運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-04-14 第34回国会 参議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十四日(木曜日)    午前十時十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            伊能繁次郎君            大谷 瑩潤君            木村篤太郎君            小柳 牧衞君            下村  定君            一松 定吉君            松村 秀逸君            鶴園 哲夫君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            向井 長年君            辻  政信君            高瀬荘太郎君   国務大臣    国 務 大 臣 中曽根康弘君   政府委員    内閣官房長官  椎名悦三郎君    内閣官房内閣審    議室長内閣総    理大臣官房審議    室長      大島 寛一君    人事院総裁   浅井  清君    人事院事務総局    職員局長    矢倉 一郎君    総理府総務長官 福田 篤泰君    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    行政管理政務次    官       新井 京太君    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    行政管理庁行政    監察局長    原田  正君    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    科学技術庁計画    局長      久田 太郎君    科学技術庁原子    力局長     佐々木義武君    科学技術庁原子    力局次長    法貴 四郎君    外務省経済局経    済協力部長   関 守三郎君    気象庁長官   和達 清夫君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    外務省アジア局   賠償部調整課長  高杉 幹二君    外務省経済局総    務参事官    吉野 文六君    大蔵省為替局投    資課長     奥村 輝之君    通商産業省通商    局次長     倉八  正君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○科学技術庁設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○総理府設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国家公務員制度及び恩給に関する調  査(国家公務員法とILO第八十七  号条約に関する件) ○原子力委員会設置法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○行政管理庁設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続いて質疑を行ないます。政府側出席方々は、中曽根科学技術庁長官原田科学技術庁官房長久田科学技術庁計画局長佐々木科学技術庁原子力局長大堀経済企画庁調整局長方々であります。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。  なお、最初に昨日の横川委員質問に対し答弁を保留されておりますのでこれを許します。佐々木科学技術庁原子力局長
  3. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 昨日御質問のございました放射線医学総合研究所入札等に関する御質問等に関しましてお答え申し上げます。御質問の要旨は、四点ございましたように記憶してございますが、この四点に分ちまして順次お答え申し上げます。  第一点は放射線廃棄物処理施設につきまして、その入札経過いかんという御質問のように承わっております。その施設建設に要します経費は、放医研予算に計上されておりまするが、その実施に関しましては関東地方建設局に委嘱いたしまして、ここで担当いたしまして、そこで関東地方建設局では、これを入札する際に大機ゴム工業株式会社との間に随意契約を結んでございます。なぜ随意契約にしたかという理由に関しましては、非常に問題が特殊なものでもありますし、以前に東海村の日本原子力研究所の同じ性質放射性廃棄物処理施設に対しまして大機ゴム工業が納めておりますので、その実績等調べてみますと、非常に優秀でございますので、事柄の性質上この大機ゴム工業株式会社に指名いたしまして随意契約をした、こういう結果に相なっております。  第二点の、三十万ボルトのエキス線装置につきましてどうか。その装置を扱いました東京芝浦電気株式会社一流会社ではないんじゃなかろうかという御質問のようでございますが、この東芝放射線株式会社と申しますのは、皆さんももちろん御承知通りでございまして、日本で一番大きい電気器具メーカーであります東芝の商品を納入して、ここで販売する販売会社でございますので、決してこの東芝放射線株式会社というのは無名の会社でもありませんし、非常に身元の確かな資本金その他もはっきりいたしました会社でございますので、そういう点に関しては御懸念がないんじゃなかろうかというふうに感ずるのでございます。  三番目は、べータトロンの問題でございますが、べータトロン東芝に指定されることになっておりますが、その経過の御質問でございますが、このベータトロンは出力が三十一ミリオンエレクトロン・ボルトという非常に性能の高い、いわば日本最初の重性能な器機でございます。現在まで十五万ミリオンエレクトロン・ボルト以上の製作処理を擁するメーカーを選定いたしました結果、スイスのグラウンブルボベリーという会社と、アリスチャーマー、これはアメリカ会社でございますが、及び日本東芝の三社でございますので、この三社に限って競争入札をいたしたわけでございます。その結果東芝が落札いたしまして、東芝に注文をしたというふうな結果になっております。  第四番目の、放射線医学総合研究所の中に研究協議会という機関外郭団体でございますが、この外郭団体性格等いかんという問題でございまして、本協議会放射線放医研外郭団体として、当初は任意団体でありました。放射線医学器具関係等を関連のある向きで任意団体とした一種の研究等の、何と申しますか、啓蒙宣伝のような外郭機関でございましたのですが、大臣からも昨日お答え申し上げましたように、どうもこういう機関任意団体というのは必ずしも好ましいとも思いませんので、目下財団法人化等、この性格あるいは内容等の線に沿って改組に関しまして検討中でございます。近くはっきりした姿に巻き変えたいというふうに考えている次第でございます。
  4. 横川正市

    横川正市君 いろいろ説明をしなければならない状況は、これは問題によりけりだと思うのですが、こういうあれがどこから出てきたのかということに対して、何か心当りがあるかどうかということですね。  それからもう一つは、この任意団体で、しかも相当物心両面協力を得て、その使用計画その他については、だれもが監視監督をしないというままに放任されておったわけであります。今までのそういう寄付金あるいはその使用については技術庁として何らかの意思表示をしたことがあるかどうかですね。
  5. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 前段の分、御質問のような趣旨のことが、どういうところから根本が発しておるかという御質問のようでありますが、これに関しましては、私どもにも出所不明の投書等が参りまして、確かに住所名前等ございますので、事実をはっきり確かめたいと思いまして住所、氏名をその個所で調べますと、そういう本人はおらないという、どなたが出したか今もってわからないような文書が参ってございまして、私どもといたしましては、監督官庁の立場上ほうっておくわけには参りませんので、その詳細につきまして当該機関でありまする放医研はもちろんのこと、関連するあらゆる方面を調査いたしまして、その結果御答弁申し上げますのが、先ほどいたしました答弁内容でございます。最近会計検査等もございまして、その結果も大体同様の結論のように承知してございますので、この点の出所そのものに関しましては、私どもいまだもってつまびらかにはいたしておりませんけれども、指摘しました事項に関しましては、お答えした通り、ただいまのところ問題はないのじゃなかろうかというふうに承知しております。
  6. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この科学技術振興関係の問題は、国際的に考えても、国内的に考えても最も重要視され、論じられなければならぬ部門だと思っている。ところが不幸にしてわが参議院には特別委員会もないし、長官の御所見を承り、また意見を交換する機会もめったにないわけで、この審議機会にいろいろ承りたいと常々期待しておったわけですが、私のっぴきならない差しつかえで委員会を欠席いたしまして、きょう初めて伺うわけです。三回ほど委員会がやられて、どういう点が質疑応答されたかということは、事務当局から大体聞いております。それでできるだけダブらないように、時間も非常に迫っておりますから、重要なものを重点的に承りたいと思いますので、非常にダブつた場合は、しかるべく御答弁いただきたいと思います。  そこでまず私は長官に伺いたいのですが、率直に言って長官はお若い、それで科学関係の人、それから一般にそういう方面に見識と関心を持っている国民層の中には、長官が若さにたよって非常に吹きまくっておると、だから中曽根科学行政というのはあまり地についていないと、こういう批判が一部にあることは事実です。これは長官の耳にも入っていると思う。しかし、私はそれにくみしない。私は長官に全面的に賛成するというわけじゃないが、期待もしておりますし、あなたが種々方面所見として述べられていることは、そんなに吹きまくっておるとか、非常に地から離れているというようなものではないと、私は大きくはあなたの発言に共鳴を感じているものです。そういう角度から一言基本的なものを承りたいのですが、そのことは日本もおそらく今まで必要とされたと思うのですが、日本の国土とか、あるいは人口とか資源とかあるいは現在の世界情勢等からいって、日本の今の国政の面では、科学技術というものは最も重点的に取り上げられなければならぬ問題だと思う。ところが、いろいろ法律もできて、長官昨年六月就任以来ずいずんと努力されているわけでありますけれども、しかし、先進国のそれと日本科学技術振興必要性というような角度から考えた場合、やはり抜本的な政策というものがとられていない、それは制度機構の上から、また予算面からいっても抜本的な点はまだ触れられていない。かかるがゆえに、そういう状況下にいわゆる中曽根構想というものが打ち上げられる、だから地についていない、こういう批判がある。私はこれは誤れる批判だと思うのですね。あなたの打ち上げられていることは、私は方向は間違っていないと思う。それを裏づけ基礎つけるところの制度機構等予算の裏づけというものがなければならない、こういうふうに私は考えているのですが、その点に対する長官所見をまず承りたい。
  7. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御声援をいただきましてまことにありがとうございます。過分のお言葉で大へん恐縮でございますが、私の考えでは、日本科学技術というものは、戦争によりまして以来、十数年以上外国からおくれておりまして、現在の速度をもっていたしましても、その較差はますます増大するばかりであるように思います。従いましてこれを回復するためには、国をあげて力を入れなければならぬと思っておりますが、こういうようなおくれを取り戻すためには、上に立つ者は大過なきを期するという慎重な態度ではなかなかこれはできない、ある程度責任自分でしょって蛮勇をふるうところもなければできない、そういう気がいたしまして、老練な方から見れば、むちゃなと思うようなことを申し上げたり、あるいは政策にしようと思ったりやっているわけであります。しかし、やはり国政責任者の一人でございますので、国民の税金をむだにしないように最も有効にこれを使うという心がけは捨てないでやっておるつもりであります。しかし、日本制度機構予算等を見ますと、すでにこの委員会でも申し上げましたように、外国との比較におきましては、たとえば科学技術振興研究費関係にいたしましても、アメリカあたり国民所得の四%近く、三・七%程度イギリスが約三%それからドイツやイタリアが一・二、三%、日本は〇・七%、国民所得においてはしかし日本アメリカとは膨大な差がございますし、イギリスとですらも膨大な差がありますので、これを絶対額にいたしますというと、もっと大きな開きが出てくるわけであります。そういう状況からいたしましても、日本制度予算を充実させるということは非常に重要であると思います。しかし、一番大事なことは、何といいましても人間の関係であると思いまして、日本科学者の中には相当優秀な方もございます。従って思想やあるいは政治的信条いかんを問わず、人類の福祉のために貢献なさろうというお考えの方は、全面的に国のために貢献していただくように場所を提供し、環境を整備するというのがわれわれの任務であると思いまして、その面に向かって努力をいたしたいと思います。一番大事なことは、大学あるいは民間の研究所、あるいは政府関係国立研究所の優秀な科学技術者が十分協力して、しかも研究ができるような態勢を至急整備することがわれわれの任務であるように思います。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点については、長官国会議員の中でも最も研究されている方だし、それに生れながらにして能弁で雄弁ですから、答弁が長くなる場合があるかと思いますが、時間がありませんから、できるだけ短かくお願いしたいと思います。この法案焦点を合わして承りたい点は、宇宙研究開発目標、これに臨む原則というものはどういうものかということです。これはおそらく質疑に出たと思いますが、非常に大事な点であります。原子力開発はあなたが衆議院議員として、その一人として推進されてきた過去の歴史があるわけです。その原子力開発については法もあり、原則というものも明確です。宇宙研究開発についてその目標と、それに臨む原則というものはやや不明確であるところに、若干懸念される面があるわけです。簡単明瞭にこの点お答え願います。
  9. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いずれ宇宙開発審議会ができましたら、その審議会によって正式に決定していただきたいと思っておりますが、昨年来関係学者等とも協議いたしまして、目標といたしましては、日本国民及び世界国民の平和及び福祉に貢献するということを大目標にいたしております。それから原則といたしましては、これを民主的に、しかも公開原則をもって、そしてあたら限り国際協力原則として推進する予定でございます。
  10. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その答弁言葉たるや、まことにけっこうです。しかし、そこにやはりちょっとあと問題点が出てくるのですが、逐次伺って参りますが、そこで公開、民主的とかあるいは平和、福祉、その通りでなければならぬと思う。はたしてこの答弁通りに行なわれるかというところに問題点があるわけで、逐次伺って参りますが、その前に前提として伺いたい点は、学術会議宇宙開発審議会、この関係をどうお考えになっておるか、総理府設置法宇宙開発審議会、これとこのおたくの法案とは全く実質的に同じものなんですから、そこで先般も、御承知と思いますが、学術会議の中には、中曽根科学技術庁長官宇宙開発政策推進方針相当批判が先般のシンポジュームで行なわれたわけです。確かに汲むべき面があると思うのです。これはまことに失礼ですけれども長官は有能なだけに腰が強いのですよ、だから宇宙開発関係学者にしても、あなたと非常に意見の合う人と、あなたの意見に対しては批判的な意見を持っておる学者とに対する応待の仕方というものは、相当隔たりがあるわけです。たとえば糸川さんあたりとは非常に意気投合するわけです。ところが、日本ロケット研究の大家と言われる糸川博士に対する批判勢力というものが日本学界に相当あるのです。これは確かに糸川さんはエキスパート、功績者であります。しかし、糸川さんに対する批判勢力というものは日本学界に相当ある。ところがその糸川さんとあなたとは非常に意見が合うわけなんです、そこに長官の個性といいますか、若さの関係もあると思いますが、出てくるわけです。それで、ここで私はスタートが大事ですから伺いたいのですが、学術会議、ああいう専門部会におけるシンポジューム等において非常に建設的あるいは批判的な見解を述べられておりますが、これをいかように取り入れられていかれようとするか。さっき私が基本的な目標並びに樹想を伺ったときに、総理府に今度設けられる審議会云々という御答弁があったわけですが、その審議会の構成というものは、そのときに問題になってくるわけでして、私の聞かんとするところはどういう点を聞かんとするか、おわかりだと思いますから、お答え願いたいと思います。
  11. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 宇宙科学技術というものは、次の時代を開くために非常に重要な部面でありまして、このことは本委員会においてしばしば申し述べた通りであります。しかし、日本では原子力と同じように非常におくれておりまして、こういうおくれている部面を開発するためには、政府確固不動基本方針を堅持して、ここに非常に力を入れるという姿を見せることが、新しい学生がこの分野にどんどん集まる、あるいは学者研究に精進しりっぱな学者が輩出するもとになるのでありまして、政府基本方針の大黒柱ができていないと、いい学者もいい学生も集まってきません。原子力の場合でもそういう考えを持ちまして、われわれは原子力国策というものを確立したわけでございますが、宇宙科学技術におきましても同様のことが必要であると思います。  第二に、シンポジュームの議論は、私も詳細に拝聴いたしました、私は聞いたわけではございませんが、係官を派遣してその結果をよく聞きました。しかし、その内容は大部分新聞に出ました記事は、正規の資格のない者、と申しますとこれは語弊があるかもしれませんが、学術会議議員ではない方の、学生とか、あるいは助手とか、そういう人たち発言が大部分新聞に載ったのでありまして、直接、天文あるいは気象、あるいはロケット、あるいは燃料、そういうようなことに携わっている日本の有力な学者の御意見では必ずしもないように私は思いました。むしろそういう学者たち答弁に回りまして、いろいろ解明されたというのがそのときの状況でございます。しかし、それらの方々発言されました内容はわれわれもよくわかりますから、われわれもその点は十分注意して参ってきたところでありまして、たとえば東大生産研に配付いたしました一億六千万円の金の中で、ロケットに使うのは九千万円、残りの七千万円が計測器とか、観測とか、天体とか、その他に使っておるのでありますが、そういう状況をお知りにならないから、ああいう方々発言が出たとわれわれは思います。しかし、心配していることはよくわかりますから、われわれも聞くべきところは聞いて実施していく予定でございます。  それから宇宙開発審議会は、政府宇宙政策行政を行なうためにいろいろ具体的政策を行なう必要がございます。その場合の諮問機関として、具体的にどういうふうにどういう順序でやっていくかというようなことを諮問いたしまして、その答申を直ちに行政の施策に反映さしていきたいと思っておるわけであります。学術会議の方にはコスパール宇宙委員会というのがございまして、これは主として学術中心国際学会とも協力してやっておるのでありますが、これはむしろ原則的な、学理的な、学術的な面が中心でありまして、行政にすぐ反映するという面からはやや離れております。第二に、学術会議関係のものは大体においてコスパール中心にしておりますから、技術は入っていないのです。しかし宇宙開発行政上非常に重要な部面技術であります。従ってこの部面に関する諮問宇宙開発審議会というものが非常に働いてくれるところがあると私は思っております。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで、時間がないから、なるたけ焦点に合わせて伺いたいと思うのです。具体的に、長官日本人工衛星を打ち上げる能力を持てるのは、いつごろと予想されておりますか、打ち上げたいと、今のところお考えになっておられますか。
  13. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういうことどもは、宇宙開発審議会で大体きめていただきたいと思っておりますが、私の個人的意見といたしましては、人工衛星は、日本球体を作りまして、そして打ち上げは、アメリカロケット等を使って打ち上げてもらって、日米協力でいくのが今のところ妥当な線であるように思います。実際は打ち上げのあのロケットに非常に費用がかかるのでありまして、人工衛星球体自体はそう費用はかかりません。しかも人工衛星球体自体は、これからの学術上に非常に重要な材料を提供するのでありまして、それを実施することによって、日本世界に優位を誇っておった電離層あるいは宇宙線地磁気等研究がますます向上していくものとわれわれは考えるわけでございます。そういう、自分で新しい道具を使って学術の究明をやりませんと、今まで日本が、地上で、乗鞍岳あたりでやっておった程度の学問では、世界から非常におくれてしまうというおそれがあるからであります。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 で、それは審議会でやるでしょうが、あなたは一つ構想を持たれているはずですね。まあ規模にもよるのでしょうが、人工衛星のささやかなものでも打ち上げるとすれば、どれくらい費用がかかるのか。一発どれくらいかかるか。いつごろ打ち上げる能力は持てるだろうと、持ちたい、こういう構想を持たれるのか、その見通しも伺いたい。
  15. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) おそらく、かける費用の額によって時期というものも変わって参りますが……
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの構想です。
  17. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) かりに、十分予算がいただけるとすれば、数年で日本人工衛星を打ち上げる力は持つと思います。現在やっているカッパー八型がカッパー十型程度まで進歩しますと、九百キロ程度上がりますから、人工衛星に転化することは可能でございます。それから人工衛星中心である球体自体は、日本は非常にエレクトロニクスが発達しておりますので、またあれは大体手先で作るわけでありますが、日本人は非常に手先が器用でありまして、トランジスターラジオなり、小型カメラ等からすぐわかりますように、それを作ることは必ずしもむずかしいことではないように思っております。現にカッパ一にあげております計測器等も非常に有効に作動しておりまして、その力はあると考えております。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこでお伺いしますが、カッパー七型まで成功しているのじゃないですか、ロケット自体は、八型も完全に成功しておりますか。それから今、カッパー十型までということですが、カッパー九型並びに十型の成功はいつごろまでに成功するであろう、させようというお考えでおられるのかお答え願いたい。
  19. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) カッパー七型まで上がっておりますが、この間、ついに二、三週間前に道川海津で八型の一郎の実験をいたしました。これは非常に好成績に上がりましたが、八型の第二段は発進しないで、模型のものをつけまして上げたのでありますが、これは非常な成功でありました。それで次いで九型、十型と前進しているわけでありますが、三十五年度におきましては十型の地上試験を終了するところまで進めてみたいと思っております。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうなりますと、カッパー九型くらいからそうだと思うのですが、もしそれがさらに十型になりますと、大体千キロくらい上がると思うのです。たしかに人工衛星に近づいてくると思うのです。そういう場合の人工衛星は一発どのくらいかかるとお考えですか。
  21. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ロケットを含めての費用は正確に私まだ覚えておりませんが、われわれの予想では開発費等を含めまして十五億から二十億程度ではないかと思います。全部を含めまして。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 人工衛星というものになってくると、そんなことではだめだと思うのです。最小限小さなので六十億から行徳くらいみなければならない。私はそういうように、ちょっと勉強しているんですけれども、それはともかくそれとして、質問焦点ではありませんから……。  そこで伺いますが、カッパー八型から九型になりますと、今の日本ロケット打ち上げの試験というのは、ほとんど秋田海岸でやっておりますね。このロケットセンターの移転を必要としませんか。大体、秋田で七型、せいぜい八型まではいいと思うのですが、九型から先になりますと沿海州の近くに落ちます。ソ連領に落ちます。そうなりますと、これはちょっとあとで触れて参りますが、いろいろ問題点が出てくるわけです。そうするとあなたの構想を進めるとすれば、ソビエト領に落下していくと、国際的の問題が起こるということになれば、太平洋岸にロケットセンターを移さなければならぬという問題が起こってくるのじゃないか。それらの費用は相当なものだと思うのですが、そのロケットセンターについては、九型なり十型の打ち上げが近いとお考えになっておられるが、どういうお考えを持っておられるか。
  23. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御指摘のように九型、十型になりますと、沿海州に近いところへ落下いたすおそれもあります。従いましてその場合は今の道川海岸をさらに日本海側でもう少し適当なところとか、あるいは太平洋岸に移す必要が出てくるものとわれわれは考えて、そのときの対策もいろいろ考えておるわけでございます。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 重要な問題がいろいろ派生して参ります。そこで、ちょっと質問を戻して承わりますが、この日本宇宙開発が必要だということは申すまでもないことなんです。ところが、今ちょっと伺ったのですが、ロケットの打ち上げに偏向している。これは学者批判というものは、あなたは一部の人と思っては大きな間違いだと思うのです。さっき、助教授とか講師とか出ましたけれどもロケットを早く打ち上げたいということで、人工衛星の打ち上げに到達したい、この方向はあまり偏向している。一方的である。だからロケット部門以外の学者はこれはひややかな目で見ているわけです。そこに日本の総合的な力が出てこない、学者を動員できないという、宇宙開発に私は盲点が出てきていると思うのです。これは長官のお考えから出てきているわけなんですが、ロケット打ち上げを早くやりたいという偏向、この点は一つ私は謙虚に耳を傾けていただかなければならぬ。何がゆえにロケット打ち上げの偏向の傾向が出てくるかというと、これはさっき、平和、平和と言うけれども、軍事用に結びつくのですよ、長官。これはまことに失礼ですけれども長官、私が一番懸念しておるところを伺います。そこで、若干警告も含めますが長官は憲法改正論者であり、再軍備論者の保守党の中の筆頭ですが、かつては憲法改正の歌をこしらえて鳩山総理も皆さん集まったところで歌っていただいた作詞家でもあるわけです。そして平和々々というけれども、このロケット研究は、あなたの構想は必ず軍事利用に結びついていると思うのです。だから兵器開発に、中曽根科学教室における宇宙開発というものが、ロケットから人工衛星、これに偏向してこれが兵器開発に利用するかしないか。こういう懸念が非常に強いわけです。これは確かにあると思う。あなた御承知と思うけれども、英国は軍事利用のロケット宇宙開発ロケットに転換しましたよ。宇宙開発ロケット、軍事用のロケット、英国は軍事開発のロケット宇宙開発ロケットに転換した何があるわけです。だからこの点若干私は警告も含めてあなたの確たる一つ考えを承りたい。ロケット打ち上げに偏向していますので、他の部門の学者協力を得られない傾向が出ておりますので、その点についてどういうお考えを持たれ、今後対処されようとするかお伺いしたいと思います。
  25. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私はロケットを偏重しているとは必ずしも思いません。そのことはこれまでにもしばしば理由を申し上げました。その一つは、これからロケットというものが交通や通信の重要な手段になっていくので、羽田の今日本のプロペラの飛行機がイギリスアメリカのジェット機に追い越されてお客がなくなって困っていることでもわかるので、次はロケットになります。通信にしても同じであります。平和利用のためにロケットの開発は非常に重要なので、燃料とかエンジンは外国におくれないためにも、今から力を入れていく必要があるのであります。また費用にいたしましても、先ほど申し上げましたように、バランスをとって配分するように努力しておりまして、学者の一部の方々が心配なさるのは、科学研究費その他がまだ配分にならないのであります。こり間予算が通ったばかりでありますかり、学術会議中心にして六月ごろ配分になる。それがまだいかないので御心配になる向きがあると思います。この点につきましては、文部省とも十分協力してバランスをとっております。次に、軍事利用の問題は科学技術庁関する限りは、軍事利用は毛頭考えておりません。またやっておりますロケットのカッパーというああいう程度のものは、防衛庁が使うサイド・ワインダーとか、あるいは高射砲がわりの誘導弾とかそういうものよりもはるかに射程の強い宇宙探査用のものでございまして用途が違うと私は思います。日本が、ICBM、IRBMを持つならば、ある程度参考になるかと思いますが、さして私は参考になる要素はないのじゃないかと思います。私は軍事用の方はよく知りませんから、そのように思います。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 質問を急ぎますが、これは非常な問題点で、もう少し論じたいのですけれども、時間が制約されているそうですから、ちょっと質問を続けて参りますが、それでは今世界各国でロケット研究はどことどこの国がどの程度進んでいるというようにあなた情勢をつかんでおられるか。
  27. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一番進んでおるのは、アメリカとソ連でありまして、次はイギリス、それからフランス、それから日本、イタリア、その程度であろうと思います。日本は今まではフランスよりは国際地球観測年におけるロケットの効果においては非常に優位でありましたが、ドゴールが出てから追い越されたような結果になって参りました。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その国際情勢の分析は私同感です。そこで伺いますが、今の科学技術の振興もそうですが、この宇宙開発等は、広い国際協力が絶対に必要な段階だと思うのです。そこで、最近英国ではもり盛り上がってきておりますが、こういう情勢下に、おそらく必要とされたと思うのですが、日米間の、三国問の協力態勢をここで結ぶということはやや慎重を欠くのではないですか、ということは、御承知のごとくに、アメリカの航空宇宙局、航空宇宙局というのは昨年法が改正されて、これは軍事用と平和用の、ロケットを軍事用も平和用も両方含んでロケット開発研究をやる責任官庁になっているわけですね。大統領の直属になっているわけです。そういうアメリカと、先般糸川さんを派遣したようですが、二国間の協力態勢を結ぶ、このことは他国との協力の道をふさぐきらいがあるし、また、日本のさっきいった公開とか、民主とかいった日本としてのロケット研究宇宙開発の自主性というものは、アメリカから制約されるおそれがあると思います。こういう学界批判は謙虚に耳を傾けるべきではないかと思う。それとも何ですか、アメリカ側から二国間の協力関係を結べば秘密的なことも教えよう、それから物質的な援助もしょうというような約束があってそういうふうに乗り出しているのか、非常に勇ましく、きぜわに私は乗り出して行っているように思う。さらに、最近六月に長官アメリカに行かれて協定を結ぶということも一部新聞紙上に報じられておりますが、そういうお考えであるのかどうか。私はもう少し慎重に、スタートが大事だから、慎重に学界等の意向も広く聞いてやる必要があるのじゃないか、かように思いますので、伺っておきたいと思います。
  29. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 宇宙開発は全人類の国際協力をもって行なうのが妥当であると思いまして、すでに国際連合におきましても、この方向に動いており、特別委員会も作られ、また、来年は宇宙科学者会議が、今年ないし来年行なわれる予定になっております。従ってわれわれも国際的協力をもってこれを進めたいと思っております。それが第一の原則であります。しかし今、国際協力でやっております部分は、学術だけでありまして、全世界学術連合というのがございます。ICSUと呼んでおります。その下にコスパールという宇宙空間研究委員会がございますが、これが国際的組織になっておりまして、これは学術だけでありまして、各国の学者が論文を出したり、情報を交換したりするというものであります。しかし、これは技術が入っておりません。日本学術上の優位をこれから回復しようと思ったら、やはり最新の学問の武器を使って、資料をとって、自分研究を進める以外にない。そういう点からして技術の開発が非常に学閥のためにも重要なのであります。そういう点から見ますと、やむを得ませんが世界的な組織ができるまでは、自分の要望を達する国と協力関係を結んで技術を回復していく、あるいは学術上の協力をも進めていくということはやむを得ない措置であるとわれわれは思います。これを行なったからといって、われわれの要望を達しようとするほかの国との協力を阻害しようとするものではございません。現実の行政に携わる者といたしまして、日本のこの部面を開発しようと思いましたら、われわれの要望を達する国と技術士の協力関係並びに学術上の協力関係を結ぶということはやむを得ない有為であると思います。  アメリカの航空宇宙局はお話とちょっと迷うのでございますが、平和利用のみを目的といたしまして、軍事部面は入っておりません。地平部面は陸海空軍に分かれておりまして、そのために大論戦を昨年行なったのであります。その結果NASAは平和利用のみに限定しておりまして、けさ新聞に出ておりました航海の位地を測定する、船の位置を測定するとか、あるいはこの間タイロスという航空気象衛星を打ち上げました。ああいうものは大体平和利用としてNASAがやっているものでございます。NASAとわれわれはその協力関係を結ぼうとするものであります。かりにほかの国々とも、われわれの要望を達してくれるという国がありましたら、お話が合えば、われわれは協力関係を結ぶにやぶさかはございません。そういう総合的な与えをもちまして学者意見もよく聞きまして、日本アメリカとの間に正式の協定とまでいかなくても、公文の交換等で学術上の情報の交換とか、あるいは人員の交流、あるいは発射場の視察、あるいは研究会議の開催等を含めました協力関係を設定したいと考えております。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこは長官、私はもう少し慎重にやるべきだという点しかないのですが、あなたは六月に行かれて交換公文でも取りかわして協定を結ぶお考えですか。もう少し学界の意向を聞いて慎重にやられたらどうですか。けさ新聞に出ている航空衛星とは、アメリカは前から打ち上げるべく、非常に待望し、研究しているところです。これは航空宇宙局の所管です。これは軍事目的が主ですよ、何といったってこの航海衛星というのは。先般問題になった黒いジェット機ですね、あれだって航空宇宙局の仕事ですよ。そして、在日米軍の所管下に入って飛んでおったんですよ。外務大臣は、日本の気象庁はこれから情報を受けておったと言うけれども、気象庁に直接聞いてみますと、日本の気象庁は、黒いジェット機から気象情報を一回も受けておりません。気象庁の長官がかって私の質問に答えた。だから米国の航空宇宙局というのは、平和的なものも軍事的なものも相当やって、大統領の息が非常にかかって軍事的にも一体となっているのですよ。だから、こういう航空宇宙局を相手に、日米の二国間の協力協定等を結びますと、他国の方はそっぽを向くようになるし、日本の国内でも問題になってくるのです。あなたと非常に意見の合う糸川博士のような人は、ずっといくかもしらぬが、他の批判勢力がそっぽを向けば、総合的な日本の科学の力というのは出てこないと思う。そういう点で、伝えられるあなたの六月訪米、協定を結ぶという点は、慎重に私は再検討さるべきだ。学界学者の動向、それから研究体制の建て直しをされて、そして宇宙開発のスタートを切られるのが妥当じゃないか、かように思いますがゆえに伺っておるわけで、重ねてこの点をお答え願いたいと思います。
  31. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は権威のある学者のお話、御主張に対しましては謙虚に耳を傾けて聞くつもりでおります。今まで、しかしいろいろたとえばコールダーホール原子炉の設置の問題につきましても、アメリカとの原子力協定の設定の問題にいたしましても、いろんな問題について学者の御念見も拝聴いたしましたが、われわれが判断いたしまして、正しいと思う議論と正しくないと思う議論とありました。われわれはそれを選択して、正しいと思う議論を採用してやってきたわけでございます。今回の宇宇開発等の問題にいたしましても、いろいろ学界に御意見があるとは思いますが、われわれの責任において、やはりいろいろ意見を聞いて、正しいと思う議論は採用するが、正しいと思わぬ議論は採用しないというのは当然のことであると思います。しかし、意見を聞くということは、大事であると思いますから、十分御意見を拝聴して参りたいと思います。現在アメリカとの関係が御議論になりましたが、いつどういうものを作るかということは、まだ未定でございますが、もし可能であるならば、ことしの上半期ぐらいに米国との間にそういう協力関係を交換公文の形で設定することを、現在私は希望しております。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう二項目ほど伺いたいと思うのです。気象庁長官お見えになっていますね。科学技術庁長官気象庁長官、両者に伺いたいと思うのです。この宇宙開発というものが問題になっていますが、中曽根科学行政ロケットの開発研究というものに重点が向いていることは否定できない。ロケットは、それは軍事用とか平和用とか運搬用とかあるが、それと観測用というものがあるのですね。そこで、気象庁長官関係が出てくるのですが、ただし、これは科学技術庁長官としても重大な関心を持っているので、そこで伺いたいのですが、日本は台風国だ、こういう日本では、ロケット開発研究等をやる場合に、観測用と、気象庁の行政機構、それから定員等も含めて、こういう体制を充実することが大切だと思うのです。私は科学技術の振興は非常に大事だ、その中で、気象関係は重要だと思います。ところが海洋気象関係にしても、航空気象、あるいは高層気象にしても、私はきわめて不十分だと思います。これらに対する気象庁長官の意向もあとで聞きたいのですが、特にロケットによる気象観測、それによって台風を未然に察知して対策を講ずるというようなことで、日本の災害というものは、私は、非常に防げると思うのです。だからアメリカ協力する場合には、たとえば沖縄とか、中部太平洋にそういう観測用のロケットを打ち上げできるような措置をするというようなものは、僕は先行しなくちやならぬと思う。こういう必要性を僕は気象庁長官としては認識されているかどうかということも私は合せ聞きたいわけです。この宇宙開発に関連して日本に一番関係があるのは、やはり国際協力の立場において台風の被害を防ぐということだと思うのです。このことがロケット宇宙開発、それから、ロケットの開発研究これらと不可分の関係があるので、こういうところが先行しなくちゃならぬのですけれども、そういう点が中曽根行政の中には私は影が非常に薄いという点を懸念するがゆえに、長官並びに気象庁長官のお答えをいただきたいと思う。気象庁長官が答える場合には、そのあなたの所管庁は今の体制で十分対処できるのか、国民の期待に沿い得るのかどうかということなんですね。昨年は愛知にああいう大災害があった直後ですが、その当時は論じられるけれども、さて今度は予算編成作業に入ったときには、もう忘れられてしまう。こういうようなことをやって、そうして、宇宙開発の名のもとに、さっき私が指摘し、一部学者が指摘しているようにロケットの打ち上げ、人工衛星に結ぶところのそういう方向に宇宙開発の方向が偏向していくことは私は妥当でない。かように思いますがゆえにこれもあわせ気象庁長官から承っておきたいと思います。
  33. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 台風を的確に把握するということは、日本にとって非常に重要なことでございまして、すでにアメリカにおきましてはハリケーン・プロジェクトというのがありまして、相当大規模の予算をもってロケット並びに飛行機をもって台風を観測しております。ロケットによる観測はかなり成功しておりまして、ハリケーンを的確に把握した写真をわれわれも入手しております。われわれも飛行機並びにロケット等によりまして的確な観測を行なうように政策を進めて参りたいと思っておりますが、飛行機の方は防衛庁の方でそれをやってもちったらいいと思って赤城長官にも申し入れ、私も閣議でも発言しております。  それから、ロケットにつきましては、今回科学技術庁に三千万円の気象ロケット開発の予算を取りまして、この開発に本年度から着手することにいたしております。矢嶋委員の御議論には、この点は全く同感でございます。
  34. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) わが国の気象事業を行なう施設が現在で十分であるかどうかというお話であります。率直に申しまして、十分とは申しかねます。しかし、現在世界の国に比べましても、そう劣っておる状態ではございません。ただ、わが国が御承知のように特別に気象が複雑で、災害の多い国でありますから、世界と同程度をもって満足するかどうか。私は日本は独特の充実した氣象設備を持ってしかるべきものと考えております。  ロケットと気象との関係でございますが、このうちで最も大切なのは人工衛星によって地球上の気象状態を見ることであります。すなわち気象衛星あるいは天候衛星といわれて、アメリカが最近に打ち出したものであります。それで、これはわが国の台風の予報、ひいては災害防止に最も貢献するものと思われるのでありまして、わが国もこれに協力して、あるいはわが国独自でできれば一群いいのでありますけれども、まあ各国協力して、この気象衛星の活用ということを早く実現したいと思う次第であります。なお、ロケットによりますと、従来の気象観測は高さ五十キロメートル程度でございましたが、これがその上の百キロにも及ぶ高い超高層の観測ができまして、これがいろいろの関係から気象に及ぼす影響は大きいのでありますから、この方面にも気象学の発展、ひいては災害防止その他に貢献するものだと思います。要するに気象事業といたしましては、先ほどもお話がありましたように、飛行機観測を米軍の手において現在行なわれております。もちろん、米軍は十分なる資料を迅速にこちらにくれておるのでありますが、目下のところはそれで済んで、おりますけれども、やはり自分の手で行ないますると、さらに都合のよい観測もできることでありまするし、また万一のこともありますので、日本においてもでき得る限り早く自分の手で飛行機観測を行ないたいと考えて努力いたしております。  なお、私学術会議の会長をいたしております関係上、先ほどから学術会議の意向もございました。学術会議において先日シンポジウムが行なわれました。これは非常に研究者の意見を聞き、互いに研究説明し合い、また理解を深め、誤解があれば誤解を避けるというために開かれたものであります。学術会議会議として、まだこの宇宙空間研究に対する態度、意見というものを表明しておりません。学術会議の中にある宇宙室閥研究連絡委員会は、もちろんこの問題について十分討議をいたしまして、たとえば米国との協定におきましても、また、一般科学の振興のために特定研究がアンバランスにならないようにというような、この委員会の意向は科学技術庁にお伝えしてございます。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 科学技術庁長官気象庁長官に重ねてこの点伺いますが、科学技術庁長官に伺いたい点は、今気象庁長官が言われたように、観測機がほしいのですよ。日本のような海洋国で気象観測機を持たぬというのは、おかしいですよ。防衛庁はいつ戦争があるかわからぬ、あるはずがない。これは千二百機近くも持っておりながら、気象庁は観測機一つ持たぬというような、そんなばかな政治はありますか。自衛隊云々なんかいったって、それは問題にならぬですよ。気象観測機、ヘリコプターなんというものはたっぷり持たすべきですよ。そんな方面に幾ら税金をかけても大丈夫です。あなたは有力な閣僚ですから、こういう点についてときどき閣議で発言されておることは、私漏れ承っておるのでありますが、その点について気象庁は運輸大臣楢橋さんの所管ですが、科学技術庁が関係あるのですから、今後努力されるお考えはないかどうか、私は約束してもらいたい。  それから気象庁長官に伺いたい点は、この黒いジェット機からは、依然として全然気象のなには受けていないのですか、どうですか。このことと、私不思議に思うのですが、マーカス島の観測業務をアメリカから委託されて、約一億円近い国民の税金を使ってマーカス島で観測業務をやられておりますね。あなたの部下が六十人ほどおりますね。ああいうものをなにするぐらいなら黒いジェット機が日本に来ておって、ほんとうに日本の気象観測をやっておるならば、あなたの方に資料を提供すべきだと思う。この前私聞いたときには、一度も情報を提供されたことはない。外務大臣は本会議で提供されたと答弁されたけれども、うそだとわかったわけです。現在はまだそのままなのかどうか、ほんとうにあなたのところは、気象観測機用のロケットとか飛行機がほんとうにほしいのだと、なければ実際やれない、日本の地理的条件からいって。それはお二方からお答え願いたい。
  36. 中野文門

