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1960-06-21 第34回国会 参議院 商工委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年六月二十一日(火曜日)    午前十一時二十七分開会   —————————————   委員異動 六月十八日委員井川伊平辞任につ き、その補欠として松村秀逸君を議長 において指名した。 六月二十日委員松村秀逸辞任につ き、その補欠として井川伊平君を議長 において指名した。 本日委員小林英三君及び斎藤昇辞任 につき、その補欠として後藤義隆君及 び最上英子君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 利壽君    理事            川上 為治君            古池 信三君    委員            赤間 文三君            上原 正吉君            岸田 幸雄君            後藤 義隆君            鈴木 万平君            高橋進太郎君            最上 英子君   国務大臣    通商産業大臣  池田 勇人君   政府委員    通商産業政務次    官       原田  憲君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省繊維    局長      今井 善衛君    通省産業省石炭    局長      樋詰 誠明君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を  正する法律案内閣提出衆議院送  付) ○繊維工業設備臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。  最初に委員異動について報告いたします。  本日小林英三君及び斎藤昇君が委員辞任され、その補欠として後藤義隆君及び最上英子君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 山本利壽

    委員長山本利壽君) それではまず石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 川上為治

    川上為治君 この改正法律案につきましては、今までもう何回かにわたりまして委員会を開きまして、いろいろな質問がありまして、私はもう特別に質問もないのでございますが、この際一つだけ御質問をしておきたいと思うのであります。この石炭鉱業につきまして合理化の必要でありますことは、これは論を待たないことでございまして、私どもとしましては、石油の競合の問題とか、いろいろな点から見まして、一日も早く合理化が完成されるように努力することが大事だと思うのでありますが、しかし、どうも合理化のために離職者が出る。この離職者に対しまして十分な対策が今日までできていないのじゃないか、また政府におきましては、それに対して十分な対策を立てようとしていないのじゃないかというような疑問を持っている人がたくさんいるわけであります。たとえば三池の争議につきましても、私も向こうに調査に参りましたが、第一組合なりあるいはそのシンパの人たちがいろいろなことを言っておりますけれども、そういうようなことは問題外としましても、一般の普通の人がどうも合理化をするけれども、そのために犠牲になりました離職者失業者に対する具体的な措置がとられてないじゃないか、それを十分とった上で合理化というのは進めていくべきだ、こういうようなことを第三者的立場にある人で言っている者もいるわけであります。私どもとしましては、いや、そうではないのだ、政府におきましてもいろいろな離職者対策とか、事をやって努力しているのだけれども、というようなことを言っておりますけれども、昨年から実施しております離職者援護会、この援護会において現在どういうような仕事をやっておりますか、その点について具体的にお話願いたいと思うのであります。なお、会社方面におきましては、合理化に伴う離職者に対して、会社自身として積極的にどういうような態度をとっているのか、どういうような措置をとっているのか、この点につきましても具体的にお話し願いたいと思うのであります。衆議院商工委員会におきましても、付帯決議をいたしまして、これに対しまして、政府におきましては、何か総合的な就労対策をとれというようなことを言っておりますが、これにつきましての政府の具体的な対策につきましてお伺いをいたしたいと思うのであります。
