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1960-03-17 第34回国会 参議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十七日(木曜日)    午前十時三十四分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     柴田  栄君    理事            鈴木 恭一君            手島  栄君            松平 勇雄君            森中 守義君    委員            野田 俊作君            最上 英子君            谷村 貞治君            久保  等君            鈴木  強君            野上  元君            山田 節男君            奥 むめお君   国務大臣    郵 政 大 臣 植竹 春彦君   政府委員    通商産業省重工    業局長     小出 栄一君    郵政政務次官  佐藤虎次郎君    郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君    郵政大臣官房電    気通信監理官  松田 英一君    郵政大臣官房電    気通信監理官  岩元  巌君    郵政省郵務局長 板野  学君    郵政省電波監理    局長      甘利 省吾君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    日本電信電話公    社総裁     大橋 八郎君    日本電信電話公    社副総裁    横田 信夫君    日本電信電話公    社営業局長   大泉 周蔵君    日本電信電話公    社施設局長   平山  温君   参考人    日本電信電話公    社経営委員会委    員長      古野伊之助君    東京電機大学学    長       丹羽保次郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並  びに電波に関する調査  (日本電信電話公社業務運営等  に関する件)  (カラーテレビジョンに関する件) ○電信電話設備拡充のための暫定措  置に関する法律案内閣提出、衆議  院送付)   ―――――――――――――
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のうち、日本電信電話公社業務運営に関する調査のため、参考人として本委員会日本電信電話公社経営委員会委員長古野伊之助君の御出席を求めて、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。なお出席要求手続その他は委員長に御一任願います。  次に同調査のうちカラーテレビジョンについての調査のための参考人として本委員会東京電機大学学長丹羽保次郎君の御出席を求めて意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。出席要求手続その他は委員長に御一任願います。   ―――――――――――――
  5. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  御質疑の御通告がございますので、順次これを許します。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 本日は電電公社経営委員長古野さんには、公私御多忙のところ御出席をいただきましてまことにありがとうございました。  なおまたこの機会委員長としてたえず電電事業拡充発展のために御尽力をいただいておりますことについても、深尽の感謝を申し上げておきたいと思います。  きょう私は電気通信事業経営一般について質問をいたさんとするものでありますが、最初に吉野委員長にお尋ねをいたしたいのでありますが、御承知通り日本電気通信事業が明治二年発足以来、終始国有国営として運営されて参ったのでありますが、昭和二十七年の八月一日、国鉄、専売に次いで公共企業体経営方式に移行いたしました。自来八年間たっておりますが、特に吉野委員長は当初から経営委員として御参画をいただき、今日委員長として重責を果たしていただいているわけでありますが、この八年間の歩みの中で、今日公共企業体という制度の中で、電気通信事業運営されておりますが、いろいろな不備欠陥も出ておると思います。経営委員会は御承知通り法第十条によって「公社業務運営に関する重要事項を決定する機関」でございます。そういう立場に立って委員長に御活躍をいただいているわけでありますが、今国会にも提案されておりますように、当初の第二次五カ年計画拡大修正をし、一つの転機として事業飛躍的発展考えられるということでありますが、これも私たち思想的には何ら反対するものではございませんが、そういう拡充発展に踏み切る前段として当初私が申し上げております公共企業体あり方、その中には長所も短所も出ておると思います。従ってこの公社法国会に提案され、思想的に確認をされ、国民がこの思想によって運営されることを期待している事業が、幾多のまだ不備欠陥も出ていると思います。従って抽象的な質問でございますが、委員長がこの八年間参画されて、この点はこう直した方がよろしいというような点のお考えがございましたら、一つこの機会に承っておきたいと思うのであります。
  7. 古野伊之助

    参考人古野伊之助君) えらい御丁寧なごあいさつ恐縮しましたが、あまり経営委員会というものは、ちょっと由来因縁を申し上げるのは非常に簡単なんですが、電電公社仕事を、まあ公社として発足するという当時に、佐藤榮作さんがたしか郵政大臣だった、突然こられて、そして今度は公社という制度日本電信電話仕事をやることになった、それで君にも一つぜひ仲間に入って経営委員をやってもらいたいということで、私は、一体どういうわけでそんなものを私のところに持ってきたのだと聞いたら、あなたは民間電信電話を一生涯一番たくさん使って働いている人だから、それだからぜひ今度の公社という制度ができるについてあなたに一つ仲間に入ってもらいたい、こういうことだった、ただし、俸給は一切出しませんから手弁当でお手伝いしてもらいたいということだったから、話がなかなか気に入ったし、どんな連中一体経営委員に出てくるのかと聞いたら、大橋さんだとかそれからもとから逓信省関係のそういう方、河上さんとか、そういう連中、それじゃ私も手伝いにいかなければならぬのかなあということで、まあふらふらと経営委員仲間に参加したわけです。その当時大橋さんが一番仕事にはなれている人で、これを経営委員長にするのだということで、それじゃ話を聞いてめくら判をついてやればいいと思ったのだが、しかしいろいろ出ていって聞いてみると、日本は非常に世界各国と比較してみて、電話普及率が恐ろしくみじめな姿にあるのだ、聞いてみると、何でも世界水準からいくと普及率が二十九番くらいになっておる、そんなべらぼうな話はないというので、私は、さっそくそれはどうしたら一体世界一流国並み電話の普及した国になれるのかというと、それは資金だと言うのだ、資金なら電話を使うやつに金を出させたらいいじゃな  いかというのでだんだん調べてみると、電話料金が一通話五円でしたかね、そのくらいのことだった。要するにこんなに電話が必要だ、必要だということになっておるのだから、電話を使う人間に持たせて――つまり受益者負担の原則でこの仕事を一躍世界一流電話国に仕上げてしまったらいいと、こうさっそく私は考えたわけであります。  それで幾ら戦争に負けたからといったって、世界水準からみて二十九番目なんてのはナンセンスだ、それで資金は何も国家にねだらないでも、どうせ電話を使う人たち自分で負担するということにすればたちどころに解決する問題だ。電話料金はその当時一通話五円といったやつを私は十円にしたらいい、こういう提案をしたわけです。だれに一体こんな話を持っていったらいいのだといって聞いてみると、総理大臣の首根っこを締め上げるのだ、吉田さんがその当時ちょうど総理大臣だった。吉田さんのところに談判に行って、電話料金一つ倍にしてもらいたいのだ、そうすればじき日本電話はどんどん普及する、そうして世界の二十九番目なんてみじめな話はあるはずはないじゃないかと言ったら、吉田さんは、それは倍というのは少し乱暴ではないか、乱暴な理由は毛頭ない、往復はがきは十円するのだ、はがきは一枚五円するのだ、往復はがき以上の、一通話電話をかけたら往復はがき二、三枚の役は勤める、少なくとも一通話十円くらいの価値はあるのだと私は思う、こんなわけのわかった話を、何で値上げをぐずぐずする必要はないじゃないかと話したところが、そう、そう、聞いてみればなるほどもっともだなというような話になって、それではあなたは賛成したということにきめてようございますかというと、吉田さんは、わかった、関係の方へ話しておいてくれというから、関係といえばその当時郵政大臣ですね、それで郵政大臣に、ちょうど佐藤榮作さんが――もう忘れてしまいましたけれども、何かごたごたやっている間に人がかわって、たしか塚田さんのときだったと思いますが、塚田さんのところへ行って私、話をした。それでこれをぜひやっていただきたい、そして日本電話事業というものを世界一流国並みに早いところやっていくことが、日本再建基礎工事だと思うからという話をしたら、塚田さんだと思いました――その間に榮作さんはかわっていってしまって……私を引っ張り出しにきたのが榮作さんだったのですが……。それで総理も担当の監督官庁賛成だから、すぐよしということで、これでどうにか日本も明るみに出る。こんなことは釈迦に説法ですけれども、第二次世界大戦後の世界を革命しているものは御承知通り電波航空仕事です。電波航空というものに徹底して力を入れて、そして世界各国一流国並み水準に早くいくことが日本再建基礎工事だという信念から、たまたま私は電話の方にひっかかりを持ったので一生懸命やった。その当時の総裁、副総裁は、梶井剛君が総裁で靱勉君が副総裁だった、それで総理監督官庁郵政省も同じで、なるほどもっともだ、なるほどもっともだと、わかったら電話料を倍にしてもらうということで始まったのが、私の経営委員と称するものに引っ張り込まれた因縁なんです。そんなつまらぬことを言うて、あなたの質問に答えになるかどうかわからぬが、私は同じ考え方を今日やはり持っているのです。その十円値上げをするということがうやむやになって、公共企業体料金をむやみに上げるということは、インフレを助長するからとか何とかかんとかいうようなわけのわからぬ話で、国会にきてそれがつぶされて七円という中途半端な数字にされてしまった。それで国会に勢力を持っておられる皆さん方、そんな金の苦労をせんでもだぶだぶ金がうなっているのだから、だぶだぶうなっている金を活用する、そうしてほんとう日本基礎的事業である電話電信仕事を早く役に立たせていただきたい、こう思うのだが、それが何か七円になってしまったので、五年でできる仕事が第二次五カ年計画というようなばかばかしい仕事を今ごろやって、拡張がどうやら、拡大がどうやらなんということをやっているのですが、その当時だれか国会に有識者がいて、なるほど往復はがき並みの値段は当たり前だ、もっともじゃないかという話になっていれば、もう五カ年計画を二度やらなくても十年かかる仕事が五年で完成していた。かえすがえすもばかなことだとつくづく痛感しています。  そういう因縁で私は経営委員会から足が洗われないでうろうろしている間に大橋さんが総裁にかわっていって、そして私が順ぐりに、互選か何かで、君、委員長になってくれということで経営委員長になって、ついにここに呼び出されて、お前どう考えているのだという御質問をせられたわけであります。そういうようないきさつです。そこで私は今日なお金が要るなら受益者からどんどん取り立てたらいい。みな電話をほしくて困っているのですから。まごまごしていて今日もなお電話普及の順序はやっと世界で二十二番目である。そんなことではつくづくだらしのない話だと思います。それで幾らでも料金は、正当な、私どもが最初主張した通り往復はがき並み料金に上げるのはあたりまえだと思います。このあたりまえなことがどうも国会議員方々にはおわかりにならない。皆さん賛成して下されば、すぐ昔の失敗を、何も十年かからぬでも、今ごろ拡大計画がどうやらこうやら言わぬでも、とっくに五年で完成してしまったという失敗の歴史をもう一ぺんここで申し上げて、国会に有力な立場を占めておる皆さん方がお考え直しを願いたい。資金の問題は何も困るわけはないので、金はだぶだぶ余っているのを、いろいろな制度でしばって自分で集めないで、世界で二十二番目にやっとなったということじゃナンセンスだ。どうぞ一つよろしくお願いします。  具体的に何かありましたら一つ言って下さい。そんな気持で、頭の切り替えが必要だ。電電公社というのもごらんの通り逓信省の引き継ぎですから、おそろしく官僚的で、僕らのように民間で徹頭徹尾一生涯仕事をやってきた者から見ると、どうもお役所式のものの考え方が抜けないということが、皆と一緒に働いておるときに始終繰り返し感じられます。こういう所で必要な制度は今後も一つ修正してもらって、そうして早いところ世界各国並みに、無電話部落解消という言葉はありますが、私は、無電話世帯解消ということを申したい。そのうちに日本は一億ぐらいの人口にすぐなるだろうと思いますが、それをかりに五人が一世帯とすれば、二千万電話を引いたら、東京に住んでいて、九州の端から北海道の端まで用事がたせるという時代ができるし、電話赤字赤字だなんていうけれども、電信電話戸ごと戸ごとにできてついてしまえば、すぐ電信電話で送ってやればそれでいいのだし、日本の様相は一変すると思います。敗戦後、皆ぼけてしまって手前の勝手な損得勘定にばっかりうろうろするやつばかりふえてしまいましたが、こういう国の基礎工事になる航空電波という問題は、ほんとうにもっと真剣に考えてほしい。決して金の問題ではないだろうと思います。まじめに国の将来を考え、国の発展基礎がどこにあるかということを考えてみたら、もっともな話とじき御賛同を得ると思います。それでそういうばか話のようなことを質問に対してお答え申し上げて、そうして何かはかに具体的に聞きたいけれども、これはどうか、これはどうかというようなことがありましたらどうぞ。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 古野さんの歩まれた経歴もよく存じております。私も同盟通信仕の対外放送の一翼をになってやった経験もございます。あなたが電機通信事業に対して佐藤さんも言われるように、民間立場から相当研究をされておりますので、そういう意味では私は尊敬も信頼もしておりますが、今のお話を承りまして、公社に移行した直後の第一次五カ年計画出発する当時のあなたの雄大な構想はよく知っておりますが、ただ資金調達の面で、問題は金ですから、金が一番大事でございますが、しかし五円を十円に値上げしたからそれによって第一次五カ年計画だけで、日本電機通信事業国民の満足するところまでやれたかどうかは議論のあるところでありまして、私は大へん失礼ですけれども、たといあのときに当時の料金値上がやれたとしても、とても五年間で百万近い、潜在を含めた積滞と年間四十万近い新規需要を満たすことはとうていできないのでありまして、たとい第一次五カ年計画では達成されないとしても、おそらく四十七年まではかからないと思います。そういう見通しについては多少の見解の相違があると思います。それも一つ方法だと思います。  で、おっしゃるように電気通信事業というものに対して国民自体が深い理解を持っておらない、国会の中で逓信委員会がその主管になっておるわけでありますが、ここにきている人たちはかなり勉強をしておりますが、何とか早く安直に使えるような方法はないかというので苦労しておるわけでありますが、問題は資金調達でありまして、第一次五カ年計画が、これはかなり私は成功していると思います。しかし、資金源を見ますと、二千八百億程度の資金のうちで千九百億が自己資金で外部の金が九百億ぐらいしか入ってこない。にもかかわらず当初の目的を達成したということは、やはりそこに公共企業体という制度に切りかえて従業員に対する労働条件向上、これもあなたの御努力で当時三割の賃金引き上げ調停段階において実現した。ですから、公共企業体に対する、とかく官僚的な考え方を持った諸君も、この公共企業体に移行することによって一つの頭の切りかえをした。ですから、昔は国民の側から見ましても、どうも窓口にすわっている人はお役人的な顔をするとか、何か自分の特権的な考え方電話を使わしてやるということがありますが、そういうことが思想的に切りかわったことは事実でありましょう。または施策よろしきを得て、従業員等公共企業体に移行することについてはかなり心配しておりましたが、国家公務員から、はずれて独自の賃金体系というものもできていく。一生懸命働けばそれに見合う労働条件向上がやられるという現実に立つときに勇気を出して、当時十七万近かったと思います職員が、一致協力して事業遂行のためにがんばってきたと思います。  今お話の中にありますように、第一点、私は多少細かくなりますが伺いたいのは、公共企業体に切りかえたということは、あなたも御指摘のように、どうも国有国営という官僚組織の中でやられてきておりますから、やる方の側も非常に独善的なところがある。ですからここに公共企業体というものにメスを入れて、民間のいいところをどんどん取って、また国有の、国営のいいところもあるでしょう、ですからそういう点も取り入れてミックスしたもので運営していこう、というのが出発の当時の思想であります。ですから、経営委員会というものを設けたのもそこにあると思います。当初五人がいいのか、あるいは正副総裁採決権のない経営委員として入れることがいいかどうか、ということが問題になったと思います、国会の中では。しかし、いずれにしても民間からの学識経験者に大いに入っていただいて、ほんとうに根本的な相当な私は待遇をして、ある程度、全部の委員方々常勤ということもできないでございましょうが、そのうちで半数ぐらいは常勤をして、かなり高い報酬を私は払ってもいいと思います。そうしてほんとう民間経営のいいところを公社経営の中に入れる、という仕組の点で多少当初間違っておると思うのです、私は。それは論議のあるところでありましょうが、今日第二次五カ年計画が明年から三年目に入りますが、一年二年やってきまして、三年目で拡大修正しようというふうに踏み切っておりますが、まあ、どうも公社連中と付き合っても官僚的なところが強い、こういうお話を聞くのです。まだ、私たちが見ておりましても、どうも公共企業体に切りかわって、本当に経営者陣営の頭に切りかえが本当にされておるのかどうか。率先して十八万の職員の前に立って向こうはち巻でやる態勢があるのかどうか、こういうことになるとかなり疑問があります。もし民営の事業なら社長が八時に出て来て向こうはち巻でがんばるでしょう。精神の入れ方というものはまだまだ私は考えなければならなぬ点があると思うのです。そういうことを一方では指摘できますが、また一面考えてみると、経営のトップに立ってやっていただく人たちを初め職員に対する待遇というものは、公共企業体独自性の上に立ったものではないと思いますね。ですから私たちはそういう裏づけがないから今日まだがまんをしていることもあるんです。本来なら私はもっとシビアに経営者諸君の奮起を促したい。まあ考え方によっては裏づけがないにしても経営をあずかった諸君が、ほんとう経営に責任を持ってやらなければならないという点もあるでしょう。総体的に見てそういうまだ官僚的色彩が残っておる。ですからここにどうしたら、民間経営についてあなたのように経験を持たれた方々が中に入っておられるのですから、刷新をして、ほんとう公共企業体本質に戻るような、戻るというか、本質に立った上の考え方を持たれて日常業務に精進していただくことができないものかどうか、これはどこに問題があるのでございましょう。    〔委員長退席理事松平勇雄君着席〕 それから第一次五カ年計画を遂行する過程、それからその成果をわれわれが見る場合に、これは梶井さんでも靱さんでも、私たちほんとうに銅像くらいは立ててやってもいいと思います。確かに引きぎわは非常にまずかった、だから同情したものですがね。そのくらいの私たち感謝気持国民の一人として持っておるんです。しかし第一次五カ年計画が完成していよいよ第二次五カ年計画に入るときの昭和三十三年ですね、例の公労委員会からの仲裁というものが出まして、従来給与総額によって公社給与額というものが縛られておりました。その中における予算の流用というものができたわけです。それが禁止されてしまう、そうして千円かわずか千二百円のものがやみだということが新聞に盛んに書かれ、ずいぶんつらい目にあったと思うのです。そういったような公共企業体に見合う労働条件というものもかなりくずれてしまって、御承知のように、交通費なんかも当時一般公務員には支給されておりませんでした。しかし公共企業体独自性から、たとえ五百円でも公共企業体職員交通費を支給しておったことは事実であります。ところが、昨年来一般公務員交通費を支給されるようになり額も高くなった。上がることはけっこうなんですから、そのことはいいんですから大いに賛成です、給与法に賛成して通したわけでありますが、そういうような状況の中ですから、何かそこに第二次五カ年計画拡大修正しようという時期にあたって、もう少しその沈滞した職員の空気というものを払拭をして、ほんとう一体になってやれるような態勢ができないものかどうなのか、こういう点私非常に考えているわけなんです。今度の五カ年計画拡大修正裏づけを見ましても、そういう点は見るべきものがございません。ここにわれわれの大きな不満がある。  それからたとえば制度上の問題で、せっかく民間のいいところと国有のいいところを取りまぜて経営者にも自主性を持たしてやろうというのが出発ですが、そういう思想が最近非常にくずれてきている。あなたも御承知だと思います。公共企業体審議会というものがもう三回持たれております。それぞれ答申を出されております。そうしてもっと独自性を持たせるような方向を勧告しているにかかわらず、政府は私たち国会で何回質問しましても検討中だ、検討中だということで一向にあり方についてはメスが入っていかない。だから私は今ここで拡大修正に踏み切るからには、そういう一般的条件を上げると同時に、もう少し公共企業体そのものの古い欠陥を是正して、公社法の悪いところを直すような改正案というものをここに出すべきではないか。それは七つくらいに項目をあげて審議会審議過程ではございましたが、公社皆さんと相談をして一つ意思決定をして出しているはずです。それは厳然としてあるはずですね。そういうものが宙に浮いてしまって何もない。しかも一ぺんもその点は取り上げられず、公社の力によって電話をたくさんつけろというような格好におるんですね。ですからあなたのおっしゃるように、ほとんどの金は受益者負担政府財政融資から見てくれる金というものはほんとうにこれは百億にも足らないんですから、資金扱い方についても、あるいはその資金調達についても、いわば公社独自性によってやられておる。だから大蔵省や政府があまりつべこべ言わなくても私はいいと思う。ところが金は出さない、監督の方だけは締めていく、こういうような思想が出てきておるんですね。監事制度についても私たちも大いに議論のあるところであったが、公社法一部改正として国会を通っているんです。ああいったものについても客観的に見ると、何かしら公社に対する監督権の強化というものになりはしないかという心配もあるし、また屋上屋を重ねるということになりはしないか。そういう危惧があるのですが、いろいろな要素を見てみるとかなり制約というものが加わってきている。だからそういうものを排除して、まず土台を作ってその上にりっぱな家を建てるという仕組みにならなければ、なかなか拡大修正をしましても、今のような状況の中では十八万人の職員が心を一にしてやるという態勢はできないと、そう私は判断をしておるわけです。ですから経営委員会の中で大へん御苦労をいただいておるわけですが、そういった公社制度上の欠陥について一応お考えを持っておられると思うのです、おそらく。そういう点をこの機会に腹蔵なく率直に、特にこれは事業を直接扱う委員会でございますから、一つ聞かしていただきたいと思うのです。
  9. 古野伊之助

    参考人古野伊之助君) 僕がつべこべ言っておるよりは、大橋さんに話してもらう方がいいと思うのです。私は今お話のように公社という格好の仕事日本でやってみて、経験がなかったのでそれから起こってきたいろいろな制約にとらわれて、最初企図したような民間の創意工夫でもりもり仕事を動かしていく、というような仕組みもなかなか容易にいかぬで、いろいろの制約を受けて思う通り運営ができなかったということはお話通り。今のお話を聞くと施政演説を聞いているようなことで、私が何も質疑に答える立場になさそうですけれども、あなたのお話のような方向べどんどんできるだけ自由に公社自主性をうんと強化してやっていこうという、そうして資金面でなかなか予算が予算がということでうろうろせんで、もっと活発に電話をふやしていける方向にぜひいくようにしたいと思います。で、具体的に資金の面とか資金の運用とか、それから予算の制約とか、あるいはいろいろなことはもうたくさん書面に出ていて御存じだと思いますが、私がそんなことを反復する何もないと思いますから、どうぞ一つ遠慮なく御批判をお与え願いたい。そしてわれわれがもっと自由に資金及びその仕事を、自主的な立場仕事をやっていけるような方向へ持っていけるようになるように、私ども内部からもこれから大いにやるつもりでおりますが、今後とも一つ御援助願いたいと思います。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 多少無理なような質問ではないかということなんですが、私はまあそうでなくて、経営委員会というのは非常に大事な公社運営事業計画等については決定権を持っているわけでありますから、その決定権を持っている経営委員会が実際にこの仕事をやってみて、出発当初の民間国有のいいところを混ぜ合わせて、しかもその経営者自主性を持たして、できるだけ管理監督ということは排除して、思いきり仕事をさしてみる、こういう思想出発をしておるわけですから、その思想の中で過去八年間おやりになってみて、やはりなかなかうまくいかない点があると思うのです。それはお話通り経営委員会自体の運営も一週間に一ぺんですか、まあお集まりいただいておるようでございますが、経営委員会自体がある程度独自の立場から事業検討をする、というようないとまもないようでありますが、私はできるならば民間の大いに知識を、客観的に物を見る人たちもけっこうですから、そういったもう一つ機関みたいなものがあって、絶えず客観的に電気通信事業に対して一つの答申をしていただくというようなものがあれば、非常にやりいいと思うわけです。ですから、この経営委員会に付随してそういう制度上の不備欠陥もあるわけです。しかも、電話その他もふえていきますし、事業拡大していくわけですから、現在の経営委員会の五人の方が非常勤で、一週間に一ぺん集まって公社の方からいろいろ出されてくる意見を聞いて、最初あなたの方は論議をするつもりだったと思うのですが、ときにはそういうふうになるかもしれないと思いますが、大へん失敬な話だが、そうなっているのは制度上に欠陥があると思うのです、経営委員会制度上の問題について。ですから私もさっき問題として出したのですが、ある程度の常勤体制を作って、そこにブレーンを置く。しかも組織的にも何か機関を置いて、そして絶えず経営委員会が独自の立場からこうあるべきだというような一つ考え方をお出しになるようなことがないと、どうしてもあなたがおっしゃったような経営者陣営のまあ出して来たものに判こを押すような格好になってしまう、というふうな危惧が考えられますから、そこらについてはどうでございましょうか。
  11. 古野伊之助

    参考人古野伊之助君) そうですね。八年もの間経営委員会をやっていて、今ごろ何をぐずぐずしているのだというような話と同じことですが、なかなか十八万という人数が一緒に仕事に動いていこうというのだから、なかなか頭の切りかえは簡単にいかないし、私もさっき冒頭に申し上げたような意気込みで、早いところまあ一千万や二千万の電話を早く作ってしまおう。そして電話の積滞するというようなことをがやがや言っておるのはこっけいだ。技術も資金も工夫もすればできるのだからそれをやったらいいというので、いろいろああもこうも盲動はしたのですけれども、それはついに電電公社全体を網羅するまでの力にならなくて、そうして今日まだ五カ年計画拡大だとか何とかいって、小田原評定をやっているというようなていたらくで、まことに恥かしい話だと思いますが、経営委員会をどういうふうに直していったら所期の目的を達することができるか、構想に移すかというようなこと等も始終私の頭を往来している問題ですけれども、今の経営委員会というものはつまり一週間置きに一度集まる格好で、そうして集まっている人たちが皆それぞれ財界、実業界でいそがしい仕事を背負っている人たちですから、そんな人にそうこまかい話を引きとめておいてやらせるわけにいかず、今お話のように大体幹部会と称するものがあって、局長諸君が集まって話を一応まとめてくると、それが総裁、副総裁の手を経て経営委員会に出てくる、そうすると大体それを見て、話を聞いてなるほどという、それはもっともだというふうな格好で判をついておるということが実態なんで、今申し上げたように、もっと積極的な施策をやっていくようにするというのには、どうしても今の幹部会と称するものと、それから経営委員会というようなものが一緒になって、そうして仕事の建設を相談していくというような仕組みでも作らなければ、このままでやり方ばかりかえていたらとてもだめだと、こう私は思っているわけです。八年もでれんとやっていて今ごろになっても話にならぬのじゃないかということにきっとお思いになると思いますが、まことにその通りで、そう言われると、私も幹部会が始まる都度顔を出していろいろ憎まれ口を聞く時間も持たぬし、そこまでの熱心さはないものだから投げやりになってきたということで、あなたのお叱りを受けているような格好に感じておりますが、これはまことに捨てては置けぬという気持で、総裁、副総裁とお互いによく相談しまして、そうしてもっと活発な建設的な施策が電電公社の中からどしどし生まれてくるような工夫をやっていきますから、遠慮なく御批評なりお小言なりちょうだいしてけっこうだと思います。
  12. 山田節男

