-
-
-
○
森政府委員 昨日御
要求になりました
資料で、ただいま私どもの手元にありますところを取りまとめまして、本日御配付いたした次第でございます。二枚の
資料について簡単に御
説明申し上げます。
第一に、
米国の
対外軍事援助額でございます。これは百万ドル単位で計算してございまして、
米会計年度を一九五〇年から五九年まで。次に
権限法とありますが、これは
アメリカの法制上大統領に
支出の
権限を与える
法律でございまして、これに基づきます各
会計年度ごとの、これは
世界全体でございますが、
世界全体の
数字をあげてございます。すなわち、一九五〇
年度で十三億一千四百万ドル、以下、一九五九
年度で十六億五百万ドルという
数字になっております。なお、この
権限法に基づきまして現実に
支出を行なわれます場合には、
歳出法というのが提出されるわけでございます。
権限法はこれは
外務委員会にかかりまして、
歳出法は大体
歳出委員会にかかるのが、
アメリカの国内の建前になっております。その
歳出法は
権限法の
範囲内において行なわれます
関係上、大体
歳出法の方が少なくなっております。それでは、一九五〇年では八億五千九百万ドルから始まりまして、一九五九年には十五億一千五百万ドル、合計しまして、
権限法では一九五〇年から五九年までに三百億余の
支出が認められておりますし、
歳出法では約二百八十億ドルが
支出を認められておるわけでございます。なお、三十五年の本月二十三日に
国防省で
発表されました
計画額では二百六十億七千九百万ドル、これは
歳出法に基づきまして
国防省が
計画をしております。この
計画額というのはそういう意味でありますが、
歳出法に基づきまして
国防省が
計画した額が二百六十億七千九百万ドル、これに基づきまして
国防省が
引き渡しましたのが二百三十三億ドルでございます。
なお、
国防省発表では、
軍事援助計画があるという事実は
米国のコミットメントと解してはならない、すなわちこういう
国防省の
計画というのは
アメリカ側が必ずそれだけの額は提供するという具体的な約束と解してはならないという注がついております。
次に第二枚目の
米国の対
日軍事援助額でございます。これは二十三日の
国防省の
発表によるものでございます。しかしながらまだこの
国防省発表の全文が二十三日に
発表されました
関係上入手されておりませんで、
日本の分だけこういう格好でただいま電報が入っておる次第でございます。それは一九五〇年から五九年までに七億一千百五十五万七千ドル、円に直しまして二千五百六十二億円でございます。一九五九
米会計年度では七千八百三十一万五千ドル、これを円に直しまして二百八十二億円、一九六〇
米会計年度で八千五百九十二万八千ドル、円に直しまして三百九億円という
国防省の
計画額でございます。これに見合いまして、2としまして対
日引き渡し額、これは同
年度間におきまして五億六百五十七万一千ドル、これを円に換算しまして千八百二十四億円、一九五九年では一億六百六万七千ドル、円に換算しまして三百八十二億円、一九六〇年の
見積額としまして一億一千五百十七万四千ドル、円に換算しまして四百十五億円、これだけの
数字が
外務省にわかっておる
数字でございます。
-
-
○
滝井分科員 今
米国の対
日軍事援助額の御
説明をいただいたのですが、昨日
日本円に換算をすると大体四千億円だ、陸が二千億円で海が一千百億円で空が九百億円、大体四千億円だという御
説明をいただいのですが、こういうまるい
数字でははっきりしないのでもう少し詳しく米ドルと
日本円に換算したものを出していただきたい、こういうことできようお出しいただいたわけです。
そこで、まずこの表を見せてもらった第一にわからなくなる点は、
計画額が一九五〇年から一九五九年まで七億一千百五十五万七千ドル、
日本円に直しますと二千五百六十二億円ですね。対
日引き渡し額が一九五〇年から一九五九年まで五億六百五十七万一千ドル、千八百二十四億円になっておるわけです。ここに約一億ドルの差があるわけです。これは前の
権限法と
歳出法の間に差があることはよくわかるのですが、この二億ドルの差というものは、
日本にとつては相当莫大な、ほとんど一年の
防衛費の半額に及ぶ額なんですね。これは相当重大なものなんですが、こういう
権限法と
歳出法との
関係があるでしょうが、対
日軍事援助が五〇年から五九年までに約二億ドルの差が生じたことによって、一体
日本の
防衛計画にどういう影響がどういうところに具体的に現われてきたかということなんです。私はこれは一番大事なところだと思うのです。これは、こういう
計画が現われたからこういう点に
支障がきた、だからこういうように
武器の
引き渡しをやってくれということは、当然
防衛庁の方から
外務大臣にはね返ってこなければならぬ問題だと思うのです。そうしますと、一体一億ドルの
引き渡しということがどういう点で具体的な
支障がきたのか、これをまず御
説明願いたい。
-
-
○
滝井分科員 そうしますと、昨日もここで具体的に例をあげて申したのですが、
艦船建造を
ごらんになると、
潜水艦、
甲型警備船を
お作りになる。そうすると、
船体と
機関とは主として
日本の三菱重工業や川崎重工業ですか、こういう
日本のそれぞれの
製造会社に委託するわけです。そうしますと、
船体と
機関ができてきます。今度はそのできた
潜水艦、
甲型警備船に積む
武器は
アメリカから来るわけですが、
アメリカの
武器がこないために最終的に
潜水艦なり
警備船の進水ができないわけです。進水できないうちに厚い
鉄板が値上りするわけです。そうしますと、
鉄板の値上がりによって船の
予算を変えなければならぬ事態がもう四、五年前からずっと起こっております。従って、二年でできる
潜水艦が三年、四年とずっと延びていることは御存じの
通りだ。そうしますと、
MSA協定によって当然
アメリカから来るべき
武器が来なかったために、
日本の
防衛計画に
支障を来たす、こういう問題が出てきておる。今のあなたの御
答弁のように
引き渡しの
ズレでいろいろな
計画に
支障が
一つもないということは、今までの
予算の審議の過程を見ても、そうは言えないと思う。従って約二億ドルに及ぶ
引き渡しが行なわれなかったおもなるものは一体何であるかということですね。それがいかなる
理由でおくれたか、この二点を明らかにしてもらいたいと思う。昨日の
外務省の
説明では、陸の二千億入ったものは弾薬と
火器、車両である、それから千百億の中では
艦船と
航空機、それからもう
一つ何か入ってきております。それから空の九百億の中では
共同生産を含めて
飛行機がほとんどおもなものだ、こうなっておる。そうしますと一億ドル、換算すれば七百億円に及ぶ
お金になるものが入ってきてない。そのおもなものは何か、いかなる
理由で入らなかったかということです。
-
-
-
-
○
滝井分科員 委員長お聞きの
通り、私が今御質問申し上げておるのは、一九五〇年から五九年の間に七億一千百五十五万七千ドルの
承認があるわけです。その
引き渡し済みは五〇年から五九年までに五億六百五十七万一千ドルですから、約二億ドル、七百億円をこえる
引き渡しが終わってないわけです。従ってそれは七百億全部が引き渡されるものとは私は考えません。それは
権限法とそれから
歳出法との
関係があるのですから。しかし明らかに
日本の
防衛計画の上でこれだけのものはもらえるという確信があるものが、今の御
説明のようにあるわけです。従って、この五〇年から六九年の間に
引き渡しが終つていないで、
日本が当然期待をして
計画の中に組み込んでおるものを、
一つ一覧表にして出してもらいたいと思うのです。今のような御
説明ではどうもはっきりしないのですよ。
一つ一覧表で、少なくともきょうこの
委員会が終わるまでに。もうわれわれは引き延ばしをするためにこういうあれはしません。これは
日本の
防衛計画に重大な
関係があるのですよ。だから、きょう終わるまでにそれをまず出していただきたいということです。出せましょうか。
-
-
○
滝井分科員 きょうでなくても、少なくとも二十九日の総括のときまでには出せますか。――それじゃ出していただきたいと思います。
-
-
○
滝井分科員 あとの
文部省関係がありますから
一つ要領よく答えていただきたいと思います。この一九六〇年の
支出権限承認の中で、八千五百九十二万八千ドルというのがあるわけです。これは七月から始まる
会計年度分だと思うのです。
藤山さんにお尋ねしますが、八千五百九十二万八千ドルの中には、今度
ロッキードで七千五百万ドル
アメリカが負担することになりましたね、これが入っているかどうかということです。
-
-
○
滝井分科員 そうしますと、
外務省としては八千五百九十二万八千ドルの中に七千五百万ドルが入っておるとしますと、その中の七千五百万ドルの中の
幾らが一体今
年度中に
日本にきて、そして具体的な
防衛生産に動くことになるのでしょうか。
-
-
○
滝井分科員 八千五百九十二万八千ドルには入っていないのですか。そうしますと、一九六〇年の
承認済み額には八千五百九十二万八千ドルに七千五百万ドルが加わることになるのですか。
-
○
東郷説明員 一九六〇
会計年度と申しますのは、ことしの六月までのことでありまして、ただいまの
ロッキードの
金額については、これは一年分でなくておよそ三年ぐらいにわたってということなのであります。そこでこの八千五百九十二万八千ドルというものの中が何であるかということは、
アメリカの方でも
発表になっておらないわけです。従ってその内訳は、何が何ドル何が何ドルということは、われわれにはまだわかっておりません。そこで具体的に何がこちらにくるようになるかということは、
防衛庁から
在日米軍事顧問団の方へ
要求を出しまして、
向こうの方でもこの
範囲でどういうものが出せるかということをきめまして、それでくることになるわけであります。この
金額だけで、その中が何が何であるかということはわからないわけであります。
-
○
滝井分科員 少し私と考え方が食い違っておるようでありますが、もう一ぺんお尋ねしますが、この表にあります八千五百九十二万八千ドルというのは、一九六〇年の七月から始まる
アメリカの
会計年度のものじゃないのですか。これはそうでしょう。一九六〇年というときには、その議会の議決をした年を言うので、それは
アメリカでは翌
年度の
会計になるのでしょう。そうじゃないのですか。
-
○
東郷説明員 一九六〇
会計年度というのは、一九五九年七月から六〇年六月までを便宜上そういうふうに呼んでおるわけであります。
-
○
滝井分科員 そうしますと、七千五百万ドルというのは一九六一
会計年度になりますね。そういうことになるのですか。
-
○
東郷説明員 六一
会計年度ということであれば、七月以後ということになります。(「そうなるのかということです」と呼ぶ者あり)そういうふうに了解しております。
-
-
○
東郷説明員 それは外国の
予算のことでよくわかりませんけれども、最近のこの表を
ごらんになりましてもわかりますように、実際のデリバリーの
数字は
計画額よりふえております。これは前からの、たとえばおととし
在日米軍軍事顧問団に話をして、それがことしデリバーされる、引き渡されるというような
関係もあって、来年の
向こうの
予算額がわかったとしても、実際の
引き渡しの額というのは来年にならないとわからないのではないかと思います。
-
○
滝井分科員 一九六〇年の八千五百九十二万八千ドルの中には、そうすると
ロッキード分は入っていない、こういう御
説明があったわけです。そうしますと、
赤城さんの
答弁によれば、七千五百万ドルの中からことしは
日本の
お金というものは使わないのだ、ノック・
ダウン分の二十機ですか、こういうものについて
日本の工場で作る、それは全部
アメリカの
お金を持ってきて使うのだという
答弁をしているのです。そうしますと、その金は
アメリカの
会計の六一年からくるとすれば、当然その
お金は七月以降に使われることになるのですが、それは一体
幾らくるのですか。七千五百万ドルの中から
幾らくることになるのですか。
-
○
東郷説明員 はなはだ相済みませんが、一点ちょっと訂正させていただきます。七千五百万ドルの全部はこの八千五百万ドルの中には入っておりません。今までの話はおよそ三年くらいにわたって七千五百万ドルを出すということで、毎年
幾らずつ出すというような話までははっきりしておりませんが、その中で第一
年度分に当たるものはこの八千五百万ドルの中に入っておるかと思います。しかしながら、この点は先ほど申し上げましたように、
内容が何だということは確認しておりませんので、ちょっと訂正いたしますけれども、われわれは第一
年度分はこの中に入っているものだと推定いたします。
-
○
滝井分科員 そうしますと、八千五百九十二万の中には
ロッキード七千五百万ドルの中の一部が入っておる。そうすると、およそその額はどの
程度になるのです。
-
○
東郷説明員 その点は、ただいま申しましたようにおよそ三年ぐらいで、そのうち毎年
幾らずつだという話はまだ詰めておりませんので、三分の一とすれば二千五百万ドルでありますけれども、それだけがここにあるということはわれわれにはわかっておりません。
-
○
滝井分科員 赤城長官が多分第一
分科会の淡谷さんか
横路さんに対する
答弁では、これはことし確かに
アメリカの
お金でやるのだ、そういうことが
米軍と話し合いがついておる
答弁なんですよ。そういうことは当然
藤山さんの方にも話がきておらなければならないはずだと思うのですがね。その額が全然わからない。しかも一九六一
会計年度に七千五百万ドルというものは入っていくのだというのが、今度は一九六〇
年度の
会計年度の中にその一部、三分の一が入るのだ。どうもこういうあいまいな
答弁では、また
飛行機の
計画が狂うのですよ。だから少なくとも
ロッキードを五年以内に
お作りになる、二百機というものが五年したら全部飛び立っていくのだということになれば、やはり第一
年度からはっきり固まった形でいっておかないと大へんなことになると思うのですね。もう少し
そこらあたり一体どの
程度の額になって、確実に入るものなのかどうなのか、こういう点もう少しはっきり
答弁して下さい。
-
○
東郷説明員 ことしの七月までに
ロッキードに
幾ら出るかという
数字は、むしろ一番下の一億一千五百十七万四千ドル、この中に入っておるかどうかということだろうと思いますが、しからば七千五百万ドルをおよそ三年間にわたって
幾らずつ出すかということは、
計画の
内容になることでありますので、
具体的計画は今どういうスケジュールでやるかというようなことも交渉の対象になっております。従って、
ロッキードの
計画をやるということがきまれば、その
計画に差しつかえないように必要な分は必ず一番下の額の中に入ってくるわけだと思います。
-
○
滝井分科員 こういう点はやはり
防衛庁長官にお尋ねをしなければいかぬと思いますので、きょうは私これでやめますけれども、もう少しはっきりと御
答弁をいただきたいと思うのです。
次にはこの
引き渡し額と
計画額との間に、さいぜんあなたも御指摘になりましたように、一九五九
米会計年度に七千八百三十一万五千ドルとなっておるのに、
引き渡し額は一億六百六万七千ドル、それから六〇
年度も
計画が八千五百九十二万八千ドルなのが一億一千五百十七万四千ドルとずいぶんふえているのですね。この
引き渡し額が特に五九、六〇年と
増加をしてきた原因というものはどこにあるのですか。
-
○
朴木説明員 これは一番上欄の五〇ないし五九
米会計年度において
承認されたものは、逐次対
日引き渡上額として計上されてきたわけでありまして、五〇から五九までの
米国の
承認額が全然はっきりしておりませんので何とも申しかねますが、五〇ないし五九のうちのおくれの分がここに現われたものだと思います。
-
○
滝井分科員 おそらく善意に解釈すれば、
数字の上からいえばそういう推定しかできないだろうと思うのです。それとも一九五九年以降における
日本の
極東における地位が非常に高くなってきたということのために、
米会計年度の
承認額よりか
引き渡し額の方が
増加をした、こういう見方も成り立ってくるわけです。これは
外務大臣どちらですか。
-
-
○
滝井分科員 どうも
日米新時代の到来ということでこういう形になったのじゃないかという、痛くもない腹を探る気持にならざるを得ないのですが、それはそれとして、次はもう
一つ、昨日御
答弁になった四千億という
外務省の
説明した
引き渡し額と、それから五九年までに引き渡す千八百二十四億円、あるいは五九年にこれが三百八十二億が全部引き渡されたとしても二千二百億
程度しかないわけですが、これとの
差額これをもう少し具体的に
説明していただきたいと思うのですが、
船舶貸与協定とかあるいは
艦艇貸与協定、そのほかもう
一つ何か
警察予備隊当時の
火器の類があるからこうなるのだ、
火器の類は
アメリカはおそらく除外をしておるのじゃないかという
お話もあったのですが、
そこらをもうちょっと具体的にはっきりしていただきたいと思うのです。
-
○
東郷説明員 きのうも申し上げましたけれども、
日本の方で
アメリカからもらったものすべての額が四千四百二十三億一千五百万円、これは
防衛庁からもすでに御披露があったかと思います。
アメリカの方で最近
発表になりましたいわゆる
MSA法に基づくものは
日本の場合には
昭和二十九
年度から適用になっておるものでございまして、その前のものあるいはその他の
法律によるものは、
アメリカの方ではその数に入れておりませんが、こっちは一緒に計算しております。そこでその他のものといいますものは
船舶貸与協定、
艦艇貸与協定関係の五百九十二億円、それから
MSAのこの
法律による以前の、
アメリカの方では
極東陸軍補給計画というものだそうでございますが、その
関係で
警察予備隊、海上保安庁、そういう
関係と思いますが、そういう
関係のものが一千百五十億円、両方合わせまして一千七百四十三億円になりますが、それを今の四千四百二十三億何がしから引きますと二千六百八十一億円ということになります。そこでその二千六百八十一億円というのは、今の千八百億円ないし二千二百億円というものと比べますと、なお数百億の開きがありますが、その点については、今
日本の方でもらったものとしておる中にさらに
極東陸軍補給計画によるものがあるのではないか、あるいはこれも
アメリカの規則によるわけで、どういう評価をしておるかというような点でもう少し検討中であります。
-
○
滝井分科員 私は、よその国からもらったものをかれこれ言うわけではありませんが、ガリオア、イロアの問題についても、やはり
アメリカと
日本との間にいろいろな食い違いがあるわけです。そこでこういうよその
武器を借りてくるあるいは無料で拝借してくるというようなときに、
向こうの
発表の
数字とこちらの現実にもらっておるものとの間に非常に大きな差があるということは、国民に疑義を与えるもとになると思うのです。従って、こういう点は、
藤山さんにお願いしたいのですが、これはもう少しはっきりしてもらっておかぬと、先になってから、
日本と
アメリカとが友好
関係を結んでおるときはいいが、何かの機会に感情の食い違いが出てくると、あのとき貸した
武器の借り賃を払えなんていわれたときに、評価額が違ったのでは大へんなことだと思うのです。だから少なくとも
アメリカの政府当局も
日本の政府当局も、
一つこの
武器を貸しましょう、しかしこの
武器の評価はどのくらいですかということをお互いに話し合ってやることが、お互いに友好
関係を結ぶ国として当然のことじゃないかと私は思うのです。ところが
アメリカの評価額と
日本の評価額が違っておりますから――これは八億くらいの差がありましょう。そんな八億円くらいの差は評価の違いだとか何とかいうことでごまかすということではわれわれ了承しません。もうガリオア、イロア基金等でこりておりますから。われわれ無料で小麦粉なんかもらったつもりだった。ところがあとになってあれは債務だということになると大へんです。こういうのだって貸しくれたまえみたいなものになってしまうのですから、最後にスクラップになってしまえば使えないのですから、もう少し今の
数字でも四千四百二十三億一千五百万円、それから
米側の
発表しておる千八百二十四億円、こういうようなものとそれから今申し述べました千七百四十二億の
艦艇貸与協定とか
船舶貸与協定あるいは
MSA法以前のもの、
極東陸軍補給計画の千百五十億円、こういうものとの
関係も、これは
委員長、
一つの表にして疑いを晴らすために出していただきたいと思うです。そしてこういう点について
日米の間に食い違いがあるのだ、こういう工合に、次の議会に意思統一をしまして政府の統一的見解を出していただかなければならぬと思う。どうですか。きょうはこれ以上私は言いたくないのですが、食い違いは食い違いとして出してもらいたい。
-
-
○
滝井分科員 では
一つこれはきょうとは申しません、二十九日でけっこうですから、前の表と一緒に出すようにお願いしたい。
-
-
-
-
-
○
横路分科員 文部大臣にお尋ねをいたしますが、十二月四日に私は文教
委員会で文部大臣に、
昭和三十五
年度の
予算について文部大臣として重点的な施策は何ですかということについてお尋ねしたわけです。そのうちに私はPTA会費について実は
お話を申し上げ、大臣の決意を承ったわけですが、重ねて申し上げたいと思うわけです。
文部省で出しました全国の小学校、中学校、高等学校、幼稚園のPTA会費等について、今私は小学校を
一つ例にとって
お話をしたいと思うのですが、小学校で全国でPTA会員の寄付金は五十五億一千九百六十三万六千円、こうなっているのです。ところがそのうちの消耗品費というのが五億七千三百万円、校舎の修繕費というのが四億円、図書の購入費というのが四億三千六百万円、設備備品というのが十一億円、そのほかに当然国あるいは地方公共団体で負担をしなければならない旅費等が約三億円、こういうようなものを合わせますと、小学校のPTA会費だけで五十五億円のうちで実に三十八億六千万円ほどが、当然国あるいは地方公共団体が負担をしなければならないものについて、父母が負担をしている。小学校児童一人当たり六百十四円の負担だ、こういわれている。これだけの負担を国並びに地方公共団体で負担をすれば、約六割軽減されて、四割
程度になる。そうすると一月二十円ぐらいになるわけなので、この点、文部大臣は、十二月四日の御
答弁では、三十五
年度予算においてはたしか四十億円と思いますが、負担を軽減するように措置をしたいと思う。こういう御
答弁でございましたので、どういうようにこの
予算書に組まれているか、その点について
一つお尋ねをしたいと思います。
-
○松田国務大臣 父兄負担軽減の問題については、
お話しのように、できる限り負担の軽減をはかっていきたいという趣旨から、毎年
文部省におきましては父兄がどういう金をどれだけ負担しているかということを調べておりますが、
昭和三十三
年度におきましては、PTAが会費として負担しておる額はたしか八十八億、そうして教材等についてと思いますが二十八億、合計百十六億円という額に上っておると思います。そこで、こういう負担はできる限り軽減していく方向に持っていきたいと考えまして、それに対して本
年度も今
お話しの
程度の軽減になるようにいろいろ
予算措置は講じられておると思います。
-
○
横路分科員 内藤
局長、今大臣から、
予算措置が講ぜられていると思います。こういう
お話ですが、それではちょっとわかりにくい点がありますので、
局長の方からどこにどういうようにこのPTA会費の軽減のために組んであるのか、
一つ金額を明らかにしていただきたい。
-
○内藤(譽)政府委員 まず第一に、国の負担の方において申しますと、
一つは、教材費の負担金、これが従来十七億二千九百万でございましたのが十七億六千七百万、三千八百万の増になっております。それからその次に、理科教育の設備でございますが、これが五億でございましたのが、五億五千万、その次に中学校の技術家庭科が一億三千万でございましたのが一億九千一百万、約一億六千万ほどの増額になっておるのでございます。一般的な教材
関係の経費は以上でありますが、そのほかに準要保護児童の対策費として、教科書、修学旅行費、それから保健医療費、それから給食費というものが組まれておりますが、特に本年は給食費に重点が置かれまして、これが四%引き上げになっておるのでございます。この
関係が三億二千四百万の増になっております。一般的な軽減をはかると同時に、準保護世帯における緩和をいたしたわけでございます。
さらに地方財政の分におきましては、ただいま
お話しの中で給与費の
関係を相当市町村で持っておる、特に持つべきものを父兄が負担しているという経費がございます。それから光熱水料あるいは修繕費等がございますので、この面におきまして市町村の教育費を充実することにいたしたわけでございまして、地方財政
計画におきまして給食員の作業婦を一人追加いたしまして、その
関係の経費と合わせまして三十四億ほどの財源措置をいたしたわけでございます。三十四億といたしますと、大体市町村が負担すべき人件費の分は、これは住民に転嫁しないように、なお光熱水料あるいは修繕費、いわゆる維持修繕に要する経費についても、住民に負担を転嫁しないように、こういうことでただいま自治庁と打ち合わしておりまして、できますればこれは政令によってこういうものは父兄の負担にたよらないようにいたしたい、こういう経費が三十四億ほど見込まれておりますので、先ほど申しましたように合算しますと四十億くらいになるわけであります。
-
○
横路分科員 最初に
お話のございました教材費については、小学校で三千八百万円ふやした、こういうわけですが、これは全国の児童の数からいくと、内藤
局長、一体ここで大したものではないかという
金額になるのでしょうか。
そこら辺はいかにも三千八百万円――きのう私ども実は
防衛庁の諸君に聞いてみたのですが、パイロット一人養成するのに
幾らかと聞いてみたら、F86Fの一人のパイロット養成費が三千七百万円です。たった一人のパイロットを養成するのに……。それを、あなた、
日本全体の小学校の児童に教材費を三千八百万円ふやしたといってどうですか、こういうのはちょっとどうもいかがですかね。それから理科の教材費についても五千万ふやした、小学校については何かその
程度の
お話しか私は今お聞きできなかったのですが、あとのたとえば教科書であるとか、あるいは給食費というのは、これは準要保護児童に関するものであって、これは何もPTA会で負担すべきものではないのですからね。ですから先ほど文部大臣からも
お話がございました小学校におけるPTA会費八十八億
幾ら、これは校費に組み入れられない寄付金の額だと思うのです。こういう場合にわずか八千八百万円
程度である。地方財政の方はこれからお尋ねいたしますが、どうも国で負担するのが八千八百万円
程度では少ないのではないですか。この点はどうですか。これは
文部省の言い分
通り大蔵省が聞いたのか、いや、実はもっと
要求したのだ、しかし
要求が通らなかったというのですか。その辺はどうですか。
-
○内藤(譽)政府委員 お説の
通り、大へんこの額は少ないと思っております。先ほど給食の場合が出ましたけれども、準保護家庭で給食費が払えないのはやはりPTAで払っておりますので、この額も三億数千万ふえておりますので、これもその意味ではPTAの負担の軽減になる、こういう趣旨でございます。
今御指摘になりました教材費あるいは理科の設備費についての国の負担額は、ほんとうにこの
程度ではとても問題にならぬ、御指摘の
通りでございます。
-
○
横路分科員 それでは地方財政にプラスする分として二十四億円、とりわけこれは光熱費であるとか、あるいは維持費であるとか、旅費であるとか、こういうものについてはお組みになったというのですが、もう少し詳しく、たとえば旅費の場合には一人当たりどういうように、昨年はこれこれであったが今年はこういうように組んだ、その点
一つ明らかにしていただきたいのと、先ほど一人人員をふやした、これは学校ごとにふやしたというのか、その点もどうも明らかでございません。もうちょっと明らかにしていただきたい。
-
○内藤(譽)政府委員 市町村の教育費のうちで、一番PTAが負担しているのは、何と申しましても給食の従事員でございます。そこで従来四百五十人に一人の割で見てあったわけですが、今回は三百人に一人ですから標準規模の九百人の場合には三人に見たわけでございまして、この
関係の経費が約十二億でございます。これ以外にも用務員の給与等がございますので、この経費と合わせて人件費の
関係で十七、八億を見たわけでございます。
それから旅費の
関係は、これは当然都道府県が負担すべきものでございますので、
文部省では実績の半額を国庫負担といたしております。地方財政の方では別に増額いたしておりませんけれども、これは実績によって算出することにいたしております。それから学校の光熱水料あるいは修繕費等の
関係で約十五、六億円を増額いたしたのでございます。
-
○
横路分科員 大体わかりましたが、たとえばPTA会費で旅費等が相当負担されているのですが、これは今内藤さんの
お話だと、都道府県で
支出した実績の二分の一を
文部省で自動的にやる。そうすると、都道府県の地方財政のいかんによっては上げることができるという意味ですか、その点確かにしておいて下さい。
-
○内藤(譽)政府委員 さようでございます。
-
○
横路分科員 文部大臣先ほどからお聞きのように、地方財政の
関係分は、これは学校給食の従業員その他について見、あるいは見られているそうでございますが、実際には教材費であるとか、それから理科の実験費ですか、教具費ですか、そういうものを入れて、先ほど指摘しましたように小学校では八千八百万円しかないわけですね。こういう点については、たしか文部大臣は、昨年十二月四日のときには、三十五
年度の
予算の重点的な施策としては、大いに
一つ科学教育の振興に充てるのだ、こういうことでありましが、これではやはり基礎的な小学校、中学校の教育という点からいってちょっと足りないのではないかと思いますが、将来について文部大臣はどういうようにお考えでしょうか。
-
○松田国務大臣 むろん八千何百万の金では十分じゃございません。将来はさらにこれを増額していきたいという考え方でおります。
-
○
横路分科員 文部大臣にこの点はぜひ
一つお願いしたい。今義務教育の小中学校の父母の教育費の負担が非常に大になっているわけであります。この点の軽減については、もちろん国だけの責任ではありませんで、都道府県、市町村の責任でもあります。それぞれ努力をしておると思うのですが、国においては将来とも特にこの軽減については努力してもらいたいと思うのです。
次に、内藤
局長に、これは十二月四日ですが、
昭和三十五
