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1960-04-26 第34回国会 参議院 内閣委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十六日(火曜日)    午前十時五十三分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            伊能繁次郎君            大谷 瑩潤君            小柳 牧衞君            下條 康麿君            下村  定君            一松 定吉君            松村 秀逸君            鶴園 哲夫君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            向井 長年君            辻  政信君   国務大臣    運 輸 大 臣 楢橋  渡君    国 務 大 臣 益谷 秀次君   政府委員    人事院総裁   浅井  清君    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    行政管理庁行政    監察局長    原田  正君    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸省海運局長 朝田 静夫君    運輸省自動車局    長       国友 弘康君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    行政管理庁統計    基準局長    後藤 正夫君    運輸省鉄道監督   局民営鉄道部長  石井  健君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○運輸省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○行政管理庁設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。政府側出席方々は、楢橋運輸大臣細田運輸大臣官房長国友運輸省自動車局長方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 横川正市

    横川正市君 この設置法の主題の件は、大体二つ目標にいたしておるようでありますが、後段自動車運送に関する審議会設置に対して関連がありますから、この点から一つお聞きしたいと思いますが、おそらくこれは大臣のところにも請願が出ておるのではないかと思いますが、渋谷から玉川に抜けていきます東急新線の問題であります。第一の点は、いろいろあるようでありますが、地図によって予定されている内容からいきますと、まず一つには、非常に商店街その他によるところの路線の争奪が目立っているようであります。それから第二は、この審議会とも私は非常な関連性を持ってくると思いますが、地上線よりか、地下鉄にしてほしいと、こういう強い要望が寄せられておるようであります。前段のことについては、私はこれは別段審議会ともあまり関係はありませんが、後段の問題は、自動車輻輳緩和する行政上の問題として、きわめてこれは重要な問題だと考えておるわけでありますが、この件については今どのように進められているか、まずお伺い申し上げたいと思います。
  4. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) お答え申し上げます。実は、鉄道監督局の所管でございまして、ただいま担当官を呼びにやっておりますが、私の承知しております限りでお答え申し上げたいと思います。ただいま質疑のございました点は、新玉川線の問題であろうかと思うのでございます。新玉川線につきましては、すでに新設の免許はいたしておるのでございますが、工事施行の実際にあたりまして、地元とのいろいろな問題が起こっているわけでございまして、具体的な最終的などういう設計で、どういうふうに工事をいたすかということにつきましては、最終的な決定をまだいたしておらない状況でございます。地元では、いわゆる地下線要望するというような点が非常に強いことは、私ども請願その他で承知をいたしておるのでございますが、いろいろ全部地下線にいたしますということにつきましては、工事費の問題その他いろいろな問題がございまして、ただいま地元の各方面東京急行との間に調整中であるというふうに承知いたしておりますが、最近の状況につきましては、私ちょっと存じませんので、あとから鉄道監督局の者が参りましてお答え申し上げたいと思います。
  5. 横川正市

    横川正市君 大臣にお伺いしたいのですが、もちろんこれは言い方によれば、こういう審議会を作ることも、そういうことも含めて審議をしたいのだということで一蹴されることもあるとは思うのでありますが、目に見えて三年か五年後に輻輳をしてきて、緩和をはかろうと思ってもこれは不可能になるような、こういう事態が予期されている場合ですね、そういう場合に私はやはり審議会を待ってということでなしに、行政上の問題として相当積極的な事態解決のための推進がはかられてしかるべきだとかように思うわけであります。ことに現在渋谷は、これは東京都の中心でも一番乗客率の多いところでありますし、それから将来の発展も目ざましい発展をいたしておるわけであります。そういう観点からいたしますと、あすこを地上で運転されております玉川線というようなものが、いかにこれは時代おくれのものであるかは、これは当然現地を御案内になればおわかりになると思うのです。同時に、新宿から出ております京王線の場合もまた私は同じだと思います。大体小田急はその点幾らか地下に類するような線をもって、交通その他からは離れておるようでありますが、都心中心としての新宿、あるいは渋谷における私鉄地上線状況というのは、これは今すでに何とかしなければならないような状況にあるのであります。そこで許可はしたと、許可をした結果、あと地元民と東急との話し合いであって、あとはいわば会社側幾ら負担をするか、それでどの程度で納得するかというようなお互いづくの話では、これはとんでもない混乱を招く結果に私はなると思うのです。その点大臣としてこれを強く行政指導して将来を見越した、相当長期にわたって交通緩和をされるようなそういう方策を、この際打ち出すべきだと私は思うのであります。これの御所見を承りたいと思います。
  6. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今御指摘のように、渋谷中心とする交通が非常な錯綜をいたしておりまして、ことに新玉川線につきましては、今おっしゃいましたような今後の見通しからいいますと、なかなか大へんなことになると私は思うのでありまして、従って、先般、地元から多数の陳情を私の方に受けまして、ぜひ地下でやってもらいたいという陳情を受けて、いろいろとあの町の人々意見等も聞いたのであります。従いまして、やはり将来の、渋谷中心とする、特に玉川線のあの混雑等を見ますと、十分にこれは考慮すべき問題であるというので、先般鉄監局長にもそのことを命じまして、両方の主張を十分に一つ検討した上で、しかも、今申したような、でき得ればやはり私の考えとしては地下に、可能であれば地下を通してやることの方が将来のためにいいのじゃないか、都市交通の一番大きな問題はやはり、結局路面電車並びに激増する自動車をどうさばくかという問題でありますが、その場合において、交通量緩和し得る唯一の道は、地下鉄以外にない。これはなかなか何と申しましても膨大な費用もかかりますし、支障も来たしますので、その意味で都市交通審議会におきましても、地下鉄の問題を十分考えるように指導いたしておる次第でありまして、この点は十分に一つ地元等の意向も、またあの土地における交通量、今後の発展等状態を見て考慮いたしたいと思っております。
  7. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 先ほど私のお答えしました点で、あるいは言い足りなかった点がございますし、ただいまの大臣のお答えに補足して申し上げたいと思いますが、地元で御陳情がございますのは、オール地下という形であります。私どもとしましては、道路輸送交通が非常に混雑いたしております点につきましては、十分考えなければならぬと思っております。渋谷付近につきましては、三軒茶屋までの地下会社側考えておりますし、私ども考えておるのであります。先ほど私がお答えいたしましたのは、全部地下という点につきましては、若干の問題があろうかというふうに考えましたので、さようにお答えしたわけであります。路面の特に輻輳いたしますところ、あるいは近い将来に行き詰まりそうなところにつきましては、もちろん地下で絶対に考えなければならぬと、かように考えております。
  8. 横川正市

    横川正市君 これは、私は、どの程度これから東京都内交通が錯綜してくるかという見通しについては、おそらくこれは、現在までの進捗状況と、それから今後、幾らか緩慢なる線をとるにしても、何年後にはどのくらいになるかという点は、私は、事務当局でつかんでいるのじゃないかと思うのです。それでいきますと、おそらく、都心中心として、現在の段階で、交通その他で、この程度ならばまあまあという、一体、主要幹線があるかどうか。私の例をとってみれば、私は、杉並のいなかにいるわけですが、国会まで来るのに、大体、車で一時間ちょっとかかるという状況であります。しかも、何メーターおきにかゴー・ストップをつけて、そうして交通十字路交互に配車しなければ通れないというような状況、ちょっとでも混乱をいたしますと、延々長蛇の列を並べて混乱する。そういう観点から考えますと、今、官房長の言っておるような渋谷周辺というようなことで、はたして、あなたのいわゆる計算上からいって、どういうふうに結論が出たのか、ちょっと私はふに落ちかねるのでありますが、渋谷周辺とか、あるいは新宿周辺ということなら、これは、今は輻輳しているというのじゃない、一時通れなくなる、交通ができない。道路の用をなさないという、そういう状態なんであって、もちろん、路面障害物の排除をするための地下線というのが要望されている。私は、東京の将来の発展から考えてみますと、この輻輳状態というのは大へん状況じゃないか、こういうふうに思っておるわけですが、この点一つ、どうお考えになっていらっしゃるのか。
  9. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) 最近の自動車増加状況は非常なものでありますことは、私どもも予想以上にふえていると認めておるのでありますが、昭和三十三年度末には、東京都内におきまする登録自動車台数は四十二万台でございました。これは、昭和二十八年度末に比べますと、二・二倍程度になっております。これは非常に増加いたしております。また最近増加の傾向にございまして、今のこのままで推移いたしますならば、昭和四十年度末には七十万台くらいになるかと思われます。それでこの点、交通関係でいろいろと施策を講じなければならないと思っておりますが、まず、地下鉄の促進ということを、今運輸省としては大方針で打ち出しておりますが、そのほか首都高速道路公団が設立されまして、高速道路を作って、できるだけ今街路を走っております自動車を、都心に向こうような自動車についてはその方に移したいということを考えまして、建設省運輸省関係でございますが、首都高速道路建設することを進めておるわけでございまして、これら地下鉄及び高速道路建設と、それから渋谷その他都心部にもバスターミナルを作って、バスの円滑な運用を期するとともに、駐車場施設等諸所に作って、できるだけ混雑緩和したいと考えておりますが、現在の交通状況で一番最初にやるべきことは、交通規制であります。これらの点に関しまして、現在、総理府に、交通事故防止対策本部というのがございますが、これを改組いたしまして、もっと力の強い自動車交通の問題に関しまする対策を打ち出します機関として、関係各省集まりまして、警察も、運輸省も、建設省も、通産省もその他全部が集まって、この今輻輳しております交通状況緩和のために打ち出します施策を練ろうという段階に入っておりまして、私どもとしても交通規制あるいは地下鉄道路建設、あるいはバスターミナル駐車場建設というようなことに専心して参りたいと思っておるのでございます。
  10. 横川正市

    横川正市君 私の質問にちょっと答えが違っているんじゃないかと思います。そういうことも必要だと思うのでありますが、私は運輸省行政上の指導として、少なくとも都心における交通緩和の大きな役目を果たすというのは、これは都心に向かって最も安易、簡直に交通網が開かれていくことなんだ、それをやらないでおいて、幾ら緩和しようと思っても、事実上私は緩和策にならぬと思うのです。ことに現在の自動車輻輳というのは、自家用車がうんとふえているわけですね。もちろん、商業用自動車もふえているようでありますが、この点で、まあ私の意見とはいささか違ってくるかと思いますが、ある程度の、現在の収入程度の者で自家用車で通うという階層の者がどの程度いるか。これはまあ将来の経済の発展の問題と収入の問題とは並行するわけですから、考えていいと思うのですが、たとえば都心に向かって地下鉄が放射線のように入ってくれば、私はこれは路面を使ってああいうふうに何時間もかかって来るよりか、やはり地下鉄なら地下鉄を利用して都心に向かって入って来る、こういう利用度というものはうんと高くなると思うのです。ローマへ行きますと、ムッソリーニの作ったあの中心駅というのがあって、ローマ周辺における交通緩和というものと、それから輸送というものと両面果たしているのです。それからイギリスの地下鉄世界で一番発展しておりまして、路面電車が全然ない。そういうことから地上自動車の繁雑さは緩和していっているという点はあるのです。それに比べてパリなんかのあの状況を見ますと、これはもう東京と同じようにあるのは、私はやはり地下鉄の不備と、それから言いかえれば、無制限に集中してくる人口自動車によると思うのであります。東京はこの点では全くどこの都市よりか全然おくれているということは私は言えると思うのです。ですから、この際高架線による等の方策道路の幅を広げていって、そして緩和をするということやら、それから駐車動やらバスターミナルやら、そういうことをやって緩和をするということと、私はあわせて実は東京の場合には環状線の、あの地下をくぐって都心に向かってくる放射線的な地下鉄発展というのは、これはもう非常に大切なんだと思う。これを渋谷でとめておいたり、新宿でとめたりするからだめなんであって、今度の新線のように、池袋から東京に向かって新宿に抜ける、あの線がどのくらい交通緩和したかということは、私はこれはもう非常に大きなものがあるんじゃないかと思うのです。そういう点でいった場合、交通緩和の最大の要件からいってみても、私はこれは路面を使っての軌道を走る電車汽車等都心に向かっては地下鉄化していくということは、もうぜひ必要なことだと思う。そのために四十年度、現在の七割でございますか、七割くらいふえる予定のようで、もし今から手をつけるとするなら、私はある程度相当郊外まで地下鉄を延ばして、しかもそれを都心に乗り入れてくると、この考え方がなければ緩和策というのはとれないのではないか、こう思っておる。その点から、これは事務当局指導だけでなしに、運輸当局の当然の方針として出されるわけでありますから、大臣がこの点強くやはり行政指導できるように、あるいは閣内でそのことを強く発言できるようなことが必要なんではないか、かように思うわけでありますので、所見をお伺いしたいと思います。
  11. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今おっしゃいましたようなこれは、東京の特に最近の自動車の激増、つまり道路と急激に発展しました自動車との間のバランスがとれてないために、今日都市中心の点でも、もうほとんど収拾がつかないような状態に陥っておるのでありまして、まあこれは世界の共通的なもので、ニューヨークでも御存じのように、やはり都心に入ったら自動車が動かないというので、郊外自動車を置いて地下鉄あるいは路面高架鉄道中心に通うというようなことすら、ああいう大きな所の道路でもそうでありますが、東京のこの道幅で、これだけ激増する自動車、しかも今局長が申し上げましたように、四十年には七十万台に及ぶということになるのであります。そこで、先般来都市交通の問題を抜本的に考えなければならぬと、これには今おっしゃいましたようなやはりいろいろと案を考えてみますけれども、結局はやはり路面電車をかりに地下鉄に移す、あるいは地上交通量地下鉄に吸収するという以外にない。そこで地下鉄を延ばすということにつきまして、また、地下鉄自体が今日経営体としてやっておりますあの行き方も、非常に膨大な金がかかるので、一キロ約二十億くらいの金を要するのでありまして、これに対して国家は別に補助というようなものも与えておらないような関係でありますので、この地下鉄の問題は、やはり国が都市交通の根本的な解決策としてこれを取り上ぐべきであるということを、先般地下鉄の値上げのときにも私から発言をしておいたのですが、やはり郊外地下鉄を延ばすようにしなければならないということは、私も先般渋谷から地下鉄に乗ろうとしましたが、大へん混雑で、あの渋谷地下鉄一本で、もうとうていさばき切れないという現状になっておるのでありますから、こういうような全体を見て、どういうふうに一つ緩和するかという点については、やはり私は今おっしゃいましたような、できるだけ郊外に延ばすような方策を根本的に立てる、財政面その他のこともありますから、なんですが、そういうような問題も合わせまして、内閣に今申し上げましたような都市交通の根本的な解決策という問題を取り上げたい。これにはやはり建設省、あるいは運輸省、もちろん大蔵、企画庁等も入れまして、そしてこの問題のぜひ先を見通し一つ方策を立てたいと思って今策定中であるのであります。また、この御審議願っております自動車審議会の問題、やはりそういう問題もここに取り上げまして、あらゆる各方面の有識の人々の御協力を得てそういう問題も取り上げたいと思いまして、私が運輸大臣になりましてから、自動車審議会というものをここに御審議を願って御議決を願いたいと思っておるのでありまして、これも一年間に限定してやっておりますが、その間にそういう問題もぜひ取り上げてみたいと、こういうふうに思っております。
  12. 石井健

