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1960-06-09 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年六月九日(木曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————   委員異動 五月三十日委員近藤鶴代君及び斎藤昇辞任につき、その補欠として井川伊 平君及び徳永正利君を議長において指 名した。 本日委員大谷藤之助辞任につき、そ の補欠として山本杉君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            高野 一夫君            吉武 恵市君    委員            井川 伊平君            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            谷口弥三郎君            徳永 正利君            山本  杉君   国務大臣    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君   政府委員    厚生大臣官房長 森本  潔君    厚生省社会局長 高田 正巳君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査の件  (チリ地震津波による災害に関する  件) ○派遣委員報告   —————————————
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではただいまから委員会を開きます。  まず委員異動報告いたします。  五月三十日付をもって近藤鶴代君及び斎藤昇君が辞任し、その補欠として井川伊平君及び徳永正利君が選任されました。  また、六月九日付をもって大谷藤之助君が辞任し、その補欠として山本杉君が選任されました。  御報告いたします。   —————————————
  3. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 次に、社会保障制度に関する調査の一環として、チリ地震津波による災害に関する件を議題といたします。まず、厚生大臣から現在までの被害状況等についての報告をお願いいたします。
  4. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 去る二十四日のチリ地震津波におきまして、わが国の太平洋岸一帯に相当の被害を受け、多くの犠牲者を出しましたことは、まことに同情にたえないところでございます。今次津波災害による被害につきまして、その概況を御報告申し上げます。  人的被害について見ますと、死者百十一人、行方不明者二十二人、負傷者九百九十二人、計一千百二十五人に上っております。  家屋被害につきましても、全壊千五百三十五戸、流失一千七十七戸、半壊二千五百六十六戸、床上浸水一万七千二百四戸、床下浸水一万八千八十四戸、計四万四百六十六戸に上っております。  これらの被害により災害救助法を適用いたしました市町村数は十五市十七町二村、計三十四市町村宮城県外十道県にわたっております。  厚生省といたしましては、被害の最も激甚でありました宮城岩手北海道の三道県応急救助事務連絡指導防疫対策指導のため、二十五日早朝係官三名を現地に急派いたしましたが、私自身も二十八日現地に参りまして、ヘリコプターで宮城岩手県下を視察いたした次第でございます。  なお、宮城青森岩手北海道の四道県に対し、救援物資を多数急送いたしまするとともに、応急仮設住宅設置等救助業務の推進をはかり、防疫管理を徹底し、罹災者生活及び健康の確保に万全を期している次第でございます。  今後の対策といたしましては、母子福祉資金世帯更生資金医療費貸付資金及び引揚者国庫債券担保貸付資金増額並びに国民健康保険料減免措置水道施設社会事業施設及び医療施設等復旧等につきましては、でき得る限りの措置を講ずる所存でございます。  以上御報告申し上げます。
  5. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 質疑の御希望の向きもあるかと思いますが、派遣委員報告を聴取した後に質疑に入りたいと、かように考えます。  この際、派遣委員報告を聴取いたします。まず北海道班井川委員報告をお願いいたします。
  6. 井川伊平

