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1960-03-29 第34回国会 参議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十九日(火曜日)    午前十時二十四分開会   —————————————   委員の異動 三月二十五日委員石田次男辞任につ き、その補欠として辻武寿君を議長に おいて指名した。 三月二十六日委員辻武寿辞任につ き、その補欠として石田次男君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木内 四郎君    理事            青柳 秀夫君            井上 清一君            苫米地英俊君            森 元治郎君    委員            鹿島守之助君            草葉 隆圓君            笹森 順造君            永野  護君            加藤シヅエ君            小林 孝平君            羽生 三七君            大和 与一君            石田 次男君            佐藤 尚武君   政府委員    外務政務次官  小林 絹治君    外務省国際連合    局長      鶴岡 千仭君    外務省移住局長 高木 廣一君   事務局側    常任委員会専門    員       渡辺 信雄君   —————————————   本日の会議に付した案件財団法人日本海外協会連合会に対す  る移住者渡航費貸付資金貸付条件  等に関する法律案内閣提出) ○南極条約の締結について承認を求め  るの件(内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  財団法人日本海外協会連合会に対する移住者渡航費貸付資金貸付条件等に関する法律案、本院先議を議題といたします。  前回におきまして提案理由説明を聴取いたしておりますので、本日はこれから直ちに質疑に入りたいと思います。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 私、この問題は外交部会相当審議をし、よくというわけにはいかないのですが、了解いたしておるのでございますが、その後に日本移住会社創立のころの速記録を克明に読んでみましたところが、あの当時取り上げられたいろいろな問題点がそのままはっきりしないで今日まできているものがあるようなのです。これは今ここであらためて取り立てていろいろ質疑応答をする必要もないので、移佳局の方でこれらの問題を解決するために将来検討していただいたらけっこうだと思います。そこでただ一つここで、私はこの案は賛成なんですが、一つ明瞭になっておらない点がありまするので、その点だけをお尋ねしておきたいと思うのであります。  政府海協連に金を貸して海協連移住者に貸す、こういう二つ段階になっておりますね。この海協連に直接貸すということが問題になっておりましたけれども、その後貸していいことになったのだろうと思いますので、この点は問題ないと思います。ただ問題になりますのは、海協連政府から借りてそれを移住者に貸し付ける、そこまではいいのですが、その条件が非常に緩和された。これもいいことなので、私どもとしてはむしろこれは三分六厘五毛というような金利を取るどころでない。戦前のように全部補助金にしてもらいたいのですけれども、それから見るとまだ不満足な点もありますけれども、いろいろの事情やむを得ないと思いますが、さて集金の場合です、この政府の貸し付けた金を返す責任は海協連が負うているように見えるのですが、実際は移住者海協連に返して、海協連政府に返す、こういうことですけれども、この法律の表面からいくと、移住者が返しても返さないでも海協連はこれを政府に対して返す義務を負っておるように思うのです。その点はいかがでしょうか。
  4. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) ただいま御質問の点はその通りでございまして、海協連政府に返す義務を負うているわけであります。そういう点で、今度は従来の貸付回収につきまして十分な回収費をつけなければいけないのですが、実際上は回収する地域が非常に広い関係もございまして、ほとんど貸した金と同額ぐらい回収しなければならぬということで、実際上は海協連におきまして貸し付けた金を帳簿整理をし、報告をし、あるいはあらゆる機会に与えられた予算の範囲内ではできるだけ回収努力をしておるのでございますけれども、今日までのところではせいぜい一%六、八ぐらいの率でしか返っておりません。ただ海外協会連合会全額政府補助団体でございます関係上、そこのところがちょっと何というのですか、政府の別働隊といったような形になっているのでございます。この点につきまして、ただいま苫米地委員からお話がありましたように、われわれといたしましては、根本的には移住法制定貸付法制定という問題も必要でございますけれども、今の非常にきびしい条件でこのまま続けていくということが実際に即しない、そういう意味におきまして、実は今年度の予算折衝ではわれわれも補助金申請をしたのですが、いろいろの事情でそれができなくて、十年間は無利子据直あと十年間で年三分六厘五毛の償還ということになりまして、とりあえずこの条件緩和法律をもってしていただきますと、あと二年くらいは利手も取り立てなくて済むということになりますので、その間に指摘せられましたような根本問題を徹底的に検討いたしまして態勢を整えたいと、こう思っておる次第でございます。
  5. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 この海協連は全部出資してもらって、政府機関の別働体である。これは移住会社創立のときにこの問題について論争になった一つの点であると思います。公益法人である海協連移住者から取り立てることがこれは非常に困難でございますが、できなかった場合に、少なくとも形式上は政府債務を持っておる。実は政府債務を果たす力も持っておらない。返すとすれば政府から仕着せをもらわなければどうにもならないという立場にあるところにこの法律の非常に割り切れないところがある。で、今度条件が非常に緩和されましたから、今までよりは取り立てやすくなったし、あるいは全額取り立てができるということもありますけれども、災害に会ったとか死亡になったということで取り立てのできない分もある。そうなってくると、その取り立てのできないものに対しては依然海協連政府債務を負うことになっております。これをどうするかということがはっきりしておらないと思うのですが、それはどうでしょうか。
  6. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) 取り立て不能の場合で、十分支払いができない情状が明らかな場合には債権管理法でこれを免除することもできるわけでございます。そういう手続をとるようにいたしたいと思うわけであります。
  7. 羽生三七