    説明員石井健君) ただいまの大臣からのお話につきまして若干補足して申し上げたいと思います。先生のおっしゃる通り山手線でとまっている私鉄を、東京都心まで持ってくるということがわれわれの考えている一番根本的なことでございまして、現在東京都が実施しております第一号線というのが、川向こう押上から浅草に出まして、銀座の東を経て、最後には五反田から馬込の方に行くような路線になっております。そして途中泉岳寺から分かれて品川の方に行く路線になっておりますが、これにつきましては、押上で京成電鉄が乗り入れるという計画になっておりまして、また泉岳寺で京浜急行が泉岳寺まで穴を掘ってきて乗り入れる、そうして郊外から乗った人がそのまま都心部に行けるということになっております。また、帝都高速道交通営団建設中でございます第二号線でございますが、これは北千住から上野を通りまして、日比谷を通り最後には中目黒に行く路線でございますが、これにつきまして北千住では東武電車が乗り入れて参りますし、中目黒では東京急行の東横線がそのまま乗り入れて入ってくるような計画になっております。これをやりますにつきましては、レールの幅の問題とか、それから所要の電圧量の問題とか、あるいはまた、普通地下鉄は第三集電方式といいますか、電気を取る方法としまして、レールを三つ作りまして、レールから取る方法をやっておりますが、郊外電車は大体パンタグラフと申しまして、天井から取る方法になっております。これらを共通しなきゃいかぬ問題がありましたが、これらについて一応関係者了解点に達しましたので、今申し上げましたのは、全部郊外電車並みパンタグラフから電力を取って入っていくということになっております。  それからあと池袋から東京通りまして新宿に行く線、これは現在開業中でございますが、これにつきましても、郊外に延ばすべきだという方針にのっとりまして、荻窪まで現在建設中でございます。なお、こういう今申し上げたようなことは運輸大臣諮問機関でございます都市交通審議会から、東京都の通勤通学輸送についてこうあるべきだという答申をいただいたのでございますが、それに基づきましてやったのでございますが、この答申が三十一年にいただいておりまして、当時三十年までのいろんな統計あるいは首都圏整備委員会人口増加見通し、その他をもとにしてやったんでございますが、現在になってみますと、その当時予想した輸送量よりもずっと伸びが早いのでございまして、私どもとしましては、今申し上げた線のほかに、都市交通審議会答申としまして、第五号線というのがありましたが、これにつきましては、都市交通審議会建設は三十九年度以降というような答申でございましたが、われわれとしましては、この線についてもぼやぼやしておれない、ましてやオリンピック云々の話がある際に、早急に実施したいということで、この線につきまして早急に建設目標の期間を、あるいはあらためてもう少し路線考え直す必要があるかどうかにつきまして、都市交通審議会に諮問し、あるいはその結果都市計画委員会あるいは首都圏整備委員会とも交渉しまして、早急に実施していきたいと思います。なお、都市交通審議会大臣が諮問されたときには、通勤通学輸送をいかにすべきかという立場から諮問されましたので、それに基づきまして答申をいただいたのでございますが、最近に至りまして通勤通学輸送をいかにすべきかという問題以外に、路面において自動車が非常にふえてくる。この自動車をどうすべきかという問題と、二つの問題になって参りまして、先ほど申し上げました、何回か申し上げますが、三十一年度にもらった答申は、自動車のことは全然念頭に置かず、ただ通勤輸送はこうあるべきだという答申でございましたが、今申し上げました自動車増加に伴いまして、路面電車は撤去すべきであるというような意見もまま出て参りましたので、この路面電車の撤去問題、自動車増加問題ともからみ合わせて、さらに地下鉄網をふやす必要があるのじゃないかという考えも出て参りますので、この点につきましては、今年の十月に、根本的な交通量の調査をいたしまして、それに基づきまして、現在決定しております五路線以上に追加すべきかどうか、また追加するとするならば、どういうところに追加すべきかについて、根本的な最後審議都市交通審議会にお願いしたいと、こういうふうに考えております。
  13. 横川正市

    横川正市君 この問題であと一問お伺いしておきたいと思うのでありますが、官房長意見では、この四号線の三軒茶屋辺までというのですが、これは大体要望では、用賀ないしは二子玉川まで延ばしてもらいたいという要望もあるようでありまして、この点はただ陳情ということよりも、将来を見越しての行政上の問題として、金の問題だというのか、それとも大臣から言うように、国がまだ地下鉄補助をやっておらないから、それは強く言えないのだ、あと会社にまかせるのだと、こういうふうに放置するのか、その点も一つはっきりおいていただきたいと思うのです。私は東急資本がどんどんどんどん拡張をやって、これはもうかるからやるのでありましょうが、やっているようである。それに対して、考え方とすれば、スピードがあってそうしてたくさん輸送できりゃいいのだろうけれども、実際にはそのあたりに及ぼす影響なんかも考えなければならないのじゃないかというふうに思うわけなんです。その面からは、何年についたかわかりませんが、渋谷からの玉川線新宿からの京王線というような都心のまん中を、路面でごとごとと何両もつないで走っている。こういったことは、道路を通行するそのものにも、これはもう直接影響力のある問題なんで、この点は私はやはり会社側に、許可その他をする場合に、相当強い注文をつけて、そうしてやるべきだと思うわけですし、それから何年かこの年次計画を立てて、路面から地下へ行くような計画を立てれと、こういうような指導もすべきだと思う。  それからもう一つは、今環状線の問題でもう一つ大きな問題は、あの五反田のところのガードですね。それから池袋へ板橋からあそこを抜けていく踏み切り、それから第一京浜から第二京浜へ抜けるあの大森のところですか、蒲田のちょっと手前ですか、あそこの一間半ぐらいなガード、もう非常にその交通を阻害して何年かたっているようです。ことに蒲田へ抜けるあの道路は、両側からもうすでにあれは何メートルですかね、相当広い道路ができてしまって、あそこは立体交差の唯一の道路ができているのに、あそこのガードだけがじゃまになって、交通量が依然として阻害されているわけなんです。ああいう全体的な交通緩和のために障害になっているものを、もっと積極的に直したらどうなのかというふうに思うのでありますが、この点一つ合わせて伺いたい。
  14. 石井健

    説明員石井健君) 玉川線につきまして、ただいま四号線というふうにおっしゃいましたが、これは都市計画地下鉄とは関係なしに、現在の玉川線が御承知の通り道路の上を走って、非常に道路交通を阻害するという非難が非常に強いので、これにかわりまして道路とは関係なしに、二子玉川までやろうという鉄道でございまして、これにつきましては、先ほど官房長が申し上げましたように、三軒茶屋までは地下をもぐっていく、そうして三軒茶屋からは高架にする、いずれにしましても、道路交通とダブらない方式で、用賀から二子玉川まで持っていきたいと、こういう申請でございまして、ただいま工事施行認可という形で、こういうふうな鉄道を作りたいという認可申請をして参っております。これにつきまして、この線は地元からの要望もあり、オリンピックの三十九年度までにはぜひという話があるのでございまして、そのためには、これは東急側といたしましては、三軒茶屋から先まで地下でやっていたのでは、とてもそれに間に合わない、つまり三軒茶屋から先の道路が、地下にしろと言われる道路予定地が、立ちのきその他の問題で相当長引くだろう、その結果それをやったんでは、三十九年までには間に合わないだろうというふうに会社側では申しております。ただし、今申しました三軒茶屋まで地下、それ以降高架という工事施行認可を申請してきておりますが、これにつけ加えまして、もしも三軒茶屋から向こうの方の道路状態が早急にうまくいくようだったらば、そっちの方も考えるというふうな書き方をしております。そして私の方としては、技術的にただいま検討しているところでございまして、今はっきり申し上げるのは時期じゃないかと思います。  なお、この線と先ほどの話にありました地下鉄関係があるのでございまして、と申しますのは、現在地下鉄渋谷起点でそこから先は行っておりませんが、この東急新玉川線地下鉄が乗り入れる計画になっております。そして乗り入れまして、現在の地下鉄の浅草銀座の線は、結局車庫がないために現在以上の両数をふやし得ないという状況でございますので、そのためにこの新玉川線を延長しまして、その先の用賀に地下鉄の車庫用地を作りたい、そうした暁においてはその車庫でできますから、六両編成まではできるだろうということになっておりますので、地下鉄の用地の確保の問題と、この新玉川線が密接な関係があるのでございます。これは参考までに申し上げておきたいと思います。
  15. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) ただいま五反田のガードの問題、あるいは池袋の踏み切りの問題、また蒲田のガードの問題等御指摘がございました。かねがね実は運輸委員会の方でも非常にこれは問題にされておるところであります。東京はもちろん非常に問題でございますが、単に東京に限りませず、鉄道と道路との交差、これは立体交差あるいは平面的な踏み切りの問題がございますが、これにつきましては、非常に問題が多いのでございまして、国有鉄道あるいは私鉄の運転事故といったようなものも、非常に戦後一時ふえておりましたものが減って参っておりますが、踏み切りだけは増加の一途をたどっておるという実情でございます。なお、踏み切りの事故のために列車が脱線するというようなことも、最近しばしば新聞等にごらんになっておる問題でございまして、そこで具体的な話はあとにいたしまして、全般といたしまして踏み切りをなくして立体交差にする、あるいは踏み切り道を立体交差にまではしないが改善するということにつきまして、全般として国の施策を強力に推進する必要があるというふうに考えておるところでございます。なぜ、これが非常におくれるかということでございますが、端的に申し上げますと、一番問題は金の問題だ、その金をどういうふうな負担で出すかということが問題にされておるのでございます。そういう点につきまして、実は鉄道と道路の交差に関する法律案というものを、ただいま私どもの方で立案をいたしておるのでございまして、建設省、主として建設省との関係、一部もちろん予算がございますので、大蔵省との関係もございますが、なかなか調整がつきませんでしたが、もう最終の段階に来ております。はっきりルールをきめて、そして計画的にこれを踏み切りを除去しあるいは改善していくという方向に参りたい、かように考えておる次第でございます。  なお東京の問題につきましては、これは非常に具体的な問題でございますが、もうやらなければならぬことは、お説の通りでございまして、私ども内部でも非常にやかましく言っているのでございます。ただ経費の分担が、国有鉄道がこれをやるということではございません。国鉄は踏み切りを、たとえば立体交差にいたします場合に、国鉄が持つ面があることはこれは事実ですが、道路の側でやってもらわなければならぬといったような問題もございまして、要は金の問題、非常に東京の都内あたりでやりますと、たとえば池袋につきましては、もう数年前でも五、六億は少なくともかかる、これは大した金じゃないじゃないか、よって受ける交通上の損害から見れば何でもないじゃないかということは考えられるわけでございますが、いずれにいたしましても、非常に金がかかるというようなことからおくれておりまして、この点はしかも重点的に、だれが見てもはっきりしておるところは、実は私ども調査もできております。お説のように、できるだけすみやかにこれにかかっていかなければならぬと、かように考えておる次第でございますが、いろいろおくれております点は、非常に申しわけないと思います。
  16. 横川正市

    横川正市君 私は今の問題は、当然これは審議会等ができた場合には付随した問題として重要な問題になってくるだろうと思うのです。特に踏み切りとか、ガードとか、地下鉄の問題等は、その審議する最たるものだと思うのです。そこでもう一点関係をしてお伺いいたしたいと思うのでありますが、道路費用に財源として使うことを目的としたこのガソリン税の年間収入と、それから現在道路に実際上投入されているのは一体どのくらい投入されているか、だれかおわかりになっている方おりませんか。
  17. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) ガソリン税の関係で税収予定額を申し上げますと、昭和三十四年度のガソリン税の税収予定額は八百六億四百万円でございます。軽油引取税の方は百三十六億二百万円でございます。それからこの揮発油税及び軽油引取税は目的税となっておりますので、この財源収入からはほとんど全部道路建設に充てておる状況でございます。
  18. 横川正市

    横川正市君 これは三十三年度は、大体道路整備五カ年計画が実施されて総額約一兆円という予算で立てられておるようでありますが、今度の道路一般に対して、これはちょっと聞くのは間違いかもしれませんが、実際上投入されているのは、今言われたような目的税の目的に従って全部が投入されているかどうかという点で、簡単にお答えいただいたのでありますが、私の方に来ている資料では、その全額が趣旨に反して、投入されておらないように出ておるのですが、これは各府県別に割当その他があって、実際上府県別から上がる税収に配分が見合っておらないという点があるんじゃないですか、その点どうなっているか、ちょっと説明していただきたい。
  19. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) 御質問の点につきましては、私も詳細に申し上げる数字を持ち合わしておりませんのですが、予算がきめられまして一兆円、五カ年計画道路整備計画が実施されます上におきまして、ガソリン税なり、軽油引取税なりの収入との見合いの問題でありまして、各毎年度の予算が立てられました場合に、揮発油税の税収が伸びております場合には、あるいは今先生のおっしゃったような現象が生じておるかとも思いますが、これに関しましては、私どもの方及び大蔵省、建設省等でこれらの税収予定額を算定いたしまして、それによりまして予算等においても計画を立てておるという状況でありますが、あるいはまた失業対策費の方に若干の金額が回っておるかとも思いますが、これらもやはり道路建設のために使っておりますので、先ほど申し上げましたように、ほぼ全部について目的税として道路建設の方に使っておると申し上げた状況でございます。
  20. 横川正市

    横川正市君 たとえば東京でオリンピックがあって、そうして急速に道路整備しなければならないというような場合の十カ年計画とのかね合いはどうなっておりますか。
  21. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) それらの点に関しましては、建設省の方の問題でございまして、私どもの方でちょっとお答えするにはそういう知識を持ち合わしておりませんのですが、ただ現在の道路整備五カ年計画等に関しましては、さらに新しい道路建設計画を立てなければならないということで、建設省中心になって今検討を加えておる状況でございますので、われわれの方も相談に乗って、いい案を作りたいと考えております。
  22. 横川正市

    横川正市君 今の問題はまた別途から私の方で少し調査をしたあとで、運輸省の問題としてお聞きしたいと思いますから、次に移りたいと思います。  次は、運輸大臣に……。
  23. 一松定吉

    ○一松定吉君 ちょっと関連して。私は大臣自動車審議会の設置を考えついたということについて非常に敬意を表しますが、実はわれわれが自動車に乗って、大阪でも、東京でも市中を歩くときに、もう急な用事ならば自動車を降りて歩いた方がいいという状況であることは、もう御承知の通り。都会地は、大臣も御承知の通りに、路面のまん中に一つ大きく線を引いて、あと三つなら三つに区画する、そうして中央に引かれた線路の右と左を互いに交差し合う。その区画した中央の路線に近い方のやつは非常な速力の早い自動車が行く。その次にはちょっと急行ぐらいのが行っている。いわゆるごくゆるやかな自動車は一番端を運行するというようなことに、御承知の通り、都会はみなそういうふうになっていますね。ところが東京あたりの、たとえば宮城前あたりに大きい線が中にあって、両方三つくらいに分かれて、勝手に自動車が早いやつも、おそいやつもその線路を行っておるというようなことでは、せっかくあれを分けた効果もない。私ども外国に行ってみて、なるほどこれはいいやり方だなあと思って、それが日本にまねされて路線がああいう三つなら三つ分けるようになった。三つになったというのは、やはり中央の路線をもとにして、その路線に接近した方に早いやつが行き、その次に、早いのが次に行く、緩急車はその右の一番の一方のやつを歩いていく。自転車などはその横を歩くようにすれば、もう少し私は運行がうまくいくように思うのですが、そういうことの訓練ができておるのですか。あの点を一つちょっと伺ってみたいと思います。
  24. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) 今の一松先生の御質問の点に関しましては、原則的には中央の道路を高速に、その両側を緩速にという考え方に立つのでございます。ただ、これらに関しましては警察庁の方、公安委員会の方で措置をいたしておるわけでございまして、これらの点に関しましては、たとえば先ほどちょっとお話し申し上げました首都高速道路公団等が作っております首都の高速道路ができましたような場合には、確実にそのような方法がとれると思っておりますが、その他の街路に関しましては、現在交通量が非常に多いので、それらを截然と区別することがまだできておりませんのですが、これらの点に関しましては、内閣の事故防止対策本部におきまして、目下この高速車及低速車についての取り扱い方というものを検討いたしておるのでありまして、今後できるだけ秩序の立った形の交通規制というようなことがなされるように、大いに関係官庁と打ち合わせをして参りたいと思っております。
  25. 一松定吉

