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1960-04-19 第34回国会 参議院 商工委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十九日(火曜日)    午後二時八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 利壽君    理事            川上 為治君            古池 信三君            栗山 良夫君            牛田  寛君    委員            井川 伊平君            岸田 幸雄君            斎藤  昇君            鈴木 万平君            阿部 竹松君            近藤 信一君            椿  繁夫君            島   清君            加藤 正人君   衆議院議員    始関 伊平君   国務大臣    通商産業大臣  池田 勇人君   政府委員    通商産業政務次    官       内田 常雄君    通商産業省鉱山    局長      福井 政男君    通商産業省石炭    局長      樋詰 誠明君    中小企業庁長官 小山 雄二君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省公益    事業局需給課長 瀬川 正男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○商工会組織等に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○中小企業業種別振興臨時措置法案  (内閣提出衆議院送付) ○重油ボイラー設置制限等に関す  る臨時措置に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。  本日は商工会組織等に関する法律案について補足説明及び衆議院における修正部分に関する説明を聞き、次に、中小企業種別振興臨時措置法案重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の二案について審議を行ないます。  まず、商工会組織等に関する法律案議題といたします。事務当局より内容について説明を聴取いたします。
  3. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 商工会組織等に関する法律案につきまして補足説明を申し上げます。  まず、法律目的でございますが、この法律のねらいとするところは、市部においてはすでに商工業総合的改善発達をはかるための組織として商工会議所制度があるのに対して、町村等郡部におきましては、このような制度がないために、主として町村における商工業総合的改善発達をはかるための組織として商工会を設立することとし、その事業会員設立手続、管理、監督等について定めますとともに、その商工会及びすでにでき上がつておる商工会議所が行ないます小規模事業者のための事業活動を促進するための措置、すなわちこれに対する国の助成を行なうことの二つにあるわけであります。  第二章に商工会組織に関して定めた規定がございますが、まず、商工会目的規定しておりまして、商工会はその地区内における商工業の総合的な改善発達をはかることを目的とする団体規定してあります。これは商工会目的を現在すでに任意に存在している商工会の実体と合わせたものでありますが、その意味においては商工会議所のごとく、社会一般の福祉までは目的といたしませんが、主として市部における商工会議所に対応する郡部商工業者一般の相互的な地域団体といえるのであります。  次に第三章は、本法案のもう一つの主要な内容をなす助成規定でありますが、第五十六条に、都道府県が、商工会または商工会議所の行ないます小規模事業者経営または技術改善発達のための事業実施に要する経費について補助する場合には、国は政令で定めるところにより、その都道府県に対して、その補助経費の一部を補助することができる旨を規定しております。補助の対象は、郡部についてはこの法律によって設立される商工会が、または市部においては商工会議所が、それぞれ実施する小規模事業者経営技術改善発達のための事業に必要な経費であります。また補助金交付の方法は、他の中小企業関係補助金の例に見られるところでありますが、都道府県補助した場合にその経費の一部を国が補助するという間接補助の建前をとつております。  以下主要な点につきまして簡単に申し上げます。  商工会地区でありますが、先に申し上げましたごとく、商工会は、その地区内における商工業の総合的な改善発達をはかることを目的とする団体として性格をきめました関係上、商工会議所と同じく地域団体とする旨を規定しているのであります。そうして市には原則として商工会議所が設立されますので、商工会地区は、原則として一つ町村区域としているのであります。ただ市にあっては、商工会議所がまだ設立されるに至っていないものもありますし、また一つ町村だけでは商工会を作りにくく、隣接町村と合わせて商工会作つた方実情に即する場合があると思われますので、このような場合については、一つの市または隣接の三つ以上の市町村区域地区とすることができることとなっております。また同条第二項では、地区重複禁止規定を設けておりますが、商工会は、商工会議所と同じく地域団体でありますので、商工会同士または商工会商工会議所地区は重複してはならない旨を規定しております。これは商工会性格を、商工会議所と同じように、地域商工業の総合的な改善発達をはかる団体であると規定する以上は、制度的には重複させるということは適当でないからであります。  次に事業でございますが、事業は、五号にわたりまして商工会の行なう典型的な事業を列挙しておりますが、その事実の中で、最も重要な事業は、一号の商工業相談または指導に関する業務であります。  次は、商工会会員資格に関する点でございますが、先ほども出し上げましたように、商工会小規模事業者のみの組織ではないので、地区内のすべての商工業者会員になり得ることにしております。ただ明らかに地区に居住する商工業者でないと因りますので、本条では、原則として商工会議所と同じく引き続き六ヵ月以上その土地に営業所工場等を有する商工業者であることを会員資格要件としているのであります。  次に、一般の同種の法案と多少異なっておりますような点で、役員の点でありますが、役員としては会長一人、副会長二人以内、理事十人以内及び監事二人以内と数を定めておりますが、役員になり得る資格の問題として会長役員のうちのと三分の二以上は会員から選出しなければならないということを規定しておるのであります。従ってその反対解釈として定数の三分の一以下の役員会員以外からも選出することになるのでありますが、これは商工会に、その会員主要部分規模の小さい事業者によって構成される組織であるため、すべて員外役員はいけないということにいたしますと、会の運営にも支障をきたす場合があると考えられますので、このように規定いたしたのでありますが、この点は中小企業関係組合等においては大体同様の規定になっております。  以上主要な点だけを申し上げまして説明にかえる次第でございます。
  4. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 次に本案に対する衆議院修正部分について説明を聴取いたします。
  5. 始関伊平

    衆議院議員始関伊平君) ただいま議題となっております商工会組織等に関する法律案につきましては、衆議院において数点の修正を行ないましたので、私からその要旨を御説明申し上げます。  第一点は、商工会事業の範囲についてでありまして、その一つ政府原案における商工業に関する相談指導等のほか、商工会としての意見公表及び国会、行政庁等に対する具申または建議及び行政庁の諮問に応じての答申を加えることといたしたことであります。商工会議所法にも実は同様な規定がございまして、商工会に対しましてもこのような権能を認めることが適当であると考えましてこのように修正をいたした次第でございます。  それからもう一つの点は、商工業者の委託を受けて当該商工業者が行ならべき事務(その従業員のための事務を含む。)を処理することを、その他の事業の中に例示的に明記したことでございます。これはたとえば社会保険及び納税の事務代行など、その商工業者が行なうべき事務をその商工会が引き受けて処理をしてやろう、こういう趣旨の規定でございます。  それから第二点は、設立認可手続についてでありまして、原案では、認可申請書に、定款、事業計画及び収支予算並びに役員氏名その他通商産業省令で定める事項を記載した書面を添付することとなっておつたのでありましたが、添付書面記載事項は、すべて省令に委任することといたしまして、法律からは役員氏名の明示を削除いたしたのでございます。それが第二点でございます。  それから第三点は、役員についてでございまして、その一つは、原案では、ただいま政府委員から説明がございましたように、商工会理事は十人以内となっていたのを二十人以内というふうに増員をいたしたのでございます。これは商工会規模その他の事情によりまして、理事は二十人程度までは認める必要があろうというふうに考えた次第でございます。  それから役員に関するもう一つの点は、原案では定数の三分の一以内の員外役員を認めることにいたしておるのでございましたが、これを役員原則として会員に限ることといたしまして、いわゆる員外役員の方は例外として商工会運営上特に必要がある場合においては、理事定数の十分の一以内に限り、つまり二十人の十分の一でございますから二人ということになりますが、二人までは会員外理事を認めることにいたした点でございます。  それから第四点は総代会についてでございまして、原案では会員総数が百人をこえる商工会総代会設置を認めることとなっておりましたが、これを二百人をこえる商工会に限るように改めた次第でございます。  第五点は名称使用制限に関するものでありまして、原案の付則の経過規定におきましては、法律施行の際、現に商工会という名称を用いている者は施行後一年以内にその名称を変更しなければならないというふうにいたしておるのでございすが、現存いたしまする商工会実情等を考慮いたしまして、一年以内を三年以内というふうに延長いたしたことでございます。それは御承知の通り商工会は数が相当にございまして、現在二千五百以上もあるということでございますので、これを整理選択をいたしまして、商工会として本法による法人格を認めていくものを決定するにも相当時間もかかるような実情等を勘案いたしまして、三年以内というふうに延長いたした次第であります。  以上、修正要旨につきまして一応御説明をいたしましたのでございますが、御質問に応じましてお答えを申し上げて参りたいと存じておる次第でございます。よろしくお願いたします。
  6. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 本案に関する質疑は都合により後日に譲ります。   —————————————
  7. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 次に、中小企業業種別振興臨時措置法案議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 川上為治

    川上為治君 この法律案内容を見てみますというと、一番どうしてもこれは法律にしなければならぬというのは、報告徴収とか、あるいはその検査とか、こういうのが法律をどうしても制定しなければならぬということで、あとは法律にこういう条文がなくても、それぞれ行政的な措置によってできるのじゃないかというような気がいたすのですが、どうしてもこういうような点について法律事項にしないというと行政的に非常にやりにくいというような点がございますか。その点について一点お伺いしたいと思います。
  9. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 法律を必要といたしまするこの点は、事務的に申しますると、審議会を設けるということと、報告を取るということであります。もう一つ勧告を必要な場合にやるというような問題がありますけれども、これは勧告法律的効果ともからみまして、まあ必ず法律でなければならぬかという点、多少疑問がございます。従って、審議会設置報告を取るという点だろうと思います。ただ、私どもといたしましては、こういう仕事を進めて参ります際に、法律があった方がいいと申しますか、法律がなければやりにくいというような点につきましては、やりにくい、やりにくくないというよりは、何といいますか、企業対策でありまして、非常に事柄がむずかしい。従って、いろいろ改善事項を定めたり、あるいはその後それを推進して参りまする際に、何といいますか、衆知を集めた審議会というものを背景といたしまして、審議会で慎重に御審議願つて、その成果をもってこの指導育成に当たっていくという実態的な面に非常にウエートを置いているわけでありまして、そういう審議会衆知を集めて各方面の権威で御審議を願つたこと、そういう事実を背景として中小企業対策、まあ非常にやりにくい企業対策というものを推進して参りたい、こういう考え方をいたしております。
  10. 川上為治

    川上為治君 この審議会ですね、これはやはり予算関係から、どうしてもこういう審議会法律によって作らなければならぬというようなことになるわけですか。
  11. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 予算関係もございますし、まあ従来、閣議決定による審議会的なものもございましたけれども、最近ではこういうものを作りますときには全部法律を必要とする、予算関係でなくても法律を必要とするということになってきております。
  12. 川上為治

