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1960-04-28 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十八日(木曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            高野 一夫君            吉武 恵市君            藤田藤太郎君    委員            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            紅露 みつ君            谷口弥三郎君            徳永 正利君            山本  杉君            秋山 長造君            藤原 道子君            村尾 重雄君            竹中 恒夫君   政府委員    厚生政務次官  内藤  隆君    厚生省薬務局長 高田 浩運君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○薬事法案内閣提出) ○薬剤師法案内閣提出)   —————————————
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではただいまから委員会を開きます。  薬事法案及び薬剤師法案、以上両案を議題といたします。これより質疑に入りますが、昨日の質疑に対する答弁の終わっておらないものもございますし、お手元に新しい法案関連資料が配付されておりますので、政府委員からこの内容等についての説明を聴取したい、かように考えます。
  3. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) きのう御要求がございました分の資料提出をいたしておきましたので、これについて御説明申し上げたいと思います。なお、自余の分につきましては、取り急いで後日提出いたすつもりでございます。  一番最初各国薬剤師数薬局比較表という上半分に書いてあるのがございます。この統計の根拠は、人口の数は国連の統計によったものでございますし、薬剤師の数につきましては、先年出張いたしました森本前局長調査によるものでございます。  それから日本の分につきましては国内統計によるものでございます。年次それから出典その他が多少不つり合いでございまして、正確な比較にはならないと存じますけれども、一応御参考のために提出した次第でございます。  なお、日本薬剤師につきましてこの備考の三にありますように、全体の総数は約五万六千でございますが、そのうち調剤に従事している者と申しますのは、日本薬剤師の中には相当数現実業務に従事しておられない方もあるわけでございますので、それらの点も勘案いたしまして、調剤従事者について見ますというと、この三に書いてありますように、約三万人がそれに従事しておって、人口との対比は一人当たり二千九百十二人、そういう数になっております。御参考のために書き加えておきました。  それからその次に、無薬局町村数及び無薬局地域のある市数調べでございます。左の方の欄は市町村総数でございます。その次が無薬局市町村でございます。市につきましては、これは合併等関係で、市全体としては無薬局市ではございませんけれども、合併しました町村のうちにそういう区域があるというものの数であります。それから一番最後の欄は、無薬局市町村のうち、販売業者薬種商ないし全品目の販売業者がいないというのが四百二十五、そういう数字でございまして、従って、このうちにも、いわゆる特例販売業者というものがおるものもあり得るということでございます。  それから三番目は、都道府県別の無医地区、無歯科医地区数調、これは御参考のために提出いたしました。薬局関係区分け仕方等が違いますので、比較にはなり得ないかと思いますけれども、一応御参考のために提出いたしました。  それからその次に、無薬局町村調参考)とありますものがあります。これは実は三十一年でございまして、相当古い資料でございまして、こういうところに出すのもいかがかと存じますけれども、何かの参考にもと思いまして提出した次第でございます。一種、二種、三種と三つに分けてございますが、一種というのは、書いてありますように、実際上医薬品供給支障が少ないと認められる無薬局町村。無薬局町村ではあるけれども、実際上医薬品供給支障が少ないと認められるもの。それから第二種は、ある程度しか医薬品の充足が行なわれていないと認められる無薬局町村。それから第三種は、いろいろな事情から勘案いたしまして、将来とも医薬品供給が行なわれる見込みが少ない、すなわち将来とも薬局ないし医薬品販売業者がそこに居をかまえるという可能性が非常に少ないと考えられる。そういうような趣旨三種に分けたのであります。従って、実際上施策対象として最も重視しなければならない点は第二種だと思います。  それからその次に、「医薬品販売業者の沿革」という縦書きの表みたいなものがございます。これについて御説明申し上げます。右の欄と左の欄と、これはパラレルになるわけでございまして、一緒に見比べてごらんいただきたいと思います。一番上の欄に「薬剤師法」、それから「薬品営業並薬品取扱規則」、「売薬法施行規則」、こういう法律がございます。販売業者種類の欄で、第一に「薬剤師」とありますのは、薬剤師法によって「薬剤師ハ薬品製造及販売ヲ為スコトヲ得」ということでございます。それから次に、「薬品営業並薬品取扱規則」、俗に薬律と称しておりますが、その中に「薬種商トハ薬品販売ヲ為ス者云フ——二枚目に法律の抜粋が書いてございますが、その四行目に、「薬品営業並薬品取扱規則」と書いてございます。「薬種商トハ薬品販売ヲ為ス者云フ」。そして「薬種商ハ地方庁免許鑑札受クヘシ」、そういう規定がございますが、その当時のいわゆる薬律における薬種商というのは、医薬品販売業者、そういう意味と解されるわけでございまして、すなわち、医薬品販売業者地方庁免許鑑札を受くべし、今日で言えば、許可を受くべし、そういう仕組みになっておったわけであります。  それで、これはあと流れをずっと見ていきますと、この法案によりますところの一般販売業者薬種商、すなわち、薬剤師を使用して販売を行なう者と、そうでなく、いわゆる薬種商、その二つのものを一緒に書いておったと考えられるのでございます。それからその次の、いわゆる売薬関係につきましては、売薬請売営業者というのか売薬法に基づきます施行規則に定められておるのでございます。これは、いわゆる売薬の請売ということでございますし、それからその次の行商による売薬請売業者という者は、いわゆる配置のことでございます。それで、これが昭和十八年の旧薬事法におきまして、販売業者のこういった区別をなくしまして、一本に、医薬品販売業者は知事の許可を受けなければならないというふうにやったわけでございますが、そういうことで、この薬種商がいわば二つに分かれ、そうして売薬請売営業者が、それらに該当しない医薬品販売業者として、現行法で言えば三号というものに該当する。それから行商による医薬品販売業者配置販売業者になる、そういうような流れになって参っておるわけでございます。この系列を引きまして、新しい薬事法案におきましても、一般販売業者薬種商販売業者特例販売業者配置販売業者、そういうふうな区分けになっておるわけでございます。その詳細の法律上の典拠につきましては、二枚目、三枚目に書いてございますのでごらんいただきたいと存じます。  それからその次に、「医薬品の三号販売業者兼業状況調」というのがございます。これは全国的な統計がございませんので、近県のこういった保健所管内のものを抽出いたしまして調べた結果の表でございます。御承知のように、いわゆる全品員販売業あるいは薬種商販売業というのは、これは大部分が薬、それからせいぜいそのほかに化粧品兼業しているのが実態でございまして、それ以外の兼業はほとんどこれはないと考えていいと思います。従って、兼業関係は三号になるわけでございます。これもごらんになりますように、大部分兼業であり、兼業態様は、そこに書いてございますように、雑貨屋あり、食料品店あり、化粧品店あり、洋品店あり、農協、文具店、駅の売店病院売店、デパート、その他——その他と申しますのは、たばこ屋でありますとか、あるいは塩屋でありますとか、金物屋でありますとか、いろいろな態様が出て参っております。こういうように非常に多岐にわたっているということの参考にと思いまして提出いたした次第でございます。
  4. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  5. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。
  6. 秋山長造

    秋山長造君 今のいただいた最初資料ですね。各国薬剤師数薬局比較表、これも参考になるのですが、これにさらに、お医者さんと、それから歯医者さんですね。これのやっぱり同じような各国比較表がついていると、比較対照して非常に参考になるのですが、それはできませんか。
  7. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 取り調べまして、できるだけ提出いたしたいと思います。
  8. 秋山長造

    秋山長造君 できればそれもあわせていただきたいですね。
  9. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) これは医務局とよく連絡をとって資料を作るようにお願いいたします。  それでは昨日の高野委員藤田委員竹中委員等質疑に対しまする答弁の残りがあると考えられますので、政務次官または政府委員から答弁を願います。
  10. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 第一に登録許可との関係でございますが、多少きのう私が申し上げました点は説明不足の点がございますので、お答え申し上げたいと思います。現在登録という言葉をいろんな法律で使っておりますけれども、これについては、概括いたしますと二種類の使い方が行なわれております。第一は、一定の事実を公証する、公けに証明する、そういう行為として使われているものでございます。これはたとえば公職選挙法によります選挙人名簿登録でありますとか、それから医師法によります医籍の登録あるいは現行薬事法によります薬剤師名簿登録、それからそのほか外人登録法による登録、こういったものはその範疇に属するものでございます。それから第二は、いわゆる禁止解除、言いかえれば、許可法律的な本質は同じに使っているものでございます。これはたとえば証券取引法によります証券業者登録、それからきのうお話し申し上げました現行法における薬局なり、医薬品製造販売業者登録、そういったものがその範疇に属するものでございます。法律的に分ければそういうことでございますけれども、しかし、まあ従来の登録というものについての通俗的な取扱い、あるいは概念というものが、前者に申し上げました、いわゆる一定の事実を公証する行為というふうに観念をしてきた面が多かったことは事実でございますし、その結果として、今申し上げました本質においては禁止解除性格を持っているものについても同じような観念を当てはめてこれを運用したり、あるいは観念をしたりというようなことが行なわれがちであったということは、これは事実でございますし、その意味においては多分に誤解を生じやすい表現であったということは事実でございます。それからなおまた、薬事法の、今申し上げましたこの登録につきましても、同じような先入観念を持って運用をしたきらいも全然ないとは言えませんし、その意味において、一面において登録基準等もきわめて不備であり、また、きわめてシンプルであるということは、これはいなめないことだと思うのでございます。そういう意味において、今回法律上の本質許可と同趣旨といっても実際上の観念の仕方、あるいは取り扱う者の心がまえとしては、これは違った格好になることは当然考えなくちゃならないと思います。  それからなお、竹中委員からお話のありました許可の中にはいわゆる適正配置の要素を含むかという点でございますが、この許可はもちろんいわゆる保健衛生上の観点からのものでございます。経済上の要件は入らない、そういうふうに御了承いただきたいと思います。  それからその次に、卸と小売の点でございますが、この点については、高野委員からお話のありましたように、薬事審議会においても議論がございまして、結局結論といたしまして、卸と小売というものを法律区分けをするという実益というものがどの辺に生ずるか、それから実際の取り扱いをどうするか、すなわち卸と小売兼業をどうするか、そういった問題についていろいろ議論がございますし、さらに一体医師向け小売と見るか卸と見るか、そういった議論がありますが、結局結論的に申し上げますと、卸と小売とを法律上分けて取り扱うということは、結局卸はたとえばメーカーから以外は買ってはいけない、卸は小売のほかには売ってはいけない、小売は卸からでなければ買ってはいけない。そういうようないわゆる流れというものを、品物の流れ規制をしていくということについては、これはもちろん意味があるわけでございますけれども、そういたしますと、結局医薬品配給統制を実施しなければ、その辺のところは截然とならないわけでございますし、それやこれや考えると、結局これを法律上、卸と小売というものを截然と分けるということの意味が乏しいのじゃないかというような意味で、これは答申には取り上げられなかったのでございます。もちろんいわゆる経済関係の方面で、きのうお話がございましたように、中小企業の団体の組織等関連をして、卸あるいは小売という問題が出てくることは当然でございますけれども、これはしかし、直接の保健衛生確保ということよりも別個の立場からするものでございまして、そういう意味薬事法の中に卸と小売というものをはっきり截然と分けていくということはそれほどの必要度というものは考えられないじゃないかということで、一応この問題は取り上げなかった次第でございます。  それから次に、いわゆる適正配置の問題に関連をしての憲法論議の問題でございますが、これはきのうもお話がございましたように、なかなかむずかしい問題でございますし、まあしいて言えば、公衆浴場に関する大審院の判決というのは、いろいろな解釈の仕方が成り立つと思いますけれども、公衆衛生上から見まして、一番重点として考えなければならない点は、「ひいて浴場衛生設備低下等好ましからざる影響を来たすおそれなきを保しがたい」云々、すなわち浴場衛生設備低下等好ましからざる影響を来たすおそれが保しがたい、そういういわゆる公衆衛生上の安全の確保が非常にむずかしい、その点をやはり重視しなければならない一点だと考えるのでございます。そういう意味からいたしますと、結局いわゆる公衆浴場の特に浴槽の中のいわゆるお湯の清潔度というものにつきましては、外からこれを品質を確保する、その清潔確保するという作用というものが非常にやりにくいものでありまして、その辺はあるいは飲食物でありますとかあるいは医薬品でありますとか、製造段階からある程度規制をし、あるいはまた、薬事監視あるいは衛生監視が可能な状態にあるものとは相当違うという点もこれは考えなければならないと思いますし、それからまた、現在入浴料につきましてはいわゆる公定価格をきめることにいたしておるのでございますが、この辺も非常に違う点だと思うのでございます。そういう意味で、これは薬局に限らず診療所についてもあるいはほかの施設につきましても、適正な配置になっておる、あるいは適正な配置になることが望ましいことはこれは言うまでもないことでございますけれども、しからば、これを権力による配置規制によってそれを実現するということ、その点につきましては、これはやはり慎重に考えなければならない点だと、さように考えております。
  11. 高野一夫

