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1960-02-25 第34回国会 参議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月二十五日(木曜日)    午前十時三十一分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            稲浦 鹿藏君            武藤 常介君            田中  一君    委員            小山邦太郎君            櫻井 三郎君            田中 清一君            米田 正文君            内村 清次君            武内 五郎君            安田 敏雄君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 村上  勇君   政府委員    首都圏整備委員    会事務局長   樺山 俊夫君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設省計画局長 關盛 吉雄君    建設省河川局長 山本 三郎君    建設省河川局次    長       曾田  忠君    建設省道路局長 佐藤 寛政君    建設省住宅局長 稗田  治君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   参考人    首都高速道路公    団理事長    神崎 丈二君    首都高速道路公    団理事     美馬 郁夫君    首都高速道路公    団理事     藤本勝満露君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○首都高速道路公団法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (昭和三十五年度建設省関係予算に  関する件)   ―――――――――――――
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  初めに参考人出席についてお諮りいたします。  首都高速道路公団法の一部を改正する法律案審査関連して、首都高速道路公団理事長神崎丈二君、理事美馬郁夫君、理事藤本勝満露君を参考人として出席要求することにいたしたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。   ―――――――――――――
  4. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは本日の議事に入ります。  まず大臣予算分科会の方に参っておりますから、本日はこれから首都高速道路公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては去る二月十六日提案理由説明を聴取しておりますので、本日はただちに質疑に入りたいと存じます。御質疑の方は順次御発言を願います。
  5. 田中一

    田中一君 参考人の方、前へ出て下さい、話が遠いから。  美馬理事出席されているから美馬さんに最初伺いますが、この三十八条の二という条文を、この国会で改正しなければならぬというまでの経緯ですね、それから道路公団法あるいは住宅公団法、その他関係政府機関に準ずる機関の法人の前例と申しますか、そういうものと考え合わせてどういう経緯でこれを今まで入れなかったか、あるいはどうしてこれを入れなければならないか、そうして入れなければならぬという当面の、現在の客観的な情勢というものはどうなっているのかという点について伺っておきたい。これはあなたがもともと建設省におった時分にこの法律案提案して、当面の責任者だから一番詳しく知っていると思いますから伺っておきます。
  6. 美馬郁夫

    参考人美馬郁夫君) 私は現在では公団の方の立場に参っておりまして、ただいま田中先生お話は、公団法制定当時のいきさつについての御質問かと思いますから、法律制定当時のことについて私の知っている範囲内のことを申し上げます。  実は公団債政府保証条項につきましては、当時法律制定するときにおきまして、建設省としては各種公団がひとしく前例として入っておる条項でございまして、首部高速道路公団につきましてもこの条項はぜひ入れてもらいたいというふうな立場で、関係各省折衝しておったのでありますが、御承知のように、公団法制定が、相当最後段階に至りまして、予算的にきまったようないきさつもありまして、率直に申しますと、予算的な事務的な折衝が間に合わなかったというふうなことがほんとうの事情でございまして、そのときにも関係各省との話し合いの間では、発足当時においては、現実の問題として事務的にもなかなか間に合わなかったし、それから現実に三十四年度は公団の初年度であるから、現実問題として予算予定されておる公団債発行も、なかなか見通しとしては困難な状態になるのではないか、あるいは発行必要性が具体的にはなかなかむずかしいんじゃないかというふうな、いろんな見通しがありまして、そのかわりに必ず次の時期にはそういうふうに進めましょうというふうないきさつで、公団法政府保証条項は入らなかったというふうな次第でございまして、そういうふうないきさつであの公団法ができたのでありますが、現実にはこれは各種公団、公庫とも入っておる状況でございますので、首都公団としてもぜひ入れていただきたいというのが当時の建設省立場でもありましたし、また現在の公団も、もう今年度におきましては、そういう必要が出て参っておりますから、これはぜひともお願いいたしたい、こういうことでございます。
  7. 田中一

    田中一君 建設大臣、見えておりますから伺いますが、この政府保証条項を入れなければならぬという当面の問題は、どこのどのくらいの金額を対象として考えておるか、伺います。
  8. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 昭和三十五年度の予算におきまして、五十二億円の借入資金に関する債務保証考えております。
  9. 田中一

    田中一君 相手はどこを考えておるんです。
  10. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 民間資金等考えておるわけです。
  11. 田中一

    田中一君 世界銀行の、いわゆる外債等考えておらないんですか。これは大臣でなく局長でいいですが……。
  12. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) 首都高速道路公団につきましては考えておりません。
  13. 田中一

    田中一君 もう少し具体的に、たとえば生命保険会社シンジケート団に頼むとか、あるいは市中銀行にどうするというような具体的な構想があるはずです。むろんこの当面にはそうした資金が要ることはわかりますから、それをもう少し具体的に御説明願いたいと思うのです。
  14. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) 首部高速道路公団予定いたしております民間資金五十二億円は、公募によって調達する計画になっております。これは先ほど他の公団の例もございましたが、住宅公団あるいは道路公団等におきましても同様でございますが、政府保証しないと、証券業者だけしかこの資金を集めることができないのでございますが、今回の政府保証をいたしますことによりて、市中銀行なり金融機関法律公募を引き受けることができることになりますので 資金の調達が非常に安易になる。従って各種公団におきましても、市中の大銀行お話のように一括してまとまった資金を借りるような方法をとっておるのが、現在の実態でございます。
  15. 田中一

    田中一君 額面売出価格、利率、償還年限等詳細に一つ説明願います。
  16. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) 首都高速道路公団債券発行条件でございますが、これは大体道路債券なり、住宅債券と同様の見込みでございます。発行価格額面百円につきまして九十八円七十五銭、こういう予定でございまして、期限は七年、うち二年間の据置でございます。年利は七分ということでございますが、手数料等差っ引きますと、発行者利回りにおきましては年七分五厘二毛、応募者利回りが七分三厘一毛、これが各種公団債券発行条件、こういうことに予定されております。
  17. 田中一

    田中一君 総額は七十何億ですか。
  18. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) 三十五年度におきましては、五十二億円を予定されて予算総則に計上されております。
  19. 田中一

    田中一君 そこでこれらの資金を、現在首都高速道路公団が着工中のもの、あるいはこれから三十五年度に着工しようというものに、どういう程度までこれが使われて、その三十五年度で仕事をしようという仕事の面で、この五十二億を投入して建設するものの完成日とか、それから使用されるものの内容というものが、次年度に計画しておるものの川地買収とか、あるいは補償等に使うのがどのくらいあって、あるいは今の一号線ならば一号線を完成するには、これで十分足りるとかいうような具体的な実施計画を、一つこれは神崎理事長からお示し願いたいと思います。
  20. 神崎丈二

    参考人神崎丈二君) 今、田中さんの御質問に対して私はなはだ不なれだから、十分意を尽くさないかとも存じますが、知っている限りのことを申し上げたいと思います。  大体三十五年度に当公団予定いたしておりまする実施計画は、高速道路約八十二億円、駐車場九億円、関連街路分担金十二億円という事業費を見込んでおるわけでございます。実際の現実仕事といたしましては、高速道路においては一号線について主力を尽くしたいと考えております。一号線は大体汐留駅を中心にして以北以南、言いかえれば羽田に向かって、また一方は上町の方に向かって事業を進めていきたいと考えております。この一号線の事業費としては六十九億ばかりを考えております。それから二号線については、これは今なかなか地元反対がきつくて、はっきりした実施見通しはないのでございます。ただいま地区協議会等を通じて、二号線の地元の方と十分御了解を得たいと思っておりまするが、万一そういう了解ができましたれば、これも着工してみたいと思います。これは主として大崎方面土地買収に着手いたしたいと考えおります。大体四億円程度この方面に見込んでいるわけであります。それから駐車場でありまするが、これはすでに三十四年度から汐留の駐下場に着手して、これを引き続き三十五年度に完成したい。三十四年度はそのうちの二億ばかりを見込んで、これは十億の予定でありますが、あと八億を三十五年度につぎ込んで、これを完成いたしたい、こう思っております。それから駐車場をもう一つ、江戸橋という所に予定されておりまするが、これは三十五年度においては高架線の足になる程度仕事をいたしたい。大体一億ばかりを見込んでおります。そのほか三十五年度の仕事といたしましては、わずかばかりではありまするが、一、二カ所、たとえば東京駅の前の八重州口の部分について多少着工してみたい。それからまた今の国立劇場予定地の付近、三号線の分岐点になりますか、あの点にも手をつけてみたいと考えております。  大体以上が三十五年度の当公団のもくろんでいるところであります。
  21. 田中一

    田中一君 一号線の埋め立てをしなければならぬ地区補償の問題とか、ノリの補償の問題とか、それからその他陸地買収等は全部完全に済んでおりますか。
  22. 神崎丈二

    参考人神崎丈二君) その面については東京都の方でやっていただいているわけなんであります。埋め立てという仕事東京都の仕事でありまするから、むしろ当公団としてはその仕事東京都になるべく早くということを懇請している段階でございます。
  23. 田中一

    田中一君 そうすると羽田を起点として汐留を経由し上野にいく一号線というものは、海中部分埋め立て工事東京都が自分の資金で行なう。その上に道路を建造することだけが道路公団の役目、こういうように理解していいですか。
  24. 神崎丈二