    川上為治君 その点はわかりましたが、その次にこの法律を見ますというと、いろんな点について直接通産大臣主務大臣がいろんな勧告なり、あるいは指導をするというようなことになっておりますが、地方のいろんな業者に対して直接主務大臣勧告なりいろんなことをやるということは今非常にむずかしいと思うのですが、地方行政庁、そういうところの権限はどういうことになっておりますか。その点を一つお伺いしたいと思います。
  13. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 先ほど申しましたように、この法律の運用は審議会を中心としてやっていこうということであります。従って、審議会業種を選別いたします場合も、また改善事項をきめます場合も、また報告徴収するというようなときも、審議会の御意見を聞いて、その上で主務大臣がそれを実行していくという仕組みに考えておるわけでございます。従って、そういう面では直接地方庁を使うという考え方はいたしておりません。ただ改善事項実施指導するような場合には、関係方面も多方面にわたりますので、もちろん地方長官を初めとして特殊の中小企業関係団体等を利用してやりますが、法律にきめております報告徴収とか、勧告とか、そういう種類のことは主務大臣が直接審議会意見を聞いて直接やって参るという考え方でおります。
  14. 川上為治

    川上為治君 今の点をもう一ぺんお聞きしたいのですが。大臣が一々その指定業種についての中小企業者なりあるはその関係業者に対して勧告したり、あるいはまた調査をするというようなことは非常に繁雑になってくるのじゃないかと思うのですが、そういう業者に対しての個々勧告なり指導については、やはり地方庁使つた方が非常に実態に沿うておるのじゃないかと思うのですが、地方庁をどういうような格好にして使うことになりますか。勧告の場合には全然地方庁を通らないということになりまして、主務大臣が直接その業者に対して勧告をするというような運営やり方になるわけですか。その点をもら一ぺんお伺いしたいと思います。
  15. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 従来企業診断というものをやっております。これは個別企業診断——いろいろ、まとまつた診断産地診断等もございますが、主として個別の企業内で診断をやっておるわけでございます。こういうことになりますと、それぞれの、一つ一つの数多い中小企業が相手でありますけれども、今回の場合は業種別問題点を発見して、そこに手を打っていくという考え方でありまして、この勧告あるいは報告を取るというようなことも、一般的にこういうことについてはこうやってもらいたいという勧告をする、報告一般的にそういう業種中小企業に対してこういう点について報告を取るという形が大部分だろうと思います。従って、そういう全措置主務大臣がやる。それの実施その他の面で地方長官地方庁等に応援してもらうということはもちろんでありますけれども、そういう勧告なり報告収等の点の発動のもとというものは主務大臣で十分やっていけるのではないかと、こう考えております。
  16. 川上為治

    川上為治君 そうしますというと、この勧告にしましても、調査にしましても、個々のものをとらえて、その個々に対してやるというようなことよりも、むしろその業界一般的にやるということになるわけですね。だからやはりこれは中央でその業界全体をながめておる所管大臣の方から勧告なりあるいは調査なり指導をした方がいいということですね。
  17. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) たとえば調査の場合にも、まあ既存のいろいろな診断あるいは実態調査等で手に入れている資料等相当ありますけれども、それで足りない面を調査する、ところがたとえばある産地のところはわかつているけれども、ほかのところはわからぬというような差はあると思いますけれども、大体のところは一般的に、たとえば元請、下請関係調査する、実態をもうちょっとつかみたいというようなときは、ある幾つかの元請に対するその関係下請というものは結局なるべく広く調べたいと思いますけれども、調べる事柄は大体わかつてくるということになろうかと思います。それでそういう報告をとるということにきめました場合には、その実施につきましては、先ほど申しましたように地方庁等十分手伝つてもらいます。その報告をこういう形でとるということ自体は一般的なことで、主務大臣で十分やっていけると思います。
  18. 川上為治

    川上為治君 一応その点は了承いたしましたが、この勧告にしましても、報告義務違つて勧告をしましても、それが勧告のやりつぱなしというようなふうになりやしないだろうかというふうな心配を私は持つのですが、これに対しては別に勧告して、それを聞かない場合はどうするというようなことは、何にもございませんし、また今までの法律などによりましても、たとえば中小企業団体組織法の中にも、やはり勧告関係のそういうような条文があるのですが、どうもこれはあまり強くない法律じゃないかと思うのですが、はたしてこれで十分その業界指導なりあるいはその改善ということがうまくいくものでしょうか、その点私非常に心配しておりますが、ここを一つ
  19. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 企業対策でありますとともに、企業間の競争関係あるいは取引関係というものが非常に複雑でありまして、これに法律的な、画一的といいますか、規制を加えるということは非常に事柄性質上むずかしいと思います。強権的な規制というものは現在の段階ではなかなか事柄事柄だけにむずかしいと考えております。また逆にお尋ねの勧告効果があまり上がらないんじゃないかということも、法律的にはまさに勧告をやりましても聞かなければそれつきりということでございますが、先ほど申しましたように、審議会を設けまして衆知を集めて適切な対策を立てていただいて、それを背景として勧告を出すわけでありまして、私どもとしましては、そういう背景事柄が進められるという意味において、社会効果といいますか、そういうものは相当な期待を持っていいんじゃないか、みんなで集まってきめたことに基づいて勧告されたということで、公表等のこともありますし、そういう意味効果相当ありはしないかと考えております。
  20. 川上為治

    川上為治君 この勧告条文を見ますと、これは第三条の各号の中で第五号の競争正常化に関する事項、それから第六号の取引関係改善に関する事項、これにまあ一応限定されておるのですが、こういう五、六号、これについてはたとえば独占禁止法がありますし、あるいは六号については下請代金の遅払い、遅延防止法とか、中小企業団体組織法とか、そういうようなものがあるのですから、その法律をフルに活用しましたならば、何もこの条文を置かなくてもできるのじゃないかというような気がいたすのですが、それではどうしてもなかなかうまくいかない、やはりこの第四条をどうしても置かなければならぬという理由はどういう点にあるのでしょうか。
  21. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 勧告を五号、六号、競争正常化の問題と取引関係改善の問題に限りましたわけは、五号、六号を除きまして、一号から四号及び七号の問題は、大体個々中小企業者の内部の問題といいますか、いずれも改善事項がきまりましたときには、まずもって個々中小企業者の方で努力すべき問題だ、行政官庁としてはそれを指導とかあるいは資金的な援助ということで助けていくという性質事柄であります。これに反しまして五号、六号の問題は、いわば中小企業者の環境整備問題といいますか、個々中小企業者の努力だけではだめで、大企業の問題あるいは取引関係者の問題、そういう協力がなければ実効が上がらないという問題でありますので、この二つ限つて勧告を置いたわけであります。また今御指摘のように、たとえば下請関係については下請代金遅延防止法もございますし、団体組織法あるいは協同組合等組合協約問題等もございます。それらの面でそれを利用していくということで問題が解決される面も相当多いかと思いますが、従来の何を見ておりますと、たとえば元請、下請関係等にはそういう団体協約等やっていこうという踏み切りがまずつかないと、なかなかいろんな利害関係等でそれができないという、そのために必ずしも既存制度が十分利用できてない、活用できてない面が非常に多いわけです。従ってそういうことをもしそれが必要だとすれば、この審議会でそういう結論が出ますれば、まずそのきつかけを作つてやるということが非常に大事なことじゃないか、そのきつかけに応じて既存法律制度が活用される分はこの法律制度を活用していく、こういうことになると思います。
  22. 川上為治

    川上為治君 私は第三条の第五号とか、第六号とか、こういうものについてはもっとやはり強力な規定を作る方がいいんじゃないか、この競争正常化の問題にしましても、取引関係改善の問題にしましても、関係業界との調整ということもございますから、これはいろいろ問題がありまして、なかなか勧告程度ではたしてうまく調整ができるかどうか非常に疑問な点もございますので、むしろこういう点についてはもっと強い条文にした方がいいんじゃないかという気がいたします。それから前の、たとえば第一号、第二号、こういうようなものにつきましては、公表ということになっておるのですが、むしろこういうものについてやはり勧告というような程度までやった方がいいんじゃないか、この法律全体を通じまして少し弱いのではないか、もう少し強くやった方が中小企業振興対策にもなるし、同時にまた他の関係業界との調整もうまくいくのではないかという気がするのですが、その点についてはどういうようなふうにお考えになっておりますか。
  23. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 先ほど来申し上げますように強さの程度でありますが、要するに一つ企業対策でありまして、その企業あり方というようなことについて、法律規制するとか、あるいは直接規制しないまでも、主務大臣の、たとえば裁定というようなやり方一つの型にはめてしまうというようなことは、事柄性質上非常にむずかしい、あるいはいろいろこういう対策を実行していきますうちに、何が企業あり方として、国民経済的に合理的かというような形で、形がうまくつかめていければ、それをもとにしてもうちょっと強い法律規制ということもあるいは考え得るかと思いますが、まずもって衆知を集めて、企業あり方というものについての問題点を発見して、見当を見つけていくというようなことが大事じゃないかということで、形の上では必ずしも十分でない、少し弱いというようなお感じを持たれるかもしれませんが、まずこの辺からいくのが企業対策としては妥当な行き方じやなかろうかと一応考えたわけであります。
  24. 川上為治

    川上為治君 これは関係業界との調整の問題とか、あるいは企業経営改善のために勧告なんかやるというようなことになりますというと、場合によりましては、損失補償の問題とか、そういうような問題が起きますので、まあ最初はこういうような程度にしておいて、だんだんこういうことをやっておる間に、いろいろ問題も出てきましようから、そういう場合においては、法律を改正して、そして強くやらなくちやならぬよらな場合においては、そういう条文の改正をするというようなことですね。
  25. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 考え方としてはそういうことであります。
  26. 川上為治

    川上為治君 私は先ほども申し上げましたように、もっと強くやることが現在の中小企業対策としては妥当ではないかと思うのですけれども、そういうことで最初は始めるんだということでございますれば、一応了承いたします。
  27. 近藤信一

    ○近藤信一君 中小企業庁が発足してから、もうすでに十年以上になるわけですが、この十年以上も経過した今日、やつと中小企業業種別実態調査して、それからその実態に即した振興方策を立てようというのは、きわめて私はゆうちようなことではないかと、こういうふうに思うのですけれども、従来業種別振興策として、一体中小企業庁はどのような対策を講じてこられたのか、またその必要性を認めずに、何らの業種別対策というものを今日まで講じていなかったのか、この点お尋ねしたいと思うんですが。
  28. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 従来、業種別対策といたしましては、業種別診断というものをある程度やって参っております。診断は初め個別企業から始まりまして、産地診断とかだんだん進みまして、業種別診断というものが現在まで七業種ほど続けてやっております。ただこの診断制度は申し出によって、申請によって診断する、診断してあげるというような形になっておりまして、なかなかそういう面、並びに予算の面で、多くできなかった。それ以外の組織化の問題にしましても、金融の問題にしましても、あるいは経営技術改善指導の問題にいたしましても、従来の中小企業対策はとかく中小企業を十把一からげに見ておるという傾きが、たしか御指摘の通り、そういう傾向でありまして、実はこの業種別の問題並びに規模別の問題につきましては、これは御指摘のように、いろいろな点であるいはおしかりを受けるかもしれませんが、中小企業実態というもののつかみ方というのが必ずしも十分でなかった。三十一年度、三十二年度にわたりまして、約七千万円くらい金を使いまして、調査員も八千人くらいの調査員を委嘱しまして、中小企業の基本総合調査というものをやったわけです。それが昨年の三月にでき上りましたわけであります。これは製造業でありますが、それに引き続きまして、商業が昨年から今年第二段階に入つたわけであります。そういう実態の把握がおくれたということが一つの原因でありまして、その実態の把握がある程度できました反省といいますか、これに規模別、業種別のいろいろな意味の格差というものが相当はっきりつかめてきたということで、御指摘のように、ややそれがある程度わかつて、少しあわてぎみになったという点はございますけれども、問題は、実態把握が非常に複雑多岐にわたる中小企業でありますので、ちょっとおくれたということはいなめませんが、従来の業種別対策は、今申しましたような業種別診断をいうこと以外に、そのものずばりの業種別対策は従来はほとんどなかったということが言えるかと思います。
  29. 近藤信一

