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1960-03-17 第34回国会 参議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十七日(木曜日)    午前十時二十四分開会   —————————————   委員の異動 本日委員田中一君辞任につき、その補 欠として山口重彦君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            稲浦 鹿藏君            松野 孝一君            武藤 常介君            田中  一君    委員            小沢久太郎君            櫻井 三郎君            田中 清一君            米田 正文君            内村 清次君            武内 五郎君            永岡 光治君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   政府委員    建設政務次官  大沢 雄一君    建設省住宅局長 稗田  治君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○住宅地区改良法案内閣送付予備  審査) ○公営住宅法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会開会いたします。  初めに、本委員会の運営についてお諮りいたしたいことがございます。  治山治水緊急措置法案につきましては、去る二月二十四日本院予備送付されまして以来、いまだ当委員会付託となっておりませんが、同案は、本年四月一日施行を要する緊急緊要な法案であるばかりでなく、内容に農林水産委員会の所管に重要な関係を有する点も多々ございますので、この際同法案が本委員会付託になりました場合には、本案について農林水産委員会連合審査会開会することとし、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、さよう決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。
  4. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次に参考人出席要求についてお諮りいたします。  先般の委員会における下筌、松原両ダム建設工事問題に関する参考人意見聴取、並びに、本件の調査について、延期となっておりました下筌ダム関係調査につきましては、あらためて熊本県知事寺本広作君、九州地方建設局長上土実君、地元代表室原知幸君、同じく穴井隆雄君、以上四君を参考人として、来たる三月二十五日午後一時当委員会に招致の上、調査を継続することにいたしたいと思いますが、さよう決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  6. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それから当面の当委員会の日程につきましては、昨日お手元にお届けいたしました表の通りでございますので、それについて御承知おきを願います。  本日は、まず住宅地区改良法案公営住宅法の一部を改正する法律案、以上いずれも予備審査を一括して議題といたします。  前回までに趣旨説明逐条説明とを聴取いたしておりますので、本日はこれより質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言を願います。
  7. 田中一

    田中一君 最初に、この今回の法律制定にあたって、廃法となる不良住宅地区改良法実施以来の、あまり実施以来というと長くなるから気の毒に思うから、その精神をもってこの不良住宅改良法という法の発動を待たずして、施行されてきたところの不良住宅実態を報告願います。
  8. 稗田治

    政府委員稗田治君) 不良住宅地区改良法昭和二年に制定されましてから、昭和十七年まで不良住宅地区改良法に基いて、全国におきまして改良事業が行なわれてきたわけでございますが、大体建設されました改良住宅戸数は三千数百戸でございます。戦後におきまして不良住宅地区改良法実情に沿わない点がございますので、法律にはよらなかったわけでございますが、公営住宅の三分の二の国庫補助の伴う第三種公営住宅建設を用いまして、昭和二十七年から三十四年度まで、約四千五百戸を改良住宅に充てるべく建設を行なってきたわけでございます。大体実施いたしました市町村は、施行地区の数は三十都府県でございまして、都市の数にいたしますと四十九都市にわたって行なったわけでございます。
  9. 田中一

    田中一君 今住宅局長からの説明のあった住宅実態というものが、たとえば改良される前の居住者がその地区にそのまま住居をしておるもの、それから改良と同時に他に移転したもの等の内訳を御報告願います。
  10. 稗田治

    政府委員稗田治君) ただいま正確な資料はここに持ち合わせてございませんが、改良いたしました建物もと居住者は大部分入居しておるわけでございます。
  11. 田中一

    田中一君 大部分とか多分とかいう抽象論は私必要としないのです。なぜこういうことを伺うかというと、もはや今回の住宅地区改良法制定され、この法の裏づけによって施行するというものの実態と、それからむろん今まで死文化しておったところの不良住宅地区改良法住宅地区改良というものが、今住宅局長の御説明のように、その精神は、第二種公営住宅のうちの、それら不良住宅地区とみなすものに対して、実施をしてきたという四千五百戸、これらのものが地区対象ということで、一応一般の市民層に溶け込んでおる地区対象となっているということは言えますけれども、かつてあなたが、人種的というか、はなはだ言いたくないような言葉ですけれども、特別な部落に対するところの地区改良が、今回のこの法律制定後の実地のおもなる対象であるというような説明をしているわけです。それで、その点から居住者がそれらのものを好んでやっている面と、むろん地区改良というものに対しては市民的な感情からいえば、これは求めているものであって、私ども社会党も数年来この死文化している法律を改正して事態に合うような、また国民が求めるような法律に向かって前進せよということを注文つけてきておりました。しかし、これはどこまでも政治的な、あるいは社会的な感覚でこれを要求するのであって、当該地区に居住している者たちが、その受け取り方がどうであろうかということを、今度の法律制定後におきます実施にあたっても、私ども非常に心配しているわけなんです。幸いに四千五百戸という実施の経験がある政府ですから、それらの君たちがどのような受け取り方をしているか、あるいは移動状態等もどうであったか、今三十府県のうちの四十九都市実施したというならば、その失態というものは当然今度の法の改正にあたって詳細に各種のデータを集め分析し、一つの結論が出たと思うのです。それが本年度予算に計上しているところの二千戸、主として特殊な地区対象にしているんだという答弁があったものですから、それらのデータがあるはずでございます。また、これこそ住宅政策あるいは一つ施策を持つための元になるところの資料でなくちやならぬと思うのです。こういう調査、研究を今まで怠っておったということは考えられません。従って四千五百戸にわたり、それから四十九都市にわたりますところの実態というものを、まずお出し願いたいと思うのです。今資料がなければ、その資料を素材でいいです、お出し願いたい。私は自分でそれを消化し、分析し、そうして質問の材料にしたいと思います。これはあなたの方しか持っておりません。むろんあなたの方で、四十九都市に向かってそれらの資料というものを当然要求し、またそのデータを吸い上げて検討したはずでございます。
  12. 稗田治

    政府委員稗田治君) 御承知のように、二十七年度から三十四年度まで実施して参りましたのは、法によらないで、統制権を持たないで実施してきたものでございます。従いまして改良地区と称すべき区域内の居住者が熱望しまして、地方公共団体に、ぜひ自分の所を改良してほしいというような要望が特に強い、つまり言いかえれば、非常に事業執行にあたりまして無理のない、摩擦の生じない所から手をつけてきたわけでございます。従いまして居住者もと住宅を除却され、また新しい近代的なアパートに入るということにつきましても、それぞれ家賃を負担する等の問題につきましても十分納得し、かつその上に要望しておるというところを実施してきたわけでございますので、改良住宅への入居者というものは、その地区内の除却される建物居住者が全部入ったといっても差しつかえない程度のものでございます。ただ不良住宅地区改良法によったのでなしに、第二種公営住宅を使っておりましたから、その後における居住者移動といったようなものは、公営住宅法に基づいて行なわれておるわけでございます。  なお、三十五年度におきまして二千戸ほど改良住宅建設戸数予算に裏づけられておるわけでございますが、これにつきまして、ただいま田中先生から、大部分は特殊の地区にと言ったように、私がかつて申しましたような御趣旨がございましたけれども、二千戸のうちと私申し上げましたのは、千百戸程度がそういう地区に振り向けられるであろうということを申し上げたわけでございます。
  13. 田中一

    田中一君 それでは、四十九都市実態一つ資料でお出し願いたいと思います。二種の木造かあるいは簡易耐火か、耐火建築か、それから区画整理的な土木事業を行なったかどうか、それによるところの宅地減歩率はどんなものになっておるか、地区はどのくらいの広さになっておるか、有効適切に宅地というものを利用したかどうかというよう点が知りたいものですから、その点の資料を調製して出していただきたいと思うわけです。
  14. 稗田治

    政府委員稗田治君) 今日までやって参りました四千五百戸の建設戸数につきましては、その構造耐火構造でございます。  なお、お求めのございました資料につきましては、今日まで実施して参りました個所等につきまして、資料を調製して提出いたします。
  15. 田中一

    田中一君 あなたの方で出しておる「三十四年度国土建設の現況」という図書の中にある数字がそれですか。これに入っているものが三十三年までのものですかと聞いているのですよ。
  16. 稗田治

    政府委員稗田治君) そうでございます。
  17. 田中一

    田中一君 そうすると〇印のものが簡耐二階で、他は中層耐火構造木造一つもないということになっておるのですか。
  18. 稗田治

    政府委員稗田治君) そうでございます。
  19. 田中一

    田中一君 今、戸数はここにございますから、どっちみち一諸に作るなら作ってもよろしいけれども、都市計画区画整理の状況はどうなっておるか、それからそれに対する減歩率等土地の利用の問題についてはどういう形でそれをやっているかということについて、むろん中高層等になった場合には、それらは現在の公営住宅法に基づく入居者等を選んでおると思いまするけれども、権利関係の認め方、たとえば一階に居住しておった者の入居する場合の認め方等、それから坪数が減ったかふえたかという点等も出していただきたいと思うのです。
  20. 稗田治

    政府委員稗田治君) 資料を作成して提出いたします。
  21. 永岡光治

    永岡光治君 ちょっとお尋ねいたします。資料によりますと不良住宅戸数全国で二十万戸、ただいまの説明によりますと、本年度は四千五百戸ですか、そうしますと、かりに四千にしますと十年で四万、五十年で二十万ということになって、大へんこれはかけ離れた計画のように思いますが、何か一連の計画で、二十万戸の解消について、たとえば十年以内に解消するというような計画があるのかないのか、そういうものがありましたら一つお聞かせいただきたいと思います。
  22. 稗田治

    政府委員稗田治君) われわれが調査しました資料に基づきますと、約全国で二十万戸は絶対下らない不良住宅があると認定しておるわけでございます。それで三十五年度改良住宅建設戸数は二千戸でございまして、二千戸で、この調子で何年かかって地区改良を完成するつもりかというお尋ねかと思いますが、三十五年度におきましては、三十四年度に約千五百戸ほど実施したわけでございますが、さらに五百戸ほどふやしまして、二千戸にいたしたわけでございます。で、非常に改良住宅建設非業と申しますのは、いろいろ折衝に時間がかかるわけでございます。従いまして、市町村の、この法律におきましても、地方公共団体の申し出に基づきまして、改良地区を指定するという建前をとっておるわけでございます。この法律施行になりますと、これに基づきまして、今度は地方公共団体の方が計画的にこれを解消すべく、それぞれの地方公共団体におきましても、長期計画を立てることに相なるかと思われるのでございます。国におきましても、今後国の経済長期計画等と見合わせまして、なるべく確実にこの不良住宅が解消できるように、そういった国の他の施策等を勘案いたしまして、新たな長期計画というものを策定いたしたいとかように考えているわけでございます。
  23. 永岡光治

