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1960-03-22 第34回国会 参議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十二日(火曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     柴田  栄君    理事            鈴木 恭一君            手島  栄君            松平 勇雄君            森中 守義君    委員            最上 英子君            谷村 貞治君            安井  謙君            久保  等君            鈴木  強君            野上  元君            山田 節男君            奥 むめお君   国務大臣    郵 政 大 臣 植竹 春彦君   政府委員    郵政政務次官  佐藤虎次郎君    郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君    郵政省電波監理    局長      甘利 省吾君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   参考人    日本放送協会会    長       野村 秀雄君    日本放送協会副    会長      溝上 けい君    日本放送協会専    務理事     前田 義徳君    日本放送協会専    務理事     田辺 義敏君    日本放送協会専    務理事     小野 吉郎君    日本放送協会総    務局長     赤城 正武君    日本放送協会経    理局長     春日 由三君   —————————————   本日の会議に付した案件郵政事業及び電気通信事業運営並  びに電波に関する調査  (カラーテレビジヨンに関する件) ○放送法第三十七条第二項の規定に基  づき、国会承認を求めるの件(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより開会いたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  質疑の通告がございますので、これを許します。
  3. 山田節男

    山田節男君 前回の逓信委員会植竹郵政大臣カラーテレビジョンの問題についていろいろ御質問申し上げたのですが、実は過日の委員会で、たしか十七日だったと思いますが、私は大臣にこの委員会で、これは私が当日主として質問を申し上げたのですが、おそらく、他の委員もそうだろうと思うのです。カラーテレビジョンを本放送するかどうか、それの予備行動として、電波監理審議会諮問するかどうか、これはまことに重大なることであるから、私はまだ質問も完了しておりませんので、この質問が済んでから、郵政大臣並びに岸内閣十分一つ考え願って慎重にやってもらいたい。それに対して植竹郵政大臣も、慎重を期してやる、こういう御発露があった。しかるにその翌日、十八日にカラーテレビジョン木免許について電波監理審議会諮問をなさったということを私は承ったのですが、これは事実かどうか、一つお伺いしたい。
  4. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 事実でございます。
  5. 山田節男

    山田節男君 過日、私、この質問が未完了のままで時間が参りましたので、一応打ち切ったのですが、そのときに私は、今申し上げたことをるる郵政大臣に申し上げた。少なくともこの委員会においてカラーテレビジョンに対する——これは私ばかりではありません。他の意見のある委員もたくさんいられるのでありますから、そういう論議を尽くした上で電波監理審議会に諮られることをお願いするということを申し上げたのです。しかるに、今、大臣の御発言によれば、電波監理審議会に十人目にかけた。このことは、私は、少なくともこの立法機関中枢機関である常任委員会委員がそういうことをお願い申し上げて、大臣も慎重に取り計らう、こういうあなたのお約束が、かようにもたやすく裏切られるということは、これは私はとても信じられないのです。なぜそういうように、本常任委員会を無視してまで諮問にかけられたか、その理由一つ伺いたい。
  6. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 当委員会に対しましてはむろんのこと、国会に対しましても、むろん御意見を十分に尊重いたすべきであることは申し上げるまでもない次第でございます。ただいま、国会立法機関中枢としてといろお言葉のございました通りに、まことに私もそのように存じまして、尊重しておるわけでございます。このカラーテレビ電波監理審議会にかけますことにつきましては、行政担当者といたしまして、電波監理審議会にかけることはその時期であると考えまして、御説のございました後にも、十分に慎重に考慮いたしました上、それはやはり時期的に見ましても、十八日の電波監理審議会諮問はすべきである、その段階と存じまして諮問した次第でございます。
  7. 山田節男

    山田節男君 理由を今お聞きしているのですが、なぜそういうように国会の、いわゆる立法機関としての中枢機関常任委員会委員が発言し、これに対して大臣が、これを行政主管者として、慎重にやりますと、今のような大臣の御答弁では、これはこの間のいろいろな質問応答を繰り返したとちっとも違わないのです。ですから、理由は何ですか、どうしてそういうことをおやりになったのか。
  8. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) それは行政担当者といたしまして、行政問題と考えまして、私の責任において諮問いたした次第でございます。
  9. 山田節男

    山田節男君 その行政的処置として、もちろん、あなたは行政責任者でありますけれども、理由はどういうわけでおかけになったのか。
  10. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) あの日に諮問いたしますことが、時期的に考えまして適当である、妥当である、さように判断いたしまして諮問いたしました。
  11. 山田節男

    山田節男君 その時期の妥当性と御判断なさった理由を私は初めからお聞きしているのです。
  12. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) たびたび諮問の手続はとっておりましたけれども、だいぶ諮問を慎重に考慮いたしておりましたので、おくれがちになっておったのでございますが、各委員活動の状況と、出席等の御都合とか、諸般の情勢を考えまして、また、諮問しても行政上尚早ではない、さように勘案いたしまして、十八日をもって諮問いたした次第でございます。
  13. 山田節男

    山田節男君 これは具体的に大臣理由をおっしゃらないから、私が言わなくちゃならぬけれども、なぜお急ぎになるかというと、実は私、この間もはなはだ失礼な言葉ですが、あなたに申し上げたのです。電波行政に対してもっともう一歩高い見地に立ってお考えにならないと危険です。これはあなたは、はなはだ失礼ですけれども、大臣になってから一年にならない。一体われわれが電波の三憲法として、電波監理委員会設置法放送法電波法を作ったときに、この電波監理委員会はなぜああいったものを作ったかといえば、この電波予備免許ということは、これは単なる行政権だけではない。何度も言っているが、司法権行政権立法権、この電波監理局という郵政大臣の内局であるこれも問題になったのです。電波監理委員会を廃止するときに、電波行政はもう立法司法行政、この三つの分権を総合的にやらなければならぬという特殊性のある行政なんです。ですから立法機関としても、これはもうほんとうに重要なんです。私らが非常に重要な意味を持っているというのはそこなんです。われわれ立法者として、当然電波行政に対して慎重にやらなければならぬことは、それは大臣も慎重ということを言われるが、われわれ立法者立場に立っての慎重と、行政者立場に立っての慎重と、意味の度合いは多少違うかもしれませんが、これは同じことです。先般本会議でも申し上げましたのですけれども、一体テレビジョンのチャンネル、周波数バンドをあなたはこうお分けになるということ、また、今回テレビジョン方式、これはVHF帯で新たな周波数バンドを使うのじゃないということは、これはそうでしょう。しかし、これは少なくともこの電波周波数帯というものは、いわゆるスペクトル、これは国民共有財産です。これをあなたがお預かりになっているのです。これをいかに有効に分配するかということは、これはもうあなたとしては非常に責任があると思います。しかるに民間に放送、ラジオ、後ほどテレビジョンを免許して以来、もう利権化してきている。そういう傾向にあればあるほど、郵政大臣としたら、これはもう総理大臣以上の責任がある。私は本会議でも申し上げておるのですが、これは前任者寺尾君でも、その前の平井君にしても、その前の田中角榮君にしても、これはおのおの優秀な人です。しかしながら、日本がやたらに放送事業というものを誤解しまして、一もうけしよう、利権化しよう、一方においてはマスコミ独占化マスコミ資本主義経営の一番悪い、自由主義経済的なこの悪弊が電波争奪戦に現われている。これはあなたも、ああして大臣室にいらっしゃれば、毎日おそらくそういう目におあいになっていらっしゃるのじゃないかと思います。ですから、そういう意味で慎重におやりなさい。あなたも慎重にやりますということを何回も明言をされております。しかるに、あなたは岸内閣行政担当者なのです。われわれは立法者なのです。電波法を作っているのは、そんな簡単なものではない。それをなぜあなたがお急ぎになるかということが、これはどうしても私にはわからない。わかるように御説明願いたい。しろうと扱いにしてもらっては困ります。
  14. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) あなたは御意見通り立法者でいらっしゃり、私は行政担当者として行政をつかさどっておりますので、行政担当者といたしましては、立法を尊重しなければならない。国会の作られました法律を順守いたしまして、その法律に基づきまして行政を担当している。そしてその行政担当者といたしまして、その法律に適当した行政活動をしていく。そしてその行政活動の途上におきまして、合法的に、しかも、もう法律にのっとって、これを諮問にまで持ち運ぶ段階にきたと、さように判断いたして諮問いたした次第でございます。
  15. 山田節男

    山田節男君 それでは私の質問に対しての御答弁になりません。そんな人をしろうと扱いしちやだめですよ。私はこんな言葉は使いたくないのですけれども、もう少しあなた冷静にもう一つ判断願わなくちゃいかぬ。お急ぎになる理由はどこにあるのですか。それをはっきりおっしゃって下さい。あなたが今ただおっしゃるようなことじゃ、私に対する答弁になっていない。
  16. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 私はたびたび申し上げます通り、急いでいたとは考えません。むしろ就任以来ずいぶん時日を経過し過ぎたぐらいに、むしろ私の在任期間から見まして、結論がおそきに失したと考えましても、早過ぎることはない、尚早ではない。私はさように判断いたして諮問にかけた次第であります。
  17. 山田節男

    山田節男君 あまり人——私は少なくとも国会議席を十数年持っておるのです。あなたもそうでしょう。昭和二十二年から議席を持っておられて、相当国会運営についてはよく御存じのはずです。そんな答弁で私が満足するか、また、それで答弁になるかどうか、それは御判断がつかなくちゃならない。それじゃ申し上げますけれども、一体あなたはそういうふうにお急ぎになる、自分判断でやるとおっしゃるけれども、少なくとも自民党党員じゃないですか。輝内閣一員じゃないですか。一体この問題について自民党政調会にしても、一致してあなたのとらんとすることに対してもう賛成しておられるのか、ないのか、どうか、それを一つお尋ねいたします。
  18. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) これは党の内輪のことでございますので、この委員会におきまして答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
  19. 山田節男

    山田節男君 この答弁もおかしい。あなたは、少なくとも岸内閣ですよ、自民党与党じゃないですか。あなたがそんな、少なくとも自民党政調会という堂々たるものがあって、外交問題、安保問題、どうですか。結局のところは、ああいうめちゃくちゃなことになっちゃったけれども、結局党議でまとめようとするじゃないですか。これはあなた、政党政治というのはそんなものじゃない。それから党内のことだとおっしゃいますけれども、ここへ何人もおられる自民党諸君に聞いたって——新聞に出ているじゃないですか。この事実を前に、私は今日の多数を持っておられる与党政調会が、こういう重大問題について、専門家がたくさんおられるんじゃないですか。われわれ野党が言うのはむしろおかしいと思う。与党で少なくともこれはやろう、全会一致で押えておるのならまだしものことですよ。自民党出身自民党内閣一員としてそういうようなことでは、これは私は穏当でないと思う。それはもう答弁になりません。あなたが自民党を脱党していらっしゃるならとにかく、そうじゃないんですよ。れっきとしたあなたは自民党党員です。大臣である上に、党籍を離脱されておらないのです。今あなたのおっしゃるようなことだと、政党政治を否定するものじゃないですか、御答弁になりませんよ。もう一ぺん御答弁願います。
  20. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 政党政治を否定してはおりません。ただ、党内のことにつきましては、常任委員会におきましては、これを答弁申し上げることを差し控えさしていただきたいと申し上げましたのでありますが、これは党の方では党の機関にむろん諮っております。その上でこういうふうな措置を講じたのであります。党で諮ります段階につきましては、問題によりましては、どの段階結論を出す、また、この問題についてはこれこれ、これこれの機関に諮って結論を出すといったように、それぞれのことが、案件によりまして、党におきまする諮り方も違うのであります。この問題は党にも諮りまして、ただいま御指摘のありました岸内閣閣僚の一人といたしまして、総理大臣にもこれを諮った結果、処置をいたしました。ただ、それらはすべて党内のことでございますので、立法機関でございます当常任委員会におきまして、そこまで詳しく申しあげるのはいかがかと思って差し控えていたのでございますが、御指摘がございましたので、ただいま答弁申しあげたようなわけでございす。
  21. 山田節男

    山田節男君 結局、今の大臣の御答弁では、党議としてはもう一致しなかったという意味ですね。党議は一致していないけれども、自分自分の信念で、岸総理と相談をして決行するのだ、こういう意味ですか。
  22. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) さようではございません。党の適当な機関に諮りまして、それで自分結論を実施に移した次第であります。
  23. 山田節男

    山田節男君 どうもわかりませんが、党議にかけて、お諮りになって、党議で一致した承認のもとにこれを決行するのだと、こういう意味でございますか。
  24. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 党の適当な機関に諮りまして結論が出ましたので、その結論に基づいて諮問に移した次第であります。
  25. 山田節男

    山田節男君 適当な機関とおっしゃる意味も、これは私はわかりませんけれども、他党のことについてとやかく私は申し上げる意味ではない。少なくとも政党政治である限りは、各政党は今日政策を持ち、それを国民に訴えて、そうして国民の多数の票を得たものが内閣を作る。こういう建前ですから、あなたは自民党党員であり、岸内閣一員である以上はもう当然、適当な機関ではない、これは党議にかけて、その承認のもとにおやりになる、これはどの政策を見てもそうじゃありませんか、今われわれ審議せんとする電話の五カ年計画でもそうじゃありませんか。これはむしろ自民党が作ったようなものじゃないですか。そういうようなことからいいまして今あなたの、適当な機関にかけてとおっしゃることは、要するに政調にかけて、少なくともその部員の方々全会一致承認を得てそうしてそういう電波監理審議会にもかけるという、急ぐ理由をそこに置くのだ、こういうように私解釈してよろしゅうございますか。
  26. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) おおむねその通りであります。党の適当な機関に諮りまして、さらに関係閣僚に諮り、総理大臣にも諮りまして、その結論が一致いたしたところで諮問に付した次第であります。
  27. 山田節男

    山田節男君 これは私もうこれ以上申し上げません。よその党のことですから申し上げる資格もないし、また、申したくもありませんけれども、今大臣のおっしゃることは、少し事実に反すると思うのです。しかし、それはそれでいいです。あなたはそういう責任を持っておやりになるのですから、それ以上そういう意味でこれをおとめすることは、私はする権限もないし、また、する理由もないのですからしませんけれども、しかし、これはもう常識となっているように自民党の中にいわゆるいろいろな派閥がある。毎日々々われわれ新聞で見せられている。その一派閥の適当な——それを適当な機関とおっしゃるのかもしれませんけれども、しかし、私はそういうことではいけないと思うのです。これは要らぬお世話かもしれませんけれども、そういうような根拠であなたが急がれるということが、これがほんとうにいいかどうかですよ、私はそれで、この問題はこれ以上いたしません。しかし、今後の質問にこれは常についていく問題になるだろうと思います。一体、この間の十七日の委員会で私、あるいはおわかりにならなかった点もあったかもしれませんけれども、これは鉄道を狭軌にするか広軌にするかという、これ以上の問題です。今日もう約四百万近い黒白のテレビジョンが今成長の過渡期にあって、そうしてカラーテレビをなおやるということは、これは私は何としてもうなずけない。しかし、これはあなたはわからぬとおっしゃる。だから群集を悪くすれば、全く私に言わせれば狂人に刃物を持たせるようなことになるということまで私は申し上げた。  それでは私は次の質問に移りますが、今回電波監理審議会諮問される八TSC式がいいということは、一体だれからそういう保証を求められたのですか。あなたはしろうとでエンジニアではない。
  28. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 先ほどのまず派閥云々の御指摘に対しましては、派閥機関にかけて結論を出したのではございませんから……。(「はっきり言ったらいいじゃないか」と呼ぶ者あり)党の適当な機関にかけました。私は、これは党の内輪の問題でありますので、あえてここで申し上げることは差し控えたいと思います。それからただいまのNTSC方式につきましての、専門的にどう考えたかということにつきましては、どこに相談したかというふうなことにつきましては、郵政省の中にその専門の局があることは御案内の通りであります。その局を通しました。むろんあらゆる機会を利用いたしまして、この問題についての検討を加えたことは申し上げるまでもないのでございますが、たとえば海外におきましてこの問題を、短時日ではございましたが、これも研究いたしましたり、また、国内におきまする各方面意見を折に触れて聞きただしましたりして、その結論に到達したような次第でございますが、ことに最も重要視いたしましたことは、カラーテレビ調査会結論に、第一回、第二回の中間報告を尊重した結果でございます。しかし、むろんそればかりではございません。ただいま申し上げました通りに、各方面意見を徴したのでございますが、なおこの問題につきましては、電波監理局長専門家来ておりますので、郵政省内におきまするNTSC方式までに踏み切りますまでの経過、考え方等電波監理局長からお答えさせていただければなお仕合わせだと思います。十分御納得いただけるかと存じます。
  29. 山田節男

    山田節男君 これは、今の第一の御答弁について私今さらとやかく言いたくはありませんけれども今あなた、派閥とか何とかということでなければ、少なくとも、衆議院は私はよく知りませんけれども、参議院常任委員会、これは前次官をしておられた方が二名おられる。その他逓信関係に多年従業員として活躍されておられた方々もおられるのですから、ですから本委員会は少なくともあらゆる分野からこれは論議尽くされる、私は理想的な権威ある委員会だと思うのですね。今あなたか適当な機関とおっしゃれば、少なくとも、むしろここにおられる参議院与党委員皆さんは、もう多年これは私たちもおつき合いしているけれども、非常な該博な経験の深い方々です。そういう方々なり、合いらっしゃる方々にも十分御了解を得てあなたはそういう挙に出られたのかどうか。これは今大臣の御答弁がありましたから、私は、重ねてくどいようですけれども、その点一つ伺いたい。具体的に一つ答弁いただきたい。
  30. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 御意見等も伺いました。
  31. 山田節男

    山田節男君 その御答弁どうですか、今申し上げた点について。具体的に申し上げますと、こういう権威ある方々おられるのですから、これの少なくとも与党皆さんにお話し合いになって、もうよかろうと、もうおやりなさいと、こういうバックがあるのかどうかということをお聞きしているのですよ。本人おられるのですから、はっきりおっしゃりなさい。
  32. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 御審議願いました。(「結果はどうなのだ」と呼ぶ者あり)結果におきまして、党内相当機関にさらに相談いたしまして、それから結論を出したのでありまして、この内輪のことでございますから、党のまとまりました結果だけを今申し上げた次第であります。
  33. 山田節男