    ○近藤信一君 私は通産省で、中小企業庁では中小企業の重要性ということは常に言っておられるわけなんです。しかしそれが今まではただ業種別診断ということをやってきた、それも中小企業庁から積極的にやったわけではない、それは申し出によってやったわけだ、こういうことで私はいまさら業種別実態調査して、それからやらなければならぬというところに、中小企業庁としても、中小企業業種に対する困難性というものがあるのではないかと思うわけです。今後この業種別についてこの実態調査が進むにつれて、どういうふうなところに重点を置いていくか、こういうような点、どういうふうに考えておられますか。
  30. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 先ほど申しました製造業につきましては、基本調査ということで、ある程度業種別実態、何といいますか、静的な実態というものがつかめております。最近のいろいろの情勢に基づく、何といいますか、動的な実態というものをなおこの上つかみまして、それに応じて業種別にどつちの方向にどういう点を改善しながら進んでいったらいいのではないかというようなことを方向づけてやるということがこの法案のねらいなわけであります。そういうものも関係者の各方面意見を聞き、あるいは第三者の意見も取り入れて、適切な対策を立てて推進して参りたいと考えております。
  31. 近藤信一

    ○近藤信一君 業種別実態調査していくにつれて、だんだんとはっきりしていくと思うのですが、中小企業には業種が非常に多い、これはもう長官も御存じの通りだと思うのです。この中小企業業種別振興臨時措置法案によりまして、五ヵ年間でどれくらいの業種指定業種としてあなたの方は選定されるお考えでありますか。
  32. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 今年度の予算の積算の基礎といたしましては、実態調査費等が取れておりますが、その基礎といたしましては三十五年度は十五業種を選ぶということに予算の積算基礎はなっております。私どもとしてはなるべくこの業種の数も広くして急ぐものからなるべくたくさんのものを取り上げていきたいと考えております。今年度踏み出してみまして、そのあとの成り行き等も大蔵当局等に十分説明しまして、来年度、再来年度はこれを相当程度ふやして参りたいと考えております。五ヵ年間で何業種ぐらいになるかまだ見当はついておりませんけれども、十五業種ということでは、われわれは少ないと考えておりまして、今後業種につきましてはふやす努力をいたして参るつもりであります。
  33. 近藤信一

    ○近藤信一君 今年度さしあたって今長官が説明されたように十五業種ですか、十五業種と、そういうことになるわけですが、とすると、これは毎年十五業種ぐらいを指定していかれるのか、それとも来年はもっと多く指定していく予定であるのか、五ヵ年後には一体どれくらいの業種、まあ全体的な業種相当多いと私は思うのですが、その五ヵ年同における初年度十五業種、来年度はどうという、そういう見通しはいかがですか。
  34. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 三十五年度も実は予算の要求としてはもっとたくさん出したのでありますが、結局積算的には十五業種ということになっております。ただ業種の数が響きますのは、いろいろな人手の関係もありますけれども、主として実態調査等に要する経費であります。経費によって業種がしぼられてくるおそれがあるわけであります。われわれとしては相当調査が従来の既存の資料で間に合うものもありますし、できれば来年度も、三十五年度ももうちょっとたくさんふやしたいと考えます。のみならず予算の積算基礎等の考え方といたしましても、来年度はもっとどんどんふやして参りたい。これには初年度ある程度やって、なかなかよくやっていくというようなことになって、大蔵省あたりにもその趣旨を十分認めてもらってということと相待って、この業種はどんどんふやして参りたいと思います。
  35. 近藤信一

