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1960-05-10 第34回国会 参議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十日(火曜日)    午前十一時十四分開会   —————————————   委員異動 五月六日委員大谷贇雄君辞任につき、 その補欠として小柳牧衞君を議長にお いて指名した。 本日委員伊能繁次郎辞任につき、そ の補欠として大谷贇雄君議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            大谷 瑩潤君            大谷 贇雄君            木村篤太郎君            小柳 牧衞君            下條 康麿君            下村  定君            一松 定吉君            松村 秀逸君            山本伊三郎君            辻  政信君   国務大臣    運 輸 大 臣 楢橋  渡君    郵 政 大 臣 植竹 春彦君    建 設 大 臣 村上  勇君   政府委員    運輸政務次官  前田  郁君    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸省海運局長 朝田 靜夫君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  広瀬 真一君    郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君    建設政務次官  大沢 雄一君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省道路局長 高野  務君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○公共企業体職員等共済組合法の一部  を改正する法律案内閣提出) ○運輸省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○建設省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。  最初に、委員異動について御報告いたします。去る五月六日大谷贇雄君辞任され、小柳牧衞君が選任されました。
  3. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、去る五月二日内閣から提出され、本委員会に一付託されました公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案議題といたします。政府から提案理由説明を聴取いたします。
  4. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ただいま議題となりました公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由とその概要を御説明申し上げます。  公共企業体職員等共済組合法は、昭和三十一年に、旧国家公務員共済組合法及び恩給法から独立して、三公社職員等に固有の制度として発足したのでありますが、その後昭和三十三年に、国家公務員共済組合法が全部改正になり、また恩給法等の一部改正がありましたので、それと関連する規定改正を必要とするに至りました。すなわち、長期給付について、国家公務員共済組合法の全部改正及び恩給法等の一部改正後のこれらの給付と比較しますと、その内容に不均衡を生ずることとなりましたので、これを合理化する等のため、所要改正を行なおうとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。第一は、軍人恩給公務員期間組合員期間への算入に関する改正でありまして、恩給法等の一部改正に伴い、昭和三十五年七月一日から旧軍人、旧準軍人または旧軍属の七年未満在職が、恩給基礎在職年に算入されることとなりましたので、本法におきましても、この際、軍人期間除外立法趣旨を変更いたしまして、更新組合員等について当該期間組合員期間に算入する措置をとることとしております。この措置にあわせまして、軍人一時恩給基礎となった恩給公務員期間組合員期間に算入することとし、また、軍人普通恩給基礎となった恩給公務員期間については、受給権者の希望により、当該軍人普通恩給を消滅させて組合員期間に算入することとしております。  第二は、国家公務員共済組合法の例にならい、組合員期間十年以上二十年未満組合員が死亡した場合にも、遺族年金を支給する制度を設けることといたしております。  第三は、遺族の範囲に関する改正でありまして、現行法におきましては、組合員または組合員であった者の死亡当時、その夫、父母または祖父母については、五十五才以上でなければ遺族としないこととなっておりますが、この年令による資格を問わないことといたします。ただし、五十五才までは遺族年金の支給を停止することとしております。  第四は、船員組合長期給付に関する改正でありまして、船員組合員組合員期間の計算については、船員期間の換算をやめて、実期間で計算することとし、これに伴い船員保険法の例にならい、船員期間が十五年以上あるときは、退職年金等を支給することとしております。その組合員期間が二十年未満の場合またはその組合員期間のうちに、民間船員期間がある場合は、一般組合員との均衡を考慮して、年金額調整を行なうこととしております。なお、この法律施行の際、現に船員組合員である者に対しては、期待権を侵害しないよう、船員期間の三分の四倍を、三分の三・七倍とする経過措置を講ずることとしております。  第五は、国家公務員との交流措置等に関する改正でありまして、国家公務員共済組合法等改正に伴い、国家公務員と交流する者の組合員期間の通算及び給付額調整等について「所要改正を行なうこととしております。  第六は、更新組合員等長期給付に関する改正でありまして、本法施行後約四年間の運営の状況にかんがみまして、所要改正を行なうこととしております。  以上がこの法律案提案理由とその概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
  5. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。
  6. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。前回に続いて質疑を行ないます。政府側出席方々は、楢橋運輸大臣細田運輸大臣官房長朝田運輸省海運局長梶本運輸省自動車局業務部長方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  7. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、この前の内閣委員会における質問を継続したいと思いますが、まず第一に、この前国内旅客船公団に関連して、二、三離島航路についてお伺いしたんでありますが、当日は、運輸大臣が所用で政務次官出席されましたが、本日幸い運輸大臣が御出席になりました。すでにまあ官房長なり、あるいは政務次官から、この前の私の質問趣旨運輸大臣に伝えておられると思いますから、この前の質問は繰り返しません。引き続いてそれに関連して質問をしたいのでございますが、この前の質問と関連いたしますので、運輸大臣がもしこの前の私の質問についての政務次官なり、あるいは官房長答弁を聞いておられなければ、その点は一つよく十分相談をして答弁を願いたい。  第一に、まず政府海上運輸政策について一つ聞いておきたい。この前も申しましたように、非常に日本本土周辺相当離島がたくさんありますが、特に佐渡島とか、隠岐、あるいは対馬、五島列島、奄美群島伊豆大島こういう相当大きい島々がございますが、おのおの海上運輸民営のいわゆる航路でもってやっておられますが、わが国のような特殊な島国では、陸上運輸はもちろんのこと、海上運輸についてもこれらのおもな航路について、公団なり国労というような考えがあるかどうか、それが間違いであるか、民営の方がいいのかどうか、この点一つ運輸大臣から基本的な問題として御答弁願いたいと思います。
  8. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ただいま御指摘のように、日本は非常に離島がたくさんありまして、それに住む人々に対して文化的なり経済的なり、あらゆる面において、同じ本土に住む人と非常な較差があることは、これは遺憾でありまして、従って離島振興法等の問題が、諸先生方等のなにによりまして先年来出まして、逐次改善されつつあることは喜ばしいことであると思うのであります。今御指摘になりましたように、国内といいますか、本土の中におきましては、大体において非常な公共性を持った交通的な政策がとられておるのでありますけれども、今日まで離島関係はやはり民間会社等の手によって運航される、それが採算面等におきまして非常な苦しい経営をやってることが現実の姿でありますので、これらに対する保護政策等をとっておるのでありますが、今御指摘になりましたように、国内において、たとえば鉄道なり、その他ほとんど国が公共的に中心となって、公団でもありますけれども、やっておるというような場合に、離島のものをやはりそういうような恩恵を一体受けないのかという、ここに問題が起こってくるのであって、今、山本委員の御指摘になりましたようなことも、そういう点からやはり平等に扱うならば、公共性をもって、もっと何らか国家の負担において相当これらの離島に対して平等な扱いをしたらいいじゃないかという御議論が出ることもごもっともであると実は思うのであります。しかし現在のところで、在来のやっております離島航路等を強化し、そうしてその所期の目的を達するような体制を現在ではとりつつあるのでありますので、まあ場所によりましては、やはりそういう国といいますか、公共的な、公団的なもの等によってこれを見るということも、十分にこれは勘案しなければならぬ問題ではないか、私もあちらこちらの離島に先般も対馬等にも参りますし、各島に回りまして、非常に切実な要望として、やはり民間経営だけではいろいろ不安定があって、なかなか安心ができない。従って、国で相当見てもらいたいという陳情、切望等を受けておりますので、この点は十分に一つ研究して、やはり同じ日本国民である以上は、できるだけやはり平等な扱いと、あまねく恩恵に浴し得るような方途を講じなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えておりますので、この点は、十分研究してみたいと、こういうように思います。
  9. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 運輸大臣の大体考え方についてはよくわかりました。しかし運輸大臣、失礼な言い方でございますが、楢橋運輸大臣がそういう考えでも、なかなか実現には相当問題点があると思う。そこで、具体的に一つ聞いてみたいのですが、昨年、私奄美群島に参りまして、単に離島航路と申しましても、奄美群島の場合は、その奄美群島に住んでおる住民と本土との間の交通の便というだけでなくして、御存じのように奄美群島復興開発には、ぜひ本土との間の交通というものを十分にしなければならぬということを痛感したのですが、また島民も非常に切望しております。ことに国会におきましても、すでに先年奄美群島復興特別措置法を作って、非常に復興開発に力を入れておるのですが、実際私が渡っても、相当船の便が完全ではなく、しかも、その運賃が非常にまちまちであることを知ったのです。従って運輸省はどこまでそれが権限があるかどうか知りませんが、この船賃料金に対する運輸省考え方、どういうわけで同じ航路であって運賃が違うのか、この点一つ疑問を抱いておるのです。ただ私の考えでいくと、大きい船は高くて小さい船は安い。危険の安全率によって船賃が変わっておるのじゃないかと思っているのです。この点はどうでございまするか。
  10. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) ただいま御指摘奄美群島に対しまする旅客定期航路事業でございますが、本土奄美群島、あるいは奄美群島とその他の関係の島嶼とを結ぶ唯一交速機関は、ただいま御指摘通り海上輸送によらざるを得ないのでありますが、そういうところにおいて、ある程度の特殊な航路の性格というものがございます。今のお話鹿児島方面から奄美群島に結ばれております旅客定期船の種類、あるいは大きさによって運賃が異なるのではないかというお話でございますが、鹿児島から名瀬までの各島の間も、あるいは鹿児島から名瀬の間の運賃も、これに従事いたしておりますところの照国海運大島運輸あるいは三島村の村営によります船舶の旅客輸送につきましては、運賃同一でございます。私どもの運輸行政立場からいたしまして、海上運送法規定によって、こういった海上旅客輸送運賃につきましては、運輸大臣認可制をとっておるのでございます。関連いたしまするところの経路、あるいは同一航路に準ずべきものにつきましては、その間における運賃調整をはかっておるのでございます。ただいま申し上げましたように、こういった関連の定期航路事業者運賃につきましては同一でありまして、その間の調整は十分とっておるような次第でございます。
  11. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ今の問題は一つまたあとに譲りまして、大臣にぜひ一つ聞いておきたいことがあるのです。これは、私昨日帰ってもらった手紙なんですが、出した人、大場金太郎全国自動車道協会会長、私は一面識もない。従ってこの手紙についての信憑性も私はわかりませんから、この事実があるかどうかということだけ一つ運輸大臣からお答え願いたいと思います。この手紙によると、相当詳しく、いわゆる箱根観光バス関係する会社会社の間のいきさつだと考えております。従ってこの二、三事実があるかどうかだけお聞きしておきたいのですが、実はこの手紙を出した人は伊豆箱根鉄道株式会社の社長ですから、その人と小田急バス路線についてのいわゆるこの過去十年間のいきさつだと思います。そこで、こういう問題について総括的に、運輸大臣の名前がここに出ておる、楢橋運輸大臣歴代の、宮澤運輸大臣、こう列記しておりますが、こういういきさつのあるということを、大臣が総括的に御存じであるかどうか、それを一つ先にお聞きしておきたい。
  12. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 箱根の山で、東急系といいますか、小田急と堤さんがやっておる西武系との自動車道をめぐる紛争はすでに十年近く紛糾し、幾多、訴訟、告訴、その他いるいろ経緯を経て今日まできておるのでありまして、その事実のあることは、運輸大臣所管事項でありますから、十分に承知をいたしております。
  13. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、実はこの出してきた大場某という人の手紙によると、実はこの小田急いわゆる東急系の大資本が非常に横暴をきわめておる、私設、私有の路線に要するに侵害をしていこうというのを、運輸省がその小田急系といいますか、に非常に肩をもって有利な処置をとりつつあるということが、全文を通じての趣旨でございますが、そういう事実があるかないか。
  14. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 運輸省といたしまして、小田急に肩をもつ、あるいは西武に肩をもつ、こういうようなことはありません。私が事務を引き継いだ後におきましても、両方言い分というものを、先般も西武系も出てもらい、それから、小田急系も全部出てもらいまして、彼らが主張するそれぞれの根拠、あるいは法律的な理由、あるいは過去の事実等をそれぞれ両方から、運輸省に呼びまして聞いたのですが、両方とも真反対のことを言っておるのでありまして、その言っておる反対のことの論争点は、後日私が両者を一堂に集めまして、これはそのどちらが真実であるかということを明白にさせたい、また私の考えといたしましては、いずれにしましても、片一方にやれば運輸省がやれ買収されたとか、影響を受けたとか両方とも言っておるのですから、両方とも実はこの間非常にしかるといいますか、警告を発したのですが、いずれ運輸省におきまして私が主宰して両者を全部出てもらいまして、そうして両者の言っておる、その間違っておる点といいますか、真反対のことを両方とも言っておるのですから、しかも、両方とも証拠を持ってきておるのですから、それを対決をさす、しかも、それは公開においてやらせるということを、私は腹をきめておりまして、そこで両方言い分というものを、両方で、相手方と、まあ組み討ちと言っては失礼かもしれませんが、何方でもって一つ組み討ちさせて、そうして両方とも明白にさせたい、これには運輸省の中において、一つ明白にさせるようにしなければならない。歴代運輸大臣が非常にこの問題では悩まされ、また私がなりましてからも、非常にこれは深刻な実は争いをやっておることは、山本委員も、週刊雑誌その他等にも喧伝されておりますので、箱根の山は天下の険で、両方が血みどろな争いをやっているということは、しかも、ああいうような日本観光地であるべき、東京に一番近いというようなところにおきまして、こういうような醜い争い両方が続けるということは、運輸行政上からいっても好ましくないし、また、国立公園といわれておるああいうところにおいて、それぞれのひんしゅくを買うようなことを両方でやっておるということは、私はよろしくないと思っておりますので、その点は、運輸省がどちらに味方をしておる、たとえば、堤さんの方では、運輸省の前の牛島次官告訴されておりますし、歴代局長告訴されておる、告訴だけで十何通くらい多分出ておると思うのですが、また片一方片一方で、それぞれのことを言っておるというような状態でありまして、従って、先般、衆議院運輸委員もあの山を視察をして、この間委員会において報告を受けたような次第でありまして、これは山本委員にも申し上げておきますが、厳正公平に、しかも、運輸行政立場から、法律的にも、また一方には、社会実情等に適した妥当な解決方法を見出して、そうして両方とも満足はしないかもしれませんけれども、なるべく両方ともやはりそれを、大所高所から、箱根の山の全体の観光について、公共性考えてやるように指導をしていきたい、こういうふうに実は考えておる次第であります。
  15. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つ。大体まあ楢橋運輸大臣の率直なそういうことで、私は一応信じておきます。しかし、この文面を見ると、楢橋運輸大臣に対しても、六ヵ月前にこの書類を出しておるが、限定免許を出しておるけれども、まだ下がらないというようなことでくどく書いているんです。こういうものをわれわれに出したのだから、こういう場で明らかに聞けますけれども、そういう場を持たない者は、これを見ると、何か運輸省が、これは不正なことをしているとは私は申しませんけれども、何かそこに変なものがあるのじゃないかという疑惑を国民に与えると思う。従って、これは一日も早く、どちらも相当会社ですから、しかもこれは有力社であると思います。そういうものが、政府中心に、国民の、いわゆる観光地帯における唯一公共機関をめぐって利権の争いをしておるということは、これは国民の一人として許せないと思う。従って、早急にこれを解決するめどがあるかどうか、この点だけ一つお聞きして、この問題については一応終わります。
  16. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ごもっともなお説でありまして、これは率直に申しますと、自分の方の言うことを聞かないと不正がある、端的に言えば。しかしそれは私から言わせると、たとえば堤さんの方の主張もそれはよくわかるのですけれども、これと全く反対立場をとって裁判でも争っておるというような状態でありますから、それで一番まあ手っ取り早い方法は、やはり私は小田急系堤系の人がやはりほんとうにこういうふうに会って、そしてそれぞれ都合のいいことを運輸省へ言って、聞かなければお前たち告訴してやるというようなことでやつているから、私はむしろ私たちから考えますと上両方とも列席してもらって、そこで一々、しかるべき質問の要綱を今作らしているのですが、それによって事例を明白にしたい。それから運輸大臣になりましてから六ヵ月間、書類を出して、といいますけれども、限定免許については逐次争いのない点については限定免許をやっているのですけれども、限定免許をやることにつきましても、やはり法制局の見解がありまして、その許さるべき限定免許路線につきましては、重要な路線について貢献したかどうかということが限定免許を下す一つの基準になっておるのでありまして、従ってその箱根の今争っている山ですが、その私設道路というものが三十年近く堤さんが独占してやつている。そしてもう期限も切れるという場合に、はたしてそれがそれだけの自分費用を投じたものがまあ減価償却といいます。か、相当回収が得ているかどうか。まあ私は道路自分で作って開発した人は保護すべきだとは思いますけれども、それが永遠に独占していくということが、公共的に抵触する限界線がある。ある程度までやはりその回収もでき、そしてやったならば一定の期間には社会公共立場からいって、やはりそれを通りたいというものを通すということも交通指導上やらなければならんじゃないか。まだその法のそういう点についての不備等もありますから、まだそういう点は常識的によく調べてみたい。堤さんの方も十分に回収もできておるような、あるいは道路の修理その他についても相当費用を何している、そして何ら犠牲を払わない者に、これらに対して定期ハス運輸省が勝手に許してやるということは、私は妥当でないと思うのですから、本来ならばそういうような個人で開発した道路について定期バスをその開発者が持っているのに、全然それに犠牲を払わない者が定期バスを要求してきてそれに許可するということは、運輸省行政としては私は妥当でない。従ってそういうものを許可する必要性があるかどうか、許可する客観性があるかどうかということは、十分にその個々の問題についてこれをやはり審査する必要がある。それは今三つ問題が実は残っておりまして、その三つが実は激しく争われておるのでありまして、それにはそれぞれの理由があるようでありまして、たとえば堤さんの方でおれの方がしたと言う道路は、堤さん全部の道路ではなくて、東急もその道路所有権を持っておるとか主張してきております。いろいろな個々実情についていろいろ運輸省としても私から言わせれば納得のいかない点があるから、これは両者に出ていただいて、事例を明白にしていただいて、お互い言い分お互いに徹底的にそこでもって究明されて、それによって常識的に妥当な線を見出してそして法の精神等も生かしてこれを解決していきたいという実は私は熱意を持っております。これは今この国会等においてごたごたやっておりますから何ですが、なるべく早い機会にそういうふうででき得れば両方ともそういうふうで解決してやって、円満にあそこをもっと高い立場から一つ公共性考えてやつていきたいという指導をしておりますから、どうぞ御了承をいただきたいと思います。
  17. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。    〔速記中止
  18. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  19. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ先ほどの離島航路について質問を続けます。奄美群島について航路船会社が違っても、料金同一である。これはまあその通りであると思うのですが、その運輸省としてはその通りだと思いますが、現実にやはり違っておるんです。それは船会社客待ちのところには、料金がそうなっておるけれども、実際には違っておることははっきりしておる。で、私は安くしてもらいたいと思う立場から言っておるんです。従って実際私が乗ったんですが、あの航路の距離から言って非常に高い。割高だと思うのです。もちろん、陸上海上とは違いますけれども、非常に奄美大島人々から言わせると、非常に高い。ことに奄美群島は御承知通り民度が非常に低いんです。従って向こうの名瀬の市長がどうしても公用で東京に来なくちゃならない場合でも、非常にその料金に、まあ苦しむわけじゃございませんけれども、痛痒を感ずると、こう言うのですね。それほど高いのですが、実際そういう航路に対して、運輸省として特殊な考えができないのかどうか。航路補助の点について、この前も触れましたけれども、非常に航路補助も心細い。三千航路ほどあるというんですが、それが三千万円だとすると、一航路に対して補助金が年間一万円くらいしか当たらないというようなことでは、それではおそらく船会社経営は成り立たんと思うのですが、この点について奄美群島、特に政府昭和二十七年に日本に復帰した奄美群島復興開発という立場からも、これに対して何らかの国営なり、公団経営のこういう運輸機関が持てなければ、何らかの措置がとれないものかどうか。この点をもう一度お聞きしたいと思います。
  20. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) ただいまのお話のことは、ごもっともでございまして、私どもも特に奄美群島におきますところの島民の経済的負担というものも考えまして、慎重にこの航路の特殊な性格をもとにして、運賃等も考えておるわけであります。同時にまた、離島航路整備法に基づきますところの運航補助につきましても、離島航路の補助につきましても、奄美群島に関します限りは、従来ただいまお話にありましたように、奄美群島復興予算で一部出されていたのでありますが、この離島航路整備法に基づく航路補助というものと重複をいたしますので、過去においてそういう事例もございましたので、ただいまは離島航路整備法に基づきますところの航路補助一本でやっております関係上、こういった航路の特殊な性格による調整をはかっておるのであります。従いまして他の一般の補助率よりも、この奄美群島に関する限りは、二割補助率を高めておるようなこともやっておるわけでございます。ただ、ただいま御指摘の全離島航路、定期旅客航路事業の航路に対して、補助金が非常に少な過ぎるという御指摘でありましたが、この点につきましてもまさにその通りでございますけれども、ただ、全部の全国の旅客定期航路に対してこの補助金を交付しているのではございませんで、離島航路整備法によりますところの指定航路のみについて航路補助を交付いたしておるのでございます。三十四年度におきましては、その指定航路は四十三航路にとどまっておるのでありまして、特に隔離された離島との唯一交通機関と目される、民生安定の上から考えても、どうしても必要な航路のみを指定いたしておるような次第でございます。
  21. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ただいまの答弁の中で、奄美群島復興特別措置法航路補助離島航路整備の方に回したと言われましたが、これは初めて私それは聞いたんですが、その結果はその方が有利になっておるのかどうか、この点だけちょっとお聞きしたい。
  22. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) ただいま申し上げました二割高の補助率を取りました際には、奄美群島復興予算で両立てでやっておりました当時よりも有利になっております。
  23. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それの実際の金額はどうなっておりますか。ちょっとその点一つお聞かせ願いたい。
  24. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 両立てでやっておりました当時、三十一年度、例をあげますというと、十島村の村営でございますが、その当時の補助予算は合計いたしまして二百九万五千円程度でございましたのが、三十三年度におきましては、すでに離島航路整備法に基づく補助予算では六百十五万八千円、三十四年度におきましては六百八十六万八千円、こういうふうに数字がなっております。
  25. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではもう一つ聞いておきますが、これは航路補助でないと思いますが、運輸省も財政補助をやっておりまするが、これは九千万円というのは、三十五年度にこの復興特別措置法による財政補助をしておりますが、これは港湾関係だけでございますか、ちょっとその点、管轄が違いますれば別ですが。
  26. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) ただいまの御指摘の数字の中には、航路補助あるいは運航補助的なものは含まれていないと存じます。港湾関係のみであるかどうか、私少しはっきりいたしませんのですが、その中には航路補助は入っておらないと存じます。
  27. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 六百八十何万ということで相当ふえたように言われますけれども、実際現状から見ると、こんなものでは十分じゃないということは御存じだと思う。奄美群島といっても、奄美大島を初め、与論島からずいぶんだくさんあるのです。その島々は相当今後日本の経済上にも寄与するような産業開発が行なわれる島々だと思う。従って、こういう点では政府も今後一そう努力をすることは当然だと思いますが、運輸省として所管の航路についても、今後もっともっと積極的に考えていくつもりであるかどうか。これを大臣おられませんから政務次官から、大臣に聞きたかったのですが。
  28. 前田郁