    高野一夫君 昨日私もいろいろ意見を述べたのでありますから重複を避けますが、まずこの登録許可相違についてはただいまの薬務局長説明は昨日より一段とはっきりして参ったと考えます。そこで、何としてもこの許可制度ということは繰り返し繰り返し申し上げる通りに、一般に放任をしておけば公共の危害を生ずるおそれがある、そういう行為について一般的には完全に禁止するのだということが第一の前段の建前だ、そうして特定の条件を備えた場合のみにその禁止解除する、ここに許可制度のほんとうの真髄があると思いますので、たとえ登録制度登録基準という条項がありましても、その意味とこれとは格段の相違が出ておる、従って、せっかくこの登録制度許可制度になって、その許可基準は多少は進歩しておるが、望ましいところまではいっておらないけれども、この許可趣旨については、今後この法律が幸いにして成立いたしましたならば、十分地方薬務行政衛生行政に当たる担当者がこの趣旨をはっきりとつかんでもらわなければならない。そこでその許可制度と従来の登録制度相違、特に一般的には完全に禁止していたこの点についての考え方をはっきり固めて、許可についての条件の審査あるいは書類の取り扱いをやってもらわなければならない、これを厚生省十分一つ注意をされて指導をされんことを要望いたしておきます。  それから今の適正配置でありますが、まだ質問事項がいろいろあるので、憲法論にばかり触れられないけれども、この公衆浴場は、今局長はこの公衆浴場偏在をするために、また乱立するために過当な競争が、無用の競争が起こってその経営が困難になる、ひいては浴場衛生施設低下等好ましくない影響を来たすおそれがある、これを非常に重視されたような意見があったけれども、これは非常に大事なことだが、前段二つ理由は、私が昨日説明した通りに、公衆浴場というものは、一般国民健康管理に必要な施設なんだ、家庭延長なんだ、だからそれが一カ所に偏在してある町内にはたくさんあるが、ある町内にはないということでは、健康管理に必要な家庭延長たる公衆施設としての意義をなさないのじゃないか。この一と二の意味が最も私はこの判決理由として主たる点だと思う。そういたしますと、病院診療所薬局のごときものは国民生命保持に必要な施設であって、しかもそれも公衆浴場以上に、健康管理ということの持つ意味よりより強い意味を持った生命保持に必要な施設である。それが一カ所に偏在をしてある場所にはないということであれば、国民日常生活に非常な不便を来たす。この判決の一と二の理由にそっくりより重要性を持って私は適合できると、こう思っている。私はこの信念は変えない。そこで、当委員会が短時日の間にこの問題を解決することはむずかしいと思いまするけれども、今後われわれは医療法改正と相待ちまして、この広い意味の三者の医療機関適正配置という方向に向かって私どもは研究をはっきり進めていく態度をすでにとっております。従って、この点は厚生省においてもまだいろいろ解釈疑義があるだろうけれども、もし適正配置ができるものならば、厚生省医務行政薬務行政というものが非常に私は適正にできるはずだと、こう考える。従って、そういう解釈ができるように、適正配置議論がりっぱに成り立ってそれが行なわれるような方向に向かうことを希望してもらわなければならないと思う。ことに昨日来言った通りに、国民保険に対して無薬局町村がたくさんある、無医地区がたくさんあるということでは困るのでありますから、いかにかしていろいろな方法を講じて、金融公庫の融資そのほかいろいろな援助の方法も講じて適正配置ができるようなふうに厚生省が率先して持っていかれる、そういう態度をおとりになるべきだ、こう私は考えるわけです。この点については、私は政務次官からはっきりと一つ見解を承っておかなければならないと思います。従って、内閣法制局がこの点について憲法違反疑義がある、この解釈はそれはそれとして、今後論争しますからかまわぬけれども、厚生省行政をやられる上からは、医療行政薬務行政、あらゆる上からいって適正配置が好ましい姿であるに違いない、そういう方向に率先して意見がまとまるように努力をされべきじゃないか、こういうふうに考えるので、そういう点についてまず私は卸と小売の問題はあとにして、この適正配置、そのほか憲法解釈疑義がある点についてはできるだけ解明して、そういうような厚生省として好ましい姿になることを希望されるかどうか。そういう努力を率先して厚生省はおやりになる意思があるかどうか。これを一つ大臣にかわって政務次官から承っておきたい。
  12. 内藤隆

    政府委員内藤隆君) 高野委員仰せになりました医療機関あるいは保健衛生その他厚生省関係におきまするさような機関等を適正に配置するという方向に進んでいきたいと私たちは考えております。また、進ませるべく熱意を持っていきたいと思います。
  13. 高野一夫

    高野一夫君 それじゃもう一つその点について具体的に伺いますが、せっかく御苦心の実が結んで医療制度調査会が発足するようでありまするが、医療法改正についての問題がここで吟味されると思います。従って、診療機関病院診療所のやはり国民保険の実を全うさせるための適正配置、この問題が当然医療制度調査会で吟味されると思う。これは薬局適正配置と同じ性格、同じ議論になります。全く同じです。そこで、医療制度調査会においては、この病院診療所適正配置の問題が十分専門家も加えて議論がされるように指導一つお願いしたい、こう思っておりますが、この点についてももう一ぺん政務次官の御見解を伺いたい。
  14. 内藤隆

    政府委員内藤隆君) 仰せのごとく、医療制度調査会におきましては、そういう点に関しまして大臣から諮問があると私は信じております。そういうふうな点に進んでいきたい、かように考えるのであります。それから今回医療法の一部改正等を御審議願うという趣旨も、そういう適正配置等の問題に関連しておることは、これは御承知通りであります。さような方向に進めていきたいというふうに考えております。
  15. 高野一夫

    高野一夫君 この問題はまた最初の機会に申し上げたことがあるかもしれません。きょうはほかの問題に一応移りたいと思います。  きのう私が質問申し上げた、なぜ小売と卸を一緒くたに販売業として許可制度にしなければならぬか、これについて研究されたとの今の薬務局長説明があったのでございますけれども、まだ私は十分納得ができないのであります。これはもちろん経済立法ではない。しかしながら、薬務行政薬事法にのっとってやる以上は、この薬事法規制を受けるべき立場にあるものが適正なる進歩向上の道をたどっていき、健全なこの薬事法が行なわれるようにしむけるのが私は当然だと思う。そうすると、薬事法対象になっているものは何かというと、製造あるいは輸入業者、あるいは卸、小売を含めた販売業、そのほかまあ薬局薬剤師、こういうもの、そういたしまするならば、製造業あるいは輸入業者の健全適正な進歩、それによる診療なり医薬品ができるだけ低廉な価格供給せられるように、これもやはりこの法律にのっとって、そういう経済的の立場を考慮して、ここに経済のケの字も入れなくてもいいけれども、当然これは結果として行政措置指導をされなければならぬ、そうすると販売業についても同様でありまして、卸の販売をやっている者も、小売販売をやっている者も、それぞれの立場において、ここにいろいろな不祥事件が起こったり、けがが起こったり、いろいろしてはいかぬのでありまして、そういう業態それぞれのものがやはり健全な発展をして、安定した経営が成り立つようにしむけるのでなければ、薬事法を設ける私は意味をなさぬと思う。これは経済立法でないけれども、経済的に立ち行かなくなって、それで薬局がつぶれる、メーカーがつぶれる、輸入ができない、販売ができない、こういうことになれば薬事法は何にもなりません。従って、この薬事法が適正に生かされるためには、どうしてもこのそれぞれの立場における業務の人が経済的安定がはかられるようなふうにして、安心してその業務に従事することができるようにしなければならぬ、これは私は根本の考え方だと思う。そうするならば、今度はメーカー輸入業者は別といたしまして、これはおのずから性格が違うが、この卸販売小売販売をやっているものが、その業態において適正な一つ発展、立場確保できるように、小売販売やっている者もその立場において適正な発展、安定がはかられるようにしなければならぬ。あえて小売商業調整特別措置法を待つまでもない。そうするならば、卸と小売兼業をそのままここに認めた形になると、これを区別することはでない、こういうことが、はたしていいそういう行政ができるかどうか、こういうことになる。そうすると、もしもこれを区別することによって、卸販売やる者は卸販売業者として安定したる、正確な、適正な仕事ができ、分離することによって小売販売業者はまた安定した立場で、健全な適正な小売販売業ができる、こういうことにもしもなるとするならば、卸と小売二つをはっきりと区分することが私は適当だと思う。従って、これはまあ衛生関係の法規だけれども、特に取り締まり規制をするようなところに重点がある法律ではあるけれども、その基本の考え方は、関係業者が健全な仕事、適正な仕事、そのためには健全、安定した生活ができるようにしなければならぬ。これは病院診療所の場合も同様であります。医療法に従って、医師法に従って医師が仕事をする、それはやはり、人の、ものの経済的問題は医療法には書いてないけれども、病院診療所が適正に経営が成り立つのでなければ医療法の仕事はできないのであります。こういうようなことを考えるならば、ここで卸業者も分離してもらった方がいいと思います。小売業者も分離すべきであるというように……。それをそのまま放任しておいて、分離のここに条文を置かないということは私は適当でないと思います。そこで今局長は、もしも分離するならば、この定義がどうとか、配給統制みたいになるというお話だけれども、それはおかしいのでありまして、それならば、今日法律で卸売業というのが至るところに出てきております。それじゃあ卸売業という定義がどこにあるか、商法を調べても何を調べてもありません。そりゃあ卸売業という定義が、どの法律にも、どこにもないけれども、卸売業という経済的実態をつかまえて、地方税法にも、あるいは小売商業調整特別措置法にもあるのであります。ちゃんと法律上の文字として表われておる、それならば、ここにもしも定義を下すことがむずかしいというならば、この薬事法に、卸売業というのはここに端的に持ち出してもごうも差しつかえない、ほかの法律は使っている、使っていてその卸売業というのはどういうものだという定義は、どんな法律を探してもないように思います。法制局に頼んで調べてもらったがない。しかし、卸売業というのは、はっきりいろいろな法律にその言葉が使われておる実態をつかまえて——私はそれでいいんだと思います。実態をつかまえた言葉を使って、それで卸売、小売といえばそれではっきりわかる。一々定義を出すことはない、こういうことでありますから、開設といったら、開設というのはどういうことかと言われても、開設という言葉だけですぐわかる、だから定義を下すことが、かりに医薬品の場合にむずかしいとするならば、ほかの法律と同様に、卸売業というものを直ちに引用して差しつかえはごうもない、また、定義を下すことが私は必ずしも不可能だとは思いません。むしろそこで、それじゃ、病院診療所等に売るのは卸か小売か、こういうことになる、これも一つの問題だ、こうおっしゃるけれども、それは病院診療所は、大量に買おうと小量に買おうと問わず、消費者に売るのは小売販売業にきまっている、経済常識上これは当然小売販売、ただし現在は、そうすると、卸売が、病院診療所に売ることができない、こういうことになれば困るというならば、その病院診療所に売ることだけは卸に認める、こういう除外例を置いても差しつかえない。従って、そういう抜け道は幾らでも出せる、この点についてはもう少し次回までに十分研究をされまして、憲法論議はともかくとして、この卸売と小売を分離することの是非について、そしてまた分離するとするならば、どういうような文句で分離ができるか、こういうことを、一つもう少し法制的に研究をしておいてもらいたい。私の見解は、ただいまもきのうも同じようなことを繰り返しましたが、はっきりと申し上げておいて……、分離することは適当である、そして分離は絶対にこの薬事法改正で可能である、こういう見解を持っているので、先ほどの局長説明では、まだ私は自分の意見を翻すところまで了解ができないということだけを申し上げておきたいと思います。
  16. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 ただいま局長の方から登録についての法的な解釈、あるいは先ほどお願いいたしました厚生省としての統一解釈見解をお聞きしたわけでございます。ただ、私お聞きいたしまして、まだもう一つ聞き足らぬと思いますことは、登録に対する法的な解釈の御説明がございましたが、登録許可との関係について私は疑義がありましたので、従いまして、本日の答弁には、許可に対しまする御説明も当然行なわれるべきであろう、こう思っておるわけであります。と申し上げますることは、ただいまの御説明によりまする通り登録の目的は、一定期間に公示することと、禁止解除という、第三者に知らすということが目的のように今説明聞いたわけであります。許可の方は、第三者に知らすということでなくして、その人自体に一つ行為許可することであるというふうに思われるのであります。従いまして、登録許可とは明らかにうらはらのようにきのうもおっしゃいましたが、目的なりその結果が違ってくるわけなので、当然、今回の法律許可制に書き改められたということは、登録とは取り扱い上も法的な効果も違ってくると私は思うのでございまするが、きのうからの御説明によりまするというと、登録許可もうらはら、裏と表の関係であって、行政効果は同じだということをきのう言われたのですが、やはり今日におきましても、行政効果は同じであるというような見解であられるかどうかという点をまずお聞きいたしておきたいと思うのであります。
  17. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 先ほど申し上げましたように、現行の法律で使っております登録に二種類の使い方がある。一つ一定の事実を、いわゆる事実を公証をする、そういう行政行為である。一つ禁止解除するという行政行為である。で、きのう申し上げましたのは、その後者の方の、いわゆる禁止解除の方を実は申し上げまして、前者の、たとえば薬剤師名簿登録でありますとかそういった公証行為の点をあまり詳しく申し上げませんでしたので、誤解を生じたかと思いますが、まあそういう二種類のものがあって、従って、たとえば現行薬事法の中にも登録という言葉が、薬剤師名簿登録という言葉が出ておるかと思えば、薬局開設の登録あるいは医薬品販売業登録と出ておりますが、そのいわゆる薬剤師名簿登録というのはこれは一種の公証行為である。それから薬局の開設というのはこれは禁止解除行為である。まあそういうふうに、ところところによってその分析をしなければならないのが現状でございますが、それらの点を、従来の行政法の通念に従いまして、この際はっきりしたということでございますが、従って、たとえば薬剤師名簿登録の点をこれを許可制に改めたとするならば、これは根本的に性格が違ってくるわけでございます。公証行為禁止解除に振りかえるわけでございますから、これは根本的に違ってくるわけでございますが、しかし、たとえば薬局の開設を、登録許可制に変えた場合に、いろいろそれは付随的な条件は別でございますけれども、純粋の冷たい法律論からしますというと、そういう大きな径庭はない、まあそういうようなことになるわけでございます。——よろしゅうございましょうか。
