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1960-03-29 第34回国会 参議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十九日(火曜日)    午前十時五十二分開会   ―――――――――――――   委員の異動 三月二十五日委員森中守義辞任につ き、その補欠として武内五郎君を議長 において指名した。 三月二十六日委員久保等辞任につ き、その補欠として江田三郎君を議長 において指名した。 三月二十八日委員武内五郎辞任につ き、その補欠として森中守義君を議長 において指名した。 本日委員江田三郎辞任につき、その 補欠として久保等君を議長において指 名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     柴田  栄君    理事            鈴木 恭一君            手島  栄君            松平 勇雄君            森中 守義君    委員            黒川 武雄君            寺尾  豊君            野田 俊作君            最上 英子君            谷村 貞治君            安井  謙君            久保  等君            鈴木  強君            野上  元君            光村 甚助君            山田 節男君            奥 むめお君   国務大臣    郵 政 大 臣 植竹 春彦君   政府委員    郵政政務次官  佐藤虎次郎君    郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君    郵政省電波監理    局長      甘利 省吾君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   参考人    日本放送協会会    長       野村 秀雄君    日本放送協会副    会長      溝上 けい君    日本放送協会専    務理事     前田 義徳君    日本放送協会専    務理事     田辺 義敏君    日本放送協会専    務理事     小野 吉郎君    日本放送協会総    務局長     赤城 正武君    日本放送協会経    理局長     春日 由三君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件理事補欠互選の件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  づき、国会承認を求めるの件(内  閣提出、衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより開会いたします。  委員変更についてお知らせいたします。  三月二十五日、森中守義君が委員辞任せられまして、その補欠武内五郎君が委員に選任され、三月二十六日、久保等君が委員辞任せられまして、その補欠江田三郎君が委員貝に選任され、三月二十八日、武内五郎君が委員辞任せられまして、その補欠森中守義君が選任せられました。  従って、森中委員委員変更に伴いまして、現在理事が一名欠員となっておりますので、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。  互選方法は、成規手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認めます。  それでは、私より森中守義理事に指名いたします。   ―――――――――――――
  4. 柴田栄

    委員長柴田栄君) この際、郵政大臣より発声を求められておりまするので、これを許します。
  5. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 私は、まず、本日おくれましたことをおわび申し上げたいと思います。と申しますのは、本日は同時刻に予算委員会と当委員会とが開催せられることになりまして、本日朝の閣議の席上、官房長官より特に発言がございまして、本日の予算委員会は、どんなことがあってもおくれないように、全閣僚が出席するようにとの予算委員会からの申し入れであるから、ぜひそれを実行するようにというお話がございました。それから、私といたしましては、当委員会でもぜひ皆様の御了解を得て御審議願いたい立場もございますので、ただいま予算、逓信両委員長との間に、役所の方から連絡を申し上げまして、その時間若干遅刻いたしました次第でございますので、何とぞ御了承のほどお願い申し上げます。  次に、過日来、当委員会におきまする私の答弁が、私の真意をお伝え申し上げることができなかったために、意外の長時間を質疑の方にとりました結果、NHK予算案あるいは政府提案法律案等の御審議に大へん停滞を来たしましたことは、まことに遺憾に存じます。  その問題につきまして、カラーテレビのことでございますが、カラーテレビのことにつきましては、すでに手続上は電波監理審議会にかかっておるのでございますが、この審議会におきまして十分慎重を期して、ただいま御審議中でございまするのみならず、この審議会におきましては、さらに聴聞会を来月中に約四日間開催せられまして、十分に各方面の御意見を拝聴する機会があるわけでございます。電波監理審議会といたしましても、反対意見賛成意見等各般意見を各方面からお聞きする機会があるわけでございまするので、電波監理審議会におかれましては、十分慎重を期して御審議下さることになっておりまするのみならず、その審議会が終了いたしましても、さらに今度は、郵政大臣としての取り扱い段階になりまするわけでございますが、その段階におきましても、私は、十分に慎重に意を尽くしまして措置いたしたいと存じまするので、何とぞよろしく御了承のほどお願い申し上げます。  年度末にもなりましたので、何かと御多用中でございまするが、何とぞここに提案されました法律案、その他の各般の問題につきまして、御審議の上、すみやかに御可決下さいますることをあらためてお願い申し上げます。
  6. 山田節男

    山田節男君 ただいま植竹郵政大臣お話は、過日の私の質問に対する、すなわち三月十七日の質疑に対する大臣の御答弁としては、ポイントがはずれていると思うのです。なるほど、それは電波監理審議会に諮問し、従って、同時にそれは聴聞会にもかける、これは当然の手続であって、いわゆる慎重にやるという、これは法規上の手続であって、私の質問した点は、そこに重点があるのじゃないのです。今の大臣のおっしゃったことは、当然手続上しなくちゃならぬ問題です。その前の時点においての本委員会における質疑応答あるいは大臣の御答弁等によって、こういう非常に不可解な大臣の行政的な行動に対しわれわれは疑念を持っているわけです。ですから今おっしゃったことは、慎重にやるということの、法規上のいわゆる手続説明したにすぎない。それじゃ大臣の所信じゃないです。これは大臣としてどう考えようと、少なくとも手続的には電波監理審議会に諮り、聴聞会にかけなければならないということ以外にないのです。ですから今の御答弁は、私どもが今日まで御質問申し上げ、意見を申し上げたことに対する植竹郵政大臣の御答弁なり、その趣旨からいって、そのポイントじゃないのです。  しかし、先ほど委員長がおっしゃったように、NHKの三十五年度予算というものが今日まで停滞した。これは主として植竹郵政大臣責任と私申し上げてもいいと思う。それを急ぐがゆえに、今日は植竹郵政大臣釈明をお聞きする程度で、次の案件審議に入ろう、かような約束があったように私了解しますので、時間をとりますからこれ以上申し上げませんけれども、しかし、ただいまの郵政大臣釈明というよりか御説明、これは法規上当然な手続であって、何ら私の申し上げている質疑に対するこれは御意見の発表でもなければ、また今後それをいかにするのかということに対する御説明でもない。従って、委員長にお願いいたしますが、次回の、NHK予算審議が終わりました後におきまして、この問題については、なお今日の植竹郵政大臣の御説明ではとうてい納得できない。今の質疑応答については、次回の、案件の終了した後における委員会でお取り計らいあらんことをお願い申し上げたい。
  7. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 承知しました。この問題は一応、NHKの三十五年度予算を議了いたしましたあと、また委員長理事打合会において御相談をいたすことにいたしたいと思いますので、さよう御了承をいただきたいと思います。
  8. 森中守義

    森中守義君 ただいま大臣から一応の釈明がありましたので、私はカラーテレビ本質論については、今山田委員の御意見もあり、かつまた、昨日の委員長理事打合会の決定もありますが、ここでは論及いたしませんが、ただ大臣として委員会に臨んでいる今までの経緯から判断して、あなたの態度について一言だけ、半ば警告にもなりますが、質問をあわして申し上げておきたいと思うのです。  衆議院より電電公社臨時措置法がこの委員会に回ってきたのは十五日です。追うように協会予算が十七日にこちらに回っております。私はこの前、あるいは前後二回の委員会で、半ばひやかし半分に、一回くらいでも法案を頼むと言ったことがあるか、協会予算をよろしく頼むと大臣が言ったことがあるかというようなことを申し上げたことがあるが、あなたはどういうようにそれを受け取っておりましたか。要するに、私は、歴代大臣が、もちろん、これは郵政大臣に限らず、各省庁の大臣長官が、国会法案を提出するときには、すべての行政行為をある程度たな上げしてまでも法案の成立に全力を傾注しているのは、閣僚として私はけだし当然である。またこの委員会でも歴代大臣はその通りにやって参りました。ところが、あなただけですよ。もちろん、私ども法案を頼むとか、予算を頼むと言われて、それがどうこうというような結果をもたらすということではないにしても、閣僚委員会に臨む何としても、これは一つの礼儀でもある。一回も言ったことがない。のみならずカラーテレビの問題が委員会でも十分まだ質問等も終了していない。あるいは各界における意見等もこれまた相当波乱を呼んでいる。のみならず、十七日にこの委員会で慎重に審議をしますと言っておきながら、その翌日の十八日に審議会にかけておる。どういうような状況の判断をしておるか、もちろん、あなたがおやりになる権能があるなら、そのことはいけないということは私は言わない。しかし法案を提出し、あるいは予算がかかっている委員会で、ことさらに波紋を描き、審議がきわめて渋滞を来たすということではなくて、あなたのやった行為中心にして委員会は紛糾しておる。私は、この委員会で、お世話になりますと、こういうような事態は一回もない。昨日の委員長理事打合会模様等はあなたよく聞いておりますか、事はきわめて重大な段階にきたのです。何でもやれる、多数を持っているから、やりたいことはやるんだというようなそういう態度にしか私は受け取れない。法案予算と、カラーテレビが、一体どちらが大切か。多少委員会を甘く見ているように言われても私は仕方がないと思う。どうですか、そういうあなたが委員会に臨んでいる態度法案予算よりもカラーテレビの方がよほど大事であるとする、そう見られても仕方がないようなあなたの態度について、もう少し克明に釈明を私は求めておきたい。
  9. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 本日さらに本問題の質疑をいたして、そうしてやはり、了解点に達するためには、相当時間を要すると思うわけでございますが、ただいま大臣から、言葉の点では、いろいろまた御質疑もございましょうが、謙虚な弁明がございましたので、一応問題は、まだ了解点に達しないようですが、一応この質疑は後日に残すことにいたしまして、本日は予算案審議に入りたいと思いますので、御了承いただきたいと思いますが、この予算の議了後におきまして、さらに一事打合会で、慎重に今後の審議を御相談申し上げたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  10. 山田節男

    山田節男君 今の森中委員の御質問は、カラーテレビジョンというものの結果論からの質問ではなく、それが本旨ではない。今の法案審議に対して、大臣の本委員会に対する態度は、従来かつて例がない。他の委員会にもそういう例がない。そういうことに対する質問であって、カラーテレビ本質について言っておるのではおりません。問題の本旨はそうではありません。だから、それはお許しにならなければいけない、委員としてそういう発言をしておるのですから。
  11. 森中守義

    森中守義君 実は、大臣答弁を求めようと思ったが、認めないというなら、どっちでもいいが、私はまだ完全に了解していない。これから先に一つ大いに追及しようと思っておる。だから今、委員長の言われるような取り計らいもけっこうです。さっきのことについてもう少し言及して、大臣態度をこの際私は責任を追及しておきたいと思います。  二、三回前、つまり佐藤政務次官が外国から帰られる前に、その問題を、私は委員会軽視である、国会軽視であるというようなことを言及したことがあります。今になって見ますと、あれもこれもすべて委員会に対するあなたの態度というものは、いやしくも、歴代大臣委員会に対してとってきた態度とは思えない。言葉では丁重であり、丁寧であっても、心中一体何を考えておるのかわからない。率直に申し上げるけれども、今、出されておる法案協会予算これは議員立法でも何でもない。何も私も私どもの力から進んで法案審議をしよう、予算審議をしよう、そういう必要は考えておりません。多少言葉には、大体として語弊があるかもしれませんけれども、すべてこれは閣僚の、閣員の一人であるあなたの責任なんです。こういうとどのどん詰まりまできて、電電公社でも、臨時措置法が年内に成立しなければ、大へんお困りだと、こういうように私は聞いておる。これができないという場合においては、あえて大臣責任であると言っておる。一切がっさい委員会混乱状態に陥り、審議の促進ができ得なかったということは、すべて郵政大臣責任であるということを、私は明瞭にしておきたいと思う。従って、そういう意見を付して、今委員長の御発言取り扱いで、私はきょうはこのところで終わっておきたいと思う。
  12. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御了承をいただきましたので、後日にさらに審議の時間を御相談をいたすことといたしまして、これより放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件を議題といたします。   ―――――――――――――
  13. 柴田栄

    委員長柴田栄君) この際、委員変更について御報告申し上げます。  三月二十九日、江田三郎君が辞任されまして、その補欠久保等君が選任せられました。   ―――――――――――――
  14. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 続いて質疑の通告がございますので、順次これを許します。
  15. 野上元

    野上元君 審議の時間が非常に切迫して参りまして、時間がなくなりましたので、ラジオテレビ、その他一般的な問題について、いろいろと御質問をしたいと思いましたが、その時間がないので、主として予算関係のある問題に集中して御質問を申し上げたいと思いますが、一番最初に、収入の面でありますが、ラジオ収入の方は逐年著しく減少しておる。さらにまた、昨日の新聞を見ますと、ラジオ聴取料不払いの運動といってはおかしいのですが、不払い傾向が非常に強く出てきた。従って昨年の、三十四年度のラジオ集金状況を見ますと、予算から見て大体十億程度の減収になっておる、こういうことが報ぜられておるのですが、こういう傾向放送協会としてはどういうふうに観察して、将来どういうふうに対処されんとするのか、この点についてお聞きしておきたいと思います。
  16. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) ラジオ受信者減少、つまりラジオ受信契約して下さる方の減少ということはまことに遺憾に思うております。この点については、昨年来、協会といたしましては、あらゆる下段によってこの廃止を防止するということに力を注いでおります。何と申しましてもNHK財政基礎受信料によることでありますから、この受信料の問題についてはNHKができ得る範囲においてやっていきたい。決して私はラジオ受信者が減っておるとは思いません。ただ契約をする人が少なくなり、また契約をしておる人が廃止せられる、これが今日の状態であります。テレビを設置したがためにラジオをやめるという人も相当ありますし、また、受信機がいたんだとか、受信機が古くなったというような意味において廃止せられる方も相当あります。もう一つは、これは大げさに言い得ることでありませんけれども一つはモラルの問題である。実際にはNHKラジオを聞いていて下さるのだが、とにかくやめるのだという、一本のはがき、または一本の電話で簡単に廃止しておられるような状態でありまして、私はこの際、NHKの未開発地域を開発していくし、また難聴地域を解消していくし、もう一つは混信の妨害を排除していくようにすると同時に、NHKラジオは非常にためになるのだ、だから一時間でも一分でも聞こう、聞くためには契約をしてやろう、それから契約をして聞こうというような気持になってもらうように、よい技術とよい番組とをもってNHKラジオを聞いてもらうように力を尽くしていくことが必要だと思います。さらにもう一つは、大衆の皆さんとNHKとが結びついて、ラジオを聞いてもらうようにいたしたいと考えておりますが、それには今までもやっておったようなこと以外にも、いろいろ施設面において考えていきたいと思うております。  ラジオ今野上委員からおっしゃったように、徴収の上においても考えていきたい。どういう方法が正確に、また容易に徴収していき得るか、そういう徴収方法考えていきたい。また、これは今後の問題であって、その予算国会承認を得たならば、この受信料の問題をどうするかということの検討を、今までもやっておりましたが、今後も、今後というよりも、四月から直ちにそれに取り組んでいって、徴収方法、また受信料をどういうようにするかというようなことも考えていきたいと考えておりますが、ただ、あまりに受信料を正確にとるということに急なる余りに、NHKの性格に影響のあるようなことは避けていきたいと、かような考えをもって四月以降、鋭意この問題について検討を加えていきたい。かようにNHKの当局としては真剣に考えておるわけであります。
  17. 野上元

    野上元君 いろいろと協会としてはこれは頭痛の種だと思うわけです。いろいろと研究をされていると思うのですが、一方において、テレビ普及を積極的に推進される協会方針と、ラジオをやはり依然として拡張していく方針とは、これは両立するか、しないかという問題はどうなんでしょうか。その点はどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  18. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) 私は、テレビテレビラジオラジオの、それぞれの機能がありますから、これを車の両輪のように、テレビを見て下さる方も同時にラジオを聞いてもらう。しかもそのラジオは、家庭の主婦の方々が仕事をしながらでも、これはいい番組だ、ためになるのだというような意味に受け取っていただくように、車の両輪として並び放送していきたいと、かように考えて、その間決して軽重というようなものは考えておりません。
  19. 野上元

    野上元君 そうすると、ラジオテレビ番組といいますか、これはもう明らかに違ったものでなければならぬと思うのですが、その点のNHK方針はどうなんですか。
  20. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) 私からかいつまんで申し上げすが、テレビテレビ放送ラジオラジオ放送、それぞれの機能に適したものをやっていきたい。四月からの会計においては、ラジオテレビとの内容を同じようにしないで、ラジオラジオテレビテレビで生きていけるようなものを多く作っていきたい、かように考えております。
  21. 野上元

    野上元君 私はあなたの方で出されたパンフレットを見てみますと、最近におけるテレビ聴視者傾向と、ラジオ聴取者傾向と、どういう番組が好まれておるかという説明があるわけですが、大衆好みというものは、ほとんど内容は一致しておるように思うのです。そうすると、ラジオで聞くかテレビで見るかということになると、音と絵を同時に出すテレビに集中するのは当然のような気がするのですが、好みが、求めるものが全く違うとするならば、ラジオ存在価値も非常に高いと思うのですが、このように大衆好みが一致してくると、両立は非常にむずかしくなるのではないかというような心配をしておるわけです。その心配が現実に数字になって現われてきておるのじゃないかというふうに考えておるわけですが、その点協会はどのようにお考えになっておりますか。
  22. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) 端的に申しますならば、ラジオにはあらゆる時間にニュースを入れて、テレビではなし得ないラジオ機能を生かしていきたい。大ていどの時間にもニュースは、長いか短いか、必ずやるようにしておりますが、これなんかもラジオ機能を生かす大きな道ではないか、かように考えております。
  23. 野上元

    野上元君 そうすると、NHKの方では、テレビの中にもニュースを毎時間入れるという方針をとれば、ラジオはそれじゃ存在価値はなくなるのじゃありませんか、それだけの理由なら。
  24. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) テレビの時間は、朝何時から何時まで、午後何時から何時まで、そうして夜は何時までというように、テレビラジオとはその放送内容も違えば、また時間的の制約もありまして、どれにもニュースを入れるということはむずかしい。これは前田専務理事からも御説明申し上げますが、私は、ラジオには毎時間短くてもニュースを入れる、そこにラジオ特殊性を生かしていこうということを考えておるわけであります。
  25. 野上元

    野上元君 私は、ラジオの持つ使命というのがだいぶ変わってきたのじゃないかというふうに事は考えておるわけです。それは私自身の家庭をとってみても、一家団らんのときは、やはりテレビのスイッチを入れる、そうして一家で楽しむ。昔はラジオを聞きながら一家で楽しんだ。しかし、だんだんラジオはどこか家庭のすみの方に追いやられてしまっておる。こういう傾向が特に私は都会には強いのじゃないかというふうに考えるわけです。いなかでテレビのまだ普及しておらないところは、まだまだラジオ一家団らん中心なものになっておるかもしれませんが、そういう関係で、都会ではだんだんラジオからテレビに切りかえられていくのじゃないか。しかも、圧倒的多数の人口を擁しておる都会がそういう傾向になってくるということは、ラジオにとっては非常にむずかしい問題じゃないかと、こういうふうに実は考えておるわけですが、この点はどうでしょうか。
  26. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 一般的な潜在的傾向として、今先生が御指摘のような傾向があることは否定できないと思います。ただ、テレビ普及、これは従来およそ七年間の経験でございますが、家庭中心とするという段階では、テレビの場合は、一つ受像機視覚を働かせながら家族全体がこれに集中していくという傾向は依然として続いており、かつ強くなっていると考えておりますから、ラジオに対する聴取態度は、一つ受信機の前に家族全員が集中するという傾向はなくなりまして、一世帯の中で複数の受信機を持ちながら、これを家族構成員の嗜好に沿うて聞いていくという傾向が一そうはっきりして参っております。また、同時に二つのものの相異なる一つの特徴は、テレビの場合は、固定してこれを見るという傾向があるのに対しまして、ラジオの場合は、動きながらこれを聞くという習慣が非常にはっきりして参ってきております、そこで私たちといたしましては、そういう点からも、単に波による聴覚視覚、あるいは聴覚だけの問題でなしに、そういう聴視慣習というものを十分に検討を続けて参りまして、ラジオ番組編成につきましては、できるだけ夜間のテレビ好適時間と重複しないような方針をとりまして、現在でも一つ傾向として、おそらく先生がお読みになった冊子にも書いてあると思いますが、ラジオ聴取好適時間は、従来のいわゆるゴールデン・アワーよりも、もっと早朝ないし午前七時前後、あるいはまた昼から午後の三時前後という聴取率が非常に高くなってきております。こういう実情を勘案しながら、波の性格による編成方針のほかに、そういう一般大衆聴視慣習を尊重しながら、二つ同じものを編成していかないという建前を逐次はっきりさせまして、三十五年度におきましては、大体それを根本的に改めるということを、この予算書の中に盛っている次第であります。
  27. 野上元