    羽生三七君 三、四年前ですか、海外移住振興会社が本委員会で審議された際に、どうもその法案性質がよく把握できずに、われわれとしてはこれは一種トンネル会社になるのではないかということでずいぶんこの委員会では論議をされたわけです。ところがその海外移住振興会社が行なうべき仕事はその後どうなっておるのか、そういうものが存在し、これがすべて日本海外移住に関する中心的な機関になるように説明されてきたと思うのですが、それとは別にただいまの審議案件というものが出てきたわけですが、それとの関係はどうなのか。それで、これはこれで単に総括的な資金貸付の問題だけということになるかもしれませんが、しかし海外移住会社がそもそもそういう業務を担当すべきものとして法案が審議されたわけです。その後一体どういう活動をしておるのか。そういうものはそれでほうっておいて、別にこういうものを作っていくということ、その間の関連性が私にはよくのみ込めない。だから前のこの移住振興会社の現況、何をやっておるのか、これと今審議されておる案件とどう違うのか、それを、もう少し具体的に御説明をいただきたいと思います。
  8. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) 移住会社法でただいまお話のような移住者渡航費を貸し付けることができるということになっているのでありますが、昭和二十九年の七月の閣議決定で、その前から海外協会連合会渡航費貸付をやっているのでございます。会社法が成立いたしましたあとにおきましても、この渡航費貸付性質会社の他の貸付性質かなりの差もございますし、議論され検討されながら、実際上はまだこの会社渡航費貸付を全部移譲するという手続が行なわれないで今日にきているわけであります。移住会社といたしましては、従って渡航費貸付以外の仕事——まず渡航する者に、営農に必要な機械その他の渡航融資というものを行ない、渡航いたしました上におきましては、渡航地におきまして会社はその移住地を買収し購入し、これを移住者が入るに適するように区画整理をし道路を作り、いわゆる造成をいたしまして、これを年賦償還移住者に分譲する。それからそこに入りました移住者に対しましては、長期及び短期の営農融資を行なうということもやっております。それ以外に移住地における企業融資もやっておりまして、これらの融資はすべて経済べーシスに完全に乗っているわけであります。これに反しまして渡航費の方は、ある意味において育英資金のような性質でもございますし、移住会社が他の融資と同じように渡航融資をすることについてはかなりの問題があり、従って今日までいまだ実行されておらないのであります。これを今ここで海外協会連合会移住会社に引き継いでやらすということになりますと、従来の貸し付けたものもこの海外移住会社に肩がわりせしめ、あるいは二本建てで行なうというきわめて複雑な問題もございますし、これらの点は今後至急に根本的な移住体制それから移住政策についての検討を行ないました上で解決いたしたい。しかしながら現在、渡航費貸付につきましては先ほど申しましたように、現状では移住者かなりにきびしい条件でございますので、とりあえず条件緩和をやっていただく、最初はわれわれといたしましては、従来予算措置だけでやっておりましたので、条件緩和もそのままでできるかと思っておりましたのですが、今度の条件が通常の政府貸付条件よりは、はるかに低いものでございますから、立法措置を要するということでございましたので、条件緩和についてのみ法律改正をお願いいたした次第でございます。
  9. 羽生三七

    羽生三七君 渡航者利益をはかるために条件緩和をやることには私は賛成なんであります。これはもちろん異議がないのですが、その前の海外移住振興会社は一体何をやっているのか、今成績を上げているのかどうか。それから経済ベースでいくと言われますが、一体経済ベースで具体的にどういう実績を上げているのか、またあの法案が審議されたときに必ずしもこれは経済ベースだけにとられるのは適当でない、移住者の真の利便をはかるためにも、十分な考慮が払われなければならないことも論議されたわけです。そこのところのかね合いはなかなかむずかしいわけですが、それはそれとして、一体あの会社はその後どうなっておるのですか。望ましい成果をあげておるのかどうか、どうもその後さっぱり、これを極端な表現を使うと正体がわからぬようなことになっておるのですが、もう少し詳しくそこのところ説明していただきたい。
  10. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) 移住会社につきましては、昭和三十年来まだ五年そこそこでありまして、時間的にはまだ十分時間がたっておらない関係上、御期待に沿うような、目に立った、はなばなしい成果は、あるいはないと言われてもいたし方ないのでございますが、しかしながら三年前パラグアイで約一万四千町歩移住地を購入いたしまして、これを造成し、今日では二千有余人日本人がその中に定着いたしまして、ごく最初には若干の困難もございましたが、今日では非常に明るい発展の途上に立っております。なおブラジル及びボリビア、アルゼンチン、これらの地域におきましても、移住会社が、あるいは移住地を購入してこれに移住者を入れる、あるいはすでに入りました移住者に対する資金上の援助をいたしまして、じみではございますが相当確実な移住振興をやっております。しかし、本格的に移住会社活動が効果を現わすのは、まだ数年お待ち願う必要があるのじゃないかと思います。移住は御承知の通り数百年定着している一つ地域から人間を引き離して、全然新しい地域人間を植えつけて、これが枯れないで栄えるようにやっていくというきわめて複雑な仕事でございまして、その問いろいろの雑音というのですか、いろいろの困難な事情も起こり、また誤解に基づく風説も出てくるわけでありますけれども、戦後二十七年から移住が始まりましてまだ十年たたない今日といたしましては、日本海外移住は決して悲観すべきでなくて、着実に進展しているところもあると言っても決して過言でないと思います。それの一番大きい役割を果しておりますのが海外移住振興会社の金融的な援助海外協会連合会補助的な援助二つでございます。
  11. 羽生三七