年度の教員の定数はどれだけふやすのですか、こうお尋ねしましたら、あなたは大体一万五千
程度の増員を
要求しておりますというお答えでございましたが、実際にはどれだけの増員になったのか、その点明らかにしてもらいたいと思います。
-
○内藤(譽)政府委員 児童生徒の自然増による教職員の増で千百一人です。これは小学校が七十七万減りまして、中学校が七十一万ふえた、こういう
関係で、差し引きして大体中学校の分で一万五千人くらいの増になり、小学校の方が一万四千
程度の減になるわけであります。千百一人が増でございます。
それからいま
一つは、標準法――公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する
法律がございます。この中で、小学校の場合は五十八が今の限度になっております。これを予定
計画通り五十六に引き下げる、この
関係で三千七百ほどでございます。それから定数の充足がございますので、三十八
年度までに定数充足をはかるという
関係から、合わせて四千八百二十人の増をいたしました。ですから、合計いたしますと五千九百二十一人、約六千人の増でございます。
-
○
横路分科員 そうすると、内藤
局長、これは当時一万五千人の増員を考えていたけれども、実際には六千人の増員が認められた、こういうわけですね。
-
○内藤(譽)政府委員 さようでございます。
-
○
横路分科員 文部大臣、これも私十二月四日にお尋ねしたとき、すし詰め教室の解消は
昭和三十五
年度の
予算の第一だ、こういうことで一万五千人の
要求をされたのが六千人でとどまったといのは、
文部省の
計画の半分もいっていないということで、これは将来ともすし詰め教室の解消ということで大いに努力してもらわなければならぬと思います。
次に、学校給食のことなんですが、内藤
局長からしきりに学校給食のことについて
予算をふやした、ふやしたと言うのですが、実際には新
年度から学校の給食代が月二十円ないし三十円上がるだろう、こういうのです。内藤
局長は下がった、下がったと言うが、実際の父母の負担は上がっておる。今私たち実際に聞いてみると、月二百二十円くらいの負担が最低三百円になるだろう、決して父母の負担は軽減されていない、
増加してきちゃう。これはなかなか大へんな問題なんです。内藤さん、あなたの
予算上で答えることと実際のこととは違ってきているわけです。
そこで、これは
体育局長の清水さんにお尋ねいたしますが、これは実際四月一日から父母の負担が小麦一食分について五十三銭、これは小麦だけで負担増になる。これに運賃その他を入れると、一食分は八十銭の負担増になる、週五回で四円の増になる。ですから、大体月二十円くらいの負担の増になって、それにその他が伴えば、大体三十円くらいになる。ですから、せっかく
文部省の方では学校給食費については国の負担をみたんだ、こうは言うておるけれども、一人々々の父母については、子供一人について二十円ないし三十円の負担増になる。これはおかしいじゃありませんか。
-
○清水政府委員 ただいまかぜをこじらせましてお聞き取りにくいと思いますが、どうぞお許し願いたいと思います。
ただいま
横路先生から
お話がございましたが、三十五
年度におきましては、父兄の学校給食費負担は大体七十銭から八十銭以内上がる予定でございます。これは一食についてでございます。従いまして、学校給食はA型、B型、C型というのがございますが、A型は五日でございますので、一食について八十銭弱上がるわけで、月二十日間としますと、まず八十銭といたしまして、十六円上がるということに相なるわけでございます。これは私どもと、してはまことに残念なことでございます。
その原因は、すでに御承知かと思いますが、
アメリカの余剰農産物の贈与があった、グラントがあったわけでございますが、三十四
年度限りで打ち切りということに相なっておるわけでございます。従いまして、それだけ高くなる価格差の補給ということも考えないわけではございませんでした。しかし、今日までの学校給食の経緯を見まするときに、学校給食の普及の努力の際にいろいろネックはありますが、その中で最も大きなネックは、月二百五十円とかいうものの学校給食費支払い困難の家庭があるので、そうすると、その
お金はどうするか。結局国で持つか、設置者が持つか、中にはPTA――PTAといってもPですけれども、PTAで払えなかった分を持つというようなこともないわけでもない。これでは学校給食の伸展上まことに寒心にたえませんので、私どもといたしましては、学校給食は、今後普及をはかる意味からいきましても、支払い困難な家庭の子供については全額国庫負担、全額公費負担で行こうという線に踏み切ったような次第でございます。
ちょっと蛇足になるかもしれませんが、御承知のごとく、学校給食は、
日本は当初あの食糧事情の困難の際に、子供の体位が非常に悪かった。あのときに
アメリカの軍放出物資でありますとか、ララ物資でありますとか、ガリオアの物資の放出で始めて参り、その後余剰農産物の贈与、ただでもらうというようなことで進んで参ったのでございます。ことに、その間学校の校長先生を初め先生方の御努力は申すに及ばず、各方面の協力によってただいまは一千万になんなんとしておるこの際、今後の学校給食のあり方などを考えまするときに、どうしてもこの支払い困難な家庭を全面的に救済しなければならぬというわけでもって、三十五
年度には、御承知のごとく、総額で五億四千万ばかりになったわけでございます。そのほかに、昨年の災害とか、九州の炭鉱はそれと別に取っておるような次第でございます。
それから父兄負担の問題でございますが、先ほど内藤
局長から話がございましたが、学校給食に従事しておる教員、その中には大部分は設置者が人件費を出しておりますが、御承知のごとく、学校給食費は
法律、政令に基づきまして父兄負担ということになっております。それで、その給食従事員につきまして、従来は二人でやっておった。ところが、中には二人でやっていけないところがありまして、全国でいえば、あからさまに申しますと、私どもの調査によりますと、三万二千くらいの学校給食従事員がおるのでありますが、そのうちの六千くらいはどうも身分が不確定で、そのうちPの方から金が出ているところもあるようでございますので、どうしてもこの点は救済しなければならぬというので、従来二人のところを三人にいたしまして、従来の国の見ておりました二十四億に対して、一人増になりましたからして十二億ということに相なっておるような次第でございます。
以上のような事情でございますが、私どもといたしましては、学校給食の値上がりにつきましては、極力あらゆる方法をとって、これを上がらないように努力して参るつもりであります。しかしまた反面、学校給食は従来のように安いからということよりも、もちろん安く努力しますけれども、学校給食の
内容を改善して、楽しい、魅力のある方向に持っていく。そのために若干上がっても、――ただその際、支払い困難な家庭だけは全面的に救っていこうという方向に踏み切ったような次第でございます。
-
○
横路分科員 今
体育局長の方からの準要保護児童について、去年までは児童数の二%、これはたしか一食十五円九十銭ですから、二億三千五百万円だが、ことしは準要保護児童を四%にふやして、五億六千万にしたのだ、この点の趣旨はよくわかりますが、それでも児童数の四%なんです。あとの九六%は全然恩典に浴していないのです。そして一食九十二銭の値上がりが、贈与の小麦分が幾分まだ残っておるから、ことしは年間ならして五十三銭なんです。しかし、これは来
年度になれば、一食九十二銭になる。今五十三銭の分でも、あなたが言ったように、経費その他を入れると、実際には八十銭になる。そうすると、四月一日からは一食当り九十二銭です。経費その他を入れれば一円六十銭くらいになる。一円六十銭は、今のあなたの計算の二十日分になると、九六%の父母は三十二円の負担になる。それならば来
年度はどうなるのですか。今
局長から、父兄の負担についてはふやさないようにすると言うならば、この九十二銭の分について、大蔵省に
要求したらいいじゃないですか。この九十二銭を一円として大蔵省に
要求して、年間なんぼになりますか。
-
○清水政府委員 いわゆるグラントがなくなるので、価格差補給という意味合いにおきまして、九十二銭の値上がりということで
要求をいたしたわけであります。その
金額は大体三十七億から九億に相なるわけでございます。現在は、百グラムのパンにつきまして一円の補助になっておりますから、来
年度は十七億一千二百一万円だと記憶しておりますが、そういうことになります。そこを先ほど来私が申し上げたわけでありますが、もちろん私どもとしては、学校給食費が上がらないように努力いたします。しかし、学校給食と申しますか、昼飯は、端的なことを申しますと、学校給食をやっておっても、やっておらなくても、お子さんは弁当を持って行かれるわけでございます。それで、私は
法律に書いてあるからこうだというわけではございませんが、学校給食法を見ましても、学校給食は父兄負担とする。しかし、これでは学校給食の重要性から考えまして、どうかと思いますので、国といたしましても、たとえば学校給食物資のスキム・ミルクの免税、これが九億ばかりになります。それから
文部省関係だけで二十五億くらいの学校給食
関係の補助をとってありますし、国内産の物資については大体十五億の補助になっておりますが、そういうふうにあらゆる方法をとって、学校給食費を上げないことに努力しておるわけでございます。しかし、今日まで学校給食費がどうしてこんなに安かったかというと、国のそういう補助もありますが、何と申しても外国の余剰農産物の贈与、あるいは非常に安い物資によってまかなわれてきたような次第でございます。従いまして、今後は、たとえば脱脂ミルクにつきましても、国内産のことも考えなければなりませんが、国内産だけではまかなっていけませんので、どうしても外国に輸入を仰がなければなりませんけれども、その輸入価格も、従前
通り安く買うように努力いたしますが、グラントがなくなったために若干上がることは、一般父兄の心からなる御協力、御理解を賜わりまして、ただ払えない家庭だけは、全面的に今後これを公費負担でやっていくという方向に踏み切ったような次第でございます。
-
○
横路分科員 清水さん、お昼御飯は当然だれでも食べるのだから、その給食代は父母が負担するのはあたりまえなんだという話は、ちょっと私は筋が通らぬのではないかと思う。学校給食というのは、
一つは、次の国家を背負って立つ小学校、中学校の子供たちの体位を増進してあげるということが目的です。これを二百七十円とっているのですよ。しかも新
年度からは三百円になる。子供が三人おれば九百円です。大した金ですよ。だから給食代を払うことになかなか容易でない家庭が多いのです。今あなたが準要保護児童が二%から四%に上がったことについて
お話なさったが、これは私も賛成します。しかしあとの九六%が、みな三百円ずつ十分払えるというのじゃないのです。小学校、中学校を合わせて三人くらい行っておりますからね。四人になれば千二百円くらい払う。これは相当の負担です。しかもパンをただで食べているのじゃないのです。今だって一食六円十二銭くらい負担しているのですよ。だからこれは、ことし
予算要求をなさったが、大蔵省にけられたのですか、しなかったのですか、その点はどうですか。
-
○清水政府委員 グラントの打ち切りに伴う価格差補給につきましては、先ほど申しましたように大蔵省にも
要求いたしました。それと同時に、支払い困難なる、いわゆる準要保護児童生徒についても、四%を
要求いたしたわけでございます。その結果は、先ほど申しましたように踏み切りまして、準要保護児童生徒の方を公費負担で見るということにしたわけであります。
-
○
横路分科員 文部省の方でも、三十七億ないし三十九億の分は、ぜひ実現するように、将来ともに努力するでしょうね。それとももうあきらめて、これはだめだということですか。どうですか。
-
○清水政府委員 私といたしましては、学校給食費の値上がりを、極力上がらないように努力するつもりであります。グラントが打ち切りになった結果につきましては、さように考えておりますが、今後経済状態その他が変わった際には、あらためて検討して、学校給食費が極力上がらないように努力いたすつもりでおります。
-
○
横路分科員 これは
一つの県の例ですが、小麦一袋の最近の価格は七百十円、それで一食五十三銭の値上がりのために、新
年度の買い入れ価格の値上がりの分は百十六円六十銭です。ところがこれにビタミンだとか、カルシウムだとか、そういうものを入れますので、そういう混合比率の改善に伴う値上がりが七円八十銭、今度は運賃の改正による値上がりが十四円四十七銭、そこで合計しますと、この三月三十一日まで一袋七百十円のものが八百四十八円八十七銭になって、端数を切り上げて八百五十円、これに運転資金の積立金二十二円を加えて、七百十円の小麦一袋が八百七十二円になる。もしも
文部省の方でほんとうにこの学童給食の小麦についての値上がりを防ぐというのならば、まず政府部内でやれる。運賃値上がりによる改正十四円四十七銭等は、これは当然政府部内でやれることなんだ、これは話をなさったことがありますか。運輸大臣に、こういうことは不届きだから、学校給食の小麦についてはそういう運賃改正をやられては困るとおっしゃったことがありますか。清水さん、これはどうなんですか、ないのではないですか。
-
○清水政府委員 これは御承知と思いますが、今おっしゃいましたことにつきましては、私自身やっておりませんが、課でやったかもしれません。ただちょっとここで申し上げたいと思いますが、小麦、それから脱脂ミルクの運賃の問題は、県渡しになっておりまして、県までの問題は一般的に見ておるというふうに記憶いたしております。ただいま御指摘の点については、私自身としてまだ折衝いたしておりません。検討いたしまして、なすべきところは今後十分にいたさなければならぬと思っております。
-
○
横路分科員 それから
局長、実は三年ほど前に、乳価が非常に不安定だ、しかも滞貨するというので、私ども大蔵
委員会でこの乳価の安定のために、いわゆる脱脂粉乳でなしに牛乳を学童給食に使った方がいいだろうというので、
金額は忘れましたが、当時たしか七億五千万か出した。私の記憶に間違いがなければ、一合六円のものをたしか四円五十銭か負担をするということであったわけです。これは実は私の子供も小学校に行っているから、子供に聞いてみるとよくわかるのです。脱脂粉乳はあまりうまくない、それよりは牛乳の方がはるかにうまい。ところがいつの日でしたか、子供が小学校から帰ってきて、父さん、せっかく牛乳を飲んでいたが、今度は学校給食費は補助金を打ち切ったからといって、学校では牛乳を飲めなくなったよ、こういう話なんです。これはいつから切られたのですか。今なおやっていますか。やっているとすれば、新
年度には牛乳の補助金というものは、学校給食に一合当たりどれだけ出ているのですか、
一つお聞かせ願いたい。
-
○清水政府委員 昨
年度というか、三十四
年度のなま牛乳の
予算は三十二万四千石、それで一合につきまして三円七十銭の国の補助をいたしました。本
年度は国内の牛乳産その他を調査いたしまして、若干多くいたしまして、三十二万八千石というものを三十五
年度学校給食に使用いたすつもりでおります。一合当たり三円七十銭の補助でもって、十二億一千三百六十万円というものを計上
要求いたしておるような次第であります。
-
○
横路分科員 これは週何日ということになっているのか、それから全体の児童数の何%を対象にしているのか。総体の
金額等はわかりましたが、実際に今まで飲んでいた子供が、今度は飲めなくなったという実態が起きているのですから、そうすれば総体の人員の何%、何百万に飲ませるのか、それが週何日飲ませるのか、そういう基礎
数字はどうなっていますか。
-
○清水政府委員 この牛乳は、先ほど
横路先生から、途中から打ち切られた云々の
お話がございました。これは私どもといたしましては、もちろん国内の酪農振興にも協力いたさなければならぬという考えを持っておるわけでございます。ただし、その場合は、牛乳の国内の需要供給によって――横道へそれるかもしれませんが、需要供給によって
向こうが余ったときに持ってくるとか、余らなくなったから引き上げるとかいうようなことでは、学校給食の年次
計画がくずれるから、われわれは国内産のそういうものに全面的に協力するけれども、断続的に供給し、市場がよくなったから引き上げるというようなことでは困る。年々
計画的に増していくという方向へ持って参りたい。それから配給する場所は、私どもは酪農地帯の発達しないところへわざわざ牛乳を持っていくということも容易なことではない。おそらく牛乳の飲まれているのは、酪農事業の発達しているところ、その他交通の便利なところで飲まれているのが多いのでございまして、これは希望をつのりまして配給いたしておるわけでございますが、人間から申しますと、大体百万人くらいになるだろうと思います。一年分の二五%くらいになるかと計算いたしておるわけであります。
-
○
横路分科員 そうすると、これは学校の希望だというわけですね。今の
お話は間違いございませんか。学校の希望でやっておるということですね。そうすると、学校によっては私のところは週六日飲みたい、こう言えばその希望で与える、大体それで間違いございませんか。そうすると、これは非常に大事なことです。村や町に帰って希望しなさい、三円七十銭くれますよ、三円七十銭負担してくれるということは大したことでございますから……。これは間違いございませんか。
-
○清水政府委員 ただいまのところ学校の希望によって飲ませますが、大体牛乳は三十二万八千石で、
予算が十二億一千万というふうに限られておりますので、大体一般の学校給食はA型にもC型にも二百十五日で計算しておりますけれども、牛乳の場合はその半分の百八日というようなことで計算いたしております。
-
○
横路分科員 そうすると、百八日というと、週に大体何日分ということになりますか、週何日飲ませることができますか。百八日といっても夏休みも冬休みもあるから、学校が休みでないときは週何日かということを言っておるわけです。
-
○清水政府委員 二百十五日というのは、御承知のごとく、夏休みは除いてあるわけであります。
予算というのは百八日ということになっておりますけれども、土地の状況、牛乳の運搬等の
関係によって、たとえば完全給食A型だって一週間五日でありますが、そのうちどのくらい飲むかということのいき方もありましょうが、その土地の牛乳生産の
関係もありまして、九月から三月まで飲むとかあるいは四月から七月まで飲むという方が多いようであります。
-
○
横路分科員 そうすると、自由だというわけですか。学校の希望によっては自由に一週間六日を希望してもよいのですね、私どもは子供に継続して牛乳を飲ませた方が体力が増進すると思うが、なかなか負担が容易でないと思うのですね。三円七十銭負担してくれれば、これは一週間六日まるまる飲ました方がいいと思う親がたくさんいると思う。それは希望すれば六日でもよいのですか、それとも週は三日なら三日とこうなっておるのか、その点はどうなっておるのですか。何でしたら担当の
課長さんどなたかいらっしゃるのでしょう。そういうことは大事ですよ、牛乳を飲ませる
計画は。
-
○平間
説明員 六日とおっしゃいますけれども、その学校給食が五日制であるか、四日制であるか、もちろんそれが基準になるわけであります。五日のうち半分飲むという学校は非常に少ない。今
局長から申し上げたのは、そういう飲み方をしておるところは割合に少なくて、
予算上大体完全給食をやっておるところは年間日数の半分までにしてもらいたいというのが、財源の
関係で大蔵省との話し合いになっておりますから、百八日の
範囲内におきまして、たとえば四月、五月と飲んで、あと十一月から飲むとか、あるいは九月から三月まで飲むとか、その百八日の
範囲内でいろいろ地方によって飲み方を変えておる、こういうような実情でございます。
-
○
横路分科員 しかし、
文部省の考えとしては、私は学校給食の牛乳の飲ませ方としてちょっとおかしいと思うのです。九月から三月までというように飲ませるなら、年間通して飲ませるべきだ。年間を通して飲ませて初めて体力が増進するわけです。この点については従来五日、四日、三日というような型があるようですが、将来最低五日継続してやれるように、
予算の増額方について特段の御努力をお願いしたいと思います。
なおこれは一合どれくらいしますか。
-
○平間
説明員 本
年度の大体の平均は、プラントから学校渡しで平均六円七十銭くらいになっております。高いところは八円、安いところで五円七十銭くらいのもあると記憶いたしますが、それを平均いたしまして六円六十銭ないし七十銭くらいが全国平均であります。それに補助金の三円七十銭をつけますので、実際の父兄負担は大体三円くらいというような状態でございます。
-
○
横路分科員 文部大臣にお聞きしたい。実はこれは非常に価格がまちまちなんです。そこで、その土地によっては、酪農協同組合と学校とが直接契約して入れればいいのです。問題は殺菌施設なんです。これは私は食品衛生法の一部を緩和して、学校で殺菌施設を持ってやれるようにすれば、今実際に農民から買っているのは一升四十八円くらいなんです。ですからここで、
向こうから運んでくれば、四十八円のものなんですから五十円に買ってやってもいいのです。一合五円のわけです。殺菌施設をやっても一合五円五十銭くらいです。国の負担が三円七十銭であるならば、父兄の負担は一円八十銭くらいで済むわけです。そういう意味で食品衛生法の一部を改正して、そういう点の学校における殺菌施設が緩和できるような措置をとればいいと思うのですが、こういう点、大臣はお子さんも大きくなられて、あまり牛乳を飲んだりする方もないかもしれませんけれども、私たちは実際に自分の子供もおり、また地方に行ってもその話をずいぶん言われるわけです。こういう点は大臣、厚生大臣とよく相談して、もっと安く牛乳が子供の手に渡って、国の三円七十銭の負担が実際に生きるようにしてもらいたい、こう思うのです。
-
○松田国務大臣 牛乳をできるだけ安く飲ませたいということは私も全く同感でございまして、私も子供になっておるので、私みずからも牛乳が好きで大いに飲みますが、しかし需給
関係が、私はこまかい事情はわかりませんが、非常にむずかしいのじゃないか。つい先刻まではなま牛乳がだぶついて、これをどうするか、みんなに各所で奨励して飲ましたようなことも記憶しておりますが、しかし一方
法律を改正することによって、あなたのおっしゃるようにこれがだいぶ安く飲ませられるようになるということならば、むろん進んで
一つそれはやりたいと思っております。
なお給食の問題で
横路委員が非常に御熱心で、私どももありがたく思っている次第です。何となれば、
文部省としてはこれを非常に大事なよい施策と考えておるわけです。従ってこれを一そう普及していきたい。これは従来の例から見ますると、国民の体位増進の点からいっても非常に役立ってきておるようにも思われますし、従って、給食をできるだけ安く、理想的に全国に普及さしていきたい、こういうような方針を持って持っております。
そこで父兄の負担の軽減のやかましいこの際に、今回のいろいろの食糧、特に
アメリカ小麦、脱脂ミルク、そういったようなものの市場の変化の結果困難なことになり、それが給食費のやむを得ざる値上がりになることに対しては、何とかしてこれを食いとめたいと思って、私みずから大蔵大臣に相当深夜ねばったのでありまするが、三十数億になりまするので、ついにこれを達成できなかったことを遺憾に思っております。しかし、また父兄負担の給食という建前になっておるということでありまするので、給食費の滞納というようなことも今までありました。それが一般の父兄、PTAによってまかなわれておるという点も今話がありましたが、そういうことをいろいろ考えまして、払えないような児童は全部見ていくようにしようじゃないかということで、二%ふやす。これもなかなか並み大ていではなかったのでありますが、まずこれをやっていく。しかし払ってもらえる人には、高くなったが、払ってもらう。そのかわりに払えないものは全部見ていく、こういう建前をとった。私はこれは父兄においても非常に喜ばれておることと思いますので、あえて喜んでとは申しませんけれども、理解をもって払っていただけるのではないか、かように考えております。しかし、そのかわりに払えないものは全部これを見ていくようにしたい、こういうような考えで今おるわけであります。
-
○
横路分科員 学校給食の問題はこれだけにしまして、次に内藤
局長にお尋ねをしたいのです。
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する
法律、このうちの第七条に一号、二号、三号、四号とございますが、この七条を読んでみますと、五学級以下の小学校には、五学級五人ですね、四学級が四人、三学級には三人、二学級は二人、一学級は一人、こういうことになると、これは校長さんがおらないことになるのですがね。これは校長が授業を担当することになるのですか、どういうことになりますか。
-
○内藤(譽)政府委員 この七条の三号に「五学級以下の学校の総数に政令で定める数を乗じて得た数(一未満の端数を生じたときは、一に切り上げる。)」、この政令は三分の一を見ておるわけです。ですから規模にもよると思いますけれども、三分の一見ておりますから、必要なときには配当できると思います。
-
○
横路分科員 文部大臣に申し上げたいのです。これは具体的な
数字で申し上げますが、そうすると今度五学級以下の小学校には三分の一だけ学校長を割当している。北海道には五学級以下の学校というのが総体の五八・三%ある。ですから千三百六十二校というのは五学級以下の小学校なんです。今あなたの方は三分の一だけしか校長さんを配当しませんから、そうすると校長がいない学校が九百八校ある。九百八校が校長がいないのですよ。これはこの学校教育法の二十八条に「校長は、校務を掌り、所属職員を監督する。教諭は、児童の教育を掌る。」とあるが、九百八校は校長も一緒に授業しておるのですよ。だれがだれを監督するのですか。
-
○
横路分科員 文部大臣に申し上げたいのです。これは具体的な
数字で申し上げますが、そうすると今度五学級以下の小学校には三分の一だけ学校長を割当している。北海道には五学級以下の学校というのが総体の五八・三%ある。ですから千三百六十二校というのは五学級以下の小学校なんです。今あなたの方は三分の一だけしか校長さんを配当しませんから、そうすると校長がいない学校が九百八校ある。九百八校が校長がいないのですよ。これはこの学校教育法の二十八条に「校長は、校務を掌り、所属職員を監督する。教諭は、児童の教育を掌る。」とあるが、九百八校は校長も一緒に授業しておるのですよ。だれがだれを監督するのですか。
-
○
横路分科員 あなたはこれで不都合を来たさないと思っておりますか。北海道に現に千三百六十二校のうち九百八校、五学級以下の学校には校長がいないのですよ。そういう学校は農村や漁村です。それは村の文化の中心です。父母が来る。うちの子供はどうしているのだ。あの先生の授業はどうとかこうとか相談に来たときに、いつ行っても校長は学級担任だからいない。いないということは、学級で一緒になっている。明らかにこういうところに専任校長を置くべきですよ。こういうことをあらかじめ予想して公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する
法律を作ったのですか。初めから三分の一と思って考えたのですか。これでははるかに教育全体から言うならば後退ですよ。あなたはそれでいいと思っていらっしゃいますか。
-
○内藤(譽)政府委員 要するに教員定数の総数をどの辺で押えるかという問題になろうと思う。ですからこれは各学校の定数をきめたものではない。こういうことによって積み重ねた都道府県の総数がその都道府県の総数になるのでありまして、その中でどう配置するかという具体的な配置基準は、各都道府県の実情によってきめられれば差しつかえないわけであります。従ってこの場合に、小さな学校、たとえば一学級あるいは二学級のような規模のものが相当あるわけでございます。この場合校長を置くかあるいは分校のような形にするか、いろいろ形態はあろうと思うのです。ある場合には統合も可能だと思う。ですから、私たちとしては、できるだけ統合をして、適正な規模の学校に持っていっていただきたい、こういうふうに考えているのでございます。
-
○
横路分科員 他の方もたくさん質問がありますので、私はこれで終わりたいと思うのですが、文部大臣に今北海道を
一つ例に申し上げたのです。北海道では五八・三%が五学級以下の小学校――北海道は地域が広い。四国、九州を合わせただけの広さがある。だから統合せいと言ったって統合なんかできるものではない。それは全然違いますよ。そこで今それは都道府県の条例でもって定数がきまるのだから、やりくりしたらいい、だろうと言われるが、どこでやりくりしているかというと、大きな学校の養護教員その他を削ってその部分を配置している。だから一方で農村、漁村のそういうところについて配置してやれば、この
法律以外に都道府県の定数でよけいやれば、そういう都市のあるいは多数学級の養護教員その他が削られてくる。こういう実情なんです。これは実情に合いませんから、ぜひ検討してもらいたい。
次にほんとうは管理職手当についてもお尋ねしたいと思うのですが、これは
辻原委員その他から
お話があろうかと思いますから、私は最後に文部大臣にお尋ねしたい。私たち新聞を見ていますと、やはりILOの条約批准についてはやらなければならぬ、当然これは教職員についても適用しなければならぬ、あるいは岐阜県の専従制限その他についてはILO条約の批准等の
関係があるから、ああいうことについて全国的にどんどんやることは好ましくない、こういうように文部大臣が
お話をされていることについて、自民党の総務会は文部大臣をお呼びになられて、非常に文部大臣のやっていることは不届きだ、こう言っているように私たち新聞で拝見するわけです。大体今日の教育が政党の支配に置かれないように、これは明らかに教育の政治的中立確保に関する
法律の中でもうたっている。それを自民党みずからが、あらゆる都道府県において、県議会で県会の議員団で決議をして、そうして都道府県の教育
委員会に自民党の圧力をかけて、自民党の支配下に教育を行なおうとしておる。このときに文部大臣がきぜんとして、あくまでも教育の地方分権、教育の政治的中立を守るために努力されているということについては、われわれは非常に敬意を表しますし、今後とも
一つ文部大臣の所信を貫いてもらいたいと思うのだけれども、どうも自民党の七役
会議、八役
会議で文部大臣に非常に圧力をかけておるという点については遺憾だと思う。こういうときに、あらためて
一つ文部大臣の所信をお尋ねをして私は質問を終わりたいと思います。
-
