運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-06-09 第34回国会 参議院 運輸委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年六月九日(木曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————   委員の異動 五月三十日委員堀木鎌三君、鈴木恭一 君、青柳秀夫君及び苫米地英俊辞任 につき、その補欠として谷口慶吉君、 鳥畠徳次郎君、村松久義君及び江藤智 君を議長において指名した。 六月七日委員谷村貞治辞任につき、 その補欠として一松定吉君を議長にお いて指名した。 六月八日委員一松定吉君及び鳥畠徳次 郎君辞任につき、その補欠として谷村 貞治君及び三木與吉郎君を議長におい て指名した。 本日委員村松久義君及び佐野廣辞任 につき、その補欠として野本品吉君及 び泉山三六君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平島 敏夫君    理事            天埜 良吉君            江藤  智君            村上 春藏君    委員            佐野  廣君            重宗 雄三君            谷口 慶吉君            野本 品吉君            三木與吉郎君            谷村 貞治君   国務大臣    運 輸 大 臣 楢橋  渡君   政府委員    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸省港湾局長 中道 峰夫君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 広瀬 真一君    海上保安庁長官 林   坦君    気象庁長官   和達 清夫君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 義亮君   説明員    日本国有鉄道常    務理事     中村  卓君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○派遣委員報告運輸事情等に関する調査チリ地震  津波による被害に関する件)   —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) これより委員会を開会いたします。  まず、委員変更について御報告いたします。  去る五月三十日、苫米地英俊君、堀木鎌三君、鈴木恭一君、鈴木恭一君及び青柳秀夫君が辞任され、江藤智君、谷口慶吉君、鳥畠徳次郎君及び村松久義君がそれぞれ選任されました。  また、昨八日、鳥畠徳次郎君、一松定吉君が辞任され、三木與吉郎君、谷村貞治君がそれぞれ選任されました。  本日、村松久義君が辞任され、野本品吉君が選任されました。   —————————————
  3. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、先般理事江藤智君の委員変更により欠員となりました理事補欠互選を行ないます。  互選は先例により、委員長において指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、理事江藤智君を指名いたします。   —————————————
  5. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) それではこれより運輸事情等に関する調査を議題といたします。  まず、先般チリ地震津波による被害状況調査のため派遣されました委員の方々よりそれぞれ御報告を願います。  東北班谷村委員
  6. 谷村貞治

    谷村貞治君 チリ地震津波災害視察東北班調査の概要を御報告いたします。  私は建設委員会米田委員社会労働委員会鹿島委員とともに宮城岩手青森県下被災市町村を一週間の日程で視察して参ったのでありますが、今次災害の全貌については配付資料で御承知いただくことといたしまして運輸委員会関係を中心に以下その概略を申し上げます。  三陸地方は過去において明治二十九年、昭和八年の二回にわたり津波来襲を受け、各地で尊い人命財産を失ったのでありますが、今回のチリ地震津波による災害は前二回を上回るものであります。今次災害特徴は、第一に津波の振幅が北部では昭和八年より小さく、南部では大きい傾向が見られ、また波浪週期が長く、各港湾内に深く進入したため、昭和八年の大津波で壊滅的な災害をこうむった田老町は被害軽微で、これと全く反対に大船渡市等の被害が甚大なことでございます。  第二に、人命被害被害総額に比較いたしまして少なかったことであります。まことに不幸中の幸いでありましたが、これは一に地元民が過去二回の体験により津波来襲を予測し、適切な避難措置をとったからであります。今回の津波特殊性によるとはいいながら、気象庁警報発令は相当おくれており、住民みずから避難しなかったならば、人命の喪失ははかり知れなかったと思うのであります。  第三の特徴は、公共施設災害が割合僅少なのに比べ、家屋流失、全壊、家財商品等流失農林水産業者生産施設滅失等個人財産被害が甚大なことであります。すなわち岩手県では被害額約百億のうち建築物関係二八%、農林水産関三一%、商工関係二九%に比し、土木関係はわずかに九%であり、宮城県では約九十億の被害のうち、建築物関係五〇%、農林水産関係二九%、商工関係一八%に比し、土木関係はわずかに三%にすぎず、青森県でも被害額約五十億のうち、農林水産関係六九%に比し、土木関係は一三%となっております。この事実は、当地方の公共施設設置が立ちおくれていることを物語るものであり、この立ちおくれが個人災害激甚化を招いたものと言えるのであります。従って財政力に乏しい被災地の零細なる罹災者につきましては、この再建のため国は格段の助成をはかるべきであります。被災地の現況は、官民一体の努力により跡始末も終わり、ようやく再建復興の途上にあります。  国鉄について申しますると、災害発生当初、気仙沼線大船渡線山田線の一部及び八戸線の一部が不通となり、折り返し運転またはバスによる代行輸送を余儀なくされたのでありますが、現在では山田線は十日までに、気仙沼線は十二日までに、大船渡線は二十四日までにおそくも復旧し、全線開通予定ということでございます。