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1960-05-28 第34回国会 参議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月二十八日(土曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   委員の異動 本日委員江藤智君、谷口慶吉君、鳥畠 徳次郎君、三木與吉郎君及び村松久義 君辞任につき、その補欠として苫米地 英俊君、堀木鎌三君、鈴木恭一君、谷 村貞治君、及び青柳秀夫君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平島 敏夫君    理事            天埜 良吉君            村上 春藏君    委員            青柳 秀夫君            金丸 冨夫君            佐野  廣君            重宗 雄三君            鈴木 恭一君            苫米地英俊君            堀木 鎌三君            谷村 貞治君   政府委員    運輸政務次官  前田  郁君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 広瀬 真一君    気象庁長官   和達 清夫君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸省港湾局防    災課長     布施敞一郎君    海上保安庁警備    救難監     松野 清秀君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査チリ地震  津波による被害に関する件) ○委員派遣承認要求に関する件   —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまより委員会を開会いたします。  まず委員変更について報告いたします。  本日、江藤智君、谷口慶吉君、鳥畠徳次郎君、三木與吉郎君及び村松久義君が辞任され、苫米地英俊君、鈴木恭一君、堀木鎌三君、谷村貞治君及び青柳秀夫君がそれぞれ選任されました。   —————————————
  3. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) これより運輸事情等に関する調査を議題といたします。  本日は特にチリ地震津波による被害状況について、運輸省当局より報告を願います。
  4. 前田郁

    政府委員前田郁君) 去る五月二十四日、太平洋岸に大津波が発生し、各地に大きな被害を生じ、多数の人命財産が失われましたことはまことに痛恨のきわみであります。  今回の大津波は、すでに御存じのように、二十三日午前四時十五分、南米チリ沖に発生しました大地震に基づくもので、その地震規模は、世界最大級地震といわれる昭和八年の三陸沖地震以上のものと思われます。この地震によって起こされた津波は、二十四日午前四時ごろから北海道から九州南部にわたって襲来し、各地相当被害を生じました。気象庁では、二十四日午前五時に、北海道太平洋沿岸に対する津波警報を初めとして、太平洋沿岸全般にわたって警報を発令いたしました。しかし、今回の地震のように震源地が非常に遠い場合には、従来の記録からいって災害を伴うような津波が襲来した例がないのであります。このために的確な判断をすることができずに、津波の第一波が襲来したのを知って警報の発令を行なわざるを得なかったわけであります。  今後はこの貴重な体験を生かし、遠距離地震についてもさらに的確な津波警報を発し得るような、気象庁のこの方面施設体制整備改善について一そうの努力をいたしたい所存であります。  次に、運輸省関係鉄道船舶港湾等被害の概況につきまして、昨二十七日夜までに判明いたしました点につき申し上げます。  まず、鉄道関係についてでありますが、国鉄関係では、盛岡管理局関係が最も被害甚大でありまして、大船渡線開通には来月一ぱいを要する予定であります。全国における不通個所は八カ所、昨二十七日までに開通いたしました個所は十五カ所に及び、その地につきましては、おおむね六月中旬には開通する予定であります。なお、この損害額は約三億七千万円が見込まれております。  港湾関係では、現在までに判明いたしましたところでは、直轄工事八戸小名浜北海道広尾等で約一億四千万円の損害が見込まれております。また、補助対象の分につきましては、青森岩手宮城三重和歌山高知県等において約九億七千万円、直轄補助、あわせて合計約十一億二千万円の損害が見込まれております。  また、海上保安庁で取りまとめました船舶被害について申し上げますと、沈没いたしましたもの九十八隻、乗り上げが二百九十四隻、流失千六百五十八隻、破損八百四十隻、行方不明四隻、その他十一隻、合計二千九百五隻に及んでおります。その他、航路標識被害は三十七件であります。  次に、運輸省といたしましては、現在までにとりました措置及び今後の対策について簡単に申し上げます。  