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1960-04-14 第34回国会 参議院 建設委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十四日(木曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            稲浦 鹿藏君            松野 孝一君            武藤 常介君            田中  一君    委員            田中 清一君            米田 正文君            内村 清次君            武内 五郎君            永岡 光治君            安田 敏雄君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   衆議院議員            前尾繁三郎君            森本  靖君   国務大臣    国 務 大 臣 菅野和太郎君   政府委員    経済企画庁総合    開発局長    藤巻 吉生君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   参考人    国土総合開発審    議会会長    飯沼 一省君   —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○四国地方開発促進法案衆議院提  出)   —————————————
  2. 稲浦鹿藏

    理事稲浦鹿藏君) ただいまから建設委員会開会いたします。  本日は委員長が所用のため欠席しておりますので、指名によりまして私が委員長職務を行ないます。  本日は四国地方開発促進法案議題といたします。  初めに参考人出席要についてお諮りいたします。先刻の委員長及び理事打合会におきまして決議いたしたところでございますが、本案につきまして、国土総合開発審議会会長飯沼一省君を参考人として招致の上、御意見を伺うことにいたしたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稲浦鹿藏

    理事稲浦鹿藏君) 異議がないと認めます。  ちょっと速記とめて。    〔速記中止
  4. 稲浦鹿藏

    理事稲浦鹿藏君) 速記つけて下さい。  それでは本案について審議に入ります。本日は発議者衆議院議員前尾繁三郎君、藤巻総合開発局長佐土建設省計画局総合計画課長、それから参考人として国土総合開発審議会会長飯沼一名君が見えております。それでは本案について御質疑の方は順次御発言をお願いいたします。
  5. 田中一

    田中一君 これは飯沼さんに伺うよりも経済企画庁に伺いますが、国土総合開発特定地域計画策定状況並びに経済企画庁から見たところの進捗状況等、詳細にお話し願いたいと思う。
  6. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 国土総合開発法によります特定地域は、指定されておりますものが現在までに二十二ございます。そのうち対馬につきましては離島振興法によります離島振興計画を立てておりますので、特定地域としての計画はまだ立てておりません。従いまして、二十一の地域につきましてそれぞれ開発計画がきめられ、閣議決定になって実施されているわけでございます。  その進捗状況を見ますと、各年度によりまして指定された特定地域がございますので、一応、たとえば二十八年度に指定されましたものについて見ますと、金額としては公共公益事業投資を合わせまして大体七〇%程度計画に対しまして七〇%程度になっておりますので、特定地域の十年計画を立てておりますので、七年たったところで大体七〇%ということでございますから、公共公益投資額それだけから見ますと、こういうふうに言っていいわけでございますが、ただ問題がございまして、公共公益投資額計画と比べて、それで進捗度をはかっていいかどうかという問題もございます。実際にそれだけ金が投下されても、計画通り仕事が行なわれているかどうかという点は、また別に見なければならぬのじゃないかという御意見もございますと思います。その点につきまして、私どもも今ちょうど総合開発法が始まりまして十年になりますので、一々の特定地域につきまして、具体的にどういう仕事がどの程度に進んでいるかということを調べておりますが、まだそのまとまった結果が出ておりませんので、御報告いたしかねるわけでございますが、金額から申しますと、大体計画の線に沿って動いておるということが申せると思います。  それから、もう一つの問題は、全体としてみますと、そういうふうに全体は計画に沿って動いておると申してよいかと思いますが、仕事種類によりまして、その進み方がかなり違っておるようでございます。これは、各地域によりましてそれぞれ事情が異なりますが、全体的に申しますと、公益事業電源開発等仕事が進み方がよくて、公共事業の方がややおくれておるというような形になっております。総合開発計画でございますから、すべての計画が総合的に大体のつり合いを保って進んでいくのが適当かと存じますが、さような点で仕事種類によりまして進捗度が異なっておるということは、必ずしも適当でない状態かと思われます。私どもそういうような点を十分注意いたしまして、これからも各特定地域計画が、その目的を達し得るように進められるよう努力いたしたいと考えておるわけでございます。
  7. 田中一

    田中一君 飯沼さんに伺いますが、今、開発局長から答弁があったように、法制定以来十年たっておるけれども実績と申しますか、あるいは経済効果実態と申しますか、そういうものは握っておらぬと、こういうような話をしておるのですね。十年たったからぼつぼつこれからその実態を調べてみよう、というようなことを言っておりますけれども、あなたは少なくとも十年、国土総合開発審議会会長であられ、かつ両院からも委員が出ておりますが、単なるプランメーカーとして、計画を出せば事足れり、というお考えに立って今まで会長のいすについておられたか。あるいは、常時——むろんこれは諮問機関でありますから、一応総理大臣諮問にこたえて委員会を開き、そして答申をするのが役目であろうと思いますけれども、少なくとも法律にきめられましたところの審議会が、実態を把握できないような事務当局を持っておるということは、どうお考えになるか。現在の実態というものを把握できないような事務局のもとにこの仕事計画——計画といっても単なる計画ばかりではございません、計画によるところの効果をやはり見なければならぬと思うのです。それに対する勧告なり何なりは、審議会でも会長考えでできるのではないかと思うのです。たとえば売春対策審議会ですが、あの菅原君のように、もう常に事態を見ておって、随時開いて答申をするということもこれは当然だと思うのです。しかし、そういうことが、事務当局がそうしたものに実績等の把握を怠っておるという現状から見て、会長としてどういうお考えに立つか、伺いたいと思うのです。
  8. 飯沼一省

    参考人飯沼一省君) ただいま局長からお話がございましたが、私は必ずしも把握しておらないというものではなかろうと思うのであります。今日まあ数字をあげての御答弁はなかったかもしれませんけれども、常に経済企画庁の中においでになって、各地方開発状況というものは、私は十分承知しておられるだろうと思います。  それから、会長としてのお話がございましたが、法律にも書いてあります通り会長——あの審議会内閣総理大臣諮問に答えることがまず当面の職務でありまして、私は、どうもさらに積極的に経済企画庁の職員を指揮監督して仕事を進めていくまでの権限は、私にはないのではなかろうか、こういうふうに考えております。むろん、これはまあ法律上の問題でありまして、われわれとしまして、全国にわたっての総合開発事業促進ということに常に熱意を持っておらなければならぬという考えは、これは持っております。ただ法律上の問題としてどうもそこまでわれわれの権限があるかどうかということにつきましては、私はそれまではないのではなかろうかというふうに考えております。
  9. 稲浦鹿藏

    理事稲浦鹿藏君) ただいま菅野長官が見えました。
  10. 田中一

    田中一君 この法律で見ても、ただ単に諮問される案件があるから委員会が持たれるのだということならば、常任的な委員会を持つ必要もないわけなんです。かりに二十二の特定地域があった、これに対する計画作成の、計画に対する審議諮問があった、これが終わって、あと対馬だけが残っておる。これは離島振興の方でやっておるから、今それですぐ実施しないという話がございましたが、あなたのような御見解ですと、少なくとも、国土総合開発審議会役目はなくなったという見方をしなければならぬと思うのです。ただ問題は、国土調査法による認証の問題が残っておる程度のものでありまして、これらのものは、先般も委員会に出て参りますと、会長から言われておるように、これは高度の技術と高度の学問的のものであって、どなたが聞いてもおわかりにならぬだろうというような御発言が、あなたの口からかだれかの口からかございました。なるほどわれわれは測量の地点とかなんとかというむずかしい問題は承知しておりませんけれども、ただその事業そのものの概念はわかっておりますけれども、技術的な問題についてはわかりません。わからぬ委員が出て審議会で何を言っても、これはとても問題になりませんから、当然これはそのつどそういう専門家に集まってもらって、その是非を判断してもらえばいいのであって、御承知のようなことになって二十一の地区が全部特定地域としての計画を指定され、あとはもう用なしというのならば解散すべきです。国土総合開発法というものは眠らすべきです。そうして事務当局にまかしていいのです。いたずらに審議会をたくさん作る必要はありません。われわれも委員をしておりますけれども、忙しい中を行っても何らわからぬようなむずかしいことを言っておるならば、行く必要もないわけなんです。それで、私はこの法律を見まして、そうしてこの審議会自分意思会議を持つなんということができないとは理解しておらないのです。その点について飯沼さんは法律屋さんでないと思いますから、これは開発局長、どういう見解を持っておるか。総理大臣からの諮問がなければ会議が持てないのだというように運営を理解しておるか。それから、あなたの理解が、他の数々の審議会がございますが、その審議会と比べてみて、あなたの方が妥当であるかどうかという点について、責任ある答弁を願いたいと思います。
  11. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 国土総合開発審議会の問題でございますが、法律の四条によりますと、「国土総合開発審議会は、総合開発計画及びその実施に関し必要な事項について調査審議し、その結果を内閣総理大臣に報告し、又は勧告する。」とございますので、私どもの解釈といたしましては、必ずしも政府から何らかの諮問がなくても、いろいろ国土総合開発計画進捗状況なり何なりに関して御審議を願うこともございましょうし、あるいは政府からどうなっておるかというような報告を求められても、差しつかえないものというふうに考えております。
  12. 田中一