    政府委員(前田郁君) ただいまお話しの航路補助金額は非常に少ないというわけでございまして、まことにごもっともでありまして、これは総体的に金額をふやして参りまして、そうしてやはり今お話しのようなところにも、もう少しやるようにしなければいかぬ、こう考えておりまして、私ども以前からこの問題に対しましてはいろいろ努力して参ったわけでございますが、今後におきましても十分一つ努力したい、こう考えております。
  29. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 時間がないのでもう一、二点だけ聞いておきたいと思う。次には、小笠原諸島との間のいわゆる海上航路の問題でございます。まだ小笠原諸島はわが国の施政権が返っておらないように聞いておりますが、航路の上においてはどうなっておるか、この現状をちょっと御説明いただきたい。
  30. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 小笠原諸島と本土を結びます定期航路事業というものは、現在ございません。物資輸送等について、不定期船等のきわめて何といいますか、必要なときだけ寄港するというようなものは、米軍の許可を得て入港しておるようなものも事例はあると思いますが、ほとんど現在では海上輸送のめぼしいものはないといって差しつかえないと存じます。
  31. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 基本的には、それに対してはまあ基本的問題があるから、この航路だけの問題では解決できないと思うのですが、実際非常に困っておる人々があるのです。これは単に航路一だけでなくて施政権をアメリカが持っておるということですが、それについてこれは運輸省にこういうことを追及しても仕方ないことでございますが、非常に航路がとだえておることについて、実は困っておる人がたくさんあるのですが、施政権の問題については、これは国際上の問題でわれわれは主張しておるのでございますが、それが実現するまでに、何とか帰りたい人に対する航路の上の便宜を運輸省立場からどうもならぬと思いますが、便宜をはかる方法が講ぜられないものかどうかという点について御答弁願いたい。
  32. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) その点につきましては、どの程度の需要があり、あるいは旅客並びに物資の交流があるかということも、現在では私どもも把握いたしておりませんが、そういう事態かどうか十分調査をいたしまして——島民の要望にこたえるように努力すべきである、こういうふうに考えます。
  33. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃもう一つ簡単なことで尋ねておきますが、これは海上じゃなくて、陸上海上と混合するかもしれませんが、委員長にも関係あると思うのですが、本土と淡路島の間に架橋しよう、こういう計画が早くから言われておる。これを鉄道にするか道路にするか、普通の一般の橋にするかということで、兵庫県、神戸市長も相当いろいろとやっておるようでございます。運輸省としては、この淡路島、本土の間の架橋について、どういうブランがあるかどうか、この点ちょっと聞いておきたい、参考までに。
  34. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 本土から淡路島を通りまして四国の鳴門付近に渡ります鉄道は、鉄道敷設法昭和二十八年に改正になりまして予定線に編入されておる次第でございます。隧道をもって海底を結ぶか、あるいは架橋にいたすかというような点につきましては、もちろんまだきまっておるわけではございません。詳細にはちょっと資料を持っておりませんが、大体ここ二年ばかり、主といたしまして明石海峡の地質その他の調査を国有鉄道の手でやっております。最近に至りまして実は瀬戸内海を、四国と本土との間を結ぶにつきまして淡路を経由いたすという考え方のほかに、二つないし三つのいろいろな考え方が出て参っておるのでございます。それから隧道の場合には、これは鉄道の隧道ということでございましょうが、橋梁の場合に鉄道だけの橋梁ということ、それから道路と鉄道と併設するという考え方、こういうものが実は錯綜いたしておるのでございまして、先般の鉄道建設審議会におきましても、これらの点につきまして幾つかのルート、また架橋にすべきか、隧道にすべきか、架橋にするとした場合に、鉄道と道路との関係をどういうふうに考えるかといったような点につきまして、十分検討をさらにすべきであるというような結論が出ておるのでございまして、その点に関しましては、今後主といたしまして運輸省並びに建設省が共同いたしまして検討を加える、こういうことに相なっておる次第でございまして、これはごく最近にもいろいろ建設審議会で御議論があったところでございまして、ただいまのところ、いずれをどうするということにはなっておらないのでございます。ただ鉄道の問題といたしますと、ただいまのところ予定線になっておりますのは、明石付近から淡路島を通りまして、鳴門付近に上がるというものが予定線になっている、こういう状態でございます。
  35. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 淡路島といいますが、結局四国における開発、これは相当大きい経済価値がある路線だと思うのですが、最後に今聞きますと、夢のかけ橋という名前も出ておるくらいに相当大きな問題であると思いますが、いつごろ大体実現性があるか。この点の見通し、運輸省としてはどういうつもりであるか。いずれにいたしましても、いつごろにこの夢が実現するか、一つはっきりした年限はわからないけれども、そういう計画があるかどうか、これを一つお聞きしておきたいと思います。これで最後です。
  36. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 実はただいまも申し上げましたように、淡路島を通るルートにつきましての検討は、国有鉄道として一応の絵をかいたものがございます。ただ最近非常に問題になっておりまして、他の地域に結ぶという問題につきましては、実は見当も何もあまりついておらない状況でございまして、今後の問題になろうかと思うのでございます。そこで、先ほど申し上げました鉄道敷設法にございます予定線として鉄道を引くということで、一応の国鉄で試算をいたしましたものは約四百億、これは一昨年あたり、三年くらい前の数字でございますけれども、大体四百億くらいの所要経費が要るという算定をいたして参ったのでございます。この四口億の場合には、明石海峡は隧道で、鳴門海峡橋梁ということで、大体四巨億という試算が当時出ておったのでございます。その後、実は架橋につきまして技術的に、あそこは御承知通り船が相当明石海峡を通るわけでございますので、非常に困難な問題が技術的に架橋につきましてはあったわけでございます。現在といえども十分の自信があるというところまではどうかと思いますが、いずれにいたしましても、その後橋梁の技術が進歩いたして参っておりまして、橋梁をかけることも可能ではないか、大体技術的には可能であろうというようなところに今至っておるのでございます。橋梁になりますと、先ほど申し上げました四百億が若干さらに増加いたすのではないかと考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、非常に多額な資金を必要といたしますこと、また技術的にも幾多の検討をしなければならぬ問題がございます。そのほかに、最近に至りまして、ルートの問題につきましても、若干の問題が出ておりまして、今直ちにこれがいつできるだろうかというような点につきましては、遺憾ながら私お答えを申し上げるまでに至っておらない次第でございます。
  37. 辻政信

