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1960-03-01 第34回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月一日(火曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平島 敏夫君    理事            天埜 良吉君            村上 春藏君            小酒井義男君    委員            金丸 冨夫君            佐野  廣君            鳥畠徳次郎君            三木與吉郎君            相澤 重明君            重盛 壽治君            中村 正雄君            松浦 清一君            加賀山之雄君   国務大臣    運 輸 大 臣 楢橋  渡君   政府委員    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸省海運局長 朝田 静夫君    運輸省船舶局長 水品 政雄君    運輸省港湾局長 中道 峰夫君    運輸省自動車局    長       国友 弘康君    捕獲審検審査  委員会事務局長  今井田研二郎君    海上保安庁長官 林   坦君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      吾孫子 豊君    日本国有鉄道常    務理事     大石 重成君    日本国有鉄道常    務理事     中村  卓君   —————————————   本日の会議に付した案件臨時船舶建造調整法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○捕獲審検所検定の再審査に関する  法律の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○運輸事情等に関する調査  (海上保安に関する件)  (自動車行政に関する件)  (日本国有鉄道の運営に関する件)  (港湾に関する件)   —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) これより委員会を開会いたします。  まず、去る二月二十六日に本委員会に付託されました臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより本案提案理由説明を求めます。
  3. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ただいま議題となりました臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  現行臨時船舶建造調整法は、昭和二十八年に戦後のわが国外航商船隊再建のため、船舶建造を調整する必要上制定されたものでありまして、その存続期間昭和三十六年三月三十一日までとなっておりますが、次に述べますような事情によりまして、本法存続期間昭和四十年三月三十一日まで延長したいというのがこの法律案提出いたすゆえんであります。  戦争によって崩壊したわが国外航商船隊再建整備をはかるため、政府は、外航船建造につきまして、財政資金の投入、市中資金のあっせん、利子補給及び損失補償制度確立等、種々の助成策を講じて参りましたが、本法は、外航船建造運輸大臣の許可にかからしめることによりまして、建造される船舶が真に国民経済要請に適合するよう調整する機能を発揮して参ったのであります。  しかして、その間に建造されました外航船は、貿易外収入の増加を通じてわが国国際収支の改善に多大の貢献をなしているのでありますが、今後予想される貿易量の増大に伴い、外航船腹整備拡充いたしますことは、依然、わが国経済自立発展をはかるためには欠くことのできないものでありますので、政府は、今後も外航船建造につきましては積極的な助成策をとることにより、海運企業の基盤とその国際競争力の強化をはかりつつ、国定経済要請にこたえようといたしているのであります。  このように政府外航船整備拡充についての助成策を続行いたします以上、その目的を達成する上におきまして補完的な役割を果たす臨時船舶建造調整法に基づく規制を引き続き行なうことがぜひとも必要なのでありまして、その必要性は、わが国国際海運現状から見て、少なくとも昭和三十五年度から五カ年間は存続するものと見るのが妥当であると存じます。今回、臨時船舶建造調整法存続期間昭和四十年三月三十一日まで延長しようとするのは以上の理由によるのであります。  なお、現行法は、昭和三十六年三月三十一日まで効力を有するのでありますが、その効力延長についての審議を今国会においてお願いいたしますのは、造船の場合におきましては、着工の数カ月以前に契約が締結されるのが通例でありますので、昭和三十六年四月以後に行なわれます建造について混乱を生ぜしめないためであります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
  5. 相澤重明

    相澤重明君 大臣にこの次の質疑の際に答弁をしてもらうために、私は要望を出しておきたいのですが、それは前国会の際に、私ども日本社会党から、この船舶建造についての基本的な態度というものを実は御質問を申し上げておいたわけです。それは第一に、三国間輸送の問題をどうするか、それから、従来の船舶による赤字補てんをどうするか、利子補給はどうするか。それから第二の問題としては、船舶建造を、さらに輸出する場合の、つまり輸出船舶に対するところ延べ払い方式というものをどうするのか、あるいは船舶建造に最も必要な鉄鋼の需給安定についての考え方はどうするのか、つまり価格差補給金の問題をどうするのか、こういう点と、さらに現在の船舶建造というものが競争が過当になって混乱を来たす場合が予想される、あるいは現在の中小企業の場合はどうする、従って船舶公団なり、あるいは共有船方式というものについて考える必要がないのか、こういう点を特に強調しておいたわけであります。  その後、今年に入ってから通産省を中心に大蔵省も貿易為替自由化の促進ということを言っておるのでありますが、この自由化によるところの輸入を増進した場合に、国内生産鉄鋼と、そうしてこの船舶建造に対する基本的な問題はどうするのか。さらにこの船舶の問題を一つの契機として、日本船員に対するところの待遇をどうするのか、具体的にいえば労働条件厚生施設というものはどうするのか、こういうような点を私どもは前国会運輸省に注文をつけておいたはずであります。従ってこれらの問題について次に答弁を願っておきたいと思うのであります。このことを十分御説明をいただかないというと、日本社会党は、従来からの海運界の危機というものを、単に簡単な利子補給をしただけではなかなか根本的な解決をするものではない、こういう点を主張をしておるわけであります。従って運輸大臣から次回の委員会にそういう点を一つ明確に御説明をいただきたい。これだけ希望を申し上げておきます。
  6. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 承知いたしました。
  7. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、捕獲審検所検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  8. 小酒井義男

    小酒井義男君 この法律案は、最初は期限三年間と定められておって、その後、ずっと毎年一年ずつ延長されてきているのですが、今回一年延ばせばそれでいいのか、一年ずつ切って延長していく理由ですね、それを一つお尋ねします。
  9. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) ただいまの点をお答えいたします。この法律、必ずしも一年ごとに、一年しか延長してはいけないという性質のものではないのでございますが、今日のところ見通しといたしましては、もう一年この法律を延長いたしますれば、大体この船舶の再審査に関しまする問題は終了をするのではないかというふうに、今日考えているわけであります。そこでもう一年だけ延長していただきたい、こう考えているわけであります。
  10. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは、昨年一年延期してから今日まで、ここで扱った案件というのは、どういう問題が何件ぐらいあったのですか。
  11. 今井田研二郎

    政府委員(今井田研二郎君) フランスのサンタフェという船の再審査に関するものが一件と、それから現在ギリシャのエラトー及びバレンタインという船の二隻につきまして審査いたしました。サンタフェの方は完了いたしまして、今日ただいまはエラトーバレンタインにつきまして、再審査をいたしている次第でございます。
  12. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ほかに御質疑ございませんか。——質疑なければ、これをもって質疑を終了し、討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにして御発言を願います。——別に御発言なければ、討論を終わり、採決を行ないます。  本案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  13. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、議長に提出する報告書作成等につきましては、委員長に御一任願います。   —————————————
  14. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、運輸事情等に関する調査議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 きょうは、ちょうど幸い大臣も御出席でありますので、大臣に二、三御質問を申し上げて御所見を拝聴したいと、かように考えております。  まず、最初お尋ね申し上げたいのは、李ラインの問題につきまして、二、三今日までの経過並びに今後に対する、これの解決にどういう方針でお進みになるか、この点につきまして簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  昨年のちょうど十月でしたか、十一月の初めでありましたか、まあ大臣は非常に御多忙の中にもかかわらず、この李ライン問題に対して、みずから現地調査にお出かけになったということは、一般国民といたしましても、この李ライン問題は、戦後国際問題として非常に大きく取り扱われているという意味合いから、しかも、いつまでもそれが解決が遷延されておって、今日ではほとんど捕捉することができないというふうに追い詰められておる。しかるにもかかわらず、政府要路者がただの一回も現地を実際に親しく調査して、そうしてその原因なり、あるいはまた理由なり、今後に対処すべき根本的な方針を打ち立てるというような熱意が非常に乏しいということで、国民あげて義憤を感じておったところの問題であります。そういう問題につきまして、大臣が寸暇をさいて現場視察されたということは、国民あげて何か知らぬ力強く、また現場で作業しておる船員たちも、また海上保安庁関係人たちも、非常に力強く勇気をふるい起こして、何とかこれを一日も早く解決をしてもらわなければならないというような大きな期待を持っておる。こういうような結果を、十月か十一月の大臣現地視察によって一つの一応明るい見通しを持ったということで、われわれも非常に感激し、かつまた、多大な敬意を表しておったわけであります。ところがその後またぞろ、御承知の通り、ごく最近の問題としましては、二月の十二日午前四時十五分ということになっておりますが、緯度からいきますと北緯三十二度五十五分、東径百二十七度五十五分、その位置におきましてまたぞろ第五八幡丸が、五十七トンでありますが、これが向こうの不当な追撃によってついに接舷された。その接舷のときの大きな損傷といいましょうか、それがためにまた沈没した。しかも乗組員全員向こうに捕獲されたというようなことが再三再四繰り返されておるというようなことは、これはまことに遺憾な問題であって、単なる国際的な——時間的に一月やあるいは二月や、三月おくれたからといって、非常に大きな人身とか、あるいは生命とかというような問題に関係の少ない国際問題と違いまして、本問題は一日一時間がこれは大きな、実際に抑留されておる人たちの家族の、本人の心情、また国民的に考えても、今日小さいながらもわが家という独立国家である以上は、これらの問題をいつまでも韓国のなすがままに放置しておくということは、はなはだけしからぬことではないか、こういうような意味から、今度の問題につきましても、八幡丸の問題につきましても、運輸省としてはどういうような折衝、交渉をされておりますか。また、抑留された人たちが今日どういうふうになっておるかということを一つお尋ねを申し上げたい。  それから第二点は、一体、新聞なんかでも、あるいは政府が、いつの間にか李ラインというようなものを、そういうものが公海のどまん中にはたしてあるのかどうかという点に非常な疑惑を持っておるのであります。われわれもまさにさように考えておる一人でありますが、李ラインというものははたして存在しておるかいないか、こういうことをあらためてお尋ねをいたしたいと思います。  それからもう一つ、二つお願いしたいと思います。今日まで韓国漁船に対しまして、あるいは国際愛というか、人類愛というか、わが国はかような不法な目に再三会わされつつも、それに人道的にも、また人類愛から生まれて、韓国のいろいろの困難ないわゆる災害等につきましても、海上でずいぶんあたたかい手々伸ばしておるように思いますが、そういうような問題は今日までどのくらいあったのか、またそこまで韓国に対してほんとうに道義的に解決をしたようなことがあるかないか、こういうことをお尋ねいたしたい。  あとたちょっと二、三お尋ねをいたしたいが、まずそれだけの、今日までの経過と、そして李ラインほんとうに国際的に認めておられるかどうか。いないとすれば、今日までこの緯度が、大臣現地調査をなさったときは、李ラインというものがないとすれば、どの程度のところまで御視察をなさったか、それ以上なぜもっと向こう沿岸へ乗り込まれなかったか、こういうことを一つ重ねてお伺いいたしたいと思います。
  16. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 李ラインの問題は、今御指摘のように、国民をあげての重大な関心の問題でありまして、私運輸大臣になりましてから一月たった後、七月でありましたか、九州地区視察いたしましたときに、長崎方面漁民たちは、もう自分たちがみずから自衛船を出して李ラインを守ろうというような空気が濃厚でありましたので、私はそのとき長崎において、諸君自衛船を出していくということはよろしくない。従って、今日まで運輸大臣海上保安庁長官も、季ライン視察したことがないということであるから、僕は東京に帰って、時間等を差し繰って李ラインに行くというので、それから間もなく私下りまして、李ライン視察に参ったのであります。と申しますことは、第一には、御指摘になりましたように、あの玄海の荒海の中で、しかも朝鮮からばかにされて非常に苦しんでおる。また日本海上保安庁及び漁民を慰問することは、これは当然の責任であると感じましたので、李ラインの方へ参りまして、李ライン——李ラインというものは、今第二の質問にありましたけれども、本来国際法上、そんなものは勝手に李承晩がきめておるのであって、国際的には認められておらないし、私も実は認めておらないのだから、大体向こうが言う李ラインはどの辺だということは、当時の渡辺第七本部長に聞きましたが、この辺だ、別に線が引っ張ってあるわけじゃありませんが、そこで、ちょうど参りますときに、釜山から三つの軍艦が南下して戒厳令をしけということで、非常に危険状態に陥っているということを実は通報を受けたのであります。もっとも、私は李ラインに行く前に、下関放送局から朝鮮に向かって放送をいたしまして、私が今から季ラインに出かけていくのだということ、またそういうものは僕の方は認めていない。朝鮮民族日本民族はともに兄弟の民族であるから、魚族の保護ということはお互に話し合ったらいいじゃないか、その辺を視察してくるということでやりましたが、朝鮮の船が南下しているということを聞きましたから、何、かまわぬから進めということになりまして、それが済州島に入ったという、だから私はだんだんと李ラインに行きまして、その済州島の見える地点から放送をいたしまして、全海域におる日本漁民並びに海上保安庁の人々にも私が激励をしまして、「山を抜く力はあれどいかにせん敗れし国のいたましきかな」という歌を放送して、一方、朝鮮の連中に対してもそこで私の考え方放送をいたしたのであります。そのとき向こうの船は今申しましたように済州島に入っておりましたので、そこで同時に、自衛船はいけない、自衛船を出して防御するということはだめだ、これは認めない。しかし、自衛船を出さなければならないような気持に追い込んでいることは、確かに日本政府の醜態だから、その点は、僕が帰って閣議においても、海上保安について十分な努力をするということで、その漁民諸君をそこで押えて帰ったのであります。  従いまして、内閣に帰りましてから、直ちに私は閣議発言をいたしまして李ライン問題に対する一つ懇談会を提唱いたしたのであります。それには、海上保安庁を強化して、つまり、危険区域に入っているものをいち早く退避させるということのためには、どうしても漁船受信機をつけさせる必要がある。これは千何百台くらいはつけさせなければならぬということでありましたので、同時にまた、海上保安庁の船が足らないからこれを補強せなければならぬというので、そこで閣議等の了解を得まして、あそこに補強策をとりました。そして、一方に受信機の問題をやったのであります。  本来、李承晩ラインの問題というものは、御存じのように、外務省外交上の問題でありますと同時に、漁民の方は——魚をとっておる方は農林大臣の管轄でありまして、私も、はなはだ出過ぎたような感がないでもありませんけれども海上漁民を保護するという建前を運輸大臣は持っておりますので、そういう行動に出て、農林大臣並びに外務大臣に対しても、この問題の急速な解決について努力をするように私からも要請をしたのであります。そのときに、李ライン問題というものは、勝手に向こう実力をもって、しかも、李ラインといっておる外でやっておる場合でも、実力をもって彼らが拉致して、船を没収し、あるいは銃弾をぶち込むというようなことをやっておるのだから、従って、そういうような不当な行為に対しては、外務省は厳重なやはり抗議を申し込まなければならぬ。一番早い話は、実力をもってこれを追っ払うのが一番いいでしょうけれども日本現状からいったら、そういうことも許されないのでありますから、外交交渉でやったらよかろう。私は、国際法的なことをやっておる関係からいいましたら、これは国際司法裁判所にやっぱり提訴する。提訴したら、おそらく朝鮮が聞かない。聞かなければ、聞かないことを理由として国連理事会に提訴する。こういうような、国際公法によって認められた地点を勝手に、つまり実力をもって占拠して、そいつを国際法的な線を無視してやるというようなことを、むしろ世界の議論に乗せてこの問題を解決する方が、急がば回れで、かえって早いんじゃないか。端的に言えば、柳なんという大使なんかを相手にしておっても、何べんやってもうそ八百をついて一つも約束を守らないのだから、そういう者を相手にしてやってもだめだということを、私は藤山外務大臣にも強く要請をしておったのですけれども外務省外務省やり方があると見えまして、いずれにしても、日韓交渉を今度平和的にやるといっているのだから、われわれにまかしてもらいたいということになっておったのであります、  私はしばしば現地——先般も下関に参りまして、私が、関釜連絡船を復活するの用意があるということを、国際放送運輸大臣として朝鮮に向かって放送をいたしました。朝鮮民衆は、日本との間に平和的なことをやりたいという希望があるようでありますが、李承晩なんという、ああいうようながんこな遠交近攻の政策をとっておるのですから、そういうことを放送いたしましたのですが、そのために、朝鮮の方でも民衆相当刺激を与えたようなふうでありまして、ちょうど今回の日韓交渉が始まる前に、沢田大使が私のところへ見えまして、柳大使が、楢橋運輸大臣がしばしば李承晩ラインなんかに行き、あそこでいろいろ放送するし、国連理事会に向かってこれを訴えるというようなことを言っておるようだけれども、あれは非常に朝鮮としては困る。だから、それを一つ何とか言わないようにしてくれというようなことを、沢田氏が言ってきたのであります。それで、沢田氏を怒ったのですけれども、ばかなことを言え、そういうことをやってやらなければ外交にはならないのだということを実は言っておるのでありまして、私の考えとしましては、李承晩ライン問題については、もっとやはり、これは私ども内閣ですから、なんですが、やり方を変えてやらなければ、いつまでも代表を相手にしておってもらちがあかぬということを実は考えておるのであります。従って、今、第二の質問である李承晩ラインというものは、国際公法にももちろん、それから、日韓交渉においても認めておらない、向こう実力をもってやっておる。こっちは国が敗れて力がないから、結局、泣き寝入りというようなことで押えられておる。一番大事なことは、人質を取っておっていじめるというやり方でありますから、その点が、日本の国としては非常な苦悩の段階にあると見なければならぬと思うのでありますけれども、この問題については、御指摘のように、非常に国民をあげて大きな関心を持ち、また、私のところにも、けさも三通ぐらい下関方面から、抑留されておる人の奥さんたちが手紙をよこしておるというような状態でありまして、その点は非常に心配いたしておりますから、今できるだけ私も、そういうような打開する方策に向かって力を尽くしたいと思うのであります。  第三の御質問でありまする韓国の船を第七管区におきましてしばしばこれを救助しておりまして、その点は、助けられたときは非常に感謝しておるようでありますけれども、やることは一向平気でやってしまうというような行き方でありますから、あの後、しばらく韓国の方はこをおさめておりましたけれども北鮮帰還のときに相当報復的に、また李承晩ラインに対して向こう強行策に出るというような情報等もありましたけれども、私たち常識から見れば、韓国心理状態というものは、どうも国際的常識から理解できない複雑怪奇なものがありますので、その点については、やはり筋を通して話を片づけた方がいいのじゃないか、こういうように思うのであります。韓国の救済した船等の数につきましては、あとで調べてまたなにします。
  17. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 ただいまの大臣の御答弁によりましては、今日までのあらましの経過は了承したわけでありますが、ことに大臣が直接の外交、それらの問題の権外大臣であるにもかかわらず、閣議でそれだけ健闘をしていただくということにつきましては、われわれとしては心から喜ぶ次第でございますが、大臣みずから、ただいまお認めになりましたように、李ラインなるものは、長い間、しかも国際法上一片の存在価値もなければ、さような条約もないというものが、今日まで、ずいぶん長い間放置されつつ、そうして現場で局部的な解決で、そうして気休め的な解決で済んでおるということは、これははなはだ遺憾なことでありまして、いずれの機会に、私も外務大臣に対しまして、もっともっと真剣にこれが解決をするように申し入れをしたい、かように考えておりますが、楢橋運輸大臣におかれましても、内閣の重要なポストを占めておられる閣僚といたしまして、この問題は、運輸省海上における責任者であるというような形式論はどうでもいいので、ほんとう内閣として、近いうちに安保条約の批准も終わるというように、いろいろの面において、国としてもあげて大きな犠牲の負担をし、また、国際的にその地位を高めていく、また、高めつつあるというような今日、こういうような問題がいつまでも放任されないように、さらにさらに一段と御健闘をお願いをいたしたいと思います。これはあくまでも八千万国民一つの声でありまして、そうして、これだけは政党政派をこえて解決をすべきものだと考えております。  また、最後にお尋ねしたいのは、現在向こうに抑留されておる人員はどのくらいでありましょうか。また、国連理事会なんかにこれを提訴するというようなことがあるとするならば、それは一体いつごろの時期になるのであるかということ。もう一つは第三番目に、どうも実力を行使すれば一応解決するということも多少考えられるけれども実力を行使するまでもというような、もう一歩手前で、そこで逡巡されておるような大臣のお考えもあったようでありますが、やはりわれわれは民族の将来から考え、またあらゆる国際的に国論を統一するというような意味からも、かようなささいなことで、いつまでもこれが一つ国民感情がつのってくるということは決していいことではないと思います。さような意味で、場合によっては、小さい大砲の一つも載せて、そしてどんどんとやるというくらいのお考えはないかどうかという点と、三つを重ねてお尋ねいたしたいと思います。
  18. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 国連に持ち出すという案は、私も実は試案でありまして、今内閣といたしましては、日韓交渉を通じてこの問題を打開するということをやっておりますが、今おっしゃいましたような、私も気持の上からいうと、いつまでたってもだめじゃないか。それなら早く国連理事会あたりでこの問題を取り上げさせるようにやったらいいじゃないかということを、先般も閣議で藤山さんに話して、藤山さんもその点については慎重に今やっているのだからという話があったので、今どういう時期にそこまで踏み切るかどうかということは、まだきまっておらないのであります。  それから第一のどのくらい人間が抑留されておるかというようなことについては、長官が来ましたから長官から答えさせます。  さいぜんの救い出した船の数も長官からお答えしたいと思うのでありますが、あと大砲でも一つぶっ放したらどうかというお話でありますけれども、これはやはり日本の今日の立場から申しますと、やはり隠忍自重して、外交的にこの話をつけた方がいい。これは外交はすべて、率直に言えば、力なき外交は絵にかいたもちのようなものだと西洋のことわざにもありますが、それを日本は今やや体験しておるところもありますが、今日は原子力時代に入りまして、力だけではなく、条理に基づいて外交をやるという面が強く浮び上がっておることもあるので、日本現状から申しますと、やはり力をもって排除するということを、まあ日本人の性格からいえばやりたいところだけれども、それはちょっと今そういう段階ではない。従って、隠忍自重して、やはり国際的な道義に訴え、朝鮮民族の良心に訴え、ともに両民族の平和的な共存性の線に沿って事を解決するということについて進んだらいい。しかし相手がなかなかわからない場合は、やはり国連みたいなところを通じて、広く世界の世論によってこれを押さえたらいいのではないかということを考えておりますので、今おっしゃいましたような、これは超党派的であり、民族的な問題でありますので、私が運輸大臣だからというだけでなくして、国務大臣としても、今御指摘になりましたような問題について強く推進することを、ここに私言明いたしまして、答弁といたします。あとは長官から。
  19. 林坦

