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1960-03-30 第34回国会 参議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月三十日(水曜日)    午後一時十四分開会   —————————————   委員の異動 三月二十五日小柳牧衞辞任につき、 その補欠として津島壽一君を議長にお いて指名した。 三月二十八日津島壽一君及び山本伊三 郎君辞任につき、その補欠として小柳 牧衞君及び秋山長造君を議長において 指名した。 三月二十九日秋山長造辞任につき、 その補欠として山本伊三郎君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            伊能繁次郎君            大谷 瑩潤君            木村篤太郎君            小柳 牧衞君            下條 康麿君            下村  定君            一松 定吉君            松村 秀逸君            鶴園 哲夫君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            向井 長年君            辻  政信君   国務大臣    国 務 大 臣 赤城 宗徳君    国 務 大 臣 石原幹市郎君    国 務 大 臣 益谷 秀次君   政府委員    総理府総務長官 福田 篤泰君    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    自治庁長官官房    長       柴田  護君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁経理局長 山下 武利君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    科学技術庁計画    局長      久田 太郎君    農林政務次官  大野 市郎君    農林大臣官房長 斎藤  誠君    水産庁次長   高橋 泰彦君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    水産庁漁政部長 林田悠紀夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○自治庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○総理府設置法の一部を改正する法律  案(第八三号)(内閣提出衆議院  送付) ○総理府設置法の一部を改正する法律  案(第四一号)(内閣提出衆議院  送付) ○水産庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国の防衛に関する調査  (昭和三十五年度防衛庁関係予算に  関する件) ○農林省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。  最初に、一昨日予備審査のため本委員会に付託されました自治庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。政府から提案理由説明を聴取いたします。石原自治庁長官から提案理由の御説明を願います。
  3. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) ただいま議題となりました自治庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由要旨を御説明申し上げます。  申し上げるまでもなく、地方自治民主政治の基盤でありまして、その健全な発達をはかることは、わが国民主政治の根底を培うゆえんであると存じます。しこうして、地方公共団体はその本来の公共事務を処理するほか、国の行政もその大半は地方公共団体の手を通じて行なわれ、国税及び地方税を合わせた租税総額の六割以上は、これらの行政を遂行するために、地方公共団体責任で使用しておるのでありまして、地方財政の規模は、国家財政に比肩する大きさを持っておるのであります。  このように、地方自治はまことに重要な役割を果たしており、その伸張と運営のいかんは、国政の上にもきわめて重大な関係をもっておるのであります。従いまして、中央各省地方公共団体との間の連絡協調を一そう緊密にし、国政地方自治との調和を保つ地方自治の健全な発達国政の適切な遂行をはかることがすこぶる緊要ありまして、これがためには、地方自治に関する行政を担当する国の行政機関として、現在のような総理府の一外局では、適当とは認めがたく、責任りる一省を設けることが必要であると存ずるのであります。また、消防行政につきましては、その重要性にかんがみ、かねてその強化充実をはかる必要が痛感されておるのあります。現在これをつかさどる国小消防本部は、国の行政組織上の地位明確でないのでありまして、自治体消防の本質とその地方公共団体一般行政との深い関連にかんがみ、これを地方自治を所掌する責任省に統合し、その責任態勢を確立することが、消防行政を伸張させるゆえんであると考えられるのであります。これがため、自治庁国家消防本部を統合して自治省設け、国家消防本部は、その外局としようとするものであります。以下、本法案内容について御説明申し上げます。第一は、自治庁設置法を改めて、自庁を自治省とし、国家消防本部をこに統合して自治省外局として消防を置こうとするものであります。自治省権限は、現行自治庁及び国家防本部のままでありますが、ただ、省の設置に伴い従来、内閣総理大臣権限に属していた事務が、自治大臣権限に移ることになりますので、これがため、必要な条文の整理を行なうことといたしました。  なお、消防庁の組織所管事務及び権限は、従前通り消防組織法の定めるところによるものといたしたいのあります。第二は、自治省の機構につきまして内部部局はすべて現在の自治庁のまとし、附属機関として、従来の自治庁附属機関のほかに、これまで総府の附属機関であった奄美群島復興審議会を移管し、自治省を置くことといたしたいのであります。第三は、自治省設置に伴い、職員引き継ぎ、その他従前処分等に関る経過措置を定めるとともに、関係律整理を行なうことといたしたいであります。以上が、自治庁設置法の一部を改正法律案提案理由及び要旨でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  4. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で提案理説明は終了いたしました。自後の査は、これを後日に譲ります。   —————————————
  5. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、去る二三十九日衆議院に提出され、三月二五日衆議院会議において可決さ、即日当院送付され、本委員会に託されました総理府設置法の一部を正する法律案閣法第八三号)を議題いたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。
  6. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) ただいま議題になりました総理府設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明いたします。  この法律案は、総理府にその附属機関として、新たに対外経済協力審議会及び宇宙開発審議会の二機関を置こうとするものであります。  まず、対外経済協力審議会について申し上げます。経済協力世界経済平和的発展に果たしている役割につきましては、あらためて申すまでもありませんが、わが国にとりましても、国力と経済事情を勘案しつつ、最も効果的な方策により、これに貢献することは、きわめて重要な課題であると考えるものであります。  もとよりわが国も、ここ数年来、海外投資長期信用供与技術協力その他種々の経済協力を行なってきたのでありますが、経済協力に関する諸外国の著しい活動に比して、なお検討を要する問題が多々あるのであります。  以上の観点から、政府としては、この際本審議会を設けまして、経済協力に関する基本的かつ総合的な政策及び重要事項について調査審議を行ない、もって将来、経済協力充実、拡大を一そう推進するためのいしずえを固めたいと考えるのであります。  次に、宇宙開発審議会設置であります。御承知通り宇宙科学技術の著しい進歩により、最近の宇宙開発進展は、まことに瞬目すべきものがありますが、これに対応して世界各国宇宙開発態勢もまた急速に整備されるとともに、宇宙開発に関する国際協力態勢も漸次軌道に乗りつつあるところであります。  ひるがえって、わが国を見るに、宇宙科学技術に関する特定分野における研究は、世界的に潤い評価を受けているものもありますが、大観いたしましていまだ萌芽期段階にあり、宇宙開発総合的推進をはかるべき態勢は整備されていない実情にあります。  政府におきましては、この実情に着目し、宇宙の利用及び宇宙科学技術を総合的に推進するための態勢を確立することといたし、科学技術庁設置法の一部改正により、宇宙科学技術に関する事務の効率的な推進をはかるとともに、宇宙開発に関する重要事項を総合的な観点から、調査審議するため、本審議会設置しようとするものであります。  以上が、この法律案を提出する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。
  7. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で、提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。
  8. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、去る二月十一日衆議院に提出され、三月十五日衆議院会議において可決され、即日当院送付され、本委員会に付託されました総理府設置法の一部を改正する法律案閣法第四一号)を議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。
  9. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) ただいま議題になりました総理府設置法の一部を改正する法律案についてその提案理由を御説明いたします。  この法律案は、総理府附属機関であります訴願制度調査会昭和三十五年三月三十一日までの設置期限昭和三十五年十二月三十一日まで延期しようとするものであります。  訴願制度調査会は、行政の公正な運営と国民の権利救済をはかる訴願制度改正に関する重要事項調査審議するため、昨年春総理府設置法の一部を改正する法律によって設けられたものであります。  設置にあたりましては、存置の期間をおおむね一年と予定し、この間に必要な調査審議を終了する方針のもと一に、昨年六月三日第一回総会を開催して以来、今日まで鋭意調査審議を進めて参ったのであります。しかしながら御承知通り現行訴願制度は、明治二十三年に制定された訴願法とその後補足制定された個別法令によっているため、これが調査審議の対象は広範かつ多岐にわたっておりますこと、また訴願制度の改善をはかるためには、現行制度運営実情等について調査を行なう必要があったこと等のため審議予想外に手間どり、調査会設置期限の本年三月末までには審議事項の全部について審議を了することが困難であることが明らかとなったのであります。  調査会においては終始きわめて熱心に討議が行なわれており、委員からも、いましばらく時間をかけて遺憾なきを期したいとの意向もありますので、政府といたしましては、この際調査会設置期限を本年十二月末まで九ヵ月延長し、審議事項すべてについて十分検討していただき、本調査会設置の趣旨を全うしたい所存であります。  以上が、この法律案を提出する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。
  10. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で、提案理由説明は終了いたしました。これより質疑に入ります。政府側出席方々は、福田総理府総務長官山口行政管理庁行政管理局長等方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。総理府総務長官にお伺いしますが、ただいま具体的法案提案があってこれから質疑を展開しようとするわけですが、その前に伺いたいことは、総理府昭和三十五年度の予算並びに業務計画内容等説明をまだ承っていないわけですが、それはいつおやりになる御予定でありますか。私は、きょうは台風常襲地帯対策審議会の方の関係でちょっと中座いたしますが、私の留守中でもけっこうですが、いっか適当の機会に…。あなたの所管予算並びに本年度新しい業務計画としてはこういうものがあるということを一般的な説明をして、それから具体的な法案の御審議を願うというのが行政府としてはとるべき態度じゃないか。いっか御説明になる計画があるのでございますか。プリントも何ももらっていないのですが………。
  12. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 三十五年度の総理府関係予算につきましては、先般参議院における予算委員会で一応御説明申し上げましたが、そのことにつきましては、いずれ御連絡いたします。
  13. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 訴願制度調査会設置についての問題で二、三質問をしてみたいと思います。まず、最初参考までに一つお聞かせ願いたいのですが、明治二十三年にこの制度が制定されてから今日まで、訴願の条項が六項目ございますが、今日までどういう訴願がどういう方面に多く出たか、これは一々列挙して説明はできないと思いますが、主としてどういうものがどういう方面に出されたか、こういう点を一つ説明願いたい。
  14. 山口酉

    政府委員山口酉君) 古い資料は手元にございませんが、最近の状況について見ますと、一番多いものは国税関係でございます。それから次が地方税関係、それから特許庁関係、それから地方自治法地方公務員法、それから労働関係、厚生省の社会保険関係農林省、恩給、そういうものでございますが、大体年平均いたしまして、受理件数は十八万件ぐらいでございます。
  15. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで年十八万件、膨大な訴願件数になっておりますが、その結果、訴願者訴願が聞き入れられたというものは、大体どういう。パーセンテージになっておりますか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  16. 山口酉

