運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-02-25 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月二十五日(木曜日)    午前十時二十二分開会   —————————————   委員異動 二月二十三日委員田畑金光辞任につ き、その補欠として赤松常子君を議長 において指名した。 本日委員千葉信辞任につき、その補 欠として藤田藤太郎君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            高野 一夫君            吉武 恵市君            坂本  昭君            藤田藤太郎君    委員            大谷藤之助君            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            谷口弥三郎君            山本  杉君            片岡 文重君            小柳  勇君            藤原 道子君            村尾 重雄君            竹中 恒夫君   国務大臣    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君   政府委員    公正取引委員会    委員長     佐藤  基君    公正取引委員会    事務局長    坂根 哲夫君    厚生大臣官房長 森本  潔君    厚生大臣官房会    計課長     熊崎 正夫君    厚生省医務局長 川上 六馬君    厚生省医務局次    長       黒木 利克君    厚生省薬務局長 高田 浩運君    厚生省社会局長 高田 正巳君    厚生省年金局長 小山進次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生省保険局次    長       山本淺太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査  (最近東京都内に発生した医薬品等  の乱売事件に関する件)  (昭和三十五年度厚生省関係予算に  関する件) ○理事補欠互選の件 ○医療金融公庫法案内閣送付予備  審査) ○社会保険審査官及び社会保険審査会  法の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○精神薄弱者福祉法案内閣送付、予  備審査)   —————————————
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではただいまから委員会を開きます。  委員異動を報告いたします。二月二十三日付をもって田畑金光君が辞任し、その補欠として赤松常子君が選任されました。また、二月二十五日付をもって千葉信君が辞任し、その補欠として藤田藤太郎君が選任されました。  以上、報告いたします。
  3. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめて。    〔速記中止
  4. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて。  社会保障制度に関する調査の一環として、最近東京都内に発生した医薬品等乱売事件に関する件を議題といたします。前回に引き続き質疑をお願いいたします。  なお、政府側からは、公正取引委員会佐藤委員長、同じく公正取引委員会坂根事務局長が出席されております。厚生省からは高田薬務局長が出席されております。
  5. 高野一夫

    高野一夫君 先般当委員会においてお尋ねしてまだ十分論議を尽くしていませんので、引き続いて質疑を行ないたいと思うわけですが、まず一つ解釈をお願いしたいのは、この独禁法の中の二条七項による特殊指定、この中にソース、カレー粉等いろいろなものが入っております。ただ一つだけ新聞業に関する特殊指定だけが価格の点が明確に入っておるわけです。これだけが入って、ほかのものには価格制限が入っておらずに、ただ饗応そのほかの特定の顧客引きつけ方法等を禁じておるだけなのですが、この新聞業だけが価格を守るべきことが規定してある。これはどういうわけですか、ほかには見当たらぬようですが。
  6. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) 新聞だけに価格が入っておるのでありますが、これはその前に特殊指定というものの性格を一応申し上げますと、二条七項で独禁法の中で、「公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会指定するもの」ということで、指定をしなければ二条七項の法的効果がないのでございまして、そこで一般的に各産業分野経済分野一般的に二条七項の規定に該当するであろうというものを指定したものがいわゆる一般指定でございます。そして各業界について二条七項の本文の規定が該当するであろうというそのものずばりで規定をするのが特殊指定建前になっております。そうして、しかも特殊指定の場合は、私どもといたしましては、もちろん特殊指定をやる場合にはたしか七十一条、七十二条の条項が動くわけでございますが、それを用いておる業界意見を聞いて、十分にその業界意見を尊重しなければならないという建前になっておりまして、従来公正取引委員会特殊指定をしておりますものは、大体その業界で非常に過当競争に悩んでおられます、しかも過当競争方法として独禁法から見て不公正な取引方法に該当する、そうして各業界の中で話し合いをしてもうまくいかないから、十分いろいろ業界の中で話し合いをした上で、公取に持ってきて、そして公取特殊指定をしていきたい、こういうようなケースが、今までのケースはみなそうなっているのでございます。そこで、そういう事情を聞いて、われわれが十分役所建前として調べまして、そしてそれを用いている同業者意見を聞いて、そして公聴会を開いた後に特殊指定をする、こういうことでありまして、新聞の場合には、新聞という一つの文化財があまり値段が違うというようなことはどうかという点もございますし、かたがたここで指定してあるのは、全国一円の新聞がある地方において、あるいはまた、顧客を別にしたものに対して特殊の値段を出して競争手段を用いる、たとえば名前をあげていいかどうか、そういう例があるかどうか知りませんか、仮定の例といたしまして、朝日新聞が出梨なら山梨という地方においてその地方新聞との戦いにおいて、その地方新聞を倒すというような意図をもって三百九十円の値段を三百三十円で売るというようなことは、この特殊指定に該当するということで、そういうことはやめようということを新聞業界の方でいろいろお考えになったようでございます。その事情をいろいろ勘案して、公聴会で調べた後にこういう指定をいたした次第でございます。
  7. 高野一夫

    高野一夫君 よくわかりましたが、しからば本日の議題に供している医薬品等の問題につきましては、医薬品は他の商品と異なる特殊性にかんがみまして、そこで業界関係の意向を尊重する、こういうお話がありました。七十一条か七十二条にある。そこで業界関係でいろいろあっせんをお互いにし合ってもなおかつ過当なる競争全国に絶えない、ますます激化していく、しかも今新聞の例をおあげになった通りに、一つ正規のたとえば販売業者を倒さんがために特別なる一つ乱売行為を行なう、こういうようなことは今お話になったそのままの私は実態だろうと思うのでありますが、私は今ここで当委員会において医薬品特殊扱いにしてもらいたいというような結論を今出すつもりはございません。しかしながら、特殊指定業界が長い間要望しておった事柄なのです。それを本日決定する必要はないけれども医薬品の場合と今のお話の場合は完全に私は状態が一放していると思う。医薬品に対するこの二条七項の該当というようなことは、あるいは新聞特殊指定の問題ということを比べてお考えになった場合に、どういうようにお考えになりますか。
  8. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) 医薬品業界は、もちろん私どももこの前この委員会委員長から申し上げましたように、非力ではございますが、だんだん調査をしておりまして、今先生のおっしゃいましたような実情がわれわれとしても認められるということであれば、業界のお申し入れその他いろいろな条件を考慮してそういう方向研究しても差しつかえないのではないか、私事務局長としてはそう考えております。
  9. 高野一夫

    高野一夫君 その前に、今坂根事務局長がそういうような御見解でありますが、佐藤公取委員長はどういうようにお考えですか。もちろん同じ見解だとは思いますけれども、一応念のために伺います。
  10. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) ただいま事務局長の申した通りでありますが、ただ先ほど特殊指定をする手続は事業者意見を聞いて、かつ、公聴会を開いて一般意見を聞いて、そうして事業者意見、おそらく消費者の側の意見、それから学識経験者意見、そういうものを聞いてやるということになります。
  11. 高野一夫

    高野一夫君 そうすると、今坂根事務局長お話では、現在医薬品の場合でも業界調査を進めているというお話でありますが、それは特殊の地域に限られての調査でありますか。相当手広く全国各地調査を促進さしておられるわけでありますか、その辺の状態を一応伺います。
  12. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) 私どもの方で現在行なっておりますものは、大阪地区の薬の流通秩序調査をしております。大阪は、御承知のように、薬のメーカーの大きいものもございますし、大きい問屋もございます。薬の調査大阪が一番適当であろうかと思いまして、現在われわれが行なっておりますものは大阪地区の薬品に関する流通秩序調査、こういうことでございます。
  13. 高野一夫

    高野一夫君 御承知通り、大きい社会問題になりました東京池袋付近事態中心にしまして、おひざ元の東京都内において大阪に変わらない事態がすでに起こっているわけであります。そこで、大阪事態東京事態とはまたおのずから異なる点もある。それから岐阜名古屋等においてもまた異なる点もある。結果は同じである。これらの点を考えますると、福岡とか、あるいは神戸、名古屋東京、京都、そういうような主要なるところで大きな問題が起こっておるわけでありますから、これはやはり手を広げて調査を早急に進められることが必要じゃないかと思いますが、これはなかなかできそうもありませんか。あるいは厚生省と連係をとって調査を進めるという方法もあろうかと思うのでありますが……。
  14. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) 仰せのごとく、そういう工合に手を広げて調査を将来はいたしてみたいと思っております。とりあえず今大阪でやっておりまする調査が最近のうちにでき上がると思いますから、その結果を見まして、厚生省その他と関連を持ちながら、また調査方向を進めるならば、その結果を見てやりたい、こう考えております。
  15. 高野一夫

    高野一夫君 薬務局長、ただいま局長のお聞きの通りに、公取委員会の方では、大阪中心にして今調査を進めておって、近くその調査の結果が出るであろう、こういうお話であります。出た時分はまた当委員会において説明をお願いしたいと思いまするが、厚生省においては、相当各種のいろいろな材料をお集めになっていると思うのでありますが、公取委員会の方と厚生省の方と、こういう問題については協力して調査を進めていく、そうして事態の急速なる解決をはかっていくべく積極的な、建設的な努力をされる、こういうことが望ましいと思うのでありますが、厚生省の方の考え方、やり方を一応聞きたい。それとも公取とは無関係に厚生省厚生省公取公取、こういうふうなことでやるべきものか、両方やはり相談し合って手を組んでやって事態の正常なる解決をはかる方がいいと、こう考えるかどうか。
  16. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 先般来の御質問、あるいはそれについて私どもの方からもお答えいたしましたが、ともかく医薬品について現在起こっておりますいわゆる乱売というふうな現象は、薬事行政なりあるいは薬業という立場からきわめて遺憾な事態であるということは明らかでございまして、従って、これが終息をして一日も早く平常状態、平常の秩序ある状態に戻るということを一番考えなければならぬ点であると思います。これについては厚生省厚生省として、また、公取委員会の方は公取委員会としてそれぞれの立場調査もし、あるいはまた、それに関する措置も研究あるいは考慮するということが、これは役所としての当然の務めでございますけれども、しかし、目的とするところは違うわけではございません。一つ目的に向かっているわけでございますから、一つのその目的を達成するためには両方が協力し合って一生懸命に努力をして参りたいとさように考えております。
  17. 高野一夫

    高野一夫君 佐藤委員長にもう一度確認しておきたいと思うのでありますが、今坂根事務局長お話では、大阪中心としての調査がいずれ近くわかるであろうと、そういうものを土台にして特殊指定の問題の方向研究を進めていきたい、こういうようなことでありまするか。これも漫然と時間ばかり食ったのでは経済競争の問題ですから仕方がないので、できるだけイエスノーかの結論を急ぐべきであろうと思いますが、急いでそういう方向に向かっての検討を進められるものと解釈してよろしゅうございますか。
  18. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 最近における池袋乱売状態に顧みまして、われわれといたしましては、保健問題であり、社会問題である重要な問題になっておりますので、できるだけ早くめどをつけたいと思っております。
  19. 高野一夫

    高野一夫君 もう一つ、例の特殊指定の問題です。これがいろいろな材料があり、業界の相違があり、それからまた、公聴会等も開いてイエスノーかの結論が出されるものと考えまするが、場合によってはそういう作業を進めていく意思があるものと考えてよろしいですか。
  20. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 業界事情、ことに要望というものを基礎にして従来はやっておりますので、同じようなことになれば、私どもとしては当然ぜひともやるつもりでおります。
  21. 高野一夫