    政府委員(林坦君) おくれて参りましたので、御質問にあるいははずれるかもしれませんですが、韓国との関係におきまして、李ラインにおいてわが国漁船が襲撃を受け、あるいは拿捕されたという状態は、過去古くは別といたしましても、最近四カ年に限ってこれを見ましても、昭和三十一年には、襲撃を受けたもの八隻と、そのほかに拿捕されたものが十九隻ございます。襲撃を受けたものの中で一隻は銃撃も受けております。それから拿捕されたものの中で銃撃を受けたもの七隻に及んでおります。三十二年になりまして、襲撃を受けたものは七隻でありまして、そのほかに拿捕されたものが十二隻ございます。その間におきまして、襲撃を受けたものの中で、銃撃を受けたものが六隻、拿捕されたものの中で銃撃を受けたものが四隻、三十三年に至りまして、襲撃を受けたものが十三隻、この中で銃撃を受けたものは二隻、それから、そのほかに拿捕されたものが九隻ありまして、そのうち銃撃を受けたものが五隻。それから、三十四年に至りますと、襲撃を受けたものが八隻ございまして、そのうち銃撃を受けたものが三隻、拿捕されたものはそのほかに十隻ございまして、銃撃を受けたものがそのうち二隻、合計いたしまして、三十四年度までに、その四カ年の間に襲撃を受けたものは三十六隻、拿捕されたものが五十隻、こういったような状態になっております。  ただいまお尋ねのございました、今向こうにどのくらい残っておるのかというのでございますが、これは数字といたしましては百五十六隻未帰還でございます。そのほかに、人員といたしまして二百十四名ということになっております。そのほかに八人死亡したということもわかっております。  この間におきまして海上保安庁の巡視船は、昭和三十三年の三月十四日、第二十寿丸、第二十二寿丸が韓国警備艇に追跡された場合、拿捕寸前のところで巡視船の「たつた」が、韓国警備艇と漁船との間に突入いたしまして、無事に遭難を免れたというような実例もございました。これはまた実に新しい話でございますが、今朝も、朝六時三十五分に対馬の西方の農林二百二十二区四というところで浜田の漁船第二東洋丸というのが追跡を受けまして、危うく拿捕されるところでございましたが、たまたま巡視船「よしの」というのがそこに参りまして、間に割って入りまして、無事に退避させることができたということも、これは新しいニュースでございます。その他、拿捕後に巡視船の洋上の交渉によって釈放されたという例も、もちろんございまして、あるいは昨年九月十四日に第三明栄丸が拿捕連行途中に、現場に急行した「ひらど」によって釈放を要求しました結果、事件発生後七時間の後に途中から釈放されたというような例もあるにはございます。しかしながら、今申し上げましたような例は、先ほどの掌捕件数その他から見ますと、非常にむずかしい、少ない例でございまして、大体は、拿捕いたしまして、こちらが洋上交渉をもちろんいたしておりましても、なかなかこれに応じないという場合が非常に多いのでございまして、先般の第五八幡丸の場合におきましても、朝から夕方まで、とにかくこれにつき従って交渉をしておるのでありますけれども、これは応じないで、ついに残念ながら引き揚げざるを得なかったというような状況でございました。  何かはかにお聞きの点もあったかと思いますけれども、私、参りましたのがおくれましたので、ただいまそれだけ御報告申し上げておきます。
  20. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  21. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけて。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 私は、昨日の午後四時十三分ごろに横浜港の外防波堤で貨物船が衝突をしたわけであります。これは山下汽船の山菊丸と大同海運の高法丸が衝突をした事故が起きておるわけです。横浜港の状態を見ますというと、毎年この衝突事故というものが必ず起きておる。こういう点は、いかにやむを得ざる事故であるとか、あるいは業者のいわゆる不始末であるとか、船員の不十分であるとかいうようなことをいわれても、これはこの監督行政である指導者の立場にある運輸省の、やはり根本的な私は行政指導の問題がないとは言えないと思う。こういう毎年必ず起きるという事故に対して、運輸大臣は、一体どうしたらこの事故というものをなくすることができると思うのか、この点を一つ率直に聞かしてもらいたいと思う。  それから、いま一つは、過日私が前回の二月十六日の本委員会で御質問をいたしましたところ港湾荷役の問題について、特に運輸省の行政指導の足りない点を指摘をしておいたわけでありますが、それはハッチぶた開閉作業についての紛争が解決しない。ところ運輸大臣が二月の十八日の日に、これに対するところの地方海運業者及び港湾運送事業者に対する要請を出しておる。ところがこの要請を見るというと、これは全く業者に対する一方的な考え方しかなっておらない、こういうふうに私は思う。で、これらについても若干尋ねておきたい。  いま一つは、日本の経済の中でも最も大きな問題であるし、また国際収支の中でもウエートを持っておるところ外航船舶の問題、先ほどもこの外航船舶に対する建造については臨時措置法の点を提案されておるが、ニューヨーク定期航路の問題については、日本の外国航路についての三分の一の収入を上げておるにもかかわらず、今や米国によるところの一方的な考え方が、日本の船主あるいはこれらの運送についての危機を招来をしておるように思う。そこで運輸大臣も二十九日、昨日ですか、業者を集めて懇談をされたようでありますが、基本的な態度というものは一体何だ。どうもこの中から見ると、若干の暫定措置として運賃を値下げをし、そうして何とか外国の船舶あるいはアメリカとの協調をはかっていこうかと、こういうことを言っておるように、この運輸大臣の意向の中にはくみ取れるように思う。今までに日本外航船舶は非常に苦難の道を歩きながら、しかも何とか日本国際収支の改善をしたい、貢献をしたい、こういうことで努力をしておるにもかかわらず、紛争の根本的な問題を摘出をしないで、そうして業者に対する運賃値下げをさして当面乗り切ろうというような考え方では、私は根本的解決にならぬのじゃないか。こういう緊急問題を運輸省が軽々に取り扱うということに私はなっておるように思うが、運輸大臣一つ所信を聞かしてもらいたいと思う。  従って、第一は、この横浜港における毎年船が衝突事件を起こしておるのに、これは港が狭いというのか、あるいは航路の取り扱い方が不十分であるのか、未熟であるのか、こういうような点についても根本的に考えたことがあるのか、昨日の事故にかんがみて運輸大臣のまず第一に所信を述べてもらいたいと思います。
  23. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 船の衝突に関して今お話がありましたが、これはやはり船を操縦する者のやはり過失といいますか、そういう点、言いかえてみれば、横浜港は横浜港として今までずっとありますが、それでしょっちゅう衝突をやるということは、船の操縦の点についても十分に注意させなければならぬと思うのでありますし、また、そこで必ず毎年のように衝突する——たちもよくそのこともまだ研究しておらないし、知りませんけれども、係官からいずれ答弁させますが、航路その他について、衝突するような何か一つ航路の欠陥があるとすれば、十分にそれを追及さしてみたいと思うのでありますが、まあきのうの山下汽船とどこかの船が衝突したことについては、その原因がどういうところにあるかということは、私まだ報告を受けませんが、まあ船の衝突ということは、やはり船を運航する人の不注意が最大の原因であるから、その点は一つ十分に指導をしたいと実は思うのであります。  ハッチぶたの問題でありますが、この問題は業者間のつまり商売上の紛争でありますけれども、あれはストライキみたいなことをやって船の荷揚げをしないということは、はなはだおもしろくないということで、私が先般の勧告を与えたのでありまして、それによって大体の解決は見たのであります。と申しますことは、ハッチぶたをあけることの費用の負担の問題が今日まで未解決になって、あるいは船主が負担するのか、あるいは荷主が負担するのかということが明確を欠いておるというのでありますから、私は国際的慣習と申しますか、外国船その他のものがどういうことをやっておるか、まあ国際法上の慣習等を十分に考慮して、船主が負担すべきものと荷主が負担すべきものとを明確にきめ、それからこれを働いておる船員に対して支払うところの金をどうするかというようなことは、自主的に話をつけろということで、両代表ともそれをよく了承いたしまして、解決してつまりあのストライキはやんだような次第であります。  もう一つ緊急質問でおっしゃいましたニューヨーク航路の問題であります。けれども、ニューヨーク航路の同盟が非常な危機に遭遇しておるということは、同盟外の船が運賃のつまり値下げといいますか、同盟外で低運賃でこれをやるということをやり出した、それを同盟が完全にコントロールし得ないということを理由として、ノルウエー系の船でありますが、これは同盟を脱退して自由行動をとる。そうなりますと、二十八年に運賃の競争が起こって、荷揚げの費用以下に大洋を運んだ船賃が値下がりして、そうして船会社は惨たんたる目にあったということでありますから、私がきのう九社を集めまして、少なくとも日本のこの九社は、国際的に非難を受けて同盟脱退の理由を形成するような要因があるとすれば、おごそかにこれを慎しまなければならない、同時に同盟外でそのニューヨーク航路の運賃体系を撹乱するものに対する対抗策は、これは一つ講じなければならない、こういうことを言っておるのであって、まさにニューヨーク航路における運賃の安定策を擁護するためにやったつまり措置でございまして、四日の日には同盟に入っておる外国船の連中も私が呼びまして、これは実に同盟に私は干渉するわけではありませんけれども、船会社それ自身がみずから首をくくるようなことをやらないように、これに対してやはり指導をしてやるということは、運輸省責任であるということを感じましたから、そういう措置をとっておるのであって、今まで外国の船の船主なんかを呼んだことはないそうでありますけれども、私四日の日に外国船主を呼べというので、そうして彼らもともに同盟を強化して、運賃体系というものを確立し、安定するようにしろ、こういうことを実は考えてやっておる。最も時宜に適した私は措置だと、こう思っておるのですが、あなたの言われることと、まあ率直に言えば逆であって、いかにして日本海上のニューヨーク航路の、今まで御指摘のありました一番日本の海運における大宗であるニューヨーク航路というものの安定をはかるか、内部崩壊を防いで安定をはかるかということに対する緊急措置を実はとっておるのでありまして、こまかいことは朝田海運局長から説明をさせます。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっと待って。この第一の横浜港における船の衝突事故についてのこまかい点は、報告を受けておらぬというのだから、よく調べて、あとで後日の委員会で報告してもらいたい。それはもう統計的に現われておる。これは明らかに横浜港における港の作り方あるいは指導の仕方、そういうものについて運輸省が力を入れれば直ると私は思う。そういう点でこういう事故を今後起こさぬように、一つ運輸省努力してもらいたいと思う。  それから第二の問題の、港湾運送事業の問題に関係して、ハッチぶたなり、あるいはビーム開閉作業料の問題の紛争のことでありますが、これは運輸大臣が、業者がみんな了解をしたからそれでいいというようなことを言っているが、このあなたの出された要請だけでは問題は解決しない。私は具体的に一つお尋ねしておきますが、このバースタームとFIOの問題をなぜ切り離して処置をしなければならぬか。根本的な問題は、やはり港に働く労働者と、それから船員との労働条件、生活条件、こういうものを無視して、単に船主の肩だけを持つ運輸省解決案を示されたところ解決するものではない。  そこで、私は前回の運輸委員会で、この運輸省の行政上の欠陥、こういうものについて政令を出すべきにもかかわらず、政令も出しておらぬではないか、労働者に対する労働基準法の適用さえ明確になっておらぬじゃないか、こういうことまで指摘をしておいたわけです。しかも、今のこのような運輸大臣要請を出されておるだけでは、むしろこの外国の船舶日本の荷物を持っていかれるおそれがある、多分にある。こういうような危険を十分根本的に討論をしてきめようとしないで、当面のストライキを四日間十六日からやられて、これはもう運輸委員会で究明をされて、やむを得ず仕方がない、そして船主と港運業者とを集めて、まあとにかく運輸大臣が心配するからここで一つ手を打て、こういうことだけでは根本的な問題の解決になりませんよ。  そこで、一体なぜバースタームとFIOの問題を二月と五月に分離したのか、その分離した理由を明らかにしてもらいたいと思う。
  25. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 御質問の点につきまして、去る二月の十六日から一部ハッチぶた並びにビーム開閉作業料の問題について荷役拒否が起こったわけであります。それにつきまして運輸省といたしましては、各港湾における最悪の状態を回避するために、関係者を招致いたしまして、連日事情聴取並びに検討を加えたわけでございます。そこで、問題は、御承知のようにこの作業料金の支払い相手がだれであるかという点でございまして、船内の場合については、これは船主が支払いの責任者になるということは明らかでありますので、この点については、料金の問題で双方が協議してきめるということでございます。問題は、このFIOでございますが、これにつきましては種々議論が出され、また、先ほどお話しの国際慣行、その他国内慣行、いろいろ議論があるわけでございますが、要は、港運業者といたしましては、この作業料を確実に支払いを受けるということが一番主要な観点であると考えるわけでございます。従いまして、この大臣要請にもございますように、FIOについて支払いの先を明確にいたしませんと、だれが支払うのかということが不明確でありますというと、交渉なり協議をすることができないわけであります。従いまして、現行における国際慣行の点も考慮いたしまして、荷主がこの作業料を支払うのを原則とするというふうに解釈をいたしたわけであります。ところで、問題は、一切の責任が荷主にあって、船主はそれに全然無関係であるというような解釈をとったのではないのでありまして、その支払いの相手先をきめた。従いまして荷主との支払いを取りつけるのが一番重要な問題であります。それについては両者が共同して荷主と協議をする、つまり港運業者、船舶業者とも共同責任をもって荷主との協議に当たって、この料金の支払いを確実にするというような線でこの要請を出したわけでございます。従いまして、御質問の点は、以上のように解釈し、問題は、この港湾運送業者が確実にこの作業料を入手するということに主眼を置いた要請だと考えておるわけでございます。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 それが、運輸省のやっぱり官僚的な考え方がそういうふうになっているのです。そうでなければ、具体的にあなたの言う議論のあるというものを運輸省がそう簡単にきめられますか。たとえば、石炭業界にしても、日本貿易界にしても、そういう人たちが、一体今日までどういうふうに運輸省に意見を出しておりますか。問題の本質は、あなたは今だれが支払うかというようなことだけをだいぶ力を入れて述べておるけれども、作業の分野というものが明らかでない。作業をすれば、その作業をしたことに対する支払いをするのは当然の話じゃないですか、そうでしょう。まず作業の分野というものを明らかにしなければならない。これは、いわゆる船内のものは船主がやるのか、あるいは業者がやるのか、こういうようなことについての意見が今まではっきりしておるものと、はっきりしないものを、不明確にしたままに進めてきたところに、運輸省の行政指導の足りない点があるのじゃないか。それを今度は、今まで自分たちの仕事でそういう行政指導の足りない点を、船主と業者を集めて一つうまくやってくれ、何とか解決してくれ、こういうことでは、問題の本質的な解決にならぬのです。だから、貿易界にしても石炭業界にしても、とにかくこういう問題については根本的にこの作業分野というものを明らかにすると同時に、やはり船主が払うべきだという意見を述べておる。仕事をした者は、当然労働者は、自分たちの作業分野さえ明確にしてもらえば、仕事したものを払ってもらうのは当然な話です。しかしそういうことをやらず、運輸省の一方的そういう見解をもってこの問題を解決しようとするからこそ、どうしても最後のしわ寄せが、これはもう船主はなるべく業者に払わせたいし、業者は、それを船主が払ってくれない、自分が出すというのであれば、しようがないから労働者の賃金を切り下げていこう、こういうことになってくる、しわ寄せは労働者にくるのである。こういうところに今までの日本船舶の取り扱い問題について非常に長い間かかっておる問題なんです。だからこそあなたがこの前も言ったように、船員中央労働委員会は、これは、この船内の問題についてはこれは船員がやるべきじゃない、業者がやるべきだ。こういうふうに出しておるわけです。しかし港の業者あるいは荷役労働者というものは、これは不明確であって、作業の分野というものが明らかでないから、従ってこの作業分野を明らかにしてもらいたい。そういうような指導というものを行なうべきであるし、特に穀類等の問題を除いては、この前も申し上げたように、政令で当然処置をしなければならぬものを、今まで行政指導としてもそういうものをやっておらぬじゃないか、これを先に明確にすべきじゃないか。こういうところをそっちのけにしておいて、そうして、いや、それは船主のやるのがもっともであるから、しかし一部は港運業者にも話し合って両方で少し出したらどうか。こういうようなことでは、私はやはり根本的なハッチぶたの紛争というものは解決しない。従って、この前も私が御質問申し上げてあなたが答弁されている中で、政令についても具体的にどうするんだ、こういうようなことで、運輸省としてはどう指導していこうとするのか、そういう点をいま少し明確に私はしてもらいたいと思う。そうでないと、今言った荷主——船内の問題については、結局船主が圧力をかければ荷主、船内の問題はこれは労働者にしわ寄せがくるということは明らかである。僕はこれは断言していいと思う。必ずそうなりますよ。あなたがどういうふうに答弁をしようとも、結果論は必ずそうなってくる。そうなってくれば港の労働者は言うことを聞きませんよ。自分のいわゆる身の危険をさらして、しかも働いたことに対する明確な法律のいわゆる恩恵を受けないで、しかも働いた報酬に対しても低賃金で押えられようとする、こういうことでは労働者は言うことを聞きません、それは。そういう点を私はやはり明らかにしなきゃならぬだろう、こう思うのですね。だから船舶安全法の問題にせよ、あるいは政令の問題にせよ、そういう作業分野をきちんとして、私は明らかにする方針を出してもらいたいと、こう思う。そうすることがこの根本問題を解決することになるので、特に今回はこういう運輸大臣要請書というような形で出しても、実際には各地方海運局の中では、業界も労働者も全くこれはふんまんだらげですよ。何だ運輸大臣はあれだけの大きな全国的に停船騒ぎが起こって、そうしてしかも労働者にしろ海運業者にしろ、何とかこの問題を解決して、日本一つ国際収支の中における貢献をしたい、こう言っておるにもかかわらず、外国船はどんどん入ってきてそれで日本がそういうことをやっておるうちに外国は荷物を積んで行ってしまう。しかも外国船はちゃんと労働者なり港運業者の人が言っておるような、二千三百円という料金を支払っておるというんだよ、外国船は。外国の荷主が支払うというものを、日本だけがそういうふうなことをやっておるから、結局は日本で一生懸命やっておるものはますます不利な情勢になってくる、こういうことは免れない。だからこの運輸大臣要請なんというものは全く机上プランだ、問題の本質解決にならぬと思う。こういうふうに私は思うのだが、そういう点についていま一度あなたの見解を述べてもらいたい。
  27. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 政令の問題、船舶安全法の問題は、船舶局長の方の所管でございますので、船舶局長から御答弁願いたいと思います。
  28. 水品政雄

