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1960-04-13 第34回国会 参議院 内閣委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十三日(水曜日)    午後二時五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            大谷 瑩潤君            木村篤太郎君            小柳 牧衞君            下村  定君            一松 定吉君            松村 秀逸君            山本伊三郎君            辻  政信君   衆議院議員            武藤 武雄君   国務大臣    国 務 大 臣 中曽根康弘君   政府委員    総理府総務長官 福田 篤泰君    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    科学技術庁長官    官房会計課長  杠  文吉君    科学技術庁計画    局長      久田 太郎君    科学技術庁原子    力局長     佐々木義武君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    外務省経済局経    済協力部外務参    事官      白幡 友敬君    大蔵省為替局投    資課長     奥村 輝之君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○石炭産業会議設置法案衆議院送  付、予備審査) ○科学技術庁設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○総理府設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。去る四月八日、予備審査のため本委員会に付託されました石炭産業会議設置法案議題といたします。発議者より提案理由説明を聴取いたします。
  3. 武藤武雄

    衆議院議員武藤武雄君) 私は提案者を代表して、民主社会党立案石炭産業会議設置法案提案理由説明いたします。最近の石炭産業が不安定な状態に陥りましたのは、単なる景気変動などの影響だけによるものでなく、エネルギー消費構造の変化に基づいていることはいうまでもありません。従って、今後の石炭産業対策は、一時的な応急対策によって処理がつくものでなく、石炭と競合する他のエネルギーに対抗できるようなコストを実現し、石炭の需要を確保し、あるいは拡大していく抜本的な対策を確立しなければなりません。この間、炭鉱労働者の雇用と生活保障をはからねばなりません。政府並びに石炭産業経営者が今日までに適切な措置をとって来なかった点にも現在の不安定状態を招来した原因があります。政府が、石炭離職者対策重油ボイラー規制石炭鉱業合理化臨時措置法などによって、石炭産業対策に尽くしている努力は了としますが、これだけでは石炭産業に対する総合対策は確立できないのであります。従って、三池争議のような悲しむべき事件も惹起されるのであります。ここに、わが党が石炭産業会議を設置して、総合対策樹立を提唱するゆえんがあります。  本案は、第一に、石炭産業の安定及び振興並びに炭鉱労働者生活の安定に関する政府の諸施策の運営に資するため、総理府附属機関として石炭産業会議を設置するものであります。  第二に、この会議は、  一 エネルギー政策総合的見地からする石炭産業の安定と振興に関する基本的かつ総合的な政策樹立に関する事項、  二 経済変動石炭産業に及ぼす悪影響を除去するために心要応急的対策に関する事項、三 石炭鉱業に従事する労働者生活の安定に関する事項、  四 石炭鉱業から離職した労働者生活の安定に関する事項、  五 その他石炭産業安定等に関する重要な事項、右の五項目について調査審議し、総理大臣または関係大臣に答申し、建議するものであります。各大臣は、会議よりの建議を尊重せねばならないものとします。第三に、会議の構成は、  一 国会議員のうちから内閣総理大臣が任命する者    三人、  二 通商産業大臣、  三 労働大臣、  四 経済企画庁長官、  五 大蔵大臣、  六 石炭鉱業経営者を代表する者のうちから内閣総理大臣が任命する者         二人、  七 石炭鉱業に従事する労働者を代表する者のうちから内閣総理大臣が任命する者     二人、  八 石炭消費者を代表する者のうちから内閣総理大臣が任命する者           四人、  九 炭鉱所在地方公共団体を代表する者のうちから内閣総理大臣が任命する者      二人、  十 学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が任命する者             三人以内、 右の二十人以内の委員をもって構成し、会長は総理大臣をもって充てるものとします。委員の任期は二年とし、再任可能とします。  このほか、会議には、幹事、専門調査員をおきます。  第四に、会議は、その所管事務を行なうため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料提出意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができるものとします。  以上のように、わが党案は、国民的規模をもって石炭産業の安定をはかるための必要施策であります。何とぞ、慎重審議の上、賛成あらんことを希望いたします。
  4. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。   —————————————
  5. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続いて質疑を行ないます。政府側出席方々は、中曽根科学技術庁長官久田科学技術庁計画局長であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 横川正市

    横川正市君 先般長官に質問途中で総理府設置法に移ったわけですから、その関係を二、三お聞きして参りたいと思うのであります。先般は各省のそれぞれのセクトに災いをされて、長官提案説明その他でも出されておりますようなこういう意向ないしはそういう目的、方針というものが、機構とか、それから人材とかという面から、実際上目的を遂行するのに非常に困難を生ずるのではないかという点を二、三明らかにしておったわけなんでありますが、その点では必ずしも、私は現行機構の中でやむを得ずこれを承認をして、今回のようなこういう審議会の案を成案を得て提出されたという建前から、抜本的に、科学技術庁として技術振興のために必要なアイデアと申しますか、そういったものを遂行するための機構としてではないように受け取れたのでありましてこの点をもう少し私ども心配をする点を明快に一つ解明していただきながら、科学技術振興については目的を達せられるのだという、そういう保障を実は長官からお聞きいたしたい、かように思いますので、この点再度御質問申し上げたいと思います。
  7. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私がこの前申し上げましたのは、短期的な計画と、それから長期的な構想とを申し上げたわけでございます。短期的な構想といたしましては、現実問題といたしまして、三十五年度予算等に盛った内容中心に展開するわけでございます。これは昨年の科学技術会議の答申に盛られた内容を、大体そのまま予算に盛ったわけでございます。しかし、この短期的な計画を実現する上につきましても、やはり今までの官庁の惰性というものがございまして、必ずしも有機的に現在の大学及び官庁あるいは民間研究所というものが結合して、一体になって研究なり、技術を促進するという点がうまくいっているかというと、必ずしも私はそうとは思えないのであります。これらの日本にある人材を、いかにして提携さして、大きな目的に向かって前進させていくかということが、私らに課せられた大きな任務でございまして、この点については、ゆっくり腰を落ちつけまして、着々打開していくつもりであります。一番大事なことは、何といっても人間でございますから、各方面の人たち気持よく大乗的見地に立って協力するというチーム・ワークを作ることだと思います。そういう点からいたしますと、一番私ら日本の貧困さを悩んでおりますものは、研究のリーダーが、戦前のような人がいないことであります。戦争前には、大河内さんとか、仁科さんというりっぱな方がございまして、若い者を激励して、今度はこっちの方へいったらどうだ、今度はあの辺をやったらどうだといって鼓舞激励して、方向を指示して、いいアドバイスをしてくれた人があったと思うのであります。戦後はそういう方が非常に少なくなりました。そういう人がいるかいないかということに、よって研究の進度、それから深さというものは非常に違ってくると思います。いかにしてそういう人材民間の力で育て上げていくかということが、やはり一つの大きな課題であると思います。科学技術振興財団を作りましたのは、そういうバックグラウンドとしても作り、そういう人がもし出てきた場合には、十分それを活用していただくという意味もあって、作ったのでありますが、人材の面がそういう面でおくれているという感じがいたします。  それから長期的な構想といたしましては、これは十カ年計画を今練っておりまして、それによって根本的な体制を確立したいと思っておりますが、いろいろ科学技術政策を推進するという考えから、歴代の内閣においていろいろな政策を取り上げて参りました。たとえば科学技術会議を作ったり、あるいは科学技術庁を作ったり、あるいは原子力委員会を設置したり、あるいは衆議院には科学技術特別委員会というものもできておりますが、機構的には一応やや整備している感はあります。しかし、これは実際エンジンに火がついて強力に動いているかというと、まだそこまではいってないように思うのです。官庁が日が浅いということもございますし、やはり農林省とか通産省とかいう昔からの伝統のある官庁というものは力もございます。新しくできた総合企画官庁というものは、そういう点では力はなく、根が生えにくい点もあるわけです。一つの問題を申し上げますと、特許という問題がございます。発明や科学技術を推進していく一つのコールは特許にあるわけです。しかし、特許行政というものがうまくいっているかというと、必ずしもうまくいってない。大てい二年くらいかかります。二年くらいかかるということは、それだけ停滞しているということに実際はなるわけであります。これをいかに打開するかということを、科学技術会議で今検討しておるのでございますが、これは通産省が今主管になっている。私らは科学技術庁を作るときは、実は特許行政科学技術庁でやるべきだ。というのは、特許の中には医者の特許もあれば、農薬の特許もあれば、工業技術関係特許もあるわけですから、総合官庁である科学技術庁がやるのが適当であると、こう考えましたが、しかし、当時は通産、商工関係委員の頑強な考え方がありまして、それをあえて特許行政まで改革しようとすると、科学技術庁設置法自体が通らないという状況でありましたので、やむを得ず、涙をのんで、これは通産省に置いているわけでございます。しかし、現状はどうであるかというと、審査官を多少ふやしたくらいで、それほど著しい前進があるとは考えられません。そういう観点からいたしましても、ごく一例でございますが、改革すべき点があるように思います。  長期的には、要するに今までの官庁の編成、政府機構の組織というものが、どっちかといえば、政府はあまりよけいめんどうみなくてもい。いわゆる必要悪的存在といいますか、官庁というものはあまり民間なんかに乗り出さないで、まあ大過なきを期して、事を荒立てないで、民間から何だかんだと言ってきたら、めんどうみてやる程度のものだという、いわゆる夜警国家的思想といいますか、そういう考え方でできているわけです。しかし、科学技術のような問題は、そういう立場ではなくて、むしろ政府が先に乗り出してきて、あるときには叱咤激励もするし、あるときには補助金もやるし、むしろ政府の方が積極的に誘導しながら、国策を進めていく立場日本はあるのじゃないかと思う。しかし、国の行政全体はそういう調子ではない。で、科学技術だけがそういうふうに持っていこうと思っても、なかなか動くものではないのでございます。そういう点からいたしまして、今までの明治以来流れてきている国の行政の中で、特に推進を要するような、こういう科学技術行政というものを、どういうふうに改革していくかということは、政府構造の基本に関する問題にもなりまして、そういう問題も、ここ十年計画の中に取り上げて、次第に順序を追って解決していかなければならぬ、そういうふうに考えておるわけでございます。
  8. 横川正市