    羽生三七君 質問は私これ以上はいたしませんが、この海外移住振興会社ができるときには、その所管外務省とするか農林省とするかということでもずいぶん論議されたわけです。で、外務省所管でおるわけですが、たまたまこんな機会でないとこの問題に触れることがないわけですね。ほかの会社なんかはそれはもう経理上、採算上やかましい論議がある。これは必ずしもそういう商業ベースだけのことからかれこれ論議するのは適当なものとは思いませんから私それを言うのではないが、こういうような、たまたま外務委員会あたりに今の海外協会連合会に関するこの関係法律案が出てきたときに、たまたま問題になる程度で、何年に一度か話題になるだけで、その間だれもそれを監督する人もなければ関心も持たない。外務省が本気でやらんと、これは一種の盲点みたいになってしまうと思う。だから移住問題が一年や二年で成果を上げるような早急なごとを言っても、これは無理と思うのでありますけれども、しかし成立して以来もう数年になっておるのですから、もうある程度実績というものが適当な形で報告されてしかるべき段階だろうと私は思います。それでこれ以上は申しませんけれども、外務省にこれについて十分な所期の、あの法案審議の際に検討された諸問題が十分実績を上げるように監督といいますか、検討をされて強化されんことを希望いたしておきます。これ以上質問しません。
  12. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 私もこの法案には結論としては、いろいろ条件緩和されまして、渡航する人に利益でございますから、賛成でありますけれども、しかし私は今皆さんの御質問にもございましたように、日本の非常に人口が多くて国土が狭いという立場から言えば、もっと移民というものには積極的にやることが必要じゃないか。これは別に昔の軍国主義とか何とかいう意味では全然ないのでありまして、もっと広く世界各地と連携して日本も発展して、行った人も幸福に生活できるというようなことを考えますと、非常にこれがまあなまるっこいと思うのであります。一つお伺いしたいのは、これはまあ条件緩和になって非常に御苦心になった案でありますけれども、なぜごの渡航費というようなものを政府が積極的に行く人に、まあ何というのですか、貸し付けるなんというのでなしに補助するといいますか、全部国で持っていくというくらいの態度がとれないのですか。その点についてのお答えを先に一つお願いします。
  13. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) 率直に申しまして、われわれ外務当局といたしましては、仰せの通り戦前と同じように渡航費補助金といたしたかったわけでございまして、予算折衝においてもいたしましたのですが、国の予算全体の関係上、またわれわれの努力が足らなかった点もございまして、でございますが、同時にわれわれも猛烈に運動をいたしまして今度の非常に大きな緩和が実現した次第でございます。ただ、われわれといたしましては、十年間無利子に据え置く、あと十年間三分六厘五毛を支払えということで、とりあえず二年間ぐらい利子も払わぬということでございますから、一方根本的な改正を考えますとともに、われわれといたしましては、でき得れば移住振興のために、すでに海外政府援助でもって行きました連中にも呼びかけて、モラル運動を起しまして、借りた金を返すだけてなくて、成功した人は積極的に移住の、あとから来る者の呼び寄せに貢献するために寄付までする。少なくとも最初の貸し付けの条件ぐらいはあとから行った者も寄付するぐらいの機運を起こすようにやりたいと思っておるのですが、これがはたしてどういうふうになりますか、ここ一、二年をわれわれ十分検討いたしました上で、さらに態度を明らかにしたい、検討したいと、こういうふうに思っている次第でございます。
  14. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 私は前にちょっと北海道におりまして、北海道のいわゆる拓殖計画といいますか、内地移民のことにも携わったのでありますけれども、あれなんかは行った人を非常に保護している。それで土地も二十町歩無償で本人に上げる。その他いろいろな点で行った人が困らぬようにあらゆる施設をしてやっております。これは海外移住で違うのでありますけれども、私から言えば、国内の方がよほど行く人も気楽なんです。海外へ行くというのはこれはよほどの決意がなければなかなか出て行くものでない。そういうことを考えれば、大蔵省でも北海道拓殖とこれは違うかもしれませんけれども、むしろこの方にもっと保護をすることが私は正しいのではないかと思うのです。そうでないと、ごくわずかな人が出て行っても根本的な国策にはなりません。私は渡航費は、もう当然政府が負担して向こうへ奨励していく。さらに今の移住会社ですか、こっちももっとがんばって、いい土地をできれば相当助成の意味でこれも行った人に与えるくらいのいき方でなければだめなんじゃないかということを、この法案を見て思うわけなんです。今まで御苦心になりました点については全く敬意を表するのですけれども、その線があまりにこまかくて、もっと日本大局論から言えば、こういうところへは政府が力を入れるべきじゃないか、こう思いましてお伺いするのですけれども、世界各国情勢なんかからいっても、イタリアなんか、ずいぶん資源が小さい国でも海外移住相当成果を上げて、国際貸借なんかにも寄与しておりますし、いろいろな点からいって、専門家の方々が、私が何か言うのはむしろ愚だと思いますけれども、しかし、もう少し熱をもってこれをやる必要があるのではないか。ほかの方からもお話がありましたけれども、海外移住振興会社というものもまだよくわかりません。こういう方がほんとう移住振興に熱心な、熱意があるなら、私はもっと発展するのじゃないかと思うのです。それで、いま一言お伺いしますが、資料には貸付数とか、そういうものだけでありますけれども、日本移民海外へ行く増加の情勢ですね、それをちょっと伺っておきたいのです。これで見ますと、これはむしろどういうわけか、三十四年度の方が減っているのですが、移住相当伸びていると思いますが、どういう情勢か、大体でいいのですが……。
  15. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) 三十四年は十二月三十一日までになっておりますが、その前の数字は全部会計年度で計算しております。従って、この四千七百名というのは会計年度末までの数字でございませんので、われわれの計算で三月三十一日まででは大体昨年と同じ数字になるのでございます。それで、今御指摘のように、移住者の数が過去、昭和三十二年から七千台になりまして今日までほとんど動かないのでございます。その点まことに御指摘通りわれわれの奮発を要する次第でございます。その点につきましては、実は海外移住というものが戦後二十七年に始まりましてから、何と申しましても期間が短く、やりましたものも、新しい戦前の経験のない人たちの集まりでやりだし、また、戦前と戦後で移住先事情も変わっております。それから日本の中の事情も変わっておりますというようなことで、ある程度は暗中模索をした紆余曲折というか、回り道をした点もございますが、たとえば現地の事情といたしましては、戦前もっぱら参りましたブラジルサンパウロ、これは現在でも呼び寄せて参っておりますけれども、あちらの、サンパウロ農業というものは、ある意味におきましては限界に達しまして、今農業にかわって工業が盛んになっている。それから、かつてのサンパウロのような農業状況は、今日ではアマゾンパラグアイボリビア、こういう国がちょうどそういう事態になっている。こういう点で、ちょうど戦前のわれわれの考えと戦後の南米の事情が非常に変わって、これにアダプトさせるということにも相当の時間を要しまして、国内にいたしましても、最近は農村かなり景気がいい、そうして最近の戦後の移住といたしましては、海外移住する人に裸一貫で呼び寄せだけで、雇用者としてやるよりも、なるべく自営開拓のできる人をやりたいというので、土地を買ってここに移住者を送るということを始めまして、それがだんだん進んでいきますと、サンパウロあたり土地を買いますと非常に高いものになる。従って、ある場合には移住者が五十万円、六十万円、多いのは百万円近い現金を持って行かなければいけないというような状況もございまして、従って、そんな金を持てる人は移住しないで日本にいた方がいいというようなことで振わないというようなこともございました。今後われわれといたしましては、日本現状を見ますと、一般的には農村状況はよろしゅうございますが、同時に非常に貧困で海外へ行きたいという人もあるので、こういう人をもっと出せるように、そういう高い土地でなく、パラグアイボリビアとか、ボリビアのごときは、相手の国から無償土地をくれております。アマゾンあたりもそう土地代はかからない。こういうところになるべく送り込む、さらに、ほんとうに赤貧洗うがごとき移住者に対しては、支度金の制度を、今度は予算をとりましたので、支度金をとって送り出しを増進するというようなことをいたしましたので、今後は従来よりは、もう少し積極的に移住が進んでいくのじゃないか、そう申しましても、移住の問題は右から左といきませんので、やはり一年、二年、三年ぐらいはごしんぼうをもって見ていただかぬと工合が悪いのじゃないかと思います。
  16. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 いろいろ御苦心の点はわかるのですけれども、私はさらに、これは要望みたいなことになりますが、前に渡航費補助で出していたといえばそれに戻してもらいたいということが一つ。これはぜひ一つ、こんな条件緩和なんという程度のことでなしに、渡航費政府移民政策を遂行する立場からこれは一つ国が持つ。それから、困る人が行くのだということは、私はむしろどうかと思うので、むしろ少しは余力のある人も海外自分の郷土と考えて、行って落ちついて仕事ができるようにする、そうでなければ、行って非常に不自由して、単に行った人だけではない、日本というものの品位にも関するかと思いまして、その点は相当余力のある人もむしろ出て行くようにする。それから私は、根本的には、こういうことは人間のことですから自分でやるのが一番いいと思うのです。しかし、何しろ海外へ行くなんということは政府の力がなければできないことが一つと、それから万事自力でやるといいましても、それはいろいろな情勢に応じてやるのですから、精神としては、ただ国が何でもめんどう見るからそれで行くというような、そういう他力本願ではなしに、自分でもちろんやるという気持で海外へ行かれることを望みますけれども、行く人はそう思っても、国の側からすれば、相当これを助成するという、両々相待って、海外へ行った人も落ちついて勤勉になって、りっぱになるということを私はやってもらいたい。    〔委員長退席理事井上清一君着席〕そういう意味から、繰り返すようでありますけれども、この法案は今回は非常にけっこうだと思います。しかし、これが満足すべきものだとは私は思っていない。もっと一つさらに御検討願いまして、この問題を、さらに海外移住振興会社ですか、その方の活動の問題とあわせて、日本移民の振興に一そうの御努力を願いたいということを要望して質問を終わります。
  17. 永野護