何しろレールが四散したり、線路上に家屋家財が乗り上げ、あるいは路床流失して復旧工事は困難をきわめたのでありますが、この線路上の障害物の除去については自衛隊の援助を得たのでありますが、このように鉄道復旧倒壊家屋の整理、施設の補修、防疫、給水活動等自衛隊の時宜を得た機敏な活動に対しては、各市町村で感謝の声を聞いたのであります。また、国鉄罹災者救援物資運賃減免措置等もあり、救援物資も順調に支給され、民心もようやく落ちつきを取り戻しておる状態でございます。  罹災地被害状況並びに要望事項については資料に譲ることといたしまして以下運輸関係災害対策について所見を申し述べたいと存じます。  まず、応急対策としては、公共施設応急復旧の問題であります。今回の公共施設災害は、一般災害に比して少なく、施設被災延長も短いのであります。従って復旧に際して、施設の機能の向上をはかることは、関連事業をもってしても非常に困難でありますので、伊勢湾台風災害に準じた特別立法を行ない、津波に耐え得る構造復旧すべきであると思うのであります。すなわち大船渡、宮古、釜石、八戸の各港の埋没個所は至急復旧し、再度災害発生を防止するとともに、八戸直轄工事用船舶施設早期修理復旧を行なうべきであります。また石巻、塩釜港の沈船の処理につきましては小トン数の船舶が多く、所有者が放棄する傾向が見られますので、行政運用により、航路河川障害物として、災害復旧対象とするか、あるいは所有者早期引き揚げを行政指導し、または代執行をして早急に処理する必要があると思うのであります。  次に、恒久対策といたしましては第一に気象予報連絡網強化の問題であります。今回の津波震源地は遠く南米より発生し、長い週期を持つ津波で、特に三陸港湾内に深く浸入したのでありますが、在来の台風による気象予報等による波の性質の推定と異なり、自然条件の把握が十分できなかったのであります。従って、ロボット検潮儀設置し、津波記録通報に遺憾なきを期するとともに、高潮による陸上の痕跡、海底水深の変動、湾形影響等、科学技術的な津波研究を推進すべきであり、また気象予報については、特に世界的な予報網設定及び国内連絡網強化をはかり、異常気象連絡通報のため、気象機関近代化を行なうことが必要であると思うのであります。第二に、三陸地方が三度津波災害をこうむった実情にかんがみ、伊勢湾高潮対策事業に準じて特別立法を行ない、三陸地方津波対策事業を国の高率助成によって推進すべきであります。第三に、防潮施設新設整備強化であります。今回の津波に対しまして、防波堤防潮堤防潮林海岸堤防は相当の効果を示したのでありますが、これが効用については十分検討の上、整備強化を抜本的に実施する必要があります。また、港湾漁港奥部施設構造については、特に津波を考慮して構造強化すべきであります。最後に、港湾を守る防波堤は、特に台風に伴う波浪だけでなく、津波対策として防災港湾の一環として計画、実施すべきであると思うのであります。  以上簡単でございますが、これをもって報告といたします。
  7. 平島敏夫

  8. 天埜良吉

    天埜良吉君 去る五月二十四日のチリ地震津波は、わが国太平洋岸に多大の被害をもたらしたのでありましたが、南近畿における津波による被害状況調査のために、農林水産委員植垣弥一郎君及び建設委員田中清一君とともに五月三十日東京を立ちまして和歌山県、三重県の順に現地をたずねました。罹災関係者をお見舞いするとともに、被害状況を視察して、六月三日帰京いたしました。  現地におきましては可能なる限り広範にかつ詳細に被害状況応急措置及び復旧対策等について調査を行ないました。また現地要望陳情を受けて参りました。  まず、和歌山県について申し上げます。本県におきましては、当日午前四時過ぎから十時ごろまで五回にわたって三メートルから五メートルの津波に襲われまして港湾海岸地帯における道路堤防橋梁、特に水産関係真珠養殖施設資材等に莫大な被害を受けたのであります。すなわち、家屋の全半壊及び床上床下浸水、合わせて二千百五十余一戸罹災者一万余人に達しまして、田辺市、白浜町、海南市及び和歌山市には災害救助法が適用されたのでありますが、幸いなことに死者はありませんでした。本県における被害総額は約十四億三千五百八十万円でありまして、そのおもなものを申し上げますと、耕地関係で約一億六千七百八十万円、土木関係は、河川海岸道路港湾及び橋梁被害三十七個所で約一億一千八百万円、農林畜産関係では約二千万円、水産関係では資材及び共同施設、漁船、養殖関係被害が大きくて、本県被害額の半ばに近い約七億五百三十万円に上っております。公共施設及び建物並びに住宅関係で約四千三百万円、商工業関係木材被害が大きくて、約三億八千二百万円に上っております。  以上申し上げましたところにより明らかなように、今回の災害の特質は、被害地域とその対象が比較的限定されていることであります。リアス式海岸線港湾がそれで、その主たるものは和歌山市、海南市、田辺市、白浜町及び勝浦町の各地区でございました。被害はそれらの港湾に伴う諸施設と、水産関係のうち、特に平常平穏な湾内を利用して行なわれております真珠養殖とその資材施設並びに海面あるいは陸地における貯木材でございました。  その他の被害といたしましては、陸運関係では、海南市において国道に冠水し、同市——和歌山市間の路面電車及びバス運行がとまりましたが、一時間余りで開通いたしております。また田辺市におきましてはバス及び同車庫に浸水しましてその被害額は約四百万円でありますが、浸水により車両の更新を必要とする場合にはその額は約一千万円に達する見込みであるというふうに言われております。なお、白浜地区におきましては、国際観光旅館として指定されておりまする五戸が床上浸水をいたしましたが、いずれもすでに平常通り復旧いたしておりました。  海運関係では船舶運行には支障はなかったようでございまして、わずかに海南市において小型遊覧船が一隻沈没いたしましたほかは、造船用材流失及び田辺市において内燃機会社浸水によって操業を停止いたしております。被害の額は約七百七十万円に上っております。国鉄関係に関しましては、海南市、田辺市、三重県の尾鷲市、長島町及び鳥羽市において軽微な道床及び路線の損壊、浸水及び旋車台の侵水等、十五カ所に被害がありましたが、列車の運行には支障がなく、復旧に要する費用約九百万円はすでに大阪支社要求済みとのことであります。  以上が和歌山県の被害の概況でありますが、県当局は、昭和二十八年の大災害を初め、昨年九月の十五号台風に引き続き、またまた今次の津波被害をこうむり、困難な財政事情のもとで緊急にその復旧を行なわねばならぬため、次の諸点について特別の配慮を強く要望されました。  