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1960-03-30 第34回国会 参議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月三十日(水曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     柴田  栄君    理事            鈴木 恭一君            手島  栄君            松平 勇雄君            森中 守義君    委員            黒川 武雄君            寺尾  豊君            野田 俊作君            最上 英子君            谷村 貞治君            久保  等君            鈴木  強君            野上  元君            光村 甚助君            山田 節男君            奥 むめお君   国務大臣    郵 政 大 臣 植竹 春彦君   政府委員    郵政政務次官  佐藤虎次郎君    郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君    郵政省電波監理    局長      甘利 省吾君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   参考人    日本放送協会会    長       野村 秀雄君    日本放送協会副    会長      溝上 けい君    日本放送協会専    務理事     前田 義徳君    日本放送協会専    務理事     田辺 義敏君    日本放送協会専    務理事     小野 吉郎君    日本放送協会総    務局長     赤城 正武君    日本放送協会経    理局長     春日 由三君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  づき、国会承認を求めるの件(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまから開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件を議題といたします。  前回に引き続き御質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 山田節男

    山田節男君 前回に引き続いて若干三十五年度NHK予算について質問いたしたいと思います。  その第一は、予算総則に関する問題でありますが、予算総則の第四条の問題でありますが、これは御承知のように、従来このNHK放送におきまして、ラジオ経済と、それからテレビジョン経済収支別個にすると、当時本委員会において——ラジオ経済テレビジョン経済を別個にするという建前は今日もなおその意義が残っておると思うのです。しかるに三十五年度予算総則におきましては、いわゆる「ラジオテレビジョンとの間においては、彼此流用することができない。」、この条項を特に削除した理由について、これは特に郵政大臣がこれに対してやはり承認を与えられたものと思いますが、それに対する理由並びにNHK当局のこれに対する所信と理由をお伺いしたい。
  4. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) NHK予算につきまして、最初のころはラジオの方は発達しておりましたが、テレビの方はまだ発達していなかったために、その経理を別々にいたしておきませんと、どの程度収支ラジオに起こり、またどの程度収支の出入りが経理面テレビに生じたかという区別が明確にされないことでは、テレビ開発のためにも、ラジオの発展のためにも、明確な経理上の管理をやって運営をやっていくことができない。さよう観点から区別をいたしておったのでございますけれども、今日のようテレビが非常に急激に伸びまして、もうラジオと比肩することができるよう状態になりましたからには、むしろこれを一緒にいたしまして、NHK全体としての経理運営して参りました方が合理的である。経理原則といたしましてその方が合理的である。さよう見地から、今回、これを一緒に取りまとめまして、経理面を明らかにしていくといったことに承認を与えたのでございますけれども、しかし、そのために原価計算の面におきましては、これはそれぞれ別々に、コスト計算等を明確にする計算はいたすよう承認を与えておる次第でございます。
  5. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) お答え申し上げます。ただいま郵政大臣からお答えになりましたごとく、テレビを始めます当初におきましては、観念的に、ラジオ大衆のものであり、また、テレビは非常な富裕階級しか持てないだろうというよう状態も予想されたわけでございます。で、そういう状況におきまして、一方には、新設のテレビ普及いたしますためには、相当建設資金その他運用上の経費を要するであろう。そういった経費を、大衆の納めました受信料においてまかなうようなことになったんでは、これは非常に社会観念上好ましくない、こういうよう意見が強かったわけであります。もともと、経理関係から見ますと、テレビといい、ラジオといい、同じ放送事業でございますので、これはやはり一体として運営することが自然であり、また便利である。しかも、その間における会計手続上の諸般のむだがなくて済むというような純会計的な立場も持っておったわけでありますが、そういった大衆犠牲において富裕階級の所持し得るテレビが行なわれていくということは好ましくない。これも一理あることでございまして、今日までそのよう運営をいたして参ったわけでございますが、現在の状況で見ますと、ラジオの方面におきましては、受信料が来年度予算におきましても百二十三億、こういう業務収入予定しておりますが、これに対しまして、テレビも非常に普及いたしまして、特に最近における月賦販売関係等を見ますと、必ずしもこれは富裕階級のみの所持し得るものでなくして、相当に広く各階層に伸びておりますし、また、そのよう情勢に向きつつございます。そういう状況で見ますと、テレビが、ラジオの百二十三億の予定収入に対しまして、すでに百七十一億を計上し得るというよう状況にもなっておりますし、かたがた、同じ放送事業でございますし、これを厳格に分けてやるということは、ひとり会計だけでなく、その実態を存しますためには、運営その他においてもそのような体制をとらなきゃならぬわけでありますが、これはごく運営実態にそぐわないのでありまして、ある種の施設におきましては両方で共用をいたさなければならないということは、今後においてもこれは変更し得ない実態でございます。そのよう状況等を勘案いたしまして、かたがた経理関係においては、非常に複雑な煩瑣な手数を要するむだが省けるというようなことで、実は三十五年度予算におきましては、総則四条の、テレビラジオ相互間の運用を禁止したそれをやめまして、経費の上におきましてはそういった壁は立てないというようなことにいたしております。もちろん、郵政大臣がただいま触れられましたごとく、そういった方向をとりますにいたしましても、やはり原価計算関係については、これはそういった資料が得られるよう配意を下すべきである、こういうことが郵政大臣の御承認を得ました前提になっておるわけでございますが、これは同種の事業であり、一体事業であることには相違はございませんが、やはりそこに、テレビ料金ラジオ料金というものを別ものにいたしております関係上、その料金をどのように決定するかという点につきましては、多分にこういう料金については政策的なものも終局的には加味されることは当然でございますが、やはりそこには一定の原価計算に足がかりを、基準を置いて算定すべきものと考えますので、そういった点は経理の、そういった総合経理の利点をとりながらも、将来の料金法定資料に資し得るよう原価計算につきましては、でき得る限りこれを充たして参りたい、こういうよらな考えでございます。
  6. 山田節男

    山田節男君 今の小野専務理事答弁と、それから植竹郵政大臣の御答弁と、私はむしろ、このラジオ経済テレビ経済とを一緒にしたということについては、これは当時の、昭和二十八年度テレビ発足における予算に関する当委員会の審議の経過を見ておればわかることです。しかるところ、今郵政大臣は、小野専務理事発言とは——内容は違うとは申しませんけれども、ラジオ経済と、それからテレビ経済を統合したということに対する、先ほど小野専務理事が言われたように、ラジオ経済ラジオ大衆的なものである、テレビ特権階級のものである、これも当時の議論の論拠の一つであります。しかしながら、ラジオ経済テレビジョン経済を別個にしたのは、これは日本だけじゃない。ヨーロッパでもやっている。英国でもやっているのです。その理由は、これはもう非常に詳しく書いてある。単なる、ラジオ大衆のものであり、それの犠牲においてテレビジョンの方に費用を流用することはいけないということは、これは一つ根拠であって、他の根拠もあるのです。しかし今小野専務理事答弁を見ると、このラジオという、いわゆる千四百万あるいは千三百五十万の、とにかくNHK登録聴取者としての料金は、なるほど小さいでしょう。しかしながら、テレビ収入はふえたとは言いながらも、テレビジョンラジオ経済を統合したことについての植竹郵政大臣のただいまの答弁は、小野専務理事答弁より非常に不足しているわけです。その点どらですか。
  7. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 私の申し上げ足りない点を小野専務理事から補足されたわけでございますが、ごくわずかのニュアンスはございましたかとも存じますけれども、全く小野専務理事答弁申し上げた通りでございますが、なお、さらにこのラジオ大衆のもの、テレビ特権階級のものと申しますのは、まだテレビ値段が大へん高くて、普及が十分いっていなかった当時の段階においての観察と存じますが、だんだんこれは一般大衆化されつつあり、また今日のテレビ普及状況から将来を推察いたしますれば、これまた大衆のものとだんだんなりつつあるといった観測をいたしております。その点も小野専務理事考え方と役所の考え方とが別に背馳しておるわけではございません。私のまだ説明が足りませんためであると、何とぞ御理解いただきたいと存じます。
  8. 山田節男

    山田節男君 重ねて植竹郵政大臣にお尋ねしますが、先ほどのあなたの御答弁小野専務理事答弁とは、ただ郵政大臣は、言葉が足らなかったというニュアンスの違いじゃない。根本問題の一つ根拠をあなたは論及されていない。あなたが不勉強というわけじゃないけれども、こういうラジオ経済テレビジョン経済一緒にしたことについては、これは大いに政治的な意味があるわけですね。その重要なことを言わないでおいて、小野専務理事説明を聞いて、初めてあなたがそういうことをおっしゃるということは、少なくともあなたは不勉強です。それは少なくとも政治的な問題について、あなたがアプルーヴァルを与えたかどうか、あなたは相談にあずかっているに違いないのです。察するところ、郵政大臣はそういうことに直接タッチしない。次官か官房長ぐらいで話をつけたと思われるから、重ねて御答弁をわずらわすんですが、あなたに直接この重大な問題について御相談になって、そしてあなたが承認されたのですか。
  9. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 相談がございました。私はそれを承認いたしました。なお、このことにつきましては、経理上のことでございますから、政治的と今お言葉がありましたが、私といたしましては、もっぱら経理面を正しく認識し、正しく運営していくという観点に重点を置いて承認を与えたのでございます。たとえば、関連費等の問題におきましても、関連費でもってラジオが負担すべき比率、またテレビが負担すべき比率等の分割の仕方等も、一つ経理上の問題かとも存じますが、それらのことを合理的に考えますと、一つ経営体経理をいたします上からは、ほんとうに合理的に考えますれば、経理原則といたしまして、これはむしろ統括しまして、ラジオテレビを合同して経理をやっていった方がより合理的である。これを理論的に経理面区分いたしますことよりも、総括的に経理していった方が合理的である。さよう観点経理面を最も私といたしましては重要視いたしまして、これに承認を与えたのでございまして、政治的の意味は、私としては、むしろそれよりも、経理原則上という観点から承認を与えた次第でございます。
  10. 山田節男

    山田節男君 ますますあなたの答弁が脱線するので、この本委員会で重ねて申しますけれども、なぜテレビジョン経済ラジオ経済を別々にしたか。外国にもそういう例がない。なぜそういうふうにやるのか。とれには一つの大きな根拠がある。政治的理由です。政治的理由といえば、これは誤解があって、あなたは非常に狭義に解されるかもしらぬけれども、当時千五百万のラジオ聴取者テレビの方は四十七万ですか、そういう見地から見ても、その当時はラジオ受信料の方がもうはるかに多い。それを流用することはいけない。いわゆる大衆ラジオ聴取料テレビに転換流用することはいけないという、そこに政治的理由があったわけです。今あなたのおっしゃったことは、この経済分立する場合に十分論議されたことなんです。もちろん、ラジオプログラムテレビに流用し、テレビプログラムラジオプログラムに転用することは、これは従来やっておる。しかし、経済だけは分立しろ、今日までこれをやってきた。ですから、経理上の合理化とか、あるいは経営者の利便、こういう問題じゃないのです。あなたは、この問題がなぜ分立されたかという当時の状況十分御存じないから、勉強になっていないからそういう御答弁なさるんです。今御答弁になったことは、これが分立をする際に当委員会議論になっている。もっともっと適切にやられていいわけです。ですから、むしろそこには政治的理由がある。どうですか、あなたのおっしゃることは初めからわかっているわけです。なぜ分立せしめたかということは、合理化の問題じゃないんです。これに対する御答弁を願います。
  11. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 先に御答弁申し上げましたように、テレビ初期、発達の段階にありましては、先ほど申し上げましたように、これを分離いたしますことが適切である、経理運営上当然である。さよう考えましたが、もう今日のごとく、テレビラジオも同じように伸びて参りました今日としては、政治的はともかくといたしまして、経理面運営から申しますれば、これを分離しておく何らの理由がなくなった。ただいま御議論になりましたように、初期のころには、全く山田委員の言われましたことが、経理原則から申しましても、それはもう経理学上の原則から申しましても、当然のことと存じて、私もさよう考えますが、その後情勢が変化いたしまして、今日のよう段階になりました上からは、これはむしろ分離しておくことよりも、一緒にした方が、経理学上の原則からしてもこれはいいんだ。そういう立場から私は承認をいたしたのでございます。
  12. 山田節男

    山田節男君 まだ、あなたに私の質問が十分徹底しないんですけれども、具体的に申すと、今日の時点において、かりにテレビ聴視者が三百五十万、ラジオ聴取者が一千三百五十万としますね。そうしますと、NHKラジオ聴取者は、数字的にいえば、これはもうテレビの四倍に近いものがラジオ聴取者にある。なるほど受信料は三千六百円と千円ですから、ラジオテレビの四分の一に近い、そういう差があるわけです。ですから一つの単位からいえば、なお一千万ラジオ聴取者の方がテレビ聴視者より多い。金額においては、なるほどテレビは、ことに三十四年度を見ると、三十四年度におきまして九十二億という増収を来たしておる。逆にラジオの方では二十六億というふうに下がっておる。金頭はこれは明らかに出ておるわけです。そのことを私は申し上げておるんじゃない。さっき申し上げたように、一千三百五十万とテレビの三百五十万、こういう比率において、経済上においてはともかくも、また、今日なお三十五年度予算時点においても、私はこのラジオ経済テレビ経済を分離した意義は、これは失われていないと思います。これは明年度以降においてはわかりません。ますますラジオ聴取者は下がり、テレビは逆にふえるということは、明年度までは予想できるんですから、その点はどらですか。私の申し上げておるのはそこなんで、そこに今の言葉でいえば政治的意味がある。であるがゆえに分立せしめた。これは事実なんです。ここで議論したときも、当委員会ヨーロッパの例を引いて議論した。NHKとしては統合したけれども、あえて分立さしたという第一の原則はそこにある。これに対して、いわゆる認識ある承認郵政大臣としてNHKに与えられていないようなあなたの御答弁だからお伺いをいたしているわけです。
  13. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ただいま御意見ように、ラジオテレビが逆転いたしますよう事態が現に生じました暁には、また、その事態に即応いたしました経理上の必要が、あるいは理論上は生まれるわけでございましょうが、現実のNHK経営経理面におきましては、その格差が、これを分離しておくよりも、合同いたしました方がより合理的である、さよう考えたのでございまするので、山田委員の言われますよう事態が発生いたしますときには、私もまた山田委員と同じ考えを持つ段階もきようかと思いますが、ただいまは、また他面に営業上の努力が非常に熱心に払われておりますので、NHKとして今日の状態を持続せられるならば、この合同計算というものは、相当長い期間、合理的に変更することなく持続されていかれることを予想しておるのでございます。
  14. 山田節男

    山田節男君 郵政大臣の御答弁で、どうも私、この問題が論議された議事録は厳然として残っているから、政治上私は非常に不満ですから、政府委員からこれに対してもう少し筋の通った御答弁一つ要求します。重要なことです。
  15. 甘利省吾