    ○永野護君 ちょっと伺いたいのでございますけれども、私ども感じからいいますと、移住振興に関するPR運動といいますか、国民全体に訴えるいろいろな運動が非常に少ないように思うのです。たとえばラジオとかテレビとか、あるいは学校の先生と連絡をとって、若い夢を持っている青年に海外の話を少ししてもらうように連絡をとっておやりになる必要があるのじゃないか、私ども耳に触れても、移住を奨励するPR運動はほとんど聞いたことがない。そこで伺いたいのですが、そういうこと、つまり外務省とそれから移住振興会社との関係が知りたいのです。そういうようなことは政府で案を立てて、そして移住振興会社をしてやらしめられるのか。そういう政策まで移住に関しては移住振興会社にまかしておる。つまり、移住振興会社とそれから政府との関係について知りたい。
  18. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) ただいまの御質問の点でございますが、移住政策の遂行にあたりましては、外務省が主務関庁になっておりますが、同時に、農業移住者につきましては、農林省もこれを担当しております。それからこれの実施機関といたしましては、移住振興株式会社融資をいたすわけでございます。各種の金融的な、あるいは土地を見つけるような援助もいたします。同時に、海外協会連合会というのがございまして、これは地方の海外協会の上にできました連合会でございます。これが国内において啓発、募集、送出、その他の援助をいたします。これはもっぱら政府補助でやっております。それから移住者が外地に着きまして、これの受け入れのいろいろの援助、これは海外協会の海外支部が援助をする、こういうことになっております。なお、農業移住者以外に、工業移住者につきましては通産省、あるいは労働省等も関係しておる次第でございます。そういうような状態になっておりますので、政策の立案及び移住の促進につきましては、外務省が中心になってやっておるわけです。
  19. 永野護

