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田中一君 大胆、お聞きになりましたか。このように東京の現在の失対の労働者の賃金を調べてみますと、実際に行なわれておるものは約八百円から九百円です。大体大学出て三年、五年おって、現場に出ている者が二万円になっておりません。一万七、八千円なんです。ところが失対の職安に登録している労務者が八百円、九百円出さなければ人が集まらないのです。能力の点あるいは労働力の点から見ても比較にならぬほど優秀な者が低賃金になっておる。あなたの方でも今
公営住宅は三十四
年度の
予算とちっとも変わっておらぬと言っておる。調べてみますと、急いで復旧しなければならぬ愛知県の
一つの事例をとってみますと、御
承知のように、全国から建築労働者が相当入り込んでおります。それでも足りないくらいな
状態でございますから、当然とは思いますけれども、
木造の単価が二十二万四千円、これは三十四
年度一戸当たり、それが三十二万五千円出さなければ、九万円近いところの余分なものを払わなければ仕事を受けるものがないのです。簡易耐火の平屋にしても、これが
政府が出しておるところの
標準建設費というものは三十二万七千円、実際の仕事というものは三十九万三千円以下では受け手がございません。簡易耐火の二階建ての分などは四十三万八千円の国の
予算でありますけれども、五十一万円、中高層などは五万六千百円というものが
標準の
建設費でございますが、六万三千円でなくちや受け手がないのです。これが実情なんですよ。これは従来ともに、昨年の
災害というものがじゃなかった場合の
建設費はどうかと申しますと、これも相当上がっております。国の
標準建設費ではとうていまかないきれないのです。全部
地方公共団体が自分で負担しておるのです。そういって家賃はどうか、家賃があまり高くなりますと、これまたいろいろな問題があるから、これは上げられない。従って今労働省は日雇い労働者の賃金を二十八円高上げておるにかかわらず、
建設省は現に相当な労務賃金が含まれておるにかかわらず、それを値上げしてないということはどういうことですか。そうして一面、請負人は損な仕事を受けるものじゃないのです。結局しわ寄せは労働者にくるのです。こういう
一つの建築
関係の職人の賃金を
考えてみましても、冷酷なわけです。これは相当大きな問題でありまして、どうして
標準建設費というものを、せめて労働者の実態を握っておる労働省の
考え通りの値上げをしなかったかと言っておるのです。これは
一つの
住宅の例ですけれども、では
一般の公共土木の例を
考えてごらんなさい。今別個の賃金体系でもってやるのだということを
政務次官はおっしゃっておるけれども、末端におきましては、当然
一般職種別賃金の
標準賃金表に基づいて支給しておるのが実情なんです。そうしますと、
事業量というものはそれだけ減るということになるのです。そういうあいまいな
予算の編成じゃならないのです。これは
地方公共団体の場合には、そのために起債というものの大ワクをくれるのならばいいけれども、起債も御
承知のように制限されておる。私は、これは今度の
予算の編成にあたって
建設委員会として関心を持たなければならぬ問題は、建築労働者の賃金の問題であります。こう見ておるのでありますが、これに対しては
大臣はどういう見解のもとに本
年度の
予算を編成したか、そうしてそういうもので仕事ができると思っているか、どっかにしわ寄せがこなければならぬのですよ。私は請負人が大幅にもうけると思ってはおりません。この
予算では、請負人がもうけなければ、請負人がもうけずして、そうして労働者にしわ寄せになることは、これは明らかなことです。どうして三十五
年度の公共
事業を実施しようとするのか、
心がまえを伺いたい。これは
予算委員会でやったらいいと思うのですが、この点伺っておきたい。