    横川正市君 説明を聞いて、それで納得のできる点というのを私どもが羅列をすれば、あなたの意欲的なファイトだけは納得できるわけなんですが、はたしてそれだけで実際上の目的を達せられるかといえば、そうではなしに、いろいろな支障があなたの説明の中にもあっちにもこっちにも出てくるわけでありましてその中の一つで私は、科学技術庁科学技術振興に特段の努力をしようとしている気持、それはとりもなおさず、他の行政官庁には見られない積極的な性格を持たなければならないという科学技術庁特殊性なんだろう、こういうふうに言われている点で、大体私ども理解はできるわけでありますが、それはそれなりに、たとえば、今度のこの宇宙科学のあり方なんかについても、新聞論調を見ますと、あなたの意見と必ずしも学者間の意見が一致をしておらないというのか、あるいは、学者間はあなたの、科学技術庁としてのファイトのある行政上の行き方に対してきわめて批判的であるとか、こういうことがちらほら散見できるわけでありますが、これは私は、第一には機構上の問題からくる問題、第二には、人材をいかにして得るかという問題、第三には、いかに英知、頭脳を動員するかという、この科学技術振興のための三つの問題としてそのいずれもがどうも欠けておるような気がするわけなんです。ですから、機構では先ほどあなたが言ったように、もう少し各省セクト感がないならば、私はやはりもっとすっきりした形で、しろうとである私たちにも、この機構ならばまあやれるんじゃなかろうかと思わせる程度のものが出てきていいのではないだろうか。それから第二には、人材の問題ですが、人材の問題も、これは当面は一つ方法としては、たとえばだれかが有能な経験知識を持って何らかのものを発見すると、それを理論的に裏づけられたものを広くこれを宣伝せしめて、それが大きな効果を得るような、そういう構想をとる。しかし、現代では私はそういうことではなしに、各国の実情を見ると、理論的に研究というものが進んでいって、それに対して裏づけとして新しい物質やその他が、理論の結果として生まれてくる、それがその国の国力やら人類の発展に貢献をしているというふうに、古い時代と新しい時代とでは変わってきているのです。それに合わせて人材の登用というのは、実際上のケースに従って作られてきている。それからまあ、その国では協力関係を見ますと、もちろんソ連なんかの場合には、これは国がやっているのでありまして、しかもすべてを動員できる体制下にある、まあ全体主義的な機構でありますから、これはまあ一目置くといたしまして、民主的な国でも、アメリカにしてもフランスにいたしましても、この国では相当私は積極的な学者協力というものがあるのじゃないか、こういうふうに言われておるのでありますが、日本の場合にはその三つがいずれもどうも感心できないような状態ではないかと私は判断をするわけでありますが、長官としては、この点どのように御判断になっておられるか。
  9. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まず、宇宙開発につきまして学者とわれわれの間に、そごがあるのではないかという点でございますが、そういう事実はないと私は信じております。新聞に出ましたのは、一部の議論が出ておるのでありまして、直接、宇宙関係の仕事に携わっておられる責任者である学者皆さん方は、天文関係の宮地さんにしましても、あるいはロケット関係糸川さんにいたしましても、あるいは天文の一部の畑中さんの関係にいたしましても、あるいは燃料関係のいろいろな先生がおいでになりますが山崎さんとか、それから電波関係の青野氏や、そのほか、直接責任者としてそれぞれの部門を担当していらっしゃる方は、こちらの意図もよくのみ込めておられますし、われわれのやっていることもよく知っておられますので、われわれと一体になって今進んでおります。ただ、そういうところまでタッチしておられない学生の諸君の一部とか、あるいは大学の教職員の助手クラスとか、そういう人たちは、タッチしておらないわけでありますから、観念論をもってわれわれの態度を推断しておる議論が非常に多いのです。新聞に出た要点というものは、大体そういうものが出ておるので、大体、賛成論というものは新聞に出ないで、反対論が出るというのが、新聞の通例だと思うのであります。そういう性格が非常にあるように思います。従って学者の、そういう責任を持っていらっしゃる方々とわれわれの間に、そごがあるとは思っておりません。  それから日本学者政府あるいは民間会社との協力の問題でありますが、これが十分にいかないことは非常に遺憾でありまして、私たちもその事実を認めざるを得ません。しかし、大部分の学者は非常によくこれは協力しておられるのです。特に大学工学部関係、あるいは化学、ケミストをやっておられる方々、この方々は、あるいは高分子にいたしましても、あるいは機械の問題にいたしましても、あるいは人工内臓の問題にいたしましても、非常に提携をしておられまして、陰になり、ひなたになって日本技術力向上のために努力して下さっております。ただ一部の物理学者素粒子グループとか称せられる人たちとか、一部のそういう現実の政策にタッチしておられないで、紙と鉛筆で数学計算をやっておられる、端的に申し上げれば、そういう方々は割合にそういう俗世間的なものと交渉がありませんので、われわれから見ると、やや迂遠な議論をなさっておられるように思います。しかし、それはごく少数でございまして、われわれとよく話し合っていただけば御理解がいただけるものだと思っております。
  10. 横川正市

    横川正市君 この問題に関する限りは、私はあまり、何といいますか、思想的な背景からものを言われて、それをいれるとかいれないとかいうような、そういう問題は起きてこないのではないかというふうに思っておるのであります。ただ、それは学理論的に私は対立していく関係というものは想定できるわけでありますが、そこでたまたま長官の私的な性格やその他思想的な背景は別問題といたしましても、少なくとも新聞論調が反対的な問題だけが取り上げられておるのだという、ものの見方にも実は私はあまりなるほどとうなずけない一面がずいぶんあると思うのです。もちろん、新聞が人を殺したり、有名にもするような時代でありますから、そういう面でのいろいろな作用については、私どもは警戒しなければならん問題はあると思いますけれども、この学術関係ではもっと私は率直に受け入れていいのではないか。ちょっとした簡単なヒントが、大家ではなくして、一介の書生っぽの中からも生まれてくるという実例もたくさんあるわけでありますから、大家意見がどうだこうだということだけを振り回して、それで日本科学技術振興にすべての知識を動員したのだという言い方は、いささか当たらないと思うのです。そういう面から私どもとして心配するのは、今も言っておるような批判的な問題が出てくる。それならその大なる問題としては、糸川さんを中心としたロケット開発、製造という問題だけが非常に先行するのじゃないか。言いかえますと、ここにはいささかやはり平和的な利用関係を遂行しようとする人たちは、一面ではどうもこれは国策に沿わない人間のような格好で排除されてしまって、そうして長官の人となりやら思想やら、現在ある立場やら、言いかえれば中曽根という長官に最もマッチしたロケット開発というやつが、どうも一番重要視をされ、しかもそこに非常にたくさんの金が使われるのではないか、こういう疑問も私はあるんじゃないかと思うのです。ですからこれは長官としては、いかようにも自分というものは他に生かす方法はあるわけでありまして、科学技術振興という面からは、私を離れておそらく目的のために努力をされているのでありましょうが、かくのごときいろいろな世論の中に批判的なものがあるのじゃないかという点について、これをどう今後克服して、少なくとも私どもはいささか心配している点では、総力をはたしてあげられるか、たとえば共産主義的な思想を持っている技術者であって、きわめて有能な、たとえば書生っぽがおった。それはどうも技術よりか先に思想が目にちらついて、技術振興に取り上げていかないというような偏見がないか、しかも、それは一面には平和利用という問題から離れて、防衛思想からこの問題を強く取り上げている場合には、極端にそれが技術振興に現われてくる、こういうことはないか、こういう心配を私どもはしているわけなのでありましてその点をもう少し明確に一つしていただきたいと思うのです。
  11. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まず、ロケットの問題でございますが、前にもちょっと御説明申し上げましたように、ロケットというものは、私はやはり非常に重要なものだと思うのであります。国際地球観測年によって日本南極観測に行っておりますが、あれは南極へ行って宇宙を調べようという意味で実は行ったのでございます。しかし、ロケットが空高く飛びまして貴重なデータロケットが持ってくる今日、南極へ行く必要はもうないのです。今南極へ行くのは何をやっているかというと、南極という場所の地理や構造を調べるという意味しかないのであります。電離層とか、あるいはそのほかの宇宙線の問題とかその他というのは、六十キロ、百キロ、三百キロという高いロケットを打ち上げることによって、南極まで行かなくても、もっと貴重なデータが取れるという状況になっておるのであります。従って南極観測という意味が初めとは非常に変わって参りました。学者皆さんもそのことを自営しておられるのであります。そうすると、日本世界で誇っておった電離層研究、あるいは地磁気の研究、あるいは宇宙線研究ということは、ロケット発達以前は非常に優位であったわけであります。しかし、ロケットが発達してきますと、日本には学問研究の遊具が非常に落ちて衰えているわけでありますから、その優位性がくつがえって参りまして、アメリカソ連がぐんぐん上に伸びておるわけであります。人工衛星一つ飛ばしただけでも、非常にこれらは資料を握ってしまいます。また、アメリカではバンアレン帯という宇宙構造の未知の世界を発見をしたというのも、人工衛星の力でありまして、そういう面からいたしましても、これからロケットでない学問天文関係宇宙関係学問を発達させるためにも、その学問の道具であるロケットというものは非常に重要なのです。そういう意味東大生産研開発して参りましたカッパーというものは、非常に安上がりであるし、性能が非常によろしい、効率が非常にいい、そういうことで国際的にもかなり評価されて世界が注目しておるのであります。そういう日本人が営々として開発して外国の注目しておるようなものをさらに前進させるということは、学問研究の上にも非常に私は意味があると思うのであります。これが日本の今までの電離層宇宙線やそのほかのいわゆる天体、地球等に関する学問優位性を保持していくために、ますます必要であると思うのであります。それが第一、それと同時に、羽田の飛行場を見ましても、プロペラの飛行機は、すでにジェット機のアメリカやB ○ACに取られてしまいましてお客がなくなっているという現実がある。この次、ジェット機の次はロケット機であります。そういう面からいたしまして、平和利用のためにもロケット開発しておくということは、次の時代にわれわれの子孫が幸福を得るために、非常に大事なわれわれの今日の責任であるように思うのであります。あるいはロケット開発いたしました結果、気象観測に非常にいいデータが出て参っております。アメリカではハリケーン観測のためにロケットを打ち上げて、ハリケーンの位置や構造を非常に正確につかまえておりますが、この方向はさらに進められると思います。あるいは気象衛星を、この間アメリカがタイロスというものを打ち上げましたが、これによって雲の分布状態がわかれば、おそらく三ヵ月くらい前の気象の長期観測が非常に正確になってくる。そうするとことしの麦はどういう種類の麦を植えたらいいか、そういうこともすぐ出てくるわけでありまして、これは非常なる利益を国民に与えてくるわけであります。そういう次に出てくるいろんなものを考えてみますと、その手段であるロケットというものは、われわれはやはり無視してはならないと思うのであります。しかし、要はほかのものとバランスがとれているかどうかということであります。そういう観点にはよくわれわれは注意をいたしまして、たとえば東大生産研に今度三十五年度に割り当てられた予算は一億六千万円でございますが、ロケット開発費はその中の九千万円で、七千万円は物理やその他計測、通信関係の費用に回っておるのでありまして、この比率を見ましても、決してローケット偏重とは言い得ないのであります。その点われわれも大いに注意をいたしまして、こういう考えでわれわれは進んでおるのでございますが、しかし、われわれも万能ではありません。学者の有益な御意見は虚心たんかいに承って、われわれに改める必要があるところがあれば、ちゅうちょなく改めて参るつもりであります。学者の政治的背景がどうであるかということよりは、私はその学者のその学問に関して言っていることが、はたして科学的であるか科学的でないか、貴重であるか貴重でないか、そういう点に重点を入れまして、その考えを受け入れるべきであるか、受け入れるべきでないかという判定基準にして参るつもりであります。
  12. 横川正市