  18. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 一応その程度で、質問を続けたいとい思いますが、そうしますと、医薬品販売業許可の問題についてですね。登録許可関連してお聞きするわけですが、私が申すまでもなく、今回の薬事法改正につきましては、薬業界では前々からかなり大きなセンセーションを起こしておったわけですね。で、いわゆる薬剤師関係薬種商二つの団体において相当いろいろと意見が戦わされて、結局話し合いの結果きわめて良識のある解決を見たということを私は仄聞しておるわけなんですね。そういたしました場合に、この許可制なり登録制のことが関連してくるわけなんですが、まあ大まかに言いまして、実際問題として今日のわが国の薬業界の状況を見まして、あるいは薬剤師の数の上から考えまして、昨日も高野委員がおっしゃったように、世界にもその比を見ないほど薬剤師というものは人口比率の上から多いのだという点、あるいは明治二十三年ごろにできましたこの法律が思い切って今回大改正をするというときにあたりまして、交通機関の関係薬剤師の数の問題、いろいろな関係からいたしまして、大局的な見地からすれば、この際こういう許可制に対しましても、許可種類が四つございまするが、相当これは整理する段階に私はあると思うのです。で、しかも、片一方では今申しましたように、薬剤師関係の方々と薬種商関係の方々によって良識ある解決がついて、一応従来の薬種商の方々の既得権はもとより尊重しようじゃないか。同時に、将来の薬種商関係の問題については、大局的な見地から考えて、そう無制限なわけにいかない。従って、その間に適当な考え方をしようという両団体の話し合いがついておるわけですね。それは薬事審議会でもおそらく議論が出たと思うのですが、そういう話し合いなりそういう声をお聞き入れになった上でこの法律が立案されているかどうか。これがどうも私には発見しにくいわけですが、当局がそういう声に対してどういう考え方を持っておられるでしょうか。一応御意見をお聞きしたい。
  19. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まあ竹中先生は直接ではございませんが、この薬の関係については非常にお詳しいのでございますから、十分御承知と思いますが、まあ薬の特質上、やはりこれはそれに相応した学問をおさめた者に取り扱わせるのがこれは安全であることは言うまでもありませんし、まあそういうふうに漸次指導をしていくべきことも当然だと思うのでございます。そういう意味で、ここに二つ並べて、完全な知識を持っている者とそうでない者とどちらがいいかということになりますれば、これはもう言わずして明らかだと思うのでございますが、そこで、現実の薬種商の制度についてでございますが、これに一つの問題がからんで参りますのは、いわゆる指定薬品の制度でございます。すなわち、指定薬品は薬剤師は取り扱ってもよろしいけれども、薬種商は取り扱ってはいけない。すなわち、指定薬品を除いたものについては一応のまあ取り扱いを認めると、そういう体制をずっと年来とってきているのが現実の姿でございます。従って、もしこの薬種商に薬を取り扱わせるということが保健衛生上あるいは危害を生ずる、あるいはきわめて不適当というのであるならば、この指定薬品の問題の幅の問題にひっかかってくるわけでございます、理論的に申し上げて。それで、この問題がないという、指定薬品という制度がないということになれば、またこれは立論の仕方というものは変わってくると思いますけれども、現実そういう格好になっておりますので、従ってこれを、薬種商というものはそもそも薬を取り扱わせるについて、保健衛生上好ましくない存在だというふうな立場から立論を進め、あるいは制度を組み立てるということは、これはやはりどうもむずかしいと、そういうようなことで提案をいたしたような趣旨の内容にいたしたわけでございまして、もし、従って、非常に好ましくないというここであるならば、それは取り扱う指定薬品の、取り扱えない指定薬品の幅というものについて検討を加えるべきじゃないか。そういうような問題にもなるかと思います。
  20. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 私が懸念いたしておりますることは、現段階におきましては大した弊害もなくきたのじゃないかという気もするわけなんです。特に職業の自由なり、いわゆる憲法に規定されておりまする生存権の問題にいたしましても、既得権を尊重するということはこれは当然のことなんですね。ただ将来の問題として、今おっしゃったよりに、指定医薬品の幅によって調節すべきか、あるいは相当そういう医薬品販売業の第二十五条の第二項のようなものはある時期に至っては整理すべきかということについての御見解ですね。今の御答弁では指定医薬品の幅によって一応考えらるべきであるというようにとれるわけですが、薬剤師さんがどんどんふえて参りますと、十年、十五年先のことを考えますと、相当そうした機会の、そこまで一応範囲を考えべきかどうかということについてのお考え方をお聞きするわけです。それと同時に、私もう一つ疑問にいたしておりますことは、薬局の定義がここに出ておりますですね、第二条ですか、二条の五に、「この法律で「薬局」」云々ということが出ておりますが、この条文を読みますというと、薬局の第一義的な本質といいますと、第一義的なものは、「薬剤師販売又は授与の目的で調剤業務を行なう場所」となっておりますですね、ですから調剤業務を行なう場所が第一義的に薬局であって、カッコして「医薬品販売業をあわせ行なう場合」と、こうなっておるわけですね、で、これはやはりいわゆる薬種商関係との問題にも関連してくるわけなんですが、この薬局というものは、調剤だけして、それの販売業務をしておらぬならば薬局と称し得るでしょうか、あるいは薬局というものは調剤を必要としない、医薬品販売をしなければならぬものか、裏返してみますと、調剤せずに、医薬品だけをめんどうだから販売するという薬剤師が出た場合、これは薬局としてはおかしいのだということになるんでしょうか、そういう点もあわせてこの機会にはっきりしておきたい。
  21. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 前段の御質問につきましては、これはなかなかむずかしい問題でございますが、当然それは、薬を取り扱う者は、先ほど申し上げました趣旨からして、これについての完璧な知識を持っている人に取り扱わせるのが本筋であるということは、これはだれしも否定し得ない理論だと思いますし、そういう方向で今後進んで参りたいと思っております。  それから第二点の薬局の問題でございますが、これは、薬局調剤業務だけをやればすでにそれで薬局である、そのほかに販売業を営まなくとも当然薬局でございます。ただ、現実の状態として、調剤のほかに医薬品販売もあわせて行なっているのが普通の姿でございますので、特に念のためにこういうカッコ書きを加えたということでございます。
  22. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 これを意地悪く自己の利益のために特に曲解して考えれば、カッコの中の「医薬品販売業」をですね、ここにあわせて行なうとなっておりますから、あわせなければいけないということにもなりますけれども、医薬品の中の、指定医薬品だけ取り扱うとか、取り扱わないという問題が出てきた場合、それもいわゆる医薬品販売業をしておるわけですから、非常に誤解を招きやすいような表現になっておらないかという懸念があるわけです。これはいわゆる薬事法関係において出てこないかという心配かあるわけです。それはどうですか。
  23. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) その点は「その開設者が医薬品販売業をあわせ行なう場合には、」という表現になっておりますから疑義は生じないと、私ども一応考えております。
  24. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 はい、わかりました。では関連はこれだけで、またあとで……。
  25. 高野一夫

    高野一夫君 これは医療金融公庫法案のときに審議をいたすわけでありますが、これは薬務行政当局者はどういうふうに考えておられるか。金融公庫薬局に融資する場合は、調剤業務を行なう施設と、こういうふうになっておるわけです。そうすると、病院診療所に融資する場合は、待合所、受付、そういうものが全部入っておる。だから薬局の場合だけが、ほかに販売業がたくさんあるために調剤業務を行なう場所、そういう施設、それに融資する、こうなっております。そうすると、今度これでカッコして「その開設者が医薬品販売業をあわせ行なう場合には、その販売業に必要な場所」、店舗なり全部が薬局である、こういう解釈がここではっきり出てきたわけなんです。私はこの解釈は非常にいいと思うのですが、その場合に薬務局長は、金融公庫の融資の対象はこの店舗全体を含むべきものであると解釈されるか、やはりその中の調剤室、試験室、それから何か薬品の貯蔵場所、そういうものに限定するのがほんとうだと、こう考えておられるか、この解釈が当然公庫法に適用されてくると、こう思うので、これは一つ薬務行政当局者としてはっきりされておいた方がいいと思います。
  26. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 医療金融の貸付の対象をどの範囲にするかということはいろいろ議論があった点でございますが、結果としては、法律に書いてありますように、調剤に必要な施設とするということになっておるわけであります。と申しますのは、この金融公庫というパイプを通じて、ああいう種類の金を貸すのは、一体どういう対象にすべきか、どの範囲にすべきかということは、一応十分検討される対象の事案でございまして、その意味からいたしまして、販売業の、いわゆる販売の部門まで全部含めるかということになりますというと、いろいろ問題もございまして、ああいう格好になったわけでありますが、そこで、それはしからば具体的にはどういう範囲であるかということになりますと、もちろん調剤のテーブルを置いたいわゆるガラス張りの中だけという意味ではなくして、そのほかに薬品を置く所、あるいは冷暗所、あるいは部分的には客の入るところというのも入ってくるわけでございますが、しからばその辺を、その販売業との関連においてどの辺で具体的に区切るかということは、これは貸付のいわゆる政策上の問題になってくるわけでございまして、これが広ければ広いほど薬局としては有利なわけでございますけれども、その辺がああいう種類の性質の金でございますので、前後の事情も勘案をして、これはやはりある程度のところで区切らなければやむを得ない、そういう考え方に立っているわけでございます。まあその辺一つよく御了承をいただきたいと思います。
  27. 高野一夫

    高野一夫君 もう一つ、まあそれはいずれ公庫法案が回ってきましたときに詳細に検討いたしますが、この五項ではっきり薬局の定義が固まってきた、こういうふうになるので、この五項は私は適切なるこれは改正だと申し上げて差しつかえないと思う。そこでせっかくこういう適切な解釈、今まであいまいもことしておった解釈がここにはっきり打ち出され、しかも薬局規制する薬事法ではっきりされた、こういうことになるならば、ほかの法律薬局を考える場合は、当然やはりこの薬事法の五項の解釈にならなければならない、これに従うべきだ、こういうふうに考えるので、いずれ公庫法案のときに審議いたしますが、なお、そのときも薬務局長においでを願って審議したいと思うけれども、そういう考え方で十分一つ今後も進めていただきたい、それを一応あらかじめ申し上げておきたいと思います。
  28. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私も今の登録とは違うのですがね、適正配置の問題に含んで関連ですが、この薬事法の目的ですね、法の目的は、現行の薬事法が「薬事を規整し、これが適正を図ることを目的とする。」今度の法律は「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具に関する事項を規制し、その適正をはかることを目的とする。」ということで、二条にどういうものだということが書かれておるわけです。そうしてきのうからのまた憲法の論議になるのですが、二十二条の居住権、職業の選択の自由ということで、「公共の福祉に反しない限り、」というところから六条の問題がきのう高野委員から言われたのですが、問題は、私はやはり人間の生存権に関係するのが医療の問題だと思うのです。だから、単にこの販売だけをこの一条は規制しているのか、この目的というものは。販売規制を五項に分けてこういうものだということを規制しているのか。国民にすべからく福祉の面を、この販売区分けしながら、国民販売の面のすべからくその供与を受けるというのですか、そういうやはり本来の憲法の公共の福祉の問題や生存権の問題との関連においてこの法律が立てられているのか。この目的の解釈がきのうから論議をすると少しよくわからなくなってきたので、その目的の解釈をお尋ねしたい。
  29. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) いわゆる社会保障を拡充して人間の生存あるいは生活というものを確保しあるいは向上していく、これがまあいわば厚生行政の目標であり、社会保障の目的であるということにつきましては同感でございますが、その目的を達成するのにどういう手段を講ずるかということだと思うのでございますが、この法律はごらんの通り、それからまた従前の薬事法、あるいはその前からの引き続きの薬事関係の法令、考え方としては、いわゆる医薬品、それからそれらのものに関する事項を規制をいたしまして、いわゆる保健衛生支障がないように確保する、公衆衛生上の安全性を確保する、それが一つの目的になっておるわけでございます。その範囲内において法律がいわば組み立てられておるわけでございます。従いまして、これより以上にたとえば経済的な繁栄を来たすとか、その他の事項というものは一応これは別個の手段によってそれを、目的を達成をするという考え方に立っているわけでございまして、従って、今お話のありました目的を達成するについては、やはりこの法律だけでどうこうということでなしに、ほかの予算的な手段でありますとか、あるいは経済的な助成でありますとか、あるいは経済的な秩序の確立でありますとか、ほかの法規あるいは行政上の手段に合わせていかなければこれはいけないと思うのでございます。そういう意味に考えております。
  30. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、私はこの法律経済的な問題のものから行政的な問題のものまでを全部法律規制せいとは言いませんが、この目的としているところは、今の千四百の無医村の問題をどういうふうにいたすか。それは、経済的な面の裏づけは他に政策や法律があるわけですけれども、この法律自身の目的としているところは無医村の解消であるのですね。また、それを含めて適正な配置、予算措置は高野委員が言われたように、医療金融公庫がどういう工合に処置をしていく、こういう問題がやはりこの目的に含まれていますか、精神的に。こういうことを聞いているのです。
  31. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) いわゆる何と申しますか、経済的な関連を含めての、いわゆる適正配置と申しますか、それを達成をするということは、直接的にはこの法律としては目的にしていないと申しますか、この法律のいわゆる使命の限度というものは、どこまでもやはり保健衛生上の安全性の確保公衆衛生上の安全性の確保ということがこれはねらいになっておるわけでございます。それより以上のものは、ごらんになりますように、その外だという考え方で組まれておるわけでございます。