    参考人神崎丈二君) その通りでございます。
  25. 田中一

    田中一君 海中部分から陸地へ続く海面ですね、これは東京都は埋め立てを全部してしまうという計画になっておるんですか。
  26. 神崎丈二

    参考人神崎丈二君) この点について藤本理事からお答えをさせたいと思います。
  27. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) ただいまの田中先生の御質問の中で、一号線の関係埋め立ての問題と、それから放射十八号の道路上の問題についての二点についての御質問だと承っております。そして羽田寄り海津線関係、そのうちの埋め立ての問題、この点は、まさしくただいま神埼理下長からお話し申し上げましたように、この点につきましては、東京都、ことにその中で港湾月経済局、こういう所が中心になりまして、そことの交渉といいますか、折衝過程におきまして、この埋め立て問題の処理、並びにその地域のあるいは負担の関係、あるいは地元補償関係、こういうような関係につきまして、いろいろ要請もしお願いもしてこれの促進をはかり、その上に音速道路建設するという基本計画の線に基づいた仕事を現在進めております。  なお、これにつながると言いましょうか、いわゆる環状の方につきましても同様でございます。純然とした陸上の現在の道路放射十八号線の関連街路を広げて、その中央にやはり高速道路を作る、この仕事の面につきましては、現在すでに浜離宮の所から東品川の四丁目までは、関連街路仕事としては、公団東京都の仕事の委託を受けております。従って、その間の仕事補償関係、あるいはまた築造の関係、こういうようなものは、公団自体高速道路を作る問題とともに、現存設計もし、調査もし、測量もしております。この測量調査につきましては、お話のように、地元との了解港区内の分だけについてはすでについておりますので、現在のところは港区内の分について調査測量あるいは設計、こういうようなものについて着々仕事を進めておる。こういう段階でございます。
  28. 田中一

    田中一君 今、理事長から、二号線は反対があるけれども大崎方面土地買収を行ないたいという発言がありましたが、発言というか説明があったのですが、この状況はどういう工合に進捗しておりますか。
  29. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 二号線の関係につきましても、ただいま理事長からお話がありましたように、実は線形構造、それに関連いたしまして補償、この三つの問題が大きな要素の要件になるわけでございますが、現在においてはいわゆる線形構造といいましょうか、計画面の点について、特に古川河川上の部面、さらに地域的に見ますならば、天現寺から河口に至る間についての、いわゆる港区関係について問題があり、反対運動があるわけであります。さらに端的に言いますならば、河川の上を通るという高架の方式地下方式でしたらどうだ、こういうようなことについて、地元の強い意見があり、この問題については東京都を中心といたしまして、地元協議会を持ちわれわれも参画いたしまして、その協議の進行をはかっておるわけであります。  従いまして、先ほど神崎理事長から申し上げました予算消化の現在の見通しにつきましては、少なくとも港区でない品川区の方、大崎方面、省線のガードから星製薬の方に向かって環状六号線との間等につきましては、比較的そういうような問題がすでに補償の問題に入り得る状況と観察いたしますので、来年度においては地元との話をつけて、そういう所から進み、なお古川河川上についてはその基本計画との関連もありますし、    〔委員長退席理事稲浦鹿藏君着席〕 地下道案というものについての検討を進め、そうして地元との話し合いをつけた上で、来年度少なくとも中ごろ以降において着手したいことを公団としては希望しておる、かような状態でございます。
  30. 田中一

    田中一君 大臣、向こうへ行くそうですね。一つだけ大臣に聞いておきまして、総括質問に入っていただきたいと思います。  最近の法律提案方法、これはあなた直接責任者じゃないけれども、どうもこういうような不十分な法律を、まあ功を急ぐというわけではないでしょうけれども、出されて直ちに改正案を出すというような傾向がほかにもあるのです。これはむろん人間社会の問題ですから朝令暮改もまたやむを得ません。得ませんが少なくとも、不十分な法律を出すということは、これはやっぱり国民に対して済まぬことなんです。内容の不十分さというものは、社会情勢客観情勢によっていろいろ変化があると思いますけれども、こうした不可欠の条文というものが抜けているなんということは、これはもうあり得ないことなんです。初めから国家資金並びに東京都の出資だけで、これらの一号から八号に続くところの大きな高速道路計画というものが完成せられないことは明らかなんです。そうして数々の先例があるにかかわらず、昨年の通常国会ぎりぎり通り、直ちにまたこれを提案されるというようなことは、これはやはり建設省責任であろう。同時にまた岸内閣の未熟さと申しますか、そうしたものが露呈したものと考えております。従って、この際、この内評については、当然そういう計画のもとに進められておる工事でありますから、これに対する態度というものよりも、今ここでわかり切っている問題をあらためて出さなければならぬということは、これは建設大臣としても反省しなければならぬと思うのです。今後このような形の未熟な法律を出されることには、われわれにとってもはなはだ不満でございます。でありますからこの法律改正案が出たということについて、今後こういうような十分でない法律を急いでお出しになるというようなことのないように、一つ大臣のお考え方、決意というものを伺っておきたいと思う。
  31. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは田中委員指摘通り、こういうことはすでに高速自動車道法案制定の際にわかっておったはずだと思います。私、この法案審議の際にはあまりタッチしていなかったのですが、しかし、まあ予算の方が先にできてしまって、それで法案の方があとになって急がれたというようなことがあって、それで不備な、当然入れるべきものを入れてなかったということは、私もあなたと同じ考えであります。従いまして、今後この問題ばかりでなくて、あらゆる法案を提出する際には、こんな程度の簡単な――簡単ではあるけれども、しかし、非常に法案としては生命になっておるくらいに重要なものであります。そういうものを落とさないようなことに、今後は十分注意して参りたいと思いますので何とぞ御了承願います。
  32. 田中一

    田中一君 それではここで参考人の方も今、川上君の質問が三十分あるそうですから、済んでから……。
  33. 稲浦鹿藏

    理事稲浦鹿藏君) それでは、本案についての審議は一応この程度にいたします。   ―――――――――――――
  34. 稲浦鹿藏

    理事稲浦鹿藏君) 大臣が、十一時三十分から予算委員会出席予定になっております。その同前回の総括質問を続けていきたいと思います。
  35. 田上松衞

    田上松衞君 大臣に対してお聞きしたいことがたくさんありまして、この前からずいぶん呼んでいたわけなんですが、いつもこういうことでまことに遺憾だと思います。わずかな時間しかいただけないものですから、きわめて問題をしぼりまして要点だけ申し上げます。従って言いたりない点があるだろうけれども、十分そこは御察知の上でお答えいただきたいと思います。  まずこの前に引き続きまして、土地取得に関するものの中で、土地の最近の価格の値上りについての御見解、同時にこれらについての対策についてのお考えを伺いたいと思います。消息通の調べといいますか報道等によりますると、最近におきまする値上がり状態は、大体六カ月ごとに六大市の場合で一四%ふえるという数字を出しているようです。全国的にも二二%くらいをこえておる。ただし私どもこれを考えると、こんなことは、宅として集めた資料というものは、たとえば課税額等によったものではないか、実際の姿というものはそういう程度ではない。事実上の取引というものははるかに上回っているものがあるだろうということは想像にかたくないと思います。認識を強めるためにほんのわずか申し添えておきまするならば、たとえば最近におきまするところの株式の動きの上にもよくこれが見取れると思うわけなんです。すなわち、その土地含みの多い銘柄の飛躍的な株の値上がりというもの、これは最近特に目立ってきたということなんです。まあ要点だけ申し上げますけれども、特にこの場合建設省仕事等関連する問題がありまする点を一、二点申し上げますならば、たとえば星製薬のことを考えてみると、御承知通り星製薬は、会社そのものは長期の負債をかかえてしまっておる関係から、開店休業という形を示しておるのは世間がわかっておる通りなんです。それであるにもかかわらず何かしら五反田の駅前の所有地都市計画買収になりそうだということで、もしこれが実現するということになれば負債も消えるという期待が強くなったことのために、東京証券取引所の高値売りになってしまったということも聞いておるわけです。あるいは片倉工業の株もやはりこういうようなことが言えるので、非常に高価になってしまった。小西六の場合でも、都市計画関係土地の売却が、これは表面には出なかったでしょうけれども、とにかくこのうわさで上がったために非常な高値を呼んでしまったという事実があります。ちょっと外に行って見ましても、関係がないようではあるけれども見のがすことのできない問題では、西武鉄道値上がりがあります。四億以上と言われておる土地を持っておるということで、こういうことのために西武鉄道の株が非常な値上がりを示しておる、これも事実である。さらには後楽園だってその通りです。四十億だとかあすこの土地が評価されておるという関係からそうなっておる。いずれにいたしましても、こういう問題はたくさん実例を調べておるわけなんですけれども、こういうような状態はまさにもうウナギのぼりなんという度合をこしまして、場所によってはコイのぼりの姿を呈しておるということなんです。そこで、こういう状態の中で、政府みずからが使った、あるいは別世帯でありましても、公団等が必要とするところの用地取得に対して相当にこれは考うべき問題があるということを痛感しておるわけなんですが、こういうことに対しての御見解及びその対策を、一応基本的なものをお聞きしておきたいと思います。
  36. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいま御指摘のように、特に部会地において土地が法外に値上がりを来たして参りました点については、いろいろと原因があると思いますが、私はその中でも一番大きな問題にすべきことは、やはり住宅難を解消するための土地の造成、取得ということに大きく響いておるだろうと思います。従いまして、建設省におきましては、住宅公団等住宅建設にあたりましては、できる限り高層不燃化住宅に置きかえなければ、必要以上の広範な土地を必要とすることになりますので、そういう点も考えなければならないと思いますが、ともかくも、そのまた半面に、私どもとしては、できる限り交通あるいは通信その他の連絡を解決をいたしまして、首都圏考えておりますような、いわゆる人口の集中排除というようなこともあわせて計画をもちまして、できる限り、これらの土地値上がりを防止いたしたいと思っております。その一環として、これは議員立法で今問題になっておりますけれども東京湾埋め立て等も、やはりこれらが何らかの形で実現いたしますならば、東京都内における上地値上がり等も相当緩和されるのじゃないか、かように思っておりますが、しかしこれはこれといたしまして、ともかくも、首都圏等考えておる、できる限り勤労者の便益のために交通通信機関等を整備いたしまして、住居の新築増築等をどうしても広く求めていくということが第一要素であろうと、かように思っておる次第であります。
  37. 田上松衞

