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1960-03-15 第34回国会 参議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十五日(火曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     草葉 隆圓君    理事            井上 清一君            苫米地英俊君            森 元治郎君    委員            青柳 秀夫君            鹿島守之助君            木内 四郎君            笹森 順造君            永野  護君            野村吉三郎君            堀木 鎌三君            加藤シヅエ君            小林 孝平君            羽生 三七君            石田 次男君            佐藤 尚武君   政府委員    外務政務次官  小林 絹治君    外務大臣官房長 内田 藤雄君    外務省経済局長 牛場 信彦君   事務局側    常任委員会専門    員       渡邊 信雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○関税及び貿易に関する一般協定への  スイス連邦暫定的加入に関する宣  言の締結について承認を求めるの件  (内閣提出) ○在外公館名称及び位置を定める法  律等の一部を改正する法律案内閣  送付、予備審査)   —————————————
  2. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  関税及び貿易に関する一般協定へのスイス連邦暫定的加入に関する宣言締結について承認を求めるの件(本院先議)を議題といたします。  前回に引き続き質疑を続行いたします。質疑のおありの方は順次御発言を願います。  他に御発言もございませんようですから、本件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと存じます。別に御意見もないようでございますから、本件に対する討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  関税及び貿易に関する一般協定べのスイス連邦暫定的加入に関する宣言締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  5. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 全会一致でございます。よって本件全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
  7. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 次に、在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案予備審査)を議題といたします。本件につきましては、先般提案理由説明を聴取いたしておりまするので、本日はこれより直ちに質疑に入りたいと存じます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  8. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 このモントリオールの総領事館のことはあまり問題はないと存じますけれどもソールズベリー総領事館を設置するということにつきましては、もう少し政府当局からの御説明を伺いたいのでございます。と申しますのは、この広いアフリカ大陸日本総領事館を設置することにつきましては、もとよりアフリカ大陸に対して日本の国として将来貿易上どういうような計画を立てどのような関心を持っていらっしゃるか、現在アフリカに対しての貿易状況が、ほかの地域においてはどういうふうになっており、特に問題になっているこの地域では、どういうものでどのくらいの量だ、将来どういうような見込みをもっていらっしゃるのか、競争国との状態はどうなっているか、それに対して、単にここに総領事館を作るだけでなくて、本省の方のいろいろなこれに対する対策、たとえばどういう局がどれくらいの大きさでこの問題について当たっていらっしゃるか、そういうような点について御説明を承りたいと存じます。
  9. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) ただいまの御質問に私十分な知識を持っているかどうか存じませんが、一応私の了解いたしておりますところで御答弁申し上げます。  アフリカの問題につきましては、御承知のごとく、最近非常に独立国もふえつつございまして、本年中には先般一月一日に独立いたしましたカメルーンを除きまして、今年中に四カ国の独立が予定されておりますし、各地におきまして、いわゆる独立ブームと申しますか、そういった民族の自決に基づきます非常な勃興期に入ったような状況を呈しておることは御承知通りでございます。そういった関係から、今世界の非常に注口を集めております一つ地域であるということは申し上げられると思うのでございまして、日本といたしまして、この趨勢に応じまして、アフリカ方面に大公使館なり総領事館なりを新設して参ることはぜひ必要だろうと感じております。ただ、財政上の理由どもございますので、また予定されておるというだけで、直ちに大公使館を設置するというわけにも参りませんし、順を追って総領事館というような形でやって参らなければならぬ場合もあるわけでございます。今度置こうとしておりますソールズベリーが御承知のごとくローデシア・ニアサランドという南アのすぐ北にある地域でございますが、従来イギリス自治領と植民地とが一緒になった形で、今非常な高度の自治が認められた地域になっておるわけであります。非常に自治が高度ではございますけれども、まだ独立ということにつきましては、現在のところ少なくとも日程などはきまっている段階ではございません。ただ、一般的にそう遠くないうちには独立するのではないか、今のところではまだ国際機関に、連盟の下部機構などに独立の単位で入っているという段階でございます。特にこのところを選びまして、ここに総領事館を置こうといたします理由は、この地域が最近非常に経済的にも進展して参りまして、先般この二月、ごく最近でございますけれども自治地域との間に貿易取りきめもできまして、現在までのところはまだ昨年度は輸出が十一億円、輸入が三十八億円程度ではなかったかと思いますが、現在までのところではそう大した貿易量というわけには参りませんけれども、ただいま申し上げましたように、ごく最近に貿易取りきめもできまして、最恵国取り扱いを受けるということにもなりましたし、近い将来におきましては、非常に貿易の進展が見込まれる地域でございます。それで、従来この方面には、南アにございますプレトリア総領事館一つございまして、この地域も、そのほかを含めまして非常に広い地域プレトリアの総領事が一館でカバーして参ったのでございますが、これではこの方面に対するわれわれの対策としてあまりにも貧弱だということ、ただいま申し上げましたように、この地域自体が近い将来に貿易的に見ましても非常に重要性を増して参るというようなことから、ソールズベリー総領事館を置くということにいたしたわけでございます。  本省の方の機構につきましてでございますが、これは現在のところ欧亜局中近東課で現在はやっておりますが、来年の四月から、これは正式に課としての独立がまだ今度の予算措置を受けておりませんので、現在のままで、ある程度アフリカ管理官室というようなものを設けまして、アフリカの今後の問題に処して参りたいという考えでおります。なお、経済的な方面は、御承知のごとくやはり経済局中近東課というのがございまして、それがやっております。とりあえず地域局の力に一応アフリカを特に担当する管理官室というような形で独立した課を設けてやって参りたいというのが大体現在の考え方でございます。
  10. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ただいまの御答弁の中に、貿易品目輸出及び輸入品目、それから他の競争相手の国はどういう国であって、どういうようなところが問題になっているか、そういうことも御質問申し上げたはずでございます。
  11. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) ちょっと経済局長よりいろいろ品目の問題などについて申し上げます。
  12. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) ローデシアとの貿易は、ただいまたしか輸出イギリスの、英ポンドにいたしまして一昨年度は六十ポンドほど、輸入が四十万ポンドほどであったと思います。こちらから出ますのはやはり繊維品が多いのでございますが、あそこは非常に生活程度が高いところでございますので、ラジオ、トランジスターのようなものでありますとか、それからカメラのようなものでありますとか、そういうものも今後進出の見込みが十分あると思います。また、自動車なんかも、これは隣の南ア連邦にはもう相当入っておりますので、これもまた今後の努力によりましては見込みは持っております。向こうから輸入いたしますものは主として鉱石類でございまして、ローデシアは銅につきましては、たしか世界で三番目の、アメリカ、チリに次ぎまして三番目の産出国になっておりまして日本も相当銅鉱石を買っております。そのほかニッケル、クローム、鉄鉱石というようなものが非常に豊富にあるところでございます。最近ではニッケル鉱石鉄鉱石との開発につきまして、日本会社でもって、あそこへある程度投資をいたしまして、先方会社との合弁で山を開発して、出た鉱石日本に持ってくるという話が進んでおりましてこれはおそらく一近く実現するのではないかと思っております。ローデシアはもちろんイギリス植民地であったわけでありますので、現在やはり競争相手とし律してはイギリスが一番圧倒的に大きな貿易量を占めております。それからドイツあたりも最近はだいぶ進出しております。あそこはアフリカのうちで、おそらく外資が入ってくる量は一番多いのじゃないか。隣の南ア連邦も、その意味でなかなか外資が多く入るのでありますが、南ア連邦の方は人種問題がありますので、最近はやや外資がそれほど来なくなった。それに反してローデシアの方はそういう問題も割合に少ないというわけで、非常に投資先としては有望と見られておるようであります。ただ政治的に最近御承知通りいろいろ問題が起こりまして、これの帰趨がどうなるか、これらがわれわれとしても十分注意して参らなければならぬところであると思いますが、貿易取りきめもできましたので、今後の貿易量増大ということは、これは十分期待できると思っております。
  13. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 貿易増大に期待ができるというようなお話でございましたけれども、今本省の方の機構を伺いますと、中近東課アフリカ管理課というような、そういうようなもので、非常に貧弱な機構ではないかと思うのでございますけれども、こういうようなことで、アフリカのような、非常に将来発展性の高いところの、他国との競争などに耐えていくためには、今まで私もアフリカの二、三の地に参りましていろいろ状態を伺いましたけれども、なかなか激しい競争に対して日本外務省対策というものが非常に緩慢であるというふうに私は見受けて参ったのでございますけれども、このアフリカというのは一つの課ぐらいのところで、今後とも十分な他国との競争に伍してやっていけるというお見通しがあるのでございましょうか。
  14. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) これは全く御指摘のように、従来日本外務省アフリカ方面に対して関心の度合いが非常に低かったということは、率直に認めなければならぬことでございまして、われわれとして、その点はまことに申しわけないと思っておる次第でございます。ただそうかと申しまして、一挙に局を設けるほどの事務量が現在差しあたってあるかと申しますと、やはりわれわれの在外公館配置状況もまだ少のうございますし、直ちに局を作るほどのこともあるまい。またこれには御承知のように、従来のアフリカというものが、何と申しましてもヨーロッパ諸国植民地的な地域が多かったわけでございますので、その母国の方を管掌しております局との連繋というようなことも十分考えて参らなければならぬというような点もございますので、われわれはこれで満足するという意味ではございませんけれども差しあたり段階といたしましては、欧亜局アフリカを担当する課を、まあ課に類似したものでございますが、管理官室と申しておりますが、設けるということが差しあたっての行き方としては妥当ではあるまいか、これがもう少し発展して参りますれば、当然御指摘のごとく、将来この地方を管轄いたします独立の局を設けるというようなことも当然あり得るというふうに現在考えておるわけでございまして、この将来の公館配置状況、あるいは現実の仕事の量などをにらみ合わせながら適当に対処して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 本省機構も、もとより新らしい情勢に対して十分対応のできるようにだんだん拡大されることが望ましいことだと存じます。ぜひともそういう方針に向かって進んでいただきたいと強く要望いたします、と同時に、ただ機構その他の準備が整えばそれで全部よろしいということではございませんで、申し上げるまでもなく、新らしく独立していく過程にあるアフリカの諸民族、こういう民族のいろいろの民族感情、そういうようなものもやはり考慮に入れて貿易を拡大するということは非常に大切なことじゃないかと思うわけでございます。これに対しまして、まあややもすれば何か優越感をもって臨むというようなことがあれば、これは非常に失敗に終わることでございますから、せんだっても何かNHKのアフリカをいろいろ視察して、日本にいろいろ情報を提供するというような仕事が試みられましたときも、白人ならば入れないけれども日本人有色人種であるというので、白人を入れない会合にも日本人は招かれたとか、そういうような話もちょっと聞きましたのでございますけれども、こういうようなところを、やはり日本人がA・Aグループのその一員であるというこの自覚を持って、アフリカに対する外交も貿易も進めていかなければならないと私は考えるわけでございます。こういうことにつきまして、外務当局はどういうふうに見ていらっしゃいますか。
  16. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) われわれも大体御指摘のように考えております。ただ、遺憾ながら従来相当立ちおくれておりましたので、公館配置ども漸を追ってやって参らなければなりませんし、またそれに要員というようなことを考えます場合にもなかなか一挙に理想通りには参らぬかと思いますけれども、御趣旨のような線では、われわれとしても考えて参りたいと思っております。
  17. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 最後にもう一つ伺いたいのは、こういうようなアフリカの新興国からは方々に留学生を送っていることが非常に多いと思うのであります。この若い留学生たちは、次の世代のその国々の責任を持つ人たちで、この留学生の指導とか、留学生援助するというようなことは非常に大切なことだと思いますけれども、今問題になっておりますこの地域から日本留学生は来ておりますか、また来るような傾向がございましょうか。
  18. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 先ほど申し上げましたように、従来もアフリカ方面に対する施策というのは、全般的なウエートの置き方、その他がそう十分でなかったというふうにわれわれ自身感じておりますので、今後ただいまおっしゃいましたような方面にも力を入れて参らなければならぬと思いますが、現在のところでは私はアフリカ方面から日本に参っておる留学生というものは、あっても非常に少数ではなかろうか、おそらくまだないと申し上げた方がいいんじゃなかろうかと思います。これはやはり先ほど申し上げましたように、従来アフリカ西欧諸国の大体勢力範囲と申しますか、植民地的な立場におりましたし、やはりどうしても勉強に参る者も、地域的な関係ども考えましても、やはりヨーロッパ方面に行った人が多かったんではなかろうか。将来、なるほど人種的な問題、いろいろありましょうし、日本側準備が進みますればそういう方面にも、向うから喜んで来るということも期待できないわけではないと思いますから、将来の問題としては十分検討して参りたいと考えます。
  19. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 アフリカの今までの植民地であった関係上、言葉の関係もなかなかまあヨーロッパに留学する方が便利であるというのが現状であろうと存じますけれども、聞くところによりますと、アフリカ地域からヨーロッパに参っておる留学生は、数にすれば相当なものがあるそうでございますが、ヨーロッパ諸国ではアフリカの黒人の留学生というようなものに対してのあまり適当な援助、待遇をしておらない。その結果は、そういう留学生がその大きな部分が共産主義的なイデオロギーを注入されて帰っていくというようなことが実情であるというようなことも聞いております。将来日本にもまあたくさんでなくてもこういうところから留学生が来るというようなこともお考えいただきまして、そういうようなときには進んで援助する、そういうようなことも当局としては考えていただきたいと私は希望する次第でございます。
  20. 永野護