    井川伊平君 去る五月二十四日未明襲いましたチリ地震津波被害状況調査のため、五月三十一日から六月五日まで北海道被害地に派遣せられましたので、その結果を私から御報告を申し上げます。  今回派遣されましたのは、当委員会から私と大谷藤之助委員、その他農林水産委員会から派遣されました岡村文郎委員の三人が同行いたしました。  まず、北海道庁で見舞いを述べ、被害状況及びこれが対策等につき説明を聞き、それから現地におもむき、釧路地方浜中村、厚岸町、釧路市、白糠町、十勝地方浦幌十勝太豊頃大津広尾町、日高地方幌泉庶野、様似町、浦河町、渡島地方函館市、上磯町等を歴訪し、見舞を述べるとともに、現地調査を行ない、どこに参りましても衷心より感謝の意と旺盛な復興再建の決意を示されましたことは深く感銘いたした次第であります。  今回のチリ地震津波状況を、釧路地方状況について見ますと、五月二十四日午前三時ごろ浜中村で早初出漁する漁民が海の異常を察知して村民間に連絡し、浜中村長は四時三十分釧路気象台津波の来襲について問い合わせましたところ、異常を感じていないとの回答に接したそうであります。しかし、村長は、警鐘を鳴らし避難を命じたのであります。  津波は二時四十分〇・九メートル、その後一・五メートル、一・六二メートル、二・三メートルとなり、四時四十五分釧路防波堤において三・五メートルを記録し、十一時三十三分までに少なくも十二波まで間断なく来襲したそうであります。  昭和二十七年三月四日の十勝沖地震津波と比較しますと、十勝沖地震津波は四波まで来襲していますが、今回は十二波まで来襲し、最大波高は、前回は三・二メートルでありましたが、今回は三・八メートルであります。  道庁説明によりますと、六月一日現在北海道における被害は、人的被害死者九名、行方不明六名、負傷者十五名、計三十名。家屋被害は、住宅全壊五十七戸、流失百五十二戸、半壊百二十四戸、浸水床上千三百五十八戸、床下千六百四十五戸、非住家千九十八戸、計四千四百三十四戸、約二億八千万円。それから文教施設百十万円、農林業八千五百余万円、水産被害が二億三千万円余、衛生施設簡易水道一カ所百五十万円、土木被害十九億五千七百万円余、商工被害約四億八千五百万円、その他の被害約六千万円、総計三十一億余万円となっており、そのうちその約三分の二の二十億八千万円余が浜中村の被害となっており、また、その大部分が同村の霧多布を中心とする地帯のものであります。  浜中村は、東に大きく開いた霧多布湾をかかえ、霧多布は西側の太い短い腕に当たっており、人口三千百三十九人、戸数六百五十戸、うち罹災者二千七百五十二人、罹災戸数四百六十二戸でありまして、その約半数は漁業従事者であります。私どもが浜中駅を下車して海津に行きますと、家は土台のくいだけを残し流れ去り、道路より約八百メートルぐらいの海岸にある二メートル半ぐらいの高さの電線に海草がひっかかり、道路のわきと道路の山側二キロばかりの泥炭地のまん中に屋根と船が点々と散在し、霧多布町並みに入ります短い上専部の陸地続き部分は、前後数回の津波の往復により切断されて、幅八十メートルから百二十メートルの水路と化し、水深は六メートルから八メートルあるとのことであります。  それから家屋の建てこんでおる町並みになりますが、自衛隊が七日間、延べ千四百十二名をもって救援された後においても、災害のつめ跡はなまなましく残っておりまして、津波の激しさを如実に思わしめ、まことにお気の毒に存じました。この町並み地域の約三分の一は浸水し、海藻類道路狭しとほしてあり、六分の一は被害なく、残り六分の一は村民が避難した山であります。この浜中村は、災害とともに災害救助法を発動し、現在寺院と小学校に罹災者を収容しておりますが、流されたその土地に、わが住居復旧努力が払われているありさまが所々で見られ、まことに悲壮な感じがいたしました。護岸工事実施、橋梁の架設、避難所たき出し実施期間の延長、住宅建設半壊家屋補修費増額失業救済事業の施行、海産ほし場の復旧漁船漁具確保等、幾多の事項について強い、要望が述べられ、まことに同情にたえないところであります。特に罹災漁民は、生活基礎でありまする漁業生活手段たる漁船、漁具を奪い去られ、昭和二十七年三月に引き続き、八年間に二度の津波に襲われ、前回災害復旧資金の借入金が、延滞金をも含めて約三千四百万円も未解決でありますところに、さらにまた今回、前回を上回る被害を受け、膨大な資金を必要とするのでありますが、借金をしようにも借金の道もなく、また、借金をしても返済の見込みもないと絶望感に陥っており、まことに同情にたえない次第でありまして、何か適切な救済の道がないものかと、心痛いたしておる次第であります。やがて七月からコンブ採取期に入るにあたり、船を失った漁民対策は急を要するものであります。  道庁釧路支庁等においては、自衛隊協力のもとに、緊急措置を講じ、防疫班浸水地区の消毒、飲料水濾過作業等実施中で、赤痢三名、同疑似四名を隔離中であり、保菌者は四名にとどまっており、日赤を初めとし、広く救援の手が差し伸べられていることは、深く感銘いたした次第であります。  