    政府委員甘利省吾君) 私はただいま大臣が御答弁しておられるのを聞いて、十分意を尽くしたと理解しております。と申しますのは私どもこの問題について、NHKともよく相談いたしましたし、また、この意見書をきめるにあたりまして、大臣、その他幹部と、今山田先生がおっしゃいましたような、当初におけるラジオテレビ会計の分離のよって起こってきたところ、そういう問題についても十分論議いたしまして、現在のよう情勢ではこれを撤廃する方が、かえって経理事務等能率向上に資するところがあるのじゃないかというようなことで、この区分廃止承認した。こういうふうに記憶いたしておりますので、大臣も必ずそういった議論は頭の中に入れられた上で、現在の状態から見て、経理的にこれを区分撤廃するのがいいのである。こういう面に非常に力を入れて発言されたと理解いたしております。従って、むしろ経理面ということは便宜上のことでありまして、あくまでやはり聴取料をとる以上は、それらに対して適正な値段が算出されておるかどうか、そういうことを確保する限りにおいてはこういう措置がよろしいと、意見書にも書いてございます。従いまして、ちょっと山田先生の御質問焦点大臣の御答弁焦点が、少し食い違ったように見えましたが、実際事務当局初め大臣、すべてこの点についての認識は十分理解した上で、こういう決定をいたした次第でございます。
  16. 山田節男

    山田節男君 次に、ラジオ経済テレビ経済を分離さしてからの実際上の経理上の差別収支というものは、きわめて簡単でいいですけれども、どういうふうにして区別するのか。収入としては二つの項目になっているけれども、実際の支出経理上、ラジオテレビジョン款項目とすれば、款というのはどういう分け方をするか、款項目に対して大体どういう分け方をするのか、概略でいいですから、参考のため伺いたい。
  17. 春日由三

    参考人春日由三君) まず標準原価算定の基本的な考え方といたしましては、総必要経費番組生産部門と、それから営業部門と、いわゆる業務局関係ですか、それから一般管理部門、その他というふうに大別いたします。番組生産費につきましては、目以下の科目区分に従いまして、累計をいたし、その他の経費については、いわゆる番組生産費との関係業務実態資産構成比率などを勘案の上、方式をきめたわけでございます。まず、最初に総必要経費というものを算定するわけでございますが、これは当然交付金収入相当分を除いたわけでございます。そういたしまして、事業支出の総額と、放送債券償還金長期借入金返還金放送債券の償還積立金繰入額、予備金、これを総必要経費と算定いたします。ラジオテレビ区分につきましては、次のよう方法によります。国内放送におきましては、まず人件費社会保険費厚生保険費退職手当などにつきましては、業務実態に照らしまして、原則として折半いたします。それから放送関係につきましては、直接費は科目区分によりまして行ないます。教育テレビにつきましては、直接費の比率によって区分いたします。それから普及開発関係経費につきましては、放送費比率と同じよう比率区分いたします。契約収納関係については、具体的な受信者契約数計算して区分いたします。調査研究関係費用につきましては、業務実態に照らしまして区分をいたします。その他管理関係については放送費比率によって区分いたしますし、減価償却費償還金返還金等につきましては、ラジオテレビ固定資産比率によって明らかに区分いたします。予備金につきましては、以上の諸経費比率によって区分いたすということを考えているわけでございます。そういたしまして、以上の方法でお手元に提出いたしました三十五年度事業計画予算を見てみますと、一応予測でございますが、今のよう方法によりますと、ラジオ受信料月額八十七円七十五銭、テレビジョン受信料月額二百九十二円九十八銭というふうに算定されますので、おおむね現行受信料は、予算でございますから正確ではございませんが、妥当だという形が出てくる、こういう次第でございます。
  18. 山田節男

    山田節男君 これは必ずしも予算としてでなくて、あるいは三十四年度の今日までの、今日から見た、たとえば九月あるいは十二月までの実績でいいのですが、ラジオテレビジョンとの財政分立のもとにおいて、たとえばラジオ聴取者がどんどん減ってくる、予想外ラジオ受信者が滅ってくる今日、たとえば昨年の十二月末現在くらい、今のお分けになったよう款項目ラジオ経済赤字になりますか、黒字になりますか。黒字だとすれば一体どのくらいの黒字になるか、これは大体の、もちろん正確なことはわかりませんが、傾向はわかるだろうと思います。傾向がわかる程度一つお示し願いたい。
  19. 春日由三

    参考人春日由三君) 今御説明申し上げました経理区分の御説明は、実は三十五年度受信料を、経理を一本化いたします場合に、意見書にございますように、原価はきちんと把握しろということでございますので、今のよう方法考えて、おおむね受信料と匹敵するような使用の仕方をするという御説明でございまして、三十四年度は、先生が先ほどから申されておりますように、テレビジョン開始以来の方法によって区分しておりますから、こういうよう区分方法ではございません。それにいたしましても、三十四年度は当初予算におきまして六十七円のものを八十五円にしていただいたわけでございますから、年間約三十億のラジオだけにつきますと増収がある予定でございましたのが、昨年の下半期以来から急激にラジオ受信契約者が減って参りますので、お手元資料にございますように、年間百二十万契約が減る、そういたしますと、年度当初から徐々に減って参るわけでございますので、今つかんでおります数字は、三十億程度増収があるだろうと考えましたのが、逆に九億九千万円ばかり、三十億の増収に対しまして九億九千万ばかり減収になるわけでございます。それで三十四年度中には計画を一部繰り延べないしは削減いたしまして、ラジオ受信料収入に見合うように仕事の収支のバランスを作っておりますから、赤字という形は出て参らない、こういう形でございます。
  20. 山田節男

    山田節男君 なぜそういうことを申し上げるかといいますと、今あなたの方のお示しになっている三十四年度ラジオ受信料百四十七億三千五百二十五万になっているわけです。そうして三十五年度には百二十億八千九百三十万円、その間やはり二十七億——二十六億円余の差あるるわけですが、この三十四年度予算に計上したラジオ受信料というものが、はたして百四十七億入るかどうかという問題、ですから、昨年の十二月の時点において……これはまあ第四・四半期のいわゆる最後の四半期において馬力をかけて受信料の増徴ということは考えるかもしらんけれども、今私がお伺いしているのは、昨年の十二月三十一日現在、三十四年度ラジオ受信料として計上しておられる百四十七億に到達する見込みがあるかどうか、これが逆になければ赤字になるわけです。そういう意味で私は質問をしている。
  21. 春日由三

    参考人春日由三君) 今の御指摘の、三十四年度の当初予算の百四十七億三千五百二十五万円の収入があるだろうという予測に対しまして、今日の時点では収入は百三十七億四千二百九十万円であるという数字をつかんでおります。従いまして、当初予算に比較しまして、三十四年度中に九億九千万円ばかりの減収というものが見られるわけです。しかし、予算執行の過程におきまして下半期に——早くもそういう減少を見ましたものでございますから、ただいま御答弁申し上げましたように、年度当初の事業計画を若干削減ないし繰り延べすることによって、減りました百三十七億四千二百九十万円の規模において三十四年度の仕事をしていくというふうに調整いたしましたので、使ってしまったあとに収入が減ってくるのではなくて、使う前に今のような調整をしながら予算の執行をして参っておりますので、赤字という現象は出ておりませんが、当初の見込みに対しましては、明らかに三十四年度ラジオに限りましては九億九千万円の減収を見ておることは確かでございます。
  22. 山田節男

    山田節男君 ですから私、今申し上げておるように、減収ということは、今のように調整しなければ——ラジオ経済プロパーなやり方をすれば約十億円の赤字になると、こう見ていいんでしょう。
  23. 春日由三

    参考人春日由三君) 赤字という表現が適当であるかわかりませんが、要するに年度当初の承認予算に比しまして九億余りの減収があることは確かでございます。
  24. 山田節男

    山田節男君 次に資金計画——三十五年度予算上の資金計画について一、二質問いたします。  これは、昭和三十三年度NHKとしては、ラジオ受信料を上げてくれ……、いろんな与党の政治的理由でこれを上げなかった。そこでNHKとしては、従来にない財政的の非常な危機に面した。当時NHKとして、おそらく今日三十五年の歴史あっていまだかつてない健全財政をやったことは、これは事実です。いわゆる減価償却を削減したり、あるいは長期の借入金の返却を繰り延べたり、これを国会は、当委員会としては三十三年度におけるNHKの財政的危機を救わんがために、異例ではあるけれども、危機突破のためにそういうことを許しました。と同時に、この財政を確立させるために、ラジオにつきましては十億円何がし、テレビに対しましては三十二億二千万の長期借り入れを許したわけですね。そうして三十四年度に、すなわち今経過している三十四年度におきましては、さらに長期借り入れというものを、ラジオにおいては六億五千万、それからテレビにおいては三十六億二千四百万という長期借り入れをしておる。しかるに、今度の三十五年度の資金計画表を見ますというと、長期借入金は七億五千万円、今度は放送債券が逆にふえまして、放送債券が五カ年計画で、初年度の三十三年度が三億九千二百万、三十四年度放送債券はゼロ、しかるに三十五年度においては三十八億七千百万円という放送債券予定しておるわけです。そういたしますと、片一方では長期の借入金をする。これは額面だけでいえば三十三年度、三十四年度で八十八億円余のものが借入金になっておるわけです。帳づらを見ますと、三十五年度長期借入金の返済は全部で六億五千三百二十九万、こういう資金計画、三十三年度、これは別個の問題です。けれども、三十四年度まで長期借入金をやって、しかも三十五年度において放送債券を非常にふやしていく。これはなぜこういうことを申し上げるかというと、電電公社が第二次五カ年計画として電話の大拡張をやろうとしておる。そうすると、御承知のように今の規定でいけば、一級地においては十五万円の債券を持たしておる。そこで一体、債券というものが全体的に四十万個、平均八万円の債券を持つとしましても、一体この債券が消化できるかどうかという大きな問題になっておるわけです。従って債券市場は、これはおそらくNHKまで三十八億円余の放送債券を出すということになると、一体債券市場はどうなるか、こういう点について、これは大蔵省なり、ことに郵政大臣の所管大臣の責任として、長期借入金から、今度は放送債券一つの資金計画としての転換をしたということについて、郵政大臣はどういう自信を持っておられるか、この点まずお聞きします。
  25. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 長期借入金の方式によるか、あるいは債券によって資金をまかなうかということは、そのときのマーケットの状況、クォーテーションから将来の見通し、現状等を勘案して定めるべきものであろうと存じますが、まあ原則といたしましては、金利が安くて、しかも長期安定してお金を使える方がいいのじゃないか。また、その資金を吸収いたします吸収の仕方が楽な方法であってしかるべきだ。現在のようなマーケットから考えますれば、私はこの債券主義で参りました方が妥当だと思いまして、この資金計画に賛意を表した次第であります。
  26. 山田節男

    山田節男君 今の大臣のおっしゃることは、先ほど申し上げましたように、たとえば電電公社が年間千六百億の建設資金をどうしても確保しなければならない。それがために予想しておる電話債券といいますか、これも少なくとも三百八十億円——これはちょっと数字が違うかもしれませんが、三百八十億円ぐらい想定しております。その他、四月以降の三十五年度の債券市場というものは、これは非常に何といいますか、債券のはんらんを来たすのじゃないか。それを見越しまして電電公社においては、すでに全国の市中銀行にまで働きかけて債券の消化ということについて努力しておる。そういう事態を見ますと、来年度こそ債券を発行するということは、従来NHKでは債券の発行はきわめて手控えてきておる。それを今回は従来に比べて十倍にも匹敵しておる。従来NHK放送債券は三億から三億五千万以下です。それを今度は三十八億、三十九億近くの放送債券を放出するということになれば、これは郵政大臣のおっしゃるのは見通しからいえば逆なんです。その間、大蔵省の保証があるとか、NHKなり、あるいは郵政大臣が市中銀行あるいは証券市場に対してある程度の打ち合わせなり了解なり、保証なりなければ、そんなことはさすべきことじゃないと思うのです。それはどうですか。今のあなたの御答弁では、そういう点全然触れていらっしゃらない。その点どらですか。
  27. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 電電公社の場合におきましても、またNHKの場合におきましても、債券市場の、たとえば国際市場が多少下がったとか、日本の債券の市場が多少悪いといっても、ごく目先のことであって、今日の経済成長の現状から見まして、債券の価格などにいたしましても、一時的のフラクチュエーションはむろんあるわけでございますけれども、今日のマーケット、市場全体を考えますときには、これは、長期借入金よりも債券主義によった方がいいということは、これは電電公社の場合も、NHKの場合も、一貫して私は見通せると考えまして、この原案の方が、長期借入金に重点を置きますよりも妥当だと、現在の経済状況から見て妥当だと、さよう考えております。
  28. 山田節男

    山田節男君 まだ納得できませんけれども、NHKはどういうような見通しでおられるわけですか。
  29. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 先ほど、昭和三十三年度以来の借入金に対する、放送債権に依存するか、長期借入金に依存するかの、その推移につきましてお尋ねがございましたが、お尋ねの御趣旨はごもっともでございますが、昭和三十三年度におきましては、当時の放送法に、放送債券の発行の最高限度が法定されておりまして、三十億を限度として発行を認めるということになっておりまして、それまで放送債券を発行いたしまして、その限度までの余裕が非常になくなったわけでございます。その当時といえども、放送債券の消化が困難であったとは申しませんが、法律上そういう制約を受けておったわけでございます。この関係は、放送法の改正によりまして、最近における決算上の純資産の三倍までは発行できる。そうなってきますと、昭和三十四年度で百五十億ぐらいのワクまで債券が発行できるような弾力を持ったわけでございます。そういうことで、長期借入金よりも、この放送債券の消化が可能であれば、その方に移した方がいい。予算上では長期借入金に依存しておりましたが、そういう関係は、昭和三十四年の放送法実施によりまして、債券発行の限界が広がりましたので、そういうワク内において可能な限り放送債券発行によっていくということにいたして参ったわけでございます。昭和三十五年度につきましては、郵政大臣にも非常にお骨折りをいただいたわけでございますが、必要な外部資金のうち、十億円につきましては、財政投融資計画の策定にあたりまして、大蔵省も同意をいたしまして、表面にこれだけは資金の調達を財政投融資計画の一環として認められております。そのほかに、放送債券を発行いたします場合には、事前に大蔵省の承認を得なければならない一わけでございますが、三十五年度資金調達に関連いたしまして、投融資計画に計上された、ただいま申し上げました十億のほかに、三十億までの放送債券発行は承認ようという事前承認を受けておるわけでありまして、大蔵省といたしましては、いろいろ各機関、各向きに対する政府資金並びに民刷資金の三十五年度中における需給関係を十分ににらみまして、財政投融資計画を策定した一環として、表面には計上しないけれども、三十億の発行は可能なりと、こら見て、これを申し出があれば承認ようと、こういうような御了解を実は得たわけでありまして、この関係につきましては、郵政大臣に非常に御奔走をいただいたわけでありまして、来年度の資金調達の面につきましては、そのような限度において見通しを得ておるというよう状況でございます。
  30. 山田節男

