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1960-04-12 第34回国会 参議院 建設委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十二日(火曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————   委員の異動 四月八日委員櫻井三郎君は逝去され た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            稲浦 鹿藏君            松野 孝一君            武藤 常介君            田中  一君    委員            小山邦太郎君            田中 清一君            米田 正文君            内村 清次君            武内 五郎君            永岡 光治君            安田 敏雄君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   政府委員    建設政務次官  大沢 雄一君    建設省住宅局長 稗田  治君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○公営住宅法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○住宅地区改良法案内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  公営住宅法の一部を改正する法律案住宅地区改良法案、両案を一括して議題といたします。前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑の力は順次御発言願います。
  3. 田中一

    田中一君 公営住宅過年度分の報告は受けておりますけれども、御承知のように、宅地難というものが相当深刻になっておる。そこで、たとえば耐火建築促進法による中高層等施策というものが、どれくらいに遊行しておるか。どうも最近の建設省のいき方は困難なものには手を触れないで、そうして二十三区並びに周辺土地宅地開発というものに重点を置いて、都心におけるところの耐火地区というものを等閑視しておる、考えておらないというような印象を受けるんです。そこで、昨年、一昨年等——むろん補助率はどうやら一億円種皮のものを持っているにすぎない耐火建築促進法であるけれども、中高層の面でどれぐらい前進しているのか、それがまた単なる住宅金融公庫融資というだけでなくして、公営住宅とミックスした実績というものはどれくらいあるのか、報告していただきたいと思います。
  4. 稗田治

    政府委員稗田治君) お説の通り既設市街地の中の宅地高度利用を大いに促進しなければならぬわけでございますが、防火建築帯造成事業におきましては、一億円余りの補助金でございますけれども、切火帯を助成していきます場合に、そこのところは優先的に中高層耐火建築分に対する融資を割り当てるということでやっておるわけでございます。ただ、融資方法でございますので、若干償還能力等におきまして脱落するものも参りますので、補助金だけで行なわれておるものもございます。それから公営住宅の方におきまして市街地の中に進出いたしますものにつきまして、一階等を店舗等にいたしまして、げたばき住宅としまして公営住宅建設いたしておるわけでございますが、その戸数につきまして私、正確に記憶いたしておりませんけれども、三十五年度といたしましては千戸近く、そういうような形式公営住宅を津てておるんではないかと存じております。
  5. 田中一

    田中一君 三十四年度は。
  6. 稗田治

    政府委員稗田治君) 三十四年度におきまして公営住宅で、げたばき住宅にした中高層のうち融資を受けましたものは、六百戸程度ではないかと記憶いたしております。
  7. 田中一

    田中一君 三十三年度は。
  8. 稗田治

    政府委員稗田治君) 三十三年度もほぼ同様であるかと思います。
  9. 田中一

    田中一君 三十二年度は。——実はね、私はこうやって伺ってみても、いかに住宅局長はそのようなものに対する熱意を失つているかということです。一体、その程度の計数が、あなたのうしろにいる課長課長補佐の連中が知らぬはずはありません。いかに熱意を失つているかつてことです。熱意を持ってないってことです。隣接の山林原野等土地を投機的に扱つているのは政府施策です。政府がそういう方針をとつているからです。よい法律がありながら法律を活用しようとしないで、資本の力で不当な利益を得ようという者にだけ協力しているのが今のあなた方の政策なんですよ。二十七年にこの法律はでき上がりました。耐火建築促進法は二十七年に成立しているんです。自来今日まで補助率が漸減しているといいながらも、せめて年度戸数程度のもの、あるいはどういう方針をもって地方公共団体を指導しているかという点についての熱意がないから、そうしたものがここで明確に答弁できないのです。たかだか千戸や六百戸の数字がわからんはずはありませんよ。
  10. 稗田治

    政府委員稗田治君) 私ただいま二点申し上げたわけでございますが、千戸と、その前の年の六百戸と申しましたのは防火帯助成事業でなしに、公営住宅をできるだけ市街地に引き戻さなければならぬというので、できるだけ地主と話し合って上に公爵住宅を載ぜるという、まとまつ地区に乗せてきました戸数を申し上げたわけでございます。非常にこれは私も先先の御趣旨と全く同感でございまして、熱意におきましては決して努力をいたさないわけではないわけでございますけれども、なかなか地元の地主と上に公営住宅を載せるということがまとまらないために、事業がそういった形式公営住宅建設される場合が少ないわけでございます。なお防火帯造成といたしましては、三十年度が三・一キロメートル、三十一年度が二・八キロメートル、三十二年度が六・六キロメートル、三十三年一度が四・九キロメートルというような延長で込めておりまして、これには中高層耐火建築融質をできるだけ優先的に振り向けまして、補助金の足りないところを補つていくということでやっておるわけでございます。
  11. 田中一

    田中一君 補助金は三十五年度も三十四年度も三十三年度もたしか一億円だと思うのですよ。それによるところの戸数はわかりますが、これだけでなくして、上に公営住宅を載せることによって効果というものは増大するわけなんですよ、いわゆる土地に対する利用度というものは。そういうものはどうなっておるかということを伺っておるわけなんです。それはもし今ここで数字を持たなければいいですよ、あとで出してくれれば。しかしそういう熱意がないということは事実なんです。口じや熱意があるなどと言っておるが、予算だってそうでしよう。一億円程度のものをとつて……きのう、きようの火事を見たってわかるでしよう。ことに本年に入ってからの火災というものは大へんなものですよ。それをたかだか一億円程度補助金しかとれないで熱意があるなんていえませんよ。体を張つてやりなさいよ、体を張つて。われわれも大蔵省に向かつて予算編成の前には突き上げにいっておるのですよ。熱意がないからですよ。大沢政務次官どう思いますか。本年に入ってからの都心における火災というものをどう考えますか。ことしも去年も一昨年も、一億円程度助成金で目的が達せられますか。
  12. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) 全くお説の通りと存ずる次第であります。私どもも本年度予算要求につきましては、最後まで努力をいたしたのでございまするが、いろいろと他に問題もありましたために、前年度と同額の一億円でやらざるを得なくなりましたことをまことに遺憾に存じておる次第でありまするが、近い将来にぜひこれを伸ばしまするように最普の努力を尽くすべく、省内一同申し合わせておるような次第でございます。
  13. 田中一