    ○一松定吉君 そうでしょう。私はああいう線路を区画しておるにもかかわらず、自動車が勝手ほうだいに、早いのもゆるいのもごちゃまぜに走っておるので、これはよくないことだと考えて今伺ってみたんですが、なるほどこういう点は、せっかく元米あの道路を区画して、三つなら三つに分けて、右に行くやつと左に行くやつを区別してやれば、私はもう少し速力を増すことができて交通緩和ができやせんかと思う。そういう点は、一つ欧米各国の事情には運輸大臣は十分なれていらっしゃるんですから、十二分に研究してもらいたい。  それから私ゴー・ストップの例の赤と青のその時間をもう少し短縮したらばいいんじゃないかと思うのですが、あれをどうですか。場所によっては長いのもあれば短いのもある、もう少し短縮したならば、もう少し交通緩和ができやせんか。今何秒間くらいにあれをやっておるのですかね。
  26. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今一松先生が言われました自動車を運転する人の道徳的な公共的な立場から守るということについては、多少日本の場合は欠けるところがあると私は感じておりますが、これらの点は今ゴー・ストップの話も出ましたが、これは運輸省関係があるのでありますが、これは警察の方の関係でありまして、従って今度内閣の方でやっております事故防止対策委員会及び今度御審議を願っております自動車審議会等におきましても、そういう点も取り上げまして、一つ交通の秩序を立てたいと、実はこういうふうに思っております。それは時間的に一体どういう妥当な時間かということも、私もちょっと専門家ではないから、局長からでも御答弁いたさせます。
  27. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) 各交差点におきます交通量と見合いまして、公安委員会の方であの時間をきめておるのですが、それらを具体的にその交差点、交差点できめておりますが、大体六十秒から百二十秒程度の間で、その十字路の交通量に見合った形をきめておりますのであります。
  28. 一松定吉

    ○一松定吉君 警察や公安委員の方で監督しておるというようなことでありましても、運輸省が統括してそれをおやりになることであるから、審議会のときにそういう問題を一つ十分に研究してもらいたい。  それから例の右折、左折のときの時間ですね。常に私は毎朝それを思うのですが、まつすぐこう行っておって、今度右折なら右折、左折なら左折するときに、向うに赤が出ていると困る。向うが黄になったから少し行くと、こっちが赤が出ているからここでまたとまるということで、非常に時間がだいぶかかる。まっすぐ行ってとまる。右に行こうとすると右に赤が出てとまるということで、今横川君が言われたように、ちょっと簡単なところでも一時間もかかるということはおもしろくない。ああいう点も審議会のときに、大いに問題にしてやってもらいたいという点が一つ。それから、こういうことを言っちゃ悪いのですが。乗合自動車があまり大き過ぎます。私は赤堤の方におるのですが、あれからこっちに来ますときに、ああいう大きい乗合自動車が五両も、六両も続いて来ると、普通の自動車はいつまでたっても通れない。あれは乗合自動車の大きさをもう少し小さくしろといえば、それは交通が不便になり、会社の方が不満を持つでしょうが、今の東京道路の狭いところでは、非常にあれは大き過ぎる。ああいう点は一つ研究してもらわなければならぬと思う。  それから地下鉄の増設ですが、これは地下鉄をもう少したくさんふやして、しかも地下鉄の発車度数をふやす。一つ地下電車がたったら、すぐに引き続いてあとがたつようにすれば、つまり多くの車で多くの人を運ぶことができるから、これもやはり交通緩和になるだろうと思う。それから路面電車の廃止ということでは、欧米各国の都市が廃止して、これはみな乗合自動車に変えつつあることは御承知の通りですが、これも一つ考えていただきたい。時間もないですから、私は一つ簡単に希望だけを述べておきますが、それから一方交通が非常に多くなっておる。これは道路が狭いから、従って東京ども自然そうなるのでしょうが、こういう点を一つ考えてもらいたいということ。一番困るのは、駐車場がないことです。自分は国会からちょうだいした自動車に乗って自分の事務所に通っておるのですが、ここで十分間待っている、駐車場がないから十分間どうするのだ、この十分間のうちに東京市内をぐるぐる回っております、十分なら十分間たって帰ってくる。これはガソリンが非常に損だ。国会の車庫に帰っていましょうか、といっても、十分間じゃ往復で終わってしまう。置く所がない。どっか置く所があるかといったら、有料のところがあるが、有料のところに行くと、十分間で幾ら金を払う。金を払ってもよいが、そこは満員だ。ほんとうに自動車に乗っておるものが今日迷惑をすという実情でありますから、これは私だけじゃなくてだれでもそうだろうと思いますが、この自動車交通について審議会を設けて、早く一年内にこれをやるということは、最も時宜に適したところであろうと思いますから、一つ大臣におかせられましても急速にやって、しかも経験者を一つ選ばなければいかぬ。そういう経験のあるものを一つやって、ここに委員は二十人でありますけれども、学識経験者、学識ばかりでなくて、実地に関係のある人を入れてここで研究して、なるたけ自動車緩和できるようにしていただかないと、自動車に乗っているものが、今大臣の言われたように、ほとんど都の周辺に置いて、それから一里も、二里も地下鉄に乗ってうんと運行しなければならぬということでは大へん困る。なるたけそれをよく緩和のできるようにしていただきたい。これは結局のところ道路を拡大強化すればよいということになりましょうが、道路を開くについては、家がたくさん密集しているから、これを立ちのかせるには、大地震かあるいは大火災が起こらなければ、そういうこともできない。これも容易にできますまいが、こういう点についてほんとうに急速に審議会を設けて、自動車交通緩和ということにほんとうに意を用いていただきたいということを、特に私は、横川君の御質問に付随して、意見だけを申し上げておきます。
  29. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 一松先生の御意見をよく承りまして、十分一つやりたいと思います。
  30. 横川正市

    横川正市君 大臣は、将来予想される昭和四十年の七十万台という、こういう自動車の激増を目標にしているわけなんでありますが、この激増する自動車の中で、大体営業を目的として走る常業車の増加も私は将来相当予想できるだろうと思うんです。それと合わせてこれは認可の問題が出てくるわけです。私は認可の問題は、今どうも少しふに落ちかねるわけでありますが、この個人経営のタクシーについては、大臣が英断されたようでありまして、英断をしなければ個人に営業はできなかったということは、実は私はふに落ちかねているわけなんです。同時にまた、おそらく渋谷とか新宿へ行きますと、神奈川あたりからも来るんですが、横ぺたに共済タクシーの表示をして、乗りますと、共済組合員証というものをくれるわけですね、私たちに。そうして共済組合員証を持っておれば合法らしいという、そういう盲点で運転されているもの。それから最近は、渋谷で起こりましたように、シヨバ代を取るやくざが現われて、そうして無許可の営業車から金を巻き上げるというような暴力団も生まれてくるということ。これはひっきょう私はこういうことじゃないかと思うんですよ、失業対策に無理をして失業者を全部雇って、そうして仕事を与え、そのことが生活をさせる最小限度の国の保障になっている。同じような格好で自動車を運転していれば、今なお利用者があって、そうしてその人たちの生計の足しになる。それを許可する、許可しないということから、今度はおまわりさんがそれをしょっぴいていったり、過料にしたり、自動車を没収したりしている。要は、これは需要と供給でありますから、商法からいえば、ある一つの監督機関かあるいは行政上の指導で、会社あるいは個人タクシーと同じような経営のできる者については、これを許可するという方向にゆくのが、これを緩和する一つ方法なんじゃないか。いってみれば、激増する自動車を激増させたくないというのなら、これは自家用車なら無制限にふやしてもいいという方向もおかしいわけなんでありまして、そういう点から考えてみて、もう少しこの点の解決策というものがないか。何にもあれしないのに、犯罪者を作らないという方向でゆくのが、行政上も指導上ももっともなことではないかと思うんです。ところが、非常に許可制がきびしいために、大したことをやらないのにこれが犯罪者になってしまう。これはどうも少し権力が勝ち過ぎているんじゃないか、こういう点も考えられるわけなんですが、その点で私の党でもむやみやたらに個人営業車をどうこうということについては、あまり賛成しない面もありますので、何かこの点行政指導をして、もっと運営上いい方法が見つからないものか、これを私ども痛切に痛感をいたしておるわけであります。個人タクシーを許可された大臣のこの面まで意を用いての解決策考えられておるかどうか、所信をお伺いしておきたいと思います。
  31. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 個人タクシーの問題は、今御指摘のように、戦後個人タクシーというものは大体許しておらなかったんでありますが、これは別に法律で禁止しておるわけでもありませんが、いろいろと自動車行政上の立場からそういうことをとっておったと思うのでありますけれども、やはり神風タクシーとか、非常な運転手の諸君がノルマ制度で相当、まあ露骨にいえば、絶望的な仕事に追いまくられたというような状態を、私もよくタクシーに乗るから知っておるので、運輸大臣になりましてから、個人タクシーを許するという方針を実はとったのであります。これは今の場合百七十台ぐらいですが、まもなく五月の末ぐらいには二千八百台の今申請のあるものを処理いたしますから、相当大量の個人タクシーも出ることと思うので、当局の方で今審査をやっておるのであります。そこで今問題になりますのは、共済タクシーだとか白タク、やみタクシーでありますけれども、これは厳重に取り締まらなければ、免許制度というものの根本がくずれてしまうし、ひいて法の秩序というものはめちゃくちゃになるのでありますので、この点は十分取り締まるように一つ指示をいたしておりますが、そのよってきたる原因は、やはり需要と供給のアンバランスから来ておるのであって、その点は確かに運輸行政の私はまずい点だと思うのであります。従って二千八百台今審査しておりますが、おっつけ岸道三氏が、審議会がありまして、その方に私から話をいたしまして、自動車答申を出すように命じておる次第であります。そういうことを岸氏にもよく話をしましてその問題を取り上げてもらう。いずれにしましても、正式に片一方の二千八百台がきまりましたら、諮問を出して急速に充足するようにしたい。これは各地におきまして白タク、いろいろなものが出ていますのは、やはり需要があるから、しかもそれに対して免許されたる自動車、タクシーが充足し得ないという点から起こってくることが最大の原因であると思うのでありますが、一面また過去を顧みますと、雲助タクシーみたいなものが非常に乱立してダンピング的にやりました。いろいろな交通事故の面におきましても、あらゆる面から非常な弊害等もありますので、ある程度規制をしますけれども、それはやはり社会の進運に従って妥当な線で調整していくということをやるべきではないかと、こういうように私は思うので、その点は十分に考えまして、自動車、特に最近のタクシーというものは大衆の足になっておるのでありますから、公共性等も考慮いたしまして善処いたしたいと、こういうふうに思っております。
  32. 横川正市

    横川正市君 その点で、二千八百台が解決をされた場合に、おそらくこの個人タクシーを経営できる何か優良タクシーですか、経験年数とか、それから事故数であるとか、そういったもので現在現に会社に雇われて、そしてある程度自分で車を買えるような能力もある人が実際上許可を受けるようになっても、依然としてやみタクはなくならない。まあ、やみタクやっているからこれは精神状態がよくない。それからまた事故を起こさなくても事故を起こすような錯覚を起こされると。いつまでたってもあの広場のそういったものの正業につかしめることのできないような状況に放置をすると、それがまた温床にもなるというふうに考えられるのでありますが、その点大臣として、許可基準をそういうふうにしてやるか。もう一つは、失業者を救済せしめるような意味で、その点の解決をはかるように英断をふるわれた方が、実際上は善政にならないかという点も私考えるわけですが、その点一つ伺いたいと思います。
  33. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) まあ個人タクシーを認めたということも、一つは今おっしゃいましたような趣旨に沿うて認めたのでありまして、これは非常に、やっておる人も今までの、会社でやっておる半分働いて収入は相当によくて、自分の車が償却ができる。個人タクシーに先般免許をやりましたときも、これは各会社が争うて個人タクシーに月賦で、相当長期の月賦でこれを供給するということをやっているので、あまり資金も実際要らなくて、そして自分のものとして償却され、車も大事にしますから、乗ったお客さんにも非常に評判がいいのでありまして、従って今まで相当私はそういう処置をとりましたことについて、既存業者が非常な猛烈な反対をいたしておりまして、あらゆる業界新聞等において私をたたいておったようでありますが、その後業界の人たちも、自分たちが使っておる運転手たちが、やはり将来の希望を持つためには、実現するためには、やはり事故を起こしたり、いろいろな資格を失ってはいかぬというので、運転その他についても非常に慎重になって、人格的にも非常に向上してきたということで、先般私のところへ業界の代表が、今まで反対しておったけれども、その点は間違いだったということも申し出たような次第でありまして、従って失業者を救済するために、だれでもかれでもやるというわけにはなかなかいかない。これはやはり一面からいえば、人命を預かる公共性等も持っておりますので、ある程度までのやはり資格、条件をつけてやる、ことに個人タクシーは初めての試みでありますので、まあ露骨に言えば、ウの目タカの目で、やったことが失敗すればすぐたたかれるような状態にあるものですから、やはりできるだけ初めは優秀な人をやって、それが道が開けたら逐次緩和していこうという方針をきめておるのでありまして、今、四十才まで、あるいは優良マークのある人というようなものを第一回は申しましたけれども、そういうものにとらわれずに、できるだけやはりいい人をそういう方面に出していきたいと、御承知のように、外国でも半数くらいが個人タクシーでもってりっぱにやっておるのでありますから、そういう点まで持っていきたいというふうに考えておるのでありまして、最近は私の国の福岡でも、小倉あたりでは、タクシーの免許を受けたものよりも、やみタクシーが倍以上あって、そしてこれには暴力団が結びついて、先般三人くらい殺されたというような事件がありまして、やみタクに暴力団が結びつくというような情勢にありますし、初めは安くやっておりますが、女なんかはことによるとタクシーがおどかして不当な金を取る、あるいは暴力を働くというようなこともひんぴんとして起こっておりまして、大体悪質化するという方向もありますので、十分にその点は取り締まる警察の方でも、個人タクシーの問題が軌道に乗って参りますれば、その方面としては一方に取り締まり、一方に緩和した道を開けて、そして向上するような方途を講じよう、こういうように実は感じておるのであります。
  34. 横川正市

    横川正市君 そういうことになると、何もかにも全部いいことづくめなら一番いいわけでありますが、私どもとしては、許可を持っておらないという精神的な面から、非常に挙動不審のような格好で車の運転をしている人にときどきぶつかるわけなんで、この点は、私はあまり犯罪視しないように、何とか行政指導をして正業化せしめるような方法が出されていいのじゃないか。もちろん、自動車の免許ももらっている人であり、経験も相当ある人でなければやれないわけですから、だれもかれもが全部おもしろ半分に車を運転するというようなことじゃないと思う、合わせて、共済制度で現在経営をやって、運輸当局あるいは警察との間で随所でトラブルを起こしておるのでありますが、この共済制度そのものに対しては、大臣として将来どういうふうに、これは取り締まるというよりか、指導ということの方が適切じゃないか、指導されていく、ことに個人タクシーをある程度緩和するならば、私はこのような一つの自主的な組織をもって自粛しながら運営している人を、まず初めの段階許可制にしていくと、こういうことが必要なんじゃないかと思うのでありますが、これはまあ全部がよければ一番いいわけでありますが、まず、この経営を正常化させるというような、そういう面から改正していくということも必要なんじゃないか、こう思うわけでありますが、御所見を伺いたい。
  35. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) 今のタクシーの問題等につきましては、要するに根本問題は需給の状況でありまして、需要と供給がバランスがとれなければいけませんので、先ほど大臣から御答弁ありましたように、東京におきましては二千八百の増車、それからさらに私どもとしては二千八百よりももっとふやさなければならないと考えておりますので、それらの増車をまず考えていくということが根本であろうと思いますが、その趣旨に沿って増車をいたしていきます場合に、今御質問のございました共済組合制度によってやっているものとか、そういうものにつきましては、これはやはりわれわれとしては違法の状況でございまして、これは実は現在道路運送法がありまして、ことに現在道路運送法の改正案を提出いたしまして、さらに取り締まりの強化をしようという時期でございますので、これらの人たちについて今の状況を認めて免許をするというようなことは、どうも私どもとしてはできがたいのでございまして、やはりこういう機会に共済組合あるいはやみタクシーをやっておる人たちは正常な状態に戻って、今の違法行為はまずやめてもらいたいと思っておるのでございます。その後におきまして、そういう状況が滲透していきました場合には、今後そういう違法の状態をやっておらないというような確証が得られました場合には、また何らかの考え方というものが出てくると思いますけれども、現在の状況におきましては、やはりわれわれは共済タクシーあるいはやみタクシーというようなものをやめてもらいたい。そしてそれからの需給の状況につきましては、われわれとしてバランスがとれるような形に持っていきたい、これが基本的な方針でございます。
  36. 横川正市