    政府委員(水品政雄君) 船内におきます荷役設備に関しまして、実はずいぶん前からそれのウインチ・デリック、その他の関連の設備基準を設けるべく研究は進めておりますが、ただこれをやって参ります場合に問題がありますのは、船内における施設と、それから陸上におきますこれの関連施設の関係もございますし、また労務者の労働保安管理等の関連もございまして、船内だけの施設という観点で問題を簡単にきめられない次第でございます。それからもう一つ、御承知のように、船舶の施設はほとんど大部分のものが国際条約等によりまして、国際的に基準が設けられ、その互認の形をとっておるのでございますが、荷役設備につきましては、現在におきましては英国系のだけで大体基準を設けております。そこで国内でこうした基準を設けた場合の英国との互認ができませんと、重複取り締まりを受けるというようなことになるのでございます。現在日本の英国圏に参るような船はほとんど全部英国の基準の施設をやっておりますが、そういう点の関連等がございまして、現在そういう今申しましたような面につきまして、全体の調整を考えておる段階でございます。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 今の船舶局長の答弁だけでは、これはやはり私は納得できない。船舶局はこの問題について長い間運輸省として検討しておるわけですよ。おととし、三十三年ごろにこの問題の成案をしたのですよ、運輸省は。あんた知っていますか、どういうことを成案をしたか。しかしこれはその当時第二条関係の改正をしようとしたのだけれども、一部業界から反対があった。それで運輸省もこれはどうもなかなかむずかしいわいということで、実は準備はしたけれども、やむを得ず当時上程をしなかったいきさつがあるわけです。この港湾運送事業の問題あるいは船舶安全法等の問題を審議したときに、そういう経緯は私も知っておるわけです。そういういわくつきのものなんだ、これは。いわくつきのものを、今日もう二年も三年もたっておるのに、まだ弾薬とか穀類の問題は政令で基準が出ておっても、あなたの言う陸上の問題は問題ないんだ、陸上の問題は労働基準法で縛られるんだよ。ところが船内のこの問題について、作業分野も明らかでないし、政令で弾薬、穀類のほかに何をあなたやっています、やってないでしょう。そういう点を考えてみれば、やはり運輸省の行政指導の欠陥であることは間違いない。しかもその上に現在の船主が、先ほども運輸大臣が臨時措置法の提案をしておるように、船主には利子補給もやろうということで、何とか苦況におる海運界に対する。ペニシリンを打とうとしておるわけだ。だけれども船主は一方では、そういう面ではある程度の根本的な救済はできませんよ。私は先ほども申し上げたように、幾つかの問題点というものを前々から私ども日本社会党は提案しているのだから、従って当面の問題を百歩譲っていいとしても今の形で港湾運送問題をこのままにしておけば、港の労働者は決して言うことを聞きませんよ。それから航運業者自身やはり破滅に追い込まれるでしょう。こういう点を私はもし無視しておけば、また全国の大きい港で荷役ストというものが行なわれるのじゃないか、拒否というものが行なわれるのじゃないか、こういう心配をするわけです。だからやはりそういう点についての運輸省が、単に今の現象面で起きた船主だけの立場から、諸外国の例を云々されるが、諸外国の例を全部あげてごらん、そんなものは何もありません。わずかに一つ二つの問題はあるけれども、これはやはり各国みな違うのです。そういう点を私どもは心配しているのですから、運輸省がこの際きぜんたる態度でいわゆる作業分野というものを明らかにし、政令を出して、そうして労働者の身体、生命、財産というものを守るということ、そうして当然にして仕事をした場合には仕事をした報酬を支払うというのは、これはもうあたりまえの話なんです。こういう点を明確にしてもらわなければならぬと私は思う。今までおととしあたりそういうようなことをやったのを船舶局長はどういうふうに考えているのですか。また今後今私の申し上げたようなことを早急にやる意思があるかないか、これは一つ両方の局長とも答えてもらいたい。
  30. 水品政雄

