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1960-04-21 第34回国会 参議院 建設委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十一日(木曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            稲浦 鹿藏君            松野 孝一君            武藤 常介君            田中  一君    委員            小沢久太郎君            田中 清一君            米田 正文君            内村 清次君            武内 五郎君            永岡 光治君            田上 松衞君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 村上  勇君   政府委員    建設政務次官  大沢 雄一君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設省道路局長 佐藤 寛政君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   参考人    日本道路公団総    裁       岸  道三君    日本道路公団理    事       浅村  廉君   —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○日本道路公団法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  日本道路公団法の一部を改正する法律案議題といたします。  初めに参考人出席についてお諮りいたします。本案に関して日本道路公団総裁岸道三君、理事浅村廉君、計画部長藤森謙一君を参考人として出席を求めることにいたしたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。  それではこれより本案について質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 田中一

    田中一君 議題になりましたこの法律案役員を二名増員するという案件ですが、二名増員しなければならぬという根拠、むろんこれは一般の道路の建造と違って、管理部門というものが相当大きな業務のうちの比重を占めておると思うので、現在までの事業伸び方等が関係あると思うのです。一つ現在までのあり方を大体でいいですから、この資料に基づいて御説明願いたいと思います。
  5. 岸道三

    参考人岸道三君) 昭和三十二年に名神高速道路建設の命令を受けましてから、現地機構を作りました。それは名古屋、岐阜地区愛岐地区、滋賀県、京阪、それから兵庫地区、四つの地域に作りまして、もっぱら用地買収に専念して参りました。それからもう一つには路線確定ということをやったわけであります。その場合に特に用地買収については現地折衝が非常に複雑なものですから、どうしても理事を出さなければいかぬというので、私の方は当時六人の理事のうち三人の理事現地出して、現地折衝に当たらしておったわけであります。その間非常に本社の方においては小便を感じたのでありますが、とにかくこれだけの事業をやるためには、本社はいくら不便でもこれは派遣しなければいかんというので今日まで参ったわけでありますけれども、いよいよ今度は一部建設段階に入り、一部はさらに用地買収を進めなければならぬということになりますと、どうしても本社手薄考えられる。一部現地に派遣した理事東京に返し、そうして現地には用地買収の場合には用地買収に適当した理事、それから建設段階には建設に適した理事を出さなければいかぬという状態で、少なくとも理事の三名は増員していただいてそうして現地理事を派遣したい、こういうふうに思っておったのでありますが、いろいろな都合理事二名増員ということで現地に二名の理事を派遣しまして、名神道路建設に当たらせたい、こういうふうに考えておるのであります。特に増員した理事につきましては適材適所という考えがありますので、この公団設立以来すでに四年になっております、この公団内部からも適切な人材を登用いたしまして、そうして現地並びに東京理事に充てたい、こういうふうに考えております。
  6. 田中一

    田中一君 この管理部門について今までどういう形でやっているか、ということはとにかく建設しただけで済むものじゃない、それらの職員等全体の規模と申しますか、管理部門規模ですね、たとえば一有料道路にはどれくらいの人間を配置しているとか、管理部門規模ですね、それを一つ説明していただきたい。
  7. 岸道三

    参考人岸道三君) ただいま営業中の道路は四十一ヵ所ございます。そこでその繁閑に応じまして人数はきまっておりませんが、一番多いのは今の横浜新道でございます。そうしてその他は車が通る繁閑に応じまして、所長の下に適当に職員を置いておる、これを総括的に管理しておるのは各支社の業務課がこれを管理しておりまするが、これを本社実務部において全面的の管理をしておる、こういう組織になっております。
  8. 田中一

    田中一君 今職員は本採用職員とほかに臨時職員もあるんですか。
  9. 岸道三

    参考人岸道三君) ええ、あります。
  10. 田中一

    田中一君 それは総数どのくらいになりますか。
  11. 岸道三

    参考人岸道三君) 二千三百人は本採用で、臨時が三百人くらいおります。
  12. 田中一

    田中一君 臨時というのはどういう条件で臨時になっているんですか。
  13. 岸道三

    考参人岸道三君) 現場工事中の自動車運転手とか、それからそのときにおけるお茶くみとか、そういう程度のものだと思います。
  14. 田中一

    田中一君 待遇はどうなっておりますか。
  15. 浅村廉

    参考人浅村廉君) ただいま総裁お答えいたしましたように、公団の本採用になっておる正規の職員が二千三百人でございます。本採用職員は別といたしまして、臨時職員自動車運転手であるとか、それから管理事務所におきまする女子職員、それから小使とか、そういったようなもの、それから場合によりましては、非常に手薄でありまして、特に技術関係が非常に手薄でありますので、場合によりましてはその手薄を埋めるために、一応暫定的に臨時職員として採用しておる者も若干ございます。  これは、待遇は、まぁその人の能力に応じ今までの履歴に応じましてまちまちになっておりますが、大体本採用職員について申し上げますと、大学出初任給が一万三千円見当になっております。高校出はもちろんそれより下がっております。臨時はとうていそこまで参りませんので日給で雇っておりまして、人によっていろいろになっておりますが、それよりずっと額は下回っておる次第であります。
  16. 田中一