    ○山田節男君 今、鈴木君の質問に対しての古野さんのいろいろ八年間の御経験からの御意見ですが、これは私この公社法を作った一人であり、並びに公社法のためにアメリカの実際のこういう大きなものの一つ経営機構の問題について相当実地に見まして、当時GHQの方もこれはよかろう、GHQがサゼッションして作った国鉄公社、それから専売公社――実はこの法律の大体眼目ができたときに国鉄はどうもうまくいかぬ、それで専売公社の秋山総裁にここへ来てもらいまして、一体この公社経営の一番隘路はどこにあるか、いわゆる国営じゃいけない、しかし民営でもいけない、そこでいわゆるパブリック・コーポレーションという一つ公社経営組織をここでやってみよう――というのは、われわれは公団というものをいろいろやってみたが、これは大体失敗だった。というのは、公団は一方に非常に政府の干渉を受けるものですから、かえって経営はむずかしくなってしまい能率が上がらぬ、そこで初めてこの公社組織を国鉄でもってやってみたのですね。それでその制度を持って、審議会を持ってやりましたが、専売公社が非常にいいというのでいろいろ聞きましたが、しかしどうも官僚の――官僚のというか、まあ政府の干渉が極力排除されねばならぬ、こういうことになった。そこで、この公社はこういうような莫大な施設を運営するのですから、経営委員会制度――経営委員会制度は、これはまあ総裁、副総裁はあるけれども、これは諮問機関ではない、いわゆる最高政策の議決機関である。でありますから、その予算あるいは事業計画資金計画、決算その他重要な問題については、全部この経営委員会で議決をして、そうしてその議決されたものを総裁及び副総裁理事者として執行する、こういう建前にきめたのですね。それがために、NHKもかつてそうでありましたが、総裁、副総裁は特別委員としてこれに参加する。すなわち経営委員会の一員として意見を述べ、特別委員として経営委員会審議に参加する、こういうやり方をやってみた。ところがこの公社の方はそのままになっておりますが、NHKが、経営委員会はあるけれども、会長、副会長すなわち会長はそこに入って発言もするし、特別委員にもなっている。どうもうまくいかない。一体、過去五カ年間、経営委員会を何回開いたか、議事録を見せろ、議事録を持ってこいと言っても、一回もこの経営委員会の議事録は、極端に言えば三くだり半しかないわけです。また経営委員が顔を合わして、会長が諮問したものに承認を与えるというだけのものです。これでは、一体経営委員会としての最高政策の議決機関、しかも当時はNHKの最高議決機関である。その業務を指揮監督するということまで書いてある。これでは有名無実ではないかというので、これは阿部真之助さんが委員長になられたときに阿部さんをここに来ていただいて、いろいろ実情を聞きました。しかし、これは経営委員長として会長、副会長を並べてお話を聞くと、今あなたがここで総裁、副総裁その他の幹部を並べてお話しになるのと同じようなことを言う。腹にはあるけれども口には言えない。あなたは相当ざっくばらんにおっしゃっているようだけれども、しかしなお私から申し上げますと、あなたの腹は十分に述べられていない。  そこで、私申し上げたいことは、少なくとも過去八年有半にわたって、あなたは最も有力な民間代表として、経営者としても多分に経験をお持ちになっている。先ほど来、鈴木君の質問の御答弁を聞いておりますと、あなたは一つ個人の会社の経営としたならばもう有数の実業家であるにもかかわらず、経営委員あるいは経営委員長として思うようにできないとおっしゃっても、そこには理事者である総裁、副総裁がおりますから、これはまた理事者として執行方面に立てば、これはまあいろいろの問題があるから、そういう点もあなたは御考慮なさるだろうと思うのですが、この電電公社法からいえば、経営委員長という者はもう絶大な議決権を持っているわけですから、それに総裁、副総裁が特別委員として入っているからには、経営委員としていろいろあなたが必要なアドバァイスも与えられるし、何でもサジェスチョンできるわけです。しかし、それがどこまであなたのおっしゃった、あるいは当局に一声えるかということです。  そこで、私が申し上げたいことは、今のNHKではさようなわけで会長、副会長はこれは特別委員に入れておりません。と申しますのは、私、私事にわたりますが、一昨々年ロンドンに行きました。BBCがやはりこの経営委員会制度をとっているが非常にうまくいっている。そこで、十六年間がバナー・ゼネラルをやったサー・ウィリアム・ヒーリーという人、これはタイムス紙の主幹をしております人ですが、私は特に古垣フランス大使がぜひ会ってみろということで、私はそこでこの問題を出しまして、あなたは十六年間もBBCの会長をやっているのだけれども、日本ではこの経営委員会は非常に困っている、有名無実だ、一つのアクセサリーのようになっている、これではいけないからお前は一つ、議決機関である経営委員会理事者である会長との関係一体どういうふうにしたらいいのか、率直に言ってくれ、実はわれわれは困っているのだ、こう申しましたらば、総裁、副総裁はこれは執行の最高責任者である、であるからこれは力を持たなければならない、しかし任期はこれはないのだ、だからもし悪いことをすれば、悪いことというより、もしいけなかったらばこの経営委員会がお前やめろ――よくやればそのかわり任期中は力を持たして思う存分にやらせる、しかしこれは期限付ではない、いつやめさせるかわからない、しかしおる限りは権力を持たせる。経営委員会というものは任期が四年であって、その四年間に欠格事項さえなければ、やめる必要はないのですから。そこで一方、総裁、副総裁は力を持っている、行政権を持っているのですから、そういうように分離しないとどうもうまくいかぬ。こういうことを言った。私どもはこれによって非常に感ずるところがありまして、NHKの経営委員会も全く有名無実だ。議事録を過去数年間のを見ても、一回の経営委員会の議事録は三くだり半だ、極端に一言えば。ブランクになっている。こういうことではいかぬからというので、昨年放送法の改正のときに経営委員会の内容も変えてみた。そういうようなことで、今鈴木君の質問するところは私はその辺にあるのじゃないかと思う。有能な経営委員がおられてもちっとも歓迎しない。私はこの公社を作ると同時に電電公社十数万の従業員全部前だれ式になる。上は総裁から下は一従業員に至るまで前だれ式になるということを私ここで言った。そういうことにならぬところに今の鈴木君のような質問が起きるわけですからね。ですからせっかく経営委員会として国会はこれを承認したものであり、大臣クラスの者になってもらっているんですから、    〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕 今のような鈴木君の質問に対して、一つ率直にこういう点はいけませんというようなことを具体的に御意見一つ。あなたは八年間の経験があるのですから、率直にしかも総裁、副総裁の前ですけれども、これは総裁はかつて経営委員をやっていらしたのですから、これは御遠慮は要らない。何も私は尋問しているわけじゃないから、御協力して下さって言っていただきたい。こういう点はいけない……。  それから先ほど鈴木君も言っておられましたが、外国もそうでありますが、経営委員長経営委員は有給です。これはロンドンにおいてもBBCの経営委員長は大臣以上の給料をもらっております。そうして常勤です。そうしないと、毎日総裁、副総裁に会っていろいろな実際上のアドバイスを与えるということはできません。あなたは車代をもらっていらっしゃるかどうか知らぬけれども、そういうような人があの経営委員会へおいでになり、総裁、副総裁があなたたちにお示しする資料が多いために、あなたたちの十分な御意見を伺うこともできないのじゃないかと思うんです。ですからいわゆる常任の経営委員長と一名ないし二名ぐらいの経営者を入れた常任です、そういうことが必要じゃないか。そこらあたりが今鈴木君の質問にも含まれている。こういう点は実は重大な問題なんですから、経営委員会をどうするか、あなたほんとうにこれは率直にあなたの御意見を非常に貴重なものですから、その点を一つ率直に言ってもらいたい。
  13. 古野伊之助

    参考人古野伊之助君) 遠慮することも要らないのですけれどもね。今までの日本経営委員会というのは、実務を担当する各局長諸君とひざを交えてどんどん遠慮のない話をし合って、そうしてこうやっていくのがいいじゃないかというようなことをきめていくような仕組みにはなっていない。みんな忙しい人で一カ月に二度ぐらい呼び出して、そうして幹部会という現業の局長諸君が話し合って作った作文に一応目を通して、その説明を聞いて、そうしてまあ判をついていくというような格好ですからね。これをもう少し直していくということが今お話の目的に沿うような方向だと思います。現業の責任担当の諸君の中から何人かを経営委員会に始終出席させる。そうしてまた経営委員の側も一人か二人は毎週一回ぐらいはやってきて、そうして仕事の実態も話し合う。そうして経営委員会に書類として出てくる前に、どういう考え方でこれを持っていくかということが、すっかりのみ込めていけるような何か仕組みに変えていくことが、一番所期の目的を達するために正しい仕組みではないでしょうかね。  それから、従業員待遇とかいうような問題もいろいろありましょうが、これは何とかして電電公社日本の各企業に対して範をたれるぐらいの、率先してやっていけるようなところまで、ぜひ、莫大な国家の資産を預かって、そうして、無税で商売やっているのですからね、だから、この仕事をりっぱに育てると同時に、従業員立場も、そういういろいろな制約を受けないで改善していくことが可能なような仕組みを、一つ創造していくという意気込みでやっていくべきだと考えるのですが、きょうはここへ引っ張り出されてさんざんしかられて、これから心を改めてもう一ぺん経営委員会をやり直しますというような格好になってしまって、こういう機会に、そういう虚心坦懐なお話し合いがあって、これを機会に、局長諸君がそろっているわけだが、知恵をしぼってほんとうに公共的事業で、しかも民間の企業としての能率を上げ、成果をおさめていくというような努力、つなぎ合わせることは、実際は非常にむずかしい問題ですけれども、理屈ではやさしいのですけれども、前だれがけになれといっても、そうすぐ前だれがけにはなれませんからね。電電公社に働いておる人たちは、何十年来の逓信省以来の引き継ぎの方ばかりなんだから、それを民間仕事をやるような気持になれというような、なれの号令だけではどうにもなることではない。今の局長諸君と今の経営委員会というものを、もっと密接につなぎ合わせをこしらえて、そして、それが一体となって経営の方向を動かしていく、というような仕組みに立て直していくのが当面の問題でしょうね。
  14. 山田節男

    ○山田節男君 非常に率直な御意見、この程度以上私は述べられないだろうと思う。気持はよくわかります。  もう一つ、実はNHKの電波三法を作る問題をGHQとやったのですが、NHKの放送法を作るのに、経営委員会従業員の代表、職場代表といいますか、具体的には組合の代表を入れろと申しましたところ、これは実は、当時のG3部政治課長ウイリアム博士が、二・一ストをやるような共産党がふえてきているからしばらく待ってもらいたい、しかし、これはいいアイデアだと、こう言っておられた。たまたまNHKの三階に情報局がありまして、何とかいいます中佐がいまして、それは困ると対立しておった、遂にこれは入れませんでした。そして、公社法を作る場合にも、こういう膨大なものだし数十万も従業員があるのだから、組合の代表といったら弊害があるかもしれぬが、従業員の職場の代表というものを経営の中に一名入れたらいかがでしょう。この問題は、塚田君が電気通信大臣でしたが、塚田君が、これはおもしろいでしょう、しかし、こうして法案ができてしまって、今後三年か四年やってみて、労働組合運動というものが非常にほうはいとして勢力を持ってきている、いい意味でこれをとることは確かにいいアイデアだと、こう言っておった。ところが、一九五六年にドイツに参りましたら、例の共同決定権というものができまして、共産党、共産主義を非合法化すると同時に、労働者の経営参加権、共同決定権、これを見ますと、五百名以上の従業員が労働組合に入っている場合は、必ずその企業に対して一名の組合の選出した者を一年の任期で監査役に入れなくちゃならない、こういう法律ができた。自来私はドイツに四回参っておりますが、これが非常に生きております。争議のないということ、経営が、たとえば生産工場がオートメーションの場合、避けることのできない事態として――これなんか非常にうまく、一昨々年と思いますが、やはり労働組合の大きい所では労働組合の取締役、常務が入っている。監査役も一名ないし二名入っている所もあります。そういうことで共同決定権というようなこれは法律でありませんが、これほど膨大な組織であり、しかも労働組合の趨向というものが非常にサービスに関係する。ですからこれを民主化するということには、やはり労働組合の代表、従業員あるいは職員の代表というような建前で経営委員会に一員、そういう面からの最高のポリシイの決定機関に入れておくということは、むしろ労働の平和、産業の平和を保ち能率をあげさして、しかもそういう決定されたものは全員がもっともだというので、それこそ上は理事者から、下は従業員に至るまでそれなら納得して一生懸命やるだろう、ベース・アップの問題にしても、そういう者が入っておれば、どういう結論が出ようと、ちゃんと代表が出て経営委員会に参加しておれば、むだな争議というものはなくなるのじゃないか。こういう点を私ずっと見ておりまして、今日の日本の労働組合運動、御承知のようなわけでいろいろな傾向のがありますが、しかしたとえば電電公社の場合、組合としても相当経験を経てきておるし、もちろんそれを選出するとなれば、数十万の、民主的な方法でやれば、そう変な者が選出されるわけがないのですから、あなたのような方と、労働の代表として現場を見ている者が、最高政策の決定機関に一員として加わるということは、これは私は産業の民主化であり、同時に無用の労働争議を避けるという意味においていいじゃないですか。あなた実業家としての御経験、原さんはどうか知らぬが、原さんにしてもあなたにしても、そういう方面のきわめて深い御経験と識見を持っていらっしゃる経営委員会に対して、そういうような代表を参加せしむるということは、むしろ平和を維持して、従業員の働く意欲を振るい起こしてサービスを改善する上にいいのじゃないかと思うのです。その点についてのあなたのこれまた率直な御意見、これは決して議事録に載せるから責任を追及するというようなことはございませんから、過去の御経験からどうでしょう、そういう問題についてのお考えは。
  15. 古野伊之助

    参考人古野伊之助君) 私は昔の事業経営者で、今のようなハイカラな労働運動といういうなことはわからんですが、あれは敗戦ぼけだと思っているのですよ。日本の政治家も、日本の政治の動きぶり、労働運動の動きぶりも徹底した敗戦ぼけだと思う。私は終戦直後にもっと早く日本が立ち直ると思ったのですが、存外長い年月がかかって、このごろの政界の実情なんか見ていても、何とも政界の名士ばっかりたくさんおられるけれども、何ともしょうがない体たらくだと思ってあきれ返っているのですが、労働問題にしても同じように、これは労働とか資本とかいうけれども、これは一緒になって仕事をやっていかなきゃ仕事が育つわけのものではない。一つの組織の中で何か実力行使だとか何とかばかな、あほみたいな話を力こぶを入れてそうして脱線しているというのは、もってのほかだと思っているのです。そこでもし労働組合の経験者を、そういう新しい機構ができたらそこへ入れることが賛成か不賛成かという御質問であれば、私は賛成です。それはやってみたらいいと思うのだが、これもいろいろな諸条件にいろいろひっかかってくるので、電電公社だけおれの方はこうやるというような話になり得るかどうか、即答はできませんが、主義としてどうだということであればこれは労使は一体になって当然仕事を盛り上げていくべきであって、一つの組織の中に入って自分仕事をやれ、一人残らず全部事業建設の同志だから、そんな労働組合だとか経営者側だとか、側なんていうそんな対立意識は認めないと言って仕事をやってきた男ですから、根本の方向についての賛否はきさまはどう考えておるかということなら、それは賛成だ。当然みんな一体になってやっていくという仕組みを強化していくことが仕事ほんとうに育てていくものだと思います。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 山田委員の関連の中で、今の労働組合を経営の中に一人加えたらどうかというのは、私も同感の意見を持っているわけでありまして、お尋ねをしたかったところでありますが、幸い御答弁をいただきましたからその点は省略いたしますが、お話をざっくばらんに述べていただきまして感謝するわけですが、結局結論的に言えることは、経営委員会自体が現状の制度の中ではほんとう公社をリードしていくような立場には立てないということだと思うのです。ですから私たちはその点がやはり公社経営の民主化と、それから今後のよりよい運営をするためのガンになっていると思いますから、私たち社会党の立場でございますが、すでに法案も準備をして、経営委員会の強化刷新と申しますか、そしてほんとう吉野委員長が言われるように、絶えず経営者諸君とひざを交えて事業遂行のために民間のいい所をどんどん入れていただいて、もっともっとうまく運用できるようにしたいと思いまして準備はしておるわけです。ところがそういう現実に経営委員会が悩んでおる欠陥に対して、これを是正しようという空気が出てこない。これはどこに問題があるかということを私はいつも悩んでおるわけです。だから委員長お話を聞いてみますと、みずからもその点をお認めになっているようであります。ですから何か経営委員会がもっとフルに動けるような体制を作って、制度上の改革を考えなければならぬと思うわけです。こういう問題は、もちろん法律の提案権というのは監督をしておる郵政省でありますから、最終的にはそこで検討されると思うわけでありますが、今日われわれがいろんな角度から情報を偵察してみましても動きがない。これは根本的な問題でありまして、そういうところにこそもっと公共企業体あり方に対して力を入れてそしてやらなければ、私は今あなたのような苦しみが依然として続いてしまって、何のために公共企業体にしたのか、国民からも疑惑を持たれるという格好になると思うのです。私が特にこのことを言うのは、御承知通り第二次五カ年計画の策定は、今の大橋総裁経営委員長当時の昭和三十二年の九月ころから国会に構想を発表されまして、われわれはその審議に参画しました。当時でも約四千百億の資金を持って四十二年度に終わる第二次五カ年計画については、資金的な面を見ましても非常にこれは窮屈だったのです。暫定措置法も昭和三十六年には消えるというようなことで、その資金調達も法が継続するという建前に立って約四十数億という金を入れておった。これも指摘をして、これは国会の中で間違いだということを当時言っておるのです。そういう資金調達も非常に困難な中で、とにもかくにも電話をふやそうと努力したことは認める。経営委員会にもかかり、公社幹部が英知をしぼってこれからの経済の見通し、電話の需要供給等も考えて作られたのが昭和三十二年の九月、三十三年になりましてからずっと審議を続けて、とにかくわれわれとしては資金的には困難だから、これは少し拡大修正し過ぎているのかもしれぬという心配もしたのですが、当時の田中角榮郵政大臣からも、資金調達については大いに努力するから、不備の点は一つ了承していただいて認めてもらいたい、こういう発言がございました。私どもは非常に心配しましたが、一応それならば、一つ大臣の言明されたことを信頼して、やればいいでしょう、こういうことを言った。そうして一年、二年とやってくる間に、拡大修正というものが出てきた。なるほどこれは経済の見通しや、電話の需要の算定の仕方が多少狂っておったかもしれませんが、大筋は私は変わっていないと思う。第二次五カ年計画を三十二年度に作って、今度は三十三年度になったら拡大修正ということになり、昨年は拡大修正を、するがごときしないがごとき予算の提案をしている。昨年の六月拡大修正に踏み切った。これ一つ見ましても天下に恥をさらしていると、私はそう思う。英知を集めて作った第二次五カ年計画を中途半端で拡大修正をしなければならぬのは、どこに算定基礎を置いているのか、これは国民立場から見れば大いに責められることだと思う。しかし事情はわかりますから、われわれは拡大修正に踏み切られてもよろしいと思う。しからば拡大修正ができるような体制を作りなさい。そのためには現在の公社法制度不備欠陥を直して堂々と国会に出して、経営委員会あり方もこうしてもらいたいと出しなさい。それからまた問題になります公社の余裕金等についても、今日約二百億以上の金が日銀の金庫にずっと年間通してある。これに対して日歩八厘の利息をつけて、年間二分九厘二毛というようなことで大蔵大臣は適当な利息をつけてその金を運用部資金に使っている。しかも公社の必要な建設資金に対しては出してくれない、こんなばかげたことがあるか、これくらいのものは私はとっくの昔に出すべきだと思う。そして取り扱う現金について公社独自性をもって、どこに預けようが法の明定するところによって効率的の運用をすればいいのです。そして十億も二十億もの利息をかせいでいる。それなのに、電話を二万や三万ふやしていこうというのに、これくらいの自主性を認めなくして、何の拡大修正かと私は言いたい。こういった点を一々拾い上げていけばたくさんある。労働者に対する待遇もそうです。三割上がったのもあなたの努力です。当時の梶井総裁は辞表をふところにして、職を賭して、自分の過去の局長時代の逓信労働者が低賃金に非常に苦しんでいるのを見て、公社移行の際に何としてでも労働者の待遇を改善しなければ責任を持てない。私は政府から任命されているが、自分のやろうとする計画を遂行させるためにはぜひこれをやってもらいたいと言って、辞表をふところにされて、異例の、衆議院の逓信委員会で労使、国会議員皆さんとともに一緒になって悩んだことがある。そのときの私は梶井総裁の態度というものを知っております。私は当時労働組合の委員長をしておりまして、ほんとうに腹を割って話しました。無用のトラブルは避けよう、内輪でけんかするのは愚の骨頂だ、あなたの言う通りだ。総裁はおやじで私どもはその子供だ、一家族だ、内輪で何のために紛争をしなければならないのか。私は梶井さんの事業を思い、自分立場やすべてを忘れて、ひたすら従業員事業発展させようとする熱意に心から感激しました。労働組合に対しても前だれがけでやってもらいたいと言った、すると共産党から指弾を受けました。あのやろう、公社のとりこになっていると批判されましたが、われわれ公共企業体に移行の時代は、そういうふうに実はふんどしを締め直して、むしろ労働組合からありがとうございますと言おうということをやりました。そしてこの五カ年計画に対しても再検討をすると言いましたが、事業に協力することを運動方針できめた、自来五カ年間やってみて、三十三年のあの仲裁裁定は何でございますか、わずか千円か千百円のものをやみだと言って、公社が独自にやりくりをして出したものをやみだと言って、今度は基準内で出したことを気にするような、そういうべらぼうなやり方を政府はやっている。これで、はたして今十八万の職員の職場のすみずみまで回わってみて下さい、四十過ぎ五十過ぎで定年になるときに弁当を持ってまだ勤務しているのです。元日から大みそかまで仕事をしている。こういうまじめな従業員仕事に対する熱意と勤労意欲は持っているにかかわらず、やろうとする気持を持ってないのはどこに問題があるか。だから私は拡大修正に踏み切る際に何とかしてこの沈滞した空気を一掃するために、公共企業体として独自のものをきめられるそういう制度になっているのだから、何とかここで沈滞した気分を一掃するために、働く従業員諸君に暖かい思いやりと、事業に協力するだけのほんとう気持が出てこないか。おそらく公社総裁以下幹部の諸君も悩んでいると思うのです。やりたいという気持は持っておられると思うのです。しかしそれが今の姿は、大蔵省、政府全体の中で、あれもいかぬ、これもいかぬといって押えられてしまう。こういった公社制度の矛盾というものを今こそ私は直すべきだと思うのです。それなくしてただ四十万電話をつけるというのはもってのほかです。そういうふうな現状の分析を私は私なりにしております。私も小さいときから逓信省の世話になって、電報の配達をしたりしてあらゆる苦労をしてきました。今日退職してもなかなか自分の家一軒たちません。私も国会へ当選したときにやめましたが、九十万円もらったのですが、それで家が一軒たちますか。世間では電電の職員待遇がいいように言ってますけれども、現実に二十数年働いてみてこれがまだ現状の待遇かと嘆かざるを得ない。それは国家といたしまして全体から見て、国有事業だからかけ離れたことをやれとは言いません。しかし公共企業体に移行するときに、公共企業体というのは一般公務員とは違った待遇をできるということは確認されている。それがとにかく従業員がやっていけるということで三十三年までやられたのが、ストップしているのが現状なんです。だから私もあなたの悩みはよくわかります。あなたになぜやらぬかというつもりは毛頭ございません。制度上の欠陥その他がございますから。フルに動けるような経営委員会制度ではないのですからやれといったって無理です。私はそういう失礼なことを申し上げようとは思いませんが、そういう公社の現状を分析していただいて、そして国民にこの事実をよく知っていただいて、そして国民の協力を得て、この事業を何とかほんとう国民のものにして、電話を申し込んでも三年も五年もつかぬということがないようにしたい。そのやり方についても、政府の態度は資金調達公社にほとんどまかしてしまって、大蔵省あたりは何というか知りませんが、今度は東京、大阪では電話をつけるために十六万も負担料を取ろうとしている。本来ならばこれは政府事業でありますから、政府で百億ぐらいの金は、電話事業をもっと発展させようということに閣内が一致し、世論が支持するならば、できないことはないと思うのです。それが現実にはできない。それは結局事業を知らないからで、そういう事実を国民に訴えるのも任務でしょう。しかしそれを打開するにはほんとうに当事者が立ち上ってやってもらわなければいけないと思うので、そういう意味において委員長の今苦しい立場におかれていろいろ御苦労されておることは私わかりますから、冒頭において感謝の意を表したわけでありまして、そういう点をやりやすくするようにしようという気持を私は今でも持っております。  それから今申し上げたような公社全般に対する監督権の強化といいますか、そういう点もできるだけ配慮をして、独自性をもって、ほんとうに思い切って公共企業体らしい運営というものができないものか、ということを常に考え、その方向にやるために、私たちは私たちの力は弱いですけれども一生懸命やっているわけでありまして、そういうお苦しみをこれはまああなたが直接大臣に会って言うわけにいかぬと思いますけれども、せめて公社の幹部会議あたりでは今の経営委員会ではこれはちょっとまずいんじゃないか、もう少し何か制度上の変えることはないのかということで、まあお話にでもなっていただいて、総裁以下の人たち、そういう連中を啓蒙するようなことも、これはやっていただいていると思うのですけれども、一つ今後そういう点をやっていただいて、大事な経営委員会でありますから、ぜひ一つ今後の御健闘をお願いしたい。具体的にここで直ちにどうする、こうするということをお尋ねしましても、なかなかそうもいかないと思いますから、そういう失礼なことはいたしませんが、まあそういう政策についても多少私は意見をもっておりますししますが、問題は労働者待遇の問題ですね、これもまたさっき率直に言われたように、やはり何とかしてやりたい、しなければいかぬということを言われております。から、これ以上私は委員長に対しては質問申し上げませんが、どうぞそういうつもりでわれわれもやっておりますので、われわれの期待にも沿うように、一つぜひ今後の御健闘をお願いしたいと思います。本来ならお忙しいと思いますから、われわれも遠慮をして国会においでいただくことは差し控えているわけでありますが、まあ一つ今後もまあ大事な時期でもありますしするので、御都合のつく限り一つ出ていただいて、今後の委員長の御意向も伺って参考にしたいと思いますから、この点も含めてお願いをして委員長に対する質問はこれで終わりたいと思います。
  17. 久保等

    ○久保等君 ちょっと一、二お尋ねしたいと思うのですが、先ほど来いろいろ言われていることで尽きていると思うのですが、一つただ先般経営委員会の問題については新しく監事制度が作られて、経営委員会そのものがそれまでと違ったいわば充実を若干見ていると思うのです。しかし経営委員方々非常に各界でお忙しくお働きになっている方々が、しかも全然報酬も支給せられないという、いわば対価のない中で公社法の中で定められておりますように非常に重要な、公社経営に関する重要事項を決定するという責任と権限が与えられているわけでして、その点は非常に現在の制度不備欠陥がはっきりいたしていると思うのですが、こういう点についてはもちろん一経営委員会でどうこうできる問題ではございませんが、公社制度という問題を検討する場合に、特に経営委員会立場なり責任というものが非常に重要であればあるほど、これはやはり解決しなければならない焦眉の問題じゃないかと思うのですが、先般例の郵政省設置法の一部改正が出されて、郵政当局の公社に対する権限の強化、加えて経営委員会の監事制度を創設したわけなんですが、郵政省設置法の方はもちろん実現を見ませんでしたが、これはやはりこういった考え方そのものにも、公社経営に対するやはり何か明確な態度が欠けているのじゃないかという気がいたすのです。郵政省の方面も権限を強化する、経営委員会の方も権限を強化する、こういう形では、いわば公社の自主的な経営というようなものが、どうしてもむしろ逆に拘束をせられて参るという結果になって参ると思うのです。従って公社制度なり、公社そのものの経営を自主的な、しかも企業性を十分に発揮していけるような仕方にするということについては、経営委員会あたりのところで、むしろほんとうの権限を持ちあるいは動ける経営委員会というものにむしろすべきじゃないかという感じがいたすのですが、特に古野さん経営委員として長く、すでに経験もおもちになっているわけでありますが、私はこういう問題等についても、まあ経営委員方々の中でもやはり十分に御討議もいただき御研究もいただいて、こういうただいま申し上げますような点について改正なり、あるいは経営委員会ほんとうに動ける、与えられた権限と責任が十分に果せるような形にぜひすべきではないかというふうに考えているわけであります。この点についての御所感を一つ伺いたいと思うのです。
  18. 古野伊之助

    参考人古野伊之助君) お話通りで、今監事制度のことが中心で、私は今の監事の二人の諸君も、なかなか経営委員会と同じように、現業を担当している諸君とちょっと遊離したような格好になって、二人や三人の監事が幾らぐるぐる年中回り歩いたって公社の全体の仕事に対する目が届くわけじゃない。そうしてまただしぬけに行って質問をしてみたところで、それに触れた話が出てくるわけじゃないので、これはもう少し事業の実態と密着した仕組みに変えていくことが、所期の目的を達成するために必要な制度である。ちょうど経営委員会がややともすると仕事の実態から浮いている。それと同じように監事制度もそんなきらいがあるのではないかと、こう考えております。
  19. 久保等