    永岡光治君 まだはっきりした、たとえば十カ年でこれを解消するという具体的な計画は、お持ちでないというように承りましたが、これを一つできれば早急にそういう計画を立てていただきたいと思います。趣旨は私は賛成するのでございますから。そこでこれができたときにそれに入る場合、これは整理される不良住宅街土地を持って住んでいる人、それは新しく建てられた住宅に入る際には、それに応じて、その人が入るのに使う家といいますか、それはその人のものになるのですが、それともただ借家人として入るのですか、それはどういうことなんですか。
  24. 稗田治

    政府委員稗田治君) この法律にございます改良住宅のうち、国が三分の二の建設国庫補助をいたします改良住宅につきましては、これは公営住宅法の第二種公営住宅に準じた扱いになりますので、賃貸住宅として、つまり貸家として供給される住宅に限定されるわけでございます。しかしながら、改良住宅は、そこに住んでいる居住者で、改良住宅入居いたしたいという者の中で、住宅困窮者であると認定される者は、全部改良住宅に収容しなければならないことになっているわけでございますが、その際に、地方公共団体が、改良住宅として国庫補助によらないで、分譲住宅建設するということも、条文には特別にうたってはございませんけれども、可能なわけでございます。
  25. 永岡光治

    永岡光治君 私の申し上げているのは、まとまって皆さんがそういう希望をしておればいいが、賃借り希望する者、あるいは自分が今まで住宅地区に家を持っておった者が売り払った、そこで自分はそこにアパートですか、家を持ちたいというときには、それを持てるのか持てないのかということです。今のあなたの説明ですと、買い取りですか、買い取りのようなものは地方公共団体の方で申請があれば特別に考慮する、しかしあなたの説明だと、私の理解するところは、別の棟を作ってこの棟だけは売却するというように受け取れるのですが、そうすると、強制的に自分の家が取られる、自分がそのアパートの一室を自分のものにしたいという希望がある際に、いやそれは賃借りでないと入れないということになると、これは少し改良するのだからいいようなものだが、所有権というものを頭に置いた際には、少しその点に手心を加えた方がいいのじゃないかということで聞いている。全然そういう便法が開かれていないかどうかということです。
  26. 稗田治

    政府委員稗田治君) 国が補助いたします改良住宅は、賃貸住宅として供給されるわけでございます。それから、改良住宅の中には国の補助を受けないで、地方公共団体がたとえば金融公庫分譲住宅資金を、地方公共団体融資を受けて建てることもできるわけでございます。そういった要望者にとりましてはそういう地方公共団体建設した後に、各戸分譲できる住宅建設改良住宅の中に包含されるわけでございます。ただ現実の問題としましては改良地区内に、不良住宅地区内に居住しておる居住者と申しますのは大部分が非常な低額所得者でございます。従いまして賃貸住宅で低家賃で貸し付けるという方が実情には合っておるのではないか、かように考えておるわけでございます。  なお所有権の問題でございますが、これは建物または土地収用できることになっておりますが、その収用の際に正当な対価を支払いまして所有権補償は応収用の際に片づいておるわけでございます。
  27. 永岡光治

    永岡光治君 これは押し問答になるようですからやめましょう。私の希望としては、不良住宅を建てかえる場合に買収される。だからそれだけの補償をしてやったらそれでいいじゃないか。それはそれでいいのです。いいのだが、しかしその資金をもって自分はこの住宅を買いたいのだというときには、その道を開いておいた方がいいのじゃないかということを考えたから、そういうことが考慮されるかと聞いたわけです。確かにそういうことはあり得る。そういう所に入る人は大した収入がない人だから賃貸の方がいいだろうということは、私はわかりますが、しかしこの中にもあるように、この地区内に他に移れる余裕のある人は入れないわけでしょう。何かそういう能力があってほかに行く所のない者、というように書いてあるような印象を受けるものですから、そうなるとそういう人は全然入れないということになるのですか。
  28. 稗田治

    政府委員稗田治君) 改良地区に指定されました時期に、その地区内に居住しておる者のうち、改良住宅入居希望する者につきましては、住宅困窮者と認められる者を収容するわけでございますが、そこに「住宅困窮者と認められるもの」と特記してございますのは、この不良住宅地区改良事業施行を容易ならしめるために、もと居住者住居の世話をするということでございますので、たとえば一軒別に家を持っておる居住者があったというような場合、自分もとこの地区に住んでおったからこれは権利がある、そういうようなことでは改良住宅への入居希望し、もと別な所に持っておる家を人に貸すのだ、というようなことは困るという意味で、「住宅困窮者と認められるもの」というふうに限定しておるわけでございます。
  29. 永岡光治

    永岡光治君 そうしますと、たとえば百戸の不良住宅密集地帯がある。そうすると新しく建てるときにはその百世帯を入れる計画ではなくて、たとえば八十世帯ということにもなり得ることがあるわけですか。私の理解する範囲では、百世帯、あれば百世帯を収容する分だけは最低限保障するわけですから、作る義務があるのじゃないだろうか。そこに入る入らないは別です。これは希望によっていやだと言えば別ですが、入るという者はみんな収容してあげなくちゃならない義務があるのじゃないか。それでなければここは立ちのけ、ここに作るのだと一種強制的なものが背景にあるわけです。そうしないとどうも不当に個人を圧迫する結果にならないかどうかというおそれがあるのですが、それはどうなるのですか。
  30. 稗田治

    政府委員稗田治君) 実際の現状から申し上げますと、改良地区に指定されました所の居住者のほとんどが、百パーセントに近い戸数というものは、改良住宅に収容するように計画を立てるわけでございます。ただ法文で立法いたします場合には、起こり得るあらゆる場合を想定して書いて置かなければ、法文上の穴ができますので、そういうようなことももしありとすれば、というところが法文に出ているわけでございます。全部改良住宅に収容するというのが建前でございますけれども、もし非常に富裕な人がたまたま一人おって、自分住宅をよその地区に持っている、空家も持っている。そういう人でも、それじゃもと地区内に住んでおったということのために、権利こして改良住宅を与えるということは不合理でございますので、そういうここはいたさないということを明記しているわけでございますが、実際問題としてはあまりそういう場合はないと考えているのでございます。法文上一応こういうような限定をして置くというわけでございます。
  31. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 関連して質問します。今永岡君の質問に対してあなたの説明では、そこに権利を持っている者が別の住宅を持っている場合、その家を他に貸すというようなことが起こり得るというようなことのないように、限定しているということですが、逆に百世帯なら百世帯のうち多少ゆとりのある者は、そういう際において、こういう特殊地域からよそに逃げたいこういう者が生じた場合、その権利はどうするのですか。
  32. 稗田治

    政府委員稗田治君) たとえば改良地区に指定されまして、この際自分は他の適当な地区に移りたいという方がもし出て参りますれば、これは公営住宅法特定入居という制度もございまして、不良住宅の撤去によって住宅を失った者につきましては、公募によらないで公営住宅入居できるように公営住宅法に規定してあるわけでございます。従いまして、その方が他のたとえば第二種公営住宅に入りたいというときには、地方公共団体はそういうお世話を当然するわけでございます。なおまたその方がこの際住宅金融公庫融資を受けまして、他の適当な所に自分住宅を建てたいというようなことにつきましては、これまた住宅金融公庫個人貸付のワク内の操作で、こういった公共業に伴って住宅を失った者につきましては、住宅金融公庫融資制度を活用して参りたい、かように考えているわけでございます。
  33. 小平芳平

    小平芳平君 三十四年度までは第二公営住宅で同じような仕事をやってきた、こういう御説明があったわけですが、そこで第三種公営住宅でやる場合と、それから今度改良住宅法でやる場合と違っている点をちょっと御説明願いたいと思う。たとえば国庫補助の場合でも清掃費というようなものを新しく作るとか、あるいは用地費も、第二種公営住宅の場合の用地収用より、今度の改良法による場合は土地収用するのがずいぶん楽になるように思いますけれども、そういう点とか、家賃とかそういう点を第二種公営住宅と対比しながら御説明願ったら、非常にわかりいいじゃないかと思いますから、お願いします。
  34. 稗田治