    田中一君 まあ道路公団も四年たちまして第二期に入ったというような気持がするわけでありますけれども、まあ今までは人を選ぶのにも、主として建設省あるいは地方公共団体等から高級職員はとったように、とらざるを得なかったというようなこともあったと思いますけれども、まぁ理事二名増員に伴って、今、岸総裁が言っているように、これは職員からとる、職員を昇格させるのだというようなことが非常に好ましいと思うのです。  そこで、職員から理事の二名を充足いたしますと、あとの穴はやはり職員からの適格者を選ぶということになっていきますか。それとも、あるいはまた従来のように、建設省とか地方公共団体から入れる、充足するというようなことになっておるのですか。その点はどうですか。
  17. 岸道三

    参考人岸道三君) 理事適材を各方面から持って来て、そうして公団内部にも適材がおれば入れる、昇格させる。なければ、これは無理にはさせないのですが、現在、今おりますものですから、逐次上げていきたい、こういうふうに思っております。まあ二名だけ社内から入れるというようなことではなしに、理事全部、今度これを認めていただくと八人になりますから、八人おる以上、公団内部もしくは外部全体から見まして適当な人を入れたい、こういうふうに考えております。
  18. 田中一

    田中一君 どうです、三百名の臨時の方々は現場の全く完全な臨時的な職員だと思いますけれども、二千三百名の職員の中には、やはりこういう集団になりますと、一つの派閥といいますか、そうしたものが生まれてくるのです。たとえば建設省閥とか、あるいは地方公共団体から来たような閥とか、あるいは公団が独自で当時採用した人たちとか、まぁ閥なんというようなものはないかもわからぬけれども、自然にそういうようなものが生まれてくるものなんですね。公団ではどうですか、これは。これは総裁に聞くよりも浅村君に聞く方がいいかもしれない。その中にはいわゆる岸閥もあるのですよ。
  19. 浅村廉

    参考人浅村廉君) 公団職員官庁関係から参りました者、あるいは地方公共団体から参りました者、あるいは民間から参りました者いろいろございます。従いまして、その待遇等につきましても、よほど気をつけませんとバランスを失することになりますので、すでに四年もたちました今日、私どもは相当に内部において調整をいたしまして、非常にこの点は進歩して参っておると思っております。  それから、民間から参りました職員に、決して、希望を持たせないようなことはいたしておりません。機会ありますごとに、能力にもよりますけれども機構も大きくなって参りました今日、適当な地位を与えまして、そうして公団において苦労すれば必ず報いられるということがはっきりわかるように、本人だけではなく、全般にそういうことが徹底するようにいたして参っております。
  20. 田中一

    田中一君 これは他の、やっぱり法律によって作られている団体の中にも、監督官庁であるところの、監督官庁といいますか、たとえば運輸省から一人来てまた運輸省に戻るとか、建設省から来ている者で、まぁ一年なり二年なりおってまた建設省に戻るいわゆるジャンプの踏み台になるような形の人事が行なわれていることは、間々あるのです。公団にはそういうことはございませんか。
  21. 岸道三

    参考人岸道三君) これは各省から優秀な方が公団においでを願いまして、そうして適当な時期にまた本省に戻ってもらうというのもあるのです。これはかえっていい結果をもたらしておる。それからそうでなしに、公団にずっと来ておる方と両方ございます。
  22. 田中一

    田中一君 そのいい結果をもたらすというのは、監督面とか資金面潤滑油の役目を果たすからいいのだということですか。それともそういう優秀な技術家が、技術の面から申しましても技術家公団に来る。公団事業というものはこれはもう非常に安定しているものなんです。少なくともまあ新線が建設されていけば、これは永遠といっていいぐらいに設立の年限というものはあるわけです。従って公団に骨を埋めるというような気持仕事をしてもらうことが望ましいわけです。そういう点については、今なぜ一年や、二年おって、またもとの古巣へ帰るというようなことが好ましいというような理由はどこにあるのですか。
  23. 岸道三

    参考人岸道三君) それは二つの面がございまして、一つの面は先ほどおっしゃった潤滑油になるということが一つ。  それからやはりお役所にいる人はお役所でずっと成長していきたい気持なんですから、やはりまた役所へ帰れるということになればいい方も来てもらえるわけですから。  それからもう一つは、公団には公団のやはり一つの行き方というものがだんだん成長しておりますので、やはり役所から公団を見るのと、それから公団に来てまた公団から役所を見るのと、あるいは公団にいて公団を見るというようなことは、その人自身成長の上にも、またお帰りになったそのもとの省の成長の上にも非常に役立つのではないか、こういう人事交流ということは非常にいいのじゃないかと思っております。
  24. 田中一

    田中一君 まあ技術家の面は私は人事交流なんてあまりない方がいいと思うんです。やはり公団公団の行き方がありますし、公団のカラーというものが生まれて参りますし、まあ公団で優秀な者は抜擢して、公団でやはり役員にもなれるんだ、というような希望を持たせなければいけないと思うんです。だから将来一つ公団内部からでもどんどん役員適格者はどんどんする。これは原則じゃありませんけれども適所適材にやるというような考え方が、むろん今回の法律改正にあたっては含みがあるということは、今総裁から伺いましたから安心はいたしますけれども、どうか一つあまり激しい腰かけ的な、半年や一年で行ったり来たりするようなことは、これは岸総裁が言う公団理由じゃなく、公団の効果というか、利益じゃなくして、前段の潤滑油的な役割しか果たさない。これはもうこんなことは岸さんあなたの政治力が薄いからなんですよ。あなた自身がそれに十分に理解あるような話し合いができればいいのであって、総裁公団潤滑油になるなんということは、これはまああった方がいいかもしれませんけれども、そのために他の二千三百名の職員気持の中に不信感を持たさないように一つ運営してほしい、こう思うわけであります。
  25. 岸道三

