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1960-04-14 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十四日(木曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            高野 一夫君            吉武 恵市君            坂本  昭君            藤田藤太郎君    委員            大谷藤之助君            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            紅露 みつ君            谷口弥三郎君            徳永 正利君            山本  杉君            小柳  勇君            藤原 道子君            村尾 重雄君            竹中 恒夫君   政府委員    厚生政務次官  内藤  隆君    厚生大臣官房長 森本  潔君    厚生省医務局長 川上 六馬君    厚生省児童局長 大山  正君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生省公衆衛生    局防疫課長   高部 益男君    厚生省社会局施    設課長     瀬戸新太郎君    厚生省保険局次    長       山本淺太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○船員保険法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○母子福祉資金貸付等に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提  出) ○社会保障制度に関する調査養老施  設管理運営に関する件)   —————————————
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではただいまから委員会を開きます。  まず、船員保険法の一部を改正する法律案母子福祉資金貸付等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。提案理由説明内藤厚生政務次官からお願いしたい、かように思います。
  3. 内藤隆

    政府委員内藤隆君) ただいま議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案につきましてその提案理由を御説明いたします。  船員職務上の傷病に対する災害補償につきましては、船員法及び船員保険法に基づいてこれを実施いたしておりますが、船員保険法規定いたしますところの療養給付期間である三年を経過してもまだなおらない者に対しましては、その実情等にかんがみ、期間経過後もなお引き続き、なおるまで療養保障を行なうことが必要と考えられますので、今回、本法案提案いたした次第であります。  次に、本法案の要点について御説明申し上げます。第一に、ただいま申し上げました職務上の事由による傷病につきまして、療養給付期間三年を経過してもなおらない者に対しましては、その傷病がなおるまで、引き続き療養給付及び傷病手当金支給を行なうことといたしました。なお、これらの者に対しましては、従来、三年間のうちになおらなかった場合でありましても、その時点において直ちに廃疾認定を行なうこととしていた方法を改め、その傷病がなおったときに廃疾認定を行なうことといたしたのであります。  第二に、国庫負担規定といたしまして、政令で定めるところにより、職務上の事由による傷病のうち政令で定めるものにつき三年を経過してもなおらない者に対する療養給付及び傷病手当金支給に要する費用並びに職務上の事由による障害年金支給に要する費用のうち、船員法規定による災害補償に相当する部分をこえる部分につきまして、その一部を国庫が負担することといたしました。  第三に、経過措置といたしまして、陸上労働者対象といたしますけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法適用になりました昭和三十年七月二十九日以後に、職務上の事由に基づく外傷性せき髄障害に関して障害年金支給を受け、この法律施行の際その外傷性せき髄障害がまだなおっていない船員につきましては、この法律施行後三カ月以内に届出をいたさせまして、この届出を行なった者につきましては、なおるまで障害年金支給を停止し、そのかわりに療養給付及び傷病手当金支給を行なうことといたしました。  なお、国庫負担に関する事項につきましては、将来社会保障に関する制度全般調整がなされる機会において検討を加えなければならない面もありますので、この点に関しましては、そのような機会に検討して必要な措置を講ずることとしたのであります。  以上が本法案提案いたしました理由及びその概要でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。   —————————————  次に、ただいま議題となりました母子福祉資金貸付等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。現行母子福祉資金貸付制度は、都道府県母子世帯の母や子に対し、生業資金修学資金等八種類の資金を貸し付け、その経済的自立の助成をはかることを目的としているものでありますが、昭和二十八年四月この法律施行以来昭和三十三年度末までに、都道府県母子世帯に貸し付けました実績は、件数にして約三十二万件、金額にして約六十四億円に達しており、わが国における母子福祉対策に多大の寄与をいたしているのであります。今回の改正の第一点は、母子世帯福祉をはかることを主たる目的とする社会福祉法人または民法第三十四条の規定により設立された法人が、母子世帯の母を使用して行なう事業について、事業開始資金及び事業継続資金を貸し付けることができるようにするとともに、その貸付金額限度をそれぞれ百万円及び三十万円とし、その利率を年五分とすることであります。  すなわち、母子世帯の母の中には、みずから事業を経営する才能や手腕に恵まれないために現行貸付金制度を十分活用できない者が少なくなく、また他方、母子世帯の母にとっては、就職の機会がきわめて少ないので、これらの母子世帯経済的自立をはかるために、母子世帯福祉をはかることを主たる目的とする法人に対し、母子世帯の母の使用することを条件貸付金貸付を行ない、適当な収益事業を行なわせようとするものであります。改正の第二点は、住宅補修資金について六カ月間の据置期間を設けることであります。現在、住宅補修資金については、据置期間が設けられていないのでありますが、実際問題として、直ちに償還することは、非常に困難なことでありますので、母子世帯償還を円滑に行なうことができるように据置期間を設けようとするものであります。改正の第三点は、災害により被害を受けた母子世帯に対する事業開始資金事業継続資金または住宅補修資金について、その据置期間貸付の日から二年間まで延長することができるようにすることであります。この種の措置は、従来大災害ごと特別立法により行なわれてきたものでありますが、これを一般的な制度として、災害による被害を受けた母子世帯福祉をはかろうとするものであります。  以上が改正案の大要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  5. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。  次に、両案について政府委員から細部説明を聴取したいと思います。  まず、船員保険法の一部を改正する法律案細部説明山本保険局次長にお願いいたします。