第一番に、公共土木施設災害復旧については、今次災害特殊性にかんがみ、早期に完遂できるよら措置されるとともに、高率補助について特別に措置されたい。また原形復旧でなく、被害のなかった部分についても改良工事災害同様に措置されたい。第二番目に、海岸整備基本計画高潮津波による影響を十分考慮して、恒久的防災施設計画的促進をはかる方途を講ぜられたい。第三番目に災害救助費については伊勢湾台風同様、標準税収入の十分の一以上の額を国庫補助対象とされたい。第四番目に、公共災害復旧事業費に対する市町村負担額については当該事業完成されるまで全額起債を認められたい。第五番目に、今次の災害復旧のため、県、市町村財政需要額が増加するので、特別交付税増額方を特に考慮されたい等であります。  次に、視察いたしました現地について順次申し上げます。  海南市は当時最高潮位三メートル三〇を記録いたしまして、日方川及び山田川の護岸が五十メートルにわたって決壊をし、また築地水路樋門が倒壊いたしました。海南港は去る昭和二十一年の南海地震によりまして約六十センチの地盤沈下がございました。同二十五年のジェーン台風高潮にも多大の被害と全市にわたる浸水を見ましたので、これが対策として同年度から護岸高潮工事を行ないまして、同二十九年度に完成をいたしております。さらに二十六年度から高潮防波堤に着工をして、現在延長五日九十七メートルが完成をいたしておりますが、なお北防波堤三百六十三メートル及び南防波堤百二十メートルが未完成となっております。今回の津波に際しましては、高潮防波堤として多大の効果をあげておりますので、この際未完成部分を一気に完成されることを強く要望されて参りました。  次に、田辺市文里港を視察いたしましたが、当地津波による最高潮位は三メートル七〇を記録いたしまして物揚げ場及び護岸が九カ所にわたり決壊し、その額は約七千万円余であります。護岸天端高さが築造工事別に相異をしておるような点が認められまして、あるいはまた防潮壁に切れ目の個所角落しなどの施設の用意がなかったよらな点も認められました。これらの点から海水の流入を招いたと考えられる向きがあったのでございます。改良復旧工事の必要を切望されました。また、当地陸上貯木場木材が最初の津波によって流失しまして、一たんこれを収容したのでありますが、夕刻再度の津波流失湾内各所真珠養殖施設にも多大の被害を与えたのであります。水面、陸上を問わず、貯木場施設については伊勢湾当時の名古屋市における木材による被害の例もあり、今後十分研究の必要が痛感されたのでございます。木材業者から、木材流失及び諸施設浸水による被害に対しまして低利融資あっせん等について陳情がございました。次いで白浜町及び勝浦に参りましたが、それらの地区被害水産関係、特に真珠養殖被害がそのほとんどを占めておるような状況でございます。  次に、三重県について申しますと、三重県は当日午前四時十五分津波第一波が尾鷲湾に参りましたのを初めとして、県の南部地方に数次にわたって津波来襲した。特に午前四時四十五分、五時十五分、五時五十分の津波は、潮位が高く、伊勢湾南部から熊野灘沿岸にかけては波高二メートル、三メートルというような高いものになって尾鷲市を初め熊野灘伊勢湾南部一円にわたるような広汎な地域被害を受けたのであります。今回の災害津波の急襲のために災害予防措置がとれなかったので、海中に敷設中の定置漁具関係、あるいは養殖中の真珠カキ等被害が大きかったのが特徴になっております。なお尾鷲市、北牟婁海山町、度会郡南島町、北牟婁長島町、度会郡紀勢町及び南勢町に対し災害救助法が適用されたが、幸にも死者は出ておりません。  被害総額について申し上げますと、実に百七億六千六百九十余万円に上ってにおります。そのらちおもなものは水産関係でありまして、約六十三億三千四百万円、家屋関係で約三十八億一千万円、商工関係で一億七千二百万円、農業関係で約一億六千五百万円、土木関係で一億一千八百万円、耕地林業関係で約一億二百万円等であります。なお、海運局関係としては機帆船、旅客船及び船員に関するものについては被害はなく、各事務所の床上浸水流失等被害がございました。県下造船所及び関連工業被害は十二件、約二千九百万円で、被害の甚大なる事業者に対しては中小企業金融公庫融資方をすでに依頼済みでございました。また、気象台からは検潮報告として、午前三時五十分ころより潮が上がり始め、第二波津波の偏差一メートル五〇の記録最高であったというような報告がございました。なお、津波の波は台風のようにぶっつけるような形でなく、静かに上昇し、かつ引くときの潮流は八ノットと推定された激しいものでありました。台風の場合は十メートル以下の水深影響を受けないのが普通でありますが、津波の場合は海底まですっかり洗いますので、真珠養殖いかだや、また、つるしてあるかごまで、からませてどろに埋没させ、被害を大きくいたしたものであります。湾内潮流湾形が複雑であるというような点も手伝っていかだをからませた原因であるというふうに説明を受けました。  次に、視察いたしました順に申し上げますと、尾鷲市は午前八時十分の第七波の津波をもって終わりましたが、五時二十分の第三波の三メートル三六の潮位最高であります。海岸部全体の旧町内を主として浸水をいたしましたが、市内海岸線防潮堤があり、大きな効果を示したとのことであります。水田三十四町歩にわたって被害を受けておりますが、陸上貯木場木材相当数たんぼに流出しまして、その収集作業中でありましたが、ここでも貯木場設置に対する研究を痛感いたした次第であります。家屋損害額は約二億七千万円、浸水により商店街一帯被害は大きく約七千五百万円、水産関係では約三千二百万円、木材流失は二千八百石、約千三十万というふうに及んでおります。また、矢の川堤防及び矢の浜護岸がそれぞれ約百メートル流失しまして決壊し、被害の額は約八百万円でありました。その他を合わせ、当市被害総額は約四億一千万に上っております。尾鷲当局は、災害救助法を発動するとともに、津波当日はたき出しを行ない、市民の救援に当たり、町内の井戸の清掃、飲料水配給等、鋭意民生に留意したために、伝染病発生はなく、見舞金伊勢湾台風当時給付したと同額のものを被災者にすでに配分済みの由であります。当市要望の主たるものは、いわゆる天災融資法適用等、昨年十五号台風に際して措置されたと同様の措置要望するとともに、高潮対策、すなわち防潮堤かさ上げ及び市内の川の護岸かさ上げ防潮堤新設というようなことを強く要望されました。