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1960-05-09 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月九日(月曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員鹿島俊雄君辞任につき、その 補欠として後藤義隆君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            高野 一夫君            吉武 恵市君            坂本  昭君            藤田藤太郎君    委員            勝俣  稔君            後藤 義隆君            佐藤 芳男君            谷口弥三郎君            久保  等君            村尾 重雄君   国務大臣    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君   政府委員    厚生政務次官  内藤  隆君    厚生省薬務局長 高田 浩運君    厚生省引揚援護    局長      河野 鎮雄君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    文部省大学学術    局大学課長   春山順之輔君    農林省振興局植    物防疫課長   石倉 秀次君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○引揚者給付金支給法の一部を改正す  る法律案提出に関する件 ○薬事法案内閣提出) ○薬剤師法案内閣提出)   —————————————
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまから委員会を開きます。  この際、引揚者給付金等支給法の一部を改正する法律案提出についてお諮りいたします。委員長手元に、ただいま配付いたしましたような草案提出されております。これを議題といたします。提出者代表から、草案趣旨説明を求めます。
  3. 高野一夫

    高野一夫君 ただいま問題となりました引揚者給付金等支給法の一部を改正する法律案草案につきまして、これを提案いたした理由説明申し上げたいと思います。  引揚者及びその遺族に関する給付金支給につきましては、昭和三十二年に引揚者給付金等支給法が制定され、ほぼ三カ年間を経過いたしまして、その大部分手続を終了いたしましたことは、すでに御承知通りでございます。しかし、引揚者給付金及び遺族給付金を受ける権利は、三年間行なわないときは、時効によってその権利は消滅するように規定されてありますので、昭和三十二年にこの法律が制定されましたときに権利を有していた人たちは、本年の五月十六日がその権利を行使できる最後の日となるわけでありますが、給付金を請求するための資料収集、その他の理由により、三年間に請求することが無理な事情もあるように考えられます。従いまして、この際、時効消滅期間を一年延長いたしまして、できる限り、引揚者またはその遺族給付金の請求に無理のないようにいたしまして、その生活の再建に資したいと存じます。  これがこの法律案草案について、御相談を申し上げる次第でございます。
  4. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいま説明のございました草案に対し、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。  なお、政府からは、渡邊厚生大臣並びに河野引揚援護局長出席をいたしております。
  5. 坂本昭

    坂本昭君 この際、政府にお伺いしておきたいと思いますが、引揚者給付金等支給につきまして、この三年間にその大部分手続を終了されたということですが、その大部分という数はどの程度か、そうして、あと残っていると想像される数はどの程度か、御説明いただきたい。
  6. 河野鎮雄

    政府委員河野鎮雄君) 先般の本委員会において御質疑がございました際にお答えをいたしましたが、そのときお答えいたしましたのは、昨年末の認定数が二百七十三万九千人というふうにお答えを申し上げたと思いますが、その後一月、二月、おのおの約二万ぐらいずつ認定が済んでおります。引き続き認定を急いでおる次第でございますが、今後どの程度出てくるかということにつきましては、まだ的確に把握しがたい実情にございます。昨年、遺族援護法がやはり時効到来を見たのでございますが、その後現在に至りましても相当まだ申請数がございます。そういうふうな実情から考えまして、まに最近の各県の模様を聞いてみますと、この時効が来るということで取り急いで申請をしておるということで、かなり申請数が現在出ておるというふうな状況もございますので、今後まだ相当あるだろうというふうに想像は抽象的にできるわけでございますが、具体的な数字はちょっとただいま申し上げました以上に申しかねますので、その辺御了承いただきたいと思います。
  7. 坂本昭

    坂本昭君 例の公務扶助料の問題などにつきましても、相当古い、十年ぐらい前のもので、当然成規申請権利がありながら諸般の事情のために忘れたり、あるいは怠ったりしておった人が、だんだんとその権利に目ざめてきたという実例がありますから、この場合もかなりの数があろうと思いますが、それでもあと何十万とか何百万とか、ある程度のめどはつくのではないかと思いますが、その範囲内での、大体どの程度残っておられるか、その概数をあげることできませんか。
  8. 河野鎮雄

    政府委員河野鎮雄君) ちょっと今計算いたしておりますのは一月末までの数字でございますが、四百億をちょっと上回ったところの認定が済んでおるわけであります。あとどの程度認定を要するだろうかという御質問だと思うのでございますが、先ほど申し上げましたような事情にございまして、まあ五百億という目標が一応法律ができましたときに考えられておったわけでありますが、まあそこまではちょっといかぬのではないかというふうに一応考えておりますが、それじゃどの程度までいくかということになりますと、ちょっと現在のところ、先ほど申し上げましたように、今相当受付数字が上がっておるような状況でございますので、的確な数字お答えいたしかねますので御了承いただきたいと思います。
  9. 坂本昭

    坂本昭君 それから今までの、この五月十六日までにその権利が行使できないであとに延びる可能性のある場合、まあ資料収集だとか、その他の理由によって、無理な事情にあると考えられると。その具体的にどういう場合が一番そういう無理な事情条件となるか、少し説明をいただきたい。
  10. 河野鎮雄

    政府委員河野鎮雄君) 従来いわれておりますのは、御承知のように法律で定められております要件に、外地生活の本拠を持つその期間が六カ月以上でなければならない、こういうふうな規定がございます。その外地におったということはわかっておっても、六カ月以上という証明が非常につきにくいのではないかというようなことがしばしばいわれた。特に法律の施行に入りました当時は、私ども事務処理につきまして非常に慎重な態度をとっておりましたので、相当はっきりした資料をお出しいただきたいというふうな方針で進んで参っておったわけであります。しかし、実際考えてみますと、古いことでもございまするし、終戦混乱等によりまして、なかなか資料が得にくいというようなことも考えられますので、その辺必ずしも的確に何カ月おったとか、あるいは何年おったというふうなあれがございませんでも、要するに六カ月以上外国におったということが、いろんな資料から間接的に立証が得られるということであれば、法律要件を満たしているものとして処理するように、逐次事務の取り運び方を改善して参っておるわけであります。ただいまのところでは、そういった趣旨がまだ十分末端まで徹底しない向きがあるいはあるかと思いますが、証明の点について具体的にはいろいろな問題があると思いますが、大数観察をいたしますれば、そう現在においては申請に非常に困難を来たすというケースは非常に少なくなってきておると、かように考えておる次第でございます。
  11. 坂本昭

    坂本昭君 そうすると、あとこの問題について問題点として残るのは、たとえば地域の問題とか、これはあと、今回かりに一年延長したとして、そういう問題の解決の見通しがあるかどうか、あるいはその今の六カ月の証明の件ですね、そうした場合にあと一年延ばすことで片がつきそうかどうか、その点の見通しはどうですか。
  12. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまの質問に対しましては、草案起草者高野委員から答弁があるようでありますから。
  13. 高野一夫

    高野一夫君 この引揚者給付金等支給法を制定いたしました昭和三十二年五月の当委員会におきまして附帯決議がなされておるわけです。これは実はあとで御了解を願いたいと思っておったのでありますが、御承知通りに、この附帯決議では、終戦以前に引き揚げてきた者であっても、その実情終戦後に引き揚げてきた者と同じような類似の状態にあるならば、それは本法を適用せしめるべきじゃないか、その点について政府は考究せらるべきである、こういう附帯決議をいたしております。つきましては、特にこの附帯決議で取り上げましたのは、昭和十九年の四月に閣議決定で南洋の委任統治領から強制的に六万人の婦女子を引き揚げさして、約半数足らずがようやく内地にたどりついたというような事情がございまして、ことに委任統治領でもございますから、これは今回の一つ改正でぜひとも加えたいという考えを持っておったわけでございます。ところが、閣議決定ではございませんけれども、軍の強制命令でやはり終戦以前に引き揚げてきた者が、フィリピン、蘭印、シンガポール、雲南、こういう方面にもやはりあるようでございまして、そうすると、どの辺に限界線を置くかということが、なお一つ皆さん一緒にまた相談を申し上げなければならぬのじゃないか、こう思いましたので、とりあえずは一年間の延長をはかっておいて、そしてこれらの地域の問題について、また終戦前引き揚げた問題はどの程度入れるかという点については、今後一つおりおり皆さんと御相談申し上げて、適当の機会にしかるべき方法を考案していただきたい、こう思うわけでありまして、これを一つつけ加えて御了解願っておきたいと思います。
  14. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 関連。この問題はそういう事情でありますから、私たち趣旨は賛成です。ただ厚生省援護局に私は申し上げておきたいのですが、この外地の引き揚げとあわせて軍人援護の問題で非常に法律に照らしてむずかしいようなケースかたくさん今日あるわけです。ところが、そういう資料を、私も昨年ある人の問題で調査をしてみたいと思って調査をしたのですけれども、そういう資料整備とか管理とか、そういう点が非常におろそかなような気が私はするわけです。厚生省行政機構の中でりっぱにおやりになっているのかどうかということを疑わざるを得ないような調査機構が一面にあるわけで、私はあれでいいのかどうか。もう十四年もたっているから、いろいろ問題になっている人は、これは線からはずしてやむを得ず泣き寝入りになるのかしらないけれども、少し厚生省は、今どき私がこういうことを言うのはおそいのですけれども、私も直接そういう方々に触れていなかったからこういう結果になったのですけれども、ほんとうに調べようという材料がない。そういうものに対して一貫して努力が払われてないような気がするわけです。私は、行政上の問題として国が引揚者援護をするには、やはり公平にできるだけお気の毒な人にしてあげる、軍人援護を要するにするときには、やはりそういう基盤はできるだけ努力して整備してあげて、そして国民の中に不満のないようにしてあげるというのが厚生行政じゃないかと私は思うのです。しかし、そういう点において非常に熱意が私は——自然に消滅するものでありますけれども、やはり消滅するまでの間はもう少し熱意を持って、資料整備であるとかいうようなものはやはりしてあげなきゃいかぬのじゃないかということを常々思っておったのです。まあ、だんだんと数が減っていくような条件ですから、私も問題にしたくは思っていなかったのですけれども、ちょうどこの機会ですから、やはりできる限りこの軍人援護の問題も、資料整備についてはもう少し熱意を持ってやっていただきたい。そうでなければ、私はなかなか申請する人が、こういう状態ならもうやむを得ないと、肝心な資料がないからどうなったやらわからぬというところで、不満を持って泣き寝入りになるような人は非常に気の毒だと私は思うのです。そういう点は私は特に強い希望をしておきたいと思います。
  15. 河野鎮雄

    政府委員河野鎮雄君) 御趣旨ごもっともと存じます。ただ私ども資料整備について熱意がないというふうに言われますと、はなはだ恐縮をいたす次第でございまして、毛頭そういうつもりはございません。ただ、終戦前後に相当消失したものもございますので、なかなか立証が困難なケースが出てくるわけです。まあ、こういった立証の問題は、法律建前からすれば本人が立証するというふうな建前でございまするけれども、実際のやり方といたしましては、そういうふうな気持でなしに、申請者一緒になって資料を探し、あるいは整備をするというふうなつもりで、資料がないからあんただめですよということでなしに、一緒になって資料を探すというふうなつもりで進めておるわけでございます。御趣旨に沿いまして今後とも十分努力をして参るつもりでおります。
  16. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと……。そういう御意見があったら私は一言言わなければならぬようになってくる。たとえば、援護局に行けは、資料市谷にありますと、市谷へ行けば、あの人に開いたらわかるだろう、この人に聞いたらわかるだろう、というような仕方ですよ。そういうことで努力をしていると、今——それは努力をしておられるに違いないでしょうけれども、もっと、この現地にこうあったら、そのところの関係資料はここにあるから、これを調べてみましょうというぐらいに、せめてそういう系統的なぐらいの資料整備をして、ないのはこれはしようがない、戦争中だったんだから。しかし、それぐらいのことはしてもらわないと、そういう関係ならあの人に聞けばわかるとか、この人に聞けばわかるとかいうようなことを言ってみたってどうにもならぬです。だから、その関係資料はここにある、その関係資料はここにあるというぐらいの整備をやはりきちっとして系統的にやらないと、こんな調査なんてできるものじゃないですよ。私はそれを言っている。だから、それでないのはしようがないけれども、そういうやはり系統的に、このクラスのものはこの倉庫にあって、この列にあってこうだというぐらいのことはやはり統一しておいてもらわなきゃ、地方から行ったってそれはもうほんとに困っているという気がしたから私はそう言っているのですから、そういう面も一つあわせてお願いしておきたいと思うのです。
  17. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 別に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。  次に、本案に対し、政府側意見がございましたら御発言を願います。
  19. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 本案に対しまして、十分御趣旨を尊重いたしまして善処いたす次第でございます。
  20. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいま御審議を願いました草案、すなわち、お手元に配付してございまするような引揚者給付金等支給法の一部を改正する法律案草案。   引揚者給付金等支給法昭和三十  二年法律第百九号)の一部を次のよ  うに改正する。   第十八条中「三年間」を「四年間  」に改める。     附 則   この法律は、公布の日から施行す る。  この草案法律案として本委員会から提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  22. 加藤武徳