    田中一君 そこでこれから出ようとする住宅地区改良法にしても、それから市街地改造法律案にしても、ことごとく土地利用ということに主眼が置いてあるのです。何といっても、いろいろな不十分な単行法をたくさん出して、ちよつぴりちよつぴり予算をつけて、国民をだますような政策はおやめなさいと言うのです。公営住宅法というものがりつぱにあるならば住宅に関するものは公党住宅法一本でいけばいいのです。それを住宅地区改良法という法律を出したり、これもその部分的な問題です。当然これは土地さえあれば公営住宅はいつでも建設できるわけです。最近の住宅政策というものは、考え方がどうも持てる者への奉仕ということに終始しているのです。これは考えねばならぬと思うのです。ここに資料として不燃率資料が出ておりますけれども、パーセンテージにして三十五年度は三十四年度と比べてどのくらいふえておりますか。
  14. 稗田治

    政府委員稗田治君) 公所住宅並びに改良住宅合わせまして、国序補助住宅といたしましては、不燃率は三十五年度は五三・九%ということに引き上げたわけでございます。三十四年度におきましては、国庫補助による住宅不燃率は五一%であると存じております。
  15. 田中一

    田中一君 ことしでどうやら公爵住宅法に基づく三ヵ年計画の第三期分が終わるわけです。第四期計画というものは、むろん今あなたの力で立てておるはずだと思うのですが、これは大体いつごろ策定できますか。
  16. 稗田治

    政府委員稗田治君) 第四期の三ヵ年計画につきましては、これから地方公共団体資料を徴集することになっておるわけでございます。従いまして、第四期の三ヵ年計画が確定いたしますのは本年の十二月ごろに相なるかと思います。
  17. 田中一

    田中一君 数字としては地方からいろいろの要求等があると思いますが、政府として考えられておる構想というものはいつごろまとまりますか。
  18. 稗田治

    政府委員稗田治君) 建設省といたしまして概算要求を八月中に作成して提出いたしますので、八月中に建設省考え方はきまると思います。
  19. 田中一

    田中一君 一応考え方がきまつたならば、国会が終わつたあとでもかまいませんから、案としてでもかまいませんから、当委員会に事前に報告していたたきたいと思うのです。と同時に都心における再開発という宅地造成の問題を、現に中高層建築なりあるいは耐火建築促進法なりによって、少なくとも助成し漸進さしておるにかかわらず、行動として現わすには非常に力か弱いわけなんです。今度計画局が出そうとする法律案なり、あるいはこれから審議をしようという住宅地区改良法にしても、これは内容としては一つも変わらないわけなんですよ。土地収骨なんです。建てるということは、土地がなくちや建てられないのですよ。利用の問題ですね。従って、これに対する考え方一つまとめていただきたいと思うのです。そうして市街に接続するところの土地はあまり宅地化しないように、かりに住宅金融公庫宅地造成予算を組んでおり住宅公団に組んでおっても、かかるものは漸減して、そうして遊んでおるところの空間の宅地、これが防火建築帯の性格になったり、あるいは通勤者等の蒔田の節約ひいては生活費軽減等、たくさんの利益があるわけなんです。そういう点について十分に公営住宅法の精神を生かして、低所得者に与える住宅であるということを考えるならば、もう九年たっておるこの法律実施状況から見ても、卸四期の計画というものはそこまで飛躍的なものにならなければならないのですよ。金を持っている人はどうか遠くへいらっしゃい。低収入方々には、どういう困難をも乗り越えて、徒歩で自分の職場に通えるような住宅を与えることがよい政策なんです。御承知のように社会党も十年近い前にそういう政策を示しております。若干ずつ政府もそれについてきてはおりますけれども、何分われわれは政権をとつておりませんから、われわれのものがそのまま実施されるとは思っておりませんか、少なくとも飛躍ではないのです。漸進しつつあるところの社会党政策等も十分にあなた方はかみしめ味わつて検討して、これからは金を持っている人たちは遠くへ行って下さい、低収入方々には都心でこういう安い住宅を提供いたしますというような構想に切りかえていただきたいのですよ。大沢政務次官どうお考えになりますか。
  20. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) お話通り、ただいま宅地に関しまする取得なりが非常に激化いたしまして、そのために土地の価上がりその他いろいろな問題を起こしておりますことは御案内の通りでございます。これらの問題を早急に適切に解決をいたしますることは、きわめて必要なことと考えるわけでございますが、その問題の中心の一つとして、都心におきまする低所得勤労者層に対しまする低家賃の住宅の提供ということにつきましては、十分に政府といたしまして考えていかなければならぬ重要な問題と存じておる次第でございます。いろいろとお説の点ごもっともに存じまするので、その方向に従いまして、十分建設省といたしましては検討を進めるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  21. 田中一

    田中一君 今回の提案されている改正案内容は、これはもう文句はございません。そこで天然現象ということなんですが、またこれも治山治水緊急措置法と同じような考え方に立つわけですが、地盤沈下等天然現象と見ますか、人災と見ますか、それは含まれておると見ていいのか、含まれないと見るのかどちらですか。
  22. 稗田治

    政府委員稗田治君) 公営住宅法の八条の、災害公営住宅建設いたします場合の補助と、補助をする対象の条項でございますが、災害が起こりまして滅失しました住宅に対する住宅対策としまして、災害公営住宅建設いたしますので、地盤沈下等におきましても、その現象が急激に来集してそのために家が倒れたというような場合は、天然現象に入ると思います。
  23. 田中一

    田中一君 これは一つ明確にしてほしいのですが、その提案常の説明には「地震暴風雨等の異常な天然現象」、異常な天然現象です、こうなっておりますが、たとえば単行法……臨特で盛つている鉱害地問題等は、これは別に処理してありますけれども、今後ともに臨海地帯というものは、最近のようにやたらに地下水のくみ上げ等によって地般沈下が起きているのは、もう今日ではどこでもここでもそういう現象があり得るわけなんです。部分的に五十戸、百戸という区域がすぽつとこう陥没する場合もあり得るのです。新潟市の現象というようなものは最も極端な例です。東埠頭といいますか、そこの周辺の民家などは何メートルというほどの沈下を示しておるし、一帯の区域が全部沈下しているから、見た目では沈下現象にはないけれども、これは一たん高潮なりあるいは大雨が降れば、排水もできないで水つかりになるのです。これは憲法できめられている住居に対する規定には和反するものなんですよ。滅失はしないけれども環境というものは非常に悪いということから見ると、明確にそうした地盤沈下現象天然現象としてそれを認めるのだというならば、そのような答弁一つ政務次官からしていただきたいのですよ。これは非常にあなたの答弁一つで今後いろいろな問題が起きますから、よく打ち合わせの上、答弁していただきたいと思うのです。
  24. 米田正文