  32. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 両方の、現行の今日の改正法律もその「適正をはかることを目的とする。」、こう書いてある。公衆衛生、生存その他社会保障、そういう形のものをこういう区分けでやるけれども、全体の国民保険立場から、昔はなかったけれども——今日では国民保険立場からこういうものを適正にはかることを目的とするという工合に解釈をせなければ、販売の面だけを分けただけで、販売の面で、こういうふうに四つにわけて、こういう販売の機構があるのです。この適正だけではないと思うのです。やはり公衆衛生、それから生活、生存、福祉、こういうものを含んで適正をはかることを目的とする中で、こういう内容は分けるのだということになっているということに私は解釈をするわけです。そうなってくると、無医村対策という厚生行政を絶対的にやらなければ——いや無薬局対策ですね——という問題が一つ出てくる。そういうやはり問題から出てくると、憲法論議が出たから私も少し議論をしたかったけれども、あまり長くはしませんけれども、職業選択の自由、住居の自由、こういうことがあるから、どうにも適正の配置はできないのだと丸ビルの例がとられた。丸ビルの例だけは丸ビルの例でしょうけれども、それじゃ無薬局の地域はどうするか、裏づけの処置を今の高野委員の質問に対していろいろ考えなければなりませんというだけで、医師、歯科医師、それから今度は薬局配置という問題についても同じように私は真剣に考えなければならぬときが来ておるのではないか。そういう立場から高野委員適正配置というものがどれだけ今日の間で規制できるかどうかという問題が残っておるけれども、そういう考え方に立って行政をやっていかなければ意味がないのではないかと、私はそう思っておる。なかなかしかし答弁を聞いていると、そこらあたりになると憲法の二十二条の問題が出てきてぼやけてしまう。だから私はこの「適正をはかることを目的とする。」という文言は何を意味しておるかということに疑問を持ってきたからこういうことを尋ねておるのです。
  33. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 申し上げるまでもなく、薬局なりあるいは病院診療所というものが適正に配置をされて国民の健康あるいは生活に十分マッチしていくということが望ましいし、それがまた社会保障の方向であるということは、これはまあ私どもも当然そう考えておりますし、今後行政努力すべき方向だと思うのでございますが、それを達成するのについて、極端な場合を考えますというと、結局薬局がないようなところに、君一つ行ってくれという意味での法律的な強制を加えることが、これが最も極端な姿だと思いますけれども、それを一つのなにとし、それからあとは自由放任、その間にいろいろな手段があるわけでございます。結局私どもの考え方では、それはやはり中心は経済的な面の援助あるいは補助的な補助金政策と申しますが、そういった面での援助、これを中心にしていかなければ実効をおさめることはこれはなかなかむずかしいし、また、それが一番適切な問題だというふうに考えているわけでありまして、それをいわゆる法律的に権力手段によって配置規制をやるということについては慎重に考えなければならないのじゃなかろうか、そういう趣旨で申し上げたわけでございまして、配置の適正ということが社会保障の終局の目標であり、これに努力をしなければならないという点については、これは全く同じ考えでございます。
  34. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで私は一つ、当問題はそれくらいにしておいて、医薬品輸入の問題についてちょっとお聞きしてみたいと思うのです。現在、まず第一に聞きたいことは、現在の日本医薬品というのは、今の先進国といわれる科学技術の発達した国と日本と対してどの程度の水準であるのかということが一つです。  それから今の医薬品輸入の、この法律に項がありますけれども、許可を受けなければならぬということになっておりまするが、この医薬品の貿易関係は自由化しているのかどうか、これを一つまず最初に聞きたいと思います。
  35. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 日本の製薬企業が、外国の製薬企業と比べてどういう位置にあるかという点については、これはなかなか一がいには言えないと思いますけれども、たとえば最近日本で発明されたと申しますか、    〔委員長退席、理事高野一夫君着席〕 創製されました、たとえばカナマイシン等については、相当これは外国に重宝がられ、また、輸出も伸びているような状況でございますし、その他製薬の技術においては、トップ・レベルについては、これは外国に対して決して遜色はないと考えております。ただ、個々の品目につきましては、その製造の従来における過程なり、あるいは研究なりの状況からいたしまして、外国の技術を導入してやっているものがこれは多々ございますが、これらも漸次純然たる国産に切りかえていくように私どもとしても、業界としても努力をいたしておる状況でございます。  それから輸入の問題につきましては、きのうもちょっと申し上げたかと思いますけれども、日本の薬の生産額が三十三年で千三百四十五億になるわけでございますが、輸入されたものの額は約四十億でございます。パーセンテージとしては非常に少ないわけでございます。  それから次に、いわゆる自由化の率でございますが、全産業として見ますというと、日本の自由化率は約三五%程度だったと思いますが、薬につきましては、自由化率は約四二%になっておりますし、漸次国内企業の状況とにらみ合わせながら自由化の問題に対処していきたいと思っております。
  36. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、この手続の問題に入るわけですが、貿易の面からいうと薬の輸入は四二%までは自由化している。そこで、その手続は、厚生大臣許可が要るわけですけれども、要するに、その輸入規制する基本的な考え方ですね。そういうものはどういう工合にされているか。それからそれの販売をする場合に、業者が指定されて、どういう工合にされているのか、そこらの関係を少しお尋ねいたしたいと思います。
  37. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) この薬事法によりますいわゆる輸入販売業規制というのは、これはやはり貿易上の観点からでなしに、御承知のように、国内の製造販売と同じように、いわゆる薬の取り締まりと申しますか、薬の安全性の確保という見地からする手続でございまして、従って、いわゆる貿易自由化の問題に関連しての取り扱いの問題とは一応別個の考え方にこれはなるわけでございます。そこで、一般の貿易自由化の問題に関連しての薬についての考え方でございますが、これについては、なお、目下検討中のものでございますけれども、大体の私どもの考え方としましては、第一に、たとえばワクチン類でありますとかあるいはアヘン類でありますとか、それからそのほかの抗生物質の重要部分でありますとか、そういったように、どうしても、日本において生産を確保しなければ保健衛生上心配だと、いわゆるそういうようなものにつきましては、これはやはり今後とも全般が自由化しましても、やはり統制をとって参るべきものと考えております。そのほか、たとえば覚醒剤でありますとか、ヘロインでありますとか、こういうふうに国内の法律なり、国際条約等によりまして輸入禁止しているものについても、これもまた同様でございます。  それから、その次に国産技術がいわば成長の過程にありまして、今外国からいわゆるフリーに輸入をいたしますと、これらの国内企業というものが非常な打撃を受けて、成長が逆戻りをする、そういうようなものにつきましては、これはやはり過渡約に統制をとって、将来の問題としては、これは自由化すべきものでございますけれども、過渡的にはやはり統制をとるべきものと考えております。そのほかのものにつきましては、これは全般の自由化の方針に即応して、できるだけ自由化していく、そういうような考え方をとっている次第でございます。
  38. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今国内薬品との製造の調整について規制をしていくというお話しでありますが、だからこれで詳しいことは問うまいと思いまするが、私のもう一つ尋ねたいことは、おもなるたとえば輸入国とか、国内の輸入業者ですね。どういう人が輸入業者になっているか。
  39. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 輸入販売業として従来登録されておりますのが約四百業者ございます。このうち、製造施設製造登録もとっておりますのが約五十ございます。従って、これらは、大体においてメーカーと兼ねておるか、あるいはメーカーに準ずる、あるいはそういう施設を持っている。それ以外のものが純然たるいわゆる輸入を取り扱うということになるわけでございます。このうちには、もちろんその薬だけでなしに、ほかの一般のものも取り扱う商社も入っておりますし、あるいは薬を主として取り扱うものが入っておる、そういう状況でございます。
  40. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで私は、きのうの資料を見ても、この前の薬乱売の問題があったときに、新聞や何かで見たところによりますと、金額にして月に百十億製造ができる、それでその中のルートに載っているのが七十億、あとの四十億というのがやみルートに流れている、こういうことがこの前の論議のときにあった。今日は、三十三年で千三百四十五億という、これは正確な数字だと思うのですけれども、出てきているわけです。それで、国内製造をするときに、これは全部フリーで、認可制というものはない。製造業者というのは、自由に幾らでも自分の能力に応じて製造すればいいのか、そういう規制はないのか、その次に出てくるのが、非常に競争になっている販売の問題で、広告の問題になってくるわけです。非常に多額な広告費用が、コストの中のどれぐらいを占めているのかという問題まで入っていくのだが、おそらく薬業の広告というのが、一番私らの目に映るのには大きいわけです。それで、一般国民から見れば、よい薬で安いものがよい。薬局その他の販売業者の面から見れば、一定のルートで、百十億と七十億との関係で、七十億だけがルートに流れて、あとは裏に回って乱売され、薬局あるいは販売業者は食っていけないと、こういうものに対する規制もない。こういうことになってくると、製造業者に対する認可規制というような問題が、私はやはりこの薬事法をきめる前提といいますか、やはり問題になってくると私は思う。だからその点の沿革を一つ話して下さい。
  41. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今お話のありました百十億あるいは七十億というのは月の問題だと思いますが、私の理解します範囲では、この七十億というのは卸の組合に入っておりますそれらの卸の人たちの手を通ずるのが七十億、その他のルートが四十億というわけでございますが、従って、その他といううちには、ほかの組合に入っておりません卸を通ずるのもあるわけだし、あるいは直接事業所等に参るものもあるし、あるいは直接医師に行くものもあるし、いろいろなそういうルートがあるわけで、全部が全部、七十億以外は、いわばやみだという意味ではこれはないだろうと思いますが、その点は十分に御理解の上でのことと思いますけれども、そういうふうに一つ御理解いただきたいと思います。  それからメーカーの生産量の規制の問題でございますが、これはもちろん何ら規制を現在も加えておりませんし、それから法律上もその手段を考えていないわけでございますが、この点については、結局、需要の見込みというのは、それぞれの企業の立場において立てて、従って、その危険もその企業が負担するということになっているわけでございます。やはりその建前というのが、今日の経済の仕組みからいけば適当ではないかと思うのでございますが、ただ、非常に極端な場合につきましては、独占禁止法二十四条の三に、不況要件に該当する場合において、需給が非常に不均衡になり、平均生産価格が下がると事業の継続ができない、そういうような場合には、生産の設備の制限なり、あるいは生産の制限をすることもできる。そういうふうな規定が、これは独禁法の方に規定されておるわけでございますが、それ以外には、現在生産額についてタッチをした法律はないわけでございます。  それから過去の歴史ということになりますというと、これは御承知のように、戦争中には薬が不足して困ったわけでございますから、むしろどっちかというと、生産を増強する意味において、割当行為を政府が行なったという事実は、これはありますけれども、これは特異な現象で、普通の状態には適用されないと思いますが、それ以前におきましては、そういうような現象というものはなかったと記憶いたしております。
  42. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、厚生省として、この薬務行政をおやりになっている立場から、今の製造業の中で、非常に外国の輸入も、需要と供給によって高度な、まず病気をなおすということから、ある程度のものが必要でありましょうけれども、しかし、国内の生産においても、今の現状においては、国際の大体最高水準にあるということがいわれておる。その中で国内で非常に過剰生産といいますか、そういうものの被害を受けているといいますかね、技術はどんどん進み、内容が進み、その被害を受けている者はだれか、平常な場合なら国民だと思うのです。これはおれらが生産をしているのだから、要らぬことを言うなと言うかしらぬけれども、非常に安いコストでできたものを、高い値段で国民にそれが売られている、こういう問題が一つある。それから今のようなその過剰生産の中から、独禁法の二十四条にあるといっても、非常に値段を下げて、そうして乱売すると、今度だれが困るかというと、結局薬局を初め薬の小売業者が非常にお困りになっておる。関西あたりに行くと、マージンといいますか、ほとんどなくて、問屋から下げてきたそのままに販売しなければ、買うてくれる人がないというような、非常に極端に困っておられるというのが、私は現状だと思うのです。それでいて薬の業者が、今度は広告ですね、テレビ、ラジオ、広告塔、あらゆる広告というもので一番目につくのは、最近軽電機械事業と、それから薬、化粧品だと私は思う。あの広告料というのは、私たちによく想像ができないのですけれども、大体会社が発表しているのと、あなた方が、大体どれくらいコストに入っているかという推定をされているものを、一ぺん聞かして下さい。
  43. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬の需給関係が円滑に行なわれまして、適正な価格国民が入手できる、これが一番理想的な姿でございます。これについては、第一は配給の秩序を正すということ、これが一つのポイントだと思います。それから生産と需要との関係については、結局これはなかなか一致をさせるということは神ならぬ身のわからぬことだと思いますけれども、できるだけ需要というものにマッチをした生産計画を立てるということに企業家が努め、また、役所としてもこれを指導する、そういうことが望ましいことだと思うのでございます。それらの面につきましては、これは法律の問題とは別個に、私どもとしては常々努力しておる点でございます。  次に、広告の問題でございますが、一応私どもの手元にあります統計によりますと、薬についての広告賞か年額約百四十億、従って、生産額に対する割合か約九・五%くらいになりますか、九・数%ということになるわけでございます。各業種について見ました場合に、一番やはり広告が多い割合を占めておりますのは、化粧品のように考えるのでございます。以上のような状況でございます。
  44. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今、前段に配給の秩序というような出題か出てくる、適正な製造というものが好ましいというようなお話がありました。今のコストの中に九・五%という——販売表示価格で、販売価格百円なら百円というものに対する値段として九・五%になるのですか、実際に非常に乱売がされて、半額くらいに売られることになってくると、どのようなことになるのですか。
