運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-04-19 第34回国会 参議院 逓信委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十九日(火曜日)    午前十一時十八分開会   —————————————   委員の異動 本日委員手島栄君及び野田俊作君辞任 につき、その補欠として佐野廣君及び 谷口慶吉君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     柴田  栄君    理事            鈴木 恭一君            松平 勇雄君            森中 守義君    委員            黒川 武雄君            新谷寅三郎君            佐野  廣君            谷口 慶吉君            寺尾  豊君            最上 英子君            谷村 貞治君            安井  謙君            久保  等君            鈴木  強君            野上  元君            光村 甚助君            山田 節男君   国務大臣    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    郵 政 大 臣 植竹 春彦君   政府委員    大蔵省理財局長 西原 直廉君    郵政省電気通信    監理官     松田 英一君    郵政省電気通信    監理官     岩元  巌君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    日本電信電話公    社総裁     大橋 八郎君    日本電信電話公    社計画局長   伊藤  誠君    日本電信電話公    社経理局長   山本 英也君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○電信電話設備拡充のための暫定措  置に関する法律案内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより開会いたします。  電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案を議題といたします。  前回に引き続いて質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 久保等

    久保等君 あまり時間もないようですから、できるだけ簡潔に質問をいたして参りたいと思います。  今回、国会提案をせられておりまする電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案、これは十三カ年の施行期間を持っている法案のようですが、法案の中にうたわれております「この法律は、昭和四十八年三月三十一日までに廃止するものとする。」というふうに附則の中でうたわれております。従ってこれから十三カ年間の途中であるいは打ち切られるかもしれないといったような法案内容になっておるのですが、途中でこの法案を廃止するといったような事態予想しておられるのですか。公社当局の方にお尋ねした方がいいと思いますが、御答弁を願いたいと思いますが……。
  4. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) この法案は私どもの考えております電信電話拡充計画見通しによりますと、一応十三年先までかかってその目的が達せられる、こういう一応の見通しになっておりますので、従いまして、十三年ということを予定したのでありますが、しかし、その後の業績のいかんによりましては、十三年を待たずしてあるいはこの法律を適用しなくてもいい事態が生じますれば、そのときにはあるいはこれを廃止することもあり得る、こういう趣旨でございます。
  5. 久保等

    久保等君 できればその期間を縮めてこの法律案を必要としないような状態になることが好ましいし、またそういう方向努力をしたいというようなただいま御趣旨であったと思うわけです。もちろん、そういう方向でぜひ御努力を願いたいと思うのです。従って、そういうことになりますると、長くて十三年、従ってこの法律案がさらにまた、暫定措置法ではあるけれども期間を延長するというようなことは、これは当然この法文表現から見ましても、あり得ないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  6. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいま私どもの考えておりますのは御趣旨通りであります。ただし、経済界情勢なりあるいは一般の社会情勢なりによりまして、その私どもの考えておることが予定通りに運ばないとか、あるいは予定以上にいろいろな事態が生ずるようになりますれば、そのときはまたこれが延長する、あるいはこれを廃止してまた新しい何らかの別途の方法を講じなければならぬという事態が絶対にこないとは断言はいたしかねるのであります。今私どもとしては、まずこれで大体やっていける見込みを持って計画をいたしておるわけであります。
  7. 久保等

    久保等君 まあそういう御答弁だこ、これまた多少どうも疑念を持たざるを得ないと思うのです。十三年という期間は、これはまあいろいろ私意見もあるわけですし、特に暫定措置法という形で出されております法案としては、非常に期間としては最大限の長い私は法案じゃないかと思うのです。すでに従来、今日現行の負担法という法律があるわけですが、この法律が明年の三月三十一日で切れる、そういう状態の中で、今回暫定措置法案というものが出されて参っておるのですが、従来からの負担法経緯等から考えてみても、さらにそれに継ぎ足した十三カ年の暫定措置法案をここに提案しておって、その暫定措置法案が事と次第によったらまた期間があるいは延長されるかもしれぬというような御答弁では、私は負担法もこれは臨時負担法というようなことになっておるのですが、臨時やら暫定やら、またその暫定も将来十三カ年後においてもあるいは延長するかもしれぬというようなことでは、これはきわめて私提案根拠というものがどうも確信がないようなふりにしか理解できないのです。従って、十三年後あるいはまた経済界情勢いかんによっては延長するかもしれぬというようなことでは、ちょっと納帯いたしかねるのです。いろいろ負担法審議の際、あるいは負担法期間延長にからんでの論議あるいはまた決蔵、こういったような趣旨から考え、今回出された十三カ年計画というもの、この十三カ年の暫定措置法というものについて、もう少し確たる私はやはり自信のある提案の仕方をしていただかないと、非常にわれわれとしても何か不安な気持がいたすのですか、もちろん十三年後、神ならぬ身の絶対ということは言えないかもしれぬですが、しかし提案にあたって、あるいは暫定措置法が十三カ年がさらに延びるかもしれぬというようなことが、少なくともやはり予想せられながら出されるということになってくると、私はこれは非常に問題だと思うのです。従ってもう少しはっきりした一つ御見解を承っておきたいと思うのです。
  8. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 私どもは決して十三年先延ばすだろうということを予想しているわけでは毛頭ございません。ただいま御指摘のように、私どもは私どもなりに、十三年間にはこれは完遂していけるという、その信念のもとに出しておるのでありますけれども、しかし万一の場合にはさような場合も全然予想されないわけではない。世の中のことでありますから十三年先——十年一昔といいますから、これは先の長いことでありますから、そういう先の先まで絶対的にこうだということは言いかねるということを申し上げておるのでありまして、決して今私ども計画として、そういう全然信念なしということで出しておるわけでは毛頭ございません。
  9. 久保等

    久保等君 私はそれなら、そういう十三カ年間なんとかいう半端じゃなくて、あるいは十三カ年という長期にわたらないで、もう少の見通しがはっきりする程度暫定措置法というものをお出しになった方がむしろいいじゃないか。十三年というのは非常に私は例外とも思われるほど、暫定措置法というには非常に長過ぎる期間だと思うのです。従ってそんな将来のことはわからないというのであるならば、もう少しはっきりわかる、たとえばまあ第二次五ヵ年計画の遂行途中ですから、第二次五ヵ年計画とさらにもう一期の第三次五ヵ年計画、すなわち通算すれば八カ年ぐらいの暫定措置法というような形で出されるならば、これはまた多少考え方も違ってくるように思うのですが、十三カ年という長期計画をここにはっきり出されるからには、少なくともここで予想せられるということは、私は少なくとも言われることはちょっと計画としてずさんだと思うということにならざるを得ないと思うのです。まあそのときになってどういう結果になるか、それはもちろん予想できないが、そういう場合も予想せられるという予想の中に、十三カ年後にこの暫定措置法期間延長をせなければならぬ場合があるかもしれぬという予想が若干でもあるとするなら、私は暫定措置法として十三カ年の有効期間として出されておること自体が少しおかしくなってくるのではないか。予想せられるのですか、若干はそういったことが……。
  10. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) いや、ただいま御指摘のごとく、予想しておるわけではございません。私どもの考えとしては、十三年間にこれを完遂するつもりでかかっておるのであります。しかしながら、御承知のように始終世界が進歩し、また激変していく世の中でありますから、十三年先に至っては絶対にという意味言葉を使えないということを申し上げておるわけでありまして、現在はそういうことを予想しておるかとおっしゃれば、私としては決して予想しておるわけではございません。
  11. 久保等

    久保等君 ですから、今の御答弁も私、しかしながらという、しかしながら以下は一つ御遠慮願いたいと思うのです。むしろこの法律建前からいけば、十三カ年内にとにかくむしろ打ち切るように建前としては考えておるし、ぜひそういう方向努力したい。それからまあ長くなると、この法案に規定しておるように十三カ年かかるかもしれない。むしろ実施する途中でこの法案が不必要になるように努力したいのだ。こういう説明程度で伺っておかぬと、その先まで出されて、しかも暫定措置法という名前で出されたのでは、これはちょっと私やはり了解しがたいのですが、従って話というよりも、法案を出された立場というものは、やっぱり明快にしてもらわぬと、十三カ年というものはいいかげんな不確定なものなら、期限をむしろ切らぬ方がすっきりしておる。十三カ年というものをやっぱり出したからには、明確な態度を御説明願わぬと、私はちょっと納得しかねるのですが、総裁いかがですか。
  12. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) これはかつて御説明申し上げたかと思いますが、第二次五カ年計画設定の際の終局目的というものの、大体三つもしくは四つの終局目的立てたわけであります。第一の目的は、御承知通り現在相当たくさんの積滞数がありますが、これを何とか早く、できるだけ早くこの積滞を一掃して、申し込んだ年のうちの申し込みは、その年のうちに全部片づけるという事態を持ち来たす必要があろう。しかしながら、これも財源その他の関係で、三年、五年のうちにはとうていやり得ないのでありますから、これは第二次五カ年計画設定の際は、十五年先の昭和四十七年の終わりまでにそれを遂行したい。まあこれは私どもから見れば、比較的堅実に考えてそういうふうな計画立てたことと考えておったのであります。またいま一つは、市外通話が当時ほとんど全部待時通話即時通話がなかった。これらの状態は、電話の使命からいって、まことに不健全な状態であるから、これもできるだけ早く全国津々浦々まで即時通話ができるようにしなければならぬ。これも三年、五年ではなかなか一挙にできませんから、これも十五年先の四十七年度の終わりまでにこの目的を達したい。いま一つ電話交換が、当時は自動交換が割合に少ないのでありましてこれもできるだけ早く全部自動交換に改めたい。そこでこれもやはりただいま申しました十五カ年先の昭和四十七年度の終わりまでにこれを実行いたしたい。大体かような目的のもとに当時第二次五カ年計画設定されたのであります。このたび五カ年計画を改訂いたしました際も、その目標はやはり依然として堅持してやっていこう、こういうことでありますので、そこで四十七年度という目標がそこに現われた、その結果が、この法案についても十三年先ということになったわけでありまして、私どもといたしましては、第二次五カ年計画設定の際も、また今度の改訂の際も、同じく昭和四十七年度の終わりということを目標として進んでおるわけでありまして、おそくともそれまでにはぜひその目的を完遂したい、かような考え方で進んでおるわけであります。ただ、絶対にお前その確信があるかと、こう言われますと、これはもう神ならぬ身の、十三年先をそう必ず絶対と言われると、そうは申し上げかねるということを言っただけでありまして、もしそれが信念がないということを仰せになるならば、その言葉を取り消してもよろしゅうございます。そう強い意味で申し上げたのじゃ毛頭ございません。
  13. 久保等

    久保等君 まあ、絶対という聞き方をしたのが、あるいはきつ過ぎたのかもしれませんが、しかし、やはりこの法案は十三年という区切ったその考え方からするならば、これはやはり明確に私御答弁をいただかなければならぬと思うのです。そうでなければ、私時間があれば、この十三年というものについても、十分に徹底的に実は質疑をしてお伺いしなければならぬと思っておるのですが、まあ、あまり突っ込んだ論議をするほどの時間もないようですから、十三年というまとめた形で私申し上げておるのですが、本来画定措置法として十三カ年というのは、私は期間が長過ぎると思うのです。もし今言ったように十三年ということについて必ずしも自信がないとするならば、暫定措置法期間をむしろはっきりできないものなら、むしろしない形で出すという形にすべきだと思う。十三カ年というものは暫定指貫法としては、ほんとうにもう許し得る最高限度、あるいは最高限度を若干……。こういう法律案はあまりほかに例がないと思う。衆議院答弁でも、何かほかに若干前例がないことはない、暫定措置法として十年以上経過している法律案がないでもないようでありますが、しかしこういった法案とは性格がだいぶ違うようであります。特に国民大衆に何らかの負担を及ぼすような法律で、暫定措置法という名前を使い、あるいは臨時措置法という名前を使って十年以上になるような法律案はないようであります。従って名前でもって暫定措置法だとか臨時措置法だといいながら、実質的にはきわめて長期にわたって、その法律案によって国民に対して一つ負担をかけるというような法制度は、やはり私は避けるべきだと思うのです。まあそういう考え方から、十三カ年という工合に明示をされておるからには、しかも法文の上では十三カ年のうちにできるだけ早い機会に廃止をするのだというような表現になっておりまするから、まあそれはそのまま正真正銘私は受け取りたいと思います。ところが十三カ年たったらどうなるかという突っ込んだ質問になると、それはまたあるいはというような御答弁がありますると、それならば十三カ年ということについても再検討をしなければならぬということにもなってくるわけであります。従ってやはりあくまでも総裁のこの法案に対する御所信なり、あるいは考え方としては、法案に示しておる通り、むしろ短きをもって好ましいということでございまするから、できる限りこういう暫定措置法が不用になるような状態に持って参りたい。しかしやはり結果的には最も長い十三年ということになるかもしらぬけれども努力はさらにこれを縮めたいというところにあるのだというやはり明快な御答弁一つ伺っておきたいと思うのです。
  14. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) これは衆議院委員会でありましたか、特に法制局の方に当時出席を願って、質疑応答があったのでありますが、そのときの法制局説明によりましても、こういうやり方にはいろいろのやり方がありますので、当分のうちと書くやり方もある。それからあるいは先ほどのお話のように、三年なり五年なりに区切って、そのつど更新していくというやり方もある。しかしまあこの電信電話拡充につきましては、先ほど申し上げましたような一応の目標立て計画を考えておるのであるから、むしろ明確に示した方がよろしいのじゃなかろうかということで、ああいうふうに定まったように聞いております。私どもとしては、ただいま御指摘のように、十三年間は最長十三年間、できるだけそれ以前においても目的が達せられることを実は希望し、かつ望ましいと考えて努力をいたしておるのでありますから、今後もそのつもりであくまでも努力をいたすわけであります。ただ、先ほど絶対ということを仰せられるとどうかということで、私はただいまつけ足りを申し上げましたので、かえって思想の混乱を来たしたかもしれません。私どもとしては、十三年というのは、最長のこれは期間であって、その範囲内においてもできるだけ早くこれが要らなくなることを実はむしろ好ましいと考えておるわけでございます。
  15. 久保等

    久保等君 ところでこの十三カ年で積滞を解消したいというわけで、十三カ年計画と申しますか、そういったことについて、資金計画その他の資料も出していただいておるわけです。ところで、十三カ年の間に積滞を解消するという計画立てるにあたって、当然経済の変動あるいは経済成長、こういったようなことを根拠にして、十三年間に積滞をなくしていこうという計画をお立てになったと思うのです。先般も山田委員の方から御質問があって、経済成長率の問題についていろいろ御答弁があったようですが、この十、万年計画立てるにあたっての経済成長率の把握の仕方、この問題について、私はどの程度確信のあるデータ根拠にしておられるのか、この点を一つ伺いたいと思います。
  16. 伊藤誠

    説明員伊藤誠君) お答え申し上げます。四十七年度末におきまして需要がどの程度になるかということを推定いたしまして、その需要を全部充足するという建前のもとにこの計画を作っておるのでございますが、その際、四十七年度末におきまする需要推定に用いました経済成長率でございますが、これは三十二年の十一月におきまして経済企画庁が発表いたしておりまする推定値を使ったのでございます。それによりますると、三十七年度までは年六・五%、四十二年度までは五%、四十五年度までは四・五%、以降四%ずつ経済が毎年伸びていくというふうに推定されておるのでございまして、私ども目下のところ用い得るものといたしましては、先ほど申し上げました三十二年十一月におきまする経済企画庁推定値が、最も私どもといたしましては確からしいというふうに考えまして、これを使ったわけでございます。
  17. 久保等

    久保等君 今国会政府の方から出されてすでに成立をした法律案治山治水緊急措置法という法律があって、この法律は三月末にすでに成立をしておるのですが、これがちょうど今国会で出された法律案としては、これまた十カ年計画でもって今後治山治水の事業をやっていこうということなんですが、この場合にも、やはり、この暫定措置法と同じように、経済成長問題等も議論の対象になりまして、いろいろ質疑がなされております。その法案審議内容等についても、私は速記録等で拝見をしたのですが、経済企画庁あたり答弁を見ましても、実は経済成長率の問題についてのはっきりしたまだ資料というものもそろっておらないので、目下むしろその掌握努力をしておるのだというような答弁がなされておるのです。遠からずそういったことについての統計等もでき上がるのじゃないだろうかというような説明がなされておるようですが、ただいまお話しのあった、三十二年の十一月の統計も、いわばこれは毎年々々統計をとっておられると思うのですが、そういう中からの統計であって、長期の十カ年なり、あるいはそれ以上に上る長期経済見通しを、ほんとう一つ計画立てるについて、その根拠として採用する、いわばしっかりした実は資料ということも言いかねるのじゃないかと思うのですが、私は、これだけの計画をお立てになる際には、やはりそういった経済企画庁あたりのしっかりした一つデータ等も取り入れられてこういった計画立てられるべきだと思うのです。もちろん、毎年々々そういった統計等もとってはおりまするけれども、それはそのときそのときにおける状態から一応推定した成長率であって、何カ年計画、特に長期計画等立てられる場合に、できるだけ正確を期する意味で収集せられる資料という点では、今経済企画庁でも持ち合わせがないのじゃないかと実は思っておるのですが、その点はいかがですか。
  18. 伊藤誠