    田上松衞君 時間の関係から、まあ具体的な構想をお聞きすることができませんけれども、いずれこの問題については、機会を得てあらためてお伺いしたいと思います。  それに関連いたしまして、今回新設されようとするところの公共用地取得制度調査会ですか、これについての内容をきわめて大まかでけっこうですから要点だけをお示しいただきたいと思います。
  38. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 今日でも土地收用法というものがありますから、これを十分に適用すれば現在公共用地取得に対しての不安は除かれると思いますけれども、何と申しましても、私どもの感覚から申しますならば、田中先生あたりから相当おしかりを受けるかもしれませんが、できる限り私は協議して円満に、そうして最後収用法等の伝家の宝刀を抜くというような工合に持っていくのが妥当じゃないかということを考えて参りますと、少なくとも最後土地の収得できるまでには約二百日くらいは時間を要します。また、はなはだしい所はもう少し長年月を要することになります。これでは、実際に災害等の緊急非常事態の場合には直ちに、値段はあとで公正な委員会等できめることができますが、一応その土地だけは収用することができておりますから、そういう災中等の場合にはこれは適切な措置ができるのでありますけれども、しかし、通常の場合はそういうわけにもいかない。しかし、今日の交通あるいはその他の重要度というものは、毎日のように非常に犠牲軒が出ておるということから考えますと、たとえば交通だけをとりましてもこれはやはり緊急な事態じゃないか。しかしながらそれが今日の土地收用法では適用することができないのであります。従いまして、公共用地取得委員会に諮って、そこらで一つ常識的な早く土地を利用できるような方途をお考え願って、そうして私ども学識経験者等の御意見を尊重して法文化したい、かような気持をもちましていささかの予算を計上いたしておる次第でございます。
  39. 田上松衞

    田上松衞君 大体御趣旨の点はよくわかるのですが、ただお聞きしておきたいことは、これらの構成メンバーですが、及び今お伺いしたのでは、何か一つの諮問機関みたいな感じがするのですが、これはどの程度の権限を持っておるのか、その点について。
  40. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) ただいま公共川地取得制度調査会の、これについて審議会の構成員は、委員十五名、学識経験者をもって組織しよう、こういう考え方でございます。大臣からお話のような線で土地收用法の内応につきましての検討をお願いする、こういう考えを持っております。
  41. 田上松衞

    田上松衞君 権限の問題はどうなんですか、あくまであれですか。それからもう一つは学識経験者だけですか、十五名というのは。
  42. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) 権限は、建設省の設置法でお願いをしておりますように建設大臣の諮問機関でございます。従って、収用法等の改正についての諮問をいたしまして、そのうち緊急なものは早く結論を出していただく、こういうことでございます。委員の構成は、学識経験者と申し上げましたのは、あるいは審議関係あるいは川地の補償関係、あるいは学者というふうな方面の方々を広く学識経験者と、こう申し上げたのでございます。
  43. 田上松衞

    田上松衞君 特にお聞きしておきたいことは、いろいろのうわさがあるのですが、この問題は例の農地調整関係も含んでいるのか。言いかえるならば農地改革に原因するところの地主連盟ですか、地主同盟ですか、ああいうふうな団体との何か関係、そういうものは絶対にないことになるのかどうか。
  44. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいまの御指摘になられましたような団体、あるいはその他のそういうそれに似た団体とも全く無関係でありまして、何らの関係を持つものではありません。
  45. 田上松衞

    田上松衞君 この問題も詳細については後日お聞きすることにいたします。時間の関係で、次には古都圏のいわゆる衛星都市の造成についてであります。このことについての見解をお聞きしたいのです。と申し上げますることは、現に造成されているところの衛星都市は、私どもから見ると全く東京の都民の単なるベッド・タウン化してしまっているという感じがするわけです。たとえば多摩平の分譲地等を考えてみても、これは工場と住宅を直結せしめるところの衛星都市とする構想だったはずだ、そう考えているのですが、実際には工場誘致の方は、まあ反対されたのかどうか知りませんが、現在はてんでそういうようなことは入らずして、完全に東京のベッド・タウン化してしまっている現状はいなめないわけです。このために工場への通勤関係、こんなものはもういよいよますます不便と困難を感じている状態であります。こういうようなことでは首都圏衛星都市造成の本来の目的等がゆがめられてしまっているのじゃないか。こういうことに対しての御見解及びいかにこれに対処されるかという点を、率直にこれはお伺いしておきたいと思います。
  46. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 首都圏のただいま田上先生の御指摘になりました点は、私どももやはり同様な感じを受けているものであります。しかし何と申しましても非常に広範にわたり、しかも非常に微妙な点もありますので、私からお答え申し上げるよりも、事務当局の詳細にわたる説明の方が至当適当かと思いますので、事務当局からお答えいたさせます。
  47. 田上松衞

    田上松衞君 それじやついでにこのことを、一応時間がどんどん過ぎてしまいますから端折りますが、これとまた切り離すことのできないもう一つの問題、衛生都市開発の対策といいますか、これに対しては住宅公団の宅地開発だけ表面に出ておりまして、他には見るべきものがない。しかも大所高所に立っての対策がないことのために、いろいろな思わないところの紛争等が発生のおそれを多分に見せつけられているわけなんであります。例を一つ引いてみましても多摩平の方だと思いますが、聞いているのでありますが、この団地の中に学校を建てる、ところがその団地の中に建てた学校において、付近にあった以前からの住居しておった家庭の児童を一応は収容しておったはずでしょう。ところが最近、団地内の学童の増加のために、これらの団地外の学童を追い出さなければならぬというような羽目になってしまった。一方、追い出されてしまったところの学童たちは、以前の地元の学校にはもう復帰できないというような事情等が発生している。このことのために両者が反目を深めてしまっておるという事実が耳に入ってくるのですが、こういうようなこと等は相当考えなければならぬ問題だと思うのです。  もう一点お聞きしておくならば、多数の入居者をもっておるところの団地に、たとえば産婦人科の病院ないしは産院、こういう施設すら考慮されていない所がたくさんある。一体国民感情からいうと、ああいう団地に入った場合には、子供は生むべからずという一つの制約を受けておるのかという感じすらさせられるくらい。まあこういう問題については、いろいろ団地を造成する計画の前にいろいろな事情等があって、たとえば付近にいたところのきわめて小さな医院等を利用せしめるという条件的なものが生まれておってみたり、いろいろそういうようなものがあるだろうということは一応察知するわけですけれども、しかしそういうようなことをもって、まあ団地の入居者に永久に不便等の犠牲を押しつけておるというようなことでは、これはあまりにも無策だと考えざるを得ないのですが、こういうことは、ただ婦人科とか産院だとか、そういうようなものでなくして、たくさんこれに類似するいろいろな問題があるわけです。要点は、こういうような衛星都市開発の対策として、もう少し大きな目で見る必要があるのじゃないかということを考えるが、これについての、まあ大臣構想対策、そういうようなものを一応お聞かせ願いたい。
  48. 樺山俊夫

    政府委員(樺山俊夫君) 首都圏関係の衛星都市の開発の問題の御質問がございましたが、ただいまの例でおあげになりました多摩平その他の問題につきましては、首都圏といたしまして、市外地開発区域として開発しておる区域ではないのでございまして、お説の通り首都圏といたしまして開発しております市外地開発区域、いわゆる衛星都市は、ベッド・タウンとしての衛星都市を開発するという趣旨ではございませんで、たとえば神奈川県の相模原に衛星都市を開発をいたしておりますが、これはまず工場を導入をいたしまして、その工場に伴いました各種の計画を作りまして、ベッド・タウンでない、新しい、工場を中心といたしました衛生都市を作る、こういう構想で進めておるわけでございまして、相模原以外にも数カ所そういった工場を中心といたしました衛生都市の開発をいたしておるのでございます。ただいま御質問になりました問題につきましては、住宅局の関係住宅団地の開発のように承っておりますので、そちらの方から一つ御答弁をいただきたいと思います。
  49. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいま団地の共同施設等が非常に不足しているという点につきましては、私もその感を同じうするものでありますが、ともかくも学校あるいは店舗、病院等につきましては、必ずしも十分でないということは言い得ると思います。従いまして、三十五年度の予算におきましては、学校四千坪、店舗等共同施設を四千坪、あわせて八千坪の措置をいたしておるのでありまするが、これだけでも必ずしも私は十分とは思われませんので、今後努力いたしましてこれらの問題を解決して参りたいと思っている次第でございます。
  50. 田上松衞

    田上松衞君 この問題についてもたくさん意見がございますけれども、これまた時間の関係で後日に譲ります。  次は災害予防対策について一点お聞きしておきたいと思います。国だけでなくて、地方公共団体の場合も、災害予防体制が非常に不完備ないしは不統一、こういうことのために、緊急を要する災害防止の活動に大きな欠陥、支障を来たしているということはいなめないと考えるわけなんです。聞くところによると政府は最近、仮称ですか、災害防止の基本法の構想がまとまって、それで成案を急いでおられる、これができたら自民党の政調会の了承を得た上で、早目に国会に出したいという方針であるとかいうことが入ってくるわけですが、こういうようなことは、はたして事実であるのか、もし事実であるならば、大まかにその内容がどういうようなものであるか、骨だけでけっこうです。
  51. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 昨年の臨時国会におきまして、岸総理の構想としても、災害防止の基本法というようなものを提案したいということであったのであります。その後、総理府におきまして各省の係官を集めて、これが対策を練っておる次第であります。そして災害の際には、直ちにその災害の対策に従事する者が適当な措置をとれるような方法等を、総理大臣を会長として、そういうような組織を作るというので目下研究いたしておりますが、先般の予算委員会におきましても、この成案ができれば本国会提案したいということを申しておる次第であります。目下各関係省を集めて協議をいたしておるところでございます。
  52. 田上松衞