    ○永野護君 そうしますと、海外に適当な移住地なんかを探すというような努力は、政府でおやりになるのですか、移住会社でおやりになるのですか。
  20. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) これは移住会社がやっております。なお、移住会社以外にも海外協会の現地支部、あるいはわれわれの在外公館が現地の事情に応じて移住振興会社にサゼストをし、あるいは推薦するというようなこともやっておるわけであります。
  21. 永野護

    ○永野護君 エクアドルというものがこれに出ていないのですけれども、エクアドルは移住地としては不適格なんですか。
  22. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) エクアドルはこれからの移住地としては、非常におもしろいと思います。    〔理事井上清一君退席、委員長着席〕エクアドル、隣のコロンビア、これらは非常におもしろいと思います。ただ、これに対する移住といたしましては、従来の農地を買って、これに移住者を植え付けるということだけでは十分じゃないんじゃないか、非常に経済的におくれたところでございますから。しかしながら、森林資源、その他農産物についても、将来性は非常にございます。従って、こういうところでは移住とともに、相当の資本と経営組織というものも一緒に持ち出す企業的な移住進出という方法が、どうしても必要でございまして、実は現在エクアドルに対しましては、マニラ麻の栽培をあすこでやってはどうか、これはマニラ麻につきましては、戦前ダバオで古川拓殖等がやっておりましたので、全技術者も日本に帰ってきている。せっかくのマニラ麻の生産もダバオで現在ではほとんどなくなったような状況でございまして、マニラ麻に対する利用も多うございますので、エクアドル、あるいはコロンビアあたりにこのマニラ麻を栽培する企業的な移住進出をやってはどうか。これに関連しまして、あるいは製材その他の、ラワン材なんかの製材をしてこれをアメリカに出すというようなことも計画するということによりまして、今後の移住におきましては、そういう意味におきましてきわめて経済的な、企業的な進出も積極的にやりたい、こう思っておるわけであります。
  23. 永野護

    ○永野護君 今のアバカのお話は、実は私は承知をしておるのです。エクアドルと、それからコロンビアのいろいろ資料も見ておるのですが、私は非常に有望な土地だと、こう考えております。それで、こういう場合に、私がさっきお伺いしたイニシアチブをどっちがとってやるのか。海外移住会社がイニシアチブをとるのか、政府の方で、エクアドル、よさそうじゃないか、一つあすこを考えてみないかというようなヒントを海外移住会社に与えられて、そして官民一体となって進められるのか。そうしてその具体的な候補地としては、たとえばエクアドルなんか非常に有望だと思うのですが、この表を見ますと、エクアドルは一つもない。コロンビアがわずかにあるだけです。そういうような指導と、そして夢を持っておる若い青少年に、この海外進出の機運を盛り立てる努力外務省としてもう少しやってもらいたい。これは学校の先生との連絡、それから文部省とも、もちろんその意味から言いますと、農林省よりはむしろ文部省当局で、年を取ったら海外進出というような気力はありませんから、夢を持っている青少年に海外移住の機運を少し盛り上げるような努力をなさることを私はお願いしたいのであります。
  24. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) ただいまのお説は、全く同感でございまして、実はその件に関しましては、最近新発足というのですか、組織を変えまして発足いたしました移住審議会でも宣伝啓発が問題になりまして、結局、根本的な宣伝啓発は学校教育にある。中学校程度の方々に進取の思想を吹き込むということが一番大事であるというような意見がございまして、われわれも今後そういうふうに反映していきたいと考えます。  それからさきお話しになりましたエクアドルのアバカにつきましては、昨年例の外務省援助で古川拓殖の古川さんに出張していただきまして、二度目はこれは伊藤忠の金で行ってもらいました。今後の中南米に対する企業的な移住進出につきましては、会社だけではこれは何といっても国策会社であり、経済かなりに何というのですか、感覚がゆるいものでございますから、この商業ベースですか、経営に非常に敏感な商社も入ってもらい、会社がそれをバックする。政府がさらに大きく広く後ろからまたこれを応援する、こういうような体制で、官民一体の体制で進めるようにしたいと思って着々やっております。同じようなこと、これはまだ始めておりませんが、同じ古川さんに、ついでにアマゾンまで行っていただきましたので、アマゾンにおきましても、同じような企業的な移住進出というものをやりたいと思っております。今後においてサトウキビの栽培など非常に有望であると思うのであります。こういうところでサトウキビを作って、これを粗糖にして日本に持ってくるということにいたしますと、現在ブラジルとの貿易が日本が一本的に輸出をして買うものがないということで、貿易協定がことしの一月十五日で廃棄になっておるのですから、こういうような措置をとりますと、ブラジルから日本が買い得るものが出てくる。単に砂糖だけでなく、あすこではパイナップル、その他のもののカン詰工業を起こすこともできます。現にアマゾンにおきましても、アマゾン政府当局におきましても、アマゾンはもはや純農業だけではなく、農産物加工、さらには軽工業の発達の程度のところまで来ておるから、聞けば日本相当工業が発達しているから、積極的に、農業移住だけじゃなくて、それらの技術者も出してほしいというような意見も受けておりますので、そういうような要請にもこたえて、企業的な移住進出ということをやっていって、移住地日本経済の緊密化、移住と、海外投資と、貿易、三位一体的な運営をつとめてやっていきたい、こういうふうに思っております。
  25. 羽生三七