    政府委員山口酉君) 十八万件のうち、約十二万件程度が容認されております。
  17. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 税金関係国税地方税関係が相当あるということでございますが、この国税地方税に関する訴願内容は、主として、何と申しますか、不当な課税によるところの不服があると思うのですが、どういう種類訴願であるか、一つ税金関係だけちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  18. 山口酉

    政府委員山口酉君) 税金関係は、更正決定に関する異議申し立て、それに関連する裁決の不服申し立て、そういうものでございます。
  19. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つお伺いしておきたいのですが、社会保険関係、それから農林省関係があるというのですが、社会保険関係農林省関係のやつは、どういう種類のものであるか伺いたい。
  20. 山口酉

    政府委員山口酉君) 社会保険関係は、保険金額裁定に関する不服の申し立てが主要なものでございます。農林省関係は、主として農地の買収並びに農地転換等に対する許可、不許可処分というものに対する異議の申し立てというものでございます。
  21. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それからもう一つ問題を変えまして、この提案理由説明の中にちょっと触れておられますが、訴願法以外の補足的個別法令というものがありますが、私もいろいろその後嗣べましたのですが、なかなかはっきりわかりませんので、主たる法令はどういうところにが、どういうものであるか、ちょっと参考までに聞かしていただきたいと思います。
  22. 山口酉

    政府委員山口酉君) 訴願法は、基本的な法律でございまして、現在の訴願制度実情から申しますと、非常に大きな部分単独法で規定されております。そこで、一番大きな部分を占めております税金関係では所得税法法人税法というようなものでございますが、社会保険関係には生活保護法健康保険法厚生年金保険法船員保険法というようなものの中に、それぞれ不服の申し立て制度を規定しております。さようなものが一番大きなもの  でございます。
  23. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではもう一つ質問したいのですが、昨年六月から今日まで、これが実情調査を進められておるようでございますが、主としてその調査会において、第一回総会とここに言われておりますが、その後いろいろと調査をされておったと思いますが、主としてどういうところに問題が集約されておったか、こういう点を一つ調査会運営内容をちょっとお聞かせ願いたいのです。
  24. 山口酉

    政府委員山口酉君) ただいま訴願制度調査会の方で、重要な論点として取り上げておりますものは、第一は訴願事項でございます。これは基本法であります現行訴願法によりますと、非常に訴願事項が不明瞭になっております。と申しますのは、非常に古い法律でありますので、その後の行政事務の展開が複雑になって参りましたために、はたしてこういうものが訴願事項として入るのか入らないのかという解釈上、非常に疑義が出ているわけでございます。そこで、現行のような訴願事項の立て方を再検討して、一応原則としてすべての行政処分につきましては、訴願事項に入れるという概括主義をとるのか、あるいは従来のように列挙したものに基づきまして詳細に列挙することとするかという基本的な問題が一つ。  それから訴願裁決庁でございますが、訴願裁決庁につきましても、現行訴願法制定当時から見ますと行政組織が非常に変わっておりますので、はたしてどこに裁決権があるのかというようなことが不明瞭なものがございます。そういう点で裁決庁をどういうふうに表示するかということが一つの問題になる。  それから次は、現行制度におきましては処分をした行政庁を経由するという建前になっておりますが、権利救済という面からいって、はたして経由するということが適当かどうかということを一つの問題にいたしております。  それから次は審級の問題でございますが、現在は直接上級の行政庁裁決権がございますので、幾段階にもいけるという建前でございますけれども、そうなりますと、非常に最終段階までたくさんになります。はたしてその必要があるかどうかというようなことで、審級を一段階とするか、あるいは数段階とするかということも一つの問題にしております。  それからさらに、訴願期間が非常にまちまちになっておる。これは訴願法では一定しておりますけれども、その後出ました単独法でそれぞれ違った期間を書いております。これらをでき得るだけ統一したらどうかというような意見が一つの問題になっております。  それから次は教示制度と申しまして、これは外国立法例などに最近あるのでございますが、訴願はどういう事項についてできるか、その裁決する役所はどこであるかというようなことを、被処分者に教えるという制度でございます。これを原則的にとるかどうかというようなこと。  それから執行の停止の問題でございます。訴願を提起した場合には、直ちに行政処分執行を停止されることにするのか、あるいはそれを原則としては停止せずに、職権または申し立てによってその点の裁定をするかというような点が現在までのおもな審議事項となっております。
  25. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体わかりましたが、実は訴願された、いろいろ、まあ実際に聞いてみたこともあるのですが、この訴願者のいわゆる訴願期間と申しますか、六十日という制限があるのですが、訴願された後の裁決についての裁決権側義務期間というものが、今度の調査会でそういうものを考えておるかどうか。相当、期間が長くなると、訴願者は非常に利害が大きいわけでございますから、この点どうなっておるか、ちょっとお答え願いたいと思います。
  26. 山口酉

    政府委員山口酉君) その点につきましても、ただいま論議されておりますが、その期間はさらに訴訟を起こす場合にどういうふうに取り扱うか、いつまでも裁決が行なわれないという場合には、いわゆる訴願前置主義で、訴願が先に行なわれてから訴訟を、訴願裁決が行なわれた後に訴訟を提起できるという、まあ一応の原則でございますけれども、それをどの程度期間内にすべきかということを明瞭にしておいて、その期間経過した場合に一は、訴訟を起こすという道を認めるか、そういう点も現在論議されております。
  27. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ、その点は極力一つ考慮していただきたいと思うんですが、それからあと二点あるのですが、一括して、時間の関係で、簡単なことですから質問いたします。これは九カ月間延長するという内容でございますが、九ヵ月間ではたして調査会の任務が完了するかどうか。それから、現在の訴願制度調査委員の顔ぶれが、本日資料として配られましたが、この委員はそのまま継続して委員に当たるのか。この点、一つ二つを合わせて御答弁願いたいと思います。
  28. 山口酉

    政府委員山口酉君) 期間延長は九ヵ月をお願いいたしておりまして、本年末までの予定でございますが、これは当初一年の予定でございましたのでありますが、非常に外国制度なども調査会の方で調査をされました関係上、非常に手間取りまして現在の状況では将来のスケジュールを組んでみますと、どうしてもあと九カ月くらいの延長をお認めいただきたいということでございまして、これは調査会の方からも強い御要望がございまして、それで私どもといたしましては、具体的に調査会スケジュールを検討いたしまして、九ヵ月で結論をいただけそうであるという見通しを立てましたので、延長方をお願いいたした次第でございます。  委員につきましては、現在の方々にそのまま継続して御就任をいただく予定にいたしております。
  29. 村山道雄

    村山道雄君 私の尋ねたいこと、大体山本さんがお聞きになったのですが、補足して伺いたいと思います。  訴願が十八万件程度あって、十二万件程度を容認になっておるということを伺いましたが、その中でさらに裁決が不服であるというので、訴訟の提起された件数はどれくらいでございますか。
  30. 山口酉

    政府委員山口酉君) 最近の五カ年の平均でございますが、出訴されました者は年間平均四百七十件程度でございます。そのうち六十五件は裁決を経ずに出訴をしたものでございますので、御質問裁決を経て出訴したものにつきましては約四百件余りという程度になっております。
  31. 村山道雄

    村山道雄君 訴願制度調査会で御論議になった問題については伺いましたが、大体今までに何回ぐらい会合が持たれたか。あるいは委員会というようなものに分かれておれば、その委員会が幾つあってその会合が何回ぐらい持たれたかというような審議経過をお話しいただきたい。
  32. 山口酉

    政府委員山口酉君) 委員会総会と小委員会に分かれております。そのほか附属いたしております幹事会を開いております。総会は現在まで九回開いております。それから小委員会は八回開いております。そのほか約大体その中間に整理のための幹事会を開いておりますので、これがやはり月二回程度やっております。
  33. 横川正市

    横川正市君 この訴願委員出欠表といいますか、大体まあその他のこの種の委員会でもいつも問題になりますのは、会の進行が思うようにいかないのは、やはり委員の兼職とか兼任等によるところの非常にまめでないというところに問題があるのだということが、こういう点がたびたび指摘をされて、委員の任命については、十分その点考慮されるようという要望委員会に何回も出ているんですがその点から見て、この訴願制度調査委員出欠についてはどういう記録になっておりますか。
  34. 山口酉

    政府委員山口酉君) 委員の方の人選にあたりましては、この業務関係上非常に専門的な法律知識を要しますので、多少ほかの委員会と重複する方もございます。特に行政事件訴訟特例法と密接な関係がございまして、行政事件訴訟特例法審議は、法務省に附属機関として置かれております法制審議会で討議されておりますので、その委員の方とはこれは特に重複してやっていただく方が便利であるということで、一部重複して任命されております。出欠状況でございますが、これはいろいろ皆さんお忙しい方でございますけれども、日時等をよく事前に打ち合わせいたしてやっております関係上、ほとんどの委員の方が出席されておりますが、率で申しますと、約八、九割は出ておられるという状況でございます。特にそのときに審議事項につきまして特別に専門的な知識を持っておられる方には、よく事前にお打ち合わせをして日時をきめておりますので、そういう点では委員出欠状況につきましては、審議状況から見ましてはなはだ遺憾であるというような状況は、今までのところは見受けられておりません。
  35. 横川正市

    横川正市君 提案理由の中に説明をされておるわけなんですが、これはこの訴願制度審議会を作るために提案されたときにすでに予測されておった問題が、たまたまさらにこの委員会を九ヵ月延伸をするという理由になっておるわけですが、その通常とか実情とか調査でこれは当初の発足当時に考えておったこととそごを来たしたのは、どの辺にその理由があるのか、言いかえれば九カ月延ばしたらこれはもう完全にこれらの問題を審議してあとは立法の段どりに入れる、あるいは国会べ提案することができると、こういうふうに安心していいのでしょうかどうか、その点お伺いしておきます。
  36. 山口酉