    説明員伊藤誠君) お話のように、確かに経済成長率は、すでに現在におきましても、私ども予想以上に変わっておるのでございます。従いまして、経済企画庁におかれましても、目下長期計画の策定中のように承っておるのでございますが、お話のように、確かに的確な、これでもう間違いはないという数字は把握できないと思うのでございまするけれども、私ども、今のところ、よりどころは、私ども自体経済成長率推定いたすことはとうてい不可能でございますので、やはり発表されておりますものによってやらざるを得ないというふうに考えるのでございます。
  19. 久保等

    久保等君 それで、十三カ年の平均成長率はどのくらいに見ておられるのですか、先ほどいろいろお話しがあったのですが。
  20. 伊藤誠

    説明員伊藤誠君) 平均成長率というデータは出してございませんけれども、先ほど申し上げましたように、最初の間は比較的成長率が大きく、先にいくに従いまして成長率が下回っていく、四十五年度以降においては大体四%程度伸びていくというデータを用いたわけでございます。
  21. 久保等

    久保等君 御説明としては、それは経済企画庁で発表した、先ほども申し上げたように、十年なら十年、十三年なら十三年の経済成長率が一体どういう経過をたどって、どういう平均経済成長率になるかというようなことを、やはり私は総体的に掌握を願ってお答弁をいただきたいと思うのです。そうしなければ、四十五年度以降四%という程度の御説明では、どうもはっきりしないのですが、たとえば治山治水緊急措置法の場合における建設省あたり答弁を伺いますと、十カ年における経済成長長率平均というものは大体七%程度に見ておるというような答弁もなされておるのですが、何かだんだん最後の方へ参りますると、経済成長率が四十五年以降四%というようなことで、もちろん、先へいけばいくほど見通しは困難ですから、むずかしいのでしょうけれども、十三年で電電公社の場合は計画をお立てになったのですから、それに見合った経済成長率は、平均すればどの程度になるかということは、やはり数字的な根拠としてつかんでおられるはずだと思うのですが、どうなんですか。
  22. 伊藤誠

    説明員伊藤誠君) ただいま申し上げました成長率は、前年度に対しまして何%伸びていくかということでございまして、たとえば四十二年度から四十三年度に対しましては、四十二年度に対して五%伸びる、それから四十五年度から四十六年度にわたりましては、前年度に対しまして四%伸びるというような成長率を使ったのでございます。平均成長率を出しまして、それによって需要推定をやったのではございませんので、毎年前年度に対しましてどれだけの需要が伸びていくかということを先に向かって延長して参る作業をやったのでございます。従いまして、平均何%伸びるかということは、実はやらなかったのでございます。
  23. 久保等

    久保等君 私は、これだけの長期計画をお立てになる場合には、やはり経済企画庁としての十三カ年なら十三カ年にわたる経済成長率についてのもう少ししっかりした調査に基づくデータ根拠にしておやりになる必要があるのじゃないかと思うのです。単に四十五年度以降四%ということでは、これはおそらく、四十五、四十六、四十七、各年度同じ成長率とはちょっと考えられないのですが、きわめて根拠が薄弱だと思うのです。全くの類推という程度資料しか私は持っておらないのじゃないかと思うのです。おそらく全くの推定だと思うのです。もちろん、将来の問題ですから、推定要素が入るとは思いますけれども、やはり相当な根拠に基づいての推定でないと、十三カ年計画をお立てになる場合の資料としてはずさんだと言われてもいたし方がないと思うのですが、電話の積滞が今後どういう形で伸びていくか、あるいは、積滞じゃなくして、需要そのものがどういうふうに伸びていくかということの問題は、国民経済の関連において数字をはじき出されておるようですし、それは当然需要も変わってくると思うのです。従って年度々々の経済成長というものは、相当科学的に緻密に算出されたものでなければならぬと思うのです。それを単なる推定で、数カ年間大体四%程度のものだろうという推定では、需要のはじき方としては、結果的に誤差が大きく出てくるのではないかと考えられるわけであります。まあしかし、それより以上の資料をお持ちでないとすると、質問をさらに続けてもあまり意味がないと思いますから、省略いたしますけれども、十三カ年計画等をお立てになるにあたっては、よほど科学的な資料を持たれて計画をお立てになる必要があるのではないかというふうに考えます。  そこで、郵政大臣にお伺いをしたいと思うのですが、先ほど私ちょっと治山治水緊急措置法の問題を例に出してお尋ねしたのですが、治山治水緊急措置法ということで、十カ年計画を今の内閣でおきめになって、法律国会をすでに通ったのですが、時を同じくして、十三カ年計画という今回のこの暫定措置法が、内容は違いますけれども、やはり閣議の決定を経て国会に出されておるのですが、今言った緊急措置法の場合には、国会においても、閣議の決定がなされたというようなことが言われておりますし、これは法案ですから当然そういうことになっておると思うのです。この場合の法案の扱い方としてはどういうようになっておりますか。もう少しつけ加えますと、法案内容は、先ほども質問を申し上げておりまするように、昭和四十八年の三月三十一日までという期間でこの法案が出されておるわけです。従って十三カ年千画というものが、法案内容として当然これは織り込まれておるわけです。片や治山治水緊急措置法の場合も、これは五年ずつ前期、後期に分けて、法案内容として織り込まれているわけなんですが、この点については、十カ年計画ということでもって資金的な問題、あらゆる面について十カ年計画について閣議でこれは当然了承を得られたものだと思いますし、そういった点についても確認されたと思います。私は従って、暫定措置法の場合にも、十三カ年計画という暫定措置期間だけの問題じゃなくて、十三カ年の当然長期計画内容等について閣議においてどの程度検討され、決定を見ておるものか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  24. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 治山治水とか道路建設とか、あるいは電信電話拡充とか、それぞれの目的によりまして長期計画完成の目途も相異なるのは当然と存じますが、治水におきましても、たとえば砂防事業とか、あるいは河川改修とか、そういったようなことは、ほんとうは一年間でやり上げれば、不慮の水害に対しまして対処ができるわけでございますが、これは主として財政的な長期計画に基づきまして五年五年、十カ年ということが割り出される。道路にいたしましても六カ年ということでやるといったような財政的な見地から割り出されたところが電信電話につきましては、それとは相異なりまして、積滞数の解消ということを目安にいたしましたので、それを大体平均一年間に千五百億という目安を置きましてやることが、財政的に見ましても妥当であるという観点からこの法案を提出した、そういうふうに考えております。
  25. 久保等

    久保等君 その程度のことはもちろんわかっておるのですが、さらに突っ込んで資金計画といったようなことについても、十三カ年の計画を遂行するからには、先ほど御説明があったような、私は計画というものがうらはらの関係で、内容として当然含まれておるわけですから、そういうことについても閣議としては、十三カ年計画を進めることについての検討も加えられたということなんですか。
  26. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 概括的に十三カ年を含めまして閣議において了承、承認を得て決定を見たわけでございますが、しかし、十三年間につきましての詳細な論議は、閣議といたしましてはこれを省議の方にゆだねられまして決定を見た次第でございます。
  27. 久保等

    久保等君 資金的な面、こういう点についても、大ワクの点ではやはり論議せられて閣議の決定を得ておるのですか。
  28. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) その通りであります。
  29. 久保等

    久保等君 そうなりますると、当然この計画によりますると、先ほどもお話があったように、四十八年度以降につきましては、この暫定措置法というものが当然廃止せられるわけですから、おそくとも。その場合には、当然これ暫定措置法によってそれまでは、四十七年度の年度末まではいろいろと電話加入者の債券の引き受け等がなされて、相当なこれが財源になるわけなんですが、それも暫定措置法がなくなれば、肩がわりした形で、当然財政投融資面での政府側のよほどな努力をしなければ、予定計画を遂行することは不可能になるわけなんです。従って四十七年度と四十八年度という場合には、非常に政府負担というものは違ってくるわけなんです。そういうことについても、一応原則的には閣議において了承せられたということですか。
  30. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) その通りであります。
  31. 久保等

    久保等君 そういう財政的な問題に万いては、具体的な数次等でまた後ほどさらにお伺いいたしたいと思うのですが、ただこの際、私はこういう法律が今度新しく出されておりますが、今日までやっておりまする負担法、これが一体どういう今日まで経過をたどっておるか。このことは新しい計画立てられる場合に当然重要な一つ資料とし根拠として検討せられたと思うのです。この点について郵政大臣の立場から、昭和二十八年度以来の第一次五カ年計画、それから第二次五カ年計画——今途中ですが、今日までやって参りました五カ年計画の実績というものについてどういう御判断をされておりますか。
  32. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 負担法に基づきまして、しゃにむにこれを実現して参る公社の方の強い意思もあり、私たちの政府といたしましても、その方針で推進して参ったのでございますが、あまりにも電話需要が急激に伸びて参りました。これは日本の経済成長が急速にこの数年間発展し、ことにこの一、二年くらいの間に伸びて参りましたので、どうしても応じ切れないというので改訂第二次五カ年計画立てまして、今までの計画を変更した。変更したことによりまして、かたがた、国会の御決議、付帯決議もございましたので、何としても国会の付帯決議は尊重しなければならないという建前から、負担の方法を変えまして、その負担の性格につきましてはいろいろ御論議もおありのことは承知しておりますが、公社また政府といたしましては、負担の点から見ましても、今回は受益者にむしろ負担が軽くなるのだという建前をとりまして、資金計画立て、この架設計画立て直した。そこで今回の臨時措置法案の御審議を願うに至った次第でございます。
  33. 久保等

    久保等君 大臣の今の御答弁程度で、従来の計画をやってきたことに対するものの見方といいますか、反省だとすると、これは非常に実は実態の把握が私は足りないと思うのです。計画はなかなかどうもスムーズに進まなかった、あるいは需要を十分満たし切れなかったというその理由は、需要予想以上に伸びたから、その需要を充足し得なかったという程度答弁では、政府がそれならば、過去計画を進めるにあたって財政投融資の面でどういう一体努力をされたのか、その実績についてはどういうふうに把握をしておられますか。
  34. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) これは財政投融資にいたしましても、できるだけ多額であるべきであって、受益者の方の負担はできるだけ少額にすべきであることは申し上げるまでもないことでありますが、なかなか政府の財政計画全体の面から見ますと、私たちの考えておりますような財政投融資も得られないわけでありましたので、そして財政投融資ばかりにはたよることもできず、現在のような計画になっておるわけでありますが、なおこの第二次五カ年計画の経過はどういう点においてそごを来たし、急激に増大してきた電話需要に対する措置をどういう経過をもって今回の改訂になったかということにつきましては、すでに資料を提出して、ごらん願っておることとは存じますが、ただいまこの席で御説明申し上げますことは、お許しを得まするならば、監理官が来ておりますので、御答弁いたさせたいと存じます。
  35. 久保等

    久保等君 まあ、そういう事務的な答弁は私は実は望んでおらないのです。今抽象的な御答弁なんで、どうも私の質問に対する答弁になっておらないのですが、昭和二十八年度以来、政府の財政投融資面における努力の一体跡がどういう形になっておるか、これを私はこの際、こういう重要法案国会に出されるにあたって厳正に反省してもらわなければ困ると思う。ただ単に、できるだけ需要者の負担を軽くし、政府の財政投融資をできるだけ努力しなければならぬ。そういう月並みな答弁では、私の質問に対する答弁になっておらぬ。過去の具体的な実績はどういうふうになっておるか、それをどういうふうに把握されておるか、そういうことを、今度の暫定措置法案を提出するにあたって、当然私はそういったことに対する検討もなされておらなければならぬと思うのです。そのことに対して、具体的な過去の実績に対してどういう御判断をせられておるか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  36. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 前回の委員会でその点につきまして御答弁申し上げましたように、昭和三十年には七十五億、それから三十一年度以下三十五年まで順次申し上げますと、三十一年度が八十五億、三十二年度が九十五億、三十三年度が三十五億、三十四年が五十億、三十五年が八十億というふうに、三十三年度以降は漸増してきておるのであります。これが今までの経過から見ました財政投融資の足取りであります。
  37. 久保等

    久保等君 いつから漸増しているのですか。
  38. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 三十三年が三十五億で、四年が五十億、五年が八十億、こういうふうに三十三年と四年は十五億違います。それから去年とことしとは三十億違いまして、だんだんにふえておる次第であります。
  39. 久保等

    久保等君 ふえた二、三年だけとって漸増していると言うけれども、二十八年、二十九年、三十年はどうなっていますか。
  40. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 監理官から数字を申し上げたいと存じます。
  41. 松田英一

    政府委員(松田英一君) お答え申し上げます。二十八年度におきましては六十七億、二十九年度におきましては四十二億、三十年度は七十四億という実績でございます。
  42. 久保等

    久保等君 計画の少なかった二十八年あるいは三十年ごろあたりと比べても、これは三十三年あるいは四年、あるいは三十二年でもそうですが、金額は少なくなっております。漸増どころじゃなくて漸減しております。そうは見られませんか。
  43. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 御指摘通り、かなりのでこぼこがあるわけでありますが、毎年々々の財政状態によりましてでこぼこになっておる次第でありますが、先ほど申し上げました通り、三十年、三十一年、三十二年までは、これも漸増いたしまして、それから三十三年度が激減いたしまして、それからまたふえて参った足取りでございまして、その年その年の経済情勢によりまして変動があったわけでございますが、今後の足取りにつきましては、すでに御審議願っております、原案について御承知いただきたいと存じます。
  44. 久保等

    久保等君 私もう少し具体的な数字の点で公社にお伺いしたいと思うんですが、二十八年度から全体の予算に対して財政投融資がどういった比率を占めておるか、これは先ほど御説明のあった点を計算すればわかるんだろうと思いますが、あまりこまかく、正確でなくてもけっこうですが、大ざっぱに財政投融資が総予算に占めるパーセンテージ、そういったようなものがどういう経過をたどっておるか、そういった資料がお手元にあってお答え願えればお答え願いたいと思います。もしお答え願えねばけっこうです。
  45. 山本英也

    説明員(山本英也君) ただいま正確にお答え申し上げることはできないかもしれませんが、手元にございます資料によってなるべく正確にお答え申し上げたいと思います。ただいまの財政投融資と申します分は、二十八年から三十二年までの第一次五カ年計画中におきましては、国会で御審議いただきました予算に見積られた公募社債等は総額四百億でございます。なおこの当該の第一次五カ年計画の予算の総額、建設予算の総額というものは二千七百二億円でございますので、大体一六%程度ぐらいが財政投融資によってまかなわれておる勘定に相なるかと存じます。なお第二次五カ年計画に入りましたのが三十三年度及び三十四年度でございますが、過去の実績を申し上げますと、三十三年度におきましては、当初成立予算は七百五十億でございまして、そのうち公募債等によります分は三十五億、三十四年度におきましては、当初予算八百五十億に対しまして五十億、ただいま申し上げました数字を通計いたしますと、成立予算におきましては二カ年間で千六百億に相なります。そのうち公募債等財政投融資の額は八十五億に相なります。
  46. 久保等

    久保等君 ですから、第二次五カ年計画になると、パーセンテージはぐっと下がると思うんですが、第一次五カ年計画の場合には一六%程度という御答弁で、第二次——これはもちろん全期間ではございませんが、三十三年、三十四年度では千六百億に対して八十五億円ということですから、幾らになりますか、二%程度ですか。
  47. 山本英也

    説明員(山本英也君) 千六百億に対しまして八十五億でございますから五%強でございます。なお三十五年度予算におきましては千二百八十五億の建設投資に対しまして、そのうち八十億を財政投融資に仰いでおりますほかに、なお公募債と同性質の外債七十二億をそれに加えますれば、当初改訂計画千四百億に対しまして百五十二億というものになりますから、一割以上の、一二%程度のものは今年度予算におきましては財政投融資に仰いでいるとも言えるかと存じます。
  48. 久保等

    久保等君 三十四年度は予算の上では財政投融資五十億円ということになっておりますが、実績は、もう年度も過ぎて大体わかるんじゃないかと思いますが、幾らですか。
  49. 山本英也