    参考人岸道三君) 今お話通りでございまして、あまり短い期間の方はお断わりしているんです、私の方で。現にそういうお断わりをしたために因つているのもありますけれども、しかしこれはやはり今おっしゃる通りで、非常に腰かけ的なあるいは本省人事都合からちょっとあそこへ行っておれというようなことをされては、私どもの方で困りますから、そういうことのないようにはしております。今せっかくお話がございましたので、今後もそらそういうふうに注意していきたいと思います。
  26. 田中一

    田中一君 建設大臣、今岸さんに私が質問をしておりますが、大体今この内容はむろん建設大臣としても御見解は同じものと思うのですが、一つ伺っておきたいと思う。
  27. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいま岸道路公団総裁からお答えのありましたように、私どももただその意味で短期にちょっと都合によって、公団建設省から回わしているというようなことでなくて、もしも公団に行った者はやはり公団の百分のものとして、少なくとも建設省に帰ってくる場合もあり得るでありましょうが、もう公団オンリーでいくような覚悟をもっていかなければ、ちょっと行って次の段階を得るために、暫く公団に住いしてくるのだというようなことは私は好ましくないと思います。すっきりした形の公団に、道路公団ですっきりした気持で、自分の持っておる技術あるいは経験を生かして、この公団事業を十分進めていくということが好ましいと思うのです。
  28. 田中一

    田中一君 次にこれは少し答弁がしにくい点があるかもわかりませんが、一応伺っておきたいのですが、最近かつて法律で制定した国土開発縦貫自動車道の問題と東海道高速道路の問題が、まあ与党の中にもあるいはわれわれの方にもそのあおりを食いましていろいろ論議されております。そこで今度の東海道の新線計画というものは、道路整備五ヵ年計画の中に含まれておらぬと了解しておるのですが、その点一つ道路局長からはっきりしてほしいと思います。
  29. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 東海道高速自動車道路を作るという計画は、現在の道路整備五ヵ年計画ではただいまのところは予定してはおりません。
  30. 田中一

    田中一君 国土開発縦貫自動車道は、これは入っておりましたね、たしか。
  31. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 国土縦貫自動車道中央道の方は、名神でただいま実施しております分ではもちろんございませんが、小牧—東京間につきましては、これの調査の結果を待って、五ヵ年計画において建設の準備にかかる、こういうことに相なります。
  32. 田中一

    田中一君 予算的にはどのくらい計上してありましたか。
  33. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 予算的にはその分といたしまして、有料道路ワクの中で、これは確定はいたしておるわけではございませんが、積算において約百億ぐらいを考えておるわけでございます。
  34. 田中一

    田中一君 これは岸総裁に伺うのですが、今言う通り道路公団仕事有料道路であるというように私は考えておりますが、国土開発縦貫自動車道中央道ですね。これはまあ有料道路であるというならばこれはあなたの方でしなければならぬと思うのですが、ここで伺っておきたいのは、それと、それから今道路整備五ヵ年計画ワク外で新しく政治的に問題になっておりますところの東海道高速道路、これに対して比較研究したことがございましたか。これもいろいろ含みがございますから、答弁ができないような場合は答弁できないで一向差しつかえございません。追及はいたしませんから、比較検討したことがございますか。
  35. 岸道三

    参考人岸道三君) これはまだ正式には比較研究は私の方でしておりませんです。
  36. 田中一

    田中一君 御承知のように、この本国会では政府はこれを約束しております。これは建設大臣もしばしば言明しておる通り中央道建設法による路線決定ということを法律で出さなければならないことになっております。おそらく近々出ると思いますが、それが五ヵ年計画との関連において道路公団がそれを施行しなければならないような段階になることも予想されるわけなんです。そこで村上建設大臣に伺っておくのですが、まあ三十七年で五ヵ年計画が一応終わるのにかかわらず、巨億の暫定的な予算の計上をしておるという現段階において、建設大臣はどういう構想を持っておるか。そうして自分の方の——自分というか、調査を昨年、一昨年ともにしておりますが、その結果道路公団をしてせしめようとして考えておるのか、あるいは別途何らかの方法で実施しようとするのか、その点伺っておきたいと思うのです。
  37. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 一応この調査が終わりましたらば、その経過地路線決定をするということに法律によってきめられております。まあ詳細に、全く正確とは言えないのでありますが、しかし大体航空写真等によって測定したものは、おおむね経過地はこの付近というようなものの調査ができましたので、これを審議会あるいは閣議等に諮りまして、この了解を得て法案はできております。ところが、これについて今御承知のような与党内においていろいろと東海道のいわゆる幹線道路とでも申しますか、それとの話し合いがつかないで今日までまだこの法案が正式に上程に至っていないことは、まことに私遺憾であります。何とかして一日も早くこの中央縦貫道路路線決定法案だけはこの国会で成立できるように努力し、またそうしなければならないものと私は思っておるのであります。ただいま御質疑の中の百億ばかりの予算があるのだから、それをこの五ヵ年計画の中で実質的に道路に着手するのじゃないかということについては、これは御承知のように、有料道路というようなことになっておりますので、この路線決定がまず第一で、路線決定いたしましたならば、実質的ないわゆる基本的な調査を急いでやる必要があろうと思います。それによってこの部分は有料道路として十分適格であるというところを、その基本調査に基いて検討した上で、これは私はできる限り有料道路道路公団の方で考えてもらいたいと思っております。いずれにいたしましても、路線決定がまず第一で、路線決定の上で初めて本格的なその計画に入るのでありますから、それができない限り、ただいまの段階でどこをどうするというような具体的なお答えはちょっとできない次第であります。路線決定いたしましたならば、直ちにこの実質的な調査にかかりたい、かように思っておる次第であります。
  38. 田中一