    ○辻政信君 この機会に、一間だけ簡単にお伺いしますが、朝鮮で李承晩政権がつぶれて、新しい政権が出かかっております。国民はこの機会に李ラインの紛争が解決されることを希望しておるのであります。私は李ラインをたびたび見ておりましてその結論を申し上げると、乱暴をやる海賊船については、海上保安庁は当然その警備船に武装するのが正当であるということを、数年来言ってきましたが、なかなか政府はその決心もつかなかった。最近新聞の報ずるところによると、第七管区の警備船に武装をするということを閣議で決定した、こういうことを聞いておるのであります。しかし、その内容を見ると、大砲や機関銃は積むが、弾は持たせない、こういうことを聞いておるのですが、どうなっておりますか。政務次官から、大臣にかわってお答えを願いたい。
  38. 前田郁

    政府委員(前田郁君) 辻委員の今の李ラインの話は、前から非常に熱心においでになって、よくその事情を知っておりますが、ただいまの閣議の決定その他につきましては、まだよくきまっていないようでございます。ちょっときょうまでは御答弁がいたしにくい。
  39. 辻政信

    ○辻政信君 新聞に出たことを読んだのですが、閣議で武装するということをきめたことは、まだきまっておらぬのですか、ほんとうに。
  40. 前田郁

    政府委員(前田郁君) まだはっきりしたことはさまっていないようでございます。
  41. 辻政信

    ○辻政信君 どうするつもりですか。
  42. 前田郁

    政府委員(前田郁君) まだ私も閣議の内容をよく聞いておりませんから、大臣からよく聞きましてお答えいたしたいと思います。
  43. 辻政信

    ○辻政信君 大臣にお伝えを願いたいのですが、第一から第六管区までは、これはほとんど海賊船が出ないところです。そこの警備船はみな武装しておる。一番被害の多い李ラインを担当しておる第七管区だけが丸裸、非武装になっておる。これが李ラインにおける紛争を激化した最大の原因であります。武装しておれば、あの紛争が起こらなかった。それを一体主管大臣として、どういう腹を持っておるのか。甘く考えちゃいけません。李承晩が退陣したからよくなるだろうというような甘い見方は許されない。私はより以上に強化してくると思います。許政という人はそういう甘い人じゃない。決してこれは楽観できない問題があるのだから、海賊船に対して、正しい漁業を保護するということは当然じゃないですか、自衛権の……。その所管大臣がいまだに腹をきめておらないということはどういうことか、それを政務次官からはっ「きり言われてこの次のこの委員会には、確信のある答弁を準備しておかれるよう、お伝えを願いたい。
  44. 横川正市

    ○横川正市君 資料を先般お願いをいたしたのでありますが、その点で、二、三、質問に入る準備としてお聞きしたいと思うのでありますが、この戦時補償特別税という税の制定に関係して戦時補償特別措置法が施行されているわけでありますが、戦時中、昭和二十年八月十五百以前における、国が普通の民間会社その他から徴用ないしは協力といいますか、そういう意味で提供といいますか、そういうような方法をもって、当時の任務につかせた船が相当あるわけなんですが、その船の戦時におけるいろいろな補償等については、ここではこの補償法でもって全部打ち切ったことにはなっておるのでありますけれども、この補償法によると、たとえばその船が保険をかけておった場合とか、他にそういう支払い契約の場合、昭和二十年八月十五百をこえて支払い契約が日本政府との間で結ばれておった場合とか、いろいろその徴用あるいは提供といっても、その契約内容がそれぞれ違っておったのじゃないかと思いますが、その契約がどういう結ばれ方をしておったかということ、もう一つは、その船が保険をかけていた場合の保険会社等との関係、それからそれに対する補償といったようなものが今まで行なわれていた、かどうか。相対的には補償はしておらぬということを言われておるのでありますが、契約のそれによってはいろいろ違った形態が生まれてくるのじゃないかと思うのでありますが、この戦時補償特別税と関係をして一点お伺いしておきたいと思うのであります。
  45. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 戦時中陸海軍に徴用されました商船の保険は、海上保険でまあ保護されておったわけでございます。その契約は大体画一的なものでございまして、滅失棄損の場合の保険金支払いということを目的にしておるわけでございますから、戦時中そういった損害を受けた、あるいは沈没、座礁、棄損したために支払われるべき保険金の全額に対しまして、ここにございます戦時補償特別税を税として一応保険契約で支払われるけれども、それと同額の特別税がかかって、それが補償打ち切りという実際上の効果になった、こういうことでございます。
  46. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、どのような名目においてもそ、ういう損失については補償をされておらないとこういうことで理解してよろしゅうございますか。
  47. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) そういうように私どもは理解をしております。
  48. 横川正市

    ○横川正市君 それからもう一点は、この船舶の建造計画に伴って、それぞれ国から昭和二十七年のこれは利子補給法案ですか、これがきめられるまでの聞、それからそれがきめられた後の問題等で、法十三条、十三条による返済と、それから契約船価支払遅延による返済額、こういったものは、それぞれ理由によって出されておるのだろうと思いますし、もう一つは、契約船価に対して融資額のそれぞれの出され方についてちょっとお伺いしたいと思うのです。それはたとえば、例でありますが、どこどこというわけじゃないのですが、日本郵船の丹波丸ですか、これは三十四年に竣工いたしておりますが、それに対して契約船価は二十四億七千二百万円、ところが、これは財政投融資の額が明記されておりませんから、これは投融資で建造しておらないということになるのじゃないかと思う。そういう場合と、それから大阪商船のヒューストンというのですか、これは三十五年、ことし就航して十二億五千五百万円に対して財政投融資の額は十億四百万円というふうになっておるわけでございますが、この場合融資金額というのは固有の建造計画を持つ船に対してそのトン数に対して何割という融資計画をするのか、それともその船会社の年次計画あるいはその船会社の財政・規模等によって、年度初頭に割当をして融資金額というのはきめて、実際上使用その他は郵船会社のいわば独自の判断でもってこれは行なうと、こういうことになるのか、その点をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  49. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 最初に御指摘になりました日本船会社の丹波丸の問題でございますが、これは要するにいわゆる私ども世間でいっております計画造船というものではございませんで、自己資金によりますところの建造によるタンカーでございます。これは外国の銀行から金を借りまして、いわゆるインパクトローンによって作られて、日本の市中銀行と協調融資で建造した船でございましてこれに対しましては従って財政投融資と開発銀行の融資というものは入っていないわけでございます。従いましてアメリカの市中銀行と日本の市中銀行との資金によりまして作って、油会社に、石油会社との間に長期の運賃契約を結んで、従って長期において安定した運賃を収受し、石油会社は、石油価格において長期に安定した石油価格というものが設定できる。こういうような、いわゆる私どもインダストリアル・キャリアと呼んでおりますが、こういった性格の自己資金建造によるものでございます。いま一つあの大阪商船のヒューストン丸の問題で御質問がございましたが、この点はいわゆるわれわれが言って、おります計画造船というものの範疇によって建造された船舶でございます。この計画造船につきましては、開発銀行の融資のある一定比率と市中銀行のある一定比率との合計によって建造されるわけでございますが、大阪商船あるいは海運企業独自の船腹の整備計画に基づくものであるのか、あるいは国自身が、こうあるべきだという船腹整備計画に基づくものであるのかどうか、というような御質問のように拝聴いたしましたが、その点につきましては、私どもは、五カ年計画あるいはある程度ロングランを見まして、日本の商船隊がこのような規模で成長していかなければならない、あるいはこういう種類の船が必要であるという一つの整備計画というものを持っておるわけでございます。従って日本経済なり外交、海運といったようなものから総合的に判断いたしまして、必要でない船は作らない。こういうことでございますから、そういう線に乗ったもので、しかも企業が資産信用力が十分あって、金融ベースに乗り得るものである、しかも、その船腹の整備が海運企業の基盤に役立つものであり国際競争力に耐えていけるものであるというようなことから判断いたしまして定期船につきましては、開発銀行の融資比率を八割、市中銀行が従って残りの二割でございます。不定期船とタンカー等につきましては、昨年度においては五割、五割こういうような融資比率を年度当初に財政投融資計画のうちの開発銀行の海運融資部分ということにおいて予算の説明もいたしておるようなわけでございます、そういう線に乗って作られましたのが、先ほど御指摘の大阪商船のヒューストン丸というようなことになっておるようなわけでございます。
  50. 横川正市

    ○横川正市君 投融資額が、総額が決定するまでは、これはいわばあなたの方の、長期プランといいますか、海運界の現在の情勢というものも相当判断した上で何年計画という計画プランに乗せて、それで、ことしの支出額というものは大体読んだ、その読んだ結果、年度当初には予算が決定された。それを各商船会社に、船会社に配分する場合に、その場合の配分の仕方というのは、これは基準が幾らかあるのではないかと思うが、その基準その他については、これは明確に公表されておるのですか、それともされておらないのですか。
  51. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 選考といいますか、その場合の船主の選考でございますが、これに対しては運輸省は、開発銀行の推薦をするという形を今までとっておったのでございますが、昨年あたりからそういういわゆる計画造船という線を強く出すことについては、海運企業のいわゆる合理化といいますか、企業の強化の上から見て、現在の段階では金融ベースで判断することが最も望ましいということでありまして、私どもとしては外航船舶につきましては、大型船について四千五百総トン以上、あるいは中型船で中小造船所の育成というようなことも考えて、あるいは近海航路の点も考えまして、二千トン以上四千五百トンというような船の大きさという制限をしております。また、定期船につきましては、定期航路の事情といったようなことから運輸省の意見は聞かれることはあるのでございますが、従来のような計画造船のあり方に対して、まあ非常に各方面から批判がございましたことも事実でありまするし、海運造船合理化審議会にその点も諮問いたしまして、公にこういう形でいくのだという線を出してもらっておるわけでございます。従いまして、そういう線は昨年の開発銀行の融資にかかる船舶建造の船主の選考にあたりましては、いわゆる金融ベースを主として考えるという形に変わって参っておるわけでございます。
  52. 横川正市

    ○横川正市君 そういう一通りのあなたの方の説明で聞いたような結果に基づいて割り当てられた投融資額の実際上の会社での使用について、あるいは計画の遂行について進捗状況等、これについてはあなたの方を通じて何らかの監視、監督というといささか語弊があるかもわかりませんが、少なくともその金融ベースに乗ってまあ安定した計画で進捗しておるかどうか、あるいは建造計画が進んでいるかどうかという点については、どういう方法でそれを見ているのか。これはまあ監督官庁ですから年次にきめてどうこうという、監督という強い意味でないかもわかりませんけれども、そういうその他の方法で手を打っておられるならその方法を聞きたいと思います。
  53. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 私どもが開発銀行の融資のワクをきめます際に、先ほど申し上げましたようなある程度長期に見て日本の商船隊の整備の規模というようなものから判断いたしまして定期船は何トンにする、不定期船は何トン、タンカーは何隻、何トンくらいの目安で考えるということでなけれ場ば、そうして融資利率もきめませんと、開発銀行の融資の総額がきまって参りませんので、その程度の大ワクの計画といいますか、見通しといいますか、そういったものの基準は持っておるわけでございます。従いまして、こういうようなことにつきまして、ある程度計画通り参りませんけれども、弾力的に運用されることは認めるわけでございますが、といいますことは、そういう計画をあまり強く出しますというと、むしろ企業の合理化なり、あるいは金融ベースでものを考えた場合の合理化の推進ということに障害になる場合がございますので、大ワクをそういうところに置きまして金融ベースに置いて判断をするということにいたしておるわけであります。できました、そういった線で竣工いたしました船の監督でございますが、定期船の問題につきましては、その航路というものに合った船でありますから、どこべでも回すというわけでもありません。ただ不定期なり、タンカーというものにつきましては、随時配船先が変わることがあります。これは当然のことであると思うのでありますが、定期船につきましては、その航路にやはり張りつけるということが、建造をした当初の趣旨でありますから、その点については一応の監督をいたしておるわけであります。
  54. 横川正市