    説明員(山本英也君) 予算でお認めをいただきましたものは、全額発行を御認可に相なりまして、すでに発行済みでございます。
  50. 久保等

    久保等君 私は昭和二十八年度からの経過を見てみた場合に、予算に計上せられた財政資金と、それから現実に実行した財政資金とを比べてみると、これは各年度とも予算をはるかに下回っています。昭和二十八年度の場合が、七十五億円の予算であったが実績は六十八億、その後逐年、二十九年度の場合には、七十億の予算だったものが四十二億円、まあ半分、六割程度に実績は下がっております。三十年度もしかり、七十五億円が七十四億円、それから三十一年度が八十五億の予算に対してわずかに実績四十億、半分以下です。それから、まあ三十二年度もこれまたしかり、九十五億の予算に対して六十四億、三十三年度は、これはまあどういう関係であったか知れないが、予算は三十五億、これがわずかに実績で上回っておる。全く財政投融資というものが、予算さえ実行せられないで、実績がはるかにこれを下回っておるというのが過去の実績です。それからパーセンテージも、先ほど経理局長からも御答弁を伺ったように、第一次五カ年計画では大体一六%の財政投融資であったが、三十三年になり三十四年度になれば、これは私のはじいたところによっても、やっぱり五%強程度しか比率からいったならば財政投融資がなされていないという状況になっておるわけです。まあ明年度も、これは実績を見なければ、これまた過去の実績から私単に御答弁だけ伺って信用するわけには参らないのです。従って、こういう経過を見て参りますと、予定せられた予算すらが財政投融資の面からいくならば、これはきわめて政府の怠慢であったと言わざるを得ないが、その予算を下回る実績しか過去において残っていない。こういう点から考えると、やはり私は、先ほど大臣の御答弁に、需要に対して十分に即応でき得なかった。これは需要が思った以上に非常にまあ急激な伸びをしたからだという説明があったのですが、問題は、そういう需要が多いから間に合わないんだというような答弁では、これは非常に無責任だと思うのです。それよりも、政府予定した財政投融資さえ実行しなかったこのことは、みずから反省を強くすべき問題だと私は思うのです。従って、ただここ二、三カ年だけの経過をたどって、少し上向きになって、財政投融資はだんだんと政府努力によって上向きになっているんだなんというような答弁は、二十八年度の第一次五カ年計画以来の実績を考えてみた場合に、私はこれはおくびにも言えないと思う。従って、これだけの計画を今後やっていこうというからには、もちろん、需要者の諸君にもこの際協力をしてもらいたいならば、大幅にこの際協力をしてもらいたいという政府の腹ならば、政府も思い切ってこの際、財政投融資の面についても努力していくのだ、だから御協力を願いたいというならば、いろいろ私は意見はあるにしても、一応筋は通ると思う。ところが、政府の財政投融資の努力をたな上げにしておいて、そのしわ寄せを需要者にかぶしていくというような考え方では、私はこれは政府のとるべき態度ではないと思うのです。前々から大臣の答弁を伺ったり、また衆議院での答弁の速記録を読んでみましても、何かここ二、三年のデータをもとにして、政府はここ逐年財政投融資の面については努力をしております。その実績はかくかくかくのごとくでございますということで、二、三カ年だけの数字をあげられている。私の今申し上げた二十八年以降の冷厳な具体的事実は、一体何を物語るか。要するに、計画需要に対して即応でき得なかった。特に政府としてとるべき責任の焦点は、財政投融資の面におけるやっぱり努力の足りなかった点、これはまあ私ははっきりしておると思う。その点に対して大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  51. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 御意見の通り、これは自己資金がなければ政府資金、財政投融資を増しましてやることが、何としてもそれに努力を傾けなければならないということは、全く同感でございまして、今回の予算審議につきましても、ただいまの御意見を十分に尊重いたしまして、今後監督、推進して参る所存でございます。おっしゃる通り、確かに過去におきましては、私たちが過去のカーブを振り返ってみますときに、御指摘通り、全く財政投融資が十分でなかったということを認めざるを得ない次第でございます。今後御意見の通り十分にやって参る所存であります。
  52. 久保等

    久保等君 さらに三十五年度の本年度予算の、これはすでに成立を見ましたが、これにおいてもまた現実に一つ早くも出てきていると思うんです。まあ当初の公社の原案によりますと、二百億以上やはり計画しておったのが八十億というようなことになっているようですが、これまたパーセンテージからいくと一割なんかにはこれではとても満たぬと思う。経理局長、一一%、幾ら幾らということも言っておられたが、これまた、これからだんだん大臣の御答弁を願わなければならぬと思うんですが、それはそれこそ、まあ数字をただはじき出して書かれたという数字であって、この暫定措置法の出された、まず実績の一つは、三十五年度の一体予算がどうなっているか、財政投融資がどういう形で現われているかということが、端的に私は政府考え方を物語っていると思います。千二百八十五億の建設資金のうち八十億ですね。そうなると一体この一割になるか、もちろんなりません。おそらく六%前後じゃないかと私は思うのですが、ここにもやはり全体の予算に対する財政投融資の、私が先ほど来指摘しているようなことが現実にまた現われてきているんです。一体こういうことで行く先、十二、三年先のことまで心配しなければならないのだけれども、こういうことで、先ほど来私の指摘したように、過去の実績を振り返って、今後、暫定措置法を出したからには、一つ従来と違った形で、政府も思い切ってやるのだという気魄がどこに見られますか。また、どう一体やっていかれようとするのか。これは相当私は責任を持って御答弁願っておきたいと思うんです。いずれ大蔵大臣ももうお見えになると思うんですが、大蔵大臣にもぜひその点は明確にしておきたいと思います。一体、三十五年度の問題についてはどういうことですか。
  53. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) これは、私たちといたしましては、公社から出されました概算要求が妥当なものと思いましてこれなら大いに一つ張り切って仕事ができると思って推進して参りました。ところが八十億しかついていなかったことは、その数字から見ますと、財政投融資が十分でなかった点は、はなはだ残念でございますが、さて政府全体から見ますと、財政投融資全額におきましても、千百十五億でございましたか、そのうち電電の方に八十億をさいてもらったんだ、そういう全体のワクから見ますと、この程度でまあ大蔵省との折衝は妥結せざるを得なかった実情であります。まあ前年度から見ますと三十億もつけてもらいましたので、まあその点を、ふえました点は多といたしまして財政投融資をそのワクに押えて、あとの計画立て直して、全体の査定を完了したというふうな経過でございますので、財政投融資としては、はなはだ不本意ではありましたけれども、まずまず、これならばあと外債のワクもございますことでありますので、全体の予算から見ますと、千四百何十億の三十五年度の予算を計上いたしますれば、本年度は所期の目的を達すると存じて、そういうふうにまあきまったわけでありますけれども、しかしただいまの御意見通り、今後の長期計画、四十八年の三月までの計画の遂行にあたりましては、その予算獲得にも、その年度その年度におきまする私たちの立場におきましても、十分推進に努力して参りますし、また、その当時々々の郵政の行政担当者はむろんのこと、一生懸命に、久保委員の御指摘になりましたところを実現することに全力を傾倒して参りますことは想像にかたくないところでございまして、まず本年度はこの程度で御承認いただきますれば仕合わせと存じます。何分御了承をお願いいたします。
  54. 久保等

    久保等君 郵政大臣の電電公社に対する立場という問題については、これはもう私からここでことさら申し上げるまでもなく、単なる監督者としての立場だけではなくて、御承知のように、郵政大臣は、電電公社の予算については、予算編成権すらお持ちになっておるわけです。むしろ指導的な立場で電電公社の予算に対しての編成権を持たれて、大蔵大臣に協議をして編成をするという建前になっておるわけです。私は、この立場からしても、単に大蔵当局の財政的な立場なり意向等によって主として支配されるのじゃなくって、郵政大臣自体の立場において、予算編成について大いに指導力を発揮してもらはなければならない。これは現行制度のもとにおいてもやり得ることなんです。ところが、何か当てがいぶち的に財政投融資の問題が扱われているところに、これは私は郵政大臣としての怠慢も今日まであったと思うんです。しかも郵政大臣は、莫大な例の簡保なりその他の資金等をお持ちになっておるわけです。先般お伺いしたところによると、簡保の運用率にいたしましても、何かわずかな平均——平均したのかどうか知りませんが、一十三年度の場合、五分八厘程度だという御答弁があったのです。私は、それならば、電電公社なんかのような、こういう生産的な意義を持っておる事業に、六分なりあるいは六分五厘でもいいと思うんですが、うんとそういう資金を回すことも、これは郵政大臣としてみずから、自分の従業員が集めてきた資金であり、運用権の問題については、これまた大蔵大臣以上に郵政大臣が私は扱うべき性格のものだと思うんです。だからこういう方面から金を回すということも考えられると思うんです。ところが、今度の予算を見ましても、わずかに簡保から回しておりまするのは二十五億じゃないですか。だから、こういう点についての問題も、これも郵政大臣としてでき得る範疇の問題として、非常に大きな実は財源があると私は思うんです。もちろん財政投融資の問題ですから、日本の財政一元的な立場からの制約はもちろんあるでありましょう。あるでありましょうが、事こういう電気通信事業という場合には、これは一が二になり、二が三となるという形で生産面にはね返ってくる基礎産業ですから、そういう事業に対するほんとうに認識があるとするならば、私は今までのような、いわばその予算をさらに割るというような実績では、何としても郵政大臣の怠慢を指摘をせざるを得ないと思うんです。簡保の運用資金等の関連性について、私は今後の問題について、郵政大臣はどういうふうにお考えになるかを伺いたい。
  55. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 資金運用の問題につきましては、もう就任以来研究も重ね、折衝もし、重大な関心を持っておるのでございますが、なかなか所期の通りは進行いたしておりませんけれども、この問題はさらに続けて努力を重ねて参り、大蔵省とも折衝して、何とでも一つ改善いたして参らなければならない、そういう所存でございますが、まあ今回の予算につきましては、いろいろ御不満な点が多々おありのことでもあり、また私自身といたしましても、こういう点をこうやってもらいたいという希望もございますことながら、今までの公社予算と比較いたしますと、三十五年度は実にたくさんに予算をつけてもらいましたわけでございまするから、総体的にごらんいただきまして、何とか御承認いただきますれば仕合わせと存じます。
  56. 久保等

    久保等君 私は、これだけの大きな企業体を運営するにあたって、建設資金が大幅に必要だという今日の状況からして、財政投融資という問題については、これは政府がよほどの力こぶを入れなければならぬと思うんですが、予算規模に対して、ほぼどの程度の割合の財政投融資が得られるならば最も好ましい状態だというふうに、企業の経営を直接担当しておられる電電公社の立場から見て、そういったことについて検討せられたことがございますか。総建設資金に対して、まずまずどの程度の財政投融資というものが得られるならば好ましい、大体そういう基準といいますか、ワクといいますか、そういうものについて、公社当局の方で経営的な立場からお考えになったことがございますか。総裁でも経理局長でもけっこうです。
  57. 山本英也

    説明員(山本英也君) 財政投融資と申しますか、経営の立場から見まするときには、なるべく自己資金を確保いたしまして安定した自己資金源というものを投資に向けていくというのが、一番健全な方法であろうと思います。しかしながら、公社の自己資金と申しますのは、業績によりまして収支に差がある。それと、減価償却あるいは建設に投じ得ますところの料金収入等でございます。従いまして、そういうようなものは一定の限度がございますので、それ以外は外部資金をもって充当いたさざるを得ないのでございますが、今後の改訂五カ年計画におきましては、一応私どもといたしましては、外部資金といたしまして、今後三カ年間は、平均約千五百億の建設投資を所要といたしますが、そのうち、自己資金として充当し得る幅と申しますのは八百二十億程度であるということを予想いたしております。従いまして、残りの七百八十億という巨額なものは外部資金に仰がざるを得ない状況でございます。従いまして、その面で申しますれば、大体自己資金と外部資金と申しますものは、約半々くらいのものを予定いたしておるのでありまして、企業の経営面から考えます場合には、これが過当な外部資金への依存率ではないように考えるのであります。最近問題となっておりますところの負債率というようなものから見ましても、建設の場合に、この程度の外部資金、自己資金の比率を保ち得まするならば、将来におきますところの企業の負担というものは、そう大きくならないであろうと考えておる次第でございます。  なお、三十五年度におきましてその点がどういうことに相なっておるかということを付言さしていただきますならば、三カ年平均千五百億と申し上げましたが、私ども三十五年度におきましては、すでに成立いたしております予算千二百八十五億、そのうちで自己資金をもって充当いたしますものが七百九十八億であったかと存ずるのでありますが、この自己資金の充当率が、当初予定いたしましたよりも若干ふえておりますことは、三十四年度におきますところの電信電話事業の、主として収入面におきますものが、一般の経済界の好況を反映いたしまして好調を示しました。当初予定いたしておりましたところの収入よりもより以上の収入を得ることができましたので、災害等、不時の支出も三十四年度中には相当多額にありましたのでございますけれども、予算面といたしましては、三十四年度中の収支差額を予定いたしまして、そのうち五十億だけを三十五年度の建設投資に投ずるように予算措置を講ぜられております。従いまして、これは三十四年度の景況というものが、いわゆる世間で申しますように、岩戸景気と申しますように、非常な経済の好況を反映いたしまして、公社の自己資金を充当し得る面が幅広く出て参りましたので、これが三十五年、三十六年、ひいては四十七年までこの好況というものを持続し得るものとは考えられませんので、三十五年度におきましては、自己資金率というものは若干当初の計画よりも上回っておりますけれども、大体当初に御説明申し上げましたように、今後第二次五カ年計画中、三カ年の平均、千五百億の建設投資に対しましては、自己資金は八百二十億程度予定いたしておる次第でございます。
  58. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ちょっと久保委員に申し上げます。大蔵大臣御出席をいただきましたので、大へん大蔵大臣午後も詰んだ日程になっておるようでございますので、直ちに大蔵大臣への質疑をお進めいただいたらと、こう思うのです。  速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  59. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それじゃ速記を起こして。
  60. 久保等