  6. 山本淺太郎

    説明員山本淺太郎君) お手元船員保険法の一部を改正する法律案逐条説明というものをお配りしてございますが、これをごく簡単に補足説明といたしまして、条を追って説明をさしていただきたいと存じます。  まず、第三十一条の改正でございますが今回の法律改正によりまして、職務上の事由による傷病につきましては、三年の療養給付期間経過した後も、その傷病がなおるまで療養給付及び傷病手当金支給を行なうことといたしますために、従来職務上及び職務外を通じまして、療養給付及び傷病手当金支給打ち切り規定しておりましたものを改めまして、職務外傷病の場合のみの打ち切り規定を置いたものでございます。  次に、第四十条の改正をいたしましたのは、職務上の傷病につきまして、なおるまで療養給付を行ないます関係上、障害年金及び障害手当金支給に関する廃疾認定につきまして、従来は三年以内になおった場合はそのとき、三年の間になおらなかった場合は三年を経過したときに行なっておりましたのを改めることといたしまして、その傷病がなおったときに廃疾認定を行なう、こういうふうにしたいわけでございます。  次に、第四十二条ノ三の改正でございますが、これは従来遺族一時金の支給要件といたしまして、職務傷病による死亡でありましても、三年以内に死亡いたした場合にのみこれを支給しておりましたのを改めまして、その死亡時期のいかんを問わないことといたすようにしたい規定でございます。  第五十条は、ただいま申し上げました第四十二条ノ三の改正と全く同趣旨でございまして職務死亡による遺族年金につきましても、死亡期間制限を撤廃いたしたいという趣旨規定でございます。  次に第五十条ノ二の規定も右と全く同じ趣旨でございまして、今回三年以後の死亡でありましても、遺族年金支給されることとなったことに伴いまして、この場合の年金額最終標準報酬月額の二カ月半分といたしたのでございます。  第五十条ノ六の規定も以上と全く同趣旨改正でございまして、遺族年金の差額一時金につきまして期間制限を撤廃いたしたい、こういう趣旨で設けたものでございます。  次に、第五十八条の改正でございますが、これは長期傷病特殊性並び使用者負担増加等を考慮いたしまして国庫負担規定を改めたものでありまして、今回新たに、政令で定めるところにより、職務傷病のうち政令で定めるものにつきましては、三年経過後の療養給付療養費及び傷病手当金支給に要します費用及び職務上の障害年金のうち第一級から第三級までのものの支給に要する費用でありまして船員法の第九十二条の障害手当に相当するものをこえるものにつきまして必要といたしまする費用の一部を国庫が負担することといたしたわけでございます。  附則に参りまして、第一項は、この改正法律案施行期日を定めたものでございます。  次に、附則の第二項から第五項までは、本改正法施行に伴いまする経過規定でございますが、特にその第三項におきまして、陸上労働者対象といたしまする旧けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法適用となりました昭和三十年七月二十九日以後に、外傷性せき髄障害に関して障害年金または手当金を受けることができるようになった船員のうち、その外傷性せき髄障害がこの法律施行の際にまだなおっていない者につきましては、この法律施行後三カ月以内に届出をさせまして、その届出をした者に対しましては、その外傷性せき髄障害がなおるまでの間、療養給付及び傷病手当金支給を行なうことといたしたものでございます。  最後に、附則の第六項といたしまして、この改正法律案規定する国庫負担に関しましては、社会保障制度全般調整の際に再検討いたす必要があると考えられますので、その際に必要な措置を講ずるものとすることとしたものでございます。  以上まことに簡単でございますが、補足説明といたします。
  7. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは次に、母子福祉資金貸付等に関する法律の一部を改正する法律案について、大山児童局長から細部説明を聴取いたします。
  8. 大山正

    政府委員大山正君) 母子福祉資金貸付等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足いたしまして、内容の概要を御説明申し上げます。  お手元に差し上げております参考資料の六ページに法律案要綱がございますので、その要綱について御説明申し上げることといたします。  改正の第一点は、母子福祉貸付金について新たに団体貸付制度を設けようとするものでございます。この貸付対象となる団体、これを法律におきまして母子福祉団体と呼ぶことにいたしておりますが、この母子福祉団体社会福祉法人または民法公益法人、すなわち社団法人または財団法人であることが一つ要件でございます。それから次に、その団体の主たる目的母子家庭福祉をはかることにあるということを第二の要件といたしております。それから、法律の方におきまして第三の要件としまして、その団体の「理事の過半数が配偶者のない女子」すなわち未亡人またはこれに準ずる女子であるということに限定いたしております。この三つの条件を満たす団体に貸し付けるということになるのでございまして、実際問題といたしましては、社会福祉法人といたしましては、母子寮を設置する団体の一部がこれに該当します。また、民法公益法人といたしましては、都道府県未亡人会などの未亡人団体の大部分がこれに該当するものと考えております。(小柳勇君「そんなものは書いてないよ、ここには」と述ぶ)要綱を敷衍して御説明申し上げております。(坂本昭君「そういうものを印刷して配って下さい。僕らは君たちほど頭がよくないからね。もうちょっと親切にやってくれぬと、審議もしてやらぬぞ」と述ぶ)なお、詳細につきましては、それでは後ほど印刷いたしまして、お配りすることにいたします。  それでは、要綱につきましてさらに御説明申し上げますが、団体貸付の場合の貸付条件といたしましては、専業開始資金につきましては、要綱にございますように、百万円を限度といたしております。事業継続資金につきましては三十万円を限度といたしまして、その利率は年五分ということにいたしております。