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1960-04-14 第34回国会 参議院 逓信委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十四日(木曜日)    午前十時四十分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     柴田  栄君    理事            鈴木 恭一君            松平 勇雄君            森中 守義君    委員            黒川 武雄君            新谷寅三郎君            寺尾  豊君            野田 俊作君            最上 英子君            谷村 貞治君            久保  等君            鈴木  強君            野上  元君            光村 甚助君            山田 節男君   国務大臣    郵 政 大 臣 植竹 春彦君   政府委員    郵政省電気通信    監理官     松田 英一君    郵政省電気通信    監理官     岩元  巌君   説明員    郵政省電波監理    局次長     野島 正義君    日本電信電話公    社総裁     大橋 八郎君    日本電信電話公    社営業局長   大泉 周蔵君    日本電信電話公    社運用局長   山下  武君    日本電信電話公    社計画局長   伊藤  誠君    日本電信電話公    社施設局長   平山  温君    日本電信電話公    社経理局長   山本 英也君    日本電信電話公    社資材局次長  杉田 虔二君    日本電信電話公    社電気通信研究    所長      米沢  滋君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件電信電話設備拡充のための暫定措  置に関する法律案内閣提出、衆議  院送付)   ―――――――――――――
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより開会いたします。  電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案を議題といたします。  前回に引き続いて質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 山田節男

    山田節男君 私はきょうは、この問題になっております、電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案と、これに関連しまする今回、電電公社が発表しておりまする第二次の五カ年計画拡大修正計画、これについて若干質問いたしたいと思います。  これはまず、総裁それから並びに郵政大臣にお伺いするのですが、この公社ができまして、昭和二十八年の八月に第一次の五カ年計画を立てたときと、さらに三十三年度から第二次五カ年計画を立て、さらに第二次計画の第三年度の、すなわち昭和三十五年度からの拡大修正計画、この三つを比較してみた場合に、もちろん昭和二十八年の八月の第一次五カ年計画当時、独立国――平和条約が締結されたとはいえ、まだ終戦後の時代であって、今日とは国内主体的条件が違うということは、これはもちろんよくわかっておるのですが、申すまでもなく、この電電公社のやっておる国内電信電話事業は、私の知るところでは、明治二十三年に始まったというのですけれども、元来、電信電話国営事業という長いその歴史の間において、とかく受益者負担という建前で、いわゆる受益者電話施設負担をせしめるということでずっときているわけです。ところが昭和二十七年に法律によりまして、この国営が今度は公社になった、いわゆる公社経営になった。そういたしますと、国営と今度公社、いわゆる国の代行機関でありますけれども、いわゆる一面においては商業的な計算を入れた、いわゆる自主的な経営をやる、それによって能率が上がる、サービスの改善ができる。こういう意味で、実は私ども公社経営に踏み切ったわけでありますけれども、ずっとこの計画を第一次、第二次、第二次の修正案計画を見ますと、あくまでも受益者負担ということは全然改まっていない。御承知のように公社経営にしまして、従来行なわれておりました納付金制度というものをなくしまして、これは資本の蓄積のためにこれをとって、そしてこれはやはり建設勘定とか、そういうものに向けていこうというのが建前です。しかるところ、今回の第二次の拡大修正案を見ましても、非常に急テンポに電信電話拡充、ことに電話の急速な拡充ということになってきますと、やはりこの受益者負担という建前が消えていない。なるほど、今回のこの法律案等を見まするというと、従来ありましたこの電話加入施設負担臨時措置法というものは廃止しますけれども、そのかわりに設備料というものはとる。そして他面、これはいろいろ理由はありましょうけれども、多額な電話債券加入者負担せしめるというこの建前ですね、これは私はどうして払拭し切れないのか。これは郵政大臣にもお聞きしたいのですけれども大橋総裁経営委員として初めからずっと御関係になっておりますし、そういうところから考えますと、私は総裁としてこういうブループリントお作りになる場合に、やはり公社建前とすれば、あくまで自主独立採算でいくべきだと思うが、こういう財政投融資であるとか、あるいは受益者負担というのは、もう非常に公社として一つ邪道だとわれわれは思う。  この受益者負担ということを考えないで、たとえば、どうしてもこの急速な拡充をしなければならぬということなれば、まず公社として考えることは料金を改定しなければならぬ、電信電話料金を改定する、その改定するよしあしは別ですけれども、あなたが経営者としてやる場合に、受益者負担加入者負担せしめるということになって、ほかに金がなくなればやはり自己資金でやる。あとは長期借り入れとか、あるいは公募債ということもありますけれども、まず私は経営者としたらば料金というものを、これは一番の収入の根源ですから、そこから私は計算すべきものじゃないかと思うのですけれども、この拡大修正計画案をお立てになる場合に料金問題を考えられておるのかどうか。また、これはおそらく、昨年のブループリントができたときは、植竹さんがまだ郵政大臣ではなかったかと思いますけれども寺尾郵政大臣のときだったかもしれませんけれども、もし郵政大臣がそれに参画しておられればこの点を一つお伺いしたい。なおまた、この問題は、この案件はずっと発表前の与党との折衝が長かったということも私は承知しております。そういう点から見まして、ブループリントの第一条件としての採算主義からくるならば、料金というものを上げるということを考えるべきだと私は思うのです。これはそれが大衆負担になるとかなんとか、そういう問題は別個として、ケースとすれば、いわゆる料金というものはジャスト・アンド・リーズナブルでなければならない。ですからこれはどうしても経営上げなければなりません。ことに、昭和二十八年の第一次五カ年計画を実施するにあたって一割料金値上げをわれわれは承認したわけです。そういういきさつがあるので、このブループリントを作る根本として、しかも公社経営の責任として、あるいは監督官郵政大臣として、一応私はそういうことの是非ということを考えるべきではないかと思います。その点についてのお考え総裁並びに監督官としての郵政大臣の御所信を承りたいと思います。
  4. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいまの山田先生の御意見、私も同感するところはなはだ多いのです。これはあらためて釈迦に説法のことを申し上げて、はなはだ恐縮でありますが、一方電話歴史を振り返って見ますと、御承知通り明治二十三年に初めて電話交換というものが起こったのであります。数年ならずして建設費調達に苦しみまして、思うように架設ができない。こういうことから、もう仕事が始まりまして数年たったときに、すでに資金調達加入者負担に求めるという制度が起こったのであります。これは一方からいいますと、ただいま御指摘のごとく、まことにこれは悪政と申して私はよかろうと思っているのですが、背に腹はかえられないというおそらく当時の考えでしょうが、明治の二十年来、三十年来にかけてそういう制度が始まりまして、その後幾多の変遷を経ましたけれども、常に根本においては建設費の一部、もしくは場合によっては全額を負担していただくというような時代もあったのであります。あるいは至急開通料という名において、あるいは特別開通料というような名において、名義はいろいろ変わりましたけれども、相当多額のいわゆる負担金というものをいただく、これはいわば必要悪といいますか、これがなければ電話の拡張ができないという当時の財政状態等からの要請であったかと思います。かようにしてほとんど、明治時代を通じて大正になり昭和になって、官営時代、ほとんどこれはあらゆる時代を通じてその観念は今日まで一貫して尾を引いているわけであります。当時の数字を振り返って見ますと、時には実費をほとんど全部負担金に依存したという時代もあります。これは当時の震災後の非常な異常時であったかもしれませんが、大正十三年には、東京においては架設費負担として千二百円の当時設備費負担していただいたわけです。これは今日の物価換算をいたしますと、三十一万五千八百円余りの負担をしていただいたことになっております。さらに昭和十四年には千五百円の設備費負担してもらっておるのであります。これは今日の換算率からいたしますと四十万円以上の負担をしていただいておる。これは最も極端な例でありますが、昭和六年には九百円という、ノミナルの負担金は減っておりますけれども物価等関係からこれを換算いたしますと、これもやはり四十二万五千円という実質上の負担金をしていただいておる、こういうようなことになっております。かようなわけで、多少の出入りはありますけれども、大体において負担金主義といいますか、設備費加入者負担していただくという思想はずっと根底に流れておりまして、終戦後になりまして、依然としてこの思想は尾を引いて今日まで参っております。  しかし、大正時代のような極端に設備費全部を持っていただくという思想はさすがに今日ございません。しかしながら、御承知のように、この負担法におきましては、東京においては三万円の、これはいただき切り負担金であります。これはそのかわり一方において六万円の債券を持っていただく、かような状態で、昔に比べますと少なくはなっておりますけれども思想としては、やはりそういう御指摘負担金加入者に持たせるという考え方根底に横たわっておると思います。そこで私ども第二次五カ年計画策定をやります場合に、いろいろ研究してみますと、先般負担法延長の際のいろいろ論議もよく精密に拝見いたしました。また当時の決議の点もよく考えてみました。でき得べくんば負担金はもちろん、債券引き受けもこれはやめてしまって、本来の姿に返って、自己資金並びに財政投融資、また公募と、これだけでもってもしやり得るならば、この理想の形でやりたい、こういうことを第一に私ども考えた次第であります。ところが遺憾ながら現在の財政状態あるいは一般経済状態等から考えまして、自己資金以外の不足金を、建設費不足財政投融資もしくは公募に全部依存するということは、とうていこれは実行不可能であろう。理想としては最も正しい行き方だと思いますけれども、とうていこれは実行は困難であろう。そこで、せめて、いただき切り負担金だけは、私は何としてもやめたいということで、まずこの負担金をやめることを考えました。  次に、債券引き受けの問題でありますが、これもでき得べくんばやめたいと考えましたけれども、どうもこれは、先ほど申し上げましたように、今日の財政投融資なり一般公募の在来の行き方、また現状から考えまして、これを公募並びに財政投融資に依存するということはとうてい不可能であろうと考えましたので、遺憾ではありますけれども、これはやはり加入者協力を求めるほかに方法なしと考えまして、この負担金はやめますけれども債券引き受けだけはお願いしたい。それにいたしましても、従来のやり方は、やはり根本負担金という思想が横たわっておった関係でありましょうか、同じ電電債にいたしましても、加入者引き受けの場合は利率一般公募の場合よりも安い利率引き受けていただいております。たとえば一般公募の場合は七分もしくは七分一厘のような場合にも、加入者引き受けの場合は六分五厘というような不利益債券引き受けていただいておるのでありまして、これはまあいろいろのほかにも理由があるかもしれませんけれども、その根本にはやはり設備費負担思想が横たわっておるのじゃないか、かように私は考えまして、このたび新しい暫定法を作りますときにはこの思想一つ払拭したい、かように考えまして、どこまでも今度の社債引き受けは、加入者協力を求めていく、負担金という思想でなしに、協力をいただいて社債引き受けていただく、公募の場合の引き受けと同じ意味において引き受けていただくという観点に立ちまして、その利率ども一般公募の場合と権衡のとれた利率にしたい。かようなことで今度の立案をお願いしたわけであります。  まあそういうことで、金額は、社債は従来よりもふえておりますけれども、その中身は相当考え方実質も私は違ったつもりでやっておる考え方であります。従いまして、一見いたしますと、従来の負担法と今度の設備費暫定措置法はあまり変らないように見えるかもしれませんけれども、私ども考え方といたしましては、思想といたしましては、前には負担金という思想根底に横たわっておった。今度はどこまでも公募でいただくと同じ意味においての協力という建前で実は立案いたしたつもりでございます。
  5. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ただいまの御質問に、大体におきまして電電公社総裁から御答弁申し上げた通りでありますが、監督立場にございます私といたしましても、電話拡充は、できるならば自己資金をもってまかないたい、それでどうしてもいけないときには、国家資金また公募債等によってやって参らせたい、さようなまた国会におきます御決議もいただいておりますので、これを尊重いたしまして、できるだけ加入者に御負担をかけないという建前計画を進めて参ることを公社にも慫慂し、また関係機関におきます協議の際にもそういう趣旨でやって参ったのでございますけれども、なかなか今総裁の述べられました通りに、加入者にも御協力いただかなければ、この膨大な資金をまかなっていけないという建前から今回の提出のような策定をいたさせました次第でございますが、ただ、今の総裁の言葉にもございましたけれども、十五万円ないし二万円という、加入者協力していただく債券の額は多いのでございますが、どこまでも私たちといたしましては、政府としては、国会の御決議を尊重して、負担ではないと、加入者からお金を貸していただくのだ、しかし、貸すといってもない方もおありなので、その資金調達の方は加入者の方で調達していただくとしても、調達されたその債券額は、さらにこれを担保に入れて金融の道を開いたり、あるいはこれを売却するというにあたりまして、楽に売却ができるような方法をとって、この国会の御決議の御要請に対応していくと、そういったような心がまえから今回の提案となった次第でございますので御了承をお願い申し上げます。
  6. 山田節男