    高野一夫君 これだけ確認しておきますが、私の聞くところによりますと、業界は切なる要望を何年来繰り返して公取委員会に申し込んでいるようであります。従って、その点はすでに御心配はあるまいと思います。ただ、やはり委員会において検討される材料が具体的に必要であろうと思いますので、これはわれわれも当然のことだと思いますから、その材料を早急に一つお作り願って検討を進めていただきたい、こういうふうに一つ希望いたします。  それから団体法の問題に移りたいと思いますが、最近医薬品小売関係商工組合の認可が与えられて、そうしてまた、申請中のものもある。その認可されたる組合からは調整事業申請が出ているはずです。公取同意を要する点がもちろん根本になっている大事な点だろうと思います。どういうようなものが出ているのか、また、それについての公取審査の結果はどういうふうになっているのか、それを一応おわかりならば聞かしていただきたい。
  22. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 若干出ております。そのうち一つ福岡県の問題でありまして、これは正式な協議が福岡県知事から参っております。そのほか大阪、兵庫、岐阜等につきましても、下相談と申しますか、向こうの一応の考えをこちらの方に連絡して、それに基づいてわれわれの方では検討しております。従って、福岡県等の問題につきましては委員会において検討しておりますが、いろいろ問題があるので、だいぶ実は時間がかかっておりますが、そこで、昨日委員会に中門報告的に調査の結果を聞かしてもらったのでありますが、それによりますというと、もうだいぶでき上がっておって、もうそう遠くない機会に正式の決定ができる、こういうふうに伺っております。
  23. 高野一夫

    高野一夫君 私は、調整事業内容が知りたいので、それでその内容いかんによっては、同意をせられる面と同意をしたくないとお考えになる面とがあるいはあるのじゃないかと思う。幸いにして、組合側から申し入れてあるすべての調整事業に対して全部異存がない、同意すべきであるというお考えであればなおけっこうだけれども、それにしても私は一つこの間から引っかかっているいろいろな条文解釈についてただしておかなければならぬのでありますが、販売方法制限——あるいは正札販売方法によるとか、販売価格制限とか、そういうようなものが申請の中に出ておったでしょうか。これは事務局長からでけっこうですから。
  24. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) 福岡の場合には乱売制限ということで、仕入れ原価を割って売ることはやめましょうというような規定が入っております。それから大阪の場合は、これは今、佐藤委員長からお答え申し上げましたように、案でございますが、正札販売を守りましょうということが入っております。
  25. 高野一夫

    高野一夫君 そこで、この間からあなた方の方との見解が多少違っておった点があるのですが、第十七条第一号、第三号の販売方法に関する制限、こういうことには、当時われわれはこの団体法商工委員会で審議いたします場合は、正札販売による販売方法制限ということはここにいう販売方法に関する制限の中に入るのだと、こういう解釈を当時通産省が、中小企業庁側委員側相一致した見解に到達したはずなんです。そこで、正札販売、これは販売方法に関する制限の中に入るとお考えになるかならないか、それを伺っておきます。委員長でも事務局長でもどちらでもけっこうです。
  26. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 正札販売の問題につきましては、先般私の言い方が足りなかったのでありますが、その際にも申しましたように、正札販売ということが何を意味するかということは非常な問題で、正札販売というものが各組合員自分だけでつけるならばこれは大した問題はないと思うのでありますが、正札をきめる基礎になる価格というものをお互いに申し合わせましてそれを正札に表わすということも心配がわれわれの方としては相当あるわけであります。もしそういうことになるならば、一つ価格協定になりゃしないか、正札をつけて表示する、そうなってくるというと、中小企業団体組織法のいわゆる制限の第一の手段としてできないので、第一の手段としてできなかった場合に、要するに、不況対策が十分に効果をあげなかった場合に、第二の手段としてやることは考えられる。第一の手段としては考えられない。それから正札販売がいいか悪いかにつきましては、当時において私の方の委員会中小企業庁との間でいろいろ折衝しておりますけれども、私の方としては、形式的な正札販売というけれども、それが実質的な価格協定になるおそれがあるから、そういうものは特に注意してくれということを特に向こうに申しているわけであります。そういう状態でありますから、正札販売というのは何をいうのか。単に正札を表わすだけでなくして、その背後に価格協定があるということになるならばそう簡単にいかない、第一段の調整方法としてできない、こういうような立場をとっております。
  27. 高野一夫

    高野一夫君 当時この問題は、場合によれば今の委員長お話のように、価格協定になりかねない、それと同じ内容のものになりゃしないかということが商工委員会でもだいぶ問題になったのです。それで一体正札販売というのは何をいうのかという場合に、メーカーがその製品最終価格をつけている、百円なら百円、五百円なら五百円、それも正札、それから価格リスト等を各販売店に配っている、それも正札販売と見てよろしい、こういうようなわけで、正札販売というのはどういうものか、こういうようなことまで私どもは当時当委員会で審議した。そうするとおっしゃる通り、なるほどメーカーがつけている最終価格、百円なり五百円、そうすると、それでいくのだということになると実質上の価格制限になるようなことにもなりかねないわけで、そこで第四号とどういうふうに違ってくるかということがこれはだいぶ議論になりまして、しかし、それでもやはり定価が入っている、包装の価格、それから販売業者に配ってある、メーカー問屋から配ってある価格リスト、それによるのは正札販売と認めてしかるべきじゃないか、こういうような説明通産省からなされ、われわれの方もそれを了として、そうするよりほかないだろう、こういうふうに言ったわけなんであります。そうすると、おっしゃる通りに四号との区別がつきかねる点がなるほど出てきたというような感じがします。するけれども、当時のこの立法の精神をくむとするならば、あとからあとからいろいろな解釈を変えて、当時われわれが法を審議したときの気持なり精神というものが、法が実施される場合は変わってきた意味解釈され、実施されるということになると、われわれはこの条文の改正がなければならぬということになってしまうのであります。これはすべての法律に通ずることだろうと思います。何か販売方法制限ということでもう少ししっかりした、今佐藤委員長見解見解として、販売方法制限でもっとしっかりした一つ安定策に寄与することができるような方法はどういうことがあるかどうか、何かお考えありませんか。
  28. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) 御質問の趣旨は、私どもが今佐藤公取委員長から申し上げましたように、正札販売を各店がやりましょうということは、私は先生のおっしゃるように、販売方法制限の中に入ると思います。それで出てきておりまする調整規程内容の書き方の問題になってきておりますけれども、まあ安定的な方策と申しましても、私どもが一応解釈としてこの商業組合における正札販売というものを価格協定にならない範囲で認めるということが私は一つの基準になって、そういう方法でやっていただけるならばいいのではないか、こういう工合考えます。これはお答えにならぬかもしれませんが……。
  29. 高野一夫

    高野一夫君 価格協定にならないような正札販売、その個人々々が正札販売をやるのは差しつかえない、また、自分で、甲の販売業者と乙の販売業者が勝手な正札自分の店によってつけている、これはもう乱売対策にも何もならぬのであります。一方が百円で売っている、私の店が百円の正札をつけ百円で売る、こちらが五十円の正札をつけ五十円で売る、これは非常な乱売行為です。それでもこれが正札販売だというなら、私はあまりに、何というのか、ちょっと解釈実情に沿わないことになりゃしないかと思うのですが、そうすると、正札販売ということが、商工組合の、いわゆる経済安定のための商工組合なんだから、その経済安定のためにやる事業、その事業一つである正札販売に百円の正札と五十円の正札と、甲と乙の店で違った価格をつけている、これで何の経済安定に資する制限事項になるかと言いたい。だから組合員が個々に、勝手につけるのなら正札販売にならぬと私は思う。それは組合制限事業じゃない、組合員が勝手にやるのならこれは組合できめる必要も何もない、それはどういうふうに解釈しますか。
  30. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) それはお話のように、何と申しますか、メーカーさし値をしている、さし値をしている値段を守るということならば、これは先生のおっしゃったように価格協定ですが、しかし、正札を守りましょうということでいくならば、この価格協定を守るという実質的な意味がないということになれば、差しつかえないのじゃないか、こう考えます。
  31. 高野一夫

    高野一夫君 だから、だめだと言うのですよ。この団体法というのは、これはあなた方の方がむしろ専門家なんだが、団体法というのは、不況状況から早く救い上げたいから、あるいは不況になるおそれがある場合に、それを未然に防ぎたいから、それで共同商工組合を作って、それで共同制限事業をやらせようという、これは画期的なことなんです。そこで、その組合員が勝手な正札をつけて、百円の正札もあれば、五十円の正札もある、同じ製品についてですよ。それで一体何の制限事業であり、何の安定策に寄与できるか、こう私は言いたいわけなんです。そこで、池袋あたりで、御承知通りですが、これはげたやら文房具なら、何年前に作って貯蔵してあってもかまいません。われわれは、この間製薬工場を見ましたが、ちゃんと番号を打つんです、普通は。その番号は、何年何日何日にどこの工場で作ったということがはっきりわかる、調べれば。そうすると、有効期間が、あるいは効力がだんだん減退する、そういうことがある製造番号——それを破いて消して、そして百円で売らなければならぬものを、何か特別に仕入れてきて、そして五十円なら五十円で売るわけです。それは今後とも正札販売方法であるとあなた方が同意されても、百円の正札と五十円の正札と勝手につけられるのだったら、乱売など防げません、何の意味をなしません、そういう正札販売なら……。これは一つ考えなければ、委員長事務局長も私はおかしいと思うのですが、何かいい方法はありませんか。これは理屈ばかりじゃなしに、不況状況を脱却せしめるために、安定させるための組合、そのための団体法なんです。そういうふうにすれば、それに役立つような事業をやらせなければ、役立つことにも何にもならない。今とちっとも変わらない、そういうふうな正札販売なんかやらしたって何もならない、私はそういうふうに思うのですが、委員長どうですか。
  32. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) お話の点よくわかりますが、私どもも、いわゆる価格協定を伴う正札販売いかんとは言っておりませんので、第一段の方法として、御承知の十七条の一号に書いてありますが、そういうふうないろいろの取引制限をする。たとえば売る数量を減らすとか、生産数量を減らすとか、そういう方法でやれ、そうして不況対策をやっていく、それでもできない場合には、お話のようなことをしてもいい、こういう立場に立っていると私は思うのです。全然いかぬとは言わないので、第一段のなすべきことをして、それでできない場合に、価格協定をやるならやれ、こういうふうに思っております。なお、正札販売だというと、一つの品が、百円の物が百円という正札もあり、五十円という正札もあることもお話通りですが、それは乱売の前提としての立場で、そんなに値段が違うとは実は思っておらぬのです。普通の状態ならば、そう思っております。これは余談になりますが、いずれにいたしましても、正札販売というものは、価格の協定の内容たるしかるべき正札販売と、しからざる正札販売とある。しからざるものなら第一段の方法としてもやれるけれども調整事業としてやれるけれども、第二段の方法としてやるのには、第一段の方法目的を達しない、不況が脱却しないという場合に第二の方法、第二の方法においては、価格制限ということはあり得ると、こう考えます。
  33. 高野一夫