  5. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 炭鉱離職者援護会は一月の半ばに発足したわけでありますが、早々の時期には、まだ必ずしも実際活動ができなかったわけでありまして、大体今までにいろいろ、昨年の年度末までに約三千五百名ばかりの移住関係相談を受け、それから職業訓練関係におきまして三百十二名、それからその他生業資金相談職業あっせん、あるいは生活相談というもので、ほば四千五百名ばかりの人々の御相談を受けまして、大体そのうち移住関係その他につきましては、ほぼ現在までに六百名程度の者にはすでに金を渡して処理している、それ以外のものにつきましても、手続済み次第、逐次所要の資金を渡すということで、ようやくこのごろになりまして軌道に乗ってきたというわけであります。職業訓練等につきましても、月目各地におきまして、せっかく労働省において実施いたしておりますので、われわれといたしましては、過般、昨年の秋御増額願いました各地職業訓練所活動、あるいは、すでに今年度労働省におきまして、職業訓練所強化のほかに、特別に緊急就労対策事業というようなもので、訓練所に収容しきれない方々については収容するということをやっておりますので、さしあたりのところ必要最小限度措置はとれているというふうに存じておりますか、もちろんこれだけでは不十分でございますので、三月の二十八日に、御承知のように、日経連、あるいは商工会議所というものが中心になりまして、全産業を網羅いたしました石炭離職者雇用対策中央協議会というものが結成されたわけでございます。目下全国各地につきまして、その支部が続々と結成されておりまして、そうして鉄鋼業、あるいは化学工業繊維工業、これは全部の日本の産業を網羅いたしておりますので、それらの受け入れ態勢方々に常に石炭関係の情報というものをお伝えしながら、それらの方々の御意見を伺って、そうして最も適した方をそれぞれの産業に受け入れていただくということにつきまして、特段の努力をしているわけでございます。たとえばそのためにいろいろの住宅関係の問題といったようなものが、移動に伴ってどうしても必要でございますので、援護会におきまして、住宅奨励のために、労働者を雇ってくれて、そうして家を借りた、あるいは作ってくれたという人に対しては、一世帯について十万円の金を奨励金として交付する、あるいは部屋を借りてくれて離職者を入居させたといったような者には一万五千円、部屋の借り賃として出すというようなふうにして、まずもって住宅を確保するということにつきましても、具体的措置をとりながら、先ほど申しました訓練所と、それからそのほかに簡単な職業講習というようなものを実施することによって、必要な職を身につけることによって、各地に送り出すということについて努力いたしております。さらに関係各省、各産業界と連結をとりまして、今後ともこの線を強力に進めていきたいと考えております。
  6. 川上為治

    川上為治君 政府が最近とっておりますそういう具体的な対策につきましては、十分了承するわけでございますが、たとえば北海道炭礦汽船、ああいうところにおきましては、絶対に首は切らないというような話もあったようでございますけれども、最近の情勢を見ますと、そうでもない、相当の数、やはり首を切らなければならぬというような情勢になっておりましてやはり合理化をするためには私は予想以上に人員整理ということは行なわれていくのではないかという気がいたしますので、どうか政府におきましてもこの離職者対策につきましては、今まで以上にカを尽していただきたいということを特に希望申し上げたいと思うのであります。  それからもう一点お伺いしたいのは、これは流通問題のところでございますが、この法律によりますというと、第二十五条ですか、第八号に「石炭流通合理化に必要な設備資金の貸付け」というのがありますが、この石炭流通合理化というものは具体的にどういうことでございますか。というのは、この前も参考人を呼びましたとき、話がありましたようにどうも炭鉱坑内設備合理化とか、そういうことだけではなくてもっと流通機構等について合理化をするならば、トン当たり四百円くらいは低くなるというようなことも言っておりましたが、はたしてそういうことができるかどうか、私も非常に疑問に思っておりますけれども、もう少し販売系統について合理化をする余地がないものであるかどうか、この条文はそこまで入っているのかどうか、たとえば運賃にしましても、区石炭の産地においてはこれは運賃がほとんどないですから、非常に石炭価格石油と比較しましても競争できる、ところが問題は消費地で、東京とか、名合屋、大阪、こうした方面消費地において、その間の輸送賃が高いために石炭が非常に高くなってそうして石油との競争ができないというようなことになっているのが実情であるわけなんですが、そういう運賃などについて何かプールなり、特別な措置をとつて消費地石炭価格を安くするというような方法が具体的にできないものかどうか、そういう問題まで実はこの法律では考えているのかどうか、その点を一つお伺いしておきたいと思います。
  7. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 石炭鉱業離職者に対しましては、お話通り今後も十分力を入れてできるだけの措置をとるようにいたしたいと思います。また石炭合理化は山元までの合理化ももちろんでございますが、お話通り流通面における合理化も考えなければなりません。北海道から東京まで千五、六百円もかかるというような状況でございますので、ただいま考えておりますことは、やはり石炭輸送車用船を作る、こういうことも考えております。また今御承知通り何千種という種類があるのでございますが、この規格を統一いたしまして、そうして専用船で行くならば、相当経費の軽減ができるのではないかというようなことも考えておるのであります。