    山田節男君 この三十三年度のいわゆるNHKの財政のピンチを救うために、ラジオテレビ合わせて四十六億円余の長期借入金をした。これは緊急の事態に処するためにやむを得なかったと思うのです。ところが、三十四年度においては、御承知のように、ラジオ受信料というものは二割七分強値上げをしたわけです。これは、要するにNHKの健全財政といいますか、自立財政を強化せんがために、いろいろ問題がありましたけれども、ラジオ聴取料を二割七分というものを値上げしたわけです。しかるに、なお四十二億七千万円余の長期借り入れをしなくちゃならなかったということは、これは帳づらから見るとちょっと合わないのですね。合わないというよりも、首肯できない点があるのですけれども、この点はどうですか。二割七分のラジオ聴取料、少なくとも当時千四百万として、なおもってこの額からいけば、テレビジョンの方は三十六億円ですから、テレビの建設勘定ということは、これは想像できますが、それにしても、ラジオの方は六億五千万円という長期借り入れをしているのですから、ここにやはり、経営上、値上げをした理由と、この結果を見ると、ちょっと私ふに落ちない点があるのですが、この点の御説明を願いたい。
  31. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 三十四年度予算に計上しております、この予算に表現しておりますそれは、まだ、放送法の改正が郵政省から御提案になっておりまして、御審議をいただいておったのでございますが、そういった債券の限度拡張の関係につきましても、放送法改正前の問題でございまして、予算編成当時につきましては、そういった事情も見越しまして、在来の通り放送債券の発行限度は三十億と、こういうことを念頭に置きまして、あげて長期借入金に依存するというような資金計画を立てたわけでございます。三十四年度予算の実施に移りまして同時に放送法が御可決をいただきまして、施行され、放送債券発行限度が拡張いたしましたので、三十四年度の実際の歩みといたしましては、三十四年度予算に予想いたしましたようなこととは模様が違っているのでございまして、ちょうど当時二十億の経費を簡保資金に依存するつもりでございましたが、伊勢湾台風等の関係もありまして、そういった関係は十億しか簡保で引き受けてもらえないということになったわけでございます。と同時に、一般の市場に対しまして、放送債券を発行いたしまして、二十億の放送債券を三十四年度中に現実に消化いたしております。そういたしますと、市場消化の二十億と、簡保資金をもって一括引き受けをいただきました十億を合わせまして、三十億はすべて放送債券の形において調達できたわけでございます。そのほか、長期借入金といたしましては、銀行方面から二億九千万円の金を借りております。これを総計いたしましても、年度当初予想いたしました必要資金の全体をまだ調達いたしておりませんが、これには、支払いを要する事態に対する支払いが、他のいろいろな事情によりまして、三十四年度中にいかない、六年度以降に持ち越されるというよう関係もありまして、資金需要といたしましては、実は、前に申し上げました三十二億九千万円、これで間に合っておるというような実情でございます。
  32. 山田節男

    山田節男君 この前に申し上げましたように、昭和三十三年度予算においては、NHKの未曾有の危機に直面した。当委員会でわざわざ附帯決議までつけて、政府はこれに対して財政投融その他の財政的援助を与えて、一日もすみやかにNHKを健全財政の上に確立しようと、こういう一項目が入っているわけです。今まで伺いますると、三十三年、三十四年、三十五年度予算づらを見ましても、ただ単に、今日まで政府としては、長期借入金あるいは放送債券に対する大蔵省の了解ないし、きわめて弱い保証の程度しか得られておらないように聞こえるのですが、たとえば来年度予算において、放送債券というようなこういったものに頼らない、たとえば本委員会で附帯決議に言ったような財政投融資——政府がやはり融資していくべきだというわれわれの趣旨が、公共放送にちっとも現われていないのです、三カ年間。これは歴代の郵政大臣政治力が弱いのか、あるいは誠意が足りないのか、あるいは政府としてがんとしてこれに応じないのか、この三カ年にわたる成果がちっともこういう方面に、本委員会においての意思が現われていないのですね。少なくとも三十五年度予算について大蔵省と折衝された郵政大臣として、その間の事情を一つ説明願いたいと思います。
  33. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ただいま小野理事から答弁申し上げましたように、今回は十億の点が認められたわけでございますけれども、そしてまた御指摘のように、財政投融資はもっとたくさんであるべきだというその点につきましては、私も同感に存じます。財政投融資はもっとあった方がいい、さようには考えますが、他面におきまして、この長期借入金主義から債券主義に承認を与えたというのは、私たちは政府といたしまして、NHKの基礎がいよいよ確立してきて、NHKに対する経済界の信用が非常に深まった。だから債券でも、債券を発行しても、これがまかなえるのだということは、NHKの信用状態の確立を示すものであって、それで先ほど前の前の山田委員の御質問に対する御答弁にございましたが、政府保証がないというようなお話につきましては、むしろ単独にNHKだけの信用におきまして発行し得る見通しを立てまして、そして政府としてその原案に対して承認を与えたということは、NHKの信用のいよいよ確立していくことを示すわけでございまして、私たちといたしましては十分大蔵省とも折衝いたしまして、山田委員の御案内の通り、今まではいつもゼロ査定でございましたが、今度は十億がくっついたわけで、あとまた放送債券でやっていく、こういったような方針になったのでございますが、しかし、放送債券を発行しまして、万が一、その資金の十分に獲得できないとは思いませんが、万が一のときには、やはり政府としてもこれを放置しておくことはできない、さよう考えております。
  34. 山田節男

    山田節男君 それからちょっと中間的なことをお聞きしますが、三十四年度のこの収支予算書を見ると、ラジオは千四百四十三万、それからテレビは二百五万六千、こういうように出ているのですけれども、すでにもう三月、年度末に近いのですが、これも大体昨年の十二月の末日現在でもいいのですが、大体ラジオテレビ受信者の数はどの程度の差があるか、これをちょっとわかればお示し願いたいと思います。
  35. 春日由三

    参考人春日由三君) 今年度ラジオ年度末の受信者の数は、ラジオの場合は千二百七十九万世帯、これは年度当初の御承認をいただきました予算の場合には千四百四十三万を予定したわけでございますが、現実には千二百七十九万、それからテレビジョンにおきましては、最初承認では二百五万六千世帯ということになっておりますが、年度末が近づきました今日で推定し得る数字は三百八十二万五千世帯でございます。
  36. 山田節男

    山田節男君 そうしますと、三十四年度ラジオ受信者の数が百六十四万ですか、ラジオ聴取者受信料を払らう分が、NHKからいえばそれだけ普及度が減っておるわけです。それからテレビは、今度は逆に三百八十二万五千だとすると、百七十七万オーバーしておりますね。このことは、この数字は三十五年度予算計画の場合にこういうレートを、三十五年度予算においてどの程度までこれを勘案されているか。すなわち、ラジオは今年度の、三十四年度の減り方と、それからテレビはまだまだこの現実に現われている数字のレートで、割合で進むというようなもとにこの予算を立てておられるのかどうか。
  37. 春日由三

    参考人春日由三君) 先生のおっしゃる通りでございます。
  38. 山田節男

    山田節男君 その次に、事業計画に関しての資金計画ですがね。ことしのNHK予算融についての付属の書類が、資料が非常に少ないのでよくわかりませんけれども、三十三年度以来のNHK予算収支書、事業計画等を見ると、非常に明確に出ているのですが、三十四年度のときに出されている三十三年度から三十七年度までの五カ年計画で出ているこのFMの問題ですが、FMは昨日も答弁がありましたように、大体三十三年度から三十七年度においては大体八五%のカバレージを持つと、こういう計画を出しておられるわけですね。しかるに昨日の説明を聞きますと、三十五年度において東京、大阪においてUHFのFMを始め、その他十局をやる。こういうような御説明があったのですが、今までの、三十三年以来のずっと資金計画から見まして、ことにラジオ経済というものを将来見通すというと、非常にこれは遺憾ながら暗いのです。この際、来年度は本年度よりもさらに減少することは、これは必至の情勢です。そういった場合に、FMというものを五カ年計画で、最終年度には八五%にカバレージを伸ばすということがいいかという問題です。これは郵政省におけるFMの周波数の割当の問題もこれはもちろん関連がありますが、一体そういうことでラジオ経済、たとえ統合された放送経済にしても、FM放送を三十七年までにさように高度に伸ばす必要があるかどうか、それについての可能性について、電波監理局長がおられますから、一体NHKがFMを三十七年度までに全国で八五%のカバレージを持たすだけの周波数その他においても、UHFでやるというのですが、そういう技術的な面においてはたしてこういうことは正確に可能かどうかということを伺いたい。順序としてNHKの方から御答弁願います。
  39. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) FM放送の問題は、この前にも御説明いたしましたように、これは放送を行ないます技術的な方式といたしましては、確かに現在の中波の標準放送よりも音質その他におきまして、あるいは混信対策その他におきましてきわめて顕著にすぐれているものでございます。ただ問題は、これほど普及いたしました受信機に対する対策として、急激には切りかわらないという点がございますけれども、技術的内容につきましては、はるかにFMの方がすぐれておる。それはもう結論として申し上げられると思います。ただ、問題は、それでございますので、実はVHFを利用いたしましてなるべく早くFMの技術を普及し、受信機の改善をはかりたいと考えまして着手いたしましたわけでございますが、その後一般状況から申しまして、VHFではとうてい全部の要求が満たされないという意味から、UHFを使ったらどうかというふうな議論で、来年度予算におきましては、きのう御説明申し上げましたように、東京と大阪二局だけ、さしむきUHFとVHFと併設して実験を重ねたい、かよう考えております。  これの将来につきましては、今申し上げましたように、確かにかなり遠い将来におきましては、おそらくは中波に置きかわる可能性が十分にあるものであろうというふうに考えられますので、このUFHの問題がはっきりと方針として打ち出されましたならば、やはりできるだげ早くその技術を開発していった方がいいのではないかと、かよう考えております。
  40. 甘利省吾

    政府委員甘利省吾君) ただいま溝上副会長の御説明ように、目下のところ、UHFという問題がかかってきておりますので、これの技術開発が見通しがたちませんと、しっかりした年度別のカバレージの予想がつきません。従って、もしUHFが十分使える、あるいはUHFが使えなくても、VHFで十分チャンネルが割り当てられるという見通しがつきましたならば、これのカバレージは大体テレビジョンのカバレージと同じになりますので、テレビジョンの総合あるいは教育等の建設計画に歩調を合わせて、全国に普及しますならば、相当なパーセントまで行けることは確実でございます。たとえば、教育放送が三十七年度八〇%のカバレージ、こういったことが実現されるようであれば、また同時に、FMがそのときまでに十分使えるという見通しがたちますれば、大体これに歩調を合わして置局して参りますと、カバレージは大体同じ数字になると思います。ただ、在来はVHFだけでFMを考えておりましたので、との五カ年計画を立てます当時においては、ある一つのテンポで置局を計画してございましたが、その後のFMに対する需要の激増、申請の激増に対処してUHFという問題をここに持って参りましたので、そこに幾分FMを開発して普及させるという年度計画に若干の遅延を来たしたことは事実でございます。従って、今年度三十五年度は、NHKにおきましてUFHの放送をニカ所やりまして、早急にそのデータをとって、それをもとにして計画を立てたい、このよう考えております。
  41. 山田節男

    山田節男君 これは、昨日も私NHKの当局に質問したその質問に対して答弁がありましたように、大体ラジオテレビジョンに圧倒されて、ラジオ聴取者というものは年々減ってくると。しかしながら、ラジオの果たす役割というものは、分業的に言えば、役割は確かにあると。そこで、従来のラジオにおける第一放送と第二放送の問題について意見を申し上げた。むしろ第二放送を高度の教養番組あるいは芸術あるいは劇等の点に利用して、これをむしろイギリスの第三放送的なものにしろと。また、そういうことが望ましいということが、前田専務理事から御答弁があったように伺うのですが、このFM放送ということになれば、これはもとより、FM放送の利用価値といえば、やはりこれはニュース、音楽その他芸能に関するもの、やはりイギリスの第三放送的なものにならざるを得ないだろうと思います。そうすると、やはりNHK事業の上から考えますと、たとえばカラーテレビジョンがやられれば、NHKは公共放送でも当然手をつけなくちやいかぬ、FM放送もこれはNHKはやらなくちゃいかぬ、なるほど、公共放送としては放送に関する限りはデパートメント・ストアで、何でもかんでもやらなくちゃいかぬ、その気がまえがいいかどうかという問題です。それはやはり入るをはかって出るを制すという経営者の最高責任からいえば、公共放送というものがデパートメント・ストアみたいになってしまって、どこに重点があるのか、こういう勢力の散失といいますか、財政的な集中を失うというところにラジオテレビの番組が低下するのじゃないか。長い目で見れば、そういうことを疑わざるを得ないんですね。そこで、むしろ斜陽の放送事業ともいうべきラジオに対しては、第一、第二、第三放送を堅持せしめて、FM放送をそのようにして五カ年で全国八五%、テレビジョンは五カ年計画の最終年度において七九%、FMは八五%のカバレージを持つという計画になっている。こういうことは、もう少し事業経営上から言えば、公共放送だから放送に関するものは何でもかんでもやらなくちゃならぬというような、そういう従来の行き方について十分考えないと、いわゆる三十三年度における財政危機というものは再びくるのじゃないか。われわれ附帯決議をつけて、特に経営合理化、健全な財政ということを強く附帯決議に加えた理由もそこにあるのです。ところが、どうも料金を上げた昨年、三十四年度、それから三十五年度を見ますというと、何でもかんでも手をつけていかなくちゃならぬ、金はどらかなるだろう、NHKはつぶれやせぬだろう、こういうような気風があるのじゃないかということを私疑わざるを得ない。これは、昨日、NHKが公共放送であるがゆえに、これは極端だけれども、イージーゴーイングだという言葉について、野村会長は返上するとおっしゃいましたけれども、しかし、今日では民間放送相当発展した今日、民間放送業者の意見を徴しますというとNHKはああいう経営をやっているけれども、われわれにまかせれば大体経費は三分の一でやってみせると、こういうことを言うている。この民間放送の世論というものを私は相当強く反省しなくちゃならぬと思うんですね。これはまあ少し意見がましくなりますけれども、今のFMの放送を見ましても、まだはっきりした政策がきまっていない。VHFにするかUHFにするかということもきまっていない。はたしてVHFにする場合に、周波数バンドの割当ができるかどうかということも、これもまだわからない。こういうときに、そういったよう計画を立てた上の予算といいますか、財政というものは、私は非常に不健全になる憂いがあるのじゃないかと思うんですが、こういう点についてどうですか。今、甘利政府委員の言われるような、FM放送に対するVHF、UHFというものに対する、まだテスト中だ、こういうさなかにおいて、こういう五カ年計画をはっきり明示されることが、一応の目安としてはいいかもしらぬけれども、NHKの健全財政という立場から、われわれはこれを監視するという観点から見ると、私は少し何もかにも手を出し過ぎるのじゃないかという感じがするんですが、この点に関してどらですか、忌揮のない御意見を承りたい。
  42. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 御意見は、私どもも非常に適切な御意見で、うれしく拝聴いたしております。お手元に差し上げてあります第一次五カ年計画は、これはNHK経営の根本方針をおおむねこの線に沿うて五カ年間に実施していくというあらましの方針を示したものでございまして、その実施はあたりましては、各年度の客観情勢を考慮に入れまして、それは相当修正ざれるということを前提として作っておるものでございます。ただいまのFM放送に対しては、昭和三十三年度予算編成の際は、山田先生の御指摘のごとく、当時の客観情勢が非常にNHKにとりましては重大な状態にありましたので、第一次五カ月計画最初に起草しました当時は、五カ年間に大よそ三十六局のFM放送局を作る予定だったものを、その三分の一以下に削りまして、その数字が現在でも基本方針としては第一次五カ年計画の中に、三十七年度末までに十局という数字が残っておると思います。しかしながら、今御審議を願っていただいております三十五年度予算案におきましても、局数をふやすという考え方は少しも持っておりません。ただ、NHKは、放送法に従いましても、放送の技術その他の発展、開発一つの義務を持っておりますので、先ほど副会長並びに電波監理局長が御説明下さいましたような方向に沿って、従来は東京、大阪でVHFによるFM実験放送をしていたのに対し、三十五年度においては最小の限度内でUHFのFM放送開発の実験を開始するという程度のものでございます七まして、電波監理局長が御説明されましたように、FMの周波数割当あるいはFMに対する根本的な電波政策が決定していない現在におきまして、NHKがそれよりも先行してネットの計画を立てるとか、あるいは本放送考えるとかということは毛頭考えておりません。  それからまた、ラジオ受信料の徴収状況、あるいはテレビの伸びに従ってテレビ料金についての将来の大衆の反響なども十分考慮いたしまして、NHKが将来どの程度の財政規模になるかということは、私どもとしては、当然研究し、かつその上に立って三十五年度予算を編成しているわけでございまして、従ってNHKが単なる放送デパートとして、許される波ならばすべてこれを完全にネット・ワークの形でやっていこうという考え方は現在のところは持っておりません。カラーテレビにつきましても、昨日来、会長その他からも御説明申し上げましたように、カラーテレビの三十五年度予算計画は、要するに、三十四年度中三十分の放送を一時間に延ばすという考え方を実験費の形において盛っているわけでありまして、客観情勢が、本放送ということになる場合でも、その予算を上回って、あるいは特殊の措置を講じて、NHKがカラー・テレビの本放送に全力をあげるという考え方は持っていないわけでございます。これは昨日来の御説明で御理解をいただいているかと考えておりますが、要するに、明年度、カラー実験に盛っている金の高は二億一千万円でありまして、それが本放送になった場合には実験放送は不必要になりますので、現在実験放送は、白黒の放送をやっていない時間に三十分だけ特別に電波を出して、特別に番組を組んでやっている関係上、単価の面ではかなり高くなっているわけであります。もし、かりにこれが客観的に本放送という形になった場合には、その金を、及びその運営時間を廃止することになりますから、これを白黒放送の番組制作費及び技術関係費に加算して、その限度を越えない範囲で一応やっていく、こういう考え方を持っているわけでございます。従いまして、先生の御意見に対しては、われわれも今後十分反省していかなければならないことは当然でございますが、私どもが予算編成にあたって考えている建前は、おおむね先生の御意見通りの方向に向かっているものと確信いたしております。
  43. 山田節男

