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1960-02-23 第34回国会 参議院 議院運営、地方行政、法務委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月二十三日(火曜日)    午前十一時二十分開会   —————————————  委員氏名   議院運営委員    委員長     高橋進太郎君    理事      塩見 俊二君    理事      田中 茂穂君    理事      阿部 竹松君    理事      光村 甚助君    理事      向井 長年君            天埜 良吉君            石谷 憲男君            鹿島 俊雄君            北畠 教真君            後藤 義隆君            佐野  廣君            鈴木 恭一君            徳永 正利君            鍋島 直紹君            松野 孝一君            村上 春藏君            占部 秀男君            椿  繁夫君            豊瀬 禎一君            安田 敏雄君            米田  勲君            永末 英一君            北條 雋八君            加賀山之雄君   地方行政委員    委員長     新谷寅三郎君    理事      西郷吉之助君    理事      鍋島 直紹君    理事      鈴木  壽君    理事      基  政七君            井野 碩哉君            大沢 雄一君            郡  祐一君            小林 武治君            白井  勇君            館  哲二君            西田 信一君            湯澤三千男君            加瀬  完君            木下 友敬君            藤田  進君            松澤 兼人君            松永 忠二君            中尾 辰義君            杉山 昌作君   法務委員    委員長     大川 光三君    理事      井川 伊平君    理事      後藤 義隆君    理事      高田なほ子君    理事      石黒 忠篤君            泉山 三六君            植竹 春彦君            太田 正孝君           大野木秀次郎君            津島 壽一君            林田 正治君            平井 太郎君            宮澤 喜一君            大矢  正君            亀田 得治君            久保  等君            藤田藤太郎君            田畑 金光君            辻  武寿君            市川 房枝君   —————————————  出席者は左の通り。   議院運営委員    委員長     高橋進太郎君    理事            塩見 俊二君            田中 茂穂君            阿部 竹松君            光村 甚助君            向井 長年君    委員            石谷 憲男君            鹿島 俊雄君            北畠 教真君            佐野  廣君            鈴木 恭一君            徳永 正利君            松野 孝一君            村上 春藏君            椿  繁夫君            豊瀬 禎一君            安田 敏雄君            米田  勲君            永末 英一君            北條 雋八君            加賀山之雄君  地方行政委員    委員長     新谷寅三郎君    理事            西郷吉之助君            鍋島 直紹君            鈴木  壽君    委員            大沢 雄一君            郡  祐一君            館  哲二君            西田 信一君            湯澤三千男君            加瀬  完君            木下 友敬君            藤田  進君            松澤 兼人君            松永 忠二君            中尾 辰義君   法務委員    委員長     大川 光三君    理事            井川 伊平君            後藤 義隆君            高田なほ子君            石黒 忠篤君    委員            太田 正孝君            林田 正治君            大矢  正君            亀田 得治君            久保  等君            藤田藤太郎君            田畑 金光君            辻  武寿君            市川 房枝君   —————————————    議長      松野 鶴平君   —————————————   衆議院議員            佐々木盛雄君            長谷川 峻君   国務大臣    法 務 大 臣 井野 碩哉君    国 務 大 臣 石原幹市郎君   政府委員    法務省刑事局長 竹内 寿平君   事務局側    事 務 総 長 河野 義克君    事 務 次 長 宮坂 完孝君    議 事 部 長 海保 勇三君    委 員 部 長 岸田  実君    委員部副部長  若江 幾造君    記 録 部 長 佐藤 忠雄君    警 務 部 長 渡辺  猛君    庶 務 部 長 小沢 俊郎君    管 理 部 長 佐藤 吉弘君   法制局側    法 制 局 長 斎藤 朔郎君   衆議院法制局側    法 制 次 長 三浦 義男君   説明員    警 視 総 監 小倉  謙君   参考人    東京公安委員    会委員長    堀切善次郎君   —————————————   本日の会議に付した案件国会審議権確保のための秩序保  持に関する法律案(第三十三回国会  衆議院提出)(継続案件) ○参考人出席要求に関する件   —————————————    〔議院運営委員長高橋進太郎君  委員長席に着く〕
  2. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) これより議院運営地方行政法務委員会連合審査会を開会いたします。まず、本日の審査会運営について申し上げたいと存じます。先刻、関係委員会連合理事会において協議いたしました結果、本日は、まず発議者から提案理由説明を聴取いたしまして、次に鈴木委員から本案の取り扱いの件について御発言がございます。引き続き質疑に入りますが、その要領は、法務委員会の方々から大会派順に御質疑をいただくことにいたしまして適当な時期に休憩し、再度連合理事会において今後の運営について協議することに相なっております。右の通り意見一致いたしましたので、御了承を願いたいと存じます。  それでは、国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案を議題といたします。  まず発議者から提案理由説明を聴取いたします。発議者衆議院議員佐々木盛雄君。
  3. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案につきまして、私から提案者を代表いたしまして、提案趣旨について説明を行わんとするものであります。  去る十一月二十七日に日米安全保障条約改定交渉打ち切りを要求する集団示威運動が行われました際に、集団陳情に名をかりた一万数千名のデモ隊国会構内に乱入したわが国憲政空前不祥事件発生を契機といたしまして、ふたたびかかる不祥事件を繰り返さないために、加藤前衆議院議長は、さきに議院運営委員会理事会におきまして、おおむね本案同様の試案を提示されたのであります。私たちといたしましては、立憲政治擁護のための与党、野党の政争を越えた立場から、議長諮問にこたえた議院運営委員会全員一致の立案といたしたいと、忍耐強いあらゆる努力を試みたのでありますが、不幸にして野党諸君の同調を見るに至らず、ついに議長試案に若干の補足を加えまして、ここに議員提案の形式をとるのやむなきに至った次第であります。  まず、この法律目的は、国権の最高機関である国会がその機能を完全に行なうため、国会議事堂周辺静穏を保つことによって国会議員登院と、国会審議権確保せんとするものであります。従って、何人も、この目的達成のため、国会議事党周辺静穏保持によって議員登院と、国会審議を妨害しないようにしなければならない旨をまず規定いたしたのであります。しかしながら、このことは、憲法に保障されました集会表現の自由を否定するものでは毛頭ないのでありまして、私たち国会審議権の公正なる行使確保する立法措置を講ずることこそが、最も合憲的であって、かつ議会政治擁護根本要件であると信ずるのであります。  従来国会周辺集団示威運動等が行われます場合には、国会としては、なるべく不要の摩擦を避けるために、審議を中止するなどの措置をとって参りましたが、今回の不祥事件において、議事堂周辺道路においては、議員登院が著しく妨げられましたのみならず、ことに、議員会館議事常との間の道路は、全くふさがれ議員の通行は不能となった事実にかんがみまして、この際、国会として万全の措置を講じ、もって不測の事態の発生を予防することが絶対に必要であると考えるのであります。  さて、私たちはこの法律案を作るにあたって、次の二点に特に意を用いたのであります。  第一は、本法規定いたしまする国会周辺と申しましても、なるべくその範囲を最小限にとどめたことでありまして、英、米、西独等の諸外国におきましては、国会周辺一帯の広範な地域を指定して、集団行動についての厳重な禁止規定を設けておるのでありますが、本法におきましては、その適用区域国会周辺一帯としないで、主として国会に通ずる道路と一部国会用地のみに限って秩序保持すべき場所といたしたのであります。  第二は、その限られた道路区域においても、集団示威運動等をあらかじめ全面的に禁止することを避けまして、必要やむを得ない場合にのみ適当な措置をとり得るようにいたしたのであります。すなわち、国会周辺道路上における集団示威運動等のために、国会議員登院や、国会審議権の公正な行使が阻害されるおそれがあると認められる場合には、衆参両院議長が連名で、東京都の公安委員会に対し、集団示威運動等の許可の取り消しや条件の変更を要請したり、または警視総監に対してその集団示威運動等を制止するための必要な措置を講じるように要請できるようにいたしたのであります。従って、この要請がなされましたときは、公安委員会は、これに対応して必要な措置を講ずることといたしました。また、警察官は、その集団示威運動等主催者統括者責任者または参加者に対して、必要な限度において、警告を発したり、その行為を制止することができるようにいたしたのであります。しかしながら、これらの要請を受けた公安委員会警視総監がいかなる措置をとるかは、もっぱらその自主的決定にゆだねたのであります。  次に、請願につきましては、憲法において定められております通り、これを平穏に行なう限りにおきましては、言論、表現集会の自由とともに国民基本的権利として認められているのであります。しかし、たとい請願陳情の名目のもとに行われまする集団示威運動等でありましても、実際上平穏な行為と認められないものは本法適用を受けるべきものといたしたのであります。  また、罰則につきましては、集団示威運動等に参加した者が議事堂またはその構内に侵入いたしました場合には、本法によらずして、一般刑法規定によるのでありまするが、特に他人を指揮し、他人に率先して侵入した者に対しましては、本法適用によって刑を重くいたしたのであります。すなわち、国会議事党こそは国民代表者国政審議する神聖な殿堂でありましてこれを群衆の先頭に立って侵害することは、単なる住居侵入のみならず、実にわが国立憲政治の存立を危うくするものであるからであります。また、集団示威運動等の威力を用いて国会議員登院を妨害した者につきましても特に罰則を設けましたのは、国会構成員である議員登院こそは、国政審議のための不可欠の前提要件であるからであります。  以上が本法律案の概要でありまするが、私はここに、同僚議員各位が、わが国議会政治擁護のため、この際、政党政派の対立を越えて大乗的見地に立って満場一致の御賛同あらんことを心から期待いたしまして、提案趣旨説明を終わる次第であります。
  4. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は質問に入ります前に、議長に、この法案付託についての見解をただしておきたいと思います。と申しますのは、このような連合審査会が本日開かれるわけでございますけれども、どうも私ども考えてみますと納得のいかない点があるわけでございます。それは、議長がこの法案付託する委員会についての措置を誤ったのではないかと、このように考えるところからであります。で、私は、端的にお尋ねをいたしますが、この法案は、事の性質上、当然、地方行政委員会付託になるべきものというふうに考えておったのでありまして、また、現在もそのように考えておりますが、一体どのような理由議長議院運営委員会の方に付託になられましたのか。これを一つお尋ねをいたします。
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 鈴木君にお答え申し上げます。この法案は、議院運営委員会におきまして、議院運営委員会付託すべきものなりという決定がありましたので、それに基づきまして議長議院運営委員会付託いたしました。
  6. 鈴木壽

    鈴木壽君 ただいまの議長答弁によりますと、議運付託すべきものであるというふうな決定があったから議運の方に回したんだと、こういうことであると考えます。しかし私は、議会運営全般にわたっての運営委員会の任務なり、あるいはそれと議長との関係等について、一応の理解を持っておるつもりでありますが、議案付託そのものは、あくまでもこれは最終的に議長責任においてなされるべき筋合いのものであると考えておるわけでございます。従って、議長はこの法案付託にあたって、議運の方でそういうふうな決定を見たとはいいながら、何かそこに議長としての見解がなかったかどうかと思うわけでございますが、議運決定はともかくとして、議長として、この議案がいかなる性質のものであり、いかなる委員会付託すべきものであるかということをどのように考えておられたのか、これをお聞きしたいと思います。
  7. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 従来も、法案二つ委員会にまたがっております場合は、いずれの委員会かに決定しなければなりません。御意見通り議長はすべてに対する責任がありますから、議長がいかなる心境において議院運営委員会にかけたかということは、たまたま議院運営委員会におきまして、議運委員会において取り扱うべきものなりと、こういうことが決定いたしましたから、先刻も申し上げました通り議院運営委員会付託いたした次第であります。
  8. 鈴木壽

    鈴木壽君 私がお聞きしておりますことは、議運決定は、あなたもおっしゃるように、私どもまた議運会議録等を見ましてもそのようになっておるようでございますが、それに対して議長としてどのようにお考えになってそういうふうに最終的に議運のそういう決定に従われたのかということです。
  9. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) お答えいたします。議長といたしまして議院運営委員会決定を尊重して付託することが適当なりと考えました。
  10. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、形式的に議運決定に従うことが議長として適当であるというふうに考えられたと、こういうことでなしに、一体、この法案というものはいかなる委員会付託することが至当であるかということに対する議長見解がなかったかどうか、ということをお尋ねしておるのです。
  11. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この案に対しましては、議長付託いたしましたことが至当なりと考えました。
  12. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうすると、議長は、法案委員会に対する付託のことを決定いたします場合に、あなたはやはり議運決定通りが適当であると考えた、こういうふうなおっしゃり方でございますから、一体この法案内容というものは何を目的とし、どういう性質のものであるというふうにお考えになっておるのですか。それをお聞きしましょう。
  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この法案内容は、起こりました事件に対しまして、再びそういうことの起こらないようにできる限りの処置をしよう、こういう趣意に基づいてこの法案を本院に送付したものと承知しております。従って、先刻もたびたび申し上げます通り法案内容に対してこれは地方行政委員会付託すべきものなりと必ずしも断ずべきものでもないと思うのであります。そこで、委員会付託というものは、御指摘の通り議長責任においてやりますから、たびたび申し上げます通り、この問題は議院運営委員会付託することが、議案そのもの考えましても、その場合適当なりと考えました。
  14. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうも議長議運の方の決定に従うことばかりを考えておるようでありますが、私は先ほど申し上げましたように、議案付託というものは、議運決定が尊重はされなければならぬ、慣例上もいろいろそういうことになっておると思いますが、最終的には、問題のある議案に対しては、議長権限において意見の発表なり、それに対する取り扱い決定なりというものはなされなければならないと考えるわけです。特にこの法案のねらうところ、内容の主たる目的が、広くいえば議会全体の運営ということにもちろん関係のあることでございますが、少なくとも法案内容の主たるものは、院外における問題についての規制を主とした案であることは明らかでございます。しかも、もっと申し上げますならば、これは治安あるいは警察権力に関する問題であり、それらに対する議長要請権をきめるというのが主たるねらいでございます。とするならば、院外におきますところのそういうものの取り扱いは、これは当然治安関係あるいは警察関係法案性質上そういう法案であり、従って担当する委員会地方行政委員会であるべきことは当然だと思うのです。もちろんまたがるところは多少ある、関連するところは他の委員会にもある、こういうことは、この法案のみならず、いずれの法案の場合でもあり得るわけです。けれども中心になるものは何かという、そういう観点において、私は付託委員会決定判断がなされるべきであると思うのです。それに対して議長は、まことに頼りない、議運がきめたのだからそういうふうにしたのだと、こういうことですが、これは今後いろいろこういう議案付託に対して悪い例を今回残したものじゃないだろうかと考えるのです。その点はどうなんですか。
  15. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) お答えいたします。私の答えましたことは、しばしば繰り返して申し上げました通り議院運営委員会決定を尊重して議院連勝委員会付託することが相当なりと考えた次第であります。
  16. 鈴木壽

    鈴木壽君 だから私は議長お尋ねするのですが、どういう観点からあなたはそういうふうに適当と考えたかということを聞きたいのです。あなたは、議長権限において、議運がやることが適当だと考えた。それからもう一つは、あなたの答弁の大きな柱になっているものは、議運決定に従うことが一番いいのだというふうな考え方だと思う。しかし、私は前にも指摘しましたように、議長議長としての権限がある。議運決定しないことを、ときには議長職権と称して会議を開いたり何かする、そういう権限もあなたは持っている。それくらいの議長が、法案取り扱いについて、今私が申しましたような内容からするならば、当然これは、議運決定がどのようであっても、それに対して議長としての意見があったり、あるいは議長としての判断なり、それに基づくところの決定が私は当然なされなければならないと思う。そういう意味において、あなたは責任がれのような格好でものごとを考えており、そういう態度をとっておられる。私は、何かこう本筋から離れたようなふうにお聞きになるかもしれませんけれども、今後の委員会運営議会全般運営、こういうものからして、私は非常に悪い例を残したんじゃないだろうかということを心配しておる。衆議院において議運でやったから、他院においてやったからといって、必ずしもこちらの方でその通りしなければならないということもない。あるいは提案者は、本会議において、衆議院でもやったし、参議院においても議運で取り扱われることが至当であるというふうな出過ぎたことを言っておりますが、そういう意見がかりにあるにしても、これは明らかに、参議院参議院として、あなたの権限において、この参議院規則の第二十九条にありますように、その職権をもって適当な常任委員会付託することが至当であると私は考える。どうもあなたの話を聞いていると、何か自分には何も責任がないのだ、議運においてこういうふうな決定があったから、おれもその通りでいいと思ったという、こういうまことに頼りない無責任な話をされておりましては、先ほど申しましたように、私は今後の議会の連帯あるいは委員会運営に非常に大きな汚点を残すことになりはしないかと思うのですが、この点についてどうですか。
  17. 高橋進太郎

  18. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は議長に聞いている。議長にまず答えてもらいたい。あとで河野さんからもお話があってもいいのですが、まず議長から……。
  19. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 私は決して、議院運営委員会決定したから責任がれに、そういう意味で言っているのではない。私は、議院運営委員会において決定したから、私もその際、議院運営委員会付託することが相当なりと考えたわけであります。これは繰り返して申し上げます。
  20. 鈴木壽

    鈴木壽君 私はあなたの適当と思った理由を聞いている。どういう理由でそういうふうにお考えになられたか、法案内容等からしてどのような御判断をなされたかということを私は聞いている。
  21. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 鈴木さん、若干手続の点も関係があるようですから、事務総長から補足して一応説明させます。
  22. 河野義克

    事務総長河野義克君) 議長答弁を補足して御説明申し上げます。  法案付託につきまして、議長付託の権能を持っていることは鈴木さんのおっしゃる通りであります。従いまして、議長議長責任において法案付託するのでありますが、従来から、ある法案がニつあるいは二つ以上の常任委員会所管にまたがっている場合におきましては、そのいずれの委員会所管を重しと考えるか、これにつきましては、議長は、議院運営委員会もしくは議院運営委員会理事会諮問をいたしまして、そこにおける一致意見あるいは多数の意見に従い、これを尊重して態度をきめられておったのであります。議長一個のお考えでやるよりも、議院運営委員会あるいは理事会一致した意見または多数の意見に従ってなされることがしかるべきであるということでやっておられたわけであります。今回の法案につきましては、議長から諮問される以前にそのことが議院運営委員会の問題になっておりましたので、議院運営委員会自体で種々論議をされましてその結果、議院運営委員会付託すべきだということがきまったわけであります。それで、そのきまったことを尊重しまして、議長議院運営委員会付託したのであります。しかしながら、責任を持つ議長としては、議院運営委員会意見を尊重したということでなくて、何か主体的にどういう理由かということを言うべきだというお話でございますが、議院運営委員会の論議自体の中で、鈴木さんのおっしゃったような見解から、地方行政委員会付託すべきだという御意見あるいは他のいろいろな根拠から議院運営委員会付託すべきだという御意見が出されて、その結果、多数決によって議院運営委員会付託すべきだということになった次第でありますので、その経緯をしさいに考えますときに、公正中立なるべき議長としてただいまお答えいたしますには、議長として、議院運営委員会の意思を尊重して付託したとお答え申し上げるのが至当かと考えるのでございます。
  23. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は議長からお答えいただきたかったのですが、事務総長からの答弁でございますが、議長はやはりあくまでも、議院の決定なり、きまったことということに対する尊重という態度だと、こういうふうにおっしゃっている。私もその限りにおいてはそれが正しいと思う。その尊重が議運一致した意見でありあるいは決定であるならば、私はこの際やむを得ぬと思う。しかし、いろいろ意見がある中で、多数決というような形において、私もこの議運会議録を読んで見ましたが、自民党だけの、まあ多数の方々が賛成をしてやられたようでございますが、そういう形においてやられる場合、やはり議長が臨港をして、これをその通りだというふうにするためには、私はやはり議長としての何か見解が当然持たれてしかるべきだ、こういう観点からお聞きしておるわけです。これはまあいろいろ今後の議院の運営なり委員会付託問題なんかについて問題があると思うから、これは今後十分こういうことについて慎重に取り扱ってもらわなければならぬと思うのですが、これに対して一つ最終的に議長からお答えをいただきたい。
  24. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) ただいま鈴木君から、こういう問題はすべて慎重に扱うべきだ、こういう御意見、これはもうごもっともで、慎重に扱うのは当然であります。それから、この議運委員会が御承知の通り全会一致でなかったことも、経過から見てさようであります。その場合に議長としては、やはり議院運営委員会決定、この決定というものを最後に尊重することが、議長は円満に議会運営するゆえんなりと考えます。それから鈴木君の言われる、この後のことに対する御意見、これも議長としては大いに尊重して、そうして十分に注意すべきものなりということは、私ははっきりお答え申し上げます。   —————————————
  25. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それではこの際、参考人の件についてお諮りいたします。法務委員の方々から、本案審査の必要上、東京公安委員会委員長堀切善次郎君を、参考人として本連合審査会に出席を求めたい旨のお申し出がございました。(「議事進行」と呼ぶ者あり)さよう決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  松澤君、何ですか。
  27. 松澤兼人