    田中一君 それではどちらが先かの問題は今後の問題として伺っておきますが、路線決定の点でありますけれども、今度法律で出そうという路線は、克明に、なんですか固まった路線を示そうとなさるのですか、あるいは起点中継地中継地中継地という一つの線をお出しになって、あと終点ということを指定するのか、その点はどういう形の法律をお出しになろうという考えですか。
  39. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これはまだ御承知のように精密な基本測量ができていないのでありますから、大体東京起点といたしますならば、東京から富士吉田付近、あるいは信州にいって飯田付近あるいは中津川付近、こういうようなまず漠然としたものであります。しかしその付近という、大体それによって大略の通過地点というものが決定いたしますから、そこでその地点の何番地を通るというポイントをきめる必要があります。そのポイントをきめるのが基本的な計画になってきますので、まず飯田付近と申しましてもあるいはわれわれの考えている飯田付近より何キロも離れておるかもしれませんし、そういう点もポイントをきめて点と点を結んでいく、実質的な施工地点というものは、これはどこにするということは、今後の基本的な測量によって決定するのであります。それがない限り、どこを通るという、ここが道路になるのだということは私は言えないと、かように思っております。
  40. 田中一

    田中一君 路線決定についてもいろいろ問題があるように思うのです。私は私見でありますけれども、どこまでも国費あるいは建設資金というものがむだのないように、割合に安い資金で、技術的に見て容易な地点であって、そうして精神としても政治的道路でないことが望ましいのです。御承知のようにあの法律国土開発ということがタイトルになっております。従って、えてして鉄道にいたしましても、羽島付近に特急がとまらなければならぬということも、これは大野さん等がいろいろ週間誌なんかでたたかれております、と同じように、これが自分の選挙区というよりも国土開発という重要な目的をはずれたような所で、技術的に見ても困難性があるというようなことがあった場合には、やはり技術に忠実な地点を選ぶことが望ましいと思うのです。いろいろな団体等話し合いを聞いてみても、えてしてこれはこの道を通れ、あの道を通れといっています。なるほどそこには人間も大ぜい住んでおりますし、その方がその方にはいい場合があるかもしれませんが、何といっても有料道路といった場合には、余分な建設費がかかれば余分な使用料がとられるわけです。それで技術的にも困難な道を通るということになりますと、これは全く通過する国民のためにあるのであって、その地点の便宜のためにあるのが縦貫道路ではないわけなんです。それにはそのような地方道路で結べばいいのでありまして、その点十分に一つ路線決定には非常に苦しいと思うのです。いろいろな陳情なり威圧なり強制が建設大臣のところにきているものと思いますが、少なくとも良心的な技術的な態度で、その路線決定がなされるのではないかというように期待しておるのですが、その点はどうでございます。
  41. 村上勇

    国務大臣村上勇君) その点につきましては、少なくとも航空写真ではありますが、これを五千分の一くらいに引き伸ばして、そうして技術的に見た場合に、これならば可能であるであろうというようなところを専用的に検討いたしております。  それから先ほど申しました通過地点は、大体においてここらを通ることがまあ常識的にもそうであるし、また技術的にも中央縦貫道路とすればこの付近を通過するということが考えられるのでありますから、これには別に政治的な考慮というものは払っておりません。ほんとの技術的に見てこれらの地点を通過することが最も適正である、かように考えておる次第であります。
  42. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ほかに……。
  43. 田中清一