鉄道関係におきましては、極力自力復旧に努め、一日も早く不通区間開通をはかるとともに、一般罹災者に対する救恤用品中、生活必需品につきましては六月二十三日までは無賃、応急建築材料等につきましては八月二十三日までは五割引の運賃減免措置をとったのであります。  また、港湾関係につきましては、二十四日夜、一部の者を現地に派遣いたしましたが、二十五日には全国を六班に分け、応急工法の指示、災害実情調査損害査定等のため、本省の係官を派遣し、対策樹立に努めております。  海上保安庁につきましては、二十四日早朝から非常配備を発令し、塩釜災害対策本部を設置いたしました。また航空機、ヘリコプター、巡視船被害地に出動せしめ、被害調査及び救援活動に当たらしめております。  なお、昨晩運輸大臣は、関係各長を帯同して現地におもむき、被害実情調査するとともに、早急なる対策樹立をはかっております。  以上をもちまして、被害状況及び現在までにとった措置につきまして申し述べた次第でありますが、冒頭に申し上げましたように、今回の大津波の貴重なる体験を生かし、気象庁中心といたしまして、地震津波現象に深い科学的なメスを入れ、今後かかる大被害をできるだけ未然に防止できるように特に力を入れることを申し添えておきます。
  5. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 気象庁長官から今回の津波状況について御報告願います。
  6. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 昭和三十五年五月二十三日四時十五分に南米チリ沖には、地震規模八・七五と推定される大地震が勃発いたしました。この八・七五という規模世界における大地震の中でも第一級に属する大きな地震であります。そのために起こされた津波は、太平洋を渡って翌日未明から日本に到達し、太平洋岸一帯にかなり強い津波を起こし、特に北海道三陸方面に強く莫大な被害を生じました。このような遠い地震によって日本がこれだけ被害を受ける津波を起こしたことは、過去に経験がないことでありまして、たとえば明治三十九年にチリに大地震がありました。これは現在の推定によりますると、地震規模で八・六となっております。しかし、このおりにもこの津波日本にも波及はいたしましたが、検潮儀で観測された程度被害はありませんでした。すなわち今回の大地震が、この推定よりもっと大きいものであるか、あるいは津波を起こしやすいような特殊の条件を備えておったかということは、今後の研究に待たねばならないのであります。  気象庁におきましては、この津波に対し、北海道において五時に津波警報を出しましたのを初めとして、太平洋全般にわたって津波警報を発令いたしました。このようにして、津波が四時、五時ごろから始まっておりますのに、警報が時期を失しましたことはまことに申しわけないことでありました。気象庁津波予報組織体制は、日本付近に起こる地震によって起こる津波に対してもっぱら作られてきたものでございまして、この点に不十分なことがございました。加えて、このような遠い地震で、どのくらいの津波がくるかという経験と知識あるいは勉強が不足でありましたことは、まことに遺憾な結果を来たしたこととなったのであります。これにかんがみまして、今後は第一番に、気象庁における津波予報組織体制を、遠い地震に対しても十分であるように整えること。第二に、このような遠い地震によって起こる津波に対しては、国際的の情報を迅速確実に入手でき得るような体制を前もって作って置くこと。第三に、遠い所から相当津波が来たということをすみやかに知る施設を整えること。第四には、太平洋を伝播する津波あるいは太平洋津波を起こす地震というようなものに対するさらに研究を推進することというような、以上の対策によって今後かかる警報が不適切に出されるというようなことがないようにいたしたいと存じております。  もちろん、気象庁の職員は、防災業務のために全力を尽くしておりますが、かかる経験がないとは申しながら、日本の国にとって大きな災害をもたらすようなことに対しての気象庁責任を十分に心に銘じまして、今後最大努力を払いたいと存ずる次第であります。
  7. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、松野警備救難監から御報告願います。
  8. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 今回のチリ地震津波に際しまして、海上保安庁のとりました措置及び海上における被害状況につきましては、先ほど政務次官から報告されましたが、なお若干補足いたしまして、その概要を御報告申し上げます。  海上保安庁におきましては、五月二十四日の午前五時二十分ごろ、気象庁から弱い津波警報の伝達を受けましたので、直ちにその警報を全管区本部に伝達いたしました。これによりまして、全管区とも警戒配備についたわけでございますが、特に北海道を管轄いたしております第一管区東北地方を管轄いたしております第二管区及び関東地方を管轄いたしております第三管区におきましては、それぞれ非常配備体制を整えまして、自来、関係各部署とも所属の巡視船及び航空機等全力をあげまして、災害救助並びに調査に当たりますとともに、流れ出しました木材とか、真珠いかだカキいかだ等の除去、あるいはそれらの漂流物によりまする航路障害に関しましての航行警報、その他緊急を要しまする救援物資及び人員の海上輸送あるいは航空輸送等にも鋭意努力いたしまして、今日に至っておるのでございます。  