    永野護君 アフリカの話が出ましたので、ちょっと聞かしていただきたいのですが、今スエズ運河改修問題が現実化されつつある。日本からもその国際入札に加わって、その見積もりの調査をするために調査団が出たようでありますが、私どもが伺っておるところによりますと、こういう場合に一番有力なる競争者西ドイツである。そうして西ドイツ政府の力の入れ方は非常に強い。私は何としてもこの世界入札に少なくも一部は日本が加わりたいと、こう考えておるのでありますが、西ドイツが国としてそういうものに非常に応援をしておる。全く業者と一体となっていろいろな援助をしておる実情でありますが、今度のスエズ国際入札、これは改修と言いますけれども、年々大きくなっていく船のスピードに合わせるためにやります改修計画は、ある意味から言ったら、ほとんど新設のような大きな事業になるのでありますから、この際にどうしても日本はそれに参加しておいて、そうしてこの世界注目の的であるスエズ運河改修日本の手でやってみたいとわれわれ日本人として考えておるわけですが、私は、ぜひ外務省がこれに十分なる援助を与えてやっていただきたい。ことに最近アリ・サブリさんですか、ナセルの片腕のような人が日本に来るそうでありますから、そういう場合に外務省としては特に了解を求めて、日本入札が、この前の東芝のように、一番安い値段であってもドイツに取られてしまうというような、ああいう結果が起こらないように十分なるお力添えをしていただきたいと、これは希望するわけであります。何かこのスエズ運河国際入札に対して外務省として、何か具体的に、こんなことをしてやろうというような腹案がおありなんでしょうか。
  21. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) スエズ運河国際入札につきましては、われわれも非常に関心を持っておることは、もうはっきり申し上げられることと存じます。ただエジプトとの関係におきましては、先般——一昨年できました三千万ドルの信用供与という約束もまだ完全にその金が使われておらない。つまり先方の出します条件が非常にわれわれにとっては無理な条件が多いものでございますから、なかなか円滑に行っておらないのが実際の現状でございます。この間西ドイツからも、御承知のように、エアハルト大臣が参りまして、まあ大臣自身は病気になってしまってあまり話はできなかったようでありますが、一緒に参った経済省の連中なんかの話を聞いてみましても、非常に実は、何といいますか、いわゆる援助ずれがしておって、ことに最近ソビエトから非常に大きなクレジットをもらっているようなこともあってなかなか条件が合わない。ごとにたとえばソビエトから二分五厘の金を借りているから、それと同じ利子でもって金を貸せというようなことを言うのです。西ドイツは、絶対にできない、そういうことはとうてい考えられないということをはっきり言うということを言っておったような状況であります。今度のスエズ運河国際入札でも、おそらく相当きつい条件向こうとしては出して参るのじゃなかろうか。その場合に、もちろんわれわれとしてもできるだけの努力はするわけでありますけれども、現在日本の持っておる資金源というのは、御承知通り輸出入銀行がほとんど唯一のそういう場合の資金源でありまして、その輸出入銀行資金も四分以下にはどうしても切れないというのが実際の状況であるわけでありまして、そのほかの面においていろいろ努力するということは、これは言えますけれども、ある限度以下にはわれわれとしてはとても下げられないということがあるということは、これはもう私が申し上げるまでもないところであろうと存じます。しかしながら、今度は自由世界全体としましても非常に関心の強い問題でありますから、そういうほかの国との協調というようなことも考えまして、日本だけでやるというのでは、これはとても私は無理だろうと思いますけれども、ほかの国との協調という立場において何か参加することをぜひ実現させたいと、これは私ども熱望しておるところで、大蔵省、通産省あたりと、もう一ぺん連絡いたしまして推進いたしたいと思っております。  最近御指摘通り、アリ・サブリさんも参ります。そういう際にはわれわれとしてもこの問題についての熱意を表明する。また業界の方からも直接まあそういう熱意先方に対して伝えていただくということは大いに効果のあることじゃないかと思っております。
  22. 永野護