    松澤兼人君 ただいま委員長は、三委員会連合審査会委員長という資格だろうと思うのです。私は、議院運営委員長として高橋委員長にお伺いしたいのでありますが、われわれは、きょう初めて連合審査会というものに臨みまして、これまで議運においてどの程度の審査が行なわれたのか、その点、不幸にして明らかにしておらないのです。聞くところによれば、実質論に入らず、ただ、それこそ議案周辺審議しているという、そういう状況であったということであります。連合審査会を開く時期につきましては、国会法の中には何も規定されておりません。従いまして、いつ連合審査会を開くかということは、これはわれわれから申しまして注文をつける筋合いはないと思いますけれども、連合審査会を開くということにつきましては、やはりその連合審査の性格から申しまして、ある程度まで、専門にかかっている委員会におきまして、形式論やあるいは手続論、それから実質論、そういったような質疑を取りかわしてから、われわれとしましては連合審査を開くのが適当ではなかったかというふうに考えるのです。そこで、その審査の状況等につきまして、議運委員長として高橋委員長から御説明があれば伺いたいと思います。
  28. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 私からお答えいたします。松澤さんの御質問の第一点は、どうして連合審査会を開いたか、こういうことでございますが、これは、かねて地方行政委員長並びに法務委員長から連合審査会を開いてくれという要求がございました。これを議運理事会に諮りまして本日連合審査会を開くことが適当だというので、その決定に従って本日開く運びになったのであります。  第二点は、それならば議運で今までこの法案を取り扱ったその審査の状況はどうか、こういう御質問でございますが、お話のように、法案周辺と申しますか、そういう総括論が大部分であったことは事実でございまするけれども、必ずしもそうばかりでございませんで、やはり質問の内容によりましては、細目にも入り、あるいは逐条の条文にも入ったというのが審査の状況でございます。と申しますのは、この法案自体の持つ性格として、どこまでが総括であり、どこまでが細目であるということが言いにくい。この法案の条文が短かいことと、法案性質上そうでなかったかと思いますが、いずれにいたしましても、かねて両委員長から連合審査の御要求があり、理事会におきまして本日開く、こういう決定をして本日開会の運びになった、こういうのが今までの経過でございます。
  29. 松澤兼人

    松澤兼人君 議運に出席しておられますわれわれの同僚委員の諸君から聞きますと、逐条審議には入っておらないというお話であります。それであれば、われわれとしましては、もう少し逐条審議等が行なわれてから連合審査を行なった方がよかったのではないかというふうに考えますけれども、この点は、委員長が今お話されましたように、それぞれの委員会から連合審査の要求があった、これを議運において決定したというお話であります。今日すでに開かれておりますから、早いの、おそいのと言ってもしょうがないところであります。しかし問題は、地方行政委員会におきましても、法務委員会におきましても、ずいぶん質問通告者というのは多いわけです。それを、かりにもし議運委員長が、本日だけで合同審査打ち切りというようなことになりますと、質問者が考えておりますような、この法律案の持っておりますところの重大な性格というものに触れることができないわけです。この点は、先ほどの三委員会委員長理事打合会においていろいろお話があったかと思いますけれども、委員長において十分に善処していただきたいということを要望いたします。  なお、もう一つの問題は、この問題は一般的関心のある法律案であると思うのであります。そこで公聴会を開くということも当然予定されていることと思いますけれども、それは単に議運委員会だけで公聴会を開くというのではなくして、われわれがこの法案審議に当たっておりますこの合同審査会において公聴会を持つというような運びにしていただきたいと存じますが、委員長としてはどうお考えでありますか。
  30. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) ただいまの御要望につきましては、いずれ議運理事会その他におきまして十分審議して決定いたしたいと存じます。  それでは、これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  31. 井川伊平

    井川伊平君 それでは逐条的に質問をいたします。  まず第一に、第一条関係でありますが、この条文の中には、「国会審議権の公正な行使」という字句が使われております。「国会審議権の公正な行使」という言葉は、第二条にもあり、第四条にも二カ所使われておりますが、この「公正な行使」ということにつきましてお伺いをいたす次第であります。本来、国会審議権行使は、常に公正に行なわれることが前提とされているにもかかわらず、特に「公正な行使」の用語を用いる必要がどこにあったか。「公正」の字句が使われるといたしますと、反面に、不公正な行使の観念が浮かんで参る次第でございます。国会審議等が紛糾した場合等におきまして、その審議権行使が公正であるか、不公正であるかというような判断をせねばならぬことになり、この判断に基づきまして適当な処置が講ぜられるということになりますると、その判断が非常にわずらわしいものになるのではないか。あるいは不幸にして違反者がありまして事件等があった場合において、その事件の起きたときが、公正なる審議が行なわれておったか、不公正であったかということについての、いろいろのまた考慮を払わねばならぬというようなことも考えられるが、それにしても、公正なる行使という文字を用いざるを得ない事情がありますれば承わっておきたいと存じます。
  32. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 国会審議が議院の独自の立場において行なわれなければならないことは、もとより当然のことでございます。外部からの圧力や外部からの影響力によって議院の審議が公正に行なわれないというがごときことは、われわれとしてはぜひとも避けなければならぬ、かように考えます。従って公正な審議というものは、外部からの有形無形の圧力ないし影響力等によって、議院が本来持っている自由な審議に妨げを来たす、こういう意味において公正という言葉を使ったわけであります。
  33. 井川伊平

    井川伊平君 なお、国会審議権の公正に行なわれているかどうかという判断をすることが、議長より要請がありました場合について、その公正であるかどうかの判断をなすことによって、いろいろめんどうな問題が生ずるかどうかにつきまして公安委員長及び警視総監等に御意見を承りたいと存じます。
  34. 堀切善次郎

    参考人堀切善次郎君) 私、東京都の公安委員長でございます。ただいまの御質問はちょっとはっきりしなかった点がありますので……。
  35. 井川伊平

    井川伊平君 もう一ぺん言います。議長から要請があり、この要請につきまして適当な措置をせねばならぬ場合に、公正なる国会審議権行使の妨害になるのかどうかという点について判断をすることについて行ってみなければならぬとか、人をして調査せしめなければならぬというような不便があって措置を講ずるのに支障を来たすようなことはありませんかと伺ったのです。
  36. 堀切善次郎

    参考人堀切善次郎君) それは公安委員会といたしましては、議長がそう御判断になりましたならばその判断を尊重いたします。ただ公安委員会といたしましてこれに対して措置をいたしますのには、東京都公安条例によりましてこれを処置するつもりでおります。
  37. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) お答えいたします。  議長からそういう要請がございました場合には、これは当然その条文にあります要件による要請であると思いましてその要請を尊重いたしまして措置をいたしたいと考えます。
  38. 井川伊平

    井川伊平君 次に、第二条関係につきまして提案者に御質問を申し上げます。本条は、戦後の立法形式にならい、法の理念、国民の心がまえを規定する訓示規定と解しまするが、本法が、憲法国民の基本的人権として規定する請願権、表現の自由の権利と至大の関係を有するものであることにかんがみ、本法の運用と、これら国民の基本的人権との調整に、必要な解釈規定を設ける必要があるのではなかったかということをお伺いするのであります。御承知のように破壊活動防止法の第二条によりましては、そういう心がまえからいたしまして、必要な最小限度において、あるいはこれを拡張して解釈してはいけないというような規定もあるわけでありますが、こういう点につきましてはどういうようなお考えがあったわけでありますか。お伺い申します。
  39. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 第二条は、国会議事党周辺静穏を保つように何人も努力しなければならぬという規定でございます。これには申すまでもなく罰則規定等はないわけでありまして、一般に本法の趣旨を徹底せしめるという意味の倫理規定とも申すべきものかとも考えます。従いましてそういう意味におきまして、第二条で特に念のため、念に念を入れたという意味におきまして特に一般に周知徹底せしめ、そうして国会議員登院国会審議権の公正な行使国民である以上何人も妨げてはならない、という意味のことを特に強調いたした次第でございます。
  40. 井川伊平

    井川伊平君 そうしますと、特に破防法等の規定のような注意はないが、同じ趣旨が含まれておるのであるという御説明でございますか。
  41. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 大体お説の通りでございます。
  42. 井川伊平

    井川伊平君 第三条関係につきましてお伺い申します。第三条には「国会議事堂周辺道路」という言葉が使われております。本法は、第四条との関係から見ても、都条例すなわち「集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例」、これを前提としておるようでございますが、この都条例の第一条によりますと「道路その他公共の場所」と規定されております。この「道路」という言葉は道路交通取締法のいわゆる「道路」を意味するもののように解されております。本法では「国会議事党周辺道路」という文字を使ってあるが、この「道路」という言葉は、道路交通取締法所定の「道路」の意味でもないし、都の公安条例の「道路」とも意味が違うようでございますが、すなわち道路にあらざるものを道路ということに擬制されている点があるようでございます。従いまして用語といたしましては、国会議事堂周辺地域ということに改めて、「国会議事堂周辺地域とは別表に図示するところの国会議事堂周辺道路及びその追跡に隣接する国会用地をいう、」こういうようにいたしましたならば、しっくり来るのじゃないかと存じますが、地域という言葉を避けて道路という言葉を特にここに擬制的に道路というものをこしらえたということは、何か特別な事情がありますれば承っておきたいと存じます。
  43. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 本条におきます「国会議事堂周辺道路」というものについては、国会用地も含むと規定をいたしております。これはもとより本法の趣旨を体しまして、議員登院審議権の公正な行使確保のための必要な最小限度にとどめたいという意向から出たことでございまして、従いまして、道路について言いますならば、議員登院するにあたってぜひ通らなければならない道路、言いかえますれば、議事堂敷地の境界線に接する周辺道路及び直接議事堂に至る道路のうち必要最小限度なものに限って指定をいたしたわけであります。国会用地につきましては、一般の通行の用に供しております通路あるいは議員会館前の広場等の公衆の出入りの多い所を主として指定いたしてあるのでありますが、そのほか、国会周辺道路に接する国会用地であって、それの管理上国会の力だけでは万全を期しがたい場所、たとえば尾崎記念会館あるいは国会図書館等の建設用地等、そういうものを若干指定いたしたわけであります。今お説のような御意見もありますが、そういう国会周辺の地域ということになりますと、ともすると、これを拡張解釈されるというおそれをもおもんばかりまして、ぜひとも通らなければならない、議員登院に絶対必要だという道路ということに限定した方がより妥当ではないか、なるべく私たち本法が拡大解釈されることのないようにという趣旨から、この「道路」という言葉を使ったような次第でございます。
  44. 井川伊平

    井川伊平君 同じくただいまの三条関係になりますが、現地のいわゆる道路に標識をつける必要があるかないかについて申し上げます。一般の大衆の方々が示威運動をなさる場合におきまして、どこからが本法のきめるところの道路であるのかどうかという点について事実の通り認識できないかもしれない、事実について認識の錯誤が生ずるかもしれないと存じますが、つきましては、適当な手続規定を設けましてその道路の標識を設け一般大衆をして知らしめることができるようにするというこの考え方につきましては、どうお考えになっているか、お伺い申し上げておきます。
  45. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) もしこの法律が成立いたしまするならば、一般にこれが公示されるわけであります。従ってこの所番地から図面等も付して公衆の前に明らかにされるわけでありまするから、その必要もなかろうかとも考えますけれども、なお念のために、あるいはそういう地図を作って一般にわかりよくするというようなことにつきましても、大衆に周知徹底せしめる一つの案だとも考えております。
  46. 井川伊平

    井川伊平君 第四条関係につきましてお伺いを申します。  本条の第一項は、現行の都公安条例の合憲有効なることを前提とする規定でありますが、御承知のように、同条例は合憲であるか違憲であるかについて下級裁判所において裁判が分かれておるところでございまして、目下最高裁判所において審理され、近く判決を見るであろうという予測のもとにある次第でございますが、このような、合憲であるか違憲であるかが近い将来にきまるといったようなときにおきまして、そういうあやふやと言っては言い過ぎるかもしれませんが、絶対的的確なものでないものを基礎として本法を設けるということについては、別に考え方はなかったのであるか。国会法とともに議会政治の行なわれる限り存続すべき非常な意義のある本法律案の御提案であるとすれば、その点に何かお考えを持つ必要がなかったのであるかということをお伺いを申し上げます。なお、最高裁において都条例は違憲であるという判決があった場合に、何らか本法案に影響するところがあるのではないかという点につきまして、提案者の御説明を承ります。
  47. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) お説のように、都条例について下級審において違憲の判決の出ておることも承知をいたしております。しかしまた同様に、この条例が合憲であるという、新潟県条例のごとき判決も最高裁から出ております。また違憲判決について、最高裁において違憲判決の確定したものは今のところございません。さような段階におきまして、現に公安条例が生きている限り、私たちがそういうものを対象として立法措置を講ずるということは、決して違法行為ではないと考えておるようなわけでございます。もしも、今お説のように公安条例が効力を失うというような場合になりましたときには、一部分本法にも影響することは申すまでもございません。たとえば第四条の一項であるとか、それを受けた第五条の第一項等が効力を失うこともあると思います。
  48. 井川伊平

    井川伊平君 私の質問の趣旨を一部誤解されているようでございますが、私は、都条例の違憲であるか合憲であるかという問題の解決されない今日において、本案を提案することが違法であるかどうかということをお伺いしておるのではないのであります。適当であるかどうかでございますから、その点は十分御理解を賜わっておけばけっこうであります。  次にお伺いを申しますことは、本法の第四条でございますが、第一項によりまして、両院議長国会議員登院国会審議権の公正なる行使に著しく影響を与えるおそれがあると認めた場合には、都公安委員会が許容した後、いまだ集団示威運動等が実行されない場合においても許可の取り消しを要請することができることになっておる。こういうように存じておりますが、請願権と基本的人権の保障との関係において、治外法権、本法案について申し上げますれば、国会議員登院国会審議権の公正なる行使でございますが、これらに対しましても、明白にかつ現在の緊急な侵害を及ぼすおそれのある場合に限ることを建前といたしておると思うのであります。そうしてみますると、集団示威運動実施前であって、しかも著しく影響を与えるおそれのある場合というような、はなはだしく広範かつ抽象的条件があれば、要請することができるのだということについては、いま少し慎重な考慮をすべきではなかったかということをお伺いするのであります。こういう点から考えてみますれば、第一項のごときは、むしろ第二項の適用の適正を期することによりまして第一項の目的を達し得るのだというようなお考え方は全然なかったものであるかどうか、あわせて提案者にお伺いを申し上げます。
  49. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) お説のような御意見もございまするけれども、私たちは、やはり国会の公正な審議権行使についてここでさらに具体的な基準を設けておるわけでありまするし、また、これの要請を発動いたしまする場合におきましても、両院議長の連名ということにもなっておるようなわけでありまするから、決してこれが乱用のおそれはないと、かように考えるわけであります。また一つには、最近の事情等にかんがみまして、事態が発生をするという、事前にそのおそれがあると認められるときに、予防的な措置を講ずることもぜひとも必要である、かように考えておるような次第であります。
  50. 井川伊平

    井川伊平君 ただいまの点に関しまして、都の公安委員長の御意見を承わりたいのでありますが、ただいまのように、事前に許可はしたが、まだ実行には移っていないといったそのとき、すなわち事前におきまして議長より要請がありました、こういうような場合におきまして、都公安条例第三条の取り消し、条件の変更、こういうことをするということに第三条にはなっておりますが、事前の場合にこれは少しも差しつかえないというようなお考え方であるかどうかをお伺いいたします。もう一つつけ加えまして、こういう要請がありました場合に、都の公安委員会といたしましては何らかの新たなる義務を感ずるものであるかどうか、負担するものであるかどうか、この点につきましてあわせてお伺いを申し上げておきます。
  51. 堀切善次郎

    参考人堀切善次郎君) ただいまの御質疑にお答え申し上げます。  第三条の要請がありました場合には、公安委員会といたしましては、やはり公安条例によりまして、その事態が公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められる状態であるかどうかを判断するつもりでおります。その判断によりまして、あるいは事前に、そういう事態が起こりました場合に事前にこの判断ができるかどうかということは、これはその実際の状態によりますので、あらかじめこれを申し上げることはちょっとむずかしいと思います。ただ、どこまでも公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められる事態であるかどうかということを判断するつもりでおります。  議長要請があった場合に、それに対して公安委員会としては義務と感ずるかどうかという御質疑に対しましては、義務と感ずるということはちょっと申し上げかねると思いますが、ただ両院議長がそういうふうに判断されたということは、公安委員会といたしまして判断する上に、これは情勢判断のうちに重要な材料としてこれを加えて判断しなければならないと考えておる次第であります。
  52. 井川伊平

    井川伊平君 やはり四条の関係におきまして提案者にお伺い申しますが、本条の要請をいたしますのには、両院議長はこれをなすことになっておる次第でありますが、必ずしも両院の議長連名で要請をするというようには書いてございません。しかし提案者の御説明によりますれば、連名にてこれを行なうようにお考えになっておるようでありますが、しからば両院の議長意見が相ととのわない、別々の意見であるというような場合には、全然この要請をなし得ないでもやむを得ないと、こういうふうなお考えであるかどうか、お伺いいたしておきます。
  53. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ただいま御指摘の通りでございます。
  54. 井川伊平

    井川伊平君 同じく第四条に関しまして、「国会議員登院国会審議権の公正な行使に著しく影響を与えるおそれがあると認められる場合」と、こういう用語がございます。この用語の意味は、国会議員登院国会審議権の公正な行使と、その両方が著しく影響を与えられるおそれがあると認められたる場合を言うのであるか、あるいはそうではなくして、そのいずれか一方に著しく影響を与えるおそれがあると認められる場合で足りるのか、もし後者の趣旨であるとすれば、「国会議員登院と」ということはふさわしい言葉ではなくして、「国会議員登院又は国会審議権」というように、「と」を「又は」と変えた方がよろしいように考えるが、ここには何かのお含みがあるのでありますかどうか、承っておきます。
  55. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは「国会議員登院国会審議権の公正な行使」でございまして、「国会議員登院又は国会審議権の公正な行使」ではございません。従いまして、国会議員登院ということと審議権の公正な行使二つのものを不可分一体に考えておるわけでありまして、別々のことを指したわけではございません。
  56. 井川伊平

    井川伊平君 第百五条関係につきまして、提案者、都公安委員長、警視総監等にお伺いをいたします。  第五条第一項におきまして、要請があった場合、公安委員会は必要な措置を講ずるようにしなければならないと規定されております。第二項の方に参りますと、「警察官は、……警告を発し、又はその行為を制止することができる。」というように用語が別々に書かれております。この規定の態様を異にしておりまするが、公安委員会は、要請があった場合に、先ほど一応の御説明はありましたが、さらに何らか一段の措置を講ずることが義務づけられるふうに感ぜられるのではないか。こういうことについてお伺いをいたします。また公安委員会が何らの措置も講ずる必要がないという場合は、これは議長要請と全然意見を異にしても差しつかえないのだ、こういうような御趣旨でございますか。提案の趣旨と、それに対しまする考え方について、公安委員会委員長及び警視総監の御意見をあわせてお伺いいたしておきます。
  57. 堀切善次郎

    参考人堀切善次郎君) ただいまの御質問にお答えを申し上げます。第五条の規定によりまして「必要な措置を講ずるようにしなければならない」とありますから、必要な措置は講ずるつもりでおります。その処置は、あるいは許可の取り消しあるいは条件の変更ということもあると思います。そのほかの場合もないとは限定はできないのでありますが、要するに、議長要請は十分にこれを尊重いたしまして、最も有力な材料と考えまして必要な処置を講ずるようにいたしたいと考えておるような次第であります。
  58. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) ただいま公安委員長からお話のございました通り、第五条の第二項につきましても、議長から要請がありました場合には、この要請の趣旨を十分尊重いたしまして、必要な限度において、警視庁として必要な警告あるいは行為の制止をする、こういうことにいたしたいと考えております。
  59. 井川伊平

    井川伊平君 提案者にまだお答えを願っておりませんが、公安委員長及び警視総監のお話によりますと、義務づけられるものではないが、自主的に考えることの一資料にはする、重要な資料にはするという趣旨で、義務づけるものではないというお答えがありましたが、提案者の御意見も同じでございますか。違うのならば承りますが、違わないのなら違わないでけっこうです。
  60. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ただいまの御両氏の御指摘の通りでございます。
  61. 井川伊平