    政府委員山口酉君) 訴願制度に関しましては古くから議論がありまして、問題点として出ておりますものは、実はそう新しい問題ではございません。これは御指摘の通りでございます。ただ、最初審議をお願いします目標といたしましては、現在の訴願制度の根本になります点が、つまり権利救済という点について現在の制度では十分でない。そこで、この制度の基本的な考え方をどういうふうに持っていくかという基本方針について十分御審議をお願いしたい、かように考えて発足したわけでございますが、調査会を開いて具体的に審議をされて参りますと、いろいろと新しい提案のようなものが出て参ります。問題点はおよそ予想された通りでございます。その解決の方策としまして、最近外国立法例などがだんだん変わって参りましたので、そういう点につきましての知識も、調査会の方に反映されて参りましたので、なるほどせっかく調査会をやるからには、もう少し時間をかけてしっかりとしたものにした方がよくないかというようなことで、実は根本方針だけにしますとあと法律案に、これを政府としまして作りますのに、さらに非常に時間がかかるのでございますが、調査会の方で一歩進めて十分論議していただけば、あと法律案作成の方の作業というものが、従って早くできるであろう、かような考えから特に調査会の方の非常に強い御要望もありましたので、御熱心にそういうことを論議していただけるのでございますから、せっかくこの機会であるから、さらに深く検討していただこう、かような考えになったわけでございます。
  37. 横川正市

    横川正市君 この設置関係の共通した問題として、私たちは常に審議のときには前提条件としては、それぞれの責任者に質問をいたしまして、設置法共通の問題については常に注意をしてもらっているわけなんで、ですから、これはまあ総理府総務長官が御出席でありますので、たとえば競輪関係審議会のときのような状況が、まあこれは例としてはあまりこれには適切じゃないかと思うのでありますが、非常に片寄った委員によって片寄った結論しか出ない。しかも、世論は相当審議会と違った方向に動いているというようなことが生まれることは、これは私どもは運営上必ずしも賛成すべき問題じゃないと思うのですよ。そこで行政の公正な運営と、国民の権利救済をはかるためだという訴願法ですから、その意味で私は会期を延伸をすることに対して賛成をいたしますが、運営については十分一つ留意していただきたい。同時に、設置法は現行設置法、それからこれからも作られる設置法、いろいろあるわけですが、まあ後日にそれぞれの審議内容それから進捗状況、こういった点について一度説明いただきたいと、こう思っておりますので、この点の要望を合わせてお願いをいたしておきたいと思います。
  38. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 だいぶ委員からの質問がありましたので、二、三点について、要点だけお伺いしたいと思います。  申し上げるまでもなく、この訴願制度は二十三年に制定された訴願法とその後補足的にできた個々の法律からなっておる。そういう観点からすると、もうずいぶん古い法律であって、新憲法下には、当然これは国民の権利を守る、救済するという立場から、当然改正されなければならぬと思う。従って、この法案自体に対しては、もう心から賛成するわけなんです。ところが、そうだとすれば、んな大事な早く改正しなければならぬものを、明治二十三年以来今まで長年放っておいたということについては、これはまあ当面現在の皆さん方にということでなくて政府としてはまことに怠慢かつ無責任のそしりは免れないと思うわけなんです。この点総務長官としてはどうお考えですか。
  39. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) お尋ねの点でありますが、行政事件訴訟特例法と非常に深い関係訴願制度にあることは御承知通りでございます。この関係のある特例法の問題について結論を見出す時期がまあ来たわけです。そこで、この問題が改正と申しますか、再検討という段階がきたというわけでございます。
  40. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 さっき行政事件訴訟特例法との関係、これはまあ法制審議会審議しておると思うのですけれどもね、現在のでなくして。従って、総務長官、あなたに直接責任があるとは申し上げていないのですが、二十三年の制定でしょう。そうして新憲法下通算すると相当古い法律であるわけですね。新憲法が生まれてからももう相当た2ているにもかかわらず、今ごろになってようやくその必要を感じて改正しょうとしたことに、政府としての怠慢があるのではないか、無責任ではないか、そういうことをお伺いしているわけで、これが予定通り一カ年間の予定でこの調査会が結果を得られないで、あと九ヵ月延ばしたいのだという、そのことを伺っているわけではないのです。
  41. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 御意見の点は十分承ります。
  42. 山口酉

    政府委員山口酉君) 御参考までに申し上げますが、お説の通り、非常に古い法律なものでございまして、改正の議はしばしば起こっております。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、一番古くは第四回帝国議会、明治二十六年に提案をされておりますが、これは貴族院で審議未了になっております。それから次は第十三回帝国議会、明治三十一年でございます。これにつきましても貴族院で審議未了でございます。衆議院の方は全会一致で可決されております。それから第十六回の帝国議会、明治三十四年でございますが、これは政府提案でございまして、やはり貴族院で審議未了になっております。その次は、第四十六回の帝国議会で大正十一年でございます。これも衆議院で可決されまして貴族院で審議未了になっております。それから、昭和の初めになりまして、昭和三年の二月に臨時法制審議会へ諮問されて、その答申としまして改正要綱が出ておりますけれども、これにつきましては、その後帝国議会へは提出されておりません。終戦後におきましても、終戦直後に行政裁判法が廃止されまして、それに関連しまして行政事件訴訟特例法が制定されたために、政府部内では一応部内検討をいたして参ったのでございます。しかし、今までのところいろいろ議論がありまして、ついに成案を得るに至らなかったわけでございます。で、やはりこれは広く最近の新憲法下における国民の権利擁護という事態に立って、広く卓識経験者の御意見を伺った上で根本的に改正したいと、そうして行政事件訴訟特例法との関係につきましても、十分調整ができるように対処をいたしたいということで、実は訴願制度調査会行政事件訴訟特例法、これは法制審議会の小委員会で討議いたしておりますが、それと十分連係をとって調整を十分とった上で結論を得たい、かような方針である次第であります。
  43. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今申し上げた点は、ただ単に現在の一政府責任があるということだけでなくして、二十…年以降の歴代の政府責任があろうと思うのです。従ってこれ以上追及することはやめますが、そこでこんなに古い法律であったから、ずいぶんこの法律を扱ってきたわけですね。従ってどこに欠陥があるか、どういうところに問題点があるかということについては、もう十分現在の当該官庁としてももう知り尽くしておったと思うのです。相当古い法律であったから、ずいぶんその間に、審議未了、審議未了とはいえ、その間に研究も重ねてきたから、従ってそれほどこの点が明確になっておったものについて、これはまあ一年なら一年、一年半なら一年半というふうに、あらかじめこれをなぜそういうふうに最初から計画がずさんでなくして、精密に打ち立てられなかったか、こういう点については、やはりいささか責任があろうと思うのです。他の審議会とか調査会等については、例外はございますけれども、大部分が既定の期間内で任務を完了しておる。そういう中でこの法制審議会について、いまだに結論が得られぬということについては、責任があろうと思う。この点はいかがでしょう。
  44. 山口酉

    政府委員山口酉君) ただいま御指摘の点につきましては、まことにごもっともな点があるのでございます。実は当初の計画が率直に申しまして、まあ、あとから考えておるわけでございますけれども、非常に無理であったということは認めざるを得ないと思います。ただ、ああいうふうな計画にいたしましたのは、行政訴訟特例法の方の結論が、大体三十四年度中に出るというような予想であったわけでございます。で、それは法制審議会の方との連絡でございますが、法制審議会の方もそのおつもりでおったようでございますけれども、その法制審議会審議が多少延びて参りまして、実はやはりことしの九月か十月ごろに最終の結論を出すようになると、かようなことを申しておるわけであります。そこで時間がありますなれば、どうせこれは実施の際には同時にやるという建前になるのがよろしかろうと思いますので、その方と歩調を合わせてやっていくという建前からは、多少こちらの方で時間の余裕を見て審議をして、十分尽くすべきものを尽くしていくということが可能であろう、まあかようなことでやったわけでございまして、実は当初の計画が多少無理があったということは、御指摘の通りであろうと思います。
  45. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これについては委員が十七人で、幹事が二十五名ですか、計四十二名の方々が一年間真剣に取り組んでも、なおかつ成果を得られないほど、事ほどさように複雑なものであったとも考えられないのです。この調査会は申し上げるまでもなく、昨年四月に設けられたと思うのです。そうしてそれから約ニヵ月たった六月になって、初めて第一回総会が開かれておるというふうに、せっかくこの設置を得たのに、発足がもうすでにおくれておる、スタートがおくれておる、そういうことから、前半ではゆっくりかまえておって、近ごろになってあわて出して、後半で非常にあせってきたというふうにも考えられるわけですね、今の事例からしてです。そういうところははなはだまずかったと思うのですが、そういうように率直に認められますか。それとも事実はそれに反しておるなら、そのように一つ納得いくよう、御説明をいただきたい。
  46. 山口酉

    政府委員山口酉君) 訴願制度調査会設置に関する法律並びに調査会令、政令は、昨年の四月十六日に施行されておるわけでございます。それでその後直ちに委員の人選に着手したわけでございますが、専門的な知識を要する関係上、その選考について当初の予定された方が、まあいろいろの御本業の関係で引き受けられないという事例もございまして、そういう関係で人もそう得られないものですから、特殊の知識経験を要しますので、選考が多少延びたという点もございます。特に大学の教授や裁判官の方もお願いいたしたのでございますが、これらは手続が要りますので、その方の手続もございまして、一ヵ月あまり法が施行されましてから任命までかかったわけでございます。五月二十五日に発令をされたというような状況でございましてできるだけ急いでいたつもりでございますけれども、そういうような関係で、直ちに発足するということにはできなかったことは、はなはだ遺憾に存じます。
  47. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この点は、先ほども御指摘いたしましたけれども、この調査会の結論がおくれておる一つ理由として、この訴願制度と密接な関係のある行政事件訴訟特例法ですか、これを扱っておる法制審議会審議もおくれておったというような関係もあった。そういうように御説明ですが、それはわかりますが、今後案ぜられるのは、あと九カ月、いわゆる本年一ぱいで、今度は大丈夫確信を持ってこの法制審議会の方も、先ほど御説明のあった大体九月ごろには成果を得られれば本年一ぱいで、いわゆる九ヵ月の延長で完全に成果を上げ得るのか。そういう点についてはもちろん確信があってのことだと思いますけれども、今までの事情もございますし、そこのところを一つ責任を持ってもう一度伺っておきたいと思います。
  48. 山口酉