    山田節男君 これは先ほどの森中君のちょっと変な質問にしても……。それは大胆としてこの常任委員会をどう見ておるか、やらせる法案について早くやって下さい。これは歴代の大臣政府もみんないらっしゃられます。しかしこれはあなたやられるやられぬということは、利益問題であって、われわれそんなことで、それをやるかやらぬか、そういうことはありません。しかし、今あなたのそういう御答弁によると、少なくともこの当委員会常任委員長与党常任委員長じゃなかったじゃないですか。委員長がその問題について……。まだNHKの予算もある、電電公社の少なくとも来月一日から実施しようという画期的な電話増設の問題もあるのです。そういうさなかにおいて、こういうようなものに、私からいえば全く邪道です。そういうものが一体どうなるかということもあなたお考えになっていない。単独審議はできやしません。こういうようなことで、委員長なりあるいはこういう老練な与党諸君に対して、何ら私は御了解ないのじゃないかと思う。何となれば、われわれに一つも頼むこともない、カラーテレビジョンを早めてくれ、私は賛成だというようこと聞いたことありません。はなはだ過言ですけれども、そうしますと、今までのこの問題に対しての参議院与党というものは非常に冷たい。なぜ冷たいかというと、第二院としての良識があるからだとうぬぼれかもしらぬが、私はそう考える。それをなぜ急ぐかというと、御答弁によると、適当な機関にかけて承認を得た、さっきの御答弁では。私はどうも頭が変かもしれないけれども、私はあなたの御答弁で納得できません。そう言うことは、むしろ本委員会を愚弄するものです。これは憲法に、国会法にある常任委員会ですよ。そこで大臣がそういうことをおっしゃるのはいけない。ですから、大臣申し上げますが、昨日の岸総理大臣が、浜田電波監理局長に昨年の六月四日午後七時、蒲田赳夫君が泣き落として、君やめてくれ、寺尾君だけではいかぬから君やめてくれ、そうして南平台の岸総裁の公邸に引っぱっていって、岸総理がはっきり因果を含めた。これは新聞にある。本人がそう言っているじゃありませんか。そういうことを国会の本会議において、そういう事実は毛頭ございません、これは極端にいえば偽証罪です。私は、あなたの御答弁を、何といいますか、大へんものを知らない者に対するようなごまかし答弁で、これは私は納得できません。ますます非常識な御答弁なんです。これはあなたどういうようにお考えになっておるか。これは重大問題なんですよ。もう少しはっきりおっしゃって下さい、ここに幸いきょう与党皆さんもおられるのですから。そういう御答弁で私が納得するというようにお考えになるのは、これはとんでもないことです。もう少しはっきりおっしゃって下さい。
  34. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 浜田監理局長のあの問題は、私は全然存じません。
  35. 山田節男

    山田節男君 これはよろしいです。あなたの問題の限りにあらず、その次を御答弁願います。
  36. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) その先というのは……。
  37. 山田節男

    山田節男君 よく聞いていなさいよ。(「そんなことでは審議できない」「ほかの委員質問の要旨がわかっているのに、大臣がわからないというようなばかな話はないよ、何を聞いている」と呼ぶ者あり)
  38. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 他の委員に相談したかというふうな御質問かと思いますが、それでございましたら、先ほど答弁いたしましたように、審議を願いましたと申し上げた通りでございます。
  39. 山田節男

    山田節男君 これはどうも、私質問申し上げても、本人は——これは私は良識のある郵政大臣ですから、おわかりにならぬことはないと思うのだけれども、こういうような答弁は正直に受けてもらわぬと時間の不経済ですから、委員長から御注意願います、議事進行上。
  40. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 私からも郵政大臣に申し上げたいのですけれども、質疑に対しましては、もう少し質問に対してお答えいただきたいと思うのです。冷静に御質問をお聞きいただいて、それに対するお答えをお願いいたします。何というのですかね、同じことだけお考えになっておって、質問に対しては全然お聞きになっておらないような感じが私にもするわけで、非常に遺憾に思います。
  41. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ちょっと今、実は紙をおめくりになるときちょっと聞き漏らしましたものですから、官房長に、私の受け取った受け取り方で間違いなかったのかと実は念を押しましたら、山田委員の御質問が、みんなに相談した結果、納得をさせたかどうか、そういう御質問であった、そう言われますのですが、さように……。
  42. 山田節男

    山田節男君 あなたの御解釈になった通りに……。
  43. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) その意味でお答え申し上げますと、大ぜいおることでございますから、いろいろ意見も各方面に聞きまして、いろいろな意見もむろん出たわけでございますが、その各、種々な意見につきまして、それぞれの説明もいたしましてまた論議を尽くしました結果、党の政務調査会のこの方面を担当しておられます委員会と申しますか部会がございまして、そこで十分に御検討していただきました結果、公報にもたびたび載せまして、それで、この十六日でありましたか、最終的の結論として結論が出たものですから、それに従って、私が諮問すべきであると、さように大体の心がまえをきめました。ところが、十七日に当委員会がございまして山田委員からの御質問もございましたので、山田委員の貴重なる御意見、御質問等も十分参酌いたしまして、結局におきまして、いろいろ多数の方々がいらっしゃいまするから、いろいろ御意見もございましょうかと思いましたが、この際は電波監理審議会諮問いたすべき時期だと、最終的にそういうふうな判断になりまして、十八日に諮問いたしたと、こういう経過でございます。
  44. 山田節男

    山田節男君 どうもポイントが合わないのですが、もっと具体的に申し上げますと、少なくとも、自民党に多数いらっしゃっても、政策々々においてのおのおの専門家がおられるのですね。その中でも、本委員会に顔を並べておられる与党皆さんは、政務次官をやり、あるいは次官をやり、委員長としても勉強せられておるというような、少なくとも、だれが見ても練達の士がおられるわけですね。ですから、今政調でそういう部会におかけになったというお話ですが、今の私の質問に対する御答弁は、具体的に言えば、そういう練達の皆さんが、これはいいと、これはやるべしだと、こういう御承認があってそういう挙に出られたのですか、それをはっきりおっしゃって下さい。ここに現におられるのですから、ごまかさないようにして下さい。
  45. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) おおむねその通りでございます。
  46. 山田節男

    山田節男君 承認を得ておやりになったのですね。それでは了解いたします。  それでは、次に第二の問題ですが、郵政大臣電波監理局専門家答弁させるということを申されましたが、それはもちろん、あなたは技術的なことはおわかりにならぬ。しかし、昨年の秋、十月以来、ヨーロッパに行かれ、アメリカにも行かれて、自信を強めたということを言われて、その具体的な一、二の事例を過日の委員会であなたは御説明になった。しかし、その御説は私には納得できない。そんな甘いものじゃないということを私は申し上げた。そこで、私は甘利局長にちょっとお聞きしますが、今の郵政大臣の御答弁によると、要するに、この電波監理局カラーテレビジョンに関する専門家が、これなら大丈夫ですと太鼓判を押したからこういう挙に出たということをおっしゃったのですが、甘利局長としては、全責任を持って植竹郵政大臣にそういう建議をされたのですか。
  47. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) 結論的に申しますと、この方式日本のVHFで実施することについては、われわれ事務当局として、技術的な見地から見まして、これで支障はないと、こういうことを申し上げてございます。この問題の結論の出た理由につきましては、いろいろと長い開議論もございました。また、私どもも長い間その問題について、技術的にはもちろん、行政面からも、いろいろと考えてきたわけでございます。しかし、先般も申し上げましたように、大臣の御判断というものは、これはどう勉強されても、やはり技術の点については、これはやはり専門家責任を負わなければならないと考えましてこの点については、大体国際会議の動向を非常に重要視したと、こういうふうに申し上げましたのですが、やはりこの問題は、国際統一の方法と、それから国際間におけるカラーテレビ技術の競争と、そういった両面から、これが幾らか矛盾する点もあるのですが、技術的な判断としましては、できるだけ早くその見通しを立てるということが必要でございます。従って、多くの議論がカラーテレビ調査会で討論されたわけでありますが、その際も、やはり技術者としても、実施の時期がいつかということはいつも念頭に置きながら、潜在的な意識を持って技術の問題を討論しておりました。それはなぜかといいますと、討論しております間に、たとえばNTSC方式に関する特許といったようなものが、長い間討論しておる間にも続々と出て参るわけであります。そうして、最もおそれたのはこういった議論に口を送って、その間にいろいろな外国特許に金縛りにあうということをおそれたわけであります。二面いろいろな方式について日本においても研究は続けておりましてNTSC方式に関する特許ももちろん出てはおりますが、その間新しい方式というものを期待しておりましたが、なかなか残念ながら、そういった芽ばえがわが国からは出て参りませんでした。これはもう数年来そういうことを期待しておったわけですが、その間に、歴史的に見ましても、コロンビア・システムというものが最初に現われまして、それから全電子式のNTSC方式が現われまして、次いで最近に至って二色法といったようなものも出て参りました。しかし、いずれもこれが外国の創意に基づくもので、日本はいつもそのあとを追跡して、これを修正するとか、そういった面から研究を続けておったわけです。しかるに、国際的な動向として、やはりNTSC方式というものが、これは全人類が聰知をしぼっても、なかなかこれの右に出るものがないということを立証するかのごとく、各国がその方式に研究の方向をしぼって参りました。もちろん、各国の国情によって、これをどういうスピードで実施するかということは、それぞれ緩急がございまして、特にアメリカは急いだり、ソ連がその次にかなり熱を上げておる。まあ日本はその間において、かなりこれに熱を上げておる。その他ヨーロッパ諸国は、非常にこういうものに対してゆっくりしたピッチで、非常に慎重に考えておる。こういった行き方の違いはございますが、日本におけるこの面の研究が非常なスピードで加速されておるというこの実情に対して、カラーテレビ調査会等の技術関係者も、これは技術者自身がこの技術の動向に対して、見通しを立て得るかどうかということは、これはすなわち技術者の責任である。安全をとって新方式が出るまで長く時間をかけて待つ、これはきわめて安全といえば安全でございます。しかし、その時期々々において一つの見通しを進言するということは、技術者の責任として非常に重要なことである、こういう考え方を持っております。  そういう考え方で世界の情勢を見ましたときに、カラーテレビ調査会としては、その世界的な動向をそのまま受け取って、例のさしあたってNTSC方式以外は見当たらないという結論に到達したわけでございます。私はもちろん大臣にも技術的な説明を申し上げております。また、カラーテレビ調査会の動向等についても申し上げております。また、その中間報告のいうところの意味、そういうものも十分誤解のないように申し上げております。ときどき中間報告が出たからNTSC方式でいいんだというようにあるいは受け取る向きもあるかと思いますが、決してそういう意味で言っているわけではございません。少なくもすぐ実施するとすればこの方式である、この解釈は間違っておりませんで、いつ実施するかということは、これはまた行政上、単に行政事務として行なうだけでなく、いわゆる政治、経済面においても長年この問題で討論を続けてきました関係もありまして、そういう面の動きも十分考慮して最終的には政治的な判断でいく、こういうふうに私ども了解しております。そういう意味におきまして、私ども大臣に対して十分な補佐の任をやったかどうか、これはいろいろと御議論を見、また最近の行政措置の取り運び方を見まして、いろいろと御批判があることを見ただけでも、私は補佐の任が十分でなかったということは、きわめて遺憾に思っておりますが、少なくともわれわれとしては、われわれも及ばずながら十分な意見並びに考え方を提供いたしまして、これについて討論した、こういうことだけは申し上げ得られると考えております。
  48. 山田節男

    山田節男君 これは前任者浜田君は、いわゆる電波日本における最高権威者であり、また甘利君も、これは電波研究所に十数年間おられて、学を持たれ、こういう方面のまた最高権威者の一人である。それだけに、私どもは、これは政治的には別問題として少なくとも技術的には甘利局長はきわめて良心的に、しかも、自分の多年の経験とうんちくを傾けて、遠い日本の将来というものをおもんぱかって、これは大臣が受ける受け入れないかは政治問題ですよ。けれども、少なくとも前浜田局長に劣らないだけの、あなたは技術者としての良心を持って、植竹郵政大臣にアドバイスを与えられたことは、これは私は疑いません。疑わない。しかし、今回の植竹郵政大臣が非常に急いで、もう何といいますか、先ほど来の御答弁を聞くと、与党の一致した御承認もないのに、ただもう馬車馬的にこれを自分の在任中にやるのだという、大臣が就任されて間もなく発言されたことを実行せんがために、だれが何と言おうとやるのだというふうにしかわれわれの目には映らないのです。そういうような無軌道な、郵政大臣カラーテレビジョンの一種のマニアにかかったがごとき行動に対しては、手綱を引き締めるだけのことは、これは電波監理局長として、当然技術的の面からも補佐の任に任じなければならぬ。今あなたはるると御説明になったけれども、少なくともあなたは、こういう電波に関する最高権威者の一人として、大臣にこれならよろしゅうございますと、こういう私はアドバイスがあったから、郵政大臣がそれに自信を得て、与党全会一致承認があろうがなかろうが、一日も早くやるのだ、こういうような私は大臣の心境じゃないかと思いますが、どうです。甘利局長として先ほど来述べられたことは、もう現在のこの方式としてはアメリカのNTSCが最善でありますと、今日、鉄道の狭軌については、広軌にしなかったのは、その見解の、識見のなかった政治家を死刑にすべきだといったようなことがこの間の委員会でも出ましたけれども、これはそれ以上の問題です。そういうきわめて重大なモメントに対してあなたは自信を持って、これは五年たち十年たって決して変なことをした、変なアドバイスを与えたという、悔いのない覚悟を持っておやりになったか、この点一つお聞きしておきます。
  49. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) カラーテレビの最終形態がどういうふうなものが理想的であるかということについては、これは時間の問題を超越して考えますと、まだまだ相当ございます。たとえばアイドフォアという超大型の映画カラーを明るく増幅して映写できるという装置も日本で実験を始めている、こういったものを考えますと、これは非常にバンドの広い、何十メガサイクルというものを使う、極端に電波をふんだんに使って、最も優秀なものを作る、これは全然アイデアは違っております。こういうものの実験というものは、今考えております各家庭に普及するカラーテレビという観念からは、まだ時代的に相当離れておると思います。それで、私がNTSCを今Vバンドでやっていいのじゃないかということを結論いたしましたゆえんは、これはUバンドを使いましても、どういうバンドを使いましても、要するに現在の六百二十五本、五百二十五本というようなスクリーンでは、どういうふうにこれを細工しましても、いずれ大同小異の繊細さしかできない。また、そういうこれは一メガ二メガの差はかりにございましても、非常に精密に測定器にかけて判断しなければ、その判定がつかないというような画面の違い方、そういうものを問題にして論ずるときではない。少なくとも現存白黒でそういった類似のテレビが普及しておりますときに、これに色をつけてやるということであれば、現在の方式で十分ではないか。こういうのが私どもの結論でございます。  それはこまかいことを申し上げますと、いろいろと技術的な面で悪質とか安定度、ぐらつき、調整の難易あるいはコストの高い安い、いろいろと考えふれる点もございますが、方式としてNTSCの現在の程度のものが世界的に一応普及するであろうという見通しは、私どもこの点については確信を持って見通しを立てたと言えます。これは五年、十年たってからその見通しが非常に軽率であって間違っておったということが証明されましても、私は別にこれは自分の力の及ばなかったことであると、後悔いたしません。しかし、そういうことで現在の放送テレビジョンの発注というものを、間違った道に入れて、国民に迷惑をかけることがあるかどうか、この点については、これは非常に深く考えてみたつもりでございます。しかし、現在のこれだけ普及しかけてきて、また、今後もおそらく間違いなく普及するであろうこのVHFの白黒テレビ、これを全然無縁のものとして、全然別のフィールドで色のついたものを期待するということよりは、やはり現在普及しております白黒と樹立するカラーを実現した方が、これは国民のためにもサービスになるのじゃないか、こういうふうに考えた次でございます。
  50. 山田節男