    ○久保等君 ですから私は今の姿というものはまあ率直に言えば、非常に中途半端だと思うのです。しかし、公社法の中で占めておる立場というものは、これはもう明々白々だと思うのですが、非常に重要な実は立場があると思うのです。経営委員についても、まあいわば専属じゃなくてまあ片手間にやっておられる。もちろん報酬も何ら実は与えられておらないというようなことじゃ、これは実際与えられた権限と責任を十分に果たし得ることはとうてい不可能であると思うのです。それからまた監事制度の問題についても、これはまた私は、先般国会公社法の改正問題が出たときにも、何かしらやっぱり公社制度そのものについて十分に検討を加えて、よいものに改正をするんだというよりも、何かまあ人事問題が先行して、その結果として何か公社制度の改正が取り上げられておるというような印象を非常に強く受けるわけなんです。なるほどでき上がった結果も、今御指摘のように、確かに十分な機能を発揮し得ない中途半端なものなら、私は作らぬ方がいいと思うのです。従って、公社というものにほんとう自主性というものと企業性というものを十分に与えられてやっていくんだという、公社制定の当初の基本的な考え方からいくならば、経営委員会の方にも監事を設けるが、また郵政省の方も従来よりももう少し監督一つ強化していくというようなことでは、どこに重点を置いておるのか、公社の企業性あるいは自主性というものをほんとうに認めてやっていこうとしているのかどうかということについて、非常に疑問を持たざるを得ない。従って、私は好ましい姿としてはやはり郵政大臣監督権の強化というようなことは、これは本来の趣旨からいって私は相反すると思う。むしろ、公社経営の問題については、やはり経営委員会が最高の決議機関でもあるのですから、従って最高の責任を持ってやっていく。しかし監督当局者としての郵政大臣の権限はむしろ最小限度にとどめていくということにしていかないと、あっちもこっちもただ監事制度あるいは監督権の権限を強化していくというようなことは、いわば官僚的な、まあ悪い意味の官僚統制的な企業形態に移行させていくことになってしまうので、それでは当初の公社法を作った構想から私は縁遠いものになっていくのではないかという気がするわけです。従って、私は、そういう考え方というものを前提にして、むしろ公社経営というものがほんとう国民の要望に沿い得るような、しかも企業性を十分に発揮し得るような、まあ資金等がよく問題になるのですが、こういうような問題についても公社が思い切ってよく動けるような、むしろ経営委員会がその機能を果たしていくという姿にすべきじゃないかと思うのです。経営委員長のお考えも私の考えとそう違わないと思うのですが、いずれにしても今日の経営委員会というものは中途半端なものであると私は考える。非常に影の薄いもので、だんだんだんだんともう盲腸的な存在になっていく可能性なしと一声えないと思うのです。  まあそういう問題についても、今後の一つの問題として、経営委員会の性格なり、責任なりの立場から考えまして、これのほんとうに有効に動けるような姿にぜひ実現するように御努力を願いたいし、まあ御検討をぜひ経営委員長としてお願いしたいと思うんです。
  20. 山田節男

    ○山田節男君 これは先ほど来、古野電電公社経営委員長から縷々所信を述べられたその間のお気持を聞いて、やはりこの民間の実業家として非常にいい勘を持っていらっしゃるということは、これはもうわれわれよくわかるわけです。ただ制度上の問題として、先ほど来申し上げているように、経営委員会制度というものは非常に民主的であるけれども、実際問題として動けない、意見も言えない、しかもひまがない。こういうような点でもう明らかに経営委員会のあるべき何といいますか、権能が発揮できない。ですからこれは今の公社法に基づく経営委員会の組織によってできるじゃないか、またできると思ってやったんですけれども、しかし実際問題として動かない。これはむしろわれわれ立法者自身としても、実際今日までの公社としての八年間の経験から、この改正も実は考えなければいけない。ただこの法律を今変えるということは、これは今明日でできることじゃない。相当近い将来にそれはやるといたしまして、今本委員会でも三十五年度第一に電話拡充計画、これは資金から申しまして、また仕事の量から見ましても、まさにこれは画期的なものでありまして、従来の経営委員会はこれで済んだかも知れませんけれども、少なくともこれから年間一千五百億の建設資金をもってやろうというこの大きな、いわゆる革命的なその仕事については、現行法で動けるとか、動けないとかいう問題ではないのです。これは一つぜひ経営委員会の精神を生かして、どんどん一つ御迷惑でもこの経営委員会委員長として、たちまちこの事業計画資金計画、あるいは長期、短期の借り入れ計画電話債券の問題、国会で問題になっているこういうような問題がありますが、金融方面なりあるいはそういうこの証券の市場の問題なり、これはやはり経営委員会方々が、大いに力を発揮してやってくれなければできない。ですから今回の第二次五カ年計画を、幸いにしてこの法律が国会両院で認められて、明年度から実施することになると、これは私は一つ心を新たにして、経営委員会に積極的に協力してもらわぬと、単なる総裁、副総裁以下の理事者だけでもがいてみたところでできるものじゃない。たといできましてもこれは無理です。ですからこれは総裁、副総裁に申し上げておきますが、こういう画期的な公社として国民の期待に沿わんがため、これは一大決意を持ってやられると思うんですが、これは何かそのために経営委員会の上にあるいは総裁、副総裁の上に、屋上屋を架する機構に変えろとは申しませんが、少なくとも第二次電話拡充計画につきましては、これは総裁には私は前に申し上げましたが、一つの画期的なそれを実行するため、もう一体となりできれば労働組合などもあげて協力し得るような一つの何といいますか、委員会でもいいし、何でもいいし、そういうものをお設けになって、物心両面からこれは一致してやるというような気持でございませんと、もう片一方で仕事はどんどんやる、労働者の方じゃそれとピントが合っていないということになりますと、さらにその過程において労働争議が起きて、もう経営者の方が頭を悩ますということではいけないと思う。ですからこれは私はしょっちゅう申しますが、いわゆるオペレーションズ・リサーチと申しますか、もう少し合理的に吉野委員長のおっしゃったように、労使一体となるというこの私は精神がないと、トラブルが起きるばかりで能率が上がらない。そこで総裁、副総裁がいらっしゃる、その他の中枢幹部がいらっしゃるのですから、この際一つ経営委員会は所在をはっきりしていただいて総裁、副総裁以下幹部の諸君も働きかけてやっていただきたい。一つのあなたがクッションなんです。民間事業界、あるいは資材の問題もございましょう。でき得べくんば労働者、従業員に対しても、一つのクッションになるくらいな気持で、現行法で不十分でありますけれども、しかし任務ははっきりうたっているんですから、大いに他の皆さん経営委員の方も、この際一つ奮起一番やっていただきたい。同時に、理事者の最高責任者の総裁、副総裁は、ただ従来のような経営委員会に対する気持を持たないで、積極的に一つ御協力を求める、こういうふうにしていただくことを、きょう特にこういう質問に関連しまして、ぜひそういう方面に新しい一つの道義的風土、すなわちモーラル・クライメートを打ち立てていただく機会にしたい、これは非常にいい機会だと私は思います。経営委員並びに最高首脳部の幹部の諸君に、この席上で特に私お願い申し上げておきます。
  21. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに、特に参考人に御意見を承ることがございませんようでしたら――古野参考人には大へん御多用のところわざわざお越しいただきまして、大へん真剣な貴重な御意見を拝聴いたしまして、まことにありがとうございました。今後もまた御協力をいただきたいと思います。  それでは午前中はこの程度にいたし、休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。    午後零時十二分休憩    ―――――・―――――    午後一時四十八分開会
  22. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより、再開いたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  午前中に引き続き質疑を行ないます。
  23. 鈴木強

    鈴木強君 午前中公社制度の基本的の問題について、経営委員長から御意見を承わったのでありますが、この際、私は、郵政大臣が所用のためにちょっとおくれるようでございますから、政務次官に御質問いたします。  さっきの基本的な制度欠陥上の不備是正については、あとから触れますが、最初に政務次官にお尋ねしたいのは、現在三公社職員は、退職する場合の退職手当の支給が国家公務員等退職手当暫定措置法によって支給されているわけなんです。これは私は、本来公共企業体の労働組合には団体交渉権があるのですから、当然団体交渉によってきめるべきものが筋合いではないか、こう思うのです。法制定当時、非常に短時間でしたから、そういう措置がとれないために、一応国家公務員暫定措置法を準用といいますか、適用といいますか、そのうちにいろいろ含めてやっておるわけですがね、そういう矛盾があるわけですよ。今日まで今まで八年間放置されているのですが、あなたはやっぱり団体交渉できめるのが筋だというふうに思いませんか。
  24. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 団体交渉で決定すべき問題だろう、こういう御意見でありますが、その意見は私個人からいわしむるならば、意見を尊重しなければならぬとは思いますが、現段階においては、三公社の退職法とか何とかいうような法律があるようであります。それを適用して現在行なっておるようでありますが、今後それをいかにすべきかということは大いに検討する余地があると思います。このように考えております。
  25. 鈴木強

    鈴木強君 三公社の退職手当というのはないのでしょう、法律は。公社職員一般公務員と同じ暫定措置法によって今やられているわけです。ですから、その話をする前に、基本的にこれは給与問題です、労働条件に関する。だから建前としてやっぱり労使の団体交渉できめるというのが筋合いなんですよ、労働協約によって。それはもちろん国家予算に関係しますから、その結論が国会でどういうふうにやられるかということは問題が残るとしても、基本的な問題としては労使の団交でやるというのが筋ではないのですか。あなた労働問題については非常に理解のある次官ですから、僕はその点はその通り考えているというふうに思うのですがね。
  26. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 私個人的に考えるならばそういう方法を用いたいと思いますが、現段階においては、退職法というものがあるように聞いておるのです。それを現在適用しておるようでありますから、これをいかに是正していくかということは大いに今後皆さん意見も尊重して、その改正の点ありとするならば改正もしなければなりますまい、このように考えておる次第であります。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 うまく逃げないではっきりしてもらいたいのだ。だから公労法によって、民間と同じように賃金その他の問題については労働協約により団体交渉できめることになっているのでしょう、そうでしょう。そうであるならば、退職手当というのはどこの会社だって、民間だって団体交渉できめている。だからその団体交渉できめるのが筋だということは認めなければいけない。あまり監理官などと相談しないで、あなた責任をもって答弁して下さい。
  28. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 三公社共通の問題でありますから、今直ちに快諾の答弁せよと、こうおっしゃられても、私どもの所管関係電電公社の問題のみでなくして、三公社共通の問題でありますから、一応検討の時間も与えていただきたいと、かように思うわけであります。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 三公社をごっちゃにしたから私が悪かったのだけれども、電電事業の場合ですよ、端的に整理しますよ。電電事業の場合の職員に対しては、電通労働組合というのがあるのですから、その組合と相談して当然きめるべき筋合いでしょう。そういうふうに整理して……、
  30. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 私は、現在公社法というものが制定されている以上は、電電公社に対して私自体親心をもって御希望にかなうようにしたいという希望は持っておりますが、公社法というものが制定されておる以上は、一応検討の時間だけは与えていただかないと、私だけオーケーと言っても、法律の改正になって、それで私のみがとらわれるような結果になると責任上私も困りますので、検討の時間だけを与えていただきたいと、こう思うのです。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 まあ即答できないというのですから、そこは一応あなたにかしておきましょう。  しからば、こういうことはどうですか。今言っているような趣旨が本筋ですから、国家公務員でない、公共企業体職員というのは。そうでしょう。だから国家公務員等退職手当暫定措置法というものの中に一緒に入れておくことが不合理でしょう。だから当然三公社は三公社としての独自の法律を作るということは当然だと思うのですよ。そういう思想はあなた大丈夫でしょう。
  32. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 三公社共通でこの公社法というものを改定していくということにつき、それは私ども三公社と、あるいは政府当局同士で相談をして、大いに検討の余地があると、私はこう考えております。今日、公共企業体である公社、これらのものを鈴木委員の言われるように満たしてやりたいという親心はいかに持っておりましても、電電公社のみだけがそういうことをなし得るということは、今日の段階ではでき得ないじゃないか。そこで、ただいま重ねてお願いするような次第ですが、一応検討の時間を与えていただきたいと、こういうのが私の念願しておることなんです。御期待に沿うように努力はしたいと、こう思っておることは事実であります。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 政務次官の善意はわかるのですよ。しかし最初に、団体交渉事項ではないか、労使間で話し合いをしてきめるべきではないか、こう言ったところが、それはまあ待ってくれと、こうおっしゃるから、それならば第二段階として、現在公務員の暫定措置法というものを準用なり適用していくということはいかにも不自然なんですよ。ほんとう公社法を制定したときに、三公社職員退職手当法というものは、別なほかの法律を作ってやらなければならない。それを八年もの間準用とか、適用とか、こういう格好で縛っているのはいかにも不自然なんですよ。これは公社法上は何もない、ただ国家公務員の退職手当暫定措置法を準用するということになっておるのだから。それは国家公務員でない者を国家公務員の退職手当暫定措置法の中に突っ込んでおくことが不自然なんですよ、これは早く直さなければならぬと思っておるからあなたに聞いておる。これも検討して下さいと言っておるのですよ。
  34. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 三公社に対しまする退職制度法というものの法律がないという御指摘でありますが、それが国家公務員法を適用しておるのだ、こう言うのでありますが、公社自体の性質からかんがみまして、そういうことは、国会自体というものが法律を作るところでありますから、参衆議院の皆さんの御意見がその意見でありますならば、当然これは改正して新しく設定しなければならない問題だと、こう考えております。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 多少わかりました。それで、もちろん参衆両院の委員の人々がそう言うならそうなんだが、しかしこれは、所管は郵政大臣なんですよ、法律提案の責任者は。政府としてこういう矛盾をいつまでも放置することは、これはおかしいですよ。一日も早く別のものを、公共企業体、三公社のずばり職員の退職手当法というものを、作るならば作ってもらいたい、こう僕は言っておるのです。
  36. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 政府提出法案にいたしますか、あるいは議員立法にいたしますか、いずれにいたしましても、三公社政府提出法案でありまする以上は、三公社関係の所管省と全部打ち合わせて御希望にかなえたい、また参衆議院の、立法の府でありますから、皆さんの方で議員提出法案になられますか、私どもの方といたしましては、郵政省自体で単独的に電電公社のみはこういうようなものにするということは、今日の公社法設定の建前上確答が今日でき得ないことでありますから、その時間を与え、三公社関係所管省と打ち合わせていきたいと、かように考えております。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 これは政務次官、私は根拠があるのですよ。というのは、昭和三十二年の四月二十日の日に国家公務員等退職手当暫定措置法の一部改正法律案というものが出ておる。その際に、公社の役員、職員というのは、従来は、それまでは同じように国家公務員の退職手当暫定措置法の適用を受けておった。ところが、どういうことか私は知りませんが、一般の職員は全部抜かして、公社の役員だけはこの適用から除外しておる。これは三十二年の四月二十日に法律が通っておる。この思想というのは正しいと思うのですよ。なぜそのときに一般の職員までやらなかったかということを僕らは不思議に思っておるのですよ。すでにそれは国家公務員でないし、公共企業体の役員になった、従ってその人たちだけを抜かしておいて一般の職員をなぜやらなかったかと私は言うのです。よ。これは団体交渉に戻してやるか、もしくは一歩譲っても、公共企業体職員関係の退職手当法というものを作ってやらなければ、こんな片手落ちをしておりながら、郵政大臣監督するところは変なところを監督しておって、こういう大事なところはじんぜん日をむなしくして、いつまでたっても解決してくれない。わが方は議員立法をやろうと思って準備しているのですよ。準備しているんだが、それには、そんなことでなしに、やはりこういう歴史的な過程を見ても、その不合理、矛盾というものははっきりわかっているのだから、一日もすみやかにそういう措置をとられることを私は強く希望しておるから申し上げておる。なぜ一般の公社職員だけ除外しておるか。
  38. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) ただいま御指摘にあずかりまして、まことに参考になると思います。三十二年四月に設定されたと、そうして一般職員のみは適用が受けられなかったということは、法の矛盾のように考えております。十分今後御指摘の希望に沿うようにいたしたいと考えます。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 これは私はずいぶんしつこく言っておるのですけれども、過去にいろいろ問題が起きているのですよ。たとえば、公社では、毎年三月ごろになりますと、退職慫慂というやつをやるのです。やめたらどうだと、希望退職ですね。私たちは、これも団体交渉事項ですよと、この委員会でも何回か公社に反省を求めた。倉石大臣のときに、私は倉石大臣の腹の中に飛び込んでいって、これは矛盾じゃないか、公社が一方的にやろうとしておることに対して、大臣としてやめるように言いなさいと、こう僕は言ったわけだ。大臣は弱って、鈴木君の言う通りだと、話をしたのだけれども、公社の方では頑として聞かないで、一方的にやっちゃった。組合は怒って、調停委員会にかけた。団体交渉事項じゃないですかと、明確な調停が出ている。こういう団体交渉事項であるとかないとかいってうちの中で紛争しておる、こういうことが原因になって国民に迷惑をかけておる。しかも、それが確信があってやっているかというと、そうではない。調停委員会というものは、反労働者的なことを出すようなところもあるのだけれども、その調停委員会でさえ、純然たる団体交渉事項だといって調停を出しているのです。私はそういう過去の苦い経験を持っておりまするし、やはり明確にすべきところは明確にしておいて、慣行、秩序を守っていくためには、法律を変えて、やはりその状態に即応するような道を開いておかなければいかぬと思うのですよ。そういういろいろな過去の経験があるので、執念深く言っておるのですよ。私はこの調停の問題については、公社の責任についても、もっと追及したい点があるけれども、きょうはやめておきます。やめておきますが、一応そういう経験を持っておるのです。だから、私の言うことは間違いないでしょう。
  40. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 御指摘の御意見、まことに私も、三年ばかり途中下車をして、議席を失っておったために、その間の事情も知らず、実はこういう問題のあるということもあまり知らなかったので、そういう御指摘のことに対しては、一応私自体も常に考えておることでありますから、御希望をかなえられるようなことに、大臣とも、あるいは三公社とも、あるいは電電公社とも十分相談をして、御回答のできるようにしたいと、このように考えております。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 信頼する政務次官ですから、私はもうこれ以上言いませんが、ちょっと心配になるのは、この前も国際通信政策について大臣に御質問したのです。大臣留守中だからちょっと待ってくれということで、そのままになっちゃって、今日明快な政府の所信が、あれから二月もたって一向に出てこないのです。そういうふうに逃げられては困るから、そういうことはないと思いますが、念を押しておきます。きょう中に、これは大蔵省にも関係があるし、政府全体の問題ですから、あなたのところで、監理官もおることですから、よく相談して、そういう方向を打ち出すように、さらに一段の政務次官の御健闘をお願いしておきます。  それから、午前中も私はいろいろ言いたくないことを言っておるのです。憎まれ役を買おうと思って言っておるのです。しかし、これも、事業国民立場から思っておりますから、国民立場から言っておるのですから、私は、個人的にどうこうということでなしに、事業立場から、国民立場から論じておることですから、そういう意味で聞いていただきたいと思うのです。さっきもお話しになったように、公社制度に移行されて八年間、この間において、いろいろな公社を制約するような条件がどんどんどんどん出てきておる。これでは何のために公社にしたのかわからないというのが今日の実情ですよ。従って、さっき経営委員長からお話がありましたように、実際めくら判をつくような格好になっちゃっておるのだけれども、端的に言えば、これは経営委員会制度自体が非常に今日までまずい制度なんですよ。これが公共企業体の民営の長所を取り入れるということなんだから、民間経験を持った有識者が来ておるのですから、その人たちが十分に、公社事業に対して、官僚の悪い点を是正さして、経営委員会は、こうあるべきだという、公社運営については最高の決定権を持っておるのですから、その決定権を持っておる経営委員会が任務を行なえないという現状でしょう。これは、あなたも聞いておったから、わかるだろうと思うが、従って、そういうところが改正すべき大きな問題点だろうと思うのです。  それからもう一つは、この前もちょっと触れた国庫預託の余裕金の預け入れの問題ですね。こういったものも大きな問題だろうと思うのです。私は、もっと端的に言えば、公共企業体というものは、国会に対しては、事業計画政府の財政投融資の規模、こういうものをきめて、あとは思う存分やらしめると、そうして決算に対して国会が辛らつな批判をしていけばいいのですから、そういう今の公社予算制度というものをとっぱらって、決算主義的な方向に持っていってもらいたい。そういうような方向に持っていってもらいたい。そういうような方向に持っていかなければ、ヘビのなま殺しであって、公共企業体というものは何だかわからなくなってきてしまうのです。いっそのこと国有国営にしろとか、逆に民営にしろという意見が出てくる。それではいかぬと思うのです。公共企業体というものの制度をきめたからには、この電気通信事業というものがほんとう運営できるような法的な措置をして、悪いところを直してやろうというのが、政府の態度でなければならないが、そういう点は全然出ていない。今度だって五カ年計画拡大修正をするというから、私たちは、こういう機会にこそこれらの点を一つ是正してもらって、まず土台を作る。そうして従業員も意欲を持ってやれるような道を開くことこそ一番先にやらなければならない。それが抜けておるのです。そうして、外資を七十二億円導入する、それに伴う公社法の改正を出してくる。と思えば、経営委員会制度に対する問題や、預託金をどうするか、あるいは公共企業体の独立性をどう保っていくかというような、そういう問題については、全然国会に提案する意思がない。これは政府の怠慢もはなはだしいでしょう。この公共企業体審議から出されている答申を、もう二度三度と出ているのです。その中にも、今私が指摘をしているような点が出ておる。しかも、その審議過程では、公社は今私が申し上げたような点について直してもらいたいという意見を出しておるのですよ。それが、検討中でございます、検討中でございます――総理大臣は、ことしも私聞きますけれども、これで三回目ですよ。いずれ予算委員会で私は総理にこの点はただしますけれども、検討中々々々で、いつになったらこれはやれるのですか。役所仕事なんというのは、こんな非能率なものですか。だから、そういう監督立場にある郵政省というものが、もう少し電電公社の実情を見きわめてもらって、その是正をするように、勇気と自信を持って一つやってもらわなければ、拡大修正をやろうたって、これは無理ですよ。こういう点は怠慢じゃありませんか。
  42. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 御指摘賜わりました二百億の預託金問題、私は第二次五カ年拡充計画に対して、大橋総裁、横田副総裁、この計画については、ほんとうに満腔の賛意を表して御協力を申し上げたつもりでありますが、遺憾ながら大蔵省が予算総則の建前上、なかなか言うことを聞かない、ここにどうも政治の欠陥といいますか、予算編成の欠陥といいますか、非常にあることを発見いたしたのであります。たとえて言うならば、今日百万以上を突破しなければならない架設事業、これに対しまして、かろうじて四十万をこの五年度にやらなければならないというような微々たる予算、そこで四十万設定いたしまするにつきましても、定員はどういたしましても九千人必要だという予算要求をいたしますれば、大蔵省は五千三百十六人ぐらいに査定してよこす。何でもかんでも国民の要望にこたえるようにしていきたいと言えば、予算を削る。剰余金があれば預託して持っていってしまう。これでは予算編成の上に大きな欠陥があるじゃないかというので、ずいぶん総裁初め副総裁、大臣、各委員皆さんのお力もかりて、辛うじて今日になり得ております。そこで経営委員会の指導的方針と申しますか、あるいは権限と申しますか、これをいま少し活用し、かつ十分にその意見を用いてやらなければならぬという意見でありますが、私も最もその意見賛成するものです。そうして、少なくとも今日の産業あるいは教育、文化に貢献をなすように、輿望にこたえられるようにしなければならぬということで、第二次五カ年拡大計画に対しても相当馬力をかけて大蔵省と折衝いたしたような次第でありますが、遺憾ながら予算のワク、範囲で押えられて、また私ども自体といたしましても、政治の力の足らざるところもまことに遺憾に思っておりますが、経営委員会の指導的な権限をどこまで認めるか、あるいはどこまでも指導的権利、権限というものを充実していくかということに対しましても、ずいぶん皆さん方の御意見を尊重しつつ、大臣の意見、あるいは省議を開いて、その意見に従うようにしたいというので、実は午前中の御意見を承わっておりまして、非常に私自体といたしましても勉強になり、また参考になる意見を拝聴したように考えておりまして、せっかく努力をしたいと、かように考えております。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 政務次官の誠意は私もよく、ひしひしとわかります。その内部の統制がどうだということは、私たちはあまり開きたくないのです。これは自由民主党のもとの政府ですから、だから今度の五カ年計画拡大する場合においても、自由民主党の中にも特別委員会を持たれたはずなんです。それで、関係皆さん方は、ずいぶん御苦労されて、党の中にこれを持ち込み、えらい努力をしてくれたと思うのですがね。その結果、まあまあというところで、予算的にはおさまっていると思うのです。ただ、われわれが非常に残念に思うのは、私たちだって、御承知通り、私どもの五カ年計画を作りまして、すでに発表しており、これは郵政大臣にもお見せしているわけでありまして、今の甲斐供給のアンバランスをもっとなくして、ほんとう電話が安く、きょう申し込んだらすぐつく、おそくてもあしたにはつくという工合に、早く持っていきたいものだ、これについては何ら異議がないのですよ。ただそういうことをやる場合には、一番何をすべきだということなんです。そこで、今言ったように、公社法というものができ、制度ができている。その制度上の欠陥というものが幾つか出てきた。そういうものをまず直して、その上に立って、やはりやらぬと無理じゃないかということを言っている。私は率直に言って、第一次五カ年計画が成功したということは、前にも言っているように、梶井総裁のあのきぜんたる経営者としての態度というものが、与党の皆さんを動かし、政府を動かし、調停段階、――仲裁という方法があったが、調停段階で済ますことができた。それで、勇気を持ってみんなが努力したからこそ、円満にいった。さきに言ったように、現段階においては、賃金というのは、一般公務員と区別されてしまっている。公社企業の独立性というものがくずされてきている。おそまきながら、昨年から幾らかの業績手当的な特別手当が出ておりますが、これは一つの私は公共企業体の特性として、出してきたものだと思います。それは当然のことなんです。一生懸命働いて生産を上げ、能率を上げ、サービスを上げれば、それに見合う手当を出すというのは、民間の会社なら大喜びで出すところです。ところがそれができない。賃金についても三十条をごらんいただくとわかりますように、公社の独自の賃金、それは一般公務員または民間事業の賃金というものを考慮しなさいということを言ってますけれども、何も同じでいいということはない。それでは公共企業体にした価値がないのですから、そういうような道を閉ざすような方向が出てきたということで、いよいよ従業員の士気はかなり阻喪していると思うのですよ。そういう面からこれをまずてこ入れして、そうしてさあやってくれということにならなければ、だめじゃありませんか。それは皆さんが予算の折衝段階にいろいろやるでしょう。しかし一つ一つ掘り下げていかなければだめなんです。たとえば公社の取り扱う金は二千二百四十億です。ですからこれは公社の窓口にくるか、あるいは銀行預託になるか、いずれにしても金が動いている。私の言っている二百億というものは、常時当座預金じゃなしに大蔵省の金庫の中に入っておるものは二百億と言っているけれども、私はもっと多いと思う。そういうものが今日国庫預託されて日歩八厘の低利でやられている。二分九厘二毛で、これは公社法の大十七条かによって利息を払っている。そうしてそれを六分王厘なり何ぼで高率運用している。それで、一方では公社資金がない、資金がない。だから公共企業体になったからには、取り扱う現金くらいは私は公社にまかせるべきだと思う。公社がそのうちから運用部に対して入れるものは幾らというふうに自主的に考えていくならいいけれども、そうしてとにかく公社運営をやらして、二十億も三十億も利潤をかせいで、そうしてその金を設備資金の方に持ってくればいい、こういう正論自体があなたの方から出ないんですか。これは私大蔵大臣ともずいぶんやっているのです。大蔵大臣もこの議論には負けている。しかし今年はもう財政投融資のワクがきまってしまってというようなことで逃げようとしている、私はそれは許さぬ。大蔵省も今考えていますが、予算の総括質問、最後までには何らかの結論を出すように私は大蔵大臣に厳重に抗議をしているのですよ。何か出すでしょう。そういうような一つ一つの問題について掘り下げていかぬと、いざ予算折衝になった場合に、今の制度の中でこうだこうだと言われると、どうも太刀打ちできません。大蔵省も、事業を理解しておりませんから、出すべきところに金を出さない。こういうことがあなた方の内部の統制として暴露されてきているのですが、これはあなたの政治力が足りないということも一つの原因でしょう、しかし、もっと与党内部の中でやられるのですから、しかも特別委員会まで作って党の方でやられておるわけですから、大蔵省を動かしてもっと出してもらいたかった。ところが期待した財政投融資はだめじゃないですか。そういういろいろな矛盾が、因果関係基礎を直さぬと出てくるのですよ。だからもう少しそういう点に深いメスを入れていただいて、やるからにはやはりこれは総裁職員に向かって言っているように、従業員の協力なくしてはこの事業運営はできない。従って組合の協力を頼むと言うが、賃金を一銭も上げないで、そんなことを言っても何もならない。第一次五カ年計画では建設資金二千八百億を調達しているが、そのうち自己資金として一千九百億円、外部資金はわずかに九百億円で、これを見ても大体三分の二近くのものは、どうですか、自己資金でまかなっている。そうして一生懸命働いたものは建設資金に持っていかれる。従業員待遇には返ってこない。これでは働く意欲はありませんよ。そこらをもう少し政府全体としては、私は岸総理にしょっちゅう言っておる、予算委員会で顔を合わすから。佐藤さんにも私は言っておる。どうも今の拡大の時期に、労働者の立場もよく考えてもらって、これは全電通を歴史的に見て下さい。これは健全な常識を持った組合ですよ。その組合が今日どういう考え方を持っているか、この五カ年計画に対してどういう思想を持っているかということをもっと掘り下げて検討すべきだ。逆に、労使の間がますます険悪になってくる。これじゃどうして五カ年計画拡大してやるのですか。もう少し、あなたは政治力を持っているのだから、自民党内閣をまとめて、この段階において、公社法の精神に基づいて、労働者に勇気を持たせるような政策を出してもらうように、僕は期待しているのですが、佐藤さんどうですか。
  44. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) まことに参考になることのみを御指示賜っておるのですが、実は私自体も、電電公社の今日までの行き方というものについて不満を抱いておるところなんです。と申しますことは、これは御質問より少しはずれるかもしれませんが、私は道路行政のみを専念してきた。ところが、せっかく道路を作りまして、アスファルトなり舗装道路を作る。それを一年たつと、また道のまん中に穴をあけられて、掘り返される。どうせそういう計画があるならば、その道路を作るときに、なぜケーブルをいけておかないかということで、実は私ども建設委員会といたしまして、非常にこれは憤慨いたしておったのであります。いずれにいたしましても、一度作って金をかけたものを、また掘り直して、そして新しくまた舗装の仕直しをしなければならぬ。そういう金は一体どこから出るか、当然こわした方の電電公社から出るでしょう。その道路工事を新設するときに、あるいは改良するときに並行してやっておったらば、そのケーブルをいけておいたら、健全な道になるじゃないかというので、相当私どもは問題にしたことがあったのであります。ところが、ただいま御指摘のように、預託金は二百億もありながら、政府が財政投融資の方にこれを融資して、そして高利をむさぼっておりながら、当然なさねばならない架設、この施設の予備的にもこのケーブルの布設すらもでき得ないというのが、今日まで参りました電電公社の建設事業に対する予算の裏づけ欠陥があったのだ、このように私は考えたのでございます。と申しますことは、郵政省に末席をけがさしていただいて、初めてその隘路がわかったのであります。こういうことは、特に党の政調に持ち出しまして、十分この問題も議論したい。また要望がかなえられるようにしたい。  そこで実は、まことに外遊などいたしまして御迷惑をかけたのでありますが、実は私、フランスヘはエール・フランスの招待飛行で行きましたから、何もいたしませんが、ロンドンに行きまして、BBCの会社に寄り、ニューヨークでATTに行った。山田節男先生が非常なる技術的の御質問を御調査をされておったというお話でありまして、私は英語もあまり満足にできませんが、私の目で見、耳で聞くだけのことも、実は相当聞いて参ったんです。私は技術的にはほんとうにしろうとでありますから、曾山次長と行きまして、それでただいま目下文書にいたしております。ニューヨークに参りまして驚いたとことは、ATTの会社に行きまして、いろいろの模型あるいは施設方針を伺いました。ところが、あちらこちらを模型で説明をしていた。そのしまいに、あなたがアメリカのどこの国でもいいから、そこのところの電話を呼び出してみたいというならば、今直ちに呼び出しますと、こういうお話でありました。ATTの六階かの模型の部屋でした。ロスアンゼルスの方にちょっと寄っていきたいから、カラーテレビやそういうものの関係を見たいからというので、総領事館へ電話をかけたい、こう申したところが、さようかと言いながら、いぼ一つ押したところが、回転盤で何秒間の間に出た。これはいかにアメリカあるいはヨーロッパの電話電信電話施設というものが拡充されているかということで、実はあぜんといたしたのであります。でこれではいけないから、どうか電電公社というものの、あるいは国民の要望に直ちにこたえられるようにしたいというので、実はいろいろ参考になることもお聞きして、曾山次長に目下清書をしてもらっておるような次第でありまして、まさに鈴木委員の御指摘のごとくその隘路があります。  それには総裁、副総裁、役員のみを中心に置いたのではいけないじゃないか、労働組合の者も尊重しなければいかぬじゃないか、その通りであります。ゆえに、使う者、使われる者が、互譲精神でお互いに話し合って、譲り合えるもののみは譲り合う、十が十、自分意見を用いるというわけにはいきますまい、両方とも。それが鈴木委員委員長当時、そうした互譲精神をもって発足された今日の電電公社あり方に、どうか一日も早く本然の姿になるように、お互いが互譲の精神でやってもらいたい。このように私も念願し、またそのように大臣のお知恵も御意見も聞きまして、十分努力し、御期待に沿うようにしたい、こう考えておる次第であります。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 大臣御不在でしたから、午前中から、私公社経営一般について、特に古野経営委員長の御所見や、今郵政省当局の御意見を伺っておったんですが、時間の関係で、重複しますから私言いませんからね、今までの委員会の経過については、政務次官がずっと終始おいでいただきましたから、十分一つお聞きいただくようにお願いします。
  46. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 十分大臣にはお話ししておきます。
  47. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 承知いたしました。
  48. 鈴木強

