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1960-03-25 第34回国会 参議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十五日(金曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————   委員の異動 本日委員安田敏雄君及び武内五郎君辞 任につき、その補欠として小柳勇君及 び森中守義君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            松野 孝一君            武藤 常介君            田中  一君    委員            小沢久太郎君            小山邦太郎君            櫻井 三郎君            田中 清一君            米田 正文君            内村 清次君            小柳  勇君            永岡 光治君            森中 守義君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 村上  勇君   政府委員    建設政務次官  大沢 雄一君    建設省計画局長 関盛 吉雄君    建設省河川局長 山本 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   参考人    熊本小国町  室原 知幸君    九州地方建設局    長       上ノ土 実君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (下筌ダム建設工事問題に関する  件)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  初めに、皆様にお諮りいたしますが、本日予定いたしておりました下筌、松原ダム建設工事問題に関する調査は、都合によりまして松原ダムに関する調査を割愛して、下筌ダムに関する調査のみに限定して行なうことに、先刻の委員長及び理事打合会において申し合わせを見たのでありますが、本日の調査の対象と下筌ダムに限定して行なうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 異議なしと認めます。  それでは、本日の議事に入ります。  本日は、下筌ダム建設工事問題に関しまして参考人の方の御意見を聴取を行いたいと存じます。前回におきましては松原ダム建設工事をめぐる諸問題につきまして当事者関係者参考人の方から意見を聴取したのでありますが、本日は、下筌ダム建設問題について、建設計画並びに工事をめぐる諸問題の現在までの経過を中心として、当事者または直接の関係者としてのお立場から御自由に御意見をお聞かせ願いまして、問題の所在等をお示し願いたいと存じます。  参考人各位におかれましては、御多用中のところ、本日わざわざ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。これより御意見をお伺いしたいと存じますが、時間の関係もございますので、お一人十五分程度にしてお願いいたしたいと存じます。  それでは、まず初めに小国町の室原知幸君にお願いいたします。
  4. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 御配慮方、まことにありがとうございました。  私訥弁で、かつ田舎言葉を使いますから、非常にお聞き苦しい点もございましょうし、脱線もいたしましょうが、追ってその点につきましては、補足いたしますから、最初に御了承お願いいたしておきます。  最初に私の態度を申し上げます。私は、下筌、松原ダム計画に絶対反対の者であります。この決意微動もいたしません。これにつきまして、少しく述べさしていただきたいと思います。九電から出されております事業認定申請書に対しまして、私が意見書建設庁の方へ出してございますから、その意見書項目を追ってお話し申し上げたいと思います。  まず第一が、申請書の方には、「築後川総合開発の一環」と、こううたってございますが、何も記述もしてありません。寡聞の私は、新聞、雑誌何を通じても、建設省と申しますか、九地建と申しますか、聞いたことがなければ、読んだこともありません。これが一つ反対理由であります、  次が、多目的ダム法のあることは、私も存じております。がしかし、私の考えからしますと、建設省は、治水が所管であり、義務であると確信しておるものであります。マンモス・ダムを作って、これは失礼かもしれませんが、男ぶりを上げるのが能ではないと思います。治水の点について、十分突きたいと思っております、これはあとでまた。あの津江川、大山川水利権九州電力——九電が持っていると私は存じております。割り切れない点が、私にあります。  第三項目に、「電力に関しては、九州電力株式会社の業務であり、われらは、同社の利益をはかるまでの責任はない」と、こう申したことが、はっきりしております。  次が、申請書の方には「九州電力界は、火力より水力の方が安価につき、水力電気開発が急務なり。としたため」てございます。私の考えでは火主水従、特に北九州といたしましては、石炭が豊富でございますから、どうも火力の方が安価と思われます。  次に、九電の立場は、「あらゆる機会を利用して利害関係人説明をした」と、こう申請書の中に申してあります。見ようによりますと、三十二年の八月からでありますが、一年おくれまして三十三年の八月、木下大分県知事中津江村に参りましたころを一つの基礎としましてお話をいたします。ここに書いてあるものを朗読いたします。最初から土地収用法をかたったのであります。これは中津江村のことであります。おそらく本省では、土地収用法のことについては、タブーではないか、禁句ではないかと私思っております。出先機関においては、最初から土地収用法を語ったように聞き及んでおります。書信は、二円倹約いたしまして、八円切手であります。これは私その後新聞で見ましたのに、出張所の方の話としては、事務費が足らなかったから、そうしたのだ、軽べつしたのではないという意味でしょう、そういうことを語ったというようなことが書いてあったように記憶しております。利害関係人要望は聞けど、返答は避け——ずいぶん要望は聞いております。これは、私たちの方ではありません。しかし、それに対する返答らしいものもなかったようであります。  その間、ここに「セメントのくいは勝手に打ち込み」と書いてございますが、セメントのくいを打ち込む前、三十一年の秋から、すでに測量をやっておるのであります。何の予告なしに、田畑に入る、収穫前の稲を踏み荒らし、畦畔の品物を踏み荒らして、測量をやっておるのであります。私、三十三年の十月に測量等許可を得たのではないかと思っております。それより二カ年前の、三十一年の秋に、先ほど申したようなことをやっておるのであります。当時佐多という方が、日田事務所に所長としておられたのですが、その方に、ずいぶんやり方がひどいじゃないか、こう抗議しましたところが、何かなし、これでこらえてくれと酒五升を持ってきました。もちろんこれは私でなくして、部落全体に対してでありました。こんな不遜なことがありますか。その後セメントのくいを打ち込んで測量をやっておるのであります。  測量ばかり、あまり長く話をしても進みませんから、またあとへ延ばすとしまして、その次に、ダム計画の概要は、アウト・ラインは、申請書によって初めて判明したありさまで、「何があらゆる努力か」と、こう私はここに書いてある。出先の方は、測量させねばわからぬじゃないか。私に言わすと、冗談じゃない、百二十億の数字は、どこから出したのか。概要あればこそ、それは出てきたのじゃないか。それが申請書を読みまして、初めて事業計画がわかったようなわけであります。いや、それはお前が話をしなかったから、わからなかったのじゃないか、こう反論されるかもしれませんけれども、これは中津江村の方も、大山村の方も、栄村の方も、上津江村の方も、おそらく御存じなかったと思う。申請書を見て、申請書に付随している事業計画書を見て、初めて知られたことと思います。  次に六項目、「下筌ダムサイト試掘試錐につきては法律幾多の疑問あり。」こう私、したためてあります。疑問があればこそ、建設局が、約一カ年手が出ないのであります。これは今、非常に重要なことでありまして、この点を詳細に実は申し述べたいのでございますが、一応これを済ましまして、委員皆様方から御質問を受け、私が発言する機会が与えられましたならば、詳細に申し述べたいと思っております。  次は、あらゆる努力をなさったと申しておりますが、それでは、古いことは、まあ一応述べずにおいて、最近の事例からお話しいたします。  大分県の方は、年末から年頭にかけて、事後認定申請書縦覧期間がございました。過ぐる一月十八日、中津江村で対策委員会が開かれました。私当然、調査事務所長の野島さんがおいでになるだろうと思っていたところが、出なかったそうであります。それについては、毎日か何かに弁明しているようでした。それから出先機関最高責任者である上ノ土さんが、中津江村にただの一回も出ていないと私は聞いております。これも毎日新聞に出ていたのには、村長議長には会ったと、こう言っておりますが、どこで会ったということは言っていない、中津江村まで行って会ったと、日田市で会ったと、福岡で会ったと、何とも言っていない。村長さんは、水没いたしません、議長の方は、水没予定者であります。がしかし、二百戸の、最大の被害地である中津江村にすら、上ノ土さんはお出かけになっていないように聞き及んでおります。あらゆる努力でしょうか。申請書には、「熊本大分両県五カ町村に亘り、何分にも関係人が多数に達する」と、こう書いてございます。その通りであります。そんな大きい犠牲まで払って、ダムを早急に作らねばならぬでしょうか。私に言わせれば、ほかにやるべき仕事があるのじゃないか、こう思いますが、これが反対一つ理由であります。これも、後方から申し上げたいと思います。  九項のところに、同じく申請書の中に、「久世畑はこれのみで所要の洪水調節が可能であるが、地質的には断層が介在し、処理が極めて困難である」と書いてございます。では、「極めて困難」というのは、技術上絶対、百パーセント不可能なことであるか。なお、困難であるというならば、その資料を見せていただきたい。まあ私たちには、いなかの人には見せなくても、少なくとも先般のこちらの委員会衆議院委員会あたりには、地建の方が詳細な資料を印刷されてお配りになるだろうと思っておりましたところが、そうでなかったようなうわさでございます。はなはだ、なめたやり方ではないかと思います。私に言わせるならば、何月何日に、何メーター、何尺掘った、そのとき、どんな石が出た、また何メーター掘ったら、どんな石が出た、その元本は、石は地建の金庫の中に保存してある。自分の方で調べただけでは、おそらく信用されないから、九大の工学部の先生とか、どなたとか、お偉い方と共同で調べる、その日々の報告調査資料が完全におありだろうと存じます。なぜ、それが水没予定者に配られないでしょう。ただ悪い悪い、口癖にそう言っておるのであります。技術上きわめて困難と申しておりますが、最近、地建の方からお願いしたのじゃないかと想像しております、松本博士西日本新聞に、できないとは言っていないのです。五十メーターと申しますか、半分くらいなものだったならば、できるということを申しておるのであります。  まあこの点も、詳しくあとで申し述べたいと思います。  次に、十番目に——項目のところに、「久世畑松原、下筌に比し、水没予定家屋が多きため補償に難点あり」と、こう書いてございます。私が「恣意も程々に。」——勝手なこともほどほどに言えと、こう書いてございます。どうも私から見れば勝手な熱だと思います。金の要らないところ、何もかにも都合のいいところへ作る、こしたことです。  私たちから見たならば、それは官庁のやるべきことじゃない、建設省のやることじゃない。そこまでいったならば、法治国家ではないのではないかと私には思われるのであります。勝手に計画をし、勝手に人の地所をねらい、なに、おれはやるのだぞ、ぐずぐず言うな、土地収用法十四条によって許可を受けてやるのである、やったのですよ、事実……。ここに写真も持ってきております。そして入札に進むのだ、請負業者を引っ張ってきて、準備をやったわけであります。この姿で進むとすれば、従って、その先に所有権の問題がきて、これは試掘試錐に入れなくて、所有権の問題が出て、収用委員会に投げこむのである、どうしてやるのであると、それじゃ、もう私からみたときは、繰り返しごとですけれども、法律は、あるかないか、おれのやることは、公共事業だ、かまうことがあるか、何が何でも、がむしゃらにやつちゃう、それでは、法治国家ではないのではないかと私は思うのであります。  次の、十一項目に、「下筌ダムサイトは地質良好でEL三百二十五メートルまでは全然問題なく、EL三百四十メートル程度も地質上大丈夫と推定されており、ダム建設には絶好の地点でのる」と、こう書いてあります。もう試掘試錐の要はありません。こんな文句がある。これは、衆議院の方でしたか、八日のこちらの方でしたか、村上さんもそう、言葉は違っても、内容は同じことをおっしゃっていたように記憶しております。  次、十二が、「筑後川は水源を阿蘇外輪山に発し、高峻山岳地帯を流下し、幾多渓流支流を入れ云々」と書いてあります。それこそ、砂防工事が喫緊ではないかと私は思うのであります。ここで、後方と思いましたが、小国の町の一町の災害を、ちょっと申し述べさせていただきとうございます。これは後方申し述べたい治水と関連した筑後川七十万とか九十万とか号しておられるのですが、その災害とを、あわせて検討したいと思いますけれども、ここに、十二項目の方に出て参りましたので、一応それを……。ここには、岡小国村、熊本阿蘇郡の南小国村と小国町と玖珠川全域と大山川、もちろん大山川には津江川が入っておりますか、その二十八災のときの災害が、ここに、ごく数日前の調べを持って参りました。調べは、二十八年災のときでありますけれども、私の方で、数日前に調べたのを持って参っております。全部朗読するということは、大へん時間の浪費になりますから、人的被害だけでも申し上げてみましょう。小国町だけで死者五十一名出ておるのであります。重軽傷が十二名、計六十二名の人的被害を一万六千ばかりの小国町で受けております。  これは、何を意味することでございましょう、どなたの責任でございましょうか。私に言わせれば、砂防工事を怠っていたのだと思われます。  次に十三が、筑後川下流堤防を引堤——引き下げる、かさを引き下げるのではなくして、川せきを広げるために、うしろの方へ引くわけであります。それから「堤防のかさ上げ、放水路、いずれも技術的に困難、それに伴う用地買収費工事費は多額、これまた困難、」こういうふうに——「よって上流部の一、二個所にしわ寄せせんと、これ下筌、松原ダム計画か」と、項目に書いてあります。筑後川下流の人が、公共性をお持ちでしたならば、下流下流中流中流、現地々々で犠牲を払われたならばどうかと、私は思います。地所ただで出してやろう、もちろん地建建設省の方へ、ただで出してやろう。お前、田畑家屋敷を失ったならば、おれたち近所隣は、分け合っていこうや——それができずして、上流部に、おれたちの安全のために、お前たち水没せよとは、これはどうだろうかと、私は思うのであります。理論でなくして、現実の話としてどうだろうかと、私は思うのであります。  まあここに、放水路が出ましたが、これも治水につながることで、もちろんつながることでありますから、あとでまた、お話を申し上げたいと思います。  十四に、「松原ダム計画と、九州縦貫道路計画との関連如何」と、こう私が書きましたところが、これも毎日の方に出ていたのに、意味がわからぬというようなことを地建の方でおっしゃっていたようでした。こっけいな話だと——私は記事を読みました。九州縦貫道路は、まあしろうとの私に言わせれば、大山川を、下流から漸次さかのぼるのが順序ではないかと思うのであります。それを、中半の松原からでは、おかしいのではないか。そこから両岸の道を作られて、あとでどうのこうのというようなことは、計画性のないやり方ではないかと、まあそういう意味で、これは書いたのであります。もう少しこれは付言せぬと、これはちょっと御理解が困難かと存じます。  次に十五、これは、一月四日の官報資料治水五カ年計画として、建設省が掲載してあります。その中から、私が抜記しまして、ここに書いたものであります。  読み上げますと、一、「山間部上流河川改修砂防はきわめておくれている。」と、こう申しております。  二、「河川工作物に対する戦後の補修が十分でなく、施設が老朽化していた為に水害を激化した。」と、こう書いてあります。二十八年災害の際に、中流部の吉井の向かいの中島から下流に向かって、——ここに資料を持ってきておりますが、私の方の資料によりますと、十一カ所破堤——堤防がこわれております。「戦後の補修が十分でなく、施設が老朽化していた為に水害を激化した。」これは事実の話でしょうが、では、その責任はと私は問いたいのであります。  三、「特に小規模河川治水対策を強化するとともに、豪雨による土砂害をうけるおそれのある渓流について砂防ダムの整備をはかる。」こう書かれてあります。  次に、「小規模河川改修」で、区切りが打ってありまして、「小規模な事業費をもって一定計画の下に改修することにより比較的著しい効果を期待できる。」と、こううたってあります。じゃ、なぜそれをやらなかったか。  さらに十六が、うたとも何ともつかないような書き方がしてございます。読み上げをいたします。「玖珠川杖立川を放置して筑後川洪水無しや、これ建設省松原、下筌ダム洪水調節は完全だと、たびたび言っているように聞き及んでいます。それでは、建設省のその面の仕事は終われりということになります。私の解釈では、終われりということになります。さらに杖立川、これはまん中になるわけです。上流の方で、左が玖珠川です。それはほったらかしておいてもいいか。各河川に、洪水はあるのであります。松原、下筌両ダム計画し作ろうとすることにあせる余り、そんなことになった——話になったのじゃないかと私は思っているのであります。こんなだらしのない物言いはないと私は思います。建設省は、松原、下筌両ゼム洪水調節は終わるというならば、それで完璧であるというのならば、なぜお前たちは、ほったらかすのか、「玖珠川杖立川を放置して筑後川洪水無しや、これ建設省」……。  次が、十六項目の二であります。「佐賀筑後、無数のクリークあん儘で良かんべか悪かんべか」——筑後佐賀平野クリークは無数と申し上げてよろしいかと思います。埋めてしまっていいのもあります。排水、通水のために、さらえる必要なものもたくさんあります。クリーク泥揚げコンクールなんて、こっけいのさたであります。  ここで、思いつくままに申し述べたいことは、筑後川下流に注ぐ、それから有明海に直接注ぐ佐賀平野だけでも、名の知れた川が私の記憶では十四、五ございます。この川の治水は、どうなっているのか。  次が、国鉄への公共補償、これは、久大線でございます。「国鉄公共補償久大線)に怖れなし」——おそれをしないというのであります。「怖れなし、ダムサイトの組合せ外せるか下榎釣」——これは、私の曲がった想像かもしれませんけれども、佐久間ダム施設にも、この鉄道の補償問題は、大きい問題であります。申請書を見てみますと、十一の地点を書いてありまして、そのうちに下榎釣と書いてございます。四、五行読んで下っていきますと、松原ダムをじゃんとっかま、えて、松原ダムプラス猪牟田ダム、これは玖珠川上流であります。これは下榎釣とは組み合わせてないです。松原プラス猪牟田松原プラス簗瀬、これは、杖立川上流であります。松原プラス下筌と、こうなっております。松原は、じゃんとっかまえているわけであります。そうして松原、下筌ダム貯水量が一番大きいと、こううたってあります。  だが、私に言わせるならば、ばらばらにしてみたならどうか、久世畑が、一番なのでございます。次が、下榎釣ということになっているのであります。そのあと松原、下筌がやってくると、私は思っております。たびたび申すごとく、後刻御質問を申していただき、発言する機会が私に与えられますならば、具体的に、いろいろと申し述べたいと存じております。  で、もう一回結論を申し述べます。私は、下筌、松原ダムに絶対反対のものであります。この決意は、微動だもいたしませんということを申し述べて、一応、私の発言を終わることといたします。   —————————————
  5. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次に九州地方建設局長上ノ土君にお願いいたします。
  6. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) 昨年五月、熊本県知事許可に基づきまして、治水のため立ち入りをするまでの経過につきまして申し述べたいと思います。  三十二年八月、志屋小学校における説明会のこと、その翌月ごろから、室原さんの態度が絶対反対に変わったこと、室原さん以外の部落方々にいろいろお話しても、ダムのことは室原さんに話して下さいと異口同音に言われ、結局室原さんと直接話し合わなければ、この問題は解決しないことがわかったことなどの経過につきまして、先般申し述べておりますので省略いたしますが、その後の経過について申し述べます。  この強い反対派を説得して、話し合いあっせんできる人としまして、あらゆる人が、小国町長河津寅雄氏を上げてくれましたので、町長あっせんを実現すべく努力しました。私からも直接依頼し、県当局からも再三お願いしておりました。室原さんがかたく建設省との面会を拒否されているので、河津町長は、昭和三十二年からあっせんを頼まれているので、何とかしたいと思っているが、しかし室原さんの反対は異常なもので、あの部落内のもう一人の有力者との感情的対立も言っており、なかなか複雑だから、簡単にいかない、自分が時期をみて必ずあっせんの労をとろうからと、町当局といつもよく連絡して下さいと、当初は理解ある態度でありました。  しかるに、その後は建設省の再三の要請にもかかわりませず、また知事選挙等の影響もありましてか、積極的に乗り出してくれませず、最後には、自分にはあっせんの力はない、建設省みずからの手で道をつけなさい、建設省の力であっせん機会ができたら乗り出しましょうと、こういうふうに逃げられた格好でございます。しかも、熊本県当局はどうかと申しますならば、小国町長を介することなくしては、この難問題に手の出しようがないと、こういうふうにおっしゃっておりました。  それから昭和三十三年の十月の末、志屋部落出身町会議員であり、しかも室原さんの実弟に当たる室原知彦さんに、面談する機会を得ました。そうしていささか反対部落の気持に触れることができました。その要旨は、この部落は、特に住みいいところであるから、なおさらのこと、この墳墓の地を去りたくない。しかしここでの生活にかわるべき生活が、補償によって与えられるならば、必ずしもダムを作ることに反対でないとの意見でありました。  ついで、建設省は、水没者と話し合うて、その要望に基づき、この住みいいところでの生活に十分かわり得る生活の基盤を確立した上で、ダムを作るのだから、ぜひこの意味で、部落方々と話し合う機会を作っていただけないでしょうかと、こう御依頼申し上げましたところ、私たちきょうだいが、そのあっせんをすることはできません、話し合えば、部落人たち建設省に同調するかもしれませんが、私たちは絶対に話し合いはしないのだから、法によって立ち入って下さいと、合法的な調査、立ち入りについては、妨害等の違法行為はしないのがこの部落の方針であると、ある程度、法的調査、立ち入り以外には、余地がないことをほのめかされたような感じを受け取りました。  それから昭和三十三年十二月二十五日ごろ、これは所長でございますが、わずかの時間でありますが、室原さんと面接することができましたが、そのときの室原さんの発言要旨は、ダム反対理由はない、祖先墳墓の地を去りたくないわけだ、あくまで反対を続けるが、決してあとにしこりは残さないから、心配するなとの微妙なものがありました。当時室原さんは、補償に関する勉強をされておりまして、総合開発と補償、用地と補償補償実例集、補償統計集などの本を読まれております。中津江村の水没者に対し、任意協議額よりも収用裁決の方が有利だとの説を述べられて、その裏づけとして、少数残存者に収用法を適用するのが普通だから、大分県側が協議成立しても、なお反対を続ければ、建設省は、小国町側に収用法を適用する、裁決のとき、建設省の見積り額は、当然大分県側で協議成立した額であるから、それ以上のものを小国側が要求すれば、悪くいっても大分県と同じまで、うまくいけばそれ以上になる、だから話し合いなどはやめなさいということを言っておられることが、大分県側水没者の間から建設省の耳に入って参りました。そこで、しこりを残さないと、こうおっしゃったことは、法で来なさいと言われた弟さんの知彦さんの言葉意味しているように判断されました。  約半年にわたりまする建設省との話し合いで、木下大分県知事の現地説得の力もありまして、昭和三十三年八月下旬以降、大分県側水没者が、条件協力の態度を打ち出しました。このころから反対者は、自分たちと異なる方針を打ち出した大分県側に圧力をかけ始め、大分県側の態度が、漸次建設省に同調するに比例しまして反対側の圧力もまた増大して参りました。建設省ダム建設反対だとおっしゃりながら、その建設省とは面会拒否、話し合いの必要なしと、当事者同士の対決を拒否し、同じ墳墓の地が水没するという恐怖の中で、国民の一人という立場から、みずからの判断で、自分たち犠牲にならぬよう補償対策が確立されれば、国のためのこの事業に協力するとの条件協力を打ち出しました。街頭デモ、その他のいやがらせ、話し合いをすると建設省にだまされるぞ、ばか正直なお前たちは損をするぞ、話し合いにより収用法裁決の方が補償が有利だなどと攻撃する反対側の態度大分県側水没者の反感を誘発しまして、中津江村栃原のダム協力の横断幕となりました。大山村では、不当な干渉だとの不満を起こさせたのであります。この不満は、当然建設省に、あのようなむちゃな反対運動を野放しにするのか、あのよう反対すれば、ダムはできないのではないのか、そのためダムが延期にでもなればわれわれは迷惑をする、ダムを作るときめたら早く作ってくれ、あの反対のため、一日でもおくれれば、迷惑するのは自分たちだ、自分たちの迷惑がわかるならば、何とか手を打ってくれ、あの反対者を何とかしなければ、これ以上われわれは建設省話し合いを進めるわけにはいかないなどの要求が非常に高まり、大分県側の協力態勢に、大きな障害となって参ったのであります。反対の目的は補償ではなく、あくまでダムを中止させるか、場所を変更させるかにあるので、建設省松原、下筌ダムをやめない限り反対を続け、一切の話し合いを拒否するという、過去にできたダムにおける反対とは性質を異にする異常なものでありました。  それから昭和三十四年一月には、小国町の黒淵地区協議会長の河津親男さんがかねてこの反対について非常に心配しておられるとのお話を漏れ承りましたので、訪問して、あっせんを依頼しましたが、現在の状況では、手の打ちようがない、法的措置もやむを得ないだろうとのことでございました。  以上、述べました各項目を総合いたしまして、土地収用法を適用するもやむを得ないと判断して、また将来の円満な補償交渉、工事遂行の基礎を作るためには、反対派方々建設省の間にあるこの厚い壁を何らかの方法で破る以外になく、その方法としては法の力によらざるを得ないと決断したものであります。  しかも、いかにやむを得ない事情で法を適用するといたしましても、水没者の気持に、強権で押えられるという感情を抱かせることを得ず、これが原因となって、法適用の過程で不祥事の発生もなしとはいえないので、室原さんの場合、はたしてどうかということにつきましても検討いたしました。公安委員長をされておられたので、警察関係方々が詳しいと思いまして調べましたところ、室原さんは、法律に精通され法を尊重される方だ、従って合法的な調査立ち入りについては、違法な妨害などはされず、また不祥事などは起こらないと思うとの意見でございました。また室原さんと面接できる立場にある新聞記者等の人たちも、建設省が合法的に調査に入れば無抵抗で対処するだろうと、こういうふうに意見が、当時述べられておりました。十四条の許可を得て以後も、法で調査立ち入りするとはいっても、謙虚に、慎重に入ったもので、室原さんには全然会っていただけなかったので、事前に相談することはできなかったが、穴井隆雄さんとは、事前打ち合わせを済ませ、伐採の日時、数量、集材の場所などをつけてきこりを雇って伐採するなど、所有権の尊重には、でき得るだけの気を配りました。  これが十四条で、私の方が伐採をしたまでの経過でございます。その後の経過につきましては、いろいろ室原さんの御親戚の方とか、それから地元の代議士さん、それから下流の期成同盟会——筑後川期成同盟会の方、いろいろの方を通しまして、室原さんに話し合い機会を求めましたが、現在まで話し合いの糸口は見出せない状況でございます。  以上をもちまして、私の口述を終わります。   —————————————
  7. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 委員の異動について報告いたします。  三月二十五日付、武内五郎君が辞任され、森中守義君が選任され、また安田敏雄君が辞任され、小柳勇君が選任されました。  以上であります。   —————————————
  8. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは、参考人の方の御意見の陳述が終わりましたから、これから質疑を行ないます。  参考人に御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  9. 内村清次