    政府委員(水品政雄君) 確かにおととしあたりずいぶんこの問題は検討いたしておりますが、お話のように業界の反対があったからそれでやめたのだ、というような単純な理由ではないと承知いたしております。実際に船舶局で扱っておるものは船内の物的な施設でございますので、その中にはたとえばモッコのようなものとか、全部陸と関連を持つ施設があるわけでございまして、それは私ども船舶安全法のワクだけでは律し得ないと思うのでございます。それからまた労働保安関係のことも私どもの直接の関係ではないというようなことで、関連する官庁等の話し合いがすみやかにいかなかったと、こういう問題がございます。それからいま一つ、さっきも申しましたように、やはり国際的なこういう基準を打ち立てておきませんと、日本船が二重の取り締まりを受け、あるいは非常にかえって不便をするというようなケースもございますので、慎重にいろいろ検討しておったということでございます。しかし船内における物的な施設につきましては、最近もなるべく早くこれを制定すべく実は仕事に着手をいたしております。
  31. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 港湾局といたしましても、船舶の荷役についての設備関係が十分安全で、荷役労務者に安全に荷役ができるようにすること、これは絶対条件だと思いますので、船舶局並びに関係方面ともよく連絡いたしまして万全を期していきたいと考えております。
  32. 相澤重明

    相澤重明君 昨年の港湾運送事業法の改正の際に、私ども参議院の運輸委員会では、そういうことを心配して付帯条件をつけておるわけですよ。だからこの労働者の労働条件や賃金等には重要な問題があるから、そこで運輸省としては、早急にこれらの問題を解決するように努力してもらいたいということが付帯条件なんですよ。そこで今あなた方二人が早急に関係者とも話し合うということを言ったのだから、私もそれで了解しますが、これは労働法の問題は労働省の関係だというだけでは、これは運輸省のただ逃げ口上だけになってしまう。この港の作業というものは、そういう政府関係のやはりすべての問題を含んで早急にきめないと、これは根本的な解決にならぬわけです。だから当然あなた方局長さんがやはり運輸大臣にこういう問題点というものを摘出をして、そうしてこれを内閣において大臣の中でそれぞれ話をさせて直させていく、こういうことが私は最も必要だと思う。これは検討して早急に出してもらうということですから……。  それからいま一つ、この際つけ加えておきたいと思うのですが、当時港湾労働者と政府とそれから第三者を入れた、そういう問題についての協議会を作ることになったわけでありますが、やはりもっと権威を持たした審議——前に審議会だったのを変えて整備をして協議会になったのです。ところがこれではなかなかただ問題が起きたときに協議をすればいいというだけで、根本的なそういう法律政令等の問題について、あるいはそれぞれの重要問題を解決することにならぬということで、私は審議会を設置しろ、こういう点を昨年も付帯条件をつけるときに申し上げておるのです。従ってその問題についても早急に一つ関係者が協議をして、そうして今後こういう問題が起きないように、特に労働者の労働条件あるいは仕事をした当然の支払い条件、こういうものについて抜本的な解決のできるように一つ当局の善処を私は望んでおきたいと思います。  以上要望しておきますがそれに対して、もしお答えがあればお答え願っておきたい。これで港湾関係は終わります。
  33. 松浦清一

