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1960-04-19 第34回国会 参議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十九日(火曜日)    午前十時五十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            大谷 瑩潤君            木村篤太郎君            小柳 牧衞君            下條 康麿君            下村  定君            一松 定吉君            松村 秀逸君            鶴園 哲夫君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            向井 長年君            辻  政信君   国務大臣    国 務 大 臣 中曽根康弘君    国 務 大 臣 益谷 秀次君   政府委員    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    行政管理庁行政    監察局長    原田  正君    科学技術政務次    官       横山 フク君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    科学技術庁原子    力局長     佐々木義武君    科学技術庁原子    力局次長    法貴 四郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件原子力委員会設置法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○行政管理庁設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣女員会を開会いたします。原子力委員会設置法の一部を改正すり法律案議題といたします。前回に続いて質疑を行ないます。政府側出席方々は、中曽根科学技術庁長官原田科学技術庁官房長、作々木科学技術庁原子力局長法貴科学技術庁原子力局次長等方々でございます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいま議題となっております原子力委員会設置法の一部を改正する法律案そのものは、御承知のごとく、原子力委員を増員する、委員会機能を強化するというきわめて簡単なものでありますけれども、先日もちょっと触れましたように、原子力を含む科学行政について、この際ぜひ若干伺っておきたいと思います。そういう角度からお伺い申し上げたいと思います。先般、科学技術庁設置法審議が行なわれましたので、その際、私からもちょっとお伺いしましたし、他の議員からも質疑がなされたことと思いますけれども、非常に基本的なことでありますので、ぜひ長官の御所見を承っておきたいと思います。その前に、中曽根さんが就任されて、日本科学技術行政にともかく活が入った。生き生きとするものが感じられるようになったという点は、非常に感謝いたします。ありがたいことだと思うのです。特に長官就任以来、先般通りました宇宙開発関係に非常に力強く一歩を踏み出された。これも長官の大きな業績だと思います。ただ、今後それがどういう成果を上げるか、どういう方向をたどっていくかという点に問題点がある。先般、若干失礼なことを申し上げたわけですが、あれはお聞き取りいただいたと思うのです。昨日がらは、科学週間も新たに設けられて、実施段階人つたようです。これも十曽根国務大臣構想としてスタートされたわけでありますけれども、そういう点で日本科学技術行政の一転機をもたらしつつあるという点に敬意を衣するのですが、基本問題としては、私はどうしても重ねて伺いたい点は、日本学術会議に対してどういう見解を付たれ、それからどういうふうにして川処していかれるかということです仏。世界各国科学技術の振興、それね伴う技術革新産業経済進展という強力な政策を推進しているわけですが、大別して学者意見が無視されて、庄産人、特に政治家先行独走をした場合には、先の伸びがとまるわけですね。英国のごとき、科学政策委員会というものがありますけれども、相当レベルの高いものであるけれども、しかし、政治家専門家意向を尊重して、そうして政治家の感覚からその取捨選択をし、これを行政に移していく、こういう形をとっております。ところが、非常に私懸念している点は、吉田内閣末期ごろから日本学術会議を軽視するという傾向が出て参った。申し上げるそもなく、日本学術会議目的は、科学行政に反映せしめる、こういう使命を持っているわけです。このこと大事だということは申すまでもないと思うのです。政治科学化なんて主張されておる長官のことですから、全く異論はないと思うのです。吉田内閣末期ごろから始まったその傾向が、近ますます顕著になったような感じがする。その結果どういうことがもたらされて参るかというと、たとえば原原子力委員会の範囲に限って考えた場合も、たとえば原子力発電をやるにあたっても、コストとか、産業人意向いうものが先に出てしまって、そして安全性とかいうようなものが、やや、すると軽視されて参る。そこに一般民理解協力を得るに至らない。場合いによると社会不安さえかもし出す、ういう結果が具体的な面として出て参ると思うのです。それで私一番懸念していることは、原子力委員を二人増加して強化する、それもけっこうですが、それらの根底の問題として、一体、日本学術会議というものを、今の岸内閣、それから科学部面を担当されている長官としては、これをどういう目で見、いかようにこれに対処していかれようとしているのか、まことに失礼ですけれども、もう学術会議はあの程度にしておいて、適当なことを言わしておけばいいわ、こういうような気持内閣にも、また大臣にもあられるのではないか、こういう感じを私強く持っているものです。このことは日本、将来の科学技術進展科学行政に非常に大きな影響をもたらすものであるがゆえに承りたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 学術会議は、その設置された法律に基づきまして、かなり貴重な動きをやっておるように私は考えます。たとえば、南極観測の問題にいたしましても、あるいは災害や、そのほか累次にわたる正式の勧告総会の名前において政府に提出いたしましたり、あるいは物性研究所、の他諸般研究所を作る建議をいたしましたり、目に見えておらないようでありますけれども、学者総意を一難いたしまして、非常に貴重な参考となるべき活動を私はしていると思います。そういう部面につきましては、出府はかなり全面的に協力してその意見を取り上げておるのでありまして、南極観測などのごときは最もいい例でございますし、物性研究所東大に作るとか、あるいは災害その他にわたる諸般勧告につきましてもわれわれの方でこれを取り上げまして、いろいろ政策にも盛り上げておるわけであります。われわれがある政策をやろうとする場合に、学術会議にそのような決議や建議があるということは非常に後ろだてになりまして、それをわれわれは特に援用さしていただいておることもしばしばあるのであります。ただ、そういう学術会議の大筋の、大きな活躍に対して、正規学術会議の行為とはまだ言い切れない一委員会とか、あるいは一分科会のその研究集会という程度一のものが、新聞にたまたま報道されまして、それが学術会議意思であるかのごとく報道されておるのは、これは遺憾なんであります。たとえばコールダーホールの設置の問題にいたしましても、あるいは先般の宇宙開発研究集会にいたしましても、あれはその委員会で決議したとか、部会で決定したということではないのであります。研究集会でいろんな人が自分考えを述べ合ったという程度のことでありまして、学術会議としての考えではないのであります。それが新聞でたまたま学術会議意思決定のごとく報道されておるのを世人は誤解していると私は思います。正規にそういう形で総会意思できまったことに対しましては、われわれは非常な謙虚な立場に立って、あとう限りその趣旨を尊重していかしていく決心であるのであります。矢嶋委員から御指摘になりましたことは、そういう研究集会のことや何かのことが非常に多いのではないかと思いますが、実質的にはいろんなことで政府学術会議とは相協力して日本科学技術行政向上のために努力していると申し上げて差しつかえないと思います。今後もまた、そのように私たちはいたす決心であります。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長官意見を承った結果、私は先般、会長和達先生がお見えになったから、いい機会だからお二人そろったところで一つ伺ってみようと思ったんですけれども、時間がなかったからあの絶好のチャンスに和達会長意向も承ることができなかったんですが、今の日本学術会議内部にも問題があると思うのですよ。しかし、それは会長がおられないからさておいて、本日までの経過等から見て、政府日本学術会議を煙たがっている傾向が僕は若干あると思うのですね。確かに政府の発表される、あるいは実行されるこの科学政策批判的な意見がよく学術会議で出されます。これは私は当然だと思うのです。そういう論に対しては謙虚に、政治家にしても行政官にしても、耳を傾けなければならぬと思うのですね。しかし、そういう傾向が非常にときどき強いので、それで煙たがられる傾向がある。このことを私はいけないと思うのです。で、長官に重ねて伺いますが、長官としては、今の日本学術会議というものをますますこの法の趣旨にのっとってその使命が果たされるように強化推進して、そしてその意向というものを行政に反映するよう十分尊重していくという、こういうお考えでおられると、かように了承してよろしゅうございますか。
  6. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そのように御了承いただいて間違いございません。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで問題になるのは、科学技術会議との関係ですが、これはおそらく私が委員会を休んでいたときに若干論じられたと思うのですけれども、この点、長官、ちょっと逃げられないと思うのですね。あなた方、意識するとしないとにかかわらず、今あなた方の関心事というものは、日本学術会議意向動向よりも科学技術会議の方にずっと重点が移って、もうこの科学技術会議さえあればいいわけだ、日本学術会議というものは非常にあなた方の関心から遠ざかっていっていると思うのです、実際上。これが科学技術会議をこしらえる場合に、一番論じられたところなんですが、これが発足してからその運用を見ますと、ほとんど科学技術会議、これはまあ閣僚の方が五人入っておられる、それが中心になっているわけですが、そして若干学術会議会員専門部会に入れ、あるいは法によって学術会議会長議員に入れると、そういう形だけ一応作っておりますが、それであたかも、その日本学術会議縮刷版、それに行政府の関係大臣が五人入っておられる。そこで、この日本科学技術行政を企画推進していく、これに重点を置くといっても、ある角度から言えば、日本学術会議は全くたな上げされた形になっている。たとえば科学政策の十カ年計画というものを策定されましたね。こういうのも日本学術会議へ当然諮問され、やられるべきものですが、そうでなくして科学技術会議でやってしまっていますね。こういう場合は、日本学術会議というものは諮問を受けない、たな上げになっている。それでは、科学技術会議には学術会議会長が入っているから、十分意向が反映しているかというと、そうでもない。それから、若干学術会議会員専門部会に入ってはいますけれども、日本学術会議意向というものは、反映していない。よく論じられるところですが、科学技術会議には秘密を守る義務が課されている。だから、日本学術会議会長は、議員として入るには入っているけれども、この案件秘密だと、こういうことになれば、それを学術会議会長日本学術会議の皆さんに諮ることもできないし、単に会長として、議員である個人意見しか出すことができない。だから、日本学術会議科学技術会議との関係というものは、決してうまくいっていない。科学技術会議の発足によって、日本学術会議は全くたな上げされたような形、こういう声が学界にあるわけです。私もそのことは、ごもっともだと思う。この運営から見ましても、先ほどの日本学術会議に対するお考え方というものは、言葉だけで、実際の面では、宇宙開発問題にいたしましても、または原子力開発の方面にいたしましても、あるいは一般科学技術政策推進方策についても、日本学術会議意向というものはあまり重く取り上げられない。それが実際行政面に反映して参る面が、従来以上に私は影が薄くなったような感じがする。そういう立場でこの日本学術会議は、今重要な関頭といいますか、危機というものですか、そういうものに立たされている、こういう見方を私はするわけです。ちょうど二、三日前も、たしか東京新聞にそういうことが投書されておりましたが、私はあの記事を見て、全く同感だと、よくこういう編集をされたなと、かように私はあの記事を見たわけなんですが、どういう御所感を持っておられるか、お答え願いたいと思います。
  8. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 学術会議には、学術会議機能職分がございまして、また、科学技術会議には、科学技術会議機能職分がございまして、両方車の両輪のように相補っていくべきものだと思います。学術会議科学技術会議の仕事を全部やろうと思うと、これは無理なところがございます。たとえば、学術会議方々は数百人という方々が全国に散らばっておるわけでございまして非常勤であります。年に一回か二回総会に出てくるだけでありますから、そういう方々にいろいろな専門的なことをきめていただくといっても、わずかな時間の総会できめることはなかなかできないわけであります。科学技術会議には、常勤の委員が二人ございまして、いろいろ部会を作ってやっておるわけであります。そういうわけで、学術会議には学術会議機能の限度というものがあると私たちは思います。そこで、今十カ年計画をたとえば作っておりますが、総合部会とか、あるいは研究開発部会とか、人材養成部会とか、いろいろ計画を作っておりますに際しましては、みな学術会議のそれぞれの対応すべき部門方々に入ってきていただいております。また、各部門主査同士が集まっております連絡部会というものも特に設けてありまして、常時交流できるようにしてあります。そうして大体科学技術会議の方でいろいろ考えたり、案を作ったりする場合には、それを学術会議の方に提示して意見を求め、いいか悪いか判定してもらう、そういう形で来ております。やはり専任の職員が常時おってやっておる方がそういう立場になるのではないかと思います。学術会議の方は、大体そういう考え方批判したりアドバイスしたりするという方が大ぜいおられる学術会議としては、考えられる立場ではないかと思います。そういう意味の連絡は、私は軌道に乗っておると思いますが、ただ、新聞にときどき出ますことは、何とか委員会、何とか委員会という委員会研究集会発言が、政府に採用されるかされないかということなんであります。あれは学術会議意見ではないのであります。また、その委員会意見でもないのであります。委員会でこういう意見が出ましたということで、採決をとったことでもなければ、委員会として決定したことでもないわけです。ただ、ばらばらに出てきた発言新聞があたかも学術会議意見のように書くから、そういうふうにとられるのであります。学術会議意見ではないと私は思っております。従いまして、学術会議としてそういういろいろな問題についてわれわれの方へ申し出になるならば、やはり委員会としての意見をきめていただき、あるいは学術会議総会に諮っていただいて、われわれの方へお申し出いただけば、われわれは十分それを参考にして再検討する立場にあるわけであります。そういう考えで今両者の間を運行しておるのであります。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その学術会議と、あるいは委員会総意によって決議された意向でないものが新聞に出て惑わしておるというようなことを申されていますけれども、過去においてはそういう、正式機関できまったことが無視されて、軽視された事実というものはずいぶん多いわけですね。それで、長官の申されることも全部が全部間違っていないわけですが、あなたのおっしゃられる通りでもないと私は考えるわけです。で、少し具体的に申し上げますが少なくともこの日本学術会議法の第一章の第一条、第二条、これ読んでみますと、この法の通り学術会議を遇しているとは、どうしても考えられないですよ。ちょっと参考に大事なところを読んでみますと、第一条の2に「日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄とする。」3に「日本学術会議に関する経費は、国庫の負担とする。」しかしこの今の機構、定員、予算等科学政策を推進せにやならぬ世界情勢からくる日本立場からいって、とても重視したような点はいささかもないですよ。それから第二条に「日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として」云々、「行政産業及び国民生活科学を反映浸透させることを目的とする。」ずいぶんりっぱなことが書かれておるわけですけれども、こういう面が実際面で非常に軽視されて参っておる。その結果がどういう点に現われてきておるか、私一番心配する点は、最近、これは若干憶測が入りますが、心配される点は、かなり有力な人が学術会議に立候補しないで辞退する傾向がちょっと出てきているですよ。ちょっと私は推測しますと、日本学術会議に席を置いて、そして意見を出してなにしても一向影響力を反映していかないという、行政面に。そんな回りくどいことをするよりは、科学技術会議議員なり、あるいはその軍門部会に入って、そしてその面からやった方が実際に自分意見が反映していくという、私は学者みずから日本学術会議を軽視し、それから言葉は適当じゃないかしらないが、逃避する、こういう傾向日本学界に若干出つつあるのではないか、これは学者並びに日本学術会議内部にも問題がありますが、そういう風潮、傾向が出てくるような日本学術会議の取り扱い方、それから科学技術会議運用の仕方、そういうところに私は問題があると思う。かように、この点を一番懸念しているわけですが、長官どう考えられるか。よく例として出されるわけですが、御承知のように、英国科学政策審議会というのがあるですね。こういう機構が私はやっぱりいいのじゃないかと思います。こう改めよとは言わないが、科学技術会議運用するにあたっては、英国科学政策審議会、このような運営のされ方をされるのが適当じゃないか。かなりトップレベルであるという点においては、英国のそれと日本科学技術会議とは、いずれもトップレベルですけれども、その構成も、それから運営も著しく違うと思うですよ。それで、日本の今のなんでいきますと、どうしても、産業人意見というものが先に出て、非常に影響力を及ぼすと思う。それから、政党政治家見解というものが大きな影響力を持ち、それが先行していくと思います。これは、場合によると、危険を伴うし、また場合によりますと、これは伸びがないと思うのです。そういう点では、英国科学政策審議会のようなああいう機構運用というものがいいのじゃないか、そういう点は、やはり心すべきではないか、かように私は基本問題として考えておりますので、長官の御所見を承りたいと思います。
  10. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) われわれ政党人意見や何かが伸びがないということは事実だろうと思います。まあ、お互いお互い専門分野を尊重し合わなければ、国は発展いたさないと思いますので、学術上あるいは科学技術士の問題につきましては、あとう限り学者意見は取り上げるように努力して参りたいと思っております。ただ、学術会議には一部に批判がありまして、その批判というのは、選準法にあるわけであります。学者の値打ちというものをああいう膨大な投票を集めた形ではたして判定して、それが学術会議として学界を代表するような人が選ばれるかどうかという疑問が、学術会議内部にも実はありまして、選挙法に関する委員会もたしかできておったと思うのです。ところが、これがなかなか改正されない模様になっておるようですが、一部のそういう批判からそういう委員会ができておるのだろうと思いますが、その辺に一つ問題点があるのではないかと、私は外部から推測しておるのです。しかし、これは学術会議内部の問題ですから、われわれのとやかく言うべき問題ではないけれども、一つ批判としてはわれわれはそれを読まされて頭の中に入れておるわけであります。英国科学政策審議会のようなものは、学術会議構成は異にいたしておりまして、何と申しますか、少数精鋭主義と申しますか、学術会議のようにああいう選挙法によって膨大な投票を集めなければ議員になれないというようなものではないように私は聞いております。日本学術会議が必ずしも私はふるわないとは思いません。外国との交流にいたしましても、あるいは国際学界との連携にいたしましても、われわれの目に見えないところで非常に大きな活躍を実際はいたしております。そういう面はますます活発にしていただくように努力をいたしますとともに、制度でも万全な制度というものはないわけでありますから、学術会議内部においても、常住不断ふるわないということがあるとすれば、そこにどこに原因があるか、選挙法なりその他しかるべきところへ、いろいろ御研さんなすっていただいたらいいのじゃないかと思っております。しかし、われわれといたしましては、専門分野の御意見については十分謙虚にこれを拝聴して、いい意見行政に取り入れるように、誠心誠意努力して参るつもりであります。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その大臣の答弁を私は信頼して、今後の動向を見守って参りたいと思うのです。  そこで次に伺いますが、この宇宙開発あるいは原子力関係の場合でも常に共通している問題は、その学界行政の面でいつも対立している問題は、もう少し基礎を固めようと、独走するなと、地ごしらえが大事だと、この点だと思うのですね。昨年この日本学術会議も、これは初めてだと思うのですが、基礎科学白書というものを第一集を出されましたですね。相当充実したものを出されましたが、ああいう見解に対しては、長官はどういうふうにとっておられますか。また、昭和三十五年度の予算案編成なり、あるいは予算の執行にあたってああいう意見をどういうふうに反映さしていかれるか、この点を伺いたいと思います。
  12. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いわゆる学術会議科学者白書、今御指摘になりました基礎科学白書は、私も拝見いたしまして非常に貴重な資料であると思いました。それで、そういうレベル日本科学者を置いておくのは、われわれ政治家として、まことにはずかしい気持で拝見いたしました。こういう事態をなるたけすみやかに改革したいと思い、まして、昨年の科学技術会議の答申、昭和三十五年度予算における重点政策、こういう内容におきましても、その点を特に取り入れた次第でございます。それでその中で基礎科学技術充実、それから人材養成基礎科学技術充実の中には、待遇の改善、研究費の増額、研究施設充実ということが載っておるのであります。三十五年度予算では、十分とは申しませんでしたが、教官研究費国立大学について十億円ばかりまた上げましてまた科学研究費を約三億六千万円ふやしまして、まあ、事態は除々に改善されつつあります。しかし、これだけではもちろん十分でありません。そこで、来年度は、これは私個人のまだ一つ構想ではありますが、国立大学理科系の教授の待遇を民間のレベルに直すために、前に申し上げましたように、戦前は東大総長大審院長と同じ給料をもらっておったのですが、今は地方裁判所の中堅判事くらいしかもらっておりません。全部そういう形で下がっておるのですから、せめて検事並みに引き上げよう。そうすると五十億円かかります。そのくらいのことを挙に来年はやらなければならないと思っております、また、民間の私立大学のことも放置できませんので、研究施設に対する助成等は行なうとして、特に考えなくちゃなりませんのは、給与費は補助するわけに参りませんので、恩給がないわけです、そこで、共済組合を作っておられるようですが、これに相当額の補助をして、私立大学の教授が引退したあとでも、安心して年金がもらえるようなシステムを考えてみたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今、人の面から御答弁いただいたのですが、それでそれを突っ込んで伺いたいのですが、やはり人だと思うのですね。岸内閣で所得倍増計画というようなことを掲げておられるが、日本産業経済の発展をはかるにあたっては、あるいは道路港湾とか、あるいはダムをこしらえるとか、そういう基礎基盤を固める問題が具体的にありましょうが、私は根本はやはり後世に人と技術を残こすことだと思うのですね。これはさらに生産につながって参りますからね。その立場から伺いたいのですが、先般原子力研究総合発表会があって、三十七年度には科学技術者が約八千人、不足する、それから原子力委員会専門部会原子力科学者の養成について検討して、一万三千人程度昭和四十五年度までに養成しなければと、こういう一応の結論を出して発表されておりますが、こういう点、具体的には今後どういう計画のもとにやっていかれようとしておるのか、伺っておきたいと思います。
  14. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 政府はただいま科学技術振興の十年計画と、それと相応じまして原子力の長期計画を策定している最中であります。その一つの資料といたしまして、大体昭和四十五年度における需要者数を想定してみたのでございます。その数が合計いたしまして原子力専門科学技術者として千五百人から千六百人増、関連技術者等入れまして六千六百三十人から八千百十人増というような数字が実は出ておるのでございます。それで、これはまだ策定中の資料でありますので、確定したわけではございませんが、いずれ数字を確定いたしまして、それに応じて来年以降、大学あるいはその他における理工系の増員計画というものを、もう一回打ち立てていくべきものだと思っております。それで具体的な方法といたしましては、やはり原子力工学科とかそういう関係の学科をかなり大規模にふやしまして需要にこたえるようにいたしたいと思っております。ただ問題は、これを教える先生が実はいないということなんであります。原子力というのは、新しい学問ですから、実際一番実力を持っているのは二十代から三十代の若い人に多いわけです。厖大家にほとんど原子力の知識は最近のものを持っておりません。若い方々でまだ教授になるというところまでいっていない人が多いわけであります。先生の問題をどう解決するかということが一番のネックでありまして、いろいろ苦慮しているわけでございます。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私も原子力研究所を視察さしていただいたことがあるのですが、ほんとうにああいうところに勤めている人は、みんな若いですね。それだけに非常にたくましさがあるし、希望が持てると思うのです。特にああいう新分野を開拓する場合には、若いのじゃなくちゃだめだと思うのですね。二十代、おそくとも三十代じゃなくちゃやれないと思うのですね。だからそういう若い学徒の確保、これを伸ばす方途というものを相当積極的に配慮しなければならぬ。で科学者待遇が論じられますけれども、一般基礎科学をこつこつやって、縁の下の力持ちをされている学者は非常に不遇なんですね。これは産業界と比較的に結びつきが少ないのですからね。だから基礎科学が不十分だと、これでは将来の日本科学伸びがないと、こういう叫び声が出ることは、一面にはそういう方面の待遇問題もあるわけだと思う。こういう点について特に配慮していただかなくちゃならぬと思うのですが、先刻来伺ったところまとめて長官に御要望申し上げたい点は、私は科学技術会議日本学術会議関係を中心に長官の御意向を承ったわけですが、長官は車の両輪と言われるのですけれども、確かにそうだと思うのですよ。しかし、その車の両輪が、今は非常にアンバランスになっている。そこに私心配される面がありますので伺ったわけですが、先ほどの御答弁の線に沿ってつ御善処をぜひともお願いを申し上げておきたいわけです。  そこで、若干角度を変えましてずいぶん原子炉の導入について長い経過があり、学術会議等でも論じられたわけですが、原子力発電所の計画というのは、今どういう段階を進んでいるかお知らせいただきたいと思うのです。
  16. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本の立地条件からしまして、日本の国内のウランを開発して自給していこうという考えが基本でありまして、そこでイギリス系統の天然ウランを中心にしたコールダーホール改良型を入れることをきめまして、今その建設に入ったばかりでございます。これは四月ごろに稼働することになっております。もう一つ世界の原子力界で注目しているのは、アメリカ系の濃縮ウランでございますが、これはまだ商業ベースで採算に乗って動かしている炉というのではありませんが、そこでいろいろ試算は出ておりますので、原子力研究所が動力試験炉を濃縮ウランをアメリカから入れまして、これを稼働させてみてそっちの研究を行ない、将来船とかそのほかいろいろな部面に応用できるようにこれを活用していくつもりでおります。罰面の動力炉の問題はこの二つでありまして、それ以外のものは長期計画とにらみ合わせながら今後策定していく考え方であります。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その際やはり産業界の意向が強く入り過ぎて、安全性等が軽視されるようなことになってはいけないと思うのですが、そういう点は十分配慮されているかどうか。それから、産業界と通産省の一部が非常に結びつくわけですが、技術導入にあたっても、非常に無計画に、あせってといいますか、急ぎ過ぎている傾向がある、こういう批判が一部にあります。これは外貨支出簿も関係して参りましょうが、大蔵省の主計局方面にもかなりの批判があって、政府部内の意見は必ずしも一致していないとこう見ているのですが、これらの意見の調整その他については、経過といい、現状といい所管の中曽根大臣が一番よく御存じだと思うのですけれども、どういうふうになっているのか、またあなたの見解はどうか、承っておきたいと思います。
  18. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原子力関係の技術導入の問題は、非常に重要な問題でありまして、一年でそれが消えてしまうという知識の購入の程度のものでありましたならば、これは乙種と言っておりますが、これはかなり許可しております。しかし、長年月にわたっていろいろ提携をするものにつきましては、これは甲種と言っておりますが、これは非常に慎重にやっておりまして、まだ許しておりません。ただ、最近インドやその他東南アジア方面に、アメリカ型あるいはイギリス型等の発電炉を入れる計画が進んでおりまして、ドイツあたりが、これをアメリカあるいはイギリスの下請けをやろうとねらっているわけです。しかし、大体アジア地域は日本がカバーすべき分野であるとわれわれは考えておりますので、そういう動向、海外市場の開拓という点もにらみ合わせまして、技術導入の問題は考えていきたいと思っております。まだ許可するとか、許可しないとか決定しているわけではありませんが、業者の方ではかなり、お説の通り、急いであせっている気配があるようでありますが、われわれの側といたしましては、非常に慎重に、周到にこれを行なう考えでおります。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう点は、原子力委員会専門部会に答申を求め、慎重に結論を出される、こういう手続になりますね。
  20. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原子力委員会が責任を持ちまして慎重に処理するということになっております。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう場合の下部機構専門部会が置かれると思うのですが、そういう場合になんですか、専門部会構成というものは、どういう形をとっておられますか。
  22. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 技術導入の問題に関しましては、これは行政的な許認可的なサイドが強いものですから、こういう問題に関しましては、別に下部機構としまして専門部会等を作らないで、原子力委員会が主体になりまして検討しております。実際に、これは導入する際の最終的な決定はどこでやるかと申しますと、御承知のように、外資審議会がございましてここでやりますので、二重の機構を避けるという意味合いも兼ねまして、原子力委員会の下にさらに下部機構というのは特にございません。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで、先般もちょっと伺いましたが、災害補償問題ですね、あれを、私この前中曽根長官の答弁を承って、そうして私切り抜いておきましたそれらの関連の各社の新聞記事を帰って調べて見たんですが、何か大臣の答弁されたのと、私が保存してあった新聞を通じて承知しておるのとは違うような感じがするのですけれども、それで若干承りたいのですが、損害補償については、発電事業会社がともかく責任を持ってやる、この一般的原則ですね。まあ、災害が大きかったとか小さかったとかは別として、原則として発電事業会社が責任を持ってこれをやるんだ、こういう建前ですか、それとも違うのですか。
  24. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は、非常に重要な問題でありまして原子炉の設置者、つまりこれは発電会社にもなります。設置者に責任を集中しまして第三者に対して事故が起きた場合には、その設置者がすべて賠償を払うとか何とかいうことをやります。そうして炉を供給したメーカーや外国業者というものは、直接第三者に対しては責任を負わない。と申しますのは、やはりおれの責任ではない、おれの責任ではないと言って、設置者がメーカーの責任に帰属さしたりして逃げるのを防ぐためです。全責任を一応設置者に持たしておるわけです。その内部の求償関係は、別個に内部関係で認めさせます。外に対しては、設置者にすべて集中しておる、こういう関係になります。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それで、そういう記憶があるから私は、国家補償は低下したんじゃないかという気がしたんですけれどもね。外国では同家補償の線がもう少し出なければ採算がとれない。ちょっとでも事故があった場合には、事業会社はつぶれてしまうというので、そういう発電計画をちゅうちょした例もあるということが伝えられておるのですが、日本原子力発電関係の業界では、一部学界あるいは行政官庁のブレーキもはねのけて、勇ましく独走した傾向もあるから、そういう声はないのかと思うのですが、そういう点は原子力発電会社あたりとも意見が一致しておるのかどうか。これは災害が起こっても困りますし、まず起こらないという対策を講じなければならないわけですが、起こった場合を予想してこういうことを話されておるわけですけれども、その点はどういうふうになっておりますか。
