるが、それに対しては、大蔵当局の方で十分研究してすみやかに輿望にこたえるようにしていただかないというと、郵便貯金あるいは簡易保険というものが、国民の信を失った場合には、財政投融資に及ぼすとこの欠陥を生じた場合には固まるじゃないかということで、強く大蔵省の方にも要望し、早く何らかの善処方法を講じたらどうかというように申しておることは事実でありますから、さよう御承知おき願いたいのであります。
  46. 横川正市

    横川正市君 郵政当局としてちり紙にも、鼻紙にもならないようなものを、年金証書を抱いて、パタヤ部落でその余生を送っているという話や、それから保険契約金、これは途中で併合されておりますが、預貯金のその実績を、これを電車賃にもならないといって実際上、棚の上にほうり投げて、政府措置に対して非常に恨みごとを並べておるという老人、老婆の非常にたくさんあるということ、こういうことについて調査したことがありますか。
  47. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) 先ほど政務次官から答弁申し上げましたように、そういうふうにお困りの方々が百三万人もおられるというようなことは、私の方はよく調査いたしております。それから実際問題として具体的にもそういう幾多の事例に接し、また陳情を受けておるという実情も知っている次第でございます。
  48. 横川正市

    横川正市君 そういう実情に伴って、私はこの際資料を要求いたしておきたいと思います。今、概略の件数金額、三十三年度のスライドされた場合の金額等、こういったものは、メモは取りましたが、もう少し各年次ごとに契約件数それから契約金額、それからスライドされた三十三年と申しますけれども、私はこれは三十三年のスライドをすることが妥当かどうかは、もっと新しい基準でスライドするのが一応の筋としては正しいのじゃないかと思いますが、なければ三十三年度そういうスライドした場合の金額こういった点で一つ資料を御提出いただきたいと思います。
  49. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 承知いたしました。
  50. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  51. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  52. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 私はこの農地調査会法案に関連するものとしまして、かつて行なわれました農地買収の政策をやる際に、地主に金銭的の損害を与えないために妥当なる価格を考えられたということも聞いておりますが、それはそれとしまして、農地を解放しますれば、旧地主はその農地を失ったということによって社会的にいろいろ変動を来たす、いろいろの複雑な問題を起こすということは予想されると思うのでありますが、その当時農林省においては金銭的に補償をするという以外に、地主の社会的地位の変動というようなことも予想されて何か考案されたか、また、あるいは実施されたかという点をお聞きしたいのでありますが、聞くところによりますと、中共の農地解放の政策には、旧地主の社会的地位について公社等において考慮されたことも聞いております。また、イタリアの農地開放におきましては、これは主として増産ということをねらったようでありまするから、日本のやり方と相当似かよっておりますが、これにおいては特に地主の社会的地位の変動というようなことを予想した政策もあまり多くないようであります。主として農協等をしまして増産ということ、いわゆる保護政策を強化したというようにしか見えないのでありますが、それにしましても、相当地主の社会的地位というようなことも考慮、研究されたようにも聞いておりまするので、要するに外国の実例を御承知ならばその点を承りたい。また、日本においてはそういう点も考慮されたのかどうか、また実施されたのかどうか、その点をお聞きいたしたいと思います。
  53. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 農地解放当時につきましては、再々御説明申し上げたと思いますが、買収価格につきましては自作収益価格というものを標準にしまして、水田につきましては全国平均反当たり七百六十円、こういうことに相なっておりますが、なお地主の問題等を考慮いたしまして、さらにそれに地主採算価格、こういう価格で反当たり二百二十円、これは水田の平均でございますが、反当たり三百二十円というものを地主には追加しまして、自作収益価格の七百六十円と地主採算価格二百二十円、平均といたしまして計九百八十円というもので買収をいたしております。この買収いたしました農地は、当時の小作人に国から売り渡したわけでありますが、売り渡すに際しましては自作収益価格七百六十円で売り渡す、こういうことに相なっております。まあこれだけ地主の方には補償金というような形で支払われております。これ以外に、特に地主の方々に対しまする社会的な問題地位の変革その他につきましての特別の措置というものは、当時農林省といたしましてはとられておりません。  なお、諸外国の実例等につきましては、もう少し私詳しく資料を持って参りまして御説明いたしたいと思いますが、ただいま資料を持ち合わせておりませんので、当時の日本のことだけ申し上げました。
  54. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 農地解放の国策を実行した際に、経済的の価値の補償をするというようなことは、これは当然のことだと思うのですが、それ以外にいろいろまた社会的の問題も起こるということは想像されるのであって、すでに外国におきましても、古いのですけれども、イギリスの農地解放のときに、ずいぶんこういうような問題について考えられたようにも聞いております。また今答弁がありましたように、中共なりあるいはイタリアのときもこういうような問題も論議されたようにも聞いておりますが、今資料がお手元になければ、その点は特にお伺いもいたしませんけれども、とにかくそういうようなことについて諸外国においては考えられたのでありまするし、日本においてはその点については実施されていないということでありますれば、今後そういうような問題が具体的に起こった場合には、そういう点も考えるということは、私は適当でないか、少なくともそういうような問題を調査するということは適当ではないか、まあこういうように考えられますので、そういうような点についてこの調査会を通じまして研究してもらいたいと思うのでございます。  それからもう一つ、これは総務長官もお見えになりまして、農地関係が主となっておりますが、農林省の方にお伺いいたしたいと思いまするが、この調査会法案に関連しましてこういうことをやると、旧地主制度が復活するというような考え方が世間にあるようであります。どういう意味でそうなるかわかりませんが、私の察するところでは、調査会を設けて多額の交付金を旧地主にやれば、一朝にして農村における財閥ができるのじゃないか、そうすれば地主制度になるのじゃないか、こういうような論理で言うのじゃないかと思うのですが、そうでなければこれは別問題ですが、もしそういうような問題であれば、第一には、はたしてその財閥を作るような補償ができるかどうかということは想像もできないのでありまするが、それはそれといたしまして、私は日本の地主制度というものは、一つには土地というものを所有しているということ、すなわち土地を持っているために経済的の力がある以外に、土地の一つの特色でありまする、すなわち独占排他性というものの力というものが地主制度というものを作り上げる要素であったろうと思うのです。それから第二は、封建的な考え方として、いわゆる権力と権利というものが非常に混同したのであって、財産的の力ある者すなわち権力者である、こういうようなことが第二の要件になろうと思うのです。時代々々によりまして地主制度の基礎条件は変わるといたしましても、この二つはいつでもある重要な二つの柱だと思うのです。そういうような見地から考えまするというと、先般来の政府の御所信によりましてこれらの問題の研究、またその結末としましても、農地そのものは何ら手をそめるのではないということでありますれば、解放した土地が、再び地主の所有になるというようなことは考えられないのでありまして、従って土地の独占性、排他性というものがこの旧地主を力づけることはあり得べからざることだと思うのです。それから第二の、いわゆる権利と権力の混同というようなことは、今日の法律制度、しかも民主政治のもとにはこれも想像できないのでありまして、かりに多額の交付金等がありまして農村において財閥ができたとしましても、土地を離れ、時代の違った今日においてはどうも地主制度が復活するというようなことは、私どもとしては考えられないのでありまするが、政府当局また農林省方面におきましては、この問題は旧地主制度の復活というようなお考えがあるのかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  55. 中野文門