  45. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 年の生産額、きのう申し上げました約千四百億、これは三十三年度の数字でございますが、その後上昇しておりますが、約千四百億というものを基礎にして、それとの割合を申し上げたのであります。
  46. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、私たちは製造会社が出すのですからよくわからないのだけれども、一番目につくのは化粧品、薬、それから今の電気器具ですね、そういうものが非常に高い広告料が払われて、一つの広告代に一千万円も二十万円もかかっているということを聞くわけです、広告塔なんかを見ると。そういうものを払いながら行なわれる。ここで厚生省の書類を見るとみんな認可をされているわけですね、その薬の製造について、そうでしょう。製造について認可されて、それでフリーにおやりになってそれが規制されてない。それが悪循環を来たしていることは、私がきょうここで述べる必要はないわけです。こういうものに対して、厚生省は将来生存権の問題、福祉の問題から考えて、このままでいいとお考えになっているのですか。
  47. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 広告の問題は御推測の通り、これは非常にむずかしい問題です。
  48. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 広告ばかりじゃなく乱売その他含めて……。
  49. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まず広告の問題につきましては、内容的に非常に虚偽であるとか、これは誇大であるとか、そういったいわゆる保健衛生上弊害を生ずる、そういったものについては、従来とも法律に基づいて取り締まりをやっておるわけでございますが、ただ、内容的には間違っていない、しかもその頻度が多い、あるいは広告のしかけが大げさだ、これらのものについて取り締まるということになりますというと、これはちょっとむずかしい問題だと思うのでございますが、広告とそれから生産との関連をどういうふうに見合うかということは、これは企業経営のいわば本質関連する問題でございまして、これをたとえばある程度までで押えるというようなことは、これはなかなかむずかしい問題だと思うのでございますが、いずれにいたしましても最小限度内容的に間違いのない広告でなければならないし、それに違反するものは遠慮なく取り締まる、この点については今後とも十分励行して参りたいと思いますし、それから自後の経済問題につきましては、これは企業経営全体の問題として、十分私らも関心を持ち、それが企業経営の均衡を失しないように努めて参りたいと思います。  それから配給秩序の問題等につきましては、これはやはり業界の自主的な努力と、相互の協力ということが何といっても第一に必要なことでございますので、メーカー、卸、小売、三者の話し合いの場としての、いわゆる三者の協議会を設けて、現状の間違った状態等を解明をし、是正の方策を検討して進めておるわけなんでありますが、せっかくこれは努力中でございますので、さらに私どもはその方向一つ推し進めていきたい。  それから生産額の問題につきましては、これは先ほど申し上げましたようなことで、これも直接的には、要するに企業自体の危険負担との関連の問題になりますので、いわゆる企業の健全なる経営ということもあわせて考えて、十分私ども関心を持ち、できれば指導して参りたい、かように考えております。
  50. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その問題はいずれまたあとの問題として、きょうはあまり時間がないので、重要な問題としてもう二つほど聞いておきたいんです。  第三号業者というのがあるんですね、結局、薬剤師薬種商配置販売、特例販売という中に入ってくるわけだと思う。きょういただいた資料の中では、雑貨店、食料品店、化粧品云々ということで、非常にたくさんなところでこのようなものが販売をされて、たとえば蚊取り線香とか、そういう医薬品国民が感じていないようなもので医薬品である、こういうものが、これはどれを限度にしてやられておるか、私専門家じゃないからよくわかりませんけれども、しかし、少なくとも人命に関し、公衆衛生の面からだんだんと健康保持という立場を進めていくときに、このように、ただどこで売ってもいいというような格好でいいんですか、私はそこに一つ疑問を持っているわけです。というのは薬局があり、それから薬種商があり、そこらあたりまでは、相当これから近代的な薬と申しましょうか、新しいよい薬がだんだんと製造業進歩において売られてくる。昔は配置販売をほとんど主にしておったのがだんだん近代化してきているわけです。それは人体の健康保持に直接の問題ですけれども、これに関連したような、いろいろな薬品と言われておるけれども、そういうものでないようなものが、特例第三号業者というんですか、そういうところで行なわれている、こういうのは将来どういう工合に整理していくお考えですか。
  51. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) きのうから申し上げておりますように、薬の性質上、やはりそれに必要な知識を持っておる者に取り扱わせるのが本筋であるし、それ以外の者は、いわば必要の程度にとどむべきである、そういうような趣旨で、法案の三十五条に特例販売業許可は、いわばこういう特別な場合に品目を指定して認めるというようなことにいたしておるのでございます。今後この趣旨で運用して参りたいと思いますが、現実今までのものにつきましても、いろいろな薬を野放図に売らしておるという意味では毛頭ございませんで、やはり品目ごとに、どれとどれの薬を売ってもよろしいというふうに品目を指定して、登録をしておるのが実情でございますし、その意味で御承知のように、薬と言っても非常に段階がございますが、作用の緩和のもので、たとえば胃腸薬でありますとか、あるいは栄養剤でありますとか、あるいは浣腸薬であるとか、あるいは肩こり、打ち身の薬であるとか、そういうような比較的薬のうちでは作用の緩和なものに限って、品目を限って取り扱わしておるのが実情でございますし、従って、漸次十分な知識を持った薬品の販売業が普及されるに従ってこれらのいわゆる特例販売業者の占める比重というものが、だんだん少なくなっていくと考えるのでございます。なるほど数から申し上げますと、きのう申し上げましたように、いわゆる三号業と称するものが、約九万以上あるわけでございます。実質上薬の配給全体から見ますと、そのウエートは相当低いわけでございます。九万という数だけでとかく比較するわけには参らぬと思いますが、考え方としては、そういう今おっしゃるお考え方と同じと思います。
  52. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その特例販売における今のちょっと胃病の薬とか、何とかいう薬が出たんですが、もっと薬品らしい品物で特例販売している品物をちょっと言って下さい。
  53. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 大体薬効と、それからそれに伴う具体的な薬の品目と両方にらみ合わせて、その範囲をきめておるわけでございますが、たとえば健胃剤について見ますると、太田胃散でありますとか、それから腸内の防腐剤でありますと、いわゆる正露丸でありますとか、子供の薬としまして救命丸でありますとか、鎮咳剤として龍角散でありますとか、それからそのほか御承知のメンソレターム、それからガーゼ類、脱脂綿、それから目薬類、それからノルモザンというような制酸吸着剤、そういったもの、それから婦人薬でありますと実母散でありますとか、中将湯とか、そういった非常にたくさんございますが、大体そういったたぐいのものがおもなるものでございます。
  54. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 医薬品ばかりじゃないですか。今言われた正露丸、救命丸、目薬、中将湯、ノルモザン、龍角散、ガーゼ、脱脂綿、これは多少何ですけれども、これも今の、千葉県の例が出ていますが、七百三十八の兼業、そういうところで大体こういう物を売っているのですか。
  55. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) この具体的な店と、それからどの薬を売っているかという何はそこまでは調べておりませんが、今申し上げましたような薬は、いわゆる従来三号、法案でいけば特例販売業、その範囲内で品目を指定して認めるというものの例示として申し上げたわけでございまして、従って、たとえば雑貨屋でありますとか、洋品店に胃散であるとか、そういったものを売っているという意味ではございませんで、おそらく一品、二品、非常に軽微なものを売っているものがこのうちに人っていると思うのでございます。今申し上げましたようなものを全部、これら雑貨屋なり、あるいは洋品店で売っているという趣旨ではございません。
  56. 高野一夫

    ○理事(高野一夫君) ちょっとそれはっきりして下さい。売っている店はないが、売ろうと思えば、売って差しつかえないということになっているわけでしょう。そこのところの解釈をもう少しはっきりして下さい。
  57. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) そういう今申し上げましたような品目の範囲内において、三号というものは、品目を指定して許すことができるわけでございますから、従って、その実際問題としては、各業者について径庭が一応あると思いますけれども、抽象的に言えば、その範囲において買手がかなりなものであるならば、認めることがあり得るということも言えると思います。
  58. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、この法律の建前からいって、ここに薬剤師法案というもので、薬剤師は国家試験を合格した者をする。薬種商をやろうと思えば、薬種商の試験があるわけでしょう。適性試験、それにかからなければできない。それから配置販売であるとかいうところでは試験がなしに、知事の許可を得て固定したところで販売をする。特例販売というのは、とにかく売りますぜと言えばそれじゃ売ってよろしい、許可さえあれば自由に何でも売れる。それが今表示された、こういう医薬品ですよ。一応人命に関係する医薬品のもの、これはこの法案説明からくると非常にきびしく、一定の高度の教育を受けた知識のある者に薬品は扱わせたいという思想と、それからここへ出てきたこの薬品は、たとえば薬というものが、今製造したら十年でも二十年でも、品質や効力というものが変わらないかどうか、単純な問題から考えてこういう問題も出てくるわけですが、何ら能力のない人にこういうものを売らす、そうすると、昨日からの説明とこれを対比してみると、これはとんでもないことじゃないですかね。私は販売していくと云々というわけじゃないけれども、この法律の建前から見れば、あなたこれはとんでもないことになりはせぬですか、薬務局長
  59. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) そういうわけでございますので、こういったいわゆる特例販売、三号というものは特別の必要のある場合に限って認めるわけでございまして、平等の立場で、出てきた者について欠格要件がなければすぐ認めてやる、そういう趣旨でないことは、きのう来申し上げた通りでございまして、実際上のいわゆる薬の配給上の不便というものを最低限度補う、そういう意味で特例販売業という制度があるわけでございます。
  60. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 薬剤師と医薬業者に検定、検査、国家試験があって、人間の生命に関する問題ですから厳格に公衆、国民衛生の面から行政を進めておられるということ。私がいつも思っていたのは、配置販売業です。私らのいなかへ参りましても、来ます。過去歴史的に振り返ってみて、非常に重宝なものだったと思っているわけです。しかし、それがだんだんと新しい薬ができてきて、資格がある薬剤師薬種商ということで厳格にやられて、身体、健康というものが守られるようになってきて、文化度合いに応じて新しいシステムの中で生きていこう、健康を保持していこうという考え方にだんだん変わってきた。ところが、配置販売業は、どういう工合に厚生省規制しておられるのか知らぬけれども、監査の問題もないわけですから、たとえば薬が一年も二年も、こっちへ上げてきたやつに新しい薬を入れ、古いやつをこっちへ回していくというような格好もなきにしもあらずで、ないとは言えません。そういう格好ですから、特例販売配置販売の人に、薬品に対する指導とか教育とか、そういうものをされたですか。私は、なぜされないかと今まで思っておったのですが、だんだんここへ来ていろいろ聞いてみると、富山とか奈良県とかの販売の人は普通専業ですから、相当の知識がなければ販売できませんと思ったから、幾らかラフに考えておった。ところが、特例販売業でもこんなものをみんな売っているということになってくると、法律説明とはだいぶ違ってくる。それから、三十五条で品目について規制をするのだと言われたが、何といっても、今までやっているから、どうそれを調整していくかというようなことですね。一ぺんにこういう医薬品を停止するということのお考えなんですか。どういう工合にされるかということも聞きたいと私は思ったのです。  まず第一に聞きたいことは、配置販売業や特例販売業のところの方を指導教育をして、より一そう国民の健康を保持し、公衆衛生の面から、なぜおやりにならないかということが一つ。それから、今度の法律によって、三十五条で品目を指定して与えるというのは何を意味しているか。こういうものからセレクションして、たとえばガーゼだとか蚊取り線香とか、そういうものだけにされるのか、今まで通り。これなら全部薬ですからね。大体必要な薬、みんな。ですから、そういうものをずっと続けておやりになるのか。それを一つ
  61. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 第一に、指導ないし監視の点でございますが、配置の方につきましては、これは県が中心となり、あるいは配置関係団体等が中心になりまして、講習会等によって、知識、技能の向上をはかって参っておるわけでございます。これとて不十分なことは言うまでもございません。それから三号以下につきましては、これは確かに今お話によりまして考えなければならない点だと思っていたのでありますが、これらのものの薬に関する知識をやはりある程度講習等によって補っていくということは、当然今後考えていかなければならない点だと思います。  それから、もう一つ、いわゆる薬事監視の問題でございますが、これは、もちろん三号にしても、配置についても行なっておるわけでございます。ただ、配置につきましては、業態の性質上、御推測のように非常に薬事監視がやりにくいものでございます。この点が従来の非常な不備欠陥でありましたので、その点は、きのうご説明申し上げましたように、できるだけ監視のやりいいように、監視の実効があがるように工夫をいたしておるわけでございます。それから、品目の点につきましては、これは、現在具体的に各県において行なっているものについて、一応の調べはだいぶ以前にありますけれども、さらに十分精査いたしまして、それらを再検討をして遺憾のないようにいたしたいと思いますが、ただ、従来許しているものを、この機会にいわば取り上げるということは、これはちょっとむずかしい問題だと思いますので、その点については、一応現状はこれは現状として認めざるを得ないと思いますが、今後のやり方としては、十分御趣旨に沿いまして適正な販売が行なわれるように、品目その他について慎重に検討した上できめたいと思います。