    鈴木強君 それで大臣にもう一つ伺っておきたいんですけれども、今も公社の余裕金の国庫預託の問題が出たんです。それでこれは一つ経営者の自主的な扱いにまかせるような道を開くべきではないかと私は思うんです。で、わが党の方も準備は全部できているんですがね、議員立法の。しかし、これはやぶから棒に出してみてもしようがありませんから、今慎重に扱い方検討しておりますが、政府考え方も承っておいた方がいいと思うんです。これは大蔵当局とも関係がありますので、別途また予算の方でもお願いしておるわけですが、思想については認めておるのです。時期的な問題でちょっと隘路があるんですがね。これは私はくだらない臆測も出ました。あのやろうは銀行のあと押しをしておるのじゃないかというようなことをばかな人は言いますが、私は社会党の立場ですから、全然そういうことは関知しておりません。ただ、ひたすらに、経営あり方から論じて、公共企業体というものである以上は、扱う現金は公社にまかしてやるべきだ、その扱い方には、法律である程度規制していかなければならぬ、罰則まで考えているのです、その適用についてもし間違いがあれば。そういうことは条件としてやり得るとしても、基本的にはやはり関係の原則を取っ払っていくのが道だと思います。大臣はどうお考えですか。
  49. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 国家全体の財政ということをしばらく別の問題といたしますれば、郵政省としては、全く鈴木委員の御意見と同感でございますので、もしこの運用の道が開きますれば、非常に郵政省の活動といたしましても寄与するところが大きいと存じます。ただ、国家財政全体の関係から、この問題なかなか今日まで開発されておらないのは、まことに郵政省だけの考えといたしますれば残念に存じますが、この点につきましては、大蔵省とも打ち合わせ中ではございますが、さらに鋭意この問題の打開のための努力を続ける所存でございます。
  50. 鈴木強

    鈴木強君 検討し打開をするということですが、端的に聞きますが、こういう不合理を認めるならば、やはり郵政省としては、これは政府全体の問題になると思いますが、大臣としては、法改正をやはりやる決意はあるのですか、時期をいっとかいうことは限定しませんが、そういう方向でやる決意ですかどうですか。
  51. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) これは郵政省だけでは法案の準備等いたしかねる立場でございますので、関係方面とも十分打ち合わせいたしまして、打ち合わせが成り立ちますれば提出いたしたいと、かように考えます。
  52. 鈴木強

    鈴木強君 これは郵政大臣もよく聞いておいていただきたいのですが、電電公社質問をいたします。私は臨時措置法の問題とは切り離した立場からきょうは質問をしていくわけでありますが、現在、三十四年度の工事の進捗率につきまして、先般総裁から御説明を伺いましたが、もう少し詳しく、月ごとにどの程度の進捗率を示しておるか、前年に比べてどういう比率になりますか、それをちょっと承りたいと思います。
  53. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 詳しいことはさらにあとで局長から数字について申し上げますが、大体の点を申し上げますと、本年度に入りまして、最初の四月、五月は比較的低調に進捗いたしたのでありますが、その後工事の進行が非常に進みまして、現在のところでは、むしろ本年度全体として見ますれば、昨年度よりももっといい割合で年を越せるのじゃないか、かように考えております。  なお、数字の点につきましては施設局長から申し上げます。
  54. 平山温

    説明員(平山温君) 御説明申し上げます。本年度の工事の進捗状況の月別にどうかというお尋ねでございます。概括的なことは、今総裁が御説明申し上げた通りでありますが、こまかいところを補足させていただきます。  今、私が申し上げますのは工事費だけでございまして、そのほかに工事に伴う建設勘定の経費がございますが、それを除いた数字でございますので、前もってお断わりしておきますので、御了承いただきたいと存じます。  月別に申しますと、先ほど四月、五月が立ち上がり必ずしも十分でなかったと申し上げたわけであります。この数字は四月が二十八億――大体億単位にまるくして申し上げます。五月が四十八億、六月になりますとこれが七十億、七月が七十七億、八月が七十二億、九月が七十三億、十月が七十億、十一月が六十五億、十二月が九十九億、一月が五十四億、二月が九十二億、かようなことになっておりまして、大体六月以降はおよそ七十億あるいはそれ以上のところでおおむね順調と申しますか、に進捗いたしております。この分で参りますと、あと一カ月だけ残っておりますけれども、ことしの工事の進捗は昨年度より下回らないという程度にいくものと思っております。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 昨年度と比べてということを聞いたのですが、昨年度はわかりますか、そこに、お手元にありますか。
  56. 平山温

    説明員(平山温君) お答え申し上げます。昨年度と比較して申し上げますと、二月末現在におきまして、今まで工事をやりました累計――今、月別に申し上げましたがを申し上げますと、ことしは七百四十五億でございます。昨年は二月末で六百億でございます。全体の年間の計画額に対する二月末現在の工事の消化額のペーセントは、本年度の先ほど申し上げました七百四十五億と申しますのは、全体の計画額に対して七八%、昨年の六百億といいますのは、全体の計画に対しまして七三%でございますので、パーセントからいいましても約五%上回っておりますし、工事をやりました絶対額からいきますと、約百四十五億本年度の方が上回っておるわけであります。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 七百四十五億、二月末までで実施をしていただいたようでありますが、そのうち公社直営と請負との比率は、大まかに言ってどの程度になりますか。
  58. 平山温

    説明員(平山温君) 大ざっぱに申しまして、直営と請負とでは大体半々か、やや請負の方が多いという程度だろうと思いますが、今この七百四十五億の数字について、直営と請負の区別の数字はここに持ってきてございませんので、大ざっぱなことで御了承いただきたいと思います。
  59. 鈴木強

    鈴木強君 四月、五月、特に四月が落ちておりますが、これはどういう原因でございますかね。繰り越し工事等もかなりあるわけでございましょう。そういうものと考えてみると、新しい予算が通過をして、実行計画を立てておやりになると思うのですが、それにしても、継続工事等を考えておると非常にダウンしておりますね。四月、五月というものは。これはどういうところに原因があったのでございましょう。
  60. 平山温

    説明員(平山温君) お答え申し上げます。三十四年度の当初におきます四月、五月の工事の進捗に対します準備といたしましては、当然三十三年度に準備した結果がこの四月、五月に現われているのでございますが、三十三年度におきましては、年度当初におきまして計画を組みます場合に、年度当初におきましては、必ずしも収入が順調に伸びるかどうかという点についてやや懸念される面もございましたので、幾らか全体の計画を立てます場合に、年度当初におきまして控え目に立てまして、年度後半におきましてから、実はその心配がなかったものでございますから、計画をまた追加したというような結果になっておりますが、そういった影響が四月、五月に結果的に現われて参ったわけでございます。来年度のこの四月、五月につきましては、もうすでに、前年度と違いまして、かなりの準備をいたしておりますから、今年の四月、五月にはこういう影響は現われないと存じますが、三十四年度の四月、五月につきましては、今のような結果から申しますと、もう少し計画を早目に進めておけばよかったわけでございます。そういった、今申し上げましたような事情で、四月、五月の立ち上がりが少し十分でなかった、かような次第であります。
  61. 鈴木強

    鈴木強君 七八%二月末で完成をしているようでありまして、残りは二二%でございますね。これを三月中にやることになるのですが、従来の七百四十五億、七八%というものを月割にしてちょっと算術計算してみますと、どうも三月で残りを全部やることについては多少心配があるんですけれども、その見通しはどうでございますか。繰り越しはできるかできないか、全部やれるのかどうか。
  62. 平山温

    説明員(平山温君) お答え申し上げます。三月の進捗はどうだというお話だと思いますが、昨年度、三十三年度の三月にやりました実績は百二十億でございました。従いまして、本年度もこの三月の数字は、今ここで的確に申し上げることはできませんけれども、少なくとも前年度の百二十億を下回ることはないと思っております。ただここで、三月がほかの月よりも例年少し大目になっておりますが、これはいろいろ物品の決算の関係で事務的に三月にしわ寄せされるもの、あるいは三月に着工になるもの、そういったような関係で、例年三月には少し大きな額になって参るわけでございますが、そういったことから考えまして、ことしも繰り越しをゼロにするということはちょっとむずかしいと思いますけれども、昨年度の繰越額程度あるいはそれ以下に、あるいは昨年の繰越額を上回ることは万々ないと、かように考えております。
  63. 鈴木強

    鈴木強君 私どもしろうとですからようわかりませんが、どうも不思議に思うのは、工事のこの施行計画というものが平準化といいますかね、均衡化といいますか、年間を通じてもう少しうまくできないものかということを考えるわけですがね、結局三月に平常の月の約三分の一ぐらいはふえていかなきゃならぬというのは、昨年の例を見ましても、ずいぶん三月にしわ寄せがきておるし、なおかつ、九十億なり百億近い繰り越しが出てくるということは、何とか工夫をして、各月別に平準化をして、与えられた資金はその年度に全部消化すると、こういう方法がとれないものかどうかということですね。これは御苦心をなさっていると思うのですが、どうして毎年こういう格好になるのですか。特に拡大修正しようという時期に、われわれの心配するのは、後ほど私は詳細に、これはもう法律案の中でお聞きするつもりですけれども、人員が足りないのか、あるいはその計画がどこかまずいところがあるのか、そういう点をよく勘案して、年々歳々繰り越しが出ているのをなくしていく、そういう御工夫をなさっておると思うのでございますがね、どうでございますか。
  64. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) その点はきわめて適切な実は御批判をいただいたわけでありますが、私どもも、買い物にしましても、建設工事にいたしましても、すべて平準的にこれの行なわれるということが、一番物が安くでき、仕事の手順もいいわけでございますから、ぜひそうやりたいというので、前々からそれぞれ工夫をいたしておるのであります。ただ、この建設工事につきましては、何といたしましても、まず建築といいますか、局舎の新営ということが最初に行なわれませんと、中の機械を入れるわけにもいきませんし、ケーブルを敷くわけにもいかぬ。どうしても建築工事ができるだけ早くなっておりませんと、あとの工事がうまくいかぬ。そこで、建築工事のそのさらに前提の問題は土地の購買問題でありまして、これはほかの資材等と違いまして、必要に応じてどんどん作るわけにも参りませんし、場所もおのずから限定されるわけでありまして、これが私どもとしては悩みの種なんでありまして、できることならば、たとえば来年度の建設工事をやるのならば、一年半か二年前あたりに土地を買い、それに基づいて設計もちゃんとできておるということになりますと、前年度の終わりになる前に建設、建築工事の請負を済まして、年度初めからどんどん建築が始まるということになりますと、それを根拠にして、もう一年の平準化計画が立ち得るわけなんでありますが、一番このでこぼこの生ずる大きな原因は、従来の経験から見ますと、土地の購買ということの点に非常に悩みがある。こういう点だと思いますので、この点は今後といえども、もう少し研究して、できるだけ平準化するように努めたいと、かように考えておりますわけであります。
  65. 鈴木強

    鈴木強君 この直営と請負の率がやや半々程度になっておるようでございますが、今百幾社かの工事業者を、指定といいますか、出入りしていると思うのですが、業界の方の工事能力といいますか、そういう点は公社はどう評価しているのですか。今総裁のおっしゃったような隘路を打開するためには、長期の計画を立てて、事前に手をどんどん打っていくという場合に、今の工事業者の能力というものに即応する態勢はあるのでございますか。何か工事業界の再編成とか何とかいうことをちょっと聞くんですけれどもね、そういったものとの関連もあると思いますが、それはどうでございますか。
  66. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいまのお話は、建築の方でなくて、工事の方のことだろうと思いますが、この方には従来、先ほど説明もいたしましたように、大体半分ぐらいの工事は請け負っているわけであります。自然来年度の工事幅が大きくなりますれば、工事建設会社の負担すべき部分も自然多くならざるを得ぬのでありまして、そこで昨年第二次五カ年計画が大体できまして、来年度の予算もまず一応閣議で認められたということで、工事の会社で作っております工事協会というものがありますが、そこでそれぞれ寄り合って、公社の大体工事に対する拡充の点に協力をしようという話し合いをして、人員、要員、その他のことも相当手配をしておるように承っております。ただしかし、工事の要員が来年度の卒業生を入れたからといって、すぐ右から左に能力がそれだけ百パーセントあるわけじゃありませんから、おそらく、来年の卒業生だけを目標にせずに、本年度のうちから相当要員を雇い入れて、教育も施しておくと、こういうふうに着々準備をしておるように私どもは承っております。
  67. 鈴木強

    鈴木強君 誤解があってはいけませんから、私は工事というものは原則的に公社がやるべきである、こういう立場をはっきりとっているんです。ですから、拡大修正の方向に進んで参りますと、総裁のおっしゃるように、むしろ建築請負の一般的な工事、線路とかそういうものがあると思いますが、工事というものが民間に相当依存していくという趨勢にあると思うのですね。それは一つ公社考え方ですから、私は基本的な立場は違いますが、それと同時に、直営体制というのはどういうふうにお考えになっているんですか。これは定員措置等を見ましても、特にこの施設関係の要員措置というものには、これは資料を見れば一目瞭然でございまして、かなりダウンしておると私は見ているんです。ですから、工事業者の方は、何か公社態勢に即応して、どんどん人もふやし、資金も増資して、そして今やおそしと待ちかまえている、こういう態勢が一方にある。公社自体としてはその点についてはどうなっているのか。
  68. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 先ほどのお尋ねは、工事会社に関するお尋ねと心得まして、その点だけを申し上げたわけでありますが、公社直営の場合も、むろん私ども考慮の中に入れておるのでありまして、来年度の要員についても、最初私どもの考えておったほど理想的の増員は得られませんでしたけれども、五千数百名の増員もあります。なおそれ以前に、この来年度の工事の拡大を相当計画するにあたりまして、そのかまえをぜひいたさなければならない、計画ばかり大きくお認めを願っても、この工事の遂行ができなくては、私どもとしては、はなはだ責任を感ずる次第であります。何としてもこのお認めいただいた場合の拡張工事の完遂というものについては、私どもも来年度の最も大きなこれは使命と心得ておりまして、本年度のうちから、着々私どもとしては、できるだけの用意をいたしているわけであります。  二、三のことを申し上げますと、こういう意味も含めまして、昨年の春ごろ、地方分権の制度を施行いたしたのであります。これによって、従来一々本社へ参っておりましたいろいろの施設設計なり、あるいはいろいろのことが、地方の通信局なりあるいは通信部の段階において、相当程度の専決施行し得る部分がふえて参ったのであります。これによって、今まで地方局と本社との間に重複されておったような手数というものが、相当省略されております。日数も相当短縮されたと思うのであります。また、昨年、御承知通り、建設局を本社の中に設けまして、工事建設に関する一切のことを、ここで統括いたしまして、全体の建設工事の完遂をはかるかまえをすでに作っているわけであります。そのほか、従来最もこの工事の険路と考えておりました、先ほど申し上げました土地の購入についても、できるだけ早く手配をして土地の購入をはかる。また従来一番しょっちゅう問題になりましたことは、先ほど郵政次官もお話しになりました道路の関係ですが、どうも従来建設省方面あるいは地方公共団体の道路部と、私の方の建設部隊との連絡、必ずしもそう簡単に行きかねておった点もあるやに承っております。将来はぜひこの関係をいま少しく円滑に、早く話し合いのつくようにしたい。こういうことで昨年来建設当局にもお店をいたしまして、法規の改むべきものがあれば、これは改めるということも、お願いをしているのでありますが、法規を右から左に改めるということが困難な場合には、実行においてこれをできるだけやりたいということで、それぞれの各部門の委員会を両者で作りまして、話し合いをどんどん進めている次第であります。このお話し合いが、今の状況でありますと、道路にケーブルを埋めるという仕事につきましても、相当将来は円滑に進捗する、かように考えている次第であります。その他、設計につきましても、従来のやり方をできるだけ簡素にしたい。従来は、各局につきまして一々精密に設計をし、積算をしておったわけでありますが、これらのことも、できるだけ設計の標準化ということをはかりまして、あまり一つ一つについてこまかい設計をやることをやめて、できるだけ標準化に従って設計を進めていく。これなども相当工事の進捗に役立つと考えているのであります。そういうことで、私どもとしては、できるだけのかまえをやっているつもりであります。
  69. 鈴木強

    鈴木強君 まだ質問が大へん飛び飛びになっているのですが、何か時間の関係もありますから、あまり落ちついてきょう質問できないような状況なんです。で、さっきの工事の平均化といいますか、そういう点については、総裁からお話がありましたが、もう少し本年度この予算が拡大しても、平均化して消化できるというような、そういう確たる見通しがあるのですか、どうもあいまいですね。
  70. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 私も実は工事の技術につきましては、全くしろうとでありまして、確信を持って返事をしろといいましても、私自身としての確信じゃどうも御信用になりかねるかと思いますから、専門の施設局長から一つお答えを……。
  71. 平山温

    説明員(平山温君) お答えいたします。工事の平準化をもう少しやれるようにしたらどうかというお話でありますが、実はことしの各月ごとの、月別の工事の消化実績は、先ほど御説明申し上げたわけでありますが、年度当初ニカ月を除きまして本年度は、前年度あるいは前々年度と比べまして、ある程度平準的にはなって参ったと存じております。しかしながら、御指摘のように、やはり年度末においてかなりの支出を期待しなければならぬというような実情、あるいは年度当初における立ち上がりがおくれているというようなことを考えますと、私どもとしまして、一そう平準化に努力しなければならぬと思っております。その一番の問題が、先ほど局舎の関係にあるということを総裁から申し上げたわけでございますが、何と申しましても、家ができませんと、機械工事はその中に設備をいたしますので、その関係で平準化がしにくい、こういうことを御説明申し上げたわけでございますが、私どもといたしましては、来年度以降におきましてこういったことを繰り返しませんように、できるだけ建築局の方とも相談いたしまして、局舎の関係仕事が先へ出ていってもらえるように、そういうふうに話し合いで進めておる次第でございます。  それからもう一つ重要なことは、やはり全体の計画において平準的にやりますためには、設計を早めにやりまして、準備を早くやる。要するに平準化ということは、早い方向へならすわけでございますから、全体をある程度スピード・アップしなければなりません。そこで、そういった意味におきましては、本社できめますところの計画を、年々少しずつ実施の計画を早めてきてはおりますけれども、これをできるだけ早めて、そうして早期に準備ができるようにする。それから、先ほど総裁が申し上げましたように、中央と地方の仕事のやり方等につきましても、分権化等によりまして均衡をはかる、あるいは標準的な設計をすることによりまして、従来個別でやったよりも手間を省いて、そうして全体として能率的に設計ができるようにして、これも平準化にかかれるようにということで準備いたしておるわけでございます。従いまして、今後確信があるのかというお話でございますが、三十五年度につきましては、若干三十四年度の影響もございますので、三十五年度におきまして完全に平準化ということはちょっと申し上げられませんけれども、もうすでにその準備を始めておりますから、この成果は、三十六年度以降におきましては、かなり顕著に現われてくると思います。三十五年度におきましても、ことしよりはよくなると思いますが、そういう意味の、今申し上げましたように、逐年この平準化をはかっていくようにやれる、かように申し上げられると思います。
  72. 鈴木強

    鈴木強君 後の議事進行の関係で、参考人の方をお待たせしておるようでございますから、大へん残念ですが、私は今の問題に関連をして、局舎の新築の状況、見通し、さらに料金制度、電報の中継機械化、利益率の問題等等、たくさんの質問を持っているわけなんです。従って議事進行上、委員長に私は協力いたしますので、きょう私は総括的に一々お願いしておきたかったのですが、ところがそういう理事会の御決定ですから、一応私は委員長に従いますので、きょうはこれで保留しておいて、さらに私の質疑を継続できるように一つお取り計らいを願いたい。
  73. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ありがとうございました。事情は私も十分了解いたしておりますので、鈴木委員の御質疑の時間をとれるように御相談するつもりでございます。ありがとうございます。
  74. 森中守義

    ○森中守義君 郵政大臣にごく簡単に一言承っておきたい。  資金運用部資金運用審議会という会議があることは御存じですか。
  75. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 存じております。
  76. 森中守義

    ○森中守義君 会長はだれですか。
  77. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 総理大臣が会長であります。
  78. 森中守義

    ○森中守義君 副会長はだれですか。
  79. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 大蔵大臣と郵政大臣であります。
  80. 森中守義

    ○森中守義君 会長もよく御存じないようですが、この会議は何をきめる会議ですか。
  81. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 資金運用につきまして、今度どこへ幾ら、どういうふうに使おうといったようなことを審議いたす会社だと存じております。
  82. 森中守義

    ○森中守義君 語尾がよく聞き取れませんので、もう少し正確に答えて下さい。
  83. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 資金運用についての会議であります。
  84. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、大体資金運用部に集まっている金をどういうように回していこう、こういうことであると思うのですが、大体あなたが就任されてから何回くらいこの会議を開かれましたか。
  85. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 回数は覚えておりませんが、ときどきやっております。
  86. 森中守義

    ○森中守義君 年度の予算を編成するときに、主として資金運用部資金が、財政投融資の財源になっておるようですが、その財源の振り分けをこの会合できめるのですか。
  87. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) はい、そういう会合も持ちました。昨年の秋――暮れだったかと思いましたが、明確には記憶しておりませんが。
  88. 森中守義

    ○森中守義君 この会合は、大体雑談、懇談程度のものですか、それとも一定の案を大蔵省なり、あるいはあなたの所管である郵政省なり、そういう当局から、一兆何千億の資金のうちに、幾らはどこへ、幾らはどこへというように、ある程度計画的な案を検討する機関ですか。
  89. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) その通りであります。つまり懇談と申しますか、雑談式ではなく、一定の案をもちまして、それについて審議いたします。
  90. 森中守義

    ○森中守義君 私はこれでやめますけれども、関連として聞いておきたいのですが、そういうことであれば、一応、たとえば電電公社幾ら財政投資をする、あるいは郵政省幾ら建設勘定として財投に回す、日本放送協会に幾ら出すということも、この会議で決定をするわけですね。
  91. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) その通りであります。
  92. 森中守義

    ○森中守義君 それだけ聞いておけばけっこうです。
  93. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは本問題に関しましてはこの程度にいたしたいと存じます。   ―――――――――――――
  94. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 続いてカラーテレビジョンに関する件を議題といたします。  御質疑を願います。  なお、本日は参考人として丹羽保次郎先生、また、通産省からは重工業局長、電機通信機課長の出席を求めておりますので、順次御発言を願います。
  95. 山田節男