次に、厚岸町は、天然の良湾である厚岸湾と、それに続く厚岸湖をかかえ、津波厚岸湖の湖底の資源を根こそぎ厚岸湾に運び去り、アサリ帆立ホッキの漁場を壊滅させております。本町の被害は、家屋文教施設、カキ、アサリ帆立ホッキ、オゴノリ及び漁船等水産関係防砂堤、その他総計二億円余となっております。  釧路市においては、市消防署望楼勤務者が、釧路川の流木の流れを見て、異常引潮十勝沖地震の経験から津波によるものと判断し、四時四十分ごろサイレンを吹き鳴らして、市民に予告しておりますが、四時五十分ごろの第三波による最高三メートル七十センチの押し波で、漁船、はしけ、船舶荷役設備木材流失、その他に約一億二千万円の被害を招き、釧路港は釧路川の泥土流入のため航路が埋まり、これが復旧には相当多額の経費を要するものと思われ、目下調査中であります。また、当事においては、浜中村の救援協力し、カン詰、乾めんを送るほか、水道施設復旧専門職員を派遣し、また、汚物吸込自動車を送る等、全力をあげている状況を聞き、感服するとともに、感謝して参りました。  白糠町の被害総計一千五百万円余で、このうち一千万円が河川の損害であります。道庁昭和三十三年度から継続実施している白糠海岸浸蝕対策工事により約二百メートルの護岸工事ができていて、家屋浸水が相当防止されたことにかんがみ、この工事早期完成について国の助成が特に要望され、また、漁船復旧に対する融資も要望されておりました。  次は十勝支庁管内浦幌町厚内及び十勝太並び豊頃大津では砂丘があったため、津波被害最小限にとどまったが、その砂丘が今度の災害流失し、今後の災厄が気づかわれ、また、厚内漁港早期完成十勝川下流の治水工事の促進、砂防堤の増設が目下の急務とされておりました。  浦幌町の総被害額は約一億三百万円、そのうち住家五百万円余、非住家約百二十万円、土木被害九千五百万円その他となっております。  豊頃大津地帯の総被害額約二千八百万円余とされておりました。この地帯では、浸水十勝川と海岸に沿った地帯に限られ、水はけがよかったため、防疫上は支障がなかったようでありますが、しかし、十勝川の水を飲むことは不適当であり、早急に簡易水道の設置が望まれておりました。  広尾町の被害は、港湾に大きく、木材の流失もあり、総計約三千八百万円余といわれ、しかして広尾港においては、海岸護岸堤があるため、被害最小限にとどまっていることは一目瞭然でありますが、この護岸堤も今度の経験により延長整備されなければならぬと考えられております。  次は、日高支庁管内でありますが、このうちで最も激しい集中的打撃を受けたのは幌泉庶野でありまして庶野港は現在の漁港東側防波堤を利用して、新漁港の掘さく中でありましたが、この防波堤五十メートルが決壊し、係留中の動力船二十隻が一瞬の間に七・五メートル下の掘さく中の岩盤上に折り重なって落下しております。  支庁管内の直接被害は合計約一千五百万円で、間接被害である漁船乗組員収入減は約四千六百万円と推定されています。これらの被害に対し、漁港復旧海産ほし場の造成のため長期低利融資とともに、被害漁船乗組員に対する労賃収入の道を与えることが急務とされておりました。  次は、渡島支庁管内でありますが、函館市は、函館港に沿う市街地の浸水による損害が多く、総額四億五千万円余、そのうち倉庫関係が約二億七千万円余を占め、市街の浸水個所消毒等が行きとどき、防疫は完全なものと思われました。これらの被害に対し、長期低利融資希望しておるのであります。上磯町は海岸の低いところが浸水したのでありまして、被害総額約二千二百五十万円中、約二千万円余がホッキ赤貝等函館港内の汚水の流入による死滅によるものであります。  以上が今回の調査概要でありますが、今回の調査を顧み、また、被害地要望等を総合して考えますと、津波損害を受けるのはいつも同じようなところが同じような被害を受け、零細漁民から生活の手段を奪っているのであります。しかしてまた、沿岸零細漁民は、貧困なるがゆえに、津波被害を受ける場所から動けないということが実情であろうと考えられます。要保護世帯については生活保護法による特別措置を、また、その他の被災者については世帯更生資金融通等措置を講ずるとともに、日本赤十字社等からの援護物資の支給についても特別の扱いが必要であると考えられております。また、北海道の襟裳岬から室蘭市に至る海岸は、東よりの海流が沿岸で非常に強く、海岸の侵食が目立っておりますので、国土保全のため、また、同じような災害を繰り返さぬよう、岩手県田老町のごとき堤防と防波堤を築くことが万全といえないまでも、この種災害を防止するため必要なことであると考えられます。  以上が調査概要でありますが、幸いに委員各位の御配慮と御協力を賜わり、政府を促し、災害復旧被災者救済に遺憾のない措置が講ぜられますことをお願いして、私の報告を終わります。
  7. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは次に、東北班調査報告鹿島議員からお願いをいたします。
  8. 鹿島俊雄