    ○横川正市君 私はこういう点で焦点を合わせてお答えいただきたいと思いますが、それは人命、財産とか、あるいはその積荷の経済ベースから考えてどうかこうかという金を貸すときの条件とか、それからその後の運航について監督官庁として注意を払うということは、これは今の答弁はそのように聞き取れるわけですが、そうでなしに、融資された金額は、市中銀行の金利等と比べて見て、開発銀行や公庫の金利というものとの間に差が幾らかある。でその差というものは、今度は船会社は造船計画に伴ってある年次計画を立てるわけですね、それに従ってその経済ベースというものは出て参りますから、それでは幾ら貸そうというのは、これは市中銀行や開発銀行の財政投融資としても同じ結果として判断されるわけです。その場合一般市中銀行から借りた場合は、僕らそれほど船会社の金の用途についてとやかく言う必要はない。もちろん、船会社としては、それを目的のためにきわめて早くその目的を完遂するように努力するだろうと思います。ところが、風聞程度にきょうはちょっと申し上げておきますが、計画に乗っかって相当基礎調査もやれる会社ももちろんあるわけでありますから、それから造船計画ももちろん検討されて金が出てくる、これは開発銀行から金が出る。それが造船計画が予定よりか延びて一カ月、二カ月かである場合は問題はないけれども、一年くらい延びたという場合、当初に融資しておく金というのは、それじゃ船会社がそのまま銀行にもう一回眠らせるかどうか、あるいは他に使わないかどうか、という問題についてお聞きしておるわけです。そういうおそれは全然あなたの方で今まで関知しておらないということかどうか。もっとその点で金の使い道にあなたの方でもう少し注意をされておるかどうか、その点をお聞きしておるんです。
  55. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) ただいまのお話は、融資が竣工期間が延びたような場合、あるいは計画と違ったような場合、どういうふうに使われておるかというところまで監督しておるかということでございますが、現在の私どもの監督の仕方は、船舶が建造される場合におきまして四回払いになっておるわけです。契約、起工、進水、竣工、こういうことで四分の一ずつ払って、竣工のときに造船所に海運会社から支払うということになっておりまして、開発銀行もその四回払いの時期に応じてしか実際は金を出さないわけでございます。そこで出ました場合には直ちに通り抜けになって、造船所に海運会社から、銀行から融資いたしました金は通り抜けになって直ちに渡るという形をとっておりますので、その間において眠らせるとか、あるいは金利をかせぐとかいうことがないように、開発銀行とも連絡をとってやらせておるわけでございます。
  56. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、そういう憶測でものを言うのは、いささか不謹慎のそしりを免かれませんが、たとえばそういう場合に金を市中に回してやみ利子を取るなんていう場合は起こり得ないというふうにあなたの方では考えておられますか。
  57. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 現在はそういうことはないと考えております。
  58. 横川正市

    ○横川正市君 資料をよく見て、あとからまた質問をいたします。
  59. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩    午後一時五十一分開会
  60. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。  建設省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。本案については、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。政府側出席方々は、村上建設大臣、鬼丸建設大臣官房長、山内建設省河川局長、高町建設省道路局長、以上の方々であります。  御質疑のおありの方は、順次ご発言を願います。
  61. 一松定吉

    ○一松定吉君 この建設省設置法の一部を改正する法律案につきまして臨時に公共用地取得制度調査会を設置するとともに、公共用地取得制度に関する調査を本省の所管事務とするというようなことについて、私どもは政府のやり方については双手を上げて賛成するものでありますが、特に私は建設大臣に期待いたしておりますることは、今までの数代の建設大臣が、建設行政にずい、ぶん力を入れておったことは間違いないのでありますけれども、今回の村上建設大臣に至りましては、特に建設行政について深甚の注意を払い、今まで国民の要望しておって、でき得べくしてできなかった制度について改良し、新設し、構成し、そうして建設省設置の目的を達成すべく努力せられておるという点に対しましては、私は双手を上げて賛成をいたすものでありますが、特にこの際一つお尋ねしておきたいことは、御承知の、わが国のような年々水害の非常に多い国におきましては、特に水の被害を少しでも少なくするということが、建設省の仕事であることは言うまでもありませんが、この点につきましては、私は、過般の伊勢湾台風の場合における被害その他年々歳々水害がわが国には非常に多いのでありますが、その多いのは、御承知通りにわが国には数千の大中小河川が国土を流れておりまして、それらに対する施設が十分行き渡っていない場所が、水害の年々たび重なる結果を見るのであります。こういう意味におきまして、実は私自分のことを申し上げてはなはだ恐縮でありますが、私が建設大臣のときに、そういう点を特に国民から要望せられまして、全国の河川、河水を視察いたしました結果、どうしてもわが国においては砂防ということに力を置かなければならぬということを深く感じまして、全国の土木課長のお集りのときに、それらのことを論議の焦点といたしました結果、全国の土木課長会議で、砂防というものに対して力を入れなければいけない。ついては、建設省に少なくとも砂防部もしくは砂防局というものを設けて、わが国の水害を少なくしなきゃならぬという決議までいたしたのであります。私が大臣をやめました後にも、そういうようなことを次の大臣にも引き継いでおったのでありまして、大臣もそういう考えを持って建設行政に当られておったことは間違いないのでありまするけれども、他にいろいろな重要な政策がありまする結果でありましょうが、その決議というものは全く実現をしなくて今日に至っておるのであります。村上建設大臣は特に水害というものについては、非常な関心を持たれておりまして、治山治水ということについては特別に予算を獲得し、特別にそういう被害の少ないことに向かって努力されておることを私は感謝いたしておるのでありまするが、いま一つ建設省の中に、少なくとも砂防部私はこいねがわくば砂防局というものを設けて、そうして一つこの目的を達成してわが国の年々歳々起こる水害を少しでも少なからしめて、国民の水害のために心配しないような施設を完備するという必要があることを痛感いたしておるものでございますが、大臣におかせられましては、建設省の中に砂防局それがもし予算上の都合が悪いならば砂防部というものを設けてその目的を達成することに容易ならしめるようなお考えをお持ちになっておるでしょうか、どうでしょうか。その点を一つ腹蔵なき御意見を承りたいのであります。
  62. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) ただいま御指摘のように、河川災害の最も原因となるものは、土砂の崩壊いわゆる砂防事業の不徹底とでも申しますか、そういうようなことが原因をなしておるということを私どもも痛感いたしておるのであります。従いまして年を追うて砂防予算は増大されまして、本年度におきましても、百億以上の進捗率を見せておる次第でございまして、私どもは御指摘のように砂防については深い関心と、これを非常に重要視いたしておることは申すまでもないのであります。同時にこの砂防の課の機構につきましても、どうしても今の砂防課では何となく、全国的にしかも非常に不便な地で行なわれる事業でありますから、職員のいわゆる業務監督ということが大きく取り上げられなければならないということを痛切に考えましたので、実は三十五年度予算編成の劈頭から、建設省におきましては、いわゆる建政局とか、その他いろいろと機構改革を必要とするものがありましたけれども、そのすべてを犠牲にしてまでも砂防部というものだけはぜひともこれを設置したいということで、関係方面と連日にわたって交渉いたしましたが、御案内のように本年は各省の要求するいわゆる部局をふやすということについては、絶対にどこもやらない。ただ、建設省の砂防部を重要度が高いからといってこれを認めるということになりますれば、その他の省においてもそれらの部局を認められなければならないので、ことしだけは一つしんぼうしてもらいたいという切なる意見を聞きまして、私どもはこれで決して気をゆるめておるわけではないわけでございますけれども、一応その線に沿わざるを得なかった次第であります。しかし、なお他の省においても一、二機構改革等があるやに承っておりますので、私はこの砂防部設置については、どこまでも各方面に渡りをつけて、何とかしてこれが実現をいたしたいという気持で、いまだにその気持でおる次第であります。
  63. 一松定吉

    ○一松定吉君 大臣の御熱意のあるところは本日ここで承るまでもなく、平素から、関係者のお話によりまして特に水害の防止ということについて、砂防部設置について非常な関心を持たれておるということは聞いておったのでありますが、ただいまのお話を承わりまして、私も、相変わらず大臣がこの方面に力を用いられているということに非常にありがたく感じておりまするが、ただ私の気に入りませんことは、大蔵省から、他の省が部局をふやすことは本年は予算の都合上都合が悪いから、一、二はやむを得ない、新設しなければならないけれども、砂防というものについては、ことしだけは一つ猶予してもらいたいというようなことを言われたからというて、そうですが、それでは一つ大蔵省が言う通りにしましょう、そのかわり、大蔵省が、そういうことになれば、来年の予算までの間には水害はない、被害もない。国民は大蔵省の言うことによって、水害や被害がないということを安心していいというのであれば、それはそれでけっこうです。私どもは、この水害はいつあるかもわからない。ことに最近に至っては、すでにつゆを目の前に控えておるのです。そういうようなときに、被害が非常に多くて、それがために、生命、財産をなくし、国民に多六一の被害を覆すような弊害というものは、どうしてもこれはこれを予防し、これを防遇しなければならぬことは言うまでもないのでありまするから、大蔵省がそういう考えを持っておるということは、大蔵省の人々が、水害の激甚である、国民がこれによって多大の迷惑をこうむり、多大の被害をこうむっているというようなことを、自分らで直接その衝に当たって、自分の家族、自分の親族のものがこういう目にあえば、そういう考えも起らないのでありましょうけれども、あるいはそういうようなことが身にしみていないがために、今、大臣お話しになるようなことを言われることであろうと思いまするが、大臣はどこまでも、自分は  一つ職を賭してでもやりたいという決意を持っているということについては、私は非常にありがたく感じております。御承知通りに、砂防工事のできておるところは、水害はありません。また、あるにしても、非常な微々たる水害であることは、大臣は御承知通り。ことに甲府地方のごとき、あるいは委員長の本籍でおありになりまする兵庫県のごとき、あるいは大臣の本籍である、また私の木国でありまする大分県のごとき、みな砂防工事のできておるところは水害は少ない。砂防一工事のできていないところは水害が多「い。こういうようなことは、この実地に照らしても疑いをいれるべき余地はないのでありまするからして、ぜひ一つ、大蔵省のそういう間違った考えを是正していただくと同時に、大臣も一そう力を入れてこれらの実現の一日もすみやかならぬことを私はお願いしてやみません。予算の問題で都合が悪いということでやむを得ませんから、とにかく機構の改革だけでもこと上手を着けておきまして、そうして来年度の予算からこれを運用するというようなことにでもしていただいて、ぜひこの砂防を、私は局を設けるのがいいと思うのですけれども、課から直ちに局ということはいけないから、一応まず部にということはこれもやむを得ませんから、部に課を昇進せしめまして、そうしてそういう目的を達成することに一そう御努力あらんことを特にお願いをいたします。その点について大臣のいま一度御決意のほどを承わりまして、私の質問を終わりたいと思います。
  64. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 別に、大蔵省がどうというわけではございませんが、ともかくこの機構改善についての主管省である行政管理庁方面におきまして、ともかくも本年度はどこもやらないのだからということであります。しかしどこもやらないからといって、私はその希望を捨てているものではありません。少なくとも何とかして非常にこれには参議院の諸先生方が党派を超越して非常に御熱心に私どもを鞭撻していただいておりますので、私としては自分でできる限りの、虎視たんたんとその機をうかがっておる次第であります。たとえ本年度そういうような政府全体の問題として、これが砂防部に昇格することができないといたしましても、少なくとも砂防の必要性にかんがみまして、私どもはこの三十五年度に与えられた砂防予算百数十億というものを、最もこれを有益に活用いたしまして、災害の原因となる砂防事業の完遂に向かってあくまでも邁進して参りたいと、かように思っておる次第でございます。
  65. 一松定吉