    山田節男君 前の監理局長浜田君はあなた、と同じように技術家であって、そうして多年の経験を持たれて、やはりカラーテレビというのは、これはわれわれ以上に技術家であるだけに、国際標準方式の重要性というものを見ておったのだろうと思うのですね。しかもこれは結論を急ぐべく、過去三回にわたってカラーテレビジョンの国際標準方式の国際会議があった。昨年の十一月にジュネーブで、最後的なものは出ないけれども、やや結論めいたものが出てきた。しかしこれは決定的なものではなかった。そういたしますと、少なくとも浜田君が数年前からそういうことを言っておられたことと、今日の一部の宇宙科学といいますか、そういうものの進歩は非常に早いのですね。そういたしますと、私はしろうとながらも、やはりそういうものがあれば、あなたの専門のスキャッターによらなくても、人工衛星で世界中継ということも夢じゃないというふうに信じておる。それはともあれ、浜田監理局長カラーテレビの国際標準方式についての将来について、非常に重要視しておった。ところが今あなたの御答弁によると、あなたは電波監理局長として国際標準方式というものにあまり重要視を置いておられぬわけですわ。とにかく今白黒これだけやっているから、これを両立制でやるなら迷惑をかけぬ、十年たっても決して自分は悔いない、こういうふうなニュアンスの御答弁ですけれども、これは私は少なくともあなた電波に関する工学博士として少し無責任じゃないかと思う。そんなものじゃない。ですからカラーテレビジョン調査会の丹羽会長にこの前来てもらって、結局、さしあたってということで、あの報告書の文句に書いてある。これを裏返せば、前大臣寺尾君なり、あるいは植竹郵政大臣にしても、とにかく何とか早くカラーテレビジョンを実施するということをジャスティファイする、正当化するために、一つの手段として、悪くいえばアクセサリーとして、ああいう会議があるから、かけなければあとがうるさい、急げ急げというものだから、さしあたってと、現在の時点としてはNTSCが当たりさわりがないだろうと、いろいろな隘路はあるでしょうけれどもと、こういう条件つき、しかも現在の時点においてはという、この条件が私は丹羽博士のテレビ調査会の最も良心的な気持があそこに現われていると思う、さしあたって……。そういうことをあえてやるということになれば、大臣責任なんです。あなたとしては、責任がないと言われるかもしれないけれども、少なくとも国際標準方式というものを——これは郵政大臣にはわからない、われわれにもわからない。しかしあなたは専門家として、国際標準方式というものについてわれわれ以上の見通しがついているに違いがない、その点どうですか。国際標準方式に対するあなたの信念なり、あるいはあなたの御所信はどういうふうに……。
  51. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) まず前段のさしあたってということの丹羽先生の御説明に対して、山田先生のおっしゃったことはその通りで、私もあのさしあたって云々という最後の結論的な文句については、私もカラーテレビ調査会の一委員として、丹羽先生と十分打ち合わせをしてその表現を練ったのでございます。従ってその個所については完全に意見が一致いたしております。要するに、それをさしあたって今見ればということで、それを行政措置に移すかどうかということは、カラーテレビ調査会の範囲外の問題で、郵政省においてしかるべく考えてもらいたいということであります。  それから、国際中継の問題でございますが、日本としても在来国際中継を最も容易にするための統一方式ということについては、かなり貢献して参ったつもりで、毎回の国際会議においてもそういう点について努力して参ったわけでございます。方式を長くきめなかったということも、実は全くその国際統一方式の実現を期待したからでございます。しかし、もうこれはアメリカは変える意思がない、それからヨーロッパ方面はお互いに面接、また時間的にもプログラムの面でも相当ひんぱんな国際交換があり得るということで、その範囲では統一方式をきめなければ、これは絶対に困るというので、VHFを使うテレビをあきらめて、やむを得ずUHFを使って、そこで統一方式をはかろうというわけでございます。御承知の通りでございます。そこで、先般もその国際的な不統一を将来あり得べき国際中継に対してどら対処するかということは、もうこれは理想を離れて対策に移るわけでございます。方式の変換技術、これを開発する以外に方法がないという結論になっております。  それから、たとえば先生のおっしゃいましたスキャッター、人工衛星等による国際中継、おそらくこういうことも近い将来実現すると思いますが、私ども技術軒としての見当から申しますと、そういう国際中継自体を行なう技術よりは、方式を変換するということの方が、はるかに容易じゃないかと考えております。これは実際研究して実現しようとすれば、あるいはどんな厄介な問題が起こらないとも限りませんが、現在でもきわめて巧妙ではないという、あか抜けのしない方法ならば、これは何とかできそうだ、こういう見当で、いろいろとそのやり方等についても各国で二、三の論文も出ているような状態でございます。最近はビデオ・テープレコーダーの技術がだいぶ進歩して参りましたので、カラーについてもこれを応用いたしまして、その面から何らか直接変換ということを考え得るのじゃないか、これが研究の目標になっております。また、いわゆる電子式の方法でこれを変換させるということもまた可能性があるかと思います。それは御承知のように、たとえばNHKで相撲の一こま一こまを瞬間ごとにとらえて、またそれを次に再現するということが出てきております。今のところは一秒間に三枚とか四枚とか、そういうわずかなこま数しかそれを再現できないので、それをもってすぐテレビの中継になるということは申せませんが、そういった技術が開発されるところに大いに期待が持たれるわけであります。最もまずい方法と申しますと、やはりこれはフィルムを使う方法で、これは時間の関係からいいますと、完全に即時中継ということには、なかなかなり得ないと思います。しかし機械的なテープレコーダーではほぼ完全な即時中継、また全電子式でいくと完全な即時中継、そういうような方式を、これは方式が違う各国がお互いに研究して近寄っていかなければならない問題でございまして、おそらくこれから格別優秀なカラーテレビの新方式の研究ということが行なわれるでございましょうが、同時に早急にこの変換方式を完成するということも非常に大きな研究テーマになってきております。    〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕 私は、こういう変換方式に対してかなりの可能性と期待を持っております。  従って、前浜田局長が国際統一に対して非常に努力され、また日本の実情を見て、当時カラーテレビを急ぐべからずという方針を立てられたことについては、私どもも全幅的に賛成しておったわけでございます。しかし、この過去一年間における、先ほども申しましたような国際的な動き、また方式が完全な世界統一がほぼ不可能であるという見通し、そういう点から、これは方式の変換ということをかぎとしてこれを解決すれば、そういった国際不統一の問題は根本的に解消するという見通しのもとに、さっき申しましたような結論を立てた次第でございます。
  52. 山田節男

    山田節男君 これは甘利君も昨年六月の中旬に就任され、植竹郵政大臣も六月の中旬に就任されたのですが、その後、これは昨年の七月、八月にかけてだったと思いますけれども、アメリカから、これは偶然か故意か知らぬけれども、アメリカのRCA系統のNBC、カラーテレビジョンをやっておるNBCの社長が来た。それから続いてABC、CBSのスタットンとかキントナー社長とか、これは私みんな会って、約一時間以上にわたって話をした。NBCのサーノフ社長は、もとよりこれは具体的にNTVの招待と勧誘があって来ておる。であるから、サーノフ氏の話というものは、もうすべてカラーテレビジョンの一点張りです。しかるにABC、CBS、それから一昨年、来ましたBBCの社長、この話も、帝国ホテルで私は約一時間ぐらい話した。これらの現にアメリカでNBCがカラーテレビジョンをやり、そうでない、慎重にやっておるABC、CBSの社長の諸君の話を聞いてみると、こういうことを言っておる。プログラムに色をつけたからといって、そのプログラム番組は決してよくなるものではない、これは非常な至言だと思うのですね。であるから、決してわれわれ急がない。その他は、今甘利局長が言われたような、NTSC式のいわゆる欠陥と申しますか、コストが高い、安定度がない、調整がむずかしい、まあこういったようなことで、とにかくカラーテレビジョンというものを急ぐ必要はない。こういうことです。    〔理平松平雄君退席、委員長退席〕  それから、もう一つは、NBCはああいうことを言っておるけれども、日本カラーテレビをやる場合、一体何百台というものを東京でたちまち見る人があるか。放送法から見れば、アメリカの通信法もそうだけれども、そういう街頭で見せるものは、これは放送でない。なるほど放送法の第一条にうたっている趣旨からいえば、日本放送法の第一条からいっても、街頭で数百名の者が集団でこれを見ているのは、これは放送でない、ブロードキャストじゃないというのですよ。ラジオでもテレビでも、家庭においてみんな一家団らんして見るのが、これが放送だ。これは日本放送法の第一条にもそういうことがうたってある。電波法の第一条にもそういうことがうたってある。  そこで、先ほど来郵政大臣に申し上げておる。一体、昨年のそういう多年の経験を持つ、外国から来て、テレビジョンというものに対するそういうきわめて謙虚な、また事業経営家としてきわめて慎重な、それから日進月歩の技術のテンポの早さというものを十分知っておるからしてあせらない。しかるに、もう歴代の郵政大臣、ことに植竹郵政大臣は、もう何が何でもこれはやらなければならぬ、テレビジョン調査会のさしあたってというこの言葉、これに対して何ら決定的の線もつけないで、この委員会一つの条件をつけてお願いしておったものを、十八日の電波監理審議会にかけてしまうということですね。一体そういうようなやり方というものは、これは私は電波監理局局長、その他幕僚諸君責任があると思う。  もう一つ、私は具体的に申し上げるが、このことについてかなり良心的である——電波監理局長といえば、これはもう一郵政大臣の外局のような、そんな内局の局長とは違うのです。立法行政をつかさどる大局長でなくちゃいかぬ。であるから、もう少なくとも電波監理局長という者は郵政省の一内局じゃないのです。もう内閣へ総理府にそれを輝くか、総理大臣の干渉も受けないというぐらいの立場になくては、この電波行政はうまくいかないというのが、これがアメリカの一九三四年に連邦通信法を作ったゆえんなんです。まるで無政府主義的になったら迷惑するのは国民です。しかるにそういう大局長であり、大責任を持っておる電波行政に対して、技術的なアドバイスをしなければいかぬ甘利局長に対して、先ほど申し上げたように、国際標準方式に対して——今の理由は、なるほど若干わかりますよ。しかし、あなたは政治的なことには、干渉できない。これは郵政大臣が全責任を持ってやるのだが、しかし郵政大臣を誤らせない、長い目で見て誤った道を踏まないようにするためには、そこにあなたの補佐する責任があるというのは、そこなんですよ。どうも今あなたのおっしゃった御答弁では、あなたがもう自分責任を持っても、一般国民はよく知らないのです。色がついていればきれいだなというところぐらいで賛成している。それは世論じゃないのです。そういう世論はもう決して国民の世論じゃないのです。これはあなたが就任すると同時に新聞で発表しておられるように、もうほんとうにこの国民の世論はないのです。ただ一部の者がカラーテレビジョンをやりたがって、わあわあ騒いでいる。従って、これはあせる必要がないということを電波監理局長は言っておられる。しかるに、わずか半歳を経てむしろ、大臣これなら大丈夫です、おやりなさいというように、あなたの意見がそういうように変わったというならば、それを裏づけるだけの、少なくともわれわれを納得せしむるような、つまり技術的な裏づけがなくちゃならぬ。しかし今あなたの御説明によれば、これも決して完全なものじゃない。もちろん、それは私は百パーセントの完全を求めません。それは求めるのは無理です。求めませんけれども、しかし、あなたが良心的におっしゃってこれなら大丈夫ですというように、どうも大臣に保証して、これなら大丈夫ですというように忠告なさったようにはないように私は思うのですがね。この点どうですか。これはやがてカラーテレビジョンがいよいよ実施されることになって、その後あともう数年閲すれば、その結果ははっきり現われてくるのです。ですから、今のあなたの技術的ないろいろな御説明があるが、それにプラス電波監理局長として大局長としてしろうと郵政大臣に対してこれは政治的であろうがあるまいが、あなたは率直に、こういうようにすべきですということを、これは言わなくちゃならない。これは私、今のあなたの御答弁なり、大臣答弁、最近の本問題に関しての郵政大臣の行動等を見ますというと、これはここじゃ、あなたたちははっきりおっしやらぬけれども、郵政大臣が政治的理由でもって、電波監理局長以下、全部のそういう専門家諸君を押えつけてしまってもうとにかくこれを裏づけろというような命令を受けて、これは、むしろ良心に反したようなことであるけれども、理屈をつける役を買ったということにしか私は聞こえないのですけれどもね。これはもうおそらくこの問題についての最後の質問になるかもしらぬから、あえて私は申し上げますが、この点一つ明瞭にしていただきたい。
  53. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) 私どもは、こういう重要な仕事をおあずかりして、今山田先生のおっしゃいました通りのつもりで行政を行なっておるつもりでございます。従ってこういう判断をしたことについては、何ら外部の圧力とか、また大臣からの話し合いのない、強制とか、そういうことは一切ございません。ただ、たまたま、いわゆる外界においてそういったような働きがあるということと結びつけられますと、かえってわれわれは迷惑するのでありまして、そういう動きがなくても、われわれは、判断がつきますれば、こういった新しいものを放送行政に持ち込むということについては、かなり勇敢にやるつもりでございます。まあ非常に不幸なことにはそういった政治的圧力云々ということが巷間に流布されておる。またいろいろ先ほどお話にありました浜田局長の退任問題等についても、すべてこういった問題にこれが関連されて伝えられておるということは、非常に私どもにとって残念なことだと考えております。しかし私はそういったいきさつのあった職を引き受けた以上は、一切こういうことからは超越して自分の信条に照らして恥かしくないような行政をやりたいと念願して参った次第でございますので、その点は一つ御了承願いたいと思います。
  54. 山田節男

    山田節男君 あなたも御存じだろうと思いますけれどもね。アメリカも踏み切ってしまって、六百万余の視聴者に対して今さら標準方式を変えてやるということは実際不可能である。このことが今私は日本において植竹郵政大臣のもとにおいてそういうような愚を繰り返されるのじゃないか、という危惧の念を非常に持っているわけですね。と申しますのは、もちろんアメリカも六年前に踏み出してしまって、六百万の人が現に見ている。しかるにヨーロッパはこれはもうイギリスにしましても六百万を越えている。ソ連にしましても五百万を越えている。ドイツにしましても三百五十万を越えている。フランスも約三百万近くになってなお依然としてこのカラーテレビジョンに対しては非常に慎重な研究をやっているのですね。これは私どもはしろうとですけれども頭が下がるような研究をしております。ことにハンブルグにおけるドイツの公立の研究所を見ますと実に真剣にやっている。しかしこれは国民のために放送する場合において万全を期さなくてはならない。第一コストとかそういう問題が含まれておりますけれども、とにかくより良質のものを国民に提供しなければならない。その前にまだ黒白のテレビジョンもまだ完全なものでないと言っている。だからこれもベターなものにしなければならない。カラーはまだまだ開拓の分野からみれば、これは昨年の話によると数年間、三年か四年かのちである。結論が出るか出ないか知らないけれども、とにかく今これを国民に提供することはいけないというそれだけの良心的なものを持っている。しかるにそのことはこれは局長にしても向うに実際行かれて、そのことはわれわれよりも専門的に見ていると思う。その気持はよくわかっておられると思う。しかるにこういったようにあなたが先ほど来言われたようなことで、まあこれならば私としちゃもう後世に悔いない、だから大臣にそういうことを進言したのだということをおっしゃいますけれどもね。今のヨーロッパは日本と同じくまだ今から開発しようというこのカラーテレビジョンに対して、なぜヨーロッパは日本よりかこれは技術がより多く進んでいやしないかと思う、まあそうでないかもしらんけれども、とにかく先進国をもって任ずるヨーロッパ諸国が日本よりも黒白テレビジョンが普及しておりながら、なおカラーテレビジョンに対する慎重な態度をとっておりますが、これは国際標準方式の問題もありましょう。しかしそれよりもなお国民に安定度のあるものを、しかも安いものを提供したい、これに昼夜一生懸命になっておる。そういう日本政府において電波監理局長以下そういうこの慎重さの態度というもの、官僚はとにかく慎重であるところに私は非常な国民に奉仕する者としての信頼度があると思うのですよ。どうもそういう点からくると電波監理局のこの問題に関する限り、どうも私は国民全般の信頼度が低くなりはしないかということを私は憂うるのですが、その点どうですか。これは局長としての意見を率直に大臣の前でお答え願いたい。
  55. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) お説の通りこの行政担当官が慎重であるということは、確かに国民の信頼を得る唯一の取り柄だろうと思います。そういう意味におきまして私は特に研究出身で、こういう行政面のことにつきましては人一倍自分では憶病であると考えております。それだけにかなり長い間慎重に考えて参ったのでございます。また世論に従ってやるということも、私のこれをささえる一つの信条であったと思います。しかしカラーテレビに関しましては世論というよりは、むしろ各般の客観情勢が日本としてはかなり異常に進んできたこともまた事実でございます。これは今山田先生の述べられたヨーロッパにおける慎重さということは、主としてこの放送事業が官営であるか、あるいは官営に近いという経営形態をとっておることに非常に理由があるのじゃないかと思います。大体民放、民間企業というものは役人が慎重に考えることとは相反するような行き方をしないと生きていけないというようなことで、それがとかくまあいいことなんです。一方放送事業が官営であればこれはもう役人が最も慎重に考えた一番じっくりした間違いのない方法でこれが実施される。こういった点でアメリカのように早く先走って実施した、ヨーロッパはまだなかなか奥施しない。幸か不幸か日本は公共放送及び民放と両方二本建てになっておりまして、その間において役所として公共放送立場を標準にすべきであろう、民放の推進する力、これもできるだけ活用しなければならぬ、そういったような特殊な事情でございますので、日本があるいはヨーロッパに比べて慎重を欠いたという批判を受けるかもしれませんが、やはりこれは国情でありまして、またそれが一面早い進歩をもたらすということもあるいは期待されるのではないか。かように考えておる次第でございます。
  56. 山田節男