    米田正文君 関連。今の田中委員質問は、私はこれは制度的にも非常に重大な問題だと思う。今もお話があったように、各地で地盤沈下の問題は非常に大きな問題として扱われてきておる。何らかの処置をしなければならぬように、今日なっておると思うのですけれども、そこでこの公営住宅法災害住宅として扱うかどうかについては、これはここに書いてある趣旨は、いわゆる天然現象であって、今の地盤沈下そのもの天然現象による原因も多少ある場合もあるでしよう、しかし主として人工的な原因によるものが非常に多いというのが今日の定説ですね。そこで全体から免れば、この災害として見るという見方でなくて、地盤沈下対策としては単に公営住宅の問題でなくてたくさん問題があるのです。そういう問題を一つ地盤沈下対策としての見方から見ていくことが必要じゃないかというので、いろいろ研究されておるのですね、各省で。そういう意味で私は私の個人の意見だけれども、地盤沈下対策なるものはこれは別途の観点から、別途の立場から——別途というのは、これと別途の立場から対策を講ずべきだと思っておるが、その点について一つ今のと非常に関連しておるから、一緒にお答え願いたい。
  25. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) ただいま田中委員並びに米田委員から、これと関連いたしましてこの地盤沈下の問題につきましてのお尋ねがございましたが、今お話にもございました通り地盤沈下原因天然現象であるか、あるいは人為的なものであるかということにつきましては、この問題につきまして各省関連がありまして、それぞれ検討を進めておりまするし、また内閣にこれに関する連絡の協議会もできておりまして、そこで検討しているように承知いたしておるわけでございます。従いまして、この地盤沈下問題の全体の問題としての考え方につきましては、公にはその決定に待つほかないと思う次第でございまするが、公営住宅法の第八条の関係におきまして、これが住宅滅失を来たした場合に、異常な天然現象と見るかどうかということでございまするが、目下のところ、建設省といたしましては、陥没等によりまして急激に地盤沈下をしたという場合におきましては、この公営住宅法の第八条の適用を考えることにいたしておりますが、一般的な地盤沈下が非常に緩慢に参りまして、そのために住宅等が影響を受けるというような場合もありまするので、そういう場合におきましてはそれぞれの場合におきまして実情に即して、この公営住宅法適用を考えるほかに今のところいたし方がない。かような考え方でおりますような次第であります。
  26. 田中一

    田中一君 理論的にその問題がどうだこうだという問題は問題でしようが、少なくとも一応考え方が表明されているのです。そしてかりに人為的なものであったとしてもその現象というものは否認できないのです。否定できないのです。無視できないのです。従って地盤沈下現象という問題は災害と見る面もこれは当然だと思うのです。天然現象で見る面が当然あるのです。ことにその原因というものはなかなか究明できない面があるでしよう。また人為的な責任所在というものが、新潟市のように比較的明らかに察知されるようなものはよろしいが、密集した都会等において地下水のくみ上げというようなものは一々届け主義、水の吸い上げというものは届け主義じゃないわけです。何石揚水いたしましたという許可制じゃないわけです。わからんわけですよ。責任所在が明らかでないものは当然国が責任を負うべきです。たとえばわれわれがかつて法案を審議した中にもある通りボタ山等は積み上げたところのだれかがいるわけです。しかしこれが崩壊する場合には、稚み上げたものの所有者がいなくなってしまったならば、当然これは現象として国が負担するように法律はなっておるのです。保安責任ははっきり所有者がわかつておる場合には、これは保安責任は持たしておるけれども、災害として表われた場合の現象に対してはやはり国が当然しているのです。それは法律でちゃんとできております。従って米田委員政府委員だか常任委員会委員だかわからぬような発言で、あなた方の私に対する答弁というものがどう曲つたか、まつすぐだか知らぬけれども、稗田局長発言というものは、天然現象として認め得るというような意味発言をしておったから、あえて政務次官に伺うわけです。現象に対する責任はやはり国が持つべきです。補償の問題はこれは別ですよ、地すべり防止法案のときにはその点同じ思想で再三政府答弁を促しておりますが、同じことなんですよ。だれかが頼んだボタ山なんです。そしてボタ山崩壊のないような保安施設をだれもしなかったためにボタ山崩壊があるのです。ボタ山崩壊という現象は国が見なくちやならぬことだから、地すべり防止法が成立したのです。同じことなんです。従ってその点は大沢政務次官答弁答弁として一応伺っておきますが、この点は治山治水緊急措置法にも入らない。今度住宅というものをつかまえた場合に、今回の一部改正法権案が出ているけれども、このうちの災害住宅としても見ない、何によって救われるのですか、法外の現象というものは当然国が法的の裏づけをする義務があるわけなんですよ。現に戦時中の乱堀によるところの鉱害に対しては単行法をもって対処しております。この点は一つ大沢政務次官も十分に検討をして、ただ内閣で科学的な調査をしているからその結果を待つなんということは、待っておられません。この点を十分に促進するように大臣にもお伝え願つて、閣議でも何とかこの現象に対しては方途を講ずるように考えていただきたいと思うのです。
  27. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) ただいまの重ねてのお尋ね並びに御意見でございまするが、お説の通り法律問題として原因論ということになりますると、なかなかめんどうになりまするが、口の行政措置といたしましては原因の不明のもの、明らかでないものにつきまして、かような被害が現実に国民の間に起きておりますることでございまするので、行政措置といたしましては全くお説の通りに考えまして、これをできるだけ国家公共団体責任で回復をしていくということに努めるべきことが当然ではないかと考える次第でございます。
  28. 田中一

    田中一君 次に災害住宅というものがこの法律で明らかになっておりますが、災害待ち住宅じや困るのです。従って三十六年度以降の三ヵ年計画不燃率をどうしてもこれはまあ八〇%以上に伸ばすというようなあなた方の決意がなければ、災害待ち住宅ということになるのです。従ってこの点は政務次官に伺いますが、私は百パーセントと言いたいけれども、地方におきましてもやはり立地条件によっては台風とか、いろんな面で災害を受けるのです。火災ばかりじやございません。北九州におきましても山津波等で家がつぶれていくのです。だから全国的に耐火性公営住宅を作るようにしなければならぬと思う。一体それに対してどういう態度をもって臨もうとするのか。これは今後の問題です。二十五年度予算が通つてまつたから今後の問題ですが、三カ年計画においても少なくとも八〇%、八五%くらいならばあなた方ものめるだろうという考え方をもっております。どういう意図をもって財政当局と三ヵ年計画策定にあたって対処していこうとするか、その決意を伺いたいと思う。
  29. 稗田治