○松田国務大臣 私は総務会に出席をいたしまして、一人の議員から、いろいろ教研に行ったことなどはあまり感心しないとか、あるいは文部大臣はどうもふらふらしておるとか、あるいはわれわれの考えと違うことをやっておるというようなことがありましたから、私はそれに対して一々
説明を加え、そうしてそういうものではないということを話をいたしたわけでございます。七役
会議は行ったことがありません。また七役
会議の人々から一度も重圧をかけられるような発言は承っておりません。また私の方からときどき、あまり党は行き過ぎてもらっては困るという話をしたわけでございまして、決して重圧を受けているというようなことは感じてもおりませんし、またそういうことも受けておりません。
-
○
横路分科員 文部大臣にもう
一つお尋ねしたいのですが、今日
日本の教育界が混乱をしている
一つの原因の中には、勤務評定実施の問題がある。そこで文部大臣としては、この勤評については中央で審議会を設けられて、そこで再検討すべき段階に来ているのではないか。この問題を通して文部大臣としては
日本教職員組合との間にも十分話し合いをして、そうして
日本の教育を正常な形に戻したい、こういうようにお考えになられている点についても、今文部大臣から
お話がございました。しかし、われわれ新聞で見ると、何か文部大臣が自分の所信を貫くために、中央で勤評の点について再検討する審議会を設ける等の問題について、これもそういうことは行き過ぎではないかというようなことを言われているかのように拝見しますので、この点も
一つここで文部大臣の所信を承っておきたいと存じます。
-
○松田国務大臣 勤評をやっていくということに変わりがない。審議会云々のことについては、審議会など設けてやった方がいいという説もありまするし、そういうことはやるべきでないという説もあります。私といたしましては、それらの点について、寝ても起きても文教の問題について、考えておりまするが、いまだ機が熟しておらぬというか、考えがまだはっきり固まっておらない。しかし、今後も会っていくということは、常に申しておることであります。
-
-
-
○
柳田分科員 先に内藤
局長にお尋ねしますが、小中学校の、特に遠距離から通っている子供に対する通学補助の問題、これは本
年度の
予算にはどれくらいの
金額で計上されておりますか。
-
○内藤(譽)政府委員 小学校につきましては、御承知の
通り、半額運賃の割引がございますので、問題は中学校の分かと思います。中学校の運賃につきましては、国鉄当局に
文部省もたびたび半額運賃割引の点について交渉したことは、
柳田委員も御承知の
通りでございますが、この実現が得られなかったので、本
年度は大蔵省に半額分として四千二百万円を
要求いたしました。しかし、最終的の段階におきまして、ついにこの点は認められなかったことを遺憾に思っております。
-
○
柳田分科員 文部大臣に
一つお尋ねいたします。実は内閣の方針で、従来自治庁は町村合併を進めてきた。さらに
文部省の方針で義務教育学校の統合を進めて参った。その結果必然的に起こることは、町村合併はできた。そしてその町村合併を単位として義務教育学校の学校統合をやってきた。その結果必然的に通学距離が伸びてきた。これはおわかりになりますね。そうして片一方では交通
機関が非常に発達してきて、従来、文部大臣が
アメリカにお渡りになる前くらいは、片道二里、二里を遠しとせずして笈を負うて、てくてく通ってきた。最近は文明の利器を応用しておるわけです。そうすると、そこに必然的に通学に対して費用がかさんでくる。しかもこれは今日の現状で、やむを得ぬものだ、訓練だからといって、朝も霜を踏んで通うというわけにはいかない。そうなってくると、当然遠距離から通う者と、そして近距離の者とでは、ここに物質的の負担が非常に違いが起こります。さらに、遠距離から通う者はそういう物質的の負担だけではなしに、今度は非常に疲れます。やはりそれだけ学業にも
支障がくる。精神的の負担も大きくなる。これでは教育の機会均等にはならない。さらに今日やかましく
文部省でも言われておるところの僻地教育の振興にもならない。従って、こういうような遠距離から通う者に対しては、機会均等の意味からも、通学に対する補助というか、何らかの恩典を与える必要があるのではないか。このことに対しては文部大臣御同感でございましょう、どうでございますか。
-
○松田国務大臣 これはやはり
程度の問題であります。
お話のように、あまりにも遠隔なところから通わなければならぬというようなところに対しては、統合の結果自然道路もよくしていく必要もあるだろうし、またその通学の便をはかるという道も講じなければならぬところも出てくるかと思います。そういうような必要のある場合においては、そういうことも考えていかなければならぬのではないかというふうに考えております。
-
○
柳田分科員 そこで、そういうように遠距離から通うのにある負担を何らかの方法でする。その何らかの方法という具体的の方法としては、今
局長も
答弁しましたように、小学生に対しては国鉄においては半額の運賃の割引があります。ところが中学校、昔でいえば高等小学、中学校に対しては、旅客運送の規定というものがありまして、国鉄の方ではおとな並みに取り扱っておる。国鉄バスもその
通り。あるいは一般の民営バスも国鉄に右へならえしておる。そうなってくると、同じ義務教育であるところの小学校に対しては運賃の半額の割引があるが、同じ義務教育であるが中学にはない。こういうことになって、この問題は
昭和三十二年の参議院の文教
委員会で与党野党一致して決議をしたわけです。中学生も小学生並みに半額にしろという決議をした。院の決議がそこでできた。そこで、私も実は本問題に対しては前回、前々回もそれぞれの大臣から
答弁をいただいております。速記を読んでみてもよろしゅうございます。その問題が今内藤
局長の言われるように、依然として
予算書に載っていない。これは院の決議を無視したことになりませんか。どうですか。
-
○松田国務大臣 結果の上で今日まで行なわれていないということになればそういうことになろうかと思いますが、この点は
一つ運輸省とも話し合いを進めて参りたいと思います。
-
○
柳田分科員 官僚の大臣なら内藤
局長がちょっと格上がりしたくらいにとって、私も
答弁を承りますが、しかしあなたはやはりテキサス無宿といわれた人で、官僚大臣じゃないから、私はほんとうのところを御
答弁願いたい。同じ
答弁を私は何回も文部大臣から聞いた。
橋本大臣しかり、そうしてその前の、当時は松永大臣が病気中でありまして、唐澤大臣しかり、内藤
局長は同じ
答弁を何回もここで繰り返しておる。十分研究しますと言う。研究してからこれで四年になっている。四年たってまだ全然できておらない。悪いことならそれでよろしいが、これは当然やらなければならぬことです。これは国鉄の方としてはできない。国鉄は今日やれといったって無理なんです。国鉄の今日独立採算制と経営合理化からいってなかなかできない。だから、できるならばまず
文部省でこの補助をするくらいのことは当然だと思う。さもなければ、自治庁でそういう市町村に対しては、特別交付税かあるいは普通交付税の対象にするか、これは
文部省が学校統合を言い、そして自治庁が町村合併を言うなら、
文部省としても当然やらなければならぬ。しかもその費用は今内藤
局長に聞くと四千二百万円、これは年額ですよ、全国的にばらまいて四千二百万円でしょう。それがどうしてできないのか、たった四千二百万円です。昨日、
防衛庁長官が
横路君の質問に答えていわく、ジェット機一台の燃料費が年間四千七百万円、それから。パイロットの養成費が年間一人に対して三千二百万円、これだけかかるという。ところが全国的に、北海道から鹿児島まで全部をひっくるめて、たった四千二百万円の
予算要求が取れないということは一体どういうことなんだ。これは
文部省の怠慢じゃないですか。しかもこれは本年出てきた問題じゃございません。
昭和三十二年に国会の決議があって以来の問題だ。これが
予算に取れなかった
理由は、私は松田文部大臣にお尋ねする前にまず、これはあなたに聞いておってもらっていいと思いますが、内藤
局長はどうしてこれを
予算書に計上されなかったか。その経緯をおっしゃって下さい。
-
○内藤(譽)政府委員 六キロ以上の者に、半額運賃の割引ということをいたそう、こういうわけで
予算要求をしたわけです。一方
文部省としては、かねてから僻地における学校統合の、通学の便をはかるためにスクール・バス、スクール・ボートの
予算を
要求しておったのです。昨年来スクール・バス……。
-
-
-
-
○内藤(譽)政府委員 これは国鉄に実は前々から
要求したけれども、本年初めて三十五
年度の
予算要求に四千二百万円というものを
要求したのであります。前々から
要求していたというわけじゃありませんので、本年初めて実は
要求した、こういう経過でございまして、ただ最終段階におきまして、財源の点で、大蔵省がいろいろ難色を示しまして、ついにこの点は認められなかったという点は、私どもも大へん遺憾に思っております。今後できるだけ努力したいと思います。
-
○
柳田分科員 私は
文部省が全然これに努力しなかったということは言っていない。実はここに昨年三月三十日の新聞を持ってきておる。そのときに、
文部省の方では通学が六キロ以上の中学生には通学費を国で補助するということを省議で検討されたことを知っておる。そうすると四千二百万円というものはこの六キロ以上――大体小中学生の通学
範囲を一応小学生は四キロ、中学生は六キロとして、その六キロ以上ということにされたと思うのですが、四千二百万円というものは六キロ以上の遠距離通学生全部ですか。それとも就学困難な生徒を対象としたものですか。どっちなんですか。
-
○内藤(譽)政府委員 六キロ以上の国鉄、私鉄その他ハス利用者全部でございます。
-
○
柳田分科員 その全部のうちの何割を国でめんどうをみよう、大体こういう積算の根拠ですか。
-
○内藤(譽)政府委員 これは全員でございます。
-
○
柳田分科員 全員の六キロ以上から遠距離通学する者、それのたとえば半額分と全額分との差を全部補助する、こういうのですか。
-
○内藤(譽)政府委員 つまり六キロ以上を通っている者の六キロ以上にわたる分の運賃の全額について対象にして、国が半分、市町村が半分、ですから国の負担額として四千二百万円を
要求したわけであります。
-
○
柳田分科員 それは六キロまでを除いた六キロ以上分の運賃の半額に対して、その半額を国が補助し、その半分を市町村に持たそう、こういうわけですね。
-
○内藤(譽)政府委員 対象人員は六キロ以上を通学している者を対象にしたわけです。ですから、もちろんそれ以上の通学生を対象にして、その分の半分を国が負担するわけであります。
-
○
柳田分科員 そうすると、
文部省としてはそこまで親心といえば少しあなた方に甘過ぎるが、一応交渉は大蔵省とした。そして大蔵省との交渉には、これが
予算書に載るまでは、あなた方と大蔵省の主計官との交渉もありましょう、それからさらに今度は大臣折衝もありましょう、閣議折衝もありましょうが、これはどの段階までいきましたか。
-
○内藤(譽)政府委員 事務当局の最終段階までやりました。
-
-
-
○
柳田分科員 それでは大村主計官に伺います。本問題に関して昨年の
分科会で、相沢
説明員から私に対して御
答弁があったのを、あなたは御存じですか。
-
-
○
柳田分科員 本問題に関して参議院の決議があったことを、あなたは御存じですか。
-
-
○
柳田分科員 大体というのはどういうことですか。承知しているというのは、どういう意味ですか。
-
○大村
説明員 だいぶ前のことでございましたので、詳細一節正確には今覚えておりませんが、そういう御決議がございましたことを承知しております。
-
○
柳田分科員 参議院が与野党一致して決議した。それはあなた方内閣を多分に拘束しておるとあなたは思いますか。
-
○大村
説明員 御決議の趣旨につきましては、できるだけ尊重していくというふうに私ども考えております。
-
○
柳田分科員 本問題が前から懸案になっておる。しかも
文部省は当
委員会において歴代の
文部省大臣が
委員会を通じて言明したこと、速記録にも厳然と載っておりますがそのことが、国会に対してはこれを
予算化する上において、大蔵省はどのような拘束力を持っておると思いますか。
-
○大村
説明員 実は私ども各
委員会に必ず出席して、御
答弁の
内容を拝聴するわけではございませんので、一々承知いたしておりませんが、できるだけ政府全体としてその問題を考えていく必要があると考えております。
-
○
柳田分科員 失礼なことを言うな。ここを何と君は考えているか。
予算委員会において大臣が言明したこと、しかも一代の大臣じゃない、二代にもわたった大臣が言明したこと、国会で決議したこと、それを一々覚えておらぬとはどういうことですか。行政府というものは、立法府からそういう決議が有ったり、行政府の長が立法府において明言したことに対しては、行政府は責任を持たなければならぬでしょう。責任を持った上で、あなたが大蔵省の
文部省に対する主計官ならば、それは十分承知した上で
予算折衝に当たるべきです。それを一々覚えておらぬとは何ごとです。国会軽視じゃないですか。最近国会に条約の修正権ありやなしやで論議がむずかしい。しかし国権の最高
機関である国会が決議し、しかも行政府の長官が国会で
答弁したこと、それがあなた方を拘束できないのですか。しかもその
内容を知らずして
予算折衝をやっているのですか。そのような不見識、不まじめ、国会を軽視するような
答弁が許されますか。あなた方お役人同士が折衝するときにはそういうような
答弁でもいいでしょう。しかし国会を何と考えて
答弁しているか、もう一ぺん
答弁をして下さい。
-
○大村
説明員 先ほどの御
説明が十分でございませんので、あるいは失礼の段があったかと思いますが、私どもも十分御趣旨につきましては尊重していく必要があると考えております。
-
○
柳田分科員 十分ということは、去年も一昨年も十分とか、真剣にとか何度も速記録に載っている。それじゃ速記録をあなたのところに一括して持っていかせましょう。昨年の
橋本大臣は真剣にやりますと言っておる。今の
お話では、議院の決議をしたことよりも、文部大臣がここで言明したことよりも、一主計官のあなたの方が権力があるのですか。一主計官であるあなたと
局長との間で御破算になって没になっているとすると、一大村主計官の
権限は、国会の
権限よりも、国会において行政府の長官が言明したことよりも
権限を持っているのですか。
-
○大村
説明員 私どもはいろいろ
予算の御
要求に対して査定いたして参ります場合に、そういう御決議なり御
要求を十分頭に入れまして査定をするわけでございますけれども、全体的なバランスの問題なり、あるいは財政の状況なりを判断いたしまして、必ずしも御
要求全体を入れることができない場合もあるわけでございます。御了承願いたいと思います。
-
○
柳田分科員 御了承願いますでは、これは御了承できません。何なら大蔵大臣を呼んできて下さい。いいですか。こういう国会の決議がないような問題、あるいは文部大臣なり、行政府の長官が国会で言明しておらぬような問題を、それぞれの各省の当局と大蔵当局とが話し合いをされて
予算折衝をされるなら、それはよろしい。そうでなしに、国会の決議もあり、歴代の行政府の長官が国会で言明した問題に対するその
予算折衝を、一担当主計官の段階において没にするというならば、あなたは国会の
権限以上のものを持っておる。そうでしょう。あなたは国会の
権限以上のもの、行政府の長官以上の
権限を持っているということになります。今あなたの御
説明では、財政の問題もあり、バランスの問題もあると言われる。ところが
要求額がわずかに四千二百万円、この四千二百万円が一兆何がしかの財政の中でどれだけのバランスになりますか。あなた方は主計官だから、もちろん算数に明るいと思いますが、四千二百万円が本
年度の
予算の何パーセントになるか
答弁して下さい。
-
○大村
説明員 一兆五千億でございますので、一%は百五十億であります。さらにそれの一%が一億五千万円であります。それの三割
程度でございますから、まあ大体……。
-
○
柳田分科員 大体じゃない。何厘何毛になるか答えて下さい。私はあなたに
答弁を求める権利を持っておる。
-
-
○
柳田分科員 わかりました。財政の問題もあり、バランスもあると言われましたが、その財政の問題と、バランスの問題は、今ここに明らかになりましたごとく〇・〇〇〇〇三ということであります。そこで私はもう一度話を戻しますが、この速記録にあるように、この前大臣をやっておって、私はこれは真剣に検討して御趣旨に沿う努力をする、こう言った
橋本元大臣がちょうどここにきておられる。
橋本さんに、前の速記録を見せてあげます。当時の
橋本大臣がここで言明をして、前の大臣も言明して、参議院が決議した、そういうことを受けて
文部省が大蔵省に
予算折衝をした問題を、出先の一主計官の段階で没にすることができるかどうかという問題、これは大事な問題なんです。私は没になったことが憲法違反としつこく言っておるのじゃない。それは一応行政権の問題でしょう。しかしながら、私はこれがもしも
予算折衝で問題になった、しかもその段階は一主計官の問題じゃなしに、国会の決議もある、歴代の大臣が
答弁しておるというのだから、松田文部大臣と佐藤大蔵大臣の間の折衝まで行って没になったなら、また別の観点がある。あなたは一主計官の分際でしょう。あなたの段階で、これを没にできますか。そうすると、国会の決議よりも大蔵省の一官僚の方がはるかに
権限が上だということになってくるのです。そういうばかなことが今日の憲法で許されますか。どうですか。
答弁して下さい。
-
○大村
説明員 お言葉を返して恐縮でございますけれども、参議院の御決議は国鉄運賃の割引の問題でございまして、通学補助の御決議ではございません。従いまして、その点……。
-
-
○大村
説明員 御
要求につきましては、私どもも真剣に検討いたしたのでございますけれども、先ほど申しましたようにいろいろな見地から考えまして、今回は
一つ御
要求を控えていただいたわけであります。
-
○
柳田分科員 内藤
局長に尋ねます。これだけ問題になったことを、あなたは大蔵省の
文部省へ来ておる一官僚の出先と話して、そこで没になって、これは大臣のところに持っていかなかったという、その責任はどう思いますか。
-
○内藤(譽)政府委員 御趣旨の点は十分わかりまして、こういう問題のあることは大臣にも
お話しいたしましたけれども、大臣折衝の段階になりますと、いろいろまだ懸案もたくさんございますし、
文部省の重点施策もございますので、この問題は事務当局として一応おりたわけでございます。
-
○
柳田分科員 私が言うのは、今大村主計官は、参議院の決議は国鉄運賃の決議だという、しかし同じ趣旨で来ているのです。あなたはそういうへ理屈は言わぬと思うのです。去年の三月に、私が先ほど読み上げたようなところまで
文部省も努力をするとあなたが言った。しかもこれに対してあなたの横におられた大臣がどういう
答弁をされたか、あなたが一番よく知っておる。この問題が一大蔵官僚によって没にされて、そうして国会に対してあなた方が言明したことが済むと思いますか。少なくとも大臣まで持っていって、大臣の間で折衝されて、そうしてそれがまた没になるならばやむを得ぬところもあるけれども、その努力もしないで、その努力をしなかったあなたが、われわれ国
会議員に対して、国会の決議に対して、院の権威に対して、それで責任がとれたと思いますかどうです。
-
○内藤(譽)政府委員 私どもも、国会の御要望につきましては、できるだけ尊重したいと思っております。ですから、いろいろな問題について、政府側でいろいろ国会で御
説明をし、また御
答弁申し上げておるわけですから、その中で、私どもとして必要があると認めたので、大蔵省に
要求したわけであります。しかし
要求したものが、先ほど来の
説明のように、新規事項として
要求した場合、非常に
予算の獲得が困難でございます。私どもは、国会でたびたび言明した問題につきましても、一ぺんで通るということはなかなかないのでございまして、やはり何べんでもねばり強く
要求して、私どもの誠意を披瀝してやっているわけでございます。
-
○
柳田分科員 私も国
会議員ですから、新規のものと継続のものと違う、それくらいのことはわかっています。それじゃ新規のものは全部
通りませんか。先般も問題になったように、管理職もそうです。内閣の調査費とかなんとか、へんちくりんなスパイ活動のような財源もそうです。これも何千万円かついておる。これは一ぺんについてしまった。私は一ぺんでついたとか、新規だからつきにくいとか、そういうことを言っておるのじゃない。国会でこれだけ大臣が言明して決議しておることを、あなたと大蔵省の段階で没にしたことに対して、あなたは国会に対して責任を持ちませんか。そう言っておるのです。私の質問に対して、あなたは率直に答えたらいいのです。国会に対してあなたは責任を持ちませんか。
-
○内藤(譽)政府委員
予算の獲得できなかったことは大へん残念に思います。
-
○
柳田分科員 予算の獲得ではない。私の言うのは、国会に対して責任を持ちませんかというのです。
-
○内藤(譽)政府委員 国会に対して責任を持ちます。
-
○
柳田分科員 大臣お聞きの
通り、内藤
局長は、今回の
予算が、
局長と大蔵省から来ている主計官段階で没になったことに対して、国会に責任を持つと言った。あなたは先ほど、深夜ねばりにねばったと言われましたが、この問題は、大蔵大臣との間で深夜ねばりにねばるところまでいかなかった。これはあなたの属僚の怠慢なんです。こうなってくると、大臣の言明というものも、国会の決議の趣旨も、これは大蔵官僚の前には一片の価値もないものなのだ。それぐらいに今日の行政権の
権限というものは国会より上だということになってくると、私はこれは考え直さなければならぬ。何のための憲法四十一条です。あなたは、やはり私と同じように同僚議員です。国権の最高
機関を構成する一員として、私が今質問していることが無理なことを質問していると思いますか。お前の言うことは、腹では議員としてはおれは賛成だというふうに思われますか、どう確かめておきたい。しかしあなたにおいてなかろうと思われても、属僚の方ではあるいはやっておるかもしれない。それを確かめてから、
一つ言っていただきたい。
-
○松田国務大臣 今確かめましたら、ないということであります。大体私もあなたと同感ですから……。祝辞を送れと言うてきたところへは出しておるようであります。また私も行く場合もあります。そういう場合も努めて紋切り型のことは避けておるというのが実情でございます。
-
○
柳田分科員 それは消極的にないということです。これは私は松田さんから
答弁していただきたいのですが、
一つ文部省の方としては、こういうような通達はお出しになりませんか。近く卒業式が始まるが、卒業式のときに砂をかむような、子供たちがあくびをするような祝辞の連続はなるだけ避けられたい、
一つ、子供たちが将来新たな人生に入る、あるいは進学する希望に燃えて、若々しい夢がさらに伸びるような、子供の目が話を聞いておってらんらんと輝くような、そういうぴんと心の琴線に響くような祝辞をやるように、なるだけ心がけられたい、こういうような積極的なアドヴァイスをするような御意思はありますか。
-
○松田国務大臣 文部大臣として、やはりまだ要望が非常に熾烈なものがあります。地方から、まあ東京などは各所からあります。しかし事実上それはお答えできないものでもありますし、その点については
文部省はこれにこたえるごときわめて消極的であります。
-
-
○
橋本(龍)
分科員 通信教育、特殊教育の問題について、ごく簡単に御質問いたしたいと思います。最初の質問については政府委員からの御
答弁でけっこうでありますが、小学校、中学校の不就学児童の数がどれくらいあるのかということについて。それからもう
一つ、中学校を卒業してからあとは、もうほんとうにその上の学校に行かないつもりの者と、勉強したいけれどもいろいろな事情があってできない者、両方あると思いますが、中学卒業生の数と、その後高校へ進学する者、高校に進学しない者の中で、もし事情が許すならばやはり高校課程で勉強したいという者の数をお知らせ願いたい。
-
○内藤(譽)政府委員 不就学児童の数は小学校で九万三千、中学校で九万人、それから年々多少違いますけれども、大体中学校卒業して高等学校に進学する者、五〇%以上であります。五六%ぐらいに現在なっております。三十四
年度の進学状況は、全国の中学校卒業者が百九十七万五千人、高等学校の入学志願者が百十六万三千人、それで合格者が百九万四千人、こういう
数字になっております。
-
○
橋本(龍)
分科員 残る部分も相当の数がいるわけですが、これは全く高校を勉強する気のない人たちですか、それともやむを得ず働いているけれども、勉強できたらしたいという者の数が、それの中にどれくらいおりますか。
-
○内藤(譽)政府委員 中学校を卒業してから就職する者が約半数ございます。それで就職した場合に、さらに好学心に富んで勉強する者で、定時制教育あるいは通信教育を受けている者がございます。それから中学校を卒業してから一部の者は各種学校等に行っております。それから就職している中で、大企業等で技能者養成施設で勉学しておる者もございます。高等教育を受けたいという希望の
数字は、私ども的確に把握しておりませんけれども、できるだけ勉学しようという気持がみんなあると思っております。
-
○
橋本(龍)
分科員 そこでこの高等学校に行っていない者の中でも勉強したい者が大部分でありましょうし、それからまた通信教育、定時制等で高校課程の勉強をしている者もあると思います。それでできるだけ勉強の機会を与えるということは非常に大事なことなんです。今度の
予算でも通信教育にテレビやラジオの放送を利用する経費を計上しておられるようでありますが、これはどういうふうに使用されるのですか。
-
○内藤(譽)政府委員 通信教育でテレビを利用する
予算は約一千万でございます。ただいまのところ
日本教育テレビを通じて、できれば八局ぐらいネットをいたしたいと思っております。これでは一千万円では足らないのでございますので、必要があれば、スポンサーもつける考えでおりますが、そのうち特に私どもが今考えておりますのは、機械とか電気のような実験、実習を伴うものはどうしても講義録では無理でございますので、機械、電気のようなものとか、あるいは物理、化学のような理科的なもの、そういうようなものをテレビを通じて教えてみたい、かように今考えております。一千万はそのうちの番組製作費と電波料でございます。
-
○
橋本(龍)
分科員 ただいま一千万円を、実験を必要とするようなもの、目で見せるようなものに使いたい、これは非常にけっこうなことでありますが、そこへ行くまでにまだまだやはり通信教育としてテレビを大いに使った方がいい部面があると思うのでございます。私事を申してはなはだ恐縮でありますが、私は病気をいたしまして、中学校は一年に入って二学期しかやっておりません。その後二十三で高等学校へ入りますまでの間骨結核と肺結核をやりまして、中学の課程をほとんど独学でやったのでありますが、独学で勉強すると実にわかりにくいものであります。教科書だけではわかりませんので、繰り返し繰り返し勉強しながら、代数、幾何のようなものにつきましても、英語についても、通信講義録をとって勉強をいたしました。その当時は今日と違って、講義録をとって勉強することは、勉強になるだけで資格には何もならなかったものであります。実験というようなことよりもむしろ、たとえば代数のようなもので記号を使って方程式を解くというようなことは、学校で教わると何でもない話でありますが、みずからの経験からいうと実にむずかしくてわからないものであります。これはぜひ先生の必要なものであって、テレビを使って教えてくれるならば非常にわかりやすい問題であります。経費も十分でないおりから、化学実験等に重点を置いてこの経費を使うということも私はわからぬじゃありませんけれども、普通だと何でもなさそうなことが、数学にしてみてもあるいは英語だとか国語だとかというものについても実にわからないのでありまして、物理や化学はなおのことでありますが、そういう意味においてどうか
一つ通信教育の一般的な補いとしてぜひテレビを使うことを考えていただきたいと思います。私のように病気をして学校へ行けない者もありましょうが、そのほかに貧乏で学校へ行かれない者もたくさんおるに違いないのでありまして、先ほどの
数字を拝見してもそうであります。そこで私の体験からいたしましても、通信教育をせっかく発達したテレビ、ラジオで補うという方法をもっとしっかりやっていただきたいと私は思うのです。そこで文部大臣に御意見を伺いたいと思うのでありますが、この場合には通信教育に向いたいいテキストをまず作ることが非常に大事であります。それからそのテキストに従って、独学ではなかなかわかりにくい手ほどきをテレビでしてやるということが
一つ大事なことであると思います。それでもわからない部分については、たとえば一学期に五問とか十問とか限って、質問券をつけて先生がちゃんと答えてくれるということが非常に望ましいことであります。さらに望ましいのは、やはり地域ごとに通信教育の生徒に一種の学級編成的なものをこしらえてやる。一学期に一ぺんでもけっこうですから、だれか先生が回ってきて、そうして夜でも講習会を開いてくれるということが非常に望ましいのでありまして、そういう点からいきますと、やはり通信教育についても片手間ではだめで、私はこれを専門にやるところがぜひ必要だと思うのであります。今日、通信教育で割合多いのは大学でありますが、大学だとやはり早稲田の卒業とか慶応の卒業とかいうような看板がほしいということもありましょうし、現在すでに各大学でやっておるわけであります。今日、非常にその点で手薄になっておるのは高等学校であります。私は、今日
文部省において学校制度のあり方という点で、省内でいろいろ御研究だということを聞いておるのでありますが、まことによい親切な通信教育をやるということ、そしてただ勉強するだけでなしに、できれば先生にも会い、また友達に持つという観点からいきまして、片手間ではなかなかうまくいきませんから、
文部省がほんとうにめんどうを見た通信教育の高等学校でもできて、専門の先生が始終おって、通信に対して答えて、かつ一定期間に出張教授のようなものもやる、地域ごとに友達が集まる機会も持つというような意味において、相当身を入れたやり方を工夫してみていただきたいと思うのでありますが、そこまで進めて考えていただけるかどうか。ぜひ考えていただきたいと思うのでありますが、文部大臣の本
年度予算を使うにあたっての御方針を伺いたいと思います。
-
○松田国務大臣
お話はすこぶる同感でありますし、またすこぶる示唆に富む
