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1960-02-11 第34回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十一日(木曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   委員の異動 十二月二十九日委員藤田進辞任につ き、その補欠として山口重彦君を議長 において指名した。 一月三十日委員山口重彦辞任につ き、その補欠として中村正雄君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平島 敏夫君    理事            天埜 良吉君            江藤  智君            村上 春藏君            小酒井義男君    委員            鳥畠徳次郎君            三木與吉郎君            相澤 重明君            大倉 精一君            重盛 壽治君            松浦 清一君            白大義一郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 楢橋  渡君   政府委員    運輸政務次官  前田  郁君    運輸大臣官房会    計課長     向井 重郷君    運輸省海運局長 朝田 静夫君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君    捕獲審検審査  委員会事務局長  今井田研二郎君    気象庁長官   和達 清夫君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      吾孫子 豊君    日本国有鉄道常    務理事     中村  卓君    日本国有鉄道常    務理事     兼松  学君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○小委員会設置の件 ○南大東島における高層気象観測に必  要な物品譲与に関する法律内閣  送付予備審査) ○国内旅客船公団法の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○捕獲審検所検定の再審査に関する  法律の一部を改正する法律案内閣  送付予備審査) ○運輸事情等に関する調査  (昭和三十五年度運輸省及び日本国  有鉄道関係予算に関する件)  (日本国有鉄道運営に関する件)  (自動車行政に関する件)   —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、委員変更について御報告いたします。  昨年十二月二十九日、藤田進君が辞任され、山口重彦君が選任されました。また一月三十日、山口重彦君が辞任され、中村正雄君が選任されました。   —————————————
  3. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、理事辞任についてお諮りいたします。  理事相澤重明君から、都合により理事辞任いたしたい旨のお申し出がございました。この際、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、これより欠員となりました理事互選を行ないます。互選は先例により、委員長において指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、理事小酒井義男君を指名いたします。   —————————————
  6. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、小委員会設置についてお諮りいたします。  今国会においても、最近の一般交通運輸の問題を調査するために、前国会と同様の構成をもって、交通秩序と安全に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  7. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  つきましては、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  8. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  9. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、去る二月一日、予備審査のため送付され、本委員会に付託されております南大東島における高層気象観測に必要な物品譲与に関する法律案国内旅客船公団法の一部を改正する法律案及び捕獲審検所検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案、以上、三案を一括して議題といたします。  これより順次提案理由説明を願います。
  10. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 南大東島における高層気象観測に必要な物品譲与に関する法律案提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように、わが国は、台風その他の自然現象による災害によって年年多くの人命、財産損失をこうむっております。これらの災害の予防、軽減に資するためには、気象観測整備をはかり、かつ、予報業務強化して、的確な気象予報を行なうことが必要でありまして、政府といたしましても、これら気象業務の円滑な運営こ鋭意努力を重ねて参っている次第であります。  中でも、高層気象観測は、一般気象予報はもちろん、台風予報につきましては重要な資料を提供するものであります。この点にかんがみまして、かねてから高層気象観測網整備をはかって参り、本邦内においては、ほぼ理想に近い体制が整ったわけでありますが、南方海域における観測網はきわめて粗でありまして、気象予報精度向上に大きな支障を来たしている現状であります。  南大東島は、沖縄本島より東方海上約三百キロの地点にありまして、年々わが国に来襲する台風の多くはこの南大東島附近を通過し、この附近またはその北方海域進行方向を転向し北上する経路を示しておるのであります。台風予報におきましては、この転向点転向方向とを予想することが重要でありまして、この意味において、南大東島における高層気象観測の開始は、台風予報にとって重要な役割を果たすものと期待されるものであります。さらにまた、春、秋の季節に日本天気変化の主原因をたす南シナ海南部に発生する低気圧の消長やその進行の予想にも、南大東島における高層気象観測資料の価値は大きいのであります。  よって政府は、この重要性にかんがみ、気象庁琉球政府工務交通局との協力業務として、南大東島における高層気象観測実施し、その観測資料を入手し得るよう計画し、必要な経費昭和三十五年度予算として計上いたしている次第であります。  しかして、南大東島における高層気象観測資料本邦観測資料と統一して利用するためには、本邦における高層気象観測同一様式観測器械を使用し、かつ、同一観測方式実施されることが必要でありますが、琉球においては、高層気象観測につきましてはいまだ開発されていないのであります。従いまして、南大東島において高層気象観測を行なう気象機関に対して、その観測に必要な物品譲与することができる権能を政府が持ち、これに基づいて譲与に関し必要な事項琉球側と協定して実施するため、財政法第九条の規定特別立法の措置を講ずる必要があるのであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。  次に、国内旅客船公団法の一部を改正する法律案提案理由説明を申し上げます。  ただいま議題となりました国内旅客船公団法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  国内旅客船公団は、資金調達困難な海上旅客運送事業者等に協力して、民生の安定に必要な航路旅客船建改造いたしますために、昨年六月、資本金二億円全額政府出資特殊法人として設立され、初年度として本年度は、資金運用部資金からの借入金三億円と合わせ、五億円をもちまして、三十四隻、三千二百総トン国内旅客船建改造いたすことになっておりますが、来年度におきましては、さらに老齢船の淘汰を促進して、海上交通の安全に寄与するため、約五十隻、四千六百総トン程度代替建造及び改造予定いたしており、その所要資金七億円については、五億円を資金運用部資金よりの借り入れに仰ぎ、残り二億円は、公団業務運営の円滑を期するため資本金増額をもって充てることとし、現在の資本金二億円を四億円に増額することにいたしたのであります。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。  次に、捕獲審検所検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案提案理由説明を申し上げます。  捕獲審検所検定の再審査に関する法律は、日本国が、日本国との平和条約第十七条に規定する義務を履行するため、連合国要請がありました場合に、旧捕獲審検所検定いたしました事件連合国人所有権に関係あるものを、国際法に従って再審査することを目的とする法律であります。  捕獲審検の再審査要請について、平和条約におきましては期限が定められておりませんが、事柄の性質上、平和条約の効力が発生いたしました後、比較的短期間に連合国要請が出尽くすものと予想せられ、平和条約実施のための国内法であるこの法律存続期間は、当初三年と定められておりましたところ、各連合国平和条約の批准の状況及び再審査要請に関する状況にかんがみまして、その後五回の改正が行なわれまして、現在八年と定められ、すなわち、昭和三十五年四月二十七日限り失効することとなっております。  現在、再審査ギリシャ国からの要請にかかる捕獲事件について行なわれており、その審理になお若干の時日を要する見込みでありますところ、他方、一、二の連合国政府との間に、捕獲船舶について補償請求事件が目下懸案となっており、近くこれらの事件についての再審査要請のあることも予想される現状にありますので、本法の存続期間をなお一年延長する必要があります。  次に、この法律の第十七条では、連合国財産補償法第十五条第一項の補償請求期限に関する規定の読みかえを行なっております。しかるに同法第十五条第一項の規定はすでに改められておりますにもかかわらず、この法律ではいまだその改正に伴なう読みかえ規定整備が行なわれておりませんので、その整備を行なっておくことが必要であります。  これがこの法律案を提案いたしました理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
  11. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 以上の説明を聴取いたしました。各案に対する質疑は後日行なうことにいたします。   —————————————
  12. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、昭和三十五年度運輸省及び日本国有鉄道関係予算に関する件を議題といたします。  まず、御説明を願います。
  13. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 昭和三十五年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  初めに、今回の予算規模につきまして申し上げたいと存じます。  まず、一般会計予算について申し上げますと、歳入予算総額は十六億六千四百八十六万五千円、歳出予算総額は四百五十二億五千八百八十五万九千円であります。今、三十五年度歳出予算総額を前年度に比較いたしますと、八十四億三千百三十二万三千円の増額であり、二三%という顕著な増加率を示しております。さらに、政府全体の歳出予算規模中における当省関係予算の比重を見ますと、三十五年度は二・九%を占め、前年度に比較して〇・四%の増加を示しており、わが国財政中における当省関係予算の占めます地位が漸次向上しつつあることを示すものと存じます。  歳出予算増加額の内訳を申しますと、行政部費系統におきまして二十九億九千八百六十九万六千円の増額であり、公共事業費系統におきまして五十四億三千二百六十二万七千円の増額となっておりますが、このうちには、両系統を通じ定員二百八十一人の純増が含まれております。なお、今申し上げました歳出予算のうちには、北海道港湾事業費等他省所管予算四十九億四千五百九十五万一千円が含まれております。  次に、特別会計予算について申し上げますと、木船再保険特別会計歳入歳出予定額は前年度より若干増額されて二億八千二百七万三千円となり、自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予定額は、付保自動車両数の増加保険料率の改訂に対応し、定員十二人の増加分を含め、前年度に対して約十億円が増額された結果、四十億三千四百五十九万二千円となり、また、三十四年度より設置された特定港湾施設工事特別会計歳入歳出予定額は、事業量増大に伴い、定員七十四人の増加分を含め、前年度に対して約十七億円が増額された結果、九十五億九百七十万一千円となっております。なお、このほか、三十五年度財政融資計画中には、運輸省関係分として約二百二十五億円が予定されております。  以上をもちまして、予算規模についての御説明を終わり、次に、三十五年度の運輸省関係予算重点事項についての御説明に移りたいと存じます。  御承知通り、三十五年度における経済運営基本的態度といたしましては、高水準に達した三十四年度経済のあとを受け、世界経済の動向に即しながら、さらに着実な安定成長の実現をはかりますことを目標とし、経済体質改善施策重点を指向し、日本経済長期的発展基盤の充実に努めることにいたしております。  当省におきましても、この趣旨に従い、経済発展については輸送力がむしろ先駆となるべきものと判断し、港湾等交通基礎施設整備を推進することによりまして、産業基盤強化するとともに、国土保全対策一環となし、また、海運航空及び観光による貿易外輸出振興をはかることによりまして、国際収支改善に資する所存であります。  以上の趣旨によりまして、今回の予算におきましては、経済発展に先行する輸送力整備増強国際収支改善に寄与する貿易外輸出振興国民福祉向上のための交通安全の確保災害防除及び海上治安確保並びに運輸関係科学技術振興等の諸施策重点を置き、これらを積極的に推進することにいたしております。  以下、重点施策別に要旨を御説明したいと存じます。  まず、輸送力増強に必要な経費についてでありますが、その歳出予算総額は二百十二億九千七百二十万一千円であり、このほかに財政融資として六十億円を予定しております。  このうちおもな事項といたしましては、第一に、特定港湾施設工事特別会計による港湾整備に必要な経費として、一般会計よりの繰入金を四十二億二千百七十万円計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、十二億二千七百九十万円の増額となっております。本特別会計事業としましては、歳入歳出予定額九十五億九百七十万一千円の規模をもちまして、輸出港湾として横浜港外五港及び一航路石油港湾として千葉港外一港、鉄鋼港湾として室蘭港外九港、石炭港湾として苫小牧港外八港について、港湾施設緊急整備を行ないますとともに、伊勢湾台風の被害にかんがみ、名古屋港外一港について伊勢湾高潮対策事業を行なう予定であります。  第二に、一般会計による港湾整備に必要な経費として百六十三億一千七十七万三千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと三十八億一千二百六十五万四千円の増額となっております。これによりまして、三十五年度は、前年度に引き続き特定重要港湾等主要港湾整備を強力に推進いたしますが、これとともに、今回は特に国土保全対策一環として海岸保全対策伊勢湾高潮対策地盤沈下対策災害復旧対策等の諸事業を飛躍的に強化するために必要な経費として六十億四千六十万円を予定しております。  以上申し上げました通り、三十五年度における港湾関係予算は、一般会計特別会計とを通じ国庫負担として、前年度に比較して五十億四千五十五万四千円の純増予定しておりますので、これによる事業量の急速な増加に対処するとともに、台風防災体制整備しますため、本省に防災課臨時港湾調査設計室とを新設することにいたしております。  第三に、国内旅客船公団強化に必要な経費として、大蔵省所管産業投資特別会計中に二億円を計上するとともに、資金運用部資金よりの融資五億円を予定しております。これにより、三十四年度に新設された公団業務運営円滑化をはかり、三十五年度は約五十隻、四千六百総トン程度建改造を進める予定であります。  第四に、国内空港整備に必要な経費として五億二千五百万円を計上しておりますが、これを前年度に比較すると八千三百六十七万五千円の増額となっております。これによりまして、既定空港としては広島空港外空港整備を続行しますとともに、新規空港としては名古屋外空港整備に着手し、また、新潟外空港災害復旧を行なう予定であります。  次に、貿易外輸出振興に必要な経費についてでありますが、その歳出予算総額は三十八億三千三百九十七万四千円であり、このほかに財政融資として約百六十五億円を予定しております。  このうち、おもな事項といたしましては、第五に、外航船舶建造及び主機換装に必要な資金として、開発銀行よりの融資百四十五億円を予定しております。これによりまして、三十五年度においては特に海運企業基盤強化に留意しつつ、拡大するわが国貿易規模に即応した外航船腹整備をはかる予定であります。  第六に、外航船舶建造融資利子補給に必要な経費として九億五千四百二十七万円を計上しております。本制度は二十八年に制定された外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法に基づくものでありますが、三十二年度からは諸般の事情により実施を停止して参ったものであります。本制度は、外航船舶建造資金を融通する市中金融機関に対する利子補給を行なうことによりまして、海運企業金利負担を軽減し、海運企業基盤強化しますとともに、これに国際競争力を賦与しようとするものでありますが、今回は企業合理化を前提としてこれを支給する予定であります。なお、契約限度額としては二十七億四千百四十八万五千円を計上しております。  第七に、三国間輸送拡充に必要な経費として、三国間輸送助成金に六億九千万円、船員海外厚生施設整備費補助金に一千万円、計七億円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、二億円の増額となっております。これによりまして、前年度に引き続き三国間輸送を促進し、国際収支改善をはかるとともに、近海における過当競争の排除にも資したいと存じます。  第八に、移住船運航費補助に必要な経費として七千七百八十一万六千円を計上しております。前年度においては外務省所管に計上したのでありますが、今回これを千五百二十五万六千円増額し、運輸省所管運航補助に切りかえたものであります。  題九に、国際航空事業に対する出資として、大蔵省所管産業投資特別会計中に五億円を計上しております。日本航空株式会社は三十五年度以降、新規路線の開拓及び既設路線ジェット機化等の推進により、国際競争力強化を企図しておりますが、このためのジェット機追加購入等に対し三十五年度に必要な資金の一部に充当させるため、前年度と同額の政府出資を行なうものであります。なお、これとともに、同社の発行する社債については、二十億円を限度として債務保証を行なうことにしております。  第十に、国際空港整備に必要な経費として十三億一千九百万円を計上しておりますが、これを前年度に比較すると二億九千八百二十万七千円の増額となっております。このうち東京国際空港につきましては、十一億一千九百万円を計上しており、三十五年度においては滑走路新設等に着手し、航空交通量増大大型ジェット化への移行趨勢に対処する予定であります。また、大阪国際空港につきましては二億円を計上しており、三十五年度においては滑走路新設に着手し、東南アジア方面べの国際航空路線空港として整備しようとするものであります。  第十一に、日本観光協会補助に必要な経費として二億一千三百四十万円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、千三百四十万円の増額となっております。  これによりまして、三十四年に特殊法人に切りかえられた日本観光協会海外観光宣伝活動整備充実いたし、三十五年度においては、シカゴに海外事務所新設しますとともに、海外宣伝資料作製費増額し、海外観光客積極的誘致を推進する所存であります。  第十二に、ユースホステル整備に必要な経費として、地方公共団体ユースホステル整備費補助金に四千七百五十万円、新規国立ユースホステルセンター建設費に二千万円、計六千七百五十万円を計上しております。これによりまして、地方公共団体設置するユースホステルを前年度に引き続き整備しますとともに、国内及び国際ユースホステル大会の開催、内外青少年交歓等の場とするため、新規国立ユースホステルセンターを大津市に建設する予定であります。  次に、交通安全の確保災害防除及び海上治安確保に必要な経費についてでありますが、その歳出予算総額は二十六億三千七百六十三万二千円であります。なお、この金額には、さきに申し上げた国土保全対策一環としての港湾における災害防除関係経費は含まれておりません。このうち、おもな事項といたしましては、第十三に、航路標識整備に必要な経費として六億五千万円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、一億四千万円の増額となっております。これによりまして、三十五年度は前年度に引き続き、航路標識の新営を改良改修との両面において、その整備を促進する予定であります。  第十四に、海上警備救難体制整備に必要な経費として四億九千八百三十七万七千円を計上しておりますが、これを前年度に比較すると一億六千二十四万五千円の増額となっております。これによりまして、三十五年度は老朽巡視船艇を三隻代替建造しますとともに、警備救難用航空機を一機追加し、また、老朽通信施設改良改修を続行する予定であります。  第十五に、自動車輸送秩序確立及び事故防止に必要な経費として二億三千三百八十六万三千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、三千九百二十九万七千円の増額となっております。これによりまして、激増の一途をたどる自動車両数に対応し、検査登録要員確保をはかりますとともに、東京外一カ所に車両検査場新設する等、車両検査場施設増強によりまして検査登録機能強化をはかる予定であります。また、これとともに、街頭監査及び既存事業者監査強化することによりまして、違法行為の絶滅を期し、自動車輸送秩序確立に努める所存であります。  第十六に、航空交通管制業務及び航空保安施設整備に必要な経費として、二億八千七百五十一万八千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、一億三千四百二万二千円の増額となっております。これによりまして、三十四年度に日本側に移管された航空交通管制業務について自主的運営体制確立しますとともに、ジェット機時代への移行趨勢に対処して高々度管制用無線施設整備し、また航空保安施設飛行検査を自主的に実施するため、検査用航空機を一機購入する予定であります。  第十七に、基礎的気象業務整備に必要な経費として、四億五千九百七万円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと一億二千五百四万二千円の増額となっております。これによりまして、三十五年度は前年度に引き続き無線模写放送を初めとする気象通信整備拡充を行なうことによって、予報精度向上をはかりますとともに、名古屋気象用レーダー新設気象庁本庁舎の新営続行等により基礎的気象業務体制整備を促進する予定であります。なお、これとともに、気象業務国際性にかんがみまして、東京ホノルル間等国際通信施設整備し、気象資料国際交換体制をも整備する予定であります。  