    山田節男君 これは今あなたの御答弁を聞くと、就任して八カ月余にして郵政大臣と同じような病気に電波監理局長がかかっておるように思うのであります。一体客観情勢があると言われますけれども、去る三月三日に本委員会参考人を数名呼んで、放送業者あるいはメーカーもおったと思いますが、そういうような参考人意見を徴した議事録を読みますと、慎重論者というか時期尚早論者がもう圧倒的に多いようですね。ですから客観情勢があるからということは、これはあなたどういう根拠で言われるのか。昨年の六月十八日か、電波監理局長としての新聞記者会見のときに、カラーテレビに対する世論というものはないということをあなたははっきりおっしゃっている。世論というものは少なくとも客観情勢を持った国民の、しかもある一部の利害関係のあるものの声は、これは世論じゃないのです。放送を受けて、それを実際に見る者が国民なのであってその世論がそのカラーテレビジョンの早期実現を要望しているということがあるのなら、私はこんなことを言いません。しかしあなたの在任当時から今日も客観情勢というものはない、これはまるででっちあげです。これは本会議で読みました。郵政大臣、あなた昨年の六月にやられた。これは七月二十四日です。こういうことを朝日新聞に出している。これは一ページ大の広告じゃないですか。しかも昨年の四月四日に寺尾君がカラーテレビジョンを実用化の試験放送にしてくれ、これはまさかというのでやらなかった。そして実験放送に対して金がかかるからスポンサーをつけて広告放送を入れてくれ、とうとうこれに寺尾君が折れてしまってその許可が下りるや、NTVの重役の諸君は乾杯をあげて、わがことなれり、いよいよ本放送始まったと、乾杯をあげている写真が読売新聞に載っかっておる。郵政省ついに広告放送を認める、これを見て下さい。こういうような守君尾が実験放送に広告放送を認めた。そうしてあなたが就任されて七月二十四日付のこれは朝日新聞の朝刊です。「カラー・テレビ時代来る」「世界一のカラー国へ」なんというのです。これはあなたが就任されて一カ月後にこういうことをやっている。一体こういうことを私はじっと見ておって、どこに客観情勢があるか。電波監理局長が客観情勢があると、そんなこと言えたものではないです。そんな不正直なことで一体審議ができますか。こっちは将来の九千万の国民考え放送法を守りたいがゆえに私はこういうことを言っているのです。十数年間逓信委員をやっておったが、全くその間に十人にも近い郵政大臣がかわって年々悪くなるばかりじゃないですか。少なくとも植竹君は栃木県から昭和二十二年代議士に当選しあなたはベテランじゃないですか。新憲法のもとにおける郵政大臣としての良識を代表すべき府として、これは与党として自民党の代表というよりも、高潔な植竹郵政大臣が就任されたその裏は知りませんよ。しかし植竹郵政大臣なれば初めて正直な、清純な放送行政をやってくれるだろうと私は思った。何ですか、こういうことは。これは植竹大臣になってこういうものが出ているじゃないか、こういうものがまかされてどこに客観情勢があるのでありますか。あまり人をばかにした答弁はしてもらいたくない。しかも甘利電波監理局長は、あなたは実に正直な人であのごたごたした電波監理局の人事行政の後あなたがそこに長として選ばれた。あなたは神様のような気持になっておった。しかるに八カ月にしてそういう客観情勢があるなんというそういう口幅つたいことが言えますか、委員会を侮辱するのもはなはだしいと私は思う。  そこで、私は元へ戻って郵政大臣に御答弁願いたいのですけれども、一体こういうようなことをされてどこに客観情勢がありますか、御答弁願いたい。
  57. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) その記事につきましては、私は前側の御質問のときに申し上げましたように、読んでおりませんけれども、しかし一部早急論者もございましたのでありまして、その早急論者等とも私も激しく議論をいたしまして互いに大声で論じ合いましたのでありますが、しかしこういうことをきめますのには、激しく論じ、意見が違うと違わないにかかわらず、私一は一切の感情問題を抜きにいたしまして、日本の国の電波行政としてカラー・テレビがいかにあるべきか、世界の電波界において日本はどういうふうにやっていくべきか、そうしてそれはもう一切の感情抜きであれば、それから、まして今御指摘のように変なことは絶対にあってはならない。全くガラス張りで、これは無色透明で私はすべての郵政行政をやっております。ことにカラーテレビの問題についてもその態度は絶対に崩しておらないこと、これだけは御了解願いたいと思います。  次にその客観性につきましては、これは私が就任いたしました当時には慎重でなくちゃいけない、現在も同じ所存でございますが、そこで慎重と申しましても何年かかってどうということでなしに、在任中にできるだけうんと勉強して、密度を詰めて研究してそうして結論を出したい。そういうように思いましたところが、就任当時はまだまだこの点において研究しなくちゃいけない、あの点において研究しなくちゃいけないという点がありまして、この前の委員会並びに本会議答弁申し上げましたような点につきまして、まだまだこれは許可すべきではないかように考えておりましたが、その後の主として三点をあげて御答弁申し上げましたが、その三つの点が一つ一つにだんだんに開発されていって、これなら今日としても許可をいたしましても決してこれは早計にも過ぎなければ、またおそ過ぎるということもない、きわめて適切な時期である。さように踏み切りまして今回の措置をとりましたので、この点十分に一つ誤解のないように御理解賜わりまして御協力をお願い申し上げます。
  58. 山田節男

    山田節男君 どうも私の質問がこれは悪いのかもしれませんけれども、私の質問申し上げておることの本旨に触れないのですね。ですからこれは私まだまだ質問申し上げたいことはたくさんあります。しかしこれは各委員の賢明な諸君もお聞きになって、私は一々納得して次の質問に移るということはできません。ですから今の客観情勢のどうかという、これは単なる見解の相違とか何とかいうのじゃなくて私は技術的に見ましても少なくとも世論あるいはこういったようなものを出されて、もしこれで促進しろという空気になったら、それこそ私は植竹郵政大臣、先の郵政大臣は私知りませんよ、少なくとも植竹君はこういう重大なことならば、これは一つ一歩引き下がって白紙にしてしまって、根本的に研究してみてそうしてやる、これがあなたとして、最も高潔な郵政大臣としておやりになる政治的な義務です。あなたの今おっしゃることは私なかなか納得できない。客観情勢、電波監理局長まで、そんな客観情勢なんてこれはさきに本会議で私申し上げましたけれども、一体電波監理局の中、それから郵政大臣のいすの周辺には妖雲が漂っているんですよ。そんなことでは、岸内閣は来月か再来月改造されるでしょう。そういうことも言明されておりますけれども、これは少なくとも九千万国民に対する問題なんです。そんなことを急ぐという理由一つもないじゃありませんか。今あなたのおっしゃったことは何らわれわれに了承できない。それだけの理由ならむしろ私は白紙に返しなさいということを、言いたくなる。それだけの謙虚さを持たなければならぬ。最初に申し上げたように、これは、あなたは電波を免許するかしないかという、そういう軽い問題じゃないんです。九千万の国民の文化、さしあたり今許して一年後において一体一万の視聴者がカラーテレビジョンにできますか。電波法の第一条に何と書いてありますか。「電波の公平且つ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」これはあなたが日夜忘れてはいけない電波行政憲法ですよ。それを全然無視しているじゃありませんか。私は納得できません。あなたはそういうような御答弁ではあまりに人をばかにしたような御答弁です。
  59. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 客観情勢につきましては、答弁が重複すると思って、ただいま、この前の委員会並びに本会議において三点をあげまして、と述べた通りでありまして、ただいまここで申し上げましたが、その点につきまして御納得いただきたいと思いますので、繰り返してごく簡潔に申し上げますと、第一点は技術水準と製造能力の点であります。その点が、私が就任当時ではまだ見通しがついておりませんでした。  それから第二点の標準方式につきましても、これは私は人から聞いた知識だけでございましたので、十分に何がゆえにヨーロッパで今日まだ標準方式が決定していないのか。またアメリカではどうして早く決定したか。そうしてその世界的の結論がITUのCCIRの会議においてどういうふうな結末になったか、またなりつつあるか。また二つの方式の間の開発、コンパティビリティの方式の開発はどんな状態に伸展しつつあるか。そういうふうな点につきまして、就任当時はまだ私としては結論が出なかったのでありますが、これは山田先生も世界各国をお歩きになり、しかも私と同じ時期にお歩きいただきましたので各国の実情をごらんいただいた通り、その結論が固まりまして、先ほど監理局長からも申し上げましたように、もうNTSCのVHFでいくべきだと結論を出したのであります。  それから第三の点につきましては、これは普及率のお話でございましたが、ことに白黒を阻害するかしないかという点のお話でございましたが、これはもう現在四百万、ことしは少なく見積もっても百六十五万からの聴視者の増加が白黒テレビにあります。そうすればカラーに踏み切りましても白黒テレビ普及を阻害することがない。かつまた新たに波の割当等の必要がないためにカラーテレビそのものもだんだんに普及していく。しかし確かに電波法放送法の精神が、大衆に普及することが最も大切な電波行政の要諦でありますけれども、しかしこれにはやはり段階があるので、これも前に繰り返して申し上げましたように、最初は白黒のときでもやはり非常に普及率が少なかったが、受像機を安く作ることができるようになってから、量産ができるようになってから非常に急激に拡充して普及していった。カラーにつきましても同じ目標を立てて見込みを立てまして、もうことに電波の割当がなくて済むという観点からもいたしましてそのコストダウン、価格の低廉化、また外国への輸出というふうな点が私の就任当時よりはこの間に非常な進歩をし、問題の解決の見通しがはっきりついたというところで、今回の結論を出したという点を御理解いただきたいと存じます。
  60. 山田節男

    山田節男君 今の郵政大臣の述べられた、郵政大臣のいわゆる客観情勢が熟したと見られる三点は、私はまだ反駁するのに時間がかかります。私はそれは了承できません。  そこでどうですか、これは関連質問もあるようですし、すでに十二時を回っているのですがどうでしょう。
  61. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  62. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは速記を起こして。
  63. 山田節男

    山田節男君 今の大臣の客観情勢の御判断の三つの要素、その第一はやはりNTSCが今日最上のものである、あなたは大臣に御就任になったときに、これはきわめて最近に、何か業界紙にあったように思いますけれども、自分はベストのものをやらない、ベターのものをやるのだ、こういうことをおっしゃった。で、なるほど今まであなたの御答弁の状況を見ますと、いわゆるテレビ調査会からさしあたってという条件の、時限を現在に限った段階としてというもの、これは決して最善という意味じゃないですよ、現在どうしてもやるとすればこの程度のものでしょうかという、私は良心的な意味が入っていると思います。それからアメリカはもうやっている。ヨーロッパは慎重にやっているというけれども、電波監理局長のお話を聞けば、日本は事情が違う、民放に許しているから客観情勢が違う要素をなしているのだということを言われた。しかし私から申せば、ドイツでも占領軍政下から非常にやかましく言われたけれども民間放送を許さなかった。ここにレジスタンスがあったのです。日本ではこれにレジスタンスし得なかったために、こういうような実に無政府状態の、悪く言えばこの電波というものが利権のようなことになってしまった、そういう渦中にある大臣であるからこそ私はきぜんとしてこの電波憲法を守っていただきたい。また守るべきです、これは。ですから、今あなたがおっしゃったように、もう白黒テレビジョンが四百万近いのだとおっしゃるけれども、アメリカの富をして今日なお〇・七%しか普及し得ない。また昨年NBCの会長が約束して国へ帰りまして、これはあなたも実情をごらんになったと思います。NBCはカラーテレビの受信機を大量生産をやろう、いろいろ宣伝をしております。しかしながらその伸びというものはもう昨年一ぱいで五万をこえておらぬじゃありませんか。そういうような状況を見まして、今まで私は郵政大臣がその機が熟したというようにあなたは御判断になる、これは私はどうしても納得できません。もしこれは、日本は受信機が安くなるのだから、そうすれば、今の白黒テレビですね、初めはこれは一インチ一万円という、われわれは初めはこれで許しました。しかし今日十七インチで十七万円じゃなくして、価格はもうその三分の一近いものになっているじゃないか。それも事実です。しかしカラーテレビをさしあたりやるにしても二十一インチで五十万円、六十万円ということをメーカーがちゃんと言うているのですよ。それがやがては三分の一になるだろう、あるいは四分の一になるだろう、これはそうでしょう、そういうことは可能性はあるのだと思う。しかしそれであるがゆえに現在何もこの時限においてカラーテレビを早々に、少なくともあなたが内閣改造前にでも実現したい、こういうお気持になられたということがわからないのみならず、過日新聞で一九六四年にはオリンピックがある、それに日本カラーテレビジョンを実施していれば、日本が非常に電波関係の進歩しているということを見せることになるから、どうしてもカラーテレビジョンをやらなければならぬ、こういうこともおっしゃったやに私は新聞で伺っておるのです。これは少なくとも大臣としてそういうような根拠で客観情勢の一つに加えられて、またこれを本放送に移さなければならぬ理由になるということは、これはあまりに私は特権階級ばかり見て国民大衆というものを見ない。そこに私はどうもあなたの世界観といいますか、電波行政上やはり公共の福祉、国民全般という建前から御判断にならぬからそういうきわめてへんぱな、せっかちなあなたの客観情勢の判断というものが生まれておるというふうに私は判断せざるを得ないのです。どうですか、この点について私はあなたが幾らおっしゃっても納得できないのみならず、外では伴奏的にこういうようなものを商業新聞を通じてやり、あるいはあなた自身あるいはあなたの周辺に対してこれは明らかに政治的圧力を加えて、これはもう実にそういうことになれば、やはり一番公務員の立場にあるものは弱いです。そういう政治的な問題を扱われますれば、これはもういかに誠実な公務員がおりましてもこれは弱いです。それを何らか押えつけてしまって、そしてこれを無理やりにやろうというような、こういうゼスチュアが、これは民主政治の中で許されちゃいかぬと思うのですね。ですからなぜその党議全会一致も得ないでお急ぎになってやったのかということも、私はさっき申し上げましたけれども、どうも無理が通れば道理がひっ込むというようなこういう政治をやるということが、私は現在の日本の政治の貧困の重大原因だと思うのです。これは社会党が悪い、悪いということをいわれますけれども、これは自民党も悪いところがある。郵政大臣が今おっしゃったような判断でやると、一体国民はこの問題についてはあまり知りませんから、まあ黙って見ているだけなんです。それだから無理が押し切れるのだというような、こういう政治をおやりになっては、これは私はいけないと思うのですよ、この点についてどうですか、郵政大臣、今の客観情勢というものを、あなたの御判断と私のとはそういう点で違うのですけれども、それでもあえておやりになろうという理由を率直に一つおっしゃっていただきたい。
  64. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) まず一番初めの御質問でありましたアメリカの数が少ない、普及率が少ないということにつきましては、これまたこの前の委員会でも申し上げました通りに、アメリカは確かに、あのように値段の高い受像機ではアメリカといえども普及がむずかしいと思います。  第二の理由は、アメリカが一番初めにやりました当時に、まだりっぱな受像機ができていなかった。取り扱いの点におきましても映像の点におきましても、あまりりっぱでなかった。そういうものからスタートいたしますと、なかなか普及率も少ない。ところが日本の場合には十分研究が積まれまして、国産の受像機にいたしましても、もうよく映るりっぱな受像機になっているということ。また日本の生産原価というものが、日本の製造工業は安く物をたくさん作り出すという、これは日本の製造工業の世界的の特徴と存じます。この間も例に申し上げましたように、あるいは女の人のブラウスにいたしましても、またミシンにいたしましても、日本が量産をしてからは逆にアメリカにどんどん輸出されている現状を見ましても、あの当時はまた電球についても申し上げたと思いますが、いろいろな点におきまして日本の製造工業にそれだけの特徴がある。それで日本が量産に移りまして安くなれば、逆にどんどんアメリカヘも輸出し、アメリカにもどんどん普及していくし、他の未開発諸国にもどんどんと輸出ができる。しかもこの点はヨーロッパ方式でもアメリカ方式でも、部品の製造工業についてはそれほど違いはない。そういうわけで、その点は客観的に見まして、まあ問題が解消された、こういうふうに思います。  その次の御質問の政治的圧力につきましては、前々からたびたび申し上げます通りに絶対に圧力はございません。私の考えましたことと総理の考えましたこととが一致いたしたのでございまして、ことに岸内閣の閣員の一人といたしましては、自分カラーテレビをもうやるべき段階にあると思い、しかも内閣を統率する総理が同じ意見であります以上、私はそういう観点で一致したのでございまして、圧力をかけられたのでないという点、これはくれぐれも御了解いただきたい点でございます。  それからまた客観情勢につきましては、家庭へというふうなお言葉でございまして、私も全く同感でございます。山田委員と同じ考えでございますが、ただ家庭に入ります前には、まず大勢のところで集まって見る、それは決してマスコミではない、それは電波法放送法の期待するところではないという御意見でございますが、これも私も同感でございます。しかし、段階がございまして、最初は一つの広場で大勢が見る、野球の放送にいたしましても、白黒のテレビの場合でもそうでありますし、カラーにいたしましても大勢が一つの広場で見ていく段階を経ましてそれから家庭へ入る。さらに今日もう白黒のポータブルができているわけでございますが、ラジオにおいてはすでにトランジスタ・ラジオができている。ああいうように三段階を経まして、これがだんだん普及する。その普及するためには普及してからこれを許可するのではおそいので、許可することによって、製造工業がますます盛んになって、日本が輸出の点におきまして、カラーテレビの部品、受像機完成品等において海外へどんどん進出していく。で、海外の状況を見ますと一方におきましてアメリカ、ヨーロッパにおいてはすでに御案内の通りでございますが、最近はソ連におきましても量産に移り出したというふうな情勢を見、しかもその方式の違う間には、方式転換の開発が今日は非常な勢いをもって研究が進みつつあり、ほとんどでき上がりかけている。こういうふうな情勢を客観情勢と見ますことは御理解いただけるだろうと思います。そういうふうなわけでありまして、今日結論を出した点を一つ御理解いただきたいと思います。
  65. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 今植竹大臣のお話を伺っておりますと、カラーテレビもやはり白黒と同じように今は高いけれどもだんだんだんだんコストが安くなって、一般の民間に入るようになるというお話を承ったのですが、現在の白黒のテレビの問題でも、今十四インチのやつが六万円から五万円くらいの値段を、われわれとしてはまだ高いから、あと三万五千円、三万円くらいのところに値が下がるように一つできないかというようなことを、われわれ機会あるたびに言っているわけなんです。そうすればまあ大体一般の家庭にもたやすく入るだろう、こういうような考え方を持っておるのですが、一方このカラーの方は現在幾ら安くできても、業者の話によると五十万から六十万円ぐらいのものだというわけなんですが、これがしかもあと半年か一年ぐらい余裕を見てもらいたいというようなことを言っておるわけなんですが、一体大臣のお見込みとしてはこの五十万なり六十万ぐらいの値段のものが、何十万円ぐらいの値段に下がれば白黒と同じように一般家庭に入るのか、その時期は大体いつごろなのか、それを一つお見込みを聞かしていただきたい。
  66. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) これは確かに五、六十万というのは高いので、今のように実験放送で、実験用の機械として製造の段階ではさような商い価段であるけれども、この原価計算をいたしますと割合に安くできる、非常に安いのだと、それにマージンがかなりテレビの受像機にはかかるので、これが非常に高くなっておると承知いたしております。そこで、まだ他面におきまして、二十一インチが今日カラーテレビのノーマルな生産であるけれども、十七インチの開発もただいま行われてほとんどできかかっておる状態である。日本に適切なのはまあ十七インチ、さように考えて、これができ上り、また配線等いろいろ作ります上にも、だんだんにメタリングでその配線や何かどんどんできていくような状態になって、小型化していってそれで製造工程もずっと変わって参りますと、非常に安くなってまあ二十万の声を聞くのもそう遠くはない。これが二カ月とか三カ月とか一年とか、あるいは二年、五年といったようにここではっきりした年月を切りまして予想いたしますことは、大へんこれはむずかしいことで、そこまで具体的な年月の御答弁は私としてはまだできませんが、しかし、これは今までの白黒テレビの実情から考えましても、そんなに遠くはなくこの程度の値段で量産ができていく、月産大体まあ今日では五百台といい千台というふうないろいろな数字があがっておりますが、相当量産に入る態勢にもうすでになっておると聞いておりますので、コスト・ダウンの点につきましてもそんなに遠い将来ではない。それならばどういう階層がこれを利用するかということにつきましては、最初は家庭とは申せ普通の一般家庭でなしに、やはり業務用の方からだんだんに売れていくのだと、さように考えますが、なお監理局長の方でその販売方面につきましての調査がございますれば、事務当局から申し上げたいと思います。
  67. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 電波監理局長には、またあとから機会を見て御質問するわけでございますが、まあ大臣、五十万一円のものを半分以下の二十万円にするというのは、そんなに簡単にできるものなんですか、それは実際にお調べになっての結果、そういうふうなお話が出るのでしょうか、それを一つ伺っておきたい。
  68. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) これは、原価計算等詳しく調査いたしまして、それで資本投下の規模、需要等を調調査してからでなければ、そのはっきりした値段は申し上げるべきではないと存じますので、三十万という理想を申し上げますことは、いささか早急に失すると存じますので、この点の値段につきましては取り消さしていただきたいと存じます。しかし私の、(「おかしい」と呼ぶ者あり)いえ、それは値段をはっきりここで申し上げますことは、市場のいろいろな関係もございまして、いかがかと思います。そこで、しかしこれが具体的に幾らという数字をあげますことはいかがかと思いますけれども、今までの白黒の発達状況、ラジオの発達状況に照らして考えてみますと、そんなに遠いことではないと、量産によりましてぐんとコストが安くなってくる、さように考えております。
  69. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 私は大臣にこういう質問をしておるのは、大臣カラーテレビ放送するのに踏み切った一つ理由として、受像機はもうりっぱな生産ができる、しかも将来は家庭に入るというような目通しがついたのでやる、というようなお話があったからこの質問をしているわけです。それに対して詳細に伺うとまだ研究してないというようなことでは、前言がどういうふうなことになるのか、ちょっと私としては判断ができない。
  70. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) この具体的な数字は、では次回に答弁を申し上げます。
  71. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 それでは次回に御答弁いただきたい。もう一つは、国民所得が今大体どれくらいになっているのか、外国のと比べてどの程度になっているのか、大体あれは五十万円がたとえ二十万円になっても、これはなかなか家庭に入るというような今の経済状態じゃないと思うのですが、大臣は二十万円なら家庭に入るというようなお話のように承っているので、この点が私どもとちょっと考えが違うので、その数字的な御説明を一つよくお願いしたいと思います。
  72. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 承知いたしました。
  73. 森中守義