    山田節男君 最後にもう一つ。次に、この三十五年度予算収支の概要から見て、先ほど来もいろいろ私御意見を申し上げましたように、ラジオ受信者はおそらく二百五十八万以上に減るであろうということは、これははっきりわかるわけですが、そこで三十四年度と三十五年度ラジオ収入を見ましても、二十六億余の差額が出ているわけです。NHKとしては、この受信者維持対策として、ここに四億九千五百五十九万円余、これに関連してPR対策の強化の一億六万円、これに関連した、この解約を防止するという費目を、従来にない費目をここに設けられているわけです。でこの約六億円の解約者防止の費用というものが、はたして二十六億あるいは三十億になるであろうというふうに想像されるいわゆる解約者、NHKからいえば受信料を払わなくなる人、結果からいえば減収になる、それをチェックするために、これだけの異例な僕は費用を計上せられたと思うんですけれども、具体的にどういうことをおやりになるのか。御承知のように、NHKも了承されたように、来年度からはラジオの共同聴取に対しては半減するということを与党から申し入れられて、これを承知しているわけです。そういう方面の減収、これはかなり数字的にはっきりしているわけです。そういう点の、この共同聴取の半減しての来年度における見込みというものに加えて、具体的にいわゆる廃防対策一億六千九百六十二万円計上せられておりますが、こういうことを具体的に一体どういうふうにおやりになるのか、一つその例をお示し願いたいと思います。
  44. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 現在ラジオ契約者が減少しつつあります。これの関係が非常に大きな影響をもたらしつつある現状に対しまして、三十五年度におきましても、必要な予算推演を講じまして、努力をいたして参るということが、御理解をいただけると思うのでございますが、このことは、昭和三十四年度におきましても、当初予算を大きく裏切られたよう状況が現に出ております。そういうことで、予算の実行計画におきましては、可能な限度におきまして、そういった廃止傾向を防止するに適切な施策を講ずるために、いろいろと経費捻出もはかる。またその経費を有効に使うような各種の措置を講じて参っております。その措置につきまして、いろいろ具体的に申し上げますと、全般的にはラジオ受信料徴収の根拠等につきましても、十分に明確に周知されておらないというようなこともあったわけでございまして、特にこれが検討をいたしたいことは、トランジスタ・ラジオについて、これは聴取料の対象ではない、こういうことがしごく善意に解釈されておったような実情もございます。そういうことで、いろいろ放送法によって聴取料をとり得る根拠なり、またそのやり方等につきまして、十分の周知をいたしますために、あるいはラジオを通じ、テレビを通じ、印刷物を通じまして、あるいは新規の加入の勧奨に行きます者、また集金に当たっております者が現実に足で、そのような面の努力をいたして参ったわけでございます。と同時に、そういった廃止傾向の顕著な実情に即しまして、ラジオの廃止はしごく簡単にできる、これは手続上の問題でございますが、そういうような実情もあるわけでございまして、これはいろいろ経営合理化、簡素化そういった線に沿いまして、きわめて手数のかからないような簡便な方法に漸次変えて参りまして、そういった廃止傾向が顯著に出ます直前におきましては、電話一本でもはがき一本でも、そういった廃止届を出せば、もう帳簿から消えてしまって、聴取料を払わなくていいという措置になっておったわけでありますが、これにつきましては、やはり旧にやや復しまして、一定の手続を必要とするような措置もとっておると同時に、これも人手を使いまして廃止の申し出のあります都度に、直ちにこれは廃止の処置をいたしませんで、いろいろ懇談に参っております。その動機等につきまして、テレビラジオ両方つけたので、もうラジオは要らない、テレビだけでいいのだという向きに対しましては、いろいろラジオ番組の特性その他の関係を御説明をいたしまして勧奨に努めております。またラジオの機械が故障を起こして役に立たないから聞かないのだ、こういうことが原因でやめるのだという申し出に対しましては、NHKの修理班もあることでもございますし、また直接のNHKの修理班で間に合わない場合にはラジオ商、そういった修理業者に連携をいたしまして、直してやりますということで、機器の修繕に当たりまして、継続をお願いをしているというように、いろいろ措置をとっております。その他いろいろ、そういった面に対するために、新たに人を各地に採用いたしまして、それに特殊な報賞をつけて、そういった努力を続けて参っております。その成果が、今日までのところで見ますと、廃止をしたいという申し出の向きに対しまして、そういう努力が効を奏しまして、それでは継続しようといったものが、廃止申出者の約二割というようなことにはなっております。しかしながらこれは全体の廃止申出者の二割が、そういうことで防ぎ得るわけでございまして、あとの八割は、どうしても現在の受信料聴取の建前では、それ以上立ち入っては非常な行き過ぎになるというようなことで、それ以上の効果は、なかなか現状においては期待できないわけでありますが、なおかつ、そういうような効果を上げましても、今年度内におきまして現実に、年度当初の契約者の数から、少なくとも百二十万見当の減少を見るであろう、来年度におきましてはそういった傾向テレビ普及関係等を勘案いたしまして、当初予算におきまして百六十万のラジオ契約者減少があるであろう、こういう見通しに立って編成に当たったわけであります。かたがた予算の編成後のいろいろな事情等もございまして、有線放送等によるスピーカーのみによって聴取しておられる向きに対しまして、これを半減すべきだというような御意見なり御要望も強いようでございます。こういった面につきましては、今の、それでなくてもラジオの減少が収入の面に非常な悪影響を及ぼしておる現状に即してみますと、さらにそれに拍車をかけるようでございますが、三十五年度予算におきましては、いろいろそういった面を、直接料金の半減によって、御要望にこたえるというところまで編成のときに踏み切っておりませんが、いろいろそういった面における御援助をしようということで、有線放送運用上の技術面のお手伝いなり、その他いろいろな有線放送施設者の方でも要望せられる講習会の関係にお手伝いをするということで、一億五千万円の経費が歳出に計上してあるわけでございます。かたがたちょうどその一億五千万円を、そういう方面でなく半減の方に向けますと、大体それで間に合う、と申しますのは、有線放送ラジオ・スピーカーの数が、私どもの最近つかんでおりますもので、全体で約二十八万五千ばかりでございまして、約三十万でございます。これをまるまる免除すれば三億の金になりますが、半減いたしますと一億五千万で、これは、今の技術の指導なり、その他の面にお手伝いをしようといったようなつもりで計上いたしました。歳出の実行の過程におきまして、料金の減額の要望に沿うということにいたしますと、歳出予算の計上のその予定のワク内に、金額としてはおさまるわけでございます。この面は、そのようなことで参りますと、全体の大勢には、それほど影響はないと思いますが、ただ、いずれにいたしましても、ラジオ受信者の減小の傾向があるというような面につきましては、極力これに対しまして防止をして参らなければなりませんので、三十四年度に投入いたしました八千万円の経費、さらにこれに経費を増加、投入いたしまして、総計先ほど山田先生のおっしゃいましたように、一億五千九百万円の経費をもって、本年度までいろいろやって参りました施策を、さらに再検討して、実情に即するように、もう一歩効果のある方法を試みてみようというようなつもりでおるわけでございます。
  45. 山田節男

    山田節男君 これは、今の小野専務理事の御答弁、これはよく現状としての最大限度の廃防対策ですか、その御苦心のほどはわかりますけれども、従来、ことにラジオNHKの、そういった廃防対策に対してのやり方を見ますと、従来、特定郵便局あるいはNHKの集金人等が参りましても、これは一つの税金ぐらいに思っている。まあ日本放送協会のものならば、これは税金だろうというぐらいに思いまして、無理しても払っておった。ところが、これはもう次第に現行法でいえば、放送法の第三十二条によれば、NHKも聞いていなければ払う必要はないのだ、こういうことがかなり普及してきております。現に、一昨々年のことですけれども、大阪では、こういう民同放送業者が非常にたくさんできて、聞いていないのにNHK受信料を取るというのは、これは憲法違反だというので、これを訴訟にしたいという私は介護士に会ったこともある。そういうよう状況で、従来この特定郵便局を通じて、今まで四割強のものを徴収し、その他はNHKの集金人という資格でやっておりますけれども、しかし、受信者の理解といいますか、認識というものは非常に変わってきて、もう聞いていなければ払う必要はないのだ、こういう状況が強化されておるがゆえに、予想以上のラジオ聴取者に、NHKの防止対策にかかわらず表われている。これは昨日ですか、町村会長が、これは道義に訴えるということを言われれましたけれども、しかし法律上に、はっきりしているものは、これは民主社会であればあるほど、法にかかわらないものを払う必要がないということは、これはやはり道義という基準に照らし合わせましても、権利、義務という関係からいえば、NHKだから、おっしゃれば、とにかく聞いていなくても払うのだ、こういいますと、従来の受信料というものとは、性質が変わってくるのです。そこに、私も昨日も意見を申し上げ、この現状では、どうしてもいわゆる斜陽のこれは事業になる。経営からいえば赤字になるのは、これは必至だ。このことは、数字の上に現われてきているのですから、ですから、今のここで四億円、これは直接は一億五千九百万余の、そういう費用をお使いになっておやりになりますが、これが現行法の放送法でもって、NHKあるいは特定郵便局等が、どうしても払えということになれば、これは一つの憲法違反になる。また、そういうことは強行できないわけだ。もしこれが、NHKが、どうしても払わなければいかぬということになれば、これは一つの詐欺罪になる。詐欺罪です。ですから詐欺罪の線上を彷徨しながら、少なくとも現状のこの受信料を維持するというようなやり方は、少なくともNHKとしてはすべきではないのです。  ここに、すなわちNHK業務関係の、業務局の将来というものが、これはよほど私は根本的に一つ考え直さないと、もう危機が目前に見えているのです。単なる道義でNHKにも納めなくちゃならぬ、こういうことに依存しておっては、経営は成り立ちません、現実として。ここに計上されておる、この受信者維持対策、膨大な金をここへ計上されておられますけれども、私は、こういう事態が生まれたことを非常に悲しみますが、しかし、この努力は、決して報いられぬだろうと、はなはだ冷たいようですが、はっきり申し上げられると思う。ですから、こういうことを苦しい財政で計上するよりも、昨日野村会長も明言されたように、この予算が通過せられたならば、三十六年度予算においては、受信料を根本的に冷厳な気持で、謙虚な気持で再検討しないと、来年度においては、再来年度予算を計上する場合に、もっとわれわれとしても不安な財政を、皆さんが国会に披瀝されなければならぬということになるだろう。これはいろいろ討論のようなことになりましたけれども、このPR対策と受信者の維持対策ということの計上につきましては、再びかようなことが必要としないような、三十六年度以降の予算においては、私ははっきりした、割り切った予算を計上されるべきものだ。ことに業務関係小野専務理事の今の心情、わかりますけれども、しかし飛躍しなければならぬ事態に直面しているのですから、これを了承するしないという問題でなくて、私は、意見を交えて申し上げたのですけれども、この点について、一つ御了承願いたいと思う。  時間の関係で、他の質問者もありますから、これで打ち切ります。
  46. 久保等

    ○久保等君 この予算について、数点協会の方に、簡潔に実は御賛同したいと思います。簡単にお答えを願いたいと思います。この予算書の中に書かれております売却固定資産代金というものがございますが、五カ年計画を見ましても、それぞれ各年度に載っておりまするが、これはどういう内容のものですか。それぞれ簡単に御説明願いたいと思う。    〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕
  47. 春日由三

    参考人春日由三君) 古いスタジオがだめになって、新しいスタジオを作りましたり、あるいは社宅なんかの老廃朽したものを別に建てかえたために不用になった、そういうものを売り払った代金でございます。それが雑収入に入ってきて、また支出に使われておる、そういうシステムになっております。
  48. 久保等

    ○久保等君 それから、次にお尋ねしますが、手元にいただいておりまする第一次五カ年計画の大綱というプリントをちょうだいしておりまするが、この中で、三ページのところにありますが、ここに老朽施設、機器の一掃という項目で、ずっと書かれておりますが、最後の末尾のところに、これに要する五年間経費は七十九億円だというふうに書かれておるのですが、これは各年度を別にしますと、どういうことになりますか。
  49. 春日由三

    参考人春日由三君) 三十三年度を基準とした五カ年計画でございますので、三十三年度から申し上げますと、三十三年度が六億八千万円、三十四年度が十一億三千万円、三十五年度が十六億五千万円、三十六年度が十八億、三十七年度が十五億。
  50. 久保等

    ○久保等君 そうしますと、十二ページにあります減価償却費とは、また違ったようなものになるわけですか。
  51. 春日由三

    参考人春日由三君) 一致していないわけでございます。つまり老廃朽施設の改廃に限定いたしまして、すでにありますもののうち、ラジオにつきましては、三十三年度まで建てました建物や機械を普通償却いたしますほかに、五カ年間計画の間に限って、特別償却いたすということがございます。テレビジョンの方は三十三年、比較的新しいわけでございますから、普通償却しかいたしません。従いまして、老廃朽施設の五年間で直す分と、今御指摘の減価償却のあれとは、必ずしも一致していないわけでございます。ダブっている面があり、新しい部分があるわけです。
  52. 久保等