    久保等君 それでは大蔵大臣もお見えになっておりますので、特に資金計画の問題について、郵政大臣並びに大蔵大臣に御質問をいたしたいと存じます。  今回出されておりまする暫定措置法案内容は、御承知のように、十三カ年の今後の長期電信電話拡充計画を実は内容にいたしておりまする法案であります。政府は、今国会治山治水緊急措置法という法律も十カ年計画のものを内容としてお出しになって、すでに成立を見たのですが、この治山治水関係とは趣きを異にした電信電話事業でございますが、いわば生産的な意義を持った電信電話拡充計画については、先ほども郵政大臣にお伺いしたのですが、過去の実績は、きわめて政府の怠慢を指摘をせざるを得ない。具体的に申し上げますると、財政投融資の面なんですが、過去の実績は、総建設資金に対する財政資金の予算、これも比率においてきわめて低いわけなんです。ところが、実際の実績はさらにそれをはるかに下回っておるわけです。そのことが今日の電気通信事業の発展に非常に大きな阻害になっておることは申し上げるまでもないと思います。第一次、五カ年計画の成果を振り返って、公社で出しておりまする資料等を見ましても、公募社債を例にとってみましても、資金調達が予定の半ばにも達しなかったのが第一次五カ年計画の実績です。これは予算の中に組まれた公募債、そのワクすらが実行面でははるかに縮小せられておったということが、第一次五カ年計画の反省として実は指摘できるわけです。しかも負担法という法律によって、今日加入者に対して、これが新設をする場合には債券の引き受けをやらせるという負担が現行制度としてあるわけなんです。この負担法もできるだけ早く打ち切ることができるようにせよ、それがためには、政府当局として財政投融資等の面について格段の努力をしなさいということで、昭和二十六年の負担法成立するときにも、それからさらに昭和三十一年に期間の延長がなされる際にも、そのことが強く国会の衆参両院における決議ないしは意向として表明せられておったのです。しかし、残念ながら、どうも負担法は明年の三月三十一日までの期間でずるずるやってきているのですが、これが今日廃止されるというものの、それにかわって今度は暫定措置法という形で法律国会に出されておるわけです。この内容を見ますと、今後十三カ年にわたって負担法はなくなるが、暫定措置法という形でむしろ債券の負担額は思い切ってふやす。一例をとってみますと、七級局における現行の負担法の制度では二万四千円あれば電話がつくということになっておるのですが、今度の暫定措置法によるとこれが一躍九万円、一万円の設備料と八万円の債券を引き受けないと電話をつけませんよということに実はなるのです、暫定措置法によると。二万四千円金があれば電話がついたものが、今度は七級局の場合には九万円耳をそろえて出さなければ電話をつけませんよという法案が今度の国会に提出されたわけなんです。最終段階に参っておるわけです。こういう点は、どうも第一次五カ年計画から今日の状況、さらに将来に対する電気通信事業のことに計画に対して、財政的な資金の問題について、大蔵当局、それから電電公社に対して、ことに郵政大臣も非常に強力な一応権限を持っておるわけなんですから、郵政大臣も共同責任だと思うのですが、少なくともこの面に対する厳重なる御反省を願い、財政投融資の面については格段の御努力を願わなければならぬ。法律建前も、今度の暫定措置法案により、できれば昭和四十八年三月三十一日までにこの法律は廃止するということになっているのですから、資金的な面で都合がつけば、この暫定法も廃止するという建前法律がなっているわけです。そうなって参れば参るほど、一にかかって政府当局の財政投融資面における御努力治山治水緊急措置法みたいに一般会計から繰り入れをしろということは私は言いませんし、またそうでなくてけっこうだと思うのです。財政投融資であればけっこうで、これに対して当然利子、利回り等も考えていっていいと思うのです、適切な利回りであるならば。しかし従来のような経過だと、全く電信電話というものが、いつ聞いても、一向に世界の水準からはるかに遠い。大蔵大臣はかつて電通大臣もおやりになったのですから、釈迦に説法であまり申し上げませんけれども、大臣おやりになっておったときの世界の電話の普及率二十一番目は、相も変わらず今日も二十一番目なんです。確かに普及率は若干よくなっておるでしょう、世界各国とも進歩しておるのですから。世界で普及率は二十一番目という状況に今日でもあるのです。十三カ年かかって積滞をなくした後において、日本が第何番目か、また似たりよったりじゃないかと思うのです。そういう状況の中にあって、私ども非常に心配するのは、過去の実績が雄弁に物語っておるだけに、今後の問題について大蔵当局どう考えるか、財政資金についてどう考えるか。具体的に申し上げますならば、十三カ年の一体資金計画の面についてどの程度考えておられるのか、この点から一つお伺いしたい。
  61. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 財政投融資の関係で実は関係を持つわけでありますが、私は本日参りまして、おそらく、ことしはよく見たといってほめられるのじゃないかと思っていた。一般の財政投融資計画、これは非常に苦しい思いをしております。で私は、財政投融資計画のうちでも、電信電話、ことに交通、広い意味での交通で、電信電話あるいは鉄道幹線、道路整備というような事柄に特に意を用いていく。最近の所得倍増計画でも、あるいは三十五年度の予算編成においても、これこそ経済活動の基盤である、こういう意味で特にこれに力を注ぐ、こういうことで私どもの考えられる実は最大限を考えたつもりでございます。さらに不十分だから、一部は外国資金の導入まで考えておるというようなことで、要望にこたえるつもりでただいまやっておるわけでございます。  ところで今、負担法云々の問題でも金額が多い、これは大へんなことだ。もともとからいえば、こんな負担法なしにでもやっていければ非常にけっこうだ。わが国の電信電話のことは久保君もよく御存じで、私が申し上げる必要はないと思うのですが、やはり基本的にさかのぼって考えてみると、前戦争で全部のものが荒廃に帰したといいますか、そうしてそれを新しく整備を始める。さらにまた機械や設備の新しいものが工夫されておる。そういうことで、非常に公社自身の負担というものは大きいと思います。これは外国の例等を見れば、戦争の間にもどんどん整備拡充されたものと、戦争でほとんど旧来のものが荒廃に帰した。整備しようにもその方法がなかった。だから旧のものを復旧するだけで大へんなことで、さらにその上に新しい設備が要求されている。そういう際でございますから、電信電話の整備という要望がありながらも、今日まで十分の資金獲得ができなかった、こういうように思います。これは大体国力そのものをはっきり出しておる。しかし担当者の電電公社の経営者なり、あるいは関係大臣などが、この事業について非常に認識を欠いたとか、あるいは等閑視したとか、こういうものではない。ことに私もわずかな期間ではあるが、久保委員などが組合を代表しておられる際には、いろいろこういう点についてもお話をし、職員の協力も積極的に求めてきたと思います。  私は、今日ようやく拡充し得る基礎ができた。一般財政投融資から申せば、日本経済自身が充実して参らないと、財政投融資資金も十分なものはないわけでございますから、あるいは外国の資金導入等にあたりましても、なかなか資力信用を十分買ってくれない、認識してくれない、こういうような状態にあったと思いますが、最近は電磁公社は内容ともに見違えるようになり、ただいまようやく、拡充しても、国民の支持も得、また外国からの支援も得るようになってきた。そこでことしの予算編成などにあたっては、私ども全体の計画から見ると、やや重点を置き過ぎやしないかと思うほど炎は考えたつもりであります。あるいは関係の方々からごらんになれば、もっと見ようはあるじゃないか、こういうふうにお考えになるかもわかりませんが、他をやめてとはおっしゃらないに違いない。そうしますと、今回は比較的よく認めてくれた。問題は今後の計画遂行でありますが、治山治水についても政府の十カ年計画、あるいは道路の一兆円計画だとかいうようなものを持っておりますが、この公社自身においては、公社自身がそういうものを考えられる筋でございましょう。国会なり、あるいは政府なりも、公社のその基本的な独立採算制の上に立っての事業拡充計画に力を貸すということが大体望ましいのじゃないか、そういうような基本的な考え方でおるわけであります。  私は今回の電話拡充計画、これは比較的時宜を得たものであり、またやや時期はおそいという感はあるかもわかりませんが、これを遂行していかない限り、いわゆる経済発展、所得倍増計画などにも支障を来たすのではないか、かように実は思っておるわけであります。今まで鉄道とそれから電信電話との予算を対比して見ますと、相当大幅に鉄道関係の方の資金が上回っております。おそらくことし初めてでしょう、電信電話の関係が鉄道よりも資金量等においても拡大を見たり、あるいは全然同額ぐらい、ほとんど同額になった。これは最初予算編成いたします前にいろいろな意見があったのでありますが、私は、できるものはとにかくやろうじゃないかということでやらしたつもりでございます。今の要望等から見ますと、財政投融資の面では扱い方が変わってきている。金額はなお不十分であるかわかりませんが、私どもはそういうような見方をして、力を注いでいる。この点は実は自慢して御披露ができるのであります。おそらく予算を比べられれば、わずかではあるが、電電の方がふえている。こんなことは今までにないことであります。それほど力をいたしておることを御了承いただいてせっかく、安くて、負担法など作らないで整備ができればいいことですが、資金獲得の方法としては、この負担法を改正することが一番望ましいのではないか。先ほど来、国内における起債ワク等もなかなかいかないとか、縁故債も思うようにいってないじゃないか、そこらに協力が足りないのではないかということを言われますが、これは政府の協力の問題ではなくて、やはり地方の財力の問題なので、そういたしますと、負担法を改正することが積極的に資金獲得の一番近道だ、こういうことで、あるいは金額が多過ぎる、こういうような考え方もあるかと思いますが、拡充には最も効果的な方法ではないか、かように思います。  私、これが非常に適当な方法だとは思わないが、今日の非常な短期間の間にこれを整備するといえば、資金獲得の面では、非常に効果的な方法を当局は考えられたものだ、こういう意味で、大蔵当局としても賛成をしているわけであります。大蔵当局は、今の負担法だけにはたよらないで、財政投融資なり、その他一般の予算なり、あるいは外資獲得等については、これは政府の立場において積極的に協力している。これは数字の上にただいま申し上げるようなものが出ております。これらの点を御了承いただきたい。
  62. 久保等

    久保等君 大蔵大臣の、電信電話拡充をはからなければならぬという御認識については、全く私も同感ですし、また、そうなければならない現実に実はむしろ追い込まれていると思うのです。従ってその資金をいかにして確保するか、これが最大の問題であり、今大蔵大臣のお話だと、実は加入者の負担というものも暫定措置法という形でやむを得ないというお話で、効果的な資金確保という点からいえば、これは私は一番加入者負担という方法で集めることが確実です。電話をつけるのに、つけてもらいたいと思う人間から金を集めるのですから、これは一番正確なので、効果的だと思うのです。しかし、そういう形で資金を集めるという集め方は、私はやはり何といいますか、イージー・ゴーイングというか、やすきにつき過ぎるむしろ私は考え方にあるのではないかと実は思うのです。実績を見てもらえればわかるとおっしゃられるのですが、もちろん大蔵大臣が電信電話事業等に対して御理解の深いことは、私も重々存じておりますし、また非常な御努力をいただいておることも敬意と感謝を申し上げるのですが、ただ具体的な数字で検討すると、加入者負担等の問題は、これは話を別にしておいて、大蔵当局の財政投融資面における努力の跡というものは、残念ながら、数字で出て参っておるわけですから、これと比較をしますと、なるほど三十四年度と比較するならば、これも三十四年度五十億ということで、二十八年度以降最も少ない実は投資になっておるのです。二十八年は予算では七十五億、あるいは二十九年度では七十億、それから三十年度七十五億、三十一年度八十五億、三十二年度の場合には九十五億というふうに、このあたりを見ますと、実は累年累増しているのです、少なくとも予算の面では。ところが三十三年度、三十四年度あたりになりますと、三十四年度の場合には五十億、本年度と申しますか、もう年度は済みましたが、三十四年度の場合には五十億、こういう形に減っておるところに、今度八十億になったから三十億上がったじゃないかということで比較をせられると、あるいは大臣のそういう御答弁にもなるかと思いまするが、どうも過去の予算面だけの事実をとって見ましても、多いどころじゃなくて三十四年度の場合には、最も少なかったのです。  それから実績のことになりますと、ただいま申し上げたのは、予算の面から申しましたが、実績の面から申しますると、その予算をはるかに下回っておるのが過去の実績です。二十八年度の場合には七十五億に対して六十八億、二十九年度の場合には七十億に対して四十二億、七十億の六割程度です。それから三十一年度のごときは、八十五億の予算に対して四十億、こうした実績なのです。  こういう点を見ますると、少なくとも五、六百億、七百億前後の建設資金の金額としては、あまりにも少な過ぎる。さらに三十五年度、本年度予算ですが、これは五割程度増した非常に思い切った拡充計画になっておるのです。ところが、その五割増しになった程度で、はたして建設資金という面について、財政投融資の面で思い切った措置がとられておるかどうか。その八十億が、はたして結果的にはどうなるか、予算ですから、過去の実績からすると、必ずしも信用できないのですが、まあ経済の現在の状況からすると、この程度のものは当然実行せられると思うのですが、どうもこういった過去の実積は、きわめて芳しくない。このことだけは大蔵大臣、特に、佐藤大蔵大臣が、過去二十八年以来大蔵大臣をやっておったわけじゃないですから、私は、佐藤大蔵大臣個人をどうこう申し上げるわけじゃないですが、歴代の内閣がどうも、しかも大蔵当局の場合には、残念ながら財政投融資の過去の実績が芳しくない。このことだけはお認めになると思うのですが、どうでしょうか。
  63. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 財政投融資はそのときどきの財政投融資資金、これに左右されるということでございますので、これだけで電電の予算を多くするわけにはいかない。だから、今御指摘になりましたように、三十四年の財政投融資の金額は、前年よりも十五億減っている。しかしながら予算の規模そのものとして見ると、これは約三十一億ふえておる。前年が八百十九億、三十四年は八百五十億、合計でなるわけであります。この電電公社の工事計画というものは、これは毎年ふえておる。財政投融資の面だけでごらんにならないように願いたい。  ただいま財政投融資で一番、何というか、責任がとりやすいものは、政府資金だ。今年は八十億ふやしたが、そのうちで二十五億が政府資金で、五十五億が公募債券だ、こういうことでございますから、中身が八十億にふえても、この五十五億の公募債券が消化されないと、実績が落ちることになるわけでございます。しかしそういうような財政投融資計画を完全に実施して、初めて総予算の千二百八十五億というものの消化ができることになるわけでございますから、この千二百八十五億の総予算を形成しておる自己資金なり、その他のもので、これを充実していくことを考える。幸いにして今日までのところは、自己資金の方は成績が非常にいい、かように思います。そういうことを考えて参りますと、私は今年は、千二百八十五億という予算は必ず実施ができるのじゃないか。  もう一つ、おそらく工事施行にあたっていろんな問題が、土地入手の問題、土地立ち入りの問題、いろいろ事務的な問題があるのじゃないか。最近工事を施行するのに非常にその点では、公社自身も迷惑しておられる。政府自身も、ひとり電電の工事ばかりじゃございません。道路とか鉄道についても土地使用、立ち入り、あるいは収用等について特別の法律でも要るのじゃないかということを申しておりますが、こういう事柄と、十分相待たないと、いよいよ単価が高くなるばかりで、りっぱな実績をあげることができないということになります。  幸いにして私どもも、いろいろお話を伺っていると、今の公社の責任者、経営者として今後の充実計画というものも持っておられるようであります。予算の面から言いますと、私どもは、公社の経営者の考え方のように、早期に重点を置く考え方が、要望に沿うゆえんでしょうが、予算の支出の面からは、それは非常に苦しいのです。将来五年先ならば、さらに財政投融資の資金も伸びるでしょうし、総予算も非常に伸びてくるから、そういう際に工事の進行、拡大をしてもらいたいという希望を申しましたが、今の拡充の方から申しますると、最初にうんとやらなければいかぬということで、特にそういう意味で、今回の予算編成にあたっては工夫したつもりであります。こういう意味で大蔵当局のこれらの問題についての考え方の一端を示すものでございますから、そういうものでございますから、御了承いただきたいと思います。  たとえば治山治水の方の十カ年計画でございますと、初年度のスタートは大体低くて、あとは平均十二%の増加率で、これを十カ年の後に計画を完了するということでありますが、今回の電電の方の計画は、最初の、四年の間に非常に重点を置いて、将来は伸びる率から見ると、逆に小さくなるというふうに、鈍化するように私は理解しております。これは、事柄の性質上必要なのだろうということで、大蔵当局も、特に力を入れたつもり、であります。私の過去の経験から申しますと、外国などでは、電話は非常に簡単につく、だれが申し込んでも、私、相当前ですが、ニューヨークで電話をつけたとき、二週間くらいで、すぐに電話がついた。ロンドンに渡って、初めて一カ月くらいかかったけれども、ちゃんと電話はついた。それからニューヨークの場合などは、ニューヨークを出発する場合には、ちゃんと金まで返してくるということで、非常に徹底している。まだ日本は、そこまで参りませんが、今回の負担金は相当高くなっているが、その償還計画なり、金利などは十分考えられて、この種の負担金としては、償還期限も短かったり、あるいは金利なども、比較的高いものをつけるというようなことをしている。これらの点が、負担金が高くても加入者の方から見ると、そのくらいの金なら出そうということになると思います。この償還計画と金利なども、同時に御勘案願いまして、今日急速に口数をふやし、あるいは設備を拡大する。それが電電として非常に必要なことなんだ、できるだけ余裕のある大きなものを作ることができれば、将来の発展に備え得る、こういうふうに私は思います。  そういう意味合いで、おそらく委員の方々は、この際うんと金を出させろと言われるのだろうと思います。幸いに公社の経営者が、そういう意味計画を樹立しておられるということでございますから、その線を一つ実行さすように、ぜひ御協力願いたい、かように私からもお願い申し上げます。
  64. 久保等

    久保等君 大蔵大臣は、郵政大臣のような御答弁をせられ、自己資金や暫定措置法の方の問題についてまで御協力願いたいと言うのですが、これは、われわれ大蔵大臣から頼まれなくても、できるだけわれわれもやりたいと思う。  問題は大蔵省の、私の言っているのは、財政投融資問題についての答弁を願っているわけです。もちろん大いに計画を拡大し、たくさんつけなければならぬ。この認識においては、だれしも、私どもみな一致していると思う。問題は、資金調達の方法を、主として自己資金に求めている。これも実は事実です。われわれも、その点は、自己資金で相当の範囲までまかなわなければならぬということも、これも認めます。さらに加入者そのものに負担をしてもらう、この考え方も、私は全然反対だという考え方は持っておりません。しかし今度出された暫定措置法の場合、残念ながらあまりにその負担が大き過ぎるのではないかという意味合いにおいて、実は残念ながら賛成するわけには参らないのです。  それからもう一つの要素としてこれは総体のワクから言えば、きわめて微々たる金額だと思いますが、大蔵大臣の直接の問題、財政投融資の問題について、私は質問しているのであります。過去の実績は、先ほど申した通りなのです。だから、これらの過去の実績に対する具体的な一つ大蔵大臣の見解いかん。今後の財政投融資について一体大蔵大臣の誠意はどうなんだ、こういう点について一つ答弁願えればけっこうなんで、暫定措置法の方なり、あるいはまた、自己資金の方面は、これまた所管大臣もおることですし、また、大いに公社当局の方からも、積極的な意のあるところをお伺いしたいと思っておりますが、一つ大蔵大臣という立場で、御答弁を願いたいのですがね。
  65. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来、大蔵大臣としてお答えしておるのですが、今の財政投融資の点は、大体申し上げた通りでございます。で、問題は、この五十五億の公募債、これの実現に今後とも私ども努力するつもりでございます。ことに金額もさることですが、四十万口数というものを、どうしても実施に移さなければならないのですから、この四十万口数を実現するための所百要の資金獲得については、私どもも積極的に協力するということをはっきりこの機会に申し上げて、大蔵大臣の責めをふさがせていただきます。
  66. 久保等

