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1960-02-17 第34回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十七日(水曜日)    午前十時十二分開会   —————————————   委員の異動 一月三十日委員天田勝正辞任につ き、その補欠として常岡一郎君を議長 において指名した。 二月二日委員市川房枝辞任につき、 その補欠として天坊裕彦君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上原 正吉君    理事            青柳 秀夫君            大谷 瑩潤君            岡村文四郎君            野本 品吉君            矢嶋 三義君            石田 次男君    委員            川上 為治君            小山邦太郎君            田中 清一君            谷口 慶吉君            鳥畠徳次郎君            仲原 善一君            増原 恵吉君            谷村 貞治君            相澤 重明君            北村  暢君            小柳  勇君            近藤 信一君            坂本  昭君            武内 五郎君            島   清君            天坊 裕彦君            常岡 一郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    農 林 大 距 福田 赳夫君    運 輸 大 臣 楢橋  渡君    国 務 大 臣 益谷 秀次君   政府委員    内閣官房長官  椎名悦三郎君    内閣総理大臣官    房会計課長   小林 忠雄君    人事院総裁   浅井  清君    人事院事務総局    給与局長    滝本 忠男君    人事院事務総局    職員局長    矢倉 一郎君    総理府総務長官 福田 篤泰君    公正取引委員会    委員長     佐藤  基君    公正取引委員会    事務局長    坂根 哲夫君    警察庁長官官房    会計課長    大津 英男君    行政管理庁行政    監察局長    原田  正君    調達庁長官   丸山  佶君    公安調査庁次長 関   之君    外務大臣官房会    計課長     吉田 健三君    大蔵政務次官  前田佳都男君    大蔵大臣官房会    計課長     牧野 誠一君    大蔵省主計局司    計課長     末広 義一君    大蔵省主税局長 原  純夫君    大蔵省管財局長 賀屋 正雄君    大蔵省銀行局長 石野 信一君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    食糧庁長官   須賀 賢二君    通商産業政務次    官       原田  憲君    通商産業省鉱山    局長      福井 政男君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君    運輸省自動車局    長       国友 弘康君    労働大臣官房長 三治 重信君   —————————————    会計検査院長  山田 義見君   —————————————   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    大蔵省主計局総    務課長     中尾 博之君    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道常    務理事     大石 重成君    日本国有鉄道常    務理事     中村  卓君    日本国有鉄道常    務理事     兼松  学君    会計検査院次長 上村 照昌君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○昭和三十二年度一般会計歳入歳出決  算(第三十一回国会内閣提出) ○昭和三十二年度特別会計歳入歳出決  算(第三十一回国会内閣提出) ○昭和三十二年度国税収納金整理資金  受払計算書(第三十一回国会内閣提  出) ○昭和三十二年度政府関係機関決算書  (第三十一回国会内閣提出) ○昭和三十二年度国有財産増減及び  現在額総計算書(第三十一回国会内  閣提出) ○昭和三十二年度国有財産無償貸付状  況総計算書(第三十一回国会内閣提  出) ○昭和三十二年度物品増減及び現在  額総計算書(第三十一回国会内閣提  出)   —————————————
  2. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず委員の変更について御報告いたします。  一月三十日天田勝正君が委員辞任され、その補欠として常岡一郎君が、二月二日市川房枝君が委員辞任され、その補欠として天坊裕彦君がそれぞれ委員に選任されました。   —————————————
  3. 上原正吉

    委員長上原正吉君) この際、理事辞任並びにその補欠互選についてお諮りいたします。  小柳君から理事辞任したい旨の申し出がありましたが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。つきましては直ちにその補欠互選を行ないたいと存じますが、この互選の方法は成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 御異議ないと認めます。それでは私から石田次男君を理事に指名いたします。
  6. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  7. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を始めて。  一昨日理事会を開きましたので、その理事会におきまする協議事項を御報告申し上げておきます。  本日の委員会では、できれば総括質疑を終了して討論採決まで参りたい、こういう申し合わせば前回理事会決定通りでございます。その討論採決に至りまする場合には、三十二年度の決算に対しまして警告を発しなければなるまい、こういうような意向で、その案文についてあらかじめ協議をいたしましたが、これはまだ決定に至っておりません。  それから昭和三十四年度の予算執行について要望決議を行ないたい。昭和三十四年度の予算には膨大な災害復旧費を含んでおる、三十二年度の決算においても、この災害復旧費予算執行について批難事項等も発生しておりますから、これらのことがなるべく起こらないような要望をしたい、こういう御意向が出されました。これについて協議いたしましたがこれもまだ決定には至っておりません。  それから昭和三十二年度決算討論採決の際の出席要求する政府側委員につきまして、いろいろ協議いたしましたが、これは参議院で予算審議される関係上、その予算審議とからみ合いますので、この予算審議状態とにらみ合わせて決定する、こういうことになりました。これも決定を見ておりません。以上御報告申し上げます。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長理事打合会協議事項委員長が今報告された通りでペンディングのものがあるわけですが、ただきょうも最終段階に入ったわけですが、前々から出ておった次の点だけは確認しておいていただきたいと思うのですね。その一つは今の報告の中にもありましたが、委員会討論段階においては、本検査報告関係のある大臣は出席すること。そしてもし委員会から警告決議等がなされる場合においては、当該主管大臣が必ずそれに対して何らかの発言をすべきで、政務次官とか政府委員の代行を許さない。それから本会議において、もし討論がなされる場合においては、委員長報告並びにその討論は、関係大臣はひな壇においてこれを聴取する。出席する。そしてもし委員会において検査報告に対して警告決議がなされた場合には、本会議においては委員長報告が承認された後に内閣を代表して、首相がその決議に対して所信の開陳を行なう。これだけの形はどなたも異議ないと思いますので、よく今まで懇談会の中に出たことだから確認しておいていただきたい。
  9. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ただいま矢嶋委員からお述べになりました矢嶋委員の御希望は、委員長は伺っておるのでございますが、これは当日欠席の理事さんもございましたことで、理事会決定ということにまでは立ち至らなかった、委員長はさよう考えておるのでございますが……。
  10. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 だからね、そういう決算審議の終結にあたっての取り扱い方は、これは形式的なものであり、事務的なものなんだからお含みおき願いたいというわけです。これは与野党の意見の異なるところでも何でもないことだと思います。当然のことだと思うのですよ。
  11. 野本品吉

    野本品吉君 ただいまの矢嶋委員の御発言原則的にはだれも異議はないと思う。ただいろいろな事情からいってそれができない場合も起こり得る。その場合に、その今のような原則論を全部適用するということになってくると、討論その他が不可能になってくるという問題も起こるので、御趣旨は十分尊重しなければならぬと思いますけれども、全部が全部それでなければならぬというふうになりますと委員会の運営に支障を来たす。この点についてはお互いの良識に待ってやるべきだと、私はそう思っております。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時と場合では、病人とか何とかのっぴきならぬ場合には若干の幅をもって扱うことは常識の問題だと思うのです。しかし委員会警告決議がなされるのに当該大臣がお見えにならぬとかいうような、そういうような形で警告決議なんかするということは私はナンセンスだと思うのですよ。  それからまた一兆何千億に及ぶ予算執行して、そしてその検査を本会議で承認するにあたってしかも若干の警告決議等がなされるというときに、当該国務大臣が出席されないで大蔵大臣一人ぐらいが出席されたところで、委員長報告をして、それを討論して承認をするなんかという形態なんということはおかしいわけなんですから、そういう点は厳に一つ厳重に守ることを強く要求します。
  13. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ただいま矢嶋委員発言の御趣旨は、理事会でとくと協議して結論を得たいと存じます。
  14. 上原正吉

    委員長上原正吉君) それでは昭和三十三年度一般会計歳入歳出決算昭和三十三年度特別会計歳入歳出決算昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十二年度政府関係機関決算書、並びに昭和三十二年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和三十二年度国有財産無償貸付状況計算書昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書を議題といたします。  前回に引き続き総括質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。なお、大蔵大臣予算委員会関係もございますので、主として大蔵大臣に御質疑をお願いいたします。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 大蔵大臣お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、昨年は関税に関する問題で、特に原油石油等の問題が業界では非常に大きな関心を持たれておったと思うのです。本年……。委員長、きょうは通産大臣は出なかったのかなあ。
  16. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 通産大臣は出席できない……。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 通産省がことしのこの一月下旬にいわゆる関税審議会等の開催をして、まあその答申を出すというようなことが伝えられておったのでありますが、昨年この一カ年間に日本国内輸入をした原油はどのくらいと大蔵省は見積もっておるか、大蔵大臣一つ答弁願いたいと思います。
  18. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 主税局長からお答えいたします。
  19. 原純夫

    政府委員原純夫君) 昨年といいますと昭和三十三年度というふうに承ってお答えいたしますと、輸入原油の量が千六百九十四万二千キロリットルであります。三十四年度はまだ途中でありますが、これは二千三百万キロリットルくらいになるだろうと見込まれておるようであります。これは通産省の方のお見込みであります。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 そこでそういう原油石油等が非常に多く輸入をされるということは、国内産業に非常な寄与する点も考えられると思う。ところで他面、国内産業基幹産業である石炭産業を育成するということは、これはまた非常に大事なことであると思う。そこで石炭産業維持について、大蔵省はこの三十二年度の今決算をやっているわけでありますが、三十三年、三十四年の動向を通じて御承知のように、非常に経営も困難になって、離職者の数もふえているという現状でありますが、この石炭産業維持しつつ、しかも国際的には原油石油輸入を多くする、こういう関連について、基本的な大蔵省としての考え方はどう思っているのか、この点を一つ先お尋ねしてみたいと思うのであります。
  21. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 動力資源確保ということは、これも産業の基盤で非常に大事なことでございます。そこでこの動力資源確保にあらゆる努力を続けてきたのであります。ところで今御指摘になりましたように国内産石炭、あるいは国内産石油、それと外国原油あるいは石炭等との競合がありますので、その間の調整をとることを従来からはかって参りまして、たとえば原料炭自身にいたしましても、外国炭輸入については過渡的な制限を加える、一般炭についてはほとんど輸入はこれをみないということで、石炭界同士調整はとるし、また原油そのものについては、いわゆるボイラー規制法等、これを通じまして適正の措置をとっていきたい、また為替管理等から数量調整をはかっていきたいという経過をたどっております。ところで最近相澤さんも御承知のように、特に昨年来石油の値段は漸次低落の方向にある。ところがなかなか石炭は、これがカロリー単位に比較してみましても非常に高くつく。そこで石炭業合理化については積極的な方策を講じていく、これが昨年から本年にかけて特に注意が払われ、国策としても取り上げられている点であります。この観点に立ちまして、石炭業について年産五千万トンを確保するという大体の目標を立てて、そのための合理化を推進していく、そのために非能率炭鉱等が整理され、同時にまた優良炭田については積極的な開発をはかっていく、整備の方からは、今御指摘になりましたような離職者対策というものについて大きく取り上げていく、また優良炭田開発については特に助成方策をとっていく、離職者対策は昨年の補正第三万を出しました際にこの処置をとり、本年の三十五年度予算につきましては、積極的に石炭価格を低落さす意味においての助成方策を講じ、離職者対策を昨年よりもさらにこれを徹底していくように予算を計上いたしておるわけであります。そうして他面原油に対しましては、原油の将来の価格が低落するであろうという点を見込んだり、あるいはまた数量増加等を見込んで、今回関税を一部引き上げるという処置をとりましてその重油石炭業に対する圧迫をできるだけ避けるようにする。しかし同時に石炭自身合理化をはかり、また石油自身国際価格のもとにおいてわが国産業を育成していく、こういうような考え方でそれぞれの処置をとっておるのでございます。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、重油あるいは原油関税を若干でも値上げをするということになると、従来とって参りましたところの漁民あるいは農林業等のそういう保護政策についての考えはどういうふうにしようとするのか、大蔵大臣一つ所見を承りたいと思います。
  23. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 農林漁業A重油につきましては、従来通りこれを免税措置をとるという処置をとって、従来通り保護政策維持しております。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 それでただいまの大蔵大臣の先ほどの御答弁にありましたように、重油関税を若干引き上げるということは、国内産業、特に基幹産業であるエネルギー源石炭産業を、これをまあ維持させる、こういうことにも非常に大きな関係があると思うのでありますが、これは相矛盾するものを持ってはいないか、これが一つ。  それから二つ目お尋ねをしておきたいのは、国際カルテルの現況についてどういうような大蔵省としては把握をしておるのか、現状把握について一つ大臣の御見解を承りたいと思います。
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 石油石炭と利害相反するのじゃないか、従って政策としても矛盾するんじゃないか、かような点でございますが、なるべく安いものを使わすということは必要だ、産業の育成の面から。この意味においてはできるだけ安いものを使わせるようにはしたい、しかし同時に国内産業重要性というものを十分考えなければならぬ、国内資源確保ということもこれまた必要であります。その間の調和をはかっていく、こういうことは当然のことではないかと思います。従いまして今回原油関税を引き上げるとは申しましても、いわゆる国際基準といわれておる一割課税という点までにはまだ及ばないのであります。いわゆる関税定率法による原則には帰っておらない、それ以下のところでとめておるわけであります。こういう点に国内産業動力源確保という点においても遺憾なきを期し、一面石炭産業維持という点をも考慮しておる次第であります。  それから第二点の石油カルテル確保についてどうだというお話でございますが、ただいま石油についても、いわゆるガットできめております定率まで引き上げることが一般に容認されておることでございますから、その範囲内にとめておるということで、これらの点は一応解消できている、かように御了承いただきたいと考えます。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 次にお尋ねしておきたいのは、民族系資本に対する外国系資本の問題でありますが、今、石油関係については国内において外国系資本というものはどの程度のパーセンテージを占めておるのか承っておきたいと思います。
  27. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今全部についての正確なる数字を申し上げるわけに参りませんが、私の知っておる範囲では日本国内製油業者外国資本の入っていないものは二つか三つという程度ではないかと思います。その他の大製油業者精製業者ですが、それらには外国資本なりあるいは外国技術なりが入っておるという状況でございます。
  28. 相澤重明

    相澤重明君 私も今大蔵大臣の言うように、民族系の純然たる資本というものはごく少数である、こう把握しておるわけです。そうしますと特に政府が今年度主張をしておるところの為替貿易自由化という問題について非常に政府は熱心でありますが、他面そういう点からくると、外国系資本導入ということはきわめて大きな進出がはかられるのではないか、現状でも石油関係についておそらく私は七〇%前後は外国資本によるものだと思うのです。それに加うるに為替貿易自由化ということで無制限なる導入ということになると、この原油あるいは石油資本というものは、ほとんどが外国資本に食われるというおそれはないかどうか、この点について大蔵大臣所見を承っておきたいと思う。
  29. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま石油業、これはもう日本基幹産業、それもしかも近代的な非常に重点を置かれる産業ですが、それに対して外国資本が相当入っておる。丸善あるいは出光、これなどは入っていない会社だと思います。逆に最近は丸善などは丸善技術をアメリカの精製業者に売ると、こういうような状況でございます。逆に今度は資本が出ていく。ところでただいま御指摘になりました、いわゆる民族資本云々という言葉が最近の国際情勢から、はたして適当なのかどうか、十分の力を持っておる場合には、外国資本導入、これも十分こなし得る、こういうことも考えられるのでありますが、私どもの今後の経済の持っていき方から申せば、もっと規模を広大に持つべきであると実は考えております。しかしながらこの為替自由化ということをはかりましても、ただいま相澤さんが心配しておられるように、この外国資本導入を自由にいたしました暁に、いわゆるホットマネーが入ってくる、こういうことになると経済を撹乱されるおそれが多分にあります。そういう点について私ども特に注意していかなければならぬと思う。今日、貿易為替自由化ということがいわれており、これが非常に大きな波紋を投げかけておる、その事実も私ども否定するものではございませんが、基本的に相当時間的な時差があるんじゃないか。今非常に心配しておる方の向きにはこの何らの準備なしに、不用意のもとに為替貿易自由化をはかる、これは大へんだというような御心配があるようです。また非常に一部の最近独立した国などは外国資本を極端にきらって、共同経営は一切ごめんこうむる、こういう民族資本にこり固まる国もあるようですが、わが国経済現状をもっていたしますならば、いわゆる優良な外資導入はむしろ歓迎すべきじゃないか、かように実は思っておるわけであります。その優良な外資というのは一体どういうことかと言えば、わが国産業を育成し、また同時にわが国輸出貿易にも非常に貢献するような外資は、これはもう積極的に進めるべきだ、実はかように思うのであります。という意味からこの為替自由化の場合に、やはり段階的な措置をとりまして、いわゆるホットマネーが入ってくるようなことは極力避ける。今日の為替管理をやっております意味からいっても、優良なる外資につきましては、ケース・バイ・ケースでこれが導入を許しておるということを実はいたしておるわけであります。で、その為替貿易自由化ということが、私ども見込みなしに実は進めるつもりは毛頭ございません。十分その間には調整もとり段階的な措置を講じて、そうして国際的潮流におくれをとらないように進んでいく考えでございます。
  30. 相澤重明

    相澤重明君 大蔵大臣見解の中に非常な重要な問題が含まれておる。もちろん私も外資導入をまるっ切り全部いけない、こういうことを言っておるのではない。特に国の基幹産業に大きな影響を持つ原油あるいは石油等については、これは私は一たん事があった場合には大へんな問題だと思う。ということは戦前に軍部で統制をした場合のことを私どもは思い起こすわけであります。もし外国資本によるこれらの産業の重要なる部面を占める問題が、一たんシャット・アウトをくった場合にはどうなるかということは、私は考えておかなければならぬことだと思う。ですから先ほど冒頭にも申し上げたように、基幹産業である石炭産業についても確保をしておかないと、私はもう大事なことになるのではないかという心配を申し上げたわけです。その点については大蔵大臣はやはり石炭産業についても確保するという方向を出されておりますから、その点は同感でありますが、この外国資本導入について、一部の評論家ならばそれは何を評論しようと自由である。しかし事政治という問題に関しては、私はやはりこれは非常な慎重を要する問題ではないかと思う。特に原油石油等国際競争が激烈化すればするほど、国内産業を育成する仕方いかんによっては、ほとんどこれに依存する形になってくる。こういう点を一部の評論家が、為替貿易自由化の問題について、なあに一つ会社に全部外国資本を入れてみたところで、それで日本の国が左右されることじゃない、こういうような評論の仕方をしておりますが、これは実際政治というものを知らないいわゆる評論でありまして、おそらく今の基幹産業に重要な影響を持つものがそれぞれの大部分である。先ほど私が申し上げたように原油石油についてはおそらく七〇%以上は外国資本であるにもかかわらず、それをさらに九〇%以上に、もしなるとしたならばこれは国内にとっては非常な大きな問題ではないか、こういう点は特に国民の財布のひもを握っておる大蔵省でありますから、関税等の問題と関連をして、私は十分御検討を願う必要があるのではないか、こう思っておるわけであります。  そこで、もし今大蔵大臣の御答弁のように、優良な外資は積極的に導入をしたい、そうして国内産業の発展をはかりたい、こういうことのようでありますが、そうするとここに問題が一つ提供されるのは、独占禁止法というものを、一体これをどうしていくのかという点に私はかかってくると思うのであります。大蔵省の方針としては、現在の独占禁止法というものをいわゆる修正をするというか、独占禁止法を緩和する方向にいこうとするのか、それとも独占禁止法というものは、やはりこの際従来通り守っていこうとするのか、その点を一つお聞かせをいただきたいと思うのです。
  31. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今の独占禁止法の点に触れます前に、外国石油会社わが国石油会社に対する株式の取得状況を一応御説明いたしておきます。  東亜燃料工業、これが五五%、スタンダード・ヴァキューム・オイル・カンパニーからきております。それから日本石油精製の五〇%、これはカルフォルニア・テキサス・コーポレーション、それから興和石油これも五〇%、これはカルテックス・オイル・プロダクツ・カンパニー、三菱石油のやはり五〇%がタイドウォーター・アソシエイテッド・オイル・カンパニー、アメリカです。それから昭和石油、これも五〇%がアングロサクソン、これは英国の会社です。そういう状況で今、日本で五〇%以上を持っておるのは東亜燃料工業一つでございます。その他は五〇%ということであります。  ところでいわゆる経営権をゆだねるというような考え方にはもちろんなっていないようでありますしかし共同経営の形をとっておる向きもあるわけであります。また最近の外資導入におきまして言われておりますことは、あまり経営にはタッチをしたくない、すなわち資本的な利潤を得たいというような向きもあるようであります。そういうような点が今後の外資導入の場合に、いろいろ考えるべきことではないか、かように実は思っております。ただあまり窮屈な思いをしまして、先ほどの、どういうお話かと聞いておったのですが、ちょつとわかりかねたのですが、一朝、事あらばという話ですが、最近は世界的な平和確保、こういう方向にあります。もともと資本が入ってくる、共同的に経営するということは、もう信頼一つでできることでございますし、言われるようなシャット・アウトを食うというようなことを前提には逆に考えられないのでありますので、その心配はないと思います。ただ非常に経営的才能がないために、外国から資本がくる、向うの投資家もどうも日本経営者にはまかせておけない、こういうような状況であれば、これは経営権自身も、外国人の手に取り上げられるということになりますが、わが国の今の産業状況なりから申しますと、経営的にはものによっては外国人より以上の経営的才能を持っているようでございますから、その点の心配はまずないのではないか、かように考えます。  それから独占禁止法については、これは大蔵省の所管ではなくて、通産省の所管でありますので、これは通産大臣から詳細に聞いていただきたいと思いますが、政府自身、また通産大臣の過日来衆議院の予算委員会でお答えしているところでは、ただいま独占禁止法の改正に手をつける考えはない、こういうことでございます。
  32. 相澤重明

    相澤重明君 わかりました。もちろん今の関連で、原重油の問題については通産省のことではありますけれども、しかしこれは大蔵省と切り離せない問題でありますからお尋ねをしておったわけであります。そこで今後日本は諸外国との貿易を盛んにする、特に政府は東南アジア低開発地に対しては、積極的な援助をする、こういうことをいわれているのでありますが、原油輸入状況についても私どもが調べた中では、アジア地域、あるいはいわゆる中東地域、スマトラ地域、ボルネオ地域、ニューギニア、アメリカ地域等それぞれありますが、その中でも非常に東南アジア関係が私はかなり積極的に日本との貿易についても期待をしているのであろうし、われわれとしても一番よいように思うのであるが、政府は一体中東なり、スマトラなり、ボルネオなり、ニューギニアなり、アメリカなりのそれぞれの産地に対して、どこを重点にこれからやろうとするのか、この点についてもちろん通産当局ではないけれども大蔵省としても関税をもらう立場にあるのですから、もらうことは遠慮なくもらうことがよろしいのでありますから、そういう点でどこを一体中心にやろうとするのか、その点の一つ見解を聞いておきたいと思います。
  33. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 原油及び粗油の輸入実績の国別のを見ますと、今日一番多いのはサウジアラビア、それからクエート、イラク、イラン。インドネシアは非常に少なくなっております。それからサラワク、英領北ボルネオ、アメリカ合衆国その他、こういうような実績の大体順序になっております。ただいま読み上げた国で、そうですね、サラワクがイランよりも……、あとは大体数量がその順序であります。この実績からみますと、中東地区、アラビア地区というものは非常に多いという実績でございます。おそらく今後もそういう状況で続くのではないかと思いますが、最近新しいものとして起こつておりますのが、日ソ通商協定を締結するにあたりまして、ソ連からの油を日本に提供するという話も参っております。この点はまだ数量的には、はっきりいたしておりません。そういうような情勢の変化はございます。この状況は当分変わらないのではないか、かように実は思っております。ことに、もう御承知のことだとは思いますが、日本原油からガソリンをとりまして、ガソリンをアメリカへ輸出しておる。そういうような状況にまで実はなっておりますが、そういうような石油業界の実情等を考えて参りますと、原油をとって参りますのは、ただいま申し上げましたような地区が主体になる。かように考えております。
  34. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  35. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を始めて。
  36. 相澤重明