    森中守義君 議事進行について。大臣にちょっと聞いておきますが、衆議院及び参議院のこの委員会のこの問題に対する各議員の考えというものは、あるいは雰囲気というものは大体あなたおわかりだと思う。そこでこの委員会に今電電公社の関係の臨時措置法、協会の予算、あるいは公社法の改正法案、こういう重要な案件をかかえていて、緊急にこの種の質問を急にここでしなければならないということは、それ自体があなたの委員会に対する認識の問題だと思う。私は端的に申し上げる。もしも年度内に協会予算が成立しない、あるいは臨時措置法が成立をしない、そういう責任はあなたにあるということです。何もこういうような現在の客観情勢の中で、こういうように三時間も四時間もその種の問題に時間をさかなければならないというようなことは、従来数代の大胆なかったことです。すべて法案に精力を集中している。しかも山田委員に対する答弁も、私一人じゃないでしょう、委員長以下全部の委員が何を言っているんだか問題の核心に答えていない。最初からとにかく委員会をぬらりくらりと逃げればいい、そういうような答弁にしか受け取れません。一体法案を持っている大臣として委員会に対しどういう態度で臨まなければならないのか、どういうように時期を判断すべきであるか、私はあなたの政治的なセンスを疑う。これは別に答弁は要りませんけれども、少なくとも委員はそう判断をする。この点について特に一つ委員長から、前段の客観情勢の判断については後刻また問題にすることにして、特に午後から私は山田委員のこの質問はきわめて重要でもありますから、若干の時間をやはり山田質問に集中すべきだと思います。そのことと、それから大臣答弁にもう少し中身のある、質問者の質疑にそのものずばりで答えるような頭脳の整理をやっておいてもらいたい。これを委員長から特に警告を出しておいてもらいたい。
  74. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 森中委員の発言に関しましては、委員会としても十分検討いたさなければならぬと私は考えておりますが、私もただいまの山田委員を中心といたしまする質疑を通じましては、いま少し大臣並びに政府側で、ただ単に常に政府側の考えだけを御主張にならないで、お話に対して端的にお答えをいただくという態度が望ましいと考えておりまするが、特に森中委員の御発言の通り、時期を限られて成立を望まれております重要法案があることは、政府当局として十分にお考えをいただいておることと考えまするが、これらの審議を促進いたしまするためにも、信義をもってお努めをいただきたいと思うのでありますが、もちろん政府の御都合もおありになることは了承できないわけでもないわけでありますが、先般の山田委員の御質疑を通じて、大臣はみずから山田委員の御意見等も参酌して、カラーテレビジョンの取扱いについては慎重に処理するという御答弁がございましたので、慎重にお取扱いをいただいたことと、電波審議会を直ちにその翌日お開きになりましたこととは、はたして御答弁と実行とが一致するかどうかということに、私は非常な危惧を持っておるものでありまして、それらの点等もございまするし、本日午後からは法案審議に直ちに入りたいと考えておりましたが、やや途中になっておりまするので、再開発頭には山田委員の質疑をさらに続けていただきまして、適当なところで法案に入るようにいたしたいと思いまするが、どうか森中委員の御発言の事項については、私も政府当局に御反省を求めたいとかように考えておりますることを申し上げます。
  75. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 私は終始誠実に委員各位のまた山田委員の御質問に対しても答えておるつもりでございますが、ただいまの森中委員並びに委員長の御発言がございましたからには、さらに そうこの点も反省いたしまして御期待に沿うように努力いたします。  また、法案の御審議につきましては、ただいま御指摘通りの時期の段階にもきておりますので、何分今後とも御審議を御促進下さいまして時期に間に合いますように何分御協力いただきますように私の立場からお願い申します。
  76. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  77. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 速記を起こして。  午前中は本問題に関しましてはこの程度にいたしまして休憩いたしたいと存じます。    午後零時四十四分休憩   —————————————    午後二時二十一分開会
  78. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより再開いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件を議題といたします。本件に対し御質疑のある方は順次御発言を願いまする
  79. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 ただいま委員長放送協会の予算を議題にされたのでございますが、もちろんこれにも関係がないとは申しませんが、先ほどのカラーテレビの問題で、山田委員大臣とのいろいろやりとりがございましたときに、私ちょっと感じたのでございますが、日本放送行政の基本問題について大臣に確認しておきたい問題がございます。  御承知のように、放送法の第一条の放送を公共の福祉に適合するようにして、放送国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障するということで、日本放送行政に当たっておるわけでありますが、それに基いて、なお七条には、日本放送協会というものを作りまして、公共の福祉のためにあまねく日本全国において受信できるように、放送を行なうことを目的とするということは、私が申し上げるまでもないのでございます。そこで、先ほどのお話によって、カラーテレビの問題を取り上げられます大臣のお気持ちの中に、どうも私お聞きすると、いわゆる商業放送である民放と、放送の大本であるNHKを全く同一のレベルにおいて考えておられる、同一のウエートで判断しておるように私は思えてならないのでございます。電波監理局長が、先ほどアメリカはカラーテレビを六年前にもう実施しておる、ヨーロッパの方は国営であるからまだそこまでいっていない、日本はNHKがあり、民放があり、そういうふうなことで、というふうな、これは私説明の材料に使われたと思うのでございますが、アメリカの放送に対する行政の観念と、日本電波法放送法に基づいて行政をされる大臣の気持というものは、これは絶対同一ではないと私は確信いたしておるのであります。そういうふうな点について、大臣この際はっきりとその観念を御披露願いたい。そして私はそれを確認しておきたいのであります。
  80. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ただいまの御質問の、また御意見のございました通り、私もNHKの放送につきましては、公共的性質をこの法文の条章通り十分根幹といたしまして、日本放送協会の強化を考えておる次第でございます。すなわち公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送することを目的として考えておりますので、その目的に達しますまでの段階といたしましては、第一段階、第二段階とあることでございますが、結局全国にあまねく普及されるということを一番の根幹と考えております。また民放につきましてはそれぞれの商業的利用といったようなことも加味いたしまして、同じマスコミと申しましても、そこにNHKの方針と違った特殊性考えまして電波法放送法にのっとりまして監督行政をいたして参る所存でございます。
  81. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 その点はわかりましたが、今日までのいろいろの説明の間におきましても、その点が非常にぼやけておるのではないかというふうに私は危惧いたすのでございます。そこでカラーテレビ等を実施に移されるという大臣の御決心をつけられるまでには、公共放送と申しますよりも、日本放送の大本をつかさどっておられる日本放送協会等とよくお打ち合わせになって、そういう御決心をなすったのであろうか、その点を一つお尋ねいたします。
  82. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 打ち合せもし、またNHKにおける実験の進捗状況等、実地も視察いたしましてたえず連結をとっております。
  83. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 われわれはカラーテレビについてこの委員会委員のメンバーといたしましても、NHKからこれが実施に移してもよろしいのだというようなことを不幸にして聞かない。この五カ年計画の大綱を見ましても、カラーテレビの実験放送を充実して、そうしていきたいのだということで、もちろんこれには本放送移行の態勢を整えるということがございまするけれども、NHKは今日におきまして、これが実施についての率直な御意見一つ会長からお聞きしたいと思います。
  84. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 正直に申し上げますと、NHKとしては、カラーテレビについての研究は昭和三十五年以来続けてきております。よほどその研究の成果は上がっておるわけでありまして、これをいつ本放送に移すか、実施せられるかということは政治的に御決定になることと思いまして、われわれはその政治的の御決定を待っておったわけであります。私としては畳の上で水練するのがいいのか、水の中へ飛び込んで水練するのがいいのか、これがこのカラーテレビについても言い得るのでありまして、実験は重ねておるが、ここで本放送をやってそして逐次その成長発達を遂げて、東京オリンピックまでにはりっぱなカラーテレビをもって国内はもちろんのこと、外国へ対しても日本カラーテレビはりっぱなものであるというような域に進めたいとかように考えて、この際は本放送に移ってもいいような状態に進めていきたい。ただ私がおそれることは、こういうことをここで申し上げるとおこがましいようにお聞き取りになるかもしれませんが、日本人はややもすれば初もの食い、みえ坊である。カラーの本放送が許されるとネコもしゃくしもとは申しませんが、そういうような初もの食い、みえ坊が競って高い受信機を買いはしないか、これは社会的にも経済的にも大きな問題であるということをおそれるのであります。従って、NHKとしては、これまでの研究をさらに進めて、安いそして性能のいい、また調整も家庭へ持ち込んででき得るようなものを早く作っていきたい。従って、実験放送から本放送に移行した後にもたえずこの研究を進めていって、今いったような社会的に経済的に悪い影響のないようにしていきたいと、かように考えておるわけであります。
  85. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 私も全く同惑なんであります。確かに日本人はみえ坊で初もの食い、それが日本の進歩を促進しているともいえるかもしれませんが、正しい意味において私はそれが促進しておるとは思わない。正しいものが阻害される。ことにカラーテレビのようなものがおこってそうした意味で白黒テレビの発展を阻害するようなことがあってはならないのだということを危惧する一人であります。今かりに許されるとするならば、おそらく民放の方ではこれは商業、営利でございますから、なるべくそういう意味においてという意味もあってやるかもしれません。そういうふうなときに、まあここに五カ年計画にも、これは実験放送の問題なんでありますが、「逐年放送時間の増加を行い、第5年度においては、一日3時間の定時放送を行う。」と書いてございます。そういうふうなこともあわせ考えまして、民放がやったからそれじゃNHKもやらなければならないということで、この計画などは無視されて行なわれるのではないかというふうに私は心配する。そういうふうな点について会長はどういうふうにお考えでございましょうか。
  86. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 私は、NHKはNHKのペースによってこの本放送をいたしたい、民放が三時間やるからNHKも三時間やるというようなことはいたさせたくないのであります。今度の予算においては実験放送を強化する意味において、三十分を一時間ぐらいな程度にして、壁よりも質においてこのカラーの機能を発揮していきたい。従って逐次、あるいは量的にも多くなるかもしれませんが、量よりも質によって、白黒のテレビに影響のないようにやっていきたい。もし調整がうまくいかぬとか、あるいはまた白黒に大きなる影響があるとか、そういう技術的の面において悪い影響があるような場合は、決していたずらに時間を延ばしていく、量的に競争するというようなことは、絶対、——絶対という言葉は使いませんが、まあ絶対の意味においてやりたくないということを御了承願いたいと思います。
  87. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 私もぜひこの電波法放送法の目的とする線に従って、行政府もまたこれを実施せられますNHKといたしましても、よくその点を慎重にお考え願いたいのであります。これによって白黒のテレビの普及が妨げられたりする、この日本の公共の福祉のために行なう放送の発展が阻害されるようなことがあっては相ならぬということを、私は強く考えておる一人でございまするので、どうぞその点は所管の大臣もとくとお考え願いたいと思います。  この問題はそれといたしまして、いま一点お伺いいたしたいのは、有線放送施設によりまして長い間NHKとしては農山村に対して、電気のいっておらない地方にラジオを聴取せしめた功績、役割というものは非常に大きかったと思うのでございますが、ところが御案内のように今日の有線放送は、最初のラジオを共同聴取するという目的よりも、その持つ機能から電話の利用という方面に進展して参りました。これは時代の趨勢、また必要がそれを生んでいったのでございましょうが、そういうふうな現在におきまして、なおかつラッパだけ持っている者から料金をとるというようなことはいろいろ問題にもなっております。この点に対してNHKとしてはどういうふうにお考えになっておるのでございましょうか。
  88. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 有線放送が逐次発達してきておりまして、一作品か昨日の朝六時か七時ごろのラジオを聞いておると、農協で有線放送の効果というものに対するその地方の論文を募集して、そしてその論文のいいものに対して、私まことに相済まぬことになるのですが、知らぬうちにNHKの会長賞というものを出しておるような状態なんです。きのうの朝ですか、六時すぎごろのラジオで初めて知ったような状態で、とにかく、NHKとしても、有線放送が一般農山漁村に普及し、そうして、その成果が上るように、いろいろとお手伝いはしているわけなんでございます。  従って、明年度の予算においては、その施設とか、あるいはまた番組等にお手伝いをするために、一億何千万円かを計上しておったわけなんでありますが、地方の方々の請願が国会に出され、またいろいろ国会方面においても、この際、有線放送の減免ということを実行してはどうかという強い要望があることを聞きまして、これは、有線放送に対して減免するということは、受信料の体系に大きな影響のあることでありましてそう簡単にでき得るものではない。それよりも、われわれの考えているような施設とか、番組とかでお手伝いをするようにした方がいいのではないかということも考えたのでありますが、前に申し上げたように強い要望がありますから、これがほかの方面に影響して、いわゆる連鎖反応が起きてNHKの受信料の体系に悪い影響があるというようなことは、NHKとしても非常に困ることでありますから、スピーカーだけを持って聞いておられる方々に対して、半減の道を講じてはどうだろうかという気持になっておりますが、国会において御審議の結果、そうすべしということになれば、そうしようということを考えております。過般衆議院逓信委員会では、かような措置を講ずべしというような意味の付帯決議がいたされたのでありますから、われわれは予算執行の途上において、さようにとりはからっていきたいと考えております。
  89. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 大体、御意見は伺ったのでございますが、先ほども申しましたように、今日の有線放送というものは、かつてのラジオ中継というようなことが主たる目的でもなくなりましたし、農協その他の業務連絡や、あるいはいろいろの問題を周知徹底させるとか、加入者相互間の連絡をするとか、そういうふうに使われておって、実際ラジオの中継の時間というものは、きわめて少ないようであります。しかも、この聴取者の数も、そう多くもないようでありまするし、この点は、なお当委員会としても、各委員の御意見も伺わなければならぬと思いますが、ただいまの会長の御意見によって、私も、一つのめどがついたような気がいたしますので、この問題は、今後に譲ることにいたします。  そこで、むしろ私、この料金問題ということは、もちろん有線放送の聴取者に対するものを半減する、あるいは全免するというようなことは、まさに受信料の体系に私は影響すると思うのであります。そこで、今日のように、ラジオの聴取料はだんだん減っていく、その逆にテレビがどんどんふえていく、協会としては、協会予算としては、バランスはとれて参るにいたしましても、料金問題として、やはり残っていく問題なんでありまして、そういうふうな点について、根本的なお考え等も、もしございましたならばお述べ願いたいと思います。
  90. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) この受信料の問題は、NHKとしてはきわめて重大なる問題でありまして、NHKの基礎にも関することでありますから、NHKとしては、前から鋭意この研究を続けておるわけであります。ことに最近ラジオの受信者の減少ということが目についてきた今日においては、どうしてもこの問題を真剣に取り上げて検討し、そうしてその結論を出したいと、かように考えております。  これについては、受信料を徴収する方法もありますし、また、受信料そのものをどうするかということも、一つの大きな題目でありますが、この受信料をどうするかということは、NHKの性格をどうするかということにも響く根本的の問題であるということを考えるときにおいては、慎重にいろいろの点から検討しなければなりませんけれども、そう簡単に結論は出得ないのではないだろうかということも私どもは懸念しております。このNHKの性格というものを大前提として、この受信料の問題を検討していかねばならぬというように考えておるわけであります。  しかし、この三十五年度の予算案が国会において御承認を得たならば、四月から直ちにこの受信料の問題の検討に入ることをわれわれ考えておりますから、その点も、あわせてお答え申し上げます。
  91. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 私は、それが全く、今日政府にとりましても、NHKにとりましても、重要な問題だと思うのでございます。  そこで、私は何といたしましても、NHKの性格というものを変えてはならないという見方をするものでございますが、そういうふうな立場から、この料金問題というものは、やはり非常な問題だと思っております。そこで郵政大臣としては、それに対して、どういうふうなお考えをお持ちでございましょうか。
  92. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 私も、鈴木委員の御意見に全く同感でございまして、また、ただいまNHKの会長が答えられましたこの方針につきましてこれを堅持いたして参りたいと存じます。まことに料金問題は、NHKの経営におきます一番の枢軸の問題と考えますので、ただいまNHKの会長の答えられましたと軌を同じくいたしまして、この予算決定後は、有線放送料金の調整問題を初めとしてこの減収の対策の根本問題を検討して参りたいと存じまして、すでに原案を、原稿をまとめている最中でございます。
  93. 森中守義