次に、昨二十七日の正午までに判明いたしました海上における被害状況並びに巡視船艇及び航空機等活動状況概略について申しますと、まず船艇被害につきましては、被害太平洋沿岸一帯にわたって発生いたしております。被害状況は、先ほど政務次官から報告されましたので省略いたしますが、合計二千九百五隻、総トン数にいたしますと、三万七百五トンに上っております。  なお、最も船舶被害が多く発生いたしましたのは、三陸沿岸地域でございまして、同地域で発生いたしましたものが全体の約七七%を占めておるのでございます。またこれらの被害船舶損害額につきましては、まだ調査が十分進んでおりませんので、はっきりしたことは申し上げかねますが、おそらく十億程度に達するのではないか、かように推測いたしております。  次に、海上における人命被害でございますが、これは主として北海道から三陸にかけての地域で発生したものでございますが、死亡が七十四名、行方不明が三十七名、計百十一名に上っております。  次に各地で材木、真珠いかだカキいかだ等相当流失いたしましたが、概略について申しますと、近くでは東京湾内でも木材が約三百石ばかり流失いたしました。清水におきましてもカキいかだ八十台流失しましたし、木材が約十五万石流れ出しております。その他、名古屋、鳥羽、尾鷲、紀州の田辺、四国の宇和島、九州油津等におきまして、木材真珠いかだ等がやはり相当流失または流出いたしておるのでございます。  次に、海上保安庁自体船艇航路標識舎屋等にも相当損害がございました。おもなものの概略について申しますと、航路標識におきましては、灯浮標等流失したものが七基、移動したものが十六基、消灯したものが十一基、倒壊いたしましたものが三基、計三十七基に上っておりますが、このうちすでに復旧いたしましたものが六基でございます。その他の復旧につきましても取り急いでやりたいと存じております。  その他、海上保安庁自体業務用船艇におきましては、灯台見回り船、あるいは巡視船艇等、合わせまして十八隻が若干の損傷をこうむっております。  その他、通信施設舎屋等の一部が海水によりまして若干の被害をこうむったのでございまして、これらの海上保安庁船艇、諸施設被害は、目下のところ約四千六百万円くらいに達する見込みでございます。  次に、海上保安庁船艇及び航空機によります現在までの救援状況でございますが、おもなものについて申しますと、人命救助では、北海道の浜中湾におきまして、救助を求めておりました被災者十四名を救助いたしております。またこのほかに、やはり北海道沿岸におきまして死体五体を収容いたしております。また、一般船舶救助では、被災船舶二十七隻を救助いたしております。その他家財道具等も若干救助いたしておりますし、また釧路霧多市間その他におきまして、緊急を要します毛布、食糧等救援物資、その他人員海上及び航空輸送業務等もいたしておるのでございます。  現在までの経過は大体以上申し上げたような次第でございますが、海上保安庁といたしましては、今後も関係機関と緊密に連携協力をいたしまして、救援活動に遺憾のないように対処いたして参る所存でございます。
  9. 平島敏夫

  10. 布施敞一郎

    説明員布施敞一郎君) チリ地震津波によりまする港湾施設被害状況について申し上げます。  先ほど政務次官から御報告がございましたが、これをいま少しく詳細に申し上げますると、直轄分といたしまして、合計一億四千六百万円の被害でございまして、そのうち内地分として、八戸港におきまして一億一千七百万円、小名浜港で八百万円、北海道広尾港で二千百万円、こういう内訳になっております。補助分といたしましては、これは北海道霧多市港でございますが、これを直轄補助にするかは今検討中でございますが、一応補助分にここではあげているわけでございまして、この分が二億四千万円、これは自然海岸決壊でございます。苫小牧が約九百万円、青森県の八戸港が一億九千五百万円、岩手県の大船渡港が約六千万円、同じく宮古港が三百万円、釜石港が約三百万円、宮城県の塩釜港が千八百万円、同じく石巻港が千三百万円、女川港が二百万円、福島県の小名浜港が百五十万円、久ノ浜港が三百四十万円、三重県に入りまして尾鷲港が千三百万円、引本港が二千百万円、賀田港が五百万円、長島港が五百万円、五カ所港が二百万円、吉津港が二百八十万円、的矢港が千七百万円、茨城県に参りまして、川尻港が百三十万円、和歌山県の和歌山港が四十万円、海南港が七百万円、文里港が七千三百万円、日高港が百八十万円、徳島県の浅川港が百万円、橘港が三千三百万円、高知県の須崎港が二億一千万円、これは海岸堤防決壊をいたしたわけであります。同じく久札港が千六百万円、宮崎県の外浦港が七百万円、以上直轄分合計いたしますと、先ほど申し上げましたように一億四千六百万円、補助分合計いたしますと九億七千四百万円、合計いたしまして、ただいまのところ約十一億二千万円の被害額となっております。  なお、ただいま県の方から続々報告が入っておりますので、これはもっとふえる見込みでございます。なお、運輸省といたしまして、こうした公共土木施設被害につきまして、早急に現地調査を行なっておるわけでございますが、本省から派遣いたしましたのは、先ほど次官から御説明がありましたように、全国を六班に分けまして、二十五日に出発しております。北海道二名、青森岩手班三名、宮城福島班二名、高知徳島班二名、三重和歌山班二名並びに三陸地区総括調査としてほかに一名、以上が本省でございますが、第二港湾建設局からは二十四日に五人が応急的調査に出発しております。同じく第三港湾建設局におきましては、三班に分けまして、合計六人が派遣されております。これらの派遣班は今月の末までには帰って参りますので、来月早々報告を取りまとめまして対策を練っていきたいと思っております。以上で終ります。