    政府委員山口酉君) 今度さらに九ヵ月の延長をお願いいたしまするにつきましては、スケジュールを組んでいただきまして、調査会の方のスケジュールをよく検討いたしました結果、九ヵ月をお願いしたわけでございます。法務省の方の法制審議会進行状況につきましても、十分連絡をいたしまして、九ヵ月で必ず御答申をいただける、かような見通しのもとに、九ヵ月の延伸をお願いいたした次第でございますので、さらにお願いをするような事態にはならないと確信いたしております。
  49. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この訴願については、いろいろ問題点が多かろうと思います。わけて先ほど山本委員からも御指摘がございましたように、訴願が出されてから審査が始まるまでに相当日数を要しておる。審査がおくれておりますから、従ってその裁決もおくれておる。従って忘れたころでないと裁決が出ないので、幸いこちらの主張が通って希望通りになっても、もうそのときおそしで、もう何らその成果を得ても、何らの効果がなかった。そういうような事例が非常に多いことを私知っておりますけれども、それではまことに遺憾のきわみで、せっかく国民の権利を救済しようというこの訴願制度に対しては、非常に賛成するものですが、そういうことではなかなか実情に沿わぬと思います。かくては、国民もだんだんあきらめて、そういうみずから権利を放棄するような方向にいってしまう、それでは一大事だと思います。そこでお伺いをしたいのは、今度の改正にあたって、そういうところは十分審議をされておると思いますが、特にこれは非常に重大な問題点であろうと思いますので、特にそういう点に意を尽くしていただきたいということ、そういう御用意はございますかどうか。これは総務長官にお伺いをしたい。
  50. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 訴願制度建前から申しまして、御質疑の点は全く同感でございます。従来とかく見られたそういう欠点と申します。か、そういう弊害がないように十分に今後注意してやって参りたいと思います。
  51. 辻政信

    ○辻政信君 あまり大きな問題じゃないから、大きな声で反対する理由もないのですが、お出しになった提案理由説明を見て驚いた。鋭意調査審議を進めて参ったと書いてありますね。しかし、この提案理由説明を見ると九カ月延ばす。こんなものは民間でやったら一週間どこかヘカン詰めしてやったら結論が出る問題です。それを九ヵ月でもって、結論が出ずにもう一ぺん延ばそう。そうして、れいれいしく今日まで鋭意調査審議を進めて参りと書いてある。中身は一ヵ月一回、これが役所の仕事の怠慢なモデルだと思います。こういう調査会があっちにもこっちにも数えきれぬほどある。これを整理することこそが、福田さんの仕事であって、こういうサボつた、いいかげんと言ったら失礼かもしれぬが、一月一回ぐらいお茶を濁して集まる会合を延ばすことが、総務長官の仕事ではなかろうと思う。これからの問題もありますから、総務長官としての決意を承っておきたい。
  52. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 総理府としましては、先般の行政管理庁からの、いわばむしろ審議会その他は整理していく、簡素化していくという方針は私ども守りたい考えでございます。ただいま御指摘のような点につきましてこの訴願制度の問題については、十分今後九ヵ月の延長を認めていただいた場合に、そういう非難、あるいは批判の起こらないように十分注意し、行政管理庁その他関係方面にも督励いたしまして御趣旨に沿いたい、かように思います。
  53. 一松定吉

    ○一松定吉君 私はおくれて参りましたからよくわかりませんが、一体改正法律案調査研究についてほとんど一年を要して、しかもなおあと九ヵ月必要だという点については、どの点が非常に審議に手間取って慎重審議しなければならなかったのかという、その一つ具体的な事実、どの点がそういうことであったか、それを一つ明らかにしてもらいたい。どの点がそういうように調査研究にひまがいったのか、具体的な事実を明らかにしていただきたい。
  54. 中野文門

    委員長中野文門君) 先ほどその点に関連した質疑応答があったように思いますが、一松委員、多少おくれて参っておりますので、重複しない範囲で御答弁を願います。
  55. 山口酉

    政府委員山口酉君) 訴願制度という言葉が非常に不明確でございまして、訴願法においても訴願とは何かということが書いてない。それで現在訴願内容というものは、いろいろの言葉で異議申立でありますとか、再審査の請求であるとか、いろいろの言葉で言われていることを総括して訴願と言っております。訴願法では訴願できるということが書いてあるだけで、その訴願というものはどういうものだということが書いてないわけです。そこで、一番最初訴願制度として確立する場合に、その性格を明瞭にするという問題で、これは主として学者側の意見が多かったわけでございますが、現在異議の申し立てというもの、これが行政の決定をするまでの一つ段階として行政決定段階の作用としての異議申立という制度がある、それから審査の請求決定が行なわれた後において、最終的決定の後において、それを審査してもらうというもの、それからその裁決があった後に再審査をするもの、それからさらにこれは大要的なものでございますけれども、準司法的手続をもってやります第三者的機関が行なうものがあるわけであります。そういうふうなものの性格を分けて取り扱わなければならないような論議が相当綿密にかついろいろ違った御意見が出まして、それらを結論を得ていくということに総会におきましては相当長く時間がかかっております。そのために外国制度なども、ごく最近まだ法律にならない法案程度に研究されておるものも検討していただくようなことがございまして、事務的にもそういうもののために相当日数を要したような関係でございます。なお、そのほか重要なものといたしましては、上級官庁という概念が今の行政機構では非常に不明瞭である、特に独立機関のようなものがございまして、委員会制度などができまして、公安委員会などの関係は、地方の公安委員会と国の公安委員会との関係とか、まあいろいろ解釈上上級官庁とは言えないそういうものを、それで最終決定にしていいのか、さらに訴願の道を開くべきであるかというような点、そういうことも非常に論議されております。  それからもう一つは、教示制度を採用するかどうか、それから執行停止に関する問題、そういうことが主として非常に長い時間をかけておるものでございます。
  56. 一松定吉

    ○一松定吉君 御説明はそうでありましょうがね、この訴願というようなものの一体性質がわからぬとかいうようなことを、今お話しになりましたが、これは憲法がいわゆる国民の基本的人権の擁護に関する規定をきめておるのだから、憲法の第三章の規定の訴願制度それから請願制度、それから損害を受けたときにおいては、法律の定めるところによって国に対し、もしくは団体に対して損害の賠償を請求することができるという、その憲法の第三章の国民の権利義務というのを基礎にして定めるということでなければ、これはいかに学者が外国のものが云々といってもきまりませんね。この憲法の国民の権利義務がもとなんですから、これを基本にしてあなたの仰せになったような点を研究すれば、私どもの考えでは、そう長くかからぬと思っておる。それを一年もかかってもできぬで、もう九ヵ月延ばしてほしい、そうするともう九カ月延ばしてきっとできるかというと、これはいよいよあなた方も断言はできますまいが。こういう点がやっぱり最高機関である国会で問題にしておる点だと私は思うのだが、こういう点については、今の委員の顔ぶれを見ると、弁護士や大学教授や判事等の専門家、それから法制局、法務省の専門家が多いのだが、それがそんなにひまが要りますか。やはりわれわれも専門家ですが、こういう点についてはもう少し勉強して一つ総務長官やその他の方が研究をしてやればいいが、月に一回か二回開いてやるというようなことでは、なかなか私は促進しないと思うから、今度は一つ私どもは今社会党の諸君などの御意見のように、ほんとうに徹底的に調査するということでなしに、専門的にかかるようなふうにしておやりになれば、そんなに長くかからぬと思うのですが、そういう御方針で一つ進行せられるようなことを特にお願いをいたしますから、その点について一つ関係当局の御意見を承れば、私はもう満足しますから一つ
  57. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 御指摘の通り、十分能率を上げたいと考えております。
  58. 一松定吉

    ○一松定吉君 どうか一つそう願いまして、一つこういうような問題で結局、委員の怠慢、怠慢というと語弊があるかもしれぬが、われわれから見れば怠慢のそしりは免れないということは間違いない。そういうことで国費を五十万も使うようなことは、やはり将来御注意相なるように特にお願いいたして私の質問を終わります。
  59. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異論ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。総理府設置法の一部を改正する法律案閣法第四一号)を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  62. 中野文門