この団体貸付対象となる事業として考えられますものは、実際には食堂でありますとかあるいは売店でありますとかあるいは美容所理容所クリーニング店というようなものが適当な事業であるというようなものが適当な事業であるというように考えられます。  改正の第二点は、住宅補修資金につきまして六カ月間の据置期間を設けるということにいたしたのでございまして、この住宅補修資金については従来据置期間を設けておらなかったのでございますが、昭和三十一年の第二十四回国会における当参議院社労委員会附帯決議にございますので、その趣旨を尊重いたしまして、この際措置期間を設けるということにいたしたのでございます。  改正の第三点は、災害による被害を受けた者に対する貸付金につきまして据置期間延長を認めようとするものでございます。これは従来大災害のありましたときに特別立法をいたしまして、このような据置期間延長を認めて参ったのでございますが、今回この規定一般的な制度といたしまして、被災者にとりまして特に必要な資金であります事業開始資金事業継続資金住宅補修資金につきまして据置期間を二年間まで延長できるようにするということにいたしたのでございます。  第四点といたしまして、母子相談員費用に関する国庫負担規定がございますが、この規定が、現在、補助金等臨時特例等に関する法律によって適用が停止せられておりますので、この際これを整理すること、その他償還金支払い猶予事由を広げる等の改正を行なうことをあわせてこの機会に行ないたい、かように存する次第でございます。  以上簡単でございますが、補足説明といたします。
  9. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいま提案理由説明並びに補足説明を、細部説明を聞きました。両案に対する質疑は次回以後にしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたしました。  速記をとめて。    〔速記中止
  11. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。   —————————————
  12. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 次に、社会保障制度に関する調査の一環として、一般厚生行政に関する件を議題といたします。  藤田委員から、養老施設等における大量死亡事件等についての質疑の希望もございますので、この点を含めまして、御質疑のおありの方は逐次御発言を願います。なお、政府からは、内藤厚生政務次官のほかに、社会局長並びに公衆衛生局長はやむを得ざる用件のため欠けておりまして、社会局瀬戸施設課長公衆衛生局高部防疫課長出席をいたしております。それでは質疑のおありの方は御発言を願います。
  13. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、京都養老院同和園の最近インフルエンザというのですか、感冒のために非常にたくさんな人が死んだ。四月十日までに二百三十人のうち三十五名死んでいるわけです。ですからやむを得ぬ事情でおなくなりになったということであるのでしょうけれども、しかし、老後をこういう養老院療養して、余生を送っている方々に対して、もう少し親切に、この感冒にかかったときに扱いができなかったということを、私はしろうと考えでそう思うわけです。一つの面は、厚生省も御存じの通り新聞その他で非常に大きく取り上げているわけです。私の調べたところによると、これは社会福祉法人であり、一般的にはよい施設だといわれておるけれども、実際に病気しにかかったときに、専門の病床に入れるとか、隔離をして伝染をせないようにするとかいうようなことなんかの点も少し欠けていたようです。たとえば二百三十人のうち、いかに年寄りといったって百九十人まで病気にかかって、職員が二十六人のところ二十人までこの病気にかかって寝ちゃっている。それが同じ部屋の中でずらっと寝ておって、自然伝播して次々とおなくなりになる。で、三月の中旬以後からおなくなりになっておったんですけれども、このような状態新聞に取り上げられるというようなことになって、初めて市の衛生局厚生省関心を持ったというような格好、それも四月の五日か六日ごろになって初めてこれに関心を持ち出した。そのときにはもう三十人近く死んでおったというようなことでいいのだろうか。特に生活保護患者——患者といいますか、生活保護を受けている人々が多いわけでございまして、こういう点、非常に私たちは疑問に思っているのです。だから個々の問題の実態を、課長現地においでになってよく調べられたということを聞いておりますから、これをお聞かせ願うことと、全国的に養老院施設、現状、そしてそういう方々がどういう状況にあったかということを、一つある程度わかるように御説明を願いたいと思います。
  14. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) お答え申し上げます。ただいま御質問のございました、京都同和園におきます流感による多数の、死者が出ましたことは、まことに私ども遺憾に存じておる次第でございます。社会局といたしましても、また公衆衛生局といたしましても、急拠係官現地に派遣いたしまして、その原因経過等調査いたしたのであります。その結果、流感原因は、外出者園外で感染罹病して、これが園内の約百七十名に急速に伝染したということが判明いたしたわけでございます。同和園では、嘱託医それから職員を動員いたしまして、この治療看護に全力を尽くしたのでありますが、何といたしましても、この同和園収容者平均八十才以上という高齢者ばかりでありましたために、一般の壮年、健康体のものとは異なりまして、死亡者が非常に多かった次第でございます。また、この同和園では、三月の二十四日に、伏見の保健所集団発生届出を行なったのでありますが、流行性感冒ということと、一般かぜということとは、医学的になかなかその判定がむずかしいようであります。そういったようなために届出がおくれまして、要するに当初はかぜと思いまして、何とか園内で処置したいといったようなことを考えまして、若干届出がおくれた点が、私どもとしても遺憾であったと思うわけでございます。もう少し届出を急速にして、措置を迅速にやれば、ああいう結果にはならなかったのじゃないかとも思うわけでございますが、まことにこの点は遺憾に存じている次第でございます。  そこで私どもといたしましては、昨日全国所管課長会議を開催いたしまして、この今後の、特に抵抗力の弱い老齢者集団収容施設でございますので、注意の上にも注意を重ねまして、保健管理遺漏のないように処置をするということ、それから流感が発生した場合には、直ちに所轄の保健所に連絡をいたしまして、隔離措置等必要な治療措置遺漏のないようにとらせることといたしました。  それからまた、保健所の側からいたしましても、こういったたような施設につきましては、重点的かつ積極的にこの防疫対策を講じていただく、こういう指示をいたした次第でございます。  現在全国養老院は五百六十ございまして、それに収容されております人員は約三万六千人でございます。このうち病弱者といわゆる言われる方々は、一割五分ないし二割という状況になっております。従いまして、さらにこういうような事態が、他の施設に波及いたしますと、いよいよまた大へんなことになりますので、公衆衛生児童社会局長連名通知をもちまして、詳細にこの今申し上げましたような施設における保健管理治療対策についての指示をいたした次第でございます。