    相澤重明君 それではその次にお尋ねしたいのは、ガソリン税等の問題であります。これは、私が今の原油石油輸入状況お尋ねしたことは、そのことに関連をするわけであります。  そこで、運輸大臣一つ先に伺っておきたいのでありますが、運輸省の一カ年間に使用するガソリンというものはどのくらいになっておるかということについて、一つ答弁願いたいと思います。
  37. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 自動車局長から答弁いたさせます。
  38. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 昭和三十三年度、昭和三十四年度の自動車用揮発油及び原油消費量推定につきまして申し上げますと、昭和三十三年度のガソリンの消費量は二百八十四万五千キロリッターでございます。昭和三十四年の推定は四百三十九万一千キロリッターでございます。
  39. 相澤重明

    相澤重明君 この中には自衛隊用が含まれておるかおらないか。
  40. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 自衛隊の関係は含まれておりません。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 自衛隊関係者来ていますか。きょうは防衛庁長官呼んでおったな。
  42. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 防衛庁は午後です。
  43. 相澤重明

    相澤重明君 それではその次にお尋ねいたしますが、大蔵省はガソリン税等について値上げをする考え方を持っておるのかどうか。
  44. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまガソリン税の増税あるいは減税というような、両方の面について研究しておるものはございません。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 私は、今のガソリン消費量と原油石油等輸入量、こういうものを勘案しますと、もっとガソリンは値下げをしてよろしいのではないか、こういうふうにさえ思うのでありますが、大蔵大臣もそういうふうに私の思っておるように考えられるかどうか、いかがでしょう。
  46. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまのお答えいたしましたように、増税も減税もただいま研究しておりません。
  47. 相澤重明

    相澤重明君 その次にそれではお尋ねしますが、業者が値段をお互いになるべく上げたり下げたりしないで協定値段を作ろうという傾向があると思うのでありますが、またその通りやっておると思うのですが、大蔵大臣はどう把握いたしておりますか。
  48. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 昨年のガソリン税の増徴、値上げの場合に、どういう影響があるか、実は私どもいろいろ工夫というか検討してみたのであります。一部販売業者自身あるいは製油業者自身が負担して、そうしてガソリン消費者に迷惑のかからないように従来していた向きがありましたが、今回の引き上げによりましては、その点を明確にいたしたようであります。また今回原油関税を引き上げる措置をとりましたので、今後これがどういうように吸収されていくか、私どもも研究課題としてただいま研究しておるわけでございます。できるだけガソリンなり、また油そのものは安い方向にあってほしい、かように考えておりますので、そういう点では、十分業者間の不当競争は避けていかなければならぬことだと思いますが、しかし業界自身が適正な競争をすることは望ましいことだと、かように考えております。
  49. 相澤重明

    相澤重明君 大臣の御答弁によりますと、自由三義のもとにおける競争でありますから、これは値段の開きがあり、またよい品、安い価格が大衆に喜ばれお客さんに喜ばれる、これは当然な原則だと私は思う。しかし不当に過当競争をするということは好ましい存在ではない、という御意見でありますが、このガソリン販売特に小売問題について価格をそういうふうに統一的にお互いに値を下げない、こういうようなことは正しいのか正しくないのか。この点について一つお伺いいたしましょう。
  50. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今どういう実態になっておるか私十分存じませんが、先ほど来申し上げますように、適正な自由競争は望ましい、かように考えております。
  51. 相澤重明

    相澤重明君 これは大臣、重大な問題ですが、あなたのさっき言ったことは、できるだけ、不当な競争はいかぬかも知らぬけれども、自由という業である、しかもこれは値段を安く、品物がよいものが大衆に喜ばれる。特に自動車業界等においては、最もこれを必要とするものだと私は思うのであります。ところがもし大臣の言うように、値段を業界の人たちがお互いに協定をするということになったらどうなる。これは私は公正取引法違反ではないかということまでつかんでおるわけでありますが、そういうことに対しては、そのような事態があったら、大臣はそのように思うかどうか。たとえばいわゆる日石にしろあるいは三菱にしろ、公社なりあるいは政府機関に入れる場合に、お互いに値段を協定をしておく、そうしてもしこのようなものが、大量輸入があった場合原価が下がる、コストが下がる。従って、うちは一円でも二円でも安く入れたい、こういうような場合に業界の話し合い、協定をしてそれは困る、こういうようなことを言われることに対しては、一体公正取引上どうなのか。あるいは大蔵省見解はどうなのか。この点について一つ公正取引委員会が来ておったらその点も答弁しておいてもらいたい。大臣からも一つ
  52. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど来申し上げますように、不当競争は避けてもらいたいし、適正な競争は望ましい。しこうして今、現状はどういうことになっておりまするか私は十分知りません。また役所自身がこういうものについて不当競争を避けるという意味で、どういうような行政指導をしておるか、こういうことも私十分存じませんで、そういう点と役所の行政指導と、あわせてただいまのような協定価格というものがあるとして、これは公取法に違反するかどうか、その辺は十分考えてみないとわからないのです。今お尋ねになりました程度では実態についていろいろ誤解を受けやしないか、かように私は思いますので、公取法違反だとかどうだとかいうことは申しあげかねるわけでございます。
  53. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記をとめて。    〔速記中止
  54. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を起して下さい。
  55. 相澤重明

    相澤重明君 公正取引委員長にちょっとお伺いしておきたいと思うのですが、先ほど大蔵大臣にちょっと質問をしてきましたが、これは所管が違うので実はなかなかまともな答弁ができぬわけだ。そこでガソリン小売り等について末端の販売店あるいは支店等が一括納入をする際に、それぞれの業者諸君が統一的な値段の協定をする、あるいはそういう話し合いによって絶対に下げてはならないというふうなことをすることは、これは公正取引上の違反にならないかどうか。この点あなたの見解一つお伺いしておきたいのです。
  56. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 価格協定と申しますのは独禁法のいわゆる共同行為でありまして、共同行為というものは例外的な不況の場合の共同行為とか、それから合理化の共同行為、これは公取委員会の承認を得てやるのでありますが、それ以外のものは原則としてできない、もちろん中小企業等につきましては独禁法についての適用除外という例外措置もありますけれども、それでなければ共同行為、価格協定ということは独禁法上禁止されておるのでありまして、私ども目を光らしておるわけであります。
  57. 相澤重明

    相澤重明君 あなたの独禁法第三条の解釈等についての今の御答弁をいただきましてその通りだと思うのですが、そういたしますと、今のガソリンを取り扱っておる業者諸君が価格の協定をして、それ以上は上げても下げても、まあ上げるということは喜ぶかもしれぬが下げてはいけないと、こういうことは明らかに独禁法違反になる、こう理解をしてよろしいということですね。
  58. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 先ほど申します通り独禁法の例外法規がありますけれども、例外法規に該当しない限りは共同行為は、独禁法の条といいますか不当な取引制限に当たる、従ってそれはできない、こういうことになっております。
  59. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると公正取引委員長は今の日本国内におけるガソリン、軽油等の取引はこれは零細業である、中小企業であると、こういうあなたは御判断をされておりますかどうか。
  60. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) それは関係業者を見なければ何とも申し上げられないので、いわゆる元売り販売というようなものは、これはもう中小企業じゃありませんけれども、従って適用除外の根拠はないわけです。
  61. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、今の大手のこれらの業者諸君が価格協定をして、それ以外によるところの販売は相ならぬ、こういうことは明らかに独禁法違反であるということをあなたは肯定されたと思うのであります。今業界はどういうことをやっておるかあなたは御承知でありますか。あなたは公正取引上目を光らしておる、こういうことを言われておったのでありますが、どういうふうなことをやっておるかということを目を光らしてお調べになったことがございますか、わかったら一つ報告願いたい。
  62. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 石油の販売につきまして、独禁法違反の疑いのある事件もありますのでただいまその点について調査しております。ただ相澤委員の御質問でありますが、協定をして価格維持するということは、その協定者のやることであって、それ以外の者との関係においては法律上いろいろむずかしい問題があります。たとえば特約店が販売をする、どうもその特約店が価格協定しておるのじゃないかという疑いがある。しかしながら特約店というものは価格協定をしないで、元売り業者がやっておるのじゃないか、というようなことになってくるといろいろむずかしい問題があると思います。
  63. 相澤重明

    相澤重明君 実は今あなたの御指摘した通りなんですよ。これは今末端において行なわれておるガソリン等についての販売について、小売店についてはこれはいろいろと業者間の協定を行なう。しかしこれは相手が、お宅の品物を買いたいのだということであるから、協定は別に違反にはならない——実はそうでない。今のあなたの指摘されたように元売りがこれを先に言って、特約店が売る場合にそれ以下では売っては相ならぬぞ、そのために業界では、もしこれを摘発されたならば、その処分を受けたときのちゃんと手当までしておるということを私は聞いておる、そういうようなことを——これは私は聞いておるだけであるから、あなたはそういうことをお調べになったケースがあるのか、それともそういう趨勢があるのか、この点についていかがですか。
  64. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 実はただいま調査中の事件がありまして、その事件の調査に伴って、結論まではいっておりませんが、今仰せになったような疑いを持っております。
  65. 相澤重明

    相澤重明君 大へん熱心な答弁で私も大へんいいと思う。一つこの点はもう徹底的にやってもらいたい。これはもしこの公正取引委員会が目を光らせるのを怠りますと、このことがやはり発端となってそうして中小企業者が非常に損害をこうむることになる。利用者ですよ、これは。ですから私はそういう幾つかの事例というものを聞いておるわけでありますが、少なくとも独禁法違反については公正取引委員会が徹底的な追及の手をゆるめては相ならぬ。それでそのことが行なわれるならば、先ほど大蔵大臣に質問いたしました、たくさんのこれからのこの二千百万、あるいは二千五百万にも及ぶ原油石油輸入についての不当な競争もないかもしれぬし、また実はもっとコストを下げられた安い値段で、たとえばこのハイタク業者、トラック業者等も適用することができるのである、ところが残念ながら、町のハイタク業者等は、価格協定を大手筋がした場合にはほかで買うことができない、従ってみすみす高いものを購入をしなければならぬ、そこに大衆課税の実際大きな根本原因があるわけであります。その点を、私は特に本日のあなたの答弁を非常に関心を持っておりますから、一つ今後とも手をゆるめないで徹底的にやっていただきたい、こういうことを思うわけであります。それではガソリンの問題についてはその程度でとどめます。  次に大蔵省お尋ねをしておきたいと思うのでありますが、それは臨時金利調整法についての問題であります。臨時金利調整法については、大蔵省としてもやみ金融等の問題で非常に苦労をされておると思うのであります。前にはいろいろと民間のインチキ会社が金融まがいのことをして、非常に多くの国民に迷惑をかけたことは御承知通りだと思うのであります。この臨時金利調整法第二条によりますと「大蔵大臣は、当分の間、経済一般状況に照し必要があると認めるときは、日本銀行対策委員会をして、金融機関の金利の最高限度を定めさせることができる。但し、金融機関の金利の最高限度が、他の法律に基き定められ得る場合は、この限りでない。」こうなっておる。そこで、今の金利について、この一般の市銀等との関連において、非常なやみ金融が私は、行なわれておることが、いわゆる実際には取締りなどの手抜かりになっておるのじゃないかというような点が多々見受けられるのでありますが、大蔵省はこの臨時金利調整法に基いてどういうような調査をされ、そうしてそういう問題が摘発されたことがあるのかないのか、こういう点について事例をあったならばあげてもらいたい。この法律というものはどういうふうにして適用しておられるのか、適用したことがあるならばそれを発表してもらいたい。
  66. 前田佳都男

    政府委員前田佳都男君) ただいまの相澤委員の御質問のやみ金融の取締り、やみ金融は最もこれは憎むべき行為でございまして、これを極力取り締まるという必要はもっともでございますが、現在の臨時金利調整法は、銀行等の金利につきまして規制を行なうことを目的といたしてはおりまするが、この法律は金融機関の自主性ということを建前といたしまして、罰則の規定もございません。極力金利というものを抑えよう、しかし自主的に自律的にこれを規制いたしたい、そういう建前の法律でございます。従いまして、具体的にこの法律に基づきましてどういう取締りを行なっておるかという点につきましては、特にございません。なお詳細な点は銀行局長からお答えいたします。
  67. 石野信一

    政府委員(石野信一君) ただいまのお答えを補足させていただきますが、臨時金利調整法は、金融機関の金利につきまして、当分の間、金利は自然にきまるべきものでございますが、当分の間これの最高限度をきめる、そうして自主的にこれに従わせるという趣旨の規定でございます。罰則その他も規定はございません。なお、やみ金融というものにつきましては、これは金融機関でございませんので、大蔵省で今直接の所管をいたしておらない関係になっております。
  68. 相澤重明

    相澤重明君 臨時金利調整法の主体は、みずからの自主規制ということが中心であるという前田次官の御答弁、その通りだと思うのでありますが、それでは関連をして出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律との関係はどういうものであるか。
  69. 石野信一

    政府委員(石野信一君) 出資の受け入れ頂かり金等に関しましては、いわゆる貸金業と申しますか、貸付金利の貸付を一般的に金融機関以外の者が行なう場合におきましては、これは都道府県に対して届出の義務があるということに相なっております。なお、金利につきましては、日歩三十銭という最高限度を規定して、それ以上でありますと刑事問題に相なることになっております。
  70. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、今銀行局長答弁によりますと、この法律の第二条によると、「業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定による者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。」このように規制をされておるのであります。そこで業としての金融関係というものは、この法律に基づく、特別の法律の定めある場合は別として、その他は全部この法律に適用されるのであります。そうしますと、あなたが今お話の都道府県知事に届出されておれば、これはまあ一つの適用の対象になるかもしれないがこれが届出がされておらないということになれば、この対象にはならないかどうか、もっと私は具体的にこれを申し上げますと、会社で金を預かる場合は、この法律の適用を受けるのか受けないのか。この点は非常に重要な問題でありますから、銀行局長の御見解を聞いておきたいと思います。
  71. 石野信一

    政府委員(石野信一君) ただいまのお尋ねは、会社の中で、社員が会社に金を社内預金として預けておる、これは出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の、業として不特定多数の者から金を預かるというのに入るかどうか、なおその場合に第二条で「業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定による者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。」この「他の法律に特別の規定による者を除く外、」これとの関連はどうであるかという点が御質問の要点かと思うのであります。この業としてという言葉につきましては、反復して経済行為を行なう場合は、業としてやるのであって、広く解すべきであるという解釈が成り立つかと思うのでありますが、不特定多数の者から預かるという場合に、少数の会社の社員、こういうような場合には、不特定多数という点がどの程度までを不特定多数というかというような問題がございます。さらに他の法律に特別の規定のある場合ということでございますが、労働基準法の第十八条に勤務先預金に関する規定がございます。これは、強制的に貯蓄をやらしてはいけないという趣旨と同時に、逆に最低年六分の金利を、やる場合にはつけなければいけない。あるいはその貯蓄の規定についての周知義務であるとか、返還に関する義務とか、それを保護するような規定も含んでいるわけでございます。従いまして、この出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律によって、社内預金が直ちに抵触するからやめるべきではないかという解釈の問題につきましては、先ほどの業としてという点、あるいは不特定多数という点、あるいは今の他の法律の規定の問題、これらの点につきまして、これが完全に抵触するかどうかという点は、必ずしも社内預金を禁止するというようなところまで、この法律の規定がねらっていないというふうに考えられるのでありまして、その点ははっきりいたしておりませんで、特にこの法律施行前から慣例的に社内預金というものは存在しておったわけです。そうして、労働基準法で、他の法律でそういう規定がございます点から申しましても、これが直ちに抵触するものというふうには断定できないというふうに考えております。
  72. 相澤重明

    相澤重明君 銀行局長は、大へんなことをあなたは答弁されておる。直ちに賛成できないというあなたの答弁であるが、大蔵省のそもそもの本質は何だ、銀行の本質は何だ、その銀行の本質は預金者の保護ということが一番中心である。そうでしょう。いわゆる金を貸す、借りる、こういう相対的ではあるけれども、まず大蔵省が一番目を光らせなければいけないのは、預金者の保護をいかにしてこれを徹底をするかということです。今あなたの法律の解釈論は、これは慣例により、あるいは、長い間にそういう経過をたどっておるというだけの解釈です。しかし、大蔵省が近代的な法令整備をするということになれば、これは私は重大な問題だと思う。  そこで、あなたにそれでは一つお尋ねをしておきたいのですが、会社がつぶれた場合に一体だれが責任を持つか、会社更生法ができるまではだれが責任を持つか、大蔵省のこの法律の適用の問題についてはどうするか、会社更生法ができるまでは。会社更正法の適用を受けた場合は、労働者は社内預金をした場合、もらえないのじゃないか。だれがそれは責任を持つのか、そういう偉大なことを、もっと私は研究をしてもらわなければならない。直ちに賛成できないというが、直ちに賛成できる、できないということではなくて、預金者の保護ということを大蔵省はいかようにして行なうか。これが大蔵省の使命でなければいけない。金を貸せばいい、そういうものではない。金を貸すには金を貸す元がなければいけない、預金がなければいけない。政府の出資金にしても、政府の出資金がいかに間違いなく執行されているかということを大蔵省が監督しなければならぬ。それが大蔵省の使命である。その建前からいえば臨時金利調整法、あるいは、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律、こういう命題からいけば、あなたの方はむしろこの会社が自由に、しかも一定の金利に従わないで、特に高金利をもっていかにも金がたくさん労働者に還元をされるというようなことで行なうことが、非常にこれは大蔵省の方針からして問題があるのじゃないか。単に労働基準法十八条の解釈上の問題だけではない、労働者の保護、預金者の保護、こういうことからいけばこの法律の適用をどうするか、一たん会社がつぶれた場合には会社更生法の適用はどうするのか、こういう私は立場を真剣に考えてもらいたいと思う。あなたは、これを大蔵省としてはこういう関係の法律について暫定法律でもあるし、またこの金利等の問題は特にこれからの日本産業についての重要なウエートを持つのであるから、大蔵省としての検討をする考えはないか、この点だけを一つ伺っておきましょう。
  73. 石野信一

    政府委員(石野信一君) ただいま預金者の保護について大蔵省の使命をしっかりやれという御激励をいただきまして、非常にその点私どもも同感でございます。ただこの社内預金の問題につきましては、いわゆる労使間の問題として労働基準法の十八条の規定がございます。こういう金融政策の面と申しますか、銀行行政に、銀行局だけの立場から申しますと確かにこういう金というものが、会社がつぶれたような場合に危険があるということではいけませんので、金融機関に預かってもらいまして、そうして金融機関の監督を十分にするという態勢になる方が望ましいということはその通りでございますが、もともとこの社内預金というものが、やはり福利厚生というような点について、社員の方も自分の勤めている会社に貯金をして、若干金融機関より金利を高くするということになっておれば、それである程度また会社の中の福利施設に金を使うとか、あるいは会社がその金を運用するということになるならいいんじゃないか、というように利用される方の人たちもそう考える、会社の方もそれを預かる、というようなことを絶対的に禁止してしまうのがいいかということになりますと、これはまた労使間の問題として労働省の立場もあると思います。そういう意味にお寺まして今一がいにこれを制限するとか禁止する、というところにまで踏み切るような態勢にはない点は御了承いただきたい。
  74. 相澤重明

    相澤重明君 御了承願うということではなくて、私の言っているのは、労働基準法の労使間のいわゆる協定とか、あるいはお互いに会社をよくするためのいろいろの苦労、こういうことについてはわかるが、銀行自体の銀行のあり方、あるいは大蔵省がこれを監督する場合の金利等の問題について、これはやはりはっきりと法律に基づく私は手続を強化をしていかなければならぬだろう、こういう点で申し上げておるわけなんです。だから預金者の保護ということが、これは金融業に対して一番重点であるにもかかわらず、ともするとそういう労使慣行あるいは労使協調という名前によって、そうしてこの不特定多数の従業員の預金というものを吸収をする、しかしそれが円満に運営をされているときはよろしいわけです。しかし一つこの事業経営がパニックに会った場合に会社がつぶれてしまう、つぶれると労働者の預金だろうが、会社の預金だろうが同じなんであります。ここに労働者の預金というものを、保護しない現実が起きてくる。だからこそ会社更生法の適用されるまでは非常に苦労するということは事実なんです。こういう点についての特に大蔵省、銀行局の立場として私は事務上の厳然たる態度をもっていくのがほんとうではないか、政策の問題ではない、こういう点を申し上げておるわけなんです。そこで政策の点を申し上げれば、ここに特別立法というものができるわけなんです。この点は私は了としないわけではないのですが、やはり大蔵省の基本原則としては、銀行業務を行なう者に対してはそうした考え方が正しいのではないか、こう思うのです。  それからその次にいま一つお尋ねをしておきたいのは、会計検査院長がおりますから、山田検査院長にも一つともにお答えをいただきたいと思うのでありますが、政府資金を助成あるいは交付した場合に、その政府資金が不要になった、あるいはその交付した資金による作業、工事というものが不適正であった、こういう場合に返還を命ずることがある。このことは法律で規定をしてあるわけなんです。そのことについての法律の該当条項を示してもらいたい。大蔵省
  75. 前田佳都男

    政府委員前田佳都男君) ただいま相澤先生の御指摘の問題は補助金適正化法、債権管理法、この問題ではないかと思うのでございますが、この点につきましては条項を今ちょっと取り寄せましてすぐお答えをいたします。
  76. 相澤重明

    相澤重明君 会計検査院長政府資金が不正に使用され、あるいは返還を命じられたときには、交付した時点を返還の時期にするか、あるいはその不正、不当である判断を受けたときが返還の時期であるか、その時点についての会計検査院の立場を明らかにしてもらいたい。
  77. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) 返還を命じまして、それには返還の時期があります。その時期を経過したときから利子をつけるということであります。
  78. 相澤重明

    相澤重明君 会計検査局長答弁通りだと思います。そこで、返還亡命した時期から利子を付することになっておる。この利子を付することになっておるが、会計検査院で検査をした結果、そういうことがあったかなかったか、この点いかがでしょう。
  79. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) これは補助金の関係があれだと思いますけれども、補助金で利子を取ったものはあるというふうには聞いておりますけれども、何件どういうふうにあるかということは承知しておりません。比較的、何といいますか、利子をつけない形の場合が多いということは聞いておりますが、中には利子をつけたものもあるというふうに聞いております。
  80. 相澤重明

    相澤重明君 今のあなたの御説明によると、私も了解するわけたんですが、これが全然利子を付するという法律になっておるにもかかわらず、取らぬという建前でおると、こういうことであると問題ですからね。今会計検査院長やあなたの御答弁通りだと私は思うんですが、その事例は今即座にここで答弁を願っても無理だと思うんですが、そこで大蔵省一つお尋ねをしておきたいのですが、そういう各省にいわゆる補助金の返還を命じられたものについて、利子をつけることをあなたの方では各省に指示をしておるか、それともその状況によってと、こういうことだけで、あまりそういうことについては関心を持たれておらないのかどうか、この点一つ大蔵省の立場を聞いておきたいと思います。
  81. 前田佳都男

    政府委員前田佳都男君) その点につきましては担当政府委員から説明をいたさせます。
  82. 末広義一

    政府委員(末広義一君) 補助事業者等が、各省各庁の補助を受けます場合の条件等に違反をいたしました場合におきまして、返還を命ぜられたことがあるのでありますが、返還を命ぜられました場合におきましては、補助金の交付を受けてから返還いたします場合につきましては、それ相当の利子をつけまして、これが大体一日三銭の割合で計算した加算金を付して返還することに相なっております。それからまた返還を命ぜられました納付期日に納付しない場合におきまして、その納付を命ぜられました日以後におきましては、それについてまた延滞金を付して返還をする、こういうふうな規定に相なっておるのであります
  83. 相澤重明

    相澤重明君 延滞金は幾らですか
  84. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 延滞金はやはり日歩三銭ということに法律できまっております。
  85. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、補助金によるところの工事が不当であり、またあるいは返還を命ぜられた場合には、返還を命じた日から利子をつけて国に返す、しかもその場合には三銭の利子を付す、そうしてもしその三銭の利子をつけて返還する期日が延滞をした場合には、さらに延滞金利三銭を徴収する、そうすると合計六銭ということになりますね延滞をした場合には六銭ということになりますね。
  86. 末広義一