    野上元君 さらにもう一つの点ですが、最近トランジスタ・ラジオが非常に普及いたしております。しかも、小さなものから大型のものまでできるということになりますと、全く電気を使用しないで聞くことができるということになると、先ほど会長の言われたモラルの問題にもぶつかってくるわけでありますが、今日トランジスタ・ラジオを実際に持っている者は、全国でどのくらいあると推定されているわけですか。
  28. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) トランジスタ・ラジオが現在どの程度普及しているかという点につきましては、実は、はなはだ遺憾ながら、正確な数字をつかんでおりません。そのように実態がつかみにくい点もありまして、先ほど来お尋ねのラジオ減少関係一つの大きな要素になっておろうかとも思います。その中には、この主の受信機が非常に把握しにくいという点が現実の問題として一つと、いま一つには、そういうものに対しては聴取料を払わなくてもいいのだという、いわゆる法律の解釈の問題についてのそごもございまして、現在そういった事態が生じているわけでございますが、トランジスタ受信機といえども、一戸に一つしかないときに、トランジスタしかない場合には、聴取料を払ってもらわなければならないということを、あらゆる機会に周知いたさせております。ただ、現に、家庭にどの程度普及しているかという点につきましては、遺憾ながら非常にはっきりいたしておりません。ただ、生産の関係から申しますと、大体どの程度のものが出ているかということはつかみ得るわけでございますが、しかも、生産の大部分は輸出向けに非常に進出いたしているような状況もありますので、日本の国内に、家庭にどの程度普及しているかということは、ほんの推定でしか考えられないのでございますが、現在推定で私ども考えております数字は、三十四年十二月で約十二万四千見当、この見当のものは現実に契約をして聴収料をいただいている台数でございます。もちろん、このほかにまだあるだろうかと思いますが、この点につきましては、はっきり把握いたしておりません。
  29. 森中守義

    森中守義君 今の点にちょっと関連して。今、小野専務の言われた答弁で大体わかりますが、通産省が最近、三十四年度分をまとめたのがありますね。こういう資料はお持ちですか。私のところには、三十四年度に、これは通産省が主として、設備投資から逆算をして、トランジスタが幾つ、あるいはテレビのブラウン管が幾つできたから何万台、こういう資料があるんですが、トランジスタが三十四年度に相当出ておるんじゃないですか。大体一億三千万個、これは電気機器メーカー三十四社の分を通産省で統計としてとっておるようです。で、このうち、店頭にまだ残っているもの、あるいは輸出をしたもの、まあこういう店頭に残されているようなものは、なかなか把握できないと思うんですが、大体輸出向けに幾ら、それを差し引いていけば、国内に幾ら残っておる。そこで、実際もうすでに販売済みのものと、店頭に残っているもの、ここの判断が非常にむづかしいのですが、大体輸出の台数がはっきりしてくれば、こういうような通産省の統計で、国内にどの程度出ておるか、わかると思うんです。ですから、三十五年度の生産がまあ一億三千万台、こういっておるのですが、大体三十四年度は、これより下回っていない。だから、輸出と国内向けの両建で勘定していけば、わかると思いますし、今言われる十二万四千というようなことは、これはないでしょう。
  30. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 生産の台数につきましては、大体過去の統計により下してその数字を把握することができます。それによりますと、私どもの方で現在把握しておりますものは、電子機械工業会調査部の調べでございまして、過去四カ年間に生産をいたしました実績が、森中先生のそれとはちょっとけたが違うようでございますが、総計で千三十二万台というとこになっております。この中でどの程度輸出に回り、国内にどの程度とどまっておるか。この国内にとどまった分につきましては、現実に買われて家庭で使用せられておるものと、まだストックで、製品在庫として店頭にあるものもあろうかとも思いますが、その辺の区分けは、まだ正確には把握いたしておりません。
  31. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、結局、今、野上委員質問中心も、トランジスタをこのまま放置してよいのかという問題と、どの程度契約のものがあるかということになろうかと思いますのですが、その点、数字をはっきり、今協会の方で把握しているものだけでいいですから、もう少し正確にお答え願いたい。
  32. 春日由三

    参考人(春日由三君) 推定に基づきます数字を申し上げけさせていただきます。ただいま小野専務からお答え申し上げましたように、過去四年間の生産実績は千三十二万台と推定いたしておるわけでございます。過去四年間の生産台数のうち、七〇%は海外に出まして、三〇%が国内で使われていると計算いたしますと、三百十万台が国内にトランジスタ・ラジオがある、こういう数字が出ております。しかも、このうちの大部分が、私どもの方から見ますと、いわゆる第二次所有――親ラジオ契約してホーム・セットを持っている人たちがプラス・アルファーで持っておる、第二次所有が大部分だと考えておりますので、推定によりますと、そのうちの四%、今の三百十万台の四%は、いわゆるホーム・セットと同じような契約NHKとして受信料を払っている。大体それを四%といたしまして、約十二万四千世帯、こういうふうな数字をつかんでおりますのでございますが、推定が相当入っておりますので、非常に正確だということは申し上げかねるのでございます。
  33. 野上元

    野上元君 そこで、三十五年度の予算収支の概要状況を見ますると、ラジオの場合は、本年度、三十五年度においては、新規が九十八万で、廃止されるものが二百五十八万、純粋に減ずるものが百六十万、こういうような計画のもとに予算が組み立てられておるわけでございます。従って、ラジオ収入についても、三十四年度に比べますると、二百五十万程度の減額をしている。こういうことになっておりますが、NHKにおいては、こういう状態がいつまで続き、どこで底をつくのか、こういう計画は一応ございますか。
  34. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 現在のラジオ減少いたします原因の大部分は、テレビ普及に関連をいたして起きて参っております。こういった現象は、世界各国の経験したところでございますが、現在そういった減少傾向が最も顕著に日本で現われつつあるような状況でございまして、昭和三十四年度の予算におきましては、当初テレビ普及につきましては、相当の期待を持ちながら、ラジオについても、減少はしないで、増加の数は非常にわずかでございますが、わずかでも増加するであろうということで、三十四年度におきまして、ラジオの増加を十万六千と見ておったわけでございます。ところが、こういった見通しは、三十四年度の過程におきましては、大きくくずれて参りまして、現在のところでは、三十四年度中に百二十万見当の減少を見るのではないかというように推定されます。そういったようなデータをもとにいたしまして、三十五年度の予算におきましては、テレビにおいて百六十五万の増を見込みますとともに、ラジオにおきましては百六十万の減少を予定いたしておるわけであります。こういった現象は、テレビ普及の限界がまだかなり先にあるようにも見通されますので、大体そういったようなテレビの全体の普及の新規の数の少なくとも八〇%程度は、自然に放置すればラジオ減少されるだろうというふうに見通されるわけであります。
  35. 野上元

    野上元君 テレビの問題についても、これがきわめて精巧なものができて、アンテナも全然要らぬ。しかもポータブルのものができるということになってくると、これはラジオと同じ運命をたどる可能性もあると思います。その点非常に私は心配をするわけですが、その点は、きょうはあまり時間がありませんから、いずれ機会を見て長期的な構想のもとに立っていろいろ御質問申し上げたいと思いますので、その点は十分一つ今後も検討しておいてもらいたいと、かように考えるわけです。  それで次に移りますが、国際放送の費用ですが、私の見方がまずいのかもしれませんが、あなたの方からいただいた資料によると、「昭和三十五年度予算編成について」というのがあるんですが、これによると四億一千五百万円となっておりますが、さらにもう一つの事業計画書を見ますと、三億二千五百万円になっているんですが、これはどちらがほんとうなんですか。
  36. 春日由三

    参考人(春日由三君) 今、先生の御指摘の分は、NHK受信料から出ていく分が御指摘の三億二千五百万円、それから、そのほかに政府補助金が、三十四年度は九千三百九十三万二千円ちょうだいすることになっております。合わせますと四億一千八百万という数字になるわけであります。
  37. 野上元

    野上元君 この国際放送というものは、NHKが自主的にやっているものですか。
  38. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) 前の放送法では、命令によってやることになっておったわけでありますが、今度の放送法に命令によってやるものと、そうして自主的にNHKがやるものと二通りあるように規定せられています。従って、現在は三十五年度の予算においては、二通りの、NHKの分担しておる金と、また政府から出ておる金によって国際放送の充実をやることにしておるわけであります。
  39. 野上元

    野上元君 その国際放送をきめておるのは、放送法第三十三条ですね。
  40. 春日由三

    参考人(春日由三君) 放送法三十三条が国際放送の政府命令の分でございます。そのほかに、放送法九条の二というところに、NHKの当然業務として入っている、この二つがある、こういう解釈でございます。
  41. 野上元

    野上元君 九条二項というやつはきわめて広範な意味を持っておる条項ですね。それの中に国際放送も含めたと、あなたの方で解釈したと、こういうことですか。
  42. 春日由三

    参考人(春日由三君) 広範でなくて、具体的に書いてございます、国際放送を実施するということは。九条の二でございます。そこに「協会は、前条第一項及び第二項に規定する業務のほか、国際放送を行うものとする。」、これが三十四年度の放送法改正の際に入れた条文でございます。
  43. 野上元

    野上元君 これは大臣の方に聞いた方がいいと思うのだが、国際放送をそういうふうに命令でやるものと、自主的にやるものと分けたという理由は、どういうことなんですか。
  44. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) これは、この前の放送法改正にあたりまして、協会がこういう業務を行なう性格を付与されたということがその九条の二でございます。それから、特に政府がかくかくの放送区域、放送事項、その他必要な事項を指定して、特に協会に国際放送を行なわせることができるというのが三十三条の建て前でございます。で、その命令をしました分については、政府がその実費を払わなければならない、こういう建て前になっておりますから、九条の解釈で、放送協会として自主的に海外放送もできますというよりも、するものとするという性格が付与されております。
  45. 野上元

    野上元君 そうすると、政府の命令によって行なう国際放送に要する費用というのは、全部国家が負担する、こういうことになっているわけですか。その金が九千八百万円ですか、そういうことになっているわけですか。
  46. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) その通りでございます。
  47. 野上元

    野上元君 その九千八百万円にはどういうものが含まれておるのですか、その内容は何ですか。
  48. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) これは放送をいたします国別の方向に、その各国に対しまして放送する時間がありまして、その総合時間を運営しますのに必要な経費ということになっております。
  49. 野上元

    野上元君 そうすると、人件費、設備費あるいは番組編成費、その他電波料ですか、そういうものを一切含んでおるというわけですか。
  50. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 積算といたしましては、そういうものを全部含みまして所要の経費を集計いたしましたものが、政府命令に所要な経費として入って参るわけでございます。
  51. 野上元

    野上元君 そうすると、あとの三億二千五百万円というものは、協会が自主的に運営する分だから、協会みずからの費用によってこれはまかなう、こういうことになるわけですね。
  52. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) その通りでございます。
  53. 野上元

    野上元君 そうすると、こういう国際放送を拡充強化するというのが、三十五年度の構想のようですが、これはNHKが自主的にやる分を拡充強化する、こういう計画ですか。
  54. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 政府の関係につきましては、これは郵政省の方から大蔵省に予算要求をしていただいたわけでございますが、当初の計画よりは少し引っ込みましたのですが、二方向二時間増を要求をいたしまして、そのうち一方向一時間増のものが認められたわけでございます。従いまして、三十四年度と比較いたしますと、政府命令のものにつきましも、一方向と一時間が増加をいたしておる。その所要な経費が増額されるということでございます。残余の経費はNHK自前におきまして、国際放送の強化をはかるために、三十四年度よりも増額をいたしておるというようなわけでございます。
  55. 野上元

    野上元君 政府の出資する予算というのは、毎年の傾向はどうなんですか。
  56. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 隔年ごとに、毎年ではございませんが、漸次ふえて参っております。
  57. 野上元

    野上元君 ただ、NHK考えておられるような、拡充計画には必ずしもマッチしない政府の支出だと思うのですが、そういう場合には、NHKが今度はどんどん出資していかなければならぬということになると思うのですが、その場合に、国際放送というのは収入はないのでしょう。結局一般国民から徴収したテレビあるいはラジオの聴視料を国際放送の方へ回していく、こういうことになるわけでしょう。一般国民が負担するということになるのだが、その点はどうですか。
  58. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) この国際放送については、NHKとして大きな悩みを持っております。と申すのは、NHKとしては、できるだけ国際放送を拡充して、そうして国際親善、文化の交流、また在留邦人の慰安等に資したいと、かように考えておりますが、政府の方、これは両説があって、政府の方から全部これは支弁すべきものだという説と、もう一つは、なかなか政府がそこまでの認識はないから、NHK自身で国民にかわってやったらどうかという一つの説があります。今のやり方は、両方を取り入れてやっておるのでありますが、私これは、こういうところで申し上げて失礼なんですが、民主政治が発達して、そうして国際放送に関する費用を全部政府が負担した場合に、はたしてその内容についてもNHKに全部まかせる、NHKを信頼してすべてをNHKにまかせるという段階になれば、政府の支出金によって国際収支を拡充していき得るのではないかということを私は考えております。これはNHKとして慎重に考えなければならなぬ問題で、事態の客観情勢をも取り入れてよく考えていきたいと思います。また、国民の皆さんからいただいておる受信料によってまかなっていくということも、これも国のためにやっておるのだ。また、ある意味から言うと、国民のためにやっておるんだというふうな認識を持って、受信料からまかなってもらえることを了解していただければ、これも一つのいき方ではないか。ここにNHKとして、少なくとも私としては大きな悩みを持っておるわけでございます。正直に申しますと、今の過渡時代においては、今やっている方策がやむを得ざるものであるけれども、不徹底ではあるけれども、それで御了解を得たいと、かように考えております。
  59. 野上元

    野上元君 この問題は、ラジオあるいはテレビ受信しておる者の立場に立って見ると、なかなかむずかしい問題があるだろうし、あるいはまた、大局に立ってものを判断した場合にも、また別の結論が出ると思うのですが、その点はいろいろと検討することにして、この国際放送はどの限度まであなたの方は拡充計画をされるお気持があるのか、その点だけを伺っておきたいと思います。
  60. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 私どものまだ決定的な考え方ではございませんが、少なくとも将来十八方向を最小限度といたしまして、一日延べ時間、各方向合わせて三十五時間程度放送をすべきではないかという考え方を持っております。
  61. 野上元

    野上元君 それに要する経費は、概算幾らですか。
  62. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 今御審議を願っております予算の、これも全く未確定なものでございますが、二割程度だと考えております。
  63. 野上元

    野上元君 全予算の二割というと、相当大きな金額ですね。
  64. 前田義徳

    参考人前田義徳君) NHK持ち出しの約三億五千万円の二割程度は、今後何年間かにわたって、二割を最大限度として必要になるのではないだろうかという考え方を持っているわけです。
  65. 野上元

    野上元君 一応了解いたしました。  それから、調査研究機関というのは幾つありますか、放送に関する調査研究機関。
  66. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 協会の研究所の形態を持っておりますものが、番組関係の方としまして、放送文化研究、それから技術関係といたしまして技術研究、この二つが研究所としての形態を持ったものでございます。
  67. 野上元

    野上元君 これは郵政大臣の命令によって作られたものですか、それとも協会みずからの発案によって作られたものですか。
  68. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 格別、大臣の命令とか、そういうことではなくて、協会自身として必要に基づいて作ったものでございます。
  69. 野上元

    野上元君 そうすると、その所要経費は協会予算によってまかなわれておる、こういうことですか。
  70. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) その通りでございます。
  71. 野上元

    野上元君 放送法三十四条によると、そういう研究機関は郵政大臣が設置を命ずることができる、こういうことになっていますけれども、この郵政大臣の設置を命じた研究機関に要する費用は、これは国が負担すると、こういうふうに出ているわけですが、それは利用しなかったわけですか。
  72. 春日由三

    参考人(春日由三君) 今の三十四条は、郵政大臣が研究を命令することができる、命令した場合には、その費用は国で負担するという条文でございまして、技術関係及びプログラム関係において当然研究していかなければならないことは、NHKの当然業務の中に入っている、こういう解釈でございます。今盛っております予算は、来年度のNHKで自発的に調査、研究する予算でございます。
  73. 野上元

    野上元君 甘利局長に聞きますが、この三十四条を発動するという場合は、どういう場合ですか。
  74. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) これは政府が特別研究、放送の進歩発達のために研究を要するということを認めますときに、命令事項としてNHKに命令する場合で、在来そういうことはあまりございませんでしたが、これはNHK自体が、放送技術の進歩発達に対して、特に受信に対して、そういった技術を発展させることが一つの使命になっておりますので、在来ともそういった線に向かってこの研究所が活動しておりまして、従って特に取り急いで命令する必要があるというような事態はそうございませんでしたので、発動しておりませんが、どうしても必要であるというときには、公共放送という建前から、放送技術の進歩のために、ここがこの命令を受けて研究する。そのときにはそれに必要な予算を国から払うという建前になっております。
  75. 野上元

    野上元君 そうすると、今のNHKが持っておる技術研究所あるいはその他の研究所は、国が命令するまでもなく、それはNHK自体でやらなければならない問題だと、こういうふうに政府として考えておられる、こういうことですか。
  76. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) 大体そういうことでございます。
  77. 野上元

    野上元君 放送法三十五条を見ていただきたいのですが、それの三十五条の2に「前二条の命令は、前項の規定により国が負担する金額が国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲でしなければならない。」、こういうふうになっておるわけですが、どういう意味ですか。
  78. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) 予算をこえた費用をその研究所のために使ってはいかないというふうに考えております。
  79. 野上元

    野上元君 そうすると、予算を計上するのはNHKであって、命令をするのは大臣であって、それはどちらが先になるか、命令によって予算は組まれるのではないのですか。
  80. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) これはちょっと先生、この項は郵政大臣が命令しまして、そういう予算を国の予算として郵政省に成立させまして、それをNHKに交付するという形でいくわけでございまして、その全額をこえるような経費を使ってはいけないという規定をここに規定したわけでございます。
  81. 野上元

    野上元君 よくわからないが、一応了解しておきましょう。  それでは次に移りますが、現在NHKにはどれくらいの従業員がおりますか、種別を分けて御説明していただきたい。
  82. 春日由三

    参考人(春日由三君) 三十五年度では、総員一万二千八十五人というのが三十五年度に考えられる従業員の総数でございます。若干内訳を申し上げますと、そのうち、国内放送の分でございますが、放送に従事する者が三千五百六十五人、技術関係が二千八百九十人、それから事業の普及関係が五百九十二人、それから加入事務、料金徴収などをするのですが、これが二千三百十八人、調査研究五百六十五人、それから管理関係が千七百四十八人、それだけを合わせますと、国内放送の分として一万一千六百七十八人おります。それからそのほかに国際放送で百八十七人、それから新規の建設要員は別に計上してございますので、その分は二百二十人、合わせまして一万二千八十五人、こういうような工合でございます。
  83. 野上元

    野上元君 これは全部定員化された職員ですか。
  84. 春日由三

    参考人(春日由三君) その通りでございます。
  85. 野上元

    野上元君 そうすると臨時に雇用されておる者はどれくらいおるのですか。
  86. 春日由三

    参考人(春日由三君) 千三百五十七人でございます。
  87. 野上元

    野上元君 この千三百五十七人というのは日々雇い入れる臨時雇ですか。
  88. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) この臨時要員の内訳を御説明申し上げますが、たとえば労務職関係とか集金その他の外務職関係とか、そういう者は直ちに正式に職員として発令せずに、この臨時の中に入れておきまして、その本人の能力、それから適性を見た上で決定する。これが約一年ぐらいそういう処置をとっておりますが、これが年間二百五、六十名の予定でおります。それからもう一つは、特殊の職務に従事する人々でございますが、たとえば国際放送の外国語の要員、これは非常に特殊な要員でありまして、年取った人その他を雇いますが、こういう関係の人は職員という形にせずに嘱託の形でこの臨時要員の中に入るわけでございますが、これが約二百名ぐらいございます。それからもう一つは、仕事をしていきますにつきまして業務量の増減がございまして、いろいろと非常に忙しいピークが出て参りますので、そういうときに、直ちに定員化するわけにいきませんので、そういう要員を約四、五百名程度考えております。それから毎年減耗していく職員が約二百五十名から三百名ぐらいございまして、この自然減耗の職員の補充は来年度にする関係上、これの補充をこの臨時要員で充てていく。そして来年度これは定員化していく。大体大まかではございますが、そういう関係でこの千三百五十七名という数字が出てきているわけです。
  89. 野上元

    野上元君 そうするとこの千三百五十七名の給与関係というものは、どういうふうになっているのですか、日給制度ですか、月給制度ですか。
  90. 春日由三

    参考人(春日由三君) このうち嘱託といいますものは月給制度でございます。それから臨時といっておりますものは日当でございます。それで嘱託の方の平均は月額一万五千円から三万円ぐらいの程度でございますし、臨時の方の平均の日当が三百七十円から六百円ぐらいまでのランクがございます。
  91. 野上元

    野上元君 そうするとNHKの職員というのは、新規採用をする場合には必ず臨時職員にし、そして適性を検討した上で本採用にする、こういうシステムになっているのですか。
  92. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 全部そういうふうな手続でございませんで、ただいま四つほど申し上げましたが、そういうもののうちの、たとえば労務職とか外務職といいますか、そういう職分がそういう臨時処置をとっておりますので、正式の職員はそういう処置をとらずに、直ちに正式に採用する、こういう方法をとっております。
  93. 野上元