    ○内村清次君 参考人方々質問を申し上げます前に、委員長に、実はお尋ねしたいことがございます。  この下筌、松原ダム建設工事に対しましては、これは熊本県やまた大分佐賀、福岡というような各県にまたがっておりまする筑後川治水の問題といたしまして、また当面下筌、松原ダム関係につきましても、その水没犠牲者の問題が介在しまして、当委員会としては非常に重要であるという観点に立って、委員会におきましても、こういった参考人意見を聴取するということになったことは申すまでもありませんが、ここで一番被害県といわれる、犠牲県といわれておるところの熊本の県知事、これは去る八日の参考人出席に対しましても欠席をされておられます。今日もまた欠席をされております。これはどういう理由であるか、また委員長といたしまして、この出席に対しまして、どのような手続をされたのか、この点を、十分一つ解明していただきたいと思います。
  10. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) お答えします。  熊本県知事の寺本広作君に対しましては、本委員会参考人として、過日出席要求議決をいたしました通りに、議長名及び部長名の招聘状及び事務当局の二回にわたる要請、並びに私からも招電を発する等、いろいろ手を尽しまして、出席を懇請いたしたのでありますが、どうしても手の放せない用があるからとの理由で、断わって参った次第でありまして、はなはだ遺憾に存じております。
  11. 内村清次

    ○内村清次君 ただいまお聞きいたしますると、委員長及び事務局の方におきましても、十分な手続をしておられるようであります。しかし、どうやった関係か知りませんけれども、御出席にならないということは、私たちはこの案件につきましての調査にあたって、非常なこれは迷惑を感ずる。  御承知のごとく、寺本知事は、何としましても被害県の管理者でございます。しかも知事であります。寺本知事は、かつて参議院の議員でもあった、しかも、また議院運営委員会委員でもあった、国会法につきましても、議事規則につきましても、十分御精通なさった方です。こうやった被害県であり、相当な水没者を控えているところの県知事といたしましては、みずから進んで、この委員会に御出席になって、そうして私たち委員の審議を非常に円滑にしていただくということが、私は大切だろうと思うのです。こうやった事件が、委員会が、何回も何回も、この形で進められていくということは、私たちは決して本意ではございません。早くそろったときに、直接関係参考人方々がお出でになって、十分に審議をするということこそが、委員会の任務と思うのです。  だから、この点につきましては、将来におきまして、委員長がどうやった手続きをなさって、そうして、この寺本知事が御出席になるような手段をとられるか、これは委員長やあるいは理事方々におまかせいたしますけれども、とにかくこの問題につきましては、私は非常に遺憾の意を表しておきます。この点だけは十分一つ、お聞きとりのほどをお願いしておきたいと思うのです。  そこで、上ノ土地建局長に実はお尋ねしたいのですが、先般の八日の委員会の最後に、私は局長に対しまして、あなたは当面の事業の責任者である、事業を遂行されるところの責任者である。ところが、三十二年から今日までの間において、一部に強い反対がある。その反対理由といたしましては、これは先ほど、また室原さんからもいろいろ述べられました。また松原関係におきましても、相当反対者がある。こうやった事態の中に、責任ある局長といたしまして、どうして室原さんが、ああいう反対態度になったのか、どこに紛争の原因があるのか、その点を一つ率直にあなたは責任者として、委員会で申し述べて下さい。私はあなたに、この点を質問したはずです。御承知だろうと思う。しかし、当時はもう御承知のごとく、あなた方も、御上京なさって、時間が非常に長い時間を使っているからして、お疲れであろうという点で、関係知事の方々や、あなたに対しましもて、私は続行するところの質問を控えておりました。  そのときにあなたがおっしゃったことは、室原さんと面会しないからわからないというようなお言葉です。これはほんとうに、私はそのときは不誠意な御答弁であると思ったのです。こういう態度であったならば、これはやはり紛争の原因というものが何かありはしないか。そこで私も質問を続けたかったのですけれども、実は、そういうよう関係で、あなた方もお疲れだろう、そうしてまた、今日必ず委員会であなたと面会する機会もあるからと思いまして、私は差し控えておったわけです。  そこでまず私は、これはあなたが御提出になりましたこの経過報告の中に従いまして、あなたから御答弁をいただきたいと思いますから、この点に対しましては、詳細に率直に一つ聞かせていただきたいと思います。  あなたの提出せられました経過報告によりますると、昭和三十二年ごろまでは、予備調査の時代には、非常に地元関係は協力的であった。そうして三十一年の一月の測量には関係者の了解を得て、そうしていろいろ調査をすることができた。それに対しては補償金も一部出したというようなことを述べておられますが、その際どういった訓育をされたのか、またどういった補償金を出されたのか、この点につきまして御答弁を願いたい。
  12. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) 実は下筌ダム測量は、三十年の九月十日下筌志屋部落の地区で洪水の痕跡調査を十日間にわたりまして、穴井連絡員宅に二週間も泊まり、部落全部にわたりまして調査をいたしました。それから三十一年の一月十六日から二十二日の間、横断測量を実施いたしました。それから三十一年の二月二十日から二十一日の間、上記の横断測量に伴う立木伐採補償打ち合わせのため、現地伐採立木調査をして所有者の空原さん、それから川野顕義さんと、補償につきまして、四時間にわたりまして交渉いたしました。その結果、円満に解決いたしております。それから三十一年の二月二十七日補償調書を事務所から局に上申しました。それから三十一年の三月十三日協議しまして室原さんが五千九百六十円、川野さんが五千九百九十円という協議の数であります。それから三十一年の三月十六日承諾書に捺印され、室原さんより、特に支払いを三月二十六日の午前中にするように期限の厳守を約束いたしました。それで三十一年の三月十七日支払手続をして局に送りました。三十一年の三月二十六日約束通り補償金を支払いました。三十一年の八月の初め、下筌地区地形測量実施、事前了解を室原さん並びに穴井連絡員に求めました。そうしたところが室原さんが言われるには、三ヵ月間も山の中に行って何の調査をするのか、こういうふうなことも、そのときにおっしゃいました。そうしてお茶を飲みながら接待を受けて懇談いたしました。それから三十一年の八月の十日から十月の末まで上記の地形測量を実施いたしました。三十一年の十月一日から十一日の間、下筌ダムサイト河川敷内のボーリングを一本施工しました。補償物件は、そのときはありませんでした。二名の者が、志屋部落の穴井連絡員の宅に泊りました。三十二年の六月二十日でございますが、試錐工事施工に伴う損失補償の交渉並びに工事実施、事前了解のため、所有者の室原さんを訪問いたしました。三十二年の七月八日、試掘工事による立木伐採補償の件につきまして、左岸所有者の川野顕義氏と交渉の結果、円満に了解を受けました。また右岸の試錐工事工事前了解を求めるため、所有者の室原さんと交渉いたしましたが、係長の地位でなくて、もっと上司のものがあいさつに来るようにとのことでございましたので、そのことを所長に報告しております。それから三十二年の八月の九日、上期の右岸試錐工事計画を実施する予定で、  一部資材の購入も行なっておりましたので、ぜひ調査をと懇願いたしましたところ、所有者の室原さんは、志屋部落全員に対し詳細の納得のいく計画説明をすべきだとの要求がありました。この旨を所長に報告しました。そして三十二年八月十四日、上記下筌ダム計画説明懇談会開催の期日、場所等のとりきめに室原さんと、それから穴井貞義さんと面接いたしまして、八月十七日午後一時より志屋小学校において開催することを約束いたしました。それで三十二年の八月十七日志屋小学校において午後二時から午後六時まで説明会を開催いたしました。そのとき計画説明を佐多所長がして、それから北里県会議員さんが、初頭にダム反対の発言をいたしました。それから、それに対しまして日田工事事務所の岡島工務課長が、技術的な洪水調節計画の必要性の具体的な説明をいたしました。それから昭和三十一年八月頃から十月末までの地形測量の際に、稲穂を損傷し、それから樹木伐採等の補償について議論がたくさん出ました。測量員の態度に対しまして非難も、そのときはありました。それから八月の二十八日北里県会議員の宅におきまして、上記地形測量による損失補償範囲等を打ち合わせました。代表穴井連絡員と、北里県議の長男である北里達之助さんと打ち合わせをいたしました。そうしてその結果、昭和三十二年九月四日でございますが、補償等につきましての打ち合わせ及びおわびかたがた、まあ酒を五升持参いたしまして、これは穴井連絡員の宅に預けて、志屋部落の各戸を戸別訪問の上、測量のときのおわびをいたしました。以上十数戸を訪問して、夕方に最後の室原さんを訪問いたしました。ところが疲労しているのできょうは休ませてくれ、いずれにしても、各戸訪問の上おわびをしたことは大へんけっこうであった、こういうふうに室原さんは発言されました。それから三十二年の九月二十五日ごろ、建設省職員面会謝絶の札が室原さんの玄関口に張ってありました。それで九月の二十六日志屋部落の穴井連絡員の宅を訪問しましたが、穴井氏が不在につき、下筌ダムサイトの上の方の山に行って、穴井さんと面会しました。そのときに、二十三日のお祭には気持よく酒五升は飲んでいただいたでしょうかと、また稲穂等の損失については、部落全部まとまったかどうか、こういうふうに聞きましたところが、穴井さんは、こういうふうに答えました、みんなは飲みたいが、室原さんがあまり酒を飲まないので、その運びにはならなかったと。なお上記損失補償につきましては、具体的に申し出る者もなく、補償のしょうがないでしょうと、こういうふうにそのときはおっしゃっております。
  13. 内村清次

    ○内村清次君 室原さん、その点どうですか、その点につきましては、あなたも先ほどの陳述の中におっしゃっておりましたですね、夏ごろまでには、非常に協力的態度であったというようなことですが、私はまた、地建局にあとで聞きますが、三十二年の秋ごろから、面会謝絶というような、先ほど言われたようなビラも家に張ってある、それから非常に事態が自然に悪化したというようなことを聞いたが、どういう点が原因であるかというようなことにつきまして、一つ地建局長と室原さんからお答えを願いたいと思います。
  14. 室原知幸

    参考人室原知幸君) はなはだ局長さんの話が微に入り細にわたりまして、長談義にわたりましたが、その中からピック・アップしまして、私関係のことをちょっと申し上げます。  五千円云々という言葉がありましたが、その当時は、ダムのダの字も申しませんでした。私は、それこそ河川調査と、こう理解しておりました。ほかに申したいことはたくさんありますが、時間が……。私としては申したい重要なことがたくさんございますが、局長さんの話のうちから、先ほど申し上げたように、ただ関係の五千円云々という関係が一番重要だと思いますから、それだけを拾い上げまして、そのときのいきさつを今申し上げたわけです。重ねて申し上げます、ダムのダの字も申したわけではありません。私は、筑後川上流河川の何か改修関係の護岸か何かのことだろうと推察して、雑木の伐採を許したわけなんです。
  15. 内村清次

    ○内村清次君 実は、先ほど御質問申し上げましたのは、夏ごろは協力的であった、夏の際には、先ほど言いましたように、補償の問題も解決をしたし、また建設省対の交渉につきましても、いろいろな経緯を経て交渉しておられる。ところが、秋ごろになったら面会謝絶の掲示を出されて、そうしてその後から次第に悪化していったというようなことを上ノ土局長が言っておるわけです。  だから、その点のことを、なぜ悪化していったのか、その点のところを、少しく詳しく一つお話を願いたいと思います。
  16. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 三十二年の八月下旬、志屋小学校説明会みたいな、まあ、そうはっきりしていなかったのであります、当時としては。佐多さんが来られて、話されましたときに、そのときの状況と言いますか、態度と申しますか、それは大へんな役人のようだと、こう私は、最初感じたのであります。その後に、先ほどから私が申し上げました通り、秋の収穫前に、乱暴なやり方測量をされた。これはかなわない、こんな者を相手にしておったんではということで、私が、まず自宅の戸袋へ建設省の方には面会お断わりという表札を出した次第であります。  それで、これはちょっと脱線しますかもしれんが、どうしてもこの機会にしゃべらせていただきたいのは、話し合いというのは——この前のこちらの委員会で、私が非常にがんこなおやじというようなふうに、どうも響いておるようなあれですが、話し合いがされるかされぬか、地建の連中を相手にして話がされるかされぬか、これを実は、事例をあげて申したいのでありますけれども、大へん、二年なり三年なりのことで、長いことになります。そこで、私よりも、地建方々が盛んに宣伝されている——中津江大山村長さんは協力されておる——自慢のごとく叫ばれた。そこあたりが、前はともあれ、現在どうなっているか。相当の月日の間に、話のやりとりをされた結果、結論が出ておるわけなんです。今、それを簡単でありますから読み上げをいたします。「大分日田中津江水没予定者大会決議書。——「しかも刻々と報道を変更し、過去における私たちに対する説得は全く欺腕的言辞を愚弄したるに過ぎず、その真意を認め得ず、私たちの精神的、物質的損耗ははかり知れざるものがある。」というのが前文であります、前文の一部でございます。その決議のうちに、三項目のうちの一つに、「私たち水没予定者建設省出先機関を信頼せず、過去における協議または了承せる一切の事項を白紙に還元する」と、こう書いてあります。非常に協力された、している、日本一のいい村長だとまでおほめになった、その村長さんをおほめになったその村が、こういうことをやっている。  次に、調査事務所のある大山村矢幡村長もたまりかねて、どうしようもない、出先機関は。そこで、自分一人の力では仕方がないということで、全国奥地山村振興協会ダム部会という会を作りまして、これだけの印刷物を配って、今盛んに運動をしているのであります。ここに御列席の方々にも、お持ちの方があるかと思います。  話し合い話し合いと申しますが、先ほども申しましたように、古いことはまずおいて、ここ数日間の地建の動きを見ていただきとうございます。二十二日の日であります。十二時のラジオ放送では、いわゆる強制測量をやるんだ。私たちから見たときは、いわゆる蜂の巣城のまわりに資材を持ってくるんだ、やるんだ、こう言葉は違いますけれども、そういう意味のことを十二時の放送でやっている。たった二十四時間たった翌日の二時の放送には、いや村上さんにお尋ねをする、こう言っているわけであります。そうしてその間に、調査事務所を工事事務所に切りかえるんだ、こういうことを言っているのであります。私の聞いた、読んだ範囲では、衆議院建設委員会の席上で、村上さんは、三月一ぱいは測量しないと申したように記憶しております。  また去る十七日の熊本地方裁判所での地建言葉としましては、やはり測量はしない。これは訴訟記録にとどめてあるはずと思っております。それだのに、先ほどから申すように、測量はやるんだ。一日たてば、村上さんにお伺いするんだ。意向を伺うのだ。豹変きわまりなし、朝令暮改はなはだしいのであります。話相手となりましょうか。  もう少しこれを申し述べたいのでございますけれども、もう一つ、ちょっと一行、二行のことですから。あとから、この話し合いのことについては、また機会さえあれば申し上げます。なぜ話し合いをしないか——匿名の信書をひんぴんと出しました。私が出したのではありません、今手元に、これだけ持って上がりましたが、やはり私のところには、全国から下筌、松原だけと限定せずに、非常に広い視野から、結局ダムとか、道路とかだけでなくして、土地の問題と申しますか、そのまた、そこに国家権力と申しますか、大資本力というものに対する痛めつけられた、現在痛めつけられつつある、また将来、そういう不安があるという人から、毎日電報、書面が直接来られております。ずいぶん遠い所から直接来られております。室原しっかりやれと、一言にして申すと、こういうことであります。ここに地建河川部長の樺島さんが匿名ではありませんけれども、こんなものを、私持っております。毎日書信が来ますから、どんどん封を切って、私見ているわけであります。樺島さんという方が、地建河川部長だということを私は知らなかったわけであります。中を、封を開くのもめんどうくさいから、来たのをどんどん引き抜いているわけであります。中に美和ダムを作られたときの、まあ自慢話でしょうと思いますが、そのパンフレットが入った中に、この書信が入っておったわけであります。書信の内容は、自信満々の内容であります。いやしくも河川部長にともあろう者が、ただ自分の名前だけを書いて出す、卑劣です。その後夜間、私の家を訪れまして、流しのはたから入って参りまして、そうして私の妻に、名刺を渡した。それがこの名刺なんです。こんな失礼な名刺がありますか。東京都杉並区——樺島さんが、本省の方へ勤められておったかどうか知りませんけれども、杉並区云々、高井戸云々と書いてあります。これは消してあります。この名刺を持って来たわけであります。これはずいぶん軽べつしたことなんです。それも最初ならともかく、事、ここに立ち至っても、まだ人をばかにする精神があるわけなんです。樺島さんが、自分よりもえらい人だったら、こんな古い、旧住所の名刺をペンで消して持っていけるでしょうか。そんな精神、そんな態度の人と話し合いはできないのであります。  また、後ほど申し上げます。
  17. 内村清次

    ○内村清次君 そこで、局長が、三十三年の六月の十二日に、小国水没反対者の説得依頼のために、熊本県庁に行かれて、知事と会うという目的であったと思いますが、知事が不在のために副知事と会ったということですが、これはどういう事件のために、知事に説得依頼というようなことでおいでになったか。そうしてまた、副知事と、どういうお話をなさいましたか。この点につきましてお尋ねしたいと思います。
  18. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) それは私の方も、測量試錐を開始しようと思いまして、小国町の現地の説明をやったわけです。このときは非常に険悪であった、こういうふうに聞いております。それで、そのため、室原さんにも会ってお話を聞いていただけないし、熊本県の知事さんにお願いしまして、何とか話し合い機会を見つけてもらうようにお願いするつもりで行った。そしてそのことをお願い申し上げたのです。
  19. 内村清次