    井川伊平君 第六条関係につきまして提案者、堀切公安委員長及び警視総監にお伺いいたします。第六条には「その他の名義をもってする」云々という「その他の名義」という用語がございます。この法律規定する集団示威運動には、請願陳情その他の目的を有するものであっても含まれるという趣旨であるのか、それとも請願等に名を借りてなされるところの示威運動を指称するものであるか、これを承りたいわけであります。真に請願等適法な目的を有するものであっても、集団示威運動である限り本法適用されると解するならば、その他の名称をもってする集団示威運動といううちには、都の公安条例の規定の対象外にしておるところの遠足、修学旅行、祭礼の催し、こういうものを含むということになると考えられますが、この点に関しまする詳細なる御説明を承りたい。まず提案者から承りまして、それから公安委員長及び警視総監の御意見等を承りたい。
  62. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 「請願陳情その他の名義」、たとえて申しますと、面会をするというようなこと、そのほかにも名前を使うことができるかもわかりませんが、そういういかなる名義をもっていたしましても、そういうことによってする集団示威運動という意味でございます。
  63. 堀切善次郎

    参考人堀切善次郎君) ただいま提案者の御説明通りに解釈しております。
  64. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 私のお答えも同様でございます。
  65. 井川伊平

    井川伊平君 そういたしますと、都の公安条例では対象外にいたしておりまする遠足や、修学旅行や、祭礼の催しも、示威運動とみなされる場合には、これを阻止することができるという趣旨なんでございますね。
  66. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 遠足やその他等はこの中には含まれておりません。それが集団示威運動の場合にのみ限定されるわけでございまするから、一般の遠足だとか仮装行列とかいうものは含まれておりません。
  67. 井川伊平

    井川伊平君 公安委員長の方で、何かその点で付け加えて御説明になることはありませんか。
  68. 堀切善次郎

    参考人堀切善次郎君) 別にございません。
  69. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 井川君にお伺いしますが、小倉警視総監は一時から署長会議があるそうでありますが、もうよろしゅうございますか。
  70. 井川伊平

    井川伊平君 大体了承しましたから、これで質問を終わります。
  71. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと関連して。これは私、午後から御質問申し上げますから、そのときでもいいんですが、ただいまの点にちょっと関連して聞いておかないと、これは非常に間違うと思うので伺います。集団示威運動等については、今指摘された遠足とか、こういうものもこの中に含まれているわけです、言葉自体には……。だから、ただいまの提案者説明とはそれは矛盾するわけです。もしそれを除くのであれば、ここへ公安条例の第一条と同じように、ただし書きをつけなければだめでしょう。
  72. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ただいまの点でありまするが、これは東京都公安条例の場合におきましても、遠足や、修学旅行や、体育、競技等につきましては、除かれているわけであります。従って本法におきましても、そういう意味においてこれは除いておるわけであります。
  73. 亀田得治

    亀田得治君 それは、提案者がそういうふうに主観的に日本語を勝手に解釈することはできない。つまり公安条例の第一条で、これこれのものを除くということを特に明記しておる、これは言葉自体にはそういうものが含まっているわけなんです。これはまた普通の常識的な言葉からいってもそうです。これは何も集団示威運動だけじゃない。集会、集団行進並びにデモと、この三つをここで問うと、こう言っておるわけですから、これは当然含まれている。だから、これは提案者の言うようなことなら、これだけでも、これは一つ提案し直してもらわないとだめです。
  74. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 公安条例の場合におきましても、遠足等の場合は除外されておりまするが、かりに今御指摘のように、これが入ったといたしましても、この議長要請するときは著しく阻害されるという条件があるわけでありますから、従って、そういう観点から申しましても、これはこういう場合の単なる遠足や修学旅行というものは含まれていないと解釈するのであります。
  75. 亀田得治

    亀田得治君 先ほど入らないとおっしゃったでしょう、この言葉には……。今は入っているという立場で説明されたのですね。どちらなんです。はっりしません。
  76. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 今、私が申し上げたのは、含まれておりませんと申しました。しかし、かりにあなたの御指摘の通り含まれたとしてもということを言ったわけであります。
  77. 亀田得治

    亀田得治君 そんな、法律を作るときに条件つきの説明というものはありません。だから、これは矛盾ですから、午後に私はこの点について別個によく質問したいと思いますから、刑事局長もおりますし、よく研究しておいて下さい。
  78. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 暫時休憩いたします。午後は一時半より再開いたします。    午後零時三十六分休憩    —————・—————    午後二時十一分開会
  79. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) これより連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案を議題として質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  80. 亀田得治

    亀田得治君 私の質問は非常にたくさんあるわけでございますが、いろいろ予定等をお聞きいたしますと、本日は全部やれないようなことを理事から聞いたわけです。そういう意味で、できるだけ総論的なことに重点を置いて御質問をいたします。質問は提案者に対して行ないますから、ほかの方はこちらから指名したときだけ御答弁を願うようにしてもらいたいと思います。  午前中の最終段階でちょっと問題になったことについてですが、時間が多少ワクがはまっているようですから、この各論的な第六条の問題については別の機会に譲りたいと思います。  で、総論に入るもう一つ前に、提案者にお聞きしたいのですが、提案者は、この法律を出されるにあたりまして今回新しく国会に出されておる道路交通法案、これとの関係をどういうふうに御検討されたか、お聞きをしたい。
  81. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 申すまでもなく、道路取締法は交通の安全を主としたものでありまするから、それと本法とは全然ねらいが違うわけでありまして、本法におきましては集団示威運動等に対して規制を加えようというわけでありまするから、元来、法の趣旨が根本的に違っていると思っております。
  82. 亀田得治

    亀田得治君 今度の新法案道路交通法案、こうなっておるわけです。取締という文字を消して、新しい形で出てきておるわけです。お読みになったのですか。
  83. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 今の御質問の御趣旨、ちょっと私よくわからなかったのですが、もう一度よく……。
  84. 亀田得治

    亀田得治君 道路交通法案をお読みになったかと聞いておる。    〔発言する者多し〕
  85. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 静粛にお願いします。
  86. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は、それが今度の国会に提出されるというようなことを承ったことはありまするが、そのことの内容について熟知いたしておりません。
  87. 亀田得治

    亀田得治君 そういう疎漏なことでは、これはちょっとだめですね。従来の取締法に大幅にこれは手を入れておるのです。そうして名前も変えて出てきておる、その中の重要項目として交通の規制に関する規定の整備、歩行者の通行に関する規定の整備、こういうことが重要な項目と相なっておる。自動車だけじゃないのです。あなたは法の目的がデモ規制法と違うとおっしゃるけれども、実際に適用される場所は同じなんです。私から言うまでもなく、場所は同じなんです。従って、この道路交通法案の作り方いかんによっては、不要なものになるかもしれない、あるいは矛盾が起こるかもしれない。いやしくもこういう重要な法案を提案されておるあなたですから、同じ国会に出されておるそういう関係法のことは十分お調べになって出ておると思うのですが、読んでおられないのでは、これはその関連性についての具体的な質問がちょっとできませんね。これはまたあとにしましょう。私が今この法案説明をして、そうして、ここはどうかと、こういうことを聞いたのでは時間を取り過ぎますから……。単に二つ法律目的が違うからと、そんな簡単なことで片づくものではないのです。これは一々具体的に検討されたらわかってきますから、預けておきます。研究しておいて下さい、次回までに。  私は総論的な問題として日本で集団示威行進を規制するのに条例をもってやっておる。こういう点について実は根本的な疑念を持っておるのです。そういう点についての提案者考え方をまず聞きたい。一応そういう法体系があるから、それを前提としてこの法律をお作りになっておるには間違いない。そういうふうに想像はいたしますが、しかし、もう一つ根本的な問題として検討しますと、そういうところに大きな疑問があるわけです。そういうことを提案者は疑問をお持ちにもなったことがないかどうか。根本的な問題としてお聞きしたい。
  88. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 条例でございましても、もとよりこれは憲法に準拠して作られた一種の法体系でございますから、それを対象として立法するということは、決して違法でもなく、妥当を欠くことではなかろうと考えております。
  89. 亀田得治

    亀田得治君 妥当であると、こういうことまで今おっしゃったのですね。そういうふうに実際あなたは思っていますか。今こういう条例があるからという立場をあなたが一応認めていく、そういう気持はわかるが、こういうことは妥当であるかないかというところまで、妥当であるとはっきり言い切っていいんでしょうか。
  90. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私が妥当と申し上げますことは、日本は憲法政治の国でありますから、憲法に違反しない限りにおいて、できたことは妥当であると、こういう意味で申し上げたのでありまして、決してそのことが妥当でないとは思っていないということを言ったわけでございます。私の申したのは間違いはないと思うのであります。
  91. 亀田得治

    亀田得治君 この憲法に違反しないからということから、すぐ妥当だということは出てこない。法律に違反するかせぬかは、あなた、すれすれの問題です。最低線の問題です。その最低線の上の線で、どういう線で処理すべきか、そこに妥当性の問題が出てくるわけです。今あなたのお答えは、憲法に違反しないから妥当だ、こういう説明をされる、そんな考えですかね、その妥当という問題について。
  92. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 立場の相違によっていろいろ御議論があろうかと思うのでありますが、また、妥当という言葉の表現の仕方について、いろいろ綿密な検討の余地もあるかもしれません。しかし、私が申した妥当という意味は、先刻申し上げましたように、決してそのことが、非常に違憲的な行為である、ないしは非常に違憲的な疑いが多い、こういうものでないから、この際かくのごとき立法をすることは妥当でないというわけではない。こう考えるわけであります。
  93. 亀田得治

    亀田得治君 妥当という言葉は、そういうときに使うのは妥当でないのですな。普通ではないのです。まあ今そういう妥当の議論をしても仕方がありませんが……。そこで、違法ではない、しかも妥当である、そういうふうにおっしゃるわけですが、この公安条例が制定されたいきさつを、一つあなたの承知する限りで、一応御説明願いたいと思う。あなたがどういうふうにそれをつかんでいるかによって、私のあとの質問に重大な関係を持つ、それでお聞きするのです。この質問はあとの質問に関連性があるものですから……。
  94. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) いろいろな経過もあったと思いまするが、私たちは、決して集会表現の自由を拘束するという意味ではなくして特定の場所であるとか、あるいは一定の基準を設けて、この公の秩序維持のためぜひともそういう措置をとることが必要である、こういう観点から、終戦後の諸般の社会情勢から見て、そういう必要もありまして、そのような措置が必要である、かように考えまして、都道府県において立法されたのではなかろうかと考えております。また、当時、連合軍と申しますか、司令部当局の意向等もその間において幾らか影響しておったこともあろうかと思いますが、私たちは、やはり終戦後の社会情勢から考えまして、各都道府県において自主的にそういう措置をとる必要がある、かように考えて作ったものであろうと考えております。
  95. 亀田得治

    亀田得治君 当時の公安条例を作られる過程においては、日本政府は非常に消極的だったのです。当時の法制局長官はだれでしたか、入江さんでしたか、よく今つまびらかにはしませんが、非常に消極的な意見であった。そこで条例に持っていかれた。もちろんこれは当時の占領軍の要請なんです。だから、そういういきさつを、あなた、この公安条例の歴史として知っておられるのですか。そういうことを知っておれば、決してこれはそんな簡単に妥当なんということは出てこないのです。
  96. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先ほど私が申し上げた中にも、当時の連合軍の意向が動いておったということは指摘いたした通りであります。大体のいきさつは承知をいたしております。
  97. 亀田得治

    亀田得治君 連合軍の意向が動いておったではなしに、それこそ要請なんです。むしろ日本政府は、そういう条例でそういうものを規定するのはどうかということで、消極的だったのです、そういう立法の仕方について。そのことを知っておられるかというのです。
  98. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) その当時の詳細につきましては、私は熟知いたしておりません。
  99. 亀田得治

    亀田得治君 そういうことを知らないで違法でないとか妥当だとか、なかなか簡単には言えないです、これは。だから、総論的なことですからね、あまり規制のワクにとらわれないで、ざっくばらんにお答え願いたいと思うのです。たとえば今衆議院で問題になっておるああいう修正権の問題、これは河野さんが修正権があるといっているが、やっぱりああいう態度もあってしかるべきだと私は思う。何でもかんでも自分たちの立場に少しでも悪くなることがあっちゃ工合が悪いと、そういうことでは、こういう重要な基本的な問題についての質疑といいますか、そういうことがほんものにならない。そういうことをお互いに本気にやるのがこの第一条に書いてある審議権なんです。公正な審議権というのはそういうことなんです。形式的な審議なんかを国民がだれも求めておるわけじゃありませんよ。だから、だいぶ答えられないことがどうもおありのようですが、そういうところは一つ次回にまたさらにお聞きしますが、一つ明らかなことは、こういう点があるわけです。この新憲法と旧憲法を比較して、これはまあお聞きするまでもないわけですが、非常に民主的な憲法だと、こういうことは、提案者もこれははっきり考えておられるでしょう、愚問かもしれませんが。
  100. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) どうも私の法律知識のテストを受けているみたいですが、私は決して法学者ではありません。しかしながら、新憲法と旧憲法とのどこが違うのだというようなことにつきましては、いろいろ違うところがあるでありましょう。しかし、概合的に申しまして、従来の主権在君の憲法から主権在民の憲法に変わった、国民主権の憲法に変わった、これが何よりも一番大きな問題だろうと思います。
  101. 亀田得治

    亀田得治君 まあ、そこがわかっておればけっこうなんです。そこで、その旧憲法においてすら、たとえば二十九条によりますと、言論、著作、印行、集会、結社の自由、こういうものを制限するには法律でやらねばならぬことになっておる。非常に現在の憲法に比較して非民主的といわれる旧憲法においても、これは明記されておる。現行憲法ではそういう制限の条項はついておりませんが、まあ憲法十二条、十三条等の趣旨から、やむを得ない制限というものはあり得るという解釈、これは解釈として現行憲法では出ておるわけですね。ところが旧憲法ですら法律でなければいけないと制限する。これと比較して、条例でこういうものを規制していくというやり方、これは絶対間違いなんです。こんな条例がたくさん全国的にできてしまっているから、はなはだまあその辺の処理の仕方はむずかしいかもしれぬと思うのですが、間違いは間違い。これは、どうしても規制するのであれば、法律でやらなければならぬ、法で。その点はどういうふうにあなたお考えでしょう。
  102. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は必ずしもそのように考えておりませんので、先ほど申しましたように、条例もまたこれは憲法に準拠して作った法律の形式の一つでありますから、従って、これを対象にするということが、必ずしもこれは違法であるとかそれが妥当でないというふうには考えていないわけであります。
  103. 亀田得治

    亀田得治君 現行法のもとで、法律と条例というものはどちらが上位なんですか。
  104. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 法律が上位に位しております。
  105. 亀田得治

    亀田得治君 この憲法の基本的人権、現行憲法では無条件にこれは保障されているのです、条文の上では。解釈上の問題は別として……。そういう基本的な人権を制限するのに、法律よりも以下の、そういう何といいますか、二段目ぐらいのものを持ってきて制限する、こんなことは憲法は予想しておりませんよ、絶対に。書いてあるかないかの問題じゃないのです。そう思いませんか。
  106. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先刻も申し上げたかと思いまするが、御指摘のようなこともありまして、従って違憲の判決の出ているところもあれば合憲の判決の出ているところもあります。しかし、最終的に最高裁の判決として条例が違憲であるということは、いまだかつてないように思っております。
  107. 亀田得治

    亀田得治君 最高裁の判決なり条例の内容のことは、これが済んだらあとでまたお聞きします。中身を言っているのじゃないのです。こういう条例という形で国民の基本的人権がまちまちの格好で規制される、これはおもしろくないじゃないかと、ここなんです。あなたが自民党員でなかったら、必ずそれはそうなんだと言うに違いないんです、こんなことは。基本的人権が、同じ日本人でありながら府県なり市町村が違ったら違うというような、ばかげたことがありますか、あり得ないでしょうが。それは旧憲法との関係から言ったってそうです。旧憲法においてすら法律でなければいけない。旧憲法はずいぶん法律をたくさん乱用して作りましたが、まあそういう点は別として、ともかく形式を私は今聞いている。条例でこういうことをやる、こういうことが、あなたのような議論だったら、これは集会、集団行進あるいはデモ、こういう三つのことについてのことですが、ほかに基本的人権をたくさんわれわれは持っているのですからね、なかなか国会通りにくい、だから一つこの方でと、こういうふうなことが始まったら大へんじゃないですか。何といったってこれは筋が通っていない。筋が通るのだということを言うのなら、私がこれだけ説明しているのですから……。委員長や大臣までが、なるほど亀田君の言うのはもっともだというような顔をして聞いている。(笑声)それが違うと言うなら、違うようなあなたの確信といいますか、理由説明されなければならない。それは多少その辺に問題があると自分も思っていると、こう言うなら言うで、また話は進む。どうなんですか。
  108. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 御指摘のような御意見もあろうかと考えまするが、私とあなたとのこれは認識の相違でございまするし、現にその法律が生きておりまする限り、私たちはその法律を尊重いたしたい、こういう建前をとっております。
  109. 亀田得治

    亀田得治君 その法律を尊重するとかせぬとか、そのことを今言っているのじゃないのです。できた法律は尊重すべきでしょう。だから、その前に今作り方の問題を言っているのです。この法案関係があるのです、これは。実際問題としても、こういう公安条例のような内容のものが国会で提案されたとしてごらんなさい、そう簡単に通らぬでしょう、いくら自民党が多数でも。あなたは笑われますけれども、そうですよ、なかなか簡単にこれはいかぬ。公安条例にちょっとくっつけて出しても、これですら、こう難航しているくらいなんですから……。そんなもんですよ。で、これは条例であれば地方の議会でやるわけですね。何も地方議会がそんな上だとか下だとか、そういうことを私は言う意味じゃありませんが、やはりこういう憲法上の基本的な人権問題を扱うというのには、どちらがふさわしいかといえば、これはおのずからはっきりしていると思う。それは地方議会は地方自治の立場で、もっとわれわれよりも違った問題についての取り組みは上手におやりになるでしょう。だけれども、こういう問題については決してこれは適切ではないのです。ないから簡単にこんなものがぞろぞろできるわけです、実際問題としても。そういうことはあなたお感じになりませんか。これは一つ法務大臣にその辺の見解はどういうふうにお考えになっているのか聞きたい。これは公安条例制定当時のことなんかも振り返って考えてもらえば了解願える議論だと思っているのです。法務大臣に一つ……。
  110. 井野碩哉

    ○国務大臣(井野碩哉君) お答えいたします。  公安条例の件につきましては、むしろ公安委員長からお答え願った方が適当かと思いますが、ただ、私の所見を申し上げますれば、国民の人権に関するいろいろの規制というものは、できれば法律で規制するのがいいと思います。しかし、いろいろのいきさつから、現在できている公安条例が最高裁に行きましても合憲であるという判決があり得ることでございますから、その内容によりまして違憲なりや合憲なりやが違ってくる。公安条例そのものが違憲だということではないのでございます。また最高裁では、国民の権利義務も公共の福祉に反しない限りにおいて最小限度に規制されても仕方がないという判決もあるわけでありますから、それらの判決等を勘案いたしまして、今の状態において適切であると私は考えております。
  111. 亀田得治