    横川正市君 その点でちょっと私資料を要求するか、ここでちょっと具体的なものは事務当局の方で説明ができればお伺いをしたいと思うのでありますが、そういう心配があるから、私どもとしてはこの点を心配のないように国民の皆さんに教えていただきたいということで質問しておるわけでありますので、どうか科学技術庁研究をされております種目と、それからそれに要する予算の配分といいますか、そういったことがわかれば、一つこの際説明していただきたいと思いますが、もし今すぐできなければあとで資料として出していただければ幸いだと思います。  そこで問題になる第二の問題は、これは先般伊藤委員が質問をいたしておりました中で、長官からいろいろ答弁をされておりましたが、大へん人材を得るにも不自由をされておるし、それから現在有能だと目される人たちも、経費の関係でなかなか専属に検討してもらえない。そのためにいろいろな手当的なあるいは研究費的なものを出していきたいと思っているという話がありましたので、私は実は科学技術振興に反対するわけではないのでありますが、今一般的に行政官庁人材登用に、給与面あるいは研究費、そういった面から困難を来たしております問題とあわせ考えて、ちょっと検討を要する問題があるんじゃないか、一つ科学技術庁だから、という意味合いで、特別に給与が支出されるというようなことは、これは現行給与法では許されないのでありまして、そういうことになりますと、どういう支出行為を行なうのか、この点もわれわれとしては他の行政官庁におけるこの面の困難さを解決するためにも解決をしたい問題であります。それから技術庁としてもちろん解決してもらわなければならない問題だと思いますので、その点の取り扱い、それから方法等どうなっているのか、これを一つ説明いただきたいと思います。
  13. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) われわれの考えておりますのは、研究者の待遇改善ということでございます。そこで、具体的には国立研究所、あるいは大学の教授というような方々が、給与面の事情その他の事情から、ほとんど民間会社に引っぱられて、非常に手薄になっている。これを何とか打開しなければならぬ立場にあるのであります。しかし、国立研究所のそういう研究者は公務員でもありますので、ほかの方との振り合いも考えなければなりません。そこで、考えておりますのは、そういう政府関係機関の研究者については、研究職手当という制度を作って、たとえば、学会へ行く費用とか、あるいは図書を購入する費用とか、自分の研究論文を英訳して外国に送る費用とか、あるいは研究討論会を同じグループでやる費用とか、そういう費用を手当として出したい。基本給で差別をつけますと、ちょっと問題もございますので、研究職手当ということで特にめんどうを見るようにいたしたいと思うわけであります。このことは、人事院の方にもそういう申し入れをしております。  それから大学の教授につきましては、戦争前の格づけと非常に今落ちております。前にも申し上げましたが、たとえば東大の総長あたりは、大審院長と同じくらいの給料を取っておったのが、今日は地方裁判所の中堅クラスの判事の給料くらいしか取っておらない。あとは全部右へならえで、下がっております。これをせめて検事並みに上げたいというのが、われわれが次に目ざしておるところであります。そういたしますと、おそらく年間四、五十億の予算が要るかもしれません。しかし、それぐらいのことはしなければ、次の時代のためにゆゆしいことになるとわれわれは思いまして、その点について努力をいたしたいと思っております。
  14. 横川正市

    横川正市君 それでは、三十五年度予算の実施の中で出し得る費用とすれば、たとえば、個人の研究その他についてプリントをするとか、あるいは助手に対して手当を出したとかいうようなものが、今度は雑費か何かの形式で払われてくると、こういうことであって、一般の給与については、この際は人事院の勧告その他待ちだと、こういうことになるわけでありますか。
  15. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 研究職につきましては、今度七%アップになっております。一般の公務員は四%アップになっております。従って、三%優遇されたということになっておりますが、それでもまだ開きは、民間等と比べますと大きいものでございますから、さらに研究職手当という形でふやしていく、こういう考えでおるわけであります。
  16. 横川正市

    横川正市君 次に、今の言葉の中にもあったようでありますが、大体民間研究所に優秀な人たちが行ってしまうと、こういう問題を指をくわえて見ているわけではないのだと思うのでありまして、これらの民間研究所等との協力といいますか、お互いにセクトを離れて、目的のために一つ協力し合うと、こういうような関係では、何らかの方針か、あるいは手を打っているというような具体的な問題があれば、その点についてお答えいただきたいと思います。
  17. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは大体、各学会々々におきまして、自発的にみんな協力しておるのであります。特に工科系統では、たとえば冶金の方は、鉄鋼会社や冶金会社と連絡して、大体教え子がみんな会社に行って技師をやっておるものでありますから、そこべ行ったり来たりしておる。あるいは東大あたりでは、生産技術研究所に十トンくらいの大きな溶鉱炉を作りまして、ここに、東大だけでなくて、地方の国立大学の若い学生を約三十人ぐらい、二ヵ月か一ヵ月くらいの割合で合宿いたしまして、そうして製銑全部の過程をやらしておる、職工と同じ仕事をやらしておるわけであります。それで訓練すると同時に、技術の練度の向上とか、学理的研究をやっておるという状況でありまして、そういうことについては、割合工学部系統の仕事というものは協力が非常にうまくいっていると思います。それから化学関係でも、たとえば繊維の関係につきましては、いろいろな繊維会社がございますが、その繊維会社はほとんど有力な研究所を持っております。その有力な研究所に対して、大学は非常なアドバイスをやっておりまして、これも教え子とか何とかいうような関係で連絡がついておるようであります。一応はそういう形でできておるのでありますけれども、何と申しますか、日本大学全体の空気というものが、非常に象牙の塔にこもって、民間のそういうものと協力したり、交渉したりするのは、俗っぽいことで、高尚な大学の先生のやるべきことでないという空気が、明治以来現われておるわけであります。そういうものが理科系、物理系に非常にまだ強いわけであります。しかし、実際仕事をやっておる工科系は、そういうものをある程度克服しておるわけであります。そこで私は、そういうアカデミックな考え方も非常に貴重でございますが、やはり時代がこういうふうに動いて、新しい大きな開発をやろうというときには、大きな人類全体の目的のために、官民一体となって協力していくべきものだと私は思うのです。明治時代のように、あるいはエヂソンが一人で蓄音器を発明すれば、それは新しい発明ができた、フォードが自動車を発明すれば、一人でそういう新しい発明ができたという時代ではなくなって、物理も化学も電気もみな協力して新しい発明ができてくるという新しい時代に変わってきておるわけでありますから、そういう変化に即応した態勢を、民間も国もとるべきだと思うのであります。そういう新しい気風が大学に生まれることを私は非常に希望いたしておりまして、私のこういう希望は、茅さんやその他大学関係者に常に申し上げております。大学方々も、その点はある程度御共鳴いただきまして、しかし、だんだんそれをやっていかなければ、なかなか変わるものではありません。そういう面では、共鳴していただいて、逐次改革はできていくものと思っております。  先ほどの科学技術庁予算及び政策の重点につきましては、原田官房長から御説明申し上げます。
  18. 原田久

    政府委員(原田久君) 予算について概略申し上げたいと思います。  まず、三十五年度の科学技術振興予算の概要を申し上げますが、総額で二百五十二億四千万円でございます。その内訳を各省別に申し上げますと、総理府関係が三十二億、それから大蔵省関係が五億、文部省関係が三十三億、厚生省関係が七億、農林省関係が四十二億、通産省関係が四十億、運輸省関係が五億、郵政省関係が三億、建設省関係が二億七千万円、大体そういった配分になっております。さらにその内訳は、研究助成費等で申し上げますと、百七十五億がそういった研究費及び助成費等でございます。それから原子力関係は七十七億という内訳になっております。それが科学技術振興費の内訳の概要でございます。  次に、科学技術庁関係予算でございますが、総額百十三億八千百万円でございます。それから債務負担行為が四十三億九千万円ほどでございます。このうちをさらに原子力の部と一般の部に分けまして申し上げますが、原子力の部が、現金の部で七十六億三千万円、債務負担行為が四十二億八千万円、それから一般の部が、三十七億五千万円、債務負担行為が一億一千万円、こういう内訳になっております。
  19. 横川正市