    委員長中野文門君) ただいま福田総理府総務長官佐藤総理府総務副長官、大畠内閣総理大臣官房審議室長の三万が出席いたしました。
  56. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 今御審議願っております農地被買収者問題調査会の調査事務といいますか、所掌事務は、旧地主の方々の社会的な問題、こういうふうに限定されているわけでございまして、まあ、その点につきましてわれわれといたしましては、今御懸念になっているような旧地主の制度の復活、そういった問題は考えておりません。旧地主制度の復活という問題でございますが、これは、現在におきましては、農地改革をやりました当時の旧自創法を二十七年に全面的に改正いたしまして、いわゆる農地改革の成果の維持発展目的といたしまして農地法を制定いたしまして、農地法の運営によりまして農地改革の成果の維持発展をはかっていく、こういうような形になっておりまして、農地法を適切に運営いたしておりまして、そういった懸念はないのじゃないか、また、この調査会におきまして農地法を改正する、そういった問題は、この問題とは別個の問題である、この問題でそういうことになるのじゃない、こういうようにわれわれは考えております。
  57. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御質問ございませんか。速記をとめて。    〔速記中止〕
  58. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  暫時休憩いたします。    午後零時二十四分休憩    —————・—————    午後一時五十二分開会
  59. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を再開いたします。  建設省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑を続行いたします。政府側出席方々は、鬼丸建設大臣官房長関盛建設省計画局長、以上の方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  60. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に引き続き、公共用地の取得制度調査会、これに関係して二、三お伺いいたしますが、この前もお伺いしたように、公共事業といえども正当な補償なくしては、国民の私有財灘を取得できない、こういう意味、こういう精神が新憲法二十九条において明らかなんです。この点はこの前明らかにしたわけですが、そこでお伺いしたいわけですが、現在建設省としては、この補償が適正に行なわれておるのかどうか、こういう点について検討したことが、まあ当然検討しておると思いますが、現行それ自体で補償が適正に行なわれておると思っておらるるのかどうか、こういう点をまずお伺いしたいと思います。
  61. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 建設省の関係の公共事業等につきましては、御承知通りに、各地方公共団体なりまた建設省みずから直轄事業といたしまして工事を実施いたしております。なお関係各省のものにつきましても、補償の問題につきましては、土地收用法の運用をいたしておるわけでございまして土地收用法におきましては、ただいま先生の御指摘にありましたように、個人の財産と収用する側のものとの間における、公益と私有財産との調整をはかるための制度といたしまして収用委員会がその補償金の額を定める、こういうことになっておりますので、収用委員会の裁決をいたします補償の基準につきましては、土地收用法がその根本的な条章を定めておるわけでございますが、なお実施の実態につきましては、収用委員会補償金の額の決定等につきましては、われわれの方におきましても、ただいまのような御意見もあります通りにこれが適正な判例的なものに積み上げられていくような一つのファクターを、判例研究的な態度で検討しながら、適正な補償が支払われるように基準を作りたいと思って努力いたしておる次第でございます。
  62. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私がお伺いしておるのは、公共用地の取得に際して主としてこれは国民全般が対象ですが、わけて農民の場合が多いので、農民の場合を申し上げますと、農民がなかなか補償額について満足していない。そういう場合になかなか問題が解決しないで長引いておる、そういう場合が非常に多いと思うんですね。そういう意味からいって現実の問題からいって、補償額が十分に支払われておれば問題はないんだけれども、そういう点が、補償額も不十分であるというような点もあってなかなか農民からすると、簡単には手離しがたい。補償が十分であれば手離してもいい、そういう場合でも補償額が不十分のためになかなか問題がもつれて解決しない、そういう場合が多いんじゃなかろうか。そうだとすると、建設省としても重大関心を持って補償額は現在適正であるかどうかという点を検討する必要があろうと思うんですね、そういう点をお伺いしておる。
  63. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまのお尋ねはまことにごもっともな点でございまして、確かに国があるいは地方公共団体等が事業を実施いたします場合におきまして、そのような予算の執行の関係からこのしわ寄せが、あるいはこの被補償者の側の方面に寄せられる、こういうようなことがあってはならぬわけでございまして、収用委員会等におけるこの裁決の方式こそ、これが適正ないわゆるよりどころであろう、こういうふうに考えておるわけでございまして関係各省、政府全体といたしましてそういうふうな例が絶無とは申されないかもしれませんけれども、そういうものをなるべくなくするようにしようということも、一つの土地収用というものの、やっぱり正しい意味の運用がはかられることが、一つのそういうものの解決の指針になるんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  64. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この補償の問題と、いま一つあわせ考えなければならぬのは、いわゆる土地を離すときの所要推定期間ですね、手続の。結局ある一定の手続をきめて、順を追って手続が進行していくわけですね、その所要推定期間が、この前ちょっとお伺いしたように、大体百二十二日とかになっておるようですね、この百二十二日が現実の問題として非常に長い。ちょっと簡単に、早急に土地が手に入るように、そういうねらいからも、今回土地收用法を改正してもう少し簡素化しよう、そこにも一つのねらいがあろうと思うんですがね。ただ取得側から言うと、なるべく早い方がいいんで、簡単に一週間か十日ですぐ手に入れる、それにこしたことないと思うんです。それは取得側からすればそうです。ただ、農民等の土地を提供する側から言うと、特に農民の場合は、土地こそこれは生産の唯一の手段である、これを割愛せざるを得ないということだから、そう簡単にこられても困るわけです。十分順を追うて、手続を追うてということになると、百二十二日くらいは至当ではないかと、私どもとしては考えられるわけです。それは建設省としてはもっと簡単に、もっと短期日に土地収用を解決したい、そこにねらいがあろうと思うんです。従ってお伺いしたい点は、この所要推定期間百二十二日では、建設省としては長過ぎるから、大体どの程度に、これは期間ですから大ざっぱに言って、どの程度にこれをねらっておるのか、どの程度を希望しておるのか、そういうことを伺います。
  65. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまのお尋ねでございますが、土地收用法の定める手続に上りましてこの事業認定から収用委員会の裁決に持ち込まれましたものの所要口数というものは、最近の調べによりますと、大体まあ平均いたしまして二百七十日くらいかかっておるのが実情でございます。われわれは必ずしもこれを短縮することのみを考えて、制度調査会がその問題を取り上げることを考えておるわけではございませんので、先ほどもお話が出ましたように、この収用委員会の手続というものは、それぞれの権利者が、いわゆる公共事業等の事業遂行に必要な土地等を提供することとなるに必要な、十分な財産並びに土地等の従来の権利を法律の手続におきまして、正しくしかも十分に主張できるに足る期間をもとより持つことが必要でありまして、そのことが被収用者の側の権利を十分保護することになろうと思います。従ってこれを短縮してもらいたいという企業者側の意見がありますけれども、これを直ちに可とするということについては、幾多の問題があろうとわれわれ考えております。今お尋ねになりました積極的に何日くらいがこういう事業をやるのに、収用委員会の裁決まで持ち込むために、そういったような考慮を働かせました上での適当な日数であるかという点につきましては、これは一がいには申し上げにくいかと思いますけれども、やはり何といたしましても、百二、三十日内外の、そのくらいの日数は現行制度を見ましても、また理想といたしましても、それだけの日数くらいはかかるのじゃないか、かけなければならぬのじゃないか、こういうふうに今の段階では、われわれ事務当局では思っております。
  66. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に調査会についてお伺いしますが、これは委員の数が大体十五人くらいで、民法学者とか、あるいは評価委員、あるいは土地収用委員会の代表、こういう方々で成立しておるわけですが、ここでどうも私どもは納得できないのは、土地収用される者の代弁者については、全然入ってないわけですね。それはどういう意味ですか。こういうことは代官政治の再現であって、なかなかもって土地収用される者の利益は守られぬと思うのですが、全然そういうことは考えられていないのかどうか。
  67. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまのお尋ねの、公共用地制度調査会の委員の選任の基準の問題についてのお尋ねでございましたが、これは御承知通りに、この公共用地の取得問題についての学識経験を有する方を選任をする予定で、十五人というのを目途といたしておりますが、やはりこの制度の、いわゆる諸問題を検討していただく上におきましては、私権の保護に十分欠けることのないように、適正な意見を出してもらわなければなりませんので、言葉は適当かどうかわかりませんが、被収用者の立場を十分理解していただいておられますその方々をも、適当な構成に特に配慮しなければならぬと思っております点は、企業者側との構成におきまして、不均衡なことのないような構成をぜひいたさなければならぬというふうに考え、また、そのように衆議院委員会におきましても、答弁を申し上げている次第でございます。
  68. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは土地を収用される者、それ自体の代弁者は入れてないけれども、土地収用される方々の各面を理解している人を入れたい。それなら一歩進めて土地を収用される側の代弁者を入れることが、一番賢明だと思うのですね。ただ、主観的にこの人は土地を収用される者をよく理解している、そういうふうにただ思うか、思わないか、そのとき思えば、その人が土地を収用される者の利益を代表するということにはならぬと思うのですがね。そんなややこしいことをせずに、土地を収用される者の中から適当な人を入れる。これが一番土地を収用される者の利益を守るためには必要であろうと思う。そうでないと、土地を収用する側の方だけを入れたのでは、片手落ちになろうと思う。従ってここでお伺いしたい点は、土地収用される側の代表者を、相当入れる必要があるのではないか、そういうことをお伺いしている。そういうお考えはないかどうか、その点いかがですか。
  69. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) お尋ねのように、この公共用地制度調査会は、そういう意味におきまして、被収用者の側に立って意見を述べていただく、こういう方々立場を代表する方をも、ただいまのお尋ねのように、この委員会の構成に参画をしていただきまして、そしてこの制度の立て方について十分意見を述べていただきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  70. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしますが、この調査会の設置期間は大体一カ年のようですが、月一回くらいと聞いておりますが、その程度なんですか。もしそうだとすれば、月一回で、しかも設置期間が一カ年間、そういう程度で十分所期の目的を達し得るかどうか。そういう程度ですか。
  71. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) この用地制度調査会の開催の計画といたしましては、月一回ないし二回委員の方にお集まりをお願いいたしまして、とにかく重要な問題から御審議をしていただいて、そうしてこの公共用地取得制度の問題をめぐる諸問題について、検討をお願いしたいというふうに考えている次第でございます。
  72. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、方向を変えて、地価の抑制、こういう面から二、三お伺いしますが、なかなか公共用地の取得は困難の段階にある。そういう状態の中で、解決する一つの手段として、地価を抑制する、こういうことが非常に大きな要素になろうと思うのです。そこで、建設省としては、従来地価の抑制についていろいろ検討もし、対策も講じてきたと思うのですが、どういう点に重点を置いてやってきたのか、現状をごく簡単に一つ説明いただきたい。
  73. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 宅地の地価、特に用地の取得問題というのが、非常に各方面にその対策を必要とする事態になって参ってきておりまして、特に都市の近郊等におきましては、住宅用地の価格が非常に暴騰してきておるというふうなことから、これを解決する一つ方法といたしましては、宅地対策といたしまして、日本住宅公団が、一定の計画のもとに、既成市街地なり、あるいはまた首都圏のような地域につきましては、近郊都市の宅地あるいはまた公共用地の造成、また一部市町村等の公共団体が実施いたします宅地造成等につきましても、地方債の融資をいたしまして宅地の供給を増加する、こういう方向に向かって今日まで進めてきておる次第でございます。
  74. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 御説明ですが、従来建設省としては、この地価の抑制ということについては、あまり具体的には働きかけてきていなかったように思うのですね。従って、最近では地価の高騰はものすごい勢いで進んでおるわけです。そういうことが公共用地の取得に非常に支障になっておる。そういうことは建設省としては率直に認むべきだと思うし、またこれについては、もう、ちょっとおそまきという段階だろうと思うのですが、もう相当上がってしまったわけですね。上がる前に手を打つべきでなかったか、そういうふうにわれわれ思うのですが、そういう点についてはどういうふうに今考えておるでしょうか。
  75. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) ただいま御指摘のように、地価の高騰が、公共用地の取得に相当困難を来たしておる一つの大きな原因になっておることは、お話しの通りでございますが、この地価の騰貴を直接抑制するということにつきましては、実はいろいろむずかしい問題がありまして、今まで検討はいたしてきておりますが、御指摘のように、直接的に地価の高騰を抑制する方策は、ただいま特別にはとっておりません。先ほど計画局長から申し上げましたように、従来は、安い宅地をできるだけ豊富に供給するような造成の仕事をふやして、なるべく宅地の供給面から緩和していこうということと、それから既成市街地、もうすでに宅地になっておる所を高度に利用するということで、立体的にこれの利用を促進する、この方策を数年前から実施いたしておりまして、予算的にも相当毎年伸びてきておりますが、それにもかかわらず、さらに都市の近郊においては特に住宅用地を中心に地価が毎年相当値上がりをみております。これにつきましていろいろ研究いたしてきておりますが、宅地の供給対策をさらに徹底すると同時に、さらに何らか抑制に効果のある方策を考えなければならぬのじゃないかということで、この点はなお検討中でございます。
  76. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 試みに数字を必要の点だけ拾ってみますと、物価については、昭和二十七年で押えて、昭和十一年九月のおよそ三百四十倍、その後は横ばいになっておる、物価については。ところが土地の方は、二十七年で抑えて大体百倍程度しか上がっていなかったわけですね。ところが、昨年九月現在ではものすごい暴騰ぶりで、結局、昨年九月で押えると、およそ七百倍にはね上がっておる。こういう事案は、建設省としても、この数字が正確でなければ御訂正いただきたいということも含めてお願いするわけですが、大体そういうような傾向にあろうと思うのですね。従って、もうすでに七百倍にも地価がはね上がってしまったあとで、とやかくいろいろ方法を講じても、もう後手で、もう施しようもない。これが現状であろうと思うのですね。しかしながら、いやいや今でもまだこういう方策を講ずれば十分抑制できる、そういうきめ手があれば別ですが、こういう点はどうですか。
  77. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) まあ、近年の地価の値上がりの趨勢につきましては、ちょっと私ここに資料を待ち合わしておりませんので、具体的な今の御指摘の点につきましてのお答えにはならぬかと思いますが、確かに毎年十数%ないし二十数%の値上がりが、大都市近郊においては見られておるような状況でございます。これは、勧業銀行、あるいは勧業銀行の系統の方々がやっておられる日本不動産研究所等におきまして毎年調査しております趨勢価から申しましても、二〇%前後の値上がりを六大都市平均に見ております。そこで、今から直接地価の騰貴を押える妙手があるかということになりますると、これは理論的には、あるいは机の上ではいろいろ考えられまするけれども、ほんとうに実効の上がる手といたしましては非常にむずかしいのじゃないか、今まで私ども考えたところではそういう感じがいたすのでございますが、特に値上がりの中で、ある場所が開発されたことに伴う価値増加と申しますか、土地の値打ちが増加したことに伴う値上がりと、それから不動産取引の過程における投機的な値上がりという二通りあると思うのでございまするが、開発効果が上がったことに伴う値上がりにつきましては、これはある程度当然認められるべきものと思いまするが、中には投機的な値上がりがあるわけでございます。こういう点につきまして、不動産の取引の面から、あるいは宅地造成を民間で事業としてやっておりまするその事業の面から、もう少し規制することを考えたらどうかというような意見と申しますか、声もございますので、そういう点もあわせて今検討いたしておる次第でございます。しかし、ここではっきり、こういう方法でこういうふうにやれば押えられるということは、残念ながら申し上げかねる次第でございます。
  78. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、方面を変えて電柱とかあるいは高圧線下のいわゆる補償という問題があろうと思います。この農民の土地に関係して。この問題についてやはり前回からお伺いしてきた問題と同様正当に答が現われていない。そういう問題でずいぶん未解決の問題があるし、問題を起こした県も相当ある。そこで、試みにこれは農民組合が、この高圧線下とそれから農地の実態調査、こういうものの資料があるわけですが、これは詳しいもので、こんなことを一々やっておると時間を取りますから申し上げませんが、こういうことを調べてみますと、相当問題がただいまあるわけです。で、このうちで特に一つだけ拾ってお伺いしますが、田とか畑、山林、果樹園、宅地、いろいろ項目が上がっております。農民組合の方が農民に対していわゆる問題を提供してそれに回答を求めておる、その回答を集約したものをここにまとめてあるわけです。これは幾つかの段階に分けておりますけれども、一つ契約に関する問題、これを調べてみますとこういう結果が出てくるわけです。あなたの土地の上に送電線を張るときは、事業の施行者、これは主として電力会社になっておりますが、口頭または文書で契約手続をとりましたか、こういう質問に対して口頭でしておるというのが一五%、文書でしておるというのが五・四%、していないというのが二九・八%、そこでこういうこまかい数字を私はお伺いして、これはどうか、あれはどうかということをお伺いしておるわけではない。要はこういうふうに契約を口頭でも文書でも契約していない、全然契約していないというのが二九・八%も出ておる、そこに問題があろうと思う。そういう実態を建設省としては了解しておるのかどうか、こういう事実については知らぬということはないと思うのですが、もしあるとすれば、どのような手を打っておられるかという点をお伺いしたい。
  79. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまのお話の電気事業者等が実施いたします架空線の線下補償の問題でございますが、この線下補償につきましては、われわれは土地収用の場面になって参りまして、いろいろその下に土地等を持っておる人々から苦情が出て承知いたすことが多いのでございますが、ただいまの御指摘通りに電気事業者が契約もしくは契約なしで、契約をやっておるのはこれはもう問題じゃないわけですが、契約なしでそういうふうに従来の慣行のように線下の、空中の占有権を実施しておる、こういう例が特にそういう地帯がだんだんと市街地化を見まして、その場所の宅地化の実態から見まして非常に悶着が多いのでございます。建設省といたしましては、この土地收用法の所管の問題と同時に、この土地の利用面から見まして通産当局に対しましても、この適正な運営についていろいろ打ち合わせをするように意見を申し上げておるのでございます。ですからできたらいわゆるこの用地取得ということと補償の問題、つまり補償の実施についてまだ関係各省にまたがる諸般の問題について不十分な点が多々ありますので、こういった点につきましては今後の運営について、また制度の問題について通産当局が電気事業者等に対しまして一つの基準をもって指導できるようなものが今後作られていくことを私は検討すべきことだと考えておる次第でございます。
  80. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 非常にこれは精密で膨大なものですからこれを一々具体的に言っておると時間を取りますから要点だけお伺いしますが、次に補償についてこれは高圧送電線の建設当時、事前通告または了解を取りにきましたかということと、高圧送電線についての補償をもらったかもらわないか、こういう点だけお伺いしますが、そこで、まず了解を取りに来たかどうかという質問に対して、事前通告があったというのが二・七%で、了解を取りに来ないというのが二〇・六%、その他詳しく出ておりますが、そこで問題は全然了解を取りに来ないというものが二〇%あるわけですね。相当数了解もなしに工事を始めてしまったということがこれから裏づけられるわけです。それと補償はもらったかもらわないかという質問に対して、もらったものが二二・四%、もらわないというのが二〇・八%、これはもちろん建設省それ自体が組織をもって正確に出した数字とは違って、農民組合が農民に対して行なった、しかも回答は田の場合は五二・五%ぐらいしか回答が来ていない。そういう中から拾った数字であるのだから、厳密な意味で毛頭間違いはないというわけではございませんけれども、大体の方向はおわかりですね。もらったか、もらわないかという方向は、大体こういうふうにここに出ておる。これは建設省といえども認めざるを得ないと思う。こういうふうに現在ただいまの土地收用法からいっても多くの問題が残っている。これがもしこの法案が通って土地收用法が強化されれば、農地補償の問題、それから了解を取りに来たか、来ないかというような問題については、さらに正そう農民側に不利になろうということはもう当然考えられるわけですね。現行法でもこういう問題があるのに、さらに土地收用法を強化するということになると、問題はさらに問題を生むのではなかろうか、そういう点が懸念せられるわけです。そこで一つこういう点を解明していただきたいと思います。
  81. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまお話しの問題は、やはり線下補償関連して起こりましたのでございますが、建設省の所管いたしておりまする土地收用法の出て参ります以前からの、線下につきましての土地所有者等に了解を得ずして、また連絡なしに行なっておるような事例が非常に多いのでございます。この方がもっぱら多いような実情でございます。従って昨今土地收用法の適用というものが、関係各省におかれましてもだんだんはかられるようになりまして、われわれも先生の御指摘のようなケースを承知することができるようになったのでございます。従ってこの問題はまず電気事業を監督いたしておりまするところの通産当局が、その関係の電力会社に対しまして、いわゆる正当な契約による取得の場合における補償の方式慣行というものを適正に確立してもらわなければならぬと思っております。と同時に、この土地收用法の場面が出て参りましたときには、これは線下補償については、かなり全国的な基準に関係する部分がありまするので、関係の収用委員会補償の額を決定する基準というものも、やはりこの収用法のいわゆる手続を早目にやるということを行なうといなとにかかわらず、現段階におきましても、この補償の基準の細目の適正なものの成案を得るように努力しなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  82. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 益谷給与担当大臣がお見えになりましたし、もう時間がございませんから、最後に一点だけ建設省にお伺いしますが、次に被害に関する問題ですね。これを資料中からちょっと問題点を拾ってみますと、農作物に与える影響、これは雷雨等で恐怖心を与えて、高圧線のもとでは休業せざるを得ないというものもありますし、それから送電線の今のうなりとか、そういうものに対する恐怖だけでなく、実際に落雷があったために云々と、それから高圧線が切断せられたために以後恐怖心を抱いて、雷雨があると作業ができないというような例、こういう例がたくさんここに並んでいるわけです。これを一々言う時間の余裕がございませんから申し上げませんが、とにかく農作業に与える影響が相当あるということだけは確認できるわけですね、こういう資料から。それから農作物に与える影響、こういう点でも、一々項目はあげませんが、ここに十項目ほどあがっておる。そういうふうに農作業自体にも影響があるし、農作物自体にも影響がある、それと農地に与える影響自体もある。たとえば農地は売れそうになったけれども、高圧線のもとでは条件が悪くなって売れなくなった、こういう点を初めとして事例がここにたくさんあがっておるわけです。一々申し上げませんが、こういうふうに、とにかく被害に関する問題点を、現在ただいま相当あるわけですね、問題が。こういう問題が、先ほども申し上げたように土地收用法の強化によってさらにこういう問題が問題を生む、こういう事態になっては大へんだとわれわれは案ぜられるわけです。こういう点のお考えはどうですか。それを最後にお伺いして、時間がありませんから、本日は質問をこれだけにしておきたいと思います。
  83. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまのお話は、送電線下の諸般の被害の問題というものが、ただ物質的に見ただけ以上のものがたくさん介在しておるということについてのお話しでございまして、まことにごもっともでございます。これはこの土地收用法それ自体の場の問題よりは、むしろそれらの施設を管理し、経営しておる電気事業者と土地の所有者なり管理者との間の問題になろうと思いますが、いずれにいたしましても、この公共用地の取得の問題を能率的な方法で解決しようと思うときには、やはり被収用者の権利の保護という点につきましては、やはり欠くるところのないように、両方の天びんのどちらかが傾くことのないように慎重な検討をすべきものだというふうに考えております。ただいまの線下をめぐる問題点というのは、これはわれわれもこの収用法のほかの問題といたしましても、通産省当局ともいろいろ問題にしておる点が数多くあるのでございますから、十分一つ研究をいたしたいと考えております。
  84. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 質問じゃないのですが、次の建設省の関係委員会あるまでに次の一つ資料をお願いしたいと思うのです。資料要求として、本州、北海道、九州、四国、これはよろしゅうございますが、これ以外の日本の領土である島嶼の数、これは国土地理院の関連性一つ聞きたいのですが、各所属の府県別、それからその島嶼に住民が住んでおるのとないのとを区別して、そういう資料一つお出し願いたい、よろしゅうございますか。
  85. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) できるだけ御期待に沿うような資料を急いで調製したいと思います。
  86. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 次の木曜日でなくてもいいのです。これが上がるまででけっこうでございますから、ぜひ一つお願いしたい。
  87. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑はこの程度にとどめます。   —————————————
  88. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律、案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案、以上、四案を一括して議題といたします。質疑を続行いたします。政府側の出席の方々は、益谷国務大臣、浅井人事院総裁、増子内閣総理大臣官房公務員制度調査室長、滝本人事給与局長、小幡防衛庁政務次官、山本防衛庁人事局長山本防衛庁人事局調査官、船後大蔵省給与課長、以上の方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  89. 辻政信

