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高野一夫君 この問題はまた
最初の機会に申し上げたことがあるかもしれません。きょうはほかの問題に一応移りたいと思います。
きのう私が質問申し上げた、なぜ
小売と卸を
一緒くたに
販売業として
許可制度にしなければならぬか、これについて研究されたとの今の
薬務局長の
説明があったのでございますけれども、まだ私は
十分納得ができないのであります。これはもちろん
経済立法ではない。しかしながら、
薬務行政を
薬事法にのっとってやる以上は、この
薬事法の
規制を受けるべき
立場にあるものが適正なる
進歩向上の道をたどっていき、健全なこの
薬事法が行なわれるようにしむけるのが私は当然だと思う。そうすると、
薬事法の
対象になっているものは何かというと、
製造あるいは
輸入業者、あるいは卸、
小売を含めた
販売業、そのほかまあ
薬局、
薬剤師、こういうもの、そういたしまするならば、
製造業あるいは
輸入業者の健全適正な
進歩、それによる
診療なり
医薬品ができるだけ低廉な
価格で
供給せられるように、これもやはりこの
法律にのっとって、そういう
経済的の
立場を考慮して、ここに
経済のケの字も入れなくてもいいけれども、当然これは結果として
行政措置で
指導をされなければならぬ、そうすると
販売業についても同様でありまして、卸の
販売をやっている者も、
小売の
販売をやっている者も、それぞれの
立場において、ここにいろいろな
不祥事件が起こったり、けがが起こったり、いろいろしてはいかぬのでありまして、そういう業態それぞれのものがやはり健全な発展をして、安定した
経営が成り立つようにしむけるのでなければ、
薬事法を設ける私は
意味をなさぬと思う。これは
経済立法でないけれども、
経済的に立ち行かなくなって、それで
薬局がつぶれる、
メーカーがつぶれる、
輸入ができない、
販売ができない、こういうことになれば
薬事法は何にもなりません。従って、この
薬事法が適正に生かされるためには、どうしてもこのそれぞれの
立場における
業務の人が
経済的安定がはかられるようなふうにして、安心してその
業務に従事することができるようにしなければならぬ、これは私は根本の考え方だと思う。そうするならば、今度は
メーカーと
輸入業者は別といたしまして、これはおのずから
性格が違うが、この卸
販売と
小売販売をやっているものが、その業態において適正な
一つ発展、
立場を
確保できるように、
小売販売やっている者もその
立場において適正な発展、安定がはかられるようにしなければならぬ。あえて
小売商業調整特別措置法を待つまでもない。そうするならば、卸と
小売の
兼業をそのままここに認めた形になると、これを区別することはでない、こういうことが、はたしていいそういう
行政ができるかどうか、こういうことになる。そうすると、もしもこれを区別することによって、卸
販売やる者は卸
販売業者として安定したる、正確な、適正な仕事ができ、分離することによって
小売販売業者はまた安定した
立場で、健全な適正な
小売販売業ができる、こういうことにもしもなるとするならば、卸と
小売と
二つをはっきりと区分することが私は適当だと思う。従って、これはまあ衛生
関係の法規だけれども、特に取り締まり
規制をするようなところに重点がある
法律ではあるけれども、その基本の考え方は、
関係業者が健全な仕事、適正な仕事、そのためには健全、安定した生活ができるようにしなければならぬ。これは
病院、
診療所の場合も同様であります。
医療法に従って、
医師法に従って医師が仕事をする、それはやはり、人の、ものの
経済的問題は
医療法には書いてないけれども、
病院、
診療所が適正に
経営が成り立つのでなければ
医療法の仕事はできないのであります。こういうようなことを考えるならば、ここで卸業者も分離してもらった方がいいと思います。
小売業者も分離すべきであるというように……。それをそのまま放任しておいて、分離のここに条文を置かないということは私は適当でないと思います。そこで今
局長は、もしも分離するならば、この定義がどうとか、
配給統制みたいになるという
お話だけれども、それはおかしいのでありまして、それならば、今日
法律で卸売業というのが至るところに出てきております。それじゃあ卸売業という定義がどこにあるか、商法を調べても何を調べてもありません。そりゃあ卸売業という定義が、どの
法律にも、どこにもないけれども、卸売業という
経済的実態をつかまえて、地方税法にも、あるいは
小売商業調整特別措置法にもあるのであります。ちゃんと
法律上の文字として表われておる、それならば、ここにもしも定義を下すことがむずかしいというならば、この
薬事法に、卸売業というのはここに端的に持ち出してもごうも差しつかえない、ほかの
法律は使っている、使っていてその卸売業というのはどういうものだという定義は、どんな
法律を探してもないように思います。法制局に頼んで調べてもらったがない。しかし、卸売業というのは、はっきりいろいろな
法律にその言葉が使われておる実態をつかまえて
——私はそれでいいんだと思います。実態をつかまえた言葉を使って、それで卸売、
小売といえばそれではっきりわかる。一々定義を出すことはない、こういうことでありますから、開設といったら、開設というのはどういうことかと言われても、開設という言葉だけですぐわかる、だから定義を下すことが、かりに
医薬品の場合にむずかしいとするならば、ほかの
法律と同様に、卸売業というものを直ちに引用して差しつかえはごうもない、また、定義を下すことが私は必ずしも不可能だとは思いません。むしろそこで、それじゃ、
病院、
診療所等に売るのは卸か
小売か、こういうことになる、これも
一つの問題だ、こうおっしゃるけれども、それは
病院、
診療所は、大量に買おうと小量に買おうと問わず、消費者に売るのは
小売販売業にきまっている、
経済常識上これは当然
小売販売、ただし現在は、そうすると、卸売が、
病院、
診療所に売ることができない、こういうことになれば困るというならば、その
病院、
診療所に売ることだけは卸に認める、こういう除外例を置いても差しつかえない。従って、そういう抜け道は幾らでも出せる、この点についてはもう少し次回までに十分研究をされまして、
憲法論議はともかくとして、この卸売と
小売を分離することの是非について、そしてまた分離するとするならば、どういうような文句で分離ができるか、こういうことを、
一つもう少し法制的に研究をしておいてもらいたい。私の
見解は、ただいまもきのうも同じようなことを繰り返しましたが、はっきりと申し上げておいて……、分離することは適当である、そして分離は絶対にこの
薬事法の
改正で可能である、こういう
見解を持っているので、先ほどの
局長の
説明では、まだ私は自分の
意見を翻すところまで了解ができないということだけを申し上げておきたいと思います。