    横川正市君 この問題と関係をして、私は宇宙科学の進行状態新聞で拝見いたしますと、ソ連アメリカとの年次的な将来の見取図というのは、大体七〇年から七一年にかけて、最終的には人間を乗せたロケット、これを月の表面に着陸させる試みを行なうようでありますから、それを見ますとソ連の場合とアメリカの場合とでは、大体予定図で、三年から五年くらい大体違うようです。それの説明はこういう宇宙兵器の開発というのは、将来相当無限大に伸びていくのかもわからないし、それからもう人間の英知の到達するところは、大体この辺かもわからないという一つ研究の到達する限界というものを、今の人たちはそれぞれ幅を持たせて判断をいたしておるようであります。私は先ほど長官の言っておるようなロケット兵器の開発に従って、人間生活その他に非常に大きな科学の影響力を持たしめる、あるいは日本という国力をそのことによってさらに充実発展せしめる、こういう言葉上の問題では何か非常に大切なように思うのでありますが、政策的にはこれほど進んだ大国間のロケット開発というのは、これはその国だけが保有するものではなくして、少なくともこれは地球全体の福祉のために、人類社会のために当然これは平等に利用さるべき時代というのがあってしかるべきだ、輸出産業を振興するような格好で、いい品で安いから日本でも作ろうじゃないかというような簡単なものではないのじゃないか、ですから言いかえれば、こういうようなロケット開発とか製造とかという問題は、この際ある限界で、日本の場合には他国の結果をいろいろな意味で利用させてもらうということで、その点が一つの限界じゃないだろうか、開発のための限界じゃないだろうか、こうばく然と考えるわけなんですが、技術庁としてはこのロケット開発はとことんまで、たとえば第四の原子力を保有したフランスのように、日本一つロケット兵器を他の国と肩を並べるまでに開発し保有したい、こういうことで進めていくのか、それとも他国の開発したものを利用するということと、まあある意味では、それらがパテントの問題とか、あるいは秘密の問題とか、こういうことで究極日本でもこれはやらざるを得ないというような問題が当然あると思いますけれども、そういうものを克服して日本で利用のできる点を限界とする、こういうことくらいの程度にこれをとどめておくつもりなのかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。それはその関係としては、このロケット予算が兵器開発のために非常に大きな役割を果たす、しかも兵器開発のためにロケットの持っておる性能というものを私は考えたときには、これは非常に国境線とか、あるいは極東の範囲とかいって論議をいたしておりますけれども、おそらくロケット兵器ということになれば、こういったものは全部おそらく問題外の地域に対する到達能力を持っておるわけでありまして、そういう関係からしますと、きわめてわれわれとしては危険視をする。ですから平和利用関係で当面世界がその開発を行なっておるということと、合わせてその大半の目的が軍事力の、軍事目的を持っておるわけでありますから、そういう軍事目的を持っておるロケット開発という点から考えてみて、はたして日本ロケット開発というのは、限界を一体どの辺においてこれを行なおうとするのか、この点われわれとして、は非常に注目すべきことだと思うのでありまして、その点について一つお答えいただきたい。
  20. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本ロケットやあるいは宇宙開発の軌道をどういう程度にしていくかということは、御審議いただいておりまする宇宙開発審議会ができましたら、そこで学者皆さん等に集まっていただいて、大綱をきめていただきたいと思っております。私の個人的な意見もございますが、それはまだ個人的な意見でございますから、この席では申し上げない方がいいと思いまして、その審議の結果によって、その通りわれわれはやっていくことがいいと思っております。ただ申し上げられますことは、いかなる科学上の発明、発見にいたしましても、技術上の改善工夫にいたしましても、工業所有権、パテントというものは必ずついて参ります。それからもう一つは、ロケット開発というものは軍がやって参ります関係上、軍事機密というものは必ずついて参ります。これはアメリカのジュピターにしても、ソ連のいろいろなスプートニクにしてもあるわけです。そういうべールに包まれている以外のものというものは、一見したところ、そう多くないように考えられますけれども、しかし、日本に関する限りは商業上、工業上のパテントは別にいたしましても、軍事的機密は、科学技術庁は全然やっておりません。また持っておりません。それで、これからこういうような宇宙通信とか、気象観測とか通信関係等の開発が非常に進んで参りますときに、日本がそういう研究を怠っておって、外国のものを借り入れ、借りるということになりますと、これはある意味における技術的植民地になってしまう。これはわれわれの子孫に非常に大きな負担を負わせるという結果となります。従いまして、原子力についてもわれわれはそういう考えをもちまして、国産炉の開発、国産原子力技術の確立ということを目ざして十年、二十年の長期計画をもって開発しようとしておるのであります。十数年も外国におくれているものでありますから、そう一朝一夕に追いつけません。初めのうちは外国の技術を入れて、それを消化して、そうしてそれを次に克服し、国産技術を生もうという考えで進んでおるわけでございますが、ロケットのこの方面は、幸いにも原子力ほど外国と日本との開きというものはございません。従いまして燃料にいたしましても、エンジンの開発にいたしましても、あるいはエレクトロニクスの計測関係等におきましても、ちょっと力を入れますると、日本はかなり前進いたしまして、世界の国々と肩を並べていける段階には至れるという、それだけの技術能力を持っておる。なお、国民の潜在的な勢力と申しますものを、そのまま眠らせておくことは、民族のためにもやるべきことではないとわれわれは思うのであります。従いまして、軍事的目的でなく、具体的に申し上げますと、学術上の研究の推進をするため、あるいは気象とか、通信というような将来の日本の民生の上にも非常に影響のある問題を開発していく等のためには、かなりお金をさいて日本独自の国産技術、国産科学技術というものを確立していくように、われわれは推進すべきものだと思っております。
  21. 横川正市

    横川正市君 金のかさが、結果の大小に関係をするというふうに思うのでありますが、大体技術庁としては、今説明をされました各省間の予算、それから技術庁の予算この予算の実際上の比率は、たとえば一線でこれらの問題を処理いたしております米ソ、あるいはそれに付随して検討いたしておりますフランス、イギリス、あるいはその後塵を拝しております西ドイツ、イタリア、こういうような国と比べてみて、予算の大体五年なり十年なりの推移は、どの程度これを保有すれば目的を達すると、こういうことに、ほぼ推定した計画予算計画を立てておられるのじゃないかと思うが、その予算計画を、私は今必ずしも情意的なものの考え方でこれを律しようとするわけじゃありませんが、開発できれば、ことにこの点でわれわれの歓迎することであります。推進することには賛成をするわけでありますが、この点で心配なのは、やはりいずれの場合であっても軍事研究、軍事目的がこの結論を導く上からの最大の要請なんだ、こういうふうに結びつけられることに対して、非常に迷惑に考えるわけであります。平和目的のためにこれが利用されることであれば、われわれは惜みなく協力できるということは考えられるわけであります。  そこで、先般糸川さんがアメリカに行かれて、日米二国間の協力関係を設定してきたということ、これは将来どういう関係協力を維持していくということになるのか。先般聞いたところでは、アメリカの助手が非常に高いから日本の一線の人を助手にすれば、安くしかもいろいろ便利だというような関係で、糸川さんが行かれたかどうかは別問題でありますけれども、この日米二国間の協力関係の設定ということが、はたして将来どういうふうになるのか、一部では非常に早過ぎたのじゃないかという批判も出ているわけであります。私はその面からこの科学の平和理用のための問題として期待するところは大であるし、もし間違ってこのことを誤ることになりますと、それこそ後世にとんでもない結果ということが生まれてくるというふうに思われるわけでありまして、この点では長官と私とは考え方は違うかもわかりませんが、この点私たち心配しておりますので、糸川さんの二国間の協力関係の問題の将来の展望についても、合わせて一つお答えいただきたいと思います。
  22. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 科学技術研究費は、民間のものを含めまして、アメリカが国民所得の二・七%、イギリスが一・九%、西ドイツが一・一%日本が〇・八%、ちょっと〇・八%を欠けるくらいですが、大体〇・八%くらいです。で、アメリカやイギリスの国民所得は日本から比べれば非常に膨大でありますから、この二・七%というものは絶対額は非常に違うわけであります。日本は国民所得全体が低い上に、その比率も非常に低いわけですから、絶対額の差というものは非常に大きいわけであります。私らはせめてイギリス並みの比率まで持っていきたい、これがわれわれの考えておるところであります。最近の趨勢を見ますと、民間研究の費用というものはかなり増しておりまして、ここ数年来は飛躍的に民間研究は進んで参っております。民間研究のこの傾向は非常に望ましいと思いますが、われわれが国として出す費用も、それに負けないように今後努力していかなければならぬと思っております。  それから第三に、日米協力関係の問題でございますが、これはあくまで平和利用目的にいたしまして、学術上並びに技術上の開発を目途に進んで参りたいと思っております。コスパールという宇宙空間研究委員会が国際的にはございますが、ここに来るのは学術上の論文、情報でありまして、技術は入っていないわけであります。技術のおくれを取り返すということになると、大体今までの日米関係等から見まして、アメリカと提携するのが非常にわれわれにとっては有利であります、こう考えております。しかし、それには限度がありまして、やはり自主性、公開性等は貫いて参るつもりでありますし、また、第三国との協力関係の設定を排除するものでもございません。宇宙開発は国際協力でいくというのがわれわれの考え方であります。
  23. 横川正市

    横川正市君 科学技術庁に、放射線医学総合研究所支所というので百六十三人の人員をかかえた研究所があるわけでありますが、この研究所に関係して二、三御質問申し上げたいと思います。最近放射線医学研究所の中に廃棄物処理施設の設備を付属建物として建築されたようであります。これの関係でちょっと問題がありますのは、この施設の建物を建築する会社として請け負わせたところは、荏原製作所KK、太田区の業者であります。実際にはこれは技術的な面あるいは予算の面、それから会社の優劣にもよるわけでありましょうが、大機工業KKとの間で入札によってその請負を決定されたのか、それともそうではなくて別ないろいろな条件というものを検討された上で、入札でない、以外の方法で指名をされたのか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
  24. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は今すぐ調べましてお答え申し上げたいと思います。おそらく私の考えでは、入札でやったんだろうと思いますが、しかし、特にある会社は性能がいいというようなことが自他ともに認められておるような場合で、ほかの会社は追随できないようなものを持っておる場合は、指名で行なわれるような場合もございます。すぐ調べまして御返事いたします。
  25. 横川正市