    田中清一君 建設大臣一つお伺いしたいと思う。  さきに小牧—神戸間という路線決定ができて、道路公団をして建設をされておりますが、この路線選定のうちに濃尾平野を通る所がありまして、その濃尾平野を通るときに、非常に地盤の軟弱な、海抜五メートルというような所をたくさん通つて、ことに濃尾平野のは途中で、一番泥の深い、おそらく七、八メートルの泥をとっていかねばならぬ、そうして幹線は今日配られた図面によって見ても、四メートル、五メートルとするような所に路線が選定してあるのです。私はそれに反対しまして、私少数でなかったかもしれんけれども少数ということで私は意見を留保した。その後今度の伊勢湾台風によって牧田川からあの付近にかけて大へんな冠水をしまして、大きな損害を受けておるのでございますが、その路線をそのままもっていこうとすると、世界銀行からきた技師等も、どうしても七、八メートルの泥をとって、そうして固い土をほかから持ってきて入れて、そうしてバンクをしなければここは通れないということをと言ったようなことは有力な新聞にも報道されております。またハイウェイ・リサーチ・ボードの私の友人からもそういうことをいってきております。それやこれや、今後日本で一番の動脈となるべきハイウェイを日本に初めて作るというけれども、そういった地盤の軟弱な所へ持ち込んで今作ろうとしておられるように承って、私はそれよりも六キロぐらい川の上流を通りまして、地盤の海抜十メートル、十二メートルという所を通った方がよいということを主張し続けておるものでございますが、もし現在選定せられたる地盤の所にこれを敷設したならば、工事費の莫大にかかることは、これは申すに及ばず、これが完成後においても相当の被害を受けることは、今度の伊勢湾台風によっても明らかなのでありますから、そういう場合には相当の国に永久に国損をかけるということになるわけですから、この際その路線を選定し直してそして安全な所を通らすというようなお考えが、建設大臣におありかどうかということを一つお伺いしたいと思う。
  44. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 濃尾平野のただいま御指摘になられました地点につきましては、田中委員お話のように非常にいわゆる低地であるということ、あるいはまたその土質も感心すべきものでないということも私は同感であります。ただしかし将来の問題といたしまして、伊勢湾の海岸堤防あるいは河川堤防等も非常な完璧なものになって、再びああいう災害を繰り返すことがないようなものができつつあります。なお、揖斐川等につきましては上流の横山ダム、これは着工いたしましたが、その後相次いで高山ダムというようなもの、これらの河川統制によって相当この揖斐川のはんらんというものは、いわゆる治水は確立する、また輪中につきましても、つい数日前に参りましたが、私はあの復旧ぶりを見て、今後いかなる大出水があろうとも絶対にあれならばもうあの河川のはんらんするようなことはないという自信を持ってきましたが、そうだから悪い地点を通るのだというようなことはこれは言えないのでありまして、私としてはでき得るならば御指摘のような地点を通過することが、将来の道路保全の上からいっても好ましいと思います。しかし御承知のように一つ事業にはなかなか地元関係等が複雑でありまして、たとえばあの私の聞き及んでおるところでは、地元では今の地点ならばいやいやながら協力はするが、もしも地点を変えて田中委員の御指摘のような地点に変えるならば、地元は絶対に反対するというようなことを私は聞いております。従ってあすこを通る以外道はないんじゃないかと、かように思っておりますが、しかし直接その衝に当たっている道路公団の意見を聞くことが、私のお答えよりもむしろ的確であろうと思います。私はそういうようなことを聞いておりますので、そう考えております。従ってあと道路公団の方からお答えいたします。
  45. 田中清一

    田中清一君 今、現在の選定した所をすれば、その付近の農民その他住民はよろしい、ほかでは困るということを建設大臣のお口から聞いた、まことに私は奇怪なことだと思う。なぜならば、あすこはまだ立ち入りもさせないで、そして今日もめ続けておる、一坪も買っていないということを私はよく知っておる。それはどういう方面からお確かめになったか建設大臣から聞きたい。
  46. 村上勇

    国務大臣村上勇君) それは私、地元あるいは道路公団等の関係者から、田中委員のその路線が、いわゆる山手を通すこの路線が私はしごくおもしろいのではないかと考えましたので、そういうことをいろいろと各方面に当たってみましたが、私にきた返事はそういうふうに聞いておりますが、詳細は直接関係者であるその道路公団の方からお聞き取り願いたい。
  47. 田中清一

    田中清一君 だいぶ大臣がお苦しいようですから、実はその反対なんでございます。ですからもう少し……私がかくのごとく強く主張している、この路線選定のときも、あれほどの権威者の中を押し切って少数意見を留保した理由は、これは大きな国家に国損をかけるということを私は知っているがゆえにですが、そういった国損のかかったときに、建設大臣は今のようなことを覚えていらっしやってそうして下さることを、一つここで請け合っていただきたいと思います。
  48. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私は初めから国に損を与えるために今の路線をどこまでも推進せいというのではないのです。とにかく地元問題があなたの御意見と全く反対な方向にあるということを、私は私で調べたところではそういうふうに聞いて、地元の責任ある人たちとも、先般岐阜に参りまして、つい四、五月前です、よく調べてみましたが、私にはただいま私がお答えしたような判断ができるような答えが出てきたのであります。  それから国に損を与えると申しますけれども、私は先ほど冒頭に申し上げましたように、少なくとも今後伊勢湾は永久に再びああいう災害を繰り返すことがないような抜本的な堤防の強化をはかっておる。なお揖斐川あるいは木曾川、長良川等につきましては、それぞれその堤防のかき上げだけではなく、いわゆる洪水調節のできるようなダムを作る、あるいは根古地、輪中等については、これは私は大きなことを言うようですが、あの程度の雨が幾ら降ろうが、私はもう大丈夫だと、こう思っておりますので、国に損を与えないということで、私のはそういう観点からお答えしているので、国に損を与えた場合お前はどうするかと言われても、私は損は絶対に与えないという観点に立ってお答えしております。しかしあなたの御意見はなるほどプラス何メートルという所にずらっと通って行くということが、私はこれは悪いとは言つちゃいないのです。これはいい、しかしながらそれはなかなか用地交渉その他地元関係が困難であるということです。困難であるかないかについては直接交渉しておる道路公団が困難でないと言えば、私は道路公団人たちは私にうそを言っていることになるのでありますから、これはよく一つ道路公団からもはっきりした、衝に当たっている者からはっきりしたことを答弁いたさせます。
  49. 田中清一