被害地が集中的なために、それらに対する措置も大へん有効的かつ敏速に行なわれた模様でありました。  次いで、海山町の引本地区に参りました。最高潮位約四メートル七〇を記録して、海山町の被害総額は約三億二千四百万円で、住宅水産商工土木等、諸施設の順でそれぞれ被害を受けております。引本港は護岸が三ヵ所、延長九十五メートルにわたって決壊して、約二百万円の被害であります。  次いで海山町の矢口地区に参りましたが、矢口漁港樋門前後の護岸が約二百メートル余にわたって決壊して、その被害額は約千六百万円であります。当地最高潮位五メートル一〇を記録いたしておりまして、樋門前後の護岸は異常な高潮のために決壊するとともに、付近一帯家屋は屋根に達する浸水を受けて、当時この付近から老婆が津波の引き潮に乗って沖合いに流されたのでありますが、幸いに無事救助されました。当地におきましても、災害早期復旧と、住民の不安を除くため、高潮対策事業の実施を強く要望をされました。  次いで鳥羽より阿児湾賢島に参りまして、約二時間にわたって船で湾内真珠養殖施設被害状況を視察いたしました。当地水産関係被害は非常に大きく、常時は湾内は船の航行に必要な水路を除いて、一面のいかだがあったのでありますが、ほとんどそのいかだの影を見ず、湾内各所にむざんな破損したいかだの集積を見るのみでありました。当地真珠養殖施設の六五%が被害を受けております。湾内にはいかだの破損したもの、また真珠貝養殖つりかごの沈下埋没したものが多く、真珠養殖施設復旧は、まず湾内掃海が先決問題とされておりますが、その経費は多額を要しますので、国庫補助による措置要望されたのであります。この掃海に協力するために、目下海上保安庁の電探船が配置されておりました。  次に、県当局からの要望のあったところを申し上げますと、一、被害を受けた県市町村に対して災害復旧に要する費用資金繰りに緊急融資配分と、六月、九月分の普通交付税の繰り上げ交付措置を講ぜられたい。二、災害応急費及び地方税減免等による収入減市町村に対する財源措置元利補給付起債を認められたい。三、公共土木施設災害については、伊勢湾台風と同様に、その復旧事業費高率補助措置をされたい。四、排土に関する特別措置流材等処理について特別立法を行なわれたい。五、伊勢湾台風による災害復旧事業として工事中今回の被害を受け、再び復旧を必要とするものについては、特に緊急を要するので、手戻り工事として取り扱われたい等であります。  以上が報告であります。   —————————————
  9. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 楢橋運輸大臣から、その後の状況報告並びにとられた措置についてのお話がありますので、これをお聞きいたします。
  10. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) チリ地震津波による運輸省関係被害につきましては、先般当委員会におきまして政務次官から説明があったことと思いますが、ちょうどそのときに現地に出張いたしておりましたので、失礼いたしましたが、その後の詳細な調査の結果、被害額はさらに増大いたしまて、現在までのところ、全体で約三十六億円となっております。  次に、復旧についてでありますが、国鉄関係では、その後鋭意努力いたしました結果、石巻線、山田線も開通し、大船渡線を残すのみとなりました。その全通予定も、六月十九日に繰り上げられる見込みであります。私鉄関係岩手開発鉄道、六月十三日開通見込みであります。  港湾関係におきましては、被害発生後、直ちに現地に係官を派遣し、被害調査に当たらしめまして数日前に帰京いたし、現在緊急査定を準備中であります。後ほど述べます特別立法措置により復旧の万全を期しておる次第であります。航路標識関係につきましては、一部を除き、ほぼ復旧が完了いたしました。  このほか、運輸省所管民間企業災害復旧につきましては、問題は復旧資金でありまして、この点につきましては、伊勢湾台風のときにとりました中小企業者に対する資金融通等に関する特別立法のほか、北海道東北開発公庫中小企業金融公庫国民金融公庫等政府関係金融機関に対し、融資ワク設定特別金利採用等措置をとるよう関係方面要望しておるような次第であります。融資希望は約五億円になろうかと推定されます。  次に、先ほど触れました港湾関係特別立法について申し上げますと、伊勢湾台風のときにとりました公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の特例を定める法律案と、チリ地震津波により災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法案とを準備いたしまして、関係方面と協議をいたしておる次第であります。  次に、行政措置によります対策につきまして申し上げますと、今回の遠距離地震津波現象の貴重な経験にかんがみまして、気象業務組織の整備津波研究強化に一段と力を入れて参りたいと存ずる次第であります。これがために、津波予報組織の強化、観測施設整備、国際連絡組織の整備、気象研究所の津波研究部門の強化等につきまして、予備費の要求をいたしておる次第であります。  最後に、去る二十八、二十九の両日現地視察を行ないましたので、その概略を御報告申し上げます。視察地は、塩釜、石巻、志津川、気仙沼、陸前高田、大船渡の六カ所で、このうち被害の大きかったところは、大船渡、気仙沼、志津川、陸前高田等でありました。被害の大きい割に死傷者の少なかったところもありますが、これは田ごろの現地気象台の指導により津波訓練が徹底していたところであり、警察官、漁夫、消防士等が極度の干潮現象によって津波の襲来をいち早く知り、これを住民に伝達したためであります。被害特徴は、住宅、農林漁業関係が大きかったことでありますが、これは東北の後進性と零細漁民が多いことのためであり、被災者の暗さがひとしお見る人をして胸を打たしめたのであります。みな政府の援助の手を期待しつつ黙々と復旧に努力している姿を見て参りましたが、この間におきまして、ただいま委員の方の御報告にありましたように、自衛隊活動は、その機動性を遺憾なく発揮いたしまして各地で感謝の的になっておりました。  所管大臣として要望されましたことの最大のものは、何と申しましても、津波対策についてでありまして、特に津波に科学的メスを入れるための現地津波研究機関の設置、検潮儀の自動化、通信施設整備等でありまして、極力要望を受けた次第でありまして、これに対してこたえることを申し上げたのであります。  