    田中一君 これは今、飯沼会長に質問をするのは実は酷かもしれませんけれども、少なくとも私がこういうことを伺うのは、十年前に国土総合開発法が実施され、当時まだ混乱がございました、国内の治安も経済もあらゆる生活が混迷時代にあったときに、一つの希望として国土総合開発法が実施されたということについては、まことに時宜を得たものだと考えているのです。私もまあそれは途中には一時抜けたこともございましたけれども、終始委員としていつも飯沼会長の教えを請うておったわけでございますけれども、しかし現在会長のそのような御認識では困るんではないかと思うのです。だから今調べてみましても東北開発、北海道開発、九州開発、これは立法化されております。また中国等は当参議院におきましても促進しなければならぬというような決議を行なっております。北陸等についてもおそらくこの国会中にはそうした決議案が上程されるだろうと思うのです。衆議院においては各党、各派共同の、今回も提案されております四国地方開発促進法案等発生発生と申しますか発議しなければならない状態に追い込まれているという実態をわれわれは考えなければならぬと思うのです。なぜ、なぜ、なぜ、常に国民は疑問に思うと思うのですよ。国土総合開発法というものがあり、これが当時の民衆に与えるところの好影響というものがこれはもう非常なものでございました。ところが国土総合開発法運営、それから実態というものが弱かったからこそ、このような形の数々の地方計画が生まれてくるわけだと思うのです。これは飯沼さんの責任を追及するわけじゃございません。事務当局が何といったって一年か一年半足らずで次々かわる。まあ菅野さんお見えでございますが、大臣はこれはまあいろいろあるでございましょう、党内でいろいろの事情もあるでしょうし、まあ第一次、第二次、第三次と内閣がかわるたびにこれはいろいろかわることはあり得ると思うのですけれども、少なくとも事務当局というものが落ち着いて仕事をしようなんという人はおりません。それの何々のポストはこれは建設省から出向する。何々のポストは通産省、何は運輸省というような、能吏を養うような仕組みになっておらぬ。能吏が、国民サーバントとしての国家公務員が腰を据えて仕事をしようというような仕組みになっておらないのが経済企画庁です。作文だけする。全くプランメーカーなんです。そのうちの企画庁の一つの部門を受け持っておるところの審議会会長飯沼さんやっていらっしゃるのですから、ずいぶんお因りのことやいらだたしいことがあったと思うのです。私はこうしたような法案が陸続として出ることはこれは政治の貧困だと思う。そこで現在の経済企画庁のあり方、少なくとも国土総合開発、日本のこの残された四つの島によって、われわれは自己の自立経済を達成しようという非常に明るい気持をもって出発したこの法律が、あえて虫ばまれるとは言いませんけれども、その目的がもう失われつつあるということをわれわれが反省しなければならぬと思うのです。で、長官一つ一体国土総合開発法という法律、並びに国土総合開発審議会という機構をどういう方向に向かわしめようという考え方でおるのか。そうしてこのように国土総合開発法によるところの地方計画というものが、法文にはっきりと明らかになっております。たとえば審議会にいたしましても、地方都道府県審議会が持たれております。運用が悪いからこのような問題が起きると思うのですが、これに対する態度はどうお考えになっていらっしゃるか、伺っておきたい。
  13. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 国土総合開発についての今の御意見は私も全く同感でありましてせっかく昭和二十五年にこの法律が出ておりながら、お話通りこれが本格的な進捗を見てないということはまことに遺憾だと思います。その点においてはやはりこれは政府責任であると私も考えております。そこで私といたしましては事務当局にせっかく法律ができて今日まで進捗しなかったという理由についてもいろいろ尋ねてみたのでありますが、一つはやはり行政機構一つ欠陥があるのじゃないかと、こう思うのであります。これは経済企画庁だけでこの国土総合開発というこの大きな仕事はできないのであって、むしろ本気国土総合開発をやるのであれば、もっと予算も取りそうして組織ももっと拡大して、そうしてあるいは建設省なり、あるいはたとえば資源調査などは今科学技術庁でやっておりますが、そういうような仕事も全部あわせてやらなければほんとう国土総合開発というものはできないじゃないか。それが各省に仕事がばらばらになっておるというようなことに欠陥があるんじゃないかということを、私最近特に気づきまして、この点については一つ根本的に考えてみなければならぬということを私自身が今考え中なのであります。  それからなおもう一つは、私ども国民所得倍増長期経済計画を立てておりますからどうしてもこの長期経済計画と関連して国土総合開発というものがやはり考えられていかなければならぬ。ことに御承知通り地域的な所得格差というものが問題になってきておりますから、これはやはり国土総合開発的な観点から、この地域的な所得格差というものをなくすることを考えていかなければならぬ、そういうような観点からして、この国土総合開発というものは根本的に一つ考えてみたい、ということを目下私自身考えておるのでありまして、その点につきましてはいずれまた皆さん方あるいは審議会の方にも一つ御相談して、本気一つやるかやらないかということをこの際政府としてきめなければならぬ、こう私自身考えております。お話通り国土総合開発というものが今までほんとう進捗しておれば、各地方開発促進というようなこういう問題は、あるいは起こらなかったかもしらぬ、こう私自身も思っておるのでありまして、その点においてこの問題は一つ政府としても本気にやるならやる、やらぬだったらそのままで、まあこういうような各地の地方開発ということだけでいくならいくということを、根本的に私自身は検討したいとこう存じております。
  14. 田中一

    田中一君 菅野長官経済学者として私は非常に期待しておった。あなたのおられるときには少なくとも何かの形が出てくるんじゃないかと思っておりますが、今開発局長に聞いてみるとまだ、各特定地域経済効果等もあるいはいろいろ説明がございました。あなたの御出席する前に説明があったのですが、公共事業だけではその効果は上がらないのじゃなかろうか、あるいは公共工事が少なくて地方工事地方計画の方が進んでおるものもある、というようなことを的確につかんでおらないような発言があったわけですよ。これから、十年たってから、これからやろうというような発言があっておるように私は聞き取ったのですが、そういうことではできません。ことにあなたがもう一年近く長官としておられるのに、今その辺でこれからぼつぼつとなったんでは、やはり何でしょう、六月ごろにはまた閣僚もかわるでしょう。(笑声)これはそういうような今までの慣例と申しますか、あなた方の与党の諸君の考え方から見る場合には、あなたはやはりしないということですよ。学者として自分答弁は上手にできるけれども、する意思がないと言わざるを得ない。そういうふうに、それこそ私が望みたいことは国土総合開発審議会というものがございます。私の記憶するところによりますと、この一年間で二へんほど開いたんです。それも短かい期間で、いつ幾日開くと通知がある、こちらはやはりいろいろ予定もありますから、前回は出なかった。つい今月ですか、先月ですかあったときには、これはぜひ出たいから、こっちも国会開会中ですから用事もあるけれども、出たいからと言って出ました。しかしこれはもしもあなたがそういう熱意を持つならば、就任後直ちに、これは経済関係の問題は、ずいぶん専門ですから再三お開きになったと思いますけれども、少なくとも国土計画というものに対しては、あなたがさつそく就任と同時に審議会を招集して、そうして今までの宿弊なり行政機構なり、そうしたものについての諮問するだけの考え方が生まれなければならぬと思うのです。あなたは伺っておらないのですか。もっとも私も出ませんでしたけれども。昨年秋あった審議会には、飯沼さん、そういうような長官からの要請がございましたか。ただいまお話のような国土開発法に基づく事業に対して、調査なり何なりしてくれいというような、あるいは長官考えておられるような、今説明されたような考え方を述べられたような機会がございましたか、審議会では。
  15. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 実は国土総合開発審議会の庶務は私の方でやっておりますので、これは私の方で開催なりあるいは議題なりの用意をいたさなければならないわけでございますから、一切そういう点は私ども責任でございますが、この前の五十三回の国土総合開発審議会前回は五十二回でございますが、三十年の九月にやっております。そのときの議題としては、町村合併に伴う特定区域変更等議題がございましたが、まあただいまお話のございましたような大きな問題は、まだ固まっていなかったと存じまして議題になっておらないように記憶いたしております。
  16. 稲浦鹿藏

    理事稲浦鹿藏君) ただいま発議者森本靖君が出席されました。
  17. 田中一

    田中一君 今月でしたか、都道府県会館で開かれた審議会は何回目です。
  18. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 五十三回になっております。
  19. 田中一

    田中一君 五十二回目は何年何月です。
  20. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 五十二回は、ただいま申し上げましたように、三十三年の九月二十六日に開催いたしております。
  21. 田中一

    田中一君 五十一回は。
  22. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 五十一回は三十二年の十二月の二十日でございます。
  23. 田中一