  8. 川上為治

    川上為治君 大臣お話でわかりましたが、私は単に坑内坑外設備合理化、あるいはその人員整理、こういうことだけではなくて、広く輸送関係、あるいはその配給関係、そうした方面についても極力合理化をして石炭価格が今後石油と十分に太刀打ちが一日も早くできるように御努力のほどを切にお願いしたいと思います。
  9. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 他に御発言がございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。本案を可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手
  11. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 全会一致と認めます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお、議長に提出する報告書作成等につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 御異議ないものと認めます。よってさように決定いたしました。   —————————————
  13. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 次に、繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず事務当局より内容説明を聴取いたしたいと存じますが、本案衆議院において修正されておりますので、右の修正点につきましても便宜上事務当局からあわせて説明を聴取することといたします。
  14. 今井善衛

    政府委員今井善衛君) 繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、その提案趣旨につきましては提案理由によりまして明らかでございますが、若干補足的に説明さしていただきますとともに、衆議院修正になりました点につきましてもかわりまして説明さしていただきたいと思います。  繊維工業設備臨時措置法趣旨につきましては、これは御承知のように、繊維工業わが国の非常に重要な輸出産業でございまして、ところ過剰設備を過去におきましても、また現在におきましても非常にたくさんかかえておりまして、それがあるいは輸出品の安売りとなり、あるいは国内につきましても繊維不況を繰り返しておるという原因になっておるわけでございます。そこで、この法律は、そういった過剰設備を適当に処理いたしますことによりまして、繊維工業を長期的に見て安定的な発展を遂げさしたいというのがこの法律の目的でございます。  ところで、私ども繊維産業に対する行政といたしまして、ただいま申しましたこの法律によります設備規制と、それからもう一つ原料正面に対するところ為替割当、この二つを二本の柱として運営して参っておるのでございますが、原料面に対する為替割当ということは、貿易自由化という世界的な趨勢から見まして長くは続けられない。また繊維工業自体立場から申しましても、この綿花羊毛を自由に輸入させることによりまして、企業全体の体質は改善されることでございましょうし、あるいはコストが安くなる、こういった輸出面に貢献する見地からいたしましても、あるいは消費者に対しまして豊富低廉な繊維製品を供給するという見地から申しましても、あるいはまたこの機屋さん等の中小企業に対しまして安い原糸が入手できる。それによりまして従来中小企業の宿命といわれましたところ原料高製品安という悪い環境を打破するという見地から申しましても、いずれの見地から申しましても、この際綿花羊毛自由化に踏み切るということは、これは長い目で見まして、繊維産業にとりまして長期的に発展させる道であるというふうな観点からいたしまして、政府といたしましては、昨年の暮れ以来、繊維総合対策懇談会で慎重に検討いたしました結果、この際綿花羊毛自由化に踏み切る方がいいということで、来年の四月から綿花羊毛につきましては貿易自由化に踏み切るという旨を昨年の暮れに発表した次第でございます。  そうなりますと、先ほど申しましたように、この繊維行政は今まで設備面規制原料血規制という二本の柱でやっておりましたものか、一本の柱が抜けまして、あと一木のこの法律によりまるところ設備規制だけでもってささえるということに相なるわけでございまして、従いましてその面に非常にロードがかかる。この現行法のままでやります場合におきましては、過渡的に非常な混乱が予想されるのでございます。つまりこの綿花羊毛自由化を行ないますることによりまして輸入がふえる。その結果、たとえば過剰生産になる。それからひいては市況が不安定になり、あるいはコストを割るようなことが起こる。