    久保等君 そういうことで当然なければならぬと思うんですが、ところで、現在、御承知のように、農村電話、あるいは地方等において、非常に電話が足りない。大都市ももちろん足りませんが、地方等では、緊急な通信すら行なえないような、いわゆる無電話部落といったようなものも存在する。離島なんかの場合にも、そういった問題があると思うんですが、そういう状態で、非常に地方における通信の拡充、これまた大都市とは、若干性格の違った意味で非常に緊急性を帯びた問題があると思うんです。  ところが、地方における通信の施設は、大都市におけるよりも、資金的にこれは非常に金がかかります、何といっても距離的に遠い。しかも通話料そのものも、なかなか大都市におけるような一口あたりの電話の収益は、そう高くはないというような問題で、非常に経営的に見るならば、問題があると思うんですが、しかしこれは、そういうある程度経営を抜きにしてでも、地方の設備は拡充していかなければならぬ、こういう問題がある。ところが、現行制度の中に、御承知のように、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律という納付金制度があるわけです。  これは、つい数年前にでき上がった法律なんですが、このことによって電話施設ができればできるほど、地方自治体に対して、納付金を公社事業としては出さなければならない。これはもちろん、ひとり電電公社のみならず、専売にしても、国鉄にしても、制度としてあると思うんです。しかし一つの大きな矛盾だと思うんです。  なぜかというと、なるほど地方自治体の財政は、非常に苦しい。従って再建計画といったようなものを立てて、強力に政府としても、また御本人の自治体はもちろんのこと、一生懸命で赤字克服の再建策を立ててやっておるわけですが、最近だいぶ、これも軌道に乗って参ったと思うんです。財政赤字の克服という方法としては、何とかして金がほしいということは、よくわかるんです。しかし今申し上げたような制度によって、納付金制度というものは非常に一つの矛盾があると思うんです。地方で、ぜひ一つ何とかして電話をつけてくれ、従って電話局を作ってくれ、線路を引っぱってくれという要望もしつつ、片方では、つけてもらえば、そこからまた固定資産税的な納付金がもらえるというようなことは、あるいはどうも制度として見た場合に、私はあまり好ましい制度じゃない、かように考えるわけなんですが、しかし財政という面からいえば、とにかく理屈はつけようで、やはり火事になったときには、消防車だって出るだろうというような理屈をつけて、従って地方自治体に、多少の納付金を納めるのはやむを得ないのだという提案理由の趣旨もあって、あの法律ができたんですが、しかし、やはり地方財政の建て直りの状況ともにらみ合わせながら、こういう制度というものは、やはり廃止をしていくことが望ましいのじゃないか。  そうしなければ、片方においては電話をつけてくれ、通信施設を拡充してくれと言いながら、そういう形で、逆に吸い上げるというような制度では、片方で進めていながら片方で足を引っぱるという矛盾があるじゃないか。金額の面からしますと、これもだんだんふえていますから、ばかにならない金額で、おそらく十年もしますと、数百億の金が納付金という形で取られる。これはもちろん、私は納めるべきものはどんどん公社として地方自治体として納めることはけっこうだけれども、ああいう制度では、やはりこれは一つの電通事業の発展、特に地方自治体拡充一つの阻害になっておるのじゃないかというふうに判断をいたします。  それからまた、前々からいろいろ問題になっておりまする公社の預託金制度の問題にいたしましても、これまた、大蔵当局として、積極的に資金確保について協力をしなければならない立場にある大蔵省が、大蔵省の資金運用という面からだけ、公社資金の運用を考えて参るということ、これも、私は非常に問題があると思うのです。こういう点を具体的に、あれこれ現行制度のもとにおいても、いろいろ私は考えて参る点があるのじゃないか。財政投融資の面という積極的な面もありますけれども、同時に、こういう現行制度のもとにおける一つの矛盾というか、拡充計画を、ほんとうに遂行していこうという立場に立つならば、もう少しこういう制度に対する改正というようなことも、大蔵当局としてお考えをいただいていいのじゃないかと思うのですが、もちろん先ほど申し上げました納付金制度は、大蔵省なんかというよりも、自治庁なり自治体の切なる願いであることは、私は承知しておりますが、しかしこういう問題についても、資金的な面での元締めである大蔵大臣の立場として、どんなふうにお考えになっておりますか。
  67. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 固定資産の問題は、石原自治庁長官の意見が本来でございますが、大蔵大臣、全然関係ないわけではございませんから、一応申し上げておきたいのですが、固定資産税そのものが、いいか悪いかという議論が一部にはございますが、これが固定資産税が、やむを得ない税金だといいますか、当然の税金だということになりますと、これは民営だろうが、官営だろうが、公社経営だろうが、管理は別ですが、公社の場合には、その区別をすべきでないという、これは、一応税負担の公平という観点からやむを得ないのじゃないかと思います。  御承知のように、電電の機関を作り、それで通信の便益を供与する、地方の発展に寄与している、それに税金をかけるのはけしからぬじゃないかということは、一応納得いくようでありますが、地方でやはり地方の産業開発、あるいは地方の財政を豊かにする意味で、民間の会社の誘致も、なかなかやかましゅうございます。それで、民間工場を誘致した、多数の職員がそこへくる、あるいはその地方の就職の場もできる、同時に、所得税その他も出てくるし、あるいは法人事業税等も出てくるというような問題がありましても、やはり固定資産税は課しておる。まあ民間の場合でございますと、自治体によっては、誘致の条件として、あるいは二年とか三年固定資産税をまけておるような例もあるようでございます。地方税でございますから、そういう点は、比較的容易なんでございましょうが、そういう扱い方はあるが、その固定資産税そのものを永久に免ずというわけにはいかない。この前、鉄道や専売も、あるいは電電等で、固定資産税を課すことについての可否、これは十分国会で御審議をいただいてやむを得ないということになっておると思います。これは制度そのもの、固定資産税そのものが存置される限り、どうも公社の方だけ、特例を設けるというわけにはいかないというのが、税負担の公平論から言うと当然ではないかというように私は思います。石原君の方で、どういう考え方をしておりますか、将来の問題ではないかと思います。  次の預託金なりの問題については、これは、かねてからいろいろ論議されております。大蔵当月の考え方が、少し窮屈じゃないかということで、ただ論議状態ではなくて、場合によってはおしかりさえ受ける。鈴木委員などからも、しばしば他の委員会等でも、おしかりを受けているということでございます。いつまでも、今のような状態でほうっておくわけには参らないと思いますが、大蔵当局も、これはよく一つ検討してみようということで、今お預かりをしておる場という状況でございます。  一面に、こういうこの種の公益機関の、これは特質でありますが、公衆に対する便益を供与すると同時に、公衆に対する便益供与に十分の効果が上がるような措置をあらゆる面で工夫すべきだと、そういう意味で、久保委員は税の面において内容を充実するような方法はないか、あるいは預託制度において、もっと公社に便するような方法はないかと言われますが、税は、ただいま申し上げるように簡単ではないが、資金の方の面については、私どもも、いろいろ工夫したらどうだということで、事務当局に研究させておるところであります。  私は税についていろいろ、もし要望が許されるなら、ただいま離島その他のお話が出ておりますが、最近は非常に見違えるようになって、いわゆる直道区域が拡大されましたが、それでもなお申し込んでから、忘れた時分に電話がようやく通ずるというような場所がある。しかも、それが都市の近郊にある。大阪あるいは名古屋じゃなくて東京の近くにあると、こういう点が、非常に不便だといって指摘されておるが、こういうようなものが、さらに設備の改善によりまして、いわゆる直通の範囲が拡大されることを特に私は要望したいと思います。  そういうような面からも、資金獲得はどうしても必要だと、こういう意味で大蔵当局も、積極的に協力するつもりでございます。どうか、今後とも、いろいろ御指導願いたいと思います。
  68. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 久保委員に申し上げますが、大蔵大臣の大体の約束の時間が参っておりますので……。
  69. 久保等

    久保等君 今後、格段の御努力を願わなければならないわけなんですが、この暫定措置法は、大体十三カ年の期間実施しようということで法案が出されております。この十三カ年した後の昭和四十八年度以降、これは当然、法としてはそれまでには少なくとも廃止をされてしまっておるわけですから、現在の計画から申しましても、四十八年度以降になりますると、暫定措置法というものが廃止せられる。  そうしますと、電話需要は、やはり十三カ年計画をみても、約六十万をこえる年間需要があるのじゃないか、しかも四十八年になれば、その年度内で大体処理できるであろう、積滞数は四十七年度までになくしていこうというような考え方になっておるわけです。そうなりますると、当然、暫定措置法がなくなった後における財政負担というもの、財政資金の負担というものは、これは急激にふえることは当然です。これはもちろん十数年先のことですから、確たることは言えませんが、今考えられる資料によりましても、約四百億程度は、公募債なり、財政投融資でまかなっていかなければならないという数字になっておるわけです。さらに、この暫定措置法のありまする期間昭和四十七年まで、本年度を入れまして十三カ年間、これは第二次五カ年計画途中でありますから、第二次五カ年計画、それから第三次、第四次と続くわけですが、第二次五カ年計画で、平均約三百億をこえる財政投融資が必要だ、一年度で。それから第三次になりますと、一年度当たり平均約二百五十億程度の財政投融資資金が必要だ、第四次になりまするとやはりこれも大体同じですが二百五十億、大体この程度が、各年度財政投融資を必要とするということが、計画として一応出ておるわけです。  先ほど郵政大臣にお伺いしたのですが、当然これだけの十三カ年計画暫定措置法を出されるからには、十三カ年間の長期計画というものがなければならないし、長期計画があるならば、当然資金的な裏づけが考えられなければならないし、幸い治山治水の場合においては、特別会計制度なんかを作ったり、あるいは緊急措置法を作って、これは一般会計からも、主として繰り入れるということになるわけでしょうが、そういう形で、たまたま軌を同じくして、十カ年計画が発足をいたしておるわけです。  そういう状況等から考えて、当然、閣議において、この電気電信事業の場合においても私は、十三カ年計画ということについて、閣議で了承を得られたものと考えまして質問申し上げましたら、その点については、閣議で了解を得た問題だというお話でございました。そうすれば、資金的な問題、特に財政投融資の面における大まかなワクの点については、これは大蔵大臣も、およそのやはり御説明を閣議等でお聞きになって御承知のことだと思うのですが、先ほどの御答弁だと、今後の、そういう面については、格段の努力をして参りたいというお話でございましたが、さらに、それを分析というか、突っ込んで御質問をいたしますれば、ただいまのような問題についても、大成当局としては当然積極的な努力をしていただき、これは、一つ自己資金だとか、暫定措置法のワクがどうなる、こうなるということではなく、あまり答弁をわきにそらせない形で、予定せられた金額、もちろん的確に、この点自体が、はたして現実化するかどうかは、こまかい点は別として、大まかの点については、大蔵大臣も了解せられ、今後御努力をせられるということに相なると思うのですが、いかがですか。
  70. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) これは、長期計画というものが、いろいろ各所管省であるわけでございます。たとえば、郵政省、電電の十カ年計画、あるいは郵便の扱い方についても、いろいろ長期計画を持っておるわけです。あるいは、鉄道は鉄道で、整備計画を持ち、あるいは、農林省は農林省で、土地改良計画を持つというようなことで、いろいろ持っておりますが、今の私ども考え方では、各省の長期計画一つ一つ取り上げるという段階にまでは、実は至っておりません。  と申しますのは、財政の方の、長期計画というものは、なかなかそう簡単に立つわけのものではございませんので、いわゆる予算の長期見通しというものを、ただいま作りかけておる。ところが、すでに御承知のように、所得倍増計画というものを本格的に検討するという段階になっておりますが、この所得倍増計画を実施する場合には、どうしても倍増計画の裏づけをなす財政計画を樹立せざるを得ない。ところで、財政計画立てるということになりますが、所得の倍増、これは、生産指数や物価その他から割り出してくるわけですが、それが出て、初めて今度は、国家歳入の予定が出てくる。所要資金の計画はすぐ立ちますが、それをまかない得るかどうかという問題は、やはりうらはらをなす関係において、これを作り上げなければならない。これが、ただいま、政府計画のうちにあるわけでありまして、国会が済んだあとにおいて、企画庁を中心にして、本格的にこの整備をしようということにいたして、今、その計画を持っておるわけであります。  そういう場合に、いわゆる所得倍増ではあるが、これは経済成長率というものを、一応想定もし、この成長率を維持するためには、どういうことが必要か、そういううちには、当然、今の産業の基礎部門であるものは、いかに整備さるべきものであるかということを考えていかなければならない。その場合に、通信であるとか、道路であるとか、鉄道であるとか、あるいは港湾であるとか、そういうようなものが、まず、まとまった金額の支出のものになってくるだろう。ただいままで、法律まで出して計画をした国土整備十カ年計画、この方は、一体どうなのか。一応の支出の数字はまとまっている、そうして、それをまかなう方の歳入は、十分検討されておるわけじゃございませんが、過去の実績等から見て、大体、あの計画を実施するのには一〇%ないし一二%の伸び率を考えれば、これはまかない得るようだ、それならば、大体その程度なら実績等から見て可能のように思うということで、国土整備十カ年計画立てておる。道路の方の一兆円予算は、これは特別財源、ガソリンの消費税を主体にして考えておるということで、これは可能でございます。  ところで、ただいま公社で、いろいろ計画をされておるものの内容については、私つまびらかにいたしておりませんが、おそらくこれは、金を投資し、同時に自分の方の事業成績も拡大されて参りますから、この自己資金によって、おそらく整備の根幹をなすようなものを考えておられるだろう、そうしてそれに所要の外部資金というものを考えておられるに違いない。この自己資金の獲得というものが、経済の活動状況によりまして、ときに変化かあると思います。鉄道の場合など非常に鋭敏な影響を受ける。電話の方は、比較的それほどにはないだろうというような点があるだろうと思いますから、大体の計画は、内輪に今立てておられますので、その計画実施には、おそらく支障はないだろうと思います。  ところで、ただいまから財政投融資計画についての十分の財政の裏付けがあるのかと言われれば、これは今申し上げるように、全体としてのものすら持っておらないから、その部分をなす電電の資金計画については、まだ持っておりませんと、はっきり答えざるを得ないのでありますが、ただいまの所得倍増計画とあわせて、この種の整備計画は、当然資金的なものも裏付けのあるように工夫していかなければならない問題だと、かように私は理解をしております。  ところで、そういうむずかしいものが、なかなかできない場合に、一体電電の拡充計画は、どういうふうに扱ってくれるというようなお尋ねがあろうかと思いますが、そういう場合でございますれば、在来の大蔵当局が取ってきておりますように、所要資金の結末を十分見まして、そして計画遂行にそごのないような措置を、そのつどとっていく。事前の計画は、なかなかただいま立てかねておるということで、その計画が立つまでは、計画のしりと言いますか、計画の実行のしりを十分見て、そしてそれに対する措置を取っていくということをいたしたい。かように考えております。
  71. 久保等