    横川正市君 事務当局はそういうふうに言うだろうと思うのですが、私は大臣の個人タクシー許可一つの要件として、現に個々でもってばらばらに経営、仕事をしているのでなくして、共済タクシーのような自発的であっても許可がもらえないわけですからね。きめられておって、むずかしくてもらえないからということで、こういうやむにやまれないで生計のかてとして仕事を始めよう、しかも、それは何とか違法だと言われないように自粛しよう、あるいは個人的に信用をつけて、その信用を一つ利用者に買ってもらおうとこういうように努力をしている要素というものは、許可をする一つの要素に合致してくれば、そこまでは救済をされるわけですが、ところが、その点がそれまでやらないから、共済タクシーまで含めて全部が今まるで雲助タクシーみたいに言われておる。政治上の問題からすれば、やはり殺人車とまでいかないわけですから、いわば道路運送法に違反をしたのだ、しかし、それは生計の道を立てるのにやむを得ずやったのだと、それならば一つ行政上何とかしてやろう、政治上助けてやろうというような、そういう一つの基準が変わってくれば、おのずとこれは問題が解決するように思うが、大臣から一つお伺いしたい。
  37. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) これは根本的に考え方が私と違うのでございまして、これはいやしくも免許制度というものを設けておる以上は、それを無視して、共済タクシーというのは全く法的には違法行為なんですね。違法行為をやったものを既得権として認めるというような制度にしましたら、全部崩壊してしまうのです。ですから私が先般も名古屋地区で、これは社会党の二人の有力者が見えまして、あそこの共済タクシーを認めてもらいたいという話がありましたが、それはだめだ、違法行為だから認められない。しかし違法行為をやったものは前科みたいな刻印をして、その後出しても、それがあったからやらぬということは、私に関する限りは目をつぶっておくから、その後における業績がよければ、正当な手続をもって正当にやはり資格を持つようにしてこなければならない。従ってやはり正常な姿に帰らなければだめだということを実は申しておるのであって、あなたのおっしゃるように共済組合というものを作ってやるならば許すということであれば、全部共済組合を作って、今までの既存業者も個人免許をやったものも全部崩壊してしまうということになるので、やはり法は秩序を守るということが一番大事なことでありますから、この点はどうしても私としては承認ができない。従って根本に申し上げますのは、需給の関係がやはりアンバランスから来ておる点において、そういうものが発生してくるのだから、その根源もやはり除去するということに行政上努力する、同時にそういう人は、大体今やみタクをやっておる者は、会社から首を切られた者とか、あるいは質のよくない者が多い。ほんとうを言うと、だからそういう乱暴なことをやる。真面目な人はそういうことをやらない。やっぱり正当に願書を出してやるということをしなければ、こういう者を認めるということになったら、ちょっと私らとしてはできない。失業を救済するということとは別途に考えるべきであって、法の秩序の体系を乱すようなことはできない。これは私も弁護士ですから法律的な立場から見ましても十分に……。だから私は個人タクシーを許したということは、やはり今までは端的にいえば、既存業者以外には許さなかったというような何でありまして、個人タクシーを許すのにも、いろいろに社会的抵抗もあったのですが、これは今日解消したので、この線を通じて、やはり正当な道を通じて、そうしてこれらの人たちが自分で個人営業ができるというような秩序を立てたいと、こういうように思う。共済組合その他で全国でいろいろやっておるものは、これは徹底的に取り締まる、そうして法の秩序は一方においては立てる、こういうように思うのです。
  38. 横川正市