    田中一君 一年一ぺんだけ開く審議会ならばおやめなさい。これはもう菅野さん、あなたね、このような地方実態から、切実な要求として出ておるところの一つ経済圏といいますか、府県ばかりではございません、経済圏、こういう法律案が出る以上、国土総合開発法は当然残していいと思いますが、審議会はもうおやめなさい。国土総合開発審議会というものをやめる、これを眠らすなら眠らす。法律がありますとどうしてもこれは任命しなければならなくなって参りますから、これは法律案お出しなさい。用をなし得ないのであります。ことに私ども考えますのに、不時のたとえば弾劾裁判所裁判委員というようなものは、いつ事が起こるかわからないから常置しなければなりませんよ。あるいは国会におきます懲罰委員会等ですね。しかし国土総合開発審議会というのは一年一ぺん開けばいいというものじゃないのです。それこそ局長以下何人かの国家公務員がその職についておると同じように、常時調査しあるいは研究しあるいは意見の交換をしなければならない性質のものだ。それが一年に一ぺんずつ会議を開けばいいのだということなら、これはもう政府が自由に特別委員なり何なりを任命なすっておやりになればいいと思うのです。われわれはやはり国会議員として委員に選任されておりますと責任を感じます。行ってみると何にもわからぬことを言っているのです、ということではこれはとてもなくした方がよろしいと思うのです。従って、これらの調査東北、北海道、九州、今度は四国が出ました。おそらく中国なり北陸が出ると思います。また北関東開発促進法なんというのが出るかもわかりません。そうなりますと、もはや全国的な総合開発法が分散されてくることになりますから必要ございません。従って、この国会中に長官は廃止の法律案を出すという準備があるかどうか伺っておきたい。
  24. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 私はせっかく今のような有益なお話審議会で大いに一つ議論していただいて、それで一つ国土総合開発はこうあるべきだということを、一つ皆さん方が活発に御意見を何してもらって、そうしてわれわれ大いに激励してもらうということが必要である、その意味の私は審議会だと思うのです。でありますから、これはせっかく審議会があるのですからして、そういう御意見であれば何もこちらで議題を作ったときに審議会を開くのでなくて、皆さん方一つ国土総合開発を根本的にこの際討議しようじゃないかという御意見ならば、われわれは喜んでまた一つ審議会を開いて、そうして皆さん方の御意見を承って、またわれわれとして進むべき道を一つ見出したい、こう考えております。お話通り、私はこの国土総合開発ということについては、私自身は前から関心を持っておった問題でありますので、で経済企画庁へいってみて、行政機構がこのような行政機構では、ほんとう仕事はできないということを実は痛感いたしたのであります。この行政機構を変えるということについては、これはなかなか大きな問題でありますので、この国会中にそこまでは私は進むことはできないと、こう考えておりますが、これは一つもしもなお経済企画庁長官でずっと続くのであれば、一つこの問題をこの次の国会まで私としては取り組んでやってみたい。こういうように考えておるのでありまして、その点は私のこういうような考え方事務当局には漏らしてあります。やるのだったら本気でやろうじゃないか、やらぬのならばこのままで放っておいていいじゃないかという考え方で、やるのだったら本気で予算もとるし、行政機構も根本的な改変をやってやるべきだ、こういう私は意見を持っておる次第であります。
  25. 田中一

    田中一君 局長にばかり——結局大臣がああいう態度でいるということを、局長にこまかく追及しなければならぬと思いますが、あなたいつから入っているのです、いつから出向したのです、あなた出身はどこですか。
  26. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 出身と申しますか、初めて役所というものに入りましたのは農林省でございまして……。
  27. 田中一

    田中一君 そんなこと言わんでいいんです。
  28. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 昨年の十月一日に企画庁に参りました。
  29. 田中一

    田中一君 そうするとあなたはやっぱり農林省から出向したという気分ですね。むろん辞令をもらってきておりますけれども、あなたの感覚としては、おれはちょっとかりにあそこへ出て次のポストをねらっているのだ、そこを出たら次の自分ポストが待っているのだという今までのあなた方の慣習といいますか、そういう気分でしょうね。
  30. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 私ども役人というものは上司から言いつけられたことを一生懸命やるのが仕事でございます。開発局に参りましたら、開発局の仕事をその局長の職にある間は一生懸命やらなければならぬ、こういう覚悟でおるわけでございます。
  31. 田中一

    田中一君 あなたの前の局長建設省から局長になったのですね、その前は農林省でしたね、その前は建設省、その前は農林省、その前は建設省、こういうやっぱり不文律が、一つの慣習と申しますか、そういうものがあるのです。帰ると次のいいポスト、上のポストへぼんといくように仕組んであるのです。これはまことに官僚機構の、美しい、巧妙な、友愛に富んだ派閥だろうと思うのですね。そこであなた大体三十四年十月から見えていつまでおられるつもりです。こんなことを上司から命令があるから云々なんていう公式論を伺っているのじゃないのです。私なんか非常な熱意を持って考えているから言うのです。あなたのポスト、あなたの職責というものを非常に高く評価して、どうして、そこにあなたのような優秀な方をとめておいて、そうして今経済企画庁長官なりがおっしゃっているような、この方向に向かわせようという考えを持つからあえて伺うのですから、一ついやなことを聞かれたという気持ちを持たずして、今までの慣習と申しますか、から伺うのですが、大体いつごろまでいるつもりで来ておりますか。
  32. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 私がいつまで開発局長をやっておるかは全然わからないのでございまして、これはすべて任命権者である大臣から言われれば、その通り動くほかはないわけでございます。
  33. 田中一

    田中一君 あなたの前任者の建設省から来たのはだれでしたかな。
  34. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 建設省の浅村……。
  35. 田中一

    田中一君 浅村君は何年いましたかな。
  36. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) はっきりした期間は記憶しておりませんが、一年半足らずでございます。(「長官に聞けばいいじゃないか、いつまで置くつもりか」と呼ぶ者あり)
  37. 田中一

    田中一君 長官はこれはあるいは六月になったらおやめになるかわからぬし、そこまでの責任長官に追及できない。(「今の気持としてさ」と呼ぶ者あり)いや、まだ大丈夫だ、一年半たってないから……。  そうすると、前任者はどのぐらい在職しましたか。
  38. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 今、農林省に行っております伊東正義君でございますが、やはり一年……ちょっと記憶しておりません。
  39. 田中一

    田中一君 私が記憶してるのはやはり一年足らず……一年ちょっとだと思うのですよ。大体、開発局長というのは一年半足らず在勤すれば、またもとの古巣へ戻って上位の職制につかれる、というのが慣例であるというふうに理解しなければならぬと思うのですよ、実態から見ましてね。——そういうことでは仕事ができるものじゃないのです。局長としての職責はそういうことであり、またその身分というものはその程度の在任期間じゃないのです。同時に従って、あなたの方におられるところの各職員の諸君も、みんなそれぞれ国土開発に関係のある各省から出向の形で来て、農林から出向した人は農林の立場でものを言い、建設の立場、運輸の立場、通産の立場等々、そういう方々の寄り合い世帯であるのです。これは今、菅野長官が指摘した通りです。しかしながらあなたがもしも今、長官の決意、こういうものをあなたがお感じになり、そうして十年たったこの際一つ腰を据えてやってみようという気持ならば、農林省に帰るのはおやめなさい。そのぐらいな決意を持たなければ、あなた方は事をしないということです。何もしょうという意欲を持たぬ、ただ職責を……、すわっておるにすぎないのですよ。だから、飯沼会長が言われているように、飯沼会長はそういう誤解をなすっておった——会長が招集権があると思うのです、法律を見ますとね。あなた方は単に事務的な扱いをすればいいのです。ところが一年に一ぺんしか開いていないというこの現実から見て、どうお考えになりますか。あなたのが開こうと言ったのに会長が開く必要なしということなのか、あなた方で会長に開きましょうということを言ったことがないのか、どちらですか。
  40. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 私も昨年の秋に開発局に来てみまして、国土総合開発審議会が一回も開かれておらないのを聞きまして、それではいけないんだろうと、とにかく法律によっていろいろなことを調査審議していただく大事な審議会でございますから、なるべく早く開くことがいいのではないかというふうに考えまして、まあ準備のためにおくれましたけれども、三十三年の九月に開いた以後開いておりませんでしたものを、開催していただいたわけでございますが、私の考え方としては、何かどうしてもかけなければならないことがなくても、随時できるだけひんぱんに開催していただきまして、いろいろ先生方の御意見を承ることがいいのではないかというふうに考えておりまして、先般の五十三回の審議会でも先生方からいろいろ資料要求もございましたし、さようなものの準備ができ次第また開催をお願いいたしまして、いろいろと御意見を承りたいというふうに考えておるわけでございます。
  41. 田中一