    ○一松定吉君 大へんありがとうございました。ぜひ一つそういうようにやっていただきたいことを、私も特にお願いしておきます。同時に、最後に一つつけ加えてお願いしておきますることは、例の、地下水が非常に工業利用等のために取り上げられる結果、地盤沈下ということが、全国の工業所在地に非常に多く出現せられておりますことは御承知通りであります。なかんずく大阪等におきましては、御承知通りに淀川のあの流域の方面における、大阪市内でも非常に地盤沈下が数多く出現をいたしまして、それがために海水が陸上に浸入いたしまして、被害が非常に多く、年々歳々地盤が低下するというようなことで、海水を防遇するためには、いわゆる防波堤をこしらえ、地下水をなるたけ使わないような方法をとって地盤沈下を防止しようという計画が今行なわれておることは私も喜んでおりますが、これを一そう実現いたしまして、工業用地下水というものは地下から取ってはいけないのだ、地上から水を取って、なるたけ地下水を取って地盤が沈下をする原因を招くというようなことにはならないようにということの研究調査を十分に進められまして、そうしてこの地盤沈下ということを防遇して、住民の心配を除却するというようなことに対しましても、建設省やその他の関係省が意を用いられておることは承知しておりまするが、砂防課の部昇進と同時に、こういう地下水の摂取、地盤沈下というようなことにつきましても、建設省の方ではやはり重大なる関係があるのでありますから、こういう点も一つ十分に御考慮を払われまして、そうしてこれらの目的を達成せられますように、特に私は付随的にこれを大臣に要望いたしまして私の質問を終わります。大臣のこの点に対しまする御意見がありまするならば、承ればなおけっこうであります。
  66. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 工業用水汲み上げのための地盤沈下が、東京、大阪あるいはその他の地区で行なわれておると申しますか、沈下を続けておりますことは、まことに遺憾なところであります。この工業用水の問題につきましては、御承知のように通産省の関係でありますが、ただいま経済企画庁におきまして、地盤沈下対策審議会を設けて、慎重に審議いたしておるそうであります。私どもは一日もすみやかにその結論の出ることを待望いたしております。しかし、いつまでもぐずぐずして、大体まあわかっておる、われわれとすれば、大体しろうとでも想像のできることをいつまでも結論を出さないで、日夜地盤が沈下しておるということは、まことにおもしろくないことでありまして、かような点については、お説の通り、早く地下水の汲み上げをやめて、そうして河川用水によるところの工業用水というものを普及する必要があろうと思います。私も所管ではございませんが、しかし、政府部内の一員といたしまして、この点御指摘のように痛切に私は心配いたしておるものでありまして、一刻も早くその結論の出るように、関係方面に督促いたしたいとかように思っております。
  67. 辻政信

    ○辻政信君 私は伊勢湾台風のときにあの現場を見ました関係上、海岸堤防が切られ、河川の堤防がやられ、道路が寸断されておる状況を見て、その後どういうふうに復旧事業が進捗をしたかということを、災害民にかわって実は政府に資料要求したわけです。この資料要求は、委員長を通じて四月の二十一日、今から二十日前に要求しておきました。先週の土曜日になっても出てこぬから、鬼丸官房長に電話をかけて、どうしたのだと言ったら、大へん膨大な資料で時間がかかるのだ、こういうお答えがあった。午前中もまたこの委員会の審議が始まるからと言って、委員部を通じて督促しましたが、手元に出された資料はこの道路は紙一枚、それから河川が五、六枚の紙が出ておるだけです。これをお書きになるのが、どうして一体二十日間というものが要るのか。これは災害地の被害者にかわってただしたいと思ったのです。あまりに委員会の要求というものをなめておられるのではないか、そういう感じがするのですが、大臣いかがですか。
  68. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 資料要求の日にちが、非常に提出の日にちがおくれましたことは、これはおわび申し上げます。しかし、ただ委員会をなめているとか、あるいは辻先生をどうしているとか、そういうことでは絶対ないのでありまして、この点につきましては、弁解ではございませんけれども、ともかく、この本省から地方へその要求を流して、地方ではまた非常にむずかしく、委員会の要求等になりますとむずかしく考え過ぎまして、あらゆる資料を集めて、それを検討して持ってくるというようなこともありますし、またもう一つ、建設省として今回の資料が特に手おくれになった、これは理由にはなりませんけれども、実は職員の異動をいたしまして、何かとそういうような点も、たとえ三日なり二日なりというものが、理由にはなりませんが、影響のあったものと思います。従いまして冒頭に申し上げましたように、私はこの点に対しては遺憾の意を表しておきたいと思います。
  69. 辻政信

    ○辻政信君 まず道路から入っていきます。道路の受注会社と工事進捗の関係をこの表によって見ますというと、佐藤工業が七五%の進捗率、それから日本舗道が七八%、その次は三重県桑名の長島町の道路東京基礎工業と五光建設、石原工業、こういうものが大体八一%、進捗率が五〇%になっております。総体が七四%しか進捗しておらない、年度末において。こういう直営工事を入札させられるときには完成期日等の、期日が条件になっておるかどうか。
  70. 高野務

    政府委員(高野務君) 今御指摘の進捗率でございますが、一番最後の七四と申しますのは、災害総額に対する進捗率でございます。その前の三十四年度進捗率と書いてある、これが九七%で、長島町の橋梁の八一%を除きましては全部完成しております。八一%のこれは、長栄橋という橋でございますが、これは応急復旧のときに現在の橋の上にペリー橋を架けまして、現在の橋はしばらくその仮橋で使ったのでございまして、それをしばらく撤去いたしませんでしたから、従って前の橋の取りこわしがおくれておりましたので、繰り越しになったと思います。大体この橋も全体的には五〇%でございますが、七月には完成いたします。  それから直轄道路につきましては、総額に対する。パーセンテージ七四%も、大体この夏までには完成する予定でございます。三十五年度予算、いただいております。
  71. 辻政信

    ○辻政信君 私の質問のポイントは、入札の条件に完成期日が入っておるかどうかということでございます。
  72. 高野務

    政府委員(高野務君) 入っております。
  73. 辻政信

    ○辻政信君 それは年度末までに一〇〇%という条件ですか。
  74. 高野務

    政府委員(高野務君) 三十四年度の仕事は、一〇〇%できる分が工事壁でございます。
  75. 辻政信

    ○辻政信君 やれなかった会社に対しては、どういう処置をとるか。
  76. 高野務

    政府委員(高野務君) 当然の理由がございまして繰り越しになったもの、これは長栄橋などでございますが、それ以外はこれは一〇〇%できておるのでございますが、理由なしの場合には、遅延の罰金を課したりしております。
  77. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃ河川に入りましょう。河川の進捗率で非常に残念に思うことは、鹿島建設、これは二億二千四百六十一万五千円、請負契約が三十四年度末の進捗状況が六七・二%、大成建設は八二・五%、熊谷組が七三、西松建設が六九、村上建設が九〇%、全体において八六%しかできておらない。これはそのほかの小さい海岸堤防なんかといったやつは全部できておるのに、今述べました鹿島、大成、熊谷、西松、村上というのは、これは一流のそうそうたる土建会社じゃないかと思うのです。この大会社が入札の条件を完全に履行せずして、弱小会社は完全にやっておる、これについて大臣どういうふうにお考えになりますか。
  78. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 私、この契約もどういう契約でやったかもよくわかりませんから、現地の責任者であった局長の方からお答えさせます。
  79. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 伊勢湾高潮対策の復旧事業につきまして、この表にございますように、それぞれの会社の大きさといいますか、それによりまして契約金額をきめて、三月末の期日に合うようにこういうふうに当初契約をした次第でございます。しかしこの表にございますように、大会社の契約金額の大きいもの、この点がおくれている次第でございますが、この理由は申し上げてもどうかと思いますが、いろいろ大きな工事量になるほど資材の量が大きくなってくる。それから輸送の道路の点、非常に狭い道路上を何回もトラックが往復をして材料を運ぶわけでございますが、輸送道路の点、それから資材の特に骨材の収集の点、そういう点が大きい事業量になるほどおくれましてそのような結果になったわけでございます。
  80. 辻政信

    ○辻政信君 そういう説明をあなたから聞こうとは思わない、常識であります。大きな会社であればあるほど技術陣が完備しているし、入札の検討も十分にできなければならない、そうして始めて三月末までに工事を完了するという一つの約束のもとに巨額の国費をもって工事を起こす、しかも、その中から相当の利益をおさめている。その大会社が契約通り実行せずに弱小会社は完全に一〇〇%完成しておるということに対してこれは建設大臣として考えなければならぬことがあるのじゃないですか、いかがですか。
  81. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) この備考欄にありますように、鹿島建設の場合には五月の二十五日に竣工予定日というようになっておりまして、結局その与えられた日にちまでには竣工するということで、パーセントが非常常下がっております。けれども大体そういう繰り越し方式というものは、特殊な仕事の場合にはそういうことを、伊勢湾だけでなくて、各地で従来も行なってきておりますが、それは必ずしも私どもとしては好ましいことではございませんけれども、役所としても、大体この仕事は三月三十一日までには無理だから、ともかくこれくらいまでの余裕は与えてもいいというようなことで、竣工の大体日にちをきめて、少し年度外に出ますけれども、しかし最後の目にちを与えておりますので、ここにこういうような半端が出てきておるのでありまして、好ましいことではないが、しかしそういうようなことが仕事の事情、あるいは運搬、その他の問題等考えて、まま行なわれておるようであります。
  82. 辻政信

    ○辻政信君 契約通りやらなかった会社に対して罰金を取った例がありますか、今まで。
  83. 高野務

    政府委員(高野務君) 正当な理由なくして遅延いたしたものについては、罰金を取ったことがございます。
  84. 辻政信

    ○辻政信君 どういう例がございますか。どこの会社にどうやって。どうせおくれたものは理由をつけるにきまっております。正当な理由も何もあったものじゃない。入札の条件がなかなかそれが完成しない。被害を受けた地方の住民の気持になって考えてもらいたい。正当な理由を言ってくれば政治的にそれを延ばして知らん顔をする。罰金を取るというのは口先だけじゃないですか。ほんとうに取ったことがありますか。あったら言いなさいよ、あったということを。どの会社からいつ罰金を取ったか答えなさい。
  85. 高野務

    政府委員(高野務君) 伊勢湾台風の事業に対してはございません。
  86. 辻政信

    ○辻政信君 そのほかあるか。
  87. 高野務

    政府委員(高野務君) そのほかございます。
  88. 辻政信

    ○辻政信君 言ってみなさい。
  89. 高野務

    政府委員(高野務君) 今資料を持ち合わせておりませんがございます。
  90. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃ別の問題に移ります。午前中秘で配られた道路公団の発注工事契約一覧表を私ざっと兇ました。そうして福岡支社管内、その北九州道路第二工区工事、こうなっておりますが、その請負人の中に大和土建、そうしてカッコして村上建設となっておりますが、これは同じ会社ですか。
  91. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 同じ会社です。
  92. 辻政信

    ○辻政信君 村上建設大臣と村上建設とはどういう関係ですか。
  93. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) もと私は村上組の社長をいたしておりました。しかし、昭和二十年の八月十五日の午後一時に会社と一切の縁を切りました。そして今では村上春藏が社長でやっております。
  94. 辻政信

    ○辻政信君 あなたは会長ですか。何でもないのですか。
  95. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 別に会長でも何でもありません。
  96. 辻政信

    ○辻政信君 大和土建というのを村上建設と改名したのはいつごろですか。
  97. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) はっきりいたしませんが、三、四年前じゃないかと思います。
  98. 辻政信

    ○辻政信君 それは会社の名前を変えられるのはどう変えられてもいいんですが、私たまたま村上建設大臣、村上建設会社とあるから、ことにあなたの弟さんがその会社の社長をやっておられる、もとはあなただった。こういうことから聞きたい。政治道義の問題なんです。これは別に刑事上の問題でも何でもないが、普通の政治常識から考えると、大臣になった人は事業会社関係ない、これは普通の常識です。現に藤山さんも外務大臣就任と同時に、多くの事業会社の社長をおやめになっておる。会長をやっていらっしゃらないんですね、完全に縁を切っておられますか。
  99. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 当初私のやっている間は村上組でありました。株式会社村上組。ところが弟が社長になって、どうも日本が負けちゃっておもしろくない、だから何かもう少し名前を変えてやろうというようなことらしかったです。それで大和というのは、大和というような名前がいいというので大和建設にしたがったんですが、もうすでに大和建設という会社がある、そこで大和土建にしたということです、だそうです。で村上建設に変えましたのは、父の代から六十年間やっている村上という村上組時代の名前を、どうしても全社員がみなほとんど父の代からの子飼いばかりで、そのじいさん、ばあさんから、あるいはせがれ、孫、これらがほとんど従業員の大部分をなしておりますので、どうしても、何か大和なんというようなもう全くタクシーにもある、どこにもあるというような名前ではどうもまずいので、それと何かどっかで見てもらったそうです、ところがどうも、これつぶれんで、よくいけるもんだなということで、これは私の聞いているところなんです、そこでやはり昔の名前の、幸いに村上建設というものがない、そこでみんなの総意によって村上建設というものに名前を変えたそうであります。しかし、私は何か私の経歴の中に村上建設あるいは大和土建の会長というのが出ておりますが、あれはみなうそであります。要するに私は、私が議員に出て、私は昭和二十年の八月十五日に、これはいかぬ、とにかく政治によって日本をよくしなければならぬ、こういう決意をいたしまして、そのために私は一切の土建事業というものから足を洗った。そうして幸いに弟がやはり同じ事業をやっておりましたので、弟に全部やってしまった、こういうのでありまして、今私は、土木の飛島組の重役もいたしておりましたが、一切の土建会社と、現在ではございません、大臣になればもちろんこれはその事業から離れるということは当然でありますが、しかし、一切の私は土建事業というものと縁を切っております。手続上多少ずれておくれているかもしれませんが、昭和二十年の八月十五日から私は一切自分の気分的にもこの事業をやめたと、そうして手続をして、あるいは半年や一年はおくれておるかもしれませんが、私は一切やめました。そういうことでありますので、この点に関しましては、私が、何か村上建設というものが村上建設大臣とつながるようなことがもしありますならば、どこでも御指摘願って一つ御意見を聞かしていただきたいと、かように思っております。(「明快々々」と呼ぶ者あり)
  100. 辻政信

    ○辻政信君 北海道に村上建設の支社はございますか。
  101. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 私は聞いておりません。
  102. 辻政信