    政府委員稗田治君) 第二種公営住宅と今度の改良住宅のまず補助率の問題でございますが、建物建設補助につきましては同様に三分の二の国庫補助でございます。従いまして改良住宅建設に要する費用といたしましては、第二種公営住宅と何ら違わないわけでございます。構造におきましては、改良住宅におきましては簡易耐火構造と、耐火構造のものに原則として限定しているわけでございます。御承知のように普通の公営住宅の第二種でございますと、木造等も入ってくるわけでございますが、これは地区改良の立地上の問題等もございまして、燃えない不燃構造に限定してあるわけでございます。なお、公営住宅で現在までやって参りました場合も、三十四年度に初めて住宅建設費補助と別に、もと建物を買収し、除却するという清掃費につきまして、二分の一の国庫補助がついておったわけでございますが、これは、今回二十五年度からは、改良住宅建設に伴いまして、必要とする清掃費ということに変わるわけでございます。  なお、家賃等につきましては、公営住宅家賃は、御承知のように、補助金建設費から差し引きまして、残りの事業主体の負担した建設費につきまして、これをそれぞれの構造耐用年数、鉄筋のアパートでございますと七十年、簡易耐火構造の二階建でございますと四十五年で、六分以下の金利で元利金等を償却するという償却費に、必要な管理費修繕費等を加えましたものが、家賃を形成するわけでございますが、この家賃の算定の限度にいたしましても、改良住宅につきましても、第二種公営住宅を準用いたしますので、最高限度額は同じになるわけでございます。しかしながら、家賃につきましては、第二種の公営住宅につきましても、それぞれの入居者収入に応じて減額制度ができているわけでございますが、この減額制度改良住宅の場合には全面的に活用するということになるわけでございます。なお、そういった建設費補助が、同様に三分の二、家賃最高限度の計算の仕方が、第二種公営住宅とたまたま同様であるということから、公営住宅の中でも従来通りできるのではないかという御意見もあろうかと思いますけれども、公営住宅法の第一条に書いてございます目的から申しまして、低額所得者のために賃貸住宅を、地方公共団体と国と協力して供給していくのだという公営住宅の第一条の建前から、住宅困窮者のうち、低額所得者につきましては、入居の際に一応原則は公募によって入居させるというのが建前になっているわけでございます。もちろん公営住宅法の中の特例は、先ほど申し上げましたようにございますけれども、原則は一応その住宅困窮者に同様に公平に扱って入居者を定めるということになるわけでございますが、その改良住宅建設は、その改良地区に住んでおった居住者を入れるということで、初めから目的が特定の人を入れるという目的になっておるわけでございます。従いましてそういう供給目的がはっきり限定されておるという意味で、予算は別項目にいたしたわけでございます。従いまして法律上も、改良住宅という新しい限定された目的の住宅法律に規定したわけでございます。なお第二種公営住宅でございますと、もし入居の際に扶養家族一人当たり千円ずつ控除して、残った毎月の所得というものが、一万六千円以下の人だけを第二種公営住宅に入れることになるわけでございますが、改良住宅の場合には、そこに改良地区に指定されたときに住んでおった方は、一応住宅に困窮しておれば、一万六千円以上の方でも当然入れるわけでございます。そういった点が第二種公営住宅を使用する場合と違っておるわけでございます。   —————————————
  35. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 委員貝の異動について御報告いたします。三月十七日付田中一君が辞任せられ、山口重彦君が辞任されました。  以上であります。   —————————————
  36. 小平芳平

    小平芳平君 大へんよくわかりましたのですが、もう二、三のことを簡単なことですけれどもお尋ねしたいのですが、今の御説明清掃費というのは三十五年度からは改良住宅だけにつくようになるわけですか。
  37. 稗田治

    政府委員稗田治君) 住宅地区改良事業と申しますか、不良住宅地区改良事業にだけ清掃費は使われるわけでございます。
  38. 小平芳平

    小平芳平君 その用地費はイ、ロ、ハ、ニというような区別があるのですが、そのことと、今度のこの住宅地区改良の場合の用地費ですけれども、公営住宅の場合はそれが市町村になるわけですね、この住宅地区改良法によって建てられる場合も用地は市町村に移るわけですか。その点どうですか。
  39. 稗田治

    政府委員稗田治君) 用地を買収いたしますと市町村に用地が移るわけでございます。ただしこの地区改良につきましてはいろいろもと権利者と話し合いをいたします。従いましてたとえば用地は売らないけれども毎月の賃料で貸してくれる、というように話がまとまりますれば、土地を借りて借地として改良住宅建設が行なわれるということに相なるかと思います。
  40. 小平芳平

    小平芳平君 そういう場合は公営住宅の場合と同じですが、結果としては借りる場合と買う場合とあるということですね。   —————————————
  41. 稗田治

    政府委員稗田治君) 公営住宅の場合と同様でございます。ただし公営住宅用地費補助対象と、建設費の中に含まれておる用地費補助対象でございますが、これの中には用地を得た場合に上物を除却するような費用とか、離作料とかいうようなものは、全部用地費補助対象になるわけでございます。しかしこの改良事業の場合におきましては、片方に清掃費補助というのがございますので、用地費補助を要求する算定の中に、清掃費等は含められないという違いがございます。
  42. 小平芳平

    小平芳平君 家賃ですけれども、この住宅地区改良法でやる場合の家賃は、家賃といいますか、あらかじめそこへ住んでいる人たちの住居費ですね、月々の住居費というのはほとんどただみたいの者も相当多いのじゃないかと思いますが、かといってそういうところばかりとも限らないでしょうし、実際に実施する場合にはここの場合はこのぐらいの家賃になるとか、ここの場合はうんと安く、ここの場合は多少高くてもこの程度住宅をと、そういうような区別がつくでしょうか、つかないでしょうか。
  43. 稗田治

    政府委員稗田治君) 補助率等が第二種公営住宅の三分の二補助と同様でございますので、従来の公営住宅のワク内でやっておりました地区改良事業の実例から申し上げますと、たとえば鉄筋のアパート形式の改良住宅建設いたしますと、大体予算の単価からはじきますと家賃は千六百円程度になるわけでございます。ところが今日まで四千五百戸実施して参りました中のおも立った実例と、申しますと神戸市の番町であるとか、京都市における崇仁地区等におきましては、みな公共団体の方で減額をいたしまして九百円あるいは八百円という程度入居をさせておるわけでございます。従いましてそれぞれの入居者の負担力に応じまして、事業主体が適当な額まで減額するように指導して参りたいと考えております。
  44. 田上松衞

    ○田上松衞君 席を空けておりました関係から、あるいは御質問があったのか、御答弁もあったのかと考えますけれども、もしそうだったらお許し願います。  不良住宅地区改良事業によって建設された住宅は、常識で考えると、直ちにそれはもう公営住宅にこれが移されていいのじゃないかと、こう思うわけですけれども、特にこれを分けてしなければならぬという必要はどこにあるのかということです。具体的に申し上げますならば、特にその中の管理、維持、処分、こういうものに対して従来の公営住宅を分けて扱うという必要は一体どこにあるんでしょうか。
  45. 稗田治

    政府委員稗田治君) 公営住宅の第二種とほぼ同様でございますので、一緒にしてもいいのじゃないか。特に区別した理由でございますが、まず第一に目的が公営住宅の場合と違いまして、この場合は、もと地区内に居住しておった者のうち、改良住宅入居希望する者を収容するというので、非常に入居する範囲が限定されておりまして、特定入居を原則にいたしておるわけでございます。目的が非常に限定されているということが一つでございます。それからもう一つは第二種公営住宅入居の資格でございますが、入る場合に扶養家族の控除を差し引きまして、一万六千円以下の者でなければ入居できないわけでございますが、この場合はその改良地区内に居住しておった人につきましては、たとえば三万二千円の収入がございましても、他に適当な住宅にかわり得るというものがない場合には、改良住宅入居できるというところが違っているわけでございます。
  46. 田上松衞

    ○田上松衞君 今お話の目的の限定であるとか、あるいは資格の問題であるとかいろいろそこはわかるのですよ。ですけれども、これによって作られている住宅はもうそこの段階に入ったならば、これを管理する場所あるいは維持のために必要な機構というものを、別個にやっていかなければならぬということは、まあ悪く考えれば建設省からいろいろ流れていきます人々の仕事の場を作るだけのことであって、国民の側からいうと、いつまでもそれを分けて扱わなければならないということがまだぴんと来ないのです。もっとそれを明確にしていただけませんか。
  47. 稗田治

    政府委員稗田治君) 地方公共団体改良住宅を維持管理していくわけでありますが、その場合に公営住宅につきまして、特別会計などを設けている地方公共団体におきましては、経理関係につきまして別立てとなるわけでございますが、大部分地方公共団体におきましては、現在公営住宅も一般会計の予算で扱われておるわけでございます。従いまして、この改良住宅の維持管理につきましても、公営住宅の維持管理しておると同様の機構で維持管理をやっていける、というように考えておるわけでございます。  なお、根本的にもう一つ違うことを申し上げますと、公営住宅におきましては、事業主体の負担分につきまして、六分以下の金利で償却していくというのが一応建前になっておりまして、例外的に、非常な低額所得者につきましての減額措置は活用されておるわけでございますが、改良住宅につきましては、減額制度を活用するというのは、これは百パーセントどの居住者にも活用していかなければならないであろうということが、実情から予想されるわけでございます。そういうような、家賃について入居者収入に応じた減額制度を活用する、というのがほとんど原則的になっておるわけでございます。
  48. 田上松衞

    ○田上松衞君 昨年の公営住宅法の改正で、収入が著しく低額な者に対する家賃減免等の措置がとられたわけですね。そこで、具体的には、そういうことに処する基準、そういうものをどういう工合にやられたか、御説明いただきたいと思います。
  49. 稗田治

    政府委員稗田治君) 公営住宅家賃の減免につきましては、三十四年の十二月八日付で、住宅局長名で都道府県知事あてに通牒を出してあるわけでございますが、大体生活保護法に基づく住居費の補助額というような水準と同様の形でこれを実施するように指導しておるわけでございます。
  50. 田上松衞

    ○田上松衞君 指導された結果及びその実績、それはおわかりになりませんか。
  51. 稗田治

    政府委員稗田治君) 現在の段階で申しますと、地方公共団体はそれぞれ公営住宅の管理条例をただいま立案し、これをそれぞれの議会に付議するといったような段階でございまして、結局、まあ全面的にそういった実績が判明して参りますのは、三十五年度の四月以降ではないかというように存じております。
  52. 田上松衞

    ○田上松衞君 さしあたり本年度実施しようとするところの地区をお示しいただきたいと思います。
  53. 稗田治

    政府委員稗田治君) 本年度住宅地区改良事業を実施いたします実際の配分でございますが、ただいま地方公共団体要望をとりまして打ち合わせ中でございますので、まだ確定いたしておりません。
  54. 田上松衞

    ○田上松衞君 いろいろ考えてみますると、結局、住宅難の問題は、低額所得の階層にしわ寄せをされているということは、これはいなみ得ないことなんです。そこで、今までのようなこういう、あの点もこの点もというような工合に言ってみたところで、とてもこれらの低額所得者の階層の住宅難というようなものは解消される見込みはない。悲観的なわけです。そこで、将来——今は今としましても、近い将来において、住宅対策を新たな観点から検討して、新規な長期計画を立てることがむしろ必要じゃないか。こう考えるわけですが、それに対してはどういう工合にお考えになりますか。
  55. 稗田治