    亀田得治君 まあ大臣というものはもう少し高い見識で御答弁をお願いしたいと思う。この条例が違憲であるかないか、最高裁の判決がどうか、そういうことを今お聞きしている段階ではないのです。この大事な基本的人権の制限の仕方が適切でない、形を言っているわけなんです。これは非常に大事なことなんです。こういう法案が出てこなければこういう議論をする場もないわけでありますが、出てきた以上は、これは大へんな問題であります。まあ刑事局長が今来られまして、今までの議論をお聞きにならなかったかもしれませんが、刑事局長は、あまり政治的にものを考えたり答弁したりしない傾向があると私は見ておりますので、あらためて一点お聞きしますがね、率直に一つ法律学者として答えてほしい。公安条例という形でデモ規制なんかを日本でやった形式を聞いているわけなんです。これが妥当かどうかということ、法務省なり検察庁は、これは合憲だということは従来言っているが、その問題ではない、それは後ほどにして、いやしくも憲法の基本的人権を制限するのに、条例というような格好で制限することはけしからんではないか、このことを言っているのです。どうしてもその問題を取り上げなければならぬというのであれば、これは法律で扱わなければならぬ分野です、先ほどから議論しているのですが、明快な御答弁もない。旧憲法ですら、三十九条で、こういう人権の制限は法律でやるときめているわけですね。この点が非常に乱用されたわけです。しかし、ともかく形の上では旧憲法ですら法律でもって制限するんだと、そうなっているのに、法律よりもう一つ下の条例でこのことを扱う。事実問題としても、同じ日本人が場所によってこの基本的人権の扱いが違っているわけなんです。それから審議をする機関から言っても、こういう基本的な問題は当然国会がやるべきです。市町村議会なり、都道府県、この上下を言うのじゃなしに、不適当です、これは何と言ったって……。それから制定当時の事情が、日本政府ですらこれは消極的だったのです、憲法との関連で。占領軍の要請が加わって条例という形でぱっぱっと、こう作っていったわけなんです。だから今それを一挙にやめてしまえといったようなことは、なかなか皆さんの方としてはできないだろうが、こういう形が私は正常なものじゃない、そのことをお聞きしているわけなんです。それは正常じゃないというと、何か次にまたむずかしいことを言うのじゃないかと思われるのかもしれませんが、そんなつもりは少しもない。私は純粋にこういう形は正常じゃないと確信しているのです。これが正常なら、ほかの基本的人権はみんな右へならえ、これでやられたらどうなるでしょう。そうでしょう。合憲か違法かといったようなそういう問題じゃなしに、その扱い方の適、不適を私は聞いている。その点、刑事局長は、いろんな法律制度から見てどういうふうにお考えになるか、お聞きしたい。
  112. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 私といたしましては、この種の規制措置を条例で定めることがなぜ行なわれたかということにつきましては、占領当時に地方自治というものの制度を非常に広げて理解しようという考え方が強かったと思うのでありますし、その地方、その地方によって規制のニュアンスもあるはずだというようなことから、条例でこの問題を取り上げるようになったのではないかというふうに私は想像いたしておりますが、日本のような国柄におきましては、アメリカとは違いまして、各州といったような自治体、そういう構造の自治体というものではないわけでございますので、お説のように、国会を通過した法律によってこういうものを定めるという方が私は適当だと思うのでございます。    〔委員長退席、議院運営委員会理事田中茂穂君着席〕  現実の問題といたしましても、一時は各地方でずっと条例でこういうものができましたが、中には廃止した所もありますし、特に市町村統合などによりまして、市町村が持っていた条例も県の条例に切りかえるというような、自然に統合の形態も現われておりますし、なお、国会におきましても、これは審議未了に終わっておりますが、全国一律の法律による規制措置ということを試みられた経緯もあるわけでございます。私といたしましては、国会の定める法律によって規制をするのならばそういうふうにした方がベターであるというふうに考えております。
  113. 亀田得治

    亀田得治君 そういう答弁を早くおっしゃれば、こんなに時間はかからない。それはだれが考えてもそういうふうにならなければならぬ。そこで、そういうものですから、最高裁が合憲と言った、違憲と言った、そういうことよりも一歩先に、やはり政治家としては、こういう法案の扱いというものは、これはよほど慎重でなければいかぬというわけです。そこで、慎重であるべきだということで少しお聞きしたいわけです。  これはすでに議運で多少御質疑があったかもしれませんが、近いうちに最高裁であらためて公安条例に対する態度を明確化する、こういう段取りになっておるわけですが、そういう結論が明確に出るまで、提案者の方でこの法案の提出なり審議を待つということができないのか、その心境が私はわからない。これは何といっても公安条例と一つになっておる法案なんですから、目的やそんな名称なんかどうでもよろしい、中身で議論しているわけですが、そういうものですから、その土台の方が、必ずしも形式が妥当じゃない、これは先ほどからの議論で明らかなように。しかもそれが今度中身について、もう一度最終的に一つ検討してみようと、正規の機関でやっておるわけですね。そういうときに、急いでがむしゃらにこういう法案を通していかなければならぬ、その気持がわからぬわけです。どの辺にあなたの考え方というものはあるのですか。
  114. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 御指摘のように、最近の新聞報道によりましたならば、条例関係の審査を一括して最高裁で行なわれるということを承っております。しかし本法を提出いたしましたのは、これに先立つ昨年のことでもありまするし、従って国会に提出する前には、そのようなことにつきましても私たち知っていなかったわけであります。それですから、今日の段階においてこれを撤回したらどうか、こういう御意見もあろうかと思いますが、私たちは、やはり今日公安条例も生きているものでございまするし、また公安条例のみが今度の立法のただ一つの対象であるわけでもないわけでありますから、従いまして、この際これを撤回するというようなことは考えておりません。私はかような措置国会議員の立場におきましてもぜひ必要である、こういう認識に立っておるわけであります。
  115. 亀田得治

    亀田得治君 この下級審で現在どのくらい係属中の公安条例事件があるか御存じですか。
  116. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは正確を期する意味におきましても、法務当局等から御答弁を願った方がいいかと思います。
  117. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 現在、全国に係属しております公安条例違反の事件を正確に申し上げる数字を実は持っておりませんが、こちらの委員会の御要望等もありまして、問題となった事件につきましては資料を提出してございます。それによって御了承願いたいと思います。
  118. 亀田得治

    亀田得治君 私はもらっていないわけですが、ちょっと概略をおっしゃってくれませんか。
  119. 田中茂穂

    委員長代理(田中茂穂君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  120. 田中茂穂

    委員長代理(田中茂穂君) それでは速記をつけて。
  121. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 資料として調査いたしましたものを御説明申し上げます。  東京都条例につきまして、合憲の判決、違憲の判決が出ております事件を調査いたしまして、その成り行きを明らかにした表を出しております。  まず東京都条例の中で合憲の判決はみなで四件ございます。その中の一件は合憲であるが一部について違憲であるという意見が出ております。  第一の事件は、荒川朝鮮人学校事件というので、昭和二十六年三月一日に発生した事件でございます。これは罪名は公務執行妨害で起訴されまして、第一審は二十六年十一月六日東京地裁で合憲の判決が出ております。これに対しまして被告控訴がありまして、二十七年六月十日東京高裁でやはり合憲の判決が出て確定いたしております。  第二のケースは、大日本印刷デモ事件といわれる事件であります。これは昭和二十五年十一月一日に発生した事件で、やはり公務執行妨害で起訴されております。これについても傍論において議論されておるのでございますが、二十七年十二月二十二日、一審の東京地裁で合憲の判決、次いで被告控訴で東京高裁が三十一年七月十日に合憲の判決をいたしております。これも最高裁にはいきませんで、確定をみております。  第三のケースは、岩之坂上巡査派出所襲撃事件といわれている事件で、昭和二十七年五月三十日の事件でございます。これは公務執行妨害、傷害と東京都条例違反、この三つの罪名で起訴されております。これは第一審の東京地裁では二十九年九月二十日有罪の判決が出て、これも合憲の判決になっております。それから二審は東京高裁三十二年七月二十日の言い渡しで、これも合憲と判決されております。事件はそれによって確定をいたしております。  それから第四のケースが巣鴨事件でございますが、事件は二十八年七月二十七日に発生いたしております。罪名は条例違反、公務執行妨害、傷害という罪でございます。    〔委員長代理田中茂穂君退席、委員長着席〕 この判決は三十三年八月二十九日に東京地裁で一審の言い渡しがありましたが、一部について違憲、その他は合憲、その違憲の部分は、集団示威運動については違憲であるという判断でございます。この点につきましては検事控訴をいたしまして、目下控訴審に係属いたしております。  これが合憲の判決でございます。  違憲の方の判決を申し上げますと、第一は蒲田事件、昭和二十七年二月二十一日の発生事件で、これは条例違反、公務執行妨害、暴力行為等処罰に関する法律、銃砲刀剣類等所持取締法違反という罪名で起訴されておりますが、三十三年五月六日東京地裁で、これは東京都条例が全部違憲であるという判決を下しておりましてこれは検事控訴をして目下控訴審に係属中でございます。  それから第二の事件はアリメカ大使館デモ事件、勤評反対デモ事件、警職法反対デモ事件。この事件で——いずれも三十三年四月一日、三十三年九月五日、三十三年十一月五日から十四日にわたる事件——これは条例違反と住居侵入で起訴されておりますが、三十四年八月八日東京地裁で違憲の判決が出ております。この中の一部は、先ほどお話のありました最高裁に高裁から移送になっておりますので、本年の四月に他の事件とともに最高裁で審理が行なわれる予定でございます。  それから第三の違憲判決のケースでございますが、全学連が米国大使館にデモをかけた事件でございまして、昭和三十二年六月二十一日に発生したものでございます。条例違反、公務執行妨害、傷害で起訴されております。三十四年十月十三日東京地裁で、条例につきましては違憲であるという判決が出ております。これは検事控訴中でございます。  これが東京都条例に関する調査の結果でございます。  なお、資料として提出いたしておりますのには、「その他の条例」というので、合憲、違憲の判決をあげております。こまかくは申し上げませんが、  合憲判決といたしましては、京都市の条例、新潟県の条例、徳山市の条例、佐賀県の条例、滋賀県の条例、長野県の条例、埼玉県の条例、小野田市の条例、広島市の条例、福井県の条例、神戸市条例、川崎市条例、神奈川県、愛知県等の各条例につきまして、それぞれ問題の事件がいずれも合憲と判断されております。その中で新潟県条例は、二十九年十一月十四日最高裁の大法廷で合憲の判決が確定いたしておりますし、徳山市のものは三十年五月十日最高裁第三小法廷で合憲ということが確定しております。さらに佐賀県条例につきましては、三十年二月一日最高裁第三小法廷で合憲の判断が出ております。滋賀県の条例につきましては、二十七年九月三十日に最高裁第三小法廷で、上告趣意書を提出しなかったために棄却になっております。そういう形で確定しております。もう一つ、同じような棄却の決定になっておりますのは神戸市の条例がございます。その他は大体二審で確定をしておるかあるいは目下控訴中、上告中という案件でございます。  それから違憲判決になっておりますものとしては、京都市のものが一審の京都地裁で違憲の判決が出ましたけれども、大阪高裁で合憲に変わっておりまして、ただいまこの事件は上告中でございます。それから広島市の条例につきまして、一審の広島地裁では違憲の判決をしましたが、広島高裁は合憲の判決に直しております。これは上告中です。それからもう一つ、岩国市のものにつきましては、一審の山口地裁岩国支部では違憲の判決をしましたが、広島高裁では合憲にこれを直しております。それから静岡県の条例違反につきましては、一審の静岡地裁が違憲、二審の東京高裁が違憲の判決をしておりまして、これはいずれも違憲でございますが、この事件は目下上告中でございまして、おそらくこの事件も、先ほど申しました東京都条例の一部のものもあわせて、最高裁で判断されることと考えております。
  122. 亀田得治

    亀田得治君 東京都条例で合憲のものが四つと言われたのですが、四番目におっしゃったのは、集団示威行進の点については違憲というふうになっているのじゃないですか、ちょっと説明がはっきりしなかったのですが……。
  123. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 第四番目に申し上げました巣鴨事件につきましては、集団示威運動につきましては違憲ということになるのでございます。  なお、先ほどお答えを留保いたしました全国の係属している事件の表がわかりましたので、お答えをあわせて申し上げたいと思います。  ただいま全国の裁判所に係属しております条例違反のケースは、全部で十九件でございます。そのうち最高裁に係属しておりますのが五件、高等裁判所に係属しておりますのが七件、地方裁判所に係属しておりますのが七件。以上でございます。
  124. 亀田得治

    亀田得治君 そうしますと、東京都条例については七件ありましてただいま問題になっている集団示威行進の部分についての判断では、違憲の方が四、合憲の方が三、こういうことになるわけなんです。違憲の方が一つ多いわけですね。それから全体として、高裁で七件、地裁で七件が現在は係属中と、こういう説明ですが、下級審では、この四月から始まる最高裁における公安条例事件の審理待ち、こういう状況にあるようにも聞いているのですが、そういう点は法務省はどういうふうに聞いていますか。
  125. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) その点は、必ずしも私どもはさように考えておりません。むしろ検察側におきまして、未決定のものが長いことペンディングになっておりますので、検察庁から特にそのような希望を申し出て、そういうように最高裁へ移送という事態になった次第でございます。
  126. 亀田得治

    亀田得治君 そうじゃない。私の聞きましたのは、最高裁がいずれこの係属中の分を併合して審理する、こういう態勢をとっているので、下級審ではその結論を待つ、こういう態勢をとっているように聞くのですが、その点どうなんです。
  127. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 裁判官の中には、そのような考えを持っている方があるかもしれませんが、そういうことであるから審理を待っているのだというふうに、公に法廷で宣言された裁判所はないように思います。従いまして、心理的にはそういう影響を感じているかもしれませんが、裁判所としては、必ずしもそういうふうに、最高裁の判決があるまでは判決をしないとか、審理をしないとかいう筋合いではないというふうに考えております。
  128. 亀田得治

    亀田得治君 これは、まあ裁判官がみんな独立の立場でやるわけですから、ほかで事件をやっておるから、それが出るまで少し待っておく、こんな不見識なことは、もちろんこれは言えないことです。また、言うてもならぬことです。しかし、実際の取り扱いがそういうふうに動いている。これはまあ全部の裁判官が、裁判官としてそういうことははっきり言うわけでもないですから、なんですが、弁護人等から聞きましても、大体そういうことが常識的に考えられます。また、国の事務の経済からいったって、これは当然なことでしょう。で、そういう中で、これはまあ裁判官を一々呼んで聞けばはっきりするわけですが、呼んだからといったって、公の席になれば、私は私だということになるに違いないですけれどもね、実際問題としてはそういうことなんです。最高裁の違った判決で、上で敗れることがわかっていてやる者もいないだろうしね。だから、それはそういうことなんで、専門家ですら常識的にそういうふうに一応模様を見ようと言うておるときに、どういうことを想定されているのか知らぬが、どうもこの法律だけ提案者の方が一生懸命推進される、どうもこれは納得いかぬわけですな、その辺が。待ったっていいじゃないですか。これは常識的な行き方だと思うのですね。それすら待てぬのだ、もうどうしてもだと、何か特殊な事情でもおありになるのですかね。
  129. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先刻も申し上げましたように、なるほど最終的な確定を待てばいいじゃないかというお話もございまするが、現に私たちは今日の段階におきましても、たとえば昨年の十一月二十七日の不祥事件に見るような事態の発生も予想されないわけではないのでありまするから、そのような場合に対処する意味におきましても、この際、すみやかにかくのごとき措置が必要であろうと、かように考えるわけであります。
  130. 亀田得治

    亀田得治君 まあそういう話は、また多少問題が横へそれるおそれもありますが、しかし、昨年の十一月二十七日の事件の評価というものは、これはよほど大きな目で見てもらわないと困ると思うのです。現象的に見ちゃいかぬですよ。それはやはり前日のベトナム賠償の審議の仕方、前日だけじゃありません。ずっとそれまでにおける長い審議の仕方、こういうことが明らかに反映しているということは明白なんです。これは、だから国会がほんとの意味での実質的な審議を尽くしていると、そういうことが先決で、大事なことなんです。そういうことによってこれはいろいろな問題が起こらぬようにしなければならぬのであってどうも今のお話を聞きますと、また安保審議でベトナム賠償のようなことをやるような感じを受けるのですがね。何かそういうことを考えているから、これは急ぐことになるのですか、今の話をもう少しちょっと具体的に言ってみて下さい。近いうちに何かそういうことを予想されるというふうに私とりましたか……。
  131. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私たちは、必ずしもこの安保条約の審議にあたってこれを強行突破しようというような考え方を持っておるわけじゃございません。しかし、今日のいろんな諸般の情勢をわれわれが客観的に考えてみまして、全然そういう不安がないというわけではないわけでありまして、そういう観点から、われわれは、国会の公正な審議、それに必要な議員登院ということを確保しておく必要がある、まあかように考えるわけでありまするし、また、今回の国会周辺秩序保持に関する提案をいたすに至りましたのには、まあ歴史もあるわけであります。御承知のように、これは警職法の騒ぎを受け継ぎまして、当時の社会党とわが自民党と両方の間におきましていわゆる四者会談なるものがございまして、その申し合わせ事項に基づきまして、国会周辺秩序保持のための何らかの法律上の規制掛冠をとる必要がある、かように考えまして両者の意見一致いたしまして、そこで、わが方からは現在衆議院議長をしておられまする清瀬一郎さんと、社会党の方からは加藤勘十さんが交互に委員長となられまして、まあいわば小委員会のようなものを開かれたわけであります。しかしながら、不幸にしてその意見一致を見ることができない。今回におきましても、加藤前衆議院議長がわれわれ衆議院議院運営委員会に、何らかこの際、法律上の規制をして、そうして再び不祥事件発生を防止しようじゃないか、こういう申し入れがあったわけでありまするから、四者会談の申し合わせもありまするし、また現に起こりました十一月二十七日の事件を見ましても、われわれ国会議員として何らかの措置が必要であろうと考えまして、野党の諸君にも話し合いをいたしたわけであります。ずいぶん忍耐強く努力をいたしたわけでありまするが、不幸にして双方の意見一致を見るに至らないで、先刻提案理由で申し上げましたように、単独で議員提案の形式をとるのやむなきに至ったようなわけであります。さような意味でございまするから、必ずしもわれわれが、安保条約の審議にあたって、この法律案を早く通過させておいて、そうしてそういう場合の何か問題が起こったときにおいては本法を発動しよう、そういう魂胆をもって臨んでおるわけじゃございません。
  132. 亀田得治

    亀田得治君 まあこういうことというものは、最初に答えた答弁の中に一番真意というものは現われるものなんです。そのほかに急ぐ理由は何にもないのですからね。あなたは最初にこの安保の問題もあるような意味のことをおっしゃっておる。これはそういう意図を持っておるとしたら、なおさらこれはいけない。そういうことでは、安保の審議自体が曲がってくるのです、そういう意図があると。賛成にしろ反対にしろ、十分論議をやっていく。論議の中でどちらが勝つかをはっきりしていくんだ、これでなけりゃね。あの速記録を見れば、もう明らかにそういうことが予想できるようなあなたは発言をしておる。  そこで、いろんないきさつもあると、今こうおっしゃった。これは当然こういう国会議員国民との間の法律関係になるわけですからね、この問題は。だから、少なくとも国会自体が一つにならなけりゃだめです、こういう法律は。われわれのことなんですから。国会議員、お前守ってやろう、こういう法律を作るのに、国会議員の中に、いや、そんなことまでしてもらわぬでもと、こういう格好のものでは、こういう法律というものは、もう初めからつまずいておるのです。だから、こういう法律はやっぱりいきさつがあるなら、それは困難であっても、そのいきさつを十分深めて、ともかくこれはまとめてかかる。これでなきゃだめですよ、普通の法案と違うんですから。中身からいったら、安保に賛成の人だけの交通を確保する、はっきり言うと、こういうことになっちまいますよ。大衆は案外敏感ですからね、こういうことは。だから、そういう意味でそういういきさつがあるならば、なおさら多少の困難があったって話をまとめて提案してくる、まとまった線で提案してくる、これなら国民全体もこれは了承するわけです。またりっぱな法律という格好で実効性も高くなってくる。だから、そういういきさつもありますのでと、あなた、おっしゃったが、そういういきさつがあるのならば、なおさらこれはそのことは慎重にやらなければならぬということになるのであって、何もこう急いで今やらなければならぬということの理由にはちょっとならぬ、これはそう思いませんか。ともかくそのいきさつをここでかちっと切ってしまうという形になるわけですからね。はなはだまずいことになる。法の性格からいってまずい。どういうふうにお考えですか、提案者は。
  133. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私がそういういきさつや歴史があると申しましたのは、この近年の国会周辺秩序が阻害されている実例等に徴して、ぜひとも国会の公正な審議権確保のために、国会周辺静穏を保つように、何らか法律上の措置も必要ではなかろうか、こういうことで与野党を問わず意見一致をいたしたのであります。そういう考え方を継承いたしまして、そういう考え方の上に立って今度の立法に臨んだとこういう意味でございます。従いまして、われわれは、できまするならば与野党一致の合意の上に立法ができればけっこうなことであったわけでありますが、不幸にして見解を異にいたしまして、意見一致を見るに至らなかった次第でございます。
  134. 亀田得治