    永野護君 今度の運河国際入札には、例の三千万ドルのワクは使えませんですか。
  23. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これはエジプト側で使いたいと言えば私どもの方はおそらく異議がないと思いますけれども、もちろん大蔵当局の見解も聞かなければなりませんが、おそらく、しかし、先方は幾らあっても金は借りたい方でありますから、三千万ドルのワクはそれはそれで別の方に使って、運河の方はまた新しいクレジットということを申すのじゃないかと私ども今のところ考えております。
  24. 永野護

    永野護君 あの三千万ドルの金利は幾らでございますか。
  25. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは世界銀行並みということに大体なっておりまして、五分五厘程度ではないかと思います。現在、世界銀行金利も上がりぎみでありますので、非常に低いソビエトが出しておりますような条件は、これは出しかねるのじゃないかと思っております。
  26. 永野護

    永野護君 これは私の聞き違いかもしれませんが、今のお話ではソビエトの二分五厘は、西ドイツはあんな条件では聞かれないというような御説明でありましたが、今度の運河資金はそれに近い安い資金で西独は援助するというようにちょうと伝え聞いたんですが、それは間違いでしょうか。
  27. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 私が申しましたのは、この間エアハルト大臣が参りましたときの話をドイツ側から聞きましたのを申し上げましたので、具体的にその運河改修工事について聞いたわけじゃございません。あるいはそういうことを考えておるかもしれませんけれども、まあ大体今までの彼らのやり方を見ておりましても、さほどとっぴな条件を聞くとはちょっと思えないということでございます。
  28. 永野護