  23. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは次に、薬事法案並びに薬剤師法案の両案を一括して議題といたします。  厚生省からは高田薬務局長ほか担当課長出席をいたしておりますが、お手元資料追加といたしまして、諸外国薬事制度概要その他が配付されております。この資料につきまして、まず追加説明を願います。
  24. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 先般来御要望のありました資料につきまして調製をいたして御提出申し上げます。  第一の、各国医師歯科医師薬剤師数比較表、これは先般、薬剤師についてお出し申し上げましたところ、医師歯科医師についても同様の資料をというようなことがございましたので、調査をいたしまして御提出をいたした次第でございます。なお、この薬剤師数も書き上げてございますが、これは先般提出をいたしましたものと同一でございます。  それからその次に、薬事監視資料提出してございますが、一番上の欄が総数になっております。すなわち薬事監視員薬局製造業その他、いわゆる登録個所に立ち入りをいたしまして違反発見をし、それをどういうふうに処分をしたかということの数字が、大へんこまかくてごらんになりにくいと思いますけれども記載をしておきました。なお、念のために申し上げておきますが、まん中辺の違反発見件数の終わりの方にその他とございますが、その他と申しますのは、記録の保存状況でありますとか、毒薬、劇薬の取り扱いでございますとか、あるいは調剤室整備状況でございますとか、あるいは管理薬剤師の勤務の状況でありますとか、そういった点をその他ということで包括をして記載をしてございます。  それからその次の処分件数のところの終わりのその他と申しますのは、これは始末書でありますとか、説諭でありますとか、そういったような措置を含んでおるわけでございます。  なお、備考の方に、どういうふうなやり方をいたしておるかということを簡単に書いてございますが、監視方法といたしまして——二番目でございますが、国及び都道府県において一斉検査というやり方と、それから随時の検査と二つをあわせて行なっておりまして、一斉検査は国において行なう場合は、原則として年二回実施をする、そういうふうなことになっております。  その次に書いてあります告発件数というのは、これは捜査機関に対して告発するという意味でございます。  それからその次に、地方薬事審議会のおもな審議事項、これは今度新たに設置することができるといたしております地方薬事審議会はどういう事項を主として審議するか、このほかにもあると思いますけれども、おもなる事項記載した次第でございます。なお、これが具体的な実施の場合には、さらに検討いたしまして完全を期したい、かように考えております。  それからその次に、別冊になっております諸外国薬事制度概要、この前、一番初めに御希望がございました冊子でございますが、その後の御指摘の印刷物のあとの適当な資料がございませんでしたので、この前お名ざしの資料をそのまま印刷をいたしまして提出をいたしました。なお、広告についての御希望がございました点も、このうちに広告に関して相当調査がございますので、それによって一つ承知をいただきたいと思います。
  25. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではこれより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  26. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは速記を始めて下さい。  ただいま政府からは、文部省大学学術局春山大学課長農林省からは、振興局石倉植物防疫課長出席をしております。質疑のおありの方は逐次御発言を願います。
  27. 坂本昭

    坂本昭君 この際、文部省厚生省薬剤師教育薬科大学の問題についてお尋ねいたしたいと思います。先般来の説明によっても、薬剤師数が五万六千、薬局が二万、それからまた、きょうの資料をいただきましても、薬剤師の数は人口比率においても、英国、フランスをしのいでおり、ある統計によるとベルギー、ニュージーランド、これらに次いで世界第三位であるというふうな統計もあるようでございます。で、欧米では現在この調剤業務薬局営業量の中の大きなパーセントを示しておりますけれども日本の場合にはまだ非常に少ない。しかも、にもかかわらず、薬局の数は世界のトップ・レベルに位置している。どう考えても日本薬局の数が多過ぎるということであります。しかも、薬科大学の数が三十三校あって、私立がたしか十七ほどあったと思いますね。それから年々三千二百人ほどの卒業生が出ている。そして国家試験に合格して薬剤師になる者も七、八〇%はある。そしてこの新しい薬剤師許可基準に合えば、何人でも薬局開設ができる。そういうような状態の中で、薬科大学の設立の認可は、もちろん文部省の所管でありますが、薬科大学のいわば乱設に近い増加、それから薬剤師の非常なる激増、これについて薬事行政を扱う厚生省としては、まずどういうふうに見ておられるか、その点をお伺いして、次に文部当局には、このような薬科大挙の新設に対して、厚生省行政とどういうふうに連絡をとって文部省としては設置基準を設けてどんどんと薬剤師教育を行なっているか、その点をあと文部当局から御説明いただきたい。
  28. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) お話のように、終戦薬科大学相当増加いたしましたし、それに関連をして薬剤師国家試験受験者数相当多きに上っております。最近また薬科大学が三校開設の運びに至っております。そういう状況でございまして、これが終局、調剤あるいは医薬品の製造販売についての管理という薬剤師の本来の仕事の面からする需要と、はたしてマッチしているかどうかという問題は、これは厚生行政の上からいけば非常に重大な問題でございますが、これがはたしてマッチしているか、あるいは非常にかけ離れているかという点については、非常に正確な突き詰めた意味での議論をすると、非常にこれはむずかしい問題になると思います。なおまた、薬科大学を出ました者が、実際は大部分に近い者が薬剤師の免許を受けているわけでございますが、必ずしもそれらの人でさえ薬剤師の固有の仕事に携わっていない面もございますし、かてて加えて薬剤師にならないで、薬学の知識を活用をして社会公共の役に立っている、そういうようなこともございますし、そういうことから考えまして、いわゆる薬科大学卒業生と、これらについての社会一般需要とがはたして正確にマッチしているかどうかということを判定することは、非常にこれはむずかしい問題だと思いますけれども、単に常識的にいって、薬剤師調剤その他の関係からして、今御指摘のありましたように、その辺の実際の需要とかけ離れて、関係なしに卒業生が出て参るということについては、これは相当やはり国としては慎重に考えなければならぬ問題だと思うのでございます。かてて加えて、これはちょっと御質問趣旨とは多少余談になりますけれども薬剤師国家試験状況を見て参りますというと、大部分の学校というものはかなり合格率を示しておりますけれども、中にはかなり合格率の低いところもないわけではございませんで、その辺についての、これは大学教育といいますか、その辺についてさらに一つ奮発をしてもらわなければならない点もあろうかと思います。それらのいわゆる内容というか、内容の充実の問題と量の問題とは、今後私ども十分一つ、今度できました医療制度調査会というようなものにおきましても検討をしまして、文部省とも連絡協調をして遺憾なきを期して参りたい、こういうような心づもりでおる次第でございます。  それからなお、大へん申しわけございませんが、先般私、薬科大学の数三十三と申しましたが、三十二の間違いでありました。訂正させていただきます。
  29. 坂本昭

    坂本昭君 今の薬務局長の御答弁だと、はなはだ不満であります。従来もとかくそうであったのだけれども、特に国民皆保険を控えている今日、薬剤師がその中で重大な任務を帯びるということは、今度の薬剤師任務の中の第一条にはっきりと「公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」、非常に明確な任務を帯びさせられている。その明確な任務を帯びたところの特殊な技術者を厚生行政の中で明確な目的に使わなければならない、それが一体どうなるのだか、そのはっきりしたプランもできていないということは、厚生行政がはっきりしてなければ、これに必要なところの技術者を教育する文部省の方針だって私は生まれてこないと思う。当然厚生省がこの点についてどう見るかという明確な見解を持たなければならないと思う。厚生大臣、一つその点はっきりと、この薬剤師に重大な任務を今度帯びさせるのだけれども、一体この数を国民皆保険の中でどう見るか。たとえば病床については十三万床、六年間でふやすというような計画ができている。それに基づいて医療金融公庫も今度作られることになった。もちろん医師、看護婦についても計画があると思う。これはまたその際にお尋ねしますが、当然薬剤師についても今度はそうしたプランができていなければならない。それが薬剤師のいろいろな私的な事情だとか、社会の事情だとか、何かいろいろなことがあって、慎重に検討したいとは言うけれども、そういうことは厚生省行政の中でやはり明確なプランを出して、こういうふうにやっていきたい、だからこういうふうに技術者を教育してもらいたい、やはりそういう点が出てこなければならぬと思うのです。厚生大臣の一つ御見解を承りたい。
  30. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 御指摘通りでございまして、国民皆保険下におきますところの保険行政というものにつきまする薬剤師の知識経験というものは、非常にわれわれがこれを要望しなければいけない、かように考えている次第でございます。従いまして、厚生行政の面におきましても、この質的な薬剤師の改善というものにつきましては大いにわれわれは今後考えていかなければならぬ、かように考えております。先ほど薬務局長から申しましたように、しからば、どういうふうな方法においてこれをやるか。しかし、具体的には、私ども今まことに失礼でございますけれども、おそまきではありまするけれども医療制度調査会等の答申等も得ますとともに、われわれが行政面におきまして十分これを留意いたしまして、文部省当局とも話し合いをいたしまして、総合的な調整をとりながらこの質的な向上をはかっていきたい、かように考えております。
  31. 坂本昭

    坂本昭君 厚生大臣、実はこの先般の説明でも、いわゆる無薬局地区の数がどうもところどころによって食い違っているのですが、この間薬務局長は千四百と言われたのだけれども、四千という説明を聞いたこともあるので、これはこの際一つ千四百の無薬局町村か、あるいは四千か。どちらか一応確かめておきたいのですが、いずれにしても千以上のこういう無薬局の町村なり、地区がある。従って、それに対してどの程度薬剤師を設ける、あるいはそれに対して薬種商や、あるいは特殊な販売業者を配置するということは、私は当然考えられなければならない。その中で一番主体をなす薬剤師については、医療制度調査会に全部おまかせするというのは、これは私は少し怠慢だと思います。厚生大臣としては。——厚生大臣、聞いていますか。医療制度調査会の中に一体薬剤師の代表は何人入りますか。
  32. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 無薬局町村の関係につきましては、この前も資料を差し上げました通りでございまして、四千何ぼというのは、町村合併前のものだと思います。それからその無薬局町村をどうするかということについては、これはまあ提出いたしました資料で、私どもの考え方は御推察いただけると思うのでございますが、ただいま実は御質問趣旨が、そういうことではなしに、薬剤師の全体の養成計画という意味での御質問だと考えまして、従って、将来の薬剤師の養成計画は、一体学校は幾つで、卒業生はどのくらいが適当であるか、そういう意味の御質問と、私の方は解してお答え申し上げたのでございます。もちろんそれを計算するについては、いわゆる無薬局町村が幾らで、薬局の方面の需要が大体どのくらいある云々ということを積み上げて計算すればわかるじゃないかというお考えも、あるいはあるかと思いますけれども、それとこれとは、先ほど申しましたように、なかなか正確な意味での計算をすることはむずかしいので、そういう意味で、大学の数は幾つが適当であり、卒業生は幾らが適当であるということをにわかにここでお答え申し上げるところまでの結論は持っていないという意味お答え申し上げたことを一つ御了承いただきたいと思います。
  33. 坂本昭

  34. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 一人でございます。
  35. 坂本昭

    坂本昭君 しかし、これは厚生行政にそういう計画性がなかったら、医師についたって、薬剤師についたって、何人の特殊な専門家をもって、日本国民の健康を維持していくというプランがなかったら、今度文部省だって、それに合わせて十分な能力のある、資格のある特殊専門家を教育するという方針も出てこないと思うのですよ。これはどうも厚生省はもう少ししっかりした見解を持ってもらわなければ、今度の国民皆保険について、われわれは安閑として厚生省のプランにおまかせするわけにはいきません。  次に、今文部省の方が来られておりますからお伺いしますが、文部省としては、一応厚生行政でどの程度の専門家が必要だというよなことは論外として、いずれにしても、設置基準にさえ適合しておれば、全部認可をしていく、そういう方針で文部省はやっていかれているのですか。
  36. 春山順之輔

    説明員春山順之輔君) 大学の学部、学科を認可いたしますには、文部省といたしましては、大学設置審議会という会がございまして、それに諮問して、その審査に合格したものは許可するというのが一般的な方針でございます。その学部、学科を設置しますには、大学設置基準という基準がございまして、その基準に合致いたしますれば、審査会としますれば、その基準によって合否を決定していくわけです。御承知のように、先ほどもお話がありましたように、今薬学の関係の学部、学科というのは三十以上ありまして、毎年の入学者数は、定員といたしましては二千七百余でございます。しかし、大学の中には、定員をこえて入学させておる大学もありまして、お話のように、三千をこえた卒業生が出ておるような実情でございます。この薬学の学部、学科を設置します場合には、もちろんその薬学の専門家が幾人か委員として関与しておりますので、薬学界の状況、あるいは薬学教育の全体の状況から判断して、大学の数が多いか少ないかという点は考えられるのですが、基準に合致すれば、それを許可せざるを得ないのが現在の法律建前になっております。ただ、文部省といたしましては、できた大学がりっぱな内容を持って、りっぱな卒業生が出るようにする必要がありますので、薬学に関する視学員を設置しまして、適時大学を見て回っておるわけです。そして、適当な助言をいたしておるわけでございます。ただ、大学の中には、なかなか設備あるいは教員組織をにわかに整備できない状態のものもないわけじゃございません。また薬学の大学の三十有余の中には、国立大学もあり、公立大学もあり、私立大学もございますが、国立大学については、これはもちろん制限はできますが、公私立につきましては、先ほどお話し申しましたように、基準に合いますれば一応許可せざるを得ないというのが現在の建前でございます。
  37. 坂本昭