  15. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 流感の流行した関西の他の所でですね、どういう傾向にあるか、それを伺いたい。何人収容されて何人死んだとか、そういうこと、あの周囲の流感のはやったという所を……。
  16. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) ただいま全国的に調査中でございますが、現在わかっておりますあの近畿地区における状況について申し上げますと、奈良県の三室園という養老院では、七名死亡いたしております。収容定員は五十名でございます。これは七名のうち前から病気で寝ておったという方が四人でございます。  それから和楽園では八名死亡いたしまして、前からの病気だった方が二名でございます。これは収容定員百三十三名でございます。  大淀美吉野園、ここの収容定員は百六十名でございまして、十二名死亡いたしました。これは前からの病気の方は二名でございます。  それから香川県、広島県等でも若干一、二名ずつの死亡者が出ておるようでございますが、詳細につきましては目下調査中でございます。
  17. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 和歌山県はどうですか。
  18. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 和歌山は今のところわかっておりません。  それから同じ京都嵐山寮というのがございます。ここでは定員六十名でございまして、九名死亡いたしております。このうち八名が前からの罹病者でございます。今までわかっておりますのは以上の通りでございます。
  19. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その三十五人の中で、前からの病気が幾人あったか、和楽園の中で前からの人は幾人あったか。
  20. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 三室園は七名のうち前からの病気が四名でございます。和楽園は八名のうち二名でございます。大淀美吉野園は十二名のうち二名でございます。
  21. 藤田藤太郎

  22. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 同和園は三十五名のうち二十七名が寝ておった方でございます。病気で、医師看護婦手当を受けておった方々でございます。
  23. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は何といっても京都ですから、いろいろなことを聞くわけですが、ここではあまり露骨なことは、医師と病人との関係ですから触れたくないのです。しかし、少なくとも新聞に出ている経過だけを見てみても、三月の末に、京都のあの辺は花時でありますから、全員を花見に市が招待する。ところが、病気が出たか、死んだかともかくとして、花見中止だという、電話一本で処理されて、一日に何人というものの死亡通知が出されておるのに、四月の五日ごろにならなければ保健所もわからない、市の方でもあまり知らなかったという状態で、三十五名も死んでしまった。二十七名が前から幾らか病気を持っていたというけれども、これは何といっても、ここの歴史を少し見てみましても、大体三十二年、三十三年、三十四年ですね、三十四年度ずっと平均三十人くらいが一年間におなくなりになっている、それを一カ月足らずのうちに三十何人もなくなる。それで京都の市会なんかの記事が出ておりますけれども、どうしているのだ、栄養の問題や、それから特に年がいっているから、とにかく早く死んだり、自然に消滅した方がいいのだという感じで、この老人を扱っているのじゃないか、という一般的な付近の住民、新聞を見た人がそういう感じを持っているのですね。たとえば栄養一の問題で、何か五十円ですかを少し足して六十円にしているとか、そういう記事が出ているのです。もう一つは医療担当者ですね。嘱託医がおいでになって、病人が周囲の人から出て、何とかこれを病院に入院さすとか何とか手がないかということだったのだけれども審議会を経なければ入院は認めないというような規則になっているというので、それは一切まかりならぬというような格好でようやく問題になって、五人だけが入院の措置がとられたというようなことでいいだろうか。その前にもう三十二人か三人死んでいるというような処置なんですね。だから生活保護法の医療扶助になるのですけれども、そこらあたりの処置のしょうが、非常に何か私たちとして理解ができないような格好じゃないかと、こう思うのです。だからそこらあたりを公式ばったものでなしに、もう少し具体的にわれわれがほんとうに実際にわかるように一つ説明をして下さい。そうでないとわからぬ。
  24. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 現在養老院に入っている方々の一五%ないし二割はいわゆる静養室という、静養の部屋を設けまして、そこで静養さしておるわけであります。そこで、これはまあお年寄りですから、慢性疾患の方も相当多いわけであります。しかし、養老院という施設がそもそもそういったような方々を収容して保護する施設でありますので、必要な看護婦なり医師なり、あるいは経費の面では保健衛生費といったようなものを見まして、日常の保健管理に当たらせているわけであります。しかし、それは医療一切を施設の中でやるということでは毛頭ございませんので、いわゆる保健衛生管理でございます。従いまして、病気になりました場合は、当然これは入院の場合はもとよりのこと、通院の場合におきましても少し複雑な病気になれば当然これは外部の病院にかかる建前になっておりますし、また、さようにいたしておるわけであります。入退院の審議会を経なければならないというのは、これは結核でございまして、こういったような系統の病気につきましては、あるいは盲腸炎等の場合もございますけれども、そういうものにつきましてはさような手続を経なければならないということにはなっておらないわけであります。ただ、同和園の場合は発熱いたしまして、動くとむしろ危険である、こういった方もございまして入院できなかったという方もおるわけでありまして、決して医療の適用を非常に厳格にしたためにかかるべき医者にかかれなかった、あるいは入院させなかったというような事態はなかったわけでございます。