    森中守義君 ちょっと関連して。  溝上副会長にお尋ねしておきますがね、今、会長の御答弁から大体カラーの実験は、急に協会としては考えており、オリンピックあたりを一応の契機にするというような答弁のようでしたが、例の技術研究所ですか、あすこで研究されている成果として、今どの程度まで進んでいるのですか。  これをいろいろな、会長の言葉を借りると、政治的に決定される問題であるというお答えでしたが、そういう政治的なものは、これは実際、私はカラーテレビには、必要ないと思うのです。あくまでも技術的に、純学術的に検討を加えていくべき問題であるというふうに、こういう考えを持つのですが、協会の方の実験成果は、どこまで出ておりますか。
  94. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 放送協会の方で、在来いろいろ研究しました結果、現在話題にのぼっておりますNTSC方式以外に適当なコンパティブルのいわゆる共用方式というものが発見されませんので、やはりカラーテレビを実施するといたしますと、NTSC方式がよかろうということが一つ結論でございます。  それからNTSC方式を採用するとしますと、それに伴いましてまず送信関係、受信関係と両方ございますが、送信関係につきましては、すでにほとんど全部といっていいほど国産化が完了いたしまして、特に送信関係の要諦でございますカラーのカメラ等につきましても、現に国産品を現在のNHKの実験放送にも採用して使っております。むしろ問題は、受信機の方にございまして、受信機の方は、何分非常に広い範囲で、しかも技術的に安定度のいい、高くない——一般の方々が、これを使われるわけでございますので、安定度の問題、あるいは価格の問題、その他いろいろ問題が残っております。しかしながらこれまた在来非常に慎重に考えておりましたのは、少なくとも日本で仕事を始めます場合に、受信機ともども国産化でいくという見通しがつかなければ、これは始めるべきではないと考えておりましたが、最近に至りまして、大体受信機につきましても、国産化の見通しが立ちまして、安定度その他につきましても、ある程度の見通しが立って、ここで踏み切るならば踏み切ってもいいじゃないかという段階に来ております。  同時に、今までは方式もすべてきまっておりませんでしたので、あらゆる方面にわたって非常に広い範囲の研究をやっておりましたが、方式がきまって、目標がNTSC方式にきまりましたならば、その範囲内における受信機の研究ということに目標が非常に狭められますので、会長のふだん心配しておられますような、安定度のいい、安い小型の受信機ということに対する研究も、今後一そう進歩するのではないかと思います。  それから同時に、先ほどちょっとお話に出ました白黒式に対する影響としましては、白黒式に対する両用方式でございますが、カラーで出しましたものを白黒で受信いたしました場合に、これが在来の白黒よりも悪くなるということがあっては、非常に白黒の受像者に迷惑をかけますので、この点も十分に気をつけまして、送る方で十分気をつけますれば、そういうことは万々ないというふうな目安も立っております。同時に、このカラーの方に対する経費を不当にふやしまして、たとえばほかと競争する等の形において経費が膨大になるということがありませんように、番組の量的な進め方につきましては、十分に気をつけて、白黒の進歩とあわせ考えながら、漸進的な方法をとって参りたいと、かように考えております。
  95. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 今、森中委員から、この問題は政治的に解決してもらいたいということを僕が申し上げたことについて、あるいはどういうように御解釈下さったか知りませんが、私は、社会的にも経済的にも技術的にも、大きな問題であるから、ただ一部門の人だけがきめるべき問題ではない、政治的の大きな高い広い視野から見て、きめていただきたい、かように考えているわけであります。
  96. 森中守義

    森中守義君 今の会長の、そういう補足答弁はよくわかりました。  それで、もう一つ副会長にお尋ねしますが、今お答えを聞いておりますと、実験の一段階、研究の一過程としてNTSC方式がいいという、こういうように受け取れる、しかしそのことはまだ絶対的なものじゃない。これから先も大いに研さんを重ねていけば、今いわれたNTSC方式よりも、もっといいものが出る。しかし量産であるとか、あるいは送信、受信ともに、うまく国内で消化できるならばという一種の条付つきみたいな、ある意味では無理やりに、そこに一過程における実験成果を当てはめていこうというように私は受け取れると思うのです。  従って、協会の方で無理にカラーをお急ぎにならないというのは、今後も、このカラーの研究を続けていって、よりよいものを作っていこう、あるいは作り出そうという意図がおありなのじゃないかと私は思うのですが、その点で要すれば、無理に一つ方式に当てはめて、しかもそれは影像機その他、あるいは単価等もあわせて見て、それで若干の合理性を無理に持たせようというように感じるのですが、その辺は、どう思いますか。
  97. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) このカラーテレビジョン方式につきましては、在来から非常に広い範囲で、いろいろな方法について研究と申しますか、探究をして参りました。御承知のように一番基本的にコンパティブルな方式がいいということは、大体今方向としてきまっております。コンパティブルな方式の中で、どういう方式がいいかということにつきまして、現在皆無ではございませんが、まずほとんどNTSC方式以外の方式は、これはNHKの技研でも、いろいろ探究いたしましたが、結局想到し得ないわけでございまして、現在のところ、まあやるとすれば、NTSC方式というわけですが、現実にNTSC方式以外のものは、全然アイデアがないわけなんです。  それで、ないアイデアを、いつまでも追求すれば、これは時期的に、五年たてば何か出るかもしれないということが考えられますけれども、現在こういうものがあるから、何か一つこれらを研究したらどうかというふうに、NTSC方式にやや対応すべきものは、現在のところないものですから、それで、全然見当のないものを待つよりは、今NTSC方式を採用するとしたら、大体研究と実際との境い目にあるので、ここで踏み切るなら、踏み切る段階である、かように考えております。
  98. 森中守義

    森中守義君 甘利局長に、ちょっとお尋ねいたします。  CCIRのこの問題に対する取り扱い、あるいは判断というのはどうなっておりますか。
  99. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) CCIRの総会におきましては、特に、昨年四月よりロスアンゼルスでございましたが、そのときには、まだカラーの国際的な標準方式というものが、はっきり見通しも打ち出しておりませんでした。しかしここで、各国の意見が出ましたところを整理しますと、要するにアメリカは自国の方式を変える意図がないということが一つと、ヨーロッパ方面は、それぞれバンド幅には、いろいろ違いがありますが、六百二十五本、二十五像という方式それ自身においては、大体同じカテゴリーに入っております。ただそのビデオ、つまり絵の搬送波とカラーの間隔あるいは音と音を出す波の間隔、こういったところに数字上の差異がございます。しかしこれらは、そう根本的な問題として無理に統制しなくても、あるいは中継の場合に、何とかできるのじゃないかという見通しもございまして、その後、秋のテレビジョンの分科会ですが、そこでいろいろとディスカッションされました。これはもう、そのときには日本及びアメリカは、特に提案はいたしませんでした。  それは何となれば、ヨーロッパにおいては、VHFでなくしてUHFで新たに方式を統一するということでございますので、われわれとしては、まだUHFというものを考えておりませんので、何らこれに対して追及する理由がございません。ところでヨーロッパ各国の意見と申しますものは、もう大体ワクのきまったヨーロッパ方式の中で、各国がそれぞれこまかい点を調整して、できるだけ同一の数値にできるかどうかという点をおもにディスカッションしておったわけでございます。しかし、そこでも最終的に結論がまとまりませんので、この三月を期限にして、各国——と申しましてもUHFを使う方式ですが、それに対する最終意見を提出させ、四月か五月に、それをもとにして討論が行なわれる、こういうような情勢になっております。
  100. 森中守義

    森中守義君 このカラーテレビの問題は、まだ質問も残っておりますし、そのときに、あわせてお尋ねすることにいたしまして、もう一つ協会にお尋ねしておきますが、オリンピックまでを一応目途にというような会長の答弁は、郵政大臣が近来新聞に言われたり、あるいは審議会におかけになった動向と、かなり時間的なズレを来たしていると思うわけです。  ことに協会の予算の中に出ているカラーテレビジョン実験放送、これの予算が一億七千九十八万円、で、もしも審議会の結論が出て、かりに実施の段階に移った場合には、こういう予算でいいのですか。そういうことが、事前に郵政省と協会との間で協議が行なわれているのですか。
  101. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) このカラーテレビジョンと、東京で開かれますオリンピックとの関係は、実は今のところ、確実に計画的なものではございませんで、ただ、今カラーテレビジョンを踏み切るかどうかという問題に関連いたしまして、もしも東京オリンピック大会で、相当カラーテレビを活用したいということになりますと、今から始めても、やはり相当発達に時間がかかると思いますので、そう必ずしも早くないという意味におきまして、もしこれがおきめ願えるならば、今後において、具体的に東京オリンピックに対する対策を十分に考えたい、かように考えております。
  102. 森中守義

    森中守義君 そういうことになりますと、ここにあげられている一億七千九十八万円という予算は、いわゆる木放送のための金ではない、あくまでも、一つの実験放送のための予算だということなんですね。
  103. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 今の森中先生の一億七千万円というものは、今年度——三十四年度のカラーテレビの実験に使いました予算のほかに、来年は、それだけ拡充するという額でございますので総ワクを申し上げますと、三十五年度のこの本予算における計画では、毎日一時間カラーテレビジョンの番組、いわゆる実験放送と申します番組を組みますことによって、年額二億一千七百万円を計上、いたしております。ここにございますのは、昨年度に盛り込んでございまして、本年度実験放送といたしては、年間三千七、百万円を使っておりますので、それにこの一億七千万円つきますと、二億一千七百万円が五十五年度の実験放送の予算でございまして、内容は、毎日一時間番組が出せるという考え方でございます。もし、これが本放送に、これは純然たる実験放送でございますが、年度中に本放送に移行いたします場合には、現在やっております白黒の番組の中に、これは入っていくわけでございますから、そういたしますと、現在、白黒の番組予算として組んであるものが、これと一緒になって使われることになりますので、本放送に移行しましても、最低一時間——それ以上はできるという計画を組んでいるわけでございます。
  104. 森中守義

    森中守義君 よくわかりました。  そうしますと、結局本放送が行なわれるということになった場合に、若干の不足額を生ずることはあり得るでしょう。
  105. 春日由三

    参考人(春日由三君) それは、今御説明いたしましたように、何時間やるかということから、過不足が出て参るわけでございまして、最低一時間という予算は、ここに見積ってございます。しかもそれが、本放送になります場合には、現在放送しております白黒の放送番組の費用と一緒になって使われることになりますから、一時間プラス・アルファーというのがやれる可能性がある、こういうことでございます。
  106. 野上元

    ○野上元君 三十五年度予算に関係ありますので、若干今の問題、カラーテレビの問題をお聞きしておきたいのですが、今、溝上副会長は、カラーテレビの問題は、発信の方は問題ない。問題は受信機にある。しかしもう受信機も、踏み切っていい時代がきた、こういうふうに言われておるのですが、今、私は記念日に出席して、あなたの方からいただいた「NHKカラーテレビジョン」というこれをちょっと読んでみたのですが、これは三十五年の三月に発行されたものですが、それの中に、こういうふうに書いてあるのですがね。アメリカにおいて伸びないのは、受信機が高いからだ。そして、「なお、わが国における状況は、NHK技術研究所が、カラー受信機として望ましい、低廉で、操作容易でかつ安定に動作するという条件について、まだ満足なものが作られていない実情なので、各種の型式のカラー受信機について、試作あるいは開発の研究を進めているとともに、メーカーが研究または試作している程度です。こういうふうに説明されておるのですが、あなたが踏み切られた理由と、あなたの方が発行された、この説明書によるのと、だいぶ食い違っているように思うのですが、どういうふうにお考えになっているのですか。
  107. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 先ほど私が御説明申し上げました内容を、多少詳しく申し上げますと、実はカラーテレビジョンにつきましては、在来、アメリカで現在一般化しておりますのは、二十一インチの受像機でございます。それで二十一インチの受像機では、こらんになってもわかりますように、日本の家庭に入るのには、かなり形が大きいのでございます。同時にそれに応じて、ものも大きくなるし、値段も高くなる。それでNHKの技術研究所で、基本的な方針としまして、これを十七インチで国産化するということを基本的に方針を立てましたのです。  それで十七インチでやりますというと、現在使われております十七インチ用の、ガラスの玉がそのままカラー用に利用できるわけでございます。そういう方針のもとに昨年来第二期の試作をいたしまして、大体現在十七インチの国産品というものが、すでに試作としてはできるようになっております。ただ、今度もしも、実際に始めます場合には、おそらく十七インチでなくて二十一インチでメーカーの方は、さしむき製作を開始すると思いますが、それは二十一インチの方が最初は大衆的で、大きいものですから、用途があるだろうという問題、同時に、最初はブラウン管だけは輸入しようという考え、その他から、にらみ合わせて、スタートは二十一インチになると思いますけれども、やはり行く行くは、メーカーの方でも、われわれが考えております十七インチという方式に大体賛成してもらえると思います。  そうしますと、その十七インチにつきましては、先ほど申し上げましたように大体研究の段階が終わって、それから一、二改良すべき点もわかっておりますので、それを改良すれば、実際上実用化できるという段階にきている、ただ、それを逆に見ますというと、ちょうど試作がまだ完了していないという見方もできますし、同じ問題を、両方から、これは完了したから、大体まあ踏み切っていいじゃないかという見方と、あるいはこれが最後の階段に来ているのですから、今、もう少しで完了するという見方と、両方あり得るので、同じところから出したものが、違った表現をして申しわけないと思いますが、そういう実情だと思います。
  108. 野上元

    ○野上元君 あなたの方の説明に、こだわるわけじゃないのですけれども、あなたの力としては、まだ満足なものが作られていない実情にあるのだ、こういうふうにいっておられながら、じゃあこの辺で踏み切るべきだ、NHKの代表としてのあなたの御意見としては、食い違っておるんじゃないかと私はいうのです。  NHKとしては、ほんとうは踏み切るべきなのか、それとも、まだまだ受信機としては完全ではないんだ、従って、慎重な態度をとるべきなんだと、こういう御意見なのか、その点をはっきりしておいてくれませんか。
  109. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) ちょっと、その表現があいまいで申しわけないのですが、まあすべて同じことを見ますにも、研究軒の立場から見ますと、どうしても慎重に見るのです。で、まあ実際上、この辺で踏み切っていいじゃないかと思われていても、研究の点からいいますれば、もう一ぺん試作するなんというふうな考え方も出ますし、われわれ総合的に考えまして、私が、ここで申し上げましたように、われわれとしては考えておることを御了承願いたいと思います。
  110. 野上元

    ○野上元君 そうすると、これは研究者が、研究技術者の方が勝手に出したということになるわけですか、これは。さっき私は、もらってきたばかりです。
  111. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 実はまあ多少、発行の日取りは、きょうになっているかしれませんが、多少前に作ったものだろうと思いますけれども、まあ繰り返して申し上げますと、受信機につきましては、今試作の最終的な段階でございますので、まあ言いかえれば、延びれば延びるほど安全ということはいえますけれども、踏み切れば踏み切れる状態であるというふうに考えます。
  112. 野上元

    ○野上元君 そうするとNHKの中でも、技術関係の人は慎重論を唱えているが、営業関係の方は積極論を増えておる、こういうふうに考えてよろしいですか。
  113. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) まあ、表現の問題でございますが、今申し上げましたように、ある部分では慎重論であって、ある部分では、もういいんだというふうな形ではございません。でも、みんな私が申し上げたと同じように考えておると思います。
  114. 野上元

    ○野上元君 公式の文書かどうかしりませんが、とにかくあなたの方の、発行されたこの書類の中に、書物の中に、まだ満足してないとはっきりいい切っているのに、踏み切れる理由は、どうしても私にはわからぬ。まだ研究すべきだといっているのに、いやあなたは、もうここで踏み切るべきだ、踏み切ってもよろしいという確信を持ったと答弁されているのだが、その点、どうも私には納得ができない、少し無理があるのではないですか。
  115. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) まあ、同じことを繰り返して申し上げるようで申しわけありませんが、この研究というものは、まあ切りがないわけです。  それで、たとえば受像機にしましても、今の受像機で不満がないかといえば、いろいろございます。それをさらにもっと研究して、実際に、ほんとうにいいものを作ってからやった方がいいということも、考えられないことはございませんが、まあ、それは、大体今のNTSC方式に踏み切った上で、改造すればできるというふうに考えることも可能でございますし、私どもとしましては、むしろ先ほど申し上げましたように、研究の方向が集中されまして、NTSC方式による受信機の改良ということになりますと、研究の範囲も限定されますので、むしろ研究上、促進されるというふうに考えておる次第でございます。
  116. 野上元

    ○野上元君 そのうしろの方に、さらにメーカーが、研究または試作している程度ですと、こう軽く、まだまだ問題になりませんというような表現を使っている。だから、どうしても私はわからぬ。あなたが踏み切るというのは、研究か試作の程度なら、NHKが軽々しく、もう踏み切ってよろしいというような意見を吐かれることは軽率じゃないですか。
  117. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) うちで出したものの内容の表現の問題で御指摘いただいて、まことに申しわけないのですが、事実を申し上げますと、メーカーの方も、技術研究所と十分連絡をとりまして、今申し上げました十七インチの受像機の試作品も、メーカーと相談しながら、メーカーの方も、現にわれわれの方の研究に基づく試作品を作っておりまして、それが一ぺんできましたものを、さらに現実に二、三研究すべき点も指摘しまして、第二回の試作品がもうじきでき上がるという段階になっておりますので、試作しておる段階——表現の問題は、あるいは誤解を招くかもしれませんけれども、事実は、そういう段階にきておるわけでございます。
  118. 山田節男