    委員長中野文門君) それで質問終わりでしょうか。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いやもう一点。急ぎますから……。
  38. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 気象観測飛行機は私は重要であると思いますので、日本がこれを持つように努力いたします。なおこれはレーダーをアメリカからこちらに移管いたしましたように、要員の訓練とか観測技術の練習とか、そういうところから始めませんと、一挙にはなかなかできませんので、順を追うて実施いたしたいと思います。
  39. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) お尋ねの黒い飛行機でございますが、私どもはどの飛行機からこの情報が来たのだということの確認が十分にはできないのでありますが、私どもの知り得るところでは、黒い飛行機からの気象情報は得ておりません。しかしこのころ、私は、アメリカから台風を非常に高いところから飛行機で撮影した、火に貴重な写真を数葉研究用にもらいました。これは私の想像でありますけれども、ああいう飛行機は、あるいはそういう研究用になる観測をしていたのかもしれません。私の想像でございますから、違うかもしれません。  なお、お尋ねのマーカス島の気象観測は、御承知のように全額アメリカ負担でございます。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私、最後の質問です。  それで今の全額アメリカ負担ならば、どうして日本予算書にはああいう形で入っているのか。支出面に入っておりますね。たしか八千六、七百万円は入っておったと思うのです。予算書の支出面には、そうすると、アメリカの負担ならば、その歳入はどういう形になっているのか。あとでまた聞きたいと思う。それから最後に長官ですが、長官日本ロケットの開発、それから製造をやっているのは、日本では今どこどこがやっているのか。平和用はどこでやっているか。それから防衛庁の軍事用の方面はどこでやっているか。どこの会社とどこの会社で開発と製造をやっているか。同じ会社なら同じ会社でもよろしゅうございます。それをお答え願いたい。  それでさらに、委員長の方で急がれているから、私は時間がないから、残念ながらこれで終わるわけですが、非常に失礼ですけれども、御要望申し上げておきたいと思うのです。ということは、あなたの非常に若さ、たくましさ、行動的な科学行政というのは、まあそれでいいと思うのですけれども、しかしそれは何といっても、失礼ながら、私ちょっと触れましたように、個性が強いのと、ものの好ききらいがあるわけなんですね。その点で学者意見も一方は入るが一方は入らぬという傾向があるのです。これは私はちょっと学者の一部から聞いているのです。あなたの宇宙開発、これは必要なんです。やらなければいかぬのです。しかし偏向性があるということは、どうしても私は謙虚に耳を傾けていただかなければならぬと思う。さらに、私は裏をえぐりますよ。それは何年後かわからぬ。あなたの腹の底には、赤城さんは今正面から再武装をやっているが、自分の科学研究というのは、これはいずれここで一緒になるのだ、科学国防大臣というのを私はあなたはみずから任じていると思う、科学国防大臣というのを。これはずばりだと思うのですよ。何年か後には私はわかると思う。それは私はみずから任じていると思う。それが改憲論者であるし、歌を作って鳩山さんにも歌わせている、そこに相通ずるわけなんですね。だからあなたはロケットの打ち上げに狂奔するわけです。それから人工衛星、それから今に核兵器を運ぶようなロケットを早く作りたい、せめて小型核兵器くらいのね、早く作りたいと、まあ中型くらいの——というあなたの構想がある。これは科学技術庁の官房長とか次官はよほど警戒しておかぬと、違っていくおそれがある。これはまことに失礼かと思うけれども、決して私は無責任な、そう当たらないことではないと思っておりますので、これを申し上げておきたい。  それと気象庁長に御要望申し上げておきたい点は、私が小さいときに、よく観測所とか天文台とかいってものを食べると、あたらないと言われたものなんですよ。しかし近ごろ、非常に確かに当たるようになりました。雨が降った後は曇り、後には晴れるでしょうというような、そういう式の予報でなくて、非常に最近的確になってきた点は、ありがたいと思うのです。しかし、今のあなたのところの機構と体制ですね、きょうは具体的にロケットとか、あるいは観測機とか出したのですが、そういう点と、それから日本は領土が狭くなったのですから、自由国家群、共産柱義国家群との国際協力、そういう点の体制というものがまだまだ不十分だと思う。国民の期待に沿い得ないと思う。それを何するためには、こういう問題を論じられるときに、通れば審議会になると思うのですが、こういう角度から振興するような発言をされ、そしてそういう行政が行なわれるようにしていただかなければならぬと、かように私は思いますので、これは要望を含めて御所見を承っておきたいと思う。
  41. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 矢嶋委員のお話は、ちょっと推理小説めいておりまして、私の意図とは違います。私は科学文明大臣にならんと思っております。それから軍事利用については、大体新三菱とか、飛行機会社が主としてやっておりまして、それから平和利用につきましては、博士精密等の会社がやっております。
  42. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) ただいま仰せいただいたように、今後努力いたしたいと思います。
  43. 辻政信

    ○辻政信君 今の矢嶋議員の質問に関連して、和達さんにちょっと、日本の気象観測業務が十分でないという一つの原因に、中共大陸からの助言が入らない、これが大きな欠陥だろうと思います。今どういう状態になっておるか、こういうことから考えても、中共と日本とのそういう方面の協調をもっと進めないと、これを除いては、正確な情報は入り得ないと思うのですが、学術上の見地で、思想とか政治を抜きにして、あなたのその方面に対しての希望を述べていただきたい。
  44. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) ただいまお尋ねの中共の問題は、三年くらい前から、全く十分に入っております。現在、世界において資料が入りにくいのは、外蒙その他わずかの部門で、全世界の資料は私ども十分入手することができます。
  45. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。増原君から委員長の手元に修正案が提出されております。本修正案の御意見は、討論の冒頭においてお述べを願います。御意見のおありの方は、原案並びに修正案に対する賛否を明らかにしてお述べを願います。
  47. 増原恵吉