  11. 広瀬真一

    政府委員広瀬真一君) ただいま政務次官から国有鉄道の受けました被害の大要について御報告いたしましたが、私から若干補足的な御報告をいたします。  国有鉄道の受けました被害は広範囲にわたりまして、北は北海道の根室線の釧路付近から四国の土讃線まで海岸線被害を受けております。被害を受けました線区は十線区で、二十三カ所が不通になりまして、そのほか車両が若干、機関車、客車あるいは貨車、こういったものが四百両以上浸水を受けました。その後国鉄といたしましては、全力を尽くしまして復旧に努めました結果、現在では大船渡線山田線、石巻線、この三線が未開通になっておりまして、不通区間は八区間になっております。このうち比較的被害の大きなものは大船渡線でございまして、海岸線大体四十キロのうち約二十キロが道床、線路、こういったものが流失をいたしております。従いまして、鋭意復旧努力しておりますが、大船渡線全線開通いたしますのは一応六月一ばいという見込みでございます。それから山田線は、やはり同じく海岸線でございまして、これも同じく約四十キロくらいの海岸線区間のうち現在約十五キロが不通区間でございまして、この六月の十日ごろには全線開通見込みでございます。  損害額は、施設関係が約二億九千万円、電気関係が五千五百万円、車両関係が二千七百万円で、合計約三億七千万円が被害のトータルでございます。  運賃減免につきましては、先ほど政務次官から御報告いたしましたように、さっそく手配をいたしまして、現在実施中でございます。  なお、現在の不通区間に対しましては、それぞれ、国鉄自動車あるいは民間自動車代行輸送を行なっておりますので、旅客に対してはさしたる不便は現在かけておらない。貨物はこの区間はいずれもあまり大して出ない区間でございます。なお最後に、今回の災害は早朝の関係もございまして、旅客に対する被害はございませんでした。  以上簡単でございますが、補足的説明をさしていただきました。
  12. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  13. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記を始めて。ただいまの報告に対し質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  14. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 今回の災害は、私どもといたしまして考えますと、全く天災のように考えられるのでありますけれども、ただいまの和達気象庁長官お話で、やはり気象庁としての施設なり、そういうふうなものに相当欠陥があるのではないか、施設が足りないのではないか、それだけの配慮が今日まで尽くされておらないのではないかということを、私は率直に感じたのであります。地震でも起こり得るような現象というものは予知できるように聞いておるのでありますが、この問題は、ちょうど二十四時間前に起こったものが太平洋を渡ってこっちへ参るのでありますから、当然これは予知できなければならないというのが普通人常識だと思うのであります。そういう方面に対しての予算等措置も講ぜられておらないということは、私どももよく承知いたしておるのでありますけれども、率直に長官はそうした欠陥についてお考えのようであります。あるいは国際情報をとらなければならぬ、もっと施設を拡充しなければならない、もっと研究をしていかなければならないのだというようなお話もございましたが、そういう方面に対する平素配慮というものをどういうふうにされておるか。現にこの津波ハワイを通ってきておるのであります。十数時間前にはハワイにそういうふうな状況も起こった。また、太平洋の中には商船もおることでございます。また、平素国際情報というものがどういうふうになっておるのか、そういう点について将来のお見通しというふうな点についても、この際、お話を承りますればと存じまして申し上げるのであります。