    ○辻政信君 北海道にあなたの名前と同じ村上建設の支社を今作るということなんです。それで、北海道の土建会社の連中が青くなっております。ということは、あなたが北海道開発長官を兼ねられておる。あなたはどういうふうに言われても、弟さんがやっておられるし、村上建設といえば建設大臣会社だという気持がある。しかも、北海道開発長官を兼ねておられる。そこに支社を出すということは、北海道の土建会社にとっては大きな恐慌を来たしていることは事実なんですよ。
  103. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 北海道に出しているか、大阪に出しているか、私にはわかりませんから、本人が参議院に幸い席を置いておりますから、社長である村上春藏に一度お聞き願いたいと思います。私としては、北海道に村上建設が出しているはずはないと思いますが、また、特に北海道の事業は従来も私は一切やつちゃいかぬ、私の時代でも、北海道には進出しちゃいかぬということを言っておりますし、また、私が北海道開発庁長官である限り、北海道開発庁の事業が何十億あろうとも、そういうようなものをもしも村上建設が特に私が北海道開発庁の長官であるがゆえに、そういうような意図のもとに出しているのであれば、私は私の命令で、それは命令ということはできませんけれども、私とは全く可分なものではありますけれども、私からやかましく言って、これは弟ですからどういうようにでも始末いたします。しかし、この点は、同名異人であるか、また、確かに村上春藏が社長である村上建設であるかという点について、また、もしもそれを出しているなら、どういう事情で出しているかということについては、これは私はわかりませんけれども、あなたからいつでも弟を呼んでお聞き取り願えれば、非常に私ははっきりすると思いますので、この点一つどうぞかようにお取り計らい願います。
  104. 辻政信

    ○辻政信君 非常にけっこうであります。それほど潔白にやられるならば。最後にお聞きしたいのは、和歌山県で村上建設が相当大きな工事をやっておりますね。あそこで二十数名の死傷者が出た事件がございます。これは御存じですか。
  105. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 承知いたしております。
  106. 辻政信

    ○辻政信君 どういうわけで出て、どういう措置をなさっておりますか。
  107. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) これは、私は関係のないことですから、私は何にも知りません。
  108. 辻政信

    ○辻政信君 私は、何もないことを言っているのではない。一番大事なことは、政治と利権の結合ということなんです。ことにあなたの名前と同じ会社なんです。あなたの弟さんがやっていらっしゃる。この工事の発注においても、今度九千九百万円のあれを取っておられる、河川の修理で。それから道路公団におきましても、北九州のこの受注は大きな工事が三つ出ておる。二億四千八百万円と一億七千七百五十万円と。そうすると、世の中はやはり村上大臣会社だという通念で見られることが残念だと思うのですね。やはり李下に冠を正さずということもあります。そういうことは、私、政治道義の問題でよほど自重なさらなければならぬ。ことに、北海道に建設の支社が出て土建業者が恐慌を来たしているということは事実なんですから、そういうことは、どうか身辺をきれいにする、政治道義の上においても今後とも自重していただきたいと、こう思うのでございます。
  109. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 御忠告はありがたく拝聴いたします。しかし、個人の営業の自由を妨害することは、関係のない私としては絶対できません。ただいま申されました九州の道路工事というのは、昭和三十二年の五月一日の契約になっております。私が大臣に就任いたしましたのは昨年の六月十八日であります。また、その前の前の年には、奥只見において二十億というトンネルだけの工事を請け負っております。これも今回竣工したようであります。従いまして、六十年の歴史を持つ事業会社が、兄貴が大臣になったから、兄貴が弁護士から法務大臣になればきょうだいもみんな弁護士をやめにやならんということは私はないと思います。私どもは正々堂々と、少なくとも私の権力を利用して工事の運動をしたということは、断じて今までもありません。たとえ衆議院議員をいたしておりましても、村上建設のためにバッジをつけて運動に参ったこともございません。それは、父の代からのずっと六十年来の村上組以来のその経歴が起業者に信頼されて仕事をもらっているものと、私はかように解釈いたしております。もしも、私が建設大臣なるがゆえに事業をやってくれるならば、これは私はやるほうが間違っていると思います。少なくとも私は、政治と事業だけははっきり区分いたしております。その点については、御忠告として私はありがたく拝聴いたしますが、どうぞ御懸念のないようにお願いいたしたいと思います。
  110. 中野文門