    田上松衞君 いずれこの問題もあとで……、たくさん意見がございますのでこれも保留しておきます。  時間がきてしまったのですが、こういう短い時間の中で非常に無理かと思う点ですけれども、ことに大臣お急ぎになっているので、突拍子もないような話になりますけれども、これは考え方として一応お伺いしておきたい。これは交通政策に関する問題、むしろこういう問題は、総理大臣でなくてはいけないかもしれませんけれども国務大臣立場として、御所見だけをお聞きしておきたいのですが、大体、今までどの政党でも、あるいはどの内閣でも、いまだかつて交通政策というものを持ち合わせていたためしがない。すなわち、たとえば道路にしても、鉄道にしても、飛行機にしても、ないしは港湾、船舶、こういうものに至りましては、それはまあすべて個々別々に分離されて独立してしまったところの、何のことはない、単なる交通行政にすぎない問題だ、そこに大きな支障が生れてくるのじゃないか、こう考えるわけです。そのことのためには、交通及び交通機関の全般的な機能を有効かつ有機的に、非常に表現がまずいけれども、気持だけとっていただきたいと思うのですが、こういうものに非常に遺憾な点があるわけであります。そこで考えられる点は、本格的な一つ交通政策を確立していただいて、その政策のもとでいろいろな行政が行なわれるということになってくるならば、たとえば羽田の空港の問題、こういうものを一体どうするか。あの空港と結ぶところの鉄道やあるいは道路やあるいは港湾関係、そういうようなものはどうすべきかという大きな問題が検討され、考案されなければならなくなってくるのじゃないか。私ども、はたから見ておりますと、まるであのそばの港湾どころの問題じゃない、ノリ業者に対する問題ですら、てんで手がつけられていないというような醜態をさらしておるのです。こういうようなことを考え、さらにまあたとえばどこそこの港湾は一体何の目的のためにウエートをかけなければならぬのか。この場合において、鉄道、道路はどのような任務と規模を必要とするかというようなこと、地下道と海運との関係はどうあるべきか、あるいは国土開発のためにする海陸の運送連係等はどうするかとか、そういうことまでやっぱり私は考えていかないといかな。繰り返すようですけれども、今までの状態ではただ作られた一つの行政の範囲であったわけですから、いろいろな制約等を受けましてろくなものはでき上がっていない。よけいなことを申すようですが、今申し上げるようなことからも考えてみますると、たとえば将来大きな問題になってきまするところの国土開発の縦貫道路、自動車道ですか、及び私どもが推進しておりまするところの東海道第二国道等の問題、こういうような処理の方法も、おのずからみんながわかって納得していくような方策が立てられるはずです。こういう一つの大きな交通行政、それから交通政策というものがないところに、大きなこういう問題をはらんでしまうのじゃないか、こう考えるわけですが、大臣の所見をこの機会にお聞きしたいと思います。
  53. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 交通政策につきまして、個々の問題を取り上げてみますと、田上先生の御指摘のような面もあるかと思いますが、しかし基本的には、ただいま御指摘になりましたいわゆる東海道路線、あるいは中央縦貫自動車道路というような問題につきましても、私どもははっきりとこれを区分いたしまして、これはこういう事情によってどうしても不可欠なものである。また、これはこういう資源開発あるいは人口の集中排除等を考慮すれば、これもまた大いに必要である。しかし、そのいずれかをやることによっていずれかを犠牲にするというようなことはこれは私ども考えておりませんし、またこれらの大局的な交通政策につきましては、御承知のように、交通関係閣僚懇談会を開きまして、これによって基本的なものをきめて参っておる次第であります。しかし、と申しましても、非常に複雑な交通関係のことでありますから、個々の問題につきましては、御指摘のような不備が多々あることと思います。十分注意いたしまして、この交通関係閣僚懇談会を高度に私は生かしてそうしてこれらの問題を逐次解決いたしたいと、かように思っておる次第であります。
  54. 稲浦鹿藏

    理事稲浦鹿藏君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  55. 稲浦鹿藏

    理事稲浦鹿藏君) では速記を起こして。
  56. 内村清次

    ○内村清次君 私たちも総括質問がありましてね。時間も忙しいと思いますけれども、やっぱり法律審議関係しますから、どうか一つ時間はうんと作って、総括質問がずっとスムースにいきまするように時間を作っていただきたい。その点はまた委員長にお願いしておきます。  実は、一昨日この委員会で問題になりました下筌ダムの問題、当時、建設大臣も言われましたように、社会党の議員団が調査に行ったということは知っておられたようだ。私たちももちろんこれは重大だと思って調査団を派遣したわけです。調査団の報告を聞いてみますると、筑後川の水系治水基本計画が下流の洪水調節を主目的とする場合に、この計画自体が最良なものであるかどうかということは検討を要するということが一点。それから建設省のダム建設計画の過程に、住民の基本的な生活権に対して一方的な進行をして、地元の住民の意見を聞いていない感があるということが二点。それから三点は法的不備な点が認められる。それから四として、当事者ともにこれは両方の当事者が多分に面子問題があって、もし当局側が強制測量実施すれば不測の事態を招くおそれがあるという、この四点が結論として報告されたわけです。  そこで、実は派遣いたしました動機というのは、今月の二十五日ないし二十七日ごろに、警官を約五百名ばかり動員をして強制測量をやるというようなその情報に従って、もしこうやったならば、現在の状況として住民が血の雨を降らさなくちゃならぬ。これはもう国土開発という面から一歩進行して社会問題化するという危険を認めて、実は私たちは調査団を派遣したわけです。そうして、一面その間において、先ほど結論に出ましたような建設省建設計画というものが、住民の納得のもとになされておるかどうかという点を十分調査しに参ったわけでございます。  そこで、私がきょうまあ緊急に質問いたしたいことは、大臣も一昨日の答弁の中には、決してこれは無理押しはしないというような発言もあったようでありまするが、この点はどういうふうにお考えであるか、これをまず明確にしておきたいことが第一点でございます。この点から一つ御答弁願いたい。
  57. 村上勇

    国務大臣村上勇君) まずただいまの御質問の第一点の、このダムの建設によって効果があるかということでございますが、これはもう十分効果を発揮することができることは、あらゆる角度から検討いたしまして、はっきり申されると思います。ともかくもこの下筌、松原の両ダムによって、筑後川沿線下流の福岡県、佐賀県あるいは大分県の一部等の沿線住民の生命財産というものは、これはもう保障、保護できるということでありますので、この点はもう私は議論の余地はないと思います。  それから地元住民の意見を聞かなければいけないのじゃないかという、お説の通りでございまして、少なくとも、たとえそれが公共の福祉のために私有財産を出していただくといたしましても、これは十分地元の方々の御納得を得た上で、適正な価格でこれを買い取るということは当然のことであります。しかしながら、この場合地元の住民の御意見を聞かなければならないのですが、絶対に面会謝絶、もちろん建設省の者だけではなく、たとえば熊本県知事の寺本氏、あるいはその他われわれの同僚代議士等も面会に参りましたが、今回社会党で現地調査に御出張願った方々は面会できたそうでございますが、しかしほとんどの、この問題に対しては何人とも面会しないという地元の方々の非常な強い、そのかまえと申しますかそういうようなことで、全くそこに住民の意見を聞いて説得のできなかったという原因がある次第であります。  それから第三点は、法的不備があったのじゃないかということでございますが、これは私どもとしては、まあ法的には不備はなかったと思います。――思いますでない、法的の不備はございませんが、しかしその木を一本切るとか何とかという場合、ほんとうは御本人に会って、たとえそれが法的には可能なものであっても、少なくとも徳義上先様にお目にかかって、こういうようなことでこの杉の木を切らしていただきますと御了解をいただくことは、これは私は常識的には当然なことであろうと思いますが、これもやはりそういう常識的な問題が十分はかられなかった点につきましても、面会謝絶ということの原因があったのじゃないかと思います。決してその地元の人たちだけの私は面会謝絶という原因だけに負わするということはどうかと思いますが、しかしそういう点で非常な意思の疏通を欠いておったと思うのであります。  それから警察官を五百名も出動云々ということでありますが、これは御承知のように、私はまだ実地を知らないのでありますが、新聞等の伝うるところによりますと、蜂の巣城とかいう地名をとって一つの、俗に申しますと、とりでを作って、もしも測量隊あるいは何かそこに建設省関係の者が測量でも強行しようとする際には、それに対してこういう二段、三段がまえの一つの防備を作るための、あるいはそれが暴力行為になるおそれがあるんじゃないかというようなことを、警察庁の方で心配した結果、そういうようなことのいわゆる治安維持のために、そういう措置をとる準備をされておったのじゃないかと思います。全くこの問題で、私どもは御指摘のように、これは単なる用地取得の問題、あるいは立ち入りの問題等で大きな社会問題を引き起しているということは、全くわれわれ自身好ましくないのでありまして、従いましてどこまでも血の雨を降らしてでも無理押しをするかということに御質問がかかっておるかと思いますが、無理押しはしたくはない、こう私はお答え申し上げたいと思います。しかしながら、私どもとしては、それではあの地点、筑後川の治水対策というものを断念するのか、こう反問されますと、私は絶対に断念しない、どうしてもこれはやらなければならない。と申しますことは、二十八年の大災害の際に、御承知通り何百人という千人に近い人命を犠牲にし、しかもあれだけの大災害によって非常に大きな犠牲をこうむっております。しかし私どもはいろいろと筑後川の治水、水防災害対策というものはいかにすればいいか、ということをあらゆる角度から検討いたしまして、できる限りその犠牲を少なくして、この対策を樹立しなければならないというので十分検討した結果が、結局まことにお気の毒でありますけれども、こういう地点を選ばなければならないということになった次第であります。一説には大山川だけでなくて玖珠川の方もダム・サイトを作ったらいいじゃないかという、これはもう両方に作ることはほんとうに技術上から申しましても、また治水上から申しましても非常に都合がいい、有効でありますけれども、どうしても玖珠川の方にはダム・サイトとしての適当な地点がない、地質が非常によくないということで、そういういろいろな観点から松原、下筌のこの大山川水系の方にダムを設けることになった次第であります。御承知の松原ダムは大分県地内にありまして、これは相当反対がありましたけれども、まあ下流の多くの何十万という人の生命財産ということから考えれば、まあわれわれ政府の、一部犠牲になることもやむを得ないであろうというような非常な大乗的な見地に立っていただきまして、これはどうにか話がまとまったのであります。下筌の方はどうしてもそれを聞き入れない、聞き入れないばかりでなくて面会することもできないということになっておりまして、今日では松原ダムの関係者も、もしも下筌で、下筌ダムは反対するからやらないというのなら、われわれも反対してやらせないようにしたいという声も、巷間伝わっておる次第であります。私どもこの問題については、筑後川の治水対策について非常に留意いたしておるのでありますが、何とかして、幸いに先般社会党の現地視察団の方々も現地を十分御視察なさったようでありますし、あらゆる人の力を借りて、そして円満な解決を念願いたしておるような次第であります。ただ、無理押しをしないでやめるのかということでありますならば、これはどうしてもその沿線の人たちの生命財産を守るために私はやめるわけにはいかないですと、こうお答えする以外ない次第であります。
  58. 内村清次