    ○内村清次君 それは、そのあとの問題じゃないですか。そのときの問題は、それは違うだろうと思うんです。この点は、またあとで、一緒に御答弁をお願いしたいんですが、ただあなたが、その次にあるように、三十四年の三月の十六日に、小国町の志屋部落の対策について、尽力を要請に行っておられる。その前に、いわゆる三十三年の七月二日に、小国町長あっせんを依頼されておる、そうでしょう。そのあっせんというものは、どういうあっせんか、すなわち法律に基づくあっせんをされておるかどうか。どういうあっせんか、この点を、まずお話し願いたい。これはあわせて御答弁願いたい。
  20. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) それは法律に基づくとか、そういうことでなくて、室原さんとお話ししたならば、私たちの真意がわかっていただけるだろうと思いまして、あっせん方を御依頼したわけであります。
  21. 内村清次

    ○内村清次君 先ほどの、知事に面会に行ったけれども、副知事と会って、どうやって会談をされたかという点は、あなたが御答弁になった点とは、事実がだいぶ食い違っているんです。そうでしょう。その点を、まず、どういうことが、知事に会う目的で行かれたのか。ところが不在だったから、副知事とお会いになったか。どういうお話をなされたかという点も、あわせて御答弁願いたいと思います。
  22. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) さっき申し上げた通りでございます。
  23. 内村清次

    ○内村清次君 あなたは、三十四年の一月八日付で、知事に対して土地収用法の十一条によって立ち入りの許可をとっておられる。そうでしょう。そうした通知が知事から来ておる。だからその以前のことですよ。その以前のこと、一体どうしたかというのです。
  24. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) ただいまのお尋ねは、三十三年の五月か六月のことでございますか。
  25. 内村清次

    ○内村清次君 そうです。あなたが書いたんじゃありませんか。
  26. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) このときは、まだ昭和三十三年の六月十二日でございますから、下の松原ダム調査事務所ができてすぐでございます。そのときは、前から室原さんとの話がつかないために、調査が進まない、調査事務所が発足しまして、すぐのことでございまして、これは調査反対しておられるから、何とか室原さんと話し合いのできるようにと、そのために行ったわけでございます。
  27. 内村清次

    ○内村清次君 その点はわかりました。そこであなたは、三十四年の四月九日に、知事から試掘立ち入りの目的のための、立ち入りの許可証をもらっておるわけですね。そうして該地に行った。ところが、当該地では拒否されたということになっておる。これはあなたの報告ですよ。あなたの責任ある報告だと思って、私は聞いておるのですから、その点ははっきりして下さい。
  28. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) 内村先生に、ちょっとお尋ねしますが、四月三日のことでございましょうか。
  29. 内村清次

    ○内村清次君 四月九日です。
  30. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) 三十四年の四月九日、収用法の第十一条を適用しまして立ち入りました。
  31. 内村清次

    ○内村清次君 そこで立ち入ったけれども、面会を拒絶された。で、あなたの方では、この面会拒絶によってそのときは、無断で伐採を始めておる。で、私は、実は寺本知事がきょう来ておるならば、土地収用法の十一条によって、どういう手続を占有者になされたか、こういう点を聞きたかったのです。手続が、法律できまっておるのですから、この手続に従って、占有者に対して、正当な法律手続をされたかどうかという点を聞きたかったのです。この点は、あなたが拒絶をされておるのですから、そういう手続の法の不備を——法の不備でなくて、これは法律に違反した行為を知事の方でやっておるはずだ。  そこで、あなたの方では、拒絶をされた。ところが、無断で、伐採を始めておるが、そうやった、すなわち伐採はどういう根拠によってなされたのか、所有権者はすなわちどういう人たちか、その区画はどういうすなわち区画か、どういう図面を呈示されて、そうして局長としてやられたか、あるいはまた、その伐採に携わったところの責任者は一体だれであったか、これをあなたは後に報告を受けたはずですから、その点を十分御答弁願いたいと思う。
  32. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) 立ち入りの方の許可は十一条で、これは一月だったと思いますが、許可を受けました。それから十四条の許可は、四月の九日に知事さんから許可を得ております。その許可によりまして、四月の九日に小国町役場に立ち会いをお願いしたのでございますが、所長と用地課長ほか所員が三名、現地に行きましたが、役場の吏員は来ておりませんでした。これは十一条の区域の調査のために立ち入ったのであります。それから四月の十五日、土地収用法第十四条の土地の試掘等の許可証も届いたので、調査に着手すべく、関係者穴井隆雄さん方を訪れ、所長が約三十分ぐらい、下筌ダムの必要性と、調査に協力の要請をいたしましたが、穴井さんは、建設省に今さら協力するわけにはいかないので、法を適用してやられたらいいでしょうとの一点張りであったので、やむを得ず、法を適用して調査さしてもらいますとお願いし、調査に着手することの通知書を手渡しました。また、室原さん方をもたずねましたところ、勝手口より笑顔で出てこられましたが、建設省の野島です——これは事務所長でございますが、とあいさついたしますと、とたんに顔色をこわばらせて、手を横に振り、全然話に応ぜられず、取りつく島がなかったので、やむを得ず、法を適用して調査を行なうことの通知書を差し出しましたが、受け取らなかったので、栃原の津江郵便局に投函いたしました。それから四月の十六日、小国町長あてに通知書の写しを送付しました。それから四月の二十一日、四月十五日まで発送した試掘等の施行通知書を、室原さんは受け取り拒否で返送して参りました。それから三十四年の四月の二十二日、十四条適用区域の支障物件の調査を行ないました。三十四年の四月二十四日、十四条区域の倒伐必要区域をきめるため測量を行ないました。それから三十四年の四月三十八日、十四条区域の物件調査を再度行ない、二十四日測量に伴う支障立木伐採の調査をなし、関係者室原さんに伐採したことの通知をいたしました。それから三十四年の五月の一日、二十八日発送しました伐採したことの通知書は、受け取り拒否で返送されて参りました。それから三十四年の五月六日、穴井隆雄さんをたずね、境界や所有者の確認をなすため、立ち会いの相談をしましたが、二、三日考えさしてもらいたいとの回答でございました。それから三十四年五月九日、穴井隆雄さんを再度伺い、伐採と木材の取り扱いにつきまして相談いたしましたが、協力していただけるような返事をいただけず、建設省調査し伐採しておるとのことであり、その調査の結果については後日連絡するからと話したところ、了解されました。三十四年の五月十一日、ダムサイト地点測量を行ないました。三十四年の五月十二日、穴井隆雄さんを伺い、伐木の長さ等の打ち合わせをいたしましたところ、建設省で買収してもらいたいとのことで、話は当初から進展が見られなかったので、やむを得ず、五月九日に相談したことで十三日から調査さしていただくということで引き揚げました。三十四年五月十三日、十四条区域の伐採に着手いたしました。三十四年五月十五日、所長、用地課長が十四条区域の伐採状況調査をいたしました。三十四年の五月十九日午後五時三十分ごろ、伐採しておるところに反対部落民約三十名がもろ手に分かれまして乱入してきたので、不測の事態を考え、作業を打ち切り、引き揚げることにいたしました。途中、反対部落民は、建設省と話をするなといい、伐採夫はどこからきておるかといいながら、伐採夫の顔を見ていやがらせを言いました。三十四年の五月二十日、現地に着き、ダム建設反対及び試掘阻止のために、約七十名が作業現場にすわり込み、無言の抵抗に出たから、衝突を避けるためと、伐採の目的は達成できたようでありましたので、作業を中止いたしました。
  33. 内村清次

    ○内村清次君 ただいまの陳述を聞きましても、ほとんどあなた方のやったことは一方的な感じがするのですね。その間に土地の占有者であるところの室原さんは一回も応諾をされなかったというようなことも、あなたも言っておられるが、どうですか、室原さんは。
  34. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 試掘、試錐の許可は二つになっております。第一回は四月でございまして、第二回が追加許可、第二回が七月になっております。これはべんてこな許可であります。期限はいずれも今年の三月三十一日ということになっております。このことについて、手続上私たちから見まして違法であるとみなして、目下行政訴訟中でございます。これにつきまして、地建の方から意見書が裁判所の方に出ておるわけであります。そのうちの一カ所をここで読み上げます。  追加許可手続において申請人等に——申請人、これは私。申請人等に意見を述べる機会を与えなかったとの主張について——この先が地建意見になるのです。本件追加許可の手続において申請人等に意見を述べる機会を与えなかった瑕疵のあることはあえて争わない、と申しております。みずから違法をやったということを証明しております。非常に重大な言葉であります。意見書の一節であります。ほかのいろいろの、いろいろと申しますと、職権乱用とか何やらとの疑いがあると私は思っております。不日これは刑事責任を問おうと思っておる次第であります。実は許可手続についてここで十分私は説明できますけれども、それはあまりに法律的と申しますか、事務的と申しますか、非常にややこしゅうございます。従いまして、行政訴訟になっているということだけを申し上げておきます。
  35. 内村清次

    ○内村清次君 そこで局長にお尋ねしますが、三十四年の四月の九日に、あなたが寺本知事からの立ち入り許可書をもらった。あなたはこの許可書をもらって、これでどうでも立ち入りができると、これはまあできるでしょう。がしかし、その間に知事としては手続をしなくてはならない。いわゆる土地収用法の十一条の四項にはこう書いてあるのです。「都道府県知事は、第二項の規定による許可をしたとき、又は第一項但書の規定による通知を受けたときは、直ちに、起業者の名称、事業の種類並びに起業者が立ち入ろうとする土地の区域及び期間をその土地の占有者に通知し、又はこれらの事項を公告しなければならない。」、こう明記してある。この手続がどうも違法な手続がなされておる。それをなぜあなたが立ち入るときに、面会拒絶するというような事態が起こったならば、これは何かおかしい、これは手続というものが法律に従ってりっぱに履行されておるかどうかという点に疑いをはさまなくちゃならないのです。その疑いをはさまずして、先ほどあなたが陳述されたように、何回となく無断で伐採をしておられるじゃないですか。この点にまず第一回目の非常な紛争が惹起したところの原因がありはしなかったか、これを私は非常に心配するわけです。この点どうですか、局長。
  36. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) それは十一条は県の方で告示をしております。それから十四条の方で立ち入ったのは、これは法的に立ち入って切ってもいいということになっておりますから切ったのであります。別に違法ではありません。
  37. 内村清次

    ○内村清次君 室原さんにお尋ねしますが、そのときに知事が公告をするまでに、告示をするまでに、あなたの方に図面だとか、あるいは土地占有者に対するところの了解というものがなされなくちゃならないのですが、この点は完全にされておりますか、どうですか。
  38. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 事前協議の手続を怠っております。非常にこれは重要なことでございます。
  39. 内村清次

    ○内村清次君 その点を少し具体的にお話しを願いたいと思います。その点は実は私もまだ詳しく当人の、占有者であるところのあなたからお聞きしておりませんから、この点は重要でございますから、こうやって御答弁を願っておるわけです。というのは、いろいろ雑誌やその他の話によりますると、当時知事の方では図面を出されておるけれども、その占有者が二名になったり三名になったり、あるいはその区域というものが非常に違っておるということで、あなたが意見書を、これは法律に基づくところの知事あての意見書を出したようなうわさを聞いておるのです。そうでしょう。その点を少し詳しくお話しを願いたいと思う。
  40. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 昨年の二月、日にちまでは記憶がございません。書類は持ってきておりますが、ここには持ってきてない。昨年の二月の上旬に熊本県知事の名義で書類がやって参りました。それには山林一町五反、穴井隆雄、室原知幸、もちろん突っ込みなのでございます。山林一町五反、穴井隆雄、室原知幸、共有じゃありません。どちらが何反何畝、どちらが何反何畝というのでなくて、ただ山林一町五反で穴井隆雄、室原知幸というだけで、地番も何もございません。北海道にあるのか、鹿児島にあるのか、わかりません。もちろん、私にはわかっていることですが、法律的にはわかっていない。何も書いてない、それだけなのです。それでは不都合きわまるではないか、こう言って、私は県知事あてに書信を出しましたところが、その次に字図の写しをつけまして、おそらく三十一年に地建測量して作られたものと思います。ここに写しも持ってきております。その五百分の一の図面を添付して、今度は土木部長の名前で、山林一町五反、無我むしょうに、六反何畝、八反何畝として、一町五反に合わせてきております。このたびは地番が書いてあります。だが境はわかりませんから、図面には境はありません。そのくらいですから、もちろん三人の地所を二人にしております。もう一人末松豊がまん中を持っております。あと穴井隆雄と室原知幸の私が持っている。現地に臨んで見ますと、どこが測量の起点で、どちらに測線が行っているかわかりません。そういうもので許可をしているのであります。地図を広げても、おわかりになりませんけれども、何枚も持って参っておりますので、あとでごらんになっていただきます。境界線も何もありません。私の方から突つかれて六反何畝、八反何畝として、最初の一町五反に合わせてあります。所有権がはっきりしておりません。三十一年の製図でございます。その他不審の点がございますので、先ほど来から申し上げましたように、七月の追加許可とあわせて、私どもの方から行政訴訟をしているわけであります。  それについてもう一回重ねて申し上げます。意見書は非常にこれは重大なことでございますから、本件追加許可の手続について申請人等に意見を述べる機会を与えなかった瑕疵のあることはあえて争わない、争いようがないから、みずから告白している。これはもう一回繰り返して申し上げます。刑事責任を問う材料になると私は思っております。不日これは問おうと思っているわけであります。ここに写真を数葉持ってきております。地建のやってきた現地の姿です。全山をずっと伐採していく予定です。そのうちの一カ所は現われておりますが、向こう側は写っておりません。ニカ所伐採しております。数枚持ってきておりますから、御入り用の方にはお差し上げいたします。
  41. 内村清次

    ○内村清次君 そこで、五月の十九日の日に、いよいよ地元の方々が三十名ばかりすわり込んで、そうして試掘の妨害をされた。だからしてこの状態が続けば相当紛争が拡大するから、地建の方ではすぐ作業をやめて引き揚げたと、こう書いてあるのですね。ところが、この事件が第一回に起こったから、今度は局長の方では六月の十五日の日に知事と会見するために、また熊本県に来ておられるわけです。ところが、知事が不在のために総務部長と会談をしたと、こういった報告が出ておりますが、これは事実ですか、どうですか。
  42. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) 六月十五日に熊本県の知事さんと会っておりません。
  43. 内村清次

    ○内村清次君 だれが行きましたか、あなたの方からの提出の資料ですよ、これで熊本に行かれたように書いてあるが、これは総務部長ですか、用地課長ですか、だれですか。
  44. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) 総務部長と用地課長が熊本県の総務部長と会っております。
  45. 内村清次

    ○内村清次君 それから御報告と照合してみますと、あの蜂の巣城といわれるように小屋が建った、そうして今日まできておる。こういうふうなあなた方の資料経過によって明らかでございます。ところで、地建が裁判所に提起されておる三十五年の二月の四日の日に、地建局が熊本地裁に突如占有権に対する妨害排除の仮処分の申請を出しておられる、これはどういうよう理由で出されたのですか。
  46. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) 従来の反対派方々態度から見まして、険峻な現地の地形と、幾重にも張りめぐらされました棚などを擬して、地建の立ち入り試掘に対し相当の妨害がなされるであろうことは当然予想されたので、この妨害を排除する必要がございました。土地収用法第十四条の規定によって与えられた試掘権に基づき試掘するにあたって、妨害を自力で排除することができるかどうかにつきましては、法的にも多少疑問があり、もし自力で排除できない性質の権利である場合には、妨害を排除するためには裁判所の命令が必要であると考えて仮処分を申請したのであります。これは二月四日であります。前述の法的観点のほか、実際の面としましては、建設省が試掘を行なうための立ち入りについて当方の考え方、立場部落人たちに理解していただく場はなく、また当方の手紙も受け取り拒否で返送される実情でありましたので、裁判所の公正な判断に基づく通知があれば、内容を見てもらえるし、妨害してはいけないのだということははっきりわかってもらえると思いまして、それだけ不測の事故を防ぐことができると考えたためであります。
  47. 内村清次

    ○内村清次君 あなたは、その妨害排除の仮処分というものは、民事訴訟法でやられたと思うのですが、しかし、あなたがそれをやる上において、まだ自分でなさなければならぬことがあったはずです、そうでしょう。というのは、あなたはこういった民事訴訟法によって提起されておるけれども、二月の二十六日にはそれを取り下げておるはずですね。どういう理由で取り下げたのですか。まだ、ほかにあなたがなすべきようなことがあったはずです。と私が想定いたしまするのは、あなたがせっかく地方裁判所に提起したところの訴訟を、みずから取り下げている。おそらくこれは一回の公判もなかったと思うのですが、どうですか。
  48. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) 二月の二十六日仮処分の申請書を取り下げましたのは、申請後の客観情勢から見まして、必ず室原さんと話し合いの場ができると判断し、話し合いができるならば、必ず了解してもらえるものと確信したので、話し合いの場を開きやすいようにするため取り下げたものでございます。
  49. 内村清次

    ○内村清次君 それは、その前に上ノ土さんにお尋ねいたしますが、二月の二十二日に室原さんからは、民法百九十九条によって占有権の妨害排除の件を提訴されている。そうすると、四日後にあなたは取り下げられておる。そうでしょう、事実関係からしますと。室原さんは二月の二十二日に、先ほど言ったような、民法百九十九条によって提訴されている。四日して二十六日にはあなたは取り下げた。ところがあなたのお話では、室原さんと、この裁判を取り下げれば円満に話ができるという想定のもとにやった。一方の方では、占有権に対して妨害する、その排除の提訴をやっておる。こういう点がどうも私たちは納得がいかない。あなたは、まだこういった裁判というものをしなくても、何とか最後まで話し合いでするというようなこと、あるいはまた、土地収用法によるところの方法で、この法律を守っていくというようなお考えがなかったかどうか。この点につきましてもう一回御答弁願いたいと思います。
  50. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) あくまで話し合いで解決したいと思ってそうしたのであります。
  51. 内村清次

    ○内村清次君 そうお思いになるなら、片一方で刺激するようなこういった裁判を出す、しかも、土地収用法というものがあるのですから、あなたは先ほど、土地収用法の十四条では、試錐、試掘のために立ち入ることができる、こう言っていらっしゃるでしょう。法律の条文にも、正当な手続さえしたならば、そしてまた占有者がこれを納得したならば、立ち入ることができますよ。それがなされておらぬ。どこかでなされておらぬ。どこかというと、私は知事の方の手続においてなされておらない。そういう点をお考えにならずして、また刺激するような、こうやった民事訴訟法で提訴するというよう態度というものは、一貫して私たちは何かそこに底意がありはしないかという点に非常に疑問を持つ。  それで、私はまた、同僚の御質問もありまするから、しばらく質問を保留いたしますけれども、ただ最後に、こういうような。パンフレットがあなたの方から出されておるのですね。下筌と松原ダム補償交渉に対しまして、ダム建設反対皆様べというような、こうやった刷りものを出されておる、私これをいただいております。この中をずっと通読いたしましても、最後には、当局側は絶対にダム建設を中止するとか、あるいは、または反対運動が不当な補償金目的であると知ったならば応じない。それから補償金を不当に高くしたり、ダム建設を中止したりすることは絶対にいたしません。そうして、その前提といたしましては、祖先伝来の墳墓の地を去られるところの皆様方に対しては十分その心持をお察ししております。だからして、ねばり強いところの交渉、話し合いによってやります。こう書いてあるですね。もし、あなたたちが前文に書かれたような御精神であるとしたならば、これはなぜ最後のやつを待って、これを償いといて、これを記載せずして、ただ補償というものはこういうものですよ、こういうような、すなわち手続によりますよ、あるいはまたは、決して私たちはこうやった裁判や、あるいは強権をもっていたしませんというような前文の書き方を十分徹底するところのあなたの方法がなかったか、この点が私は考えられます。それからもう一つ、私は重大なことですから、先ほどこれは室原さんの陳述の中にもありましたけれども、これもあなたの方で出されておるパンフレットですがね。これで、国民の代表の集まりであるところの国会で正式に承認され、決定したものである、こういうようなことが書かれておるのですね。ところが、残念ながら、私たちは詳細な、すなわちこのダム計画という問題につきましては、一回も議案をしてここで審議したことはございません。そうやったことで、あなたの方では、いわゆる絶対的なものである、絶対的なものであるから、まずこれには服しなさいという底意というものがここに残されておるのですよ。それにはっきりと歴然としておる、こういうようなことで、いわゆる水没犠牲者の人たちを、非常に人心を迷わすというよう態度というものは、私たちはどうかと思いますが、この国会で承認されたということは、どういうことであなたは謄写版に刷って、こうやって印刷にして出されたのか、この点を明確にしていただきたいと思います。
  52. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) それは国の予算は、予算が通ったら、それは国会で承認されたものと私は思っております。
  53. 内村清次