    ○松浦清一君 今の烏畠委員の御質問に関連して、ちょっと保安庁の方でおわかりになれば資料をお願いしたいのですが、ちょっとメモしておいて下さい。  李承晩ラインが設定されて以来の年度別の襲撃を受けた漁船の隻数、それから拿捕された漁船の隻数、それから抑留された船員の数、それから李承晩ラインが設定されて以来の漁船の返還状況、一ぺん拿捕されて返されたもの。それから船員の帰還状況、これを書類にして一つお願いしたい。  それから保安庁ではちょっと無理かもしれませんが、もしおわかりであれば李承晩ラインが設定されたことについて、李承晩の方が言っている理由。それからこれもちょっと保安庁ではむずかしいと思いますが、もしおわかりならば竹島が日本の領土であるということが歴史的に立証される書類、今、日本の領土だと言っているわけですから、もしおわかりならばお調べの上三日ごろまでに一つ資料をもらえればお願いしておきたい。
  34. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 今の資料よろしゅうございますね。
  35. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 先刻大臣のおられましたときに、李承晩ライン問題について重ねて質問を申し上げたのに対し、大臣からきわめて親切しかも熱心に今日までの経過と今後における方針を承りまして、この面の国際的な関係におきましての問題につきましては大体一応了承いたしましたが、先刻局長から現場のことにつきましてちょっと簡単に御答弁がありましたが、この根本的な解決の問題は、これは一日も早くやることは当然でありますが、同時に現場においては日夜零細漁業者が生命をかけて仕事に従事している、こういう面から考えて今日までの漁船に付随しておった設備、それらの問題。無線であるとかあるいはレーダーその他の機械化設備ですね、それらに対しては先刻大臣も何かこういうふうにしたらどうかというような御意見もあったようでありますが、最も近い最近におけるこれらの機械設備について、どういうふうに実行されたか。この点を詳細に一つ説明願いたいと思います。また、これもただいまここで御答弁が、そういうデータをお持ちでないようでありましたら、書類で御提出を願ってもけっこうだと思います。そういうふうにして、できるだけ一つ、今後は現場において、かような問題が重ねて起きないように、事務的にも十分に処理することをお考えを願いたい。こういうことで、私、李ライン問題についてはこれで質問を打ち切っておきます。  あと、この際運輸省関係、国鉄関係で十分か十五分ほど簡単に御質問をいたしたいと思います。
  36. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  37. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記を始めて。
  38. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 それでは御質問いたします。  最初に、国鉄の吾孫子副総裁がおいでのようでありますから、国鉄の近代化五ヵ年計画というものが、昭和三十二年から三十六年までに完成するという、いわゆる五ヵ年計画でありますが、この一カ月ほど前に、運輸省関係、国鉄関係の何らかの委員会の機会にわれわれ承ったのでありますが、三十二年度からの五ヵ年近代化というものは、昭和三十五年で打ち切ってしまう、そうして新しく昭和三十六年から昭和四十年というふうに新しい五ヵ年計画を樹立すると、こういうような御意見の発表があったようでありますが、私、これは真か偽か、ここで重ねてお尋ねいたしたいと思うのは、三十六年度で完成すべき五ヵ年計画を、三十五年で打ち切るということは事実であるかどうか。もし事実であるとすれば、三十六年で完成すべきものがまだ相当残っておるにもかかわらず、一応三十五年で打ち切って新しいベースに立っていくということの、それ相当の理由があるのではないか。その理由をまず最初に承りたいと思います。
  39. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) せんだって申し上げましたのは、まだはっきりと三十五年度で打ち切るというようなことをきめたというふうに申し上げたわけではございませんでした。と申しますのは、御承知のごとく、いろいろな事情で五ヵ年計画というのは、三十二年度から三十六年度までということで計画を立てておったわけでございますが、今度の三十五年度の予算に至るまで、当初考えておりましたよりも予算の額を小さくせざるを得ないような状況になってきておりますし、また物価の値上がりとか、あるいは人件費の増額とかいろいろな事情で、当初考えておった通りの予定のように、はかばかしく進めることは困難な状況になってきております。それで、いろいろその間に事情の変更等も、また、新しい各地方の御要望等も出てきておりまするし、それらの点を勘案いたしまして、従来の五ヵ年計画というものも修正を要するような点がいろいろと出て参りましたので、ただいま、当初の五ヵ年計画の最終年度であります三十六年度を第一年度に組み込んだ、当初の五ヵ年計画に続ける第二次五ヵ年計画というようなものを策定しようと思いまして、いろいろ作業をいたしておるということを申し上げたわけでございます。
  40. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 ただいまの御答弁によりますと、まだ決定的でないと、しかしながら、物価の値上がりなりあるいはベース・アップというような、いろいろな人件費の関係からそうした方がいいと考えておると、そういうふうに現在いろいろ運んでおると、こういうようなふうに承知していいんですか……。  そこで、まだ決定的の問題でないということならば、あまり細かくはお聞きをいたしませんが、根本的な問題といたしまして、かりにこれを三十五年度で打ち切って、また三十六年から新しいベースで行くという場合に、第一次の三十二年から三十六年までの五ヵ年計画、この中の残った分ですね、それは、非常な大きな社会情勢なりあるいは経済情勢の転換があった、部分的に変化があったというような線に対しては、一応さらに検討されるということも考えられるとわれわれは考えます、しかしながら、そういうふうに大きな社会的に、あるいはまた経済的に、何も大した変化もなければ転換もない、というような既定の計画線は、第二次の五ヵ年計画に最も優先的にその第一年で、あるいは現第一次の計画の最終年度である来年度で、一応優先的にこれはやっていくんだというようなお考えであるか、それを全部御破算にして一応やるというのか。もし御破算でやるということならば、その理由ですね、私は根本的にそれを御破算にして新しいベースでやられるものとは考えておりません。それは、社会的なただいま申し上げたような経済情勢の大きな変化があった場合にのみ考えられるけれども、そうでない以上は、これまで通りの計画を踏襲して第一年目に残余のものを一応完了する。こういう計画で行ってもらいたいと思うし、そういうふうに解釈をしておりますが、それでいいかどうかということをお尋ねいたします。
  41. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 当初の五ヵ年計画を策定いたしました際に、いろいろやはり項目別に考えておったわけでございますが、それらの中でたとえば老朽荒廃施設の取りかえというようなことは、鉄道の安全のためにも急いでやらなきゃならない事情にありましたので、そういうようなものは割合早く進んだわけでございます。しかしながら、たとえば幹線の輸送力増強でございますとか、あるいは幹線の電化でございますとかというような項目につきましては、これが、場所にもよりますが、一年ないし中には二年くらい、ずれるかもしれないというようなものがだんだん出て参りましたので、そこらを何とかして最初の三年間でおくれたものは、あとの二年間で取り返したいということで努力いたしておったわけでございますけれども、それはちょっとむずかしいような状況になって参りました。そういうような事情でございますので、当初の五ヵ年計画でぜひ実現したいと思っておりましたような項目は、原則として引き続きできるだけ早い機会にこれを完成いたすように、当然新規の五ヵ年計画を組みます場合には、そういうものは優先的に取り上げてやるというつもりでおるわけでございます。
  42. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 さように伺って大体了解はできるのでありますが、今さら私は申し上げるまでもなく、やはり新線あるいはまた電化、複線というような改良工事をやる所は、その地方には産業経済、いろいろの面において昭和何年に大体完成する、という予定でいろいろ受け入れ態勢をやっておるのでありまして、それが一年また半年という工合に延長されるということは、きわめて地方の産業や経済に及ぼす影響というものは非常に大きい。こういうことを十分に勘案されまして、第一次計画の残余は第二次の第一年目にやるということに、ぜひ御健闘を願いたい、かようにお願いをしておく次第であります。  もう一つ国鉄へお尋ねいたしたいのは、この前の十二月の決算委員会で、国鉄の通行税の問題につきまして私質問をしたのでありますが、そのときにちょうど前の小倉副総裁がお出ましでありまして、そしてこの日本の国有鉄道の通行税というものは非常に不自然なもので、これは昭和十三年の戦時中、いわゆる戦時費のまかないのために非常に不都合なものをこさえたものだというようなことを、私がそれによって質問をいたしましたところが、同感だと。それで、今では航空機にしろ、あるいはまた船にしろ、民間の交通事業を担当しておる者は、ほとんど通行税を廃止または半額にしたと。そのような点から国有鉄道におきましても、何年か継続してこれを廃止するためにわれわれはやっておるのだと、ぜひ来年はそれを実行したいという、現にこの速記録に出ておるはずであります。ところが承るところによると、今度またこれがお流れになったということを私は聞きまして、一体それがほんとうかどうかということを重ねてお尋ねをいたすわけでありますが、もしそれが事実とするならば、われわれはこの委員会でせっかくいろいろのものを調査し、やはりわれわれはわれわれなりに貴重な時間もかけて、それぞれ質問をしておるのであります。それに国鉄の総裁なり、あるいは副総裁の責任者がかような答弁をしながら、そしてその翌年度、大蔵省がこれに反対したから、あるいは大蔵省がやってくれなかったから、これはどうも残念ながらまたできないというようなことで、常に遷延されるということでは、はなはだこれはよろしくないと思う。私がかようなことを申し上げると、何かしらん、野党の質問のようにお考えだと思いますけれども、われわれは時の政府を擁護する与党といえども、やはり国民の代表の府である委員会である以上は、やはり聞くものは遠慮なく聞きたいと今後も考えております。この意味におきまして、吾孫子さん、ことしはどういうお考えか、率直にお答え願いたい。それによって重ねてまたいろいろ委員会質問をいたしたいと思います。また、私は何ゆえにこの問題について大きく取り上げているかといいますと、金額にすれば二十七億であります。しかしながら、やはり国民経済なりあるいは国民——物価の安定とか、あるいはまた生産が安くつくというふうに、国民に常にそういうことを慫慂しておって、国有鉄道という国が経営しておるものに対して、率先してこれらの悪税のようなものは撤廃すべきであるというような考え方から、これは御当局におかれましても、真剣にこの問題を検討して、そうして幾分でも汽車賃が安くなった、たとい三十円でも安くなったというような感じを与えるということは、これは国民経済から考えても、また民生の安定からも最もいいことじゃないか、かように考えますので重ねてお尋ねをする次第であります。
  43. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 通行税につきましては、ただいま鳥畠先生から御指摘のございました通り、他の交通機関の利用に対する課税と不均衡等があるということもございまするし、またそのほかの消費税等とのアンバランスということもございますので、国鉄として早急に直していただきたいということを前々からお願いをいたしておるわけでございます。また特にやはり国鉄としては、収入確保のために優等のお客さんを確保したいわけでございますので、そういう面からも通行税をできれば全廃していただきたいし、そこまでいかないでも軽減はしていただきたいということを、前々から政府御当局にもお願いいたしておりましたし、今回の予算編成の前にもこのことはお願いは申し上げておったのでありますが、来年度は税制については手をつけないというような御方針のようでございまして、残念ながら、今回も実現していただく運びになっておらないのでございますけれども、私どもといたしましては、この問題は何とかできるだけ早い機会に解決願いたいというふうに念願しておるわけでございます。
  44. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 ただいまのお答えを聞きましてはなはだ私は遺憾に存ずるものでございます。しかしながら、これは私は一部の歳入の面についてまた一部の国鉄の通行税という面からの御質問でありまして、まあ国全体のいろいろな面から考えて、それには相当の事情があると思いますが、できるだけ、こういう問題は、社会福祉という面からも、また民生の安定という面からも、一日も早く実現すべきものだ、かように今も同じ考えを持っております。どうか今後もっと真剣に取っ組んでもらって、大蔵省から押されて、さようでございますか、というようなことでは、われわれ今後ははなはだいろいろな面に大きな支障を来たすと思います。どうぞさらに御検討をお願いいたしたいと思います。  次に、自動車局長に私は一、二簡単にお尋ねいたしたいと思いますが、道路運送法の改正問題が相当最近ちまたの大きな問題になっております。それらとの関係から、中には憲法まで引っぱり出して、そうして、何でも国民は安くいけばいいのだ、統制がどうなろうと、秩序がどうなろうと、安くいけばそれで国民が喜ぶのじゃないか、そういうことに国家は法をもって、あるいは憲法の明文をこえてまでも取り締まりをしなければならぬということは、行き過ぎではないかというような質問も、過日私、現に拝聴しておったのでありますが、われわれといたしましては、やはりこの自動車、陸上交通というものは、あらゆる産業、経済の原動力でありまして、これらの今後発展、繁栄いかんが国の経済、産業を左右する、あるいはまた社会民生に多大な影響を持っておる。あくまでも正しい陸運行政をやるべきだ、こういうことについては熱心にこれを支持する一人でございまして、最近、道路運送法の改正に対して、いろいろ委員会なりあるいはまた、その他の関係委員会で目下検討中であるということを聞き、ただいま、また近いうちに法律化して国会に提案されるというように聞いておるのでありますが、大体いつごろこれが改正されるものか、実施されるものか、また、その内容において大きな改正をされる点というものがどれとどれであるか、簡単に、詳細にお聞きするわけでなく、ちょっと個条でこれとこれがこうなるというような御答弁を願いたいと思います。  次に、これはやはり陸運関係でございまして、これもただいま申し上げたように、この陸運自動車関係は非常に大きな一つの国の基幹産業といいますか、非常に大きなウエートのかかっておる仕事でありますが、そういうような関係から、昨年から自動車運送審議会というようなものを作る、また作ってもらいたい、そして真剣にそこでわが国の陸上交通の将来のあり方、あるいはまた現下のこのこんとんたる陸運行政秩序維持というような意味から、審議会を作って、そしてあらゆる学識経験者といいますか、いろいろの階層の人を網羅した、りっぱな見識のあるまた責任の持てる審議会を作ってもらいたいということを、われわれは多年期待しておったのでありますが、今度はこの審議会がいよいよ法的にでき上がったようで、これはまことに喜ばしい現象でありまして、できるだけ官民あげてこれらに協力すべきものだ、かように考えておる一人でありますが、予算の面を見ると、自動車運送審議会なんて非常な大きな名前をつけながら、予算の上でようやく二十万円の予算を計上してあるということにつきまして、こないだもちょっと内示会で一言触れておきましたが、まあこのごろの貨幣価値から見まして、一体——金を使うことが仕事をするというような、即、予算というものが伴わなければ仕事はできないということには考えておりません、しかしながら、ある程度これを完全に執行し、また成果を上げるという意味におきましては、これまたある程度の予算が伴うことは当然であります。そういう意味から考えると二十万円の予算で一カ年、果たしてそういうような運送審議会というものを、回数的にも、あるいはまたいろいろの点から考えて、やり得るものかどうかということに、はなはだ疑問を私は持っております。これは悪く考えると、運輸省当局が審議会を作って、そして何でも審議会の答申に基づいてというような、げたを預けておくというような、緩衝地帯のもし審議会であるならば、これははなはだ遺憾のものである、かように考えておるものでございます。さような点についてどういうお考えで、また今後自動車審議会の運営はどういうふうにするか、またメンバーについてもどういうような人をここへ登用していくか、広く人材を登用するというような見地から、ただいま考えておられることを率直にお答え願いたい。この二点をお尋ねいたします。
  45. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 道路運送法の関係から申し上げますと、道路運送法は昭和二十六年に制定になりまして以来、われわれとしては運用して参ったんですが、これは駐留軍のまだおりました時代の立法でもございますし、最近の自動車の激増に対処しますためには、事情も相当に変化した点もございますので、これらの点を検討いたしまして、道路運送法の根本的な改正ということも実は私ども手をつけて考えておるのでありますが、しかし、これには相当な時日を要しますので、今回は、道路運送法の最も当面の緊急を要する改正点についてだけ立案をいたしまして、御審議を願う道路運送法の一部を改正する法律案を提案することにいたしたわけでございますが、この今度の道路運送法の一部を改正する法律案の要点といたしましては、運行の安全に関しまする面を一つの柱として取り上げております。それから白ナンバー・タクシーあるいはもぐりトラックの取り締まりに関しまする面を一つの問題点として取り上げております。それからこれに付随いたしまして、自動車の輸送の実情調査のために、道路を通行する自動車または軽車両の一時停車を求めて質問することができるという条文を入れました、主要な改正点は  この三点でございます。運行の安全に関しまする点におきましては、運行管理者の制度を法律で明定するということ及び安全を確保するための命令というものを、現在までは、事業改善命令とか、あるいは違法行為がありました場合には、行政処分をするという規定はございましたが、改善その他是正について必要な措置を命令する制度というものを設けまして、安全面を確保していきたいと考えておるわけであります。それから、白ナンバー・タクシーあるいはもぐりトラックの取り締まりに関しましては、使用停止処分等を受けました自動車登録に関しまして、従来抹消登録いたしまして、新規登録をいたしました場合には、使用停止処分をされております自動車でも、そのまま新規登録がなされておりまして、使用停止処分という行政処分が効力を持続し得ないような状況にありましたので、これを防止する。そういう使用停止処分を受けております自動車に関しましては、新しい所有権を取得した者がおりましても、それは新規登録を認められない。こういう制度にしようと考えておるわけでございます。と同時に、刑罰規定につきまして、従来は無免許営業に関しまして、最高が罰金三十万円でありましたのを一年の懲役または罰金三十万円、及びこれを併科することができるというふうに罰則を強化いたしまして、間接的な取り締まりを強化いたしたい、こう考えておるわけでございます。それから輸送の実情調査につきましては、先ほど申し上げましたような点でございましてこの三点が道路運送法の一部を改正する法律案の要点でございまして、この法律案につきましては、衆議院先議で提案をいたしておりまして、御審議を受けました上で通過いたしますれば、早急に実施し、白ナンバー・タクシー、もぐりトラック等の取り締まりに関しましては、従来とも努力をいたしておりましたが、今後におきましても、この道路運送法の改正によりまして、さらに取り締まりの強化をはかっていきたいこう考えておる次第でございます。  次に自動車審議会に関しましては、仰せのごとくに予算で申しますと、委員手当が七万六千円、庁費が十一万八千円でございまして、合計十九万四千円で非常に僅少な予算でございますが、私どもとしましては、この自動車審議会の運用に、非常に期待をかけておりますと同時に、私ども調査は、この予算以外に自動車局の配付されました予算の範囲内におきまして十分調査をいたして参るつもりでおりまして、この十九万四千円は自動車審議会を運用するための費用ということになっておるわけでありますが、一年限りの期限をつけて設置を認められておりますので、私どもとしましては、この審議会にげたを預けるというようなことではなくて、現在自動車行政が曲がりかどにきておるとか言われますし、あるいは大臣の言をもってすれば、轢死しておるとかいうようなことを言われておりますが、これらの非常に今難局にあります自動車行政に関しまして、根本的な方策を打ち立てるために、この一年の間に何とかわれわれとしては努力をして成果を得たい。それには有識者、学識経験者の助力を得まして、いい結論を得たい。こう考えて、この自動車審議会の設置をお願いして、運輸省設置法の改正法律案を出しておるわけでありますが、この調査審議をいたしまする事項といたしましては、さしあたり道路運送法の改正、あるいは道路運送車両法の改正というような問題も控えておりまして、これらの問題を御審議願うことにもなると思うのでございますが、そのほか道路交通事業の近代化、合理化の方策、あるいはまた運賃制度の問題、また自動車高速化対策の問題、あるいは事故防止対策の問題、あるいは自動車行政機構のあり方の問題等につきましても、この審議会に諮りまして、輸送及び保安の基本的な問題について調査審議をしていただこうと思っておる次第であります。メンバーといたしましては、予算がこの程度認められましたので、委員は十人から二十人の間で任命されることになると思いますが、委員のメンバーにつきましては、人員も比較的制限されましたので、社会的に相当な自動車行政についての識見をお持ちになっていらっしゃる方々、自動車輸送及び自動車の保安に関する学識経験者、これらの方々を学界、財界、言論界等から選任をしお願いをするつもりでおります。で、この中に社会の公正な意見が求められるように私どもとしてはいたしたいと思いますので、業界からの代表的な人物としての委員というような方々はこの際とらないで、むしろ一般的な学識経験者の中から委員を選任していきたい、こういう人選の方針を持っております。で、今後の運用といたしましては、できるだけ回数を多く審議会を開催願って、先ほど申し上げましたような題目につきまして十分討議をしていただきたい、こう考えておりまして、私どもとしましては、この審議会が設置されましたのを契機といたしまして、自動車行政に関しまする根本的な問題を早急に打ち立てて処理をしていきたい、こう考えておる次第でございます。
  46. 小酒井義男

    小酒井義男君 自動車行政に関連しまして、ちょっと局長にお尋ねしておきたいのですが、また道路運送法については、あらためて補足説明がなされると思いますから、その際に私はお尋ねをしたいと思いますが、道路交通法の内容について、きょうはここで質問する必要はないと思うのですが、地方行政委員会ですでに審議が始められようとしておりますし、当委員会でも連合審査の申し入れを前回の委員会で決定をしておるわけなんですが、あれが国会に出されるまでに、自動車局として相当連絡があって法案が作成されたと思うんです。罰則が非常に強化されることになるんですが、ああいう点について、現在の諸条件、道路や車両が非常に多いというような、こういう条件から検討した場合に、罰則があれだけ強化されるということについて、運輸省側として妥当であるかどうかというようなことの意見が、完全に一致しておるのかどうか。そういう点だけお尋ねしておきたいと思うんです。
  47. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 道路交通法の提案につきましては、運輸省といたしましても、警察庁と何回にもわたりまして交渉を重ねて参りまして、意見は、こちらといたしましても了解をいたしたわけでありますが、今お話のございました罰則の点に関しましては、これは総体的に申しまして、道路交通取締法が、ずっと以前に制定されたものでありまして罰則が非常に低い。一般の最近の法律に比べて低いということがいえるのでございまして、それらの点から、最近の立法例に比較いたしまして、罰則を強化しなければならないということは私どもも認めたわけでございますが、ただ具体的にこの項目についてどれだけの罰則が適当であるかどうかというような、詳細な点についてまでは、運輸省といたしましては発言いたしておりません。と申しますのは、罰則の点につきましては、警察庁と法務省等の方で打ち合わせまして、ほかの法律とも比較検討いたしました上での、その均衡論も考えましての罰則を規定いたしますので、罰則の点に関しましては、私どもとして、特に警察庁の方に発言し、申し入れたことはございません。
  48. 小酒井義男