    ○内村清次君 そこで大臣の御答弁の中の第一点につきましては、筑後川水系の治水基本計画について一体どうかという検討は、これは今後私たちもこの国会を通じて十分この下筌の問題も含めまして検討していきたい。で、私もまたこれは政府の都合でどうもあまり進行いたしませんけれども、九州総合開発審議会の委員でもありますし、そこでもやはり両県知事も委員としてなっておることですからして、これは基本的な問題として十分検討いたしていきます。で、これがもう最良なものだと大臣は言っておられますけれども、私たちが検討した点につきましても、また調査団の報告によりましても、まだまだ手抜かりの点がありゃしないか、また、用地的にも良好な点がありゃしないか、また砂防の関係でも、あの付近はダムは、無理やりに作らぬでもいいのじゃないかというような考え方も持っておりますし、また私たちの党の九州開発審議会の委員の中にも、これは佐賀県も福岡県も大分県も含めての委員の構成をやっておりまするからして、十分と検討いたしまして、国会を通じて、この点は十分検討していきたいと思うのです。  それから第二の点につきましては、先ほど言われましたけれども、一方的に当局がこの建設計画をやっていった、そしてその生活権を侵害するようなことをやっていったということは、これは事実として明確になっておるのです。先ほど大臣も、杉一本切るのでも、個人の財産であるから、これは十分一つ注意をして、あるいは了解を得てやるべきだという御説は、これはごもっともです。ところが、最初のあの蜂の巣城に立てこもります動機といたしましては、建設省の方でこれは無断で、全く無断で杉の木のあの用材を二千本も切り払ったというような話がある。しかも昨年の暮でしたか、熊本県知事からの土地収用法に基づくところの測量調査の許可書を持って、そしてもう土建屋が来て、どんどんと一方的にやっていくというようなことをやるから、刺激をして、法は、法をもってやっていかなければならぬということが、この住民のああやって立てこもった状況ですから、この点をまた今後国会において明らかにしていきたいと思うのです。  それから、第三点の問題につきましては、先ほど、前回は謝絶をしておる。もちろんそういった不法行為がたび重なっておりますから、前回は謝絶をしておるのです。ところが、地建から出しておりますところの、これは建設省の方に出したのだと思いますが、事業認定申請書というものを出しておる。ところが、この事業認定申請書に対しまして、一月の十八日に、この説明会を開くというところで、その調査事務所長の野島という人が出席するというようなことを言って、その所長は出席しておらない。そうしてその説明会に、これはまあ事務関係の人でしょう、行って、意見も何にも聞かずに帰っておる点が第一点。それから地建局長の上ノ土という局長は、これは一回も、あそこに行っておらぬ、一回も行っておらぬ、面会も求めておらぬ。こういったやはり地建の感情的な態度によって、ますます硬化しておる事実が明らかです。それだから、もう今後は建設省の役人とは一切面会しないという態度を決定しておるのです。だから、これはやはり住民ばかりが面会を謝絶して、そして抵抗しておるという事態でなくして、やはり地建の方においても、十分これは手抜かりがあるということは、これは事実明らかです。  そこで私の緊急の要点と申しまするのは、実は私は昨日帰りましてNHKを見ておりましたところが、NHKのテレビに出て参りまして、これは地元では相当な問題になっておりますので、上ノ土局長が記者会見をやって、二十七日ですか、今月じゅうの強制測量というものはしばらく延期する。が、しかし三月に入ったならば、これは当然やるというような記者団発表をやっておるところを私は事実見てきておるのですね。そこで私としては、大臣といたしましてはあのダムはやろうと、これは今答弁されることは当然です。というのは、私は予算書を見ております。予算書には、本年度三億八千万円余の予算を組んでおられる。これはもう建設大臣としては、そういった答弁をされることは当然と思いますけれども、とにかく三月に入ったならば、また強制測量をやるというようなことを地建の局長が言っておる現在でありまするからしてこれはやはり国会で十分に審議した上で測量をやるというような態度でないと、あの態度では、わずか十日かそこいら延ばしただけでは、私はこの問題は解決しないと思う。そこを心配するがゆえに、きょうは時間がないから、これくらいにとどめておきますけれども一つ強制測量というものは、大臣が納得する時期において、いろいろな方法もありましょうからして、納得する時期において、そういった手続はやっていくというようなことを明確にしていただきたいと思います。
  59. 村上勇

    国務大臣村上勇君) この問題につきまして、非常に各方面の御心配をいただいておりますことにつきましては、私は感謝いたしておる次第であります。特に社会党が現地調査に貴重な時間をさいていただきましたことに対しましては、衷心より感謝申し上げます。ただ私といたしましては、単なる一ダムの用地取得のために、大きな社会問題までも引き起こすようなことは、これはできる限り避けたい、かように思っております。  従いまして、世論が、建設省はずいぶん横暴だ、ずいぶん無理をし過ぎるではないかと言うようなことは、絶対にやりません。しかし先ほども申しましたように、万一の大出水の場合における筑後川の状態考えてみますと、あの沿線の多くの住民が、全く危険にさらされておるというようなことを考えますと、ただ少数の人が反対するから、それで建設省は難につくことを避けようというようなことは、私としては絶対にとれないのであります。従いましてでき得る限り当事者と十分な話し合いをして、そうして国の最高の補償をして参りたい。これはこの前も申しましたが、ただ金でだけ済むものではない。特にあの地域における先頭に立っておられる指揮者と言われる方は、教養もあり、あるいは非常な資産家でもあるし、とにかくそんなにむちゃなことは言わないと思います。ただそこに今までの行きがかり、どちらがよかった、悪かったにしろ、とにかく出先とのいささか感情問題等もあるのではないかと私は心配いたしております。これらの問題が、もしもあるといたしますならば、それらの問題につきましては十分御理解がいただけるように私ども、これは努めていきたいと、かように思っております。  どうか一つ、この点に関しましては、決して私たちは、あの少数の人たちは善良な国民でありまして、あの人たちの立ちゆかないようなことは、われわれ絶対にいたしたくない。たとえ多数の犠牲はやむを得ないということが定められておるといたしましても、ただ単に、公共の福祉のためには云々というような、そのことだけで私はこの問題を解決いたしたくない。どこまでも御納得のいく方法を講じてそうしてできる限り円満に、笑ってこの問題の解決をいたしたいと、かように思っておる次第であります。ただ、さきにも申しましたように、それでは、そのまま放置するかということは、私としては、そういう優柔不断なことは断じてできないということだけは、これは私は一つ、お答えをいたしておきます。
  60. 内村清次

    ○内村清次君 そこで、私が一言申し上げておきますことは、室原という人は、田上委員も言われましたように非常な人望家である。そして、もしこのダムが一方的に反対を押し切ってやられるとするならば、ダムのもくずになって、自分も人柱に立つというような決意で今おるのです。そこに、また村民の方々が動かされておる。あらゆる今まで補償の地点を調査をして、補償というもので、一体何年その生活の安定というものができるかという点を微細に調査して、補償の問題で納得するというような、今気配はないのです。だから、私たちは、なお心配をしておるのです。これはその警官と暴力による強制調査があって、そこに死傷者が出るということ自体も、これは憂うべきことですが、現にこの人は、宣言をしておるのです。だからして、私たちは、この数のいかんに問わず、人命は尊いものでありますからして、何とかして救わなければならないという決意があるわけです。  そこで、もうこれ以上時間がありませんから、またあとで時間はとっていただきますけれども、この関係者四面九名の署名をやって、小国町の署名をやって、地建から出ておりますところの、九州地建の三十四用発第五百四十八号、昭和三十四年九月三日付のこの事業認定書というのがあるはずですからして、この点に対しまして、一つ委員会の方に資料として出していただきたい。これに対しましては、先ほどこの署名者が、四百九名で十七カ条の反対意見書というものがあります。これは地建、建設省の方には来ておらぬと思いますけれども調査団が収集してきておりますから、この項目によりまして、今後私たちも調査したいと思うのです。まず基本になります事業認定書というものを一つ提出していただきたい。  それから一昨日要求いたしましたこの資料ですね、これも一つ、提出していただきたい。   ―――――――――――――
  61. 稲浦鹿藏

    理事稲浦鹿藏君) 本日の予算関係に対する質疑は、この程度にとどめまして、次に移りますが、この次に、先ほど行ないました首都高速道路公団法の一部を改正する法律案についての質疑を続行いたします。  御質疑のある方は、御発言を願います。
  62. 田中一