港湾関係では、波没船の引き揚げ、航路の清掃、港湾の測量等により、一刻も早く港の機能の回復をはかってもらいたいこと、根本的には防波、防潮堤の建設により津波高潮対策の万全を期せられたいということでありました。そのうち、港湾の機能の回復につきましては、現地の出先機関に、それぞれ指示をいたして参った次第であります。  鉄道関係では、大船渡線早期復旧要望されましたほか、被災者の失業救済をも兼ねて三陸鉄道早期着工が要望されまして、これは目下検討中であります。  その他、各地で要望されましたこと、あるいはじかに感じましたことは零細漁民の救済、失対事業の拡大、堅固な住宅を中心とした新しい土地計画、強力なる防疫対策の必要等でありましてこれらは詳しく閣議において発言をいたしましておる次第であります。  これを要しまするに、被災の規模こそ小さいが、所によっては、伊勢湾台風以上の悲惨な状況も個々的には見受けられたのであります。東北人の気質といたしまして、声には出さないが、政府に期待するところ大なるものが察知できましたので、少なくとも伊勢湾台風のときにとった程度の措置は、どうしてもとらなければならぬと痛感いたして帰った次第であります。  以上をもちまして運輸省関係被害状況、その復旧状況、並びに諸対策及び現地の視察報告を申し上げた次第であります。  なお先般の火曜日の閣議におきまして私は強く発言をしておいたことは、こういう災害について、いつでもぐすぐずして時宜の処置をとらない、早く、事務当局でできなければ、関係閣僚だけでも寄って、早くきめて、この悲惨な罹災民にこたえる態度をとることが当然の措置であるということで強く発言をし、池田通産大臣もこれに対して同調し、強い発言をされ、大蔵大臣にも、その措置を実は迫ったといいますか、強く要望したのであります。総理も、あんまり理屈を言わずに早くやったらどうかということを言っておりました。あすの閣議において、なお特別立法等において、大蔵省との話がつかないということを今局長から聞いたので、私から、また強く明日の閣議において、早くやるように要望したい、こういうふうに実は思っておる次第であります。
  11. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 以上をもって、報告を終わりました。御質疑のある方は、順次御発言願います。
  12. 谷村貞治

    谷村貞治君 大体、ただいま楢橋運輸大臣の御説明で了承いたしましたが、なお特に現地調査の結果に基づきまして、次の四点について御当局の御見解をお尋ねしたいと思います。  第一点は、今回の津波港湾漁港海岸の諸施設に甚大な被害を及ぼしたが、これら施設の所管が、運輸、農林建設等の各省にわたっているので、この早急完全な復旧をはかるために、関係各省間の緊密な連絡調整が必要であると思うのであります。運輸省御当局が、今日までとってこられました措置並びに今後の方針を述べていただきたいと思うのであります。  第二点は、罹災地地域の貧困な財政力にかんがみ、港湾海岸堤防等の公共土木施設復旧費に対する高率補助をなすべきはもちろんのことでございますが、改良工事についても、国庫補助率を引き上げる意図があるかどうか、また小額災害の限度額を引き下げるお考えがあるかどうか、お伺いしたいのであります。  第三点につきましては、御報告の中でも申し述べました通り、石巻港、塩釜港の沈船処理に対して、御当局はいかなる御見解を持っておられるか。  第四点につきましては、被災地再建のためには、復興資材の輸送が緊要であると思うのでありますが、これら物資の輸送状況及び対策をお伺いしたいのでございます。また、このためにも、鉄道全線開通の一日も早いことが期待されているのでありますが、さらに、早期復旧見込みは立っておられるかどうか、詳細にお伺いいたしたいと存ずる次第であります。
  13. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 第一点の災害における運輸省及び農林省・建設省等に、いろいろ港湾あるいは堤防等について所管が分かれておりますために、またそういうような統一のないために、伊勢湾台風等においても、一角が破れれば全部やられてしまうというような問題が起こりましたので、各省間が緊密な連絡をとって、やはりどこの一角も破れないように、しかも敏速果敢に対策を講ずるようにというので、各省間の連絡機関を作ったのでありますが、今回につきましても、先般村上建設大臣と私が発言をいたしまして今御指摘のありました点について、各省で緊密な連絡をとって改良復旧等についても、またどの一角からも、やはり破綻を来たさないよらな施策をとるべしということで、今協議をやっている次第でありまして、御趣旨に沿った線に基づいて、今後の防災について力を尽くしたいと思う次第であります。  第二の点につきましては、港湾局長から御説明をいたさせます。
  14. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) お尋ねの点につきましては、先ほど大臣からお話がございましたように、伊勢湾台風に準じます特別措置法案を、現在農林、建設、運輸、三省並びに大蔵省との間で協議をいたしております。  これがただいまのところ二本建てを考えているわけでございますが、その一つは、昭和三十五年のチリ地震津波により災害を受けた市町村における公共土木施設災害復旧等に関する特別措置法でございまして、骨子は、伊勢湾台風のときにとられましたと、ほとんど同様でございまして標準税収入の二分の一に相当する額につきましては十分の八の補助をする。標準税収入の二分の一を超え標準税収入に達するまでの額に相当する分については十分の九、標準税収入を超える額に相当する分については十分の十というように考えているわけでございます。  なお、もう一本の措置法案は、昭和三十五年チリ地震津波により災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法でありまして、これも大体骨子は、伊勢湾台風のときに高潮対策としてとりました特別措置法と同様の内容を持っているということであります。