    政府委員稗田治君) 従来、三十二年度を起点といたしまして五カ年の間におおむね住宅事情を安定させよう、という方針で計画を進めてきたわけでございますが、一昨三十三年の十月に総理府の方で住宅事情調査を行なったわけでございます。その資料に基づきますと、三十三年の十月一日現在における住宅不足戸数と申しますのは、二百十六万戸というように推定されるわけでございます。それ以前に私たちが考えておりました同じ時期の住宅不足戸数と申しますのは、百九十四万戸であるというように考えておったわけでございます。約二十二万戸程度のズレを生じておるわけでございます。なお、そのほかに、住宅世帯収入が、その前の三十年の八月に行ないました住宅事件調査に比べまして、一般の勤労世帯の平均収入よりもさらに下回ってきたわけでございます。従いまして、住宅難が低額所得者の方に非常に解消がおくれを見せておるということがわかったわけでございます。ただ、調査しました時期は三十三年の十月一日でございましたけれども、総理府の方でいろいろ統計を修正いたしますのに時間がかかりまして、そういったことがわかりましたのが、昨年の九月ごろに判明して参ったわけでございます。なお、そのほかに、非常に都市集中が激しくなっておる。また、世帯分離が非常にわれわれが予想しておったよりも、つまり、人口の増加率をはるかにこえて世帯分離の現象が著しく出ておるわけでございます。そういうようなことがございますので、経済の長期計画の策定等を待ちまして、それらと関連づけまして、新たな住宅長期計画を策定いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  56. 田上松衞

    ○田上松衞君 了解しました。
  57. 村上義一

    ○村上義一君 ちょっと簡単なことでありますが、現在のいわゆる不良住宅地として指定する場所で、住宅ばかりでなしに、若干裏町通りでも、零細な小売業者、小売店を出して、生計費の一部を補給しておるというようなことも想像されるのですが、そういうところでも、今の不良住宅が密集して、環境が非常に劣悪だというようなところは、これは、やはり指定されるのだろうと思うのです。  で、その趣旨が第二条の四項の不良住宅の定義で、「主として居住の用に供される」云々と書いてある、「この主として」というのは、今言ったような零細な商売をやっておる、店舗を持っているといったようなものも、これは含むのでしょうね。そういう意味なんでしょうね。
  58. 稗田治

    政府委員稗田治君) 店舗等は含むわけでございます。
  59. 村上義一

    ○村上義一君 そうすると、そういう場合には、このあとに作られる健全な住宅の一階をまた店舗に充当して、二階以上の上層部を住宅にするとかいっような構造を予定しておられるのですか。
  60. 稗田治

    政府委員稗田治君) 店舗等がございます場合には、住宅金融公庫の中高層の耐火建築物に対する融資制度等を活用いたしまして、御指摘のようなげたばきの改良住宅というものを建設いたしまして、実際に、その地区々々の実情に合致させるようにいたしたいと思います。
  61. 村上義一

    ○村上義一君 そういう場合に、もしその店舗を持っておる人が、他にかわる、この機会に転居するというような場合に、やはり店舗に対する営業権とかいった、とにかく一種の補償ですね、こういうものを要求するかと思うのですが、これらは、やはりこの事業経営者の話し合いに一任すると、こういう基礎に、この法案は立っているのですか。
  62. 稗田治

    政府委員稗田治君) 不良住宅の除却に伴いまして、営業の補償であるとか、あるいは移転料の補償といった補償は、一応全部するのが建前になるのでございます。  ただ、この法律におきまして、そういった全体の地区の収良のため、一、二の反対者がある場合に、強制収用等はできるようになっておるわけでありますが、その場合におきましても、土地收用法を適用をされますので、通常生ずべき損害につきましては、補償するというのが建前になっておるわけでございます。
  63. 村上義一

    ○村上義一君 なお、前刻の他の方の御質疑に対するお話のうちに、現在、不良住宅地区に住まっておる人、その世帯限度として入れる、限定があるというふうに伺ったのですが、つまり中高層の住宅を作るという場合には、余裕が生ずる場合もあるだろうと思うのですが、それらの措置についても、これは経営者に全然委任するという建前をとっておられるのですか。
  64. 稗田治

    政府委員稗田治君) 御指摘のように、改良地区を相当広範囲に指定いたしました場合には、改良住宅が高層——土地の高度利用を促進するような形で建てられますので、余裕地が生じてくることは考えられるわけでございます。  そこで、この法律におきましても、事業計画の場合に、最初に土地利用の基本計画を立てることになっておるわけでございます。元、そこに住んでおった居住者を収容するだけの収良住宅建設いたしまして、余裕地が生ぜられるということが初めからわかっておりますれば、その余裕地を、全体の住宅地区として、どういうように利用するのが適当であるかということを総合的に計画いたしまして、そこに公営住宅なり、あるいは公団住宅、または団地の住宅経営としての都市計画事業等を行えるように、土地利用の基本計画におきまして定めるわけでございます。  ただ、この事業といたしましては、他の事業主体施行する事業になりますので、一応そういった土地利用の計画を定めまして、余裕地が生じました場合に、基本計画に定められておる事業主体に、その土地を引き渡すというところで、この地区改良事業としては一応終止を打つということになっておるわけでございます。
  65. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 稗田さんにお尋ねしますが、先ほど田上委員から、改良地区というものは、まだ各県から要望して審査中だと、こういうことなんですが、改良地区そのものの前提として、不良住宅の判定基準は、政令で定めるという総則がありますが、大体基準は、どんなものですか。
  66. 稗田治

    政府委員稗田治君) 不良住宅として判定いたしますのは、建物構造の老朽程度並びに今度はその建物構造の、住宅として適当であるかどうかという良否の問題、それから設備等の便所、炊事場等の位置がどうなっておるか、その使用状態がどうであるかというような具体的な事項につきまして、基準を政令で定めるわけでございます。その政令に従いまして、現地におきまして地方公共団体の方で判定をして、不良住宅であるかどうか定めるということになるわけでございます。  もう少し具体的に申しますと、今申し上げたようなことにつきまして採点いたしまして、総合点で、幾ら以下のものは不良住宅というようなことに相なるかと思うわけでございます。  なお改良地区の指定の基準でございますが、これは不良住宅の密集しております戸数が、大体五十戸程度というところを指定いたそうかというように考えておるわけでございます。
  67. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) お諮りしますが、これは一々総則第一章で一応質問をして、それから第二章に入りたいと思いますが、そういう順序を踏んでようございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それならば、第一章の総則を議題にいたしまして、御質問を願います。
  69. 小平芳平

    小平芳平君 今の、この改良地区の指定ですけれども、五十戸ぐらいの土地を指定するとなりますと、相当な範囲になりますけれども、それを、こういうふうにして指定すると、そこで、先ほどの村上委員からの御質問に対するお答えで、たとえばげたばきですか、下を店舗にして上を住宅にするような、そういうものを建てるようにした場合は、五十戸の人以上に、相当数の人が入れるものができるのじゃないかと思います。  そういうことは実際、だれがきめるわけですか。施工者と土地の人との話し合いできめるわけですか。
  70. 稗田治

    政府委員稗田治君) 今日まで実施してきた実例から申しますと、五十戸程度改良地区を指定いたしました場合には、この改良地区内に住んでおった人を収容する建物、それを建てる程度が、大体精一ぱいでございます。  と申しますのは、大体、不良住宅地区につきましては、それぞれの宅地というものが、非常に寡小宅地になっておりまして、建築基準法によりましても建てかえると、さらに合法的に建てかえると、ほとんど建物が建たないといったような寡小宅地が集合しておるところでございます。そこで改良住宅におきましては、一応大体居住面積十坪程度住宅を建てるわけでございますが、これを平面的に並べましては、どうしても合法的な建て方ができない地区が多いわけでございます。やむを得ず高層住宅にするわけでございます。  なお太陽光線でございますが、日照とか通風とかいうような面からも、健康な住宅にしなければならぬわけでございます、ということで、多少の子供の遊び場とか緑地というようなものも、団地内には当然必要になってくるわけでございます。  従いまして、あまり実際の場合には、他の住宅建設する余裕はないわけでございますが、大がい大きな改良在宅地区になりますというと、五、六百戸固まっておるような地区もございます。そういうようなところは、宅地の高度利用によりまして、余裕金も出て参るかと思うわけでございます。
  71. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御質問ありませんか、第一章につきましては……。
  72. 田上松衞

    ○田上松衞君 第二条の7です。「地区施設」の中に、「児童遊園、共同浴場、集会所、共同作業場その他改良地区内に建設される住宅居住者の共同の福祉又は利便のため必要な施設」、こういう非常に「その他」が不明確なんですが、もっとここで、具体的に取り入れなければならぬ問題はありませんか。
  73. 稗田治

    政府委員稗田治君) ここに政令で定めるものを、一応代表的なものを例示したわけでございます。  なおこのほかに、当然事業の進捗とともに、必要な地区施設と考えられるものは、政令によって追加をいたしていくわけでございます。
  74. 永岡光治

    永岡光治君 今のは、これは、大体どこでも共通的に考えられる施設を例示的にあげられたんだろうと思うのですが、この前どこでしたかね、何か逓信委員会だったと思うのですが、郵便のおくれ、人手が足りないというのが、最近団地ができまして、一戸々々配達するのが大へん手間がかかると、ついては一階の入口のところに、その階の上まで行かずに済むように郵便受け箱ですかね、そういう何を作ってもらいたいと、できれば法律で、そういうことをしてもらいたいという話があったように聞いているわけですが、そういうものは、これに限らず、今後団地を作る場合には、まあ個人で作る場合、非常に法律か何かなければ困難な場合がありましょうけれども、公共団体、あるいは国が作る場合は、そういうものは、一つ計画の中に入れて、ぜひ作ったらどうかと思うのですが、そういう点は、どういうようにお考えでございますか。
  75. 稗田治

    政府委員稗田治君) ただいまの共同の郵便受けの問題でございますが、これは、住宅公団等の団地建設が盛んになって参りましたので、そういったところへの郵便の配達につきまして、郵政省の方からも、実は建設省の方に申し入れもあったわけでございます。  しかしながら、個人に配達される信書を、共同の郵便受けで受けた場合に、確実に本人の手元に引き渡せるかどうか。団地内は、御承知のように、子供等たくさんおりますので、そういった郵便受けに配達されてから、あと本人の手元に渡るまでに事故が起きた場合の責任が、だれに所属するかというようなことがございますので、目下建設省におきましても、なおそういう点につきまして、十分検討いたさなければならないという立場をとっておるわけでございます。
  76. 永岡光治