    田中一君 大臣一つ御答弁を願いたい点がありますから、私は、この法律制定にあたって質疑の過程でよく申し上げたいのですけれども、このような抵杭が必ず、二号線に反対があるという問題も、それから一号線の問題にいたしましても、まあ、当面やろうという、工事が一号線、二号線ということになっておりますから、一号線、二号線の反対があったということであって、あと三号から八号までの線が、いよいよやる場合になりますと、大きな抵坑を私は考えなければならぬと思うんです。  そこで、この仕事を進めていくにあたって、ただ、話し合いだけで、ものをきめようということになりますと、ますます抵抗が強くなる。そうして一号線の補償というものが、どういう形で行われるかという内容については、二号線、三号線、四号線、あとからくる、あとから施工しようというところの地元の人たちは、すっかり調査をして、これに上回るような条件を発見して要求するということは明らかなんです。今日の資本主義社会において、金さえ余分にとればいいのだというような形の社会情勢の中においては、当然これは予想されるわけです。土地收用法を適用して行なおうという意図があるかないかという問題です。私どもは、先ほど大臣は、土地收用法を改正しようというような意図があるように聞きましたけれども、これはおそらくこの問題を改善しようということに理解しようと努力をしているんです、一生懸命……。おそらく現行法より、もっといいものにしよう、いいものにしようということは、重点的に公共事業を遂行するために、国民を犠牲にしないという前提に立っている方向をとるものだと、こう理解しようとしているわけです。  そこで、今度の八つの路線に対する必要度というものは、これはもう東京に住む者、あるいは国民として地方におる者も、一歩東京に入った場合には、この状態を何とか解消しなければならぬということにつきましては、これは賛成しているものと思いますけれども、問題は、地元に対するところの補償という問題が当面の問題として残るわけです。話し合いでできない場合には、どうしようとなさるのか、あるいは話し合いに入る前に、どういう措置をとろうとするか、建設大臣は、どういうふうな指導をしているか、これもあわせて伺いたいと思うんです。そうして七カ年ときめられておりますところの期間内に、この路線の建設が可能か、可能でないかという見通し等も、あわせて伺いたいと思うんです。
  63. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 話し合いで円満に用地の取得ができれば、これはもうこれにこしたことはないのでありますが、私といたしましては、用地取得交渉には、土地收用法によるあっせん制を利用して参りたい、かように思っております。
  64. 神崎丈二

    参考人神崎丈二君) その問題について、それでは私からも申し上げたいと思います。  今建設大臣からお話のあった通り、これが無事に話し合いがつけば最も好ましいことであることは、これは異論があるまいと思います。従って、私としても無事に話し合いをつけたいと、こう考えるのは当然でありますが、しかし、一方に私の方の仕事が、用地問題が片ずかなければ進められないこと、これまたはっきりいたしているのでありますから、しかも、今田中さんからお話通り事業完遂には期限がある、公団責任者として、私がその期限内にぜひ仕事を完遂したいということを熱望するのも、これまた当然のことであります。この熱望が遂げられないような用地問題が起これば、やはり収用法によらざるを得ない。  ただ一つ、申し上げておきたいのですが、私の方の公団仕事は、都市計画事業決定に基づいて仕事が進められるわけであります。この事業決定というのは、同時に土地收用法上の最初の手続でありまする事業認定を了したのと、ほぼ同じ法律上の効果があるわけであります。すでに八路線について、事業手続が昨年の十二月四日に終わっておるのであります。この意味においては、事業認定と、ほぼ同じような手続がすでにとられておるのでございます。これから地区協議会を通じて、十分話し合い、万やむを得ざるときには収用法適用ということに相なろうかと思います。
  65. 田中一

    田中一君 私は、大臣は今衆議院の方で、予算委員会が始まるそうで行きましたけれども土地收用法というものが、どういうものかということに対する正しい認識を持っておらぬように聞いたわけなんです。これは神崎さんはおそらく正しい認識を持っておると思いますけれども、先ほど大臣は、これが伝家の宝刀だというような言葉を使われて、議事録に残っておりますけれども、あれは伝家の宝刀じゃないのです。あれは国民のものなんです。国民の利益を、公共事業によって特定な一部の国民が受ける被害というものを、損害というものを、どう守るかというのが土地收用法の精神なんです。これは伝家の宝刀でも何でもないのです。官僚が、あの法律を振りかざして、国民に不利益を与えるような性質のものではないのです。建設行政の当面の責任者である建設大臣が、土地收用法を伝家の宝刀だという認識を持ったのでは、これは国民の抵抗はふえるばかりです。少なくとも土地收用法というものが、国民の利益を守るものだという前提に立って行なうならば、今話のあったような蜂の巣城の問題も、これは解決つくわけなんです。常に伝家の宝刀であるというような認識で、うしろに隠して、何かあったならば、大だんびらを振り上げるような気持を持っておるから問題が起きるのです。  そこで高速道路公団も七カ年の間に、この事業を完成し、東京交通難というものを解消しようというその考え方は、これはもう、だれも反対するものはないわけなんです。残っている問題は、いかに公共事業の遂行と並行して、国民の利益を守るかということに尽きるのです。事業の成否というものは、そこにあるのです。美馬君などが、今までの役人というか、官僚という一つの座にすわって、あれを見た場合と、自分が実施しなければならないという段階に立ったところの土地收用法に対するところの感覚とは、おのずから違ってきておるのじゃないかという気持を持つのです。ましてや東京都の建設局長で、そういう問題にしょっちゅうもみ抜かれた藤本君が当面の担当理事ということになりますと、まあ、うまく国民をごまかしていかれると考えておりますけれども、藤本君の持っておる精神というものは、これは土地收用法に対して、どういう認識をもっておるかということによって解決されると思うのです。もしも話し合い等で、ものを進めていこうということになりますと、ことに伝家の宝刀という意識をもって立ちますと、私どもは国民多数の支持を受けて議席をもっている関係から、これらの方々の利益を守らねばならぬのです。従って正面衝突をすることがあるということを神崎理事長は覚悟していただきたいと思うのです。これも、少なくともこの事業を早期に完成させようという熱意にほかならないのです。じゃましようというのじゃないんです。  そこで金の問題は、今度の政令の改正でもって、公募の形で道路債券発行されることになりましたから、これはよろしいでございましょう。しかし土地問題に対して、もっと各地区状態を分析し、そうして一路線の土地の収用は、その部分の収用であるという考え方でなくして、八路線全部を通じての問題であるということに、その立場に立って話を進めなければならぬと思うのです、工事を進めなければならぬと思うのです。  地元の利益というものに対して、一つの例をとりますと、羽田から汐留まで来るあの新線の地元民が、どういうような経緯をもって、これに対して応じたか、それから、いまだに抵抗している面があるとするならば、それはどういう条件反対をしているのかという点について、詳細な報告を藤本君から願いたいと思う。
  66. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 先ほど来、土地收用法に対する担当者としての心がけの問題、さらにはまた現に一号路線の面についての仕事の遂行についての経緯、並びに現在の段階というようなことについて報告をしろ、こういうお話のように承りました。  収用法に対しまして、ただいま特に土地收用法のことについては、実は、私自身も担当者ではありますが、この点については未熟でございましたが、しばしば田中先生からも非公式の会談の中で、この問題が国民のためにむしろあるのだ、あるいはまた被害を受ける方々の利益のために、この収用法は改正される、そういう方面への運用こそ望ましいものである。従って当公団事業遂行の上においても、その態度の上において、収用法の適用、運用、援用、こういうようなことを考えるのが至当である、こういうような強い、しかも御親切な御意見のほどを伺いました。従いまして担当の係り等をも督励し、事務的にも実際的にも、こういう問題を検討いたしまして、そうしてまずこの手続の関係において、東京都の事務当局、あるいはまた議会、これは都の方もそうですし、区の方の理事関係、区議会の関係、さらにはまた地元の町会、こういうようなもの、あるいは協議会、こういうようなもの、また別な面では、公団の内部に補償に関する特別の審議会ができております、そういう審議会を通しましても、こういうような点についての意向を徴して参り、またそういう趣旨の話も申し上げたことがあるのでございます。そういうことについて、力足らずではあったかもしれませんけれども、現在の段階においては、結果的には熟しておらない、収用法に対する認識が、収用法の援用の仕方が、活用の仕方が、そういう段階にあるのではないかと考えるのであります。  端的に言いまして、東京都が、この事業の基本的な計画を定める前提としての、都市計画審議会の決定とか、あるいは都議会の決定とか、そういうようなものについても、常に話し合いの場というものを中心にして、強く繰り返し、いろいろな示唆、条件が付されております。また、こういう点についての地元側の関係者との話し合いにおいても、常にこの自主的な協議の場において問題を進めるようにということが強く要望され、特に各面等を通じましての収用法の言葉などを使うことをも、遠慮しなければならぬような事態に相なっておるのが実情でございます。かてて加えまして、ただいまお話のあった一号線なり、この関係につきましては、地元としては収用法上の話は、現実には一言もいたしませんで、自主的に各町会等を通じまして、現在買収交渉が、われわれの見方においては円満に進みつつある、こういう状況が、港区内の一号線関係に起こっておるのであります。  これは用地補償あるいは買収等の問題についての過程でございます。先ほど来お話のあった反対運動というものの線は、先にも御説明申し上げましたように、計画面設計面、構造面、こういうようなものが中心になっておるやにわれわれは推測をし、そのように見取っておるわけであります。  従って、形の上で現在の進みつつある段階は、任意的交渉あるいは町、議会等の要望の線に沿うた進め方をしておるというわけであります。しかし、法的には、先ほど神崎理事長からお話し申し上げましたように、収用法上の効果のあるところの事業決定が、すでに昨年の十二月四日に八路線についてなされております。これは事業認定――収用法上の事業認定と同じことがなされたと思う次第でございます。  従って現在において調査測量等をいたす場合につきましては、この法的効果に基づきまして、収用法を援用いたしまして、地元には、たとえば港区あるいは中央区あるいは千代田区、こういう方面には書面を通じまして、調査、立入りをするところの法的通知を出しております。さらに打ち割って言いまするならば、この法的通知も、収用法上の第十一条何がし、何条に基づきと、こういうようなことを出すことを関係者から注意を受けておりまして、そういう法文を出さずに、同一効果の現われるような注意を払ってまで、現在通知を出しておるような次第であります。しかし内容的には、地元と円満に調査側量が、中央区においても千代田区においても進む段階にいっておるわけであります。収用法のむしろ一番権威者である田中先生も御承知通り、われわれといたしましては収用法上の手続、収用法の効果を出しつつも、その間において任意の話し合いが進められることが、最も望ましいことであり、また収用法上の規定においても、そういうことを考えておるものと、われわれも考えますので、法的効果とともに、自主的な話し合いの場をできるだけ進めるようにと、こういう方向で現在やり、また進めつつあるわけであります。  将来におきまして、この問題に大きな障害が出てきたという場合には、事態の推移あるいはまた社会的一般客観情勢の線に沿いまして逐次時期を失わないで法的な措置をとらなければならぬ場合が出てくるかと思うのであります。  以上でございます。
  67. 田中一