    鹿島俊雄君 チリ地震津波災害視察東北班調査概要報告いたします。  私は、建設委員会米田委員運輸委員会谷村委員とともに、宮城岩手青森県下被災市町村を五月三十日より六月五日まで一週間の日程で視察して参ったのであります。今次災害の全貌については、配付資料で御承知をいただくことといたしまして、社会労働関係、すなわち被災地の民生安定の立場から以下その概略を申し上げます。  まず、今回の災害特徴を申しますと、第一に、被害総額に比較して人命の犠牲が割合に少なかったことであります。宮城県下で五十四名、岩手県下で六十一名のまことに痛ましい死者行方不明者を出してはおりますが、昭和八年の三陸沖波災害による犠牲者よりはるかに少ないのであります。まことに不幸中の幸いでありまするが、これが気象庁津波警報早期発令によるものではなく、地元民の津波に対する平生の警戒と訓練によるものであることを認識しなければなりません。また、当地方では、過去二回にわたる津波体験から、「地震がきたら津波と思え」「潮が引いたら津波と思え」等の教訓が刻まれた石碑が各所に立っており、二十四日の当日も、土地漁民たちがいち早く潮の異常な引き方を見て、市役所等に急報し、住民みずからが適切な避難措置を講じたのであります。気象庁正式警報の発令は、今回の津波特殊性によるものとはいえ、津波発生後行なわれたような状況でありまして、住民みずからの避難行為によらなければ、人命の損失ははかり知れぬものがあったと思うのであります。  第二の特徴は、公共施設災害割合に僅少なのに比べまして家屋流失全壊家財商品等流失農業水産業者等生産用具滅失等個人財産被害が甚大なことであります。このことは、この地域の開発の後進性を物語るものであります。従って、財政力の低い被災地におきます罹災者再建については、国は格段の配慮を尽くすべきであります。  被災地の現況は、官民一体努力によりまして志津川町等特に大被害をこうむった二、三の市町村を除きまして大体跡片づけ等も終わり、ようやく再建復興の途上にあります。災害発生以来、県は直ちに災害救助法を発動し、救護班、衛生班等を派遣するとともに、自衛隊の出動を要請いたしまして、救援物資の急送、救難作業応急復旧工事防疫活動給水業務等を開始したのであります。ことに自衛隊の時宜を得た機敏な活動に対しましては、視察して参りました各市町村感謝の声を多く聞いております。自衛隊施設班の給水、屎尿処理入浴業務衛生班防疫活動は、日赤及び県市町村努力と相待って、被災地に発生しがちな伝染病の発生を最小限度にとどめていると思えるのであります。すなわち宮城県で当初真性赤痢患者三名、擬似二十名程度岩手県下で真性十一名、擬似十名程度でありまして、患者の隔離等措置は適切に行なわれ、以後蔓延する模様はないようであります。また、交通の途絶により困難をきわめた市町村もございましたが、救援物資もおおむね順調に支給され、民心もようやく落ちつきを取り戻しつつあります。  被災地被害状況並びに要望事項の詳細につきましては、資料に譲ることにいたしまして、以下民生安定の立場から、今後の応急対策について所見を申し述べたいと存じます。  第一に、住宅対策であります。今次災害により全壊流失いたしました住家の数は二千五百戸に及び、特に志津川町のごときは八百六十五戸に及んでおります。これら被災者は、一昨学校、神社等に収容されたのでありまするが、今なお移転先もなく、残留しておる者も相当多くあります。三陸地方の零細なる農漁民にとって住宅自力建設は望むべくもありません。従って応急仮設住宅ワクを拡大し、すみやかにこの人々の住居の安定をはかるべきであろうと考えます。また、災害公営住宅につきましても、現行の滅失戸数の三分の一の基準を緩和するとともに、また、自力建設の道を容易にするよう住宅金融公庫融資ワクを拡大し、利率、償還期限等融資条件を緩和し、かつ保証人制度等の手続を簡素化すべきであります。また、官有木材払い下げ等につき助成をはかる必要があります。なお、恒久対策としては、三陸沿岸防潮地帯を設け、当該地帯の建物をブロックあるいは鉄筋等永久構造にするよう国が助成し、再度災害を防止すべきであります。少なくとも住宅基礎と資材の接合部は、流失にたえるよう行政指導すべきであります。  第二に、生業資金融資措置であります。漁獲期を迎え罹災地の零細なる水産業者等は、漁船カキ、ノリの養殖施設損害をこうむり、農民は田植え時期に塩害を受け、農機具を流失し、加工業者生産施設を損壊し、中小企業者商品を破損、流失したのであります。いわゆる水準の低い当地域においては、自力復興ははなはだ困難であります。従って、農林漁業金融公庫国民金融公庫中小企業金融公庫等被災者に対する融資ワクの増大と貸付限度額引き上げ等、大幅な条件緩和をはかるべきであります。  第三は、失業対策であります。罹災した多くの農漁民は、生活手段を奪われ、完全失業の状態に置かれ、現金収入の道を断たれて困窮している実情であります。生活の安定こそ復興の要件であります。従って、失業対策事業を早急に実施し、各事業の間のワクの流用、繰り上げ等、吸収人員の増加と就労条件の緩和をはかり、被災者に職と希望を与えるべきであります。  以上の措置は最も緊要のものであり、行政措置ないしは特別立法を必要とするのでありますが、被災府県再建団体であり、財政的に貧困でありますので、このほかに助成措置として少なくとも伊勢湾台風に対する措置に準じ、早急に特別立法を行なうべきであります。すなわち、社会労働関係について見ても、災害救助費についての国庫負担増額失業保険法特例防疫費汚物処理費水道復旧費等公衆衛生保持に関する費用の特例医療機関災害復旧に対する国庫補助及び金融措置特例社会福祉事業母子福祉事業施設災害復旧費に関する特例等の立法が必要と存ずる次第であります。  また、今回の津波災害体験にかんがみ、さらに一段と防災教育実施し、防災訓練を活発に実施すべきでありますが、根本対策としては、三陸地津波情報の収集を容易にする国際情報交換組織を確立するとともに、こと特に当地方ロボット検潮儀を設置することが必要であります。ロボット検潮儀津波の第一波をとらえると、自動的に通報されるものであり、今回もしこれが設置されておった場合には、最も大きく被害を及ぼした第三波の約一時間ほど前に警報伝達が可能であったといわれております。人命尊重の見地から、しかも一台三百万日程度のものであり、早急に三陸沿岸に数カ所設置すべきであると考えます。  以上、簡単でありまするが、報告を終わります。
  9. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 厚生省からは、渡邊厚生大臣のほかに、森本官房長高田社会局長公衆衛生局からは金光環境整備課長出席をいたしております。  厚生大臣報告並びに派遣委員報告に対しまして、質疑のおありの方は御発言を願います。
  10. 勝俣稔