    久保等君 実情は、大蔵大臣が行われた通りだと私は思うのです。ただ問題は、今後どうしていくかということにかかるわけなんですが、私は少なくとも、この法案を提出せられるにあたっては、これは閣議決定もなされておる法案ですし、内閣として提出せられておることにも、言いかえればなると思うのです。従って、その中身として、十三カ年という長期計画の構想の上に立った法案を出されるならば、当然今言われるような基礎的な作業が前提に、むしろなされておらなければならぬことだと思うのです。  所得倍増の問題についても、話が違いますから、多く触れませんけれども、アドバルーンが先に上がっちゃって、あとからその重しになる内容というか、そういうものが、今経済企画庁あたりで検討せられておるということなんですが、当然基礎産業の、将来における経済成長率をどう見るかという、重要な基礎的な問題については、十分にあらゆる角度から科学的に検討されなければならぬ問題ですから、およその勘でもって、指数をつかむということは危険きわまりないことですから、早急に、現在ないということであれば、長期計画に伴うそういった経済成長率掌握の問題について、御努力を作業的な面からも願わなければならぬと思うのです。  ところで、あとから、いまさら言ってみても始まらないのですが、私は十三カ年に及ぶ問題でありますから、郵政大臣も、あわせて私特に要望申し上げておきたいと思うのですが、今後、できるだけ早急の機会に、こういう重要産業における、電気通信事業の場合についても、そうでありまするが、十三カ年計画に対する財政的な裏付けの問題、そのことに対する見通しはどうなのかというようなことについて数字的に十分御検討願い、それから電信電話の置かれておりまする現状は覆うべくもない事実として、思い切ってふやしていかなければならぬ。この計画によりますと、十三年たってやっとどうやら積滞というものだけはなくなるであろう、何年も前から、申し込んだがつかないというものだけはなくなるであろうという見通しなんですから、十三カ年計画が実行せられたとしても、まだまだ問題は、あとに残るわけです。十三カ年計画を、十年、十一年でやれるように、やはり最大の努力をしていかなければならぬ。その場合に、問題になるのは資金的な問題です。  そういう点から、大蔵大臣にこまかい数字的な問題を、先ほどちょっと申し上げましたけれども、一応の目途をそこに置いた数字的なものを、一応根拠として、今回十三カ年計画が組み立てられて私ども審議をしておるわけですが、しかしそういう面について、格段の御努力を願いたいと思っております。まだ十分に私も説明を聞いておりませんが、公債にとにかく依存して、債券に、負担をする資金を相当大幅にまかなっていこうという考え方に立っておりますから、まあ四十七年度近くになりますると、債券というものの発行額というものが膨大な金額になるようです。先日の答弁で伺ったところによると、約五千億円程度電話債券というものが市中に出るということになっておりますが、これは数字的な根拠については、もう少し検討しないと、あるいは六、七千億、四十七年度ごろには、電話債券が六、七千億円市場に出るのじゃないかと思います。  そういうことになりますと、これに対する実は債務償還だけでも、実は膨大なる金額になるようです。従って、やはり年平均六百億円程度の利子を払っていかなければならぬ。一年間に利子を払うだけでも六百億というようなことは、なかなか大へんなことなんですが、そうなりますると、先ほど申し上げたように、加入者の債券引き受け、あるいはまた、自己資金と言いまするけれども、なかなか問題が、これはあるわけですよ、考えて見ますと。だから従って、少なくとも予定せられました財政投融資というものについては、よほどこれまた大蔵当局、郵政大臣はもちろんのことですが、大蔵当局の御尽力がないと、この計画は、いわば画餅に帰すという危険性も多分にあると思うのです。このことについては、大臣からいろいろ御説明を、まだ十分に郵政大臣からも聞いておりませんけれども、私この際、最終的な大蔵大臣の御答弁として伺っておきたいと思うのですが、一つは、今後できるだけ早急の機会に、もう少し内容を固めるという意味での検討も、この十三カ年計画についても、一つやってもらいたい。  それからまた、財政投融資の面での資金確保についての計画が完全に遂行でき、むしろこれ以上なものを計画としてやっていかなければならない、こういう使命が負わされていますから、資金確保のことについて、格段の努力をしていきたいということについては、御異議ないと思いますが、いかがでしよう。
  72. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 将来の計画については、私どもも十分一つ検討さしていただきたいと思います。ただいま言われるように、この利子の支払いだけで年間六百億、これは大へんなことだと思いますから、その設備は、要切にこたえたが、事業自身は、やっていけなくなるというようなことでは、大へんなことだと思います。とにかく貧乏人が、いろいろの物事を考えていくのですから、今のような無理がかかってくる。だから計画自身にいたしましても、事業自身に、非常に重荷にならないようにしなければならない。これが貧乏人のやむを得ないことなんで、積滞数をなくするとか、あるいは需要にこたえるとか、あるいは近代的施設にするとか、その要望は、非常に強いのですけれども、それを十分まかなったときに、今度は事業自身は手を上げて、料金自身を非常に高くしなければならぬというようなことになっては、それは、本来の目的を達するものじゃない。  そういう意味で、その危険はございますから、今後の十カ年計画あるいは十三カ年計画というものについては、もう少し私どもも、よくお話を伺わしていただきたい。しかる上で、私どもの態度もきめて参りたいと思います。そうでないと、今言われるように収益で利子だけを払うようになっちゃ大へんなことだと、かように思います。
  73. 山田節男

    山田節男君 今回出されたこの法案に関連する、裏づけをする電電公社の第二次五カ年計画の三十五年度以降三カ年の計画の修正拡大計画について、資金計画について、外資三カ年三百億円予定しているわけであります。初年度、三十五年度において百億円の外資を予定しているのですが、外債あるいは借款等によって、これを融通し得る目安があるのかどうか。  昨年の秋、一応お話を聞きますと、あなたもニューヨークへ行かれて、電電公社の外債、借款が、とにかく見込みがないというようなことを聞いたのですが、こうして三カ年間三百億円、約九千万ドル外資の導入ということを資金計画としてもっている。この見通しは、どうですか、少なくとも今年度どうなるか、二年度以降どうなるか、その見込みを一つお伺いしたい。
  74. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 借りたい方は、非常にはっきりしているのですが、貸す方と意見が合わないと、十分できないわけです。しかし、私は一般的、抽象的に申しますと、鉄道については、アメリカの国内の鉄道が、すでに斜陽産業と言われている。そういう意味で、鉄道建設について、なかなか議論があった、それについてすら鉄道借款は、世銀からの借款は、私どもは見込みがあると考えておりますが、この電電については、アメリカでも非常に信頼というか、信用を置かれている事業であります。  そういう意味で、世界なぞの理解は、実は非常に深いといいますか、また市中の金融機関も、ことに成績のいい日本の電電事業については、深い関心を持っております。で、この抽象的な置かれている環境だけから見ると、私は成功させたいものだと、またそういうような努力を払っても、努力の払いがいのある事柄だ、かようにただいまのところは考えております。もちろん、まだ明確に、どうこうということを申し上げる段階ではございませんから、予算ができ、関係法律等が整備されてしかる上で、さらに電電公社自身も、特別なルートを持っていらっしゃるようですし、さらに、それらに対して政府も力を貸せば、これは私は、今までの抽象的な考え方から見れば、見込みのあるところだ、かように考えております。
  75. 山田節男

    山田節男君 もう一点。今大臣の言われるように、見込みがあるというのであるならば、これは見込みあるものとして計画していいと思いますが、もし大蔵大臣として鉄道、道路、電力と順位をつける場合、電信電話事業に対しての外資導入の場合、そのプライオリティをどうつけるかという問題。  それからまた、もし万一、外資が導入できなかったという、この百億に対しては、大蔵省としては本年この計画については五十五億円の公募債を保証しているわけですね。ですから、これはやらないと、年間約千五百億円の資金計画というものは、そごを来たすわけですが、そういう場合に、どうでしょうか、これも見込み、計画か知らぬけれども政府としたら、やはり僕は、政府の提出された法案から言っても、大蔵大臣に何か善後措置をしてもらわないと、この法案趣旨が化さないと思うのですが、この点、どうですか。
  76. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 今、世銀から借りるという、あるいは外債を出すという場合に、プライオリティがどうかというお話でございますが、これには、いろいろなことを考えなければならないと思います。  ただいま申し上げましたように、鉄道と電電と言えば、貸す方から言えば、電電については比較的楽だ。これはアメリカ自身が置かれている立場から国外を判断して、そういうことであります。だが、この点では、私はプライオリティを政府がどう考えようと、そういうことにおかまいなしに、向こうの金融業者は好意を持ってくれるものだ、かように思っております。  ところが一面、世銀から金を借りる場合は、民間の金融機関が、あまり飛びつかないようなものを世銀の理事者等によく事情を話をして、世銀の融資を願うということを今までもして参っているわけです。最近は、日本産業についてアメリカ側も非常に関心を持っておりますから、政府の保証がなくとも、民間の事業に対して三百万や五百万ドルならば貸してくれるような銀行もできてきた。しかし、戦後の状況からみますと、日本産業への投資は、金を持っているアメリカも非常に注意深くなった。そこで、世銀の融資にたよらざるを得なかったわけです。  ところが、最近は世銀の方の考え方も、だんだん変わって参りまして、世銀では、自分の方では一部貸すが、残りの部分は、民間との協調融資だというような考え方になってきました。昨年、私アメリカに参りました際に、世銀との話し合いをいろいろいたしましたが、その際の世銀の考え方は、今後は、日本に対して世銀が融資する金額は、大体一年一億ドルという程度に考えてくれ、そうしてその一億ドルも、あまり小分けしない方がいいように思う。一つのものにまとめて一億ドル出す、こういうような考え方に切りかえてくれないか。もう日本の産業自体の力をもってすれば、アメリカのニューヨーク市場等で、直接、あるいはニューヨークの金融市場のあっせんで、欧州からも金が借り得るのだ、世銀も、そういう努力をする、こういうことを実は申しているわけであります。  従いまして、今回の電電の融資という場合は、今の政府保証等の問題は、これは別といたしまして、世銀からは、間接的な協力という方が望ましいのじゃないか。鉄道が、ちょうど一億ドルを予定しておりますので、その方にまとめた方が、金が借りいいのじゃないかというような考え方を持っております。最近と申しますか、五月に入りますと、アメリカの証券業者が世銀のブラック総裁のあっせんで数十名日本に来ることになっております。で、これは、事業視察が主たる目的で、あわせていいシーズンになりますから、観光もするようでございますが、これが参りまして、どういうように今度は観察して帰りますか、山田さんなど、おそらく今までニューヨークの金融業者が出てくるたびお会いになったと思いますが、この五十名近く来るこのメンバーに、おれのところは漏れているといって、文句言っているのが相当あるようであります。それからみると、日本に対して理解を持ち、こういう機会に、日本とつながりをつけたいという金融業者が相当あるのじゃないかと思います。今回来ることが予定されております証券業者その他の金融業者は、ブラック総裁みずからが指定しておりますので、あるいはやや片寄っているかもわかりませんが、しかし少なくとも、今の世銀を通じて、一つの力を形成しているそれらのグループが来るようであります。そういう意味では、これらの連中が来た際に、私ども、どういうように扱う——これは、一般の問題でありますから、そういう際に、できるだけ実情を一つ把握し、深い理解と認識をもって帰らせたいと思います。  電電自身の問題については、今までも数回向こうの金融業者が参りました場合に、私どもにも、電電の外債を扱わしてくれという要望があり、また大橋総裁にも、直接お目にかかっておったのでありますが、そういう銀行が二、三ございます。すでに。ただこれなども、いずれは外資の借り入れをする場合には、政府の保証という問題になりますから、政府保証ということになりますと、その意味で、世銀との間に、一応の認識というか、理解をつけておかなければいかぬというようなことがあろうかと思いますが、そういうことを考えて参りますと、私は、そう悲観する状態ではないように実は思っております。  で、ただいま言われるように、プライオリティそのものをつける筋のものではない、ないが、総対としては、順調に進まし得るのじゃないか、もし万一、それができない場合に、一体どうなるか。先ほども申しますように、計画のしりは、私どもが十分責任をもってぬぐいますということを申しましたが、余裕金等をもって、これをまかなわざるを得ないということになろうかと思いますが、そういうことも一応念頭において、今の外債の問題も扱って参るつもりでございます。  ただ、外債の問題になりますと、御承知のようにアメリカの金利が、時期的にしばしば上下いたしますので、幸、不幸がありますから、そういう点もよく見きわめて、公社に迷惑のかからないような方法で処置していかなければならぬ、この点は、十分注意をするつもりでございます。
  77. 山田節男

    山田節男君 よるしゅうございます。   —————————————
  78. 柴田栄

    委員長柴田栄君) この際、委員の変更を申し上げます。  四月十九日付をもって、手島栄君が辞任されまして、その補欠に佐野廣君が選任されました。野田俊作君が辞任されまして、その補欠に谷口慶吉君が選任せられました。   —————————————
  79. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  80. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それじゃ速記を起こして。
  81. 久保等