    ○辻政信君 浅井人事院総裁に、前委員会におきまして、公務員で兵隊にとられて、戦地から帰って再就職した者の俸給をきめるときに、人事院細則の別表第十六経験年数換算表、これが間違っているということを申しましたが、その後、御研究なさった結論をお聞かせ願いたいと思います。
  90. 浅井清

    政府委員(浅井清君) 実は、私は辻さんの御意見と同感であります。そこで実は、これはすでに御承知と思いますが、これは人事院のとった処置ではないので、ございまして人事院設置以前に閣議決定をいたしまして、給与実施本部がやっていた、それがこっちに来ているのであります。これは私は改めたいと思っております。それでこの細則はこれを改めまして、この二割五分ということを、十割以下と八割といういうふうに、二つに同じように見たい。これはさっそく改めます。こういうふうになっております。
  91. 辻政信

    ○辻政信君 非常に良心的な、間違いは間違いとして認められた態度に敬意を表します。できるだけすみやかに改めて、黙って困っている人たちを救っていただきたいと思います。  次は、防衛庁の政務次官に一点だけ、それは現在防衛庁の定員の中で、昔の下士官クラス、現在の一曹、二曹、そういう人が相当長く年数がたちまして、営外居住の年数に達しておりながら、何かの関係で営内にとどめておく、従いまして、妻をもらっても営内居住で一週間に一回しか家に帰れない者がだいぶあるのです。私の意見では、営内におりますというと、食費を官費でもらっておりますから、それを差し引けば営外手当ととんとんになり、国の予算を増加せずして年数のたった古い一曹、二曹クラスの人に営外居住が許されるはずであります、予算をふやさないで。しかるにそれができておらない、非常に困っている人が多いのですが、どういうふうになっておりますか、それを伺いたい。
  92. 小幡治和

    政府委員(小幡治和君) 確かに辻委員のお話のような事例が今までありまして、われわれも部隊に行きますと、いろいろ陳情も受けるわけなんですが、今度それを改めまして大体資格がある一曹なりそういう人たちには、今度営外居住を認めるようにいたしまして、予算もそういうふうに処置いたしましたから、その問題は解消したと思っております。
  93. 辻政信

    ○辻政信君 それは全部おやりになりましたか、定員のワクを縛っておりましたのをそれをとりまして、年数に達した者は全部営外居住を許すということに改正をなすったのですか、人事局長
  94. 山本幸雄

    政府委員山本幸雄君) これには資格要件がありまして、その資格要件に合う者につきましてはこれを認める、こういうふうに処置いたしております。資格要件が問題でございますから、一曹、二曹、三曹全員を認めるわけにはいかない。しかし資格要件に合う者はこれを認める。こういうことであります。
  95. 辻政信

    ○辻政信君 私の言うのは、今まで、資格要件があっても定員ワクに縛られておった、あるいは官舎その他に縛られておった。それを全部はずしても予算関係がない。これは政務次官は、予算関係あるようにおっしゃいますけれども、営外居住の手当というものと営内の給食費を国が持つのと、とんとんなんです。ほとんど変化がない。ですから、ある年数が来たならば無条件で許していいはずであります。家内をもらって一週間に一回しか家へ帰れないというようなことで、一体あの苦労しておる一曹クラスがどうしてやっていけるかということです。はっきり、いつから改めたかはっきり答えてもらいたい。
  96. 山本幸雄

    政府委員山本幸雄君) お話しのごとく、予算的には、本給の中に織り込んであるかあるいはそれを営外手当として支給するかということでありまして、予算的にはとんとんであります。ただ、営内の問題として今までそういう問題を全面的には解決しておらなかったわけですが、今回はそれを踏み切りまして、資格を持つ者につきましては、ほとんど全部認められるような予算をつけて、予算の組みかえをやったという形になっております。
  97. 辻政信

    ○辻政信君 いつからやるのですか。
  98. 山本幸雄

    政府委員山本幸雄君) 本年度予算でそういうふうな予算の組みかえがしてございますから、すでにそれは一線部隊では着々実行されておるものと考えております。
  99. 辻政信

    ○辻政信君 よろしゅうございます。
  100. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではきょうは、給与四法すなわち一般職、防衛庁関係特別職、それから、本日理事の努力で、本日の議題になった石炭関係の手当の問題につきまして一つ質問したいのですが、まず先に、この前の続きで、防衛庁関係給与について若干ただしておきたいと思います。これは、一般職なり特別職その他関係がございますので、人事院総裁なりあるいは幸い益谷給与担当大臣出ておられます、よろしく一つ聞いていただきたいと思います。  まず簡単なものから、これは実は法令と運用と変わっておったらいけませんので、そういう意味において若干ただしておきたいと思うのですが、現行法の給与法の三等陸士、これはいわゆる海士、空士一緒ですから陸士を代表して私言いますから……。三等陸士から二等陸士、一等陸士、それから陸士長、昔の概念でいえば兵に属した人々の、いわゆる就職したときから、就職というのかどうか知りませんが、入ったときからそれまでの、初任給から上がり得る運用状態、これを一つまず御説明を願いたい。これは事務当局でけっこうですから。
  101. 山本明