    ○近藤信一君 大臣も来ておられまして、次の法案関係もありますので、私、留保しまして次回の委員会の質問に譲ります。
  36. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 本案に関する質疑は、本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  37. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 次に、重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  38. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ただいま案件になっておりまする重油ボイラー設置制限に関する法案でありまするが、この法案規定しておりますことは、きわめて簡単なことでありまして、よくわかるわけでありますが、問題はこういう法律案を必要とする背景と申しますか、石炭業の実態についてはきわめて重要なものがあると思います。もちろん政府部内におかれましても、そういう認識がおありで、政府はそれに対しての対策を立てて別に石炭合理化臨時措置法案が出ておりまするから、いずれその法案審議いたしまするときに詳細にわたって政府の企図しておられるところを伺いたいと私どもは考えております。ただこの際二、三本件に関連して伺っておきたいことは、これほどまでにエネルギーの問題が深刻になっておりまして、固体エネルギー、流体エネルギーを合わせまして、その調整というものをどうするかということについて、非常に大きな問題になっております。けさの新聞の報道するところによりますというと、アラビア石油は一号井から四キロも離れた所に二号井を掘り当てて、しかも一号井よりもなお有力なる井戸が見つかった、まれに見る雄大なる鉱脈である、従ってこのまま順調に十数本の井戸が開発をされますというと、アラビア石油だけで年に百億の利益をあげることができる、こういうふうな新聞報道すらなされておるのであります。従いましてこのふえていくエネルギーの総量に対して、国内産の石炭なり石油あるいは天然ガス、さらに輸入に依存する重油、石油さらには原子力、こういうようなものを年次別にどういう工合に国としてエネルギー計画を立てるかということは、非常に重要なことだと私は思うわけであります。従ってこれは先の国会、昨年からの約束がありまして政府も作業を続けておいでになると思いますが、一体ここまで押し迫つたエネルギー問題について、国会でわれわれが政府の計画というものを土台にして審議をなし得るのは一体いつのことであるか、いつそういう計画というものを御発表になるのか、これだけはぜひ伺っておきたいと思うのであります。いかがですか。
  39. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) エネルギー問題につきましては、もらすでに御承知と思いますが、経済企画庁におきましてただいま検討を重ねておるのであります。進行状況につきましては十分承知いたしておりませんが、大体七、八月ごろにはでき上がるのじゃないかと思います。御承知の通り、経済の仲びとこれは関連するものでございます。なかなか経済の伸びの測定というものは、世界の情勢にも左右されますし、また国内情勢によってもいろいろ変わつてくるものでありますので、なかなか見通しを立てにくいのでございますが、いずれにいたしましても、二、三ヵ月うちにはでき上がると考えております。
  40. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、われわれがただいま予定をし、またある程度希望を持っております石炭鉱業の合理化臨時措置法案審議をいたしますときには、要するにこの国会ではそこまで掘り下げての審議というものは不可能だ、こういうことになりますか。
  41. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 石炭合理化法案の御審議中にはでき上がらないと思います。しかし私はエネルギー問題、またその年次計画いかんにかかわらず、石炭問題につきましては早急に政府の既定方針通りでいくべきであるとこう確信しております。石炭問題はエネルギー問題の中心ではございますが、私は計画を待ってあれを審議するよりも、まずあれが第一だという考えでやっております。
  42. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 まあ非常に将来を予見するのに困難な作業であって、しかもその困難を克服しながら努力をしておられることはわからぬではありませんけれども、とにかく今その中核をなすのは、やはり石炭企業の合理化の問題につながるわけでありますから、そういう意味では、私は大へん今の御答弁は——御答弁そのものを申すわけではありませんが、御答弁のような事情になっていることについて、非常に私は不満に思うわけであります。そこでたとえば最近世論を非常に何と申しますか、惑わしている三井鉱山の問題にいたしましても、政府のそういう基本的な態度、基本的な計画というものがはっきりしないために、政府みずからがこの問題の解決について積極的な行政指導ができないのではないか、そういうことが今日三井鉱山のあの争議の問題については、もっと早く解決し得るものを解決せしめ得ない状態に追い込んでおるのじゃないか、こういう工合に私どもは考えざるを得ないのでありますが、この点に対する大臣の御所感はいかがなものでありましようか。
  43. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 全体のエネルギーの問題につきましては、ただいまお答え申し上げた通りでございますが、石炭の問題につきましては、石炭鉱業審議会におきまして、一応三十八年までの目安は立てておるわけでございます。大体五千五百万トン程度の石炭を掘る、こういうことでございまして昭和三十五年度におきましては五千二二百万トンというふうな計画は一応石炭につきましては立っておる次第でございます。ただ石油問題、天然ガス問題あるいは電力、電気等につきましては、今お話し申し上げましたごとく、いましばらく全体の計画について検討を続けていく。ただ石炭の問題につきましては一応の目安は立っておる次第でございます。
  44. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 三井の争議の問題につきましては、労働省が労働問題として責任を感じて努力をせられるべきことは当然でありますが、石炭という企業から見ますというと、通商産業省もまた責任を免れることができないので、そういう意味では、三井鉱山の労使の紛争というものの根底をなしておるのは、やはり石炭企業の動揺ということにあると思います。そういう意味から、もう少し通商産業省としては、行政指導をすべき部面があるのではないかと私は考えますが、その点に対する御所信はいかがでしよう。
  45. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今回の争議の原因はいろいろございましょうが、石炭鉱業の不況というのが原因の大きいものであることも承知いたしております。従いまして昨年就任以来、石炭問題は私の仕事の最も重要なこととして鋭意これが対策につきまして心を砕いたのであります。それが今回御審議願つておりまボイラー規制法あるいは石炭鉱業合理化法等になってきておるのであります。しこうして不況の結果、あるいはまたその他の原因のために発生しておりまする争議につきましては、産業官庁としての関心は十分持っております。労働省とも連絡をし、この争議が一日も早くおさまることを念願しておるのでありますが、産業官庁として労働問題に対してどのくらい介入するかということは、これは別個の問題でございます。私は産業方面からの労働問題に対しての関心は、常に労働省と相談して争議が一日も早く解決するようこいねがつておる次第でございます。
  46. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これが、たまたま三井鉱山に表われておるわけでありますが、なぜ今日の石炭の労使の紛争というものが通商産業省に直結をしているかということを申し上げますというと、これは流体エネルギーと比較いたしまして炭価が高過ぎる。カロリー当たりの炭価が高過ぎる。これを引き下げるべきであるというのが政府の方針である。要するに手数百円、トンにして。これははっきりじゃないのですが、数字を忘れましたが、千数百円の炭価の引き下げを行なわなければ、流体エネルギーとは対抗できない。従って千数百円の炭価の引き下げを行なうのには石炭鉱業の合理化が必要である、そこには当然人員整理というものが出てくる、これを強行しなければ、ただいま斜陽化しつつある石炭鉱業というものを再建することは困難である、こういうことがやはり通商産業省の最近の御所信ではないでしょうか、ここが私は一番大きな問題になっていると思うんですが、そういうことではないでありましようか。
  47. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 労働問題以外の産業面におきましては、お話しの通り、一方ではボイラー規制法で重油を制限する、あるいは関税を、そうして石炭の条件をよくして競争力をつけますと同時に、石炭自体におきましても、大体われわれの見通しでは、昭和三十八年までに三十三年に比べまして千二百円程度引き下げないと十分の競争ができない、また引き下げること自体が石炭の需要を維持、拡大するゆえんだ、こういう考えで審議会に諮問をいたし、その答申によって施策を実行しようとしておるのであります。
  48. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ですから、千二百円前後の炭価の引き下げを行なうためには、ほかの産業と違いまして、石炭企業の場合には、その原価に占める人件費の割合が割合に高い、従ってどうしてもこれに手をつけなければ、ただ坑内を近代化すると申しましても、近代化ということは余剰人員を出すということに通ずるでありましようから、従ってどうしても人員整理という問題が起こつてくる。それで問題が、労使の紛争が起きてからは、なるほど労働省の問題になるでしよう、あるいは失業者が出るということについては労働省の直接の所管でありましようけれども、そういう状態にしなければ石炭鉱業の合理化、端的に申しまして炭価の引き下げはできない、こういうことになるならば、通商産業省が間接というよりは、もう少し強い関係においてただいま石炭企業に対する労使の紛争に対して責任をお持ちになる必要があるのではないか。これをどういう工合に解決するか。そういうことについて業者に対してもう少し強い行政指導をなさる必要があるのではないか、こう私は考えるわけです。
  49. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 石炭産業の合理化あるいは適正化につきましては、所管でございまするが、出た失業問題につきましては、またそれまでの労使間の労働関係につきましては所管ではございません。ただ原因が石炭産業の状態によって結果として起こる問題でございますから、われわれとしては、そういう労働問題あるいは失業問題が起こるにいたしましても、それが納得のいくような、しかもできるだけそれが少なくて済むような方法を考えるような方法を考えるよう努力しておるのであります。で、通産大臣としまして、起こつた労働問題についてどうこうということは、やはり第一線には労働省が当たるべきものである、しかし産業面の関係のある範囲におきましては、労働大臣相談していっておるのが今の現状であります。
  50. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 通産大臣としては、そうおっしゃるのがあるいは適当かもしれませんけれども、しからば石炭鉱業の合理化を指導しておられる通商産業省といたしましては、今日の石炭企業をベースに乗せて再建するためには、要するに千二百円前後の炭価の引き下げを行なうためには、いろいろ合理化に対する具体的な方策をお持ちになっていると思いますが、その合理化の方策の中で、現在の炭鉱に従事している人員のうちで何名ぐらいの人員を整理しなければならぬと、どういう工合にお考えになっているんでしょうか。
  51. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 正確な数字は存じておりませんが、大体三十八年までに六万人程度のものではないかと記憶いたしております。
  52. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 われわれはよく新聞紙上を通じて耳に入っておりますのは、十万人とか十一万人とか言われておりますが、それは根拠なき数字なのでしょうか。
  53. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これは過去一年で大体二万人程度労務者が減つております。十万人とか十一万人というのは、昭和三十三年ぐらいを基準にして言っておられるのではないかと思います。私の記憶では、六万人程度と記憶しております。
  54. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そこで、この整理されるべき人のワクというものが、ただいまも大臣が言明なさったように、三十八年までに六万人が必要であると、こうおつしやれば、これはその鉱業に働いておる勤労者諸君に直接刺激を与えることは、これは当然過ぎるほど当然なことであります。これで刺激を受けないような勤労者があったとすれば、これはどうかしておるわけです。直接自分の生活に響く問題でありますから、これは当然なことであります。そこで、通商産業省は、やはり労働者の職場というものに常に関心を持っておいでになるわけでありますから、六万人整理を必要とするならば、この六万人の整理をされた人は一体どの職場に働き、どこに転換させるか、そういうことについてやはり対策というものをお持ちなのでしょうか。これは労働省まかせですか。失業対策まかせですか。そこのところが明確でないと思います。
  55. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そこで、そういう離職者の方々に対しての措置を講ずべく、さきの臨時国会におきまして特別の労働対策を立て、他の職業に転じる場合の何と申しますか、職業指導その他緊急就労対策、当座の問題といたしましていろいろやっております。また、政府がそういうことをやることだけではもちろん十分ではございません。その石炭業に関係しておる系列の各産業に対しまして、離職者に対して特別の措置をとるようにわれわれは行政指導をいたしておるのであります。現に、ある産業系列のものにつきましては、土建会社をこしらえてこれを吸収しようといたしております。また、そういう関係系列の産業ばかりではなしに、一般のいわゆる財界、産業人として、これを他人ごとに考えずに、産業全体として直接関係のない会社におきましても、こういう離職者の方々を収容するように考慮をめぐらすように指導しておりますし、また、財界におきましても、そういうことを考えていろいろ今具体的問題につきまして検討いたしておるようであります。従いまして、できるだけ失業者を少なくしたいと思いますが、これは合理化の線に沿って案を立てますと、ある程度の離職者はやむを得ない。その離職者は、政府の手で、あるいは関係会社の手で、そうしてまた一般の財界としてこういうものの受け入れ態勢を具体的に進めていくようにいたしておるわけであります。
  56. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういうことは、抽象的に言われますけれども、なかなか勤労者の諸君を安心させるような工合に実を結んでこないのです。たとえば土建業への転換などということは、去年私はは国会の委員会を通じまして、あなたにもお尋ねをいたしまして、そういうお考えがあることもよく承知はいたしておりますけれども、そういうものは一向に実効が上がつてこない。そこで、実効は、熟練をしたそういう人を人員整理をすることでなくて、エネルギーの消費量はどんどんふえているわけでありますから、人員整理ということはまず第二にして、本来ならば、この前に政府が発表されました報告書によりましても、しばしば私はこれを貴重な参考文献にしておるのでありますが、三十一年末に換算トン数で四千八百九十八万トンでありましたものが、三十七年には七千百十万トン、五十年には九千三百二十二万トンと、こういうことが一応数字として出ておるわけでありますから、従って、坑内を合理化して千数百円の炭価を引き下げられるとこはけっこうでありますが、それと同時に、五千五百万トンの国内炭の消費量というものを毎年やはりワクを広げていって、勤労者というものは失業をさせないで、そうして炭価を引き下げていく、液体燃料と対抗させていく、そういう計画が優先的に考えられるべきではないでしょうか。そういうことがどうも通商産業省なり経済企画庁の作業をなさる方々の頭にない。企業合理化といえば、すぐ石炭産業の場合には人員に手をつける、こういうことが優先して唱えられて、消費量そのものをふやしていく、そうして炭価を引き下げていく——消費量をふやすということは、生産量をふやすということでありますから、生産量をふやしながらトン当たりの炭価を下げて失業者を出さないで、そうしてしかも液体燃料と対抗させていく、そういう積極的な計画というものを政府がおやりになる計画でなければならんと私は思いますが、そういうことは大臣はお考えにならないでしょうか。
  57. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お話しのようにいくならば非常にみんなが喜ぶことなんでございまするが、日本における炭鉱の素質の点、また、今までの技術の点等々から考えまして、やはり適正規模でしかもできるだけ近代化、合理化してやっていく場合におきましては、また、炭価を千二百円ぐらい下げるということにつきまして、いろいろ各山ごとにいろいろな計算をしてみたのでございまするが、やはり五千五百万トン程度がせいぜいではないかという結論に相なったのでございます。
  58. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは最大可能出炭量が五千五百万トンという意味ですか。
  59. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 大体三十三年に比べまして千二百円程度下げる場合においての操業率、各山の状況等を見まして、これぐらいが最大だということでございます。
  60. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは人間を整理してという前提があるので、私はそうでなくて、たとえば、炭鉱の勤労者が何万人ですか。今二十五万人とかりに仮定いたしましょう、現職の勤労者が。そうすると、六万人減らすということは、五分の一減らすということです。二〇%減らすということです。そうすると、この表で見ますというと、三十一年度に四千八百九十八万トン、要するに四千九百万トンですね、それだけ国が必要としたというものが、三十七年度には七千百十万トン必要であるということでありますから、人員整理を必要とする比率よりもはるかに石炭を要求する生産量の方が比率は高いわけです。ですから、五千五百万トンがただいまの能率出炭というか、可能出炭量としては最大であるというふうにおっしゃる意味がよくわからないのですね。坑口をあけるとかいろいろな方法で今日就労しておる人々をもう少し多くの切羽に入れて、そうして出炭量をふやしていく、能率を上げながらふやしていく、そういうことは一向私は技術的に不可能なことではないと思いますが、そこのところに少し観念の固定がありはしませんか。五千五百万トンよりふやせば、能率が下がるとか、炭価が下げられないとか、そういうことは少し賢明なる池田通商産業大臣としては、頭がかた過ぎやしませんか。能率を上げて増産をする、最近はマスプロの時代でありますから、わずかな人間でたくさんの品物を作る、こういうことが一つのイデオロギーになっていることはその通りでありますから、石炭鉱業でも、そういう意味で、わずかな人でたくさんの石炭を掘るという原則を否定しませんけれども、そのかわりに、たくさんな石炭というものは、実際に需要を喚起すれば、この計画書の通りにふえるわけであります。四千九百万トンからわずか六年の間に倍に近い七千百万トンまで必要であるという、この数字が一度は政府から発表されているわけであります。そういう工合に液体燃料と対抗しつつやっていくということは、決して不可能ではないと私は思いますが、どうしてもこれはだめなんでしょうか。
  61. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) それは先ほど申し上げましたように、切羽の状況、その他から経済的にならないのであります。三十一年度にそういう計画を政府が持つたことは、私も聞き及んでおりますが、そのときに重油の値段がどうなるかということは、私は頭に入れてなかったのじゃないかと思う。そういう点がございますので、それは非常にいい炭鉱で、そうして機械化して、どんどん出し得られるということならお話の通りでございます。みんないい炭鉱ばかりではございません。それは日本の炭鉱でも、たとえば羽幌炭礦なんかではいわゆる九尺と十七尺の層でございます。そして人件費が、普通の炭鉱ならば一トン当たり二千二、三百円かかっておりますが、羽幌炭礦では千百円くらいでできる。こういう炭鉱が、鉱脈がどんどんあれば、私はお話の通りに増産して価格も下げ、重油と対抗できますが、各山というのはそういういい山ばかりではございません。たとえば同じような層をなしているという太平洋炭礦につきましても、これは労務費が羽幌炭礦ほどにはいっておりません。いろいろな事情がございまして、前からの労働条件、慣行等から、個々の山につきまして、いろいろ研究いたしたのでございまするが、重油の価格の引き下がりに応じて合理化をしつつ、これと対抗していくための国内資源の最大限の活用ということになりますると、石炭局で調べました三十八年度くらいに五千五百万トンくらいがせいぜいではないかという結論になっているのでございます。なお、今後におきましても、新しい炭鉱を発見し、そうして能率の上がる方法でやっていけば、何も五千五百万トンでわれわれが区切るわけではございません。現状におきましては、ただいま申し上げておりますような状況では、増産にも限度がございます。そうして合理化にも限度がございます。そうして片方の重油の価格の見通し等も考えますると、三十一年にきめたあの七千七百万トンという数字は、私は今から言つたら次代の見通しがきかなかった数字じゃないか、そこで今企画庁の方でいろいろ調べて検討いたしているのでございます。
  62. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうしまするというと、かつて発表されたこの計画書というものに誤算があったということでありますから、もうそうおつしやれば、これ以上この問題についてお伺いすることはいかがかと思いますが、問題は、最大出炭可能量五千五百万トン、これでずっと何年までやっていらっしゃる予定ですか。今大臣のお話では、新鉱が開発されれば別だと、こういう、やはりちょっと何と申しますか、逃げ道がこしらえておりますが、まあそういうことは多くの期待を持てないとすれば、一体何年までこういう五千五百万トンで固定してずっと石炭の出炭を指導していかれますか、ここが一番問題だと思う。
  63. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 昭和三十八年までは大体五千五百万トンぐらいじゃないかと思っております。なお、三十九年、四十年、四十一年、四十二年ぐらいまでは、一応毎年百万トン程度の増炭をわれわれが見込んでおるのでございます。
  64. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、この重油ボイラー臨時措置で、私は非常に不可思議に思いますのは、幾ら日本の石炭エネルギーが減つたとはいいながら、現に五千五百万トン出るということでありますれば、そうしてしかもその五千五百万トンというのは、かつて計画されたよりは少ないわけでありまするから、そうするというと、なぜこの重油ボイラーの制限なんというものを今置かなければならぬか、計画よりも石炭の出炭量が少ない、そうしてしかもエネルギーはどんどんふえている、こういうことであれば、重油ボイラーなんかを制限しなくても十分に石炭の有効需要というものはあり得るのじゃないか、それがやはり五千五百万トンをどうしても重油ボイラーの制限をしないというと有効需要がないわけだ、もしそういう事情であるとすれば、その石炭の有効需要の見通しは、どこで狂つて、消費面ですね。どこでそんなに大幅に減つたのか、この辺はわかりますか。
  65. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これは、さきの調査を私は非常に非難するわけじやございませんが、大体そのエネルギーに対する重油と石炭のメリット差、あるいは価格等の検討が十分でなかったのじゃないかと思います。で、あなたのお話しの七千百万トン、先ほど七千七百万トンと申しましたけれども、七千百十万三千トンでございますが、七千百十万トンという数字が、これが私は誤りがあった。そのときには重油とあれとをどう見ていたか、価格……。こういうことで、その価格の差が非常に出て参りましたのでございます。従いまして、この七千百万トンを私はきまつたものとしての議論は成り立たぬと思います。今までどちらかといえば、火力発電等につきましては重油を使つた方が非常に割安であるということはもう定評のあるところであります。われわれは大体五千五百万トン程度の石炭は何としても確保したい、その意味におきまして、千二百円下がるまでは、あるいは関税を引き上げるとか、あるいは片方で石炭を合理化して出すという方法と同時に、なお三年間は規制をしなければいかぬというので、現行法を引き延ばしていこうといたしておるのであります。ただ一トンボイラーのごとく、中小企業関係、そうしてまた石炭の需給にそう影響のない一トンボイラー程度のものは今後は規制をやめていこう、こういたしておるのであります。
  66. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それでは突つ込んでもう一つ伺いますが、国鉄は最近電化をやりまして、これは重要な石炭の消費者でありましたが、だんだんとその消費量が減つておると思いますが、毎年何トンぐらいずつ減つておりますか。
  67. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 国鉄は一応昭和五十年度までで蒸気機関車は全廃するということをいたしておりまして、従いまして、五十一年からは運転用の石炭はゼロということになる予定でございますが、ごく最近の実績で申しますと、一年間に三、四十万トンぐらい減つておるわけでございまして、三十二年度が四百三十五万トン、三十三年度が四百五万トンということで、大体最近は三十万トン程度減つておる、これが五十年で一応おしまいで、五十一年からはゼロになるということで、われわれは需給を考えております。
  68. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 現在は三百万トンですか。
  69. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 三十二年度が四百三十五万トン、三十三年度が四百五万トン、それから三十四年度がたしか三百六十万トンと記憶いたしております。
  70. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は過日資料をちようだいいたしましたけれども、ちょうどただいま手元に持っておりませんので重ねて伺いますが、電力用のエネルギーですね。ただいまでは火力電力用のエネルギー、これを重油と石炭を混みにして換算して、ただいま何トンですか。
  71. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 大体本年度電力用の消費は、千三百万トンの炭をたきまして百五十万キロの油をたく、概数でございますが、百五十万キロでございますから、約〇・六%で換算いたしますと二百幾ら、二百五十万トン、石炭に換算いたしまして約二百五十万トンの石油、それから千三百万トンの石炭と、合計して千五百五十万から千六百万の間のエネルギー源を使っております。
  72. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 三十二年、三十三年はどれくらいですか。
  73. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) それから三十三年でございますが、異常豊水等ございましたために、電力の使いました石炭は九百五十万トン程度でございました。それから油が百八万でございますから、これを〇・六で割りまして百五十万トン、合計いたしまして約千百万ちょっとという数字になると考えております。
  74. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ああ、そうですが。三十二年度は……、
  75. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 三十二年度は油が百二十五万でございますから約二百万トン、それから電力の方の炭は九百三十六万でございます。従いまして千百三十六万ということになります。
  76. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今後毎年どのくらいふえていきますか。
  77. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 電力の石炭需要は、大体電力業界と石炭業界との両業界の話し合いによりますと、最低百万から百五十万ずつは電力の方でもふやしたいと、こういうことをいっております。油の方につきましては、たとえば三十五年度、重油の方は三十五年度は二百四十五万キロということになりますので、石炭に換算いたしまして約四百万トン程度の重油ということになるわけでございます。
  78. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 火力発電所の場合ですね。まあこれは新鋭火力でいいですが、石炭専焼火力と重油専焼火力とでは発電単価は幾らと幾らになりますか。
  79. 瀬川正男