    坂本昭君 薬務局長にお尋ねしますが、先ほどあなたの御説明の中でも、非常に国家試験合格率の低いところがある、まことに寒心にたえないというような説明もありました。つまり、そういうことは、技術専門家としてレベル・ダウンのおそれがあるというふうな考えから心配されたと思うのですが、それでは、厚生省としては、文部省に対して、この大学の新設について何か意見を言ったことがあるか、あるいはまた、将来申し入れをする、そういう御意図があるか、その点を伺いたい。
  38. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 最近は、個々に私的な話し合いとしてはいたしておりますが、役所として公に希望を申し述べたことはございません。ただ、この問題は、今文部省からお話がありましたように、大学制度の根本と関連する問題でございますので、せっかく文部省においても大学教育制度全般について御検討の機運に向かっているようでございますし、それらと関連をして私どもの方の考えを申し述べたいと思っております。
  39. 坂本昭

    坂本昭君 最近認可されたものにはどういう学校がありますか、文部省説明をいただきたい。
  40. 春山順之輔

    説明員春山順之輔君) 国立大学では、京都大学に薬学部ができ、ことしの四月から発足いたしております。ただし、この薬学部は、従前の薬学科をそのまま薬学部にいたしたわけでございますから、増設ということにはならないかと思います。私立大学につきましては、東京理科大学——元物理学校と申しましたが、この理科大学に薬学部が設置されました。それから福岡に、第一薬科大学というのと、福岡大学に薬学部が増設されております。都合四つの大学、実質的には三つの学部が増設されたわけでございます。
  41. 坂本昭

    坂本昭君 先ほど文部省説明にあったように、基準は、大学設置審査委員会ですか、そこで検討される。もちろん、その中には薬学の専門家が入っておられるとは思います。そういう人たちが十分検討して、設備だとか規模などが不適格である、そういうふうな答申をしたにもかかわらず、文部省がこれを認可したというようなことはありませんか。そういうふうに若干聞いておるのですけれども、そういうような事実は文部省としてはございませんか。
  42. 春山順之輔

    説明員春山順之輔君) 大学設置審議会の組織でございますが、この組織は、正規の委員が四十五人でできておるわけです。そのほかに臨時委員——専門委員でございますが、専門委員が約百五十人ぐらいの方にお願いしてございます。合計約二百人の方で審査しております。その専門委員の中に、薬学関係委員の方をお願いしておるわけです。約六人か七人だと思いますが、お願いしてございます。そこで審査をする場合には、専門委員の方は、まず教官組織のようなものを主として審査いたしております。それから正規の委員は、それぞれその審査の部会を持ちまして、ことしは大体五つの部会に分かれて審査いたしたわけです。その審査の間には、いろいろ論議がございました。ある大学について——これは薬学に限りません。一般的に申しますが、たとえば校地が狭いとか、あるいは校舎が不十分だとか、あるいは機械設備をもっと充実した方がよろしいとか、いろいろな意見があるわけでございます。その意見を調節して、最後に総会で決定したわけでございます。総会で決定したものを文部省に答申するわけでございますので、文部省としては、大学設置審議会がいけないと言ったものを認可することはございません。みなよろしいとして答申のあったものについて認可をしております。  なお、先ほど申し落としましたが、大学設置を認可する場合に、私立大学につきましては、大学設置審議会にかけるばかりじゃなく、私学審議会というのがございまして、その私立大学審議会にも諮っております。その両方の結果をもって認可いたしております。
  43. 坂本昭

    坂本昭君 今の、審議会にかかる前に、専門委員が検討を加える。だから、その専門委員の中には、かなり専門的な立場から相当厳格な批判があったと思うのですね。そうした場合、あまり適当でないというふうな、そういう批判があった学校もあったのではありませんか。
  44. 春山順之輔

    説明員春山順之輔君) そういう論はあったように聞いております。
  45. 坂本昭

    坂本昭君 これは教育のことについて厚生当局は口ばしを差しはさむ余地はないでしょうが、厚生省としては、このように薬剤師の身分を確保し、重大な任務を帯びさせるためには、教育の面において十分なことが行なわれることを、これはもう絶対必要だと思うのです。これについて、今のような文部当局説明に対して、こういうふうなことのあった事実に対して、厚生省としてはどういうふうにお考えになられますか。
  46. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 別になわ張り争いというような、こういう考え方ではございませんけれども厚生省としては、先ほど私が申し上げましたように、保健衛生上、薬剤師の質的な向上というものをはかっていかなければ、国民皆保険下の今日におきましては、とうていその実をあげることができない。でありまするから、できる限り文部当局と話し合いの上で、そういうようなことをできるだけなからしむるように一つお願いいたしたいと、かような気持でおるわけでございます。
  47. 坂本昭

    坂本昭君 今厚生当局と、それから文部当局の御説明を聞くというと、この大事な任務を持たれた非常に専門的な質の高い薬剤師に対して、その教育につき、あるいはその数の確保について、どうも十分密接な連絡があるようにうかがわれない。特に厚生当局が具体的なプランを持っておられないように感じたことははなはだ遺憾であります。どうか今後こういう特殊な専門家についてはその身分を確保し、優遇をすると同時に、国としては十分なプランを立てて、厚生、文部ともに意思をよく通じてそうしてりっぱな技術者、国民にりっぱな奉仕をする人を作るように今後とも十分推進していただきたい。きょうは局長も文部大臣も来ておられませんが、非常に大事な今初めての薬剤師法の制定されるときであります。そうして今お伺いすると、ただ基準にさえ合えば文部省の方は認可をする、そうしてしかも伺いますと、専門的には必ずしも万全でないような設備を持った教育機関があるらしい、もちろんその基率には一応は合格はしたけれども、すれすれでもやはり合格なんですからね、われわれは六十点合格のところをできたら八十点、九十点、百点合格を希望するのであって、この六十点で合格でもよろしいというような、そういう態度は私ははなはだよくないと思います。今後とも両省において十分な連携をとられるように、文部省の方は大臣並びに局長に十分意を伝えていただきたい、また厚生大臣は、今のように今後十分連絡をとっていくということでありますから、特にお願いしておきます。
  48. 高野一夫

    高野一夫君 ちょっと関連して。今坂本さんから御質疑がありましたが、厚生省薬剤師任務といいますか、将来の薬剤師のなすべき仕事並びにそれに対する数、これに対する計画がないということを非常に御不満のようでありましたが、私もその点は全く同感、党の立場を超越して同感であります。現在薬剤師がどういう方面に働いておるかという実数がすでにわかっておるわけです。薬局開設あるいは勤務者——病院、診療所等に勤務する者、教育関係、研究関係、衛生行政関係いろいろあるわけです、一般の化学工業……。そうすると、今後年々に出る薬剤師が、薬科大学卒業生が今後それじゃ——薬局の町村が先ほど千四百あるという話だが、どの程度日本薬局の数が必要であるか、そうするとどの程度薬剤師が十年計画なら十年計画で必要か、公衆衛生による保健所その他食品衛生、そのほか重要な公衆衛生をやっておる、その方面で一体どれくらいまだ必要か、もう要らないのか。研究所、教育関係みなそれは、私は、多少の狂いはあっても、大よその目安は立ててもらわなければならない。これは医師の場合も同様であります。そういたしますと、薬局方面ではこの程度、それから教育関係この程度、衛生行政関係公衆衛生関係この程度、あるいは化学工業関係この程度、こういうふうにすれば五年計画なり七年計画なり十年計画で大よその薬剤師の養成を必要とする数が見当がつけられるはずです。それで十年くらい前に厚生省に医療機関整備審議会というのがありまして、日本医師数あるいは病院、診療所の数がどの程度必要であるかという点について協議をしたことがある。私も委員として参加したのです。そういうふうにすれば、この薬務行政の場合でも大よその見当はつけられる。そうすると、文部省に対してもう薬剤師は多過ぎるとか、まだ足りないのだとかいう意見を述べて、文部省は基準に合えば拒否することはできないという話であるけれども、大よそのとにかく目安というものは、私は一応つけて文部、厚生両省相協力し合って養成をやっていかなければならぬ、こういうふうに思います。これは全く私は坂本委員のお考えと同感であります。特に私も自民党の立場からこの点を強く渡邊厚生大臣並びに薬務局長にお願いをしておきまして、できるだけ急速に大よその見当をつけ、計画性を一つつかんでいただきたい、これを強く要望しておきます。
  49. 坂本昭

    坂本昭君 今の点はまたあとで、例の薬事監視員のところで触れようと思います。特に教育に中心があったので、文部省の人のおられる間に一応それらを聞いて、あとで触れます。
  50. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは谷口君、御質疑がございましたらお願いいたします。
  51. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 先刻の話によりますと、農林省から見えておられるということでありますから、医薬品の問題についてお伺いする前に農薬について少しお伺いをしておきたいと思います。  聞くところによりますと、農薬によりまして、あるいは中毒あるいは死亡という例が毎年かなり出ておりますようでございます。ことにこの五月ごろから農薬による災害がかなり多いように思いますが、農薬に関係いたしまして、その取り扱い、取り締まりと申しますか、取り締まり法あるいは取り扱いとかというのは一体どういうようなふうな方式でおやりになっておるか、それと同時に将来についてお話願いたいと思います。
  52. 石倉秀次

    説明員石倉秀次君) ただいまの御質問につきまして御返答申し上げます。  御承知のように、戦後にいろいろ新しく合成されました農薬が出ておりまして、最近ではおそらく農薬の種類は化学化合物の成分といたしましては、約三百種類くらいのものがあると存じます。御承知のように農薬が害虫なりあるいは病原菌を殺すということを目的としておりますので、その中にはかなりやはり人畜に毒性の高いものがございます。この毒性の高いものは御承知のように、毒物及び劇物取締法という法律がございますので、当然その法律の対象になるわけでございます。しかし、現在用いられております農薬のうち毒物になっておりますもの、それから劇物になっておりますもの、それから劇毒物に入らないものというふうに分けますと、品目の種類といたしましては、劇毒物に入らないものが多いのでございます。ところが、使用しております絶対量から申しますというと、かなり毒物あるいは劇物に入るものが多うございまして、ちょっと統計が古いのでございますが、一昨年三十三年度の使用実績で申しますというと、毒物のうち特に毒性が多いものが、これは生産数量及び金額のうちの金額で分類いたしますというと、特定毒物になりますものが一九・七%それから毒物になりますものが三三%、それから劇物が八・三%普通薬が三八・八%というような形になっております。問題はこの特定毒物あるいは毒物に入ります農薬の取り扱いが不適切でございますというと、ただいま御指摘のような中毒が起こります。それで、このような特定毒物あるいは毒物ないしは劇物に入りますおそれのあります農薬をどのように農林省といたしまして取り扱っているかと申しますと、先ほど申しました毒劇物の取り締まりは厚生省の方の所管になっておりますが、ところが、農薬の販売あるいは製造取り扱いというような面は農林省の方の所管になっております。この聞の事務調整といたしまして昭和二十七年の四月に私どもの方と厚生省の薬務局との間におきまして農薬の取り扱いについてこのような取りきめをしております。農薬として販売いたしますには、農薬取締法の規定によりまして農林大臣の登録を受けなければならないのでございますが、新しい農薬が入って参りましてそれが毒物及び劇物に相当する毒性があると思われるものは、輸入またはそれを製造する際に、先だちまして農薬として登録申請をやるわけでございます。この登録をおろします前に、私の方から厚生省薬務局長あてに、この農薬の製造をいたそうとする者に対して見本及び資料を出させまして、厚生省の方におきましてこれを国立衛生試験所その他の関係機関で毒性を検討していただくというような形にいたしてございます。その後の取り扱いは、厚生省におきまして毒物あるいは劇物というような指定が行なわれますと、毒物及び劇物取締法にきめられました手続によって管理されるわけでございます。これにつきましては、管理者の資格そのほかがこの毒物及び劇物取締法の中に詳しく規定されてございます。  それからなお、そのようにして規制されます農薬が現実に農家において使われ、その段階において中毒ということが起こるわけでございます。この点につきましては、先ほど申しました特定毒物、これがただいま化合物の種類といたしましては五種数の殺虫剤があるのでございますけれども、この使用法について毒物及び劇物取締法の施行規則によりまして非常にこまかい制限をつけておるわけでございます。その概要を申しますというと、こういうような危険な農薬は個人の使用を許さない。御承知かと思いますけれども、たとえば最近は病害虫の防除というものがかなり共同的に行なわれております。たとえば町村あるいは農業協同組合というような段階での共同防除が行なわれますので、そのような共同防除に限って使用を許す。それから保管につきましては、個人の保管を許さない。それから、使用上の詳しい点、たとえばどのような散布器具を使うとか、どのような服装をするとかいうようなことを指導をしておるわけでございます。先ほど農薬の中毒が毎年出るということは御指摘通りでございますが、このように数年前に比較いたしますというと、取り扱いあるいは販売、管理の点につきまして規制を加えたこと、それから農林省の面におきましては使用上のそのような詳しいこまかい制限を加えましたために、農薬全般の使用量は非常に増大しておりますけれども、事故の点につきましてはだいぶ減少いたしております。長くなって恐縮でございますが、たとえばこの特定毒物のうちのパラチオンというものがございますが、これがまあ前々から一番農薬の中毒としては問題にされております殺虫剤でございますけれども、これによります中毒が昭和二十八年、九年には千五百から千八百台の数が出ております。そのパラチオンの使用量は、最近は二十八年、九年の約倍になっておりますが、事故といたしましては昨年度は四百八十二というような形に減ってきております。
  53. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 死亡者は。
  54. 石倉秀次