    高野一夫君 どうもそれはものの道理はその通りなんです。その通りなんだけれども、それじゃその価格協定、またはそれに近い方法で、価格協定あと回しにしても、それに近い何か具体的ないい調整事業があるとお考えになりますか、こういうことをしたらいいとお考えになりますか。私は公正取引委員会というものの使命からいいましても、経済安定、公正なる適正なる経済建設、経済安定のお仕事が、公正取引委員会の私は使命だと思う。所管省はもちろんそうです。それから考えて、こういうようなここにきめてある調整事業販売価格は、そういう段階を踏まなければならぬから、なかなかいかぬが、やらぬというのじゃない、いずれはやる。しかし、その前に一つの仕事をやってもらいたい。その前にやる仕事として、一番役に立つような仕事、販売価格の調整に間近のような仕事で、一番見込みある仕事、これはどういうことが一番いいと、そのほかの各種の業界の問題を考えられて、専門家として、あなた方何かいい方法があれば、そういうものでこれは民間の中小企業者を指導してもらってしかるべきではないかと、こう思うわけです。
  34. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) ほかの業界等の類似の例もありますし、まあ薬のことはそれほど私よく存じませんが、たとえば、今の薬の問題なんかも、われわれが調べた範囲では、メーカーの方でやはりある意味においては生産過剰と申しますか、そういうことがあるように思うわけです。だから、そういうふうな生産過剰ということを除くために、生産制限の調整をするとか、まあそういうことは一応考えられます。これは業界の人によく伺わないとよくわからぬが、私としてはむやみに作るということは、まあもう少し自粛する余地があるのではないかというふうに思います。
  35. 高野一夫

    高野一夫君 今、非常にいいことをおっしゃったが、メーカーで生産過剰と、これは医薬品に限らず、あらゆる業界においての生産過剰ということが競争激化の第一の原因になろうと、私もそう思います。そうすると、メーカーの生産を制限する方法は現在ございません。そうすると、先ほどの独禁法に戻りまして、二条七項の特殊指定にすれば、ここでおのずから生産制限が行なわれて、メーカー同士の不当なる過当競争をこれによって防止ができる非常に有力な方法になってくる、こう私は思いまするが、特殊指定した場合に、——さきの話に戻るけれども特殊指定した場合に、この生産がおのずから適正なる計画的生産になるだろうということについてのお考えはどうですか。
  36. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 私どもとしては、さしあたり、まあ幸いに商工組合制度が相当進んでおりますので、商工組合調整事業内容としてやられるのが一番適当じゃないかというふうに思っております。もちろん商工組合を結成しておらぬところは別でありますけれども……。あるいは、それでなければ、独禁法一般指定によりまして、不況カルテルとか、合理化カルテルとかいうものもありますが、それはだいぶ条件もありますので、よく調べなければわかりませんけれども、そういう方法もあると思います。
  37. 高野一夫

    高野一夫君 私はそのどちらがいい、悪いでなくて、今、メーカーの生産過剰が、こういうような中小企業者、特に小売販売業者不況を来たす原因になるとおっしゃった、その通り、私同感ですが、その通りだと私も思っておる。それで、その計画経済の世の中でない今日、生産制限をやれる方法がないので、それがありませんので、もしも特殊指定をしたならば、おのずから過当競争、生産過剰なんか防止できる。生産を自発的に適正な計画的生産に持ち込ませるためには、特殊指定することが一番有力な方法じゃないかと、こう私は思うのだけれども、どういうふうにお考えになるか。佐藤委員長はどういうふうにお考えになるか。
  38. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 特殊指定でやるということについては、よほど研究の余地があると思います。過当競争で特に押し込み販売ということがありますが、この押し込み販売をある程度規制するというようなことは考え得るのじゃないかと思っております。
  39. 高野一夫

    高野一夫君 ちょっと、今事務局長、私の質問、よくおわかりになっておりますか、私の言ったことが……。不況の最大原因は生産過剰なんです。その生産過剰を抑える手が現在ないのですよ。どの法律でも、どこにもありません。どの業界にもない。その生産過剰を押えるのには、先ほどの独禁法のこの特殊指定をすることが、メーカーの生産過剰をメーカーの段階に抑える最良の、一番有力な方法だと私は考えるのだが、どういうふうにお考えになるか、こういう質問、ただ一点だけの質問、そう考えられるか考えられないかを聞きたい。
  40. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) 今先生のおっしゃいますように、メーカーが生産過剰で不況であるとすれば、私はメーカー自体が独占禁止法の適用除外であるところの不況カルテルを結んで生産を制限して自粛すべきである、こう考える。それで、先生の御質問の、特殊指定によってメーカーの生産数量を自粛させるということは、ちょっと私思いつきませんが、ただいま佐藤委員長が申し上げましたように、メーカーが生産過剰の結果、注文以上にやたらに売り込むということをやりまして、卸なり小売がその在庫をうんと抱えているということを、どうも薬品業界一般の取引慣行としておもしろくないということであれば、これを特殊指定にいたしまして、メーカー自体に生産のめどをつけさせるという意味の数量制限は、あるいは間接的にできるかもしれませんが、それ以外にはちょっと考えられない。
  41. 高野一夫

    高野一夫君 大体お考えが次第々々に固まってきつつあるような感じがいたします。そこで、また話が少し脇道にそれますが……。
  42. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  43. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。
  44. 高野一夫

    高野一夫君 もう一つ、根本の問題に戻りますが、当委員会において、公正取引委員長事務局長がお見えにならない前に、委員会において池袋の問題が各与野党の委員から持ち出されたのであります。そのときに、今、それから引き続いて大きな問題になっているのは、ああいうふうなむちゃくちゃな乱売がされるような医薬品であったならば、安心して使えないんじゃないか、こういう、医療界に非常な不安感を与えているのであります。そこで、いつできたか、製造年月日を調べることもできない。流通過程もどうなっているか、従って調べようもない、こういうようなことで、効力があるのか、ないのか、厚生省がその後調査を発表したところによると、相当の不良品があって、厚生省から発表されている。こういう事態考えた場合には、げたやぞうりやくつとは違う。医薬品のそのものの内容、用途、本質、そういうものが普通の産品と完全に違うものであるというような、いわゆる特殊性といいますか、全然ただの商品ではないものである。従って、公取において、同じ商品として考える場合でも、医薬品は、そういう意味において特別な考え方をもって取り扱わなければならない、こういうふうに私はあってほしいと思うのですけれども、前回佐藤委員長の御見解は、あまりまだそこまではっきり私は伺いかねたと思うので、きょうもう一度私の申し上げるそういうような考え方に同意をされるか、そういう考え方をもっていただけるかどうかを一つ伺っておきたいと思います。
  45. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 医薬品が国民保健上きわめて重要なものである。無責任な医薬品が市場に出るということになると、非常な社会的にも大問題であります。そういう意味において、医薬品特殊性というものはよくわかりますが、かるがゆえに、そういうふうな不良な医薬品が出ることを防止するということは、われわれの方としても無関心じゃありませんが、厚生省の方でよくお考えになっていることと思いますので、厚生省とよく相談いたしまして、厚生省の御意見も伺った上で私どもの方の関係も考えたいと思います。
  46. 高野一夫

    高野一夫君 いや、私はその不良薬品取り締まりやら、そういう監督を公正取引委員会でおやりなさいというのじゃないのであります。それは所管省でやる。そういうような危険性がある品物であるから、従って、公取が関係する仕事のいろんな業態、業種とその商品を見る場合に、医薬品というものはそういう危険性がある。従って、厚生省が非常に苦労をしている。こういうような商品であるからげたか電気器具なんかとは違うものである、特別な目でものを見なけりゃならぬのだと、こういうふうな、わかりやすく言えば、そういう考え方を持ってもらわなければならない。こういうわけなんです。いろんな取り締まりなんかする必要はない。それは厚生省でやる。ただそういう厳重なる取り締まりもしなければ安心して使えないような、命にかかわるものであるから、そういう商品、そういう物品、そういう業態、こういうふうにほかの電気器具業や、文房具業と違った業態であり、品物であるということの考え方を持ってもらわなければならぬ、こう思うわけです。これはどういうふうに考えるか。公正取引委員会で関係される仕事の範囲内において、ものの、いろんな関係する品物をながめた場合に、そういうようなものは、私は考え方は当然必要である。そのために厚生省は、社会保険関係の薬価基準というものまで厚生省は実際きめているのです。薬価基準、そういうものはほかにないが、従って、そういういわゆる特殊性を認めて、ほかの品物と違うものであるから、そこにはまた別個の一ついろんな、法を曲げることじゃないけれども、別個の考え方をしなけりゃならない性質のものだということを考えられるかどうか。こういうことを伺っている。
  47. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 医薬品特殊性お話通り私はよくわかります。そういう点を特に考慮して独禁法の運用に当たるということは必要なことと思います。この点は十分研究してみたいと思います。
  48. 高野一夫