    田中一君 飯沼会長、今事務当局がそう言っておりますけれども、たとえば東北開発が、いつでしたか、持たれましたかな……。この四国地方開発促進法というものは、そんなことは国会仕事だというお考えでそのまま見のがしなさるか、あるいは国土総合開発審議会がこれを取り上げて十分に検討してそうして国会がきめる態度は、これは最高のものでございますから、これはそれで自由意思でございますが、国土総合開発審議会が、かかる法律案というものを、あるいは考え方というものを当然議題にする対象であると私は考えておるのです。ましてやこの国会——先月でございましたか、中国地方の開発促進決議も参議院で行ないました。昨年は九州地方の開発の単独法が出ました。これらのものは当然、会長がお考えになると同時に、事務当局はそれらのものを取り上げて、やはり国土総合開発審議会に諮るということが、これはあたりまえの常識です。政府の開発に対する熱意、並びにこの内容に盛られたところの提案理由の説明にあるような状態というものは、政府の政治的な足りなさというものを露呈しておるのは当然でありますけれども国土総合開発法によるところの区域なんです。従ってどちらからか発議して当然開くべきです。私は四、五年前でしたか、飯沼会長に申し上げたように、全国計画をお立てなさいという要請を長くいたしまして、たしか二十七、八年ごろだと思いましたけれども、一応特定地域計画を取りまとめた全国計画的なものが、ほんとうに机上のプランとして提出されたことがございます。しかし国土計画というものは動くものです、常に動いております、これは固定したものでないのです。たとえ年次計画をきめてもその年次において動いておるのです。生きものです。従って定期的に月に一ぺんなり二へんなり開くということが当然のことなんです。おそらくそのためには、まあ会場を借りたり、お茶ぐらいは出ますから、そんな予算はないのかもしれません。ないから会長意思があっても、その事情——あなたも古いお役人でございますから、その辺の状態は知っていてお開きにならないのかもしれませんけれども、私はそんなことであってはならないと思うのです。こういうものはまた次国会にも出るはずでございます。従って、国会法律案の成立の云々は別といたしましても、急速にその実態というものを……会長が招集されて審議会をお開きになるということが正しい方向であろうと思うのです。またそれが役目であろうと思うのです。その際には必ず長官にもお忙しいでしょうが出席願って、よく各委員意見も聞いてもらうということが望ましいと思うのです。そういうようなお考えございますか。
  42. 飯沼一省

    参考人飯沼一省君) 国土総合開発法に基づく地方開発計画であるならば、これは私は国土総合開発審議会委員の皆さんに集まっていただいて、その議にかけることが適当であると思いますけれども、またかけるべきものであろうと思いますけれども、今日問題となっております四国開発促進法そのものを、あの国土総合開発審議会の議にかけることは私はいかがかと考えます。適当ではないのではないか。審議会で議論をするとすれば、それは国土総合開発法に基づく地方開発法、地方総合開発計画についてかけるべきであって、ところが国土総合開発法によりますと、地方総合開発計画は関係の府県が協議をしましてそうして提出をしていく、こういうことになっておりますが、今日まで実は関係府県からそういうものが出てこないのでありまして従って国土総合開発法による手続によってこれを進めることは行なわれずに来ておったという状態である、そういうふうにこの問題については考えております。
  43. 田中一

    田中一君 これはこの法律案審議会にかけろと言うのじゃないのです。少なくとも四国には、あなたが会長として審議会を持たれ、会議を持たれてきめられたところの特定地域があると思うのです。二つあるはずだと思うのです。この二つの計画の上にこの計画ができるわけなんですね。よろしゅうございますか。あるいは、かつてのこの二つの特定地域計画が今回の審議会等によってこわされるかもしらぬ。あるいは全然その精神が生かされない場合があるかもわかりません。計画が変更される場合があるかもしれません。そういう事態を予想されるならば、当然これは経済企画庁藤巻局長の手元に戻る法律案なんです。法律案文というのは、これはどうこう言うのじゃございませんよ、その計画というのは当然総合開発局長の手元に来るわけなんです、これは。その計画は、われわれが審議したものがこわされて……、こわされないかもわかりませんよ。それをわれわれ、かつて審議したところの審議会委員としてだまっていることはでき得ません。どちらが正しいか、どちらが最善か、どちらが経済効果が早期に発揮できるかどうかという問題は、当然、総合開発法によるところの法律権限です。従って、今、飯沼会長の御発言に対しては非常に不満でございます。開発局長はどういう見解を持っていますか。たとえばこの法律案が通る。通ってあなた方の手元にむろん所管の事項になると思います。かつての特定地域として決定したものが変革される場合もあり得るということを予想されるならば、当然あなたの手元で、総合開発審議会議題として取り上げることがいいか悪いかの、問題に対する判断を願いたいと思うのです。局長から事務的に……、おわかりにならなければ、一つ菅野長官から政治的答弁でけっこうでございますから、そのように御答弁を願いたいと思うのです。
  44. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) この法案自体は国土総合開発審議会などで審議する必要はないかと思いますが、今、この法案によっていろいろ開発促進計画というものが策定されると思います。その場合には国土総合開発審議会の方で一応はやはり審議してもらうということは、もちろん私は必要じゃないかと思うのです。今までもそういうことをやっておったのじゃないかと私は思っているのですが、たとえば九州とか東北というのはやっておったのじゃないかと私は考えておったのですが、今のお話によると今までやっていないそうでありますが、ここは今度四国開発促進計画が出た場合には、やはり総合開発の審議会一つ一応は皆さんに御審議をしてもらう必要があるのじゃないかと、こう私は考えております。
  45. 田中一

    田中一君 開発局長大臣からああいう私の意見に非常に共鳴する答弁があったのですが、事務当局としてどう考えますか。
  46. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 同じように考えております。
  47. 田中一

    田中一君 ではなぜ九州東北におきましては議題にしなかったのですか。今までしましたか。
  48. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 私おりませんでしたのでちょっと記憶しておりませんが、議題には……ちょっと今までの議題を調べてみたのですが、その議題が載っておりませんので、あるいはしていないかと思います。
  49. 田中一

    田中一君 その通りです。実に残念なんです。この国土総合開発法ができたときにには、ほんとう国民は明るい、国がほんとうに腰をすえてやるならば、八千万、九千万の国民がこれによって経済的な自立ができるだろうという希望を持ったものです。法の運用が正しくないためにこういう——これを非難するのじゃございませんよ、そこに追い込められた地元の貧困県の心境というものは——はっきりと法の運用の誤り、同時にまた政治の貧困からくるものなんです。従って、もうこれ以上経済企画庁飯沼先生並びに開発局の方を追及いたしませんけれども十分、心してこの法律ができた以上、真剣になって、ともに国土総合開発審議会を活用して、いい結着をつけるように願いたいと思うのです。
  50. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 今、田中委員から、われわれにとっては非常に有益な御意見がありまして、今まであるいは九州とか東北の問題で、かけていなかったということはたしかに落度であったと思います。でありますからしてそれぞれの地方開発は、やはり全国の国土総合開発と関連して考えなければならぬ問題でありますからして、国土総合開発審議会で一応やはり皆さんに御審議してもらって、そうして今までのやり方——この新しい地方々々の開発促進計画国土総合開発計画との間のそごがないかということについて、やはり検討してもらうことが適切な措置であったとこう思いますので、今後は一つ必ずそのように取りはからうようにいたしたい、こう存じております。
  51. 田中一