    ○山田節男君 私は、カラーテレビジョンの本放送を近く政府が免許したいというような意向があるやに伺いますので、実は本月の三日、当委員会参考人を呼んで、カラーテレビジョンの本放送の態勢に関する調査研究として、いろいろと質問意見の交換が行なわれたことも知っております。それから、これは私自身、過日本会議で緊急質問をいたしました。予算委員会においてもまた、この問題が議題となったことも承知しておるのでありますが、過日、私の本会議における緊急質問に対して、郵政大臣からいただいた答弁も不十分であるというようなこともございましたので、本日重ねて本件に関して、当委員会郵政大臣電波監理局長あるいは丹羽博士その他通産省の政府委員に御出席願って質問をいたすわけであります。  まず、私この質問に入る前に申し上げたいことは、テレビジョン、すなわち白黒テレビジョンが開始したのは昭和二十七年であります。その当時、電波監理委員会電波に関する行政の最高機関として存在しておった。ところが、この白黒のテレビジョン標準方式につきましても、たまたま、昭和二十六年の衆参両院の電気通信委員が、テレビジョンの標準方式の研究調査かたがた向こうに参りまして、十月の末に帰ってきましたところ、この白黒のテレビジョン方式をアメリカ式に、しかも二十四時間内にこれを決定しろ、当時電波監理委員会委員長をしておられた富安さんに対してそういう命令が出たということを私はこの委員会で聞きました。それはいかん。少なくともテレビ標準方式は、鉄道で申せば広軌か狭軌かという、非常に重要な問題に対して、いかに占領軍放下にあるとはいえ、この重大な問題を何とか、標準方式をアメリカ式に二十四時間内に決定しろという、これは軍の命令かもしれません。これは国会議員として実にわれわれは遺憾であるというので、当時私はGHQのシグナル・セクション、通信部におりましたファイスナー氏に会いまして、じゅんじゅんとして、私アメリカにおける現況から、日本にテレビジョンを実施するならば、標準方式にはもう十分慎重に一つ討議をし、のみならず、公聴会を開かして、慎重な審議をしてもらいたいということを私は切にお願いいたしまして、軍もこの二十四時間以内に標準方式決定ということを撤回いたしました。従って、二十七年の一月から青山三丁目にある電波監理委員会におきまして、いまだかつてない、きわめて慎重な、大じかけな公聴会を開いたのであります。その結果、昭和二十七年の七月のことでありますが、当時国会は大体七月の二十日ごろに終わる予定であった。ところが、この標準方式に関して例の周波数の、ハンドの六メガか七メガか、これに対して非常な論争が行なわれまして、少なくとも公聴会における空気は、もうアメリカ式の六メガ、走査線五百二十五、これはむしろ将来のカラーテレビに移行することを考えれば、七メガの周波数バンドにすべきである。これはアメリカで今フィリップス会社の重役をしておりますけれども、世界におけるテレビジョン標準方式の権威者であるドナルド・フィンク氏に私はそういう助言をもらい、同時に高柳博士にこのことを話しましたところが、高柳博士も、一つの証拠品として得たいというので、直接私の紹介でフィンク氏から証言を得られました。カラーテレビジョンに移行することを考えれば、アメリカは六メガでやっておるけれども、七メガに行くべきである。その方が望ましいということがあった。にもかかわらず、これをむちゃくちゃにアメリカ方式にきめてしまった。このことは実に不愉快な記憶がある。そういたしまして、三十二年の十二月、当時田中君が郵政大臣をしておられたときに、このNHKに対してはいわゆるUHFのカラーテレビの実験、そしてNTV、日本テレビに対してはカラーテレビジョンの実験放送を、VHFのカラーテレビを許可したのであります。自来NHKもあるいはNTVもカラーテレビジョンの実験放送をやっていたのであります。  ところが、昨年であります。寺尾豊君が一昨年六月に郵政大臣に就任されまして、この四月に入りまして、あたかも参議院の定期の選挙があり、改選が行なわれた。寺尾君自身が今度は改選に臨まなくちゃならぬ。従って当時の通常国会も、実は予算を過ぎますというと、まことに国会もさびれてしまって、当委員会というものも開かれなかったような状態であります。そういうようなときに、私最も遺憾なことは、寺尾君の郵政大臣としての末期におきまして、四月の四日であります、昨年の。このカラー実験放送に広告放送を入れろ、もちろん、これは電波監理審議会に寺尾君は諮問されております。電波監理審議会の答申によりますると、実験放送は非常に金がかかる。NHKはこれは公共放送であるから、いろいろ財源を持っておるかもしらぬけれども、民間放送であるNTVは、カラーの実験放送には非常に金がかかる、それを唯一の理由として、実験放送に広告放送を織り込むということを、これを許しおるのであります。このことも、これはあとの質問に関連しますけれども、一体、今日の放送法の精神から見て、実験放送に対してスポンサーをつけて広告放送をやらせるということが、一体放送法の精神から言って許されるかどうか。とにかく、あなたの前大臣はさようなことをいたしておる。そうしてその次に来たるべき問題は、ちょうど昨年の四月でありましたけれども、ロスアンゼルスにおいて無線通信の諮問委員会、CCIRと申しておりますが、これは一昨年のモスコーにおけるカラーテレビジョンの国際標準方式の結論が出ないので、昨年さらにこの会議が持たれ、それに当時の電波監理局長の浜田成徳君が出席して帰ってくるやいなや、これを強制的にやめろ、これは明らかに当時の新聞にも出ておりますし、本人も新聞に自分の談話を載っけているところを見ますと、六月の四日でありますが、当時の自民党の幹事長の福田君が浜田君を呼んで、四谷の福田屋の料亭に呼んで、とにかくお前やめてくれ、ところがそれでもなおやめなかったのかどうか知りませんが、その六月四日の午後七時に渋谷の南平台の岸総理の公邸にこの浜田君を呼んで、そして因果を含めている。こういう事態は当時新聞にも載っておるし、浜田君も二回も新聞記者にそういうことを発表しているのであります。こういう一連のカラーテレビジョンに対する推移を見ますと、何と申しても、これは私は公平に見て、冷静に考えれば考えるほど、カラーテレビジョンに対しては非常に政治的な、悪く言えばテレビジョンの、何と申しますか、利権化したような情勢を、これは私はどうしても否定することはできないと思う。  と申しますのは、先ほど申しましたように、昭和二十七年にカラーテレビジョンの標準方式をアメリカ式にやる。しかもNTVが最初これを入れた事態から、しかも当時予算委員会吉田総理に対して私は、テレビジョンというものをあなたは欲するかと申し上げたら、私はテレビジョンは時期尚早である、そういうことは反対でありますということを言うておるにかかわらず、遂にアメリカ方式のテレビジョンの標準方式を決定したという、このいきさつから見まして、カラーテレビジョンにおきましてはさらに輪をかけたような、まことに憂うべき政治的な圧力と申しますか、こういうようなことは、私は否定し得ないと思うのです。昨年の六月にそういうあとを受けて植竹氏が参議院から郵政大臣として御就任になった。私はその後における植竹郵政大臣のいろいろなこの問題に対する御態度、ことに就任早々の記者会見においての郵政大臣の所信等を見まして、これは、とにかく植竹郵政大臣としては慎重にやる、こういう御所信であると存じて、これまた、私は非常に実は敬服しておったのです。続いて、浜田君に次いで甘利君が電波監理局長になった。電波監理局長になった甘利君が、六月の十日でありますかの新聞記者会見においてこういうことを言うておるのです。このカラーテレビジョンの問題は、私としては興味もないし、問題にもしてない。もちろん、世論がカラーテレビョンを開始せよとの声もないので、政治問題になるほど伝えられるのがおかしい。とにかく、早急に本放送を行なうべきでないという意見に変わりはないと思うのですが、今後も実験については積極的にやるつもりだ、こういう電波監理局長も、何と申しますか、慎重論者です。しかるに、昨年の年末に、これはITU会議に御出席になり、ヨーロッパのカラーテレビジョンの研究状態を見られ、さらにアメリカのカラーテレビジョンの実際を見てお帰りになった後に、カラーテレビョンはいわゆるアメリカ方式のNTSCにするのだ、こういうことを声明されたということを私どもは聞いたのであります。  私はきわめてかいつまんで政治情勢、この問題に対する推移を申し上げた。これは決して主観的なものではないだろうと思う。そこで、こういうような点から考えまして、きわめて高潔な、しかも識見の高い植竹郵政大臣が、昨年六月寺尾君の後任者に御就任になって以来、しかも、ことしに入ってから後における郵政大臣カラーテレビジョンに対する御所信等を伺ってみるというと、私は先日の本会議でも申し上げました通り、非常にどうも解せない点が多いのであります。  話が少しさかのぼりますけれども、昨年の四月に寺尾郵政大臣がカラーの実験放送に広告放送を許可したということになりまして以来、これはごらんになったでしょう。これは一つの行過ぎでありますけれども、朝日新聞にこういったような広告を出しております。こういうのです。これは私は記念すべき記事だと思う。これを有力な商業新聞にこういうことをやって、カラーテレビジョン来たる。しかも当時の読売新聞、切り抜きを持ってきておりますけれども、これを見ますと、寺尾郵政大臣カラーテレビジョンの実験放送に広告放送を許したということは、これはカラーテレビジョンの時代が来たのだということで、NTVの幹部諸君が祝盃をあげた、その写真まで出している。政府カラーテレビジョンに広告放送を許した、こういうことから、直ちにカラーテレビジョンの時代来たる、こういうことがマスコミによって天下に示された、そうして祝盃をあげる、こういうようなまことに不謹慎きわまる態度を見まして、私は国民の一人として、これはまことに残念だと思う。これはすでに植竹郵政大臣が大臣に御就任になってからのことである。私はこういうことを見、なお、具体的にいえば、NTVが数億の金をかけてカラーテレビジョンのスタジオを作るとか、こういうような状況でありますのを見ますというと、とにかくある特定のマスコミを利用して、とにかく既成事実を作ってしまう。それに政府は押し切られているというような工合に、私はそう見ざるを得ない。これはほんとうに残念なことであり、その渦中に植竹郵政大臣が入られた。あなたのその御苦慮のほどはわかりまするけれども、先ほど来たびたび申しました通り、どうしても一つの政治的に無理にこれを既成の事実というものを作ろうとする、寄ってたかって郵政大臣を引っぱり回してしまうというように私には見えるのです。しかも、これは日本の経済、文化にとってまことに重大な岐路に立っておると思う。郵政大臣の本問題に対する裁決は、重大な問題になるだろうと思う。一つの通信国策から見て、また、テレビジョンという放送事業の将来から見まして、これは今重大なキー・ポイントを郵政大臣が握っておられるということです。これは私が申し上げるまでもなく、あなたが十分御自覚になっていることと思いますけれども、私は十数年当委員会委員として、私の頭は悪いけれども、本件に関しては相当に研究しておる。そのために外国に数度も参りまして、私は私なりにつぶさに、技術はわかりませんけれども、政策として、ポリシーとしての研究はいたしておるつもりであります。そういう意味で、単に私は野党の一員とか、一国会議員というような立場でなくて、私は国民の良識を代表するという、はなはだ口幅ったいが、こういうことを言うのは、そういうような気持で私はこれから大臣に御質問を申し上げるのだということを、一つ十分御意識願って御答弁願いたいと思います。  前置きが少し長くなりましたが、まず君一に、今まで申し上げたように、植竹郵政大臣は政治的圧力に引き口されているのじゃないか、また直接のこの最高責任者である甘利電波監理局長が、これまた所信を翻さなくちゃならぬほど政治的圧力があったのであろうか、そうかどうかという、私はそういうやぼな質問はここでいたしません。私は私なりに、また、ここにおられる良識のある諸君は、十分これについては御判断願っておることと思います。これは私はここであえて当事者から直接イエスかノーか、御答弁をいただこうとは思いません。  そこで質問の第一点ですが、カラーテレビジョンの国際標準方式につきましては、先ほど申し上げましたように、すでに過去三回、昨年の、私ちょうどジュネーブにいるときにこのITUの無線主管庁会議におきましても、たしか第十一コミッティーだと思いますが、この問題が討議されておるということを私は承知いたしております。結論は知っておりません。しかし、これももちろん大臣として十分下僚からその間の事情をお聞きになっておるだろうと思いますが、私の考えによれば、数年前と今日ではテレビジョンの国際標準方式ということは、これは、これまではたとえば甘利局長が専門にスキャッターの大権威者であり、スキャッターを利用すればできるかということをアメリカがいろいろ研究しておりますけれども、しかし人工衛星というものが現実の問題となった以上は、これは国際標準化ということが単に夢じゃなくて、技術的にも可能じゃないか。そういうことからいくと、これから作ろうというカラーテレビジョンにつきましては、標準方式については、国際標準方式というものをもう少し私はこれを真剣にお考えになって、なるほど、昨年のITUの第十一部会では一つの結論は出ておりませんけれども、大体ヨーロッパ式とNTSC式のいわゆる両立制を入れたヨーロッパ方式、それからアメリカの現在の方式二つくらいになるんじゃないだろうかという見通し、しかし昨年の四身のロスアンゼルスのCCIRの当時の議事録を見ますというと、これはむしろヨーロッパ方式に統一されるんじゃないか、こういうようなことになっておることも私知っておるのでありますが、郵政大臣として、本問題についての国際標準方式というものを早くあきらめてしまわれたのじゃないか。ということは、NTSC式にあなたはやるということを言明なされたやに聞くのでありますが、国際標準方式に対して、どうしてこういうことを早くあきらめられたのか、あるいはあなたの国際標準方式に対する見通しと申しますか、もうある期間は少なくとも改変できない標準方式をきめるということについて、どうして国際標準方式を軽く評価されておるか、その理由をまず一つ伺いたい。
  96. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) カラーテレビの経過の詳細につきましては、実はこのように詳細のことは初めて私ただいま耳にしたわけでございますが、私は就任以来、この問題をガラス張りでやって参りまして、政治的圧力はごうまつもございませんでしたことをまずお答え申し上げます。  それから標準方式につきましては、ただいまお話になりました通りのITUのCCIRの会議の経過になったことを承知しております。そうして、またカラーテレビ調査会の御答申というものを十分尊重いたしまして、それでまたカラーテレビ調査会の各点につきまして、たとえば技術の方面から、あるいはまた社会的、経済的各方面から見まして、私は調査会の御答申を尊重していくべきものだ、さように考えたのでありますが、私自身もまたこの方式であってしかるべきものだ、さように考えたので、NTSC方式に踏み切るべきものであるという所存でございます。それはまず技術水準、製造能力といったような点、それから国際的の動向につきましての今日のITUのCCIRの会議を初めといたしまして、現実に国際的の動向を見ました結果、また白黒の普及との関係考えまして、これを阻害するようなことがないといったような観点から、NTSCに踏み切るべきものである、さように考えております。  ことに、NTSC方式で参りますれば、白黒テレビと共用ができるという点においてであります。それからまた国際的の傾向といたしましても、ごくごく最近の傾向は、VHFとUHFとの変換方式の開発という方向に標準方式の問題は向かっていくべきであるといった、この国際的の動向にかんがみましても、それからまた、現実にアメリカはもうヨーロッパ方式、つまりUHF帯におけるNTSCの変換方式を使わない。アメリカで決定したNTSC方式そのものをアメリカは使ってこれを譲らない。それからヨーロッパの方はヨーロッパ方式を堅持して譲らない。それでその間の調整は、ただいま申し上げましたような、これのチューニングと申しますか、コンパティブルと申しますか、変換方式の開発によってこれを解決していこうという国際的の傾向を認めまして、そうしてNTSC方式と、さように考えた次第でございます。
  97. 山田節男

    ○山田節男君 これは私が後に質問しようと思っておったことに対しての御答弁で、今申し上げたことは、郵政大臣として、先ほど来申し上げているように、過去三回も問題になって、まだまだ最後的に結論が出ない国際標準方式、いわゆるこの将来の人工衛星時代、宇宙時代に入ってきて、いわゆる非常に技術的にももう国際中継ということが可能なことになってきた、この時代において、国際標準方式にのっとるべきだという、これに対する大臣の御認識を一つ承っておきたいと思うのです。その次にNTSCについては御質問しようと思ったのです。そのことについての御意見一つ承りたい。
  98. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) アメリカについては先ほど御答弁申し上げました。ヨーロッパにおきましてヨーロッパ方式が堅持されるという点と、ヨーロッパ各国におきましてまだ標準方式がきまっていないというのは、これはヨーロッパの各国のうちでも走査線の数も違うし、そのヨーロッパの国々の間でも違った実験をただいまやっている。そのために、ヨーロッパはヨーロッパ同士の、願わくは世界全部統一すれば、一番ヨーロッパ各国も願うところである模様でございますが、少なくとも、ヨーロッパだけはヨーロッパだけで統一した方式を出したいという意欲が各国にはっきりと出ております。そのために、あるいは走査線を六百二十五にするとか八百十九にするとか、四百五にするとかいったような問題で、まだ統一の方向に結論が出ていない。しかし私の見ますところでは、大体において六百二十五でもってヨーロッパは統一される方向に向かっておると、ほぼこれははっきり申し上げていいんじゃないかと思いますが、そうするというと、ヨーロッパがそういう言うに統一いたしまして、今さら白黒コンパティブルのVHFの方には行き得ないということになりますと、世界はアメリカ方式とヨーロッパ方式との二種類以外には考えられない。この間にどうしても融合統一はむずかしい。はっきりそう見通して差しつかえない、そういうふうな見きわめをつけたので、その間にあたりまして、先ほど申し上げました両方式の変換問題が、変換の研究がただいま現に行なわれて進行しておる。そういう意味で、私はヨーロッパはやがて六百二十五の方にきまっていくであろう、さように観察いたしております。
  99. 山田節男

    ○山田節男君 これは重要な私、大臣としての御所見だと思うのですが、この国際標準方式を作るということは、これはヨーロッパもいろいろな方式があり、またアメリカはアメリカでやっておるというところから、いわゆる国際標準化しようじゃないかという問題が起きて、このITUの問題になったのですから、これは今日の技術――これは私は専門家じゃありませんけれども、宇宙時代に入って、今日の電子工学の発達のスピードからいえば、国際標準化ということが国際世論になったというところを見ましても、これは少なくともそう長いことじゃない。ここ数年閲すれば、国際標準というものがこれは必ずできる。先ほど申し上げたように、第一回、百二回では出なかったと思いますけれども、昨年の十一月では、もうすでにある程度の結論が出てきている。ヨーロッパはアメリカ式の両立性、コンパティビリティを入れて、走査線六百二十五、周波数バンド七メガ、こういうようにしようという線まで出ておる。しかしこれはまだ結論じゃないのであります。早く国際標準方式をきめなければならぬ。それがために・ヨーロッパでは非常に慎重な研究をいたしておるというのですから、そうなってきますと、今あなたの御意見ですと、私が質問しなくちゃならないことは、今日の日本の客観情勢から見て、まで白黒のテレビジョンが四百万に満たない今日において、何を急いでカラーテレビジョンを実施する客観的な理由があるか、その根拠は一体どこなんですか。
  100. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 急いでというお言葉でございますが、私は急ぐどころではない、きわめて慎重にやって参ったと自覚いたしております。私が就任いたしましてからもう九カ月近くでございますが、もう半年もうっちゃらかして、まだ、だめならだめ、いいならいいという結論を出せないほどの問題、ではないのじゃないか、これだけ権威者が集まって、今まで長い間検討せられまして、しかも日本の一流のテレビ関係の各界の第一人者を網羅してカラーテレビ調査会が組織せられ、その慎重なる御答申が出ました今日では、決してこれを軽卒とかあるいは急いだとかということにはならない。しかも、日本で実験が始められまして以来もう数年にもなっておるわけでございまするから、もうここらで踏み切りますことは、これは慎重にした。私は就任以来、慎重ということを表明いたしたのでありますが、まさか一日か二日では慎重とは申しませんけれども、これは時間の問題と申しますよりは、これに対する検討の態度、その期間内にどのくらいの検討を加えたかという、その検討のインティメイトと申しますか、デンシティと申しますか、その検討の密度によることだろうと存じまして、もうこれだけ長い間私として検討いたしまして、しかも主観的でなく、十分客観的な結論に対して、これを尊重し耳を傾けてやれば、もうこれで結論を出してよろしいのだと、さような観点から大体の結論を出した次第でございます。
  101. 山田節男

    ○山田節男君 今、大臣のおっしゃるところを聞くと、あたかも国民の世論が、一日もすみやかにカラーテレビジョンを実施してくれ、こういう一体世論はどこにあるか。私は寡聞にして、日々新聞、雑誌くらいは一人前には見ておりますけれども、カラーテレビジョン国民の世論として、一日も早くこれは実施しろという世論を私は絶対見たことがございません。一体何で急がれるかということの質問は、一体どこに国民の世論があるか。なお、これは後ほど丹羽博士にも御質問いたしたいと思いますが、私の個人的に問い合わせた権威者、メーカー筋等におきましても、どうも時期尚早だと全部言っておるのです。それから今このテレビ調査会の、カラーテレビ調査会のことも申し上げました。これは丹羽博士にお聞きしたいが、これも何かこれで大丈夫だということをおっしゃっているのではない。さしあたってという言葉があるのです。一体そういうようなさしあたってというような言葉は、現在の時点においては、これはこれがいいだろうというだけのことであります。必ず大丈夫ですからということは、私はこの中間報告の第一回、第二回を何べんも繰り返して読みましたが、これは大臣のおっしゃっていることとは違うのです。これは丹羽さんにあとで確認してもらいますが、さしあたってということなんでんよ。ですからファイナルなものではないのです。それを今あなたは国民の世論が――技術的にはこれは大丈夫ですと言う、その根拠は一体どこにあるのか。これは今まで見たこともありません。聞いたこともありません。そこになぜ私は、世論のないところに、そして技術も準備のない、メーカーも、少なくともアメリカの倍のコストでなければできない、こういう時期に、なぜあなたはそういう、就任八カ月になるから早くやらなければならないという、その議論が私はわからない。それをはっきりして下さい。
  102. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 八カ月にもなりますので早くというのではない、むしろゆっくり過ぎたとも自分では思いますが、しかし、自分考えているところだけでは、これは許可すべからずと、客観的にカラーテレビ調査会のような権威者を集めたその結論が出ますまでは、自分としては踏み切る気にはなっておりませんでしたが、それからまた、そのさしあたってというお言葉でありますけれども、カラーテレビ調査会のような機関が出されます報告書といたしましては、科学者の良心といたしましても、人類の生活におきましては、どんな奇想天外な、りっぱな文化に役立つような新発明が突如として世の中に浮かび上がってくるかもしれないでございましょう。それに対しまして謙虚な態度をもって、さしあたってというこの御報告は、私としてはそれを十分に熟読翫味いたしております。この言葉によりまして、NTSC方式の実施にいささかの危惧も私は持っておりません。私は、このただいまの段階で、非常な夢のようなりっぱなNTSC方式は、VHF帯においてのNTSC方式以外の発明が、今日それを期待して、そのために、あんなにりっぱに見える画像を持つこのカラーテレビを、それを許可しないということはできないことではないか。白黒テレビでもそれを許可しますときには、最初はずいぶん御議論がございましたが、これを許可することによって白黒テレビも安定度を増し、また画像も鮮明になり、非常に普及もされ、発達もされた。  世論ということにつきましての御質問につきましては、これは広い世間にはむろんのこと、反対される向きもありますし、賛成される向きもあるけれども、カラーテレビ調査会の内部にも各種の、各般のメンバーが委員となって御参加になっておって、その中にはむろん、いろいろな御議論が戦わされたことだと存じますが、その結論を尊重することによって、世間の代表的な意見と見て差しつかえなかろう。また、これはちょっとお話が非科学的になるかもしれませんが、雑談的になるかもしれませんが、各実験所におきまして、野外に集まります群集が、あの通りりっぱな画像を見まして、実に賛嘆しておる。見た人はこれに対して非常な賛意を表して、早き普及は、これは人類の文化のため、またわが国の文化のため、生活のためにも非常に寄与することである。さように実は結論を下しておる次第でございます。
  103. 山田節男

    ○山田節男君 どうも今の植竹郵政大臣の御答弁を聞いていると、まるでカラーテレビジョンに関する読売新聞の記事をそのまま暗記しているかのように、とにかくNTVが今あなたのおっしゃったようなことをこの中に書いてございます。あなたはそういう一方的なことばかり暗唱して、何ら関係のない――はなはだ失礼だけれども、あなたは昨年就任以来八カ月御在任ですけれども、まだまだ失礼ですけれども、そういうことはよくおわかりにならないと思う。ただ、こういう記事を一ぺん読まれて答弁されている。同じことを言っていますよ。それではますます、今私が御質問申し上げた、一体国民の世論の存在はどういうものであるか、どういうふうに認識しているか、なぜそういうふうになっているかということにつきまして、完全な御答弁にならないのですね。  それじゃ私はお尋ねしますけれども、今あなたのおっしゃることは、これは一体、世論が認めているということの御答弁にならないのです。ですから、私もう一ぺんお伺い申し上げますが、今あなたのおっしゃるようなことで、一体国民の世論、それは一部には反対する人がある、しかしこれは後ほどまた質問で触れますが、丹羽さんの会長をしているカラーテレビジョンの報告を見ましても、未解決の問題というものをちゃんとあげてありますが、それでさしあたりということなんです。これはあなたがエンジニアではなくても、私もエンジニアではございません。あの報告を再三再四読んでみますと、この紙背にはどういうことを意味しているかということはわかるわけです。それを植竹郵政大臣の御答弁だと、まるで一方的にカラーテレビを早くやらなければならないのだという、きわめて主観的なそこが、今最初に私申し上げたように、あなたが何かつかれたような気持になっておられるのじゃないか、どうもあなたのメンタル・バランスというものを、私はこの問題に関しては疑わざるを得ないということなんですね。はなはだ失礼な話なんですけれども、私はそういうふうに感ぜざるを得ない。もう少しあなた冷静に、もう少し視野を広くして、もう少し反対意見を聞いて、もう少しあなたのそういう立場において御判断願わなければならない。そこで、あなたは放送法、いわゆる電波法に関する憲法の番人じゃないですか、しかも行政の最高責任者じゃありませんか。今聞いてみると、まるで読売新聞の記事を暗記しているようなことでは、少なくとも当委員会郵政大臣の御答弁とは受け取ることができません。
  104. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 私はどうもカラーテレビの問題がこんなににぎやかになっておるにかかわらず、その記事を読まなかったことは大へん、その記事に気がつかなかったことは大へん残念と存じますけれども、結果において同じことを言っているとすれば、私の考え方賛成される方もあると思って、その点において意を強くいたします。  それから、あのきれいな画像を見て、あんなによく映るものを、どうして許可しちやいけない理由がどこにあるのだろう。しかしそれは決して国会答弁にはならないことも承知しておりますが、ちょっと考えるとそんなにも思いますが、それならば、私がどうして就任以来八カ月という長い期間を、慎重に慎重を重ねて参りましたかと申しますその事情は、先ほども申し上げましたので、繰り返すようになりますが、第一に技術水準の問題、製造能力におきまして、今日まではまだカラーテレビを許すまでの段階になっていない。また第二は、国際的動向の見きわめにつきまして、まだ今日まではカラーテレビを――今日までと申しますか、昨日までと言った方が言葉が妥当だと思いますが、昨日までの世の中では許可に持っていくべきではない。また白黒の普及との関係で、白黒の普及を阻害してはいけない、その点はっきりした見通しがまだついておりませなかったので、その三つの観点からこれは慎重にすべきであって、カラーテレビを即刻に許可すべきではない。さような三つの観点から就任以来、一部には非常に早くこれを許可すべきであるという議論があったにかかわらず、私は“重に慎重を期して参りましたが、以上申し上げましたような疑懼は最近はもうございませんで、徐々にそういったような考えなくちゃならない点が解除されて参りましたので、つまり第一の技術水準も、もうこれならいい。それから製造能力にいたしましても、国産の見通しがまず立ちまして、これならば量産もできる。従って価格も安くなるということで、この第一の問題が解放され、それから国際的動向については、先ほど申し上げましたような観点から、いわゆるこの問題からも解放された。第三の白黒普及の問題につきましても、今日は、先ほども御指摘がございましたが、白黒はようやく今年、大体ふえて参りますのが百六十五万、少なく見積って百六十五万、こういう趨勢にございますので、今からカラーができたために白黒が阻害されていくということはない。また、白黒、カラーを放送いたしましても、これだけの人が白黒ではあるけれども、これを見ることができる、カラーの受像機を買えばカラーを見ることができるというふうなことから、この三つの大きなネックが解決いたしたと、さように考えましたので、もうここで打ち切るべきではないかと、さように結論を出した次第でございます。
  105. 山田節男