    政府委員稗田治君) 公営住宅不燃率につきましては、今後大いに不燃率を高めていきたいという決意でございます。お説のごとく不燃率という言葉は非常に悪いのでございますけれども、これは単に火災ばかりでなしに地震にも、それから毎年やって参ります風に対しても堅牢な建物でございますし、また水災等がございました場合も、避難できるといったような一時の避難施設の役割を果たす建物でございますので、そういう防災的見地から不燃率はぜひとも高めなくちやならぬと思っているわけでございます。なお土地の問題が非常に重要視されておりますし、今後の日本の宅地問題ということは、市街地宅地高度利用ということを当然考えなければ解決できない問題でございますので、そういうような観点からも不燃率をぜひ高めたい、かように考えております。的確に何パーセントという数字はまだ案を立てておりませんので申し上げにくいわけでございますけれども、私といたしましては、お説のような八〇%程度不燃率はぜひ達成いたしたいと考えております。
  30. 田中一

    田中一君 そこで農村漁村等にも、これはおそらくあなたの方で、住宅地区改良法という法律を、政令等で点数でやると言いますが、おそらく相当農漁村指定区域を広げてみると該当するものは多いわけなんですよ。たとえば最近はだいぶよくなったけれども、伊豆半島等漁村県道沿い漁村等は全く不良住宅です。ことに農村でもこれは耕地をたくさん持っている所は別ですけれども、相当区域を広く児ますと家と家が密集しているということたけでなくて、一つの部落で見た場合に相当な悪い地域かあるんです。従って公営住宅建設は、農村にも希望があれば配分をしていると思いますけれども、そういう方面の住生活改善等にも十分に留意していただきたいと思うのです。住宅金融公庫融資というものは、相当それに持っていかなければならぬじゃないかという質問をして、もう二、三年前からやっておりますけれども、なかなかそこまで行き届いておりません。住宅金融公庫融資住宅、長期の分譲的な質金と加えて、補助住宅であるところの公営住宅を載つげるというようなことも考えなければならぬと思うのです。従ってそれらのものを、第四期の三ヵ年計画策定にあたっては、当然法の改正をしてもそういうような形をとつていただきたいと思うのです。今の不燃率の問題、それから地域の問題等ですね、公営住宅国民の各層、各地方に同じような喜びを享受し得るような法改正をしたって一向差しつかえないと思う、よたすべきだと思うのです。そういう意味で幅広い公営住宅というよう丘観点に立つような考え方を今後持とうとするか、しないか、これは政務次官一つ答弁してもらいたい。そのためには法律改正したって一向差しつかえないと思うのです。
  31. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) 農村における住宅の改善ということが、福祉の面からももとよりでございまするが、さらに農業経営その他の面からいたしましても、きわめて重要な問題であるとお説の通り存ずる次第でございます。農村におきまする住宅の改善につきましても、現在決して等閑に付しておりまするわけではございませず、御承知通りにいろいろと住宅規模の改善その他いろいろといたしておりますが、目下のところただいま御指摘の通り都市の方に重点が参りまして、十分農村の方面におきまする手が伸びておらぬ実情でございます。この点につきましてはただいまも御要情のございました通り、さらに次の三ヵ年計画を策定するにあたりましては、十分重点として力を入れて考えていかなければならぬことと存じておりまする次第でございます。
  32. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ほかに御質疑のある力はありませんか。  それならば、公営住宅法の一部を改正する法律案に対する質疑がありませんようでございますから、質疑は終了したものと認め、これから討論に入りたいと思います。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もありませんから、討論は終局したものと認め、これより本案の採決を行ないます。公営住宅法の一部を改正する法律案について、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  33. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 全会一致と認めます。よって公営住宅法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。   —————————————
  34. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次に、住宅地区改良法案についての質疑を続行いたします。
  35. 田上松衞

    ○田上松衞君 先般の委員会で、稗田局長の方に、この低額所得者に対する措置の問題について質問いたしておったのですが、当時の御答弁は適切な指導をやっておるけれども、その指導の結果の実績はまだ不明だというたよりたい御答弁だったわけです。そういうことを頭におきながら、先般都内の不良住宅地区を視察さしていただいてつくづく感じたことですが、ああいうようなほとんど見るに忍びないような今までの住宅から一転して新しい所へ入っていって、まあ気分の転換かなんかぐつとなされていく姿は、これは実にいいことだと、ただしかし考えてみますると、ああいうものを目の前に見せつけて、初めてそれは可能になっていくわけですけれども、当初ある地区にかかってする踏み出しというものが、非常におくれておるということを感ずるわけです。それはどこからくるかといいますると、大体この法案の対象になりますところの地区の居住者というものは、ほとんどといってもいいそれは低額所得者である。特にこの前東京都が出した資料の中から見てみますると、大体都内の平均の今までの一世帯当たりの月額の家賃というものは六百三十四円であり、区の中において六百六十五円、それから市部が四百八十五円、郡部に至っては実に百六十九円という数字を出されておるわけなんです。ほとんど今の世の中に、たとえどういうものであっても、百六十九円程度のもので、一世帯の賃料が。これはまあほとんどあぜんとしたわけですが、しかしそれは別といたしまして、ともかくそういう人々が、新しいうちを作るからこっちへ移れといっても行きにくい、結局手がつけられないというような根本の問題を考えてみますると、あるいは通勤の関係であるとかいろんな事情があるには違いないけれども、結局は低額所得者が移つてみたところで、二千円もそれ以上も払わされるような所では、今後の生活が成り立たぬというところに問題があるのじゃないか、こういうことを考えてみますると、十分この法案のPRといいますか、行政指導、こういうものをなされることがまず先決だ、こう考えておるわけですが、そういう点については、具体的にどういう方法をもってなされていこうとするのか、この点を承つておきたいと思うのです。
  36. 稗田治