  62. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これは、薬務局長、重大問題ですね。これはどういう工合にお考えになっておるか知りませんけれども、教育指導というものは業者に行なわれているといったって、配置販売業者にそういうことを厚生省が監督して行なっているのですか。それをまず聞きたいわけです。そうでしょう。厚生省配置を監督して行なっておるのではなかろうと私は思う。だから、そこにも一つ問題がある。それから、特例のところにもそういう指導は一切行なわれていない。ただ、袋に入ってきているから、そのままでよろしい、そういうことになるなら、日本のように医薬分業がしてないところで——きのう外国の例をおっしゃいました。外国は調剤を含めて、調剤のウエートが非常に大きいからということです。日本ではそうでない状態で、分業の問題が十分解決をしていない状態で、むしろ製品販売というのが多いわけですね。だから、製品販売に関して、内容の分析を出す。厚生省は的確におやりになっておるのだと思うのですけれども、それもちょっと聞きたい。どういう方法でやっているかということを聞きたいのですけれども、そういうことになってきたら、この近代文化国家の健康保持、衛生保持の面から、これだけりっぱなものをして、われわれは安心して薬が飲める、薬局から薬を買って安心して飲めるということでなければ、国民としてはいけない。そういう立場からして、この法律には、われわれは基本的には、より高度な技術、能力、科学性、近代化の中で健康保持という格好でお作りになる法律も、いろいろ手続なんかについてはありますけれども、傾向としては私たちはいいと思うのだけれども、今のようにだんだんと中へ入ってくると、何とかそこのところだけは強調されるけれども、ざるの抜けているところの方が多いということになってしまっちゃ、これはどうなるのですかね。私は非常な不安を持つ。だから、薬に対する指導を的確にするとか、一定の検定の資格を持たしてやらすとかというようなことが、特例販売にも配置販売にもいかなければ、私は意味がないじゃないかという気が、今だんだんお話を聞いている間にしてきた。これは、やはりきょうじゃなしに、うんと一つ考えてみて、この次に返事をしてもらったらいい。この問題は、これは私は重要な問題だ、こういう気がします。だから、これは宿題にして、この次に明確にしていただきたい。どういう工合に将来やっていくか。  私はしろうとだから、蚊取り線香だとか、脱脂綿とか、それから殺虫剤とか、その程度のものが売られているのだと思っておったところが、あにはからんや、もうこれなら何でも売れる。救命丸から目薬から、胃の薬から、もう一切のものが売られているということになってくると、これはあと困るじゃないですかね。私はそれを思う。それなら、きびしくいって、許可に問題があるという気がしてくる。だから、これは今の法律方向として明確にこの問題の処理をしてもらいたい。  それから、今尋ねたいことは、製造業者が薬を製品にしたら、適格性というものを、どういう機関でどういう時間のうちに、的確にあらゆる薬品に対してしておられるか、これを聞いておきたいと思います。
  63. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 第一に、薬について、製造業者が作りましたものについて、特殊な品目につきましては、衛生試験所なり、あるいは国立の予防衛生研究所において検定を経たものでなければ出してはいけない、売ってはいけないと、そういうことにいたしております。これは抗生物質その他、特にワクチン類もそうでございますが、重要な薬についてでございます。この点については、法律の四十三条に規定がございます。それから、それ以外のものにつきましては、必ずそういう公の機関のチェックを経ることを要件にはいたしておりませんけれども、厚生省としては随時いわゆる薬事監視をやる、それから品物を抜き取りましてそれを衛生試験所その他の機関において分析をして、適切であるかどうかということを、一斉検査なりあるいは随時の検査によって実施をいたしておりまして、これに基づいて不良なものについてはそれぞれ処置をいたしております。これはもちろん販売業につきましても、薬局あるいは薬種商、あるいは今申し上げました三号等のいわゆる特例販売業に属するものについても、同じく地方庁においてそういう措置をとっておるわけでございます。    〔理事高野一夫君退席、委員長着席〕
  64. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、検査をしておられるということは当然だと思うのでございます。ただ、私の聞きたいのは、薬を製造する前には、検定をされてこういう薬ということは、これは当然だと思うが、大量生産を薬はされているわけですから、それはもうすぐ人間の生命と直接関係している問題ですから、適宜立ち入りといいますかね、立ち入りという言葉が適切かどうか知りませんけれども、とにかくある一定の限度で適切に検査をされているかどうかということが聞きたいわけです。一ぺん許可したら、何年でも同じシステムで、あの会社は間違いがないという信用度合いだけで見ておられるのか、そのほか半年とか三月に一回ずつその中からぴしゃぴしゃとあらゆる検査をしておられるのか、そこを聞きたいわけです。これは単に近代製品ばかり、抗生物質その他ばかりじゃない、あらゆる薬品です。今の三号に含んでるようなものを含めて、あらゆる薬品がどういう工合にそういう立ち入りといいますか、そういう検査をどういうシステムでやっておられるのか、それを聞きたい。
  65. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 第一に、製造業登録——今回の場合には製造業許可という場合に、品目についてはもちろんのこと、それから設備についても調査をいたしまして、許否を決するということにいたしておりますが、許可をいたしました後においても、従来であれば年に一回のいわゆる登録の更新ということで、設備等についてはいわゆるその場合にチェックをするということになっておりますし、この制度は今後も続けるわけでございます。それから、品物が許可を受けたと同じように適切に作られておるかどうかということについては、もちろん、これは地方に薬事監視員というのがおりますし、本省にもおりまして、メーカーのところに直接出向いて抜き取りをし、あるいは調査をし、さらにまた、出回っておる品物について調査をして、それからさかのぼってメーカーの点について調査をする、そういうようないわゆる一斉検査なり、あるいは随時の薬事監視によって、これは実行しております。
  66. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、今検査はしているとおっしゃるけれども、なかなかわれわれは、薬剤師薬種商というようなところには信頼を置いて何だけれども、配置販売とかということになると、私はあまり露骨な言い方はしたくないけれども、なかなかむずかしい問題がたくさんあると思います。だから、そういう意味からいっても、この問題は一つもっと明確にしておいてもらいたいと思います。まあこの特例販売配置販売の問題は、この次に一つ明確にし処置を聞かしていただくということにしておきたい。だから、立ち入り検査の問題も、単にしているというだけじゃなしに、どういうシステムでどういう工合にやっているかということを、もっと具体的に資料を出して下さい。これもお願いしておきます。  それから、もう一つこの際聞いておきたいことは、薬局の開設の問題です。薬局の開設の問題で、薬剤師という資格を持った人がみずからやるか、またはある人が開設をして管理薬剤師という格好になる、こういう場合があり得ると思うのですね。だから、私はこの場合、たとえば薬剤師の管理者が通勤をしたような場合、あとどうなるかというような問題がありますね。八時から五時まで管理者という名義の者が通勤する、その場合に間違いが起こったら、だれが責任を負うか。この法律でいったら、管理者である薬剤師が一切の責任を負うことになりますね。そうすると、店で晩の五時から朝の八時までに販売したものに間違いを起こしたのについても、管理者が責任を持つ、こういう問題が一つ出てこようと思います。ですから、医者であれば、医者が診察をするというのがまず前提になりますから、そう間違いはあまり起きないと思います。そこで、間違いが——私たちは今問題にしているのは精神病医なんですよ。これの論議はやめますけれども、精神病医には非常にたくさん論議があると思いますから、これはやめますけれども、これはほかの医者の方にはあまり問題がありません。しかし、薬局の方には問題が残る、こういう工合に思うわけです。そういう残った場合に、薬剤師だけが責任を持って、開設者そのものには何ら処置の方法がない、こういうことでいいのかどうかということが一つですね。  それから、管理者が交代するときには、これは十日のうちに届けなくちゃならぬということになっておる。じゃ、その場合に十日間店を閉めるのですか。薬剤師の管理者がおらぬようになったら、薬剤師そのものがおらぬようになったら、すぐ店を閉めてしまうということになってしまうのですか。それで、できるまで店は閉めておいて、できて初めて開店をするということになるのですか。そうでなければ、十日までにといったところで、ずるずる一カ月、二カ月でも責任管理者の薬剤師がおらぬという状態で営業が続けられるという危険が出てきますね。そこらの問題を一つ……。
  67. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) きのう差し上げました統計資料の十一ページに、薬事監視員の数が出ております。十一ページの右側の方に、総数といたしまして約千九百名薬事監視員が全国におりまして、ただいま申し上げたような仕事をしておるのでございます。  それから、今の薬局お話の管理者の点でございますが、薬剤師がいなければ、薬局の一番大きな業務であるところの調剤は、これは絶対に行なえないわけでございます。それから販売の点につきましては、厳密にいえば、お話のように、薬剤師が管理をしておるわけでございますから、それが欠けた場合にはいけないわけでございますが、事実上管理上の足らざるところを補う手段があれば、販売の点についてはある程度のことは事実上認めておるのが、これは実情でございます。この辺は、かりに薬剤師が自分で薬局なりあるいは販売業を営んでおりましても、これは人生でありますから、いろいろの事故というものが起こり得ることですから、その辺の実情等をもからみ合わせて実情に応じた措置をすることがいいのじゃないか、かような考え方のもとに今申し上げたようなことになっておるわけでございます。  それから、間違いを起こした場合に開設者が責任をとるか、管理者が責任をとるか。これはもちろん、事案によりまして管理者だけでなしに開設者に責任をとらせる場合があることは、これは当然のことでございます。
  68. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと、それはどういう法律に基づいておりますか。今の処分の問題は何条でございますか。
  69. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 第九章の監督のところに、立入検査、廃棄、検査命令、改繕命令等、それから配置販売業の監督、許可の取り消しというような、こういうことがずっと書いてございますが、許可の取り消し等は、ごらんの通りに、薬局の開設者または医薬品販売業者に限っておるわけでございます。それから、たとえば四十九条により要指示医薬品販売というのがございますが、これは特別の抗生物質等の薬でございますが、これを四十九条に違反をして売った場合にだれが罰せられるかということについては、薬局開設者あるいは医薬品販売業者自体が罰せられるわけでございまして、三年、二十万円の罰になっておりまして、管理者が罰せられるわけでございます。そういうように、販売とかそういったものについての最終責任を、開設者についてかけておるわけでございます。
  70. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 事実上、今の罰則の問題は研究してみます。それで、またあらためて伺います。それから、実情に即して云々とか、事実上認めているという問題も、これは問題があります。だけれども、まだほかの方の御質問があるようでございますから、私は次に譲ります。
  71. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 薬事法につきまして数点、薬務局長にお尋ねします。まず、第二条の四項で医療用具の定義をしるしております。この定義によりますると、「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている器具器械」と、こういたしております。そこで、この器具器械につきましては、なお読みかえで、二号で器具器械は「歯科材料、医療用品及び衛生用品を含む」と、かようになっておりますが、ここでこの医療用具の中に歯科材料あるいは医療用品、衛生用品を含ましめるということは、どうも納得がいかないのであります、従来等もこの取り扱いについてはおかしい、明確にやはり材料、用品というものは分離してあぐべきであろうという意見もちょっと述べたことがございますし、従って、なぜこの材料、医療用品等を器具器械の中に含ましめなければならないか、この点について一つお伺いしておきたい。
  72. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) きのうも御説明申し上げましたように、医療用具といううちには、御承知のように、いろいろな種類のものを含めているわけでございまして、従って、第一には、名前の問題それ自体も、非常にこれは手広な名前というものを検討したわけでございますが、どうもあまり長い名前になりますとかえって使いにくいし、それからつづめますと、一番縮めた形が現行法の用具という形でございますが、これも薬事関係者は別として、世間に出した場合にはいかにも変な名前になるわけでございますし、いろいろあれやこれや法律立案のときに苦心をいたしましたけれども、結局、医療用具ということが一番いいのじゃないかというようなことで、一応名前としては医療用具といたしたわけでありますが、正確にいえば、医療用具よりはみ出すものもあるのじゃないか。そういうようなこともあり得ると思いますけれども、そういうような事情で、名前について非常に苦心したことを一つ承知願いたいと思います。  それから、第二の器具器械云々の点でございますが、これもお話のように、歯科材料、医療用品及び衛生用品、これらをすべてずっと並列していくことも一つの形でございますけれども、法律をある程度読む者の理解の便に供しますためには、ある程度しぼった名前でずっと整理をしていくということも立法技術上よく用いている例でもございまするので、一応こういうふうに二条の二号で——まあこれは逆にずっとここで品物の名前を並べて、以下器具器械というという形でくくるのも一つの考え方でございますけれども、種々法制の専門家とも打ち合わせをいたしまして、この二号のような形にしたわけでございます。  こういう格好にいたしました関係上、四項の方で器具器械ということが出て、形としては歯科材料、医療用品、衛生用品というものはその四項の方の文字には出て参りませんけれども、簡単と申しますか、少ない言葉で表現をすることが、条文その他の関係からいって便利であり、また必要であると考えまして、こういうふうに整理をいたしたわけでございまして、まあこのうちではもちろん歯科材料等は、医療器械あるいは歯科器械等と比べまして、きわめて同じように重要なものであると考えておりますし、従って、あとのたとえば販売業の届出等につきましても、歯科材料等については一番に指定をして適当な規制をはかっていきたい、そういうように考えておりますので、形の点につきましてはいろいろ御不満の点もあろうかと思いますけれども、ほかの点についても同じような出題が実はあるわけでございます。実質はそういうふうに考えておりますので、一つ御了承をいただきたいと思います。