    説明員石倉秀次君) これは散布に伴う中毒でございます。この死亡者の方は、散布に伴います死亡につきましては二十八年、九年は七十台でございまして、昨年は二十六に減っております。ただ私たち監視しなければならないのは、こういうような農薬によります自殺がふえておりますという点がございますので、まあ農林省といたしましては、なるべく特定毒物に該当するような農薬は、毒性の低い農薬に置きかえていきたいというように考えておりまして、このパラチオンと同じような効力を持ちます有機燐製剤ディプテレックスという新製剤がございます。このディプテレックスが一昨年から実用に供しておる、こういったような状況でございます。
  55. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 ただいまのお話でも、農薬の中にはかなり燐を含んでおるような、パラチオンのようなものがありますために、かなりの中毒あるいは自殺までするというような状況ですが、この農薬の定義を見てみましても、これは農作物あるいは農林産物を害する菌、アブラ虫、昆虫、ネズミその他こういうようなやつで、医薬部外品になりますというと、「人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ」というようなのが出ておりますが、大体似たようなもので、いわゆる人畜並びに微生物というものに対する薬でありますし、また医薬品におきましてもあるいは菌を殺菌します殺菌剤などが使われておるのですが、これが特に薬剤師によっていろいろと調整され、取り締まられておるものですから、案外死亡者とかあるいは中毒とかいうようなものは割合少ないのです。従ってこれは厚生省の方にお願いすることですが、薬剤師法案を見てみますというと、「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他」云々とありますが、医薬品と言わずに、こういうようなふうの人畜に害のある、死亡者までできるというのでありますから、これを薬剤師は、調剤、薬品というようなふうに医を除いてしまって、あるいは医薬品並びに農業用薬品と言うてもよろしいのでございますけれども、農業方面のやつも、特にただいまのお話を聞きましても、あるいは劇毒薬に関係したことに対しては厚生省と大いに話し合いの上にいろいろやっておられるのですからして、この方面に特にいろいろと学校その他において研究をし、それから実地に臨んでやっておる方面の方を一緒に入れるということがよくはないかと思いますので、薬品というところにいかぬものでございますか、その辺をちょっとどちらか、大臣からでもあるいは局長からでもお聞きしたいと思います。
  56. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今のお話しになりましたいわゆる農薬、これはまあ毒性の強いもの、劇性の強いものについては、毒物及び劇物取締法によって取り締まっておるわけでございます。こういったたぐいのものはひとり農薬のみならず工業用の薬品についても同じような問題があるわけでございます。いわゆる人体に用いることを目的としないものについても毒性、劇性の強いものについては、農薬であろうと工業薬品であろうと、毒物、劇物として取り締まりをしておる。そういうような次第でございますし、おのずからその面において薬剤師その他の知識、経験のある人がタッチをする格好になっておるわけでございます。同時にまた役所としても農林省と協力いたしまして、こういった農薬による被害が少しでも少なくなるように、ちょうど五月の十五日から一カ月間こういったものの被害防止の運動もやっておるし、かねがねの取り扱いについてもいろいろな注意も両省協力してやっておりまして、少しでも被害が少ないように努めておる次第でございます。
  57. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 ただいまのお話では、かなりその方面には御注意いただいておるようですが、先刻のお話によると、農薬品は個人の方にはやらせぬようなことを言っておられますが、共同作業の方面、あるいは農購連と申しますか、そういうような方面には薬剤師はおるのでしょうか。薬剤師がおらねばならぬというようなふうの規定でもございますか。
  58. 石倉秀次

    説明員石倉秀次君) 詳しい統計はないのでございますけれども、御承知のように、農薬の流通のルートから申しますというと、現有約八〇%が農業協同組合を通りまして農家の手に渡っております。それから残りの二〇%が、まあ私たち商社と申しておりますけれども、いわゆる薬局とか肥料屋さんとか、個人の農薬の専門店、そのようなルートを通って農家の手に届いております。この農協で扱っております約八〇%のうちの六七%というものが、これがまあ総合単協といっておりますけれども、全般的に農業協同組合運動としてのいろいろなことをやっておる単位組合を通してやっておる。で、そういうようなルートにおきまして、薬剤師さんがどこにおるかと申しますというと、一つには御承知のように、農業協同組合でもいろいろと医薬品を置いているところがございます。ただここでは調剤をやっていない。何か私もよく知りませんが、第三種というのですか、いわゆる売薬品等の設置というのが主体だそうでございますので、あまりこの単協の単位には薬剤師さんがおらないようでございますけれども、その上に御承知の県の段階の県連というのがございます。県連には必ず薬剤師さんがおられて、いろいろなこの面の指導をやっておるように伺っております。それから実際の防除の際には、薬剤師さん、これは先ほど申しました特定毒物の取り締まり基準例の中で、防除に立ち会って指導できる資格者というのがきめてございます。この資格者はどのようにして作っておるかと申しますというと、薬科大学、いわゆる薬剤師の免許を持った方、あるいは私の方から出ておりますのは、そのほかに農業改良普及員、こういうような方が主体になりまして、これは県の段階で、たしか衛生課の方の所管で講習会をいたしまして、そして防除と、それから救急の処置の必要な内容を教えた方、そうして教育を受けた方、そうして知事さんから認可をいただいた方だけが立ち会った場合にのみこの薬が使えるというような形です。
  59. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 それではその方は一応それだけにしておきます。  次に今度の薬事法の改正にあたりまして、広告に対する制限が出ていることは、非常にこれは諸外国の例から申しましてもけっこうなことであると思います。ただし、聞くところによりますと、先日のお話によりましても、ガンとか肉腫とか白血病などに対しては広告をしてはならぬというようなことでありますが、これはやはりアメリカあたりでも、本日いただきましたこれにも大体出ておるようですが、アメリカなどにおきましては、医者でなければ使用されぬような薬品に対しては広告を禁じておる。言いかえれば、ここの方から申しますと、今回出ましたこの法律でも、特に医師でなければ使えぬような薬品というようなやつは、これは全体に広告を絶対にさせぬように、普通一般の方がお知りになっても、それはかえってそのために混乱を超こすというようなことがありますから、医者でなければ使用することのできぬ薬品は普通一般の広告には制限するというふうにはっきりされたらいかがなもんだろうかと思いますが、これに対してどうぞ。
  60. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 大臣からもお話があると思いますが、その前に私から申し上げます。まあお話の趣旨は、よく私どもも理解できるつもりでございますが、広告については考えますと、経済的な側面とそれから保健衛生上の側面と二つの面があるのじゃないかと思います。前者は、要するに企業経営の一つの手段として、自社の製品を相手方にいかによく知らせるかと、これについてはもちろん最小限度のいわば費用で相手に知らせ最大限度の経済的な効果、その辺とのからみ合いによっていかなる媒体を使うかということが、これは合理的な企業経営の立場からおのずからきまってくる、そういうものだと思うのです。しかし、これも完全な自由にいたしますというと、保健衛生上やはり支障を生ずる、そういう観点からいたしまして、従来もたとえば誇大広告等はいけないとか、そういったいわゆる保健衛生上の制限を加えておったわけでございます。それより以上に、たとえば今お話のように、もっと広範に広告やり方について制限を加えることが適当かどうかということについては、その意味においてのいわゆる企業経営のいわば自由と申しますか、そういった観点と、保健衛生上の観点との接触点をどこに求めるかということが一つ問題点ではなかろうかと思うのでございます。そういういわば自由を制限をするというのは、やはり相当しぼられた場合でないと、いろいろな観点から適当でないということも考えられますし、そういう意味において新たに六十七条、六十八条等の規定を置いたわけでございますが、これらについては一番初めに御説明申し上げましたように、また今申し上げました趣旨からして、ごくしぼられた場合に限ってこういう措置をとる根拠の規定を置いたわけでありまして、その辺御趣旨の点はよく私どもも理解できるのでございますが、そういった両者のからみ合いというものをやはりこの辺に置くことが一番適当ではなかろうかと、そういう趣旨でございますので、御了承いただきたいと思います。
  61. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) なかなかこの問題点は、私は経済上あるいは企業の自由という問題と、それから保健衛生上、製薬業者のいわゆるあらゆる薬物に対するところの取り締まりというものはなかなか困難であろう。ただいま局長か申されましたように、どこに焦点を置くかというようなことでございますが、できるだけ私どもはやはり薬物である以上は保健衛生に重点を置いたような考え方をしていかなければならないと思っております。電通広告社の調べによりますというと、薬の広告というものは年に百四十二億やっておるそうでございます。それでそれが薬の生産額の九・七%に当たる。これは企業の上におきましてもなかなか容易ならぬ私はことであろうと考えられるのでございまするが、ただ私どもは副作用の伴うような薬についての誇大広告などに対しましてはやはり薬事審議会等の答申に基づきましてできるだけこれを制限をいたしたいと、かように現在も措置をとっておるような次第でございまして、これらの点につきましては十分に考慮いたしまして処置をいたしたい、かように考えております。
  62. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 広告の問題について少しお話を聞きたいと思いますが、一応これでおきます。  この今回の薬事法の改正にあたりましては、薬剤師には製造業の許可というものを一緒にお出しになるのでございますか、いかがでございますか。
  63. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬剤師なるがゆえに製造業を当然営むことができるということにはならないわけで、やはり製造業を営む場合においては、薬剤師であろうと薬剤師でなかろうと製造業の許可を受けなければならない、そういうことになるわけでございます。従って薬剤師が自分で製薬をやろうという場合には、やはり厚生大臣の許可を受けなければならない、そういうことになっております。
  64. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 続いてお尋ねいたしますが、今回の薬局といいまするのにはいわゆる医師の処方によって調剤をするという部面がございますし、なお同時に薬の製造業一緒にやるということになりますと、これまで申しておりました第二種国民医薬品集ですか、ああいうようなのと、やはり相変わらず同じように調剤をするし、一方には製造をして渡すというようになれば、これをどこで区別するか、どういうようなふうに鑑別するかがなかなかおわかりにくいだろうと思うのですが、これらの点についてお伺いいたします。
  65. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬局において同時に、従来でいえば製造業の登録を取っておる者がかなりございます。これらについてはほかの製薬の場合と同じように、その品質、成分の分量、効能効果というものを十分検討いたしまして許否を決する、そういうようなことにいたしておるのでございます。ただいまのお話は、そういう単純なる製造というよりもいわば対症投薬というか、そういうようなことにわたると非常に弊害があるのじゃないか、そういうような御心配からの御質問だと思うのですが、もちろんこれはそういうような薬剤師として自己の権限を超越した行為をすることは許されないのでございまして、そういうことについて十分私ども従来もそうでございましたが、今後とも取り締まりをはかっていきたい、かように思っております。
  66. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 もう一つお伺いしておきたいのですが、この配置薬品ですか、配置売薬については都道府県の知事がそれの許可をするとかということでありますが、もしも甲の方がある県で違反を起こして、それの営業停止を受けたといっても、ほかの県ではまた同じような販売ができはせんか。そうすると、あるいは底抜けになってしまうのではないかという気もいたしますが、それらの点について伺います。
  67. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは考え方としましては、たとえば普通の店舗を持って薬品の販売業を行なう場合を考えてみました場合に、私なら私がAの県に一つの店を持っており、それからBの県にも一つの店を持っているという場合に、Aの県で不都合がございまして、かりにそこの店が営業が取り消されたという場合に、当然Bの県も取り消されるかというと、それはまた別でありまして、Aの県は取り消されても、Bの方でもしそういう不都合がなければ当然には取り消されない、こういうようなことに仕組みとしてはなっているわけでございます。それと同じように配置の場合におきましても、かりにAの県で不都合がございまして、そこの営業が取り消されたという場合に、その人が同じようにBあるいはCの県で配置をやっておった場合には、やはりBなり、Cなりの県におきまして不都合があって、それ相当処分がなければ、これはそれまで当然にだめになるというふうに考えることは、少しやはりちょっと制度上も行き過ぎじゃないかと思いますし、やはり店舗ごとに問題を処理する、それから配置の場合も県ごとに問題を処理する、こういうような考え方でいるわけであります。
  68. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記を落として。    〔速記中止
  69. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて。
  70. 坂本昭