  26. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 外国の制度に比べて国家補償の線が後退しておるとは思いません。大体世界の傾向は二つの傾向があります。アメリカ型は、災害が起きた場合に五億ドルまでは国が出してやる。ただしその五億ドールに至るまで、たしか六千万ドルでありましたか、民間保険にかけておく、こういうことになっております。イギリス型は五十億円までは民間保険でカバーしておく、それ以上の災害が起きた場合は国会を開いて、国会に授権した範囲内で補償してやる、そういうことになっております。日本のタイプはイギリス型に属するわけです。それで、五十億円までは民間保険でカバーいたしますが、しかし日本の民間保険はイギリスで再保険しておるわけです。ところが、再保険を向こうが拒絶する部分がある。それは日本の地震と風水害です。この部分はカバーできませんから、国が炉の設置者と契約いたしまして、万一の際はお金を出してやるということになるのであります。五十億をこした部分はどうするかというと、これは国会の授権の範囲内で政府が援助することができる、こうしてあります。法文上はできるとなっておりますが、これはやるということに大蔵省と了解してあります。それからイギリスよりも進んでおると思われますものは、第三者に対する相当規模の災害が起こった場合には、直ちに災害の結果を国会に報告する、そうしてその災害の措置の大綱について国会の承認を求めなければならない、こういう条文を入れるように今努力しているわけであります。この承認を求め、報告をするということは、イギリスのほかのものにはないのであります。この点は特に国民代表である国会の監督権を強化する、監視していただくという意味で挿入したのでありまして、この点はイギリスよりは進んでいると思います。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 どうしてもこういう補償関係の立法制度というものが確立しないと、外国との提携関係もうまく進捗していかないと思うのですね。それからまた、国民としては、不安があるわけですからね、そういう態勢を早く立てるということは大事だと思うのですが、その賠償関係、補償関係法律は、この国会に必ず出て参りますか。
  28. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 月末までには出すように努力いたしております。多分出せると思います。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで、それと関連してですが、この東海村には原子力研究所と発電所とが所を同じくして、地域を同じくしてできていますが、その関係もどういうふうに、都合いい面と悪い面があろうかと私は関心を持っているわけですが、それ以上にあれがきまる前には、ずいぶん米軍の演習場等の問題がありましたが、そしてとりきめ等が行なわれたわけですけれども、その点はもう一切今後もう心配ないかどうかですね。ただ、その当時だけは演習計画その他とりきめしておいても、後日また逆戻りするような場合もありますので、その点ちょっと懸念されますし、私その後の状況をよく知らないのでこの際承っておきたいと思います。
  30. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 米軍と協定しました諸条項は、順守される限り安全なものとわれわれは確信しております。その諸条項を変更する際には、日本側の同意を必要としておりますから、われわれは向こうの変更要求に対して同意しない限りは大丈夫だと思います。それから現地に関係団体の連絡委員会を作りまして、米軍の行動をまた監視できるように委員会を作らせまして、そのほか諸般の措置を行ないまして安全は確保されるものと考えます。  なお、一カ所に炉の数がある程度以上集中することは考えものでありますので、その限度もわれわれはいろいろ研究しておりまして、必要以上の炉が一カ所に集中しないように将来は考えていかなければならぬと思っております。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この損害補償の立法をすると同町に、そういう事態が起こらないようにするということは最も大事で、私はあまりその専門家でないから口はばったいことを言わないが、いろいろ新聞とか雑誌とか読んで、東海村というところは危険じゃないかというようなしろうと判断をするのですがね、あの地帯の特典な気象状況なんか書いてあるのを見ますと、やはりうなづくような点があるわけですけれども、特に演習場との関係というものは非常に大切なことだと思うのです。他の地域でも米軍との協定が成り立ち、いろいろ実施されておりましても、やはり相手が軍人ですから、事ある場合はもちろんのことですが、事のない平時の場合でも、日米の力関係というのですか、あるいは軍人の茶目っ気という点から出てくるのですか、申し合わせを破られるようなことは、陸上においても海上においても、過去幾たびもあるのですね。それはそのために調達庁あたりでずいぶんと苦労したケースというものがあるわけですが、東海村地域でそういうことがありますというと、海上あたりで演習をしてちょっと魚網に損害を与えて漁民が困ったというようなことでなくて、事はきわめて重大になるわけですから、この点がどうしても一抹の不安があるわけです。一片の文書の取りきめ、それから監視というようなことでは、万が一のことがあってはと考えるわけで、この点についてはとりまとめられた大臣としては、特にこの責任があるわけですから、十分注意していただくのみならず、私は根本的な、やはりあの地域から日本の自衛隊にしろ、米駐留軍にしろ、そのいずれにせよ、軍事的な施設、ことに演習目的に使われるような、こういう施設、設備というものはできるだけ早い機会に撤去するという方法で進まれることが、根本的な解決策だと思うのですが、それに対するお考えと見通しはいかがですか。
  32. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 将来にわたっては私もそれを希望しております。従いまして米軍の都合や、あるいは日本の代替地等もいろいろ検討いたしまして、できるだけそういう方向へ持っていくように私も努力いたしたいと思っております。今のところ、あそこを米軍が去るという見通しはございません。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは科学技術庁の長官一人だけでやれることじゃないのですけれども、日本政府の力でそういう方向へ押し進めていっていただかなければならぬと思うのです。これはまた他日他の委員会でやりたいと思います。時間がだんだん経過しますから、もう少し伺って終わりたいと思うのですが、この日本原子力開発については、申すまでもなく原則はあるわけですね、三原則というものが打ち立てられているわけですが、この前もちょっと触れましたが、ごく最近周中共総理はビルマに行って、五年内に原子力潜水艦を作るというようなことを発言されておりますね、これを大臣はどういうふうにとられているか、私はこういう方向というものは再定できない。そういう方向を歩いていると思うのですね。ここは場が違うから申しませんが、ただいま日本の新安保体制はそのベースに本格的に乗っていくことになると思うのですよ。もう今御承知のごとくIRBM、ことにCBMの段階にきました。急速な発展をしましたね、この間アイクさんがアトラスの性能度の高さを誇った演説をしたら、直後にソビエトが中部太平洋にロケットをぶち込みましたが、これを見てもICBMの発達というものは予想以上だと思うのですね。これらICBM並びにIRBM、まあICBMはともかくとして、IRBMの発射台となると、これはちょっと飛行機では無理だとなれば、潜水艦、特に原子力潜水艦からのIRBMの発射、このコースというものはもう私ははっきり出てきているコースだと思うのですね、私、こういう発表はどういう意図でされたか知りませんが、科学技術庁長官の胸の中は、かなり騒いでいるんじゃないかという私は感じがするんですが、日本原子力開発が、三原則があるだけに、そういう方面と結びついていったら大へんだ。しかし、今の日本の政権、岸内閣の国防、外交政策から推しはかるときに、そういう方向を日本科学技術政策原子力行政というものが歩まさせられるという宿命的なものを持ってくるのではないか、こういう点を私は非常に懸念するわけです。その私の懸念を打ち消していただくためには、話は大きいけれども、今の日本の国隣政策と外交政策というものを相当程度転換しなければ、私の懸念というものは消え去らない、単なる杞憂でなくて、そういう方向にいくプロバビリティは、かなり大きい、高い、かように私は今判断しているんですが、御所見を承りたいと思います。
  34. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 中共の原子力潜水艦のことは、ラングーンの船遊びの際に言ったとか言わないとかという報道でありますから、われわれは信用していいかどうかは疑問だと思います。中共は一九五八年ごろ原子炉を持ちまして、鋭意科単音の訓練をやってきたようでありますが、そういう点から見ますと、自分の力で原子力潜水艦を作る力はまだ出ないだろうと思います。原子力潜水艦を作るには、かなり高度の、小型の、性能のいい炉が必要でありますから、ソ連からそっくりそれをもらってきて据えつけるというなら別でありますが、相当程度はソ連製のものを借りてきて入れるということになるんではないかと思います。そういうことであるならば、不可能とは言い切れないと思います。しかし、その情報はまだ未確認のことでございますから、われわれはこれに対して論評を加えることは差し控えたいと思います。われわれといたしましては、原子力基本法の趣旨を守りまして、三原則の通り行政を執行して参りたいと思っております。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 山本さんもあるそうですから、あと一、二問できょうのところは終わりたいと思うんですが、大臣、何ですか、この原子力開発ですね、この点について米ソを比較した場合に、あなたはどういうふうにこれを認識されているか。それから米ソ両国とも、いずれもこの軍事力と結合させているのですから、このことはミサイル・ロケットの問題とも結びついて参るわけですが、米ソのそれを比較した場合に、あなたはどういうふうに判断されておられるか、承っておきたいと思います。
  36. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原子力平和利用の力は、発電に関しては初めソ連の方が優先しておったように思いましたか、最近の諸般の情勢から見ますと、やはりアメリカの方がはるかに進んでおるように考えます。武器の点は私よくは存じませんが、潜水艦とか、あるいはその他の方面を見ましても、アメリカの力が遊んでおるのではないかと思います。最近はソ連からは発電その他に関する情報があまり入っておりません。それから平和利用諸般に関する情報等も入っておりませんので、ソ連はよく自分のやっていることは宣伝する国ですから、それがないところをみると、種がないのではないかという気がいたします。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこのところちょっと何が違うのですね。そこらあたりから、あなた方の国防政策、外交政策というものはやはり影響を受けて参ると思うのです。アイクのアトラスに関する談話発表直後に、ソビエトが中部太平洋にロケットを発射しましたですね。これは新聞紙上から見ましても、また外電等から受ける印象でも、日本国内外を通じて相当高く評価され、アメリカの科学陣営さらに国初総省と軍方面に相当な衝撃を与えた。その結果、アメリカの戦略体制は、あれを契機にペンタゴンあたりでは相当論ぜられて、その戦略変更のきざしも出ている、かように判断するのですがね。もうちょっと具体的に言いいますと、一部新聞にも報ぜられていますが、米のペンタゴンでは、あのソビエトのロケットの精度からいうならば、大体五メガトンぐらいな核弾頭を自分の希望するところに正確にぶち込んで大体目的が達せられるのではないか。だから、アメリカとしてはそのソビエトのICBM、しかも核弾頭をつけたそういうものの直接的な攻撃を受け、おびやかされる懸念はあまり持っていなかったのだけれども、あれを契機にその点に非常に心配をした。その結果というものが、欧州諸国に対して、アメリカの原子力法改正までしプ、原子兵器を今までアメリカが管理して供与していなかった核弾頭等を、西欧の同盟諸国に供与するというような大きな政策転換に踏み切る事態を招いて参ったと思うのです。だからそういう点では、長官少し認識を誤られているのではないか、かように思うのですが、その見解を聞きましょう。もしあなたのような見解に立ちますと、やはり岸さんじゃないが、力を持たねばならない。そういう力を背景に、場合によると、国家権力の発動をやろう、そういうことを肯定する立揚において日本の外交政策、国防政策を推し進めて参るということになると、非常に危険でもあるし、その方向に日本科学技術行政原子力行政というものが、いやおうなしに向かわせられるという懸念があるわけでありまして、そういう立場で、あと一問あります、が、きょうの質問の最終段階に所見を承っているわけです。
  38. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 矢嶋委員の御質問が、原子力における発達ということでございましたから、原子力においてはアメリカの方が発達しているというふうに私はお答え申し上げましたが、ロケットにおいては、これはロケットの推力とか、あるいは装置等は、ソ連はやはり世界一の水準に立っているのではないかと思います。原子力とロケットとは、おのおの別の部門があるように思います。日本といたしましては、原子力基本法の存する限り、法の命ずるところに従って、明瞭にその目的に従って薄処する決心でございます。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に、これは直接あなたの所管ではないんですが、岸内閣国務大臣として関係もあるから、科学技術の担当の大臣の窓口から所見を承っておきたいと思うのですが、それは、例のFX、ロッキードF104Jの問題ですが、科学技術面を担当する大臣として、その窓口からどう見られているかというあなたの本心を私は聞きたいのですが、場合によれば速記をとめてもいいと思うのですがね。私は、これはもう本気でああいう交換公文の取りかわし、やがて行なわれる細目取りきめの調印、こういうものが間違っていると心から思っているものですがね。もう交換公文は調印されたというのですが、これから細目取りきめがあるという。それには閣議にかかるわけですから、あなたも署名される一人なんですが、この署名を一つ、あなた、阻止してもらえないかと思うのですがね。先ほど、原子力の平和利用、日本原子力基本法があるからそうですが、しかしアメリカの、あるいはソ連の、英国もそうでしょう、今それをフランスが追っかけていっているようですが、そういう国の原子力問題と、それからロケット、ミサイル問題というものは、全部きわめて密接に結びついて、しかも、それは兵器の開発と軍の装備と全く同心一体でその政策は推し進められているわけですね。その開発進展のテンポというものは、われわれの想像を絶するものです。で、日本が、国民の血税で、今後どういう政策をとるかは別として、かりに今、岸さんがお考えになっているような政策をとるにしても、ああいうロッキードの104Jを、ああいう内容で、ああいう条件で、国内生産をするという交換公文の取りきめ、それから細目取りきめというものは、私は誤った政策だ、これは何年か、あるいは一年かもしれませんが、あるいは、おそければ五年かかるかもしれませんが、その時間的経過を得れば、私の所論が間違っておったかどうかということは、はっきり答えが出てくると思うのですが、少なくとも、科学動向に若干の関心を持っている者から、その窓口から見ますと、私は、時宜に適した適切なる政策、国費の支出計画だとはどうしても思えないのですがね。岸内閣では最も科学方面に教養と経験と見識を持たれ、しかも、今、当該担当責任大臣になっておられる科学技術庁長官のあなたですが、この専門の窓口から見られたときに、岸内閣の閣僚の一人ではありますけれども、どういう御所見を持って、大臣としてそれに署名されるときには、どういう気持でされておるのだろうか、かように私は思って伺いたいのですが、実はこんなのは四畳半あたりで伺うと、ほんとうのことが聞かされるかと思うのですが、きょうは私はあまり責任を追及しませんから、かどばらないところで、必要があれば速記をとめてもいいですから、ちょっと伺っておきたいと思います。
  40. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一国の防衛力というものは、やはりその国の立地条件とか、あるいは周囲の環境、力等を考えて相対的にきめらるべきものであると思います。日本の防衛の力というものにつきましては、科学が一番進んでいる西ドイツでさえもロッキードを採用しているというようなところを見ますと、ああいう程度のものを日本の防衛力として採用するということは、必要やむを得ないと私は考えます。科学技術はやはり一挙に進むことはできないので、諸般の積み上げの上にできていくものと考えますので、やはりロッキードの採用のようなことも、次へ進む一つ科学上の開発という面から見ましても、一つの一里づかにはなるだろうと思っております。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 おかしいな。どうも了解しかねるのですよ。
  42. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、本案の決定する前に一つ、本案の原子力委員の二名増員ということについて納得するために、二、三長官並びに関係当局に質問したいと思います。まず第一に、原子力委員がもうすでに四名は決定されて今やっておられますが、今回、二名増員される選定の基準と申しますか、どういう基準、方法で選ばれますか、この点、私はお聞きしたいと思います。
  43. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原子力行政もここ五年ばかりでさらに視野を広くいたしまして、われわれが気がついていないような多彩な面にわたって着実に発展させる必要がある段階になりました。そういう意味から、なるたけ国際性のある、また、専門の分野に実際に実力を持っておられる権威者に入っていただきまして政策の内容をさらに充実していきたいと思っておるわけであります。今、特に弱いと思われるところは、たとえば物理の部門とか、あるいは燃料関係とか、あるいは法律関係というような点がございますので、そういう点を考慮いたしまして人材を得るようにいたしたいと思っております。
  44. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この原子力委員会の性格ですが、私の理解する範囲においては、原子力行政の大体運営の衝に当たると思うのですよ。委員会とか審議会とか、たくさんありますが、大体原子力委員会というものは、公正取引委員会とか公安委員会のように、単に諮問とかそういうものでなくして、中曽根長官委員長になっておそらく原子力行政についてのいわゆるこの行政権も持っておる委員会だと思うのですが、その点間違いであるかどうか。
  45. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原子力委員会は、重要政策審議決定するというまでは書いてありますが、それを執行するということは書いてない。従いまして、これはいわゆる行政委員会ではございません、広義における諮問機関の一つであると考えております。
  46. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあしかし、特殊な部門における委員会ですから、他の審議会とか委員会と違って、相当まあ私は実質的の権限があると思う。他のしろうとが当たってもわからんことでありますから、この委員会で決定したことを、おそらく閣議で、まあ政治上の問題があれば別として、一応決定したものはきわめて重く尊重されると思うのです。そういう意味からいって、できるだけ数は少なくていいと思うのです。まあしかし非常に専門部門が広いのでございますから、今長官の言われたように、そういう増員という点もやむを得ないかとも思いますけれども、まあ現在ここに四名おられておりますが、まあ書数で調べたらいいのでございますが、幸い長官がおられますから石川、有津、兼重、木原、こういう方々の大体専門部門をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  47. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まず石川委員は経済計画というような、主として財政経済関係、なお石川委員は昔は東大の助教授をしておりまして化学の学者でもあります。それから兼重委員は機械の専門家でありまして東大生産技術研究所の所長、第二工学部長等もおやりになった方であります。それからまた学術会議会長もしておりまして、そちらの連絡等も兼重委員がやって下すっております。それから有沢委員はこれは経済が専門でございますが、大体法律関係を受け持っておられまして損害賠償法案等については、非常に御尽力いただきました。それから木原委員は放射線遺伝の権威者でございまして、大体放射線関係を扱っておるわけであります。
  48. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあこの増加の二名については、一応そういう物理とか他の分野の人を選んでやられるようでございますが、おそらく原子力委員会にあらゆる部門を網羅しようと思っても、それはおそらく委員では無理だと、それがために専門部会というものが設けられて百数十名の者がその専門に当たっておるのですから、主としてこれは原子力行政政府に対するきわめて強い協力態勢をとる委員会だと思いますので、できれは私は少数でやられる方がいいのではないかと思っております。そこでもう一つお尋ねしておきますが、将来こういう広い分野であるからというので、委員をまたまた増員し得るような傾向にあるものであるかどうか、この点一つ聞いておきたいと思います。
  49. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原子力委員は、もうこれ以上ふやす意思はございません。
  50. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃその次にまた移りますが、先ほどの矢嶋委員の、長官の答弁の中で、現在日本科学者が非常に冷遇されておる。大学総長の給与は戦前は大学院の院長の給与と要するに一緒であったが、非常に落ちておる。こういうことで、これは中曽根長官個人として考えておるのだが、将来といいますか、近い将来に相当これを引き上げたいという希望があるらしいですが、これはもう数年前から岸総理もいろいろとこういう点に触れられておると、日本科学者の冷遇されておることを指摘されておると思うのですが、なかなか実現しない。先ほど長官は、きわめてわれわれとしていい答弁をされたのですが、さらに実際問題として、要するに国立大学の総長といえどもやはり公務員としての身分でくくられてしまう。給与ということになると、ますますそう簡単にいかない。それが非常に自信のあることを言われましたが、確認する意味において、来年度においてこれが少なくともこれが完全な満足するような、実現は別として、一歩前進するような形になり得るかどうか、閣僚の一人としてちょっと伺っておきたい。
  51. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その方向に努力をいたしております。でき得べくんば人事院勧告というのは、一つの基準になりますから、人事院勧告を出す際に、その点特に作業してもらうように淺井委員長にも申し入れしておりますし、今後とも努力いたします。
  52. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはいわゆる大学といえども、小学といえども、これはすべて教育関係の公務員として扱われておる現状なんです。従って相当これが科学技術庁の長官としてそういう意思のあることは十分わかるのですが、はたしてそれが現実の交渉になってくると、文部当局から相当問題が出て来ると思う。従ってそういう意思が文部当局にそういう意思が今まで通じておるかどうか。話し合いされておった過程があるかどうか、その点ちょっとお聞きしておきます。
  53. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 科学技術会議運営会議でそういうことを内定いたしまして、それに基づいて私は淺井総裁に会ったもんでございますから、文部当局にももちろん通じてございます。
  54. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 われわれが過去こういう問題で公務員の給与で相当いろいろと各方面の人々とも話し合いをしておるのですが、中曽根憂慮はそういう場で話をしておると思いますけれども、なかなか私としてはまだきわめてこの問題は疑問を持っておる。従ってこの点につきましては、今日言われたその実がやがてこれが現実に現われてくるように、一つ努力を願いたいと思う。  これに関連して知りたいのは、私立大学の問題についても恩給がないから、そういう退職後の問題で考えたいと言われておりますが、これはまた今の問題よりももっとむずかしい問題が介在してくると思う。具体的の方法として、私立大学はまあ現在学校法人としていろいろやられておりますが、それにはまあすでに私の調べたところによりましても、私学では学校でいろいろ共済制度があるんですが、これに対して補助金を与えるというんですか、その点一つ今言われた答弁の要旨が聞こえなかったんですが、その点もう一度。
  55. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私学は大学の大きさ等によって非常にまちまちでありまして、教授の給与なども非常に高低水準、違うようであります。しかし平均して言えることは、退職後の年金保障が非常にほしい。こういう希望は、各大学とも平均して言われます。そこでそういう共済組合の制度があるようでありますから、国家がそこへ補助をいたしまして、私学の大学教授の身分保障を手伝ってやるようにしたいと、こういう考えであります。
  56. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 長官、まあそういう非常にいいことを言われますが、なかなかその学校というものは、私学はたくさんあるんです。しかも今長官が言われるのは、主として科学、理工関係のものを一応の構想に描いて話をされておると思う。
  57. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いや、そうじゃありません。これは両方です。
  58. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、なかなか広範囲に考えなくてはならん問題が出て来る。それが今簡単に補助を与えるなんて言われますが、また予算編成の中では、そう簡単に私はいければけっこうですが、問題が出て来ると思う。しかも初めてのそういう措置ですから、なかなか閣議でも長官は相当閣議で実力者だと聞いておりますけれども、なかなかこの問題がそう簡単にいけばけっこうですが、その点についてまあ自信と申しますか、見通しと申しますか、おそらく来年度からそういう額においてのまあ差が、満足する程度によりますけれども、一歩前進するかどうか、その点もう一ぺん聞いておきたい。
  59. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) こういう考え方は、私学の側にもございまして、私学当局からの陳情も承ったこともございます。そうしてそれは正しいことであると思いますので、全力を尽くしてその実現に邁進するあるのみであります。
  60. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題でこういうことを言うのは、答弁してもらえればけっこうでありますが、閣僚の一人として聞いておいてもらいたいと思うのですが、私学の問題が出ましたが、きわめて今日私学、ことに大学の私学は非常に入学する場合にも、きわめてこの理屈の通らん寄付金を取って入学させておる。これも陰に陽にやはりそういう教授の待遇なんかに影響しておると思う。従って、私はそういう広い意味から実は質問をしておったんでありますが、今日の私学の状態というものは、嘆かわしい状態にあるということに見られるのです。これは文教委員会でないから深く言いませんけれども、こういう問題が出た場合には、そういう点も十分一つ現在の政府としても考えていただきたいと思います。この問題については、また場所をあらためて追及いたしますから、先ほど言われましたように、私学の振興ということについても、こういう点を十分考えてもらいたいと思います。これは希望として申し上げておきます。  それから、時間がございませんので、いろいろお尋ねしたいのですが、もう一、二点お伺いしておきたいと思います。これは一般的な問題ですが、一度聞いてみたいと思っておったのですが、非常に毎年御苦労になり、南極観測隊が出発されます。その観測隊の隊員の選定は、どういう方法で決定されるのか、ちょっと承っておきたい。
  61. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは文部省の所管でありまして、私の方でございませんのでよく存じませんが、学術会議の特別委員会がございまして、おそらくそこが文部省と協力してやるのではないかと想像いたします。
  62. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 選定については、それでわかりましたが、科学技術庁としては南極観測についてはどういう関係を持っておられるのですか、その点聞いておきたい。
  63. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いろいろ地磁気とか宇宙線とか、そういう学術上の研究を行なっておりますので、そのデータを受けまして、われわれの方の専門分野研究所がございますから、そこへいろいろ配付いたしましたりして、研究を推進しているわけでございます。
  64. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この観測に関しては、科学技術庁としては別に予算を出しているとか、そういうことはないのですか。
  65. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 出しておりません。
  66. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、それは一つの資料を提供してもらうということで、結局御厄介になっているという程度にすぎないのですか。
  67. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 別に厄介とも何とも思っておりません。学問上有益な研究を苦労しておやりになっていることは、非常にありがたいことだと思っております。
  68. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕の言うのは、そういうことで日本科学技術のいわゆる総帥としてやっておられるところで、向こうから提供してもらうという程度でいいのかどうか。もっと積極的に科学技術庁として参画しなくちゃいかぬのじゃないかという意味の質問をしているのです。
  69. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 南極観測は、国際地球観測年の行事として始められましたもので、学術というものが中心になっているわけであります。学術が中心ですから、やはり文部省の仕事にしていただきまして、科学技術庁は科学技術、技術も入っているものですから、一応文部省に全部お願いしているわけでございます。
  70. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと関連して、いい機会だから関連して聞いておきますが、宗谷は近く帰ります。学術会議では、今後南極観測を続けるという方針を打ち出しましたね。これは来年度の予算とも関連があるから閣議にかかるわけですね。国務大臣としてはあなたはこれは支持しますかしませんか、どうですか。
  71. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 文部大臣とも相談いたしまして善処いたします。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたのお考えは。
  73. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) もう少しよく検討してみませんと、ここで直ちにお答えするわけに参りません。
  74. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 なるほどね、それはやはり中曽根さんちょっと違う考えを持っているのですね。僕らも南極観測非常に共鳴し、推進協力しているわけですが、ここまできたならば、やはり学術会議の先般の意向、それから南極観測本部で態度を打ち出しましたね。あの線に沿って、やはり閣議は了承して続けるべきだ、私はこういう見解を持っているのです。しかし、一面日本学界には、どうも南極観測関係だけ予算的にもややびっこになってないかという批判が一部にあるのは事実です。それが中曽根長官の耳のどこかに残っているのでそういうことが出てくると思いますが、僕は不十分ながらも、南極観測日本が熱意を示したあのレベルで、日本科学技術振興についてあらゆる面で法的にあるいは予算的に努力すれば大したものだ、中曽根科学技術庁長官の名は永久に、とこしえに歴史に残るだろうと思うのです。どうも若干そこのところがやはり問題があるのだと思うのです。あなたそういうようなお気持で再検討云々というのは答えられたのか、ちょっと。
  75. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 学術会議の決議の内容やらその他私まだよく承知しておりませんし、それから主として文部省の仕事でございますから、文部省の意見もよく聞いてみて判定しないというと、あせってやると間違えるかもしれませんので、ゆっくり研究いたしてみたいと思います。
  76. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと一問だけ。大体原子燃料、これは四万トンということであったわけですが、カナダ、英国、南ア、フランス等で生産されておりますが、これは最近の新聞で報ずるように、カナダの生産を制限をし始めたとか、コストがかかるにかかわらず、これを引き下げなければいけないというので間に合わなかったとか等、アメリカの需要と関係して、大体燃料の実際上の利用は減少してきているのではないか、ことに原爆禁止の問題と関連するのだと、先般質問に対して御回答があったようでありますが、日本の場合には含有量が〇・〇五から七ないし八ということであったし、そうなりますと、おのずと生産費も外国に比べて高くなるのではないかというふうに考えられますが、これはあくまでも国内生産で燃料をまかなうつもりか、そういうコースで燃料公社の拡充その他資源の開発をしていくということなのか、それともある程度国内見込みが立たない、ないしはそれ以上やることはコスト高になるということで、外国から購入する、この方が安上がりだということになるのか、その点の将来の燃料に対する考え方をお伺いしたいと思います。
  77. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 目下のところ、日本の埋蔵量の品位等がはっきりしておりませんから、目下それを探査いたしまして、その全貌を明らかにいたしましてから、ほんとうの意味の燃料政策を確立いたしたいと思っております。現在はそういう意味で探鉱中でありまして、その間の措置といたしまして、今の国産だけでは足りませんから、カナダその他からイエロー・ケーキを入れて中間精練をやって、日本で原料は入れるが、最終製品は国産化していく、そういう方針で当分進んでいくつもりでございます。
  78. 横川正市