    永岡光治君 一つの箱に、それを五世帯なり六世帯分入れるのじゃなくて、ちょうど郵便局に行くと、会社別に箱がありますね、郵便私書函といっておりますが、それは、かぎを持っております。そういう意味で、各そこの階段に五世帯住んでいれば五つ箱を作るわけです。それはかぎを持たしてあるわけです、あけるために。入口はポストみたいに小さい入口ですが、そういうものを作る。これは技術上、そういう問題があるかもしれませんが、今の郵便法ではあて所配達で、そういうことになっておりますから、非常に困難性があると思いますが、あて所をどこまで解釈するか問題がありますけれども、私書函などは、箱に入れてあれば、それで責任果されるわけですから、書留とか速達とか、特殊通信は一々持っていかなければならぬ、これはもちろんですが、普通の葉書とか、第三種郵便が非常に多いのですが、そういうものは、簡単に入れてもいいんじゃないか。一つの箱に五人分入れるのじゃなくて、一つずつ作るわけです。できれば二十世帯なら二十世帯に二十箱を作ってもらいたい、そういうことを私は言っておるわけです。  そういうことをぜひ検討していただきたいと思うのですがね。
  77. 稗田治

    政府委員稗田治君) いろいろ、なお十分検討いたしたいと思います。
  78. 田上松衞

    ○田上松衞君 関連ですが、すべて政令で用意されておる点、少し明確にできませんか。
  79. 稗田治

    政府委員稗田治君) もちろん、法律案を立案いたします場合に、政令の大体のアウトラインは念頭におきまして成文にいたしたわけでございます。  従いまして政令の大体の内容というものは、固めてあるわけでありますが、なお法律が成立いたしました後に、政令でございますので、各省の了解をとらなければならないわけでございます。明確に御提示できない点を、一つ御了承願いたいと思います。
  80. 田上松衞

    ○田上松衞君 今までの間に、公営住宅等でたくさん不自由な面があった、入居者が、いろいろ希望した点がたくさんあるだろうと思うのです。それらの面の十分理解をもって取り入れていただきますように、一つ希望いたします。
  81. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 第一章いいですか。よければ、第二章の第一節に入りたいと思います。  第一節、事業計画について、第六条の六項ですね。「公共施設その他の施設に関する都市計画が決定されているため改良地区内に」云々、この六項を、具体的に一つ説明してくれませんか。どうも読みにくいのだが。
  82. 稗田治

    政府委員稗田治君) 第六項についてでございますが、たとえば工業専用地区とういのが都市計画法で決定されておる地域がございます。そういうところでございますと、基準法の制限によりまして、現在は指定される前に住宅が建っておったところでも、その住宅を改築することができないわけでございます。そういうような場合には、ただそこに不良住宅地区が形成されておりまして、伝染病が発生するおそれがあるとか、非常に火災の危険度が高いというような場合には、除却することだけは、やはり公共的立場から必要になってくるわけであります。  そういう場合、取り払っても、合法的にそこに住宅建設することができないものでございますから、そういうような場合には、土地利用の基本計画に、その土地を、どう使うということを定めないで、買収除却で、一応不良住宅地区改良を終わるわけでございます。ただそこに、もと住んでおった人につきましては、これは地区外に、別なところに改良住宅建設いたしまして収容するということになるわけでございます。  なお、特殊の場合といたしましては、改良地区に指定されましたところが、都市計画として計画道路が全部その中に入っておるというような場合もあるわけでございます。
  83. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) そうすると、この法案は、今の優先的に不良住宅の住民に対して与えるというやつを、こういう都市計画で優先的に商業地域とか、あるいは工業地域に選定したような場合においては、住民の意思いかんにかかわらず、強制的に、よその地区に転移をさす、こういう建前ですか。
  84. 稗田治

    政府委員稗田治君) 他の法律の適用によりまして、その不良住宅地区が解消するということが明確なものは、そちらの法律によっていただくわけでございます。  たとえば都市計画道路のまん中に不良住宅地区があるというような場合は、都市計画事業として当然スラムの清掃はできるわけでございますから、その法律によってやっていただくわけでございます。  ただ法律上あらゆる起こり得るケース、場合を想定しておく必要がございますので、こういうような場合も、この地区改良事業によらなければ、事業が円滑に進まないというような場合は、できるだけの道を開いておこうという考えでございます。  大体、現地に改良住宅建設して、もと居住者が、さしたる不便なく健康な住宅に入れるということを建前にいたしておるものでございますから、優先度の点から申しますと、この六項に書いておるようなことは、順位は低くなるわけでございます。
  85. 永岡光治

    永岡光治君 この計画に限らず、私は全般的な問題として、そしてまた、その計画の一環として、これは考えておかなければならないと思うんですが、結局、不良住宅として指定されたところに、またぞろ、建物が変わったけれども、ただ環境が少しよくなったと、衛生上。まあ、それは火災上の問題もあるかもしれませんけれども、また都市計画全般から見ると、乱雑そのもので、ただ家が変わっただけであるというようなことになっては、ほんとうは、広い意味での都市計画を遂行するのに、これがまた大きな永久建物になるから、じゃまになるというようなこともあり得るのではないか。そこにはもちろん個人権利なり、あるいは特に商売をやっている人は、商売上の問題、権利とか収益とか、いろいろな問題があると思いますが、広い意味で、一つ都市計画ということを頭に置きながら、そしてそのためには、そこに入っている人とよく相談して、できればその都市なら都市計画一つ大きな構想に沿うように、これは立ててしかるべきだと考えているわけですね。  最近特に宅地の値上がりだとか、いろいろな問題がありますが、都市計画を行なおうとしても、いろいろどうだ、こうだということで、依然として雑然たる都市が、全国至るところに存在している。非常に寒心にたえないと思うんですが、一つ大きな目で、そういう構想のもとに、もちろんそれは、先ほど繰り返したように、不良住宅に指定されておるところは、通勤だとか、商売の利益とか、いろいろ関係がありましょうが、そういうものを最大に入れ、かつまた、その大きな都市計画に沿うようにということでやってゆくべきじゃないかと、私個人の見解として持っておりますが、そういうものは、もちろん指導するんでしょうね。
  86. 稗田治

    政府委員稗田治君) この住宅地区改良事業が、全体としての都市計画にマッチ、適合していなければならないのは、御指摘のように、当然でございます。  従いまして改良地区を指定いたします場合、当該地方公共団体の申し出に基づきまして、建設大臣が指定するわけでございますが、都市計画区域内におきましては、都市計画審議会の議を経まして、それから指定する、つまり、都市計画審議会の議を経て、この計画が、全体としての都市計画にもそごしない、適合しておるというものが、審議会の議を経て出て参るわけでございます。
  87. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 第一節は、いいですか。別に御質問がなければ、第二節に移りたいと思います。  稗田君、この第二節の九条の5、6を、もっとわかるように——回りくどい条文になっておるので、さっぱりわからぬのだが、一つ例をあげて説明してくれませんか。
  88. 稗田治

    政府委員稗田治君) 第九条の関係は、改良地区として、まず指定されまして、それから事業計画の承認の時期があるわけでございますが、事業計画が承認になりますと、大体どういう形でその土地が、地区改良事業が行なわれるかという具体的な内容が定まるわけでございます。そういたしますと、それからあとで土地の形質の変更とか、あるいは建築物または工作物というものを勝手に建築等を行なわれますと、事業の執行上、非常に障害になるわけでございます。また、御本人にとっても、非常に不経済なことになるわけでございますので、都道府県知事の許可を受けるということを定めてあるわけでございます。  その場合に、その五項に書いてございますのは、都道府県の許可を得ないで、そういう土地の形質の変更であるとか、建築物の建築というものを行なった者につきまして、その物件の移転とか除却を命ずるわけでございます。しかし、その命ずる場合に、一応民主的な手続といたしまして、聴聞を行なった後に、つまり、御本人がどういうつもりで、そういう許可を求めずにやったのかという、その本人の事情等を十分聞こうというわけでございます。その聴聞に応じて、一応情状を説明する機会を与えるわけでございます。  また、第六項の方は、除却または原状回復等を命じようと思うのだけれども、すでにそういった建築行為等をした者が、どこにおるのかわからない、所在が不明であるというような場合に、都道府県知事が、一応行政代執行法の特例の形として、公告をして原状回復ができる、その負担は、違反して建築行為等を行なった者であるということをうたってあるわけでございます。
  89. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) この第六項の、今の、都道府県知事は、それらの者の負担において、その措置をみずから、これは代行することですね。
  90. 稗田治

    政府委員稗田治君) はい。
  91. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 代行して、「又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行なわせることができる。」という、この「命じた者」とか「委任した者」とかいうのは、だれが委任するのですか。
  92. 稗田治

    政府委員稗田治君) これは、都道府県知事が自分の指揮下の職員等に命ずる。委任というのは、地方公共団体市町村等に委任する場合を言っておるわけでございます。
  93. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 委任は、どうなんですか。
  94. 稗田治

    政府委員稗田治君) 当該市町村等に委任する場合でございます。
  95. 田上松衞

    ○田上松衞君 それじゃないんじゃないですか。これは業者を言っておるのじゃないですか。
  96. 稗田治

    政府委員稗田治君) これは、行政処分でございますので、行政処分の権限を委任するものでございますから、これは、ここの委任というのは市町村等をさしておるわけでございます。
  97. 田上松衞

    ○田上松衞君 「その命じた者」の場合は、それでわかるのですが、その次の、「若しくは委任した者」、その委任というのは、業者をさしておることではないのですか。
  98. 稗田治

    政府委員稗田治君) 命ずるというのは、自分の指揮下の職員に命じてやることでございます。  それから、委任と申しますのは、これは、市町村と都道庁県というのは、地方公共団体としては同格でございますので、命令ということは、妥当ではないのじゃないか。そこで委任という言葉を使ったわけでございます。
  99. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 前の不良住宅地区改良法で、第四条では、公告があった場合において、事業施行者は一年以内に改良事業方法を定め主務大臣に認可の申請をなすべし、また、前項の認可があったときには事業施行者は、三月以内に事業に着手すべし、こうあるのですが、ところが、今度、本法には、全然規定がなくて、こういうぼやっとしたような、どっちでもつくような法文の書き方をすると、なかなか目的はいいけれども、実際の事業は、いろいろトラブルが起こって、進めにくいのじゃないですか。その点は、確信があるのですか。
  100. 稗田治