お話であったと思うのであります。何分にも今回初めての試みで、テレビをできるだけよく使って、テレビを通じて一般に放送する場合には、よい先生を得られるということもありましょうし、またいろいろ質問を出して必要な答案を与えて、そうしてやっていくというようなことも考えられる。
アメリカあたりでも、特に教育を主としたるテレビ会社がサンフランシスコにあると聞いておりますが、コマーシャルの方でもある
程度、一割くらいまでサービスとして教育問題を扱ってやっておるようにも伺っております。そういう点もいろいろ考えまするし、
お話のように特にグループの通信聴講者などを集めて、遠いところへ先生が出張っていくというようなこともまた
一つのいい考えであろうかと思うのであります。いずれもわれわれ同感の点が多々ありますので、よく
一つ考えまして、わずかな
予算を十分効率的に使うようにいたしたい、かように考えます。
-
○
橋本(龍)
分科員 ぜひそうお願いをいたしたいと思います。国費で全部をやるということになると、なかなかむずかしいことでありますので、学校を作るにあたっての民間の協力を求めるという点でも、おそらく文部大臣が真剣に呼びかけられれば、協力をする者もあると思いますので、どうか
一つこのテレビを使っての通信教育の経費が十分の効果をあげるように御配慮を願いたいと思います。もう
一つ、私はこの機会にお願いをしておきたいと思いますが、それは先ほど
お話のありました小学校九万何ぼ、中学校九万の不就学児童であります。これはいろいろな事情があると思います。体の弱い子供もありまするし、よくよく貧乏な子供もあるわけであります。私は実は前にも、小学校、中学校の義務教育について、テレビを使って実際の不就学児童を減らす方法を考えてみたらどうかということを思ったことがあるのであります。肢体不自由児等の療育施設を伴った学校を全国に作っていただくことは非常に望ましいことでありますが、
予算の
関係でなかなか一朝一夕にできない。それからかりに相当
程度にいきましても、各市町村に置くなんということはとてもできない。やはりからだの悪い、不自由な子供を県庁所在地に手放すということになると、なかなかできない家庭があるわけであります。そこで、これは義務教育でありますから、なかなかむずかしいことがあるんだと思いますけれども、小学校、中学校の教科書を使いながら、家庭で母親が責任者になりながら、所在の学校の担当の先生と連絡をとって、そのからだが悪くてうちに休んでいる子供、病院へ入っている子供の勉強を続けるというようなことは可能だと思うのであります。これも私のことを申し上げてまことに恐縮でありますが、私は小学校の五年生のときが一番よけい休んだのであります。大へんたくさん休んだから及第させてくれるかどうかわからない、ほかの子供が進級をいたしましたときには、上げてもらえないことになる。最後に、何でも職員
会議でお情けで上げてもらった。もう子供心に、学問だけはまともにちゃんと上がった子供よりもよくよく勉強したつもりなのに、
文部省というところは実に不親切なところだと思って、非常に残念に思ったのですが、要するに、そうした一年、二年あるいは三年の間というものは、子供が勉強をすればちゃんと進級をさせていいのでありまして、それが学校を休んでいるというだけで、勉強をしても落第しなくちゃならぬということは、私はどうもはなはだおもしろくないと思うのであります。それも今までのような制度ではできませんけれども、今日のようなテレビが発達をしているというときであれば、NHKなり
日本教育テレビなりへ乗せてやれば、十分家庭と学校と連絡をとって、そうした子供に勉強を教え、かつ落第をさせないで進級をさせることができると思うのでありまして、いろいろの工夫が要ると思いますが、義務教育の課程につきましても、テレビによる、通信教育による進級、進学ということをぜひ考えていただきたいと思うのでありますが、この点についても、文部大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
-
○松田国務大臣
お話はこれまた非常に必要なことであると思います。私は、そうした特殊の事情にある家庭の子供たちに対して、これは何とか特に力を注がなければならぬ、生まれながらにしていろいろ困難な事情にある子供に、特に力を入れてやることこそ最も大切なことであると考えます。先進国などと比べると、この点においては
日本は格段に劣っておるということを考えまして、特殊教育の面に特に力を入れてやって参ったのでありまするが、まだ一部分のことよりできませんけれども、今後も今
お話しになったようなことについてはよく
一つ検討して、実行可能の方法を見出したい、かように考えております。
-
○
橋本(龍)
分科員 ぜひそうお願いをいたしたいと思います。経費も足らぬことでありまするから、いろいろな面で十分なということはできませんけれども、要はやはり親切げの問題でありまして、
一つにはいろいろな工夫をすること、
一つには
文部省だけでなしに、民間の協力も求める、それから
一つには、もう百点満点の万全を考えずに、やはりほんとうの子供の幸福ということを考えて、ある
程度やはり甘く見てやる。要は一言にして親切げに尽きるのでありますが、親切げをほんとうに発揮していきまするならば、まだまだこういった不就学を減らすというような問題についても、あるいはまた働きながら勉強をしたい子供の向学心を満足させるという点についても、いろいろやる余地があると思うのであります。幸いにしてテレビが非常に発達したときでありますから、私は、今
年度これに計上された経費というものについては、非常に将来大きな明るい発展性があると思います。先ほどの文部大臣の御意見に従いまして、この上とも十分親切げのある御尽力をお願いいたしまして、これで私の質問を終わります。
-
○
北澤主査 午後二時まで休憩いたします。
午後一時十六分休憩
――――◇―――――
午後二時十二分
開議
-
-
○
辻原分科員 要求いたしました
資料によりますと、本年から
昭和三十七年までの中学校の生徒の
増加がきわめて著しくなっております。そのための校舎施設整備、これに対応する
計画は一体具体的にどうなっておるか。もう
一つの問題は、教職員の定数に対する確保が行なわれているかどうかをお聞きいたしたいと思うのでありますが、時間の
関係で、
文部省の
予算上の
説明は私も
予算書を拝見いたしましたのでお聞きいたしません。私の
要求いたした
資料も出ておりますが、それによりますと、急増対策という特別の
計画は立てられていないようであります。
文部省の去年から始められた施設に対する五カ年
計画、これに基づいて今
年度は第二年目としてこの中で問題を解決するように取り上げられております。この全体
計画を見ますと、五カ年の間にどうしても建てなければならない中学校の施設建物が八十四万六千坪、こういう
数字が出ておるのでありますが、この
数字の根拠は一体何でありますか、この点を伺いたいと思います。
-
○福田(繁)政府委員 ただいま御質問のございました五カ年
計画の中で、中学校校舎の整備の問題でございますが、これは御承知のように三十三年のときを現在にいたしまして、将来生徒急増に備えまして一番ピークになるときの三十七年を目標にいたしまして、校舎整備
計画を樹立いたしたわけであります。従ってこの五カ年
計画の中でも一番基礎になっております中学校の八十四万六千坪は三十三年におけるところの不足坪数でございます。
-
○
辻原分科員 私の聞きたいのは、常識的にわかることじゃなくて、基礎的にどういう積算をされたかという点であります。ここで約八十五万坪というものを、お出し願った
資料を見てみますと、三十四年から三十七年に至る中学校生徒の
増加数が累計では二百十二万四千名、こうなっております。そうしますと最も単純に計算をすれば、現在の算定基準で中学校生徒一人当たり一・八坪をかりに所要するといたしまして、それでもしこの三カ年間にわたる不足を完全にそれだけをとって解消するとするならば、ここに一人当たり一坪としても、約二百十二万坪というものが要るわけです。もちろん現状においてはこの
文部省の算定基準と現実とは一致しておりません。従って自力建設その他で
かなり充足をしておるから、かりに生徒が二百万ふえてもそれに必要な坪数を乗じたものだということには一がいにはいえません。しかしそうといたしましても、
数字が非常に少ないのであります。だから生徒の
増加する
数字に比べて考えてみますれば、八十五万坪というのは約〇・四坪にしか相当しないわけです。その点どうも私は心配をしておるのです。おそらく本
年度の
予算を見てみても三十一億と、これは従来の年よりも画期的にふえておることは認めます。認めますが、三十五年、六年と今後
増加していく。それに対応する初
年度の分としてこれではたして十分であるかどうか、非常に疑問であります。そういった点でこの八十五万坪というのは実情に沿っておると考えているか考えていないか。
文部省が積み上げられた、おそらく指定統計等の
資料でとられたのではないかと思いますが、はたして現実にマッチできる
数字であるかどうか、確信があるならお答えを願いたいと思います。
-
○福田(繁)政府委員 ただいまの御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、生徒の一番ピークになるところを目標にいたしまして
計画を進めております。従ってこの全体の
計画としては、三十三年の調査に基づきました中学校の推定不足教室の坪数というものを押えて約百二万坪というように計算をいたしております。これは全体
計画でありますので、三十五
年度は第二年目に入るわけでありますが、すでに三十四
年度におきましても相当工事を進めております。補助対象事業にいたしましても、単独事業にいたしましても相当進めております。従って三十五
年度におきましては、坪数にいたしまして十五万五千九百四十六坪、こういうような相当飛躍的な工事坪数を予定いたしておるわけであります。これは三十五
年度における約七十数万の生徒増に対する対策としてこの坪数は私どもは十分と考えております。なお先ほど御質問のございましたこの基礎数の八十四万坪でございますが、これは一応三十三年の調査をもとにいたしまして計算をいたしたものでございまして、中学校におきましては普通教室を充足するということを目標にいたしておりますので、その普通教室の整備という観点から申しますれば、五カ年の全体
計画の中で、この三十五
年度の生徒増に対する対策を相当繰り上げて実施いたす予定になっておりますので、十分だと考えるわけであります。
-
○
辻原分科員 中学校の平均学級定員は昨年の指定統計でもよろしいが、
幾らになっておりますか。
-
○福田(繁)政府委員 四十四人でございます。
-
○
辻原分科員 それから現在の平均保有坪数は一人当たり何ぼになっておりますか。
文部省の暫定基準が一・〇八です。現実に保有している保有坪数は、これは毎
年度指定統計に出てくるはずなのですが、その指定統計の現在保有している保有坪数を生徒一人当たりで割った坪数というものが現状なのです。この現状と
文部省が示している暫定基準というものは非常に大きな開きがあって、現状の方が非常に高くなっているのですが、これは今
幾らになっておりますか。
-
○福田(繁)政府委員 その平均坪数はあとで調査いたしましてお答えいたします。
-
○
辻原分科員 この
数字は一・〇八をはるかにこえて一・二くらいになっているのじゃないかと想像いたします。これが現状なのです。今
文部省の出された八十五万坪
計画というのは、おそらく私はいわゆる暫定基準に満ちていないその不足坪数を計算したものであると思いますが、そうではありませんか。
-
○福田(繁)政府委員 その点につきましては、もちろんこの全体
計画の推計の方法がいろいろな要素から考えておりますけれども、基礎といたしました要件が変わらなければ、これはもちろん暫定的なものとして考えてもいいと思います。しかしながら一方におきまして、小学校、中学校におきましては、いろいろ社会的な要因によるところの地域的な増減があります。そういった点につきましてはこれは将来の問題として検討する。従ってこれは私も一応の全体
計画としては差しつかえないということで進んでおります。
-
○
辻原分科員 私の質問がはっきり入っていただけていないようでございますが、申し上げているのは、
文部省が不足坪数を計算する場合に国の責任として考えておるのは、従来小学校であれば一・〇八、中学校であれば一・〇九という暫定基準を長い間とってきているわけなのです。だからそこから先
幾らとっておろうと国は責任を持たない。たとえば現実にどんなに学校で音楽の特別教室が必要だ、あるいは理科の特別教室が必要だといっても、国は責任を持たぬというのが今までの政策なのです。ですから、
文部省があげる
数字というのは、おそらくそういうものを除いて、いわゆる普通教室を単位にした一・〇八坪に満たないものが不足坪数だという出し方をしているのではないかと私は言っておるのです。それはその
通りですね。
-
○福田(繁)政府委員 その点はその
通りでございます。
-
○
辻原分科員 それが現実には問題なのです。こういう急に生徒増が大きなカーブを描いて急上昇するという時期に、片やそういう考え方をいつまでも持っていることが問題になる。なぜ問題になるかというと、先ほど私が現在の保有坪数は一体
幾らになっているかとお尋ねしたのはそういう意味なのです。ほんとうに
文部省の基準と現実とはどのくらいの差があるかということは、これは見られればわかる。ということは、現実にかりに一・二あったといたしましても、それと一・〇八との差というのは自力建設です。地方が独自にやったものなのですね。地方が独自にやったということは、どうしてもこの地域の学校においては理科の実験室がなければどうにもこうにも教育はやれない、音楽を非常に盛んにやっている学校だから音楽教室はぜひともほしいというように、いろいろな地域的な要請によってこの自力建設は始まった。そうしてさっきお尋ねいたしましたように、現在一学級の定員はいわゆる算術平均をとってみても四十四人なんです。だから、ここで諸外国との比較とか、そういうむずかしい議論はいたしませんが、とにかく常識的に二十坪の教室に四十四人というのは、中学校の生徒であればオーバーなのです。だから普通教室においても現状においてオーバーしている。そうして片や特別教室は、先ほど言ったような
理由で独自にそういうものを建てて――これは何と言ってもなくすわけにはいかない。そこへ持っていって新しく今年は七十一万ふえるでしょう。来年は百万からふえる。その次は四十万ふえる。トータルで二百十二万ふえる。そのふえる分はあらかじめ校舎が準備されているわけじゃないのです。もちろん卒業生との差はありますけれども、それを引いた数がとにかく二百十二万なのですから、その分だけは純増なのです。だから現実から言うとほんとうに二百万ふえる。それを入れるものを作らなければならぬという理屈になるが、この点は一体どうなのですか。
-
○福田(繁)政府委員 その点は、先ほど申し上げましたように、すでに五カ年
計画が、生徒が三十五年、六年、七年と
増加することを予定いたしまして、そのピークにおける生徒数を収容するに足りる教室を作るという
計画になっておりますので、
計画としては十分であろうと思います。ただおっしゃるような特別教室と普通教室の問題は、これは将来の問題として、中学校の生徒急増対策が一応完了した上において考えたいと思います。
-
○
辻原分科員 失礼ですが、福田さん、それではお答えにならないのです。八十四万六千坪というのは、先ほど私が申し上げたように、一・〇九坪を基準にした
数字なのですよ。だから今のこれを基礎にして実施
計画なり議論を展開するとどういうことになるかといえば、普通教室にはもっと生徒を押し込みなさい、特別教室はこれを廃止しなさいということになるのです。一人の生徒は
文部省の基準でも一坪と〇・〇八要るということなのです。そうすると八十四万坪というのは、生徒数に換算すれば、一坪と仮定しても八十四万人の生徒増に対応するものにすぎない。だからこれだけしか建てなければ、あるものの中にその以外のふえる分を押し込まなければならぬという理屈になるのです。大臣、こういう見方はどうでしょう。これは
数字をさわってもわからない。
数字にさわらないで現実を見るとわかる。一体お答えはどうでしょう。
-
○松田国務大臣
お話のようでありますれば、現実にやはり定員の数はオーバーになるかと思いますが、しかし、五カ年
計画の毎年ごとの計算はまだ割り振りはできておりませんけれども、五カ年
計画を完遂した暁においては、所定の
通りすし詰め教室は解消できる、かように考えております。
-
○
辻原分科員 大臣のお答えは、初めの現実論においては、大体そう思うというのはけっこうですが、あとの方は違うのです。年次
計画は
文部省の
資料でもできておりますが、その
計画は五カ年で八十五万坪をやるということなのです。その基礎を私は問題にしている。端的にはこの急増対策というものは変更する必要が出てきはしないかということを私は尋ねたいのです。このまま押し込んで
ごらんなさい。現に東京でもどこでもそうなのですよ。もう私のおる周辺においても、小学校に仮住まいをする分散教育の問題が起きてきた。それから従来の特別教室を廃止しなければならぬという問題が起きてきた。なぜそういう問題が起きてきているかということを私は
数字上言っているわけなんです。これについてどうですか、福田さん、そういう現状をお認めになりますか。
-
○福田(繁)政府委員 これは
辻原先生御承知のように、
予算の計上の仕方が単
年度になっておりますので、その年その年の不足坪数を大体その年で解消していくというような建前になっております。従って、本来から言えば、三十六
年度で不足いたしておりますところの教室数を全部三十五
年度の中で勘定しておいた方が望ましいのでありますけれども、そういう現実の問題と多少ずれてくる点があるのでございます。従って、この三十五
年度の急増対策といたしましては、少なくとも普通教室は約六千三百教室くらいの不足になりますが、それは三十五
年度に計上いたしておりますところの
予算でもって十分まかない得る、こういうような考え方でございます。従って、建築が完了いたしますまでには、あるいは今おっしゃるような特別教室を普通教室に代用するというような問題もその間は起こるかも存じませんが、三十五
年度の工事が進捗いたしますれば、そういう問題は一応解消するものと考えております。
-
○
辻原分科員 それじゃこういうことなんですか。今
局長の
説明されたことを現実に当てはめてみると、現在某中学校の生徒がかりに五百人といたします。そのうちで六十人ふえる。まあ一学級強ですね。六十人ふえた。そうすると六十人に対する一・〇八坪は全部お認めになりますか。その学校の保有坪数は、資格坪数をオーバーしている。そして六十人ふえる。全部お認めになりますか。今あなたの議論を聞いておりますと、そういうことになりますよ。完成
年度には全部それは間が詰むのだということになれば、そういうことになる。そういうことをお認めになりますか。
-
○福田(繁)政府委員 私が申し上げておりますのは、普通教室のみはこの
計画によって十分充足できるということを申し上げておるのでございまして、従って、今おっしゃるようなことがもしあれば、資格坪数は普通教室については認めていく、こういうことになろうかと思います。
-
○
辻原分科員 だからそこで問題があるのです。私は、普通教室、それから特別教室、資格、保有坪数とかいうのは全部入っていましょう。入っているけれども、学校というものは、普通教室もあれば特別教室もあれば管理室もある。全体で学校はできているのですよ。だから机の上で考えた教室だけでなっているように――そうはいかないのです。全体をひっくるめて考えていかなければならぬ。全体をひっくるめて考えていけば、その学校に教室が一教室余っているとか、あるいは特別教室を余分に、理科教室を二つも三つも持っているとかいう場合は振り向けられますけれども、ところがそうじゃないのです。特別教室として使用するものも、それはもう極限まで使用している。普通教室も、四十四人の定員ですから余裕がないのですね。全国的に見てみたら余裕はないのです。そこへどっとふえるのですよ。だからどっとふえた分だけ、これはきわめて単純に考えれば、ふえた分だけ建てなければいかぬということです。そういう議論を私は展開できると思う。ところが
文部省の
資料というのはそうじゃなしに、ある基準を設けて、言いかえてみれば特別教室をオミットして、また普通教室についても一・〇八という一人当たりの子供の分しか建ててやらない。だからおれの学校は理想的に教育しようと思うのだといって、中学三十人というかりに学級定員を持ったという場合には、この基準をオーバーします。しかしそれは現在国の補助のあれとしては許していません。三段論法をもって言えば、そういう基準を設けるから許していないということになる。しかしそれはおやりになるなら勝手にやりなさいということで、自分のふところから、地方なり父兄が負担すればそれはやってもよろしい。そうは言っているけれども、いわゆる国の政策として補助金を交付するのはそこまでだということです。地方財政の現状、先ほども私もその問題をお尋ねしようと思ったのですが、父兄負担が義務教育でどんどんふえてきていますね。そういう中で、この急増対策について、おそらく私はこの
計画でいったら、父兄負担というものはさらに
増加する。おそらく来年の今時分、再来年の今時分の統計を見ると、公費以外のPTA負担というものがさらにうんと上がる、それを
一つは心配するのです。そしてもう
一つは、そういうことも負担に耐え切れぬですから、現状は窮屈だから、そこで分散教育、それから特別教室の廃止、いわゆる不完全教育が行なわれるということを申しているわけです。そういう現状をお認めになりませんか。
-
○福田(繁)政府委員 私どもは施設の整備の面からのみ申し上げておるわけでございますが、そういった御指摘のような問題が起きないように、あらゆる十分な指導をいたしまして、一時的には非常に困難な問題が起きるかもしれませんが、できるだけ早くその教室の整備を終えまして、もちろん三十五
年度だけで終わる問題でもありませんので、次の
年度の問題もあわせて考えながら、校舎の整備をはかっていきたいと考えております。
-
○
辻原分科員 この根本的な問題は
年度の問題じゃありません。一体八十五万坪というものは現状で妥当であるかどうか。それを修正して、この全体
計画をもう一ぺんやり直す必要があるのじゃなかろうかということを私は申し上げておるのです。だから
幾ら年次でどう区切ったところで、全体の五カ年
計画というものはこれ以上にふえないのですから、そこをやるといったってどうにもならないのです。
文部省で手を打とうとしておるのはその基準までです。だから勢い普通教室を廃止しろというような問題が起きはしないか。それは
年度のいわゆる五カ年なら五カ年、そのピーク時までには必ず何とかするというお答えならば、地方でおれの方はこれだけ不足するからこれだけのものを現実においてどうしても建てなければいかぬから、かりに六十人ふえるとするならば、それの一・〇八倍――いろいろ段階もありましょうが、かりに平均一としてこの基準の六十坪だけはどうしても建てなければならぬ、それについて
文部省は補助を交付してくれますかと言ってきたときに、それを認めますかと私は聞いておるのです。その点はお認めになりますか、その点はどうですか。
-
○福田(繁)政府委員 もちろんこれは御承知のように一・〇八坪で基準を出しておりますから、その基準以内の資格坪数しか認められないということになるわけであります。
-
○
辻原分科員 だからそこで問題が出てくるわけです、そうでしょう。そうすると、先ほど言った私の例で五百人の中学校でかりに一坪といたしますと、五百坪でしょう。ところがたまたまその学校の保有坪数は六百五十坪あったと仮定する、そうすると、百五十坪オーバーしておる、そこへ六十人あるいは百人でもよい、百人かりにふえた場合、今のあなたの御
説明によりますと、その学校に対する補助金はゼロということになりますね。
-
-
○
辻原分科員 だからそこに重大な問題があるというのです。根本的に私は他のいろいろな危険校舎であるとかあるいは屋内体操場であるとか今まで恒常的にやってきておった、そういう
一つの施設整備の五カ年
計画の中で、含んでいると思うのは問題だというのはそこなんです。これは
文部省の出された「
わが国の教育水準」によってもこういうカーブを描いて三十七年をピークにして、その次はシンメトリーで四十人
程度で翌
年度には下がっておる、かりに二百十万といたしまして大体四十万ぐらい下がるといたしましたならば、三十八
年度、この五カ年
計画末には三十四年に比べて大体百六、七十万の増ということになるのです。ところがその三年間ふえていくときの手当はこれは何か、三年間というものは学制で区切ってみれば、一年に入った者が卒業するまで、三年間の中学生活を送る場合に、その
年度の者だけが特別教室もなければあるいは分散教育もしなければならぬ。幸いにして父兄なり市町村が四苦八苦をして、ないそでを振って、そして校舎を生徒に与えられれば、現実には考えれば何とかできていきましょう。しかし国の方では何にも手当をしないということになる。今、私が具体的に例をあげたでしょう。百人ふえようが、百四十九人ふえようが、申請はゼロなんです。さあ、それで一体どうするか。その学校では特別教室を持っておりまして、それから生徒の平均は全国平均の四十四といたしましょう。そのふえてきた百人をどうしますか。その方法はどうしますか。どういうふうにして学校へ収容して教育しますか。この点を福田
局長にお教え願いたいと思います。
-
○福田(繁)政府委員 ただいまのような問題が確かに起きるだろうと存じますが、これは私どもといたしましても、三年間に二百万人もふえるというような異常な事態でありますので、この事態のみからやはり特別な方法を講じなければならないと考えるのであります。従って一時的には、非常に不便でございますけれども、たとえば今
お話の出ました特別教室等を一時使用するとか、あるいはまた場合によりましては、暫定的に、屋内体操場を持っておるところにおきましてはそれを使用するとか、そういうようなできるだけの工夫をいたしまして、教育上
支障のないようにいたしたいと考えております。
-
○
辻原分科員 福田さんこれは一時的ではありませんね。この
文部省の御
計画によりますと、一時的じゃなしに永久なんですよ。全体
計画でそれ以上のものを見ないのですから、一時的につじつまが合うのじゃないですよ。たとえばことししんぼうして、それじゃ小学校に間借りをいたしましょう、幸い小学校の方は若干生徒数が減ってきますから、
一つ小学校の方へ入れましょう、来年になれば何とかなるからという話じゃないのですよ。三十七年までは三カ年どうにもならぬ、私はそれを言うのです。これは一年だけの問題であるなら、あるいは国家財政、いろんな
関係から、そう言いましたところで、なかなか急にはいかぬということもあるでありましょう。しかし少なくとも子供が成長する過程において非常に重要な中学の三カ年の間、まるまる三カ年の間どうにもならないのです。父兄におやりなさいと言うか、市町村におやりなさいと言うかどっちかなんです。あなた一時的だとおっしゃるけれども、私ある学校へ行って言いますよ。一時しんぼうすれば来年は何とか
文部省でしてくれるそうだ。いいですか、大臣、この問題についてはどうでしょう。
-
○松田国務大臣
辻原さんの
お話は、要するに五カ年
計画を
文部省でされておるだけでは足りないじゃないかということだろうと思うのです。
-
○
辻原分科員 足りないばかりじゃなくて、方法論も間違っていますよ。
-
○松田国務大臣 方法についてもなお十分でないということであろうと思います。そこでこれは変更を必要とするのじゃないかというようなお考えも出てくるわけでありますけれども、何分にもこの施設だけはとりあえず三年間の二百万以上の生徒急増の異常形態に対処する施策でむろんすべてを十二分にまかない得るような措置がとられればよいのでありまするけれども、八年後においては生徒も漸減してくるということも予想に入れておるわけでありまして、とりあえずこの五カ年
計画はこの状態において遂行していこう、その間に監理
局長よりお答えになったような特別教室なり屋内体操場なりあるいは廊下なりというものを使用せざるを得ないような場面もあるかと思います。しかしまず今日の状態においてはこの
計画を遂行して、やがてその後において順次理想的な方向に向かっていくということより、今のところではなし得ない状態であることを御了承願います。
-
○
辻原分科員 三十八年以降になれば何とかなる、鳴くまで待とうホトトギス、これはだれにでもできる。私にでもできます。三十八年暮れになって、大体コンスタントの状態になるというまで待てば何とかなるということなら、だれにでもできます。ほっといたってできるのです、自然に減ってくるのですから。問題は、ふえるときに何とかするのが政治なり行政なんです。それを言っておるのですよ、大臣。決して理想を言っておるのではありません。現実にどうしてくれるかというのが地方財政の大きな問題です。また地方教育の重大な問題です。長く議論をすることはできませんけれども、もちろん金をたくさん出せばいいのにきまっておるけれども、もう
一つはやり方なんです。五カ年
計画、五カ年
計画というが、その五カ年
計画は、こういう三カ年の間に特異な問題を含んでおる五カ年
計画なのです。ところがその五カ年
計画の基礎たるや、これは従来過去においてやったそのままの方法を踏襲して五カ年
計画を作っておる。それだからこの三年間に現実にそういう困った問題が発生してどうにもならない、理想的にはそうだけれどもどうにもならないといって大臣が手を上げなければならないようなことになる。なぜ急増対策として別個にこの対策をおやりなさらないかというのです。別個に切り離してやるべきだ、
かなり前から私はそういう議論を申し上げておったと思うのです。五カ年
計画を一時修正してでも、ともかく急増の臨時措置というものを別個に切り離してやる必要があると思う。現実の教育上の非常な不便、非常な混乱あるいは教育水準の低下、また父兄の負担ないしは市町村財政の圧迫、こういうもろもろの要素をあわせ考えてみますと、どうしても国においては、この急増に対しては従来と違った臨時措置をやる必要がある。そういう点について
金額的にだけ見れば、これは去年よりは非常にふえておる。しかしそのために他のもろもろの施設整備の費用が軒並み減っておるのですよ。トータルにしてふえておるのはわずか九億足らずです。去年より急増対策の
予算は二十億ふえておるけれども、それはみんなほかのものをけずってきてこれにはめたためです。実際の
文部省の努力はこの分に関する限り九億しかふえていない。さっきも