    永野護君 この入札に応ずるときの原価計算に、金利が非常に大きな要素を持つわけだから伺うのですが、少なくともあの輸出入銀行の四分五厘程度の金は使えると期待しているのでしょうか。
  29. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これはどうも私がちょっと申し上げるのは適当でないと存じますが、建前としましては、御承知通りあれは協調融資ということになっておりまして、輸出入銀行が最低の金利を出しましても、市中銀行の方が二割なり三割なり入りますと高くなるということになりますので、どうもこの点は一つ大蔵当局なり通産当局に御質問願いたいと思います。
  30. 永野護

    永野護君 よほど金利が違うものですから、技術の面では負けなくても金利競争に負けてしまうというようなことがありまして、せっかくほかの条件がそろっておるときに、金利関係だけで日本が敗退するというようなことのないようにお口添えをぜひお願いしたいと、こう考えております。これは質問ではございませんで、希望なんでございませんけれども……。
  31. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 簡単な問題を二、三お伺いいたしたいと思いますが、アフリカソールズベリーに今度公館ができるということは私は非常にいいことだと思いますが、アフリカの在勤手当の規定ですが、これは従来通りの率だと思うのですが、聞くところによると、アフリカの在勤手当はワシントンの何割引とかということになっているそうですが、正確にはどのくらい割引されているのでしょうか。
  32. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) アフリカと申しましても一概には申し上げられないのでございますけれども、今度の場合はプレトリア並みにいたしたわけでございます。これは御指摘のように、アフリカの在勤俸の問題につきましては、われわれ自身現在のきめ方というものは必ずしも妥当でない。むしろはっきり不当だというところも二、三感じております。それで、この在勤俸のバランスの問題というのは、実はこの在勤俸がきまりましたのは昭和二十七年でございまして、きめたとき自体にも十分に検討してきめられたかどうか問題がありまするけれども、その後の事情の変化など考えますと、現在では非常に、アフリカに限りませんで、方々にでこぼこがあると申しますか、均衡を失しているというふうに感じております。ただ問題は、これを部分的に取り上げましてやろうとしましても、なかなか大蔵省の方も承知してもらえませんので、今せっかく全般的な資料など集めまして検討中でございまして、特にアフリカにつきまして、先ほど申し上げましたように、二、三非常に不当であるということがはっきりしております場合には、在勤俸のきめ方そのものを変えるわけには参りませんので、下の級の者でもアフリカに在勤しているときには上の級の在勤俸をもらえるというふうな内部的なやりくりで、できる限りの調整を行なっているのが現状でございます。このソールズベリーの在勤俸をきめましたのは、従来はプレトリアが管轄しておったわけでございますが、その一部に今の管轄する総領事館ができるわけでございますので、われわれといたしましてはできるだけいい在勤俸をやりたいのでございますけれども、やはりプレトリアとの関連におきまして、とりあえずこのプレトリア並みにせざるを得なかったわけでございます。それで今のアメリカを一〇〇といたしますとプレトリアは八四でございます。ですから、今度ソールズベリーも八四という形になるわけでございます。
  33. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 西海岸の方などは非常に気候も悪くて、土民の生活は非常  に安いのですけれども公館人たち  の生活は土民の人たちの生活をまねをすることができない。そうするというと、みな輸入品を使わなければならな  い。輸入品を使うというと生活が非常に苦しくなる。その上に多くの場所で住宅難がある。それで、長い間下宿生活をして困っている館員もあるやに見受けられるのです。それからもう一つは、家を借りるに短くても二年、場合によると四年も前金で払わないと確保できない。ところが公館で立てかえてやるわけにもいかないし、銀行取引もまだ新しいのでなかなか借りられないということです。また四年の前金を払ってしまうというと、次に来る人に引き継ぐとか何とかということをしないと捨ててしまわなければならぬ、こういうような困難があることを聞いてきたのでありますが、住宅を建ててやることはできないとしても、そういう前金なんというものは何とか工夫してやる道はないものでしょうか。
  34. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 全く御指摘のような問題が起こっておりますことをわれわれ自身もよく承知いたしております。それでいろいろ研究いたしておるのでありまして、共済組合あたりの金を外地に置いて貸すという方法も、これも大蔵省でもある程度は了承してくれましたのですが、何分にも条件などがなかなかきついのと、また期間なども短い関係で、これだけでは不十分だと思っております。確かに将来の問題といたしましては、こういう地域には、なかなか遠くていろいろ問題がございますけれども、できる限り住宅は官費で、不十分なものにしろ、しつらえる、あるいは建設するというような形で、在勤する者に非常な過重な負担を与えないようにということを考えておる次第でございます。
  35. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 もう一つお伺いしたいのですが、行って見ると公館に冷房装置なんというものはほとんどないのですね。公館で冷房装置のないというのはまあ日本だけなようで、これは日本で考えるというぜいたくに考えますが、能率の点からいっても健康の点からいっても必要であるばかりでなく、公館でお客ができない。交際ができない。冷房装置のないところにお客を呼んでも来ない。これではせっかく公館を置いても活動の制約を受けることになりますのですが、これらについてはむろん外務省はお考えになっておられると思いますけれども、近い将来に何とかなるというようなお見通しでございますのですか。
  36. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) これは御指摘のように、従来ははなはだわれわれの微力のために予算が十分とれませんでして、はなはだ在外公館の職員にわれわれとして遺憾に思っておった次第でございますが、今度の三十五年度の予算におきましては、その点は非常に大蔵省でも踏み切ってくれまして、冷房の装置はまあ百パーセントとは言い切れるかどうか存じませんけれども、大体行きわたる予定でございます。
  37. 井上清一