    横川正市君 あともっと調べてもらう問題があるかもしれませんから……。それから同じく三十万ボルトのエキス線の装置を作られたのでありますが、これは東芝放射線株式会社、これは場所は中央区の銀座でありますが、ここで指名されたのでありまして、一説にはこの会社はあまりこの方面ではメーカーとしては一流ではない。会社側にはどうも私は言いにくい点でありますけれども、あまりそう頭角を現わしたところではない。実際にこの三十万ボルトのエキス線装置を設置した後、非常に機能が十分発揮できない。結果的にはこれは、性能が悪かった、こういうことになると思うのでありまして、そのほか各種研究に非常に支障を来たしておる、こういうことが言われておるのでありまして、この点は一流メーカーに請け負わせればよかったんじゃないかという意味にも通ずるわけでありますが、この点はどういうふうになっておりますか。  それから三番目としては、三五ミリオンベータートロンというのですか、入札指名の問題でありますが、発注したいきさつについてこれも一つ調べてもらいたいと思うのであります。これもやはり、これは入札ではなくして東芝放射線株式会社が一社指名で請け負わされておるようでありまして、実際にはこれは、この種の設備をする会社が他に、しかも非常に能力ある会社があるにもかかわらず、東芝放射線株式会社一社へ指名された、こういう問題であります。  それから第四の問題は、これは最近放射線医学総合研究所に医療協議会という外部団体の協議会が作られた。その協議会の性格が、どういう性格のものなのか。それから本年度初頭に発足したときに、相当他からの協力、いろいろな、これはおそらく物質の協力があったんじゃないかと思いますが、その協力されたそれらのものを協議会でどう使用されておるのか、こういった点について、非常に不明確だからという、こういう投書みたいなものでありますが、来ておるので、実は私ももらった人の名前を明らかにすればいいのですが、私のところへ全然知らない人で投書が来たのですから、一応あなたの方で調べてみて下さい。
  26. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は、だいぶ前に私のところにも投書がございまして、おそらくその投書は、印刷機で書いてある投書でありますから、相当各方面にまかれた投書ではないかと思います。それでさっそく私の方で、放射線医学総合研究所を調べまして監査をいたしました。その結果の報告がございますから、正確にあとで申し上げたいと思います。概括を申し上げますと、いろんな機器の購入等につきましては、非違や不当なことはないようでありました。いろんなこまかいいきさつは、機械の性能その他のこともあり、また研究の中におきます研究進度の問題がありまして一部使えないということも実はあったのです。それは各研究者間の、この研究まだやりたいからちょっと待ってくれということで、使用をある研究者は継続したいために、ほかの研究者は使用できなかったと、模様がえしようと思ったができなかったと、そういうようなこともあったのであります。それから医療協議会の問題は、私は直接、塚本研究所長を呼びましていろいろ尋ねてみました。これは新らしくあそこへああいうものができたものでございますから、まあ協力団体を作ろうと、そういうことで、長沼弘毅氏、前の大蔵次官をしましたあの人が会長になりまして、そういう協力、アドバイザー・グループみたいなものを作ったものであります。それで、ただその協議会を作るについては、若干費用も要るわけでありますから、寄付を求めてやったことは事実あるようでございます。しかし、その寄付のお金を不正に使用したということはございません。ただし、経理の内容その他につきましては、ほうっておくというと、代がかわったり何かするというと、不正事件がないとは限りませんので、その点はたしか財団法人か、正規のものに切りかえさせて、監督を厳重にするように指示しておきました。こまかいことはあとで御報告申し上げたいと思います。
  27. 横川正市

    横川正市君 私どもとしては、前段に戻りますが、宇宙科学を健全に軌道に乗せたいという点では、しろうとながら、ある意味で期待するものを十分持っているわけであります。ところが、いろいろまあ私が申し上げたような問題で、まだ十分と言えない点が非常にたくさんあるわけでありまして、ことに研究体制等確立する場合には、もっと頭脳の集中化といいますか、そういったことで積極化をはからなければならないのではないかという点が非常に多いと思うのです。ことにまあおくれていないとは言いながら、私は相当おくれているのじゃないかと思うのですよ、日本の場合には。今は積極的に、あなたが長官になられてからだいぶ積極化してきたわけでありまして、なかなかこのおくれを取り戻すのには、そう短期間では取り戻せないのじゃないか、こういうふうにも考えておりますので、十分一つこの点については、私たちの期待に沿うような内部機構とか、協力関係とか、こういったものを改善される努力をしてもらいたい。  それからもう一つは、やはりこの種の研究というのは、私はいろんなものがあると思うのです。小さいのから言えば、復讐的な報復手段の考え方の人も、科学技術振興を言う人もあるだろう。しかし、実際に言えば、これはやはり平和に利用する、あるいは社会の発展のために十分これを生かす、このことが主目的だと思うのでありまして、この点についてはくれぐれも、他からいささかもそしりを受けないような注意と対策を要望しておきたいと思うのです。一応私は質問を終わります。
  28. 辻政信

    ○辻政信君 簡単に二、三お伺いします。この科学技術庁設置法の第三条を見ますと、「科学技術庁は、科学技術振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、科学技術に関する行政を総合的に推進する」こうなっておりまして、この条文からいきますと、閣内における中曽根長官の地位というものは、各省にまたがる科学技術研究について、総理大臣の最高スタッフとして調整をする、こういうものと私は心得るのですが、現実にあなたは閣内において、防衛庁とか農林省とか、通産省のこの予算要求をチェックできる力を持っておられるかどうか。
  29. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 科学技術庁の権限には、予算調整権というというのがございまして、大蔵省に各省予算を要求する前に、科学技術庁が全部査定をいたします。そして一部を下げたり、こっちが重点だからもう少し金をふやすようにと、そういう助言をいたしまして、その助言の結果を大蔵省主計局に送付いたします。それを参考にして大蔵省が査定することになっております。それから原子力の関係につきましては、科学技術庁原子力局で一括して受け取りまして、それを各省庁に配賦することになっております。原子力の場合には、さらに強力な調整権を持っておるわけであります。それから今度は特別指定研究調整費というものを持ちまして、年度の進行途中で新しい発明ができたり、これに力を注げというものが出てきたり、そういう場合に科学技術会議の検討を経て逐次補給してやる、あるいは新しく創設してやる、そういうことをやりまして、そういうようないろんな機能を持ちまして努力をいたしておりますが、何しろまだ私は若僧でございますから発言力がございません。しかし、昨年、台風やその他のいろんな問題につきましても、出しゃロクくらいに出しゃばって参りまして、ある程度実現できたと思っております。
  30. 辻政信

    ○辻政信君 そうしますと、ただいま官房長がお話しになった今年度の二百五十二億のこの各省の配分を見ますと、どうも発言力の強い大臣がむしり取った感じがしてならない。現在の日本科学技術のおくれたものを取り返して、さらに追い越すために私は二つの着眼があると思う。一つは十年間のおくれを取り戻すために、現実の産業の面とか防衛面におきましては、これは基礎研究では間に合いませんから、すぐれた外国のパテントを思い切って買う、これが第一の着眼であります。遠い将来のことを考えますと、学校教育に重点を置かなければならない。基礎科学の振興、そうなれば文部省予算というものがもう少しふえなければならぬのではないか、こういう感じもするのです。この振興局の第八条を見ますと、今あなたがおっしゃったように、「関係行政機関の試験研究機関の科学技術に関する試験研究補助金、交付金、委託費その他これらに類する経費の見積の方針の調整」とありますから、一応予算編成の過程において調整なさった御努力は、今御説明でわかりましたが、あなたに私特に期待をするのは、根本対策をしょっちゅう忘れないようにしてもらいたい。たとえばミサイル研究、こういうものを取り上げてみると、これは基礎研究から始めてやったんでは役に立たないから、外国のパテントを思い切って買う。そしておくれを取り戻して、スタートを同じ点にしぼらなければいけない。そうじゃなしに、中曽根長官に私は特にお願いするのは、あせらずに、五年、十年先の人間を作るのだと、すべては人間の上にできるのだと、人間が間に合わぬから、今パテントでもってどうにかつじつまを合わせおくのだと、これが根本だろうと思います。そういう意味において、今年はしょうがないが、来年は思い切って文部省の基礎科学、各学校の試験用の費用の充実というところに、目に見えないけれども、はでじゃないけれども、ここにどうか重点を置いてもらいたい。  もう一つは、くどいほど毎回言っておるのですが、技術者に対する給与の優遇、極端に言えば、政府は何にもやらぬでいいから、技術者を思い切って優遇することが、自然に科学技術振興に関心を向けてくるのだ。この二つをしょっちゅう頭に入れておいてもらいたい、こう思うのです。その点についての長官の御所信を承りたい。
  31. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御意見には私も同感であります。ただ、二、三打ち明けを申し上げますと、パテントの問題は、確かにおくれている部面にはその通りでありまして、原子力関係なんかは、そういうつもりでアメリカからの炉を入れ、あるいはイギリスからの炉を入れ、これを分解して日本の国産技術をそれを克服した上に作ろうと、こういう考えで今やっている最中でありまして、ようやくそれが実を結んで、来年六月には、国産一号炉、一万キロの炉がいよいよ動き出す。これは日本のメーカーが自分で設計した。そして燃料も三分の二は国産でやったという炉であります。原子力関係はそこまで参りました。ロケットやそのほかの関係は、案外私は日本は進んでいる面があると思う。しかし兵器の関係は知りません。兵器はおそらく非常におくれていて、日本のものはおもちゃ程度のものだと思いますが、しかし東大生産研でやっております宇宙開発用のロケットというものは、なかなか進んでおりまして、おそらく十年間の空白というものはあの部面についてはそうないように思っております。大型のものを作るにいたしましても、エレクトロニクスやあるいは通信関係というものも相当進んでおりますから、パテントを入れたり何かする部面はそうはない。兵器に関しては別でございますが、そのように思います。要は国産技術を確立するということが中心でありますから、その揚面々々によりまして、パテントを入れる必要のあるものは勇敢に入れたらいいし、国産技術がここまでできてきているのだから、パテントを入れたらその芽がつぶされてしまうというものはパテントを入れるのをやめまして、国産技術一本やりで進む、そういうあんばいをとることが非常に大事だと思います。  それから第二に文部省関係の仕事に力を入れろということは全く同感でございますが、私もいろいろ考えてやってみましたが、行き当たるところは、文部省関係とぶつかります。しかし、まことに遺憾でありますが、科学技術庁の権限は大学の教育の中には含まれないわけです。そこでそういうことがありましたから、科学技術会議というものを作りまして、文部大臣大蔵大臣、われわれも入りまして、総理大臣が議長になって、みんなの意見で総合的にやろうというものを作ったわけでありますが、われわれが直接大学を援助しようとしても、実はできないので、科学技術会議を通じまして、来年度は大学の基礎研究、教官の待遇改善、それから補助要員の充実、こういう問題に特に力を入れたいと考えます。私はしろうとでございますが、大学関係をいろいろやってみまして感ずることは、日本の文部省系統の仕事というものは教育系統が中心で、どっちかといいますと、昔の文部省、明治時代の手小屋からずっと続いてきたものですから、義務教育あるいは中等教育というような教育系統というものが中心で、そういう関係から日教組対策というのが大きな問題になってきているのですが、研究開発という部面が新しい時代に追加されてくるべきだと思います。この部面は教育の方に力を奪われておって案外閑却されておる。まことに素朴な考えですが、ほんとうなら文部省に外局で長官くらい置いて、研究開発庁とか、あるいは大学学術庁くらいのものにして、大学における研究者の充実や予算のめんどうを見るというのが、最も時代に即した考え方ではないかと思います。そういうことも含めまして科学技術会議を通じまして努力をいたしたいと思っております。  それから第三番目の待遇の問題は全く同感でありまして、これは一生懸命努力いたします。
  32. 辻政信