    政府委員稗田治君) 改良住宅建設いたしました場合に、元そこに居住しておりました低額所得者住宅困窮者が入居するわけでございますが、これにつきましては減額制度を十分活用していただくように指導して参るつもりでございます。たとえばこの間御案内いたしました地区におきましては、居住者の平均の収入というのは一万三千円程度でございまして、比較的収入の多い地区でございますが、われわれといたしましては生活保護世帯の収入と家賃の補給金等のことも勘案いたしまして、大体一万円程度収入の方であれば、これを九百か千円ぐらいに減額するように指導して参りたいと考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、住居費が若干引き上がるわけでございますけれども、新しい生活の入れものとしての地物に入りますると、それぞれまた生計も合理化される面もございますし、そういう点で居住者の方には御納得いただけるのではないか。なお不良住宅地区の居住者につきましては、単に住居の面からの生活指導だけでは不十分でございますので、厚生省あるいは労働省等とも十分連絡協調いたしまして、その人たちの生活改善ということをあわせて行なっていきたい、かように考えておるわけでございます。なお不良住宅地区の今後の趣旨の周知徹底につきましては、まず法の適用という前にその地区に十分その趣旨を徹底するようにして、その次に改築を指定するというような段階に進めていきたいと存じております。
  37. 田上松衞

    ○田上松衞君 こうやりたいああしたいというようなことは聞かなくたってそりやわかるのですよ。当然そうあるべきことなんです。ところが今度ののはいわゆる公営住宅第二種に該当するようにこれをやっていくわけでしよう。このことは去年の公営住宅法改正で、収入が芳しく低額な者に対するところの家賃減免等の措置というものが、とられるようにもうなっておる、しておるわけですけれども、その後相当の期間を経ておるにかかわらず、いまだなお今度これを適用するにして、前の問題について私は前提でさっき申し上げたように、そのことの指導さえも、実績の結果がまだ出ていないというくらいの、そういうことでは観念的にただこうしたい、ああしたいということではいけないのだということなんですよ。ねらいとするところはさっき田中さんからの御発言の中にいろいろ感ずるのですが、確かに今までやっておることは思いつきでその場その場のことを、一つ切りきざんでやっておるようなきらいがしてしようがない。もっと根本的にこれをやって、予算の問題についても思い切つてその措置を講じてもらって、改良住宅の新築戸数をどんどんふやすことによって、一刻も早く不良住宅の解消をしなければならぬということは、これは国民の声なんですよ。こ、ういうことであるのにかかわらず、今からこうやっていきたい、ああやっていきたいというようなことでは、これはしようがないので、具体的にどういうことをやっておられ、抽象論じやなくして、こういう方法をもってこうやるのだという、この決意を明らかにしてもらいたい。このことを私は申し上げているのです。
  38. 稗田治

    政府委員稗田治君) 先日お答え申し上げました段階におきましては、昨年の公営住宅法改正に伴いまして、地方でそれぞれ条例を制定いたしますので、それぞれ地方議会に提案いたしまして、零歳の過程に入っておるものが大部分であったわけでございます。そういう点からあのようなお答えを申したわけでございますが、建設省といたしまして指導をいたしておりますのは、三十四年の十二月八日付で住宅局長から都道府県知事あてに、公営住宅の家賃の減免についてというので減額する程度、あるいは減額の対象となる資格その他につきまして、詳細に具体的な数字をあげて指導しておるわけでございます。これらの指導に基づきましてただいま地方公共団体におきましては、これを条例化するという段階でございます。
  39. 田上松衞

    ○田上松衞君 きようはどうしてもこれをあげたいというような時間的な関係があるから、こまかいことは遠慮して申し上げておるのです。地方公共団体かこれを条例化していこうとする段階にあるのだ、というお話なのですけれども、私が承知しておる限りでは、先般出されたところの今までの改良事業実績、この表の中にありまするもの、それからまた計画等、四、五の県について調べてみたんですけれども、一向にまだ全然わかつていないということなんです。ほとんどわかつていません。それでしかもその根本をなしまする、さっき質問申し上げたこの内容等についても、明確な答えをしてくれる県がないわけなんです。頼りないということなんです、これは。指導がほとんどゼロといっても過言でないほど私はがつかりしてしまうわけなんです。そこで私はおわかりにくかったかもしれませんけれども、具体的にはどの機関を通してどういう工合にやってこうするんだ、そうしてこうこうさしていくんだということが聞きたかったわけですけれども、依然この点については納得できるような線が出てきませんが、そこで希望を申し上げておいて、時間的な関係がありますから、十分これを徹底さして、せつかく国民がほとんど歓迎しておるこの法案が、ほんとうに活用されるように、万全の策を講じてもらいたいということを申し上げておきます。
  40. 稗田治

    政府委員稗田治君) この法律が制定されました暁におきましては、御趣旨の緑に沿いまして十分具体的に、明確に地方公共団体を指導して、この法制定の趣旨を誤らないように万全を期したいと思います。
  41. 内村清次

    ○内村清次君 この法案の十一条及び十三条、これについてたとえば建物の収用及び土地の収用については土地収用法によると、そうして十六条に「土地収用法の適用」と、こう覆いてあるんですね。そこでなぜ、この法案適用が、土地収用法の適用を受けなくてはならない該当法案であるならば、土地収用法の三条の中に、この住宅地区改良法というものの適用というものを、これを入れないか。こういう点を私は考えるわけですか、これはどういう理由によって、各法案々々に、法律土地収用法の適用を受けさえすればそれで事足りるんだというような考え方であるかどうかですね、そういう点を一つ明確にしていただきたいと思います。
  42. 稗田治

    政府委員稗田治君) この十一条のところでございますが、大体十一条、十三条のところは、二項の方におきまして、つまり土地収用法によらないで対抗する権利がないのに、つまり補償金を全部払つてもらっておるのにもかかわらず、居住者が明け渡さないというような場合の強制規定を十一条、十三条等においては入れてあるわけでございます。で、土地収用の適用になる条項は十六条にあげてあるわけでございます。それで土地収用法の三条の方になぜ規定しなかったかというお尋ねでございますが、その点につきましては、法制局におきましていろいろ審議したわけでございますが、土地収用法の中に書きますと二重にダブつて書くことになるというので、この住宅地区改良法適用できるということを占いておけば、三条の方に列挙は要らないという法律上の解釈に従つたわけでございます。
  43. 内村清次