    亀田得治君 まあそういう一番あとのおざなりの答弁をしても、これはなかなか納得できるものじゃない。それはなかなか二回や三回でこういう問題が両党間で話がつくわけがありません。ともかく四者会談で、この問題を特別委員会で取り上げていこう、そこまでできただけでも、大へんなこれは進歩なんです。そのワクをもっと困難があってもやはり深めていく、それが大事なことなんです。まあその経過のことを今聞くつもりはあまりないのですが、あなたの方で急ぐということに関連してこれは触れたわけです。ともかく、まあ特定の安保の審議、そういったようなことを特に予想してかかっているのでなければ、急ぐ必要はない。この点を私は言っているわけですが、あなたの答弁では納得がいかない。  そこで、時間も迫ってきておりますので、たくさん質疑が残っておりますが、この判決に関連した点だけを、なお一、二点お聞きすることにいたします。  先ほど刑事局長から説明がありましたように、東京都条例について、七つのうちで四つまで違憲の判決が出ている、集団示威行進について。こういう事実をどういうふうにごらんになっているのか。私はこの新潟地裁の判決に対する最高裁で最終的に合憲としている判決、あるいはその後の東京地裁が出した都条例の違憲判決、これはそんなに矛盾していないと考えているんです。新潟の判決で大法廷が合憲という結論を出したから、東京都条例についてやはり合憲だと出しそうだというふうにはならない。判決の内容を検討すると、むしろ逆の場合が相当あり得るわけです。そういう点を提案者はよく検討されて、ともかくそういうものも待たないでおやりになろうというのか、どういうことなんです。
  135. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 新潟の条例の場合の判決の趣旨と、東京都の条例の場合の判決の理由とにつきましては、大体のところは承知をいたしております。これをどういうところが違うかと言えということでございまするならば、この新潟条例の場合につきましては、一般的な許可制を定めて抑制をするというのではないという意味において、憲法の趣旨に反するものではない、こういうことになっておるのではなかろうかと思います。つまり特定の場所とか方法等について合理的かつ明確な基準のもとに許可を受けしめるとか、または届をなさしめるとかいうような場合には、これを禁止することができる旨の規定を条例に設けましても、それをもって直ちに憲法の保障する国民の自由を不当に制限するものではない。こういう立場と、それからもう一つには、公共の安全に対して、明らかな、差し迫った危険を及ぼすことが予見されるとき、こういう場合において、これを許可しない、または制止することができる旨の規定を設けることも、これをもって直ちに憲法の保障する国民の自由を不当に制限するものにはならない。こういうふうに解釈すべきだというのが判決の趣旨ではなかろうかと考えております。  で、東京都条例の場合におきましては、大体三つぐらいの要点があろうかと思いますが、一つは、集団示威運動等について場所または方法を限定し、除外例を設ける等、規制の対象を限定しなければ、事前抑制の一般的な許可を定めたことになるというわけで、先の場合とはこの点が全く反対でございます。また、次には、許可の申請に対する拒否の基準が、公共の安寧という一般的な抽象概念によっては少し明確を欠くのではないかという点、さらには、許可処分の場合については通知の義務を定めておりまするが、不許可の処分をした場合については通知の義務の規定がない。処分が留保された場合には抗告訴訟の道がとざされておる。司法救済を求めることができないではないか。こういうことが違憲の判決が下されたという主たる理由であったように考えておるようなわけであります。従って、ややその点におきましては、判決の理由が違うのじゃなかろうか、こう考えております。しかし、さりとて私は、しからば、今度のこの国会周辺秩序保持に関する提案をすることがいけないとか、あるいはこれを差し控えなきゃならぬ、こう考えておるわけじゃなくて、本法が現段階において必要であると考えました理由につきましては、もう先刻来申し上げた通りであります。
  136. 亀田得治

    亀田得治君 今二つの判決について、内容的に若干説明があったわけですが、最高裁の大法廷が新潟条例について出した判決、それから東京地裁が違憲として出した四つの判決、基本的にはそんなに違わないのです。いずれの判決も、憲法の基本的人権、これは憲法十二条、十三条によっての制限というものは認めておる。ただし制限の仕方については、今も若干説明がありましたが、一般的な許可制をしいて事前に抑制していく、こういう格好ではいけない。これは両方とも一致しているわけなんです、この点では。そこで、最高裁でそういう判決があったから、当然東京地裁でもその点の最高裁の理論というものは認めておるわけです。なおかつ、それでも、この東京都公安条例について違憲判決を下さなければならないという根拠というものを特に東京地裁の判決では強調しているわけなんです。これは非常に大事なことなんです。条例自体が新潟と東京のものとは違う。その中で一番やはり重視しておる点は公共の場所ですね。まあ拒否の基準については若干問題があります。判決自体の表現も。しかし、はっきりこの東京都条例の欠陥を指摘しているのは、第一条の公共の場所という不明確な表現です。これは何と言ったって大きな欠点です。それから第二点は、いろんな集会等の許可申請を出した場合に、警察がそれを放置しておいたという場合には、新潟の場合には、二十四時間前になってなおかつ警察が何も言わないで放置してある場合は予定の行動をとれるのだ、デモもやれるのだ。ところが東京都の場合はそれがやれない。放ったらかしにされておいて何にも連絡がなしでおいて、うやむやの中でこれが終わってしまうことになる。何にも返事をよこさぬ。けしからんじゃないか。やればこれは処罰の対象になっているのですね、条例で。そこが大きな違い。これは単に、まあ何といいますかね、大法廷であれだけの新潟判決に対する合憲の結論を出してなおかつ東京の地裁が逆の判決を出しているのですからね。これは裁判官としてだって、やはりよほどの慎重な検討というものをされておるわけだ。それを佐々木さん、さっきのお話ですと、あなた、法律のしろうとだとおっしゃるのですが、そういう立場の人が簡単にそういうことを無視されて最終的な結論を待たないというのは、これは何としても筋が通りませんよ。根本的に違うのですから。つまり最高裁の考え方は、基本が許可制だ、こういうことではいかんと、こう言っておる。基本はやっぱり憲法で認められたそういう集会の自由等は許していくのだ、特定の場合にこれをとめていくのだ、そういう意味の許可制ならいい、こう言うておるわけですな。これはみんな一致している、その点は。許可とか届とか、名前ではなしに中身だ。そういうことでしょう。あなたもそういうふうに理解しているはずだ。ところが、それをどっちに、しからば東京都の公安条例を判断するかという場合に問題になるのが、何も言うて来ぬ場合に、警察が主催者に返事をせぬ場合ですね、一方ではやれるわけだ。一方はやれない、東京はやれない。ここに大きな質的な違いが出てくる。つまり新潟の場合には、言葉は別として、ともかく基本的な人権の行使は自由なんだ、この立場にあるから、向うが言うて来ぬ場合にはやれると、こうなる。ちょっとの条文の違いだけれども、公安条例の性格の大きなこれは違いになってくる。地裁の判決はそこを指摘しておる。こういう大事な点を無視してお進めになったって、われわれまあ納得できませんな、絶対に。そうなりませんかね。一般的なこれは禁止なんです。まず東京都のものはそういう態度をとってはいかぬと最高裁も言っておるのですから、だから最高裁が新潟判決で出した態度からいくならば、まあ今度併合審理されておるわけですが、東京都の条例については、これは違憲というのが出るのが私はほんとうだと思う、最高裁が政治的に動くのでなければ。筋でいくならば。そう私は思っているのですが、その辺どういうふうにあなたは検討されてこうやろうとしているのか。もうちょっと納得のいく説明をしてほしいのですがね。
  137. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 一般的な許可制をとるということが憲法違反の疑いがあるという点につきましては、先刻私が申し上げました通りでありまして、あなたと私も大体同じような考え方でございます。しかしながら、現に東京都条例につきましては、御指摘のように違憲の判決もあれば合憲の判決も出ておるわけであります。この最高裁の最終判決がいまだ違憲であるというのが出ていないわけであります。この段階において私たちが今回の提案をいたすことも決してこれが行き過ぎであると考えていないということも、先刻来申し上げた通りであります。
  138. 亀田得治

    亀田得治君 そういう平面的なことをおっしゃっても納得はできないです。警視総監東京都の公安委員長にちょっとお聞きしたいのですが、この公共の場所における集会、こういうものを東京都では非常に広く扱っておられるようですね。これはどういうふうに扱っておられますか。
  139. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 公共の場所における集会でありまするから、この条例の趣旨とするところから考えまして、警視庁といたしましては、公共の場所とは、道路、公園等、公衆の通行または利用に供する屋外の場所、及び公会堂など、集会のために通常一般の利用に供する建造物その他の施設でありまして、不特定かつ多数のものが利用したり、あるいは出入りすることのできる場所、そういう場所における集会、こういう解釈で、公安委員会の方針に従って取り扱いをしているわけであります。
  140. 亀田得治

    亀田得治君 今、総監がおっしゃったような意味にはこれはならぬわけです。公共の場所における集会、それはそういうふうにも解釈できるかもしれぬが、そういうふうに解釈しなきゃならぬということもありませんよ。だから、こういうところも、都の公安条例に対する大きな、やはりきわめて不明確な基準で基本的人権を制約しておる、こういう根拠にされておるわけなんです。いろいろありますけれども、私は明確なことだけを今申し上げておる。これなんか今おっしゃったような解釈になりますか。それだけ総監が注釈を加えなきゃ出てこぬ結論でしょう。実際問題としても、これは裁判所でも問題になったことですが、同和火災映画愛好会の東電銀座サービス・ステーションにおける会員親睦座談会、こういうものに、この条例が適用されておるのですよ。そのことは、裁判所における証拠調べの結果、東京都の公安委員会が昭和三十二年六月ですかに作成した書類の中にもちゃんと明確に記載されておる。まさか公安条例を作るときに、そんな親睦会まで、しかも特定の人ですよ、これは。そんなものまで対象にするつもりはないでしょう、おそらく。そのことも言葉の上ではそこまで広がっても、一応概念としては入るわけです。そういう規定の仕方に、この条例の欠陥が一つはあるのです。これはどうなんです、佐々木さん。
  141. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先刻午前中の御質問の中にも関連したことでありまするが、第六条で、「この法律規定する集団示威運動等には、請願陳情その他の名義をもってする集団示威運動等も含むものとする。」、そこで、この「その他の名義をもってする」ということに関連しての御質問がございまして、私は、たとえば遠足をするとか、まあ見物をするとか、そういうふうなものを含まないと申しましたのは、この第六条ではそういうことをいっておるのではないという意味のことを申したわけでございます。しかしながら、法律の用語としては、今おっしゃいまするような、何と申しますか、遠足だとか、ちょっと言葉が適当じゃございませんが、その他のこの請願陳情でなくても、そういう集団示威運動等の中に含まれる。集会、集団行進、それから集団示威運動の中には、純然たる法律的用語としては含まれると解釈をいたしております。
  142. 亀田得治

    亀田得治君 どうも説明がはっきりしませんでしたが、六条の問題はまたいずれあらためてやりますが、私の今お聞きしておるのは、公共の場所における集会、こういう中に、警視総監説明はありましたけれども、法律上の条文——第一条の条文だけでは、必ずしもそういうふうにはならないということを申し上げ、しかも実際の警視庁における取り扱いにおきましても、先ほどの親睦会のほかに、特定の諸君の栄養講習会、こういうものにもちゃんと届け出を出さして第一条の許可の手続をとっておる。そんなことは間違いなんですよ、法律の趣旨から言って。佐々木さんの今の説明ですと、何かそういうものも含むようなこともおっしゃるのですが、まさかそんなものを公安条例の対象に考えていまい。その辺どうなんです、公安条例第一条についてです。
  143. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ただいまの警視総監答弁通りであります。
  144. 亀田得治

    亀田得治君 いや、警視総監答弁は、矛盾があるから聞いているのです。ああいう説明、言葉からは出てこない。しかも、実際は違うじゃないかと……。
  145. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ただいまのは、公安条例の第一条に関することだと思います。従いまして、それに関連いたしましては、私たちもこれは直接のこの法律とは関係のないことでございまするが、それの解釈につきましては、ただいま警視総監の答えた通りであるということを言っておるのであります。
  146. 亀田得治

    亀田得治君 佐々木さんは、公安条例の第一条、「公共の場所で集会」と、これだけのこの八つの文字から警視総監のああいう解釈が当然に出ると考えておるのですか。ああいう解釈を出すためには、たとえばこの第一条の終わりの方にただし書きがついておる。そういったようなただし書きをもう少し詳しく書くとか何とかしなければ、当然には出てこぬでしょう。そこを聞いておる。
  147. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私の提案をいたしておりまする本法に関する解釈でございますれば、私の解釈を非常に尊重していただきたいと思いますけれども、これは、事は公安条例に関することでありますから、むしろこれは警視総監の御説明通りたちは解釈いたしております。
  148. 亀田得治

    亀田得治君 この法案は公安条例と不離一体なんです。ことに、あなたの説明によりますと、この法律を作っても、議長はただ要請するだけだ、あとはみんな公安条例でやるのだという以上は、公安条例の解釈というものを明確にしておかなければならぬでしょう。公安条例を抜きにしてこの新法で国会議員の問題については動いていくのだと、こういうことなら、ほかの法律の解釈までお聞きしませんが、あなたは実際の動きは向こうの方にお譲りになっておるから、大事なところを聞いておる。そういう意味で大事なことですよ。あなたは第一条についてのそういう解釈をあいまいにしておられちゃ困る。だからこれは矛盾があるのです、この条例自体に。本来はもっと明確に書かなければならぬ。書かぬものですから、親睦会や懇親会のようなものまでこの判決で指摘されて赤恥をかくような結果になる。条例が間違っておるからこういうことが行われるのだ。しかし、公安条例の対象にそういうものがなるとは思わぬでしょう。だから、思わぬなら、それが除外されるような条文でなきゃいかない。それがきわめてばく然と書いてあるから、これが一つの違憲の大きな材料にされておる。事実、懇親会などの届けを出されておる被害者がおるわけなんです。これは基本的人権の大きな侵害でしょう。だからそういう満身創痍といいますか、傷だらけのこれは条例なんですよ。こんなものとはまさか佐々木さんも思わぬでこの法律に取っ組まれたと思うのですがね。まあ、これはなかなか幾ら聞いてもはっきりしたお答えが出ぬようですが、ともかくいきさつから見ても、今裁判の状況からいっても、それから判決自体の内容です、私は、明らかに東京地裁の一審の判決が、これはだれが見たって、こんな判決というものであれば、こんなには言いません。しかし、これは最高裁が合憲を新潟で出した後に違憲をなおかつ出すのですから、よほど事実関係の調べ等もして、今指摘したような警視庁の実際における取り扱いの欠陥等も指摘してそうして出されている判決なんです。これを私は無視していくということは納得できませんよ。もう一ぺん、もう少し筋の通った説得をしてもらわぬと困ります。
  149. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) あなたとしてはそういう御意見もあろうかと思いますけれども、私たちは、本法を提出するに至りましたのは、国会周辺道路についてのみの規制措置を講ずることでありまして、他の公共の場所等とは私たち関係のないことでありまするから、もしそういうことに対する御質問がございましたら、関係の当局にお聞きを願いたいと思います。
  150. 亀田得治

    亀田得治君 まあそういう公安条例の中の道路のところだけ引き出して条例を検討する、そんな顕微鏡でものを見るようなことで片づく問題じゃないのです。これは重大な問題なんですから。しかも当初にお聞きしますと、政府自体が今度は従来の道路交通取締法を版木的に改めて、そうして道路交通法、こういうもので出していく、この関係等も検討されておらぬ。そういうことでこんな法律を作っちゃいかぬですよ。まあ各条についての疑問点、質問点、たくさんあるわけですが、一応私、本日のところはこの程度にいたします。
  151. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 辻武寿君。
  152. 辻武寿

    ○辻武寿君 あとまだ地方行政委員の方も御質問なさるとのお話ですから、私は簡単に要点をしぼって数点お尋ねしたいと思います。  まず本法案の趣旨説明書第四項の中に、「国会としては、なるべく摩擦を避けるために、審議を中止するなどの措置をとって参りましたが、」云々とあります。この摩擦とはどんな内容を指すか。またそういう具体的事例があったら、お尋ねしたいと思います。
  153. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) このことを具体的に過去の記録を今提出することは非常に困難なことでありまするが、たとえばメーデーの場合等のごとく、これは当日かりに国会を開きましても、外部からの何らかの影響を受けるであろうと思われまするような場合に、あるいはそれに参加した人々の心理状況等をも考えまして、いろいろな不祥事態が発生することがあってはならないというような考え方から、当日は審議を中止するというような措置をとって参っております。これは必ずしも、メーデーだから、すべての大衆が国会に乱入すると考えているわけじゃございません。もとよりそれは、特に社会党や、その他の方々におきましては、メーデー等に参加される必要があるというようなこともあるでありましょう。しかしながら、まあそういう意味におきまして、私は先刻来具体的にこれを事実をもってお示しするということはむずかしいということを申したわけでありまするが、そういうときには摩擦が起こらないようにという配慮から、当日の審議を中止したということは、私が衆議院議院運営委員会の記録を見ましても、その片りんが出ておるところがあるようなわけでございます。
  154. 辻武寿

    ○辻武寿君 いやしくも国会議員である以上は、本会議場なり、または委員会の席上なりがわれわれの職場でありますから、ほんとうに危険が身に及ぶまでは断固として動かないくらいの精神でやらなければならないと思います。一々何かありはしないかとおそろしがって、それを辟易するようであってはならないと思うのです。  次にお尋ねしますけれども、今まで国会構内デモ隊がなだれ込んだという事例は、何回ぐらいありますか。
  155. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 事務当局より答弁をしていただきたいと思います。
  156. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) それでは私から補足してお答え申し上げます。  第七回国会でございますが、昭和二十五年の三月九日、このときに一回ございます。次は、第十二回国会の昭和二十六年十一月一日にございます。次は、第十三回国会の昭和二十七年四月十八日にございます。それから御承知の昨年の十一月二十七日と、かようなことになっております。
  157. 辻武寿

    ○辻武寿君 前三回は、どれぐらいの人数がなだれ込んで、およそどの程度一の被害を受けたか、わかりますか。
  158. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) ただいまここに詳細な資料を持っておりませんから、十分なお答えはできないかと思っておりますが、そのときの工合によりまして、人数等はいろいろのようでございます。それからまた時間等も、夜間の場合もございますし、そうでない昼間の場合等もございます。まあ大体そういうことであります。
  159. 辻武寿

    ○辻武寿君 この法律案の第四条ですが、「国会議事堂周辺道路において屋外集会、集団行進又は集団示威運動が行われることにより、」云々とあります。この集会というのは、外国では五十人以上とかいう話も聞きましたけれども、日本では何人ぐらい以上が集会ですか。また集団行進と集団示威運動とは何か違いがありますか、お尋ねいたします。
  160. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 人数の点につきましては、まあ多人数ということになっております。これは、集会は申すまでもなく、一定の場所に特定の共同目的をもって会同することであります。また、集団行進は、一定の共同目的を持った多人数が移動することであります。また、集団示威運動というものは、特定の共同目的を持った人々が、公衆に対して気勢を示す行為のことを申します。
  161. 辻武寿

    ○辻武寿君 秩序整然たる団体が、歌を歌いながら整然と行った場合は、取り締まりの対象になるんですか、ならないんですか。
  162. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) もとより本法におきまして、国会の公正な審議と、国会議員登院に著しく影響を与えない限りにおきましては、本法適用外のことでございます。
  163. 辻武寿

    ○辻武寿君 両議長が警察権の発動を要請した場合、警察当局としては、取り締まる、取り締まらないという一線は、どういうところに置きますか。標準がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  164. 堀切善次郎

    参考人堀切善次郎君) 公安条例によりまして、「集会、集団行進又は集団示威運動の実施が公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合」、こういう場合におきまして取り締まりの対象になるわけであります。
  165. 辻武寿

    ○辻武寿君 その場合、団体行進で、かけ足をしながら、ワッショワッショと、こういうふうに来た場合に、これは何をやり出すかわからないというふうに、公安委員長なり警視総監なりが全学連と間違って、おそれをなして、それを解散させたりなんかするようなことはあり得ないかどうか、お尋ねしたいのです。
  166. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 別段おそれをなすとか何とかということではないのでありまするが、要するに、そのときの具体的の状況によって判断するわけでございまして、両議長からそういう御要請がありました場合には、その点も十分配慮の上に入れるといいますか、尊重するといいますか、そういう気持で、しかも現実の事態がどのような事態であるかということを極力正確に判断いたしまして対処いたす、こういうことになっております。
  167. 辻武寿

    ○辻武寿君 非常に元気よく団体行進なりがかけ足でもしておれば、これはあぶないというような錯覚をあなたの部下などが起こすかもしれないから、そういう点、よく気をつけていただきたいと思います。これは要望ですが。  次に、十一月二十七日のデモが契機となって今度のこの法案が提出されたと思うのですが、あのときのデモ行進、あれは無届けだったそうですけれども、それは事実ですか、どうですか。
  168. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) その通りでございます。
  169. 辻武寿

    ○辻武寿君 無届けであれば、都条例の第五条に罰則がうたわれておる。「規定に違反して行われた集会、集団行進又は集団示威運動主催者、指導者又は煽動者は、これを一年以下の懲役若しくは禁錮又は五万円以下の罰金に処する。」、こういうふうにありますが、その通りに罰せられておるのでしょうか、どうでしょうか。
  170. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) お答えいたします。十一月二十七日の事件につきましては、公安条例の違反、また、構内に入りました者につきましては、建造物侵入というような法条に照らしまして、それぞれ捜査をいたしております。
  171. 辻武寿