    ○横川正市君 もう一点ですが、これは科学技術振興十カ年計画の中で、原子力科学の発展のための、ことに平和利用という面でこの中で推進されていくのだと思うのですが、その中のエネルギーとしての原子力を利用する場合に、これは現段階は国際的にもずっと水準が劣っておりますから、相当スピードをかけていくということになるでしょうし、その方向が現段階の審議の中心だと思うのですが、他の関連企業ないしは関連産業関係させて、いわば他の産業と共存という意味合いからも、これをある時点で調整することをも考えるのかどうか、これは無限大として、国力にプラスされていくものなのか、その点は、将来の開発としてどう考えるか伺いたい。
  79. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 当然、石炭、石油、LPG等との競合関係も参ってきますので、十カ年計画におきましては、こういうエネルギーの総合需給態勢をにらみ合わした上で、原子力の進むべき道を決定していくということになります。
  80. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今の横川委員の質問に関連してですが、原子燃料の問題ですが、けさの新聞でちょっと出ておりました原子燃料の三十五年度の生産計画新聞に出ておったと思いますが、この間、実は私、これについて御答弁があって、大体理解しておるんですが、国内では相当これは開発に努力されておるようでございますが、この原子燃料公社の性格ですが、これは投資状態、または、公社ですから大体構造はわかるんですけれども、どういう現在、開発について現実的な作業というものが展開されておるか、この点について御説明願いたい。
  81. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 公社の方は、ただいまの仕事の主力と申しますか、は探鉱でございます。日本でどの地帯に一番ウランが埋蔵しているか、あるいはその量がどうか、あるいは質がどうかという点を非常に重点を置いて探索しております。それから第二点は、外国からイエロー・ケーキという、いわば粗製錬をしましたウラン鉱を輸入いたしまして、これでもって天然ウランを作るまでの作業でございまして、これは東海村に試験工場を作りまして、これで生産しております。第三点は、これは将来の問題ではありますけれども、公社の最も将来の大きい仕事といたしましていわば燃料の独占的な性格を持っているわけですが、再処理の問題でありまして使い古しました燃料を分解いたしまして、使えるものはさらにもう一ぺん使い直す、あるいは、今まで燃料でなかったものが燃料に変わってくるわけですから、それをまた燃料として使い得るように仕上げていく、こういう再処理という仕事が将来は非常に大きい仕事になります。従いまして、これに対する準備をただいま進めている。この三点が主要な点でございます。
  82. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  83. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  84. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、原子燃料の日本の将来の計画だけ長官に聞いておきたいと思うのですが、三十五年度は、大体ウラン生産量として約十トンということをきょうの新聞で聞いたんです。それの使用方法も大体ありますから、これはまあ長官御存じですからここで言いません。で、将来日本でこれが、先ほど横川委員の尋ねられたことに関連あるんですが、日本における必要量は、日本の埋蔵されておるといいますか、ウランの精鉱が、見通しですね、この点どうであるか。やはり依然として外国から輸入に依存しなければならん実態であるか。もちろん今調査中であると言われましたが、今までの調査の結果における見通し、この点ちょっとお聞かせ願いたい。
  85. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 人形峠を中心にする地帯では、まあ二、三百万トンはあるということは今、確定しております。が、しかし、その辺のものもさらに広がる可能性が見通しがあるようであります。それから福島県、山形県、新潟県の境の付近にも非常に有望な放射能地帯がございまして、ことしはこの辺を中心にさらに調査を進めて参る予定でございますが、私はあの辺には相当な期待を持てるだろうと思います。あの辺から秋田県にかけて非常に有望であると思っております。そのほか、瀬戸内海沿岸であるとか、あるいは石巻付近であるとか、若干ございますが、まだ日本は手をかけていないわけですから、全然未知といっていいと私は思うのです。そういう状態ですから、探鉱にやはり非常に力を入れていきまして、全貌を明らかにするということを、当面実施して参りたいと思います。それまではやはり国産一号炉も動いて参りますので、外国からイエロー・ケーキを入れまして日本で金属ウランに精製していくという形をとって参りますが、日本の埋蔵量の判明と調子を合わせながら、外国との輸入関係をどうするかということを、逐次決定していくことになるだろうと思います。
  86. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 将来おそらく石炭、石油にかわってこれがいわゆる動力源になると思うのですが、先ほど長官が人形峠付近で二、三百万トン、相当膨大なものだと思いますが、これは燃料源として、動力源として現在世界の情勢から見て、はたして将来、原子力が動力源のすべてを支配するということに、一般学者はそういっておりますけれども、石炭、石油というものもまだ相当動力源になっております。これにかわって将来この原子力、ウラン精鉱が支配するような時代がくるのかどうか。この点まだ若干疑問の点を持っておる。もちろん、原子力もやがては太陽熱をもってこれが動力源にするというような、これもおそらく実現性があると思いますけれども、現在のところではウラン精鉱、イエロー・ケーキと申しますか、そういうものが主体で原子力の原料にしておりますが、こういう点は科学技術庁として一つの見通しはどうなっておりますか。
  87. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本や各国が原子力研究に力を入れておりますのは、それが火力に対抗できるとか、石油に対抗できるとかいうレベル考えておるのではないのでありまして、将来はそれの十分の一あるいは二十分の一という希望があるから力を入れておるのであります。私はそういう可能性はいずれあると思っております。しかしそれは今当面の現実性はございません。しかし、研究の可能性というものは十分あるようでありますから、力を入れて外国におくれないようにして参りたいと思っております。
  88. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私も原子力については、いろいろそういうことで考えさせられておるのでございますが、原子力はそういう平和利用、動力源として利用するということが発展の基礎になったのでなくして、やはり戦争における武器としてこういうものが一つ考え方が出発したもとじゃないかと、私自身こういう考えでおるのです。従って今後これが動力源として平和利用としてやる場合には、やはりそういう点から考えていかなければならんのじゃないかと思います。この点については、私は別に長官の答弁を必要といたしませんが、この点につきましても十分一つ科学技術庁でも考えていただきたいと思います。  なお、この問題の最後に、本年度十三トンほど輸入するという計画らしいのですが、この十三トン輸入について大体邦貨でどれぐらいの予算になっておりますか、ちょっとそれを御説明願いたいと思います。
  89. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 大体六千万円くらいと記憶しております。
  90. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではもう大体わかりましたので、これで終わります。最後に元に戻るようでございますが、実は委員会の下部組織として十二の専門部会が設けられておる、百三十一名の専門委員が任命されておるというのですが、これについて実情はどうなっておるか、十二の専門部会というものはどういうものであってどういう人が当たっておるかという点だけ、一つ御説明願いたい。
  91. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) ただいま御質問がありました専門部会は、放射能調査、核融合の専門部会、原子炉の安全審査専門部会、原子炉の安全基準専門部会、核燃料専門部会、核燃料経済と称しまして、燃料サイクルの問題を主として研究します専門部会、金属一材料の問題、原子力船の専門部会、動力炉が、新しいのがどんどん研究されておりますので、その各国の進んでいく状況を分析、比較する調査部会、動力炉の調査部会、それから原子力災害補償、法案を近いうちに提出しますが、これに関する専門部会、それからさっきちょっとお話ししました再処理の専門部会、それから科学技術者の養成、訓練専門部会等がその内容でございます。従いましてこれに携わっている専門委員の方たちは、その部会の性質に応じましてあるいは理学あるいは工学部の関係の方が多い部会もございますし、あるいは災害補償のように主として法科系統の方が多い部会もございますが、その部会によって違っております。
  92. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 長官帰られましたが、原子力について技術的に専門的に答弁される方おられますか。これは一般各地方へ行った場合に尋ねられることですが、これは結局科単技術庁の所管でなければ文書で調べてやってもらっていいのですが、科学技術庁は、この問題の審議の中で原子力の平和利用ということでやっておられることはわかったのですが、原子力を研究されている過程において、かつてあの大東亜戦争のときに、広島あるいは長崎に日本が初めて、原子爆弾を落とされたのですが、常識的に学者の雑誌なんか読むと、今日、水爆など二十倍あるいは百倍といわれているが、ほんとうに科学者としての研究の過程において、その当時から、これは正確に答弁できるかどうかは別として、どの程度原子力の発展と申しますか、あの広島の原子爆弾に比較してどの程度まで発達しているか、その点どうですか。もしここで答弁できなければ、いずれ科学技術庁としてその専門の方に聞いてもらって、文書で答弁してもらってけっこうですから、その点だけ。
  93. 法貴四郎