    ○内村清次君 その点が法律ができるたびごとに、たとえば建物土地を収用する場合には、その法律たけにこの土地収用法の該当適用というものを書き込むおそれがある。で、土地収用法は、これは御承知のごとく第三条は「土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業は、左の各号の一に該当するものに関する事業でなければならない。」として、明確にしてあるのですね。そうして約三十五項目が、この中に列挙されているわけですね。だからこの該当の事業でなからねば、土地収用というものはできない。しかもそれは公共の福祉というものが土台になっていかなくちやならない。これがもういわば基本法ですな。基本法に該当して初めて、いろいろのその手続というものをこの土地収用法に基いてやっていかなくちやならない。ところがこうやって一つ法律の中に、すべてその個人の財産権というものが、収用できるというふうな権利規定というものを設けていくということは、私たちはどうも法律の形態としておかしいじゃないか。だからこれはもうほんとうにただしていけば、この土地収用法を一部改正して、その中に挿入していくというようなやり方が、私は法律の形態ではないかと考えているわけですがね。この点は、あなた方の折衝過程において、ただ今局長が言われたように、簡単なことで済まされておくということになれば、私は大きな問題がここに出てきやしないかと思うのですが、どうお考えですか。
  44. 稗田治

    政府委員稗田治君) この不良住宅が密集しているものが、周囲に防災、衛生等の観点から悪影響を与えておって、その環境を整備するということが、公共的な意味合いから申しましてぜひとも必要である。その緊急性につきましては、三条に列挙されました事業と同等であるということを、この住宅地区改良法で規定をしておるわけでございます。三十五列挙してございますが、これと同じような性格のものであるということをこの法律にうたっておるわけであります。
  45. 内村清次

    ○内村清次君 私の質問に対する答弁としてはまだ明確でないと私は思うのですか、もちろん各法律に対しましては、その第一条目的の項には、低とんど公共の福祉とか公益のためだとかいうような文句が入っておらない法律はありませんよ。がしかし、土地を収用するという憲法の二十九条に従っての基本法というものは土地の収用法ですね、これが非常に私は基本法であるとこう考えておるのです。それがやはり組分化されて公共の福祉、公共の福祉という名のもとに、各法律の中に土地収用法というものがそのまま織り込まれていくというような形というものは、私は法律の形態としては正しい形ではないではないか、こういうふうに考えております。これに対してただいまの住宅局長答弁は、まだ私は納得できませんけれども、これはやはり法制局関係の責任者にきてもらわなくては私は困ると思うのですけれども。  それでは、この住宅地区の改良法の中の第二章ですか、住宅地区改良事業、第一節、事業計画というのがあります。この事業計画をするにあたりまして、この十一条及び十三条の命令と申しますか、こういった命令を発することが十三条でできることになっておりますけれども、それでは一体それを拒否する者があるという場合のときには、あなたの方では十六条によって土地収用法を適用することができると書いてあるけれども、事業認定というものは、これはどうお扱いになるのですか。
  46. 稗田治

    政府委員稗田治君) その場合の事業認定は、土地収用法に従いまして行なう予定でございます。
  47. 内村清次

    ○内村清次君 それだからそういう点もこれには明確でないでしよう。ただ準拠するというだけですから、やはりそれならば基本法の土地収用法の中に、三十六号でも、設けてもいいのじゃないですか。この法律適用をやはり三条の中に入れ込んで、そうしてそういった形で進ませていく、事業計画をした、その計画内の拒否者があった場合のときには、土地収用法の順序に従って事業認定を受けて、そうして事業認定によって処理していく、こういった正当なやはり手続というものが法律形態として正しいのじゃないか。かように思っておるのですがこの点はどういうお考えですか。
  48. 稗田治

    政府委員稗田治君) 事業認定は、従いまして、土地収用法の手続に従いまして、この本法の事業計画の決定だけでなしに、別にあらためて土地収用法の事業認定の手続をとるわけでございます。
  49. 内村清次

    ○内村清次君 どうも私としてはまだ納得できませんけれども、時間の関係があるらしいのですから、私はこれでまた別の機会に譲ります。
  50. 田中一

    田中一君 関連。今内村君が質問している問題は、これでもかまわぬということになるのですか、露骨にいうと。やはり、今土地収用法の三条に入れたらいいじゃないか、入れないでも、効果はどうなんですか。
  51. 稗田治

    政府委員稗田治君) これにつきましては、法制局で審議の過程におきまして、十分検討をいたしたのでございますが、住宅地区改良法の方に適用できるということを書いておけば、それで十分であるという結論であったわけでございます。
  52. 田中一

    田中一君 都市計画法でも出ているのだけれども、これはどうなんですか、今までの法制局の話し合いの中でも、どうも体系としてやはり不十分だと思う。
  53. 稗田治

    政府委員稗田治君) この点につきましては、十分法制的には検討いたしたのでございますが、たとえば不良住宅地区改良法、現在まで死文化しておりますけれども、生きておつた不良住宅地区改良法も、土地収用法は適用できるということになっているわけでございますが、その場合にもこの三条の三十五の中には入れられていなかったわけでございます。
  54. 田中一

    田中一君 附則で、この土地収用法に一項入れる必要がないというのか、入れても効果は同じだというのですか。
  55. 稗田治

    政府委員稗田治君) 附則へ入れますと重複するという解釈であったわけでございます。
  56. 田中一

    田中一君 法の体系というのは、土地収用法というのは弧権法だという印象を持っているものであるならば、やはり明記する方がいいと思うのだ。
  57. 内村清次

    ○内村清次君 これは当然今の答弁では住宅地区改良法というものに入れてあるのだから、重複するのだというような言葉が出るわけですけれども、まずやはり基本法の方に入れて、そうしてその適用土地収用法による十六条、こう入れていかなくては、法の体系というものは立たないわけですよ。土地収用法というものは一つの憲法とつながつた基本法ですから、基本法の中には、特に第三条というもので三十五号にわたって適用することができる、こういった広範な諸法律適用規定というものを挿入してあるのです。それならば、これはやはり該当するようなこういった新しい法律というものができていくとするならば、やはります土地収用法に一項目挿入するような改正をやって、そうしてそれに該当するような法律形態というものを作つていかなくてはいけないわけですよ。この点はどうもやはり法制局関係を呼ばなくちやわからんですけれどもね、委員長……。この点は、一つ十分あなた方、やはりこの法律……。あるいは法制局その他は、土地収用法というものは、なるだけ改正したくないというような気分がありやしないか、こういうようなことで、私はこういう問題は、このままにされておると思うのですが、十分研究してもらいたいと思う。  それでは先の方に進みますが、この法律の二十六条に、「施行者は、不良住宅の除却により著しく利益を受ける者がある場合においては、条例で定めるところにより、それらの者にその利益を受ける限度において、除却に要した費用の全部又は一部を負担させることができる。」と、こういうような、受益者負担の公平の見地から、この条項が入っておると思うのですが、たとえば、この前見ましたような工場の敷地関係が、不良住宅を取り除いたために拡大されていく、そこで、その工場というものは、非常な敷地が拡大されて、まあ受益者的な立場に立ち得ると、そういう場合のときには当然そ、の工場が、その敷地の、この条項に従って受益者の公平な見地から、負担を受けなくてはならないということになるわけでしよう。その場合のときの価格のきめ方というものは、一体どういうふうにお考えでございますか。
  58. 稗田治