第十八に、防災気象業務整備に必要な経費として三億五千四十五万一千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと三千九百六十二万円の増額となっております。これによりまして、前年度に引き続き水理水害関係の気象業務整備しますとともに、空港整備の進捗状況に対応して航空気象業務整備し、また、前年度より着手した農業気象業務につきましては、前年度に比較して二千九百三十二万九千円を増額し、福島県の残部及び山形県の一部に対し新規実施する予定であります。なお、これとともに、伊勢湾台風の経験にかんがみまして、新規に防災気象官制度設置し、防災気象業務の指導を強化する予定であります。  最後に、運輸関係科学技術振興に必要な経費についてでありますが、その歳出予算総額は三億六千四百四十七万三千円であります。  このうちおもな事項といたしましては、第十九に、原子力船の開発及び原子力の平和利用に必要な経費として八千八百九十四万円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、二千四百二十五万二千円の増額となっております。本予算のほとんどは一応総理府所管となっおりますが、これにより三十五年度は、世界の動向に対応して、原子力船の開発に関する研究、原子力の平和利用に関する研究並びに放射能汚染の実態調査を促進する予定であります。  第二十に、運輸機関の高速化及び近代化に関する研究に必要な経費として、科学技術試験研究補助金が四千五百七十八万九千円、運輸技術研究所、その他直轄研究機関の経費が二億二千九百七十四万四千円、計、二億七千五百五十三万三千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと六千三百五十三万五千円の増額となっております。これによりまして、三十五年度は運輸技術研究所、気象研究所及び海上保安庁水路部の研究業務を拡充強化しますとともに、研究補助金を適切に運用することによりまして、増大する事故防止をも考慮しつつ、運輸機関の高速化及び近代化の要請に対処する所存であります。  なお、これとともに、台風防災関係の研究体制強化するため、気象研究所に台風研究部を新設する予定であります。  以上をもちまして昭和三十五年度の運輸省関係予算についての御説明を終わりますが、何とぞ十分に御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。  昭和三十五年度日本国有鉄道予算の概要につきまして御説明申し上げます。  三十五年度の予算の編成にあたりまして、三一十五年度は三十四年度の経済情勢の好況が引き続き持続するものと考えて収入支出予算を組みました。また、三十四年度に引き続き老朽施設取りかえ、輸送力増強及び近代化を主目標とする国鉄五カ年計画の第四年度として、この計画の達成に支障を来たさないように配慮したほか、東海道幹線増設工事の促進を考えて策定いたしました。  以下、収入支出予算につきまして、損益、資本及び工事の各勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定について申し上げます。収入においては、鉄道旅客輸送人員は、対前年度四、二%増で四十九億四千万人、輸送人キロは一千百五十五億人キロとして旅客収入二千三十二億円を見込み、また、鉄道貨物輸送トン数は、対前年度六%増で一億八千六百万トン、輸送トンキロは五百十二億トンキロとして貨物収入一千六百十九億円を見込んでおります。これらの旅客、貨物輸送に要します列車キロは、四億六千百万キロで、対前年度三、五%増となっております。以上の旅客、貨物収入のほか、雑収入等を含めまして、収收入合計は三千八百一億円となっております。  次に、経営費について見ますと、人件費につきましては三十四年三月の仲裁裁定実施による増額のほか、三十五年度の昇給と期末奨励手当、合計二、七五カ月分を見込みまして、給与の総額は一千三百九十四億円といたしております。また、物件費につきましては、節約に特段の努力を払うことにいたしておりますが、おもなものといたしましては、動力費四百十五億円、修繕費五百四十一億円を見込んでおります。これらを合わせまして、経営費の総額は二千八百八十九億円となっております。  以上の経営費のほかに、受託工事費四十億円、資本勘定への繰り入れ五百九十九億円、利子及び債務取り扱い諸費二百二十三億円、予備費五十億円を合わせまして、損益勘定の支出合計は三千八百一億円となっております。  次に、資本勘定について申し上げます。  収入といたしましては、先ほど申し上げました損益勘定から受け入れます五百九十九億円のほか、不用施設等の売却による八億円、鉄道債券五百二十五億円、資金運用部等からの借入金二百九十七億円、合計一千四百二十九億円を計上いたしております。  他方、支出といたしましては、このうち一千二百五十二億円を工事勘定に繰り入れ、借入金等の償還百七十二億円、帝都高速度交通営団等への出資五億円を予定しております。  最後に、工事勘定について申し上げます。  三十五年度は五カ年計画の第四年度に当たりますので、五カ年計画中で工事のおくれております幹線輸送対策と車両増備に重点を置きました。また東海道幹線増設工事については、全線にわたっての着工を予定いたしました。  以下、工事勘定の内容について御説明申し上げます。  まず、新線建設につきましては、前年度と同じく九十五億円を計上いたしております。  東海道幹線増設費は、前年度より百七十七億円を増額いたしまして二百七億円を計上し、幹線増設工事の促進をはかり、東海道線の輸送の行き詰まりを早期に解消いたしたい考えであります。  通勤輸送対策といたしましては、前年度に引き続き東京付近三十四億円、大阪付近二十三億円、電車増備百両二十一億円、計七十八億円を計上いたしております。  幹線輸送対策といたしましては、北海道、東北・常磐線、裏縦貫、北陸線、東海道・山陽線、九州、その他で百七十七億円を計上いたしております。  幹線電化につきましては、現在工事中の東北本線、常磐線、山陽本線、宇野線、北陸本線及び鹿児島本線の電化のための工事費六十八億円のほか、これに伴う電気機関車十二両、電車四十三両、計十五億円を合わせまして、合計八十三億円を計上いたしております。  以上のほか、貨車三千五百両等の車両増備、諸施設の取りかえ工事、総経費等を含めまして、支出合計は一千二百五十二億円となっておりまして、これらに要します財源といたしましては、資本勘定から受け入れます一千二百五十二億円を充てることにいたしております。  以上御説明申し上げました日本国有鉄道予算は、今後の経済界の動向にもよりますが、これに予定されました収入をあげ、予定の工事計画を完遂するためには格段の努力が必要であろうと考えられますので、公共企業体としていま一そうの経営合理化をはかり、もって日本経済の発展に資するように指導監督して参りたい考えであります。  以上、昭和三十五年度日本国有鉄道予算につきまして御説明申し上げましたが、何とぞ御協力をお願い申し上げます。  ただいま予算について申し上げましたので、この際に、運輸大臣といたしまして、運輸行政に関する所信の一端を申し上げまして、皆様の御協力をお願い申し上げたいと思うのであります。  まず第一に、本委員会の皆さんに本年になりましてまだ初めてごあいさつを申し上げますので、本年も一つよろしく御指導、御鞭撻を冒頭にお願い申し上げる次第であります。  本年は黄金の年といわれ、アメリカも非常な好景気の段階にあるのでありますが、わが国におきましても、今日の経済的な見通しといたしましては、六・二%ぐらい三十五年度は増を見ておるのであります。しかし経済の発展の拡大のために一番大事なものは、申し上げるまでもなく、やはり輸送関係でありまして、かつて神武景気時代に輸送が行き詰まったために大きな隘路となって世間の批判を受けたことは、皆さんも御存じの通りであります。従って、私が運輸大臣になりましてから常に提唱をいたしておりますことは、運輸行政は経済発展の大動脈であり、かつまた、あらゆる経済に先駆していかなければならぬという建前をとって今日まで努力して参ったのであります。今回の予算等におきましても、皆様方の非常な強力な御支持等を得まして、ただいま御報告申し上げましたように、国家の財政上一つの制約がありますのですけれども、三二%増しというような画期的な予算を運輸行政にとることができましたことは、私らがかねて運輸行政の重要性を強調している建前からいたしまして、まことに皆様方に対しましても感謝を申し上げ、かつまた責任の重大さを実は感ずるのであります。従いまして、運輸行政のやはり一番大きな問題は、ただいま予算等において説明を申し上げましたように、第一にやはり港湾である、あるいは鉄道あるいは自動車、また非常な重要なものでは気象、こういうような点につきまして、今回の予算には一つの特徴を非常に見たのであります。  第一に私が申し上げたいことは海運の問題でありますが、海運の問題は、さいぜん予算のときに御説明申し上げましたように、利子補給の問題がここに新しく今回取り上げられたのであります。利子補給の問題はかねて皆様方からも御指摘を受けておりましたが、日本海運国際競争力強化して、国際収支改善をはかるということは絶対的、民族的条件であると思うのでありまして、この利子補給については各国が非常に大きな助成政策をやっておりまして、アメリカのごときもほとんど船の価格の半分は国家がこれを補助する、また残りの四分の三は国家が一分五厘で二十カ年の金利でやるというような手厚い保護を与えておる。ドイツも千三百億近くの無利子の金を海運界に投入して同じく利子補給をするということをやっております。英国も戦時補償等を払っておりまして、手厚い保護をやっているのは皆様の御存じの通りであります。こういうふうに国際的に強力なる補助を与えておりまする海運について、わが国は戦時補償を払っておらぬ。金利も市中銀行の九分五厘、開発銀行は六分五厘という金利で、国際競争になかなか勝てといっても勝てるものではない。従って私は強く大蔵当局並びに総理に主張したことは、日本政府並びに岸内閣というものは、一体海運の保護政策というものをとるのかとらないのかという問題でいろいろ折衝いたしまして、最後の段階に、ただいま御報告申し上げましたような利子補給の道が開けたのであります。もちろんこれは私といたしましては十分とは言えません。私は六十億近くのものを実は要求しておったのでありますが、今回十億ということになりましたけれども、国家財政等、いろいろな関係等もありまして四カ年できなかった利子補給の問題がここに道が開けたということは、これはやはり日本海運政策というものを、これを起点として国際競争に勝つような体制に持っていきたい、こういうように思うのでありまして、この点についてもいろいろと、自由民主党はもちろん、社会党の方々あるいは民社党の方々も御助力を賜わりましたことを厚く実はお礼を申し上げる次第であります。  また、海運の問題について、海員の人たちの厚生施設等につきましても、さいぜん申し上げましたように、今回は欧州方面にも福利施設として厚生施設を設けるようにいたしたのであります。造船等につきましても、造船界が非常な岐路に立っている、と申しますことは、三十二年度は百八十万トン近くもあったのが、三十五年度以降は七十万トン以下に受注が減ってしまい、船台の大半が遊んでしまうという状態でありますので、この点はどうしても造船工業というものの及ぼす影響は、関連産業になりますと、雇用問題等を勘案いたしましても、約二百万の人間が大きな影響を受けるといわれておりますので、運輸省といたしましても、この問題を非常に重要視いたしておりまして、つい数日前も造船工業界の幹部を集めまして、造船に対する造船工業界の対策というものを今研究しております。これに対しましてはやはり国際競争に勝つように輸出船の問題も、これに対しては外国が延べ払い等について日本よりもはるかに有利な条件をもってやっているのだから、国際水準までの延べ払い等を一つ考えてやらなければならぬ。鋼材にいたしましても、外国の鋼材からいたしますと、トン当たり一万円から五千円高い。従ってこの鋼材を国家でもってある程度めんどうを見てやるか、しからずんば外国の安い鋼材を、日本の貿易の自由化によって日本へ輸入するか、こういう問題を取り上げて解決したいと同時に、船だけでなくて、関連産業といいますか、関連産業の育成強化等もはかり、また、多角経営等もやらせて、造船工業界のつまり基盤の足を一つ強くさせたい、こういうことを実は考えておるのであります。  自動車につきましては、ただいま申し上げましたように、今回定員等も相当画期的な定員をとることができましたか、いまだ十分といえませんけれども、自動車行政は皆さんからしばしば指摘されますように、この膨大に太っていく自動車をいかにしてこれを行政面においてコントロールするかという問題について、今回の予算等ではこの点について多少これに伴う問題の解消に足がかりができる体制になったのであります。  また、国鉄については今申し上げましたから省略いたしますが、伊勢湾台風等をめぐりまして、気象庁等の問題が出ましたので、今回は気象庁予算については特に力を入れて折衝もし、かつ、さいぜん報告申し上げたような予算の措置をもちまして、防災関係等も今度新しく設けるということになりましてその点につきましてできるだけ災害の事前防止をするというような問題を今度取り上げることができたのであります。  また、航空等においても、ジェット機の時代にありますので、ジェット機に対する対策として、国際競争にやはり対抗し得るような体制を作ろうという考えを持ちましてこの予算はまあ十分ではありませんけれども、一つの足がかりとしてこの問題にぜひ一つ取り組みたいと思うのであります。  観光も非常な国際収支の上に大きな影響を与えるものでありますから、本年は万国列国議員会議等もありますし、幾多の国際会議が日本において開かれます。また、観光客の誘致等においても格段の努力を払いたいと実は思っておる次第であります。  また、港湾は、さいぜん報告申し上げましたように、日本経済基盤の上に一番大きなこれは要素となるものでありますから、港湾につきましても、予算等において御報告申し上げましたような線に沿うて、今後一段の努力をいたしたいと思うのであります。  まあいろいろとお話し申し上げたいことがありますが、大あらましのことは全部予算のときに申し上げましたが、海上保安庁あるいは技術研究所等についても今度強化ができるようになりました。全般的に、はなはだ私が申し上げては恐縮でありますが、予算面においては、運輸省としていまだかつてない予算を大体にとることができましたことは、ひとえに議員諸公の陰になりひなたになって御後援を賜わりましたお陰と存じまして、深く感謝を申し上げますと同時に、予算実施につきまして、皆様の格段の御助力と御指導をお願い申し上げたいと思うのであります。
  14. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  15. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記を起こして。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 楢橋運輸大臣にこの際お尋ねをしておきたいと思うのですが、時間がないからきわめて簡単に申し上げますが、一つは昨年暮れに日本の労働者が全部年末手当の要求をそれぞれの立場で行なったわけでありますが、特に運輸省関係としては、これら強い職員の要求もあり、しかし全体的に見ますと、労使ともに実際に円満に妥結したのでありますが、私の聞く範囲では、運輸省の監督下にある国鉄の中で労使が円満に解決をし、処分者を出さないといったにもかかわらず、処分者を大量に出し、中にはしかも首切りを出しておる。こういうことを聞いておるのでありますが、これらについて運輸大臣はどういう報告を受け、また、そのことについてどう考えておったか、その点を第一として承りたいと思うのであります。  第二点は、運輸大臣が就任早々、運輸省の中で、特に自動車業界に新風を吹き込む、こういうことで、いわゆるハイヤー、タクシーの問題についても個人免許という点を強調され、確かにこの点はいろいろな角度から賛成、反対の議論はあっても、一つの明るい方向を出したことは事実だと思うのです。しかしその後、これらの問題についてむしろ事務が渋滞をしておる、こういう点を私はあらゆる角度から伺っておるのでありますが、大臣はそのことについて、一体どうしてそれら運輸業務のいわゆる行政事務の渋滞を打開していくか、そういう点についての所信を承りたいと思うのです。それは一つには自動車行政に対する認識の問題、それから定員の問題、予算の問題、そういう問題各般にわたってあるわけでありますが、つとに今の新しい免許事業に対するところのいわゆる審査状況あるいはそれぞれの認可状況、こういうものに対して、あなたが新風を吹き込むというこの大きな政策を出してしかも国民から期待されておるにもかかわらず、運輸省の行政事務というものは実は渋滞をしておる。これは非常に重要な問題である、こう私は思うのであるが、それについて大臣の考え方をこの際明らかにしてもらいたい。非常に簡単ですから、大臣も、親切にやる、こう言えば、それでけっこうだと思うのですが、それからまた、処分についてはそういうことがなかったと言うなら、それでけっこうですが、そういう点を一つ大臣の御答弁を願いたいと思います。
  17. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 国鉄の年末における闘争の処分、特に東鉄管内において、安保反対第九次統一行動の問題について処分をした点についての御質問でありますが、免職の通告を受けた者は、昨年の十二月十日に東神奈川駅発の電車に多数の組合員を乗り込ませ、途中横浜線の大口駅で、組合員を指揮して乗務員を強制連行し、電車の運行を不能にして運休に至らしめたものである。始発駅発車後、電車乗務員を途中駅で引きおろし、著しく電車の運転の混乱を引き起こすようなことが、東鉄のような列車密度の高いところで運転の保安上きわめて危険な状態を生するということで、この悪質行為に対して免職処分等を国鉄が行なったことについては、運輸大臣としては当然の筋であると思っておるのであります。  それから自動車行政の問題でありますが、これは今御指摘のように、なかなか個人免許の問題も、約六千何百件出ておりまして、一々これが身元調査し、一つ一つ調査しなければならぬというようなことで、陸運局の今の人員にいたしましては非常な困難を来たしておってどうしてもこれに対してある程度やはり促進しなければならぬというので、年末に各局長並びに責任者等を集めまして、その促進方、及びもっと弊害がないように、簡素にして早く始末できないものかということで、一つの基準等をきめさせまして、今どんどんやらしております。大体三月か四月ころまでにはそれが全部終了するという見通しでやらしておるのであります。一方予算等におきましても、自動車行政についてかねていろいろ批判を受けておりますので、私も実際いいますと、陸運局の労働組合等からしばしば陳情を受けておりますから、定員増をやらないという閣議決定がありましたけれども、私がそのときに異議を閣議で申しまして、たとえば十倍もふえておるのに定員を増員しないというのは、増員じゃなくて定員減になることだ、十倍もふえているのに従って人間を配するということは、増員ということにならないのだ、高等数学からいえば……。(笑声)というような理屈をつけて、とうとう九十何名、約百名近くの定員増を獲得した。この点は相澤さんからもほめてもらわなければならぬと思っておるのです。この点は大蔵省とも談判いたしまして、従って、この自動車行政について、御指摘のありました点は十分に私も考えておりまして、これはまあやきもきして実はやっておるので、大体今の段階では相当進捗する段階にあるということだけ申し上げておきます。なお詳しいことは局長から一つ……。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 時間がないから、大臣を早くやりたいと思うけれども、非常に重要なことをあなたは言っておるから、やはり一言言っておかぬと、あなたの将来のためにならぬと思う。  職員の年末手当の要求の問題にからんで、今あなたの言う国鉄の中の横浜線の大口駅でのじゃまをしたということで、これは悪質だというようなことを言っておるが、一体だれがどうやったか、そういうことを確かめましたか、これは私は相当これからの点で問題になると思う。これはあとで私も国鉄当局からもよく事情を聴取したいと思うのですが、大臣もその点は、やはり大根やニンジンの首を切るわけじゃないのだから、人間の、いわゆる免職という問題については、そういう軽々な発言をされては困る。これは少なくとも今の内閣の中で一番人情家といわれる、事情を知っているという運輸大臣がそう簡単に言われては困る。これはやはり事情をよく聞かないと重大な問題になる。そういう点で、私はこの点は大臣のやはり軽率な取り扱いについてのそしりを免れないと思う。そこで、これらについてはあとで私から事実を追って究明したいと思う。  それから、それはそれとして、そういうことであなたもよく考えてもらうことにして、二つ目のほめてもらいたいと、僕は確かにほめておきたいと思います。よく自動車行政についてはやったと。しかし年末のときに、江藤君もここにおりますが、自動車局長呼んで、そうして陸運局の職員が、運輸大臣の御意向もあるので、一生懸命にとにかく審査をし、免許をしたい、こういって超過労働をしたけれども、超過勤務手当自体も満足に払えない。こういうようなことは、一体だれに責任があるのかということになれば、これはやっぱり最高責任者というのは運輸大臣、そこでやはり予算の問題や定員の問題というものは当然考えなければならぬ、こういうことで、私は当時国友局長にも、君たちの立場もわかるから、大臣を一ぺん呼んで聞いてみようと——運輸大臣は、今ほめてもらおうと言っておりましたが、むろんほめておった、おったけれども、結果論が、働いた者にも超過勤務手当を満足に出せないというようなことであっては、これは幾ら人情大臣といわれても人情がない、人情がないということは不人情ということだ。こういうことになると、これはやっぱり運輸行政というものが満足にできない。そこで三十五年度はだいぶ一生懸命にやって、予算もとったようだということを聞いておりますが、こまかい点についてはまた後刻説明を求めたいと思うけれども、とりあえず、昨年のそういうような超過勤務を実際に全部支払われなかった実情があるのかないのか、これは一体運輸大臣はどういうふうに把握しておられますか。もしそういう点があるとすれば、早急にあなたの責任において、自分の部下を使ったのだから、使ったものに対しては当然支払うべきだ、こう思うのだが、大臣はいかに考えているか、その所信を承っておきましょう。
  19. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 超過勤務の問題、これは私も非常に同情しているのだ。なぜかというと、病人の出るくらいに、やかましくいわれるからやっていた。しかし運輸省には実は金がない、全然。そういう超過勤務もできるだけ運輸省予算の範囲内では努力してやっているようでありますが、おそらく十分に満足をするようなものはやれなかったと思うから、そこで私は身銭を切って、毎月彼らを慰問するためやっているのだ、それは運輸省に銭がないので、それでポケット・マネーを出してやっている、これはみな私の自費でやっている。従って、今回の予算において大蔵大臣にやかましく言っているのは、僕は昔書記官長をやっておったから、一銭もないんだから。(笑声)実際をいうと宴会費でも、局長を呼んで僕が出すのだから、(笑声)その点は東陸の局長も、僕が、年末にこれだけ新風を吹き込んで苦労させて済まぬとやったものだから、みんなもそういう点を感激して、大臣に心配させてはいかぬということで、私が予算のときにやったので、東陸の労働組合が酒一升持ってきたくらいに私はやっているのだから、その点は人情を失っていないが、国家予算等の関係もあるから、今申し上げたように、自動車行政については努力しているので、その点は御了承を願いたい。あとで詳しいことは聞いていただきたい。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 時間がないから……。了承できぬよ、できぬけれども、今大臣も忙しいから、この辺でいいでしょう。
  21. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をやめて下さい。    [速記中止]
  22. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけて。
  23. 相澤重明