ロッキードの話が出ておりましたが、全国の約七百万に及ぼうとする中学の生徒に対する教育施設が今非常に困っておるにかかわらず、またいろんな社会問題をここに含んでおるにかかわらずたった九億円。これは切り離して早急に御検討願いたい。たとえば
一つの方法としては、今までは一・〇八坪でなければ認めませんと厳密に言っておったが、そんなことを言っておっては特別教室をみんなつぶさなければならなくなる。あるいは五十人、六十人をみんな詰め込まなければならない。あるいは分散教育でそこいらのおしょうゆの工場でも借りてやらなければならない、機械工場にも行かなければならない、そういうことになりますから、少なくとも自然
増加に対して比較的近い対策を立てるために、その基準について暫定措置としてこの分だけは三年間に区切ってもいい、その急増対策に関する限りは従来の基準にはあまり拘泥しないという方針を立てて
ごらんなさい、解決するでしょう。福田さん、そのくらいの思い切った考えを持ったらどうでしょう。
-
○福田(繁)政府委員 私どももちろん五カ年
計画が不動のものとは考えておりませんけれども、しかしながらまだ踏み出しまして第二年でございます。従って全体
計画の中では、そういった急増対策というものをすでに織り込んで考えておるものでございまして、従って特別教室等の問題はありますけれども、三十八年以降におきまして、生徒が減になった場合の状態というものを一応頭に描いて今後の整備にかからなければなりませんので、そういった観点から申しますと、今の基準を今直ちにここで変えるというようなことは私は考えてないのでございます。
-
○
辻原分科員 先ほどの平均の数値わかりましたか。保有坪数の平均。それから、三十八年の話が今出ましたので、三十八年には保有坪数の平均は想定は何ぼになりますか。それからもう
一つ、
文部省の算定基準でなしに恒久的な基準が中学校は何ぼになりますか。
-
○福田(繁)政府委員 先ほどの保有坪数でございますが、三十四年におきまして一人当たり一・三四坪でございます。それから恒久基準の問題でありますが、これは一応現在の一・〇八坪に対しまして一・二六という考え方をいたしております。
-
○
辻原分科員 三十八年には想定どのくらいになりますか。おおむねでよろしい。
-
○福田(繁)政府委員 ちょっと調べます。
-
○
辻原分科員 今お答えのありましたように、現実の平均の坪数は一人当たり一・三四、そして
文部省が将来の基礎基準だとする一・二六坪を現実にはるかにオーバしておる。この差はすべて
資料を
要求いたしましたようなPTAの負担ないしは市町村の圧迫という形になって現われてくる。今三十八
年度にコンスタントな状態になるからそこで解決するという非常に安易なものの考え方を
文部省はされておるようであります。私はとんでもないことだと思う。なぜならば、今お伺いしておりますが、三十八年に一体全体の平均坪数はどのくらいになるか。そうすると、五、六、七とずっと延びて、勢いこれは生徒が入ってきますから、どんな無理をしてでも――これは国も金を出して今言った五カ年
計画の中でやっている。教室が
かなり建ちます。今度は逆に生徒が減ってくる。そうすると非常に余裕が出てくる。そのときに一体
文部省の施策としてはどうするのかという考えを持たなければならない。長い間、恒久基準はあるが、財政の都合で逐年やっていくのだ、そうして教育の水準を高めていくのだと歴代の大臣が言っておりながら、具体的に
一つも出てこない。少しも手をつけていない。口頭禅なんです。もはや暫定基準なんというものは全く観念になっている。現実には何らの基準はないのです。そこでその急増対策でもってある
程度それがふくれ上がったときに、その基準を落とさないように、幸いそのときには
かなり高くなっているのですから、そして生徒も少し余裕が出てきているのですから、今度はそれをまたよそへ、小学校へ貸すとかそういう考え方でなしに、そこで恒久基準に踏み切るというチャンスではありませんか。そのためにも、今のうちにどんどん暫定基準から現実のものにやはり国の政策として上げていかなくちゃならない。そういうことを私は申し上げておる。だから三十八年になったら今のあなた方の考えからいくと切り下がりますよ。そんなことをやって
ごらんなさい。大蔵省の主計官はいませんか。いいことを聞いたと言っていますよ。三十八年になってきたらそれは要らぬから減らしていく。そういうことを私は心配している。これは主計官も
一つ聞いてもらいたい。ほんとうに岸内閣が教育水準の向上をはかるなら、そういうタイムリーな時期をつかまえて、水準を落とさないように、その水準を固定するという考え方に立たなければならないのです。大臣どうですか。
-
○松田国務大臣 教育に熱心なるものでありまするならば、あなたと同じような心配をみなすると思う。しかし、ベビー・ブームによるこの異常事態、のみならずさらにもっと大きな事態が
わが国の教育界に戦後現われてきた。すなわち、六・三制の三という部分。教育年限を高くすることは非常にけっこうなことの
一つであると思うのでありますけれども、これをやり遂げることは大へんな仕事であったわけです。しかもこれを曲がりなりにもどうにかやり、一時またベビー・ブームによる急増にも何とか対処したいということで五カ年
計画を立てておるのでありまして、かくのごとき教育界に対する非常な異変に対して、どうにかこうにか対処し得てきておるということは、要するに
日本の国民の教育に対する熱心さが実ったわけであると私は考えるものであります。外国から見れば全くこれは奇蹟的な事態であるとさえ見ておるわけであります。その結果あなたのおっしゃるように、父兄負担によってこれがまかなっておられるという面もある。それをよいことにして、われわれはこれに甘んじて、将来その上に乗っかっていこうという考えではない。義務教育に対しては父兄の負担を軽減していこうという考えを持ってやっておるのでありますけれども、こうした大きな異変に対処してやってきておるのでありますから、ややそこにいろいろ御不満な点もおありなことはしんぼう願わなければならぬ、私はかように考えておるわけでありまして、さればといってその事態をいつまでも続けていこうというのではない。漸次理想の境地に入っていきたい、かように考えておるわけであります。
-
○
辻原分科員 岸内閣の政策としては、現状がどうであろうともこれはやむを得ないものだ、こういう判定のもとに五カ年
計画を修正する意図もなければ、さらにこの急増対策についてできるだけの方法、配慮をしようとする考え方を持っていないと判断しても、今の大臣の
答弁ならば差しつかえないと私は思います。はなはだ失礼な言い分でありますけれども私はお説教を承っておるのではないのです。一体この現実をながめて、この措置について何かもう一歩踏み出した別個な形をとる必要を痛感しないかと言っているのです。具体的に先ほどお答えがありませんけれども、とにかく資格坪数をオーバーしているものであっても、急増対策ならばそれについては検討を加え、
かなり現実に近い
程度まで認めていくような、そういう暫定措置はとれないかということを具体的な問題として
一つ質問している。それからかつてやりました六大都市のいわゆる社会増による急増対策であります。今度のは全国的ないわゆる戦後ベビーとでもいいますか、復員の際の子供の急増による人口増でありますけれども、その当時における社会増の場合に、起債の特別措置というものをやった。
金額は知れておりましたけれども、その分にだけ……。そういう方法もあるのですよ。そうして足が出る分切られて、ふえるけれどもどうにもならぬということについては、そういうようないろいろの手当でもって急場をしのいだ。今度の五カ年
計画の中でやろうという急増対策は、金は十億ふえておるけれども、方法については全然変わっておらないということを私は指摘している。大臣何かそういう点について、もう少し検討されるような心持がありますか。
局長は今私が前段に申し上げたような具体的な措置をおとりになりますか、お答え願いたいと思います。
-
○福田(繁)政府委員 ちょっと先ほどの御質問の三十八年の坪数を申し上げたいと思います。三十八年は一応計算いたしますと、一人当たり一・一四坪くらいになるようでございます。いろいろ御質問の中にございましたような点については、私どもも十分考慮しなければならない問題もたくさんあると存じておりますが、しかしながら……。
-
○
辻原分科員 今私が具体的に言った問題について
局長にお答え願いたい。もろもろの話はいいです。
-
○福田(繁)政府委員 具体的な問題につきましては、それは現在の基準坪数によって処理いたしたいと思いますので、先ほど
答弁いたした
通りでございます。
-
○
辻原分科員 その
答弁も違いやしないですか。
局長、資格をオーバーしても二割までは認めるという通牒を出しているじゃないですか。
-
○福田(繁)政府委員 その二割までは特別に認められる通牒を出してございます。
-
○
辻原分科員 だから違うじゃないですか。具体的にはっきり答えてもらわぬと――あなたの前段の
説明は全然認めない、今は二割までは認める。それについてもう少し方法があるはずだと言っているのです。一律に二割とかなんとかということでは非常に違うでしょう。各学校のいろいろな充足度合いがみな違うはずなんです。これは実際の現場を考えればいろいろな事情があると思う。だからそういう点について、ある場合、五割とか六割というところまで認められれば、非常に財政の貧弱な町村、極端に言えば父兄の負担能力、今の
文部省の政策からいえばPTA負担というものを前提にしている。はっきり言いますが、前提にしている。だから、その父兄負担に非常に限度があるような地域には
かなり大幅に認めたっていいはずなんです。そういう柔軟性をもう少し認めるというような運用は、現在の
予算の
範囲内においても私は可能だと信ずるから言っているのです。大臣どうなんです、首を振っておられますが。
-
○松田国務大臣
お話のように、特殊の富裕地帯であるとか、あるいは父兄負担で進んで坪数をふやして万全の措置をとりたいというようなところに対しては、むろん
お話のような措置も講じていいと思う、柔軟性を持って対処すべきである。それぞれの地方における実情にできる限り即する方法をとるべきであると考えます。
-
○
辻原分科員 一つ主計官にお伺いいたしますが、私が申し上げたような事情についてあなたはお認めになりますか。先ほどから私がるる申し上げたように、現在設けている基準を上回っておるために、急増対策が必ずしも急増対策になっていないという現状、こういう点についてどうお認めになりますか。
-
-
○
辻原分科員 そこで、
文部省は九億ばかり大蔵省に認めていただいたので、ほかの点については遠慮しているようでありますから、私は遠慮しないでものを申し上げるが、さっき言ったような三カ年にわたっての特別措置を大蔵省としては考える余地はありませんか。かりに、今大臣が御
答弁になりましたような、資格をオーバーする分について、
文部省は現在いろいろ地方の実情から、要請があって、私は二割でも踏み切ったと思うのです。それを、現状に照らして、かりに四割、五割、六割といった運用をやっていった場合、理論的に言えばこの当初
計画が狂ってきますね。そういう場合、大蔵省は何か考えてくれますか、どうですか。
-
○大村
説明員 毎
年度予算を組みます場合につきましては、全体の
計画の
範囲内でその年ごとの実情に合わせるように組んでいくべきであると思います。従いまして本
年度も単純に
計画の四分の一ということじゃなくて、相当
予算を操り上げてやるという措置も考えております。
-
○
辻原分科員 その二割までは認めるというのは大蔵省と
文部省の話し合いですか、それとも
文部省の指導方針だけなんですか。
-
○福田(繁)政府委員 先ほど
お話のありました人口
増加の、ことに著しい場合におきましては、二割
程度これをオーバーして実施してもよろしいという問題は、
文部省だけではございません。これはもちろん大蔵省とも十分打ち合わせてやっておるのでございます。
-
○
辻原分科員 それならば今大臣もお答えになりましたように、現実には必ずしもそういう二割なら二割という線で切れない場合がある。従ってそれをできるだけ現状に近づけるためには、それを上げてやらなくちゃならぬ。そういう場合に、大臣としては実情に照らして運用したいとお答えになった。それを具体的に行政上執行すれば、その二割の
範囲内も
かなり動いてくるわけですね。大蔵省、それは認めていただけますね。大臣がそう言い切ったのだからお認めになりますね。
-
○大村
説明員 ただいまの御質問は、
予算の県別のあるいは市町村別の配分の問題だと思いますが、これは実情に即して運用していただくように十分御相談に応じたいと思っております。
-
○
辻原分科員 そこで大臣、今のお答えで大蔵省も
文部省も実情に即して運用するようになりました。そうすると、実情に即して運用しますよ。かりに今まで平均値が二割だった。ところが実情に即して弾力性を持たせて運用した。抜かりなく大村主計官は
予算の
範囲内でとおっしゃった。
予算の
範囲内でそんなことはできません。当然そこに若干の足が出てくるのです。大臣、そのことについて何とか措置しようというお考えをお持ちになりますか。そうでなければ意味がないのです。せっかく実情に即して現実に近づけるという大臣のお考えがあり、また
文部省としてもそういうふうにしよう、事務当局としてもお考えになっておりますけれども、しかしそれはある
程度足が出るのです。その足は三十五年の
計画なり三十六年へ乗ってもよろしい、あるいは三十七年へそれが乗ってもよろしい、三年間の全体の操作の中でそれを解決するというのも
一つの方法です。しかしどこかでまた足が出てくる。それをまたどこかでしりぬぐいしなければいけない。そういうことについて何とか
一つ考えて努力していこうという考え方をお持ちになりますか、努力していただけますか。
-
○松田国務大臣 大都市周辺などにおきましては、そういう繰り上げを必要とする急増対策をすべき点が出てくると思います。そういう場合には、これまたやはり
法律の
範囲内においてできる限りその繰り上げが実行できるような措置をとってやりたい、かような考えであります。
-
○
辻原分科員 残念ですが、時間がありませんのでこれ以上こまかくお尋ねすることはできません。そこで自治庁にちょっと伺いますが、
文部省の
計画によれば、急増対策は半額なんですね。あとの半額は自治庁にまかしている。補助起債は百パーセント確保しますか。
-
○佐々木
説明員
昭和三十五
年度におきまして、義務教育の施設に用意しております起債の額は、
文部省の、今
お話に出ております五カ年
計画に基づきまして百四十五億円計上いたしておるわけでありますが、そのうち中学校の校舎に充当するものと予定しております額がおよそ四十六億円でございます。この起債の配分につきましては、昨
年度と同様に、国庫補助事業におきましては地方負担分、それから単独事業として施行いたします分につきましては、その事業費のおおむね八〇%
程度を充当するということを予定いたしております。その他その残りの二〇%分につきましては、他の一般財源によって措置をするという予定で計上しております。
-
-
○佐々木
説明員 補助事業は地方負担分の八〇%でございます。
-
○
辻原分科員 そうすると、総事業費のうち一〇%ということになりますね。一〇%はどこからか出せということになりますね、補助事業についても。
-
-
-
○佐々木
説明員 その自己負担分につきましては、一般財源をもって措置するということを予定しております。
-
○
辻原分科員 それだからこれは毎年問題が出るのです。参考に伺いますが、去年の補助事業についての実際の配分の平均、これは何ぼになっておりますか。それから単独事業についての配分の平均はどれだけになっておりますか。
-
○佐々木
説明員 公立学校
関係の分につきましては、先ほど
お話申し上げましたように国庫補助事業につきましては、地方負担分のおおむね八〇%、それから補助事業につきましてはその事業費のおおむね八〇%、これを三十五
年度におきましても同様な扱いにする予定でございます。
-
○
辻原分科員 それは実績ですか。三十四
年度の実績はまだ出ないでしょう。配分の方針ではなしに実績です。三十三年でもけっこうです。はっきり出ている
数字、配分した結果何%になったかというはっきり出ている
数字です。
-
○佐々木
説明員 三十四
年度はまだ決算が出ておりませんので出ないわけでありますが、この三十三
年度の事業につきましては、私現在
資料を持っておりませんので、つまびらかにいたし得ないのでございますが、大体この義務教育
関係はおおむねこのような方針で今まで取り扱われてきているというふうに聞いております。
-
○
辻原分科員 おそらく三十三
年度の実績を見れば八〇%を下回っていると思うんです。年次によって違うと思いますけれども、実際の毎年次を見ておりますと、必ず配分方針より下回った
数字が出ている。これは各県によっても違いましょうが、これは私の見た二、三県においては下回っておる。平均は合っているかもしれません。平均としても最初から二割天引なんですよ。だから実際の学校建築は非常に困る。父兄負担がふえてきたり、地方負担がふえてきたりする原因は、いわゆるこれだけの資格があって、これだけの補助をやりましょう、これだけの起債をやりましょうというが、ところがそれについて配分の場合になると違ってくるんです。これは自治庁のみならず、
文部省もそうです。一〇〇%配分した例がありますか。ごく一、二あるかもしれない。おおむねいわゆる充足率はどのくらいになっておりますか。福田
局長、これは年次によってとりやすい年次、三十三年をとりましょう。三十三年は充足率はどのくらいになっておりますか。
-
○福田(繁)政府委員 大体今までのところでは九〇%充足率をとっていると思います。
-
○
辻原分科員 九〇%というのは非常にいい方なんです。だから、悪い場合には八〇%、そうすると補助でもって二割天引される。起債でもって二割天引される。おまけにもらえるのは一〇・八の資格までしかない。実際の建築坪数はそれよりさらに二割ないし三割上回る。だからまるまる頭の出た自己負担分や補助でもって引かれる分、起債で引かれる分、それで非常に負担が大きいということなんです。それでも私は戦後の非常に経済の貧困な時代ならば、これはそう言ったって無理じゃないかと大臣またおっしゃるにきまっているから申しませんが、しかし毎年少なくとも少しづつ向上しなければならない。ところがそのことについては十年全く同じことをやっていると私は言いたい。ほかのいろいろな問題もあるが、そういうところが原因をして、父母の負担というものは減らないばかりか、ふえていくんです。だから少なくとも私は自治庁にこういう機会にも希望したいし、大蔵省にも特に希望したいのは、せめて国がやると約束した分だけは一〇〇%やりなさいということなんです。そうなんでしょう。補助起債なんというのは、半額半額なら、片一方が一〇〇出せば片一方一〇〇出すということなんです。それを最初から八〇%という形を作るということはどだい間違っておる。これは地方から利子をとって貸すのですから、これは
課長であるあなたに申し上げたって、政策の問題ですからどうにもならぬかもしれないけれども、私は不思議でかなわないんです。単独はこれは町村が単独でやって、自己財源のかわりに借金するのですから、ある
程度は言い分がつくかもしれない。しかし補助事業は義務経費として補助に対する基本的なものとして起債を裏づけするのです。それが二〇%を切り落とすということはふに落ちない。場合によれば三〇%も落としておる。個々にながめていったら千差万別です。ある極端な例をとれば補助はわずかに六〇%しかもらってない。これは調べて
ごらんなさい。補助は六〇%もらっておる。起債については七〇%弱しかもらってない。しかし貧弱町村でもって、どうも町村の方はそういうことは最初はあまり頭になかった。補助と起債はやろうというのだから資格一ぱいもらえるのだと思った。ところがいよいよ実施にかかってみて県にお伺いをして聞いてみると、どうもそうじゃないらしい。補助は六割だ、起債については七割、さあそれを一体どうするか。PTAの会長さんやら、あるいは村長が飛び回って寄付を集める、こういうことなんです。どうです、自治庁の方も、そういう点について、少なくともこの急増対策については従来の対策とは違って地方についてはあるきめられた年限内における大きな問題ですから、何か起債についても配慮するというようなお考えはありませんか。どうでしょう。
-
○佐々木
説明員 ただいま仰せられました起債の充当の問題でございますが、地方財政における一般の公債費の増高というような問題から、このような投資的経費に対しましても地方財政一般の傾向といたしましては、できるだけ一般財源を増強することによって将来に負担を残す起債というものを逐次漸減せしめるというのが、現在の地方債の特に一般
会計起債におけるところの方針になっておるわけであります。従いまして国庫補助事業であるということの
理由をもって起債を一〇〇%充当するということは、将来の地方財政の公債費の問題ということを考えまするならば、この起債について常に一〇〇%充当ということは、私どもといたしましては、すべての団体についてその方針をとるということは、むしろ避けるべきではないかというふうに考えておるわけであります。ただ、御指摘のように中学校の生徒の急増に対する校舎建築というような、その市町村において事業費がその
予算の規模に比較して非常に大きなものになるというような場合におきましては、現在の起債で一応予定しておる八〇%の充当率というものについても、その市町村の財政規模、事業の分量といったようなものを考慮いたしまして、その充当率については若干の変更を行なうということは必要であろうというふうに考えておる次第でございます。
-
○
辻原分科員 起債の一般原則なんか聞いておるわけじゃないんです。そういうことは百もわかっております。問題は、急増対策について町村は何とかしてこれはやらなくちゃならぬ。よりりっぱな学校を建てようとか、あるいは少しぜいたくだが何とかこれをやろうという起債を仰ぐ場合ならばいざ知らず、何としても鼻血を出しつつもこれはやらなければならぬ問題だ、そうした場合に金の調達の方法がないのです。かつては、いい方法ではなかったけれども、やむにやまれぬからそれぞれ貯蓄組合を作って、その貯蓄組合から町村が借り上げるような方法をとった。しかしそれはまかりならぬ。
法律に抵触するおそれありとしてやれぬ。町村はそうするとどこで借りるかというと、町村独自のいわゆる銀行で借りるか、あるいは農協で借りるか、あるいは国の起債を仰ぐより仕方がない。それができなければ父兄が負担する以外に方法はない。ないならば、最も金利の安い国の起債でもって長期にわたって返済させることが一番地方財政にとって負担が軽いということになる。それを言っている。そういう一般原則を承っているんじゃないです。そういう問題じゃないんだ、この問題は。だから、私に言わせると少しもあなた方の頭にこれがやはり臨時的な非常に大きな問題だという認識が入っていないんです。時間がありませんのでそれ以上のことはいずれまたこまかくお伺いする機会もあろうと思いますが、どうか
一つ大臣も、大蔵省も、
文部省も、自治庁も、協力してこの三カ年間が教育の空白ということにならないように、またPTA負担が来年、再来年ぐんとふえてきたというようなことにならないように、
一つこれからでも方法論あるいは財政措置、そういうことについて十分練ってもらいたいと思います。次に、自治庁もおいでになっておりますので、時間がありませんから簡単にお伺いいたしたいと思いますが、地方公務員の退職年金の通算のうちで、特に問題として考えられるのは、全日制の市町村立高等学校については、いまだに通算が行なわれていないように考えられますが、これはどういうことなんですか。
-
○今枝
説明員 お尋ねの市町村立全日制高等学校の教職員の退職年金制度の通算につきましては、一昨年地方自治法の改正を行ないまして、一定の基準の退職年金条例を制定した場合には、政令の定める基準で通算ができるように改正をいたしたのでございます。退職手当の方は、あるいは御指摘のように、在職期間の通算が十分行なわれるようには条例措置が終わっておらないと思います。
-
○
辻原分科員 私が年金と言ったのは誤りです。手当です。年金の方は、すでに去年解決しております。問題は退職手当ですが、さきに退職手当の暫定措置法が生まれたときに、自治庁は通達を出しております。その通達によって今日まで指導をおやりなすったと思いますが、その指導の結果、同じ給与が払われるその市町村の吏員については一体どうなっておりますか。
-
○今枝
説明員 退職手当は、御案内のように各地方団体でそれぞれ条例をもって定めることになっておりまして、国の場合には地方公務員と在職期間を通算する建前をとっておりますので、地方公務員の場合も国に準じてそれぞれ各地方団体相互間、並びに国と地方団体の間の通算措置を講ずるように、こういう建前で指導をいたしておるのでございます。国と都道府県の間はおおむね通算ができるような条例措置を講じておりまして、市町村と国、市町村と都道府県、並びに市町村相互間においては、一般吏員について在職期間の通算が講ぜられるような条例措置はきわめて不完全でございます。
-
○
辻原分科員 ここに全部の統計もありますが、問題は、国と都道府県ができておる。それから市町村と県との間も可能になっておる。それから市町村相互間についても、できておるところとできてないところとあって、今
お話しのような不完全な状況です。中でも市町村立の全日制高等学校については、当然市町村吏員と同じ状況でなければならぬのに、これが放置されておる。自治庁は行政指導の通達を出されておりますから、方針は逐次やっていこうということだろうと思いますが、これは大よそのめどはどうなんですか。あなたの方の行政指導をさらに今後強力におやりになって、そして国と都道府県がもうやっておるのですから、少なくとも全国的に地方公務員と国家公務員の間に給与の上において不均衡が生ずるようなことのないようにするのが建前になっておると思いますが、そういう方針で今後強力に御指導なさいますか、あるいは指導だけじゃなしに何らかの措置が必要になってきますか、この点はどうなんですか。
-
○今枝
説明員
お話の
通り、市町村の吏員、あるいはむしろ市町村立高等学校の教職員の方が人事交流の点から考えて、より一そう強力に指導する必要のあるのは御指摘の
通りでございます。ただ退職手当に関しましては、
法律をもって規律する建前を現在とっておりませんので、法的な強制は無理かと思います。しかし機会を見ては、私どもも今後強力に通算措置ができるようにそれぞれ地方団体に指導して参りたいと思います。一方いずれ地方公務員の退職年金、共済年金制度の整備をやらなければなりませんので、その機会には、別に在職期間の通算について、退職手当についても同じような考えをとり、少なくとも
法律上の基準のようなものは作ってみてもいいのではないか、こういう考えを持っておるわけであります。
-
○
辻原分科員 文部大臣にも
一つ伺っておきたいのでありますが、これは
所管は自治庁でありますが、しかしひとしく教育公務員特例法の範疇にある教職員の問題であります。これは今自治庁から
お話しがありましたように、実際は全国的に非常に交流が行なわれるものです。また
文部省の最近の方針としても、都道府県教育
委員会の動きを見ても、全国的交流をやっておる。にもかかわらず、高等学校の職員は六千であります。その他大学、幼稚園を入れれば
かなりの数になります。これらの人はこの退職手当のために
かなり固定化されておるというのが現状かと思います。だから早急に問題を解決しなければならぬ。特にこれは地方公務員法の建前からいたしましても、また教育公務員法の建前からいたしましても、明らかに国の基準により、また他の公務員の事情その他も勘案して定めなければならぬことになっております。にもかかわらずこの分が非常におくれております。何とか
一つこれは大臣としても御努力を願いたいと思いますが、御努力願えますか。
-
○松田国務大臣 できるだけそういう方面の整備はいたしたいと思います。
-
○
辻原分科員 それでは時間がありませんので次に一、二点お伺いをいたしておきたいと思いますが、今回新しく
予算で定時制通信教育に対する手当が定通教育の振興のために設けられて私ども非常にけっこうであると思っておりますが、これらの支給の基準はいつきめられますか。
-
○内藤(譽)政府委員 ただいま国会に定時制通信教育手当に関する一部修正を出してありますので、この法案が通った暁にはすみやかに基準をきめたいと思っております。
-
○
辻原分科員 事務職員の取り扱いはどういうことになっておりますか。
-
○内藤(譽)政府委員 これは一般の教員を対象としておりますので、事務職員まで及ぼすことは考えておりません。と申しますのは、事務職員にまで及ぼすことになりますと、他の同様な職種がたくさんありますので、そこまで広げるわけには参らないと思います。
-
○
辻原分科員 これも非常に議論のあるところだと思います。単に免許状の有無、教壇に立つことの有無、こういうことだけで機械的に同じ定時制教育の振興のために設けられた手当が受けられないということは、その学校の中における精神的な面においても非常におもしろくない空気をかもし出すと私は思います。全日制と定時制と兼任しておる校長にでも手当は出すんですよ。それを事務職員だからといって、定時制教育に専念しておる人に出さないということは私は片手落ちだと思います。これは何とか
一つ是正してもらうように希望いたしておきます。次に、かねがね義務教育の定数確保の
法律は成案を見てから順調に成績を上げておるようであります。ところが一方、高等学校の場合は、最近の状況から見ましても定員の確保については不十分だと思います。そこでこれについての検討も
文部省で行なわれておるようでありますが、近く
法律案としてあれを提出されますか、この点を伺いたい。
-
○内藤(譽)政府委員 大へん御要望が多いのでございまして、私どもも高等学校教育の水準を維持し確保するという観点からその必要性を痛感いたしておりまして、ただいま自治庁あるいは大蔵省とも十分協議中でありますので、協議が整いますれば今国会にも提案をいたしたい、かように考えております。
-
○
辻原分科員 自治庁はこの法案について
文部省と今協議中ということでありますが、
文部省の方は今国会に提出をしたい、自治庁はそういう心組みでおやりなすっていますか。
-
○今枝
説明員 自治庁ではまだ最終的に意見の統一を見ておりません。いろいろと
関係方面と御協議を早急に進めたいと思っております。
-
○
辻原分科員 ちょっと
内容で二、三点承っておきたいと思うのですが、
文部省はこの定数確保によって
計画は何年で、そしてどのくらいの人員をこの
法律によって確保しようと考えておられますか。