    坂本昭君 資料のことですが、局長からただいま外国のいろいろ薬事制度の資料をいただきまして、これはほんとうにけっこうですが、もう一つ、私がこの間要求したのは、日本の国内における医薬品に関する広告、新聞、テレビ、ラジオの実態について一つ調べてもらいたいという資料をお願いしたのですが、たまたま今大臣が電通の広告、百四十二億という非常に明細なる御説明をいただきましたのですが、これの内容を、これは電通で扱ったものを言ったのか、これ以外に非常に各般にわたって、われわれの目の触れるところでは、新聞、ラジオ、テレビ、それから車内広告いろいろありますね。それは一体どのくらいになるか、それをちょっと調べていただきたい。そのことをこの前にお願いしたのであって、それの資料が抜けておりますから、これは非常に困難なことかもしれませんが、この際、厚生省として一応全面的に御調査していただいて、どの程度の範囲に庶民の生活に人っているかということをつかんでおく必要があると思う。その資料を出していただきたい、そうお願いします。
  71. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今の資料はさっそく調製しましてお出しします。  それから大臣からお話のありました百四十二億というのは、電通が取り扱ったものだけという意味ではございません。ほかの関係も総合してということでございます。
  72. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を落として。    〔速記中止
  73. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩    —————・—————    午後一時四十三分開会
  74. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではただいまから再開いたします。  まず、委員の異動を報告いたします。  五月九日付をもって鹿島俊雄君が辞任し、その補欠として後藤義隆君が選任されました。報告をいたします。   —————————————
  75. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは午前に引き続き薬事法案及び薬剤師法案質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  76. 坂本昭

    坂本昭君 最初に薬剤師法案の第一条、任務の件についてもう少し詳しく御説明をいただきたいと思います。第一条に薬剤師任務として「調剤、医薬品の供給その他薬事衛生」というふうに出ております。で、薬事法の規定を見ますと、医薬品の製造、この製造は薬剤師みずからが行なうか、または管理薬剤師を置いて行なうというふうに原則がきめられてあります。販売の場合もそうであります。それからまた調剤と薬剤を患者に交付する行為も薬剤師任務であります。なお薬局方の中には、医薬品の保存方法が規定されて適正保存が義務づけられてあります。つまり医薬品の保存の管理任務を与えられてある。それからまた現行法に基づく薬局の登録基準には、いろいろな試験用器械器具を必ず備えつけなければならないという規定もあります。従ってこれらから見ると、薬剤師には医薬品の純良度を保持するための鑑定その他の化学試験も任務であると当然考えられます。従って以上のようにいろいろ述べましたが、製造、販売、交付、保存、管理、鑑定、試験、こういった任務が入ってくるわけですが、これが今度の言葉の供給——まあ「その他」の字句にいろいろと含まれておるという前回説明があったのですが、具体的に以上あげた製薬から試験に至る事項、これがどの字句に含まれておるか具体的に御説明一ついただきたい。
  77. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 第一条の薬剤師任務として規定いたしておりますことのうち、第一の調剤というのは、いわゆる処方せんに基づく薬剤の調製とそれに伴う交付を含めた考え方であります。医薬品の供給というのは、まあ製造、販売、それのいわゆる企業主体として云々ということでなしに、製造、販売の実務という意味で供給という言葉を使ったわけであります。そのほかの鑑定、試験、保存の関係は、その他薬事衛生という言葉で読ましたつもりであります。(「ちょっとおかしくなる」と呼ぶ者あり)
  78. 坂本昭

    坂本昭君 そうすると、製造と販売までがこの供給に入って、今あげた交付ということ、あるいは保存、管理、鑑定、試験、これは薬事衛生に入る、そういう意味ですか。
  79. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 交付は、いわゆる調剤関連しての交付は調剤に入って、それから、いわゆる販売授与の意味での交付という意味であれば供給といううちに含まれる、そういうふうに考えております。
  80. 高野一夫

    高野一夫君 ちょっと関連して。これは鑑定、保存、試験なんというものが、薬事衛生の中に含まれる——何かこうはっきり解せないように思うのでありますが、某方面で、一体薬剤師が薬事衛生をつかさどるということはおかしいじゃないかという議論も一部においてなされておることは御承知通りであります。しかし、薬事衛生ということは、法律にすでに使われておるし、衛生化学、裁判化学、食品化学等をやって化学でケミストとしての面で公衆衛生に従事するのは薬剤師任務でありますから、私はごうも差しつかえないと思うのでありますが、普通われわれが考えている薬事衛生というものは、そういう意味のケミストとしての公衆衛生に関する仕事の面、こういうのを薬事衛生というふうに常識的に考える。ところが、医薬品の調剤、それから供給があって、それにつきものであるところの鑑定、試験、保存、貯蔵、そういうようなものが薬事衛生ということでは少しどうもごろがここのところでおかしいように思うのですが、どうですか、それでいいですか。
  81. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬事衛生という言葉のうちには、今お話しになりましたように、私が先ほど申し上げました項目のほかに、薬学の知識に基づいて行ないます事柄を含んでいることは当然のことでございますが、いわゆる旧法において、あるいは保存、あるいは鑑定、言葉はございませんが試験というようなものは、一応私どもの考え方としては、薬事衛生のうちに含めて読んでおる、そういうふうに御了解をいただきたいと思います。
  82. 坂本昭

    坂本昭君 その今の薬事衛生ということは別個に少し明確にしていただきたいと実は思っておったのですがね。従来も薬事衛生という言葉は使われているそうですが、従来使われておったことと、今度ここであげられたこととまず同じ意味で使われておられるかということが一つと、それから従来は薬事衛生というものをどういう場合に、どういうふうに使っておられるか、その二点をちょっと御説明いただきたい。
  83. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬事衛生という言葉は、御承知のように、前の薬剤師関係の勅令、それからそのあとのいわゆる旧薬事法の薬剤師任務と申しますか、その他に使っておるわけでございますが、それらの従来使われておりました薬事衛生という言葉の意味と違わないわけでございまして、その範疇は一にすると考えておるわけでございます。もちろんこの薬事衛生という言葉は非常に広い意味の、広い範疇の言葉でございまして、もちろん調剤であるとか、あるいは医薬品の製造とか販売とか、そういったことももちろんこの薬事衛生という言葉のうちに含まれてくるわけでございますけれども薬剤師任務として、特に調剤であるとか、あるいは医薬品の供給でありますとか、そういったことは最もおもなるものでございますので、そのうちから取り出して、例として、「その他薬事衛生」というふうに結んだわけでございます。従って、調剤、医薬品の供給のほかには、ただいま御設例がありましたようなことが入りますと同事に、薬学の知識に基づいて処理せられるべき衛生事項、たとえば水の科学的な試験等ももちろん入ってくるわけでございます。それから食品衛生の面におきましても、そういったいわゆる科学的な面からする試験等はこれに入ってくるというふうに考えておるわけでございまして、もちろん水にしましても食品につきましても、細菌学的な面も、ほかのいろいろな面がございますので、もちろんそれらの面は含まれない、そういうふうに解釈いたしております。
  84. 坂本昭

    坂本昭君 どうもその薬事衛生という言葉がはなはだ不明瞭であって、ここには特に公衆衛生という言葉が出ていますね。公衆衛生というのは非常に広い意味で、この中には、今の食品衛生も、あるいは医療そのものも、予防衛生、それからまた化学者である薬剤師のその公的な活動を含めた薬事衛生も、それらを全部包括してこれは公衆衛生という意味に私は使うのだと思うのです。そうすると、その中でこの薬事衛生という言葉は、今高野委員が言われた、この化学者としての薬剤師の公衆活動の面、これを総括して薬事衛生というのがまあ比較的穏当ではないか。古いこの法規の中でどういうふうに使われておったか、その実例のこまかいことを私は存じませんが、常識的にそういうふうに考える。そうしますと、今ここで述べた調剤と医薬品の供給、これは比較的明確な点がある。ところが、今の保管だとか鑑定だとか試験というふうになってくると、これは調剤にも入らなければ医薬品の供給の中へも入ってこない、言いかえれば、その他に入るのじゃないか——私はむしろその他に入って、同時に総括的には、いわゆる薬事衛生の中に入ってくるのではないかというふうな、ちょっと理解をしたのです。しかしそれにしても、きわめて言葉が不明瞭なので、この際、実際に薬剤師が行なうところの具体的な仕事が、この任務の中で、どこどこに入っているかということは、一応明確にしておいていただきたい。そう思ってお尋ねをしたのであって、まあ広い意味では薬事衛生の中に入るでしょう、この言葉でいけばこれは一応その他のところに入るのじゃないかという感じがするのですが、これはいかがですか。
  85. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 先ほどお話のありました、鑑定、保存、そういったものは、「その他薬事衛生」といううちに含まれる。その他というのは、その他薬事衛生という意味でございまして、このうちに含めて立案をいたしておるわけでございまして、医薬品の供給といううちには入っていないと、そういうふうに考えております。  なお、念のために申し上げておきますが、薬事法案について、あるいは現行法についてごらんになりますように、厳密な意味で、薬剤師でなければやってはいけない、これは医師等の特例はございますけれども、それはいわゆる調剤でございます。それから医薬品の販売と製造につきましては、例外はございますけれども薬剤師が、あるいは薬剤師を置くことが建前になっておる、すなわち医薬品の製造業、あるいは医薬品のいわば全品目販売業については、薬剤師管理者として置かなければならない、厳密にいえば、それがいわゆる薬剤師法律上の最もかたい意味での薬剤師の職務になるわけです。その他は、薬剤師としてその知識技能を活用してやるべきであるというふうに考えられるわけでございますが、それらがいろいろ多岐にわたりますために、「その他薬事衛生」というふうにいたしたわけでございます。
  86. 高野一夫

    高野一夫君 これは、私はおかしいと思うので、医薬品の供給ということは、製造が伴い、販売取り扱い事業が伴う、その販売事業をする最後の行為をなすまでの間、保存の義務もあれば、鑑定、試験の義務もあるわけです。従って、そういう適正に保存すること、それから十分、試験、鑑定をして、純良な医薬品であるという保証のもとに、薬剤師が第三者に、消費者に交付する、医師または一般の人に渡す、これが供給。従って、その相手方に渡すまでの間に、試験、鑑定、保存という行為は当然含まれておるわけです。従って、試験、鑑定、保存は、それは供給の最後の行為の段階までの間に起こるべき行為で私はあると思う。それだから、供給の中に、それらのものが含まっておる、こういうふうに解釈せぬとおかしいと思う。そこで薬事衛生というのを持ち出したのは、これは公衆衛生の面に仕事をするのに、医師が、医学者が……いわゆる医事衛生という言葉がある、これも法律にあるが、いわゆる医事衛生的立場で医学を利用した立場で、公衆衛生仕事をする薬剤師が、衛生化学者として、化学的な立場でまた反面に公衆衛生仕事をする、医学と薬学とが相待って公衆衛生仕事を双方からささえ合っているのがほんとうの公衆衛生仕事だろうと思う。そうすると、一方において医事衛生が成り立ち、一方において薬事衛生という観念がはっきりして参る、どうしても試験、鑑定、保存というものは、供給する最後の行為までの間になければならぬ行為だから、だから供給というものと、保存、鑑定を切り離して、「その他薬事衛生」の中にそういう言葉が定義づけられるということは私は納得できない、これは、これでもいいと思っているのですが、文句は。私は当然供給という行為の段階の中に、試験、鑑定、保存が入ってくる、こういうふうに私は解釈すべきだ、もしもそうでなければ、当委員会の解釈をはっきりしておくべきではないかと私は思っておりますが、そういう意味において、私は高田局長の、その今坂本委員質問された行為が「その他薬事衛生」の中に入るという解釈には私は納得できない。
  87. 坂本昭