    高野一夫君 まだどなたか御質疑あるならば、私だけでも申しわけないから。
  49. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をちょっと落として下さい。    〔速記中止
  50. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。
  51. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今のお話の中で、メーカーの生産過剰のときに公取として、過剰によって不況になった場合云々、または過剰生産で一番混乱したときでも、こういう二つのときが考えられる。こういうことをおっしゃいました。内容については厚生省に聞きまするけれども新聞その他に書いているところによると、大体ここに額を書いているところでは、一カ月百十億ぐらいの生産をして、流通過程に乗っているのが七十億ぐらい、四十億ぐらいが裏口で流れている。こういうふうに書いておりますが、まあ真偽のほどはよく私もしろうとでわかりませんが、問題は、今の高野委員の言われるように、その薬の販売をやっている方々がメーカーから何割という公定値で来て、片一方で非常に安く売られるから、薬局業をされている方々の生活が脅かされるという問題が一番問題の中心だと思うのです。だから生産調整について、ばく然としているのですけれども、それだけ生産が上がれば薬を安くする、メーカーの原価を安くして、そうしてやはり販売業者も生活ができるように保護する。こういうことは公取ではどうですか、できますか。
  52. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) 値段の点を云々するというのは、私どもは物価行政をやっておるわけじゃございませんから、その値段が幾らがいいということはもちろんお答えできませんけれど、今御質問の趣旨のように、薬がもうけ過ぎておるじゃないかという一般の批評がありますから、そういう点では安い値段で安定していただくということは、公正取引委員会では非常に望むところでございます。
  53. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、私はもうけ過ぎているか、もうけ過ぎていないか、それは僕にはわからぬので、ただ百十億生産して、七十億が一般ベースに乗って、四十億は何とかかんとかいうことで市場へ流れている。こういう一番先が、結局それはものすごい特定のものだけ安い値段で横流しするから今のような乱売というものが行なわれてくるのだから、それが需要と供給の中で百十億の薬がたとい九〇%とか九五%国民の生活生存に役立っているというなら、私はむしろ生産がその状態にあるならメーカー値段を下げさして、薬販売業者がやはり一定の利益、販売マージンを取って売れる、こういう格好に販売価格は安くするし、元も安くなる、こういうことになると今のような問題は起こらない。特定の問題だけが、特定のワクだけが今のような状態になるものだから、どうも市場を混乱させている、こういうことになっておると思うが、そういう点については、たとえばほかの産業にもあることですから、一つの薬の例でどういう工合公取は御判断になりますか。
  54. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) 先ほどからの高野委員の御質疑のように、商工組合調整規程というもので、まず販売業者が姿勢を正して、その結果がメーカーに及んで、メーカー販売業者の姿勢の正されたことを反映して値段を適正につけていくということは、公取としてはそれを考えております。メーカー値段も、今御質問のように、安くするというようなことは、私どもよりもむしろ厚生省の方が主管であろうかと考えております。
  55. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 先ほどから御質疑の点は、今の坂根事務局長のような答弁は、厚生省の所管のものが多うございますから、厚生省から高田薬務局長が出席しておりますから答弁させましょうか。
  56. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それでは厚生省の方はちょっとあとにして、これに関連をして、まことに恐縮ですが、先日公取は、カルテル行為を防ぐために、主として活動しているというお話しがありました。きょうここにある資料で、私は各産業をよく知りませんけれども、一番農民に関係のある硫安、尿素というものから、日々私たちが使っておる紙の関係、こういうものはどういう工合公取として見ておられるか。きょうはそういう目的でおいで願ったのじゃないけれども、ちょっと聞いておきたい。私の聞いておる範囲は、硫安は国際価格が下がった。だから、国際価格が下がっても、輸出関係については私はコストに耐えられる状態であるから、市場関係が維持されている。貿易の関係で。ところが、生産する能力が非常に高い要素を持ちながら、生産を制限して、この公取の七月三十一日までの分を見ても、八%と一五%操業短縮をして、値段を維持するというような格好になっておる。これは農民から見れば非常に私は問題だと思います。これが一つです。  それからもう一つ、紙の関係は、やはりこれも昨年からたしか二〇%だと私は記憶しておりますが、多少数字がここに載っておりませんからわかりませんが、操業短縮された一、二カ月の間に一割五分かなんぼの値上げをされた、こういうような状態にあるわけです。ですから、そういう基本の問題として、どういう工合に二つの産業を処理されていくか。ちょっと参考までに聞いておきたい。
  57. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) これはお仰せのごとく、実態論としてはなかなかむずかしい問題を含んでおりますが、そういう工合に操短をし、あるいは硫安工業合理化法の問題で、一種の生産制限をするというようなときには、もちろん私どもの方ともいろいろ手続上は相談をすることになっております。それで私どもとしてはできる限りの調査をして、これが一般商社あるいは農民にはね返りにならないようにという配慮のもとにおいて一応そういうものが継続されやっておる、こう考えておるわけであります。
  58. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 農民には今までの値段しか上げないということで事を済まされているのか、むしろ国際市場の関係、輸出の関係、それから生産費がどんどんオートメーション化して安くなれば、むしろ公取は操業短縮して、品不足で値段を維持するという格好でなしに、正常な状態において値段を下げるというところに指導されるのが当然だと私は思う。それは私の個人の意見じゃなしに、新聞その他でその問題を露骨に批判しておる。どこがチェックをするか、公取かと私は思う。カルテル行為が主でやっておるのだとこの前のときにはおっしゃいましたけれども、こういう二つの問題を取り上げても、実際問題としてどれだけタッチしておられるかということはここで大みえはきれないのじゃないかという感じを私は持つと同時に、この前の法律では、法律は問題が起きたときに見て初めて検討するというお話があったから、なお、私は混乱を、私の頭の中では混乱したのですが、これは商工委員会じゃありませんから、これ以上この問題を突っ込みませんけれども、私はやはりそういう問題をもっと真剣に、国民生活にみな直結する問題だから、真剣に取り上げていただきたいと思います。それじゃもうそのくらいでまた日をあらためて……。  それから、ちょっと厚生省に、その薬の販売先の延長なんですが、薬がたとえば百十億生産して七十億流通過程に乗せて四十はやみで流して今のような問題が起きておる。関西方面にも相当安く薬が流れておる。だから、私はやはりそういう場合に厚生省というものは、今高野委員お話のように、日付けが消されておるとか消されていないとかいう問題も薬の内容分析の問題に入ってくる、不良であるか不良でないかという問題が一つ問題になってくる。それからもう一つは、そういう状態が各地で行なわれているときに、今の表示している販売価格が妥当かどうかという問題ですね。こういう問題は厚生省はうんと監督される必要があるのじゃないですか。私はそれを聞く。この前の質疑なんから聞いていますと、初めから二割とか三割値段を高くして、そうして割り引きをよけいしたようにして販売する、そうして安いというような話までちょっと出ていましたが、そういうことになると、なおさら私は国民の不信を買うと思う。だから、そういう点について厚生省はどういう指導や行政をやっておられるか、これもちょっと聞いておきたい。
  59. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) この前も申し上げましたように、薬については品質の確保ということが何をおいても一番大事なことであるということは申し上げました第一の点でございますが、この品質の確保について私どもいわゆる薬事監視であるとかそういったようなことによって、一面においてはこれの確保に努めておるわけでございますが、今御質問の趣旨にもありましたように、いわゆる薬業経済の安定と関連なしに品質の確保ということは考えられない面もあるわけでございまして、そういう意味から私どもの方としても、厚生省なりにいわゆる薬業経済の安定ないし振興の問題についてはいろいろ心を砕いておるような次第でございます。  そこで先ほど来お話のあります価格の問題でございますが、これについては、あるいは高いと言い、あるいは安いと言い、それぞれの立場によって考え方はあり得ると思いますけれども厚生省としては現在いわゆる原価計算的なやり方において価格にタッチした行政をやっておりませんので、価格が安いか高いかということについては責任を持ってお答えをする立場に実はないわけでございますが、ただお話のように、流通のやり方において価格が非常に混乱したやり方において競争が行なわれ、流通が行なわれるということは、やはりこれは全般的に見て好ましくないのであるから、取引の正常化と、それから価格の一定の水準における安定というものが十分確保せられるようなふうにこれからやはり業界としても努力もし、われわれとしてもそれを支援し、協力していかなければならない、そういうふうな考え方をいたしておるのであります。そういう意味においては、結局これはメーカー、卸、小売三者がそれぞれ原因なり理由というものがあるわけでございますし、その実情をよく知った三者の間で十分打ち合わせをしてそうしてその打ち合わせに基づいて得られた結論というものが妥当なものであれば、できるだけこれが確保されていく、そういうふうに、私どもの方としても、これは権力的な立場を離れても努力をしていかなければならないところだと考えておるわけでございまして、せっかく、まあ率直に申し上げまして、その三者の協議会が設けられましてから今日までかなりの日数はたっておりますし、それから先般来ほかの方の御質問にもありましたように、十分まあいわばかちっとした結論にてきぱきと進んでおるという状態ではありませんけれども、しかし、最近のこういうふうな激化した状況にかんがみまして、関係者の間においても従来と違った新しい考え方、決意をもって対処しようという意気込みで努力をしておられる現状でございますので、私どもはこれを信頼をし、また、支援をしてなるべく早くそういう状態が確保せられるように努めて参りたいと考える次第でございます。
  60. 片岡文重

    ○片岡文重君 公取委員長さんにちょっとお尋ねしたいのですが、私お尋ねするのは、むしろこの委員会よりも、通産その他所管の委員会でお尋ねすべきことだと思うのですけれども、参考のために伺っておきたいのですが、大へんまあ最初に失礼なことを言って恐縮ですけれども、今日、公取委員会に寄せる国民の信頼感というものは、ほとんど私はないのじゃないかと思うのです。最近における新聞紙の値上がり問題に関してもそうですし、幾多の事例をあげて、公取委員会は一体何をしているかという不満が相当強いように私は聞いているのです。この委員会においてすでに何回か御出席をいただいて御意見なり御答弁を伺っておるわけですが、どうもその御答弁の中から見てこれは私だけの感じかどうかわかりませんけれども、少なくとも今日公然と行われるような不正取引を、すみやかに撲滅しなければいけない、少なくとも是正しなければいかぬというような旺盛な意欲というものをお持ちになっておられるのかどうか、何かこう私には、大へん失礼ですけれども、たよりないように、意欲に欠けておられるのではないかというような気がしてならぬのです。そこで率直にお尋ねしたいのは、一体そういう不信を持たれる、もっとしっかりしてくれなければというこの国民の期待を満足させることのできないというのは、一体どこに理由があるのか、たとえば今日の公取委員会の組織の面において、何か是正しなければならぬところがあるのか、あるいは公取の中における委員を初め、各職員の不足であるとか、あるいは活動するに十分な予算が与えられておらないとか、何かいろいろと理由があると思うのです。かりに今日の機構でいけない、今日その国民の期待にこたえることができないとお認めになるならば、その原因は一体何であるか、あるいはまた、いや今日の公取の活動はこれでもって十分である、これ以上の機構の改正も要らなければ要員も要らぬ、予算も要らぬ。今日の要員で十分やっていかれる。今日与えられておる使命は十分に果たしておられるとお考えになっておられるのか、その辺の御所見を私はこの際伺っておきたいと思う。
  61. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 公取の活動につきましては、いろいろ批判もあるようでありますが、私どもといたしましては、現在の予算、現在の定員でできるだけやっておるつもりであります。その結果いろいろ批判があるというのはわれわれの努力が足りないのだと思いますけれども、少なくとも私自身はまだ公取に入って一年にもならないのでありますが、この前の予算のときにもいろいろ政府、予算官庁に要求したのでありますが、いろいろの調査というものが非常に人数が少ないもんだから、やはり私の方としては今お話しのありましたいろんなことをやるにしても、基礎調査というものが十分できてないというのが非常に困る。まあ残念ながら他の役所から調査をいただくというようなことが多いのでありますが、まあ各役所はその役所の行政を中心としての調査でありますからして、われわれの立場調査とは必ずしも一致しない。そこでわれわれは独自の調査をして、それに基づいてやっていきたいと思うのでありますが、現在の予算、先般申し上げましたが、一億二千万円、ほかの省に比べれば非常に小さい予算でありますので、これを調査機能というものをもっと発揮させるための予算獲得の努力、若干努力したのでありますけれども、政府のいろいろ財政の都合がありまして、そう私の思う通りにもならなかったのでありますが、そういう点をさらに拡充するならば、もっと公取の活動はりっぱなものになるというふうに考えております。
  62. 片岡文重

    ○片岡文重君 現在の予算、現在の規模の中ではできる限りのことをやっておるというお話しでございますが、確かにそれはそうでありましょう。今日の規模の中で万全の努力をされておるとは思いますが、しかし、予算はどこの省でもどこの組織でもなかなか要求通りには政府としても配賦しておらぬようです。これはまあ総ワクが足らないからということになるでしょうが、しかし、この公取のような組織というものは、これは日本の経済の進展にとって非常に大きな役割を果たすものですから、私は政府としても相当力を入れてしかるべきものだと思うのです。従って、これに対する要求の獲得については、まあ圧力団体というものがおありにならぬようですからやむを得ないでしょうけれども、特に圧力団体になるようなところがむしろ公取の方にはあまり好意を持たれないところも多いようですから、これはまあやむを得ないと思うのですけれども、しかし、私はそういういろいろな制約があったとしても、もっとやはり旺盛な意欲を持ってその組織の中で活躍していただきたいということを痛切にお願いせざるを得ない。同時に、この予算の獲得についてここに与党のそうそうたる委員諸公も御列席のことでありまするし、かつ、党内の実力者であられる委員長もここにとくと聞いておられるのですから、次の予算獲得について十分私は配慮してくれると思いますので、これらの諸君を圧力団体に加えて、予算獲得あって、少なくとも今日公取に寄せられておる国民の不信というものを一日もすみやかに払拭をして、公正なる機関であるということだけは私は認識させる必要があると思うのです。このために一つ万全の努力をしていただきたいということを要望申し上げておきます。
  63. 小柳勇