    勝俣稔君 私的医療機関損害が一億五千万円でございますか。これの融資資金をどういう線でお出しになるか。これを見ますと、政府のあれを見ますと、中金やら国民金融公庫から出しておる。こういう話になっておるのでございますが、昨日も医療金融公庫法が通ったのでございまして、あの方はどういう関係になりますか。中金やら国民金融公庫の方で、この問題は医療金融公庫ができたのだから、その方で考えてくれないかというようなことになる場合もありはしないかと思いますが、政府の方じゃどういうふうなお考えでございますか。
  11. 森本潔

    政府委員森本潔君) 私的医療機関災害につきましては、ここにございます約一億五千万程度と推定いたしております。これに対しましての対策でございますが、今お話のように、二つの道を考えております。一つは、医療金融公庫の法案が成立いたしましたので、これによって優先的に措置をすることが考えられます。それからなお、別途厚生省といたしましては、通産省関係の、中金等におきますところの、低利で、三年間、年六分五厘の低利融資災害融資をすることに特別立法をすることに目下進行中でございます。その方におきましても措置ができるようにいたしたい。従いまして、具体的に申しますと、医療金融公庫の方でまかなうことも考えられる。同時に、中金におきまして、三年間、年六分五厘という融資ワクを一億五千万程度確保いたしておきたい、この二本立で参りたいと考えております。その被災いたしましたところの医療機関が両者若干条件が違っておりますので、いずれを希望されますか、これは医療機関の側の希望に待つことにいたしまして、措置といたしましては二本立で参りたい、こういうように準備いたしております。
  12. 勝俣稔