    山田節男君 これは総裁にお聞きしますが、料金を上げるということは、なるほど他の物価に響く。しかしその前に、今日一般物価――鉄道、電気、ガス、こういうようなものと比較して、はたしてこの市内、市外通話電話料金が安いか高いか、こういうことは、私はもう十分御検討になったろうと思う。で、私の今質問申し上げたのは、公社としたならば、これは商業的な経営という立場から、採算主義でいけば、他の物価から比べても料金はもう一割上げても、七、八年たっておるから、そうすればもう今日の物価としては決してこれは高くない。そういう点から料金一つ、たとえば一割あるいは一割五分上げても、大体年間、昨年において二千億の電話収入があったとすれば、その一割で二百億ばかりの金が浮いてくるわけです。そういう点から、そういう多額な電話債券を持たせるというような邪道考えないで、料金をまず一割なり一割五分上げてやろう、これが常識じゃないかと思うんです。そこに電電公社としては、そういう案も立ててみたけれども与党なり、あるいは時の郵政大臣が、これじゃ与党政府として困るというようなことで押えたのかどうか、こういうことも実はお聞きしたいのですが、その点はどうですか。
  7. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 先ほどの私の答弁に実は漏れておりまして、はなはだ恐縮ですが、料金をある程度まで上げて建設費の一部に充てる、これは確かに正道であろうと私は考えております。先年公社ができまして、二十八年でありましたか、先ほど御指摘のありましたように、当時値上げを御承認いただいたわけでありますが、そのときは、当時の財政状態において、公社の会計上から見まするというと収入状態が悪うございまして、減価償却積立金も十分にやることができない。また改良費の部分の費用もできない、こういうことで、それで、そのときの状態から見て、一割前後の料金値上げを御承認いただいたわけでありまして、まあそれによって第一次計画も割合に順調に進んだと考えます。今日収支計算の上において、三十五年度の予算に約八百億近い繰入金が行なわれておるということも、やはりこれは一番大きな原因は当時の値上げにあると私は考えております。従って、この際値上げをするということは、私どもからいいますと、やや計算からいけば一番安易な、楽な方法なんでありますが、しかしながら、先年すでに値上げをいたしまして、またこの際値上げをするということも、私どもとしては、今のところいかがかと考えております。もちろん考慮のうちには入れましたけれども、その方法をとらないで、先ほど申し上げましたような、負担金をやりますけれども債券引き受け額を増して、これによって御協力を得て建設費の一部を調達したい、かような案をとりました次第でありまして、私ども値上げ案を提案して、大臣なり、あるいは与党方面からの反対によってとりやめたということではありません。
  8. 山田節男

    山田節男君 どうも日本政治家は、何といいますか、ちょっとそういう公衆的な料金を上げるということになれば、大衆課税になるというような誤った観念を持っておるのです。たとえばヨーロッパ、アメリカ――アメリカのごときはやはり電話に対して、一回の市外電話をかけることによって税金をとっておる、タックスをかけている。ですから今のあなたのブループリント根本思想加入者負担といいますけれども加入者負担じゃなく、これは受益者負担ということになる。ダイヤルを回して電話を使う者が負担すべきものである。三百五十万なら三百五十万の加入者がある、さらにこれから将来ふえる者が、電話施設をする者が受益者という、この観念公社経営として固まっておる。三百五十万の加入者が一日平均十回使うとして三千五百万回、ところが一般の公衆電話なり、いろいろな関係で使うものは何億かに上るのだ。そういうことになれば、加入者負担という思想は、やはりこれは国営時代の、しかも国家に対して、一般歳入に対しての納入金を納めたときの制度ならば、これはまた考えられるかもしれませんが、今日もう公社になって、加入者負担というような思想がすでにこれはおかしいのであって、受益者ということになれば、電話をかける人が負担して、そうしてそれをよくするということが、今日の通念からいえば、一番経営者としてドル箱にすべきである。今日は加入者の何も特権じゃないんです。ですから、そこにどうも明治大正昭和とかけて、電話事業に関する限り、これは政府も悪い。公社経営者が、電話加入者がこれを負担しなければならぬということは、これは非常に誤った思想だと思うんです。そこらあたり受益者加入者負担と区別するのは、私がいろいろ調べてみても、日本だけだと思います。ですから、こういう思想公社として公然と残っておるということは、公社経営の将来というものは、一体商業的採算主義で、自主独立能率を上げていくんだ、国には迷惑をかけないんだ、こういう建前でいくべきものであって、いたずらに財政投融資に頼ってみたところで、ここに寺尾郵政大臣もおられるし、あるいは植竹郵政大臣もおられるけれども、不幸にして、閣内においては郵政大臣はいろいろ活躍しておられるけれども財政投融資というものは年々減るばかりである。こういうものに頼る必要はないんだ。だから私はブループリントに底流するところの思想において、加入者負担においてという、こういう旧思想を払拭すべきだと思うんです。どうでしょうか、現に日本以外にこういう制度がないということは、市外電話を一回かければタックスをかけるというのが、いわゆる今日の近代的な電話経営常識になっている。市外通話に対してイギリスでもタックスをかけている。ですからそういうことをもっと根本的に考えて、ブループリントお作りになれば、料金を上げるということは――これは金の入る道がなければ借金する。借金すれば金利が要るということになれば、やはりこれを利用者負担するということにすれば、昭和二十八年のときは、二割五分上げてくれというのは一割五分で抑えた。ですからそろばんでおっしゃれば、一割五分上げても、二千億の電話収入とすれば、何も多額な電話債券加入者負担させる必要はないんです。また、みみっちい財政投融資に頭を下げてもらう必要がない。そこらあたりが、どうも依然として国営時代電話サービス事業だというような観念が残っておるような気がしてしようがないんです。  これは意見になりますけれども、ぜひこの点は改めなければいかぬと思います。これはあなたは第一次、第二次とおっしゃったが、なるほどわかります。わかりますが、しかし、その根本は、今度十五万円債券負担しなければならぬが、それは一割五分引きであれば売れるじゃないかということは、これはペーパー・プランであって、十五万円の電話債券というものは、これが市場にはんらんした場合に、これをコントロールする今の証券市場というものは、最も悪い意味資本主義が横行している。多分にリスクがある。それをあえて冒かしてまでこういうことをおやりになるということは、やはり根本思想において、そういう受益者負担加入者負担ということの区別が判然としていないんじゃないかと私は思います。この点どうですか。
  9. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 根本思想においては、全く山田先生の御意見と同じでございます。その御趣旨に基づいて実は今度の改正をやったつもりでありますが、私どもといたしましては、加入者の今度の債券引き受けは、加入者負担で願っておるという思想でないつもりで考えておるわけでありまして、従って、先ほども申し上げましたように、一般公募の場合と同じ利率債券引き受けてもらう。従来の加入者引き受け債券不利益なといいますか、一般公募の場合よりも歩の悪い債券引き受けておるという考え方であった、その根本においては。先ほど先生の御指摘のように、当時現行のあの負担法においては、あの引き受けはやはり加入者負担ということが根本に横たわっておると思います。それを私たちとしてはできるだけ払拭したいということで、実は今度の再建計画考えた次第であります。  料金建設費をやる、これは私はやっても差しつかえないと思います。ある程度までは現在の加入者料金を今度上げて、それでもって将来の新しく加入する方には一文も負担させないで、全部それでまかなおうということになると、少しく極端だと思いますが、将来の加入者がふえるということは、同時に現在の加入者にも利益があるわけでありますから、そういう意味において現在の加入者使用料の一部を建設費に回すということは差しつかえない。また、現在でもそれをやっておるのであります。しかしながら、新しく加入する方からいえば、現在の加入者よりもっと建設資金においては深い利害関係があるわけでありますから、まあその方に御協力を願って、債券引き受けていただくということの思想は、必ずしもそう不当な思想ではないのじゃないかという感じを実は持っておるのでありまして、しかし、決してこれはいい方法とは思いません。思いませんけれども、まず今日の事態から言えばやむを得ざるもので、この辺までがまんしていただきたい、かように考えております。決してこれがいい方法と申し上げておるわけではありません。
  10. 山田節男

    山田節男君 これはたとえばアメリカのベル会社あたりで、一昨年、一九五八年を見ますと、やはり三百五十万の電話を新しく架設しております。しかし、このベル会社は何もそんな負担加入者にさせるわけじゃない。先ほど申し上げましたようにあくまでこの料金でやっております。それに優先株、並びに社債でやっております。しかし、これは全体から見まするというと、ベル会社のその建設で十二億ドルぐらいだったと思いますが、それにしてももう大体社内でこの資金をまかなっておる。それはあくまで料金を中心にするのだ。電話加入者負担させるという思想は、公社経営になったらおかしい話なので、あくまで受益者電話料金負担せしむる。ですから負担者に、これは先ほどいろいろ御説明ありましたけれども、十五万円以下の級に応じての電話債券負担ということは、これはなるほど市場に出ますけれども、しかし、これはどうしたって加入者負担になってきますから、金はあとで返ってくるにしても……。そういう意味で、これはやはり公社経営ということになれば、少なくとも昭和四十七年という、ゼロになるというデッド・ラインを目標としておられる。それ以後においてはこういう加入者負担ということはゼロにすべきだ。少なくともそれを目標にしてやらないと、私どもは、この公社を作ったときに、もう少し気風を一新して前だれ式にやれということは、採算主義である、自主的経営能率を上げろという意味であったのです。ですから、これはいろいろの事情があるにしても、私から言えば、ブループリント思想から言えば、依然として払拭されないということを痛感されます。なるほど、総裁の御説明のように、昭和二十八年に発表されました五カ年計画を見ますというと、当時の二十八年をたとえば例にとってみましても、外債を二百億、政府資金を二百三十一億、電信電話債券を三十億、それから電話設備の負担金が五十六億七千万円、そして公社からのいわゆる繰入金が百六十五億というような計算になっておりますけれども、それと今回の発表されました三十五年度以降の三年間の拡大修正の資金計画を見まするというと、これは自己資金が六百九十億、それから負担制度の改正で三百八十億というものが今の電話債券によってやられておる。財政投融資、外債等、合わせて三百四十億円、これを見まするというと、政府資金は、これはもう政府がなかなか財政投融資を出さないという事情もありましょうが、それに対する依存度を非常に低くされておる。自己資金が約七百億というものが入っておるという点におきましては、私は一つの進歩は認める。認めますけれども根本思想においては、今申し上げましたような、いわゆる外国――世界で異例ないわゆる加入者負担ということが、これはいかに言を左右されても、電話債券というものを負担せしめるというところに、すでに負担法の精神が残っておると私は解釈せざるを得ない。これは少なくとも将来これはなくしなければならない。公社の存在理由なり存在価値はない。少なくとも私は立法者の建前で、そういう意味で、この公社法を作ったのは、これは希望になりますけれども、この点は一つ十分意をそそいでいただきたいということを、希望になりますけれども申し上げます。
  11. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) たびたび押し返して申し上げまして、はなはだ恐縮でありますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、このたびの新しい法律による債券引き受けは、どこまでも負担の精神ではなく、協力を求めるという精神、つまり公募に応ぜられると同じ精神でこれを引き受けていただきたいという考え方であります。もし一般政府の財政計画なり、公社債の計画というものの中に相当多額の公募を認められれば、私も何も好き好んで加入者から、新しい加入者引き受けていただく必要はない。ただ、しかし、今日の何といいますか、財政政策もしくは一般の金融界の大口の社債については政府がやはり一定の計画を毎年立てておりますので、その範囲内が非常に窮屈に縛られておる関係があって、なかなか多額の公募債を認めていただくということも困難でありますから、やむを得ず最後の手段として、加入者公募を背負っていただきたいという同じ趣旨一つこれを引き受けていただきたい、こういうわけでございまして、従って、今度の電電債引き受け債の利率も、一般公募の場合の利率と同じに改めて、そこに私どもの精神が表われておるつもりでございます。なお将来の、四十七年後の四十八年度からは電電債引き受け加入者引き受けということもやめたい、こういう前提のもとに立って実は提案をいたしておるわけであります。その点においては、ただいま山田先生のお話と一致するわけでございますが、その道程でやはり暫定的にこれは一つ認めていただきたい、かような趣旨で提案いたしておるわけでございます。
  12. 山田節男