    相澤重明君 それでは吾孫子副総裁がお見えになりましたから、副総裁にお尋ねをしたいと思うのですが、もちろん関係の兼松常務理事もおるし、関係者も出席しておりますから……。  ます第一に、年末の本委員会でいろいろ私ども御質問申し上げました。新線建設についての外資導入の問題でありますが、兼松常務理事もアメリカへ行ってお帰りになったのですから、はっきりと、幾らどういうふうになったか、こういう点を一つ明らかにしてもらいたい。これが一つ。  それから二つ目としては、この前の本委員会で、やはり愛知用水公団等の問題も私は例にあげて話したんですが、それがひもつきであるかないか、つまり条件がどういう条件になっておるのか。この条件についての内容を知らしてもらいたい。  それから三つ目としては、これらの資金を借用した場合に、実際に幾らの利子で幾年の年賦になって、そうして国鉄経営としては全体の中からどういう利益がこのために出るのか、こういう点は、ずっと運転を開始しても赤字ということになれば、国民の期待にこたえるために建設するのですから、そうすると何年くらい先になったならば独算制がとれると、こういうものであるのか、その計画内容というものを発表してもらいたい。  それから第四は、人員の問題であります。これは前回も副総裁からちょっとお話がございましたが、すでに資金計画が樹立できたならば、当然その配置要員というものはもう予算の中に組み入れられるものと私は理解をするわけであります。そこでその定員等について具体的にどうなっておるか。もちろんその中では技術面と一般面、こういうところで一つ分けて御報告をいただきたいと思います。  それから第五の点は、その技術員あるいは一般の要員の中で、たとえば昨年末ですか、非常な労使双方の努力で志免炭鉱の問題は解決をしたように思うのでありますが、そうしますと配置転換等を具体的にされる人たちの受け入れというものはどういうところにやるのか。それからその人たちをいわゆる一般の職業訓練といいますか、養成過程というものはどういうふうにやろうとするのか。こういう点の展望というものを具体的に御説明をいただきたい。  以上第五点まで一つお答えをいただきたい。
  24. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 東海道新幹線建設のための世銀からの借款の問題につきましては、本年の一月、国鉄の島技師長、それから本日も来ております兼松常務理事、その他関係者が米国に参りまして、直接向こうの銀行の関係者といろいろ折衝をいたしました。当面の目標にいたしておりますのは、一億ドルの借款をしたいということで話を進めておるわけでございますが、詳しいことは必要がございましたら、向こうで直接折衝にあたりました兼松常務理事もおりますから、私の足らない点は補ってもらいたいと思いますが、今までの経過といたしましては、別段支障もなく話としては順調に進んでおるのでございまして、もちろんそのこまかい契約の条件とか、そういうようなところまで話がいっておるわけではまだございません。世銀側としては国鉄に対して金を貸すかどうかということについて、いろいろな角度から調査をいたしておりまして、本年の五月に、向こうとしては調査団を編成して日本へ、何週間の予定でしたか五週間くらいの計画で詳細に国鉄の実情も調査したい、こういうことで、大体まあ派遣の人員等もきまりまして、その調査を経た上で具体的な契約の問題その他がきまることになると思うのでございますが、ただいまのところはそういうような経過で大体話が進んでおります。  お尋ねの第二点の、まあひもつきのようなことがあるのかどうかという御質問ございましたが、それは御心配になっているような意味のひもつきというようなことはないはずであると思っております。  それからまあ国鉄としてそれが利益になるのかどうか。これはまあ今までもいろいろな機会に御説明申し上げておったと思いますが、新幹線そのものについて考えた場合に、新幹線の建設ということが国鉄の経営の収支を改善する上に非常に寄与をするであろう、現在でも東海道線で得た利益で他の赤字線区その他の赤字を埋めておるという状況でございまして、その東海道線の輸送力の行き詰まりというのがもう目の前に見えております現在でございますので、新幹線ができるということは、国鉄の将来の経営改善のためには、非常に明るい見通しを与える唯一の建設だといってもいいのじゃないか、と私ども考えておる次第でございます。  ところでこの新幹線建設のためにむろん相当の増員もしなければなりませんので、三十五年度の予算におきましては千四百五十名の所要員を見込んでおる次第でございます。そのこまかい内訳につきましてはただいま私ここに持っておりませんが、大部分は技術関係の人になる予定でございます。  それから最後に志免の問題でございますが、いろいろ御心配をおかけいたしましたが、幸いに組合側の理解ある協力を得まして、本年一月の下旬に一応問題を解決することができまして、現在の段階では、この間、取りきめたような線以外に方法はなかったのじゃないかと私ども考えております。ただこのために今まで志免で働いておった従業員の諸君を相当広範囲にわたって鉄道、レール側の各職場に配置転換をしなければなりませんので、ただいまの予定といたしましては、これは具体的な細目についてはなお現地でいろいろ組合側とも話をしなければならぬ点が残っておりますけれども、当局側の予定といたしましては、おおむね千人程度ただいまのところではだいぶ配置転換の希望者が多いので、むしろその希望者をどういうふうにして制限するかということで、だいぶ現地の当局は頭を悩ましておるようでございますが、なるべく国鉄全体に吸収させるというような考えでおりますが、東京を中心に二百五十名ぐらい、それから名古屋中心に百名ぐらい、大阪中心に二百五十名ぐらい、それで六百名になるわけでございます。そういうようなふうに配置転換を計画いたしております。残余はそれ以西の地区ということになると思います。それで受け入れ側の準備といたしましては、宿舎の問題その他もありますので、そのようなことも十分間に合うように処置をいたす考えでございますし、それから配置転換のための再教育ということにつきましては、これも教習所あるいは養成所等を使いまして十分仕事ができるような教育をいたしたい、そんなようなふうに考えておる次第でございます。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 副総裁非常に慎重な御答弁でどうも、なかなか内容のこまかい点まではむずかしいと思うのですが、兼松常務がおいでですからちょっと兼松常務に、今の副総裁の御答弁で大体の総ワクがわかりましたが、一つお尋ねしておきたいと思うのですが、今の副総裁の御答弁で、第一は当面一億ドルの交渉が順調に進んだ、従って前回の御説明では総額において二億ドル、こういうふうに聞いておったのですが、総額が二億ドルで、そのうちの一億ドルというものが今回の交渉の対象である、こう理解していいかどうか、またそういうことで交渉してきたのか、兼松常務から御答弁をいただきたいと思います。
  26. 兼松学