増加する人員はどうです。
-
○内藤(譽)政府委員 いろいろ案がございまして、まだ最終的に協議が整ったものでもございません。従ってここでお述べするのはいかがかと思っておりますが、教員の数で大体一万から一万五千
程度の増員が必要ではなかろうか、もちろん教員以外にも実習助手やあるいは事務職員等もございますので、そういうものも含めて、大体一万から一万五千くらいが必要ではなかろうか。その充足は大体三年
程度で充足いたしたい、かように考えておるのでございます。
-
○
辻原分科員 今乙号基準に照らしてみると、定員が全日で大体八六%、定時制で七一%、これは乙号基準を基準として、かつて少なくとも暫定的には最低の基準だと考えていた線から、さらに現在は下回ってきている。そういたしますと、今度出す一万ないし一万五千というものは、乙号基準を基準とした場合に、大体どの
程度のものですか、それを上回りますか。
-
○内藤(譽)政府委員 乙号基準を上回る計算でございます。
-
○
辻原分科員 細部はまた別の機会に伺いたいと思いますが、この点について私はぜひとも今国会に出していただきたいと思う。自治庁と
文部省の協議ということでありますが、今申し上げましたように、定員率がだんだん下がってきておる。義務教育についての振興は
かなりいろいろな方面から推進せられておりますが、どうも最近施設においても定員においても高等学校は
一つの谷間になってきているような感じがしてならぬ。そういう意味からこの法案は、義務教育が昨年できた。続いて高校にも、その間年次を置くということでなしにやっていただきたいと思いますが、大臣いかがでしょうか。今国会にぜひとも事務当局の折衝を早くやって提出してもらいたい。
-
○松田国務大臣
お話のような方針でできる限り今国会にまとめたいと思います。
-
○
辻原分科員 だいぶ大臣眠たいようでありますから、それでは大臣に
一つ質問いたします。最近文部大臣があちこちでだいぶ放言をせられているようであります。それはどういう放言かというと、教育改革に対する放言です。私は新聞でだいぶそれを集めてみました。その教育改革の構想を大別していえば――これは新聞に伝えておりましたので、大臣の真意を聞きたいわけなんですが、
一つは大学の理工科は国でやって、それ以外は私立でやろう、それから中学、高校を一本化した職業教育学校を作る、また中堅の技術者養成のために専科大学を設置しよう、三番目は入学試験を再検討したい、こういうことであります。特にその中で問題になるのは、第一の理工科は国で、文科は私学で、これは非常にいいキャッチ・フレーズでありますが、大臣の真意はいかがですか。
発表された以上、これは
文部省としての御方針だと申しますか、そういうふうに理解して差しつかえありませんか。
-
○松田国務大臣 そういう気持ですね。
文部省の方針というところまでまだいっておりません。私がそういう発言をちょっとしたのであります。それはたまたま記者会見でちょっと話をしたことが大きく取り上げられたわけであります。しかしちょっと発言するにも、やはりどこかに私の頭の中にあったことでありますから、おのずから出たわけであります。それは世間からも相当要望を聞いております。特に最近科学技術の振興を強くうたわれている結果、やはり国立大学においてその方面の担当を強くやってもらうということにしていく。その結果、それならば私学にすべて現在の国立大学の文科系統を持っていけといったって、これは事実なかなかそう簡単に参らないものであります。ただ私の憂えるところは、国立大学に集中して科学技術の振興をはかろうとする結果、そのしわ寄せが文科系統にきて、理工系の方の陰に隠れてやるというようなことでは、人文系統の学問も進まない。だからその方面のことは私学の方で広く私学振興をやってもらおう、こういう考え方でございます。
-
○
辻原分科員 胸深く畳んでおったものがはからずも出てきたので、必ずしも真意でないとは言えないかという非常にあいまいなお答えでありますが、決して御遠慮なさることはないと思う。堂々とやられたらいいと思う。今の大臣の
お話によると、ちょっと言ったまでだということです。しかし私はむしろあなたが堂々と述べられた場合よりも、ちょっと言われた場合の方がいい場合もあると思います。だからこの場合私も必ずしも反対するものではありません。まあいえば、その御議論について半分賛成したいようで、また半分非常に軽率であった、そういう意見です。あなたが大胆率直に述べられたことは、今の
日本の中で官僚派閥がばっこし、また国立大学でなければ就職も満足にできない。私立ではそれに準ずるものは一流私立だけというような
一つの学制のあり方、それに結びつくいわゆる就職の問題、また社会全体のあり方に対しては、やはり鋭くメスを入れる必要があると思う。しかしそれにはそれなりの手順と順序が必要だということであります。だからあなたがぽっと言われたこと、それ自体については、私は必ずしもまっこうからそれを否定するものではございません。しかしこういう重要な問題は、そういうぽっとではなしに、慎重に手順を踏んで
一つ発表してもらいたいということなんです。そうでないと、風船が上がったが、よく見てみれば、それはシャボン玉であったということでは困る。しかしほんとうにいいことなら、私は思い切って歩を進めていただきたい。そうして十分学界の意見を徴して、根本的に、公正な意見によってこの学制の問題を定める。何か新聞の伝えるところによりますと、これらは中教審に諮問をした後において結論を出したいということなんですが、それはどうなんですか、そこまでもいっていないのですか。
-
○松田国務大臣 そういう考えでおりますが、いろいろ検討し、おっしゃるように、準備をすべきものは準備をしてかからなければならぬので、来月ともなれば、そういう気持をもって中教審に諮問をしたい、かように考えております。
-
○
辻原分科員 そうするとやるつもりがあるのですか、ないのですか。
-
○松田国務大臣 むろん順次やっていくつもりでおります。
-
○
辻原分科員 そうすると単なる放言じゃなくして、やはりこれは大臣の所信、信念として、この問題についてはおやりになるという決意だと承って差しつかえございませんか。はっきりおっしゃっていただきたい。
-
○松田国務大臣 もちろんいいかげんなことを私は言うたわけではない。これは相当社会の方でも一般学者間にもいろいろ意見を聞いてみました。またさらにこれから各方面の意見を徴してみたいし、中教審にもかけて十分検討してやりたい、かように考えております。
-
○
辻原分科員 それならばけっこうだと思うのですが、ただ時期が非常に悪かったと思うのです。全学連の問題が出て大野さんがどっかでけしからぬ、何とかしなければならぬと言った。それに引き続いて大臣がこれをぽっと出された。何か一脈相通ずるものがあるのではなかろうかというような、いわゆる全学連に対する思想対策、どうも近ごろ国立大学、なかんずく東京大学その他においては問題がある。学生が立てこもって出さない、だからこれをできるだけ私学の方でやるというふうに世人から皮相的な見方にとられたのでは、大臣の真意が貫かれないと思うのですが、そういう点についてはどういうふうに感じられますか。
-
○松田国務大臣 この問題につきましては全学連とかそうした他の目的をもって考えたことではありません。全学連といっても三十万人のごく少数の者が中核となっていろいろやる事柄に対して、いわゆる全学連の名前においてやられることを遺憾と思っておりますけれども、それとこれとは全く別個の問題でございまして、そういう陰に隠れた目的を持って考えたことではございません。
-
○
辻原分科員 この問題については非常に多くの問題を含んでおります。たとえばその手順にしましても、はたして中教審に諮問することが是であるか。私は学制の根本に触れる問題ならば、現在の中教審はその任にあらずと言いたい。これは一
文部省の諮問
機関として変遷の過程を見れば明らかだと思う。かつて教育刷新審議会がなかなか
文部省の意のままにならなかった。そこでそれにかわるものとして中教審が生まれた。その人選についても、やはり教育刷新審議会当時の人選とは非常に違った形で生まれてきた。極端に言えば
文部省の言いなりの御用的
機関として生まれた。そう申してはせっかく委員になっている人々にはなはだ失礼に当たると思いますけれども、個々にはりっぱな方でありますが、さらにいろいろな各方面の人の意見を徴するのでなければ、教育の改革なんということは軽々にやるべきものじゃない。だからやるならばこれは中教審とは別個に、ほんとうに各界の意見を公正に、これは保守も革新も政治的には全部いろいろな考え方を持っておるのですから、そういう衆知を集めて学制の検討に手を染めるべきである。やるならばそういう形にしなくちゃならぬ。しかし、それでもまだ
文部省として検討する問題がたくさんあるでありましょう。従って、この点はおいおい
文部省の方針が固まってき次第われわれも国会において意見を申し上げて参りたいと思います。
最後に
一つだけ、時間がありませんがお尋ねをしておきたいのは、昨今、大学の入学試験の問題も大臣は中教審に諮問されると言っておられましたが、どうすればいいかという方法論、なかなかむずかしい問題がある。
それからそれと関連をして就職対策をどうするかという問題。いろいろ議論いたしますならば、これは
かなり問題があると思います。その中で就職の問題で
一つ大臣に希望しておきたいと思いますが、いつか申し上げたと思いますけれども、
一つは毎年高等学校その他の就職採用の時期が非常に早い。場合によれば七月あるいは九月、こういうことは一体教育的にどうか。実際そういうことになって何すれば、三年の学年があっても実際は二年しかほんとうの教育はやってないということである。こういう点については経済界の要望もさることながら、教育は教育として教育らしい方法でこの就職問題をきめてもらいたい。是正するお考えがありますか。
もう
一つは、
資料を持っておりますが、いつかも申し上げたと思いますけれども、ことしの
かなり一流会社の採用方針を見ると、夜間の学生はうちの会社はお断わりだというところがずっと出てきておる。これでは勤労青少年の教育振興だとかなんとかいっても意味をなしません。やはり現実の問題としては確実に就職し得てこそ学校において学ぶことにも張り合いが出てくるというものです。親もまたそれに、十分ではないけれども何がしかの学費を出して、夜間の学生はおおむね自分で働きながら学んでおるんでしょうが、そういう苦労に報いるに頭からシャット・アウトをする。これではまことにかわいそうであると思うし、国家的見地から考えても不経済であると思う。昼間の学生必ずしも優秀ならず。こういう点から考えて
文部省は産業界との間に話し合いがあるものと期待しておりますが、明
年度は是正されますか。この点はどうですか。
-
○松田国務大臣 入学試験の問題、これは非常に難儀な問題で十分に検討していかなければならぬと思いますが、
一つはどうしても地方の学校を充実せしめてりっぱな学校を作り上げるような方針を持っていきたい。またいわゆる有名校――有名校必ずしもいい学校ではないと思いますが、有名校に集中する本人並びに父兄の考え方を改めてもらうということに対しても努力をしなければならぬと考えております。いろいろな点からよく検討して対処したい。
それから卒業生の就職の問題であります。昨年のごときはおっしゃるように八月の十五日であったと思いまするが、これはあまりにも早きに過ぎるし、父兄の方からもいろいろ陳情もありまして教育上はなはだおもしろくない。従って私どもの方としてはできるだけおそい方がよろしい。できれば年を越してからの方がよろしいということで、今まで数回使用者側と協議をいたしたのでありまして、今のところは大体十一月。それでもなお関西方面ではそれをがえんじないような点もありまして、なお折衝を必要とする点もございますが、大体十一月以降ということに今のところきめておるわけであります。
それから夜間高等学校の卒業生は使わないというようなこと、これは大いに啓蒙する必要があるのでありまして、場合によりましては働きながら勉強した者の方がむしろ事に当たってより有能であるということもあるのでありますから、夜間学校卒業生といえども同様に本人次第ということで採用方針をきめるのが当然であり、そういう方面に
一つ啓蒙していきたい、かように考えております。
-
○
辻原分科員 高等学校の十一月という時期ですが、私はまだ早過ぎると思うのです。この
理由をいろいろ考えてみると結局産業界の御都合以外にない。優秀な者を早くうちの会社に採用予定したい、それ以外にない、そのためにもう十一月以降になったら採用された者はああ大丈夫だと勉強しない、ほかの者はあわて出す、浮き腰立つ。これでは三学年の終業式は十一月ときめたのと同じことです。だから大臣が初めに仰せられたように最低年が明けて三学期に入るということにしませんと、それでも決しておそくない、だから何とかその時期をできるだけうしろにして一般の御努力を願いたい。
これで終わります。
-
-
○楯
分科員 私は今問題となっております専従制限につきまして、時間の制約もありまするから、この一点でお伺いいたしたいと思うのです。昨年の十一月岐阜県でこの口火を切ったわけでありますが、これは専従条例の改悪でありますが、これは一体他の府県でも行なわれておるのかどうか、まず最初にお伺いしたいと思います。
-
○内藤(譽)政府委員 他の府県では行なわれていません。
-
○楯
分科員 文部大臣は、私どもが見聞するところでは、こういう動きはある、よその県でもあるというようなことを新聞は報道いたしております。従って非常に重要な問題であるから、各県でばらばらでやることは好ましくない、ILO条約の批准も行なわれることであるので、やがて統一見解を出して処置をしたい、こういうことを先ほどの放言じゃありませんが、新聞紙上あるいは
委員会でたびたび言明されておるのを私ども知っておるわけでありますが、この問題は今日まで統一見解というようなものは出されておらないように承知をいたしておりまするが、どうなんでしょう。
-
○松田国務大臣
お話のようなことを私は申しておりません。
-
○楯
分科員 申しておらないといいますると、各県でばらばらにやってもやむを得ない、放置する、こういう意味なのですか。
-
○松田国務大臣 ずっと以前に私はあまりばらばらなことがあったのでは感心しないといったようなことを、文教
委員会で言ったかと思います。はっきりいたしません。そういうことはあるいは触れたかと思いまするが、別にあらためて申しますけれども、先刻
お話しになったようなことは、申しておらないのであります。
-
○楯
分科員 よくわからぬのですが、しかしこういう各個ばらばらの行為があるとするならば、やはり文教行政の一環として適当なる指導が行なわれるべきではないかと思いますが、どうですか。
-
○松田国務大臣 昨年この問題について教育長並びに教育
委員会の
会議におきまして、いろいろ検討した結果、専従制限に対しては人数は千人に対して一人、年限は三年というような線が出たのでありまして、その問題について質問を受けたときに、そういう線はむしろ妥当ではないかというふうに申したことはございます。
-
○楯
分科員 そういたしますると、こういうような問題については積極的に指導はされない、こういうふうに私どもは承知していいわけですか。
-
○松田国務大臣 地方で自主的にやることに対して、私の方では積極的におやりなさい、やるなと指導して参っておりません。
-
○楯
分科員 そう大臣が
答弁をされますると、またおかしいのです。といいますのは、昨年の十一月の二十八日であったと記憶いたしておりますが、突如岐阜県会でこの条例が提出をされ、可決になった。ところがこの裏面には、内藤
局長が指導をしてやられておる。こういうことが地方の新聞には出ておりますし、事実二十八日に名古屋まで岐阜県の教職員
課長の吉久という人があなたを迎えに行っておるのです。十一月二十八日に岐阜へ行かれたことがあるかどうか。
-
○内藤(譽)政府委員 これは大へんな誤解でございまして、実は私も今二十七日か二十八日か記憶が明らかでございませんけれども、ちょうど土曜日だったと思うのです。かねがね、これは九月ごろから、臨時国会の始まる前から、岐阜県の市町村の教育長、
委員長、校長さん等に教育行政の諸問題について
お話をしてくれと、こういうことがありまして、土曜日は衆参両院とも
委員会が大体文教
関係はございませんので、土曜日ならいいでしょう、こういう
お話をして、私は一、二カ月前にお約束をしておった。そこでその二十七日か二十八日でしたか、私第一こだまで名古屋まで行きまして、それから一時に講演会がございましたので、その講演会にかけつけた。そのときに教職員
課長の吉久君が自動車でもって名古屋駅まで迎いにきた、これは事実でございます。岐阜県の専従制限について私が何か画策したとか指導したということは全然ございませんから、その点は誤解でございます。
-
○楯
分科員 そういたしますと、この専従制限条例が可決をされた日に――前日でありますか、岐阜へ行かれたことは事実、しかし岐阜へは行ったけれども、こういう問題については指導はしておらない、こうおっしゃるわけですね。それではこれはどうですか。これは二月五日の読売新聞でありますが、三日に岐阜の県知事が
文部省に来て、今この専従者といいますか、執行委員の選挙が行なわれて、そこでたくさん執行委員の候補者が立候補しているわけでありますが、もし四月一日からあの条例以上の者が専従をした場合には首にせよ、こういうことをあなたに言われて、私はその
通り実行するんだ、こういうことを県知事は言っているわけです。これははっきりしている。読み上げましょうか。「三日
文部省へ行って内藤初中
局長と話し合ったところ、同
局長も実力専従者は懲戒免職にすべきだとの意見だったので踏み切った」。つまり県知事自体はまだそこまでは腹がきまらぬ。ところがあなたが、よしやれ、こういう指導と助言を与えられたので、私は踏み切った。この新聞はうそですか。
-
○内藤(譽)政府委員 それは知事さんがどういうふうに
お話しになったのか、私も知事さんに真意を確めておりませんからわかりませんが、確かに松野知事がおいでになったことは事実です。そこで、条例の執行の問題でございますから、
法律的にいろいろな御意見も出ました。私どももむろん実力専従というようなことは好ましくないし、ともかく条例できめられた定数の
範囲内でこれは処理していただきたいと思う。できるだけ十五人なら十五人の
範囲で許可するように、これが条例の建前でございますから、条例に違反してまで専従を置くということは、これは条例違反でございますので、好ましくないと思う。ですからできるだけ条例の定数の
範囲内でお認めいただくように、こういう
お話をいたしたわけであります。しかし
法律的にそういう場合には可能かどうかということになりますれば、不許可になった者が職場放棄ということになりますので、
法律的には可能である、こういう
お話はしたことがございます。私が何かこれを教唆扇動したような事実は全然ございません。
-
○楯
分科員 新聞記事は教唆扇動しておるようなものではない。知事はどうしようかと迷っておったので、あなたのところへ相談に行ったら、あなたが断固やるべしというので、踏み切った、こう言っておる。これはどうされますか。われわれは別にあなたと松野知事との会談の席におったわけじゃございません。従って、新聞で、あなたの意見を聞いて踏み切った、こういうふうに出ておる以上、あなたの勧告といいますか、助言といいますか、指導によってそうやったのだ、これはだれしも新聞を読んだものはそういうように受け取る以外にないのです。どうされますか。
-
○内藤(譽)政府委員 私、その新聞記事について、知事さんがどういうふうな発言をされたのか、その知事の発言を(「今読んだ
通りですよ」と呼ぶ者あり)読んだ
通りというのは新聞に書いてあることで、知事がどういうふうな意図でおっしゃったのか、その辺を確かめておりませんけれども、とにかく実力専従はよくないことだし、私は、できるだけ組合と話し合っていただいて、十五人以内にしぼるように御努力を願いたいと思うのです。それが不幸にしてそういう事態になった場合に、十五人以上こえた場合に抽せんでやるという方法もあるわけですけれども、抽せんということも必ずしもいい方法ではないと思うのです。なるたけ十五人の
範囲にしぼっていただきたい。ただ
法律的にこの問題をどうするかということになりますと、不許可になった場合には職場放棄ということに相なるし、職場放棄ということになれば懲戒の問題にも触れてくる、こういう
お話をしたわけでございます。
-
○楯
分科員 文部大臣にお伺いいたしたいと思いますが、ILO条約は批准をされるのはもう常識だと思うのです。国内法の整備がどういうことになるか私はわかりませんけれども、とにかくILO条約を批准をするということは、今国会では私は常識だと思うのですが、もしこの条約が批准をされた場合には、今ある岐阜県の専従条例というものはどういう形になるのか、これは大臣にお伺いしたいと思います。
-
○松田国務大臣 ILO条約批准について、今各省間の調整をはかっております。やがて結論が出るであろうと思います。そうして結論が出た場合にはおそらくILO八十七号の批准ということになるであろうと思います。そうなった暁は、これは私どもが今調整のさなかにおいて主張しておるところでございますが、在職専従というものがなくなるのが順当である、かように考えておるわけであります。
-
○楯
分科員 どういう措置をされるかそれはわかりませんが、今私が質問をしておる、こういう専従の条例というものはどうなるのか、そのことだけでけっこうです。あなたの方にもいろいろ案があるようでありますが、こういう各県の専従条例というものはどうなるのか。
-
○松田国務大臣 それは今後の整備のきめ方いかんによって変わってくると思います。つまり各省問の国内法をどういうふうに整備をするかということによっておのずからきまってくると思います。
-
○楯
分科員 ILO八十七号が批准をされた場合に、
文部省関係としてはどういうふうに国内法の整備をされるかそれはわかりません。どういう取り扱いをするかということは、これは結果を見なければ今ここでは言えないのですが、そういうやり方に影響があるのですか。たとえばあなたが専従云々ということをおっしゃいましたが、そういう措置をとれば、この条例というものは必要がないじゃないですか。つまり職員が組合専従者になれないということならば、今あなたのおっしゃったことで適用しても、この条例というものは私は必要がないと思う。あるいはその他の方法でやられるとしても、この条例というものは廃棄さるべきものであるというふうに考えますが、どうですか。
-
○松田国務大臣 どういうふうな国内法の整備によって批准の手続がとられるかということによって、今の
お話の点も変わってくると思う。しかし、私どもの考え方といたしましては、もし国内法の整備、批准に対する準備が私どもの希望するような方向によってされるということになりますれば、在職専従というのはなくなるのがILO八十七号の精神を貫くゆえんであると考えております。
-
○楯
分科員 あなたは専従がなくなるのがとおっしゃいますが、ILO八十七号というのは、組合の役員に対して容喙をしないというところがねらいであるのに、なぜこの人はいけないあの人はいいというようなことを主張されるのですか。どういう根拠ですか。ILO八十七号というのは大体それがねらいなんです。つまり専従者について使用者、管理者の意向に影響されないというところがILO八十七号だ、私はあまり知識はないのでありますが、こういうふうに承知をしておるわけです。ところが一番の急所を文部大臣が云々されるのは一体どういうことですか。
-
○松田国務大臣 私は、ILO八十七号の精神というものは、結社の自由なり団結権の擁護並びに使用者、被用者相互の不介入の精神が貫かるべきである、そういう見地によって、むしろ在職専従者はなくなっていくことによって組合が自主的に健全な発達を示すものである、こういうふうに考えておるわけであります。
-
○楯
分科員 だから、そういうふうであるから専従がなくなるのであるというのはわれわれの方ではわからないわけです。いわゆる専従者についてはあなたの方も容喙できないということになるのじゃないですか。だれがなってもいいということじゃないですか。あなたのおっしゃるのは反対じゃないのですか。
-
○内藤(譽)政府委員 御承知の
通り八十七号は結社の自由でございますから、だれでも組合の役職員になれる。現在の国家公務員法、地方公務員法の建前は、国家公務員なり地方公務員でなければ職員団体の構成員にもなれない、役員にもなれない。そこでその身分を持っていないので組合の役職員になれないわけです。ところが八十七号によりますとだれでもなれるわけですから、別に教員でなくてもいいわけです。どこからでもなれる。こうなりますと、一体専従というものを認めるかどうかということに
一つの問題点があるわけです。どっちでもいいわけです。もう
一つの原則は労使間の相互不介入の原則がある。ところがこの場合に、専従休暇は公務に
支障がない限り認めることができるとなっておる。そこで公務に
支障があるかないかという点で、その点について許可するわけです。許可という行為が組合に対する相互不介入の原則から考えて干渉になるのではなかろうか、こういうことを考えますと、むしろ在職専従制度というものは全廃すべきものではなかろうか、こういうことであります。
-
○楯
分科員 今
局長の言うのは反対ですね。いわゆる職員でなければ組合員になれない。ところがILO八十七号はそうでない者も役員になれるというのが、いろいろありますが、ねらいなんです。だから国内法の整備ということは、いわゆる役員になれないという
支障を来たしておる、たとえば公務に
支障のない限り云々というのをなれるように改正するのがILO八十七号の精神に沿っておる改正じゃないですか。それを不介入の原則を貫くために介入するということはどういうことですか。あなたの方の政策としてはわかるのですが、ILO八十七号の精神をまるっきり反対に解釈をし、反対の方向に措置しようとされておるじゃないですか。そういうことについてあなたは矛盾を感じませんか。
-
○内藤(譽)政府委員 今までの体制ですと、公務員でなければ組合の役職員になれないから、どうしても公務員の身分を保有しなければならぬ。ところがその身分を保有しながら、実際は勤務に従事していないという変則な状態なのです。ですからだれでもなれるなら専従休暇制度というものを認めなくてもいいわけです。そこで認めてもいいというあなたのお説でございますけれども、専従休暇というものを許可するかどうかということなのです。身分権がある以上、当局側はこれに対して当然許可するかしないかという判断をしなければならない。そういうことになってきますと、組合員の役職員の専任権に対する不当な干渉になるおそれが多分にあると思うのです。そういう点から
世界各国で在籍専従制度というものはほとんどないのであります。
-
○楯
分科員 あなたの議論はあなた一人の勝手な解釈だと思うのです。ILO条約八十七号を
承認してこれを批准された場合には、いわゆる憲法二十八条からいって、組合員がその人を役員に推薦をされれば、あなた方は、そういう
支障になっている法規があれば、それを取り除くというのがあなたの方の仕事なのです。それを公務に
支障があるとかなんとか身分云々と言って、拘束ですよ。あなたの意見というのは逆ですよ。これはあなたが岸内閣の政策を忠実に実行されようとするので、そういう三百代言的な
説明をせざるを得ないと思うのですが、これはわれわれ社会党の立場を離れてもあなたの解釈はさか立ちしておりますよ。職員であろうと、だれでもなれる。従って組合員によって選挙をされ、当選をし、なれという者は自由になれるというのが八十七号の精神じゃないですか。それをあなたの方の都合で、やれ公務だ、やれ何々だと違った法規で拘束しようということは、その他の官庁においてはそういう議論も横行しておるのでありますが、特に
文部省はそういう解釈あるいは実行において、他の官庁の模範にならなくてはならない、
文部省がそういうまるきり反対の解釈を実行されようとするという点については、理解できないのですが、もう少し良心的に、やはり自由な立場から公平な立場から見て解釈をすべきだと思うがどうですか。
-
○内藤(譽)政府委員 今
お話のように、公務に
支障があるかどうかというようなことで許可するとかしないというようなことは、非常に干渉になるから、そういうことは避けたいと思います。ですからだれでもなれるのですから、組合の役員に当選した場合には、職を退いて、今でも給与は出していないのだから、職を退いて組合の役員になられるのが、私どもは一番筋ではなかろうかと思うのであります。
-
○楯
分科員 あなたは自由になれるから職を退いてなればいいというのだが、職を退けば職員じゃないじゃないですか。職員のための組合です。あなたの議論はむちゃくちゃですよ。職員であっても職員でなくてもなれるというILO八十七号を、職員でなくなってからなれというのは、それは一大干渉じゃないですか。あなたはそれがILO八十七号の精神だとほんとうにまじめで
答弁されておるのですか。
-
○内藤(譽)政府委員 私どもは相互不介入の原則から考えて当然その職をやめて組合の役員につくのが筋だと思うのであります。ですからこれは……。(「それが介入だ」と呼ぶ者あり)いや介入じゃありません。公務に
支障がない限り許可するというのが介入になるのですから、だから介入の余地をなくす方が、ILO条約の精神に合致していると考えておるのであります。
-
○楯
分科員 あなたの意見でいけば、職員以外でなければ役員になれないということですよ。やめれば職員じゃなくなるでしょう。だから職員以外の者でなければ役員になれない、こういうことですよ。あなたのおっしゃるのは、それはもう前進どころじゃない、百八十度後退じゃないですか、まるっきりさかさまじゃないですか。あなたよく考えて
ごらんなさい。役員に当選をした、ところがやめなければなれないということになれば、これは職員の労働組合に対して、職員以外の者でなければ役員になれないということじゃないですか、よく考えて
答弁して下さい。
-
○内藤(譽)政府委員 職員団体というのは、これは
一つの労働組合法なりあるいは労働組合に準ずるような扱いを今公務員法上しておるわけであります。その場合に、
世界の各国を見ましても、
日本のような在籍専従者というものはありません。なぜかと申しますと、
日本の場合は公務員でなければその役職員になれないというのが実態なんだから、だから今度のILOは結社の自由の精神から、だれでもなれるから別に公務員という身分を持たなくてもいいわけであります。(「だれでもなれないじゃないか」と呼ぶ者あり)だから団体から選挙された人がなるわけですよ。(「職員であることが前提になって選挙されるのだ」「職員をやめろというのは干渉じゃないか」と呼ぶ者あり)それは干渉じゃないと思います。