    横川正市君 私は共済タクシーという違法行為を法秩序を維持するためにという立場がらは、これは法治国家ですからほどほどに……、やはりわれわれとしては納得のいく話なんですね。私はだから共済タクシーを違法ではないと言っているわけじゃないのです。結局罪を犯して、そうしてみずから悟るところがあって、そうしてまじめになろうという者は、これは平等にやはり法のもとで保護されて、いずれも正業について働きたいというならば、それを政治の手で何とかめんどうをみてやりたい、こういうふうに出てくるのが私は普通だと思うのです。そこで、共済タクシーをやっておる人でも、おそらく大臣は会ったら何とか職をあっせんしてやろうかという人もいるのじゃないかと思うのです。必ずしもその面で悪質だということは、言い切れないと思うのです。そこで、私はある程度たくわえのある人ならば、許可を待つということがあると思うのです。六カ月であろうが一年であろうが許可を待っている。ところが、その日その日を生活している人たちは、その日その日どういう方法でも生きる道を講じなければいけないということで血まなこで仕事をしている、こういうことになってくると、この点で私はやはりあたたかい政治の手を差し伸ばしていく要素というものは多分にあるのじゃないか、こういうことから違法は徹底的に取り締まるのだということと同時に、今度は取り締まったあと、この人たちがそれじゃ仕事ができない、生計か成り立たないという、こういうことになったらどうするのだ。いや、それはほかの方の失業救済その他でみればいいのが、おれの方は徹底的に取り締まればいいのだということには私はならぬのじゃないかと思う。そういう点でもう少し緩和策として、需給と供給の問題であろうと思いますし、それからもう一つは、許可そのものに対しても、もう少しスピーディーにある程度許可をしていく、その時間的な経過も早めていく、こういうことでこの点の緩和をしていくことは当然だと思います。同時に、私は共済タクシーをやっている人たちが、もと正業についておったのか、何か悪いことをしてやめた。たとえば煙突を立てたとか何とか、組合運動をやったとか、いろいろあると思うのです。そういう点から見ると、最近のタクシー業者の中でも台数がある程度高いところと、それから低いところとでは待遇がまるっきり違う。それから同時に不平不満もそういう点には多い。それから最近の小さなタクシー会社の争議その他を見ておりましても、そういう面から非常に解決すべきことを解決しないで、紛争が長びいているという例もあるわけで、そういう面も指導していかなければならぬと思うのであります。これはまた別途機会も得ていろいろ話したいと思うのであります。この白タクとか共済とかいうことを大別して、今大臣の言うように、不当な料金を請求して、暴力を働いたりする者と、それからやむにやまれずに、許可をもらえないでやっている、その差というのは、非常に大きな開きがあるのではないか、その大きな開きの中のものを、私どもとしてはできるだけ多く生業につかせる、それは需要と供給の問題を調べて、すみやかに許可をする、こういうようにしなければならないのだと思うのでありますが、その点もう少し大臣、取り締まりはいいのですが、取り締まったあとの策がどうも私どもとしては納得がいかないわけであります。一つ付言して説明していただきたい。
  39. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 私が申し上げるのは、まあ血も涙もないことをやるという意味ではありませんので、やはり法の秩序を、許可制というものがある以上は、許可制というもののやっぱり法益といいますか、そういうものをやはり確立しなければならない、こういうように考えるのであって、従ってやむにやまれぬから、生活に困ったからやったということ、それがあたかも既得権のようになるという事態ですね、そういうことをしますると、全体の法の秩序というものが崩壊するから、むしろそこは区切りをはっきりつけて、しこうしてそういう人々の、いい人々は私がさいぜんからるる申し上げますように、また顔をきれいに洗い直して、あかを落として、そのときはそのときでまたものを考えることがいいのじゃないか。それもそういうことは、大体法律違反とか何かやった者は許可しないという基準があるのだ。けれども法律違反をやったかやらないかは検挙してみなければわからないのだから、そういう人はりっぱな人が出てくるから、りっぱな人として出てくれば、新たなる観点からやっていいというくらいでこの問題はおさめないと、私は非常に混乱すると思うので、あなたのおっしゃいます趣旨はよくわかりますし、私もどっちかというと人情男ですから、そこで今私が大臣になりましてから、おっしゃいましたように、各タクシー業者があまりにも働いている人々に対する扱い方が悪い。労働条件も悪ければ、福利施設もないというので、相当査察もしますし、局長を通じてやかましく言いますし、また、それらの労働の改善というようなことが相当にあって、その後だいぶよくなって参りました。特に中小企業のやっておる暴力団みたいのものを使ってやっているのは、厳重の警告を発します。また個人タクシーの願書を出した者は、全部首切るということは、やはり資本家側でタクシーの業者でやったということ、それに対しても警告を発して、そういうことをもしやっておったら、私自身が会社を視察してみて、営業を取り消してしまうというようなことで、秩序を立てておるのでありまして、あまりに違法をやっているものを既得権として認めろということは、むしろ私はかえって全体が不幸になるのじゃないか、その点は十分にあなたの言われる趣旨は腹の中におさめて、行政的に善処いたしたいと思いますので、どうぞこの辺で御勘弁願いたいと思います。
  40. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 資料要求と、それから横川委員の質問に関連して一つだけ伺っておきたい。資料要求は、あまりめんどうなものでなくてよろしいから、私はこの際いただいておきたいのですが、それは図表でもよろしい、あるいは数表でもよろしい。いずれでもよろしい。簡明でわかりやすいものを作っていただきたい。過去十カ年間における陸海空の輸送力の向上経過実績並びに今後五カ年間における輸送力増強の計画目途というものがわかるように……。それから過去十カ年間における陸海空の事故件数並びに死傷者の状況が把握されるような資料、それを出していただきたい。あまりめんどうなものでなくてよろしいから。  そこで次の質問をしたいのですが、横川委員の質問に関連してですが、運輸省は免許、認可制度を行なわれているわけですから、国民に対しては足の保証ができるような監督行政もやる責任があると思うのですね。それで私は具体的な点をあげて、はっきり行政指導を措置をするという約束をしていただきたい。それは、たとえば、競輪場の近くへ行くというと、白タク等がたくさんいてお客を奪い合いっこするほど供給がある。ところが、何か都心部で行事があるとか、にわか雨があったような場合、ときたま私たち銀座あたりへ出ておっても、タクシーがなかなか通っておるが呼びとめてもとまらない。とまるとどこですかというので、麹町というと乗せてくれない。さーっと逃げていく。これが新宿とか中野とか言って乗って、新宿中野までの料金を払えば乗せてくれる。それはどこの自動車会社自動車かということは明瞭にわかるわけです。こういうものが投書か何かというものではっきり摘発されたならば、免許とか認可している行政官庁としては、峻烈なる反省を促して、サービス精神を発揮させて、国民の足を確保するような行政監督をする責任が私はあると思う。  それからもう一つは、全国の鉄道の駅ですがね、特に私は東京駅の場合を言いたいと思うのですが、鉄道構内に業者の乗り入れを許可されることについては、相当のどこでも競争があるわけです。ことに小さな町であってもそうです。駅構内に乗り入れ権を確保するということは、業者としては大へんです。それは需要と供給の関係で、旅客に必要にして十分なだけのものを確保されなければならない。そこで、鉄道の駅側としては、制限して許可するわけですから、おおむね。許可した以上はその業者が誠実にサービスしているかどうかということを監視されて指導する私は責任があると思う。ところが、それが不十分だ。だから駅に降りてもなかなか、乗り入れている台数が少ないために乗れないという場合がある。東京駅の場合、たとえば相当車があっても、降りてきた場合全く弱肉強食ですね。荷物を持っている人とか子供とかお年寄りなんか乗れやしない。勝手に強い者が先へ行ってひつつかまえては乗るというようなことでああいうのは僕は東京駅にどこどこの乗り入れを許可していれば、それぞれ所管している官庁なり責任者があるわけです。そういう人が車をちゃんと一列に並べる、それから自動車を利用される方はお並びいただくように自動車会社は整理して、そうして安心して順序よく乗れるようにやれ。そうしなかったならば、駅構内の乗り入れ許可を取り消す、そういうような指導というものは、きわて簡単だと思うのですがね。そういうちょっとしたことをやっていただくだけで、どんなに明るく安心して旅行できるかと思う。そんなことは予算も要ることではなくして簡単にできることだと思うのです。それは実際東京駅で現にやっていない。全国そういう駅がたくさんある。そういう点については、運輸省としてさっそく警告して、あすからでもできることで、やらして下さい。その点約束して下さい。さっき、私はこれで終わりますが、一松委員の質問に関連して、大臣の答弁は私はまじめでないと思う。われわれがやっぱり要望した場合は、この要望は受け入れられる、この要望は受け入れられない。受け入れられる要望は確かにやりますというような、議員と政府とのデイスカッスがされて、それが行政に移されるというところに意義があるので、審議が終わりさえすればいい。あなたの御意見は尊重して御期待に沿うようにやります。その場のがれの答弁というものは、私はあまり、名答弁かもしれぬが感心しないと思う。で、一松委員がおられなくて欠席裁判になりますけれども、たとえば赤青の時間を短縮するといったって、私ら歩く者は、銀座あたりへ行った場合には、走って渡らなければ渡れぬというような状況ですよ、一般論として赤、青の時間を短縮したならば、自動車に乗っている人はいいけれども、歩けなくなる。それから大型バスの問題とか、審議会委員に経験者と言ったが、どんな経験者か知らないけれども、ハイヤーだけ利用している人を経験者として任命して、それも優先的になっていったら、この狭い道に、大海にこぼれるほど住んでいる国民は、歩くところがなくなると思うのです。一松委員の御要望の中には、ごもっともなことがあるけれども、全然受け入れられない点もあるわけです。そういう点は、答弁されるときは、大臣としては、これはもっともだ、この点はやりましょう、この点はちょっと問題点がありますという答弁をしていただかないと、ただ、御趣旨に沿うように努力しますといって、その場のがれで、あとで実現に移されないようなことでは、私は感心しない。だから私は先に返りますが、私の質疑した、御要望申し上げた点ですね、これはただ努力しますでなくて、私が御要望申し上げるのが御無理なのか、あるいはやっていただける、共鳴していただけるのか、もし御共鳴いただけるとするならば、運輸省から直ちに国鉄側に連絡をとって、早急に実現できるように御配慮願いたい、こういう御要望を含めてお伺いします。
  41. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今矢嶋委員の言われた、自動車をとめて、近いところだったら行かないというようなことを言う者は、これはナンバーをわかってもらえば、直ちに処罰する規定がありますので、処罰させます。先般もそういうことで、私のところに二、三投書が参りましたので、私から厳重に警告を発し、かつまた、タクシー自動車協会の会長にもその点を十分に警告を実はしているのでありまして、なお本日力強いそういう話がありますから、私からも忠告をしておきます。東京駅その他のことにつきましては、いずれ局長から話があると思うのですが、やはり東京駅等においては、あそこに乗り入れている会社の代表かだれがしているのか、さばいておる連中が逐次順番によって普通やらなけばならぬことだと思うのですけれども、足の早い者が車の来る先に行って、それをつかまえてしまうというようなことが起こる場合は、そういうことがあるのではないかと思うから、これも注意させます。  一松さんの意見について、私がふまじめな答弁をしたということですけれども、私はしごくまじめに答弁したのであります。一松先生には答弁せんでもいいとおっしゃるけれども、老人に対して敬意を表して、全部わかりましたということを言っておるので、その中にはずいぶんこっけいなこともある、おかしいようなこともあるけれども、そこは、八十四歳の老人があれだけまじめに言ったのだから、取捨選択は運輸大臣の方でやるという考えで、集約して言っておるのでありますから、どうか一つ御了承願いたい。
  42. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 先ほど御要求のございました資料でございますが、さっそく調製いたします。ただ、今後五カ年間の陸海空の輸送につきましては、実は目下企画庁を中心に、いろいろ策定中でございます。昭和三十七年度までの数字……。
  43. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでけっこうです。
  44. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) それでごかんべんを願います。さっそく作りまして、出したいと思います。
  45. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) 手続的に申し上げますと、乗車拒否の問題等につきましては、大臣が先ほど申されましたように、番号等がわかっておりますれば、それを陸運局あるいは陸運事務所、あるいは東京のタクシー協会の指導委員会等にお知らせ下されば、厳重な処分をいたすことにいたします。  そういう形でいきたいと思います。  それから東京駅のタクシーの状況等につきましては、あの東京駅の乗車口、降車口等におきまして配車をし得る会社はきまっておるのでありますが、これらの点につきましても厳重に注意して、十分自動車を回すようにいたしますが、現在のところ、やはりタクシーの需給の状態が確かに少ないのでありますが、よそに回ってしまってなかなか割り当てておる自動車が帰ってこないという状況がございますので、それらの点、今後自動車がふえますれば、またあそこに、従来のように置けると思っておりまするが、その前から、厳重に私の方からも注意いたしまして、改善させたいと思います。
  46. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 内閣委員会からこういう議論があったということで、きょう警告しておくようにやらせますから……。
  47. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめて、暫時休憩をいたします。    午後零時三十七分休憩    ―――――・―――――    午後一時五十四分開会
  48. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を再開いたします。  行政管理庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に続いて質疑を行ないます。政府側出席方々は、益谷行政管理庁長官、山口行政管理庁行政管理局長、原田行政管理庁行政監察局長、後藤行政管理庁統計基準局長等の方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  49. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 行政監察に関連して、まず二、三お伺いをいたします。私が申し上げるまでもなく、現在の行政機構は複雑多岐にわたっております。そういう点からすると、監察機能を相当強化し、さらに権限を強化しないと、なかなかもって成果を上げがたい。なかなか行政運営の円滑を期しがたいと思うわけですが、この点について先般行政審議会などが答申したところなんですが、この点について、まず長官としてはどういうふうにお考えですか。今の行管の監察の機能、あるいは権限で十分成果が上がり、事足りていると、そういうふうにお思いか。あるいは改善の要がある、余地がありとすれば、どのような点に改善の要があるか、そのような点をお伺いしたい。
  50. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) お答えする前におわびを申し上げておきます。先般来私病気で欠席いたしまして申しわけございません。行政管理庁の行政監察のことでございますが、罰則とか強制規定は権限は持っておりません。これは申すまでもなく行政管理庁の監察は不正とか不義とか、そういうものももちろん調査いたしますが、目的は不正あるいは不義があった場合に、その本を正すというのが目的でございます。従って勧告いたして、そしてみずから勧告を受けた方で十分調査をして、みずから勧告に従って是正して参るという建前になっておりまするので、それでまた十分今日まで効果を上げておる。むろん、十分とは申しませんが、大体の効果を上げておると私ども見ております。ほんとうの根源を正するのが目的でありますから、そうしてこれを相手方に実例をあげて指示をいたしておりまするので、みずから十分に反省して是正して参っておりますのが事実でございます。
  51. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 行管としては、年間を四期に分けて監察計画を打ち立てて、まずその計画に基づいて監察し、その結果に基づいて行政機関の長に対して勧告をする、勧告を受けた行政機関の長は、この勧告に対して一応回答を出す、この回答はまあ一種の作文ですから、これは体裁をつけていかようにもできるわけです、文字の上ですから。ただ問題は、この勧告を受けた行政機関の長が、この勧告通りにはたして改善のために懸命に努力したかどうか、また、勧告に基づいて努力した結果、成果を上げ得たかどうか、こういうところに問題があろうと思うわけです。これはみな勧告を忠実に受けとめて、完全に努力するということが、はたして行なわれておるかどうかによって分かれるわけです。こういう辺に問題があるのではなかろうかと思うのですが、この点いかがですか。
  52. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 回答を求めております。回答があればそれをそのまま信じてはおります。十分回答に沿って実施せられるかどうかということを、さらに検討いたしております。なお、回答がありましてもなくとも、相当期間を置きますると、さらに再調査をいたしておりまして、さらに警告を発する場合がございますので、所期の目的を大体達しておると思っております。
  53. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 勧告した場合に、これを受けとめた行政機関の長が、責任を持って改善努力すればいいわけです。だんだん改善されてくるでありましょうけれども、一度勧告をして回答は出した、さっぱりその回答通り実施されていない、こういう場合には、重ねてまた監察し、勧告し、回答を出させると、そういうことが再び繰り返されると思うわけですが、それで成果が上がれば問題が解決するわけですが、二度こういうことを繰り返してまだ成果が上がらない。しかも行管としては何らきめ手を持たない、こういうことではなかなかもって所期の目標に達し得ない。目的を達することはなかなか至難であろうと思うのですが、こういう点はどうですか。
  54. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 大体三十三年度の勧告の結果を見ますと、完全に実施いたしておるのは七〇%、一部を実施いたしておるものが一〇%、結局総計八〇%、八%でありますが、三〇%のうちに完全に行なっていないのが二割でございます。これは他の方法で完全に実施されるように重ねて勧告を出すか、また重ねて監察をいたすかということで努力をいたしております。
  55. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 長官のお答えによりますと、監察の結果勧告をすれば相当の成果をおさめ得る、現在おさめておると、こういうお言葉のようでございますけれども、私はやはり監察の結果、勧告しただけではなかなか目的を達しがたい、そういうふうに考えておるわけです。現に、この当内閣委員会で、先般行管に対して私一つの例でお伺いしたわけです。それは文部省に対して勧告をした、その内容は簡単に言うと、一学級内の児童、生徒数、これは法定では五十人以下となっておるわけです。それが今世間ですし詰め学級と言われておるくらいに、さように一学級の児童、生徒数が相当多い、これは一つの例ですが、こういうことは、よほど前に行管が監察した結果を勧告しておる。文部省でも回答は、解消するという旨の回答は出した、ところがそれから、数年たっておるのですが、さっぱり文部当局としては、このすし詰め学級の解消までには、まだまだ手をつけていないのです。これは一つの例です。それに限ったことではございません。こういうふうにただ単に勧告を繰り返しただけでは、所期の目的を達し得ないと思うのです。もちろん、現在は副総理である益谷さんが行管の長官として目を光らしておられるので、これは長官はいつまでも行政管理庁長官としておられれば別ですけれども、あなたのような相当目端のきく人が行政管理庁長官になっておる場合には、一時的には多少その点が成果を上げるかもしれません。しかし、あなたもいつまでも行管の長官でおられるとは考えられない。人によって成果が上がったり下がったり、これが現実だと思うのです、現在の制度では。そういうところに問題があろうと思うのです。そこで、今申し上げた文部省の例から見ても、長官は成果を上げておると、そういうふうに言われますけれども、現実にはなかなか成果は期待しがたい、そういうふうに断定せざるを得ない、こういう点を明らかにしていただきたい。
  56. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) ただいま御指摘の、文部省に対する勧告の実例でありますが、これは基準の法律を改正いたしまして、今やっているのであります。そして、さらに行政管理庁としては監察をいたすという考えを持っておる次第でございます。法律を改正したそうであります。
  57. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 文部省の例は、一つの例にすぎないわけですが、たとえば成果が上がっていないという一つの証左に、やっぱりあちこちの官庁で汚職の問題が跡を断たない。これなども、こういう点が徹底しておれば、汚職など起こす余裕がないはずですが、にもかかわらず、残念ながらあちらこちらでいまだに汚職は跡を断たない。これなどもまだまだ勧告程度では、なかなか行政管理庁の正常なる運営を期しがたい、こういう面があるのではなかろうかと思うのですが、その点はいかがでしょう。
  58. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 行政管理庁としては、行政各般にわたって調査をいたしておりますので、不正とか不法を、会計検査院のように国庫の歳入歳出について検査をするにとどまっておりませんで、行政全般にわたる運営のあり方の調査をいたしておるのであります。その点はやや趣を異にしていると思います。ただ、行政管理庁としては、のっぴきならない実証資料に沿って勧告をいたしておりますから、単に報告で了承するというような何ではないと思っております。また、その裏づけを十分に役所としていたしております。
  59. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 行管としては、不正とか、あるいはいろいろな、いわゆる非合法の問題に対して摘発するという機関ではなくして、不正、不法を未然に防ぐ、こういう意味のことを長官としては前にお答えになっております。ところが、もし、不幸にして不正、不法を未然に防ぎ得ずして、これは現実に起こった場合もあり得るわけですね、過去において。そういう場合にはどうなさるのか。目的としては、不正、不法を未然に防ぐ、これはりっぱな目的なのですが、これを達し得ずして現実に起こった場合も、過去において相当あるわけです。こういう場合には、どういうふうになさるのですか。
  60. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 現実に起こった場合においては、摘発するという、あるいは不当な支出を監視するという趣旨ではございませんので、行政管理庁の仕事は、相手方に勧告をいたしまして、そうして、みずから判定をして、あやまちを再び繰り返さないようにいたしております。
  61. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間の関係もございますから、次に方向を変えて、行政審議会行政機構の問題について二、三お伺いしたいと思います。  三十三年の十二月、三十四年の一月に行政審議会行政管理庁長官に答申なさった。これは、いろいろ項目が七つくらいあるわけですが、特に大事だと思われる点は、行政機構の簡素化とか、あるいはまた責任の明確化、あるいは、なるべく新設を排して既設の面を活用していく、こういうような意味の答申がなされているわけです。この答申に対して、これを受けとめた行政管理庁長官としては、これをどのように受けとめられて、また、もしこれを尊重するとされるならば、その趣旨に沿うてどのように努力なさってきたかということを明確にしていただきたい。
  62. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 行政審議会としては、簡素化ということを大きく取り上げております。従って、行政管理庁としては、各省と連絡をとって、この趣旨に沿うように努力をいたしておりますが、さらに本年の例で申しますると、行政管理庁に対して各省の組織法の改正を要請して参りました。各省とも二十三か四ございました。それを本年は行政機構の簡素化という建前から、全部拒否して参っておる次第でございます。努めて行政の簡素化という趣旨に沿うておるつもりでございます。
  63. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それでは、行政審議会答申の趣旨を十分尊重して、今後その趣旨に沿うべく努力すると、そういう意味の御答弁であったと思います。それではお伺いいたしますが、これは前から問題になっておるわけですが、閣議決定できめられた審議会とか懇談会、こういうものについては第二十八国会であったと思いますが、千葉委員から岸総理に対して、そういうものはすみやかに廃止すべきだ、これはもし必要があるならば法律で決定すべきだ、行政組織法の八条、三条にあわせて法律をもって決定すべきである旨の追及があって、岸総理もそのとき、明確に、その趣旨を体して極力これは廃止します、それから行政審議会としても同一の答申がなされたと思うわけです。なるほど、その後の経過によってこういうものは廃止されたわけですけれども一つだけ労働省関係の労働問題懇談会が残っておるわけですね。これはいかなる理由に基づいてこの労働問題懇談会だけが残っておるのか、もし、労働問題懇談会は、ぜひ必要だということであるならば、これは法に基づいて、行政組織法の八条と三条に基づいた、いわゆる法によって合法的にこれを存置する必要があろうと思うのであります。そういう経過から見て、これをこのままに放置しておくことは、やはり行管として無責任ではないか、そういうふうに考えられますが、この点どうですか。
  64. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 仰せの通りであります。閣議決定並びに省の決定によって、今残っておるのは、労働省の所管の労働問題懇談会であります。それが一つあとは全部勧告の趣旨に従って廃止いたしました。労働省のたった一つ残っておるこれに対しましても、廃止するように極力すすめております。ただ、委員会の内部の事情でありますから、もうしばらく存置してくれというので、やむを得ず今日なお解決がついていない状態でございます。いろいろの審議会につきましても、相当数整理をいたしたのでありまするが、あとからあとからと新たに審議会ができましたので、今日約二百五十のなにになっておるのであります。これも行政審議会ではどうしてもやむを得ないものは審議会に、第三者の深い経験、知識によっての判断を求めるのがこれがほんとうの民主的な運営であるというようなこともありますので、また時限立法にしなければ、いつまでも審議会行政上の責任を負担せしめるというようなことは、これは民主主義に反しますので、時限立法で広く第三者の知識を吸収するという考え方審議会を設けておるのでありますが、これもなるべく整理をいたして参りたいと思っております。
  65. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ただいまの労働問題懇談会の問題ですが、これは先ほど申し上げましたように、岸総理も約束し、行政審議会としても同じような趣旨で答申しておる。そこでこれを受けて、他の審議会についてはこれは廃止した方がいい、それはわかるのですが、今の労働問題懇談会だけを残している、その意味がただいまの御説明では了解しがたいわけなんです。岸総理が千葉委員に対して答弁したのは、二十八国会のときですから、それからもう相当たっている。その後三十四年一月に行政審議会が行管に対して管申している。それから見ても、もう一年三ヵ月を経過している。私はここで労働問題懇談会、そんなものは要らぬから廃止しろそう申し上げているのではない。これが閣議決定は違法であるから、行政組織法違反であるから、これは合法的にすべきではなかろうか、こういうことを言っているのです。従って必要があるならこれを法によって存置させる、そういう手続が必要じゃなかろうかということをお伺いしているわけですが、そういう意味で、ただいまの御説明ではどうも納得しがたいわけです。必要がなければすみやかにこれを廃止し、もし必要があるなら、そういう非合法なものはあくまでも、そうでなくても政府は労働者に対して法を守れ、法を守れと、国民に対して法を守れということをいつも口癖のように言っている。そういう政府自体がこの法を曲げて行政組織法にまさしく違反すると思われるものを、ただ一つだからいいということはないと思う。筋の通ってないものはたとえ一つでも許されぬ、こういう点が納得しがたい。必要があるのか、ないのか。あるなら合法的に残すべきだ、こういうことです。
  66. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) おっしゃる通りであります。存置を、今日に至るまでたった一つ残っている理由は、局長から答弁さしたいと思います。
  67. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 労働問題懇談会につきましては、これは御趣旨のような意味で廃止すべきものであると考えて、労働省に折衝いたしたいのでございますが、労働省の解釈はこれは懇談会であって審議会ではないというふうに申しておったのでございます。内容と運営の実態をいろいろさらに調べまして検討した結果、やはり行政管理庁としては、これは性格は懇談会ではなしに、やはり、審議会とみなすべきものであるということを考えまして、その趣旨でこれを廃止してもらいたい、廃止することができなければ、法律で提案してくれということを申し入れております。労働省でも最近この懇談会は廃止するということを申してきております。ただ労働省の実情としましては、今すぐにできないので、もうしばらく待ってくれということだけ言っているわけでありますが、廃止する方針はきまっております。その労働省で考えております内容は、十分によくわかりませんけれども行政管理庁としては極力すみやかに処置をとるようにということを、さらに強く要請する考えでおります。
  68. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 まあ近く廃止するから、それまでいましばらく待ってくれという意味らしいですが、これはまあ労働大臣おればはっきりするわけですけれども、やはり行管としてこれを審議会と認めた以上、やはり先ほどから申し上げている岸総理の言明、行政審議会答申、こういう精神を体した場合に、これは即刻廃止するか、存置するか。存置する場合は合法的に残す、こういう以外にないと思うのです。そこで、さらに行管としても労働大臣の方に申し入れて、これを早急に廃止ときまったなら即刻廃止すべきである、そういうふうに思うわけです。  次にお伺いいたしますが、おおよそ任務をもう終わったと、あるいはまあ完全に任務を終わった、こういう審議会については廃止することを適当と認める、こういう答申がなされているわけですね。その中でここに拾って見ますと、文部省関係の学校図書館審議会、それから特許庁関係の特許補償等審査会、同じく特許庁の工業所有権制度改正審議会、この三つの審議会があるわけなんですが、これも答申なされたのは、三十四年の一月ですね。それから一年三カ月もたっている。その間に何ら措置が講じられておらない。これもちょっと筋が通らぬと思うのですが、これはいかなる理由に基づいてこういうものを存置しておるのか、その点をお伺いしたい。
  69. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 学校図書館審議会は、学校図書館法で作られたものでございますが、その活動状況から見て、すでに廃止してもよろしいのではないかということを考えておるわけでございまして、これも文部省に交渉いたしたわけでございます。文部省でも、当初はなお存置の必要があるような意見でございましたけれども、最近に至って廃止するという方針に決定いたしております。しかし、これは図書館法の改正をしなければなりませんので、図書館法の改正として提案する時期をちょっと待ってくれ、事実上開かないということで休止しておくということに話し合いがついております。  それから、特許補償等審査会につきましては、これは廃止いたしました。それから、工業所有権制度改正審議会、これも現在この工業所有権制度について特に審議をお願いすべきものは手持ちがないようでございます。そこで、廃止したらどうかということを申しておるわけでございますが、実は、工業所有権制度につきましては、まだこの制度の改正について問題が出てくるかもしれないというようなことを言っておるのでございまするが、しかし、私ども行政管理庁の見解では、現在の運用状況から見れば、廃止しても差しつかえないのではないかと思っております。問題がまた新たに起こった場合に、そのときにまた、審議会の必要性をさらに論議すればよいので、一応廃止するという方針で通産省と折衝しております。
  70. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 特許補償等の審議会は廃止になったのですか。これは廃止になったとすれば、いつ廃止になったのです。最近ですか。
  71. 山口酉