    説明員(兼松学君) ただいまの点でございますが、世銀の借款は、本来これは政府が第一次的にお申し入れになりましたものの技術的な内容を、私どもはいろいろやっておりますので、政府から世銀に申し入れられましたものは一億ドルでございます。それで去年の当初計画としては、国鉄全体が千七百二十五億円のうちで約一億ドル程度いろいろ必要であるという資料は出したのでございますが、これは私どもとしては大蔵当局の御判断に待って、結局一番経済的に資金の調達ができれば国鉄としてはいいわけでございますので、大臣の御判断で一億ドルという話になっております。なおその後さらに一億ドルをどうするかということは現在のところ何らきまっておりませんので、公式の話はすべて一億ドルというところでなされております。
  27. 相澤重明

    相澤重明君 いや私のお尋ねをしておるのは、千七百二十五億という新線建設についての資金が必要である、従って政府でもできるだけ援助もしなければならぬし、国鉄資金もできるだけ出さなければならぬ、利子を払うとすればそれらの所要資金というものは大要二千億にまで達するだろう、こういうようなことを概括的に今までいろいろな形で説明を受けております。従って、千七百二十五億の中に外資を借入をするとすれば、それが国鉄としては二億ドルぐらいは必要であるということで、二億ドルというのがもっぱら今まで運輸委員会では説明を受けておったことでありますが、今兼松常務の言うことであると、外資導入、いわゆる世銀借款というものは政府が決定をし、またそのことを申し入れる。その内部の配分として鉄鋼であるとか電力であるとかあるいは国鉄であるとか、こういう技術的なものでそれぞれの専門家がその立場で渡米をして交渉をしておる、こういう理解の仕方だと私は思う。私もその通りだと思う。しかしその通りだとするならば、国鉄はやはり全体の資金というものは幾らであるか、その全体の資金のうち二億ドルならば二億ドルを対米交渉の結果世銀の借款を待つのだ、こういう話は全然ないということはちょっといただきかねるのですが、そういうことですか。あなたの、いわゆる先ほどの副総裁のお話のように、兼松常務なりあるいは島技師長が今渡米しているのでありますが、そういうことで自分たちは当面一億ドルだけの問題で、あと国鉄は必要資金というものは話をしない、こういうことでいっているのかどうか、その点はいかがですか。いま一度お尋ねをしておきたいと思います。
  28. 兼松学