  15. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) ただいまのお尋ねに対してお答え申し上げます。  第一に、今回の津波が遠い地震によって起こった津波であるということであります。このような例は、太平洋におきましても、大西洋におきましても非常に珍らしいのでございますが、ハワイだけが、過去において相当に災難を受けております。  たとえば、一九四六年にアリューシャンに大地震がありました。このときにハワイは、今回以上と私は推定しますが、そういうような大きな津波の害を受けたのであります。そのとき、日本は幸いにして、それほどの大きな津波じゃありませんでしたので、被害はありませんでした。そういうようなことから、ハワイは、太平洋の真中にハワイ列島というものが、一つの大きな海の中の堤防のように、どこから津波が来ても、これが衝突して相当津波を起こすところである。だからハワイは、太平洋のどこに地震が起こっても、相当用意をしなくちゃならぬというために、その後ハワイに、太平洋津波センターというものを作りまして、そうして所要の国から情報を集めて、その中でも、日本は一番地震をたくさん起こすところでありますので、日本からの情報は非常に重要視され、こちらも資料を送っておったのであります。こういうシステムは、当然そういう中心はこちらに対しても、津波のおそれある場合には、知らせてくるのが常識でありますが、その点は、厳密なる文書交換をもって行なっておるものでございませんので、実際にはそういうことを行なっておりますけれども責任とかというような問題になると、ただいま簡単には申せないかとも思います。今回も、ハワイ情報というものは、前日のうちに数回入っておるわけであります。チリに大地震が起こったから、太平洋津波は波及するだろう、今、南太平洋のこういう島に、何時には津波が来たというようなことであります。その際に、ハワイ自身は、津波の害が起こるとすれば、何時ごろだが、詳細は待て、不明であるというような情報であります。数量的のものは、たとえば南の島で、波の高さが一メートルというようなのがあるというふうなもので、津波が伝播してくるということは非常によくわかっておりました。私どもの過去の経験から、明け方四時ごろには、日本津波が来るということは知っておりました。ですけれどもハワイ経験のあるところであり、日本が、そういうのに一回も会わなかったというのが今回の不幸に会った最大の原因をなしたんじゃないかと私には思えるのであります。  もし日本が、ハワイのように過去において、こういうことのために災害を受けておれば、いかなるわずかな情報でも、これを活用し、適切なる警報を出すでありましょう。しかしそういうことがなく、まさかと思っておるときには、相当情報が来ましても、やはり実際に被害が起こるのは、もう少し様子を見て、もう少しハワイから、何か来るとか、日本の中でも、そういう徴候が現われることを待つということのために、警報を出すのがおくれたということが実際のようであります。  なお津波警報組織は、前に申し上げましたように、国内あるいは近い海に、大地震が起こりますと、日本のどこかで必ず感ずるものであります。そういう地震が起こったということからスタートしまして、そうして一分を争ってわれわれが作業をして、そうして津波警報を出す仕組みにはなっておりますが、かえって余裕のある、そういう遠いものに対して、十分なる体制ができていなかった。しかもこういうことは、何年に一ぺんか、何十年に一ぺんか、用意なく起こることでありまして、相当責任者を夜昼となく宿直させ、この仕事をさせるということに非常に問題があるわけであります。私どもが、この今回の遠い地震について、津波被害の重大なことを知りました上は、今後は、何年に一ぺんであろうと、何十年に一ぺんだろうと、そういう体制を整えておかなければならないわけであります。この点も、よく当局に理解願いまして、なかなかこういう不時に備えるという仕事というものは、役に立つときが少ないので、十分なるこちらの体制ができないものでありますが、今度は私どもも、できるだけ災害を防ぐという立場から、日ごろは、むだのようなことでもやらなければならぬということは、痛感いたしました。  それから施設でありますけれども日本としましては、そういう津波が来るのを察知するのに、島が少し、南方あるいは東南方にありますので、そこらを活用し、あるいはこういう津波は一度来ますと、最大の波は二、三時間あとで来ることもありますし、また一度揺れますと、二、三日の間海は揺れておりまして、長い間、大きくなったり小さくなったりして、揺れているものでありますから、そういうことも、この担当者が海岸のその機械のところまでわざわざ行って見なくても、自分の部屋にいて、その動向がわかるような施設をする。  それからお話の国際の情報交換という体制を十分に確立しておくことというようなことであります。国際の情報確立に関しましては、たとえば国際気象機関条約、あるいは国際測地及び地球物理学連合、そういうようなことで、もう少し前から、この地震津波の国際協力の重要性について考えて、しばしば相談をしておりますので、それらの国際的組織からも、でき上がるとは思いますけれども、わが国のように、あすにもまた、こういう災害が起こるかもしれないところは、その国際的組織の成立に、メンバーとして、十分推進するようにするとともに、現在において、日本と重要なところとは即刻話し合いをしまして、この目的に有効なるような取りきめをいたしておきたいと思う次第でございます。