この場合におきまして企業に対しておもしろくない影響がありますほかに、関連いたしまるところ中小企業あるいは従業員に対しましても不測の迷惑をかけるというふうなことが予想されますので、従いまして、どうしてもそれらの混乱を回避いたしますためには、過渡的に設備面に対する規制最小限度強化しなければならぬというのが、一言に申しますとこの法律内容でございまして、例をもって御説明いたしますと、たとえば繊維工業におきまして市況の安定ということが非常に大事な要素でございますが、従来この市況の安定につきましては、この法律によりまする格納等によりまする設備規制と、それから行政措置によりまする勧告操短というような制度を併用して参ったのでございますが、ところが今後貿易自由化によりまして原料割当ということがなくなりますと、これは俗な言葉で申しますと、政府のにらみがきかなくなるというふうな関係になるわけでございまして、従いまして、どうしても今後の青給調整は、この法律に基づきますところ設備規制一本で行なわざるを得ない。さような観点からいたしまして、今回この法律改正の要点といたしまして、従来設備規制は、主として長期的観点から行なっておりましたものを、長期的観点のほかに短期的なこの需給調整観点も入れる。またこの設備規制に対しまして協力をしてくれないところのたとえばアウトサイダーがあります場合には、このアウトサイダーに命令を出しまして、アウトサイダーにも協力をしてもらうというような面も織り込んでございます。また、従来はこの法律に対する違反という問題につきましても、原料割当というふうなことからにらみをきかせておったのでございますが、さようなことができなくなるということで取り締まりの強化というようなことも織り込んでおるわけでございます。  それからこの法律の期限は、今度の改正案によりまして四年間延長していただきたい、それによりまして、この繊維産業の安定の目標時点というものを昭和四十年度にいたしたいということにいたしておりまして、それによりまして、貿易自由化に伴う混乱をできるだけ避けまして、円滑に新しい秩序に導いていきたい、かように考えておる次第でございます。昨年の暮れに貿易自由化を発表しまして、まだ現在は自由化になっていないのでございますが、その発表によりまして、市況と申しますか、業界の方はすでに貿易自由化になかば踏み出したような態勢でございまして、そのためにこの市況低迷低迷を重ねておる次第でございまして、従いまして、私どもといたしましては一日も早くこの改正案を施行いたしまして、この改正案の施行によりまして市況の安定をはかりたいと、かように考えておりますので、ぜひこの会期中に御可決をお願いしたいと思うのでございます。  次に、衆議院におきましてこの改正案全会一致で採択せられたのでございますが、その際に三党の共同提案による修正案がございまして、これも可決されたのでございますが、お手元にございますのが修正案でございまして、この内容は、第三十一条の三といたしまして、「(苦情の申出)」という一条を追加すると、前の方にございますのは、これは単なる条文整理でございます。この「(苦情の申出)」の規定は、共同行為設備処理のための共同行為指示に関しまして、たとえばこの事業者の方でそれに従事いたします従業員労働条件低下させるとか、あるいは首切りが行なわれるというふうなことが万一ありました場合に、通産大臣に対しまして苦情申し出をすることができる。それによりましてこの関係従業員を保護し、通産大臣といたしましてもそれに対して善処したいという規定でございます。  もう少し詳しく申し上げますと、先ほど申しましたように、この法律によりまして、現在非常に過剰になっております繊維工業設備、それを一定時点、この法律では目標年度と申しておりますが、で、この今度の改正案によりますと目標年度は四十年度ということになるのでございますが、その将来の一定時点を考えまして、その際なお現在持っておりまる設備が過剰であるというふうに考えられます場合は、その目標時点設備の過不足と比べまして過剰分というものを格納なり、あるいは封緘なり、さような措置をすることになっておるわけでございます。そういたしますと、企業といたしましては、百分の持っております設備を若干たな上げいたしまして、動かすことができない、さような事態におきましてはまま労務者しわが寄りやすいということになるわけでございます。私どもといたしましては、この法律の運用によりまして、たとえば格納なりする、それによりまして労務者しわが寄るというふうなことは絶対に避けたいということから、この共同行為指示通産大臣告示で行ないます場合に、さような首切りなり、あるいは労働条件低下をさせてはならないということを告示ではっきり示しておるのでございますが、それによりましてさような首切り、あるいは労働条件低下ということは、これは十分避け得ると考えるのでございますが、万が一にもそのためにしわ寄せがありまして、たとえばこの労働条件低下というふうなことがあります場合に、それに対する救済手段を認める必要がある。で、その救済手段といたしまして、この条文にありますように、苦情申し出通産大臣にしまして、そして通産大臣といたしましては、それを受けまして、設備審議会におきまして三者構成よりなる公正なる委員会でもって両者の言い分を聞きまして善処すると、かような趣旨でございまして、私ども趣旨におきましてはしごくごもっともであると考えるのでございます。  以上簡単に補足説明並びに修正案説明をさしていただまました。
