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参考人(
小野吉郎君) 現在
ラジオの
契約者が減少しつつあります。これの
関係が非常に大きな影響をもたらしつつある現状に対しまして、三十五
年度におきましても、必要な
予算推演を講じまして、努力をいたして参るということが、御理解をいただけると思うのでございますが、このことは、
昭和三十四
年度におきましても、当初
予算を大きく裏切られた
ような
状況が現に出ております。そういうことで、
予算の実行
計画におきましては、可能な限度におきまして、そういった廃止
傾向を防止するに適切な施策を講ずるために、いろいろと
経費捻出もはかる。またその
経費を有効に使う
ような各種の措置を講じて参っております。その措置につきまして、いろいろ具体的に申し上げますと、全般的には
ラジオの
受信料徴収の
根拠等につきましても、十分に明確に周知されておらないという
ようなこともあったわけでございまして、特にこれが検討をいたしたいことは、トランジスタ・
ラジオについて、これは
聴取料の対象ではない、こういうことがしごく善意に解釈されておった
ような実情もございます。そういうことで、いろいろ
放送法によって
聴取料をとり得る
根拠なり、またそのやり方等につきまして、十分の周知をいたしますために、あるいは
ラジオを通じ、
テレビを通じ、印刷物を通じまして、あるいは新規の加入の勧奨に行きます者、また集金に当たっております者が現実に足で、その
ような面の努力をいたして参ったわけでございます。と同時に、そういった廃止
傾向の顕著な実情に即しまして、
ラジオの廃止はしごく簡単にできる、これは手続上の問題でございますが、そういう
ような実情もあるわけでございまして、これはいろいろ
経営の
合理化、簡素化そういった線に沿いまして、きわめて手数のかからない
ような簡便な
方法に漸次変えて参りまして、そういった廃止
傾向が顯著に出ます直前におきましては、電話一本でもはがき一本でも、そういった廃止届を出せば、もう帳簿から消えてしまって、
聴取料を払わなくていいという措置になっておったわけでありますが、これにつきましては、やはり旧にやや復しまして、一定の手続を必要とする
ような措置もとっておると同時に、これも人手を使いまして廃止の申し出のあります都度に、直ちにこれは廃止の処置をいたしませんで、いろいろ懇談に参っております。その動機等につきまして、
テレビ、
ラジオ両方つけたので、もう
ラジオは要らない、
テレビだけでいいのだという向きに対しましては、いろいろ
ラジオ番組の特性その他の
関係を御
説明をいたしまして勧奨に努めております。また
ラジオの機械が故障を起こして役に立たないから聞かないのだ、こういうことが原因でやめるのだという申し出に対しましては、
NHKの修理班もあることでもございますし、また直接の
NHKの修理班で間に合わない場合には
ラジオ商、そういった修理業者に連携をいたしまして、直してやりますということで、機器の修繕に当たりまして、継続をお願いをしているという
ように、いろいろ措置をとっております。その他いろいろ、そういった面に対するために、新たに人を各地に採用いたしまして、それに特殊な報賞をつけて、そういった努力を続けて参っております。その成果が、今日までのところで見ますと、廃止をしたいという申し出の向きに対しまして、そういう努力が効を奏しまして、それでは継続し
ようといったものが、廃止申出者の約二割という
ようなことにはなっております。しかしながらこれは全体の廃止申出者の二割が、そういうことで防ぎ得るわけでございまして、あとの八割は、どうしても現在の
受信料聴取の建前では、それ以上立ち入っては非常な行き過ぎになるという
ようなことで、それ以上の効果は、なかなか現状においては期待できないわけでありますが、なおかつ、そういう
ような効果を上げましても、今
年度内におきまして現実に、
年度当初の
契約者の数から、少なくとも百二十万見当の減少を見るであろう、来
年度におきましてはそういった
傾向を
テレビの
普及の
関係等を勘案いたしまして、当初
予算におきまして百六十万の
ラジオ契約者減少があるであろう、こういう見通しに立って編成に当たったわけであります。
かたがた予算の編成後のいろいろな事情等もございまして、有線
放送等によるスピーカーのみによって聴取しておられる向きに対しまして、これを半減すべきだという
ような御
意見なり御要望も強い
ようでございます。こういった面につきましては、今の、それでなくても
ラジオの減少が
収入の面に非常な悪影響を及ぼしておる現状に即してみますと、さらにそれに拍車をかける
ようでございますが、三十五
年度予算におきましては、いろいろそういった面を、直接
料金の半減によって、御要望にこたえるというところまで編成のときに踏み切っておりませんが、いろいろそういった面における御援助をし
ようということで、有線
放送の
運用上の技術面のお手伝いなり、その他いろいろな有線
放送施設者の方でも要望せられる講習会の
関係にお手伝いをするということで、一億五千万円の
経費が歳出に計上してあるわけでございます。
かたがたちょうどその一億五千万円を、そういう方面でなく半減の方に向けますと、大体それで間に合う、と申しますのは、有線
放送の
ラジオ・スピーカーの数が、私どもの最近つかんでおりますもので、全体で約二十八万五千ばかりでございまして、約三十万でございます。これをまるまる免除すれば三億の金になりますが、半減いたしますと一億五千万で、これは、今の技術の指導なり、その他の面にお手伝いをし
ようといった
ようなつもりで計上いたしました。歳出の実行の過程におきまして、
料金の減額の要望に沿うということにいたしますと、歳出
予算の計上のその
予定のワク内に、金額としてはおさまるわけでございます。この面は、その
ようなことで参りますと、全体の大勢には、それほど影響はないと思いますが、ただ、いずれにいたしましても、
ラジオの
受信者の減小の
傾向があるという
ような面につきましては、極力これに対しまして防止をして参らなければなりませんので、三十四
年度に投入いたしました八千万円の
経費、さらにこれに
経費を増加、投入いたしまして、総計先ほど
山田先生のおっしゃいました
ように、一億五千九百万円の
経費をもって、本
年度までいろいろやって参りました施策を、さらに再検討して、実情に即する
ように、もう一歩効果のある
方法を試みてみ
ようという
ようなつもりでおるわけでございます。