    説明員(兼松学君) その点につきましては、昨年の秋に大蔵大臣が、世銀の代表者が日本に参りましたときに、国鉄について一億ドル、その他の点があったと思いますが、国鉄については一億ドルということを申し入れられております。それについて大蔵大臣にそのときお尋ねいたしましたところ、実際問題として世銀の融資の総額というものを一度にそれ以上きめるということは、先方としても事実資金事情その他からみて実際的でない、不可能に近いと思われるので、一応一億ドルということを言った。しかし、将来これをふやしていいとか悪いとかいう問題ではないということでございました。世銀側としては政府から国鉄について一億ドルという話があった、ということを向う側ではとっております。私どもとしては千七百二十五億というのは正味でございまして、そのうちでさらにそのほかに今相澤先生の御指摘がございましたように、ほとんどこれが借入金で調達することになりますので、建設中の利子も入れれば二千億円近くになる、仰せの通りでございますが、この調達は、私どもとしては、来年度も一般の公募債それから政府の借入金というようなものでございますが、今までの世銀の金利ははっきりはいたしません。現在各国にやっておりますのは約六分でございまして、ほかの国内調達よりは金利が安くなっております。それから償還期限も比較的長期でございますので、私どもとしては経営の点から見ますならば、もう少しふえた方が有利であるとは思いますけれども、これはまあそれぞれの資金事情のあることでございまして、今後の千七百二十五億の将来での問題は、さらにそのうちどこまでが公募債であるとか、あるいはどこまでが政府からの借入金であるとかというような問題は、来年度につきましては一応予算で御審議いただくことになっておりますけれども、それら自体について翌年以降にまた出てくる問題であると考えます。そんなような事情で、ただいまのところの交渉経過は以上のようなものを基礎にして行なわれております。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 どうもちょっとはっきりしないが、千七百二十五億というのが新線建設に必要な総額資金でしょう、今の説明をしておったのはね。千七百二十五億円という総額資金のうち、政府からの借り入れあるいは自己資金あるいは公募債等をしても、なおかつ利子等のことも考え、資金需要を考えていくと足らないから世銀からも借入をしたい。その世銀からの借入というのは総額幾らか、こういったところが前の説明では二億ドル、しかしその二億ドルを一度に借りるのではなくして、当面一億ドルとこういうふうに理解しておったのですが、今の兼松常務の説明では千七百二十五億は必要資金だ、そのうち公募債が幾らになるか、政府借入金が幾らになるかはまだきまらないけれども、とにかくとりあえず三十五年度の三百億なら三百億はきまった。それから世銀の借款のいわゆる交渉では一億ドルというものがきまった。こういうふうなことだけで、全体の計画というものが少しぼかされておるように私は思うのですが、その点はどうなんですか。いま少しはっきりわかるように説明をしてもらいたいと思うのですがね。
  30. 兼松学