    田中一君 もう一つ何っておき、また決意を知りたいのですが、これは飯沼会長とも個人的に話し合った問題なんですけれども経済審議会の方でいろいろ貿易その他の問題について、あなたはエキスパートですから相当真剣に経済問題と取っ組んでいらっしゃいます。ただわれわれがこの国土総合開発というものに対する熱意と申しますか希望を持っているものは、何といっても貿易を、あるいは対米貿易というものを否定するものじゃございません、ございませんが、少なくとも今日の状態においては食糧等は一応安定しておりますけれども、やはり国土から生まれるものによってわれわれが生きるのだという自覚、そういう自信を持つ以外になかろうと思うのです。従来の国土総合開発特定地域並びに地方計画等は、これは実行可能であるか可能でないかという問題が、相当なウエートになって審議されておるのです。私は、経済企画庁が実際に日本のこの国土というものをいかに開発し、いかに利用し、国民のものとして経済効果をあげるということを考えるならば、予算の関係のない高度の技術的な計画、基本的な計画というものがあっていいのではないかと思うのです。運輸省、通産省、建設省、農林省等々、単なる飛躍台として、自分のところの子飼いの職員を送り込んで、それぞれの各省がやっておるところの事業の利益代表的なセクトによって、この計画が樹立されることの間違いを指摘したい。むろん事業計画というのは予算の裏づけが必要でございますが、その予算にのみこだわって正しい計画が生まれないのではないかと思うのです。そこで菅野さんがいらっしゃるうちにやってくれれば一番うれしいのですが、予算の関係がないものでもいいです。これが日本の民族の最高の計画である、これによってわれわれは生きられるのだ。アメリカから物がこなくてもよろしい、油も買わないでよろしい、こういうかくかくの計画があれば、生命なり国の経営というものが平和な形で行なわれるのだというような、夢のような計画でもよろしゅうございます、これが最高なる技術者なり有識者が集まって検討されることが望ましいと思うのです。いわゆる国土総合開発の全国計画です。地方の実情に合ったところのものじゃなくて、実際日本の国の国土経営という面からいうところの計画が立てられなければならぬと思うのです。  もしそれができておりますならば、たとえば今回の四国地方開発促進法等は出て参りません。なぜならば、この提案理由の説明にもあるように、たとえば「相当の包蔵量を有するといわれる各種資源の開発」とか、「この地方住民の生活程度はきわめて低く、地方財政は弱体であり、」とか、地域間の格差等、なぜこれを出さなければならなくなったかということが、るると述べられております。全国的な計画がないから、こういうような問題が起きて参るのです、不均衡が行なわれるのです。生活程度の違いなんというものは、これは恥辱でございます。  それに加えて言いたいのは、やはり政府がむだ使いをなさるということ。何が先行するか、私は貿易が先行すべきものじゃないと思うのです。けれども、これは不定するものじゃありません。しかしながら、何といっても、われわれはこの四つの島で生きられるのだという自信こそ、これくらい民族の防衛と申しますか、この強さはないと思うのです。それには、どうしても地方的な、政治的な、財政的な配慮から生まれるところの地方計画の積み上げじゃなくして、国が責任ある長期計画というものを確立すれば、これらの問題が解決するのじゃなかろうかと思うのです。  従って経済企画庁としてはそれらの研究と申しますか、それに対する前進と申しますかをやるお考えがあるかないかという点を最後に伺っておきたいと思うのです。
  52. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 今の田中委員お話では、日本の経済を、どう進めていくかということに関連して、国土総合開発ということを研究すべきじゃないかということであったと思うのでありますが、そこで、今政府といたしましては、長期経済計画を立てておりますが、これに関連して、やはり国土総合開発ということをわれわれ計画を立てたいと、こう考えておるのでありまして、そこで日本の経済を、どう持っていくかということは、これは大きな問題であります。  で、お話通り、なるほど外国の経済に依存する必要はもちろんないと思いますけれども、しかしまた一方、今日の世界の大勢からいうと、世界経済の交流ということが、今日の世界の大勢になっておりますからして、従って、この世界経済交流ということに関連して、日本の経済の発展ということも、あわせて考えていかなければならぬ、こう考えております。  従ってその日本の経済をいかに進めるかというその考え方と、そして日本の国内における天然資源の開発、あるいはその他産業基盤の開発というようなことに関連して、この国土総合開発ということを考えてみたいと、こう考えておるので、先ほどもちょっと申し上げました通り、私は国土総合開発ということは、この長期経済計画を私の方で立てておるから、従ってこれと関連して、一つ国土総合開発ということを思い切ってやるべきだという、私自身は、そういう私見を持っておる。それについて先ほど申し上げましたように、行政機構をこれを何とかしなければならないということ、そういうことについて、私は気づきましたので、この問題を、何とかして一つ解決していかなければならぬというように考えておりますので、まあ一つ田中委員のせっかくのいろいろのお考えは、今度国土総合開発審議会を近いうちにでも開きまして、皆さん各委員から、この国土総合開発について、一つ熱心な御議論をしていただいて、われわれに聞かしていただいて、そして皆さんとともに、この問題を解決するように今後邁進して参りたい、このように存じております。
  53. 田中一

    田中一君 私とあなたの考え方には、多少食い違いがございます。これは政党が違うので、どうにもならぬと思います。ここでは論議いたしませんが、早急に飯沼会長審議会でもお開き下さって……ほんとうに、よく御存じなんですよ、全国的な計画を立てなければならぬということについては。一つ、そういう方向に向かっていただけるように、お願いいたしておきます。
  54. 田上松衞

    ○田上松衞君 田中さんと、各関係者との質疑応答の中で、私ども聞いてみますると、さっぱり何が何だかわからない。こんないい加減なものだろうかという感を強くする。まことに遺憾に考えておる次第ですが、あとでも、経済企画庁長官答弁の中でも、何かしらん、ただその場をつくろうようなことにしか聞こえません。私ははっきり申し上げます。  さっきのお話でいきますると、行政機構が不完全であるのだ、あるいは片一方から申しますれば、何かしらん予算もないというようなふうにも聞こえた。もし、やるのだったら、機構の改革等をやって、本気に取り組んで参りたいというような工合に、前段では聞こえましたが、あとになって聞きますと、御意見に従って、十分やっていこうというようなことになる。どこを開けばいいのか、さっぱりわからなくなってしまったということです。  それから、言いにくいことですけれども飯沼さんのお話の中で、自分たちの方で、国土総合開発審議会の方で、この問題を取り扱うということは、あるいは行き過ぎかもしれない、表現は違いますけれども、その必要はないのじゃないか、というようなふうに受け取れたわけなんです。大きな食い違いがある。どこの機関が、どこまで熱意をもってやっていくかということについて、多くの疑いを持たざるを得ないと考えるわけです。  さらには、提出者の力にお聞きしておきたいと思ったのですが、大体、この提案理由の御説明の中には、あくまで国土総合開発の重要な一環として、これをなすのだ、ということを強調されておるようです。そうなってきますると、当然この大きな、もとを作ります国土総合開発審議会というものが、内容を十分に検討しなければならぬはずだと、私どもは常識で考える。しかも、国土総合開発法に出ています分は、いろいろさっきからお聞きしておりますると、その審議会の所掌事務を第四条にうたってあるわけですけれども、第四条の中の一項だけを考えられて、次の問題は見のがしてしまっているのじゃないかという疑いすら持つわけです。これは、第四条は、いうまでもなく五つの項目に分けてありまするが、私ども国民が期待しておりまする問題は、第三項、第四項です。その点から申しますると、いろいろ話が、あっちこっちになりますけれども行政機構が不完全であるとか、何とかというものの前に、一体、国土総合開発審議会というものの性格、あるいはその使命、あるいは国民の期待というものは、この条文でもはっきりしているはずです。少なくとも四条の三項、四項というものを、十分に生かしていただきますならば、こういうような、きょう聞きますような、わけのわからぬようなことを聞かなくてもよかったはずです。  今日、いろいろ討議されているのは、ただ、審議会をそれでは開こうか、それを開いて、その——で討議しないかと、長官の話でも、そういうことがあって、審議会という一つの、それだけの無理押しだけのことにしかとれない。まことに残念だ。私は、そういうことよりも、審議会が行ないまする四項、もし、第四条の第一項の中で報告、ないしは勧告という問題だけでもやっていきますならば、総理大臣は、第十一条の二の規定によって、直ちにこれを計画いたしますところの都府県に対して、「必要な勧告又は助言をしなければならない。」とまで規定されているわけです。その点が含まれていないから、こういうような機会も、当然なくなってしまったのじゃないかということは考えられるわけです。提出者の場合でも、この審議会国土総合開発法というものが完全に、忠実に行なわれているとしますならば、今ごろ四国地方に対して、こういうようなものを出されなくたってよかったはずではないかということをあわせ考える時分に、まことにその間の決意、あるいは考え方といいますか、こういうものが不完全であったことを実は心配するわけです。  まあ、このことについて、どうお考えになるかというようなことは、もうすでに田中委員の方で十分尽されておるようですから、ただ私お聞きしておきたい点は、一体、飯沼さんと提出者及び経済企画庁との間において、今日この機会において、お互いに一致点が見出されるだろうかどうだろうかという、これも不安なんですが、どうなんでしょう。まず飯沼会長さんの方から、お開きしておきたいと思うのですが、さっきから、こうくどく申し上げることは、経済企画庁間の方では、やや結論的な意向を示されたようですけれども飯沼さんの方では承知されておるのか、されてないのか、何ら意思表示がないもんですから、あえて、この点をお聞きしておきたい、こう考えるわけです。
  55. 飯沼一省

    参考人飯沼一省君) お答えを申し上げます。  先ほど、私が申し上げましたのは、この四国地方開発促進法でありますか、これは法律の形の上から申し上げますと、国土総合開発法とは別に、手続が進められて来ておるものであります。ゆえに国土総合開発法による審議会に、この案を直接かけるということは、これは適当ではないのではなかろうか。これは、この方で進めていただいて差しつかえないものではなかろうか。すでに東北地方、また九州地方についてその先例があるわけでありますから。ただ、その実際問題といたしまして、先ほど国土総合開発審議会に、この議案がかかっておらなかったというお話がございましたが、しかしこういう法律ができて、こういうふうに進行しておるという御報告は、審議会の際に、当局から伺っておるようなわけでありまして、実際問題として、両者の連絡をはかってそご矛盾のないようにしていくということは、これは、きわめて必要なことであると考えるのであります。  私どもとしましては、いずれにしましても、国土総合開発法も、またこの四国地方開発促進法も、同じ経済企画庁の開発局で取り扱っておいでになりますことでありますから、その間に、そうひどい矛盾、抵触が起こるものとは考えておりません。先ほど田中さんからも、そういうお話がございましたが、もしそれによって、すでに四国地方においてきまっております那賀川の特定地、四国西南地方特定地域計画を変更しなければならぬということになりました場合には、これは当然国土総合開発審議会に御諮問のあるものと考えております。そういう実際の運用の面において、同じところで取り扱っておいでになる仕事でありますから、そうひどい矛盾——その間に、不都合が生ずるものとは、私ども考えておらぬわけであります。
  56. 田上松衞