    説明員(瀬川正男君) 電気事業におきましては、最近の新鋭火力は、石炭専焼火力というものがありますが、ほとんど石炭と重油の混焼、いわゆる混焼火力という発電とそれから今お尋ねの重油専焼火力と、この二種類で最近の新鋭火力はあるわけでございますが、いわゆる混焼の場合におきましては、大体毎月のスタート、ストップで平均二割の重油を使うのが混焼火力というわけでございますが、大体私ども一般例で申し上げますと、建設費で重油専焼火力は混焼火力の一五%ぐらい節約になる。従いまして原価における資本費といたしましてはそれと同じ比例で一五%程度の資本費の節約になる。それから一方におきまして焼料費は揚地の電力会社、主として東京、中部、関西、この三電力会社におきましては、平均的に見まして、現状の燃料費の実勢といたしましては、重油の方が石炭の価格に比較いたしまして、大体約一割の差があります。でございますから、一キロワット当たりの原価にいたしまして、資本費が一割五分、燃料費が一割の差といたしますと、大体一キロワット当たりの原価の中におきまして、資本費と燃料費はほぼ半分半分という場合が一般の例でございますから、平均単価にいたしますと一割二、三分の差があると思います。揚地の混焼火力は平均四円ないし四円五十銭というのが通例でございますから、それの一二・三%まあ五十銭くらいの差が出てくるというふうに、ちょっと抽象的でございますが、大ざつぱな平均的な見方を申し上げますと以上のようになります。
  80. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうしますと、重油専焼でいくと四円から三円六十銭ぐらいと、こういうことですか。
  81. 瀬川正男