    ○内村清次君 国の予算はもちろんことし出ましたよ。あと調査費の問題です。しかし調査費の問題というものは、これは具体的にここで、こういうすなわち治水計画である、こういうダム建設である、この地点が最良なものであるというような審議は一つも求めてきておらぬじゃないですか。ただ調査費用の点だけを今まで予算委員会やなんか、刷りもので出されたにすぎないでしょう。そうやった計画がどこにありますか。今回のすなわち予算の報告書にも、ただ筌ダムの問題につきましても、松原ダムの問題につきましても、ともに三億七千万の決定が要求されて、そうして、それが謄写刷りで書いてあるだけです。具体的な問題は一つも提起されていないじゃないですか。それがもうすでにあなた方がこの刷りものを出す、出した時期というものは、相当これは以前から出しておられるはずだ。こういうことを、国会の信用を冒涜するようなことで、住民をずっと押えつけていくというようなことが、私たちは今日の状態を引き起こしておりやしないかと非常に遺憾に思いますが、この点をあなたに御注意申し上げておきます。
  54. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 議事進行。先ほど室原さんからいろいろ意見を言われましたが、それに対して地建側から御説明をいただいた方が、今後の議事進行、調査の上に非常に便利だと思うので、一応簡単に説明していただきたいと思いますが。
  55. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいま小沢委員からの議事進行についての、先ほど室原さんからの口述のいろいろの点について、もし建設省の方からそれに対する説明なり、あるいは反駁があるとすれば、永岡君の質疑が終わりましてから、一つ局長から答弁をしてもらいたいと、こういうことです。
  56. 永岡光治

    ○永岡光治君 その今の議事進行に出ましたことは、たとえば地方建設局長からいろいろ答弁なされたことについて、室原さんの方で、いや、そうじゃないと、これはこうじゃなかったかというまた反発の意見もあろうかと思いますが、そういう問題についても一つ相互に明快にして、私たちが誤りのない判断ができるようにしていただきたい。このことを冒頭申し上げて質問に入りたいと思うのですが、それは、ただいま、あなたから御説明のありました、この事業認定申請書に対する意見書という各項目にわたりまして御説明がございましたが、その中の第八項ですね、第八項の、申請書には熊本大分両県五カ町村に亘り、何分にも関係人が多数に達するとしるしてあって、まことにその通り建設省はこれらの多数の関係人犠牲になることであるから十分考慮してもらいたいと、こういうことを書かれたと思うわけです。従いまして、私がこれを敷衍をして理解いたしますと、これだけの大きな犠牲をしているということになると、これは大へんな問題だが、その前にまだなすべき多くの問題があったのじゃないだろうか、なすべき問題をなぜなされなかったのか、こういう方法もあるのじゃないか、ああいうのもあるじゃないか、こういうのがあるじゃないかと、いうことをあなたはお考えになっているのではないかと思うのであります。従いまして、どうぞ一つその点について、まずあなたが、この五カ町村に対しましての犠牲をしいる前にしなければならない、あなたの考えておることを腹蔵なく一つ言っていただきたいと思うのです。思わざることや、言いたいことを言わないと腹ふくるるわざということがありますから、どうぞ一つきょうはそういう意味であなたの方の考えをお聞きしたいと思っているのでありますから、腹蔵なく一つ述べていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事武藤常介君着席〕  それから室原さんに一つお願いしたいのですが、お疲れのせいであろうかと思うのでありますが、時に聞き取れないよう言葉がありますので、その点一つはっきり言っていただくと大へんありがたいとい思ます。どうぞ一つよろしくお願いいたします。
  57. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 筑後川下流からお話しいたしとうございます。福岡県山門の大和村住民——住民というと失礼でございますが、方々から私の方へ投書が参っております。自分たちとしては、河川の浚渫をやってもらえばそれでけっこうだ、こういう意見がだんだん参っておるわけなんでございます。もちろん、私も同感なんであります。その深さ、下で何メーター中流で、上流で何メーターと詳しくきておるわけであります。それから、各位が、皆さん方が地図をおあけになって写真をごらん下さいますと、非常に筑後川はうねりくねって、曲折はなはだしいのであります。で放水路が一本もないのであります。近ごろこういう話題になって、盛んに何とか地建の方で、日本の大河川、大河川といっているようであります。それほどの大河川が、今日に至るまでたびたびの災害があったというのに、どうして放水路を作らなかったか、この責任はあるのじゃないか。先ほどから申しましたように、佐賀平野を取り上げても、北に向かいまして、左の方の筑後川下流に注ぐ河川筑後川を除いて十五ありますが、いわゆる中小河川でありますが、そういう河川治水工事は完全にやられているでしょうか。これも先ほどから申し上げました国との話であります。雨は上流に限ったわけではありません。筑後平野、佐賀平野にも降るときには降るのであります。そこではんらんと申しますか、洪水と申しますか。満水状態になっておるわけなんであります。何も筑後川上流責任ばかりではないのであります。  それから、二十八災の災害に対して、非常に災害が大きかったように言われていますが、だからそれをなくせねばならぬと、筑後川下流、昨年の夏は七十万と称せられました。それに十万加わって、八十万は年内の言葉であります。明けましたところが、特に衆議院建設委員会の席上で村上さんが、八十七万数千とおっしゃったように記憶しております。最近は九十万と言っております。そうして、どう言っているかというと、一対九十万だと、こういうスローガンを言っておるわけなんであります。一はもちろん私をさしているわけであります。どこからこういう数字がて出きたか、不可解なんであります。これは地建方々からはっきり数字を出していただくとよろしゅうございます。何市、何町村でこれだけの数字が出たか、特に二十八災以前の、町村合併以前の町村によってお示しを願いとうございます。新町村でございましたら、ずっと山間部まで入っておるわけでございます。二十八災以前の旧町村名によってぜひ言っていただきたいのでございます。私たちの方から流れた水が、筑後川の本流が、山岳地帯にまで上がるはずがないと思います。ここに旧町村の地図を持って参っております。もちろん新しい地図も持って参っております。五万分の一ですから、等高曲線もたどられます。私に言わせますと、ほらもそろそろ言ってもらいたいと、こう思っております。
  58. 武藤常介

    理事(武藤常介君) ちょっと室原さんに申し上げます。ただいまの永岡君の室原さんへの質問は、建設局長さんの口述と反対なところがあるならば、それをお言い願いたい、異見があればというわけなんですね。
  59. 永岡光治

    ○永岡光治君 違います。私の冒頭の発言は——途中で大へん恐縮ですが、私が最初に申し上げたのは、室原さんがいろいろ意見を述べた。そのことについて、地建の局長でもし反論をすることがあれば反論してもらいたい。それはあとでよろしい。こういうことになっているわけですよ。私がそれに関連をして、その議事進行に関連をして、室原さんの方から、もし地建局長がいろいろ言われたこと、あるいは今後言うでありましょうことについて反論があれば、これまた室原さんからあらためてお聞きをしたい、こういうことをまず了解を得て、そうして私は次の質問に入りたいということで質問に入っておるのですから、ちょうど議事進行でいいんです。続けて室原さんにお願いします。
  60. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 繰り返すことでございますが、堤防を敷いていただく、曲がりを伸ばしていただく、浚渫をしていただく、かさ上げをしていただく、いろいろしていただいたならば、百年に一ぺんと地建みずからがいっておる災害のことであります。十分防げるのじゃないか。毎年、もちろん将来のことですから、続いてあるかもしれませんでしょう。まず百年に一回と、こうおっしゃっているわけなんでございます。まあそういう直接、直接建設省治水所管でそれを果たしたらどうか、山奥に持ってきたならば、人家の少ないところに、砂防工事をやられたらどうかと。先ほども申し上げました通り小国町一町を取り上げましても、あのような大きな災害があったわけなんでございます。もちろん、筑後川災害統計も持って参っております。山奥で水を防げば、やはりそれは下流の利益になると思います。洪水の調節になると思います。話はごてつきますが、先ほどの数十万といううちに、最近は地建の方で、日田市を入れておるのじゃないかと私は想像しておるのであります。日田市は人口が、もちろん、これは日田市も合併しました新のなんでございますが、ここに三十年の国勢調査の数字がございますが、六万九千余、日田市がございます。それも加えて膨大な人口の戸数の数字にしておるのじゃないかと思います。ここで申し上げねばならぬことは、日田市の水害上流の大山川等の水が及ぼしたというよりも、九電の夜明ダムの門扉がいうことをきかなかったことに重大な原因があると私は思っておるのであります。一応私の地建に対する、建設省に対する、治水に対する私の意見を申し述べたつもりでございます。
  61. 永岡光治

    ○永岡光治君 大体まあその今の答弁によりますと、まだまだ下流の地域の被害といえども、それを防ぐになすべき仕事はたくさんあるのじゃないか、あるいは上流地域におきましても、砂防工事だとか、いろいろ夜明ダム工事の問題とか、これはまだやって、そうしてしかる後になおかつ問題があるとするならば、一応検討の対象になってもいいものだ、そういうことをなぜやらないのだということを、言っております。これはあらためてまた地建の局長から何か回答があるかと思いますが、それはまた後ほどにいたしまして、室原さんにさらにお尋ねいたしますが、先般当委員会でこの下筌ダムが問題になりましたときに、ただいまあなたが触れておりましたが、大山川玖珠川という大きな川があります。むしろ玖珠川の方が水量が多くて、これが被害を及ぼすのではないかということを私たち心配いたしまして、ダムを作るならば、大山川よりはむしろ玖珠川の方に重点を置くべきではないか、こういうことを申しましたところ、いや、これが一番有効なのだ。そしてこれ以外には、他に適当な場所もない。それから岩盤ですか、そういう点から考えても最も適切だ、こういう趣旨の答弁があったわけでありますが、いずれこれの適否の問題は、本委員会の後日の機会においてただすでありましょうが、あなたが地元で考えて、地元の人がだれも体験上よく承知をしておると思います。長い間あなたがお住みになっておるところですから、あなたはこれ以外にこういう方法もあるのじゃないか、というようなことを、もしお考えであったならば、それもあわせてお聞かせを願いたいと思います。
  62. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 先ほどから私、下手な言葉でございますが、るる申し述べた間におきまして、私の意思はございましたのございます。
  63. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは、先ほど内村委員から質問をしておりましたが、私はまだ十分——ある程度はわかったのでありますが、もう少しあなた何か言いたいことがあるのではないかと思いますのでお尋ねするわけですが、お聞きすれば、話し合いに応じない、けしからぬ、こういう態度をお持ちになって、そのことを建設省の独善的な態度に非常に不満を抱いておるように受け取っておるのでありますが、まだあなたが建設省の独善的な態度、一方的な態度というか、そういうものについて非常に不満に思っておる。そのことについてまだ言い足りないことがあれば、一つお聞かせを願いたい。こういう事例もあるのじゃないか。たとえば下筌、ダム地点に対する住民の態度とか、あるいは先ほどちょっと内村さん触れました手続の問題について違法の疑いがあるということについて、いろいろ話されましたが、あるいはまた、地元の説得工作につきましても、非常に一方的な脅迫的なものがあったということを承っておりますが、何かあなた方つけ加えることがあれば、一つつけ加えていただきたい。
  64. 室原知幸

    参考人室原知幸君) ないようでございますがあまり私たちの方じゃなくて、先ほどから申し上げました通り地建の方が自慢なさっておるというか、協力、協力と申している中津江さんのあたりの実情を申し上げた方がよかろうと思いまして、先ほど決議書を読み上げたのでございまして、その間におわかりになっていただいたと、私どもとしては推察しておる次第でございます。
  65. 永岡光治

    ○永岡光治君 それではさらにお尋ねいたしますが、これはおそらく、あなたは絶対反対態度微動だもしない、こういう態度でございましたから、あるいは聞く必要はないかと思うのでありますけれども、これは建設省当局が、むしろ地建の方がいいと思いますが、この前の委員会でも問題にいたしましたが、それを立ちのかせる上においては、私は立ちのく人に、こういう君たちには生活の保障があるのだ。土地なり、あるいはまた住宅なり、いろいろ問題が、この前から申し上げておるわけでありますが、そういう百年の生活保障、これは金をやるという意味ではありませんが、りっぱに土地が耕やされ、それを保障され、陥落という語弊がありますが、りっぱな、分かれて作る、新農村というりっぱな村なり部落ができ上がるという、その設計ができていなければ、幾らあなたが口をすっぱくして言っても、それは応じませんよ。そういうものじゃない。これはたまたま一つの大幸なモデル・ケースだということを私はあなたに申し上げたのでありますが、承りますと、まだ、どこにどういう土地があってということをあまり聞いてないのです。この前のあなたのお話によりますと、五馬の方でしたが、何か行くところもあるという話をちょっと聞いたのですが、聞いてみますと、五馬というのは、とても不毛の地で、行くどころじゃありません、絶対反対だということを地元の人から聞いておりまして、そういう具体的な百年のその設計図ができていないのじゃないか。ただ頭の中ではこういうふうに考えておりますが、こういうだけでもって、こういう土地になるのだ、そうして住宅はこういうふうになるのだ、役場なり学校なり、あるいは公共施設はこういうことになるのだ、こういう設計ができていないのじゃないかと思うのですね。それはあなたに言わせれば、話し合いができないから、どうも話のしようがないじゃないかと言うかもしれませんけれども、どうも私はそういう誠意が欠けていると思うのでありますが、この点について地建局長はどう考えておるかということが第一点。それから、そういう問題について室原さんはどうお考えになっておるか、その点についてあなたの意見一つ伺いたいと思います。地建の方から。
  66. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) これは先般青写真ということで永岡先生からおっしゃられましたが、青写真というのも、これは厳密な意味におきまして、やはり地元の方と話し合わないとしっかりした計画が立たないのであります。これは大分県側の中津江ほか三カ町村はある程度その話し合いを今始めております。そうして大分県側と、それから各町村には対策委員会がありますから、その委員会と私の方の調査事務所と三者が話し合って、中津江村には二カ所を持っております。それから大山村に一カ所、栄村に一カ所、これは地元の御意見を聞きまして、そうしてこういうふうに作りたいとか、そういうことは今調査をして図面を作成中でございます。この前申し上げました大分県側の五馬の高原、それから最近また日田市の町に非常に近いのでございますが、目田市にニカ所ばかり、その土地もこの前、日田の市長からここにもいい土地があるから自分の方でもそういうところを考えているからということのお話がございまして、これは県の方にももうお話がいっているようでございます。まあ、そういうことでその調査もして測量をやろうとしております。それから熊本県の方は、一応県と、それから農地事務局の方では宇土谷の計画があります。これは調査ただいまやっております。室原さんの方の小国側につきましては、これはやはり話し合って一人々々がここへ行きたい、自分はこうしてもらいたい、こういう意見が出ないと、私の方で勝手に行動、これは非民主的だろうと思います。そういうことで、設計の計画を立てようにも立てる方法がありません。それで来年度から松原、下筌は工事事務所になりまして、補償の問題が非常にこれは大事だということを本省も認めまして、工事事務所には用地の副所長、これは用地専門の副所長でございますが、それから一番何といっても下筌が先にというので、中津江の方に用地出張所を設けまして、そうして用地の調査を準備される方々意見を聞きまして、そうして設計をしたいと思っております。今まで私の方としましても、中津江村とはもうこの問題につきまして数十回話し合いをしております。大山村もそうでございます、栄村もそうでございます。そういうふうにやっておるのでございますけれども、なかなか一人々々の納得のいくように、御希望を聞いてやるのだから、そう簡単にいかない。しかしダムは、ただいまのところでは、計画によりますと、下筌ダムは三十八年度完成と思っておりますが、それまでに水没者の御意見、それから町としても町作りもございましょう。学校の移転もあります。そういうこともよく聞きまして、そしてこれは地建だけではどうにもできないところは本省の上司に御相談しますし、また各省との関係もあろうと思います。そういう方にも御相談申し上げまして、これは主として各省関係は本省にやってもらおうと思っておりますが、出先関係の方は、私の方も連絡はとれますから、そういうことでおっしゃるような青写真を作りたいと思っております。
  67. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 今地建の局長さんのお話を拝聴しておりますと、何と非民主的な、何とだらしのない話か、今ごろになって、もう三十二年八月、満一年捨てて三十三年の八月からとしても相当の月日が流れた。今ごろ測量をやってみようかの、なんの、何十回も話をした。話を聞いていれば聞くほどばか話をしている。何十回も話をしても、一回も真剣に取り上げない、何十回も話をして、相手がどうじゃからこうじゃから……。自分責任はたな上げして、地元民を攻撃するような、非難するような言辞を弄しているように私には聞こえる。こんな連中を相手にして私は話し合いも何もできないのです。冒頭に申し上げた通り、私は二つのダムに絶対反対のものであります。こう申し上げます。
  68. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこで、この意見書の第六項でございますが、「下筌ダムサイト試掘試錐につきては、法律幾多の疑問あり、建設省が実力行使をなさんか、我等迎え撃ちて流血の惨となるは火を見るより明らかなり。」、きわめてこれは重大でございます。これはどういうお考えでございますか。
  69. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 非常にきれいな言葉で申し上げますならば、暴にも法、法にも法と申し上げたいのでございますが、現実の私でございます。哀れな私でございます。やはり暴には暴でなければ仕方がございません。二月四日、地建の方から仮処分の申請があった。だから法には法と参ったわけなのでございます。ところが、これは余談になるかもしれませんが、この際つけ加えておきます。ところが、新聞によりますると、吉田総務部長の言と、記憶に間違いがございましたならば訂正いたしますが、窓口が広うなって困った。だれが窓口を広げたか、それから樺島河川部長いわく、これも新聞によるのです。仮処分の申請は出しても出さぬでもよかったのだ、あんなものはしなくたって、十四条で仕事ができたのだと言っておる。何と司法権を軽べつした言葉でしょう。感覚というか、センスのズレもはなはだしいのであります。このくらいの連中が地建に埋まっておる幹部なんです。これがわれわれの正面に出ておるわけなんです。何で話し合いができましょう。
  70. 武藤常介

    理事(武藤常介君) だいぶ室原さんの口述がありまして、上ノ上局長さんのお話もありましたので、この間に建設省の局長さんの御意見を伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。(「それは最後に締めくくりでやった方」がいいでしょう」と呼ぶ者あり)
  71. 小柳勇

    小柳勇君 大臣や建設局長のお話も聞かなければなりませんが、参考人の御意見を一応お聞きしたあとで、大臣の御意見も聞きたいと思いますが、まず地方建設局長にお尋ねいたします。再度の上京で御苦労でございますが、この前のお話の中に、もうダム試掘試錐というのは、これからどうしようということではなくて、着工するための設計を、高さをどうするかというよう試掘試錐である、六カ所からだんだん調査していって、二カ所にしぼったんだ、こういうようお話がございました。そしてすでにもう道路など着工の予算が本年度の予算に組まれて、三月二十二日に十二時のラジオ放送を私は聞いておりませんが、ただいまの室原さんのお話によりますと、測量をやるということを放送している。その翌日は村上大臣の御意見、御指示を仰ぐということに変更になったというお話でございます。そういうことでこの仕事を進める、ダム建設しなければならぬということで、いろいろな方法をお考えになるのが現実ではないかと思います。ただいまの陳述は、ほとんど過去の問題が起こったいきさつをお話しになりまして、そのいきさつについては、まだいろいろ問題の点もあるようです。私も持っております。室原さんの意見を聞きまして、地方建設局長の意見を聞きますと、食い違いがございます。そのような過去のいきさつについてはいろいろありますけれども、そう時間がかかってもお疲れでございますから、省略いたしますけれども、過去のいろいろの問題をどうして解決するかということが、この国会の任務であり、この委員会の任務であろうと私どもは考えておるのです。私ども調査に参りましたのも、決して室原さんが反対運動をしておるから、その反対運動を助けるために参つたのではございません。この紛争、流血の惨でも起こると、今の永岡委員の発言にもありましたように、血が流れるのではないか、どうしても強制測量するならば、暴には暴をもって戦うということが盛んに報道されたので、そういう不祥事が起きてから調査に行っても、あるいは問題を処理してもおそいからということで調査して今日に参っておる。  従いまして、質問はこれからでございますが、この問題は処理するには方法は三つしかないわけです。一つは、ダム建設を中止する。第二は、ほかに今、室原さんのいろいろ意見を述べられました砂防工事もありましょう。あるいはほかの玖珠川ダムもありましょう。いろいろありますが、設計変更をするかどうかということ、あるいは第三には、もういろいろ調査したんだから、これをやらなければ、下流筑後川流域の人、あるいは佐賀県の人たちは、百年に一回か、五十年に一回か、あるいは来年かもしれない。そういう災害に見舞われるから、この際やらなければならぬ。方法は三つしかないと思う。その三つの方法を処理しなければ、どれかをとらなければ、この問題の解決にはなりません。  今、地方建設局長の過去の話をいろいろ聞きましたが、こういうものは私どももう参考意見、この問題をこれからどう処理するかという、そこに質問の焦点をしぼって、地方建設局長は今までいろいろいきさつをこうやってこられた。しかも、きょうその隣にすわっている室原さんから問題の根本を聞かれました。それをお聞きになりまして、たとえば技術的な問題があります。これは今与党の方からも、いろいろ建設局長の話を聞いたらどうかという話があります。これはあとから聞きましょう。技術的な問題はありますが、室原さんは自信を持って反対意見の中に入れておるのです。そういうことで室原さんが納得しなければ、この問題は解決しないとは思うが、しかし、すでに予算は四億来年度予算に入っております。すでに歴史の歯車は回って、この問題はすでに俎上に乗っておる。それを料理する責任者である地方建設局長として、ずっと参考人室原さんのお話を聞いて、この問題をどう解決しようとされるのか。二十二日のラジオ放送の翌日、大臣の御指示を仰がれたようでありますが、そして、三月中には測量しないという大臣の指示があったようでありますが、地方建設局長はその後どういうような指示を受けて、どういうふうな処理をしておられるのか、そういうことをお聞かせ願いたいと思います。これが第一の質問でございます。
  72. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) 第一番目のダムの位置を変えるという御質問でございますが、ダムの位置を変えるのは、これは先般来ずっと、私だけでなく、同席の河川局長からもるる御説明があったように、これは変更する意思はありません。それから三月一ぱいのお話がございましたが、これは私はきょう出席いたしましたし、このお話で、大臣もここにおられますから、この結論は、どうされるかということは、大臣がされると思っております。それを承ったあとで、私はそれに従って処置したいと思っております。それからダムをやめることも、これは下流の方の関係もありまして、これはこの前、筑後川計画を私も説明しましたし、河川局長も大臣も説明しておられるように、この計画はやめるわけには参りません。
  73. 小柳勇