    野上元君 そういうふうに区別した理由はどこにあるのですか。
  94. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 先ほどちょっと申し上げましたが、その仕事の繁閑によるものとか、それから定員が年度の初めにきまりますものですから、来年度は定員化できますけれども、今年度は定員化できない、そういう弾力的な意味合いもありまして、そういう者も臨時の中に入っておりますし、あるいは外務職のごとき者につきましては、非常に身元が集金などをやりますために大半でございますので、いろいろと直ちに職員にするということも非常に危険性が伴いますので、そういう者は一度試用期間を置きまして、それから本式に採用していく、そういう方法をとっております。
  95. 野上元

    野上元君 特に私は外務職なんというものは、ラジオの、あるいはテレビ受信料によってまかなっているNHKにとっては、非常に大きな貢献をしているものと私は考えるのですが、これがなければNHKは成り立たぬと思うのです。ところが、今総務局長の言われるように、身元が不安定であるからというので、一年間は様子を見るのだと言われるのだが、その一年間の間にどのくらいの金を集めるのですか。その不安定な者に一年間集金をやらせるということですか。
  96. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) まあそう言われますと、そういう点もあるかと思いますが、大体収入の点では正式の職員とほぼ変わりない、これは手数料その他の収入が相当ございまして変わりないというふうに考えております。金額を扱う点もでござまして、やはり一応私の方も注意をいたしまして、慎重にやりたいということで、そういう処置をとっているわけでございます。
  97. 野上元

    野上元君 私は逆じゃないかと思うのです。内勤のいわゆる庶務的な、あるいは総務的な仕事をする人は、これは一年間ぐらい使ってみて、それで適否を判断すればいいのだが、集金をする人を一年間も使った上で、事故がなければ一つ定員に組み入れてやろう、事故があったらだめなんだという考え方は、明らかに誤りであって、集金人こそ最初に採用するときに身元も確定した者、そうして人物もしっかりした者、こういう者を採用し、そうして直ちに定員化するということが、私は本来じゃないかというふうに考えるのだが、その点はNHKはどう考えておられるのですか、どこだってそうです、金融機関は。
  98. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 千三百五十七名のうちのほんの外務職は一部でございまして、やはり、これも聴取者の増に伴ってその職をふやしていかなければならぬものですから、年間に途中採用の者もありますが、二百四、五十名程度をこの中に見積っている、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  99. 野上元

    野上元君 そのことはわかりましたが、今私が質問したことについて、協会側の一つ答弁をいただきたいと思います。
  100. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 外務職員の採用の関係につきましては、本旨といたしましては、NHKのよってもって立ちます収入の根源を携っているものでございまして、きわめて重要な職だと考えております。従いまして、正式に優秀なその向きの能力のある方を選定いたしまして、正式に採用するのが建前でございます。赤城総務局長から先ほど御答弁申し上げましたように、いろいろ定員の関係につきましては、予算で年度計画といたしまして予算上の制約を受けます。現実にはいろいろそういった仕事もふえて参るわけであります。特に今日のようなテレビが非常に普及いたします時機に際しまして、なおかつラジオにつきましても減少するとはいえ、これがあらゆる方法を講じまして、減少を防止する努力をしなければならないというような関係になって参りますと、新規契約を獲得し、またそれを維持して参りますためには、非常に予算の予定しないような職員を採用しなければならぬような事態があるわけであります。そういうのは予算上きめられた定員をオーバーいたしますので、一まず臨時といたしまして採用いたしまして、次のワクが広がります場合にその人の能力その他を参酌いたしまして、漸次本採用に組み入れていくというような建前でいっております。
  101. 野上元

    野上元君 先ほど協会側から御説明をいただきまして、千三百五十七人の内訳については私も大体承知いたしましたが、中でパートタイマーあるいはまた季節的な臨時雇用者、こういうものは別です。しかしこの中を見ると大体常時勤務しなければならぬ者が大半だと思うのです。しかも待遇は給与の面においては総務局長お話によると本務者と全く同じだ、こういう待遇を与えておるのだ。こういうふうに言われておるならなぜ定員から、はずしておかなければならぬのか。どういう理由に基づいて定員から、はずしておかなければならぬのか、どういう障害があるのですか。
  102. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) パートタイマーはこれは別のものでございますが、ここに労務費支弁としてあげました員数につきましては、ある程度手続、いろいろありますが、逐年次年度におきまして定員化していく、そういう考えを持っておるわけでございます。
  103. 野上元

    野上元君 NHKは定員をきめる場合に、どういう承認が必要なんですか、当局の。
  104. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 年度ごとに新規事業なり何なりによりまして、その事業量に基づき定員を算定いたしまして、その年度ごとにそれに基づく増員なり定員なりを算定していくわけでございます。
  105. 野上元

    野上元君 定員をきめる場合にNHKが独自で決定できるのか、どこかの干渉を受けるのかということを聞いておるのです。
  106. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 独自できめます。
  107. 野上元

    野上元君 そうすれば今私が再三申し上げました集金人のごとき重要なものは、常時どうしてもNHKとして必要とするものについては、あなたの方の考え方によってこれを定員に入れることができる。こういうことに考えてよろしいですか。
  108. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) その通りでございます。
  109. 野上元

    野上元君 それでは将来その点はさらに追及して参りたいと思いますが、今日はその程度にとどめておきます。  さらにNHKとしては職員の待遇改善費を計上されておりまするが、この中には三十五年度におけるベースアップというものは考えておられないのかどうか、その点お聞きしておきます。
  110. 春日由三

    参考人(春日由三君) 三十四年度に御承認を得ました予算で相当程度のベースアップをいたしました。従いまして著しく物価の変動ということもございませんでしたから、三十五年度にはベースアップということは考えてございませんが、ただ定期昇給、賞与の増、あるいは新しい住宅手当の創設ということで待遇改善を考えております。
  111. 野上元

    野上元君 三十四年度でベースアップされたと言われておりますが、どのくらいベースアップしたのですか。
  112. 春日由三

    参考人(春日由三君) 三十四年度には本給につきまして、月額一人当たり千二百円。
  113. 野上元

    野上元君 昇給制度というのはNHKは従来からとられておりましたか。
  114. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 従来からとっております。
  115. 野上元

    野上元君 そうすると昇給というのはベースアップでない、ということはあなたの方では認められておりますか。
  116. 前田義徳

    参考人前田義徳君) お説の通りであります。いわゆるベースアップと、われわれが考えております昇給というものは別のものでございます。
  117. 野上元

    野上元君 政府はしばしばその昇給によってベースアップに代替する、何と言いますか便宜主義をとるわけなんですが、NHKはそういうことは考えておられない。ベースアップはベースアップ、昇給は昇給と、こういうふうにお考えになっているわけですね。
  118. 前田義徳

    参考人前田義徳君) その通りであります。たとえば三十四年度予算は一〇%の基準給のベースアップを認めましたが、同じく年度内に既定計画に従って昇給を行っております。
  119. 野上元

    野上元君 三十五年度においては職員から給与改善は申し入れられておりませんか。
  120. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 申し出がありました。それは大体やはり一〇%プラス一人当たり千五百円のベースアップの要求がございました。それを実質的に計算いたしますと一カ月一人当たり九千円になります。これに対して先ほど経理局長、総務局長から御説明申し上げましたように、私どもといたしましては今年度にすでに一〇%のベースアップを行ない、さらにこれはベースアップとは直接に関係がございませんが、年度内に既定の昇給を行なっておりますので、三十五年度におきましてはベース・アップの形はとらない。ただし、たとえば地域差の縮減、あるいは先ほど経理局長が申し上げましたように、住宅手当の支給その他を総合いたしまして、一人当たり三千四百円の実質増加を、今御審議願っている予算案の中に盛ってあるわけであります。組合の要求が総括して一人当たり月九千円に対しまして、実質的に一人当たり月三千四百円をふやすということは、現在の社会環境から見て必ずしも不当ではなかろう、というのが私ども考え方でございます。
  121. 野上元

    野上元君 私は今職員側が要求しておる要求の内容が妥当であるかどうかについては、見解の表明は避けます。それは私は中労委でもありませんし、協会側でもありませんからその点私申しませんが、少なくともベースアップを要求された場合に、それを三千四百円の金を出して実質的なものに振りかえていくというような協会側の方針についてお聞きしたいのですが、なぜそれだけの金があるならばベースアップを若干でもやられないのか、その点をお聞きしたいと思います。
  122. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 私どもののここ二、三年来の考え方は、これは組合とも話し合ってきておるのでありますが、給与の形態が基準給その他複雑な構成を持つことは好ましくないという考え方を持っております。できればすべての基準給以外の給与をも一本にして、実質的に基準給与を一本化するという考え方を持って参たのでございますが、ここ二、三年の組合との話し合いではまだ解決の方途は立っておりません。先ほどから申しましたように、現在のNHKの財政状態、あるいは昭和三十七年度末に終わる五カ年計画の推移、また先ほど来先生から御質問をいただいております聴取料の見通し等を勘案いたし、また同時に事業量の増加に伴う三十七年度末の定員増の限度などを勘案いたしまして、今年も引き続き組合の要求通りに一〇%プラス千五百円の昇給、いわゆる基準給のベースアップを行なうことは、それに基づく各種のはね返りを考えますときに、必ずしも三十五年度は妥当でないのではないかというのが私ども考え方でございます。しかしながら私どもといたしましては、三十五年度におきまして年間四・一%の定期昇給のほかに組合の要求をも勘案いたしまして、基準給が一本化できない現在においては、基準給に匹敵する諸給与を三千四百円まで引き上げて参りたい、こういう方針のもとに御審議を願っているわけでございます。
  123. 野上元

    野上元君 私はその点は労働組合も悪いと思うのですが、ベースアップを要求しておきながら、常に一時金で肩がわりされてもそれを黙って引っ込んでしまう、この労働運動というのは私はまずいと思うのですが、その点は当局側もややもするとベースアップを回避して一時金でやりたがる、こういうことになるのですが、そういう私は賃金政策というのは、将来を判断しても必ずしもいい傾向ではないように思うのです。一時金は幾ら金を出してもそれが実際にその人の生活にとってプラスになるかというと、あるいはそれは簡単に消費されてしまうというような場合も考えられるのであって、特に老後を考える場合にはベースアップをやっていかなければ、実際安定した老後を望むというわけにいかない、こういうふうに実は考えておるわけで、そういう点につきましても、できるならば、金があるならば、やはり私は当局側としてもベースアップに応じて職員の生活を安定さしてやる方がよろしい、これが賃金政策としては非常に必要なんじゃないかというふうに考えておるわけなんですが、ここで結論を得ようとは思いません。どうぞ一つ参考にしていただいて御検討いただきたいと考えるわけです。  それから住宅手当の制度を設けられておりまするが、NHKの職員の皆さん方を見ておりますと、相当異動が激しいようなんですが、これに対する住宅対策というのはどういうふうにお考えになっておりますか。
  124. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 従来とも異動の職員に対しましては、協会が住宅を確保することにしております。今後ともこの住宅手当の支給に伴って、ある程度の住宅政策の変更をやりたいと思っておりますけれども、そういう確保の面では職員に心配をかけないつもりでおります。
  125. 野上元

    野上元君 そうすると、現在NHKとしては一万二千八十五人の職員がおりますが、これは住宅はどれくらい持っておりますか。
  126. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 約二五%であります、協会の社宅に入っておる人が二五%ございます。
  127. 野上元

    野上元君 そうすると、住宅手当という制度を設けられておりまするが、この二五%以外の人に与えられると、こういうことになるわけですか。
  128. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) その通りでございます。
  129. 野上元

    野上元君 臨時の方にはどうなんですか、千三百五十七人の方の人たちに対してはどうなんですか。
  130. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) これは出しません。
  131. 野上元

    野上元君 そういう点が私は先ほど来おかしいと思っているのです。NHKにきわめて貢献している方々に対して差別待遇をされておるということは非常に私は了解できない、どうしてやらないのですか。
  132. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 正式の職員以外には規定上なっていないわけです。臨時要員というのは正式な定員の中に入っておりませんのでまあそういう恩恵もない、そういうことになるわけであります。
  133. 野上元

    野上元君 住宅対策は将来協会としては住宅を建てていく計画なのか、そのかわりにこの手当制度を編み出したのか、方向転換されたのか、その点をお聞きしておきたいと思う。
  134. 前田義徳

    参考人前田義徳君) この住宅手当の問題は、組合の要求をいれまして出すことをまず第一義と考えたわけであります。しかしながら同時にNHK全体といたしましては、ただいま総務局長から申し上げましたように、一万二千の定員をこえる現在においても、一万を対象として二五%程度の住宅しか建設できない。で、今後の三十七年度末までに五カ年計画で考えたやり方を継続していくといたしましても、少なくとも三十七年度末までには私どもの計画は完遂できない実情にございます。と申しますのは、大体今の定員増加を勘案しながら従来の住宅政策を遂行して参りますと、大よそ二十五、六億の金を投じなければ、しかももしこの金を投ずる場合には、最小限度七年かかりましてもとうてい職員の需要を満たすわけには参らない実情でございます。そのほか業務用上、たとえば放送所の技術者に強制的に住んでいただくというような、業務上必要とする住宅の建設が、ただいま御審議をいただいておる予算案の中でも大よそ年間三億円を必要といたしております。こういう実情から組合の要求に基づく住宅手当を認めると同時に、従来の住宅政策を根本的に考え直して参りたいというところから、この新しい住宅政策を検討して参ったわけでございます。
  135. 野上元

    野上元君 そうすると、住宅手当の算出根拠はどうなっておりますか、各人の俸給に何パーセントかをかけるのですか。
  136. 春日由三

    参考人(春日由三君) 配偶者を持った独立世帯を持っている人には月額二千円、それから親がかりの人には千円、その他五百円、親もと通勤は五百円というふうな計算をいたしておりますので、一律でございます。俸給に比例しない形でございます。
  137. 野上元

    野上元君 そうすると、現実に住宅に入っておる人と、二千円の住宅手当をもらっている者とはだいぶ待遇において差があるのが、それはどういうふうに調整されるのですか。
  138. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 現在の居住の実情は、業務上NHKが強制的に住んでいただく方に対しては住宅料を取っておりませんが、その他の方々からは一定基準に従って、ことごとく家賃をちょうだいしております。そういう意味で大体経理局長が申し上げた限度でバランスがとれるという考え方を持っておるわけでございます。
  139. 森中守義

    森中守義君 郵政及び協会両当局に資料を少しお願いしておきたいと思います。最初に郵政にお願いしたいのでありますが、毎年度協会に対して国際放送の実施命令書が出ておりますね、この実施命令書の三十四年度分及び三十五年度分が、四月一日付で公布されると思いますが、その立案が用意されていて提出できるならば、用意されているものを提出していただきたいと思います。  それから協会にお願いしたいのでありますが、予算総則の十三条に、「駐留軍の放送役務に対し、契約金の収入があるときは」云々、この条文があります。従ってこの総則十三条を可能ならしめる根拠になるもの、もっと具体的に申し上げるならば現行の行政協定三条であろうと思うのです。そしてこの三条の問題を具体的に取りきめた合同委員会及び電気通信分科会、これに出席をされた協会の代表、あるいは米駐留軍の代表及び政府代表、しこうして、それと同時に協会と駐留軍とが協定をされている、この役務提供の協定の全文、これをお願いしたいと思います。  それから郵政にもう一つお願いをしておきますのは、現行の行政協定によって駐留軍に提供している郵政省もしくは電電公社の、これら一切の通信施設の提供の状態、こういうものも御提出をお願いしたい。  さらに郵政にお願いしたいのは、先般もこの委員会でこの問題とは別個な問題としてお願いしておりまして、まだ提出をいただかないようでありますが、新しく改定をされた郵政、電通あるいはNHK、かような通信関係中心とする行政協定の改定の全文、それに合意書、それを、この協会予算審議関係がありますので、特別にプリントされる必要もないと思いますから、午後の再開の冒頭あたりに御提出をいただきたい。
  140. 柴田栄

    委員長柴田栄君) よろしゅうございますね。
  141. 奥むめお

    ○奥むめお君 関連して、私も資料を要求したい。
  142. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) ただいま森中先生から、資料の御要求がございました。その中で、あるいはこういうことをお認め願えるかどうか。現存の駐留軍役務を提供いたしております根拠の規定は、先生の御指摘の通り現行行政協定の三条でございます。それを実際に施行いたします場合の、具体的ないわゆる電気通信に関する合意書なるものがございますが、この最も正確なもの、あるいは正文は、郵政省の方にあろうと思いますので、これは郵政省の御同意を得なければならないと思いますが、その方で出していただくということでお認めいただけましょうか、どうでしょうか。実は具体的な合意書につきましては、政府関係の代表も出ておりますが、NHKは一人も出ておりません。それとそのような協定の内容につきましては、全然承知しないわけではございませんが、正本は、郵政省にございますので、むしろ正確を期する意味におきまして、郵政省の方でいただいた方がいいんじゃないと思いますが。
  143. 森中守義

    森中守義君 それでは、要求者から訂正をいたします。今小野専務の言われるように、政府が介在をして、この種の取りきめが行なわれたというのが筋道なんですから、今私が、協会に要求をいたしました資料は、すべて政府の方から提出していただきたいと思います。  ただ、もう一つ協会にお願いしておきたいと思いますのはですね、これも、ある意味では政府側にお願いした方がいいんじゃないかと思うのですが、年間この経費を駐留軍が払っておりますね。この経費を、実際予算書から見ると、通り抜け勘定になっておるようで、協会の持ち出しとしては、別にないというようなことですが、これをここ二、三年分、できましたなら、三十年度以降、何年度は幾ら、何年度は幾ら、それだけでけっこうです。それと、協会がもしも持ち出しをしたならば、その額が幾らであった、というような、この関係の経費を、ごく大ざっぱでけっこうですから、御提出を願いたい。
  144. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) ただいまの役務提供に対する態度といたしまして、受け取っております金額が、年度別にどのようになっておるかということ。これは資料を御提出いたしたいと思います。  それといま一つ、先ほど御要求の中に、駐留軍向けの契約内容のわかる資料の御要求がございました。これはNHKが、直接契約の当事者となっておりまして、契約を結んでおりますので、これは、契約正本を手元に持っておりますので、これは御提出いたしたいと思います。
  145. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 御要求の資料につきまして、当議案の御審議をお願いいたす意味におきましては、御提出申し上げるべき性質のものにつきましては、すみやかに提出申し上げたいと思います。なお合意書等の関係につきましては、従来の扱い上、その内容の点につきましては、すでに予算委員会におきまして、関係の向きから、その内容についての御説明の資料を提供するというふうに相なっておるわけでございますので、個々の合同委員会等の詳細なる内容につきましては、外務省等におきまして、これを処理されるというふうに政府内部においてはなっておりまするので、ただいまお示しの、午後までにお出しをせよというお話でございますけれども、極力御審議の上におきまして必要なものにつきましては、御提出するということで、御了承いただきたいと存じます。
  146. 森中守義

    森中守義君 官房長にちょっと申し上げておきますが、全部の合意書と言っているのではない。今申し上げた電通あるいは郵政もしくは協会、こういう関係を指しているわけですから、政府全体の米側との合意書を指しておるのではありません。この点、誤解のないように。
  147. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) 合意の上で実施した事項についての要求は、ございまして、これは、外務省で統一しまして提出するように準備いたしておりますが、合意書そのものの提出ということについては、まだ政府部内では、外務省において統一してやるということになっておりますので、郵政省が単独で、合意書そのものを御提出することは、ちょっと差し控えたいと思います。
  148. 森中守義

    森中守義君 非常に慎重にお考えのようであり、しかも外務省あたりに、だいぶ気を使っておいでのようだが、電電公社の場合には、法令集に合意書までくっつけて出しておりますよ。そのぐらい簡単に扱われておるんです。それを委員会でことさらに、資料の要求があったので、これの扱いをどうしましょうかということで、あまり私は気を使われる必要はないと思う。電電公社の法令集を見てごらんなさい、末尾の方に行政協定に基づく合意書というのがくっついている。このくらい電電公社では、この合意書の扱いを公にしておるのです。  それを行政機関であるがゆえに、政府部内の見解がどうであるとか、あるいは統一しなくちゃならぬというようなことは、ちょっと私はふに落ちません。で、しかもそれは今申し上げたように、通信関係以外の全部のものを出せというならば、それは多少所管も違おうから、いろいろ協議されるところもあると思う。しかし郵政大臣の所掌になる関係のものだけを私は言っているわけですから、こういうものは一つ、きぜんとして出していただかないと、まことに審議の上に差しさわってくるし、ことに将来の通信政策という点から考えてみても、少なくとも私どもは、独立国家は独立国家らしい独得の通信政策をやっていくべきだ、こういう認識と自覚を持つがゆえに、当局も一つそういう、ある範囲内の合意書ですから、あまり出し惜しみをされないように、出していただきたい。
  149. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) ごもっともなお話でございますが、現行行政協定そのものが、正式に国会に出ておりませんものですし、その下の合意書でございまして、いわゆる政府としても、正式な取り扱いということから言いまして、まあ、たとえその内容先生方わかっておられたとしても、やはり政府としては、それを提出するということを差し控える。いろいろ御質問があれば、それに対して御答弁申し上げることは、申し上げたいと思います。
  150. 森中守義