  25. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうするとおかしいじゃないですか。この毎日新聞に出ているわけだが、園長と、それから嘱託医の話がずっと順番に項目を分けて出ているのです。たとえば入院のところを読んで見ますと、「また入院させるとなると生活保護法による保護施設である関係で時間のかかる医療審議会の審査をとおらなければ認められないし外科手術や肺結核以外は認めないという厳しい制限がある」こういう工合に言っているのです。だから外科手術と肺結核以外には入院をさせない、その審議会を経てもさせない、こういう基準が生活保護法にある、だからどうにもならないのだということを言っているのですが、これはどうですか。
  26. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) さような方針は毛頭とっておりませんし、さような指示もいたしておりません。従いましてそれは誤りであると私どもは考えております。施設方々の誤解であるというふうに考えております。
  27. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 施設の方の人の誤解であるというけれども、あなたのおっしゃる報告だけを聞いていると、三十五人のうち、幾らか病気のあった人が二十七人おったのだということで、最善の手を尽くしたのだという報告ですけれども、あなたは病気になったらやはり隔離するとか、適当な病院に入れることの処置をするのだとおっしゃるけれども、肝心の運営する医者とそこの園長が今私の読み上げたように、はっきりこういうことだからどうにもならなかったのだと言う、ここに大きな食い違いがありますね。現地に行ってこられた人はどなたなのですか。どうなのですか。
  28. 高部益男

    説明員高部益男君) 私でございます。ただいまの御指摘の点は、市の民生局長、それから園の園長並びに医師につきましていろいろ調査いたしましたが、その間にやはりただいま施設課長の申しておられるような意味の誤解があったように私は認めて参りました。民生局長はいろいろな事情はあるけれども福祉事務所を通して市の方で、かかる緊急事態あるいは非常に特殊な疾病で生活保護による医療扶助を出してきた場合には、施設の人といえども全然断わるというふうなことはない、こういうふうに申しておりました。園長並びに医師につきましては、従来ともそういう取り扱いを受けたことはないというふうな話でございました。やはり事務費の一部である保健衛生費でもって大体の医療看護関係は取り扱うのが自分たちとしての建前であると考えておったというふうなことでございまして、その間にただいま当初申し上げました通りの若干の意思の疎通に欠けておった点があったようでございます。
  29. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこでそれはやはり一つの重要な問題点ですね。今後直していかなければならない重要な私は問題点だと思うのです。だからそういう現実に扱っていたのが、二十五日に保健所に報告があったけれども、それも保健所も大したことはないということで見のがしていたのです。その場所のあるのは醍醐で、保健所のあるのは伏見でしょう。だから山一つ越えなければならない。見えないところ、手の届かないところにそういう関係が生まれたことは一つ原因になっているとは思いますけれども、しかし、報告は二十五日にされて、それで具体的に問題になってきたのは四月五日ですか、四日、五日ころに初めてあまりたくさんなくなられたので問題になった。そこからあわてて五人だけは入院させようという処置がとられたというのですが、そのときにはもう三十二人か死んでおったということですね。おいでになったからよくわかる。それで私も養老院に人っているからといって、一般の人と保健衛生の面から差別をされていいのかどうかという感じを持つわけです。私はそんなことであってはいかぬと思うのです。私の知っている人も非常に苦情を訴えた人があるということを聞いておるのですけれども、どうにもならなかったという話も聞いている。だからそういうことでたくさん三万六千人もお入りになっているわけですから、私はやはり養老院という施設をして、老後を、ここで余生を送られるというときには、病気になったときにはやはりそういう伝染する病気では隔離をしてあげるとか、隔離ができなければ近所の病院に収容するとか何とかしてあげないと、これは余病が前にあったと言ったって一カ月足らずの間に一年分以上の人が死んだということは、だれでもこれは疑いますよ。何と言ったってこれは手を尽くしましたということは言えないですよ。そこらあたりが私はやはり問題だと思うのです。だから厚生省としては、将来これをどうしていくかという、まあこの問題についても私は言いたいことはたくさんあるけれども、将来養老施設に対して、今余生を送っておられる方々をどうして保護していくか。たとえば今誤解があったということだけで、なくなった人はもう戻らぬです。そうでしょう。生活保護ではそういうふうになっていない。向こうは誤解があったのだということだけでそれは戻るわけじゃない。けがしたとか何とかいうならともかく、そういう不徹底さが、五百六十カ所もまだ養老院があるわけですから、そういうところに徹底してそういう完備がされているかどうかということ自身も問題だと私は思う。だからもうこうなったら将来の、今日以降ということを言わざるを得ないのですが、さっき会議を開いて指針をきめたとおっしゃいましたけれども、少し手抜かりじゃなかったかということをみな思っております。京都の人は、あの新聞を見た人はみなそう思っております。新聞に写真なんか取り上げて出ております。私も養老院を見に行ったことがありますが、平生健康なときは娯楽室でみなテレビを見たりして楽しんでおって、私はよい雰囲気だと思った。あそこの養老院ばかりでなく、ずっと見ましたが、よい雰囲気だと思いました。今度感冒が入ってきて、二百三十人中百九十人まで罹患し、職員も二十六名中二十名も罹患しているというのに、そのまま一つのむねに全部押し込んで置いて、抵抗力のある者だけが残って、抵抗力のない者だけが死んでいった、そういう格好で、まだ五十人も病気になっているということで、重い人五人だけを入院させて、その中の一人は死んだということを聞いておりますが、だから私はそういうことでいいのかということを非常に疑問に思っております。これから総合的な対策と、振り返って見ると、あの処置で完全だったかどうかということを話して下さい。
  30. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 御指摘がありましたように、保健所への連絡あるいは市の衛生局、民生局への連絡が非常におくれたということは事実でございます。要するに、嘱託医は大体週に四回ないし五回出ておったわけでありますが、発熱者が出ましてからは終日出ておりました。ところが、先ほども申し上げましたように、インフルエンザと普通のかぜとの判別が非常につけにくい関係から、最初は普通のかぜと考えて何とか処置しようというふうにやっておったことに手落ちがあって、その連絡がおくれたという点はあろうかと思います。  それから私どもとしては、御指摘のように、養老院収容者の保健衛生管理をほかの者と差別するということは適当でないということはもうお話の通りでありまして、むしろただいま申し上げましたように、弱い者だけの集団でございますので、一般の者よりもさらに注意注意を加えて慎重な扱い方をするように指導しているわけでございますが、不幸にしてこういう結果が出ましたので、さらに過日の課長会議でその点を強調いたしまして、指導を徹底するように指示しております。  隔離の問題につきましても、もちろんその後におきましては隔離の措置をとっておりますが、最初のころは、隔離の措置がとられておらなかったために比較的早く伝染が広がったという点は確かにあったわけであります。これにつきましては、今後さようなことのないよう十分、施設の問題としてでなく、国の問題とし、県、市の問題として慎重に措置をして参りたいと存じます。