    勝俣稔君 これは、将来の問題としては、どちらの方にやっていく問題と政府の方はお考えであるか。たまたまこの災害が起きたときには、まだ金融公庫ができておらなかった、法律ができておらなかったときだから、どうしてもごくわずかの、三十億なら三十億の全部がそういうものに融資ができるわけではないのでしょうが、事務費も取りましょうが、そのごくわずかの予算の中から医療金融公庫の、従来書いてあるような、予定しておるような仕事に出そうというのは、こういうような天災的のものが起きた場合には、私は筋とすれば医療金融公庫の方にワク政府の方で出してもらいたい。そうして、その線を見てもらうのが筋じゃなかろうかと思うのでございますけれども、これをどういうように厚生省はお考えになっておるか。今は、今回のは、たまたまちょうど、その移り変わりのときに処置をしなければならぬということになりましたから、こういうことができるのでございましょうけれども、将来はどういうお考えでおるか、その点をお聞きしたいと思います。
  13. 森本潔

    政府委員森本潔君) ただいまにおきましては、本年度におきましては、医療金融公庫中金の二本立でございますので、従いまして、二本の措置を講じたいと思っておるわけでございますが、今後この医療金融につきましての措置は、医療金融公庫一本でいく。中金の方には医療金融を予定しないということになりますならば、その時期におきまして以後は、もっぱら災害につきましても医療金融公庫において特別なワクを作る、こういう考え方でいかなければなるまいと考えております。
  14. 勝俣稔

    勝俣稔君 医療金融公庫の予算の総ワクの中には、こういう災害のようなワクは取るのですか、どういうようなお考えでしょうか。もし取らないとするならば、災害の起きた場合においては特別にまた融資考えてもらう。それと、いま一つは、法律は作っておいでになるのだから、むろん準備中でございましょうから、大蔵省とも十分お話は、金融公庫の方ともお話がついておることであろうと思いますが、その点も一つ、ついでにお話を願いたい。
  15. 森本潔

    政府委員森本潔君) 本年度につきましては、今申したように、二本立で参りたい、これは医療金融というやり方が二本立でございますから、当然そうなると思います。  それから今後につきまして、今後医療金融については、医療金融公庫一本でいくということになります場合におきましては、これは当然この医療金融公庫におきましては、特別の災害融資ワクというものをある程度確保しておく、そういう措置を取らなければならぬと考えております。今後そういう方向で推進して参りたいと思っております。
  16. 勝俣稔

    勝俣稔君 いま一つ、あとの大蔵省や担当の……、法律の準備中ですから、もうお話はすっかりついておるわけですから、金融公庫の方から出すということについては……。
  17. 森本潔

    政府委員森本潔君) その点、まだはっきりついておらぬかと思いますが、目下その二つの方向で折衝中ということでございます。
  18. 勝俣稔

    勝俣稔君 ついておらぬでこんな法律を出すというのはどういうことです。今お話によると、六分五厘のあれで……。
  19. 森本潔

    政府委員森本潔君) これは通産省におきまして、一般の中小企業に対し下すところの災害の特別融資についての特別立法を予定しておりますので、その一環として、医療についても他の中小企業の一部としてやるわけでございます。ですから、被告中小企業に対する災害融資の特別率法というものが一般的になされますので、その中でこの医療機関融資考える、こういうことでございます。
  20. 高野一夫