    説明員(瀬川正男君) 大体三円五、六十銭じゃないかと思います。
  82. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは非常に重要な問題で、通商産業大臣にお尋ねをしておかなければなりませんが、開くところによりますと、電力会社もしばらく料金の値上げをいたしませんでしたが、ぼつぼつ料金の値上げの時期が迫つてきておるように業界紙などでは書いております。従って電力料金の値上げ問題が起きれば、これは非常に重要なまた社会問題になるわけでありますから、私ども憂慮いたしておりますが、その場合に、政府としてはこういう工合に歴然と重油専焼でやれば、単価で一割、五十銭近い安い発電ができる、これは現実にできるはずですね。にもかかわらず、石炭政策として、電力に石炭の消費を求めていく、そういうことになりますれば、最近の発電所は水力開発よりも火力開発の方がはるかに多いわけです。これはあとで、数字をもしありましたら示していただきたいと思いますが、毎年の開発で、分量から申しますれば、火力開発が数等上だと思います。従いまして、そういうことで、料金の引き上げの時期を早める、こういうことが起こり得ると私は考えますが、そういう心配がないかどうか。それからもう一つは、そういう工合に、石炭の救済のために、電力の単価を下げるということはないでありましょうが、料金の引き上げの時期をずっと先へ延ばし得るものを早めておることになる、そういうことにつきましては、通商産業省、責任を持って、これは消費者の了解を得られるか、この二点は非常に重要なことでありますので、大臣から御答弁いただきたいと思います。
  83. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) ただいまの状態で、九電力会社のうち、私は一会社ぐらいは例外があるかもわかりませんが、他の会社につきましては、料金の値上げという問題は私は聞いておりません。私はまだ合理化その他のことでやっていけると思います。御承知の通り、水の関係相当ございますが、一会社を除いては……。
  84. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 水がよけい出ると石炭使わないでしよう。
  85. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 料金の問題でございます。料金の問題の引き上げは、私は今のところないように思います。ただそういう問題がございますので、石炭の値をできるだけ下げていこう、それから三十五年度におきましては、昨年よりも下げることにして今交渉いたしておるのでございます。で、私は電力関係が石炭の一大消費者でございますから、やはり年別に値段を一応きめて、長期契約をして、そうして運送その他につきましての特別の方法を講じて燃料費を、ことに石炭を安くしていこう、こういう方法をとれば、ただいまのところは、私は電力料金の値上げの問題は起こつていないのでございます。今後もそれで進んでいきたいと考える、これで二の問題もお答えすることになると思います。
  86. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 もう一つ重ねて伺いますと、石炭の再建を妨げない範囲内において、石炭の単価を下げる、それによって、その下がつた石炭で電力、火力用炭に供給をすれば、それで将来石炭のために電力料金の値上げの時期を早める、そういうことはない、こういう工合に理解してよろしゅうございますか。
  87. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 大体そういうことで進んでいっておるのであります。しかし石炭が千二百円下がりましても重油の関係がどうなるという点もございますので、重油が非常に下がつた場合において、石炭が千二百円でいいかという問題は、そこにまた関税の問題も起こつてくる、いろんな問題が起こつてきますが、私は今の予定通りでいけば、一、二とは申しませんが、一ぐらいの例外があるかもわかりませんが、これはもう前からのたまりがある。おおむねの電力会社は料金の値上げの問題が起こつてこぬものと思います。
  88. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうすると、大臣のただいまの気持というか、感じというか、頭に描いていらっしゃるところでは、そういう工合にわれわれは理解しておりますが、もし事志と違つて重油がうんと下がる、これは私は下がるという見通しをいつか述べたことがありますが、今より重油は大へん値段が下がるだろう、関税政策は別でございます。もちろん関税政策で人為的に国内炭とバランスを価格的にとるということであれば、これは別でございますが、私は重油は下がると大体見通しを持っております。これは石油業界なんかの意見からいいましても、そうではないかと思うのです。そういう一つの外因、それから石炭の単価が、今言われておるように石炭の再建を妨げないで、これは下げるわけですから、そういう範囲内においてはたして希望のところまで石炭の学価を下げ得るかどうか、もし得なかったときはどうなるか。そういう今大臣が答弁なさったそういう線とはずれた事態が起きてきて、そうして、電気料金の引き上げの時期を早めるというような時期が来たときには、大へん不幸な事態でありますが、そういうときには通商産業省としてはやはり責任を持って消費者である国民を納得せしめられるかどうか。こういうことどうですか。
  89. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) いかなる原因でどの程度の問題が起こつたかによって考えるべきだと思います。こういう問題は想像で、あの条件を、この条件もと言って答弁することは私は適当でないかと思います。ただ繰り返して申し上げますが、私の見通しでは、ただいまのところ、大体一会社を除いては電力料金の値上げの問題は起こうないと、そりや五年先、十年先のことは別でございます。一、二年のうちは起こうずに済むのじゃないかと思います。
  90. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それでは石炭の問題につきましては、私もまだ多くの点でお尋ねいたしたい点がありますが、きようはこの程度で保留いたしておきます。
  91. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ほかに御発言ございませんか。
  92. 岸田幸雄

    ○岸田幸雄君 ついでに伺うのですが、今のお話によると、石炭の単価はだんだん下げていくし、それから、重油の方は、こういう方法で規制することによって、石炭の相当需要量を確保する、しかるところ日本の現在の石炭産業に対する合理化を促進するための政策として一つ規制の政策を立てます場合においては、一面電気の需要が相当現在伸びてきておる段階において、急に水力発電開発をしようと言っても、これはなかなか長期の期間を要します。そうして、どうしても、その場合火力でしなければいかぬという段階において、さような場合でも、この重油規制法律は三年間は現行のままで、一切火力発電の重油専焼の建設は拒否するという方針を堅持されるのでございますか、あるいはこの産業界の状況なりまたエネルギー経済の伸び方によっては、通産省も許可し得るというお考えなんですか、その点ちょっと伺いたいのですが。
  93. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お話しの通り、電力の需要は予想以上に非常に伸びております。従って、これを調整するためには、もちろん水力につきましても計画はいたしておりまするが、やはり火力の方に頼らざるを得ないという状況でございます。しかる場合に、三年間は絶対に重油専焼を認めないかということになりますと、私は揚地と申しますか、東京、名古屋、大阪方面において一切この三年間は専焼の設備を許さぬというわけにもいかぬのじゃないか。これはもう三十八年の十一月からは急に変わつてくるわけでございます。そのときから動く分につきましては、もちろんある程度の設備期間が一、二年かかりますから、こういう問題はある程度認めていかなきゃならぬのじゃないか、こう考えております。それから、しからば三十八年の十一月からの稼動の分だけ許すか、あるいは石炭需要や電力需用の状況から申しまして、三十八年の十月以前に稼動する分についても、ある程度の専焼を認めていかなきゃならぬのじゃないかというのが今の現状でございます。従いまして電力の需給状況も考えなきやなりませんが、私は東京、名古屋、大阪方面におきまして、三、四あるいは四、五になりますか、程度のものは専焼を認めていかなければならぬのじゃないかという気がいたしております。しかし、その場合におきましても、先ほど申し上げましたように、石炭鉱業の現状から考えまして、ぜひとも電力界におきましては毎年百万トンかあるいは百五十万トンかの需要増を計画していく、こういうことで進んでおるのであります。
  94. 岸田幸雄

    ○岸田幸雄君 大臣のお説の通り、石炭の方にも、相当現在の電力事業は石炭方面の需要増加にも依存せざるを得ないような段階にありますが、そして一方において重油専焼の火力発電所が、何といいましても混焼の火力あるいは石炭野焼の火力に比べたら、資本費ないし建設費においても、今瀬川課長が六%と言われたが、私は従来の業界では重油の方が一〇%以上安いと思うのです。
  95. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 一五%です。
  96. 岸田幸雄

    ○岸田幸雄君 今六%とおつしやったんじやなかったですか。一五%ですか、それならばわかりますが、それだけ資本費が違う面において、一方電気料金なるものも、現在の需用程度であれば料金値上げということができなくて済むでありましょうが、今後の需用増加を相当考えた新しい発電施設をやることを考える場合において、何とかやはり建設費の安い面で新しい電力需用をまかなうという意味におきましては、いやでもおうでも重油専焼の火力によらなきゃならぬという面が多分にあると思うのです。それと同時に、一面において石炭の火力の方も、引き続き相当の需要通りにいくならば、両両相待って石炭鉱業の合理化と電気料金の高騰を防ぐということができるのではないか。そこで望むことは、石炭業界がややもすると需要が増加すれば、また合理化を見送るという点がなきにしもあらずと思うのでございまして現にこの法律が制定されてから五年経過した間において、いわゆる神武景気などというものがあって、急激に電気の需用がふえたあの段階において、石炭業界が合理化に相当力強く実績を示したかというと、よほどその点疑わしい点が多分にあったと思いますので、その辺政府御当局においても、今後十分御指導を願いたいと考えるわけであります。
  97. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お説の通りで、その方針で進んでおります。最近におきましても、石炭の需要も相当多くなっているので、ことに中小企業の方が相当強気でおるようでございます。私は大手並びに中小企業につきましても、一時の需要の増加によって合理化の大方針をこわさぬようにということを再度通牒を出しまして、既定の合理化で進むよう指導いたしております。
  98. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  99. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記始めて。
  100. 川上為治

    川上為治君 この法律を期限を延長し、また小型ボイラーを規制の対象外にするということは、まことに私はけっこうなことだと思うのですが、この小型ボイラーを規制の対象外にした場合に、二百万トンぐらい大体この関係の石炭が対象になるという話も聞いておるのですが、そうしますと、中小企業の合理化、近代化という点では非常にけっこうなことなんですけれども、これを取り扱つている販売業者というのは、これはほとんどまた中小販売業者が非常に多いんじゃないかと思うのですが、これは何かこういう業者は別に石油も扱つておるから大した影響はないというようなお考えなのでしょうか。
  101. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 石炭が非常に流通経費——運賃あるいは取り扱いの経費に二割以上もかかるといったような事情から、石炭鉱業審議会の中に生産性部会というのを設けまして、一月以来三ヵ月にわたりましていろいろ検討して参つたわけでありますが、その検討項目の中に、やはり今のような取り扱いの面の合理化ということを当然石炭全体の立場からやらざるを得ないのではないか。これにつきましては、ある程度いろいろ共同化あるいは系列化といったようなことをやることによって、むだを省きながら、お客さんにサービスすると同時に、取り扱いの販売業者というものも十分に自立するということができるような、一つ両者の線の交わる点をどこにつかむかということにつきまして、一応問題点の指摘ということがなされまして、さらにそれを今後掘り下げていこうという検討がされておるわけでございまして、確かにお説の通りに小口の需要がだんだんなくなるということになりますれば、それを扱つております販売業者あたりには、ある程度の影響は出てこざるを得ないのではないか、こう考えておりますが、しかし、それらにつきましては、実態は今、先生の御指摘のように薪炭あるいは石油と石炭といったような各種の燃料を一緒に扱つているケースが非常に多いわけでございまして、ある程度そういう兼業ということで救われるという面もございますし、さらには今の縦の系列化あるいは横の共同化ということで、こういう流通面の合理化をやりながら、業界が十分にやっていけるという自立態勢をとらせるように指導していきたいと考えております。
  102. 近藤信一

    ○近藤信一君 大臣がお急ぎですから、大臣に先にちょっと一点お尋ねしますが、先ほど栗山委員から国鉄の問題を取り上げておられたのですが、国鉄の計画によりますと、だんだん石炭機関車をなくして、電気または重油、こういうところに——ディーゼル・カーですね、これに切りかえる、こう言っておる。もちろん今後国鉄は重油に切りかえた場合に、ボイラーを使うと思うのですが、重油ボイラーじゃないですか。あれは小型に入るのか、この規制にかかるのか、この点いかがですか。
  103. 福井政男

    政府委員(福井政男君) この法律の適用外になっております。移動式のものであります。
  104. 近藤信一

    ○近藤信一君 適用外ということになると、小型ということになるのですか。
  105. 福井政男

    政府委員(福井政男君) この法律でいっておりますボイラーではない、こういうことでございます。
  106. 近藤信一

    ○近藤信一君 すると、自動車と同じようなああいうエンジンがかかるわけですか。
  107. 福井政男

    政府委員(福井政男君) そういうことになると思いますが、とにかくこの法律で申しておりますボイラーというものには入っていません。
  108. 近藤信一

    ○近藤信一君 政府は石炭鉱業の合理化達成、こういう意味で、この重油ボイラー設置の制限法ができたわけなんです。この改正案の中にありますように、小型ボイラーを本法の規制対象から除外して三年間延長する、こういうことになるわけですが、小型の重油ボイラー設置は三十四年度——昨年度ですか、三十四年度に一体どのくらいの数量この申請があったか、事実上設置されたか、この点いかがですか。
  109. 福井政男