    政府委員(末広義一君) 延滞をいたしました場合には、延滞後でありますから、元金に対してやはり一銭でありますが、常に六銭ということにはなりません。加算金の中にはもちろん加算金に——返還金は加算金を含めたものが返還金になりますが、その加算金につきましては延滞金はつきませんけれども、常に合計六銭にはならぬのじゃないかと思います。
  87. 相澤重明

    相澤重明君 だからそれをはっきりして下さいよ。つまり返還を命じられた時点に立って、その日から補助金の打ち切りはもちろんだが、補助金を返還させるその補助金については利子をつける、その利子は三銭である。いいですか、たとえば本日が返還を命じられた日ならば、本日から三銭の利子をつけて返さなければならぬ、そういうことですね。そうしてもしこれを今月一ぱいなら今月一ぱいに返還せよという期日になれば、それまた今月末の期日をもって利子をつけて返すということでしょう。それがおくれた場合にさらに三銭の延滞金利を取るかどうか。今あなたの言うには、三銭が元金に入っておるから三銭でよろしいということになれば延滞金利というものはないのじゃないですか。それはどういうことになるんですか。
  88. 末広義一

    政府委員(末広義一君) 加算金をつけましたものが納付期日に納められない場合に、その元金に対して一銭の利子をつける、こういう規定になっておりますが、加算金を付されない場合もありますので、常に六銭ということには相ならぬというふうに解釈しております。
  89. 相澤重明

    相澤重明君 どうもその点が僕には理解できない。複利計算はどうするんですか、複利計算は。
  90. 末広義一

    政府委員(末広義一君) たとえば一千万円の補助金をもらって違反したために補助金の返還を命ぜられた場合には、日歩三銭の加算金をつけてこれが一千百万円となりました場合に、三百万円が納付期日に納められない場合には、その百万円のほかに元の一千万円に対しまして日歩三銭の利子がつく、こういうようになっております。
  91. 相澤重明

    相澤重明君 それでよろしい。それで三十二年度の決算の中には、そういう補助金の返還を命じられた事業というものは農林を初めたくさんあるわけです。そういう点については会計検査院が厳として検査を行なって返還を命じておるわけでありますから、そうするとこれの利子というものは加算をされて、そうして政府に納付されるものとこう理解をしておいてよろしいですね。そうしたならば、次に会計検査院はこの三十二年度の指摘事項の中でそういう点がたくさんあるわけです。これらについては今すぐといってもむずかしいですから、後刻どの程度にそういうものが行なわれておったか、こういうことを調べて三十三年度の参考に一つ知らしてほしいと思います。これはなかなか全部調べるというのは大へんでありましょうが、やはり今後の大蔵省のいわゆる政府資金というものが適正に使われておる、そうして不当、不正の場合においては直ちにこれは返還を命ずる、こういう国の方針に最も即応するよいことでありますから、この点を一つ会計検査院が調べて三十三年度の中でちょっと御報告を私はいただきたいと思います。
  92. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) 今大蔵省答弁いたしましたのは補助金の適正化に関する法律に基づくものと存じます。あの法律は二十三年度から施行になっておりまするから、二十二年度にはそういう事実は起きておりません。二十三年度以降は今のようになっております。だから今御審議になっておりまする十二年度の決算については関係ないと思います。
  93. 相澤重明

    相澤重明君 そんなことはない。三十二年……。
  94. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 補助金適正化法の時期は一十年に関係いたします。  それから何件あるかというお話でございますが、三十二年度では延滞金をつけているのは一件もないというふうに記憶しております。それから加算金は一件つけたのがあるというふうに聞いておりますが、どの件かちょっとわかりませんけれども、一件だけはあるということでございます。
  95. 相澤重明

    相澤重明君 そこでそれはそれであとでそういうことを一つ知らしてもらって私も了解いたします。  それからその次に金利の問題をやるとたくさんあってきりがないと思いますから、国鉄総裁が御出席ですから国鉄総裁に一つお尋ねしたいと思うのですが、国鉄では昨年、一昨年また本年と、国鉄教習所において自衛隊員の養成を行なっておるようでありますが、昨日私もその報告を運輸委員会で受けたわけでありますが、これはどういう法律に基いて行なったのか、一つ国鉄総裁御答弁をいただきたいと思うのであります。
  96. 十河信二

    説明員(十河信二君) お答えいたします。  日本国有鉄道法の第三条第二項でございます。国鉄の業務に差しつかえのない限り、委託に応じて教育をすることができるということになっております。
  97. 相澤重明

    相澤重明君 それでは日鉄法に基いて国鉄の業務に支障のない限り委託に応ずる、あるいは要請に応ずる、こういうことでありますが、防衛庁長官から国鉄に対してその法律に基いて依頼をされたとするならば、その目的はどういうことでそれをあなたはお受けになったのか、その目的を明らかにしていただきたい。
  98. 十河信二

    説明員(十河信二君) 防衛庁の目的はどういう目的か存じませんが、今日までの既往の事例を見ますと、先だっての名古屋付近の台風のような非常異変の際に手伝っていただいて、非常に役に立って感謝をいたしております。
  99. 相澤重明

    相澤重明君 十河総裁ともあるものがどういう理由かわからぬという理由があるか、そういう理由があるか。少なくとも防衛庁長官からは国鉄に対してこれこれの目的のためにこれこれの教習なりあるいは訓練を必要とするということで、何らかの申し込みがなければ、あなたがただ言われたからはい、そうですかというそんな理由は私はないと思う。その点を明らかにしてもらいたい。
  100. 十河信二

    説明員(十河信二君) 防衛庁からの申し入れの工面について中村理事から答弁いたさせます。
  101. 中村卓

    説明員(中村卓君) 防衛庁からは三十三年の六月に長官から総裁あてに書面が参っておりまして、それによりますと、従来も教育とか今までいろいろ若干国鉄には厄介になっておりましたが、「更に従来の教育を一層推進して自衛隊の任務遂行に完ぺきを期したいと存じ、貴社の教育機関及び現業機関等におきまして、教習及び実習を受けたいと存じます……。」というようなことが書いてあります。
  102. 相澤重明

    相澤重明君 その任務を完璧に遂行したいというのでありますから、任務の遂行の完璧をはかりたいということは、国鉄の業務に関連をしたことの訓練を要請をされた、こう理解してよろしいですか。
  103. 中村卓

    説明員(中村卓君) もう少し正確に読み方が不十分だったので読んでみますと、「鉄道輸送の治安に及ぼす重要性にかんがみて、国会等におきましても正三輸送確保の見地から質疑のかわされましたことは先刻御承知のことと思いますが、」先ほど申し上げましたように「これとあわせ考え、更に従来の教育を一層推進して自衛隊の任務遂行に完ぺきを期したいと存じ、」そういう趣旨でございます。
  104. 相澤重明

    相澤重明君 どうも中村常務の読んでいることは早口でわからぬ。もっとゆっくり読まなければ委員にわからない。それはあとで書類として委員長の手元に出してもらいたい、委員に配ってもらいたいと思います。  そこで自衛隊、防衛庁長官から依頼をされて、国鉄の業務に支障のない限り、できるだけ一つお互いに国家のためにやろうという、老骨をひっさげてのあなたの信念に燃えてやったと思うのですね。そこでお尋ねいたしたいのは、鉄道職員の養成あるいは教習を受けるのにはかなりの人件費を必要とするわけであります。そこで防衛庁から、これらの四百数十名の人を養成をするには、一人幾らのいわゆる費用というものを国鉄は受け取ったのか。これは非常に大事なことでありますから会計検査院長一つ聞いておいていただきたい。一つ答弁いただきたい。
  105. 十河信二

    説明員(十河信二君) 実費をいただくことになってもらっていると思いますが、何ぼもらっているかということは私存じませんから、担当の理事から答弁させます。
  106. 中村卓

    説明員(中村卓君) 今のところあまり詳しいところの資料は持ち合わせがございませんが、ただいま総裁から御説明いたしましたように実費をいただくということになっております。もし詳しい資料が必要だったら後ほど差し上げます。
  107. 相澤重明

    相澤重明君 本来きょうは国鉄のことについて、特に防衛庁長官を決算委員会が呼んで、そうして国鉄における防衛庁の教育の問題について質問があるということはとうに出ているわけです。そういう点はそのくらいの答弁ができないようでは困るわけです。将来を託される国鉄の首脳部が。ないものはしようがない。あとでこれは一つやはりよく調べて報告してもらいたい。  それからこれは会計検査院にお尋ねしておきたいのですが、特に国鉄のような公共企業体——独採制、これはきわめて私は厳格だと思う。ですから十河総裁も老骨をひっさげて国鉄の復旧のために組合と話し合ってもなかなか譲らぬところが多いわけです。これはやはり国鉄という大部隊をしょっている関係でなかなか大蔵省が資金的にめんどう見ない、こういうところがあるから、そういう点で自分では思わぬことまでも強くやらざるを得ない、この人情総裁がやはりそういうことが多いのですよ。(笑声)そこでこのやはり国鉄の費用、そういう国鉄の資金、それから部外からのそういうものこういう一ものはきわめて厳正に検査する必要がある。今後一つ今の点、実費はもらっているというのが幾らだかわからぬわけですから、会計検査院も一つ関心を持って調査を進めてもらいたい。  そこで大蔵次官がおりますから国鉄総裁とともに答えてもらいたいのでありますが、国鉄は三十二年度から運賃を値上げして第一次五カ年計画を作ってそうして輸送の緩和をはかりたい、こういうことで進んで参ったのですが、なかなか思うようには進みません。その上に新線十一路線の建設、それから新しい東海道幹線の建設、こういうことになっているのでありますが、国鉄が国民の付託にこたえるためにはそれでもまだ足りないくらいだと私は思うのです。そこで大蔵省は、一体、国鉄の経営について今のような形で資金的に需要が間に合うものであるかどうか、こういう点をどう考えるか。  それから十河総裁には、大蔵省との折衝、政府に対するいろいろのあなたの御意思の表明もあったと思うのですが、本来、新しい建設線については当然建設資金というものは国家が持つべきものである、政府が持つべきものである。そうしてその建設された後は国鉄がこれを移管を受けて営業すべきである。こういうふうに思うのであるが、これはビルマ等ではそういうふうにやっているわけであります。そういうことを十河総裁もお考えになっているかどうか。  それから大蔵省は、国鉄に利子補給あるいは建設資金を出すべきであると、こういうような考え方を持つかどうか、この点を一つ政務次官から御答弁いただきたいと思います。
  108. 前田佳都男

    政府委員前田佳都男君) お答え申し上げます。ただいまの相澤委員の御質問はなかなか基本的なむずかしい御質問でございまして、はたして私は御満足のいけるようなお答えができるかどうか、非常に疑問でございますが、大蔵省といたしましても、決して国鉄解につきましては、けちくさい考え方をもちまして別に財布のひもを締めているわけではございません。経済基盤の強化と申しますか所得倍増と申しますか、そういうふうな観点からいたしましても、日本の輸送力を増強するということはまず第一でございます。でき得る限り予算もみているつもりでございます。ことに佐藤大蔵大臣は国鉄出身でございますので、非常に国鉄についての御理解も深いのじゃないかというふうに私は思っております。なお賃金の点につきましては、財政投融資——新線建設につきましては、国鉄当局でも非常に御努力を、十河総裁を中心としてなさっているようでございまして、大蔵省といたしましても、財政投融資あるいは世界銀行から借款をすることに十二分の努力……。尽くしたつもりでございます。不十分な答弁で失礼でございますが、これで……。
  109. 十河信二

    説明員(十河信二君) 国鉄の輸送力増強あるいはサービス改善、近代化等に対しましては莫大な資金を要するのであります。われわれが今日やっていることはまだ決して国民の御満足のいく状態ではないと思います。私はその点を非常に遺憾に存じているものであります。またたびたびの建設審議会におきましても、新線建設は政府出資でやってもらいたい。それができない場合はせめて利息だけは国家から補給してもらいたい、そういうことが必要であるという決議をいただいております。たびたび大蔵省の方にもお願いをいたしております。ことにただいまもお話のありましたように、佐藤大蔵大臣は最もわれわれに同情を持っておられる方だと考えまして、ひたすらおすがりいたしたのでありますが、不幸にして今日われわれの意見が実現いたしません。御承知のような状態になっておることははなはだ残念に思います。今後も私はでき得る限り今お話のような趣旨に対して努力を傾けたいと存じます。
  110. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記をとめて。    〔速記中止
  111. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を始めて下さい。
  112. 小柳勇

    小柳勇君 今の問題に関連して、あと二問だけ国鉄総裁に質問いたしたいと存じます。今の相澤委員の質問に関連してですが、十一路線という建設がなされると、動かすだけでも年間四十億くらいの欠損である、そういうのが明らかにわかっておりながら大蔵省では利子補給もやらない、それのしわ寄せが現在国鉄の中で、簡易線に対しては管理所を設置して駅を民間に委託させるとか、駅員なしの駅を作るとか、こういうような管理所や管理区を設置してまで経費を切り詰めていかなければならない。しかしそれでは職員の労働過重になっていく、あるいは事故も発生するかもわからない、そういうような情勢に追い込まれていてなお十一路線の建設に対しては国鉄総裁として拒否権も発動できない、利子補給もしてくれない、建設費は出さない。それでもこの建設を背負わされていくこういうことに対して、国鉄総裁としては内閣その他に対してもっと強い決意を表明なされなければならぬと思うが、そういうことに対してただ大蔵大臣におすがり申しただけでできると考えておるのか、この機会に総裁の決意と、それから今後どうしようとされるか決意のほどを聞いておきたいと思います。
  113. 十河信二

    説明員(十河信二君) 私といたしましては十分な決意をもって非常に強くお願いをいたしておるつもりでありますが、不幸にして微力目的を達することができなかったので、今お話のありました合理化の点でありますが、これはこの月越と関連もありますが、この問題と関連なくても国鉄の財政は今日非常に大きな壁にぶつかっておるのであります。これは運輸大臣もたびたび御説明があったように思いますが、国鉄は今や非常に大きな曲りかどに、ぶつかっておるのじゃないか。これをもし何とかしなければ国鉄の将来はきわめて暗たんたるものがあるということを考えまして、合理化に対しては極力推進をすることにいたしております。先刻お話のような管理所を作るとかいうようなことも、職員が過去の官庁経営の習慣になれておりまして企業的意欲が足りないということをたびたび皆さんから御指摘を受けます。できるだけ企業的意欲を発揮して、地方の方々にサービスを向上して御満足のいくように、経費はできるだけ安く上げるように、そうして職員も満足した明るい気持で働けるように、能率の上がるようにということを今努力いたしております。多少は地方の方に御不便をかけることもあるかと思いますが、皆さんも非常によく御理解下さって、今のところ大体うまくいきつつあるのじゃないかと私は見ておる次第であります。  なお、地方の方々に御迷惑のかからぬということに極力努力する覚悟でおります。
  114. 小柳勇

    小柳勇君 新建設路線の問題については、大臣が来られたからさらに決意を聞きますが、管理所や管理区を設置して駅を無人にする、あるいは民間に委託させる、そういう方向に今簡易線の方でなされつつあるが、民間、町村の人たちも八十数年の歴史を持った駅の経営、そういうものが習慣になっており、駅を通れば駅員がサービスをしてくれるものと理解しておる。そういうものを民間に委託して、たとえば夫婦者が駅におられて、切符売りから集札からやられる。そういうことに非常にとまどっておる。また列車に対して、今は十分理解のある人がそういう仕事をするでしょうが、たとえば三等郵便局のように関係のない人が駅に出てくるかもわかりません。そういうことを考えると、あのような速度のある汽車の扱いは、郵便局のようなわけにいかぬのではないか。それをあえて総裁は新線建設などのこの四十億や数十億の赤字を、そのような危険を冒して、歴史のそういうふうな流れを無視してなお強行しようとすることは、私は経営上矛盾ではないかと思う。従ってそういうような管理所や管理区の無人駅とかあるいは民間委託、そういうものはこの際やめて、もっとほかの方で経営合理化をやるし、かつもっと政府に強力に働きかけて、そういうような作れば必ず赤字が見えすいておるような路線に対する保障というものは、当然国がやるべきであるということで貫いていって、管理所や管理区の問題は撤回せらるべきであると思うが、総裁はどうですか。
  115. 十河信二

    説明員(十河信二君) ただいまお話の通りに私も考えております。できるだけ地方の方にも御迷惑をかけないように——私も無人駅へも行ってみました。乗車しておる車掌さんが切符を切ったり集めたりするような、民間の鉄道でやっておるようなことをやってくれております。無人の駅はもう駅舎も取り払ったらいいじゃないかということまで考えたのでありますが、地方の方がぜひその駅は置いておいてくれということで置いてある駅もあります。そういう所へ行ってみますると村の人が非常によく協力してくれまして駅で村の集まりをするとかそこらへ花をさしてくれておるとかいうことで、お客さんになぐさめを与えるような施設までしてくれております。非常に私は感激いたしました。そういう点を感激すればするほど、他方において国鉄経営上非常な圧迫になるような赤字をしょうことは極力これは避けてもらいたいということを私は政府にも国会にも絶えず強くお願いいたしておるのであります。私のお願いの仕方が足りないという仰せでありますから、今後はさらに馬力をかけてお願いをすることにいたしたいと思います。どうぞ皆さんも力強く御支援をいただきたいと、この席を拝借してお願い申し上げます。
  116. 小柳勇

    小柳勇君 大臣が見えましたので大臣にも今の問題に関連して……。  新線十一路線の建設のために国鉄が赤字を背負っていく、年間数十億の赤字を背負うために、経営合理化によって管理所を設置し、あるいは民間に駅を委託させるという方向は時代錯誤ではないか、こういうことですが、運輸大国にこの前も質問いたしましたが、そういう新線建設に対する政府の方針というものはまことに無為無策である。利子補給すらしない。こういう問題に対して運輸大臣内閣でどういうふうに活動されたか、今後どういうふうにされようとするか。もし利子補給をしないとするならば、新線十一路線の建設審議会の答申はありましても、これは当分延期すべきであると思われるがどうか。それからさらに付け加えて、最近この新線建設など利用債を盛んに募集しておられる。それがずっといなかの市町村長まで動員して利用債を募集しておられるが、その利用債がすぐ目の前に効果を現わしてこない。新線建設もできない、駅もできない、そういうことで逆に今非常に市町村では利用債に対して不信感がある。協力しないという声がある。そういう問題について運輸大臣はどういうようにお考えか。国鉄総裁もその利用債の問題については一つお答えを願いたいと思います。
  117. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 新線建設の問題は建設審議会等の答申がありまして、また国鉄の持っておりまする公共的な役割から申し上げましても、地方の産業開港及び文化交流等を考慮いたしまして、実は十一線を決定をいたしたのでありまして、建設審議会等の答申にもありますように、御指摘にもありました利子補給の問題は、今回の予算折衝におきまして大蔵大臣と相当に強く折衝をいたしましたが、どうしても利子補給の問題は大蔵当局がきくところとならず今日に至っているのであります。しかし国鉄が公共企業体として独立採算的にいけという要請を一方に受けております。国鉄の一番大きな財源は運賃のノーマルなる姿に持っていくということでありますけれども、運賃の問題につきましても諸般の情勢上、国会その他の方面においても暫定割引ですらなかなか国会側においてもいれられないというような情勢等がありまして、国鉄それ自体、一体その二律背反的な状態に立っておるものをどうするかという問題で、私は運輸大臣になりましてから国鉄全体の健全なる一つ経営体を作るという意味からいって、どうしても政府において、もっと国鉄に対する一つの認識といいますか、どうするかということの決意を示さなければならないということで、暫定割引等の問題の延期をめぐりまして、経済企画庁長官を幹事役にいたしまして、関係閣僚等においてこの問題に今取り組みつつあるのであります。今御指摘のありましたように、すでに新純正役すれば四十億の赤字がみえておるというものを、あえてやはり国民的要請によってなさなければならないという公共性があることもまた否定できないのでありまして、これは保守党といわず社会党といわず建設審議会の中におきまして、いろいろと慎重審議、議論がされました結果、ぜひともこれだけはやれという至上命令的なものを受けております。そういう段階に国鉄がおるということを申し上げまして、何とかこの問題について根本的に打開策を講じたい、こう思うのであります。  なお利用債の問題につきましてはいずれ国鉄総裁から御答弁があると思いますが、新線建設につきましては利用債を持たせることはやらしておらないということですし、改良その他につきましては国鉄総裁からお答え申し上げます。
  118. 十河信二

    説明員(十河信二君) ただいま大臣からお話のありましたように、新線建設には利用債をお願いいたしておりません。駅の改造あるいはいろいろな施設を増強するとか、あるいは電化、ディーゼル化をそれぞれの地方に進めていくというような場合に、地方の方々の御援助を願っておることはあるのであります。これもそういうことをしない方がいいかと思いますけれども、皆さんの御要望が非常に強いのであります。ところが一方においてただいまもお話のありましたように、資金の面はきわめて窮屈に制約せられております。国鉄は運賃収入かあるいは財政投融資に財源を求むるのほかはないのであります。それゆえそういう非常に苦しいやりくりをやっておるような次第であります。それでもなお国民の御要望にこたえることができない、絶えず皆さんからおこごとをいただいておるような次第でまことに困っておる状態におるのであります。どうか御了承を願いたいと思います。
  119. 坂本昭

    ○坂本昭君 関連して。ただいま小柳委員からの質問に関連して一言お伺いしたいのですが、国鉄が赤字経営のために国民の要望に非常にこたえがたくなってきておるというふうな御説明がありましたが、しかし国鉄の任務は国民に対する奉仕が最大の任務であって、いかに赤字がふえたからといってそういうサービスをどんどん怠るようでは非常に困るのであります。ところが四国のような特に赤字線を抱いておるような所、こういう所では確かに収支相償わないことは私たちも承知いたしておりますが、聞くところによりますると、鉄道の小口貨物の扱いについていろいろと昨年十月から大幅な制限を行なってきておりますが、さらにこの春からは四国では貨物の取り扱い駅を非常に制限をして、三分の一くらいに制限するような計画を持っておられると聞いております。こういうようなことは、いかに赤字が特に四国の線において多いといいながら、そういうことによって貨物の取り扱い駅を三分の一に減らすというようなことは、国民としては非常な迷惑を受けるのでございますが、こういう点について総裁としてのお考えを伺っておきたいと思います。
  120. 十河信二

    説明員(十河信二君) たびたび申し上げまするように、国鉄の一番大きな欠点は輸送力が足りない、線路も足りない、車両も足りない、駅その他の設備も足りないと、輸送力が足りないために皆さんに非常な御不満を与えておるのであります。私はできるだけ輸送力を充実したいと思っておりますが、先刻来申し上げまするような事情でなかなか思うように参りません。現有の施設をできるだけ有効に利用して、皆さんにできるだけ多くの御満足を与えるようにするにはどうしたらいいかということを考えまして、それにはスピードを上げていく。スピードを上げていくには、貨物列車が非常にスピードがおそいのであります。貨物列車がおそいために旅客列車もそれに伴っておそい、従って輸送力が減少するということがありますので、貨物が到着がおくれて皆さんから非常にお小言をいただいておるのであります。そこで、貨物をできるだけ早く目的地に到着するようにするためには、貨物列車の停車駅をできるだけ少なくすることが必要になってくる。貨物列車のスピード・アップをしてそうして時間を短縮する。そうすれば荷主の方々、荷受主の方々にそれだけ利益を与えることになるのであります。そういうふうにやりたいと、こう考えまして、できるだけ貨物駅を集中して、そうして貨物列車のスピード・アップをするということを今努力いたしております。しかしながら、そのためにまた特段の御不便をおかけする所ができてはこれは相済まぬと思いますが、できるだけそういうことがないように、努めて犠牲を少なくして利益を大きくしようということを、今せっかく努力いたしておるような次第でありますから、どうか御了承をいただきたいと思います。
  121. 坂本昭

    ○坂本昭君 もう一つ。今の貨物の配達のスピードを増すということは、たしかにこれはサービス面において必要なことだとは思います。が、三分の一にも減らすということは、これは国民の側からすると、また非常な不便も増してくる。私は、貨物列車のスピードを技術的にどういうふうに高めたらいいかということは、これはまあ専門家におまかせしなければならぬと思いますが、一挙に三分の一に減らすということは、これはどうも少し国民の側の利益を無視したことではないかと思うのです。特に、これが全国的に行なうのではなくて、四国という一番収支償わない所をねらって、これは実験かどうか知りませんが、総裁も四国御出身なんですから、そういう四国がもうからぬといって四国に冷淡な態度をとられることなく、もちろん技術的なことについては全部おまかせいたしますが、三分の一にも減らすということは、これはどうも不満が四国では非常に強くなっておりますから、この点十分御考慮の上、適切なサービス機関としての任務を果たしていただきたい。そのことを重ねてお願いしておきます。
  122. 十河信二