    ○小柳勇君 この前私は、公正取引委員会が、池袋の薬品の乱売等は、一番大きな力をもって調整できると理解して質問をいたしました。その後ずっといろいろ文献を読んだり調査しておりますると、そうばかりでもないような印象がございます。で、厚生省自体も薬務局があって、監視官がおられ、そういうような厚生省の活動もそれを調整しようとするならば、ある面からそれが調整できるような気がしてならぬのでありますが、厚生省薬務局長がおられるが、この委員会で取り上げて以来、どういうような活動をされてその乱売が問題になったときよりも、現在は、地方の広がり、その他競争などよくなったのか、悪くなったのか、局長から御報告願いたい。
  64. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) この委員会において取り上げていただきましたのが、今月の十一日の午前であったと記憶いたしております。その前日、東京都の関係者を呼びまして、私どもいわゆる池袋問題に対する措置を相談をし、かつ、指示を与えたのであります。その一つは、第一に、ごらんになりましたように、薬に関する宣伝としてはいかがかと思われるような、あるいは乱用を誘致するような、そういうような宣伝の方法一つやめてもらいたいということが第一点。それからあるいは、ロット番号を切りとったり、抹消したりした商品もあるやに聞いております。中には九割引、あるいは八割引というような、非常に、常識では考えられないようないわゆる乱売の行なわれている商品もあるし、こういったロット番号を切りとったりあるいは特に乱売のひどいというようなものについては、やはり薬事監視上細心の注意を払っていかなければならない面であるから、随時回を重ねて薬事監視を厳重にして、不良品が民間の一般消費者の手に渡ることを防止するということについて、一つ万全の方策を講じてもらいたい。同時に同じような見地から、そういった品物については、一つ正式にその入手先というものを明らかにいたしまして、その先をさらに薬事監視をする。そういうような措置を考えてもらいたい。それから同時に、メーカー、卸、あるいは薬剤師協会、こういった団体の責任者にお集まりいただきまして、今の趣旨をよく伝えるということと同時に、あの事態を正常に戻すということについて、一つさらに一そう協力をして措置を一つ考えてもらいたい、そういうようなお願いをいたし、そして十一日午前当委員会においてお取り上げいただきました後、都においては関係者を呼びまして、今私が申し上げました点を十分伝えて、そしてたとえば宣伝方法の是正ということについては、その後、両三日の間いろいろな経緯はございましたけれども、終局においてはあの当時ございましたあるいはサンドイッチマンであるとか、あるいはチラシであるとか、そういったようなものはやめるということに話がきまりました。それと同時に、いわゆる三共——トモの方、三共の方の関係者が小売協同組合に入れてもらいたい、あるいは薬剤師は薬剤師協会に入れてもらいたい、そういうような希望があったのであります。この点については、都の方も中に入って善処する、そういうような話し。それから薬事監視につきましては、その後実施いたしておりますが、都の方で収去いたしましたものについては、都の試験所において検査をいたしております。これは検査の性質上、若干の日数を要すると考えられますので、まだ正式な報告は受けておりません。それから入手経路の報告につきましても、都の方にその報告を求めておりますが、まだ都の方から私の方には報告が参っておりません。  いずれにいたしましてもそういうようなことで、一応非常に極端な形における状態はある程度是正できたと考えておりますけれども、いわゆる値引きの販売、まあ乱売といいますか、そういったことは、当時のいわゆる非常に一時的な極端な状態というものは多少是正されたと考えておりますけれども、ある程度の値引きそれ自体は、これはまだ終息はいたしておりませんが、これらの点についてはなお都を加えて三者間で努力いたしております。  それから一方、先ほど申し上げましたメーカー、卸あるいは薬剤師協会、これはそれぞれの立場で、これは池袋問題に限らず、全般問題としてもいろいろ熱心に対策を腐心しておられる状況でございます。  以上、一応御報告申し上げます。
  65. 小柳勇

    ○小柳勇君 質問の中で、東京都以外の、たとえば大阪あるいは京都、福岡などの乱売の情勢についてはどうですか。
  66. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これはこの前も申し上げたかと思いますが、東京に先んじて大阪岐阜あるいは名古屋あるいは福岡、今お話のありましたようなところにおいて池袋と同じ形態ではございませんけれども、いわば同じような乱売状態というものが現出をいたしまして、そうしてそれぞれの地方の関係者においてはずいぶんこの問題について、これが終息について苦慮をいたしてきております。池袋問題が起こりました以後において、それらの地域においてさらに同じような形態が再燃をする、あるいはさらに一そう激化する、そういうような現象は起こっておりませんけれども、しかし、従来のある程度固定した形での状況というものはなお続いておると考えております。
  67. 小柳勇

    ○小柳勇君 大臣も見えたようでありますから、質問はこれで最後にいたしますが、厚生省としては——この問題はなおわれわれの認識では乱売の情勢にあると思う。また、これが地方に広がる形勢もなしとしないと思うのです。そういうものについて厚生省はこれからどういうふうな対策をして収拾に決意をもって当たられるかという点、これは局長から答弁願いたい。
  68. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 先ほどちょっと報告を漏らしましたが、その当時と比べますと、両方とも売り上げは相当減っているというふうに聞いております。  それから全国的な問題としては先ほど来申し上げておりますように、まずメーカー、卸、小売、この三者の協議会による協力あるいは是正方策の確立というもの、これを急がせたいというふうに考えております。これにつきましてはまず第一に、メーカーの方の、いわゆる大手筋のメーカーの間において現状の状態を是正をするためにあるいは販売方法等についていろいろ研究をし、検討を重ねて参っておったのでございますが、御承知のような事態とも考えあわせて、さらにその努力を加速度的に進めまして、おおむね結論に近いところまで進んで参ったように私ども承知いたしております。もちろんこれはメーカーお互い検討でありますので、これが実施を確保するということはまた一つの大きな事業だと思いますけれども、せっかく今日までそういう目的努力をし、真剣に検討して参っておられますので、相当程度これによって効果が上がるものと私どもは期待をいたしております。これに関連をして、当然卸あるいは小売の関係につきましても、同じような考え方に立って流通の正常化あるいはいわゆる乱売状態の終息による平常化ということについてのそれぞれ対策を急速に検討中でございます。これら三者さらに帰一いたしまして、流通過程の正常化が期せられることを期待をいたしておりますけれども、同時に、これは役所の方といたしましても、先ほど来だんだん御質問のありました中小企業団体法に基づきます商業組合の組織確立あるいは調整規程の制定というものについて努力をし、これらに対するいわゆる自主的の立場においての組合員相互間の努力というものを期待すると同時に、いわゆる公正な取引という立場から公取委員会とも最終的な形態についてはいろいろ研究を重ねて参りたい、かように考えております。
  69. 小柳勇

