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田中一君 これは、この八路線が、われわれの身近にあるものだから、私は、そういう
土地收用法、全部適用しておやりなさいということを勧告するわけです。と申しますのは、今、藤本さんのお答えの中にも、ちらちらと見えるのは、やはり思想的にこれは
最後の手段であるというような
考え方が、どこかにひそんでおるということが見受けられるわけです。
土地收用法というものは、
最後に出るものでなくして最初に出るものなんです。そのためには、この
法律は訴願もできれば、抗告もできれば、納得する形の
機関、すなわち当該利害
関係者以外の者の判断によって妥当な線を発見しようというところに究極のねらいがあるわけであります。利害
関係者がお互いに話し合うということは、これはどちらかが、ほんとうの妥当な線というものが発見された場合には、
土地収用
委員会が決定した線というものと、同じことになることはむろんありましょうけれ
ども、利害
関係者が、お互いにものを判断するという
考え方に立つと、やはり
事業を遂行しようというものの方に強力な行動が止まれざるを得ないわけです。そうしてお互いにがんばりっこして、精根尽きて、まあそれに従おうじゃないかということになる傾向が多いわけです、現在までも。あなた方に言わすと、最悪なる場合に、
最後の切り札として、
土地收用法を使ったという例は多々ございます。私は資料、だいぶ集めておりますから。常に
最後の
段階において、
土地收用法を使って相手を圧殺したというような印象を国民に与えているのが、
土地收用法の使用の仕方なんです。よい
法律も、使い方によっては悪法になるんです。
土地收用法を適用した
地区の判決例というものが、戦後においては相当
社会情勢、
客観情勢、経済
情勢が変わったために、かつて
話し合いできめた
土地の収用額よりも、その判決が上回ったというような事例も実はあるんです。
建設省は、周章ろうばいして、直ちに抗告をして、今係争中です。最初から
土地收用法を使ってやった場合には、あなた方が、その
価格をきめるんです。
話し合いじゃないんです。経済
情勢、
社会情勢その他を勘案した公正な第三者が、最初からきめていくんです。それには、利害
関係者も出てきます。十分に第三者をまじえての
話し合いということで行なうのが
土地收用法の正しい判断なんです。常に
最後に出すから、問題が強権ということになるんであるから、最初にお出しなさいということを勧めているんです。
そうして、この
仕事が、たとえば七年のものが十年かかろうとも、――こういう手続を踏んでいけば、時間はかかるでしょうから、――かかろうとも、
土地收用法という
法律のよさというものを、この際に、国民の前に明らかにして、そうして判決例というものを積み重ねていって、今後の日本の国土
計画、公共
事業に対するところの国民の完全な理解の上に立って、日本の国土
計画をしたらどうであろうかという
考え方の上に立って、私は
理事長以下、各幹部の方々にも進言しているわけなんです。判決例というものが、五十ぐらい出れば、どんな問題でも事前に解決されます。
あとが
客観情勢によるところのプラスかマイナスかという問題で、
価格の査定なり何なりが出てくる、データを作ることによって出てくるわけです。公共
事業を遂行する
機関は、ことさらに国民の疑惑、公共
事業と国民との間の利害の衝突を招くようなことのみを行なっているこの現状を、私は嘆かわしいと思っておるわけなんです。これはここ数年来、一年ごとにかわる
大臣には懇々と、その点は進言しているわけなんです。
ここに、二号線の
大崎方面の
土地の
買収費というものを、四億計上したということを
神崎さんは言っておりますけれ
ども、四億というものにこだわると、四億というものが壁になるから、これでやるんだという
考え方はとつちやならないんです。
しかしながら一応
事業計画書でもって、
建設大臣の認可を受けるためには、一応の数字を盛り込まなければならぬということは、これは
法律の示している
通りしなければならぬから、やむを得ずされたと思うのですけれ
ども、四億というものの算定基準というものは何かということになりますと、これは従来と同じようなケースの実績を藤木君あたりが勘案して、四億くらいでよかろうという、まことに国民にとっては迷惑しごくなんです。科学的な積み重ねでない数字をもって押し切ろうというところに、今日の政策の悪い面がある。公共
事業というものは国民のものなんです。
事業主体のものじゃないんです。
首都高速道路公団だって、
道路公団のものじゃないんです。国民のものなんです。こういう点から見ても、この