    ○久保等君 そうすると、この三ぺ一ジにいわれる、いわば老朽施設あるいは機器等の経費というものは、従来あったものを、そのまま取りかえようとした場合の経費ということになるわけですか。
  53. 春日由三

    参考人春日由三君) 原則的にはラジオの場合、そういった考え方でございます。
  54. 久保等

    ○久保等君 普通NHKあたりの場合ですと、老朽施設といっても、それを取りかえる場合には、当然原形復旧といいますか、そういう原形取りかえといったようなものでなくて、そこに改良的なもののプラスされたもので、いわば施設の老朽なものを取りかえるという考え方が、むしろ常識的じゃないいかと思うのです。従って本来ならば、むしろこういう経費は減価償却としてやっぱり出てくる形で扱っていった方が概念としても混乱をしないのじゃないかというように思うわけです。  今の御説明で内容はわかったのですが、ちょっと前後、何かこう理解するのに、とかく誤解を招きやすい傾向があると思うのですが、わかりました。  それでは、十三ページの、次にまた御質問しますが、建設資金計画が載っているのですが、この中に、三十五年度の場合を例にとって申しますると、減価償却引当金というものが二十六億七千四百万円ばかり計上されておるのですが、今度は、これと十二ページのところの減価償却費というものとは、これは同じものですか、違うのですか、金額も一致いたしますが。
  55. 春日由三

    参考人春日由三君) 同じものでございます。    〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕
  56. 久保等

    ○久保等君 そうすると、十三ページのところに書かれております自己資金としての減価償却引当金二十六億円、それから売却固定資産代金一千四百万円、それから、さらに外部資金四十七億ですか、合わせたものが工事必要経費の七十三億八千八百万円、こういうことになっておるのですが、それが十二ページの減価償却費というもの二十六億七千四百万円、それから建設費が、ただいま申し上げた減価償却引当金を含めた七十三億八千八百万円ということになっているわけなんですか。先ほど、十二ページの減価償却費と、それから十三ページの減価消却引当金は、内容は同じだというのですが、減価償却費が、ダブって二回計上せられたようなことになりませんか。
  57. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 十二ページにございますように、減価償却費は、資産の減価を一定の率で将来の建設に所要な金を積み立てていくという方式でございまして、これは、その年度に減耗を来たします費用が歳出の面に二十六億七千四百万円でございます。これに見合いますのは、収入の面、同じ十二ページでございますが、資本収入、自己資金という欄がございますが、これは、これだけの経費を将来に積み立てるために、いろいろ歳出関係のワク内におきまして、同額の金を引当金として、見返りにある経費でございます。この経費が減価償却引当金といたしまして、三十五年度二十六億七千四百万円、これが建設資金の一部になるということに相なるわけでございます。
  58. 久保等

    ○久保等君 そうしますと、何ですか、十二ページのところの建設費七十三億八千八百万円というものは、前年度の減価償却引当金二十六億七千四百万円というものと、それから外部資金四十七億、そのプラスされたものが七十三億ということになっておることになるんじゃないですか。それで、その同じページの下の方に書かれておりまするが、減価償却費二十六億七千四百万円というものは、当該年度のこれは、さらに減価償却分として計上しておるということになるのですか。
  59. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 十二ページの下の支出の部にあります減価償却費二十六億七千四百万円は、これは前年度におきまして、そういうようなこれに見返るものが、見返り勘定として資産の部にあるわけでございます。その経費と、その三十五年度予算の執行の過程におきまして、予想しております雑収入固定資産の売却代金千四百万円、これをプラスいたしましたものが自己資金として、三十五年度に保有されたものでございます。この金を建設資金に充て、足らないところを外部の資金に依存するということになりまして、両方、四十七億の借り入れ資金と、今の減価償却引当金に、雑収入の売却代金を加えましたもの、これを総計いたしますと、ちょうどこの数字に合うようなことになっております。
  60. 久保等

    ○久保等君 ですから、結論的には、老朽したものの改良的なもの、すなわち減価償却費でまかなわれる性格のものと、それから建設費として計上せられておりまする七十三億幾らといったものと、トータルした約百億程度のもの、これがこの支出として、ここに計上せられておると思うのですが、そういうことになりませんか。
  61. 春日由三

    参考人春日由三君) 減価償却費は、ことしの予算の立て方といたしましては、三十五年度予算減価償却費というものは、一度支出になりまして、そいつが減価償却引当金という形になって収入になる、それが、今度外部から借りる建設資金一緒になりまして総額が建設費、こういう形になるわけであります。
  62. 久保等

    ○久保等君 非常に何か回りくどい、ややこしい何ですが、言われることは、わかりました。  それから次に、やはりこのパンフレットですが、これに十ページのところに、ラジオ受信料の免除範囲の拡張等によって、貧困世帯に対してでき得る限りいわば聴取のできるような条件を作って受信さしていきたいということが言われておるのですが、いろいろ御質問いたしたいこともありますが、時間の関係で省略をいたしますが、予算書の中に、テレビとそれからラジオ料の免除者の数が、ずっと載っておるのですが、非常にテレビの場合は、免除者が多い、ラジオの場合は、比較的それに比べれば少ないということになっておるのですが、この関係は、どういうことなんでしょうか。
  63. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) この免除につきましては、一定の免除の必要とする事項を規定いたしました関係根拠になります法律案を引用いたしまして、それに該当する個々の人を、すべて計上いたしましたものが、ラジオにおきましては総計で三十四年の十一月末の現計でございますが、六十七万六千四百六十五、これだけの世帯につきまして、免除をいたしております。  さらにテレビにつきましては、同様な方法によりまして、同じく三十四年十一月末の現計で、一万千三百七十九と、こういうようになっておりますが、その基本的な免除の実体といたしましては、あるいは社会保障的な面におきまして免除を妥当とするもの、あるいはその他の見地から立ちまして、学校教育あるいは社会教育、そういった方面に対しまする政策として、そういったものは免除した方がいいだろうというようなものが集まりまして、ただいま申し上げましたようラジオテレビそれぞれの免除数になっておるのでございます。
  64. 久保等

    ○久保等君 特に困窮世帯に対するラジオあるいはテレビ——テレビは別かもしれませんが、ラジオ受信料の免除等について、できる限り努力をしたいということなんですが、何か具体的な御計画でもお持ちになっておるのですか、もし持っておれば、一つ説明願いたいと思います。
  65. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 現在、そのよう見地に立ちまして免除をいたしておりますが、そういった貧困家庭の関係といたしましては、生活困窮者、これは困窮の根拠といたしましては、生活保護法によって認定をされます生活困窮者、これが、ちょうど今のラジオで申しますと全体の六十七万六千の中の四万五千百四十七、こういう数字が出ております。それぞれ根拠の法によりまして、その法の保護のもとにあります対象者につきまして、免除をしておるというような実情でございます。
  66. 久保等

    ○久保等君 全国総世帯数の二%程度、貧困世帯があるということがいわれておりますが、四万世帯ということになりますと、これは非常に微々たるものだと思うのですが、このこと自体について、もちろん生活保護法という一つのいわば基準があるわけですから、一つの、ある程度のワクは、もちろん抽象的にはきまると思うのですが、しかし現実問題としてNHKとして、こういったことをできるだけ、しかし公共放送のほんとうの本来の使命を実現していく立場から、積極的に一つ推進をしてやろうということでありますれば、私は、もう少し何か具体的な方針をお立ていただいて、新聞等は、これは一つの非常に有力な言論機関ですが、残念ながら、ただで新聞読ますという奇特なところは一つもないですが、幸いラジオの場合は、NHKという公共機関があるのですし、特にこういった、せめて社会のいろんな事象あるいは教育その他の文化的な面についての機関とすれば、NHKのやはり使命というものは非常に大きいと思うのです。  とかく、というよりも、あらゆる面で非常に暗い生活、いわば谷間に追い込まれているような困窮世帯に対して、ラジオ聴取料の免除という問題については、私は従来、とかくあまり論議せられたことはないと思うのですけれども、この五カ年計画を見ると、非常に力強い、こういったことについての関心をお持ちになっておるし、計画も、何かお持ちのようなことを言われておりますので、ぜひ一つ、こういう面に対する特別な、積極的な一つ御努力を願いたいと思うのですが、生活保護法というもの自体が、これまた非常に一つの問題になっております法制度でもあるし、大体、この保護法の恩典に浴する者が、むしろ実際ありまする困窮世帯に対して、ほんのわずかであるという今日の情勢から見ましても、単に生活保護法を受けさえすれば考えてやろうという程度ではなくて、実質的な、そういう生活困窮者に対しては、NHKさんだけは非常になかなか、その点について思いやりのある措置をとるという形を、実行の面でお考えを願えないだろうかと考えます。この点は、私の希望でございますが、特にお願いを申し上げたいと思います。  それから最後に、私簡単にしますが、協会側と日放労との間で、いろいろ給与その他の待遇問題等で、先般来長い間、いろいろ交渉を持たれておりまして、妥結をしたというお話を聞きまして非常にけっこうだと思うのですが、その中で、ただ一、二、ちょっと希望をかねて、御質問したいと思うのですが、住宅手当の問題について、これも、一応妥結をしたというお話を聞いておるのですが、単に手当ということでは、これは住宅問題は本質的に解決しないと思います。  特にNHKの場合、他の産業と比べて、特に転勤、その他の問題は、非常な特異な私、問題があるんじゃないかと思うのです。若い人でも全国に、いわば転勤させられるという問題は、同じ場合、同じ電電公社を例にとっても、あまり若い人が全国的に転勤するという場合は、ほとんどないわけです。しかしNHKの場合においては、きわめて若い人たちの転勤問題等もある状況から考えて、単なる若干の手当程度では、問題が解決しない。  そういう点で、住宅計画をお立てになるとすれば、やはり相当経費のかさむ問題ですから、これまた一つ年度計画をお立てになって、長期計画等で計画を実践していかれないと、思うように問題が解決しない。一年度あるいは二年度程度で問題が解決しないと思いますが、何か、こういった問題については、長期計画等もお持ちになって、お考えになっているのですか、どうですか、その点をお伺いしたい。
  67. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 住宅対策につきましては、やはり職員の非常に大きい関心事でありまして、これは従来とも、十分力を入れて参ったわけでございますが、組合からの住宅手当の要求がありましたので、その要求を、大体入れることにいたしまして、それと同時に、住宅対策を根本的に考え直しまして、いろいろと、現在それについて検討を続けておるわけでございますが、ことに転勤時におきまする住宅の確保という問題が、一番大きい問題になっているわけでございます。  これは、今考えておりますのは、共済会が、私の方にございまして、その共済会をして、住宅のあっせんをやらせるというのが一つのめどでございます。そのほかに、住宅を確保するための、いろいろな資金が要るわけです。その資金を転勤する職員に一時金として、ある程度出そうという点も考えておるようなわけであります。  大体、これも重要な問題でございますので、転勤時における、そういう悩みをなくしたいという線で考えておりますので、その点、御了承願いたいと思います。
  68. 久保等

    ○久保等君 私、だから今の問題につきましては、希望を申し上げたいと思うのですが、やはり最小限度の少なくとも転勤要員と申しますか、そういった人たちだけにでも、現物でやはり住宅を確保するということが、本来のやはり目的であり、ぜひ必要なことじゃないかと思うのです。  従いまして、そういった点につきましては、組合から要求があった、ないは別として、事業の、それこそ円満な、円滑な運営をはかるという立場から、住宅問題は、やはり解決していく必要があるんじゃないか。そのことにつきましては、ぜひ年度計画をお立てになって、計画的に、一つ問題を解決するようにお取り組みを願いたい。これはぜひ一つお願いを申し上げたいと思います。  それから、これも要望になりますが、先年理事あるいはその他役員の増強等をはかって、放送事業の拡充に対応する機構改革もやられたようであります。また同時に、従業員等の最近における非常な膨張といいますか、必要人員を採用せられておるようでありますが、もちろん必要人員については、やはり十分に確保を今後ともお願いしなければならぬと思いますが、そのことは一面から言えば、やはり人員が多くなる。人手が多くなって参りますと、人事管理等の面についても、非常にお考えを願わなければならぬ問題が、いろいろ出てくると思うのです。いわば人事の停滞だとか、あるいはまた何となく人事の行き詰まりといったようなことで、士気の阻喪を来たす可能性が出て参ると思うわけです。従って、そういう点につきましては、機構の問題とも関連するかもしれませんが、やはりとかく大きくなると、お役所的な、しかも、はつらつとした気分が何か抜けて、いわば仕事も、おざなりになっていくという危険性が私はあると思うのです。従って、人員のふえるという点は、もちろん一面からいうと非常にけっこうなことであるし、人員をふやすについては、今後とも一段と御努力を願いたいと思いますが、同時に、清新な気持で、十分に従業員が働けるといったような人事管理の面なり、あるいはまた、そういう態勢をお作り願うということを、この機会にお願いを申し上げたいと思いますが、私もついこの数年、逓信委員会の方は、比較的ごぶさたしておりましたが、つい数年前まで、八千名程度と承知しておったのでありますが、三十圧年度の人員は約一万二千近い人員になっているようでありますが、飛躍的に、そういう人員の面から膨大な形に発展して参っているわけでありますか、特にそういう点について、一つ御考慮いただきたい。  もし何か、その点について会長から御答弁いただければお願いしたいと思います。
  69. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) ただいま、久保委員からおっしゃった通り、人心の一新と、同時にこれは、協会の気風の清新に資するゆえんと思います。人事の異動等についても、できるだけ適材を適所に使って、それぞれの能力を発揮させるようにいたしたい、かよう考えます。昨年、理事の増員に伴って、いろいろ大きな異動をいたしました。そうして異動の結果、その後の成績を見ると、大体においてわれわれが考えておったような成果をあげ得ていると思っております。  なにしろ大きな機構でありますから、あるいは目の届かぬところがあるかもしれませんが、そういうようなことは、いわゆる目のこぼれたものは、また拾っていくというようにして、ただ、去年大きな異動をしたから、あとはしないのだというようなことは考えておりません。できるだけ人心を一新して、清新の気風を協会内に吹き込むというように努める考えでおります。
  70. 森中守義

    ○森中守義君 簡単に、二、三問お尋ねいたします。  まず最初にお尋ねしますのは、今回の経理制度の合理化ということがいわれておりますが、聴取者あるいは受像者の立場からしますと、ラジオ受信者ラジオの方、テレビの受像者はテレビの方、こういうようなことが、やはり国民の中には多分にあると思います。  こういうことに対して、今回の合理化に関して、どういうお考えを持っていますか。
  71. 春日由三

    参考人春日由三君) ただいまの御質問は、ラジオ受信者から集めたお金をテレビに使ったり、テレビ受信者から集めたお金をラジオに使ったり、そういうのは、著しくそういうことをしているのか、していたら、おかしいではないかというふうな御質問かと考えますが、先ほど山田先生の御質問にお答え申しあげましたように、私どもといたしましては、意見書通りに、受信料原価は、あくまでもきちっと把握していきたい。そのために、目以下の項目につきまして、それぞれの部門におきまして、比率をきめまして積算をいたし、必要経費で、それを割ってみますと、ラジオがこの予算におきましては、月額が八十七円七十五銭程度テレビジョンが二百九十二円九十八銭程度という数字が出ておりますので、ほぼ、いずれのお金をいずれに使うということなしに、仕事ができているというふうに考えておるわけでございます。
  72. 森中守義