    委員長中野文門君) 多数でございます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  64. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、水産庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。前回に続いて質疑を行ないます。政府側出席方々は、大野農林政務次官、高橋水産庁次長、林田水産庁漁政部長方々でございます。質疑のおありの方は、順次御発言願います。  ちょっと速記とめて。    〔速記中止]
  65. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  66. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは前の委員会に引き続いて、二、三水産庁当局に質問をしてみたいと思います。この前の答弁では十和田湖のふ化揚を廃止するということについての説明があったのですが、廃止された後の施設、私、聞くところによると相当歴史的なものであるらしいですが、これは一体どうされるのであるか、あとの施設はどうされるか、この点一つ聞かしていただきたい。
  67. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) ただいまの国でやっておりまするふ化施設は、秋田県の小坂町十和田というところにございまして、和井内氏より借用にかかるものと国有財産とがあるわけでございますが、まず、この廃止後の施設の処置についてでございますが、和井内氏より借用いたしました分につきましては、和井内氏に返還することといたしております。国有財産は普通財産として大蔵省の方に移管いたしまして、大蔵省において適宜処分されることとなっております。なお、秋田、言森岡県におきまして、事業実施上、払い下げを受ける希望があれば、大蔵省に対し、払い下げが受けられるようにあっせんの労をとりたいという考えでございます。  なお、現在人員が、定員在名でございまするが、このうち二名が欠員でございまして、現在おりまする場長たる一名につきましては、水産本庁または附属機関に引き取る予定でございます。なお、非常勤職員二名につきましては、それぞれ両県に引き継がれる予定となっております。
  68. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この前の、実は、答弁では、秋田、青森両県が引き続いてやるということですが、その後今日まで一週間あまりしかたっておりませんが、青森、秋田の意向がどうなってきているか。もし、おそらくそういうことはないと思いますけれども、国の方の補助金が四百何万かあるのでございますがそれでなおやらないという場合には、この十和田湖のふ化事業に支障を来たさないかと、この点一つ御答弁願いたい。
  69. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) これは青森、秋田両県で国の事業を引き継ぐということに円満にすでに協議をとげておりまして、その後変化はないわけでございます。
  70. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 なお、この前に実は、局長さんでしたか、こちらの方から強く希望を申し上げておきましたが、これが秋田、青森両県に引き継がれた後に相当年間の負担も出てくると思うのです。ことに、ご存じのように、秋田、青森は東北大県のうちの二県でございますから、非常に財政状態がよくないことは知っております。従って、財政的にも相当負担をかけないように、国の方も十分今後これに対し支援態勢をとってもらいたい。この点を一つ要望しておきます。  それから次に、質問でございますが、支笏湖のふ化揚に、今後、あそこの全国的に出されるものを、種卵をそこで養うということになっておるのですが、それに伴って支笏湖のふ化場、これは国営のものでございますが、これを拡張増設する計画があったのかどうか。この点、一つ
  71. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) 今後、種苗事業を県の方に移すわけでございますが、この国営のサケ、マスについての事業は、ただいま御指摘を受けましたように、支笏湖が中心になろうかと思うわけでございまして、今までの事業を見ますと、ほぼ全国のヒメマスに対しまする、卵に対する要望を満たして十分だというふうに判断しておりまするので、引き続き現在の規模で継続すれば十分であろう、このように考えておりまして、特にこの際拡張するような計画は今のところは持ち合わせておらないわけでございます。
  72. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは総括的なことを、十和田湖に直接関係のない質問なんですが、参考までに聞いておきたいと思うのです。  内水面を利用したいわゆる漁民も相当全国にいる。これはヒメマスだけに限らないのです、全般的に。それについて実はこの前の答弁にもちょっとあったと思いますが、最近、実は各工場が沿岸にできた。それからダムの建設その他、農薬による被害が相当あるということを聞いておりますが、こういうことで、全国の内水面を利用した漁業の保護と申しますか、これについて水産庁はどういう考えを持っておられるか、それを一つ全般的な考え方の一つとして聞かしていただきたい。
  73. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) 現在の生産額から申しますと、内水面の漁獲量それ自体は、海の漁獲量に比較いたしまして少ないことは御指摘の通りでございますが、しかしながら重要性がないというわけではございませんで、現にこの内水面に依存しておりまする漁民の方々が相当数ございます。なるほど海に比較をいたしまして、専業漁民は少のうございますが、しかしながら半農半漁と申しますか、ないしは自家用の栄養源といたしましての内水面のウエートというものは、まだまだ高いものがあろうかというふうに考えておる次第でございます。なお、これに対しまして、どういうような考えをとるかということでございまするが、まず申し上げたい点は、内水面の漁業を拝見いたしますと、現在のところでは、その後における電気事業の発展から考えてみましても、自然のままに放置するままでは、かなり滅亡に瀕するような河川が少なくはございません。従いましてそのままに、ただ目の前におる魚を取るというだけでは、なかなか引き続きこの大事な魚を継続的に供給するということが不可能な時勢になっておりましたもので、どうしてもその点は関係者が一致協力して、種苗その他の増殖施策を講じませんと、内水面漁業というのは将来なかなか憂慮しなければならないことに相なろうかというふうに考えております。  従いまして、そういう観点で現在も施策を続けておるわけでございますが、この施策につきましては、簡略に御説明いたしますと、まず二つございまして一つは、必要な場合には河川その他の内水面におきましても、地元の漁業協同組合の設立を待ちまして、これに適正な漁業権を与える仕組をとっております。しかしながら、この漁業権は、単に天然のものを採捕するだけでは漁業権を免許することはいたしませんで、増殖ということを条件にして、そのふやした魚をでたらめに取ってもらっては困るという趣旨で内水面の漁業協同組合にそれぞれの増殖のための漁業権の免許をするというような制度を講じております。これが制度的な対策の一つでございます。  次は、この水面の利用制度ではなくて、問題は種苗を放流することが肝心でございまするので、その点については必要なものにつきまして、特にアユにつきましては、その放流事業の助成をはかっておるのでございます。その他、増殖させることが必要な魚につきましては、増殖施設についての補助金というものを出しまして、増殖事業の推進をはかっておるわけでございます。  なお、制度的に、以上の漁業権制度のほかに、禁漁期、あるいは禁漁区、あるいはからだの長さの制限といったような、これは多少消極的かとも思いまするが、しかし効果は相当ございますので、そういったような取り締まりの面につきましては、県の漁業調整規則その他で規制いたすことにいたしま目して、それぞれの目的を達すへく現在努力中でございます。
  74. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 最後にもう一点一つ質問しておきたい。これは参考までに聞いておきますが、附属機関として第七条の二に、水産研究所、水産講習所があります。日光養魚場と、北海道のサケマスふ化場、十和田湖は今問題になっておりますが、これは一応わかりますが、水産研究所と、水産講習所が、内水面の水産研究所あるいは水産講習所が何カ所どこにあるか。それからこれも参考までに外海の、水産研究所、水産講習所は何カ所あるか、これを一つ参考までに。
  75. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) 水産関係の研究機関についての御質問でございますが、これは現在八つございます。そしてそのうちの一つが内水面を専門に研究する機関でございまして、現在東京都下の目野に所在してございます。それから申しおくれましたが、なお県の、これは国の試験研究機関ではございませんが、県にはそれぞれ水産試験場がございまして重要な内水面を持つ府県におきましては、それぞれの試験場に置きまして、漁民とかなり密接な結びついた試験、指導をやっておられるわけでございます。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 水産講習所は併置されておるのですか、研究所に。
  77. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) 現在下関に設置されております。
  78. 一松定吉

    ○一松定吉君 十和田湖に関する増殖事業を国家が廃止するということはよくわかりますし、廃止する理由もわかります。廃止するならば、今まで国家が経営しておったすべての施設は、秋田、青森にそのまま移譲するのでしょう。
  79. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) 新しく建物を作りまして、これは国で全額持つわけでございますが、新しく建物を作りましてやるように手配しております。
  80. 一松定吉

    ○一松定吉君 そうすると、国営を廃止することによって新しく家を建てなければならないのですか。おかしなことだな。
  81. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) 先ほど申し上げましたように、国有に属するものと、それから和井内氏から借りている建物、こう二つあるわけでございます。従いまして国有になっておりますものは、大蔵省に移管し、和井内氏から借りているものは和井内氏に返還するというような考え方をとっております。
  82. 一松定吉

    ○一松定吉君 そういうようにして大蔵省に渡し、今の借りておる方に返す、そうした残りを秋田、青森に渡すのでしょう。
  83. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) その建物の問題を中心にした具体的な考え方と、予算につきましては漁政部長より一つ詳細な御説明を御聴取願います。
  84. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 十和田湖のふ化場の施設の内容につきましては、和井内氏から借用いたしておりまするのが建物と池とございまして、主たるふ化室とかあるいは事務室あるいは冷蔵庫、そういうふうなおもにふ化放流に関係しておりまする施設は和井内氏より借用しておるわけでございます、並びに池も借用しておりまして、従いましてこれは和井内氏に返還する必要があるわけであります。それからその後に、二十七年に国有にいたしまして、国有財産としてつけ加えましたのは事務所、十一坪の事務所とかあるいは門とか船、水道、照明装置、そういうふうなものでございまして、大した施設はないわけであります。それで国有財産は大蔵省の管財局に引き継ぎまして、これは県の方べあとで引き継ぐというふうなことを考えておる次第でございます。それで今回四百七十五万円で新たに施設を作らなければならぬと申しまするのは、この和井内氏から借りておりました建物、あるいは池が非常に古いものでありまして、新しくここで県営でふ化放流をやろうといたしましても、再建をしなければならぬというふうな事態になっておりまして、それで今回新たに県に引き継ぐにあたりまして、そういうふうなふ化室とかふ化放流に関係いたします施設並びに池、そういうふうな施設を作りまして、そうして県の方に引き継ぐ、こういうふうなことにいたしておるわけであります。
  85. 一松定吉

    ○一松定吉君 そうすると、国営を廃止することによって、秋田、青森でそのままにもらっては仕事ができないという立場にあるから、それを完全に仕事のできるようにするために、国家が和井内氏に返すような施設というものを新たにこしらえる費用はいい、その費用は四百七十五万円要るから、それをこしら、えて、そうして青森、秋田にこれを随意に繁殖事業に当たらせる、こういう意味だね。
  86. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) さようでございます。
  87. 一松定吉

    ○一松定吉君 それならばよくわかる。ただね、将来再び国家がこの秋田、青森に向かって、こういうような費用を年々補助するということはもうないわけだね、それで。
  88. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 将来はもう県営でやる事業でございまするから、国としてはそういう施設についてやろうというふうなことは考えておりません。
  89. 一松定吉

    ○一松定吉君 これでおしまいで、つまり秋田、青森をして仕事をやらせるについては、これだけの補助をしてやらぬと仕事ができぬから、国家が補助してやろう、そうして秋田、青森をして安心して仕事のできるようにさせて、あとはもう青森、秋田にまかせて、国家はこれに関係しないんだと、そういう意味で四百七十五万円というものが今度要るんだと、こういう意味だね。
  90. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) その通りです。
  91. 一松定吉

    ○一松定吉君 いや、それならわかりました。
  92. 横川正市

    横川正市君 将来、ふ化場としての支笏湖の事業場も北海道庁に移管することがあるんですか、
  93. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) 現在の支笏湖におきまする種苗の生産状況並びに全国的な規模にわたりましてこれを配給する必要という事態から考えますと、現在のところこういう事態に大きな変化がない限り、国でやってゆくのが至当かというふうに考えております。
  94. 横川正市

    横川正市君 そうすると、この提案の中にある「全国の移殖用の種卵の需要量を十分確保し得る見通しがつくに至りましたので、」というこの「十分」というのは一体どの程度をさしているのですか。
  95. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) それでは、やや数字にわたりますが、北海道支笏湖のヒメマスの採卵実績について御説明いたします。三十四年度で申し上げますと、捕獲いたしました親魚の数は、雄が四千三十三、それから雌が八千九百三十九でございまして、これを基礎にいたしました採卵数が四百三十万粒ほどになろうかと思います。このうち、支笏湖の中に還元するものが約二百万粒でございまして、移殖が残りの二百十四万ほどになろうかというふうに考えられます。この移殖先を見ますと、群馬、長野、埼玉、福島、神奈川、秋田という各県でございまして、主として大きな数字を占めているのは、北海道を除きました本州関係に配るのが大部分を占めておりまして、大体需要を充足する状況でございます。
  96. 横川正市