    政府委員法貴四郎君) 原子爆弾に関するお話だと思うのですが、爆弾のことは、われわれの方はあまり調べておりませんので、正確な資料は持っておりません。また、水爆等に関しましたいろいろ推測は行なわれておりますけれども、正確な資料も一切発表されておりません。しかし、広島、長崎以来もうすでに院五年を経過しておりましてその間に水爆等を中心としてずいぶん原子爆弾の技術も発達していることでございますから、当然、効力的に数百倍以上の効力のある爆弾が現実に保有されているということは考えてよろしいと思います。しかし、もしもその効力等について、もう少し科学的な根拠資料がほしいというふうなお話でございましたら、できるだけ調査しますが、これは、正確なことはつかめないと思います。
  94. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはもちろん各国とも秘密にしていると思いますけれども、そういうものを作ることは、もちろんこれは禁止してわれわれは問題ないのですけれども、そういうものを科学技術庁として、そういう情報をとるということは別といたしまして研究しておく必要があると思う。それが平和利用に対する逆の意味において一つの価値があると思う。方々へ行くと、いろいろ雑誌なんかで、その爆弾の脅威を言われておりますが、国民はただそういうものを漫然と知っているだけです。従って科学技術庁という名のつく以上は、そういうものも、入手しにくいけれども、現在のいわゆる水爆と称するものはこういう威力のあるものであるということも、一つぐらいはやはり研究しておく必要もあるのじゃないかと思いますので、ここで答弁は求めませんが、そういう点を一つ長官にお伝え願いたい、かように思います。
  95. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を止めて。    〔速記中止]
  96. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして下さい。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本案に対する討論採決は、これを次回に行ないます。  速記をとめて。    [速記中止〕
  98. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  99. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、行政管理庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に続いて質疑を行ないます。政府側出席方々は、益谷行政管理庁長官、山口行政管理庁行政管理局長方々方々であります御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  100. 横川正市