    山田節男君 もう一つブループリントに伏在する私は一つの疑問として、疑問といいますか、御意見を承りたいことは、大体拡大修正三カ年計画というものは、経済企画庁の調査による日本の経済の成長率、国民所得の成長パーセントを勘案して作られたようになっておるわけですが、これを作られた昨年の五月か六月のころだろうと思いますが、昨年はいわゆる岩戸景気ですね、異常な経済成長であった。まあ、最近政府の発表したところによりましても、少なくとも一五%以上の経済の成長率に達したのじゃないかということは、やはり国民所得もその点において非常な増大を来たしており、これがもうすでに昭和三十四年度において岩戸景気による日本の異常な経済成長率が今出ておるわけですから、その土台に立って今度三十五年度から三カ年間のプランを実施することになりますというと、三十五年度のいわゆる初年度においてこれを見ますると、調達額が一千四百十億円、これは年間大体千五百億円という予定でいらっしゃるようですけれども、三十四年度の岩戸景気によって異常な経済成長率があった。その成長率によって、その土台に立って三十五年度から実施されるということになると、そうすると、やはり電話の需要といいますか、従って潜在、顕在入れまするというと、そういう経済成長率から起算をしたこの計画から考えまするというと、積滞数が非常にふえるのじゃないか。しかもその積滞数の、いわゆる需要に対するミートしないものが相当高くなっておるのではないか、これにミートするということは電電公社考えなければいかぬと私は思うのです。ここらあたりはどうでしょう。この案を実施するとしても、この三十五年度において、三十四年度の岩戸景気、今年は昨年ほどはないにいたしましても、少なくとも八%以下に下ることはないだろうというのが経済企画庁の最近の発表になっております。そういうようにしますと、このブループリントを今年度から実施するにあたりまして、そういう土台の変化に対してどういう対策を持っておるかということです。具体的にいえば、もちろん公社としては電話収入はふえるでありましょう。それからこの電話債券による収入もふえるでありましょうけれども、拡張方面は一体既定通りしかできないのかどうか、そこらあたりの伸縮性というのはどういう工合にお考えになりますか。
  13. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 景気が将来どういうふうに移り変わっていくかということ、これはなかなか私どもその点が最も悩んでおるところであります。昨年これを立案いたしましたのは、その当時の、経済企画庁の当時の案に基づいてこれは作りましたので、ただいま御指摘のごとく昨年度は岩戸景気で、一五%ですか、異常の景気の向上を見たわけでございます。しかしこの状態がはたして将来このままやはりずっと続いていくかどうかということになりますと、これは景気の高低というものは始終変わりまして、このまま続くものとも実は想像されないのであります。しかし、今後政府の政策なり、あるいは一般の経済界の発展の模様によっては、先に立てたような低い経済成長率ではいけないのだということがはっきりいたしますれば、自然われわれの計画もまたこれに従って改まっていかなければならぬことと考えるのであります。なお、たとえば今年度も予定よりも非常に多いときはどうなるか、加入者も多い、一般の需要も多いときはどうなるかということでありますが、これも私どもとしては一応はきめられた予算の範囲内で仕事をやるわけでありますが、しかし一般収入は非常に多いという場合には、弾力条項の許す範囲内において、ある程度のそこに弾力性を持たしておるわけでありますから、弾力条項に認められた範囲内においてはある程度弾力性を持たして、加入者もつけ得ることになっております。さように私ども考えております。
  14. 山田節男

    山田節男君 ここに出された書類を見ましても、やはり本年、三十四年度において、直ちに申し込みをしてつけてもらいたいという潜在といいますか、需要者が六十万もおる。そうしてこの三カ年間ずっとやっていきましても、やはり三十七年度の末において、こういう需要者に対する充足率が三三%だという数字を出しておりますね。そういたしますとこの景気、不景気というものは、御承知のように資本主義下においてはこれは景気の循環ということはありますけれども、今日の発達した資本主義国家の、国際的な資本主義経済からいえば、そう景気というものは、昔のような戦前あったような不景気がくるということは――各国は非常に警戒しておりますし、また相互の依存関係が非常に密接になってきたために、昔のような私は不景気がくるというようなことは、これはむずかしい問題になると思いますけれども、いわゆるケインズの経済理論からいえば、そういうことをすることは資本主義の破滅である、共産主義国家のこれはつけ込むところだというので、そういうことは非常に昔に比べますと安定度が高くなってきた。ですから昨年度岩戸景気というものは異常なものであったには違いありませんけれども、しかしこれが逆に不景気化するということは私は考えるべき必要はない。安定度というものを見てこの計画の実施というものを見通しをつけないといけないと思います。ですから、今弾力条項のことをあなたはお触れになりましたけれども、私たち過去におきましても、マイクロウエーブのこの施設を、これはあなたは御存じだろうと思いますが、予算に組んでいなかった。ところが一方においてマウンテイントップ・システムをやろうというので、それを電電公社に貸してやろうという話が出たものですから、早くやれと、これは弾力条項よりも、むしろこれは特別な措置をもってあれだけの建設ができておる。ですから国民の経済にあくまでマッチしていかなければ、この三十五年度の初年度においてすでに大幅に修正をしてもその需要にミートしていくということでなければ、公社の使命は達せられない。ですから何も弾力条項を自己資金の範囲内でもって最大限度にやるということでなしに、異常なふくらんだ需要が出てくれば、これはやはりミートするだけの用意をして、実行をやはり確保さるべきだと思う。その点どうですか、やはり弾力条項以外にはない、以外にはできないという考え方しかないのですか。
  15. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 現在の私ども考えておりますところでは、三十五年度においては弾力条項に入っていく程度に考えておりますが、これとてもやはり経済界の異常の状態がありますれば、必要に応じてはまた予算の改定をもやって参らなければならない場合もなきにしもあらずと思いますが、今日の場合では、弾力条項程度でまずやっていけるのじゃないか、かように考えております。しかし今後の問題として考えますると、岩戸景気が今後このまま継続するにいたしましても、先に考えたよりも相当将来の経済の発達の見込みというものが高いのだというふうになって参りますれば、私の方としては、たとえ今度五カ年計画の改訂をやったあとにおきましても、必要に応じてそれによってまたさらに改訂をするという場合も全然これはできないとは言えない。今のところでは、一応大体この五カ年計画中はこの改訂計画のままで一応いけるのじゃないか、かように考えております。
  16. 山田節男

    山田節男君 それから次に、市外電話市外通話の問題ですが、これはやはり何としても一番電話サービスというのは市外通話だと思う。なるほど即時通話についていろいろ努力されておりますが、この計画を見ても、今年度から着手される市外の即時通話ということも、ここに列記されておりますが、私は市外通話に関しては、もう少し根本的なものの考え方があるのじゃないか。たとえば、これはまたアメリカの例になりますが、調査してみますと、ベルの会社が最近の傾向として、特に最近の三年の傾向は、市外通話のほとんど半分以上、しかも都市、インターシティのいわゆる市外通話というものは、五〇%以上はいわゆる無線中継であるということである。これは非常な、何といいますか、いわゆる待ち時間がないということです。大体平均で一・二分ですね。そうしてあとの残りは、大体受話機を持っておる間にフロム・パーソン・ツー・パーソンの通話となるのですから、全く距離というものはゼロになっているわけです。これを見ますと、今日の日本市外通話は、われわれ、たとえば所沢に電話をかける、入間川に電話をかけても一時間半かかる。東京市内から自動車で行けば一時間十分で行けるところを、一時間半もかからなければ、至急通話にして四十分、こういうようなことが実在するということは、これは私は電話サービスの恥辱だと思う。一体それは市外通話のかような非能率根本はどこにあるか、これはいろいろありましょう。ありましょうが、私はもう少しアメリカのベルなどが最近やっている、いわゆる中継の機械化といいますか、これらの発達によって、無線の中継ということを考える。電話市外通話ということに対して少し私は電電公社として研究なり関心が足りないのじゃないかと思うが、この点どうですか。  今度の案を見ますと、ただ新技術の研究というところに、この伝送方式とか、その他いろいろあげられておりますが、これは今日実用化されておる、この点はどうしてブループリントに織り込まれなかったのか。また、それまで日本がラジオによるいわゆる電話の中継ということに関して研究が足りないのか、この点一つ実情をお聞きしたいと思うのです。
  17. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 日本電話は各部門においてそれぞれ非常に劣っておるということは、これはもう申すまでもないのでありますが、そのうちで最も私ども劣っておると考えました点は、申し込んでも数年間つかないという結果、積滞数が非常に多いということは、これが一つの最も大きい欠陥である。これと相並んでの欠陥は、市外通話が即時通話でないという点でございます。この二つが一番大きな欠陥だと私ども考えておりますが、従いまして、第二次五カ年計画の設定にあたりまして、当時の考えとして、十五年先の昭和四十七年度までに積滞数を全部一婦する、また、そのときまでに市外通話を全部即時通話に改める、こういう二つの目標を掲げて出発いたしたわけでありまして、しかしながら、いよいよ出発してみますと、申し込みが初めの予定よりも非常に多いということのために、現在の第二次五カ年計画ではとうてい初めの理想通りにはいかぬから、ぜひこの際拡大しなければならぬということで、この際出発いたしたわけでございます。  市外通話につきましても、公社になりまして初めて、御承知東京―大阪間の即時通話とか、その他遠距離の即時通話が始まったような次第でございまして、今日まだ全体から見ますと、約五〇%ぐらいのものが待時通話で残っておるというわけでありまして、何とかこれを早く即時通話に改めたいというのが私どもの努力の目標の、最も大きな目標の一つであります。ただいまお話の、無線を利用する点につきましては、専門的のことでありますので、一つ主管局長からお答えいたさせたいと思います。
  18. 平山温

    説明員(平山温君) 山田先生の御質問に対して総裁からただいま申し上げた点を補足いたしまして、技術的な問題を補足させていただきます。  市外通話をもっと便利にする、あるいは広く利用範囲を拡大し、早くかかるようにするために、無線をもっと活用すべきではないかという御意見であったように思いますが、改訂電信電話拡充第二次五カ年計画というこの冊子の三十三ページに書かれておりますが、この期間に新しい技術としてどういうものを採用するか、あるいはどういう研究をやるかということに関連いたしまして、三十三ページのところに、伝送方式ということで、「1無線伝送方式、六、〇〇〇メガサイクルのマイクロ・ウエーブによる超多重通信方式及び一一、〇〇〇メガサイクルによる中近距離通信方式」と例を掲げてございます。特に一万一千メガサイクルの方式は、今研究から実施に移そうとするちょうど過渡的な状態にあるところでございまして、こういう面が本格的に実施に移されるようになれば、先生のおっしゃるように、無線による市外通話の発達ということも相当開けていくと思います。御承知と思いますが、六千メガによるマイクロ・ウェーブの超多重通信については現在工事中でございまして、それができ上がれば、東京―大阪間にこの方式は実施に移されるわけでございます。これは大体長距離の多重中継に使うつもりでございます。一万一千メガはもっと近距離においても使えると思います。  なお、無線ではございませんが、そのページの次の三十四ページのところに、最初から三行目に、「細心同軸ケーブル方式」というようなものを掲げてございますが、こういったものも、やはりちょうど同じような区間の市外通話を経済的に提供する方式として非常に適当なものであろう、かように考えておりまして、このものについても並行して研究実施を進めたい、かように考えております。なお、今申し上げたものは、実施に逐次移しておると考えておるものでございますが、なお三十四ページの中に、第二次五カ年計画期間中の研究を推進する技術というものも書いてございますが、それよりもさらに進んだ技術の研究についても進めていくつもりでございます。
  19. 山田節男

    山田節男君 これは今申し上げている、ここでは、三十四ページに第二次五カ年計画期間中の研究を推進する新技術と、いかにも新しい技術のようにいわれますけれどもアメリカでいわゆるインターシティの市外通話というのは、もう一万一千メガサイクルの周波数で、これは全部それでやっているわけです。これは実用化しているのです。インターシティのもうほとんどが一万一千メガの局波数でやっている。それから今の長距離のやつは六千メガサイクルですか、六千メガサイクルと四千メガサイクル、これはもういわゆる長距離の電話の中継に使っているのですよ。  これは野島君にちょっとお聞きしますが、この周波数のたとえばVHF、ことにVHFですね、電話の中継にはVHF、UHFを使っておる。この周波数の全体の割当として、電話、電信に対してのこういう周波数の割当というものはどういうふうになっているのですか、これは一つの何がもうきまっているのですか、この点について一つ
  20. 野島正義

    説明員(野島正義君) お答えします。電電公社のやっております公衆通信の電話並びに電信のマイクロ回線を使います周波数は、二千、四千、六千というふうにそれぞれきまっております。二千メガサイクルは支線系、四千メガ及びこれからやります六千メガは幹線の局、一万一千メガは近距離の同じ多重の回線、こういう用途に分かれておるようになっております。
  21. 山田節男

    山田節男君 今、電電公社のいわゆる市外通話のスピード・アップのため、質問していることは、無線中継をなぜ使わないのか、こういうことを私は今質問しているのですが、そうすると、郵政省としては周波数の割当については、たとえばこれは後に質問しますが、市外通話のスピード・アップを無線中継でもっと活発にやるということになった場合は、全国的に一つのチャンネルの割当ができるわけですね。そうすると郵政省としては、防衛庁、警察あるいは消防、こういうものは将来やはり無線を使うというふうに、全国的に無線を使うということの公算が強いと思う。そういうことになりますと、やはり電波監理局としては、たとえば航空通信もあるだろうし、いろいろな周波数バンドの割当を私はきめておられるだろうと思うのです。たとえば公社として今これだけのものをくれということを要求はしていないのじゃないかと思うのですが、かりに政府としてチャンネルの割当をきめる場合に、公衆通信に対しては幾ら出せるというような一つのスペクトラムの分配のアロケーションができているのですか、きまっていますか。
  22. 野島正義