    横川正市君 私は今の点は、この水産庁のふ化事業に関係しての行政上の幅というか、そういう幅から考えてみて「十分」というふうな言葉が使われているのか、それとも需要と供給の立場に立って、供給者の立場の水産庁としてこれは行政上の幅とどう関係するかわかりませんが、そういう立場に立って「十分」と言われているのか、その点をお聞きしているわけです。
  97. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) ヒメマスは御承知のように相当寒い温度を必要といたしまして、ヒメマスの生産される湖というのは限られるわけでございます。それでニジマスとは違いまして、国内全体にわたって生産されるということが困難な魚種でありまして、従って、需要も大体今のところこの程度に限られるということが考えられる次第でございますが、特に十和田湖で生産が困難な点は、ヒメマスは大きくなるのには、人工の飼料で大きくなるということがむずかしいものでございまして、どうしても一回池の中に放さなければいかん、池の中で成長するということになるものでありますから、十和田湖では漁業者によって途中で取られてしまうという率が非常に多いわけなんでございます。それで、国でやるためには、どうしても支笏湖のように、あまり漁業者がいないようなところで、一回支笏湖の中べ放しまして、親魚になってからそれを取り上げて、採卵さして、そして子魚にして他の県へ持っていくというふうなことが必要になりまするので、支笏湖でやりたいということを考えている次第でございます。
  98. 横川正市

    横川正市君 大体このヒメマスの、たしかこれは三年生くらいから、一般の蛋白補給源で市場といいますか、食膳に上るようになるのですか。
  99. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) 二年目から食べられるというふうに聞いております。
  100. 横川正市

    横川正市君 大体私たちの生活習慣といいますか、そういう普通、社会生活をしている状況から判断をしているわけですから、専門的なあれになればいろいろ理由があると思うのです。それはもちろんその発育の条件とか何とかいろいろなものがあると思うのですが、私はこのヒメマスにしてもアメマスにしても、この蛋白補給源としての需要と供給の関係というものは、まだ貴重品に類するのじゃないか。ことに北海道の、たしか燻製されたようなものは、一匹たしか何百円というわけですね、市場に出ているのは。そこで私たちの考え方としては、もっとこういう面の需要にこたえられるような方策はないだろうかという立場から質問をしておるわけなんです。そこで、行政上の幅からいって、いやそれは水産庁としてはそれまでやる必要はないのだと、まあいわば研究、それから民間におけるいろいろな飼育に対する助成とか振興とか、そんなことさえやればいいのだ、こういうことになれば、この提案にあるように「十分」という言葉はわかるわけなのですが、一般国民の供給の面からいくと、「十分」という言葉はもう全然当てはまらない、非常に貴重品じゃないかというふうに私ども考えるのですが、その点はどういうふうに考えますか。
  101. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) これは、御承知だと存じますが、ヒメマスはベニマスの陸封された形態のものでございまして、体長もさほど大きくなく、かなり小型なものでございます。従って、これは御指摘のように、なかなか  一般の市場には出回るものではなくて、やはり湖周辺にかなり貴重品という、まあ貴重品と言えるかどうかわかりませんが、相当高く料理屋さんと申しますか、宿屋とか料理屋さん、そういう方に売られておることは事実でございます。従いまして、できるだけこれを、可能であるならば、そういうところに種苗を放流いたしまして、この魚をふやせば、周辺の観光その他の点からいいましても望ましいことでございますし、また何と申しましても、この漁業に関心を持つ漁民の方々のかなりな大きな収入になろうかと思いますので、その点につきましては、なお今後とも進めて参りたい所存でございます。従いまして、この増殖につきましては、かなり各県の水産試験場その他でも関心を持つものでございまして、それぞれの地方にマッチするような増殖の仕方その他を研究しておるような段階で、この問題につきましては、これは県の試験場全般にまたがる問題でございますけれども、できるだけ国の水産研究と合わせまして、地方の水産試験場のそれぞれの分野におきまするこのような研究につきましても、できるだけ援助をして参りたいというような所存でございます。
  102. 横川正市

    横川正市君 この十和田湖のふ化場は、明治三十二年から漁業法で単独免許をされて、昭和二十六年に国がこれを買い上げて実施をした。その後、それから現在までずっと国が行なっておるわけなのですが、先ほどの他の委員質問の中にあったのと関連して、これが青森県と秋田県に移管されて経営をされた場合に、国からの補助を全然なくして、まあ本年度はあるわけですが、本年度以降なくして、この経営というものは成り立っていくのかどうか、いずれ、このふ化場はもう有名無実になつちまって、魚が一匹も十和田湖にいなくなったというような乱獲、それから発育その他への保護、そういったものがとれなくなって、結果的には魚の住まない湖になってしまわないかというふうに思われるのですが、これは秋田のあそこの八郎潟ですか、あれが今ほとんど魚がいなくなって、まあもっとも干拓するあれもありますが、あの沿線の漁家というのは、生計が全然成り立たないという状況だということをちょっと聞いておるわけなんですが、それと同じようなことがこの沿岸の漁家なんかの生計にも響くのじゃないかというふうに思われるわけなのです。それについては、どういう計算でこれを県へ移管をするというのを立てられたか、見通しについてお伺いしたい。
  103. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) 問題は二点あるようでございますが、まず第一点の、県の事業に移した場合に、運営がうまくいくかどうかという御趣旨の御指摘でございましたが、これは、この問題を実施する際に十分に両県とも打ち合わせしたわけでございまするが、この事業に対する運営費といたしましては、両県で約百万円ほどかかるようでございまするが、それぞれの予算の点も十分両県とも御了解願いまして、今後の問題については支障がないというふうに聞いておる次第でございます。  第二点は、一体この十和田湖のヒメマスが非常に減少しておるようだが、その問題についての考え方はどうかという御趣旨の御質問でございますが、これは、御存じのように、十和田湖は本来魚がいなかった湖でございましたのが先代の和井内さんが非常な御苦労をされてヒメマスの増殖に先べんをつけられたことは、御承知通りでございます。その後先ほど漁政部長からの御説明がありましたように、前の和井内さんがこの事業を始めた当時とは違いまして、現在では相当旅館の数もふえ、ヒメマスを取る漁民の数もふえて参っております。従いまして、かなりこの魚は資源的には弱い魚でございまするので、どうしても宿屋方面の需要を満たすために、漁民側といたしましては、つい乱獲の状態に走りやすという傾向は、これは否定し得べくもないというふうに考えるわけであります。従いまして、これは、やはり、和井内氏が増殖する、ないしは国が増殖するということだけでは、なるほど魚の数は、一見小さい魚の数はふやすことができますけれども、商品価値のある大きい魚にまで大事に育ててから取るということに重点を置いて考えますと、やはり国がやるとか県がやるというだけでは十全とは申せませんで、やはりどうしても、地元漁民がかなり興味も持ち、責任も持つような仕組みにいたしませんと、これはなかなか取り締まる一方ではやれないものではないかというふうに私ども考えておる次第でございます。従いまして、先ほど御質問がありましたように、この制度改革後は、地元の漁業協同組合が、このヒメマスに関する漁業権を持ちまして、みずから権利を持ち、みずから管理するという制度を作ったわけでございます。従いまして、本来ならば漁民みずからがふ化をし、管理し、取るということに徹すべきではないかという御議論もわかるのでございまするが、しかし何と申しましても、今まで国営でやって参りましたこのふ化事業を、今急に漁民側の手に移すということもまた実際問題としていかがかと思われまするので、その点は種苗を全国的に配給するという任務が終わりましたので、県営にひとまず移すことにして、しかしながら、一方地元の漁業協同組合が権利を持ち、この取る行為については、かなり厳重な調整を保たせながら、ふ化と、育てて取るという両面を調和させていけば一番いいのじゃないかというふうに考えてこのように御提案した次第でございます。
  104. 横川正市

    横川正市君 さきに一松君の質問にもあったわけですが、これはもう青森一と秋田で行政上の責任、これは両県に渡すわけですが、これはどういう区切りにするわけですか。両者で協議をして、一体となって運画するのか、あるいは地域区分をして経営するのか、どちらですか。
  105. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) これは御案内のようにこの十和田湖はちょうどまん中で割れておりまして、秋田県知事の管轄と青森県知事の管轄の両面に湖水がまたがっておるわけでございます。しかしながら、この増殖事業と、その増殖された魚を取るということは、やはり湖水を一体としてやらなければ、とうていその目的を達することができないわけでございます。従いまして、今度両県にこの事業を移すわけでございますが、場所は、この立地的な関係で秋田県にふ化場は置くことに大体両県知事の御協議ができたわけでございますが、事業といたしましては、両県の全く一緒になった共同のふ化事業というふうに持って参りたい、また、そういたしませんと、この目的を達することが、なかなかむずかしいというふうに考えるわけでございます。
  106. 横川正市