    ○増原恵吉君 私は、この際、本法律案に対する修正の動議を提出いたします。修正案を申し上げます。    科学技術庁設置法の一部を改正する法律案に対する修正案   科学技術庁設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。    附則を次のように改める。    附 則   この法律は、公布の日から施行する。理由については、特に申し上げる必要がないかと存じます。この修正部分のほかは、原案に賛成をいたします。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま増原君から提案されました修正案並びに修正部分を除く原案に賛成の意を表する討論をするものであります。時間がないから、簡単に要望を含めて賛成討論をいたしておきますが、この宇宙科学技術  の振興、開発ということが大切だということは、申すまでもないと思います。本品短時間でありますが、私並びに、過去三回の委員会で同僚議員からも質疑、要望がなされましたように、この宇宙科学の開発というものは、大臣が述べられた通りに、あくまでも平和利用である。その基本原則は、平和的であり、民主的であり、公開であることと、それから学術会議並びに科学技術会議、これらとの関連を誤まらないこと、十分密接に連絡をとること、特に日本科学者の知能というものを全面的に活用をし、協力が得られるような配慮を特に払っていただきたいと思う。  それから、いずれの国も努力しておるわけですが、特定二国間の協力協定の締結等に際しては、国内各層の意見を十分慎重に聴取、配慮されることを特に要望いたします。要するところ、この学者学界の動向、それから研究体制等が偏向しないように再検討し、十分な予算の裏づけをもって、民主的に、公開的に、平和利用の立場から宇宙科学開発に善処していただきたい、こういうふうな要望をいたしまして賛成討論といたす次第であります。
  49. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより科学技術庁設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。まず、討論中にありました増原君提出の修正案を問題に供します。増原君提出の修正案に賛成の力の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  51. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致でございます。よって、増原君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた、原案に賛成の方挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  52. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって修正すべきものと議決せられました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと広め、さよう決定いたします。   —————————————
  54. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、総理府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に続いて質疑を行ないます。政府側出席方々は、福田総理府総務長官、佐藤総理府総務副長官、大堀経済企画庁調整局長、大島内閣審議室長、山口行政管理庁行政監理局長、柿坪通商産業省通商局振興部長、関外務省経済局経済協力部長、奥村大蔵省為替局投資課長等の方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  55. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、昨日に引き続きましてお伺いいたします。時間の関係で、一つ答弁の方も要点だけ簡潔にお願いしたいと思います。総理府の総務長官に、審議会の設置の問題についてもう一ぺんただしておきたいのであります。総理大臣関係しておるような審議会、調査会等の委員会は何と何とあるかということをちょっとお知らせ願いたいと思う。
  56. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 総理大臣が議長並びに関係をしておる現在の審議会、調査会の名前を申し上げます。皇室会議、これは議長、皇室経済会議、これも議長、資金運用部資金運用審議会、これは会長、国土開発縦貫自動車道建設審議会、これは会長、科学技術会議、これは会長、こういうようなものであります。
  57. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 昨日もこの問題に触れて質問したのでございますが、どうもわれわれ納得できない点がまだあるのです。今言われました皇室会議、そういうものについては、問題によっては総理大臣がそのメンバーとなることもあるのでございますが、本件のような対外経済協力審議会のようなものは、非常に国際的にも問題になるやつですが、こういうものに政治の最高責任者である総理大臣が会長である。その諮問機関というもの、そこで決定したものと政府との関係がわれわれはどうも納得できない。従ってそういう場合の運用ですが、もしこの審議会でこうだという結論が出されて政府に答申される。その答申する本人は総理大臣で、答申を受けた者は総理大臣である。こういう関係が少しわれわれは理解されないんです。運用上どうなのか。そういう場合に審議会意見政府の見解が違った場合にはどういうことになるのか、その点を一つ十分お聞かせ願いたい。
  58. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 今御指摘の通り、皇室会議その他は両院議長が入られて議長をやられるわけでありますが、他の会長をされている審議会は、大体閣僚は構成メンバーに主要なものになっている。今度の対外経済協力審議会関係閣僚が主たるメンバーであるという従来の慣例から総理が会長という立場に置かれるわけでございます。ただ、御指摘のように、法律的には当然できるわけでありますが、政治的にはいろいろな懸念があるのではないかという点も私はあろうと思います。ただ問題は、今までの運営の実績を見ましても、大体閣議の統括者としての総理というものと、ある一定の審議会の会長としての総理というものの立場というものが食い違った例は、今まではないわけであります。その点一つ十分留意して十分御注意しながら運営すべきであろうということは当然と考えております。
  59. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実はわれわれの懸念するというのは、この審議会でいろいろの問題が討議される。もちろん、民間から入られる人は、学識経験のある方でございますので間違ったことはないと思うけれども審議会審議会として責任はほとんどないと思います。政治の責任政府が持たなければならぬ。そういう場合に総理大臣がそのときにすぐつらなっているということは、政治が政府以外のところで問題にされているような懸念を国民は持たざるを得ないと思う。問題によってはそういうこともないかもわかりませんが、この対外経済協力審議会というものは、おそらく今後これは非常に問題になってくる審議会でございますので、この点はいずれまたほかの問題で追求いたしますが、この点は十分国民の疑惑のないような運営を特にお願いいたしまして、質問を次に移したいと思います。  昨日実は外務当局だと思うんですか、やりましたが、私の納得する答弁かできておりません。そこで、重複を避けて聞きますが、きのう実は第二回目に聞きましたラオスの首都ヴィエンティアン市の水道建設で十億円という、これは対外投資からいったら微々たる金額でございますが、それが水道建設に出されておる。それからカンボジアの牧畜センター建設に十五億円出されておるのですが、この出されておる内容というのは、どういう意味で出されておるか、しかも現在進行状態はこうなっておるか、この点一つ答弁想いたいと思います。
  60. 高杉幹二

    説明員(高杉幹二君) 御説明いたします。ラオスは、実施計画におきましては、ヴィエンティアンの上水道建設とその付帯業務及びコンサルティング・サービス、ヴィエンティアン上水道調査及び計画立案、その監督等がございます。御質問の水道の建設ということでございますが、川崎建設という会社がラオスの当局と契約を結びまして、その調査は契約ができたわけでございます。それに基づきまして今度その設計の契約を先方に出したところが、先方がその審査に非常に時間を要したということであります。従いましてその間に先方はフランスの専門家に意見を聞いてその修正を、その修正というのは現地通貨をなるべく少なくするというような趣旨でございます。これに基づきまして川崎建設が先方の当局と交渉いたしまして、現地通貨をなるべく少なくするような案に設計を変更いたしまして出すことを、今検討いたしておるわけであります。カンボジアにつきましては、水道はこれはカンボジアの首都の上水道を建設するための資材の提供でございます。従いまして質材の提供はすでに終わりまして、今建設の途上にあるわけであります。
  61. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、この十億ないし十五億というこれはどういう借款ですか、政府がどういう保証をしておるんですか、その基金の性格一つちょっと聞きたいんです。
  62. 高杉幹二

    説明員(高杉幹二君) ラオス及びカンボジアは協定によりますると、協定の名前は経済技術協力協定というのでございます。そのラオス十億及びカンボジア十五億といいますのは、賠償等特殊債務処理特別会計というものに計上いたしてあります。
  63. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは先を急ぎます。きのう実は、戦後わが国が徐々にでも通商条約が復活していることは聞いているんですが、どういう国と条約、単に通商航海条約でなくてもよろしい、支払い協定、そういう点につきまして、おもだった点を一つ答弁願いたいと思います。
  64. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) 戦後わが国が締結しました通商航海条約のおもなるものを申し上げますと、アメリカ合衆国、それからノルウエー、ユーゴスラビア、ソ連、ポーランド、それらはいずれも締結し発効しております。それから通商航海条約ではないんですが、事実上は同じ内容を持っておる、ただし名前は通商協定ということになっておりますが、インドと日本との間に通商協定がございます。
  65. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 昨日もちょっと質問したんですが、納得する答弁がなかったので重ねてお聞きしますが、今申されましたように、まあ大きい国としてはアメリカ、これは特殊の関係で通商条約が復活しておりますけれども、特に戦前関係の深かったイギリス、フランスとはまだこの条約が復活しておらない。それに対して昨日若干のお答えはあったのですが、その主たる理由はどこにあるか、これはまあ外務省関係かと思いますが、その点を一つお聞きしたいと思います。
  66. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) イギリスとは目下通商航海条約の交渉を続行中でございます。いずれ近く締結されるんじゃないかと考えます。それから、フランスにつきましては、実は一応関係事項を除くほかは、旧日本とフランスが戦前結んだ条約を事実上適用することに相互の了解ができております。で、現在居住、航海に関する暫定協定の締結を交渉中でございます。
  67. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあこういう高度な、いわゆる国際政治上の大きい問題について本日出席されておる方に、政府を代表した確信のある答弁を求めること自身無恥かと思いますので、いずれまた次の機会に譲りますけれども、これはもう委員会出席された政府委員といえども大臣の代理で出ておるつもりで、自信をもって一つ答弁してもらいたい。そこで、きのうも申しましたが、一昨年からのスイス、スエーデン、あるいは豪州あたりでは、全面的ではないが日本生産品の輸入制限をやっておると伝わっております。もう現実にそうなっておることでございます。こういう日貨排斥というようなものが、どういうことで起こっておるか、外務省なり通産省がこれをどういう見方をしておるかという、外務、通産両当局のこれに対する見方です、これを一つ答弁願いたいと思います。
  68. 倉八正

    説明員(倉八正君) お答えいたします。今御指摘のありました以外の国でも、日本の輸出の制限を受けている国は相当ありまして、また、品目的に見ましても、数十品目に上っております。それらの共通した点が大体二、三あると思いますが、その第一は、日本の商品が安くて、そして急速にフラットする、急速に氾濫するというのが根本原因であります。それから第二の原因といたしまして、その商取引というものが、ある場合には商標を違反してみたり、ある場合にはまた取引条件の低下を見ると。そういういろいろな条件が問題にされまして、相手国から絶えず制限を受けるわけでございますが、今申されましたヨーロッパ諸国につきましては、非常に急速に氾濫しまして現地産業をおびやかしたと、そういうのがその真相であると思います。
  69. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 第一の条件と申しますか、政府の見方は、日本商品は安い。これはもう、国際市場から見ましても、日本商品の安いということは定評かあると思います。しかし、この安い原因が、国内において相当問題が起こっておる事実も御存じと思う。安いというのは、何も日本が天然資源に豊富であって、また、特殊な科学を利用してやっておるというわけじゃない。いわゆる日本の労働者が低賃金で働いておることが、これが一番大きい要素なんです。それが、ロンドン・タイムスなんか、岸総理が先年ですかロンドンに行かれたときのロンドン・タイムスなどの記事を見てみますと、とにかくこの点が相当イギリス人の心の底にあるように報じております。従って、これはまあ外務省そのものとか通産省そのものにわれわれ言うべき問題でないかもしれませんが、政府の皆さん方聞いてもらいたい。こういう外国貿易に大きい影響を与えている原因というものは、日本の国内政策、ことに経済労働対策という問題があると思う。これをいつも私は言うのでございますけれども、そういう政府の反省がない。私は、時間の関係でこれを例をあげて追及することをやめますけれども、今出された日貨排斥、輸入制限というものが、日本品が安いという簡単な理由ではなくして、これを打開するには、日本の国内の問題解決にも政府は努力しなければ、これはもうおそらく外交あるいは通商関係だけでは問題は解決しないと思う。これから近東、南米、南アジア、そういう点においてわれわれも山場を開拓しなければならんという、これが対外経済協力審議会の設置される主たる目的でなかろうかと思う。そういうものが発足にあたって、こういう点を十分考えておかなければ、後進国といえども、低開発国の国民といえども、そういう点は十分知っておりますから、今欧米各国は日本に対してきわめて警戒的に出ておるけれども、やがては後進国のこういうAA諸国においても、日本に対する警戒心が起こってきた場合に、日本の将来の国際経済上の立場というのはどうなるか、この点をこの審議会の発足にあたって政府は十分考えてもらいたいと思う。このメンバーを見ますると、閣僚中のほとんどおもだった人が全部入っております。従って、審議会を開くことによってこれはもう政府の閣議を開いていると同じような様相を呈すると思う。私は重要な審議会になると思いますので、この点は総理府長官一つ総理大臣の代理として答弁をしていただきたいですが、私の言うこの趣旨について理解できるかどうか。今後審議会運営にあたってどういうつもりであるか、この点を一つ述べてもらいたいと思う。
  70. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 御指摘の通り、この対外経済協力の間接の効果として市場開拓が大きな問題になってくるわけでございますが、その場合にいわゆる戦前から問題になっておりましたソーシァル・ダンピングの問題もいろいろな点からやはり慎重に検討しなければならん問題になろうと思います。ただ、これには外国側にも相当誤解の面もあるようでありますし、政治的に使われた今までの国際会議の討議を見ましても、その節もありますので、誤解のある面は十分これを解き、また、正当な理由のある点に対しては当然政府が通産省あるいはその他の各省において真剣にこれは対処しなければならん、十分に考えて参りたいと思っております。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 法案についてごく簡単に一、二点伺いたいと思うんですが、まず、日本学術会議科学技術会議宇宙開発審議会との関係はどうかという質問があったかなかったか。もし答弁されたら、質問があったからと言ってよろしい。質問がなかったら、その相違をどう考えるか。私は、この宇宙開発審議会法案を出すにあたっては、科学技術会議の設置法の一部改正法律案が一緒に出てこなければならんと思うんですが、その点お答え願いたい。
  72. 久田太郎

    政府委員久田太郎君) お答え申し上げます。科学技術会議の方におきましては、科学技術政策の基本につきまして総合的な問題を審議するということになっておりまするが、今回の宇宙開発審議会におきましては宇宙開発の問題のみについてこれを取り上げまするので、科学技術会議の設置法の改正をする必要はないんではないかと思います。今の宇宙開発の問題につきまして科学技術会議との関係一つ申し上げますと、昨年十三月科学技術会議の第二号答申におきまして、国家として重要研究として取り上げるべき特別研究というのを六項目答申に出しておりますが、その中に宇宙科学技術の問題をその一つとして取り上げております。従ってわれわれの考え方といたしましては、科学技術会議は今のような間脳をどういうふうに考えるかといいますと、国として取り上げるべき重要研究としてはどういうものがあるかというような総合的な見地から検討する会議でございまして、宇宙開発審議会はそのうちの特定の題目につきましてこれを討議していただく審議会である。まあそのように理解いたしております。  それからもう一点、日本学術会議との関連でございますが、この宇宙開発審議会につきましては、先ほども中曽根長官から御答弁申し上げましたように、政府の施策に直接反映する諮問機関として設けられたものでございますので、日本学術会議の場合における科学者の総意を反映するという場合とその性質が異なるのではないかと思いますが、しかし、宇宙科学技術あるいは宇宙の利用等の問題を審議していただきます宇宙開発審議会は、当然この科学者意見というものは十分尊重してこれを取り入れるべきものでございますから、これの委員の構成あるいは専門委員の人選等につきましては、十分これらの点を考慮して進めて参りたい、かように考えております。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたはこの法案の起草者ですか。
  74. 久田太郎

    政府委員久田太郎君) ええ、そうでございます。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 おかしいですよ。科学技術協議会があった当時、科学技術会議が発足するときにその関係はずいぶん論じられてああなっておるわけです。宇宙科学技術と理由に書いてある。科学技術の一部門ですよ、宇宙科学技術は。科学技術会議というのはこれは総理大臣も入っておる。科学技術会議のときには学術会議との関係を規定したじゃないですか。科学技術会議設置法に規定してある。科学技術会議の提案のときのことを思い出してごらんなさい。それからいってその一部門である宇宙科学技術に関するこの審議会があれば、当然この科学技術会議、これは総理も入っているのだが、それと宇宙開発審議会との関連を科学技術会議設置法の中に規定しておかなければ問題が起こってきますよ。運営できません。当然科学技術会議設置法の一部を改正する法律案を要します。納得できないですよね。
  76. 久田太郎

    政府委員久田太郎君) 御答弁申し上げます。科学技術会議と異なりまして、宇宙開発審議会におきまして御審議願います問題は、宇宙科学技術の問題だけでありませんで、いわゆる宇宙利用という広い見地から宇宙空間の利用の問題あるいはそこにありますいろいろな物質の利用、あるいは現象の利用等の問題を扱いまして、それらの重要事項といたしまして、たとえばそれに伴います災害の防止の問題とか、障害防除の問題とか、あるいは将来予測されます宇宙法と申しますか、そういった関係も現在はまだ現実の日程には上っておりませんが、将来そういうものも合せてこの審議会において御審議願いたいという趣旨でございまして、取り扱います内容が必ずしも科学技術会議の設置法を改正するという必要もないかと、さように私ども考えております。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは水かけ論になるからやめますが、私は科学技術会議設置法のときの提案理由からいって、この法からいって、当然その二部門である学帽科学技術の振興に関するなら関連を法の上で規定しなければ運用上困る。これは問題点だと思います。  それから簡単なことですが、次に伺いたい点は、この審議会委員旅費に七十六万二千円しか組んでいない。このことは関西の学者は入れないという前提に立っておるのですね。そういうところが問題だと思うのです。委員旅費に七十六万二千円しか組んでいない。これは関西の学者委員には任命しない、東京付近だけでやる、こういうつもりでこの旅費七十六万二千円を組んだんですか。
  78. 久田太郎

    政府委員久田太郎君) 委員の人選等につきましては、目下検討いたしておりましてきまってはおりませんが、たとえば京都大学あるいは名古屋大学等のその方面の学識経験のある学者方々にはぜひ御参加いただきたいと思いまして、事務当局としてはそのようなことを考えております。
  79. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長官に伺いますが、それでは、旅費が七十六万二千円ではやれませんですよ。初めから任命しようと思っても任命できないでしょう。旅費が足らなくなったらどうしますか、長官。任命しようと思ってもされないですよ、この旅費からいったら、総務長官
  80. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 旅費の点は事務当局の計算を信頼いたしております。
  81. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではこれは七十六万二千円で関西の学者委員に任命できると事務当局はお考えになっているわけですね、念のために承っておきましょう。
  82. 久田太郎

    政府委員久田太郎君) お答えいたします。私どもといたしましては、予算の範囲内で運営していく場合は十分効果のあるように運響いたしたいと存じております。どうしても足りないという場合には、予備費等も考えまして、十分地方におられる学者方々の御意見も盛り込み得るように運営して参りたいと考えております。
  83. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に伺いたい点は、文部省関係の方に、文部省の大学学術局長は病気と聞いておりますが、一つかわって伺いたい点は、宇宙科学関係予算は文部省が一番多いわけですが、科学技術庁がイニシアテイヴをとって、こういう形で審議会を運営されていくが、これには文部省としては異議はないかどうか。なかなか答弁しにくいと思うのですが、どういうところでそういう関係深い文部省は発言していこうとするのか。その点いずれそれはまた他日論ずるそうですから、きょうは時間が制約されておりますから、質問申し上げませんが、大蔵省に聞きたい点は、今度また審議会が二つできるので、聞いておきたいのですが、大蔵省は委員、幹事が一番多く出る。これは総理府総務長官にも答弁してもらいたい。そうしてどの審議会へ行っても大蔵省の人が必ず出ていない。そうして重要なことは、幹事会というものがあって、幹事会を牛耳っておるのは総理府、あなたのところが事務的には審議室長が処理する。しかし実質的に牛耳っておるのは大蔵省から出ている幹事会ですね。しかもそこののどを通らなければ、審議会に案件は一切出てこない。所管の企画庁あるいは文部省あるいは通産省、そこらあたりで案がある、その案をなまのまま出しなさいといっても出さない。これは幹事会を通さなければ一切あなた方の議論の対象にいたさない。しかも、幹事会ののど元を押さえておるのは、大蔵省から出ておる委員と幹事がのど元を押さえておるのです。そういう人は多忙な関係から、きのう提出の資料を見ても、十幾つか兼ねておる。審議会へ全然出ていない。出ておられない。だから審議会の運営上からいって、非常に私は疑念を持っておるわけです。きょうは時間がないから、他日論ずる機会があるでしょうから、私はそれだけ一ぺん聞きたいのですが、大蔵省の人答えていただきたい。  それから総理府総務長官、提案責任政府委員ですからお答え願いたい点は、こんな出席もしないような幹事会でのど輪を絞められてきめられてしまって、そのきまったものだけを審議会に持ってくるのだったら、全く審議会というのは行政府に利用されて、行政府の事務当局できまったものをただのんで、そうして答申するというような格好になるわけで、そういう審議会予算審議権と法律審議権、並びに国政調査権を持っておる国会議員が入って利用されておるという点について、非常に問題点があると考えておるので、提案された政府委員としてどう考えられ、今後どういうふうに対処されるか、お答え願っておきたい。時間がないからそれだけ伺っておきます。
  84. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 任命された委員あるいは幹事というものが審議会出席しないとか、そういうような場合は決してこれはよくないことでありまして、もしそういうものがあれば、十分今後注意をして、そういうことのないようにしていきたいと思います。
  85. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いやそれだけではない。その提案の問題ですよ。あなた私はそこを聞いておるのではない。問題の根本は、審議会はこれはできるでしょう。それでたとえば科学技術庁でこれは所管すれば、あるい通産省で、あるいは大蔵省で所管すれば、そこの案を何をしてほしいといっても、その幹事会というもので大蔵省ががんばっており、しかも、その人が委員会に出てこないで、その人がのど元を絞めておる以上は、案として絶対出てこない。だからわれわれは審議会審議の対象となるものは、行政府でのんだもの、しかも大蔵省でのんだものでなければ、審議会審議の対象として出てこない。そういうような事務当局のあり方でよろしいかということを聞いておる。
  86. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 幹事会は、あくまで補佐的な下部機構でございます。ただ現実に予算を伴うような問題で、御指摘のような弊害と申しますか、弱点というか、そういうようなものが出ることはあると思います。そういうようなものは、あくまで逆の行政でありますので、今後そういうことのないように十分注意して参りたいと思います。
  87. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  88. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  89. 奥村輝之

    説明員(奥村輝之君) ただいまの御質問でございますが、委員会に対する出席は、私どもとしてできるだけこれは出席しなければならぬ義務があるわけですから、今までもこれは十分留意して欠席することのないようにやって参つたわけでございますが、不備な点がありましたら、今後は改めて、そういう欠席することかないように努力したいと思います。  それから幹事会の問題でございますが、これは大蔵省のみならず、関係の事務方において、円滑な事務の連絡ということがあくまでも主眼点でございます。これは大蔵省の問題のみでなしに、よその省においても問題があると、こういう問題があるということを明らかにして、それを幹事会はどうするかという問題になってくるわけでございます。決して首を絞めて、上に上げさせないというようなことはやるべきではないと私ども考えております。今後とも不備な点がありましたならば、ますます円滑な運用に私どもとしても心がけたい、こういうように思います。
  90. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点確認しておきます。私たちは人形みたいなんですよ。これは各審議会に所管省がありますね。事務当局があるでしょう。案を持っているわけだな、いろいろね。いろいろの案でいいから、われわれが審議するから出してほしいと要望するわけですね。そうすると出してこないわけですよ。なぜだと言えば、大蔵省の幹事の方の了承を得なければ出せないのだというわけですね。だから、われわれが目を通すのは、あなたの関係者が目を通した以外は、事務当局審議してもらいたいと思っても、それを審議できないわけなんです、今の実情は。今後、各審議会がある、そこに所管省がありますね。その事務担当者でいろいろな案があって、これを審議会委員さんの意向を聞こうという場合は、あなたの方のオーケーをもらわなくても出してよろしいのですな。今のはそういう答弁でしような。はっきり言って下さい。今の答弁は、あなた、そういう意味だったのですから。
  91. 奥村輝之

    説明員(奥村輝之君) 幹事会は、関係各省が事務段階においていろいろ連絡する機関でございます。従って問題がある場合には、こういう問題があると、これは大蔵省のみならず、よその省におきましても、こういう問題がある、あとでやはりすっといかぬかもしれぬというような問題が出るわけでございます。たまたま大蔵省関係はまあ財政金融の関係がございますので、そういう意味で、幾分お目にとまる数が、そういうふうな問題にする数が多いのかと存じます。しかし、必ずしも全部が全部話がつかなければ上に上げちゃいかぬという問題でなくて、調整が済んでおらぬ問題があれば、これは調整が済んでいない問題であるということを明らかにして、上に上げるというふうなことになろうかと思います。決して幹再会において異議はないことにするとかしないとかいう問題でなくて、問題点を明らかにする、こういうことになろうかと思います。
  92. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  93. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記つけて。
  94. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 御趣旨の点は十分尊重いたします。
  95. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。  増原君から委員長の手元に修正案が提出されております。本修正の御意見は討論の冒頭にお述べを願います。なお、御意見のおありの方は原案並びに修正案に対する賛否を明らかにしてお述べを願います。
  97. 増原恵吉