    ○森中守義君 それから予算総則七条の二項、これは具体的に額として、どのくらい年間見込んでいるのですか。
  73. 春日由三

    参考人春日由三君) この七条の性格上、ほんとうの、今の国会の御承認を得ます予算には、この額は、全然見込まずに一応組んでいるわけでございます。実行過程において、いろいろな増収あるいは節約の経費が出てきた場合に、この七条によって振り当てる——御参考までに、三十四年度の分を申し上げますと、七条一項を適用いたしましたものが一億七千万円、七条二項を適用いたしましたものが二億三千万円という形になっております。
  74. 森中守義

    ○森中守義君 これは、年度によって多少の変動はありましょうが、大体三十五年度も七条二項の場合には、三十四年度の実績程度だというよう考えてよろしいでしょうか。
  75. 春日由三

    参考人春日由三君) なかなかむずかしい問題だと思います。と申しますのは、今年度は、ラジオの減少は百二十万でございましたが、テレビジョンの方は幸いにいたしまして、国会で御承認予算をはるかに上回りました百八十五万増でありました。従いまして七条の一項、二項の適用の範囲が、相当あったわけでございますが、三十五年度予算におきましては、テレビジョンの増は百六十五万と見ているわけでございます。おおむね三十五年度に局を作りますのは、僻遠の地区が多うございまして、と同時に、テレビジョンの受信機の購入階層が月収二万五千円程度まで下がってきております関係から、三十五年度中に、三十四年度ように著しい増加をつかめるだろうか、まだ今のところ、なかなか見通しは立たないわけでございますが、一応、こういう予算を組んでおります。  もし、これを上回るようなものが出て参りますれば、七条の一項を適用するということになると思います。できるだけ企業努力をいたしまして、そういうふうにしたいとは考えております。
  76. 森中守義

    ○森中守義君 今の御説明によりますと、額が、どの程度という想定はつかないにしても、この七条項の発動ということは、当然三十五年度にもあり得る。しかも、その場合に、今二億、千万というお話がありましたが、要するに一億七千万と一億三千万ですから、合計四億、二項に関する経費が浮いてきたということになりますね。  そういたしますと、この二項にうたってあるように、「その一部を職員に対する特別の給与の支給に充てることができる。」ということになっております。この文言通りに解釈をしていけば、三十四年度の一億七千万、三項の一億三千万という区別なく、三十五年度は、かりに四億であったとするならば、二項のほかに、一億七千万の前年の対比からいたしまして、多少上回っていくということもあり得るわけですか。
  77. 春日由三

    参考人春日由三君) 今、森中先生の御指摘になりました数字は、三十四年度の総収入ではございませんですが、その増収になった分から、職員に一項、二項を適用してふやした分が合計四億、全体の額をふやしたのではなく、「その一部」という表現を、そのまま適用して四億ふやしたわけでございます。  従って御質問ように、三十五年度にも、同じ状態、ないしは客観情勢も好転して、あるいは企業努力によって、それを上回るよう増収が期待できる場合には、もちろん一項、二項を適用して待遇の改善もはからなければならないと考えております。
  78. 森中守義

    ○森中守義君 要するに七条二項の場合には、額のいかんを問わず、三十五年度もあり得るということであるし、その実行というものは、労使双方の交渉によって決定をされる、こういうように判断しておいてよろしいですね。
  79. 春日由三

    参考人春日由三君) その通りでございます。
  80. 森中守義

    ○森中守義君 それから、もう一つ承っておきますが、先般御提出いただいた例のアジア地域放送会議というのがありますね。この内容からいきますと、招請国選定培準が、独立国であること、アジア地域にあること、日本と国交があること、この一二つの招請の条件があります。  そこで、この三条件というものの一つの条件でも満たされておるならば招請をされるのか。あるいは三つの条件が整っていなければ招請されないものか、その点どうでございましょう。
  81. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) アジア放送会議につきましては、本年の五月に、第三回の会議を開会いたすことに相なっておりますが、第一回の初めての会議に招請したのが、そういう条件のもとに案内して、開会したようなわけでありまするが、これを新たに加えるとか何とかいうことは、その参加国の総意によって決定するわけでありまして、なかなかこの新たな加盟ということは容易でないことは、開催地をどこにするかということすら、議事運営委員会においてすったもんだの末、決定しない。  第二回の会議においては、とにかくNHKで、もう一度今のままの形態においてやってくれという強い要望があって、この五月に第三回を開会いたすことに相なったのであります。しかし私は、この第二回の会議は、アジア・オリンピックがあるから、それを機会に東京でやってくれということで開いたわけでありますが、第三回の会議は、どっか、ほかのところでやってもらいたいということを申したところが、先ほども申したよう意味で、なかなか開催地が決定いたさないのであります。しかし私は、来年第三回を東京でやるということは承知するが、引き受けるが、これはNHKが、何か支配力でも持っておるような誤解を受けてはいかぬから、お互いの会議であるという建前から、お互いが会議費を分担して、お互いの会議として開会するようにしてもらいたい、そこに初めて、このアジア放送会議の意義があるのだということを強く要望して、それでは、そうしよう、そうするが、とにかく三回は、東京でやってもらって、そうしてその他のことは、第三回の会議において、いろいろ相談ようということでありまして、別にこの第三回の会議には、新しい国は案内していないわけであります。  これを、今度の三回の会議に議題として出すときには、よほど慎重にやらなければ、アジア放送会議そのものがつぶれるというようなおそれもありますから、私としては、できるだけいろいろの既成事実を積み重ねて、そうして強いりっぱな放送会議にいたしたいと、かよう考えております。
  82. 森中守義

    ○森中守義君 会長の御趣旨、よくわかりますけれども、ただ、今私がお尋ねしましたように、三条件があって、その中の一に該当するならばよろしかろう、一には、はまらないが二に当たるならいい、一、二に当たらないが、三に当たる、これならよろしかろうというような、三つの条件に、一つでも適合するならば呼ばれる、こういうのか、三条件全部に適合しなければ招請されないのか、実際問題としては、やはり三条件が合っていないと呼んでいない。そこに、私はアジア地域放送会議の性格が、どうも納得できませんし、また一回、二回とも国連の代表がオブザーバーとして入っておる。  そうすると、単なる放送技術の交換であるとか、あるいは放送全体の経営上の問題であるとか、そういう討議の場面なのか、あるいは政策的に一種の民間外交的な意味合でこういう会議が開かれておるのか、その点がはっきりしない。  ですから、今申し上げたように、三条件とも優劣なく、全部合致しなければ呼ばない、あるいは一つでも適合するならば呼ぶと、その点、もう少しどなたか、専門のお方からでけっこうです。正確に御答弁いただきたい。
  83. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) アジア放送会議は、第一回目はNHKがイニシアチブをとりまして、アジアにある各放送協会にあてて、こういうものができるかどうかの意向を問うたわけでありますが、そのときに、ただいま先生御指摘の三条件を私たちといたしまして設定したものでございます。建前といたしましては、その当時の状況から見て、この三つの条件が、そろっていなければいけない、そういう考え方を持っておりました。  これによりまして、第一回放送会議が東京で聞かれまして、その議事運営の方式は、各国の代表をそれぞれ選んでいただいて、会議運営委員会というものを作りまして、その後の、たとえば加盟の条件、それから、ただいま会長が申し上げましたように開催地の問題、それから財政の問題、これは大体、その運営委員会がこれを決定するという建前になったわけなんです。  ただ事実上、その放送会議は、たとえばヨーロッパ放送会議であるとか、そういうものほど組織化されておりませんので、現在の問題といたしましては、ヨーロッパあるいはその他の地域の方式に従って、各加盟国が、それぞれ同等に会費を分担し、会議の開催は、それぞれ持ち回りにする、その事務を処理するための事務局をどうするかという問題で、各国の実情から運営委員会で、これまでのところ結論が出ておりません。第二回運営委員会の最終決定としては、とにかくもう一度、東京でやってほしいということと、この会議の事務組織が確立するまでは、NHKにおいて事務をとってもらいたいという要請がありまして、これに対してNHKは、今まで申し上げたような諸条件が、すみやかに運営委員会において決定されることが望ましいし、それから日本としては、毎回東京において開く意思は毛頭ない、ただ運営委員会の希望を了承して、その組織が確立するまで、できれば次回の会議において確立することを希望し、その間だけ、臨時事務局として放送会議の事務局の事務をお引き受けいたしましょう、そういう考え方の会議の運営になっております。  従って、先生が御指摘の三条件は、私どもがイニシアチブをとって、各国の意向を聞いたときの私どもの建前でありまして、会議が開かれた以降は、事実上は運営委員会は、この方式を継承しておりますが、これはもはや、NHK考え方でなしに、会議運営委員会考え方になっております。  それから、多少つけ加えて申し上げますと、たとえば第一回の会議の際、インドネシアは、第二回会議開催を申し入れてきたわけですが、運営委員会の席上、これに反対する国がかなり出まして、従って妥協案として、インドネシアを含めた運営委員会の決議として、第二回を東京で開いてほしいという要請がNHKに行なわれたわけです。それからまた第二回の会議におきましては、アジア地域の放送会議をアフリカに伸ばす要望が二、三の国から出されましたが、これも運営委員会の決定を得られないままに、現在あるアジア地域の放送会議という形になっているわけでございます。  従って、今回開かれる第三回の東京会議で、従来第一回、第二回で論議されてきた運営委員会の基本的な方針が、どのように決定されるかということは、私どもにとっても、非常に重大な問題ですし、会議の今後の運営についても、非常に影響を及ぼす問題であるという考え方を私どもは持っております。
  84. 森中守義

    ○森中守義君 はっきりいたしましたが、多少意見になるかわかりませんけれども、この三条件といい、さらに国連のオブザーバーが入っておるということから判断する場合に、何とはなしに、自由主義陣営の放送会議である、従って純然たる放送技術、放送政策、しかもそれは、政府機関が招請をしたのではなくして、日本放送協会が招請をしたということになりますと、あたかも日本放送協会は、ある種の外交的な政治的な色彩を持っている、しかもその結果としては、自由主義陣営のアジア地域における放送会議である、こういう印象を、ことに強く私は受けます。従って、放送法に定める各条項からいっても、私は純然たる放送技術、その他全体的な放送文化の向上のための各国の意見の交換、情報交換、学術交換、こういうことは大いにやっていただきたいと思うのですが、しかし、その範疇を破って、外交的な問題に、NHKが入り込んだという印象を受けないように、招請国、あるいは参加各国の意見等もありましょうが、その点について、私は特に、特段の御注意をお払いいただかないと、NHKは、外交機関でも、政府機関でもないわけですから、とかくの風評が出ないように、御注意をお願いしておきたいと思います。  その点一つ、会長から所見をお述べいただきたいと思います。
  85. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 今、森中委員のおっしゃったように、これは民間の放送会議でありますが、会議に参加しておられる方々は、大てい国の代表的立場にあられる方々であります。そこに非常にむずかしいところがあるわけでありまして、今後、この放送会議をいかに運営していくか、またこれを成長させて、積極的に放送文化のために、国際親善のためにやり得るかということは、今ここで、こうしますということは、私申しかねるのでありまして、今後、漸次そういうような方向に向けていったらよかろう、あまり急いでやると、かえって問題をこじらかして、せっかくの放送会議が台なしになるというおそれを持っております。  どうかその点、御了承を願います。
  86. 森中守義

    ○森中守義君 次に、お尋ねいたしますが、先般光村委員から、たとえば後楽園における巨人—南海戦のテレビ放送が拒否された、その他二、三の実例をあげられて、資料の提出を求めたことがあります。そのときに、島浦編成局長から、一応の御答弁がありましたが、今私、その資料を拝見してみますと、要するに後楽園の場合にはNTVが独占をしたために放送ができなかった。さらに今度は日本シリーズのときは、やった場合もある、やらない場合もある、やらせなかった場合もあるというので、これも全然やらせないのではなくて、やったこともあるようです。そうなると、この種の話というものはそのつど、そのつどおやりになっているものか。少なくとも放送法四十四条からいえば、当然私は日本放送協会はこういう放送は全国中継においてやる義務がある、こういったよう考えております。もちろん商業放送との商業上の問題等もありましょうが、こういったものをもう少し画一的に協会とこれに関連する連盟等との相当高いレベルの話し合いというものはできないものですか。もう間もなくこういう時期がきそうですが、ことしもまたこういうことでできなかったとか、昨年できてことしができないという採算上の問題や、あるいは権利上の問題等で、NHKテレビの受像者が放送法四十四条の精神にもとるようなことでは私はかなり問題だと思う。  それともう一つ関連して聞いておきますが、年間予算上、もちろん款にも項にも出ておりませんが、中継用の料金としてはどのくらい予算上計上されておりますか。あまりみみっちく料金を値切ったためにさせないということもあるでしょう。その点も一つあわせてお答えをいただいておきたい。
  87. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 放送法四十四条につきましては、NHKに対してこうあるべしと……。で、私どもといたしましてはそれに沿うて全力を尽くすべきことが義務だと考えております。ただいま御指摘の職業野球との関係につきましては、すでに鳥浦編成局長から資料を差し上げてあるわけでございますが、実情を申し上げますと、全国的に多少の問題を持ったところは、昨年の日本シリーズに関連いたしまして後楽園の使用と大阪球場の使用の問題でございます。  で、後楽園の実情については御承知のことと思いますが、大体後楽園は単独の株式会社ではございますが、株主の構成及び人間的つながりにおきまして、大体NTVの野外スタジオという考え方をNTVの最高首脳部は表明しておられるわけでございます。しかもその球場の何と申しますか、専用的な球団としてジャイアンツがある。大阪球場につきましては、やはり球場自体は独立の株式組織の球場の会社でありますが、昨年は毎日系の放送会社がこれと排他的独占契約をいたしまして、さらに毎日系の会社でありますから、毎日球団及び大阪に毎日以外に三つの球団がございますが、その球団の中のある球団に対して、その力を測定しながら、その球団と結びつけて大阪球場の独占契約をしたわけでございます。これに対しまして普通のテレビ放送の場合、大阪球場については先方との話し合いの結果、多少の打開の道が開かれましたが、後楽園については日本シリーズを除いても、後楽園球場はNTVの野外スタジオであるという建前を相手側は堅持いたしまして、これをやれない現状にあるということは私どもといたしましてもはなはだ遺憾なことと考えております。  ただ、日本シリーズのごとく、単に営利の問題だけでなしに、争覇を競う二つの球団の最終的な試合については、従来もそれぞれの球団及びそれぞれの球場の経営者と話し合いまして、全体ではありませんが必要な限度、しかも聴視者がそれを期待する限度において放送を続けたことは事実でございます。ただ、昨年に至りまして大阪球場と後楽園球場との関係で、去年の日本シリーズにつきましては大阪球場から一回だけ放送することができた。しかし後楽園球場の最後の段階放送することができなかったということは、私どもといたしましてはまことに遺憾に感じている次第でございます。  球場の問題につきましては、従来も大阪球場及び後楽園側と関係者との最高級の会談を執拗に続けて参っております。現在もすでにこの一月以来この問題については大阪及び東京におきまして、最高首脳部との話し合いをずっと続けております。ことしはどうなるかという点になりますと、一体どの球団がどの球場で一番いい成績を上げるかという問題とも関連して参りますが、その他の球場につきましては大体従来通り契約が進行中でございます。  最後に、NHK放送料が非常に安いのでそのようなことになるのではないかという御趣旨の点もございましたかと考えますが、これは正確な数字でないかもしれませんが、私の今まで持っている資料によりますと、三十五年度の各球団及び球場との契約の金は六千万円を上回わると考えております。これは御審議を願っている明年度予算放送費の中の一部でございまして、これについては編成方針と放送番組の実施過程におきまして、多少の伸縮は可能なわけでございまして、その限りにおいてはNHKとしてはその他の各放送会社とのレベルを比較してみましても、必ずしも非常にしみったれているという金額ではないと思います。要するに私どもといたしましての義務の遂行が、先ほど申し上げた点で、はなはだ不完全であるということについては遺憾に存じておりますが、ただ公共放送と商業放送が全く並立されており、しかも商業放送が利潤追求のために独占過程を強めていくということに対しましては、単に放送法の四十四条によってのみは解決できない事実の問題があるのではないか、このよう考えております。しかし、私どもといたしましては、今後も全力をあげてそういう壁を破りたい、このよう考えております。
  88. 森中守義