    坂本昭君 これはなかなか専門的な問題になってきますが、今の高野委員の御説明を聞くと、つまり供給に至るまでのプロセスは、たとえば保存、鑑定、試験、それは全部含めて、この第一条の中の「医薬品の供給」の中に入れるべきではないか、これは確かに私もそういう考え方が一つあると思うのです。だから、これはどちらかに、供給までの中に今の点が含まれているか、あるいはほかのものはみんな「その他薬事衛生」全部の中に突っ込んでしまうか、その辺を一つ明らかにしていただきたい。で、ここでいう「薬事衛生」という言葉は非常に広い広範な意味を言っているのではないですか。そうすれば何もかもみんな薬事衛生という中にはまってしまうのだけれども、ここで明確に「調剤」、それから「医薬品の供給」というふうに言葉を分けて言っている以上、今まで明確にされておった薬剤師任務事項は、やはりどこかに厚生省としての解釈を明確にしておかれる必要があると思う。でもう一度その点、厚生省当局の明確な一つ説明をしておいていただきたい。
  88. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今高野先生からお話のありました鑑定、試験等について、もちろん製造なり販売なりに付随する場合もございますけれども、それ単独での鑑定であるとか、試験であるとか、あるいは保存であるとかいう場合は、これはあり得るわけでございます。それらのものは、やはりこれは「その他薬事衛生」のうちに入ると私どもは考えておるわけでございます。  それから薬事衛生のうちにはそういったもののほか、先ほど来申し上げましたように、あるいは上水なり下水なりの化学的な試験でありますとか、あるいは浴場、あるいは温泉の湯の化学的な分析でありますとか、あるいは空気の化学的な試験でございますとか、そういったものはもちろんこれは入るわけでございますし、そのほかに工業薬品、あるいは午前中に話がありました農薬等の問題、それから食品の化学的な試験、そういったものはこの薬事衛生のうちに入ってくる、そういうふうに考えております。
  89. 坂本昭

    坂本昭君 そうすると、繰り返してお尋ねしますが、医薬品の供給というのは、医薬品の製造並びに販売、その二つに限定して解釈すべきであるというわけですか。
  90. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) さようでございます。ただ、ただいまお話がございましたように、医薬品を渡す場合に一応内容を見て渡すということは、これは当然いわゆる販売に付随する行為でございますから、その意味においては、単にその金を受け取って渡すという物理的な手段だけがいわゆる供給という意味よりも広くなる場合もあり得ると思いますけれども、幾つかの概念を並べるといたしますというと、鑑定でありますとか、あるいは試験でありますとかいう概念はどちらに入るのだというふうに聞かれますと、それは「その他薬事衛生」に入るというふうに考えております。
  91. 坂本昭

    坂本昭君 前の薬事法では「薬事とは」というわけで第二条に定義があがっておりますね。「この法律で「薬事」とは、医薬品、用具又は化粧品の製造、調剤、販売又は授与及びこれらに関連する事項」と。ここでいう薬事衛生というのは、あれですか、この前の薬事法のこの医薬品に関する衛生という意味で使われているのですか、それとも非常に特殊な何か定義があるのですか。
  92. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) この現行法の第二条の定義にありますのとは必ずしもこれは一致いたさないと思います。もっとこれよりも広い意味に解釈をいたしております。
  93. 坂本昭

    坂本昭君 そうすると、今度の法律における薬事衛生ということの一つの典型的な定義をこの際述べておいて下さい。
  94. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まあ、一口に定義といえば、薬学の知識に基づいて処理すべき衛生上の事項と、そういうふうに考えております。
  95. 坂本昭

    坂本昭君 薬学の……。
  96. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 知識に基づいて処理すべき衛生上の事項
  97. 高野一夫

    高野一夫君 これは非常に大事なことだから一つはっきりしておきたいと思うのですが、今の局長説明ならば、保存、試験、鑑定は私はやはり入らないのじゃないかと思う。そうして供給に関係しない場合があるというさっきのお話だけれども、医薬品とは元来病院、診療所あるいは一般顧客に使わせるものであって、供給しないような医薬品というものはこれは意味をなさない、存在の意味がない。従って、現在供給する医薬品であろうと、将来供給する医薬品であろうとを問わず、最後の行為は供給であるはずなんです。そこまで行くまでの間に、品質の鑑定なり保存の必要があるのだから、私は供給の行為の最後の行為までの間にこの保存、試験、鑑定は当然私は入るのでなければならない。現在供給をするから試験をする、そうでない場合もある、そうでない場合もあるけれども、いつの日にかはそれは供給の用に供する医薬品である、供給しないような医薬品は意味をなさない、それでやはり医事衛生という言葉があるのですから、もしも医薬品の製造、販売、調剤関係するような保存、それから試験、鑑定というものが薬事衛生の中に入るとするならば、それじゃ医師の診療行為に関するそういうような検査とかなんとかというようなことも医事衛生の中に入る。しかし、われわれが今まで法律上の常識で考えている医事衛生というものは、やはり医学を活用しての公衆衛生面に対しての活動、そういう行為が医事衛生だと言われていた。そうして薬学、衛生学を使っての公衆衛生面の活動の分野が薬事衛生、こういうふうに使っておったのが私は常識的の考え方じゃなかったかとこう思うのです。だから、今の局長みたような、さらに今回は解釈を広げて、薬事衛生の中に、保存、試験、鑑定を含めるということならば、これは新しい今後の解釈になってくるわけだと私は思う。そうすると、まあ従来、この現行法よりも範囲が広くなったと今おっしゃったけれども、そういうふうになってくる。これは私はやはり薬事衛生というものは医事衛生に相対するものだ。調剤、医薬品の販売行為、そういうものはいわゆる医事の診療行為、あるいは医学上の行為、そういうものに相対する行為である、こういうふうに考えた方が仕事がはっきりすると思うのですがどうですか。解釈を変えてもいいじゃないですか。当委員会審議の結果、かくの通りに解釈するというようなことに変えたってちっとも差しつかえない。一つ局長のもう一ぺん明快なる答弁をいただきたい。
  98. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) かりに医事衛生の方の面をとって考えますときに、いわゆる医療と医事衛生とは私どもは別ものではなしに、医療というのは医事衛生の一つである、そういうふうな解釈を従来して参っておるわけでございます。それと同じように、この場合も、たとえば調剤とそれから薬事衛生とは別ものではなしに、調剤はすなわち薬事衛生の中の最も代表的な一つの行為、そういうふうに解釈をいたしておるわけでございます。そういう意味において、ここに書いてありますように、調剤とか医薬品の供給は、もちろんこれは薬事衛生の一つであるし、その他そういう言葉に含まれないそういうものを全部ひっくるめる意味において「その他薬事衛生」、そういうような考え方をとっておるわけであります。
  99. 高野一夫

    高野一夫君 それでは速記をやめてもらいたいのですが。
  100. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめて。    〔速記中止
  101. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それじゃ速記を始めて下さい。  薬剤師法第一条の薬剤師任務につきまして、「薬事衛生」あるいは「供給」等の用語について若干意見のそごがあったようでありますが、政府から「薬事衛生」並びに「供給」等の用語に関する統一した見解の発表を願います。
  102. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まず第一に、「薬事衛生」というのは、調剤に関することも、それから医薬品の供給に関することも、そのほかの薬学の知識に基づいて処理すべき衛生上の事項、そういったものを含めた概念でございます。その意味において、端的に言えば、薬剤師は薬事衛生を云々ということでも言葉としては成り立つわけでございますけれども、そのうちに特に調剤、それから医薬品の供給、そういう薬剤師仕事としても重要と申しますか、おもなるものを取り出して一応の例示として書いたような次第でございます。  ところで、現行法にあります第二条の薬剤師の定義の中にあります医薬品の鑑定でありますとか、保存あるいは試験ということは、これが独立して行なわれる場合においては、その他薬事衛生のうちに入る、そういうふうに解釈いたします。しかし、これらの行為は、もちろん製造あるいは販売、医薬品の製造、販売に関連付随して行なわれる場合もあるわけでございますので、それらの場合は、もちろん医薬品の供給といううちに入る、さように解釈をいたしております。
  103. 坂本昭

    坂本昭君 それでは次に、薬事監視に関する事項についてお尋ねいたしたいと思います。これはもう最初この法案の提案されたときからですね。また、社会保障制度審議会の審議の場合にも、薬事監視の重要性というのは、たびたび指摘されてきたことでございます。最近われわれとしては、比較的この薬事監視が軽視されているのではないかという心配がされますので、特に今回の薬事法第七十七条、薬事監視員の項について、これではどうも不十分ではないかという印象を受けざるを得ない。で、七十七条の2及び3に「薬事監視員は、厚生大臣又は都道府県知事が、国又は都道府県の職員のうちから命ずる。」ということになって、これは前と全く同じであります。で、現在の政令を見ますというと、薬事法施行令の六条には、「薬剤師医師歯科医師又は獣医師」という専門職と、もう一つ二項目に、「通算して一年以上薬事に関する行政事務に従事した者であって、……十分の知識経験を有すると認めたもの」ということになっております。つまり専門家でない者がこの監視員になることになっている。で、先ほどいただいた資料の中にも、薬事監視員の専任と兼任がありますね、この専任と兼任を見ましても、非常に兼任が多い。兼任が多いということはこれは十分監視ができていないという私は一つの証拠だと思いますが、そのさらに専任についても、この中で一体専門家の監視員が何名おるか、非専門家が何名あるか、この内容はどうも資料にないようなので、一つその監視員の中で、今の二項に基づく非専門家の監視員が何人おるかという点を、まず数を御説明いただきたい。
  104. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 数はあとで申し上げさせていただきたいと思います。
  105. 坂本昭

    坂本昭君 それでは数があとならばもうちょっと質問します。  それではその数は今調べていただいて、あとで正確な数を言っていただくとして、これは私がたまたまきのう読んだことですが、例の血液銀行に関するいろいろな調査の中で、これはちゃんと法規があって、供血者の比重というものは一・〇五二以上でなければならないという、ちゃんと規則がある、その規則があってそれぞれの血液銀行では採血をしている。にもかかわらず、平均合格率は六二・八%、これはちゃんと基準があって、調べておるはずにかかわらず、この六二・八%が、薬事監視員が直接に行って直接測定すると合格率は三五・一%という約半分に減る。で、この薬事監視員というのはこれは専門家が行ったかどうかはわかりませんが、おそらくこの中でさらにほんとうの専門家が行けばもっともっと合格率は落ちてくるんじゃないか。だからこの非専門家と専門家のこういうものに対する監視の実績というものは、私は非常に基本的に大事な点があると思う。にもかかわらず、今度の場合、相変わらず前と同じように一年の実績があればもうそれで認める。そういうことでは、ほんとうの監視を私はすることはできないと思う。従って、この監視をする場合に、何らか、これに、専門家が一緒に行くということになれば、それも監視員として資格を与えなくちゃならぬということになるかもしれませんが、少なくとも非専門家が、この監視員になるという制度を残すということは、せっかく薬事法を進める上において、これは前進にちっともなっていないと思う。その点を一つ明らかにしていただきたい。
  106. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 先ほどの薬事監視員の数を申し上げます。総数が千九百三十七といたしまして、そのうち技師、いわゆる薬剤師その他の技術者、これが千五百二十四、それから主事が四百十三人、その数字は、兼任と専任を合わせました数字でございますが、専任だけについてみますというと、専任が六百四、そのうち技師が五百二十一、主事が八十三、そういう数字になっております。  それから今血液銀行の例をおあげになりましたが、薬事監視員仕事といたしましては、御承知のように、かなり広範な内容にわたっておりますし、たとえば業態の監視についてみましても、無登録業者の取り締まりでありますとか、告発でありますとか、これは必ずしも、いわば薬剤師を要することではないわけでございますし、そのほかに、たとえば薬局における監視につきましても、帳簿のあるなし、記録の正否——記録の正否ということになりますと多少問題はありますが、そういった点もございます。それからまた、医薬品その物について見ましても、たとえば不正表示記載が行なわれているか、行なわれていないか、あるいはまた、サンプリングをやりまする場合、それの検体の送付でありますとか、あるいは廃棄の実際の仕事でありますとか、あるいは無許可の薬の摘発でありますとか、その他あるいは広告の問題でありますとか、いろいろな面がございまして、やはり少ない人数を最も能率的に働かす意味におきましては、ただいま御説明のありました血液銀行の、いわゆる血液の比重の検査等は、もちろんこれは専門家をわずらわしてやるのが当然のことでございまして、それぞれの仕事に応じた使い方をいわばいたしているわけでございまして、その点を一つ御了承いただきたいと思います。
  107. 坂本昭

    坂本昭君 それでは一応、今回の七十七条に基づく政令の内容は、大体従来を踏襲していく、そうしてこの具体的な今の技師と主事の関係については、大体従来の比率において、それぞれの監視すべき薬事の内容監視について、従来の数でも十分である、特にこれについて政令を変える必要はない、そういう考えなのでございますね。
  108. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) いわゆる薬剤師等の技術者、それからそれ以外の事務系統の者と、両方が必要であるということは、今私が申し上げた趣旨からして御推測の通りでございますが、専門家、技術者は別としていわゆる事務系統の者について、どの程度の経験が必要であるかということについては、一応現在のところは今までの建前で考えてはおりますけれども、御質問趣旨もよく私ども理解をいたしておりますし、さらに十分実情等を検討いたしまして、一年が適当である、あるいはもっと延ばさなければならないか、その点は施行までの間に十分検討した上で、最終的なきめ方をいたしたいと考えております。
  109. 坂本昭