    ○横川正市君 行政管理庁設置法の第六条によって置かれております行政審議会の内容からちょっとお聞きいたしたいと思いますが、この内閣委員会では行管の所管の審議に入りますと、必ず高能率な行政・組織というもののあり方について、これは党派を離れて各委員から意見があるわけでありますが、そこで私はその意見の大半を占めておるのは、行政管理庁の行政管理の結果として少なくとも現行運営されております行政機構そのものに対して、非常にいろいろな意味で機構が輻湊しておったり、あるいは機構そのものが期待に反して動いておらなかったりするような点の指摘が非常に多いと思うのであります。そういう観点から、この六条によって置かれております行政審議会の運営についてまずお伺いいたしたいと思いますが、この行政審議会は長官の諮問に応じて国の行政の改善をはかることを目的として置かれておるわけでありますが、今までにこの長官の諮問に応じてどのような改善策を行政審議会が出され、同時にそれをいかように行政管理庁としては実施をしてきたか、そのことについてお尋ねをいたしたいと思います。
  101. 山口酉

    政府委員(山口酉君) ただいままで第五次の審議会になっております。従来行政審議会はそのときに問題になりました行政機構の改革、あるいは行政運営の改善等の問題を取り上げまして審議いたしておりますが、それぞれの審議会において答申いたしましたものにつきましては、さらにそれを尊重いたしまして政府側で具体案を作って逐次実施に移して参っております。現在までその実施の状況につきましては、大体答申の線に沿って大部分が実現いたしておりますけれども、中にはまだ答申の線を具体的に政府部内で検討いたしました結果、意見調整ができませんために実施していないものが一部ございます。しかし日をかけても、だんだんと行政審議会の答申は尊重して実現をしていくように努力いたしております。なおただいま第五次の審議会を構成しておりますが、これにつきましてはまだ答申は出ておりませんけれども、当面の重要行政機構の改革の問題、あるいは運営の問題につきまして目下審議されております。第三次までの答申につきましては、先ほど申し上げましたように、大部分が実現をいたしておるのでございますが、第四次につきましてはまだ米実施の分がございます。第四次の答申は二つに分かれておりまして、第一の部分は国民年金制度を作るにあたりまして、その実施体制をどうするかということでございます。これは三十三年の十二月に答申がございまして、その答申の線に沿って三十一国会に法案を出しまして実現いたしております。  それから第二番目の問題、答申につきましては、これは三十四年の一月に答申があったわけでございますが、この内容は機構の点と運営の点に大別されております。機構の点につきましては、人事行政機構の問題、それから内政中央機構の問題、それから港湾行政機構の問題でございます。これは人事行政機構の問題はただいまその取り扱いにつきまして審議中でございますが、大よそ今国会に提出できる見込で検討しております。  それから内政・中央機構につきましては、その趣旨を尊重いたしまして答申と同じ結果にはなりませんでしたけれども、その趣旨を尊重いたしまして自治庁の設置法一部改正案としまして、自治省を設置する内容で今国会に提出されておるわけでございます。  それから港湾行政につきましては、これは機構もございますけれども、運営の改善によって相当目的を達し得る部面がございますので、関係省庁間で協議をいたしておりまして、運営改善によってできる部面は、すみやかに改善したいということで協議をいたしております。機構の点につきましては、まだいろいろ問題がございまして意見調整が十分にできておりませんので、法案にまでいく段階になっておりません。それから運営の問題につきましては、これは三十四年の七月に閣議決定をいたしまして答申のありました線に沿って実施をするという方針をきめて、各省でそれぞれ具体的な方法は講じておられるわけでございますが、実は運営の問題につきましては、これは将来の取り扱いの問題でございまして一ぺんに解決するという事柄でありませんので、その実施の状況を随時今後監察等の方法によって吟味していくという考え方で、行政管理庁の監察局の方でさような方針を立てております。  それからなお審議会の問題につきまして、できるだけこれを整理するようにという御意見と、それから、委員の中に公務員が相当入っているものがあるので、これは審議会等の趣旨から見てできるだけ少なくするようにというような答申がございましたが、審議会におきましては閣議決定で審議会類似のものを作っておりましたけれども、これはまぎらわしいので、今後厳にそれはやらないということと、それからそういう閣議決定に基づいたものにつきましては廃止をしていくという方針を立てて、逐次実施いたして参りました。大部分がすでに解決しておりますが、なお一つだけ、廃止の方針はきまっておりますけれども、いろいろ取り扱っている問題の関係で、しばらく置いておくというものが一件ございます。それから廃止をします問題につきましては、これは現在審議している事項がございまして、諮問が出ているとかいろいろの状況で全部はまだ解決しておりません。中には、あるいは答申にございましたけれども、廃止することができないということになるものもあるかもしれませんが、それらの点についてもなお関係の各省で検討しております。しかし、できるだけ行政審議会の答申の趣旨は尊重してやっていきたいということで、行政管理庁といたしましては各省を督励している次第でございます。
  102. 横川正市