    政府委員稗田治君) 不良住宅地区改良におきまして、事業の終期としまして期限をつけてございますが、今回の法案におきましては、そういう期限は、つけてないわけでございます。と申しますのは、今日まで法によらないで四千五百戸やってきたわけでございます。強制権を法律によって裏づけされていないという面もございましたけれども、非常に折衝等に時間がかかるわけでございます。また、この法律施行されましても、やはり一応、話し合いの段階から進めていきたい、初めからいきなり強制権というような形でなしに、無理なく話し合いでやっていきたいというようなことを考えておりますので、事業の進捗は、非常に本来むずかしい仕事であるということがありましたので、一年という期間は、つけなかったわけでございます。  なお、改良地区の指定等の場合に、予算の配分等を勘案しながら改良地区を指定していくわけでございます。  従いまして、期限を特に法律にうたっていなくとも、年度内完了あるいは次年度への繰り越しという程度で、事業は進んでいくのではないかという考えでございます。
  101. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) だから、そういう地区は、長い間の沿革があるから、強制施行ということはやめて、話し合いでいこうということは非常に僕はいいと思いますが、それだからといって、それだけの話し合いというものは、相手が相手ですから、そうこちらの思うつぼに、なりにくいのですから、この地区の選定というものが、とかく熱心な地区に、全部予算の裏づけというものが流れやすい。しかも、建設省で考えておる地区を、先にやらなければならぬ、こういう地区だけ優先的にやらなければならぬという地区はおくれて、まあまあ、少々ぐらいおくれてもいいというようなところが、かえって改良施行するという場合において、その方が優先的に行なわれるということになりがちだと思うのですが、どうなんですか。
  102. 稗田治

    政府委員稗田治君) もちろん、いついろ摩擦を生じないで進めていけることが望ましいことでございますが、もし地方公共団体の方が安易につくというような考えになりますれば、これは行政指導、あるいは予算の配分等におきまして、行政指導を伴って、是正して参りたいと考えております。
  103. 永岡光治

    永岡光治君 十四条と十七条の関係は、これはどうなんですか。前の方は一時収容、あとは住宅を作るということになっております。  どういう工合で違うのでしょう。第十四条は、「施行者は、第十八条の規定により改良住宅入居させるべき者を一時収容するため必要がある場合においては、これに必要な施設を設置しなければならない。」これは、収容するためだから、家を作るわけでしょうね。それから、第十七条は、「施行者は、改良地区の指定の日において、改良地区内に居住する者で、住宅地区改良事業の施行に伴いその居住する住宅を失うことにより、住宅に困窮すると認められるものの世帯の数に相当する戸数住宅建設しなければならない。」前の方の十四条は、住宅ではないのですか。十七条だけが、住宅ですか。何かこの点、ちょっとわからないのですが。
  104. 稗田治

    政府委員稗田治君) 十四条の方は、改良住宅建設されるまで、建物を除却いたしましてから相当の期間があるわけでございます。  そこで、その改良住宅の竣工するまで行き場所がなくなるわけでございます。そこで、一時収容するための施設を設置しなければならないときめておるわけでございます。これは、設置といたしておりますのは、たとえば地方公共団体が、一時仮収容所として使用できるような建物を持っておった場合は、建築をしないで、それを使ってもよろしい、こういう、意味でございます。
  105. 永岡光治

    永岡光治君 新しく作る場合もあるわけでありますね。
  106. 稗田治

    政府委員稗田治君) 新しく作る場合もございますし、たとえば東京都が現在施行しておりますように、パイプ構造の回転使用の住宅を使っておる場合もございます。
  107. 永岡光治

    永岡光治君 十七条、どう違うのですか、十四条と十七条の違いです。
  108. 稗田治

    政府委員稗田治君) 十七条の、改良住宅建設と申しますのは、これはその地区改良して、本格的な改良住宅建設する場合でございます。
  109. 永岡光治

    永岡光治君 十四条で足りるのじゃないですか。特に十七条を設けた、同じ住宅を収容するために、うちを作るわけですが、そういうように、私読んだのですが十七条の場合は、十四条と違うところは、どこにあるのですか。
  110. 稗田治

    政府委員稗田治君) 十七条の方は、事業計画に基づきまして改良住宅を建てるわけでございます。で、その本来、改良事業として事業計画に当然、最終の目的として入っておる改良住宅建設をうたっておるわけでございます。  十四条の方は、その改良住宅建設される、建物を除却されて、行く場所のない方を、一時竣工まで収容しておく収容設施について、うたっておるわけでございます。
  111. 永岡光治

    永岡光治君 わかりました。
  112. 小平芳平

    小平芳平君 今の十七条、困窮する世帯数を入れるだけの戸数住宅建設するわけですね。  で、ところが先ほども、そのような同じような質疑がかわされたところですけれども、耐火建築あるいは簡易耐火建築物でなければならないわけですから、一たんそれができますと、また将来都市計画の都合で、それを撤去するとかというようなことになると、大へんなことになると思うのです。ですから、この困窮する世帯数以上に、たとえば四階建とか五階建のようなものを建てられるという、そういう余地は、全然考えられないわけですか。
  113. 稗田治

    政府委員稗田治君) まず都市計画事業でまた建ててからあと、取り払うというようなことのないように、改良地区の指定の場合に、都市計画審議会の議を経て、そういうおそれのないところが指定されるわけでございます。  それから十七条にございます改良住宅建設の規定は、当然、この元の地区に住んでおった者で、除却によって、住宅に困窮するという世帯だけは収容する数の改良住宅を建てなければならないと、地方公共団体義務づけておる点でございます。なお余裕地がございますれば、先ほど申しましたように、あるいは他の公営住宅であるとか、公団住宅等の建設が行なわれるわけでございます。
  114. 田上松衞

    ○田上松衞君 第十一条ですが、「施行者は、改良地区内の不良住宅を除却するため必要がある場合においては、当該不良住宅又はこれに関する所有権以外の権利収用することができる。」具体的には、どういう場合ですか。
  115. 稗田治

    政府委員稗田治君) 不良住宅地区が、不良住宅が固まって一団の集団を形成して、それが火災であるとか、伝染病であるとか、周囲に非常な悪影響を与えておる。それを公共的な立場から清掃し、健全な住宅地区に形成するように事業を施行するというのが趣旨でございますので、とにかく改良地区に指定されました地区内にある不良住宅というものは除却しなければならないわけでございます。除却をする場合に当然この建物所有権というものは、施行者の方に移さなければならないわけでございます。それを書いてあるわけでございます。  ただ法文上、この「当該不良住宅又はこれに関する所有権以外の権利収用することができる。」と、こういうように書いてございますが、つまり不良住宅所有権というのは、「当該不良住宅」という言葉で表わしてあるわけでございます。——不良住宅所有権というのは、この条文で申しますと、「当該不良住宅」というものが、不良住宅所有権に該当するわけでございます。  「これに関する所有権以外の権利」と申しますのは、そこに居住しておりました人の賃借権とか、いろいろ付随する居住者と所有者との契約関係からの権利があるわけでございます。そういう建物に付随しているその他の権利収用して、そこで一ぺん元の権利関係を断ち切る、こういう意味でございます。
  116. 田上松衞

    ○田上松衞君 権利関係を断ち切ってしまうということで、そうすると、場合によっては、一切の権利収用しっぱなしで、あとを見ない場合があり得るのじゃないですか。そういう場合は、おそれはありませんか。
  117. 稗田治

    政府委員稗田治君) これは、本人の承諾の有無にかかわらず、収用できるという権限を与えておるわけでございます。当然この収用する場合には、権利補償地方公共団体がしなければならないわけでございます。
  118. 田上松衞

    ○田上松衞君 区画整理等で、われわれがにがい幾多の経験を持っておるわけですが、その場合に、不良住宅とその中に居住しておる賃借人との間において、たくさんの紛争があるわけですよ、実際問題として。しかも、こういうことが、今度はこの改良住宅区域に入るんだということがあらかじめわかるわけですから、その中では、特にそのいろいろな問題が起こりやすいわけですよ。  たとえば家賃を払わないとか、払わないのでなくても、これこれに生活困窮者であるとかいうような事態がたくさん起こってきますわけですが、そういう問題を皆ひっくるめて、今度は施行者が背負っていかなければならぬ危険性が出てくるのじゃないですかと伺っているのです。どうなんです。もっとあれすれば、第十八条の定めとこれが関連するわけなんですよ。十八条でいけば、まあ、こうこういう者は、入居させなけりゃならぬ。ところが、その中の口になってくると、イのただし書きに、こうこうする者は、これは除外の場合があるわけですね。これらの概念は、一体どうなんでしょう。
  119. 稗田治

    政府委員稗田治君) 十一条の関係におきましては、一応この収用いたしまして、それに備わる正当な権利は、全部補償する、こういう建前でございます。現在行なわれておる区画整理等におきまして、その収用の際の補償等に、いろいろ問題があるということは、実例としては、そういうふうな、いろいろの紛争を生ずる場合もあるかと存じますけれども、それは補償が妥当であったかどうかという問題ではないかと思うのでございます。この権利収用し、所有権を、不良住宅収用するという場合には、当然正当な対価を支払わなければならないというふうに考えておるわけでございます。  なお十八条に、改良住宅入居させなければならない者を上げておるわけでございますが、これは、われわれとしての考え方は、補償という意味で入れるわけではないわけでございます。不良住宅が、除却されまして、そこで住居を失ったという一つ住宅困窮者でございます。そのものを救済しなければ、この不良住宅の清掃というものができないという、実際の要請に基づきまして、そこに住んでおった居住者につきましては、改良住宅入居させよう、こういうわけでございます。  なお、この改良住宅入居させる者の数というものを、事業計画上定めなければ、事業がいつまでも確定しないわけでございます。そこで、改良地区に指定した日に、そこに住んでおった人たちを収容するというのを建前にしておるわけでございますけれども、ただ場合によりましては、あとから、そこにお嫁入りをしたとか、またその地区内で、結婚し合って、新しい世帯がふえたというような場合も想定されますので、こういった十八条のイ、ロ、ハといったような救済する道を開いているわけでございます。
  120. 田上松衞