    ○小柳勇君 今大事なことを発言されましたので、重ねて質問しておきますが、メーカーにこの乱売を収拾するように御協力願うということを今言われました。私どもも薬品についてはまだ十分な調査はできませんが、オートメーションによる乱造、これは外国の市場がないから国内の市場で消費しようとする、需要と供給のアンバランスがああいう池袋の情勢、京都の情勢となって出てきておると思うのですが、メーカー乱売に対して収拾しようという協力態勢についてお答え願いたい。
  70. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 時間も経過しておりますので、簡単に一つお願いいたします。
  71. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは今日に至るまでのことにつきましては、これはメーカーにはメーカーとして、卸には卸として、小売には小売としてそれぞれの原因と理由があるわけでございます。終局的にはそれらがすべて解決しなければ完全な終息は来たされないのでございますが、しかし、そのうちの重要な要素を占めておりますメーカーとしては、販売方法等について従来やっておりますことを検討して、それについてできるだけ正常な流通が確保されるような取引というものを検討する、そういうことでございます。
  72. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後に、取引委員長にお伺いいたしますけれども、定価の決定、定価を引くことの問題に対して高野委員が追及しておられたようであります。また、取引委員会は独占事業の取り締まりが中心であったでしょう、こういう問題は枝葉の問題のように考えておられるように理解いたしますけれども、やはりこういう問題が出ると、それだけではなく、ほかの商品にずいぶんそういうものが出てくると思います。従って、根本的に公取委員会として検討されたことがあるのか、あるいはこれからしようとされるのか、決意のほどを伺いたいと思います。
  73. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 薬の問題につきましては、地袋で現在問題がありますが、その前にすでに大阪の方面にもありましたので、しかして、その薬の生産というものは御承知通り、道修町を中心とした大阪に大きなものがたくさんあります。大阪については相当調べております。ただし、なかなか調査に時間がかかりまして、一応の中間報告は受けていますけれども、全部調べるという段階には至っておりません。いずれにいたしましても、私の方といたしましては、こういうことに全然無関心ではおりませんし、できるだけ経済の実態を調査して、公取委の権限の範囲内のことについてはできるだけの努力をしていきたい、こういう考えでおります。
  74. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、医薬品乱売問題に対する質疑はこの程度にしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めましてさよう決定いたします。   —————————————
  76. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) この際、理事補欠互選を行ないたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。それではこれより理事補欠互選を行ないます。委員外に転出のため欠員となりました前理事藤田藤太郎君の後任理事補欠互選を行ないますが、その方法は便宜上成規の手続を省略して、委員長の指名とすることにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。それでは理事藤田藤太郎君を指名いたします。   —————————————
  79. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  80. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて。  それでは、医療金融公庫法案社会保険審査官及び社会保険審査会法の一部を改正する法律案精神薄弱者福祉法案、以上三案を一括議題といたします。ただいま厚生省からは渡邊厚生大臣、森本官房長、川上医務局長、黒木医務局次長、高田薬務局長高田社会局長、小山年金局長山本保険局次長等が出席をしております。  それでは、ただいまから厚生大臣の提案理由の説明を聴取いたします。
  81. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) ただいま議題となりました医療金融公庫法案の提案の理由を御説明申し上げます。  国民の健康な生活を確保するため、国民皆保険の制度が、現在着々とその実現を見つつあるのでありますが、これがためには、公私の医療機関の適正な整備と機能の向上をはかることが必要であります。  現在、公的医療機関に対しましては、国庫補助、政府融資等の施策が講ぜられ、その整備の推進がはかられているのでありますが、私的医療機関につきましては、これらの点について十分とは言い得ないのでありまして、現下における私的医療機関の担当すべき役割から見て、その適正な整備及び機能の向上をはかるためには、これに必要な資金を財政資金により長期かつ低利に融通する道を講ずることが必要と考えるのであります。  現在、財政資金による融資の道といたしましては、国民金融公庫及び中小企業金融公庫があり、これら両公庫によって私的医療機関に対する融資もかなり行なわれているのでありますが、これら既存の公庫の融資によりましては、ただいま申し上げましたような私的医療機関の整備の見地から申して、十分にその目的に沿い得ないものがあると考えられます。従って、このような目的に沿うよう最も効果的な融資を行なうための専門の金融機関として、医療金融公庫を本法案により新設することといたした次第でありまして、昭和三十五年度において、一般会計からの政府出資十億円をもって公庫の資本金とし、これと政府資金の借入金二十億円との合計額三十億円をもって発足することといたしておるのであります。  本法案におきましては、公庫設立の趣旨に基づいて、公庫の目的及び業務の範囲を定めるとともに、役員の任命など公庫の組織に関すること、予算、決算その他の公庫の会計の方法、公庫の業務についての主務大臣の監督等について他の公庫の例にならい規定することといたしましたほか、公庫と中小企業金融公庫との業務の調整に必要な中小企業金融公庫法の一部改正、その他同公庫の設立に伴う必要な措置を講ずることといたしております。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。   —————————————  社会保険審査官及び社会保険審査会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  すでに御承知通り、昨年十一月からその裁定が開始されております国民年金法による年金給付または同法による保険料等に関する処分に対する再審査請求につきましては、健康保険、厚生年金保険等の被用者保険に関する事件と同じく社会保険審査会においてこれを取り扱うこととされております。従って、同審査会において処理すべき審査及び再審査の事件数は、ますます増大することとなるのでありまして、現在のままでは事件処理に支障を来たすことが予想されますので、審査に当たる委員の増員が必要であります。これが今回本法案を提出するに至った理由でありまして、これによって、審査及び再審査事件の敏速かつ公正なる処理を期したいと考えておる次第であります。  次に、法案の要点について申し上げますと、第一に、従来、委員長一人及び委員二人計三人をもって審査会を組織しておりましたのを、新たに委員三人を増員いたしまして、委員長一人及び委員五人計六人をもって審査会を組織することとしたことであります。  第二に、事件処理の方法でありますが、事件の実際の審理及び裁決につきましては、委員長及び委員のうちから審査会が指名する三人の者を審査員とする合議体がこれに当たることとし、特に審査会が定める場合においては、委員長及び委員の全員を審査員とする合議体がこれに当たることとしたことであります。この場合、各合議体においては、その審査員のうち一人が審査長となってその合議体の行なう審査手続を総括するのでありますが、委員長の加わる合議体にありましては、委員長が常に審査長となり、その他の合議体にありましては、審査会が指名する者が審査長となることとしたのであります。  第三に、審理及び裁決以外の事項、たとえば事件の配分等、審査会の行政事務につきましては、委員長及び委員全員の会議によって、これを決することとしたことであります。  第四に、国民年金の被保険者及び受給権者の利益を代表する者四名を指名し、これらの者は、国民年金に関する事件の審理期日におきまして請求人のために意見を述べることができることとして、被用者保険に関する事件の場合と全く同様の仕組みといたしたことであります。  第五に、右のような改正に伴って必要な条文の整備を行なったことであります。  以上をもちまして、提案の理由を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第であります。   —————————————  ただいま議題となりました精神薄弱者福祉法案の提案の理由を御説明申し上げます。  精神薄弱者の数は、全国で約三百万人とされているのでありますが、その中には、適切な保護のもとに指導と訓練を行なえば、日常生活はもとよりその能力に応じて生産活動に従事し社会の一員として自活していくことも可能な者が相当数含まれていると推定されるのであります。従って、政府といたしましては、従来からその福祉をはかるため各般の施策を講じてきたのでありますが、精神薄弱者に対する社会一般の理解や関心はきわめて薄く、また、指導訓練に必要な学校、施設及び専門職員も不足がちで、多くの者は、今なお家族の重い負担となり、さらには各種の社会悪の原因ともなっているのであります。  その対策は、まず発生の予防と治療方法の発見であり、政府といたしましては、今後ともこの方面の調査研究に力を注いでいく所存でありますが、同時に現在ややもすると福祉の措置に欠けるきらいのある精神薄弱者に対し、すみやかに、総合的な援護施策を講ずる必要があると考えるのであります。  この法案は、その一環といたしまして、精神薄弱者の相談、判定、指導等その福祉をはかる行政機構の確立と、精神薄弱者の保護及び指導訓練を行なう援護施設の整備等について必要な事項を規定したものであります。すなわち、第一に、精神薄弱者に対する福祉措置の前提となる専門的な判定を行ない、あわせてその相談、指導をつかさどる機関として各都道府県に精神薄弱者更生相談所を設置すること、第二に、精神薄弱者の相談、指導等を専門的に行なう職員として精神薄弱者福祉司を置くものとすること、第三に、自立更生の助長と保護のためにとるべき措置を規定すること、第四に、公立の援護施設に対し設置費の二分の一、運営費の十分の八を国が負担するものとすること、第五に、精神薄弱者福祉対策の推進のために広く学識経験者調査審議をお願いする審議会を設けること、以上がこの法律案のおもな内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  82. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 次に、各法案について細部説明政府委員より聴取いたしたいと思います。  まず、医療金融公庫法案から細部説明を願います。
  83. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 他の公庫と異なる点につきまして補足的に御説明申し上げたいと思います。  第一は、この公庫法案の目的でございますが、これは提案理由に出ておりますので、省略させていただきます。  第二は、業務でございます。この公庫は、その目的を達成するために次のような事業に必要な資金の貸付を行なうことになっております。第一が病院の新設及び増床、第二が病院の改築反び増築、第三に診療所の新設、第四に診療所の改築及び増築、なお、この病院、診療所の中には、医師、歯科医師が共同で利用する目的をもって臨床検査を主体とした医療機関の新設及び増改築を含んでおります。次に、薬局の新設、薬局の改築及び増築、それから病院または診療所等を新設した場合の運転資金、最後に重要機械器具の購入でございます。  次に、公庫の業務の運営につきましては、最終的には業務方法書によって具体的にきめられますが、一応次の事項が予定されております。  第一は、貸付の相手方でございますが、個人または医療法人、公益法人その他政令で定める法人、この政令で定める法人には社会福祉法人が予定されております。こういうもので、病院、診療所、薬局その他政令で定める施設を開設するもの、政令で定める施設の中には、授産場が考慮されております。  次に、貸付金の使途でございますが、……。
  84. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 ちょっと委員長お話中はなはだ失礼ですが……。
  85. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  86. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起こして下さい。
  87. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) それでは要綱に関連いたしまして、お手元の参考資料の第二に、法律案要綱とございます、五ページにございますが。この第七ページの第四の業務から御説明申し上げます。先ほど申しましたように、公庫は一病院、診療所、薬局その他政令で定める施設を開設する個人又は医療法人、民法第三十四条の規定により設立した法人その他政令で定める法人に対し、当該施設(当該施設の運営に関し必要な附属施設を含むものとし、薬局にあっては、調剤のために必要な施設とする。)の設置、整備又は運営に必要な資金の貸付けの業務を行なうこと。」ここで政令で定める施設というのは、政令で定める施設を開設するもので、この政令で定める施設というのは授産場を予定しておるのでございます。それから「その他政令で定める法人に対し、」これは社会福祉法人を予定をいたしております。  次に第二に、「公庫は、主務大臣の認可を受けて、金融機関に対し、その業務の一部を委託することができること。」これは直接公庫が貸し付けないで、都道府県単位にあります金融機関に対しまして、その貸付の業務を委託する。  それから第三に、「公庫は、業務開始の際、業務方法書を作成し、主務大臣の認可を受け、これを変更しようとする場合も、また同様とし、業務方法書には、貸付金の使途、貸付けの相手方、利率、償還期限、据置期間、貸付金額の限度、償還の方法、担保に関する事項等」がきめられるのでございます。以上が業務の大要であります。  会計等は、他の金融公庫の会計と同じで、公庫の予算及び決算に関する法律というものの定めによりまして運営をされるわけであります。  それから第六の、監督は、主務大臣が監督をしますが、主務大臣は厚生大臣と大蔵大臣でございます。  それから第八の、その他の、第三項に、中小企業金融公庫法との関係が書いてございます。「公庫の成立の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日以後は、中小企業金融公庫の貸付対象から医業を主たる事業とする法人を除くこと。」大体以上の三点が、他の公庫と違いました特質でございます。  なお公庫は、七月一日に開設をいたしまして、八月の十六日から貸付の業務を開始する。なお、公庫の役職員は、役員が五名、職員が二十五名で初年度は発足する。政府の出資金、預金部資金からの融資額は、先ほどの提案理由の説明通りでございます。  以上の通りでございます。
  88. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは次に、社会保険審査官及び社会保険審査会法の一部を改正する法律案の細部説明をお願いいたしますが、ただいま説明の中途で、委員の方から御注意がありましたように、資料がありますれば、資料を摘出しながら、理解しやすいように御説明をお願いします。
  89. 山本淺太郎