    政府委員(山口酉君) これは廃止したことになっておるのでありますが、実はいつどういうふうな形で廃止になったか、今手元に資料がございませんので、後にお知らせいたします。
  72. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 特許補償等審議会については今あなたの方から廃止になったと言うから、それでは何年何月何日に廃止になったかということをお伺いしておるわけですが、そこはわからないわけですか。これはまあそれが質問の要旨ではございませんから、あとでもいいんですが、そうしますと、どうもあいまいなんですね。今この三つの審議会等について、一部については中止しておる。廃止でもなく、さりとて今活用もしていない中止状態。それから、工業所有権制度云々の審議会についても、これは将来また必要があるかもしらぬから残しておきたいのだ、こういうふうなあいまいもこたる問題であるわけですね。やはり、これは答申でも明確に廃止を適当と認めると断定しておるわけですね。それから、行管としても、その廃止をむしろ勧告しておる、勧めておる。しかも、長官は、先ほど冒頭に、行政審議会答申は尊重するという方針を明確にされておるわけですね。そこでお伺いしておるわけですが、いずれに合わしてもどうも筋が通らないと思う、そういうことでは。それでは行管はあってなきがごとくして、こういうふうなもう少しもう少しでずるずるやっておるということは、これははなはだ心外に思うのですがね。この点をさらに一つ強力にやって、必要なら残す。必要がなければ廃止すると、そういう点は当然明確にすべきではなかろうかと思う。その点重ねてお伺いします。
  73. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 行政審議会答申いたしました六つの廃止すべきもののうち、現在まで四つは廃止いたしました。あと二つでございますが、そのうちの学校図書館審議会は廃止することには文部省も同意いたしておりますので、これは法律を提案する時期を待っているということでございます。  それから工業所有権制度改正審議会の方も、これは今までの交渉のいきさつといたしまして通産省側がなおその必要が起こりそうな気がするということを言っておっただけでございまして、まあ、そういうことで多少延びましたけれども、廃止をするということにつきましては、さらに折衝いたしますし、その方向で決定する見込みが十分にございます。
  74. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それでは、今の点については、若干日時を置いてまたここで行管に対してお伺いしますから、そのときには自信を持って答弁できるよう、その間にしっかりとした措置を講じておいていただきたいと思う。  それでその次に、国家公務員法で足りるからもう必要ない、廃止すべきだと、そういうものに労働基準監督官分限審議会というものがある。これも先ほどの労働問題懇談会と同様労働省の関係ですね。これはどういう意味で行管が保留されておるのか、それとも、廃止を必要として認めて労働省にこの点について交渉されたかどうか。この点を明確にしていただきたい。
  75. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 労働基準監督官分限審議会を設置しております理由は、ILO条約によりまして労働基準監督官の身分については、特別の身分保障の措置を講ずる必要があるということがございますので、特にその点について十分な態勢をとっておるということを示す必要上、特別にこの分限審議会というようなものを設けて、その分限措置については慎重に取り扱うという格好にしたわけでございます。法理的に公務員法で足りないかどうか。公務員法の建前においても、やはり公務員の分限につきましては、公平、維持、利益擁護ということが考えられておるわけでございますので、それを適切に運用されればそれでも足るのではないかという議論になるわけでございます。そういうふうな法律的な議論と、まあ国際的にこういう態勢をとっておった方がよろしいという政策的な議論とで意見が分かれておるわけでございますが、どうしてもこの分限審議会というのを廃止しなければならないというようなことに、まだ行政管理庁としても実は踏み切っておりませんので、今申し上げましたような理由で、この審議会についてはなお存置の要否を検討中でございます。
  76. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 どうも納得しがたいですね。先ほども申し上げましたように、答申のなされたのは三十四年の一月でもう一年三ヵ月経過しておる。その間審議したけれどもなかなか踏み切りがつかないという現状に至っておる、そういう意味にとれるのですが、そこで一つこの問題を先ほどの問題と合わせて、緊急に決断を下して、必要なのか必要ないのか、はっきり行管としても態度をきめるのが先決だと思います。確信を持って、もう少し、必要なら残す、必要かなければ廃止すると、明確にすべきだろうと思います。やはりそれが一年三ヵ月も経過してまだ行管自体態度をきめかねておるのだということでは納得できないと思います。これも合わせて一つ早急に結論を出して措置していただきたいと思います。  それから次に移りますが、会議をする必要がないからこれは廃止すべきと、そういうものに通産省の顧問会議というのがあるわけですが、これに対してまずお伺いしますが、これについては行管としてはどういうふうに考えられておるのか。それから通産省としてはどういうふうに考えておるのか。いかなる理由に基づいていまだに廃止を答申されておるにもかかわらず存置されておるのかということを明確にしていただきたい。
  77. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 通産省にございます顧問会議でございますが、実は私ども行政管理庁の考え方では、これは審議会というような性格のものではない、事実この運用といたしましても顧問会議の意見を決定するというような扱いにはなっておりませんので、大臣のスタッフ的に、ほんとうの顧問的に活用されております。従って顧問会議という名前をとっておりますと、いかにも何か審議会的な感じを受けますけれども、実体はさようなものではないというふうに解釈いたしております。
  78. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 行管としてはこの顧問会議については審議会ではないと、そういう解釈をしておると言う。それはもしそうだとすれば、この審議会の中に入れてあるのではどういうわけなんですか。それからこの行政審議会としても、いただいたこの答申の中にりっぱに分類上審議会の中に入っておる。それで会議をする必要のない審議会の中に入っておるわけですね。これはどういうふうに、われわれは法律の専門家ではございませんから、分類の中に入っておればこれも審議会だ、しかしこれは必要ないだろうと、答申が必要ないと言っているから、その程度にしか解せないわけですね。どこに審議会でないという説明があるのか。もし説明がないとすると、一般の人はわからぬわけですね。こういうりっぱなものが出ておりますけれども、何らそういう解釈も入ってない。説明書きもない。ただ審議会の中に入っておる。当然審議会だとわれわれは思うわけです。必要のない審議会だと、そういうふうに解釈せざるを得ないわけですね。その点はどういうわけですか。
  79. 山口酉

    政府委員(山口酉君) これは行政審議会で「審議会等の」ということで書いてございますけれども行政審議会でもこれは審議会であるという解釈ではない。ただ整理ということになりますと、会議という名前は別につけなくてもいいんではないか、顧問でいいんではないかということでございまして、実際の運用からいきましても審議会的なものではない。その点につきましては、行政審議会とも意見の相違はないと思います。
  80. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次は「なるべく速かに任務を完了して廃止するを適当とする」、そういうものに重油ボイラー規制審議会、これは通産省ですね。それから電気関係法令改正審議会、これも通産省です。この審議会については、今なお廃止してないわけですが、これも「なるべく速かに任務を完了して」という前提がついておりますけれども、先ほど来から申し上げているように、この答申がなされて一年三カ月たっているわけですね。それから「なるべく速かに」と言えば、この時期は来ていると思うのですが、これは依然として廃止されないで、そのまま残っているわけですね、この点はどういうわけですか。
  81. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 重油ボイラー規制審議会につきましては、これは現在重油ボイラー規制法の改正法と思いますが、現在国会に審議中のものがございまして、その案によりますと、その後、その規制法が通過いたしますと一度かける必要がある。で、それが済んでから、廃止するという話し合いになっております。それから電気関係法令改正審議会は、行政管理庁との折衝におきましては、廃止するという約束になっております。で、まだ提案がないようでございますけれども、いずれこれは提案されることと考えております。
  82. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、答申の中を見ますると、議員立法なるがゆえに、そのまま手がつけられずにそのままであるというものに、総理府関係でたしか三つあったと思います。総理府が三つで、農林省がたしか五つあったと思うのです。合計この八つの審議会については、これはお伺いするわけですが、どのように措置しようとするのか。これはまあ議員立法であるために、そのまま手をつけずにあるという、そういうものであろうと思います。これもやはり行政審議会が廃止を適当と認める答申をしているわけですね。この答申を尊重する立場にある行管としては、やはりこれをうやむやにするということはおかしいと思うのですね。何とか明確にすべきではなかろうか、これに対する行管としてのお考えはどういうのか、ここをはっきりさしていただきたい。
  83. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 総理府に置かれております特殊土じょう地帯対策審議会、離島振興対策審議会、台風常襲地帯対策審議会でございますが、特殊土じょう対策審議会につきましては、三十七年三月まで、離島振興対策審議会につきましては、三十八年三月までということになっております。台風常襲地帯対策審議会は期限はついておりません。で、期限のついておりますものは、総理府では期限を今のところ延長する考えはないということでございます。台風常襲地帯対策審議会につきましては、これは現在の日本の災害の状況につきましては、なお廃止する時期にはなっていない。「なるべく速かに任務を完了し」ということでございますが、今のところ非常に台風対策につきましては、問題が大きく複雑であるので、そのめどが今のうちからはちょっと立てにくいという状況でございます。  それから、農林省に設置されております他の五つの審議会につきましては、積雪寒冷単作地帯振興対策審議会は三十六年三月、その他につきましては三十七年三月というのが期限になっております。で、農林省の方に交渉いたしました結果は、その期限後につきましては、今の状況では延長する考えはないというふうに言っておりますので、これは期限つきでありますから、それまでに任務を完了して廃止するものであると、かように了解いたしております。
  84. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これは、期限の切れたものについては、期限が満了すれば、これは自然解消になるのと違うのですか。これは、官庁の都合で、期限が切れたけれどももう少し延長するとか、そういうことはできないか、この点をはっきりしておきたいと思うのです。
  85. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 特に期限を延長する法律が成立しなければ、そのまま終了いたします。
  86. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に伺いますが、統合することを適当と認めるというものに、国土総合開発審議会、東北開発審議会、北海道開発審議会、この三つがあげられておるけれども、この三つはいずれも開発審議会だから、合わして一本にして運営するのがよろしいと、そういう意味の答申がなされておるわけですね。これに対して行管としてはどうお考えになるのか。もし、行管の態度がきまれば、廃止を適当と認める、そう判断しておって、なおかつ、これがこのままあるのはおかしいと思うのですが、まず行管のお考えを聞きたい。
  87. 山口酉

    政府委員(山口酉君) この三審議会は、数をぜひ減らせという意味からいったら、一つに直すということが意味がありそうに見えますけれども、それぞれ対象が違っておりますし、その状況が違っておりますので、結局、三つ統合いたしましても、中身は分科会を作るとか何とかで、三方面それぞれ別に審議をしなければならない実情でございますので、あまり実益がないし、それほどの必要がないのではないかというふうに結論を出しております。
  88. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私も前に約一年ばかし国土総合開発審議会委員になっておったことがあるのです。それでわかりますが、一年に一回ほどしかなかったのですね。その程度審議会で、これは効果をおさめ得るとお考えになりますか。およそ一年に一度くらい、まあ数あって二回くらいだと思うのです。忘れたころあるわけです。まあ、多くの審議会がそうだとは言いませんけれども、国土総合開発審議会は、私が関係しておる間は一回くらいしか御案内がなかったということで、せっかくの審議会に反対するわけではございませんけれども、そういうせっかくの審議会があるなら、これはやはりどんどん活用してしかるべきだと思うのです。一年に一回くらいじゃ、よほどの時間がんばってみたところで、成果は期待できないと思うのですがね。こういう点について、行管としては、いかようにお考えですか。
  89. 山口酉

    政府委員(山口酉君) この開発審議会の運用の実態が、大体翌年度の予算編成について審議されるというのが主眼点になっております。翌年度の事業計画事務当局によってある程度立てられましたものを材料として審議されておるように聞いております。そこで、大体回数はそう多くないようでございますが、その時期につきましては、予算編成の前にいずれも開いて、翌年度事業計画の調整をやるというような取り扱いのようでございます。現在の取り扱いの仕方が、運営の仕方が十分であるとは考えられませんけれども、どういうふうに運用したらよろしいかというような点で、行政管理庁としても十分研究をまだしてございませんので、ここで、どういうふうに直した方がいいという意見を申し上げることはできませんですけれども、まあ常識的に見まして、今の審議状況より、さらに実のある審議の仕方がありそうなものだとは考えております。この程度で御了承いただきたいと思います。
  90. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、時間の関係もございますから、まとめて申し上げます。次に、技術士試験委員、これは技術士審議会、これに統合するのが適当である、こういう答申が御承知の通りになされておる。それから、中央船員職業安定審議会、これは運輸省関係、それと船員教育審議会、この二つ審議会一つに統合することが適当である、こういう意味の答申がなされておるわけであります。それから、重ねて申し上げますが、工業生産技術審議会は、これは、化学工業部門を除いた残りについては、機械工業審議会と統合することを適当とする、こういう意味の答申がなされております。それから、委員に公務員が多過ぎるために、行政部門で処理するか、でなければ、委員構成を再検討するを適当とする、こういう意味の答申がなされておるわけです。それには恩給審査会、これは総理府関係、以下六つの審査会あるいは審議会があるわけです。この中で、この六つの審査会あるいは審議会の中で措置を講ぜられておるのは恩給審査会だけです。あとの五つについては、いずれもそのままになっておりますが、それぞれに対する行管の態度、そうして、もし、行管としても措置するを適当と認めておる。そういう断定がもし出たとすれば、それをそのままほっておくということは、まことに怠慢ではなかろうかと思うわけです。それから、なお、地方職業安定審議会は、これは労働省の関係だと思いますが、これは都道府県へ移管するのが適当だということについて答申がなされておりますが、これもそのままになっておる。数を上げると、まだまだたくさんあるのですけれども、大体要約して以上のような点について、先ほども申し上げましたように、行政審議会答申については、行管長官も、極力これを尊重されておるとおっしゃっておるし、それから、行管としても、その態度を決定したものについては、当然その趣旨に沿うべく早急に手を打つのが至当であろうと思う。これはあいまいもことして、その間にほっておくということは許されないと思う。もし、そうだとすれば、これは無責任きわまるものだと思う。こういう点について一つ明確にしていただいて、時間の関係もございますから、本日のところ、この辺にとどめておきたいと思います。
  91. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 技術士試験委員と技術士審議会との統合、それから中央船員職業安定審議会と船員教育審議会との統合、工業生産技術審議会は、化学工業部門を除いて機械工業審議会と統合するという問題につきましては、それぞれの所管省、科学技術庁、運輸省及び通産省に統合の可能性について早急に検討するように申し入れをしておりますが、目下検討中と思いますけれども、まだ統合するという回答も統合できないという回答も、いずれもまだ参っておりません。最近においても督促をいたしておりますけれどももう少し待ってくれということになっております。さらにこれは解決をはかるために努力するつもりでおります。  公務員が多過ぎるという問題。で、これは審議会の御意見では半分以下にしろというような御趣旨でございましたが、ただいま御指摘がございましたように、恩給審査会は十分の三に減じております。それから民事行政審議会も解任の任期がきまして、任命するたびに減らしてきております。それから更生保護事業審議会、弁理士懲戒審議会、これは任期の関係でまだやっておりませんけれども、解任の際には減ずる方針にいたしております。それから簡易生命保険郵便年金審査会は十三人中五名に減じております。まあさようなわけで公務員が多過ぎるから減ずるようにということは長官が閣議で発言をされまして、その趣旨によって各省か任期が参りましたものについて逐次その方向で努力していきたいと思います。なお、この点については監視的に見て参りたいと思っております。それから地方職業安定審議会を都道府県に移すという問題につきましては、これは政府だけの一方的な考えでもいきませんので、地方団体との折衝もあるのでございますが、この点につきましては、まだ実は意見が一致するという段階にきておりませんので、しばらく検討さしていただきたいと、かように考えます。
  92. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 行政管理庁は本内閣委員会の、立法府においては所管事項になっているわけです。で、ただいま審議中の本法律案はむしろおそきに失した感があるくらい、まず適切なる改正内容だと今の時点では判断をいたしております。で、本委員会の所管事項なんですが、一般的なことを伺っていませんので少し伺って参りたいと思います。  まず、長官にかわって統計基準局長それから行政管理局長行政監察局長、この順序でお答えを願いたい。それはあなた方はこの一年間どういう構想と抱負をもって行政をやられんとされておるか、例年同じことをやられている点は述べる必要はないのです。この一年間こういう点に重点を置きたい、新しくはこういうことをやるつもりだという、その構想と抱負を五分間に限定して先ほど申し上げました順序で御答弁願いたい。
  93. 後藤正夫