    羽生三七君 念のために伺っておきたいのですが、この案件はただ条件緩和だけですから、とりあえずは予算的には何にも頭を出すことはないのかどうか。それから今後の見通しとして、この条件緩和に基づく融資が行なわれる場合には、今の移住者のおおよその数からいって、どの程度のことが予算的に必要になってくるか、その点だけ。
  26. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) 予算的には三十五年度は、一万名の移住者渡航費六億五千二百万円計上してございます。そのうち九千名が農業、一千名が技術移住者、こういうことになっております。これの回収につきましては、従来の数字は、さき申しましたように、非常に悪くて、元本の償還率は一・六%余りでございます。今後は、ここ二年間はさき申しましたように、利子の支払いをストップいたしますから、様子がわからないわけでありますが、その間において、われわれといたしましては、できるだけ移住者に呼びかけまして、後続移住者を推進するためにも、できる限りは支払いに協力してもらうような運動をやりたいと思っておるのでありますが、二年の間に、十分根本的な検討をしたいというふうに考えております。
  27. 大和与一

    ○大和与一君 今までの日本海外移住ですね。ほんとう日本で食えなくて、どうにもならなくなって移住しておった傾向があったと思うのです。これは国内に対する政治の貧困ということもあるが、それは別にして、そのためにやはり日本移住した人の評判というものがその国に行ってあまりよくない。こういうことは、日本だけでなくて、諸外国の例でもあったと思うのですが、それで今までの日本を出て行った人は、一体日本で、食いつぶしたというと言葉が悪いけれども、どうにもならぬ、しょうがないから、どこへ行っても同じだ、こういう気持で行った人と、最近では必ずしもそうではなくて、別の気持で、もっとフランクな気持で行っている人がぼつぼつ出てきたと思う。その割合は一体どうなのか。もう一つは、今まで行った人の成功した成功というのは、これは必ずしもお金をためるだけが成功とは思わないのですが、いわゆる生活の安定というか、精神の安定というか、そういうことを含めた成功した人と、しない人の割合、これはただがめつく働いたから成功した、こういうものさしのはかり方もあるけれども、そういう意味でなくて、あなたの方では、一体今まで行った人がどの程度成功しているか、この二つの割合を聞きたい。
  28. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) その割合を申し上げることは、非常にむずかしいことでございますが、海外へ行きました移住者で、非常に貧乏で食いつめたというお話がございましたが、貧乏でもまじめに働いてる貧乏な人も相当行っておるわけであります。こういうような方々はむしろ非常に勤労意識は強くて、行きましてからは非常に働いて、その生活は非常によくなっております。それから戦後最初におきましては、南米は非常に夢の国であって、働かなくても非常にいい生活ができるのだという気持で、うわついた気持で行った者もございます。これらの人は参りまして、予想に反して南米でもやはり働かなければやっていけないということで落伍した人もございます。しかしこれは正確なパーセンテージを申し上げることは非常にむつかしいのでございますけれども、少なくとも九〇%以上はまじめな移住者が参って、まじめに働いて、そうして大体定着し落ちついているということが言えると思います。ただ終戦直後、今日ではそういうことございませんが、海外移住者送出の場合に、村や町でもてあまして、もう置いておくとうるさくてしょうがないから、海外へ出してしまえというようにして、われわれとしては優秀な移住者を出す、素行の悪い者とかその他体の悪い者とか欠陥のある人は出さないようにして、十分な選考をしておるんですけれども、その網をくぐって出て、それがために海外で問題を起こし、極端なのは国外追放になって帰ってきたというような者もございますが、最近ではそういうものはきわめてまれでございまして、全体といたしましては、私は、まあ正確な数字を申し上げることはむつかしゅうございますが、九〇%は落ちついてやっているし、まじめな人が行っていると言って間違いないと思います。
  29. 大和与一