    ○増原恵吉君 私は自由民主党を代表して、賛成の討論をいたしたいと存じます。  この際本法律案に対する修正の動議を提出いたします。修正案を申し上げます。   総理府設置法の一部を改正する法律案に対する修正案   総理府設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   本則中「農地被買収者問題調査会」を「農林漁業基本問題調査会」に改める。   附則を次のように改める。     附 則   この法律は、公布の日から施行する。   理由を、簡単に申し上げます。  この法律案は、対外経済協力審議会及び宇宙開発審議会総理府設置法第十五条第一項の表中農地被買収者問題調査会の項の次に加えるようになっておりますが、農地被買収者問題調査会を設置する法律案がいまだ成立いたしておりませんので、現在総理府設置法第十五条第一項の表の末尾にあります農林漁業基本問題調査会の項の次にこれらの審議会を加えることとするように修正する必要でございます。  なお施行の日については、特に申し上げる必要はないかと存じます。  以上修正部分以外の原案に賛成をいたします。
  98. 一松定吉

    ○一松定吉君 伺いますがね、そういたしますと何ですか、農地被買収者問題調査会というものは抹消されるのですか、提案者に伺います。
  99. 増原恵吉

    ○増原恵吉君 まだ成立しておりませんので、現行法の範囲において、その末尾においてこの二審議会を加えるということでございます。
  100. 一松定吉

    ○一松定吉君 農地被買収者問題調査会というのは、これを末尾に加えるというのですか、農林漁業基本問題調査会というものとどういう関係になるのですか。
  101. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    午後零時十二分速記中止    —————・—————    午後零時三十三分速記開始
  102. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  103. 一松定吉

    ○一松定吉君 今修正案が出ましたが、この修正案のうちで、本則中農地被買収者問題調査会を農林漁業基本問題調査会に改めるということになりますると、いかにも農地被買収者問題調査会というものは、この法案からなくなってしまったような疑いがありますが、これはどうなるのですか。この点について修正案提案者から御説明を求めます。
  104. 増原恵吉

    ○増原恵吉君 この法律案最初予想をいたしましたところでは、農地被買収瀞問題調査会法案が通ったあとで、この法案審議されるというスケジュールを予定して、この法律案ができておるわけでございます。従ってこの二審議会を入れる場所が農地被買収者問題調査会のあとに入りますように原案ができておるわけでございますが、御承知のように農地被買収者問題調査会法案は今審議中でございまして、まだ成立に至っておりませんので、表中にこれを書くことができませんので、林農漁業基本問題調査会という現在表中にありまする、その次の項にこれを若こう、これを法律技術的に法制局とも相談して書き表わしてもらいますと、この修正案のようなものになるということでございまして、農地被買収者問題調査会について、この修正案で何ら実質的に言及するものではございません。
  105. 一松定吉

    ○一松定吉君 そういたしますと、農地被買収者問題調査会というものは、まだ審議の途中でありますから、審議されて農林漁業法本問題調査会の次に入れるとか、入れぬとかということは、その法案審議するときに確定する、こういう御意見ですね。
  106. 増原恵吉

    ○増原恵吉君 その通りでございます。
  107. 一松定吉

    ○一松定吉君 承知しました。
  108. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいまの増原委員の修正案並びに修正部分を除いた本法律案に賛成いたします。  なお、去る三月二十五日衆議院の内閣委員会で本法律案に関し附帯決議がなされましたが、これを拝見いたしますと、まことに事宜にかなったものと思われますので、政府は今後宇宙開発の運営にあたっては、この附帯決議の趣旨を十二分に尊重されんことを強く要望しておきます。
  109. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それではこれより総理府設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、討論中にありました増原君提出の修正案を問題に供にます。増原君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  111. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致でございます。よって増原君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  112. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって修正すべきものと議決せられました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
  114. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  115. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  次に、国家公務員制度及び恩給に関する調査を議題とし、国家公務員法とILO第八十七号条約に関する件の調査を進めます。  政府側出席方々は、椎名官房長官、福田総理府総務長官、増子公務員制度調査室長、浅井人事院総裁、以上の方々であります。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  116. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ILO八十七号条約批准と国家公務員法との関係の面で、主として官房長官に一、二お伺いしたいと思います。時間がございませんので、ごく要点だけお伺いしますが、先般次官会議でこの問題を検討しておったようでありますが、先般これを中間報告として閣議に報告、閣議はこれを受けているわけですが、今後政府はこのいわゆる次官会議の中間報告についてどのような考えを持ち、どのような決意を持ち今後に処そうとするのか、この点を明確に官房長官からお答えいただきたい。
  117. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 一昨日の閣議におきましては、事務段階において数字にわたって熱心な研究をいたしまして、大体この問題を中心として考え方は、まちまちになっておりましたが、相当に整理されて参りました。それでさらに今後は党あるいはまたもう少し上の方に、この問題をもっと高い角度から考えてもらうというような段階に達しまして、とりあえず事務段階における研究経過を報告したわけであります。引き続いてきょう閣僚懇談会を開きまして、おとといの事務的報告に基づいて熟談をいたしました。これらを通じて申し上げることのできる点は、これの国家公務員に適用する問題を中心として考え方がかなり混乱しておったのでありますけれども、非常に整理されて、大体問題の所在というものがはっきりして参った。ただ、二、三重要な問題についてまだ意見の調整を見るに至らないという段階にございます。しかし、これらの問題につきましても、党及び政府間においてさらに調整に努力をしますれば、大体考え方の調整というものができるのではないかというような見通しが立って参りました。それに基づいてこれをいよいよ技術的に法案の形に整えまして、そうしてできるだけ早く国会に提案するという運びにいたしたいと考えております。
  118. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私が申し上げるまでもなく、岸総理はこの条約についてしばしば参議院において四月上旬までには出したいということを繰り返しておるわけであります。ところが、現に四月上旬はすでに過ぎ去ってしまった。そこで何かどうしても延ばさなければならぬそういう根拠はどこにあるのか、いかなる理由に基づくのかということについて、私ども了解できないわけであります。これを一つ納得できるようにお答えいただきたい。
  119. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 総理は四月上旬を目途にして国会に提案したいということを、一度あるいは三度にわたって国会において明らかにしておられますが、これはもうすでに昨年の二月の閣議において方針がきまっておる問題であり、内外に声明した手前、すみやかに提案するように実は急いでおるのであります。しかし御承知通り、問題はきわめてその影響が広範かつ相当情勢が込み入ってもおりまするので、その点を十分に各関係者等が理解して、そうして問題の所在をはっきりし、それに対処する方法なり気がまえなりというものを十分に作らんことには、ただ急いで形式的にこれを提案するということでは、むしろかえって逆効果と申しますか、いたずらに混乱を招くようなおそれもなしとしない、そういうことが十分に考えられますので、十分にその点は慎重に検討して、そうして混乱の起こらぬようにこの問題に対処しておるのであります。そういうところが、上旬を目途として一生懸命やっておるのでありまするけれども、まだ上程に至らない大きな理由でございます。
  120. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 官房長官いろいろ言われますけれども、それは何ら理由にならないと思うのです。御承知のように、従来政府としては全逓問題があったので、それを唯一の口実としてこの批准案の国会提出を延ばしてきた。それは昨年末りっぱに解決している。何ら政府は国会提出を延ばさなければならぬという理由は一つもないわけであります。しかも、岸総理は、先ほど申し上げたように四月上旬には提出すると一国の総理大臣が権威ある国会の場で答弁したことを、いまだにこれが実行されぬというのは、まことに重大問題だと思うのです。当然岸総理に出席を願ってこれを追及しなければならぬところですが、お見えにならぬ。しかしながら、官房長官の立場としても重大な責任があると思うが、あなたはどのように責任を感じておりますか、はっきりお答えいただきたい。
  121. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 申し上げた通り、すでに一年前からのお約束でもありますし、最近の総理の国会における言明もありますので、その線に沿うて事務当局を督励して、数回にわたって研究を重ねまして、まあ今日に至っているわけです。おくれてまことに相すまぬのでありますが、今後とも十分に努力いたしまして、近く国会に提案するようにいたしたいと思います。
  122. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連。官房長官、あなたはもっともらしくうまくとぼけるところは一番長所で、あるときには親しみを感じますが、きょうの伊藤委員質問に対してはあまりも白々しいですよ、この段階に来て。次の点をはっきり答えて下さい。どういう点が調整できぬで、どこに引っかかっているのか、いつまでに調整が完了するつもりか、それからいつごろまでには総理の言明に沿って国会に提案します、その目標でやっている、それまでにやりますというように、その段階で、具体的に実のある答弁一つして下さい、お願いします。今のあなたの答弁は、半午前の答弁と同じですよ。
  123. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 見通しがはっきりつけばその通り申し上げるのですが、そう長いこともございませんけれども……。
  124. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一週間ですか。
  125. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) はっきり申し上げるわけにいかぬことはまことに遺憾と思います。どの点が調整がつかぬかということでありますが、新聞当にも出ておりますから、御承知だろうと思いますが、まあ前々から問題になった公労法、地公労法それから鉄道営業法等については別に問題はありません。国家公務員に全面的に適用されるということになりますと、一体今の専従問題をどうするか、あるいはまた、人事管理の体制というものが現状でいいかといったような問題についてかなり実質上の議論がありまして、まだ調整に達しておらない。
  126. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いつごろ調整しますか。
  127. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) いつごろと申し上げることが、まだ、できないのはまことに遺憾です。できるだけ早く提出したいと思います。
  128. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 国内法の改正は必要最小限度にとどめて、とりあえず即刻これは提出すべきだと思うのです。御承知のように、国内法の整備は批准後一カ年以内にやればいいことになっておる。何ら理由はないと思う。ほんとうのねらいは、このILO批准に便乗して各官庁が公務員の権利を剥奪しようと、そういうところにねらいがあるから、あっちでもこっちでもいろいろな余分なことを論議しておる。それに政府は断を下し得ないでじんぜん日を送っておる。このままでは内国民の非常に信を失うでありましょうし、また、非常に国際的な大事な法律でありますので、諸外国の信も当然失わなければならない。国民の疑惑はますます深まっている。こういうときにちゅうちょする必要は何もないではないか。結局とりあえず最小限度にとどめて、あとの整備については必要があれば一年以内にゆっくりやったらいい。即刻やるべきだ。これはいろいろ御答弁を聞いておると何ら答弁になっていないのです。ただ答弁を過ごそうというだけの意味で、こちらにはさっぱりぴんとこない。少し確実に御答弁いただきたいと思います。具体的に。
  129. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) できるだけ具体的に申し上げたいのでありますが、その提案の期日については、はっきり申し上げる段階に達しておらぬことは、まことに遺憾に存じます。御了承を願いたいと思います。
  130. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 特に時間がないから、ほんとうに簡単にやりますが、特に専従期間を制限するなど、いろいろ中間報告を見ていますと制約をしておるところがある。これは言うまでもなく八十七号のいわゆる相互不介入の原則に明らかに違反しておる。この精神に違反しておるということはもう明確だ。そこで繰り返し申し上げるように、必要最小限度にとどめて、そうしてあとの面については一年以内にゆっくり調整したらよろしいので、一つ何とかしてめどをはっきりここでお答えいただきたい。それをお答えになるまでは私は質問をやめません。何時間でも私はけっこうです、きょうは都合がよろしいので。一つ官房長官はっきりとお答えいただきたい。
  131. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 答弁だけで済む問題ならば、私もできようとできまいと申し上げようと思うわけでありますけれども、実際に実行の伴わない答弁であるならば、まことに失礼でありますから、ただいまの実情を申し上げて御了承を得たいと思います。実際いつ出せるかということにつきましては申し上げる段階に達しておりませんし、またその自信がないので、御了承を願いたいと思います。
  132. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これは今即刻起きた、突然起きた問題であるならば、そういうことも言えましょうけれども、これは年来の問題だ。特に先ほども申し上げたように、政府がこの批准を延ばしてきた唯一の問題である全逓の問題も昨年末りっぱに解決しておる。今度政府は誠意を示さなければならぬときだ。そして四月中旬になっておる。岸総理の確約、こういう点を思い会わせたとき、やはり官房長官としても全責任はあろうと思うのです。そこで、官房長官としては、政府としてはまだ結論、はっきりしたことを言えないというなら、官房長官としてあと一週間ぐらい、あと十日間ぐらいと、これは言えると思う、官房長官として。そこのところを一つ明確に意見を発表していただきたい、官房長官としてのお考えを。
  133. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) ですから、私の手元でどうにでもなる問題ならば申し上げますけれども、これはまあ多数の政府内の協力によって初めて実視できる問題でございまして、ただいまその調整中であります。私だけ申し上げるということは、うそ言えということになるので、その点は御了承願いたいと思います。まあできるだけ早く一つ提案になりますように私としては努力いたします。
  134. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 何回聞いても同じことを言っておられるのですが、なるべく早くとか、できるだけすみやかにというようなことは、人事院総裁もおられますが、人事院の一手販売のようなことで(笑声)どうもそういう言葉はわれわれは信頼できません、私ども社会党は絶対信頼していません、できるだけすみやか、できるだけ早くということは。そこではっきり言えないという立場もよくこちらもわかりますので、五十歩譲って、それでは官房長官として大よそ見通しとしてはあとどのぐらい……、私はそう思う、その程度で私残念ながらとどめたいと思います。そこでその程度なら理解ある官房長官としては言えると思う。そこではっきりその点を伺いたい。
  135. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 実は昨日でありますが、三党の国会対策委員長会議に私招かれまして、そうして一体いつ提案できるかということを非常に詰められたのであります。どうもその自信がございませんから、できるだけ早く、なるべくすみやかにということを申し上げたのですが、今週中に提案ができないかという社会党及び民社党両国対委員長から迫られまして、自信はないけれども、大体しかし御趣旨は十分に尊重して努力いたしますということで、ようやくまあ解放になったわけであります。(「今週中と確認していいな」と呼ぶ者あり)今週中というわけにもちろんいきませんが、今週中ということは、非常に早い機会にということだと思うので、そういう御趣旨に沿うように努力いたしますということで、ようやく解放されたわけであります。その程度一つ御了承願います。
  136. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 官房長官のまあ答弁を聞いておると、非常に苦悩しておるありさまはわかるのです。この問題は、先ほど答弁の中にあったように公企労法とか、そういう関係のやつは早くから検討されておったと思う。ところが、問題はやはり国家公務員法の問題、あるいはそれに引き続いて地方公務員法の問題がいわゆる突然として問題になってきたと思う。この問題について私は昨年の臨時国会のさ中から人事院総裁なり、あるいはそのほかの方々質問しておったのですが、きわめてこの問題については熱意がなかった。それが今突然これが出てきたために、本質的なILO条約八十七号の批准すら引き延ばされておるというような状態であると思う。従って私は伊藤委員と重複いたしますので、その問題には触れませんが、今政府が苦悩して整備をしつつあるいわゆる国内法の整備、特に国家公務員法の改正の問題点について、閣議では新聞によりますると、七点ほど一応骨子が話題になって了解点に達したようなことになっておりますが、第一点の組合員の範囲の問題で、一つこれは官房長官に閣議の模様を聞く意味において聞きたいのですが、閣議の内容は発表する限りではないとは聞いておりますが、組合員の範囲について新聞の報ずるところによると、身分の係争中の者に限る、従って組合員はいわゆるその身分がまだ確定しない者に限るというようなことに報じられておりまするが、これがそうだとすると、ILO条約に問題が出てきますが、その点についてまず確認しておきたいんですが、そういうことに了解されつつあるのかどうか、この点一つ質問いたします。
  137. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 実は、山本委員に申し上げますが、かぜをひいてきのうから出て、おとといの閣議に実は出ておりませんで、詳しいことはお答えできないと思います。それで、増子室長から申し上げます。どうぞ御了承願います。
  138. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) ただいまの点は、職員団体の構成員の範囲の問題でございます。ILO条約との関係におきましていろいろな問題点がございまして、従来検討して参ったのでございますが、それらの検討の結果、関係省庁におきまして大体了解のできております点は、原則として、職員団体の構成員は職員であるということ、ただし、職員としての地位を一応失なってはいるけれども、その点について現在いわゆる係争中であるというような場合におきましては、職員団体としては、いわゆる職員組合の側から見れば一応同じ立場に立つ者というふうに考えられますので、そういう場合の者につきましては、あえて職員団体の構成員から排除しないという考え方でございます。従いまして、原則として、職員団体というものは現職の職員で構成するものであるけれども、ある場合に係争中の離職者が組合に加入しておりましても、それを排除しない、こういう考え方でございます。
  139. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、係争中ということが問題になりましたが、こういう者はどうなるんですか。職員という考え方なんです。現在のいわゆるこの職員の範囲というものは、臨時とか、そういう、その身分がそういう臨時的な者について、法律解釈上入れないというような者を考えておるところがありますが、そういう者は職員の範囲内にすべて入るかどうか、この点。
  140. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 私どもが職員と言っております場合には、いわゆる国家公務員法に基づく一般職の職員という意味で考えておるわけでございます。従いまして、臨時の職員でございましても、一般職の職員としての身分を保有する限りは、私どもは何ら区別を考えておりません。
  141. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこが問題なんです。これは官房長官開いて下さい。あなた、答弁することはまあ許しますけれども(笑声)聞いてもらいたい。そこが、室長、問題なんです。大体その職員に限るという考え方は、このILO条約第二条なり、その他を見ますると、その雇用されておる状態の、利害関係があるかないかによって職員の範囲の規定を考えておる。臨時職員であろうとも、いわゆるその雇用主と申しますか、働いておる職場が同一である者、これは職員ということを考えなくちゃならぬ。それを便宜的に、そういう臨時とか、そういう者を省いて、一般職の公務員であるという、こういうことの考え方は、これはわれわれとして、そういう考え方で進まれるのは、問題がやはりあると思う。第二条を見ましても、そういうことは全然ない。従って、そういう点はどうか。  それと、人事院総裁に伺いますが、このILO条約が批准になれば、どういう方法で人事院規則が変わってくるかしれませんが、要するに、今後は人事院のいわゆる認可とかそういうものは、届け出なんか、必要ないと思うんです。団体のその団結の自由というものはここで保障されるんですから、そういう関係法律上の関係と、その点を一つ知らしてもらいたい。
  142. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) ただいま私申し上げました点を、山本委員は大へん誤解をしておられるようでございますけれども、あらためて申し上げますが、私先ほど申し上げましたのは、臨時職員を除くというようなことを申し上げたのではございません。臨時職員でも、現在の公務員法では、一般職とされておる者、一般職とされておるわけでございます、これは。これはもう間違いのないことでございます。そういう意味で一般職の職員というものを私ども考えているのだ、ということを申し上げたのでございます。臨時職員を除くというようなことを申し上げたのではないという点を一つ御了承いただきたいと思います。  それから、なお登録、届け出等の問題についても御意見がございましたが、私ども、今までいろいろ検討いたしました結果では、いわゆる職員団体としてその実態を備えておるというものを公に確認し、証明するという意味における登録制度というものは必要であるというふうに考えておるわけでございます。
  143. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、これははっきりさせておかなけりゃ、また法文ができてから問題になりますが、国家公務員法の第二条の特別職以外、一般職と特別職に分けております。特別職の中に、臨時に雇用される者というものが入れてあるように見受けるのですが、そういう者は、要するに今言われたように、職員の範囲内に規定していいのですね。地方公務法を拾ってみても、臨時に雇用される者、また失対関係で雇用される者なんか、一応除かれておりますが、そういう者は入っておるということでいいのですね。
  144. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 国家公務員法につきまして申し上げますと、特別職とされておりますのは、御承知のように、緊急失業対策法によりまして、いわゆる失対事業、あるいは公共事業に雇用されておる職員、それを特別職といたしておるわけでございまして、一般的に臨時職員を特別職といたしておるわけではございません。そうして特別職とされておる職員は、これは公務員法の適用がございませんので、現在におきましても、労働組合法の適用を受けておる職員でございます。
  145. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ今のやつは、国家公務員法はわかったのですが、地方公務員の関係も、おそらくこの問題が法廷になった場合には出てくると思うのですが、地方公務員の場合には臨時の職員はそれでは一般職として考えておらないという根拠があるのですか。その点、あなたの方は管轄外でありましょうが、どういう考えか、政府考え方を聞きたい。
  146. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 地方公務員につきましてお尋ねの点でございますが、地方公務員法で規定いたしておりますものの中に、なるほど、臨時、または非常勤というのがございますけれども、ここであげておりますのは、御承知のように、臨時または非常勤の、顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらのものに準ずる者の職ということでございまして、いわゆる大体パートタイマーというものをここで考えておるものと私ども承知いたしておるわけでございます。で、これは地方公務員法におきましては、いわゆる地方公務員の適用をしなくてもよろしい特別職というふうに規定をいたしておるわけでございまして、これはつまり地方公務員法の適用のない職員でございます。
  147. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃまあ法律案ができていないのですが、今作成中ですが、あとで問題になったらいかんので、確認しておきますが、その一つの経済的な団体と申しますか、そういう範囲内に利害関係を持っておる者であれば、名義のいかんにかかわらず、職員として、一応いろいろ団結権を認めていく、こういうことであるかどうか、もう一ぺん一つ確認しておきたい。
  148. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) ただいま御質問の、名義のいかんにかかわらずというふうには考えていないわけでございます。職員として身分のあった者ということが、まずまあ一つの条件でございますし、それからなお、その身分について、いわゆる最終的な確定を得ていないと、そういう意味で、係争中という場合に、組合一員として加入し、あるいは残るということを認めていっていいのではないかという考え方でございます。で、係争中というようなことを申し上げましたけれども、実はこの法律的な表現等につきましては、いろいろと問題がございますので、最終的な表現には達していないわけでございますが、ただ考え方としては、ただいま申し上げますようなことで今日に至っておるわけでございます。
  149. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは大体政府考えはわかったんですが、このILO条約の八十七号の第二条との関連性が、これは官房長官でも総務長官でも答弁できると思いますが、そういう一つの範疇をきめ、そういうことをやるのですが、第二条によると「労働者及び使用者は、自ら選択する団体を事前の認可を受けることなしに設立し、且つその団体の規約に準拠することを唯一の条件として、これに加入する権利を、いかなる差別もなしに有する。」こういう第二条を規定しておる。これが政府が、公務員なるがために国内法によってある一つの団結権に、その団体に加盟する権利を抑えようというのですか、この点はどう考えておられるか。これは官房長官あるいは人事院総裁何か今話しておりますが、人事総裁もその点は人事院としてどういう考えがあるかということを一つお答えを願いたい。
  150. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 増子調査室長から答えさせます。
  151. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) ILO条約の第二条は御指摘のように規定をされておるわけでございます。すなわち労働者は自由に規約の定めるところによって結社を結成するという権利を保障しなければならないということでございますが、これはこの条約を適用しあるいは批准をいたしております各国の例に徹しましても、また条約を作りましたときの審議経過にかんがみましても、この場合の労働者の団体、結社を認める、その労働者の団体というものは職業的な利益を保護増進する団体というふうに理解されておるわけでございます。その限りにおきまして批准をいたしました国におきましては、労働者があるいは使用者の場合もそうでありますが、結社を作ります場合に一定の職業、同種の職業ごとに結成をし得るというような法制を立てておる国も批准国にございます。そうしてその点についてILO当局におきましては、職業上の利益を保護するという団体の目的から見ますれば、一種の一定の職業に限られるということは、形式的に見れば一種の差別ではあるけれども、これは実質的な差別にはならないという考え方をしておるわけでございます。公務員の場合におきましても、同じ論理が大体働くわけでございます。公務員が団体を結成する目的は、公務員としての勤務条件の維持改善という目的であるならば、職員あるいは公務員としてその団体を作ることが実に意味があるわけでございまして、公務員でないものがそういう団体を結成するということは、実質的に意味がないというふうに考えられるわけでございます。そういう意味におきまして批准をいたしました国々におきましても、公務員は公務員のみを構成員とする団体を結成することができるという立法をいたしておる国がございます。これもその限りにおいては、ILOではそれは一応形式的な差別にとどまるように思われるという考え方をとっております。こういう考え方は各所に今日まで出ておるようでございます。ただし、その場合におきましても、代表者の選出は自由でなければならないという条件がございますので、私ども考え方もさようにいたしておるわけでございます。
  152. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 人事院総裁、今の問題どうなんですか。
  153. 浅井清