    政府委員(福井政男君) ボイラーをカン数で、現在全体の数で申して約五万八千カンであります。この中で五十平米未満のものが約八一%でございまして、四万六千九百三十ということでございまして、五十平米以上のものが一万一千八十二ということで、パーセンテージは一九%ということでございます。現在のところは、この五十平米未満のものにつきましても法律の適用がございまして、特定の場合以外は設置をすることができない、こういうことに相なっておるわけであります。
  110. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止]
  111. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記を始めて。
  112. 近藤信一

    ○近藤信一君 小型が四万何ぼ、いわゆる八一%ですか、現在の既存のあれで八一%ある。その中で昨年度のあれはわかりませんか。
  113. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 法律で認められておりますケースに該当いたします以外は、法律一般的には禁止されておりますから、従いまして、昨年度幾ら設置されたかといいますことは、許可されました分だけしかわからない、こういうことになりまして、これは非常にわずかなケースでございます。
  114. 近藤信一

    ○近藤信一君 今後三ヵ年間これを延長されるわけですね。三ヵ年間の見通しはどんなものですか。
  115. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 今後三ヵ年間に、どの程度フリーになりました五十平方米未満のものが設置されるかという見通しでございますが、まあ私どもの見ておりまするところでは、産炭地では、そう大きな変化と申しますか、重油専焼が認められましても、産炭地ではそれほど多くの重油ボイラーというものは現われないのではなかろうかというふうに見ております。しかしながら、そのほかの地区では、重油と石炭とのメリットの開きが相当ございますから、やはりどうしても重油専焼の方に中小企業は小型ボイラーを設置するであろう、こういうふうな見通しを持っております。
  116. 近藤信一

    ○近藤信一君 三ヵ年間延長するという、期限を三ヵ年にされたその基準というものは、どこに基準を置いたのですか。
  117. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 三ヵ年をとりましたのは、石炭鉱業が三ヵ年間三十八年までを目標にいたしまして、炭価を千二百円引き下げる。そうして重油と対抗し得る程度に合理化を実施しようということでございまして、そういう観点から一応期間は石炭の歩調に合わせまして三ヵ年ということにいたしておるわけでございます。
  118. 近藤信一

    ○近藤信一君 石炭が三ヵ年間で、重油と同じくらいの炭価になる、こういう見通しで三ヵ年間ときめられた、こういうことになれば、もしそこでまた、しばしばこういうことはあるわけなんですが、政府の方針に誤算を生ずることがしばしばあったわけなんですが、そのときになって、三ヵ年間経過してまただめだったと、こういうことになりはしませんか。
  119. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 今回の延長につきましては、これ以上延長しないということで、この法律案の建前も、三年いたしますと失効する、こういう法律規定の仕方にいたしておるわけであります。
  120. 近藤信一

    ○近藤信一君 三ヵ年間で絶対延長しないということでいいですね。
  121. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 法律の建前上そういうことになっております。
  122. 近藤信一

    ○近藤信一君 そこで現在主として小型の重油ボイラーはどんな産業で使っておるか、この点おわかりになりませんか。
  123. 福井政男

    政府委員(福井政男君) これは非常に広い範囲に使われておりまして、暖厨房から食品加工あるいはクリーニング屋さん、各種の加工工業、風呂屋さん、こういったような中小と申しますか、むしろ小企業が非常に多いようであります。
  124. 近藤信一

    ○近藤信一君 そういたしますと、小型重油ボイラーは、おもに中小企業が主としてやっておる、こういうことに理解していいんですね。
  125. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 数の上から申しますと、そういうことに相なって参ります。
  126. 近藤信一

    ○近藤信一君 先ほど小型の占めるパーセンテージが約八一%と、こういうことでございましたが、この八一%の小型重油ボイラーを使っておる油を石炭に換算したらどのぐらいになるのですか。
  127. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 五十平米未満のボイラーの石炭の消費量が、約二百万トンになります、二百万トンになりますが、これを現在すでにそのボイラーというものがあるわけでございますから、法律の対象外にいたしましても、それがすぐ翌日から全部重油に切りかわるというわけではございません。今後更新または改造、そういう、あるいは新しく設置するという場合に、新規に、重油に設置し得るということに相なって参りますので、大体私どもの推測では、年に一割五分から二割程度のものが更新または改造されていくのではなかろうか、こういう大体見当をつけております。
  128. 近藤信一

    ○近藤信一君 既存重油ボイラーには関係ないわけですね。大きなの、小型でなくて普通の。
  129. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 既存のものには関係ございません。
  130. 近藤信一

    ○近藤信一君 新たに設置するボイラーだけに、制限規制がされるわけですね。
  131. 福井政男

    政府委員(福井政男君) さようでございます。
  132. 近藤信一

    ○近藤信一君 私はしろうとでわかりませんが、小型というのはどの程度ですか。これはどこできめられておりますか、基準は。
  133. 福井政男

    政府委員(福井政男君) これは具体的には伝熱面積が五十平米未満ということに規定いたしておりますが、ちょうどやかんを火ばちにかけましたときに、底に当たります部分に該当するようなところが伝熱面積ということになるわけですが、これが五十平米未満のものが小型ボイラー、こういうことにいっておりまして、俗に一トンボイラーといっておりますが、一トン未満のものがここで申しております小型ボイラーということでございます。
  134. 近藤信一

    ○近藤信一君 そういたしますと、五十平米未満ということになると、小さなもので、普通の中小企業でやっているなんていうものはほとんど五十平米以上じゃないですかね。
  135. 福井政男

    政府委員(福井政男君) その点が、先ほどパーセンテージで申し上げましたように、五十平米未満のものが割合から申しますと、八〇%以上を占めておる、約八一%になっております。
  136. 近藤信一

    ○近藤信一君 そうすると、家内工業的なところでは五十平米以下でいいが、ちょっと中企業ということになると、五十平米以下ではだめだと思うのですが、その点いかがですか。
  137. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 大体まあそういう感じだと思います。
  138. 近藤信一

    ○近藤信一君 しばしば僕たちも工場へ行きましてみますると、ほとんどが現在重油でやっておるのですがね。ああいうのはもう今までにほとんど申請して、そうして許可を受けてやっておるのが多いのですか。
  139. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 従前からやっておるものが、ほとんど全部であると存じます。
  140. 近藤信一

    ○近藤信一君 もぐりというようなことはないですか。
  141. 福井政男

    政府委員(福井政男君) まあ世の中にどろぼうもいることでございますから、全然ないと私は断言申し上げることは正直のところできませんけれども、この法律の運用につきましては、忠実に実施されておる、かように私ども見ております。
  142. 近藤信一

    ○近藤信一君 通産局あたりでそういうような調べはやっておりますか、調査を。
  143. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 調査実施しておりますし、それからボイラーでございますので、労働基準法の関係から認可等も必要でございますので、労働省の方とも出先機関と十分連絡をして運用には当たっておるわけであります。
  144. 近藤信一

    ○近藤信一君 五十平米以上の重油ボイラーについては全部今までも許可はしていないわけですか、この法律で。
  145. 福井政男

    政府委員(福井政男君) この法律で精密調整でございますとか、いろいろ特定の場合に許可をし得る場合がございますが、それに該当いたします場合以外は全然許可をいたしておりません。
  146. 近藤信一

    ○近藤信一君 そういたしますと、この法律が、これはまだ向こう三年間ということになりますると、この三年間はやはり重油を普通の設備ではできないということになるわけですね。
  147. 福井政男

    政府委員(福井政男君) さようでございます。省令で特定の場合には許可し得る場合が規定されておりまして、それに該当いたします。一般の場合は設置することはできない、こういうことに相なります。
  148. 近藤信一

    ○近藤信一君 そういたしますると、先ほどのお話しじゃないけれども、石炭合理化で炭価を下げられるという見通しのもとにされるわけですが、もし三ヵ年後になっても、石炭の炭価が下がらない、依然として割高のものになるということになった場合、この法律はどうなりますか。
  149. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 石炭の方は、千二百円下げるということで現在努力しておりますし、この法律は自然失効の形をとつておりますので、法律は消滅いたします。
  150. 近藤信一

    ○近藤信一君 これは三年間で、先ほどお尋ねしたように、三年間で失効するというわけですか。
  151. 福井政男

    政府委員(福井政男君) さようでございます。
  152. 岸田幸雄

    ○岸田幸雄君 先刻大臣は、電気の需用が非常にふえた場合には、三年間といえども重油専焼のボイラーの火力発電所を設置することも考えられると言われましたが、現にその時期に来ておるのではないか、その場合にはどうしますか。省令で除外例をお作りになりますか。
  153. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 仰せの通りでございまして、この法律の第二条の五号のロに、設置をどうしても認めなければならない場合で通商産業省令で定めるとき、というのがございます。これがございまして、実は火力発電所につきましては、現在のところそれに基づきます省令がないわけでございまして、今後この五号のロに基づきまして火力の重油専焼設備を認め得る根拠規定を省令を改正してその中に入れる、こういうことに相なっております。
  154. 岸田幸雄

    ○岸田幸雄君 それからこの設置という言葉は、三年間に工事に着手してその完成は三年以後に完成するような設備にも適用されるのですか。あるいは完成かこの法律規制期間以後になる場合は適用外になるのですか、その点どうなんでしたか。
  155. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 適用されます。この設置という言葉は着工から完成までの一連の行為を指す、こういうことに解釈いたしております。
  156. 岸田幸雄

    ○岸田幸雄君 それから先刻質問のありました船舶や車両には適用されぬということからくる結果として、鉄道、国鉄という国家事業であり国営事業にはこの規制がされないで、電力事業のような民間の産業に規制されるということがいかにもアンバランスであるという批判もあるようですが、その点はどうお考えなんですか。
  157. 福井政男

    政府委員(福井政男君) この法律の第二条でボイラーの適用外の場合を規定いたしておりまして、その場合に「船舶又は車両に設置するとき。」あるいは二号に「その重油ボイラーが移動式のものであるとき。」あるいは三号に「重油ボイラーの試験又は研究のために設置するとき。」、こういう規定の仕方を実はいたしておるわけでございます。
  158. 岸田幸雄

    ○岸田幸雄君 だから規定から言えばそうですが、結果論から言えば、そういう批判が現にないでもないのですが、その点は政府としては単なる法律規定の解釈でなくて、つまり何といいますか、イデオロギーというか、車両そのものの技術的な面からいっても、つまり車両などは絶対に規制ができないという技術上の事実があるわけではないのですか。つまり国鉄のディーゼル車などには規制のしようがないという技術上の理由はないのですか。
  159. 福井政男

    政府委員(福井政男君) これは技術的な理由よりも私はやはり経済的な理由、あるいはまたその許認可等の技術的な面、こういうことからこういったものは適用の外に置かれている、かように私ども存じております。
  160. 島清