    説明員(後藤正夫君) 統計基準局は御承知と存じますが、統計法並びに統計報告調整法によりまして仕事をいたしております。統計法の方は国が積極的に法律によりまして統計を整備するという意図を持った法律でございますが、統計報告調整法の方は、国民の統計報告のための負担を軽減するという立法の精神を負っております。その精神に基づいて行政の運営をいたしております。戦後統計法を中心にいたしまして、統計の整備をはかり、今日では統計法に基づきまして百の統計が指定統計として実施されております。そのほか延べ数にいたしまして約二千五百の統計調査が統計法による指定統計以外の統計調査として実施をされております。行政管理庁といたしましては、統計はかなりよく整備されてきておるというふうに考えておりますけれども、しかしながら、なお統計法がその立法の精神としております統計調査の重複の除去というところでは、かなり問題が残されているように思われますので、今後は統計法がその第一条にうたっておりますが、統計を体系的に整備するという方向に向かって努力をいたさなければならないと同時に、統計報告調整法による国民の統計報告のための負担の軽減の措置につきましても、なお一そう調整を強化いたしまして、負担の軽減をはかる努力をいたさなければならないと思っております。  なお、昨年の八月に長官の諮問機関であります統計審議会に対して諮問をいたしまして、日本の統計をいかに整備すべきかということにつきまして、ただいま審議を求めております。統計審議会統計整備部会は美濃部亮吉博士を部会長といたしまして、毎月一回あるいは二回開きまして、今日まで当面の統計整備のあり方、また今後恒久的な統計整備のあり方両面から検討をされておりますので、逐次統計整備についての答申が出ることと思いますので、行政管理庁におきましてもこの答申とにらみあわせながら積極的に統計を再整備すると申しますか、そういう方向に努力いたさなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  94. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 行政管理庁行政管理局におきましては、特に非常に問題になっております定員管理の問題につきまして、現行の定員法が非常に運営困難になっておりますので、これを改善する問題につきまして関係各省の連絡協議会を設けることに先般閣議で了解になりまして、その線に沿って来年度の予算編成前に何らかの解決をはからなければならないと考えておりますので、それが非常に重要な案件となっております。  それからもう一つは、事務管理の改善という問題が最近特に民間の企業等では発達して参っております。官庁のサービスの向上という面から見ましても、事務管理の改善は特に重要な問題になってきつつありますので、そういう問題を本年度の重要な項目として取り上げて検討するということにいたしております。
  95. 原田正

    政府委員(原田正君) 行政監察に対しまする私の考え方といたしましては、行政監察業務は今までにおきましても相当の成果を上げてきて参っておるわけでありまするが、さらに業務運営全般についてできる限りの合理化をはかって一そうの効果を上げるように労力していかなければならない、かように考えております。従って、監察の指導等につきましても一そうの研究を重ね、また職員の能力を向上せしめるための研修等も、一段の力を注いでいかなければならない、こういうことを考えております。  次に、行政監察として取り扱いまするテーマ、項目というものが、でき得る限りそのときどきの情勢に応じて、重要かつ緊急を要するもの、そういうものにつきましては、なるべくすみやかにその問題に取っ組んで監察を実施し、これを行政運営面にすみやかに反映していくように努力をしたい、こういうことを考えておる次第であります。そういう意味におきまして、あるいは伊勢湾台風の結果に基づく事前、事後の措置、並びに応急対策に資する、こういう意味をもちまして、台風災害等に関しまする総合監察というものを実施をしておりまするし、その前におきましても、静岡におきまして狩野川中心の台風災害があった、これに関しまする現地の監察を行ない、さらにまた、山梨県下におきましても、災害の発生に伴いまして、現地の地方局をしまして直ちに現地即応の計画監察を実施せしめておる。その他一般的に中央計画監察の合い間を見まして、各地域々々において問題が起こったそういう重要な問題に取っ組んで監察をやる。たとえば福岡県下におきまする鉱害復旧の問題、これはきわめて現地における、現地的な問題でありまするが、現地における重要な問題であるとして福岡の管区行政監察局をして監察をせしめる。また、今までこういうふうな現地的な諸問題に対しまする、中央におきまする処理というものが必ずしも十分に手が回っておらなかった。現地的な問題であると同時に、それは中央にやはり反映しまして中央的な問題である、こういうことで中央の監察局としましては、そういうものをできる限り中央において取り上げて各省庁等に連絡をし、場合によりましては勧告をしましてその改善をはかる、こういうことを努力をいたしたい、かように考えております。  そのほか行政監察のほんとうの成果を上げるためには、監察をした結果というものが、十分に各省庁によって実行され、効果が上がっていく、こういうことが重要である。これはしばしば御指摘を受けた点でありまするが、これは非常に重要な問題であります。しかも、監察の最終的な成果を上げる意味におきまして最も大事なことであるということで、勧告等に基づきまする監察結果の推進、あるいは効果の確保、こういうことに一段と努力を注いでいる次第であります。従いまして、従前は、勧告をしました結果、回答を受けて、その状況に応じまして再び勧告したり、あるいは現地において推進的な措置をとっておるわけでありまするが、必ずしも十分な点がなかった、不十分な点があった、こういうことで、昨年来は、定期的な勧告に対しまして回答があった後、半年ごとに必ず再照会をしてその状況を把握し、その結果によってさらに監察をやるかどうか、こういう方針をきめていく、そういう措置を明確にいたした次第であります。また、われわれの行政監察の行政監察たるゆえんというものは、これは各省庁自体の監察と異なりまして、各省庁にまたがる行政について総合的な見地に立って監察ができる、こういうところに大きな特色を持っていると存じまして、こういう面の各省にまたがるような行政、そういうものの総合調整的な監察、こういうものに一段と力を入れていきたい、かように考えておる次第であります。そのほか管区地方局等において実施しております苦情相談、国民に対しまして直接大きな利益を与える、あるいは便宜を与える行政運営の改善、あるいは行政の民主化、こういうことに非常に役立って好評を得ておりますので、こういうことについては、ただ単に各局において受け付けるという消極的態勢のみならず、今までも一部においては実施しておりましたが、さらに積極的に管内を回って巡回苦情相談を実施しまして苦情相談業務の積極化をはかっていく、こういうような方針等に力を注いでいる次第であります。
  96. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 三局長の答弁内容は私の了とするところであります。それで、若干具体的に承って参りたいと思いますが、まず、基準局長の着想はきわめて適切であると思います。特に承ることはありません。答弁にありましたように、この統計の重複の除去、それからさらに統計の、まあ言いかえれば整理ですが、そして経費の節減をはかる、能率化をはかるというようなことはきわめて重要なことであり、適切な着想と思いますので十分御配慮願いたいことを、御要望申し上げておきます。  管理局長に伺いたい点は、先ほどの答弁に関連して、行政機関職員定員法の問題ですが、この点は長官からお伺いしたいと思いますが、来年度予算編成作業に間に合うように行政機関職員定員法の問題の一応の結論を出すお考えだという局長の答弁ですが、相違ございませんか。
  97. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 去る三月の二十五日に閣議了解で、来年の四月一日、年度の初めを期しまして定員法を廃止するという意図で調査会を各省の連絡協議会で開いて、すみやかに試案を得たいと思っております。従って予算編成期までには大体の結論を得たいと思っております。
  98. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 管理局長に伺いますが、それは、閣議了解のもとに設けられたという連絡会は、定員法に限定して連絡協議しようとするのか、あるいは広く公務員制度そのものを含めた形の連絡協議か、そのいずれであるか。さらに、これは行政管理庁がお世話をする、幹事官庁となるのか、あるいは総理府の公務員調査室長等が幹事役になられるのか、それはいかになっておりますか。
  99. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 最初の点でございますが、公務員制度の問題は、この協議会では取り扱わないことになっております。それから幹事役といたしましては、公務員制度調査室並びに大蔵省主計局の協力を得て行政管理庁が庶務を行なうということにいたしております。
  100. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その構成はいかようにきめられましたか。また、それはスタートしたのですか、それともいつスタートするのですか。
  101. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 会長といたしまして総理府の総務副長官を当てております。そして委員は各省の官房長を主体としておりますが、まあ行政管理庁では官房長はございませんで、管理局長がなっております。それから大蔵省はそのほかに主計局長、さらに人事院の給与、任用の両局長にも入っていただくという体制でございます。
  102. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 スタートしたのですね。
  103. 山口酉

    政府委員(山口酉君) すでに組織はできました。
  104. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 会合はやったのですか。
  105. 山口酉

    政府委員(山口酉君) まだ会合を開いておりません。
  106. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いつからやります。
  107. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 最近のうちにやる予定にしておりますが、準備的な会合はやっておりますけれども、これは病人等の関係でまだスタートしておりませんが、すみやかにスタートするつもりでございます。
  108. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 長官に承りますが、その閣議の申し合わせで作った協議会は、その定員法は、一般国家公務員、それから五現庁の職員も含めてやられようとするのか、五現庁だけを定員をはずすという立場でやられるのか、そういうワクをきめて協議しようとするのか、それとも、ワクはなくて協議しようとされるのか、そのいずれであるか、また行政管理庁長官としては、私見としてはいずれを持っておられるのか。本委員会でもかつてずいぶん論じられましたが、矢嶋の私見をもってするならば、郵政省と五現庁の定員のワクをはずすということは、これは当然で、むしろおそきに失したと思う。しかし、それ以外の国家公務員の定員のワクをこの際早急にはずすということは適出かどうかという点については、ずいぶん私は問題点があるという、こういう私見を持っているものです。閣議の申し合わせで、あなた方の部下に検討させるわけですが、それはどういう形で検討させようとするのか。また、長官としての御私見はどういうものを持っておられるのか、承っておきたいと思います。
  109. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 閣議で協議会に付したのは、全部、郵政省とかに限られておりませんで、たびたび五現業とか、定員外の職員を包容しておる、それに対して定員をはずせというような議論をいたしておるのは、私どもはよく承って承知しております。少なくとも矢嶋委員の仰せになった程度は、私どもははずすべきだと思う。今回はいろいろの各省の意見がございます。従って行政管理庁の長官がたびたび国会で私見を述べておるのでありますが、それは実現できていない。これは各省にいろいろの意見があるからであります。そこで、今回は協議会を開いて、各省が集まって協議するということになっております。全部の公務員を含んでおります。職員を含んでおります。
  110. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは全部の公務員を含んで、それを対象として検討するが、少なくとも来年度の予算の編成に間に合うように結論が出される、その結論は、少なくとも五現庁関係が定員法からはずされると、この程度は少なくとも間違いなく出る、こういうふうに大体判断してよろしゅうございますな。
  111. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) それを検討してもらうためにやっておるので、私ども行政管理庁の、前回の管理庁の長官も、その以前の管理庁の長官も、お説のごとくはずすべきだという私見を持っておるのです。いよいよ実行になることになると、各省それぞれいろいろな意見があって今日に至っておる。従って全部の公務員というものを各省が寄って協議をしてもらいたいということで、五現業は必ず定員からはずすという前提で調査をしてもらっておるわけではございません。
  112. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 管理局としては、この一年間は、この問題は一番重要な問題だと思います。十分、誤りのなきように善処することを特に要望しておきます。本日、浅井総裁は人事官会議で御多忙で、御出席いたしかねるということでしたが、時間を限定して御出席願われましたから、まず浅井総裁にお伺いして、それからまた行政監察局に質問を開始したいと思います。  そこで、浅井総裁に伺いますが、先般の質疑の続きですかね。先般総理府副長官から、国家公務員法の改正、具体的には人事院の改組、機構改革、それらについて連絡があった。しかし、その連絡の内容はよくわからないから、これから問い合わして、人事院としては検討する予定である、こういう答弁で、明確な答弁を保留されました。従って、承りたいことは、その後、総理府総務長官、あるいは副長官に、どういう点を問い合わせ、どういう点が明確になり、人事院の検討の結果というものはいかようになられたか、あるいは結論が出ていなければどういう状況であるか、お答え願いたいと思います。
  113. 浅井清

    政府委員(浅井清君) お答えを申します。先日この席でお答えを申し上げましたときは、簡単なる、いわゆる人事局と人事院との間の事務分掌に関するメモをいただいたばかりでありまして、それ以外のことはわからなかったのでございます。先週土曜日に至りまして、初めてこの国家公務員法改正の法案の連絡を受けたわけであります。ところが、この法案も、まだ実は内閣としてもきまっていないものであるのであります。この法案の内容をここで私が申し上げることはいかがかと思いますが、これはいずれ後刻内閣の方からお話があればお話があることと思っておりますが、それをだんだんと見ましたところが、これまで三回国会に出ておりまするところの法案と違いまするところは、これまで三度国会に出ました法案は、いずれも、ともかく人事院を廃止するという前提でできておるのでございます。今回の法案は、これは人事院は存続させると、こういうのでございまして、人事院の独立性に関する部分につきましては、ほぼ現行と異なるところはございません。それから、問題となりまするのは、その事務の分割の問題でございまして、あるいは任用についても、あるいは給与についても、その他いろいろあるように存じております。私は、この法案の内容を私から申し上げるのはいかがかと思いますが、ただ、私の考えをちょっとここで申し上げておきたいと思っておるのでございますが、その一番根本なものは、この今回の人事院改組が、ILO条約とどうして必然的に結びつくのかという問題でございますが、これは前回申し上げましたから、ここには申し上げようと思いません。  それから、前回もう一つ申し上げましたことは、やはり団交権を復活するなら別であるけれども、団交権がない現在においては、やはり中立性、独立性を持った人事院の存在が必要であるということを申し上げたのでございますが、これは政府案でもさよう考えておるもののように、私ども承知いたしました、現在の段階においてはの話でございます。何となれば、政府案はまだ内閣で最終の確定をいたしていないからでございます。  それから、任用について私申し上げたいことは、明治時代におきましては、この任用の制度というものは、みんな天皇の大権でございまして、すべて勅令できめておりましたんでございます。ところが、この勅令は全部枢密院の諮詢事項になっていたのでございます。つまり、枢密院というものがこの任用制度を守っていた。もとより、当時の枢密院は非常に保守的なものでございまするから、その意味において私は全然賛成いたしませんけれども、とにかくそういうふうな別の内閣から離れた機関があって、この行政官吏の任用制度を守っていたということでございます。もとより行政官吏は政党内閣に対して従順であることは当然でございまするけれども、政治を担当する者と行政を担当する者との間には違いがあると思うのでございまするから、この任用制度というものは、すべて人事局へ移りますることは、私どもとしては賛成できないのでございまして、公正妥当なる制度は、やはり中立機関、これは、現在では人事院ということになりまするが、そこで持つべきでないかと思うのでございます。ところが、私の見ました法案におきましては、試験選考、これを中心といたしましたこの任用制度の部分は、人事院に残っているように承知いたしております。  それから、第二に給与の問題につきましては、これはその実施部面を全部人事局へ移すという案になっているのでございます。で、これは、この実施と立案とか、そういうものの区別は非常にむずかしいんでございまするけれども、人事院といたしましては、やはり公正な立場からこの基準に関する部分は人事院に残すべきものじゃないかと思うのでございます。この二つが一番おもなものでございます。
  114. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 で、人事院の結論と申しますか、人事官会議でまとまったものは、いつ政府総理府に回答し、善処を求めるつもりですか。
  115. 浅井清