    ○辻武寿君 今捜査をいたしておるとのお話でありますが、扇動した犯人はまだわからないわけですね、罰せられていないわけですね。
  172. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 捜査といいますのは、全体を含めて申し上げましたので、必要な者はこれを逮捕し、また、ある人につきましては、任意に出頭していただきまして取り調べをする、その他いろいろな方法によりまして取り調べを進めまして、現在われわれといたしましては、捜査を大体において終わりまして、目下検察庁の方におきまして、さらに捜査を続行中でございます。
  173. 辻武寿

    ○辻武寿君 私は、法律がたくさんあるということは、その国がよく治まっていない証拠だということをよく聞いて参りましたが、なるべくならば現行の法規で、軽犯罪法もあるし、道路交通取締法もあるし、公安条例もあることですから、でき得るならば今までの法律で、何とか新しい法律は作らないで済ませるように努力し、またお願いしたいと思いますが、そのためには、現行法規で、そういうそれに触れたものは、きちんと取り締まっていく必要があると思います。今まではともすれば、組合に遠慮したり、いろいろなはばかりから、そういうこともはっきりしないで、それであなたがまた法律を作るということでは、ざるの中に水を入れるようなことになってしまう。思うように取り締まりができない。国民がほんとうの幸福を感ずることはできないと思います。できれば新しい法律を作る前に、現行法規でやっていけるように研究していただきたい。  警視総監にもう一度お尋ねいたしますが、この間のデモが、事実無届けであったということは事前にわかっているはずですから、それにどのくらいの人数が来るということもわかっていたはずですから、あのような事態にならないで、きちんと現行法規で取り締まりできなかったかどうか、なぜ取り締まりできなかったか、その間の事情をもう一度お伺いをしたいと思います。
  174. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 当時、安保改定阻止の国民会議等におきまして、相当多数の人の動員をされ、いわゆる請願行動を起こされるというような様子は、私ども承知いたしておったのであります。従いましてそのような多数の人々が国会周辺に集まってこられるということになりますると、必ずや公安条例等の対象となり、屋外の集会あるいは示威運動等になるであろうというような予測もありましたので、事前に関係者に対しまして警告をいたしました。ぜひ正規の合法的な方法でやっていただくようにというようなお話をしたのでありまするが、しかしながら、相手方におきましては、いや、これは請願である、であるから差しつかえないのであるというようなことで、結局当初の既定の計画通りに実行されたのであります。警察といたしましては、これに対しまして相当多数の警察官を出しまして交通の整理あるいは取り締まり等に当たり、現場におきましても警告をいたしまして、なるべくすみやかに解散なり何なりするようにということで話をいたしましたが、なかなかそう簡単にいきませんで、あのような事態に相なったのであります。  そこで、私の気持といたしましては、実は、あのように多数の人たちが旗を持ち、隊伍を組み、あるいは歌を歌い、じぐざぐ行進をするというようなことで行なわれるものまで、はたして請願という行為の中に入るかどうかということを思うのでありまして、私どもは請願と言いますものは、国民に与えられた重要な権利でございまするが、やはりこれは平穏に行なわれるということが必要でありまして、これはやはり請願の域から脱しておるという考えで、公安条例の対象になるということで取り締まりをいたしたのであります。しかしながら、行なわれる方たちの気持、またこれを指導される方の考えは、いや、これもやはり許された請願活動である、請願であるということで、われわれの考えと違うのであります。そこらに非常に苦心をいたしたのであります。やはりあのような行動が、はたして請願ということで許されるかどうかというような点は、ぜひ一つ明確にしていただきたい、こういうような気持を持っているのであります。
  175. 辻武寿

    ○辻武寿君 次に、佐々木さんにお伺いをします。議長要請権というものは、議長権限国会内にあるが、今度は国会外のデモに対して要請をするわけのものですが、この構内、構外ということについて、衆議院では昭和二十四年十月十九日に議院運営委員会構内、構外をきめたそうですが、参議院ではまだ決定してないという話を聞いております。あなたそれを御存じですか。
  176. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 衆議院議院運営委員会におきまして、院内、院外の具体的な範囲を確定いたしたことは御指摘の通りであります。私も従って、多分同じことが参議院議院運営委員会等で行なわれたのではなかろうかと考えておりましたが、先般の委員会におきまして河野事務総長から、公的機関においてそのような決定をしたことはない。しかし、議長議長としての立場で、どこが構内である、院内である、院外であるということについては、お考えをお持ちである、という意味のことをおっしゃったように記憶をいたしております。それをもって参議院においては何ら院外、院内を確定をしていないという論拠にはならないのじゃなかろうかと思います。議長決定をなさったということは、最高責任者の確定でありまするから、これをもって議長の確定が行われておるものと考えております。なお詳細につきましては、参議院の事務当局等からお答えを願いたいと思いまするが、先般の十一月三十七日の事件当日も、参議院議長も警察官の出動を要請されておるようなわけでありまするから、従って、その構内、構外、あるいは院内、院外ということについての確定は、当然、参議院にあるものと私たち考えております。
  177. 辻武寿

    ○辻武寿君 議長によって一切がきまるならば、衆議院議院運営委員会できめなくてもよかったはずで、参議院でも、もし議院運営委員会できめるのが当然であるとするならば、参議院でもきちんときめて、双方で打ち合わせなさってからこういうことを進めるのが私は間違いない当然のことじゃないかと思います。  次に五条についてお尋ねいたします。先ほどから問題になっておりましたが、うしろの方の「これに対し必要な措置を講ずるようにしなければならない。」、第五条のこれは義務性がない、自主性である、こういうような答弁でありましたが、今は私たちも、あなたも、また警視総監公安委員長も、この場で全部立ち会っておりますから、これは義務性がないということを皆知っております。ところが、これは法律としてあとあとまで残るから、公安委員長も警視総監もいずれも長年経てば交代する、そのときに、「講ずるようにしなければならない。」というこの法文は、どうしても義務性があるようにだれが見ても見えるわけです。しかも二項の方には、一番最後に「警告を発し、又はその行為を制止することができる。」、警察官の方の問題は「制止することができる。」、私は法律というものが国民のためにある以上、国民にわかりやすく作らなければならない。そのために、この前の方は「これに対し必要な措置を講ずることができる。」、こういうふうに改めれば一番問違いないと思います。そう改めるというお気持はありませんか。
  178. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は法律の専門家ではございませんが、「講ずるようにしなければならない。」ということと「講じなければならない」というのは、立法用語として違うようでございます。「講ずるようにしなければならない。」というのは、決して義務的ではないのでありまして、「講じなければならない」というのが義務規定に、これは立法用語上の慣例になっておるようでございます。従って、たとえば税金を何月何日までに「納めるようにしなければならない」ということと、何月何日までに「納めなければならない」というのとは、だいぶ違うと思うのです。「納めるようにしなければならない」という場合におきましては、まあ事情が許すなれば、なるべく納めるようにしなさいということであって、「納めなければならない」というのは、絶対に是が非でも納めなければならぬというのでありますから、だいぶその点においては義務の規定ではございません。しかし、かくかくであることを期待しておるという程度でございます。  なお、私はこの際に、私自身もこれは明確にしておきたいのでありますが、参議院におきましては院の内外の確定がないというふうにおっしゃっておるやにも受け取られまするので、私はこの際、委員長のお許しを得まして、参議院の事務当局からこの問題について明確な御答弁を願っておきたいと思います。
  179. 河野義克

    事務総長河野義克君) 私が、参議院議長警察権の及ぶ範囲が参議院においてはさまっていないと申したやに思われるが云々ということでございますが、さように申した事実はございません。先般の議院運営委員会審議の際に、衆議院においては、議院運営委員会という公的な機関において、議長警察権の範囲はかくかくということを定めたが、参議院議院運営委員会においてそういうことを定めたことありゃという御質問がございまして、それに答えまして、公的機関ということが議院運営委員会という意味でありまするならば、参議院議院運営委員会において参議院議長警察権の及ぶ範囲を定めた事実はございませんということを申し上げ、そのあとで、議長警察権の執行の責任に当たる議長としては、当然、議長の警察権の範囲はどこどこであるということは考えておりますということを申し上げたわけでありますが、私といたしましては、前段の答えが、議院運営委員会という公的な機関におきまして云々という御質問でございましたから、今申し上げたように答えたわけでありますけれども、参議院議長としても、むろん公的な機関であり、本来の権能を持っておる職にある人であります。従って参議院におきましても議長議長警察権の及ぶ範囲はかくかくであるということを定めておるのでございまして、このことはこの際明らかに申し上げておきたいと思います。
  180. 辻武寿

    ○辻武寿君 その第五条の今言った「しなければならない。」ということですね。どうしてもあなた法律用語だと言うけれども、法律用語、法律用語と言っても、わかりにくければしょうがないでしょう。これは議運でもずいぶんもんで来た問題だと思うのです。ここでもまた問題になるくらいですから、あとあとこれは問題になりますよ。ですから問題にならないように、「必要な措置を講ずることができる」とすれば、だれにもわかるのだから、わかりやすいように変える方がいいのではないかと思うのだが、その意思はありませんか。
  181. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は、先刻申し上げましたように、これは立法用語として大体確定をいたしておるようでありまするから、従って、今御指摘のような御心配はないと考えております。しかし、まあその方がいいというなれば、皆さんの御審議の上で変更なされましても、それはまあけっこうなことと考えております。
  182. 辻武寿

    ○辻武寿君 次に、事務総長にもう一ぺんお聞きしますけれども、衆議院の方には、集団陳情取締要領という非常にりっぱなものがある。また面会規則もありますが、参議院はこういうこまかいものがないというように聞いておるのですが、ありませんか、参議院には。
  183. 河野義克

    事務総長河野義克君) お答えいたします。  参議院においては、集団陳情取締要領あるいは議員面会規則、そういうふうに正規に定めたものはございません。参議院におきましては、昭和二十四年の庶務小委員会決定によりまして、議員の面会は原則として議員面会所において行なう、やむを得ないときは控室内において行なうことがあるということをきめまして、それによって行なっております。なお、集団の陳情等につきましては、河井議長のとき以来、三十人を限って面会所までは入ることを認める、そこで陳情の要旨を聞いたり面会をする、それ以上の人数の方は構内に入っていただくことはしないということをきめまして、自来その方針で来ております。なお、面会規則とか、あるいは集団陳情取締要領とかいうものは、具体的な細部に関するものでございますから、規則等を一々作りませんでも、実情に応じて適宜責任者において措置すれば足りるという観点に立って今日まで来ておるわけであります。実際の措置の要領は衆議院とそう異なってはおらないと存じます。
  184. 辻武寿

    ○辻武寿君 衆議院集団陳情取締要領、面会規則を見ると、非常によくできておりまして、参議院でも同じように、両方申し合わせて国会陳情取締要領とでもしてやれば、これだけでも、新しくデモ規制法を作らなくてもいいと私は思うのですけれども、そう思いませんか。
  185. 河野義克

    事務総長河野義克君) 衆議院に面会規則があり、また、集団陳情取締要領が定めてございますが、こういう事柄は、面会なり、あるいは集団陳情の扱い方の細部の具体的な問題でございますので、そういうものだけで万般の問題が解決し得るやいなやということは慎重に考察しなければならないと思います。ただ今度の法案の代りという意味ではなくて、衆議院にこういう面会規則なり取締要領があるが、参議院でもこういうものを定めた方がよいではないかという御意見であるといたしますれば、十分傾聴いたしまして、私どもとしても検討いたしたいと存じております。
  186. 辻武寿

    ○辻武寿君 では最後に、第七条にいきまして、「国会議事堂周辺道路において集団示威運動等が行われる場合において、正当な理由がないのに、その集団示威運動等参加者等で他人を指揮し、又は他人に率先して国会議事堂又はその構内に侵入したものは、五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」とある。この「他人に率先して国会議事堂又はその構内に侵入したものは、」とあるが、この率先の仕方にはいろいろあると思うのですよ。それで、前の方にいるために押し出されちゃったというのもあると思うのです。そういうものも対象になる憂いがあるのですが、対象になるかならないか、その心配がないか、その点をお伺いいたします。
  187. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 第七条で申しまする「率先して」という意味のことは、みずから他にぬきんでてという意味でありまするから、従って、うしろから押し出して、はみ出されてきたという場合は、これはもとより含まれてはおりません。しかしながら、これは必ずしも陣頭に立って侵入をするという意味ばかりではなくて、あるいは計画的に後方からこれを扇動するとか、あるいはそういうふうに大衆を指揮してそうしむけていくというようなことは、いわば「率先」の中に入ると思っております。
  188. 辻武寿

    ○辻武寿君 大体わかりましたけれども、この前の全学連が羽田で岸さんを阻止しようとしたときに、女子学生が、ただ肩書があるというだけで、それだけで引っ張られたという話を聞いて慨嘆にたえなかったのですけれども、ただ先の方にいたからというだけで率先したと思われることもあるかもしれない。そういうことがないようにくれぐれも気をつけていただくように要望いたしまして、私の質問を終わります。   —————————————
  189. 高橋進太郎

  190. 石黒忠篤

    石黒忠篤君 私はごく簡単な質問を四条についていたしておきたいと存じます。  だんだんの御質問で私の伺いたいことは尽きておりますが、四条について、両院の議長は、警視総監に対して処置をとるように要請することができるということが書いてあります。必要なる措置という、どういう措置が必要かということは、これは全部警視総監判断にまかせてあるのでありますか、これを両院議長が指定をすることがあるのでありますか、その点を提案者に伺います。
  191. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 御指摘の点は第四条の第二項かと考えまするが、これは今仰せの通りに、警視総監がいかなる措置をとるかは、警視総監自身が自主的に判断をして必要な措置を講じられることになっております。
  192. 石黒忠篤

    石黒忠篤君 この必要なる措置の中には、交通の自由を制限をするということも提案者においては考えのうちに入るという御意見でございますか。
  193. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) この必要な措置というのは、要は、国会議員登院国会審議権の公正な審議確保するために必要な措置だという意味でございます。従ってこれは、集団示威運動等を取り締まりの対象としたものでありまして、普通の交通取り締まり等とは意味が違うわけでございます。
  194. 石黒忠篤

    石黒忠篤君 私の伺っているのはそういう点じゃない。集団行動の制止をするために、一般の交通の自由を、ある場合停止をし制限をすることをも含んでおるかという質問であります。
  195. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 法制局次長から詳細に答弁していただきます。
  196. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 私から補足しておきます。ただいまの必要な措置と申しまするのは、集団示威運動等国会周辺で行なわれます場合におきまして、たとえば国会議員の方が登院できないというような事情等でありました場合におきましては、たとえば、ある道路等は入れないようにしてもらいたいとか、たとえば、どこかに入っておられれば、その程度においてまあ外からもそこで停止してもらうとか、こういうようなそのときどきの具体的な事情に応じまして必要な措置内容は変わってくるだろうと存じます。ただ、それに基づきまして警察官の方でどういうような措置をおとりになるかは、これは全く別個の問題だと、かように考えます。
  197. 石黒忠篤

    石黒忠篤君 ただいまの御答弁によりますと、一般の交通の自由を制限または一時的に停止をすることも、警視総監判断によってやってよろしいという御意見ですか。
  198. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 議長の方で要請いたします措置は、私がただいま申し上げましたような措置でございまして、その措置に応じまして警視総監の方で——警察官の方でどういう措置をとるかは、五条の二項に書いてございますように、警告それから制止、こういう二つ権限がございます。それはそのときどきの具体的な事情によりまして警察官の方で必要なる措置を講じられることになるだろうと、かように考えております。従いまして、直接どこの交通を、一般の人は入れないようにそこを禁止するとか、あるいは交通の制限をするとかいうようなことを、直接目的としておるわけではございません。
  199. 石黒忠篤

    石黒忠篤君 どうも少々明確を欠くようでありますが、大体この程度で……。  警視総監に伺うのでありますが、警視総監は、五条の2によりまして、ただいまの問題で、集団示威運動について制止のために必要な措置として一般の交通を制限し、もしくは停止を一時的にするということをやられる場合があろうと思うのでありますが、いかがでありますか。
  200. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 第四条の第二項によりまして議長さんから必要な措置要請があるわけでありますが、その要請には、具体的な措置要請の場合、あるいは一般的、抽象的な措置要請があろうかと思います。いずれにしましても、これを受けました警察といたしましては、その要請の趣旨を尊重いたしまして、必要な限度においてあるいは警告あるいは制止というような措置を講ずるのでございます。ただいま御指摘の一般の交通をとめるということがあるかというお話でございますが、これは私は極力そういうことのないようにすることが至当であろうかと思いますが、しかしながら、緊急の場合によりまして、混乱を避けるために、ある場所について交通の規制をするということはあり得るかと思いますが、できるだけそういうことのないようにして措置をしていくということがこの趣旨じゃないかと、こう考えております。
  201. 石黒忠篤

    石黒忠篤君 ただいまの点に関しましてお伺いいたしたいのでありますが、先般の場合にも、私は必ずしも登院ではなかったのでありますが、ここを通って他の個所に行くことが不可能であった——むろん停止されたのではないと思いますが、不可能であった。その状況から考えまして、公衆の多少の自由を制限しても、たとえばここを通っておりますバスのごときは迂回をさせるというようなことをするとか、あるいは一時的に停止をするとかいうことはあるのじゃないかと思うのでありますけれども、五条の方は主として運動者に対する警告と制止のように思うのです。一般のことを私は伺っておるのであります。一般人の交通の自由をどうするかという問題であります。もしそれを制限をするというと、それは法条はどういうものを根拠にしておやりになるか、それを一つ伺いたい。
  202. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 先ほども申し上げましたように、一般の交通になるべく支障を生じないように措置を講じているというのが私どもの気持でございますが、ただ実際の場合に、そこが相当の多数の人たちのために混雑しておって通れない、あるいは車なんかにしましても、こちらの方をしばらくの間は迂回してもらった方がよろしい、こういうようなことで、必要最小限度にそういう規制をする場合があると思うのでございます。これはいずれ道路交通取締法に基づいてそういう必要最小限度の措置を講ずるわけでございます。
  203. 石黒忠篤

    石黒忠篤君 ただいまの警視総監のお答えで大体了承いたしました。  やっかいなものが衆議院の前に一つできたと思うのであります。地下鉄の停車場があそこにできた。あそこから運動熱心家が続々と地から湧いてきた場合、これは新しい現象だと思うのでありますが、十分にお考えになって、一般の通行者と運動熱心家とをよりわけて御処理願うように、これは詳細な御研究が必要だと思う。衆議院前停車場に上る者は一切ある期間キップは売らないというようなことをされては、これはいかんと思うのであります。そこで非常にめんどうな問題が起こると思うのであります。そういうことを十分に御研究になって御準備下さらんことを要望いたしまして私は質問を終わります。
  204. 亀田得治

    亀田得治君 委員長、ちょっと……。
  205. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 亀田君、関連ですか。
  206. 亀田得治

    亀田得治君 はい。
  207. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 亀田君、これから地方行政の方々の質問がありますから、そこいらをお含みの上、簡単にお願いします。
  208. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと佐々木さんにお聞きしますが、今、石黒先生がおっしゃったような点があるものですから、私はこの新しい道路交通法との関係等をよく研究されておるのかという点等を最初に聞いておったわけなのです。で、あなた自身は今の点をどういうふうに考えているのですか。
  209. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ちょっとわからないのですが、何をどう考えているか……。
  210. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 亀田君、石黒委員の質問は二つに分かれていて、あとの問題は地下鉄のこと、前の方は別のことを言われたのですから。あなたの質問はどの点ですか。
  211. 亀田得治

    亀田得治君 一般の交通です。
  212. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 新しい道路法のことかと思いますけれども、これはずっとのちになって国会に提出されたのではなかろうかと思います。従いまして、私はそれとの関連を考慮してこれを提出したというわけのものではございません。
  213. 亀田得治