    説明員(野島正義君) 公社の扱います無線のバンドはすでにきまっております。それで警察とか気象とか、その他の業務に使うのを別に保留してございます。
  23. 山田節男

    山田節男君 今伺いますと、そういうように今電波監理局としては公衆通信用のいわゆる周波数のバンドも割り当てておるのですね。今の施設局長の御説明だと、何だか無線中継というものはまだ研究中だと、研究に入っておるのだというような印象を受けるわけですけれども、先ほど申し上げたように、これは今日ごとにヨーロッパにおいては、西ドイツは、戦後のジーメンスは有線電話というものは重きを置かない、全部破壊されてしまったし――全部とは申しませんが、ほとんどジーメンスは無線でやっているというような状況で、なぜ日本のように地理的な不利なところにおいて有線ということばかりを考えておるのか、どうも私そこにも……。ブループリントに、なぜ今日常識化している、実用化している新技術を入れないのかというのです。これは今の施設局長の御説明だと、ヨーロッパ、アメリカにおいて常識化されて、実用化されているものを、今からまだ研究の段階にあるということは、私は市外通話サービス改善ということからいいまして、少し手落ちじゃないかと思うのですが、どうですか。今年度のこれから始まる三カ年間、こういうものにはまだまだタッチできない情勢にあるのかどうか。
  24. 平山温

    説明員(平山温君) お答え申し上げます。私の言葉が足りませんで、多少誤解があったのじゃないかと思うのでございますが、先ほど申しました一万一千メガサイクルの中近距離の通信方式というものは、研究をするのでございませんで、三一三ページの二行目に書いてありますように、「第二次五カ年計画期間中に導入を図る新技術」と書いてございまして、これは実施に移します。現に今年度、三十五年度におきましては、まず試験的に名古屋―四日市―津、その区間においてこれを実施をするように今進めております。それからこの成績を見た上で、もし成果が十分得られれば、先生のお趣旨の線に沿って、積極的にこういう技術を実施の面に取り入れて参りたい、かように思いますので、御了承願いたいと思います。
  25. 山田節男

    山田節男君 これは非常に口幅ったいことですけれども、少なくともそういう部面まで、すでに電電公社は十分御研究になっておるのだと私は思っておったのですね。ですから、生産性向上あたりに渡りをつけられて、今後少なくとも西ドイツとアメリカと、市外通話の何ですね、無線中継ということによって能率をいかにやっているか、この技術と施設は、これは私は技術の相当進んでいる日本として、当然これは実用に入れられていると私は思っておったのですね。日本は電子工業なり、こういう方面については決しておくれをとっているわけではないのです。これをなぜ導入しないのかということが、私はこれを見ての第一印象として、しかも世界で最悪の市外通話に対して、これはここに寺尾さんおられるけれども、一九五一年のロスアンゼルスのホテルで、同じ部屋で、バンクーバーへかけたわけです。秒をはかってみると、二十一秒で向こうと話が通ずる。これは九年前ですよ。ですから、今日はもうすでにどの都市へかけましても、大体ハンドルを持っている間に向こうが出てくる、これは常識になっている。これはなぜかと言えば、インターシティーは全部ラジオによる無線中継ですから、これだけのことは、私は少なくとも第二次の拡大修正計画では、私は当然これは立てられるべきものである。これは研究の段階じゃないです。実施されて十年にならぬとしているのです、西ドイツなどでは。ですからこの点は要望になりますけれども市外通話の回線はこんなことでは困ると思うのです。もうすでに技術的な解決はすでに回答を与えられているのですから、これをなぜ大胆に入れないのかということを、非常に私は初めからこれを不審に思っておったのですが、もっとこの点は一つ大胆にこの計画に、ワクをはずしても、市外サービスの改善計画は、そういう点において私は一つ重点を置いていただきたいということをお願いを申し上げまして、これに関しての質問は終わります。  それから次に、伝送路の問題ですが、これを見ると、(1)マイクロ、(2)同軸ケーブル、(3)無装荷ケーブル、(4)が短距離ケーブル、こういうふうになっておりますが、これについてもやはり私は、マイクロウェーブによる伝送路というものが、どうもこの案を見ますと比重が非常に軽いのじゃないかと思います。ここにも私はどうも電信電話サービスにおける無線の中継あるいは搬送方式について非常に私は熱意が足りないような気がするのです。この二十三ページにある伝送路の建設計画を見まして、この一、二、三、四の搬送方式ですね、それと三十三ページにある「第二次五カ年計画期間中に導入を図る新技術」の伝送方式、無線伝送方式、それから有線伝送方式、こういう比重を見ますというと、どうもやはり無線による伝送というものについて非常に憶病というか、非常に私は遠慮しておられると思うのです。先ほど申し上げたように、ことにこの市外通話というものの能率から考えると、私はやはりこの伝送路の計画というものも、マイクロそのものに対してもう少し比重を持たすべきじゃないかと思うのです。そういう、こういうような数字を出されるまでの気がまえですね。無線中継というものに対する信頼度というものを十分お持ちになっていないのじゃないかと思うのですが、その点どうです。
  26. 平山温

    説明員(平山温君) 無線中継に対する信頼度を十分持ってないのではないかという御質問でございますが、私どもとしましては、そういう考えは全然持っておりません。すでにもう長距離の幹線通信網として、市外電話ばかりでなくて、テレビ中継の問題につきまして広範囲な全国的なマイクロ・ネットは整備されておりますし、またこの整備は現在もやっておるわけですが、この回線の品質等について、あるいは経済性について、私ども十分の確信を持っておる次第でございます。ただ、先生の御指摘の短距離区間について一万一千メガの実施が少しおくれましたけれども、これにつきましても、先ほど申し上げましたような事情で、すぐ実施に移そうと準備しておりますので、私どもとしましても、これにつきましても長距離の方と同様に、結果が出次第迅速に実施して参りたいと思っております。決して有線の方式と比べまして、無線の方式が信頼度が足りないという点につきましては、マイクロが実施に移される以前においては、確かにそういった考えが若干あったかと思いますが、マイクロが出てきました今日におきましては、実際そういう考えを持っておりませんということを申し上げておきます。
  27. 山田節男

    山田節男君 この今問題になっておるカラーテレビがもし実施されるというようなことになった場合に、カラーテレビの中継を行なわなくちゃならぬという場合に、カラーテレビジョンをマイクロに通ずるという場合ですね。現在のままでいけば、相当電話の回線が、サーキットが犠牲になるのじゃないか、犠牲にならぬような方法は、対策は、この三年の拡大修正計画でその余地を残すように準備されているのですか。
  28. 伊藤誠

    説明員(伊藤誠君) 今のお尋ねのカラーテレビジョンが実施された場合に、その中継が電話を圧迫しないでできるかどうかというお尋ねでございますが、まあカラーテレビジョンの伝送がどういう形態で行なわれるかということにつきましては、まだはっきり実はつかめないのでございますが、と申しますのは、カラーテレビジョンが単独のルートを通りまして伝送されるか、あるいは現在のテレビジョンを伝送しておりまするものに、ある時間だけカラーを乗せるということに相なりまするか、その辺によりまして、もしあとの場合でございますると、回線的には、技術的にはいろいろ問題があろうと思うのでございまするけれども、回線的には現在以上にカラーテレビのためにその他を圧迫するということはおそらく起こらないのじゃないか。で、一般的なテレビジョンの局数の増加ということがありますれば、もちろんその面でマイクロの増設は必要となると思うのでございまするけれども、現在の局がカラーテレビをやるといたしました場合に、現在のテレビと同じルートを使って送るということになりますれば、そう大して回線的には問題がない、技術的にはこれはいろいろ問題が出てくるのですけれども……。もしかりに第一のように全然別ルートでカラーを送るということになりますれば、これは新しくカラーテレビ用の中継線を計画しなければならないということになろうと思います。
  29. 山田節男

    山田節男君 たとえば、この東京―大阪間、大阪においてカラーテレビをやるという場合に、非常に輻輳しておるこの東京―大阪間のマイクロウエーブによる電話回線の利用というものが、カラーテレビが、たとえば一日にNHK一時間、その他民間放送が二時間、たとえば一日に三時間これを利用する。こうなった場合に、現在のマイクロウエーブを利用するということになれば、かなり電話に使うべき回線が犠牲になるのではないか、こういうふうに私考えるのですが、その点についての心配は要りませんか。ことに今度の拡大修正計画によって非常にボリュームというものが、量がふえるという、そういうさなかにおいて、現在の施設されておるマイクロウエーブで用が足りるかどうか。電話に決してこれを将来不利を及ぼさないものかどうか、この点一つ伺いたいです。
  30. 伊藤誠

    説明員(伊藤誠君) ただいまも申し上げましたように、どういう中継線の要求があるかということによって実は回線の計画がきまる、変わってくるのでございますけれども、もしかりに現在テレビを送っておりまする回線ルートをそのまま使いまして、ある時間だけカラーを送るということに相なりますれば、回線的には増設の必要がない。もしそのほかにそれとは別に、現在の白黒は白黒として送りまして、そのほかにカラーを別に送るということに相なりますれば、これはもう回線としてその分だけよけいに要るということに相なるだろうと思います。
  31. 山田節男

    山田節男君 そのことはやはり電話に対する一つの何といいますか、電話は犠牲になるということを意味するのですか。
  32. 伊藤誠

    説明員(伊藤誠君) これが導入される時期にもよりまするけれども、私ども電話回線といたしましても非常に急速に伸びて参りますので、たとえば東京―大阪間に六千メガを電話のために今工事中でございまするが、こういう私ども計画いたしておりますものが完成以前に、予定以外に、もし特別な要望がありますれば、区間によりましてはあるいはお説のような電話を圧迫するというようなことも起こり得るかと思いますのでございまするけれども、これは一般論ではなく、そのとき、その区間あるいはその時期ということによりまして変わって参りますので、もしそういう事態になりますれば具体的に検討いたしてみたいと思うものであります。
  33. 山田節男

    山田節男君 野島次長、聴聞会でお忙しいのかもしれませんから、野島次長にはわざわざ来ていただいておりますけれども、あなたお帰りになってよろしいです。
  34. 柴田栄

    委員長柴田栄君) よろしゅうございますか。
  35. 山田節男

    山田節男君 ええ。
  36. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは野島次長、お引き取り願います。
  37. 山田節男

    山田節男君 次に、電信サービスの改善計画について一、二質問したいと思うのですが、この電信、電報は、これはまあ電電公社としてあまりプラスな営業部門じゃありませんけれども、しかし電話よりももっと大衆的に利用されている点において、改善は私は十分にやっていただかなければならぬと思うのですが、それにはやはり電報の中継機械化ということが問題になると思うのです。そういうプランもすでにお持ちになっていると思うのです。その中で私一番大衆的とはいわれませんが、加入電信のいわゆるテレプリンター、この計画を見まするというと、また法案を見ますと、六十万円以内の何か債券を持たなくちゃならない、こういうことになっておりますが、テレプリンター、あるいは現在アメリカでやっておりますデスクファクスあるいはイントラファクスといいますか、これは私見ましたけれども、いわゆるテレプリンターの一種である。商社、官庁、そういうところに非常にこれは普及されておるわけですね。ということになれば、これは電報も飛躍的にいくところはテレプリンター式に集中して、もっと安くやるということにすれば、一般大衆の電報の配達の時間の点においても非常に経済的にいくのではないか。そういう点からいっても、私は加入電信についても、昨年公衆電気通信法を変えたときにも私申し上げたのですが、現在これの計画を見まするというと、三十七年度末にて四千加入要請された。三カ年間で四千。現在六百五十というふうに私は聞いておりますが、    〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕 こういう点をもう少し大衆的な――六十万以内の政令で定める額の電話債券を持たすということになっております。これは私は電信のサービスの改善ということから考えれば、この加入電信というのはそういう特権的なものに考えなくて、もう少し大衆化する必要がある。現に西ドイツあたりは、先ほど申し上げたように、有線の電話というものを、もう戦争で破壊されたのを契機に、ジーメンスがそういう特殊の技術を持っておりました。これに非常に力を入れてやって、しかもスピード・アップされておるというんですが、この加入電信というものに対して電電公社のお考え方がどうも何だか、これは非常に金のかかるもので、ぜいたくとは言いませんが、ともかくある特殊なものでなければ使えないというような、むしろ排他的な考えをしておられるように私は思うのですが、加入電信の大衆化ということについてもう少し私は考える余地があるんじゃないかと思うのですよ。この点はどうでしょう。
  38. 大泉周蔵