    政府委員稗田治君) 二十六条に受益者の負担金に関する条項がございますが、これは、ただいまお述べになりましたように、たとえば工業専用地区でございますとか、あるいは、特別用途地区としまして、娯楽地区といったような都市計画の決定をすでにされておるところに、不良住宅が密集してあるというような場合に、そこを除却はいたすわけでございますけれども、法の規制によりまして、それぞれ専用地区的な制限のもとに、その土地利用されるわけでございますので、住宅建設が行なえないという場合がございます。  しかしながら、不良住宅をそのままにしておくのは、周囲に対する悪影響がございますので、除却の事業だけは行なわなければならないわけでございますが、そうしますと、地主といたしましてはさら地に、この事業によって、してもらえるわけでございます。そこで、不良住宅が乗つておつたときの地価と、さら地になりましたときの地価、その差額が受益者負担金の限度額でございます。
  59. 内村清次

    ○内村清次君 そういった価格は、これは、さら地のときには幾らだというような判定をするのは、どこがやるのですか。またどういった基準、でそれをやっていきますか。
  60. 稗田治

    政府委員稗田治君) その判定は、事業主体がやるわけでございます。市町村——場合によりましては、県の場合もございますが、市町村でございます。
  61. 内村清次

    ○内村清次君 それから資料によりますと、全国の不良住宅戸数あるいはまた地区面積というような資料をいただいておりますが、この中に、いま一歩進めて、改良住宅を希望しないような地主が、どれくらいおるかというようなところまでの調査はできておりますか。
  62. 稗田治

    政府委員稗田治君) 前の会にお配りいたしました現在までの実施例は、これはこの住宅地区改良法によらず、また現在まで残つておりました不良住宅地区改良法の施行にもよらないで、公営住宅不良住宅を撤去した場合のもとの入居者は、公営住宅に特別に入居させてもよろしいという公営住宅法の十六条だけを使いましてやってきた実例でございます。  従いまして住宅地区改良法の今後施行される実例には、必ずしも全部が全部、イコールとして当てはまるわけではないわけでございますが、話し合いで進めて参っておりました地区でございますので、地主等も居住者等も全部同意された地区でございます。
  63. 内村清次

    ○内村清次君 そうしますと、この資料に出たものは、話し合いで大体話し合いがついたところ——地主も、あるいはまた不良住宅の居住者も、大体それを同意した数たと、こういうお説ですね、が、しかし今後この法案通りまして、そうしてその不良住宅地区としての建設を進めていく上については相当数が、あるいはこれには同意しなというような地主関係が多いのじゃないかという点も見通しがつきますね、それからまたその住宅には、家賃の関係で入られないというような人たちも出てくるだろうと思います。問題は、入られないという人たちは、これはまたほかに住居を求めなければならんのだけれども、問題は地主の問題です。  地主の問題を一体どう解決していくかということになってきますと、先ほど言つたような十三条及びまたは十六条というものが、今後適用されていくことになってきはしないかと思いますが、それと同時に、やはり土地の値上かりというような問題もからんできはしないかと思うのですが、これに対して十分なあなた方は、御調査をなさつて、そうして対処するだけの考え方はあるかどうか、その点は一つ政務次官からお聞かせ願いたいと思います。
  64. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) この不良住宅地区の指定にあたりましては、御案内の通り、市町村、事業主体の申請に基づきまして行なうことに原則としていたしておりまするわけでございます。  従いまして、事業者が申請する場合におきましては土地所有者との関係、その他につきまして、十分見通しを得まして、話し合いによって、大体仕事か進めるという見通しのもとに申請する場合が大部分であると思いますが、しかし中には、やはり公益の必要上、一部分の地主に了解のいかないものがありましても、どうしても不良住宅地区の改善をしなければならないという必要によりまして、事業の申請をする場合もありまするので、かような規定を入れたわけでございまするが、これらにつきましては、実際の事業の施行に当りましては、十分事業主体と協議をし、土地所有者との関係も話し合いを進めまして、できるだけこの規定によりまする土地収用等の強制手段に訴えることなしに、できるだけやりたいと考えて、そういう行政指導の方針を進めていきまするつもりでございます。
  65. 内村清次

    ○内村清次君 私が先ほど申しましたことは、大体、この法律によりまして、たとえば第二条の定義によって、この事業の施行者ですね、施行者にまかせ切りだというような考え方をしておられると、この法律のいわば精神というものが、もう普遍化していかない、やはり相当な土地の取得に対しましても、あるいはまた住居の建設に対しましても、入店の問題につきましても、十分なやはり指導をやっていかないと、徹底しないという私は考え方が、多分にありはしないかという老婆心から申したわけでございまするから、その点は、十分施行者まかせと、政府法律さえ作つてやれば、それでよろしいというような、原案を作つてやりさえすればよろしいというような考え方では、私はこの問題は、先広に拡がつていかないという心配がありましたから、一言申し上げたような次第です。  この点は、政務次官の言われましたように、十分一つ徹底するように、紛争がなるたけないようにしていってもらいたいということを重ねて御忠告申し上げまして、私の質問を終わります。
  66. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ほかに御質疑ございませんか。
  67. 小平芳平

    ○小平芳平君 やはりその川地問題ですけれども、今日までやってきておる公営住宅、あるいは公庫の住宅そのほか公団あるいは厚生年金用地住宅、いろいろあるわけですが、それは、みな用地の問題は、野放しの状態ですね。  たとえば公団が、予算があっても、用地がなければ、どうしようもない、別に、その用地費としては、もちろん公営住宅の場合見てはいるようですか、それは、ごくわずかなものであって、しかも用地が入手できなければどうしようもない、まことに公営住宅の場合でも、公団住宅の場合でも、用地の問題が野放しの状態、戦国時代のような状態にある、こういう実情でしょうか。
  68. 稗田治