    亀田得治君 まあ、あとから出しても、同じ国会に、こうちゃんと、すでにかかっておるわけなんです。そうして、今、石黒先生がおっしゃったような場合に、はたして新しい道路交通法で処理できるのかどうか、これも問題であります。そうでしょう、行為者はこのあなたが出された法案で書いておる人なんです。この法案ではこの行為者だけしか対象じゃないわけでしょう。一般の人は関係ないわけですから、それでは一般の人はすぐ道路交通法でいくのか、そういけるかどうかという問題ですよ。関係ないのだから、この人たちは。だから、その辺のところはもっと検討をされてみる必要がある、そういう点からしても。道路交通伝のどれでいくのですか。
  214. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は新法について今事務当局の方では六条とか七条とかいうお話がございますか、詳細について私は知りません。しかしながら、私はこの第四条におきましてこれは議長要請権であります。その要請を受けた公安委員会とか警視総監がいかなる措置をとるかということは、そちらの自主的判断によってやっていただけばいいわけでありまするから、従って新しい道路法が出てそれによってそれを適用すべき場合におきましては、それを援用していただけばけっこうなことでありますし、また現在の道路交通取締法によって取り締まる必要がある場合においては、それによってもらったらけつこうなことであります。要は、議長として国会議員登院国政の公正な審議が行なえるような状態にしてくれということを要請するだけであります。従って要請を受けた人々は、それぞれの法条に従ってその善後措置を講ぜられる、こういうわけでありますから、現段階におきまして私たちがこの立法をする、議長にその権限を与えるということは何ら矛盾しない。また新しい道路法の成立を待たなければならぬという根拠にはならないと考えます。
  215. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 細田君にちょっと委員長から申し上げます。先ほどのあなたの質問にも、新法を提案者がいまだ読んでおられない、従ってその新法の道路法とこの法案との関係は一応保留する、そうしてあなたの方も研究しておいてもらいたいというお話になっておりますので、いかがでしょうか。やはり提案者はまだ読んでもおられないというのですから、従って新法律との関係は、あなたの先ほどの御質問にも保留になっているわけですから、一括保留しておいていただいて、あなたの質問が残っているわけですから、あとに回したいと思いますが、いかがですか。
  216. 亀田得治

    亀田得治君 わかりました。そういう趣旨で処理します。ただちょっと申し上げておきますが、警視総監の先ほどの答弁にも実は若干疑問があるのです。これはまあともかく佐々木さんの方でもよく検討しておいてもらって、次回にまた質疑をしたいと思います。   —————————————
  217. 高橋進太郎

  218. 鍋島直紹

    鍋島紹君 私は地方行政の立場から、提案者と警察当局に二、三点お伺いしたいと思います。時間も迫っておりますし、あとなお質問者の方も予定されておりますので、簡単明瞭に質問いたしますので、お答えも一つ端的に明確にお願い申し上げたいと思うのでございます。  まず提案者に対しまする質問でございますが、一括して御質問いたしますので、一括してお答えを願いたいと思います。第一点は憲法第九十五条との関係であります。地方公共の秩序を維持するということ、そのことは、地方自治法の第二条におきまして示されております通り、地方公共団体の固有の事務であるというふうになっております。そのような意味から、公共の秩序を維持する警察力の維持あるいは警察の行動というものは、地方公共団体の事務だと考えられるわけでございますけれども、こういった観点からみると、今回御提案になっておりますこの法律案は、地方公共団体であるところの東京都に適用せられるというような関係上、憲法九十五条によりましてあるいは特別法ではないか、住民投票を必要とする特別法ではないかというような疑問が出てくる次第なのであります。この点におきまして、提案者はそうでないということを、案は前回あるいは前々回、あるいは本会議等でお答えになっておったかと存じますけれども、基本的な問題でありますので、一つこの点を明確にしていただきたいというのが第一点であります。  第二点におきましては、本法の第四条によりますと、「国会審議権の公正な行使が著しく阻害され、又は阻害されるおそれがあると認められる場合」というような表現になっておるのでありますが、「著しく阻害される」、こういった事態というような点につきまして、端的に一つどういう場合を想定しておいでになるかということを明らかにしておいていただきたいと思うのであります。  次に第三点、審議権が阻害され、または審議権が阻害されるおそれがある、この認定というものは、この法律案を読んでみますと、議長が行なうことになり、議長判断をして、あるいは東京都の公安委員会なり警視総監要請をするというようなことになっておるのでありますが、そういう場合におきまして、現実の問題におきまして議長がそういう判断をするということが実際において正しく可能であるかどうか。しかも、議長がどういうことを材料にしてその判断を下すのであるのかというような点につきましてお答えを願いたい。繰り返しますが、議長がそういう判断を下すということが、実際上において、いわゆる国会が開かれ、審議が行われる、あるいは予定せられておる場合において実際可能であるか、あるいは何を材料としてそういう判断を下すのであるかということを、提案者におかれてどういうことを頭に置いて提案せられたかどうかという点であります。  それから第四点は、この法案の別表に国会周辺道路が図示せられて、これに付属書類となって付いておるのであります。この地域をもうきめられておるのでありますけれども、両院議長の、要請という関連におきまして、どういう点を基準にせられましてこの地域を定められたのであるか、こういうことであります。本法目的は重々承知をしておりますけれども、できるだけこういう地域は広くなく狭い方がいいわけでありまして、どういう点を基準にせられましてこの地域というものを定められたかということ。  以上四点につきましてまず提案者に御質問申し上げたいと思います。
  219. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 第一の点は、本法憲法第九十五条にいういわゆる一つの地方公共団体のみに適用される特別法ではないかという意味の御質問でありまするが、この法案一つの地方公共団体そのものを対象としたものではございません。一定の地域内の行為を対象としたにすぎないのでありまして、その参加者は一地方公共団体の住民に限られておるわけではないのであります。さらにまた、公安委員会に別に新しい特別の義務を課するものではないわけでありまして、従って憲法第九十五条にいう特別法に従って住民投票等を行わなければならぬものとは考えていないわけであります。  第二点につきましては、国会審議権の公正な行使が著しく阻害されるというのは、どういう場合であるかということでありまするが、これは申すまでもなく、国会議員というものは外部からの圧力や影響力によって審議権が阻害されることがあってはなりません。従ってそのような公正な審議権行使が、ときには有形あるいはときには無形の圧力、影響力等によってゆがめられる状態を避けなければならぬという意味でございます。しかし、個々の集団示威運動等がどのような状態に至ったならばこの基準に該当するかというような点につきましては、そのときのやはり具体的な事情に即して判断するよりほかになかろうかと考えます。  次の御質問は、議長は警察に対して警告、制止を要請するのであるが、その判断は可能か、そういうふうな御質問であったと思いまするが、この外部の事情につきましては、常々議長から公安委員会とかあるいは警視総監等に対して情報の交換等をおやりになると思いますから、従ってこのような外部の情勢についても、ほぼ判断するのに必要な材料が提供せられると思いますし、またそれが具体的に国会議員登院の妨害となったり、あるいは国会における審議権の公正な行使に妨害となるかどうかということにつきましての判断は、何人よりも議長が最もよく知っておられるわけでありますから、やはり議長判断は十分できるであろうと考えます。  それから第四の点につきまして国会議事堂周辺道路ということになっておるが、これはどういうことかということであります。これは本法案目的に照らしまして、議員登院審議権の公正な行使確保のための必要な最小限度にとどめたわけであります。すなわち、道路について申しますならば、議員登院するにあたってぜひとも通らなければならない道路、言いかえますならば、議事堂の敷地の境界に接する周辺道路及び直接議事堂に至る道路のうち、必要最小限度のものに限って指定をいたした次第であります。国会用地につきましては、一般の通行の用に供しております道路、それから議員会館前の広場等の公衆の出入りの多い場所を主として指定いたした次第であります。そのほかには、国会周辺道路に接する国会用地であって管理が十分にいきとどかない場所、午前中申し上げたわけでございますが、たとえば尾崎記念会館であるとか、あるいは国会図書館の建設用地等をも若干指定をいたす、そうして最小限度にとどめたわけでございます。
  220. 鍋島直紹

    鍋島紹君 提案者に対する質問を終わりまして、次は警察当局に二、三御質問を申し上げたいと思います。  今日こういった法律ができます趣旨は、すでに数次にわたって承っておるのでありますし、一応こういう法律が立案せられ、審議をしております以上、この法律が実際において国会乱入事件等の不祥事件を起こさないようなことに実際の面において役立つ法律でなければならない。こういう点も考える次第でありますし、逆に、この法律がそういったいろいろな面において従来の取り締まりにいろいろ混乱をさせるようなことになっては、かえって逆の効果になる次第であります。そこで、実際取り締まられる警察当局にお伺いをいたしますことは、今回提案せられておりますところのこの法案の中で、今日までの種々の体験を警察当局が考えられまして、集団行動等の規制にあたりまして、はたして十分であるかどうか、十分でき得るかどうかという点、どういうふうにお考えになっておるか、この点の御所見を承りたいと思います。  第二点といたしましては、両院の議長要請をいたします。公安委員会警視総監が必要な措置をとることになっておるのでありまして、この必要な措置について、義務づけられるとか、あるいは自主性であるとかというような、いろいろ論議が今日まで続けられ、公安委員会あるいは警視総監においては、自主的にするし、その要請はあくまで努力してもらいたいあるいは期待するという意味のものであるというような御答弁があったのでございますけれども、いかにいたしましても、そういった要請があるということが、現実の今日までの体験から見られて、いわゆる警察の指揮関係において一定の制約を受けるとか、あるいはその指揮関係が混乱をするというような、そういった懸念をお持ちになっておるかどうか。その点におきましての実際の体験から見たところの警察当局の率直な御所見を承りたい。これが第二点であります。  それから法案内容につきまして一、三簡単に伺いたいと思いますが、この第五条の第一項、第二項におきまして先ほども出たかと思いますけれども、「自らその職権行使するほか、」云々というのがあります。公安委員会警視総監の自分みずからの職権を行なう、ほかにこういうことができるというふうに書いてありますが、みずから行なう職権というものはどういうことを考えられておるか、どういうものであるかということを承りたいのであります。  それから第五条第一項でありますが、この規定におきましては、公安委員会に対しまして義務を課するものではない、あるいは第三項も警察の自由裁量にまかせた規定だという説明で今日まで一貫されておりますが、このような解釈であったならば、実際において警察当局の取り締まりに対する態度というものはあまり従来と変わらぬのじゃないか。要請があろうがあるまいが、やるべきことはやっておられるのでありますから、その点においてのどういう点が、要請があった場合となかった場合と、従来の取り締まりという形においてどうもはっきりしない点があるように見られるのであります。この点、警察当局のこの法案に対します基本的な取り締まりという問題に対して、以上申し上げたことに対する御所見を承りたい。以上、当局の方から一つお願いいたします。
  221. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 最初の第一点だけ私からお答えしまして、あとは警察当局の方から体験に基づいた考え方を申し上げたいと思います。  私は、この法案ができ上がりますというと、国会周辺静穏保持の重要性ということが宣明されると思います。国会審議権確保ということが大切であることがはっきりいたしましてまた議長要請というようなこともこれに加わってくるのでありますから、そう取り締まりの適正を期し得るかと存じておるのであります。
  222. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 議長から要請があった場合に、警察として必要な措置をとるということになっておるが、指揮関係と申しますか、指揮系統を乱すようなことはないかという御質問でございますが……。
  223. 鍋島直紹

    鍋島紹君 制約を受けるかということです。
  224. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) これは、私はそのようなことはないと存ずるのでありまして、いずれの場合におきましても、警察の措置というものは、やはりその長の判断、指揮に基づいて一切行なわれておりますので、そのような心配はなかろうと存じております。  それから第二の点で、みずから職権を行なうこと、みずから職権ということの職権はというお話でございますが、これは公安条例による許可その他の規制、あるいは道交法による措置、あるいは警職法による措置というようなことが大体考えられるのではないか、こう考えます。   それから最後の点の、こういう要請があった場合といいますか、今回の法案によってどのような違いが出てくる不というようなことでございますが、これは私、従来からの取り締まりの方針というもの、考え方というものは、根本的には変わるものではないと思うのでありまするが、ただこの法案によりまして国会周辺静穏を保つといいますか、そういうようなものでなければならないということが、国会の意思としてはっきりされるということになりますならば、私どもがいろいろ公安条例の関係等におきまして措置をする場合に非常にけっこうであると思うのでございます。なお議長要請ということがございますならば、その要請の趣旨を十分体して行なうということになりますので、そういう面におきましてもいろいろ実際の処理上従来に増して一そう適切な措置をとり得るのではないか、こういうふうに考えております。
  225. 鍋島直紹

    鍋島紹君 大体了承しましたので、質問を終わりますが、最後に要望だけ申し上げて置きます。  第一点に申し上げました憲法九十五条と本法案関係、これは地方行政あるいは地方の関係からいいますと、非常に重要な問題でもあり、さらに今後各都道府県とのいろいろな条例、法律等の関係におきまして幾多の重要な点があるかとも思いますので、この点を一つさらに提案者におかれまして明確にしていただきますことを要望申し上げまして質問を終わります。   —————————————
  226. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 基政七君。
  227. 基政七

    ○基政七君 私は、まず一般的の点について二、三御質問いたしたいと思います。私はおもに発議者の方にお願いいたしたいと思いますが、国会審議権確保の点については、常識的に考えて、院の内における会議運営議員の行動等にあると思うのでありますが、これをことさらに国会周辺にまで広げているというのは、三権分立の立場からいいまして都で当然管轄すべき範囲にまで国会がくちばしを入れることになるのではないかという感じがいたします。この点を特に私が申し上げるのは、国会議員であれ、一般国民と同様な権利義務を持つものであって、特に国会議員のみがこういう権利を主張する根拠はきわめて薄いのではないか、むしろこういう法案の建前から見れば、少し私は行き過ぎているのではないかという立場で質問をいたす次第です。この点について一つ発議者の方から御答弁をいただきたいと思います。
  228. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ただいまの御趣旨は、すべての国民法律の前に平等でなければならないと同じように、国会だけがこういうふうな議長要請権を持つというようなことは行き過ぎじゃないかというふうな意味の御質問のように受け取りました。しかしながら、申すまでもなく、今日、国会は国権の最高機関であり、国の権利の最高の機関でございます。今日、国民主権の議会政治をとっておりますときに、国民を代表した議員が公正に審議権行使することができないというふうな状態では、国権の最高機関としての地位を保てようはずがございません。さような意味におきまして、まず国会の構成員であるところの国会議員国会への登院確保すること、従って公正な審議権確保すること、これは決して私は行き過ぎだとかあるいは特に国会に対して特権を与える行為であるとは考えていないわけであります。
  229. 基政七

    ○基政七君 国会審議権は、もちろんこれは、憲法規定してありますように、種々重要な問題が含まれているわけでありますが、その範囲で考えてみましても、国会議員登院それ自体を単に法律で守るというのではなくて、議員それ自身の良識に待つべであるし、その責任があると思う。そういうふうな立場から考えまして特に都の方の立場でやるべき国会周辺こまでこの法律を及ぼすというのは、やはり明らかに私は行き過ぎではないか、こう考える。
  230. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 国会議員登院は自分の力で確保すればいいじゃないかという前段のお話のようでありまするが、自分の力で確保しようと思えば、暴力を行使してでも行なわなければならぬということになるわけであります。この間の十一月二十七日の事件を見ましても、あの状態というものが、とうてい国会議員の平常な登院確保された事態ではございません。従って、これはぜひとも国会議員登院確保することが必要であると考えます。また、別に、この国会が新しく公安委員会に対して義務を課するわけではなくて、公安委員会に対してその許可の取り消し、条件の変更を要請するわけでありますから、決して越権の行為だと考えておりません。
  231. 基政七

    ○基政七君 今のお話によりますと、議員が一人で、自分の良識に待って、国会審議権を発動しようと思っても、途中で暴力その他によって妨害を受けた場合には議員の職責が果たせないのではないかという趣旨によるものと思うのでありますが、その際は、一般の通行者の場合でも同じで、暴力によって交通を阻害することは別の法律で規制されておるわけです。特に、都の方の管轄権であります国会周辺の土地一般については、私は明らかにやはり都庁にその取り締りなりその権能があるべきだと思いますが、それを今日なお法律によって規制するところに一つ問題があるということを、私は重ねて主長し、御質問をしたいです。
  232. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 具体的に暴力等に訴えて議員登院を阻害するような場合につきましては、暴力取り締まりの刑法上の規定その他がございます。しかしながら、直接暴力をふるわなくても、集団の力によって外部からの、たとえばスクラムを組む等の威力を用いて集団の力を用いて議員登院を不可能にせしめるという事態もあるわけでありますから、従いまして現在の刑法等において、あるいは道路交通取締法等において取り締まり得ない部面もたくさんあるわけでございまして、さような点を本法によって補おうというものであります。
  233. 基政七

    ○基政七君 今のお話によりますと、何か具体的にそういう事態があったように言われておるのですが、私どもの知る限りにおいては、示威運動といえども、すべてみんな正しく、しかも公正な立場で自分の国民の権利を行使しようとしておるわけであります。従いまして、私はそういうことを予見することに一つの危険がありはしないかと思っているのです。むしろこれから先の問題は、もうすでに問題になっておりますように、今度のデモの問題につきましては、衆議院の方でも議長がやはり一半の責任をとられて、はっきり国民の前にそのことを表示されております。また、各議員もそれぞれの立場で良識をもって判断すれば、こうした法律で取り締まることは、むしろ私は無理だと思うのです。むしろ、もっと国会自体が各人の良識によって権威あらしめることに期待する方が、私は正常な姿であろうと思う。これをことさらに、ある時点をとらえて、それをもって全段を取り締まっていくというやり方は、やはり民主国家の立場から見まして、相当慎重に考えるべきではないか、こう考えておるわけであります。ことに都の条例は、今、違憲か違憲でないかという争いが起こっております最中に、この法律で、もし何らかの事態が起こって、これはやはり法で争うとすれば、相当やはり問題があるんじゃないか。そういうことは、国会の権威の立場から、憲法を守っていくという国会の立場から、私は慎重にあるべきだと思うのですが、そのことについて発案者は何か考慮されたかどうか、この点について私は、むしろ国会という立場から見て、憲法については正しい指針を与えなければならぬ責任のある国会が、憲法違反にまぎらわしいような、いわゆる疑いを持たれるような法案を今出すということは、私はよろしくないと思うのです。この点についての考えをお伺いしたいのです。
  234. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ただいまの御意見によりますと、まあ、ある事件の起こることなどを予想して、そうして議員登院確保、あるいは国会審議権確保というような立法措置をすることはどうかというような御意見でありまするが、現に、これは認識の相違もあるかもわかりませんが、十一月二十七日の事件を見ましても、私たちは、あの事態というものが、とうてい国会議員登院確保し公正な審議権行使ができる状態とは考えておりません。あの事件がかまわないのだ、あれでもけっこうだという認識の方は別でありますが、われわれはあの事態というものはぜひとも防止しなければならぬ、こういう観点に立っておるようなわけであります。  それからまた、衆議院においては議長責任をとったというようなお話でございましたが、ついでであるから私の意見を申し上げておきますが、衆議院議長は十一月二十七日の国会乱入事件が起こったことに対する責任をとったわけではございません。議長の声明に明らかなように、衆議院議長としては、十一月三十七日のような憲政始まって以来空前の不祥事件を迎えたことはまことに遺憾であるから、かようなことを再び繰り返さないために、一つには、その責任者に対する処罰をするということ、そのためには、議長はみずから涙をふるって、職権をもって淺沼稻次郎君外五名の社会党議員を懲罰委員会付託をいたしました。一つには、かような事態が再び繰り返されないために、何らかの法律上の措置が必要であろうとお考えになって、さきに衆議院議院運営委員会理事会試案を提示されたわけであります。それに基づいてわれわれは今日立法をしようとしたわけでありまするが、しかしながら、議長はその二つの悲願を成就した後に、自分としては十一月一十七日の事件についての自分の考え方も表明したいという考えでありましたが、社会党の方から、その議長が現職にとこまっている限り一切の審議には応じない、こういうふうな事態になりましたので、この事態はまことに遺憾である、いつまでも自分が議長をやっておりましたならば、ついに国会審議が行なえないというようなことになったりでは、まことにこれは困ったことでのるというわけで、議長みずからが言っておられますように、正論ついに敗れたりということで、ついに議長はおやめになったわけでありまして、十一月二十七日に起こった事件に対する責任をとったものではないということは、私からも明確にいたしておきたいと思います。  さらにまた、条例の違憲判決の問題に関連してのお話でございましたが、これは午前中の当委員会におきまする御質問にもお答えをいたしましたように、違憲の判決の出ているものもあれば、合憲の判決の出ているものもある。しかし、まだ最高裁判所において違憲の判決が確定しているわけでもございません。かような意味において、現実の事態は、あらゆることが予想されるわけであります。その不祥事態というものは、これは是が非でも防止しなければならぬ、かようなときにおきまして、すでに現在こういった公安条例等を対象とした立法措置をするということも、決してこれは不当なことではないと、かように考えておるような次第でございまして、ぜひとも国会議農の登院やあるいは公正な審議確保したい、そういう一念から立法いたしたような次第であります。
  235. 基政七