    ○高野一夫君 ちょっと委員長、速記をとめておいていただいて……。
  21. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  22. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。
  23. 勝俣稔

    勝俣稔君 私は、今のでもう打ち切りますから、どうぞ。
  24. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 関連しまして。ただいまのお話を聞くというと、医療金融公庫というのがようやくできたと、しかし、これはわずかな金でありまして、これから災害が起こったらすぐ食い込むとかなんかいうんでは、医療金融公庫の今後の運営が非常に困難すると思いますので、先刻お話のように、二本立というのは、医療金融公庫の中にそういうふうな災害費というのを特に繰り込んだ場合は別問題ですけれど、今回は私の聞いておる範囲では別にそういうものは繰り込んでおらぬと思いますから、今回は医療金融公庫医療金融公庫で、今度は、せっかくただいまお話のように特別立法ができるんですから、その方から一億五千万にしましても幾らにしても出していただいて、医療金融公庫には絶対に今度の災害は食い込まぬというところで一つお考えを願いたいと思います。まあそのおつもりだろうと思いますけれど、念のために……。
  25. 森本潔

    政府委員森本潔君) お話の通りでございまして、それからもう一つ、業務の点から申しますと、まあ金庫が動き出しますのが、今の予定だと八月中ごろ以後ということになります。災害の方はもっと大へんに急がれております。それで、中金、国民公庫でございますれば、その方針さえきまりますればすぐ貸し出しが始まりますので、まあ、今回はむしろ中金の方でワクを作ってもらって、その方から借りる方が、一つにはこの金融公庫ワクが減じないというふうに、あるいは早く借り入れができるというような点からして便利であろうと、そういう意味で二本立でいってもらう方がいいのではないかと考えております。
  26. 佐藤芳男

    ○佐藤芳男君 ただいまの官房長の御答弁ですけれども、私は言葉じりをつかまえるわけじゃありませんが、きわめて不満足でございます。結論はいいのですが、今回はと、今回はというような言葉があったのでありますが、私は、この医療金融公庫の目的、これははっきりしておる。災害を少しも予定していない。あの国民健康保険の調整金ですか、あれなどは予定してある。従って、この前の伊勢湾台風のときにはあそこから財源を求められた。これは予定されておるのですから、私はこれはやむを得なかったと思うのですけれども、この医療金融公庫に限っては何らそれは予定されていない、法の建前からして。それを今回はということや、あるいはまた、災害復旧は急を要するのだから中金の方からなどということをおっしゃることは私ははなはだ遺憾千万。これは法の建前が変わらざる限りにおきましては、これは永久に災害等に食い込まれては、これはとんでもないことだということを指摘だけしておきます。お困りだろうから答弁は必要ございません。
  27. 高野一夫

    ○高野一夫君 今の佐藤さんの御質問に関連して私も大臣にはっきりしておいていただきたいことは、医療金融公庫災害対策でなくして、やはりあくまでも公庫法にのっとった線に沿うての融資であるべきだ。万一今後、来年度以降、医療金融公庫の対象となるべきものが災害を受けた場合に、こういうようなふうに中小公庫なり国民金融公庫あたりから融資ができるかどうかということになると、これは非常に問題になってくる。従って、その場合はほかの場合と同様に、特別立法をやってそして医療金融公庫災害対策ワクを別に特別立法によって取って、そして医療金融公庫の方から医療機関に対する災害復旧融資をするという建前に当然なるようなことは考えておるのですが、その点を一つ一応この機会に確認しておきたいと思います。
  28. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) お説の通り、そのようなふうに考えております。
  29. 紅露みつ