    ○田上松衞君 十一条の中で考えられているこの所有者は別としまして、賃借人の場合、こういう場合は、単なる補償、金銭的な補償で解決は不可能なんですよ、実際は。いくらもらったって、そういう人々が、今度はほかのところに収容されていくということは、とうてい困難なんですよ。  ところが、そういう場合については、十八条で、ここで十分救済するのだということになっているのでしょうけれども、実際問題としては、所有者と借地人との間におけるもろもろの紛争というやつが、そこに介在する場合がたくさんあるわけですよ。その場合の問題まで、どこまで施行者が背負うべきものかということなんですね。そこをお聞きしているわけです。
  121. 稗田治

    政府委員稗田治君) 収用いたします場合に補償金を、たとえば所有者に支払い、所有者から借家人に支払うというような場合もあるかと思いますけれども、今御指摘のような点につきましては、補償金の支払いにつきまして、たとえば区分して支払うというようなことで防げるのではないか、かように考えております。
  122. 永岡光治

    永岡光治君 今の十八条の項のイですが、「改良地区の指定の日から引き続き改良地区内に居住していた者。」は入れるわけですね。——「ただし、改良地区の指定の日後に別世帯を構成するに至った者を除く。」ということになると、これは一代限りと、こういう意味ですか。それとも、住宅に入る瞬間において——瞬間というか、その三月末に、たとえばその現在で指定の日、三月末を指定の日とした場合には、それ以後、自分の子供が別世帯を持ったというのはだめだということになると、あとで何年かたって、おふくろも、おやじも死んで、自分も引き続いてその家に入りたい。しかし、その改良住宅でなかりせば前の不良住宅に入れたのに、これで指定されて除かれたために自分は出なければならぬ、そういうようなことにはならないのですか、これは。
  123. 稗田治

    政府委員稗田治君) 十八条の一号のイに掲げてございます「改良地区の指定の日から引き続き改良地区内に居住していた者」、これはもちろん四月の末日に指定されれば、その時限におきまして名簿を調製するわけでございます。ただし、この改良地区の推定がございましてから事業計画の決定までに若干の期間がございます。従いまして、ここに転入の規制をするというようなことも不穏当でございますので、転入の規制等は行なっていないわけでございますが、改良住宅建設戸数が一応そこで設定されるわけでございます。従いまして、あるいはあとから姻戚関係で、結婚等によって入ってきて、別世帯を構成したものであるとか、そういう者につきましては、ロのところで「施行者が承認した者に限る」というので救済をしているわけでございます。ここで「政令で定めるところにより、施行者が承認した者」ということにいたしてございますのは、非常にやむを得ない事情から新しく生じた世帯等につきましては、当然施行者が承認をし、また改良住宅建設戸数を増加するということになるわけでございますが、何と申しますか、非常に作為的に、その地区内におれば安い家賃で入れるというようなことから、わざわざよそから優先入居をねらって乗り込んできたというような悪質なもし転入者があれば、それは承認しないという意味でございます。
  124. 永岡光治

    永岡光治君 ちょっと私の質問が悪かったのですが、改良住宅をこしらえるための戸数をきめるために、ひとまず世帯の数を限定したって、一応入ったあとは、その子供がかりに世帯を持ったという場合には、それは出ていかなければならぬのか、それともそのままおれるのかということです。
  125. 稗田治

    政府委員稗田治君) この改良住宅を建てまして、最初の入居者が入るわけでございます。入ったあとは、公営住宅の第二種公営住宅と同じような規定が準用されるわけでございます。従いまして、入ったときのお父さんが、お母さんがなくなった、若い世帯になっても、それは引き続いておれるわけでございますけれども、もし、あまりに多額の収入がふえてきたという方が、もし幸いにしてそこまで生活が向上したという方が出て参りますれば、これにつきましては、公営住宅と同様に、ある時期がきますと、割り増し貸金をいただくということになるわけでございます。
  126. 永岡光治

    永岡光治君 割り増し賃金は別です。借料はどうなっておってもかまわないのです。それは別です。私の言うのは、入った後における入届権というか、それは一代限りか、それとも孫子の代まで続くのかということで、孫子の代まで続くだろうと私は常識的に考えるのだが、これを見ると、別世帯を構成するとだめだといわれると、文字通り解釈すると、子供は入れないのじゃないかと思うのですね。それがそうでなくて、入るときに部屋の数をきめるために、さしむき建築の数を幾部屋作るか、何世帯分作るかというときの基準にするためにこれを設けたのであって、一度入った以後においては、それは一代限りでないのだ、子供ができて、やはり同じように世帯を持てば、やはりお父さんに次いでその部屋に住まわれる、こういうように解釈すべきではないか、その点私の解釈が間違っておるかどうかということをお伺いしておる。
  127. 稗田治

    政府委員稗田治君) 十八条は入居というその行為について規定してあるわけでございます。従いまして、居住条件とは別でございますので、御指摘のような親子の代が変わるという場合には、そのまま引き続いて入居ができるわけで、入居しておることは差しつかえないわけでございます。
  128. 田上松衞

    ○田上松衞君 今の関連ですがね、十七条の二項の場合ですね、「前項の規定により建設しなければならない住宅戸数が、次条の規定により改良住宅入居させるべき者の世帯の数に比較して過不足を生ずることが明らかとなった場合においては、これを増減することができる。」、これはただその当面のそのときだけのことか。広義に解釈して、今のお話のような場合ですね、すでにここに権利つけられたものが、場合によって兄弟が別れるとか、子供ができるとかというようなことに、広義にこれは解釈していけないのかということです。
  129. 稗田治

    政府委員稗田治君) 十七条の二項に「過不足を生ずることが明らかとなった場合においては、これを増減することができる。」と書いてございますのは、改良地区に指定しましてから事業画までの間に若干の期間がございますので、そこで、たとえばもと入居者がよそへ転出して、戸数が減るというような場合も考えられるわけでございます。それからふえる方で申しますというと、そこの地区内に住んでおった第二世と申しますか、そういう者同士の結婚で新しく世帯がふえるというようなことも考えられるわけでございます。そういったことで、全然最初の計画通り戸数が動かないというのでは、多少この実情に合わせるのに無理があるというので、増減ができるということになっておるわけでございます。従いまして、十八条の第一項のロ、ハといったようなことも勘案して「増減することができる」と、こういうことになっておるわけでございます。
  130. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは第三節に移ります。
  131. 田上松衞

    ○田上松衞君 第三節は測量及び調査のための土地の立ち入りを規定してあるのですが、そこで先般の松原、下筌ダム等に見られるような事態、ああいうようなことが万一生じた場合はそこはどこで一体その締めくくりをしようということになりますか。これではちょっとまだ不十分なところがあると思うのですが。
  132. 稗田治

    政府委員稗田治君) 第二十条以下の測量、調査についての立ち入り、あるいは土地の試掘等に対する権限の付与でございますが、これはもちろん、そういった今御指摘のような事態の起きないように、十分地方公共団体を指導して参りたい、乱用に陥らないように指導して参るつもりでございます。
  133. 田上松衞

    ○田上松衞君 そうした抽象的なことでは不安が去らないですよ。これは二十条、二十一条含めてなんです。どうもこの程度では、さっき申し上げましたような事態に対処するきめ手がないのじゃないかと考えられるわけです。この条項で、この項目できめられるのだというあれはありませんかね。
  134. 稗田治

    政府委員稗田治君) 二十七ページでございますが、第三十三条に建設大臣の監督、また三十四条にも同様に勧告等の規定がございます。こういった条文に基づきまして、施行者の方で不当な乱用に陥らないように監督し指導して参りたいと、かように考えておるわけでございます。
  135. 田上松衞

    ○田上松衞君 私さっき申し上げた状態は、この程度のことならば、あのさっき申し上げたような場合もあるはずだと思うのですよ。しかもああいう事態が起こってしまったと、そこでいわゆる三十三条の監督、あるいはその次の報告、勧告等、こういう場合でもなおどうもはっきりしたきめ手が児つからないわけなんです。もっと確信の持てるあれはここだと指摘して下されば幸いですが。
  136. 稗田治

    政府委員稗田治君) 三十五年度におきまして、先ほど御質疑のございましたように、たった二千戸ではないかと、これで一体何年たったら解消できるのかというようなお尋ねもございましたが、実は三十五年度におきましても、われわれとしては、もう少し戸数をよけい予算の中に織り込みたかったわけでございます。実は現在地方公共団体の方で、地元と折衝いたしまして、自分のところを早く改良地区に指定してほしいというところだけでも相当の戸数になっておるわけでございます。従いまして、まあ法文に表わすとするならば、こういった権限の付与もいたさなければならないわけでございますけれども、この三十五年の予算の執行にあたりまして、御指摘のような紛争が起きるということは、実際問題としてはあまり考えられないわけでございます。
  137. 田上松衞

    ○田上松衞君 くどいようですが、適切な引例にはならないだろうけれども、特に松原、下筌ダムのことを言ったのは、国民感情からいってあんなばかげたことが起こり得るはずがないのです。にもかかわらず、これが起こっておるじゃないかということです。お伺いします底意は、こうしたたくさんの六十五万戸からもある大へんな住宅不足等のことをあわせ考えつつ、しかも今度の法案が持つ意義からして、何とかこれを強く活用しなければならぬと、その気持でお伺いしておるわけなんです。ところが、それであるにかかわらず、それがこの場で、それだけの人々がほんとうにいいことだとしてくれればいいけれども、こういう中に入っております人々の場合、さっき申しました、特に不良住宅の場合の所有者と住居人との間における、ほとんど常識では考えられないような厄介な問題等を含んでおります場合に、しかもそこを測量したりあるいは障害物を伐除したりすることの困難な事情を考えてみますと、やはりこれをやっていかなければならない。そこで何とか一つ大きなきめ手をやってほしいと思うからお伺いしているわけなんです。今、局長の話では、どうもそういう事態が起こるとは常識上考えられない、こういう非常に甘いお考えのようですけれども、そこにとんでもない失態ができる。失態とまではいかないまでも、何か実際の活用が非常に狭められる危険性がありはしないか。だから、もっと何かここへきめ手をお考えになるようなことはないだろうか、そういう気持でお伺いしているわけなんです。
  138. 稗田治