    ○基政七君 もう一度お尋ねいたしますが、私の立場というのは、やはりこういう法律をもって人を縛るということよりも、むしろ機会あるごとにいろいろな訓練なり教育なりを通じて民主的にみんな良識を臨めていくというのが、一番私はいい方法だと思うのです。そういう立場から見ますと、先ほど私が一番最初に御質問申し上げましたように、国会審議権確保ということ、これは、私は実は国会内の問題に限って考えらるべきじゃないかと思うのです。それを、ある事象をとらえて、市民とは別な観点に立ったようなしかも、国会議員であるからとして特に特別な関係を持たそうというところに、地方自治体との関係で私は無理がきているのじゃないか。要するに、あるいは言葉は適当じゃないかもしれませんが、国会議員のやはり権利の乱用に通ずるのじゃないか。そういう意味で、私はこの法律それ自体に一つの大きな重要な疑問を持っておるわけです。でありまするから、都は都として、都のやはり秩序を維持するために、東京都は国会周辺についてはいろいろお考えになっておると思います。もちろんそういう意味で、これから問題になります道路交通法とも一応これは無関係ではないと思いますが、そういうふうな意味から見れば、私はこの法律は確かに大きなやはり疑問がありますし、国民が見ました場合に、ことに国会議員だけ周辺までも国会議員の安全を確保するというのは、むしろ一般市民と同等に考えてしかるべきじゃないかという疑問も当然出てくると思います。そういう場合に、特に何か規定するというのは、私はやはり国会議員の権利の乱用であろう、こういうふうに私は、はっきり考えておるわけです。ですから、そういうことはまず本質的に考えてもらえば、この法律がかなり私は全体的に見て無理であるということは、発議者の佐々木さんもたぶんお考えになっていらっしゃるのじゃないかと思います。それは、その当時はいろいろなことがございましたから、勢いに乗ったということもありましょうけれども、その後、冷静にお考えになりますと、私は国民の立場から見た場合に、そういう疑問が出てこないというのは、むしろ国会議員として私は恥ずかしい気がするわけです。ですから、そういう意味で、都庁との関係におきまして、もう少し明快に、自治庁との管轄権の問題で、もう少し明快にお答え願っておきたいと思います。
  236. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) お説のように民主主義というものは苦い経験の積み重ねの上に国民の良識の水準の高揚を待って完成されるものとは思います。しかしながら、今日のこの段階において、現実に国会を構成する国会議員登院が不可能な状態に置かれたという事実も、われわれが目のあたり体験をしておるわけです。また公正な審議を妨害されたという苦い経験を味わっておるわけです。外国におきましても、単に院内のみならず院外に対しても相当広範に地域を指定して、その地域におけるところの一切の集団行動というものを取り締まっておるわけであります。イギリスの場合などにおきましても、その中に、あの法律の前文にも書いてありまするが、これは非常な悲しむべき経験によって本法が生まれた——サド・エクスペリエンスと書いてあります。悲しむべき経験からそういう法律を作らざるを得なかったというのですが、私たちはこの間の十一月二十七日はまさに悲しむべき事態と思います。そういう経験に基づきまして革に院内だけを規制する法律では不十分であって、そうして国会周辺秩序確保しなければならぬという事態は、法律でこういうことをきめるということは、まことにわれわれといたしましても不本意であります。遺憾なことでありまするが、現実には何らかこれに対して防止措置を講じなければならぬというのが現実の事態であります。さような見地に立ってやっておるわけでございまして、これは決して私は自治権を侵害するというようなものではなくて、議長から、こういう事態では困るから、何か適当な措置をとってくれないかということを要請するということは、決して自治権に対する侵害であるとは考えておりません。外国の例等を考えてみましても、この程度のことは近代文明国家において当然とるべきことであると考えております。
  237. 基政七

    ○基政七君 今イギリスの例が出ましたが、イギリスの国会周辺には、日本の国会のように、さくがございません。国会の外はすぐ道路になっておることは御承知の通りだと思いますが、そういう意味においては、確かにある場合に苦い経験から、ああいうものが必要であったかもしれませんけれども、日本の場合には、国会の前に相当広範囲のさくがめぐらしてあります。この場合、一応構内と見れば、その構内の立ち入りについては、現行法によりましても無断立ち入りを許してはおりませんし、もし無断で立ち入って騒擾を起こしたり、すわり込みをやれば、今の刑法でも十分取り締まりができると思うのです。これは私どものさくでも同じでありますが、無断で入ってくれば家宅侵入罪が成立しておるわけでありますから、そういう意味で、私は現行の刑法によって十分確保できると、かように考えております。ですから、私はそういう意味から、この法律全体を見渡して、何か議員が特権的な、特権といいますか、乱用するという感じがするわけであります。ですから、国会周辺構内とまず考えてみれば、この間のデモのときにも入って参りました、決して交通を妨害された事実を私は知っておりません。門衛の方でも国会議員のバッジをつけておれば入ることを許されたはずです。そういうようなことであれば、あの十一月二十七日のデモによってそういう事態が起こったということは、少し詭弁を弄するのじゃないかと私は思うのです。事実私は入って参りました。バッジがあれば門衛の方は自由に出入りを許しております。ですから、そういうことが私はこの際問題になるのじゃなくて、国会周辺にさくをめぐらして、構内と指定がある以上、それでもう十分じゃないか、それ以上に法律を広げていくというのは、やはり自治権の侵害になるのじゃないかということを、区別をして私は実は申し上げておるわけです。
  238. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) あなたは十一月二十七日の当日、自由に院内へ通行できたとおっしゃいますが、今しがた、その幾分か前に、同じ質問席に立たれた石黒さんは、自由な通行が不可能であったと、かように証言をされております。私たちは、認識の相違かもしれませんが、私たちの良識に訴えて判断をいたしまするならば、十一月二十七日の事態というものは決して好ましい事態ではなかった、あるいはこの国会の公正な審議が行なわれるにふさわしい事態とは考えておりません。あの事態は、まさしく国会議員の自由な登院ができない事態である、従って国会の公正な審議が行なわれないという認識にわれわれは立っておるわけであります。  なお、先ほどおっしゃいまするように、国会には構内と構外との間に、さくや生けがきがあるじゃないかということですが、すべての国民がそれを守ってくれればけっこうですが、たとえば十一月二十七日の事件のごときは、さくの中に入ってはいけないことが明らかであっても、これを乗り越えて入る。いわんや正門を突破して、あるいは衛視の制止を聞かずして乗り越えて入った一万数千名のデモ隊がおったことは御承知の通り。かような事態から、ぜひともわれわれは国権の最高機関である国会を守りたい、こういう一念に燃えて提案をしておるわけです。
  239. 基政七

    ○基政七君 自治庁長官にお伺いいたしますが、私は、先ほどの理由によりまして、自治庁の持つべき権能を、国会議員審議権確保というその名目のもとに侵害しておるんじゃないかということを質問しておるわけであります。自治庁長官はどういうふうにお考えになりますか、お伺いいたしたいと思います。それからなお、交通にいろいろな不便があって来れなかったというのは、決して構内の問題ではなくて構外の問題です。ですから、その点は私は別の法律で十分に確保されておるのじゃないかという立場をとっておるわけですから、念のために申し上げておきます。
  240. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 基委員の前段の質問が私よくのみ込めないのでありまするが、一地方公共団体の関係のなにする法律じゃないかというような御指摘ならば、先ほどからたびたび提案者からも申し上げておりまするように、一定の地域を限った関係法律であり、関係者が一地域住民だけを限っておる法案じゃないのでありますから、別に私は自治権の侵害になる法案ではないと存じます。それから、全般的に考えまして、私は、国会周辺静穏保持するということは、先ほど来からいろいろございましたように、英国でも米国でも西ドイツあたりでも、いろいろあるのでありまして、これは民主主義の後退であるとか、そういうことは私は断じてない。国権の最高機関である国会周辺静穏に保って審議権確保する、こういうことを私は当然あっていい法律であると思っております。
  241. 基政七

    ○基政七君 それでは、かりにこの問題が今御説明のようになるといたしますと、当然裁判所の周辺もやはり問題になってくると思うのです。そうなりますと、次には中央官庁の周辺もだということになって、勢い、やはり憲法で保障しております人権の侵害になるおそれがあると思うのですが、この際、発議者の方にお伺いするのでありますが、この法律を作られました際に、裁判所について、司法関係についてはどういうふうに御判断されておるか、この際お伺いをしておきたいと思います。
  242. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 率直に申しまして私たちは、国権の最高機関である国会周辺秩序保持することが必要であると同時に、裁判所の周辺秩序を維持する必要がありはせぬかとも考えます。しかしながら、これを具体的に規制するとなりますと、国会というものは国の中で一つしかありませんわけでありますが、全国至るところに、無数に、それぞれ異なった条件のもとに裁判所が位置しておるわけであります。これを一つ法律で規制をするということは、なかなか実際問題としてもむずかしいことであると考えますし、また今日この段階におきましてこの国会周辺秩序保持に関する法案審議におきましても、これほどの抵抗が今日あるわけであります。いわんや裁判所まで含めるとなりますと、なかなかこれは非常に困難であろうとも率直に考えまして、今回の国会周辺だけにとどめたわけであります。
  243. 基政七

    ○基政七君 それでは、その問題はもう少し後刻に譲るといたしまして、少し内容的に入って御質問いたしたいと思います。第四条では、大体、都の公安委員会に対して両院議長要請することになっておるのであります。その二項の方に警視総監に対して両院議長要請することになっておるのでありますが、この四条の一項と第二項との関係を見てみますと、もともと公安委員会の設置というのは、これは警察権の民主的な運営をまずねらっておられることに間違いはないと思うのでありますが、そういう趣旨からいきますと、警視総監に対してその示威運動等についての「制止のために必要な措置要請する」というのは、公安委員会の設置の趣旨から見て少し疑問があるのではないかと思うのですが、この点はどういうようにお考えですか。
  244. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私たちはお説のごとくには考えないのでありまして、これは議長権限が及ぶわけではないので、議長は、「国会議員登院国会審議権の公正な行使が等しく阻害され、又は阻害されるおそれがある」ということがきわめて明らかな場合においては、警視総監に対してこれを制止するための何らか必要な措置をとってもらいたいということを要請するわけでございまするから、従って、さようなことにはならないと考えております。
  245. 基政七

    ○基政七君 これは四条の第一項の方はこれも大へん私は問題があるのではないかと思うのですが、「著しく影響を与えるおそれがあると認められる場合」というのですが、「おそれがある」というのは、認定が非常に困難だと思うのです。これはまず一つの問題があると思うのです。  それから第三項の「又はまさに行われようとする場合において」という、「行われようとする場合」というのも非常にあいまいですが、この二項の方では「行われようとする場合」というのが加わって、「両議院の議長は、警視総監に対して」云々と書いてあるのですから、都公安委員会に対する場合も同様で、非常にあいまいなのですが、その一項では「まさに行われようとする場合」というのが加わっているのです。こういう場合の「まさに行われようとする」というのはだれが認定するのですか。また、どういう場合をさしているのか、お伺いしたいと思います。
  246. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 四条第二項によります「まさに行われようとする場合」の認定はだれがするかということでありますが、これは申すまでもなく両院の議長がさような認定を行なうわけであります。また、いかなる基準によってさような認定をするかということでありますが、これは、両院の議長は、国会議員登院国会審議権確保のことにつきましては、何人よりも一番よく知っておられると思います。従って議長がおやりになるのが最も適当であろうと考えますが、その基準等につきましては、そのときそのときのやはりケースによって判断する以外になかろうかと思います。
  247. 基政七

    ○基政七君 なるほどそれは両院議長判断されることは、この条文ではそうですが、「まさに行われようとする場合」に、両院議長がそれでは院の外に出られてその事態をごらんになるという事実は想定されているのですか。これはどうですか。
  248. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 議長が外に出てこれを眺めるというような場合が、事によったらあるかもしれませんが、しかし議長が必ずしも外に出なくても、中におりましても、その周辺の模様につきましては外部との連絡もありまするし、必要な情報等を収集することもできるわけでありまするから、外部の状況についても様子はわかるわけであります七しかもそれによって影響を受けるのは国会でありまするから、従いまして国会がいかなる影響を受けるかということは、議長が一番よく事情がわかっていると思います。
  249. 基政七

    ○基政七君 情報等でつかむことができるということは、なるほど抽象的にはそういうことが言われると思うのですが、かりにこれらの例を置きかえてみて佐々木さんがその衝に当たられたとすれば、こんな重大な問題について、場合によれば憲法に違反するのじゃないかというおそれのあるこういう問題について適宜そのときどきに私は非常にこれは問題だと思うのです。「まさに行われようとする」ということは何をさすのか、非常に不明確なんですね。示威運動というのはケースがあります。今までにも経験上ケースがあるわけですが、それが著しく国会審議権を阻害するということがまさに行われようとするという、非常にわかりにくい、しかも一般論としても解釈しにくい問題を、両院議長権限に一切まかしているというようなことは、私は、発議者のあなたでも、この立場に立たれれば、事実上非常にお困りになるのじゃないかと思いますが、この点いかがでしょう。
  250. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) この「著しく阻害され」というこれは、事前の措置でありまするけれども、著しく阻害をされるという場合はそうたびたびあるわけではないと思います。まさにこれはかなり非常の事態であろうと考えます。それから「まさに行われようとする場合」につきましても、これはただならぬことである、ほうってはおけない、まさにその危害が加わってこよう、こういうような場合でありまするから、これはそう普通の場合にかようなことがしばしば行なわれるわけではありませんから、そういうただならぬ事態が到来いたしましたときの判断は、少なくとも国権の最高機関の長であります議長におきましては十分な判断ができるのではなかろうかと思います。
  251. 基政七

    ○基政七君 私は先ほどから言っているように、条文的にはなるほど抽象的に文字の上に表わされておりますが、事実としては非常にこの点は困難だと行われようとすると言われたが、どういう場合を想定されているのですか、もしお考えがありましたならば、頭の中に浮かんでおりましたら、御答弁願いたいと思います。
  252. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先刻申し上げた通りでありますけれども、さらに法制局の三浦次長からも答弁をして、この間の関係を明らかにしてもらった方がいいかと思います。
  253. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 私から補足して御説明申し上げます。ただいまの四条二項の方は、条文へよく読んでいただきますと、国会議事堂周辺道路において集団示威運動等が「まさに行われようとする場合」、こういうことでございまするので、運淵体形といたしましては集団示威運動、それが道路上でまさに行われようとする、それが、道路は御承知のように別表に指示してございます道路でございますので、その道路はきわめて明確になっておりましてその道路周辺までデモ隊等がかりに来たといたしまして、そうして道路に入ってまさに集団示威運動を行なおうというような場合がそれに該当する、こういうわけであります。ただ、著しく登院とか審議権へ阻害されるかどうかということは、それはまた別の問題でございまして、前提条件にそういう状態があった場合において、それがなおかつ著しく「阻害されるおそれがある」場合において要請すると、こういう意味でございます。なおまた、実際この法律通りました場合におきましては、国会事務当局と警察当局との間に十分なる打ち合わせが行なわれてしかるべきでありましにおいて遺憾なきを期さなければならぬことは当然だと考えております。
  254. 基政七

    ○基政七君 今の御説明によりますると、まあ周辺だということになっておりますが、今の御説明でありますと、周辺でももうデモはすべて禁止するというお立場をとっていらっしゃるのですか。
  255. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) そういうことは全然考えておりませんで、ただ議長要請をいたします場合におきまする条件といたしまして、そういう状態にあった場合であり、かつ著しく審議権が阻害されると、こういうことでございまして、ただ、要請の条件として規定しただけでございます。
  256. 基政七

    ○基政七君 大体御説明はそういうことで、わからぬわけではないのですが、要するに、両院議長がうまく話し合いがついて今の集団示威運動はまさに国会審議権を阻害しようというおそれがあると認定をされて、そして警視総監の方に御依頼されるわけでありましょうが、そういたしましても、議長はただ情報だけで判断するということは、私はやはり法の建前から見て正当じゃない、やはり自分がその所に行って、自分で判断をして、その情報にあやまちがないかどうかということを、これはやはり責任の立場上、私は当然明快にする必要があると思う。そうなってきますと、大事な院の責任者であります両院議長が、たとえわずかの時間でも——私は決してわずかとは思わないのですが、相当の時間を院の外にさかなければならぬことになる。ここにもやはり院の審議権確保の建前から申しまして多少問題が残っていると思う。でありまするから、こういう点も、もう少し発議者の方で明快に御当弁願うように今後お願いをいたしたいと思います。  それから第五条の点でありますが、これは先ほど五条の、「これに対し必要な措置を講ずるようにしなければならない」というのは、これは一種の期待だというふうに御説明がございました。しかし、この法自体から見ますると、これが単に期待であっては、この法の求める目的に私はかなっていないと思う。これは率直に言っておそらく五条についての期待というものは、するべきであるぐらいの強いものは発案者はお考えになっているのじゃないかと思いますが、この点はいかがですか。
  257. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) この法律用語の使い分けにつきましては、本日何回も御答弁をいたした通りであります。決して第五条は義務づけではございません。しかしながら、国権の最高機関である議長から要請がなされるわけでありまするから、私は、これは常識的に判断をいたしましても、むげに要請が等閑に付されるということはない。議長要請はきわめて尊重さるべき筋合いのものであるとは考えております。しかしながらこれが義務であるか、義務でないかという御質問であれば、決して義務規定ではないというように答えるよりほかはありません。
  258. 基政七

    ○基政七君 そこで、義務でないと言われているわけですけれども、これは第四条の第一項を受けているわけですから、この第一項の方に相当強い縛り方があれば、この五条の「しなければならない」というのは、事実上大して意味がなくなる。言って提案者の意思は、義務づけにすべきであったのではないかということをお尋ねをしておるわけです。
  259. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) お説もございまするが、私たちは最初からこれを義務規定にするという考え方ではございません。
  260. 基政七

    ○基政七君 そうしますと、都の公安委員会が、これは「自らその職権行使するほか」と書いてありますので、その「ほか」に相当すれば、公安委員会議長要請にもとる結果を招来してもこれはやむを得ないというお考えですか。
  261. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) いわゆるやむを得ないと考えます。
  262. 基政七

    ○基政七君 そういうことであれば、これから先もう少し私どもこの四条一項との関連でお尋ねをいたしたいと思います。  それから、六条の「請願陳情その他の名義をもってする集団示威運動等も含む」と書いてありますが、国会法によりますると、請願なり陳情というのは、それぞれ、先ほどの御説明のように、示威も制限したり、それから面会その他の手続も明快になっておるわけでありますが、そういうふうに明快になっておるにもかかわらず、「名義をもってする集団示威運動等」というのは、どういう場合を想定されておるのか。これは午前中のお話によりますときわめて不明確であったように思いまするから、もう少しこの点を明確にお答えいただきたい。この請願なり陳情国会法の規定との関係において御説明願いたいと思います。
  263. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 第六条に規定しておりまする「請願陳情その他の名義をもってする集団示威運動等も含むものとする。」、これは請願陳情の名目のもとにおいて行なわれまする集団示威運動はもちろんのことであります。その他、たとえて申しますると、名目のいかんを問わず、たとえば国今見学とか、あるいは議員面会とかというような名義を使いましょうとも、それが集団示威運動でありまするならば、本法に言う「集団示威運動等」に含まれるという意味でございます。
  264. 基政七

    ○基政七君 時間がないですから終わりたいと思いますが、最後に、この法律がなければ国会審議権確保静穏確保できないという御趣旨の上に立っておられるようでありますが、実はすでにいろいろな法の関係で捜査も行なわれているわけですね。ですから、そういう立場から見て、国家公安委員長は、この法律がなければ文字通り国会審議権確保は全くできないとお考えになっておるのかどうか、これは一つ明瞭にお伺いをいたしたいと思います。できないかどうかです。これはベターであるとかという答弁は私は必要がない。
  265. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) お答えします。御希望になりませんでしたけれども、私はやはりこれがある方が一そうベターだという気持でおります。適切なる取り締まりができるという考えであります。
  266. 基政七

    ○基政七君 ですから、私は、さきにお断わりしている。ベターという言葉では満足できない。そうでなければ絶対にどうにもならないんだというふうにお考えになっておりますかどうかということをお尋ねしたわけです。その意味一つ答弁をいただきたい。
  267. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 私、さきほどもここで申し上げたのでありまするが、英国、米国、西独、こういう所の状態を見ましても、やはり国会周辺というものは静穏を保って、むしろ一切のこういうことを禁止するぐらいの規定がある所すらあるのであります。私は、こういう法律が望ましい法律だ、ただいまの現状から考えまして望ましい、なければならない法律だと考えておる次第であります。
  268. 基政七

    ○基政七君 それでは私はこれで終わります。
  269. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十一分散会