    ○田上松衞君 私の申し上げようが、まあ不十分だったのか、的をはずれておるのですが、私のお聞きしたい要点は、国土総合開発法の第四条の規定の中の、特に第3項。これは諮問の範囲を越えてもうすでに、この場合は「国土総合開発審議会は、総合開発計画について必要があると認める場合においては、内閣総理大臣を通じて、関係各行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。」と。しかし「できる」だから、言わなくてもいいんだと消極的に考えられては、国民ががっかりするわけなんです。むしろ意見を申し出なければならないと国民はしてもらいたいぐらいに考えておるはずだ、精神はそういうことなんだ。私が第三項、第四項が、われわれの期待の大きな点だと申し上げたのは、このことをさしているわけです。  そこで今の飯沼さんのお話では、やはり受け身に立たれているだけで、ちっとも積極性がないわけです。そうすると、この場合四国地方の開発に対しては、今まで長い間やっておいでになり、何らの意見を述べられたことがないのか、お考えになったことすらもないのかというふうになってくるわけです。
  57. 飯沼一省

    参考人飯沼一省君) 四国地方につきましては、先ほども申し上げましたように、那賀川の特定地、それから四国西南地方特定地域につきまして、審議会としてその計画審議をいたしたわけであります。ただ四国全体につきましては、審議会として、これまで取り上げて議論をいたしたことはございません。
  58. 田上松衞

    ○田上松衞君 ますますどうも、頼りないような気がするわけですが、繰り返して失礼ですけれども総合開発計画についての必要なものについて、意見を述べるようにということになっているわけです。  ただ、そういう部分的な問題でなくして、徳島、香川、愛媛、高知四県を含みまするところの総合開発について、御意見をおっしゃったことはないでしょうか。それとも、さらにこれに対して意見を述べられたようなことはなかったのでしょうか。ないといたしますならば、さっきの四国地方ですか、なかなかどうも、何をやっておったか、さっぱりわからぬようなことになって、田中さんから指摘されたように、こんなものは、やめちゃったらどうだろうという極言まで出てしまうということになるわけですが、これがなされぬということであるとしますならば、さっき申し上げた十一条の二にのっとって、総理大臣は何かの手を打っただろうということも考えるのですけれども、そういう点については、結局何もやっていなかった、こう了解してよろしいのでしょうか。
  59. 藤巻吉生

    政府委員藤巻吉生君) 今までは、先ほど飯沼会長からお答えのございましたように、二つの特定地域計画について審議をしていただいたことはございますが、そのほか四国全体についての特別に意見を申し出たということはなかったわけでございます。しかし今後は、この四国地方の開発促進法によります計画が出て参りますと、いろいろと全国的な総合開発の面その他から、国土総合開発審議会としても、御検討願い、御意見を出していただくという機会がくるものというふうに考えているわけでございます。  今後は、各地域開発計画につきましても、いろいろと国土総合開発審議会で、御検討願うことになるというふうに考えております。
  60. 田上松衞

    ○田上松衞君 提出者は、これをほんとうに活用していきまする具体的な方法としては、どこへ、まあおのずから、この四国開発審議会の方がやるんでしょうけれども、中央に対しては、どこに主として頼った方がいいとお考えになっているんですか。
  61. 前尾繁三郎

    衆議院議員前尾繁三郎君) ただいま、いろいろお話を伺って、私どもとして考えておりますのは、やはり国土総合開発は、これは全国的な問題ですから、これは全国的視野に立って、大きな数字を描いていただく。また地方の問題につきましては、特定地域というような限定された地域についての、いろいろ御意見がある。その点については、いろいろなる矛盾を感じません。地域は、四国全体というものを地域——対象として考えている。また全国的視野に立っている問題については、それの一環として考えていく。  そこでまあ、率直に申しましたら、国土総合開発計画で、全国を全部をこまかくやっていただくならば、これは必要がないのであるが、なかなかそこまではいきません。従って、四国というものを対象として、下から持ち上げていった計画考えていく。それからまた、上から、全国的な視野からおりてきたものとの関連を考えながら、計画を立っていくというふうに考えておるのであります。  従って、私どもは、審議会委員は、ごらんの通り四国地方の人が主体となっております。しかし、これはまた、すべての仕事経済企画庁でやっていただきます。で、その間の全国的な、いろいろ考え方というものは、国会議員なり、また専門委員という方々によって調整をとっていただいて、そうして全国的な問題と、それから地方との関連も考えながら、十分その間に、矛盾のない計画を立て、さらにまた地方の切実な要望もいれていくというふうに考えておるのであります。
  62. 田上松衞

    ○田上松衞君 国土総合開発審議会意見というようなものも開かれる場合も、たくさんあるわけですね。そう了解していいんですね。  もう一点だけ経済企画庁長官にお聞きしておきたいのですが、すでに機構の改革等に関しまするこまかいことは別として、重要なポイントは、どういうふうにお考えになっておりますか。
  63. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 国土総合開発本気に根本的にやるとしますと、たとえば建設省国土総合開発計画仕事をやっておられます。科学技術庁や資源調査会でも仕事をやっております。そういうものも、やはりあわせてやらなければ、国土総合開発というものはできないと思うのです。  で、そういうふうに、また北海道開発庁という別の機構もあります。ですからして、そういうものをあわせて一つ大仕掛けにやるということも一つ考え方じゃないか、私自身は、こう考えております。まあそういうことなども一つ考えてみたいと、こう私は考えております。
  64. 内村清次

    ○内村清次君 管野長官に、一つ御質問したいと思います。  私は、この国土開発の問題に関係してきまして、さらにまた、現在は、東北開発法につきましても、また九州総合開発法につきましても、この委員会でやり、さらに、現在は九州地方の総合開発の委員です。先ほど田中君と長官との質疑のやりとりがありました。私は、田中委員の言われたことは全く同感です。ほんとう熱意に燃えたこの国土総合開発法律に基づいて、しかも、日本の全国的な総合開発をどうしていくかという熱意に燃えた、私はあれは質疑であったと思うんです。もちろん長官の方では、私が質問いたしましたことは、今日までの岸内閣の総合開発に対しまするところの熱意が、どうも私は足りておらない。しかもその一環といたしまして、長官は御答弁されましたが、行政機構の一元化の問題につきましても、あるいはまた予算のこれに充当する問題につきましても、私見としておっしゃった。これでは、私は国土総合開発というものは完全に実行されていかないと思う。まあ長官が、その私見を、長官の在職期間中に実現していただけば、私はそれで事足りると思いますけれども、しかし、これはほんとうに、この次の国会に、そういった機構改革というものが出てくるか、あるいはまた、予算というものが十分充当されてくるかどうかということは、そのときになってみないと、わからない問題であります。たまたま私は、予算委員といたしまして、三十二年の三月二十二日の予算委員会の総括質問の中で、特にこの問題に触れておるのです。そうして岸総理大臣答弁をいたしております。これを一つお聞き願いたいと思うんです。  私が触れた点は、昭和二十五年に、国土総合開発法というものが施行されてからもうすでに八年になる。ところが、全国計画及び地方計画というものが十分行なわれておらないじゃないかという点に触れております。そうしまして、当時は、特定地域の総合開発の事業計画といたしましては、六千八百六十七億円と予定されておったのが、その進捗率は、わずかに二六%です。そうして公共事業は、わずかに一七・一%、これがそのときの進捗率だったんです、八年間かかって。その後、今日また、特定地域も三つ入れまして、二十二になっておりますけれども、依然としてやはり進捗率というものは低いんです。そのときに私は加えて、開発行政機構の一元化をお考えであるかどうか、その点をお伺いするということを申しております。ところが、岸総理大臣は、「国土総合開発につきまして、今御指摘のように、国土総合開発法、あるいは北海道開発法等の法制もできておりますし、国土の総合的の利用開発を目的としてやってきておるのでありますが、今日までの成績は、私は、必ずしも所期のように進んでおらないという御質問の御趣旨の通りであると思います。」こう答えておるのであります。そうして、「言うまでもなく、この問題は、非常に広範にわたっており、また、関係するところがきわめて広い関係上、なかなかこれの実施に当りましては、困難もあるのであります。しかし私どもは、十分に今までの成績も一面において検討しながら、実地に即して、これが実現について、今後といえども十分努力して参りたい、かように考えます。」こう答弁しておるんです。それが今日まで企画庁長官も二代、三代おかわりになったでしょうけれども、あなたの代になって非常にこの行政機構の問題も一つ考えてみようじゃないかというような御答弁では、私は、岸さんの御答弁というものは、これはまあ、そつがないとはいいますけれども、あまりに無責任答弁じゃないかと思うんです。こうやって、国民ひとしく各地域におきまして熱望しておるような総合開発というものは、これが一つの政党の政策の道具にされるというような形では、私たちはいけないじゃないかと思います。  だから私が聞きたいことは、方針といたしまして、先ほどいいましたように、後進地域としての東北の総合開発、あるいはまた九州、あるいはまた四国でしょう。それからまた、さらにこのたびは、北陸とか中国とか、こういった形のものが生まれてくるような内閣の方針であるかどうか。これは、田中君のいわれるのは、東北開発というものがあるんだから、これを徹底的にやっていったならば、特定地域もきまっておるし、そういった幾つもの法律もできていかなくてもいいじゃないかという、こういう考え方でしょう。ところが、あなたの方では、この方針というものは、岸さんが、今後努力しますといいながら、変わったのであるかどうか。この点を、まず私は伺っておきたいと思うんです。これは、岸総理大臣に実は聞きたいんですけれども、時間の関係もありましょうから、長官から、一つ聞かせていただきたいと思います。
  65. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) お話通り国土総合開発というものが、ほんとうにできておれば、東北開発とか、あるいは北海道開発とか九州開発というものの問題は、あるいは起こらなかったかもしらぬと、こう私は考えております。  私ども最近、こういうふうに、各地方の開発の問題が起こって参りましたので、私としては、これは一つ第一、根本の国土総合開発をまずやるべきではないかということを、最近痛切に考えさせられてきたわけでありまして、そこで国土総合開発がないからといって、あるいは東北の方々、あるいは九州の方々、四国の方々から、何とか一つ早くやってくれという御要望が現われてきたので、その御要望が現われた理由は、私も十分了といたすのでありますが、しかしこれは、どっちかといえば、われわれは、私らの政府を責められているわけであって、その点において、まことに今日までこの計画が十分でき上らなかったことは、まことに遺憾だと、こう私も考えております。  そこで、これは大きな問題で、広範な大きな問題でありますからして御承知通り、こういう国土総合開発というものが、今まで建設省でやっておったのが、また数年前から経済企画庁にかわってやるとか、そういう行政機構の変更や何かで、その間、私はいろいろ進捗しなかったと思うのであります。また、その仕事の一部が、建設省に残り、あるいは科学技術庁にも、その仕手の一部がいくとかいう、ばらばらになっておるということを私としては知りましたので、だからして、国土総合開発本気でやるのであれば、まずこの行政機構を何とか手をつけなければいかぬではないかということを、私は最近は痛切に教えさせられたわけであります。  そこで、一つこの問題は、なかなか行政機構の改革ですからして、にわかにできがたい問題でありますからして、こういう問題につきましても、一つ国土総合開発審議会で、皆さん方のいろいろ御意見を承って、あるいは国土総合開発審議会意見として、強い意見を、あるいはまた建議してもらうとかいうような方法もとらなければならぬではないか、こう私も考えておる。これは、われわれだけが考えるのでは力が弱いのですからして、やはり国土総合開発審議会一つ意見として、御意見を建議してもらうというようなことも考えて進んでいかなければならぬじゃないかと、こう考えておるのであります。  そういう問題につきまして、一つ根本的に検討してみたいと、こう考えている次第であります。
  66. 内村清次