    政府委員稗田治君) その点につきましては、地方公共団体を十分指導し、監督して参るということでやりますというふうに考えておるわけであります。
  139. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 別になければ、第四節、費用の負担及び補助に入ります。
  140. 永岡光治

    永岡光治君 二十七条の「不良住宅の除却(除却のための取得を含む。)」というのは、不良住宅以外にほかの建物があって、それを改良住宅を建てるために余分なものを買い取らなければならぬということを意味しておるのか、この意味はどういう意味でしょうか。
  141. 稗田治

    政府委員稗田治君) 二十七条の国の補助でございますが、ここで「(除却のための取得を含む。)に要する費用」とありますのは、不良住宅に限定しておるわけでございます。
  142. 永岡光治

    永岡光治君 除却のための取得というものは、どういう意味ですか。不良住宅を買い取る、こういう意味ですか。
  143. 稗田治

    政府委員稗田治君) そうでございます。
  144. 永岡光治

    永岡光治君 それでこの精神を伺いたいと思うのですが、除却なり、そういう意味の取得、それから第二項にいろいろ三分の二の補助というのがありますが、要するに建設のために、要しました一切の費用を、区別に従って二分の一なり三分の二に分けて国が補助する、こういう意味ですね。何か国の補助対象にならない費用というのはあるのかないのか、この建設について。
  145. 稗田治

    政府委員稗田治君) この建物不良住宅を除却いたしますのに買収費用等、除却する費用、これについては二分の一の補助になるわけでございますけれども、そこに「予算の範囲内において」という字句がございますが、これにつきましては、そういった清掃費と申しますか、買収除却費といったような標準の単価を定めてございます。また、二項にございます改良住宅建設に要する費用も、土地の造成費も含めてはございますが、これも標準建設費というものが地区ごとに定めてあるわけでございます。それで、標準建設費をこえて、事業主体が持ち出しをして実施したという場合は、補助は標準建設費限度までということになっておるわけでございます。
  146. 永岡光治

    永岡光治君 私のお尋ねするのは、土地收用法にかけなければならぬ事態が起こる。その際にはいろいろな経費がかかるのじゃないか。そういうものも含めて、予算というものは一応ありましょうけれども、その範囲内でとにかく対象には一応なるのだ、そういうふうに解していいのかどうかですね。あるいは、そういうものは、いや対象にしないとは言わぬだろうと思うが、要するに一応全部対象にすると。その補助の範囲内は予算の範囲内、それからそれは三分の二及び二分の一の区別は分かれるんだと、こういうように解していいかと思ったのですが、お答えによりますと、いや、その収用法にかけた場合の費用だとか、取得の費用、除却の費用とあるが、実際にかかった額ではなくて、一応の基準額があって、その基準について幾らというように考えておると、こういう答弁ですが、そうなると、実情とだいぶ違うので、地方団体は非常に困るのではないかと私は心配してあなたにお尋ねするわけですが、地方団体のことを考えますと、もう少しめんどうを見ていいということにならぬですか。
  147. 稗田治

    政府委員稗田治君) この事業といたしまして、たとえば先ほどお尋ねございました一時収容施設等は補助対象になっておらないわけでございます。ですから、事業執行に伴ういろいろの経費のうちに国が補助対象としていないものもございます。不良住宅地区改良法におきましては、除却、清掃をする費用、それから改良住宅建設する費用につきましても、全部二分の一の補助だったわけでございます。そこで、地方公共団体が事業を推進していくためにこの程度補助では地方公共団体につらいではないかというような御意見かと思いますが、われわれとすれば、現在残っております不良住宅地区改良法よりも一歩前進したと、建物については、三分の二の補助というふうに前進したというふうに考えておるわけでございます。なお、現在までこういった法律によらないで、三分の二の第二種公営住宅補助金を用いまして四千五百戸も実施してきておるわけでございますので、三十五年度の千戸の事業遂行につきましては、一応完成できるというように考えておるわけでございますが、先ほどお尋ねのございましたように、全国に二十万戸以上も数えられるという不良住宅地区を解消すると、そこまで計画的に今後事業量が増大していくという場合には、地方公共団体の財政負担というものも十分考慮しなければならないと思いますので、今後事業実施に伴いまして、その経過にいろいろと検討を加えていきたい、かように考えております。
  148. 小平芳平

    小平芳平君 今の二十七条ですけれども、不良住宅地区清掃というのがこの一項目に入ると思うのですが、それから第二項目は、改良住宅建設ということになっていて、補助率が違うわけですが、土地のかさ上げとか石がきその他の付属施設、そういうものはどちらへ入るのでしょうか。
  149. 稗田治

    政府委員稗田治君) 改良住宅建設に要する費用につきまして国が補助するわけでございますが、この建設に要する費用といいますのには、上物としての建築物を建築するという費用と、用地を建築用地として使えるような状態にする、なお必要があれば土地を買収するという費用も用地費に考えられるわけでございます。従いまして、その整地等の費用は改良住宅建設に要する費用に入ってくるわけでございます。
  150. 小平芳平

    小平芳平君 としますと、「区画形質の変更、整地その他健全な住宅地区を形成するため必要な整備」、それは三分の二補助ということでございますね。
  151. 稗田治

    政府委員稗田治君) 改良住宅建設するための敷地についてはそうでございます。
  152. 小平芳平

    小平芳平君 ここで、ちょっと今の条文と関係ないんですけれども、三十五年度予算ですね、不良住宅地区清掃というのが千三百四十戸、不良住宅地区住宅建設というのが二千戸と、こうなっているわけですが、清掃の方が千三百四十戸分を見込んであって、そうして新しく建設する分、清掃を要しないものも六百六十ですか見込んで、建設する分は二千戸と、こういうことでございますか。
  153. 稗田治

    政府委員稗田治君) 改良住宅建設いたします戸数三千戸、清掃をいたします補助対象とする戸数千三百四十戸でございますが、その開きにつきましては、これはこの不良住宅地区と指定しましてやっていきます不良住宅の中に、戦後に発生した特異現象としまして、地方公共団体が管理をしておる、たとえば元兵舎でございますとか、そういうようなものがあるわけでございます。これは地方公共団体が所有しておりますので、地方公共団体の方で補助を要しないで除却できる、そういうものが若干含まれておるわけでございます。
  154. 小平芳平

    小平芳平君 その開きですか、この六百六十戸は。
  155. 稗田治

    政府委員稗田治君) お尋ねのように厳密に六百六十戸がその開きというわけではございませんけれども、まあ一例とすれば、そういったような除却費につきまして地方公共団体補助を要しないというものがございますし、また、地方公共団体の財政事情によりまして、自分の方は改良住宅建設の費用さえ国庫補助がいただければ、もう地区の清掃は自分の方で行なうというような財政豊かな地方公共団体もあるわけでございます。そういうのを見込んで、そこに六百六十戸ほどの差が出ておるわけでございます。
  156. 永岡光治

    永岡光治君 今のやつに関連するわけですが、二十七条の一項二項の場合、具体的に質問いたしますから、それでお答えいただきたいと思うんですが、除却をした面積坪数が一千坪ある、建設に必要な坪数は五百坪なんだという場合には、除却費用の二分の一の補助というのは一千坪になって、そうして建設の方は五百坪だということですね。それからその場合、さらに五百坪余るからもう一つ建てたいというときには、それはどうなるのかですね、その点を一つ不良住宅に今住んでおった人を収容するには五百坪で十分なんだけれども、もう一つほかのところもこの中へ、不良地区じゃないけれども入れたいという場合ですね。それは地方公共団体もやりたい、せっかくこの坪数がありという場合のその第二項ないし第一項、第一項は問題ないと思いますけれども、その第二項の場合はどうなりますか。
  157. 稗田治

    政府委員稗田治君) そういった清掃をいたしましたあとに余裕地が出ました場合、まあ第一義的に予想されますのは、地方公共団体改良住宅でない国庫補助公営住宅建設することが一番起こり得るケースではないか、かように考えております。その場合は、同じ地方公共団体でございますけれども、法律上の施行者は別人格になるわけでございます。従いまして、勘定も別勘定になりまして、これはその用地の取得等につきましては、公営住宅建設費補助金がそこへ入るということに相なるわけでございます。なお、将来この改良住宅建設が進んで参ります場合には、いろいろ市街地にもっと勤労者の住宅を建てなければならないという用地取得の問題がございますので、非常に広範囲な清掃事業を行ないました場合には、これを住宅公団の方に引き渡して、住宅公団の費用で建設するということも行なわれるわけでございます。
  158. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 二十七条の問題ですがね。この「除却」だけを対象にしての二分一の補助になっているんですが、除却することについては、やはり十四条の一時収容施設の設置と、この一時の設置に要する費用は除却という範疇に含むのですか、それとも全然施行者の単独負担になるのですか。
  159. 稗田治

    政府委員稗田治君) 一時収容施設は、これは施行者の単独の負担になっております。
  160. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それから二十六条の「利益を受ける者がある場合においては、条例で定めるところにより、」の利益というのは、具体的にどういうところに生ずるのですか。
  161. 稗田治

    政府委員稗田治君) これは先ほどちょっと触れたところでございますが、たまたま、不良住宅が建っているところが工業専用地といったような場合でございますが、これは取り払いはできるわけでございます。公共的な障害になっている不良住宅は取り払いはできるわけでございます。住宅を建てることが、建築基準法上工業専用地では禁止されております。そういたしますと、公共的な障害になっている不良住宅の清掃ということだけは、公益上実施しなければならないわけでございますが、そこで地主としての考え方から申しますと、今度は公共機関によって清掃してもらって、あとくされのない、さら地として他の工場等をそこに誘致できるというようなことになるわけでございます。その場合に地主がまあある種の利益を受けるわけでございますので、そういった場合に一部の受益者負担という意味で一部を負担させるというわけでございます。
  162. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) では本日は、この程度で散会いたします。    午後一時五分散会