    ○横川正市君 私はまずその審議の初めとしては、審議会の出されたものがどういうふうに処理されたかという問題とは、これは前段と後段に分けて考えたいと思うのです。なぜかというと、行政審議会そのものの運営がわれわれはどうも期待するような運営になっておらないのじゃないか、そういう面からちょっとこの審議会の名簿をもらったわけですけれども、この名簿に出ている中で私どもの知っている限りでは、相当これは重任をしている人たちがたくさんおるわけですね。たとえば富士鉄の永野重雄さんなんという人になれば、これはおそらく相当な職務を、会社経営その他で重複しているのじゃないかと思われるわけです。それから田上穣治さん、一橋大学の人でありますが、この人もいろいろな意味で仕事をたくさん持っている。それから王子製紙の金子佐一郎さん。これは私は、今の日本行政機構というのは、行政管理庁というりっぱな役所があるにもかかわらず、この役所では手におえないくらいに広がっていくのだ、それで一説には、役人というのはどんどん自分が手下をふやしたがって仕方がないのだ、こういうことを与党の人たちの中にも非常に積極的に言う人がいるのに、依然としてこの行政機構は広がる一方である。私は先般もこのことについて行政機構が広がるということは、需要に応じて事務処理をする人間が広がるので、そういう意味での正当なものならば当然これは認めるべきであって、それを役人を一人もふやすのはいやだ、反対だということでやることは、これは不合理なことだという一応の弁明をいたす面も、これは私どもの考え方の中にあるわけでありますけれども、しかし一般的にいって、この機構そのものについては相当本質的にメスを入れていいのではないかという点があるというふうに私どもは考えるわけです。それがあるにもかかわらず、もう何年来行政機構についてはまたも広がり、またも広がりで、一国会があれば、たとえば審議会のようなものはその国会に五つも六つも、十も十五もふえていってしまって、そして収拾のつかないような状態だ。またかてて、今度はその委員会審議会を持った各省における委員の任命なんということになりますと、これはだれが見たってびっくりするような重任の人たちが平気で任命をされておる。そうすると審議会を置いたときの趣旨とそれからその内容で、実際の運営ということになりますと、全然逆な形が出てきている。こういった面も非常にたくさんあるわけですけれども、そういう面から見ると、その最も管理庁長官の諮問機関として動くべきはずの行政審議会というものそれ自体を、実は私どもは一つメスを入れてみないとこれはいかぬのじゃないか、こういうふうに考えてきょうも名簿をとって見ますと、これが大へんなものです。今井さんもこれは非常にたくさん仕事を持っている、佐藤さんも仕事を持っている、これじゃおそらく私は行政審議会というのを、このあれで見ると、委員の任期は一年これは年何回開くようになっているのですかね。こういうふうな審議会では、とうていわれわれが何回か指摘し、おそらくまあ与野党一致してこれじゃあいかぬと言っているのにこたえて、すっきりした答えを出せる機構ではないんじゃないかと、こう考えるわけなんですが、そういう点でまず私たちとしては質問いたしたい。もちろん第二段としては、今山口さんの答弁されたような、まあ現行ある審議会であっても、出しました答申について実施は一体どうしているのか、これは中身の問題ですから、不十分であっても、出されたものについては当然行政管理庁として実施をするのがあたりまえでありますから、その点を追及したいと思うのであります。前段の問題で問題になっております審議会そのものの運営、あるいは委員の任命、こういった点については、これ以上考えられないという理由があるならば、これはいたし方ありませんが、何らかの改善の処置があるならば、これでいいとか悪いとかという意見をお持ちでありましょうし、また委員の任期は一年でありますから、かえるとすればこれは当然かえられる時期というものはあるわけなんであります。そういう意味合いで、私はこの運営それ自体に、一つ行管としてはどう考えておるか、これをお聞きしたいと思うのです。
  103. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 行政審議会の運営につきましては、まず委員の人選でございますが、これは問題が行政の一基本的な問題で、非常に困難な問題でございますので、その適任者を得るということにつきましては、歴代の長官が特に非常に頭を悩まされておるのでございます。現在までのところは、ともかく各方面の一流の方々をお集まりいただいておりますので、この委員方々を中心といたしまして、それに各省がそれぞれ専門的立場で協力をして参っております。審議会はどうしても、非常に広範な行政内部のことが一人で十分にわかるというような方々はなかなか得がたいものでございますから、勢いそういう専門的なことにつきましては、それぞれの所管の省庁から専門家に出ていただきまして、協力一するという体制でいっております。それから非常にお忙しい方が多いというのは、御指摘通りでございます。やはり人選にあたりましては、なるべくならば十分余裕のある方々がいいわけでございますけれども、しかしそれよりも重要なことは、やはり内容的に十分この問題に取り組んでいただけるような学識経験をお持ちの方々ということになりますので、場合によっては再当お忙しい方であっても特にお願いをして出ていただくという方々もあるわけでございます。そこで現在までの会議をどういうふうに開催しておるかということでございますが、これは総会とそれから小委員会をやっております。総会は現在の審議状況では月に一ぺんずつやっておりますが、その間に特に細部にわたっての検討をするような事項につきましては、特にその点についての適任の方々を数名お願いいたしまして、そして小委員会でやっております。これはその事実によってどういうふうに開くかということは一定しておりませんけれども、週に二回ぐらいやった例もございますし、週に一ぺん、あるいは隔週というようなこともございます。それはそのときに審議されております事柄の難易、また、急ぐかあまり急がないとかいうようなそういう状況を加味し、さらに調査等をする場合には、そういう期間をも考慮してやっておりますが、現在までこの審議会の各委員方々はきわめて御熱心でありまして、休んで出られないというようなことは、病気その他でないことはございませんけれども非常に精励してやっていただいておりますので、特に支障があるようには感じておりません。
  104. 横川正市