    小酒井義男君 これの法案の内容は、あらためて連合審査委員会なり何なりでしたいと思いますが、ただ完全なそういう点についての合議がされたかどうかということを、私はきょうは明らかにしておくだけでとどめておきます。  それからもう一つ、何か衆議院の予算委員会で、狭い道路に大型の車が通っているという問題が議論されたようですが、それについて運輸省側として、検討されるような答弁をなさっておるのかどうか。それから、これは大型車ということになると、旅客輸送の車だけじゃなしに、トラックの場合も、あるいはその他の自動車もこれは含まれてくると思うんです。たとえばトラックの場合にしてもバスの場合にしても、大型の車を、多くの路線を持っておって転換できるものは、それである程度解決がつくと思うんですが、大型車をかえて、すぐ小型車なり中型車なりに転換をするといっても、なかなかそれが困難な事情もまた出てくると思うんです。こういう点について、何か具体的に御検討をされておるかどうか。その点だけ一つお尋ねしておきます。
  49. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 道路と自動車の問題につきましては、建設省と打ち合わせておったのでございますが、予算委員会におきまする御審議の際には、建設省におきましても運輸省におきましても、これらの点に関しまして早急に検討いたしたいということをお答えいたしております。私どもといたしましても、道路法に基づきまする道路制限令の制定という問題があるのでございますが、この問題に関しまして昭和二十九年に建設省の方から提案がございまして、その場合には現在すでに免許され運行しておりまする道路につきましても、バスが通れなくなるような状況にもなりますので、この場合には運輸省といたしまして反対をし、延ばして参ったわけでありますが、しかし最近におきましてはやはり道路と自動車の大型化の問題に関しまして、非常に危険であるというような話も出ておりますので、これらの点に関しまして具体的な事故防止策というものが打ち立てられますように、早急に建設省と打ち合わせをしようということにいたしておりまして、その際たとえば現在免許をいたします場合等につきましては、道路管理者及び公安委員会の意見を聴取いたしまして、ここは道路が狭いので通りにくいとか、あるいは保安上通過困難であるというような意見がこちらに参りました場合には、その意見のように処理をしておる。あるいは小型のバスにすべきであるというような意見が参りました場合には、そういう条件をつけておるというような工合に処理をしております。ただいま相当大型のバス等が運行しております場所につきましては、今後何らかの調整策を講じながら、事故防止の観点からお互いに検討し、道路制限令の制定等についても協力をしてやっていこうということを申しておりまして、それらの点につきましては、できるだけ現状も考慮しながら、あまり急激な変化のない程度において事故防止に役立つような方向へ持っていくように、道路制限令の打ち合わせをいたしたい、こう考えておる次第であります。
  50. 相澤重明

    相澤重明君 私の質問は、国鉄関係としては緊急問題として昨日の午前七時四十分ごろ東京葛飾区の金町駅の国電ラッシュの際に、五人もの負傷者を出したということに対する当局の見解、それから事後対策。それから志免炭鉱の問題が昨年から今年当初にかけて当局、組合ともに非常な努力をして妥結をしたことでありますが、それから端を発した配置転換の問題。いま一つは、前回の委員会並びにその翌日の十七日の参議院の決算委員会における私の質問に、十河総裁が答えた東海道新幹線の問題等。それから自動車局長関係としては国会自動車の関係、それから駐留軍離職者同盟の審議状況、こういうような点で御質問を申し上げますから、簡単に要領よく説明をしてもらえば早く終わります。私は一時に大体終わろうと思っていたのですが、一時がきてしまっているので、その点委員長もよく見ていただいて、一つお答えをいただきたいと思います。  まず最初に、国鉄の昨日の朝に起こりました金町駅のラッシュの際に大勢の乗客が負傷したということは、まことに遺憾であると思うのであります。先ほども鳥畠君が国鉄第一次五ヵ年計画合理化関係、こういうような問題で御質問がありましたが、東京は何といっても首都のもとであるし、しかも経済路線で一番もうかっておる所である。しかも乗客の非常に多い所であるにもかかわらず、国鉄の施設整備がなされておらない。特にこの点を見てみますと、京成金町駅との乗りかえ、これについて国鉄の金町駅の地下道階段が非常に幅が狭い、二メートル半しかない。こういうような所でも朝七千人も一万人も乗降するので、狭い所で押し合いへし合いで、ついに大きな事故を起こした、こういうことが伝えられておるわけです。しかも多くのけがをされた人たちが、実は会社に勤めておる人たちでありまして、女子の方もかなり多いわけであります。こういう点をもっと国鉄の近代化ということもさることながら、やはり国民の国鉄であるという立場からいけば、サービス面を改善しなければならぬ、こういう点を……。私はきょうから東北線が電化され、非常に努力をされたことは喜ぶことでありますが、またその点は大いにPRしてもいいと思うのです。しかし、その半面こういう隠れた多くの人たちの人命に影響を与えるような問題を放っておいていいということにはならぬ。そこでこの事故に対する対策をどうするか。それからまたこういう問題について山手線、中央線等のこれらの東京を中心とする今まで放っておいた古い施設等の整備についてはどうするのか、こういう二つの対策面を一つ副総裁から答弁をしてもらいたいと思います。
  51. 中村卓

    説明員中村卓君) 私からかわってお答え申し上げたいと思います。  昨日の金町駅の事故につきましては、いろいろと原因もございますが、何と申しましても、私たちの方の手落ちでございまして、まことに申しわけがないというふうに考えております。これが対策につきましては、実は前々からあすこの駅が特に今、相澤先生からお話のございました京成との乗りかえあたりで、非常にラッシュ時は混雑するということがわかっておりましたので、ちょうど今から十日ばかり前でございますが、そのころから一応ラッシュ時につきまして、まん中に綱を張りまして階段を上る客とおりる客を分けようというようなことで、ちょうど工事を始めていた途中でございまして、その工事ができ上っておりますれば、ああいう事故も避けられたのではないかというふうに考えるのでありまして、まことにその点が遺憾に存じておるわけでございますが、金町駅の階段の幅が狭いということも、ただいま御指摘のございました通りでございますが、二メートル七十五でございまして、ラッシュ以外の時間におきましては、十分これでやっていけるのではないかというふうに考えております。従いまして金町駅につきましては、先ほど申し上げましたような一応混雑時だけに綱を張って、階段を上る客とおりる客を分けようというので、とりあえずそういう対策を至急に講じつつございますので、工事を早く完成してやっていきたい、かように考えております。  それから全般的な問題につきましては、私ただいまはっきりした資料を持っておりませんけれども、東京を中心といたします特に電車乗客の多い所につきましては、ここ数年来跨線橋、地下道の新設に相当な金を投じてやってきたわけでありましてこれでもちろん十分というふうに考えたわけではございませんけれども、私どもといたしましても、いわゆる大きな工事ばかりを考えて、そういう点に全然注意を払っていないというようなお叱りを受けることはないのではないかという程度に考えております。
  52. 相澤重明

    相澤重明君 今の答弁ですと、二メートル七十五の幅があるから、そのまん中に綱を張れば事故は起きないという考え、これはやはり国鉄の首脳部の実際のラッシュ時に対する認識の欠陥なんです。  だれでも朝の通勤時には、やはりおくれて行きたくない、こういう心理はあるのだ。これはだれでも通勤者としては、単に縄が張ってあるから、それでもういいなんというものではないわけです。事故対策としては、やはりもっと幅を広げて、それで自由に乗り降りができるような方法と、もちろん交通道徳訓練ということも必要でしょう。必要でしょうが、やはり何といっても大勢の人が一度に出入りするのですから、その点は施設を整備しなければならぬということが一つ。  いま一つは、極端な定員削減ということがやはり大きな問題なんです。どこの国電の朝のラッシュ・アワー時の駅を見てもやはり職員というものが非常に少ない。少ないから、結局は乗客の押し合いへし合いにまかせるということになる。これが事故を起こしておる原因になる。やはり機械化、合理化ということに、ともすれば頭を突っ込み過ぎて、そうして旅客のサービスということに、一番おそるべき人命事故というものが防止ができない、そういうことが多くなってくる。私はもっと定員の問題について再検討すべきだと思う。そうしてほんとうに旅客の一日を安全に送り迎えをしてやる、輸送する、こういうことが国鉄の私は大きな使命ではないか、こういうことを思いますので、一つ。  京浜あるいは中央、山手等を初め、特にラッシュ時における昼間の閑散時だけを、これは自由に乗り降りができればというようなことでは、理由にならない。従って、そういうラッシュ時対策というものも、私は十分検討してもらいたい。そういう場合の必要な要員というものを配置をすべきである、こういうことを強く私は要望をしておきたいと思うのです。  そういう問題について、まあこの前も、一昨年の暮れか、パート・タイムをやったこともあるのですが、とにかく再検討する意思があるかないか、その点を、一つお聞きをしておきたいと思うのです。
  53. 中村卓

    説明員中村卓君) 設備の問題につきましては、先ほど一応現在の段階でということを申し上げたわけでございまして、これ以上に、私たちの立場から見まして、混雑をして相当問題のあるというところも、ほかにもあるのではないかと考えられますので、そういう点、いわゆる優先順位の問題もございますので、事務的にも十分検討の上、できるだけ根本的な解決、跨線橋とか地下道の開設の問題とか、何とかということを考えてみたいと思います。  それから要員の問題につきましても、ただいまお話がございましたけれども、われわれといたしましては、できるだけ合理化をやって、国鉄の企業を何とか採算へもっていきたいという考えでおりますが、まあしかし、今御指摘のありましたようにラッシュ・アワーの乗客整理というような問題は、非常に重要な問題でございますから、できるだけ。パート・タイムなり何なりを考えまして、こういう事故が再び起こらないように、ぜひ検討していきたいと考えております。
  54. 相澤重明

    相澤重明君 その次に志免炭鉱の妥結条件について、十河総裁と国鉄労働組合の中央執行委員長吉田忠三郎君との締結条件覚書等があるわけでありますが、副総裁、これについて、お互いに紳士協約をした、あるいは覚書を取りかわしたことについて、それを当局は守っていく考えなのか、それとも情勢の変化ということを理由に、それは守っていかないつもりなのか、まずその第一から一つ答えていただきたい。  これは根本的な問題だから、本来なら十河総裁に私はお尋ねしなければならぬのですが、十河総裁も、衆議院の関係もありますから、これは副総裁から、一つお答えを願っておきたい。
  55. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 労使の関係を正常化していきますのは、やはりお互いの間で締結した協定というものを誠実に守るということが大前提をなすものだと思いますので、今までもそうしておりましたが、今後も、そういう考えでおるつもりでございます。
  56. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、具体的に一つお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、けさの新聞に、志免炭鉱の配置転換をされた人が、東京に百人ほど来た、こういう記事が写真入りで出ておりましたね。そこで私も前回の委員会で、配置転換については、どういうふうに考えておるのかと、こういう点で御質問したところが、まあ大体関東、東京付近に二百五十人ぐらいという副総裁から御答弁があったわけでありますが、そのうちの一部だと思うのですね。  そこで志免炭鉱全体について、協約、協定、覚書等の内容を私が見ると、志免鉱業所職員の配置転換に伴う労働条件に関する協定了解事項、これによると、希望退職、配転については、おおむね千人程度とする、こういうことを当局も組合も了承をしておるということでありますが、これについて、そういうことを今あなたの言われた通り、紳士協定、いわゆる双方が誠意を持って守っていきたいと、こういうふうにやる意思であるかどうか、その点再度一つお答えをいただきたいと思うのです。
  57. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) あの協定を結びました際のおおむね千人程度という覚書はございますが、これは労使双方の間で、この協定を結ぶにつけていろいろ交渉をしました際に、大よそ千名程度ということで、まあ多少これを上回る場合もあるでしょうし、少なくなる場合もあるであろうということで、千名程度というような目安で、まあ約束をしたと、こういうことなのでございます。  それで協定ができましたので、まず希望配転者の方を募ってみました。そうしましたら、この前申し上げましたように、千六百二十人ほど配置転換の希望者が出てきたわけでございます。で、これらの千六百二十人の希望者の方々について、その御本人の希望ということは、これは、やはりどこまでも尊重しなければならぬものだと私どもも考えておりますのですけれども、御本人の希望がありましても、やはりたとえば鉄道の方には向かないような身体障害の事情があるとか、中には、年令その他の関係で、今さら配転というのも適当でないという方もありますし、それから配置転換でありますから、御本人の御希望と、やはり受け入れをする方の勤務個所とが意思が合致しなければ、うまく参らないという場合もございますし、いろいろな事情で、御希望なさった方千六百二十人の全部が、必ずしも配置転換ができるということにはならないと思います。  それで今現地で、現地の鉱業所の当局が、これらの配置転換を希望された方々に全部個人面接をしまして、いろいろ御相談をしておる。それで、けさの新聞に関東地区に配転された人が着いたというのが出ておりましたのですけれども、この配置転換、何しろ大ぜいの人数でもありますし、一時にきめるというわけにはいきませんので、まず九州以外の地区に配置転換を希望される方について選考をいたしまして、九州以外の配置転換を希望した人の数というものは、九百人以上あったわけであります。そのうちの六百四十四人ほどの人を、第一次の決定をいたしましてそのうちの関東へ来る人の数が大体百八十六人ほどあったわけでありますが、三月一日付で百六十人ほど発令をして、その人がこちらへ来た、こういう事情でございます。あとまだ九州の南の方の鹿児島とか、熊本とか、大分とかいうような局を希望しておる人もありますし、それから北九州の門鉄管内を希望している人もたくさんあります。それらの人について、今現地の当局とこれらの希望者の方々との間で御相談をしておる段階であります。  それで、ただ私どもが、非常に困難を感じておりますのは、特別の事情があって、御本人も、それではいやだといって辞退をされるとか、あるいはどうしてもレールの方に向かない身体上の欠陥等があってできないという方、これはせっかく希望をなさっても、お取りやめ願うということもやむを得ないのでありますが、別に身体上の欠陥があるというわけでもなく、また、御本人も、どういう職場でもいいから、ぜひ配置転換させてもらいたいという御希望の方々に対しては、これを甲乙をつけて、くじ引きでもすれば別でありますけれども、ふるい落すということも、なかなかむずかしいことでございます。で最終的に千六百人の希望者はございましたが、御本人も納得をされ、こちらのレール側の方でも受け入れ得るという人数は、もちろんこの数をかなり下回った数になるだろうと思います。その下回った数が千名程度という約束の数と著しい食い違いでなければ、それは正確に千人という約束ではございませんから、組合の方も、協定の趣旨に沿うたものとして、了承していただけると思いますが、もしそれが著しく食い違うという場合には、何といっても、配転を希望される御本人の問題ですから、その辺は、よくさらに組合の方ともお話し合いをしまして、円満に処置ができるように努力をしたいと、そんなふうに考えております。
  58. 相澤重明