    説明員(十河信二君) 四国だけやっておるのではなく、これは全国やっておるのであります。四国は大体昨年度大ざっぱの計算で二十八、九億の赤字になっておりますから、従って、四国はできるだけ赤字を少なくして、そうして赤字が少なくなれば、それだけ施設を充実する資金ができるのであります。従って、皆さんに御満足を与えることになるのじゃないかと、こう考えております。まあできるだけ御不便の少ないように努力いたしますから、どうぞごかんべんを願いたいと思います。
  123. 小柳勇

    小柳勇君 第二に、国鉄総裁並びに運輸大臣に質問するのは、国鉄バスの経営についてであります。国鉄バスの経営については、本社内部でも独採制をとって経営をやっておられるようですが、働けども働けども人件費が年々かさんで参って収支償わないという情勢に対して、それになお民間のバス、たとえば貸し切りの認可にしても、あるいは路線の認可にしても、民間のバスと若干ハンディキャップをつけて、国鉄だから少し民間のほうを有利にしようというようなことを具体的に私は感ずる。したがって、第一に国鉄総裁に聞くのは、国鉄バスを今後どういうふうに経営しようとされるか。たとえば志免炭鉱を売るように考えられたように、民間に売ってしまうというようなことすら声が民間にある。そういう心配をする職員もおる。したがって、これからどう経営しようとされるか。経営するについては、独立採算制に追い詰められて職員が一生懸命やっておってもなお経営が成り立たんような情勢になりつつあるが、これをどう解決しようとされるか。運輸大臣においては、そういう認可なり監督する場合に、国鉄バスだからこれを少し押えておいて、というようなことで民間を有利にされたら、ますます国鉄のバス経営は苦しくなる。そういうことであるので、運輸大臣としては、監督官庁としてどうこれを育成しようとされるか。この三点をおのおのから聞いておきたいと思います。
  124. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 今御指摘のありました国鉄バスの認可の問題でありますけれども、この問題は、民間企業を圧迫する、あるいは既存業者を圧迫する場合において、国鉄バスを許さないじゃないかという問題、あるいは別に圧迫はしないけれども民間を擁護するために許さないじゃないか、というようなお話がありましたが、運輸省といたしましては、やはり交通上の必要性があり、かつまた民間バス等がその要請にこたえ得ないといいますか、たとえば非常にお客が多くてどうしても間に合わんというような場合に、国鉄の要請があればこれは許可するという方針を、国鉄法第三条によって国鉄はやっておりますから、許すという方針をとっておりますが、まあ個々の場合においていろいろと見方がありますから、先般は信州で国鉄バスを許したために増田委員長が、われわれの方の委員長ですが、十河総裁にえらい勢いで食ってかかって文句を言って来たのでありますが、個々の場合につきましてこれは認可を当局においてやっておるのでありまして、その点はやはり国鉄自体の立ち行くような点は十分に考慮して取り扱いたいと思うのであります。  それからまた国鉄のバスの強化等につきましても、十分に配慮をするように指示をいたしておるのでありまして、ある場合において鉄道でなくて国鉄バスをもってやることが国民の要請にこたえ得るという場合には、その場合民間との間になるべく調節をさせまして、これを経営を許しかつまた強化していくという方針をとっておるのであります。なにしろ乗合自動車から来る国鉄の圧迫というものは非常なものでありまして、したがって場所によっては、国鉄としても鉄道よりもバスをもってやったらいいというような場所も、公共性ということからあるのはそれをやはり認可していきたい、こういう方針をとっておるのであります。
  125. 十河信二

    説明員(十河信二君) 御承知のように、国鉄は独立採算制を法律によって要求せられておるのであります。これは鉄道に限らずバスも同様であります。自動車も同様であります。民間の鉄道会社等におきましては、鉄道の赤字をバスの黒字で埋めるというような経営をやっておりますが、不幸にして国鉄は、民間でやってないような収益性の非常に薄いところの路線をよけい持っております。それゆえに、先刻お話しのありましたように、昨年度において約十三億か五億の赤字を出しております。これではいかぬと、こう考えまして、なるべく収益性の高いところへ輸送力を増強して、そうしてこの赤字を消し、さらには黒字にするようにいたしたい、こう考えまして運輸省の方へもお願いをいたしております。最近におきましては、たとえば私の国で新居浜市へ入ることができなかった、郊外でとまっておったのが、市の中心地へ入ることを許された。そういう点で相当収益を増しているところがあります。漸次そういうふうにやっていきまして、なるべくこの赤字の路線は、たとえば建設線の代行ということで始めたところは、建設線ができれば、自動車の方はやめた方がよかろう、こう思うのでありますが、今日までは、建設線を完成したにもかかわらず、鉄道と自動車と両方やっているようなところもあります。そういう点は漸次改善をしていきたい、こう考えて、今自動車の運営については根本的に再検討をいたしているところであります。
  126. 小柳勇

    小柳勇君 その問題については、まだ矢嶋委員からの関連もあるようですが、私は第三問に入っていきたいと思います。官房長、人事院総裁にも関連がありますが、国鉄が該当者が多いので、国鉄総裁に質問しておきたいと思います。  それは、行政処分を受けた者の復権の問題であります。会計処理上の不正不当によって処分された問題については、今まで論じられて参りましたので、私は、これも含めますけれども、ここでは直接問題にいたしません。私が今問題にいたしますのは、三十二年度のこの決算関係のある、国鉄経営の中における労働運動によって処分された者の問題に限って、国鉄総裁に答弁を聞いておきたいと思います。  昭和三十二年の春から、二十三年の暮れまでの処分者が、これも国鉄の当局の数字を聞いてから質問するのが正しいのですが、時間の関係上、私の調べたのによって質問をいたします。一年間に解雇された者四十二、停職が二百八、減給が二百二十一、戒告が千、合計いたしますと、行政処分千四百七十二名であります。それから二十七年から三十四年の春まで、全部これを統計をとってみますると、解雇八十二、停職四百五十一、減給九百十七、戒告一万一千三百九十二、訓告一万七千二百十五、厳重任意が四万七千二百二十五、処分の計が七万七千三百十二名であります。このような多数の職員が、総裁の名によってあるいは局長の名によって処分されております。それでその処分の、この処分をどうするかという問題よりか、復権の問題について私は質問いたしておきたいと思いますが、各国の事例を調査いたしてみましたところ、まあほかの国でもありますけれども、フランスに一番いい例としてこういう例があります。「フランスでは、「官吏についての一般規程に関する一九四六年一〇月一九日の法律」第八十三条により、懲戒記記抹消の申請に関する規定」というのがあります。これによりまして、この八十三条によりますと、「懲戒罰を課せられ、かつ職団から排除されなかった官吏は、戒告又はけん責に関しては五年間、他の罰については一〇年間を経過した後、宣告された罰の一切の記録が身上記録に残らないようにする趣旨の申請を所属の大臣に提出することができる。」で、「本人が罰の対象となって以来、一般的行状により完全な償いをしたときは、その申請を許可しなければならない。」、「大臣は、懲戒会議の意見を聞いて決定する。」、これがフランスの例であります。こういうようにフランスでは、たとえば戒告とか譴責などの軽い罰は、五年か十年いたしますと、本人が一生懸命がんばっておれば、それが一切の身上記録から消されるのであります。これを国鉄総裁が大臣に申請いたしますると、それを大臣決定して、これを消すことができるのであります。この一年間に起こりました、三十二年度に起こりました千四百七十二名、あるいは二十七年から三十四年の春までに処分されました七万七千三百十二名、この中には解雇などの重い労働法による処分もありまするが、国鉄総裁の権限による、あるいは局長の権限による行政罰、軽い罰、そういうものも多数含まれております。そういう人が、どういう今処遇を受けているかといいますると、戒告を受けますと、その年は昇給しない、二重罰であります。あるいはそれが身上記録にありますると、功績賞を授与されるという判定の場合に、これが一つの削除される判定の基準になる。あるいはまた懲戒罰などを加えられまして、いろいろ二重、三重の罰を食らって参ります。従いまして、私が今国鉄総裁にお聞きしたいのは、そういうような戒告とか、あるいは厳眞注意とか訓告とか、あるいは減給とか、こういうのはいつまでも一生履歴書に残しておかなければならないものであるかどうか。もしそうでないとすれば——特にこの労働運動などによりましては、いろいろ周囲の情勢によって、自分の意思に反してでも、あるいは義理人情といいますか、そういうものでいく場面もあろう、そういう場面もありまするので、そういうようなことで、過去の、もうすでに数年前の話でありまするから、そういうものを適当な時期に大臣にそういう規定を作るかあるいは申請するかして、そういうものを身上記録から抹殺して、これをこの職場で明るく希望を持って働くように、国鉄総裁として考える意思はないかどうか、あるいは大臣としてはそういうことを閣議で諮って、そうしてそういうような法律を作ろうとするお考えはないかどうか、これは官房長官にも、人事院総裁にもあとで質問したいと思いまするが、そういう大臣と国鉄総裁の意思のほどを聞いておきたいと存じます。
  127. 十河信二

    説明員(十河信二君) 私はその履歴から抹消するところまでは考えませんでしたが、過去において何か間違いがあって処分をせられた人でも、その後改俊の情著しく十分に改まっておると認められる者は、それ相当の、何といいますか、回復のできるような処置を講じております。これは組合とも相談をして妥結をいたしておるところであります。しかしながら、多数の規律、秩序を維持する上においては、信賞必罰ということは、これはどうもやむを得ないことじゃないかと考えますから、過去においてまあ多数の処分者が出たということはまことに遺憾でありますが、今後はそういう処分者をなるべく少なくするようにしようじゃないかということを、組合の幹部とも絶えず相談をいたしております。だんだんそういうことが少なくなってくることと期待いたしております。履歴書の点は、なおよく検討をいたしまして、適当に善処いたしたいと存じます。
  128. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 今総裁からも答えられましたが、これは刑事政策といいますか、そういう立場から申し上げましても、あやまちを犯した者は、一定の年限がたって、その人間がそのあやまちを犯したことを抹殺するだけのやはり業績があれば、それはきれいにしてやるというのが、これは当然の措置でありますし、また、処罰という目的それ自体がそういうことを期待し得るような方向へ持っていくことによってのみ、初めてその目的が達せられると思うのでありますから、私は、国鉄の方の規則がどういうことになっておるかよく知りませんが、あるいは人事院等の関係もあるかどうかよく存じませんが、今おっしゃいましたようなフランスにおいてやっておるようなやり方というものは、私は非常にいいことだと思うんですが、十分に研究して、そうしてその人たちがむしろ非常にりっぱになってもらうということを期待し得るような措置をやはり講ずるということは、これはやはり必要であると、こういうふうに思うのであります。十分考慮したいと思うのであります。
  129. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 二、三点簡単に伺いたいと思います。  まず、先ほどと関連するんですが、十河国鉄総裁は就任以来、大衆へのサービス改善というのに大きく政策を向けていかれていることは非常にけっこうだと思う。従って、一等旅客車等が非常に改善されつつありますが、この方針は今後もいよいよ推進していただかなくちゃならぬと思うんです。それと、いつも御要望申し上げるわけですが、国鉄というタイトルをかぶしてあるわけですから、地方、後進地域の交通面については、今以上に配慮をしていただかなくちゃならぬと思うんです。これは後進地域がそういう立場から抜け出るためには、まずもって国鉄のになう分野というものは非常に大きいわけですから、この方針をとられているようですけれども、さらに推進してしかるべきじゃないか、これに対する見解ですね。  それで、特に具体的に伺いたい点は、長距離輸送をするにあたって、あるいは特急あるいは急行、あるいは準急というものを通す。その結果として地元民が非常に犠牲になる場合が多いのですね。最近若干改正されましたけれども、東北に急行が通った場合だってそうです。長距離輸送のための急行を通すために、地元の人が利用する列車が長いこと待ち合わせるとか、あるいは列車が一本あるいは二本カットされる。そういうことがおりおりあるのですが、そういうことのないようにしていただかなくちゃならぬ。それが後進地域の発展のために、また大衆サービス向上のために必要な方針だと思いますので、これに対する見解を承りたい。  それから次の点は、先ほど国鉄バスの問題が出ましたが、これらの点について、私は自動車局長さんあるいは総裁に個人的にも私見を申し述べたことがあるわけですけれども、後進地域においては国鉄バスというものは非常に大切であるということ、それは安全という角度からいっても、正確さという立場からいっても、若干の赤字が生じても国鉄の名において私はやるべきである。国鉄あるがゆえにその地域の民間業者にも刺激となって非常によき影響を与えている。だから今の日本の段階では、ことに後進地域には若干の赤字を伴うとも国鉄バスの今の赤字を克服する方策を立てるとともに、推進すべきじゃないか、これは要望も含めて御見解を承りたい。  それに関連して、ささやかでありますけれども、もう今は国鉄はこれはお役所ではなくて、公社になっている。商売になっているわけですからね。バスも、民間バスと国鉄バスに乗ってみますと、大体車の色から違いますね。文化性がない。さわやかさがない。両方乗ってみますと、同じ若い女性が乗っているわけですが、ささやかな例ですが、あの若いバスガールが乗っている。民間のだったら服だってスマートですよ。洗たくもよくして上げるのでしょう、きれいにしてなにしていますが、国鉄バスの同じ年代の同じ日本の女性ですが、あまりスマートでもないし、服も破けたのを着たり、それからときどきあかの何をしたり——それでさわやかさというものがないですね。だからそういうところにも僕はサービス精神の欠如がある。これも国鉄の経理が非常に不如意なのも重々わかるわけでありますが、そういう点も、もう公社になっているわけですから、今後まあ改善をしていただきたいと思うわけです。  その点に対する所見を承るのと、それからお二人がそろっていますから、時間がないから、私は最後に国鉄新幹線の新駅のことについて伺いたいと思います。これは相当やりたいと思っておったのですが、時間がないから簡単に伺っておきますが、この新幹線九つの駅を国鉄は運輸省に許可申請、認可申請しているわけですが、それ以外によく問題になります岐阜県下に一駅を追加するという問題ですね、これはやはりその方針なのか。それからその場合に、岐阜と大垣と羽島というので若干もめているようで、大野さんに一任したということもあるようですが、それはどういうお考えでおられるのか。運輸大臣にしてみればサービス精神云々といわれますが、私はまあ先般の国会で運輸省当局に資料を出していただいた。これをつぶさに検討してみますと、この資料を作った人は、やはりあそこに一つ駅を作ることは、これは政治的にできるのであまり感心したことでないというお考えを持っておられるのじゃないかと思うんです。このデータというのはごまかせない。また、このデータを詳細に検討してみますと、若干これはレジスタンスというものを感じますよ。データを見ますと非常に無理な点が出て参ります。これは詳細にこのデータを私検討しているんですが、まあ乗降人員とか隣の駅との距離とか、あるいは運行時間も、現在特急が何本とまっているか、急行が何本とまっているかというような点から検討しますと、やはり無理したのじゃないか。で、国鉄マンが純粋に合理的に、純事務的に検討したならば、やはりこの岐阜県下に一駅というような結論はデータとして出てこなかったのではないか。たとえば特急のごとき、乗車、降車、合わせて岐阜駅は一日に五十八人しかないわけですね。隣の豊橋あるいは大垣、名古屋との距離なんかというのは至近距離ですね。自動車で走って何分間もう一時間か何分間程度です。列車でしたら二、三十分間程度というところなんですね。だからこれは相当ダイヤを組むときに問題起こってくるでしょうし、また建設費用もかなりかかるかと思うんですが、それで私このデータから言っているんですが、このデータを見て、事務当局のレジスタンスというものを感じます。これは運輸大臣としては、やはりサービス云々と言ってやられるのか。私ひそかに知っているんですが、運輸大臣も近ごろ珍しい名運輸大臣だと思っております。何か内閣が改造されるときには留任されるだろうと思うんですが、この前九州でちょっとディーゼルなんか動かしている、それを見ますと、やはり人情大臣楢橋さんが国鉄を何してここにとめたなあと思うようなところありますよ。しかしそれはいかにも楢橋さんらしくて、私ほほえましく思っている。これは私はあまり追及しようとは思わない、サービスになって……。しかし、この鉄道新幹線の九つの駅に一駅プラス・アルファするというのは、楢橋さんが九州でちょいちょいとされたのと質が違う。そこで私は、それだけの説明を加えて、現在どういうお考えでどういう経過になっているのかだけお答え願っておきたいと思うんです。まあ質問はそれだけです。
  130. 十河信二

    説明員(十河信二君) 第一の御質問、三等客を優遇するということは非常にいいから、ますます盛んにやってほしいというお話であります。今日何でも三等客は鉄道の上客であります。一番大切なお客さんでありますから、今後もますます改善をいたしていきたいという覚悟でおります。  それから後進地域には鉄道を延ばせ、バスも盛んに運行しろ、赤字があっても公社だからいいじゃないかというお話でありますが、公社でも赤字が出ると、だれもこれを埋めてくれる人はいない。これではどうも経営が成り立たぬのでありますから、赤字はできるだけなくするように、一時になくすることはできなくても、合理化でできるだけ赤字を少なくするようにしていくということは、法律がわれわれに命ぜられたわれわれの責務であると、こう考えますから、そこで大臣からお話のありましたように、公共的のサービスもできるだけ十分にして、しかも赤字をなくするようにやる。そういうむずかしい任務を私は背負って老師をひっさげて苦労しているのであります。そこのところはどうぞ御同情をいただきたいと思います。  最後に、岐阜県下の新線の駅の問題でありますが、これは初めから東海道新線には東京大阪間に大体十くらいの、十以内の駅を設置するということを考えて、世の中にも発表していたんでありますが、最初は鈴鹿山脈を突破して早く大阪へ着くようにしたいと、こう考えたんでありますが、いろいろと調査いたしました結果、どうしてもあの山脈の地質が許さない、非常に不経済になるということで、やむを得ず関ケ原の方に回ることに相なったんであります。そうなりますと名古屋——米原間に運転技術上どうしても何か一つ駅がほしいということで、これはいろいろダイヤを引いてみまして、それで事務的に、政治的でなく事務的にこれは決定いたしたのであります。しかしながら、ただいままだどこに駅を置くかということは、地質調査、測量等をいたしておりましてまだ決定いたしておりません。
  131. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 今総裁がお答えしましたように、運輸省に対しましては、九カ所明示した所と、一カ所は岐阜県下に一カ所という申請が参りましたので、これを認可しておりまして、岐阜県のどこに作るかということについては、追って国鉄から私の方に申請があると実は思うのであります。まあその辺のいきさつについては賢明なる何は御存じと思うのですが、大体岐阜県下に一カ所とめることは、まあ常識上これは妥当だろうと思って認可したのでありまして御存じのように神奈川県に二つ、愛知県に二カ所、静岡県に三カ所、滋賀県にとまって岐阜だけを通過してあすこに行くということは、何も駅を設けないということは、まあ常識上これは何だから、技術的にまあ差しつかえがなければ、つまり私の認可しました方針は、特急の時間を阻害せず、かつまた既定の線を曲げないという範囲内においてこれを容認したらいい。まあこの前私がお答えしましたように、大野さんは初め岐阜市に回ってくれというような話をその事前に要求しておったのでありますけれども、これは百億かかって、十五分おくれるから、大野さんがいかに政治力があっても、これは総裁も私も認可するわけにはいかないが、岐阜県について一カ所だけ駅をそういうことを妨げない範囲において設けるということは妥当だろう、こういうことで認可しておる次第であります。御了承をお願いいたします。
  132. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣が先ほどお見えにならなかったので保留しておりましたので、二点だけ簡単にお尋ねいたします。  一つは昨年十二月の京浜第二国道における自動車事故の問題、これは会計検査院長にも一つ法律の解釈上の問題でお尋ねしておきたいと思うのですが、これは明らかに自動車による衝突事故において、付近の住民に実は死傷者を出したわけであります。また家屋を破壊を受けておるわけです。そこでその後通産省なりあるいは運輸省で自動車問題についての整備を行なったと思うのでありますが、一般的にはこの火薬類運送等についての正しい省令がない。ここに私はやはり根本原因があったんじゃないかと思うのでありますが、運輸大臣及び関係局長から御答弁をいただきたい。  第二は、それに伴うところの憲法第十六条のいわゆる何人も損害の救済等を行なうことができる、憲法第十六条、それから憲法第二十五条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」こういう社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上及び増進という、憲法十六条及び憲法二十五条の国民の生活権利、これに対して、一体これらの被災を受けた人たちはどういう考えを持っておるかということは、すでに皆さん御承知だと思うのですが、具体的にこれらの人たちに対する決済はどうするか。この点は、今日寒空をかかえながら、この京浜第二国道の両側の破壊された人たちは、家を建てるのに途中で資金的にも行き詰まって、十分な方策もできない。あるいはせっかくお勤めにいっておった人たちでも、突然の夜中における爆発事故によって負傷したのでありますから、職場の中の規定がなかなか適用できない。このようないろいろな矛盾で、実は政府に対する何らかの処理をしてくれと、こういうような強い要望が起こっておるのであります。従って会計検査院も、これらの事情について国民の生活権利というものをどういうふうにお考えになっておるか、もし何か御検討されたことがあれば、一つこの際に私は披瀝をしていただきたい。これは会計検査院、それから運輸省がよかったか悪かったか、通産省がよかったか悪かったかということは別であります。それはそれとして、事故の対策というものはその後行なわれたと思うのでありますが、それから生じた被害に対しては、一体あなた方は、特に楢橋運輸大臣国務大臣でありますから、従って、政府がいかなる処置をこれらの人たちに及ぼそうとするのか、あるいはしてやろうとするのか、この救済等の措置について閣議においてもし討議をいただいたならば、その討議の結果を、また、あなたが閣議の中において主張されたことがあったならば、そのことをともにあわせて御発言を願いたいと思います。
  133. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 今の御指摘のありました十二月の横浜市に発生しました火薬の爆発の問題でありますが、この賠償等の問題については、今研究しているところによりますと、死んだ人その他についてでありますけれども、周辺の人たちに対する補償の問題というものが実は明確さを欠いておりますので、相澤さんが指摘されましたような憲法上の問題によって、一体国家がこの損害を賠償するかどうかということについては、まだ検討中でありますが、一方においてそれらの問題一につきましては、これは通産省の実は管轄でありまして従って、事務当局におきまして通産省との間に今後ともこういうような問題等が起こらないとははかり得ないのだから、やはりそういうものについて、国民に迷惑をかけないような方策を考究する必要があるというので、事務当局で協議をいたしておるような次第であります。
  134. 相澤重明