    ○井上清一君 関連して。この間、在外公館を回りましていろいろお話を聞いたときに、今苫米地さんからお話のありました家賃の問題で非常にみんな困っている。それから、もう一つ困っているのは赴任をいたしますときに赴任旅費はもらえる。赴任旅費はもらえるけれども、まず一カ月目の在勤俸が届くのがずいぶんおくれるらしい。そのために家賃とそれから赴任した直後の生活費、その月の在勤俸というものがおくれるために借金をしなければならない。そしてそれを返すのにどうもずいぶん苦労をするというような話をずいぶん私は聞いたのですけれども、何か一つ外務省で在外勤務者のためのファンドを置いて、そこらあたりのいろいろ困っていることを解決するような方策を講じていただいた方がいいのじゃないか。もう早速、赴任して任地の銀行に行って保証人を立てて借金をしなければならないというので、非常に、着任早々みんなが苦労をするのは大体これだ。こう言っておりましたが、どうぞ一つ現地の事情もみなさんよく御存じだと思いますから、そういうことのないように、何か一つ方策を講じていただきたい、こう思います。
  38. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) これは、金がおくれるということよりも、むしろ問題は着任いたしました直後に、家屋の問題とか、土地によりまして自動車など、どうしても持たなければ仕事にならないというような関係で、最初のときにいろいろ金が要るということ。しかもその金が普通の通りのきまった月々の金ではどうにもならないというのが大体一番の問題のようでございます。われわれもそれはかねがね問題にしておるわけでございまして、先ほど申し上げましたような共済組合のファンド、従来の共済組合の金を在外で貸すということにつきましては、なかなかいろいろな問題がございますのですが、最近大蔵省の方とも話がつきまして、ある程度はそれで短期のものはまかなえる大体の見込みでございます。しかし非常に返済期限が短いし、金利ども相当とられるということでございますので、それだけで十分であるかどうかには、われわれとしては疑問を持っております。
  39. 井上清一

    ○井上清一君 どうぞ一つよろしく。
  40. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 永野委員からの質問に関連いたしまして、スエズ運河国際入札についてですが、金利が非常に高い。これは問題なく高いのです。国際入札に参加するには入札保証金、いよいよ落札してそれをやりますときに契約保証金、大体入札保証金が五%、契約保証金一割、それを外貨で積み立てるわけですが、エジプトで、たとえばスエズ運河の何か落札しても、そういう外貨は、貿易の自由化がもっと進めばともかく、現在の段階では方々から、アフリカの各地から日本入札のインビテーションがいっぱいくるのですよ。まず入札に際して外貨を積むということが全然できない。永野委員のおっしゃる金利の問題と同時に、われわれが海外に出るようなふうに、どこかへ円を持っていけばちゃんと外貨を積み立ててくれる、これは外務省の問題じゃないかと思いますが、大蔵省の問題だと思いますが、それが解決しなければ海外も、ちょっとそういうなには非常に困難だ。たとえばマリキナのダムのような、日本の賠償ですけれども、大体あれ契約しますと一割という金を、契約保証金として積み立てなければならない。日本入札制度からいくと前渡金として一割もらっても、それくらいのものは、海外へ行くと、逆に一割積み立てなければならないということで、なかなか海外へ建設業者が出ることは困難な状況にあるのでこの問題が解決されねばならない。現在は、アフリカ、中近東、ヨーロッパ内地、アメリカでもだんだん仕事が減っちゃって、大部分のヨーロッパ及びアメリカの請負業者、コントラクターは、ちょうど魚が近海にいなくなるというと南氷洋の鯨をとりに行くような、現在はそういう状態を呈しているのですよ。これもぐずぐずしていると閉鎖されて、ソ連あたりも出てきて、アスワンダムあたり、一割五分引、イギリスより安く取っちゃったような状態で、とても仕事が困難である。ちょっと伺いたいのですけれども、私ちょっと聞いた話で、どこまで正確かしりませんが、岸総理がマクミランに会われたときに、アフリカの未開発地の計画を日英共同でやろうじゃないかというような提案があって、これに対して何か岸総理としても答えなきゃならぬ立場にあるが、何か外務省の方で、日英共同してアフリカの未開発地の開発計画なんというようなものをお考えになっておられますですか。  ローデシアもその一環だろうと思いますが、何か将来アフリカでも未開発地についての、何かそういうような御計画なり、また未開発地にこういうプロジェクトがあるというような資料でもいただけるか、それらのことを伺うことができれば幸いだと思うのですが……
  41. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 岸総理とマクミランとのお話は、そういう具体的なところまではどうもなかったように私伺っております。ただしかし、アフリカなどや一般低開発国、ことにアフリカなんかにつきましても、日本一つ協力してもらいたいというような話は向こうからもしていたようでありまして、ただ日英協力してやろうというようなところまで向こうも言ったのではないと思っております。しかし、イギリスもかつては非常にアフリカにつきまして閉鎖的な態度をとっておったことがありますですけれども、最近はとにかく現地の要望も非常に強うございますし、また各国が独立して参るような機運になって参りましたし、また一方イギリス資金にも限りがあるということで、現在では非常に開放的な態度をとっておりまして、来たるものは拒まずで、どこでもどんどん一つ金を出して開発やってくれるならばけっこうだという態度はとっておるわけでございますから、これは日本としましても、当然今後努力していく価値はあると思っております。  それから具体的なプロジェクトということになりますと、これは、たとえばガーナにいたしましても、あるいはナイゼリアにいたしましても、これはいずれも五年計画というようなものを持っておりまして、どういう産業を起こしたいということは、ちゃんとこれは資料ができております。これは外務省にも来ておりますので、これはいつでもお目にかけることができると思います。それからベルギー・コンゴなども、これは十年計画というのをやっておりまして、相当膨大な資料が来ております。それから、イギリス領の東アフリカあたりは、そういう計画的なことはあまりございませんですけれども、しかし、長期計画というのはございませんですけれども、しかし、具体的にどういう産業を起こしたいという希望はずいぶんあるようであります。それから、水力電気開発につきましては、これは御承知のように、ローデシアで例のカリバのダムはことしから発電を開始いたしまして、あそこには世界で一番大きな人工の湖ができるという非常に大きな計画であります。それからベルギー・コンゴのコンゴ河の下流でインガという発電計画がありまして、これは全部開発すれば日本全体の電力ぐらい、つまり二千万キロ・ワットぐらい出るというような、非常に膨大な計画、その一部を大体ことし中ぐらいにおそらく国際入札に付すのじゃないかという予定のようであります。ガーナには御承知通りヴォルタの開発計画がございまして、これはこの電力会社ができますと、おそらくガーナはアメリカ、カナダに次いで世界三番目のアルミの生産国になるであろう。これはいずれも非常に金のかかることでありますので、いつ、それじゃ実際に仕事が始まるかということになりますといろいろ問題があるようでありますけれども、いずれも国の面目にかけてもやりたいという希望であるようであります。私どもも、むしろこの業界の方に対しまして、そういうことだからぜひ一つアフリカに、もっと関心を持って見にいかれたらどうか。ヵリバ・ダムなんていうのは一番いい例だから、あれはイタリアの会社がコントラクタ治になりまして、まあイギリスの非常に力の強いところでありますけれども、そこでイタリアが国際入札に勝ちまして取りました。非常にそのときイギリスでは問題になりまして、どうしてイタリア人に取らしたのだと、いって問題にしておったようでありまして、結局やった仕事は非常にりっぱなものをやりました。しかも、土人の労働者を使って、その労働者に半ば教育をやりながら仕事をやつでおった、といって、予定よりもむしろ早くあれは完成したと、非常にまあ日本が将来またアフリカ仕事をするとすればモデルとしていいようなケースだろうと思いまして、ぜひ一つ日本の方からも業界から視察団を出していただきたいということを私どもの方から強く申し上げているような状況でございます。  それから具体的には、最近、ガーナに一つミッションを出しましたことは御承知通りでありまして、ガーナからは去年ガットの総会のときに大臣が来られまして、非常に日本に感心して、経済協力協定を作りたいということで先ほどもお話がありましたが、日本に毎年二百五十人ぐらい留学生、研修生を送りたいというような非常な大きな話を持ってこられたわけであります。その話は今まだ続いておりまして、われわれはぜひ何とか協定まで持っていきたいと思っておりますが、その先駆として、先般、これは業界の方にお願いいたしまして、それに一部通産省の人なんかも加わってミッションを出して、現在向こうに行っております。これが帰ってこられますればまたいろいろ具体的な事情もわかって参ると存じます。その節にはこれは全部業界の人に、はっきりお示しいたしまして、ぜひ一つアフリカに対する関心を具体的に一つ盛り上げていただきたいと考えております。
  42. 永野護