    森中守義君 これは答弁の中で、不安であるとか、信用できないから出せと、こう言うんじゃないんですよ。私が、甘利局長あるいは官房長に申し上げるまでもなく、なるほど講和条約あるいは安保条約、行政協定、こういうより高度な取りきめがあるんですが、実際具体的な問題としては、合意書以外――以外といえば多少語弊がありますが、合意書に、すべてのことが盛られていて、その内容が公にされずに、正直に申し上げると、何を根拠に、じゃ役務の提供ができるのか、こういうことにもなっていくわけです。  だから、やはりより合理的に、具体的に問題を審議していきたいということで、拠出をお願いしておるわけですから、もう一度一つ郵政当局で、御検討いただいて、ぜひこれは、一つ御提出をいただきたい。  もちろん、最近私どもが聞き得た情報では、政府はすべての合意書を提出をする、こういう方向に進んでおるようです。それと、何かこう、あまりにも秘密秘密というようなことをお考えになっているようですが、現在のわが国には、高度な国家機密とか、軍機などというものは、憲法上存在しないはずですから、あまり行政機関が、戦前のようにマル秘文書を出してみたり、機密々々というような感覚は、お捨てになった方がいい。行政組織法あるいはその他によらなくても、当然なこととして、行政機関は、国会責任をになっているわけですから、国会の要求に応じないという法はありません。
  151. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) お設、ごもっともでございますが、やはり政府部内の申し合わせ、取りきめ等で、そういうふうな措置をとらしていただきたいと思います。
  152. 森中守義

    森中守義君 これは甘利局長も、だいぶお困りのようだから、そうあなたに無理は言いませんけれども、私は、こういうような問題で、議院証言法を発動して、それで内閣が声明を出す、こういうようなことは、この種の問題では、とてもお話にならぬと思う。政務次官、どうですか。資料の提出ができないので、造船疑獄のときのように、内閣が、議院証言法を発動されて、内閣の声明を出しますか。
  153. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 実は私、本問題について、土曜日に伺っておったのですが、目下外務省と郵政省の方との合意書に対します意見の食い違いもあるようでありまして、事実は、目下交渉の段階であります。私どもの持っている資料と申しますか、意見の方が妥当であり、また外務省の意見の方が妥当であるかということについては、現在交渉の段階であるというふうに私は聞き及んでおるのでございます。
  154. 森中守義

    森中守義君 非常に政務次官、大事なことを今言われたのだけれども、こういうことですか。今の御意思は、郵政当局としては、外務省が取りきめてきた、あるいは折衝してきた内容については不満である、こういうように理解してもよろしいですか。
  155. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) これは合意書に対しまする一本化するためには、たとえて言うと、条約、行政協定、合意書と、三段階になっているようであります。これを統一していきたいというので、郵政省の意見も取り入れてもらいたいというのが、今の段階で、いるように私は聞き及んでいるのであります。
  156. 森中守義

    森中守義君 あなたの聞き及んでいるというのは、そういう取り扱いの問題と同時に、個々内容のについて、郵政当局としては、こういうものはやめてもらいたい、こういうものは少し直してほしいと、少なくとも外務省が中心になって進めてきた折衝、その結果については、不満である、具体的な問題の個々に当たってみて、そういうことかと聞いているのです。
  157. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 私の聞き及んでいるのでは、条約、行政協定、合意書というものを、政府部内において、すべての統一をとらなければならぬ、それには郵政省の持っているところの意見も取り入れてもらいたいというような私は解釈をしております。
  158. 森中守義

    森中守義君 その言われるのが、取り扱いの問題を言われているのか、あるいは郵政省においては、個々の具体的な内容について、不満だから直せというようなことをおっしゃっているのか、そこは、どっちなんです。  私は政務次官、今までいろいろ承ってきたところによると、個々の内容について、郵政省は不満である、そこで、わが意を得たりとして、郵政当局は、そうなくちゃいかぬ、押え込まれてきた行政協定あるいは合意書のごときは、け飛ばせというような気持を私は持っている、だから、今言われるのは、出す出さないという問題、そういうようなことにおける手続上のことなのか、あるいは個々の具体的な内容について、不満だから、さらに修正なり何なりを加えていこうという、そういうことのどっちなんです。
  159. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 私は、外務省との折衝の段階におけるものは、手続上の問題と解釈しております。
  160. 森中守義

    森中守義君 今そういうように、はっきり言われたから、それはそれなりに、受け取っておきますけれども、一番品最初に政務次官が言ったのは、私は、ほんとうだと、個々の内容について、郵政当局は不満である、そういうことは、あまり官房長に、いろいろ入れ知恵をされて、言質を取られては困るからという用心をしないで、平素の佐藤政務次官らしく、不満なら不満であると言ったらどうですか、言っておきなさい。
  161. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 私は、そういう技術的の問題、法案、条約問題について、とかくの意見をお互いが、人間である以上は持っているものはあるでしょう、けれども、それは、一応政府部内として、統一とったことに手続法をやりたいということが、現在の私ども考えていることであります。
  162. 森中守義

    森中守義君 とにかく一つ、出せるだけ出して下さい。
  163. 奥むめお

    ○奥むめお君 時間がおくれるようでございますし、先ほどNHKの方が、聞きにきて下さったのでお渡ししておきました。資料要求は、よろしゅうございます。済みました。
  164. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは午前中は、この程度でとどめたいと思います。  これにて休憩いたします。    午後零時五十二分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十二分開会
  165. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより再開いたします。  午前中に引き続いて、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件の質疑を願います。
  166. 野上元

    野上元君 協会にお聞きしたいのですが、定員の問題について。ただいまの定員で大体満足な状態にあるという  ふうにお考えになっておるんでしょうか。
  167. 前田義徳

    参考人前田義徳君) ただいまの定員と申しますのは、三十五年度におきましては、大体先ほど来午前中に御説明申し上げた定員で大体いけるんじゃないか。ただし、長い目で見ますと、今後の置局計画、あるいは放送時間の増、あるいは番組制作についての演出上の複雑化その他から勘案いたしまして、現状をもっては足りないという考え方を持っております。
  168. 野上元

    野上元君 テレビラジオの部門に分けて、概算でいいですから教えてくれませんか。
  169. 春日由三

    参考人(春日由三君) お手元の資料にあります来年度予算、要求額は、実はラジオテレビを一緒にいたしております関係上、ただいまラジオテレビの定員の厳密な区分はいたしておりません。手元に御説明する資料がございませんですが、もしあれでございましたら、明日までに全然ラジオ、全然テレビと共通的な分け方である程度の資料は出したいと思いますが、ただいまちょっとお答えできません。
  170. 野上元

    野上元君 協会は、しかしそのくらいのことはわからぬと、事業計画できないんじゃないですか。私が要求しているのは、詳細なことは今必要ないのですが、少なくとも事業経営をしていく上において、ラジオテレビ協会としては重要な部門の二つなんですから、それにどれくらいの定員が配置されているかということはわからぬと困ると思うのですがね。それでは後ほど資料をいただくことにいたしましょう。今、従業員には、年間何日ぐらいの有給休暇を与えておりますか。
  171. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 二十一日でございます。
  172. 野上元

    野上元君 この二十一日の休暇は、全部使用されて、大体毎年ゼロになる状態にありますか。
  173. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 必ずしもそうとは限りません。
  174. 野上元

    野上元君 そうすると、その二十一日というのは、毎年々々繰り越せるのですか。
  175. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 一年を限って繰り越せるわけでございます。
  176. 野上元

    野上元君 そうすると、二年間有効であると、こういうことですか。
  177. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) そうです。
  178. 野上元

    野上元君 現在平均してどれくらいの休暇が残っておりますか。
  179. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 詳しい数字は今持っておりませんが、職種によって非常に違っておりまして、職種によっては全部取っているところもありますし、残しておる職種のものもあります。平均して残っているだろうと思います。
  180. 野上元

    野上元君 ある部門では全部消化し、ある部門では残しておるというのはどういう意味ですか。自発的に残しているのですか、それとも残さざるを得ないような状態にあるという意味ですか。
  181. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 放送という仕事が、普通の事務の部門と、放送の現業とそういうふうな非常に違った職種に分かれておりますので、放送現業になりますと夜の人とか、あるいはいろいろな勤務をしておりますので、そういう勤務をしておる者と普通の事務をやっておる者との間に、どうしても実質的にそういう違いができております。
  182. 野上元

    野上元君 私の聞いているのは、休暇が残るというのは自分で残すのか、あるいはまた仕事が忙しくて、どうしても休暇が取れないのか、どちらかに原因があると思いますが、今残っているのはどちらですか。
  183. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) なるべく休暇を取ってもらいたいというふうにわれわれとしては考えておりますけれども、中にはやはり見て参りますと、仕事の性格上、それから個人のあれもありますが、取れない場合もある。そういうふうにいろいろなケースがございます。
  184. 野上元

    野上元君 協会としては残った休暇はどういうふうにされるわけですか。
  185. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 賃金に振りかえまして払っております。
  186. 野上元

    野上元君 そうすると二年間で最高の人は四十二日間持っておるのですが、それを金にかえるというわけですか、残した場合は。
  187. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 失礼しました。前のお答えちょっと訂正させていただきます。慰労休暇の場合に、退職その他についてはその賃金を勘定して払っております。そういうことになっております。
  188. 野上元

    野上元君 ふだん、休暇が二年間繰り越せるのですが、二年目にたまって三年目にいくときは、そうすると休暇というものはあなたの方で買い上げるのか、それともゼロになるのか、どちらなんですか。
  189. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 二年たちますと消えてなくなります。
  190. 野上元

    野上元君 そうすると先ほどのあなたの答弁とはちょっと違うのですね。
  191. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 二十一日というのが有給休暇でございまして、それがなくなります。それから慰労休暇はこれは退職時に算定して支払う、こういうふうになっております。
  192. 野上元

    野上元君 そうすると有給休暇というのは一年だけは繰り越せるけれども、あとは打ち切りになってしまう。そしてそれは買い上げもしない、こういうことになっておるわけですね。
  193. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) その通りでございます。
  194. 野上元

    野上元君 そうすると従業員は二年間放っておけばゼロになるし、それを金にもかえてもらえないということになると、自発的に有給休暇を残しておるというようなことはおかしいじゃないですか。それはどういうことなのですか。
  195. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 有給休暇は休んでおっても俸給をもらっておるわけでございます。二十一日は休んでも二十一日分は俸給として支払っておる。ですから慰労休暇と別でございます。
  196. 野上元

    野上元君 そうすると慰労休暇というのは年に何回あるのですか。
  197. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 勤続年数にもよりまして、たとえば十年勤続しますと十日、それから何年勤続しますと幾日というふうに加算されて参ります。それが慰労休暇でございます。これは最後までずっと加算されます。
  198. 野上元

    野上元君 その慰労休暇は全部消化されておりますか。
  199. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) これは買い上げといいますか、賃金に加算して出すという場合が多いのです。
  200. 野上元

    野上元君 それは毎年々々残った分は賃金として買い上げる、こういうシステムをとっておられるのですか。
  201. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) これは毎年々々でなくて、退職時に全部加算して、退職手当と同時に支給する、そういうことになります。
  202. 野上元

    野上元君 そうすると退職時に最高の人は何日慰労休暇があるということですか。
  203. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 三十年以上勤めますと百二十日になります。
  204. 野上元

    野上元君 そうすると百二十日分の慰労休暇をあなたの方は金で買う。そしてそれを退職金にプラスして出す、こういうシステムになっておる、こういうことですね。
  205. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) その通りでございます。
  206. 野上元

    野上元君 現在NHKには管理職というのは一万三千名のうちどのくらいあるのですか。
  207. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 大体千名程度でございます。
  208. 野上元

    野上元君 聞くところによると、最近管理職が非常にふえておるというようなことを聞いておりますが、その点はどうですか。間違いありませんか。
  209. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) 現在一万名に近い職員でございまして、大体百名に一人という勘定になりますけれども、この管理職の内容を御説明申し上げますと、いわゆるポストと申しますか、部課長である者が約七百名、それからそういうポストを持っていない者が三百五十名程度だろうと思いますが、その部課長の形態は、現在の組織からいいまして、全国的に見ますと、その程度が非常に適当ではないかと考えられます。その他のいわゆる管理職の三百五十名というものの説明でございますが、これはたとえばアナウンサーとか、放送記者、そういう専門的な職種の中にはそういうほかの職にかわらせるよりは、アナウンサーとしてあるいは放送記者としてその技能をそのまま持っていてもらいたい人がたくさんありますので、そういう人材を優遇する意味の管理職そういうものもあるわけでございます。  それからもう一つは、NHKのような企業体になりますと、どうしても二十四時間体制をとって部課長に責任を持ってもらわなければならぬものですから、一つの部にやはり二十四時間体制をとりますと、どうしても交替、それから休暇等を考えますと、定員的に、報道局などは一番いい例なのですが、大体九名くらいのやはり副部長級の者を必要とする。ですから普通の企業体と違いまして二十四時間体制をとるようなところでは、相当数の管理職を置く、こういう建前になっておりますので、勢い数も多くなっている、こういう関係でございます。
  210. 野上元

    野上元君 七百名の方はこれは部課長という特別のポストを持っておられ、これは命令権もあります。そういうものが委任されている。三百五十名はこれは純然たる管理職というのではなく、これは命令権はない、ただ優遇をしなければならぬというので、管理職のポストに置く、こういうことになっているのですね。そうすると、三百五十名の人は大体指揮命令というようなことはやらない管理職だ、こういうことですか。
  211. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) もちろん行政的な面における部長なり課長なりのような責任と指揮命令権は持っておらぬわけでございます。専門職としての管理職は一応専門の部門については、ある程度の指導その他教育をする、こういうことになっております。
  212. 野上元

    野上元君 この三百五十名の人を主として優遇しなければならぬというのは、それは主として俸給のことでしょう。管理職に上げなければ俸給が上がらないから、管理職にする、こういうことになるのではないでしょうか。
  213. 赤城正武

    参考人(赤城正武君) もちろんそういう面もございますけれども、やはり専門職としての指導、教育そういうことも担当してもらうことにいたしております。たとえばプロデューサーなんかその中に入ります。管理職のプロデューサーは後進のプロデューサーを指導し監督をする、こういうふうな面も担当してもらう、そういう意味で管理職を置くわけでございます。
  214. 野上元

    野上元君 今例をとられましたが、同じプロデューサーに管理職の者と管理職でない者があるということはおかしくないですか。
  215. 前田義徳

    参考人前田義徳君) ちょっともおかしくないと、私は考えております。なぜかと申しますと、プロデューサーというのはわれわれの職種の一部でありまして、たとえば今年の四月に採用される若い方々のプロデューサーの部門においてはプロデューサーとして局に入ってくるわけです。その中でプロデュサーとして特に一流の方あるいは従来部課長をしておりましたが、行政的事務を担当するよりはプロデュサーとして進んだ方がNHKのためにも本人のためにも、また番組の制作上も妥当であるという方々には、部長をやりあるいは課長をやっておられた方でも、ときにはずれていただいてプロデュースに専念していただく、そういう方針をとっております。
  216. 野上元

    野上元君 NHKは、結局十人に一人、百人に十人の管理者を持つ、こういうことに、現在なっているわけですね。その点は間違いありませんか。
  217. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 現状におきましては、たまたま総務局長が御説明申し上げましたように、比例的にはそういう数字が出ております。しかしたとえば御審議を願っております明年度の予算におきましては、千名以上の新しい職員が入るわけでありまして、明年度当初においてはその比率はさらに下ってくると思います。
  218. 野上元

    野上元君 しかしそういうやり方をしていると、来年また管理者をふやさなければならぬ。来年また古くなるからこれを優遇しなければならぬからこれを管理職に持っていく、というようなことをやって、結局比率はだんだん上昇していく傾向にあるのじゃないのですか。
  219. 前田義徳

    参考人前田義徳君) これは古い方を優遇するための制度ではございません。これは御承知だと思いますが、現在すでに全国的にラジオでは二百十局、テレビにおいても四十三局になっております。それがみな局としての最小の機能を発揮するためには、やはり最低の責任者が必要でございます。そういう見地から最小限度の責任体制を確立するために、局長以下の管理職がおるわけでございます。従いまして規模が非常に変わってくるとか、あるいは機構がさらに広がっていく場合はやむを得ないかと考えますが、年長者あるいは古い経歴を持っておる方を優遇するために、という考え方は原則的に持っておりません。しかし先ほど総務局長が申し上げましたように、アナウンサーのベテラン、それからただいま私が申し上げましたような、プロデューサーの専門家としての一流の方は、優遇の意味じゃなくて、その技能を伸ばしていただくために管理職的な手当を出すわけであります。従ってアナウンサーやプロデューサーの中には局長級の人もおりますし、それからまた部長級、副部長級の人は相当いるわけでございます。これは要するに行政官として使用するよりも私たちの立場を許していただけるならば、やはりその専門の職種に権威を持って前進していただくという建前のものでございます。
  220. 野上元

    野上元君 そのことは私もよくわかるのですが、しかしそれは管理職にする必要はなくて、給与体系なら給与体系を是正することによってそういう方法はとれるのじゃないですか。いたずらに管理職ばかりを、名目の管理職をどんどんふやすという行き方はあまり好ましくないのじゃないですか。
  221. 前田義徳

    参考人前田義徳君) そういう御意見もあるかと思いますが、現在のところ、たとえば給与の体系というものには特別の査定を強く行なわないという考え方が潜在しておりますし、それからまた従来の組織の運営から申しましても、一定の基準なくしていわゆる能力の判定の基準を明らかにしないで、単に給与体系の中で特例を開くということは、よほど運営に留意しませんと一定の方針からはずれるおそれもある。そういう意味で管理職と同等、それ以上という建前を一応きめておりますが、しかしこれは管理職群の運営のらち外において先生が御指摘の精神を発揮して運営して参る、そういう方針でおります。
  222. 野上元

    野上元君 しかし管理職にすると、人間の気持としてやはりおれは管理職なんだ、という気持がどうしても強く入ってくると思います。その場合、自分は実務にはつかぬでよろしいのだ、指導だけやっておればいいのだということになるとだんだん実務要員が減っていく、こういうことになりはせぬかという心配をしているのですが、その点は心配ないのですか。
  223. 前田義徳

    参考人前田義徳君) その点は現在のところは全く心配はございません。
  224. 野上元

    野上元君 その問題はその程度にします。  次に集金の方法なんですが、ラジオテレビ聴取料の集金はどのように今やっておられるのですか。
  225. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 現在の料金はラジオにつきましては御承知の通り八十五円でございます。テレビにおきましては三百円、それぞれ予算の総則において規定してございます。これは月額でございますが、現実の徴収といたしましては、まずその徴収に当たる者の種別が何段階か分れております。NHKの直接の職員で集金をいたしておりますものと、同じNHKでも直接職員の集金でなしに、これを一部委託に当てておりますもの、それと郵政省に集金をお願いしておりますものとこの三通りがあるわけであります。さらに現実の集金の面につきましては、現在三ケ月ごとに集金をいたしておるというような実情になっております。
  226. 野上元

    野上元君 委託というのはどうなんですか、郵政省にやってもらっている分と、まだ別に委託があるのですか、それはどういうわけですか
  227. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 直接の集金のほかに普通委託というものがありまして、これは郵政委託ではございませんが、いろいろ地境の関係、その他から申しまして、直接職員が集金するよりもそういった委託によった方がいいと思われる向きにつきましては、一般のそういう希望者に委託をいたしまして集金をいたしておるわけでございます。
  228. 野上元

    野上元君 その委託集金の場合には手数料があるはずですね。それはどういうふうになっておりますか、郵政省と普通委託の場合……。
  229. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 郵政省に委託をいたしておりますものと、普通委託の関係につきましては、それぞれいろいろ実情に即しまして分けております。さらに直集につきましても、集金のいろいろ作業の難易等を考慮いたしましてきめておりますが、たとえばこれを直集の面について申し上げますと、三十四年度につきましては普通の手当、これが一件につきまして八十四銭でございます。さらにこれは一件当たりのいわゆる能率計算でなしに、一日そういう集金に従事することによってつけておるものもございますが、これは現在直集のものにつきましてはつけておりません。これを三十五年度におきましては普通手当の現在八十四銭のものを一円にいたしております。普通手当一日当りの労務によってその実績を問わずに出しますものが八十円、これを付加しよう、こういうようなつもりでおります。郵政の委託の関係につきましては、これは毎年度その状況によりまして協定を結んでおります。その協定の手数料がございますが、建前としましては毎年これは更改をすることになっておりますが、更改の必要のない、いわゆる実際の、事実にそういった変動のない場合には、前年度のそれを踏襲するということになっておりますが、現在のところで申しますと、三十四年度がラジオが十八円十銭、テレビにおきまして二十円六十銭、これは三十五年度にはラジオが十九円七十銭、テレビが二十二円二十銭、こういうふうに改定をいたすつもりでおります。普通委託につきましては、現在普通手当は現実に集金をいたしますとその件数によって計算されるものでありますが、一件当たりが三十四年度は九円でございますが、これを十二円に値上げ、さらに特別手当といたしましては現在一円の手当をつけておりますが、これは三十五年度におきましては郵政委託その他との権衡から申しまして、その分はとりやめたいと、このように考えております。
  230. 野上元