    ○横川正市君 任命した側ですから、おそらく支障ありますというようなことは答弁できない。私は結果から見て実際上の人選にもっと斬新な人を入れたらどうかと思うのです。そこで、こういう二十名近い人が任命されておりますが、この人たちの中で、委員に任命されるとかされないとかということは別問題として、行政機構について独自の立場から意見を発表しているというような人、こういう人が何人かいるはずですが、委員の中のだれとだれですか。
  105. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 審議会でもうほとんど全部の方が発言をしておられますが、特にそのうちのどなたが発言するというようなことではございませんが、ほとんど全部の委員方々が御熱心に取り組んでやっていただいております。
  106. 横川正市

    ○横川正市君 そうではなくて委員に任命されたら、たとえば私に意見を間われれば、私は私の知っている限りで御返事いたしますという意味で、他動的に動かされるのではなくて、みずから行政機構を専門的にやっている、ないし自分の仕事と関連して行政機構に対して意見を持っている、こういうことで問われる、問われないということは別問題として、日本の今の行政機構に対して独自な意見を持っておった人、ないしはそういったようなことを発表したことのある人はこの中に含まれておりますか。たとえば選考のときに、あの人はこういう意見を吐いておった、あるいはどういう系統の勉強をやっておったからベテランとしてどうだとか、あの経験はどうだったからどうだとか、おそらく選考についてはものさしをあててそうして選考されたのだと思うのですが、自主的に自分から行政機構についてこういう意見を持っているという人は、どうもほかの審議会もそうなんですが、こういう審議会に入ってこないのですね。そうでなしに、やはり肩書きが幾つかある人に目をつけて審議会に入れる。しかも、その人は肩書きが他にも幾つもついておってどうにも動きがとれない、そういう有名人だけをすくってくるような委員の任命というものが、どうも目について仕方がないのです。こういう行政機構なんというのは、これは本来ならば、たとえば行政管理庁の主宰する各行政部門を担当しておる人たちの局長会議とか、あるいは部長会議とか、あるいは課長会議とかというような話し合いの中で、まあ権限とかセクトを離れて話のできるような人たちが集まってやれば、合理的なすっきりしたものができる。それからもう一つは、もちろんこの中にも入っておりますように、各職能的な、職域的な立場に立って仕事をする場合の行政機構との関係から意見を持っておる人と、こういうふうに集まった人たちが今の行政制度行政運営はどうだとか、監察の結果勧告されたものはどうするかというようなことでの審議にあずかってきわめて良識的な意見を出す、それを実際上の行管としての行政運営に乗せていくと、こういうことになるのだろうと思いますが、そういう面から最も大切なベテランとして行政部門に独自に意見を発表したとか、独自の立場意見を持っておるとかいう人たちがはたして入っておるかどうか、こういう点をお聞きしておるわけなんです。それにはたとえば大蔵省出身の今井さんが適任でございますということになるのか。私は、今井さんなんかの場合には、おそらく六十くらいいろいろ兼職しているのじゃありませんか、質屋の会長さんとか何のあれだといって非常にたくさんな仕事を持っている人だと思うのであります。そうでなしに、こんなに有名な人でなくても、行政関係でいろいろ検討されている人がいるのじゃないか、こういうふうに思うのです。それから学者では、私はあまりよく知りませんが、田辺穣治という人は自民党さんの委嘱か何かで、再軍備、安保賛成の旗頭になっておるのじゃないかと思いますが、こういう人がベテランだと、こういうふうになるのかどうか。そういった点もちょっとふに落ちかねる点があるので、もう少し専門的に、行政機構なら行政機構について意見を持った人がこの中に入ってきて、この審議会を動かしたらどうかと、こういうふうに私は思うので、そういう点からそういうようなベテランが入っておるのか入ってないのかそれをお聞きしているわけであります。
  107. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 専門的に行政機構の改革について特に研究しておる、入っております学者方々は、これは十分に行政機構の問題を研究されておるベテランとして、一般にも認められておるところでございますし、従来いろいろ行政管理庁としましてはこれらの方々の御意見を伺って参ってきております事情から見ても、非常に適任であるということでお願いをしておるわけでございます。  なお、実は先ほど御質問になりました各界の代表という考えは、行政審議会の委員を人選する際にはあまり考えておりません。むしろ、個人的に十分な学識経験を持っておる方という点で選考いたしておる次第でございます。それは委員の数が少ないので、しかも行政機構全般、機構だけでなく運営の問題もあるわけであります。そういう広範な問題についてそれぞれ関係するところは非常に多いわけであります。それらの代表的な考えでおいでいただくということはやりかねておりますものですから、その従来の学識経験ということに重点を置いて選考いたしておる次第でございます。  行政機構につきましてどういう方が積極的に発言をされるかということでございますが、これは私どもが見ておりますところでは、特にどなたと言われないくらい、それぞれの立場から行政機構というのは、かなり各委員方々批判的に見ておられますので、非常に積極的な御発言がございます。従来みずから官庁機構の中におられた方もございますし、また官庁と非常に密接な業務を持っておられる方にもございますので、そういう面でいろいろ貴重な御意見を出しておられます。なお、機構だけでなくて運営の改善ということが、行政管理庁といたしましては非常に重要な項目になっておりますので、実はその方面のベテランという意味で事務管理等に特に経験、学識を持っておられるような方々も選考し、さらに、最近は行政事務の中に機械化というような問題も取り入れて検討しなければならない段階になっておりますので、そういう方面について十分学識のある方も選考しているわけでございます。
  108. 横川正市

    ○横川正市君 具体的にそれじゃ一つ聞きますが、富士製鉄の永野重雄さんという人は、これはどういう経歴を認められてお願いをするということになったのですか。
  109. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 永野先生は、かつて安定本部の副長官をしたこともございますし、そういう面から経済行政機構については非常によく御承知になっておりますし、また、それらの機構運営についてのいろいろの御意見も持っておられますので、そういう問題について特に貴重な御発言をしておられます。
  110. 横川正市