    説明員(大泉周蔵君) ただいまのお説につきましては、実はむしろお考えに近いことをわれわれは考えておるんじゃないかと思うのでありまして、加入電信と申しますのは、今後の電信サービスの中において非常に伸びる部門だと思っております。それで先ほど債券額についてのお話もございましたのでございますが、この考え方といたしましては、加入電信は加入電話と同じ考え方債券引き受けを願ったらどうかということで、六十万円という金額も考え出しているんでございまして、と申しますのは、加入電信につきましては、現在この交換部門、回線部門、全部分けまして、幾らくらい金がかかっておるか計算してみますと、約百二十七万円程度かかっておるのでございます。それでこういうものの全額の資金の御援助を願うべきか、あるいは加入電話のごとく、加入電話は大体平均いたしまして、直接必要な資金は二十一万円に対して、債券額は十万円平均というような考え方になっておりますので、それをとるべきか、どちらにすべきかということを考えたのでございますが、加入電信は加入電話と同じように約半額程度というのがいいんじゃないかということで、六十万円以内ということにいたしまして、さらにこの加入電信というものは現在成長途上でございまして、大体五千加入程度にならなければ、ほんとうの効用を発揮しないだろう。それまでの間についてはさらにこれを減額して利用をはかったらどうかということで、四十五万円の債券引き受け願うことにしたいという工合に考えておる次第でございます。
  39. 山田節男

    山田節男君 そうしますと今のテレプリンターの場合、これはPBXと同じように、現在施設している者の所有にはならぬわけですか。金を払っても、PBXと同じような、会社の資産表には載っけないようなものなんですか。
  40. 大泉周蔵

    説明員(大泉周蔵君) 加入電信につきましては、現在は直営だけでやっておるのでございまして、これは公社の直接の財産でございます。ただ将来自営の余地があるかないかということにつきましては、ただいまは全然そういうことは考えられていないのですが、将来考えるような場合においては、あるいはその自営ということが認められるようになるかもしれません。その場合におきましては、今の考え方からいきますと、PBXと同じ考えだというのではなくてやはり現在のごとく、実際かかる金の何割程度をこの債券をお引き受け願うかというような計算になろうかと考えておるわけでございます。
  41. 山田節男

    山田節男君 この加入電信に関連して、もう少し簡便なデスクファクスというようなもの、あるいはイントラファクスというような、もう少し金のかからない、こういうものは全然まだお考えになっておらないのですか。
  42. 山下武

    説明員(山下武君) ただいまアメリカのデスクファクスあるいはテレプリンターの異常な発達といいますか、需要の状況について御指示、お話しがございまして、まことにありがたく拝聴しているわけでございます。私どもも実は日本の電信用語の今までのかたかな式というものが電報の利用を相当妨げておって、もしできるならば、日常使っておる日本字による通信が、アメリカのアルファベットでやっておると同じようにやれるならば、これは電信にとりましては非常に大きな革命的な利用方法を見出すということから、模写電信につきましていろいろと研究してきたのでございます。現に一般公衆電信の模写サービスを部分的にやっておるわけでございますが、実際はその利用が非常に少なくて、私どもとしましては、一つの困難にぶつかっておるわけでございます。ただ先生今おっしゃいましたのは、加入電信と同じように、各利用者が自分のところから模写電信によりまして相手にすぐ送るように簡単な装置でやれないかというお話でございまして、私どもの方にしましても、このデスクファクスの方法をいろいろと通信研究所でも研究してきましたのですが、ただ製造原価といいますか、それからあとの維持費等が、現在の調査の結果では相当割高になっております。これを広く一般利用者に普及させるということまでまだ至っておりませんが、しかし、そのことにつきましては、御指摘のように、将来の電信というものの新しい発展の分野として十分研究して、そうしてもっと安く簡易な方法で通信のできるようにしなければならぬだろうということで、現在のところ、いわば一種の研究段階といいますか、そういう段階でございまして、なお一そういろいろ研究を進めていきたいと存じておるのであります。
  43. 山田節男

    山田節男君 これに関連しまして、ことに電報、それから電話料金については、今パンチ・システムでIBMを利用されておるように私は思うのですが、今申し上げましたデスクファクス、これはやはりファクシミリーでありまして、これは私エンジニアでないけれども、実際そこに行って技術者に聞いてみると、やはり文字というと第一縦書き、横書き、エレクトロニクスによる電気頭脳を使うという作業というのは横に書かなければいかぬ、横に書くべきもの、それから、かなとアルファベットでは、漢字ほどじゃないけれども、かなとアルファベットだと、電子工学的にいうと非常に複雑になるということなんですね。ですから、そういう将来、エレクトロニクスの科学の時代に入ってきて、ことに電信、電話というのは、これを導入しなければスピード・アップもエフィシェンシーも考えられないと思うのです。たとえば電報文あたりは縦書きというのはおかしいのですね。今のきわめて幼稚とはいわぬけれども、不完全な電信のオペレーションを見ておりましても、電文を縦書きというのは能率を阻害しているのじゃないか、それからローマ字化にいけということは極端ですけれども、少なくとも電信サービスの改善の一歩としては、やはり横書きということをまず私は考えるべきじゃないか、こういう点については、今度の第二次拡大修正計画ですね、そういう点まで考慮に入れてあるのかどうか知りませんけれども、これは現実問題として、電子工学の導入をしようと思えば、縦書きでは非常に不便なんですね。機械が複雑になるそうですね。こういう点私は十分お考えになるべきだと思うし、私は国会の言語政策の会のメンバーという意味で言うのじゃありませんが、電信電話として、電電公社として、文字の横書きということについて、これは実施されておるのかどうか、またそういう御意向があるのかどうか。これはやっぱり事務の能率と、電信に関しては作業の能率に非常に関係があると思う。こういう点について御研究になったことがあるのかどうか、一つお伺いしておきたいのですが。    〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕
  44. 山下武

    説明員(山下武君) ただいま非常に適切なお話がございまして、実は現在私どもとしては今の御指摘の横書きの問題を事務的に研究している段階でございまして、公社全体としてどうするかというところまでいっておりませんが、横書きがいいだろう。さらには従来の濁点や半濁点というような問題は、いかにも電報用字であって、そのあとに一字あけたりするということはちょっと読みにくいというような問題、あるいは電報の書き方がだらだら書きで、どこが区切り点かわからない。適当に分かち書きをして、かたかなであっても、内容がはっきり、誤解のないように読めるようにしようじゃないか、そういうような角度から電報文というものを、長い間、特殊の作文を要する、電報の文を作るのには特殊の技能を要するというような長い伝統的な考え方を捨てて、できれば普通のはがきのうちのほんとうの用事のところだけを簡明に書けるようなふうにしたらどうだろうかというような角度で、私ども事務担当者としては今研究しております。そのことが実は電報中継機械化の関連において私どもは必要だと思いますので、今まで御承知のように、電信はモールス符号によって一々受けて送ってやっておりまして、そういうふうに非常に中継作業に人手を使っておりました関係上、電報文というものはできるだけ短い方がよろしいというのが、電報制度始まって以来今日までのわれわれの伝統的な方針であったのですが、先ほどおっしゃいましたように、電報の中継機械化も今度の第二次五カ年計画に盛られておりまして、三十七年度末まで全国は完成する予定になっております。もしこれが完成いたしますると、まず中継作業というものは、大きい局相互間には機械ばかりでございまして、発信局においてタイプをしさえすれば、それがそのまま着信局にタイプとして現われて出ますので、字数というものについての考え方が今までの考え方を変えてよろしいのじゃないか、そういうふうなことから中継機械化ということ、それから電報の利用というものを近代化して、そうして日常のわれわれの通信にマッチさせるようにしようというような角度から、今御指摘のような横書きの問題等も中心にして研究しておるわけでございます。ただ、これは現段階では事務局としての研究段階でございますので、そのことが制度的にどういうふうにしたらいいものか、あるいは料金との関連においてどのように変わるかというようなことについては、今後それを構想として正式に検討していきたいと、そういう手順で進めております。
  45. 山田節男

    山田節男君 電信サービスは、さっきも申し上げたように、電電公社としては赤字というよりも非常に消極的な、消極的というか、あまり採算の優秀でない部門ですけれども、これもやはり将来オートメーション化ということと、それから一面においては、一つの電信サービスというものも、電話と同じように無線中継という、無線を使うという、いわゆるラジオ・サービスによるということが、これは相当必要なんじゃないか。たとえばアメリカのウエスタン・ユニオンなんかを見ましても、やはりオートメーション化ということと同時に、これは無線を利用することによって能率が上がってくる。もとよりアメリカ日本とは地理的条件は違いますけれども、やはり電信サービスの技術的ないわゆる改善ということになれば、結局オートメーション化と、それから今の無線をもう少し普遍的に使う必要があるのじゃないか、こう思うのですが、この点をサービスの改善の一つとして、こういう無線と、それからオートメーション化ということは、相当な程度これは考えてこの中に織り込まれておるのかどうか。その点一つ抽象的でいいですからお答え願いたい。
  46. 山下武

    説明員(山下武君) ただいまの無線の関係でありますが、これは先ほど施設局長から申し上げましたように、無線の回路を電信電話ともに相当に利用する方向で進んでおりまして、ただ電信だけについての無線回路というのは、どちらかというと少ないのでございまして、マイクロウエーブによって電話回線が取られる、その中の一部を電信回線にかえてもらってやっておるという形で、電信に関する限り、実は回線網のウエートは電話ほど大きくございませんで、電話における無線回路の発展に伴いまして、その一部を電信においても利用していくということでございます。  それから先ほどのオートメーションのことにつきましては、公衆電報の通信作業についてのオートメーションは、先ほど申しましたように、電報の中継機械化を進めておりまして、第二次五カ年計画中に全国全部完了する予定にしておりますので、残るところは、配達その他におけるもっと高度化ということが残っておりますが、通信作業としては大体それで完了するように私ども考えております。
  47. 山田節男

    山田節男君 それから今度出されている暫定措置法案の中で、第十三条、国の機関はもちろんこれは除外ですが、十二条で規定されている警察法、消防組織法、こういうふうなものによって電話債券を免除されるものの加入電話の数を三十五年度、それから三十五年度から三十七年度までの三カ年間、大体総数どのくらい予想されているのか、その数がわかればちょっと教えていただきたい。
  48. 大泉周蔵

    説明員(大泉周蔵君) 今後の分につきましては、具体的には必ずしもはっきりしないのでございますが、従来からの経験で見当をつけますと、適用除外関係のものは大体五%前後ではないか。それから引き受けの免除という方が三%前後ではないかというふうに見通しております。この点につきましては、大体過去におきましては、年によって多少の変動はございますので、この程度にいけばいいのではないかという程度でございます。
  49. 山田節男

    山田節男君 たとえば鉄道公社あたり電話をやはり相当使っているのですが、国鉄はやはりこれはもちろん、公社として電話の今の加入者としての負担金は免除されるわけですね。そうしますと、大体国家機関だけで全体の五%ですか、ちょっとその点も……。
  50. 大泉周蔵

    説明員(大泉周蔵君) この十三条関係が大体五%でございまして、この国鉄あたりですと、国鉄の方はこの適用に関しては、国の機関とみなすということになっておりますので、五%といいますのは、一般の国の機関並びに国鉄、専売等も全部含んだものです。
  51. 山田節男

    山田節男君 今の三%というのはどうですか。
  52. 大泉周蔵

    説明員(大泉周蔵君) 三%と申しますのは、政府その他の政府関係機関とか、あるいは府県の警察、その他特別法によりまして全額国の出資になっているものでございます。
  53. 山田節男

    山田節男君 それからこの次はやはり資金関係一つだけ私質問いたしますが、たとえば三十五年度、ここで四十一ページに示されておりますが、これは不幸にして実施が約一カ月おくれているわけですが、三十五年度の調達総額一千四百十億円、大体、自己資金は、これはむしろ私はこれより上回るのではないかという外部者としての予想ですけれども、昨年の岩戸景気で。それから2の負担制度の改正、これもこの法律によれば、この予想した通りの金は入ってくるだろうと思うのですが、その次の財政投融資ですね。三百四十億というもの、これは外資導入を含めての三百四十億というのですが、この点はどうなんですか。どこかに二千万ドルの外資導入ということを書かれてあったように記憶するのですが、そうしますと、それ以外に三百四十億円というこの資金は、内訳はどういうふうになるのですか。政府のいわゆる財政投融資、それから公募債、こういうようなものが含まれていると思うのですが、三十五年だけ切り離して考えると、財政投融資その他というのは、内訳はどういうふうになるのでしょうか。
  54. 山本英也