    政府委員稗田治君) 政府施策住宅の用地取得が、建設の隘路になっておりますのは御指摘の通りでございます。  ただ、この地域的に、地方公共団体等とも協議いたしまして、たとえば東京都でございますると、住宅公団、東京都の住宅協会、東京都の建築局等が、ときどき寄り合いまして、お互いに競合して値段をつり上げることのないように、それからその配置等も、お互いに協議の上、適正なところに配置できるように、いろいろ調整に努めておるわけでございます、協議会等も設けて。
  69. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうふうに、つり上げないようにと言いながら、実情では、相当つり上がつておることが現実ですね。用地が相当値上がりしておる、空前の値上がりたと思う。土地が手に入りそうにないというような実情にあるわけです。  で、ずいぶん今までも公庫、公団、公営、そういういろいろな政府施策住宅がありながらも、なおかつ、こうした住宅地区改良事業というものを起こさなければならないということは、とりもなおさず今までの施策では、政治の貧困と申しますか、とても手におえないというところから、こういうことが起きてきたと思う。  ところで、今までの公営住宅の場合は、用地問題はほとんど野放しの状態ですが、今回の場合、住宅地区改良事業の場合は、地方公共団体が、現況を調査して建設大臣が適当と思われるときに指定する。しかもその用地について、地主が承認しない、地主と話し合いがつかない場合は、土地収用法を適用する。今までの政府施策住宅と今回の政良事業の場合では、根本的に、相当用地問題についての考え方が変わつてきておるように思う、その点、いかがですか。
  70. 稗田治

    政府委員稗田治君) 従来におきましても、大きな区域住宅建設し、経営する場合に、都市計画事業としまして、一団地の住宅経営というのを計画、決定いたしまして、それによりまして、土地収用法を適用できることになっておるわけでございます。  ただ、一団地の住宅経営と申しますのは、大体の考え方は、原則として、さら地のところを求めて住宅建設、経営することになっておりますので、この場合は、既設の市街地の中で、しかも非常に不良住宅が密集しておりまして、周囲に悪影響を与えておる、そういう地区に限りまして、公共的立場から改良するということになっておるわけでございます。
  71. 小平芳平

    ○小平芳平君 各委員から、十分土地収用についての御意見がありましたことを、十分に参考にしてやっていたたきたいと思います。
  72. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ほかに御発言はございませんか——ほかに御発言がなければ、質疑は終了したものと認め、これから討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  73. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は、日本社会党を代表して、住宅地区改良法案に対し、以下若干の意見を付して賛成するものであります。  第一、不良住宅地区の改良は、昭和初頭から行なってきたところでございますが、きわめて不十分でございます。不良住宅の発生は、社会の経済組織の必然の所産でございまして、かつては社会政策、社会事業として行なわれて参つたのであります。  第二には、今日この面は、なお失われていないのでありますが、さらに今日旭要なことは、都市におきまする住宅を初めとする都市の構築のあり方の問題であります。すなわち都市における土地利用をいかにすべきかということであります。  第三は、従いまして改良地区の指定にあたりましては、都市計画との関連を十分に考慮いたしまして、いやしくも改良地区が、将来の都市計画の阻害とならないようにすべきであるのであります。  第四には、また不良住宅地区の改良事業は、過去の経験におきましても、入居後の管理が不十分でありますれば、居住者は、また他地区に移住し、不良住宅地区を作るという例が多いのであります。このことは、居住者の生計状態と家賃との調整が十分でないことに起因をいたしておることが多いのであります。地方財政の現状から、将来、この事業に対しまする国の補助率を高め、また改良住宅の家賃が、入居者の過重な負担にならないように、十分配慮すべきであると思うのであります。さらに、また本法の円滑な運営を阻害しないように、適切な行政指導を行なうべきだと思うのであります。  第五には、将来でき得る限り、予算措置を講じまして、改良住宅の新築戸数を増加し、すみやかに不良住宅の解消をはかるべきであります。  なお地区指定にあたりまして、都市はもちろん、農漁村における実態を調査いたしまして、その対象として、十分考慮すべきであると思うのであります。  以上、私の意見を申しまして、私の討論を終わりたいと思います。
  74. 田上松衞

    ○田上松衞君 この際、民主社会党を代表いたしまして、本案に賛成申し上げることを前提として意見を述べたいと考えます。  民主社会党考え方は、日本社会党の六つの項目にわたりまする要点と、全く同感でございます。従ってその点は、省略いたします。  なお、本案の先議された衆議院の建設委員会は、三月十六日の採決にあたりまして、付帯決議をつけて決定しておるようであります。その内容は、ほとんど日本社会党の今のお話の中に尽きるわけでございまするが、一つは、「本法の対象地区居住者は、おおむね低額所得者なることにかんがみ、改良住宅の家賃が入居者の負担を過重ならしむることにより、本法の円滑な運営を阻害しないよう適切なる行政指導等を行うこと。」  第二は、「将来出来得る限りの予算措置を講じて改良住宅の新築戸数を増加し、すみやかに不良住宅の解消を図ること。」  これが、その内容であるようですが、この事柄は、今までのこの、審議過程において、私が幾多の不安を内蔵しつつ質疑をして参つたわけでございますけれども、それにもかかわらず政府答弁では、なお完全な納得に達しなかったわけでしたが、そこで、先刻この希望を申し上げておいたわけでございました。たまたま、その事柄と全く一致しておりまするので、衆議院のこの付帯決議は、まことに当を得たものだと、今さらのように痛感するわけであります。  なお、これ以外に、今までの審議過程におきまして、各委員から適切な幾多の質疑がございましたが、これらは、いずれも国民の待望しておりまする本案が、十分活用されることを言い尽くしておると、実は初めから拝聴しておるわけでございます。政府としては、十分にそれらの意図をくみ取つて下さつて、まじめにこれを取り入れまして、国民の期待を裏切らないように、本法の適切な、効果的な活用をなさいますことを希望いたしまして、討論を終わります。
  75. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ほかに御発言もなければ討論は終結したものと認め、これより本案の採決を行ないます。  住宅地区改良法案、全部を問題に供します  本案を原案通り可決することに、賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  76. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 全会一致と認めます。  よって、住宅地区改良法案は、全会一致をもって、可決すべきものと決定いたしました。  なお、公営住宅法の一部を改正する法律案及び住宅地区改良法案の審査報告書につきましては、委員長に御一任を願います。  次回は四月十四日午前十時、四国地方開発促進法案、日本道路公団法の一部を改正する法律案、両案を審議いたしたいと思います。  本日は、これをもって散会いたします。    午後零時十七分散会