    野上元君 同じ委託業務で、普通委託と郵政委託とは非常に差があるのですが、これはどういう理由に基づくものですか。
  231. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) この委託の地域が直集と普通委託の面ではいろいろの実態が異なっておるわけでございます。そういった異なった実態に沿いましてこういった計算をいたしておるわけでありますが、特に普通委託の関係につきましては、協会としてはそういう事務費を直集の場合のように必要といたしませんので、そこに手当の一件当たりの率におきましても、直集と非常に異なった単価をきめておるわけであります。
  232. 野上元

    野上元君 そうすると、ラジオテレビの総集金額の委託部門で占めておる比率はどのくらいになりますか。
  233. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 大体の比率を申し上げますと、郵政委託と先ほど申し上げました普通委託とをまぜまして三七%でございます。残余のものが直集でやっておるというような比率になっております。これはラジオについてそのようになっております。テレビジョンにつきましてはさらにこの比率は多少変わっております。
  234. 野上元

    野上元君 テレビジョンの場合には直集の方がもっと比率が多いというわけですね。そう見てよろしいですか。
  235. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) テレビにつきましてはその比率がはなはだラジオの場合とは違いまして、直集が非常に多くなっております。委託によるものは一一%、あとは直集ということになっております。
  236. 野上元

    野上元君 郵政従業員の中には聞いてみると、ラジオ集金やテレビ集金をやらさられるのはごめんだと、だから廃止してくれという声が強いのだが、廃止した場合にはNHKはどういう方法をもってかえますか。
  237. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) 私は郵政委託はぜひやっていただきたいと、かように考えております。と申しますのはほかの集金よりも親近感も持っておりまして、毎日配達をせられて、そうしてしよっちゅう土地の人と顔を合わせて懇意であるから、集金の率からいってもいいんじゃないか、従ってNHK受信者との結びつきも非常に濃くなっておりまして、これはぜひ続けていっていただきたい、かように考えております。
  238. 野上元

    野上元君 かりに郵政省の委託が廃止された場合には、NHKだけでは集金できませんか。
  239. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) 郵政省の方へも十分お願いして継続していただきたいと、かように考えておりまして、それがなくなったときのことは今の場合考えておりません。
  240. 野上元

    野上元君 先ほど小野専務からお話のように集金のやり方が、とにかくラジオが八十五円でテレビが三百円、これを三ケ月分一ぺんに取るわけでしょう。そうすると千数百円の金を一ぺんに取らなければならない。いろいろ新聞に出ているようにラジオ集金の拒否というのがだいぶ出てきている。こういう状況の中で、郵便を持って行きながらその合間にやるわけですが、一々そこで論争しなければならぬというのです、その料金を取るために、そういうことまで引き受けさせられたのじゃかなわぬというが、今日郵政従業員の考え方のようなんであります。この点はここで結論が出るのではございませんが、その点の声は十分あなた方にも聞いてもらって、集金のやりやすい方法等についても十分に考えてもらわなければならぬし、かつまた手数料の問題等についても郵政当局と十分に打ち合わせて遺憾のないように指導してもらいたい、こういうふうに私たちは考えるのですが、その点は一つお願いをしておきます。
  241. 光村甚助

    ○光村甚助君 関連して。郵政省の職員にやっていただきたいと、まことに親近感があるからというお話でございましたが、あなたの方からすればけっこうなんです。――毎日行っておりまして聴取者と郵便屋さんは親しいから取りやすい、まして公務員だから使い込みも少ないだろう、だからあなた方からすれば非常にけっこうなんですが、従業員の方からいうと、先ほど野上君も言ったように論争をやる、そうして二回、三回もそのために行くとうるさいと言われる、そうして今度は保険の募集に行くと保険に入ってくれない、そういうトラブルが実際に非常に起こっている、あなたの方からいうとけっこうなことだが、従業員の方からいうと、そういうトラブルが起こって迷惑だ、まして保険の募集、貯金の募集というときには非常に下部に影響を来たしているということを私も聞いておりますから、そういう点も今後一つ御研究いただきたいということを要望しておきます。
  242. 野上元

    野上元君 その集金の方法について何か具体的にベターな方法はないのですか。
  243. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 今の集金の問題につきましてもいろいろな問題がございます。先ほど野上先生から御指摘のような三ケ月まとめていけば、たとえばラジオテレビ両方持っておりますと千百数十円になる、そういった経済負担からいってなかなか集金に困難を来たすというようなことも、随所にそのような注意が述べられております。そういうことと同時にいろいろラジオ契約の維持、かような面から申しましても、国民の信頼と御理解に基盤をおかなければなりません。NHKの立場といたしましては喜んで、また払い易く納めていただくようなことが望ましいのでありまして、そのためにはあまり経済負担の一時に重くならないような方法考えなければならないと思います。ただそこにはそのようなことは、かりに毎月集金にすれば非常に負担は軽くて少なくて済むわけでありますが、非常な膨大な経費を要することにもなりますし、そのような面で現実には非常に、集金のその角度から見ますれば理想だと思われるような形態もなかなか実際に取りにくい実情にありますが、そういった面に今後のラジオ契約維持といったような切実な問題とも関連いたしまして、今後検討し、妥当な結論を得たいと、まあかように考えておる次第であります。
  244. 野上元

    野上元君 私も予算の問題ではこれでやめますが、最後に郵政大臣にお聞きしたいのですが、大臣は二十二日の閣議で米軍のNHK施設の利用拒否の問題について発言されたと新聞に出ておりますが、それは今後大きな問題に発展する可能性があるというふうに、若干センセーショナルに書かれておるのですが、その真意を一つお聞かせ願いたいと思います。
  245. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ただいまのところは行政協定の三条二項の末段によりまして、米軍の方の放送は真夜中に行なわれておりますのでございますが、新協定になりますとこれをどういうふうに取り扱ったらいいか、という問題につきまして新聞記事が出ておったわけでございますが、その記事の中に郵政省としてこれに対する措置を検討していたが、米駐留軍は今後新しい海外放送を継続しようとすれば、NHKに頼らないで他の何らかの合法的な方法を見つける必要があるとの結論に達した、という意味の新聞記事がございますが、検討をしていたと書いてございますが、検討はいたしましたが、まだ検討中でございます。それからまたその記事のうちでNHKに頼らないで他の何らかの合法的な方法を見つける必要がある、との結論に達したとございますが、この点につきましては目下新しい協定の条文を十分に検討しておりまして、むろんこれは合法的な措置をとることは申し上げるまでもないことでございますが、どういうふうな方法にしたらばよろしいかと目下検討している最中でございます。
  246. 野上元

    野上元君 そうすると行政協定にかわる新協定では、米駐留軍がNHKの施設を利用して海外放送を行なう根拠の条文がない、こういうことをあなたは言われたと書いてあるのですが、そのことは間違いないわけですか。
  247. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ないと申したのではなく、今後新協定によります場合に、どの国内法の条章に当てはまるか、それを検討しなければいけない。そうして検討しなければいけないし、現に検討はいたしておりますけれども、どんなことがあっても違法措置は絶対にとることができないのは申し上るまでもなく、従って違法措置はとらない。そういうはっきりした方針でただいま検討いたして米軍とも折衝して参る、そういうような方針になっております。
  248. 野上元

    野上元君 そうすると日本政府としては、国内法をいろいろ検討して、でき得るならば積植的かつ好意的にNHKの施設を米軍に使用させる、こういう方針なんですか。
  249. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) アメリカの方でそれを継続々々と申します意味は、必ずしもNHKに頼っての継続ばかりを意味はいたしませんけれども、さらに継続を希望いたします場合には、国内法による関係法令の範囲内でどういうふうな方法が一番いいか、ということを検討して参る次第でございます。
  250. 野上元

    野上元君 そうするとこの放送は日本が便宜を与えたいのだ、という積極的な意図があるのか、もうこの辺でごめんなんだという意図があるのか、どちならんですか。
  251. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) そのいずれでもございませんので、向うの方で希望いたします場合には、ただいま申し上げましたように、よく法令を勘案いたしまして、また向うの希望は具体的にどういう方法であったらよいか、具体的の方法もあろうかと存じます。そういうふうな程度で進めて参ります。どこまでも受け身でございます。
  252. 野上元

    野上元君 私は、NHKが今日、米駐留軍に施設を貸して放送をやらしておるのですが、そのこと自体が今日中共側から見るとNHKが謀略放送をやっておるんだと、こういう非難が出てきておるというようなことになると、ゆゆしい問題だと思うのですが、その点について今後もあらゆる国内法律を検討して好意的に与えた場合に、NHKでなくても、日本の施設を貸し与えた場合にはまた再びこういう状況が出てくると思うのだが、そういう状況は好ましくないと思うのか、それでもなおかつやむを得ないからアメリカに頼まれたらやらざるを得ないというのか、どちらなんですか。
  253. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) すでに好ましくないとはっきりさように思いましたものですから、二月の十九日以後は、いわゆる神経戦放送なるものをやめてもらいまして、アメリカも気持よくやめまして、単に広報業務しかやっておりません。インフォメーション・サービス――広報業務をやっておる次第でございます。
  254. 野上元

    野上元君 そうすると今後は神経戦放送はもうやめる、ただインフォメーション・サービスにおいてのみ日本の施設を貸し与えるかどうかについて検討を加える、こういうことですね。
  255. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) その通りです。
  256. 森中守義

    森中守義君 ちょっと関連して。私はこれはあとでまた少しゆっくりお尋ねしようと思っておりましたが、今、野上委員質問で大体状況がある程度はっきりしたのですが、これはどうなんですか、長い間藤山・マッカーサー交渉が行なわれてきましたね。その中で新しい行政協定の条文の中にすこぶる明確に、こういうものを規定するとかしないとかいうような郵政当局の意思表示があったのですか。要するに何か明示があって、それで適用条文がどうもはっきり発見できない、こういう偶然が生んだような結果であるのか、あるいは郵政の上からもう神経戦放送はやめるんだというような大臣お話からいけば、進んで外交交渉の中でこういう問題が採用されなかったというようにも考えられるのです。その点、交渉の中ではどういうことであったわけですか。
  257. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 実ははなはだ何ですが、交渉の経過についてこの問題よく存じませんが、今電波局長からお答えさせていただきたいと存じますが、この概略を承知しております。私の立場として知らなければならないことは、これの問題の大づかみな急所であろうと存じまして、その急所につきましてだけ御答弁申し上げますと、現行の協定におきましては、行政協定の第三条二項の末段に、お互いの取りきめによって解決しなければいけない周波数とか電力、それらに類します問題、電波放射の問題、電波に関します問題は相互の取りきめによって解決しなくちゃいけない。ただし「一時的の措置として、合衆国軍隊は、この協定が効力を生ずる時」、つまり現行の行政協定が成立いたしましたときに留保している、従来からもうすでに占領当時から使っております電力とか設計、放射の型式及び周波数の電子装置などは、日本からの放射による妨害を受けないで使用する権利があるのだ、という留保がございますので、現行協定におきましては、その留保条項に基づいてアメリカが現にNHKと約束して、NHKのところで放送が行なわれている。ところが新しい協定におきましては、三条二項の末段に、従来占領当時からずっと一時的の措置として使用しております電力、設計、放射の型式、周波数の電子装置などにつきましての個所は削られておりまして、そして「日本国政府は、合衆国軍隊が必要とする電気通信用電子装置に対する妨害を防止し又は除去するためのすべての合理的な措置を関係法令の範囲内で執るものとする。」と明らかになっておる次第でございますので、この結果を見ますときに、私たちは別に具体的にどういうふうにするかということは検討もしなくちゃいけないし、その検討に従ってアメリカと具体的の約束を今まではNHKにしていたけれども、今度は向こうの基地内でやってもらうとか、沖縄でやってもらうとか、いろいろ合法的な方法があろうと存じますが、これは条文ではっきりしておりますので、別に政府部内におきまして今御指摘のような問題はないのでございます。
  258. 森中守義

    森中守義君 これは安保特別委員会でもう少し外務省あたりに来てもらって深く掘り下げたいと思うのですが、ただ今大臣答弁からいけば合法的とか合理的と言われる。しかも国内法の許容する範囲内でというようなお話なんですね。ところが放送関係には放送法以外にはないのです。しかも放送法三十三条あるいはこれに関連をする国際放送以外にNHKは何かやるのですか。こういうたとえサービス放送であったにしても、あるいは神経戦放送にしても、NHKがやり得る業務というものはちゃんとこの放送憲章ともいうべき放送法の中で明示されている。できないということですよ。それをどこかにくっつけてみて話し合いをしようとか、できるだけやれるようにしようというふうに私は感じる。それでこういうように新行政協定の中に適用条項がなくなってきたということは、むしろ日本放送協会あるいはわが国の立場からいうならば、これこそ岸総理が言うように今回の行政協定は片務的なものから双務的なものに変わったというようなことが、この放送関係に限っては私は成功していると思う。それをあなたのお話からいくならば、研究してみたい、しかも受け身であるけれども研究してみたいということは、適用条項がないのにどこかにくっつけてみて、また神経我放送をやらせようとしているというふうにしかとれない。一体どっちなんですか。
  259. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 放送法の条章も十分政府といたしましては承知しておりまして、放送法にもとるようなことはいたさないのでございます。NHKの存在理由、NHKのあり方ということにつきましても、法の精神を十分勘案いたしましてその措置をとって参るのでございます。NHKに続行させる法的根拠につきまして検討しておりますが、大体におきましてまだ結論は出ておりませんが、まず森中委員の御指摘の通りの結論になろうかと思っておりますが、まだ明確な結論は、アメリカの方の希望や何かすっかり聞きませんうちは、ここに結論申し上げる段階にまだなっておりませんが、絶対に放送法違反とかあるいは電波法違反とかいったようなことをせずに、合法的な措置をして参りますことだけは、明確にここで申し上げることができます。なお詳細は一つ局長から答弁させていただきます。
  260. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) 今、森中先生の御質問で、どういう方針で新協定に当たったかという御質問でありましたが、協定改定の問題につきましては外務省とも再度折ち合わせておりまして、郵政当局としては、こういった現行行政協定とはいえ、いわゆるその経過規定である一時的措置というところ、及び合意書というようなものに根拠を置いて行なうということには、新協定になります場合には、いろいろと疑義を生ずるであろうというので、明確にこういうことができるならできる、できないならできないという線で協定取りきめをしてもらいたいということは、外務省に十分申し入れております。また外務省も当省の意向は十分尊重し、十分認識した上で、これは相手の米軍との関係がございますので、その方との折衝も重ねて提案しております協定という内容になったわけであります。協定文の厳格な法理的な解釈というようなものにつきましては、われわれとしては法制局あるいは外務省と十分折衝しまして、その合法的な線においてわれわれの態度をきめるという段階にございます。
  261. 森中守義

    森中守義君 少し具体的にそれじゃ言ってみますが、新しい二条の一項にこういうことが書いてある。「合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。」、しいて言うならこれ一つです。ところがこの三条では、今、大臣が言われたように国内法の範囲内において云々というようなことになっている。そうなると国内法にはないということです、どこにも。放送法を見てごらんなさい、NHKがずいぶん午前中も春日局長が言われていたような業務、これ以外に一体どういうことをNHKができるのですか――できないじゃありませんか。あなたが幾らどっかにひっかけようとしてみてもできない。結論はきわめて簡単ですよ。だからあまり積極的にやろうとか米軍が話があるならば受けて立とう、そういうよけいなことをお考えになって、放送法の精神を曲げたり、放送法にないようなことをやってもらっちゃ困ると思うのです。これは昨年放送法を改正したときも同様なことが論議された。だからここでもう一つ大臣に聞いておきますけれども、今、私が言ったようなことが御了承いただけるならば、やはり放送法中心にして駐留軍放送ができるかできないかということ以外には、考えないことであるのかどうか、勝手なことを作り出して、これに当てはめようというようなお考えをお持ちであるかどうか。とにかく放送法にはやり得るという条項はどこにもない、その点を一つはっきりしておいていただきたい。
  262. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 実は検討の最後の段階にきておりまして、もうすぐにこれははっきりした最後の結論が関係各省間にでき上ると思いますので、まだそのことをはっきり申し上げなかったのでありますが、森中さんのただいまの御意見通りになるだろうと思いますが、まだその政府の内側で今先ほどから申し上げるように検討いたしております。それで検討したと新聞記事にございますが、まだ検討を形の上で続けておる形でございます。森中委員のおっしゃる通りになるのだろうとは思いますけれども、まだ早すぎるものですからはっきりしたことを申し上げられない、絶対に条約や法令に違反した措置はしない、こういうことだけははっきり申し上げる次第でございます。もうほんとうに二、三日中に、実は予算審議で時間を非常にとっておりますものですから、まだ最終の打ち合わせの会を開いておりませんですが、もうすぐにはっきりいたします。大体それだけお答え申し上げますれば、はっきりとおわかりいただけるだろうと思います。まあお読み取り願えるだろうと思います。
  263. 森中守義

    森中守義君 放送法を所掌されるのは郵政大臣なんです。NHKを監督されるのはあなたなんですよ。だから閣内の意見がどうであるとかこうとかいうのは別問題として、放送法を所掌する大臣としてはどうであるのか、かりにあなたがAと思っていて閣議でBというふうに変わってきても、それはまた変化していく推移の中から問題を明らかにしたいと思うのです。しかし、今郵政大臣として放送法を所掌される、放送事業をあなたは総攬されておるわけだ、その所管の大臣としてどうなんだ、これも答弁できないのですか。  それが一つと、多少意見になりますが、これは外国の場合、NATO、SEATOの場合、こういうことがないと聞いておる。駐留軍が駐留している国の中で、勝手に放送施設を握らしているという国はないと聞いておりますが、この点NHKの方からおそらくこういうことについてはずいぶん御研究もされていると思いますから、野村会長なりあるいは、前田トップ専務から承った方がいいかと思いますが、外国にはこういう実例はない。日本だけですよ、こういうことをやらしているのは。要すれば、放送法を所掌して放送事業を見ている大臣としてどうか。
  264. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 私から先お答えいたします。新協定によりまして、NHKに即座に継続することが全然問題ないと思いますれば、関係各省間の打ち合せも要らないわけでございます。それは御意見通り、非常な疑義があるわけでございます。そうして、その疑義の程度につきましては、私もただいまはっきりした意見をもっております。森中委員と同じような意見をもっておりますけれども、これはよく、私自分のこの意見に対しまして、さらに反省と検討を加えて、最後の段階に政府の思想統一が行なわれるわけでございます。これはもうすぐに行なわれますから、暫時御猶予いただけますればはっきりしたことを申し上げられます。ここまでお答え申し上げますれば、大体問題の帰着は御推察いただけることと存じます。
  265. 森中守義

    森中守義君 まあ非常に物事を推察してくれということなので、そういうことがわからぬでもないつもりではおりますが、ただあなたは何回も申し上げるように、放送法を所掌し放送事業を見られる大臣だから、固有の意見がもうできておらなければいかぬと思う。ことに時間的に、あと二、三日に正式に態度表明ができるというお話をされればされるほど、そういうどこの場面でだれとだれが決定をするのか、それは私は知らない。知らないけれども、そういう決定にあなたの意見がこうである、所管大臣意見がこうであるというような、より積極的な意見の開陳が行なわれて、初めて一つのまとまったものになると思う。だからそれは私も最終の決定場面は、どこでだれがするかわからぬのだから、あなた自身はどうなんだと、こう聞いている。はっきり言ってみたらどうですか。
  266. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 政府で思想統一をいたして参ります。おそらく、まあ御意見通りだろうと存じますから、暫時御猶予願いたいと思います。二、三日なんかかからないかもしれません。一両日中に結論が出ると思います。私はNHKは公共の施設、公共の放送をいたしますのでありますから、NHKの従来の性格からいたしまして、今までは一時的云々の第三条第二項、末段のただし書きに類しました末項がございますので、これはもうNHKの性格いかんにかかわらず、現行のNHK放送、またこの条約が批准に至りませんまでの間のNHKのこの放送行為というものは、これは国内法と同じ効力をもっております。この現行行政協定に基づきましてNHK契約を結び、放送しておることは、これはどんな点から見ましても合法的である、さように考えておりますが、新協定におきます場合におきましては、NHK本来の目的から考えまして、これは非常に検討を要する問題である。そこで私たちは、今政府といたしまして二、三日と申しましたが、一両日中と思いますが、予算が上がりましたら、すぐに関係各省の間でこの問題の最後の検討をいたしまして、統一した見解を御発表申し上げたいと思います。事、国際的にも関しまするので、私が言葉の端々までも、条約関係のものは慎重にお答え申し上げるべきだと存じますので、暫次御猶予をいただきたい、そういう程度でございますから、これでほぼはっきりお汲み取り願ったことかと思います。
  267. 森中守義