    ○辻政信君 もう一つ最後に、去年でありましたか、おととしでありましたか、防衛庁が誘導弾を買ってきましたね。あれはパテントを買っておりますか。
  33. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それはスイスから買ったエリコンじゃないですか。あれは防衛庁、通産省関係でありまして、私はよく存じませんが、調べましてお答えいたします。
  34. 辻政信

    ○辻政信君 そういうことは、あなたの方がよく意見を積極的に述べられて、あの誘導弾一つ買ってきても何にもならない。そうじゃなしに頭脳を買う。弾を買うのじゃなしに、あの頭を買ういう着眼が防衛庁にはない。たぶんパテントは買っていない。あれを持ってきて分解しても何にもならない。そこに大きなミスがある。それからもう一つお伺いしたいのは、防衛庁の技術研究所というのがありますね。それがおそらく総理府予算の半分以上を占めると思いますが、それに対して科学技術庁長官としてはその研究内容についてある程度の発言力を持っておられますか。
  35. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 技術研究所の予算につきましては、調整の対象になっております。しかしあまり私は技術研究所の内容まで存じませんので、詳しいことは、もし必要とありますれば査定をいたしました者から御説明申し上げたいと思います。
  36. 辻政信

    ○辻政信君 進んでそこに入られて、いわゆる学校とか民間とかあるいは他の官庁でやっているものとダブっているものもかなりある。狭いなわ張り争いで他の技術者を入れない、古さのこびりついた頭で研究しておりますから、あなたのような進んだ頭で、そこまで立ち至って総理大臣の最高の科学技術に対する補佐をするのだという立場から調整をしてもらいたい、こういう希望を持っております。
  37. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  38. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。   —————————————
  39. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、総理府設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。政府側から出席の方々は福田総理府総務長官、佐藤総理府総務副長官、大堀経済企画庁調整局長、斎藤通商産業事務官、以上の方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  40. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは私から総理府設置法の一部を改正する法律案のうち対外経済協力審議会について主として質問したいと思います。その前に、この前の委員会で辻委員並びに鶴園委員から審議会全般の設置の状況について質問があったと思います。本日これに対する資料が配られたので、これについて総理府一つ見解を聞いておきたいと思います。実はこれを見ますると、相当膨大な審議会、調査会等がございます。いろいろまた順を追ってお尋ねいたしますが、まず、この委員のメンバーの表が配られておりますが、一番兼職数の多い人は石坂泰三氏で、この人は経団連の会長さんでございますが、十七も実は各種審議会、調査会に関係しておられます。かりに月一回これが会合があるとしても、このお方は隔日以上に会議に出席しなければならないということになると思います。なおかつ、この人は聞くところによると、相当社会的にも忙しい方だと思いますが、はたしてそういうことが可能であるのかどうか、これは極端な例で、十七という兼職数で、この人が一番多いようでありますが、兼職数五以下の方が二千三百六十四人となっております。こういうことではたして審議会の本来の運営ができるかどうか、また現実にやられているのかどうか、この点を一つ御答弁を願いたいと思います。
  41. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 御指摘のように相当兼任の方々が、石坂さん、その他あるわけであります。今行政管理庁に依頼しまして、出欠の有無とか、そういうことをこまかく調べてもらうように連絡しておりますが、なかなか事柄によってどうしてもダブるという傾向が相当強くなっております。この点は十分今後検討の余地があろうと考えております。
  42. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今国会においても、内閣委員会で相当、審議会設置についての法律の改正法律案が出ておりますけれども、実際この審議をする場合、ただ制度だけ討議して、これはいいだろうということだけでやりっぱなしの状態になっていると思う。委員の任命にいたしましても、本会議でただ委員の氏名の発表があって異議なしで、それが委嘱されている。こういうことで、実際にこの制度がうまく運営されているかどうか、私はこまかい貧乏たらしいことを言うかもしれませんが、やはり若干の費用が委員にはいっていると思う。そういうものが非常に軽率に取り扱われている傾向があると思います。従って、われわれとしてはもう少し内容の具体的なデータがほしかったのでありますが、はたしてこの各種審議会、調査会がうまく運営をしておるのかどうか。一説では、戦後、審議会、調査会によって、いわゆる政治責任と申しますか、そういうものが、審議会の答申を経たのだから、大体この程度だというようなことで、そこに逃げるような傾向が強いということは、これは一般国民の方の意見もございます。従って、今度の二つの審議会総理府から出されておりますが、はたしてこれが実際、皆さん政府の考えておるような運営が責任を持ってできるのかどうか、こういう点を一つお聞きしておきたいと思います。
  43. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) もちろん、いろいろな御審議を願って、調査会あるいは審議会ができた場合は、その設置の目的に沿って最善を尽くしていくことは当然でございますが、ただいま申し上げたように、兼任が多い、あるいは実際上いろいろな点で取り扱い上不適当があるのではないかという御指摘の点がありますが、それは十分こういう点も具体的に検討して参りたい、行政管理庁にも十分連絡しておる次第でございます。
  44. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは行政管理庁の意向を聞かなくちゃいけませんが、現在、総数で二百五十二の大体こういう審議会等の法律に基づくものがあるようでございますが、二百五十二というのは、もう実にそれはわれわれとしては名前すら覚えられないようなものがたくさんあると思う。しかし個々に調べてみますと、おのおのやはり設置目的をちゃんとしておるのです。従って実際、その運用の実態そのものは、われわれ知らぬ限りは、これは批判できないのです。従って、これはそういうことが可能であるかどうか知らんのでありますが、内閣委員会の権限であるかどうか知らんが、好むところの審議会がどういう状態でやっておるのかということくらいの、われわれが参観というわけでもないが、視察ができるかどうか、この点一つお聞きしておきたい。
  45. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) この委員会といたしまして、必要と思われる資料提出その他は、当然私どもないし行政管理庁その他の関係官庁提出すべき義務がある。ただ調査会あるいは審議会では、場合によりましては非公開のものもございますし、ものによっては視察と申しますが、傍聴と申しますか、私その点については、いろいろ具体的には個々によって違うと存ずるのであります。
  46. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではもう一つ具体的に聞いておきたいのですが、今度のいわゆる対外経済協力審議会でございますが、これについて、大体内閣総理大臣とか、大蔵大臣とか、そういうメンバーはわかっておるのですが、それ以外にどういう人を政府は予定をしておるのか。全然今そういう予定しておる人がないのか。
  47. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 御案内の通り、今御審議を願っておりますこの対外経済協力審議会は、十五名を大体委員に考えております。総理大臣を会長として、関係の一番深い閣僚を中心とし、それに財界、その他学識経験というような構成であります。ただいまのところ、各省大臣からも強い要望もあるわけでございますが、今のところ、大体大蔵、通産、外務、経済企画庁、これはどうしても委員に就任していただく。その他農林でありますとか、科学技術庁、特に関係の深い方もあるいは委員になっていただいて、他の行政の所管大臣は、その事柄に応じ、必要に応じて出席して、委員としての発言を願う。そうしませんと、関係が多少みなあるものでございまするから、要望を全部いれますと、ほとんど閣議と同じようになる。なるべく関係の深い閣僚に限定していきたいと考えております。あとは日銀でありますとか、あるいは金融の関係、あるいは財界の関係、あるいは学識の関係、こういう構成を考えております。
  48. 辻政信

    ○辻政信君 今の山本委員の質問に関連しまして、私がこの前の委員会で要求した資料をいただきましたから、とりあえず気のついたところを二、三申し上げます。それは、福田長官の所管の中で、ずいぶんたくさん審議会がありますが、その資料の四ページ、総理府関係、これを見ていきますと、中央災害救助対策協議会、地方災害救助対策協議会、都道府県災害救助対策協議会、これを見ると、これは少なくとも一本にまとまるのじゃないですか、メンバーはどうあろうとも、内容から見て。それからその次のページを見ますというと、東北開発とか、九州地方開発とか、これは国会議員の選挙対策だろうと思いますが、離島振興対策審議会、奄美群島復興審議会、奄美群島も離島の一つじゃないか、多少条件は変わっているけれども。こういうものをなぜ一本にできないか。原子力委員会に、その次が放射線審議会というのがある。これも内容上、一本にできないのか。その次がまたひどい。台風常襲地帯対策審議会、こんなものは災害対策の方に入るのじゃないか。こう考えてくるというと、このめちゃくちゃに無統制に出された審議会は、特に農林省関係がひどいのだが、大なたをふるって、権威のあるものになぜやらぬのか。福田長官一つお聞きしたいことは、今の議題になっているこれはこれから審議いたしますが、あなたの所管の中で、あなたも御存じないようなものが出ている、同じようなものを、これを今国会中に整理して、要らぬものを廃止するだけの決意をお持ちになるかどうか。それをまず承ってから、今提出された議案に入ります。
  49. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 御指摘の通り、ずいぶんたくさん総理府にあるわけでございますが、御承知の通り、法律に基づきまして設置せられたものでありますので、これを直ちに統合しあるいは整理することも、本来の目的から見て相当むずかしい点もあろうと存じます。しかし、本委員会におきまして前回もお答えしました通り、何とかもう少し簡素化して整理したいという基本方針は、私ども今でも持っておりますので、これは検討させていただきたいと思います。
  50. 辻政信