    委員長中野文門君) 議事の中途でございますが、この際、委員異動について御報告いたします。  本日、伊能繁次郎君が辞任され、大谷贇雄君が選任されました。
  111. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この法律案は、改正要点は五項目ほどになっていると思いますが、最も大事と思われるのは公共用地取得制度調査会であろうと思いますので、まず、この調査会に関係して二、三お伺いしておきたいと思います。この提案説明によりますと、今度公共用地取得制度に関する重要事項を調査したいので調査会を設けたい。こういう要旨でありますが、ここで言う重要事項というのは、一体どのようなことをさしているのか、この要点だけまずお伺いしておきたいと思います。
  112. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 今回のこの公共用地取得制度調査会を設置いたしたいその主要なものは、土地収用法という法律がございますけれども、公共用地の非常に緊急を要する場合に、何となく思うようにどうも取得のできない場合が間々ありまして、これをいかにしてその所有者も納得し公共用地の取得の目的も達成できるかという点につきまして十分研究をしてみたいということが、この公共用地取得制度調査会の主要な問題であろうと存じております。
  113. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 御説明によると、公共用地の取得の上に非常に困難がある。だから具体的に言うと土地収用法を改めたい、そういうところにねらいがある、そういうようでありますけれども、実際の例から推して考えると、この困難ということが、いわゆる公共団体が相手側の立場を十分考えたならば困難でないものが、相手方の立場を無視して強行するために、あえて問題が非常に困難になる、こういう事態が非常に多いと思う。たとえば、道路を拡張するような場合土地収用する。そういう際に、その道路に面した住宅の裏には住宅の用地もあるわけです。その住宅用地を買収してそれをあてがってそこに引かせる。これはほんの小さな例ですが、たとえばそういう親切な方法をとれば、問題は問題なく結着するであろうものを、ただ一方的に土地収用法で云々するから、いわゆる強権で強行しようとするから問題がこじれる、こういう実際の場合が非常に多いわけです。現在私は群馬ですが、群馬の高崎市にもそういう問題が現に起きている、御承知かもしれませんが。そういうところで、やはり相手の立場を十分考えるか考えないかによって非常に困難さが出てくる。そういうふうに私どもは解釈しております。この点が私どもには納得いかない。
  114. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 全くお説の通りでありまして、そういう問題について、私どもは今後も研究をしてみたい。なお市街地等につきましては、近く御審議を願いたい市街地の改造法案というようなものは、今御指摘のように、道路面をとらえますと、その人には、その背後地をある区間全部買収いたしまして、金銭賠償でいい人にはお金の方で払っていく、しかしそこへどうしても住みたいという人に対しては、そういう土地を、幾らか中高層建築ということにいたしまして、そうしてそこにその序列によって入ってもらって、今まで通りの営業のできるような対策を講じたいということも、今すでに提案の一歩手前になっておりますが、そういうようなこの現在の土地収用法というものが、ほとんど金銭補償になっております。従いましてこういった金銭補償だけでは、その土地を提供される方に非常な不便な場合がありますので、そういう場合にかえ地を出す方法とか、そういう点についてはどうだろうかということ等も、この公共用地取得制度の調査会でよく検討してもらって、土地を提供して下さる方々立場に立って、御納得のいくような方法を講じたならば、現在のような困難が少なくなるのじゃないかということを考えております。そういうようなことでこういう制度を設けたいのであります。この点は、ただいま御指摘なさったところと私どもの考えとは全く一致いたしているようであります。
  115. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 現行の土地収用法は、新憲法のたしか二十九条であったと思いますが、国民の財産権の不可侵、詳しく言いますと、国民の私有財産は、いかなる権力によっても、またいかなる暴力によってもこれを侵害することはできない、こういう精神に立脚して昭和二十六年にできたと思うのですね。従ってそういう趣旨から生まれた土地収用法を改めようとすることは、いわゆる憲法で保障している国民の財産権にかかわる非常に重大な問題ですね。それだけに慎重審議してしかるべきだと思うわけです。で、今の場合でも、先ほど申し上げたように、いわゆる土地の収用が困難だという場合には、現行すでに土地収用法があって、いわゆる強権の発動ができるわけですね、現在でも。それをさらに強力なものにしようとする。それは為政者側から言えば、非常に便利なものだろうと思いますけれども、土地所有者の方から言うと、非常に脅威を感ずるわけですね。こういうような点で、これは十分慎重の上にも慎重を期して、考えなければならない問題ではなかろうか、こういうふうに思うのです。こういう点について大臣はどのようにお考えですか。
  116. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 私全くただいまの伊藤さんの御意見と同感であります。従いまして、この公共用地取得制度調査会ができたら、必ず土地収用法を改正して、そうして直ちにその個人の所有権であるものを取り上げよう、そういうような考えは毛頭持っておりません。土地収用法について土地の公共用地取得を、その土地を持っておられる方も、またこれを必要とする公共事業を行なうものもどうしたら一番適正に、そしてどちらも納得のいくような方法でいけるだろうかという、ただいま土地収用法というものがありますけれども、ただいつでも強権発動していくというようなことは、これはたとえ法律があるからといって、それをいつも振りかざしてやるということは、私ども好ましくないと思いますので、そういう点についてのいろいろと研究をしていただく、いかにすれば地主さんも納得し、また事業をやる方も都合よくいくかという点についての調査、研究をお願いしたいと、かように思っておるのであります。
  117. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 お言葉によると、いささかも心配ないように受け取れるのですが、さて現実の問題として、農民が一体どういう立場におかれておるか、こういう現実の問題をとらえてみると、そういう点が遺憾ながら今大臣の言われたような簡単に承認できない部面があるわけです。大体土地収用法というのは、国民の財産を保護する面もあってそういうものができたと思うのですね。ところが現実には、これが逆の方向へ行っている実際の例が多いわけですね。たとえば会社とか、公社から内容証明の郵便物が一本来ると、これはもうそれだけで農民はおびえてしまってその土地に対しても直ちにあきらめてしまう。こういう事例を、農村などを回っていろいろ話を承ると、そういう訴えが相当多いわけです。また、この内容証明一本来たら、どうにもならないと簡単にあきらめてしまう。ところが、土地というものは農民から見ると非常に大事な財産であり、いわゆる生産の唯一の基盤である、土地があって初めて生産ができる、命から二番目に大事な、財産中の財産、この大事な生産の基盤が簡単に取られてしまう。もう内容証明の郵便物が一本来たら、もうだめだと、そういうふうに現実には農民が非常に脅威を感じているわけです。現在の土地収用法ですらそういう現状に置かれている。ところが、これをさらに強化しようとするそこにねらいがあるわけですから、農民の立場からいうと、なかなかもってこれは容易なことではないと、私どもにもそういうふうに受け取れるわけです。この点は何とか納得させなければいかぬと思う。このままでは、これは強行ということになりますからね。そういう点、農民を安心させることが必要であろう。まあ、農民に限ったことはございませんが、農民の場合が多いので、たとえば農民についてお伺いするわけです。
  118. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 土地収用法の場合でも、必ずそこには適正な補償ということが土地収用委員会、各府県にあります委員会でその結論が出た場合には、それに従っていただくということであります。従って、決して一方的に農民だからだれだからというような、そういう個人の所有権に対して、政府なりあるいは公共企業体というものが、これを全く無視して取り上げるがごときょうなことは、これはもう今日絶対に憲法によって許されないのであります。また、憲法が許してもやるべきことじゃないと私は思っておりす。従って、そういう点についての御心配は私は毛頭ないものとかように思います。ただ、私ども心配いたしますのは、百戸のうちは百軒が全部承知しておる。そうして道路ができた。しかしただ一軒だけどうしてもきかない、そうしてそれが、その一軒の悩みがあるために、もうほんとうにそこでは自動車で幾人かの人が死んでいる。そのうちで見通しがっかぬために幾人か負傷者もあり、また犠牲者も出ているというような場合にでも、どうしても三年も五年もそこを立ちのいてもらうのにはかかる。そういう点もほとんど九九%の人は納得して、りっぱに道路はでき上がっているが、しかし、ただ一軒だけがじゃまして、道路の使用の上に非常な隘路があるというような場合には、これはどうもその府県の収用委員会が決定したら、これは普通、まあある程度早目にそういうところを取り除いていく方法も、また公共の福祉のためには個人の占有権、私有権というものもある程度提供しなければならぬというまた憲法は公共の福祉のためには一応の保障をまたいたしております。そういうような点をあわせ考えて、どうしたら納得してうまくこれからどんどん行なわれようとする公共事業、いわゆる一般大ぜいの人たちの福祉に沿っていけるであろうかということについての調査研究をしてもらいたいというのが、この目的でありまして、決してその人さまの大事なものを権力で取るとか何とかというようなことは、絶対にこれはできないことでもありますし、そういうことをする考えは毛頭ございません。
  119. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 お言葉ではございますけれども、大臣は実際の実情にはあまり通じていないと思う。私ども農民の方々といろいろ実際にあらゆる機会に当たってみるわけですが、非常にこういう声が高いわけです。たまたま係員の人が来て、何をぐずぐずしているのか、早く腹をきめなさい、ぐずぐずしていれば土地収用法にかけますよ、土地収用法にかけますと補償が出なくなりますよ、こういうことが実際に起きておる。これは先ほど言った群馬県の高崎市に今実際に、これは最近の例です。私は決してはったりで申し上げているのではない。実際にこういう例があるのですね。大臣はそういうふうにお考えないでしょうけれども、実際運営の面を見ると、こういう例は一つの例でして、これは全国にこういう例はたくさんあると思う。私は群馬だけでも相当数をさように把握しておる。だから心配のあまり伺っておるわけです。従って、なかなかもって、こう机の上だけで計画を立て運営しておる面と、実際の関係係員が農民に接してやる場合には、相当な開きがあるわけですね。今ですら、今の土地収用法ですらさように脅威を感じておる。これをさらに強化しようとするもんですから、これは先ほど言った新憲法二十九条の精神に立脚した土地収用法であるから、いたずらに私有財産に対する不安を与えるということは、憲法の精神にも反するわけですね。こういう点で十分なる納得がいかなければ、とうてい私どもはこれを承認しがたいと思うのです。こういう点について大臣の所見を伺っておきたい。
  120. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) ただいま伊藤委員の御指摘のありましたようなもしも役人があるとすれば、全くそれは悪代官でありまして、そういう者は今後ないように私どもは努めなければならないと思います。そういう土地収用法をもっておどしつけるというような、それにおびえないように私はそういうような者のないようにすることがまず第一ですが、そういう際に、ほんとうに農民の味方になって、そういう者については全く心配ないというようなこともこれはよくPRしていく必要があろうと思います。決して、この公共用地取得制度調査会を設けてそういう強いものを作ろうということは考えておりません。ただ金銭賠償、代地等によって何とかスムーズにその方々が安心してその土地を提供してもらえるように、これは道路の場合でも、あるいは河川、ダム等による水没家屋等の問題も、その人たちがせっかく公共の福祉に沿ってくれて、一家を犠牲にして、先祖伝来の土地を離れてくれるという悲壮な、その物以上に精神的な大きな苦痛のあるものを、あえて公共の福祉に沿ってくれる人たちが、それだけの理解のある人をその土地を離れたらばそれより不幸になるというようなことは、断じて私は、これは政府、国としてもあるいは各種公共団体としてもそういうことはあっちゃならないと思います。私はそういう精神で、どこまでも話し合いづくで、そうして納得の上で、今までの生活よりも少しでもよくなるというような方法で公共用地の取得をして参りたい、かようにまあ思っております。ただ、末端の用地係等に、たまたま幾たびも足を運んだが、どうも玄関先で門前払い、面会謝絶というようなことで、そこでその売り言葉に買い言葉で、よしそれならばこいというような、ばかごとを言う者もあったかもしれない。しかし、そういう点については、これはもしも建設省に関する限りは、これは私に責任があるのでありますから、私どもはそういう者のないように十分今後指導して参りたいと思っております。決してこれによって、今お考えになっておられるような、御指摘になられたような不都合なことのないように、私ども話を十分していきたいというのがこの調査会における趣旨でありまして、ほんとうに第三者に十分御検討願いたい、こういうことがこの趣旨になっております。
  121. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 建設省としては、この公共用地の取得に現在困難を来たしている。これを何とかスムーズにしたい。そういうねらいで土地収用法を改正したい。まあそういうところに大きなねらいがあるようですが、それじゃ、はたして現行の公共用地の取得にいろいろと困難を来たしているかどうかということを・一応も二応も検討してみなければならないと思うんです。そこで必要な点と思われる点、数字を拾ってみますと、こういうことになっているわけですね。旧法から新法に変わった昭和二十六年から三十三年までの事業認定件数四百六十九件のうち、大臣認定は三百五十六件、知事認定が百十三件になっているわけです。ね。それから二十七年から三十三年の間の裁決件数は百三十四件になっております。それと三十一年から三十三年までの統計を拾ってみますと、事業認定に要した日数は、最高がこれは三十一年で三百七十九日でございます。最少は三十三年の四十二日になっております。それから裁決の場合も、最高は三十三年で四百十六自、最少が三十二年の二十二日、こういうふうな日数しかかかっていないわけですね。これはまあ国民の私有財産を権力によって取り上げようとするのであるから、この程度の日数がかかるのはまた当然と言わなければならぬと思うんです。さらに、この長引く例もありましょうけれども、この長引いている多くの原因が、先ほども申し上げたように、相手方の立場を十分考えないで一方的に強行しようとした場合に多くの問題をかもしている。こういうことをもあわせ考える必要があろうと思うんですね。ただ、一方的に強権の発動ということでなくして何といっても大事なことは相手の立場を十分尊重して、相手の納得のいくような方法、仕事をやれば相当日数かかると思うんです。大事な大事な命から二番目の土地を離そうとするのであるから、いかに土地収用法といえども、やはり十分な補償、そうして納得のいく補償、こういうことならば問題はあまり混乱しないと思うんです。しかし、実際には先ほど来申し上げているように、一方的におどしたりすかしたり、あるいはまた、補償も十分でない、こういうところに問題はあるように思うんですね。この点いかがですか。
  122. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) ただいま先生の御指摘になりました点は、私もよくわかります。四百日ぐらいで、まあ最高が四百日というのでありますが、実はその前に、事業認定をするまでに相当な話し合いをしてきておりますので、四百日があるいは八百日にもなっておると思います。と申しますことは、先般もあの下筌ダムの問題でも、すでに昨年の二月以来用地交渉にかかりまして、大分県側と申しますか、大部分の人はこれに承諾を与えておる。しかしその一部、ごく少数の人は、何と言っても、もう金の問題も聞かない、とにかくすべてもうあらゆる問題、もう何を持ち出しても問答無用だ、建設省の者には会わない、あるいは知事が行ってももう会わない、おれのものだというような態度で出られる所もありまして、そういうようなことがあるから、実はこちらは強権で臨むという、土地収用法というものをすぐかければ、簡単に四百日で片づくじゃないかということにもなりますけれども、できる限り地元の方々には、こちらが無理を言って、たとえそれが公共の福祉のためでありましょうとも、こちらで人さまの大事なものを分けてもらうんですから、やはり礼を尽くして、もうあらゆる人にお願いする。まあ面会しようとしても面会もさせないというようなことが、そんなにたくさんはございませんけれどもたまたまそういう点がありまして、せっかくの治水対策、まあ道路の問題でしたら、少し不便を感ずれば、二年や三年おくれても、これはまあその地方だけの人の問題で済むことでありますけれども、たとえば治水関係の災害防止の河水統制というような場合になりますというと、そのために何千人という死傷者が出るし、何万町歩という田畑が荒らされる、何千戸という家が流れているというようなことから考えますと、五人や十人の人の、ただまあ、私どもから言えば、まことに頑迷だと言っていいと思いますけれども、その人たちのただ気持のために、どうすることもできないというのが現状であります。そこで初めて土地収用法の前提となる事業認定をするということになりますというと、それから四百日あるいは三百日というものがかかりますので、それまでにすでに一年半も相談をしておるが、なおいかないので、また一年以上かかるというようなことにまあなっておりまして、私どもは、決して、御理解のあるまじめな方々を対象に研究する必要はないのでありまして、そういう人たちが出た場合には、どういうふうに話し合いをつけていくかというようなことをまあいろいろと検討していただきたいと思います。しかし、この調査会は、公共用地の取得問題について学識経験を有する者のうちから選任をする委員十五人でありまして、しかも、その具体的な人選については、ただいままだ検討中でありますが、少なくとも私権の保護に欠けることのないように、被収用者のために、その被収用者の意見も十分反映できるような構成をしたいということでありまして、決して、私どもが役人根性で考えて、人さまのものをなるたけ楽に取れるようにというようなことは考えておりません。十分その私権の保護ということを尊重して、そしてその委員会の方たちに、どういうふうなことをどういうふうにすればいいかということを調査してもらいたい。決してそういう不都合はいたしませんから、その点については一つ御了解をいただきたいと思います。
  123. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私が申し上げるまでもなく、この土地収用法の改正の要求が、土地を収用される側、すなわち国民側から出されたとするならば、話はよくわかるわけです。ところが、そうでなくして、はからんや、土地を収用しようとする起業者側からこの改正要求が出されておるのですね。ここに非常に問題があろうと思うのです。現行の土地収用法に農民が耐えかねて、この土地収用法を改正してもらいたい、こういうのが一般の筋だと思うのですがね。そうでなくして、この土地収用をする起業者側からの要求であろうと思うのですね。もしそうだとすれば、ここにも問題はあろうと思います。これは常道ではないのですね。この点はいかがですか。
  124. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) これはもう国だけがその事業主でなくて、国も公共団体も、みなその起業者側になるのでありまして、その起業者、それはいわゆる村であるとか、あるいはまあ市町村、そういうようなものが、みなこれは起業者になるのでありますが、まあ同じ村の中で、国ならあるいは目が通らんということも言える場合もありましょうが、まあ市町村の中で、そんな、無理に押しつけてどうとか、そういうようなことは、私はこれはまあ絶対とは言えないかもしれませんが、まあ私ども絶対にそういうことはなくするようにしなければならないと思っております。
  125. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これは主としてまだ参議院では審議をやっていませんから、衆議院の段階で、この審議の過程における建設省当局の御答弁を要約してみますと、大体こういうふうになろうと思うのです。もし、大事なことですから、間違っておったら御訂正いただきたい。結局起業者側からの強い要請があって、もっと短期に土地を取得できるように改正してもらいたい、そうしてその要点は三つほどあって、その第一が、補償額を決定する以前に収用権を取得するよう緊急措置を拡大すること、これはきわめて重大だと思うのですね。補償額を決定する以前に収用権を取得するよう緊急措置を拡大すること、これが一つ。第二は、手続を事務的に簡素化すること。第三が、収用委員会の組織運営を迅速に行なうよう合理化すること。こういう、合理化とか、簡素化とか、いろいろまことに都合のいい言葉を使っておりますけれども、これは結局現在の土地収用法の強化にほかならないと思うのですね。そこで、最初お伺いしたように、これはきわめて重大なことでありますので、今申し上げた要点については、間違いなく衆議院の段階で御答弁になったのかどうかということと、そして、それぞれについてはっきりと、態度をあかしていただきたいと思います。