    小柳勇君 地方建設局長も、大臣がお隣りにおりますので、大臣の御指示その他についても、明示されませんですが、大臣、簡単に二十二日の御趣旨、それから大臣はこの問題をぜひ処理しようとされておるか、参考人意見などもありましたから、まだ技術的な問題など検討するために相当の期間が必要であるのか、大臣の御意見を聞いておきたいと存じます。
  74. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) この問題につきまして、委員会がたびたび参考人を招致して、慎重にお取り計らい願うことに対しまして、衷心より建設省としては感謝いたしております。私は、局長からるるお話し申しましたように、ダムサイトの適当な地点としてはどうしてもない。玖珠川にしても、あるいは久世畑ダムにしても、これは地質的こどうしてもいかない。こういうようなことで、これはわれわれがきめるのではなくて、権威ある技術家あるいは地質学者、これらの意見を聞かなければ、ダムをもしもそこへ築造して、万一断層等によってそのダムが破壊するというようなことがありますれば、ほとんど下流は大災害を十も十五も一緒に受けたような状態になるということは、これはもう当然でございます。従いまして、できれば私としては、どこか別にいい地点があって、ここの人たちに影響を与えないような適当なところがあれば、そこへ変更したいのでありますが、しかし、そういうところは、どうしてもあの筑後川上流には見当たらない。まことにこれは運命のいたずらとでも申しますか、しかし、どうしてもないとすれば、これはまことにお気の毒ではあるけれども、この現地の方々にまげて御了承をいただかなければならぬ。本日、室原さんが遠方からこうしてこの委員会に御出席になられて、いろいろと私は室原さんの苦しいところも拝聴いたしました。また、建設省の言いまえもいろいろと聞きましたが、この問題は少し考え方が違っているのではないか。それから誤解と感情が幾らかあるのではないか、こう私には考えられるのであります。これは、室原さんから出されているこの意見書について、一々私が反駁するのではありませんけれども、要するに、九州は火主水従の地域だから、だから火力発電を作ることはいいが、水力をやる必要はないじゃないか、この御意見は、しろうと考えには、全くその通りであります。しかしながら、九州なればこそ、要するにコストの安い水力をどうしても作らなければならない。要は、建設するときの金は相当かかりますけれども、長い目で見ますと、水主火従の地域の料金というものが非常に安くなっている。こういうところから、水の一滴たりともこれを利用してそうして私どもは外貨獲得の大きな手段にしなければならぬ。水は、今日問題になっておりますような大きな災いのもととなって、大災害を起こすもとになりますけれども、しかし、これをうまい工合にためて、そうして善用すれば、工業用に、あるいは飲料水に、農業用水に、あるいはまた、これを動力化して水力発電として、日本の産業の基本になる原動力を作る。こうして、私ども国民は、わずかな手間賃かせぎでいわゆる貿易のもとを作っておるのでありますが、そういうようにこの水を善用していくということを考えなければいかぬ。特定多目的ダムというものは、最もこれは大事なことでありまして、ダムただ単に発電だけに利用されてはいかない。それがいわゆる河水統制にもなるし、あらゆるものに利用されるところに特定多目的ダムの意義があり、またその活用いかんによって、いわゆる民生の安定、経済基盤の確立をかち得ることにもなるのでありまして、この辺に関しましても、やはり幾多考え方の違いというようなものがここにあろうと思います。  その他の問題につきましてもいろいろありますが、八円の切手でなんだと、なるほど、室原さんからお考えになれば、そういうことも考えられると思いますが、これはどうも役所の処理というものは、これがたと、えどなたのところに出すにいたしましても、開封して第三者が見ても差しつかえないものは、これは八円切手を使っておる。こういうような点も、決して室原さんをばかにしたのでもなければ、軽く扱ったのでもない。これを一つ一つ私が解説してみますと、私は室原さんのこの反対の目的が、もう少し深度が深くて、非常にどうにもこうにもならないものじゃないかと思いましたが、今話を伺いますというと、決してそんなに根が深くないということを私は考えたのであります。従いまして、いろいろの個々の感情がありましょうし、もしも、建設省の役人でも必ずしも神様でありません。手落ちもあったでありましょう。また失礼な点もあったかと思います。これは私は率直に、もしそういうことがありとするならば、これは私からおわびいたします。従いまして、室原さんに私がお願いしたいことは、私も手荒なことはしたくない。同じところで個人の私有財産を、たとえ憲法がどうであろうと、しかも山の中に住んでおる、私らと同じような不便なところに住んでおれば住んでおるほど、先祖の残したものに対する愛着というものは、これはひとしおなるものがあることは言うまでもないのであります。先祖が川から持ってきたつけもの石一つでも、これをうっちやるということは、なかなか私どもは情において忍びないものがあります。でありますから、反対なさるお気持は十分私にはわかります。私自身であっても、やはりあるいは室原さんのようなことを言うかもしれません。けれども、私はまたここで、あの地元の方々に訴えて申し上げたいことは、全くああいうところに、こういう平和なところに、こういう風を吹き起こしたのは、だれが悪かったか。結局、私はいわゆる昭和二十八年の大洪水というものが、明治以来研究いたしておりました、大体筑後川のその最高の洪水量というものは六千トンであった。それが八千五百トン出ました。あるいはピークは一万トンに近いものが出たのではないかというようなことを調査の結果、ことが判明いたしましたので、今の筑後川としては、どうしても六千以上の水については、それをオーバーするものだけは何とか措置しなければならぬ。そこで、千トンだけはどうにか下流堤防のかさ上げするとか、あるいはいろいろの方法をとる、これも相当の犠牲を払わしてこれをやる。あとの千五百トンにつきましては、どうしてもこの二つのダムによってこれを調整しなければならない。そうして初めてこの筑後川の水防対策ができる。いわゆる沿川の八十七万六千といわれているようでありますが、それだけの人たちがまくらを高くして、安心して生活ができる。もし、万一こうして私どもが審議をいたしておる、この時間的に一日、二日とおくれていって、昭和三十八年に治水対策がなれるというものを、万一昭和三十九年のかりに秋に完成した場合には、その際に、昭和三十九年の秋に、夏の水が、昭和二十八年の水のようなものが出て、そうして尊い人命あるいは家屋の流失、何万戸という水没、流失等がもしもあった場合というようなことを考えますと、私はそういうことはよもやあるまいと思いますが、そういうようなことを考えますと、今日責任の衝にある私としてはじっとしておれない気持であります。じっとしておれない気持が、結局、それでは上流方々に、そうだからと言って、私は強権発動してどうこうというようなことは考えていないのです。どうかして御納得をいただいて、憲法は、たとい公共の福祉のためには云々という条章があろうとも、私どもはそれを振り回して、それによって、この先祖伝来の土地をどうしようという気持はありません。だが、しかし、私としては、下流人たちのことも考えますと、どうしても私はこの方方に犠牲になってくれということは、これは申し上げにくいのですが、十分御了承いただいて、御協力を賜わりたいのであります。  そういうよう意味から、私は私としての、この筑後川治水対策のほんとうの最後の段階までは、私としてはしんぼういたします。しかし、その最後の段階がいつであるかということは、一応省議を開いて相談しなければいけませんが、私はその最後の段階の結論が出た場合には、まことに遺憾ではありますけれども、私はあらゆる方法をとってこれの実現を期したい。しかし、その前にぜひとも一つ、せっかく、今日は参議院の皆様もこれをぶちこわそうというために、室原さんを遠路お招きしたわけでもあるまいと思います。皆さんもやはりこの私どもと同じ気持で室原さんの御意見を伺って、そうしてまげて何とかこの公けの福祉に沿っていただこうというお気持にほかならないと思いますので、私の意見としては、私はこれ以上申したくないのでありますが、私は私としての考えは、今申しましたように、ただ最後のときがいつであるか、昭和三十九年のもしも秋に完成さして、三十九年に水が出たときの私は下流人たちの悲惨な状態と、また、むしろ旗を立てて建設省に押しかけてくることは、私はそのときに大臣、責任者じゃなくても、私は相当考慮しなければならないと思っておりますので、答えは省議を開いた上で私は結論を出したいと思っております。どうぞ一つその点につきまして十分御理解と、皆様方のこの上ともに御審議をいただきまして、せっかくのきょうの機会でありますから、建設的な一つ意見をお願い申し上げまして私の意見といたします。
  75. 小柳勇

    小柳勇君 大臣の御決意、御意見よくわかりました。ただ最後のお言葉にちょっと付言しながら次の質問をいたしますが、きよう衆議院建設委員会で、不遜にも社会党がこの下筌ダム建設について反対している。何かぶちこわしているような与党の発言があったのでありますが、まことに遺憾でありまして、私まだ速記録を見ておりませんので、この問題についてはまたあとでお聞きしたいのですが、私どもが言っているのは、決してそういうようなぶちこわしではなくて、この問題はどう収拾するか、何度も言うように流血の惨などいたしませんで、この問題を処理しなければならぬ。それが私どもの任務であるので、国会に取り上げたことが、いろいろな問題がありますようけれども、しかし、それは日本の将来のために、大きな一つの基礎を作るものと考えて私どもは論議しておるわけです。第二には、そのような大臣の御決意なり、あるいは局長のお話を聞きましたが、そういたしますると、私どもはこの間調査に参りましたときに、すでにこの室原さんのこの十六項目意見書というものは拝見いたしました。またその言葉の中にあります建設省の役人どもがという、その人たちの名前を拝聴いたしました。しかも今日——あとでこれは私質問いたしますが、この十六項目にわたるこの室原さんの意見書なんかに対して、建設省は親切に、技術的にも、あるいは感情的にも、理論的にも親切に、私どもが納得するような答弁が用意されてあるのかどうか、これが第一の私の質問であります。  関連いたしまして、室原さんはさっきから言っておられますように、建設省の役人の名前をあげて一々言われました。その人たちが今なお九州地方建設局において仕事をしておられる。そういう問題を早急に処理しなければならぬとするならば、そういう問題を一つ一つ解決する。そうして最後にぎりぎり決着のところでどうなったということを処理するのが、建設行政のほんとうの行き方ではないかと思うわけです。従って、そういう第一の点、十六項目にわたって室原さんが長らく唱えておられる。こういう意見書に対する完全なる答弁というものが、用意されているのかどうか、しかもそれはだれにそれを説明されたか、そういうことを地方建設局長からお聞きし、あと、人事の問題ですから、ここでは無理に答弁はいただきたくありませんが、もしこの問題を処理するために、ここは神聖な国会の委員会でありますから、大喜臣の御決意でもあれば、そういうものを聞いて、この問題の解決の方途にいたしたいと思います。
  76. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 人事の問題につきましては、これは国会が行政府の問題に容喙することはできないと思います。私としても、人事は慎重に、これもやはり憲法で保障されているその人の生活権でありますから、この点は私は御答弁申し上げることは控えたいと思います。  ただ、この室原さんの出されました意見書に対しましては、これに対して十分建設省としては意見を付して、そうして室原さんにお送り申し上げてあるそうであります。ごらんになったかどうかはわかりませんが、行っているそうであります。
  77. 小柳勇

    小柳勇君 私は、同僚議員の発言もありますから、これを最後に終わりますが、室原さんに質問いたしますが、遠路のところおいでいただきまして、いろいろ御意見を私重ねてお聞きいたしました。現地でも私ども御意見をお聞きいたしましたが、この十六項目、きょうと同じようなことでありますが、それをなお今日この国会でお述べになりました。従って、大体これが反対のおもなる理由であろうと考えます。聞くところによりますと、地方建設局からお手元にこの回答が行っておるという話を聞きました。なお問題が今日紛糾いたしております。そういうことで、こういうふうな意見書に対する完全な回答が出て、なおその後どのような問題があるのか。なお、今まで答弁いただきました、局長や大臣のお話の中で、御不審の点、あるいは反駁する点がありましたらお答え願いたいと存じます。
  78. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 私の意見書に対して本省の方から手紙を出されておるというようお話でありますが、参っていません。私、そのほかの方にも参っていません。私にはもちろん参っていません。部落の人にも参っていません。
  79. 小柳勇

    小柳勇君 ただいま室原参考人の発言の通りでありますが、建設局長の御答弁を願います。
  80. 上ノ土実

    参考人上ノ土実君) 室原さんの御意見に対しまして、地方建設局のこれに対する意見の回答書を一昨日室原さんの方にお送りいたしたのであります。
  81. 小柳勇

    小柳勇君 私は、建設局長、この前も少しいやなことを申し上げて、また書いたくありませんけれども、私はもうすでに早く私が現地に参りまして、いろいろ意見を聞きましてからも相当の日にちがたちます。私が今お尋ねしたのは、もうそういうことであるから、私どもに地方建設局長からお話があったように、何らかの方法で完全なる回答が出ておるものと理解いたしておりました。しかもこの中には技術的なものも相当あります。この問題はあとから本省の建設局長などからお聞きするつもりでおりましたけれども、そういうことで、もう手紙をやっておりますでは、あまりに建設委員会を愚弄すると私は考えます。それは究明しても、きょうは参考人でありますから、そういうことは申し上げませんけれども、大臣、どうですか、今のそういうふうな建設局長の答弁でありますが……。
  82. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 非常に技術的な問題等がありまして、おくれたということでありますから、御了承願いたいのですが、私としては、一月二十五日に出されておるのでありますから、技術的な問題であろうと何であろうと、私は直ちにこの回答だけはした方がよかったと思います。しかし、これは役所としては悪意でなくて、非常に慎重に、こういうような問題になっておるところでありますから、あらゆるデータ等を調べて、慎重にやったので、これだけの時間を費したんだろうと思いますが、それだけにまあ完全なものができ上がっただろうと思います。しかし、確かに御指摘のように時間的には少し——私としても決してこれはよかったということは申し上げません。その点は決して建設省がやることは何でもみなりっぱだと、こういうことを申すわけじゃありませんが、しかし非常にめんどうな問題があったので時間がかかったということを御了承願いたいと思います。
  83. 小柳勇

    小柳勇君 それではもう少し小さい問題でありますが、この際聞いておきますが、ここでは、三月八日に建設委員会での大臣の答弁によりまして、測量は三月中はやらない、そういうようなことを私どもとしては確認いたしておるわけです。その後三月二十二日に測量をやるとラジオ報道があった、そういう室原参考人の話がありました。それはまた国会の審議をあまりにも無視した一方的なやり方じゃございままんか、大臣の御答弁を求めます。
  84. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 三月中はやらないとはっきり私は申し上げません。私は、やるかやらないかきめていない、こういう御答弁を申し上げたつもりでありますが、もしも間違っておりましたならば、速記録を調べて、あとで訂正いたしますが、私の御答弁申し上げましたのは、三月にやるとか、やらぬとかきめておりませんと、こう私は申し上げたように記憶いたしております。
  85. 小柳勇

    小柳勇君 新聞の報道を全部正しいとは思いません。正しくない場合もあるかもしれません。しかし、地方紙から中央紙まで、三月中は測量は中止されたという大臣のお話が報道されております。しかも、私は、これは今、室原参考人の答弁を聞いたから初めて知ったんですが、二十二日に測量をする、そうしてまた翌日は大臣の御指示を待つと、こういうことで取り消されたというお話、あまりにも地方の人たちのこれだけからだをはってといいますか、それだけの反対、村の数百の人たちのこれだけの反対の気持を無視して、愚弄するようやり方があるならば、単にこれは下筌ダムだけでなくて、今後の建設、たとえばダム、道路、一切のそういう建設などに対して、私たちはもっと別な角度から見なければならぬと思います。そういうものについては、また私も詳細に調べて、次の機会質問いたしますが、この問題にいたしましても、一月の二十五日に出ている。それが、おととい手紙が発送された、そういうようなことで一方的にもう強制測量をやろうというようなことについては、私どもとしては納得できないわけです。私は今、私の意見だけ述べて、あと同僚議員に質問を譲ります。
  86. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) ちょっと誤解があるといけないから……。今、地建の方の幹部の話によりますと、二十二日にそういうことを発表したはずはないと、こう言っておりますが、二十二日ですね、そう言っております。それで、これは一応よく調べて、そういう点については十分調査いたしてみたいと思っております。
  87. 田中清一

    田中清一君 先ほど来、諸先生のお話を承りまして、私どもも実際身につまされる思いでございます。ほんとうに先祖伝来の家屋敷田畑、先ほど建設大臣のおっしゃったつけもの石一つにまで愛着を持つものを立ちのかすということは容易ならざることでございまして、これに対しては、国としても十二分の諦めのつくような……諦めはつくまいけれども、諦めてもらえるように最善の努力をすることは当然でございまして、これらに対して、先ほど来室原さん、また地建の局長さんのお話等を総合しておりますと、多少とも、この地建の方においても、遺憾の点があったじゃないかと、われわれは保守党としても認めます。こういうことが今後もいろいろ起こることであろうと思いますから、私は先ほど、どこへもまだ移転先も、まあちゃんときまっていないということを聞きまして、そして、それはどうも私はけしからぬと、こう私は思いましたから、与党の先輩の方に聞いてみましたところが、どうしても会って下さらないものだから進めようがないということであります。そのお話も一応ごもっとものようでございますけれども、会って下さろうとも下さらなくとも、少なくともかくのごとき所がございまして、そして現在の所よりも、生活が安定いたしますと公けにだれでも認めるぐらいの所を一つ作っていただくぐらいの親切があってほしいと思います。国として。  そして先ほど来日しますよう筑後川の流域に、今後起ころうとする災害の、大きな災害のそれから見ますれば、大した補慣ではなかろうと私は思うのです、将来を考えれば。  そうしてまた私は、先ほど図面を案じますのに、球磨川の方では、どうもダムを作る所はありません、私どもしろうと考えでも、鉄道も通っております。それからまた、ダムサイトとしては実にいい地点とも私どもには思われぬ、下筌に比しましても。ですから、これは、どうしてもやらなければならぬダムだということをはっきり私どもはわかりました。  ですから、どうしてもこれはやらなければならないのですから、まことに室原さんにも、また村民の皆さまにも、まことに申し上げにくいことでありますけれども、この際は、国のため、まげて一つ、これを御承諾下さる意味において話し合いだけはしていただきたいと思うのです。していただきまして、そうして国の方としましては、最善の努力を払って、そうして先ほど言いましたように、大分のどこそこにあるとか、日田のどこそこにあるとか、そんな雲をつかむような話ではなしに、はっきりどこどこへ、こうしました、そんなものぐらい、かりに国が買って、そしてそれが、もしむだになる、どういうことになっても、そんなものは、今日地面を国が取得して、そして損になる恐れはありませんから、それぐらいの親切をもって、会って下さろうが下さるまいが、そんなことをして下さるほどの親切心をもって、そして向かわれて、そしてどうしても、それでもということならば、これはまた、どうということもありましょうけれども、それ以前に、それをいかに国家の権力といえども、もしもこれを強制して、そうして取得するというようなことがありますと、人心に及ぼす影響、それからこの内閣に対する不信というものを国民から、かうおそれがありますから、何とか一つ、これは、私は非常に出過ぎたことを言いますけれども、私は、もしこれで悪かったら、議員を辞しますが、どうかその辺を一つ建設省の側に、もう一度、今までもお尽くし下さったでしょうけれども、もう一つの乗り込んだ御親切を、一つ筌ダム関係しておるこの住民の方々に垂れていただくことを私は切望いたしまして、そしてちょっと発言さしていただきました。
  88. 森中守義

    森中守義君 私は、室原さんと村上大臣に、おのおの二、三問づつお尋ねしておきます。  室原さんの先刻来のお答えを聞いておりますと、その中で、きわめて重要だと思いましたのは、法には法、こういうお言葉がありました。そのことを逆から言うならば、明らかに地建が、建設省が違法行為を行なっている、こういうように受け取れるわけです。  従って、この際率直に、地建建設省が、いかなる違法の事実を犯したか、具体的にお示しをいただいておきたいのです。
  89. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 大きいことは、一言にして申しますれば、試掘、試錐、土地収容法十四条のワクの中に入る議論であります。それは、現在幾つかの訴訟の形式になっておるわけであります。……よろしゅうございましょうか。
  90. 森中守義

    森中守義君 今、訴訟は、いかなる種類のものが行なわれておりますか。
  91. 室原知幸

    参考人室原知幸君) いかなる種類というお尋ねでございましたが、実は、私自身もごたついておるわけでございます。三つも四つも、また近いうちに刑事責任を問おうと、先ほどからも申し上げておりますように、しておるわけであります。
  92. 森中守義

    森中守義君 それから今お答えになりました幾つもという答弁でありましたが、五種類くらい、訴訟が起こされているのですね。
  93. 室原知幸

    参考人室原知幸君) そのくらいになりましょう。
  94. 森中守義

    森中守義君 それからさっきのお答えの中で、法には法ということと同時に、暴には暴というお話がありましたが、今までいろいろな形を含めた暴というのは、どういうことを示すのですか。  たとえばある任意団体的なものに、地建があほりそそのかして、賛成をしてほしいという謀略的な行為もあるでしょう。さらにさっき内村議員がお示しになりましたように、パンフレットを出して、これまた扇動するような内容のものもあるでしょう。いろいろ形態はあると思うのですが、現地で起こっている具体的な暴力の典型的なものがもしあるならば、二、三お示しをいただいておきたい。
  95. 室原知幸

    参考人室原知幸君) あるといえば、たくさんございます。けれども、あまりごてごてと、地建のあげ足取りばかりもしたくありません。まあ、どう申しますか、反対の本筋を突き進めていくことには、そういうことは、あまり役立たない。大きいことは、先ほどから申し上げるように、訴訟の形式をとっておるわけであります。暴には暴と書いておる看板は、とにかく建設省が、地建が川ばたへやってくる、そういうことを意識して書いたわけでありまして、実力でやってこられる、そうすれば、こちらも実力でやらねばならない、それが暴には暴のおもな意味なんでございます。
  96. 森中守義