    政府委員(浅井清君) これは条約の解釈の問題でございまして、人事院は条約の解釈権は持ちませんのでございます。これは政府にあることでございまするから、人事院といたしましては、その政府の条約の解釈に従うより仕方がないと思っております。それから今回の国家公務員法の改正云々の問題につきましても、これは国家公務員法だけではなく地方公務員法とも関連をいたしますので、総合的に一つ見なければならぬ問題だと思っております。ただ、さいぜんからいろいろ内容について御質疑がございますが、ただいま人事院の立場といたしましては、次官会議等で検討いたされております案、その中で人事機構の改革については何も相談を受けた覚えはないのでございます。でございますから、この人事機構の改革がどうなるかということは、私は全然わかりません。それ以外のものでございますが、これは現段階においてはまだ素案の程度だと私は了承いたしておりますが、さいぜんもちょっとお尋ねがありましたが、登録問題がどうなるか、あるいはその他専従の問題がどうなるかということは、これはなお今後の問題になろうかと思っております。
  154. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体この問題については政府の意向はわかりました。それで官房長官に確認しておきますが、増子室長の言われたことは、あなたの答弁そのままだと受け取ってよろしゅうございますね。
  155. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) よろしゅうございます。
  156. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ念を押しておきませんと、あとで間違いを起こしてはいけませんから。もう一つ増子室長にこの問題で尋ねておきますが、これは従来は人事院規則にゆだねられた点がたくさんあるのですが、法律国家公務員法を改正し、今言われた範囲の問題その他をうたわれるつもりで、あるかどうか、この点ちょっとお伺いしておきたい。
  157. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 先ほど来申し上げておりますのは、一応考え方の問題でございまして、それを具体的にどの条項を法律化し、どの条項をその他の法令に譲るかということにつきましては、現在まで最終的には決定をみておらないわけでございます。
  158. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 組合を結成する範囲の問題でございますけれども、今室長のお話しですと、係争中の者こういうお話でしたね。職員団体政府と交渉するその問題に密接な関係を有する者は入ってもいいという意味なのか。それと首切られて係争しているその者が組合員として認めるのだ、それ以外は認めない、こういうお考えですか。係争中というふうにお答えになりましたから、係争小といいますと職員でなくなって、職員であるのだ、ないのだということで係争しておる者は組合員として認めるということなのか。新聞報道によりますと、政府との交渉に密接な関係を有する者、これを組合員として認める、こういうふうに出ておるのですがね。
  159. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 原則的には現職の職員であるけれども、すでにやめたあるいはすでに職員としての身分を失った職員の中でも、その身分の喪失についてまだ最終的にはきまっていないというふうな場合には、これは職員団体の側から見れば、同じいわゆる仲間といいますか、組合員という関係にあるのではなかろうかということを考えまして、そういう場合まで排除する必要はなかろうというのが考え方でございます。従いまして、実態はそういう理解でございまして、それをいかに表現するかという表現の問題につきましては、現在まだ最終的にきまっていないということでございます。
  160. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 たとえば政府職員であって、外郭団体に出ますとしますと、それでまた五年ぐらい、三年ぐらいたちますと帰って来るという人が相当たくさんおられるのですね。たとえば公団関係、そういうものはどうなるのです。
  161. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) そういう事態を否定するわけではございませんけれども、しかしその場合において、なお組合に入っておるという利益、実際的な利益の有無等については、異論があろうかと思います。公団等に入るという場合に、公務員を退職して、公務から完全に離れておる場合、それが何年かある場合、その間になお職員組合員であるということが、どの程度の意味を持つかということはあろうかと思います。今までの私どの検討の結果では、先ほど申し上げましたように、実質的に組合員としての活動といいますか、そういうことに意味を持っておる場合を、この際排除しないということでよろしいのではないかという程度にとどまっておるわけでございます。
  162. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ次に問題の、在職専従者の問題についてちょっと聞いておきたいのですが、これも新聞紙上の報ずるところによると、いろいろ問題があるようです。昨日も松田文部大臣に会ったんですが、まだ依然として、私は廃止論者だといって公然と言っておりましたが、まあそれはそれといたしまして、政府部内の大体の動向としては、休暇専従というのでなくして、休職専従ということに変えたらどうかという方向にいっておるようでございますが、これの担当責任室としてこの問題についてどう考えておるか、在職専従をどう変えていく考えであるのか、まず政府の意向を聞いて、その後私の質問を続けたいと思います。
  163. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 政府の意向としては、まだその点は調整されておりません。それで松田文部大臣などは、これは在職専従を認めることは適当でない、それからまた日本日本の実情を考慮しなければいかぬということから、在職専従は認めた方がよろしいという意見もあります。その認めた方がよろしいという意見の中に、休暇専従じゃなくて休職専従にすべきだという意見もあります。そこでただいまのところは、それが一本にまだ調整されておらぬ段階でございます。従って政府としてどう考えておるかということは、まだ一本化しておらない段階でありますから、実情だけを申し上げて御了解を得たいと思います。
  164. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ILO条約の批准は、もうすでに迫っておるのに、おそらく政府は方針は一応きまっておるが、最終結論は出ておらないのじゃないかと思うのですが、これについてはたびたびこの委員会で問題になっておるし、衆議院でも問題になっておるんです。まあ政府の迷っておる点もわかるのです。これは斎藤委員会ですか、何かでいろいろ論議されておるようですが、これはわかるのですが、この問題についてはもういくところもはっきりしておる。従って私はこれはさまっておらないから言えというのは無理かもしれませんけれども、休職と休暇と、政府に休職という意見があるんですが、実質的にどう違うかという点を、これは官房長官、専門家でなければ室長でもいいですが、総務長官でもいいんですが、この点一つ答弁願いたい。
  165. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 休暇でありますと、これが三年でも五年でも、まあ場合によっては十年でもいいわけであります。休職になりますと、おのずから年限がございまして、三年以上はやめなきゃならぬ、三年をこえて休職ということは許されない、こういう状況であります。
  166. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは今の休職制度、いわゆる公務員に対する休職制度をそのまま考えておられるけれども、今度のやつは違う角度から在職専従者を休職にしようというのだから、何も従来の休職の期間に拘束される必要はないと思うのです、これは今度新たに立法されるのですから。この点は私はこれ以上答弁を求めません、最終結論が出てないんだから。しかし、その点は実際の仕事をされておられる室長あたりに、十分そのことを考えてもらいたいと思う。従ってこの休職は、今官房長官が言われましたが、現行法の休職制度に対する停職の点だけであるか、それとも処遇上の問題、そういう、具体的に言うと、定期昇給とか、あるいは年金の通算とか、そういうものについての考え方はどうなんですか、その点ちょっと聞いておきたい。
  167. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) これもその諸説のうちの一つでございますから、御参考までに申し上げるのでございます。休職にして、そうして相互不介入の原則を守る意味において、昇給は一切停止、それから手当はもちろんなし、それから在職期間中にそれを加算しない。従って恩給の進行は停止する、こういうことをすべきである、こういう説がございます。
  168. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この点については、法案が準備されれば、相当激論が展開されると思うのですが、今官房長官にそういう説を言うものがあるという人に対して、私は言っておきたい。なるほど定期昇給については、現在の休暇制度の専従でも、問題がいろいろ考え方によってはあると思うのですが、今言われた年金、官房長官はいつも恩給恩給と言われるが、恩給と言って恩に着せた給付をするという制度は、これはもう昔の制度であるから、法律の名前は残っているけれども、それはちょっと内容の違うことだけ、頭に入れてほしいと思う。国家公務員の共済組合もできて、いわゆる年金、これは一つの権利として認められている。従ってこれが休職になろうと何であろうとも、本人がそれだけの掛金をしてやるという意志があれば、こういうものが、これはILO条約九十何号の批准によって、問題になっていると思いますが、これは利益を提供されているということは全然考えられない。それが誤ってそういう解釈をされている点があると思うのですが、この点は直していただきたいと思う。その点、どう思うか、ちょっと……。
  169. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 恩給の時代がもう過ぎましたことは、お説の通りでございます。年金の問題はこれは停止することはないと思う。ただいよいよ官を退く場合の一時金の給付ですね。その積算の根拠に、その三年なら三年というものが加算されないということにしたいという説があるのでございます。
  170. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 時間が迫っておるので、この問題については相当いろいろ尋ねておきたいのですが、この在職専従の問題については、大体政府考え方、動向が一応明らかになりましたがそれに対する反駁は一応避けます。次に、公務員に対する基本的ないわゆるこの労働関係と申しますか、今度の法改正によって、団結権はこれはもうもちろん今言われたように基本的な問題ですが、これが団体交渉権については、現在の国家公務員、地方公務員を見ると、これは団体交渉権に、実質はなっておらない。ただ単なる交渉権という程度であると思う。今度の場合はそうはいかないと思う。従ってこの団体交渉権を、どういう法の改正を考えておられるのか、この条約との関連性で一つこの点を、大体今考えておられる点を、御答弁願いたいと思います。
  171. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) ただいま御質問のありました職員団体のいわゆる団体交渉権の問題でございますが、これはいわゆる勤務条件の維持改善のために活動するという意味における能力といいますか、交渉能力ということはこれは結社として当然のことであろうと思っておりますが、それがいわゆる当局と労働協約の締結権を含むという意味における交渉権でございますれば、御承知のように、現在国家公務員、地方公務員にはないわけでございます。そのないことがILO条約ではどうなるかということになりますれば、いわゆる職員団体あるいは労働者団体使用者側との労働協約団体、協約締結による雇用条件の規制という問題は、いわゆる団体交渉権の問題として九十八号条約の規制の対象になっておるわけでございます。九十八号条約におきましては、すでに十分御承知のように、公務員についての地位を取り扱うものではなく、その権利や分限に影響を及ぼすものではないということにされておるわけでございまして、その意味において、他の各国におきましても、公務員についてはいわゆる労働協約権、団体協約権の締結を認めていない国もあるわけでございます。日本もそれに当てはまるわけでございます。これを変更するという考え方は、今日までございません。
  172. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう国があることは、それは世界八十数カ国の国でありますからありますが、実際問題として、団体交渉権を与えて協約権を認めないということについては、これは何ら権威のない交渉になって、もう現在でも公務員法によりますと、いわゆる団体交渉権でないけれども、協定で文書を取りかわすことができるようになっても、問題は、政府は今何かそれが大きい権利を公務員に与えるということでなくて、反対に政府並びに地方公務員である理事者と申しますか、理事者自体が困る事態がある。問題は、話はまとめておるけれども、それが口頭のまとめであって文書になっておらぬ。従ってあとでどうのこうのいざこざが起こるのが非常に多い。だからその点はそんな大きな弊害はないのであるから、団体交渉権を認めた以上は、団体協約権も認める。ただそこで問題になるのは、議会との問題になっていく。これは現在公企労でもそういう問題はありますから、この点は十分検討をしてもらわんと、現在は国も考えておらないというけれども、各国でも十分団体交渉、団体協約を認めておるところもありますから、こういう点がもしオミツトされておるというならば、この点も考えてもらわなければならぬということを私の意見として申し上げておきます。  そこで次の問題に移りますが、管理職の幅を広げるということになっておる。これは管理職の幅を広げるということは、きわめて何といいますか、常識的に考えると、それは別に問題にならぬというふうに考えられますが、組合側の立場からすると、組合運動に対する一つのいわゆる弾圧のような形が現われてくるのです。従って管理職の幅を広げるというけれども、その広げる考え方の根拠となるもの、それから現在どの程度広げようというのか、それがどういう根拠によってやろうというのか、この点一つまず御答弁願いたいと思う。
  173. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) ただいま御質問の中に管理職を広げるというお言葉があったのでありますが、その管理職でないものを管理職に広げるというような考え方はいたしていないのでございます。結局これは職務の内容が管理者、あるいは監督者であるかということを認定する問題でございまして、広げる、広げないの問題ではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。要するに、管理、監督的地位にある当が一般その他の職員と同一の組合に入っているのでは、その立場上もいろいろと困難な点があろう、管理者側が組合員でもあり、かつ組合員に対して監督権を持つということでは、内部的にも困難であろうという点と、それからそれは管理者側の地位にありながら、組合員である者の立場も同様でありますが、組合全体としましてもそれは適当ではないのではないかというような意味で、そういう地位にある者は、その他の職員と同一の組合を作ったり、あるいはそれに加入したりということは改めた方がよろしいのではないかということでございまして、この点は一般民間労働組合の場合と同じ考え方を、この際取り入れていこうということでございます。で、現実に、それでは管理、監督者というものはどの程度のものであるかということは、これは各行政機関の内部によっていろいろ相違が出てくるわけでございます。御承知のように三公社五現業におきましては、事詳細に各企業ごとにこれを決定いたしておるわけでございます。大体そういった実情というものが、この場合参考になろうかと思っております。
  174. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう二、三にとどめますが、総括的に今言われた団体を結成した場合に、手続上の問題ですが、現在まあ人事院に対して届け出をしなくちゃならぬ。もしその内容法律に違反しておる場合には許可しないという態度は、まあ人事院の場合あまりないが地方へいくとよくそういうことがあるのですが、今度の場合はそう認可とか何とかいう問題は起こらぬと思う。いわゆるそれに合致したものであれば、自主的に規約をきめて代表を選んだらいいんですが、この点はどういう法律体系になるか、ちょっとその点考え方でけっこうですがお知らせ願いたい。
  175. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) この登録の内容につきましては、まだ詳細な点まで最終的というふうに申し上げるわけには参らないのでございますが、現在までおよそ考えられておりますことは、先ほど登録の性格について申し上げたのでございますが、いわゆる職員団体としての実態を備えておるものを公に何といいますか、確認するといいますか、そういう意味でこれを登録するという考え方でございます。そうしてその職員団体が一定の要件を備えておる規約には、必要な事項を記載しておるとか、あるいはその団体としていわゆる民主的な団体としてあるべき要件を備えておるというような点を確認した上で登録を受理しておるというのが、今日までのやり方でございます。その点は今後において変更すべき理由はないように考えられております。
  176. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これにも実際上手続上問題であります。しかし、きょうは大体経過の実情の聴取ということでやっておりますので、いずれ問題はあとになってやろうと思いますが、最後に人事院の機構の改革がこれまた報ぜられております。先ほど人事院総裁から、これについては何ら人事院に相談がないということが言われておりますが、これについていろいろと具体的に新聞に報じておるのですが、こういう新聞上報じている問題は、現在どういう工合に進行しておるのか、政府の意向、今後の皆さん方の考え方、これを一つできればこれは大きい問題ですから、官房長官から一つお答え願いたい。
  177. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 給与を中心にしてただいま人事院機構というのが存在しておりますが、それ以外の点について、ことに各省は各省のその性格があります。また特別の事情というものもある。その特別の性格、特別の事情に即応したもっと小味の人事管理をする必要がある、そういう意味において、各省にもう少し機能を与える、それを総括するものを内閣に置いて、そうして人事院機構と相並んで人事管理の完全を期していこうという考え方が、次官会議におきましていろいろ論議された。その報告を聞いております。これに対して、まだ政府といたしましては、はっきりした結論を与えておらないという状況であります。
  178. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは前に質問した問題に匹敵する重要な問題です。われわれとしては、現在の人事院そのものがいいと思っておらない。最初公務員から労働法の適用を除外されて、非常に窮屈な、いわゆるストライキ権も非常に制限された、全然認めないというようなことにしてしまったかわりに、人事院というものが置かれて、公務員の待遇なり身分、そういうものを保障、擁護するという機関として認められてきた。今日はそうはなっておらないのだから問題はあります。しかし、今度の改革によると、なおかつこれが強化されて、政府の一方的な人事行政によって、公務員は縛られていくというような傾向が出てくるきらいがあると思うのです。この案によると、人事院は国家公務員の給与の勧告とか公平裁定とか、そういう人事行政の公平の確保を期するために存置する、こういうことになっておるのです。内容がつまびらかでないから論議できませんけれども、われわれとしては、公務員法によって公務員の労働権が非常に縮小されておるのだから、こういうところに十分な権能を持ったものがない限りは、公務員法の改正については全面的に民間と同じような労働三権なりを与えなければならないと思っておる。しかるに、一方ではそういう制約をきめつけておいて、人事院の機構改革で、なおかつ従来よりも人事院のいわゆる機能というもの、われわれの考えておる機能というものを削減し縮小しょうという意図があるやに見えるのですが、私の見方が間違っているかどうか、この点を一つ官房長官からお答え願いたい。
  179. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) ただいま申し上げたように、次官会議等における論議の結論が一応出ております。それに対してまだはっきりした政府意見が出ておらない。今御指摘の、既存の人事院の権限をさらに縮小するかしないかといったような問題については、まだ政府としては固定した結論を持っておらぬ段階でございます。さよう御了承願います。
  180. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで、そういう段階ですから、これ以上追及しても答弁はできないと思う。しかし、先ほど申しましたように、人事院の存在、現在ある姿というものについては、われわれ満足しておりません。しかし、少なくとも公務員は労働三権は取られておるという実情において、人事院がもし存置するとなれば、少なくとも一般民間なり公企労関係が持っておるような、そういう中立的にはっきりと両者の問題、係争問題、紛争を解決できるような権能を持ったものに変えなければならぬ、これはわれわれの主張であります。これについてどういう考え方であるか、もう一問、一つ答弁願いたい、重要な点ですから、きまっておらないならきまっておらない、そう考えるならそう考えると、もう一皮一つ
  181. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) まだきまっておりません。
  182. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 きまっておらないのですが、官房長官として、いわゆるその立場で私の言ったことについて賛成であるかどうか。
  183. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 私の意見をしいて言えとおっしゃるなら、民間企業と違いますから、労働協約の締結というような問題に発展することにつきましては、とるべきでないと、こう考えております。
  184. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 労働協約関係は、それは間接に出てくると思いますが、私の言ったのはそうではない、民間の方では自主的にいろいろな問題を自分の力で解決する方法が与えられている。たとえばストライキをやるとか、公務員にはこれは禁じられている、今度の法律でも禁じようとしている。それを認めるならば私はもう人事院なんかは全部やめてもらってもよろしい。しかし、それも、ストライキ権とかそういうものを非常に制限しようという法律を今度改正しようとしているという前提で私は質問している。そうなれば、なおかつ民間よりも強力な人事院の存在が必要でないか、名前は人事院でなくてもよろしい、そういう必要があるのではないかということを私は官房長官の考え方を聞いている。それが私の考え方です。それに対して賛成であるかどうかということです。
  185. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) おのずから国家公務員と一般の企業の労務者とは立場を異にする、それはどこまでも認めていかざるを得ないと思います。それ以上の意見は申し上げるのを差し控えます。
  186. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 またいずれ官房長官なり労働大臣その他の方に質問する機会があると思いますから、この点一つこれで終わります。ただ、人事院の機構改革で今考えている企画とか立案とか、国家公務員全般にわたる人事行政というものは、内閣の方に移してしまおう、相当大きい権限の縮小だと思う。この企画、立案、国家公務員全般にわたる人事行政の中にも、一方的に政府が押しつけてやるということにはふさわしくない事項も相当あるのです。それがために戦後人事院によってこれに参画して、公正に人事行政をやろうというのが人事院の趣旨であったと思う。これが画期的に改正されるというのですが、これはもう相当政府考えてやってもらわぬと、そう簡単に国会ではわれわれはおさまらないと思う。従って、私は最後に言っておきますが、こういう問題が解決しなければ、ILO八十七号条約批准ができないのかどうか、これが実はもう一番聞きたい焦点なんです。今言われたように、専従役員の問題も結論出ない、人事院の問題もなかなかそう結論出ないと思う。それがおさまらなければ、ILO条約八十七号の批准はできないのかどうか、これはもう非常に問題があります。従って、その点は政府のお考え方、方法の問題ですから、別に内容でないからこれは言えると思うのですが、それにひっかかってILO条約の批准がおくれるということになれば、政府責任を大きく追及しなくちゃならないのですが、その点のかかわりあいはどういうことになっているか、この点を一つ
  187. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) その問題につきましても、意見を調整する必要が、余地があると考えております。
  188. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと聞き取れないのです。どういうことですか。
  189. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) つまり人事機構の問題、あるいはその他まだ未調整の問題が調整されなければ、批准案の提出があり得ないかどうかというお尋ねでございますから、その問題につきましても、まだ調整の余地があるという段階であるということでございます。
  190. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今官房長官の答弁実にわからないのですが、こうなんですか、いわゆるILO八十七号の条約批准をやる場合に、国内の方の整備、すなわち国家公務員法その他の法の整備ができなければ、やるかやらないかということの調整をもついていない、こういうことですか。
  191. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) かりに人事機構の問題にしましても、大体どの程度までで満足すべきかというような問題についても、いろいろ意見があろうかと思うのであります。それらの問題も終局的にはまだ調整がついておらない。しかし、それは不可能な問題じゃありませんから、できるだけ急いで調整をいたしまして、国会に一日も早く提案をいたしたいとかように考えております。
  192. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは一つこの点は責任を持ってやってもらわぬと困ると思います。問題は、私考えるのになぜ国内法の整備を、今まで全然考えておられなかったものを、早急に手をつけておられるのか。人事院の改組の問題でもそう簡単に結論は出ないと思います。そういたしますと、ILO条約の批准とからみ合わせたような形ではわれわれは承知できない。この問題は国内法の整備は、いろいろ法律上の問題はあるけれども、先ほど伊藤委員が言ったように相当の余裕期間もあるので、一応条約の批准をまずやって、その後において、やはり法の整備を十分国会の意見も聞き、その他者組合の意見、被用者の意見もあると思いますから、そういうものを聞いてこれを改正しなければ、一歩を誤れば相当大きな問題があると思います。本委員会には、各種審議会があり、きょうの午前中にも討論されましたが、審議会はたくさんあります。こういう日本の産業を左右される労働問題を含んだ、こういう法の審議に関しては、やはりもっと権威のある人々を網羅した審議会ぐらい、組合の指導者なり、また被用者を入れたところの審議会ぐらい作って政府が誠意を示すべきだと思います。こういうものを一方的に政府の内部で、人事院にすら意見も聞かずに、相談もせずに、この政府のどっかで改正案を作業されておる、こういうことはわれわれとしては納得できない。従って、あまり拙速で、われわれとして納得できない法律を強引に出してくるということを避けて、一番今国際的に問題になっておるところのILO条約の批准をまず先に出して、しかもそれを早急に出すということ、こういう考え方に対して官房長行どう考えておるか。私はこれを最後に開いて質問を終わります。
  193. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 結局国内法の整備を待って批准承認をするということになっておりますので、さて、その場合に前後のどっちを先にし、どっちをあとにするかという法案の出し方と申しますか、これらについても、とにかく根本は批准案を先に出せ、こういう御意見も極端にはございますけれども、国内法の整備というものを必須の条件として八十七号条約の批准をするということになっておりますから、法案を出す時間の問題の前後等は、末の問題でありますけれども、とにかく国内関係法の整備というものの見通しがつかなければ、批准の運びはむずかしいのではないか。当然そういうように考えておるのであります。
  194. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ国内法の整備は一体いつごろの見通しですか。それに関連してと言われたら、相当大きな問題があると思います。国内法の整備ができなければ、ILO条約の批准が、関連性があるような御発言ですが、国内法の整備がいつごろできるのか、その点の見通しをはっきりしてもらわぬと、これは相当問題がある。
  195. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) それでございますから、それらの問題を大体国内法の整備というものを急ぐというのは、そこにあるわけであります。先ほどから申し上げておるように、今いつ出せるというなには、めどは今ここで申し上げる段階ではございませんが、できるだけ早く提出したい、関係法の整備の法案を出したい、こういう考え方でございます。
  196. 横川正市