    田中一君 これは、この八路線が、われわれの身近にあるものだから、私は、そういう土地收用法、全部適用しておやりなさいということを勧告するわけです。と申しますのは、今、藤本さんのお答えの中にも、ちらちらと見えるのは、やはり思想的にこれは最後の手段であるというような考え方が、どこかにひそんでおるということが見受けられるわけです。土地收用法というものは、最後に出るものでなくして最初に出るものなんです。そのためには、この法律は訴願もできれば、抗告もできれば、納得する形の機関、すなわち当該利害関係者以外の者の判断によって妥当な線を発見しようというところに究極のねらいがあるわけであります。利害関係者がお互いに話し合うということは、これはどちらかが、ほんとうの妥当な線というものが発見された場合には、土地収用委員会が決定した線というものと、同じことになることはむろんありましょうけれども、利害関係者が、お互いにものを判断するという考え方に立つと、やはり事業を遂行しようというものの方に強力な行動が止まれざるを得ないわけです。そうしてお互いにがんばりっこして、精根尽きて、まあそれに従おうじゃないかということになる傾向が多いわけです、現在までも。あなた方に言わすと、最悪なる場合に、最後の切り札として、土地收用法を使ったという例は多々ございます。私は資料、だいぶ集めておりますから。常に最後段階において、土地收用法を使って相手を圧殺したというような印象を国民に与えているのが、土地收用法の使用の仕方なんです。よい法律も、使い方によっては悪法になるんです。土地收用法を適用した地区の判決例というものが、戦後においては相当社会情勢客観情勢、経済情勢が変わったために、かつて話し合いできめた土地の収用額よりも、その判決が上回ったというような事例も実はあるんです。建設省は、周章ろうばいして、直ちに抗告をして、今係争中です。最初から土地收用法を使ってやった場合には、あなた方が、その価格をきめるんです。話し合いじゃないんです。経済情勢社会情勢その他を勘案した公正な第三者が、最初からきめていくんです。それには、利害関係者も出てきます。十分に第三者をまじえての話し合いということで行なうのが土地收用法の正しい判断なんです。常に最後に出すから、問題が強権ということになるんであるから、最初にお出しなさいということを勧めているんです。  そうして、この仕事が、たとえば七年のものが十年かかろうとも、――こういう手続を踏んでいけば、時間はかかるでしょうから、――かかろうとも、土地收用法という法律のよさというものを、この際に、国民の前に明らかにして、そうして判決例というものを積み重ねていって、今後の日本の国土計画、公共事業に対するところの国民の完全な理解の上に立って、日本の国土計画をしたらどうであろうかという考え方の上に立って、私は理事長以下、各幹部の方々にも進言しているわけなんです。判決例というものが、五十ぐらい出れば、どんな問題でも事前に解決されます。あと客観情勢によるところのプラスかマイナスかという問題で、価格の査定なり何なりが出てくる、データを作ることによって出てくるわけです。公共事業を遂行する機関は、ことさらに国民の疑惑、公共事業と国民との間の利害の衝突を招くようなことのみを行なっているこの現状を、私は嘆かわしいと思っておるわけなんです。これはここ数年来、一年ごとにかわる大臣には懇々と、その点は進言しているわけなんです。  ここに、二号線の大崎方面土地買収費というものを、四億計上したということを神崎さんは言っておりますけれども、四億というものにこだわると、四億というものが壁になるから、これでやるんだという考え方はとつちやならないんです。  しかしながら一応事業計画書でもって、建設大臣の認可を受けるためには、一応の数字を盛り込まなければならぬということは、これは法律の示している通りしなければならぬから、やむを得ずされたと思うのですけれども、四億というものの算定基準というものは何かということになりますと、これは従来と同じようなケースの実績を藤木君あたりが勘案して、四億くらいでよかろうという、まことに国民にとっては迷惑しごくなんです。科学的な積み重ねでない数字をもって押し切ろうというところに、今日の政策の悪い面がある。公共事業というものは国民のものなんです。事業主体のものじゃないんです。首都高速道路公団だって、道路公団のものじゃないんです。国民のものなんです。こういう点から見ても、この事業が、今のような形でもって進められるならば、七年はおろか十年かかってもできないでしょう。できないように私は、立ち上がらざるを得ないわけなんです。なぜかというと、仮定の数字をもって、それを利害関係者の、善良な平和的な生活を営んでいる国民の身辺を動かしたり、はじいたり、奪ったりするから、進行しないのは、当然なんです。  この際、首都高速道路公団は、はっきりと、この八路線というものをしなければならないんだという前提に立っているんですから、もう一度大臣が、ああいう答弁をしておりますけれども、話し合って、土地收用法というものが、あなた方のためにあるんだからということをPRして、国民に事業遂行に拍車をかけるように努力をしていただきたいと思うのです。そのテスト・ケースとして、首都高速道路公団事業を当てはめるのは、当事者のあなた方にすれば、はなはだ迷惑でしょうけれども、もう数がたくさんあるんです。政治的にはわれわれは、これが基地を作るとか――米軍というものは条約に基づいて、日本の国土のどこでも使えるんです。この際には、からだを張ってまで抵抗しますけれども、何といっても、あなた方の事業というものが、平和的な日本の憲法にふさわしい手業である限り、協力をしたいという気持があるわけなんです。先ほど内村委員質問しておるところの蜂の巣城なんという争いも、土地收用法の理解というものが足りないところに起きるんじゃないかと思うのです。憲法第二十九条に、私有財産というものは公共のためにあるんだ、民族のためにあるんだということを規定しているんです。従って、いつでも国民全体のためには、自分の財産というものは、当然提供しなければならぬことは憲法に規定されているはずなんです。この保障されている権利というものに対する補償というものが十分でないからこそ、憲法の規定というものに抵抗してまで、筑後川上流の下筌ダムのような問題が起きるわけなんです。神崎さんは、お金を作る方は専門家でいらっしゃいますけれども、やつぱり法の運営というものは、土地収用法を所管しておるところの前計画局長美馬君なんかは、もっと真剣に取り組んで、この法律を分析し、国民の前に出して、あなた方の権利というものは、これも権利でございますよ、あれも権利でございますよ、営業補償もする、あなた方の休業補償もするのです、ということを十分知らせて、あなた方の権利を守る法律なんですということをいって理解させて、先例を作りなさい。そうしなければおそらく強い抵抗に逢着するということは明らかです。  まあ、お金のことは、今度の法律の改正で解決されるでしょうけれども、運営の面では、相当な難関に逢着する。そういう場合には、地元側の立場に立たなければならないのは国会議員でございます。その点は、十分に御認識願って、建設大臣がああやって、最後にそれを使うなんという伝家の宝刀なんということをぺろっと出して、今向こうへ行ってしまいましたけれども、これはいずれ、とっちめる時期がくると思いますけれども、せめてこの平和的な、国民的な、都民的な共有公共道路に対しては、その点、もう一度十分なる話し合い政府としていただきたいと思うのです。その点について關盛君、私は、もう歴代の大臣が新任になると、常にこの問題は一番関心、土地收用法の問題が、いつも問題になるものですから、るる申し上げているのですけれども一つあなたが大臣に進言して大臣は、かつては電源開発等の工事をやっていたものだから、こんなじゃまなもの困る。早く土地收用法を改正して、どんな障害があろうとも、半年くらいですっかり仕事ができるようなことにしてくれというのが本音だと思うのです。そんなことは、許されるものではございません。法律による完全な納得の上にたってのみ行なうべきものなんです。一つの關盛君の局長としての考え方、それから今後、先ほど話のあった蜂の巣城も含めた土地問題に対しては、どういう方向でいこうかということを一つ答弁してほしい、かつては石破建設次官がおった時分には、通牒で全国的に、なるべく事業の当初に、初めに土地収用法を適用して、土地収用に対する理解を十分国民に、市民に持ってもらって、そうして仕事をやれということを指示しておったことがあるのです。今は、もう伝家の宝刀大臣がきたがために、おそらく方向というものは、権力で強行しようというような形にいっているのではなかろうかと私は心配するわけなんです。關盛さん、どういう工合に、どういう方向を、今後たどろうとするか、一つ決意を答弁して下さい。これは局長としての答弁でいいのですよ。政治的なあなたに責任持たせませんから、
  68. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) ただいま公共川地の取得につきまして、特に古都高速道路公団の行ないます自動車専用道路建設関連いたしまして、土地收用法全般の所感を求められたわけでありますが、これは、すでに田中先生も今お述べになっておられる通り建設省といたしましては、三十三年の九月、川地取得の合理化ということを力説いたしておりまして、しかも各事業主体に対しまして、直轄はもとより、また公団公庫等に対しましても、まず用地取得に先行するのは、事業計画の確立でございます。今お話のように、ぼつぼつやっておって、最後に追い込むというふうなことが、予算なり、あるいは従来の事業執行のこま切れ的な感覚が非常に強かったのでありまして、それがまた、逆に土地收用法をそういう隘路打開に用いるので、収用法に対する一般的な法の精神というものが曲解されているということでございまして、われわれは前びろに事業計画を立てまして、そうして公共事業等は、土地収用法の場において解決をしていく。ことに、この法律におきましては、あっせん調停の制度もございますし、また当事者が、いわゆる意見を陳述いたしまして、補償等の問題を第三者によって解決していただく、こういう制度になっておりますので、従って冬事業官庁に対しましても、公益事業を行なっております通産当局等に対しましても、そのことをつとに言っておるのでございまする  今回の首都高速道路公団が行ないます自動車専用道路は、都市計画法に基づきまして、都市計画決定を行ない、かつ、ただいまお話のありましたように、事業決定もできておりますので、法律的には、土地收用法の認定を行なったと同一の効果が出ておるのでございます。  大臣が、先ほど申し上げられましたあっせんという意味は、その考え方に基づいて申し上げられたのでございまして、従って、この法律的な方法というものは、もとより公益のためにする施設の整備と当事者の利害というものを調整する、こういうところにあるということに尽きるのでございまして、われわれといたしましては、お話のような方針で指導いたしております。  ただ、この公共用地取得は、単に土地收用法の問題だけではなくて、先ほど申しました事業計画の問題もありますし、またこういう大都市の、しかも市街地の道路整備ということと高速道路建設ということが並行して行なわれなければならない。こういう地域におきましては、既存の建築敷地を道路川地として取得しなければなりませんので、従って、この公共川地の取得の合理化ということが、同時に土地收用法の問題以外の問題としても考えなければならぬ。そういう意味で、土地收用法の辻用につきましては、ただいま田中先生のおっしゃる通り考え方で、できるだけ現地の実態を十分事業執行の公団等にも把握していただきまして、お願いをしておると同時に、公共川地の取得と、建築敷地なりまた建築物の整備をあわせ行なう特別の立法措置も、さらに今回の国会あたりに、ぜひとも成案を得まして、同時に御審議を願いたい。こういう感覚で進めておる。こういうのが建設省の今の考え方でございます。
  69. 田中一