    相澤重明君 会計検査院の方、憲法上の解釈。
  135. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) この問題は、政府が適当な処置をなされるだろうことを期待して、それをお待ちしております。検査院としましては、所管外でもありますし、何ら研究をいたしておりません。
  136. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣国務大臣としての考え方については、私も了承いたしますが、少なくとも、相当期間たっておる今日、いまだこの関係の事故を起こした業者が、資金能力がないということで、ささいな金しか実は出しておらないわけであります。従って、被災者は非常な困難を来たしておる。このことについては、私はやはり、単なる業者の問題ばかりでなくしてやはり国家全体の問題として、そういうことの、将来に対する方針並びに、具体的にはこの被災者に対するところの救済措置を講じなければならぬ、こう思いますので、あなたの言われたように、早急にこれは一つ関係当局が協議をして、私はきめてほしいと思うのであります。この点は特に強く要望いたしておきます。  その次に、一つ運輸大臣と国鉄総裁にお尋ねをいたしておきたいと思うのでありますが、それは、先ほど矢嶋さんからも東海道新幹線の問題が出されたのでありますが、昨日も私、運輸委員会でちょっとその点を当局には申し上げておきましたが、ここに、この新幹線が、東京八重洲口になるか新宿になるかということが非常な長い懸案事項であったわけです。しかし、それが昨年末、ついに東京八重洲口に起点をきめたと、こういうようなことをわれわれは情報を受けたのでありますが、そのことが事実であるかどうか。それから、もし東京駅をこの東海道新幹線の始発、終着にするということになれば、今、神奈川県横浜市における——先ほども運輸大臣が言うように、神奈川県内には二つの東海道新幹線の駅ができる、それは横浜と小田原、そこで、その横浜の新しい新幹線の駅を作るのに、菊名というところがあるわけでありますが、その付近に作られるということでありますが、今の測量を行なっておることは、そのことを住民の人たちが見ておるというと、まるきり、運輸大臣や国鉄総裁が常にお話しになっておるように、最も能率的にスピードを上げて、合理的にこの東海道新幹線を建設をしたい、こういうことの意思に反して、まるでヘビがのたくったように、これは私はここに図面を持っておるわけでありますが、東横線を一回も縦断をする、こういうようなことで現地にくいを打たれておるということだが、これは昨日の運輸委員会のお話によりますというと、いや、まだ最終決定はしておらない、こういうことで、昨年十二月、大谷議員が運輸委員会に陳情を出されておる、そのときも、私どもは不十分であるというので、保留になっておるわけです。しかし、それはその当時の決定が東京駅になっておらないということで、決定されておらない当時はそれでよかったが、しかし、少なくとも、最初申し上げた、東京駅にもしあなた方が決定をしたとするならば、今の測量という点は全くまあばかげたことであって、おそらく運輸大臣も、それを、大谷さんのこの陳情の趣旨なり、あるいは私どもが知り得る内容からいくというと、全くけしからぬ話だと、こう思うのであります。そこで、こういうような綱島の町や、あるいは大倉山の住宅が二百戸も立ち退きをしなければならぬ、たんぼや山があって、あいておって、まっすぐ通れる、時間も短縮をされる東海道新幹線が、わざわざ温泉街あるいは住宅街を全部立ち退きをさせる、そういうやり方というものが、国鉄新幹線の中で測量される、こういうようなことは、まことに私は遺憾至極だと思う。で、運輸委員会も、おそらく本日の答弁いかんによっては、いずれ大谷議員提案のものを再審議を私はしなければならぬと思うのでありますが、本日は決算委員会でありますから、少なくともそういう構想がいろいろ述べられておりますから、そこで運輸大臣所見も聞いておきたいし、国鉄総裁も、こういう点は是正をする考えでおるのか、それともすでにそういう測量を開始したとするならば、それは絶対変えられないという考え方に立っておるのか。それから新幹線のいわゆる速度というものは、非常なスピードを出す、そうして東京——大阪間を三時間程度で結びたい、こういうことにもかかわらず、そのカーブを大きく持つということは、一体この列車速度に対するところの影響はどうなるのか、こういうような点について、専門的なことについて国鉄当局から私はお答えをいただきたい。  で、大臣については、先ほどの綱島の問題はとにかくこのような、まるきりヘビがのたくったようなことをやって、住民を立ち退きにしなければならぬ、まっすぐ通せば、山なりたんぼが通れるものを、そういうことを無理にやらなきゃいけないということはどういうことなのか、こういう点を、きまっておるのか、おらないのか、その点を明らかにしていただきたいと思う。
  137. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 今相澤氏が言われましたことについて、これは国鉄が今やっておることじゃろうと思うが、わざわざのたくり回って、変なところを一々追い立てて回っていくというようなことを、ばかげたことを国鉄はやっておらぬと思うのですが、私どもには今まだ正式なことは言ってこないから、詳細は一つ国鉄総裁から説明聞いてもらいたい。
  138. 相澤重明

    相澤重明君 大臣一つ見せよう。これだ、けしからぬ。
  139. 十河信二

    説明員(十河信二君) それは大臣からもお答えになりましたが、私どもは、なるべくカーブのないような、直線線路を選びたい。そしてなるべく東京—大阪間の交通時間を短縮したいということでやっておりますから、わざわざヘビの歩いたようにのたくり回ってやるという考えは毛頭持っておりません。その反対の考えを持っております。  で、東京の終点は東京駅ということに、各方面といろいろ協議をいたしました結集、決定いたしました。運輸大臣に申請して、認可を受けました。しかし東京から先の路線の経過地は、ただいま検討中でありまして、まだこれは決定いたしておりません。おりませんが、ヘビののたくり回ったような線路を通るとかということはいたさないつもりであります、
  140. 相澤重明

    相澤重明君 十河総裁のそういうお話で、私も非常に地元民が喜ぶと思う。あなたがそういうふうな誠意をもってお話しになることは大へんいいことだと思う。しかし現実には、それは十河総裁に私はお話し申し上げておきたいが、現地に行く測量班の人たちが、これはもう変えられぬのだ、こういうようなことを言っておるというのだね。これは私まだその実情を知っておりませんから、ただそういう地元の人が、今私が運輸大臣のところへ差し上げたような資料を作成されて、そして非常に大きな動揺を来たしているわけだ、今、これはもう国鉄はけしからぬ、わざわざおれの町をなくしやがるのか、こういう実際に大きな不安を来たしておるようであります。従って、どうかそういうふうに、りっぱに一つ、東海道新幹線らしい、しかも、まあ住民が迷惑をこうむらぬように、私は協力をしてもらう態度というものをとってもらう、その答弁を得ましたので、今後も私は監視をしていきますが、運輸大臣も、ぜひ新幹線の問題については、国鉄と十分話し合って、そういう…のないように、一つ私は特に要望して、質問を終わります。
  141. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止
  142. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記起こして下さい  それでは午前の審議はこの程度にいたしまして、休憩いたし、午後二時から再開いたします。    午後零時五十九分休憩    —————・—————    午後二時六分開会
  143. 上原正吉

    委員長上原正吉君) これより委員会を再開いたします。  午前に引き続き総括質疑を続行いたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  144. 小柳勇

    小柳勇君 人事院総裁が見えておりますので、公務員の給与の関係と、それから行政処分の復権の問題について質問いたします。  第一の、この公務員の給与の問題について、先般来いろいろ資料を見せてもらいましたが、人事院総裁としては、公務員の給与が、同種の仕事をしておる、たとえば公共企業体職員、あるいは公庫など、政府出資による仕事をしておる人たちの給与と比べてどのようにお考えであるか。数字をもってお答えを願いたいと思います。
  145. 浅井清

    政府委員(浅井清君) 大体のことを申し上げて、あと給与局長から数字について御説明申し上げます。  三公社五現業との関係におきましては、私は一般の公務員はさように低いとは思っておらないのでございます。それからいわゆる政府公団でございます、そういうような公社とか、そういうようなものよりは私どもの方では大体一五%から二〇%くらい低いのじゃないかと思っております。しかしながら、これはそういう機関におきまして職員を求めますることが、創立のときに非常に困難であったためにさようになっているのだろうかと思っております。しかし、私といたしましては、このように政府に近い職にある者が、公務員との間に開きができるということは決していいことではないと思っておりますから、公務員の給与の改善ははかるべきであろうと、かように思っております。なお給与局長から……。
  146. 滝本忠男

    政府委員(滝本忠男君) ただいま人事院総裁からお答え申し上げましたように、三公社五現業と公務員との給与の関係がどうなっているかという問題でございまするが、これは最近のはっきりした両者を比較するような統計がなかなか得がたいというような点もございまして、十分われわれその点について申し上げることがむずかしいのでありまするが、しかし現在の状況におきましては、まあ多少三公社五現業の方が優位に立っているのではなかろうかというように思っております。人事院といたしましては、この三公社五現業と公務員というものは、非常に近い関係にあるわけでございまするので、できればこの間の格差を埋めるような努力をいたしたい、このように考えておる次第であります。なお、五現業の中で郵政と、それから郵政を除きまするあとの四現業というものにつきましては、先ほど総裁から申し上げましたように、ほとんど現在の状況におきましては公務員と大体同水準ではなかろうか、このように考えております。なお、公団、公庫におきまする職員の給与につきましては、先ほど総裁から申し上げましたように、現在の状況においてはおおむね一五%ないし二〇%の差があるのではなかろうかというようにわれわれ考えております。このことにつきましても、でき得れば、非常に関係の深い両者、公務員とそれから政府関係機関でございまするので、できればこの差はできるだけ縮めたい、このように考えております。
  147. 小柳勇

    小柳勇君 この前総理大臣が出られたときに質問をいたしまして、そのときに、私は決算委員会の調査せられた資料で総理大臣答弁を求めました。人事院総裁もその日見えておるようでありましたから、重ねて申し上げませんが、第一の問題点は、公社の平均賃金を二万円程度といたしますと、国家行政各省庁の平均は一が六千三百四十五円と、この資料は出ております。それから上級職の職員と下級職の職員との較差が、戦前の給与体系と体系も若干変わって参りましたけれども、はなはだしくなっておる。その二点について、人事院総裁は公務員の給与の一切を掌握しておられるのであるが、こういうような資料を見ても、なおこの公社関係とのこれだけの差があっても、国家行政各省庁の職員については、今この勧告を政府にするようなおつもりはないのかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  148. 浅井清

    政府委員(浅井清君) さいぜんお答えを申し上げましたように、私はその差を慰めますとともに、公務員の給与を改訂いたしたいと思います。そこで、年々勧告をいたしまして、徐々に改善をいたしておる次第でございます。今後もこの努力は続けたいと思っております。
  149. 小柳勇

    小柳勇君 今まだ事務的な段階であると思いまするが、見通しについてお聞かせおき願いたいと思います。
  150. 浅井清

    政府委員(浅井清君) ちょっと御質問の御趣旨をなんでございまするが、その見通しと申されまするのは、今年度改善の勧告をするかどうかという問題でございまするのか、また、ずっと将来にわたってということでございまするか。もしもずっと将来にわたってということでございますれば、さいぜんもお答え申しましたように、われわれは決して公務員の保護機関といたしましてその待遇の改善に努力を惜しむものではない、これはむしろわれわれの義務だと思っております。  そこで、今年度改善をいたすかどうかという問題になりますると、これはまだ決定をいたしておりません。御承知のごとく、毎年一回相当大規模の民間給与の調査をいたしております。これはまだ着手いたしておらぬ段階でございまするので、その辺はまだわかりかねると思います。
  151. 小柳勇

    小柳勇君 私が質問しているのは、もう少し具体的に言いますと、昭和三は御承知通りでございます。第二は、これもただいま御承知通りに、恩赦の中の一つとしてさようなことが認められておる。現行法といたしましてはそれ以外には方法がないと思っております。
  152. 小柳勇

    小柳勇君 それで人事院総裁としてはやむを得ない、そういうことでございましょうか。私は午前中外国の例を一つあげて、国鉄総裁並びに運輸大臣意向は聞いたのでありますが、人事院総裁、もし外国の例など御存じであれば、それに照らしてどうしようとするか、そのままで仕方がないと考えておられるのか、お聞きしておきたい。
  153. 浅井清

    政府委員(浅井清君) 私午前中のこの委員会に出ていなかったのでございますが、そのとき小柳さんからフランスの制度についてお話があったように思っております。そこで、このフランスの制度は、これは人事記録から抹消するという制度であるように思っております。これはフランスの官吏法の規定によりますので、軽い処分におきましては五年間、重い処分におきましては十年間たちましたのち、本人が申請いたしまして、その後の行状がよければ、これを人事記録から抹消するという、これは記録上の抹消の問題でございます。これならばまた話が別になるのでありまして、救済手段とおっしゃられておりますから、その懲戒処分の効果を法律的に消滅させることだと思いまして、さいぜんさように申し上げたのでございまするが、このフランスの制度はそれとは別で、人事記録の中から抹消するという制度で、処分の効果には関係ないのでございます。
  154. 小柳勇

    小柳勇君 今言われたように、フランスのやつは人事記録から抹消することでございます。ところが御存じのように、公務員などでも表彰規定というものがございます。そうしますと、その表彰規定によって表彰する場合に、そういう過去の経歴表というものの中におけるいわゆる赤字が相当のファクターになります。そういうものを一つ責任上の問題で処分され、それが次にまたそういうことで問題になる。二重罰、三重罰で、官吏の一生の間で何十年間かそういう影響を与えるということについては、私は許すべきではなかろう。一つのミスで一回処分したならば、次にはまた新たな決意を持ってやっているですから、二重罰、三重罰は、これはやるべきじゃなかろう。そういたしますと、私はそれも一つの復権の方法ではないか、これは完全に復権はいたしません。ですから数年間の損はありますが、それもそこまでくれば回復してもらいたい。そこまでは要請いたしておりませんが、そういう二軍罰、三重罰になるような身分上の処分は、この際何らかの立法措置をもって抹消するように考えなければならぬのではないか。一つの例としてフランスの場合を私は午前中申し上げたのですが、人事院総裁のもう一回そのものに対するお考えについて聞いておきた  いと思う。
  155. 浅井清

    政府委員(浅井清君) お説のような方法も一つ研究してみたいと思っております。ただ、これは人事院所管の職員につきましては、これは法律の改正は要しないと思っております。人事記録のことは人事院規則に全部委任されておりますから、その記録を抹消するという意味での御趣旨でございますれば、これは人事院規則の改正で足りる。ただし、これは人事院所管の職員だけにしか適用がございませんので、これをもしやるといたしますれば、たとえば国会職員とか裁判所職員とか、全部の公務員についてこう頭を並べて実施することが望ましいと思っております。
  156. 小柳勇

    小柳勇君 その問題については、大体検討していただくという御答弁がありましたから、それに関連してですが、監督不行届の責任の問題と、公務員に対しても団結権は保障されています。その団結権による公務違反とか、あるいは業務違反などの処分などがなされております。そういうような職務執行上の、いわゆる行政上の処分と、それから公務員による団結権の行使、これは労働運動と通じますが、そのものを同じような規定で懲戒処分されております。そのことについて人事院総裁はどう考えておられるか。
  157. 浅井清

    政府委員(浅井清君) これは公務員法をそもそもこしらえますときに、一体労働運動に刑罰があるのはおかしいじゃないかという議論もあったのでございますが、しかしながら、私ども執行に当たる者といたしましては、現行法をもとにして申し上げますより仕方がないと思っておりますが、現行法におきましては、その組合活動についてもこういう刑罰のあるものがございますが、これは組合活動自体を罰しているのではないと思っております。それは九十八条による罷業とか怠業とか、かようなものを罰するので、組合活動そのものを罰しているのではないと思っております。
  158. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  159. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を始めて。
  160. 北村暢

    ○北村暢君 農林大臣が見えましたから御質問いたしますが、私は、この前の質問の中で、大臣が見えなくて残っている賛同をこれからいたしたいと思います。  最初に、農業災害補償法の改正の問題について、これは本会議でも施政方針の演説に対して、同僚議員の大河原君から質問をいたしたのでありまするが、前の本委員会においても政務次官にこの法案の準備について、ぜひ今度の国会に提出するように要請をいたしたのでありますけれども、その際に小枝政務次官から、今度の国会に必ず提出するということは受け合いかねるけれども、誠意をもって努力すると、こういう答弁があったわけです。それから大臣の本会議答弁においても、すみやかに提出をいたしたい、こういう答弁があったかと記憶しておるのでございます。それで、その後の政府の内部の準備の状況について私はお伺いしたいのですが、農林水産委員会における今次国会に提出する予定法案の中に、この災害補償法の改正案というものは載っておらないのであります。従ってこの大臣の本会議答弁による、すみやかに提出したいということは、今度の国会に間に合うようにすみやかに提出したいというのか、この点についてお伺いいたします。
  161. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 災害補償制度につきましては、北村委員からお話しのように、今やこれを根本的に解決すべき時期にきておる、かように考えております。その段取りといたしましては、私農林大臣に就任いたしまして以来、省内にこれの研究の機関を設けまして、鋭意研究を続けております、なお学識経験者等の意見も徴しております。それで、大体私どもといたしますれば、今月中ぐらいには農林省といたしましてどんなふうな考え方をいたしたらよかろうかという方向をまとめ得るかと、こういうふうに考えております。  その次の段階としては、国会の議員の人たちにも御参加をお願いいたしましてこれをどうするかということの具体的な諸問題を相談していただきたいと、かように考えておるわけです。そういう段階を経まして、慎重にこの改正の方向というものをきめていきたい。それで私どもの気持といたしましては、農家の人なんかも非常に期待をいたしております問題でありますので、この国会に間に合うように全力を尽くしてみたい、さように考えております。
  162. 北村暢

    ○北村暢君 ところが農林省内に、これは法律でも何でもないのですが、この制度の改善協議会というのを設けられておるわけです。それの何というのですか、協議会の議長といいますか、委員長といいますか、責任者はだれがやっておられますか。
  163. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 最初に設けました省内の協議会でございますが、これは農林次官を協議会長にいたしております。それから、ただいま申し上げましたように、学識経験者がそれに参加して協議をいたしておりまするが、その形の懇談会といいますか、協議会の長といたしましては東畑四郎氏にお願いいたしております。
  164. 北村暢

    ○北村暢君 その東畑四郎さんがきのう、おとといあたりの時事通信にこういうことを書いておるのですよ。制度改善協議会の設置によってほおかむりをしているということで、議長さんみずからがこの問題について、農林当局が今度の予算編成にあたって、また農林の政策を立てる上において、非常に大きな欠点のうちの一つとして、食管特別会計の問題と、それからこの農業災害補償の特別会計の問題について非常に問題をそらして、そうして制度協議会に逃げようとしている、こういうことを、あなたの委嘱している議長そのものの東畑四郎さんが言っているわけなんです。そうすると一体農林省はそれを隠れみのにして今度の国会で、今大臣がおっしゃるように誠意をもってやるというが、この結論は一体近く出るようなことを言っておりますけれども、こういうことでは、農林省の熱意のほどが私はちょっと理解できないのですよ。それで、しかも予定法案の中には載っておらぬという点からいっても、これは予定ぐらいは出すべきなんであって、幾つかある法案のうちに全然顔を出していない。これはもう私は大臣をせめてもいかぬかもしれませんけれども、事務当局の私怠慢だと思う。そうしてまた、この問題は根本的にやるといったならば、前の経済局長答弁でも、一カ月や二カ月ではなかなかできませんと、こう言っておる。私どもも根本的な改正については、非常にむずかしいと思います。思いますが、現状はこれはもう脱退決議、解散決議、続々と出てきているわけです。そういう状態の中で、今次の国会をそらしますというと、これが非常にやはり問題が大きくなるのではないか、こういう感じがいたしますので、特にこの実情からいたしまして、この法案の早急な改正案というものを出すべきだ、そういう熱意というものは、やはりはっきり大臣が責任をもって鞭撻をされ、そうしてやらない限り、おっしゃられるけれども、ついには間に合いませんでしたということに、私は結果的になるような気がしてならないわけです。慎重を期せられるのはわかりますけれども、その点において一つこの制度は、これは農林政策のもう非常に大きな柱です。百億からの金を使ってやっておる農業災害補償法なんでありますから、しかもそれが農民に喜ばれていないという実態、下部の組合がどんどん解散決議をしていくというような実態、これはどんどんふえているわけです。そういうような点からして、この点については私は大臣の相当な決意を一つ聞いておきたい。
  165. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話の通りの熱意をもってただいま準備を進めている次第でございます。
  166. 北村暢

    ○北村暢君 それで今度の国会に間に合うように、その点はどうでしょう。
  167. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今度の国会に改正法案が出し得るように、一つ全力をあげて努力したいと、こういうので今やっているところであります。
  168. 北村暢

    ○北村暢君 それ以上追及いたしません。  次にお伺いしたいのは、食管特別会計の問題につきまして赤字要因の具体的な外麦、澱粉等、農産物価格安定の問題につきましては、食糧庁長官から、あるいは政務次官から答弁をいただいておるのでございますが、この中で抜けておりますのが、米価の問題、この問題については大臣にということで質問を保留してあったのでございますが、大臣は再三にわたって米価審議会において、統制の基本をくずさないということを言明せられておるわけです。これは私はまあその通り理解をするのでありますけれども、しかしながら、そういう言明をしている米価審議会の中において、大臣はその諮問にあたっての方法として、七月の米価審議会において、すでに生産費所得補償方式をとるということをきめながら、十一月の米価審議会においては、新たに広くこの諮問をするという建前から、米価の決定の方法はいかがか、こういう諮問の仕方をしたと思う。そのことが一つふに落ちない点で、これを一つ解明を願いたい。  それからもう一つは、その説明の中で、大臣は需給というものを勘案して米価というものをきめなければならないのだということを強調せられているように伺っているわけです。そういうような点からいたしますと、この生産費所得補償方式というものを主張する点からいくというと、しかも直接統制をやっている問題からすると、矛盾をするんじゃないか、このように考えられるのですが、この点について大臣の所信を承りたい。
  169. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 米価につきましては、本年度三十四年産米のものにつきましては、昨年度七月、米価審議会から答申がありまして、一万三百三十三円ということで、その答申の通り実行しております。ただその際、政府の算定方式自体にはどうも不満である、こういうことがあわせて答申になっておりますので、それでしからば、どういうふうにしようかということにつきましては、当時米価審議会においてもまあ検討しようというような意向もありまして、お話しのように、昨年の秋から米価審議会をさらに再開いたしまして、その検討をいたしておるわけなんです。で、今お話によりますると、その米価審議会に政府の方から諮問の仕方が、適正なる米価はどうかというような抽象的な聞き方をしているんじゃないかというようなお話が中心になっておるかのように承知をしたのですが、私どもそういう広い意味におきまして御審議をお願いをいたしておるわけなんです。ただし、従来の米価審議会のいきさつ等がありまして、生産費並びに所得補償というこの原則は私どもといたしましてもぜひ取り入れていただきたい、かように考えておるわけなんです。ただその取り入れ方が、生産費並びに所得補償方式といいますると、それに歴史的な一つの背景というか、意味合いがあるのでありまして、いわゆるそういうふうにいいますると、普通の八〇%バルク・ライン方式によるという限定された意味の生産費並びに所得補償方式ということになるのです。それでは私どもは、その案に対しまして相当疑問を持っておりますので、そういう限定された意味の方式じゃないんだと、生産費並びに所得を補償するが、まあいろんな角度から見て、そういうものも含めて適正なる米価は一体どういう米価であったらいいでありましょうかということを御検討をお願いいたしたい、こういう諮問のいたし方をいたしておるわけなんです。  私は、米価審議会、また国会等においてしばしば申し上げております通り、米価というものは大きな経済の常識というか、流れに沿ったものでなければならぬと考えておるのです。と同時に、言われておるような生産費並びに所得補償をするような思想も十分織り込まれておるものでなければならぬ。と申しますことは、米価が経済原則を離れた、何か他の尺度できまつちゃう。これはたとえば、今一万三百三十三円でございまするが、一部の方が言われるように、これが一万三千六百円になったということになりますれば、これは一般会計が食管会計に繰り入れる金額、所要額は一千低百以上になります。そういう大きな繰り入れを必要とするような一体食糧管理機構というものが持続できるかということを考えてみますと、これは私は常識的に言いましてなかなか困難だろうと思います。そこでそういう面から申しましても、おのずからある程度の限界があると思う。そういうこと等を考えまして、まあ所得並びに生産費は補償するという原則は取り入れなければならぬが、同時に経済の大きな流れというものと大きく食い違うこともできないんだ、こういうふうにも考えておる次第でございます。
  170. 北村暢

