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国務大臣(
楢橋渡君)
チリ地震津波による
運輸省関係の
被害につきましては、先般当
委員会におきまして政務次官から
説明があったことと思いますが、ちょうどそのときに
現地に出張いたしておりましたので、失礼いたしましたが、その後の詳細な
調査の結果、
被害額はさらに増大いたしまて、現在までのところ、全体で約三十六億円となっております。
次に、
復旧についてでありますが、
国鉄関係では、その後鋭意努力いたしました結果、石巻線、
山田線も開通し、
大船渡線を残すのみとなりました。その
全通予定も、六月十九日に繰り上げられる
見込みであります。
私鉄関係の
岩手開発鉄道、六月十三日
開通見込みであります。
港湾関係におきましては、
被害発生後、直ちに
現地に係官を派遣し、
被害調査に当たらしめまして数日前に帰京いたし、現在
緊急査定を準備中であります。後ほど述べます
特別立法措置により
復旧の万全を期しておる次第であります。
航路標識関係につきましては、一部を除き、ほぼ
復旧が完了いたしました。
このほか、
運輸省所管の
民間企業の
災害復旧につきましては、問題は
復旧資金でありまして、この点につきましては、
伊勢湾台風のときにとりました
中小企業者に対する
資金の
融通等に関する
特別立法のほか、
北海道東北開発公庫、
中小企業金融公庫、
国民金融公庫等、
政府関係の
金融機関に対し、
融資ワクの
設定、
特別金利の
採用等の
措置をとるよう
関係方面に
要望しておるような次第であります。融資希望は約五億円になろうかと推定されます。
次に、先ほど触れました
港湾関係の
特別立法について申し上げますと、
伊勢湾台風のときにとりました
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の特例を定める法律案と、
チリ地震津波により
災害を受けた
地域における
津波対策事業に関する
特別措置法案とを準備いたしまして、
関係方面と協議をいたしておる次第であります。
次に、行政
措置によります
対策につきまして申し上げますと、今回の遠距離地震
津波現象の貴重な経験にかんがみまして、気象業務組織の
整備と
津波研究の
強化に一段と力を入れて参りたいと存ずる次第であります。これがために、
津波予報組織の
強化、観測
施設の
整備、国際連絡組織の
整備、気象
研究所の
津波研究部門の
強化等につきまして、予備費の要求をいたしておる次第であります。
最後に、去る二十八、二十九の両日
現地視察を行ないましたので、その概略を御
報告申し上げます。視察地は、塩釜、石巻、志津川、気仙沼、陸前高田、
大船渡の六カ所で、このうち
被害の大きかったところは、
大船渡、気仙沼、志津川、陸前高田等でありました。
被害の大きい割に死傷者の少なかったところもありますが、これは田ごろの
現地気象台の指導により
津波訓練が徹底していたところであり、警察官、漁夫、消防士等が極度の干潮現象によって
津波の襲来をいち早く知り、これを
住民に伝達したためであります。
被害の
特徴は、
住宅、農林漁業関係が大きかったことでありますが、これは東北の後進性と零細漁民が多いことのためであり、
被災者の暗さがひとしお見る人をして胸を打たしめたのであります。みな政府の援助の手を期待しつつ黙々と
復旧に努力している姿を見て参りましたが、この間におきまして、ただいま
委員の方の御
報告にありましたように、
自衛隊の
活動は、その機動性を遺憾なく発揮いたしまして各地で感謝の的になっておりました。
所管大臣として
要望されましたことの最大のものは、何と申しましても、
津波対策についてでありまして、特に
津波に科学的メスを入れるための
現地津波研究機関の
設置、検潮儀の自動化、通信
施設の
整備等でありまして、極力
要望を受けた次第でありまして、これに対してこたえることを申し上げたのであります。
港湾関係では、波没船の引き揚げ、
航路の清掃、
港湾の測量等により、一刻も早く港の機能の回復をはかってもらいたいこと、根本的には防波、
防潮堤の建設により
津波高潮対策の万全を期せられたいということでありました。そのうち、
港湾の機能の回復につきましては、
現地の出先機関に、それぞれ指示をいたして参った次第であります。
鉄道関係では、
大船渡線の
早期復旧が
要望されましたほか、
被災者の失業救済をも兼ねて
三陸鉄道の
早期着工が
要望されまして、これは目下検討中であります。
その他、各地で
要望されましたこと、あるいはじかに感じましたことは零細漁民の救済、失対事業の拡大、堅固な
住宅を中心とした新しい土地
計画、強力なる防疫
対策の必要等でありましてこれらは詳しく閣議において発言をいたしましておる次第であります。
これを要しまするに、被災の規模こそ小さいが、所によっては、
伊勢湾台風以上の悲惨な
状況も個々的には見受けられたのであります。東北人の気質といたしまして、声には出さないが、政府に期待するところ大なるものが察知できましたので、少なくとも
伊勢湾台風のときにとった程度の
措置は、どうしてもとらなければならぬと痛感いたして帰った次第であります。
以上をもちまして
運輸省関係の
被害状況、その
復旧状況、並びに諸
対策及び
現地の視察
報告を申し上げた次第であります。
なお先般の火曜日の閣議におきまして私は強く発言をしておいたことは、こういう
災害について、いつでもぐすぐずして時宜の処置をとらない、早く、事務
当局でできなければ、関係閣僚だけでも寄って、早くきめて、この悲惨な罹災民にこたえる態度をとることが当然の
措置であるということで強く発言をし、池田通産大臣もこれに対して同調し、強い発言をされ、大蔵大臣にも、その
措置を実は迫ったといいますか、強く
要望したのであります。総理も、あんまり理屈を言わずに早くやったらどうかということを言っておりました。あすの閣議において、なお
特別立法等において、大蔵省との話がつかないということを今
局長から聞いたので、私から、また強く明日の閣議において、早くやるように
要望したい、こういうふうに実は思っておる次第であります。