    田中清一君 今建設大臣から懇切な御答弁がありまして恐縮しましたが、私どもの調べておりますところでは、なるほど横山ダムをやれば揖斐川の流域に対することにはなりましようけれども、あれは牧田川のはんらんによって揖斐川以西は冠水したのであります。それから揖斐川と長良川との間の冠水と、あれだけの損害をかけたことは、これはあれが揖斐川、長良川が天上川になっておるために大雨が降ればはけ口がないので、あすこに四メートル余りも冠水したということは、ここに本日配付された図面にあるわけです。ですから、ただいまの建設大臣がおっしゃいました揖斐川の上流に横山ダムを作ったからということだけでは、これを完全なりということは、われわれは考えないのでございます。またダムには年令がありまして、いかにダムを作りましても、そのダムがある程度土砂を流して、それがたまればどんどんそれがくることになるということは、これは建設大臣御存じであろうと思いますが、それが永久万劫ということは申されない。少なくとも、かくのごとき大金をかけて作る道路は、何百年も、何千年も使わなければならぬでしょう。そういうようなことから、わが民族の平安と幸福のために私はこれを非常に憂えておる者なんです。また伊勢湾台風による海岸の堤防を強化されたとおっしゃいましたけれども、海岸の堤防を強化されても、潮位は五メートルあるのでございます。今の悪い所では。そういうような所では海岸の堤防は及ばない。これはよく一つもう少しお調べになっていただきたい。こういうことで希望を申し上げておきます。  それから道路公団の方にお伺いいたしますが、現在のところで、現在の選定した路線において、それほど歓迎されておるものならば、なぜ今日まで一坪の地面も、あれだけ百姓に騒がれて買っておられぬのですか。すでに昭和三十二年に、この路線審議会においてきまりまして、そうして建設命令が出て、そうしてあの付近どころでない、大体京都までくらいは地面の買えるような予算もつけて、それも相当消費されて、わずかにその予算を余されたということは知っておりますけれども、たくさんの費用を使って、先ほど申しました何百人というような人がかかっておられるのですが、それにしてどういうわけで、それほど歓迎しておったところの地面が買えぬのか、一つお伺いしておきたい。
  50. 岸道三

    参考人岸道三君) 名神高速道路は、私どもは三十二年の秋に施工命令を受けましたが、それから路線決定、つまり現在の高速道路に適した路線決定に非常にひまがかかっておる。特にアライメントと勾配のクロソイド・カーブを入れるために、どういう所に作ったらいいかということについて、ドルシュ氏とゾンドレガー氏あたりが来てからも研究が非常に進んでおりまして、その間用地買収ができない、またしてはならぬということになったから、非常におくれたことが一番の原因じゃないか。それからもう一つは、滋賀県にいたしましても、どこにいたしましても、弾丸道路は絶対反対という当時のいきさつがございまして、これは当時あの辺においでになった方、皆さん御存じで、だれも入れなかった。その後だんだん高速道路というものの必要性がわかって参りましたために、最近は入れるようになったという二つの理由があるわけであります。その間にまたいろいろ、高速道路は岐阜県のような耕地の少ない所ではトンネルにしたらいいじゃないかというような御意見を出す方もございまして、よけい非常に混雑したわけでございますが、結局先ほどお話のように、一番安く一番いい道路をどういうふうにして作るかということに対する研究から少しおくれておるわけでございます。
  51. 田中清一

    田中清一君 小牧から吹田までのような所は、土方の言葉で言いますと、かきよせといいまして、そんなものは技術的にそう問題になるような所ではないのでありまして、そういった所を作るのに、どうしてそんな世界の学者をつれてこなければ——それほど日本の土木技術というものを道路公団では見くびっていらっしゃいますか、それを一つお聞かせ願いたい。
  52. 岸道三

    参考人岸道三君) 田中さんも非常に御専門で、いろいろ御存じでしようけれども、戦後、土質の研究というものは世界的に非常に発達したものでして、これは日本ばかりじゃない、外国でも戦後の学問なんです。私がおととしドイツに参りました時分に、そのドイツの専門家が、戦前に今くらいの土質の研究が進んでおったならば、このドイツのアウトバーンというものは、ずいぶん安くもっと違ったものができておったろうということを言っておりました。それからまた同様に、アライメントについてもそういうことを言っておりました。そういうふうに非常に戦後変わってきたわけです。今、田中さんのお話によると、非常に簡単なようなことでございましたけれども、とにかく戦後非常にそういう道路技術というものが変わったということを、もう一ぺんよくお考え直し願ったならばいいのじゃないか。われわれはそういう技術を取り入れまして、施工していかなければならないと考べております。
  53. 田中清一

    田中清一君 そうすると、ドイツの方をお調べになって、私どもアウトバーンのことは知っておりますけれども、土質が悪いために悪くなったということをおっしやられますのですか。
  54. 岸道三

    参考人岸道三君) 土質の研究というもの、つまり現在のこういう土質にはこういう工法をやったならば安くていい道路ができる。こういう土の場合はこうした方がいいということの具体的な研究が、この戦後十年間に非常に発達したということなんです。ですから、そういうものはできるだけわれわれは取り入れなければいかん。それからアライメントの問題も、つまりもっとも快的な自動車道路をこしらえる、自動車がもっとも走れるようにするというようなことは、戦後これまた発達した。これをわれわれができるだけ取り入れたい。ですから現にわれわれが設計したものも、今度ドルシュ氏やゾンドレガー氏が来てから、全面的に取りかえた所もありますし、それから路線の変更をした所もあるわけです。
  55. 田中清一

    田中清一君 だいぶ御研究なさったようでけっこうなことでありますが、さきにこの道路建設省で見積もられたときには、名古屋神戸間というのは四百九十一億円だったのですが、あなたは、今向こうの人に研究してもらったら非常に安くつくということをおっしゃったが、何のために八百九十三億という、四百億も研究した結果高くなった、そのいわれを一つ聞かしてもらいたい。
  56. 岸道三