    坂本昭君 なおこの際伺っておきますが、「十分の知識経験を有すると認めたもの」ということですね。この十分の知識経験を有すると、ただ単に認めただけであるか、それとも何か特殊な試験だとか、あるいは特殊な講習をするとか、そういうことは従来はやっていなかったのですか。また、今後はどういうお考えですか。
  110. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは監視員にするための前提として、言うならば認定講習みたいなことをやっているかというと、そういうことはやっておりませんけれども、しかし、知事が一応任命しました後において、知事自体において、あるいは厚生省に集めて短期の講習等は随時行なって、その知識経験の向上をはかっております。
  111. 坂本昭

    坂本昭君 午前中にちょっと問題になった、例の薬剤師教育並びにその数の問題ですね。これは皆さんの出していただいた関係資料の九の一ページに、薬剤師数の種類がずっとあがっております。五万六千名のうち、薬局開設者が大体二五%ばかりでしょうか。それから薬局の勤務者両方合わせて大体四〇%程度だと思う。それから病院または診療所の勤務者、それから大学において教育または研究に従事する者、衛生行政または保健衛生業務の従事者、これが合わせてやはり二四%程度ではないかと思う。それから医薬品営業の従事者、毒物、劇物営業の従事者、その他の化学工業の従事者、これが合わせてやはり二四、五%ではないかと思います。この中に、つまり現在ある薬剤師の業務が一応数的に表わされている。そしてこの中にある第五項目の、衛生行政に従事する者二千八百四十五名、これが今の、たとえば薬事監視あたりでも重大な役割をになっているのではないかと思うのです。一番最後に、その他というのに九千百二十九名という非常にたくさんの者があがっていますが、これは一体何をしているかちょっと説明いただきたいのです。
  112. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは非常に多岐にわたっておりまして、あるいは報道関係に携わっておられる方もありますし、あるいは著述に携わっておられる方もおりますし、あるいはまた、中央及び地方の議員の方もおられますし、そのほか写真の関係もございますし、それから特に実際に薬剤師仕事に従事しないで家庭に入っておられる方もございますし、それらすべてひっくるめてその他ということになっております。
  113. 坂本昭

    坂本昭君 そうしますと、今の監視員の、技術者としては特に薬剤師としての絶対数、これは今技師として総計をあげられましたけれども薬剤師としてはどの程度であるか。それからその数は厚生行政をやる上に、特に薬事監視をやる上において十分な数であるかどうか、その御説明をいただきたい。
  114. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬事監視の対象となるべき対象は、先ほど資料として御提出いたしましたもののうちにもありますように、登録個所数だけで約十九万ということになっておりますし、しかもこれらを一年に一回というわけには参りませんので、それより以上にひんぱんにやらなければ万全を期せられない、そういういうな立場からいたしまして、現在の薬事監視の員数は決して十分とは言えませんし、かてて加えて先ほど申し上げましたように、専任と兼任を分けますと、兼任の方が多いような実情でございます。そういう立場からして、先ほど申し上げました技師といううちには、もちろん部分的に獣医師あるいは医師歯科医師等もわずか入っておるわけでございますけれども、全体としてもう少し多い方が望ましいというふうには考えております。
  115. 坂本昭

    坂本昭君 そうしますと、今のこのいわゆる薬事衛生に従事する人の数も足りない、さらに無薬局地区千四百、これも足りない。そういう面からいきますと、かりに先ほどその他というところに、これは十数パーセントの人がおりますが、この人たちはとうていそういう薬事衛生だとか、あるいは無薬局地区へ転身しようという人とは考えられない。だから先ほどあなたの方では、薬剤師卒業生の数を規制する、あるいはプランを立てる何かめどがないようなふうな話でしたが、ある程度のめどというものは出てくるんじゃないですか。かりに無薬局地区千四百を充足する、あるいはまた、この薬事衛生の足りない分を補う、そうすれば少なくとも卒業生のうちの幾ばくかを、何年かの計画をもって充てていけば、こうした無薬局の市町村、あるいは薬事衛生の伸びの悪いところに充足はできるのではないか、その程度の私は計算をすべきだと思う。それがまず第一点。  それからその次は、現段階においてそれがにわかに卒業生をどうこう、教育によってどうこうということができないとするならば、国民皆保険の今日でありますから、若干の強制力といいますか、ある程度それを促進するために、ちょうど医師の場合に特別な貸費制度ができておる、あるいはそういうことによってでも、この無薬局地区を解消する方針を何らか立てるべきではないか。今度の場合にはそういう点が全然欠けている。初めは若干そういうプランも持っておられたかと承っておりますが、なぜそういう点の前進をはかることができなかったか、その二点をお伺いしたい。
  116. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬剤師の数がどの程度必要であり、従って、どの程度養成をしなければならないかということは、お話のように、検討すれば、数としては私はある程度これは見当つけられるものだと思います。そういうことが最近においてなされなかったということは、これは大学制度そのものにも関連していろいろ事情がありますけれども、今後の問題としては、私ども、当然お話のように、検討すべき重要な問題と考え、同時に、これがまた、大学制度にも関連をして、大学制度自体の問題としても考えられなければならないというふうにも考えております。今後その辺については検討いたしたいと思います。ただ、現実の問題として、無業局地区の解消の問題ということは、これは経済問題を当然伴ってくるわけでございますし、それから先ほど申し上げました薬事監視員の問題も、これは地方庁の職員としての定数、採用という問題が関連をしてくるわけでございますし、相対的な数のバランスの問題以上にいろいろな問題があるわけでございますので、それらも数の問題と別個の問題としても検討すべき多くの問題を含んでいると思います。従って、これらの薬事監視員の増員の問題については、地方庁との関連においてさらに一そう私ども中央官庁としての努力すべき面があると思います。  それからいわゆる無薬局地区の解消という意味での、いわゆるそういった面につきましては、これは先日も申し上げたかと思いますけれども、やはりこれは経済問題を伴う問題でございますし、むしろいわゆる強権発動という形でなしに、本質的にはそれらの地区における薬局の助成あるいは開設の援助、そういった面で施策を進めていくことが妥当であるというふうな考え方のもとに、この薬事法のうちにはそういう規定は置かなかったのでございます。さしむけいわゆる医療金融公庫というようなものの今後の運用についても十分お話のような意に沿うように努力をして参りたいと思います。
  117. 坂本昭

    坂本昭君 何も強権発動をしなくても、私は十分、今日の民間の団体はもっと民主的になっていると思うのです。むしろその民主的な要求を促進するような立法をすればいいので、何も強権を発動するというような古い形によって無薬局地区をなくすというふうな、そういうことは私は要らないと思います。その点は根本的にお考えを直していただいて、むしろ民間の、国民の側にある要望を取り上げて、これを推進するような仕組みをしていただきたい。それは今あなたの言われた医療金融公庫の融資だとか、そういうことによって薬局を作るというふうなことも当然考えられますが、むしろ私はそういう団体の民主的な意向を十分とって行政をやっていただきたいとお願いいたしたい。  なお、今のことに関連して、無薬局地区のような場合に、どういうふうにしてこれを実際的に国民医療の普及をはかるかということで、その一端をになうものに特例販売業といった問題も出てくるのではないかと思いますので、少しお伺いしたい。  この薬事法の三十五条に、「特例販売業の許可は、当該地域における薬局及び医薬品販売業の普及が十分でない場合その他特に必要がある場合に、」知事が「品目を指定して与える。」ということになっております。この普及が、これはまあ医薬品販売業の普及が十分でないということは、同時に、医療の普及も十分でないところが私は並行するだろうと思うのですね。この「普及が十分でない場合」、それから「特に必要がある場合」、これはどういう基準をもって考慮するのでございますか。具体的に一つ説明いただきたい。
  118. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 「その他特に必要がある場合」というのは、たとえば駅の構内の売店でございますとか、あるいは船の中でございますとか、そういった、地域と離れて特殊の必要のある場所を考えております。  それから前段の、「普及が十分でない場合」というのは、これは厳密な意味で、たとえば何メートル以内云々ということはなかなかこれはむずかしい問題でございますので、その地域の交通事情でありますとか、あるいは地勢、人口の稠密度、そういった点を総合勘案をしてこれは常識的にきめなければならないと思うのであります。しかし、考え方としては、この特例販売業というのは、薬を特殊の地域で、営業所を持った者に取り扱わせるというのが本旨でありますから、そういう特別の不便というものがない限りは、できるだけ考え方としてはしぼっていく、そういうふうな考え方であることを一つ御了承いただきたいと思います。
  119. 坂本昭

    坂本昭君 つまり、だからきわめて特殊な場合に限定する。だから一般的には許可はしないのが建前であるというふうに理解してよろしいということでございますね。  それで、なお、その場合に、知事が品目を指定して与えるということになっていますが、この品目の点ですけれども、現行法の、従来の三号業者の実例から見て、これは相当強い作用のあるような医薬品の指定が行なわれたり、また、非常に多種類の医薬品を指定するというようなことが私は現実に起こってくるのではないかと思う。で実際は、この特例販売業にあずかる人は全然のしろうとであります。従って、知事の指定に全部をまかせるということがはたして妥当であるかどうか、これについてどういう対策を持っておられるか承りたい。
  120. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) お話のように、現在の法律に基づく、いわゆる三号業者、四号業者、これの取り扱いについては多少本来の趣旨に沿わない点があることも私ども認めておりますし、これらについては十分検討して参るつもりでおりますが、もちろんこれはこの特例販売業の許可というような、いわゆる許可行為については、都道府県知事の固有の仕事ではなくして、国から委任を受けて行なう仕事でございますので、これをどういうふうに行なうかということについては、主務大臣は当然都道府県知事に対して指揮監督権があるわけでございます。これらは地方自治法によって担保されておりますので、特にここにはこういった規定をおかなかったわけでございます。
  121. 坂本昭

    坂本昭君 それはしかし、特に知事から大臣に対して許可を求めるというものではないので、厚生大臣が指定品目の基準を定めるということもでき得るのではないですか、そういうことはなさるおつもりはありませんか。
  122. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは法律実施の段階においては、当然知事に対しては大体この範囲という、範囲は指示するつもりでおりますが、ただ、三十条と比較してのお話であろうと思いますが、特に厚生大臣の定める基準云々ということをこの三十五条に書きませんでしたゆえんのものは、特例販売業というのは、いわばほんとうの特例である、ごくしぼられた範囲である。従って、示す基準に該当するものは全部やってよろしいという意味ではない。そういう意味を含めまして、ここにはそういう規定を特に置かないで、自治法の規定に基づく大臣の知事に対する固有の権限に基づいてそういうことを措置するという考え方をとったわけでございます。
  123. 坂本昭

    坂本昭君 それでは、今のその点は品目については了承いたしますが、次に新しく、医薬部外品の制度ができましてこれに包含される品目が、示されておりますが、その品目は従来の三号業者、あるいは今回の特例販売業者が取り扱うと予想されるものが大部分であります。ところで、部外品はだれが売ってもいいものでありますから、特例販売業者といったものは必ずしも必要としないのではないかとも考えられる。で、もちろん医薬品の販売業者の普及が十分でない地域も当然これは生まれてくるだろうと思いますから、そういった地域にはむしろこの特例販売業者ではなくて、薬種商をあてる方が取り扱い品目も多くて住民のために非常に便利になるのではないか、そういうふうに思いますが、厚生省としてはどういうふうにお考えですか。
  124. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 現在、現行法に基づきまして三号業者、四号業者、所によりましては、あるいは五号、六号というふうに分けている所もございますが、それらについて見ますと、四号、五号、その辺になりますというと、医薬部外品によって今度医薬品からはずれるものを取り扱っている者が相当多きを占めているのでございますが、三号業者、いわゆる三号業者等について見ますというと、少なくとも現状は必ずしもそう言えない面がある。すなわち医薬部外品の範疇に入って、はずれる以外の、いわゆる新法におきましても薬となるものを取り扱っているものもあるのが実情でございます。従って、いわゆる既存業者について見ますというと、この従来の三号以下のものが今度の新しい医薬部外品制度の制定に伴って自由販売のこのグループに入っていかない面がやはりかなりあると認められる。今後の問題としては、この辺さらに現状については相当厳密な検討をいたしたいと思いますけれども、やはり多少はその医薬品も取り扱うという面は当然出てくると思いますが、そこで、いわゆる薬種商との関係でございますが、もちろんお話のように、薬種商の方が取り扱い品目も多いわけですし、それから薬について不十分とはいいながらもある程度の知識や経験を持っておるわけでございますから、そういうものが望ましいことは当然でございますし、従って、その薬種商等がありまして何ら不便がないというような場合には兼販売業は認めない、そういうような考え方でございます。
  125. 坂本昭