    横川正市君 質疑の中で関係法という膨大なものに手をかけておって、そうして一部ではたとえば公務員調両案というふうなものの弱体化じゃないかというぐらいな批判も受けておるわけなんですね。しかも非常に大きな問題を抱えておるわけです。それとそれから条約批准の問題とをからませて、このままの推移でいくということになりますと、私どもとしてはおそらくにっちもさっちもいかなくなって、公務員法の改正についてさえ、もう何年来懸案になっておりますが、それだって今もって目鼻がついておらない、こういう状態、その具体的にILO条約の批准という目的があるために、その方に関係したものを非常に拙速的にことを運ばないように、先ほど言うように人事院の意見も聞いておらない、それから調査室は弱体化しておる、次官会議は何か結論を急がれておるような、こういうことで非常に内容の伴わない案が出てくるのではないかというふうにも懸念されるわけです。ですから、その点については一つ十分注意、御配意をして、すみやかなという言葉に合致した期間内に条約批准に持っていくように、この点だけは要望を申し上げておきます。
  197. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  198. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を始めて。  次に、本日科学技術庁設置法の一部を改正する法律案審議の際、矢嶋委員質問に対し和達気象庁長官からそれぞれ答弁があったのでありますが、その答弁内容中一部訂正をいたしたいとの発言を求められておりますので、これを許可いたします。
  199. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 先ほどの私の答弁のうち、黒いジェット機は台風の写真をとったのではないかと想像されると申しましたが、自分の想像を述べましたことは、答弁として不適当であったと反省いたしましたので、その部分を取り消さしていただきたいと思います。
  200. 中野文門