    ○北村暢君 大臣のその考え方に対しまして、私も大して異論はないんです。異論はないんですが、ただ今度の予算米価の決定にあたりましても、非常に努力をされて、生産者米価も消費者米価も据え置くと、こういうことになったわけです。ところが、このこと自体、私どもは現在生産者価格と消費者価格というものが、一方は米価審議会で簡単に生産者価格が引き下がるというようなことは、なかなか大臣に伺っても、政治問題としてむずかしい問題だ。それからもう一つは消費者価格を上げる。大蔵省はもう食管特別会計の赤字の問題からして上げるという意向が非常に強かった。これにもかかわらず、政治的に消費者米価据え置き、こういうことになったわけです。しかもそのことは、予算米価がそういうふうな格好になったんですから、これを肯定したとして、現在のままとして、食管の特別会計に対する米の勘定において相当に赤字になることはもう現実の問題になっておる。そのほかにこの食管特別会計そのものが、麦の逆ざやの問題あるいは農産物価格、イモ類の価格の据え置き、澱粉の買い入れ等々からいたしまして、食管の赤字というものは膨大なものになる。で、今度の予算では百億一般会計から繰り入れるということでつじつまを合わせたことになりますけれども、この食管の赤字要素というものは今度恒常的に出てくる。こういうようなことからいたしまして、これがやはり大きな政治問題になるであろうということは私ども考えられると思うのです。そういうような点からいってこの米価審議会における論議も、大臣の言う経済というものを無視したものではいけないという考え方が私は出てきていると思う。そこで現在の米価が消費地においては抑制米価である、生産地においては支持価格、こういうような傾向が出てきているということも、実情としてそういうような形が出てきている。しかも豊作でありますから、買えば買うほど赤字がふえる。今年度の予算でも五百十万トンですか、という予定になっておりますけれども、今年並みからいくというと、まだ相当政府の買い上げ量というものはふえるんじゃないか、こういうような想像ができるわけです。そういうような点からいきますというと、今年度予定した赤字というようなものも、赤字のふえる、要素はあっても減る要素というのは私はないんじゃないか、こういうようなことで、根本的に米価の問題も検討されなければならない段階にきている、こういうふうにいわれておるわけです。それが今度の予算においては、福田大臣政治力だろうと思うのですけれども、非常に困難であったけれども難関を乗り越えたのです。これについては、大臣政治力に敬意を表するわけでありますが、しかし根本的にやはり食管特別会計の赤字に取っ組んでいないんじゃないかという私は感じを持っているんです。従ってこれは価格政策で非常にむずかしい問題でありますけれども大臣がやめることで食い逃げのような形になるならいざ知らず、もう少しやはりこの問題は根本的に検討すべきでなかったかということを私思っておる。三十二年度決算においても、明らかに六十八億の損失になっている。三十三年度はこれは消費者米価の値上げ等もあったから黒字になっておりますが、今後とも恒常的に出てくる、こういう点についての食管特別会計のあり方、これが私はやはり、大きくは大臣の言明をしておる農政の根幹をくずさないということが、食管特別会計のこういう経理内容からいくというと、これがやはり財政的に言って許しがたいものになってきておる。ことしは切り抜けたけれども、近い将来において必ず問題になってくるんじゃないか、こういうことを心配するわけです。従ってこの問題はやはり根本的に取っ組まなければならなかった問題じゃないかという感じを強く持っております。それに対して大臣はいかなる所信を持っておられるか、これをお聞きしたい。
  171. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 食管の問題の管理方式につきましては、私は、これは生産農家の所得維持という見地、また国民全体の生活安定という面面から見まして、そうえらい欠点のない現在の制度ですね、それはもう大筋として、どうしてもこれは維持すべきものであり、維持いたしていきたい、こういうふうに考えておるわけです。ところがお話のように、財政上で非常なこれが国民の大きな負担になるというようなことになりますれば、維持いたしたいという私どもの気持に対しまして、大きな障害が出てくることに相なるわけでございます。従いまして、ある程度赤字が出て、これを一般会計から補てんしていくということは、これはそれだけの大きな使命を持っている食管会計のことでございまするから、私はやむを得ないと考えておりますが、しかし一面におきまして、食管制度の管理を厳重にして、そうして中間経費や、あるいは管理費や、あるいは金利や、そういう面においてはできる限り節約いたしまして、そうして国民の負担がなるべく少なくて済むように、また同時にそういうことが、この管理制度を維持する上において、障害にならないように努力をしていかなければならぬ、かように考えております。それらの詳細につきまして、ただいま米価審議会で小委員会を作りまして、それでこの小委員会で御検討を願っているわけであります。この小委員会に対しましては、私どもはできる限り率直な材料を提出いたしまして、御審議を公正にお願いできるようにというふうにいたしている次第でございます。
  172. 北村暢

    ○北村暢君 ただいまの大臣答弁で私は不満なんですがね。やはり米価審議会でやるのは基本米価、米価だけの問題をやればいいと思う。でありますから、食管特別会計全体の問題として、政策上の農産物の価格安定の問題、これは恒常的に出てくるわけです。政策上出てくるわけです。安定法に基づいて出てくるものです。それからまたこの食管というものが、大臣が言われるように生産者の所得と、それから生産費を償うというあの食管の精神、それと、それから消費者の面を考慮して、政策的にやはり一般行政費というものは、いろいろあると思うのですね。そういうものは、やはり行政費に類するものは、恒常的に一般人会計で見るというようなことのために、やはり三十三年度からそのためにどんぶり勘定でなしに、勘定を分けて、この収支を明らかにするようにしたのでありますから、そういう面から食管特別会計の赤字の問題について、赤字だけでもってこれがくずれる。これは財政上の問題が当然出てくるのですけれども、しかしそこら辺のところが、一般行政費で負担すべきものは、運営を合理化していくのはもちろんでありますけれども、やはり分けて、分析すべきである。そういう検討をやらないというと、財政負担なら財政負担だということだけで、これでもちこたえなくなるから、統制は間接統制へ移行するのだ、こういうような形になるのではないかということを私ども心配をするのです。従って米価審議会は米価審議会で検討するでしようけれども、これは米価の問題であって、食管特別会計全体の問題として、今危機にきていると私は思っているのです。従って食管特別会計の全体の問題として、農林省は真剣に食管特別会計の危機を乗り切るための検討というものは当然なさるべきである。それが今度の三十五年度予算編成にあたってもなされていないのではないか、こういうような感じを私は非常に強く持っているのです。だからそれを福田大臣は逃げたのではないか、こういうふうに私は思っているのです。その点を一つどういうふうにやられたのか、またやられようとするのか、この点をお答え願いたい。
  173. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 食管会計全体をただいまどういうふうにやつているかというお話でありますが、これは考え方の基本においては私も北村委員と全く同じ考えです。その内容を分析して、一般会計から入れべきものは入れるし、また節約すべきものは節約する、そしてなるべくすっきりした形でこれを維持しなければならぬ。さようなことにつきましては全く同じ考えを持っております。ただ、ただいまの段階といたしますると、まあ大体百億円程度の赤字でございますので、そのくらいを補てんするということで、この会計はまあ円満に維持できる状態でありますので、さしあたり百億円の資金を入れまして、それと並行して、この会計を、また管理制度を、どういうふうに円滑にしていくかということは、常に努力を怠らずにやっていかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  174. 北村暢

    ○北村暢君 その点について私は要望しておきたいと思いますが、大体食管特別会計の米の問題については、抑制価格と、それから支持価格の両面が出てきた。しかし、麦その他については、もう圧倒的に支持価格、農林水産物の七〇%は支持価格だと、こういわれておって、その支持価格制度そのものが危機にきている、こういうことがいわれているわけです。しかも、所得倍増論と、それから貿易自由化の問題が出ておりまして今農業基本問題調査会で、この支持価格制度ではどうしても農業の所得というものを守り切れない段階にきている。従ってこの農民所得というものが、問題がほかの、他産業との均衡の問題からいって、今基本問題調査会で非常に重要な問題として取り組んでいるわけなんですね。これが、私は、その結論が出るために、結論待ちということで、検討されないというのならば、またそういうふうにも受け取れないとも限らないのですが、今大臣のおっしゃったことでは、非常に抽象的に、常に検討していかなければならない、こういうことはもう当然のことなんです。当然のことなんですが、今重大な農政の曲りかどにきて、植木問題調査会でも、あれだけの精力をかけてやっている。あのことが、直ちにあの結論が、どういう答申が出てくるかわかりませんけれども、しかし、あの構成しているメンバーから出てくる結論というものは、非常に大きな転換される時期にくるのではないか、そういうふうに思うのです。それが、今直ちに政府がすなおにその答申を受け入れて実施するといっても、相当な困難を来たすのではないか、こういうような感じがするのです。従って、私は、基本問題調査会で検討すると同時に、やはり食管特別会計の問題について、大臣が統制の基本をくずさないというならくずさないだけの検討というものが、食糧庁内部なり農林省内部で真剣にやはり検討されなければならない。人まかせで、その結論待ちということではいけないのじゃないか、こういうような感じがいたしますので、特にこの点は検討をしていただきたい。それでなければ、私はまあどういう結論が出るということを主張しているわけでありません。これは農林水産委員会でそういう問題についてはやりたいと思っておりますが、きょうは決算委員会ですから、赤字処理の問題と関連して、私は前の決算委員会でも、内麦のやはり逆ざやの問題、澱粉等の問題について、いかにこの赤字を克服する努力をするかということについてやったわけなんですけれども、これは食管特別会計全体の問題なんです。全体の問題なんで、これはやはり大臣にも本腰を入れて取っ組んでもらう必要がある。このように思いますので申しておるわけです。これについて所見があればお伺いしたいと思います。
  175. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まことにごもっともなお話でございます。そういう方向の努力をいたしたいと思います。
  176. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一つ農林大臣に伺っておきたいのですが、それは、補助金制度について農林大臣としてはどういうお考えを持っておられるか。また、岸内閣の一国務大臣として、どういう考えを持っておるかということを承っておきたいと思います。  お宅は補助金は相当多い方ですが、例年、この運用にあたってずいぶんと批難事項として指摘されて参りました。しかし、昭和三十二会計年度においては非常に改善されております。しかし、なおかつ全省庁の指摘事項の過半数をお宅は占めているわけなんですね。それは農林大臣としては特別な考え方を持っておられるかとも思うのですが、補助金制度というものは、農林大臣としてどういう考えを持っておられるか。三十二年度の決算報告を見てどういう反省を持ち、それからやがて成立するであろう昭和三十五年度の予算執行にあたってはどういう心がけで臨まんとされておられるかということと、また、農林大臣をはずれて、あなたは与党の政調会長もした政策マンでありますから、内閣国務大臣として補助金政策というものについてどういう見解を持っておられるかということを、それだけこの際承っておきたい。
  177. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 補助金ということにつきましては、まあ各方面でいろいろ議論があるのでございます。ことに、毎年予算が細まれる過程等におきまして補助金を整理する、整理するということがあり、かつ、農林省の予算につきまして、一番そういう議論が多いわけであります。私は、しかし、補助金というものにつきましては、これは事と次第に問題を分けなければならないというふうに考えておるわけです。農村のような、自分でひとり歩きできないというような階層に対しまして、補助金を出さないというような考え方は、原則的に私はこれは取り得ない問題じゃないか。農林省のごとき役所になりますると、これは予算全体の色彩が補助金的なものになるということ、これはまたやむを得ない傾向ではあるまいかというふうに考えております。それで、何か新しい仕事を始めよう、そういう刺激を与えようという際の方法といたしまして補助金という手段がとられるのでございまするが、それが軌道に乗りましてそうしてこれはもう一本立ちができるという事態になりますれば、私はこれを融資に置きかえていくべきものである、かように考えておる次第でございます。三十五年度の予算におきましても、補助金は抑えてそうしてこれを融資の方に回しておるというものもあるわけでございましてまあしかし、弱い者が大きく強くなる過程といたしましては、この補助金というものはやむを得ない、かように考えております。  ただ、農林省のごとく、非常に零細な農家を対象にしておりまする補助金でありますると、その使用方法が非常に困難である。また、これが適正にいかない場合もなかなか多いのであります。従って、検査院等から御指摘を受ける事例も多いわけでございますが、そういうものにつきましては、これはできる限り努力をいたしまして、さような国民の負担がむだに使われるということのないように、省をあげて努力しなければならぬというふうに考えている次第であります。
  178. 北村暢

    ○北村暢君 大臣、問題を変えまして、食管の米麦の保管の問題についてお伺いしたいのですが、この問題は、三十三年度の会計検査院の不当事項として指摘されておるわけです。従って、私は、今の総括質問において、こまかい内容についてやろうとは思わないのですが、ほかの委員の方も、初めてこの委員会に出るものですから、この内容の概略だけを簡単に、指摘事項についてだけでいいですから、どなたか適当の方に説明いただきたい、それから質問いたしたいと思います。
  179. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) ただいま北村委員からお尋ねを受けました三十三年度の会計検査院の指摘事項の中に出ておりまする、埼玉、千葉、青森、三食糧事務所管下に起きました保管事故の概略をごく簡単に申し上げたいと思います。  埼玉に起きました問題は、三十四年四月二日に千葉倉庫において発見をされました問題でございます。これは、国内麦が約一万七千二百五十二俵亡失をいたしたのでございます。亡失原因は倉庫専務の背任によるものと考えられるのでございます。  それから、千葉に起きました問題は、船橋運輸倉庫において起きた問題でございますが、これは二回にわたって発見をされております。一つは三十四年二月五日に千九百九俵の内地米の亡失が発見をされたわけでございます。それから、その後三カ月ばかりたちまして同一の倉庫におきまして四千五百九十俵の亡失がさらにあることが発見をされたわけであります。合せまして約六千五百俵の亡失でございますが、これの亡失原因につきましては、現在地元の警察におきまして関係者を逮捕して取り調べておりますので、その捜査結果を待っておる次第でございます。  青森食糧事務所管下に起きました事件は、青森食糧倉庫でございますが、これは三十四年四月二十二日でございます。これは倉庫使用人の横領によるものでございまして、事故の数量国内米七百九十四俵でございます。  この三件の事故の概略はただいま申し上げた通りでございます。
  180. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  181. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記をつけて。
  182. 北村暢

    ○北村暢君 そこで三つの問題について事故につきまして衆議院の決算委員会でもう三度にわたってやっておるわけでございます。従ってその内容的な問題について私あまりここで問題にしても時間がかかりますので省略したいと思うのですが、青森と千葉の問題はすでに使用者の事故、持ち出したとかあるいは他に転売したとか、こういうことで明確になっておる。そういうようなことですが、埼玉の場合は、これは背任ということになって、結局一万七千俵の麦、主として麦だと思うのですが、これがどうなったかわからないということなんですね。しかも、ここのこの問題は、わかったのは三十四年の二月もしくは四月、五月と、この時期にわかっておるわけでありますけれども、相当前から起こっている可能性がある、しかも悪質である、こういうような感じがするのです。そこで問題は、倉庫業者が保管にあたって、麦を積まずにやぐらを組んで、その上を麦または米で被覆している、こういうようなこと、しかも埼玉においては相当長期にわたってなされている、こういう形跡があるわけです。そういうような点からして、後に会計検査院にもお伺いしたいと思うのですが、そういう問題が起こっておる。そこで大臣にお伺いしたいのは、お急ぎのようですから、先に大臣にお伺いしたいのですが、千葉の場合を例にとりますと、千葉の船橋倉庫の場合、これはその担当者と事務所長、これが一番よく知っておったようですが、知っておったというのは、発覚してから、問題の内容等についてわかっておるようですが、実際問題としてその業者が、資力からいっても、あるいは能力からいっても信用の度合いからいっても、実は農林省の指定基準に合わないような性格のものである。しかもこういう大きな問題を起こしたならば、これはもう倉庫業者として不適格なんだから、当然これは変えなければならない。ところがこれはその船橋の倉庫においてほかに持っていこうったって入れる倉庫がないわけです。かわる倉庫がない。ほかのものを選ぼうとしても選ばれないわけです。そういうような点からして倉糧事務所長は非常に苦労をして、その会社の建て直しにまで参画して大いに努力してやってきておる。従って重役なり社長なりまで変えて、信用状態を回復するということに非常な努力をやっておると思うのです。そういう状態で、しかも船橋というところはターミナル的な性格を持っているところです。そういうところに、かわりのない営業倉庫でそこにしか入れられない。幾ら問題があってもそこにしか入れられない、こういう問題があるわけです。従ってこれは問題を起こした者はもちろん今刑事問題でやられて、悪いにきまっているのですけれども、この米麦の保管について、全体的な問題として、私は、非常に主要なところにおいては、何か政府の倉庫なりあるいは保管体制というものが、行政的な食管というものを維持していく上においての配慮というものがなされるべきじゃないか。そういう点が配慮されないでこういう事故が起こった問題について、そうして事故が起これば、その当事者が責任を問われるというような形、しかもこれは監視したり何かする責任はありますけれども、しかし営業倉庫なんですから、保管料を払って保管してもらっているのですから、それを勝手に出し入れしておるということは、これはもう業者が悪いにきまっているのですよ。きまっているのですが、そういう信用のない倉庫業者に対して、それ以外にかわるべきものがないというような状態、これは私は、悪いからといって、どこへももっていきようがないのですよ。そうなれば、これはだれの一体責任だろうかということが、非常に私は末端の事務所長なり出張所長なり、責任をとらせてみたところで、あるいは責任がとりにくいのじゃないか、迷惑するのじゃないか、こういうふうに思うのです。  そういう面について、全般的に、どういうふうな大臣考え方を持っておられるのか。私はこの食糧管理の、米麦の保管についてやはりもう少し何か考えるべき方法というものがあるのじゃないか。そうでないというと、これはもうわずかな人員で、その保管倉庫のものまで、末端職員に監視させる、今の人員で、とてもできないのじゃないか、そういう徹底ということができないのじゃないかというような感じがするわけです。  そういう点について、一つ所信をお伺いいたしたい。
  183. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 青森、千葉、埼玉、三カ所におきまして、政府保管米の、ただいま長官から報告のありましたような不祥事態が生じましたことは、まことにもう遺憾千万なことでございます。  かようなことがないように、今後どうしてもしていかなければならぬというふうに考えますので、昨年末におきましては、全国一斉に在庫の調査等もいたしております。またその衝に当たりました役所の方々につきましても、その責任の軽量に応じまして、それぞれ処分等もいたしておるわけでございます。  なおそれから、今後のことにつきましては、査察というか、監督を徹底するように、そのために仕組みというものも考えておるわけでございます。また、たなおろし資産というようなものを、的確にこれを調査するという方法も考えなければならぬというふうに考えておるわけです。でありまするが、御指摘のように、その事件が起こりました千葉、船橋のようなことを考えてみますると、さような倉庫の状況というようなことが、この事件を起こした一つの起因にもなっておるような感じもいたします。  さようなことを考えまして、総合的に倉庫の問題等も含めまして、今後かようなことが起こらないように、そういうことの絶滅を期しまして、あらゆる努力をして参りたい、かように考えておる次第であります。
  184. 北村暢

    ○北村暢君 今私のお伺いしたいのは、船橋の問題は、いろいろあるのです。前の問題は、いろいろありますけれども、それは触れないのです。触れないのですが、とにかくこの倉庫業者は、明らかに不適格ですよ、不適格です。  それで、今まあこれを弁償しようといっても、弁償金さえろくにとれない状態なんです。そうして社長も変え、何もして非常に苦労をしておるようです。そういう指定基準からいえば、不適格なものに対して、不適格だからといって、あそこの配給米を入れなければならないわけです。それを入れてはいけないことになっておる、そういう倉庫の指定基準からいえば。ところがほかには、あそこには倉庫がないわけなんですよ、ないといっても、若干あるけれども、入り切れないのですよ、絶対に。  そういうような状態にあるのに対して、そういう資産内容から、信用程度からいって、そういうものに対して入れなければならないという実情に対して、これは一体、今後まあ監視を厳重にするとか何とかと言うのですけれども、そもそも入れるときから、信用のないものに入れるわけなんです。そういう点は、私はどうも割り切れないものがある。下の方の者に監督せい監督せいと言ったって、どろぼうする気でいる者を、なんぼ監視したって、監視だけでは私はできないと思うのです。そういう面からいって、これは船橋だけの問題ではないと思うのです。全国に、そういう問題が出てくるのじゃないかと思うのですね。  そういう場合に、末端の職員が処分せられるだけで問題が解決するのじゃなくて、それに対する何らかの対策があってしかるべきじゃないか、そうでないと、こういう問題が次々に起こってくるわけです。不良な業者とわかりつつ預けなければならないわけです。それは、どろぼうはなんぼ監視しようとしても、取る気でいる者は、監視しても仕方がないですから、そういう点について、やはり何か、もう政府で、倉庫を買い上げちゃうとか、借り上げちゃうとか、何か特別の措置を講じないというと、できないのじゃないか、それを末端の事務所長に、従来のしきたりの中で入れさせておいて、そうして間違いが起こったら、お前ら処分だぞといってみたって、これはどうしても片手落ちになる感じがするのですよ。そういうような点からいってこの点は一体、どういうふうな特別な措置が……、千葉の問題は現実に起こっちゃったのですから、その後の処置を、一体どういうふうにとられようとしているのかお伺いしたい。それからもう一つ大臣のおられる間にお伺いしたいのですが埼玉の問題は、ちょっと性質が違うわけです。大体一万九千俵くらいしか入っていないところに、一万七千俵がないわけですよ。しかもこれは、一年や二年らしくない問題である。しかも亡失の理由が、虫、ネズミ等のせいということで、自然になくなった。乾燥の悪い麦を入れたかどうかしらぬけれども、蒸発しちゃったかしらぬけれども、こういうことというのは、これはなんぼなんでも、ちょっとひどいですよ。  ですから、これに対して関係者を三十三名、食糧庁は処分をいたしております。事務所長以下関係者を処分いたしておるわけですが、しかし原因たるや背任ということで、横領になっていないのです。流したとかなんとかじゃないのですよ。虫が食ったりして一万九千俵のうち一万七千俵なくなったというのですよ。それじゃあなんぼなんだって、ちょっと裁判に出ても何しても、今裁判をやっているわけだけれども、何としても、背任が、知らないうちに、そういうふうになったということのようですね、そういうことになれば、これは私は、相当やはり悪質のように感ずるのです。千葉とか青森のやつは、取った者がおったのですから、それははっきりしておりましていいんですが、埼玉のやつは、どうしてもはっきりしない。そういう点について、一万九千俵のうち一万七千俵が蒸発してしまったじゃあ、どうも理解に苦しむ、これはやっぱり、相当事務所長以下が大量に処分を受けているように、責任者の怠慢があったのじゃないかということを、私は指摘せざるを得ないと思う。  こういうことについて、やはり私は、大臣として、この問題だけについて、遺憾でありましただけでは、私ども納得できないような感じがするのですがね。その点について、一つ御説明願いたい。
  185. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) ただいま御指摘の点は、こういう悪質な倉庫業者に関連をいたしまして、事件の発生いたしました際に、事務所末端の職員が、非常に強くこの責任を追及されるということは、職員の立場からしてまことに忍びがたいのじゃないかという御趣旨の御指摘考えるのでございます。船橋の問題につきましては、現在その倉庫の使用を停止いたしておりまして、現地の食糧管理をいたしまする実情からいたしますと、なるべく早く使用を再開した方が、品物の操作には便利なのでございますが、現在の段階では、まだ新しい経営責任者との切りかえの関係等もございまして、私どもの方では、まだ使用を再開する段取りまでいっておらないのであります。使用を再開いたします場合は経営責任者の態勢を一新いたしまして、従来の経営陣とは関係なしに新しい責任のある態勢でやって参らなければならぬと考えております。  従いまして従来、従前に事件を起こしました同一の関係者によって経営されまする倉庫を、そのまま使用を継続いたしまして、そういう面から職員の責任を過重にするということは、もちろん私どもとしても考えておらないのでございます。  それから埼玉の問題につきまして、三十三名の関係者の処分をいたしたのでございますが、これも、まことに倉庫の管理者といたしましては、きわめて悪質な不当事項を起こしたわけでありまして、ただいまも御指摘がありましたように、一万九千俵程度入ります倉庫におきまして、一万七千俵の麦が、数カ年の間に、長い日子の間になくなっておったというような結果になっておるわけでございます。この件につきましては、そういうように非常に長年月にわたって行なわれました違反でございますので、やはり関係の職員が十分注意をいたしまして、見回り等につきまして遺漏なきを期しますれば、もう少し早く発見できたはずであるということは、どうしても、そういうことに相なるわけでございます。それで職員につきましても個々にこの責任を具体的に明らかにいたしまして、その責任の差によりまして処分いたしましたような次第でございます。(相澤重明君「委員長、わからぬ、農林大臣の責任です」と述ぶ)
  186. 上原正吉

    委員長上原正吉君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  187. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を始めて。
  188. 相澤重明