    ○島清君 ずいぶん長く質疑応答がなされておりますので、多分にこういう問題に触れたのではないかと思いますけれども、もしどなたかお触れになって御答弁になっておれば必ずしも御答弁くださらなくてもよろしいのです。  栗山委員からも御指摘のございました通り、非常に簡単な改正法案ではありますけれども、しかしそのバツクはかなりやはり大きな問題だと思うのです。そこでエネルギーの総合計画がないということは大臣から御答弁のあった通りですが、そこで炭価を千二百円下げて三十八年度には液体燃料に対抗できるように企業の体質を合理化していきたい、こういうことのようですが、この法案を見まして、同じ時限法でございましても、はっきりと三年後には自然失効する形式を採用することとした。これは同じ時限法であっても三年後にはまたあと一年とか二年とか延ばしてくれということは絶対もう言わないのだ、はっきり言い切つているわけです。そうすると、三十八年ですから、三十八年には明確に重油と競争できる、対抗できるような態勢に仕上げるのだということが通産省の御意見として十分に表明されておるわけですが、そこでこの体質改善の合理化の具体的な計画としては、その内容にはいろいろのものがあると思うのです。たとえば私が席をはずしますときに、人員整理のことについて栗山委員が指摘をしておられたようでございましたが、そういう場合に生産性の向上ということが一人当たりの出炭量をどれくらいに見ておられるか、生産性の向上ということが一人当たりの出炭量がどれくらいの場合に重油に対抗できるような石炭の価格というものが構成されるか、それから合理化を促進するための所要の需要資金でございますが、これは聞くところによりますというと、かなり資金調達は困難だというようなことをいわれておるわけですが、その辺のことの合理化の具体的な内容と計画について、人員整理のことは聞きましたけれども、それ以外にも、ただいま申し上げたように生産性の向上と一人当たりの出炭量、それから合理化に要しますところの所要資金であるとか、こういうその値いろいろな問題があると思いますが、今通産省で考えておられる計画について御説明を願いたいと思います。
  161. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 大体能率につきましては、現在十四トン程度でございますが、これを二十三トンから二十四トン程度の線に持っていきたいというふうに考えております。で、この場合に、そうやることによりまして、百トン当たりに現在百五十七坑数ばかかりかかっておるわけでありますが、その坑数の数を、そういうふうに能率をあげるということは、百五十七の坑数を大体八十八ないし八十九坑数に減らすということによりまして、能率を二十三トンないし二十四トンに持っていきたい、こういうふうに思っております。  それから設備資金の点につきましては、これは島先出御指摘のように、確かに石炭界の先行きが非常に暗いといったようなことから、相当の困難が予想されておりますが、私どもは大手につきまして大体三十八年までに千四百億程度、それから中小につきましては大体一年間に五、六十億程度で、五年間で三百億程度の金というものを、これは過般御審議いただきました特別貸付金の活用あるいは開発銀行、中小企業金融公庫等の財政資金並びに興長銀の一般金融機関というものの貸付、借入金というものと合わせましてぜひ調達したい、大体千四百億のうち約半額は、減価償却その他の自己調達ということになりますので、残りの半分につきまして、今申し上げましたような外部からの資金の導入について、通産省といたしましては極力大蔵省あるいは日銀等と連絡をとりがなら、金融が円滑にいくように最善の努力をしていきたいというふうに考えております。
  162. 島清

    ○島清君 千四百億を必要とするという御説明でございますが、今石炭界は住宅の建設だとか、あるいは合理化というので、かなり資金の借り入れをしているわけですね。それで返済をしていかなければならないわけですが、そういうことで年々返済していかなければならない返済の額はどれくらいですか。
  163. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 設備資金につきましては、これは最近の三十二年、三十三年、三十四年というところで参りますと、三十二年が八十八億、三十三年が七十五億、三十四年が五十九億程度の設備資金の返済をいたしております。
  164. 島清

    ○島清君 三十五年、三十六年は、こういう設備資金等の借り入れ資金の返済はどうなるのですか。
  165. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) ここに三十五年、三十六年の資金繰りの方はやっておりませんが、現実にいろいろ調達して、それから返して、その差し引き残つた金を投資というものに向けておるわけでございますが、その投資の実績が、新しく企業を起こしました、いわゆる企業費という、いわゆる設備投資をいたしました実績が、三十二年が二百四十一億、三十三年が二百七十一億、昨年度が二百三十四億ということになっておりまして、今後、この最近の三年間を平均いたしますと、大体三百五十億程度の金になるわけでございますが、これを年平均約二百八十億程度の設備投資をさせるということによって、先ほど申し上げましたような合理化を達成いたしたい、こう思っておりますので、これにつれまして若干ずつ借入金がふえて参りますが、開発銀行の金等につきましては、これからだんだん入って参りますものが、今までよりも長期化するということになっておりますので、返す金自体につきましては、やはり毎年八十億、過去の三年の平均が七十億程度になっておりますので、これより若干ふえて、八十億ないし、年々によって逢いますが、百億の間、片方で設備資金を返しながら、片方で二百八十億の新しい投資をしていくという資金調達をせざるを得ない、そういうふうに考えております。
  166. 島清

    ○島清君 こういう工合な条件のもとに石炭産業が置かれておるのでありますから、年々百億の金を返しながら、合理化のための、体質改善のための資金調達をするということは、はなはだ困難だと思うのです。それはまた業界からもそういう困難性の声を聞くわけですが、こういうものに対しても、返済金に対しても、何か特別な処置を講じてやってこそ、ほんとうに体質改善となり、そうして炭価の引き下げという、政府の考えておられるような計画を十分に遂行することができると思うのですが、何か知らないけれども、こういうものの施策に欠けておるということについては、仏を作つて魂を入れないというようなうらみがないともいえないと思うのですが、こういうことについては、何か施策の配慮をめぐらしたことはないのでございますか。
  167. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 財政投融資、財政資金につきましては、先ほど申し上げましたように、今年の四月から、まず開発銀行並びに中小企業金融公庫の金利を、九分及び九分三厘から、六分五厘に実質的に引き下げることによりまして、これでその差額だけの資金が会社に残るということになりますので、その金利を引き下げるということによって、手元を楽にしてやる、コストを少なくさせるということをやりますると同時に、本年度から借り入れます開発銀行の借入金につきましては、従来大体二年程度の据え置き期間を含めて、六年ないし七年、平均その程度だったのでございますが、それを三十五年度からは、五年程度の据置期間を含めまして、最長十五年まで延ばすということにつきまして、大蔵、開銀との間に話がつきまして、すでに実施に移しております。ただ、一般の市中金融機関につきまして、いきなり期間の延長ということをやるということまでにはまだ行っておりませんが、もちろん、われわれといたしましては、これは相当長い期間かかって回収せざるを得ない金でございます。特に、着工から石炭が出るまでに五年ぐらいかかるのは珍しくないという石炭の特質にかんがみまして、長いに越したことはございませんので、今後ともできるだけ石炭に対する貸付金の期間が長くなるようにという努力はして参りたいと、こう思っておりますが、三十五年度は、とりあえず開発銀行について今申し上げましたような措置をとつたわけでございます。
  168. 島清

    ○島清君 そういうよらな、必ずしも十分に適切であるかどうかはわかりませんけれども、その程度の配慮がなされておるとすれば、十分でないにしても、施策の遂行に各方面から配慮があったということが言えるのではないかと思うので、この問題についてはこれ以上お尋ねしませんが、重油を使用するボイラーの設置を制限するということなんですが、これは三十八年には、もう三年後には自然に失効するわけなんですね。そうしますと、その期間内に設置をして、そしてこの法律が切れると同時にこれが使用できるようにというように考えるということは、事業家としては当然だと思うのです。何かこの法律からすると、設置それ自体が制限されているように思うのですが、設置ということは使用するということが前提であって、そこで当然にこれは切れるのでありまするから、その期間内に設置しても、私はちつとも法律違反にはならないと思うのですが、業界が、当然にこの法律の自然失効を予想して、それでこの期間内に設置をした場合、こういうものはやはり何か取り締まりの制限の対象になるのでございますか。
  169. 福井政男

    政府委員(福井政男君) お話のような場合は、この法律の建前といたしましては、設置をしてはならぬと。こういうのは、この法律の有効期間内に使わなくても設置をいたします場合は、この法律の条項にひっかかるわけでございます。従いまして、たとえば火力の重油専焼設備のごとく、認め得る場合でありますならば、やはり許可を必要とするわけでございまして、許可を受けて設置をすると、こういう形でございまして、使用は、この法律の失効後に完成しまして、使い始めるという場合でも、やはり設置ということになりますので、この法律の適用を受けると、こういうことに相なります。
  170. 島清

    ○島清君 紙の上での解釈ではあるいはそうかもしれませんけれども、しかし、明確に三年後にはもうこの法律は失効するのだということになると、やはり重油ボイラーを使いたいというその業界事業家というものは、その期間内に設置すると思うのですね。そこで、今御説明のように、やはり法律の適用でこれを押えていくのだということですが、これは何か押える方法があるのですか。
  171. 福井政男

    政府委員(福井政男君) これはまあ結局、一般論としまして、法律の失効の問題になるわけでありますが、設置をしてはならないと、こういうことでございますので、設置をしてはならぬということになるわけですが、この法律の経済的な意義ということになりますと、非常に経済性を没却するような一面も持っておるわけですから、ただいま御指摘のような、もうすぐ切れる場合に、その前に一応作るだけは作つておこうというような場合もあり得るわけでありますけれども、これは法律の建前から参りますと、やはり設置はひっかかるわけでございまして、そういう場合には、失効後に設置をしていただく以外にしようがないと、こういう運用に相なるわけでございます。
  172. 島清

    ○島清君 それはまあ説明はよくわかるような気がするのですが、設置ということは使用ということが前提になるのであって、使用するというときはこの法律は失効するのだ。そこで私がお聞きするのは、たとえば、これを設置しようとする場合に、この法律を非常に有効に、期限切れまで法律としての高度の効果があるという場合、何かボイラーを設置するのに、ほかの法律設置できないというような規制の方法があるかどうか。この法律では私はむずかしいと思うのですが、ほかの他の法律で、この法律目的とする期間内には設置をさせないというような、抑制をするというような何か別のことが考えられるかどうかということなんですがね。
  173. 福井政男

    政府委員(福井政男君) あるいは私のお答えが的をはずれるかもしれませんが、この法律以外の法律で何かボイラーを設置する場合に規制しておる法律があるかと、こういうふうな御質問だといたしますと、労働基準法でボイラーの設置については事前の認可を必要とするという法律が別に一つございます。
  174. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 本案に関する質疑は本日はこの程度にとどめます。  次に、理事会で協議いたしました本委員会の審議予定について御報告申し上げます。明二十日水曜日は、まず中小企業業種別振興臨時措置法案重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の二案について質疑を行ない、質疑終了の場合は討論採決を行ないます。次いで、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案商工会組織等に関する法律案の二案について質疑を行ないます。明後二十一日木曜日は、明日の日程を継続して審議を行ないます。以上御了承をお願いいたします。本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会