    参考人岸道三君) そのころと今との物価の問題その他、一つあなたの方で御研究願えば、私が今ここで御説明せんでも十分わかると思います。
  57. 田中清一

    田中清一君 あなたは実業家であられたから、物価のことはよく御存じのはずですが、私はかじ屋ですが、四十三年間かじ屋をしておりますが、明治以来の諸物価に比較して、今ほど安くなったときはない。この三年前に見積もられたときと今日と、鉄材は一トン四万円が三万五千円になった。セメントは、御承知のように石炭が余り過ぎて石炭屋がぶっつぶれてしまう、石灰層も日本には何百億トンもあるからいくらでもやれます。人は九州の炭鉱だけでも十二万人も今余って、そうして非常な大きな社会問題をかもし出している。学校を出ても就職口がないというので、皆が非常に困っているような世の中に何が高くなったということを一つ御説明願いたい。この三年間のうちに何が高くなったか。
  58. 岸道三

    参考人岸道三君) 建設省の四百何億というのはいつお作りになった数字ですか、それから四年前から今は何が高くなったか、労賃も高くなっておりますし、用地も高くなっておりますし、そういう詳細なことが御必要であれば、いずれ日をあらためて提出いたします。
  59. 田中清一

    田中清一君 私は今から四年前に高碕達之助氏が秘書川本氏をしてアメリカで外資導入を頼むときに、建設省から四車線にしてこれを作ればこれほど金がかかるということを詳しく説明を書いたもの、世界銀行、その他あの方面の人々と交渉した経過を詳細に書いたもの、その他を私はここに持っているわけです。ですからして、その間に物価が高くなったということは考えられないのですから、どうもその点まことにおかしいのですがね。それはどういう交渉とか、どういう資料とか、資料を出せとおっしゃるならば出してもよろしいが。ですからどういうわけで高くなったか。世界銀行をだますつもりでああいった書類を持っていかれたのか、世界銀行に持っていったのがほんとうか、現在のものがほんとうか、どっちがほんとうですかということを承りたい。世界銀行はおそらく日本の技術者にだまされるようなへぼじゃないでしょう。多数の技術者をかかえておりますから、日本の高碕さんにだまされるようなへぼじゃないでしょうが。
  60. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ほかに御質問ありませんか。
  61. 田上松衞

    ○田上松衞君 建設大臣にお伺いしておきますが、今度理事の定員を二名要求されるこの気持、これは提案理由の説明の中でお聞きしましたことは、さしあたり名神高速道路建設工事の本格化、その他の需要の拡大に伴って理事二名ないし三名を所要の現場に常駐きせる必要がある。結局現地業務の処理能力を強化し、あるいは用地の取得の交渉であるとか、工事実施の指導等、現地における業務を円滑に行なわせるために必要だ、こういうことを言われておるわけですね。そうしますと、今求めらるる二名の理事では結局ぎりぎり一ぱいだ、どうしてもこれだけは必要だ、もう余るのじゃない、これでぎりぎりなんだという意味なんですか。
  62. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいまのところでは、まあ当分の間は現地に三名ばかり理事を派遣いたしますから、そうすれば本社の方も大体ポストに理事を置くことができまして、現在の状態では私はこの程度で十分間に合うと思います。ただ将来非常に全国各地にこの種の工事が行なわれるようになった場合には、また別に考える必要がある場合も生ずるかもしれませんが、私としては大体この名神道路によって訓練されたその次長なりあるいは所長というものは、理事仕事にかわり得るくらいな手腕もできてくると思いますので、将来のことをここで申し上げることは差し控えたいと思いますが、大体ここ当分の間はこれだけの理事の定員の数で十分間に合ってゆくものと考えております。
  63. 田上松衞

    ○田上松衞君 実はお聞きしたい点は、まあ将来のことは差し控えたいというお言葉なんですが、それなんです、実は。昭和三十一年に発足した日本道路公団事業業務というものが、数年にしてこういう大きな業務の増大を見ておるわけなんで、私は今後における日本のこれらの事業というものはむしろ今までよりか非常な速度をもって進むんじゃないのかと見るべきだと思うんです。そこで建設大臣はちょっと差し控えたいと言われたけれども、そう遠い将来でなくて、少なくとも大体今後十ヵ年ぐらいの間どういう伸び方をするという、これは概念でようございますが、お考えになっておりますか。
  64. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 十年とか八年とか年数を切ることはどうかと思いますが、私は当分の間はこれで間に合うと思います。と申しますのは、当初道路公団の発足するときに、少なくも八名ぐらいは必要だということが要求されたのでありましたが、まあまあ発足早々だから六名ぐらいでやってくれというようなことも、審議の過程において話題になった次第であります。まあ八名あれば相当大事業をやっても、この種の公団あるいは公社等の面から考えましても私は十分間に合うと思っております。ちょうどこれと似た電源開発株式会社、これはやはり国の費用で電源の開発をやっておりますが、これが大体六、七名で全国的に相当多くの仕事を持っておりますが、これで間に合っております。道路は御承知のようにポケット式な事業ではなくて、非常に区域が何百キロというような長い区域になりますので、かような現地理事を二名も三名も派遣しなければならないというようなことになっておりますが、しかし職員が一工事終えますと非常に訓練されますから、権限をある程度持たせれば理事の代行をしてゆくということは、これは私は十分できると思います。ただ理事だけふやして、重役だけをあまり多くするということはかえって船頭多くて船山にのぼるというようなことにもなりますので、私はここ十年間ということになりますと期限を切るので、これは私の立場から申し上げられませんが、少なくも常識的に考えてみて、五年や八年理事をこれより増員をしなければならないということはないと、こう私としては考えております。
  65. 永岡光治