    久保等君 まあ、十分時間をかけて、質疑をいたしたいんですが、私も、だいぶ準備もしておりますし、重要問題がだいぶあるんです。まあ、やっと資金計画の問題について、若干質疑をした程度で、まあ時間の関係で、はなはだ残念ですが、いろいろ諸般の状況も考え合わせまして、質疑を続行することは差し控えまして、ただ要望的なことだけを申し上げておきたいと思います。  実は、今度のこの十三カ年計画内容とする暫定措置法案につきまして、いろいろ重要な問題が多いわけです。たとえば、最近、電信電話の機械化、自動化、こういったようなことが急テンポで行なわれておるわけであります。今後、さらに一段と、これが拡大せられた形で遂行せられて参るわけでありますが、その場合に、まあ特に衆議院における答弁等を伺っておりますると、たとえば局舎等がきれいになる、従って、作業環境がよくなるんだというようなことを副総裁あたりの答弁で言われておるのですが、なるほどそういう面も全然ないとは言えないと思います。ところが、また一面においては、そういったことに伴って、非常に労働がむしろ強化せられておったり、それからまた、作業環境が逆に、非常に悪くなった面もあるのです。  これは、まあ一例をあげますると、たとえばマイクロの端局の機械室、あるいは自動局の機械室、こういったようなところにおける高温の——温度が非常に高くて、作業に非常な苦しささえ覚えるような状態に今日置かれておると思うのです。これは決して、あまりまれな例ではなくて、非常にこういった局が多くなっております。機械室の、ほとんど機械が、もうぎっしり詰まっておる中に入りますと、温度が、夏の場合なんか、摂氏四十七、八度、こういったようなところも現実にございます。これは、決して誇張ではない。最低でも、温度が低くて三十三度あるいは三十四度ぐらいで、高いところは四十数度というようなところもございます。まあ、こういったような点については、これは換気装置とかというようなことで、いろいろ考えてやっておられますが、この程度では、とても間に合わなくて、機械も、もちろん参るであろうし、人間も参る。素っ裸になって、ふんどし一つになって仕事をやっておっても、なおかつ、これは頭がとかくぼうっとしてしまう。夏ですから、外の温度が高いのですが、外の温度と比べて二十度ぐらいの差があるときがある。こういうような形で、自動化自動化といって、いかにも機械室、あるいは局舎がきれいになって、相当何でもかんでもけっこうになるのだというふうな答弁をせられておりますが、実は、そういう職場環境をむしろ非常に悪化していく点があります。  この点については、私は思い切ってむしろそういった点に対する冷房装置、これなどは冷房装置ですが、そういうものをやはり考えていくべきじゃないか、こういうことを痛切に考えます。これは、いろいろ局舎の設計の問題にも関係する問題がありましょうし、経費の問題もございましょうけれども、こういう問題については、一つ格段の努力公社当局、郵政大臣等の方面において、一つお考え願いたい。これはまあ一つ後ほど簡単に決意のほどをお伺いしたいと思います。  もう一つ具体的な例として、これは、ひとり電電だけでなくて、郵政の場合は、簡易保険局等で、やはり問題があると思うが、例のIBMの統計事務です。統計事務というよりも、例のパンチャー等の仕事です。これは非常に私は研究問題として、早急に公社、郵政省に関係がありますから、研究を実は願いたいと思っているんです。私も、若干調べてみたんですが、電電公社で、はたしてこういった問題に対して、どの程度今日まで計画的に調査をせられたり、計画的に対策を立てられておられるか。これも私、実は伺ってみたいと思ったのですが、あまり内容の点に触れて質問をする時間がございませんから、省略をいたしたいと思うんですが、たとえば東京料金局のIBMの統計パンチ作業労働の場合においては、放置しがたい私は問題も含まれていると思います。これは、まあ私もたまたま実は知った者が、あそこへ勤めておりまして、できれば何とか配置転換でもしてもらわないと、健康上好ましくないと思っておったんですが、しかし、なかなか人員等の面で、それが一、二年に及んで、本人とうとうやめてしまったんですが、非常にノイローゼのような実は症状を呈しまして、しかも料金局の場合、若い女の子、高等学校あたりを出た女の子がほとんど多いんですが、もう若い、いわば、女の方が二十四、五歳になって、廃人に近いような形になるというようなことが、もしかりに、一人、二人であったとしても、私は放置できない問題だと思うんです。まあ率からいったら、大したことじゃないじゃないかといったようなことでは、看過できない問題だと思うんです。これはすでに、何か労働研究所あたりでも、研究をしたり何かしているようですが、これが、はたしてどの程度生かされておるのか、私よく存じませんけれども、まあ目が、あまりよく見えなくなる。要するに、視力が非常に衰えてくるといったような問題なんかも出て参っております。それから、非常に騒音があるわけてあります。あそこの場合の機械室なんかの騒音は、八十ホーンをこえるような騒音です。まあ私も、あまり専門的なことを知りませんから、よくわかりませんけれども、普通の事務室が、東京都内あたりで、まあうるさい所と言われるくらいの事務室あたりの騒音度は、四十五ホーンかその前後だと言われておりますが、八十五ホーンをこえるような騒音の中で、しかも勤務時間の問題なんかにしても、六時間半ぶつ通し——ぶつ通しと言っちゃ語弊がありますけれども、一日の作業時間は六時間半です。六時間半、騒音の中で、毎日々々置かれたら、人間ちょっと、おかしくなるんです。しかも、一秒間に約三から四あたりのタッチでもって、鍵盤をたたいて穴をあけたり何かするようですが、一秒間に三ないし四タッチでもって、六時間半の作業労働、しかも騒音の中でやらせられる。これは頭が変になるのがむしろ普通だと思うんですが、そういう問題が出て、現実に診断書なんか書いて休まなきゃならぬということになっておる人もあります。  そういった点を、はたして公社の最高幹部の方々、御存じかどうか知らないですが、こういう問題も、合理化、機械化の裏面において、現実に出ておる問題なんです。ここに私も、若干通信局で作った調書みたいなものは持っておるんですが、まあ私も、あまりこまかい点には目を通しておりませんけれども、こういう問題は、料金局における一例ですけれども、やはり放置しがたい、私、問題だと思うんです。私申し上げておるのは、具体的な事実に基づいての数字を、ただ若干抽象的に申し上げておるんですか、こういう問題なんかも、やはり電信電話事業の拡充計画の裏面における問題として、放置しがたいやっぱり問題だと思うんです。ところが、人員の配置転換も、人手がないからというんで無理やりに押さえつけて、どこかへかわりたいと言っても、実はかわれない。とうとう私の知った者の場合は、これは本人、やめてしまいました。私の知らない間だったのですが、やめてしまったのですが、まあやめても、何とかなる人はまだいいんですが、やっぱり働かなきゃならぬ、どこか適当な所へかえてくれと言っても、かえてくれない。こういうことは、何としても私は看過できない問題だと思いますし、ぜひ一つ、善処を願いたいと思っております。  このパンチャーなんかの場合には、何か腱鞘炎、あるいは結節症というんですか、まあそういうような病名にかかっておる人も多いようでありますし、また手術をしたりなんかした人も、若干おるようであります。こういうことは、若いはたち前後の女子の方に対する問題としては、私は、あまりにも電電公社の企業経営としては、まあ近代性に欠けておると実は思われます。  労働時間の六時間半というのも、考えてみれば、これは非常に長いです。民間あたりのところと比べると、約二倍近い作業内容になっておるようです。だから、勤務時間の問題が、先般来いろいろ労働問題として問題になっておったようですが、こういうようなところについては、私は、やっぱり思い切って、時間短縮やっていいと思うんですが、人間の、少なくとも健康に害があるというような作業をさせておいていや、官庁執務時間がどうだとか、こうだとか、いや、それを基準にしてどうだとか、こうだとかというようなことは、あまりにも経営者としての感覚が私は疑われると思うのですね。  まあ一つ、勤務時間なんかで申しますと、朝の八時三十分から、午後の五時までの間に、昼の休憩時間が一時間に、午前が十五分の休憩、午後が三十分の休憩ということなんですが、とにかく二時間もぶっ通しにやられたら、ちょっと参るのです。一時間ずつの、私は、たとえば若干の時間ずつでも、休憩をやらせるということをやったら、だいぶ労働も軽減すると思うのですが、午前中十五分だけ休憩して、朝八時半から十二時までぶっ通しにやらされれば、これはやはりからだの健康にも、非常に大きな障害を来たすと、実は思います。  これは一例を、私たまたま申し上げたのですが、いずれまたこの委員会でも、御説明を願ったり、またこれに対する善処方を一つお願いして、その結果の御報告等も伺って参りたいと思いますが、とにかく十三カ年計画で、今後思い切った拡充計画をやっていこうというのですが、こういう点についても、十分に一つお考えを願いたい。  それから、まあいろいろ工事会社、メーカー等の問題やら、給与の問題、あるいはまた、法文についても、若干、実はまだ表現の仕方についても意見があるのですが、この点は、時間もございませんから省略をしたいと思います。いずれまた、電信電話公社法の一部改正法案も、今衆議院に出ておりますが、参議院の方へまた回って参りました機会にでも、この暫定措置法に関する問題に関連しまして、やはり質問を、一つぜひいたす機会を持ちたいと思っております。  まあ、きわめて途中で質疑を打ち切らざるを得ないのを非常に残念に存じますが、ただ総裁に、この際、先ほどちょっとお尋ねいたしました作業条件の問題について、やはり一つ思い切った、そういった問題に対する解決、あるいは給与の問題にも関連すると思いますが、これは格別の一つ努力を願わんと、資金計画が、かりにうまくいって、いろいろ準備をうまくできたといたしましても、結果的に、はたしてうまく全従業員の協力を得てやれるかどうかは、一にかかって、今後の私は公社当局、またいろいろ何かと指揮、指導せられる立場の郵政大臣、まあこういった方面の努力いかんにかかっておるのじゃないかと思います。  その点で、総裁並びに郵政大臣の最後の一つ答弁を伺いたいと思います。
  82. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいま久保委員より、作業環境、あるいはその他の施設、また配転、要員問題、各般の重要な問題について御指摘いただいたのであります。  なかんずく、作業環境の問題につきまして、冷房、騒音等の問題は、これは私ども前から種々注意いたしておるのでありまして、それぞれ専門家の間で、科学的の調査をして、一定の限度以上のものについては、冷房をやる、また騒音等についても、その施設をするということで、それぞれ研究して、一定の規格を設けて、それによって改善をはかるように努力をいたしております。しかし、なお詳細に、どういう点のものをやるかということをもし御必要ならば、専門家が来ておりますから、御説明いたさせますが、われわれとしても、今後一そう努力いたすつもりでございます。  ことにIBMの問題について、今の御指摘の点なども、ずいぶんこれは、人道的な問題に関することだと思いますので、私ども十分注意しなければならないと存じます。私自身としては、御指摘の点、今初めて聞きましたので、どういう事実でありますか、なお、十分調査の上で、さらにお答えを、場合によっては申し上げたいと思います。
  83. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) ただいま久保委員から御指摘になりましたいろいろの点につきまして、ことにオートメ化に伴う労働環境の改善につきましては、私も、特段の注意をもちまして、公社の運営を監督して参ります。
  84. 久保等

    久保等君 時間がございませんから、やむを得ません。また別な機会に……。
  85. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに御発言もありませんようですから、質疑は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正案の提出等のおありの方は、討論中にお願いいたしたいと存じます。また、付帯決議案につきましても、討論の際、お述べを願いたいと存じます。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  87. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それじゃ速記を起こして。
  88. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 私は自由民主党を代表し、本法律案に対し、賛成の点を表するものであります。  最近における電話に対する急激な需要増加に対応し、早急に電話設備を拡充して、国民の要望に応ずるため、わが党は、先に党内に電話拡充特別委員会を設置して、鋭意検討を加えてきたのでありますが、本案は、その趣旨を体して、今回政府より提案せられたものでありまして、われわれは、全面的にこれに賛成するものであります。  まず第一に、本案は、本年度より向こう十三カ年間にわたる長期拡充計画によって、昭和四十八年までには、電話申し込みの積滞を全部解消するとともに、また市外通話も、すべてこれを即時化することを二つの目途としてこの国民の要望にこたえようとするものでありまして、わが国現在の電話事情よりしてまことに適切な方策というべきものであります。  しこうして、これに要する建設資金は、計画によれば、毎年平均約千五百億を必要といたしますが、従来の負担法における電話加入者負担の制度を廃止して、もっぱら加入者の協力を得る趣旨のもとに、二万円から十五万円以内の債券の引き受けを願うことにより、所要資金の一部を調達しようとするものでありましてその引き受け債券に対しても、特にその利回りを適正なものにするとともに、これを担保とする金融についても、別途十分の措置を講じて、電話加入者の実質的負担の軽減を配慮しているものであります。もちろんこのような画期的な拡充計画を遂行しようとするには、公社事業運営上、幾多の改善と、積極的な事業推進方策が講ぜらるべきものと思いますが、この点については、公社当局においても、いろいろと考案がなされているようであります。あるいは電信の赤字克服の問題、電話料金体系の問題、債券の市価安定の問題等政府電電公社は、この上とも方遺憾なきを期せられるよう要望いたします。  特に、従業員の積極的協力は計画遂行の要諦であります。これについては、公社としても、よく徹底を期せられまして、労務管理等についても、公共企業体としての特性を十分発揮し、その待遇改善等に適切な配意を願いたいと存じます。  以上をもちまして、私の本案に対する賛成の討論といたします。  なお、加えまして、私はこの際、事務的な修正動議を提出いたしたいと思うのであります。それは、本法律の施行期日及びこれに関連したものであります。修正案文を朗読いたします。    電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案に対する修正案   電信電話設備拡充のための断定措置に関する法律案の一部を次のように修正する。   附則第一項を次のように改める。  1 この法律は、公布の日から施行する。   附則第三項を次のように改める。  3 電話設備費負担臨時措置法昭和二十六年法律第二百二十五号)の一部を次のように改正する。    第一条第一項中「昭和三十六年三月三十一日」を「電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律昭和三十五年法律第  号。以下「電信電話拡充法」という。)の施行の日(昭和三十五年 月 日)の前日」に、第三条第一項、第四条の二第一項、第四条の三第一項及び第三項、第四条の四、第五条第一項、第五条の二第一項並びに第五条の三第一項中「昭和三十六年三月三十一日」を「電信電話拡充法の施行の日(昭和三十五年  月  日)の前日」に改める。  以上であります。何とぞ、御賛同あらんことをお願いいたします。
  89. 鈴木強