    説明員(山本英也君) 三十五年度だけについて申しますと、いわゆる財政投融資と申しますのは、運用部資金及び簡保の資金というものに仰ぎます額は、予算上二十五億円を予定しております。それから一般公募によりますものを五十五億円、合わせまして八十億円、それにただいま先生のおっしゃいました外資関係としましては、予算総則の方で二千万ドルだけ発行を認められておりますので、これが七十二億円でございますので、合わせまして百五十二億円というものを、拡充法によらざる外部資金として予定をいたしております。このお手元にございますところの資金調達計画、四十一ページのところと数字は違っておりますが、たまたま三十四年度におきまして事業収入状況が相当の収入上の伸びを見ましたので、今年度におきましては、三十四年度の収入の伸びの一部、五十億円を資産充当をいたすことにいたしております。従いまして、それは自己資金の方でそれだけ予定よりはふえております。その結果、総額千二百八十五億の予算上の建設財源に対しますところのいわゆる財政投融資のワクの幅というものは八十億円でございます。
  55. 山田節男

    山田節男君 これは植竹郵政大臣にお聞きしますが、今年度の、この説明にあったように、政府が運用資金、簡保――簡易保険ですか、これが、二十五億円というのですが、おそらく今日までの最低じゃないかと思うのですがね。これは、おそらく郵政大臣の政治力をもってしても、だんだん減ってくるということは、これは一体、どうなんですか。閣議あたりで、これは年々問題になるのですけれども、簡易保険局にいたしましても、貯金局にしても、あれだけの金を持っているのですから、しかもあなたはあそこの運用の審議会ですかのメンバーにお入りになっておって、なおこういうふうに政府が年々減らしてくる。しかも政府の投資からくれば、一番これは国家的にも意義のある国民のサービスに関することですから、もう少しこれは私は政府考えるべきだと思うのですが、どうなんですか、これは正直なところ、たとえば閣議でもって、あなたが幾らおっしゃっても、運用の審議会でおっしゃっても、結果において、こういうジリ貧になってくるのは、どういうふうな私は感覚で、こういうことになっているのか、幾ら言っても聞かないというだけでは、了承できないので、どうなんですか、隘路は。その点一つ率直にあなたの御説明をわずらわしたいのですが。
  56. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) この問題につきましては、余裕金の処置の問題から、利子、利回りの問題、また、資金の運用の問題につきましては、私も就任以来、心を砕いて折衝もし、また強く要請して参ったのでございますが、どうも昨年は、あの通り災害がございまして、そっちの方に回されたものもあり、それから、それが今年度にも響いて参っておりますので、これは、山田委員の御指摘通りで、今後とも、極力この問題の打開をはかることが、私の大切な仕事の一つであるということを自覚いたしまして、今後も努力を続けて参る所存でございます。
  57. 山田節男

    山田節男君 それじゃ説明にならないのですよ。  これは、前に田中角榮君が郵政大臣をしておられたときに、あれだけの馬力を持っておりながら、しかしあなたの獲得されたものより多少いいわけですから、だから、伊勢湾台風があったけれども、それは特別の融資の方法を予算的に何しているのですから、もう少し歴代の郵政大臣、ことにあなたの場合、一方ではカラーテレビに血道を上げてしまって、交換条件でもあって、こういうことになったのではないかというような憶測もせざるを得ぬことになってくるのです。一面からいえば。  あなたの政治力が足りないという烙印を押されるようになって、非常な私としてはお気の毒なことですけれども、大体政府が、こういったような、最初に私が申し上げたように、電電公社が、あくまで自主採算的にやる、独立採算でやるという建前は、私は慶祝すべき傾向だと思うのです。今までの歴代の郵政大臣は、どうも、やったけれども聞いてくれないのだ――これじゃ、私は郵政大臣としての政治的責任というものは、この郵政に関する限りは、これはあなたの責任の解除にならぬと思うのです。  どうなんですか、重きを置かないという意味なんですか、伊勢湾台風というようなことで、年々何か口実をつけるのですから、これは、どんな口実でもつくのですから、正直なところ、こういう電信電話というものは、何か、お前ら勝手にやれという程度の理解しかないのか、この点だけ一つお伺いしたい。
  58. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 実績からみますと、三十三年度が三十五億で、三十四年度が五十億で、財投が今度三十五年度は八十億になっておりますので、もちろん数字から申しますと、御指摘通り、まだまだ足りないのでございますが、ふえているという点で、今年の、第二次五カ年計画の改訂による三十五年度の実施は、まずこの辺で御了承いただきたいと思うのでありますが、この次は、だれが行政を担当いたしますか存じませんが、とにかく私の在任中は、この問題を、さらに金額がふえて参りますように努力を続ける所存でございます。
  59. 山田節男

    山田節男君 話が戻りますが、電話サービスで、団地に対する特別対策というものを掲げております。  昨日営業局長からか、ちょっと説明があったのですが、東京のような、ことに電話の需要が多くて、しかも大都市である、こういう横にどんどん、どんどん都市が広がっていくという、しかも急テンポに拡大されてくる例は、世界にないわけです。  従って、電話サービスを改善するというのは、今の東京のようなところは、平面的に広がっていくということは、第二次五カ年計画としても、非常にいろいろな不利な条件がふえてくることはよくわかるのですけれども、一面、首都圏を整備することになれば、いきおい立体的に商店街のような、げたばきにやるということも次第に実現してきますし、五年、十年という長い目で見ますと、現在よりも、具体的に言えば、丸ノ内風の立体的な町並みになってくる、そういうことになってきますと、今ここに電話施設の改善の団地に対する特別計画、特別対策ということをお考えになっておりますが、少なくとも昭和四十七年、今後十二年間という先を見通しておやりになる場合に、単に今、集団的に住宅公団が建てている団地対策というものじゃなくて、これが東京のような大都市のような、都市全体に対する対策としての、将来の電話網の開発ということについては、もう十分私、今から考えておくべきじゃないかと思うのですが、この点に対しての電電公社の心がまえを、一つ伺っておきたいと思う。
  60. 大泉周蔵

    説明員(大泉周蔵君) ただいまの御質問の趣旨は、おそらく団地がどんどんできていくのだが、それを含んだ全体の根本方針はどうだという御趣旨と思いますが、私たちは、申し込めばすぐ電話がつくという状態を、昭和四十七年度に目標を置きまして、増設を考えておるわけでございまして、そのような理想的な態勢になりますならば、全部に電話が行き渡るようになるということを予想しておるわけでございます。  ただ、現実におきましては、その速度というものは、必ずしも需要にすぐには即応できない状態でございますので、団地のごとく、急速に住宅電話の需要が増したところであって、一般電話としましては、なかなかつけ得ないところにつきましては、暫定的に構内交換電話に似たような設備に、さらに電話を付設するという形で、電話を普及いたしまする現在の団地電話制度というものは、必要なものと考えて実施いたしておるのでございますが、将来の姿におきましては、このようなものは、今申されましたような大きな高層建築等の場合におきましては、今のPBXのような形、あるいはPBXの他人使用というような形で、現在行なわれているような形に移っていくのではないかと思っておりますが、私どもといたしましては、現在の団地の暫定対策を考えつつ、将来の大きな電話計画から見て、その態勢に沿うような態勢に、この団地制度を育てていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  61. 山田節男

    山田節男君 これは、計画案の中にも示されているように、電話の架線は、漸次地下に埋没せしめる、これは私は当然なことだと思うのです。ですから、少くとも今のような将来の見通しが、商店街はげたばきにして住宅問題を解決しよう、空間をもっと利用しようという態勢ですから、今後の電話架設、市内に関する限りは、地下埋没のケーブルになる、そういうことになれば、やはりそういうことを頭に置いての計画でなくちゃ私はいかぬと思う。  で、昨日ですか、この団地の電話で、公衆電話をふやすといったようなことがあったのですが、公衆電気通信法を見ますと、地域団体加入ということがありますが、これはもちろん条件がありますが、団地に対して、電話を安く、しかも普及を速急にやるということだったならば、あの公衆電気通信法の何条でしたか、地域団体加入ですね、これを適用できるものか、できないものか、これは、実はある一カ所、相当な集団地区から地域団体加入が、これは適用できないだろうかという、実は私は質問を受けて、もちろん私は、そういうことは知らないから答弁しなかったのですが、これはどうでしょう。今の地域団体加入ですね、これは団地に適用できないものでしょうか。
  62. 大泉周蔵

    説明員(大泉周蔵君) 地域団体加入制度を創設します際に、これを加入区域内にも適用できないものかという意見はあったのでございますが、それは非常に困るということで、当時団地電話制度が見られなかった次第でございます。  それはなぜかと申しますと、地域団体加入と申しますのは、加入区域外であって、一般電話では普及が困難な地域におきまして、特にその地域内の密接な関係を持っているような範囲の方々で交換をやっていただいて、それに複線をつないでいく考え方でございます。また従いまして、そのような地域でございますので、その線路その他の特性につきましても、ある程度の緩和条件も設けておるような次第でございます。  従いまして、これはあくまで加入区域外におきまする特殊の電話普及のための制度という考えでございますが、これが加入区域内になりますと、これは、一般電話で普及すべき地域と考えられている地域でございますので、そのような緩和されたような考え方で取り出しますということは、将来の電話網において、むしろ禍根になるということから、好ましくないということを考えたのでございまして、広い地域にわたりまする地域団体加入というものは、むしろ加入区域内におきましては、加入区域内に、さらにまた一種の加入区域を作ってしまうような形になりまして好ましくないと思う次第でございます。  従いまして、そのような問題につきましては、むしろ新たな交換事務開始を行なうか、あるいは従局開始を行なうかというような考え方で進むべきではないか、こう考えるわけでございますが、ただ、住宅電話というものは通話量が割合に少ないということの関係から、従来のような交換方式を、そのまま適用していいかどうかということは、さらに研究の余地がございますので、さらに研究を進めておるわけでございますが、将来私たちが長期にわたっての計画を立てまして、昭和四十七年度には九五%は自動化すべきであるという考え方に進んでおります場合に、加入区域内に手動方式で、広い、今の地域団体加入みたいなものを導入することは好ましくないのではないかと考えておるのでございまして、団地電話制度におきましては、そのような心配がない、ある程度の狭い地域に限っていたしておるような次第でございます。
  63. 山田節男

    山田節男君 時間がきたようですから、一応、質問は終わりたいと思います。
  64. 久保等

    ○久保等君 郵政大臣に、さっきの山田委員の質問に関連してお尋ねしたいと思うのですが、簡保の資金の運用の利回りは、平均するとどのくらいになっておるのですか。もし即答できなければ、また午後からの質疑の際に、お調べ願ってお答えになってけっこうですが。
  65. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ちょっとお待ち下されば、ここにできておりますから……。  昭和三十三年度には、簡保で五分八厘一毛で、それから民保が九分大毛、それから資金運用部が六分三厘一毛。それで簡保の利回りと申しましても、余裕金などの場合には、年四分五厘になっておるわけでありますが、郵政省が直接運用いたしますれば、それが六分四厘になるはずでございます。  そういうわけでありますのに、他の電力債とか長銀とか、興銀、不動産債などが六分六厘ないし七分に回っておりますので、この点、大へん簡保の利回りが低くなっておる次第でございます。
  66. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは、午前中は、この程度にとどめたいと存じます。  これにて休憩いたします。    午後零時三十八分休憩    ―――――・―――――    午後五時十三分開会
  67. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより再開いたします。  午前中に引き続いて電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案に対する質疑を行ないます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  68. 久保等