    山田節男君 これは、溝上副会長はNHKの技術系統の最高として、会長に対して、少なくとも技術的には最も良心的な最善のアドバイスをしなくっちゃならぬ。今野上委員指摘されたように、会長の御答弁と副会長の御答弁、並びに今NHKがカラーテレビジョンで出しておる最近のパンフレットを見て、そういうふうに言っておる。これは非常に大きな矛盾ですね。  もう一つ、あなた忘れてはならないことは、少なくとも今日日本は、不幸にして公共放送と民放とが競合した形になっておる。それであるがゆえに、今の会長の言われる所信と、技術的に見たあなたの所信とが、一応矛盾をした結果になっておる。これは公共放送であるだけに重大なことなんです。今あなたがどう言われようと、これはニュアンスの問題じゃない。はっきり文章上でいえば、もうそういう、あいまいさというものはないのです。これは断定です。ですから、これは今朝来問題になった——カラーテレビジョンの早期論者の植竹郵政大臣に対して、今朝来NHKのこのお祝いにも出られないほど、ここでもんだのです。そういうような今日、非常に重要な段階にあり、しかも、こういう電波の問題については、単なる一行政大臣として、これは扱うべきものじゃない。不幸にして電波監理委員会がまだ未成長の日本の民主主義であるがゆえに、その組織を変えて郵政省の内局の電波監理局にしたけれども、しかし電波監理委員会のときよりも、よけい弊害というものが起きつつあるから、今朝来問題になっておる。  ですから、ことに公共放送の建前として、それは今朝でも問題になったけれども、これはヨーロッパにおいては、甘利君が言うように、公債ないし国営です。ですから民放というものが、これはイギリスのごときでありましても、一つしかない。そういう主体条件が違うのです。だから今のあなたの御答弁は、これは、あなたの気持はわかるけれども、公式の文書じゃないけれども、これは何千かの印刷されたものについて、こういうことがある。それは全くその通りなんです。早期実行論者の植竹郵政大臣が、そばにおられるから、あなたあえてそんなことを言われるのじゃないかと思う。少なくとも技術的な良心から見て、そういうことをあなた、ここで言われるべきじゃないと思う。  ことに、会長の常任委員会での発言に矛盾するかのごときことをあなたここで言うべきじゃないと思う、一応来る前に、この点については、やはり思想を統一して来なければ……。これは、議事録に残っているのですよ。だから一応、私は訂正してもらいたいと思う。この文章で明らかに、こういうことを書いておきながら、そういう不見識なことを、この委員会で発言してもらっちゃ困ります。ことに本委員会としては、超党派的な立場で、できるだけのことを、まだまだ論議しなければならない。NHKの予算の問題どころじゃないという空気になっているさなかにおいて、こういうことを怪々に発言されるべきじゃないと思う。訂正してもらいたい。溝上副会長、発言者であるから、発言者の口を通じて、一応そういう方針のないことで、どうする。
  119. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) もし、会長のお話と私の御説明との間に、矛盾がありましたら訂正いたしますが、私の考えとしましては、会長の御意向は、技術的に解決しても、そのほかのいろいろ経済上の問題、国策上の問題、あわせて、より高い立場から決定すべきであるというお考えのように考えましたが、私といたしましては、その中の技術的な部分につきましては、送信関係は、大体解決しておる、受信機関係は、こういう状態にあるということを御説明申し上げましたので、会長の内容に反するような点がありましたら、あらためて御指摘願いたいと思います。
  120. 山田節男

    山田節男君 これは、今朝来郵政大臣にも、その点で私は大いに意見を申し上げたのだけれども、副会長の、当委員会カラーテレビジョンの問題が、なかなか論議がつきない、十八日に電波監理審議会に、この件についての諮問はもうやめてもらいたい、慎重にやります、そう言っておきながら、その委員会の翌朝には、もう電波監理審議会諮問に諮っている、こういう事態が発生している。衆議院はいざ知らず、本審査になっていろいろんな法案のあるさなかにおいて、この問題を緊急質問として本会議に取り上げ、なお忙しいこの委員会で、カラーテレビジョンの問題で、今朝来数時間にわたって、時間を費しておる、結論が出ていないのです。少なくとも今朝の当委員会では。しかもこの問題については、党派じゃないです、超党派の立場から、いろいろ論議されたのです。そういうタイミングの点から合わせて、さすがに会長は、今の御答弁を聞いてみると、鈴木委員に対する御答弁を聞いてみると、まことに正鵠を射た御答弁をされている。あなたは少なくとも副会長——会長の代行機関じゃないでしょうか。そうしておきながら、技術的に見れば、これは大体踏み切ってもいいでしょう、そういう重大な発言を、会長に何ら消化せしめないままにおいて、副会長がそういうことを言って、副会長、会長は、一心同体じゃないですか。そういう発言が、明らかに速記に載っておるじゃないですか。これはたくさんここで聞いておられるのですからして、あなたは忘れておられるかもしれないけれども、それだから、こういう質問が起きてきたのです。  少なくともこれは、一技術上のことじゃない。会長、副会長という、もう最高の人が発言をする場合に、そういう二様な発言を、この委員会に示されるということは、一体どうしたことかと、こういうことです。
  121. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) ただいま、山田委員から御指摘の会長と副会長との意見が矛盾しておると、食い違っておるということを言われましたが、私は、矛盾していないと、食い違っていないということを考えるのであります。  というのは、私から言うたのは、技術的にも、すでに技研あるいはメーカー等において研究を重ねた結果、相当の成果をあげつつある状態にあるので、東京オリンピック大会までには、りっぱなものをしたいと。それには今ごろから、それぞれその態勢を整えて進めていったらどうかという建前から、この際、いわゆる水の中へ入って水練しようと、したがよかろうということを申し上げたわけでありまして、副会長の意見と、私の意見とは矛盾していないように私は考えております。
  122. 山田節男

    山田節男君 これはあと、議事録をごらんになればわかりますけれども、一体、公共放送立場において、これはもう、放送法にもうたってあるように、そんなオリンピックがどうのこうのという、まるでカラーテレビジョンに目がくらんでしまったような植竹郵政大臣と違って、あなたは、もう少し公共放送責任者として、そのオリンピックに何万人来るかしらんが、そういうものに見せるためのカラーテレビなんか、それこそ、みえ坊じゃないですか。そういう考えは、私はいけないと思う。  これは言うまでもなく放送法によって、NHKは、これはあまねくこの電波の利用によって、公共福祉を増進するという、これはあなたたち夢寝の間も忘れてはいかん憲法ですよ。それが、単にオリンピックで、たとえ百万人来たところで、これは一週間か十日くらいの間のことである。そのために国民一般の長い目で見たカラーテレビ放送という利害問題を、これに目がくれてしまうということは、NHKの最高の責任者として、これは大へんなことになるのではないかと思う。今会長のおっしゃることは、これは一体公共放送責任者が言うことではない。NTVの放送責任者は言うかもしれない。あるいは植竹郵政大臣は言うかもしれない。公共放送責任者のあなたとしては、これは禁句です。そういうようなことでは、これはいけません。
  123. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) オリンピックのためにという意味じゃありません。オリンピックころまでには、りっぱなものを作って、そうして国内においても、また国外においても、NHKのカラーテレビが、りっぱなものだというようにしたいと。そこに、それを目的としてということじゃなしに、そこを、そのころを目指してという意味でありまして、それを目的というように限定せられることは迷惑であります。
  124. 山田節男

    山田節男君 これはね、今会長にしても、それから副会長の御発言にしても、そのそばに、ことに郵政大臣がおられるものだから、もうバスに乗りおくれちゃいかんと、こういう気持が背後にあります。もっと高い見地から私は考えてもらいたいけれども、第一、溝上副会長が言われるように、今、もうNTSCは最高のものであるということを言われるけれども、過日、ここに参考人に来ていただいたカラーテレビ調査会の会長をしておる丹羽博士の御意見を聞いても、さしあたって、どうしても政府がなんとか結論を出さなければならないけれども、早くやらなければいかんからやれと、そういうような立場であれば、さしあたってはNTSC式がいいだろう。しかしこれには、いろいろな隘路がございます。こういうことを言っておられる。今、溝上副会長のお話を聞くと、そういう、さしあたって現段階としては、どうのこうのというような、何らの条件をつけてないんです。まあまあ、やるなら早くやれ。会長も、畳の上の水泳の練習ではだめだ。水の中に飛び込んでやった方がいい。こういう気持で、御発言になっておる。  われわれ国会議員ですから、立法者ですから、一NHKの企業者だとか、あるいは民放の事業者という、そういう立場ではない。そういう、少くとも本委員会に来て、国会立法機関の中心である常任委員会の発言は、われわれ国民代表の立場で、いろいろ質問し、審議しているのですから、あなたは、少なくとも公共放送の最高責任者として、そういったようなことをいわれるのは、何とおっしゃっても、会長の御発言と、溝上副会長の御発言は、ニュアンスじゃありません、論理において、明らかに相違しております。
  125. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 私は、先ほど申したように、この問題は、社会的にも経済的にも技術的にも、大きな問題でありますから、大きい、高い、広い視野から、政治的に御決定を願いたいと、御決定によって、われわれは木放送するならする、しないならしないということをやっていくのでありまして、あなた方が、国会議員としておきめになったことに反するようなことはいたさないつもりであります、またいたすべきものでないと思いますから、これは国として政治的に、こうしたのだと言われれば、それに従って、NHKの運営をやっていきたい、かように考えております。
  126. 山田節男

    山田節男君 鈴木委員に大へん御迷惑かけて、これ以上……。私、また次回、このカラーテレビジョンの件について、郵政大臣に御質問申し上げることになっておりますから、いたずらに時間をとることを避けますが、先ほど来の溝上副会長のお話を聞いても、これは私は、もちろんずぶのしろうとですけれども、結局私は、さしあたって現段階でやるならば、やはりNTSC方式が一番いいでしょうという、私は、そういうお気持だろうと思う。しかし、これはいうまでもなく、こういう日進月歩の間において、あす、こういうものができるかもしれぬということは、だれもできないとは言えない、と同時に、少なくとも情勢は違っても、ヨーロッパの公共放送の経営者は、もう研究は、あるいはNHK以上の研究をしているかもしれません。  しかしながら、実際実行に移すことに対しては慎重であり、これは国際標準方式に対する問題、これはアジアとヨーロッパでは違うかもしれませんけれども、少なくともヨーロッパにおいては、国際標準方式の決定ということも、待っているのでしょう。また、彼らが今研究段階にあって、これより、よりベターなものができるということも期待しておるかもしれない、そういう、少なくとも公共放送の経営の責任者は、とにかく研究に研究を重ねておるわけです。  ただ、アメリカの方ばっかり顔を向けて、富から言えば何十分の一、普及から言えば全く三十分の一、二十分の一以下の日本の白黒テレビの段階におきまして、何を苦しんで二十一インチの五十万、六十万というものを、一体国民に食わせるのか、食うものは、たくさんおりはしません。おそらく日本においては、アメリカが〇・七%なら、日本ではおそらく〇・一%だろう、一体、そういうものに対してNHKまで血道を上げるということは、これは、やはりバスに乗りおくれちゃいかぬという、いわゆる企業者としての内在的な一つの気持があるからの、そういう発言だろうと思う。公共放送責任者としては、もっと断固とした一つの自信を持っていなくちゃいかぬと思います。郵政大臣に、もう時期尚早論というようなことを言わないで、ただ、政治的にきめられさえすれば、われわれは意のままにいきますというのでは、これは、公共放送責任者としては、僕はあまりに考えがないのじゃないか、ましてや、NTSC方式がいいということをいわれるけれども、これは溝上君が技師だから、よく御存じだろうと思う。NTSC方式では、両立性——コンパティビリティに対しても、ある相当な権威者が、やはりカラーテレビジョンは、カラーテレビジョンだけでやるべきだという議論もあるのじゃないか、しかも良心的にいえば、相当強い意見だと思う。ですから何もNTSC方式が、ただ両立性がある、白黒にもいいし、画質もよくなるでしょう、負担も安くなります。こういう、きわめて何もかも、そういうものをジャスティファイする理屈をつけるというような建前は、厳に慎んでもらわなくちゃいかぬと思います。その点に対して会長の意見と溝上副会長、少なくとも技術的な最高顧問として補佐しておられる溝上副会長の御意見は明らかに矛盾しております。  こういう点が、私はまことにNHKの最高責任者として、しかも国会で問題にし、政治的な問題になっているものに対して、時期尚早論というようなことになれば、この予算というものは、全然組みかえなくちゃならぬ、こういうことに対する私は矛盾というものを、はっきりしてもらいたい。
  127. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 山田委員が今おっしゃったように、私どもは、バスに乗りおくれるとか何とかいうことは考えておりません。むしろこれが、国の方針としてきまったならば、公共放送としての責任上、本放送に移さねばならぬということを考えているのでありまして、バスの問題なんかは、全然念頭になく、ただ、公共放送としての使命をいかにして尽すかということがわれわれの頭にある、これが国の政策として決定した以上は、本放送に移すのが、われわれの当然の責任だと、かように考えております。
  128. 山田節男

    山田節男君 これはカラーテレビジョン……。鈴木委員質問中に、こういうことに展開したのですが、これは私、次回にカラーテレビジョンで、郵政大臣並びにNHKがそういう御所信なら、一つ一緒においで願って、次回に一つ質問を続行したいと思いますから、これでやめます。
  129. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 特にカラーテレビジョンに関しましては、まだ多少、論議も各方面で残っているようでございまするし、きょうは、主としてNHKの三十五年度の予算に関連して御質疑をいただいておりまするので、さらに別の機会に審議を譲らしていただきまして、NHK予算を中心として御論議をお進めいただきたいと思います。
  130. 野上元

    ○野上元君 三十五年度予算といっても、これは関係があるわけです。カラーテレビを本放送した場合に、どうするという予算があるから、あと一、二点聞きますから。
  131. 柴田栄

    委員長柴田栄君) わかりました。それは、直接関係させて一つ御質疑を願います。
  132. 野上元

    ○野上元君 郵政大臣にお尋ねしたいのですが、現在アメリカで、カラーテレビがなぜ普及しないかという同僚議員の質問に対して、あなたは、カラーテレビは、いまだにマスプロダクションの段階でない、従って、非常に高い、高価であるから伸びないのだといわれておりますが、二月何日でしたかの日経新聞を見ますと、そればかりではなくして、最近においてポロライド光学機械によって二色法が成功した、従って、NTSC方式だけではなく、この二色法を十分に研究すべきである、こういう市が起きている、非常に慎重論が唱えられているということの記事が出ておりますが、それは、どういうふうに郵政大臣としてはお考えになりますか。
  133. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ただいまのマスプロ、大量生産でないからということは、私申し上げなかったつもりでいるのですが、その値段の商い、普及いたしませんことにつきまして、アメリカは、試作の段階はもう過ぎまして、普通の生産をやっていると思いますが、その普及しません理由を二つ指摘してお答え申し上げたのでございましたが、第一の点は、アメリカのカラー放送を始めた当初におきまして、まだ日本の今日のカラーテレビのように、りっぱなものになっていなかった、その段階に早くスタートをし過ぎてしまった。そしてカラーテレビというものは、大したものではない、あまりよくないじゃないかということが、だいぶ植えつけられたということが一点と、もう一つには、御指摘のございました値段が高いという点で、なかなか伸びなかったと、それからまた、当初におきまして、RCAの方式の点につきまして、訴訟問題等ございまして、それも影響しているというふうなことも承知いたしておりますが、それやこれやで、アメリカとしては伸び悩んでおる。  それから、次のお話の二色の問題につきましては、私も、二色が今度できたそうだと、しかし、まだ二色ははるかNTSCの方式までにはいっていないんだと。しかし私といたしましては、新しい発明品が、どんどんと増加して参りまして、ますますそれによってNTSCの方は、さらにあらゆる観点から改良意欲が出て参りますでありましょうし、二色式としても、どんどんと開発、発展、改良せられていくことは、これはまあ発達上、まことに望ましいことだと、さように考えておりますが、二色式につきましては、まだ詳細なる報告は聞き及んでおりません。
  134. 野上元

    ○野上元君 二色式のその詳細なる報告が来ておらないということを言われておりますが、そういう状況の中で、どうしてその不完全なNTSC方式を急がれるのですか。
  135. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) これまで発達いたしましたならば、——それは何物にも完全ということはなかなか期し得ないと思います。ことに、ラジオとかテレビといったような電子工業、電波工業につきましては、なかなか完全な城までは到達しないと思いますので、科学者的良心をもちまして、さしあたりこのNTSC方式がいいんだ、という調査会の結論が出たのも、そのためであろうと存じます。
  136. 野上元

    ○野上元君 NTSC方式ができたあとで、問題の二色法がやはり問題になって、今日アメリカにおいては、ゼネラル・エレクトリックが今年からカラー受像機の製造を中止しておるという事実があるんだが、それは、どういうふうにお考えになりますか。
  137. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 中止しておるとは、私のところに報告がございませんので、まだ従来のものも、また生産途上にあると聞いております。
  138. 野上元

    ○野上元君 少なくとも商業主義の非常に発達したアメリカにおいて、カラーテレビが、将来非常に有望であるならば、ゼネラル・エレクトリックのような大資本が、これの生産を中止するなんということは私はないと思うのです。少なくともそういう空気になっておるということは、将来性が非常にないのじゃないかということも反面考えられるのだが、日本において、ほんとうにあなたが言うように、カラーテレビが飛躍的に増進していくというような確信がありますか。
  139. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 私は、ただいまの段階ならば、NTSC方式で十分だと存じます。また将来に対しましても、NTSC方式で大丈夫だと確信いたしております。  なお、ただいまの二色につきましては私の聞き及んでおりますところでは、それが、はたしてカラーテレビに応用できるかは未知数であるという報告でございます。
  140. 野上元

    ○野上元君 ゼネラル・エレクトリックが、カラーテレビの受像機を生産中止したということは、二月二十二日の日経新聞に出ておるのです。その情報は、あなたは全然お知りにならないのですか。
  141. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 一新聞記事としては承知いたしましたけれども、これに対して、まだ詳細な報告は受けておりません。
  142. 野上元

    ○野上元君 ゼネラル・エレクトリックは、あなたの方に報告する義務があるのですか。
  143. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ただいまの報告と申しましたのは、GEからの報告ではございません。事務当局、技術当局から、そういうことがございますと、そのつどそのつど、私のところに、あるいはプリントにいたしまして、あるいは口頭で、すぐ電波監理局から報告がございます。これについては、まだございません。
  144. 野上元