    森中守義君 実は、私はそういうつもりで聞いたのではない。といいますのは、さっき建設大臣が室原さんの反対理由は、きわめて根の浅いものである、もっと端的に大臣は表現されたようですが、感情的なものから反対されておる、こういうような答弁が、さっき小柳君にありました。  従って委員会としては、私どもが聞き及んでいる反対理由は、そういう根浅い感情的なものではなくして、国土の総合的な開発、あるいは治山治水、そのような観点からも、室原さんが固有の意見をお持ちになり、また地域の住民の皆さんは、それらのことにも思いを及ぼしながら反対をされておる、こういうように私は聞き及んでおりますので、大臣の答弁というものが、あまりにも事態を、評価の点において、多少甘いのではないか、物の見方が多少浅いのではないか。  そういうような感じを持ちましたので、やはりそういう事態によってくる経路としては、地建が法を犯したり、あるいは暴力に訴えたり、有形無形のものがあるでしょうが、そういう点が積み上げられ、かつまた、ただいま申し上げましたように、国の全体的な政策の点から見ても、反対をされておる、こういうように聞いておりましたので、伺ったのです。  従って大臣が言われたのと、どうも私は室原さんのお考えが相当大幅に違っておりますので、お聞きしたわけですが、もしその点について、お答えがいただければ答えていただきたいと思います。
  97. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 村上さんの話を聞きながら、一言にして私の所感を申し上げますと、何をか言わんや、そういう気持がいたしました。大臣の村上さんは、官僚出でない、野人といっては失礼ですけれども、上がられた——上がられたという言葉も失礼ですが——方だから、もう少し、何とか話があるんじゃないかと思いましたけれども、もう何をか言わんやと、こういう所感なんでございます。
  98. 森中守義

    森中守義君 最後に、室原さんにお尋ねしたいことは、大体お気持のほど、決意のほどはよくわかりました。従って、これから先ですね、あなた方の主張されるように、あくまでも、この計画の撤回がない限り、妥協の余地もなければ、話し合いの余地もない、こういうようにお考えでございましょうか。
  99. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 先ほどの村上さんのお話では、あのダムサイトは絶対的に離せない、あくまでやると、私は絶対反対であります。もう何をか言わんや、戦う以外に道はない、これが所感なんでございます。
  100. 田中一

    田中一君 いろいろ同僚委員からの質問を伺っておりまして、私は室原さんが一番最初におっしゃった気持に対して、地建の局長が見解を述べた点というのは、法には法という問題なんです。日本は、御承知のように法治国でございます。すべてのものは、法によってのみ運営されておるのが現状でございます。  そこで上ノ土さんが言っている言葉の中に、土地収用法を適用してきて下さいということを、あなたかだれかが言っておったことが、局長の言葉として出て参りました。ここなんです。むろんあなたは、日本人でございますし、ことに学識経験豊かな方であり、日本の民族のためのすべての事業、いわゆる土地収用法に規定しておりますところの二十六の業種というものが、自分以外の大勢のために、福祉のために使われるという事業であるならば、おそらくあなたは、きん然としてこれにこたえようとするお気持は持っておるものと私は信じておるのです。その点をまず伺っておきたいのです。今の問題ではございませんよ、あなたの問題ではございませんよ。大勢の民族のため、自分がいつでも奉仕をしようという気持が、おそらくあなたの心の中にある。あなたの言葉として、法には法という言葉がしばしば出て参るので、この点を、まず第一に伺っておきたいのであります。
  101. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 非常に大きな言葉というと、おかしいですが、非常に大きな原則論的なことになりました場合は、そういうことになりましょう。それは、同感です。しかし現在の下筌、松原の問題は、相手が建設省です。それに対しては、私たちとしましては、当面、どうしても反対せざるを得ない。これは私の心情なのでございます。
  102. 田中一

    田中一君 私は、下筌ダム問題を言っているのではない。すべてあなたは、御承知だろうと思います。法律をおさめた方でございますからね。憲法の二十九条にきめておりますところの私有財産というものは、公共の福祉のために、いつでも取られるものであるという規定がございます。しかしながらその裏返しとしては、十分な納得のいく補償がなくてはならないと、きめておるのでございます。従って、今あなたの当面している問題は、別といたしまして、この憲法二十九条の規定というものは、おそらくあなたも、お守りになるであろうと私は考えておりますが、あなたの現在の問題は別にお考えおき願って、それについて、御答弁を願いたいと思います。
  103. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 少々私も疲れましたし、こう言っては失礼でございますが、もうルーズになって参りますが、先ほどから申し上げましたように、原則論的な話でしたならば、それは同感でございます。私もその通りでございますけれども、繰り返すようでございますが、やはり下策、松原の相手は建設省、そうして今田までの二年なり、三年なりのいきさつということになって参りますと、当面の私としては、何回も申し上げるように、やはり私としては、反対をする以外にないのであります。  そこで、私は法律を存じませんが、先ほどから憲法の条章に触れてのお話がございますが、私たちの方からしましても、三十一条に——これは刑罰関係ではないかと思いますけれども、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。」、これは刑罰条項のようにみえますけれども、これは大きいことを申し上げますが、何か行政方面の学者といいますか、そういう人の定説じゃないか。法律の手続云々ということは、非常に重要なことじゃないかと思います。  この点に非常なぬかりがある、建設省に落度がある、違法があるということで、何回も申し上げますが、法廷闘争へと進んでやっておる状態でございます。
  104. 田中一

    田中一君 私はせんだって、松原ダム調査の場合にも申し上げたのですが、建設省は、大臣を初め、土地収用法という民族のための法律を、国民の利益を守る法律を悪用しているということを指摘しているのです。ここに問題がある。ここにどうしても承服できないあなたの気持があるのであろうとみておるのです。  たとえば、地建の局長は、建設大臣に対しまして、事業認定の申請書を出しております。この内容というものは、これは、もう私でもこれに対しては強い抵抗を示さなければならぬと思うのです。これは、はなはだこういうことがあり得るかというように感ずるようなものなんです。たとえば、「あらゆる合法的手段をもって反対の行動をとり、」、だから事業認定をして土地収用法で取るのでございますよという言い方をしている。あらゆる合法的手段をとって反対をすることがなぜ違法でございますかというのです。地建の局長に伺うのは、あらゆる合法的な方法をとって反対するという抵抗は、国民が許されている権利でございます。だから、事業認定をするのだという地建の局長の感覚というものは、法を間違って運用するものなんです、法の精神ではないんです。あなたはこう書いております。「あらゆる合法的手段をもって反対の行動をとり、」これが一つ、「用地買収は勿論調査測量反対を示し、又ある一部の関係人は明らかに不当な対価を要求する傾向が予想される、当不当の問題は、あなたが判断するのじゃないのです。あなたは予算を持っている、予算の執行者なんです。あなたのしょっているところの予算というものは、不当か不当でないかはあなたが言うべき問題じゃないのです。もし言うならば、日本の財政法によって私はこれこれの金額しか持っておりませんと、これと比べてみますと、とうていそれにはわれわれが交渉の過程において負担はできませんと、予算がないならば、十分に話し合いを行ないますということをなぜ率直に書かないかということです、第一に。室原さん並びにその他の方々水没者方々が、当不当という問題は絶対にこれはあり得ないのです。これは独断です、あなたの。これまた法を悪用する悪い公務員の姿です。  それから最近水没予定地に移転して家屋を新築したり、あるいは従来居住している者で、家屋物件等を通常の維持管理程度以上に増置する者が増加している、これまた自由な権利でございます。これをとめる何ものの法律もございません。自分の土地へ自分が家を増築しようと何しようと、国民の持っている基本的な権利でございます。そうするから土地収用法を適用してこれをまき上げるのだという考え方は法の悪用でございます。私は土地収用法調べて参りますと、よくお聞きなさい、「この法律は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、」こうなっております。従って、相手が、不当なる価格とあなたが認定するものを持ち出したから、合法的手段をもって自分のすることに反対したから、土地収用法の認定をしてくれということは一つも条文にないんです。わかりますか、そういう条文は一つもないんです。社会公共のために、民族のために、その福祉のために、これこれの事業をする、これだけうたえばよろしいんです。あなたは常に収奪法であるかのごとき印象を国民に与え、聞かなければこれをもってあなたのものをがむしゃらに取りますよ、というような印象を与えつつ、あなたがしょっているところの予算というものに相手の要求を合わせようというのが、正しい国家公務員だというような間違いを侵しているんです。明治三十三年にできたところの旧土地収用法というものを申し上げますから、よくお聞きなさい。これで収用されるものというものは、国防その他軍事に関する事業、皇室陵墓の営建または神社、官公庁の建設事業というのが主になっております。あとに続くものが公共の施設となっております。これらの問題につきましては、まことに残念ながら地建の局長はほんとうのことを知っておらない。室原さんが要求するすべての権利というものは、土地収用法にちゃんと書いてあります。あなたの要求は無限大でいいのです。当も不当もございません。あなたは自分の要求するものを要求なさい。しかしながら、地建の局長がこれに対し当不当というのは、これは間違いです。このいい法律を国民の前にどうかつの法律として提示している悪い国家公務員です、あなたは。長い条文ですから申し上げませんけれども、先ほども永岡委員からも質問があった図面を作り、新しい新農村を作ったらどうかというような御議論もございますけれども、そういう計画はあなたが考える権能を持っておらないのです。あなたはこの法律によって、原則として金銭において賠償すること以外にあなたに許されている権限はないのです、土地収用法の認定を、事業認定をもって行なう場合には。そうした形、ものにはものをという思想、考え方は、土地収用委員会の決定にのみまかされているのです。せんだっても松原ダムの問題につきまして、農林省と話し合ったとか何とか言います。そんなことはあなたの権限にないのです。これまたあなたは法を悪用する悪い方です。あなたがほんとうにこの法律に忠実であるならば、そういうことは一言も言えません。ただ、事業認定前の買収等の問題は、これは自由でございます。従って室原さんは、あなたがいかなる要求を出そうとも、地建がこれに対してどうこう言うべき権能は一つもございません。あなた方水没者はいかなる自分の持っている権利というものを主張しても差しつかえないのでございます。そうして土地収用委員会という第三者、公正な第三者が判断をして、国に向かってかくかくのものを払えという認定がくれば国が払うのです。私はたくさん事例を知っております。そうして室原さん、このような問題は、日本の至るところに起きているのです。そうして法を間違って運用しようとし、法をどうかつの材料として使っている国家公務員がいるからこういう紛争が数々あるのでございます。  この際、村上建設大臣並びに上ノ土さんに申し上げますが、上ノ土さん、あなたはずっと半生、あるいは一生か建設省の方の公共事業に従事されておる方、従って、この土地収用法というものが、あなたの事業を行なう上に便利なために使われたものであるか、あるいはこれは使ってはならないものであるか、この法律を使うときには、国民が損をするか得をするか、あるいは妥当なる評価が生まれるかどうかという点について、あなたの率直な御意見をまず伺っておきます。
  105. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) きょうは上ノ土は局長でなくて参考人で来ております。あまりきたない言葉であれしないようにお願いしたい。  それから、ただいまの田中委員の御意見は……。
  106. 田中一

    田中一君 議事進行。私は当委員会におきまして、今日は参考人という立場でございますけれども、建設省の九州地建局長としての上ノ土さんを呼んでおるのでございますから、局長という言葉は当たっております。個人上ノ土君を呼んだのではございません。ただいま建設大臣は、この点について私をおたしなめになりましたけれども、これは当たりませんからお返し申し上げます。
  107. 武藤常介

    理事(武藤常介君) 村上建設大臣。
  108. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 当たらなければ取り消します。しかしながら、私としては、これは参考人としてきょう呼んでおると思っておりましたから、私が間違っておれば私の方は取り消しましょう。  ただいまの田中委員の御発言は、これは一々ごもっともでございます。土地収用法というものがあるのでありますから、もうのっけからそれにかけていけば、これはもう一番世話のない話で、第三者が評価して、高いも安いもない、第三者の評価に従っていく。それからまた不服があればこれを次々と最高裁までいくんでありましょう。しかし、まあ私どもの——これは間違っているかもしれませんが、私どもの感覚からすれば、特に都会は別として、われわれのいなかでは、土地収用法というものを何となく国の強権のように解釈される向きが多いのであります。従いまして、全国でまあ何百カ所となく、数限りなくこういう公共事業の用地取得をやっておりますが、ほとんどが話し合いで、そうしてできる限り話し合いの場を作って、話し合いでやっておるのが今日のまあ常識と申しますか、今日の習慣であります。従って、もしも中津江あるいは大分県の四カ村が土地収用法というものを、これから適用するぞと言ったならば、これは猛烈な反対をするでありましょう。で、話し合いで、たとえば新農村をここへ作れ、ここへ作った方がいい、そういうふうなことを話し合うために、まあまあほんとうに離しがたい先祖伝来の土地をやむを得ない公共の福祉のためには提供しよう、こういう気持になってくれておるのでありまして、もう初めから——もしも、たとえ私が自分の郷土であっても、土地収用法でやるんだということになりますと、これは非常なわれわれの郷土では抵抗があります。で、そういうことのためにあなたのただいまの御意見は全くその通りです。その方がほんとうは国民の利益をはかっておることであるのでありますが、しかし解釈のしようによってはそうでないように解釈をする向きがまだまだ多いんで、もう少し私はこういう問題について、われわれもPRが足らないのですが、国会方面でもどこでも、もう少しこういう点について一般国民に今の御意見ようなことを知らせなければいかぬこうも思っております。  今回のこの問題で、室原さんがもしも土地収用法をどうしてもかけた方がいいんだ、かけていただきたいということなら、私はほんとうは私の欲するところではございませんけれども、私はそれはやむを得ない。そういうことならば、御希望の通りにいたして差しつかえはございません。しかし、私としては、どこまでも、まあここではこういう法律があってもできる限り話し合いでいった方が、納得づくでいくということが一番おだやかではないのかと、こうまあ思っております。しかし、あなたの御意見は、これは間違っていないのですから、法的な解釈についてはこれに承服することは決してやぶさかではございません。
  109. 田中一

    田中一君 あなたがそういう考えを持っているから間違いなんですよ。どこに、この法律が悪いのですか。これを理由にして、これで事業を行なう場合にはどこに国民が因るのですか。あなたの言った言葉は、今、室原君に対するどうかつです。これをやったならばあなた損ですよということを言外に——うしろにいらっしゃるところのおそらく傍聴人の諸君もそういう印象を受けたでしょう。これを受けてやったならば、どのくらいひどい目に会うかという印象を受けたでしょう。法の悪用というのはそれを言っているのです。すべての法律は国民のために作っておる。権力者のために作っておるのではないのです。すべての法律は国民のためなんです。従って、この法律がもし悪いとおっしゃるならば、どこが悪いか御指摘なさい。そうして今あなたが言うように、この法律をこれから使うと、御希望ならやって上げましょう——これは使ったならばどういうことになるか、大勢の人は皆いやがっておりますよ。それを御希望ならやって上げましょう——これはどうかつです、その言葉は。この法律をあなたは何と考えておるのですか。この法律は、私は今いろんな法律を見ておりますけれども、私の関係しておる法律でこれくらい民主的な、これくらい国民のためを考えておる法律はないと見ておるのです。私はそうかたく信じております。そうして、もしも——あなたの方で一番お困りになることは、今ここでもってこれをかける。ここで事業認定をして仕事をした場合には、室原さんが囲いをしておるように、あらゆる法を使って抵抗してよろしいと書いてあります、この法律には。水没者の権利を守るためにはこれこれの抵抗をしてよろしいと書いてあるんです。室原さん抵抗します。三年かかろうが五年かかろうが抵抗します。当然抵抗してよろしいのです。そう書いてあるんです。少なくとも三十五年度には仕事にかかれません。同時にまた三年かかって三年後に判決があれば仕事にかかるようになる。私はそういう法を善用して、国民の前にすべて出して、理解させて、一つ一つの結論を、判決例というものを詰めることによって、将来の日本の民族のための公共事業というものを国民の協力を得てさすためには、この国民の権利を守っている法律をもってやれということを主張しているのでございます。あなた方の官僚諸君の、官僚諸君というと言葉が悪いとまた村上君からしかられるから言わぬけれども、国家公務員の上級の職員の諸君は、これを適用すれば、あなた方の予算に関係なしに第三者が補償の金額をきめます。妥当なるものをきめます。そうして期間もこの法律で許されているところの数々の抵抗を国民がして、三年か五年か六年か後は、必ずいかなる感情的な方であろうとも、日本人であるならば日本の民族の幸いのためには提供を必ずいたします。不当な壁をもって圧迫するところの、この今の事業認定申請にあるように、不当な補償を取ろうとするようなことが予想されるから、この法律を適用しようという、これはこわい法律ですよということを言外に地建の局長は言っているわけです。合法的な反対をする、合法的な反対をしてよろしいと、この法律は書いてございます。合法的な反対をするから、この土地収用法という悪い法律でございますよ、この法律でお前を押えつけるというような印象を受ける以外に何を受けますか、この事業認定申請書によって。こういうような感覚で公共事業を行なうというところに国民の抵抗が強くなるのです。  今回、これは余談になりますけれども、建設省設置法という法律をかけようとしてあなたの方で提案しております。公共の土地の取得を国に容易ならしめるための調査会であろうと思います。むずかしくするための調査会ではないと思いますが、一貫した思想として、このように国民のすべての権利というものを認めている法律を国民の前に知らしめずして、予算というきまった金袋を背負いながらこれにいかにして国民の要求を押しつけようかというところが、事業認定前の話し合いという姿なんです。話し合いというのは、この法律の保護によって事業認定をした後にくるのが話し合いです。その前の話し合いというのはあなた方はまだ仮定の問題なんです。この土地収用法による事業認定というものが許可になって、初めてこの事業を必ず行ないますという意思表示を国がすることなんです。事業認定がなくしてやることは単なる売買の取引でございます。ほんとうに三十六の民族のための公共事業ときめているならば、事業認定書が認証を受けているそごから出発するのが話し合いなんです。すべてそこから話し合いというものは出発するのです。その前の話し合いというものは単なる取引の交渉にすぎません。そうして公共事業としてこの事業を行なうという意思表示をしていないことになるんです。現在この認証がない限りしておらぬことになるのです。あと公共事業という形の事業であるけれども、お前さんが納得してくれたならばこのままで進みましょうということにすぎません。すべての意思決定というものは、土地収用法にきめておりますところの三十六の業種の意思決定というものは、事業認定から始まるのでございます。そこから話し合いが進むのでございます。その事前の話し合いというものはどうかつであり、脅迫であり、圧迫であり、そういう印象を国民が受けるのでございます。これを排除して、国民の持っているいい法律というものを知らしめ、これはあなたの利益を不当に圧迫する法律でございますよ、というような印象を与えないことが第一でございます。事業認定というものは三十二年度が公共事業最初でございますよ。これが出発でございますよ。建設大臣の今の御答弁ははなはだ不満でございます。この事業認定によってのみ公共事業というものの出発点があるのです。そこからくるのが話し合いなんです。それを事前の調査段階で立ち入り検査その他ができる、という準備行為の法律の条文をたてにとって圧迫する形が現在の形なんです。だから室原さんがあらゆる抵抗をするのです。室原さん、あなたはいかなる抵抗もできるのでございますよ。これは、それもあなたが言っている法には法という法の裏づけがあるのです。あなたは喜んで土地収用法、いわゆる事業認定をして下さいとお願いしなさい。事業認定してから初めてこの仕事はいたしますという意思表示なんです。現にあなたにお教えします。利根川に小貝川という支流がございます。この支流のつけかえをやる、相当な町が水没する、そのために強い抵抗を示しまして、十年たってもいまだにその仕事はしておりません。こういう事例もあるのでございます。しかし室原さん、私は、あなたが御教育もあり、相当御経験のある方、また良識ある方と信じまして筑後川下流の数十万の諸君の生命財産を守り、日本の国土を守るためには、おそらくあなたは正しい法律に準拠するところの施策を国がしてくれるならば、これに対して決して絶対に反対するというようなことにならない心境に変わるであろう、ということを私は信じております。今のように法を悪用化、あるいは法をたてにとって、法の内容を知らしめずして、そうして圧迫するかのごときものでなくして、虚心たんかいに公平な第三者がものをきめるということになるならば、おそらく、あなたは同じ民族であります、そのために自分のあらゆるものを捨てても尽くそうではないかという心境におなりになることは当然だと思うのであります。ただ運用するところの事業の主体というものが、これがあなたの頭を混乱させ、そうして先ほど同僚の森中委員質問しているように、あの手この手を用いて懐柔をしたり、文書をもっておどかしたり、知事やその他の方を使ってあなたの方に話し込ましたり、あるいはきっと警察署などにも話し合いをしていることがあったと思います。そういう少なくとも一般の大衆よりも行政的な権限を持っている諸君を使ってあなたの方に話し合いに来るから、あなたはどうしても承服できぬというのがあなたの心境ではなかろうかと私は考えております。この土地収用法によるところの事業認定を行なって、これからあなたが法には法をもって戦う段階にくるのでございます。  先ほども内村委員質問の中にございましたように、これは誤解があるといけませんから申し上げますが、この条文によってあなたが自分の立木を切ることに反対であるといっても、この法律ではそれはほんとうに公共のためならば自由に切れるという条文もあるのでございます。本人が承知をしないでも、たとえば町長なり何なりが立ち会って、これを一本切りますよという場合には切れるという条文もあるのでございます。しかしながらこれはあなたに損害を与えるために切るのじゃなくして、多くの民族のためにこういう非常手段をとるのだということもこの法律では許されております。そのようにあなたが不当なる圧迫を受ける条文もございますけれども、あなたのあらゆる条件というものを要求しても差しつかえないという法律になっておるのであります。ただ一定の予算しか持ってない地建の局長あたりがあなたに折衝することは間違いでございます。今のあなたの話し合いの段階というものは、単なる土地の売買の交渉でございます。法の裏づけはございません。私があなたのところへ行って、あなたのところの山を一町歩売ってくれんかというような交渉でございますから、こんなものは拒否することも自由でございます。法律できめられておる限界まではあなたは認めなければならぬけれども、あなたの水没する土地を売ってくれといっても、お断わりするというのは自由でございます。ただし事業認定した暁には、地建の局長が言うのじゃございません、公平な土地収用委員が、あなたの言い分、あなたの条件も全部聞いて、国の事業なら国の許される予算の範囲も聞いて、そうして判定を下してあなたに対する補償というものを行なうのでございます。村作りもしかり、あなたが同じ家を作れ、同じ条件で作れと言っても地建の方ではいやということができぬのでございます。しかし土地収用委員会が新農村を作れと、ここに三町歩の土地がなくなったけれども、条件が悪いから五町歩の土地を作れということを土地収用委員会が命じた場合には、事業主体である国は作らなければならないのです。地建の局長や事業を行なうという建設大臣に権限はございません。その以前の権限というものは単なる話し合い、何にも根拠のない話し合いでございます。事業認定をいたして初めてそれらの権限が収用委員に付与されるのでございます。従ってこの法律というものはどのくらい国民の利益を守っておる法律かということはおわかりになったと思います。私はこの際建設大臣が、山本河川局長からのちょこちょこの耳からだけでもって御答弁になることに対してははなはだ不満でございます。あなたは建設大臣として私がるるこういうことを申し上げて——私は汗をかいて申し上げているのですよ。冗談で申し上げているのじゃごいざませんよ、これに対してほんとうに、よしこれから土地収用法というものを完全に自分でマスターして、りっぱな公共事業を行なう主務大臣として国民全部に協力してもらうという覚悟を示して下さい。それによって初めて今後の公共事業を行なえるのでございます。
  110. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) どうも田中委員は少し汗をかいて興奮し過ぎると思うのです。私はさっきも、この法律は悪くないのだ、まさにその通りでありますと、こう言っておる。でありますから、私まだ勉強する必要はないので、ほんとうに私は土地収用法については各所で送電線とか、あるいは何とかいうことで事業認定をいたしておりますから、十分この法律を読んで大体研究はしておりますが、この問題の場合は、私はさっき申しましたように、まだよくみんなにわかっていないから、土地収用法というものが何かおそろしいもののよう考えられるところから、一応私どもは話し合いの段階を持っているわけです。しかしこれは話し合いができなければそうする以外にないのですが、まあ一応こちらも先様の要望も聞いたり、こちらの意見も述べたりという段階であります。今日問題になっておりますのはいわゆる立ち入りの問題でありますが、これは田中先生のただいまの御意見によって、私どももこれは成規の手続をいたしておりますし、でありますからこの試錐の問題については全く先生と私は同じであります。ただ土地収用の問題は私どものいなかでは少し、手荒らなことじゃないのですが誤解——曲解する向きが多いのですね。それで、まあ今まではこういう段階を踏んできました。しかし、御高見は十分私は肝に銘じておりますから、これからのこういう問題をどうするか、よく研究した上で処理して参りたいと思っております。要するに、これは決してこの法律を悪用してとかなんとかいうようなそういう気持でなくて事前に、国民的な常識として何かまで国民の間に十分御納得がいっていないために、こういうようなまどろかしい方法をとってきておりますが、しかし十分私は御意見を尊重して今後処理して参りたいと思っております。
  111. 田中一