    ○辻政信君 私があなたに言うのは、おそらくあなた御自身がこんなものは御存じないと思う、あまり数が多くて。まじめにこの内容を比較検討されて、要らぬものをチェックする、統合するということをこの国会中にやるか、やらんかです。検討するじゃない。われわれは国民から責められて、怠慢だといわれる。いいかげんな審議会は、大した予算じゃないから通しておけというので、内閣委員会ではほとんど修正せずに通しておく、その結果、こうなったのです。一人で十七も兼任するなんて、全く有名無実です。これは行政責任の逃避以外にない。そうして国費の浪費だ。これまで私は感ずるのです。ほんとうにあなたが総務長官として、この委員会の空気から、政府に具申されて、今国会中に整理される意思があるかどうか、これをあらためて聞きます。それで終わります。
  51. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 御趣旨の点は、基本的に私ども全く同感でございます。ただ、この国会中になし得るやいなや。この問題は、御存じの通り、所管としましては行政管理庁がやはり中心でありますので、行政管理庁ともさっそく連絡いたしまして、いろいろな点について十分検討いたすことをはっきり申し上げます。
  52. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題については、もう二つほど聞いておきたいのですが、このいわゆる対外経済協力審議会委員のメンバーの予想でございますが、内閣総理大臣をはじめ閣僚が四人も入るようでございますが、民間からも相当入られますが、これの選定される経緯ですね、どういう経緯で、閣議でどう決定されるのか。あるいはだれが具申するのか。その経緯をちょっと参考に聞いておきたい。
  53. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 大体、今までの慣例から申しますと、一応関係の深い各省から候補者を、案を出してもらいまして、総理府で一応まとめまして、最後は、総理の決裁によりまして決定いたしたいと考えております。
  54. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃもう一つ、この制度を、この審議会をこしらえる発議と申しますか、そういうものをまずきめられるのは、閣議ですか、どこですか。
  55. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) これはやはり総理府が発議いたします。
  56. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃこの問題に入りますが、この審議会については、いわゆる政治責任のある総理大臣を初め、閣僚が入っている。どういう内容を審議されるか、大体そこに書いてありますが、政治責任者が入った審議会、それできまったものは総理大臣、時の政治責任者である内閣の首班の総理大臣がこれの議長をしている。そうすると、普通他の審議会と相当形が、趣が違うように思うのです。ほかにもこういう点がありますけれども、この場合に総理大臣が議長をしてきまったものは、これはかりにこれが間違いであろうと政府が考えても、閣議では総理大臣自身が出席してきめたものは、これは異議が言えないのじゃないかと思うのですが、その政治上の責任はどうなるのですか。
  57. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 法律論は一応別にいたしまして、実際問題として、やはり最後は閣議で決定しなければ政策の決定になりませんので、等申という形になります。おそらく閣議で不決あるいは修正されるというような場合もないとは言えませんが、これは総理が議長となって責任をもってやっていきます以上は、政治責任はやはり議長である総理が負いますので、その場合には総理という立場よりも、審議会の議長という立場から政治的責任を負うという考え方でございます。
  58. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 対外経済協力の問題は、相当国際的に問題になると思う。従って、私は本審議会の構成メンバーを見て考えるのには、今その法律上の問題は云々と言われましたけれども、実際問題としてここできまったものは、これは他の閣僚といえども異議が言えないと思う。私は常識的な考え方として、もしそれが間違いであるとすれば、内閣総理大臣責任を追及せざるを得ない。ここになるほど内閣総理大臣審議会の議長として入っているけれども、しかし、一方内閣総理大臣としての責任を持った人が、きまったものをいやこれは閣議でいかぬ、また閣議でよくっても国会でこれが問題になったときに、これは相当責任の追及ということは出てくると思うのですが、そういう点は検討されておるのかどうか、そういう点を一つお聞きしたい。
  59. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 審議会は、建前としてあくまでも案を答申する、参考に意見を出すという建前でありますから、その点は総理としては議長としてやった場合に、閣議においていろいろな意見を聞き、案として答申するという場合は差しつかえないのではないかと考えます。
  60. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は大体この審議会、調査会を設置するという精神は、政府のそういうものが入るのではなくて、一般民間なり、その筋の権威者がその問題についてはいろいろ審議をして、それを政府に答申する、政府は政治責任者立場から、この投資は必要であるかどうかという点を、私は政府責任としてきめるというのが建前ではなかろうかと思う。私は政府の、しかも内閣総理大臣政府のその時の責任者なんです。その人が審議会の議長を務めてやるというものについては、私はまだ研究はしておりませんけれども、私はこの点に異議がありますが、しかし、この点はまた後日われわれも研究いたしまして、この問題について追及するといたしまして、きょうはこの程度で一応置いておきます。  それで、次に具体的な内容に入っていきたいのですが、これは、今度質問するのは外務省並びに通滝省の方が見えておるようでありますが、どの所管に属するか、問題によって適当に御答弁を願いたいと思うのです。私がこれから質問するのは、内閣委員会としては適当であるかどうか知りませんが、この審議会の必要性があるかどうかということを知るためにやりますので、その点まで冒頭に御了解を得ておきたいと思います。  まず現在海外投資なり、長期信用供与、あるいは技術協定で、私調べましても現実に投資をされている向きがございますが、現在日本がこの海外投資に出されておる、政府資金として、民間資金はちょっとわからぬと思いますけれども政府資金としてどれくらいあるか、この点一つ御答弁願いたい。
  61. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 大体大ざっぱに申しまして、戦後今までの合計が六億ドル程度になっております。直接民間投資が約一億五千万ドル、輸出延べ払い金融の実行済みの残高が二億四千万ドル、その他の技術協力、その他は研修生の受け入れ千七百人、専門家の受け入れ百八十人、賠償負担でありますが、本年の一月現在二億ドル、合計大体六億ドルという数字が出ております。なおこまかい点は関係省から答弁させます。
  62. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは現在投資された実情をちょっと知るために二、三の具体的な問題で質問したいのですが、一昨年だと記憶するのですが、ラオスの首都のヴィエンティアン市に対して水道施設で十億、日本の金で十億円ですか、投資されておると聞いておりますが、これはその建設状態一体どうなっておるか。それからもう一つ、カンボジアに牧畜センターを作るということで、これまた約十五億円ほど技術協定かなんかの形でやられたということをちょっと聞いているのですが、この進捗状態、そういう点はどうなっておるか、これは現実に投資されたものがどう生きているかということを知りたいために聞いているので、その点御回答願いたい。
  63. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  64. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  65. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、これは関連性があるので、それは続けますけれども、できるやつをやって下さい。学校の答案じゃないのですから。  それじゃ次に今のやつの関係ですが、その資金はどういうルートを通じてやられているか、輸銀を通じてやられているのか、政府が特別にどういう形で出されているかこれも聞きたいのです。これも関連性あるからおわかりないと思うのですが、この点わかりましたら一つ。そういう事実がなければないでいいのですよ。
  66. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  67. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  68. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) ただいま御質問のラオス、カンボジアの問題につきましては、具体的な問題でございまして、外務省、通産省の、折衝をしております担当の者が参っておりませんのでお答え申し上げることができませんので、申しわけございません。一般的に申しましては、主として輸出入銀行が今日まで、対外経済協力に関する資金ソースとして一番大きなものでございます。このルートによりまして大部分のものが行なわれているわけでございますが、それ以外に、賠償に基づきまして実施いたしておりますもの、それから民間が輸出入銀行との協調融資の形でやっておりますもの、こういうルートが今日までのルートでございます。
  69. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、今のラオスとカンボジアのやつはあとでわかりますね。というのは、これは、ラオスのヴェンティアンはどういう気候か、私行ったことないのですが、十億円の水道施設というものについては、これはちょっと疑問を持っているのです。これが水道設備用品の提供をしているのか、単なる技術を提供しているのか、そういう点が実は知りたいのです。対外経済協力だといって大きなことを言っているけれども、何だかそういうことでごまかされておっては、私は、今後の審議会の運営にも大きく影響してくると考えておりますが、この点もあとで一つ御回答願いたい。  それで次の質問に移りますが、海外投資、先ほど福田長官は早口で言われたので、数字がちょっと書けなかったのですが、相当やられておりますが、これは一体どういう条件で、輸銀を出せば輸銀の条件は大体わかっているのですが、政府としては大体どういう条件で出されているのか。この点、一つ……。
  70. 奥村輝之

    説明員(奥村輝之君) ただいま御質問の海外投融資に対する条件でございますが、これは二つの面から考えなければならぬ問題であると思います。一つは、外国に対して外貨投資あるいは外貨融資をいたします場合の外貨面の条件でございます。投資の方は、これは株式を持つとか、その他の、出資の形をとるわけでございますが、融資の方は、これは相当部分は延べ払い輸出、物を出しまして、その代金の取り立てを猶予する。この期間は、商品によって非常に違うわけでございますが、五年ないし七年というのが通常の、多く行なわれている条件でございます。  それからもう一つの面は、これは国内におきまして円がどういうふうに調達されるかという問題でございますが、これは原則として、私ども民間の資金で行なわれることが建前であると考えておりますが、なお、民間に資本蓄積が十分ではございません。従って、日本輸出入銀行において融資をつける。その他、今後設立せられます対外経済協力審議会の方でめんどうを見る、こういうようなことになるわけでございます。現在行なわれております日本輸出入銀行におきまして金融的な援助、この条件は延べ払い輸出の場合でございますと、金利が最低は四分でございます。それから投資の場合、これは最低が四分半程度でございます。期間としましては、外国に対してどういう条件で融資をするか、投資をするかということを考慮いたしまして、五年ないし七年というふうな期間の融資が、輸出入銀行から相当部分行なわれておるわけでございます。  民間からどれくらいの資金を出すか、それから日本輸出入銀行からどれくらいの資金を出すかという問題につきましては、政府が援助をいたします場合には、延べ払い輸出のときには全体の八割、それから投資の場合には七割程度、それが一応の基準になっておるわけでございます。
  71. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この投資の場合、もちろん政府が指図するのですが、この前、一昨年ですか、岸総理大臣が中近東を回られて、いろいろと海外投資について約束をされたようにも聞いておるのですが、そういう場合には、たとえば輸銀に対してそういう指図をするのは、大蔵省か、あるいは外務省か、通産省か、そういうところがやられるのですか。そういう点……。
  72. 奥村輝之