    紅露みつ君 これは医療金融公庫ではございませんけれども、似たような問題になると思うのですが、母子福祉資金、それから世帯更生資金、これなんかやはり今までの予算の割当の中でこれは見られるのでしょうか。母子福祉資金の方は小さいようですが、世帯更生資金の方は六千七百万円ですか——五億の予算だと思いますが、その中のこれだけの率は相当なものですが、今回はこれだけでございますが、それでもその中ではちょっと大き過ぎると思うのですが、将来こういうことがそうあっては困りますけれども、お話のように、やはり災害なんていうものは予測できないことでございますから、どういうふうに根本的に考えますか。いつもその中で使うということになると、これは大へん問題だと思うのですが、将来もそれから今回のこともちょっとこの際伺っておきたいと思います。
  30. 森本潔

    政府委員森本潔君) お手元にございます被害状況でごらん願えますように、母子福祉貸付金のワクの拡大分でございますが、これは府県の要求を聞きますと二百六十万でございます。これだけ資金をふやしてもらいたいということでございますが、この程度資金はただいま手持ちがございますので、母子福祉資金ワク内でとめ置きがございますので、これで十分まかなえるわけでございます。  それから世帯更生資金の方はワクの拡大分が六千七百四十四万でございまして、これが総額でございますから、これの三分の二額を国が県に出してやるわけでございます、現行法でございますと。それから伊勢湾の場合にはこれの四分の三相当額を国が出してやったわけでございますが、かりに四分の三相当額ということになると五千万ほどになります。この金額につきましては世帯更生資金のとめ置き分で今回につきましてはまかなえる予定でございます。  それから今後の問題でございますが、そのワクが足らぬとかいう場合には、これは当然別途予算のワクを予備費あるいは補正予算等で追加要求しなければならないわけでございますが、今回はこれで足ります。
  31. 紅露みつ

    紅露みつ君 とめ置きというのはどうなのです。前年度分なのですか。
  32. 森本潔

    政府委員森本潔君) 今年度分でございます。ですからこの庁県に対する割当は年数回やっております。ですから各府県に一応の割当をいたしまして、それから今後は府県の状況によりまして、もう少し増してもらいたいというようなところが出て参りますと、それに応ずるために一部の金を、何と申しますか、機動的に使えるように置いておるわけでございます。たとえばある府県で五千万円でよろしいということでございますが、非常にその後情勢が変わって、もう二千万円ほしいというようなことがあり得ると思います。そういうことを考えまして、若干本省に本年度予算において保留しております。
  33. 紅露みつ

    紅露みつ君 割当以上にほしいというような要求があったときに、そこに割り当てられるというものを一応保留している、それをとめ置き分と言われるのですね。そのことはわかりましたけれども、そうなりますと、やはり予算の面で、この世帯更生資金について申しますと、五億ですね。この中が災害の額だけ減るわけですね。これだけ一般の人への割当が少なくなるわけですね。だからそれはやはりその中で、今おっしゃるように流用しているのですね。そういうようなことで絶対量はふえないかどうかということを伺っているのです。
  34. 森本潔

    政府委員森本潔君) これは将来あるいは各府県の要望がふえて参りまして足らぬということがありますれば、これは別の問題として予備費の繰り入れとか、そういう措置が要ると思います。ただいまの段階においては、それをやる必要がないと思います。あるいは今後また災害が起こるとかあるいは非常に要求がふえて参るという場合には、予備費の中からもらうというような措置も必要かと思います。ただいまのところ、そこまでの必要はないと思います。
  35. 紅露みつ

    紅露みつ君 そうすると、必要がないとおっしゃるのですけれども、必要がないといえば、予算はもっと少なくてもいい、貸さなければ必要がないわけですから。やはり五億というものは各府県に割り当てられて、それがみな使われるとすれば、その中から災害で余分に使ったというものだけは、これは足りなくなるわけですね。ですから足りなくなれば補正で出すと言われるけれども、足りなくなれば、それは災害だけを別に取り扱うわけでないから、それだけ全体が足りなくなるに違いない。そういう御答弁はちょっとおかしいのだけれども、まあこのくらいの程度ならば、今までの予算でまかなっていけるのだということですね。結局だから一般がそれだけ減るというわけですね。心配の点は心配の点として消えていかないわけですね。だから私は考える余地があれば考えてほしいという希望だけ申し上げて置きます。
  36. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  37. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。  本問題に対する本日の質疑は、この程度にしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないと認め、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十八分散会