    相澤重明君 具体的に、今関東の百八十六人のうちの百六十人を三月一日付で発令をした、三月一日付で発令したのが関東のほかに、関西が何人おるのか、この発令した人数を、ちょっと知らしていただきたい。
  59. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 三月一日付で発令をいたしました人の数が、支社別に申し上げますと、北海道支社が三人、東北支社が五人、それから関東支社が百六十人、中部支社が八十四人、関西支社が二百三十三人、中国支社が九十人、四国の支社が十一人合計五百八十六人。
  60. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、いろいろな当局の考えもあるだろうし、組合の考えもあるだろうし、私ども国会では、長年の間の懸案事項が労使双方の努力によって円満に解決したのだから、従ってこの解決したものを、紛争を起こさないようにして、今副総裁の言うように、とにかく協定を結んだならば、それをやはりお互いに守っていく、こういうことを基礎におかないと、私どもとしても、国会で長い間論争したことでありますから、非常に問題になると思う。  そこで、今のお話を聞けば、大体千人程度ということで、若干の引っ込み、出っ込みがあるかもしれませんが、これはおさまるだろう、こういうお話で、私も信頼していきたいと思うのですが、希望者が多いからということで、逆に言えば、結局は志免炭鉱そのものは、実は当局の思っている通り要らなくなっちゃうのじゃないか、こういうことになりかねないわけです。そうすると、やはりそれは一つの当局の策謀じゃないか、あるいはそういうことを支持しているのじゃないか、こういうような問題が出てくるわけです。私はそれをおそれるわけです。  ですから、一つ今のようなことで、副総裁が言われたようであれば、組合とよく相談をされて、そうして少なくとも協定の締結の精神をお互いに守っていく、そういうことで問題を紛糾させないように、私は努力をしてもらいたいと思うのです。  その点について、いま一度副総裁の御答弁を願っておきたいと思います。
  61. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 先ほども申し上げたことでございますが、御本人が、それぞれ別に欠陥もない方が強く希望されているという場合に、これを甲乙の差別をつけるということは非常にむずかしいと思っております。ですから、最後までお話し合いをしてみませんと、終局のところがどれくらいの人数になるかわかりませんが、まあ組合との協定も千名程度という目安でお約束をしたということでありまして、千百人ではいいとか、九百人ならいけないとかいうお約束ではございませんので、その様子によりまして、できるだけやはり個々の職員の希望というものも考えてあげなければならぬと思いますので、その辺数字のまとまったところで、よく組合とも話し合いをいたしまして、円満に処置ができるように努力いたしたいと、さように考えております。
  62. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、そのことは副総裁の答弁で信頼をしておきますから、紛争の起きないようにしてもらいたい。  それから、その次に国鉄の新幹線の問題であります。これは、前回の委員会並びに決算委員会で、私から横浜の港北綱島の問題は、当時御質問を申し上げたわけです。十河総裁も、このことについては、特にヘビののたくったようなカーブの強い曲がった線は作らない、こういうことであったわけです。  また、私どもも、参議院の運輸委員会は、全員が過日当局の人たちと一緒に東海道幹線の工事の現地調査もしたわけでありますから、そこで、一つ問題が出たのは、私はお尋ねしておきたいのですが、この綱島から、さらに横浜の保土ケ谷区から戸塚の方に向けて高座、小田原に抜けるわけです、この図面のように。ところが、ここには保土ケ谷区から戸塚区の阿久和の方に抜けるところに、前に測量した土地がある。予定線がある。これはきわめて直通的にできているわけです。ところが、今度の新幹線の場合の測量をやっているのを見るというと、その直通しているのを、また迂回をして測量をしている。こういう事実があるわけです。  この前、十河総裁が、そういうことはもう常識的にあり得ない、こういうことを言っているのにもかかわらず、現地では、そういうことでもって非常に問題が起きている。今度の、前の予定線でいけば、結局、人家も比較的少ないし、この予定線であるから、かなり理解と協力を深めてもらうこともできるというのにもかかわらず、新しいところは、人家をわざわざどけなければならない。こういうようなばかげたことを、なぜやらしておるのか、こういうことを幹線局長は知っておるのかいないのか。国会答弁で、いや、そういうことはない。できるだけ五百キロの区間を三時間で走るように、最も輸送力増強に資したいのだ。こういうことを言っておりながら、現地では、そういうことをやるということは、これは、まことに国会に対する食言でもあるということになりかねない。前の委員会では、幹線局長も、十分協力してもらいたいし、地方の知事、市長あるいは該当の通過地点人たちとも話し合うということを言われておったのでありますが、その意思が変更されたのかどうか。  それから、もし変更されていないとするならば、なぜそういうような、こういう予定線があり、しかもできるだけ直線コースをとろうとするのに、わざわざそういう地域だけを曲げておるのか。  この二つについて、幹線局長の答弁を願いたいと思います。
  63. 大石重成

    説明員(大石重成君) 最初に、この前、相澤先生に御答弁いたしました、できるだけ地元の方の御迷惑の少ないように、また御協力を願うような態度でやって参りますと申し上げたことにつきまして、何らその後、もちろん変更する意思もございませんし、さような考え方でいかなければ、この仕事はできないと信じて参っておりますのでそのようなことはございません。  第二点といたしまして、保土ケ谷地区の測量の点についてでございますが、私、多少記憶が違っておったかもしれませんが、戦前測量いたしましたのは、相模川を越した地点から測量いたしまして、あれから以西は用地も相当部分買収してあるというのでございます。当時相模川以西の線路をきめますときに、こちらの相模川から横浜寄りの地区につきまして、これは多少お話が専門的になって恐縮でございますけれども、線路をきめますのに、そこでぷつんと切って、それから先、線路をきめますと、前後の関係が不明確になりますので、手前のところをあらまし測量いたしまして、決定いたします線路が、事後の計画に支障があるかどうかというような測量を多少戦前にいたしたことはございます。戦後におきまして、御承知のように昭和十九年当時の東京—下関の弾丸列車と言っておりました計画が中止になりまして、三十三年度に測量調査費をいただきますまでは、この工事を中止しておりましたので、その後の測量調査というものは、新幹線につきましては、何ら調査をいたしたことはないのでございます。ただ、いろいろと線増計画その他ということで、あるいは中心になっておりまする新幹線の計画と合わせ考えたらどうかというようなことが、一時話題になりまして、さような調査をしたことはございますけれども 新幹線としての調査は、その後やっておりません。  三十三年度に御承知のように調査費をちょうだいいたしまして、三十四年度、本年度三十億の金をちょうだいいたしまして、ただいま測量をやっておりますが、お話のように前にやったときに、まっすぐやりまして、今度それを曲げてやっておるというようなことは、私聞いておりませんし、またさような考え方ではやっておりません。ただ、その後いろいろと現地を詳しく調べて参りますのに、できるだけ新幹線の性格を損じない範囲におきまして、支障の少ないように、支障をゼロにするということにはなりませんが、全体的に見まして、一番、地元の方の支障の少ないような線路の通過地並びに構造ということを、まずいろいろの線につきまして研究をいたしまして、そうして、これで、ある一つの案ができましたならば、地元の方に直接お話を申し上げまして、被害を直接こうむられる方は、非常な御不満な点もございましょうと思いますけれども、全体的に、これが一番被害が小さいのだということの御納得をいただくような手段を十分いたしまして、そうして測量し、用地を買収させていただこう、こういうような計画をやっておりまして、今お話のように保土ケ谷地区は、以前はまっすぐだったが、これをくしゃくしゃ曲げるというようなことはございませんで、いろいろと比較線を入れまして、被害の一番小さい線を選ぼうということで、いろいろと現地調査をしているというのが現状でございますので、方針も変えておりませず、むやみと曲げるようなこともいたしませず、また、この工事が、非常に重要な工事である、世紀の大事業であるからというようなことで、地元の方に、一方的に御迷惑を押しつけるというようなことも、毛頭考えておりません。御了解いただきたいと思います。
  64. 相澤重明

    相澤重明君 大石常務も前に、そういう一応経験を持っておるわけですから、調べてもらえばわかるのですが、実は、私の生まれておる土地なんですよ。私が生まれたところなんだから、一番よく知っておる。私の生まれたのが戸塚の阿久和というところです。その私の生まれたところのすぐそばに善部というところがある。そこは、ほとんど家がなくなっちゃう。そうしてしかも港北の綱島は、この前も申し上げました綱島の町を分断し、大倉山の住宅をなくしてしまう、こういうような形で、今度は、今の保土ケ谷区の星川から善部に向けて、わざわざまっすぐ行っておる線を横へ通って行く。私は、何と言っても許すことができない。いくら私が国鉄出身であっても、賛成するわけにゆかぬ。こういうばかばかしいことをやられたのでは、幾ら国会でうまいことを言われても、地元の住民が納得しない。ましてや私の生まれたところですから、生まれたところの連中は、言うことを聞かない。こういうことで絶対に、私もそういうことではならないと思うし、十河総裁も、そうわざわざ曲げるようなことはしないということを、私も信頼したいと思います。  そこで、そういう住民の疑問に早く了解をしてもらうように、そうして協力してもらう態勢を私は作っていかなければならぬ。ですから、測量するのにも、黙って来て、いきなりくいを打って、木を切ってしまう、そういうことをやられたら、これはもう、私は本当に言うことが聞けないと思います。だから、近いうちに私から、今度は大石常務にもよく話しますから、その点は、よく一つ該当の横浜市長なり、あるいは地区の代表の人と、よく相談をしてそういう誤解、これは誤解である、決して国鉄は、線路をわざわざ曲げて新幹線を作るのじゃない、こういうことを言わないと、これは私は、もうどうしても了承できない。  ですから、私の生まれたところの土地が、そういうことになっておるということは、一つの例を申し上げたのですが、そういうことが、もし東海道新幹線の中で、東京—大阪間にあるとすると、非常にこれは私は難工事になってしまう。ですから、それをすみやかに一つ、そういうことのないように調査の上で明らかにしてもらいたい、こう思うわけです。  この点は一つそういうことのないということを率直に私はこの際、あなたから答弁を今一度して置いてもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
  65. 大石重成

    説明員(大石重成君) ただいま相澤先生のお話、まことにごもっともでございまして、私たちといたしましても、ことさらに線路を曲げまして、また支障を多くするというふうなことは毛頭考えておりませず、先ほども申し上げましたように、できるだけ距離は短くし、そうして支障物の少なくなるようにということで計画をしておる次第でございます。  御指摘地点につきましてはいろいろと調査をしておりますが、調査が完了次第、できるだけ早く現地にも参りまして、よく皆様方の御納得のいくようにお話をし、御協力をちょうだいしたいと、かように存じます。
  66. 小酒井義男

    小酒井義男君 私からも、一点だけ新幹線の関係お尋ねをしておきたいのですが、最初、国鉄の方で、どの辺を通過するかということを予定せられて、その地盤調査などを十分おやりになると思うのですが、地盤調査などを終わって、最終的に、どの地点を通過するかということが決定をするのは、いつごろになるかということと、現在は、どういう作業がやられておる段階であるかということをお尋ねしておきたいと思います。
  67. 大石重成

    説明員(大石重成君) ただいま通過地点の決定をしたと申しますか、こまかくきめました区間が、約全延長五百キロに対しまして百五十キロございます。これは、ほとんどが戦前に用地を買収いたしましたり、ある程度仕事をし、また工事区間が非常に近くて、間が切れておりましてほとんど動きがとれないというような区間がおもでございまして、その延長は百五十キロでございます。残り三百五十キロにつきましては、なるべく早くきめたいというふうに考えていますが、先ほどのお話にもございましたように、いろいろと利害がございますので、あくまで私たちといたしましては、沿線の方々の犠牲が最小であるというような点を正確に調べまして、かつまた、十分御理解のいけます資料をそろえておるというところでございまして、ある部分につきましては、現地におきまして、一本何と申しますか、ためしのくいを打ちませんと、地図だけでは議論ができないというふうな点につきましては、捨てぐいと申しますか、ためしのくいを打ちまして、それから左右打つというようなことの調査をするというような部分もやっておりますが、そういうことで、できるだけ早く、できればこの夏ごろまでには、資料をそろえたいということで全力をあげておる次第でございます。  また地質調査につきましては、相当範囲が広くなりますので、ただいままで、大づかみにきめて参りました線路の左右十キロぐらいの幅に調べなければならぬというような地点もございまして、そういう点につきましては、詳細な地質調査をいたしまして、その資料がそろいました後に、技術的に、最も安全であり、また沿線の方の御被害が一番少ないというような線を選びたいと、かように存じておる次第でございます。
  68. 相澤重明

    相澤重明君 最後のそれでは質問に入りますが、自動車局関係。  時間もだいぶ過ぎておりますから、簡単に申し上げますが、まず第一に、運輸省の自動車局としては、ドライブ自動車のナンバーの色を変えた。黒を白にして、赤字にしたことは非常にわかりよくなったと、こういう評判もあるが、逆に、そういう作業は早いけれども、一般の行政はおそいではないかと、こういうことを言われたことも、自動車局長も御承知だと思うのです。  そこで、今の官公庁の自動車ナンバーというものが、国会を含んでおるように思うのでありますが、国会の衆参両院の自動車ナンバーというものと、一般の官公庁のナンバーというものを区別する意思はないのかどうか、こういう点を一つ局長に聞いてみたいと思うのですが、どうですか。
  69. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) ナンバー・プレートの文字につきましては、私どもとして、一番整理をしやすい記号にのっとっておるわけでございますが、私、今まで官公庁の車の中に国会の車を含め、これを区別するために別の種類にしようということを研究したことございませんので、今後、そういう方面につきましても、検討を加えてみたいと考えております。
  70. 相澤重明

    相澤重明君 それじゃドライブ車の地色、あるいは文字の色を変えるのは、あなたの方で研究をしたのではなくて、陳情か何かあってやったのですか、その点いかがですか。
  71. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) ドライブ・クラブに関しましては、たしか昭和三十年か、三十一年だったと思いますが、自家用の範疇には属するが、一応許可にしようということで、許可制をとりまして参ったわけでございますが、これに関しましては、むしろ相当、既存のタクシー事業者その他から反対がございましたが、ただ、私どもといたしましては、将来、日本が、国際的に、国際観光客等も、入って参る数がふえると思いますし、そういう際に、アメリカその他の国におきましては、いわゆる貸自動車制度というものが非常に発達しておりますので、やほり貸自動車制度というものは、今後発達させていかなければならない事業であると私は考えておるのでありますが、それに伴いまして、ことに、最近外人観光客等もふえて参り、オリンピックにつきましての対策というものも立てていかなければならないと考えておったのでありますが、最初にドライブ・クラブを許可制にいたします場合に、ナンバー・プレートを黒地に——黒の地色に白字で抜いておくという形のものにいたしたわけでありまして、これに関しましては、御承知のように非常に評判が悪くて、葬式ナンバーだとか何とかいうようなことをいわれたわけなんでありますが、その後二年間、推移を見ておりましたわけですが、私といたしましては、このナンバー・プレートの色につきましては、最初から、どうも満足しておらなかったのでありますが、業界からも、陳情は二、三回出ておりました。私は書面で見ました。ただ、私のところへ直接陳情に来た等のことはございませんが、書面の陳情書は出ておりまして見たわけでございます。このナンバー・プレートについては、最初から、どうも不満足でありましたので、見やすい、そして利用者の人たちにも、まず気持のいいナンバー・プレートにしようということで改正を考えたわけでありますが、むしろ、今、種別といたしましては、自家用ナンバーの一種別ということになっております。
  72. 相澤重明