    説明員山本明君) 三等陸士から二等陸士あるいは一等陸士、それぞれ昇給、昇任して参りますその所要年限につきましては、自衛隊法の施行規則というのを出しまして、その別表第七に、一応最低の年限が記入してございます。それは、三等陸士から二等陸士になるのには六カ月たちますればこれはなれる。それから二等から一等にいきますには、同様に六カ月しますれば一等陸士になれる。それから一等陸士から陸士長になりますには、一年たちますと一応陸士長にする期間が来まして資格を与えられる、こういう格好になっております。それで三等陸士につきましては、これはいわゆる自衛隊制度というものでございまして、これは後ほどお話しするといたしまして、大体中学校卒あるいは高校卒程度の学力のあります者をまず一等陸士にとりまして、六カ月たちますと、一等陸士にするという格好になっておるのでございますが、実情は、現在のところ一年、これは最低の所要年限が六カ月でございますから、それ以上でございますと一等陸士になるわけでございますが、それは大体今のところの実情から申しますと一年かかっておるわけであります。それからなお一等陸士から陸上長になります者につきましては、これは規則上は一年でございますけれども、これは一年半ぐらいに現在のところは延びておる、こういう状況でございまして、この在職期間に対しましてある程度の延びといいますか、実質的にはこれの期間の五割ないしまあ十割ですか、この程度延びておるというのが実情でございます。それから三等陸曹の方は、いわゆる四年間それぞれ教育を受けまして、三等陸曹、いわゆる昔の下士官階級に当たりますところの三等陸曹に昇進をしていくという格好でございましてこれも今申しました一定の最低の年限を設けてございますが、若干これが延びておるというような状況でございます。
  102. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと冒頭に聞くのを忘れたんですが、この防衛庁関係給与法の最初に一つただしておきたいのですが、私のこの前の質問で、政務次官は、警察予備隊から保安隊、それから今日の防衛庁職員になっておる、自衛隊になっておる。給与は、その当時立てられたものを一つの基礎としてやっておるのだ。こういう答弁であったと思いますが、そこで、その当時、警察予備隊の、この若干一般職なりあるいはその他の給与法から見ると、相当特異性がありますが、当時これを立てられた当事者と申しますか、警察予備隊でおそらく作られたと思いますが、これは大蔵省なりあるいはその当時総理府というものはなかったと思いますが、いわゆる政府給与関係した方々、それから人事院の関係、おそらくこれは特別職相当しておるから、人事院は関係しておらなかったと思うけれども、何らかそこに相談がされたかどうか。警察予備隊の当局自体において独自の立場でこれをこさえられたかどうか。一の点一つ。古いことでございますから、現在おる人は、歴史は知らないと言えばそれまででございますが、わかっておれば、その当事者がだれであったか、またその他の関係する給与法、あるいは一般職では人事院、それから特別職では大蔵省、こういう関係の方がこれの給与を作るときに何らかの相談、参画されたかどうか、この三点をちょっと御質問しておきたい、冒頭に。どちらからでもいいです、わかっておる人で。
  103. 山本幸雄

    政府委員山本幸雄君) 私も当時おったわけでございませんので詳しいことはわかりませんが、警察予備隊発足のときに、やはりお話しのように特別職に相なっておりまして、人事院そのものの規制は受けていなかったと思います。しかし大蔵省とは協議して、大蔵省と御相談の上でこの給与表はできたと、こういうふうに聞いております。
  104. 浅井清

    政府委員(浅井清君) ただいまの答弁通りで、われわれの方は関係いたしておりません。
  105. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まずそれを聞いて、先ほどの質問を続けます。大体陸曹までの御説明は一応聞きましたが、それでは実際、おそらくこれはどういう言葉を使っておるか知りませんが、任官という形で陸尉、三等陸尉、これはこの前質問したのですが、その際に若干私聞いておるのですが、数字が合わないのですが、もう一ぺんお伺いしておきたいのですが、任官という言葉を私使いますが、陸尉に任官するまでに、大学に入る。その大津に入ったときの初任給は幾らと言われたか。その点はっきりもう一ぺん一つお聞かせ願いたい。大学出たならば、この現行表のどれに初任給の格づけをするのか。この点をもう一度ちょっと御答弁願いたい。
  106. 山本明

    説明員山本明君) この間の御質問に対しまして私申し上げましたのは、現在この委員会に出ております改訂の表を基準に申し上げましてお答え申し上げたのでありますが、現行の金額で申しますと、大学出ますと幹部候補生になりました、そのときには幹部候補生に一定の金額を支給する、別に政令をもちまして金額を書いてございます。相当号俸は、大体二曹の一号、これが一万一千四百五十円でございます。そうして一年たちますと三尉でございますから、三尉の初号一万三千三百二十円、この数字が現行の俸給月額でございます。
  107. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それから一応、最初質問の順序として、給与の私の若干わかりにくい点をまず解明していただきたいと思うのです。今度は実は防衛庁の給与法による第十五条の手当の、特殊勤務手当の問題でちょっと聞いておきたいのですが、政令で実はたくさんここに並べてありますが、これについて一つお尋ねしたいと思いますが、最後の方の放射線取扱手当、潜航手当、こういうものが実はありまするが、これがおのおの三千円ないし六百円以内という定めになって、範囲内になっておりますが、現行は実際どれくらいになっておるか、ちょっと先に聞いておきたい。
  108. 山本明

    説明員山本明君) 御質問のございました放射線取扱手当、それから潜航手当、これは作業に従事した日一日につき三十円という格好になっておりまして、ほかのたとえば航空作業手当、あるいは落下傘降下作業手当のように一定の最高限を押えておりませんのですが、一日につき三十円という格好に相なっておるのでございますが、何かの間違いじゃないかと思いますか……。
  109. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 政令の別表第三では「作業一日につき三十円をこえない範囲内で、長官の定める額」と実はなっているので、定めるとなっているので、それであればけっこうですから……。
  110. 山本明

    説明員山本明君) 三十円に間違いございませんです。一般職と同じ三十円でございます
  111. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではもう一度この諸手当についてお聞きしますが、第十六条に航空手当、乗組手当及び落下傘隊員手当というものがございますが、これの運用について若干疑問というか、ちょっとただしておきたいのですが、航空手当月額表というのがございますが、これについて、将から補、佐、尉、曹、長、陸士ですか、兵と申しますか、そういう点に非常に格差が多過ぎるように思うのですが、これはもちろん理由があると思うのですが、極端な例をとると、将が月額甲、これはジェット機に乗った場合だと思うのですが、乗る人だと思いますが、月に三万四千二百八十円、それから一番下の方にいくと、わずか五千三十円になっているのですが、その間に各補とか佐、尉によって非常に差があるのですが、その航空手当を出すという精神ですか、非常に体力的にも、非常にまた知能的にも疲れる、こういう意味において出されると思うのですが、この一番上と一番下とでは約七分の一というような、非常な差があるのですが、先ほど申しましたように、これを作られるときにこういう差がどういう考え方から出てきたのか、ちょっとその点をお聞かせ願いたい。
  112. 山本明

    説明員山本明君) ただいま御質問の航空手当につきましては、これは考え方は、俸給調整額という考え方でこの航空手当の月額をきめております。そうしてここの甲というのは、御説のようにジェットパイロットでございますが、これにつきましては、それぞれ階級の初号、いわゆる一号ですね、初号に対しまして一定の率をかけておりますから、将補の方だけは高くかけるとか、あるいは陸曹のところだけは低くかけるということはしておりません。それぞれ俸給の初号に一定の率をかけたと、こういう格好に相なっております。いわゆる俸給の調整額という考え方で作っております。
  113. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実はこれも一つの手当に属する問題ですが、これはわれわれとしては実は納得できないのです。これは単に航空手当だけではない、防衛庁関係の手当を見ると、きわめてこういう点が強いのです。一般職の場合にはこれほど大きい開きのあるというような手当というものはない。かりに職階級的に認めておるけれども、そう、これほど開いたものはないのですが、調整額的な考え方と言いますが、少なくとも航空手当というものはきわめて危険を伴う、体力的にもきわめて普通の陸上勤務から見ると消耗する、こういう意味で立てられたのだと思うのですが、これは先ほど申しましたように、これを立法されたときにも問題があったと思いますが、こういう考え方では、私は、おそらくこれに従事する自衛隊の各層の人は満足というよりも問題があると思うのです。これについて政務次官は、こういう立て方が正しいのだと今なおかつ思っておられるかどうか。  それからこれはまあ、人事院総裁にちょっとお聞きしておきたいのですが、こういうことは手当としてあり得るかどうか、管轄はないけれども、もし一般職でもこういう考え方を持ってやる場合もあると思うのです、が、これは民間でもこういう例があると思うのですが、この点について関連して一つ御意見を聞いておきたい。
  114. 浅井清

    政府委員(浅井清君) これは所管外のことでございますが、もし一般職ならばという前提でお話しするのですが、これは俸給の調整額と見るのか、特殊勤務手事と見るのかによって非常に違ってくるだろうと思います。これを俸給の調整額と見ますれば、俸給の何%ということになりますから、上と下では開きが多い。それで一般職関係の、航空手当についてはあるいは私の記憶が違っているかもしれませんが、これは特殊勤務手当と見ているのじゃないかと思っております。
  115. 小幡治和

    政府委員(小幡治和君) 大体、先ほど防衛庁の方から御答弁申し上げました通り、この考え方は調整額として考えておりますので、一般職にもやはり調整額のような面でやっているところは、階級的にやはり違ってきているので、まあわれわれも、防衛庁の方も、そういう考え方で立ててきておる建前でありますから、今これを変えるというふうなことは考えておりません。
  116. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは僕は、山本人事局長ですか、その当時知らなかったと言われますけれども、今まで防衛庁関係給与についてはあまり論議されておらないように聞いておるのです。これは私一般職との均衡の問題を結論的に言いたいと思いますが、これは自衛隊の方々自体でも私は非常に問題があると思うのです。ところが自衛隊は御存じのように軍という概念から、日本法律では組合を結成することは避けられている。従って、私は社会党立場で自衛隊そのものに対しては否定的態度をとっておりますけれども個々の人間としての生存権は私は認めておる。その場合に、こういうはなはだしい、かつて昔の軍と申しますか、その当時のような考え方で、位によって、もちろんこれは考え方というのは特殊勤務手当、今人事院総裁が言われたように、航空、しかも自衛隊の航空というのは、一般の民間の航路と違って非常に戦闘行為と申しますか、訓練をする、危険を伴う、体力が非常に消耗するということから立てられておるのであって、いわゆる近代的な公務員の給与制度である責任の度合い、それから勤務の複雑性、それから体力の消耗、こういう三つの柱から考えて私はこれは間違いであると思う。もちろん、これは後ほどいろいろ関連して伺いますけれども、この一点だけとらまえても、私は相当この問題は問題があると思う。それは、政務次官は、いわゆるこれは調整額だとして扱っておる。調整額というものはそういうものじゃない。それは給与の実体、本質というものを防衛庁関係では、もうずさんに考えておる証拠だと思う。これは私は自衛隊が憎いから言っておるのじゃない。自衛隊内に大きい問題があるのです。これは単にこういう問題だけでない。一例であります。そういう点で、現在変える意思があるないを問うておるのじゃない。これで政務次官は正しいのだということを今後とも考えていくかどうか直すとか、そういう問題じゃない。この点についてちょっと聞いておきたい。
  117. 小幡治和

    政府委員(小幡治和君) 先ほど申し上げました通りでありまして、まあ今これがいいか悪いかということを、私として悪いと言うわけには参りません。ただ、まあ御承知通り、そういうふうに階級的に分けておりますけれども、上の階級の人の乗るのは非常に少ないのでありまして、大部分曹の人たちが乗っておるわけでありますので、常時これが同じような時間で乗っておってそれだけの差額がつくということだと、その間にいろいろ問題もあるかとも思いますけれども、上の方の人たちはそういう意味においては非常に少ないわけでありますので、今のところ部内でもそういう問題について云々ということもありませんようでございますし、私としては一応これでいっていいんじゃないかというふうに思っております。
  118. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは政務次官あなたは重大な答弁で間違った答弁をされております。私は追及はしませんが、少ないからこれでいいじゃないか、私は少ないような人だったらもっと少なくしたらいい。それはたくさん乗る人にはこれは重点を置いて考えなければいけない手当です。少なく乗る人でも一ぺん乗ったらこれだけやるのですか。時間でやるのですか。その点は政務次官は詳しくないから、もしミスであれば私は追及しません。そういう若干常識的な答弁できょう終わろうと思ってもだめですから、その点はっきりして下さい。
  119. 小幡治和

    政府委員(小幡治和君) 先ほど時間と言いましたけれども、結局対象になる隊長とか何とかそういう人が乗るので、そういう意味で、隊長は一人しかないという意味で非常に少ない、人数は非常に少ない、対象となる方が非常に少ないということで申し上げたわけなんです。今のいろいろ御議論もありますけれども、われわれとしては一応そういうふうに考えておりますので、今これを悪いとかまた直すとかというところのことは考えておりません。
  120. 辻政信

    ○辻政信君 関連して。今の議論を聞いておりますと、とんでもないこと政務次官言っております。昔の軍隊と言われましたが、背は大佐でも少尉でも飛んだ時間によって航空加俸というものがあった。階級の差じゃない。飛んだ時間によって手当が支給されておった。それを今はえらい人によけいやつて、ほんとうに飛んでおる俸給の少ない連中が少なくもらっておるのはとんでもない間違いだ。もとの軍隊にはそういう間違いはなかった。今の自衛隊は官僚化したからそういうふうになっておる。俸給の調整額ならなぜ俸給表を直していかぬか。手当をふやして俸給調整というごまかしな解釈をすることは許されません。軍の本質じゃない。この悪い制度を即時改めなさい。そうしなければ、あのパイロットに志願する者は出てきません。わずかの給与でべとべとになっている。そうして家内をもらうというと、家内は毎日、新婚の妻は夫が飛んでおるのを手を合わせて拝んでおる。落ちても百万円しかもらえない。そうしてあれだけの苦しい超重労働をやって命をかけておりながら、その航空加俸が階級によって差があるということは許されません。昔の軍隊は階級によって本俸の差はあったけれども、航空加俸というものは飛んだ実際の時間によって支給されておる。この悪法は即時研究なさってお直しになるべきです。
  121. 山本明