    説明員山本淺太郎君) お手元に配付してございまする資料の五ページをお開きいただきまして、この法律案の要綱の意に沿いまして、簡単に御説明申し上げます。  改正の目的は、ただいま大臣から提案理由の御説明にございましたので、省略いたします。  第二は、改正の要点でございますが、「審査会は、委員長及び委員五人をもって組織する」、御承知のことでございますが、念のために、社会保険審査会のやっております仕事の内容を申し上げますと、健康保険法、日雇労働者健康保険法、船員保険法、厚生年金保険法、このような社会保険につきましての被保険者の資格だとか、標準報酬だとか、あるいは保険給付といったようなものに対しまして、行政処分が行なわれますが、これについて不服のありまするものは、都道府県に置かれておりまする社会保険審査官というところに申し出るわけでございます。そういたしまして、中央にございまするこの社会保険審査会には、今申しました社会保険審査官が行ないました決定について、さらに不服のあるものが、再審査の形で出て参りますほかに、保険料その他の徴収金の賦課あるいは徴収の処分といった事件につきましては、直接この中央の審査会にくるしかけになっております。  なお、国民年金法の制定とともに、年金給付、保険料その他の徴収金の賦課、徴収は、前段に申し上げましたように、都道府県の社会保険審査官のところへ出て参りまして、それが再審の形で、中央の社会保険審査会にくるという法令のしかけになっております。  そういう任務を持っておりまする社会保険審査会でございますが、国民年金の再審査事務が新たに加わりましたために、現在の三人ではとうてい事件の処理ができないという事案にかんがみまして、今回委員三人を増員しようとするのが、改正の第一に書いてあります根本でございます。  それでは次に、そのような六人になりました審査会の構成内部におきまして、この審査会の本体でありまする審査事務は、なるべく敏速に能率的に処理してあげますことが、そういう申し立てを行ないました方々に対する必要なことだと存じますので、行政委員会といたしましては非常に異例の措置でございますが、常に六人の委員全部が審査の合議体を構成するという形を原則としてとりませんで、原則として審査長一名、委員二名という三名の合議体で審議をする、こういうことにいたしたわけでございます。このような例は、現在地方更生保護委員会というのが、やはり九人以内で組織するとなっていまして、実際は三人の合議体で審査をするというふうな法令の前例がございますので、おおむねそういう思想によりましてこのような措置を考えた次第でございます。それから、そうはいいましても、従前の審決例と異なるような審決をする場合、あるいは法令の解釈につきまして従前とってきました解釈と変わった解釈のもとに審査をするというような事案の場合は非常に重大でございますので、特に六人全員で審査をするという第二の合議体を考えてこのようなこともできるのだという規定をとっております。それが大体第二でございます。  それから第三項は、審査会の再審査及び審査以外の会務、たとえばどの委員をどの審査会に当てはめるかといったようなこと、あるいはたとえば国会等にこの審査会の行政内容の報告等を求められる場合に、どういうふうな報告をするかといったような、いわゆる事件の審決それ自体とは異なった会務というものがございますが、こういう場合には、委員長及び委員全員の委員会議というものに諮って決定をする。しかし、それはあくまでただいま申しました審査の第二の場合の全員の合議体の会議とは別のもので、会務としての委員全員の会議でございます。  それから第四項は、厚生大臣は、国民年金の被保険者及び受給権者の利益を代表する者として四名を指名するということでございますが、これも御承知のように、現在の、先ほど申し述べました各社会保険におきましては、それぞれ同種の関係団体の推薦を受けまして、同種二名ずつ、計四名、法律が四つございますので十六人の利益代表者が現在厚生大臣によって指名されているのでございますが、この国民年金の場合におきましても、やはり被保険者なり受給権者という比較的発言の弱い方々のために十分弁護をしてあげるというような方を指名することが、そういう被保険者の利益擁護の上から緊要なことだということで、同様の思想に立ちまして利益を代表する者四名をやはり置くようにしたいというように考えておる次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、法案の要綱は以上でございます。
  90. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 次に、精神薄弱者福祉法案の細部説明をお願いいたします。
  91. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) お手元に御配付申し上げてあります資料の五ページに要綱が載っておりますから、これに従って御説明を申し上げたいと存じますが、その前に、御審議の御便宜のために若干バック・グラウンド的なことについて御説明をいたしたいと思います。その資料の六十一ページをお開きを願いますと、それ以下に若干の参考資料といたしまして、いろいろな数字があがっております。  で、六十二ページに「精神薄弱者の分類」というような項がございまして、若干のことが書いてございますが、この本法案の対象といたしまする精神薄弱者と申しまするのは、俗にいう知能の程度の低い人々をさしておるのでございます。それで、それの六十二ページに書いてございまするように、知能欠陥の軽い方から普通魯鈍、痴愚、白痴というふうな三種類に分類をいたしておるのでございます。魯鈍と申しまするのは知能検査法によりまする知能指数が大体七〇から五〇程度の者、痴愚といいまするのは五〇から二五程度の者、白痴というのは非常にひどい者でございまして、二五以下を普通さしておるわけでございます。それで、これの魯鈍、痴愚、白痴というふうな程度に該当をする人々の状態がどうであるかというふうなことにつきましては、それぞれのところに若干の説明が加えてあるわけでございます。  しからば、かような方々が一体わが国にどのくらいおるかという問題でございますが、その次に、六十四ページに「精神薄弱者数」という参考資料がございまして、今まで私どもの入手し得る範囲内におきまする資料をここに大体並べてあるわけでございますが、率直に申しまして、精神薄弱者の的確な、非常に確信のある数字を今まで調査をいたしてございません。ただ、そこにございまするように、昭和二十九年に精神衛生の実態調査というのをやったわけでございまするが、これで、この調査から全国推計をいたしますると、痴愚、白痴、いわゆる五〇以下程度の者が総数で五十八万くらいあるのではないかという統計資料があるわけでございます。年令で分類をいたしますると、そこに、表に載っておるようなことでございます。さらに、これより少し知能欠陥の程度の軽い魯鈍級ということになりますると、五〇以下ほど的確な資料がないのでございますが、そこにいろいろ書いてございまするようなものから推計をいたしまして、大体二百五十万程度ではあるまいか、従って、魯鈍級をも含めた全体の精神薄弱者は大よそ三百万人程度ではあるまいか、こういうふうに推計をいたしておるわけでございます。  それで、普通考えられまするよりは非常に多くの精神薄弱者がわが国に存在しておるわけでございますが、これが措置と申しまするか、福祉の問題につきまして、先ほど提案理由で大臣から御説明申しましたように、大した何と申しますか、進んだ措置が今まであまりとられておらない。しかるに、これらの精神薄弱者の人々は、非常に家庭では重い負担になっておりまするし、さらに進みましては、不良少年でありまするとか、あるいは犯罪者でありまするとか、転落をされた婦人等の中に精神薄弱の方々が非常にたくさんおられるというふうなことを考え合わせますると、この問題は相当腰を入れて取り上げなければならないというふうに私ども考えておるわけでございます。  さような観点からこの法律案を御提案申し上げたわけでございますが、この法律案と別に、提案理由の御説明にもございましたように、精薄の問題といたしましては、まず、こういうふうな精薄が発生しないように、発生の予防をいたし、あるいはなりました者の治療をいたすというふうな分野が、実は非常に大きな分野になってくるかと思うのでございます。この問題につきましては、従来から学問的にもいろいろ若干の研究はあるようでございますが、さほど進んでもおりませんので、今般、これは公衆衛生局の所管でございまするが、三十五年度の予算案の中に、精神衛生研究所に特に精薄部を設けていただきまして、ここで発生の予防なり、あるいは治療面についての研究並びにそれらの研究者の連絡というふうな仕事をやっていただきまして、その面の施策をも進めて参るという予定に相なっておるわけでございます。それで、それらのことを除きまして、実際に精神薄弱である人の福祉を少しでもはかって参るということのために、本法律案を御提案を申し上げたわけでございます。  大体そういうふうなことでございまするが、資料の五ページに返りまして、この要綱について御説明を申し上げたいと存じます。  第一の目的でございますが、これは格別御説明を申し上げるほどのこともないかと思いますが、その更生を援助するとともに、必要な保護を行ない、そうして福祉の向上をはかるということでございます。  それから、第二の審議会から第六の精神薄弱者更生相談所まで、これらはいずれもお世話をいたすいろいろな機関でございまするとか、責任者というふうなものをきめて参ったわけでございます。既存の機関にそれらの仕事をやってもらうということもございまするし、必要あって新たに機関を置いて参るという趣旨のものもございます。  第二の審議会でございますが、これは、事柄が非常に専門的な知識、経験等を要しまするので、特にさようなことにつきましての専門家に御参加を願いまして、審議会を設置いたして参るということでございます。  第三の援護の実施機関でございますが、援護の措置をやる責任者というものを、そこに書いてございまするように、福祉事務所を管理する都道府県知事または市町村長ということにきめたわけでございます。福祉事務所は、御存じのように、大局的に申しますと、市にはみな福祉事務所が設置されておるわけでございますが、郡部は、都道府県が郡部を分割いたしまして、福祉事務所を設置いたしております。従いまして、郡部におきましては都道府県知事、市部におきましては市長というものがその責任者になる建前でございます。これは身体障害者福祉法と全く同様でございます。  それから、第四の福祉事務所でございますが、福祉事務所は、今日、御案内のように、福祉行政の第一線機関といたしまして、生活保護法、児童福祉法、身体障害者福祉法の運用施行に当たっておるわけでございますが、本法が成立をいたしましたならば、本法も福祉事務所をもってその第一線機関といたしたいと、従って、福祉四法を所管する第一線機関に相なるわけであります。  それから、第五の精神薄弱者福祉司でございますが、これは新たに精神薄弱者福祉司という専門の職員を置くということでございます。都道府県は必ず置いてもらわなければならない。しかし、福祉事務所を設置する町村は、これは置くことができるということで、必置の機関ではございません。それで、行ないますることは、直接専門的にケース指導を行なうということと、福祉事務所の一般ケース・ワーカーの技術指導を行ないますることを任務といたしまして、必要な知識能力を有する者から任用して参る、こういう建前に相なるわけでございます。今日、身体障害者の面におきましては、身体障害者福祉司というものが存在をいたしておりましてこれが身体障害者福祉行政の中核として働いていただいておるわけでございます。それに対応したような福祉司を置いて参りたい、こういうことがねらいでございます。  それから第六の相談所でございますが、身体障害者の場合もこれがあるわけでございまするが、医学的、あるいは心理学的、あるいは社会的、職能的と申しますか、いろいろな面から専門的扱いをきめる必要がございまするので、専門家を置きまして、その手でさような判定を行なう機関を設けたいということが主たるねらいでございます。なお、家庭その他からの直接のいろいろな相談にも応ずる、こういう任務を持っておるわけでございます。  第七の援護の措置でございますが、大きく分けまして、精神薄弱者福祉司または社会福祉主事の指導に付するということ、目を放さないようにしてめんどうを見ていくということが一つでございます。それから二番目には、施設に入れてめんどうを見ていくということでございます。それから三番目は、特別な奇特な方があるわけでございますが、そういう方に預けまして、適当な職能訓練等をお願いをしていくということでございます。援護の措置は、簡単に申しますると、その三種類になるわけでございます。  それから、第八の精神薄弱者援護施設でございまするが、「精神薄弱者援護施設は、十八才以上の精神薄弱者を入所させて、これを保護するとともに、更生のための指導訓練を行う施設とすること。」と書いてございまするが、具体的には、収容をいたしましていろいろめんどうを見ていくという施設と、家から通って参りましていろいろ授産等をやることによって指導していくということと、二つの種類を考えております。  ここで若干御説明を加えたいと思いますることは、今日まで児童の精神薄弱につきましては、児童福祉法で相当な仕事をやってきております。資料の六十六ページに精神薄弱者施設という項の中で精神薄弱児施設という表が載っておりまするが、それでごらんいただきまするように、児童の精神薄弱児施設につきましては総数で収容施設が百十三、それから通園の、いわゆる通って行く施設が二十一でございます。これで相当実は仕事をやってきておるわけでございますが、ところが、その次のページをめくっていただきますると、児童でないおとなの方の関係につきましては、そこにございまするように、公立が本年度三施設予算が入っておりまして、やがてでき上がるというところでございます。それから社会福祉法人立がそこにございまするように五つございます。なお、このほかに財団法人立、個人立等も若干はございまするが、大体こういうふうな状況でございます。それでこれをごらんいただきますると、児童の方につきましては相当やっておるが、おとなの方についてはほとんど施設の面からだけでも非常に貧弱であるということがおわかりをいただけるかと思うのでございますが、それで今日おとなの方はどうしておるかと申しますと、生活保護法の救護施設という種類がございまして、これは単に精神障害だけでなく身体障害の方もあるわけでございますが、非常に自分自分の世話ができないというような人を、しかも施設に収容しなければならないというような人を収容いたす施設がございます。その救護施設に精神薄弱者の方も入っておるわけでございます。こういうふうな関係になっておるわけでございます。それで今回この法律によりまして精神薄弱者援護施設というものをはっきりおきめを願いまして今後これらの面につきまして伸ばして参りたいと、かように考えておるわけでございます。この援護施設につきましては、その要綱の第八の2以下に書いてございまするように、都道府県が設置いたしました場合には設置費の二分の一、運営費につきましては十分の八を国が負担する、市町村、社会福祉法人、その他のものは都道府県知事の認可を受けまして設置するのでございまするが、市町村が設置いたしました場合には二分の一を国が、四分の一を都道府県が負担をいたします。運営費の十分の八を国が負担する。それから援護の実施機関、先ほど御説明をいたしました都道府県知事または市町村長でございますが、これが社会福祉法人の設置する精神薄弱者援護施設に収容の委託をしたときは、それらの公共団体がその委託に要する費用を支払うということにいたしまして、その支払いましたものの十分の八を国が負担する、費用の関係につきましてはさようなことになるわけでございます。  以上御説明申し上げました。
  92. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいま三案に対する提案理由の説明並びに細部の説明を聞きましたが、本案に対する質疑は次回以後にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。それではさよう計らいます。   —————————————
  94. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を落として下さい。    〔速記中止
  95. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起こして下さい。  それではただいまから明和三十五年度厚生省関係予算案についての質疑を続行いたします。
  96. 坂本昭