    ○山田節男君 今の植竹郵政大臣の御答弁で、三つの隘路はもうなくなったと、これは非常にしろうとの考えです。そんなものではないのです。そこに、私は極端に言えば、狂人に刃物を持たしたことになる。しかし、あなたは電波行政の最高責任者でしょう。明日本会議で私に対する岸総理大臣の答弁があると思うのですが、一体、岸総理が岸内閣の電波行政としてのカラーテレビについて、今は同じような気持を持っておられるかどうか、これは明日の答弁でわかりますが、よしんばあなたと同じような場合におきましても、岸総理はもとよりしろうとであります。あなたもしろうととは言え、ちゃんと高度の専門家の幕僚を得ておるから、それから専用的な知識を得られるのじゃないですか。今あなたは険路が解決されておるとおっしゃるが、これは私から見れば全部未解決です。これはあとで丹羽博士にもお聞きしますが、未解決です。それをあたかも解決したかのごとく、これは極端に言えば、日本テレビ放送網会社のパンフレットとか読売新聞に書いてあることと同じことを言っておる。これも偶然かもしれませんが、同じことを言っておる。これは決して解決されたものじゃありません。もしそういう過程であなたがNTSCを近く、あすにでも電波監理審議会におかけになるとするならば、これはとんでもないあやまちで、これは国として黙視できない、あなたは非常に大きな過誤を犯そうとしておる、そんなものではない。私は質問する者がそんな長いこと申し上げることはできませんが、今あなたがおっしゃったボットル・ネックというものはみんな未解決、現に昨年の十一月二十五日、サンフランシスコにおりましたときに、日曜に漫画を見ました、それはある月給取りの家内がだんなに向かって、カラーテレビを買ってちょうだいよ、そうすると、おれはエンジニアでそれだけの金持ちじゃないよ、そういう二つの文句が書いてありました。これは一体何でしょう。六年有余もやっておるアメリカにおいて、なぜそういう漫画がみんなにアピールするかということです。この二つの言葉をよく翫味してもらいたい。日本の十倍以上もあるアメリカにおいてさ、えカラーテレビについてはそういうことを言っておる。一体あなたは、それじゃそういうものを実施して、今後放送する放送費用なり、技術者その他の費用なりにどのくらいの費用がかかると思いますか、受信機を買う人の側の問題は別問題として、一体一時間三百万円かかる。あるいは放送を開始することについて、国がそういう方面にむだな費用を費してまでカラーテレビの実現をしなければならないという、何のそこに緊急性があるか。もっとわれわれにわかるように説明して下さい。
  106. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) まずカラーテレビ一台買うには、エンジニアを雇い入れなければならないというお説に対しましては、御抱負と申しますか、御意見と申しますか、それにつきましては、私は、ごく最近の機械をごらんいただきますれば、そういうものではないのだ。きわめて簡単にちょっちょっちょっと――私はニューヨークでちょうどペリー・コモのショーをカラーテレビに入れているのを見ました。あるいは山田委員も同じころに向こうにおりましたから、ごらんいただいたかと思いますが、五才の子供という言葉を使っていましたが、五才の子供でもちょっちょっと直せば直せるのだといって、画像の安定度をはずしまして、がちゃがちゃにしておいて、ちょっ、ちょっとやったらすぐに安定化いたしました。そういうような実物を見ますときに、また、日本におきまする国産の機械がやはり今日ではそこまで到達している。最近の機械をごらん下さいますれば、この御疑問につきましては御理解いただけるかと思います。それから、その次は……。忘れましたが、また順次御質問に対してお答え申し上げます。
  107. 山田節男

    ○山田節男君 これもはなはだ失礼ですが、人をばかにした答弁をしては困ります。私はそういうふまじめなことで質問申し上げておるのじゃない。最初申し上げたように、単なる社会民主党とか参議院という気持でやっているのじゃない。私は、もう少しまじめにやってもらいたい。今あなたは、五才の子供でも調整ができると言った。国産でもできると言った。これは大臣、あなたはそうだったかもしれない。しかし、これは一般大衆に、少なくとも日本では十七インチは四十万ではできませんよ。二十一インチを五十五万、六十万出してやっても……。一体、そういうような、五才の子供に調整できるというようなことを言っていますが、丹羽博士のカラーテレビ調査会の中間報告を見ても、隘路として未解決の問題を五つか六つ出している中で、調整困難ということがあげてある。これはあなたの御答弁というのは客観性を持って言っておりません。私はそんな子供だましのような御答弁で、私に対する答弁を終わったように考えられるのは、これははなはだ失礼だけれども、あなたはまだまだ知識が足りません。そんなものじゃありません。そういうような誤った認識、不完全な認識で、先ほどおっしゃったように、できるだけ早期にやるとおっしゃる。最近の新聞を見ると、一九六四年はオリンピック大会をやるから、これでやる、日本の電子工学の高い水準を示すことができていいじゃないか、こういうことをおっしゃっている。何という不謹慎な言葉だろうと思う。カラーテレビジョンをやっているだけでむしろ私は笑うだろうと思う、貧乏な日本の国として。キューバはやっていたが、カストロの独裁政権でやめましたが、おっちょこちょいのキューバで、内乱も起きたりしてやれなくなった。虚栄心の強い、何というあさましい、これはヨーロッパの人はそう言う。大臣のお考えになっていることと逆になっている。カラーテレビを急がなければならぬ、公然として新聞におっしゃったようなことがほんとうだとすれば、私は植竹郵政大臣に、ほんとうにまじめにお考えになっておるかどうか、まじめにお考えになってああいうことをおっしゃるならば、もう少し頭を冷やして、もっと反対論を言っても、国策として、聞く方の側に立っても、もう少し、これは通産省もあるし、メーカーもお呼びになって、あるいはカラーテレビの調査会も堂々たる人もおりますから、客観性を持った意見を冷静になって聞く、そういうことをあなたはお取り上げにならぬから、今おっしゃることにしても、そんなことはできるから、大衆化してしまえばいいのだと、そういう御答弁は、これは私に対する御答弁としては、はなはだ私は失敬だとさえ思う。そういうお気持の御答弁は、今後の御答弁にはお差し控え願いたい。
  108. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) ただいま五才云々の言葉に誤解があるといけませんから申し上げますが、それはニューヨークで私が見たときに、そういう説明をし、その意味は、五才ということはだれでもという意味に解釈していただきたいと存じます。そういうふうな言葉を使って私に説明をしてくれたということを申し上げましたので、ちょうどカラーテレビ一台買うのにエンジニアを雇うと言われましたその表現に相対した言葉でございましたが、それは今後十分慎重にお答え申し上げます。  それから客観性につきましては、まあこのくらいりっぱにできますものならば、もうよろしいかとも思いますが、なおそのオリンピック云々につきましては、どうせお花見のときには、それはふだん着でもいいんですが、どうせお花見するならばきれいな着物を着せてやりたいという親心といいますか、国際会議がございますれば、そのときまでにできますならば、そのときまでに、わが国においてカラーテレビあり、しかも、その鮮明度においても安定度におきましても、いささか山田委員とは意見も観察も異にいたしておりますので、私たちの観察をもっていたしますれば、このぐらいに、ごく最近の機械でございますが、最近の国産機械のようにりっぱに映るならば、もう世界にこれを問うても恥かしからぬ機械として、わが国にカラーテレビあり、そしてカラーテレビは文化の伝播についても、白黒で事足りることもございますが、カラーによってこそより適切に各種の伝播を、マスコミをすることができる。そういう観点からカラーテレビをもうやりましても、この程度なら、いかなる観点からも早きに失したというそしりは受けないと、自分ではさように確信をもって対処いたしている次第でございます。
  109. 山田節男

    ○山田節男君 これは今の郵政大臣の御答弁で、まあ色彩といわず、鮮明度も操作もいい。こういうあなたの御判断ですけれども、もう少し冷静にお考えいただけば、あの色が三色法で出すものは、決して天然色ではありません。そこに現在の技術者がどうしてナチュラル・カラーを出すかということに頭を痛めている。もし、ああいうふうにして三色でブラウン管で色を出すならば、ただ色をつけるためならば、二色ブラウン管でもいいんじゃないか。現に二色ブラウン管ならその実験はできている。色彩もこれで完全なんだというあなたの御認識は、これまた誤っている。  それから今の調整の問題ですが、あなた、ニューヨークでごらんになっているが、なぜ、かような漫画が昨年の十二月の末にも出て、みんなに笑いを呼ぶような漫画になってるかというのは、これは実際サンフランシスコでカラーテレビについて聞いてみると、補修費がかかるのです。カラーテレビを持っていれば、年間百ドル、三万五、六千円の金がかかる。それと調整が、私もいろいろ見ましたが、家庭に持ってきますと、どうも走査線が狂ってしまって色が一色になってしまったりする。それで電話をかけて直してくれということになる。それから今のカラーテレビジョンが天候のかげんによっても、またこれは色がおかしくなる。きちんとダイヤルをきめておいていいといっても、天候が変わればカラーが変になってくる、そういうものなんです。三角ブラウン管によるドット方式でやってるやつはそこに難点がある。これは地域的なものだといってるのですが、そういうことを現実に見聞きしている。今日五百ドルならば、決して自動車を買ってる者なら、その次には必ずそれなんです。あえてそれをみんな買わないというところは、それは補修費が百ドルというところの問題ばかりじゃないんです。そういう煩瑣なハンドリングをしなくちゃならぬということが、これが現在の時限においては、もういかにNBCが宣伝しても、去年サーノフがきまして、八月以来かねや太鼓でやっているけれども、全国的に十月末現在では六万ぐらいしかふえていません。ですから、今あなたの御認識は非常に誤っているというものである。皮相的な、あるいは一方的な、NTVが宣伝文に書いておるような、ただ自分らのいいところをいかに正当化するかというために言うている口実を、あなたが大臣の御答弁としておっしゃる。それを聞いているような気がするのです。  もう一つ裏話を申しますけれども、NTVの係がニューヨークにいる。その特派員の話では、全く、とにかくこっちからカラーテレビのことがあったらあらゆるものをこっちへよこせ、そうして向こうでカラーテレビのことがたまたま二行か三行問題が出てくると、それをこっちへ持ってきて、それを何十行かにして粉飾して、カラーテレビのニュースとして出している。それでニューヨークじゃ因っているというようなことも私は聞いたのです。そういう非常に人工的な、アーティフィシャルな、何かしらでっち上げようとしている。そのことをあなたがらっぱになっておっしゃっている、単なるスピーカーにすぎないような御答弁じゃ私は納得できません。
  110. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) ただいまのお話のシャドー・マスク式のものも、われわれはいつも見ているものと存じますが、また、フィリップス式のように三色の各別の、赤、緑、青の別々のガンから同時に一つのスクリーンに放射いたします方法もあわせて見て参りましたが、これはシャドー・マスク式による、ドット式によるただいま御指摘の方法も、フィリップス式のも、両方ともりっぱだと思います。それから色につきましては、それはまだもう少し修練を確かに要すると思いますが、今日でもずいぶん天然色に近い色も出し得るし、また背景の使い方、それからタレントの着物の色彩等、その色の使い分けによりまして、確かにどぎつい、天然色から相当離れたものを実験放送している向きもございますが、これは今後の努力で簡単に直っていくと、また現に直っていることも認めております。  それから二色云々につきましては、これはテレビ調査会の会長さんも見えていらっしゃいますので、技術的なことはお譲りいたすとして、私はカラーテレビ調査会の今日の段階では、三色、VHFによるNTSC方式でよろしい、もうここまでくれば、いつでもこれを許可しないよりは、許可することによって、ますます価格も低廉になると、ただいま価格のお話も出ましたけれども、確かに五百ドルという価格は高い、アメリカでどうして広がらなかったかというと、最初のスタートがあんまりよく機械ができない、受像機がよくできないうちに早くスタートし過ぎた。そのためにずいぶんアメリカの伝播が阻害されている。それからまた私は、このことは国産でもう量産の態勢があるわけでございますから、この日本はコスト・ダウンすることに、非常に日本の生産工業は世界的にコスト・ダウンが上手でございますから、ミシンのように、またワンダラー・ブラウスのような繊維品のように、また電球のように、コスト・ダウンしまして、逆にどんどんとアメリカの普及を助けることができるし、海外のヨーロッパ方式を採用いたしますところに至るまでもどんどんと輸出することが可能である、さように考えております。
  111. 山田節男

    ○山田節男君 まあこれは後ほど郵政大臣に御質問しますが、もう一ぺん申し上げておきますけれども、どうも植竹郵政大臣の御答弁から察知し得る、私はあなたのカラーテレビジョンに対する、また電子工学に対する見方というものが非常に浅く、甘いということを申し上げておきます。そんなものじゃありません。そこで、せっかくきょうお見えになった丹羽参考人にこれはお伺いするのですが、カラーテレビジョン調査会というのは、これは、あなたを初めメーカー、放送業者、それから技術家、それから少なくとも今日日本における最高の水準方々がお集まりになって調査会が作られた。この結論に対しては、私は相当の敬意を表し、また、これは日本のNTSCの結論として、私はもう非常にこの点については高く評価するのです。そこで、先ほど来郵政大臣の御答弁によってもおわかりのように、あなたのところでお出しになった第一回、第二回の中間報告は、私は再三熟読いたしましたけれども、今郵政大臣のおっしゃるように、もうこれなら大丈夫だ、もう一刻も早くカラーテレビを本格的に放送を開始すべき時期に達したという結論であるように御答弁になっているのですが、それは何かといえば、あなたの主宰されるカラーテレビジョン調査会の報告に基づいてやっておる、こういう御答弁ですが、あなたは会長として、あの中間報告書の、これは結論だけでも私はよろしいけれども、「さしあたってということは非常に私は重大な意義を持っていると思う。さらにあれに列挙されている未解決の問題としておあげになっている五点か六点の問題、これも、今の植竹郵政大臣の御答弁によれば、何でもないことだ、これはたちまちそのうちに解決するんだというようなきわめてイージー・ゴーイングなお考えをお持ちのようですが、あなたは専門家として一体どういうふうにお考えになるのか、できれば、簡単でよろしゅうございますが、郵政大臣からの諮問に対して答申を出されるまでの経過、あの結論の意味をはっきり御答弁願いたいと思います。
  112. 丹羽保次郎

    参考人丹羽保次郎君) 今の御質問にお答えいたします。カラーテレビ調査会は、二年半ほど前に一昨々年からスタートいたしまして、約一年ほど調査をいたしまして、一昨年の十一月に一度中間報告を出しました。そうしてまた一年ほどたって昨年の十二月に中門報告を、まだ結論に至りませんが、中間報告を出しました。それの一番おしまいのところに、いろいろ調査をいたしましたのでございまするが、「さしあたり」というのは、今のところではNTSCのやり方で、具体的に申しますると、先刻お話しのアメリカの五百二十五本で像数が三十本、また周波数の幅が六メガ、そういうやり方、あるいは、欧州でそれを数字を変えてやろうとしておる、そういうような数字の差はございまするが、大体NTSCのワクのそのやり方によるほかにないだろうという意味で、そういうようなことを報告したわけでございます。  先刻お話しの二つの色でやる方法なども、昨年の今ごろアメリカで発表されました。これは非常に見込みがありそうだというので、日本でも実験をいたしまして、まあ最初のうちはうまくいかなかったのでございますが、最近はうまくいくようになっておりますが、それをテレビジョンに応用いたしまして、そうして方式になって、それが国際的に認められるというのにはまだ相当時間がかかるというふうに思われますので、さしあたりはNTSCのワクの中で、数字はいろいろございますが、NTSCのやり方でやる以外にはないという報告をしたわけでございます。  それから、カラーテレビジョン調査会は、おもに技術的のことを調査いたしました。方式とか、そういうことをやっておりましたので、やる時期については少しも触れておりません。これは、日本の製造態勢とか、あるいは大衆の要望とか、あるいは白黒テレビジョンの発達の関係とかというようなことと勘案をして御決定なさるべきだろうと思いますので、この調査会ではその点少しも触れておりませんので、さしあたり、方式をきめるとすれば、NTSCのワクによるほかないだろう。これは調査会ではいろいろのメンバーはございましたが、この点については議論はございませんで、そういうような報告をしたわけでございます。
  113. 山田節男

    ○山田節男君 今、丹羽さんもおっしゃるように、要するに、政府が諮問事項としてカラーテレビジョンの標準方式としたらば、どれがいいかということを研究して下さいということなんです。そういうことになれば、カラーテレビ調査会としては、これはさしあたっての結論じゃなく、もっと長い目、あるいは近き将来を見通しておやりになるべきで、もうすでに二年とおっしゃいますが、しかしこれは三年かかろうが四年かかろうが、NTSCは、ここ十年間というものがございましてね。ですから、決して結論を急ぐ必要はないので、むしろ、さしあたってというようなことをおっしゃるから、今のような政治的な何かあるのじゃないかという、いろいろな憶測をせざるを得ないのです。ですから、今あなたが、さしあたってということをあえてその中に入れられたということは、郵政大臣――植竹郵政大臣なら植竹郵政大臣あるいは岸総理から、とにかく早くやりたいのだが、どれがいいかという意味で諮問されたのですか、どうですか。
  114. 丹羽保次郎

    参考人丹羽保次郎君) カラーテレビジョン調査会は、郵政大臣の諮問機関ではありませんので、別に諮問はいただいてないのでございます。二年半ほど前にカラーテレビジョン調査会が、カラーテレビジョンが問題になって参りましたときに、あらゆる方面の人を集めてそうしていろいろな技術的だとか、あるいは特許の問題とか、あるいはそれが実験とかいうようなことについて一つの討論の場を作ろうというようなのででき上がりましたので、こういうような諮問の条項は別にきておりません。しかし、毎年ずいぶん会合を、延べずいぶんやるものですから、その報告は一年に一回ぐらいは出すべきだというので報告は出しております。そのときに、国際標準の動向もだいぶ変わり、発足当時とはだいぶ変わりましたので、そのことも書きましたし、それからまた、標準方式につきましても、まあきめようというのは、さしあたってこれ以外にはないというようなふうに書きました。ですから、五年も十年も先になれば、あれよりももっといい方法が出る可能性は十分あると思います。それからまた、中間報告には、今後やるべき問題も書いてございまして、来年度にはこういうことをやりたいということも書いてあるわけでございます。
  115. 山田節男

    ○山田節男君 ですから、少なくともそういう権威ある方々が組織しておられるカラーテレビジョン調査会というものは、これは単なる大臣の押し切ってやろうということをジャスティファイする、正当化するような口実に使われるべきものじゃない。これはよくおわかりになるだろうと思います。先ほど来の植竹郵政大臣の御答弁を聞くと、とにかく、最も権威あるカラーテレビジョン調査会でも、NTSCしかないのじゃないか、私も見た、許可してもいいじゃないか、こういうような、あなた方の最も権威ある団体の中間報告を、自分らの無理を通そうというものの手段に使って、アクセサリー化しておるというところに、今の郵政大臣に対する私の質問の意図があるわけです。そういたしますと、さしあたってということは、要するに、裏を返せば、政府が、もう早くこれをやらにゃいかぬのだから、しかし、現在やるとしたらどれがいいんだというようなことで、あなたがわざわざ、さしあたって現在の時点ならこれがいいでしょうと、最上とはおっしゃっておらぬが、いいでしょうということをやはりおっしゃったと思うんですね。そこで、あの中に、しかしながら未解決な問題がかようかようなものがある。先ほど来、植竹郵政大臣は、これまたきわめて簡単にできるというお見通しである。たとえばヨーロッパ方式、アメリカ方式と二つにかりに国際標準方式が分かれた場合に、しかも、国際中継というものが宇宙時代できわめて簡単になってきた。そうすると、たちまちの問題は、これは西欧諸国でやっている中継変換の問題が基本になります。昨年の六月にイギリスのエリザベス女王がカナダにおいでになりまして、それで初めて――ヨーロッパではこれは再三やっております。エリザベスの戴冠式のときにもこれをやり、英、仏、ドイツ、オランダ、ベルギー、あの辺は標準方式で――英、仏はとっくに使っている。あとはいわゆるヨーロッパ式でやっておりますが、今もこの中継変換をやっている。これは私はその翌年パリに参りまして、一体イギリスもアメリカも極端な、われわれの言う常識的な標準方式からいえば極端な標準方式をとっております。一体この中継変換について、技術的に現状はどうなんですか。これはもうフランスの八百十九本十四メガをやめて、それで実はもう一つの標準方式を作ったのは御承知通りです。そういうようなことでして、中継変換ということは非常にむずかしい。ですから、今、国際標準化することが問題になってきている。これも今の植竹郵政大臣は、きわめて容易にできるようにおっしゃるのですが、これは技術的にどうですか。
  116. 丹羽保次郎

    参考人丹羽保次郎君) この国際標準の問題でございますが、これは実はこの報告にも書いてございまするが、NTSC方式の中で、アメリカの五百二十五本、三十像、六メガにおきめになった。それからヨーロッパでまとめようとしております六百二十五本で八メガのスペーシングで二十五像、その二つになりそうだということを書きました。これはヨーロッパの方及びアメリカの方では、白黒は御承知通り五つございますが、それをどうしても一つにはできない。それで、せめてもカラーでは最初から一つにやったらどうかというので、CCIRでだいぶ前からやっておりますが、VHFにどうしてもできませんので、最近はUHFでカラーをやる場合の標準をやろうというので進んで参りまして、ヨーロッパはすぐにもまとまりかけているだろうと、しかしアメリカはどうしてもそれには同調いたしませんで、これはもうヨーロッパできめても、アメリカはそれに入ろうとするような意思はないように言っているのでございまして、それでアメリカでは、とにかくも、もう五十万台くらいのカラーがあるから、それからまた白黒も数千万台はあるから、それを変えることができないからだろうと思いますけれども、ほとんどヨーロッパの六百二十五本には変換する意思はないというふうに思われますので、そうするとNTSCで、数字の変わった二つになる可能性はある。それを今山田先生のお話のように一つにするのは、これは私個人の見解でございますけれども、非常に何かいい、新しいカラーの方式が生まれまして、それが非常に安くて非常にいいとなると、おそらく世界中それになるかと思っております。それからもう一つは、今の変換の方式でそれを解決するより仕方がない。で、変換のことにつきましても、実はカラーテレビジョン調査会にそういう分科会がございまして、今それを調べたり実験をしているのでございますが、これはだんだんとそのうちに、これはそのうちにというより、近いうちに何かいい変換の方式が見つかるんじゃないかというふうに考えているのでございます。
  117. 山田節男

    ○山田節男君 この国際標準方式が不幸にして二つに割れるという場合には、中継変換、これはやはり電子工学の日進月歩の時代ですから、この問題はやがて解決する、現在よりはむずかしくないだろうということは容易に想像できる。それから次に、私ヨーロッパでドイツのハンブルグのカラーテレビジョンを見たときに、カラーテレビジョンはむしろコンパティビリティ、両立性というものを考えてはいかぬ。カラーはカラーで映すというのがいわゆるナチュラル・カラーであって、両立性というのはこれはしろうとだましだ、これはきわめて自信を持って言っておった。この意見を私は忘れることはできない。きわめて高度にその方面の経験者として、カラーテレビジョンカラーテレビジョン一式でやるべきで、両立性というものはこれはしろうと目にはいいかもしれませんが、われわれとしては一式にすべきだ、私はこの言葉を忘れることができない。今、植竹郵政大臣がNTSCに非常に魅力を感じているということは、いわゆる白黒にもいけるじゃないか――ただし現実問題としてはどうか。NHKのカラーテレビジョンを白黒で受けてみるとどうしても画質はよくない。これは宿命的なものである、現在の段階では。また、あなたの出された中間報告を見ましても、画質の問題が出ている。それからもう一つ、白黒とは違いましてカラーテレビにおいては、先ほども私ちょっと触れましたが、その日の気圧、天候にも支配されるというきわめてデリケートでありますがゆえに、長期の安定度がない。これもアメリカにおいて普及しない大きな原因です、ことに一般家庭におきましてですね。そういうこと等を、私、少なくとも最高権威者の調査会でありまするから、未解決の問題として列挙されているやに私は伺っているのですが、この点どうでしょうね。技術的にお考えになって、いわゆるカラーテレビジョンカラーテレビジョン一式にすべきだという、これは私は非常に自信のあるそういう言葉を聞いたのですが、こういうことに対するあなたの御見解はどうですか。
  118. 丹羽保次郎

    参考人丹羽保次郎君) 今の山田先生の御意見、実は非常にごもっともなので、日本にもそういう意見を言う方がございまして、カラーテレビというものは、もう教育とか特別なものでありまして、走査線なんかを千本に近くやって、非常に精密なものにして使うようにすればいいじゃないか、そういう考え方一つ考え方だろうと思うのでございます。しかし、この調査会での報告は、今のVHFでやるならば、今のNTSCだとどうしても白黒とのコンパティビリティになる、これは一度にカラーに変えることはどうしてもできませんからいけないだろうというので、これは調査会の委員方々は御賛成でございまして、VHFでやるならばコンパティビリティでやる。そうすると今さしあたりNTSC、そういうようなことになったわけでございまして、今のようにカラーテレビジョンを別の種類の放送にしてしまう。そうしまするとUHFでやるとか、もっと短かい波長でやるとかいうようなふうにすべきでございまして、それをまた別の考えで、そのところできめていただくべきだと思いまして、調査会の方では大体においてVHFでやるということでやっているのでございます。
  119. 山田節男

    ○山田節男君 これはもう私どもがNHKに最初にUHFでカラーテレビの実験放送をやれといったときにも、VHF帯は現在白黒にたくさん使っておりますので、大体私はテレビのチャンネルは今後非常に窮屈になるのですから、むしろUHF局から始めろということをこの委員会で言うたことがあるのです。にもかかわらずVHF帯にしてしまって、カラーテレビも、NHKが最初UHFにしたのがVHF一式になった。これは三一ロッパと違いまして、ヨーロッパは非常に混雑をしているものですから、UHFしか使えないという条件がある。幸い日本はVHF帯が使える余裕がございましても、今申しましたコンパティビリティというものがいいのかどうかという技術的な一つの疑問がある。それを白黒でもやれるからいいじゃないかという、きわめて安易な気持で、日本ではNTSCをやるのだという議論は、常識的に考えると少し早計じゃないかと思うのですが、その点の御見解はどうですか。
  120. 丹羽保次郎

    参考人丹羽保次郎君) それはやはりVHFということを前提にして調査会は進んで参りました。一昨年の暮れの第一回の中間報告で、VHFでやるならば、今の白黒のテレビの伸長の状態も考えて、コンパティビリティがいい。そういう結論――結論と言ってはいけませんが、そういうような結末を一昨年の中間報告でいたしました。その後VHFでやるという仮定でやっておりますので、UHFでやるとなるというと、コンパティビリティをどうするか、コンパティビリティがなくてもいいとなると、CBSのようなやり方もいいわけでございますので、これはまだ研究して調査していないわけであります。
  121. 山田節男

    ○山田節男君 これは大臣の質問に関連してまた御質問申し上げたいと思いますが、通産省の重工業局に……。過日、去る十一日の本会議において、池田通産大臣にカラーテレビの受信機の国産化ということについて質問したのです。通産大臣はきわめて楽観的な御答弁であった。私は、個人的に各団体あるいはメーカー等に当たった範囲におきましては、むしろ、何といいますか、郵政大臣がここ数カ月のうちにこれを本放送開始することになれば迷惑だということを、私はこの耳で聞いているわけです。そこにこの池田通産大臣の御答弁と実際の現在のメーカーの考えていることと、非常にその間の間隔があるように思いますが、通産省としては電子工業あるいは電機通信機課というものを設けて、ことに後者のごときは、テレビ開始の場合に、五カ年計画を立てて、白黒テレビの受信機を安くする、厄産化するようにするというような計画を立てていたのですが、現状としてどうですか、今のような郵政大臣意見なり、あるいは丹羽会長の御意見等を伺って、一体これの受け入れ態勢があるのかどうか、この点についての通産省としての現段階におけるお考えを伺いたい。
  122. 小出栄一