  31. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いずれにしても直接監督しているのは市の衛生局ですか、しかし、厚生省の直轄の保健所があるわけでしょう。養老院というのは、京都で言えば府の直系の養老院もありますけれども、これは社会福祉法人ですね。そこらに問題がありはしないかということを一つ言いたい。ちょうど今の精神病院というものが問題をたくさん起こしていることは御承知の通りだと思うのです。だから私はほんとうに精神病院でも養老院でも結核病院でも、国の行政が、人権尊重、社会福祉という建前でヒューマニズムの立場からこういう経営というものが貫かれなければならないのでありまして、それがどうもわれわれの偏見かもわかりませんけれども、どうも精神病院にたくさん見るように、私はこれ同じだと言いませんけれども、どうもそういう精神が、表面はりっぱであっても金もうけのために経営をするということが非常に精神病院に多いわけです。問題を起こしていることも事実なんです。だからこれはそうだとは言いませんけれども、そういう疑いを私は持つわけですよ。私もそうだし、一般人としても精神病院並みに社会福祉法人という格好でやられているのじゃないかという疑いを、私はこれがそうでなければけっこうでございますけれども、ほんとうに心から人間生活に奉仕するという立場でこの養老院がやっておられるのかどうかということ、そうでなければ困りますけれども、精神病院のたくさんの例を見て法人組織でどうなのかということも一つ私は疑念を持ってるわけです。偏見かもわかりません。だから厚生省としても、こういう精神病院の問題もありますし、それから養老院の問題もありますが、ほんとうに国の施策として直轄して社会人の監視の中で、ガラス張りの中でこういう運営をするというようなこととの関係はどう考えていかれておるか。それを一つ聞いておきたいと思います。
  32. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 養老施設大半は現在公立でございまして、今五百六十と申し上げましたが、このうち法人立は約百五十程度でございます。しかし、私ども公営の場合と法人営の場合とを比較してみますと、公営の場合にも法人立のものにもいろいろやはり特色、それぞれの差等があるわけであります。これは最低生活の保障という趣旨からいたしまして、私どもはできるだけこの均質化をはからなければならぬとして指導いたしておるわけであります。目下のところ、公立とたとえば法人立と比較してどうかということをいいますと、法人立の中にも公立よりもはるかにすぐれているものも相当数あります。それからあまりほめられないというものも若干はございます。しかし、これはやはり法人立だから適当でないというふうに私ども目下のところは考えておりません。やはりこれはその実際の事業に当たる人の問題であるというふうに考えまして、あまり芳ばしくない施設につきましては、その指導を重点的に実施いたしておるという状況でございます。
  33. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、法人なんかについてはこの収支の状況給付を受けておる金を支出して治療費にあてておる、収支の関係なんかはどこで監査をするわけですか。
  34. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) これは都道府県でございます。京都の場合は、五大市は市が監査の権限を持っておりますので、京都市でございます。
  35. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで栄養状態について大体一般的には生活保護法の適用をされておる方々の栄養のまかないはどういうふうにされておるか。個人で入っておられる方々もあるようですから、生活保護対象方々はどういうふうにまかなわれているか。
  36. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) これは大体額にいたしますと五十五円程度でございまして、非常に窮屈な額になっているわけでありますが、これは施設の長が福祉事務所から一括受領いたしまして、最も栄養のある、カロリーの高い品種を極力工夫いたしまして献立を作って実施をいたしているわけであります。しかし、御指摘がありましたように、確かに老齢者についてはそもそも抵抗力が低下しておりますので、栄養という点については特にこれは配慮しなければいかぬわけでありまして、実は三十五年度から一般的な基準、保護基準の改訂はおおむね三%いたしたわけであります。これは本年度からでございますが、そこで養老院につきましては大体一〇%以上を、そういう特殊性を考慮いたしまして、一〇%以上の引き上げをいたしている状況でございます。もちろんこれで十分かという問題はございますが、これはまあ養老院だけの問題でございませんで、普通の家庭におります全般の老人も含めまして、要保護者全般の生活保護基準の水準の問題になるわけでございます。私どもといたしましては、窮屈のことは承知いたしておりますので、今後ともこの改善については極力努力をして参りたいというふうに考えております。
  37. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 大体五十五円、一日の食事代が、五十五円というと、大体どのくらいのものが食べられますか。
  38. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) まあその関係の資料、ちょっと持って参りませんでしたが、保護基準の算定は御承知のように、栄養審議会で国民栄養の必要量というものが一応きめられております。これは年令別、性別にきめられておりまして、その基準熱量は一応これによって摂取でざるという建前になっているわけでございます。