    田中一君 この法律を作るときにも、美馬君に、今までにずいぶん質問しておったのですが、高架道路ということになりますと、橋脚部分というものからも収益を得ようというような考え方も、この実施計画の中に、実施する段階においては求めておるように感ぜられるわけですね。橋脚部分からも収益と言いますか、収益を得るということは、早く無料公開の道路、国民の道路というものに早く返そう、有料道路をやめてしまおうというような点から、そこからも収益を得ようという考え方になるのも一つの筋でありますけれども、橋脚部分などは、地元へ全部利害関係者に提供してしまうというくらいのものがなければいけないのです。土地收用法の一番の欠点は、金銭補償であるということなんです。金銭補償、金銭でもって、それを査定しようとすると、さっき田上委員も言っているように、地価というものは、政府が一生懸命地価のつり上げ政策のみ現在持っておるわけなんです。どれを見ましても。現存の岸内閣というものは、最後にインフレにならなかった土地、これをいかに物価高の標準にまで上げようかというところに努力をしているように見受けられるわけです。首都高速道路公団は、それに同調してはいけません。従って、物の補償ということを考えれば、むろん橋脚部分などというものは、全部提供してしまいなさい、ほしい者には。そのくらいの勇気がなければ、納得するものでないのです。  ということは、高速道路を作って、それをやたらに倉庫にしたり車庫にしたりすることによって、町の美しさ、町の利用、土地の利用というものは、一面そういう面では達成されても、よい環境の市街というものじゃなくなってくるわけです。それがまた高い権利でほしいというようなボスが現われてくるわけです。当該地区の利害関係者に無償で提供する。これはむろん無償ということは、それらのものを含めた補償というものが減額されるという意味なんです。そうして町作りをその地元の人たちにやらせるということです。あなた方は、道路さえ作ればいいのです。道路さえ作れば、道路下の町作りは、地元の方の意思によって、あなた方の美しい町を作りなさいというような形で行かなければ進むものじゃないのです。あなた方は、道路を作るところの計画だけでけっこうです。柱の中は、これは地元の者の意思を尊重してやらせるということ。それから今、關盛局長が言っている道路中心とする都市改造、これらの点も、日ごろわれわれ社会党としても、ずいぶんこれについては推進するような意見も言うっておりますし、主張もしております。  これに対しては、法案全文をはっきりと提案されれば拝見して、自分の考え方を出しますけれども、少なくとも思想としては、賛意を表しているのが今までの経緯であります。これらと並行してやる場合には、今度提案しようという、この法律考え方を、十分に首都高速道路公団も知らなければならぬと思う。建造費の基準によって家賃をきめるなんということは、もはや今日の段階では、あっちゃならないです。これは、公営住宅の問題にいたしましても、そういう点について、十分に話し合って、そうして、市民のための道路であるということに徹して事業を遂行するようにしていただきたいと思う。  これに対しては、答弁は要りませんが、ただ最後に、神崎さんから、非常に……。あなたの、一期の任期じゃだめなんです。あなたが再選していただいて、去年なったばかりですけれども、もう一期やってもらって、七年間で、これを完全にするということに努力してほしいと思う。私は、あなたが官僚出身でないところにおいて、双手をあげて賛成している者なんです。官僚というものは、自分の持っておる壁、自分の作った法律を、自分のたてにして国民をいじめるのが、封建時代、旧憲法以来の伝承なんです。そういう体臭を身につけているのです。この中にあって、あなたも相当お困りのことがあろうけれども、これは、あなたが、国民というか、官僚外の社会から入った方であり、かつ資金の調達の熟練者であるから、あとは、この事業を円満に国民の立場に立って遂行することを希望しておきます。
  70. 小平芳平

    ○小平芳平君 私、しろうとでよく見当がつかないから、簡単なことで、恐縮ですけれども、たとえば、一号線の場合ですが、六十九億、三十五年の予算でかけた場合に、どの辺まで伸びることができるということが今わかるですか。
  71. 神崎丈二

    参考人神崎丈二君) この点については、担当理事の藤本君から……。
  72. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 三十五年度事業計画の一号線について、お答えいたしますが、これについては、場所的には、一号線の中で入谷町でございます。入谷町から昭和通を江戸橋の方へ向かって、そして江戸橋から楓川、それから築地川の川底に入りまして、そして浜離宮のところで上がるようにして、そしてまたいわゆる放射十八号という街路を四十メートル広げて、そして羽田の方へ向かいまして、今の計画といたしましては、東品川四丁目までの間において、この事業予算の消化をはかりたい。従って東品川四丁目から先の方の、羽田までのいわゆる海の上を通る問題、あるいはまた逆に岩本町から先の入谷までの間の分は、後年度に属する考え方で仕事を進めていきたい。もちろんこの六十九億で全部ができるわけではございません。その中で用地上、あるいは技術上地元といろいろ話し合ったり、その他法律上の諸般の手続を済ませて、この間の事業にも、消化に万全を期したいと、かように考えております。
  73. 小平芳平

    ○小平芳平君 建設省の方から出ている、この首都高速道路公団予算規模が百十一億四千万円というふうになっておりますが、先ほどの御説明事業計画は、初めは百三億になるようにおっしゃっています。それから、あるいはまたあとでおっしゃったのは、八十二億になるようにおっしゃっているのですが、そういう点を、三十五年度の計画と、要すれば将来の計画も、もしわかっている分がありましたら、今御説明いただけるなら、今でもけっこうだし、なんだったら、あとで資料で出していただいてもけっこうですが、いかがでしょうか。
  74. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) ただいま御質問の三十五年度の首都高速道路公団の収支の計画についての御質問でございますが、三十五年度は、首都高速道路公団の収支計画といたしましては、百十一億四千万円でございます。  それで、ただいまの質問関連いたしまして申し上げますと、その百十一億四千万のうち八十二億六千万、約八十三億が、高遠道路建設費でございます。  それから次は、関連街路分担金といたしまして十一億九千三百万、次は駐屯場の建設費、これが九億、管理費その他が七億八千七百万、合計いたしまして百十一億四千万こういうことでございまして、先ほど八十三億とおっしゃったのは、その高速道路建設費八十二億六千万それを繰り上げて八十三億として、その細目について、建設の路線面についてお話があった、こういうことで御了解願いたいと思います。
  75. 小平芳平

    ○小平芳平君 先ほどは、一号線と二号線と汐留駐車場と淀橋の駐車場、これだけ合して八十二億ですが、しかし今の局長さんのおっしゃったことでよろしいのですね。
  76. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) その通りでございます。
  77. 田上松衞

    田上松衞君 全体含めてでけっこうなんですが、用地費と工事費との比較、パーセンテージを示していただきたい。
  78. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 大体事業費の全体のあれで、申し上げましょう。つかみといたしましては、工事費に対しては、用地費は二割三分くらいの割合で、一応計画を立てております。
  79. 田上松衞

    田上松衞君 それでは、資料として御提出願うようにいたします。
  80. 田中一

    田中一君 三十五年度の事業計画ですよ。
  81. 美馬郁夫

    参考人美馬郁夫君) 三十五年度事業計画と申しますと、これは正式には、各省の認可になりますから、一応公団の案ということになります。
  82. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) もう一つ付け加えますが、今のパーセンテージは、八路線全体の経費の中で割合を申し上げたのでありまして、三十五年度の中の割合ではございません。いずれまた資料をもって、お答え申し上げます。
  83. 稲浦鹿藏

    理事稲浦鹿藏君) ほかに御質問がございませんか――御発言もないようでございますから、本日の審議は、この程度にいたしたいと思います。  速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  84. 稲浦鹿藏

    理事稲浦鹿藏君) 速記を始めて。  それでは、本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十八分散会