  126. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 私、実はほかの委員会にずっと追われまして。衆議院内閣委員会には一日も、一回も出席できなかったのでありますが、従いまして、政務次官、その他の政府委員質疑応答いたした次第でありまして、私は私の気持を、この参議院のこの当委員会で初めてこの問題についての審議をいたしておる次第でありますので、私の答弁につきましても、いろいろ御納得のいかん点があるかもしれませんが、私の精神は、そういう、ただいま申しましたような精神で、私はこの調査会を設けたいというのが私の精神であります。衆議院におきましては、それぞれそういうような、ただいま御指摘のような問題を心配いたしましてか、衆議院では附帯決議がつきまして、土地の価格決定以前に土地を収用することはできないというような附帯決議が提出されて通過いたしたようであります。この衆議院の附帯決議は、十分私ども尊重して参りたい、かように存じております。
  127. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこでお伺いいたしますが、今申し上げた第一点は、憲法二十九条に保障されておる国民のいわゆる財産は、これは正当な補償のもとに初めて収用される、正当な補償、これはまあ当然そうであろうと思います。正当な補償でなければならない。それとここにはっきりしておることは補償額を決定する以前に収用権を取得できるようにしたい。これは土地を収用する側から言えば、まだ五万円にするか六万円にするか、額が決定する前に収用権だけは先取りたい、こういうばかなことが考えられましょうかね。何か売買する場合でも、値段がはっきりして初めて取引するわけですね。そ一の額についてはあとにして、まず土地収用権を先によこせ、これは収用者側「からいうと、こんな都合のいい方法はないと思いますね。収用者側からいえば、とりあえず収用して、額については五万にするか六万にするかということはあと回し。これは土地所有者の立場からいえば、まことにこれは不可解な問題なんですがね。常道では考、えられぬ問題の一つであろうと思います。この点いかがでしょうか。
  128. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) そういう今の御指摘になったようなことを考えましたのは、非常に緊急収用という場合に近いようなものであります。緊急収用の場合には、災害等で早くここの土地をもらわなければ、堤防を築かなければ、また大きくやられるというような場合には、これはもうどなたの土地でも緊急収用させていただいておりますが、これはほんとうに超非常時の場合でありますが、それに近いものがあり得る、こう思いましてこういうようなことになっておりますが、その点につきましては、やはり先生の御指摘になった点も、私ども十分わかりますし、また附帯決議等こも、そういうような意味のことについては相当制約されるようなことになっております。取れるからといって、何でもかんでも昔のようなあり方というものは、今日絶対にやれるものでなし、またやるべきものでもございませんから、その点については私どもはそう心配していなかったのでありますが、そういうような点については、十分考慮して参りたいと思っております。
  129. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これはせっかくのお言葉ですけれども、非常に問題点のうちでも一番問題点であろうと思うんです。お言葉の中には、適当な補償をするからいいじゃないか、そういう意味があったわけですが、この適当な補償額といったところで、今法令もなければ政令もないでしょう。何かあれば教えていただきたい。この建設省がいう適当な補償というのは、その基準は何もないと思うんです。法律も政令もないですね。もしありとすれば、常識だと思うんです。ところが、その常識について、収用者側と被収用者側に利害の関係から開きがあった場合、どちらの常識がいいかきめかねるわけですね。そういう場合、いろいろ混乱して、長引く。そういうところがあるのですね。従って、結局被収用者側の立場も十分尊重してということは、先ほど私が強くお伺いした点であります。そこで十分なる補償額、農民が納得するに足る、満足するに足る補償額、またそれに近いものが出れば、その時日は長引かないわけです。それをほんの涙金で何とか収用しようとするから、結局問題が長引く。そういう長引く問題にこりて今度は補償額がきまらないうちに、まず土地収用権だけよこせ、そういう点でこれは非常に問題だと思うんですね。どなたが考えたか知らぬが、これは私一人の考えじゃない。大体適当な補償額ということが第一問題ですね。繰り返し申し上げるように、何の基準もない。ここにも法の不備が指摘されますね。これは常識で、常識というのは個々によって非常に違ってくる。立場によって違ってくる。そういう中で、まだ額がきまらないのに、まず土地の収用権だけはこちらへよこしなさい、こういうことでしょう。これはきわめて一方的であり、きわめて土地収用法の強化という「ことにほかならないですね。この点は今の大臣の御説明では納得いきませんよ。
  130. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) なるほどその通りでありますが、現在では各省とも一に行政措置でそれぞれやっておるようでありますが、しかし、私どもこの調査会というのは、こういう問題の基準も大体調査会でどういうふうにするかということをきめていくための調査会、こういうことも含んで検討してもらいたいというのが、この調査会の設置の趣旨になっております。これは御指摘のように、ただいま一定した基準はございません。ございませんが、この基準も調査会等できめるものである、かように思っております。
  131. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この点は冒頭にお聞きし、この調査会を設置するについて、重要事項を調査させるために調査会を設置したい。今のお言葉によると、そういうことも含めておるんだとおっしゃいますけれども、最初この大事な補償額云々ということについては御指摘がなかったわけですが、もしあったとすれば、私聞き損じたわけです、失礼いたしましたけれども。こういう点は非常に大事な最も主要な中に入るんじゃないですか。その適当な皆さんが納得するような補償額を出し得るような、そういうものができれば、この土地収用法は現行の収用法で十分スムーズにいくわけですね。そうすれば、むしろこの調査会そのものも、妥当な補償額ということが非常に大事な要素になるのじゃないですか。それさえ解決すれば、何も骨を折って土地収用法を変えないでも適当なる補償はなされるという、そういう方法が講ぜられるならば、ことほどさように大事な要素について、最初こういうことをも調査するということは御指摘になるべきなんです。今御説明はありましたけれども、そういう点はどうなんですか。
  132. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 大体私としては、土地収用法等についての検討と申し上げましたその中に、こういう土地の公正な価格等は含まれておるものというふうに、実はこれは言葉が足りなかったんですけれども、そういうものはすべてこの調査会に含まれておるという、そういう気持でお話を申し上げたのでありますが、全く土地収用法の中の公正な価格というものも、この調査会で、この地域においてはどういう機構にしてどういうふうにしたら両者の納得のできるようなものができるかというような点を、十分この調査会で検討してもらいたい。そうしてどうするかということについては、だからこうするんだということは、これは調査会ができてそうして調査会において、このままでもいいじゃないかという結論が出れば、それでもやむを得ませんが、またこれはこうした方がスムーズにいくんだということになれば、そういう方向で検討してもらっていきたい。こういうようなことでありまして、今土地収用法をどういうふうに変えるのだという具体的なものは私ども持っておりません。すべては調査会の一応御審議によって、これは結論を出していただきたい、かように思っております。
  133. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それじゃお伺いいたしますが、今まで過去の実績から土地の収用がおくれて非常に困った、そういう例があろうと思うのですね。そういう場合のおもな原因はいろいろあろうと思うのですけれども、その中に補償額が折り合わないで、補償額の問題で長引いた問題も相当多いと思うのですね。実際それははたして多いのか、また問題ないのか、おそらくこの点が重大な問題であろうと思う。数をあげなくてもけっこうです、大体どうであったか。
  134. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 今まで用地の取得が非常に困難を来たしておるというこの事情のよってきたる原因といたしましては、土地収用の手続に入ってきておりますものについては、お説のように補償額がなかなかきまらないという場合もございますが、その前に事業認定の手続に入ること自体がなかなかむずかしくなってきておるというケースが多いようでございます。それからもちろん収用手続を踏まないで話し合いでやっていこうという場合には、いわゆる買収価格の話し合いがつかないということが、取得を非常に困難ならしめておる場合が多い。先ほど大臣からも申されましたように、普通の買収方式でいきます場合には、大体所要土地の面積の八割から八割五分くらいは円滑な話し合いが済みましても、あとの一割から一割五分くらいの土地がなかなか話が済まない。こういう状態になっている場合が多いようでございます。
  135. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 まあ御説明によってはっきりしましたが、結局手続の問題もあろうけれども、補償額が一つの大きな問題となって長引いた場合もあるとそうおっしゃっておるわけですね。従って、先ほどから申し上げたことを裏づけするように補償額が一つの大きな問題になっておるということは、建設当局も確認すると思うのですね。従って、私どもとしては、現在そういう長引く問題があるとすれば、私が実際に農民に接して知ったところによれば、ほとんど補償額の場合が多いわけです。それから態度ですね。先ほど一つの例で申し上げましたが、何をぐずぐずしておるか、ぐずぐずしておれば土地収用法を適用しますよ、土地収用法を適用すれば補償しませんよと、威嚇ですね、一つの無形の暴力、こういう態度では農民も人ですからね、勝手にしろと、絶対に離さんと、そういうような問題もあるわけですね。それと補償額の問題、従ってそういう面の運用よろしきを得て、そうして補償額が納得するに足る、そういうものが措置できるならばだいぶん減ってくると思うのです、長引くことは。そうすると今大臣うなずかれましたが、そうすれば何もこの土地収用法、さらにこれを強化してまだ補償額がきまらないのに収用権だけよこせ、そういう無法なことをせんでも済むのじゃなかろうかと思う。この点どうですか。
  136. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 全くその通りでありますが、こういうまあ私ども事例を多く知っておるのですが、大体かりにこの中の地主さん全員で、大体全員が話し合いで一反歩三十万なら三十万で御納得をいただいた。私だけが自分のたんぼなら三十万を百万といっても、これは自分の子供に名前をつけると同じで、何と名前をつけるも勝手ですから、おれは百万切れたら絶対承知しないのだ、こういうものが一人かりに出てくる。そうすると大ぜいの人は全部話し合いがついているが、私一人がどうしても不当な価格を、要求してきかない。そういう場合に、もしも私の近いものを出せば、今までの人は皆こわれちゃう。といって私に対する措置がなかなかやりにくい。しかし、公共事業では非常に一刻を争うほどせかれている。そういう場合でもやはり全員ほとんど御納得いただいているにもかかわらず、一人の不都合な私があるために、そこの公共事業というものはできない。一年も二年もおくれるということになることを私どもは心配しているので、そういう場合を除けば、全員が納得がいかないようなことでは、これは大体価格が安いか、あるいは役所とかあるいは公共事業体に不都合があるか、悪代官式のことを言って、感情問題で、もう金銭問題別だというような態度に出られるか、あるいは全体的に、その価格が、指示価格が安いというような場合は、これはもう私どももそうだから強権を発動してどうというのでなく、ほんとうにあそこの下筌の問題でも、百七十何戸というものは全部納得してくれたのですけれども、ごくわずかな小さな部落民の人が、その中でもほんとうにいかないという人は二人か三人だ。二、三軒だ、ということを聞いておりますが、そういうことのために筑後川というものの河川の調節ができなくなるというような問題もありますし、そういうことが至るところで、そういうところがまあこのごろの事業認定をしている、私は大体説明だけ聞いて事業認定のサインしますが、大体ごく少数の人の御理解ができないための事業認定であります。そういうことを考えていただくと、まじめなりっぱな人に対しては、決してわれわれはどこまでもその人の持っておる財産権というものを、国あるいは公共団体がその用に供するのに無理を言って取ってしまうというようなことは絶対に考えておりません。また、そういうことはこの民主主義の時代に考えるべきことでもないし、そういうことは絶対に許されません。ただ一人あるいは二人とか、ただ少数の人がどうしても応じないという場合のことを、実は対象に考えていただくことを、この場合私どもとしては願わしいことだと思っております。
  137. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 お、一品葉によりますと、きわめて少数の人たちのために班行の土地収用法を変えたいのだ、そういうことにも受け取れるのですが、そういうふうに把握してよろしいのですか。
  138. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 全部がそうというわけではございません。これは私は現行の収用法は、金銭賠償ということになっておりますし、これをかえ地等によってむしろそこを離れた方が御本人の有利になるようなかえ方もありますし、あらゆる角度から調査してもらうことでありまして、私が今申しましたのは、一例にしかすぎないのです。
  139. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これはお言葉ですが、ごく少数のための措置としても、土地収用法を変えたいのだ、大多数の人のためには現行法でいいんだということがお言葉の裏にあると思う。ただここで問題なのは、ごく一部の場合に、どうしても困るので土地収用法をこの程度に強化する必要がある。しかし、そのことは関係のない大多数の大部分の方々に非常に強力な圧力となって出てくるわけですね。これはいわゆる法改正の精神からいって少なくも良法でなくして悪法だと、そういう点からも言えるのじゃないですか。ほんの一部の場合に必要なものを、わざわざこの法改正でやらないで、ほかに何とか運営の面でそれは改善できる問題ではなかろうかと思うのです。それを大部分の公益ということを離れて、ごく一部のためにだけ必要なそういう措置を一般化するということは、大部分にもそれが非常な圧力となって出てくるわけですね。
  140. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 私申し上げましたのは、運用上の一つの方向をつかむためにと申しますか、そういうような意味で申しましたので、まあ土地収用法にかかるという人は、現在でもごく少数の人であります。ほとんど大部分の人は、その土地収用法なんというようなものを待たずして十分調停ができて参っております。しかし、その少数の人、それが多数の人の中の私一人でもだめだということによって、その多数の人もやはり事業ができないために反対していると同じ結果にまあなる、話のついた人も同じ結果になるのでありまして、非常に大きな問題になって参っております。そういうような点を私どうしたらいいかということを調査してもらいたいと思っております。
  141. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それから第二の問題ですね、事務を簡素化して迅速に措置したいという第二の問題に関連して、現行の土地収用法手続を見ますと、収用手続の所要推定期間が大体百二十二日になっていますね、現行は。で、これを分類すると、事業認定に五十日、細目公告に七日、調書作成、協議に十五日、そして裁決に五十日、計百二十二日、これが現行のいわゆる所要推定期間だと思う。一体これをどこを縮めようと考えておられるのか。これを縮めるには、やはりどれかを減らさにゃならぬのですね。このうちの、四項目ほどございますね、これを一体どれをどの程度に縮めようとするのか、この点を明らかにしていただきたい。
  142. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) ただいまお尋ねの第三点の収用の手続の簡素化ということにつきまして、起業者側からの百要望があることはお説の通りでございますが、この問題につきましては、ただいま御指摘の四項目の中の続で、たとえば縦覧手続というのがございます。事業の認定の際、あるいは裁決の際にございますが、事業認定の際の縦覧手続を省くかどうかというような問題、それから裁決の期間をある程度縛るかどうかという問題、それからさらに、これは簡素化とちょっと趣旨が違いますが、簡素化の意味も含めまして、府県にありまする収用委員会のほかに上級の中央収用委員会というような機関を設けるかどうかと、こういうような問題につきまして、もちろんいずれも慎重に検討を要する事柄でございますが、この調査会において十分検討していただきたい、こういうことに考えている次第でございます。
  143. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それから補償の問題ですが、これは繰り返し申し上げるように、実際の今までの例を拾ってみますと、補償が正当でなかったり、あるいは不公平であったり、それと利権者の暗躍が中にあったり、政治的圧力によって計画が変更されたり、こういうような問題で補償がこじれて問題となった場合を、幾つか私実例を知っておるわけなんですがね。こういうことでも過去においておくれてきておるという、そういう認識もなければならぬと思う。ただ、土地収用法そのものを、先ほど言ったように改正すればいいのではない、実際運営の面で今申し上げたような点が実際には行なわれてきておる、こういう認識に立って今後建設省としては当たらないと、ただ土地収用法を強化すれば事足れりでは、また同じことを繰り返すことになろうと思うのですね。こういうことをお伺いしてきょうは時間の都合で、きょうのところはこれで終わりますけれども、この点を最後としてお伺いいたします。
  144. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) ただいまの御意見もっともでございまして私ども、ただ法律がで「きたからその法律をたてにとって国民の財産権というものを、たとえそれは公共の福祉に沿うためでありましても、問答無用の態度でこれをもらっていくということは、これは最も私は慎しまなければならないことと思います。特に末端の用地係とか何とかいうような、これは建設省だけではございませんが、各自治体、公共企業体等の職員が、その自分立場から、また個人的な感情から、せっかくスムーズにまとまり得ることも、それらの態度のいかんによっては、むしろ幾ら盆くれても、この土地譲りたくないというような態度にもなり得るものであります。従いまして、そういう点については、十分相手に対しての謙虚な態度というようなものを失わないようにするということは、日ごろ心がけておかなければならないことだと私思います。こういうことで、ほんとうに謙虚な気持で参りますれば、これは特別な人でない限りは、大体話し合いというものが、国もあるいは公共団体も、そんな無理なことを言って人さまのものを召し上げるわけではないのでありますから、その土一地を出す方々も、十分その事業の公共性ということを御認識になってくれるし、そこへまた謙虚な気持で話があれば、まあまあせつないけれども出してやろうという態度になり得るのでありまして、そういう点は、決して土地を持っている人たちだけが悪いというのではないので、やはりこの交渉に当たる人たちの態度も、相当私は今後注意していかなければならないと思います。そうすれ、ば、こういうようなものも、あるいは土地収用法というようなものも、その適用する範囲というものは非常に狭められてきますし、こういうものを今御審議願っておりますが、こういうものの必要も将来なくなるのではないかと思います。あくまでもただいまの御指摘の点は、私ども、十分この点は御意見の通りに今後も注意して参りたいところでありますので、十分一つこの点を各係にも話しまして、遺憾なくこれの用地の取得ができるように努力いたしたいと思っております。
  145. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。    午後三時四十分散会