    ○久保等君 時間が、本日非常になくなりまして、あまり質疑をいたすことができないと思うのですが、まず最初に私、今度の暫定措置法案を国会提出せられた特に電電公社立場から、この法案に対する基本的な考え方をお伺いしたいと思うのです。  その基本的考え方ということの内容についての問題よりも、こういう重要法案の国会における審議の促進について、どういうお考えを持っておるのか、実は三月に、一度新聞に載っておるのを私拝見したのですが、総裁が、電話拡充法案の問題について新聞記者と、おそらく会見をせられたときに話をせられた問題じゃないかと思うのですが、三月の四日の日の東京新聞の朝刊に載っておるのですが、四月中に電話は引けない、債券値上げの審議が非常におくれておるというような見出しでもって報道されたことがございます。時を同じくして、やはりNHKでも、そういったことを報道なされたそうですが、これは衆議院段階における当時の状況について、早くも四月中には引けないといったようなことが、総裁から新聞記者会見の際に言われたというようなことが報ぜられておったのですが、はたしてそれならば、公社当局で一日でも早く、この法案の審議が促進されるような態勢を一体とっておったかどうかということについては、私ども非常に実は疑問に思うのです。この法案は当初提出したときと違って、三月中にできれば成立をさせたいという予定であったようでありますが、今日すでに四月に入っておるわけですが、われわれとしても、十分に審議を尽くすべき点を審議を尽くして、その結果はもちろん採決の結果に待つより方法がありませんし、特にわれわれ党の立場から申し上げれば、残念ながらこの法案に対しては賛成できないのですが、しかしいずれにいたしましても、審議の促進をすることについては、いささかもやぶさかでありませんし、できれば一日でも早く結論を見出していくべきじゃないかという考え方で終始参っておるのですが、どうもこの法案に対する電電公社当局の態度にいたしましても、何かそこに、ほんとうにこの法案の一日も早い成立を望んでおるのかどうか、疑問に思われるような言動が実は私どもの耳に入るわけです。私は、何も古い三月四日当時の話を持ち出して、とやかく申し上げようとは思っておらないのですが、ごく最近においても、特に副総裁等の言動の中にも、そういう点が私はちらちら現われているようなことを耳にするわけです。まことにどうも、私は遺憾だと思います。いろいろ各局長、非常に御熱心に何とか早くということでお話も私は聞いているのですが、そういうまた合間々々には、何かとにかく、もう衆議院を通った法案は、当然参議院において成立するのだというような話も聞かされると、国会で、一体こういう重要法案を扱うことについて、あまりにもその言動において、無責任じゃないかという実は気がいたすわけなんです。  総裁の場合は、具体的な例を申し上げますれば、私がただいま申し上げたように、三月の上旬ごろの報道で、もちろん的確なこれは私は報道とも思いません、総裁が、そういういわば審議のおくれているのは、国会のせいだといったようなことを言ったとは思わない。しかしやはり、こういう報道がなされております以上、誤解を招くような言動があったことだけは事実だろうと思います。しかも総裁を当然補佐して参るべき副総裁自体が、これまたごく最近においても、そういったことを言われているというようなことを聞きますと、われわれとしてもこういう重要法案のみならず、今後、拡充計画をほんとうに一日でも遅滞なく円滑に遂行していこうとする立場からするならば、はなはだ不謹慎きわまる言動だと私は思うのです。そういう点について、総裁の私は率直なお気持を一つ伺いたいと存じます。
  69. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) この法案の提出につきましては、私ども、これは御承知通り、三十五年度の予算の執行に関係のある法案でありますることを眼中に、頭に置きまして、できるだけ早く国会の御審議をいただく、かような考えで、この成案を急ぎまして、議会再開の一月の下旬に、おそらく一番政府提出の法案としては早く提出されたのじゃないかと私は考えます。衆議院の方へ提出いたしたわけであります。  従いまして、この法案の審議の促進を強く希望はいたしておったことは事実でございます。しかしながら、この審議の進行が、おそいとか早いとかいうことは、私どもかつて……少なくとも私に関する限り批判したことはございません。新聞には、どのように出たか私はよく存じませんけれども、決して私自身としては、衆議院の審議がおそいとか早いとかいうことを論議したことは、決してございません。それだけは、私申し上げておきます。  なお最近何か御指摘になりました公社の役員、あるいは職員で、何か不謹慎な言動があったという御指摘でありますが、これは私は、どういう話があったのか、実は今初めて耳にいたしたことでございまして、これに対して、ちょっと何を申し上げていいか、申し上げようがないのでありますが、事実、もしこういう事実があったということでありますれば、なお取り調べてお答え申し上げます。
  70. 久保等

    ○久保等君 まあ私、特に先ほど副総裁の話を出したのですが、これは、こういう席上で申し上げることは私は差し控えたいと思います。  しかし、これは決して私の邪推とかそういうことではございません。この点だけ私も責任をもって申し上げるのですが、しかし、ただこういう席上で、だれにどういうことを言ったというようなことは、私は申し上げようとは思いません。ただ問題は、そういうものの基本的な考え方なり態度というものが、私は非常に不謹慎だと思うのですが、と同事に、法案を国会に出しておる政府機関の責任者の立場としては、まことに、私はどうも不可解に考えるわけです。ただ私は、そういう問題を取り上げて批判をし、非難をするという意味ではなくて、今後の公社そのものの運営についても、私は、そういう態度では円滑な運営はやはりできないのではないか。従ってその点については、自分御本人でそれこそ胸に手を当てていただけば、私はよくわかることだと思うのですが、ただ抽象的ではございますが、そういう点を申し上げて、ぜひ一つ、そういった点がもしあるとするならば、これは厳重に、実は御反省を願わなければならない点ではないかと思います。まあ、あまりこまかく、だれそれに、どういうことを言ったといったような話になりますと、これは、そういうことまで私は申し上げて、とやかく波瀾を起こそうとは思いませんけれども、少なくとも、そういう取り組み方では、これからの十三カ年計画の完全な遂行自体にも、私はいろいろと至るところで破綻を来たす。これは精神的にチーム・ワークあるいはみなで協力し合っていくということについても、問題を起こす危険性が多分にあると思うのです。まあ、その点については、私はこの機会にその点指摘して、ぜひ一つ、そういうことの今後ないようにお考えをいただきたい。この点を一つ申し上げておきます。  時間が本日ございませんので、特に遠くの方からおいで願っております、それでは通研の所長さんの方に関係した問題だけお尋ねをしたいと思います。  もちろん通研の問題につきましても、関連する問題で、基本的な問題からお尋ねするのが順序ですが、その点順序が、若干比較的具体的な問題をいきなり摘出して御質問申し上げるので、いささかどうかと思いますが、お尋ねをしてみたいと思います。特に今度の長期計画の中で、技術革新といったようなことを大きく取り上げておられるわけですし、これは私特に電電公社の場合には、技術という問題が非常に重要視せられる事業でありますだけに、その点について、今後大いに重点施策を実施していただくことに賛成でありますし、けっこうだと思うのですが、問題は、一体通研の、通信研究所というものが、どういう形で、事業の中にほんとうに効率的に生かされて参っておるか、そういうことについても、この際明確にしておきたいと思うのです。  そこで多勢の職員が、いろいろ不断の研究をやっておられると思うのですが、現在職員、特に技術者は、何人ぐらいおいでになるでしょうか。
  71. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) ただいまの御質問にお答えいたします。  電気通信研究所は、約千三百人ぐらいの人がおります。その中で、技術者は約半分でありまして、約六百五十人ぐらいでございます。
  72. 久保等

    ○久保等君 この技術者の方々について、特にお尋ねしたいと思うのですが、勤続年数が、一体どの程度になられるか、あるいは給与がどの程度の状況になっておるか、ここで即答願えなければ、また後ほどでもけっこうですが、一つお知らせ願いたいと思うのです。  それから、研究所で研究せられた研究成果というようなものは、どういう形でまとめられ、どういう形で発表せられておるのか、この点について、お答え願えますか。
  73. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 今の最初の御質問でありますが、給与のベースその他につきまして、あるいは平均の年令等は、今数字を持っておりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、大体申し上げますと、やはり昭和二十年以降に採用した人が比較的多いのでありまして、二十年前の人は、割合に少ない状態であります。  それから研究成果を、どんなふうに事業の中に取り入れているかというお尋ねにつきましては、電気通信研究所ができましたのは、今から約十年くらい前でありまして、作りました趣旨は、いわゆる実用化研究を主体にいたしまして、研究所で生まれた成果を、積極的に事業の中に取り入れていくということで出発いたしました。  たとえば過去におきまして、四号電話機であるとか、あるいはマイクロ・ウエーブであるとか、あるいはその他いろいろケーブル関係であるとか、そういった点が、実際事業の中に生かされてきております。現在におきましても、いわゆる実用化研究項目につきましては、本社の各部局と十分連絡をとりまして、そうして幹部会議その他の手続も経てきめておりまして、たとえば交換を初めといたしまして無線伝送、それから線路、各方面にわたりまして問題を選んで進めておる次第であります。  なお御質問によりましては、詳しくお答えしてもよろしゅうございますが、大体そんなふうにしております。
  74. 久保等

    ○久保等君 きのうも話が出たのですが、通研で、いろいろ研究をせられて、これが具体的なパテントなんかにも、はっきり一つの研究成果が現われておると思うのですが、通研で研究をせられたパテントの件数なんかおわかりになりますか。大よその概数でもけっこうですが、いつからいつまでの間でいいから。
  75. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 大体今持っておりますパテントは、正確な数字は覚えておりませんが、約二百件以上あると思っております。  それで特許につきましては、外部の方から、この実施の許諾の依頼がございますと、それを検討いたしまして、大体特許の実施につきましては、公開するようにしております。そうしてものによりまして、一%あるいは三%というあれをきめまして、そうしてその料率を課してやっております。
  76. 久保等

    ○久保等君 パテント二百件程度というお話ですが、そんなものでしょうか。何か一度、最近も新聞で見たことですが、非常に優秀なエンジニアが、何か電子計算機みたようなものを発明せられた。その方だけでも、何か百幾つか発明、考案をせられたとかいうようなことも、ちょっと見たのですが、パテント、通研自体で二百件程度のものですか。
  77. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) ただいま二百件と申しましたのは、実際実施されておるのが約二百件という意味でありまして、登録されておるのは、もっと多くて、はっきりした数字を覚えておりませんが、千件以上も出ておると思います。現在登録をされておりますのが、約千六百件ございます。  それから、ただいま一人で百件持っておるというお話がありましたが、そういう人は、そうたくさんはおりませんが、中には百件くらい持っている人もございます。  それからもう一つ、特許の有効期限が十五年で切れますので、過去において、十五年前に特許をとったのが、自然にまたそれが切れていくというふうな形になっておるのもありまして、大体そんなふうでございます。
  78. 久保等

    ○久保等君 エンジニアの方々は、特に終戦後入った方が非常に多いという話なんですが、こういう方々で退職せられる方々は、どの程度おるのでしょうか。
  79. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 終戦後に入った人で退職する人は、人数としては、そう多くないと思っております。むしろ昭和二十年前で、やめる人の方が多い。ところが、大体一年間の概数を申し上げますと、退職した人が、老齢退職の人は別として、いわゆる会社に行くなり学校に行くというふうな、そういった人が年間十人から十五人くらいの間じゃないかと思います。
  80. 久保等

    ○久保等君 おそらく、十人、十五人という数は、必ずしも多いとは言えないだろうし、別に特別どうこう申し上げるほどの数じゃないかもしれませんが、ただ問題は、いわゆる優秀なエンジニアの方々がやめていかれるという傾向はございませんか。
  81. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 今の御質問でございますが、年とった人で、優秀な人でやめるということは、これはありますし、それからまた研究所といたしまして、研究をある程度仕上げて、むしろ本人の希望等もありまして、製造方面に向かった方がいいとか、あるいは大学等の教授とか助教授になった方がいいと、そういう人を、外部にお世話するということを主体に置いておりまして、研究所としては、どうしてもこの人は置かなければならないというふうに考えた場合には、何といいますか、本人が、ほかに行くことを希望されてもいていただくようにして、今やっておる次第でございます。
  82. 久保等

    ○久保等君 それから具体的な、いろいろ製品等を作る過程で、これは、メーカーあたりと一体になって試作等を行なう場合があると思いますが、メーカーの工場あたりへ出かけていって、ほとんど常時といいますか、そういった仕事に携っておるという場合が相当あり得るのじゃないかと思いますが、メーカーでの製作過程における通研のエンジニアの何といいますか、関係といいますか、そういった点について、少し御説明願いたいと思うのですが。
  83. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 今の御質問でございますが、たとえば最近の例といたしまして、ワイヤー・スプリング・リレーというクロスバー交換機の重要部分の製作を指導したことがございます。これはいわゆる従来のステップ・バイ・ステップなり、あるいはその他の交換機に対しまして、性能が、速度が早いということ、それからまた、四線式自動交換ができるということ、あるいは雑音が少ないというようなことで、価格の点におきましても、それほどステップ・バイ・ステップに比べて高くないという点におきまして、クロスバー交換機というものを通研といたしまして実用化の研究をやりまして、こういった場合に、いわゆる通研の中で、実験室的に非常にいいものができましても、それが大量生産という形になって、品質が確保されないと、結局事業の中に生かされない。従って、ワイヤー・スプリング・リレー等につきましては、特許は、外国のものを使いましたけれども、いわゆる外国からノーハウというものを全然もらわないで、日本の材料、あるいは機械というものに合わせるようにしてやったのであります。  そういう場合に、たとえば最近のオペレーション・リサーチングの関係の実験計画法等を適用いたしまして、その指導に当たったのでありますが、その実験計画法は、やはりこれは私の通研の自画自賛になっておかしいと思われるかもしれませんが、そういう意味でなくて、実際に、実験計画法につきましては非常な専門家を持っております。そういう人が、いろいろ技術的な指導をする。それからまた、電話機等につきましては、通研の中に、非常に基礎的なデータを持っておりまして、ちょうど基礎研究というものが十分できておりますから、それらの基礎研究の結果をまとめ上げまして、実際のものを組み上げていくというふうなことをいたしております。
  84. 久保等