-
○楯
分科員 これはもう議論にならないですよ。これは政策を離れれば、だれが聞いておっても、これは質疑応答にならぬ、まるでさかさまの
答弁をしておるのですが、こういう人が
文部省にはおるということは――時間の制約がありますから、私は文教
委員会でやりたいと思います。
それでは次に進みますが、文部大臣、昨年の岐阜県の条例の可決をあなたは正常の状態だとお思いになりますか。臨時国会でこの問題が論議をされましたが、もう県会が閉会の寸前、しかも提案
理由は、種牛の手当を支給するのだ、こういう提案
理由の
説明をして、そうして反対者が異議を唱えたとたんに、三分間でこれは可決しております。しかも教育
委員会でこの議案を決定するときに、
会議室でない、神社庁は私はどこにあるか知りませんが、神社庁で、教育長も出席しておらぬ、そしてその他の教育
委員会関係者も出席しておらないところで、これを決定しておる。こういうことはあなたは文部大臣として、正常な議決だ、ノーマルな状態だ、こうお思いになって、まじめに内藤
局長のように応援をされておるのかどうか、
一つ心境を承りたい。
-
○松田国務大臣 岐阜県の専従の問題で、条例の決定のときに、私はその光景を見ておるわけではありませんし、従ってここでとやこう言う筋ではないと私は思いますが、しかし報告を聞いたところでは、教育
委員長は前もって通達をして、県議会の方に出席を呼ばれておったために、そこへ行っておった留守中に行なわれたということである、従って、適正に、適法にやられたことと思っております。
-
○楯
分科員 これは腹の中では岐阜の県政というものが常態でない、こういうことは文部大臣も多分御承知じゃないかと思うのです。私は自分の県の県知事の悪口を言ってはどうかと思いますが、まず普通の人じゃないのです。これは地方公共団体にこちらがかれこれ容喙するということはいけませんが、こんな状態が続いていったら大爆発しますよ。あなたは岐阜県に行かれたことがありますので、岐阜県の政情の状態は御承知だと思いますが、これは社会党が言うのではない。だからこの前も自民党の諸君は大挙脱党をして、反対の運動を盛んにしておるわけなんです。そういうところにあなたの方が三百代言的解釈で応援をするということは、特に
文部省というところでは――これは岐阜県民はほんとうにひんしゅくの限りだと思っておるわけです。時間の
関係で飛びますけれども、文部大臣にお願いをしたいのは、この状態をほうっておいてはほんとうにひどいことになる。しかも岐阜県の教組が今まで高姿勢な闘争をやったかというと、全く低姿勢な組合です。そういうところへこんなばかげたことをどんどん押しつけていってはいけないと思う。特に最近私が心配いたしますのは、多治見市というところがありますが、ここの多治見中学校の先生が今度執行委員ですか、専従者の選挙にからんで、弾圧と抑圧、過労のために脳出血で死亡をされておるんです。いろいろいきさつがあって、寝ずにやったんでしょうが、午前八時だったと記憶いたしておりますが、過労で死亡をしておる。こういう状態はほうっておけば各所に起きると思うんです。これは私は人道上の問題だと思う。地元の新聞の報ずるところを読んでみますと、きょうあたりの新聞では、おれの市からは専従者を出してはいかぬというわけで、市長以下
関係者は、その候補者に対して立候補辞退をせよというので、大わらわになっておるのです。一例を申し上げますと、この死亡をされた多治見市では一人の某候補者が立候補をしたわけです。そういたしますと市長や市の教育次長が立候補を辞退せよという勧告をした。しまいには市長の前に所属校長と本人を連れてきて、とにかくやめてくれということを言っております。またその人の奥さんが入院をしているその病院へ行って、主人にやめてもらうように
一つ奥さんから頼む、こういうようなことを
関係者はあげて言っておるわけです。なぜそういうことが行なわれるかというと、いわゆる
局長さんの意見ではありませんが、この専従条例が正しいから、お前立候補をやめよ、こういうことじゃないんです。腹の中では煮えくり返っているんですよ。にもかかわらずなぜお前立候補をやめよということを言わざるを得ないかと言いますと、まずおれのところから専従者なんか出したら、県では学校の改築費はやらないと言っておる。これは言いますよ、あの人はそのくらいのことは。それから県の補助金はこれは絶対にもらえぬ。まあやらぬというでしょう、あの人なら。それから災害復旧の費用が減らされるから、頼んでやめてくれというのがほんとうの実情なんです。何も県知事の言うことあるいは県の教育
委員会の言うことは、ほんとうのことと思っておらぬですよ。腹の中では反対ですよ。ところがほかの方で、いわゆる補助事業なり災害復旧なり学校の改築費の
予算を切られるから、頼んでやめてくれというのが県の全般の実態なんです。これをほうっておけば、多治見市の死亡をされたような事件がどんどん起きてきますよ。時間がございませんから簡単にしか言えませんけれども、こういう実態をあなたが御調査になればよくわかることなんです。放置をされておかれるんですか。しかもどういう形になるか知りませんが、ILO条約の批准が間近になっておる。とにかくわれわれの常識としては、こういう条例は廃止されると考えておる。わずかの期間です。文部大臣どうですか。
-
○松田国務大臣 そういう
お話は今初めてあなたからお伺いするわけであります。事態がおっしゃるようなことでございまするならば、地方の自治体の
権限を尊重し、教育の地方分権の上から考えてみましても、一応とくと調査をいたしたいと考えております。
-
○楯
分科員 県の方の言い分もあろうあるいは組合の方の言い分もあろうけれども、今私が断片的に申し上げましたことは事実なんです。この県条例ができてから県では農協団体、消防団、婦人会に県の条例を支持せよというサゼスチョンをして、農協あたりまで、おれのところはこの専従条例は賛成であるというような決議をしておるところもたくさんあるわけです。これはきのうの地元の夕刊ですが、あとでお貸ししますから読んで
ごらんなさい。県の養蚕組合長の大会に千六百人を集めて、そうして県の条例の専従制限の演説をやっておるのです。岐阜県の教組には三百人の共産党員がおるので、こういうことをじゃんじゃんやらなくちゃいかぬ、こう言うております。私のおかしいと思うのは、同席をした大野自民党副総裁は、岐阜県の専従制限は党としては大賛成だ、先ほどILO条約と専従問題についての松田文相談話が新聞に出たが、党の行き方と食い違いがあるので、党七役
会議に呼んで事情を聞いたところ、新聞の誤報であることがわかった、こう言うて演説をしておるわけです。あなたが当面の最高責任者じゃないですか。それをいやこれは違っておるのだ、七役
会議に呼んで聞いたところが、あれは間違いであるこう言って演説をしてどんどんあおっておる。しかもこれは正常ならよろしい、あるいは社会党と自民党の選挙の演説会あるいは立会演説会くらいならよろしいけれども、養蚕
関係者を千六百名集めて、なぜ専従制限のこういうはったり演説をやってあおらなければならぬか。全く常軌を逸しておるのです。あまり悪く言いたくありませんけれども、今の岐阜県の専従制限をめぐる問題は正常ではないということです。だから
一つ総元締である文部大臣としては、先ほど申し上げた多治見中学校の先生が過労で死亡をされた、こういう事態が再度起こらないように、ただここだけの
通り一ぺんの
答弁であっては私は困ると思います。人道問題でございまするから、ぜひ
一つ調査をして、やがてILO条約が批准になったならば、どうなるかわからないのであるから、何とか今の対立を緩和するように骨を折っていただきたいと思います。御
答弁を聞いて、終わりたいと思います。
-
○松田国務大臣 よく調査をいたします。
-
-
○
滝井分科員 なるべく重複しないように簡単にお尋ねしたいと思います。現在
日本の青年は入学試験期を迎えて、非常な激しい生存競争をやっておるわけです。いわば全身全霊のエネルギーを入学試験に
日本の若い青年はつぎ込んでおるのですが、岸内閣は青年と婦人のためにいつも総理の施政方針の末尾には、
日本の青年に希望を持たせる条項をつけ加えております。そこでまず
日本の青年に希望を持たせる政策の第一歩は、文部行政から始まらなければならぬと思うのです。現在
日本で希望は持っておるが、その希望が達せられずに非常な失意の姿にある中学浪人は一体どの
程度おるのか。それから高等学校の浪人というのは、現在どの
程度おるのか。それをまず御
説明願いたいと思います。
-
○内藤(譽)政府委員 中学校から高等学校への進学希望者は百十万
程度ございますが、そのうち合格しているのが百四、五万ございますので、大体四、五%の者が入学できなかった、こういう状況でございます。それから高等学校は、これは
大学学術局長からお答えした方がいいかもしれませんけれども、私どもの調査では、大体年に三十七、八万人ぐらいが志望いたしまして、その半分の二十万くらいは進学しておりますから、半分が希望を達せられなかったことになる、こういうことでございます。
-
○
滝井分科員 中学から高等学校に行く浪人は四、五%で、五、六万ということになるのでしょうが、高校から大学に行く者が二十万、これは相当数が多いことになるわけです。そこで
一つモデル・ケースとして東京大学をとりますと、東京大学の入学者というものは、新しく卒業した者と浪人との入学比率というものは、一体どうなっておりますか。
-
○小林(行)政府委員 最近の状況を申し上げますと、大体三割ないし四割がその年の高等学校の卒業者であって、六割ないし七割が一年浪人ないし二年浪人という状況のように承っております。
-
○
滝井分科員 こういうように、結局
日本の一番有名校である東京大学の例をとっても、圧倒的に浪人が多いということなんですね。従ってこの事態というものは、一体浪人がだんだん今後少なく入学して、新卒業生がたくさん入学できるような情勢にあるかということなんです。私は、これはないのじゃないか。この状態というものは膠着状態になっているのじゃないかという感じがしますが、その見通しはどうですか。
-
○小林(行)政府委員 最近の状況で申しますと、まあきわめて徐々の傾向でございますが、その年の新しい入学者の方がふえていく傾向のようでございます。
-
○
滝井分科員 まあ傾向としては、そういう傾向があれば非常にこれはけっこうなことでございますが、とにかく現状は圧倒的に浪人組が多い、こういうことなんです。その結果というわけでもありませんでしょうが、まあその結果だろうと思うのです。私学に結局殺到していくわけです。私も中学校から大学までずっと私学を卒業しました。小学校のときに勉強しなかったものだから、親不孝をやったと今考えております。というのは、これは財政的に莫大な教育費の相違が出てくるわけです。特に最近の私学の傾向を見ますと、五万、十万というところは普通です。はなはだしいのは、もう入学の当初から二十万、三十万なんですね。これでは教育の機会均等というものは、もうこの入学のときにあり得ないということなんです。従ってこれは公立学校、授業料の安い、経費の安い、国の税金の経費がよけい出る公立学校に結局行かざるを得ない、こういう形になるわけです。貧しき者の子弟というものは、これは育英事業の試験にパスをして、そうして合格をすればうまく行けるが、そうでないとこれは私学も公立も行けぬというような、こういう形、特に私学は行けない。公的な学校が入学の門が狭くて私学に行くが、私学は財政的に門が狭くなっている。こういう傾向が、ここ数年来顕著に出ている。先日私はある代議士に偶然、朝早く忙しそうにしておるものだから、どうしてこんな早く来たか。いや、きょうは試験なんだ。一体何の試験なんだ。実はうちの子が今度幼稚園に入るのだが、その幼稚園が親の試験をやるのだと言うのです。代議士さんが、今度はそのかわいい嬢ちゃんを、ある有名校の、幼稚園から大学まである学校に入れるためには、まず親の顔を見なければ、これはだめだ、こういうことなんですね。親子もろとも苦労しておるのですよ。こういう姿というものは、これは私は
日本の教育制度をつかさどっておる文部大臣としては、当然これは是正をしなければならぬ点だと思うのです。文部大臣は、今の
日本の六・三・三・四の教育制度を、いろいろこれは六・三・三・五というようなものに変えようとか構想をお持ちのようですし、私学に文科系統をやったらいいというようなことをさきに御
発表になって、
辻原委員も御質問しておりましたが、そういうことの前に、やはりこの事態をどう解決するかということは、現在の
日本の文部行政に課せられておる非常に大きな私は問題点だと思うのですが、これは大臣一体どうお考えになっておりますか。
-
○松田国務大臣 まさにむずかしい問題であります。最初の、有名校に入りたがる人間が多い、門が狭い。こういう点だけでも、浪人がたくさんでき、何年も浪人でおるというような姿は非常におもしろくない。ある有名校の学長に会いましたが、その方は、一中、一高、東大ということを念願してやったが、幸か不幸かというよりは、幸いにして一中のときに落第して、そうして転向してほかの学校を志望して、今日有名な方になっておられるわけでありますが、親たちまたは本人などが有名校をねらうということも、これは秀才あほうというのもあるのでありますから、必ずしもいいことではない。また試験の結果うまくいかなかったために、親子もろともこれを非常に深刻に考え過ぎる傾向が
日本人にある。自殺までする者がある。これは
日本人の死というものに対するものの考え方が外人と違うのである。外人が非常にこれを不思議がって、私は、どういう
理由によるものだと聞かれたからほんとうに困ったのであるが、
日本人の国民性からくるのだろうということを申しておいたのでありまするが、今の六・三・三・四の制度についても非常にむずかしい。どうすればいいかということを、これは私自身も苦慮いたしておるのでありまして、
滝井さん、名案でもあれば教えてもらいたい、どの方面からでも、
一つ名案があれば出していただきたいというふうに考えております。私自身としては今のところ、ああすればいいか、こうすればいいかという点をいろいろ苦慮いたしておる状態であることを、率直に申し述べておきます。
-
○
滝井分科員 私学の問題はあとでちょっとお尋ねしますとして、大臣も、有名校に集中をしていく、しかも有名校に行っても、秀才あほうということもあるので、そうやらなくていい、こうおっしゃるのですが、それを助長するような状態が社会にあるのです。それは
日本における一流会社、銀行、これの七割五分は、有名校の二十校についてしか新しく採用するときの推薦を依頼しないのです。
日本の一流のいわゆる銀行、会社の七割五分というものは、有名校二十校についてしか、ことしの新しい卒業生を私の会社に推薦して下さいという依頼状を出さないのです。それで私も経験があるのですが、たとえば駅弁大学といわれる地方の大学の人を無理に、その一流会社に試験を受けさせてもらうように頼む。そうすると、なるほど受けさせてはくれるが、そんな者は筆記試験のところまでいかないのです。書類審査というのでぽっとはねてしまう。そして筆記試験まで受けられるというのは一流校の二十ぐらいのところになってしまうのです。書類は出させるが、本人の顔も見なければ何も見ない、学校の卒業の成績だけで体よくはねてしまう地方の大学を一番で出ておってもそんな状態です。だから、こういうことが問題だと思うのです。従って、さいぜん
辻原君は定時制の卒業生お断わり、いわゆる夜間の高校、あるいは夜間の大学の卒業生は初めからお断わりということがありますが、そういうことも含めてやはり
文部省としては、有名な一流の銀行や会社に対して公開試験をやらせる、そしてもう夜間であろうと、地方の学校であろうと、私学であろうと官学であろうと公立であろうと、公開して受けさせる。これは会社が試験の経費が少しよけいに要るだけです。経費がよけいに要るとすれば、受験手数料を百円か二百円いただきますといってやったらいいと思う。これをやりますと、ほんとうにできる実力のある者を何ぼか採らなければならぬ。縁故というわけにはいかぬことになる。そういうことを私はまず
一つの試みとして
文部省がやるべきじゃないかと思うのです。これが現在有名校に行く
一つの
理由になる。有名校に行かなければ有名会社に入れない、こういう問題があると思う。この点は大臣どうですか。いろいろむずかしいことはたくさんありますが、一番やさしいことは、各会社に対して今度試験は公開試験でやるから、推薦を依頼せずに全国から
一つやってくれ、これなら有名校に実力のある者が現実に多いことは事実ですから、よけいに入るのです。しかし地方の学校でも自由に受けられるということになりますと、地方におっても実力次第である、勉強すればいいのだ、こういうことで案外東京の有名校に集中しないという結果も一部出てくると思うのですが、この点はどうですか。
-
○松田国務大臣 なかなかおもしろいサゼスチョンだと思います。しかしながら
文部省は、これを使用者にこういう方法でやってみようというようなことも言える立場でもありません。しかし私は個人的にはそういうふうな考えをお勧めすることはよろしいと思います。そうやってみましょう。いいサゼスチョンだと思います。しかし何と申しましても、使用者側もよく考えて、採用試験にあたって単なる一時の試験によって一人の青年の全能力、全人格を決定するというようなことはできるものではないと思いますし、また有名校だけに限定して試験をするというようなこともはなはだおもしろくないと思っております。
-
○
滝井分科員 現実はそう行なわれておるわけです。だから当然
文部省としてぜひそういうことをやってもらいたいという希望はできると思うのです。
もう
一つ、今高校から大学に競争試験を受ける人で約半分は浪人である、こういうことなんです。ところがこの浪人になる自由も最近失われてきつつあるのです。それは各会社は、たとえばことしあたりで見てみますと、
昭和十年の四月以降に生まれた人でなければならぬ、こういうことになりますと、もう二十五歳までしか会社の試験を受けられないわけです。浪人を三年やったら資格がなくなる、こういう方式になりつつあるわけです。それから国家公務員だって同じですよ。国家公務員の試験でも浪人五年やったらだめです。それは
昭和七年の四月以降生まれ、こうなっておるのです。そうすると、今の制度でいきますとだんだん
日本では浪人が多くなってきている。そうすると浪人でなければ――たとえば役人になるには昔なら一中、一高、東大、これが役人街道だ、その有名校である東大に入るためには浪人を二、三年しなければ入れないのだ、こういうことになりますと、自分の希望する有名な会社に行こうと思っておっても二年浪人したら入れない、五年浪人したら役人になれないという状態が出てきている。こういう問題は文部行政とは無
関係なものではない。一体だれがこういう形にしておるのだというと、結局
文部省の中における学校の
予算が少なくて公立学校が少ない、私立学校は財政的に苦しいから収容ができないということで、
日本の好学の青年を路頭に迷わせておる。路頭に迷わないためには何年でも勉強して有名校に入らなければならぬ、こういう結果になってきておるから、文部行政とは無
関係でない、この問題は文部行政と非常に
関係があるのです。おそらく大臣は、まさか国家公務員の試験までが年令制限をつけておるとはお気づきにならなかったと思うが、各会社そうです。若い人でなければ雇わない、年をとった者は雇わない、こういう形になっておる。これはもちろん
日本の雇用情勢にもよります。
日本の今の雇用情勢は、中学や高校を卒業した若い労働力が不足している。四十歳以上の老齢人口が非常にふえて、四十歳以上の壮年、老年の労働力はうんと過剰なんです。こういうことから若い卒業生をよけいに採るのでしょうけれども、そういう中でやはり大会社は選択的なことをやる、国家公務員もやっている、こういう形が現われておるわけです。こういう点はやはり高い立場から、文部行政なり国の人物経済的な立場からも閣議あたりで発言をされて、そしてできる限り――これは大臣でできなければ通産行政等の池田さんの方の協力も得て、あるいは人事院等の協力を得て、ある
程度是正をしていく必要があるのではないかと思うのです。そういう点どうですか。
-
○松田国務大臣 そういう点も行き過ぎは是正していかなければならぬとも思います。しかし人生は単なる一介の試験で決定されるものでない、しまいまで一種の戦いであるのでありますから、人生の上から考えるならば、そう突き詰めてこの試験のことなど苦にやむ必要はない。(「現実はそうじゃない」と呼ぶ者あり)そういう現実はなるほどこれを認めて何とか緩和していかなければならぬことは、むろん前提に申しましたように当然でありましょうけれども、役人になろうとする者がなれなくてよくなる者もありましょう。一流会社に入らなくて、ほかに行ってむしろ大いに新人生を展開してよくなる場合もたくさんあると思います。私はそう突き詰めてこの問題を考えるべきではないと思う。
お話のように浪人など長年やるということは、私は非常に考えものであると思います。若い盛りを学校に入れなかったために、長年浪人学生でおるというようなことはよほど考えものである。どんな仕事でもやったらよろしい。そうして自分の生涯の道を切り開いていくという考え方も持っていってもらいたい。私はかように考えております。
-
○
滝井分科員 人生を苦闘されてきた大臣ですから、私はその言葉はよくわかるのですよ。ところが社会一般の常識はなかなか今の大臣のようなお言葉をそのまま受け入れない情勢があるわけです。だから問題は、一面大臣のようなお考え方、一面は幼稚園に入るかわいいお嬢ちゃんのために代議士でさえも試験を受けに行くという、こういう代議士もおられるわけですから、大臣のような代議士もおられ、今私が言った、幼稚園でも子供と一緒に行く代議士もおられるのだから、そこを調和していくのが世の中のあり方だと思うのです。従って私が申し上げたいのは、そういうように現実にたくさんの隘路があるのだから、その隘路を取りのけてやって、
日本の青年が自由に伸び伸びと進学ができる形を作ってやる、必要があるのです。浪人を長くしていれば一流会社に入れないというならば、浪人を長くしなくても、一流会社が公開試験をしてくれるという姿を作ってやれば、そこから
一つの道が開けてくるのですよ。これは大臣のものの考え方と私の考え方が幾分違うようであります大臣はなかなか奮闘をせられて現在の地位を獲得せられた、いわば立志伝中の人ですから、非常にそういう勇猛心がある。しかし一面そうではない面もあるということは、
一つお考えを願っておきたいと思うのです。
次にそれに関連をして、今私が申し上げたような状態というものは、これはいわゆる
昭和二十二、三年に生まれたベビー・ブームの状態です。この諸君が現在は多分小学校六年だと思うのですが、この連中は私の記憶が間違いでなければ、二百七十万の子供が
日本に生まれました。それで少し死亡しても、やはり二百四、五十万の者は小学校六年におるのです。これは中学校までは公立ですからいいのですが、高等学校に行く――今すし詰めの学級の問題とか、教室をどうするかという問題を
辻原君が前に言ったのですが、この連中が今度は高等学校から大学に行く状態になると、これは今どころではないのです。それは大臣が言うように、なるほどその中の何人かは、大臣と同じように皿洗いをしてでも、
一つ末は博士か大臣かという夢を見ながら、孤軍奮闘していくだろうと思うのですよ。しかし大部分の者は、やはり何とかして正常のルートで行きたいという形が出てくるのじゃないかと思うのです。今中学三年までは多分百七、八十万だと思うが、それに約百万が競争に加わってくるのです。だからこの連中の時代の競争というものは、これはもう実に熾烈、猛烈をきわめるわけです。だから今小学校六年や五年生を持っているお父さんやお母さんに聞いて
ごらんなさい。今の入学難がこのくらいだが、一体うちの子が高等学校に行くときはどうなるでしょうかとみんな心配しておる。政治はこの親の心配を解いてやるだけの愛情があっていいと思うのです。子供が小さな胸に抱いておる悩みを解決してやるだけのあたたかさがあっていいと思うのですよ。もちろん一面には、大臣が言うように獅子が自分のかわいい子供を谷間に突き落とすだけの勇気も必要だと思うのですが、これに対する打開方策というものを、一体
文部省は持っておるのかどうかということですね。今のように二十万の浪人が現在出ておる。これはもう二十万どころでなくなるわけですから、高校、大学についてどういう打開策をお持ちになっていますか。これは今からお立てになっておかぬと、三年後にはすぐ出てくるのですから……。
-
○内藤(譽)政府委員 今御指摘のうち、高等学校への対策の問題と大学への問題、二つあると思うのですが、私は高等学校への対策について、今検討中でございますが大体考え方を申し上げますと、毎年高等学校に相当伸びがございますので、現在の
程度に進学率を押えて、これが三十八、九、十と三年間がふえるわけです。それがまだ学校に残っておりますから、四十二、三年のころが平常化するわけです。四十二、三年ごろの高等学校のあるべき姿を一応描きまして、その分を三十八年に高等学校を増設するようにしたい。三十八、九、この辺で大体
計画では十五万人くらいは三年間に収容できるだろうという見通しを立てております。それ以外に三十八、九、十の三年間は、ある
程度のすし詰めが行われなければやむを得ないと思いますので、大体今の定員の二割くらいのところを臨時増募の形でとっていく、これが三、四十万ありますので、合わせて五、六十万の者は進学できるような措置を講じていきたい。そのほかに高等学校に別科がございますので、この別科を改善いたしまして、別科でも一年ないし三年の間に高等学校の単位を出せるようにしていきたい。あるいは通信教育によって単位をとって卒業できるようにしていきたい、その他技能者養成施設で、今中学校を出た人たちが大企業におりますが、こういうような者にも高等学校の単位を与えるように、できるだけあらゆる面において高等学校の就学の機会を与えるようにしていきたい。目下検討中でございますが、大体そういう線で解決していきたいと思います。
-
○小林(行)政府委員 大学につきましては、内藤政府委員から高等学校についてお答えしたような具体的な線はまだ検討しておりませんが、国庫
支出を通じましてやはり学生定員のある
程度ワクを広げるというようなことはやらなければならぬと思っております。なお私立につきましては振興会に対する出資金も現在よりは多くして、そうした費目を通じまして建物等を整備してもらおうという大体考え方をしておるわけであります。
-
○松田国務大臣
お話の御心配の点は、一面大いに私学の振興をはかって、
増加する大学生を収容できるようにしたいと思う。国立となるとどうしても金がよけいかかるし、私立を振興したい。私立へ入るには授業料も高くなるし、金もよけいかかるという面があります。一面それまでには、本年テレビ通信教育を始めたことでもあるし、これを大いに拡充し、NHKにも私は慫慂して、昨年十月一日から技術課程についてのいろいろの教育放送をやっておりまするから、こういう方面も慫慂して、
文部省自体としてもこの方面の
予算を漸次拡充して、三年、四年後の事態に対処していきたい、かように考えておるわけであります。
-
○
滝井分科員 昭和二十四年、二十三年ごろに生まれた子供が、高等学校から大学に行く段階になって参りますと、おそらく
日本の教育における出費というものは、小学校よりか中学校、中学校よりか高等学校というものが、出費の相対的な比率というものはだんだん増していくだろうと思うのです。特に最近における出生というものは百五、六十万になっております。これは今後むしろそう
増加しないのではないかと思うのです。そうしますと一部の人たちは、
日本には年金制度ができたのだから、これからは子供の教育に金が要らぬようになる、今度は老人の番だなんと言う人もおるのですね。これは
一つの議論ではありますけれども、老人の方に金がとられて、教育がないがしろにされるというのはいけないことなので、これはやはり今後
文部省はぜひがんばって、高校なり大学の教育の充実を、義務教育の充実とともにはかって、いただきたいと思うのです。それに関連して、今公立の足らざるところを補って私学を振興するということで、ことしは昨年の七億余りの
予算に比べて十四億一千七百八十一万三千円とほとんど倍になったわけです。この点は松田文部行政というものが、私学振興に相当力を入れたということはよくわかるのです。ところが
予算の
支出の仕方を見てみますと、大臣の意向とはちょっと逆になっておりますね。大臣は私学は主として文科系統をやるのだというのだが、今年の
予算を見ると、私学の理科系統に金がつぎ込まれておる。七億一千万余の
増加をした中で、二億六千四百十三万一千円、これは理科系統なんです。私は私学でも理科をやって悪いことはない、いいことだと思うのです。ところが、大臣の御言明とは幾分
予算の組み方が違っておるのです。大臣の心の奥底にあった気持とは幾分違っておる。多々ますます弁ずると、まず先に理科をやっておきます、この次からは文科に力を入れよう、こういうお気持かとも思いますが、ここらあたりの気持はどういうことなんでしょうか。
-
○松田国務大臣 それは当面の科学技術振興の強い要請にこたえて、私学の当局等もそういう希望も強かった点がありましたことも作用していると思います。
-
○
滝井分科員 実は私が心配をするのは、文科系統を私学に委託するということになりますと、私も法科の講義を聞いたことがありますが、机とマイクと先生だけあって、あとはボロの厚い板で簡単に打つつけた机と、長い夏の凉み台みたような腰かけを置いてやっておるのですね。いわば教育というものが営利的に運営をせられるおそれがあるのです。こういう点は、文科々々で私学に追いやってしまうということもなかなか問題があると思うのです。私たちが学生のころは、ある有名な大学でも、講義をあまり受けずに、門の前で卒業したなんというのがおりますから、そういうことがあるので、大学の資格は持っておったけれども、試験をしてみたらだめだったということでは困ると思うのです。やはり一国の文化の興隆というものは大学の教育なり高等学校の教育というものが重要な影響を与えるわけなのですから、そういう点で私学振興というものについて大いに金を出していただくことはけっこうですが、営利主義的な私学運営というものはぜひ是正をしてもらいたいと思うのです。一体私学の学校内部の運営その他については、
文部省としてはどういう関心をお持ちで、どういう指導、助言をおやりになっておりますか。
-