    森中守義君 大臣の言わんとするところはわかりますが、ただあなたのお答えの中に、ずいぶん危険な感じがするのですよ。今あなたは行政協定は国内法と同等の効力を有するこういうことを言われた。果してそうですか。条約はなるほど憲法九十八条によって国内法に先んずるという条項がある。ところが行政協定は条約じゃない。政府間の単なる取りきめですよ。国内法というものは、いやしくも国会審議決定したものがこれが国内法なんです。単なる政府間の取りきめを国内法と同等に扱われちゃ困りますよ。だから、そういうあなたが思想をお持ちになっているから、へたをすると国内法を勝手にいじり回わしてみて、それでどの条項に当てはめよう、こういう危険性がある。はっきりしてもらわなければ困る。その点は行政協定と国内法とどちらが先んずるものか、その程度のことははっきりしてもらわないと、やはり放送事業のただ一つの保障されているものは放送法という放送憲章なんです。これ以外に何がありますか。行政協定がこれに先んじますか。だから私はさっきからこの神経戦放送網、駐留軍放送の可否を決定するものは、さっき申し上げたように新行政協定の二条と、三条の末尾にうたってある国内法の範囲内でというこの条項に照らしてみてできないから、だから放送法以外の法律によってこのことをやるようなことはないでしょうね、こう念を押している。その点ももう少しはっきりしてもらいたいのと、それと、大体の方向というのが、私はそういうような観点からやるべきでないという意見の表明をしておるのですが、そういうことが御了承いただけ、また明確にここでそうだと断定できるようなことまでは、ちょっと時期が早いという御意見だけれども郵政大臣固有の意見としては私と同意見というふうに了承してよろしいものかどうか、その点をはっきりしておいて下さい。
  268. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 私は結論から申し上げますと、条約あるいは取りきめ、トリーティアグリーメント、メモランダム、いろいろな名前が国際間のつき合いの上にはかわされます。あるいはコントラクトとか、いろいろな言葉が使われますが、それによってごくわずかの概念上の開きはあるにいたしましても、国と国との取りきめであって、それがその国内において国会審議承認を経ましたものは、これは国内法と国等の効力があり、しかも国内法に優先する場合さえもある、さように考えておりますので、言葉の違いはともかくといたしまして、その国家間の取りきめの内容いかんにあり、またその取りきめをいたしたときの手続いかんにあると存じます。そこで、今回の行政協定の問題、現行の行政協定の問題は、これは協定という字が使ってはございますけれども、これは公布をされて国内に実施されておりますために、これは国内法と同等の効力があると、さように考えております。そこで、新協定におきましても、これは国会の御審議を経て、その承認を得ますれば、新協定もまた国内法と同等の効力を有するものであり、その内容いかんによりましては、国内法を排除いたします場合もあるものである、さように国際法上の通念として考えております。今回の問題は、そういったように、条約にも国際間の取りきめにも関係がございまするので、今、のどから手が出るほどはっきりしたいのですが、申し上げなくても大体森中委員は御推察になられておると思いますが、慎重な態度をとりまして暫時の御猶予を願っておるわけでございますが、結論といたしましては、どんなことがございましても、日本の国の法令に違反したような措置は絶対いたしません。NHKの使命もよく承知いたしておりますので、この国内法規また条約等に違反しないで、アメリカが放送することを承認して参るにはどういう方法があるか、またNHKにやらしますことは非常に困難なことだというふうに考えております。
  269. 森中守義

    森中守義君 甘利局長にお尋ねしますが、さっき私は協会に聞こうと思ったのですが、こういうのは、安全保障関係の条約を結んでいる関係の国々との間にこういうケースがありますか。
  270. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) さっき森中先生がNATO、SEATOにないと、こういうふうに言われたわけでありますが、私も聞いたところではないということでございます。
  271. 森中守義

    森中守義君 NHKはどうでありますか。
  272. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) この駐留軍の放送につきましては、御承知のように、占領時代の遺物と申しますか残滓と申しますか、ずっとそういう意味において行なっておりましたが、私は郵政大臣にも、条約の改定に際して、この問題の善処方をお願い申し上げました。またNHKの事務当局からも、郵政当局へお願い申し上げました。大臣も心よくお引き受けいただいたことでありますから、必ずやいずれ善処していただけるものと期待いたしております。
  273. 森中守義

    森中守義君 非常にはっきりいたしましてありがとうございました。結局協会側としては、こういう疑わしいもの、あるいは占領軍時代の遺物的なもの、いわんや軍略、戦略、こういうものを主たる目的とした謀略放送的なものはやるべきでない、こういうお考えのもとに郵政当局に意見の開陳をされておるということに解してよろしいですね。
  274. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) 実は駐留軍の放送は夜の十二時過ぎにやっておるので、ほんとうに施設の貸与と申しますか、あるいは役務の貸与と申しますか、そういうような機械的のものでありまして、駐留軍の放送内容についてはNHKとしては何にも承知いたしていないのでありますから、いずれにしても放送法の示すところによって、この際善処していただきたいとかように考えてお願い申し上げた次第であります。
  275. 森中守義

    森中守義君 前田理事にちょっとお尋ねしておきますが、さっき甘利さんのお話で、はっきりしましたけれども協会の方でもやはりSEATO、NATOにもこういうのがないというように情報をおとりになっておりますか。
  276. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 実はあまり詳しく調べたことはございません。しかし、御指摘の二つの条約はそれぞれ地域的に別の性格を持っているかと思いますので、そういう問題については条約面ではないのではないか、こう考えております。
  277. 山田節男

    山田節男君 今回出されましたNHKの第一次五カ年計画の第三年度としての昭和三十五年度の事業計画、ここに掲載してある順に従ってNHK当局並びに関係所管大臣一つ質問をしたいと思います。  まず第一に、この計画概説の第一の第一項に書いてある「難聴地域の解消」の問題ですが、過去少なくとも六年間のNHK国会承認を求むる件の計画の中に、「難聴地域の解消」ということのうたってない計画書はないわけですね。しかも私なお記憶いたしておりますが、これから五年前、第一放送においてはもう九九・二、第二放送においては九八・二か三くらい。とにかくあと残り第一放送においては〇・数パーセント、第二放送においても一・五%が難聴区域になる。ずっと今日まで毎年この「難聴地域の解消」ということはうたわれているのですが、もちろんこの第一次五カ年計画が立てられる前においてもこの難聴区域ということは放送法の建前から、NHKの使命からいっても、一日も早くこれを解消するのは当然のことなんですが、この三十五年度の計画書においてもいまだに「難聴地域の解消」ということをうたわなくちゃならぬと、それは一体どこに隘路があるのか。これは常識的に考えれば、いわゆる中継所の増設、電力の増強、そういうようなことで解消できる。初期においてはそうだった。ところが、今日においては外国電波の混信による難聴地区もふえているのじゃないかと思うのですが、一体どうしてこの毎年の計画というのに「難聴地域の解消」ということをうたわなくちゃならないのか、そして残り一・五、あるいは〇・五%というものの難聴地域をなぜこの多年放置しておいたのか、その点を御説明願いたい。
  278. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) この国会に、難聴地域の改善という言葉が出だしました当時の事情を申し上げますと、その当時まあ全国的に電波を拡充いたしますのに、まずもって、全国どこの電波でもいいから、とにかくどこかの局が聞こえるようにということを直接意味した難聴地域の改善、またそういうように計画をもっていくようにという御指示でございましたので、当時の難聴地域の解消というのは、全部、どこか聞こえればいいという意味から、そういう計画を進めたわけでございます。  ところが、その後一つには、夜間の混信がだんだん増大いたしまして、特に螢光灯の普及その他によりまして、雑音が非常にふえております。それやこれやで全国的な難聴地域の改善ということに対しても、かなりまた在来の事情が、いわゆる指定電界による電波の拡充ということが、相当後退しておるというふうな状況もございますが、そのほかに、先ほど申しましたように全国的に、どこかの電波が受かればいいということのほかに、やはり一応の電波が受かり出しますと、その地方の地域々々のローカル放送を、たとえば気象通報とか、学校放送とか、そういった関係でローカル、ローカルの別々の電波を聞きたいという要望が、やはりそれに伴って非常にふえております。  それについてやはり拡充していく必要がありますので、現在その方の計画を進めておるわけでございますが、同時に、しかしながら、今も御指摘がありましたように、今後混信も、さらにふえますし、さらに電波の実際のいわゆるカバレージは別といたしまして、実際に昼間、夜間とも受かるかどうかという問題は、相当心配する点があります。これにつきましては、一面において、ごく小さい無人の局を――これはあまり電波的な擾乱をこれに及ぼさない程度の小さい電波の局をふやしたい。これは無人局でございますが、そのほかに、これは今後郵政当局と十分打ち合わせたいと思いますが、大電力の何局かの電力を、全国的にどこかから出しまして、これは今、昼間は届かないところでも、夜間はこの電波によって混信を避けて、どこか、一つりっぱな電波が受かるというように持っていきたいというふうな考え方で、現在、それに着手したようなわけでございます。
  279. 山田節男

    山田節男君 外国電波による混信によるインターフェアですね、それはどういう、大体今あなたのおっしゃった中波放送の国内の増力、中継の増強、増設以外に、いわゆる外国電波による混信というのは、一体どのくらいの限度で、どのくらいの所が、そういう混信による難聴地域になっているか。これをあなたは調べておいでになりますか。
  280. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 今、ちょっとここに、手元に持っておりませんが、カバレージのパーセンテージは非常に複雑なもので出ませんけれども、実際に被害の起きている局につきましては、もしよければ、ここでちょっと簡単に御説明いたします。
  281. 山田節男

    山田節男君 それでは、数字的のことは無理かもしれませんが、たとえば北海道の江差地方とか、秋田地方、山陰、九州とか、こういったような地域だけでもいいから、ちょっと外国電波によるインターフェア、難聴地域というものを、地域だけでもいいから述べて下さい。
  282. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) ただいまの外国電波の混信につきまして、御報告申し上げます。  私どもの方で、一応混信がきわめて大きい、そういうふうな評価をしておりますもの、これは大体、若干専門的になって恐縮でございますが、その混信を受けます局の電波の強さが五ミリ・ボルト、かなり強いものでございます。こっちの電波が、五ミリボルト程度のところより外では混信をこうむる。別な表現をいたしますと、これは五ミリ・ボルトと申しますのは、いろいろ地形とか、あるいは電波の周波数によって異なりますが、十キロワットの放送局では、その放送局の位置から、三十キロメートルないし五十キロメートル、一キロワットにおきましては、十キロメートルないし二十キロメートルが、その距離の限界点かと思われますが、そのような地域におきまして混信を受けております局は、現在第一放送につきましては六OOKC、これは私ども放送局は、第一放送で使っておりますが、福井、富山、函館、この三局が使っておる周波数であります。次は六六〇キロサイクル、これは、長崎と大分が使っております。それから六八〇キロサイクル、これは防府でございます。それから静岡、これは八八OKCの電波を使っておりますが、これが同様な状況になっております。それから一二OOKCを使っております尾道、米子、稚内、この三局が大体同様な状況でございます。それからもう一つ、長野、飯山、人吉、小倉で使っております一三二OKC、これが同じような状況でございます。  以上は、第一放送でございまして、第二放送につきましては、佐世保で使っております七九〇キロサイクル、防府で使っております八二〇キロサイクル、松江で使っております一三三〇キロサイクル、大体、混信がきわめて大きいと申しますのは、第一放送、第二放送につきまして、以上のような局でございまして、これよりも、若干妨害の程度は低うございますが、大体、これの半分くらいの被害を受けております局が、今申し上げました局と、大体同数の局がございます。
  283. 山田節男

    山田節男君 今説明があったように、外国電波によるいわゆる混信に基づく難聴地域が相当あるのですが、これは郵政省としては、どうでしょうね。たとえば外国電信、電波の強いといえば、沖縄のアメリカのVOA、それから韓国の京城、北朝鮮の平壌、その他モスクワ、北京等で、その強力な電波による何といいますか、難聴地域を作るのですが、中共は、国際電気通信連合の条約に加盟していないけれども、ソ連、韓国あるいは台湾、こういうものは、政府が、いわゆるきわめて近接した国の中における互いの電波を強力にすることによって、正常な聴取ができないということについては、何かの私は外国との折衡というか、これは文化に関することであって、たとえ中共なりといえども、北鮮といえども、このことについては、国内における第一、第二放送を、国民のために完全に聞かせるために、何かの手を打つべきじゃないかと思うのですが、そういうような意図があるのか。  それともまた、そういうようなものに対して、近くそういうものをやりたいとか、そういったような気持はないのですか。
  284. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) 最近、特に外国通信が多いわけですが、相手国というのが、これは推定ですから、はっきりしませんが、主として、日本に混信を及ぼしておりますのは、モスクワ放送とか、中共、台湾、北鮮、南鮮、そういった近隣の関係からの電波と覚しきものになっております。  それで、これらに対しまして、かなり相手がはっきりしたものについては、直接コンプレインも出しますし、またジュネーブの周波数登録委員会等にも通告しまして、それらの調整をはかってもらうように措置いたしておりますが、現実問題としては、なかなかそう簡単になおったのは少ないのでして、一ぺん始まりますというと、相当長期間にわたって、これをとめることがむずかしいというのが現状でございます。  ごく最近も、岡山を初め広島、帯広、こういったところに、モスクワ放送の強力なのが入りまして、これは、日本語で放送いたしておりますから、はっきりわかりますが、こういったもののために、まあこれは民放も被害をこうむりまして、これらの周波数をこのまま置きましては、民放の経営もできないということで、その他NHKの混信状況も、先ほど報告がありましたように、たくさんございますので、そういったものを国内的に周波数を入れかえまして、できるだけ混信を避ける、こういったような方法をとっております。ただ、北鮮、中共につきましては、外務省の意向もございまして、これと直接交渉するということは、私どもとしては面接、現在のところできませんので、常に外務省に対して申し入れをしております。  また、そういうことに対して、たとえばインドといったような仲介国が、そこに立ちまして、交渉をするというようなことも、一、二、例がございまして、私どもとしては、できるだけそういう外国混信に対しては、十分な手を打っていきたいと考えております。
  285. 山田節男

    山田節男君 これは、放送法の第一条の建前からいっても、少なくとも国内放送の第一、第二放送は、百パーセントまでのカバレージを持たせるのが当然の任務なんです。しかし先ほど溝上副会長が言われたように、単に難聴地区のカバレージという問題は、動力など以外に、たとえば螢光灯の使用とか、その他の雑音障害の新しい条件が出て、次々に、そういう状態が現われて、難聴地域のカバレージが百パーセントにならないという御意見のように理解するんですが、これは、やはり今、電波監理局長が言われたようですが、相手のある、特に隣接国家が、強力な電波を発射することを中止しなければ、これはもう、今その第一放送、第二放送のいわゆる外国電波の混信による相当広範な地域の聴取者というものは、いつまでたっても、この難問を解決することができないわけです。  そこで外国の政府が、外国で早急にこういう問題の解決を進めることはなかなか不可能なことだと思います。しかしながら、こうしてNHK受信料を払ってやっている者は、こういう難聴に満足させるということは私はいけないと思うんですね。それならむしろ、中波によらないで、短波であるとか、FMであるとか――これは、もうヨーロッパは、すでに中波の放送というものがほとんど不可能になって、あるいは極超短波になってきているのですが、これはNHKの公共放送の建前からすれば、民放はいざ知らず、NHKは、こういう、もう宿令的な、当分解決の見込みのない難聴地域に対しては、そういったことも私は考える必要があるんじゃないか。再び質問をしますが、FMの問題にしても、一体、そういうことを勘案してやるべきじゃないかと思うんですが、こういう点、どうですか。
  286. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 現在の標準放送の波のかわりに、短波ないし超短波を使ってやる方法はどうかという御質問でございますが、短波につきましては、在来もいろいろ研究いたしましたけれども、これをNHK放送を聞かせるための短波というものは、非常にまあ適当でない、それは、何とかして聞こえるという意味ならば、短波も使えないことはございませんけれども、非常に不安定でございまして、距離的にも非常に不規則でございます。同時に、時間的にも非常にフェーディングが、多いものですからどうしてもいい放送を、きちんと規則的に聞かせたいというためには、短波の方は、不適当だろうと考えております。それから、超短波の方は、これはFMでやるわけでありますが、これにつきましては、今の見通しといたしましては、あるいはかなりの将来におきましては、もちろん技術的には、現在のAMによる中波よりも、FMによる超短波の方が技術的にすぐれておるわけでありまして、それに移行する時期がくるとは考えておりますけれども、これは、非常に受信機その他の問題で、大混乱を起す問題である。それで、われわれの方の一応の考えとしましては、まず前提としてFM技術、あるいは受信機、そういうものを相当程度、その前に普及させておいた上で、その問題を、さらにあらためて研究する必要があるかと思います。その目的のために、一応現在は、第三放送としましてFMを発展させて、その上であらためて別途の考えをしたいと考えまして、FMの実験を現在やっております。たまたまわれわれの考えました以上に、大へんな申請が出ておりますそうで、郵政省の方で、それをどう処理するか、FMをどう処理するかということについて、現在御研究のようであります。
  287. 山田節男

    山田節男君 これに関連して、今FMの問題が出ましたが、郵政省にお伺いするのですが、このNHKの来年度の予算をみると、FM放送に対して、相当な予算を計上して、しかも東京、大阪ほか十局を計画しておるわけですが、その中で、従来いわゆるVHFでやっておったものをUHFでやる、こういうようなことが考えられておる。  これは郵政省に伺いますが、FM放送は、もう今度はUHFでやるのだということ、これは確定の政策として、天下公知の事実となっているのかどうか、その点をお伺いいたします。
  288. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) まだUHFでFMをやるという方針は、全然立っておりません。ただ、VHFでやるFMというものは、現在かなり可能な状態になっておりますが、要するにFMに対する需要が、将来、どういうふうになるかという見通しと関連しまして、もしチャンネルのたくさんとれるUHFが使えるということになりますならば、チャンネル・プランとしては非常に楽になるということが考えられますので、そこの技術開発がまず必要ではなかろうかという私ども考えでございます。  そうしてVHF並びにUHFが特にFM放送に対して非常に適当であるという結論になりましたならば、次は広告がどうなるか、あるいは教育放送がどうなるとか、いろいろなFMの利用面の検討をいたしまして、そこでもって、チャンネル・プランを立てて免許していく、こういう順序になると思います。
  289. 山田節男

    山田節男君 そうすると、NHKの三十五年度のFMは、たしか十局、UHFでやるというこの方針は、今の甘利電波局長説明によると、必ずしもFMのいわゆるUHMの放送は、まだオーソライズされたものではない、こういうふうに私は聞こえるのですが、なぜNHKとしては、先ばしったとは申しませんが、VHFをことさらにUHFに切りかえるのか、その理由をお伺いしたい。
  290. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) お答え申し上げます。  ただいま山田先生は、FM十局と申されたようでありますが、三十五年度の計画におきましては、ここの予算書にも書いてあります通り、東京、大阪においてUHFによる実験局を開設する、こういう計画でありまして、その十局と申しますのは、五カ年計画における何年間かの数のことかと思います。  そこで、現在NHKにおきましては、東京と大阪におきまして、VHFによるFMの実験放送をやっております。それで先ほど電波監理局長お話もありましたように、現在多数のFMの申請局を処理するためには、現在のFMに考えておりますVHF帯電波のみでは、こういうふうなチャンネルはとれないだろう、将来はUHF帯のFM放送というものも、当然考えなければならぬであろう、そういうような方向に向かっておりますので、NHKといたしましては、将来全国的に、FMの放送網を考えます場合、VHFだけでなくて、UHFのFM放送というものも、当然必要となってくるかと考えられますので、三十五年度におきましては、在来のVHFのFMの実験放送に加えまして、UHF帯によるFM放送の実験局を開設したいと、かように考えおるような次第でございます。
  291. 山田節男