    相澤重明君 農林大臣、今の北村委員の質問についての、あなたの態度がまだ明確になっておらない、これは私は非常に遺憾だと思う。  少なくとも食糧庁の長官は、まあ早く調べればあるいはもっと早くわかったかもしれぬが、一万九千俵のうち一万七千俵蒸発してしまった、それだけでは、答弁にならないですよ。それは少なくとも、ここは国の決算審議しておるのでありますから、これだけの大きな国損を与えたその最高の責任者はだれなのか、ただ末端の職員を、副総理もおるけれども、末端の職員をやるだけで、何もこれは意味をなさない。もっと農林省の基本的な態度を明らかにしなければ、これは、農林省の見任というものはないじゃないですか。で、私は少なくとも、こういう三カ所の話も出たけれども、特にその一万七千俵も蒸発をしたとか、ネズミが食ったとかいうような、そういう国会答弁で済まされるはずのものではない。  そこで農林大臣としては、この問題については、どうするかと、これはいわゆる経理の問題は別ですよ、問題として、行政上のあなたの責任はどうする、それは一つ明確にして、お答えになってから、委員会にいって下さい。決算委員会としては、ただぐうたらに話をお互いにしただけでは済まぬ問題です。  本日は、私どもは三十二年度の決算の総括をして、そして最後の締めくくりをするわけでありますが、これだけの大きな問題でありますから、私ども、実は北村委員が黙っていられないで、農林大臣に対する質問をしているわけです。大臣の責任ある答弁を私は求めたい。
  189. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先ほども申し上げましたが、こういう想像もできないような大きな事故ができまして、私ども、ほんとうに遺憾に存じておる次第でございます。  それでこの件につきましては、先ほどから話が出ておりまする通り、その扱うところの者につきまして、その責任の軽重に応じまして、それぞれの処分等もいたしておるわけです。  それから、今後一番、私どもが気をつけなければならぬことは、かかることが反復しては、これは困る、こういうことでございまして、もうこの種の事故の絶滅を期しまして昨年一斉に検査をいたしますとか、あるいは定期的に将来ずっと検査をするとか、たなおろしの資産検査は、特に厳重にいたしますとか、さようなことで、農林省全体といたしましてかかることがないように万全を期していきたいと、かように考えておる次第でございます。
  190. 相澤重明

    相澤重明君 農林大臣に、私はさらにお尋ねしているのは、いわゆる岸内閣としては三悪追放、綱紀粛正ということは内閣創立以来のこれは実は一番重要な問題であります。しかもみずからが国民の負託にこたえるところのものが、これだけの大きな事故を起こしている。で、ただ末端の職員をいわゆる行政処置をした、処分をしたというだけでは、これは済まない。  農林大臣は、関係の者をそれぞれの責任において処分をしたというのであるが、食糧庁長官は、どうです。農林大臣は、あなたは少なくとも国務大臣、そうして農林省を担当される大臣、しかもあなたのその職務分限を、それぞれの長官に行なわせているわけです。まず第一に、岸内閣の方針からいけば、平然その者にも責任をとってもらわなければならぬ。一体、どういう処分を食糧庁長官に与えたか、農林大臣答弁一つ求めたい。
  191. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) この件につきましては、責任のある食糧庁の第一部長を行政処分に付しております。
  192. 相澤重明

    相澤重明君 長官はどうです、長官は。ふんぞり返っているが、いかぬ。
  193. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 長官は、ここにおられる須賀長官ではないのです。ずっと前の長官になりまするが、これは、処分はしておらないように私は伺っております。(「大臣、いいですよ、忙しいから。」と呼ぶ者あり)
  194. 北村暢

    ○北村暢君 この問題につきまして、会計検査院の方、見えておりますか。会計検査院長、見えておるようですから、お伺いいたしますが、私は、この食管特別会計というのは、これは今年は九千億近い規模でもってやっているわけです。従って一般会計、国の予算の約六割から七割くらいの膨大な予算をもって運営している役所なんです。しかも米穀の、巨大な米穀省、こういう形ですね。そういう形で、しかも国民食糧という重要な行政分野と、あわせて責任をもってこれを運営している。  ところが、毎回の会計検査報告を見ているのですが、今までの食管特別会計の指摘事項というのは、非常に少ないわけなんです。まあ内部監査その他が行き届いておって非常に少ないならば、私どももこれに越したことはない、こういうふうに思っているのですがね。それにしても、実は指摘事項がほかに比べて少な過ぎるというふうに感じておった。ところが今度の問題についても、長官みずからが今おっしゃっておるように、数年前から行なわれておったというのですね。数年前から行なわれておった、こういうものに対してですね、実際倉庫の保管その他について、これは検査に行っても上から見たって、積んである上へ上がってみても、実はこれはわからないようにできているのですね。しかもこれを引っぱがしてやるということになると、相当な経費もかかるわけです。そういうような点で、従来在庫の検査なんというものは、会計検査院でやったことがあるのかないのか疑問を持たざるを得ない。これは昨年一斉に、この問題が起こってから、食糧庁が内部監査をやっているわけですから、当然それで事足れりと言えば足りるでしょうけれども、会計検査院は、どうも数年前からやっていることが、あっちこっちにたくさんあって、それが見つけられないで、ずっときておるというふうな、会計検査院が、どこで何を検査しているのかわからないというようなことになるような感じがするのです。そういうふうに受け取れるのです。  それで、この問題が出て参りましてから、非常に在庫検査というものがやかましくなった、こういっておるわけですが、従来、どういうふうにしておったのですか、お伺いしたいのです。
  195. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) 食糧会計は、お説の通り非常に膨大なものでありまするからして、検査院としては特に正課を設けまして、厳重な監査をいたしておりますが、しかし何分にも、検査対象が大きいものでありまするからして、全部を実地調査をするということはもちろんできません。  それで数年前、一番問題になりましたのは、外国食糧の輸入関係で、どうもおかしいのがありましたが、これを特に重点として調査いたしまして、それに対して、相当の不当事項が発見されましてそれは内閣の方に報告いたしております。その後は、外国食糧の輸入関係数量も減りましたし、またこれは、会計検査のためとは言いませんが、非常によく整備されまして、その後は、あまり間違いがないということで、国内の食糧の方に重点を移したのであります。しかしそれにいたしましても、全国に散在しておりまして、これを全般的に見ることは、なかなか困難であろう。で、いたし方ありませんからして、これを直接の担当官庁でありますところの食糧庁なり農林大臣におまかせする以外にはない。  そうしてわれわれとしては、どういうふうな監査ができておるかということを実地については点々、調べよう、そういうやり方で、やっております。書類は参ります。その書類は、十分に調べておりまするけれども、今言います今度発覚いたしましたようなことは、書類検査ではできないのであります。実地検査をやる。実地検査は、今申しました通り農林省に一応おまかせして、それを点々、調査する。そのうち、政府が直接保管しておる分、これは政府の直接責任でありますからして、これは特に調べよう。特にその保管者は、会計官吏としまして特別の賠償責務を負担するわけでありますから、これは特に厳重にやる。しかし、民間に寄託されておりますものは、とにかく一応の責任者が、民間でありましてこれに対しては、もし間違いがあれば、現品はないにしても、現金賠償ということができるので、国損は、直接民間が負うということになっている。政府の直接責任のものとは、おのずから軽重の差があるのではないかというので、その点は、特に農林省におまかせする。しかしこれもまかせ放しでは困るというので、点々……ほんとうに点々、調査をいたしておりますが、何分にも多いものですから、その実地調査に漏れのところが大部分であります。これは今から考えますというと、もっとほかの方もさいて、そっちの調査もすべきであったと思うのでありますが、われわれ農林当局に信頼し過ぎたのかもしれませんが、そういうやり方でやりまして、そのわれわれが実地調査をしなかったところに、そういうものがたまたま出てきた、しかもそれが数年にわたってそういうことが行なわれておったということは、われわれ聞きまして実に、それは、あぜんとしておるわけでありまして、今いわれたように、検査院、何しているかといわれましても、いたし方ない、もう少し重点的にやるべきではなかったかと、今は思っております。まあその程度で、御勘弁いただきます。
  196. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  197. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 速記を起こして下さい。
  198. 小柳勇

    小柳勇君 今、総理府総務長官が見えておるようでありますが、私は、安保改定、行政協定の改定に伴って起こる国内の問題について三点質問いたしたいと存じます。  すでに、批准はなされないのに、アメリカ軍隊は、すでに移動を始めております。従いまして、そのアメリカ軍隊の移動によって起こります問題は、第一は、それに使われておった労務者が首を切られるという問題が起こります。第二は、その町がその軍隊並びに労務者家族によって支えられておった町が、町勢が変わって参ります。第三点は、その人たちによって、生計を悩んでおった中小企業並びに商業が、これは生計が成り立たなくなります。  この三つの問題、ほかにいろいろ派生的な問題がありますが、その三つの問題について、直接的には離職対策については総務長官でありますから、今後起こるであろうそういうふうな駐留軍労務者の離職対策について、中央離対協などで、相当御苦労なさっておるようでありますが、過去の問題、これからの問題について、どういうふうなことをなされ、なされようとするか、これについて、第一に総務長官からお聞きしておきたいと思います。
  199. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 御指摘通り離職者の問題は、相当深刻な問題があるわけであります。中央駐留軍関係離職者等対策協議会、これは随時、御承知通り専門委員会あるいは幹事会等を開き、また今月には、委員会を開催いたしまして、今度の新安保条約の改正に伴って、いわゆる直用が間接雇用に切りかえられる、どういう事態が起こるか、字句的な修正とか、そういう技術問題は簡単でございますが、実際の離職者が出た場合の処置というものは、大切な問題でありますので、この点について検討を加えたわけでございます。  大体、従来通りの対策は当然準備いたし、また用意をいたしますが、調達庁あるいはその他の関係の、労働省、外務省とも連絡を十分緊密にしまして、なるべくそういう場合には、犠牲を最小限度に食いとめる、こういう考えを持っておるわけでございます。  なお今、関係の市町村、基地の問題もお述べになりましたが、この問題につきましても、今週行ないました委員会で取り上げましたのは、まず第一に芦屋基地の問題であります。これは、本年末に返還される予定でございますが、これに伴いまして、間接の労務者が千五百人離職という問題が起こります。これにつきましては、御案内の通り、芦屋基地自体が、大体二百万坪でありますが、そのうち大部分の百九十一万坪が、いわば農林省の行政財産であります。民有地わずか六万坪でありますが、これらにつきまして、地元の関係あるいは労務者の実態、そういう点を随時連絡いたしておりまして、何とかこれに対しまして、適切な処置を講じたいと考えておるわけでございます。  次は、相模工業の関係でございますが、これも今度、特需産業の打ち切りに伴いまして、相当数、すなわち千二百人が職を離れるわけであります。これにつきましては、現在のところ、労働省の調査によりますと、職業あっせんの結果、就職が決定した者が二百八十人、間接労務者に採用を見込まれる者が三百人、職業訓練所に入所予定の者百二十人、家事サービス等の補導を受ける予定の者五十人、自営業指導により事業を始める者五十人、合計八百人でございます。なおそれでも三、四百の離職者があるという現象が起こりますので、この問題はあらゆる方面から、少しでも就業の機会を作りたい。さらにこの点は、経営者と労組からも、熱心な御陳情がありまして、現在遊休施設、この払い下げ等によって、一種の再建をいたしたいという点も、今、大蔵省あるいは調達庁とも話し合い中でございます。  なお、小倉基地の転用問題も、今問題になっておりますが、これは昨年末、地元の知事からも、計画に対してお話し合いがあり、さらに地元関係から熱心な御陳情がたびたびございました。ただこの点については、文部省からの、ある計画もあるようでございます。まだ地元の話もまとまっておりませんので、まとまり次第、適切な離職対策という点から、万全を期していきたいと考えておる次第であります。
  200. 小柳勇

    小柳勇君 副総理がお急ぎのようでありますから、副総理に二つだけお聞きしておきたいと思います。  一つは今のように、軍隊が移動して、それで駐留軍労務者が首を切られる。そうしますと、ほとんどその町が、住民がなくなって参ります。かような町が、たとえば二万なり、三万の町が、全部どうなるであろうかというような混迷と不安の中にあります。そのような問題について、これは地方自治だけの問題では解決できないと思う。  そういう根本的な問題について、政府としてどのような助成策、援護策をとろうとされておるかお聞きしておきたいと存じます。
  201. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 私は、よく今の点は研究いたしておりませんが、ただいま総務長官から言われた通り、遊休施設等、大蔵省協議しておるそうでございますが、各所に遊休施設ができて参りますので、それを地元の町村でありますかに、できるだけ有効に利用してもらうというようなことを考えております。
  202. 小柳勇

    小柳勇君 副総理は、小さいことにはあまり関心がないようでございますが、実は、そのことでなく、施設の問題ではなくて、町全体が、たとえば現在でも、年間自治庁関係だけの予算でも十億ありまして、そういうもので、国有施設を貸しておる。そのために、町の方で成り立たないから、税金など少ないから、助成金を交付して、その町の地方自治を助けておるわけです。こういうものもあります。それから町全体が、これで何万かの住民がほとんど生活できなくなるという生活の不安、そういう根本的な問題なんです。そういうものについては、私どもとしては、もっと政府が、地方自治だけにまかせないで、根本的に、一時的に金を貸すとか、早急にほかの住民の生活するような態勢を立てるとか、何らかの、単に自治庁の問題とか、あるいは県知事、市長、町長だけの問題でなくて、政府全体で、そういうところには町がやっていけるように、助けなければならんだろうと、そういうような根本的な対策をお聞きしておるわけでありますが、そういうものについて、内閣の方で検討されておらないのか。
  203. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 都道府県の協議会と連絡をとって、政府として、ただいま御質問のような方途に、十分検討いたしておる、現在検討いたしておるそうであります。
  204. 小柳勇

    小柳勇君 それからもう一つ。副総理、これは、お耳に入れておくというよりも、決意を聞いておきますが、それに伴いまして、今まで商売をしておるとか、いろいろ駐留に、それからその労務者、その家族によって生計を営んでおる人があります。そういう人が、路頭に迷うわけです。これは町政と関係なく、その人個人々々の主計をも、政府があたたかく施策を考えてやるとか、あるいは立ち上がり資金を貸すとかいうことも考えてやりませんと、個人が死んで参ります。  で、労務者については、中央離対協や地方離対協がありまして、いろいろ世話しておりますが、その個人、町の人については、まだそこまで手が打たれておりません。そのような問題についても、政府としてもっとあたたかい施策が必要ではないか、そういうものについて、副総理の御決意を聞いておきたいと思います。
  205. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) ただいま伺いましたので、その方向に、十分検討して御趣旨に沿いたいと思います。
  206. 小柳勇

    小柳勇君 私もう一つ。これは、今の駐留軍移動と別問題であります、全然別問題でありますが、副総理が、内閣の責任者として見えておりますから、お聞きしておきますが、今、週刊誌などでも相当言われております、私ども実際聞いておりますが、ゴルフが盛んになりました。総理がゴルフが好きでありますから、まあスポーツとしても非常にいいと思います。そのこと自体については、私どもは賛成であります、やることは賛成でありますが、それに伴いまして、公務員と、それから業者との結びつきが、ゴルフ場によってなされる、そういうようなことが盛んに言われております。かつてマージャンで業者との話し合いをやつておった役人が、今はゴルフ場に行って話し合いをしておると言われております。それから役所の車を使って送り迎えをしてもらうとか、あるいは役所の部下をキャディのかわりに使うとか、綱紀粛正の問題に関連して、ゴルフが今問題になりつつあります。  私どもとしても若干の事例はわかっておりますが、そういうもので、綱紀粛正を叫んでおる岸内閣が巷間で騒がれておるように、政府の役人が業者との結びつきをゴルフ場でやる、そういうことがあってはならないし、今後幾ら、われわれが決算委員会で論議しても、そういうところで不正不当なことが、もし計画されるとするならば、こ言葉は、立法府に対しては大へんな言葉になるのですよ。  それで要望しているわけなんです。総理を補佐して、これは早急に決定されてしかるべきである。私は総務長官の能力云々を言っているわけではない。総務長官は、非常に広範な仕事を持たれている。ところが、当然国務大臣に任命しようと思えばできるわけなんです。国務大臣に値する仕事をしていると思う。立法府に臨む場合に、国務大臣をもって臨んでこなければ筋が通らないわけなんです。だからこれは茶飲み話じゃ済まぬ問題なんです。従って、私は要請しますが、明日中には、副総理として解決をしてもらわなければならぬ。
  207. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) ただいま御指摘通り、総務長官が最高責任者であると申し上げたのは、誤まりでございます。総理大臣が最高責任者で、総理府の総務長官が担当いたしておるのであります。その責任は総理大臣が持っておる。最高責任者は総理大臣である。先ほどの点は間違いであります。  知らないということは、これは、正直に申し上げておるのであります、けさの問題は。能力の問題に関するかもしれませんが、私、けさ初めて聞いた、従って、ここで即答できないのはまことに遺憾であります。ただいま御指摘のように、なるべく早く相談いたして、決定をいたしたいと思います。
  208. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 質問の趣旨は、わかったでしょうから、御善処願います。  最後に、第三点として伺いたい点は、副総理としての益谷国務大臣に伺うわけですが、緊急だから伺うわけです。前回決算委員会で、岸総理大臣は、私の質問に対して、こういう答弁をしたのです。公職選挙法の改正にあたっては、わが国においては、現段階では、高級公務員の何らかの立候補制限が必要だと思う。そうしたい。内容は、退職後一カ年あるいは二カ年というふうにするかはともかくとして、ともかく実情からいって、高級公務員の立候補制限は必要だと、しなければならぬと、こういうふうに答弁したわけですね。これは行政府の最高責任者が国会答弁したことなんですよ。  そういう方針のもとに法案を国会に出して立法府において修正されているのならばけっこうですよ。しかし、そういうふうに行政府の最高責任者が、立法府において答弁して、一カ月もたたないうちに、行政府が作られた案、その中に、その内容が落ちているということは、私は、それほど岸内閣は、たががゆるんでいるのかと不思議でならない。これは立法府の最正責任者の国会における答弁を非常に不権威なものにするもので、見識のないことになりますから……。あなた方が出される法大が、立法府でどういうように修正されようが、それはあり得ることです。しかし総理が、公約的な言明をして、一カ月もたたずに、行政府のある省庁で作る法律案の内容が、総理の公約的発言と相反する内容のものになるということは、これは立法府としても黙過できない。私質問して、伺ったことでありますから、この点についてこれは副総理としてのあなたに伺うわけですが、どういう御見解か承っておきたい。きょうは、その程度にしておきます。
  209. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) この問題は、数年前から問題になり、選挙法の改正のつど、問題になっておるように私承知いたしております。しかし、総理が、当委員会でただいまのようなことを言ったのかどうかということも……。
  210. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは答弁されたのです、速記に載っている。
  211. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) それは間違いないでしょうが、まだ、閣議で決定いたしておりません。矢嶋さんの御意見の趣旨は、閣議にも伝えたいと思います。閣議でまだきまっておりません、この法案は。
  212. 小柳勇

    小柳勇君 私は、総務長官に、答弁を求めませんが、要請をいたして、次に、会計検査院長に質問して終わります。  要請は、ただいまのように、軍の移動によりまして離職者が出る、それによって町政が成り立たない、町民は不安である。この問題で、おのおのの代表が陳情なりいろいろお尋ねに参ると思いまするので、一つ誠意を尽くして、社会不安を除去するように御努力願いたいと存じます。要請いたします。  最後に、会計検査院長に質問いたします、総括質問の最後でありますから。  この前の質問で中断いたしました防衛庁関係の不当一角の中で、イタリアのスタッキーニ社に対する二千二百七十三万円の問題がございましたが、この問題は、どういう処分をしたかと言ったら、関係者は処分いたしましたということでそれはあとで、うそであるということがわかりました。だからこの事実を、どう処理いたしたかという点と、それから、この間の院長の発言のその後の処理について伺いたいと思います。
  213. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) 私、防衛庁の、もう一つ前の事項と混乱いたしまして、そちらの方を御答弁いたしまして、どうも申しわけありませんでした。  あの問題は、まだ最終的に国損がきまったわけじゃありませんで、現に訴訟中であります。防衛庁では相当の確信を持って、向こうに訴訟を提起しておられますから、われわれとしても、もうしばらくその訴訟の模様を見ようじゃないかというわけであります。
  214. 小柳勇

    小柳勇君 防衛庁の方の関係者の処分は、まだ全然なされていないということですか。
  215. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) まだ処分をなされたことは聞いておりません。こちらとしても、処分してもらいたいという申し出はいたしておりません。
  216. 小柳勇

    小柳勇君 これで質問を終ります。
  217. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まだ防衛庁がお見えになっておらないから、報償費並びに旅費について、関係各省に伺いたいと思います。  まず大蔵政務次官に伺いますが、報償費というのは、どういうふうに定義づけているのですか、またどういうふうに使うべきものであるか、お答え願います。
  218. 前田佳都男

    政府委員前田佳都男君) お答え申し上げます。  報償費は、相手方が国の事業または事務に関しまして、何らかの寄与となる行為をなしたことが前提となりまして、これに報い償う意味で使用されるものでございます。
  219. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 会計検査院は検査するにあたって、計算証明規則による省略承認事項というのがございます。この省略承認事項の中に報償費等というのが、ウの項にある。そうして「次の科目のうち、国の情報収集、捜査活動等に使用される部分については明細書を提出し、その証拠書類は、取扱責任者が保管することができる。」となって、省略承認をいたしておりますが、この中に、内閣、外務、法務、警察、こういうところの報償費、それから特に公安調在庁の調査活動費というのが出ている。この報償費の使途については、検査院としてはどういう検査をしているか、また報償費の使途というのは、どうあるべきだという御見解を持っておられるか。  私は過去数カ年の統計をとって見たのですが、報償費というのは、だんだんふえていく、それから減ずる省もあるわけなんですが、特に注目すべきことは、警察それから公安調査庁、それから防衛庁、それに外務省というところが、ぐんぐんふえてきている、ほかの省は、逆に減ってきている、ある段階において、内閣官房がものすごくふくれたときがありましたが、しかし最近のカーブは、そう飛躍的にふえているカーブではない、ところが警察とか公安調査庁とか国防会議とか外務省、こういう方面は、他の省庁と比較して、急激にカーブが上がっているわけです。そうして検査の場合は省略承認になっているわけですね。しかも金額は何下万ではない、何億、合計すれば十億台、何十億台になっているわけですね。従って場合によると、これは機密的な運用が行なわれている、ここにこれは非常に問題があると思いますので、会計検査院としては、報償費というものを、どういうふうに把握されているか。それから、どういうふうに使うべきだと思っておられるのか。また検査の実情は、どうであるか、これをお答え願いたい。
  220. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) 報償費をいかに使うべきかということは、まあ内閣なり、予算審議される議会の方に、むしろこちらがお教えを願いたいくらいなんです。で、われわれとしましては、大体皆さんのお考え、それから予算の目的を考えて、その予算の目的が達成されるように、会計検査がその議会のきめた、また内閣の目的としている予算目的を阻害しないようにできるだけいたしたいと、そういう考え検査をいたしております。  具体的に申しますというと、普通の経費につきましては、その支出を要する原因となりました契約書でありますとか、あるいはまた支出が済みました場合に、民間からの請求書でありますとか、最後に、最終の債権者でありまする人の領収書でありますとか、そういう書類を全部とりまして書面をもって、大体の結果の把握ができるようになっております。が、しかし、この報償費も、全部が全部でありませんけれども、その報償費の中には、そういう契約書であるとか、あるいは最終債主といいますか、債権者の請求書でありますとか、あるいはまた領収書でありますとか、そういうものをとってそうしてそのいきさつを、すっかりあからさまにすることは、予算の目的を阻害するんではないかと、われわれは考えまして、その点、検査としましては、非常に残念でありますけれども、そういう皆さんの御便宜のために、と言うと何だというおしかりを受けるかもしれませんけれども、はっきり申しますと、予算予算として適当に使われるようにという念願をもちまして、そういう正規の書類をとらないことにしましてただ支出の明細書と申しますか、それから取り扱い責任者が、これは最終債主ではありませんけどれも、その中に立っております役人でありますとか、あるいは民間の者もありますが、そういう中途の橋渡しをしたというような人の領収井を証拠書類としてとっております。  そうしてまた一件書類の中で、機密に属しないものは、なるべく原省庁において保存しております。そうして、書面ではとりませんけれども、実施調査に参りましたときに、そういう役所に保存しておりますところの品類を、全部点検いたしまして、それでもまだわかりませんところは、口頭でもって質問いたしまして、いろいろな御説明をいただいて、そうして、なるほどこれでいいという心証を得ました場合において、それを確認いたしております。まあ、そういうやり方でいたしております。
  221. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 で、具体的に伺いますが、まず警察庁と公安調査庁関係を伺いたいのですが、きょう警察庁並びに公安調査庁の会計課長がおいでになっているはずですから伺いますが、たとえば公安調査庁の三十二年度の調査活動費は五億一千六百万円ですね。それが今度、今われわれが審議している三十五年度になると五億三千百六十九万四千円にふえてきている。三十二年度は三億一千六百万円だったのですが、大へんなふくれ方なんですね、公安調査庁は。  これは何ですか、領収書は全部あるのかどうか。で、立法府の方で、調査する必要上それを資料として出してほしいと言えば、出せるのかどうか。  それから警察庁の方に伺いますが、警察庁の三十二年度の活動旅費というものは十三億一千五十一万七千円だ。ところが、今審議している三十五年度の活動旅費は十五億七千三百二十六万一千円、こうなっておる。報償費がふえ、諸謝金——礼ですね、この諸謝金さえ二千五百二十一万三千円というのが予算化されておるわけですね。膨大な金です、この諸謝金それから報償費、交際費、活動旅費というのは。これらについては全部領収書があるのかどうかですね。それから先ほど言ったように、われわれがたとえば秘密会でもよろしい、それを提示してほしいと言えば、提示できるのかどうか。  同様に、労働省ですね、労働省に、この前資料を出してほしいと言ったら出ました。労働者の報償費も、わずかしかないのですが、そのうちの大部分は、こういう名目で使っておる「労働行政の円滑なる推進を図るための部外者に対する報償金又は報償物品に要した諸経費」となっておる。あと、この労働争議の解決のため云々というのが、別の項目にある。部外者に対する報償金、または報償物品に要した諸経費として三百五十八万八千円というのが使われておる。労働省は、全部で四百三万六千しかない。四百三万六千のうちの二百五十八万八千円というのが使われている。明細の資料を出してほしいと言ったら、これだけの資材しか出てこないわけです。それから公安調査庁に資料を要求したら、法務省本省と公安調査庁全部合わせて、この一枚のこれしか出てこない。何億円台しか出てこないわけなんですね。これ以上、明細化した資料を出せないのかどうか。何かうしろ暗いものを感じます。これは各省庁の責任者というか、会計課長さん、きょうおいでを願うようにしてありますから、おいでになっておると思うのですが、お答え願いたい。  ことに、公安調査庁の調査活動費の昭和三十五年度は五億三千万円となっておる。昭和三十二年度が三億一千六百万円ですが、いかように使われたかは、一切われわれはわからぬわけですね。資料を要求したところが、臆面もなく一枚の紙が出てきただけなんですね。この点、三者からお答え願いたいと思います。
  222. 関之