  39. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私はまあこの問題、あまりそれ以上きょうはやりませんけれども、こういう工合に新聞にいろいろの角度から実態が赤裸々に報告されている。これを見てみますと、私は厚生省課長がお出になって新聞発表されているのを、もう新聞記事を見ましたけれども、まあ十分尽くしておったようだという記事しか発表されておりません、現地においては。それでこういう実際の問題に裏づけをするような発言というものが社会に出てないわけです。私は厚生省としては、老人を養老院におやりになっているという方々の家族や、親族の不安もありましょうし、社会的にわれわれとしても、三万六千人も養老院に入っている方々の生活が、こういう二たび風が吹けばこういうことかという不安を受けるわけですから、これはやはり養老院に入っておられる方々にはこういう工合にして、病気になったときはこうなんだ、それから平生のときにはこういう工合にして保護をしているんだということを私は天下に公表すべきだと思う。そうでなければ私は納得しませんよ。こういう間違いがありましたと言ってしまったときにはもう養老院ではなくなってしまう。なくなってしまわれたということは取り返しのつかない状態になっていますから、こういう入院の問題、医療扶助の問題、生活の問題、それから規格ですね、何畳のところには何人入れるとか、それからどういう設備がなければこれは適格性がないんだ、こういうやはり監督行政はこういう工合にしてやっているんだというようなことを、私は国の施策として生活保護でせっかくおやりになっているのですから、それはやはり一般住民が納得するような格好でこれは発表してもらいたいと思うのです。そうでなければ私たちも厚生行政に入っておって、ずっと長く、何とかよりよい生活、よりよい幸福というものを願って、厚生行政に社会保障に取り組みたいという熱意を持っておるのだけれども、今度のような問題が出てくると、これは、何だお前ら何をしているのだという一語に尽きると思うのですよ。だから、私はやはり今の五十五円ではとても栄養分がとれるとは思いません。これは上げてもらわねばいかぬ。今度一〇%上げられた。一〇%上げたらどういう工合になるのだというようなことをつまびらかに社会に、この間課長がお出でになったとき、なぜそういうものを新聞にお載せにならなかったか。今度の問題については、十分、どうやったかということを検討してみる、みるけれども、事実はこういう方針で、こうやっているのだから、今やったことは間違いなら間違いだということをはっきり私はやっぱりお言いにならないと困ると思うのですよ。もっと大胆に、人間の生命に関係することだから、厚生行政としては大胆に私はものを言ってもらいたい。そこのところあたりをあいまいにして、だれが悪かったか、いや病院も、園長も、医師も、何ら経営の上にも何の欠陥もなかったということで、こういうことが発表され、厚生省生活保護にはそうでないということなら、これはどこへ行くのですか。結局なくなっていった者が取り返しのつかないということになってしまう。だから私はそういう点はきびしくやってもらいたいと思う。そういう点は、何も今やった人を罪に落とせということを私は言うのじゃない、三万六千人も養老院に収容されておるのです。また、今後も養老院の中で余生を送りたいという希望者もどんどん出てくるのだから、安心して入れるように、ちゃんと社会にも訴え、実質もそうしてもらわないといけないと思うのです。今度間違いが起きたから、私はその人を罪に落とせというようなことは言いません。将来間違いの起こらないようにきちっとしてもらいたい。私はその一点だけですよ。この問題追及したってどうにも元へ戻るものじゃないのだから、私はそう言いませんけれども、将来間違いのないというようにきちっとしてもらいたい。これは確約できますか。次官からでも。
  40. 内藤隆

    政府委員内藤隆君) 藤田委員のおっしゃる通り、まず全国養老施設等の実態をさらによく調査をして、欠陥のないように、また、将来さような人道上から見てもまことに申しわけないような事例が起こらないように一つやっていくことを将来は確約いたします。
  41. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 今次官からの御決意のほどを聞かしていただいたので、非常に安心するのですが、課長にお伺いしますが、全国主管課長会議が開かれたそうですが、東京都の板橋区の都立の養育院の赤痢患者の問題ですね。これ御報告を受けておられるでしょうか。あそこには、新聞紙上等によると、収料人員が千四、五百人におって、年間に百人ぐらいの赤痢患者が出るのだそうです。それで、最近三月の二十四、九日ごろ検便検査をしますと、八十何名の保菌者があり、下痢患者が七十五名も出ておるということが新聞に出ておる。そして、それを豊島病院に入院さして、なおったと思って帰って来た人を検便するとまた保菌者がその中にあるということですね、それで、先ほどの藤田委員のお説の通り養老院、養育院というものは、国の施設によっての老人の住みよい楽園としてあるはずのものが、千五百人のうちで百人ぐらい年々赤痢患者が出るというようなことは、これは東京都の問題には違いありませんが、やはりその上に立っておられる厚生当局として御報告を受けておられるのか、あるいはそれについてどういうような指導なり善後策を立てておられるのか、こういうことについてお伺いしたいことが一つと、それから、もう一つは、これも新聞に出ておりますが、東京都の決算委員会で三十三年度の決算報告の中に衛生局の方では金が余ったと、非常に公衆衛生が行き届いて予防注射の方も予算に対して執行率が七五%ぐらいしか金を使わなかったと、伝染病対策費も九〇%ぐらいの執行率で金が余っているのだというような決算委員会の報告が出ておるのですね。だから金がないということも言えないわけですが、この予算の関連とあわせてこういう問題についてのあなた方の御指導の方針なりあるいはそういう事実を御承知なのか、そういう点をお聞きしたい。二、三日前の新聞に出ております。
  42. 高部益男

    説明員高部益男君) 東京都のただいま御指摘いただきました事件につきましては、私どもまだ都の方からは報告受けておりませんが、新聞を見まして非常に、またかというふうな実は感じを受けました一つの事件でございます。何といっても児童福祉施設並びに社会福祉施設につきまして、特に保健所系統と当該施設との間の協力関係はしばしば私どもといたしまして関係各局とともに示達して参ったわけでございますが、ただいまの予算関係になりますと、やや問題がむずかしくなって参りまして、大体児童福祉施設並びに社会福祉施設においては、まず当該所管の部局から出ます予算でもってまかない、なおかつこれによってまかない切れない部分、これを特に伝染病諸費につきましては、私どもの方の補助予算でもってまかない得るというふうな建前になっておりまして、あの東京都が決算上伝染病諸費が余っておるから、金が十分あるかどうかということにつきましては、その部分をよく調査しました上でお答え申し上げなければならぬのじゃないかと存じますが、ただ問題は、今回の事件に徴しまして、先ほども藤田先生からとくと御注意いただいたわけでございますが、この保健衛生関係と、それから医療関係とが一緒に施設内において各種の作業が行なわれて参ります。