○福田(繁)政府委員 私立学校の運営につきまする助言の問題でございますが、これは実際の問題としては非常にむずかしい点があると思います。しかしながら一般的に申しますと、たとえば私立大学におきましても、文科系、理科系を問わず、財政面からのいろいろな制約もございますので、そういった財政上の国の援助あるいは振興会を通じての援助、そういった観点から、私学の経営としてあるべき姿に向かって、是正をしていくべき点があれば是正をしていく。私どもはああしろこうしろというようなことは申せませんけれども、そういった点で公共的な運営ができるような、できやすいような環境を作る、こういうような建前で従来からもやっておるのでございます。
-
○
滝井分科員 私学振興会の今までの資金五十億円に、今度新しく三億円出たわけですが、これらの配分方法その他についても聞きたいのですが、時間がないのでやめまして、その次の点は――配分だけでも聞いておけというから、できれば簡単に御
説明をしておいていただきたい。
-
○福田(繁)政府委員 三十五
年度におきます私学振興会の出資金は三億円でございますが、この三億円の配分について、まだ具体的な
計画はきまっておりません。しかしながら大まかに申しまして、従来の政府出資金と返還されてくるところの資金をプールにいたしまして、私立学校の主として施設整備の面にこれを充当していきたい、こういうような趣旨でおるのでございます。具体的な個々の学校についての配分はまだきまってないわけでございます。
-
○
滝井分科員 具体的な施設の配分の
計画がきまってから、もう一回機会を見て尋ねさしていただきたいと思います。
次は、文部大臣も御存じの
通り昭和三十五
年度末で、
日本の九千万の国民は皆保険体制の中に組み入れられるわけです。三十六年の四月一日になりますと、
日本全国の国民は、みんなとにかく保険証を持って医療にかかれるという姿になるわけです。その場合に、現在の
日本の医学教育というものが、今の姿のままで一体よろしいかどうかというこの問題です。
文部省としては、皆保険になった場合に、一体医学教育制度というものをどういうようにお考えになっておるのか、この検討をされておるならば、その構想をこの機会に
一つお聞かせ願いたいと思います。
-
○小林(行)政府委員
お話のございましたように、皆保険が数年のうちに実施されるという状況でございますので、
文部省の中では、この医学
関係の学部長さんなりの集まりでいろいろ御相談になっているようでございます。また
文部省自体の制度といたしましては、医学
関係の視学委員というのがございます。そういう人にもお集まりを願って、将来の医学教育のあり方について、新しく検討を始めたいというふうに考えております。
-
○
滝井分科員 そうしますと、現在まだ具体的な検討には入っていないということですね。これは大臣、今後そういう検討を早急に始めなければならない段階がおそらく来ると思うのです。と申しますのは、
厚生省設置法の一部を改正する
法律というのが昨年国会を
通りまして、臨時医療制度調査会というのが
厚生省にできております。その臨時医療制度調査会は二年間の時限立法です。多分三十六年の四月までしかない
法律ではなかったかと思うのです。従ってここではやはり
日本の医療制度というものに根本的に検討が加えられるわけです。必然的に
日本の医療制度にマッチをした医学教育制度というものが、それに対応してこなければならぬわけです。現在の
日本の医学教育を見てみると、まず教養的なものをやります。それから基礎医学をやります。それから臨床医学をやります。そして今度はインターン制度があってインターンをやって、それから国家試験を受けて医者になるわけです。こういう一環の制度があります。ところが今度そのインターンをやって国家試験を受けたその一人前の医者が、現在国民の九千万をおおっておる国民健康保険制度の中に入っていくと、その保険の治療ができないのです。出たての医者では保険の治療ができない。それはなぜかというと、保険は制限診療だからです。医学教育というものは、ほんとうに医学的な良心にかなった治療をすることしか教えていない。出ていく社会というものは、制限診療の社会なんです。保険経済というワクの中で医学を実行しなければならぬという社会、そういう社会におけるこの医学教育というものを――私は保険制度に隷属する医学教育は反対なんです。あくまでも科学的な、医学的な良心に基づいた医学技術を進展するような方向の医学教育がなければならないが、現実に社会において行なわれておる医療制度の中の保険制度というものは、そういうものとは幾分マッチしないものがあるわけです。そこで、これらの二つの医学教育制度と保険制度というものを一体どういう工合にマッチさせ、うまく適合した姿で今後の医学教育をやっていくかという点については、現在非常に多くの問題をはらんでいるわけです。そして、他の学科に比べて非常にコースが長いということもありますが、そのために、現在、
日本では、そういう医学教育制度と保険制度のある中で、国の行政として最も大事な行政である予防行政、いわゆる保健所の技官と申しますか、医療技術者、医療行政官というものがいないのです。行き手がいないのです。従って、全国にずいぶん都道府県で保健所を作りましたが、その保健所に閑古鳥が鳴き始めている。技術官がいないのです。保健所にその必要な医者がいない、こんなばかげたことはないのです。ところがそれがいないのです。医学教育というものはそういう者を養成する方向にはいっていないのです。こういう問題が一面出てきているのです。これは
一つの部門の問題でございますから、あるいは大臣の考慮をわずらわせるところまではいっていないかもしれませんけれども、この医学教育というものはやはり
一つの自然科学の重要な基礎部門をなしております。今後原子力の研究等が行なわれて参りますと、やはりこの部門の基礎的な研究というものがわれわれ人類の生命に重大な
関係を及ぼしてくるのです。そういう点で、これは無視することのできない、今後の文部行政の中の重要な点だろうと思うのです。この点は、ぜひ、大臣、義務教育や一般の大学教育とともに、重大な関心を持っていただきたいと思いますが、大臣の御所見を承っておきたい。
-
○松田国務大臣 医学教育並びに医療の社会化というような問題に伴って、これは今
お話しになった各方面からの十分な検討が必要であろうかと思うのであります。
お話しのような特殊の医学、特に精神医学あるいは心理医学、また今日やかましくなっておる音響等からくるいろいろの影響等も考え、いろいろの点からこれは検討していかなければならぬことと思います。事専門に属することでありますので、私など容喙すべき事柄でないかもしれませんけれども、
厚生省初め
関係各省とも十分な検討をもって、文部行政に対してもこれを参考とし、処置して参りたい、かように考えております。
-
○
滝井分科員 実はその医学教育に関連をして、いわゆる大学の教室に入って、その教授のもとで研究をして博士をとるという博士制度が、多分三十六年か七年まででなくなってしまって、その後は大学院制度になるわけです。そうすると、今までは、たとえば解剖学とか生理学というような基礎の部門においても博士を作っておったわけです。そこで、博士をとるために、その基礎部門にもたくさん研究者が殺到しました。ところが、大学院制度ができましてから、おそらく各教室で大学院の学生を採るというのは、一万円か一万二千円の給料を払いますから、一人か二人、せいぜい三人、そのくらいになるわけです。そうしますと、今まで二十人、三十人、多いところは五十人も基礎部門で研究をしておったのが、今度は博士課程というものがなくなって大学院制度になりますから、基礎医学の研究者というものが急激に減ってきたのです。そうして
一つの科で今までは五十人も六十人もおったのが、プロフェッサーいわゆる教授と助教授と講師と一年、二年、三年、四年くらいの大学院研究生が一人か二人ずつおる、全部で十人か
そこら、こういう形になってきたわけです。そこで現在
日本の基礎医学部門というものが重大な危機に直面しておる。研究者がいなくなった。学問というものはピラミッドの底辺が広ければ広いほど深遠になり、高くそびえ立つことができるわけです。ところが、この基礎部門の研究者が非常な減少を来たしつつあるということは、
日本の自然科学の重要な部門である基礎医学というものが、
一つの危機に直面しておると思うのですが、これに対して
文部省はどういう対策をとろうとするのか、これを
一つお聞かせ願いたいと思います。
-
○小林(行)政府委員 最近医学教育の面で基礎医学の専攻者が減ってきたということは、ただいま御指摘になりましたように事実でございます。これにつきましてはいろいろ原因があると思います。ただいま
お話のございましたように、新しい大学院制度というものも
関係して参りますし、また博士になる学位制度等も関連すると思います。ただ、ただいまの
お話とちょっと違いますのは、新しい学位でも、論文博士は実はあるわけでございますけれども、これはある
程度従来よりも厳格になってきておるという観点から、これも
一つの原因ではなかろうかと思いす。また
厚生省の方で、御承知のように、お医者さんになるのには国家試験を受けるという現在の状況では、やはり大学院などに残っておりますと、開業医のあれが受けられないというようなことで、臨床の方へ行ってしまうという実情ではなかろうかと思います。これにつきましては、要するに国立大学等におきましては、大学院で基礎医学の面を特に勉強するような者については、大学院の奨学金を優先的に貸与するというような方法も実は考えて実施をいたしておりますが、これでもまだ十分とは思っておりません。何らかの対策を今後考えていかなければならぬと思っております。外国の事情等もいろいろ取り調べましたり、あるいは
関係の医学部長の意見等も十分聞きまして、措置をいたしたいと考えております。
-
○
滝井分科員 もちろん
日本の教育制度は――内藤さんの名前は天下に非常に有名です。しかし
大学学術局長なんかの名前はちっとも出てこない。内藤さんはほんとうに文部大臣よりも天下に有名です。
大学学術局長の方が努力をしていないというわけではありません。やはり内藤さんが天下に有名になるくらいに、あなたの方も
日本の大学制度についてもう少しいろいろと世論を喚起するような方向にいかないといかぬと思うのです。内藤さんは勤評や何かやって教育制度をかき立ててきた。
初等中等教育というものは義務制度ですから一番大事です。その大事なところに目をつけるのは、
局長、大した腕前です。敵ながらあっぱれと言わなければならぬ。そういう点であなたも大学の問題についてもう少し社会にアッピールをする、そうしてこういう工合にやって大学を拡充して、青年に希望を持たせるべきです。岸さんが施政演説の最後にちょこちょこ言うのを、もう少し前の方に持ってこさせていくくらいにあなたが努力をしてもらいたい。こういうことを希望して終わります。
-
-
○多賀谷
分科員 時間がだいぶおそくなっておりますけれども、私は一般的な問題ではなくて、部分的ではありますが、きわめて深刻な社会問題でありますので、この際質問をしておきたいと思います。
炭鉱の歌といえば月が出た出たという歌だけだと思っておったら、最近御存じのように「炭鉱の子守唄」という歌が有名なレコード会社から発行されて、それが
かなり世間で歌われておる。ところがこの歌の歌詞はきわめていろいろな社会問題を含んでおる。われわれが深刻に考えなければならない問題を含んでおると思います。そこで歌詞を読んでみますと、「父ちゃん今日も帰らんき、母ちゃん廃坑にボタひろい。秀坊のおもりはうちばっかり、ふみちゃんと繩飛びしたいとに。兄ちゃんどこまでザリガニ取りに、学校やすんでいったやろ。ザリガニ取ってなんにする、ゆうげのカユのサイにする。夕やけ雲はあかいのに、あしたも学校にゆかれんと。もうすぐ遠い町の玩具屋に、ねえちゃん子守に行くとばい。こんどかえるときにゃおばさんにゆうて、秀坊にガラガラもろてやろ。」こういう歌ですが、ここの家庭はお父さんとお母さんと、そして本人と秀坊という弟と、兄さんと姉ちゃんがおるようですね。ところがこれは本人も学校に行っておる就学児童です。兄ちゃんもやはり義務教育の学校に行っておる子供らしいのです。姉ちゃんもどうも小学校くらいは卒業したかもしれませんが、中学校へ行く義務がある。そうするとこれは三人とも学校に行っていないのです。すなわち兄ちゃんはザリガニ取りに結局学校を休んでいっているわけです。本人は秀坊ばかり守をしているものですから、これも学校へ行っていない。空は夕焼けであしたは天気であるのに、あしたも学校へ行かれない、こういうことを言っている。それから姉ちゃんの方は子守に行くというのですから、これは長期欠席をするのですね。これは私は誇張して言ったものじゃない。これは実態だと思います。そこで先ほど
横路君から学校給食費の問題について質問がありましたが、それに関連して、災害、炭鉱
関係に二千二百万円
程度の給食費の補助が書いてありますけれども、一体現在炭鉱地帯において学校給食の実施をどのくらいしておるか。そのうち完全給食の児童はどのくらいおるのか。さらに完全給食でなくとも、その他の補食給食あるいはC型給食といったものはどのくらいあるのか。そのうち教育扶助をどのくらい受けておるのか。さらに要保護児童としてどのくらい補助をしておるのか、あるいは準要保護者としてどのくらい補助をしておるのか。市町村単独ではどのくらいしておるのか。あるいはその給食の未納がどのくらいあるのか。こういったことについて、
一つ数字をあげて、一体どのくらい
文部省では把握されておるか、お聞かせ願いたい。
-
○清水政府委員 不況炭鉱地区と申しましても数県ございましょうが、特に福岡県の例が最も深刻であります。それで福岡県の六市五郡のことを御報告申し上げたいと思います。六市というのは大牟田、直方、田川、飯塚、山田、中間、それから粕屋、遠賀、下って嘉穂、田川という最も炭鉱不況地区について、今の御質問について、わかっている
範囲内を申し上げたいと思います。
この地区におきまして完全給食をやっている児童数は十五万三千余人になっております。補食給食が、ラウンド・ナンバーで申し上げますが、二万一千強になっております。合計十七万四千人ということになっております。学校を見ますと、完全給食が百三十校、補食給食をやっておりますのが十九校になっております。完全給食の十五万三千人の
内容を調べてみますると、生活保護法によって扶助を受けておりまする者が、一万人、正確に申しますと、一万五十六人、この三月になりますと若干ふえる予定になっておりまして、一万一千という
数字が出ております。それから従来の準要保護児童といたしまして、ラウンド・ナンバーで申し上げますと、五千五百人一応見られておるわけであります。ところが炭鉱不況によって救われない子供が何人おるかというと、二千人――御承知のように国は二%出しておりますが、どうしてもこれでは市町村で見てやらなければいかぬというので、市町村が学校給食を単独で補助いたしておりますのが二千人。ところがそれ以外に、どうしても手が届かない未納者というのが六千人をこしておるのでございます。言いかえれば八千三百人以上はどうしても救わなければならない。これは昨年の調査でございまして、三月までには相当ふえていくのではないかと思っております。それからただいま欠食はどうかというような
お話がございましたが、これも昨年の十月調査いたしてみますると、特にこれは給食を実施しておらない学校にやはり比較的多いのでございまして、十月現在で見ますと、ラウンド・ナンバーで申しまして、欠席いたしておりますのが二千三百人、この欠席にはいろいろ原因があるかと思います。ただ単にお昼弁当を持っていけないという者ばかりでなく、家計を手伝うとか、いろいろな
関係で欠席する、学校へは来ているが弁当を持ってこない、欠食しているというのがまことに多くて、二千二百人という状況でございます。これはまことに気の毒な問題でございまして、
文部省といたしましても、これは単なる社会問題ばかりでなく、教育の立場からも、できる方法をとらなければならぬというので、昨年来種々検討いたして、
予算も計上いたしたような次第でございます。以上でございます。
-
○多賀谷
分科員 この
予算はどういうようにお使いになるのですか。たとえば今までの準要保護者というのをふやすわけですか、どういうようにお使いになりますか。
-
○清水政府委員 これは御承知のように、三十四
年度におきましてこの炭鉱地帯全部の準要保護児童の給食費補助といたしまして一千百万円、これは三十四
年度は、私の記憶に間違いなければ、九月の十日ごろから見ておりますが、三十五
年度の
予算といたしましては年間千三百二十一万円。この三十四
年度の人数は一万二千人強をこれで救ってやりたいと思っておる次第でございます。それは六県でもって大体一万二千、福岡だけで一万ちょっとこす予定でございます。
-
○多賀谷
分科員 そういたしますと、これは学校給食を行なっていないところ、これは対象になりますか。
-
○清水政府委員 学校給食未実施の学校をどうするか、特に学校へ来ている子供の中で、弁当を持ってこれない人はどうするかという問題は、昨年来私どもといたしてもほんとうに頭をひねり苦心したところでございます。それで、もしその県におきまして応急学校給食をやりたいという希望があり、県におきましてもその必要ありと認めた場合には、応急給食といたしまして、学校給食用の物資、小麦粉なりあるいはスキム・ミルクなりを回そうという予定をいたしておったわけでございます。その後、これも御承知かと思いますが、私どもほんとうに心から感謝いたしておるわけでございますが、
日本キリスト教奉仕団の方から小麦粉が四十五トン寄贈がございました。十万ポンドになりますが、これを学校給食用に回して、クラッカーといたしまして五千人分百日間というものを、私の記憶に間違いがなければ十二月の上旬から三月までこれをやるというふうになっておるわけでございます。そのほか、この未実施校でそういう気の毒な子供をどうするか。クラッカーをもらったけれども、それだけじゃ食べにくいだろうというので、スキム・ミルクを回すなり、それからスキム・ミルクを回してもらっても食器をどうするか。やっぱり五千人ぐらいのものを、これは御承知かと思いますが、
日本ユニセフ協会から心からなる贈りものとして出ております。またそのミルクを運ぶ運搬用のミルク・ポツトとでも申しますか、これなども出ておるわけであります。私どもといたしましても、何とかこれは国でもっていたさなければならぬと思ったのでございますが、事の性質の上から、また
金額が十五万とか十二万とかいうことになりますので、その御好意に感謝しつつ欠食あるいは欠席した児童をその方面で救っておるような次第でございます。
-
○多賀谷
分科員 実はだんだん炭鉱地帯の町村も財政が疲弊して参りまして、そうしてだんだん学校給食をやめるという傾向に出てきた。そこで保護の対象を手厚くされましても、結局学校給食そのものをやめますと、御存じのように救済の方法がないわけですね。それは第一には、未納が非常に多いというわけです。炭鉱地帯で実施しております学校の先生は毎日のようにその給食費を取って歩かなければならぬのです。これは父兄の方が、日々しか金が入らぬわけです。ですから月給者やあるいは週給者なんかの人は――週給の人はほとんどおりませんでしょうが、そういう人と違って、とにかくその日金が入るか入らないかわからないわけですね。ですから給食費に回すという金がない。そこでやっております町村の先生方は、この給食費集めで大へんなんです。こういう状態です。ですから町村としても小さな町村で年年百万円とか二百万円補助をしておりましても、結局立っていかないで赤字が累積するというので、学校給食そのものをやめてしまうという状態にだんだんなりつつあります。これは
一つ何とか方法を考えなければ、せっかく政府がこの準要保護者の数を多くしていただきましても、実施をしていないのですから方法がない。わずかのクラッカーやミルクをやって糊塗しておってもどうにもならない。これについて一体どういうようにお考えですか。最近ある町村ではやめたわけです。そうしてやめましたら、その二、三日はやはり親が何とかして、学校を休ますわけにいかないから、弁当を持たしてやる。われわれもその実施状況を見に行きましたが、そういう家庭はだれも弁当箱なんか持っていないのです。ですからおにぎりを新聞紙に包んで持ってきておる。おかずも何もない。しかもそういうことも一日か二日なんです。そうしてそのうちに学校に来なくなる。そして今の炭鉱の子守歌に出てくる家庭の子供も全部休んでおる、こういうことです。それから先生が、長期欠席をしておるというので行ってみましたら、農繁期あたりに子守に雇われておる。一週間なら一週間、一月なら一月子守に雇われているときに、それの見合いといいますか、その形で米を農家から借りてみなで食っておるという状態です。ですから、小学校の生徒ももちろんですが、中学校なんかに行きますと、これはもう長期欠席が多いのです。ですから、私はこの未実施の学校の欠食児童にどうするかということは非常に大きい問題だと思いますが、これについてどういうようにお考えですか、
一つお聞かせ願いたい。
-
○清水政府委員 まことに胸を詰まらせるような
お話を承ったのでございますが、私昨年の十二月上旬でございますか今でも覚えておるのでございますが炭鉱地帯の子供の作文を見まして、私きょうは学校給食日である。だから楽しい。学校給食日だから学校へ自分は行くんだというような作文を見たのであります。まことに何と申しますか、親の気持を知らないけれども、学校給食が子供にとって非常に楽しい、魅力のあるものである。ところがその学校給食費が払えないという問題がある。それから今御指摘のような学校給食を実施しておらない学校をどうするか。しかもいろいろな家庭の事情その他でもって学校へ行けない人もおるのじゃないか、これはより根本的な問題じゃないかと私は思うのであります。もちろん
文部省といたしましては、学校給食でなし得るものは最大限考えていかなければならぬと思いますが、これは学校給食以前の問題もあるかと思います。そういう意味合いから、
法律の名前は忘れましたが、石炭鉱業合理化臨時措置法というようなものも国の政策として現われ、その他国全体として炭鉱地帯の不況は考えなければいかぬと思うのでございます。しかし、それはそれといたしまして
文部省として、学校給食でなし得るものはどういうふうにしたらいいだろうかということには始終頭を悩ましたわけでございますが、この学校給食も、クラッカーを配るときも、教育的配慮は相当むずかしいと思う。よほどうまくこれを配りませんと、その気の毒な家庭の子供は、何と表現したらいいのですか、ひけ目を感ずるというか、学校でもって弁当を持ってこない人だけに給食をするというのもどうか、また本来の学校給食は、御承知のごとく同じ場所でみんなで同じものを一緒に食べて、そうして自然に体位の向上なりいろいろなものをやっていくというところにあるのでございますので、この点は今後とも考えていかなければならぬと思うのでございますが、御承知のごとく学校給食の人員を二%から四%にし、それとは別に炭鉱地区については、来
年度は一年間見ておるのでございますし、それから現地の要望があれば未実施の学校には応急的な学校給食をもしやるという必要を認めたならば、それに対して
文部省としても物資を回してやるというようなことも考え、また始める際には種々設備も要るだろうと思いますから、それに対する補助金ももちろん十分ではありませんけれども、何とかそのことを胸に入れて学校給食で
文部省としてしなければならぬ点は、皆様方の御意見も拝聴して、できるだけのことを今後措置していかなければならぬと思っておるような次第でございます。
-
○多賀谷
分科員 そういたしますと、いわば応急給食といいますか、欠席児童だけを対象にその市町村がやるということになれば、あなたの方でそういった補助なり何かされますか。
-
○清水政府委員 その応急学校給食費というのは、今まで災害が発生しましたり、またそれと同じような深刻な炭鉱地帯でもってやる場合は、これは学校給食の建前として、先ほど申しました
通り、同じ部屋で同じようなものを一緒に食べるというところにあるのでございまして、欠食の人だけにそれをやるというようなことについては、なお検討を要しなければならぬと私どもは考えております。従来の応急給食というのは、全部で同じところで先生と一緒に食べる、そこに何らのでこぼこと申しますか、差別のないというようなことを言っているわけであります。
-
○多賀谷
分科員 私は、学校給食の建前からいいますと、私が今指摘している面は、確かにレア・ケースであるし、あくまでも例外だと思います。建前は確かに全体の子供に、その体位向上のために給食をするというのが建前です。
法律もその
通りに書いてありますが、しかし現実にそういう事態が発生し、それが災害のような一時的なものではないのです。炭鉱の不況というのは、明治以来何度も繰り返しましたけれども、
昭和の初めの炭鉱不況でも、その炭鉱が不況になりますと、小学校の生徒がまず減るのです。炭鉱不況と同時に、その市町村は人口が減るのですよ。というのは、その当時は労力の移動が可能であったのですね。ところが今は住宅難ですから、移動が可能でないのです。炭鉱がどんどんつぶれて、失業者がどんどんふえても、その小学校の生徒の児童が変わらないのです。結局移動困難から、こういう悲惨な状態が部分的に、しかも深刻に出ておるのです。ですからそれは国の政策が全般的にうまくいかなければ、これは単に援護法ができたからといって簡単に解決する問題ではなくて、
かなり長期化するだろう。しかも今の石炭の見通しあるいはなかんずく筑豊炭田の老朽性から言いまして、これは
かなり長期に続くだろう、こういうことを考えなきゃなりません。
そこで大臣、実は学校給食法の中にはそういう建前はないのですけれども、レア・ケースとして、
一つこの欠食児童、しかも常時的な欠食児童に対しては、当然政府として準要保護者として扱って、特別に応急給食をする必要がありはしないか。それが教育と直接
関係があるわけです。給食をしなければ学校を休むのですからね。とにかく来ないのですから。ですからその点についてどういうようにお考えであるか、大臣から御
答弁を願いたい。
-
○松田国務大臣
お話のような悲惨な事情、これは
文部省に直接
関係があるなしにかかわらず、ほうっておけない問題と思います。特におっしゃるように応急の処置を講じなければ学校を休む児童が多くなるというようなことに対しては、直接
文部省としてもこれじゃいけないというわけでありますので、これは
厚生省その他各省、大蔵省とも相談をして、何らかの措置を講ずる工夫を考えてみたいと思います。そういう実情を考えております。
-
○多賀谷
分科員 と同時に、大臣におかれましては、ぜひ
一つ制度的に、応急制度でけっこうでございますから、制度的に考えてもらいたい。この問題が解決しませんと、いかに道徳教育を叫びましても、現実に非常に悲惨な状態なんですね。われわれが想像できないような状態になっているのです。たとえば、変な話ですが、ある小学校のごときは、便所の竹のほうきが、新品をおろすと必ずなくなるのですよ。いつでもなくなる。これは
理由がわからないのです。それを持っていって売るのだろうかどうだろうかわれわれちょっとわからないのですよ。先生方に聞いてもわからないが、新しいほうきをおろすと、そのほうきもなくなる、こういうのですね。こんなところで一体教育を叫んでもだめなんですよ。問題は、結局欠食の児童だけじゃありません。全部に影響しますからね。ですから学芸大学等を出られて、非常に子供を愛し、そうして教育に専心しようとして来られる若い先生方が、全くどうしていいかわからない。非常な懐疑心になってきておるのです。先生の方が、社会が、わからないと言い出すのですね。それは私は例をあげればわかりますけれども、いろいろある。たとえばこういう
発表がなされた。それは同じような環境にある、すなわちお母さんが一人で、そうして主人がない、そういう子供が
かなり多い。そうしてやはりお母さんが日雇いの拾い仕事に行っておる。あったりなかったりしておる。ところがその家庭がAという家庭とBという家庭と同じ環境にある、ところがAの子供はできない。そうして先生は、うっかり宿題は何ページから何ページまでという宿題の出し方は、ああいう小学校はできないのです。本を持たぬのが
かなりおるのです。ですからうっかり先生が何ページから何ページまでやってきなさいと言ったら、翌日先生が子供にかわいそうな思いをさせなければならぬ、ああそれは先生が悪かったですねと言って、黒板に一回々々書いてやらなければならぬ。それからそれらの子供がこの冬の寒いときでも天気のいい日に表に出て遊ばないのです。みな薄暗いところとか日陰で遊んでおる。そうしてそういう連中がグループになっておる。一般の子供と遊ばない。なぜ外に出てひなたに行かないですか、こう言いますと、先生まばゆいばいと言う、要するに冬の日光だってまばゆいのです。そういう子供がおる。ですからましてや学力などありません。ただ学校に来てすわっておるだけです。いたずらもしないのです。そういう子供は。ところが同じような環境にあるはずのBという家庭の子供、非常によくできる子供がある。貧しい着物を着ておるけれども、ちょっと小ざっぱりしておる。ところがある日のこと、先生は平素から不思議に思っておったのですが、同じような環境でどうして違うのだろうかと思っておったのですが、その女の子は優等生です。ところが日記を書いた。その日記に私のお母ちゃんは近く子供が生まれるのだと書いてある。御主人はいないのです。それで先生ははっとして、ほかの先生方に聞いたら、変な言葉で言えばおめかけさんですと言う。ところが一体親としてとにかく一方は栄養失調で、もう知能指数もだめ、だんだん低下する一方です。知力もなければ体力もない子供でしょう。おめかけさんをしておっても、一方においては子供はすくすくと育っておる。その子供が年ごろになれば恥ずかしい思いをするかもしれませんけれども、現在はともかく何も知らぬでどんどん育っておる。一体教育というものはわからないとこう言うのです。世の中がわからない、これは先生が言い出した。こういう問題だって現実に起こっておるのです。少なくとも学校に行ったら給食がもらえる、これを楽しみに来る子供も相当多い。そうして学校給食のあるところは、みんなが少しずつ残ったものでもやります。先生が残ったパンでもやりますから、それを持ってうちに帰るのが楽しみです。家の者もそれを待っておる。これは
文部省に頼むのは邪道です。何も
文部省に頼む性格のものではない。むしろ
厚生省やその他がやるべき仕事ですけれども、現実はそういう状態であります。ですから、
一つぜひ未実施の学校に対する処置を大臣にこの際骨を折っていただきたい。このことを要望いたしまして、質問を終わります。
-
-
○
北澤主査 この際お諮りいたします。本
分科会所管の
予算両案についての討論採決は、これを
予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
北澤主査 御異議なしと認め、さよう決しました。
これにて本
分科会の議事は全部終了しました。
分科員各位の御協力に対し厚く御礼を申し上げます。
これにて散会いたします。
午後五時五十一分散会