    永野護君 最近非常に著しい財界人の間の変化と申しますか、変わって参りましたのは、アフリカ熱が非常に大へんなのです。数年前、東南アジア問題が非常にどこでもトピックになっておったのが、近ごろではアフリカの話をせぬと流行おくれになるくらいアフリカというものが非常に興味を引いております。私はこの機会に、民間がそんなふうにアフリカということに関心を持っておりますから、そして聞いてみましても、どうもどこよりもいわゆる努力がいのあるところがアフリカのような感じがいたしますので、私は先ほどまあ加藤委員からの質問の、中央の機構は一体どうなっているのだという質問に対して、何かアフリカ室というものをお作りになるという程度の、政府の方の民間のアフリカ熱に対する受け入れ態勢を承ったわけでありますが、私は今まで過去のアフリカに対する認識、過去のアフリカに対する日本人の興味を中心とするそれに相応する機構でなくて、この新しい、燃え上がっており、また将来非常に発展の余地のある地域に対する中央の機構が、何だか今のアフリカ何とか室というぐらいでは非常に心細いような感じがするのでありますけれども、それはとりあえず芽ばえであって、それをずっと盛り立てていくというような構想のもとにそういう機構でスタートされるのか、あるいはまあ当分これでやっていこうというようなお気持なんですかどうなんでしょうか。この最近のアフリカというものに対する関心の盛り上がり方に相応する中央機構というものに対する抱負というか構想を承りたい。
  43. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 先ほど申し上げた通りでございますが、われわれといたしましても、現在アフリカの問題が非常に世界的な関心になっておりますのに対応いたしまして日本外務省といたしましても、これに対応した体制を作るということは当然やらなければならぬ点だと考えておるわけでございますが、御承知のように、新しい局を作るというようなことはなかなか、まあことしなどは全部、一切各省ともそういう新しい局を作るというようなことは閣議の決定でやめられたというような事情もございますし、まあわれわれの力が足りないという面もあるかもしれませんけれども、なかなか新局を作るということは実際上むずかしいことだと思うのでございます。それで、それじゃといってそれをあきらめているわけじゃございませんが、ともかくそれと、現実問題といたしまして世間的な関心は、むろんこれは尊重いたさなければなりませんけれども外務省の現実の仕事事務量とか、そういう点も勘案しなければなりませんし、現在の段階におきましては、とりあえず、はなはだヌエ的なものではございまするが、アフリカ管理官室というようなものを作って参るくりいがとりあえずのところとしては妥当ではなかろうか。しかし、そのことは、決してそれでごまかそうとか、それで満足するという意味じゃございませんので、在外公館も、今後おそらくかえます公館アフリカ方面にふえるりが一番多いのじゃなかろうかと思いますし、そういう状況の進展とにらみ合わせまして中央の機構も拡大して参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。決してネグレクトいたすとか、無視するというつもりではございません。
  44. 永野護

    永野護君 アフリカの何と申しますか、経済資料といいますか、そういうものを集めて、民間人が希望すればいつでもそこへ行くとアフリカの経済上の大勢がわかるような何かの機構がありますですか。
  45. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 現在のところ欧亜局が担当しておりまして、欧亜局中近東課というところで一応アフリカのことをカバーしておりますので、現地からの報告などは中近東課でまとめまして、ものによりましては、それを調査の円行物として発行しておるわけでございますけれども、十分に現在のいわゆるアフリカ熱に対応するほどの十分の資料がありますかどうかは、現在のところでは疑問に思います。
  46. 永野護