    横川正市君 これは内水のいわば開発といいますか、それとあわせて相当その需要からいけば、供給する方としてはもっともっと真剣に取り組まなければならない面が非常にたくさんあるのではないかと思うのですが、きょうの質問では、水産庁として的確なまだ方針とかあるいは具体的な方策を持っておらないようですが、私どもはその点をぜひ一つ検討されて内水でのいろいろなその条件等を克服された結果として、いずれの河川にも、いずれの湖にも、いつでも魚が泳いでいるような、そういう状態になるように私は努力すべきじゃないかと思うのです。そういうことで、その点を要望して私は質問を終わりたいと思います。
  107. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 内水面の漁業に関連してほんの一、二点お伺いしますが、現在水産庁あたり、北海道に対してはサケマス、ヒメマスのふ化とか、放流あるいは卵の配布、こういうことをやっておるわけですね。それと北海道以外の各部県に対してはヒメマス、ニジマスの施設費の補助、あるいは放流事業の補助、こういうようなことをやっておるわけですが、これは先ほど横川委員からも御指摘のあったように、このことは蛋白給源の補助というそういう立場から大へんけっこうなことだと思うわけです。そこでお伺いしておきたいのですが、これらの予算については、三十四年度はどの程度であったか、また新年度についてはどのくらい計上しておるのか、この点をお伺いしておきます。
  108. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 淡水魚の対策といたしましては、ここに問題になっておりますヒメマスにつきましては、支笏湖で国営でやっておるわけであります。それで十和田湖の今回の施設補助といたしまして四百七十五万円を出しますほかに、七月まで国営でやりまするので、三十万円ほどほかに計上をいたしております。それから次にニジマスでありまするがニジマスにつきましては、毎年県の施設に対して施設補助を行なって参っておりまして、二十数県に対しましてすでに県で施設はできておりまして、それに従来施設補助を行なっております。それで三十五年度におきましては、鹿児島県と島根県に対しまして。
  109. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 その年度のトータルでいいのです。今申し上げたような合計だけわかればいいのです。
  110. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 合計は、北海道の鮭鱒ふ化場なんかも入れますると、一億七千万円ほど淡水魚に対して支出しております。
  111. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それはいつですか。
  112. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 三十五年度の予算で要求しております。
  113. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 三十四年度は。
  114. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 三十四年度もそれくらいでございます。三十四年度はたしか一億五千万円くらいだったと思います。
  115. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうしますと、年間約、ふ化とか放流、卵の配布、あるいは各都県に対する補助、こういうもう一切がっさい年額内水面については大体一億五千万、そういうふうに了解してよろしいわけでございますね。
  116. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) その通りです。
  117. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうしますと、今申し上げたふ化とか放流、卵の配布補助、各都県に対する補助ですね。大体年額一億五千万円くらい。ずいぶんこの面について骨を折っておると思うのですが、全体の予算から見ると微々たるものですが、そこで一方では、そういうふうに予算を使って内水面の漁業の振興に努力をしておられる。ところが、一方これを破壊するものもあるわけでありますね。工場排水による、近ごろ問題のいわゆる水質汚濁とか、あるいはダムの建設、あるいはまた農薬が非常に発達してきたので、農村の小さな小川にも魚がほとんどいなくなったというような事実、こういうようなことで、一方では建設面に非常に努力をしておきながら、一方これを破壊する厚い壁があって、なかなか意にまかせない地区が相当あると思う。特に地区によってはほとんど漁族が絶えておる。そういうような面も出ておるわけですね。そこで、よほど水産庁としてもこの面の抜本的な対策を講じられないと、だんだん淡水魚については全滅していくのではないか、そういうことは憂慮にたえないと思います。特に山村とか農村の奥に行きますと、なかなかもって蛋白給源を得るということが困難です。そういうような意味合いから、この淡水魚の面こそ、非常に大事な一つの資源といわなければならぬこ思うのです。そういうような立場から、何とかこれは今のうちに抜本的な対策こそ必要ではなかろうかと、そういうふうに考えられるのですが、これを実際の面で、ただ通り一ぺんな対策でなくて、どの程度真剣に考えられておるのか、あるいは今のところまだ考えられておらないのか、そういう点を一つ率直にお聞かせいただきたいと思います。
  118. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) ただいまの御指摘の問題に関しまする法律といたしましては、昭和三十三年に作られました公共用水域の水質保全に関する法律、及び同じく三十三年の工場排水等の規制に関する法律、この二つの法律を軸として現在やっておるわけでございます。これは経済企画庁の所管でございますが、もちろん、私どもの非常に関係の深い問題でございますので、随時連絡協議いたしながら、現在万全を期しているわけでございますが、しかしこの問題は水質の調査一つを考えましても、なかなか漁民が思っているほど、早い時期に結果が出ない場合が非常に多いわけでございまして、従いまして、この二つの法律のあるにもかかりませず、御指摘のように各地においていろいろな紛争があり、また御指摘のように魚が減ってきている現象も確かにあるわけでございますので、私どもとしてはこの二つの法律に基づきながら、水質の保全とその改善に今後とも努力して参りたいというふうに考えるわけでございます。  なおつけ加えて御説明してみたいと思いまするのは、実はこの水質の問題だけではなくて、最近におきましては、ダムその他によることで、水面そのものは変わりませんが、今のままの形では、魚が川の上に上ることができないために、従ってダムより上流のところでは魚の影を見ることができないという地帯が相当ございます。この点は確かに尽くすべき手があるわけでありますから、私どもはそういう魚のすめる水につきましては、もちろんこれをむだにすることのないように、今後とも増殖その他の推進に進みたいという考えでございます。
  119. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 よくその面についてはわかりましたが、先ほど申し上げた一部としての農薬の進歩に伴って、ずいぶんこれが農村に普及されてきたわけですね。今まで私ども子供時代でよく記憶があるのですが、水田にコイやフナを入れて養魚をすると、これは水田の保温と非常に育ちがいい。一方田の虫を魚が食べてくれて、一挙両得の面で、盛んに奨励されたものなんですがね。ところが、最近農薬が非常に普及されてきたので、ほとんどそういう面が見られなくなったわけですが、そういうことに関連して何か、農薬がだんだん普及して、これが川に流れていく、そうするとその付近の川もほとんど魚がいなくなる、そういうような現実が次々にできておるわけなんですね。何かいい対策というものはないものなんですかね。
  120. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) この農薬の問題でございますが、御指摘のように、農薬の被害があったのではないかといわれるような数々の漁民側から出たいろいろな問題の提起がございます。しかしながら、まだほんとうに農薬かどうか、確認するのが、流れた水の、特に流れましたあとに現地に行くというような事態が非常に多うございます関係もありますが、なかなかその一確証が握られずに、いろいろな円満な紛争解決に役立たないという悩みはございます。しかしながら御指摘のように農薬が確かに影響するということは、少なくとも実験室的にははっきりいたしておるわけでございますので、現在この農薬、特にホリドールその他につきましてはどういう使い方をすれば農業にもよし、漁業にも比較的影響が少ないように済むかというようなことにつきまして、研究機関にこれを委託して調査を進めておるような段階でございまして、できるだけ早く何らかの結論を得た上で農業関係者にもホリードールその他の使い方について注意をしていただきたいような、そのような措置を私どもとしてお願いしてみたい、こう思っておる段階でございます。
  121. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  122. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を始めて。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑はこの程度にとどめます。
  123. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、国の防衛に関する調査議題とし、昭和三十五年度防衛庁関係予算について防衛庁長官より説明を聴取いたします。
  124. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 昭和三十五年度防衛本庁予算につきまして、その概要を御説明いたします。  昭和三十五年度の防衛本庁の歳出予算の総額は千四百八十五億五千一百万でありまして、これを昭和三十四年度の歳出予算額千三百六十億四千万円(当初予算)に比べますと、百二十五億千二百万円の増加となっております。このほか国庫債務負担行為として、航空機の購入について七百四十一億五百万円、器材の整備について百三十四億七千万円、施設の整備について十八億八千七百万円、弾薬の購入について七億二千九百万円、艦船の建造について十六億七千百万円、計九百十八億六千四百万円を計上し、さらに継続費として昭和三十五年度甲型警備艦建造費および潜水艦建造費を合わせて総額六十五億五千三百万円、うち昭和三十六年度以降の年割額五十六億八千四百万円を計上いたしております。なお、昭和三十四年度予算に計上された継続費、昭和三十四年度潜水艦建造費につきましては、建造計画の変更に伴って建造費の一部を後年度に繰り延べるため、年割額を改訂することといたしております。  また、職員の定数につきましては、防衛本庁の昭和三十五年度の予算上の職員定数は、自衛官二十三万八千三百五十一人、自衛官以外の職員二万四千八百五十四人、計二十六万三千二百五人でありまして、これを昭和三十四年度の予算上の職員定数に比べますと、自衛官において七千四百十六人、自衛官以外の職員において九百八十九人、計八千四百五人の増加となっております。  次に、予算案の内容について申し上げます。  まず、基本方針といたしまして、三十五年度予算は、現防衛力整備計画の最終年度としての所要の整理を行なうとともに、業務運営の結果を分析検討し三自衛隊内に存する跛行の是正を行ない、防衛力の総合的発展に努める等の措置を講じており、特に以下の諸点に留意いたしております。すなわち前年度に引き続き、さらに由衛隊の装備の近代化及び質的強化を促進するとともに制度上または連隊上、隊務の能率化をはかっております。  次に、右の近代化に備え、幹部教育、航空機及び潜水艦要員等の養成を重点的に実施するほか、技術幹部については技術貸費学生の制度を新設し、また、将来対空誘導部隊を育成するためその要員を米国に派遣することとしております。  次に、三自衛隊の統合運用の基盤を造成するため統合幕僚会議の機能を強化し、統合幕僚学校を新設することといたしております。その他施設部隊、ヘリコプターを増強する等民生面に対する協力を推進することとしております。  以下、組織別に予算内容につき申し上げます。  陸上自衛隊につきましては、歳出予算におきまして、六百四十六億四千六百万円、国庫債務負担行為におきまして、二十五億七千六百万円となっており職員定数におきまして自衛官十七万千五百人、自衛官以外の職員一万三千四百五人計十八万四千九百五人となっております。  その主要な内容につき申し上げますと、自衛官千五百人を増員し、地区施設隊、建設大隊および施設大隊の新編を行ない、また、前年度に引き続き第七混成団の機甲化を推進し、更に弾薬の調達を行なう等その質的増強をはかっております。  海上自衛隊につきましては、歳出予算におきまして、三百六十五億九千二百万円、国庫債務負担行為におきまして、五十六億五千六百万円、継続費におきましては冒頭に申し上げた通りであり、職員定数におきまして自衛官三万六十八人、自衛官以外の職員三千百六人、計三万三千百七十四人となっております。  その主要な内容につき申し上げますと、まず海上及び航空部隊の緊密な連絡をはかり、空水協同訓練を強化するため自衛艦隊の改編を行なうこととしその他、三十五年度就役艦の海上員、後方補給、教育、および航空機の増強に伴う要員確保等のため自衛官二千四百一人、自衛官以外の職員三百五十一人を増加しております。  次に、艦船につきましては、特に対潜および対空能力強化に重点を置き甲型警備艦一隻、二千六百トン、潜水艦二隻、千五百六十トン、中型掃海艇二隻、給油艦一隻、高速魚雷艇一隻、合計八千四百六十トンのほか、米国より高速救命艇四隻、揚陸艇十三隻、合計十七隻、四百六トンの供与を受け、総計八千八百六十六トンの増加を予定しております。この計画が実現いたしました暁におきましては、保有艦艇は、四百五十二隻、十三万六千三百三十八トンとなる予定であります。また昭和三十五年度中に増加する航空機として、米国から水陸両用救難機六機の供与を期待するとともに、昭和三十三年度より国内生産を開始いたしましたP2V対港晴戒機十機の購入のほかにヘリコプター六機を購入することにしておりますので、これらにより昭和三十五年度末の海上自衛隊の保有航空機は二百十七機となります。  航空自衛隊につきましては、歳出予算におきまして、四百二十六億八千三百万円、国庫債務負担行為におきまして八百二十八億六千七百万円となっており、職員定数におきまして、自衛官三万六千七百十人、自衛官以外の職員四千八百九十八人、計四万千六百八人となっております。その主要な内容につき申し上げますと、まず防空能力等を強化し、各航空団の配置と指揮機能の適性化をはかり、警戒管制機能の全面引き継ぎと相まって、全国防空警戒態勢の基盤を概成するため、第六航空団の新設並びに西部航空方面隊および保安管制気象団の新編等に要する自衛官三千四百八十六人、自衛官以外の職員五百十四人、計四千人を増員することといたしております。  次に、航空機につきましては、実用機について前年度に引き続き、F86F—四十三機並びにヘリコプター六機を購入するとともに、ジェット練習機について前年度に引き続き二十機を生産するほか、米国より実用機F86D六十二機の供与を受けるので従来の保有機数とあわせ、昭和三十五年度末の航空機総数は実用機五百五十五機、練習機五百五十八機、実験機二機、計千百十五機を保有することとなります。このほかに実用機F104J百八十機、練習機F104DJ二十機の生産に必要な経費として国庫債務負担行為六百九十八億五百万円を計上いたしております。  内局、統合幕僚会議および附属機関につきましては、歳出予算におきまして、四十六億二千九百万円、国庫債務負担行為におきまして、七億六千四百万円となっており、職員定数におきまして、自衛官七十三人、自衛官以外の職員三千四百四十五人となっております。  その主要な内容につきまして申し上げますと、統合幕僚会議におきましては冒頭に申し上げましたとおり、統合幕僚学校の新設を行ない、また、技術研究本部におきましては、科学技術の進歩に即応して研究開発の充実促進をはかっております。その他、附属機関におきまして所要の職員を増員し、合せて百五十四人の増員を行なっております。  以上をもちまして防衛庁予算の概略の説明を終わります。
  125. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で説明を終了いたしました。本件に対する質疑は、後日に譲ります。
  126. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 資料を二つ要求いたします。それは防衛本庁の国庫債務負担行為ですが、航空機購入に始まって艦船建造に終わる九百十八億六千四百万円が計上されておりますが、後刻それの説明があると思いますが、それに対する防衛庁予算要求案の大要なるものの中に、国庫債務負担行為として概略書いてありますが、これでわかりませんので、もう少し細分化した国庫債務負担行為の内容資料としてプリントして出していただきたいとれが一つ。  それからもう一つは、約六百九十八億円に上るF104Jの日米共同生産に伴う交換公文の件に関してですが、かつてF86F、T33A、PTV、これらをMSA援助のもとに日米共同生産をやってきて、現在やりつつあるわけですが、その後共同生産計画をきめたときの交換公文、それをプリントして資料として出していただきたい。  なおそれに関連してですが、F104J、これの日米共同生産に伴う交換公文の調印は終わったのか、終わらないのか、それだけは答えておいていただきたい。それから先ほど申し上げました二つは資料としてできるだけ早く出していただきたい、お願いいたします。
  127. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  128. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  129. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) F104Jの交換公文はまだ調印してありません。近日中に調印する予定でございます。まだ未了であります。
  130. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 資料要求の件はよろしゅうございますね。
  131. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 最初に御要求がありました国庫債務負担行為の内訳については了承いたしました。  それから第二点の、86F、T33、PTVについての交換公文につきましては、要点を摘記して御提出申し上げることになろうかと思います。
  132. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 できるだけ資料として本文を出していただきたい。
  133. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 十分研究をした上でできるだけのことはしたいと思っております。
  134. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましてはすでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより本案の質疑に入ります。政府側出席方々は、大野政務次官、斎藤農林大臣官房長、和田農林大臣官房文書課長、以上の方々であります。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  135. 村山道雄