    政府委員(浅井清君) これは、すでにうちの事務総長から、椎名官房長官に対して申し述べておるつもりでございます。
  116. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは緊急事項になりますので、官房長官に出席を願っておりますが……。
  117. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて、    〔速記中止〕
  118. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  119. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 副総理にお答え願います。副総理にお伺いしますが、これは閣議でもってずいぶん問題になっておると思うんですが、ILO条約八十七号の条約批准案件と国内法整理案件、その中に国家公務員法を含むというのですが、これは伝えられるように二十八日までに国会に提出する、この方針は狂わない予定でありますか。
  120. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 公務員の法律改正については、明後日の閣議までにきめるということになっております。今月は御承知のように金曜日は天皇の誕生日でありまして、一日ぐらい繰り上げるそうであります。二十八日の約束の日までに仕上げるという、きょう話でありました。内容はまだきまっておりません。
  121. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ただいま人事院総裁からちょっと言葉があったんですが、国家公務員法の改正案要綱ですね、これを本委員会に提出していただけますか。
  122. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 改正要綱は私どももまだもらっておりません。これは官房長官が中心でやっておるようであります。私どもは実はまだもらっておりません。
  123. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたは行政管理庁長官であると同時に副総理であるという立場で私は伺っておるのですが、先ほどの人事院総裁は、そういう点が明確でないから、最終的な話は述べにくいが、現段階では云々と、こう述べられておるのですが、改正案要綱というのは、きょうの朝日新聞に詳細に出ておるじゃありませんか。こういうものをどういうふうにスクープしたか知らないが、改正案要綱というものが一面に相当詳しく出ている。そして副総理も御存じない、本委員会にも提出できない。そういうことで一体行政官庁はよろしいのですか。どういう反省を持たれますか。
  124. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 草案と申しますか、腹案とか、そういうものはもらっておりません。大体私も行政管理庁長官でありますから、話は聞いておりますが、何分まだ閣議で決定いたしておりませんので、明確なお答えはできません。
  125. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは、閣議できまってないから伺うのです。閣議で、きまったあと承ってもしようがないから。承りますが、このILO八十七号条約の批准、このことと人事院の改組などというものは無関係なことだと、かように考えますが、あなたもその認識に立たれておられますか。
  126. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) そういうように思っております。
  127. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 では追って伺いますが、政府部内にあるいは公労法、地公労法、あるいは鉄道営業法、あるいは公務員法、これらの国内関係法案を出すが、これが両院で成立するということが明確になったあとでなければ、ILO八十七号条約の批准はしない、こういうことを申し合わされているということですが、そういうことがあるかどうか。ありとすれば私はけしからぬことだと思うのですよ。まことに不穏当なことだと思うのですね。公労法、地公労法なんかの関係はありますね。従って直接の関係ない法案を持ってきて、一方の法律案が確実に成立したということを確認したあとでなければ八十七号は批准をしない、こういうことを発表されている向きもありますが、まさかと思いますが、念のために聞いておきたいと思います。筋としては八十七号条約の批准を求めて、そしてそれに関連をするものをあとで逐次法の改正を、矛盾がないように改正をしていけばいいのであって、伝えられるようなことがまさかないと思いますが、あるのかないのか。もしそういう申し合わせを閣議等でなさる場合には、益谷国務大臣としてはそういう申し合わせをしないようにしていただかなくちゃならぬと思うのですが、そういう立場から伺っておきます。
  128. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 閣議ではさような申し合わせばいたしません。
  129. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今後もしないように努力されますね。
  130. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) ただいままで、本日までは申し合わせはございません。
  131. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そういう申し合わせというのは不穏当ですね、長官。従ってそういう申し合わせを閣議においてされないように、長官としては善処されるわけでございましょう。お答え願います。
  132. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) これまでの経過は存じませんが、ただいま、本日朝まで、朝の閣議が最終ですが、それまではそういう申し合わせはありません。従って私の発言の機会も今日までないわけであります。
  133. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや今後のことをさっきから言っている。
  134. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 今後のことはどうなりましょうか。そのときの情勢いかんにもよりましょうが、私の発言の機会はないことだけを申し上げておきます。
  135. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 長官、時間がかかりますからピントを合わせて一つ質疑応答をしたいと思うのですよ。その人事院の改組というのは、これは国家公務員の改正と関連してくるわけですね。だからそういう関係のないものを私はさっき言ったようなことで取り扱われることは穏やかでないと思うのですよ。だから今までも当然そういう申し合わせをされておられないというわけです。だから今後伝えられるようにデマだと思うのだけれども、そういうような申し合わせが閣議で法律案を国会に提出をきめる場合に、一つの条件としてそういうような話が出るということはないと思うのだけれども、しかしデマか何か、一部伝えられていますから、穏やかでないと思う。だからそういうような申し合わせは、長官として穏やかでないとお考えになっておられるわけですから、そういうことはなされないように御善処なさるものと私は考えるわけです。だからその点だけ、その通りだと、こういうふうにお答え願いたいというわけです。
  136. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 繰り返して申しまするが、本日まで私の発言の機会がないのです。今後あればそのときに考えます。
  137. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そこで人事院総裁に一、二点私は承っておきますが、まだ総理府の方に意思表示をしたことに対するお答えは別にないわけですか。
  138. 浅井清

    政府委員(浅井清君) これは向こうから別に答えるというか、これは協議という形をとっていないのでございます。ただ向こうから連絡を受けただけで、こちらからは意見を申したわけでございます。その結果どうなりまするか、これはまだ政府案が最終的にきまっておりませんから、私はわからないと思います。
  139. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はその内容が的確につかめないから、非常に的確な伺い方をできないわけなんですが、あなたの先ほどの政府案でも中立性、独立性が保たれておるというのは、これは問題があるのじゃないですか。ともかく新聞等を通じて伝えられているこの内容からいえば、職階制から給与の実施から、それから任命から人事の総合調整、こういうものが人事局へ移って参るとなると、あなたのところはほとんど勧告権が主になって、公務員を保護するとか、その立場において中立性、独立性を堅持するということは、むずかしいのじゃないかと私は思うのですが、先ほどあなたは政府案でも中立性、独立性は保てるようになっておるように考えると、こういう答弁がありましたが、おかしいことはないですか。
  140. 浅井清

    政府委員(浅井清君) これ問題をちょっと二つに分けさせていただきます。第一に、人事院の独立性と申しますか、中立性と申しますか、第一は内閣の所轄であって総理府の外局ではないということ。第二は、従って国家行政組織法で人事院内部の組織は拘束されない、人事院が自分できめること、これが二つになっております。その他人事官の任命でございますとか、これすべて現行通りになっております。ただ問題は、事務の分掌の場合でありまして、私はたとえば職階制のごときは、これは人事院でやるべきものでないかと思っておるのでございます。それはさいぜん任用について云々しました中に入っておるのであります。すなわち地方公務員法におきましては、職階制の立案実施ということは人事委員会の権限になっておるのでございます。これは今回何も改正されていないのでございますから、国家公務員におきましても、たとえば矢嶋さんの御指摘になった職階制は人事院でやるのが適当かと思っておることについては、御同感でございます。  ただ、ここで一つ申し上げますることは、矢嶋さんの資料になっておりますものは、これは新聞の発表なのでございます。この新聞に書かれておりまする文字と法案とは、これは別個のものでございまするから、これは一つ法案を基礎にして御論議を願いたいと考えます。
  141. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 だから、あなたに聞かしてもらいたいと言えば、もらっていはいから出せないと言うし、副総理に聞けば知らぬと言う。それじゃ念のために聞いておきますよ。けさの四月二十六日付の朝日新聞の朝刊第一面で、これはあなた、ごらんになったと思うのですが、これは間違っていることが多いか、大体あなたがいただいた案と相違ないか、答弁しておいて下さい。後日はっきりすることですから。
  142. 浅井清

    政府委員(浅井清君) それは決して間違っておるとは思いません。ただ、この条文の個々に当たって参りませんと、非常に私は誤解がある。たとえば早い話が、分限、懲戒は人事院の権限とそこに書いてございます。しかしながら、それは決してそうではないのであって、現行法におきましても、懲戒権は任命権者にある。分限の処分は任命権者がやるのでございます。そこに分限及び懲戒となっておりまするのは、その分限及び懲戒に関する人事院規則を定めると、こういう意味でございます。たとえばそのように、非常にこれは矢嶋さんと反対の方面からの誤解もございまするから、これは新聞に表われました文字だけでは判断できないように思います。
  143. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それであなたの見解は、懲戒とか分限、こういうものの基準、それから給与の基準の設定、こういうものは人事院に残しておいてもらわなければ困る、伝えられる政府の今の原案ではその通りになっていると、こういう御答弁ですが、そうでなくて、今度、今政府の伝えられている案というのは、給与の基準の設定等は実施面として全部人事局に移っていくようになっているのじゃないですか。あなたの見解と今の政府の案はどうなっておりますか。
  144. 浅井清

    政府委員(浅井清君) ただいま副総理からも仰せられたように、内閣としてはまだ最終案をきめておりませんから、今日の段階でお答え申し上げますと、第一、分限及び懲戒は、これは現行法通り残っております。人事院の方にそういう基準は残っておるのでございますから、もちろん懲戒権は任命権者にある、分限の実施は任命権者にある、これは当然のことでございます。この点は現行法と変わらないのでございます。でございまするから、新聞から受ける印象は、あたかもそれを人事院の方に持ってきたように見えますので、おかしいのでございますが、それは現行法通りでございます。ただ給与の基準の設定に関する事務が、これが全部人事局の方にいっているということは、今日の案では事実でございます。これに対しては、われわれは少くとも初任給、昇給の基準、これは公正な機関である人事院でやるべきものだという意見内閣の方に提出しておるのでございます。
  145. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この点についてもう二、三点伺っておきますが、益谷国務大臣に伺いますが、まあ、人事院は総理府から渡された要綱に基づいて検討して、若干の意見をまとめて提示しておるということですが、それは尊重され、不明な点については人事院と話し合って、そうして結論を出されることと思いますが、政府側としてはどういう態度で臨まれるか、人事院のまとめられた意見というものをどういうふうに取り扱われるか、基本的な考え方を伺っておきます。
  146. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 私の聞いておりますところによりますると、官房長官と小笠副長官が主として交渉と申しまするか、やっておるようです。その結果もまだはっきり聞いておりません。ただ、人事院には第三者としての立場から、公正な立場から、公務員の人事行政に対する公正を確保する立場、公務員の職員の利益を擁護する立場、それはくずさないということだけを聞いておるので、どの条文をどうするか、それまでは聞いておりません。大まとめのところだけを私どもの方としては聞いておるわけでございます。
  147. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この次お目にかかるときは、おそらくもう閣議決定したあとだと思うのです。だから閣議決定までの大臣の御善処を私はお願いしたいという点で、もう一言基本的なことを伺い、要望申し上げておきますが、益谷国務大臣は、岸内閣の偏向、あるいは独走にブレーキをかける意味で、十七閣僚議席の一つを占められていると思うのです。そういう意味で、あなたは非常に力もあるし、使命は重大だと世人も思っておるし、矢嶋自身も思っているわけですが、時間がないから多くを申しませんけれども、人事院が発足した当時は、例の二百一号で公務員の団結権、それから団交権、争議権、それらを公務員から取り上げる、そのかわりに人事院を設ける、こういう経過をたどっていることは、三才の童児といえども承知しているところです。それは憲法二十八条の勤労者の団結権、団体交渉権その他団体行動権、その関係でこうなってきているわけですね。で、この際、公務員には団体協約権も与えない。争議権はもちろんである。こういう状況下に、人事院を弱化させ、それのみならず専従制限、われわれは新聞で承知している程度なんですが、伝えられるような内容の専従制限を加えて参る。しかもそれをILO八十七号条約の批准と一緒に出してくるというようなことは、全く私は火事どろ的だと思うのです。労働問題懇談会の答申は、御承知のごとく、国家公務員法、地方公務員法をいじる必要はない、国家公務員法の九十八条から出ている人事院規則を少し手直しする程度でけっこうだという答申がなされている。だから公務員法の改正それ自体八十七号条約とは直接関係はない、ましてや人事院の改組とか専従者制限というような問題は、全く関係ないことです。それを国際的に追い詰められた岸内閣は、八十七号条約の批准と一緒に、十ぱ一からげ、火事どろ的にこれをやろうという態度は、全く非民主的であるし、独裁者に通ずるものです。私はあえて苦言を呈するが、李承晩のやり方に似てきておる。(笑声)笑いごとじゃないです。この保守政権が長く続いて……。
  148. 中野文門

    委員長中野文門君) 矢嶋君質問して下さい。要点を言うて下さい。
  149. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや、それを申さなければわからない。それから、岸内閣が起こってきたその経過というものは、よく似ていますよ。世間では岸佐藤商会ともいっているし、それから岸さんを中心とするあるグループの保守政権や、専横をきわめているその行き方というものについては、同じ保守党の自由民主党の中でも批判している者が多いわけです。こういうものにブレーキをかけ、偏向性を是正する大きな使命をもって、あなたは前衆議院議長という最高の経歴を持たれているにもかかわらず、あえて副総理という資格で入閣された。これはすべての政治家、すべての国民が認識しているところです。だから、この八十七号条約、国際的に日本が義務づけられたこの条約批准を求める閣議決定をするにあたって、人事院の改組とか、あるいは特に労働組合の弾圧を一つの大きなねらいとするところの専従制限の問題とを同時に扱うべきじゃない。さらに、同時に扱った上に、これらは全部両院で議決成立した後でなければ、八十七号条約は批准しない、こういう国会対策方針といいますか、そういうことが非常に権威ある政府与党の一部から流されるということは、言語同断であると思うのです。こういう点について、私は、信頼申し上げる益谷副総理に御善処を願いたい、かように思うわけです。で、時間が迫っておりますから、いずれこれらの問題が進展した後に、次の委員会でお目にかかることになるかもしれないと思いますけれども、事前の今の段階において、以上私は若干の私見を申し述べて、益谷国務大臣に期待を申し上げるとともに御答弁を願っておきたいと思います。
  150. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) よく御説を拝聴いたしました。私は国家を中心に行動をいたしたいと思うのです。すべて国家中心主義に終始いたしたいと存ずる次第であります。ただ、今日までの法律改正の経過を見ますると、与党との調整にも相当苦心をしているようで、私は、直接交渉いたしておるわけでありませんが、官房長官その他非常に苦心をしているようで、調整に努力いたしております。私は繰り返して申し上げます。国家中心主義に終始いたしたいと思っております。
  151. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 先ほど基準局から管理局に向って、それから監察局に入るところで、浅井総裁がお見えになられましたので、その点を伺ったわけです。あと監察局以下の質疑の番になるわけですが、時間がおそくなって御催促もあるようですから、本日はこれで質疑をやめておきます。
  152. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  153. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十八分散会