  15. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  16. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 大臣にお伺いいたしたいんですか、繊維工業、われわれがまあ物心のついたころからしょっちゅう操短であるとか、そういうようなことが繰り返されておるのでございますが、一体、しかも紡績業と申しますと、わが国においてもその設備なり何なりにおいて一番大きな資本的な規模じゃないかと、こう考えるのですが、もう少し自主的に、一体こういうようなしょっちゅう繰り返しているような操短、こういったようなものがもう少し自主的にしてあるいは若干のものはその系列でしょっちゅうそういうような世話をするとか、もう少し業界自体が自主的に運営ができないものかどうか、その点について。
  17. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 繊維関係におきまして他の産業よりも浮沈の度が非常に激しいということは、一つ国際的商品であるということ、もう一つは割合に小資本でできるのでございます、そういう二つの点から出て参っております。従いまして、これは生糸においてもそうでございましたが、綿、毛におきましても、その域を脱しないのであります、今から五年前の三十一年に繊維工業設備臨時措置法ができましたときに、相当操短をやり、格納をいたしましたが、その後やはり能率の上昇によりまして、需要が相当ふえて参りましたが、生産能率が上がってきたために、やはり需給調整がつかぬということに相なったのであります。今後また四年間延ばしまするが、その間におきましては操短その他をとめまして、消費のふえるので、四年後にはマッチしていくのではないか、こう考えておるのであります。繊維というものが国際的な問題であると同時に、非常に小資本機屋等ができる、そういうような関係から参っておる。また紡績の方につきましても、十大紡がございますが、紡績会社が百三、三十になっている。小資本の人も相当にあるという状況でございまして、わが国のみならず、先進国のイギリスにおきましても、現に操短をやって調整をしておる状況でございます。
  18. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 その点の事情はわかりましたが、逆に過剰設備整理するということになりますと、新しく新規に作る、こういうものはおそらく抑制されるということになり、ある程度独占的な形式をとらざるを得ないということになるのじゃないかと思いますが、その点の関係はどういうことになりますか。
  19. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 機械の正更新は認めております。新しい機械に……。今も各会社設備ははっきりわかっております。綿ともは違いまするが、格納幾ら操短幾らと、綿にはやっておるわけでございます。
  20. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それから過剰設備をこういう工合にいたしますと、これに伴っていわゆる離職者という面はどういうふうな対策をお考えになっていますか。
  21. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) ただいまのところ紡績の力は離職者というのはございません。人員をふやす程度でございましょう。交代はございますが。労働関係におきましては、この制度でやっていくならば、そう私は離職者が出るとも考えておりません。ただ問題は、合理化によりまして工場を一緒にするとか、いろいろな合理化のための配置転換ということで、問題は従来も起こっておるのであります。繊維工業全体といたしましては、まだ輸出も相当伸びておりまして、私は離職者はあまり考えなくてもいいのではないかと思います。
  22. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 次にお伺いしたいのですが、繊維工業について今御説明を聞きますと、大体貿易自由化というものの一つの問題点としてこういったような生産合理化ということを重点にしておられるのですが、どうもわれわれ海外市場の状況を見ますと、日本の繊維品ほど乱売と申しますか、非常に過当競争があり、各地域でお互いに値をくずすと、こういうようなことが非常な障害になっておるようにも思われるのですが、一体そういったような流通面と申しますか、特に海外における販売面につきましての措置はどうせられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  23. 今井善衛