    ○大和与一君 当然そういう御返事があると思っておったんですが、それでは一体、大体うまくいっているんだったら、もっと海外移住の実験が上がらなくちゃならぬと思う。そこに一体政府としてはどこに欠陥があるというふうにお考えになるか。
  30. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) さっきも申し上げましたように、移住は一年、二年で簡単にゆくものではございませんで、また、戦後最初アマゾンへ五十七名参りましたのは昭和二十七年でございます。大部分の移住者が、この移住数字を見てもらいましてもわかりますように、まとまって行くようになりましたのは、昭和二十八、九年、三十年ごろからでございまして、まだほんの四、五年でございます。しかしながら、たとえば。パラグアイのごときは、おととしごろは、あの移住地の一部においては非常にうまくいってないで、もう餓死するんじゃないかというような極端なうわさまで日本に伝わったわけでございますが、昨年私が参りましたときには、移住地は非常に隆々とやっておりました。そうしてその中で今のフラムという移住地でございますが、そこに三つの組合がございまして、そのうちの一つのヌマクマチョーというのが非常に悪いんだと言われておったんですが、これも他の移住地の成功に刺激せられて、非常な挽回を示し、今日では大体三十五町歩から五十町歩土地を持って移住者はゆうゆうと暮らしております。私昨年参りまして、これらの移住者に、あなたたちは移住してどう思うか、日本へ帰りたくないかを聞くと、とんでもない、私は昨年は十町歩土地を耕しましたが、ごとしは五町歩、もしできれば十町歩耕す、裏にはまだ二十町歩三十町歩という土地があって、その開拓に忙しいんだと言って、えらい明るい、日本ではとても聞けないような話をしておりました。たまたまパラグアイへ参りましたときには、ちょうど彼らが作りました大豆を日本へ売る契約ができたニュースなどが、すでにパラグアイの方にも伝わりまして、私自身はそれほどとは思わなかったんですが、移住地各地で、このパラグアイの大豆を日本に売ることに対する政府のあっせんについては非常に感謝せられたのでありますが、このパラグアイ移住地なんかははなばなしい、わずか三年足らずの移住地でございますが、非常な成功をしております。それからもう一つ例を申しますれば、ボソビアのサンファンというところ、これは昨年の初めごろまであの移住地は道路も十分できていないで、作ったものは搬出できないんじゃないかといって、日本から見えられた方々がずいぶん攻撃せられた移住地でございますが、これも昨年の十月ごろから非常に改良され、現在におきましては、政府援助によります道路建設の機械、それからボリビア政府の協力によりまして道路がすっかりできただけでなくて、従来水が多過ぎたといわれた移住地が、昨年からはちょうど平年の降雨になりまして、非常な米作の豊作でございまして、日本の者は何でもできるし、できたものも海外移住振興会社融資によりまして、できましたときに半分売って、ボリビア政府から、ボリビアの中央銀行から融資せられた金の支払いに充て、残りは、そのままそのときに売るとまだもうけが少ないので、端境期まで置いておいて、その間のつなぎ融資移住振興からやっております。去年の十二月から一月には、ほとんど倍の値段で売っているというような明るい空気になっておりまして、移住は必ずしも暗い面ばかりではなく、パラグアイボリビア、今後はそれからアマゾンにおきますトムアスというところにおきまして、コショウの栽培なんかも非常に成功をおさめまして、私は決して暗いというふうには思っておりません。
  31. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 アルゼンチンの移民のことについてちょっと伺いたいのですが、ブラジルなんか人種平等で、ちっとも人種的偏見はないのですが、アルゼンチンなどは、ホワイト・オンリーのように聞いたのですが、どういう種類の移住民が行っているのですか。
  32. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) アルゼンチンは、ほとんど大部分はホワイトの国でございますが、移住については人種差別はやっておりません。ただ、アルゼンチンは国の人口の三割くらいがブエノスアイレスに集中しておりまして、大体移住者が首府のブエノスアイレスに集中しようという傾向があるのでございます。従って、ブエノスアイレスの近郊周囲百キロまでは移住者を入れることは非常にむずかしいのでございます。地方の農村及び山岳地帯、ミシオネスというような山岳地帯におきましては、移住を許しておりまして、日本といたしましては、現在四百家族のミシオネスヘの移住ワクを持っておるのでございます。ただ、アルゼンチンは、相当土地も高うございまして、たとえばミシオネスの移住地なんかは、非常に高い移住地でございますので、そこへ入る移住者を募集することがなかなかむずかしいのでございます。それからパンパスの平野、これは日本式の小農ができないのであります。ブエノスアイレスの近くでは、野菜とか花を作ってやっているのでありますが、一方パンパスへ出ますと、これは大農の大機械農耕でなければいけないので、日本のわずかの金、あるいは会社の若干の融資では、とても成功する移住はできない。将来パラグアイ、アルゼンチンの移住として非常におもしろいと思われるのは、むしろアルゼンチンの南部の地域に対する計画的な、集団、総合的な移住というものをやれば、漁業、農業あるいは企業、こういうものをまとめた移住ができるのじゃないかと思うのです。これに対しましては、アルゼンチン政府も非常な関心を持っているのでありますが、われわれとしては、まだそこまで手をつけるところに至っていないわけです。
  33. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 現在のアルゼンチンヘ行っている移民は、みな農業移民ですか、全部農業移民ですか。
  34. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) 大部分が野菜栽培と花栽培、それから果樹栽培、それからその中の若干の人が、都市へ行きまして洗濯業をやっている人が相当ございます。それからボタン工場とか、若干の企業に関係しておられます。大部分は農業でございます。
  35. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 今、アルゼンチン大使が非常にアルゼンチンの開発に熱心ですね。それで非常に膨大な道路計画、住宅計画、それから鉱山の開発ですね、将来はダム建設、こういうふうなものがあるので、日本に対して協力を求めてきているわけですが、そういう方面の、たとえば土建労務者みたいなのは、移住者と同じような資格で、向こうへ移住させられるのですか、どうなんですか。
  36. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) それはちょっとむずかしいのじゃないかと思います。それだけの労務者は先方にもおりますし、アルゼンチンでは、私も詳しいことは存じませんが、土建におきましても、すべて相当大機械をもってごくわずかの人力でやっているようでありまして、そういう意味におきまして、アルゼンチンの土建関係は、相当高度に機械化しておると思います。それからアルゼンチンの開発につきましては、特に南部の石油地帯の開発、北部の石油地帯の開発は、主としてアメリカが自己の投資でやっているようでありまして、これに対する関係は、土木関係もアメリカが自分でやっておるのじゃないかと思います。
  37. 井上清一

    井上清一君 この際一つ移住問題に関連しまして、若干お伺いを申し上げたいと思うのですが、一両年前まで、海外移住会社の会計経理の問題がしばしば本委員会で問題になったわけです。実際、その移住会社が、いろいろ貸付その他についての現況を把握していない、東京に本社の機構の大部分がありまして、現地の事情を十分把握していないし、また貸付その他についても、それがどうなっておるのか、また計画がどうなっておるのかというようなことについて、どうも不明確であり、しかも、その決算が、現地からこちらの方で取りまとめております関係上、現地からくる報告が非常におくれまして、そのつどいろいろ会計上、経理上の報告がおくれがちであって、実際どういうふうなはっきりした活動をしているのかというような点がどうもつかみにくい点があったように私たちは思うのです。その後、だいぶ移住会社の方でも機構の改革をやったようですが、最近、そういう点で、外務省がはっきり移住の現況を把握するようなことができるような仕組みになっておるかどうか。そしてまた、移住会社がそれに沿って、外務省の意図に沿ってかっちりした事業の運営をやっておるかどうかというような点について、若干お伺いしたいと思います。
  38. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) 移住会社の監督につきましては、外務省が毎月報告を取って監督指導をしております。また、会計検査院も検査をしておる次第でございます。それから移住会社の投資、融資につきましては、少しまとまったものは全部外務省、大蔵省、関係省の許可を得てやるという、割合にきびしい監督指導下でやっておる次第でございます。従って、移住会社の事業につきましては、外務省といたしまして十分よく把握いたしております。ただ、従来は、主として移住会社の一番大きな仕事が、土地を買ってこれを造成して移住者を入れるということに集中せられまして、企業投資とか、その他の営農融資にいたしましても、割合に少のらございまして、相当大きい部面が土地の購入、造成ということになっておるのでございます。今後はもう少し活動分野を広くして、企業投資におきましても積極的な活動をいたしたいと思っております。
  39. 井上清一