    説明員山本明君) ただいま問題になりました航空手当でございますが、これはたとえば一般職の方を考えてみます場合に、行政一、行二、公安一、二、それから医療職、それぞれ俸給表があるわけでございます。それで自衛隊の場合におきましても陸上に勤務する考、航空搭乗の配置にある者、あるいは艦船に乗り組む者、こんないろいろな者が一般隊員である者、それについて一々適用します俸給表を異にするという考え方も出て参りますけれども、現在の防衛庁といたしましては、自衛官一本として防衛庁職員の俸給表を作りました。そうしてその職種に応じまして行政一に対しまして公安があり、医療があり、研究職があるような格好の格差と申しますか、そういうものを航空手当なりあるいは乗り組み手当で考えていこうというような考え方でこの手当を作ったわけでございます。今辻先生のおっしゃったような、現実に乗った者はどうするかということになりますと、これは別に航空作業手当というものが、今乗られましたその回数に応じて支給していく。あるいはさらに危険航空作業手当というようなものをお渡しをするというような格好になっております。一般職の場合の航空手当と申しますのは、今申しました航空作業手当に当たるものが一般職におきます航空手当でございまして、防衛庁の言っております航空手当といいますものは、俸給の調整額として、本来ならば各種のそれぞれの職種に応じた俸給表を作るのを、自衛官一本としてその上に今申し上げました調整額としてプラスしていくという考え方で作った。こんなふうに御了解願えばけっこうだ、と思うのであります。
  122. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃ二つになっておるのですか、飛んだ時間応じて一時間当たり幾らです、手当は。そのほかその職種に応じて俸給調整額という二つでやっておるわけですか。
  123. 山本明

    説明員山本明君) 俸給調整額としての航空手当と、それから一般職の時間数でございますけれども、自衛隊の方は時間的な考え方でなしに、一日一時間乗り、五時間乗り十時間乗りましてもそれは同じだという考え方で一日幾ら、こういう金額でいわゆる特殊の勤務手当として支給する、こういう格好になっております。
  124. 辻政信

    ○辻政信君 それでは具体的にお伺いいたします。大佐が一カ月に十回乗った場合、それから一曹が一カ月に十回乗った場合、金銭にしてどうなりますか。すべてを含めて、それを具体的に差があるかないか階級によって。
  125. 山本明

    説明員山本明君) 航空手当につきましては、月手当として幾らというふうにそれぞれの階級に応じたのがございますから、たとえば先ほどお話がございましたように、一等空佐が乗りました場合におきましては月におきまして二万三千五百九十円、それから一曹の乗りました場合におきましては七千九百三十円、これは搭乗配置にあります航空自衛官に対しまして……
  126. 辻政信

    ○辻政信君 間違いだ、そんなこと。
  127. 山本明

    説明員山本明君) 支給する。そうして具体的に飛んだ場合におきましての手当は、また別に具体的な……
  128. 辻政信

    ○辻政信君 一時間幾ら。
  129. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  130. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  131. 山本明

    説明員山本明君) 一日につきまして前審につきましては五百円、後者につきましては四百円、こういう格好で搭乗したその具体的なものにつきましてはこういう格好の金額を支給する。一般職と同じことにしております。
  132. 辻政信

    ○辻政信君 これはほんとうに間違っております。どうか一つ白紙に返してもらいたい。もとの軍隊では航空加俸というものは階級によって差はなかった。これではほんとうの精鋭なパイロットはできません。特に私が言うのは、俸給が低いのに命がけで飛んでおるあの若い青年たちです。これにはせめて俸給とか手当の面においてその疲れを直すようにそういう頭でもって調整していただきたい。具体的な結論はあとで承ります。
  133. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 辻さんの質問のポイントが私違いますので、答弁される方はちょっと冒頭に頭を変えていただきたい。先ほどからいろいろ派生的に僕の聞かんとするところは出てきましたが、この航空手当はいわゆる特殊勤務手当的なものでない。航空関係の自衛隊としての特殊な、要するに表を作るのだけれども、それを作ることができないからこういうものを作っておるのだ、こういう趣旨だったと思うのです。これは一般職でもそういうことが言えると思いますけれども、この場合にはそれが当たらない。自衛隊というものは陸、海、空、現在ありますけれども、そのおのおの自衛隊本来の職務というものは、これは自衛隊も給与表でいい。それがたまたま航空関係に回わって飛行機に乗るという現象によってそういう給与というものが発生すると私は考えておるのです。いわゆるこの航空自衛隊といえども陸上で勤務をしておる人であった場合には、先ほど政務次官が陸将とかそういうものはほとんど乗られない。源田さんはたまには乗られるけれども、おそらく乗ることは少ないと思う。そういう人にまでこういう給与をするということは、私は防衛庁関係予算を云々というのじゃないのですけれども、あまりにも乱費に過ぎないかというきらいもあると思うのです。それは今一応辻さんが言われたので、私はちょっと質問の要点を変えますが、それはもう一つ聞いておきたいのです。法律の第十七条のこの海上の自衛隊ですが、これに航海手当というものがありますが、この航海手当と先ほど申しました第十五条にある特殊勤務手当の関連性ですか、航海手当というものと特殊勤務手当はやはり併給するように思っておりますが、これは間違いないかどうか。
  134. 山本明

    説明員山本明君) 航海手当は、これは一種の一般職におきます航海日当に該当するものでございまして、先ほどの航空手当の問題も同様でございますが、乗り組み手当、航海手当、これは一般職におきましても、たとえば保安庁の職員におきましては、俸給月額プラス調整額といたしまして百分の二十でございますが、一定の調整額がついておるわけであります。そして、そのほかに実際に行動、定係港から出たり入ったりしました場合には、その場合に航海日当としていわゆる実費弁償的な日当を出す、こういう考え方が出ておるわけであります。それを自衛隊におきましても、海上自衛官の艦船に乗り組みますものにつきましては、そういう調整額的な性格をもって乗り組み手当を加え、そしてここに出ております航海手当というものは日当的な性格のものとしてお渡しをする。これは先ほどの航空手当の場合にも同様な考え方で作ったというのが、現実給与の姿でございます。
  135. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今私がお尋ねておることだけ答えてもらったらいいんです。何かこう現在のやつがそれでいいんだという非常にあなたは弁明がましい。そういうことはあとで私は質問しますから、そういうことになっておるかどうか、なっております、こういう答弁でいいです、時間がかかりますから……。それじゃ併給しておるということは間違いないということはよくわかりました。  それからもう一つ、次の党外手当で、これはこの間私の質問人事局長がちょっと口を漏らされたのですが、営外手当は、営内においては国費で給食をしておるけれども、営外におる人についてはそれをやっておらないから、世外におる人には食費を給するかわりに若干の手当を出しておるのが世外手事であるという答弁をされておるが、それは間違いであるかどうか。
  136. 山本幸雄

    政府委員山本幸雄君) 御承知通り曹士の給与は営内で住んでおりますから、食費とか、光熱水道を俸給から差し引いたもので金額は表示されておる。そこで、それを営外に出た場合には、その糧食あるいは光熱水費というものを営外に出たために使わないということになりますから、それを返してやるということでやって、国費でやっておったものをやるということじゃなくて、本人の給与の中から引いてあったものを返してやる、こういう考え方に立つわけであります。
  137. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、その営外で居住しておったものは食費というものが一応国で負担することになって、営内になっておるのでしょう。そうじゃないですか。
  138. 山本幸雄

    政府委員山本幸雄君) つまり純国費で持ち出すというのじゃなくて、曹士の俸給の中から差し引いた金額が表示されておるという意味です。国費でということには間違いないと思いますが、本来なら、本人に渡してから差っ引くのが筋かもしれませんが、それをあらかじめ差っ引いてある、こういう格好であります。
  139. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 なかなかこれを見たってわからないんですが、実際にじゃどれほど差っ引いているのか、俸給表にそれが載っているのかどうか。現在のこの俸給表があるが、これに裁っている以外にそういうものを出しているのかどうか。その点をはっきり聞いているんですが、その点どうですか。
  140. 山本明

    説明員山本明君) 俸給を自衛官全体で計算いたします場合には、従来から申しておりますように、一定の算式をもちまして、公安職の俸給表を基準にいたしまして、一定の算式を用いて金額が出て参ります。それで曹士につきましては、その中から二千五百八十五円引いたものをもって、俸給表にはそれだけの引いた額を表示されてあるわけであります。これは営内に住んでおりますものにつきましては、糧食費として、一定の金額の糧食並びに光熱水費、あるいは営舎用備品費、維持費、こういうものが別に予算に糧食費なり、営舎費なりに計上してあるわけであります。それが、そのうちの一定部分というものを本人の私生活に要する経費といたしまして、営内に住んでおりますものにつきましては、それだけの額が俸給表上からは引いてあるわけであります。これが営外に出ますと、そういうものについては、営内で今申しましたように国の予算に組んである経費というものの対象部分だけは営外手当として、本来ならば俸給の算定の経費の中には入るべきものでございますから、それは本人にお渡しする、こういう格好になっているのであります。
  141. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どうも私言われることがよくわからないんですよ、しからば、具体的に言われた例で申しますと、先ほどあなたが答弁された中で、陸尉三尉、いわゆる三尉一号俸で一万六千三百二十円というのは、これは引いた額ですかどうですか、その点を一つ
  142. 山本明

    説明員山本明君) これは先ほど申しておりますように、曹士、いわゆる下士官につきましてはこれはそのまま計算で出てきた数字でございます。ただ、曹士という階級が、先ほど山本先生のおっしゃいました下上官とか、兵に該当する曹士というものにつきましては、これは営内居住を原則としておりますから、それらの人については俸給表上あらかじめ控除して表示してある。それだけの分は予算上は糧食費なり、それぞれ営舎費なりの中で計上してございましてそれらの生活に要する部分は、その予算でまかなっている、こういう格好でございます。従って、三尉につきましては引いてございません。曹士という階級において引いてある、こういうことでございます。
  143. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは、先ほど曹士に該当する大学の例をとられましたが、二等陸曹に該当しますが、この一万一千四百五十円という、これは何ですか、引いてあるのか、引いてないのか。
  144. 山本明

    説明員山本明君) これは幹部候補生の時代は営内で生活をしておりますから、一応引いた額としての二曹一号相当の俸給を幹候の生徒に与える、こういう格好にいたしております。
  145. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、あなた、この前に答弁された場合にそれを言っておらない。防衛大学に入った場合一万一千四百五十円、これを加えますと、二万四千円ほどになる。あなたらがそういうことを抜かしておるから、私は疑問を持つのです。食費は入れずに一万一千四百五十円だと言われるから私は疑問に感ずる。やはり防衛大学の幹部候補生も二万四千円ということになるのじゃないですか、その考え方は間違いですか。ちょっともう一ぺんただしておきます。
  146. 山本明

    説明員山本明君) 先般の御質問につきましては、俸給月額との比較をなさいましたから、私といたしましては、自衛官の俸給月額には、暫定手当とか、あるいは一応一般職の超勤分というものに相当するものが計上されておりますから、そういうものとの、月額表示した場合の計算をした場合に、そういう格好になるんだと申し上げたわけでございまして、おっしゃるように、二千五百八十五円がプラスしておるのじゃないか、プラスするのが当然じゃないかと、こういう御質問でございますれば、その通りだと思います。
  147. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはあなた逃げた答弁じゃなくして、率直に言うべきだと思うのです。給与であるべきだけれども、自衛隊の特殊性から給与から引いておるのだと言うから、この食費というのは給与に入っておる、給与の立て方はこれを一緒に加えていくのがほんとうでしょう。そういう点を私は追及しておる。わかりましたね。
  148. 山本明

    説明員山本明君) わかりました。
  149. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃこれについて、二千五百八十五円という食費になっておるのですが、これで、人事院の給与局長もおられますけれども、自衛隊は国の方で二千五百八十五円、これは月だと思いますが、私は人事院勧告の食費の単価三千六百六十円でもいけないと思っておる。軍隊の方はどれほど楽な仕事をされておるか知りませんけれども、非常にえらいという評判でございますが、一体二千五百八十五円で一人前の男子がどうして食える、これでどうしてやっていけるか。自衛隊で購入される食糧については特別な市場から購入されるのか、この点聞いておきたい。
  150. 山本明