    田中一君 今、地建の局長が出しているところの事業認定申請というものをお読みになっておりますね。かかる内容の理由によって事業認定をしようとする考えでおるか。この条文に示すように、これはこの事業の公共性というものだけを説明して、だからするんだということにするか、どちらに考えておりますか。この現在出しております申請というものは、まだあなたが認証してないそうでございます。従って、この内容のものであなたが認めようとするか。私は本来の土地収用法公共事業であることを強調すればよろしいというのです。それ以外に何にも条件は要りません。あなたは私が誤解している、興奮しているというけれども、そうじゃないんですよ。あなた、一体こんな申請書というものが出て興奮しられずにおられますか。いいですか、これが地建の局長の法の悪用というんです。一体平和を愛する国民に対して、お前がよけいな金を取りそうにするから、これでやるぞ、こういうことが正しい行政でございますか。あれは合法的に反対するからこれをやるぞ、これが正しい行政であると思いますか。そういうものがなくてはならないという欠格条項は、土地収用法一つもございません。公共の事業を行なうのである。土地収用法の第三条に三十六の業種というものをきめております。その一つの業種のこれこれでやるんだということで済むんです。それを感情的になって興奮しているのは上ノ土局長でございます。合法的な判定をするからやるんだ……、余分なものを要求しようとすることが予見されるからやるんだ、これはあなた、正しい国家公務員の姿でございますか。そういうものが土地収用法の事業認定に関する欠格条項としてありますか。ございません。一本でいいんです。ここに感情がある。私がこんなものを突きつけられたらそれこそ興奮しますから、何をするかわかりませんよ。それは悪意の代表でございますよ、こういうものを突きつけて、これを建設大臣にこういう申請書を出すなんということはあり得ません。こういうことに対しては、あなたは言葉を変えていろいろおっしゃるけれども、当然これは認められないものでございます。従って、あなたのこの認定申請書というものに対する見解は、このままの姿で認めようとするのか、これを本来の姿に立ち帰ったものに出し直させをするか、どちらをお取りになりますか。もう話し合いの段階は済んだんだから、法には法でおやりなさい。
  112. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) その地建の局長から出ました事業認定の趣旨なるものは、まあ大体ほかの方は皆話し合いがついた。話し合いで話が進む。しかし、まだ一部でどうしても話し合いがつかないから、それで事業認定をやってそれで話し合いをしようということにほかならないので、よけいなことを書く必要はないんですけれども、これはあくまでも公共性ということだけであとは要らないんです。その点は私もあなたと同じ意見を持っております。ただ——ただと言うとすぐ変な顔をされるが、ただ、できれば私どもは、ほんとうは話し合いができるなら話し合いをしたかったんです。しかし、どうしても話し合いしちやいかぬ、事業認定でやれ、収用法でやらなければだめだというように、こちらとしては、あなたがいろいろとあれしておられるが、そうなればやむを得ないと思います。やむを得ぬと思いますが、私はほかの話し合いで了解しているんだから、それから先に今度は今まだ土地の単位の問題までいっていないのです。室原さんの場合は話をしようにも会ってくれぬというようなことが主たる問題になっておるんですが、まあいよいよ今度は金の問題になったときには、たとえばそのほかに、一坪一万円のものを百万円くれと言おうが十万円くれと言おうが、これは自分の持っておるものだから自由であります。そういう場合にはあなたのお話ようなこともやはり考慮に入れなければならぬと思いますが、できる限り話し合いをして、今までの話し合いが間違っておるといえばそれまででありますが、今までは公共事業は大体話し合いができておりますから、あの地区の問題もそういうふうに願えればけっこうだと思っております。しかし、もうそうじゃないんだという御意見は、私も十分これはあなたの御意見を了といたしますし、私自身も、これからまたそういう考え方でこの問題を、ここまできておるならこれはやはり考慮する必要があろうと思います。従って、この問題を処理する場合に、あくまでも公共性ということだけを打ち出して処理いたしますから、その辺は田中先生と全く意見が一致いたしております。御了承願います。
  113. 田中一

    田中一君 御承知のように、たとえば東京都が今度七カ年計画ですか、五カ年計画で首都高速道路を作ります。これらはもう計画がきまっておるんです。検査も済んでいるんです。全部土地収用法にかけて国民を納得するようにやりなさいというんです。あなたもいろいろ土地収用法関係の御事業をなすった経験もおありだから、何かこれは収奪法だというような印象は口で、ないないといってもどうも言外にそれが現われておる。御希望ならやりましょう、こういうことはあり得ないんですよ。すべて公共事業というものでおやりになれば、これで納得するんです。御希望ならやりましょうなんということは、どうかつの一種ですよ。現に鳴子ダム土地収用法の事業認定万しないで話し合ってやった。いわゆる土地収用委員会外の公務員が、水没者と話し合ってやった補償金額と、何人か絶対承知せぬといって、土地収用委員会にかけて、そうしてその判決によった補償金額とは大幅に違います。今建設大臣は……地建の局長だったか知らぬけれども、行政訴訟を起こしております。これは問題点がある。水没地区に下手な補償金を払えば、どこそこはそれで済んだじゃないかといって会計検査院にしかられる。これは能力のない役人になってはたまらぬから、これを強行しようとするんです。これは国家公務員が公共事業を行なう場合に、安心してやれるような措置をとることが、一切の公共事業に対しましては土地収用法を適用し、そうして第三者によってこれに対するあらゆる条件というものを勘案したところの結論が出るようにすることが、あなたの信頼する部下たちが、安心して仕事に従事するここができるというもとなんでございます。まだあなたの口から御希望ならばとか何とかいう、いやみからかもしらぬけれども、そういうよう言葉の表現というものをお使いになっている以上、あなたはまだほんとうにこの法律が国民のものであるということがわかっておりません。これからすべての事業はそうしなきゃならないんだというような、あなたの腹を固め、そうして閣議決定ぐらいしてこれを実施するということになるならば、国民は喜んで公共事業には参加いたします。かつての土地収用法——軍事目的とか皇室とかというようなものが中心でない、民主的なこの法律というものを国民のものにすることこそ、これを所管する建設大臣の役目でございます。  どうか室原さんもずいぶんお疲れと思います。しかし私がるる建設大臣に申し上げているのは、あなたがやはりこういう質疑のうちに一つの理解を持たれるんではなかろうか、そうしてあなたはこの法律によっていかなる要求もできるんでございますから、堂々と戦ってよろしい。しかし数十万の同じ日本の民族のために、自分のまことに残念ながら、まことに惜しいけれども、先祖に申しわけないけれども、それらのものを提供しなきゃならぬ場合もあるんだということに、一つお気づきになっていただきたい。そしてあなたの要求、あなたがいやだということになりますと、いやだだけでは済むものではございません、日本には法律がございますから。その点をどうか十分なる御理解をお持ち願いたいということが、汗をかいて申し上げている私の真意でございますから、どうぞそういうようにお聞き取り願いたいと思います。
  114. 米田正文

    ○米田正文君 ようやく番が回ってきましたけれども、私は今、田中委員の話を聞いておって、室原さんにちょっとお尋ねしたいのですけれども、今の田中委員の話のもとは、憲法二十九条から出てきていると思いますが、それを今室原さんのお話の中に、どうもその辺何かはっきりせぬようお話で、三十一条の方かを言われましたね、二十九条はよく御承知だと私は思って聞いておったんですが、これは御承知でございますか。
  115. 室原知幸

    参考人室原知幸君) ちょっと……そうですね、御質問が、といっては失礼ですが……。」
  116. 米田正文

    ○米田正文君 もう一ぺん、じゃあもう一度申し上げます。そこに憲法を書いたものがないですかね。憲法、ないですか、ちょっとそれをあけて、どうぞ……。
  117. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 二十九条、財産権の問題についてでしょう。
  118. 米田正文

    ○米田正文君 それをあまり承知しておらぬが、というようお話ように、私はさっき聞こえたんですが、そういう意味ではなかったんですね。その二十九条はよく承知しておるということですか。
  119. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 私が申したのは、こんな気分じゃなかったかと思いますがね。憲法の問題について、もちろん私は法律を知らぬ、憲法というものに触れたのは、私たちがあの蜂の巣の土地収用法の十四条、あれもやはり憲法から出ているんだと、こうまあ申し上げた気持ではないかと思いまして、憲法から出ている条章は二十九条じゃないのですけれども、三十一条でありますけれども、やはり憲法から出た、だからもうちょっとそれを延ばかせば、われわれとしてはあのやり方は違法である、違憲であるという立場を持っている。
  120. 米田正文

    ○米田正文君 それで憲法でずっといろいろな条文がございますけれども、それらは抵触しないようにできている。それでもう御承知だと思うのですが、財産権は侵してはならないという原則ございますね。そこでしかしその後段に、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」ということになっておりますね。そこで先ほどから田中委員がるる土地収用法の問題を言っておりましたが、これから出てきている問題なんです。あの法律はここに根拠を置いているわけでございます。そこでこれは原則論としてお認めになった議論でないと、私がこれから申し上げることが、一向に役に立たぬものですから、前提問題としてこれは御了承十分なっていると、こういうふうにして私は申し上げたいと思うのですが、その点御意見ありましたらどうぞ。
  121. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 今の私の立場と申しますか心境からいって、もう原則論などの段階でないと、大へん失礼なことを申しますが、非常に誤解を受ける言葉だろうと思いますけれども、そういう心境1そういうもう段階ではないのですね。じゃその事情を話せということになると、またこれは長くなっちゃうのですね。で、別の話ですけれども、土地収用法は先ほどお話しになっておりましたが、あれもただ取り上げるばかりの法律ではなくて、私有財産との調整ということもうたって  いるのでございますから、そこにこれはちょっと憲法とは違いますけれども、やはり何かの関連があるだろうと思いまして、ちょっと一言申し上げた  のであります。
  122. 米田正文

    ○米田正文君 もう大へんお疲れになっているようですから、あまりそう深く申し上げられませんけれども、まあ私有財産というものが絶対不可侵ではないと、これは正当なる補償のもとに、公共のものには使用ができるという原則があるということを申し上げたいのであります。それは一つ御研究を願って、もし十分でなかったら、また一つ御研究をお願いしたい。この筑後川の改修計画というものは、もう先ほどから話が出たが、二十八年のあの大水害で非常な生命財産の損害があった。その結果すぐそのあと治水計画を立てようということになって、まあ立てたわけであります。同時に白川というのが熊本県にありますが、あれも非常な損害を受けた、それらの治水計画というものを、その後建設省においては調査をし計画を立ててきた。そこで最終的結論は、皆様先ほどから大臣も地建の局長も言っているように、この計画よりほかにないと、こう言っている。そこでこれを実施しなければならぬ。で、それは今の話に帰るのですけれども、下流に多くの人たちがいる。筑後川全域としてみて全域を対象にして計画したのであって、そのしわ寄せが室原さんのところにきているというこういうお感じを非常に強く持っている。あの計画は、これも建設省の方から説明があったんですけれども、下流でも千七百戸の移転をしなきゃならない、それからそれはまあ堤防を引いたりあるいはかさ上げしたりするようなことを、やはり下流ではしなければならぬことになっておって、そのために千七百戸も移転をしなきゃならない。それから上流は大山川松原、下筌の地点ダムをこしらえて、三百十戸でしたか全部ではそのぐらいなものをし、そうしてまああなたのところが五十三戸か四戸でしたか、五十三戸でしたかの水没になる。こういうことになっておるので、私はなぜそういうことを申し上げるかというと、あなたが先ほどからおれのところに非常にしわ寄せになっておる、もう少し全体に犠牲を散らすようにしたらどうかという御意見もあったもんですから、私は申し上げるのですが、まあおそらく建設省としての計画は、そういうことも配慮した上でできておるものだと思うのです。その点について、この中にもあるようですけれども、なお私はあなたの御意見があれば十分な話し合いをする必要がある、そういう点が話し合いの要点ではないか、それをまあいろんないきさつがあって、今日ではもうおれの心境はそんな心境じゃない、こう言われておるけれども、しかしやはり国民としてこの国土保全のために、室原さんにしても尽くされる義務があると思います。従ってそういう意味話し合いを絶対されぬということを御再考になる余地はありませんか。
  123. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 雑談的です。が、地建水没戸数の予定は必ず戸数で発表しているんです。それも湛水線以下らしいんです。ところが利害関係人はそんな数ではありません。そこにもごまかしがあるんです。湛水線から上にたくさんの被害者、利害関係人が出ております。その湛水線の上に実質的な水没者ができるわけです。つけ変え道路がかかるので田畑を失う、家だけ残る、家は水没しないけれども田畑を失い手足をもがれる、全部水没したよりまだ悪いですよ。まだ学校がある、何がある、お前の地所よこせ、それも実質的な水没者なんです。道路ができたために、この上がった新道路で前の道路が行き詰まりになるものも仕方がない、これも利害関係人なんです。この道路で商売をやっておった者、この人も利害関係人、そんなものがたくさん隠れておるんです。それを寄せたものがほんとうの、実質的な水没予定者水没者になると思うのでございます。それを地建の方は言っていないんです。どうも三百五十戸というものが合わないんです。私の方で何千戸とこう申しておりますが、戸数が合わないんです。無理に志屋としぼっておりますが、志屋、浅瀬、芋野、蕨野、中津江は、最初から私たちと同一歩調をとっているわけです。これは中津江村なんです。なるべく小さく言わなければならぬから志屋々々と、こういうわけなんです。ところが志屋、浅瀬、芋野、蕨野だけでない。栄村、大山村、それから中津江村にも同調者は非常に多いのです。確信をもって申します。ダム反対の人は中津江の中心である栃原部落でもたくさんついてきております。NHKの者が私は録音をやあやあいうよりも、いって見よ、足でもって稼いでみよ。一応録音機などこだわらずによく調べてみよ、おもしろいよ。おもしろいという言葉もあれですけれども、彼はところがなんと言ったか。いや室原さんあなたの言う通りです。あなたの言う通りそこに隠れて聞いていると、そしてやはり録音機など持っていかずに話をしてみると意外ですよ。おもしろかろうが、行ってみよと、私はこう話したことがあるわけです。そして下流のことを述べるときは、必ず人口で述べるのですよ。今度は戸数でなくて、地建の方は何十万と人間で言っちゃうのですよ。下を人口で言うならば上も人口で言ってもらわねばならぬですよ。  それから水害の話でございますが、どれだけあったかの統計を見せていただきたい。それを、七十万か九十万で割って、パーセンテージを出していただきましょう。私の方で、先ほどから申した小国町一町、南小国村一村、そして、杖立川、その二カ村の人口一万六千と南小国の分村二カ所でございますが、小国町と南小国村の約二万五千五百くらいです。それを小国町と南小国村、水害統計の合わせたプラスしたもの、それをその二万五千で割ったパーセンテージと比較していただきたい。どちらが水害が大きかったか、下流が多かった、下流が多かったと盛んに地建の方は言うのです。どちらが多かったか数字でいこう。それから冒頭に私が申し上げたように、八市とか七市とか何十カ町村と言うのだが、それは町村合併後の町村を言っておるのではないかと思います。こんな真剣な話になったときには旧町村によらなければだめだという信念を私は持っている。たくさん省略される町村が出てきます。それがほんとうの筑後川流域の人口になるわけでございます。これも数字を出していただきます、七十万、八十万と。昨年は七十万から話が始まったのです。繰り返えして申します。年内に十万増加しました。村上さんは八十七万六千と言ったように記憶しております。最近は九十万と言っております。そしてそれを何と言っておるか、一対九十万の利害関係人に話を持ち込んでおります。何か選挙演説のスローガンみたいな、大衆のわかりいいような、憤慨の至りであります。まだ申し上げたいことはたくさんございます。
  124. 米田正文

    ○米田正文君 地建からあるいは建設省からもらった資料による数字とだいぶ食い違いがあるという今のお話なんですが、その資料についての今の説明ができますか、できれば一つ建設省側から御説明願いたいと思います。
  125. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) この前当委員会に提出いたしました戸数、田畑等はこれは間違いでございませんが、今のお話はその町村の人口等を考えますと、それはもっと多くなると思いますけれども、今ここに資料として出しましたのは、水没する戸数、田畑等については間違いないものでございます。
  126. 室原知幸

    参考人室原知幸君) それがごまかしなんです。今言う湛水線以下のことをやはり言っておられるわけなんで、湛水線以下のその水没戸数、それは間違いない、こう言っているわけです。私は実質的な水没の話をしているのです。ダムによる利害関係人の数を述べているわけです。
  127. 米田正文

    ○米田正文君 今の資料建設省説明水没線以下のものを言っている、こういう趣旨だし、室原さんの今言っておるのは完全水没のものはそうだが、実際上の水没に準ずるような被害を受ける戸数が多い、こういう趣旨ですね。
  128. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 事業認定申請書によれば利害関係人意見を求めるということになっております。
  129. 米田正文

    ○米田正文君 それは当然そうですが、今の両者の数字的な食い違いは、建設省側から出しておる数字は完全水没を言っておる。室原さんは、いや実際の水没となると完全水没のもののほかにまだ準水没のものがある、こういう点だと思うのですがね。そこでその問題は私もあろうと思うのです。特に従来私どももこういう水没問題を扱ってきたことがあるのですが、完全水没とそれに準ずる、移転に準ずるような戸数が相当あることは今までの例を見てもあります。だからその辺はまだ数字が出ておらぬという点で食い違いを生じておるとこう思うのですが、何か御意見ありますか。
  130. 室原知幸

    参考人室原知幸君) そんなものはとうに出しておかなければならぬはずです。地建の方がしょっぱなから出しておかなければならないと思います。それから先ほど私が申しました、地建の方が私たちに対しておそらく軽べつしておる、ということは何ですが、少なくとも、衆参の委員会方々の前には調査資料も出さなければうそじゃないかということを申し上げたのですが、それに関連したことでありまして、災害災害と申しますけれども、ほかの災害資料も出していないじゃないか、衆参両院のたびたびの委員会において。ここに私は、科学技術庁資源局から出ました、水害地域に関する調査研究第二部筑後川流域における地質と水害型という書籍を一冊持っておりますが、この中に福岡県立農事試験場の資料によってどれだけの地所災害があったかということが出ております。こういうのを地建が出していない。これは詳しく出ております、作土の被害関係が。それから湛水——これはダムの湛水じゃございません、水害の水が一メートルとか、ニメートルとか、三メートルとか、四メートルとか、そういうものが出ております。こういうのは地建の方がまじめだった、真剣だったとすれば当然衆参両院の委員会の方に出さなければならぬ資料だと思います。災害が大きかったとかどうであったかということを証明する、立証するだけの資料がないのではない、あるのです。個人の私くらいの手元にでもございます。まだほかにもございますけれども、持ってくるのがなかなか大へんだから、一応これだけ持ってあがりましたが、こんなものがあります。これは木曽川ともう一カ所ですね。これは出ておるはずでございます。木曽川は去年のでなくて以前のであります。非常に私は地建は不まじめだと思っております。
  131. 米田正文