    ○久保等君 ただいまお伺いした程度ですと、よほど特殊な、高度な技術を必要とする場合の、何といいますか、機器の試作等について、研究所員が出張して出かけるというようですが、そうしますと、だれか常時何人かは出かけておるといったほどの、メーカーあたりに出かけて行っての研究、試作指導といいますか、製作指導に当たるようなことはあまりないということになりますか。
  85. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) メーカーに行っております絶対数というものは、割合少ないと思うのであります。  ただいまお話しいたしましたワイヤー・スプリング・リレーとか、あるいは電話機のほかに、ごく一つの例といたしましてタンタル・コンデンサーというものを通研で研究いたしまして、これは非常に、むしろ公開した種類のものになりますが、メーカーの方から依頼がありまして、たしか十社近くに、その製法を教えてあげたという例がございます。パーセンテージといたしまして、メーカーに通研の技術者が行っておるという、その数は非常に少ないのじゃないかと思います。
  86. 久保等

    ○久保等君 年間にして、延べ何人くらいになりますか、見当つきませんか。
  87. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 人数といたしましては、非常に少ないと思うのであります。さっきのワイヤー・スプリング・リレーにいたしましても、せいぜい二人か、三人くらいメーカーに行くということでございますし、それからタンタル・コンデンサーみたいなものにつきましては、むしろメーカーが、通研に手続をとって習いにきたというような例がございます。それからあと部品とかいろいろございますが、私、正確な数字を調べておりませんが、そう大した数字じゃないと思います。
  88. 久保等

    ○久保等君 先ほど、私申し上げましたように、技術的な電信電話事業という立場からしますと、技術の水準を引き上げて参る、技術研究という問題は非常に重要だと思うんですが、特に電電公社で、従来からかつて問題になっております工作工場の問題――工作工場という従来の考え方だけからすると、もちろんいろいろ私、問題があると思います。従って、工作工場の整理統合といったような問題も、非常に大きな問題になって、数年間この問題がなかなか解決しないままに推移しておったようですが、先年工作工場のあり方の問題について、一応の案を得て、ぼつぼつ全国的に新しい統合せられた工作工場ということで、今実施に移されつつあると思うんですが、工作工場と通研というと、これは非常に従来からの運営の仕方からすると、懸隔がありますし、性格は、もちろん違うんですが、しかし私、工作工場を百年一日のごとく、従来町工場程度のもので放置しておったことについて、いろいろ意見を持っておるんですが、そのことは別にして、いずれにしても、工作工場そのものも、新しい技術といったようなものについて、当然私は、テンポがのろいにいたしましても、やはりそういう問題も考えて参らなければならない問題が、工作工場の場合にもあるんじゃないか。  そこで、通信研究所のやっておられる仕事の物によっては、工作工場でむしろ、何といいますか、協力関係を作って、工作工場そのものも、時代の新しい技術をやはり取り入れてゆくような工作工場の運営の仕方ができないものだろうかという感じが従来からいたしておるんです。現状のままでは、もちろん直ちに、これをどうすることも不可能ですが、しかし先ほど申し上げたように、電気通信事業の高度な技術を保存しながら、しかもそれを時代の趨勢に適応する形で、水準を引き上げて参るというようなことについては、何か工作工場の問題について、固定的な考え方で参りますると、だんだん時代の流れから置き去られていくというようなことで、これの処理に非常に困ってくる。むしろ工作工場みたいなものは、廃止してしまった方がいいではないかという意見さえ、中には吐かれる方がかつてありましたし、おそらく今日も、人によってはあるのじゃないかと思うのですが、私は、しかし運用の面で、その点は解決できる方法があるのじゃないか。それは通信研究所あたりとの関係において考えていくべき問題があるのじゃないかというふうに考えておるのですが、これは通研の問題というよりも、公社全体の技術問題としての問題でございまするから、どなたでもけっこうですが、そういうことについて、お考えになっておられるのかどうか、おられないとしても、そういった点について、検討せられたことがあるのかどうか承りたいと思うのです。
  89. 杉田虔二

    説明員(杉田虔二君) 先ほど御指摘の問題につきましては、通信研究所の中にも、工作工場と同じような試作工場を持ってやっておりまして、人数は、百五十人の人をもってやっておりますような、相当の規模の工場を持っておりますので、今までわれわれとしましては、そういうことは、通研の中でやっていただくと、われわれの方は、やはり電話の修理、その他交換機の修理、こういうものの方にやっていく方がというふうに、分けて考えて参ったわけでございます。  今、先生の御指摘の問題につきましても、一応、そういう見解を持っておりますが、今後も一つ、その点は再検討してみたいと思っております。
  90. 久保等

    ○久保等君 工作工場の問題で、さらにちょっとお尋ねしたいと思うのですが、一応成案を得られて、これをさらに五カ年計画の実施に移される方向に今進んでいると思うのですが、工作工場自体の将来の運命といいますか、いきさつを考えてみました場合に、やはり取り上げ方によって、希望も持てるし、また取り上げ方いかんによっては、非常に不安になる可能性も多分にあると思うのですが、従来、とかく工作工場というと修繕場、昔、修繕場と言っておりましたが、そう言った当時の考え方から、そう大して抜け出ていないような感じが今日でもするのですが、少なくとも私は、やはりある一つの限界程度のものは――公社で採算の問題は、第二の問題としても、公社の中で、やはり修繕を行なっていくのだ、それが単に木工あるいはかじ工が中心になったような工作工場ということじゃなくて、相当な技術的なやはり製品等についても、修理を加えていくといったような、積極的な運営を考えていくべきだと私は実は思うのですが、まあ新しい体制をしいて、今日やっていこうということに一応方針はきまって、具体的に、いろいろ計画も持っておられるようでありますが、工作工場の問題については、やはり技術革新という観点からも、十分に一つ、将来希望の持てるような形で運営をしていくべきじゃないかというように考えるわけなんですが、先ほどお尋ねしました通研の問題ですが、これなんかの問題についても、これは、もう少し私は歩を進めて、この相対的な関係の中で、お考えを願う余地があるのじゃないかという気がするわけなんです。どちらかというと施設も老朽、人も老朽、従って、どうも民間との修理効率等を比較をすれば、問題にならぬというようなことで、工作工場に対する批判が、従来なされておったと思うのです。しかしこれはやはり、私は運営の仕方にむしろ問題があるのであって、放置しておけば、施設も悪くなるし、能率も下がるし、人間も百年一日のごとく、同じようなことをやらしておけば、新しい技術は、もちろんわかるはずはありませんしするから、従って新しい製品等について、工作工場で修繕やらせることは無理だというようなことになって参ると思います。それは要するに、工作工場に対する従来からの認識といいますか、工作工場そのものに対するしっかりした考え方がなかったところに、今日、一つの工作工場に対する批判というものが生まれてき、従って希望が、だんだん何か末細りになっていくような傾向になってきておったと思うのです。  従って、私ぜひ工作工場の問題は、従来から頭の痛い問題の一つでありましただけに、今後の問題については、ぜひ一つ積極性をむしろこの工作工場運営の中に持たして参るという立場からお考えを願いたい。もちろんこういったことは、何も私、本日申し上げることは初耳でもございませんでしょうし、よく言われておる問題でもありましょうけれども、さらに一つ、その点今度の十三カ年計画といったようなことで、公社そのものが非常に飛躍的な事業拡充をはかっていこうとする段階でございまするだけに、近代的な工作工場というものの経営について、お考えを願いたいと思うのですが、どうなんでしょうか。
  91. 杉田虔二

    説明員(杉田虔二君) 工作工場の問題につきましては、協定の前文にございますように、安定し、かつ健全な工場を作るということは、われわれの念願しておるところでございまして、先生のおっしゃる御方針の方に持っていくつもりでございます。  最近の従業員が、どんな気持を持っておるかという点につきましては、私も関心を持っておりまして、学園に職員を訓練のために集めますときも、一人一人に聞いております。それから出張に行ったときも、職員に一人々々聞いておりますが、最近は、いろいろ庁舎も新しくなっていくなどといって、非常に明るい希望を持っておるというふうに言ってくれますし、私も、いろいろ話してみまして受ける感じというものも、今までと非常に違って参ったという感じも受けますので、この気分は、もうちょっと、さらにそういうふうに進めていきたいというふうに思っております。  それから、いろいろ人事の交流の問題、お話がございましたのですけれども、このたび工作工場の所管を資材ラインより保全ラインへの移管の問題も、その辺の含みを持った施策でございますので、その点につきましては、先生の御注文、十分尊重さしていただいて施策をしていきたいというふうに考えております。
  92. 久保等

    ○久保等君 今最後に言われた点、私も同感です。特に再訓練あるいは人事交流、こういったことも、あわせて考えていかなければ、入ったときからやめるときまで工作工場だということでは、技術屋としては、私はこれはやはり廃人同様にやめるころにはなってしまう危険性が多分にあると思う。やはり技術をもって非常に重要な実は施策とする電通事業の場合の工作工場というものは、やはり私は、電電公社の工作工場らしいものに育て上げていくという考え方で、今後お願いをしなければならぬと思いますし、それがためには、やはりそこに働く従業員の技術問題あるいは実質的な、いろいろ他の面で目に見えない待遇問題にも関連性があると思うのですが、従来、いわば資材局に所属して資材局の品物を多少ほこりを払って、気のきいた形でなおすという程度の考え方でいるんじゃないかと、誤解を招く点もないでないと思うのですが、資材局に、そもそも配置することについても、当時いろいろ問題があったんですが、いずれにいたしましても、やっぱり技術を中心にした工作工場という考え方で、どちらかというと、日の当たらない職場でもあるんですから、できるだけやはり日の当たる形で、個人々々の従業員の問題についても御配慮を願いたい、この点は、この機会に特にお願いを申し上げておきたいと思うのです。  それから通信研究所の場合ですが、通信研究所の場合も、これは一般民間の最近のような軽電機関係の非常に景気のいい時代になって参りますると、通信研究所で働く優秀なエンジニアというもの、これまた、とかく非常にじみな仕事でございまするだけに、給料も安い、それからどうも働いた結果、生まれて参った成果、そういったものについても、何か公社の陰の縁の下の力持ちだというようなことで、能率が上がらないというか、成果があまり上がらないという形に、とかくなっていく危険性が多分にあるんじゃないかと思う。  非常に、日本国内における最有力といってもいいほどの施設、あるいは要員等を擁しておりまする電気通信研究所、ここの運営については、これまた私、百年一日のようなマンネリズムに陥ることのないように、やはり運用していただく必要があるんじゃないか。先ほど退職者のお話を聞いたのも、実はその職員の動向等が、どういう状態になっているかという意味でお尋ねしたんですが、特別何と言いますか、困難を来たすという状態ではないようなお話でございまするが、やはりこれは、学問あるいは技術というような問題になって参りますと、外で、そう具体的にこれだけの成果が上がったんだと、なかなか言えない問題だけに、成果の測定は、なかなかむずかしいでしょうけれども、やっぱり従業員に対する特別なやはり給与その他の問題についても、考えていかなければならぬ問題があるでしょう。もちろんこれは通信研究所だけのエンジニアということじゃなくて、技術者という問題から申しますならば、公社全体の問題であると思うんですが、一つの具体的な例として、やはり通信研究所なんかの場合において、そういうことが言えるんじゃないかというように考えるわけでありますし、その点から、特にこの機会にお願いを申し上げておきたいと思うんです。
  93. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) ただいまの御意見は、大へん私たちといたしまして、非常に貴重な御意見だと思います。研究者というものは一日や二日でできるものではございませんので、相当長い期間にわたって訓練しなければならないと思います。  それから、通研といたしまして、実用化研究を主体にしておると申しましたが、それに関連して、基礎研究もやっております。電気の技術者以外に、物理であるとか、化学であるとか、あるいは金属そのほか数学とか、いろいろな分野の人がおる総合研究所でありますので、ただいまの御趣旨に沿うように努力いたしまして、十分成果をあげていきたいというように考えます。
  94. 鈴木強

    鈴木強君 今の久保委員の質問に関連して、資料を一つ作っていただきたいと思うのですが、それは昨日、米沢さんお見えになっておらなかったものですから……。一つの研究をされて、そして、これはたとえば、たとえばの話ですが、IBMならIBM、電子計算機なら電子計算機を研究する、これに要した費用、研究のために使った費用、それが幾らになるか。これは大きなやつだけでいいです。幾つか例をあげていただいて、それから今度は、それをメーカーに公開をして品物を作ってもらうことになると思うのです。その際に、パテントの使用料にかわるような形で、何か三%くらいの、年間通じて総発注量に対して、パテント料というか、そういうふうなことでとっているそうですが、それがどのくらいの額になっておりますか、そいつを一つ、資料として出していただきたいと思います。
  95. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) ただいまの資料は、全部についてはできませんけれども、数個の額の大きいようなものを選んで提出いたします。
  96. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは、本日はこの程度にいたしたいと存じます。  これにて散会いたします。    午後五時五十五分散会