    政府委員(小出栄一君) カラーテレビの受像機を中心といたしまする国産化の問題について、現在の段階についてのお尋ねでありますが、先般、通産大臣が本会議においてどういう答弁されたか、私直接聞いておりませんからあれでございますが、今お話しの通り、カラーテレビのメーカーの方といたしましては、何と申しましても、生産者というものは作った物を売らなければならぬ、結局企業といたしまして、これがはたして需要の見通しがどうであるか、特にコストの問題について、これは結局需要と相関連するわけでございまして、価格が高ければ売れない、また安くなればよけい売れる、よけい売れれば量産態勢が確立されるわけであります。で、ますます安くなる。そういう循環をする宿命があるわけであります。そこで白黒テレビの場合におきましても、当時はもちろん高かった。しかし最初、その当時予想されました以上に、御承知通り、需要の伸びが非常に急速でありましたために、比較的早く量産態勢に入ることができまして、その結果安くなりました。安くなった結果、ますます量産できると、こういういい結果を得たのであります。  そこでカラーテレビの場合はどうかということにつきまして、実は山田先生も御調査なさったようでありますが、私どもといたしましても、主要なメーカー等につきましてそれぞれ調査をいたしました。たとえば生産態勢の現況というような問題につきましては、生産設備が今整っておる、それからかりにカラーテレビをやるにつきましては、新しい設備、追加投資が必要であるか、あるいはもし順調にやれる場合には、さしあたって月産どのくらいの生産能力があるだろうか、それからすべての部品について国産化ができるのか、あるいは輸入に依存しなければならぬものにはどういうものがあるか、それから生産技術についても新しい技術提携という必要性はどうかというような各般のところから調査いたしました。その結果といたしまして、いわゆる生産態勢といいますが、純然たる試験、研究の段階は大体脱却いたしまして、問題は量産に移行するためのわれわれの率直な感じから申しますと、すべてこういう新しい技術に基づきまする生産をやるためには、初期的ないわゆる試験、研究的な段階と、さらに企業として順調な生産をする、その中間におけるいわゆる開発段階とでも申しますか、そういう段階があるわけでございますが、これはその開発段階に入っているのじゃないか。先ほど来お話がございました標準方式の問題につきましても、これは専門的におきめになろうとしているわけでありますが、ただ、その標準方式がまずきまりませんと、何分にも暗中模索で、どういうものを作っていいかわからないということもありますので、メーカーの立場から申しますれば、標準方式のめどがつくということは望ましいことであります。しかし、そうだからといって、まだ量産の準備ができない、つまり十分な開発が完了しないうちに方式の方が先にきまりましても、メーカーの方は、お話通り、できた製品がはたして売れるかどうか、特にコストの問題もございますので、それらの開発段階が相当に進捗しまして、自信のある態勢ができまするまでには、なおもうしばらく時間がかかるのじゃないか、かように考えております。それがはたして半年であるのか一年であるのかということにつきましては、おそらく、これは各企業ともはっきりしたことはまだ企業自身もわからないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  123. 山田節男

    ○山田節男君 通産省として、ことに電子工学関係は、御承知のように日本はまだ非常に進歩がおくれている。だからパテントを利用しなければならない、あるいは技術提携でいかなくちゃならない、こういう実情になっているわけですね。そこで純然たる国産――これはもとより具体的にはまずアメリカのそういう関係のパテントを利用することになると思うが、しかし現在いろいろメーカーに聞いてみましても、ことにあなたのおっしゃる現在の開発段階においては、全部の国産はこれはできない、ある一部のものはどうしても輸入しなければならないということを言っております。今日そういうようなことで、よしんば標準方式というものがこれがきまったにしても、これは半年やそこらは、その態勢を整えるために、向こうからそういうものをできるだけ輸入していくにしても数カ月かかる。しかも、できたものを、これまたアメリカ式にして売るにしても、まあ十七インチは技術的に非常にむずかしい。かりに二十一インチでやるとしても、五十ないし六十万円でないと売れないだろう。これは予測であります。実際はもっとかかるかもしれないが、それより三万か四万安いかもしれない。とにかく五十万から六十万というのが彼らが一様にいう原価計算であります。そういう場合に、通産省として、もし郵政大臣カラーテレビジョンの本放送を開始すべく標準方式を定めるというときに、今あなたおっしゃるように、ほんとうに初歩的な開発段階にあるメーカーが、この態勢を整えるでありましょうが、しかし、さしあたり輸入しなければならない問題が起きてくる。部品を輸入し、またレディメイドを輸入する。そうすると大体アメリカにおける中流品といえば、やはり六百ドルから七百ドル、五百ドルをちょっと割るものも、四百九十九ドルというものもありますが、大体信頼できる、調整があまりむずかしくない、良心的なものは六百ドルから七百ドル、それにしても、日本の小売価格が五十万、六十万に比べれば非常に安いわけであります。これがもし為替自由化することになれば、少なくとも三十万、三十五万ぐらいで二十一インチの相当のRCAの性能のいいものが入ってくるわけです。それについて、一体通産省として、為替自由化ということが今後いろいろ問題になってくるでありましょうが、そういったような場合に、その対処すべき処置を通産省としては考えておりましょうかどうか、その点をお聞きしたい。
  124. 小出栄一

    政府委員(小出栄一君) 今お話通り国産化と一口に申しましても、国産化ということはあらゆる機械製品等について言えることでございますが、初めから百パーセント全部国産化ということは、大体こういう新しい技術につきましては不可能でございまして、お話通りまあ特許の問題、あるいはノーハウの問題、技術提携の関連のそういったような問題、それからやはりまだ今日国産が不可能でありまする一部の部品、材料については、どうしても輸入しなければならぬことは、初期の段階においてはどうしてもやむを得ないことだろうと思います。私はそういうものも含めまして、やはり国産態勢を将来百パーセントに持っていくためには、そういう段階から入りまして、そういう意味における国産化ということを申し上げているわけであります。従いまして、まだ、私が先ほど申し上げましたように、全然もうめくらめっぽうの試験研究ということは、これは結局企業としては不可能でございまするので、一応この標準方式のめどがついたというような意味における標準方式の内定と申しますか、そういうようなものは、これは私はメーカーの側から申しますれば意義があると思います。ただ、これをいわゆる本免許をいたしまして、ほんとうにこれが放送を開始するというようなことになりますると、これはおそらくメーカーのみならず、放送事業者の方におきましても、スポンサーの関係等もございまして、はたしてぺーするかどうか、企業であります以上は、NHKのような公共事業は別といたしまして、企業でやっておりまするものにつきましては、これはやはり当然そこで問題になろうと思います。従いまして、やはり通産省といたしましては、そういった、いわゆる開発段階が相当に進捗いたしましたところで、本免許の方はやっていただきたい、こういう態度をとっております。従いまして、これにつきましては郵政省の方と十分一つ御相談をし、また専門家の意見を聞きながらやっていきたいと思います。  それから今御質問ございました、かりに国産化が相当に進みまする場合におきまして、他面において、貿易自由化等におきまして、この国産化を推進するためのどういう措置があるかということにつきましては、もちろんこれは国内におきましては、物品税その他の税制の問題等もございますし、あるいはまた一部の競争になりまするような部品の輸入について、これを制限するというふうな措置もとらなければならぬと思っております。通産省といたしましては、国産化、国内の産業を保護すると申しまするか、そういう意味の建前におきまして、貿易自由化の方向と調整をとりながら、私はやはり初期の段階におきましては、相当のやはり保護的な政策をとらなければならぬではないか、こういうふうに私は考えております。
  125. 山田節男

    ○山田節男君 過日の私の質問に対して、池田通産大臣は、カラーテレビジョンに関する措置は、国産を保護助成するために一切輸入を禁止します、ということを明言しておられるわけですね。これは重工業局長として、大臣がそのような態度をとっておって、一体このカラーテレビジョンの受信機の国産化、あるいはことに量産化のいわゆる保護助成ができるかどうかというような、これは現実の問題として、この点のあなたの御見解はどうですか。
  126. 小出栄一

    政府委員(小出栄一君) 大臣の御答弁、実は私は速記録を見ておりませんので、何とも申し上げかねますけれども、おそらく言われました意味は、私が今申し上げましたような意味におきまして、国産化を当初促進するにおきまして、まだ日本としてどうしてもできない部品なり材料があるわけでございます。その点はどうしても国産化をするために、輸入しなければならないものは輸入する、こういうことであるわけでございまして、何もかも全部輸入を禁止してしまえば、国産化が前進もできないということになるわけでありまして、おそらくそういう意味で大臣がおっしゃったのではないと私考えますけれども、なお速記録をよく拝見いたしまして、また重ねて申し上げる必要があれば御答弁申し上げたいと思います。
  127. 山田節男

    ○山田節男君 これは貿易政策の問題になりますけれども、国外に一歩出ればもうすぐにわれわれが痛感することは、日本がこういったように外貨をやかましくいい、いわゆる為替貿易を自由化せないために非常な差別待遇を受けている。従って、今あなたの言われたように、あるいは通産大臣が言われたように、将来はカラーテレビジョンの受信機を海外に輸出するぐらいになりたいのだと、こういう決意だ、上がるに現在の段階においては、もうそういうものは一切輸入はしないのだということになると、従ってこれは為替自由化のカテゴリーに入らない、入れないのだということになると、さしあたってアメリカの世論は一体どうなるか。これは通産省としては当然お考えになることだろうと思うのですね。ですから、この間の通産大臣の御答弁を見まして、これまた植竹郵政大臣の御答弁を裏づけるために、私は御答弁あったのじゃないかというような気が実はしたわけですね。しかるに、私の実際調査、親しく調査したところでは、大臣の答弁されたところとは事実が反している。それから通産省としては、その標準方式がきまれば国産的な量産化ができると、しかも少なくとも半年ないし一年以内には必ずそういう事態ができてくる、という確信が持てるかどうかということですね、この点どうですか。
  128. 小出栄一

    政府委員(小出栄一君) 標準方式の決定なり免許の詳細な手続については、郵政省御当局が主管でありまするので私詳細存じませんが、先ほど私が申し上げました趣旨は、一応カラーテレビ調査会等の専門家の御検討の結果、さしあたり、やはり標準方式としてはNTSC方式しかないだろうという一応の線が出たわけでございます。その線が出たことは、国産化を推進する上におきましては非常に意義がある、従って、その線に沿って今業界の方では量産に移行すべく開発の準備を進めておるわけでございます。ただ、実際にこれを本免許をする時期につきましては、先ほど申し上げましたように、業界の準備が十分できないうちに本免許になりますと、かえって混乱するのではないかという点においては全く同感でございます。ただその時期が、はたして半年であるのかどうかというような点につきましては、ちょっと私としてもはっきり申し上げる自信がない、こういうことでございます。
  129. 山田節男

    ○山田節男君 それでは今の御答弁もう一ぺん私確認します、コンファームしますけれども、私の聞いたあるメーカーの人々からも時期尚早だと、もう少し準備態勢という点から標準方式のいかんにかかわらず、現在の段階としては少し時期尚早だと、これが半年か一年か知りませんけれども、別々に会って期せずして同じような言葉を聞いたわけです。ですから、今のあなたの御答弁は、あなたの知っておられる限りにおいても、現在のメーカーとすれば少し時期尚早だと、こういうような御答弁だったように受け取ってよろしゅうございますか。
  130. 小出栄一

    政府委員(小出栄一君) 今日現在の段階において、本免許になるのはちょっと早いと、こういう意味でございます。
  131. 山田節男

    ○山田節男君 これは時間どうでしょうね、十五分で五時になりますけれども。
  132. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 五時までに一応きょうのところは……。
  133. 山田節男

    ○山田節男君 打ち切りになるのですか。それとも継続を御許可願えるのですか。
  134. 柴田栄

    委員長柴田栄君) また機会があれば、そういうことで、一応きょうは切っていただきたい。またのチャンスは相談することにして。
  135. 山田節男

    ○山田節男君 それでは、大臣に重ねて御質問申し上げるのですが、先ほど来、丹羽博士並びに通産省の重工業局長からるる御説明をいただいたわけですが、まあこれらの人々の御意見を伺っても、先ほど植竹大臣の御所信、いわゆるNTSC方式で早期にこれを実施に移したいという今のあなたの御意見に対して、どうも私あなたのお急ぎになる理由が納得いかないのですけれども、なぜ急がなくてはいかぬか。これはくどいようですけれども、しかもこれは衆議院は知りませんけれども、参議院におきましては、もうすでに委員会、本会議、予算委員会においても政府に対して質問があり、本日もまた郵政大臣に私御質問を申し上げ、私の頭がどうかしているかしれませんが、あなたの前の御答弁では早期実施すべしというような、そういう客観的な理由がどうも私のみ込めないのですけれども、どうでしょう、もっとわれわれの納得のいく、しかもこれがあなたが代表される与党なら与党が、政調会においてもこれをやるべしというような御意見ならば、これはまた私はあなたの立場も違ってくるだろうと思う。しかし衆議院における審議の状況を見ますと、初めはどうも反対の発言をしており慎重論をやっておったような人が、いつの間にかこれはもうやれというようなことになり、きわめて何といいますか、豹変的な意見を伺うようです。党としてのこういう政策が満場一致で可決されたものをバックとして、あなたがおやりになっておるのじゃないように私は思う。私は党外のものですけれどもそういうように感ずる。それからなおまたカラーテレビの調査会でもおやりになるというのならば、さしあたりこれならばこうなるでしょうと、それを今採用されるということ、通産省の政府委員が言う通りに、これも本免許にやるということは何か時期尚早であるという、おのおのの責任者がこういったことをはっきり言っておられるのですね。それならばあなたは大臣として急がれるという理由は一体どこにあるのですか。これはくどいようですけれども重要な問題です。少なくともあなたは岸内閣の郵政大臣です。このことを決定するかしないか……、何もあなたが郵政大臣としての御在任中にカラーテレビだけはやらなくちゃならぬという、これは国民的な世論も実際はないのですね、それをなぜあなたはこれをしつこくこの問題について取り組まれるかというのです。もう少し私は冷静に長い目で見て、政治家植竹郵政大臣としてやはりこの人は考えはまことに国民という立場からいろいろなことを考えていただいたというようなことが、これは私ももちろん納得し、またそういうことが望ましいからこういう質問を申し上げておるのです。どうでしょう、あなたがお急ぎになるということはのみ込めないのですけれどもね。先ほど来いろいろ御答弁によってもわかるようにNTSCが決して完全無欠なものではない。しかもそれをバックする電子工学はもうほとんど一秒一秒で進歩しておるのですから、あなたが新聞に書いていらっしゃるように、これはベストをとらぬ、ベターをとるというようなことをおっしゃっている。これは非常に私はお考えはいいと思う。ベストをとらずベターをとるのだ、ところが今日はベストがないのだからベターをとるのだ。それならばもうあなたが御在任中でなくても、次の郵政大臣、次の次の郵政大臣でもいいんです。そのベターの利点というものがここに私は一つの論争を起こす原因となっていると思うのです。ですから現時点としてこれを一番いいんだという、ベターなんだということが私はどうも納得できない。これは新聞にあなたがおっしゃっても、なるほど郵政大臣はもっともだというような私は御答弁を期待しているわけです。どうでしょう、どうもあなたの御答弁を聞いてみると、私ははなはだ失礼ですけれども、あなたよりかこのテレビジョンについては多少の研究もしているつもりですし、各国の事情もこの目で見ている。これはあなたも昨年いろいろ熱心に御研究になっておりますけれども、しかし私から申し上げれば、もう少し私は掘り下げて研究していただきたい。これは時間的に不可能なことですから、あなたとしてはお忙しい中を最善の努力をなさって、それだけの結論をお出しになったということが、今御報告にもありましたけれども、私から見ればこれは決して十分じゃない。これははなはだ口幅ったいことを申し上げるようですが、しかもこれはこういったようなまるででっち上げたような、やっきになっておるようなものを代表しておるかのごとく、あなたが大臣としての処断をされるということ、しかも今後受けるものは国民全体の問題だ。一自由民主党の大臣としてでなくて、九千万国民の代表としてのあなたは為政者じゃありませんか。そういう点から見ますと、私はきょうあすに電波監理審議会にかけてNTSCにともかくしてしまえばいいじゃないかという、こういう軽々なことをおやりになるという植竹さんじゃないと私は思う。何か背後にそういうことを、あなたをかいらいとして使う勢力があるのじゃないかという、はなはだ不愉快ですけれども、そういうことを考えざるを得ない。どうでしょう。植竹郵政大臣、あなたの御研究もまだ十分じゃありません。もう少しあなた、国のために謙虚になって、あなたの判を押されるか押されぬかによってこれがきまるということになれば、私はもうほんとうにこれは明鏡止水な気持で国のためということをお考えになって、どうでしょう、この点についてはあなたのほんとうに事直なお気持を聞きたいのです。
  136. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 私の考えはもう申し上げ尽くしたと思いますが、なお、結論的に申し上げますと、カラーテレビがマスコミの手段といたしまして人類の文化の進展のために、これは今日の段階において許可してしかるべきだ、その考えは今日では私の確信するところでございます。  なお、この問題について一点のやましいこともございませんことを、政治的な圧力もなければ、またやましいようなお疑いのことは一点もないことを再び言明いたします。また通産省との意見につきましてはまたよく調整をいたします。そしてこの問題は、山田委員の御意見も貴重な御意見として十分自分の参考にさしていただきたいと思いますが、私といたしましては、日本の文化の発展のために、自分の確信を持ってこの問題に将来とも慎重に対処して参る所存でございます。
  137. 山田節男

    ○山田節男君 今あなたが個人としてそういう信念だということをおっしゃるならば、なおさら私が申し上げたいことは、もう一歩下がってあなた自身の御良心において、もう一歩一つ下がって謙虚に考えてもらいたい、それはできますか。
  138. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 私は終始一貫、謙虚な気持でこの問題に対処いたしております。
  139. 山田節男

    ○山田節男君 先ほど来、私、歴史的にこの問題をあなたが遺産相続されたと、この経過も私は簡単ですけれども申し上げた。納得できない経過で推移して今日まできておる。それをあなたが相続されて郵政大臣になられるや、自分としてかような信念を持っていると、これは一つの歴史的過程においてのあなたの役割を果たされる上において、私は本心でないことを言っておられるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  140. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 私は今日の日本のカラーテレビの状態を見まして、過去のものにとらわれず、将来の日本がこれを許可することによっていかにあるべきかということを旨といたしまして、この問題を純粋の国家的な問題というところに一番の重要なポイントをおいて、今日まで対処いたして参りましたし、今後もさように考えて処置をいたす所存でございます。
  141. 山田節男

    ○山田節男君 これはとにかく大臣としてまあ正面切って御答弁になれば、そういうことになるだろうと思いますけれども、もう少し私はこういう速記をとっての話では大臣としてむずかしいかもしれませんけれども、私なぜこういうことを申し上げるかというと、少なくともこの十二年間逓信委員会電波監理委員会の時代、あるいはこれが郵政省の内局の電波監理局ができて以来、ことにカラーテレビの実験放送ができて以来、ことに昨年以来、私は外部者でありますけれども私としての立場からこれを見ておりまして、必ずしも今大臣のおっしゃったようなことを完全に信じられないような……、大臣自体の言明は。これは具体的に申すと、電波監理局のいろいろなあなたの幕僚のスタッフにしても、昨年の寺尾君の電波監理局における人事行政などを見ても、またその前にも郵政省からNHKの料金を上げるというので、理事を二人か三人か押し込めた。どうもここ数代の郵政大臣のやり方というものは、私たちはこれは納得できません。ことにカラーテレビジョン関係は、奇々怪々たる行動で、私は、これは目をつぶらざるを得ない。その渦中にあなたがいらっしゃって、そういうことを今あなたがおっしゃっても、遺憾ながら信じられない。あなたの心から出ている叫びとは信じられない、あなたは渦中にいらっしゃるのだから。そこに私は、あなたがおっしゃった通りを額面通りに信じるならば、はなはだ勝手がましいことですけれども、もう一歩下がって謙虚な気持で、この実態を――また端的に国民が、十年、三十年、なるほどと思われるような政策をおとりになるだけの覚悟をお持ちなら、こんな早急なことを私はすべきものでもないし、またするようなお気持におなりになるわけはない。  そこで私は、甘利電波監理局長にちょっと質問いたします。先ほど申し上げたように、昨年の六月に電波監理局長に就任なさった第一回記者会見で、先ほど読み上げたようなことをおっしゃっている。決して急ぐ必要はない、国民世論はわいていないのだ。これは、あなたが電波研究所の所長として、多年この方面の専門家であって、電波監理局の局内における暗躍明動には、直接あなたがタッチしておられないにしても、学者的な立場から、きわめてあなたは正しいことを言っておられると思う。しかるに、過去八カ月間植竹郵政大臣のもとにおいて、私は、甘利電波監理局長の御就任当時の信念が、何かゆらいできているのじゃないかというように思われるのですが、昨年の六月の御心境と今日とは、一体違っておるかどうか。違っておれば、その理由を一つ承りたいと思います。
  142. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) 私、山田先生とは十年以上のおつき合いで、いろいろと六メガ、七メガ論時代から、御意見を拝聴しておりまして、そういう意味で、非常な私の尊敬する指導者として参ったわけであります。昨年六月、就任しました当時の情勢から判断しまして、今の山田先生のお読みになった記事というものは、当時の私の偽らざる見方でございます。私、ここにノートがございまして、当時の、これは六月のカラーテレビに対する自分意見を控えてございます。それによりますと、先ほど来、山田先生以下皆さんの御討論になりましたような点について、相当の疑念を持っておりまして、その後、植竹大臣とは、就任されて早々、数次にわたってカラーテレビについての在来の経過、また技術的のあり方、今後の考え方、そういうことについて、私としては十分御意見も申し上げ、またお打ち合わせもしたつもりでございます。また何しろ全然こういう方面に、そう申しては失礼でございますが、しろうとの方がお入りになって、いろいろと私どもの申し上げることを批判されるということには、なかなか至らないわけで、そういう意味で、大臣が昨秋のITU会議を機会にして、欧州各国、欧米各国を回られて、カラーテレビの実地の勉強をされた、これは非常に私どもとしてはありがたいことでございました。果たせるかな、一巡して帰って来られてからは、きわめてわれわれの申し上げることに対して批判もおできになりますし、また相当確信を持って、また信念を持って、政治的な立場から、大体、先ほど来大臣が申されたような御意見をわれわれ拝聴しております。  私どもも正直なところ、従来、カラーテレビについて、いろいろと政治的な動きがあったことは、非常に不愉快に思っておりましたが、この非常にまじめに勉強されました、また、きれいな気持で、こういう問題について取り組まれた大臣が、確信を持って、先ほどのような御判断をされた、これに対しましては、私ども下僚としまして、十分その根拠をチェックしまして、そういう意味で、もちろん、先ほど来問題になったような点が、すべて百パーセント解決しておるとは存じませんが、しかし、これは要するに、行政のタイミングの問題である、そういう点につきましては、われわれが判断するよりは、大臣が判断される方が正確ではないか、また、そういう岸内閣の一つの方針もございましょうし、私どもは技術的な観点から、そういった、ことに絶対に相いれないというものでない限り、これに従って参ったわけでございます。  大体私の心境はそんなところでございます。
  143. 山田節男

    ○山田節男君 時間がありませんが、お許し願いたい。  今の甘利局長の御答弁によると、やはり、さしあたってという――今のカラーテレビジョン調査会と同じような気持で、タイミングということは、さしあたってやれば、これしかないというように、大臣の御意見通りにお考えになっておるか、この点について。
  144. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) ちょっと御質問の意味がよくわかりませんが。
  145. 山田節男

    ○山田節男君 今の私の質問の要旨は、カラーテレビジョン調査会では、どうしてもやるのだというならば、さしあたってやるというなら、NTSCにするという条件付のものなんです。今あなたの、昨年から今日の心境の変化を来たしたということは、いわゆる、大臣がとにかく、どうしてもこれはカラーテレビジョンをやらなければいかぬ、ヨーロッパ、アメリカを回って、アメリカが一番いいのだというようなことを言われているのですが、今日の段階とすれば、やはり大臣の言われるような方式でやむを得ぬのだ、こういう意味ですか。こういう意味の御所見なのか伺いたい。
  146. 甘利省吾

    政府委員(甘利省吾君) 私は、そういうつもりで申し上げておるのではございません。要するに、こういう問題につきましては、いろいろと賛否両論があることは覚悟しておるわけであります。その最後のタイミングの判断というものは、政治的に下していただいて差しつかえないもの、こういうふうに考えております。  私どもが事務当局として、特にタイミングがよかったかどうかということを、われわれなりに判定いたしますその最大の資料と申しますか、契機と申しますか、それは主として国際会議の動向でございます。私は、先ほど丹羽先生が申されたように、コンパティビリティというものがカラーテレビに絶対必要だとは思っておりません。そういう意味で、むしろ、カラーは、全然白黒と別な最優秀な方式でやってもいいのじゃないか、しかし、そのためには、白黒の設備と全然ダブった、全然別のもう一つのシステムを必要とする、それには、相当な費用もかかるし、今後研究も必要とする、要するに、その考え方は、カラーというものは今後数年、まだやる必要がないのだというような観点に立たないというと、これが実現しません。そういう意味から、日本の在来の実験放送の現状等を見ましたときに、これは、世界各国の動向が、まあ大体、欧州式と申しましても、アメリカ式と申しましても、絵の質は同じようなもので、そう完璧なものではございません。  そういうことで世界の情勢がきまっていくという、そういう状況下におきまして、日本だけが、これを放棄して、いたずらに時をかせぐということも、もう適当なときに考えなければならぬ、こういうふうに考えておりまして、そこで、まあ大臣のタイミングの問題が出まして、その判断が下されたと、こういうふうな次第でございます。
  147. 山田節男