    村山道雄君 大野政務次官にお伺いをいたしたいのであります。貿易の自由化に伴いまして、農業方面にどういう影響があるかということにつきまして、世上ではいろいろと論議をされておりまするし、耕作農家でこの問題につきまして非常に不安に陥っておる向きもございまするので、政府の基本的な御方針についてこの際明らかにしていただきたいと考える次第でございます。  第一の点は、米、麦等の主食に関してでございまするが、これは現在主食は管理制度にもあるわけでございまするし、容易に貿易自由化の中に入るべきものではない、外国の安い食糧、農産物が入ってきて、そのために現在の主食の耕作者が脅威を受けないということは私はあり得ないと考えるのでありまするが、この点につきましての政府の考えを明らかにいたしていただきたいと存じます。  第二の点は、大豆についてでございます。これは米麦等の主食とは事情も違っておると考えるのでございますが、やはり主要農産物であります。従いまして、大豆等につきましての貿易の自由化が行なわれるというような際におきましては、政府としては十分にこれに対する事前措置を講じた上で実施さるべきものである、私はさように考えておるのでありまするが、この点につきましても、政府の基本的な御方針をできるだけ明確にしていただきたいと存じます。
  136. 大野市郎

    政府委員(大野市郎君) ただいま御質疑のございました貿易の自由化に伴いまする農業関係の不安の問題を、御質疑をいただいたのでございますが、政府といたしましては、特に農林省といたしましては、農村の現在の実態からいたしまして、なかなか手放しで一人歩きをできる形の概念的な自由化というものが取り入れがたい部面が多々ございます。世界の各国の行き方を見ましても、貿易自由化と申しながら、幾つかの種類に対しましては、強力なる保護政策をとっておるのは御承知通りでございます。従いまして、農林省といたしましては、諸般の事情を十二分に検討いたしまして、農業の保護政策を実施せねばならぬその産業の実体からいたしまして、慎重の上にも慎重でなければならぬと主張して参ったのでございます。ただ、貿易の自由化ということが農業自体にとっても全部マイナスかと申しますとそうばかりは言えない点がございまして、その点、農業自体にとっても、プラスの面が自由化によって生じて参ることもわれわれは認めるにやぶさかではないのでございます。同時に、今度は、国全体としていわゆる日本の輸出品を自由に売りさばくというような見地から、この自由化の声が、非常に強く閣内にも主張する向きがございます。また、私どももその主張は正しい根拠があると思います。そのようなわけで、貿易自由化と農業の調整の問題は非常につらい苦しい現実でございます。ただいま申し上げましたような基本の線がからみ合いながら進んでおる現状でございますので、政府の基本方針として、ガットの規約などもありまして、国際貿易の収支がある程度の均衡以上に外貨の蓄積ができますと、これを国際通貨基金の問題で、諸国から要求されるような、そういう実態でございます。西ドイツ、イタリアのような形で実はそれらの農産物に対してまで相当強い要請が行なわれるであろうという予測がございます。現に、御承知通り政府からもジュネーブに参りまして、この問題の前哨戦が始まっておる。このようなわけでありますが、ただいま御指摘のございました米麦につきましては、明確にすでに農林大臣も本会議その他において申し上げておると思いますが、食糧管理制度の現在存続せねばならぬ国内の諸情勢でございますから、米麦については、三年間で自由化云々ということを言っておられますけれども、米麦についてはそういうわけに相ならぬと、はっきりした態度を堅持しております。  それから大豆につきましては、実は十月をめどとして自由化に踏み切るというような、そういう意思を持って実は閣僚懇談会などでも話が出ておるのは事実でございます。この点については野放しでできないのでございまして、御承知通りに、大豆が国内では、いわゆる、四十万トン取れる。その二十万トンが流通に回る。あとは、百万トン以上のものが現在外国から入っておりまして、今日でも実はそのいわゆる絶対量の差がはなはだしいことと、それから価格面で大へんなやはり値開きが、トン一万円以上の値開きが出ますので、今日でもああいう形でFAで、国内の大豆の価格維持、ひいては大体あれは東北以北の寒冷地が主体でございますが、寒冷地農業の振興の上からいきましても、重大な問題でありますために、この問題に対して外貨の割当をしながら価格維持をはかり今日に至ったのでございます。今回もその意味で野放しに入れたのでは、内地産は価格の面で品質は多少違いますが、競争がとうていできない現状でございますから、御承知通りに瞬間タッチあるいは現在行なっております関税のワクの中で政府が方法をしたらよかろうという議論も閣内にございます。その実際とり行なう処置につきまして今日決定をみておりませんが、いずれにいたしましても、今の寒冷地農業の保護として大豆の占める地位、それから、同じことで、内地で蛋白資源の食べ物を畑で作るということは重要な国策でございますので、安いから外国のものと取りかえればいいとばかり言いきれません、食物の問題であります。そのようなことで、大豆の増産に対する品質の改良あるいは土壌の改良、あるいは線虫の駆除というようなことで、幾つかの施策を掲げまして準備をしておったのでございます。たまたま、非常に早いテンポで宙由化の声が迫りましたので、何とか国内産大豆の価格が急激に下落をしないで、その間、安い外国産大豆が流入しても持ちこたえられるような方法を講ぜねば自由化ができない状況でございます。従って今日、十月めどと一応新聞その他にも出ておるのでございますが、ただいま今日の状況では、その実施の時期自身、確定的と申し上げるわけにいかない状況でございます。諸般の問題を調整中でございますが、御心配の農作物のうちで米麦、それから砂糖、それから酪農品に対しましては、明確になかなか踏み切れないということを明らかにしておりますが、大豆については、それよりは何とか対策を講じつつ自由化に踏み切りたいという形で政策の進んでおるのは事実でございます。  ただいま申しました増産対策、品質改良、同時に価格支持政策というものを取り入れて万全を期したいと存じておる次第でございますが、ぜひ御理解をいただいて、その意味合いにおいての御支持をいただきたいと思う次第でございます。
  137. 村山道雄

    村山道雄君 ただいまの大野政務次官の御説明は十分了承いたしましたが、一つ政府部内におかれましてもただいま仰せになりました貿易自由化によるところの耕作農家に対する悪い影響をなくするために、十分積極的に御努力いただきますように要望いたしまして私の質問を終わります。
  138. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止]
  139. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を始めて。他に御発言がなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十九分散会