  15. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 第三番目の沈船引き揚げの問題でありますが、私も現地に参りまして非常に現地で強く陳情を受けましたのは、ああいう急激な津波によって多数の船が沈んでおって、しかもこれを引き揚げるのについては、相当の金がかかる。私が現地で聞きましたのは、一つの船を引き揚げるのに七百万から八百万かかる、そうすると、とうてい引き揚げられない、もう放棄してしまう、そうすると当然に港湾管理者から言わせれば、その業者に対して引き揚げろということを命令することはできるのでありまするけれども、実際上引き揚げても、何にもならない、運賃費用がかかるということになればやらない。やらなければ、いつまでも港の機能を停止するわけにいかない。そこで国で、それを引き揚げてやる以外にないということで、現地におきましても、海上保安庁の関係の者その他において海底等を実は測定させて、どういうふうになっているかということを調べさせているのでありまして、その引き揚げ等につきましての問題につきましては、海上保安庁から詳細御説明いたさせます。
  16. 林坦

    政府委員(林坦君) 私、大臣のお供をいたしまして、三陸地帯に参りまして、現地にたくさん航路障害物のあることを見て参りました。航路障害物その他につきましては、いろいろ現地で応急的に巡視船その他をもちまして処理できるものは処理して参っております。なお、沈んでしまって、いろいろ航路の道筋等に障害になっているものもございました。ひとまず検測をまず早急に行なう必要があるというのでこれの計画を立てましてすでに八戸、塩釜、中湊等は、大体その検測を終わりました。なお、引き続きまして気仙沼、大船渡、釜石、女川、石巻という順序で、測量を続けることになっております。これも、もうそう遠からぬうちに完了する予定でございます。  なお、これらの港につきまして現在沈船その他が、航路障害になっておるものが、調べますと、八戸に沈船六隻、乗揚船五隻、宮古には漂流物で航路障害になっておりますものなお六カ所、山田湾が漂流関係で航路障害になっておりますもの八カ所、船越は三カ所、大船渡は灯浮標が漂流して障害になっておるもの一カ所、気仙沼は沈船二隻、乗揚一隻、志津川乗上一隻、漂流物一件が、カキ棚の台のようなものが一件ございます。なおその他石巻にも船が二十三隻、塩釜にも五隻といったように、相当のものがまだたくさん、ちょっと簡単にどかないようなものがあるわけであります。  これらにつきましては、実はわれわれの保安庁としては、ちょっと手に余るものでございますし、また現地におきましても、いろいろな費用の問題があると思います。いずれ港湾局の方で、今特別措置法を考えておられますが、それらによって処理されるものと考えております。
  17. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 第四番目の復興資材の輸送その他の問題につきましては、国鉄から。
  18. 中村卓

    説明員(中村卓君) 国鉄の中村でございます。  今回の津波災害に対します復興資材その他の鉄道輸送について、簡単に御説明申し上げます。  私どもの方といたしましては、五月二十六日に本社の営業局長から各支社長にあてまして、北海道及び青森岩手宮城県下津波による災害地向けの救恤品、復興資材及び食料品等の輸送については、特に優先的に手配を講ぜられたいというように通牒を出しております。  この意味は、普通は鉄道の貨物は御承知のように大体申込順に輸送するというのが建前でございますけれども、この場合には、そういうことを度外視して、特にこういうものにつきましては、優先的に早く輸送する手配をするということを命じているわけでありまして、輸送力の関係につきましては、おおむね空車を回送する方向に該当いたしますので、輸送そのものは、大体円滑にいっているというふうに聞いております。  それからなお、救恤品の五割引、無賃輸送並びに罹災者用物資の五割引ということにつきましても、公示をいたしまして、救恤品につきましては約一ヵ月間、それから罹災者用物資につきましては約三ヵ月間、それぞれ実施することにいたしております。  それから災害を受けました線路復旧につきましては、大船渡線は、最初は六月一ばいという見込みでございましたが、二十四日というふうに繰り上がりまして、最近ではさらに詰まりまして、十九日には全通することになっております。山田線につきましては十日で開通することになっておりましたが、大いに力を入れてやった結果、二日で開通しておる、そういう関係でございます。
  19. 谷村貞治

    谷村貞治君 了承いたしました。
  20. 江藤智

    江藤智君 ちょっと関連しまして今の沈船の引き揚げ問題ですが、言われたように能力がない、あるいは個人では引き揚げても、かえって損だからといって放っておる、こういうものにつきまして、今のお話では、港湾関係特別立法費用なんかを措置するだろうというふうに、われわれ聞いたのでございますが、そういうことになっておるのですか。
  21. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 港湾内における沈船の引き掲げにつきまして、港湾管理者の任務といたしまして、航路障害あるいは障害物の除去をしなければならないということになっておりますので、そういった面で、先ほど保安庁からお話がございましたように、所有者に撤去命令を出し、あるいは所有者との話等によって、所有権を放棄するといったものについては、航路障害として港湾管理者において撤去する、その費用につきましては、港湾災害災害復旧費の対象として国が補助をする、こういう建前をとっておるわけであります。
  22. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) なかなか保険だとか、いろいろな関係がありますね、それから所有権をめぐってそう簡単に放棄もしないし、いろいろなことで非常にめんどうらしいのですが、しかし現実に、港に入る船は邪魔されるから、なるべく敏速に、所有権者との間に話をつけて除去するような態勢をとれということだけは、現地に行きまして指示はしておいたのですが……。
  23. 江藤智