    説明員山本明君) 先ほども申しましたけれども、営内居住の曹士に対しましては、たとえば食べることにつきましては、糧食費というので予算が別に計上してございますが、その一人糧食費の単価が百四円でございます。それから営舎用備品費といたしまして九百七十円計上してございます。あるいは庁舎の維持費として七百六十円計上してございます。こういうように予算に計上してございますものを基準にいたしまして、その三百六十五分の一というものを出して参りますと、一日が百二十七円七十五銭という格好になります。今申しました糧食費あるいは常舎費といたしまして、その中には営舎用備品費あるいは営舎用維持費あるいは電気料、水道料、こういうものをずっと、予算に積算されたものの三百六十五分の一を出して参りますと、一日が百二十七円七十五銭になります。その百二十七円七十五銭の三分の二を持ちまして、本人の一応私生活に要する経費だと、このように見たわけでございます。なぜならば、営舎内におります場合におきましても、演習に出かけていくとか、あるいは夜間の特殊な、この間のような災害の勤務をしなくちゃならないということになりますと、本人の私生活に要します経費というものの大体三分の一は演習その他の公的な面で、三分の二は本人の私生活に要する分だというふうに考えまして、その三分の二をとりまして一日八十五円という計算が出て参ります。それを三十倍いたしまして月に計算いたしまして三千五百八十五円四十一銭という格好になっておりますが、四十一銭の端数を削りまして二千五百八十五円という格好になります。三分の一はそういう公用的な面で使われるのだ、三分の二は本人の私生活分として考えていごうじゃないか、こういう考え方で計上したわけでございます。
  151. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 三分の一を実は国の方で補助している、一般公務員の場合には公用であろうとも、出張旅費とか手当なんかもらっておれば、食費まで支給しておらない。そこでやはり私が一昨日冒頭で尋ねたように、自衛隊として、やはり政府として特殊に、国の方があらゆる面で、給与についても見なくちゃならぬという性格というものはどういうものであるか、私はいろいろ防衛二法を見ましても、軍隊でないという概念をはっきりさしているのです。私はやはり特殊な公務員だと見ているのですが、そういう場合に、やはり軍隊的な性格があるのだ、給与についてもそうだ、昔の兵はほとんど給与はない、小づかい銭のようなものをもらっておっただけですが、それとは今日は違いますが、違う体系をとっているということは、特殊な公務員であるという考え方をとっているのだと思うのですが、そういう場合には、食費を一部見ていくということがいいのかどうか、この点一つ聞いておきます。
  152. 山本明

    説明員山本明君) 私あまり勉強しておりませんから、旅費の方にどんな格好でその食費が入っているのか入っておらないのかわかりませんが、私の勉強した限りにおきましては、やはり旅費、日当という概念の中に、公に出張した場合におきましては、そういうものが入っているのじゃなかろうかと思いますが、いずれ検討いたしまして、御質問の点につきましては十分検討してみたいと思っております。
  153. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういうことじゃないのです。私の聞いているのは。旅費なんというものの中には食費は入っているのです。自衛隊の場合に特殊勤務手当がいろいろある、旅費ではないけれども、そういうことで給与の面でカバーしているのです。国の方が三分の一も補助しなくちゃならぬという、演習に行くとか、そういうことだと思われますが、そういうことをした場合に、演習に行った場合にそういう特殊な考え方をなぜ出しているのかどうか、私は旅費の中に、一般職のように食費が入っているとか、そういうことは言っていない、三分の一持たなくちゃならぬ特殊性がどこにあるかと言っているのです。
  154. 山本明

    説明員山本明君) 私の方の手当、それぞれのいろいろな特殊勤務手当などにつきましては、そういう食費というものは考えておらないのでございますけれども、おそらく御質問は、たとえば航海手当なり乗組手当の中に、そういうものが入っているのじゃないか、こういう御質問がその中にあるのだろうと思うのでございますが、これは当初申し上げましたように、一応給与の調整だという考え方から出発いたしておりますので、その点を御了解いただきたいと思うのでございます。
  155. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃまた徐々にこの問題は連日申しますけれども、今言われた食費の控除については、これは所得税の関係はどういう処理をされているのですか。
  156. 山本明

    説明員山本明君) 国税庁との了解によりまして、非課税によっていると思います。
  157. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはあなたに追及してもしようがない、大蔵省関係になると思うのですが、非課税であることは間違いないのですが、大蔵省関係で国税関係の方おられますか。
  158. 中野文門

    委員長中野文門君) 給与局長……。
  159. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 給与局長では気の毒だと思うのです。ではまた次の問題で、非課税の理由を大蔵省に聞きます。非課税であることに間違いないことは証明された。それでは副総理が何か時間があるので、防衛庁関係はまだ質問がたくさんあるのですが、ちょっとまず副総理益谷給与担当大臣に簡潔に伺いたいと思います。その点御了承願いたいと思います。実はこの前の委員会同僚の鶴園委員から大臣にいろいろ質問いたしまして、大臣は非常に誠意のある御答弁を受けたのですが、翌日の閣議で何らかの二公社五現業に出た裁定に、この較差を何とか別に考える努力をしたい、こういうことで答弁をされたと思っておるのですが、その後それはどうなりましたか、ちょっとお伺いしたい。
  160. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 私は給与を担当いたしましてから、現在の一般職給与が安い、そうして均衡がとれてない。これはどこまでもすみやかに給与の改訂をすべきであるという意見は、今もなお堅持いたしております。給与に関する閣議のつど、私からその意見を開陳いたしておるのであります。きょうはちょうど二公社五現業のうち、郵政省、電電公社ですが、二公社五現業の仲裁裁定を本日の閣議でそのまま認むることにいたしました。すなわち予算上、資金上というようなことを言わないで、その理由で国会に審議をしてもらうということをなくして直ちに承認をしようじゃないかという、予算の面について問題があれば今後に譲って、とりあえず仲裁裁定をのむということにきまりましたので、その機会に私からさらに人事院の勧告を待ってそうして一般職給与をきめるという建前は、今日依然としてありますが、近年その人事院の勧告をそのままのんで、一般職給与を改訂したという事実はないのであります。だからこれを、今後はもとよりでありますが、今日において較差があるのだから何とかできないかということをきょうは閣議に諮りましたが、総理からも強い要望がありまして、比較的好意のある要望でありまして、しかし閣議においては私の意見はそのまま用いられるということはございません。そこで、現在また七月に人事院から勧告がくると思いますが、それのみならず、公務員に対する制度の勧告、給与に関することも数カ月前から次官会議に取り上げられ、相談をいたしておる。そこで今年の一般職に対する給与の改訂について、その点もこの次官会議に諮ってくれるように、今度は給与担当大臣から、きょうは内閣官房の方面に要求をいたしております。おそらくは近くそういうことになるだろうと思います。事務できめれば閣議に報告することになっておる。閣議ではきょうはきめませんでした。給与担当大臣として事務の人にそれだけの要請をいたしております。できるだけ努力をいたしましょうということで、ただ私の見るところ、閣僚諸公といえどもこの給与は高いというような考えを持っておる人はないと思います。率直に申しますと、大蔵事務次官すら事務次官会議で安いということを言っておるという報告を受けております。従って今後たえず機会あるごとに努力をいたせば、最終の、幾らかでも目的が達成すると私は思っております。今後とも機会あるごとに努力をいたしたいと思います。ただ、本日まで結論を得なかったことはまことに残念でありますが、これは私はやむを得ないから、これで引き下がるという考えは毛頭持っておりません。以上、御報告申し上げます。
  161. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 副総理答弁はきわめて誠意のあるように受け取ります。しかし、もう現実の問題として非常に一般公務員の場合には不満を持っておる。しかし、立場上、不満を爆発する方法がないので非常に困っておられると思いますが、大臣はそこまで誠意をもって閣議に諮ったけれどもそういう結論が出た。副総理立場なり誠意については、私は了承しますが、しかし政府全体としてはやはり誠意がまだないと思う。もちろん予算関係もありましょう。すでに現在人事院勧告にのっとったところの給与法、今日かかっておるんですが、これの予算がすでに通っておる。こういう段階で新たに、別の処置ということはむずかしいけれども、これは一つ今後十分考えてもらわんといかぬと思う。人事院総裁もお見えになっておるから、腹ではそのほぞをきめておられると思いますが、私はその点についてはまあ今日くどくどと、主題から変わっておるから申し述べません。ただ鶴園委員から、きょうは来ないからその点だけ一つ大臣に聞いてくれというので聞きましたが、今後ともなお一そう閣内において御努力をお願いしたいと思う。  そこで、ついでですから、人事院総裁は今国務大臣のああいう答弁があったんですが、もうすでに勧告の調査をされておるようでございますが、そういう点を十分考えて、やる準備がなっておるかどうか、この点を一つ答弁を願いたいと思う。
  162. 浅井清

    政府委員(浅井清君) 本年は従来三月でやっておりました調査を四月にやれという御要望もありまして、その通り始めておるわけでございます。ところが四月にやりますのは、四月の賃金台帳を、民間の事業所も使います。そこで五月の初めからでないとそれを調査できない状態でございます。ただいまもう着手いたしております。どういう結果が出て参りますか、毎勤等見ましても、この職員構成が違いますから、そのまま手本にはならぬのですが、民間給与も上がっておるように思っております。でございますから、人事院といたしましては、もちろん公務員の利益を擁護するように努力いたすつもりでございますが、準備がもうできておるかという仰せでございますならば、これはまだ調査中でございまして、この調査表が約二十万枚ございます。これは統計局に回しまして、特殊の機械で整理をいたす必要もございます。まだ準備はできておらないと申し上げた方が正直だと思います。
  163. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではこれはわれわれのいろいろな希望もあって、今度は調査の期間は四月ということになったことには間違いないですね。
  164. 浅井清

    政府委員(浅井清君) 間違いございません。
  165. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは給与の問題については、またいずれ機会をあらためて、たくさんあるんですけれども、きょうはその程度で終わりますが、もう一つごく最近に衆議院で上がってきた寒冷地手当薪炭手当の問題についてちょっとまず触れておきたいと思うのでございますが、衆議院では御存じのように附帯決議がついておる。この附帯決議をつけた経緯を衆議院の諸君からも十分聞きました。で、これについては問題になるのはやはり寒冷地手当薪炭手当が三十五年度、本法律案では何らいじってない、従ってこれについての附帯決議でございます。ただ、私は附帯決議を見たときに、今までの附帯決議より若干具体性があると思う。いわゆる最後の方に、「昭和三十六年度より改正するよう措置するものとする。」しかも、これは「政府は、」と、政府が主語になって、それから「速やかに人事院をして調査研究せしめ、昭和三十六年度より改正するよう措置する」こういう附帯決議になっておるんですが、これについて衆議院でも、相当政府の方も誠意がある答弁をされたと思うのですが、これについて人事院の方はもちろん法律がまだ通っておらないからどうこう言えませんが、政府人事院の両方からこれについて不合理、不均衡となっておるけれども、具体的にどういう考え方であるかということを一つお示しを願えれば非常にけっこうだと思います。
  166. 浅井清