  73. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 局長の御答弁の、不満とかそういうものではなくて、とにかく器具器械の中に材料を包含せしめるということはおかしいのでありまして、別にこまかにそれらを羅列する必要はないので、第一条の「医療用具」とあるところを「医療用具並びに資材」にすれば、これに入ってしまうのじゃないかと思うのです。従いまして、全部、歯科材料、医療用品、衛生用品というものを羅列する必要はない、かように考えます。重ねて申し上げますと、医療用具並びに資材ということで全部入ってくるのじゃないかと思いますが、ちょっと御見解を伺いたいと思います。
  74. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは、まあ医療用具の関係は、御承知のように、中身としましてはいわゆる医科器械、歯科器械、それから医療用品、このうちにはまあエキス線フィルム等も入っておりますが、それからそのほかに歯科材料、衛生用品、そういった多種類のものを含んでおるわけでございます。これらをなるべく簡潔に、しかも漏れないように、そういう趣旨で、こういうふうに実は非常に苦心をいたしましたので、まあ表現の形態についてはいろいろ御意見もあろうと思いますけれども、そういう趣旨であることを一つ御了承いただきたいと思います。
  75. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 趣旨はいろいろ御説明があったのですが、とにかく法律である以上、はっきりとそのものを規定することが必要だと思うのです。従って、それを私は申し上げているので、器具器械の中に用品、資材が入るということは、どうも考えられない。決してこれを、先ほど申し上げました通り、材料、用品、衛生用品というものを並べる必要はないので、医療用具、あるいは用品、あるいは資材というようなことであれば、はっきりと入ってくると思うのです。とにかく、極端な議論を申し上げますと、脱脂綿のようなものが器具器械の中に入っているということは、常識から考えても言えないわけなんです。従って、この際にはっきりとしておいた方が、法律の建前から見ても私は正しいと思うのです。  特に、ここで歯科材料の点を申し上げますと、充填材というようなものは、口腔の中に装著されてしまう。唾液に洗われて、科学的性状の悪いものの場合は非常にからだに為害を及ぼす。従って、医薬品に匹敵するような規制、監督が行なわれませんと、非常に重大なことがあるのであります。従って、この際、そういった意味も含めまして、はっきりと資材、用品というものは明確にしておいた上で、これも規制するということが必要だと思うのです。こういった見地から、私どもは申し上げております。特に、趣旨についての御説明よくわかっております。何としても法律である以上は、無理にその内容を圧縮するために、理論的に矛盾を生ずるような表現はまずいと思うのです。この点は、まあ私は納得いかないのです。
  76. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 鹿島委員よく御承知のように、法律は論理なりあるいは規定の取り運びの関係上、必ずしもそのいわゆる自然的な概念と一致した格好にならない場合もあるわけでございまして、確かに自然現象として考えれば、器具器械と材料とは違うじゃないかといえば、それはその通りでございます。ただ、法律の整備の仕方として、たとえば三条の第一項に「薬事(医療用具に関する事項を含む。以下同じ。)」、薬事と医療用具とはどうだというようなことで疑義がありますので、こういうふうにはっきり書いて、「以下同じ」、こういうふうな整理の仕方というものは、立法技術上当然あり得るわけでございますので、そういう意味で二号の規定の整備をいたしたわけでございますし、それから歯科材料の重要なことにつきましては、これは全く同感でございまして、製造につきましては製造上の許可、品目ごとの許可ということになりますし、販売につきましては、一応歯科材料につきましては届出の業者にやらせる、そういうふうなしぼり方をするようにするつもりでございますし、そのほか、あとの方に出て参ります取り扱いでありますとか、あるいは表示事項、それから不良なものを売ってはいけないという意味での、たとえば六十五条あたりの、異物が混入したり付着しているのはいけない、であるとか、あるいは病原微生物によって汚染されているものはいけない、であるとか、あるいは承認を受けた品質、性状、性能と違うものはいけない、であるとか、そういうような詳細な規定を置いて、品質の確保には努めている次第でございます。
  77. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 まあ内容は、趣旨についてはよくわかるのです。しかしながら、私の申し上げているのは、なぜ材料、用品を器具器械の中に無理に入れなければならないのか。これは別に抽出しても、少しも体裁に影響はないし、法にはっきりすると思うのですがね。医療用具並びに資材、あるいはそういった表現で入ってしまう。それでないと、この第一条を読んだときに、材料というものは全然入っていないというようなことを常識ですぐ考えられる。これを無理に二条の第二号によって、器械器具というものの中には材料及び衛生用品が入っていると言わなければならぬ矛盾が、ここにあるわけです。従って、こういった点については、もう一ぺんお考えを願った方がいいんではないか、かように考えます。きょうは時間がございませんので、次回に一つまた御検討の上でお聞きをすることにいたします。  続いて、十五条の二項、この十五条の二項によりますると、「生物学的製剤その他……医薬品製造業者は……製造所ごとに」管理者を置くと。その管理者といたしましては、「厚生大臣の承認を受けて、医師、細菌学的知識を有する者その他の技術者」となっておりますが、この「細菌学的知識を有する者」の中には歯科医師が入っておると解していいかどうか、この点につきまして御意見を伺いたいと思います。
  78. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 十五条の二項は、従来の流れから申しますと、主としてワクチンについての特別の規定でございますし、実際問題として、これによって認めておりますその管理者の実情は、医師もあり、それから獣医師もあり、それから農芸化学、さらに別個の学問をおさめた者もあります。当然、細菌医学についての十分な知識を持っておる限りにおいては、歯科医師も含むと考えております。
  79. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 了解いたしました。  続いて、四十二条、三条に関しまして、検定、これの重要な基礎をなします医薬品等の基準の問題でありまするが、従来、この基準をきめます場合に、一つの例として私は記憶したことを申し上げますと、あるものをきめる場合に、現在製造されておりまする市販品、それらを基準にして基準をきめたというような例があります。というのは、高い基準をきめますと、ほとんど現行の市販品、製造されておるものが、その規格に合致しないというようなことで、基準を少し下げて規格をきめたというようなことがあったわけであります。これは非常に私はまずいと存じておるのでありまして、少なくとも基準というものは非常に高くこれをきめる、しかしながら、過渡的な一つの処置といたしましては、その規格の許容限界をまあ大きく設けるといたしまして、これを補正するというようなことでありませんと、この医薬品等の内容の改善進歩等が見られない、かように思うのであります。これは私どもは少し考え過ぎた意見かとも存じますが、そういった点について、この機会に局長としての御意見をお聞きしたいと思います。
  80. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 四十二条の基準につきましては、保健衛生上必要な限りにおいての基準でございますので、これを下ればまあいわば衛生上困るというのが一つの目安になるわけでございます。それより以上のいわゆる理想的の意味での基準というのは、これはまた別個の立場での考え方になるわけでございますが、ただ、お話のように、そういう趣旨におきましても、いわゆる安全度の限界というものの見方が、ある場合においては幅のある場合もあり得ると思うのでございますが、これについては薬事審議会のいわゆる学者等の意見を十分しんしゃくをして、この辺ということで、大体その答申を基礎にしてきめるということにいたしておりますのでございますが、今お話し承りますと、過去において行き過ぎた例があるような話でございますが、これらの点については、私よく調べて検討してみたいと思うわけでございます。
  81. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 そういたしますと、ただいまの局長の御答弁は、基準については、現在の市販品とか、現在製造されておるものをワク内に考慮に置いた基準というものは考えられない、しかしながら、その基準については、別に高度の、非常に高いものを直ちに置くということはちょっと考えものだ、かような御意見に解してよろしゅうございますか。——そこで、私、希望として申し上げておきたいことは、やはり基準は高くきめることが必要である。そうでありませんと、まあ製造業者におかれましても、それらの製品の改善等に関する意欲がなくなってくる。しかし、また高い基準を一律にきめた場合には、過渡的にあるむずかしいような資材もあると思います。こういうものに対しては、先ほど申し上げたような許容限界を設けて、ある程度のものはこれを許容する、かような方法に持っていかなければならないものだと思う。  続いて、六十六条の、これは誇大広告に関することなんです。第一項に、「虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。」、この場合に、この「誇大な記事」というふうなことになりますると、この限界が非常にむずかしいのじゃないか。大体、医薬品あるいは資材等におきましては、臨床治験例等の文献等をよく添付して、その資材、薬品の宣伝なり紹介を行なうということが行なわれております。従って、かりにわずかの治験例、かりに一、二例の治験例、こういう場合に、非常にそのものが治療効果が高いりっぱなものだということを強く書いてある。これがはたして誇大な広告になるかどうかという点について、ちょっと伺っておきたいと思います。
  82. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) たとえば抗生物質等で全然新規の薬を許す許さぬという場合におきましては、薬事審議会において検討するわけでございますけれども、その場合には、二カ所以上六十例を一つの基礎として許否を決すると、そういうふうにいたしております。  それから、まあその誇大広告の点は、お話のように、どれが誇大でありどれが誇大でないかという限界は、これはまあ非常にむずかしい問題になりまして、私ども監督の立場としては苦心をいたしておるのでございますが、たとえば、まあ最大級の形容詞を使っておるのをごらんになると思いますが、世界的大発見の薬でありますとか、百パーセントの治療率を誇るでありますとか、そういったものは、これはもう明らかに誇大広告、いわゆる誇大な記事に該当するものとして取り締まっておるわけでございます。個々につきましては、まあ非常にむずかしい問題もありますので、十分検討いたしまして間違いのないようにしていきたいと思っております。
  83. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 大体御説明よく了解しますが、まあ具体的にもっと申し上げますと、かりに六十例以上の治験例によって百パーセントの治療効果があったというふうな場合には、これは誇大広告にはならぬ、かようになるわけでございますね。的確にその六十例の治験例が百パーセントの効果を上げたとかりに仮定いたしますれば、六十例に近いものがあったとすれば、別に誇大広告にはならない。これは、一、二例の症例でそういったものを書くことはいけない。これは私なぜこれを申し上げるかといいますと、同種目の製品、資材というような場合には、どうしても競争が起こり得る、こういうことです。そこで、異なった方面で、考え方を変えて、あるいは施設を異にして、各方面で治験例報告が行なわれておるということがあり得ると思います。従って、そういったものの判定というものは非常にむずかしいと思うのです。従って、一方的にこういうようなことを判定するというと、判断するというと、非常に問題が起こってくる。従って取り扱いにつきましては、製造業者も、それから使用いたしまする側におきましても、納得のできるような方策をはっきりとできるだけきめておいておかなければならないのじゃないか、かように考えますが、これについて。
  84. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今の御設例の場合がいわゆる誇大な記事に該当するかどうかということについては、これは具体的な問題について検討しなければわからないと思いますけれども、抽象的に申し上げまして、いわば百パーセント治療効果を発揮したということは、これは普通の場合においてはなかなかそう断言はできない問題だと思いますし、それから次に、その第二項でごらんになりますように「医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事」、これはいけないということにも触れるかと思いますので、その辺は一概に誇大になる、あるいは誇大にならないということには言えないと思いますが、気持としては、一部一項と二項を含めて検討すべき問題だと思います。  それから、これに該当いたしまして、行政上の処分をする、たとえば業務停止、業務の取り消しをやるという場合には、これは当然本人から弁解その他の意見を聞いた上で処置するということで、本人に十分の弁解なり、あるいは反対証拠の提出を与える機会を保証しているのが、七十六条でございます。
  85. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 了解いたしました、その処置で。
  86. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 薬事法の第五条ですか、第五条に「開設の許可」、「前項の許可は、二年ごとにその更新を受けなければ」云々ということが書いてあります。薬局が同じく医療機関であるという建前からいたしまして考えますというと、医療法によっては病院診療所等は一たん許可がおりましたならば期限がないわけです。これに対して二年の期限をおつけになられた理由ですね、旧法によって、現行法によって期間がついておるからつけたんだというだけのことなのですか、こうしなければならないという理由一つお聞きしたい。
  87. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬局については、その他製造業等についても同じでございますが、構造設備その他につきまして一定基準を設けておるわけでございます。開設の場合においては、六条の一号もそうでございますが、基準を設けて、それを守るということを前提といたしておるわけでございますが、その場合、構造設備の変更等について、これを許可にかからしめるというのも一つ方法でございますけれども、従来この薬事法の立て方が、そういう場合には一々許可にかからしめないで、いわゆる許可登録の更新という形でチェックをしている仕組みになっておりますので、その方針を踏襲して、ただ一年ごとというのはあまりに近過ぎるので、二年ごとというふうに期間を延長して、こういう制度にしたわけであります。その間における構造設備、あるいはその他の事項についてのチェックをする、そういうことでございます。