    ○内村清次君 ただ、長官、この点だけはよく聞いておいていただきたいと思いますことは、大体あなたの、今の御主張聞いておりますと、やはり基本的な国土総合開発、全国的なですね、これをまず土台として、これを充実させていくというあなたのお考え方には同感です。しかし、今まで岸内閣のやったことが、あなたもちょっと触れられましたように、たまたま予算の面におきましても、計画の上につきましても、ほんとうに机上プラン。机上プランといえども、まだ全国的な総合開発の机上プランというものは、まだできておらぬはずです。何もできておらぬ。だからして、地方の人たちが、これではいけないというところで、こういった細分化された地域的な開発法というのができてくるんだろうと私たちは思っておるのです。だから根を固めさえしたならば、これはもうこういったことはすべきじゃないと私は思うのですね。細分化されたことはすべきじゃない。こう思うので、方法としていい悪いというやつは、また論議の都合がありますよ。しかし総合開発の法律がある以上は、私は、細分化されていくべきではない。というのは、非常に機構が散漫になり過ぎるのです。  あなたの方の企画庁にも、たとえば今回の九州総合開発の面におきましても、ようやく人員は、二名か五名しか任命してくれないじゃないですか。あの開発室とか何とかというものを設けて、わずか二名か三名しか職員は任命してくれないでしょう。そういったことで糊塗していかれることは、それは何か、政策的なにおいがどうもある。ほんとうに実質が伴っていかないというような感じを私たちは感じさせられるわけです。というのは、この中にも、私は質問いたしておりますが、年次別計画というものをお立てになっておるかどうか。そうじゃない、各省が、予算を要求する、それを総合して、企画庁は数字として表わしていく、こういうようなことでしょう。だから私たちは、せっかく総合開発をするならば、どこから第一番に手をつけていくか、そうして各総合開発の拠点をまず設けて、そうして予算を十分とって、この拠点から開発をして広げていくというような方法をおとりなさいということを、私は審議会の席上でも十分忠告しておるはずです。がしかし、その点、まだいっておらない。これでは私たちは、細分化されたところの、こういった法律がたくさん出て参りましても、大事な基本的な、全国的な総合開発というものが、私は十分成り立っていくとは考えられないのですね。この点だけは十分一つ、お考えになっていただきたい。  それから、飯沼さんに、ちょっとお尋ねしますが、私は、今回九州総合開発の審議会に入ってみまして、会長さんはやっぱり、職務上、どうも企画庁のごきげんばかりとって、企画庁のプランによって動いておられるような感じがしはしないかということを私は感じました、これは、率直に申しまして。しかし飯沼さんは、そういうお方ではないとは感じます。がしかし、先ほどの御答弁を聞いてみますというと、当然こういった法律が出る前におきましても、国土総合開発法というものは、これは会長自体としましても、十分各条項をやっぱりお考えになって、そうしてすべきところの条項をはっきり、やっぱり明確に守っていっていただきたいと思うのですね。だからして田中委員からの質問があるのです、と申しますのは、たとえば第五章補則の第十四条をお開きになってみましても、当然東北の開発促進計画、または九州地方の開発促進計画というような、こういった問題等は調整をするところの義務があるのですね。これは審議会の方に内閣総理大臣意見を聞いて、そうして答申をしていくということであって、その前の前項にも、内閣総理大臣は、当然国土総合開発審議会のやっぱり意見を聞かなくちゃならぬというような法律的な条項も、はっきり明確になっておるのです。だからして開発局長も、あるいはまた企画庁長官も、その点で、あなたと異なった答弁をされたと思いますけれども、やはり会長は、こういったことを常に調整をする上について、審議会ではなぜ諮らないか。特定地域の問題と、これはダブってくるのではないか、こういったやっぱり積極的な御意見をお吐きになって、そうして審議会を守っておられるところの、あなたの職責といたしまして全国的な国土総合開発というものを徹底的に推進していくような方向に、やっぱり審議会を導いていってもらわないと、その易の審議会の空気をつくろっていく、企画庁の計画を、そのまま審議会委員の方の会議の導き方に専念していくということばかりでは、私は、会長の務めというものは勤まらないのではないかと、こういうふうに感じますがどうですか。
  67. 飯沼一省

    参考人飯沼一省君) 御忠言の点は、よく承服いたしまして、今後、お話の趣旨を、十分一つ考えて参りたいと思います。
  68. 田中一

    田中一君 前尾さん、あなた、四国並びに和歌山の状態は、よく御存じのはずですね。
  69. 前尾繁三郎

    衆議院議員前尾繁三郎君) 私も、実は四国、愛媛県は知らないのです。しかしそれ以外は、私は大阪の直税部長をやっておりまして、大体管内は、一応知っておるのですが、だいぶ前の話で、最近の事情については、あまり知っておりません。
  70. 田中一

    田中一君 困る質問じゃないのです。じゃ森本衆議院議員に、ちょっと伺っておきますが、この提案理由の説明に示してある条件というものは、これをもっと具体的に、抽象的のものじゃなくて何か資料でも作ってありますか、たとえば生活程度がどう低いとか、財政の弱体というような問題に対する——あったならば、そういうものを資料をお出し願いたいと思うのですが。
  71. 前尾繁三郎

    衆議院議員前尾繁三郎君) 承知いたしました。こういうものができておりますから、四国地方の後進性という、あとでお配りいたします。
  72. 田中一

    田中一君 それから御承知のように、道路整備五ヵ年計画の中に含まれている事業として、本土と四国をつなぐ路線ですね。御承知のように、淡路島を中継地とする架橋の問題が起こっております。で、和歌山との中間には、淡路島という中継地があるわけですが、淡路局を除いたということは、どういう意味なんですか。
  73. 前尾繁三郎

    衆議院議員前尾繁三郎君) 淡路島を入れてもらいたいという御要求は、確かにありました。ただ私どもとしましては、今までの方式に従いますと、県単位でなければいかぬと、どうも工合が悪いというので、県単位を中心としてきたものでありまするから、兵庫県を入れるということになりますと、また非常に問題がむずかしくなってくる。従って、その点は御了承願って、淡路島を除いたということでございます。
  74. 田中一

    田中一君 そうすると、どうも工合が悪いと——その工合が悪いことを伺っていると、なかなか時間がかかりますから伺いませんが、淡路島地方開発促進法という法律が、どうしても出さなければならぬような要素があった場合に、自民党さんでもわが党の方でも、衆議院でお出しになることはできますね。
  75. 前尾繁三郎