    政府委員(浅井清君) 私はこれに対しまして、これを文字通りに受け取りまして、この決議の趣旨を尊重して、すみやかに調査研究すると、こういうふうに申し上げたわけです。衆議院におきまして。でございますから、文字通りに受け取りましてさっそくこれはやりたいとかように思っております。たとえばこれはいろいろな点が考えられると思うのでございます。現在の地域区分の問題にいたしましても、その石炭手当の値上がりに伴う割合の問題にいたしましても、いろいろあると思いますから、ここで具体的にどうということは申し上げられませんが、これは文字通りに受け取ってやりたいと思っております。
  167. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 改正案を出しましたのは、不均衡な点、不合理な点があるというのが改正の趣旨なんです。私は具体的にどういう不合理、不均衡があるかを詳細には存じませんが、私どもも不均衡、不合理だということをたびたび以前から聞いておるのであります。そうしてこの法案が成立いたしますれば、衆議院の附帯決議の趣旨に沿うて、人事院ももとよりすみやかに調査研究の上勧告案を出されることと思っております。勧告案が出た際には、それはすなおに実行することを政府を代表してお約束を申し上げておく次第であります。
  168. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題については、まだ自後若干の審議があると思いますので、本日はそういう政府なり、人事院の各責任者からの答弁を一応聞いて、今後またいろいろとお尋ねしたいと思いますが、きょうはこれでこの問題については一応終わりたいと思います。  そこで再び自衛隊の問題に移るんですが、大事な副総理がきょう忙しいようでございますけれども、私が自衛隊関係給与を尋ねておるのは、大体国の給与というものについて、政府は今きわめて矛盾したまちまちな態度でやっておる、大体裁判所関係は法務、それから外務省関係は外務、内閣の方では特別職一般職と防衛庁、しかも内閣関係給与法でも相当問題点がある。問題が起こるのは、いろいろそれは問題であるけれども、給与というものが一番人間生活の基本的な問題、生活権の問題である。これを私は政府がきわめて簡単に考えておるんじゃないかという気持がするんです。先ほどから防衛庁に質問し、副総理もお聞きになっておると思いますが納得できない。われわれ納得すればもういいんです。私は何も自衛隊の給与が高いといって質問しておるのじゃない、そういうものが正しいかどうか。私は自衛隊の給与でもまだ低いと思っている。なおさら一般職においても先ほど副総理言われたように、今日これでいいと思っておらない。しかし、それが了解できるようにいたさなければ、一般国民は了解しないと思う。その意味において私は質問しておるので、できれば副総理も時間がありましたら、あとはそう時間を取りませんので、もう少し私の質問を、答弁はしていただきませんけれども、参考までに聞いていただけばけっこうだと思います。しかし、大臣でございますから、いろいろと公用もありますから、しいて御用事があれば退席されてもけっこうでございます、その点一つ御自由に。それじゃ一つ続けます。われわれ先ほどいろいろと人事局長ですか答弁されましたが、実際問題でも矛盾は相当われわれとして発見しておる。しかし、実際問題でやっておる当局の皆さん方は、そういうことを感づかれておらないと思う。現在自衛隊の行動なり、そういうものからもう少しすっきりした給与というものができるんじゃないか、相当私は内部の矛盾があると思う。食費の問題にいたしましても、結局給与でもって前に差し引いているから、営外から通う人に対してはその分だけ返すのだ。返した分には税金がかかるようになっている。現物給付で、金銭給付という問題でありますけれども、金銭給付でかかっていると思う。そういう点でもきわめて気のつかないところで矛盾がある。しかし、一般公務員にはこういうこと絶対許せないのですよ。これは一般公務員の場合には、国税庁もそうでございますが、地方団体でもこういうずさんなことは一切許さない。ただ防衛庁だという一つの圧力で、若干政府も大目に見ているところが、相当私はあるのではないかと思う。従ってこの点は今のうちに十分防衛当局も考えておかないと、防衛問題はほかの方に大きい問題があるから、こういう問題はなんだという考えでおられても、これは相当それ以上に問題が出てくることが私はあると思う。質問を具体的にいたしますけれども、いろいろ内部の事情を聞きましても、差し引いた短期保険の経理なんかどうしている。軍の場合にはほとんど医療関係は軍の隊内でやるのが慣例であります。それがはたしてそういう短期給付、医療給付の経理内容が、どういう工合にうまくそれが調節されてやっているか。いろいろ問題あると思います。これはまた順を追うてお尋ねします。  そこで、先ほどからいろいろ言われましたが、結局どういう事態にあろうとも、この給与法から見ると一般職と比較すると、これは比較の上です。自衛隊がいいというのではない。やはり優位に立っていると思う。この点について自衛隊、防衛庁関係はそうでない。これは特殊な事情を一応抜きにして、表だけをそのまま比較してどちらがいいか、いい方をとりなさいといった場合に、どちらがすぐれているか、優位であるかという点について、防衛庁はそうでないという否定されるかどうか。本俸はこうなっているけれども、こういう点で要するにマイナスがあるのだ、こういうことが言えるかどうか。また総理府の関係で、室長もおいでになっていると思いますので、やはりこれは一緒なんだ、変わりないのだ、こういう考え方総理府の給与担当の関係の方がどう思っておられるか、また、人事院の給与局長がここにおられますが、人事院として給与全般を調査研究されている立場から、これが何も均衡、均衡と申しますか、これでいいのだ、同じことだ、こういうことを言われるかどうか、三者に一つ順々にお答え願いたい。
  169. 山本幸雄

    政府委員山本幸雄君) 自衛官の、防衛庁関係給与の問題について、いろいろ一般職給与と違っております。御承知通り、いろいろ御指摘になる点はあるわけなんです。これも要するに給与は特に自衛官の服務といいますか、あるいは身分というか、そういうものに対する特殊性というものが、相当大きく考えられているものだと思います。たとえば同じような大学出でありましても、一般職の場合におきましても、行政職の場合と外務職の場合と違うとか、あるいは教育職の場合は違うとかいうような、職務の内容その他においてやはり若干の給与上の差が出てくる。自衛官の特殊性というものが、いろいろ先ほど来もお話がございましたが、いろいろの点でそういう特殊性がある、非常に特殊の公務員であることは間違いないと思います。特別職として相当特殊の公務員である、そういう観点からこういう矛盾が生まれてきたゆえんだろうと考えております。
  170. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) ただいま御質問の点でございますが、給与をどういうふうに考えていくかということにつきましては、御承知のように、いわゆる職務給といいますか職務の内容、その困難とか、あるいは責任の度合いというようなものを基礎にして給与考えていくというのが、現在の給与の大体の建前であろうと思っておりますが、しかしそのほかいわゆる生活給的な給与ももちろんあるわけでございます。この職務の内容をどのように考えていくかということにつきましても、これはいろいろな考え方があろうかと思います。一般職につきましても、それぞれ先ほど来御質問関連してございましたように、いわゆる俸給の水準差といいますか、そういう意味での職種に応じた俸給というものが定められておるわけでございますが、特別職につきましても、同じような問題があるわけでございまして、いわゆる自衛隊員等につきましても、その職務をどのように評価し、あるいは給与の面でどのようにそれに対応するかというような点で御意見のような問題があろうかと思っております。私どもといたしましては、現在の給与、特に一般職給与というものを見ましても、これで必ずしも完全無欠だというふうには考えていないわけでございます。特別職給与につきましても、同じような問題があろうかと思っております。これらの問題は、人事院におきましても、一般職につきましては鋭意検討を進められておられるわけでありまして、政府といたしましては、それらの研究に応じまして一般的に給与の改善はしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  171. 滝本忠男

    政府委員(滝本忠男君) 自衛隊の問題でございまするが、もちろん特別職でありまする自衛隊の職員給与の問題は、一般職の公務員の給与と非常に関係が深いと思いますが、ただ、給与の問題は非常にむずかしいのでございまして、一般職の範囲だけにおきましても、現在それでは給与水準の問題あるいは体系の問題、すべて理想的にいっておるかというと、なかなかいっておりません。で、われわれは力も足りませんが、まず一般職の範囲内において給与水準を適正にしたいし、また給与体系の問題も、これを合理的にいいものにしていきたいという努力をしておるわけでございます。われわれの希望といたしますれば、もちろん裁判官でありますとか、検察官でありますとか、現在別の法律によって給与がきまっております国家公務員、あるいは地方の職員、あるいは三公社五現業、こういうところとも十分バランスはとりたいという念願はございますが、なかなか手の届かぬところが非常に多い次第でございます。われわれの現在の力をもちまして、すべての点につきまして十分研究をするというところまでいっておりませんので、自衛隊の実情等も十分よく知らないのでございまするし、なかなか的確に判断しがたい面もあるのでございます。今後十分勉強しまして、なるべくわれわれの意見も申し上げる機会を得たい。このように考えます。
  172. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一ぺん具体的にちょっとただしておきたいのですが、先日の委員会で、公安職を基準に格づけしておるという話であったのですが、三尉が現行法で一万六千三百二十円と言われましたが、これに相当する公安職はどれに当たるか、これをちょっと先にお伺いしておきたい。
  173. 山本明

    説明員山本明君) 公安(一)の五等給四号俸でございます。
  174. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 幾らになります。
  175. 山本明

    説明員山本明君) 一万四千四百七十円でございます。
  176. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この場合、相当差があるのですが、その差のあるという考え方はどういうことですか。一万六千三百二十円と一万四千……。
  177. 山本明

    説明員山本明君) 三尉の初が一万六千三百二十円、片一方の方が一万四千四百七十円、これを基準にいたしまして、三尉の平均の暫定手当分をこれに加算をいたしまして、さらにそれに一三・八を掛け、その中から医療費としての二・四%分を差し引きまして、今申しました一万六千三百二十円という数字が出て参ったわけでございます。
  178. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと聞き漏らしましたが、暫定手当、これは平均幾らですか。
  179. 山本明

    説明員山本明君) 基準俸給月額は一万四千四百七十円、それに対しまして、平均暫定手当の相当分が六百四十五円、それを足しましたものに対して一・一三八、すなわち一三・八を掛けましたものが一万七千二百一円になります。それから医療費を控除いたしまして、一万六千七百八十八円と出たわけでございます。ところが、現行のこの三十四年の給与改訂いたしました際には、初級職員給与改訂が大幅に行なわれましたので、自衛隊におきましては、三尉以上のある所までは上がりますけれども、それ以上は上がらないというようないろいろな問題が出てきましたから、一万六千七百八十八円と出ましたけれども、この給与改訂を行ないました際に、若干、四百円ぐらいの差でございますが、その端数的なものは切り捨ててしまった。それで、それ以上の幹部については、従来の俸給額をそのまま維持して、給与改訂は行なわない。こういう格好にいたしております。
  180. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 六百四十五円の金額は、その基礎は暫定手当の、公安職の暫定手当、これは一般職と大体一緒の暫定手当ですが、どういう基準で六百四十五円が出たのですか。
  181. 山本明

    説明員山本明君) 自衛官の階級別に三十四年度の当初の配置定員、これはその当時は四級地でございましたし、三、二、一というような級地区分に応じまして定員をそれぞれの級地数にかけまして平均をいたしますと一定の平均級地数が出て参ります。それは従来の級地数でございますと、一・九二何がし新しい級地数でございますと、〇・九、一級地までいかない、そういう級地数というものをまず握ったわけでございます。全国的に定数をそれぞれの部隊に配置してそれぞれの階級別に配置しております。それぞれの階級に応じた級地、甲のところは四級地で五人いる、あるいは乙のところは一級地で三人しかおらない、そういうようなものを全部寄せ集めましてその平均値をとったことは、自衛官が任地が変わることによって暫定手当をお互いに平等に受けようじゃないかという考え方から参りまして、今申しましたような率をかけまして暫定手当の平均の手当額というものを算定した、こういう格好になっております。
  182. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃもう一つ聞いておきますが、これに対しまして一・一三八ですか、それをかける理由は、根拠はどこにありますか。
  183. 山本明