    鈴木強君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案の原案と、ただいま自民党の鈴木委員から提案のございました修正部分に対し、絶対反対の立場を明らかにして、討論を行なわんとするものであります。  まず私は、具体的な反対理由を申し述べる前に、公共企業体経営の問題点について指摘し、政府に対し、厳重なる警告と反省を求めておきたいと思います。  御承知通り、わが国の電通事業は、明治二年に国有国営の形態をもって発足し、昭和二十七年八月に日公共企業体経営に移行されたのであります。しかしながら、今静かに過去八年間の歩みを振り返ってみるときに、公共企業体とは何かの疑問が大きく残されているのであります。すなわち、公共企業体経営の基本方針は、国営の長所と民営の長所を織り混ぜたものであり、この思想に立って、経営の独自性と自主性を経営者に与え、一方、職員に対しては、一般公務員と異なり、職務の内容と責任に応じ、かつ、発揮した能率を考慮して、適切な待遇が与えられることになっておるのであります。しかるに、今日これらの諸点が、ほとんどぼかされているのみか、逆に、事業に対する不当な干渉と介入が強くなされて、経営の自主性は失われ、国有国営形態に戻りつつあることは、まことに重大といわなければなりません。これは政府の公共企業体に対する認識の欠如とともに、現行公社制度上の不備欠陥に根本的な原因があると思うのであります。極言すれば、公共企業体経営は、アメリカの直輸入であって、わが国においては、これを受け入れるだけの準備態勢がなかったともいえるのであります。しかるがゆえに、今日まで二回にわたり、公企体のあり方について審議会から答申がなされ、その都度抜本的な改革が強く要求されているのであります。  ところが、政府は、これらの答申に対しても、われわれのたび重なる追及があるにもかかわらず、検討をして実施に移すという答弁をしつつ、何ら具体的な検討を行なわず、放置していることは、無責任もはなはだしいものであって、絶対に容認することはできないのであります。  かくのごとき情勢に立たされつつも、これらの悪条件を克服して、すでに電電公社は第一次五カ年計画を完遂し、サービスの面においても、能率の面においても、また事業収入の面においても、戦前の水準を大きく上回る成果をおさめておるのでありますが、これは設備の近代化、オートメ化、合理化等、職員の労働条件を圧迫する諸問題が、次々に発生する中にありながらも、全職員の事業を思う一念と、言語に絶する涙ぐましい努力がなされたによるものと信じます。従いまして、公社が第二次五カ年計画の拡大修正に踏み切るにあたり、政府が、何よりも先に実施しなければならないのは、事業の生々発展をはばみつつある現行公社制度の不備欠陥の是正にあると存じます。  しかるに、この不可欠の必須条件については、何ら手をつけず、事業の持つ公共性を無視して、加入者負担金を増大することによって、無理な建設資金の調達を考え、職員の労働条件についても、その特殊性は何ら認められず、職場のすみずみに至るまでみなぎりわたっておる不満をそのままにして、事業の拡充発展を推し進めようとする公社と政府の態度は、本末転倒もはなはだしく、これでは、今後長期にわたる計画が画餅に帰することは必定であり、われわれの絶対に自信と責任の持てるものではありません。  法案審議の中で、植竹郵政大臣は、私の質問に答えて明らかに制度上の不備を認めておられるのでありますから、今からでもおそくはありません、すみやかに審議会の答申に検討を加え、一つ、拘束予算制度を撤廃して、決算主義を採用すること。二つ、公社の取扱いにかかる現金の国庫預託制度を廃止すること。三つ、公社の自主性を強度に確保すること。四つ、職員の退職手当制度は、現行の国家公務退職手当暫定措置法の適用を除外して、団体交渉によってきめること等々の法改正を行ない、以上の改正が行なわれた後に、拡大のための長期計画を樹立されるよう、要求するものであります。  反対理由の第一は、国会審議権を尊重せず、加入者負担の増大を行なったことについてであります。国民電話に対する熾烈な要望にこたえようとして、電話設備に要する資金の不足を補うため、新たに電話を申し込もうとする者から三万円以内の負担金を取り立てようとする内容を持った現行電話設備費負担臨時措置法昭和二十六年六月九日、五カ年間の期限をもって制定されたのでありますが、その後、昭和二十七年十二月二十七日同法の一部が改正されて、六万円以内の電話債券の引き受けを加重、義務づけられることになり、また、昭和三十一年三月九日、施行期限が五カ年間延長されて今日に至っておるのであります。この間、二度の改正にあたって、衆参両院は慎重審議を行なった結果、激増する需要に応ずるために、やむを得ざる臨時措置として、これを認めたのでありますが、特に附帯決議において、電話事業の公共性にかんがみ、政府は建設資金の調達については、積極的な協力を行ない、でき得る限り加入者負担の軽減をはかるよう、法律施行期間中においても最善を尽くすよう、強く政府に要望しておったのであります。  しかるに、政府は、庫の決議の趣旨を十分尊重せず、第一次五カ年計画から第二次五カ年外画へと、電電事業に対する財政援助は微々たるもので、現に昭和三十五年度の予算を見ても明らかでありますように、当初公社は、簡保資金運用部より五十億円、公募割引債券三十億円、公募債百三十一億円、合計二百十二億円を要求したのでありますが、簡保運用部資金二十五億円、公募割引債券ゼロ、公募債五十五億円、合計八十億円で、しかも簡保運用部資金の二十五億円は、借入金でなく、公募債の引き受けによることとなり、従来より悪くなっているのであります。昭和三十五年度公社建設資金の総額は、七十二億円の外債は別として千二百八十五億円となっており、見かけは大きいようでありますが、その内容を見ると、政府資金の援助は、前述の通りわずかに八十億円で、残り一千二百五億円のうち約四百億円が、今回提案された措置法によって加入者から取り上げられ、八百億円は自己資金より調達されておりまして、いかに政府の事業に対する熱意と努力が欠けているかをはっきり物語っているのであります。この比率は、大体過去八カ年間の比率を見ても、大差はありません。これでは、附帯決議が尊重されているとは考えられません。ここにわれわれの大きな不満があり、政府の無責任を追及する大きな原因があるのであります。郵政大臣は、国会審議権をいかに考えておられるか、多分に疑問を持たざるを得ないのであります。  しかも、当初の第二次五カ年計画を拡大修正するにあたり、これまでの経過を無視して、現行臨時措置法有効期間中に、これを廃止して、本法案を提出された意図は、全く了解に苦しむところであります。政府は、債券が市場で売却されることを前提として、負担を軽減したと言っておりますが、これは国民をごまかすにもほどがあるもので、今後、経済界の変動がどうなるか、確たる見通しも立たず、特に最高、市場に債券がダブつく額が四千億円をこえることも考え合わせるとき、現在の市価の維持は、何人も保証できない。結局弱い者いじめの結果となり、何といっても現実には加入者の負担増となり、国民一般への電話架設はほど遠く、相変らず金持ちのための電話という非難とそしりを免かれることはできないでしょう。電信電話の大衆性と公共性はいずこにあるのか、これでは、国民の期待に沿うことは不可能であり、われわれの断じて納得できるものではありません。  政府は、よろしく自己の無為、無策、無能を反省して、電信電話が真に国民のものとして、わが国の産業、経済、文化等万般の先駆たるの使命を果たし、わが国の発展のため寄与できるよう、積極的に電信電話事業に国庫財政からの建設資金の増額を行ない、加入者負担の軽減をはかるよう、強く強く要求する次第であります。  反対理由の第二は、電信事業に対する基本的方針が出されていないことについてであります。公社の第二次五カ年計画拡大修正の内容を検討するに、その施策のすべてが電話事業に置かれ、電信事業が軽視されていることは、すこぶる不満とするところであります。現在電信は、年額百二十億円近い赤字経営になっております。これに対して電報の中継機械化等、かなりの合理化を行なっているにもかかわらず、赤字解消はおろか、赤字の漸減すら期待されないのが現状であります。これが克服策は、本委員会においても幾たびか取り上げられ、重要課題となっているのでありますが、この基本政策には何ら見るべき具体策が示されておらないことは、きわめて遺憾に思います。昭和四十七年を終期とする長期計画の中で、加入電信、専用電信等の拡充発屋を期待しているようでありますが、その時点において、具体的に一般電報との関係はどうなるのか、また、加入、専用の電信計画は、どうなるのか、さらに、採算性はどうなるのか、はっきりと説明がなされておりません。これでは、赤字に、苦しむわが国の電信事業の長期安定政策としては、すこぶる不満足のもので、職員はもちろんのこと、国民が安心して事業をまかせることはできないのであります。電報の赤字を電話の黒字によってまかなうことの基本理念を否定するものではありませんが、年々増大する赤字を、このまま放置することは断じて許されませんので、公社と政府は、これが克服策をすみやかに樹立されるよう、万全の対策を考究すべきであると信じ、猛省を促すものであります。  反対理由の第三は、拡大する事業量に対して、その対応策がないことについてであります。最近における公社の工事施行の進捗率を見るに、かなり好転はしているものの、年間約百億円近い繰り越し工事のあることの現況を思うにつけ、拡大修正によって年間一千三百億円に上る建設資金をもって事業が拡充されていくので、はたして計画通り諸工事が実施されるかどうかは、大きな疑問となってくるのであります。審議の中で、公社は今日までの経験に徴し、隘路の打開のために積極的な対策を行なう旨答弁がなされておりますが、その具体策には、要員の配置、組織機構の整備強化等見るべきものがなく、われわれの危惧を解消させるものではありません。公社は、請負工事の拡大を企図している模様でありますが、これも本来の公社の使命から考えるときには、時期を得た措置とは言えません。われわれは拡大する工事量に対応して、本社から現場機関に至るまでの組織機構を整備、強化し、要員の配置についても万全を期し、あわせて総合的、かつ適切な計画を樹立し、もって増大する工事量の完全消化を期すべきであると思うのでありまして、公社当局に対し、この点に対する態勢確立を強く期待するものであります。  反対理由の第四は、料金体系の合理化が行われないままで本法案が提出されたことについてであります。御承知通り現行料金制度の料金体系の不備欠陥については、本委員会においても、幾たびか論議がされたところであります。片や経済圏の発展等によって、特に大都市周辺の電話の加入区域をどうするかということは、焦眉の急務でございます。この問題については、電電公社当局が、一応本委員会において、今通常国会において提案をする趣旨の御説明があったのでありますが、その後、あらゆる角度から検討を加えておられるようでありますが、準備その他の都合で、本国会提案されなかったことは非常に残念に思います。特に現在電話利用者からみますと、年間約三百六十億の純然たる黒字経営になっておる。しかも、これは債務償還二百億を差し引いてのことでありますから、債務償還二百億を差し引かなかった場合には、約六百億近い電話の純収入があるといっても過言ではないと思うのであります。従って、電話の利用者から見ると、もう少しく電話料が安くならないかという意見も出ておると思います。従って、これから四十七年までの十三年間の長期にわたるこの法案でありますから、現行の料金体系を整備して、国民の納得できるような態勢の中で、しからばこの法案によって、幾らの設備資金を負担していただくか、こういう姿になりませんと、問題は解消できないと思います。従って、この料金体系の合理化については、遺憾ながら本委員会提案ができなかったのでありますが、できるだけ一つの作業を進めていただいて、すみやかなる機会に、国会審議を仰ぐようにしていただきたいことをお願いしておきます。  反対理由の第五は、設備の近代化に伴う職員の訓練計画が十分なされておらないことについてであります。御承知通り、電気通信事業は、急速な発展をいたしておりますが、それには設備の近代化、オートメ化が急速に進められております。従って、合理化の進捗によって職員の配置がえ、職種がえ等は、かなり多くなって参ると、私は思うのであります。現行訓練制度は、戦前の逓信講習所普通科、高等科、官吏練習所というこの訓練形態から見まして、かなりひっこんでおります。従って、私はこの際、委員会でも申し上げましたように、今後事業の拡大に伴ない、設備の近代化に伴なう職員の再訓練を含めた公社の訓練計画というものは、もう少し抜本的の検討を加えていただき、そうしてこの近代化に即応するような態勢を作っていただくことを、この機会に強くお願いをしておきたいと思います。  最後の反対理由は、職員の労働条件の向上について、積極的な施策がなされておらないことについててあります。ただいま鈴木委員からもお話がありましたように、およそ、事業経営のかなめは、そこに働く労働者の協力を得ることが必須条件であることは言うまでもありません。  電通事業が、公企体経営に移行する際に、職員に約束をした労働条件、待遇のあり方は、最初に述べましたようでありますが、公社移行によって、定員法が適用を除外され、そのかわり職員は、給与総額によって縛られることになったのでありますが、給与総額内における基準内外の移流用は当時認められておりましたので、多少ではありましたが、公社の自由裁量が行なわれたのであります。ところが、昭和三十三年四月より、不当にも給与総額内での移流用が禁止されたため、その妙味は失われ、公社の自主性がなくなったのであります。これがため、公社法第三十条の職員給与のあり方は、一般公務員並みに格下げされ、職員の失望これに過ぐるものはありません。全職員の労働意欲は失われ、最初に申しましたように、職場の隅々にまで不満が充満しているのが実情であります。設備の近代化、合理化の推進に伴い、労働条件の悪化が急ピッチに出現する事業の特殊性がある中で、戦後荒廃に帰した電信電話事業を再建し、発展し、サービスの向上と能率の向上と事業収入の増大のために、第一次五カ年計画から第二次五カ年計画へと、異常な努力と協力を惜しまなかった職員の心情を思うとき、今日の公社職員の待遇をもってしては、あまりにも冷酷であり、血も涙もないと言わなければなりません。本拡充計画は、今後十三年の長期にわたり、しかも、かつ広範な内容を有するものであります。特に、急激なる企業の合理化、オートメーション化は、他の企業に、その例を見ない特殊なものでありまして、事実に従事する労働者に与える影響もまたきわめて大きいと言わなければなりません。従って、政府並びに公社当局は、今後常に労働条件、特に要員の確保、賃金、諸給与、労働時間、作業環境、福利厚生施設等の向上のため、積極的な対策を樹立され、もって全職長が一致協力して、この事業に邁進できるような措置をぜひとも講じていただくように、強く強く私は要求する次第であります。  その他、いろいろ問題点はございますが、以上、重要な点だけを申し上げまして、反対討論を終わります。
  90. 山田節男

    山田節男君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案、並びに先ほど鈴木委員から御提案がありました提案につきまして、後ほど述べまする付帯決議を付しまして、鈴木委員提案された修正案並びに修正にかかる部分を除く原案に賛成の意を表するものであります。  以下、本案に対する若干の希望と意見を申し上げたいと存じます。  ただいま議題となっておりまする暫定措置法案は、これは、私は、その思想的背景において、電電公社が、今後十分反省をしていただきたい点を指摘したいと思うのであります。  まず、歴史的に見ますると、明治二十三年に電話事業が開始されました当時は、この電話の設備架設等は、国の一般歳入の予算として支弁しておったのであります。しかるところ、明治二十九年以後におきましては、もっぱら架設設備等は、公募債によってまかなうという建前になっておりました。  しかるところ、電話需要の増大と拡張の緊急性を帯びて参るため、資金の増大を必要といたしまするがゆえに、いわゆる寄付金による電話の開通制度というものを始めました。そうしてその後に、今日まで存続しておりましたところの、加入者が、この電話の設備の負担をするという例になってきておるのであります。  私は、公社法を作るときにおきましても、すでに公社法としての経営の根本の概念といたしまして、あくまで独立採算主義でやるべきこの建前からいたしまして、今この法案交換に改正されようといたしまする電話設備費負担臨時措置法、これは悪法であるということを指摘して参ったのであります。私は、今回のこの法案によりまして、裏づけをいたそうとしておりまする第二次五カ年計画の、本年度に始まる三カ年の修正拡大計画に際しまして、私は、この明治以来の官営制度の思想というものを払拭して、第二次五カ年計画立てていただきたかったのでございますが、この点は、公社の将来の経営の根本精神として、十分反省していただきたいと思うのであります。  なおこの法案によりまして、三十五年度以降三年間におきまして四千五百億円の資金の調達を必要としまするがゆえに、この法案提案されたものと了承いたすのであります。そういたしまして、ただいまも申し上げましたこの法案によりまするブループリントによって示されておる諸点につきまして、若干の意見を申し述べたいと存じます。  この法案によりまして、資金の増大した調達をはかり、今後三年間におきまして百三十万の電話をふやす、また公衆電話におきましては七万ふやし、また市外回線におきましては四百二十万キロを、さらにこれを原案よりも拡大をしようとする意図を持っておるのでございます。私は、この法案によりまして、莫大な金融措置を加入者から負担せしめるのでありまするが、それによって生じまする債券の市場におきまする安定確保につきましては、これは郵政大臣、大蔵大臣等政府当局が責任を持って、この加入者負担の危険と損害を軽少にするために格段の注意を払っていただきたいと思うのであります。  次に、この案によりまして、市内電話は、今後十三年の後に、すなわちこの法案の時限としておりまする昭和四十八年三月三十一日までには、市内電話並びに市外電話等を入れまして九五%、すなわちこの計画の終わりまする三十五年度までには七五%を自動化する計画をいたしておるのであります。特にこの中で、今日の電電公社電話サービスにおいて、国民の不便とし、国民の諸活動を阻害する大きなボットル・ネックとなっておりますものは、市外通話の能率がきわめて低いことでございます。この計画におきまして市外通話のサービス改善において、幾多の計画が示されておりまするけれども、今日のこの待時間の長い、またきわめて効率のあがっていない、市外通話のサービスにつきましては、公社の示しましたブループリントによりますると、少なくとも都市間における通話即時通話とし、また待時間をスピード・アップする意味からいいましても、無線中継によるルートのネットワークを作るということを欠いているやに印象を受けるのであります。この点は、この計画によって示されておりまするように、電話のサービスにも画期的改善を完遂するためには、ぜひお考え願いたいと思うのであります。  次に、この公社は直属の雇用者十七万、郵政委託三万有余、合計二十万に余る従業員を持っているのでありまして、しかも現業局におきまする仕事の性質から、一秒といえども、精神の緊張を緩和することのできない特殊な労働条件を持っておることにかんがみまして、なおまた、この産業の性質といたしまして、オートメーションの進行等から見ましても、労務者の配置転換あるいは給与、あるいは労働時間その他いろいろ特殊の問題があると思うのでありますが、この点は、今後の膨大なる計画の遂行におきましては、やはり人的要素、つまりヒューマン・ファクターを無視した経営というものは、決して能率をあげないということは幾多の例が示すところでありまして、公社の経営担任者といたしまして五、この労務管理の点におきましては、格段の努力をされまして、労使間におけるいわゆるグッド・フェイス、誠意、信頼というものを確立するよう、労使双方の格段の御努力をお願いしたいと思うのであります。  なお、かような画期的な膨大な計画を遂行するにあたりましては、やはり科学的経営が必要と思うのであります。欧米諸国におきまして、特に通信関係の出発計画において、しばしば行なっておりまするように、いわゆるオペレーションズ・リサーチ、あくまで科学的な経営、科学的な能率向上のための計画と施策を行なわなくてはならないと思うのであります。こういう点におきまして、公社の経営委員会はもとより、経営の最高首脳部は、常にオペレーションズ・リサーチを重要視され、労務者の福祉増進、サービスの改善と能率化、こういう点に、一そう意を用いられんことを切にお願い申し上げる次第であります。  なお、この法案によって、拡大改善されようとする電信サービスの問題について、一言触れたいと思います。それは、公社としましては、電信サービスの面においては、常に赤字と申しますか、決して経済的な経営とはなっていないのであります。これは、各国ともその例に漏れないのでありまするが、これを改善するためには、やはり中継の機械化、これをまず第一にやらなければならぬ。そうして同時に、この中継の機械化と同時に、先ほども電話サービスにおいて申し上げましたごとく、無線というものに対する認識を一そう強めて、これを応用していただきたいと思うのであります。  また電信の能率化におきましては、従来の縦書きは、むしろ横書きにすべきものではないかという点も、私は注意を促したいと思うのであります。  最後に、電信のサービスに関しまして、加入電信の問題であります。自来、加入電信の創設日なお浅く、本法律案によりましても、加入電信に関しましては、六十万円以内の債券を持たせるということになっておりまするが、今日、加入電信は、もはやぜいたくな品物ではないのであります。加入電信は、さらに民衆化したデスクファクス、あるいはイントラファクス等によりまして、この電信サービスの改善能率化を各国ともはかっている事案にかんがみまして、この点を十分、公社当局は意を用いられんことを熱望してやまない次第であります。  次に、最初に申し上げました付帯決議をここに朗読して、委員各位の御賛同を得たいと存じます。これを朗読いたします。    電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案に対する附帯決議   この法律の施行に当り、政府並びに日本電信電話公社当局は、次の各項の励行に努むべきである。  一、この法律によるぼう大な電信電話債券の市場価格の安定を期するため、利率の設定その他万全の措置を講ずること  二、長期拡充計画実現の可否はかかって建設資金にある、よって政府は必要な資金調達に対し国家財政資金の増額に努めること  三、電信電話事業の特異性に鑑み、労働条件特に要員の確保並びに賃金、諸給与、労働時間、作業環境、福利厚生施設等の向上について積極的な施策を行い、拡充計画の完遂を図ること  右決議する。  以上をもって私の賛成討論を終わります。
  91. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに御意見もないようですから、討論は終結したものと認めて、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案について採決に入ります。  まず、討論中にありました鈴木恭一君提出の修正案を問題に供します。  鈴木恭一君提出の修正案に、賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  93. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 多数と認めます。  よって、鈴木恭一君提出の修正案は、可決せられました。  次に、ただいま可決せられました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。  修正部分を除いた原案に、賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  94. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 多数と認めます。  よって残り原案も、多数をもって可決せられました。従って本案は、多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  次に、討論中に述べられました山田節男君提出の付帯決議案を議題に供します。  山田節男君提出の付帯決議案を、本委員会の決議とすることに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  96. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 全会一致と認めます。  よって山田節男君提出の付帯決議業は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  97. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) ただいま電信電話設備拡充法案が、当委員会におきまして通過、御議決下さいましたことに対しましては、政府は、今日までの委員長並びに委員諸君の慎重なる御審議に対しまして、深く感謝と敬意を表します。政府は、電電公社が、この法律案の所期の目的を達成いたしますにつきましては、この御審議の途上、披瀝せられました委員諸君の貴重なる御意見につきまして、深き注意をもって、電電公社に対しまして、極力、指導監督をいたして参る所存でございます。  さらにまた、ただいま付帯決議が出されましたにつきましては、この三カ条の御趣旨を、政府は十分尊重いたしまして、公社の所期の目的を達成せしめ、その監督をいたす決意でございます。  まことにありがとうございました。
  98. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいま御決議になりました暫定措置に関する法律案、これは公社が計画をいたしました第二次五カ年計画改訂のためには、その根幹をなすものでありましてこの重大な法案が、皆様の連日の御審議によりまして、本日ここに、すみやかに御可決いただきましたることに対して、厚く御礼を申し上げる次第であります。質疑応答の際、またその他の場合にいろいろ貴重なる意見を拝聴いたしましたが、これらの意見につきましては、今後十分研究をして、計画の遂行並びに将来の計画の際の資料として、十分尊重いたしたいと思います。  ありがとうございました。
  99. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 本日は、これにて散会いたします。    午後二時四十四分散会