    山田節男君 最初に申しましたように、難聴地域の解消ということは、もう毎年のことであって、将来また三年も五年も、こういうことが継続されるということは、これはしようがないといえば、しようがないのですけれども、やはり公共放送の建前として、そう七年も、八年も、毎年の新事業計画に難聴地域の解消ということをうたわなくちゃならぬということは、これは非常に私は残念だと思う。これは決してNHKの、それがための努力が足りないというのじゃなく、やはり政府による一つの構想によらなければ、こういうものは解決しないという部面ももちろん私は了承しますが、もう少し今申し上げたような、たとえばFMを利用するとか、あらゆる技術を利用して、応用して、少なくとも、百パーセントのカバレージが、もう私は実現されていいのじゃないかと思います。これはそれで、私は打ち切ります。  それから次に、例の受信料の問題ですが、この問題については、もうすでに私は七、八年前から申し上げているように、放送法第三十二条に基づくNHK受信料徴収ということは、昭和二十六年に、ラジオの民間放送ができて以来、これは将来必ず問題になることだからと言ったのですが、自来、もうすでに足かけ九年たっておるにもかかわらず、NHKは、これに対して断固たる手段をとらない。また、郵政省も、これに対して先を見通して――今日あるようなことは、これはもう、はっきりしておったのです。しかるに、じんぜん日を暮らして、今年度を見まするというと、来年度の予想では、ラジオが約二百六十万徴収できない。そして、昨年のラジオ聴取料収入が百六十億六千三百万幾らになっております。来年度を見まするというと、約五十億の差ができておる。  こういうような状況を見ればもうNHKラジオ経済というものは、われわれが予想した通りに、しかも急テンポに、このことが進んでおる。先ほど野村会長は、この四月から受信料の問題について、根本的な一つ検討をするようになると、こうい御発言がありましたけれども一体これは、歴代郵政大臣も、こういうNHKテレビがふえたといえ、やはり財政収入からいえば、大きな基幹をなす財政収入に対して、今日まで、こういう事態になることは明らかに予見されるにもかかわらず、ほったらかしておったということは、これはNHKの最高当局なり、あるいは郵政大臣責任は、私は、これは重いものがあると思うのです。  そこで郵政大臣にお聞きしますが、かような公共放送が、ラジオ経済に関する限り、少なくとも一つの危機に面しておる。将来このままでいけば、改善される見込みがない。年がたてばたつほど悪くなる。こういう状況下におきまして、一体受信料というものに対して――ラジオ受信料テレビもありますが、一体どういうお考えを持っておられるのですか。まづ郵政大臣一つ、お伺いしたい。
  292. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 物の値段を決定し、また料金を決定する問題は、非常に経済界――いろいろな方面との関連もございますし、また、心理的にも非常に関連がございます。たとえば八十五円という数字だと、なかなか集まらないものが、場合によりますと五十円に下げると、かえって非常に総額が上がる場合もあれば、逆に百円に上げますと、総額が非常に上がる場合もある。百円札一枚出せば楽だけれども、八十五円という中間の貨幣を支払うということは、かえって受信者のいろいろな心理的影響等がある。非常にこの問題は、むずかしい問題であろうと存じます。  それからまた、料金政策につきまして、これをどういうふうに確保、徴収していくか、その逋脱をどうやって免れていくかということは、非常にむずかしい問題であるけれども、いろいろな考え方があろうと存じます。具体的にも私も、この問題はさっそく省議を開き、NHKからもおいでいただいて、そうして、この予算問題その他郵政関係重要法案の御審議が済みましたならば、すぐにもこの問題にとりかかりたいと存じます。私自身も、多少の具体案を用意いたしておりますので、それらも検討してもらいたいと存じます。  ただいまの御意見通り、まことにNHKの存立は、広告料というものがございません。受信料一本やりでございますので、この問題については、責任上、私も十二分に検討を重ねまして、行政監督をいたして参る所存でございます。
  293. 山田節男

    山田節男君 今の郵政大臣の御答弁ですね、きわめて抽象的であって、もう、そういう段階じゃない、これは。現に昨年と今年では、五十億のラジオ聴取料の減収を来たしているわけですね。ですから、もうこのことは、一昨年の放送法の一部改正のときも、当委員会で盛んに論議されたのです。これはテレビといえども、今日上り坂にあるけれども、しかし、私は必ず今日の状態でいけば、民間放送が盛んになればなるほど、ラジオと同じように解約者がふえてくることは当然です。  これは、NHKの最高責任者にお聞きしますが、この問題について、もう私は踏み切っていいのじゃないか。従来NHKは、これは外国の例で申せば、受信機税にするか、あるいは聴取する免許料としての料金を払うという形式にするか、とにかく、何らかの手を打たないと、必ず今日の事態に至るぞということは、もうすでに私は五、六年前から申し上げている。にもかかわらず、NHKの内部が、悪くいえば、安易に流れてしまって、解約防止に努力するということが、ここにもうたってありますが、これは幾ら努力しても、宿命的なものですから、もっと本質的な解決策、対策を練らない限り、この問題は防げるものじゃない。これを悪くいえば、NHKが従来、特殊法人としてのなにを自分らがやりたいと、こういったような努力をされておることは認めます。しかし、この放送法の第三十二条の建前からすれば、民放の数々の放送がされる限りにおいては、これはNHK契約していないから受信料を払わないのが当然である、これをあえて強権的に払えということは、NHKとしては言えるものじゃない。もう数字においても、これほど膨大な、いわゆる解約数になり、減収において五十億という、昨年に比べて、これほどの差ができております。  NHKとして、もう踏み切っていいのじゃないかと思いますが、この点に対する御見解は、どうでしょうか。
  294. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) 受信料の問題については、今朝当委員会におして、私の所信を申し上げたいのでありますが、今、山田委員から、NHKが、この受信料の根本的改革について真剣に考えねばならぬということを言っておったにもかかわらず、なお考えていない、安易に流れているというおしかりがあったが、決して安易ではありません。真剣に、ものを考えておりまして、そうして、このNHKの性格を、いかにして守っていくか、ただ、徴収方法だけでなしに、このNHKの性格を守りながら、そうして国民の皆さんの御期待に沿うような施設、番組等をよくしていくか、日夜この点に関しては苦慮いたしておるのでありまして、安易とか何とかいうことは皮相のお考えであって、これはどうか、返上さしていただきたいと思います。
  295. 山田節男

    山田節男君 これは私、多少言葉が過ぎたかもしれませんが、少なくとも、私五、六年前から、このことは申し上げておるのです。それでNHKは、なかなか踏み切れない。  一体これを打開するのは何であるか、今、会長がおっしゃるように、番組をよくするということはもちろんです。サービスをよくするということで非常な魅力的なものにして視聴者をふやす、満足さして、金を喜んで払う、もとよりこれも一つ方法である。同時に、もっと積極的な解約防止方法もやれ、これも現にやっておられる。かなり効果的にやっておられるけれども、しかしこれは、根本的問題じゃない。私から申せば、もうNHK受信料を確保するためには、結局やはりヨーロッパ諸国がやっておるように、具体的に、これはもう一つの税金あるいは税に類した聴取免許料ということにして、強制的に徴収しないと取れるものじゃない。ことに放送法第三条の建前から、幾らあなたたちが努力されても、解約されるのは当然のことなんです。民放というものがふえてくればくるほど、払わなくなるということは当然なんです。  私、現地で一、二の例を聞きますと、ラジオの解約者は、NHKは聞いてないから、金は払わない、しかしテレビは、月に三百円、年間三千六百円であるが、これはどうも済みませんと言って、催促すると快く金を払う。ラジオに至っては、もうこれは聞いてないのだし、聞いても、NHKはあまり聞かないのだからというので、金を払わない。むしろ解約者の方で、相当な理由を述べて解約するということを実地に見たり聞いたりしているわけですね。  そういうことになりますと、これは幾ら現在の制度で、NHKが努力なさっても、こういう状況は、ますます悪化するばかりなんです。昨年度の事業計画においても、解約防止には積極的な努力をする――大いにされておる、されておるにもかかわらず、三十四年度に比べれば来年度は二百五十八万という契約解除を予想して数字を残しておられるのですから、このことは、雄弁に物語っておると思う。私が、もう少し思い切って踏み切れというのは、今までの放送法による、いわゆる特殊法人としての受信料徴収するということは、受信契約という文字が削られない限りは、NHKとしては、財政の保証ということは、ラジオ経済に関しては保証されてない。ですから踏み切れということは、やはり具体的にいえば税金ないしは税金に類したものにして、そうしてNHKが、それを徴収するか、あるいは英仏のごとく、郵政省がこれを徴収して、強権的に受信地であるいは聴取免許料という形で、強制徴収する。そうして今日も、全体のNHK聴取料のおそらく四割強というものは、郵政省関係徴収しているのですから、NHK受信料というものは、全額郵政省で取らして、そして五%なら五%、英仏におけるがごとく、五%は徴収料として政府が取り、あとの九五%をNHKに与える、この方が、NHKとしたら収入の確保という点からすれば、これは、もう非常に安全な方法なんです。のみならず、片一方では、これほどラジオ普及し、放送業者が公共放送と民放とふえておるのですから……。しかしながら、これを受信機を持って聞いているものは、なるほど政府に払わなくちゃいけない、こういう建前から収入を確保した方が確実なんですね。それをなぜ踏み切れないのかということを私は申し上げたい。私は決して怠慢であったとは申しませんけれども、壁にぶつかっているものを、幾ら手で鉄筋コンクリートの壁を破ろうとしても破れないのですから、むだな努力です。今日これは数字が示している。  ですから、先ほど植竹郵政大臣が、自分も多少の具体案を持っておるということを言われましたが、これは、私は希望になりますけれども、こういう数字を、年々ラジオ経済に関する限り悪化する数字を、われわれにお示しになる、これは宿命的なものです、現状からすれば。これを、いかにチェックして、いかに打開するかということになれば、これは、もう少し私は抜本的な、従来のNHKというものの、これに対する考え方を、もう革命的なものに一つされないといけないという意味で申し上げておる。なぜ憶病であり、慎重であるのかという意味で、私はイージー・ゴーイングだと申し上げたのであって、決して侮辱した言葉じゃございません。少なくとも野村会長として、このことはあなたが御就任になってから、宿命的なものです。
  296. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) この問題については、私しばしば申し上げた通りでありますが、お互いが約束を守り、規則を守って、それを行なっていくというふうになることを望むのでありまして、ただ法律を変えて、規則を変えて、そして法律や規則で縛っていくというようなことは、最後のことでありまして、今日の段階においては、法律や規則を変えないで、皆さんがお互いの約束を守っていくように、そして守ってもらうように、われわれが努力していくことが、今日においては必要ではないか、かように考えておりまして、ただ法律や規則だけを変えて、これが抜本的な改正だとか何とかいうことは、私としては、今直ちには賛同いたしかねますが、この四月以降には、じっくりこの問題に取り組んでいって、そうして客観情勢をもよく勘案して、落ち着くところに落ち着かしていきたい、かように考えております。せっかくの山田委員の御忠告でありますが、私は法律、規則だけに頼りたくない。お互い同士が信じ合って、世の中が、円満に穏やかに進んでいくように仕向けていきたい、かように考えております。
  297. 山田節男

    山田節男君 野村会長のお気持は、よくわかるのです。しかしながら現実の、これは商業放送ではもちろんない、公共放送としても、いわゆる経営については、あなたに責任がある。やはり入るをはかって出ずるを制しなくちゃならぬ、これは、もうそのために、われわれのところに承認を求められておるのですから。  しかし、今のあなたのような道義的なことを、もとよりこれは美しい言葉だけれども、ここに現に、われわれに配られたものを見ましても、三十三年において、受信契約者の数からの普及率を見ますと、三十三年度は八一・三%、三十四年度は七一・三%、三十五年度に至っては六六・五%、おそらくこのままでいくと三十六年度におきましては五〇%を下るかもしれない。しかし、なおそれをもっても、これは法律や規則ではない、道義によるのだ、それを払うような、みな気持にならなくちゃならぬという、この気持は、非常に尊いものですけれども、経営者としては、そういったような、かすみを食ったようなことを言っておられない。とにかく収入を確保しなければ経営できないのです。そこに現実の――あなたの、理想主義者としてはいいけれども、経営者という現実に向かっては、いかに収入を得るかということに真剣でなくちゃいけない。  ですから、そういうようなお気持だと、来年度あなたがお出しになって、もう五〇%になりましたと、いえたこっちゃないじゃないですか、これでは、もう時期を失するのですね。もうすでに一昨年ごろから、こういったような普及率は、年々下ってきているのです。  そこを私は申し上げるのであって、あなたのお気持は尊いけれども、この膨大な一つの公共放送陣をあなたが率いていらっしゃる上においては、道義というだけでは、現実の問題として、解約者はどんどんふえるのですから、何か防止する方法の根本的なものを考えて実行に移すというだけの踏み切りをしませんと、あなたが責任のあるNHKというものを、収入の面において、非常な何といいますか、困難を招来する。それからテレビも、これはまだ、三百五十万前後ですけれども、これが今、大体予想されるように、来年度になって五百万を突破し、おそらく六百万くらいになってくるというと、現在の放送法の三十二条の規定でいえば、テレビジョンの視聴者の解約者も、どんどんふえるものと予想しなければならない、これが悲しいかな、日本の道義というものは、レベルが低いのですから、テレビジョンも、そういう頭打ちして、どんどんむしろ逓減されるということになった場合においては、一体このテレビラジオ受信料収入で経営しているNHKの財政というものは、どうなるかという問題をわれわれは憂えるわけですね。  ですから、そういう点から見ましても、これはもう一日もすみやかに、現在の受信料をどうするかということ、これは政府当局と真剣に取り組み合って解決しませんと、このNHKの経済というものは危機に瀕する、信号を今これは受けているものである、こう私は断せざるを得ないのです。過去ずっと、少なくとも十年の歩みを見ますと。ですから、この点は、もう道義の問題は重要ですけれども、現実の収入、収支というものを重視すれば、そういうようなことでは、現実の問題として解決策にならない。  だから、一つこれは、思い切った経営委員会なり、あるいは郵政大臣と、一つ私から申し上げるように、転換をされて、このNHKの経済というものは、一つの破綻に瀕する状態になるであろうということは、これは、私はもうはっきり申し上げる。だから、郵政大臣に申し上げておきますが、この問題は、歴代郵政大臣に申し上げておるけれどもNHKが、やはりなかなか踏み切れないために、郵政省措置ができない。この点は、公共放送を守る建て前から見て、郵政大臣としては、これに対して警告を発するだけじゃない、もっと協力的な態度をもって、やっぱり根本的に、これはNHKとしては、なかなか自分としては踏み切れない事情があるだろうと思うのです。だから、むしろ政府が、これに踏み切れという一つの具体方策を示して、何も、それがために郵政官僚がいばるとか、郵政官僚のNHKを支配下に置かれるだろうというような、こういう、私は心配があるのじゃないかと思う、これは私の臆測ですが、問題は、それ以上に深刻な問題ですから、郵政大臣から、一つ積極的にNHKに激励されて、一日もすみやかに受信料の問題に関する、受信料の根本的解決をやることは重要だと思います。この点は一つ、重ねて申し上げます。  次に、国際放送の問題ですが、来年度の予算を見ると、九千八百万何がしというものがふえてきますが、先ほど、前田専務の御説明がありましたが、来年度は十七方向、二十九時間、戦前におきましては、今の倍くらいな国際放送をやっておったのですが、すでにNHKが終戦後国際放送を許可されたのは、二十七年であったように記憶します。間違っていたならば御訂正願いたいが。そういたしましても、少なくとも今日まで八年間経過しているわけです。ですから、今日は戦後じゃなくて、もう平時である。経済、産業におきましても、もう戦後経済じゃなくて、平時の経済ですから、国際放送も、毎年五百万から六百万円程度のものを大蔵省から交付金を増額する、こういうようなやり方、それからNHK自体も、国際放送に対しまして、毎年一方向か二方向ふやしていく、こういうようなことでなくして、先ほども言われましたけれども、むしろこれを二十五方向、五十時間、少なくともNHKの第一次五カ年計画として、国際放送に対する五カ年計画というものを、戦後の国際放送じゃなくて平時の独立国家としての国際放送でなければ……。こう毎年、少しずつの、なしくずしの国際放送の充実ということは、私は、どうかと思うのですが、この点に関して、なぜ、こういうピース・バイ・ピースのような、なしくずし的な国際放送の増強をやるのか、思い切って、方向をふやさぬのか。こういうようなことは、政府としても、私は当然考えるべきことじゃないかと思うのです。  この点について、NHK並びに郵政大臣の御見解を承りたい。
  298. 前田義徳

    参考人前田義徳君) NHKの国際放送計画が、毎年非常に小規模であって、戦前と比べますと、雲泥の差ではないかという御意見でございまして、この点は、根本的には私どもも全く同感でございます。  国際放送は、一時敗戦によりまして、占領下とだえましたけれども、国際放送の過去の歴史を通算いたしますと、大よそ二十五年にことしはなります。私どもは、これは午前中の各委員の御質問の中にもございましたが、現状において、NHKの使命からいって、国際放送は、かりに政府の命令がなくとも、日本国民を――などと、おこがましい表現でございますが――日本国民を代表して、世界に日本の立場を理解していただくという建前からも、ぜひやるべきことの一つである。こう考えておりますし、また同時に、去年の放送法の改正によりまして、「第九条の二」におきまして、国際放送は、NHKの本来業務の一つということがはっきり法制上もなっておる次第でございます。  そこで、ここ数年間、国際放送は、政府の金によってやるべきではないかという御意見もございましたが、NHKとしては、先ほど申し上げたような建前から、できるだけNHK方針としても、これをやるべきだという考え方で、明年度は御承知のように、はなはだ山田委員からお考えになりますと、御不満かと思いますが、十七方向、二十九時間という線を打ち出して参りました。で、少なくとも、今後二、三年、最長私どもは五カ年後のことを考えておりますが、その際には、方向としては最低十八方向、時間にして一日延べ三十五時間を考えております。この限度は、現在のNHKの財政規模及び今後数年間、ただいま山田委員も御指摘になりましたような、いろいろな環境を切り抜けて、五年後に予想されるNHKの財政規模というものを勘案しながら、少なくとも明年度御審議を願っている予算の二割増しくらいの範囲で、ただいま申し上げた十八方向、一日通算三十五時間の放送を実現して参りたい、このように考えているわけでございます。  ただ、戦前の編成方針と、三十五年度以降の編成方針は、内容において大きな変化がございます、戦前の国際放送方針は、非常に簡素で、簡単でございまして、要するに国際社会の地域を単位と考えまして、その地域を細分することによって、これに放送時間を割り当てていくという考え方でございました。従って方向の数は非常に多く、その方向の数に比して、放送の総量はきわめて少ないといううらみがあったと考えております。この点を是正いたしまして、方向においては、現在の国際社会の実情から見て、それほど細分する――、できればこれにこしたことはございませんが――必要はないのではないか。従って、大体、世界全体を十八方向ぐらいに分けて、ただ放送時間とその内容を改善していくという考え方でございます。  この考え方の中には、先ほど来申し上げておりますように、戦前の方向別時間を一応基礎にはしておりますが、全世界向けの、いわゆる同時放送をも取り入れて参る考え方でございます。国際放送は、もちろんニュースであるとかあるいは日本を中心とするいろいろな事情の紹介、あるいは文化の交流、あるいは経済発展に資し得るような放送、あるいはまた海外におられる日本人、または先祖を日本人としている方々のためにも、特殊の放送をなさなければなりませんが、国際放送本質は、何といっても国際社会における日本の実情を、正確なニュースと、それを裏づけする解説を中心として行なうべきではないかという考え方を要約いたしまして、その意味で、全世界サービス、これを私どもはゼネラル・サービスと呼んでおりますが、これを強化して参りたい。  従いまして、ただいま御審議をいただいております三十五年度予算におきましても、一方向プラス四時間の時間増をしておりますが、その一方向に伴う基礎的放送時間は、韓国向けの一時間でありまして、他の三時間は、アジア全域についてのゼネラル放送を強化するという考え方でございます。少なくとも、今後数年間の財政規模を予想しながら、しかも効果ある放送を行ない、かつ国際社会の現状に即して、方向を大別していくという考え方に立って、今のような計画を心の中に描いている次第でございます。
  299. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) 郵政省といたしましては、ただいま前田専務理事から述べられましたような方向並びに方針を、全面的に支持いたしておるわけでございます。  ただ政府交付金が非常に少ないという点が問題でございますが、これは国の財政ということも、もちろんございます。また一面、こういった国際放送なるものが、あまりに官営国営というつながりを強く持つことも、実際問題としてその効果の面からいいましても、非常にまずい点もございます。だからといって、交付金を渋っているということではございませんが、われわれとしても、相当額これに対して予算を認めてもらうように毎年努力はいたしております。  しかしながら辛うじて十六方向各一時間ずつのきわめて貧弱ながら、何とかそれをサポートするだけの予算を交付しているわけでございまして、今後といえども、これの増加増強に対しては、できるだけの努力をするつもりでございます。
  300. 山田節男

    山田節男君 これはたしか、放送法の第三十五条だったと思いますが、いわゆる国際放送に関する支出は国庫が負担することになっている、この委員会でも、しばしば論争されたことなんですが、今年度において九千八百余万円、そしてNHKは三億七千なんぼですか計上しておられるようですが、国のそういう放送法の建前があるにかかわらず、三割弱のものしか補助金を出さない、しかしこれは、全額国庫負担するからというので、何もこれは官営というのじゃないので、ロンドンのBBCのごときは、昨年度におきまして、約六十数億の金を全部国庫負担で海外放送をやっているわけです。  ですから、こういう点においても、どうも歴代郵政大臣が大蔵当局に対して、相当の政治折衝をしてくれておるのでありましょうけれども、結果においては、ほんとうに三割にも満たない交付金しか出せない、ここに私は、岸内閣の外交政策なんというのじゃなくて、日本国としての一つの国際親善あるいは国際の理解という見地からいっても、あまり、こういう点について金を惜しみ過ぎておる、これは官営化するというよりも、むしろそういう方面に金を出すことを惜しむということが、結局、そういうものに対する理解が少ない。  念のためにお聞きしますが、三十五年度の九千八百万何がしということが決定しておるようですが、郵政省としては、大蔵省にどのくらい要求して、これだけに削られたのか、減額を一つお聞きしたい。
  301. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) われわれの理想として申しますれば、約二億くらいのものが予算として認められれば、命令を出した放送に対して、かなり効果が上げられると考えて折衝いたしましたが、残念ながらこのような額になっております。
  302. 山田節男

