○
国務大臣(赤城
宗徳君)
昭和三十五年度防衛本庁
予算につきまして、その概要を御
説明いたします。
昭和三十五年度の防衛本庁の歳出
予算の総額は千四百八十五億五千一百万でありまして、これを
昭和三十四年度の歳出
予算額千三百六十億四千万円(当初
予算)に比べますと、百二十五億千二百万円の増加となっております。このほか国庫債務負担行為として、航空機の購入について七百四十一億五百万円、器材の整備について百三十四億七千万円、施設の整備について十八億八千七百万円、弾薬の購入について七億二千九百万円、艦船の建造について十六億七千百万円、計九百十八億六千四百万円を計上し、さらに継続費として
昭和三十五年度甲型警備艦建造費および潜水艦建造費を合わせて総額六十五億五千三百万円、うち
昭和三十六年度以降の年割額五十六億八千四百万円を計上いたしております。なお、
昭和三十四年度
予算に計上された継続費、
昭和三十四年度潜水艦建造費につきましては、建造
計画の変更に伴って建造費の一部を後年度に繰り延べるため、年割額を改訂することといたしております。
また、職員の定数につきましては、防衛本庁の
昭和三十五年度の
予算上の職員定数は、自衛官二十三万八千三百五十一人、自衛官以外の職員二万四千八百五十四人、計二十六万三千二百五人でありまして、これを
昭和三十四年度の
予算上の職員定数に比べますと、自衛官において七千四百十六人、自衛官以外の職員において九百八十九人、計八千四百五人の増加となっております。
次に、
予算案の
内容について申し上げます。
まず、基本方針といたしまして、三十五年度
予算は、現防衛力整備
計画の最終年度としての所要の
整理を行なうとともに、
業務運営の結果を分析検討し三自衛隊内に存する跛行の是正を行ない、防衛力の総合的発展に努める等の措置を講じており、特に以下の諸点に留意いたしております。すなわち前年度に引き続き、さらに由衛隊の装備の近代化及び質的強化を促進するとともに
制度上または連隊上、隊務の能率化をはかっております。
次に、右の近代化に備え、幹部教育、航空機及び潜水艦要員等の養成を重点的に実施するほか、技術幹部については技術貸費学生の
制度を新設し、また、将来対空誘導部隊を育成するためその要員を米国に派遣することとしております。
次に、三自衛隊の統合運用の基盤を造成するため統合幕僚
会議の機能を強化し、統合幕僚学校を新設することといたしております。その他施設部隊、ヘリコプターを増強する等民生面に対する協力を
推進することとしております。
以下、
組織別に
予算の
内容につき申し上げます。
陸上自衛隊につきましては、歳出
予算におきまして、六百四十六億四千六百万円、国庫債務負担行為におきまして、二十五億七千六百万円となっており職員定数におきまして自衛官十七万千五百人、自衛官以外の職員一万三千四百五人計十八万四千九百五人となっております。
その主要な
内容につき申し上げますと、自衛官千五百人を増員し、地区施設隊、建設大隊および施設大隊の新編を行ない、また、前年度に引き続き第七混成団の機甲化を
推進し、更に弾薬の調達を行なう等その質的増強をはかっております。
海上自衛隊につきましては、歳出
予算におきまして、三百六十五億九千二百万円、国庫債務負担行為におきまして、五十六億五千六百万円、継続費におきましては冒頭に申し上げた
通りであり、職員定数におきまして自衛官三万六十八人、自衛官以外の職員三千百六人、計三万三千百七十四人となっております。
その主要な
内容につき申し上げますと、まず海上及び航空部隊の緊密な連絡をはかり、空水協同訓練を強化するため自衛艦隊の改編を行なうこととしその他、三十五年度就役艦の海上員、後方補給、教育、および航空機の増強に伴う要員確保等のため自衛官二千四百一人、自衛官以外の職員三百五十一人を増加しております。
次に、艦船につきましては、特に対潜および対空能力強化に重点を置き甲型警備艦一隻、二千六百トン、潜水艦二隻、千五百六十トン、中型掃海艇二隻、給油艦一隻、高速魚雷艇一隻、合計八千四百六十トンのほか、米国より高速救命艇四隻、揚陸艇十三隻、合計十七隻、四百六トンの供与を受け、総計八千八百六十六トンの増加を
予定しております。この
計画が実現いたしました暁におきましては、保有艦艇は、四百五十二隻、十三万六千三百三十八トンとなる
予定であります。また
昭和三十五年度中に増加する航空機として、米国から水陸両用救難機六機の供与を期待するとともに、
昭和三十三年度より国内生産を開始いたしましたP2V対港晴戒機十機の購入のほかにヘリコプター六機を購入することにしておりますので、これらにより
昭和三十五年度末の海上自衛隊の保有航空機は二百十七機となります。
航空自衛隊につきましては、歳出
予算におきまして、四百二十六億八千三百万円、国庫債務負担行為におきまして八百二十八億六千七百万円となっており、職員定数におきまして、自衛官三万六千七百十人、自衛官以外の職員四千八百九十八人、計四万千六百八人となっております。その主要な
内容につき申し上げますと、まず防空能力等を強化し、各航空団の配置と指揮機能の適性化をはかり、警戒管制機能の全面引き継ぎと相まって、全国防空警戒
態勢の基盤を概成するため、第六航空団の新設並びに西部航空
方面隊および保安管制気象団の新編等に要する自衛官三千四百八十六人、自衛官以外の職員五百十四人、計四千人を増員することといたしております。
次に、航空機につきましては、実用機について前年度に引き続き、F86F—四十三機並びにヘリコプター六機を購入するとともに、ジェット練習機について前年度に引き続き二十機を生産するほか、米国より実用機F86D六十二機の供与を受けるので従来の保有機数とあわせ、
昭和三十五年度末の航空機総数は実用機五百五十五機、練習機五百五十八機、実験機二機、計千百十五機を保有することとなります。このほかに実用機F104J百八十機、練習機F104DJ二十機の生産に必要な経費として国庫債務負担行為六百九十八億五百万円を計上いたしております。
内局、統合幕僚
会議および
附属機関につきましては、歳出
予算におきまして、四十六億二千九百万円、国庫債務負担行為におきまして、七億六千四百万円となっており、職員定数におきまして、自衛官七十三人、自衛官以外の職員三千四百四十五人となっております。
その主要な
内容につきまして申し上げますと、統合幕僚
会議におきましては冒頭に申し上げましたとおり、統合幕僚学校の新設を行ない、また、技術研究本部におきましては、科学技術の進歩に即応して研究開発の
充実促進をはかっております。その他、
附属機関におきまして所要の職員を増員し、合せて百五十四人の増員を行なっております。
以上をもちまして防衛庁
予算の概略の
説明を終わります。