保健所関係はどうしても予防衛生、広く言いまして保健衛生部分だけを一応担当する、それ以外はやはりこの施設内における医療看護の面をまずやっていただいて、そうして、その上に医療保護その他の関係において、まああっせんをしていく、あるいは助力していくというふうなことで、直接公衆衛生行政の先端である保健所が、みずからの手をもってその仕事をするというふうな建前はとっておらないところに一つの連絡調整の分においてやや欠ける点があるのではなかろうかと私は考えておるわけであります。それで、施設それ自身の運営管理につきましては、保健衛生を含め、現在の建前では当然のことながら、この施設長にある、その施設長が自分の判断によって保健所等を初め周辺のこの衛生諸社会資源というものをどう利用していくかということは、これは一般施設関係の指導によらざるを得ないだろうと私は存じております。その際、えてして保健所が役所であるというふうな考えで、積極的にそこに手を伸ばしていくことをややもすれば考えないかもしれないという一般方々の疑念はございますが、私どもとしましては、保健所には特にこういうふうな社会福祉施設並びに児童福祉施設については非常に保健衛生上は、ある意味では一般社会よりは協力のしやすい対象であるという関係で、今回の事象に照らしましても、先ほど瀬戸施設課長からも申しました通りに、保健所はもっと積極的に当該施設における流行病状況あるいは疾病状況等について出かけていって、掌握をして、そうして、園長が手助けをしてもらいたいというふうな発言があった場合にはすみやかにそのあっせんに乗り出してほしい。自分自身の責任においてやり得る部分、たとえばインフルエンザは御承知の通りに、これは現在ただ届出伝染病という取り扱いだけでございまして、もっぱら助言と指導によっていろいろ処置をしている種類の疾病でございますが、その他の赤痢のような、御指摘になった赤痢のような場合には、もうすみやかにそれは施設長とよく協議の上、保健所の所管の事務として手を加えるようにというふうに、いろいろわれわれとしては、今後強化策を講じていきたいというふうに思っているわけでございます。まあ医療関係につきましては、先ほどもくどく申し上げました通りに、伝染病予防法に示されている疾病でございませんと、保健所関係はどうしても二次的な御援助という点にしか出られないという一つの悩みを感じておるわけでございます。
  43. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 これは課長では御無理のようですけれども、次官に特にお願いをしておきますけれども、今の御答弁によっても、役所のセクショナリズムといいますか、あるいは他のものの権限を侵してはいかぬとか、いろいろな関係があると思うのですけれども、現実の面で収容人員の一割に近い者が保菌者並びに下痢患者であり、年間を通じてはっきりと百人ぐらいの者が赤痢患者として入院なんかずっとしているわけなんですね。こういう現実の姿を見た場合に、やはり各課では仕事はしにくいと思うのですが、局なりその上に立つ次官として、よくその間の円滑な運営をしてもらいませんというと、実際問題として、こういう悲惨な状態が続くわけなんですから、十二分に運営の面では意を用いていただきたい、かように思うわけです。東京都の予防注射費の予算の執行率が七〇%だ、七五%だ、あるいは伝染病対策費が九〇%だということは、現実の金があるからではなくして、収入に対しての執行率なんです。新聞記事によると、患者が減ったから執行率が低くなったんだ、こういうふうな表現をしておりますと、片一方でどんどんこういう患者があるにかかわらず、患者が減っているんだという認識の誤りがあれば、これも私は是正されねばいかぬと思うのです。そういうような点で、特に次官としても配慮願いたいと思うのですけれども、いかがでしょう。
  44. 内藤隆

    政府委員内藤隆君) セクショナリズムの弊害というものは、御指摘の通りであります。そういう機関等のそれぞれ調整をとりましてやっていきたい、かように考えております。
  45. 高野一夫

    ○高野一夫君 きょう公衆衛生局長は見えておりませんか。——それでは一つ官房長に頼んでおきます。一つ注文を出しておきます。  新聞で御承知の通りに、本所のクリーニング屋の火事で、従業員が四名焼死をした。その記事によりますと、ボイラーの真上が従業員の寝室になっておったと、こういうことである。それでクリーニングは、環境衛生関係法律どもあるし、いろいろクリーニング屋、床屋、美容院というものは、厚生省が環境衛生的立場から、いろいろな制約を加え、取り締まらなければならない対象だと思います。そういうような危険な状態にあるクリーニング屋に対しては、警告を発するとかあるいは未然にそういうことを、さっきの養老院じゃないけれども、未然に防ぐべく、もっと何か厳重な監督指導をすべきじゃないか、こう私は思うわけです。そこで済んだあとで対策をやってみたところで、実際始まらぬので、将来にはまだ役に立つでしょうけれども、死んじゃった人は、養老院の場合も同様、焼け死んだ人は帰ってこない。しかもボイラーの上に寝室がちょうどあるようなふうの構造になっている。こういうようなことは、だれが考えても非常に非常識な私は店の構造だと思うのですが、こういう点について、どういうふうな従来取り締まりあるいは警告をやっておられるか。あるいはとても手が足らぬで、そういうようなところの立ち入り検査みたいなことはやれない、やっておらぬ、こういうのか。また、やれないような法律になっているか。やれるのか、やっておられるかということを聞きたい。同時に、今度の火事に対して、厚生省は直ちにどういうような方法をとられたか。調査に行かれたかどうか。こういうことを、まあきょうは責任者はおられませんから、注文を出しておきますから、お調べになっておいて、来週の木曜じゃ少し時期が私としてはおそいのだけれども委員会がないからやむを得ませんから、木曜までに十分調べておいて、御説明を願いた。
  46. 森本潔

    政府委員(森本潔君) ただいまの御指摘の点でございますが、私、まだ詳細の事情をよく存じておりませんので、所管局におきまして取り調べまして、次回に御報告申し上げたいと思います。ただ、平常この環境衛生につきましては、環境衛生監視員というのがおりまして、構造、設備その他の点について、監視をしてやっているわけでございます。そのほかに、今度のあの問題につきましては、消防上の監督といいますか、あるいは消防法上の監督あるいは建築基準法上の問題、そういう問題も関連してくるかと思います。相当複雑な問題があると思います。環境衛生、公衆衛生の面から指摘すべき事項につきましても、これも相当問題があると思います。それらの点を十分調査いたしまして、次回に御報告いたします。
  47. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは一般厚生行政に関する質疑はこの程度にしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたします。  速記をとめて下さい。    〔速記中止
  49. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。  それでは、本日はこの程度で散会いたします。    午後零時八分散会    —————・—————