    ○横川正市君 私はその一人をやり玉に上げて、これが気に食わぬとか何とかじゃなくて社長さんとして非常に重要な立場にある人で、経歴は今聞いた程度では、それほどこの人に匹敵する人が他にないということではないと思います。永野さんの場合には、他に九つの委員を兼ねているわけですね、兼職が。それで富士鉄の社長である、東畑さんという人は東大の教授でこれは六つ他に兼職を持っている。おそらくそのほかの人もこれを同じように当てはめていけば幾つか重複して兼職をしている人、しかもそのほかに自分で非常に大きな責任を負わされている人、こういうことになるわけです。私は全部が全部そういう人たちで埋められなければならないかどうかと、もちろんここには日経連の人もおりますし、それから王子製紙もおりますし、三菱倉庫、それから同和鉱業、それに富士製鉄、東芝電機およそどうも行政機構とは縁のなさそうな経済界の大物が審議会の中にずらりと並んでいる。そのことがはたして審議会の運営に実質的な意見として、こういう人たちですから、おそらく一を聞いて十を悟るというくらいなベテランなんでしょうが、こういう一人で幾つも兼任するような多忙な人を動員して、片や行政機構というマンモスのような非常に大きな組織について審議をするのに参画させる、しかも、その人たち意思が出ない限り、結論というものはおそらく出ないのじゃないか、この審議会から見て出ないのじゃないかという、こういうふうに思われるような、似ても似つかないような、実態に沿わない審議会というものの運営ではないだろうかというふうに、私どもとしては疑問に思っているわけです。ですからそういう疑問の点を今あなたが言うように、いやこの人たちは非常に経験も豊富である、しかも博識であり、しかも会議には欠席をしない、意見もうんとはいてくれる、この人以外にはないのだと、こう言われれば、これは私は他に持ちごまを持っているのじゃないですから、この人がいい、あの人がいいということは言えない。そうではなしに、私はそういうふうに言われても、なおかつ疑問をこの行政審議会の委員の中に持つわけです。それはあなたが持っているなら仕方がないということなのか、あるいはそうではなしに、そう持たれても仕方のないような委員の任命しか出面行管としてはやむを得ないのだ、これ以上は、まあ行政管理庁としてもこれ以上のことはどうもやれないのだと、いろいろなさしさわりがあって、こういうことなのか。この点は私は一つ納得のいくようにしてもらいたい。こうやってみると、どうも任命そのものに私は、これはひがみや、その、あれですね、まあ非常に斜視でこれを見て、そうしてやきもちをやくわけじゃないのですが、どうもやはり同系統の同族みたいな者だけが選ばれているような気がして仕方がない。反対意見をこの中のある人が意見を出した、そしたらある人が意見を出すということで、討論の結果からいいものが出てくるというような格好でなしに、おそらくこれは、その会社、系統でいえば、だれか一人が発言すればみな会社系統の人は右へならいする。そのような人ばかりのような委員じゃないかと、こう思われる人たちが選ばれている。で、そういう点で、たとえば佐藤喜一郎さんが銀行尾さんで、金を借りなければならない人たち立場に立って、はたして金を借りなくてもいいというような結果を招くような論議はおそらくしないんじゃないかと思われるような人的配置をしているように思われるわけなんですがね。そういうのは私たちの思い過ごしか、あるいは変にごじつけてものを考えていると、こういうふうに見られるのか。私はこれも何かの審議会ならいいですよ、しかし行政機構というとんでもない大きな機構で、しかもだれが見たって、たとえば長屋のおかみさんにだって不満があるわけですよ、行政機構の結果にしては。それからこういうあれでなくても、ほかにいろいろな形で不平を持っている人がある、その人たちや何かをみんなある程度運営の中で、不百平や何かに答えていくような運営に直していこうというような意見を言う人にしては、いささか私は片寄り過ぎているというふうに見られるわけなんです。こういう審議会の中からはたして、まあこれから何ぼか、これ出されておりますが、二百数十ある審議会の、まあ運営や何やらの問題にもこれから入っていくわけですが、まず根本問題として行政審議会の委員の問題について、私どもとしてはこれではまあまあこれでいいじゃないかというようなところまでもまあいきかねるというふうに私は考えておる。その点についてもう少し明快に御答弁をいただきたい。
  111. 山口酉

    政府委員(山口酉君) どうもお話し、御質問になっていることにうまく申し上げられるかよくわかりませんけれども、感じが非常に違うのです。というのは、今行政審議会について何か運営上の不満がないかということをお尋ねと思いますが、行政審議会は非常に活発な御意見が出ておりまして、しかも、だれが機構問題について一番ベテランかということになりますと、これはやはり官庁側だと思います。しかし官庁側でいろいろ考えておりますものは、何かやはり片寄ったところがございまして、こういう方々が言われることが非常にこう、最初飛び離れたことを言われるような感じを受けておりましても、だんだんそれが説明を伺っていくうちに、あるいは実態をよく調査していくうちに、なるほどと思われるようなことが非常に多いわけでございます。それで直接にだれがイニシアチブをとって話をされるかというようなことも、ほとんど申し上げられないくらいに、大ぜいの委員方々からそれぞれ自前の意見が出ております。それで運営も非常に活発でございまして、議論はかなり激しく対立した議論もありまして、答申がきまるまでには、相当論議を重ねております。で、特に最後にどうしても調整がつかずに、少数意見というようなことで答申をした例もございまして、まあ何といいますか、審議がマンネリズムに陥るとか非常に消極的になるとかいうような、そういう感じを持っておりません。委員の数などをもっとふやすというようなこともあるいは考えられるのかもしれませんが、しかし、まあ非常に広範な問題について、やはりどうしてもそれぞれの事案については特別な協力を他から求めなければならない。あらかじめあらゆる場合を予想してその人選をしておくということになったら、膨大な委員の数にならざるを得ないと思います。それで現在でも何か問題がありますと、そういう関係の深い方面の方々においでをいただいて意見を特別に承っております。必ずしも各役所側だけでなくて、民間の団体等につきましても、そのときどきの事案に応じておいでを願っておりますので、そういう面で委員の数が比較的少ない点はカバーしておるわけでございます。これをやはり、現在の運営を変えるような仕組みにするということは、今のところ考えておりません。
  112. 横川正市

    ○横川正市君 まあ私は一つは、個人個人がりっぱかりっぱでないかという、意見を問われたときに、的はずれの回答をするなんという人を入れておるじゃないかということを言っておるわけではないのです。問題は、個人々々にすればそれはりっはだと思うのです。それからもしも会社なんかで最も高能率的に合理的な経営をしておる人たちの、そういう能力なんかも官庁の中に必要だから、そういう人たち意見を聞くというのならば、それはあるいは民間の有能な人たち意見を聞くこともいいということになると思うのです。しかし、実際には行政機構というものを今までのようなシステムではなしに、もっと民主化された、公務員の名が変わり、しかも国民に奉仕するという立場に立って、個々の行政を担当してもらうのだ、しかもこれは国の膨大もない行政機関なんだから、その行政機関を組織法に舞ういてむだのないようにしなければいけない、運営はどうしなければいけない、こういうふうに折り目正しく行政組織を動かしていくということになるとすれば、もっと重任を避けて、しかも月に一回なんというそういうあれでなしに、もっと積極的な会合を持って、そして具体的問題を審議すると、こういうような格好にしていったらどうなんだろうかということを、大体腹つもりにおいて、それで質問をしておるわけなんです。今の行政審議会の審議会としての設置をされた趣旨にのっとって、行政管理その他についての一般運営までも含めて審議会の運営そのものは行管としては別に文句はない、非常にりっぱにやってくれているから感謝をしているのだと、こういうふうにお考えになっていられるのかどうか。最後に一つこの問題についてはっきりお伺いしておきたいと思います。
  113. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 現在の運営の状況から見まして現在の行政審議会のあり方については、これで改めなければならないというようなことを考えておりません。
  114. 横川正市

    ○横川正市君 まあそうすると、問題はおのずと私たちは日常国家行政組織法によって組織されております行政機関のあり方、それから審議会その他の設置法をめぐって今まで論議してきた問題、そういったものは必ずしもこれは判断をしてこれはまあ妥当なものであると、それからその人選その他についてもこれはまあ文句はない、こういう立場には実は立っておらない。ですから設置法による数多い設置も問題でありますし、端的に言えば、この設置法による審議会の設置というのは、法律によって法律事項でやるのだから、任意で作られたものは法律事項で直すのだという簡単なものではなしに、行政が責任をもってやらなければならないのを審議会に逃げ込んでいないか、あるいは審議会の人選その他からいっても、これはもうそんな結論を望むことは無理じゃないかというような、そういうまあ設置についての不満もあるわけです。ですからそういう点について一体どこでそれじゃ管理監督をするかということは、これはもう行政管理庁がやることになるわけですね。そうすると今運営審議会その他行政審議会そのものの運営については満足だという答えを出した。一体、行政管理庁はそうすると現在の立場から言えば、きわめて私は、不満な運営をしているということになるし、それからもっと強いことを言えば一体何をしているのだと。ことに運営の万全を期しております審議会からの答申しておるものや、何かについてはきわめて怠慢じゃないか、もっと積極的にやれないかということになるわけです。そういう、その点から行政管理庁としては現行の行政組織法に基づいての全体の運営については、意見として何かお持ちなのですか。それともこの点をもう完全に運営されておるというふうにお考えになっておるのですか、その点を一つお伺いしたいと思う。
  115. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 現地の機構にしましても、行政運営にしましても、これが満足なものであるというふうには考えておりません。ただ、これを改革していくという仕事は、非常に困難な問題でございまして、一応方針が立てられましても、それが実現するというまでには、過去の例から見ましても非常にあらゆる面で困難がございます。そこで答申があれば、すぐにそれが法制化することができるかといいますと、やはりそれには政府の方針が決定するまでのいろいろの調査の問題もございますし、さらにそれが国会に提案されてから変わる場合もございます。行政審議会は一つの基準的な重要な問題について意見を出していただくということでございまして、すべての仕事をやられるわけではございません。従来の出されましたものに従って、できるだけその線で実現するように努力して参っておりますが、ただ実際上の困難性が伴なっておりますために、すべて実現はいたしておりません。しかし、時間をかけて答申の線に持っていくように努力はいたしておる次第でございます。  それから行政運営の改善等につきましては、これはまだ現在のわが国の行政運営というのは、非常に能率が悪く、一般国民から批判をされておるところでございますので、こういうものを改善していくという問題には、端本的な方針は行政審議会等で立てていただきましても、さらにこれを具体的の職場に移して参るという仕事は、非後に大きな問題でございますし、方針を立てて実現するまでには、かなり細部的な検討も必要でございますので、それらを一つのスケジュールをもって、だんだんと改善していきたいというふうに考えて努力しております。現在すべて満足かというお尋ねでございますが、満足であるということは申せられませんが、行政審議会等の出されました方針に沿って、今後十分努力をいたしていきたいと考えております。
  116. 横川正市

    ○横川正市君 私はこの行政審議会は、今管理局長の言うような満足すべきものであるというふうには、どうも思えないわけで、次回までにちょっと資料を出していただきたいと思いますが、審議委員の名簿とそれから経歴と兼職兼業の内容、それから審議会の今までの日程と、それから出欠と、それから今までどういうような問題が審議会の議題に上ったかという議題、それから答申の内容、こういったものをつ資料にまとめて次回までに出していただきたい。私はきょうはこれで一応質問を保留いたします。
  117. 山口酉

    政府委員(山口酉君) ただいまの資料でございますが、最近の状況のはじきにできるかと思いますけれども、これは行政審議会でございますか。
  118. 横川正市

    ○横川正市君 行政審議会の。
  119. 山口酉

    政府委員(山口酉君) あるいは古い資料は困難かと思います。最近の状況ならば。
  120. 横川正市

    ○横川正市君 はい。
  121. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  122. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後一時五十九分散会