  88. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 最初許可するときに、六条によっての許可条件が具備しておれは許可するわけでありますけれども、それが改悪されるということは、老朽化する以外にないわけです。同じく医療法によって病院診療所許可条件もやはり基準がございますし、それの許可がおりればそのままいくのに、特に薬局だけがそういう厳重なことをする必要性は私は感じないわけです。同じ医療機関としての扱い方、考え方からいたしましたならば、新しく許可を申し出る——増改築は別にいたしまして、そうでない場合は、一たん許可条件がそろって許可しているのですから、それを一年なり二年という期限をきめて、それをチェックしてまたやるのだということは非常に繁雑だろうと思うし、その必要性を感じないわけです。  それから、もう一つこれに関連して私の考えますることは、多数の全国の薬局開設者が非常にこれは不便だと思うのでありますが、健康保険法では、医療機関の指定の期間が来ましても、その期間が来る六カ月前から三カ月以内の間においてやめるとか何とかという意思表示さえなければ、自然発効で許可になったものとみなすということがうたってあるわけですが、そういうような便法はここで考えられないものだろうかということをお伺いするわけです。
  89. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 構造設備等については、これを維持しなければならないという意味の維持要件というものが、これを書けば非常にめんどうなことになりますし、従来の薬事法の立て方として、そういうことを避けて、許可登録の更新という形をとっておりますので、形としてはその形を踏襲をして、特に構造設備その他について、やはり薬局あるいは医薬品製造業というものについて厳格に処理をしていく必要がありますので、こういう更新制度をとった次第でございますが、ただ、これの手続につきましては、今お話しの趣旨にも沿いまして、これの簡素化等については従来以上に一つ今後努めて参りたい、かように考えております。
  90. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 医薬品製造の問題でなしに、私は薬局のことを言っているのでありまして、薬局の開設許可がおりた場合には、いろいろな製造業者のように、そういう新しくいろいろ設備をするとか、年々変えるということはないのですから、その期間については相当私は考慮しなければならぬ、かように思うわけなんです。  次に、お聞きしたいことは、六十七条の先ほど出ました広告の問題なのですが、ここに広告の条項の中で、いわゆる特殊疾病が政令によって定められる、その場合には閣議にかける前に審議会にかけてやるというような非常に大事を踏んでおられるわけなんですが、その特殊疾病というものの解釈、あるいははっきりと今どれどれの疾病が特殊疾病だ、ガンとか白血病以外にほかにも考えておられるのでしょうか。特殊疾病の病名、今お考えになっている病名をこの際はっきりお聞きしたい。将来これに対する拡大解釈等がされる場合もあるでしょうしいたしますので、あらかじめ承知いたしておきたいと思います。
  91. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 現在考えておりますのは、ガン、白血病、肉腫、それだけでございます。
  92. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 それから、もう一つは、薬剤師法の第一条の中に、冒頭に、「薬剤師は、調剤、医療品の供給その他薬事衛生をつかさどる」、薬事衛生という非常に広範なうたい方をしておるわけです。医師、歯科医師法の中には、そうじゃなくて、「保健指導を掌る」、保健の業務の中の保健指導と限定しておるわけなんですが、これを「薬事衛生」「指導」とうたわなかった根拠と申しまするか、理由を承りたいと思います。
  93. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これはまあ御承知のように、薬事衛生というのは、昔の薬剤師法時代から使っている言葉でございまして、調剤であるとか、医薬品供給であるとか、それらのものも含め、さらにそのほかに、まあ考えれば薬学の知識に基づいて行なう検査、そういったものも入るわけでございますが、医師の場合の医師の保健指導というのは、結局医師が患者に対して保健指導をする。保健指導は、これは保健婦等も行なうわけでございますが、患者に対して保健指導を行なう、そういう趣旨でございますが、この場合は、薬事衛生というのは、これは指導というよりも、みずから自分の薬学の知識に基づいて行なうという意味で、この薬事衛生という言葉にいたておるわけでございます。
  94. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  95. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。
  96. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 政務次官に、この際御意見を承っておきたいと思いますことは、この薬事法によりまする罰則でありまするが、この罰則を見ますると、許可に違反した場合、無許可製造を行なった場合、あるいは製造品目の申請を行なわずしてこれを行なった場合というような場合におきまして、「三年以下の懲役若しくは二十万円以下の罰金に処し、」、これは、非常に私はこの条件につきましてはけっこうだと思います。翻って、歯科医師法等の場合を見ますると、たとえば非医者のいわゆる違反行為等が行なわれました場合には、その量刑というものは非常に低いのです。わずかに罰金が一万円以下というような、まことに現状に即しない量刑が行なわれております。従いまして、数回にわたって違反行為を行なう、この場合に体刑の併科もございませんので、いわゆるむしろそれを覚悟で違反行為を行なっておる。それで、今日非常に各地にそういった状況が頻発しております。従って、また取り締まり官庁におきましても、せっかくこれを検挙いたしましても、わずかに一万円以下の罰金であって、そこに何ら本人に対する将来の改悛の情も求められませんし、是正の道が非常に弱い。従って、何とか、この際にこの矛盾した状況をお考えをいただきまして、この薬事法におきまするような、場合によりましては、累犯のような場合は体刑と罰金刑を併科し得るということにいたしておきませんと、幾ら保健所等で指導いたしましても、この非違者の違反行為というものは防止できないと思います。この機会に、どうかその点お含みの上で、将来の対策をお考えいただきたいと思います。かように考えております。
  97. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) ちょっと、次官がお答えになります前に申し上げておきたいと思いますが、歯科医師法の、おっしゃるのは十七条の「歯科医師でなければ、歯科医業をなしてはならない。」ということについての罰則だと思いますが、それは二十九条に規定がございまして、「二年以下の懲役又は二万円以下の罰金に処する。」、こういうことです。
  98. 内藤隆

    政府委員内藤隆君) 法の盲点をくぐってそういうような悪徳な行為をやる者に対しましては、私どもとしても、特に厳罰をもって臨むという、そういう方針に進むということが当然だと思います。御要望のような意に沿いたいと私は思っております。
  99. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 了解しました。
  100. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 ただいま、薬剤師法の第一条の御答弁でしたが、なるほど薬剤師さんが薬事衛生をみずからやることによって公衆衛生の向上に資すると、こういう御答弁で、その通りでけっこうなんですが、ただ、この表現の上からいいまして、薬事衛生そのものは厚生省がおやりになることであって、やはり薬剤師諸君が薬事衛生の知識を持ち、同時に、必要によってはこれをかねてなさるわけですが、民衆に対しての指導の義務を持っていただくということが、医療担当者として、並べて法律を比べた場合に、まことにふさわしくなるわけです。そこに多少危惧を感じたので御質問申し上げたのであって、決してこの表現が間違っておるという意味ではないわけでございます。  そこで、次にお伺いしたいのは、第十条ですね、休止、廃止についてうたっておりますが、薬局の休止、廃止を、先ほども質問がありましたが、十日以内に異動があった場合には届ける。これは医師法、歯科医師法診療所においても同様でありますが、しかし、医師、歯科医師の場合は、その後に健康保険法が変わってきておる。健康保険法によりますと、一カ月前に猶予期間を持たなければならないことになっております、一カ月前に閉鎖するとか、廃止するとか。これはやはり民衆が困らないように、急に閉鎖されて困らないように、あらかじめ猶予期間を義務づけられておるのですが、今度新しい薬事法が出た場合には、従来の医師法、歯科医師法がそうだからということでなくて、新しく改正された健康保険法に合致したような考え方なり、あるいは運営の面でも、せめて省令その他でおうたいにならなければいけないのではないかと思います。あらかじめ三十日以内に事前に届け出ることによって、民衆に迷惑をかけないという考え方が私は妥当だと考えるのでありますが、ここではただ「十日以内」ということになっておりますが、そういう点について行政上の支障は来たさないわけですか、お伺いいたします。
  101. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) この薬事法によりましては、保健衛生等の観点からの取り締まりをするという趣旨で、この規定が貫かれておるわけでございまして、今お話しのように、保険医療機関が急にばたっとやめてしまうと、保険関係その他の関係で非常に困る。これは個別の事情もこれはあり得るわけでございまして、これらの点につきましては、薬局につきましても同じような場合もあろうかと思いますし、これは別個の問題として一つ十分に、お話のように急に今まで調剤を相当やっておった所が急にやめて民衆に非常に不便をかける。保険上も非常に取り扱いに困るというようなことがないように、その方の立場で十分研究したいと思います。
  102. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 最後に一点、先ほど鹿島君が質問に出しました歯科用資材の問題ですが、従来からもそういう関係があり、あるいはそれをはずせばどこへ持っていくかという問題もあるのですが、歯科の資材の金、銀、合金というようなものが医薬品としてはたしてふさわしいかどうか。あるいは陶歯の問題などもありますが、少しこれは根本的な問題ですが、この際は従来の関係法規の関連からやむを得ないと思いますが、少し根本的に検討を加えていただきたい。どう考えても、不自然な気がするのです。金、あるいは歯科で使います水銀等は、場合によっては化学薬品に違いありませんけれども、合金、銀、ニッケルというようなものも薬務局で監督しておれるわけですね。現に水銀等も薬務局が所管しておられたわけですが、こういうような点について、歯科材料となっておると、やはりそういうものも含むというのがわれわれの通念になっておる。十分そういう点についての御研究を願いたいということを申し上げて質問を終わります。
  103. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今お話しになりました金等は、医薬品というよりも、こっちの方の歯科材料の中に入っておるわけでございます。お話趣旨は、金が薬に入っておるか入っておらぬかという問題でなしに、そういう歯科材料のようなものが一本の法律で規定されているのがはたして適当であるかどうか、そういう御趣旨の御提言だと思いますが、その点については、これは将来の問題としてはやはり相当検討すべきものでもございますし、さらに、先ほど来申し上げておりますように、医療用具等のうちにはいろいろな種類のものが入っておるわけでございますし、それらについて、やはり個別に相当突っ込んだ行政上の指導なり監督なりというものとにらみ合わして、将来の形としては十分検討すべき事柄だと考えております。
  104. 高野一夫

    高野一夫君 ちょっと、私は要求をしておきたいのでございますが、まず第四条の地方薬事審議会、これが、この審議会に諮問される事項は政令で定めるとある。これを具体的に文章に書いて、資料として提出を願いたい。  それから、研究おきを次回まで頼みたいことは、「地方薬事審議会を置くことができる。」、これを「置くものとする。」と修正をした場合に、厚生省はお困りになるかどうか。それが望ましいと考えられるかどうか、その辺の研究。それから、先ほど来藤田委員が盛んに質疑をされておった特例販売業、この特例販売業に許す品目は都道府県知事が指定をすることになっておる。これではたしていいのかどうか。厚生大臣が指定して、その範囲において都道府県知事が許す、これならばわかるけれども、いわゆる劈頭から都道府県知事の指定ということになっていて、これでよろしいかどうかという問題。同時に、この医薬部外品を置いたゆえんのものは、現在の三号業者、すなわちここでいう特例販売業のごときものに医薬部外品を売らせる、こういうような趣旨でわれわれは考えておったのであるけれども、そうでなくして、医薬部外品は販売が自由になって、そうして特例販売業について別個の指定医薬品を売らせる、こういうことになっているということが少しおかしくはないかという点。さらにまた、品目を非常に少なく限定して指定をして、特例販売業に売らせる。それは薬局やら他の薬種商なんかのない地域に許すのだ。それならば、そこに矛盾が非常にありはしないか、こういうこと。それと、薬種商販売業許可については、薬事審議会の答申とだいぶ違っている。薬事審議会では、限定品目の販売業許可は、地域、業態、品目から見て特に必要があると認めた場合に与えることができる。——今のは間違いました。指定医薬品以外の品目の販売業、これですね。これは答申では、試験に合格した日から一定期間を経過していない者に対して与えるとなっているが、それが今度の改正案には違った表現になっている。同時にまた、薬剤師側に、審議会の話における調整の結論を聞きますと、二号を新たに、薬種商を新たに許す場合には、地域をよく吟味して、現在薬局あるいは薬種商がないような地域に新たに許可をする、こういうような話し合いができておったはずだと聞いておりますが、その辺のことも十分調査されたい。  なお、そのほかの問題はきのうあげておきましたから、随時次回から質問をいたしまするが、今の問題は次回劈頭に一つ解明をいただきたいと、こう思いますから、要求をいたしておきます。
  105. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめて。    〔速記中止
  106. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて。  両案に対する本日の質疑はこの程度にしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないと認めます。  本日はこれで散会いたします。    午後一時四十七分散会