    坂本昭君 その問題は、要するに、医薬品の販売業者がいない場所、つまり無薬局地区、医療に恵まれないという……、医者でもおれば、これは問題は簡単でございますよ。医者もおらぬ、それから薬剤師もおらぬ、だからできるだけそういう所には薬種商をあてるように行政措置をすべきじゃないか。さらにそれは医療金融公庫で薬局を作ることができるならこれにこしたことはありませんが、ただ、そういう場合にも、あなた方の方で明確な行政方針を持っていないというと、なかなかこういう住民のための施策はできてこないと思う。たとえば薬局がある場合、医師がいない、ところが、医師がいないというと処方せんによって調剤もできない。しかし、実際はまあ一般の国民薬局に行ってアスピリンなんかは簡単にもらうわけですね。だから、そういうふうにもらえる制度を国民皆保険の中ででも実施できるように考えることも必要になってくるのじゃないか。たとえば保険の中でそれを扱う、そういうことになれば国民としては非常に便利だと思います。だから、そのためにはできるだけ資格のりっぱな医師がいなければ薬剤師薬剤師薬局がなければ薬種商、何かそういうふうな方策をとって、国民にほんとうに医薬品に困らないように、病気によって困らないようにする方法を考えてもらいたい。その点で今薬種商の問題も申し上げましたが、今の皆保険下におけるそうした取り扱いはいかがですか。
  126. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと関連して。今のは、この前から宿題にしておいたんだが、この特例販売業の問題については、ここにある地域でなくても、一般の医者があり薬局があるそういう地域においても、先日局長が言ったような薬品のほかに麻薬関係類まで販売している、こういう現状だと聞いてみるとますます私はけしからぬと思うのです。だから、今坂本委員が言ったように、こういう普及が十分でない特殊な地域について薬局、薬種商という工合に、いわゆる能力を持った人を配置して、またはその他の必要がある場合という船とか駅とかの場合はどうするか、こういうことを考えてみると、私は一連にして国民が医薬品について安心して使える、安心してその処方によって健康を守っていくという基礎が私は国民自身の中から自覚が盛り上がってくるという状態厚生行政で作らなければならぬのじゃないか。こういうことの抜け道を考えて、そうして前の薬事法を見てもそういう条項はないわけなんだが、そういうことを考えて、そうしてその三十五条のような格好で、これだけ見ると、全然知事が勝手にやれるということになっている。私もそうでない一応薬品の問題だから、委託行為だからということで、この前はそういう質問をしなかったんだが、しかし、私はやはりこの際、九万幾らという特例販売業というものに対して、この法律が通ればその委託権限だから厚生大臣の権限によって処置するということを言われるんです。その内容を私は聞かなければならぬと思います。配置販売業までは生活の過程に専業にしておられるけれども、これは兼業ですから他に販売商品を持って経営しておられる方々だから、ここでたとえば消毒じゃなしに殺虫剤であるとかそういう種類のものならいいでしょうけれども、人命に関するようなものをこしらえて、いかにも知事の権限で品目が勝手に指定してできるような制度を作ってここでやるということは、私はやっぱり納得できませんね。だから、あなたがさっき言われたように、明確に特例販売業については今日の状態はともかくとして、新しい段階——この法律が歩き出すんですから、歩き出す段階としては、人命に関するような薬品というものは、厳密な特にないところに特例を設けて、それも医療、薬局の配置という全国的な無配置地区が千四百もあるんですから、そういうところに配置を進める一つの暫定処置の問題が必要であるかわかりませんが、その他の地区においては、私はやはりこの法律が歩き出すときにはやめる、こういうことの方針がやはり明確に立たなければいけないのではないか、私はそれを強く思っているわけです。だから、坂本委員の今の質問関連して、この点だけは明確に私はしていただきたいと思う。医者であり薬剤師であり歯医者である、そういう技術は国が検定して、そしてやはりよりよい国民に対する奉仕、そういうものは私は厳正でなければいけませんけれども、よりよい、厳正にそういう人の技術を上げていかなければならないけれども、そういう上げるということはやはりよりよい社会に貢献するという場というものをやはり国が保護して作らなければならないと思うのです。その精神が忘れられては私はいけないのではないか。だから、こういう点は、もっと明確に私は御意見を聞かしていただきたいと思います。
  127. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 社会保障の充実に関連をして、十分な知識を持って薬を国民に供給する、そういう施設が普及するということは、非常に大切な、重要な問題でございます。私どももそういう趣旨で一面においてそういう施設が、たとえば無薬局地域等に普及をいたしていきますように、今後十分力を施策に注いでいきたいと思います。と同時に、保険の面においてこの問題を取り上げていくということにつきましては、まあ現在のところ第一階梯として、いわゆる医療の充実という面が、これは何と言っても第一であることは当然でございますが、それに関連して現在の制度においても、いわゆる保険施設という形において実施をしている面があるのでございます。これらの面につきましては社会保障の充実あるいは国民皆保険制度の進展と関連をしてぜひ一つ検討をして参りたいと思います。  それから特例販売業の問題についてただいまお話がありましたように、現在のいわゆる三号、四号あるいは五号、六号といったものについては、かなりその間に径庭がございますし、また、これの登録等についての考え方もすっきりしてない面がこれはございまして、そういう意味において現状が満足すべき状況でないことは御指摘通りでございます。この点については今回の法律においてはっきりと「医薬品販売業の普及が十分でない場合その他特に必要がある場合」というふうにしぼっていく考え方というものを法律的にもはっきりいたしましたし、この趣旨に沿って実際に認める場合においては、薬局あるいは薬種商等がありますような場所にダブってこの特例販売業を認めるというようなことは、もちろんないように地方を指導監督して参っていきたいと思います。また、その品目につきましても、その範囲等、認め得べき範囲等については、従来における実情等をさらにしさいに検討いたしまして、こういうしろうとの人たちにつきましても扱わしてある程度忍び得る、そういうような考え方で、品目等についても十分しぼった考え方で、しかもそれらを概括的に認めるのではなしに、品目ごとにその地域事情等とにらみ合わして検討してしぼって認めていく、そういう方針をとっていきたいと思っております。  なお、現在の既存業者についてはどうするかという問題もあるかと思いますが、これも今申し上げましたように、現状は必ずしも満足すべき状況ではないと思っておりますし、従って、理論的に言えば、これについても相当いわゆる既存業者についても再検討するのが筋としては筋だと思うのでございますが、一応とにかく今日まで公に手続を経て認めてきた実情でございますので、この既得権をこの法律の施行に関連をして云々ということは、これは制度全般としてもいかがかと思いますので、これは一応やむを得ないわけでございますが、なお、それにしても、今後それらの人たちの薬の取り扱い等についてはあるいは薬事監視の面において、あるいは指導の面において、十分気をつけて参りたいと考えております。
  128. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それはどうも今のお話の前段はもっともなようなお話だと思います。ところが、九万何千、十万近くある、現在のところはもうやむを得ぬからこれをそのままにする、その九万とか十万というその状況は、やはり需要と供給といいましょうか、利益のためにできてきている。これだけ薬剤師の厳選をして、そうして技術の面からも身分を明確にしてあらためて法律を施行するというときに、薬事法もあわせてそれに関連して施行するというときに、現状そういうところから抜けているもの、現状許可しているからやむを得ない、そういうことであっては私はいけぬと思う。現状やっているところにおいても、前段の説明のようなことを明確にするということでなければ、それはあなた意味ないじゃないですか。現状特例販売をやっている所においても、今のような、先日おあげになったような種類、まだおあげになっていないいろいろな種類がたくさんあると私は聞いておる。そういうものは私はやはり薬剤師、薬種商ですね、そういう段階でやはり販売、国民に医療品の、医薬品の責任を持つという形で私はおやりにならなければ、それはあなたしりが抜けてしまっていくのじゃないですかね。現状のやつをやはりどうするかという問題がここで答えとして出てこなければ、私は私の質問している意味がないとそう思うのです。だから現状においても、この特殊な地域についてはお話がありました一ぺんにどうこうする、これは医療の適正配置、薬局の適正配置という問題と関連していくと思いますが、現状の十万近くあるところの販売機構について、今のこの法律が歩き出すときにはやはり厳選をして、そうして最も人体に関係のないようなものを品目をきめる、こういうことでなければ私は意味がないと思うのですね。だから、現行許可しているものは、やはりやむを得ないというようなことであっては困りますから、これは一つこの法律が参議院、衆議院で審議されて上がるわけですが、だから明確にその点だけは一つしていただきたいと思います。
  129. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) お話の点はまことにごもっともで、首尾一貫しないじゃないかというお話、まあそういえばそういうことでございます。ただ、これはこの法律という意味でなしに、いわゆる既得権をある意味において取り上げるというような点になりますというと、これはよほどやはり考えなければならない問題でございますし、とにかく今まで正当な手続を経て認めているものを、考え方を今度の法律においてこういうふうにはっきりした機会にさらにさかのぼってやり直すということになりますというと、これはよほどやはり慎重に考えなければならない問題であろうと思いますし、まあ私ども趣旨の線に沿って今後既存業の取り扱いについては十分指導その他に気をつけて参りたいと思いますけれども、これをいわば既得権というものを認めないで再検討するということについては、ちょっとこの際差し控えさしていただきたいと思います。
  130. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この特例販売というものは、あなたが御説明になるように他の業が主なんですね、そうでしょう。
  131. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) そうです。
  132. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 他の業を主として利益を得、生活をされている、そういう販売業だと私は思うのです。だから、単に許可したからその既得権だということだけでやっていくなら、あなた、この薬剤師法や薬事法の厳格な出発というものを促す必要というものはあるのかどうかということを私疑問に思ってくるわけです。そういう点お考えにならないのですか。そこが問題だと私は思っているのです。だから、厳密にお調べになって、今の、兼業です、これは主たる販売商品じゃない、兼業的な要素もある。それが既得権で生活をおびやかすというような方法は私は非常に少ないと思うのです。それを既得権だからといって、そういう行政やり方というものは私はあり得ないと思う、こう思う。この際、だからこの法律が歩き出すのですから、その前にどういう現状にあるかということをやはり厳格にお調べになってそうして私はこの処置をせられないと、私はせっかくこの法律を作られた意味というものが生きてこないのじゃないかということを私は申し上げているわけです。まだまだ薬剤師そのものの身分について言いますれば、製造業者との関係があります。しかし、私はその問題を、身分や経済という問題でなしに、厳密な薬品の人命に関する販売、こういう意味でこの問題をとらえていきたい、そういうことで申し上げているのですから、今のような単に既得権というような返事で私はこれを納得することができませんから、この次の機会までにもう少し明確に一つその点の客観的な問題をよくつかんでいただいて、そうしてどういう措置をするか、われわれもせめて半分くらい納得できるようなお答えを願いたいと思うのです。
  133. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 私が申し上げましたのは、要するに、今までの既得権を法制的に認める、そういう立場で法制を仕組むかどうか、まあそういう観点に立って既得権を全部いわば御破算にして再出発をするということは制度的に慎重に考えなければならない、そういう趣旨で申し上げたわけでございまして、考え方の方向としては、まさしく藤田委員と同じような考え方をとっておりますし、今後あるいは薬事監視の面においてあるいは指導の面において十分そういったような御趣旨に沿うように事実上の問題としてはできるだけ努力をして参りたい、かように考えております。
  134. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 事実上の問題としては配慮するというだけでこのままずるっといくのじゃ、私たちはせっかくこれを申し上げているのにどうもはっきりしないのですから、だからもう少し具体的に、まあきょうじゃなくてけっこうですから、もう少し具体的に一つわれわれの納得する、せめて半分ぐらい納得するようなお考えを出していただきたいということを申し上げておきます。いずれあらためて……。
  135. 坂本昭

    坂本昭君 この際次官に一つ伺っておきたいのですが、きょう午前中薬剤師任務のことについていろいろと質疑をかわしましたが、今回この第一条に薬剤師が「公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」非常に明確な任務と使命がここで規定されたわけであります。それで、先ほど来薬務局長はいろいろと説明をしておりますが、その中で他の局の所管に属するものが幾つもあります。たとえば医療金融公庫の中における薬局に対する融資の問題、これは医務局の関係、それからまた、皆保険制度になった場合に、医師のおらないところで保険の制度を使う方法、これは保険局の問題、これはいずれもこのような大事な薬剤師任務を帯びるに至ったときにおいては両方とも特に積極的に考慮していただきたい。医療金融公庫についてはもちろんこれはまだ目下審議中であります、でありますが、特にこの際、この薬剤師法と薬事法が制定せられるにあたって、厚生大臣にかわって次官として無薬局地区を解消する、そのためには特にこの医療金融公庫、これを十分に融資させる。またさらに、皆保険の中において、無医地区においては保険制度が使われるように、場合によると薬剤師でないところにおいても使うことも考慮しなければならぬかもしれないのです。私はそれまでの配慮をこれはしていただかなければならないと思うので、その点次官の御答弁をいただきたい。
  136. 内藤隆

    政府委員(内藤隆君) 無薬局の地点の解消、もっともなお話でございます。これは御趣旨に沿うように医療金融公庫が成立いたしました暁には、大いに検討を加えていきたい、かように考えております。さらにまた、保険局等の関係もございまするが、これも御趣旨のように進めていきたい、かように考えております。
  137. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 本日は、これで散会いたします。    午後三時二十九分散会    —————・—————