    政府委員(関之君) お答えいたします。  活動費につきましての第一点は、領収書がとってあるかどうかということでありますが、これは全部とってございます。  第二点は、これを委員会に出せるかどうかというお尋ねでありまするが、どうも遺憾ながら提出することはできません。
  223. 大津英男

    政府委員(大津英男君) ただいま御質問がございましたが、警察庁の活動旅費の関係でございますが、これは、たとえば暴力団犯罪、麻薬犯罪、その他の犯罪の捜査のための活動の旅費、あるいは警備活動の場合の旅費、こういうために必要な諸費の増額でございまして、それから諸謝金でございますが、これは警察関係におきましては、警察学校におきますところの、いろいろな教養につきましての講師の謝金、こういうようなたぐいのものが大部分を占めておるわけでございます。その点御了承願いたいと思います。
  224. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 領収書と資料提出とは。
  225. 大津英男

    政府委員(大津英男君) 領収吉は、全部とってございます。なお、その資料としての提出につきましては、差し控えたいと思います。
  226. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 労働省の報償費は、この資料にありますように四つに分かれるわけなんです。その第一の、先ほど矢嶋先生の御指摘の、これは大体大臣官房において、おもにこのような経費として使っているのでございまして領収書はとってございません。  また側々の証拠資料まで、この委員会に出すというのは、遠慮させていただきたいと思います。
  227. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは、三者の方に伺いたいのですがね。この委員会が、秘密会にしても、出したくない、差し控えたい、秘密会を開いて、その証拠書類を見せてほしいというても、出せないと言う。それは法的根拠は、どういうふうにお考えになっておられるのか、お答え願いたい。承っておきたい、
  228. 関之

    政府委員(関之君) 秘密会にいたしましても、どうもこの書類だけは、提出することができないと思うのであります。るいは外交政策の前提となっておりまする政治情勢の調査に御尽力を願うという場合は、国の外交上、最も重要な事務に従事願うことに相なりまするので、報償費から、それを支弁されるということは適当であるかと存じます。
  229. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたみたいな人格者が、そういう三百代言みたいなことを言いなさるなよ。だれから習って、そんなことを言うんです。だれが常識的に考えても、こんな使い方って、あるですか。しかもその六人は、派閥構成で構成しているじゃないですか、派閥構成で、各派閥に割り当てて。そういう使い方をするならば、報償費の使い方というものを、全部われわれは見せてもらわなければ、国民に申しわけないと思うんですよ。そういう使い方をするならば。前向きに言って、将来の予算審議にあたっても、重大な関心を払わざるを得ない。官房長官、今後も何ですか、報償費はそんな使い方するつもりですか。使い方があまり望ましくなかったんじゃないですか、こういう使い方は。どういう反省を持たれていますか。今後もまた、そういう使い方をするので、来年は、もう少し随行を連れていこうというので、六千万円もふやしたんですか。ほかはみな減っていますよ。  ところが、さっき私が言ったように、外務本省とか、公安調査庁とか、警察庁とか、防衛庁とか、こういうところですね。ちょっと言えば、何か、うしろ暗いような感じのする省庁だと、こう言っているのです。ほかのところは、みな減らされている。これは表を作ってみれば、ぴたっと出てくるわけです。  お答え願います。
  230. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 報償費は、元来が、そう単価や何かで割り切れる性質のものではございません。ふえました根拠は、何と言っても、日本の国際的な地位が高く、また広くなりましたので、それ伴って報償費も外務省に関する限りにおきましては、これはふえるのが当然だと思います。  この内容は、今申し上げました通り、そう、どこそこへ行くので、汽車賃はなんぼ、自動車賃はなんぼ、あるいは宿泊費がどうという、そういう性質のものではございませんので、大体、その省庁を信頼して、これを査定し、信頼して、その使途については、多くのせんさくをしないというのが、まあ、かような機密費の性格かと存じております。
  231. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今のような、さっきの随行議員に報償費を使用して、海外に出張してもらう、こういう使い方というものは、あなたは、やはり正しい、今後も、そういうことをするというお考えですか。
  232. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 今回の安保条約の全権団に同行した議員の旅費につきましては、党の方から出ております。
  233. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ということは、裏返すと、去年は、やはり総理が出張した場合に、六人に報償費から六百万円出したのは、あまりよくなかったという反省から出ているわけだな、ということは、今度の安保条約は、全権団なんかで、三十人も要らんですよ。三十人もたくさん行って、おまけにその上に、同行議員団七人も作るということは、やはり安保条約をうまいこと通すためには、あの部落の一人、この部落の一人と、こう各派閥の代表を運託生で行っておかないというと、あと、党内収拾に因るからというので、これだけのたくさんの人が行くわけなんですよ。  それから、総理が今後も海外に出張されるでしょうが、その場合に、人数は多くなるけれども、各部落から一人くらい連れて行かんと、党内もまとまらないし、岸内閣も、安泰でないからやるわけだ。いわば党内政策として、ああいう数がふえておるわけなんです。これは良識のある者が判断すれば、だれでもそうです。そういう場合に、この報償費というようなものを使うということは、そういう場合を予想して予算を組むというようなことは、許されないことですよ。  だから私は、この決算審議最終段階で、この内閣官房とか、あるいは外務本省とか、公安調査庁、警察庁、防衛庁、こういうところは、どういう使い方をされているのか知りたいと思って、資料要求をしてみたわけです。特に、この防衛庁の情報収集その他の、この簡易取り扱いを願ったのは、おととしですがね。会計検査院に、強力に要望して、簡易の取り扱い方が許されたわけですよ。一方飛躍的に報償費がふえていったわけですよ。だから、お伺いをしているわけです  もう一ぺん、一つお答え願いたい。
  234. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 前回、報償費から出しましたのは、まあ総理とともに、国外に行って、大いに外交上の効果を一そう高めてもらいたいという趣旨で、報償費を出したのでございます。  今回はそういう意味が——ないということはございませんけれども、大体、党の方の都合もつくようでありましたし、党の方から出してもらったわけであります。  それから、先ほど申し上げました通り、国際的な行動半径が広くなりますのに従って、報償費等は、従来私は、決して十分だとは、私個人は思っておりません。ふえるのは当然ではないか、かように考えております。
  235. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 じゃ、念のために、報償費と交際費の区別を承っておきたいと思います。
  236. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 交際費は、社交、儀礼的に、一方的に使われるものでございますが、報償費は、国の、国力の発展に寄与するというような面において、それらの人々に対して謝礼的に、あるいは報償、報酬の意味を有して報償費として使用するものであります。そこが違うと思います。
  237. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ああそういう説明ですか。  それでは、報償費と諸謝金というのとは、どう違うのですか。諸謝金というのがある、それと報償費とは、どう違うのですか。
  238. 中尾博之

    説明員(中尾博之君) 報償費の中には、諸謝金といたしまして支払われるのと、形式的と申しますか、性質——経済的の性質におきましては似たものもあると存じます。それからその他購入代金といったようなものに似たものもあるかと存じます。  従って報償費と申しますものは、経費の性質別から申しますと、ややそれらの性質のいろいろな経費が、つまり総合的な科目の名称になっております。ちょうど庁費というようなものがございますが、これが売買代金もあり、あるいは役務代金もありといったようなものに似ているわけでございます。そういう関係になっております。
  239. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ともかく報償費、交際費、それから諸謝金、それから公安調査庁の調査活動費、これは、どうもわからないですね。だから私は先ほど関係者から、そういう答弁がありましたけれども、もう少し、どういうふうに使われたかということがわかる程度の資料を出せるだけ一つ出していただきたいと。ということは、これらは会計検査をする場合にもワクがかかっているわけですからね、十分他の予算と同じようには検査されないようになっているわけですから、全部が全部とは言いませんが、もう少し、様子が判断つく程度の資料を出していただきたいと思うのです。でないと、そういう状況であるにかかわらず、これがぐんぐんふえていくということは、国民の血税がどういうふうに使われているのだろうかと疑念なきを得ないわけですね。ぜひ、まあその点は、重ねて一つ要望申し上げておきたいと思います。  それから今の総理の外遊問題が出ましたから、ついでに簡単なことだから、ちょっと官房長官に伺っておきたいのだが、総理はハワイで、文化センターに一万ドルを寄付したということが、日本の新聞に報道されたのですが、あれはほんとうなんですか。真相を一つ聞かしておいてもらいたい。
  240. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) あれは真実を伝えております。ホノルル文化センターに一万ドルを寄付したことについてでありますが、岸総理が、前回の外遊の帰途にホノルルに立ち寄った際に、在留邦人の代表者から、日米両国の文化交流促進のために、ホノルル文化会館建設基金の寄付の要請がございました。帰国後、外務省から支出することになり、九月五日在ホノルル総領事を経由いたしまして、ホノルル日本人商工会議所会頭安達氏に送金いたしたのでございます。今回の外遊とは、関係はございません。私もホノルルに立ち寄りました際に、その文化会館が、ほとんど八分通りできておるので、総理と一緒に案内を受けて、中を見ました。まあ、あそこの日系の連中の一つの殿堂であり、また商工会議所であり、その庭園の一部には、茶席を作るとか言っておりました。全体の工費が三十万ドルかかる。その三十分の一の寄付の要請があって、これを寄付をした。こういう状況であります。
  241. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もちろんこの報償費みたいな経費でないのでしょうね。私財なんでしょうね。それは、どうなんですか。
  242. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 報償費から出しております。外務省の報償費から出しております。
  243. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 報償費から。ははあ、そうですが。報償費は、やっぱりそういうふうに使うわけなんですかね。  では、外国為替管理法との関係は、どうなりますか。あれが報ぜられたときに、川島幹事長も、当該者はびっくりしておったようですが、外国為替管理法との関係は、どうなっておりますか。  そういう手続をとっていないでしょうが。とったならば、いつとったという時日を明確に答えてもらいたい。
  244. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) どういう手続で行われたか、私直接存じませんが、いずれよく調べて申し上げることになりますが、大体において、外務省の在外公館に報償費をそれぞれ配付して、その今については、外貨を持っておるはずでございますが、そのうちから贈与したものと考えます。
  245. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは外務本省の報償費か、それとも在外公館の報償費か、あるいは内閣官房の報償費か、いずれでありますか。
  246. 中尾博之

    説明員(中尾博之君) 在外公館の報償費でございます。在外公館の報償費でございますから、通常の在外公館において使用いたしますところの国費と同じ手続をもちまして、成規の手続で送金されておるわけであります。具体的には、ホノルルの総額事に送ってあるわけであります。
  247. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では伺っておきますが、在外公館の報償費は、なるほど三十二年が四億三千万、三十四年が四億九千万で、三十五年度は、一躍一億四千万ふえておる。三十王年度は、在外公館の報償費を実に六億三千万円。一躍一億四千万円ふやしておる。  今まで在外公館の報償費を、そういうような総理とか外務大臣の名前で寄付したようなことはないでしょう。そんな扱い方をしたことはありますか。今度初めてああいう使い方をした。それで、また今後そういう使い方をしようというわけですか。一躍一億四千万円ふえて、六億三千万円になっておる。日本の新聞には、私財を寄付したというようなことが報ぜられておるが、今回の報償費の使い方というものは、ますますどういう使い方をしたか、出してもらわなければ。けしからん、どうですか。いまだかつて、外務大臣あるいはどなたか、こういうふうに外国に、そういうものを寄付するのに、報償費を使ったことがあるかどうか。
  248. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) よく日本でも、災害等の場合には、外国の総理大臣とか、そういう最高の責任者の名前において見舞等を受けることがあるのであります。従来、わが国においても、外国の、かような場合には、総理大臣として見舞を贈った例はいくらもあるわけです。  今回の場合は、やはりいわゆる報償費の当然の内政及び外交の円滑な推進をはかるという、その範囲内において、日米あるいは在ホノルルの多数の、アメカリ人でありますけれども、まあ日系の人々との融和親善のために、個人岸信介じゃあなくて、内閣総理大臣としてこれに贈ったのであります。別に私は、報償費の当然の使途を逸脱するものではないと考えております。
  249. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やや、岸さんの権力主義者的なものが出てきているんですよ。こういう岸内閣総理大臣であるならば、私は、ハワイにおいて寄付したことが悪いというんじゃないんですよ。金の使い方を、問題にしているんです。また為替管理法に抵触しないかという立場から聞いているんです。外国に災害があったというようなときは、閣議決定に基づいてそうして予備金等から出されるはずです。また内閣の方針で出される場合、報償費からならば、筋から言ったら内閣官房から出すべきですよ。外務本省の報償費というものは、外務大臣に一任してあるはずです。在外公館の報償費というものは、外務省の予算の中には、外務本省、在外公館と別に出ておりますが、それを総理が、くちばしを入れて自由に使うべきものじゃないと思う。その点が非常に紊乱しておるじゃないですか。閣議で決定したなら予備金から出してもいいじゃないですか。普通そうしているはずです。  これも、またあとで、そういうふうにつくろったんじゃないですか。去年の外遊のときも、そうです。あとでつくろっている。筋が通らぬじゃないですか。
  250. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) これは、事後につくろったものでもなんでもございません。正真正銘の経過を申し上げたのであります。  それから、今調べた結果、為替法違反等の疑いは、少しもございません。さよう御了承願います。
  251. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは、外務大臣が所管しているんじゃないですか。
  252. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 総領事が介在しておりまして、やはりこの際は、総理大臣が、外交上の最高の責任者でもあり、総理の名前を使った方が、より効果的であるというので、総理の名前を使ったわけであります。
  253. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう場合は、予算の積算をする場合に、そういうことは積算してないんですよ。外務省は、今公館が九十四ある。今度新たに四ふえます。それで、九十八になります。それ以外に代表部が二つあるはずです。昔は機密費があったが、日本経済力が十分でないために、今はなくて、在外公館は、報償費と交際費に苦心しているはずです。この九十八の公館二代表部を合わせて百です。それに対して、国内の公安調査庁の調査活動費とか、防衛庁の報償費とか諸謝金というものが、在外公館のそれに比べれば、非常に多過ぎますよ。そういうふうに在外公館が苦しんでいるのに、そういう横から、総理大臣がかっぱらうようなことはやるべきじゃない。それだけ必要を認めたならば、閣議決定して、堂々と予備金なら予備金を支出したらいいじゃないですか。そのための予備金じゃないですか。思いつきで、いかに総理とはいえ、予算執行に権力的なにおいのするのは、非常に遺憾です私は、官房長官を通じて総理大臣に反省を促す。  時間がきたから、他の私の質疑は、この次にしますが、権力的なものに関連してもう一つお伺いしたい。総理府総務長官は帰りましたか。
  254. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 帰りました。
  255. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 お帰りになりましたか。大事なところがあったんだが、総務長官に質問の焦点を合わせているんです。だから、ちょっと質疑者に断わって帰っていただかなければ、だまって出て行くということは、よくないと思うんです。  あと私は、きょう防衛庁関係質疑があったわけですが、防衛庁長官はまだ出て来られませんね。防衛庁の建設本部長は来ておりますか。今そこにお見えになっている防衛庁の方はどなたでしょうか。
  256. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 防衛庁関係は、まだ来ていないんです。
  257. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では、これで次にしますが、防衛庁の金の使い方はひどい。報償費、交際費、諸謝金というようなものを、もう少しはっきりして下さい。そういう使い方をされては、国民としてだまっているわけにいかない。念のために、もう一ぺん言っておきますが、在外公館は、三十二年度の報償費四億二千万円に対して、二億一千万円ふえている。交際費は、倍になっている。それから内閣官房ですね。これが報償費一億七千九百十九万三千円持っている。三十五年度予算です。ところが、今われわれが審議している三十二年度は、わずかに九千二百八十万円が、一億七千九百十九万余円にふえている。しかし、使い方が一向わからない。内閣官房長官が所管している交際費は二千四百万円持たれている。どうですか官房長官、あなたが所管しているのは内閣官房だが、防衛庁とか、公安調査庁の所管の報償費.交際費の使い方、使途を、もう少し、大略つかめるように御説明できませんか。いかがですか。
  258. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 大体他の省庁と、述べましたと同じような取り扱いになっております。詳細のことは申し上げかねます。
  259. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは、予算委員会でないから、他の予算との比較はやめますが、私は、官房長官を通じて、この決算が終結するまで、もう少し、大要がわかるような資料を行政府から出していただくように、委員長を通じて私は要望いたしておきます。
  260. 相澤重明

    相澤重明君 椎名官房長官に、今の矢嶋さんの質問でちょっと気になるので、やはりお尋ねしておきたいと思うのですが、行政府として、国家予算執行をまかされておるわけでありますが、その行政府の使い方について、今あなたの言われたようなことであると、報償費等については、これは決算上の対象にならないというあなたはお考えでおるのかどうか、この点いま一度、一つ明確にお答えをいただきたいと思うのです。
  261. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) もちろん決算の対象になるのでございますが、ただ資料として、他の場合と同じような精密なものはお出しできないというだけのことであります。
  262. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると官房長官、まあ公開の席での資料要求とか、あるいは秘密会にしても、こまかいデータを出せ、こういうことについては、お話が、要求されるようにはできないかもしれぬ、こういう意味だと思うのですね。  そこで秘密会等におけば、いわゆる口頭での釈明は、可能であるという反論があがるわけなんですが、そういうふうに理解をしてよろしいのですか。
  263. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) その点につきましては、ここで私から即答することは、一つごかんべん願いたいと思います。関係方面とよく相談をいたしまして、その点は、あらためて申し上げたいと思います。
  264. 相澤重明

    相澤重明君 それは早急に一つ関係各省の意見をまとめて、官房長官が一つ、後刻また決算委員会の際に、その意向一つ表明をしてもらいたいと思う。  そこで、そうしますというと、先ほど矢嶋委員の言うように、非常に各省庁の報償費というものが増額をしておる、これについては、必要があって増額するのだ、こう理解をしていいと思うのです。しかしその最高の執行者の責任である各省大臣、長官ですね、これは、当然使途の内容については把握を私はされると思うのです。使い方についてはですね、承知をされておると思う。しかし、もしそれが具体的な把握をされておらないというと、先ほどから私どもが疑問に思うところのつかみ取りで、じゃあ、どこはどういうふうにやっておけというような形になるおそれがあるわけです。これは私は、国の会計法上の問題や、決算上の問題として、非常に重要な問題になってくると思う。ですから、そういうことはないと私は理解をしておるんでありますが、官房長官も、そういうふうに理解をしておるかどうか、その点、御意見いかがですか。
  265. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) まあ、いやしくも多数の人の上に立って、指導的な地位を持っておるのでありますから、いいかげんなことをやれば、全然、それはもう破綻してしまうわけであります。そういう点は、十分御信頼を願ってしかるべきものであると考えます。
  266. 相澤重明

    相澤重明君 最後に、一つ要望しておきます。  それで、少なくともこの行政府対立法府、これについては、それぞれ各国またこの法律関係も違うわけでありますけれども、少なくともこの日本の新しい戦後における民主主義の国会運営というものに対して、国民の期待にこたえるためには、やはり国民に十分理解をさせ、協力する体制を作らなければ私はならぬと思う。そこで今のような御答弁だけでは、私はなかなか理解をされない。  そこで官房長官、関係当局とお話しになって、そのことを後刻御報告されると思うのでありますが、でき得れば、それは、やはり立法府と行政府との関係ですから、そういう点を、法令的にやはり明確にする必要があるだろう、私は先ほど公安調査庁の答弁で、国家公務員法に触れるだけでは、国会を規制することはできない−立法府に対して、国家公務員法にも触れるから云々というだけでは、これは答弁にならぬ、もっとこの国の行政の問題と国会という、少なくとも国権の最高機関である国会に対する答弁にはならぬ、そういう点で、これは法律的に、私はやはりそういうものを明らかにすベきであろう、そうでないというと、せっかく一生懸命にやっても、皆さんの言うことが、疑惑を持たれるということは、私はまことに遺憾だと思う。そこで、そういう点についても、後刻私は解明していただきたいし、もし足りない点があれば、それを補足する必要があるであろう、こう思いますので、要望しておきたいと思いますが、官房長官は、いかにお考えになりますか、御答弁いただきたい。
  267. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) ごもっともでございます。国会の、この最高権威に対する答弁としては、なお不十分であろうと考えられます。よく法制局とも相談をしまして、適当な機会に明らかにしたいと思います。
  268. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国勢調査の立場から、次の資料を要求します。  年度は昭和三十二会計年度から昭和三十四会計年度の本日に至るまでの間、内容は、報償費並びに交際費で、国内外に寄付行為をした件名と金額、こんなものほ何も隠すことはない。これは、情報を請うたとか、その情報提供者に対して、謝礼をしたというようなものは出せないというかもしれない、しかし国内外に、そういう寄付行為をしたというようなものを、資料として出せないはずはないから出して下さい。関係省庁は、内閣官房、総理本府、外務本省、在外公館、それから防衛庁、こういう省庁の報償費並びに諸謝金、それから交際費、その予算項目から、国内外の個人または団体に対して、寄付行為をした件名と金頼を、昭和三十二会計年度から昭和三十四年度の現在に至る間、早急に資料として出Lていただきたい。これは官房長官、出せますね。
  269. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 出せると思います。
  270. 上原正吉

    委員長上原正吉君) 本日の審議は、この程度にいたします。次回は、いずれ決定次第、公報をもってお知らせいたします。  本日は、これをもって散会いたします。    午後五時十八分散会