    ○森中守義君 さっき山田委員から放送債券の話が出ましたが、経理局長に伺っておきますけれども、純財産の三倍ということですから、大体発行の最高額は幾らになりますか。
  89. 春日由三

    参考人春日由三君) 放送法は「会計検査院の検査を経た最近の事業年度の貸借対照表による協会の純財産額の三倍」ということになっておりますので、ただいまのところは三十二年度末の純資産が四十八億六千八百万円でございますので、債券の発行限度は百四十五億九千百万ということになります。しかし三十三年度の会計検査院の検査をもし受けたといたしますと、相当上回わりまして、発行限度は百七十二億五千八百万円程度になろうかと思います。
  90. 森中守義

    ○森中守義君 そこで三十六年及び三十七年、二年間五カ年計画が残っているわけですが、この六年、七年分で協会の方で予定されている建設計画の総額は幾らになります。
  91. 春日由三

    参考人春日由三君) 三十六年度の総額が七十億三千五百万円、三十七年度は六十九億六千八百万円という予定でございます。
  92. 森中守義

    ○森中守義君 百四十五億というのがこの三十七年の計画終了年度までになっているようですが、本年の七十三億という工事は最高の限界を示すものですか、あるいはもっと工事能力はある、しかし諸般の事情から七十三億にとめたということですか。
  93. 春日由三

    参考人春日由三君) 大体三十五年度はピークだと考えております。
  94. 森中守義

    ○森中守義君 工事能力上のピークということであればやむを得ないと思うのですが、協会の場合には自営で建設をおやりになっているとも思われませんし、各般の事情が許せば放送債券は今の御答弁からいけば百四十五億発行できるというようなことであるとすれば、これこそ難聴地域の解消である、あるいは難視地域の解消、まあこういったようにサービス・アップに相当影響がある問題でありますから、もう少し私は思い切ってこの建設予算というものは、債券の発行あるいは借入金の増加ということでできたんじゃないかと思うのです。多少これは意見になりますが、これに対してどうですか。
  95. 春日由三

    参考人春日由三君) 工事能力というものが一番大きな理由ではないわけでありまして、若干工事能力もございますが、資金計画からいきまして五カ年計画考えて参りますと、三十五年度は総合テレビの残りの局全部、それから教育テレビジョンがややおくれておりますものを取り戻す、あるいはラジオの難聴地区解消を相当地区計上しておりますので、資金面からいきましても、こういう予想を入れても今年度あたりはピークになると思うのであります。それで今のその計画からいきますと、三十七年度になりますと債券の発行高も最高限度に達しますし、それから長期借入金も目一杯になって参るわけでありますので、そこのところが資金計画一つのポイントであります。あと今の計画が完了しますと、三十八年度以降はそれを償還していって健全な財政を守っていきたいと、こういう計画に基づきますと、逆算いたしまして本年度の借入金及び放送債券の限度というものが今御説明したように出て参る、こういうわけであります。
  96. 森中守義

    ○森中守義君 もう一つ承っておきますが、出された資料の中に受信料の未収金割当ということがあります。この未収金はただいま概算どのくらいありますか、そうしてこの処理はどういうことに行なわれておりますか。
  97. 春日由三

    参考人春日由三君) 御指摘の点は三十五年度末におけるラジオ及びテレビジョン契約者でありながら料金を取れない、いわゆる未収金の欠損償却の額を御指摘になっていると思うのでありますが、これはおおむね五億円程度というふうに計算しております。過去の実績によりますと、もちろんNHKだけの時代は、明らかに未収金は債権のような格好を持っておりましたので、相当取り立て率もよかったんでありますが、三十四年度を例にとりますと、ラジオにおきまして一億八千三百万円、テレビジョンにおきまして一億一千三百万円の未収金を計上したわけであります。とろがその後ラジオにおきましては約三分の一の六千三百万円が回収できておる、テレビジョンにおきましては約半分の五千四百万円が回収できておる。従って、三十四年の十一月末現在の未収金は、ラジオにおきまして一億二千万円、テレビジョンにおきまして五千九百万円、こうなっております。
  98. 森中守義

    ○森中守義君 今度の予算の中で廃防対策に一億六千九百六十二万円を計上しておる。こういったように廃止防止対策を強化されておるようですが、この未収金というのは、私がしろうとで考えた場合に、要するに契約が済んでいて払わない、つまり滞納というように解釈するのが妥当だと思う。それでこの廃防対策と並行して未収金の取り立て等については、どういう措置をお取りになっておりますか。
  99. 春日由三

    参考人春日由三君) 御指摘のよう契約は存続しておりながら、受信料をちょうだいに上がっても払わないというもの、一種の債権の形のものを未収金として考えるわけでございますが、現実においては相当高額になっておりますし、それから一年に、定例的に三カ月ごとに四回回る未収金回りというものもいたしまして、それには若干の手当を出して督励をいたしておりますが、現在では未収金が過去のよう相当率よく取り立てることができなくて、それならば廃止すると、これを強行に主張することによって廃止につながっていくという問題もありますので、非常に慎重な取り立てを要する、こういう状態であります。
  100. 森中守義

    ○森中守義君 まあこれはいろいろお尋ねしたいと思いますけれども、大へん何でありますからこの辺にしておきますが、要するに、三十五年のあれが五億だとすれば相当膨大な金になりますね。それからこのことについては今回出されておる廃防対策と同様に相当力を入れていただかないと、かなりこういう面からこぼれてくるという気もいたします。しかもことしのごときは、協会側のお話では健全財政だといわれておりますが、未収金をこんなにかかえておるところはあまりないようです。特段の一つ御注意をお願い申し上げておきたいと思います。  それから最後に国際放送の実施命令について、少し郵政省に伺っておきたいと思います。ここにおいでになる寺尾豊先生郵政大臣のときの命令書が出ております。これは先般の放送法の改正後のいわゆる現行法による命令書であろうかと思います。有効期間が本年の三月三十一日まで、この中で郵政大臣にお尋ねしたいのは、三項に「放送区域別、放送事項別の週間放送番組表を放送実施前に郵政大臣に提出するものとする。」こういうことになっておる。これは明らかに放送法四十九条の二で資料の提出をしなければならぬと、こうなっておりますが、放送法のいかなるところにも事前に資料の提出をさせる、報告を要求するというところはない。多少これは協会の自主的な運営に立ち入り過ぎた、悪く表現すれば不当な干渉だと思うのですがどうですか。
  101. 甘利省吾

    政府委員甘利省吾君) この問題はもう御存じのように、三十三条と申しまするのはいろいろな事項を指定して命令するわけでございますが、極端にいえばプログラムの中身まで指定して命令していいように読めるわけでございます。しかし、NHKのいわゆる良識を持った自主的な番組編成技術、そういったものを生かす方がより放送効果を上げるであろうということで、この命令書の第三項にあります程度の指示を与えてございます。今御指摘の事前にその放送番組を郵政大臣に提出するということは、もう提出を求める前にむしろこちらから内容を指定しているようなわけでございますし、また提出を要求しているもの自体は、時間別の番組表題、ニュースが何時から何時まで、音楽が何時から何時までというようなきわめて簡単なものでございまして、別に番組に干渉しているというそういう筋ではないと考えております。
  102. 森中守義

    ○森中守義君 甘利局長のお話のように、私も実際この命令書通りに行なわれておるかどうかという、その実態というものは多少知っております。しかし問題は将来において、かなりアジアの国際関係が、そういうことがあっちゃいけませんけれども、緊迫をしてきた。あるいはかなりいろいろな観点から言論報道に対する政府間の取り締まり等が、有形無形のうちに強化されていく、そういう際にやはりこういうことは私は生きてくると思う。従って今私が指摘したように、事前に検閲をする、事前に報告をとるというようなのは、放送法のどこにもない。どこにもないようなことをなぜこんなに言っておる。そういうことを多少将来を展望しながらお尋ねをしておるわけですよ。実際原稿を持ってこいとか、これは気に食わぬからぶった切るぞというような、そういう状態でないことは知っておりますけれども、ただ命令書の内容からしてどうも放送法に合致しない、こういうことなんです。
  103. 甘利省吾

    政府委員甘利省吾君) あるいはお説のような見方も成り立つかと思いますが、やはり政府として交付金を出して、また事項を指示して放送命令しているという建前から、すべてが事後報告でいいということにもならないのじゃないか。やはり予定というものは前もって伺っておいた方がいいんではないか、こういった意味で求めているわけでございます。
  104. 森中守義

    ○森中守義君 話がそうなりますとちょっと申し上げておかなくちゃならぬのですが、なるほど三十三条に「命ずることができる。」と書いてある。同時にその内容について事前に報告せよというのはどこにもない。これは先般放送法を審議する際に報告の事項、しかも刑罰があの当時五十五条か何かにあったのが消えたのでありますが、出ておったと思うのです。あのときに報告の問題が、ややもすると政府が不当に協会に干渉することになるということで、相当論議を呼んだことがあります。これは前大臣がおいでになるから一番ご存じだ。それでやっさもっさやった結果、報告でなくて資料の提出程度でよろしいというように話で落ちついたんですよ。甘利局長、どこに命令を出す、事前に報告をせよという条項がありますか。その文言はどこにありますか。
  105. 甘利省吾

    政府委員甘利省吾君) 放送法四十九条の二の資料の提出に関して、これは政令の定めるところによって、業務に関して資料の提出を求めることができる、一般的にこういうふうになっておりまして、その政令については、今森中先生のおっしゃいましたように、委員会でも問題になったのでございます。それでその十八条によりますと、「国際放送の実施状況の概要」こういう報告書、資料の提出を求めることができるようになっておりまして、別にこれは事前、事後ということを明確に規定して、手前にとってはならないというよう意味ではなく、いわゆる命令に対して予定がその事項に合うように実施されるものかどうかということを、資料として要求しているわけでございます。
  106. 森中守義

    ○森中守義君 時間がありませんから、あまり詳しく申し上げませんけれどもね。政令というのはあなた方が勝手にお作りになったものだ。政令が法律を越えていいということはありませんよ。そこで放送法の中に事前報告せよという文言はどこにもない。ゆだねた政令にしても、今局長が言われる政令十八条のどこにそれでは事前に報告せよということがありますか。だから私はこの点は明らかに行政当局の行き過ぎであると、こう思う。しかもとられている内容というものが、さっきお話の通りだとすれば、まあまあ今のところは実際問題としてはそう不当なる言論、報道機関への介入でも干渉でもないようだから、実態としては了承しておきますけれども、建前としてはそういうものであるということを十分一つ考えいただいて、でき得べくんば四月一日に出されるであろう新しい植竹郵政大臣からの実施命令については、よほど慎重に取り扱いをお願いしたい。よろしいですか。
  107. 甘利省吾

    政府委員甘利省吾君) 御趣旨はよくわかりました。まあお言葉を返すようでございますが、やはり事前に指示しているようなことでございますので、三十三条の内容から見まして、別にこれが不当なことであるというような解釈は私ども現在持っておりません。しかしなおよく検討いたします。
  108. 森中守義

    ○森中守義君 今のことは一つ大いに研究してみて下さい。少なくとも放送法の改正の審議に参加した私は一人としまして、そういうことは立法の精神にはなかった、断じてなかったと私は思う。  それからもう一つ、それと大体同様なことですが、八項に「郵政大臣は、必要があると認めるときは、職員を派遣して、国際放送交付金の使用状況その他国際放送の実施状況を調査させることがある。」とこう書いてある。これは一体何ですか。どの条項に郵政大臣が協会の検査権、監査権を持っておりますか。これは簡保の金を貸してあるから、それの簡易保険局からの監査ならば話はわかる。どういう意味ですか。会計検査院が協会の金は検査することになっております。放送法のどこに協会の金に対して検査をするという権能が郵政大臣に付与せられておりますか。いわんや、職員を派遣する、あるいは国際放送状況を調査させる。まことにこれは穏当を欠くことじゃないかと思う。どうですか。
  109. 甘利省吾

    政府委員甘利省吾君) この条項に対しまして、これは実は二十九年まではこういうことを書かなかったわけでございますが、三十年に「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」というものが施行されまして、これによりますとこういった交付金等を出しておる官庁の長は、ここに書いてありますような調査等をさせることができるということが書いてございまして、これについて大蔵省及び法制局、郵政省間で、果してこの法律がこういった国際放送の交付金に適用されるものかどうかいろいろと議論されましたが、結論においてこれはかかるということになりまして、実態的には適用するわけですが、まあ今まで実際にこういうことをやったことはございません。しかし政府の責任において、こういう表現で郵政大臣としての責任を明確にしてあるわけでございまして、こういうことを書かないとしますと、この法律の日本放送協会に対する指示において欠けることになるということになりますので、こういうふうに書いてございます。
  110. 森中守義

    ○森中守義君 今の御答弁からいきますと、放送法以外の法律の適用によって、これをやっているということですね。
  111. 甘利省吾

    政府委員甘利省吾君) その通りでございます。
  112. 森中守義

    ○森中守義君 わかりました。それじゃそのあとの国際放送の実施状況の調査を職員を派遣してやらせるというのは、どういうことですか。「交付金の使用状況その他国際放送の実施状況を調査させる」とこうなっております。これも放送法のどこに、協会に人を派遣して、要するに政府代表を入れて、放送の実施状況を調査させることができるという文言がありますか。
  113. 甘利省吾

    政府委員甘利省吾君) これもやはりこの補助金適正化の法律に基づいて行なうわけですが、これはたまたまその業務の内容が国際放送であるということで、こういう「国際放送の実施状況」とふうになりましたが、別にこれは放送という名前があっても、放送法の対象としてこういう表現になっているわけではございません。
  114. 森中守義

    ○森中守義君 そうすると、今言われた放送法以外の交付金に対する監査、それの一連の解釈として、実施状況もみることができる、こういう意味ですか。
  115. 甘利省吾