    委員長中野文門君) これにて暫時休憩いたします。    午後一時五十九分休憩    —————・—————    午後三時三十五分開会
  201. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を再開いたします。  原子力委員会設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。政府側出席の方方は、中曽根科学技術庁長官佐々木科学技術庁原子力局長法貴科学技術庁原子力次長の方々であります。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  202. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは原子力委員会の二名増員するという、きわめて本法律案は簡単なやつでございますが、それに関連して二、三質問したいと思います。昭和三十一年にこの委員会が設置されて、今日まで相当委員会で重要な問題が取り上げられたと思うんですが、その過去における委員会のおもだった問題で、その委員会の決定が実施に移されたおもだった問題について、ちょっと長官から御説明願いたい。
  203. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まず原子炉の設問につきましては、ただいま運転しておりますウォーター・ボイラー型原子炉、それからことしの五月の末から六月ごろ逆転予定のCP—5型原子炉、それから来年の夏運転予定の国産一号原子炉等を許可いたしまして、それぞれの建設に入っております。なお原子力研究所で将来の動力炉に備えまして、アメリカから輸入しようとしておりまする動力炉、これはJPDRと申しておりますが、これにつきましては、いずれ審査をいたしまして、その決定をみることになっております。それから実用炉におきましては、コールダーホール型十五万キロ発電、これは昨年決定いたしました。  そのほか大学の研究炉といたしまして、立教大学が館山に建設する教育用の原子炉、それから東急が川崎市に設置いたしまするこれまた小型の百キロワットの原子炉等を許可いたしました。  それからなお最近出て参りましたのは、関西の世耕さんが学長をしておりまする近畿大学から申請が一つ出ております。そのほか東芝、あるいは日立等がおのおの研究用に設置いたします原子炉も検討いたしまして、これは目下審査中でございます。  それから外との問題におきましては、アメリカとの原子力協定、イギリスとの原子力協定、それからカナダとの原子力協定等を締結いたしました。それからさらに、燃料公社の政策等につきまして、人形峠を中心にする開発から、さらに全国的にわたってウランの所在を探知するいろいろな諸般の政策を実施し、また十トンプラントを東海村に建設いたしまして、精錬の研究をやらし、すでに運転に入っている状態でございます。そのほかアイソトープ関係の利用等につきましては、いろいろ規制の規則を作りまして、そうして放射線科学であるとか、あるいは諸般の方面にアイソトープを利用することについて政策を実施中であります。  なお、人材の養成のために原子炉の研修所、これを原子力研究所に作りまして、またアイソトープ研修所を原子力研究所に作りまして、それぞれ教育訓練を実施さしております。これも原子力委員会が監督してやっているわけでございます。  なお重要政策一つといたしまして、損得賠償法案の要綱を作りまして、その内定を見まして、現在法制局と法律案の作成について協議中でございます。大体以上の点が大筋のところであると存じます。
  204. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体過去のいろいろの実績が言われました。しかし、現在日本で原子動力が必要化して、これが電力に変化したり、それがもうすでにその緒についているように聞いておりますが、その現状はどうなっておりますか。
  205. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原子力発電計画は、現実的にはコールダーホール型十五万キロが運転いたしましたときに発電ということになります。従いまして、本年から大体四年くらいかかるたろうと思います。そのほか、ただいま申し上げましたJPDRという、原子力研究所アメリカから輸入しようとしております濃縮ウランの炉は、それよりも一年くらい前に稼働に入る予定でございます。その二つが、天然ウラン及び濃縮ウランを中心にいたしました動力炉でございます。
  206. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その場合、現在の水力または火力による発電のコストとの関係はどういう状態になるのか。その点ちょっと伺います。
  207. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) コールダーホール型を許可いたしましたときの価格推算は、大体一キロワット五円前後でございます。ただし、二十年の耐用年数として計算いたしますと四円三十銭前後になりまして、新鋭火力と大体同じくらいになります。二十年の耐用年数で計算した場合であります。原子力発電炉はキャピタル・コストは相当高くなります。しかし、燃料の嘱用というものが、火力等に比べて非常に安くなりますものですから、そのかげんで大体バランスがとれるという見当でございます。  それから、濃縮ウラン炉につきましては、アメリカが現存シッピングポートで運転しておりますPWRという濃縮ウラン炉は、これは試験用に作ったものでありまして、コストはまだ相当高いようであります。しかし、最近アメリカ原子力委員会が公表いたしました、ここ二、三年のうちにできるであろうという予想の机上計算を調べてみますと、アメリカ系統のPWRあるいはBWRという系統の炉では三円五十銭程度までにはいくだろう。そういう見当の報告書をアメリカ原子力委員会が正式に公表いたしました。しかし、これは机上計算でございますので真偽のほどは、よほど確かめて、運転実績を調べてみないと、にわかに信用するわけには参らぬと思います。しかし、世界の大勢といたしまして、ウラニウムがやや余りぎみになってきておりますので、燃料費はこれからぐっと安くなると思います。それから技術的な改善も相当進むと思われますので、ここ五年くらいのうちには、アメリカイギリスにおきましても火力に相当するくらいの値段でいけるのではないだろうか。アメリカのコトスは、火力が平均七ミル、七ミルと申しますと、一ミルが三十五銭ですから二円五十銭くらいになります。五年くらいにはその程度にいけるという目途でアメリカあたりは開発しておるようでございます。イギリスの炉を、この間イギリスメーカーにしさいにわたって聞いてみましたら、やはりその程度を目途にしておる。イギリスの国内においては、金利その他いろいろな関係から見て、大体七ミルないし八ミルで現実にいける予定だ、こういうことを言っておりました。  こういう全般の傾向をみますと、ここ四、五年のうちには、各国において大体石炭、石油の低い方のコストに対抗できるところへいけるような感じがいたします。日本の場合は、石炭、石油のコストは高いわけであります。大体新鋭火力でも四円前後というところでありますから、それよりも原子力にたよるところが非常に多くなるのだろと思います。現在石油専焼火力等は非常に安くなっているということを言われておりますが、これは実は原子力からの圧力があるから安く下げておるのでありまして、そういう意味におきましても、原子力の開発が進んでいくということは、非常に石油に脅威を与えておりまして、石油専焼による発電コストというものは、非常に安くさしておるのだろうとわれわれは考えております。
  208. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つちょっとお聞きしておきたいのですが、原子力の原料であるウラン、ウラニウム、これの世界的埋蔵のいわゆる分布状態、またわが国において大体どういうくらいの埋蔵最があるのか。この点一つちょっとお伺いしておきたいと思います。
  209. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 数量的には、事務当局から御報告申し上げますが、全般的に見まして、初め各国は相当あせって開発をいたしました。その結果、相当なウランが見つかって参りました。がしかし、一方において原水爆実験禁止等の国際的な世論の動きがあるために、われわれの想像では、ある程度ストックができたんだろうと思う。これ以上そう作る必要もないというような情勢ではないかと思われますので、われわれが考えていたよりもウラニウムが余って参りまして、そのために、コストは非常に下がりぎみになってきております。そういうために、カナダでアメリカが金を出してやっているエルドラド・カンパニーというカンパニーが開発をしておりますが、これは、アメリカがさらにウランを続けて購入するというような契約をわざわざいたしまして、開発をやらせているというような大勢にすらなっておる模様であります。そのほか、南ア連邦あるいはベルギー領のコンゴー、あるいはトリウムにおきましてはインド等において相当量の産出を見ております。日本におきましては、人形峠を中心にして開発をやって参りましたが、大体分布の範囲はかなり広いようであります。そうして岡山県・鳥取県の国境の山手筋、この辺には堆積型の層がかなりあります。しかし、大体外国で使っているのは、〇・一%ぐらいのウラン鉱を使っておりますが、日本の場合は貧鉱でありまして、〇・〇六%ないし七%、たまには〇・一%程度のものもございますが、原則的に見ると、今までの日本の鉱石は貧鉱のように思います。従って、貧鉱処理に関する国産技術を独得に開発するということが、日本の場合、非常に重要な要件になってきております。
  210. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 現在世界で生産しております酸化ウランを基礎にして計算して参りますと、大体年間四万トンぐらい産出というのが現状でございます。
  211. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 先ほど長官が言われましたいわゆるカナダ、南ア、そういう地方的に見て大体どういう生産の状態になっておりますか。四万トンじゃ世界的な数字。
  212. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) そのうち約一万五千トンぐらいはカナダで生産いたしまして、英国が大体一万トン、あるいは若干それを上回っている程度だと思います。その他南ア、あるいはフランス等であります。
  213. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今後、この原子炉が各所において設置されて、この原子力の開発に全国的に分布されると思うのですが、その際に、まだこの原子力に対する一般日本国民の感覚というのは、きわめて危険視しております。関西でも、この研究所設置のために相当問題を起こしておるのですが、現実には、現在原子炉なんかの設置による付近におけるいわゆる危険といいますか、安全に対する設備といいますか、そういう点についての研究の度合はどこまでいっておるか、こういう点を一つ
  214. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一番大事なことは、放射線の許容量をまず決定することであります。基準をきめることであります。基準については、まだ国際的な確立した基準というものはございませんで、国際放射線防護委員会という委員会が、大体の見当で基準を作って、それを各国に勧告されております。日本は、その勧告を原則に国内法に取り入れてやってきておりましたが、コールダーホール設置の場合には、その一般的な国際的な基準よりもっと厳格なものをイギリスが採用しておりました世界で最も厳格な基準を採用いたしまして、炉の室の内部における許容量、それからその施設のある構内における許容量、それからそのまわりにおける構外の一定範囲の許容量というものを大体設定いたしまして、その基準以内に合うように炉の設計を監督しております。
  215. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、本案に対する二名の増員でございますが、提案の理由にはいろいろと若干触れておられますが二名ふやされる、現実にどういう人をふやすか、きまっておるのかどうか、その点一つお聞かせ願いたいと思います。
  216. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まだ人はきまっておりません。法案が成立いたしましたら、委員と相談いたしまして人選に着手する予定でございます。大体しかしこれから出てくる仕事の性質や、それから将来の展望等も見まして、判断力の豊かな、公平であり、また国際的な情勢にも通暁しておるような人を選びたいと思っております。
  217. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そのうち一人は常勤、他の一人は非常勤になってますが、常勤というのは、やはり国家公務員という資格になるのでございますか。この点どういうことになるのですか。
  218. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 常勤は正規の俸給を受けておりまして、たしか月七万、それから非常勤は出動した比率において実費弁償ということになっております。それで常勤の方は連日来ていろんな事務を見ておるわけでありますが、非常勤の方も、今までは有沢さん等が非常勤でございましたが、ほとんど出ていただきまして、いろんな点を見ていただきました。もちろん、これは相当な会社の機密や何かも、炉の設置については知るわけでございますから、国家公務員扱いをいたしまして、秘密保持その他の義務があるわけでございます。
  219. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 資料持ってきてないので、ないところで少し関連して聞いておきたいと思うのですがね。この原子力利用についての企画、審議、決定を行なう原子力委員会の所掌事務が増大したので、機能を強化するということなんだが、今の原子力委員会の構成でこういう面が欠けているというようなところがあって増員されるのではないかと、私推察してるわけなんですがね。それはどうなのか。あるいはこういうことも考えられると思うのですよ。長官がちょっとお気に召さぬ点があって、もう少し長官の意向に近い人を新たに付加したい、こういう立場からこういう法案が出てきたにおいもするわけなんですよ。だからそのところをお答えいただきたいと思います。
  220. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原子力委員会の弱点を補おうという気持で増員をお願いしたわけでございまして、と申しますのは、菊池さんが今まで委員をやっておいでになりましたが、原子力研究所を強化するために、菊池さんには、原子力研究所の理事長におなりになるようにお願いして、そのあとに放射線の問題が非常に重要になって参りました。特に許容量の問題や、国民の保健管理という問題が非常に重要でありましたので、放射線関係の権威者といたしまして、遺伝学の権威の木原博士においで願ったわけであります。ところが菊池さんが出られたために、物理関係の方が一人いなくなっておるわけですから、原子力関係では、物理学というのは相当重要視しなくちゃならない。物理学、化学などというのは、相当重要視する部面であると考えておるということであります。それから国際的な問題もかなり出て参りまして、IAEAの国際原子力機関等におきましては、なかなか各国のかけ引きや何かもございまして、国際的にも通暁し、かつまたそういう法律関係、たとえばサバンナ号などが来るときに国際法等の接触する部分が非常に多くなるわけです。港の関係、出入の関係というような問題もございますし、それから最近核実験等の問題と微妙な関係があることで査察の問題があるわけです。国際原子力機関ないしは外国との協定、で炉を持って参りますと、プルトニウムその他を査察いたします。査察するということになりますと、これまた国の資源と相当関係する問題がありまして、インドやそのほか今IAEAにおきましても、各国の立場が非常に微妙でかけ引きや何か多いのでございます。そういう点も、今までにない問題でありまして、われわれは考えなくちゃいけませんし、それからまた、国内法では損害賠償法という問題が出て参りまして、これは今までの民商法に非常に特例を設ける一大画期的立法をしなくちゃならないということになっておるわけであります。それは今度の議会にぜひ上程させるよう努力しておるわけであります。そういういろいろな部面が出て参りましたので、新たに補強を要する次第になったわけであります。
  221. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それで今二名ふえたところでもう一つ聞いておきたいのですが、兼重さんは当時科学技術会議の議長としてお入りになったのではなかったでしょうかね。そういう点は、これは法律上から言えば無関係の建前になっておると思うのですが、たしか兼重さんが科学技術会議の議長という何でお入りになったのではないかとかように思うのですが、それから人的構成について石川さんは御出身が御出身だけに、これは防衛生産関係のことに非常に関係の深い人なんですが、防衛産業とこれが結びついていくようになると、原子力基本法との関係が出て参りますので、そういう点は十分委員の人選、それから運用には気をつけていただかなくちゃならぬと思うのです。それらの点についてお尋ねしておきたいと思います。
  222. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 兼重さんは学術会議の会長になる前から非常勤委員でおりまして、そして会長も兼務されておったのであります。今度は会長をやめまして常勤委員としてお勤め願うことになりました。それから石川さんのお話がございましたが、石川さんは経団連の会長を前におやりになっておりましたけれども、防衛を特に関心をもってやるとか、そういうことは全然ございません。やはり委員としての立場から三原則を守りまして、非常に大局的見地から行動しておられるように拝見しております。
  223. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 話を変えまして承りたいのですが、原子力関係の諸法律を国会で成立させるときに、科学議員グループの中軸として長官が推進役でもめったわけですが、私はこの際ここでお伺いしたいのは、あの当時法案提出別、さらに審議の段階でも非常に議論しておりましたいわゆる原子力基本法ですね。あの原則は僕は今破られておると思うのですが、これを当時この法案の起草推進の中心的役割をされた長官としては、どう考えられておられるか。この原子力関係のあらゆる研究機関に防衛庁関係の担当者がタッチしておることは、これは否定できないことです。だから防衛庁といえども原子力研究研究の自由だというようなことをあるいは言われるかもしれませんけれども、兵器の改良生産という立場とこれは結びついた形で原子力研究をする、また資料を集めるということは、原子力基本法等ができた当時の趣旨からいえば、明かなこれは法規違反だと思うのですが、そういう動きは年々顕著になりつつある点については、出時推進された長官としては、どういう眼で見守っておられるのかお答えいただきたいと思います。
  224. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そのような事実は、絶対ないと私は確信しております。原子力関係予算はすべて科学技術庁原子力局におきまして各省庁の大蔵省に要求する分を一括査定いたしまして、そうして原子力局が全部これを納めまして、それを各省庁に配分するという形をとっておるわけであります。そのときに全部査定しておるわけです。防衛庁がかりにもしそういうことをやろうとしてきている場合でも、原子力局を通らなければそれはできません。原子力局は三原則に従って査定しておりますので、この目を潜ってそういう費用を取られるということは絶対ないと思います。よく言われますことは、防衛庁で放射線被害に対する防護あるいは医療の面をやっておるのはどうであるかという議論があります、それだけがただ一つあります、原子力関係で。しかしそれは兵器としての軍事利用ではなくて医療という面からの取り扱い、研究をやっておるのでありまして、そういう点におきましても、これは三原則に違反することはないと思います。そのほかには予算上点検いたしましても、行政の実際を見ましても絶対ないと確信いたしております。
  225. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私にとってはそういうお言葉は白々しく感ずるのですがね。もう少しそれでは突っ込んで伺いますが、防衛庁は研究開発あるいは委託費として約三十億円の予算を持っているのです。その委託費の行き先がわからないんです。幾ら資料を出してほしいといっても、防衛庁は出さないんです。個人の学者にいっておることはまず間違いないんです。これは学長会議でも問題になったのですけれども、ある特定の学者に委託費がいっているのは間違いないんです。ところがそれが公表されますと、そういう学者学術会談の議員でもある場合がある、そうなりますと、原子力基本法等に抵触して問題になるし、防衛庁としても後にまたお願いができなくなるものですから、拝み倒すようにしてどうしても発表しない、公開で民主で自由で何だったなら、そういう関係の委託費がどこの会社に幾ら、それからどういう個人に幾らいっておるということを公開して少しも差しつかえないと思う。ところが、それがどうしても資料として出されない、かんべんしてくれ、このことは非常に私はおかしいと思うんです。で明らかにこういった事態からいって推測されることは、原子力の開発と兵器の改善研究というこういうテーマで防衛庁の職員さらに一部の学者が、しかも国立大学に籍を置く学徒が研究をされておるということは総合判断してまず間違いない、これは明らかに、原子力基本法の制定当時の精神に反する、こういう点について私は、原子力委員会は鋭い監視の目を光らせなければならないと思うのですが、そういう点が非常に不十分で、原子力基本法の原則というのは空文に来たしつつあることを、非常に私は懸念をしておる者です。こういう点についてはやはり長官答弁は白々しくなるんです。先ほどロケットの改良、製造にいたしましても、私があえて伺ったところでは、軍事用は新三菱さん、平和用は富士精密さんでやられておると言いますけれども、そんな区別はつかないでしょう、富士精密さんでも防衛庁の発注を受けてやっておりますよ。もしこれが新聞に出たら富士精密さんから抗議が出ると思うんです。これからだんだんそういう点でやろうと思って一生懸命投資をしておる。防衛庁も今の調子でやろうとするときに、自分のところは平和的のもので防衛的のものは一切だめだという烙印を押されたとなれば、富士精密は文句を言ってくる。やる方はそうではない、平和的のものも軍事的のものも同じ人が開発し、研究し、製造しておるのです。同じ会社が。そこのけじめがつかないことになるわけです。で、この原子力基本法の制定された当時からいって、この法の精神が非常に軽視され、法が犯されつつある傾向については、私は原子力委員会としては非常に責任が大きいと思うのですが、もう一四これらの点についてお答えいただきたいと思います。
  226. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 防衛庁の経費の中で、軍事開発に原子力が使われているということは、われわれはどうしても理解できません。また逆にわれわれの方が考えてみまして原子力関係技術能力あるいは科学的能力を持っている学者の分布あるいは工場、事業所の能力というものはある程度わかっておりますが、そういう方面との接触におきましても、そういう委託費を受けて兵器の研究原子力関係がしておるということはわれわれには見当がつきません。もしお許しいただけるならば、その見当だけでもお話しいただきますれば、われわれはすぐ調査いたしまして御報告するにやぶさかでございません。しかし、われわれが持っておりまする資料や今までの調査に関しましては、そういう事実は絶対にございません。  それから今のロケツトの件でございますが、私は原則的に大局的に密書精密はカッパ一を中心にやっておる、それから新三菱等は飛行機を中心にして軍事用のものを防衛庁から引き受けてやっているという意味で申し上げたのでありまして、いろいろ部分品とか、局部的な問題は、あるいはその会社のセクション、セクションがやっていることもあり得ると思います。しかし、会社がやっておるということを普通に表現して申し上げるような意味においては、やはり富士精密はカッパー中心に、それから新三菱等は防衛庁の軍事部門を中心にやっていると言って差しつかえないと思うのであります。
  227. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは国務大臣の中曽根さんにお願いするのですが、防衛庁の委託研究費の細目ですね、会社並びに個人に出している細目を資料として、同じ岸内閣の中の国務大臣の赤城さんに言って出していただけますか。僕はうしろ暗くないならば出していただけると思いますがね。
  228. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 防衛庁の主管大臣責任のことでございまして、私からとやかくああしろ、こうしろということは申し上げられませんが、事原子力に関してそういうことが行われているか行われていないかということは、内部的によく査察をいたしました結果を御報告申し上げたいと思います。
  229. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 れれでは私は資料なんかもらえないわけですから、あなたは赤城さんから委託費の交付状況ですね、それを一応取ってごらんになっていただきたい。そうして何だったらこれを一つ内閣委員会に出したらどうかというように言ってもらったらいいし、それでまたあらためて伺いますが、その出されないところに問題がひそんでいると思うんです。角度を変えて伺いましょう。私は町軍備反対です。ところが長官は賛成なわけなんですね。そうして今の岸内閣の再軍備政策、それから兵器の近代化改善という政策も推進している岸内閣の閣僚である。それで大臣の中で最も科学的知識と科学的精神、そういうものの豊富な長官なんですが、今のような岸内閣のああいう政策で、兵器の開発に原子力利用を全然考えないような政策というものがあるでしょうかね。あなたはどう考えますか。私の意が通じないかもしれませんが、今のような政策で、それは原子力の利用が大がかりなものかあるいは小がかりなものかは別ですよ。その原子力を兵器の開発改善に全く結びつけないような格好で装備の近代化とか、兵器の改善とかいうものが考えられるでしょうかね。いかがでしょうか。
  230. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 岸内閣は原子力基本法を忠実に守ってその通り実施しております。これは総理大臣が国会におきまして国民に公式に言明されたことで、閣僚であるわれわれはそれを忠実に守る、かつまた、原子力基本法を忠実に守って執行しているから、ただいま確信を持ってそのように申し上げるのであります。
  231. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは公の場所ではそう言わざるを得ない、当然だと思うのです。だから白々しい。国民は全くつんぼさじきに置かれているのです。だまされているわけなんですよ。あの岸さんの言明なんかいうのは、ある時期が変わったら明確になって参りますよ。まあ長官はお若いから……、そうなりますと、あなたは、今発言されたことが次期になって証拠として示された場合、もしそれが逆になった場合には、あなたは政治家として責任をとられますか。
  232. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 岸内閣の閣僚といたしまして、岸内閣が存続し、私が閣僚である限り、国務大臣としての責任はとります。それから原子力基本法というものが存在する限り、その制定に賛成した議員としてその責任はとらなければいかぬと思います。
  233. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたは、いずれ原子力基本法の改正の時期が来るとお考えになっておられるわけですか。その点は見通しどうですか。
  234. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 将来のことはわかりません。それは日本の客観情勢やら、その他いろいろな情勢の変化ということもあることでございますから、永久不劫に変わらないかどうかということは、地球があるいは爆発するということもあり得るかもしれません。そういういろいろな面から考えてみれは……。
  235. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あのね、中曽根さん、私が伺っておきたい点は、昭和三十五年の今四月というこの時点に、原子力研究開発と兵器の研究改善と一切結びついていない、原子力基本法の精神を忠実にやっているのだ、所管大臣としても十分善処しているのだ、責任ある答弁をされているわけですね。だから、あるいは一年先、あるいは五年先に、昭和三十五年の四月というこの時点において、洋内閣の編成した予算執行面で、原子力の開発研究と兵器の改憲研究とが結びついておったということが将来において判明した場合には、昭和三十五年の四月という、こういう時点においてそういう答弁をされたあなたとしては、矢嶋に対して、あるいは国会に対して、あるいは全国民に対して、そのときは大臣かどうかわからぬが、政治家と言っておくが、政治家としての責任をとられるかどうか、これを承っておきたい。
  236. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま申し上げましたことは、速記録に厳然と残っておることでありますので、申し上げまして速記録が正確に残ったことについては、そのように責任をもちろんとります。  ただいまの兵器としての原子力開発の問題でございますが、御存じのように、日本が今作っておる原子炉は、ほとんど全部外国から入れているものであります。この原子炉は平和目的のために外国から査察を受けるものであります。従いまして、その査察から見ましても、軍事利用にすることは条約でも禁止されておりまして、事実上不可能であります。それから第二に、兵器として用いられる原子力というものは、濃縮ウランでなければほとんど不可能なわけなのであります。そうすると、濃縮ウランというものは日本でできるかというと、これは相当量の電力を食いまして、日本では今のところはやらない方がいいという結論になっております。ほかの方へ電力を回した方が利益であるからであります。そういう総合品的な国策、電力の使い方の効率等を見ましても、濃縮ウランを日本がここ近い将来に作るということは今のところ考えられません。そういう考え方からいたしまして、原子力が兵器に使われるということは、今のところ、当分現実性のないところであります。そういう意味で、原子力基本法というものは、現実的根拠も実はあるわけであります。
  237. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 原子力船の建造、研究という方面は、研究段階に入っていますか、どうですか。
  238. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大いに研究いたしております。昨年は調査団を派遣いたしまして、情勢の洲本もやって参りました。
  239. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 平和的利用の商船ですね。で、日本原子力船等ができるのはいつごろという期待を持ち、目標を持ってやられておりますか。
  240. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今は基礎的研究をやる段階でありまして、いつごろできるという目標は、今のところ確立してありません。ただし、ことしじゅうかかりまして、原子力開発の長期計画を、十年計画を作ることになっておりますので、その計画ができます際に、大体のアウトラインは出てくるだろうと思います。
  241. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これはね、赤城さんの方では、日本は潜水艦に重点を置いていくのですが、原子力潜水艦は一刻も早くほしいわけですよ、そういう点とこういう点が結びついていくわけですね。しかし、その軍事的なものは別として、原子力船等ができるような方向の研究を推し進めるということは、これは非常に大切なことなんですがね。ただ、さっきの基本法との関係で、私はあえてこういうことを言うわけは、原子力委員会、今度二人増員されるわけですが、その人選もさることながら、原子力委員会に若干注意を喚起したいという意味で、あえてこういう発言をしたわけです。その点を含んでおいてもらいたい。もう少し承っておきたいのですが、先般、あなたは東海村を御視察になったようですね。若干この設計の粗漏等があってうまくいっていない点があるのではないかということをちょっと聞くのですが、この点はどういうふうに視察されたか。一つには、燃料公社もそうですが、原子力研究所等の仕事をやっているのを見ると、いろいろと何ですかね、請け負わせるのに特定な人にやらせるわけにいかない関係か、あらゆると言っちゃあ語弊があるが、数多くの請負業者にやらせていますが、そういう点等から若干そごが来るのじゃないかと、まあしろうと判断するのですが、いかように御視察になられたか。特にそれと関連して、先ほどちょっと出ましたが、安全性というものは非常に重要です。だからこれに関連して、よく原子力研究所の労組との間にごたごたが起こった過去があるわけですが、これらの安全性の保持等について、従業員の皆さんに、十分安心と了解をしていただけるような態勢というものは整っておられると御判断されたかどうか、一つ伺いたいと思います。
  242. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本原子力研究所建設のスピードは、世界でも驚異の目をみはっているくらいでありまして、特に土建関係建設というものは、非常にスピード・アップされております。予定期日におくれるということはほとんどございません。これは最近の近代的な機械が日本の土建業に入ってから非常に前進したところでございまして、原子力研究所においても同様でございます。それからおくれたり何かするということはございます。それは機械や燃料の関係でございまして、この関係は、外国が作って日本に送ってきたのを検査しましたら、少し水が漏れるところがあるとか、あるいは寸法が、燃料関係で一センチの何分の一違っているとか、そういうことがございまして、そういうものは、すべてアメカにまた送り返してやり直させておるところもございます。そういう部面から、予定期日よりおくれるということもございます。あるいは損害賠償法の成立がおくれているために、外国ではみんなそういう基準によって契約をやっておるものですから、先ほど申し上げたLPDRというようなものは、その成立がおくれておるために、契約がおくれておるというような点もございます。そういう点は、法律的あるいは外国の事情から来ているものが多うございまして、日本メーカー日本の土建業者の仕事ぶりというものは、私は、ある場合には相当な出血を伴って一生懸命やっておるものだと思っております。で、竣工しました炉の運転や機械の運転を見ますと、これは非常によく出力が出ておりまして、ウォーター・ボイラー型も、動いておりますものなんかは、世界でも驚異の目をみはるぐらい、おそりく第一級、第一等ぐらいの出力をもって効率のいい運転をしております。最近相当長時間運転がもう行なわれましたので、何と申しますか、ボーリングする必要がありまして、しばらく手入れをする予定になっております。
  243. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その研究所に働いている皆さんのね、その点お答えがなかったようですが、どうですか。
  244. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 研究所の諸君は、初めはああいう建設時代でありましたから、物理関係や化学関係やっている方も建設の手伝いをしたりなんかして、自分の本来の研究がおろそかになったということはあるのです。そういうことが非常に不満の原因にもなったりいたしまして、研究者は何しろ研究を一番大半に、その本務達成を楽しみにしているわけでありますから、それがうまくいかなかったという点から見まして、いろいろなトラブルがあったことは事実であります。そういうものを早く整備してやって、本来の仕事に取りかかれるようにしてやりたいと思って、私は着任以来誠心誠意努力したつもりであります。特にあすこの環境の整備、あるいは給与その他の待遇の改善等、争議の原因になりました事項の解決に努力いたしまして、今度の予算では、大体従業員の希望は達せられるという水準まで予算を獲得できたものと思っております。しかし百パーセント全部できたというわけでもございませんので、引き続いて努力をして参りたいと思っております。
  245. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ついでに伺いますがね。研修所を設けて研修をするということですがね、これは大事なことだと思うのですが、あの東海の原子力研究所には、もう講堂はできられたかどうか。私がかつて視察したときには、そういうものがなかったわけですがね。できたのかどうか。これは一つの東海村は原子力センターになっていますがね。そうなりますと、将来これに匹敵するような、その研究のチャンスを与えてくれる研究所というものは、関西方面にも必要だと思うのですがね。そこで、関西の研究原子炉は、これは文部省所管ですけれども、直接あなたの所管でないけれども、ちっちゃなものなんだけれども、もう何年来もめていますわね。この見とおし原子力委員会としてはどういうふうに持っておられるのかですね。単に文部省所管だからといって文部大臣だけにまかしておくわけにもいかぬのじゃないかと考えるわけですがね。そういう点については、どういう見通しとどういう見解を持たれておるのか。この原子力基本法の三原則からいって、全国のこういう方面科学者研究のチャンスが与えられるようにすることは、日本原子力の開発利用に非常に大事なことだと思いますのでね、伺っておきたいと思います。
  246. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 講堂の問題は、実はあすこの近所に映画館がございませんで、独身の従業員や何か、水戸まで参りますと、帰りの便のかげんで非常に困難が多かったわけでございます。そういう意味から家族や従業員の慰安のために映画館を実は作ってやる必要があると、しかしまだ寒村でありますためにペイしないで、映画館は商業ベースでできないのです。そこで原研構内に講堂を作るという問題でございませんで、それは講堂というような名前で原子力研究所費用で集会の役にも役立てるし映画もできるというようなことで作ってやったらということがわれわれが聞いておった講堂という問題なのであります。今度の予算でそれをぜひ取ろうと思いましたけれども、これは大蔵省側がなかなかそういう性格のものは許しません。それで、何らかの方法でこれは打開しなきゃいかぬと思っております。そうしてあそこには燃料公社、原子力研究所、それから原子力発電会社というものができてきますから、まあ三者連合でそういうレクリエーション設備をこれから整えるように協議会を作りましてやっていきいたと思っております。
  247. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関西原子炉の問題。
  248. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 関西原子炉の問題は、いろいろ御考慮をいただきましてまことにありがとうございますが、いろいろ地元に誤解がございまして思わしく進みませんでした。で、最近の四条畷の問題は、地元の方々にも大へん冷静になって参りまして、おかげ様で社会党の方や総評の方やあるいは部落解放の方やあるいは関西財界、大学等が一体となりまして、連合の団体もできて参りまして、まあ三原則中心に、関西へ持ってくるか持ってこないか、持ってくるとすればどこがよろしいか、そういう点で御協議願う段階にまで参りましたので、われわれはその成り行きを静観しておりたいと思います。われわれの方がいろいろなことを申し上げるとかえって誤解を招きますので、地元の自発的な推進力を期待しておるわけでございます。
  249. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 非常に関西でもめたら一つ九州にでも持っていったらどうですかね。笑声まあそれは危険なものであるけれども、まああの程度のはね、まああんなに長くするのは無理はない。京阪神というところは人口も稠密ですしね、いろいろあるが、九州の山の中あたりへ持っていけば、あまり心配せんでいいところがあるのじゃないか。私はあると思うのですがね。いい川もありますしね。いずれにしても解決を急ぐ必要があると思います。  時間がないからあとまあ二問ほど伺ってきょうのところ終わりたいと思うのですが、先ほど山本委員質問に対して、許可したのは立教と、それから何か東急と聞こえたのですが、あれは東海大学のことですか。東急さんですか。
  250. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) あれは東急の芝浦工業大学でございます。あれが中心にやっております。
  251. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 わかりました。
  252. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それから九州あたりに設けたらというお話でございますが、私は、行く行くは昔の旧帝大のあったところには研究原子炉を設けるべきだと思っております。従って、まあ福岡という辺がまあ九州の学術中心でもありますから、将来は考えた方がいいと思っております。ただし、時間的にいつかということは、これは学術会議や、文部省や、科学技術会議で検討して結論を出したいと思いますが、原則的には旧帝大のあったところには置いていくと、そういう方針でいくべきだと思っております。
  253. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ここでね、私は非常にこの点要望を含めて伺っておきたいのですがね。まあ立教なんかには武谷さんみたいなりっぱな学者おられますしね。それから財政もはっきりしておるし、そう心配しないかと思うのですよ。ところがまあ東海大学のあれはちょっと地元でずい分もめましたわね。で、規模としてはきわめてちっぽけなもので、そんな危険なものじゃないですわね。しかし場所が住宅のまん中だというのと、はたして東海大学の学校の経営、財政能力ね。それから学者のその維持管理が十分できるだろうかどうだろうか、そういう不安が住民にあって問題になったわけですわね。これは僕やっぱり耳を傾ける必要があると思うのですよ。で、今度近畿大学、世耕さんのところから申請が出て、私新聞でも見たのですが、やはり十分安全度というものを確保されるような人的物的な体制が整って、そうして住民に不安を与えないようにするということが大切なことだと思うわけですね。で、でき得べくんば僕はやるんだったならば、予算関係で国立大学がおくれているが、国立大学にそういうものをやれば、比較的私は同じものを作っても、住民の不安というものはだいぶ減殺されるのじゃないか、責任の所在というものが明確になってきますから。だから先ほど国立大学に対するお考え方を承ったのですが、私立大学からこれから僕は次々に申請が出てくると思うのですね、いい炉になりますから、私立大学株式会社というものが中にはある、今言った東海大学や近畿がそうだというわけではありませんが、やはりそこに注意しなければならない点があると思いますので、この際要望も含めて伺っておきたい。
  254. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 最近原子炉を増設する希望が出てきましたのは、非常にいい現象だろうとわれわれは思います。立教も横須賀の武山に設置することになりました、今武谷さんの話が出ましたが、武谷さんは、関西原子炉にしましても、あるいは原研の炉にしましても、ほかの大学やほかの場所に置くことに猛烈に反対して、あぶない、あぶないと言われておったのですが、自分の立教になると黙って賛成しているのはどういうわけか、私は非常に疑問を持っておるのであります。科学的にちょっとわれわれには解せない要素があると実は思っております。まあ、そのために関西方面では困りまして、四条畷やそのほかの炉の設置が困難になったという事実があるのでございます。東急のやつは八木先生という大先生がおりますから、あれは権威のある方でもありますし、大丈夫だろうと思います。東海大学の分は設置場所が不適当であるという理由その他によりまして一応は保留になりました。最近場所を変えまして、構想を新たにして再審査を申請してきている、こういうことであります。これも審査をいたしまして安全なようにいたしていきたいと思います。  それから原則的には今後の炉の建設ということは、一つには技術者を養成する上からも非常に重要なものだと思います。現在すでに高分子化学その他におきまして、アイソトープが非常に使われておりまして、技術者の深刻な不足にごく最近の将来見舞われるだろうと思います。そういう意味において、各大学に原子力工学科くらいを置いて、各大学が四十人、五十人のエキスパートを年々出していくということは、日本原子力産業、あるいは原子力関係学術技術の発達のために非常に不可欠の要件です。それには炉を持って実際の研究をして、実際に逆転をさせていくことが重要でありますので、その方向に進めて参りたいとは思っております。そうなりますと、ある程度やっぱり国が責任を持ち、国の負担でやらないというと、民間だけの力ではなかなか参らないと思いますので、ある程度はやはり国立大学優先ということになるのはやむを得ないと思います。しかし、民間でも確実でいいものが出てくれば、われわれは大いに許可いたしまして、原子力関係学術技術の発展に備えたいと思います。
  255. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 きょうのところはこれで終わりますが、最後の質問は、この損害賠償法案を検討中で、できるだけこの国会に出したいというのですが、原子力開発の態勢整備の立場からは、早くやらなければならぬことと思います。長い間論議されていることなんです。ところが、最近、私は正確かどうかわからぬが、伝え聞くところによると、国家が責任を持って賠償するという、こういう強い線がやや後退しつつあるのではないか、こういうことを伝え聞くのですが、こういう点私どもは遺憾なことだと思うのです。こういう画期的な時代のエポツクを築くわけですから、こういう場合にはやはり国家が大きく責任を持って、何か不祥の事故が起こった場合には、国で責任を負うというような立場でやれば国民も安心もするし協力もできますが、そういう点で国家賠償の線が後退するような案の内容というものは、私は賛成いたしかねるのですが、これはどういう方向で長官は取りまとめられつつあるのか、しようとされるのかですね。  それからこれとも関連するのですが、よく長官が地方に出張されるたびに、よく記者会見の談話の中に出てくる原子力都市センターという問題ですね、これにはどういうことをお考えになられているのか、お伺いする機会がないわけなんですが、これはどういうことをお考えになられ、いつごろわれわれの審議の対象にされようというような構想でやられているのか、その  それからもう一つは、原子力技術者、しかも優秀な人を確保するということは、開発利用のためにも、安全性保持のためにも大事なことなのですが、これは急にはなかなかいかぬと思うのですね。で、その原子力発電は四年後云々ということをさっき答弁されておりますが、これにさらに原子力船の問題とかいろいろ問題が出て参りますと、その計画のもとに養成していかなければならぬと思う。大学にはある程度新学科ができて養成しつつありますが、私は大学卒だけでは足りないので、中級から下級の従業員、そういう立場から都道府県立の高等学校に、原子力科というものを早く設けなければならぬということを私は持論として言っているわけなんです。具体的になって恐縮ですが、私は熊本の知事にも、県の一番優秀な、たとえば熊本工業高等学校に原子力科というのを設けたらどうですかと、こういう提案もしてみたのですけれども、今の地方財政で原子力科等を県立の同等学校に設けることは容易でないと、こう言うのですね。だから、ちょっとはしにも棒にもかからないわけなんですね、その立場から言えば。従って原子力行政を全般的に考えていく場合、こういうような費用もかかる特殊な技術者養成のための教育機関をこしらえるときは、永久的とは言いませんけれども、ある期間を区切ってもその校舎の建物の建築費を全額国庫補助しようとか、全額でなければ少なくとも八割ぐらいは補助しよう、それから設備にだって金が要るのですから、そういうものを八割、でき得べくんば十割程度の補助もしようというような臨時措置法というものを作って、そうして大学もさることながら、同等学校程度技術者の養成というものも今から手をかけていかなければ、私はあとで必ず困る、悔いを残すときが出てくると思うのですね。そういう点について、長官はどういうお考えを持っておられるか。こういうことは、私は原子力委員会研究論議の一つの重要な問題だと考えますので、伺っておきたいと思います。
  256. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まず損害賠償法でございますが、現在法制局といろいろ協議しておりまして、二十日ごろまでにはぜひ国会に提案するようにいたしたいと思っております。国家責任が後退したということは誤解でございまして、むしろ前進した形になっております。大体五十億円以下の損害については民間保険で一応カバーしておりますが、これは炉の大きさによって保険の金額も違いますが最高五十億ということになっております。そして地震、風水害については、イギリスの保険会社は再保険に応じませんので、この点については保険会社はめんどうを見るわけに参りません。ここは国家が炉の設置者と契約を結びまして、万一の場合は国家が補償してやる、そして炉の設置者が第三者に払うことになります。五十億円をこす部分につきましては、国会の定めた権限の範囲内において政府がいろいろな援助の措置をとる、こういうことになっておりまして、そして総括的に第三者に対するある程度、相当程度の被害が出た場合には、損害の程度やその他を議会に報告しなければならぬ、そして、とる政策の大綱、措置の大綱については、国会の承認を求めなければならぬ、こういうふうに入れまして、この条文は世界の法令にない新しい条文を入れたわけであります。これで国会が国民代表として国民の利益を厳重に守ることができるようにしておくわけであります。こういうふうに法案がなっておりますので、決して国家責任が後退したということはございません。  第二に、原子力施設地帯整備法というものを作ろうと思って鋭意努力しております。これは原子炉の、しかも大型の大きな施設ができた場合に、まわりの都市との関係等において、放射線関係から、そういうことはないと考えられておりますが、万一の場合を考えまして緑地帯を設けておく、あるいはその辺の一定の住民には、原子力系統と思われる病気に対しては無料で診断してやる、あるいは検知器を方々に置いておくとか、あるいは下水や排水等の設備を特によくさして放射能の被害を防ぐよう、そういう場合に特別の補助率を高くしてやるとか、そういうような構想で、大型の原子炉や原子炉周辺の施設の整備を考えておるのであります。これは大体要綱はできましたが、現在は賠償法案に一生懸命に取りかかっておりますので、これがまず成立を期してそれにかかりまして、次に国会に、提案でさましたら今議会にぜひ提案したいと念願しておるわけでございます。  それから技術者の養成はまさに御指摘の通りでありまして、ことに高等学校の中堅技術員を養成するということは、非常に御卓見であるとわれわれも考えます。しかし、最近の様相を見ますると、原子力関係くらい海外留学しているものはないのです。官民合わせまして毎年百人程度学生が出ておりますが、これはほかの産業関係では絶対にない。こういうふうにいたしまして、かなり積極的でありますが、それにいたしましても、原子力工学科とか、そういう方面学生時代からの養成というものは非常に手薄でございますので、大いに強化する必要があると思います。高等学校の教科の問題につきましては、文部省ともいろいろ相談いたしまして、できるだけ御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  257. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 もうわずかしか時間がございませんから、長官に二、三だけ簡単にお伺いしますが、日本原子力研究所の第一号炉が、先般その反応皮において大体〇・五%とか、以上低下したとか、これがはたしてそうなのかどうか。もしそうだとすれば、その原因調査等については進められておると思うのです。この辺を明らかにしていただきたい。
  258. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一号炉のウオーター・ボイラーの炉の性能は非常にようございまして、五百キロワットの出力を世界でも最短時間に出しておりまして、これはドイツにも同じ型がございまして、ドイツなんかよりもはるかに性能がいいのであります。しかし、連続して運転いたしましたために、そろそろ先ほど申しましたようにボーリングする時期に入っておりまして、出力が低下したことは事実でございます。具体的にどの程度ということは係官から申し上げます。そこで近く休止いたしましてボーリング的な手入れをやることになっております。
  259. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 先ほどの長官答弁の中で、濃縮ウランは今日本で作っていないということですが、もしかりに日本で作るとすれば、アメリカから買い入れるよりは二倍ないし三倍くらいかかる。そういう非常に高くつく。こういう原因は、やはり技術がまだ幼稚なのか、資源の関係なのか、その点をお聞きしておきます。
  260. 法貴四郎