    説明員(兼松学君) これは計画でございまして、しょせんは国会の御承認を受けた予算で将来きまるものでございますから、私どもの計画の段階で申し上げるより仕方がないのでございますが、計画といたしましては、千七百二十五億円というお金は工事そのもの、車両を買ったりするそのものに要るお金でございます。従いまして、今払いますものは、ほとんど国鉄としては自己資金は回す分はございませんので、全部が借入金によることになります。そうしますと、今年借り入れた分について、あるいは来年度のものについて、それぞれの利子が建設中に最終的に加算されて建設費となるという事情でございますので、それが千七百二十五億円の上に重なるであろう、それが概略御指摘のようになるということでございます。で、二億ドルの問題は、この前計画を御説明したときに、国鉄側として大蔵省に、非常にどちらにしても利子が高いから、できるだけ世銀のワクを広げて二億ドル程度やってもらえば、六分の利子で二十年くらいで借りられるものがふえるから、それだけ利子負担が少なくなるということで、大蔵大臣にお願いをした額は去年の夏二億でございます。しかし、その後大蔵省としては、政府のいろいろな他の産業、国鉄だけに一度に全部申し込むということも不可能であるということを見通され、また現在の世界資金事情等から、国鉄に対して一億ということを、世銀に現段階においてお申し込みになったように私は伺っております。従いまして、将来それに加わってさらに要るかどうかということは、二年後、三年後の国内、国外の資金事情を考えた上での問題でございまして、それに限られたということでは現在のところございませんけれども、現在はっきり申し上げられ、交渉の対象となっておるのが一億ドルである、こういう事実でございます。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 ややわかってきましたが、そうすると、これは佐藤大蔵大臣の食言の問題にも発展するかと私は思うのですが、それは日本は第二世銀に加入する。これはいわゆる日本国内資金需要を充たすために、どうしてもやはりこれらのいわゆる手当をしなければならぬ、こういうことで現在の第二世銀というものを樹立する、これに日本は加入する、こういうことは政府がつとに力を入れてこの国会説明をしておるところで、従って、今のような全体のワクは、いわゆる建設費というものは千七百二十五億かかって、国鉄の希望としては、昨年のこの計画をした当時に二億ドルは最低限必要であろう、できればこれをほしい、こういうことであるいは電力、鉄鋼等もそういう必要性を認めて説明政府がされるから、これはまあよいことであろうというような形で第二世銀のいわゆる加入の問題というものは出てきておるわけです。これがもし世銀のそういういわゆる樹立状況や、あるいは国内資金需要等の問題を、それが本質的な問題でなく、当面だけをそういうふうに言われるということは、全体の計画がぽかされる。将来どうなるのか、その場当たり的ないわゆる計画になってしまう。こういう点を私は非常におそれるわけです。これはいずれ私も決算委員会等において大蔵大臣から内容を明らかにしようと思っておりますが、もしそうだとすれば大へんなことである。日本経済界の混乱というものは免れない。それでなくとも岩戸景気といっておって今年度はどうなるか、しかし大蔵省としては経済の過熱ということが考えられる。だからこれは引き緊めなければならぬということも、同時に大蔵大臣は本会議でも説明をしておるところなんです。そういうふうな中にも無計画な二億ドル必要であるという国鉄の資金樹立計画というものに対して、そうして当面は一億ドルだ、こういう答弁だけではこれはもうちょっと私どもは納得できい。こういう点については、しかしこれは国鉄がほしいといったけれども、大蔵省がその内容は明らかにしないということになれば、これは大蔵省の責任でありますから、私どもは大蔵大臣を追及したいと思うのですが、どうも今の点だけではなかなかはっきりしない。ですから委員長もこの国鉄の新幹線計画については、いま一つじっくりとお互いによく問い質さないと、実はせっかくの大きな国民の期待と関心を持っておるにもかかわらず、途中で第一次五カ年計画のようなことになってしまうと私は思う。後刻また改めてこの点を明らかにしたいと思うのです。  そこでその次に発展をしてお尋ねをしておきたいのは、先ほど安孫子副総裁から言われた契約の問題でありますが、五月に調査団が来日をして、五週間程度国内の建設計画について事情を聴取し、現地も視察されるようでありますが、契約というのは国鉄はどういうふうにお考えになっておるか、これはたとえば先ほどの兼松常務の御説明のように、すべてこれは大蔵省が相手の国の人たち、相手の銀行の人たちと交渉をする、こういうことから契約書の取りかわし等については、これは日本政府が行なうのであるから、国鉄としては直接の契約のことにはならぬとこう理解されておるのか、それとも国鉄も何らかその契約の中に一枚加わるのかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思う。
  32. 兼松学

    説明員(兼松学君) 道路公団の例でもごらんになりますように、世銀との一般的な申し入れば政府がされるのでございますが、個々の契約と申しますか貸借契約は、公団とか公社につきましては、直接、公社、公団が行なうことになっております。従いまして、本件につきましては、具体的な金利とかそういったような事情については、政府と十分なる御連絡をした上で、公社の責任において最終的な形式はととのえられると了解いたしております。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 それはそれで了解をしました。そういう形式になると思うのですが、いすれまあその契約ができたときにはまた御発表いただきたいと思うのですが、そこで先ほど、私は条件についてひもつきであるかないか、こういう点について、副総裁から御心配をかけるようなひもつきということはないだろう、こういうお話であったわけですが、兼松常務は、具体的に向うでお話になったわけでありますから、何らかのそういう点について向うから提示されたことがあるか、それとも全然そういう条件等については触れられないでこちらの申し出の一億ドルほしいのだ、こういうことで、はいそうですか、それじゃあなたの方の建設計画なり、国内事情をお聞きをしましょう、こういうことだけであったのか、その間のいきさつを御説明いただきたいと思う。
  34. 兼松学

    説明員(兼松学君) 具体的な条件のこまかい金利とか期限とかいうことの交渉には、まだ入る段階には入っておりません。これは適切な例ではないかもしれませんけれども、たとえますれば、現段階は権利闘争が条件闘争に変わったという程度の段階でございまして、まだ妥結には至っておらぬという事情でございます。先方が申しております条件は、いわゆる債権者としての通常の範囲以外に私には申しておりませんので、一つは政府保証を制度上行なえるかどうかということ、それから政府の保証が行なわれる場合に、道路公団法にあるような政府としての、同じ条文上の外貨の返済に対する保護が、国鉄法にも書き入れられるかどうかというような質問がございましたが、その点については、政府間で、今準備中ではあるけれども、道路公団その他と違うような扱いはなされるとは予想していないという回答をいたしたのでございます。そういうようなだけでございまして、債権者としての通常の話以外には、何も入っておりません。  なお、調査の内容としては、国鉄は、東海道線というものが、さっき副総裁申し上げましたように、私どもとしてはこの国鉄の経営打開ということには、非常に寄与し、かつ東海道の隘路を打開して、国民経済の伸展に資するのだという精密な資料を作っております。その運輸量の見通しとか、誘発量、あるいは国鉄の工事計画が、経済的であるかどうかという点が、向こうの関心事であるように私は了承いたしております。
  35. 相澤重明

    相澤重明君 それから次に、条件については、まだ従ってこまかい点もわかりませんが、いずれこれは最終段階になれば、契約をするのでありますから、そういうひもつきでないと、われわれも理解をして、また当局も、そういうことで交渉してもらいたいと思うのですが、いずれその契約を、資料で出してもらいたいと思う。  そこで、さっき副総裁も、今も兼松常務も言うように、国鉄輸送全般についての非常に大きな明るい見通しになると思うのです、東海道線新建設は。しかし国鉄マンとして考えた場合にほ、このために、どれだけのいわゆる全体の中でのパーセンテージを占めるか、あるいは独立採算という立場でいくならば、何年ぐらいか、実際にそういう形でできるものなのか。道路公団の場合でも、たとえば戸塚のワンマン道路のような場合でも、十カ年計画が九カ年に短縮をされるとか、あるいは八年半になるとか、あるいはこれはいろいろ収入、あるいは輸送、そういうものによって見通しというものはできますね。  従って、東海道新幹線によって、現在の百八十万トンから二百万トンの滞貨の状態を、どういうふうに打開をしていくか、また国民経済の伸びを、たとえば政府の言う六・八の伸びというものが今後何カ年続いたならば、これは消化は十分でき得ると、こういう見通しというものが、今兼松常務の言うように、非常に資金を貸す方の立場でも、これは大きな関心事だと思う。  従って、われわれとしても、そういう点は計画的にしなければならぬと、とう思うのでありますが、そういう点についても資料はもうでき上がったのですか、いかがですか。
  36. 兼松学

    説明員(兼松学君) それらの点につきましては、幹線計画の途上におきまして、いろいろ作ってございます。なお、最近石炭輸送の事情とか、それから最近の景気等によって、経済審議庁の方でも、全般の見通しをかえておいでになる点もございます。それに合わせた私どもの修正も、着々いたしておりますので、できます次第、最近のものをお目にかけることができると存じますし、過去においての調査なり、それぞれの段階のものを、別途資料でおめにかけます。
  37. 相澤重明

    相澤重明君 いずれそれは、当局からよく御説明をいただけるように資料を提示いただきたいと思うのですが、その次に、先ほどの定員の問題でありますが、三十五年度千四百五十人の計画をしておるということでありますが、特に私どもが一番心配しておるのは、技術系統というものは、そう簡単に養成ができるものじゃない、こういうことを、いつも指摘をしておったのでありますが、この中に技術系統並びに一般と、どういうふうなパーセンテージに分かれるかということも、さっきお尋ねしたのでありますが、これはいずれ、あとでまた御報告いただくことにして、この千四百五十人というのは、現在の国鉄の中におる技術陣等を中心に配置がえをしていく、こういう考え方でおるのか。ある程度この中には、ことし大学卒をする人もあるし、それぞれの専門学校を出る人もあるが、そういう新規採用というものは、どのくらい見込んでおるのか。これを一つ、わかったらお知らせをいただきたいと思う。  それから、同時に、国鉄の第一次五カ年計画は四年度でありますから、そういう中に、新幹線建設というものを進めるわけでありますから、全体として国鉄は、この新年度にどのくらいの新規採用をするのか。それもあわせて御報告をいただきたいと思う。
  38. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) この新幹線の関係の要員として、一応三十五年度予算に千四百五十人計上してあるわけでございますが、この千四百五十人に当てはめる人は、やっぱりほとんどその大部分は、従来の他の工事局、あるいは他の管理局その他から経験者を振り向けると、こういうことになると思います。  それで、結局新幹線で人がふえてきたのに対応して、新規採用、あとの補充ということが問題になって参りますが、これは、それぞれ新幹線の方にかわった、配置転換をしたあとの穴埋めに、新規採用の人をとる。それじゃ来年度全体として、どれくらいとるかということは、今、そうはっきり正確なことは申し上げられませんけれども、これは、本年度の年度末にいつもの定例の退職者、整理退職もございますし、そういう全体の欠員の状況を見まして、そのワクの中で、必要な個所に新規採用をしていく、こういうことになると思います。  その点、新幹線の仕事がふくらんできましただけに、その分だけは、今までよりもよけいな新規採用ということが出てくると思いますけれども、まだ具体的に、どこに何名というようなことまでは、今度の年度末の整理その他の状況を見ませんと、はっきりしたことは今申し上げかねるような状況でございます。
  39. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、ごもっともな点もあると思います。しかし、作業量がふえれば、新しい仕事が生まれれば、当然定員というものは張りつけなければならぬことでありますから、それはそういうことで、私どもも今後当局のやり方を一つ見ていきたいと思うのですが、できるだけ仕事に対してサービスのできるように、国民の期待に沿えるように一つ私は定員というものも張りつけてもらいたい。こう思うわけです。  それから、先ほどの配転の問題でありますが、たとえば、志免の妥結に伴う配転者の予定というものが、あらかじめお話があったわけでありますが、これらの人は、実際に労務職が多いのですか、それとも管理職もかなりその中におるのですか、その点はいかがですか。
  40. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 大部分が労務職でございます。しかし、管理部門の者も、それから、たとえば、志免には、鉄道の病院なんかもございますので、その病院の関係者も、いろいろの者があるわけでございます。しかし、大部分のものは、労務職でございます。  特に今回の配転では、希望者が非常に多いのでありますが、なるべく若い人で、将来性もあるような人を配置転換をさせるというような方向で、組合とも話をし合っておるような次第であります。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、一つ関連をしてお尋ねしたい。副総裁、そこまで御承知かどうかわかりませんが、東鉄の中で、一番足元ですから……。客貨車の清掃というか、あれが現在、非常に定員不足を来たしておるということを聞いておるのですが、そういう実情がありますか。
  42. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 今、私詳しくは存じません。存じませんが、客貨車の清掃関係の業務につきましては、これは、それぞれの場所のいろいろな条件によることですけれども、まあ、ああいう単純な仕事は、方針としては、むしろ部外に委託する、請負に出すというようなことを考えておりますので、国鉄としては、もっと直接輸送あるいは営業その他の関係で必要な方に要員を回しまして、部外に委託しても、請負に出してもやれるような仕事は、そういうような方向で合理化していくというような考え方でおります。  ただ、東鉄の客貨車について、今どういうことになっておるか、ただいまのところ、私は存じませんので、また、もし必要がございましたら、後ほど資料を差し上げて、御説明したいと思います。
  43. 相澤重明