    山田節男君 時間があれば、私もう一つカラーテレビジョンの問題ですが、これは、まあ問題の植竹郵政大臣もおられるから、幸い、NHKに対して質問するのですが、過日も、カラーテレビジョンの問題でNHKの溝上副会長から、見解の表明があったのです。たまたま当日NHKの三十五年記念祭で配られたパンフレットに書いてあるのと違うじゃないか、こういう野上委員からの指摘もあったのです。御承知のようにヨーロッパ、いわゆる公共放送の建前をとっておるところにおきましては、カラーテレビジョンについて、非常に慎重な態度をとっております。しかるに昨今NHKも、カラーテレビジョン放送等が開始されることになれば、これに、いつでも対応できる態勢を整えなければならぬ、こういう態勢を急いでおられるように聞いておる、私はやはり公共放送であれば、今問題になっておるようなカラーテレビジョンですから、むしろ公共放送の建前としては、カラーテレビジョンには、より一層慎重にやるべきである、実験放送をすでに、もうNHKの場合において、五年くらいになるのではないかと思いますが、VHF放送の実験放送も、すでに満三カ年くらいになっていると思いますが、公共放送の建前からいえば、これは少なくとも、溝上副会長も言われた技術的な立場から、この計画をお考えになって、公共放送であれば、なおさら一層慎重にやってもらいたい、こういうお考えになるべきではないかと思うのですが、この点に対する御見解を承りたい。
  303. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) カラーの問題につきましては、先刻も申し上げました通りNHKとしては、慎重にやっておるつもりでおります。現に予算でもごらん下さっている通りに、いわば実験放送延長という状態でありまして、決して民放がやるからNHKがこれに、バスに乗りおくれてはいかぬというような、そういう考えは持っておりません。  しかしカラーテレビが許されて民放がやるときに、NHKだけがやらぬということは、公共放送として、われわれとして国民の皆さんに相済まぬというような考えを持っておりまして、決してバスがとまっておるだろうか、走っておるだろうか、そんなことは考えておるわけではありません。  いわば実験放送の延長という意味において、三十分のものを一時間くらい、しかもできるだけ量よりも質において、皆さんの御期待に沿うようにいたしたい。これが公共放送としてのわれわれの使命ではないか、かように考えておるわけであります。
  304. 山田節男

    山田節男君 このNHKから提供された第一次五カ年計画のを見ますと、カラーテレビジョンにおいては、この計画年度の終わる三十七年度においては、カラーテレビジョンを大体、一日三時間程度放送するようにするという計画を示されております。  これは申すまでもなくNHKとすれば、そういう特殊なカラー放送にいたしましても、本放送を開始すれば、これはあまねく普及する方法をとらなければいかぬわけです。ただ大都会だけというわけにはいかない。それともう一つは、これは私どもは、テレビジョンの開始と同時に、NHKの経済は、ラジオ経済と、テレビジョン経済と別個にする、これはよその国でも、そういう例がある。今回こういったようなことで、もしカラーテレビジョンの本放送を開始する、これは野村今会長は、実験放送の強化と言われますけれども、しかし一日に三時間という放送を目途としておやりになるのは、これはもう実験放送じゃなくて本放送になる。  そうなりますと、このカラーテレビジョンの所要の費用というものは、私は大体原価計算をしておられると思うのです。これは通常の白黒テレビジョンなんかに比べますと、放送費用あるいは送信、受信は、これはもちろん受信者の負担だから、これは問題じゃないが、送信、プログラム、番組、こうなりますと、アメリカに例をとりますと、少なくとも四倍ないし五倍の費用がかかる。そういったような、わずか限られた数のカラーテレビジョン受信者に対して、そういう莫大な金を使うということはNHKとしてどうかと思わざるを得ない。これは、野村会長もお会いになっておることと思いますが、一昨年BBCの会長が参りました。そのときに私は、つぶさにこの問題について意見を交換しました。やはりBBCという公共放送から言えば、これはあまねく放送しなくちゃならないが、それには金が要る、技術が不十分だ。そこに自信が持てないし、また同時に経営の責任者とすれば、非常な隘路を感ずる、こういうことを言っておる。  NHKは、実験放送を強化するとおっしゃいますが、この第一次五カ年計画を見れば、おそらく三年後には、一日三時間、これを放送なさるのです。そういたしますと、従来の白黒テレビジョンとラジオ収入経済によるものが、このカラーテレビジョンという、一面から言えば、非常な金のかかるものを背負うことになる。こういう点から見まして、カラーテレビジョンも、公共放送の建前で、これは当然やらなくちゃならぬという気持が、私は、むしろ公共放送として、逆じゃないかと考える。その例は、英国にあり、西ドイツにあり、フランスにあるのですから。――そういう気持でないというように、私は感じるものですから、御質問申し上げておる。  これは溝上副会長にお伺いしますが、これは技術的に、経費的に見て、ここに一億八千万ばかりのカラーテレビジョンの費用が計上してありますが、もし、かりにこれが、今年の下半期において、カラーテレビジョンの本放送が開始されるということになった場合、一体この予算は、どうなるのですか。この点をお伺いしたい。
  305. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 先ほど会長が申し上げました通り、われわれといたしましては、いろいろ慎重に研究いたしまして、その一つとして、この前申し上げましたように技術的には、どうやら実験の段階の最終段階になっておる。あるいは実施の段階の第一の段階になっておるというふうに考えまして、これが技術的の状態であります。  それを判断の一つのファクターとして全体を考えていただいて、今回、もしも実際に本放送に踏み切るということがあれば、現在、日に三十分行なっております実験放送を、来年度は、いずれにいたしましても一時間にふやすつもりでおりましたから、その予算を、そういうふうに充当いたしまして、形式としては、本放送でございますが、経費の点では、そう大きく変化なし。――と申しますのは、今は、実験放送番組は普通の放送の時間以外の時間に組んでおりますけれども、本放送になりましたならば、白黒の番組と同じものを白馬にも出しますし、カラーにも出すというわけで、その点は、NTSC方式の非常に利点である点が利用されて、かえって経費は安くなる、かえってその分、時間が若干増せるという状況にあるわけです。  しかし今後何年かたって、それをどういうふうに増強していくかという点につきましては、一応三時間ということも考えておりますけれども、これらは、今後の協会の経営の規模に応じまして、順次最も妥当な線できめていきたい。かりに三時間になりましても、三時間まるまるやりましても、六億程度番組の経費でございますから、それほど膨大に協会の経費に影響するということもございませんし、また全国の各局が、それぞれカラーのカメラを持って、いわゆるほんとうのローカルをやろうと思うと、大へんな経費になりますけれども、これは当分の間NHKのネット・ワークを利用いたしまして、東京、それに将来といたしましては、かりに大阪なら大阪というところから全中の番組によって、なるべく広い範囲で、もし御希望があれば、カラーの放送も見られるようにするという考えでおりますので、施設の点もほとんど今の受像機のままで利用できますので、格別費用はかかるまいと思います。  同時に白黒の受像者に影響のなるべく少ないように、これは経費の点も、もちろんでございますが、白黒を見ている方にも、カラーと同じ番組が出ますから、それが在来よりも画質の悪いというようなことがあっても大へん申しわけございませんので、この点は十分気をつけて、百黒の受像者に経費の点で、また番組内容等におきましても、御迷惑をかけないように慎重に、同時にまた、進め方に関しまして、経営規模を十分検討しながら増強していきたい、こう考えております。
  306. 山田節男

    山田節男君 カラーテレビジョンの問題については、また後日、日を改めて問題として、予算案関係なしに、御質問申し上げたいと思いますから、これ以上申しません。  次に、ラジオ並びにテレビ放送番組の問題ですが、近来ラジオにしても、テレビにしても、民間放送NHK放送番組は、非常に頻似してきた、似てきた、ほとんど差別がなくなった、こういうことをよく言われる。今度ラジオ聴取者の解約申し込みがふえたのも、こういったことが原因をなしているのではないかと思いますので、そういう見地からお尋ねしますが、たとえばラジオ放送も、先ほど田辺さんから御答弁がありましたが、第一放送、第二放送とあり、FM放送を第三放送式のものにすると、さっき御説明がありましたが、これほど民間のラジオ放送が類似し、場合によっては重複した番組までやるということになれば、私はやはり公共放送の建前からすれば、事業計画の二項にも書かれているようですが、NHKの公共放送の特色を現わそうという御努力は十分買います。しかしながら結果は、今言ったように、民間の放送と区別がどこにあるかわからぬということになると、先ほど野村会長から御答弁がありましたが、これを聞く人々のパーセンテージの少なくなるのは、当然のことです。むしろ音楽とか、ニュースに集中していく、これによって、ラジオ存在価値を示すというのが、大体ただいまの国際的の状況だろうと思います。  そういたしますと、今行なっている第一放送、第二放送というものは、むしろ今の節一放送に第二の一部を加えて、そして第二を、いわゆるBBCがやっているような、いわゆる中波放送による高度の第三放送的の放送をやる方が、いいのではないか、FM放送は、これは申すまでもなく、非常にカバレージが小さく、UHFでおやりになるのは、これは一般的でない。しかしながら、それを今のBBCの第三放送式にして、全体の聴取者の五%まで持っていくというのは、これは大へんなことだと思う、むしろ第三放送を民主化するというような意味で、大衆化する意味ならば、従来NHKのやっておられる第二放送を第三放送化し、あるいは教養番組は、もっと高度の教養番組を組む、こういうことにした方が、今日巷間に言われるような公共放送と民間放送番組の差別が非常に薄くなったということの、私は批判にこたえることじゃないかと思うのですが、この点に関して、御意見を伺いたい。
  307. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 山田委員お話通りの印象が、巷間に充満してきているということは、私どもも非常にはっきり印象づけられております。  しかし、商業放送番組と、NHK番組が全く類似のものであるということにつきましては、私ども考え方では、ある程度、同じメディア、同じマスコミの同じジャンルにあって、しかも大衆を相手としている放送である限り、ある程度やむを得ないのじゃないかという考え方は、率直に申し上げて、持っております。また、商業放送の発生の過程において、大体NHK番組を標準として製作が開始されておるという、非常に短かい期間ですが、ここ十年間の歴史的な過程から見ても、そのようなことが、特に日本においては印象が強いということも私どもは痛感いたしております。  しかしながら、NHKは、商業放送とは全く別の建前にあるという点で、皆さんの御承認を経て、現在のような、ラジオにおきましては、第一放送と第二放送を並行して実施しておるわけでございますが、第一放送につきましては、調和のある番組、しかもいかななる種類の番組を通じても、家庭生活もしくは個人生活にプラスになるという考え方で、芸能番組にいたしましても、娯楽番組にいたしましても、そういう点に重点を置いて製作し、かつ放送を実施しているということは申し上げられると思います。  ただ、ただいまの山田先生の第二放送と第一放送をある程度再調整して、現在の第二放送をBBC的な、より高度の教養を内容とするいわゆる第三放送的なものに変えてはどうかという御意見に対しましては、これは私どもといたしましても、全く御同感でありまして、ここ二、三年来の編成方針は、特に従来もそうであったのですが、特に、その方向に転換しつつございます。  たとえば、第二放送におきまして朝の「教養大学」あるいは「国際教養大学」、あるいは夕方の七時から八時を中心として、一時間にわたり、いろいろな特殊の教養番組、学校放送はもちろんのことでございますが、そういう方向に、毎年重点を入れて番組編成方針をきめ、またその方針に従って番組を製作いたしております。  第一放送につきましても、おそらくお聞き取り願っておると思いますが、たとえば、朝、放送開始から、少なくとも九時前後に至るまでは、ほとんど全部が、かなり高度の、社会生活に必要な、あるいは社会環境を描き出す番組を、いろいろな形で出しております。  それからまた、夕方の時間におきましても、たとえば午後三時前後までは、一般に家庭にある主婦及び幼児を対象としておりますが、その時間以後におきましては、あるいは地域生活に直結する広報番組、あるいは啓蒙番組、あるいは小学校から帰ったあとの児童、その他に対する教養番組、あるいは実用的な番組をゴールデン・アワー直前まで組んでおります。それからまた七時からは、御承知のように、これは四月四日からは多少変更はございますが、おおよそ三十分間にわたって、ニュースを集中いたしております。それからまた、第一放送につきましては、この予算を御承認いただきますと、四月四日から各ゴールデン・アワーにおきましても、三十分ごとに、ニュースを挿入するという考え方を持っております。また東京だけでお聞きになりますと、いかにも各種の強力な商業放送と差異がないという印象が非常に強いかと思いますが、全国的に見ますと、従来のローカル放送の強化を、さらにこれに機動性を持たせまして、各地域ごとにローカル番組をふやしていくという考え方を、非常にはっきりさせて参っております。  根本的に申し上げますならば、第一放送と第二放送の性格の再調整については、全く御同感でありまして、私どもは明年度をスタートといたしまして、さらにその方向に一歩前進いたしたいと、このように考えておる次第でございます。
  308. 山田節男

    山田節男君 この件に関しまして、ちょっと郵政大臣の所見を伺いたいのですが、最近、非行少年、いわゆる不良少年といいますか、非常にふえている。かなり凶悪な犯罪を、きわめて年少の者が犯しておる。この影響は、やはりテレビの影響だということが、しばしば言われておるわけです。もちろん民放業者も、上映するテレビ放送用のフィルムには、相当の私は意を用いていることはわかる。しかし最近の、教育者等が、近来起こる数々の年少者の凶悪犯罪の動機は、やはりこのテレビによるものだということをしばしば言っておる。  そこで、放送の建前から申しましても、あるいは業者の建前から申しましても、できれば、これを自主的に、いわゆるプレス・コードを生かして、ほんとうにいいプログラムを上映するということになればよろしいが、しかしテレビに関してはラジオとは違いまして、かなりプレス・コードというものの適用といいますか、関心が薄いのじゃないか。そこでむしろこういうものに対しましては放送前に、これは昔の官僚的な検閲というようなことは言いませんけれども、何かの特殊の機関を設けて、どの業者でも、とにかく国内にこれを放送する場合においては、一応の検閲と言っては、誤弊がありますが、事実上、カットすべきところはカットする。こういったようなことが、今日の放送業者の状況から見ますと必要じゃないか。  こういうものに対して、何か一つ意見をお持ちならば、あわせて御説明願いたいと思います。
  309. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ただいまの御質問の中にあります御意見につきましては、私は、全面的に同感でございます。  先ほど来貴重な御意見を拝聴いたしておりましたが、NHKと民放の問題などにいたしましても、これは民放の方が、NHKに近寄ってきて、同じようになってしまった、そんなふうに思われます。そうして今日のただいまの御質問の一番の要点であります検閲という言葉は、私も山田委員と同じように差しひかえますが、番組の指導につきましては、これは自主的に番組審議会ができて、そこで十分に審議して運営されておりますので、監督官庁としては、それに信頼いたしまして、今日のところ、自主的運営に待っておるわけでございます。  どうも民放とNHKとの場合には、番組内容が御指摘の通り同じようである。しかもコマーシャルが非常に上手になって、あの広告放送が短かい。イラストレーションが、非常に上手になった。ところがNHKの方にはイラストレーションがない。コマーシャル、必ずしもしつこくはないので、非常におもしろく、教育放送がときどき入ってくる。ときによりましては、どうも少し濃厚過ぎるというふうに感じられる場合もあります。そうしてコマーシャル自身といえども、私はこれは教育と申しますか、教化と申しますか、あるいは科学的、思想的エキジビション――展示と申しますか、そういったような要素も含んでいくべきだろうと思います。朝なども聞いておりますと、これはずいぶんひどいなと思われますような奇声を発したようなコマーシャルもございますけれども、あまりそれを具体的に指摘いたしますことは、いかがかと思います。ただいまの御意見は、全く御意見通りでございまして、私はこの番組の今後のあり方につきましては、いま一段と番組審議会でもって、山田委員の御意見を尊重されまして、りっぱな放送をさらに開発していっていただきたい、さように考えております。  結論といたしまして、今日のNHKのやっておられます番組などは、私もずいぶん事こまかに、興味を持っておりますものですから、しかも責任を感じておりますわけでありますので、テレビにしてもラジオにしても、これをよく聞いておりますが、今日としては、私として特に指摘するものもない、またローカルの問題につきましても、山田委員の御意見もございましたが、まことに今日では、ローカルをたくさん取り入れられておる。ローカルの放送時間というのは、ごく短くてもいいから、ローカルティが方々に区分されて、あっちの地方の問題も、こっちの地方の問題も織り込んでいるというような今日のやり方に対して、私は敬意を表して、いつでも聞いておるような次第でございます。まことに山田委員の御指摘の通り、今後も監督行政の上において、万遺憾なきように努力を続けて参る所存でございます。
  310. 山田節男

    山田節男君 最後に、専業計画の(四)の業務関係の中に「テレビジョン難視地域における共同受信施設対策」というようなことをうたっておるのですが、今日いわゆるテレビジョン、これは公共放送、民間放送いずれにも通ずることですが、いわゆる難視地域ですね、私設のいわゆる中継といいますか、高いアンテナを作っちゃって、そうして安いものは一万、場所によりますと三万円というような金を出して、共同受信施設をやっておるわけです。それでNHKとしましても、やはりテレビジョンの難視地域を解消することは、これはラジオ以上に経費もかかることでありますし、従って、また時日もかかることであろうと思うのですが、ここに示されておる共同受信施設の対策というのは、具体的に言えば今年度の計画、来年度の計画は、どういったような工合におやりになるか、具体的に、一つお示し願いたい。
  311. 春日由三

    参考人(春日由三君) お答え申し上げます。  今の御指摘のテレビジョンの共同受信施設というのは、三十四年の十月一日現在の調べで、全国に三百二十二カ所ございます。これは非常にふえていく傾向にございます。この三百二十二カ所にぶら下がっている世帯数の総数は一万四千二百十二、十月一日現在の調べでございます。これは傾向としては、毎年百三十カ所程度ふえて参るということになりますので、将来相当の数になるだろうと考えるのでございますが、三十五年度において考えますことは、この施設の新旧の度合いに応じ、また五年以前ぐらいにできて、すでに一部改修しなければならぬというようなものもございますし、それから、一施設にぶら下がっておる世帯数の大小にもよりますので、それぞれの金額は、必ずしも平均化いたさないわけでございますが、総予算一億五千万円程度を計上いたしまして、こういうふうなむずかしい共同受信施設に対しまして、技術指導をする、あるいは古くなった設備の一部の取りかえの助成をしてやる、新しいものの場合には、技術指導と設備の器機の一部助成、古い施設に対しましては、改修補修の技術指導と、ただいま申し上げましたように、設備の器機の改修費の一部を助成する、あるいはさらに施設者及び当該地域の業者を対象とした技術指導の講習会をやるというふうなことを考えております。  この一億五千万円余りの予算のうち、改良費に充てますものを約一億二千万円考えておりまして、先ほど申しました施設のうち、三十五年度は、とりあえず百二十カ所程度に対して、一施設三分の一くらいの負担になると思うのでございますが、百万円程度を平均に考えて、改良費を見よう、それから技術指導につきましては、その残りの講習会関係で九百万円程度、それから指導改善が三千万円程度、こんなふうな考えでおります。
  312. 山田節男

    山田節男君 そうしますと、今申しましたように、民間のいわゆる何と申しますか、有志が、たとえばその付近の三十あるいは四十の視聴者を見込んで、いわゆる特に高いアンテナを作って、受信を可能にする、こういう民間のやることは、そのままにしておいて、今、春日君の言われたようなことが、今ここに示されている、テレビジョンの難視地域の解消といいますか、共同受信施設をやるのだ、そういうふうに了解していいのですか。
  313. 春日由三

    参考人(春日由三君) 施設の主体が、どういう、たとえば村全額であるとか、あるいは何とか組合であるとか、あるいはラジオ商、テレビ商が中心になっていく場合とか、いろいろの場合がございますが、先生のおっしゃるように民間の有志がやったやつはのけておいて今後できるものにやるという意味ではございません。すでにありますものも、これからできますものも合わせて全部、その規模及び古さ新しさの程度に応じて、適当な助成なり指導をして参りたいと考えておるわけであります。  と申しますのは、実は業者の方々は、先生がおっしゃった高いアンテナを作ってという場合でも、NHKに事前に相談をいたしまして、ここならこの程度の施設をすれば、共同受信ができるというところは、こちらから積極的に従来ともアドバイスなり技術指導をしているわけでありますが、それだけでなしに、たとえばはたして技術的に、それが見えるかどうかわからないのに、あえてそういうことをするというケースも絶無ではございませんので、できるだけ全国の集約している地帯で共同受信にするということにすれば、そこが見ることができるというふうな地帯を、全国的に調査をいたしまして、すでにあるところはもちろん、これからそういうことを奨励すれば、かなり安い施設費で、みんながテレビジョンを享受できるというふうな地域をつかんでおりますので、それに徐々に指導もし、奨励をして参る、できた分も、これからの分も、あわせて考えたい。そのうちとりあえず三十五年度は、ただいま申しました百二十施設ぐらいを対象に一施設平均百万円、こういう考え方で予算を組んでおります。  これを具体的に実施いたします場合には、各局の、あるいは各地域の実情に応じまして、いろいろのケースが出て参るだろうと思うのです。
  314. 山田節男

    山田節男君 これで、もう一問ありますが、一応終わります。
  315. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 本日のところは、本件の審議は、この程度にとどめたいと思います。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時十九分散会