    政府委員法貴四郎君) 技術的な問題なので私からお答えいたします。アメリカの今濃縮ウランの価格は、ウラン二三五で一グラム十七ドルという価格をABCが公表して各国に配付しておるわけであります。その生産原価の内訳というものはまだ公表されておりません。従いましてわが国で作りました場合の試算をしてみましても、生産原価がどこで高くなっておるかということがはっきりしないわけです。それからフランスで、これは一昨年ジュネーブ会議に濃縮ウラン、アメリカと同じ方法をやりました、原価計算を初めてこれは公表したものがあるのです。これはアメリカの二倍くらいについておる。そうしてこれはある程度内訳が出ております。それからイギリスもやはり正確ではありませんが、大体その程度の生産原価を包括的に出しております。そういう基礎資料をもとにいたしまして、原子力委員会の核燃料経済専門部会で少し詳しい分析をしていただいたのでございますが、やはり電力原価を一キロワット・アワーで二円五十銭くらいとしまして、それから資本比率を年率二〇%つまり五年償却くらいのところをねらいまして、大体技術的な点を詰めまして、アメリカと同じような拡散法でやりました場合の原価を試算いたしてみますと、大体やはりアメリカの五割増しから二倍くらいというところの見当になっております。従いましてアメリカの生産原価の内訳というものははっきりいたしませんですが、やはり電力料金を非常に安く見積もっておるとか、あるいはその償却費を、設備償却を無視するというわけにもいかぬでしょうが、償却を、極端に言えば、非常に別勘定かなんかに立てまして、あまり大きく考えていないとか、そういう理由が主である、そういうふうに推算しております。
  261. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次にウラン鉱とかトリウム鉱ですね。核燃料物質、これは日本でどのくらいあると推定されておるのかはっきりしないと思うのですが、どの程度の調査が進んでおるのかどうか。もしある程度あるとすれば、そういう地区はどこなのか、こういうような点を伺っておきたいと思うのです。
  262. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 大体ただいま鉱量が割合にはっきりしておりますのは、御承知のように鳥取県と岡山県の間にあります人形峠に中心地がございまして、この地区はまだまだ調査の段階でございますから、今から断定を下すわけには参りませんけれども、ただいままで相当商いと申しますか、〇・〇五以上くらいの品位を持ちました鉱石を中心考えますと、約三百万トンくらいの鉱石が予想できます。しかしこの方もさらにどんどん鉱量が見つかっておりますので、ただいまのところでは、ほんの一部くらいの推定だと思いますので、的確なことは申し上げられません。  それからその他新潟方面、あるいは山形と新潟の県境等に非常に優秀な鉱石が見つかっておりまして、これはただいま鉱量等を調査中でございますので、そういうものが判明して参りますれば、どのくらい一体日本ではあるかという埋蔵量推定ということがはっきり申し上げ得るかと思います。
  263. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 大体わかりましたが、日本原子力開発利用のために、将来日本でも自給自足できるとおよそ推定しておるのか、こういう点については絶望視しておるのか、こういう点を伺いたい。
  264. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) ただいま申しました三百万トン程度の鉱量では、日本の将来の燃料をまかなうなんということはゆめにも思われません。ほんの微々たるものです。しかしながらただいま申しましたように、さらに発見が可能であろうという見通しと、同町に原子力の一番特徴的な面としまして、燃料そのものが原子炉で燃えながら、たとえて申しますれば、今まで燃えなかったウラン二三七のようなものがプルトニウムに変わりまして、それがまた燃料になる、いわゆる増殖ということで、燃料を自分で生み出していくというのが原子力というものの特徴でございますので、そういう増殖といったような点等が逐次実用化して参りますれば、燃料の節約というものが非常に変わって参ります。燃料サイクルといいますか、そういうものの考え方が変わって参りまして、従ってただいまの推定で申しますと、日本の現状からするリラン燃料というものは、全体のわずかのものでありますが、しかし将来のそういう原子炉そのものの開発方式を考えて参りますと、必ずしも悲観したものではなかろうというふうに考えております。
  265. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これは先ほど矢嶋委員からの質問に関連してですが、いわゆる原子力基本法第二条、原子兵器、こういうものとの関係についていろいろあったわけですが、その問題に関連して、御承知のように、岸総理大臣は、国会の場で、しばしば小型の核兵器は違憲ではない、けれども政策上持たないということを言明しておられるわけで、現在も変わりないと思いますが、ところが政策上持たないと言われておりますけれども、これは内閣が変われば政策がまた変わるわけで、そういう点で、将来この原子力が兵器の方面に利用される面がなしとしないわけです。それから一方、防衛庁の核兵器に対する考え方は、これもはっきりしておるわけです。今までは誘導弾等について核弾頭をつけられないものだからいいだろうと、そういうことが飛躍して、今度は核弾頭をつけられるものでもつけないからいいではないか、こういうふうに変わってきたわけです。現在はその段階だと思うのです。ところが、これがまた少し進むと、核弾頭をつけても使わないからいいのろう、また核弾頭を使ってもいいではないか、こういうふうにだんだん一歩々々進んでくると思う。こういう点は、国民の立場から見ると、非常に憂慮にたえないわけです。こういう点、心配のないように、一つ長官からはっきりとこの点を明確にしていただきたいと思います。
  266. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) たとえ小型なものにせよ、兵器としてこれが使われるという場合は、そのために開発利用等が行われます場合は、原子力基本に違反すると思います。従いまして原子力基本法が修正されない限り、政府はそういうことはなしてはならぬことだと思います。
  267. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 科学技術庁長官、今原子力基本法の関係で、小型核兵器云々と、その通りだと思うのですね。あなたは原子力基本法を国会に提案し、またこれを推進した中心人物ですからね。あなたは政治家として御存命の間、ずっと小型核兵器といえども日本では作っちゃならない、使ってはならない、こういう政治的信条をずっと貫かれる御決意が今あられるかどうか伺っておきたい。
  268. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは国務大臣としての発言にあらずして、政治家としての御質問でございますから、一個の政治家として発言さしていただきますれば、私はあとう限り原子力基本法は続けていくべきものだと思います。しかし、政治家というものは常に判断の自由を持たなければならぬと思います。国民の生命財産を守り、幸福を発展させるということが政治家の使命である。そのために国民から選ばれている以上は、その負託にこたえるという意味からいたしまして、常に判断の自由を持っていなくちゃいけない。かりにもし万一、中共が核武装をしたという場合が現出して参ります場合に、一応日本政策を再検討してみて、その心点において、はたしてどの政策がいいかということもまた考え直さなくちゃいかんと思います。そういう意味におきまして、客観情勢の変化に即応して、判断の自由は常に持っておらなければならぬと私は思っておりますが、あとう限り原子力基本法は続けていくべきだと考えております。
  269. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に、やはり中曽根さんは典型的な現在の保守党の一人です。あなたは権威者になるおそれがあるので私は聞いておるわけですがね。外交政策もはっきりそれで出てきますわ。それで一つ伺っておきますが、中共は今の情勢でいけば、まず、フランスが核クラブに入ろうと盛んにゼスチュアをやっておりますわね、中共は核兵器を持ち、核武装をする時期はいつごろとお考えになっておりますか。
  270. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それはどうも私にお聞きになるよりも、高島呑象先生にお聞きになる方がいいと思いますが、今二つの情報があります。一つは、中共は国連に早く入って、国際的に承認されるために核武装する方が早い、それが一番早道だというわけで、ソ連に対して非常に要求している。現に中共においては、五千キロないし一万キロの炉が現実に運転されて、相当程度科学者が訓練を受けていることは事実であります。そういう点からいたしまして、ソ連に対して相当要求しているという情報もあります。ある情報によっては、核兵器を持つのは一年以内であるとか、国慶節までであるとか、ちょうど人工衛星打ち上げの情報のように、しばしばそういう情報が入ってきておりますが、その辺は、いつというようなことはわかりませんが、私がもし周恩来であるならば、やはり国際連合に入るという点から核武装するということは、考え一つの道であるかもしれません。これは中共の立場になってみないとわかりませんが、そういうことも考えられると思います。それから今ソ連はこれに対して、中共に持たれるというと、かえって今度はおどかされる面があり、そういう意味で持たしたくないという情報もまた非常にあるわけであります。そういう点から、中共とソ連が一体仲がいいのか悪いのか、どの程度相許しているのか、私にはかいもくわかりませんので、いつということはわからない情勢にあります。
  271. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 完全に長官ボロが出たのですが、きょうはこの委員会だから言いませんが、日米新安保体制が出てきて、これが成立した形における極東アジアの状況になれば、ソビエト、中共は核武装に踏み切らざるを得ないという世論がある、国際的発言力を強めて、国際連合に入るために持つというよりは、新安保体制に対する対抗措置として、中共の成都、重慶あたりに基地を設けなくちゃならぬ、持たせより、持とう、それで核クラブに入って発言権を持ち、日米新安保体制に対抗していこう。こういう力と力の外交政策というものが、必ず出てくる情勢になりつつあるわけですね。それをあなた見越しているから、あとう限りと言っているわけで、あなたに午前中御質問しましたように、あなたの科学技術行政というものは、非常に進行しているのはけっこうなんだけれども、やはり核武装と戦争の一里塚になる危険性がある。そういう点だけは、長官一つみずから戒めていただきたいし、岸内閣並びに保守政治家の権威になられないように、核武装をまず持たなければならぬというまつ先の主唱者になって、権威者になられるのじゃないかと、平素から懸念しているがゆえに、さっき伊藤委員質問に関連して伺ったわけですが、原子力基本法はあなたがお作りになったようなもので、あなたと松前さんと前田さんあたりで。だから中共に核武装をしないように、させないような日本の外交政策、国防政策というものをとることが、私は大切だと思いますね。一方的に非常に決断を早く、独走して、科学行政面から極東の緊張をさらに激化し、戦争を誘発するようなおそれを起こさないように、一つ御配慮いただきたい。それさへなければ、私は中曽根科学行政に全面的に賛意を表し、協力するものであります。
  272. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま矢嶋委員のお話を承りまして、私には理解ができないのでありまして、何かキツネにつままれたような気がいたします。私たちは原子力基本法を忠実に守って日本原子力政策というものは、平和の目的に振興させようと思ってやっているのでございまして、そのためにも、原子力基本法がある限り、小型の兵器といえども核兵器を持つことは違反であるということを、私は正式に言明しているのであります。従いまして私が、小型の兵器を持つというようなことを、国務大臣として考えるなどということはとうていありません。そういう点はぜひ御心配のないように願いたいと思います。それからまた安保条約と核武装の問題とは、まるきり関係のないもので、中共が核武装するかしないかというようなことは、人の国のことであるからわかりませんが、しかしわれわれ政治家として考えなくちゃならぬのは、相手の情勢というものを自分本意で考えてはならぬということです。相手の立場になってよく向こうの情勢がどう出るかということを判定しないというと、大東亜戦争みたいに失敗します。そういう意味で、冷厳に中共の立場を考えてみるとそういう可能性がないとは言えない。現原子炉が運転され訓練されているという事実を見なければならぬと思います。しかし、それはむしろ国際連合に入るというあるいは大国としての地位乙確保するというところから来ておるのであって、安保条約のごときを目の炉たきにしてそういうことを考える中共ではないと私は思います。
  273. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もはければ、本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  274. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、行政警世庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては提案理由の説明にすでに聴取いたしておりますが、衆議院において修正議決されておりますので、政府側よりこの際補足説明を聴取いたします。政府側出席方々は、新井行政管理政務次官、山口行政管理庁行政監理局長原田行政管理庁行政監察局長、以上の方々であります。
  275. 新井京太

    政府委員(新井京太君) 新井でございます。それでは私から一言申し上げさしていただきます。  ただいま議題となりました行政管理庁設置法の一部を改正する法律案の提案理由につきましては、去る三月一日の参議院内閣委員会におきまして益谷行政管理庁長官より説明がありましたか、本改正案は三月二十五日衆議院におきまして一部修正可決されましたので、私からこの間の経緯について説明いたします。政府提案の法律案行政監察局の所掌事務のみを分掌いたしております地方支分部局に必要に応じて行政監理局及び統計基準局の所掌事務をも新たに分掌させることができるようにいたしますとともに、地方支分部局の名称の変更及び北海道所在の地方行政監察局の管轄区域の変更等を行なうことでありましたが、衆議院内閣委員会審議の結果、三党の共同提案により次の修正案が提出されました。すなわち、「各行政機関」等の「業務に関する苦情の申出につき必要なあっせんを行なうこと。」の一項が、設置法第二条第十三号として追加されましたが、全会一致をもちましてこの修正案の通り修正議決されたのであります。  現在当庁が実施いたしております苦情相談は、当庁設置法には明確に規定されておりませんが、当庁の任務から考えまして末端機関における行政運営の実情を把握する必要がありますし、また、国民に対する直接的な奉仕ともなりますので、行政に対する国民の苦情を受け付け、関係機関に連絡して適切な精髄を講ずるようあっせんいたしております。現在苦情相談は、各関係機関協力を得まして相当効果を上げ、ておると存じます。すなわち昭和三十四年中の受付総件数は約六千件で、このうち約九五%は処理済みであります。このように国民行政上の苦情の解決に引当効果を上げております業務が設置法に的確に規定されておりませんので、衆議院内閣委員会におきましては、苦情処理業務を設置法に規定するように修正せられたものであります。  以上が衆議院で修正せられました経緯であります。ここにつつしんで御報告いたします。
  276. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で補足説明を終了いたしました。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  277. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 きょうの日程の時間が非常に延びましたので、いろいろこの法律案についてただしたいところがたくさんあるんですが、まあ二つにしぼりまして質問をしておきたいと思うんです。行政管理庁の所掌の問題として、われわれが定員法の問題できわめて疑義を持っておる。定員法の改正案は自然増ということで七千三十名もうすでに提案されておりますが、毎年問題になる現在臨時名義で使用されておる方々の本採用の問題については、結論的にいって政府提案として出されておらない。一説に聞くと定員法の廃止ということも巷間伝えられておりますが、この定員法、いわゆるこの臨時職の名義にあるところのこういう方々行政管理庁として、本年度においてすでにもう三十五年度は来ておりますが、三十五年度においてどういう措置をとられるか、政府部内の一応のいきさつも一つこの際に聞かしていただきたい、これが第一点。
  278. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 三十五年度における定員外職員の取り扱いにつきましては、実は定員外職員を定員内に繰り入れたいという意図のもとに政府部内で折衝をいたしておったのでございますが、その意見がまとまりませんうちに三十五年度も切迫いたしましたために、予算で認められておりました七千三十名分のみを一応提出をいたしたのでございます。定員外職員につきまして根本的に解決をはかりたいという意図を持っておったのでございますけれども、これには予算がきまりました後においては、財政法の規定によりまして大蔵大臣の承認がなければ予算の流用ができないわけでございますので、事前に大蔵省との了解をつけて処置をしなければならない事情にあったわけでございます。しかし、その間の折衝が、ついに数の確定までに至りませんでしたために、一応ただいま山本委員のおっしゃいました通り、七千三十名で提案をいたしたわけでございます。先般行政管理庁長官及び大蔵大臣その他の関係の多い閣僚が御相談になりました結果、国会において与野党で折衝をされるという情勢にあるので、その国会の御意思を尊重していきたいということになっておる次第でございます。
  279. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで行政管理庁の態度はわかりました。そこで、今衆議院の段階で、与野党で大体この話を進めておられるということも聞いております。従ってこの結果どうあろうとも、行政管理庁としては当初の方針のように、全部三十五年度に本採用をいわゆる五、六千だと思いますが、そういうものをやってもいいという考え方については、一応今もなお変わらない方針である、こういう点だけ聞いておきたい。
  280. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 定員外職責の定員内繰り入れの問題に関しましては、これはもともと定員外職員を全部定員内に繰り入れるという考えは持っておりません。これはただいまの制度といたしましては、定員内職員及び臨時職員、二カ月以内をもって雇用する職員で構成する建前になっておるわけでございます。ただ、その臨時の職員として取り扱っておる者の中に、恒常的な職員として取り扱うことがふさわしい職員がたくさんおるということが問題なわけでございます。それでできるだけ実情を調べた結果に基づいて、恒常的な職員の繰り入れをしていきたいという考えを持っておるわけでございます。ただ、その定員外職員の定員内に繰り入れたいということの要求が起こりました原因は、いろいろあるのでございますが、主として待遇の改善でございます。しかし、これは現在の制度のもとにおきましては、定員内と定員外とが区別されております関係は、二カ月以内の雇用という形式を、定員外にはとらなければならないという点でございます。これは定員法というものがありまして、定員法の規定がそういうふうになっておりますので、定員外に雇うということになりますと、二カ月以内で雇用するという形式をとらなければならないということになるわけであります。  そこで、これは定員法というものが本来できました事情は、御承知通り行政整理の目的でできております。そういうふうなすでに一応の使命を終わったような法律であるので、これをこの際廃止するということを考えたらどうだろうかということに立ち至りまして、そういう検討をいたしたのでございます。もし廃止いたしますれば、各省庁で長期にわたって雇うつもりである者を、無理に二カ月あるいは日々ということで切る必要はなくなるということでございます。その面においては、定員法に繰り入れなければならないという一つの理由は解消するということに考えられるわけでございますが、そのほかに、なお現実の給与が定員内と定員外では取り扱いが均一でないというものがございますけれども、これは制度の問題といたしましては、法制的な制度といたしましては、いわゆる常勤職員は定員内の職員と同じに扱うことになっておるわけでございます。給与法の本則適用になっておる、それからそのほかの臨時職員につきましても、定員内職員に準じて取り扱うことになっているわけです。従って落とさなければならないという法制上の理由はございません。ただ、現実の問題としては予算のつけ方の問題として十分でないということがあるわけでございまして、これは定員法の問題ではない、別個に考えなければならないということでございますが、いずれにしましても、形としては定員内に繰り入れするという要求として現われておりますので、この際そういう点を再検討しようということで、一応目標を三十六年度から定員法を廃止するという立場に立ちまして、問題になっている点を検討して解決していこう、こういうことを先般閣議了解をいただきまして、ただいまそういう方針のもとに事務的に協議をいたしております。
  281. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは今の監理局長の大体趣旨がわかりましたが、もう一ぺん政務次官、政府責任者として、もし御答弁願えればしていただきたいのですが、今監理局長のお話しではいわゆるこの名義、形式のいかんにかかわらず、恒常的な事業、事務に携わる者は、この定員内職員としてやるのが妥当である、そういう政府の方針である、こういう趣旨だと私、解したのです。それについて政府を代表して政務次官お間違いないかどうか。
  282. 新井京太

    政府委員(新井京太君) まあ行政管理庁といたしましては、ただいま局長から申したようなふうに考えておりますが、なかなかしろうとの新井京太では、まだ中曽根大先輩ほどの知恵がありませんので、そういうわけですから、もし御不審の点がありましたら、係の局長からしさいに申し上げますから、新井京太だけはごかんべん願います。
  283. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 局長、あなたの言われたことはそうだと言われておりますわけですか。それじゃ私の言ったことは間違いないですね。それで局長もいいですね。それじゃそういうことで今与野党でこの問題取り扱っておりますので、この点は一つわれわれの方でも努力いたします。管理庁の方も側面からでなしに責任を持って努力願いたい。  もう一点だけぜひ聞きたいと思っておったのですが、実は国家公務員の資格を持って地方自治団体、いわゆる公共団体でやっている方がある。これは社会保険関係、それから職業安定関係、これは都道府県で仕事をしている。ところが、これは地方自治法附則第八条によって当分の間ということで今日まですでに十年以上をこの当分の間で置かれている。従ってこの都内の職業安定所に働いている人も、知事の指揮を受けて仕事をしているのだが、身分とかそれからそれらのいわゆる任免権が労働大臣なり、あるいは厚生大臣になっているのです。非常に事業事務に支障を来たす場合がある。従ってこれはもう早くから身分も地方公務員に移管しようという、こういう陳情なり請願も出てきている。これについて行政管理庁として、所掌事務としてどう考えられているか。この点はぜひ一つこの際政府考え方をはっきりしてもらいたい。先日実は労働省の官房長とも会いました。官房長もその矛盾は認めているけれども政府全般の問題であるから、労働省としてこれはどうかという理屈はあるけれども、現実に約束はできない、こういうことで逃げているのです。厚生省もその通りなんです。実際の事務なんかを行政管理庁がいろいろ監察される上においても、これは重要な問題だと思うのですが、この点についてのいわゆる考え方、その措置について一つ答弁願いたい。
  284. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 職業安定所の話がございましたが、これはちょっと幾らか違うと思います。社会保険の職員、それから運輸省の陸運事務所の職員等に地方事務官がございます。これはお話しの通り、ただいまの自治法の建前では、本来は地方の職員にすべきであるというふうに考えております。当時は、これを地方公務員とせずに、当分の間国家公務員にするということにいたしましたのは、これは制度が変わりました際に、職員側の方の希望も当時は非常に強かったのです。そういう事情でなったのでございますが、だんだんと運営をしていきますうちに、実はかなり取り扱いの差が出て参りまして、だんだん長引くに従って、もとへ戻りにくいような事情になってきておるようでございます。給与などでも、かなり差がついている所がございます。そこで、そういう実際上の取り扱いとして、戻すのにむずかしいという点があるようでございますが、これは関係の各省でそれぞれ検討してもらっております。地方制度全般については地方制度調査会で検討中でございますので、そういうものと一緒にこれは解決するということでないと、今の段階ではかなり大きな問題になってしまっておるようでございます。  それから、職業安定所の方は、これは多少違いまして、国際条約の関係もございまして、国でやるという建前になっております。しかし、それがどうしても地方にやれないかどうかということについて多少疑問がございますが、そういうことで、今も労働省の職員ということになっております。私どもは、原則としてやはり社会保険の職員、それから陸運事務所の職員は、現在の委任事務として実施しております段階では、この制度を変えれば別でございますけれども、やはり地方公務員に直すということがいいのではないかというふうに考えております。
  285. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃこれで終わります。もう少し検討していただきたいのですが、これは行政管理庁の所掌であるかどうか、その点はまだ私も検討しておりませんが、実は都道府県ではこの運用に相当困っておる、実際問題で。安定所もこれはいわゆる国際条約の問題がございます。あるけれども、あの条約から見ましても、いわゆる政府が指揮監督するという点が一項あれば、実際の事務、これは地方色はきわめて強いです。職業安定にいたしましても、東京都の事情とあるいは青森の事情と非常に違うのです。従って、その職業安定行政にいたしましても、これはもう地方行政として十分意義を持っておるものでございますから、国際条約の問題は、これはもう解決ができ得るというわれわれは一つの基礎を持っておりますが、この論議はいたしません。従って、先ほど監理局長が言われましたように、いわゆる社会保険あるいは陸運の問題につきまして、そういう意向は私は了といたします。しかし、今後行管におきましても、十分政府部内で努力していただくように、この機会に特に希望を付しまして、本日の質問はこれで一応打ち切ります。
  286. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十五分散会