    ○永岡光治君 実はそれでですね、大臣、それは君たちは住宅公団法なんかできたときは、どうしたんだとおしかりを受けるかもしれませんが、その点で、意地悪い質問じゃなくて、ちょっといきさつを聞いてみたいのですが、住宅公団の方では役員五人以上ですね、それから監事三人以上という方式をとっておりますね。こっちは「以内」と押さえている。何か道路公団と住宅公団の発展の過程が特に違うんじゃないだろうかどうだろうか、どういう意味でどうなっているのか、当時の事務当局はよく知っているのじゃないかと思いますが。
  66. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 住宅公団法が成立いたしましたのは昭和三十年でございますが、あの当時関係各省といろいろ協議いたしました結果、公団方式の最初のこれはものとして住宅公団は発足したわけでございます。いろいろ協議しました結果、将来事業量の拡大に応じて間に合うように役員の数を規定をしておいた方がいいんだ、ということで「以上」というふうな規定になりまして、国会にも御可決をいただいたような次第でございます。
  67. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうするとあれですか、特に道路公団が住宅公団みたいに非常に将来は伸びていくのだ、そういうようなことで私は住宅公団なんかはそういうことがあって、「以上」というようなことをきめられたのじゃないかというような気がするのです、この文面からいうと。道路公団なんというのは、今大臣からお話がありましたように、ここ五年や八年当分これでいけるだろうというようなことで、そう住宅公団ほど今後伸びていくということはないというふうにもとれるし、どっちかこれは統一した方がいいんじゃないかと思うような気がしますが、どうなんですか。
  68. 村上勇

    国務大臣村上勇君) すべての民間会社においても、またこういう各種公団等におきましても、政府機関においても、何人以上というような役員のきめ方をしておるのは、これはまあ私も初めてであります。(笑声)これは統一するならば何人以内というように一つのきめ方をして改める方が、これはほんとうだと思います。これはもうきりのないことで、こういうようなことでは、むしろ無限大の数ですから、そういう非常識のものはありますまいが、私は「以内」というようにこれはすべてを統一することがほんとうの姿だと、こう思っております。
  69. 田上松衞

    ○田上松衞君 まあやや了解できたのですが、確かに大臣の言われるように、頭数を作って船頭山にのぼってしまうというようなことがあってもというその御配慮、その点についてはまさにその通りだと思います。私どもがまた別の面から考えてみますると、大きな費用——ほとんど小さくしても何十億、あるいは何百億、何千億という数字をもってしますこの種の仕事が、ただ人間の頭だけをふやすことだけで、もし大きな支障を来たすようなことがありますならばどうか。それは職員が相当訓練されていくはずだ、その方面にある権限を強化さしたらばそれでも足りるという御意見のようですけれども、やはりそうなりますと、むしろ複雑な状態が起こり得る場合も多々あると考えなきゃならぬと思うのです。  もう一つは、将来の伸び等にかんがみまして、まあ七、八年、八、九、十年ぐらいはこれ以上は必要はあるまいといわれるけれども、そのことはあくまで村上建設大臣自身だけのお感じだろうと思う。実際の問題を考えてみますると、私は今までやっておった事柄及び他の住宅公団等の問題からしますると、この種の問題は少なくともこの用地取得等の問題だけを考えてみましても、それに数倍する困難を伴うのじゃなかろうかと思うわけなんです。で、むしろこれをちくりちくりこういうようなことをしないで、まあ住宅公団のごとく、何名以上ということはどうかと考えるけれども、(笑声)しかしある程度まではたとえば十名以内とか、しかしそれは現在は八名か、七名かで間に合わせる、よけいなことは心配はないから、国の少なくとも代行機関だから、国民がそう了解しているわけですから、そんなだらしないことはしないでしょうから、そういうふうにした方がいいのじゃないか、何かしら受ける感じが提案理由のこれだけを見てみますると、場当たり式に計画性に欠けた、こういう感じがして国民の納得というものがかえって薄らぐのじゃないかという気がするわけなんです。実際にはちびちびしないで、しかも公団はその限度において仕事の方には支障のこないように回してやろうという、一つの信頼をおくようにした方が賢明じゃないかと、まあこう考える角度から申し上げておるわけなんです。ついでにこのことについて岸総裁の御感想をお伺いしておきたいと思います。
  70. 岸道三

    参考人岸道三君) 将来のことは、たとえば現在の縦貫自動車道とか、その他の高速道路もたくさんやるようになりますと、これは現在の理事者では少なくなると思います。それが近い将来になければ現在の数八人で事足りると私は思います。ただいま田上先生から非常に御理解のある言葉をいただいたのですが、今のようなシステムをとることは非常にわれわれとしてはやりいいことになるだろうと思うのでありますが、しかし現在の段階では今八名おりましたらけっこうでございますから、どうぞ一つ八名ということで現在は通していただきたいと思います。
  71. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ほかに御質疑はありませんか。——なければ質疑は終了したものと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もなければ、討論は終結したものと認め、これより本案の採決を行ないます。日本道路公団法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  72. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書につきましては委員長に御一任願います。  それでは本日はこれをもって散会いたします。    午後零時九分散会