    永野護君 アフリカの、昔でいう商務官といいますか、今どういう機構になっておるか知りませんけれどもアフリカの経済事情をずっと絶えず現地で調査されるような人は派遣されておりますか。
  47. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) アフリカに関しましては、少なくとも今年度は従来とは比較にならぬほどいろいろな方もおいでになりましたし、調査団ども参ったわけでございます。しかし、何と申しましても、われわれの方の体制といいますか、目の向け方、あるいは手のつけ方が非常におそかったということは遺憾ながら認めざるを得ないわけでございますので、現在すでに非常に十分な資料があるというふうにはまだ申し得ないのじゃないか。それから、特に派遣しておるというわけではございませんが、一応公館がカバーしておるところにつきましては、随時報告があがっておるわけでございます。
  48. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 在外公館の問題と直接に関係があるわけじゃありませんけれども、先ほど来A・Aグループの話が出ましたのでお尋ねしたいと思うのです。国連の中で現在A・Aグループに属している国は何カ国くらいありますか。また近い将来にまだまだふえると思うのですが、その数もおよそどれくらいあるか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  49. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 現在いわゆるA・Aグループに属しております国の数は二十九と了解いたしております。今年度内に——すでにこの一月一日にカメルーンが独立いたしましたが、おそらくこの秋の総会で加盟が認められるのではないかと思いますが、そのほかに今年中に独立が予定されております国が四ヵ国たしかございます。しかし、来年に日取りがきまったのはまだほかにはないようでございますけれどもローデシアどもおそらくはそう遠くない時期に国連に加盟するようなことになるのではないかというような考え方がありますが、現在日取りまで、独立の日取りがきまっておりますのは四カ国と了解しております。
  50. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 そうしますと、現在のA・Aグループが二十九カ国、近い将来加盟をするだろうと思われるのが五カ国ということになるかと思います。てこで現在の国連加盟国は八十二カ国でございますか。
  51. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) その通りでございます。
  52. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 そうしますとA・Aグループが近い将来三十四カ国になるということは、これは国連としても三分の一以上の勢力を持つということになるので、これがうまく提携すればえらい勢力になると思うのですが、そういう点についてむろん外務省あたりでも深甚な注意をお払いになっていることと思いまするし、またぜひそうやっていただかなければならぬと思うのです。  アフリカの話と違いますけれども、アラビアの石油問題では、最近アラビア石油会社が非常な成功をもって開発の緒についた模様でありまして、この点は私も懇意にお願いしております山下太郎君の非常な成功であったと思って、日本のために慶賀しているわけであります。  東電アジアにおきましても、最近問題になっているのは北スマトラの油田開発の問題であって、これは日本の当事者とインドネシア政府との間にはほとんど話がまとまっておるかのように聞いておるのでありまするが、しかるにその実現の一歩手前で日本側の障害でもってこれが進まないという現状であるらしく思われる。しかもその日本側の障害というのが新しい開発会社、インドネシアとの共同の会社になるのでしょうが、その社長をだれにするかというような問題でもって引っかかっておる。またそのほかに資金面においてもいろいろな困難があるようでありますが、資金の方の困難はそれはわれわれも想像がつくのでありますけれども、社長をだれにするかなどということが大きな障害になっているということはどうもわれわれには理解ができないのでありまして、これに成功するというと東南アジアに大きな地歩を占めることになる、そういう大所高所からの考え方からいきまするならば、社長問題などというものはとっくに解決されていなければならぬ問題かと思うのであります。一体この問題について大蔵省あたりで何か非常な障害を持ち出しているかのように聞いておるのですが、外務省としては一体この北スマトラの油田開発問題についてはどういうふうにお考えになっているのか、外務省側の見解としてまだ発表されておるのを聞きませんので、きょうはちょうどいい機会だからお尋ねするのですが、お差しつかえない限り御説明願いたいと思います。
  53. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは具体的に交渉が最終段階に入っておりますので、あまり各省の見解などを別々に申すことはちょっと注意しなければならぬと思うのでありますが、大体から申しまして、私どもは初めからこの話は非常にサポートいたしておったわけでありまして、インドネシアが非常に東南アジアでもって重要な国であるということ、それから話が石油でありますので、これはとにかく日本にとっても重要な資源であるという観点から申しまして、今までインドネシアとは経済協力という面においてあまり成果が上がっていなかった。これを一つこの問題を成就することによって一歩を進めたいというような観点から常にサポートいたしてきたわけであります。それから現在、いろいろ問題があったのでございますが、総理、大蔵大臣、その他御相談の結果としましていろいろな難点は一応解決したというふうに承っております。インドネシア側との条件の交渉がまとまりますれば、おそらくこれは成功するのではないかというふうにただいまのところは考えております。
  54. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 今のお話で多少懸案が解けたわけでありまするが、この問題はあまりぐずぐずしているというと、インドネシアの方でどこかヨーロッパの一国の方に寝返りをするというふうな心配が多分にあると思うのですが、ただいまの御説明によりますというと、大蔵省側の障害も解消されて、そしてインドネシアとの条件さえまとまれば開発計画が進捗するというようなお話で、それならば大へんに私はけっこうなことだと思うのですが、ぜひこれは外務省側としても重要な問題であることはわかりきった話でありまするからして、強力に一つ推進に力を入れられるようにお願いしたいと思います。
  55. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 アジア・アフリカ全般の問題ですけれども、サハラ砂漠の開発にしろ、もちろん一国じむ資金が足りない。西独の資金も入れて、コモン・マーケットということでシックスの方はフランス、ドイツでしょうが、開発方式は一国じゃなく、そういうヨーロッパ共同市場あるいは今度イギリスを中心とするセブン、あるいはシックス、そういうような経営の形になりつつある。そこで具体的に知りたいのですが、アフリカの開発について、シックスとセブンの間に競争がありますか、どうですか。アジア・アフリカの開発については今までイギリス、フランス、ドイツは別々の考えであったのですが、近い将来においては、倭島大使の話によると、非常なスピードで欧州共同市場即コモン・マーケットというものが進んでいる。しかもそれは単に経済的でなしに、ハイ・ポリティカルの共同体でアジア・アフリカの開発をする。それに対して御感想、御意見を伺って置きたい。
  56. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 共同市場、つまり六カ国で低開発のための銀行を一つ作っておりまして、これはたしか五年間に五億ドルということですから、資金は今のところ大したことはございませんけれども、それが発足いたしております。そして現にアフリカ、これは主としてフランス領になりますのですが、開発にある程度金を出している状況でございます。それからイギリスを中心とする自由貿易連合の七カ国は、そういうまとまった計画は持っておらないようであります。しかし、自由国家全般から申しますと、御承知のようにアメリカが主唱いたしまして、日本も入りまして九カ国の低開発国援助を調整するための委員会を設けまして、ごく最近ワシントンで最初の会議をいたしたわけでありますが、これは御承知通り世界銀行とかあるいは第二世界銀行あるいは国連なんかによる援助とは別に、いわゆる二カ国間援助を各国でやっている。それをできるだけ調整し合って有効にこの援助を行なうようにしようという目的があるわけでありまして、これは今後相当私は活躍するのではないかと思っております。現に第二回目の会議をこの六月か七月にボンにおいて開くということもきまっております。この間の会議では、お互いに自今の国の今までやってきたことを説明した程度であったようであります。今後これが中止になりまして、自由世界の国が協力して低開発国援助を行なうという形がますます固まって参るのではないかと思っております。これはお示しの通り、一カ国だけではなかなか十分でない、肝心なアメリカも最近は国際収支が非常に悪くなりましたために、国会等において対外援助というものに対して反対が強くなって参りました。そういうような事情がありますので、また一方において共産欄の方からの攻勢も高まってきておるということで、自由国家が全体として協力してやろうということになってきたことは、私らといたしましても当然のことだと考えております。
  57. 永野護