  16. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 気象庁仕事は、もちろん気象その他、そういうものの研究も、大きな一つでありまするが、結局国民から見れば、そういうふうな天災、この天地自然の現象というものを、前もって知らしてもらうというのが、その目的だと私どもも思うのであります。そういうふうな点について、今回の警報がおくれたということに対することは、気象庁の怠慢だと私考えておりません。要するに国の、そういう方面に対する配慮が私は足りなかったのだ。これは、百年に一ぺんのことかもしれませんけれども、百年に一ぺんが、この災害を起こすのでありまするので、政府当局におかれましては、そういう方面に対しての格段の御配慮を、この機会にお考え願いたい。  これは、私の希望として申し上げておきます。
  17. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 関連して。今のチリ地震の問題で、これは、今まで例がなかったから、なかなか情報通知あるいは見解に手間取ったというようなこと、これは決して、気象庁自身の失態だというようなことを、われわれは考えておりませんし、またあらゆる地方において、かような天災が起こった場合のわが国に対する波及、被害というようなものについて、常に国家がこれに対して、できるだけの措置を講じて置くということも、これまた当然でありますが、差し向きちょっとお伺いしたいのですが、これはチリ地震は、まだなかなかやんでいないでしょう。しからば、それに対して具体的に、また今度と同等あるいは同等以上のものが来ないとも限らないですね。だから国民が心配することは、今度来るものに対しては、一体、どういう工合の措置を、具体的にどういうことをやっておるのか。言いかえれば、ハワイからの情報ハワイにおける被害状況が、直ちにこちらに察知されて、今度こそ間違いなく、津波については警戒の処置がとれるか、そういう点についての具体的——チリ関係もありましょうが——問題は、これは今、その後おさまっていないように新聞紙上に出ておりますので、国民の心配は、また火山がやり出したら、相当、阿蘇山でも霧島でも同じことですから、相当続きますから、だからこの点の措置を一つ、具体的にどういうことをとったか、またどういうことで、どういう工合に、こちらに情報が入るようになっているかということを、一つお聞かせ願いたいと思います。
  18. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 今回の津波にかんがみまして、たとえばハワイからでも、的確に情報をとるということの重大性を知りまして、二十五日に、ハワイのセンターあてに電報を送りまして、そして特に依頼をしておきました。その後、ハワイから三、四通その後の情勢をこまかく送ってきております。これは妙なことを申すようでありますが、ハワイからこちらに伝わるのに、今までは米軍の方に入りましてこちらに来るとか、そのルートにおいて非常に複雑なものがありまして、あるいは気象の通報の中にも混るとか、いろいろの業務的には複雑なものがございましたが、今回これにかんがみまして、ハワイにとりあえず気象庁あてに直接、詳細できるだけ知らしてほしいということを依頼しまして、現在まで、そのように行なわれております。  チリの今回の地震活動というものは、私の知るところでは、地球上における地震活動でも、めずらしい大規模のものでありまして、あの津波を起こす前の、前の前の日くらいにも大地震があり、前の日にも大地震があり、またその後にも大地震が二、三出ております。津波を起こしました大地震が、その中でも、きわだって大きかったことは事実でありますが、その後の地震におきましても、機械に感ずるような津波は出しておるわけでございまして、もちろんその警戒を十分私どもはいたしておる次第であります。  その他、こういうような天災というものは、気象の方は、長年の歴史と世界の協力におきまして、今日その体制が十分に整っておると私は存じますけれども地震、火山等のような現象につきましては、まだ予報をするという体制が、なかなかうまくできておりません。それにつきましては、私どもは、できるところからできるだけ役に立つような体制を整えていたしたいと、努力いたしております。
  19. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 万全の方法を一つとっていただいて、今度こそ、まだ活動をやめていないとすれば、非常に危険ですし、これは具体的の問題ですから——具体的な措置ができるはずですから、どうぞよろしくお願いいたします。   —————————————
  20. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、委員派遣についてお諮りいたします。  ただいま調査をいたしておりますチリ地震津波による被害状況、これはお聞きの通り、かなり甚大な被害をこうむっておるようでありまするから、この被害状況調査のため委員派遣を行ないたいと思いまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、派遣の日時、人選等につきましては、委員長に御一任願います。  それでは本日は、これをもって散会いたします。    午前十一時三十六分散会