    政府委員甘利省吾君) 私の表現がちょっとまずかったと思いますが、そういう意味であると解釈しております。
  116. 森中守義

    ○森中守義君 それであればよくわかりました。
  117. 山田節男

    山田節男君 今の森中君の質問と関連してですがね、この放送法の一部改正法案が、村上郵政大臣のときに立案されて、それからたしか田中角榮、平井、寺尾、寺尾郵政大臣のときに、この一部改正法が上程されたわけですが、この法案が実は政府当局において、全く朝三暮四といいますか、たしか一部改正法案の私たちの手元に寄せられたものだけでも四種類ぐらいあった。ところが今問題になっているこの調査の問題、これは甘利局長が言われるように、たしか昭和三十一年と思いますが、国庫から支出する補助金等の適正化に関する法律、これによってやられるのですか、実は最初この項目が立ち入り調査権ということになっておった、それがいろいろ変更されて現行法のようなことになったわけですが、これは私はこの補助金適正化に関する法律からいえば、当然これは調査しなくちゃならぬと思うのです。で、これは一体現状はどの程度にやっておられるか。どういうことをやっておられるか、実際は。
  118. 甘利省吾

    政府委員甘利省吾君) それを適用するかどうかという議論のときに、やはりこういったはっきりした政府命令でやることに対して、そこまでこれはする必要はないじゃないか、何となれば、これは普通申請によって助成金をもらうとかそういったような場合には、その経理状況その他相当厳密に監査する必要があるわけですが、何しろ政府命令事項でその通りに報告も出してやっている事業ですから、そういう意味においていまだかつて、実施した、実際にその立ち入り調査したということはございません。
  119. 山田節男

    山田節男君 調査はしなくても、もちろんこれは放送法からいえば、番組は自由であり、政府が干渉すべきことではない、そういう意味で、これは政府が調査するというのじゃなくて、今の補助金といいますか交付金を出している以上は、やはり関係の省においてこれを調査しなくちゃならぬ。その調査をしないということになると、あの法律を施行してないことになるわけです。それは干渉することをおそれてやらないという気持はわかりますけれども、何もあの法文上は干渉しろという意味じゃない、調査しろという意味である。政府で全然この法文を実施してないというのだったら、日本放送協会としては、郵政省に対して、この国際放送に関する限りにおいて、やはりこの報告をしているのですか、承認を求めるとか何とかいう意味で報告をしておられるのですか。
  120. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 承認を求めるとか何とかいうようなことはいたしておりません。ただ事業報告のうちに部としてはしていると思います。
  121. 山田節男

    山田節男君 そうしますと、やはり報告があれば、この法文からいってもこれは適正と認めるとか何とかいうようなことの措置がなくちゃいかぬわけですね、この法文は。それを郵政省としてはやってないのですか。法文がそのままになって実際はやってないということになれば、政府はこの法文を死文化しているということになる。
  122. 甘利省吾

    政府委員甘利省吾君) その責務を怠っているという意味ではございませんで、この補助金適正化の法律条文も、そういう帳簿の検査、物件の検査等の、あるいは関係者に質問させることができると、こういう規定でございまして、郵政省としてはこの国際放送経理に対しては、四半期ごとに放送実施に必要とする経費の申請要求がございまして、その要求を政府予算と対照しまして交付していると、こういう操作をしておりますので、その間に十分その使用状況は明らかになるわけでございまして、もしその間に不審の点あるいは必要があるという事態が起きましたならば、これはこういうことでいくことになるわけです。幸いにして非常に適正なる運営がされておりまして、私が今やっておりませんと言ったのは言い間違いで、やる必要がないほど適正に運営されていると、こういうことでございます。
  123. 鈴木強

    鈴木強君 協会に一つだけ伺いたいのは、昨年法律改正をいたしまして、この放送協会の理事経営委員をふやしたのですがね。その後こういうような措置をしてから、協会の業務運営上どういうような長所、利点がございましたか。それをちょっと簡単でいいですから。
  124. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 放送法の改正によりまして理事が十名以内になりましたために、理事を十名に定員通り増員いたしまして、そうしてそのうちから三人の理事を専務といたしまして、他の七名はうち五名がそれぞれ業務を担当いたしております。それからまた他の二人は地方に派遣して業務を担当しております。経営委員は今度十二名になりましたが、その経営委員のうち在京の経営委員は毎週一回集まって、そうして協会の当局からいろいろと業務運営等について話を聞き、またわれわれも話をいたしておりまして、理事の増員によって非常に協会としても仕事が活発に円満に運営せられております。また経営委員も今申したように在京の五人の理事の方々に集まってもらって、毎月一回開いておる経常委員会運営において、大きなる役割を果たしておられるということを申し上げて差しつかえないと思います。
  125. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は順次賛否を明らかにして御発言を願います。
  127. 森中守義

    ○森中守義君 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件に対して、これを承認することに賛成いたそうとするものであります。  昭和三十五年度は、日本放送協会放送事業五カ年計画の第三年度相当するものでありますが、昨年度におけるラジオ受信料の引き上げ並びにテレビジョン放送網の拡大に伴う受信者の急増によって、協会財政の規模は著しく膨張いたしました。予算書によれば、事業収入は二百九十七億円余となっており、総収入は三百七十二億円余を予定いたしております。協会は、この巨額の資金によって三十五年度の諸計画を実施いたし、国民の要望にこたえようとするものでありますが、私はその各計画がおおむね妥当なものと認めるものでありますが、諸計画が確実かつ迅速に実施せられ、わが国文化の向上、国民福祉の増進のため、最大の効果をもたらすよう、当局の格段の努力を望むものであります。私はこの際二、三の問題について、特に政府並びに協会当局の注意を喚起いたしたいのであります。同時に、問題解決のために両当局の誠意ある措置を期待いたします。  その第一はラジオ受信料の減収対策であります。協会予算において最も重要な問題は、ラジオ受信者の大幅減少の事実であります。三十四年度は僅少でありますが、十万の契約増加を予定いたしたにもかかわらず、結果は意外にも百二十万という大減少となり受信料は十億の減収であります。ところが三十五年度予算を見ますと、契約はさらに百六十万の減少、このため受信料は三十四年度実収に比し十五億円余の減収を見込まれており、受信料収入の激減をきたしております。しかもこの傾向は今後なお当分の間継続するものと考えられまして、ラジオ放送事業の将来にきわめて大きな不安を与えているのであります。協会の説明によりますと、この減少の原因は、テレビジョン放送受信者の増加、トランジスター受信機の普及による受信者の捕捉困難、あるいは悪意の契約拒否というのでありますが、いずれにしてもラジオ放送事業経営安定のために速急なる措置が講ぜられなければなりません。もちろん協会はこの減少防止のため積極的対策を用意していることは、十二分に認められるのでありまして、政府及び協会が、ともにラジオ経営について抜本的な検討を加え、なかんずく受信料制度の検討は最も緊急事と思うのであります。  その第二は国際放送の問題であります。昨年放送法の改正によりまして、政府の命令放送を行なうとともに、協会もまたその負担においてこれを行なうことになったのであります。従って、協会がその放送費支出することは適法でありますが、この経費は国内受信者受信料をもって支弁するものでありますから、あとう限りその支出を節減すべきであると思うのであります。しかるに予算書によりますと、国際放送費総額三億五千二百万円のうち、政府命令による十七方向、十七時間に対する政府の交付金は九千八百万円余にすぎません。すなわち、二億二千七百万円余は受信料負担となっており、政府、協会両者の負担の割合は著しく均衡を失っているのであります。言うまでもなく国際放送は国の政策に基づくものでありますから、その経費は国が負担すべきであります。少なくとも政府命令による必要経費は当然政府の負担でなければなりません。政府及び協会はすみやかに適正の措置を行なう必要があります。  その第三は駐留軍に対する役務の問題であります。たとえ協会がその放送自体にかかわらないとはいいながら、この米軍放送の目的が米駐留軍の軍略、戦略を中心とする一種の謀略放送の疑いすら感ぜられるにおいては、この際新行政協定上適用条項の発見にも困難な状態であり、かつ放送憲章である放送法第五条の規定する、「国際放送は、国際親善を害するものであってはならない。」とする大原則に反し、いわんやNATO、SEATOにもこのたぐいを見ざるにおいては、国民共有のものである協会施設の提供を行ない、わが国の平和外交に一点の疑いを残すがごときことがないよう、米駐留軍への放送役務の提供は敢然廃止するよう措置すべきであります。  その第四は協会職員の待遇の問題であります。拡充計画の推進による職員の労働過重に対し、定員の増加、待遇の是正を行なうことは当然でありますが、特に臨時職員の処遇は、その身分及び給与について最善の解決を望むものであります。本案の審議の過程におきまして明らかになりましたように、これらの臨時職員の中には、その職務と責任において本職員と何ら異ならないものがいるのでありますから、すみやかにこれらのものの待遇を改善せらるべきであります。  しこうしてこれらをより具体的に実行するために、予算総則第七条第二項の発動に十分留意し、もって協会職員をしてわが国文化、産業、経済、各般の発展に寄与する謙虚な誇りをもってその重責の完遂を期待したいのであります。  以上をもちまして、私の討論を終わります。
  128. 山田節男

    山田節男君 私は、ただいま上程されておりまする放送法第三十七条第二項の規定に基づき国会承認を求める件につきまして、民主社会党を代表し賛意を表するものであります。なお、賛成の条件といたしまして、若干の希望を述べたいと存じます。  三百七十二億円余に上るNHK昭和三十五年度予算を調べてみますると、まず、事業計画の部面におきまして、従来このNHK予算が計上されまするごとに、難聴地区の解消ということの文字が消えたことがないのであります。これはNHKの三十三年度を初年度とする五カ年計画によりますると、三十四年度におきましては第一放送は一〇〇%、第二放送は九七%八というカバレージを予想しておるのでありまするけれども、三十五年度におきまして第一放送は一〇〇%、第二放送は九八・一%と計画をしておったのであります。しかるに三十五年度に至り、なお第一放送においても一〇〇%を完遂し得ない。ここに私は、いろいろな隘路はあるにいたしましても、日本放送協会の負う公共放送の任務といたしまして、この難聴地区の解消は一日もすみやかにすべきものであるということを強く希望するものであります。なお、この難聴は外国電波の混信による妨害難聴地区というものが多数あることも知っておるのであります。これにつきましては政府が、妨害電波を発射する国々と政治的折衝、交渉等によりまして、この難聴地区の解消に協力することを強く要望する次第であります。  第二に、ラジオ番組、テレビジョンの番組の問題であります。近来、民間放送が非常に発達増大いたしまして、坊間の世論としましては、公共放送であるNHKと民間放送との番組は、きわめてその差異が少なくなったということを聞くのであります。これは、番組に公共性を持たせて特異性を発揮するということは、経費の点におきまして、技術の点におきましても、もちろん限度のあることはわかるのでありまするけれども、今後、NHKとしましては、民間放送に対しまする公共放送としての番組の特異性の発揮に対しまして格段の御努力を願いたいのであります。  次に、国際放送の問題でありまするが、NHKの一九五八年度における調査に基づいてみましても、今日、国際放送の世界的順位から申せば、日本は、米、英、ソ連、オーストラリア、イタリア、インドの次に位するのでありまして、一週間の外国放送時間百五時間ということになっておるのでありまするが、審議の過程にも申し上げましたように、今日の日本はすでに戦後の時代ではないのであります。平常時であります。従いまして、日本の東南アジアあるいは世界的地位から考えましても、国際放送はむしろなしくずしに増加することなくして、やはり三十七年度を理想としておられる——三十七年度において完成されんとする国際放送の方向並びに放送時間というものは、少なくとも明年度においてはこれを実施に移すべきものであると考えるのであります。  次に資金計画の問題でありまするが、この予算収支表によって示されておるところを見ますと、NHK経営の主体はやはり受信料であります。その受信料の総額は三十五年度におきましてはラジオテレビジョン総計約二百九十億円であります。これに対しまして放送債券が三十八億七千百万円、長期借入金が七億五千万円、合計四十六億円というものを、これは外部からの資金に依存しておるということになっておるのであります。先ほども申し上げましたように、三十三年度の第一次五カ年計画の初年度におきまして、約四十六億円の長期借入金をやり、第二年度におきまして、これまた四十二億円に余る長期借入金をやっておるのであります。しかるに三十五年度におきましては三十八億七千万というものは放送債券に依存しておるということであります。もとよりこの事業計画から見まして、資金のきわめて緊切に利用されるということはわかるのでありますけれども、NHK経営の健全性、三十三年の第一次五カ年計画の初年度に、本委員会におきまして付帯決議として申し入れられた経過からみましても、NHK経営の健全化ということになれば、できるだけ外部資金に依存するということをチェックしなければならないと思うのであります。そういう意味からいたしまして、私はこの予算案に対しまして、いざさか多少の不安を感ぜざるを得ないのであります。なお、先ほど森中委員も注意されましたごとく、ラジオ受信料は、これは将来いよいよ減少する傾向にあることは、これは争うべからざる事実であります。そういう点からみまして、テレビジョンといえども、今日のおそらく視聴者が倍になったときにおきましては、頭打ちの状態を呈し、また憂えるところは、それ以前におきまして、今日の放送法の第二十二条の規定が、これが民間に常識化して参りますれば、テレビジョン収入においても頭打ちでなくいたしまして、年々減少の傾向をたどるのではないかということを憂えるのであります。従ってNHKの主たる財源である受信料の問題は、これは少なくとも三十六年度予算編成前におきまして政府もこれに協力いたしまして、NHK受信料収入を確保する画期的な道を確立せられることを強く要望するものであります。  以上、簡単でありまするが、この事業計画並びに資金計画に対しまする若干の希望を述べまして、本件に対しまして賛成の意を表する次第であります。
  129. 奥むめお

    ○奥むめお君 私も同志会を代表いたしまして、三十五年度収支予算事業計画、また資金計画の全体に賛意を表するものでございます。ただ、ラジオテレビが生活に溶け込んだ時代がきました今日、しかもNHKでは放送収入が非常に減っておるということは、曲がりかどにきておるという感じを深くするのでございます。去年度には大幅な聴取料の値上げがございましたにもかかわらず、NHKの会計にはこれからどういうふうな予算を立てていくだろうか、またことしの計画もこのようにして進めて、あとなかなか御苦労があることと思うのでございます。いろいろ御意見はほかの同僚議員からもおっしゃいましたから、ただ私どもの立場から考えまして、しょっちゅう、なぜNHKの聴視料が減るのかしらということをいろいろな人から意見を聞いて参りましたのですが、大体NHKとほかの放送あるいはテレビとの内容の比較ということを、非常に認識されていないということを私は感じました。これはNHK料金を徳義心に訴えて取りたいんだ、あるいはもっと強く取り立てていきたいということが出ておりましたけれども、私はいま一つそれにつけ加えて考えてほしいことは、NHKはやりいいんだ、お金を出してもNHKに限るんだというその特色を聴視者が見てくれますように、またそれを見出すことによりNHK料金が喜んで支払われるようなこの方の努力こそお願いしたい、これが私の希望でございます。簡単でございますが一言申し上げます。
  130. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに御意見もないようですから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認めます。  それではこれより放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件について採決に入ります。本件に承認を与えることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  132. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 全員挙手と認めます。よって放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会