    ○山田節男君 私、最初に申し上げたように、昨年の六月四日、寺尾郵政大臣のもとでカラーテレビジョンの信奉者である――まあ私の見る限り、きわめて良心的な電波監理局長であった浜田博士が、国情及び現在の技術の水準から考えて時期尚早である、慎重論者であったこと、これは、私はきわめて賢明な態度であったと思う。それを総理大臣まで乗り出して、強制的にこれを短縮せしめた。これは、はっきりした事実ですね。これを見ますと、あるいは局長にしても、常に大臣の命令に対しては、もちろんこれは従わなければなりませんけれども、歴代の電波監理局長が、常にこれは首筋を洗って待たなければ、レジスタンスなり、言うこと至言えないということになれば、そこまで堕落をすれば、私は政党政治が堕落すれば、何をか言わんやで、私は植竹郵政大臣のもとでは、そういうことはないと思います。このことは、私は今の甘利局長の御答弁は、その裏にはきわめてまた慎重な配慮があって、そういう御答弁になったというように私は解釈しますが、委員長一つ、お願い申し上げたいことは、これは実は私は、まだ質問ございます。ことに重大な、かりにカラーテレビジョンを早急にやるということにつきまして、今後においても委員長、本委員会として、ことに参議院として、衆議院におけるような論議でなくして、もっと根本的な論議を私はしたいと思いますので、きょうは、これで終わりますが、ただ私、郵政大臣に申し上げておきますが、まだ質問は完了いたしません。のみならず、これは結論ではありませんけれども、ここに逓信省時代の先輩の各位がたくさんおられます。  で、私はこういう近来のテレビジョンが、ラジオの場合も、そうでありましたけれども、白黒テレビジョンの発足した昭和二十七年以来、どうもこの歴代の郵政大臣、ことに岸内閣が成立した昭和三十二年以来、このテレビジョンに対してきわめて私は遺憾な状態にある。具体的に言えば、郵政省が、ことに電波監理局のその行政分野におきまして、全く利権屋の――利権屋のばっこするような状態にある。これは争うべからざる事実です。これはまことに遺憾なことである。かつては建設省あるいは農林省の食糧庁、今日の、もう郵政省電波監理局の管内において、全く利権争奪のような争いが起こっている。これはもう、まことに私は政党政治の健全な発達から見て、こんな醜態をいつまでも続けてはいかぬと私は思う。その渦中にやはり植竹郵政大臣がおられ、甘利監理局長がおられる。この立場は、私はよくわかります。しかし、そこに私は、日本ほんとうの民主政治と申しますか、この電波――電波スペクトルは、国民の共有財産ですよ。これは一大臣のものではない、電波というものは。それを国民にかわってやるのですから。一業者ではありません。これは九千万国民共有物の電波をいかに分配するか、いかに使うかということを最高責任者として、あなたがおあずかりになっているのです。ですから、近来の郵政省、ことに電波監理関係のこういうような堕落した場面にわれわれは遭遇しなくちゃならぬということは、きわめて遺憾なことであります。これは私は少なくとも植竹郵政大臣、あなたは賢明であり、しかも良心的なお方として、私は多大な期待を持っているわけでありますから、こういうものを、少しでもこれを浄化していくというところに、植竹郵政大臣の存在の私は価値があると思うんです。  昨日のNHKの朝の放送によると、明日十八日には、電波監理審議会にNTSC方式をとることについての諮問をされるというようなことも実は放送で聞いたのでありますが、今申し上げているように、私はまだ郵政大臣に対して、最も大切な根本的な質問が残っておりますので、明日、その電波監理審議会にかけるというようなことは、そういう早計なことをされるということは、そのうちに政治的な利害を生むということをよく御判断願って、そういう早計なことを私はしていただかないようにお願い申し上げます。ですから次回の委員会におきまして、私、さらにこの問題について、大臣に御質問申し上げたいということを留保して、本日は、これで打ち切ります。
  148. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは、本問題につきましては、この程度にとどめたいと存じます。  参考人丹羽保次郎先生には、御多用のところを長時間審議に御参加いただきまして、まことにありがとうございました。   ―――――――――――――
  149. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 大へんおそくなりまして恐縮でございますが、いま少し御勉強を願いまして、電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。御質疑の通告がありますので、これを許します。鈴木恭一君。
  150. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 政府が、このたび電信電話拡充第二次五カ年計画を抜本的に改訂するその施策として、この資金の獲得の措置の一環として、この法律を提出せられたのでございますが、電信電話の現状にかんがみまして、また国民電信電話に対する期待に沿う意味から申しましても、時宜に適した立法措置だと私は考えるのであります。  そこでまず第一に郵政大臣に、この法案についての根本的な考え方についてお尋ねをいたしたい。今回提出せられております法律案は、電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案であります。この法律が成立いたしますると、従来ございました昭和二十六年に制定されておりまする電話設備費臨時負担法、これが改正されるわけになるのでございます。  そこで、この文句も違っておりますし、今度の法律は非常に長たらしい文句を使っておられる。内容を見ますると、やはり国民に対する、加入者に対する負担でございます。そこで、この法律の考えが、ただ電話設備拡充のための暫定措置であるということで貫いている何と申しますか、指導精神と申しますか、考え方というものが、ここに新たに発足したような気もいたすのでございまして、その点についての御意見、これを郵政大臣にまずお聞きしたいと思います。
  151. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) ただいまの御質問に対しましては、すでに提案理由の説明にも申しましたごとく電話に対する需要が急激に熾烈になって参りましたのに対処いたしまして、今までの負担法をもってしては、とうていこの需要に応ずることはできないのでございまして、年に二十七万、加入からの増設方針では、とても御要求に応じ切れない。  そこですみやかに、これを少なくとも年に四十万加入は増加さしていきたい、年限につきましては、できるだけ早くこれを完了いたしまして、国民の御要望に沿いたいのでありますが、何分にも資金が膨大になっておりますために、余儀なく暫定とは申せ、四十七年度完了の年を期しまして、今回提案御審議をお願い申し上げたわけでございまして、その趣旨といたしますところが、参議院、衆議院の前の国会の付帯決議を尊重いたします建前からも、今までのような負担法でなく、負担を軽減するように取り計らい、そうかと申しまして、負担をただ軽減したのでは、とても需要に応じきれないので、今度は新加入者に、新たな方法をもちまして、つまり債券をお引き受け願う、つまりお金を加入者から貸していただく、融通していただくという建前の新しい方式をもちまして、この法案を編み出しまして御審議願いましたような次第でございます。  どうぞよろしく御審議をお願いいたします。
  152. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 従って、今の御答弁によって、直接の負担というものはなるべく軽くしていこう、そうして加入者に資金調達に協力してもらう、まあこういう御趣旨、これは今、お話のように臨時負担法ができましたときにも、国会が決議いたしておるのでございまして、もちろん負担をかけないで電話を引くということは、これは理論上、私も賛成なんであります。が、しかし、電話は値段を持っておるんであります。現に需給のアンバランスがある以上、電話の加入権の市価というものはあるわけでございまして、現に東京などで、かりに今度の法案によりますると、設備費一万円出せば、その電話は十万、二十万というふうな市価が出るので、先ほど古野さんのお話もございました通り、お金が幾らでもあるんだ、少しぐらい負担をしても当然だというふうな議論もあるわけでございます。しかも今度は、一級、二級局は十五万円の公債を買うということは、これはやはり一つの負担なんでありますが、しかし今やはり、電話で問題になっておるということは、負担ということもさることながら、それだけの財産価値を持っておる電話、しかもそのものを、どう配分されるかということが、私は非常に問題だと思うのであります。  そういうふうな点について、政府としては、どういうふうに考えられておりますか。
  153. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 電気通信監理官からお答えさせます。
  154. 松田英一

    政府委員(松田英一君) ただいまの鈴木先生の御質問でございますが、現在におきましては、確かに電話の需要に実際の架設が間に合いませんために、これは日本といたしましては、従来からの長い歴史の結果といたしまして、結局つかないために、どうしても電話をほしいという人がある関係上、電話がまあ売買されるということで、そこに従って市価ができているという関係も起こって参っておるわけでございます。しかしこの問題につきましては、実は何と申しますか、現状といたしましては、電話の市価の問題といたしまして、私どもとしては、本来からいえば、電話の市価というものはないのが望ましいのである。しかし過去の歴史の所産といたしまして、できております電話の市価、つまり電話の財産権というものは、電話についての財産権が成立しているという事実は、これは目をおおうわけにはいきませんので、いきなりこれをたたき切るというようなことはできないわけでございまして、ただ、もっぱら私どもでやり得ますことは、極力電話をふやしていきまして、電話をふやしていくことによって、需要が充足され、需要が充足されることによって、おのずから電話の市価もなくなっていくということは、私どもとしては望ましい方向であり、またそれに努力をすべきであるということで、今後の拡充計画も、ぜひ実行しなければならない。今度の拡充計画が実行されなければ、かえって事態は悪化して、むしろ電話の売買あるいは電話の市価というものを、かえって助長する傾向にこそなっていくという懸念もございますので、まあ、そういうことからだけではございませんけれども、とにかく電話の本来の性質からして、できるだけ需要が早く満足されるようにということで考え出した次第であります。  ただし、その場合におきまして、これを実現して参りますためには、どうしても莫大な資金というものを必要とする、その資金の獲得が、今までの状況、これから先のことを考えましても、どうしても電電公社自己資金あるいは財政投融資というものによりましては、実際問題として解決がつかない。そこで加入者の方々に御協力をいただいて、それによって拡充をしていこうということになっておりますので、電話の市価の問題と、それからこの拡充法によって持っていただきます債券の問題とは、実は直接には関係はないわけでございます。  ただ、電話がこれによって、どんどんついて参ります場合には、電話の市価というものは、もちろん下がっていくわけでございますが、そうかと申しまして、これは、この法律が十三年先の昭和四十七年度末ということをいわざるを得ないということは、とにかく直ちに需要を満足し得るという状況になり得ないということは事実の問題としてやむを得ないことでございますので、従いまして先ほどの電話の市価の問題につきましても、直ちにそれがひどい影響をこうむるということはございません。しかし将来の目標としては、需給がバランスして、そういうものがなくなるのが本来の理想の姿であると考えております。
  155. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 今、その考え方については、私何も、そうならなければならない、またそうするための拡充計画なんでありまするから、それを私は、とやかく言うのじゃないので、むしろ今問題になっておることは、電話の問題というものが、少しこの負担法とはそれますかしれませんけれども、こういうふうな非常な財産権を持っている。現に十万、二十万、三十万という価格で売れておるという電話、そういうものに対して、公社はどういうふうに考えられておるか、その点をお聞きしたがった。
  156. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) ただいまの先生の御質問は、おそらく電話の需要というものと、われわれの供給力というものがマッチしないために、自然的に電話の加入権の売買というような現象が起きてきた、そういうものについて、一体公社はどう考えておるか、こういうような御質問のように承わりましたが、まあ御承知のように電話加入権の売買が認められておるのは、世界において遺憾ながら私は日本だけだと思いますが、これも長い間、加入の申し込みに対して、政府のまあ官営時分から、申し込みに応じ切れないという、非常なアンバランスという関係上、最初は戦前におきましては、法律で認めたのではなくして、裁判所が財産権としての移転を認めるということになって、初めて日本で加入権の売買ということが認められた。その当時の電電公社――その当時は、政府でありましたが、逓信省の、しかしその移転をする場合に、売買をする場合に電話官署――当時は官署でありますが、の承認を得なければならないということになっておったのであります。しかしその当時は、必ずしも電話の官署の承認は、裁判所としては有効条件というか、として認めていなかったのであります。売買は成立するけれども、加入の電話官署の承認は、また別問題だ。しかし電話官署としては、承認するかせぬかは、電話官署の必要に応じて承認すると、こういうことになっておったように思います。その後、終戦後一時、占領下におきまして、電話の加入権の売買の禁止ということがありましたが、その後、長い間の歴史に基づく加入権の売買を、再び法律的に正式に認めるということに、国会の今度は法律で定まりまして、今回はまた、承認は効力要件であるということがはっきりした。そのかわり、その電話加入権の売買については、私の方の公社の方も承認するかせぬかは、公社の判断によるというわけにはいかなくて、一定の条件が整えば、承認しなければならない、こういうような法制になっているわけであります。そういう法制の建前において、公社は動いておるわけであります。  従いまして、現在においては電電公社が、今法的に満たされた条件、すなわち料金の支払いをしないおそれのあるという、そういうとき以外は承認しなければならないとなっているものでおりますから、公衆電気通信法の三十八条に「電話加入権の譲渡は、公社の承認を受けなければ、その効力を生じない。」、第二項に「公社は、前項の承認を求められたときは、電話加入権を譲り受けようとする者が電話に関する料金の支払を怠り、又は怠るおそれがあるときでなければ、その承認を拒むことができない。」、従って、承認というものを、電電公社は、こういう条件がそろえば拒むことができないという効力要件とするとともに、法律にはっきり書いて、そうして承認するかしないかは別だという建前で、電話売買業者を統制をしておりました戦前の行き方をとるわけにはいかない、こういうのが現状であります。それを前提にいたしまして、われわれが今電話売買業者に対してとっておる問題は、一応不当なことが起きないように、こちらの方で、不当不正が起こらないようにいろいろな措置を講じていく。だから、たとえば印鑑証明の提出を求めるとか、あるいは業者で窓口以内に入ってくるような業者は、今後はわれわれとしては、そういう業者の窓口以内に入ってくるようなものは不正をするおれがあるとして、これを取り締まると、まあそういう意味のいろいろ方法を講じてきたわけであります。  なお今後、この電話売買業者について、そういう方策を越えて、もう少し積極的な方策を講ずべきじゃないかということが、実は先般の衆議院の付帯決議にもついておりますので、そういうことについて、どういうふうにしてやるかということについて、今後、なお一そう考究していきたい、こう思っております。
  157. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 実は、その点をぜひ私も考えていただきたいと思っております。と申しますのは、実は、私この当局におりました当時においては、加入権というもの、またそういうものの譲渡というものに対しては、どこまでも電信電話は、政府がこれを管掌しているのだというふうな考え方から、すべてのものの見方をしておると、ところが、実際需給がアンバランスになると、今申したような売買というものが行なわれておる、しかも質権の設定等も、今日認められておる、差し押えの対象にもなっておるということは、これは現実の事実なんでございますね。しかも今日のような状況下においては、おそらく私は、東京の電話の半数以上は、加入権の譲渡によって成立している電話じゃないかとすら考えられるのです。いうならば、この公正な取引ということは、電話行政の上において、最も重要な問題だと、私はこのごろ非常に感じておる。  そこで、無法の民を向こうへ追いやってしまって、おそらく電話業者と電電公社とはお話し合いになるような機会は、ほとんどないのじゃないか、いよいよその電話の財産権というものに着目して、悪徳業者は横行するでしょうし、またその悪徳業者は、電話局の従事員と結託するというふうなことがあると、これは大へんなことだと私は思っております。  そういうふうな意味で、今日では、電話局ではすぐ窓口で用が足りない以上は、どうしても、そういうふうな取引業と申しまするか、いわゆる電話屋の手を借りなければならないというのが実情なんであります。そうしたときに今お話のように、衆議院でも、そういうふうな決議があったということは、おそらくそういうふうな事情を見ての結果と思うのであります。一つその点について、特段の配意をするというお話でございますが、どんなふうなお考えを今お持ちでございましょうか。
  158. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) まあこの電話業者について、いろいろな見解が成り立つわけでありますが、たとえば法的に、これを許可制にするとか、あるいは届出にする、こういうような方法も、一つ方法でしょうが、これはしかし、現在の段階においては、おそらくそういう方法はむずかしいし、これはしかし政府の、あるいは府県条例の問題ですから、私の方の問題ではありませんが、おそらくそういうことは、なかなかむずかしいだろうと思います。  そこで現在の建前として、先ほどちょっと申し上げましたが、戦前は、あるいは業者について、公認、非公認――逓信省公認というようなことをやっておって、公認の電話業者の売買する電話については、これを優先的につけるというようなこと――ある制限はありますけれども、そういうようなことを戦前にはやったこともあるのでありますが、これは、さっきちょっと申し上げましたように、承認というものについて、するかしないかは勝手であると。こちらは、電話官署の建前によればよろしいという戦前の体制においては、そういうことができておったわけですが、それが現在のように、現法律の体系下において、先ほどのように承認しなければならないといったような条件という現在の法制下においては、戦前のような公認業者と非公認を作って、公認業者のものを優先していくというような方法はとれないわけです。で、実は優秀な業者については、そういうようなことをやってくれないかというような申請も出ておりますけれども、遺憾ながら、それは今のような体系でありますので、現在においては、戦前のような方法はとれない。あとは、そういたしますと、たとえばわれわれの方に、現在法的にも正式に電話の売買というものが、どうしても必要だと、いいことではないけれども、需給のバランスがとれるまではやむを得ぬ、まあやむを得ざる悪と申しますか、そういうことで容認されざるを得ないとすれば、たとえば、電話局へ来て、自分電話を買いたいんだけれども、どこから買ったらいいかというような問題を提起されたときに、それは、どこがいいかということについては、全然私の方は知りませんと言って、電話の方の営業窓口で逃げるわけにはいかないんで、まあ、こういう所がいいんじゃないでしょうかというようなことは、ある程度応対せざるを得ない。その場合に、非常にいい所と非常に悪い所は、これはもうはっきり言えるんですけれども、その境になるような所を、これはいいんだ、これは悪いんだという振り分けは、直接私の方でやることには、相当問題がありますし、非常に弊害もあるし、また法的の根拠もあるかどうかという問題にもなるわけです。その辺は、そういう問題を前提にいたしました場合に考えるといたしましても、いわば間接統制と申しますか、いい業者だけが、一つの組合というか、そういう何かを作りまして、みずからべんなものは振り落としていくというような体制でもできれば、その上にまあ乗っかって、間接統制をやるというような方法も、一つ方法じゃないかと思いますが、まあそういう、いろんな方法考えていくということが、今後の問題ではなかろうか、こう思っておるわけであります。
  159. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 お話のように、いい電話屋というのは、やはりこれは、まあ第一線の潤滑油のようなものだと、今日の需給状況からは考えられる。だから、このいい調節機関というものをやはり電電公社というものは、ぜひ把握していかれることが、私は非常に重要じゃないかと思う。  なお、こういうふうな需給が非常にアンバランスになり、こういういわゆる電話の取引業が出て、加入権が、どんどんと移転していくというときになりますと、電電公社では、優先受理をして出しておられますが、ほとんど、それが実行をされるときには、もう動いてしまう。そこで今、優先受理の内容を私は知りませんけれども、やはり公共の利益のために、どうしても、これは全部つけてあげたいのだけれども、ある程度の順位をつけなければならないというふうなお考えであろうかと思うのですけれども、電話の、何と申しまするか、必要ということは、まあ今日公共の利益というふうなことを考えるのには、あまりに経済的価値が高くなっておりまするし、一本の電話が、ほんとうに重要な投資資本である、いわゆる零細業者というふうなものは、この順位から見ると、ずっと下の方になってしまう。しかも、それが実際は、行なわれておらないというような面で、優先順位等について、お考えをなすっておるようなことはございませんか。
  160. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 優先順位の問題につきましては、公衆電気通信法の第三十条の規定によりまして、とにかく需要を全部満足しきれないというときには、ここにも書いてございますように、「郵政大臣の認可を受けて定める基準に従い、公共の利益のため必要な加入電話に係る加入電話加入申込を優先的に承諾しなければならない。」ということに規定されてございますので、これに従いまして、公社の方で優先受理の基準を作りまして、私ども、これを認可しております。それは、まあその場合に、――詳細は、この内容について公社の方から、御説明していただいた方がいいかと思いますが、公益的に特に必要とするもの、それから、まあこの点は、あるいは今の御意見に従えば、むずかしいところかと思いますが、住宅電話よりも、事業用の電話というような観点から、優先受理の基準を作っておりますので、ただいまお話になりました事業を行なっている者というものにつきましては、必ずしも最低というわけではなくて、住宅電話が一番最低になるというような形になっておる次第でございます。  なお詳細は、電電公社の方から、実際の運用等について御説明があると思います。
  161. 大泉周蔵

    政府委員(大泉周蔵君) 優先受理基準について、御説明申し上げます。  ただいま郵政大臣の認可を受けまして、六つの順位について処理をいたしております。第一順位は、加入電話でありましても、公衆の用に供する電話、いわゆる公共の用に供するものが第一順位。その他国の機関とか、重要産業とか、相当大事な事業と認められるものを列挙いたしまして、それを第一順位といたしております。しかしながら、これは事業所だけであります。第二順位は、非常に輻湊している――いつも話し中になっている、というところでございます。第三順位は、長い間たまっておる電話でございまして、これはただいま先生がおっしゃいましたような一般の小企業の電話ですと二年、一般住宅ですと三年たったものは、第三順位に繰り上げることになっております。第四順位は、一般の産業及び第一順位にあげましたものの機関の住宅、それから戦災電話を、ここへ残しておりまして、これが一番数が多いのでございます。第五順位は、一般の住宅でございます。それから第六順位は、すでに電話を持っているもののうちで輻湊していないもの、つまりあまり混んでいない電話というものは第六順位、一番下のランクとなっております。そのようなことでございます。
  162. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 この需給の調節ということは、まあ臨時措置法もさることながら、その問題を十分、やはり考えていただかないと、電話をつける方ばかり考えられて、実際の運用の面が、どうも少し、自分電話だというような立場から、流通を阻害しているのじゃないかということを、私非常に心配しておるのであります。公正な取引、公正な配分ということに、各段の御配慮をお願いしたいと思います。  それから次に、先ほど郵政大臣が、この法律は、要するに実質的な負担というものをかけないで、ただ加入者に、資金調達に協力してもらうのだという考え方、これは御説ごもっともだと思うのでございますが、問題は、ともかく東京あたりでは十五万円の債券を買わなければならないというのが、やはり大きな負担なのであります。そこでこの債券の市価を安定するということが、私は非常に重要だ、実質的な負担を軽くする要件だと私は考えておるのでありますが、それに対しては、いろいろ金融の道も考えられておるようでございますが、この市価を維持するということ、ことに今度は長期にわたりまして、割引債券が出るような点も考え合わせますときに、市価の安定ということは、最も大きな問題になってくると思うのでございますが、それに対しては、どういう措置を電電公社としては、おとりになっておるか。
  163. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) ただいま先生の御指摘になりました加入者の引受債券の値段というものにつきましては、この問題について、過去の歴史におきまして、一番問題でありましたのは、一般の加入者の方々が、加入者債券について、いわゆる債券というものについて、あまり御存じない。そういう関係において、いわば先ほどちょっとお話がありましたが、電話売買業者、あるいは債券業者というような者に、無知に乗ぜられて、値段が非常に下がったということが、かつてあったわけであります。  そういう関係上、この加入者の利益を擁護するために、東京証券取引所の公社委員会に、本債券の取引の開始をお願いいたしまして、それが初めて昭和三十年八月から、東京、大阪の両市場で売買が開始され、ついで名古屋市場でも開始され、これが毎日の新聞紙上に出るようになりましたことは御承知通りであります。そこで、毎日の新聞紙上に気配相場が出るようになりましてからは、その値段というものが、いわゆる利回りと申しますか、そういう当然な市場利回りというものを離れて、非常に下回るということがなくなって参ったわけです。  そういう意味におきまして、その後におきましては、この電信電話債券は、三十年以降毎年、最高最低――これは、動きは、当然経済市場でありまするので、ある程度あったわけでありますが、平均的にみまして、三十年におきます平均は八十三円六十九銭、三十一年は九十四円四十四銭、三十二年は八十二円三十九銭、三十三年は八十七円十四銭、三十四年は八十七円三十三銭、こういう大体の平均した動きを示してきております。大体、市場における利回りの上がり下がりも平均していく。こういうふうになって参ったわけでありまして、そういう意味におきまして、この気配相場が立っておって、この加入者の方々に、なお一そう、こういう周知をはかり、ある意味において、だまされないようにするということが一番大事だと思います。が、こういうことについては、なお今後も、大いに努力いたしますし、また証券会社の御協力も、十分に得られることと思っております。  そのほかに、今申し上げました値段は、六分五厘を前提にいたしました値段であります。今回は、この法案にありますように、公募の社債――いわば従来は、六分五厘というので、低利でも社債は引き受けてもらうという、ある程度負担的な考えで、むりに負担してもらえばいいという観念でありますが、今度の法律のものは、債券を引き受けてもらうけれども、その債券の利率は、一般の、できるだけコマーシャル・ベースということを頭において、公募社債の利率を考慮していくということになっておりましてこれは、大体七分二厘程度のものになるかと存じますが、六分五厘と比べまして、相当な違いがありますので、この社債の相場につきましては、従来の歴史と、今の気配相場が立っておる、そういう配慮がしてあるということと、かね合わせますと、今後の社債については、従来よりも、お客さんはなお有利になるものと、こう考えております。
  164. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 もちろん、政府保証債の利回りとの均衡を得てやる。従来の六分五厘よりも上回った利率でいく。しかし、なるべくこれは、市場に出回らしめない、持たせるというようなことの配慮も、私は必要じゃないかと思う。また、時に必要があれば、公社も、これを買い上げてやるというようなことも、私は必要じゃないかと思うのですが、そういう点の配慮はされておりませんか。
  165. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) お説の通り、できるだけ持っていただいて、電信電話債券は有利だ、できるだけ持っておいて、あまり売らずにおいてもらいたい。これが一番大事なことでありまして、そういうことにつきましては、今後、なお一そう努力いたしたいと思います。この電信電話債券の、今のそういう有利性をなお十分お客さんに周知もいたしまして、そういうようにすることが相当大事だと思います。  なお、買い入れ償還というか、そういう問題につきましては、これを、たとえば従来もある程度場合によってやったことがあります。今後とも、そういう問題についてのある程度の配慮をいたしていきたい、こう思っております。
  166. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 話は飛ぶんですけれども、先ほど実は、鈴木強委員お話もございましたが、私は、今度の改訂計画、来年度の予算を見ますと、建設資は千三百五十七億でございますか、今年度の八百五十億に比較しますと六割近い増加でございます。昭和四十七年までに、この計画を遂行して、だれからでも申し込みがあればつける、どこからでも市外通話ができるという、この理想に邁進される第一年でありまして、非常に重要な年度だと思うのでございますが、先ほど来、どの程度の工事の進捗ができるのだということを、るる説明もございまして、私了承いたしたのでございまするけれども、五割以上の拡張計画をやるということは、私は並み大ていの努力では遂行できないんじゃないか、失礼なことを言うようですが、心配いたすのでございます。  そこで、第一年度でつまづくようなことがございましたならば、今後に及ぼす影響というものはきわめて甚大である、予算を見ますと建設勘定の増員は二百五十名となっております。これはもちろん保守等の人も使うんでしょうが、いろいろ能率も向上しておるでしょうし、いろいろの制度の改革もお考えになっておられるようでありますけれども、先ほど施設局長お話を聞けば、まず工事の平準化であるとか、あるいは土地の購入を早くして建築を早くするのだとか、あるいは設計を早めにしていくのだ、あるいはいろいろの資材、機械その他標準化を一応考えていくのだというようなことも言われております。これは私も、いつも考えられておることだと思うのであります。しかも年々、こういうことを考えながらしても予算の一割程度の繰り越しというものは、これはどうしても避けられない。そこで、先ほども工事の段取りだとか、資材の購入、メーカーの構えだとか、直営と請負いの問題だとか、いろいろ話されておりましたが、ここに抜本的な一つ考え方を、また施策を樹立される必要があるのじゃないだろうか。たとえばもうPBXなんというものは、これは自分がやっておるけれども、もう全部民間に、その面は、もう譲ってしまうのだとか、そういうふうな点について、まだ配慮が足りないように私感ぜられたのでありまするが、いま一つ、簡単でよろしゅうございますから、その点について、総裁の御意見でも承れば、けっこうだと思います。
  167. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 先ほど、来年度の工事を進捗することについての方策でありますが、考え方について、御質問がありまして、申し述べたのであります。そのいろいろの項目については、すでに鈴木委員お聞き取り下さったことと思うのであります。  これは、繰り返して申し上げませんが、私どもこの計画を立てるにあたりまして、来年度の私どもの仕事としては、これはもう、ほとんど唯一の最も大きな仕事であると、初めから考えております。本社、地方局また現場全従業員打って一丸となって、この完遂のために努力をしたい、かような考えで先ほど申し上げましたようなあらゆる点について考慮を払っておるわけであります。従いまして先ほど、他の委員の方からもお話がありましたように、従業員が、これに協力するように、私たちもこれを要請いたしまして、労組の方との話し合いもできるだけ進めて、よく協力をしてやっていきたい、かように決心をしておる次第でございます。
  168. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 この問題は総裁初め、皆さん非常に御心配のようでございますが、ぜひ予算が成立し、法案が成立いたしました三十五年度におきましては、繰り越しを全然なくせとは申しませんけれども、りっぱな業績を残していただくように切にお願いするのでありますが、それにつきましても、従業員待遇問題等につきましても、これは御心配になっておることは、私もよく承知いたしております。  しかし、最近も組合からの要求に対しては、ゼロ回答であるというふうなことを盛んに言われておるわけでありますが、何といたしましても、この大きな仕事を遂行するにつきましては、やはり私は、待遇の問題というものも配慮願わなければならないと思います。それがやはり一般の公務員から抜けまして、公社となりましたことも、そこらにも、私は意味もあることだと思うのでございます。もちろん関係の幹部の方々の努力によって、あるいは何と申しまするか、業績手当であるとかあるいは生産性向上の手当について、副総裁初め非常な御努力をなさっておることは、よく承知いたしております。  よくその点を従事員にも知らしめ、この事業の重要性をよく認識して、労働問題によって、この事業の完遂が危ぶまれるようなことがあってはならないと私ども思うのでありまして、どうぞその点については、御如才のないことと思うのでございますが、やはり上下の関係は、管理者被管理者の立場はあるにいたしましても、電気通信人でございますので、打って一丸となって、私は仕事をやってもらいたい、その点に対する総裁の御意見も、この際、承っておきたいと思います。
  169. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいま鈴木委員の御意見通り、私どもも全くその通りだと思います。事業の円満なる遂行は、結局従業員全部、打って一丸になってやらなければ、仕事がうまく行かないことは、これは申すまでもないことでありまして、従来とも、その心組みで今日までやってきているつもりであります。  従いまして、給与の面におきましても、また厚生施設の面においても、職場環境の点につきましても、あらゆる点について、配慮を今後といえども続けていくつもりであります。ただ、そのわれわれの趣旨が、十分従業員に徹底しないうらみも従来なかったではないと思います。ことにいろいろ団交の際、その他回答をする場合にも、いやこれはきくことができぬとか何とかいうすげないような、つまりただ結論だけを示したような回答なども多かったような私どもも考えているのであります。このたびの目下係争中になっております団交の途上におきましても、非常にたくさんな要求が出ておるのでありますが、これに対して、このたびの私どもの回答としては、できるだけ、なぜこの回答項目については意見をいれることができないかということについて、できるだけ懇切に理由を解明して、親切な回答をしたつもりであります。  まあ今後も、あらゆる点につきまして、十分趣旨を納得させるように、私ども話し合いの場においても、また回答の場合においても、その点に、特に注意いたして、十分納得を求めていくつもりでございます。
  170. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに御発言もなければ、本件に関しましては、本日は、この程度にとどめたいと存じます。  これにて散会いたします。    午後六時六分散会    ―――――・―――――