    相澤重明君 これは副総裁にこまかい点を聞いてもしようがないと思うんですが、いすれあとで調べてもらいたいと思うのですが、方針として、今の副総裁の言う、割合にだれでもできる、あるいは簡易なものと、こういうようなものは、部外に発注する、請負に出すということは、国鉄経営の根本的な問題に触れる問題だと思うんです。ですから、それはまた、いろいろ議論のあるところでもあるし、また当局の説明をよく聞かないといけないと思うのですが、炭鉱に働いておった人たちが、直ちに出札係、改札係というわけにもなかなかいかない。これはやはり、それだけの再教育というか、養成機関もなければいかぬのではないか。結局は、労務職として、荷扱いであるとか、あるいは線路であるとか、そういうところが浮かんでくるわけですが、私はやはり、これらの人たちが、配置転換をされたけれども、どうも自分が職場へ行って仕事が思うようにいかない、これならやめちゃうんだというような気持を起こさせないように、あたたかい気持で、国鉄職員として仕事ができるような体制というものは、私はやはり首脳部はとってやってもらいたいと思うのです。  そのためには、まずできるものから仕事をさしてやることですね。あれだけの大きな、お互いに論争もし、また努力もしてようやく解決したんでありますから、その人たちが、国鉄職員として誇りを持って、自分たちは国鉄に残っていたいと、こういう人の気持を、一つふさがないように、明るい将来を持たせるような形で、この職業の選択あるいは配転というものをやっていただきたい。  こういう中で、私が聞いておるのでは、東京の客貨車というところでは、非常に定員が減っておる。しかし、何とかかんとか臨時職員でもって、あるいはまた人夫でまかなっておるというのでありますが、長期的な職員の教育あるいは養成というものについては、これはあなたの方で十分やっていただくことにして当面はそういう点にも、すいぶんやはり利用——利用というと語弊があるけれども、十分まかなえる要素があるのではないか、こういうふうに思うので、一つそういう点については、十分検討をしていただきたい。そうして、つまらぬところで国鉄の労使が、感情的になって、問題を提起しないように、せっかく妥結したものは、それをりっぱに生かしていくと、こういう努力をしていただきたいし、その一つのこまとして、客貨車の定員が不足をしておれば、そういう実際に、炭鉱の労働者でも直ちに採用ができるのだというようなところがあれば、そういうところに私は受け入れるべきではないかと思うので、これは意見になりましたけれども、副総裁に申し上げておきたいと思います。  以上で、こまかい点については、これからあと、そのつどわかったところから、当局から御説明を、新幹線の問題についてはいただきたいと思いますから、この程度で、新幹線の問題は終わりたいと思います。  次に、これに関連して、先ほどちょっと申し上げましたように、第一次五カ年計画ですね、第一次五カ年計画の第四年度に入っておるわけでありますが、昨年は、七〇%いっているところもあるし、三三%ぐらいのところもあったわけでありますが、この第一次五カ年計画というのを、継続して第二次五カ年計画というものを策定するということは、これはだれが考えても、当然なことだと思うのですね。  そこで、第二次五カ年計画というのは、第一次五カ年計画が完成をした推定に基づいてのいわゆる計画を立てるのか、それとも、第一次五カ年計画というものは完成しないから、修正第二次五カ年計画というものを立てるのか、この点についての当局の基本的な構想というものを、この際承っておきたいと思う。
  44. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 第一次の五カ年計画は、昭和三十二年にスタートしたわけでございますが、いろいろな事情から相当計画に対して実績がおくれてきたということは、遺憾ながら事実でございます。しかし、大体の考え方といたしましては、それぞれ必要があって計画を立てたことでございますから、時間的なズレはありましても、第一次五カ年計画で計画したことは、やり遂げたいというのが根本的な考えでございます。  しかしながら、五カ年計画がスタートしましてから今日までの状況を見ますというと、いろいろな点で、やはり当時の見通しとは一般経済情勢その他も食い違いもございますし、また最初の五カ年計画を立てましたときに気のつかなかったことで、あとから国鉄として、これもやりたい、あれもやりたいというようなことが出てきたとともございます。それやこれや考えまして、当初の五カ年計画の最終年度であります三十六年度を第一年度に組み入れて、あわせて今後の国鉄の経営を安定させるための長期的な見通しということも考えつつ、三十六年度を初年度とする新規の五カ年計画というものを策定したいと考えまして、今年の夏までには、それを間に合わせて、三十六年度予算の御審議をお願いいたします際には、新しい五カ年計画の構想をその中に取り入れていくようにさしていただきたい、そんなような大体考え方で、今いろいろ作業をいたしておるようなわけであります。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、副総裁の御説明を聞いておるというと、三十五年度は第一次五カ年計画の第四年度である、従って三十六年度で完成をするわけでありますが、結論的には、第一次は、四カ年で一応ピリオドを打って、第一次五カ年計画の五年度を、いわゆる修正して第二次五カ年計画の初年度としたい、こういうことであるというふうに理解をしてよろしいですね。
  46. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) お言葉通りでございます。
  47. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますというと、国鉄は——私も副総裁の言うことよくわかりました。また、そういう事情もあったと思います。財政投融資計画なり、あるいは諸般の社会情勢の変化に伴う変動によって修正しなければならぬことも、これはあったと思います。しかし、少なくとも、第二次五カ年計画を策定するとなれば、そういう誤りをできるだけ少なくするような努力をしなければならぬと思う。  これは、私ども国会議員としても、やはり、そういう点については、気のついたところは、お互いに指摘をしておかなければならぬことだと思うのでありますが、主としてやはり、計画は政府なり国鉄当局てありますから、そういう点については、細心な注意を払ってもらいたいと思うのですが、そこでお尋ねをしておきたいのは、運賃法の改正をやる意思があるのかないのか。それから、運賃法の改正をやるというのは、第一次五カ年計画の中で、三十二年度の運賃値上げ当時に、私ども議論したことと同じようなことになるかもしれませんけれども、やはり第二次修正五カ年計画、いわゆる三十六年度を初年度とする中に提案をしていきたいというのか、それとも今年度、三十五年度にそういう方向というものをとろうとするのか、この点についての国鉄当局の一つ見解を、これは運輸省でもけっこうですが、一つお尋ねをしておきたいと思うのです。
  48. 中村卓

    説明員中村卓君) 私からお答えをいたします。  運賃法の改正につきましては、御承知のように昨年七月でございましたか、運賃制度調査会の答申がございまして、一応不増収、不減収という建前で、現在のアンバランスを直すようにという御答申もいただきましたので、できますれば、今国会にそういう面ての御修正を願いたいというふうに考えておりまして、ただいま運輸省の方にお願いしている最中でございます。  なお第二次五カ年計画の関連で、いわゆる増収のための運賃値上げの問題につきましては、ただいまのところ何とも申し上げかねる段階でございます。
  49. 相澤重明

    相澤重明君 今の中村常務の言うことであれば、これは答申が出たから、それを基礎に、政府並びに国会に運賃法の改正というものを要望をしたい、あるいは提案をしたい、こういう答弁の内容だと私は思うのです。  しかし私どもの考えなければならぬことは、第一次五カ年計画の当初、いわゆる運賃法の改正をして、この運賃法の改正をすれば、第一次五カ年計画は完成をする、こういうことで、いわゆる私ども社会党は反対をしたのでありますが、当時与党の多数によって、これは通過をさした。しかしその結果は、お話のように第一次五カ年計画は完成をしないで、修正第二次五カ年計画、いわゆる三十六年度、第一次五カ年計画の最終年度を初年度として新たに計画をしていきたい、こういうことになると、資金需要あるいは経済の見通し、こういうものについては、やはり私は相当論拠のある問題を出さなければ、これはなかなか国会は承認をしないと思う。政府も、与党である自民党も、単にいわゆる運賃改定についての審議会の答申があったからというだけでは、私はなかなか問題だろうと思う。  そこでそういう点について根本的に国鉄当局が運賃法を改正をするなり、提案をしたいという論拠というものをどういうふうに考えるか。ただ答申だけであなた方はやろうとするのか。答申というものは、時期のズレというものは、さっき吾孫子副総裁の言う通りあると思うのです。これは答申をした時期、それから、これからの経済の見通しというものについて正しい情勢分析、判断をしていかなければ私はやはり誤りを起こす、こう思うのであるが、今の論拠は、中村常務の言うのは、答申案が出たから、運賃法を改正をしたい、それを唯一の寄りかかりにする、こう理解していいのですか。
  50. 中村卓

    説明員中村卓君) ちょっと私の御説明の言葉が足りなかったので、今、相澤先生のそういうような御質問になったかと存ずるのでございますけれども、われわれとしましては、国有鉄道が、現在の運賃体系は陸上交通機関の大体独占時代であるということを前提としまして立てられておる運賃体系というふうに考えております。従いましてこれを現在のように、他の競争する交通機関がどんどんと伸びております現段階におきましては、どう直したらよいかというような意味におきまして、三十二年度の運賃値上げをしていただきましたあと、すぐさま審議会を作りまして、そこで御研究を願ったわけでございます。われわれも、もともと何かの方法で、そういう独占時代が破れている現在の国鉄運賃というものは、現在のままではまずいのじゃないかという考え方から出発しまして、それを具体的に、どういうふうに直したらいいかという意味で、総裁から御諮問申し上げたので、それに対する答申が出てきたので、もともとイニシアチブは、国鉄の方がこの問題についてはとってきたというふうにお考え願いたいと思います。ただ具体的な方法といたしまして、審議会からこういう方法がいいじゃないかという御答申をいただいたということであります。  先ほど申し上げましたように、今度の運賃法の改正は、原則として不増収、不減収という建前で、いわゆる値上げという考え方でなく、アンバランスを直す、調整するということに主眼を置いてやっていきたいと考えております。
  51. 相澤重明