    永野護君 一国では低開発国の仕事はむずかしいので、日本よりずっと資力のできておる国すらみんな数国協同してやろうという現在の実情にあるときに、この安保条約の第二条に、アメリカと日本が経済的に提携しようというような条文だけはあるのですから、あの条文を活用して、何か日本が今、アフリカ、東南アジア地方で仕事をするときに、その軍事協定ばかりに重点を置いておるから軍事同盟なんて悪口を言われるのですから、そうじゃなくて、経済圏の二本建てになっておるということを具体的に日本国民に納得せしむるために、一番必要を感じておる現在のA・A地域の開発、たとえば今のスエズの問題にいたしましても、あるいはいろいろな鉱山の開発計画、さらに今の佐藤委員の申されましたインドネシアとか、アフリカ、イランの山下君の計画でも膨大な資金が要るので、それを一体どうするのかということが心配の種になっておるのでありますから、そういうことを、何か第二条を活用することによってやるようなことを考えられませんですか。
  58. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) この最近の低開発国援助委員会は、初め八カ国  であったのが日本が入りましたので、これは主としてアメリカのあっせんによるわけでありまして、そういうような大きな意味におきましては、一番強力な安保条約の二条というようなものを契機といたしまして、さらに今後促進されるだろうということは疑いを入れないところだろうと思うのであります。具体的に、それでは何か特定な事業について協力するようなことはどうかということになりますと、これは今まででも、たとえばインドのルールケラーにいたしましても、あるいは台湾でもそういうことがございましたが、日米の協力によって開発を行なうということがあったわけでございまして、今後これは主として具体的なプロジェクトの問題になってくると思います。日本でももちろんでありますが、アメリカ側でも多角的な協力によって開発の仕事をやっていくということについては、もちろん異議はないと思っております。ただ、援助計画というようなことになりますと、これはどうしても援助を受ける側の意向も尊重しなければならない。これはこの間のワシントンにおける会議におきましてもその点はっきりしたようでありまして、要するに、自由国が勝手に相談をして、そうして援助の割当をしたり、あるいはどっかの国の資金を押しつけることはこれはやらない、だから具体的に話しが出たときには、必ず被援助国の方も入れて話をしようということにきまった、これは当然のことであります。従いまして、日米だけで先ばしりをしても工合が悪い面もあるわけであります。この点は援助を受ける方の気持も十分考えてやっていかなければならないと思っております。  それから、石油の問題は、これは、アメリカは非常に特殊な事情にありますので、外国の石油を開発する際に、アメリカ政府援助するということはやらないことになっておるようであります。これは、アメリカの石油業というものが強力であるというような点から申しまして、やむを得ないところじゃないかと思っております。
  59. 永野護

    永野護君 私は、日米安保条約の第二条を活用するというのを、すぐ具体的のプロジェクトを、あれと引きかえに協議しようというようなことを申し上げておるのじゃないのでございます。軍事協定という色彩を薄くするために、経済協定をするというような二本建ての意味を、国内のいろいろな反対論を説得するにおいても意義があると私は思うのです。そうして単にそういう宣伝上の価値ばかりじゃなくて、日米が協力しようというのを、ただああいう抽象的な書き方だけでは意味がないので、具体的にこれをやろうというようなことを研究する機関などを常設しておきたい。そこで研究した結果、たとい、今言ったように、石油はアメリカの国策としてあれしないから、そんな方に金を出せんということになるかもしれません。なるかもしれませんが、日本が要望する、アメリカの力を借りたいというものを、何らかの機関で研究するという機関くらいは作っておいてもいいのじゃあるまいか。その機関を作るというと、すぐ関税問題なんかで文句を言い出すのじゃあるまいか、こういうように一足飛びに議論がなっておるのでありますが、アメリカの国内法の独占禁止法に引っかかるとかというようなことに話を持っていく必要のないところに協議する機関があってもいいのじゃないか、これは軍事委員会の方が国と国との方の委員会でありますから、経済委員会の方も、国と国との委員会があってほしいようにわれわれは感ずるのですけれども、事務当局はどういうふうにお考えになっておりますか。
  60. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは、アメリカ側が、いかなる意味におきましても日本と経済問題を審議するために、両国間の政府のベースの委員会を作るということはやらないということをはっきり申しております。これはわれわれとして、いたし方ないところだろうと思うのであります。アメリカの立場に立って考えてみましても、ああいう安保条約二条のような規定は、ほ、かの条約にも相当たくさんございまして、日本だけと特別なことをやるというのは、そういうほかの条約においても、講和条約に関する関係もあると思います。また、日本と同様に、アメリカとしてはやはりヨーロッパを大事にしている、従って何か機関を作るならばヨーロッパも入れる、日本も入れてやるというのは当然向こうの方でも考えることであろうと思います。現にそういうことになっているわけであります。従いまして、この日米間と普通の協議、これは通常の外交的な経路、あるいは民間の業界の進出ということによって十分行なわれていると思いますし、安保条約二条の判定を機会といたしまして、さらにそれが進むということも十分期待しつつあります。従って、現に、われわれはいろいろなヨーロッパの国との経済交渉におきましても、今言うようにアメリカの強いサポートを受けておるわけであります。こういった、一々具体的な点について申すようなことができない場合もありますが、実情は、決して私は連絡が悪いとかということはないと思っております。
  61. 永野護

    永野護君 安保条約の問題が、そうすらすら抵抗なしにいくとは思わぬのですから、多少とも安保条約を日本国民に納得せしむるために、できるだけのことはする。そのうちの一つの一番大きいことは、これは軍事同盟というよりは、むしろ経済上の、経済同盟だというような印象を与えることが、この安保条約の批准を求める非常な大きな要素だと思うものですから今のようなことを申し上げるので、これは対外的と対内的と両方に意義がある、私はこう思うわけなんです。いろいろ事情もありましょうけれども、私は、それが望ましいことだと、こう考えるわけ  であります。
  62. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  63. 草葉隆圓

    委員長草葉隆圓君) 速記をつけて。  それでは、本日はこの程度とし、次回は、明後十七日木曜日午前十時より本件に関する質疑を続行いたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会