    説明員山本明君) これは先般来からも申しておりますように、自衛隊の勤務の中に一般職におきまする正規の勤務時間、たとえば八時から五時までという勤務時間のほかに、一般のいわゆる正規の勤務時間外にそれぞれ隊員には勤務を命ぜられる、その命ぜられたことがすなわち勤務時間である、すなわち考え方を超過勤務という観念をなくして参りたい、超過勤務手当は出さない、おれは超過勤務手当を一時間しかもらわないのだから一時間しか働かない、二時間なら当然三時間分よこせ、こういったような考え方はしたくないということで、勤務の実態がそのような常時の勤務態勢でございます関係もございまして、そういう考え方で今申しました超過勤務手当は支給しない、と同時に量的問題のみならず質的問題におきましても、自衛官の給与が一般の給与との間に水準差と申しますか較差を設けるという趣旨から、警察予備隊発足の当初におきまして一三・八%というものをかけてございますから、それを今日まで踏襲して参った、こういう格好でございます。
  184. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃそういう踏襲をしてきたということでありますが、これで大体私は自衛隊の給与の全貌が明らかになってきたと思います。理屈はみなつけておられます。しかし、私は暫定手当または超過勤務手当、そういうものを本俸に入れるということはきわめて合理性がない、これは一般職であったなら重要な問題なんです。たとえば防衛庁の本庁の中におられる方でも自衛官としてのいわゆる給与をもらっておる参事官とか、そういういろいろの方がおられると思いますが、きわめて不合理です。超過勤務はこれは一般勤務相当なものであり、常時こういうものをやるのだという考え方自体が、ここに人事院当局もおられますけれども、間違いなんです。昔の兵隊が問題になったというのは、月月火水木金金というようなきわめて無理をした訓練をしておったから問題なんです。今の皆さんの考え方はそれだけの超勤をやるのは当然である、こういう考え方はそれはときによっては徹夜してやらなければならない、これは一般公務員の場合もそうです、一般公務員の場合、あるいは国会職員の場合なんかは、これはもう国会がいろいろ会期末で社会党自民党、いろいろ問題か起こるかどうかは別として、非常に問題があるのです。そういう場合でもやはり超勤としての正規のものしかもりえない、本俸には影響ないのです。本俸に入れるということに対しての考え方は、私はそういうずるい考え方でやったとは言いませんよ、これはみんな夏季手当、年末手当に回ってくるのですよ。一般職はそういうことはできないのです。しかも、一般職のものは正規にやったやつでも大蔵省から予算か十分こないから棄権しておる。そういうのが一般職にはたくさんある。国会にもある、これはここに国会の職員もたくさんおられますが、自分でもわかっておられると思う。そういうのは大体一・一三八ならば二十時間程度お出しになるのじゃないかと思う、これは目算ですが、そういうもうをならしてやるのだと言われるならば、これは今のいわゆる自衛隊、特に問題になるのは兵と称せられた方々が問題になると思う。そういうことでずっと訓練をされていると、日本の自衛隊の運営の基礎が私は非常に問題になると思う。私はきょうはそこまで論及しないけれども、給与の問題でこれをやられることは労基法に問題があると思う。これだけの時間延びてやりますということで、給与自体にこれを織り込むことは、近代的な労働法規がこれを許しませんよ。そういうことを自衛隊であるから、人事院の関係はないからといってのめのめとやっておられる。これは優遇しておられるというけれども、優遇であるとは思っておらないという点で、私は相当問題があると思う。暫定手当の場合でも、これは六百四十五円、ずっと説明されましたけれども、これには問題があると思う。しかし、これは私資料を持っていないからここで言いませんけれども、一般職の場合ゼロ地と現在三級地になっておりますが、この間からこれは相当国会でも問題になっておる。自衛隊なるがために、そんなものは早くから全部平均して入れてしまっておるということでございますけれども、これにも問題がある。そういうことでわれわれとしては問題点を相当出されてきておる。従って私はきょうは一応これで打ち切りたいと思うのですが、自衛隊の給与についてはまだ相当問題がある。従ってきょうは大臣は来ておりませんが、給与課長来ておられると思いますが、こういうものに対して大蔵省は予算を、自衛隊なるがために、こんなものはこれでいいんだということで、自衛隊の給与については大蔵省は無審査で通しているのか、この一点を大蔵省の関係に聞いてみたい。
  185. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 先ほども防衛庁当局また人事院の方からも御説明がございましたように、職員給与はこれは一般職といわず、特別職と言わず、いずれもその職務と責任に基づいてこれをなすのは当然でございまして大蔵省といたしましても、このような観点から国家公務員全般の給与の均衡という点については常に配慮しておる次第でございます。ところが、これを具体化することにあたりましては、それぞれの給与体系に反映させるわけでございますが、現行の給与体系が、一般職特別職とも俸給を中心といたしましてそれに種々の手当が付加されるという格好になっております。非常に複雑な姿になっておりまして、この職務の特殊性を具体的に給与体系にどう反映させるか、非常にこれを困難な問題でございます。防衛庁から防衛庁の勤務の特殊性については、るる御説明がございまして一応政府といたしましても現在の防衛庁の職員、特に自衛官の勤務態様の特殊性というものが現在の防衛庁職員給与法に規定しておりますような給与体系でもって一応妥当である、かように考えておる次第でございますが、しかしながら、給与体系と申すものは、これは他の職員とのバランスもございますし、常に検討を加えねばならぬ、かように考えております。従いましてこの委員会でも問題になりましたような諸点につきましては、今後とも十分検討を加えていきたい、かように考えております。
  186. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵当局にこれ以上追及しても……また機会を改めますが、私はそういう現在のこれがどうこうというのじゃないのです。大蔵省は、主計局長の代理がおらますが、まあ言っても仕方がないと思いますが、常に一般職の場合でも予算措置とか、いろいろ問題を提起されるのですが、そもそも超勤が本俸にそのままそっくり入れて、これでいいのだという、おそらく大蔵省の給与関係には相当エキスパートがおられると思うのですが、これでいいのだということには私は言い切れないと思うのです。これは給与論からいっても、賃金論からいっても私は間違いだと思うのですが、そういうものが現在あるから現在まあそのままやっていると思うのです。これはこれで正しいということを大蔵省では言い切れるかどうか、その点聞いておるのですが、確答できるかどうか。
  187. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 現在、一般職職員には、先ほど申しましたような職務の特殊性を考慮いたします場合に、俸給表がまず別立になっております。そのうちには俸給の調整額という制度がございます。さらには特殊勤務手当という制度がございます。そこで、この職務の特殊性という中には、職務の質的な困難性、あるいは複雑性、重要性といったようなもののほかに、やはり勤労の強度、勤労の強度の中には質的な強度もあり、時間的な強度もある、かように考えられる次第でございます。従いまして、今国家公務員の一週間の勤務時間は、一般職につきましては四十時間ないし四十八時間、これを基準にいたしております。おおむねのところは四十四時間でございますが、中には人事院の特別の承認を得まして五十二時間制をとっておるというところもあるわけでございます。このように、一般職国家公務員でも勤務時間というものが差があるわけでございましてこの差をしからば給与上どう反映させるかという点につきましては、一つの手段といたしましては、その勤務時間の長いというのが、ある俸給表の適用を受けておる全職員に共通した問題であるということになりますれば、それは俸給表の上で考慮されるでございましょうし、あるいはある俸給表の適用を受けておる職員の中の相当部分に勤務時間の非常に長い人がおるという場合には、そういう職員だけをつかまえまして、これを俸給の調整額ということにいたしまして、俸給に対して一定割合でもって調整額を支給する、こういう方法もあるわけでございます。さらにある俸給表を受けておる職員中、ごく少数のものが勤務時間が特に長いというような事態がございますれば、これはやはり特殊勤務手当といったようなもので措置されるのではないか、かように思うのであります。防衛庁の場合でございますが、防衛庁につきましては、先ほど来防衛庁御当局の御説明がございましたように、その勤務態様が正規の勤務時間に対して超過勤務というような考え方でもって律せられないものがある。常時勤務の態勢にあらねばならない、こういう特殊な職務でございますので、やはりそういった特殊性を反映いたしまして超過勤務制度をとらない、その超過勤務制度をとらないがために、こういった職種の特殊性をしからば給与に反映させるかという場合に、防衛庁につきましては、二十八年度警察予備隊発足以来、これを俸給表の上において見ようということになっておりまして、その支給割合としましては、当時の警察官の超過勤務率であった一八・三%という数字を採用して現状に至ったという沿革を持っておるわけでございます。この点につきましては、もちろん現在の一般職給与体系、防衛庁、あるいはその特別職給与体系全般を横にならしました場合に、これがもう絶対であって間違いがないのだ、というようには断言し得ない面もあろうかと思いますけれども、しかしながら、当初に申しましたように、筋道といたしましては、こういう方法でもってやはり給与は特殊性を考慮すべきであると思うのでございます。
  188. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵省がそういう考え方であれば、これはもうきわめてわれわれとしては悲観せざるを得ないと思うのです。現在八時間労働というのは、これはもう世界の原則です。公務員であろうが何であろうが。現在あるやつがやむを得ないとか、そういうことを言っておるのではない。超過勤務する一定の時間よりも長くやることを予定してこういう給与を立てるということに私はいかないということです。その他の方法でやることについては私は賛成しますよ。しかし、本俸の中にもう超過勤務を八時間から九時間やる、それをやるのやら、やらないのやらわからないという状態なんです。今あなたが例を引かれた、これはおそらく裁判所関係の調整額が今度つくということの問題かもしれませんが、そういう場合はわれわれは反対しております。勤務時間を延長することは反対しておりますけれども、自衛隊のこれはそれじゃ資料を求めますけれども、今後自衛隊の運営相当問題になるから、この給与関係ではないが、一体自衛隊は勤務外を、週で、あるいは一年でどのくらいやるかという統計資料を私は要求する。実際演習を、あれだけのものを継続して、しかも普通の時間よりも二十時間も延長してやるということになれば、自衛隊自身の体力が問題になりますよ。私は冒頭に言ったように、そういうものでなくて、自衛隊というものは特殊な勤務に属する、いわゆる何かの目標目当てにやっておるのだから、精神的にもいろいろあるから、一般公務員よりもこれだけ高くするのだという論理であるならば、これは私はある程度自衛隊の実態をもう少し調査した上で論理を発展させるが、そうでなくて、公安職と均衡をとるのだと言っているから、そこから論理が発展して、それを大蔵省が認めておるならば私はそれは大きい問題である。公安職にも自衛隊にひとしい職務の人がありますが、それは大蔵省は認めるか、認めないのです。超過勤務は、こういうものは予定したものではない、それを一つのものを認めて本俸に出すということは、給与の原理と申しますか、そういうものを没却されておる。実態がそうであれば、実態に沿う給与の立て方があると思うのですが、大蔵省が、超過勤務をやるかやらないかを想定して、本俸に繰り入れてもこれはやむを得ないのだという考え方答弁されたということを、大蔵省当局の見解として聞いていいかということです。
  189. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 先ほど申し上げましたのは、防衛庁につきまして、超過勤務を月平均二十時間いたしますから、従って一三・八%の割増しをしておるという意味ではございません。防衛庁につきましては、やはりその勤務の特殊性からいって、正規の勤務時間に対して超過の勤務があるのだというような勤務態様ではないという点を申し上げたわけでございます。もちろん、職員の正規の勤務時間がきまっておりますれば、その勤務時間内に対して正規の給与が支払われ、それをこえる時間に対しましては超勤が支払われる、これは一般職特別職を通じての大原則でございます。しかしながら、私先ほどちょっとよけいなことまで言ったように思うのでございますが、現在一般職給与の中に俸給の調整額の規定がございまして、この俸給の調整額を考慮すべきものの条件といたしまして、勤労の強度、職務の複雑、それと合わせまして、やはり勤務時間をも考慮すべきことを規定しております。これを沿革的に申し上げますと、先ほど山本先生もちょっとお触れになったと思うのでございますが、現在、検察事務官は、これは公安俸給表の二の適用者になっております。しかしこれは沿革的に申し上げますと、現行の給与制度が適用される前の十五級職の給与制度当時におきましては、検察事務官は、当時の一般俸給表の適用者でございまして、一般的に勤務時間を五十時間といたしておりました関係上、俸給の調整額の支給を受けておりました例がございます。
  190. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕はそういう回りくどいことを聞いているんじゃないのですよ。一応防衛庁では一、一三八ですか、これは超過勤務というような要素が入っている、そうかけていると答弁がありました。速記録を見てもわかると思う。従って、それであれば大蔵省は超過勤務的な要素が本俸に入ってもそれは認めて、給与としては間違いないのだ、こういうことだけを聞いたらそれでいいのであって、超過勤務といったら、われわれとしては超過勤務した人に渡すべきであって、最初から予定したものを本俸に入れることは間違いであるという考えでおるんですが、私の考えが間違いで、こういう超過勤務手当を本俸に予想して入れた方が正しいのか、こういうことであるか、そのどっちかを聞いているのです。
  191. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 正規の勤務時間が定められている職員は、その正規の時間をこえて超過勤務をすれば、これは当然超過勤務手当を支給すべきであります。ところが職員の中には週四十四時間、八時半から五時までといったようないわゆる正規の勤務時間の定めのない職員があります。これはたとえば裁判官、検察官につきましてもこれらの職員はその概念はございません。同様に防衛庁の自衛官につきましても、日課というものはございますが、勤務時間といたしましては常時勤務の態勢にある、かような職員であります。これらの職員につきましては、超過勤務という概念がございませんので、超過勤務手当というものは支給できない。しからばこの是正をいかに給与において反映させるかといったような場合には、方法としまして先ほど申しましたように、俸給表の問題、俸給の調整額、特殊勤務手当、種々のやり方がございます。防衛庁の場合にはこれを俸給表の水準差として取り入れるということでございます。
  192. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは防衛庁、どちらにも聞きますが、そういう基礎で、問題は一・一三八をかけたとか、そういう問題をもう少し追及しなくちゃならぬ、そういう基礎がどこにあったか。本法に繰り入れるためには、そういう今答弁されたいわゆる検察庁なら検察庁の理由は聞いております。防衛庁にはそういう事実がどこにどういうものがあったかということを追及しなくちゃいかぬが、時間の関係でこれは自後に譲りますが、それまでに防衛庁の人々に言うておきますが、いろいろ問題を今後追及といいますか、やっていきたいと思いますから、一つ十分皆さん方も研究してきていただきたいと思います。われわれは、決して防衛庁のあげ足をとっていじめようという考えは毛頭ありません。私は、防衛庁のいろいろ内容を見ましても、気の毒な人もおります、全体に申しまして。自衛隊に対しましてわが社会党は反対しておりますけれども、個々の生活権に対してはわれわれは考えなくちゃならぬ。日本の一国民ですから考えなくちゃならぬ、非常な矛盾がたくさんありますので。こういうことで今後追及したい、質問したいと思いますから、その点だけ一つ心組みだけしておいていただきたい。  大蔵関係には、きょうの答弁に私はきわめて不満でございますので、今後一つ積極的に、また政治的な責任の大蔵大臣なりその他の人に来ていただいたときに、特に大蔵省に国の考え方として私はもう少し追及したいと思いますから、帰られたらその点だけお伝え願いたいと思います。
  193. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、四案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  これをもって本日は散会いたします。    午後四時二十三分散会