    ○野上元君 そうすると、事務当局は、そのことは御存じですか。
  145. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) ゼネラル・エレクトリックがやめたということは聞いております。しかしアドミラル社は、五八年にはやめましたが、また製造を再開しております。その他アメリカにおけるこの二色法に対する反応ということは、いろいろの会合で聞き及んでおりますが、それはアメリカにおけるVHF、UHFのチャンネルの入り込んだ配置を、どういうふうに整理するかという問題がございまして、これは、カラーとは直接関係のない問題ではありますが、それを機会に、二色法というものを検討してみるという意見は、少なくも大学の学者の間では行なわれております。しかしこれは、まだ先般、丹羽会長がお話しされましたが、やはりテレビに導入するということは、これがもし成功するとしても、よほど先ではなかろうかということを申しておられました。私どもも、大体そのように考えております。
  146. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  147. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 速記を始めて。
  148. 野上元

    ○野上元君 ただいまゼネラル・エレクトリックが生産中止をしたことを報告がまだされていないということを大臣は言われておりましたが、電波監理局長の方は知っておった、こういうことですね。  ところがあなたは、郵政大臣は三月九日の衆議院逓信委員会で、本年の九月ごろ本放送を開始したいという、こういう積極的な意思表明をされたわけです。その意思表明は、明らかにアメリカの動向を最も大きな参考として、今日あなたは、そういう態度をとられたと思うのですが、そのアメリカにおいて、ゼネラル・エレクトリックが生産を中止したということは、少くとも私は重大な要素だと思うのです、カラーテレビの将来についてですね、そういう重要な段階において、あなたに事務当局は、そういうことを報告されておらないということ、それは、どういうふうにお考えになりますか。
  149. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) これから、この点を注意いたしまして、私も気がついていて、すぐ詳細の報告を、むしろ新聞記事を読んだ以上は、求めるべきであった点を遺憾に存じます。今後、十分気をつけまして、あらゆるそういったような情報につきまして、研究を重ねて参りたいと存じます。
  150. 野上元

    ○野上元君 あなたは、二月九日の衆議院逓信委員会における発言を、もう少し慎重に検討されて、アメリカの動向等についても、実際に調査をして、これを修正する意思はありませんか。衆議院逓信委員会におけるあなたの発言を、もう少し修正する意図はありませんか。
  151. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 七月と申しますか九月と申しますか、外国の国会議員が日本に参ります列国議員会議のおりにと申しましたのは、あれは、あの当時の御質問も、あの当時の空気で、実は、まあどういうふうに考えておるか、私は、まだ未決定であると申しましたところが、未決定米決定といっても、カラーテレビはいいと考えておる以上、何か努力の目標があろうではないか、努力の目標——決定でなくて、努力の目標でもいいから述べろと言われまして、その御質問に対しまして、たとえば国会議員が参りましたときにと申しましたのは、実はまあ、決してそれは、本質的なきめ方ではないことは申し上げるまでもないのでありまして、本質的なものではございませんけれども、まあ、ちょうど列国会議でもございますれば、そのときに、日本カラーテレビができておれば、なお、来た列国の人たちも喜んで、気持のいい滞在もしてくれるであろうといったような、いわば、これは大へん卑近な例を申しまして、いかがかとも思われますが、まあ、お祭りのときには、瀞通の白黒の着物よりも、色のついたきれいな着物を着てといった、軽い、そういったような気持もございまして申し述べたのでありまして、どこまでも、私があの際にお答え申し上げました通り、本質的な考え方を述べたのではないのでございまして、派生的な答えであったということは何とぞ御了承願いたいと思います。
  152. 野上元

    ○野上元君 あなたは、国会常任委員会において、カラーテレビの本放送について、そんなに簡単に、ゆかたを訪問着にかえるような、そうして見せびらかすんだというような気持で答弁されたのですか。
  153. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) そういう、見せびらかすという意味ではございませんで、つまり滞在中に列国の議員たちが、日本も、こんなによく見えるカラーテレビがあるか、そうして、そのカラーテレビを通しまして、日本の文化、景色、風俗等を、われわれの生活を白黒のみならず、カラーによりまして見てもらいますことは、日本をよりよく理解してくれる上に、大へんけっこうである、  そういう意味で申しましたのであります。
  154. 野上元

    ○野上元君 あなたは、放送法の第一条をどうお考えになっておるのですか。カラーテレビを、東京オリンピックのために作ると言ってみたり、あるいは列国国会議員会議のために作ると言ってみたり、一体、九千万国民をどう考えておるのですか。
  155. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) これは放送法の趣旨、本日の午後からの委員会の劈頭に、鈴木委員の御質問に対しましてお答え申し上げました通りに、十分放送法の精神を尊重いたしまして、それを放送法第一条、第七条等をNHK放送の根幹といたしまして考えて、監督行政をやっておることは間違いないのでございますが、先ほど、前にも申し上げましたように、この九月の国会議員の見えますこととか、オリンピックとかいうふうな問題は、本質的なものではないのでありまして、つまりそれの目的のために許可するのではなくて、許可した結果が、オリンピックにも間に合う、あるいはもっと早ければ、列国国会議員の会議にも間に合う、結果を申しましたので、その点は、本末を、何とぞ御了承いただきたいと存じます。
  156. 野上元

    ○野上元君 列国国会議員会議はいつですか。
  157. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 初夏、あるいは初秋と存じます。会議そのものは九月二十七日かと存じますが、その前から、日本に来る人もございますので、まずカラーテレビにつきましては、晩夏、初秋——夏の終りあるいは秋の初め、さように考えております。
  158. 野上元

    ○野上元君 そうすると、その列国国会議員会議の前に、あなたは本放送を許可する気持ですか。
  159. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) まだ、これは電波監理審議会にかかったばかりでございまして、電波監理審議会での御議論もあろうと思いますし、さらに、その電波監理審議会の途上におきましても、聴聞会等いろいろな客観情勢を判断いたします議論、材料等出そろいまして、その結果の判断でございますので、その結果を待ちませんと、これを許可するという段階にいくとか、あるいはいついくとかいうふうなことにはならないことは御案内の通りでございます。
  160. 野上元

    ○野上元君 そうすると、本放送は、列国国会議員会議の前に間に合うかどうかは、今のところわからぬと、こういうことですか。
  161. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 何とか間に合わしたいとは存じますけれども、ただいまの審議会の経過等を見まして、よく考えて参りたいと思います。
  162. 野上元

    ○野上元君 私も、予算の問題でやりたいと思ったんだけれども、時間がなくなったんで……。すでに、三十五年度の予算に関連して御質問申し上げているのだから、予算の審議に入っておるつもりですが……。それでは二、三、時間の許す限り質問したいと思いますが、日本のNHKのような形態は、世界各国にあるのですか。
  163. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 民放と二本立てというのは、日本だけと承知いたしておりますけれども、民放のことを考えなければ、同じような形態があると存じます。
  164. 野上元

    ○野上元君 そうすると、NHKの存在理由というのは何ですか。
  165. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行なうことを目的といたしました団体である、さように存じます。
  166. 野上元

    ○野上元君 その点は、民放も同じじゃないですか。
  167. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 同じでありますが、ただ、それに商業的要素が片方では加わっておる点と、それからこれを運営する上におきまして、聴取料制度が片方にあり、片方が広告の収入制度であるという点が違っておると存じます。
  168. 野上元

    ○野上元君 NHKの最も大きな特色、特に民放と併立して考えた場合に、何が一番大切かといえば、公正な、そして中立的な報道を行なうということが、最も大切なんじゃないですか。
  169. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) その通りであります。
  170. 野上元

    ○野上元君 その中立性を守るためには、どういう機構があるのですか。何によって中立性を守っているのですか。
  171. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 経営委員会がございますし、また郵政省という監督官庁もあるわけでございます。主として経営委員会がこれに任じておるわけであります。
  172. 野上元

    ○野上元君 主として経営委員会が、NHKの運営方針について最も大きな中立性の柱となっておるという考えですが、その点は、協会側も承認されますか。
  173. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) ただいまの大臣答弁に補足して申し上げますと、もちろん経営委員会が最高責任をとるわけでございますが、機構といたしまして、昨年放送法の改正も行なわれまして、特に番組審議会等も設けられました。また、これに伴っていろいろと番組の考査をする機関も設けられまして、協会としては、その線に沿って不偏不党、公正な番組を送るということに努力しております。
  174. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 今、甘利局長からも御説明があった通りに、NHKの経営の最高の方針は、経営委員会において決定いたしますが、何と印しても、NHKの中正な態度、立場は番組によって表現せられるのでありまして、その番組は、放送法の定むるところによりまして、中央には中央番組審議会を設け、地方には地方番組審議会を設け、また国際放送については、国際放送番組審議会を設けて、その審議によって番組の中立性、公正性を確保していくようにいたしております。  その番組審議会の委員は、いわゆる公正な人であって、学識経験の豊富なる方々を会長がお願いしてその任を尽していただいておるわけでございます。
  175. 野上元

    ○野上元君 特に郵政大臣にお聞きしたいと思いますが、あなたは、経営委員会の発言力は非常に大きい、特に中立性を守っておるバツク・ボーンだというふうに言われておるのですが、経営委員会のメンバーを見てみますと、はたして、これ、中立でしょうか、中正な人でしょうか。
  176. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 中正だと思います。と申しますのは、その人のいろいろな考え方は、経営委員会における活動、経営委員としての活動におきまして、厳正中立であることは、法律の要求するところであって、それに基づいて任命いたされておりますので、その任命にあたりましては、特にそういう点を考えまして任命されておると存じます。
  177. 森中守義

    森中守義君 任命した人の名前は、だれとだれですか。
  178. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ただいま、電波監理局長からお答えいたさせます。
  179. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) 会長、阿部真之助氏、浜田成徳氏、千葉雄次郎氏、阿部清氏、名前はちょっと忘れましたが三輪氏……。
  180. 野上元

    ○野上元君 名前は、特におっしゃられなくてもいいと思いますが、とりわけ私は阿部真之助氏が、いろいろな本や新聞等に評論を書かれておって、彼の考え方というものが、中正妥当な考え方だというふうに、監督官庁としてはお考えになっておりますか。
  181. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) それぞれ委員におかれましても、その理念、思想等異なっておられると思いますが、ただNHKの経営に参画いたしまして経営方針を立て、またNHKの経営に発言を持ちますときには、絶対公正に発言し行動すべきであると、その観点から考えまして差しさわりはないと考えております。
  182. 野上元

    ○野上元君 協会側にお聞きしたいのですが、NHKの中正性というのを、特に要求されるのは、どの放送ですか。
  183. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) すべての放送でございます。
  184. 野上元

    ○野上元君 とりわけニュース解説というのがあります。「ニュースの焦点」といいますか、あれを解説する場合には、非常に中正性を要求されると思うのですが、その点は、どうですか。
  185. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) どの点も、同じでございます。公正にやらねばならぬということを考えております。
  186. 野上元

    ○野上元君 特に私たちが見ると、「ニュースの焦点」の解説というものは、その協会の性格をはっきりと打ち出すのじゃないかというように実は感じるわけですが、この中に、非常に妥当性、公正性を欠いておるものがあるという風評を開くのですが、その点、あなた方の耳には入りませんか。
  187. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) NHKとしては、非常に「ニュースの焦点」にしても、あるいは「今日の問題」にしても、解説に関する限りにおいては、NHKの方針を守っていただいておると思いますが、ただ、この点は御了解を得たいと思うのは、それぞれの立場において、また、そのときの気持において、お聞きになる方の御批判は、またおのずから違うのじゃないか。そこに、NHKの公正性を守っていく上において、非常にむずかしいところがあるので、万人が認めて、もって公正であるということは、いかなる尺度をもってやるか、水のように、空気のように、色もなく味もないというようなことは、実際問題としては望み得ないのではないか、かように考えております。
  188. 野上元

    ○野上元君 あの「ニュースの焦点」の解説者は、だれが御指名になるのですか。
  189. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 会長が、それぞれお願い申しております。
  190. 野上元

    ○野上元君 私、先ほどちょっと申し上げました具体的な人をあげることは差し控えますが、そういう中立性を欠いておる、一方に偏しておるという意見が非常に強く出ております。この点については皆さん方お聞きになればわかると思いますが、そういう点が、もしかりにあるとするならば、NHKの中立性あるいは中正性というものに、大きく傷をつけることになるわけですから、その点は十分に、今後とも一つ運営を誤まらないようにしてもらいたいと思うのです。
  191. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) そういうようなことがあれば、御遠慮なく御注意なり御批判なりを承わりまして、そういうことのないようにさせていただきたい、これはむしろ、私の方からお願いいたします。
  192. 野上元

    ○野上元君 NHKとしては、民放がああいうふうに多数生まれたことについて、どのように考え、NHKに、どのような影響があるかということをお考えになっておりますか。
  193. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 私は、民放とNHKとはよい意味において、いわゆる精を競い、妍を争うというような、お互いが切瑳琢磨して、いい放送をし合う、そうしてこれによって、文化の向上をはかり、公共の福祉を推し進めていくようにしたい。  従って私は、NHKだけの放送がいいか悪いか、民放ができるのがいいのか悪いのかということについては、いろいろの批判はあるけれども、現実の問題といたしましては、私は民放と、いい意味においての競争をして、そうして世の中のためになるような、お役に立つような放送をしていきたい、かように考えて、いたずらに独善に走って、NHKがどうもマンネリズムに陥ったというようなことの批判のないようにしていきたい。しかし、私は、どこまでも無益な競争はいたしたくない、かように考えております。
  194. 野上元

    ○野上元君 NHKの持つ公共性と、それから民放の持つ商業性と、これは両立できますか。
  195. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) NHKも民放も、ともに公共の福祉のために放送していくというようになってもらいたい。また、われわれも、そういうように努めていきたい。  ただ私は、NHKは、こういうことをここで言うと、どうかと思うのでありますが、NHKは放送界の先駆者として、また推進者として、放送界の全般の向上に力を尽くしていきたい。そういうことを言うと、民放の人はおこられるかもしれませんが、私は、そう思うのでございます。
  196. 野上元

    ○野上元君 ラジオにしてもテレビにしても、放送の目的は、教育にあるのか、娯楽にあるのか、どちらですか。
  197. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) すべて国の繁栄、また個人の幸福、繁栄をはかることが必要でありますから、教育、教養というものは、非常に重大なるウエートを持っております。ただ教育、教養だけでいいか悪いかということになると、そこに、やはり教育、教養の番組を聞いたり見たりしていただく上において、娯楽というものも、教育、教養の手助けになるようなものを組んでいきたい、かように考えております。
  198. 野上元

    ○野上元君 最近、アメリカで、コロンビア大学の助教授の例のチャールズ・バン・ドーレン、あれが八百長クイズをやって問題になりましたが、あれは、どういうふうにNHKでお考えになっていますか。
  199. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) お答え申し上げます。  あの件につきましては、NHKは、次のような考え方を持っております。  少なくとも、かりに商業放送であろうと、いわんや、私ども公共放送においては、かようなことはあっていけないものである、そういういう考え方のもとに、編成方針も、そのような心理的に、ある種の誘惑性を持つようなクイズ番組は組まないのが私どもの基本方針であります。従って、ああいう問題に対しては、全く論外のさたでありまして、私どもとしては、いかなる理由があろうとも、ああいう形態については、納得しがたいという考えかを持っております。
  200. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 先ほどの私の答弁で、補足さしていただきたいと思います。  NHKとしては、教育、教養、報道、娯楽、これらの点をよく考慮し、その番組の調整をはかっていくことにしております。
  201. 野上元

    ○野上元君 チャールズ・バン・ドーレンの問題について、演出者は、こういうことを言っている。もともとテレビなんというのは、娯楽である、娯楽には、若干の、そういうクイズ的なものが必要なんだ、従って、あれはあれなりに、目的を達しておるから、自分は、全然良心に苛責するところはない、しかも教えることは、ちゃんと教えてある、クイズの中において、知識を国民に与えておる、あとの結果は、大したことはないじゃないかと、もともと娯楽なんだからと、こういうような意見を持っておられるようですが、それについては、どういうふうにお考えになっておりますか。
  202. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) NHKの編成の最高責任を会長から委嘱されている者といたしまして、かりに、あの番組のアメリカのプランナーなり演出者なりが、いかなるそのような発言をしたといたしましても、私どもの建前から申し上げますと、目的のために手段を選ばないというようなことは、特にNHKとしては、慎まなければならない問題であると、こう考えております。
  203. 野上元

    ○野上元君 十分に、教育の面では任務を果たし得たという演出者の考え方についても、あなたは同意できませんか。
  204. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) そのケースに関する限り、同意できません。
  205. 野上元

    ○野上元君 特にテレビが要求されるのは、同時性といいますか、あるいは事実性といいますか、そういうものを非常に大衆は望んでおるわけですね。ニュースの報道なんかは、その最たるものだし、あるいは相撲、野球というようなものが、いわゆる同時性と事実性を同時に満足さしておる、こういうふうに言われておりますが、今日、NHKのテレビの番組において、ビデオ・テープと、それから同時性を満足せしめておるものの比率は、どのくらいになっておりますか。
  206. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 現在、NHKのテレビにおきましては、大体、同時性、いわゆる現場からの中継あるいはスタジオからの製作番組を直ちに放送するものと、ビデオ・テープにとっておいて、これを時間を異にして放送するものと、さらにキネコあるいはフィルムによって収録して時間を異にして放送するもの等がございますが、キネコないしフィルムは、主としてニュースの再生というところに、現在のところは重きをおかれておりまするので、この点を除外いたしますと、大体現在のところは、なま番組の方が七〇%に達しておると思います。
  207. 野上元

    ○野上元君 そうすると、ビデオ・テープの部分、あるいはフィルムの部分は三〇%で、七〇%は同時性のものだと、こういうふうな計画で、今日進められておる、こういうわけですね。
  208. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 大体同時性、すなわちなま番組を、そのまま放送するというパーセンテージが約七〇%でありまして、それ以外のビデオ・テープ及びその他のこれと同じような目的を持つ番組のものは三〇%以内だというのが現状でございます。
  209. 野上元

    ○野上元君 なま放送というものは、同時に放送するやつのことを言っているのですか。
  210. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) そうです。
  211. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  212. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 速記を起こして下さい。  ほかに御発言もなければ、本件に関しまする質疑は、本日のところは、この程度にとどめたいと存じます。  これにて散会いたします。    午後四時二十四分散会