事業が、今のような形でもって進められるならば、七年はおろか十年かかってもできないでしょう。できないように私は、立ち上がらざるを得ないわけなんです。なぜかというと、仮定の数字をもって、それを利害
関係者の、善良な平和的な生活を営んでいる国民の身辺を動かしたり、はじいたり、奪ったりするから、進行しないのは、当然なんです。
この際、
首都高速道路公団は、はっきりと、この八路線というものをしなければならないんだという前提に立っているんですから、もう一度
大臣が、ああいう答弁をしておりますけれ
ども、話し合って、
土地收用法というものが、あなた方のためにあるんだからということをPRして、国民に
事業遂行に拍車をかけるように努力をしていただきたいと思うのです。そのテスト・ケースとして、
首都高速道路公団の
事業を当てはめるのは、当事者のあなた方にすれば、はなはだ迷惑でしょうけれ
ども、もう数がたくさんあるんです。政治的にはわれわれは、これが基地を作るとか――米軍というものは条約に基づいて、日本の国土のどこでも使えるんです。この際には、からだを張ってまで抵抗しますけれ
ども、何といっても、あなた方の
事業というものが、平和的な日本の憲法にふさわしい手業である限り、協力をしたいという気持があるわけなんです。先ほど内村
委員が
質問しておるところの蜂の巣城なんという争いも、
土地收用法の理解というものが足りないところに起きるんじゃないかと思うのです。憲法第二十九条に、私有財産というものは公共のためにあるんだ、民族のためにあるんだということを規定しているんです。従って、いつでも国民全体のためには、自分の財産というものは、当然提供しなければならぬことは憲法に規定されているはずなんです。この保障されている権利というものに対する
補償というものが十分でないからこそ、憲法の規定というものに抵抗してまで、筑後川上流の下筌ダムのような問題が起きるわけなんです。
神崎さんは、お金を作る方は専門家でいらっしゃいますけれ
ども、やつぱり法の運営というものは、
土地収用法を所管しておるところの前
計画局長の
美馬君なんかは、もっと真剣に取り組んで、この
法律を分析し、国民の前に出して、あなた方の権利というものは、これも権利でございますよ、あれも権利でございますよ、営業
補償もする、あなた方の休業
補償もするのです、ということを十分知らせて、あなた方の権利を守る
法律なんですということをいって理解させて、先例を作りなさい。そうしなければおそらく強い抵抗に逢着するということは明らかです。
まあ、お金のことは、今度の
法律の改正で解決されるでしょうけれ
ども、運営の面では、相当な難関に逢着する。そういう場合には、
地元側の
立場に立たなければならないのは
国会議員でございます。その点は、十分に御認識願って、
建設大臣がああやって、
最後にそれを使うなんという伝家の宝刀なんということをぺろっと出して、今向こうへ行ってしまいましたけれ
ども、これはいずれ、とっちめる時期がくると思いますけれ
ども、せめてこの平和的な、国民的な、都民的な共有公共
道路に対しては、その点、もう一度十分なる
話し合いを
政府としていただきたいと思うのです。その点について關盛君、私は、もう歴代の
大臣が新任になると、常にこの問題は一番関心、
土地收用法の問題が、いつも問題になるものですから、るる申し上げているのですけれ
ども、
一つあなたが
大臣に進言して
大臣は、かつては電源開発等の
工事をやっていたものだから、こんなじゃまなもの困る。早く
土地收用法を改正して、どんな障害があろうとも、半年くらいですっかり
仕事ができるようなことにしてくれというのが本音だと思うのです。そんなことは、許されるものではございません。
法律による完全な納得の上にたってのみ行なうべきものなんです。
一つの關盛君の
局長としての
考え方、それから今後、先ほど話のあった蜂の巣城も含めた
土地問題に対しては、どういう方向でいこうかということを
一つ答弁してほしい、かつては石破
建設次官がおった時分には、通牒で全国的に、なるべく
事業の当初に、初めに
土地収用法を適用して、
土地収用に対する理解を十分国民に、市民に持ってもらって、そうして
仕事をやれということを指示しておったことがあるのです。今は、もう伝家の宝刀
大臣がきたがために、おそらく方向というものは、権力で強行しようというような形にいっているのではなかろうかと私は心配するわけなんです。關盛さん、どういう工合に、どういう方向を、今後たどろうとするか、
一つ決意を答弁して下さい。これは
局長としての答弁でいいのですよ。政治的なあなたに
責任持たせませんから、