    ○米田正文君 二十八年の水害に関する資料一つ次の機会資料として出していただきたいと思います。
  132. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 資料は必要とあればいつでも出します。
  133. 米田正文

    ○米田正文君 もう時間がないので、私も結論だけ申し上げますが、要するにこの事業を建設省としては至急に着手をしたい状態であると、室原さんはこれは絶対反対だと、こう言っておって、先ほどからも議論がありましたが、今後まあどうするかという事態に今日は追い込まれておる。また一面下流の多くの人々は、非常にその着手、促進を、要望してきておるという実情にあり、かつは中津江部落等については、事業を早くきめてくれなければ困るという実情も強く要請をされております。これは私は無理からぬことだと思うので、ダムの予定地等に指定をされて、全国の多くの個所で今ダムをやっておりますが、一度ダムができるという話が出るともう非常に不安にかられる、自分の家はどうなるだろうか、あるいは自分の行先はどうなるだろうというので、非常な不安にかられるのであって、そこにおる人の身になれば、じっとしておられぬというような不安に襲われるので、私はこの処置は早くきめることが必要だと思います。しかしそれについては先ほどからありましたように、補償問題についての研究はもっと強力に進めなければならぬ、十分なる補償をするということは、この前の委員会においても、大臣からもそういうお話がありましたし、またそうしなければならぬことに法律の建前もなっておりますから、十分なる公正な補償をするということを進めなければならぬと思います。でまあ今この段階においてやるべき方法は、田中委員は非常に土地収用法論者で、収用法でやったらどうかという強い意見であった。しかし、また一面話し合いでやるという方法もある。それに従来からほとんど話し合いの方法が多いと思うのですが、二通りある。で、この土地収用法適用論については私も意見がありますが、きょうは省略をします。いずれ田中委員とも一つよく話をしてみたいくらいに思っているところですが、きょうは省略しますが、今から急いでやらなければならぬというこの事態に直面して、建設大臣としてはどうされようとしているか、先ほどからお聞きしてみると、まだ話し合いでおやりになろうという希望は捨てておられないというふうにも受け取れますが、まだその方法でおやりになるつもりでございますかどうですか、お伺いをいたします。
  134. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 話し合いで私はやるということが、私の基本的な考えであります。しかし、話し合い等でいつまでもじんぜん日を送るわけにはいかない。それは先ほど申しましたように、どうしても私どもとしては、筑後川の水防対策というものをある年度までにはやらなければならない、いわゆる至上命令とでもいうべきものだろうと思っております。このために、私はでき得れば、ただいまの反対されておる方々が一刻も早くわれわれの要望をかなえてくれればもうこれにこしたことはないのであります。どこまでも私としてはそういう穏健な方法をとって参りたいのであります。まあ先般着工になりました岐阜県の横山ダム、ここにも非常な反対がありまして、ほとんどそこで炭焼きを業としている人は、もう行く所もないというような状態でありましたが、しかし最後に話し合いをいたしましたところが、全く公共的な事業に対しては十分理解していただいて、去る十九日に仕事にかかることに相なった次第であります。でありますから私は御意見はよくわかるし、御苦衷のほどもよく私にはわかります、しかしながら今日のこの筑後川は、幾たびか申しましたが、かような危険にさらされておるということから、私はここで建設省が模様がえをしたり、この気持をゆるめるというわけにはいかないのでありますから、この際まことに不本意ではありますけれども、私としてはやはり建設省責任者としての態度で臨む以外にない、かように思っております。  これは私事にわたってまことに恐縮でありますが、私の場合を考えてみても、私の妻の実家でありますが、まだ母も生きておりますが、それがただ国道の橋を見通しよくするというだけのための、今回国道十号線の用地の、ちょうど橋をただ単に従来の橋のところをまっすぐにするために、そこへちょうど何十年、何百年と住みなれた所を追われました。しかし、これもやむを得ず居を移して何か学校の付近の診療所の建物に今入っておるそうでありますが、私はほんとうに国としてはこういう、たとい個人の一人であろうとも、こういうことを犠牲にしてはならないと思いますけれども、しかし大きな意味において、私どもまたこの犠牲もやむを得ない、こう考えております。私の家内でも、やはり私はこの移転には最高の国の補償はどこまでも要望しますけれども、しかし最後は大勢の人の福祉のためには御理解を願わなければならぬし、また私自身のことを考えても、私はやはりこれには服していくということが今日の民主主義の原則ではないかと、こうも思っております。ただこのことをだれにでも押しつけるというわけには参りませんけれども、私は、まことにお気の毒ではありますが、この際曲げて一つ下流人たちの安心と申しますか、被害を除くために、何とか一つここに大きな襟度を打ち立てて下さるならば非常に仕合わせと思います。私は先ほども申しましたように、建設省が必ずしも何もかもいいのだと申しておりません。もしもその取扱いの上に、あるいは応待の上に不都合なことがあれば、私がお詫び申し上げますと、こう私は申しておりますので、ただ国家権力とかいうようなそういうものを私は振り回わすとかいう気持は毛頭ありませんので、この辺一つ委員会におきましても御了承をいただきまして、今後のわれわれの措置に対しましては何とぞ深い御理解のほどを切にお願い申し上げる次第でございます。
  135. 森中守義

    森中守義君 実は私も今、米田さんと同じようなことを建設大臣に聞いておきたかった。それで、もう少し突き進んだことを村上さんに聞いておきますが、先刻、小柳委員に対する答弁の中に、他に適当な所があるならばそれも考えてみよう、こういうお話を私は聞きました。現に今、米田さんに対する答えとしては、下筌をあくまで話し合いなりあるいは何なりの方法で——もとより在来、地建あるいは建設省がとってきたことに手落ちがあるならば、それも大臣が清算をして、詫びる点は詫びて話し合いに入りたい、こういうことでさっき言われたことと多少矛盾がある。ただ一連のカテゴリーの中でのお話としては了承できる、しかし先刻来、室原さんのお答えからいけば、ずいぶん裁判にうったえなければならぬ問題が起きておる。こういうようなことを考えていったりいろいろしますと、すべてとは言わないにしても、やはり問答無用式に一方的に建設省が現地の皆さん方を押さえつけておるという感じは、これはどうしても私はぬぐい去れないのです。それで幸いにして話が振り出しに戻って順調に進めばよろしい。ところがそれもできなければ他に適当な場所もない、こういうような場合に一体どういうことをされようとするのか。だから私が村上大臣に聞いておきたいのは、現地の人たちのいかなる反対も押し切って、しかも意見書の六項に言われているように、もし当局が実力行使をやるというならば、流血の惨事を見ることは火を見るよりも明らかである、こういったようなことが意見書の中に出ておるし、室原さん方のお気持はそれに変わりはない。そういうことになれば、第一こういうダムというのが特別の立法によって、しかも時限を切って設定をしなければならない筋合のものでもない。ただあるのは、国の開発という点、あるいは治山治水というそういう広範な一つの政策のワク内にある問題ですから、日限的にそうこれは私は無理押ししなくてもいいんじゃないかと思うわけです。ただ、しいて言うならば、三億七千万の予算が次年度に繰り越されても一向これは私は差しつかえないと思う。そういうことを考えていけば、こういう意見書に出ているような不測な事態が、他にかわるべき場所もない、他にかわるべき方法もない、話し合いがつかぬという場合に、ぎりぎりせんじ詰まったときにあなたはどうするつもりですか。流血の惨事が起きてもこれをやるつもりですか。そういうことを今ここでにわかに結論が出ないかもわかりませんが、まあ一応私は事態がここまで進展している以上、この際村上大臣の所信のほどを聞いておきたいと思います。
  136. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) あなたの御意見がそれであるならば、あなたのお考えと私の考え方は少し隔たりがあるようであります。要するに、私どもはただこれを単なる自民党の政策、あるいは社会党の政策だというような党の単なる政策でこのダムを作ろう、そういうことは考えておりません。また予算が何億つこうが、こういう反対のある所を決して好んでやるわけじゃございませんが、要するに、この年々歳々来襲する台風がこれを要求しているのでありまして、個人的にだれもこういうものを要求しているものでありません。室原さんのいやなものを、あるいは地元の方々のいやな所にダムを作っておく必要はない。でありますから、私どもは他に方法があるならばと申しましたのは、ほんとうに他に方法があれば、こんなめんどうな所にダムを作りたくないです。しかし他に方法が絶対にない、絶対ないとすれば、これはお気の毒だけれども私もその気持に沿って、お気の毒だが一つお譲り願いたい、こう申し上げておるのです。流血の惨事とかなんとかいうようなことを申されましたが、私はそういうことは考えておりません。こういう問題で流血の惨事を起こしてどうします。少なくともそれはお気の毒ではあるが、しかし日本全国あらゆる所でこういう事柄が毎日起きております。しかしながら、どこにも流血の惨事の起きた所はございません。あらゆる所で私企業までもこういう開発事業をやっております。私は建設省がやるから、運輸省がやるとかというのでなくて、こういうことは至るところでやっておりますが、そういう流血の惨事が起きていないのですから、そういうことについては私は考えておりません。またわれわれはできる限りそういうことは避けなければならぬ。しかしだからといってじゃほうっておくのか、予算がついたって来年に回せばいいじゃないかと、こうして私と森中委員が質疑応答をして御意見に従って一年でも二年でもおくれさした際、あるいは十年先に大災害があるかもしれません。しかしながらこのダムのいよいよ完成が三十八年といたしますと、それが三十九年の十月に延びたということによって、もしも三十九年の夏に大災害があった場合には私どもはどう言うて、予算がついていながら、これはりっぱに皆さんが御審議いただいた国会によって成立した予算を、予算がついていながらそれをただ単に建設大臣が優柔不断のためにこういう大被害を受けたんだということが、万に一つありました際に、私の非難は別にして、私はそれらの人たちに対しても、まことに国の予算がつきながら優柔不断のためになったということでは、私は弁解の余地がないと思いますし、私としてもどうしてもやらなければならない、そういう私も人様の御迷惑なことは私自身としては今まで私は人の迷惑ということは、何人にも迷惑をかけたことのない私であります。しかしながらやむを得ないということは今までの私の質疑に対するお答えによりましておわかりと思いますが、やらないのかといえば私はやりますとお答えする以外私には返事のしようはございません。
  137. 森中守義

    森中守義君 今、村上大臣のお話を聞きまして私も今初めてお会いしたわけじゃないし、かなりのおつき合いだから大体言われんとするところはわかる。しかし問題は当局がそう言われてもそのことが直ちに受け入れられないという現実の問題があるわけです。そういう際に突き当たる最悪の事態とは何か。うまく話し合いがつけばいいですよ。ところがもはや流血の惨事を見るかもわからないぞ、無理をして来るならば法には法、暴には暴、こういう意思を固めておいでになる以上、今ここでにわかにさっきから申し上げるように、極端な結論を出すには無理かもわからないけれども、話し合いをするには時間も必要でしょう。だからある時点を区切ってこれまで話をつける、あるいは一年で片づけるとか、そういうことでなくて根気強く二年でも三年でも、こういう不穏な状態の中で、話が進むように年月をかけておやりになるというのも私は一つの方法だろうと思う。そういう余裕ある建設省態度はとれないのか、こういうことも私はあわせて聞いておきたい。ただおやりになるということを、私どもだって国土の開発の上から、治山治水の上からこういう特定多目的ダムというようなものが法律でもある以上否定はいたしません。しかしむやみに法律があるからこれを実施する、大局に立って地方の場合には多少がまんをしてもらわなければならぬというような、こういうものの考えやものの言いようで話を進めるべきでなかろう、納得ずくめで仕事をやったらどうだ、それには時間をかけたらどうだ、こういうようなことを言いたい。しかし差し迫った問題としては、この意見書に出ているように事態はきわめて急迫している。だからもう少し気長にやっていくならやっていく、時間をもう少しかけたいならかけたい、そういったようなことが答えとして出ればこれはまた話は別な方向に発展をしていく、だからもう少しその辺のほんとうの意思を承っておきたいと思うのです。もちろんきょうは参考人の御意見を承るというのがこの委員会の主たる目的ですから、いずれ日を改めてそれらの問題については言及する機会もありましょうが、とりあえず今大臣の言われたお話をもう少しかいつまんで、なめらかにほんとうの腹を割って話してみたらどうですか。
  138. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 私どもはそういう公共の福祉に沿ってくれるという御本人の意思表示がありますれば、それはそういう流血の惨事を引き起こすようなことは考えておりません。そういうことは私は避けるべきだと思う。それならば話し合いがついていくのですから、まだまだ今話をしてもいよいよダムにかかるのは今から計画をずっと立てていって、時間もあることですから、そういう話し合いができるならば、これは私は決して今ここで建設省は意地で事をやっておらない。決して私は意地は持たない人間ですからそれは待って相談いたします。けれども、全然問答無用だということであるならば、これはもう話はまた別であります。今われわれもじんぜん日を送るわけにいかないということは、この前もここで皆さんもお聞きとりになったでありましょうが、中津江村長参考人として参りましての発言中に建設省は何をしておるのか、中津江において水没者の大会を開いた、白紙に返すということも建設省が優柔不断だからだというようなことも私は聞かされました。そういうことから考えますと、せっかく多くの人たちがまとまっているのに、これをわれわれがじんぜん日を送っているうちにはこれもこわれてしまう。それでは筑後川の水防対策というものは、これは永久にできなくなるということから、私はまことに遺憾ではあるが、まげて御承諾をお願いいたしたい。こういうことなんですけれども、どうしても聞き入れないということになれば、これはやはり国としては、先ほど田中先生からのお話もありましたが、法に許されたことも使いたくはないがやらなければならないということになる。こういうことになりますので、今せっかくの御注意でありますけれども、これは私はやはりどうも国としてはやむを得ないのではないか、かように思っております。
  139. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 もう時間がありませんので、室原さん、上の土さんにいろいろ伺いたいと思ったのですが、時間がありませんから簡単に伺いたいのですが、室原さんの方のこれも反対意見といいますものは、先ほど御陳述になりました十六条に要約されたというお話でございましたが、これに対しまして建設省の方でいろいろ御答弁になられたと思いますが、それを簡単に一つ要領よくお述べを願いたいと思います。
  140. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) お答え申し上げます。  事業認定申請書に対する意見書についてでございますが、問題第一は、「松原、下筌ダム計画は筑後川総合開発事業の一環であると申請書に謳ってあるが、その総合開発計画に関する記述を欠く。」ということでございます。これにつきましては、建設省筑後川の水系をどういうふうに考えていくかということをいろいろ検討いたしまして、現在の計画ができておるわけでございますが、これにつきましては上流砂防計画あるいはダム計画河川改修というものを総合いたしまして、計画を立案いたしておるわけでございます。  それからこの計画の立案の過程におきましては、各省の出先機関等とも相談をいたしまして、これにつきましては多少利水の将来の問題等につきましては、もちろん今後研究すべき余地はあるのでございますけれども、この河川治水を主とする計画については、大体の賛成をいただいておるわけでございます。砂防計画に対する記述が、この申請書の中に非常に少なく書いてございますが、砂防計画につきましても、緊急を要する事業として杖立川、大山川玖珠川の三水系及びその支川につきまして堰堤約六十三基、床固め工四十三カ所、流路工九・四キロ、山腹工四カ所等が考慮されておるのでございます。  それから問題二は、「多目的ダム法存するためダムは全部多目的にしなければならないと云う理由なし。」ということでございます。それから「建設省治水に専念すべし。」こういう御意見でございまして、建設省筑後川計画を立案するにあたりましては、治水を本来の目的といたしましていろいろ計画をいたしているわけでございまして、松原、下筌ダムにつきましても治水計画を主として計画をいたしているわけでございますが、このダムを利用いたしまして利水が増進されるならば、これは非常にいいわけでございますので、多目的ダムの法の精神もそこにあるわけでございますので、建設省といたしましては何も無理やり利水をつけ加えた計画にしておるというわけではございませんで、どうせダムを作ります以上は、そのダムを利用して利水に役立てるということは当然行なうべきことであるというふうに考えている次第でございます。  それから第三は、「電力に関しては九州電力株式会社の業務であり、我等は同社の利益を図ろう迄の責任なし。」ということでございます。なるほど九州管内の電力の一般供給の責任九州電力株式会社の業務でございます。しかし電力の増強というものはやはり国策の線に沿いましてエネルギー源の確保上必要なことでございますので、水力電気の開発は至るところにおきましても、可能な範囲において広く増強するということが必要であるわけでございます。  次は問題四でございますが、申請書に「九州の電力界は火力より水力の方が安価につき水力電気開発が急務なりと認めあり、されど全国の電力界は火主水従にて特に石炭豊富の九州は火力こそ安価ならずや。」というのでございますが、これにつきましては、通産省におきましても最近の電力事情はなるほど石炭の火力にベースをとり、ピークの発電は水力によるということになって参りまして、大規模の貯水池は火力を主とする所におきましてもぜひ必要であるということを、電力当局におきましても認めておるわけでございまして、貯水池の必要性ということは九州におきましても同様でございまして、現に宮崎県等におきましては、上椎葉の発電所あるいは最近着手しております一ツ瀬発電所は、ダム式発電所を主力として開発いたしておるわけでございます。
  141. 武藤常介

    理事(武藤常介君) 河川局長、ちょっと御相談ですが、資料があるようですから資料でお出しを願いましてごく要点だけの御説明で、時間がありませんから……。(「答弁書があったらなぜ持って来ないのか」と呼ぶ者あり)それじゃ資料で出してもらいましょうか。
  142. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 資料でよろしければあとで御提出いたします。
  143. 櫻井三郎

    ○櫻井三郎君 大へんお疲れのところおそくまで恐縮でございます。もうほとんど質問が終わっておりますからもうしばらくごしんぼう願います。  本委員会におきましては事態を非常に心配をいたしまして、ことに一番肝心な点は、地元の方の室原さんの側と地建の方と話し合いの場が全然持たれない、行き詰った状態にある、このことを特に心配もいたしたわけでございまして、そこでこの際最も公平な立場にある委員会に御足労を願って腹蔵のないところを一つお聞きしてみようじゃないか、そして少しでも事態の解決に役立ちたい、こういう気持ではるばる御足労を願いましたわけでございます。特に委員会といたしましては地建側に無理がありはしないかというところで、だんだんお聞きになっておりまする通りに、委員会の方の皆様方から遠慮のないところ建設省側にいろいろと突込んでおられるわけでございます。  そこで私は最後に特に室原さんにお聞きしたいことがございます。それは第一点は、どうでもこうでも理屈は抜きだ、納得も何もする必要はないのだ、絶対理屈抜きに反対なんだと、こういうお気持でありまするのか、それとも室原さんの方からお出しいただいております反対理由というものもおあげになっており、ただいま河川局長さんの方からそれに対するまた説明をお述べ始めになっておりましたが、それは御納得のいくいかぬは別といたしましてもうそういう理屈抜きにいかぬというお考えでありまするのか、それが第一点でございます。  第二点は、先ほど田中委員からお話もありましたが、むしろこれは法には法というところで収用委員会の方で一つ戦おうじゃないか、こういうお気持でありまするのか。  第三の点は、これは裁判でも和解ということになりますと、裁判外の和解ということと、裁判上の和解というのがございます。裁判外で話し合って解決してしまう、それから裁判上で裁判官が仲に入って和解するという場合もございます。これは釈迦に説法でございますが、本来の趣旨が収用法に掲げるべきものであるかどうかは別問題といたしまして、大へんこじれた際でございますから、一つ結論はともかくとして、どっちにいくかわからない、結論はともかくとして、この機会地建側と腹蔵のない、思う存分な話し合いの場を一つ持っていただけないものかどうか、この三つの点でございます。実は、私は御承知の通り熊本県知事を十数年さしてもらっておりまして、やはりダムの方を取り上げまして、これは私も大へんダムで地元側のお方々には非常に御迷惑と申しますか、御苦労をおかけいたしました。大へん強い反対も当初ございましたが、お話し合いの結果といたしまして、皆様御承知をいただいて、今日までとにかく無事におさまっておると申しますか、そういう形になっておるわけでございます。本委員会といたしましては、何とかこの問題を軌道に乗せたい、こういう気持で一ぱいなわけでございますが、特に私は、熊本県から出してもらっておりまする議員といたしまして、格別な関心を持っておるわけでございます。この機会に、いやならいやというお気持であるにいたしましても、もし納得がいくかもわからない。そこで納得いくかいかぬか、とことん心いくまで地建側と話し合いの場を持っていただけないものか、この点をお聞きいたしたいわけでございます。私といたしましては、三つの質問を申し上げましたけれども、実は最後の願いを込めてお聞きするわけでございます。
  144. 室原知幸

    参考人室原知幸君) 委員会の御配慮まことにありがとうございます。だがしかし私の決意は変わりません。非常に投げやりな言葉でございますが、とことんまでいく決意でございます。これだけを申し上げておきます。
  145. 武藤常介

    理事(武藤常介君) ほかに御発言もなければ、本日の調査はこの程度でとどめたいと思います。  参考人の皆さんに委員にかわりましてお礼を申し上げます。本日は、遠路のところ、長時間にわたりまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  委員の方に申し上げます。明二十六日午前十時より、治山治水緊急措置法案について開会いたしたいと存じます。  それではこれをもって散会いたします。    午後七時散会