    相澤重明君 ですから、今の御説明を聞いていると、結局は、今までの政策、運賃の方向というものを、原価主義に変えていくのだ、こういう大きな変革だと思うのです。  その点がやはり国会においては議論をされるであろうし、国民も非常な関心を持つと思うのです。単にアンバランスを是正する、あるいは審議会の答申、それはかなり精密にやられていることも事実だと私は思うのですが、しかし社会情勢、経済の成長率というものを考えていけば、こういう点についても国鉄経営の根本的な運賃制度というものに対する認識というものが、国民から支持されなければ、これはなかなか理解されないと思う。  そういう点について、十分PRも考えているだろうと思うのですけれども、説明をできるように私はしてもらわなければいかぬ、こう思うのですが、そういうようなことはいつ頃やるつもりですか。
  52. 中村卓

    説明員中村卓君) 国鉄といたしましては、現段階においては、運輸省法律案としてはお願いしているということで、その他の面につきましては、いろいろパンフレットを作りましたり、あるいは欧米鉄道との比較というようなこともいろいろ考えまして、できるだけのPRをやっているつもりでございますけれども、まだまだ、時間的にもそう余裕もございませんので、あるいは不徹底の面もあるかとも存じております。できるだけ今後もPRしたいと思っております。
  53. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、第二次五カ年計画策定については、私どもも十分関心を持って見たいし、それから当局も、その理論的根拠というものを明らかにしてもらいたい。私ども社会党としては、運賃料金等の値上げ、国民生活に悪影響を及ぼすようなことについては、絶対これは認めるわけにはいかんわけです。しかし理論が通り、あるいはそれが国民から支持される方向であるならば、これは私どもは、政治情勢あるいは国会審議の中で、十分検討していきたいと思う。  そういう点について、われわれに少なくとも国会において、十分理解される資料等の提出を私は今から要求しておきたいと思うのです。
  54. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記を止めて。    〔速記中止]
  55. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記を始めて。
  56. 相澤重明

    相澤重明君 それでは第一次五カ年計画の問題については、大体御説明いただきましたので、あとは、先ほどお話しのように、それぞれの資料をできるだけこまかく御提出をいただきたいと思うのです。  それから、前回の委員会でも、私が本日の委員会に申し上げたいのは、自衛隊の国鉄教習所における教育の問題、当時吾孫子副総裁から、よく調べて、そうしてまた赤城防衛庁長官とも、よく根拠というものも御説明聞いて、必要がなければ、これは取りやめてもいいというふうな御意見が当時あったと思うのです。そのことの結果はどうなったか。赤城防衛庁長官の回答というものはどうなっているのか、こういう点を一つ、わかったら御報告願いたいし、もし時間がなかったら、文書で御提出いただきたい。  それからその次に、私は実は、国鉄の現状を一月中旬に、参議院の決算委員として現地調査をしたわけであります。しかしどうも、現地調査をしてみるというと、下部の支社なり、管理局なりあるいは現場を聞いてみるというと、なかなか苦労されているのが多い、実際に。そこで、そういうような点について支社長会議とか、あるいは局長会議というものは、すいぶんひんぱんに開かれていると思うのですが、何か、ものを決定はするけれども、実際に実行段階になって資金面、あるいは要員面が、十分連絡がとれなくて、ちぐはぐな形が起きて、ことさらに合理化等の問題では、下部に混乱を巻き起こしている。こういうことがあるが、合理化という問題に対して、どういうようなことを計画されているのか。そういう点を文書で御報告願いたい。  それからいま一つは、先ほど運輸大臣に御質問申し上げたのですが、大臣は、そういうことを知らぬから、簡単に言うのでありますが、昨年の年末闘争における不当処分の問題であります。これは、特に国鉄の中で一番地元の東鉄において、免職者を含んだ大量の処分を発表している。しかも昨年末の年末手当の妥結の際には、労使ともに、今次のこの紛争解決に当たっては、処分者は出さない、そういう紳士的なお話をしているにもかかわらず、現実には、局長の異動の際に抜き打ち的に、いわゆるイタチの最後っぺみたいにやっている。こういうことは、まことにけしからぬことだ、こう思うのだが、理由が、先ほど運輸大臣が、国鉄当局から報告をされたということで、あれは東神奈川駅の電車区の電車運転について、大口駅で不当ないわゆる組合員が行動をした、またそういうことを計画的に暴力——暴力とは言わなかったけれども、何かそういうようなことをやったというのだから、これは処分しても当然なんだ、こういうふうに答弁をされているから、それは、あなたはよく知らぬだろうと私さっき言ったのだけれども、副総裁は、少なくとも国鉄では一番明るいのだし、また年末手当の交渉の問題については、あなたもずいぶん努力をされて、平和的に解決をしたというのですね。その努力というものが、そのときの問題ではなくて、時を経てイタチの最後っぺみたいなことでやるというのは、一体何なのか。しかもそれが実行責任者であるのかないのか、こういうようなことを、私どもいろいろ聞いてみると、その解雇処分されたのは、実行責任者ではないと言っている。そういうような、今の労使の正常な関係というものを作ることが、お互いの努力であるにもかかわらず、全く末端の弱い者をいじめて、権力を利用して押えつけていこうというようなやり方であれば、これは許しがたい問題だと思う。もしそうだとすれば、これは大へんなことですから、いずれ私どもも十分質疑もしたいと思うのですが、先ほど委員長の御注意もあって、一時までに終わりたいというのだから、一つ東鉄の免職者を含む処分について、どういう理由で、そしてこれらの内容については、どうしたかという処分の問題についての報告を次の機会に文書でもってしてもらいたい。国鉄については大体そのくらいで、きょうはもうやめます。  それからその次に運輸省自動車局長は、どうした、いい、部長がいるから。そこで、運輸省に質問をしておきたいのは、先ほど申し上げましたように、楢橋運輸大臣の一番大きないわゆる大臣の抱負ということで、新風を吹き込むという自動車行政を彼は推進してきた。その中に、しかし陰にかくれているこれらの事案に携わっている関係職員の努力というものは、並み大ていではない。しかし運輸大臣は、まあ私どもも、ポケット・マネーを出してずいぶん慰問をした、こういうことを言われておりますが、これは公私の別というものは、はっきりしなければならぬ。これは、個人がやられることは自由でありまして、それは、まことに人情大臣として私どもは喜んでいるのでありますが、しかし公的立場において国家予算、あるいは国家の公務員、あるいは公共企業体の職員、こういうことになれば、当然定員予算というものは、これは根本的な問題として考えていかなきゃならぬわけです。  そこで、そういう点について先ほども定員の問題や、あるいは一つの例として超過勤務の問題を御指摘をしたのでありますが、不十分であるということが言われたのであります。それらについての実態は、どうなっておるのか、これは自動車部長から実態を文書をもって報告をしてもらいたい。幾ら今までのところ人員を増員された、超過勤務は何時間で、その支払った額は幾らであるか、未納は——未納というと納めないことだが、未支払いは幾らあるか、こういう点を、自動車部長は文書をもって報告をしてもらいたい。  二つ目として、今まで駐留軍の離職者を初めとして、たくさんの新しい免許申請というものが出されておる、これは、私どもが常に当委員会においても、また関係の委員会においても、与党野党を問わず、政府も一体になって、そして駐留軍の離職者の生活条件を打開をしよう、早く安定をさせよう、こういうことで離職者に対するところの新免というものは促進をされてきた、また閣議決定でも、そういうふうに了解をされておるにもかかわらず、たくさんの人たちが長い間、この仕事に打ち込んで、そして自分たちの持つ技能を最高度に発揮して、国家のためにも貢献をしたい、自分の生活も安定をさしてもらいたい、こういうふうに主張をされておるにもかかわらず、すでに聴聞会等も終わったものに対しても、いまだに何らの通知も発しないというのは、一体何事か、どういう根拠があるのか、こういう点について、私ども運輸委員会としては、これは無視するわけには参らない、どうして、その今まですでに終了したようなものは、早く認定をして、そして認可というものを出さないのか。  それから特に全国各地に行なわれておる、この前の委員会でもって説明をされたところの、たとえば諮問をされてあったものが答申があった。その答申に基づいたこれらの、たとえば兵庫の問題にしても、大阪の問題にしても、京都にしても福岡にしても、これらの地域の新免については、いつどういう処置をとろうとするのか。  私は、一番遺憾に思うのは、一般業界の人たちの増車というものは行なわれておる、また同時に、増車だけではなく、新免まで行なわれておる、こういうことは、私は全く国会におけるところの政府の答弁と、現実に行なっておる行政事務というものは、私は違っておるのじゃないか、つまり駐留軍の離職者の要求をしておったものが、聴聞が終わっておるにもかかわらず、いまだに結論を出さないのに、すでに同じくらいに、あるいはそれよりもおそく新規要求をされた、いわゆる免許申請をされたところの一般自動車業が認可をされておる、こういうようなことは、これは一つの政治的認可と言わざるを得ない、私は、そう思うのです。  そういうようなことを私どもは聞くのでありますが、そういう実態があるかどうか、そのことを一つ、昨年の十一月以降の新免について、文書をもって報告してもらいたい。それは、その新免の内容、ハイヤー、タクシー、トラック等の問題について、こまかく報告してもらいたい。  そして第三の点としては、今行なわれておるところの駐留軍の離職者の申請件数について、大臣は先ほどは、三月から四月に大体終了するだろう。これは、昨年の東京都における答申も、少なくとも段階的ではあるけれども、五月ないし六月には、いわゆるこれは完成をしたい、こういう答申であったと思う、またそのように説明をされたと思う、従ってこれはおそくなっても、そういうことをやる、しかし当時楢橋運輸大臣は、もうそういう窮境というものはよくわかるから、特に離職者の問題については促進をしたい、こういう答弁があったにもかかわらず、今日、なおその問題が山積をしておることは、まことに遺憾と思う、従って駐留軍の離職者の件数、審理状況、いつごろ出すか、基準、そういうようなことについて、文書をもって提出してもらいたい。  時間がないから、ちょうど一時ですから、以上をもって、私の質問を終わります。
  57. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 先ほど私が、国鉄の第二次五カ年計画のことについて御説明申し上げましたが、三十六年度を初年度にして計画を立てたいと思っておるということを申し上げたわけでございますが、申すまでもなく国鉄の計画は、これは国全体の経済計画との関連もございますので、先ほど私が申し上げましたことは、国鉄としては、そういう希望を持って今考えておりますという意味でございますので、そのことを御了解願いたいと思います。  それから自余のいろいろ御質問がございました点は、それぞれ文書で出したいと、こういうふうに思っております。
  58. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) それでは、文書の要求がありましたのは、それぞれなるべく早く御提出願います。  それでは本日は、これで散会いたします。    午後一時二分散会