    説明員(奥村輝之君) 輸出入銀行は、これは政府から出資を受け、政府関係の融資を受けて資金を運用しておる機関でございますけれども、融資の決定の責任は、輸出入銀行の総裁が独自の判断に基づいてするわけでございます。その際に、先ほど申しました二つ面があるわけでございますが、対外的に貸すことを認めるかどうかというところの判断をまず政府は下すわけでございます。それを参考にいたしまして、それを十分考慮に入れて、なおかつそれが不適当であるというときには、場合によっては輸出入銀行の総裁がこれを断わることがあるかもしれないわけでございます。しかし、あくまでも政府考え方をよく考慮に入れまして適当な判断をし、融資を実施する、こういうことをやってきておるわけでございます。
  73. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは問題の審議会の運用に入るのですが、こういう海外投融資あるいは長期信用でもいいのですが、こういう場合には、この対外経済協力審議会議題としてなされるのですか、この点一つ
  74. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 審議の内容につきましては、そういう具体的な問題は取り上げないで、あくまでも基本的な総合的な方針だけを審議の対象とするわけであります。
  75. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その点がちょっとわれわれ理解できないのですが、せっかくこういう有識者、権威者、しかも国の正責任者が入ったところで基本的なものと言われるのは、これは政府責任でやるべき問題であるが、一体どういう基本的な問題を討議されるのか、今後起こり得る可能性のあるこの種の問題について一つ例示をして、この審議会でたとえばこういうものをやるのだという点を一つ説明願いたいと思います。
  76. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 基本的な政策としてただいま諮問事項と申しますか、内容を私ども今考えておる点は、第一には対外経済協力に関する国際的動向に対処するための基本方策、それから第二は対外経済協力に関する国際機関に対する基本方策、第三は地域別または国別の対外経済協力の基本政策、第四は対外経済協力、国内経済との調整に関する協力をする、大体四つが諮問事項の柱としてあるわけであります。
  77. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 問題が大きいので、なかなか質問に具体的に入りにくい問題ですが、現在まあ低開発国の開発の問題が、各国とも問題になっておると思うんですが、この審議会の実際こさえなければならぬ動機は、いろいろ四つの問題をあげられましたけれども、今の国際経済状態から見て、どういう点でこの問題が今国会会期にかけられるようになったか、その点をまあ常識的に見て、国民がそれなら必要だという点を一つ指摘してもらいたい。
  78. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 御承知の通り、アメリカソ連中心としまして低開発国に対する援助、あるいは協力、あるいは経済開発、こういう点が非常に大きな経済外交の重点となっているわけでありますが、日本といたしましても低開発国、特に関係の深い東南アジアその他について、こういう強力な経済協力をして生活の民度を引き上げる。これは平和を確保する大きな条件ではないかと考えておるわけであります。御存じの通りに、一昨年八月に対外経済協力懇談会というものがあったわけであります。これが今まで取り扱っておったのでありますが、内閣総理大臣の諮問機関としていろいろと活動しておりましたが、これだけでは不十分でありますので、今回は世界の大勢から見ても、この際もっと総合的な、強力な審議会を作ろうじゃないか、こういうわけで、この今までありました懇談会を発展解消して、この審議会に切りかえたいと考えておる次第であります。
  79. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体この提案理由説明を見ましても、対外経済協力審議会といっても、対外協力だから、やはり資金の問題、投資の問題、こういう問題が重点になってくると思うんです。幾ら体裁のいいことを言っても、わが国が金を出さずに協力だといったって、それはだめだと思います。従って、ここにもついてくると思うんですが、将来の日本の国際経済、いわゆる貿易その他を見ましても必要であることは、われわれ認めておるのですが、相当まあ資金が今後出ていくと思うんです。それが日本の金融、あるいは経済に将来いい影響を及ぼすと思いますが、その資金調達に政府は自信があるかどうか、この点一つ
  80. 奥村輝之

    説明員(奥村輝之君) 現在まで私どもは後進国に対する経済協力につきましては、先ほどお話がございましたように、後進国の生活水準を上げ、それが世界のやはり繁栄をもたらすと、ひいては日本の繁栄になってくる。これなくしては日本の繁栄は望めない、こういうふうな基本的な観点に立ちまして輸出入銀行に対する政府の出資、あるいは財政融資に回すことにおきましても、あるいはまた新しくできます基金に対する考え方につきましても、できるだけ財政的な措置をとりたいと、こういうことで現在まで臨んできたわけでございます。今後とも日本の財政力には御指摘の通りきわめて限界があるわけでございます。その中におきましてできるだけこの重要な問題について財政資金の裏づけをつけて参りたい、こういう方向で考えておる次第でございます。
  81. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 後進国の開発について相当日本も力を入れてきたということは、われわれとしてもある意味においては認めますけれども、これは新聞紙上とかその他の報道によって、私個人の受け取り方になるかもしれませんが、相当アメリカのいわゆる何といいますか、強制的なものではないかしれませんが、相当アメリカのサゼッションと申しますか、そういう誘導があるやに聞いておる。というのは、日本はまだまだそういう実際上、いかに後進国といえども、海外に投融資するだけの私は豊富な財政力はないと思っている。将来のことを考えてやっていることはわれわれはわかりますけれども、いわゆる世界一つの動きとして、アメリカソ連、二つのこの経済圏において、日本は一方の肩を持ってそういう方向に無理をしてそういう投融資をされておる、海外投資をされておるとかいうことを言う人もあるんですが、私もそういう一つ考え方を持っている。その点についてどうですか。
  82. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) その点は、一昨年の八月からすでに懇談会が結成されまして、いろいろ力の許す限りやってきておるわけでございます。アメリカのいわば誘導と申しますか、圧力というか、そういう点でこれが審議会の形で現われている、そういう点はないわけであります。日本独特の立場で当然なさねぱならなかった協力関係を、もっと強くしようという考え方でやるわけでございます。
  83. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 先ほどのまだ答弁者は見えませんか、まだですか。
  84. 中野文門

    委員長中野文門君) まだです。
  85. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは問題をちょっと転換いたしますが、これは一般的な問題になりますが、戦後わが国は徐々に通商が復活してきておりますが、現在通商航海いずれでもいいですが、また協定でもいいですが、そういう条約、協定を復活した、しかも最恵国待遇で復活をしておる国は大体全部を羅列せよとはいいませんが、大体どういうふうになっておりますか、ちょっとお尋ねいたします。
  86. 白幡友敬

    説明員(白幡友敬君) お答え申します。この通商航海条約の締結ということは、戦後のわが国の非常に大きな問題であるわけでございますが、目下交渉中のものは方々にやっておりまするが、通商航海条約の完全にできておるところは、ちょっと私記憶がございませんが、ありましてもごく少数でございます。名前はちょっと承知しておりません。
  87. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体私も聞いておるんですが、しかし欧州で、イギリス、フランスというような主たる国はできておらない。これは戦後の世界経済構造は、そうイギリスとかフランスとか、そういうところだけではないと思いますが、こういう主たる国との通商条約が締結されないという一番問題のガン、その点だけ簡単に一つ説明を願いたいと思います。
  88. 白幡友敬

    説明員(白幡友敬君) お答え申します。ガンと申しましても、まことに粗漏なお答えになりまするが、いろいろな点にあると思っております。たとえばいわゆる内国待遇と称します、日本人、あるいは個人あるいは法人が相手の国に参りまして、そこで相手の国の人間と同じような地位を持つかどうかというような問題だとか、それからアジア地域の国で目下まだ交渉に入っておりませんが、いろいろ話し合いをしておりますものの、入国の問題であるとかかなり広い範囲にわたっておりまして、なかなか話がつかないところがあるのでございます。
  89. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 きょうは、実は私の期待する答弁が得られないので残念だと思うのです。従って自後たくさんあるのですが、私もやはり質問するためには相当精力も使っておりますし、しかも、その効果のない質問をしたってどうかと思いますので、次にいたしますが、もう一つ、これだけ聞いておきたいと思うのですが、実は今答弁があったのですが、私がただしておる考え方というものは、そういうものを聞き出そうと思っておらないのです。実はもう一昨年、これは一昨年の五月だと思いますが、スイスあるいはデンマーク、また豪州あたりでわが国の輸出を制限しております。いわゆる日貨排斥と申しますか、そこまでいかなくても、相当の輸入の制限をしておる。これはいろいろと情報で聞きますと、やはり日本の戦前における商品のダンピングということが非常に問題にされております。イギリスにいたしましても、フランスにいたしましても、そういう懸念が外交上の問題としてはきれいなことを言っておりますけれども、その腹の底にはそういうものがあるということを、私は聞いておるのです。日本が貿易の自由化、為替の自由化ということを今言われておりますが、それも一つのそういうねらいを持っておるかしりませんが、こういう対外経済協力審議会というものを作るということは、先ほど総務長官が基本的な四つの条項を言われましたが、まずそういうものを打開してもらいたい、これは日本の国民の一員として相当われわれとして考えておるところであります。実は日本の戦前からの行き方というものは、ことに繊維などにおきましては、低賃金で搾取ということははやりませんか知りませんが、いわゆる低賃金で働いて、そうしてすでにイギリスなりフランスなりその他の国が持っている市場に対して食い入っていく。こういう貿易の仕方は、今後世界の平和貿易のこれはガンだと思うのです。要するに有無相通じてやらなければ、安い商品をその市場にきりでもむように押し込んでいったって、日本の貿易の将来というものはないと思います。おそらくそういうことは政府当局も気づかれていると思いますけれども、こういう点を私は対外経済協力審議会という総理大臣が議長としてやられるくらいのものを出された以上は、そういうものを早くえぐって解決に向かっていただきたいと思います。少しでも援助をもらったらいいという後進国の開発、これはもう大事です。しかし、大きな問題をかかえた政府としては、こういう点も十分考えていただきたいと思うのです。  私はまだありますが、きょうはそういうことで、今度の内閣委員会でこの点についてもう少し追及したいと思いますが、突然の私の質問であったかしりませんけれども内閣委員会を通じて、外務あるいは通産、そこらの方がおいでがあったら、大体私の質問に答えていただけると思って言ったのですけれども、大体私の方の準備も足らなかったからかもしれませんが、本日はこういう点で終わりますが、今後はそういう点でもう少し触れて、この総理府設置法の一部を改正する法律案に対して私の質疑を続けたいと思います。以上であります。
  90. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  91. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後四時十九分散会