    政府委員今井善衛君) 繊維製品について安売りが行なわれておりますのは事実でございます。その原因は一つあると考えられるのでございまして一つは、貿易業者がお互いに競争いたします結果、非常に低いマージンで輸出するという面でございまして、もら一つは、生産業者がお互ついに過当の競争をいたします結果、場合によりましてコストを切るようなことで輸出されるという問題でございます。生産業者の安売りの問題につきましては、この法律の実施によりまして非常に少なぐなって参っておりましてそういう意味でこの法律の効果があるというふうに考えております。それから、輸出業者の安売りにきましては、現在でも輸出入取引法によりまして、輸出組合あるいは業者協定によりまして、できるだけ協調態勢をとりまして安売り防止に努めております。これは昔の状態よりはずっと改善されたとわれわれ思っておりますけれども、なおまださような余地があるということで、いろいろ指導しておる状態でございます。
  24. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 最後にもう一点お伺いいたしたいのですが、繊維産業につきましては、日本といたしましても幾多の変遷がございましたが、最近の事業自体の情勢を見ますると、従来は、主として羊毛であるとか綿であるとか、そういったようなものに依存してきたのが、最近においては、ほとんど化学繊維にその重点を置いている。ところが、その化学繊維でも刻々それがあるいは石油化学を基礎にするとかというふうに、非常に繊維産業と申しますか、繊維工業自体が非常な高度な一つ産業革命と申しますか、そういうような進展をしておるようでありまして、従って、日本の繊維工業わが国貿易をささえる大きな支柱であるということになりますと、これが単なるそういう設備合理化であるとか、そういうような問題のほかに、たとえばそういう原料のコストの問題とか、そういう世界的な水準において繊維工業全体が総合的に何らかの科学的な上昇線をたどっていくということが常に必要じゃないか。そういうことを依然として各紡績会社なり、あるいは化学会社にまかせていいのかどうか、われわれから見ますると、こういう過剰設備のそういう整理もあるいは必要かと思うけれども、もっと何かそういう繊維工業全体についての総合的な国の施策というものが必要であり、あるいは総合的な科学研究というようなものも必要であるのではないかというように感じられるのですが、この点についての適産大臣の御所見をお適いしたいと思います。
  25. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話、まことにごもっともでございまして、わが国輸出産業で最も重要な繊維工業をどうしようかというので、私は、まず、繊維工業というものをほんとうの姿にしなきゃならぬ、こういうので自由化に踏み切ったおけでございます。先ほど繊維局長からお話し申し上げましたごとく、安売りがある程度行なわれております。それは、局長の答弁に補足いたしまするが、やはり原綿、原毛の統制が安売りの一つの原因をなしておるのであります。やはり輸出の実績によりまして原綿、原毛は渡すと、こういうことが外国への安売りの一つの原因になったと思います。従いましてそういうことを除きますと同時に、原材料につきまして、羊毛では多いときは三割、綿でも二割程度の何でございますか、実績によってやみ取引が行なわれる。こういうものを自由化して排除し、ほんとうにいい品物を安く売るようにというので自由化していったのでございます。御承知通り、綿も目的化によりまして相当下がりました。毛糸のごときは、国際的に見まして英国の相場が一ポンド千五百円程度のものが、合理化する前には十七、八百円、二千円しておった。今は非常に下がりまして、国際相場よりも二百円程度安い千三百円程度に下がる。こういうふうな、少し下がり過ぎた気配がありますが、原材料を自由化して、繊維工業のいわゆる本質を国際的に改めるということでいっておるのであります。  しこうして、お話の綿、羊毛と化繊、合成繊維の問題でございます。綿、羊毛合理化いたします場合におきまして、化繊等におきましては、原材料のパルプが国際的に見て日本は非常に言うございます。これをどうしてくれるか、あるいはまた、合成繊維のほうで原材料の輸入の自由化を認めずに、羊毛、綿だけを自由化しては不公正じゃないかという議論もございましたが、まあ化繊のほうは、御承知通り、人組が国際的によほど落ちて参った。それは自然に他の合成繊維のほうにかわっていくべきだ。合成繊維は、御承知通り非常に伸びております。この伸び方が、綿、毛よりも非常な伸び方でございまするから、ある程度綿、羊毛につきましても自由化しても、合成繊維のほうはそう競争力が落ちない。しかも、合成繊維につきましては、従来相当の奨励施策をとっております。しかし、これも過当競争になってはいかないので、生産につきまして十分他の繊維関係と、また同業者問の不当な競争の起こうないように、設備その他につきまして勧告をして、綿、羊毛、化繊、合成繊維が合理的に伸びていくという方向に今進んでおるのであります。
  26. 川上為治