    江藤智君 わかりました。  それから、大臣、あるいは気象庁長官にお伺いしたいのでございますけれども、今度の災害の特色といいますか、あるいはそれによって、いろいろ批判も受けておりますのが、こういう遠方に起こった地震に起因する津波対策等であります。これがおそかったから、もう少し早かったならば、生命、財産の損害もずっと少なかっただろうというような批判が相当あるわけであります。しかしわれわれは、こういう経験は初めてでございますし、責任云々というようなことは考えたくないのでございますが、結果的に見ますというと、なるほど太平洋のちょうど防波堤のようになっておるのでありますからして、こういうことも、なるほど起こるなということがよくわかったわけでございますね。  そこで今度の災害を教訓としまして、先ほど運輸大臣も、非常に強くおっしゃいましたような高潮の予防対策というものをこの際、ぜひ立てなければいかぬ。今後、こういうことがあった場合におくれると、これは実際申しわけのないことだと、私どもつくづく思うわけであります。  それについて、ここに津波予防組織の強化その他について運輸省の資料をいただいておるのでございますが、大体、ここに並べてあるような人数と費用とでいいものか、あるいはこれは、ほんとうのとりあえずのものであるか。そういう点について、もう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  24. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 今回の津波に対しまして、警報が適切でございませんでしたことはまことに遺憾でございました。これに対して気象庁は、第一番に、こういう遠い地震に対しても適合するような津波予報の組織をしっかり前もって作っておくこと。第二番に、外国との津波情報の交換が迅速にできるようにする。第三番には、津波の到達を知り、またその後の海面の状態を気象台、測候所が常に把握できるような施設をしておく。第四番には、太平洋における津波研究であります。  そういうような趣旨から、ここにお手元に参っておるのは、予備費と、それから三十六年度の本予算のをあわせて、ここに出してあるのでありまして、一応、この津波直接のものは、これをもって私どもはいたし、また今後このような遺憾であったようなことはない、これで……。もちろん気象庁の仕事は、気象でも地震でも、いろいろ錯綜しておりまして、通信機械一つでも、いろいろな目的に使うために、ここに書いてあるだけが津波のじゃなくて、よそのと関連してあるものがございますから、それは、ここに直接入ってないことを御承知おき願いたいと思います。
  25. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ただいま江藤さんのおっしゃいましたように、これは確かに今回の津波被害につきましては、気象庁においても十分に、こういう完備した、あるいは人的配置なり措置等が、遺憾の点があったことは率直に認めておるのでありまして、従来委員の皆さんも御存じのように、大蔵省が経験主義と申しますか、相当の災害が累積しなければ、これに予算をつけないというような弊風があってこういう気象庁のような、非常な科学者が集まり、ある程度まで予防的な措置をしたいということにつきましても、なかなか了解を取りつけることが困難であったことは、委員の皆さんも御存じの通りでありまして、先般伊勢湾台風によりまして、ようやく気象庁というものが非常に経済的に、一つの被害を防止するという意味からいっても、むしろ積極的にこれに金をつぎ込んだ方が、かえって経済だというようなことがやや目が開いてきたというようなことでございますが、重ねて今回のチリ地震津波によりまして、一そうその点について、気象庁を科学的にもっと強化する必要がある。また行政面から申しましても、いろいろ人の配置であるとか、あるいは電話をかけても、直通電話がない、人が走っている。あるいは検潮についても、自動的な検潮儀になっておらずに、一日に一回か二回見に行く。こういうことではしようがないということで、大蔵当局にも、この点について強く要望しておった次第でありまして、和達長官も、伊勢湾台風といい、今回といい、いろいろなことを考えまして、私に対して辞意を漏らされたのでございますけれども、御承知のように、今回のことにつきましても、私も初めて開いたのですが、一万何千キロのところを波がわずか二十幾つ、三十足らずの波できて、しかもハワイには、ああいうことがありましたが、その前のアリューシャンでありましたか、ハワイで大きな被害を受けた波は、日本にきてない。なかなか、しろうとがちょっと考えても、そう簡単には、津波の状態というものは把握できない深いものがあることを聞いておりますが、ぜひともこの機会に、和達長官にも一つ奮発してもらって、積極的に私たちは災害を防止する。まあ和達長官は、世界的な地球物理学者でありますから、ぜひそれを強化してもらいたいということを要望して、慰留したような次第でありましてこの点は気象庁としましても反省をし、かつ切実なる要望をしておりますので、何かと皆さん方にも御了解を賜わって御援助願いたい、こういうことをお願い申し上げる次第であります。
  26. 江藤智

    江藤智君 私がこの問題を御質問したのと、今の大臣の御趣旨と、あんまり似通っているので、どうも政府を責めることばかりやっているのと反対で、おかしいような気がするのでございますが、今、大臣が言われたように、ただいまの政府というのは、とにかく人を殺さないと、その対策の金が出ない。かつても、国鉄の桜木町事件という大きな事件で、初めて車両その他の保安設備が国鉄にやっとできた。そのほか海難事故にいたしましても、飛行機の事故におきましても、すべて人の尊い人命を犠牲にして初めてあとからなわをなうというやり方です。  そこで今度の、こういう非常に貴重なる犠牲を払ったのでありますからして、あまり望ましいことではないけれども、この機会に、はっきりこういう対策を講じる必要があるのじゃないか。それにつきまして、ここにお示しになった所要の人数とか、金額を見ると、どうも、あまりにもこれは少ない。これでよければ、これでけっこうなんでございますけれども、人間を見ましても、増員がわずか十七名です——二十人足らず。経費にいたしましても、予備費や本予算をちょっと見ましたところで、一億五千万くらいのものなんですね。こういう程度のものが、今までとにかく整備されないで、その結果、とにかくあれだけの生命、財産を、このために相当大きな損害を受けたということ、実に残念でありますので、それで私はもう少し、人数や金も要るものかと実は思っておったのでございますが、こういう程度で目的が達せられるならば、もちろんこれはもうけっこうなことでございますが、いずれにしても、八月ごろには、もう予算を大蔵省の方にお出しにならなければいかぬ時期でございますから、なお一そう一つ御研究下さいまして、そうしてはっきり、今後は予算要求、あるいは人員の要求をやっていただきたい。われわれは絶対に一つ、あれだけの津波犠牲に対しましても、国会の責任において応援いたしたいと思います。そういう趣旨でございます。