    井上清一君 東京にあります移住会社の機構というものは、相当膨大な機構なんです。それで、これは実際の仕事のやり方を見ておりますと、東京では私は相当手が余っているような感じを受ける。それで私どもの考え方としては、東京の人員をさいて現地に相当人間を送って、そうして現地で相当処理すべきものは処理して、また現地でいろいろな取りまとめをやれるような仕組みをとっていくことが、海外移住を促進し、移住会社の使命を達成するために、私は非常に大事なことではないかというふうに、まあ私は常々考えておるのですが、こういう点についてどういうふうにお考えになっておるか伺いたいと思います。
  40. 高木廣一

    政府委員高木廣一君) 理想としては、そういうふうにいたしたいと思うのであります。ただ、そういたしまして、実は昨年は現地に相当の職員を移しまして今のような理想下にやろうとしたわけであります。ただ連れて参りました人々も、現地の事情は全然知らない、言葉も知らないというような関係もございます。まあ概言いたしましたならば移住者の人的要素というものが、まだ十分訓練されておらないというふうな実情でございまして、従ってこういう者にあまり自由にやらすということは、非常に危険であるということで、われわれはねらいとしてはそういうふうにもっていきたいと思うのでありますが、しっかりと時をかけて人を養成しながらやりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。昨年度は実はあまり現地に移し過ぎまして、東京の方はむしろ手薄になったというような実情でございます。
  41. 井上清一

    井上清一君 大体私どもの考え方の方向で進んでいると思いますから、私は非常にけっこうだと思いますけれどもですね、どうも移住会社のめんどうの見方というものが足りないという現状ですね。だからいろんな投資なりをしましても、金は貸しっぱなしで、あとはどういうふうになっているか、そういう方面に対する指導というか、そういう点に欠くる点が非常に多いように私は聞いておるわけなんです。こいねがわくば各移民を受けている国に適当な出張所を置くとか、またそれを総括しまして、南米の移住会社相当強大な機構を私はこの際考えることが一番大事である。もちろん、東京における仕事もございましょうけれども、どうも移住会社仕事が、東京に重点を移し、何でもかんでも東京に持って来なければ話がつかんというようなことでは、移住政策の遂行に当たるためには、私は不完全、不十分だと思いますので、どうぞ一つこの点を十分御留意を願い、今後の移住会社の監督にお当たりを願うと、かように希望いたしまして私の質問を終ります。
  42. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御発言はございませんか。他に御質疑がなければ、これをもって質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 木内四郎

    委員長木内四郎君) それでは質疑は終了いたしました。直ちに討論に入りたいと思います。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。  別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認めます。よって討論は終局いたしました。  それでは直ちに本案、すなわち財団法人日本海外協会連合会に対する移住者渡航費貸付資金貸付条件等に関する法律案、全部を問題に供しまして採決をいたしたいと思います。  本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  45. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって可決されました。  なお、本院規則第七十二条によりまして議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  46. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認めます。さよう取りはからいます。
  47. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 次に、南極条約の締結について承認を求めるの件につきまして、政府より提案理由説明をお聞きしたいと思います。
  48. 小林絹治

    政府委員小林絹治君) 南極条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  昭和三十三年五日二日、アメリカ合衆国政府は、国際地球観測年中に南極観測に参加した日米ソ等十二カ国が、南極地域の平和的利用及び同地域における科学的調査の自由とそのための国際協力を目的として、国際条約を作成する会議を開催することを提案いたしました。この提案は、各国の賛同を得て、その後一年余にわたり予備会議において非公式に討議された後、昨年十月十五日ワシントンにおいて全十二カ国代表参加の上南極会議が開催され、この会議における審議の結果、十二月一日に全参加国一致により、この南極条約が採沢され、各国代表がこれに署名いたしました。  この条約は、その前文にもあります通り、南極地域がもっぱら平和的目的のみに利用されて、国際間の政治的紛争の舞台とならないようにし、かつ、科学的調査の自由と、そのための国際協力が確保されることが、全人類の共通の福祉に貢献するという理想のもとに作成されたものでありますが、この理想は、とりも直さず、わが国が南極地域について持っている理想と合致するものと考えます。  わが国を含む署名国は、この条約に参加することにより、この条約の実施に関係して開かれる定期的会合に常時参加でき、かつ、その会合で特別の地位を与えられることになり、さらに、わが国が国際地球観測年中に南極観測を通じて果たした科学的業績と、今回の南極会議において条約成立のために示したわが国の貢献とが、世界に高く評価されていることを考え合わせますと、わが国がすみやかにこの条約を批准し、南極の平和的利用及び科学的調査の国際協力に貢献することは大いに意議があることと考えます。  この条約は、すべての署名国の批准によって発効することとなっておりますが、目下のところ、その大部分が本年の夏ごろまでに批准を行なう見込であります。  よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  49. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 本案に対する御質疑は後日に譲りまして、本日はこの程度で散会いたしたいと思います。    午前十一時三十八分散会