    相澤重明君 それから、ドライブ車の事故件数、あるいは今よくいわれておるところのカミナリ族のオートバイ等の問題については、いずれ道交法や何かでもって、私ども質問しますから、きょうは、これは除いておきますが、私は行政事務についての簡素化、あるいは進度、こういうものについての一つの点として、これは、非常に早くやったのじゃないかと、こういう点を聞いておったわけなんです。    〔委員長退席、理事村上春藏君着席〕  そこで、それがやれるのに、ただ研究をされ、あるいはまた促進をされないというのは、一体どういうことかという点を聞きたかったわけでありますが、国会自動車のナンバーについては、一般官公庁のナンバーと同種を使うということでありますから、この点、一つ検討を私はしてもらいたい、こう申し上げておきます。  それから、次に、最後の質問の駐留軍離職者によるハイヤー、タクシーの問題であります。前回私が資料要求をしてもらいました中で、その後事情がおわかりでございましょうから、一つ説明をいただきたいわけであります。  それは、ハイヤー、タクシー事業申請事案の処理状況の中で、未処理件数は、これは昨年の調査をされて、本年二月十五日現在における未処理件数ですが、仙台が一件、東京が五十二件、名古屋が五件、大阪が二件、福岡一件、計六十一件が、このハイヤー、タクシー関係で未処理になっておる。それからトラック事業関係では札幌が一件、東京が二件、計三件が未処理になっておる。  このいわゆる未処理になっておったものが、どういうふうに作業が進んでおるか、またこれをいつごろ処理をするつもりなのか、このことを二つ、お答えいただきたいと思います。
  73. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) ハイヤー、タクシー事業の申請事案及びトラック事業の申請事案につきましては、できるだけ早く処理をいたしますように促進をはかっておるわけでございますが、東京等の例で申し上げますと、たとえば東京都の特別区におきましては、申請が、個人が六千三百六十四件、法人その他が五百三十五件で、合計六千八百九十九件の申請がございまして、これらを処理しなければならない状況になっておりまして、ただいま先生の御指摘になりましたハイヤー、タクシーの未処理件数の大部分が、東京五十二件となっておりますが、この中で、東京の特別区が三十九件で、その他が、神奈川その他ということになっておるわけでありまして、まず東京に関しましては、ただいま申し上げたような件数でありまして、これを何とか早目に処理いたしたいと考えまして、その促進方策も講じておるのでございますが、これらに関しましては、できるだけ早く全部の聴聞等を四月の末までには終わらしたいと考えておりますので、現在駐留軍関係につきましては、聴聞が全部終わっておりますのですが、ただ、この駐留軍関係の聴聞が終わったからといって実は直ちにその部分についてだけ処分をいたしますことは、他の申請との比較検討も必要な段階になっておりますので、現在のところでは、全部の聴聞終了の際、同時に処理をいたしたいと、こう考えておるわけでございます。  神奈川につきましては、聴聞はすでに、現在神奈川については、駐留軍関係合計十件ございますが、これにつきましては、一件だけ申請者が延期方を申し出まして、まだ聴聞が済んでおりませんものがございますが、その他は、全部聴聞を終了いたしております。  法人その他につきましては、昭和三十四年九月の申請以降のものにつきましては、まだ聴聞を終了いたしておりませんが、駐留軍労務者の関係につきましては、聴聞を早目にいたしまして、これらにつきましては、随時免許もいたして参りまして、現在、神奈川県が七件の駐留軍関係の免許をいたしておるわけでございますが、神奈川につきましても、このような状態で、今後残っておりますもの等につきましても、今の、免許却下をいたしておらないものにつきましても、促進をはかるべく、東京陸運局には連絡をいたしておるのでありますが、東京陸運局といたしましては、東京のこの圧倒的な数字の多い申請その他とも関連を持たせながら処理をしていかなければなりませんので、要するに事務が、先ほど先生からおっしゃいましたが、どうもおくれがちであるという形になっておりまして、これらの点に関しましては、できるだけ早く促進するようにはかっております。  その他の点につきましては、名古屋等は五件、ハイヤー、タクシーについてございますが、これはやはり、三月の上旬には聴聞が終了すると思われますので、その後に全体とし、この検討をいたします際に、駐留軍関係も処理をはかっていきたい。その他に関しましてはできるだけ促進をはかるというつもりで、現在仕事を進めておる状況でございまして、要するに一番問題の東京陸運局管内に関しましては、何しろ非常に申請の数字が多いということで、われわれとしては、実際その処理にあっぷあっぷしておる状態でありまして、その点、何とか御了承を願いたいと思います。
  74. 相澤重明

    相澤重明君 御了承願いたいということでありますが、なかなか了承できないところが問題なんです。  それは、この駐留軍離職者によるタクシー事業あるいはトラック事業の申請というのは、閣議でも、駐留軍の離職者を何とか早く救済をしたいと、こういうところに主眼があるのです。しかし、たまたま楢橋運輸大臣の、業界に新風を吹き込むということで、個人タクシーが出てきたために、六千三百六十四件もという大きな数字になってきたのですから、私は少なくとも、現在聴聞が終了をしておるものは、一般の業界のこともさることながら、やはりこれは早急に免許をすべきである、こういうことは政府がきめた方針を実現をすることに私はなると思う。そうでないというと、やはりドライブ車のことを、るる申し上げたけれども、そういうことは、きわめて円滑に促進をされるけれども、一般行政事務というものは渋滞をするじゃないか、こういう点のそしりは私は免れないと思う。  ですから、ここで東京陸運局が、確かに一番、五十二件もの多い未処理を持っておるわけでありますが、少なくとも聴聞が終わったというものについては、審査を促進され認可をすべきだ、特に昨年末までに終わったものについては、これはその四月末までに一般の聴聞が終わってから、それから答えを出すんだというようなことになっては、もう長い間、三年も四年もかかった離職者が苦労しながら今生活をしておることが、全く気の毒にたえないわけです。こういう点について十二月までに終わったものをまず第一段階としてこの際やっておく必要があるのじゃないか、そういうふうに思うのだが、それをどういうふうに考えるか。  それから本年に入ってからの聴聞についても、駐留軍離職者の問題については、四月一ぱいのと同じと、こういう考え方ではなしに、一般のも、ほぼ見当がつくのでありますから、いつも重盛委員も言うように、全体のにらみという中からも、駐留軍離職者の問題が出てくるわけですから、そういう問題について、早急に答えを出す意思があるかどうか、こういう点を、いま一度お答えを願いたいと思います。  それから、神奈川の問題についてお話がございましたが、聴聞が十件のうち、一件だけは延期されたけれどもあとは全部終了した、こういうことでありますが、神奈川の場合、一般のはすでに、駐留軍離職者の申請をされておるときに、鎌倉で現に、大船で認可をされておるものがあります。駐留軍離職者のわずか三台かそこらの申請で、とにかく辛うじて生活をしていこうという素朴な気持に立ってやっておるにもかかわらず、そっちのけにしておいて、いろいろ書類の、もちろん私もいろいろとお話をしまして、不備な点は直さした点もあると思うのですが、しかし、もう三年も一生懸命やっておるのに、その方は、そっちのけにしておいて、一般の方を認可してしまって、業界の諸君は何といっておるかというと、もう運輸省が、一般のを認可したから、駐留軍のは、もう認可しないのだ、こういう、ふざけたことを言っているわけです。こういうことを、業界の諸君にのさばらせて、言わせるところに、運輸省自動車行政に問題点があるわけです。そういう点についてすみやかに聴聞も終わっておるし、何回もやっておるわけだから、はっきりしておるのだから、認可を出す方針が出ないのかどうか。これは一つの例です。  そういう点で、特に神奈川の場合は、ワクというものは現在ないわけですね。従って現在の立場から言えば、早急に、他の一般のものが認可をされておる事情から考えれば、これは認可をしても差しつかえないものであると、私はそう判断をするわけです。  そういう面について局長としては全体をにらんでおりますけれども、どういうふうに考えておるか、一つ答弁をいただきたいと思うのです。
  75. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) まず東京の分につきまして申し上げますが、東京の関係につきましては、駐留軍の離職者の結成しました団体といたしまして、同盟交通を、昨年の暮に一社免許したのでございますが、これらに関しましては、聴聞及び現地調査を終了いたしました。駐留軍関係については終了いたしました上で処理をいたしたわけであります。そうしまして、単にその際には一社だけ免許しようとかいうような方針を立てたわけではございませんで、駐留軍関係四十社ありますうちで、相当高いレベルにありますものについては、相当数免許していいではないかという実は考えのもとに、審査をいたしたわけでございますが、最初に、特に一般の免許却下をきめますより先に免許をいたしますものといたしましては、どうも、こういう点に幾らか欠陥があるのじゃないかとか、あるいはこの際、免許という線で決定をするには不十分ではないかかというような観点がございまして、ついに一社ということに落ちついたのでありまして、これは、実は最初から一社のみに限定して審査にかかったのではないことを御了承願いたいのでございますが、その半面、従いまして、その他の、同盟交通以外のものにつきましては、早急にやることについて、幾らかもっと検討をすべき点が、われわれとしてはあったということでございますので、実は処理がおくれまして、一般の審査の状況も、現在検討をしておるという状況でございます。まあこういう処理につきましては、先生のおっしゃいますように、もう三年も、駐留軍関係を離職して職を求めておる人たちもおる。そのことは、十分にわれわれとしてもわかっておりますし、考えておるのでありますが、やはり、免許をいたしますには、道路運送法の免許基準にも当てはめて見、さらにそういう審査の過程におきましては、やはり一般のものの申請傾向というようなものも見なければなりませんので、現在それらのものとのにらみ合わせをしておるという状況であります。  ことに先ほどから申し上げておりますように、これらのものを、できるだけ早急に処理をいたしたいというのが念願であります。その処理のために、今また、東京陸運局では一生懸命やっておりますので、これらの中間におきまして、さらにいろいろな措置をいたしますことが、やはりその全体的な処理というものを、またおくらせる可能性を含んでおりますので、むしろただいまのところ、われわれといたしましては、全体をできるだけ早く処理をするために努力しようということで、東京陸運局も、その方向に努力をいたしておりますので、目下のところ駐留軍関係、東京では一件だけということになっておる次第でございます。それから神奈川につきましては、仰せのごとくにワクもございませんし、随時審査をいたしまして免許いたしておるのでございますが、これらにつきましても、やはりある程度、申請の順序に従いまして、駐留軍関係は駐留軍関係としての申請の順序、一般は一般としての申請の順序に従いまして、免許をきめておりますので、まあそれらについて、一般免許が駐留軍関係の間に入ったと申しますか、一般免許もなされたということもあり得たのでございますが、そのために駐留軍関係は、もう今後免許がないのだというようなことはないのでありまして、それらの点に関しましては、東京陸運局として聴聞をし、現地調査をいたしました結果に基づきまして、できるだけ早く処理を進めていきたいというつもりでおります。  まあ私の方からも、そういう方向で指導をしておる次第でございまして、要するに東京陸運局は、非常に多くの事案をかかえておりますので、それをできるだけ早く処理させ得るような態勢を私どもとしても作って、援助していきたいと考えておる次第であります。そのためには、この際ある程度、もうそう長いことではありませんので、ごしんぼう願って極力全体の推進をはかっていきたい、こう考えておる次第でございます。
  76. 相澤重明

    相澤重明君 今の局長の答弁も、政治的な立場で私はわからぬことはないわけです。しかし現実には、聴聞が終了してから四カ月も五カ月も、あなた放置されてごらんなさい、どんな気持になるか。そういう点を考え、しかも内閣においても、特に駐留軍の離職者については、優先取り扱いをするということをきめているわけですから、やはりその精神だけは生かしていくということに、最大の努力を私は払ってもらいたいと思う。東京の場合も、そうすれば、いろいろ事情があっても、その後直っているところが、かなり私はあると思う。そういう点で、東京の場合も一つ促進をしてもらいたい。  それから神奈川の問題については、もうこれは論外だと私は思うのですよ。すでに終了をし、しかも駐留軍でも、大体自分たちの範囲というものも、お互いに相談をし合って、そして現在出ている五件以外は、あとはもうあまり出さぬということになっておるわけですね。そういうことも知りながら、しかも一般のというようなことでは、これは納得できないのですよ。ですから業界の方が、一方確かに基準に合ったからということで認可、許可をされたということになるというと、いつも私が言うように、業界の圧力というものは、その行政の中に入ってくるのじゃないか。こういう心配を一般の人たちが持つわけです。  私どもは、きわめて公正に運輸省はやっているし、それからまた駐留軍離職者のものについては、積極的にこの作業を進めている。こういう点を、今までも信じ、またそのように鞭撻をしてきたわけです。    〔理事村上春藏君退席、委員長着席〕 そういうことからいけば、横浜のような場合にワクのないところで、しかもすでに終っているところは、直ちに審査をして、そして認可を与えるべきである、こういうふうに思うわけです。先ほど鎌倉の例を一つ取り上げたのですが、中には業界の連中は、そういうふうに、もううちの方は認可になったから、絶対に駐留軍の方はさせないのだ、しかも理屈をつけて、鎌倉市と横浜市の境であるとかないとか、こういうくだらぬことまで言って、いろいろ放送しているということは、まことにけしからぬと思う。ですから、そういうようなことは実際なく、運輸省は、公正妥当にこの事案を処理をしておる。こういうことをするためにも、私は直ちに作業を進めて認可をすべきである。こういう点を強く要望しておきたいと思う。  それで局長の再度御答弁を願って、私の質問を終わりたいと思うのですが、いかがですか。
  77. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 私どもとしては、仰せのごとくに免許の審査につきましては、公正妥当な処理をするように、これはもう本省、陸運局、陸運事務所を通じて考えておりますので、その方向で処理をしていきたいと思いますし、処理につきましては、できるだけ迅速に処理をいたしていきたい、こう考えております。
  78. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) それでは、本日は、これにて散会いたします。    午後二時二分散会    —————・—————