○山田節男君 時間が制約されておりますので少し飛び飛びになりますが、今の問題に関連して、これは郵政当局なり
電電公社の当局が特に
考えなければならないことは、先ほども五年前と現在では国際
金融市場の主体的
条件が非常に変わっているということは、これは最近三十名近くの投資団が来ておりますが、貿易・為替の自由化という問題は、これは非常に
金融市場というものが変わってきている大きな原因をなしているわけです。と申しますのは、
日本が今日まで財政上また外貨を節約するというような建前で、
外国の投資に対してたとえば配当金を送金するとか、その他非常に制約されていたわけです。ところが貿易・為替の
市場で自由化ということが進展してきた。一面においてはどこでも有利なところで債券も
発行でき、また外貨の
借款もできるのじゃないか。そのかわり国際的な競争が非常に激しくなってくるのじゃないか、一方では非常に自由だけれども、それがために従来とは違って、こういう
特定の
世銀というふうなものならよろしゅうございますけれども、そうでない場合から
金融を
獲得しようというふうな場合に、これは従来よりももっと一そう競争が激甚になるがために苦労しなければならない点が出てくると思います。これは当然のことでありまして、たとえば弾丸道路の建設の
借款につきましても、今来日している投資団が非常に詳細な
調査をしておる、国鉄の弾丸列車の場合を見てもそうなんです。ですから、
電電公社としてこういう
法律を改正した場合に、非常に自由な建前で外貨を
獲得するということはいいのですが、主体
条件が数年前と今日では非常に変わってきておるということなんです。これは
法律には直接
関係はありませんが、こういう
法律を一応通して
あとのいわゆる
電電公社を主体とする
借款、
外資導入ということがはたして今のようなやり方で予期の効果を上げることができるかどうか、これは非常に私は不安に思わざるを得ないのであります。そういう点で、先ほど
永岡君からも指摘がありましたように、これはわずか三百億、本年七十二億、二千万ドルと言われますが、私はむしろこれは
ひもつきのない
外資導入であれば、これは
導入して、しかも生産的な
事業なら大いにやりたい、これは国際的見地から見れば当然なことだと思うのです。そこには政治的な
一つの取引といいますか、まじりがない
外資の
導入、これは今日各国やっておるのですから、そういう狭いことではとても
日本の
事業は伸びることはできない。そういうことですから、先ほど来申しあげましたPRの問題、善意のPRの問題、これは
電電公社ばかりではありません、他の
日本の大産業が一番欠けておるのはPRの問題、これは単に金を借りるだけの問題じゃないのです。
日本の国威といいますか、
日本の産業の後進国でないということを示すためのPRがしみ渡ってきて、おのずからそこにクレジットというものができるわけですから、こういう点は、私は土台を作るのはいいが、土台を作ってから
あとの債券を
発行して
外資を
導入する場合に十分
考えなければならない。これは、当局も十分私は認識されていることだろうと思う。その方向としては、これは戦前のような
大蔵省の財務官という制度は今日ありませんが、大公使館にはいわゆる財政
金融のアタッシェがいるから、これは常時、
調査研究をしているし、またそれがためにこういう方面のシンジケートの幹部と会う機会もたびたびあるから、
日本電電公社というもののPRのエレメントをそこに突っ込んでいくということがなくてはならぬ。そうしてさらにたとえば
ニューヨーク市場なんか、かりに
ニューヨークだけでも、
電電公社はそれがための
一つのアタッシェというものがなければ、
一つの出張員でもいいから、そういう素地を作ることを並行してやりませんと、向うが幾らいいと思っても、シンジケートの一員だけで話をしただけでは応じてくれない。そのデリケートな点が第一次の
外資導入の場合においても足りなかった。しかも、先ほど申し上げましたように、今日の国際
市場は貿易・為替の自由化のために全く自由競争……相手の
信用次第でどこでもいいかわりにシビアな
調査と、その結果の見込みを立てなければ一ドルでも出さないのですから、そういう現実の問題を十分用意されないと、せっかくこういう
法律が
通りましても、予期の効果が上がらぬのじゃないか、私はかように
考えるわけです。時間が何だそうですから、これで一応打ち切ります。