    衆議院議員前尾繁三郎君) その点は、どうも私、答弁する限りではないと思いますが、もちろんそういうことも考えられます。  しかし、この本土連絡の問題は、これは四国の問題として、総合開発計画には特段に取り入れていかなければならぬ問題でありまするから、これはまあ総合的に、重点的に四国開発の計画には入れていくわけであります。
  76. 田中一

    田中一君 和歌山を入れた理由は、和歌山も、同じような条件であるということで入れたのですか。それとも例の、十何年前の南海地方の地震ですね、等の、そうした自然現象があって、共通の公共事業なり、何なりがあるから入れたということなんですか。
  77. 前尾繁三郎

    衆議院議員前尾繁三郎君) 実は、災害地帯として指定されておるわけです。そういう意味合いからしますと、災害の関係なんか、非常に総合開発計画には重要な問題になっておりますので、和歌山も入れぬと……、まあ和歌山を入れた圏内で、考えていったらどうかということで、和歌山が入ったんです。
  78. 田中一

    田中一君 淡路島を除いた四国と、和歌山を入れた四国というものは、矛盾があるな。
  79. 前尾繁三郎

    衆議院議員前尾繁三郎君) その点は、矛盾といいますよりは、ただいま申し上げましたように、県単位というもので考えていった結果で、淡路島が落ちたということでありまして、その点は、片一方の方は災害地帯というので、理由は、ちょっと違っておるのでございます。
  80. 田中一

    田中一君 それから法律の立法の方法論としては、やはりその法律の表題をちょっと見たらわかるようなものが一番いいんです。  そこで、私は立法論からいっても、これは四国地方等かな——等という文字でも入れなければ、和歌山が含まれているということにはならない。表題というやつは、やはり内容を説明するものであろうと思うのですよ。何かそういうような表現の仕方をしないと、和歌山が四国地方という、われわれの通念と申しますか、ことにどの地図を見ても、どの小学校の本を見ても、これが四国地方であるというようなことは、説明にならぬと思うのですよ、等と入れたらどうですか。修正するのはいやですか。
  81. 前尾繁三郎

    衆議院議員前尾繁三郎君) 実は四国地方地方というので、そういう意味を含めたんです。これは立法例は、御承知のように、九州が、山口県が入りまして、そして九州地方というので出た先例にならったわけです。
  82. 田中一

    田中一君 悪い先例は直して差しつかえないでしょう。だから、ちょっとどうですか、修正しては。
  83. 前尾繁三郎

    衆議院議員前尾繁三郎君) それはかまいませんが、今の法制局の見解では、これは前から先例があるから、そういう意味だというので、四国地方という、地方を入れて、こういう名前にしたのです。
  84. 田中一

    田中一君 前尾さんは京都出身の、選挙区を京都に持っているあなたが、提案の理由の説明なり答弁をするという慣例は、衆議院にあるのですか、自民党にあるのですか、どっちなんですか。
  85. 前尾繁三郎

    衆議院議員前尾繁三郎君) 従来、東北地方は周東さんがやっておられます。それから北海道は山崎さん、それから九州は、野田君がやっておられるというので、むしろ地元でない議員がやった方が、公平であろうという意味合いからいたしました。そういうことになっております。
  86. 田中一

    田中一君 そうすると、公平とか不公平とかいうことは、党内事情でございましょうけれども、私ども審議するには、やはり実体というものを十分に理解したいという熱意を持っておるわけなんですよ。  そこで、まあおれが出れば、何も知らないのだから質問しないだろうというなら、これはいざ知らず、参議院は、常にそういう同じ政党でありますけれども、参議院の独自性というものを常に発揮しているのが、自民党でも社会党でも同じでございます。もう少し質問をしたいことがたくさんあるのですが、これはまあ各党共同提案の形をとっておりますし、どうもできませんから、これでやめますけれども一つ提案者は、かつての国土開発縦貫自動車道のごとき責任を持たぬという態度はやめていただきたいのでございます。このような議員提案という形は好ましいという意見もあろうかと思うが、好ましくないという意見もあろうかと思うのですよ。そこで自分たちが出した法律案を弊履のごとく捨て去るというようなことがあってはならぬと思うのです。私は、かつて国土開発縦貫自動車道の法律案の制定のときにも、促進派の一人でありましたけれども、むろんその間には、選挙があって議員が全部いなくて、変わっているのだというならいざ知らず、かつて賛成した方が、東海道にまた同じような高速道路を作るのだというようなことで、これはきょうの新聞見ても、自民党さん醜態でございます。社会党は、すっきりと態度をきめておりますけれども、自民党さんはなかなか、賛成した発議者が否定しているというような現状が出ておりますけれども、こういうことになるならば、この法律案というものは、これはもうあってなきがごとき性格のものだと思うのですよ。  従ってその点は一つ、私の方の森本衆議院議員からは聞かぬでも、態度はわかっております。しかし、一応態度を聞かしていただきますけれども、自民党さんの方の態度というものは、国土開発縦貫自動車道路の建設法のあれの制定にあたってあなたも賛成者でしたね、たしか前尾さんも賛成者だったと思いまするが、これに対する熱意を明らかにしていただきたいと思います。
  87. 前尾繁三郎

    衆議院議員前尾繁三郎君) 私が先ほど、公平だと申し上げたのは、あの地域内の方ですと、自分の県を持っておられるわけですね。でありますから、その県に重点がいきはせぬかというようなことを考えられてはまずいという意味でございます。そういう意味では、どの県にも関係はないが、四国については非常に熱意を持っておるというので、私が選ばれたのでございます。私もまた、その覚悟でお引き受けしたわけでございますから、ただいまお話通り、今後において私は、あくまでこの法律熱意を持ち、また今後、この開発計画についても、常に熱意を持って当たるつもりでおります。
  88. 森本靖

    衆議院議員森本靖君) ただいま前尾さんの方からも答弁がありましたように、私たちといたしましては、この法案を共同提案として出した以上は、少なくとも早くこの審議会ができまして、そうして促進計画ができまして、そうしてこの補助率あるいは負担の割合、こういうものの立法措置も、ぜひ早急に、政府は考慮願いたいというふうに考えておりますし、また議員の一員といたしましても、この法律案件が通過をいたしました暁には、最後までこれを見守っていきたい、このように考えておる次第でございます。
  89. 田中一

    田中一君 実は、自治庁に来てもらって、一つだけ聞いておきたかったのですが、これは時間がありませんから、一応前尾さん、あなたに伺っておきますが、三十五年度の予算は通ってしまいまして成立しましたから、三十六年度からの事業になりますけれども、その附則2にきめておりますところの「(国の負担又は補助の割合についての特別措置)」というこの条文に対しては、どういう理解をしておられるか、これは提案者両名のお方に伺っておきたいのです。どういう考え方を、大蔵省並びに自治庁が持っておられるかわからないのですが、その点が非常に一つポイントだと思うのです。従って、どういうふうに理解しておられるかということですね。
  90. 前尾繁三郎

    衆議院議員前尾繁三郎君) 実は、われわれも一番これでは不満なんでありまして補助率もきめたいというふうに考えておりましたが、一つは、御承知のように九州の補助率がきまりません。それからもう一つは、われわれといたしましては、昨年来、実は開発促進計画というものを、われわれの手で作っておったのです。ただ、審議会ができておりませんから、公式のものではないのであります。公式のものでない計画に対して、直ちに補助をするというわけには参りません。従って、まず審議会を作って、そうしてその計画が、オーソライズされるということが先決であります。それができましたら、最も最短の期間において、補助率をきめるというふうに考えまして、この法文も、そういうような書き方をいたしておるわけであります。
  91. 森本靖

    衆議院議員森本靖君) この法律案の中では、この附則の第二項の点が、一番問題になるわけでありまして、実は、われわれといたしましては、この法案を出す際に、これをすでに実施法律のような形において出したいというふうに考えておりましたけれども、いろいろの関係からいたしまして、やむを得ず、こういう格好になったわけでありますが、先ほど前尾議員からもお話がありましたように、少なくともこの促進計画をすみやかに作成をいたしまして、そうして、この法案が、すみやかに実施の段階に入るような形の法律改正というものを促進をしたいというふうに考えているわけでありまして、その具体的な補助率、あるいは国の負担という問題については、これは御承知通り、今までの慣例からいたしまして九州、その次は四国と、こういうことになっておりますから、九州の方がきまらない限りにおいては、四国の方が先走って行くということについては、今のところ不可能な状態でありますから、とにかくすみやかに、これが実現ができるように、促進をさせたい、このように考えておる次第であります。
  92. 稲浦鹿藏

    理事稲浦鹿藏君) ほかに質疑はありませんか。——ほかに質疑がございませんようですから質疑は、終了したものと認め、これから本案の討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——発言もなければ討論は、終結したものと認めてこれより本案の採決を行ないます。  四国地方開発促進法案全部を議題に供します。本案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  93. 稲浦鹿藏

    理事稲浦鹿藏君) 全会一致と認めます。  よって、本案は、全会一致をもって、可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書については、委員長に御一任願います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)  それでは、これで散会いたします。    午後零時三十六分散会