    川上為治君 私も一点お尋ねしておきたいと思うのですが、一般の中小企業者は、大企業者が独占禁止法の除外となっていろいろな共同行為を自由にやることについては、いろいろ反対している動きなり意見があるわけなんですが、今度の法律改正によりまして、まあ自由化に備えるためにかようなことをするということは、私はこれはやむを得ないことだというふうに考えておりますけれども共同行為強化とか、あるいはそれに対する政府の助成措置とか、そういうようなことが強化されますというと、勢い中小企業者との間に摩擦が起きてきやしないだろうかというような気持がいたすわけであります。機屋との関係とか、そういうような問題が非常にむずかしい問題が出てきやしないかと思うのですが、そういう点について、こういう法律改正することによってかえって中小企業者が安定を受けるんだというようなことになるのでしょうか、その点について御意見を承っておきたいと思います。
  27. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 資本においても技術においても中小企業は大企業より劣っております。従いまして中小企業を育成し、その業態の安定をはかる上からも、私は中小企業のための法律といっても過言でないくらいに考えておるのであります。
  28. 川上為治

    川上為治君 もう一つ私は承っておきますが、大臣は言われておるのですが、来年の四月になって羊毛なり綿花、こうしたものの貿易自由化をやるということで、現在いろいろ、この法律案を出されたし、その準備をされておるわけでしょうが、製品輸入についての自由化というものはどういうふうにお考えでしょうか。製品と申しましても、綿製品なり羊毛製品なり、その他いろいろな種類のものがあるわけでございまして、それぞれ非常に違ったものがあると思うのですが、しかし、貿易自由化というのは、どうしても私どもはやらなくちゃならぬ至上的なものだというふうに考えますけれども、三年後にこういう製品についての貿易自由化というものがはたして日本においてできますでしょうか。それとも、こういうことはなるべく急がないで、中小企業なりそうしたものに対する影響が非常に大きいですから、そういう点についてどういうようにお考えでしょうか。これは具体的に発表されるということは、なかなか業界に問題もありましょうが、大体の御方針を承っておきたいと思います。
  29. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 製品の自由化につきましては、私は今具体的に考えておりません。これは相手のあることでございます。まあ全体から申しますると、綿につきましては、どの国に比べてもひけをとりません。従って、これはいつ自由化しても——相手国が特にダンピングをやるというようなことがあれば別でございます。正常な状態におきましては、綿につきましてはいつやっても心配はない。しかし、御承知通りイギリスにいたしましても、ドイツにいたしましても、ドイツは最近改めつつありますが、日本の綿製品につきましては非常にきつい制限を加えておるのであります。従いまして、競争相手のイギリスが日本の製品について自由にしなければ日本も自由にしない考えでおります。  それから羊毛につきましては、これは全体申しまして、綿のように日本の羊毛界は十分な競争力を持っておるとは言えません。イギリスに対しましては、これは負けない。しかし、最近のイタリアの伸びというものは非常なものでございまして、イギリスだけならば、私は、今の紡毛の方は競争力がないけれども、普通のものならば競争力がある。イタリアに対しましては、なかなか日本は安心できない。こういう状況でございますので、原料の羊毛自由化しますが、羊毛製品、毛織物につきましては、まだ実態を見なければ、いつ、どうこうということはできぬと考えておるのであります。  それから化繊並びに合成繊維につきましては、ナイロンなんかは御承知通り非常に輸出しております。自由化してもいいという説と、原材料が自由化していないからまだ早いという説でございますが、私は、製品につきましては、これは一番しまいにくれば、まず原料からどんどんやっていく、製品は関税制度その他と見合いながら、また外国の態度を検討しながら徐々にきめていくべきものと考えております。日本の競争力を強めるために業種別振興法を御決議願いましたのも、羊毛界におきまして十分太刀打ちできるような振興策を講じて、それから後に製品の自由化ということを考えたいと思っておるのであります。
  30. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 他に御質疑はございませんか。——御発言がなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  本案衆議院送付通り可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手
  31. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 全会一致と認めます。よって本案全会一致をもって衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書作成等につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 御異議ないものと認めます。よってさよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十六分散会