  27. 天埜良吉

    天埜良吉君 先ほどの報告の中でも申しましたが、和歌山港の海南高潮防波堤の件でありますが、あれは南海震災もあり、またジェーン台風もありまして、非常な長い波の高潮を防ぐために作りかけた防潮堤であったのであります。幾らか波長の長い波に対して、基礎がどうであるかということで懸念はあったのでありますが、今回のチリ津波状況から見まして、非常に効果を現わした、こういうことでございますが、現地でそれについて、非常にこれを徳としておりますけれども、十年たった今日、まだ、かなり未完成部分が残っており、もし、あれができておったならば、海南地区は、今度はおそらく被害皆無であっただろうということで、現地では、全く切歯扼腕をしておりました。十年たった今日、まだかなりな部分が残っておるという状態でありますが、これらについてはどんなふうに進められる予定になっておりますか、その辺を少し承りたいと思います。
  28. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 海南港の防波堤につきましては、ただいまお話がございましたように、この海南地区の防潮対策並びに防波効果を目的といたしまして計画をして、全延長においては七百八十二メートルを実施するということで、現在までに約六百メートルの延長にわたりまして施工済みになっております。七七%の進捗率でございます。今回のチリ地震津波に際しましては、海南地区に、ただいまお話がございましたように被害を生じておりますが、施工済みの防波堤に対しまして、防潮効果がかなり有効であることが現地において十分認められておるわけでございます。  今後、この防波堤につきましては残事業は三十七年度までに完成する予定で、五ヵ年計画の一環といたしまして進行さしておるわけでございますが、今回のこの津波の経験を十分考慮いたしまして、なお背後地の埋立計画等もございますので、さらに実施にあたりましては、計画十分検討の上、残っておりまする部分防波堤等も早期に実施計画の方に繰り入れるように検討いたしまして、この事業の完成をはかっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  29. 天埜良吉

    天埜良吉君 今度三重県、和歌山県の方へ、チリ津波被害調査に参りまして、被害をこうむっておる所を見ますと、やはり文里港にいたしましても、湾形が非常に悪い。もし、あれに高潮防波堤を築いたならば、かなりな被害を免れるというふうな点もございますので、津波に対する場合に、高潮防波堤の件も、特に御考慮願いたいというふうに考えます。  それからもう一つ、三重県の方の南島町、紀勢町、あの辺へ参りまして地元の意見を聞きましたときに、伊勢湾台風では非常な被害をこうむった、これに対して高潮対策事業計画も立ててもらった、また災害復旧費のワクももらったのだが、現在に至っても、災害復旧費に至っては、まだ一銭ももらっていない、また高潮対策事業費についても、何ら進めるようになっていない、こういうことでは、今回受けた災害についても非常に心もとない、何とか災害復旧費については、早くもらえるように、また高潮対策事業については、早くできるようにということの陳情もございましたが、その辺は、どのようにお考えでございますか。
  30. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 最初のお尋ねの和歌山県の文里港でございますが、この港につきましては、今回の災害被害報告を聞いておりますので、これにつきましては、緊急査定をいたしまして、災害復旧だけでなくて、さらにこれに関連する災害関連事業等もあわせて行ないまして、今後の災害を防ぐ措置を早急に講じていきたいと考えております。  次に、三重県に対する港湾災害復旧事業費の問題でございますが、国庫負担金並びに伊勢湾高潮対策事業費の国庫負担金につきましては、三重県に対する昭和三十五年度の国庫負担金の予算配賦が、まだ一銭ももらっていないというお話でございますけれども、港湾災害復旧事業費の国庫負担金につきましては、三十三年災の分といたしまして七百万円、三十四年度の四年災の分として一億一千七百六十万円、合計いたしまして一億二千四百六十万円を五月四日付をもちましてすでに内定通知をいたしておりまして伊勢湾高潮対策事業費も、国費七億五千万円を五月二十七日に通達をいたしておりますので、それらの点は、すでに現地に連絡済みでございます。なお、今年の予算配賦をもちまして三重県分の災害復旧事業の進捗率といたしましては、大体五〇%になることになっております。  従いまして、ただいまお話のような点につきましては、極力御趣旨のような事業の推進をはかっていきたいというふうに考えております。
  31. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ちょっと私から……。  私も、宮崎県の津波被害状況を見て来たのでありますが、被害を受けている所は、もともとお粗末な岸壁である、これが復旧という考えでおやりになったのでは、また夏の高潮程度でも被害を受けるような状況になりますので、もっと丈夫なものに、復旧ということにとらわれずに……、ややもすれば復旧ということは、元の通りに直すという観念に、特に大蔵省あたりではお考えのようでありますが、そうではなく、改良復旧をやっていただきたい。希望を申し上げます。
  32. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) その点につきましては、先ほどの伊勢湾台風のときも、災害復旧だけでなくて根本的な恒久対策をあわせて考慮するということで、特別措置法におきましても、二本建てにいたしまして、災害復旧高潮対策措置法を作ったわけでございます。今回におきましても、この津波の現象につきましては、すでに発生直後調査班を現地に派遣いたしまして調査をして、今その報告をまとめております。  さらに第二陣といたしまして、数日前に、技術調査班を現在出しておりまして、これらの対策についての根本的な検討をさせておるわけでございまして、御趣旨のように、災害復旧だけでなくて、根本的な対策をあわせて考えていくという趣旨で進めておるわけでございます。
  33. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ほかに御質疑がなければ、本日は、これをもって散会いたします。    午後零時九分散会