    ○坂本昭君 本日は大臣の出席が非常におくれまして、予定の時間も迫っておりますし、それからまた、大蔵省の関係者がただ一人も出席しないという大へん遺憾な状態でありますので、私の予算に関する本格的な質問は次に延ばします。しかし、本日は予算の審議を進める上において必要な点並びに緊急な点だけを時間内にお尋ねいたしたいと思います。  最初に大臣に申し上げたいことは、私個人の意見ではなく、いわば当委員会の全体的な意見というつもりでお聞きいただきたいのであります。それは先ほど来もちょっと法案の提案理由の説明の中で問題が出ましたが、私はそのことがあったがゆえに取り上げたのではなくて、初めから実は申し上げたいと思っておったのであります。大臣は非常に熱心にまた誠実にお務めになっておられますが、どうも資料の提出とかあるいは委員会との連絡におきましてきわめて不十分な点が多いのであります。これは前国会におきまして高野委員からも強く指摘され、その後一回のみならず、委員から意見が出ております。しかし、どうもはなはだ残念ながらスムースに運ばれていない。われわれとしては、行政府と立法府と超党派的に連絡を緊密にして社会保障を進めていきたい、そう思っているのですが、ほかの省に比較してどうもそういう点が円滑を欠いているという感じがあります。すでに官房長に対してもいろいろ意見を求めたこともあります。だれがこういう調節の任に当たるべきか、そういう点について十分御検討いただく、また、厚生白書、そういったものの資料についても、前はこういう厚生行政年次報告書というものをいただきました——いただきましたが、その後また非常に読みやすい美麗な装丁の報告書をいただきましたが、同じものですが、こっちの方はところどころまっ黒に墨でぬりつぶしたりして、どういうわけでぬりつぶしたかわからないが、これに比べてこっちの方がすっきりしているのです。こういうものの配付を委員からかなり切望があったのであります。理事としてもいろいろそれを取り計らったのですが、どうもまだ円滑に行なわれていない、これはどうも金がないのか、それとも何か工合の悪い点があるのか、私はその点についてまず大臣から御意見を承りたいと思うわけです。
  97. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) まことにどうも御指摘の通り皆さん方の御納得のいかないような連絡のしぶりであることがこの前から高野委員からたくさんの資料がありながらどうして回さないのか……。これはよく政務次官、官房長等に命じまして部内の総合調整をさせまして、さっそく局長会議を開きまして、できた書類は直ちにまっ先に委員の方々に配付、提供するというようにいたすことといたします。今までのところはどうぞ御了承下さい。
  98. 坂本昭

    ○坂本昭君 それではきょう責任ある大臣の御答弁をいただきましたから、今後は的確に行なわれることを期待いたしております。たとえば先般大臣の説明されました予算の説明につきましても、厚生省と労働省とわれわれは拝聴しましたが、厚生省は千六百四十七億、労働省が五百三億、厚生省の方が三倍であります、労働省より。これは一般予算。それから特別会計についても、私の計算だと、厚生省が二千二百七十億、労働省が九百十四億、労働省の倍であります。ところが、労働省の方は予算が少ないからかもしれませんが、この中の、たとえば失業保険特別会計、それから労災の特別会計、この内容を見ますというと、非常に精細にこまかく書いてくれています。見たらわかるのであります。ところが、厚生省の方のは、第一見てわからないのです。それから私ずいぶん点検しましたけれども、かなり詳しく書いてあるのに、この中に引揚援護局が抜けております。援護局がないのです。厚生省から抹殺されたか知らないけれども、私の資料の中にはない。こういうことでははなはだ困るのであります。たとえば厚生保険の特別会計なども、書いてあることは書いてあります。数だけ並べてあります。しかし、われわれはもっと中がほしい。そういう中のことは一つも書いてくれてない。非常に不親切だと思います。先ほどの提案理由の詳細の説明の中でも、ちょっと異議が出ましたけれども、どうも、皆さんはおわかりかもしれないけれども、われわれとしてはわからない。しかし、今度これを見まして、保険局の国民健康保険課はよろしいです。非常にこまかいことをここに書いてくれております。私は一つくらいほめておきたいと思います。これはこれを見たら全部よくわかります。こういうふうに書いていただくと、われわれも審議がスムースにできるのです。だから、なぜ資料を出し惜しみするかということです。この点はどうも資料を出し惜しみされるきらいがある。この点、以後出し惜しみしないということを大臣一つ明言していただきたい。
  99. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 御指摘の通り、まことに重々おわびいたします。これからは大いに精細をきわめたものを一つ出すことにいたします。
  100. 坂本昭

    ○坂本昭君 これは実は予算書だけのことではないのであって、一番大事な社会福祉という現業を預かる厚生省がどうもよらしむべし、知らしむべからずといった、何といいますか、官僚的、権力的といいますか、あるいは独断的、非民主的といいますか、何かそういう感じがするので、これははなはだ遺憾だと思います。  今度は大臣に緊急の問題として、たとえば社会保険審議会の議を無視して、健康保険の料率を千分の六十五を六十三にしようというようなことも、これはやはり何かそういう一連の関連があるのではないかと思うのですが、そこで今当面する緊急の問題として、社会保険審議会の審議を今の料率の問題については必要としないのかどうか、それをお尋ねいたします。
  101. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) それはすでに諮問をしてあるのでございます。ところが、二十二日の新聞に、あれは私どもよく知らなかったのでございますが、知らないというのは責任上まことに遺憾な点でございまするが、記者クラブにおいてあれをレクチャーしてくれぬかということで、一課長が参りまして、そしていろいろ話しをしておりましたのが、たまたま新聞に審議会の意向いかんにかかわらずといったような表現が出た。で、新聞社側もそれほどでもなかったのでございますけれども、やはりとり方がおもしろいもんですから新聞社側にも罪がなければ、うちの説明の仕方の表現が多少拙劣であったということであったのかもしれませんので、けさほど社会保険審議会の総会に私が参りまして、心からよくその点の事情を釈明して参りました。今後気をつけます。
  102. 坂本昭

    ○坂本昭君 今のは新聞の発表のあやまちがあったかもしれませんが、実は私自身関係しております社会保障制度審議会におきましても同じ問題が出ておるのであります。たとえば例の、きょう提案されました医療金融公庫、この問題について社会保障制度審議会——これは与党の人もおりますし、野党の人もおりますが、皆さんこういうことはやはり社会保障制度審議会としては審議をすべきではないか。——確かに社会保障制度審議会は法的には社会保障の制度の運営の大綱に関してはあらかじめ意見を求められなければならない。これが大綱であるかどうかということはいろいろ問題がありましょう。しかし、この間の予算折衝の中で、厚生省が一番苦労をした、そうしてそれだけに社会的な重大問題として扱われたこういう医療金融公庫について審議会の意見も無視して、そんなことはどうでもいいというふうな態度ははなはだ遺憾である、これは審議会に出席しておった人たちは、まず私とそれほど違わない大体考えを持っておると思うのでありますが、このことについてはいかがでございますか。
  103. 森本潔

    政府委員(森本潔君) ただいま御指摘になりました医療金融公庫法案社会保障制度審議会に諮問すべきではないかということでございますが、私たちいろいろ検討いたしましたところ、必らずこれは出すべきものであると判断するには少し無理があるのではなかろうかというような考えを持って、事務的にも審議会事務局と連絡をしたわけでございますが、審議会の事務局とされましては、そういう問題もありますので、資料といたしまして医療金融公庫法案を正式に要求されました。従いまして、諮問という形をとらずに、審議の参考のための資料として正式に提出をいたした次第でございます。若干議論があろうかと思いますが、さような扱いにいたしました。
  104. 坂本昭

    ○坂本昭君 時間の関係もありますから、この問題についてはそれ以上議論しませんが、厚生省では、十分慎重にやっていただきたい。特に相談しなければならない審議会を無視している一方においては、早く審議会を成立させなければならないもので怠たっているものがある。たとえば中央社会保険医療協議会あるいは医療制度調査会、これらのものについては、特に結核の患者さんたちの中にはストレプトマイシン耐性ができた人たちがカナマイシンの採用を非常に熱望している。しかし、これは中央社会保険医療協議会が成立しないとこれは採択できない、こういうふうに非常に差し迫まったものがあるのです。今のこの二つの、中央社会保険医療協議会と医療制度調査会について、大臣はいつこれを開くという方針を持っておられるか、お伺いしたい。
  105. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) まず今のところ、各方面といろいろ調整を保ちつつ国民医療というものの早急な整備体系を整えなければならぬ、こういうことから、まずめどを三月一ぱいくらいにつけて準備をいたしておるわけでございます。
  106. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは、先ほどの社会保険審議会の議に乗せることもすでに議事を終わられたという今の健康保険の料率の問題ですが、もしこれが今の社会保険審議会の方で討論した結果、料率を下げてはならないというそういう結論が出た場合には、厚生省としてはどうされますか。
  107. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) これはできるだけこの答申を私ども待って、答申に従っていきたいと、かように考えておりまするけれども、もしもその答申がなかなか、二つにも意見が割れて、出ないというときにおきましては、これはしばらく待つよりほかないと思います。
  108. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうしますと、これはすでに予算の中にも組まれていますし、非常に重大な意味を私は持っていると思います。で、その点を指摘しておいて、なお、この日雇労働者の健康保険法の一部改正の点と、厚生年金保険法の一部改正の点、これも実は皆さんの厚生省の資料で内容がよくわからないのですが、これらは今度のこの予算書に出ているのは、すでに衆議院では若干審議をされているかもしれませんが、そういう新しい改正に基づいてこの予算は組まれているかどうか、お伺いいたしたい。
  109. 山本淺太郎

    説明員山本淺太郎君) 日雇健康保険につきましては、御指摘のようにいろいろむずかしい点、特に財政が非常な赤字であるというようなことでいろいろ問題がございます。それで明年度予算につきましても、いろいろその辺の点につきまして財政当局と意見を交換したのでございますが、かりに明年度だけの赤字対策を講じましても、現行の制度のもとにおきましては、明後年においてさらに赤字が出るということで、たとえば国庫負担の問題等におきましても、一体どの程度社会保険としてこの制度の場合、国庫負担をすべきかというような点について、いろいろ根本的に検討しなければならない点があるということで、私どももやはりそうしなければならないという判断でございまして、早急に日雇健康保険をいかに合理的に——これは保険料なり、あるいは国庫負担なり、あるいは給付内容なり、そういうものを総合的にどうするかという点について真剣に考えていきたいということでございまして、現存継続審査になっておりまする法案の中に国庫負担の増額の改正部分だけは含まれておりますが、それ以外につきましては、根本的な検討の中で、今申しましたような財政問題、それに関連いたしまする保険料の問題、給付の内容を総合的に考えていきたい。なお、社会保険審議会の健康保険部会におきまして、被用者代表等からもいろいろ御要望が出ておりまして、約三、四カ月前からいろいろ話もあったわけでございますが、さらに研究を重ねていきたい、こういうように存じております。
  110. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは、この予算の資料の中には今のこまかい点が一つも書いてないので、あらためてそれをこまかく、大臣も言明された通り精細な資料として出すということで、もう一ぺん私たちが審議のできるような資料を——特に問題になっている点は今の特別会計の点にあると思いますが、その点一つ私の方で要求いたしますから、すみやかに出していただきたい。
  111. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめて。    〔速記中止
  112. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をつけて。  本日はこの程度で散会したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十四分散会